JP2023019830A - iPS細胞に対する免疫反応を評価する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】iPS細胞に対する被験者の免疫反応を評価する方法を提供する。【解決手段】iPS細胞に対して主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex、MHC)の発現を増強させる処理を行うステップ、処理後のiPS細胞を被験者由来のT細胞を含む検体とインビトロで共存させるステップ、T細胞増殖の指標となるデータを取得するステップ、及び前記データに基づいて前記iPS細胞を移植した際に被験者が拒絶反応を起こす可能性を評価するステップを含む、前記iPS細胞に対する被験者の免疫反応を評価する方法とする。【選択図】図1
Description
本発明は、iPS細胞(人工多能性幹細胞、induced pluripotent stem cell)に対する被験者の免疫反応を評価する方法に関する。
患者に他者由来の細胞又は組織を移植する同種移植治療において、レシピエントの免疫機構がドナー由来の細胞又は組織を異物と認識することによって生じる拒絶反応を克服することは、治療の成否を左右する重要な課題である。
拒絶反応を克服するための主なアプローチとして、シクロスポリン、タクロリムス等の薬剤投与によるレシピエントの免疫応答抑制や、細胞工学的手法を用いて調製した患者自身の細胞又は組織の自家移植による免疫型不適合の回避を挙げることができる。各種の組織幹細胞又はiPS細胞を利用した細胞移植技術の進展に伴って、自家移植による免疫型不適合の克服が進むと期待される一方、同種移植は依然として重要な治療手段である。
同種移植においては、レシピエントとドナーの主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex; MHC)の型を完全一致又は部分一致させることで、レシピエントの拒絶反応の発生リスクを低減させることができる。しかしながら、MHCの型が完全一致している場合であっても拒絶反応が生じ得る例は少なくない。この免疫応答は、マイナー組織適合性抗原(Minor histocompatibility antigen)の型の不一致により引き起こされるものと考えられているが、マイナー組織適合性抗原の型は極めて多岐にわたり、これら全てを一致させた移植を行うことは極めて困難である。そのため、同種移植を行う際、MHCの型を完全一致又は部分一致させた場合であっても、ドナー由来細胞又は組織に対するレシピエントの免疫反応を事前に確認しておくことが重要である。
また、同種移植においてレシピエントの拒絶反応を抑制し得る新たな手段に対するニーズは依然として存在する。近年、非自己抗原に対する免疫寛容(獲得寛容)を人工的に誘導する方法が注目されている(例えば特許文献1及び2)。また、ドナー由来のB細胞又は樹状細胞を移植前のレシピエントに投与することで、同種移植における組織定着率が改善されることが報告されている(例えば非特許文献1及び2)。免疫寛容の誘導は、アレルギー性疾患や自己免疫疾患等に対する治療又は症状の緩和策の1つである一方、同種移植においても非自己抗原に対する免疫応答の抑制又は免疫抑制剤の投与量の低減につながり得るものと期待されている。
Gao J. et al., 2013, PLOS ONE, 8 (10): e77761
Yamano T. et al., 2011, blood, 117 (9): 2640-2648
本発明は、iPS細胞を利用した同種移植において、レシピエントの免疫反応を評価する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、レシピエントのT細胞と、MHCの発現を誘導したドナー由来iPS細胞とをインビトロで共存させ、T細胞の増殖を測定することで、当該iPS細胞に対するレシピエントの免疫反応を評価することができることを見いだし、以下の発明を完成させた。
(1) iPS細胞に対して主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex、MHC)の発現を増強させる処理を行うステップ、
処理後のiPS細胞を、被験者由来のT細胞を含む検体とインビトロで共存させるステップ、
T細胞増殖の指標となるデータを取得するステップ、及び
前記データに基づいて、前記iPS細胞を移植した際に被験者が拒絶反応を起こす可能性を評価するステップ
を含む、前記iPS細胞に対する被験者の免疫反応を評価する方法。
(2) MHCの発現を増強させる処理が、IFN-γ及びTNF-αのうちの一方又は両方と共存させる処理である、(1)に記載の方法。
(3) MHCが、MHCクラスIである、(1)又は(2)に記載の方法。
(4) 被験者由来のT細胞を含む検体が、被験者由来の末梢血単核細胞である、(1)~(3)のいずれか一に記載の方法。
(5) CD4陽性T細胞及びCD8陽性T細胞の増殖の程度に基づいて、被験者が拒絶反応を起こす可能性が評価される、(1)~(4)のいずれか一に記載の方法。
(6) T細胞増殖の指標となるデータが、フローサイトメトリーによって取得される、(1)~(5)のいずれか一に記載の方法。
(7) フローサイトメトリーによるデータ取得が、CD11b陰性かつCD3陽性細胞のゲーティングにより選択された細胞集団のなかからCD4陽性細胞及びCD8陽性細胞を検出することによって行われる(6)に記載の方法。
処理後のiPS細胞を、被験者由来のT細胞を含む検体とインビトロで共存させるステップ、
T細胞増殖の指標となるデータを取得するステップ、及び
前記データに基づいて、前記iPS細胞を移植した際に被験者が拒絶反応を起こす可能性を評価するステップ
を含む、前記iPS細胞に対する被験者の免疫反応を評価する方法。
(2) MHCの発現を増強させる処理が、IFN-γ及びTNF-αのうちの一方又は両方と共存させる処理である、(1)に記載の方法。
(3) MHCが、MHCクラスIである、(1)又は(2)に記載の方法。
(4) 被験者由来のT細胞を含む検体が、被験者由来の末梢血単核細胞である、(1)~(3)のいずれか一に記載の方法。
(5) CD4陽性T細胞及びCD8陽性T細胞の増殖の程度に基づいて、被験者が拒絶反応を起こす可能性が評価される、(1)~(4)のいずれか一に記載の方法。
(6) T細胞増殖の指標となるデータが、フローサイトメトリーによって取得される、(1)~(5)のいずれか一に記載の方法。
(7) フローサイトメトリーによるデータ取得が、CD11b陰性かつCD3陽性細胞のゲーティングにより選択された細胞集団のなかからCD4陽性細胞及びCD8陽性細胞を検出することによって行われる(6)に記載の方法。
本発明によれば、iPS細胞又はiPS細胞を分化させて作製される組織等の生物学的材料と移植を受けようとする被験者との免疫学的適合性を、移植を行う前にインビトロで評価することができる。これにより、適合性がより高いiPS細胞を選択して移植を行うことができ、拒絶反応の少ない同種移植治療が可能になる。
以下に示す本発明の説明は、代表的な実施形態又は具体例に基づくことがあるが、本発明はそのような実施形態又は具体例に限定されるものではない。また、本明細書において示される各数値範囲の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。また、本明細書において「~」又は「-」を用いて表される数値範囲は、特に断りがない場合、その両端の数値を上限値及び下限値として含む範囲を意味する。
本発明は、iPS細胞に対してMHCの発現を増強させる処理を行うステップ、処理後のiPS細胞を被験者由来のT細胞を含む検体とインビトロで共存させるステップ、T細胞増殖の指標となるデータを取得するステップ、及び前記データに基づいて前記iPS細胞を移植した際に被験者が拒絶反応を起こす可能性を評価するステップを含む、前記iPS細胞に対する被験者の免疫反応を評価する方法に関する。
本発明において用いることができるiPS細胞は、当業者に知られた体細胞初期化方法によって体細胞から作製することができる。体細胞初期化方法の一例は、体細胞に体細胞初期化因子と称される遺伝子又はそれにコードされるタンパク質、例えばOct 3/4、Sox 2、Klf 4及びc-Mycの4種の遺伝子を体細胞に導入し、適切な条件下で培養することで分化多能性を有する細胞を誘導する方法である。体細胞初期化方法の別の例は、上記遺伝子の一部を低分子化合物等の薬剤で代用する方法(例えば、Huangfu D.,et al., Nat. Biotechnol., 26, 1269-1275(2008))や、マイクロRNAを用いる方法(Miyoshi N.,et al., Cell Stem Cells,8,633-638(2011))である。本発明において、iPS細胞は、体細胞から誘導される多能性を有する細胞であるかぎり、任意の誘導方法及び原料体細胞から調製されたものを用いることができる。
MHCは、細胞表面に存在する細胞膜貫通型の糖タンパク質であり、抗原ペプチドを細胞表面に提示する機能を有する。ヒトのMHCは、HLA(Human Leukocyte Antigen)とも呼ばれる。MHCは、クラスI及びクラスIIに大別することができる。MHCクラスI分子(ヒトではHLA-A、HLA-B及びHLA-C等)は、細胞の内因性抗原に由来するペプチドを提示し、CD8陽性T細胞(細胞傷害性T細胞)を活性化する。活性化されたCD8陽性T細胞は、その抗原を発現している細胞を傷害する。一方、MHCクラスII分子(ヒトではHLA-DR、HLA-DQ及びHLA-DP等)は、B細胞、単球、マクロファージ及び樹状細胞といった抗原提示細胞で発現し、細胞外から食作用により取り込んだ外来抗原に由来するペプチドをCD4陽性T細胞(Th細胞)に抗原提示する。活性されたCD4陽性T細胞は、CD8陽性T細胞等の他の免疫細胞を活性化する。
本発明において、iPS細胞は、MHC、好ましくはMHCクラスI分子の発現を増強させるための処理(MHC発現増強処理)を行うステップに供される。iPS細胞に対するMHC発現増強処理は、iPS細胞の培養又は維持に好適な媒体、例えばiPS細胞の培養培地や緩衝液中で、iPS細胞と、MHCの発現を増強することができる物質、特にMHCクラスI分子の発現を誘導することができる物質とを共存させ、インキュベーションすることで行うことができる。このようなMHC発現増強物質としては、IFN-γ及びTNF-αを挙げることができ、特にIFN-γ及びTNF-αのうちの一方又は両方の使用が好ましい。また、MHCの発現増強は、当業者に公知の方法、例えば抗MHC抗体を用いたフローサイトメトリー等のイムノアッセイによってMHCの発現を検出又は測定することにより、確認することができる。
iPS細胞に対するMHC発現増強処理において、使用するiPS細胞数、MHC発現増強物質の濃度、時間は適宜調節することができる。MHC発現増強処理の例としては、StemFit(登録商標)AK02N培地中で、1×105~1×106個のiPS細胞と、5~50 ng/mLのIFN-γとを、24~72時間インキュベーションすることを挙げることができる。
MHC発現増強処理後のiPS細胞は、次いで、被験者由来のT細胞を含む検体とインビトロで共存させるステップ、及びT細胞増殖の指標となるデータを取得するステップに供される。これらのステップは、いわゆるリンパ球混合反応(MLR; Mixed Lymphocyte Reaction)アッセイに相当し、MLRアッセイにおけるドナーとレシピエントの組み合わせを、iPS細胞と被験者由来のT細胞を含む検体の組み合わせとしたものである。
被験者は、iPS細胞又はiPS細胞を分化させて作製される組織等の生物学的材料の移植を受けようとする哺乳動物であり、例えばマウス、ラット、ハムスター、モルモットを含むげっ歯類、ヒト、チンパンジーを含む霊長類、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジを含む家畜、イヌ、ネコを含む愛玩動物といった哺乳動物を挙げることができる。特に好ましい哺乳動物はヒトである。
好ましい実施形態において、被験者は、そのMHCがiPS細胞のMHCと完全一致又は部分一致であり、かつマイナー組織適合性抗原が完全一致ではない。マイナー組織適合性抗原とは、細胞表面のMHC分子上に提示される生体内タンパク質のうち多型等によりドナーとレシピエントとの間でアミノ酸配列が異なるペプチドであって、そのMHC/ペプチド複合体がレシピエントT細胞に非自己として認識されるものをいう。
T細胞を含む検体は、被験者の末梢血、末梢血から密度勾配遠心法等の方法によって調製される末梢血単核細胞(Peripheral Blood Mononuclear Cell; PBMC)、PBMCから磁気ビーズ等の手段を用いて調製されるT細胞の割合が高められた細胞集団などであり得て、CD4陽性T細胞及びCD8陽性T細胞の一方又は両方を含み得る。
iPS細胞と被験者由来のT細胞を含む検体とのインビトロでの共存は、MLRアッセイにおいて慣例的に用いられる条件で行うことができ、一例として、iPS細胞の培養又は維持に好適な媒体、例えばiPS細胞の培養培地や緩衝液中に両細胞を懸濁混合し、適当な条件下でインキュベーションすることで行うことができる。iPS細胞は、被験者由来のT細胞を含む検体とのインビトロでの共存に先行して、細胞増殖抑制のために10 Gy~50 Gy程度の線量で放射線照射処理しておくことが好ましい。
PBMCを検体として用いた場合の共存条件の例としては、RPMI-1640培地中に、1×105~2×105個のiPS細胞と1×105~2×105個のPBMCとを懸濁混合し、37℃で、7~10日間インキュベーションすることを挙げることができる。
T細胞増殖の指標となるデータは、細胞増殖を検出又は測定するための各種方法によって取得することができる。細胞増殖の検出又は測定のための方法の例としては、核酸アナログ(例えばトリチウムチミジン、5-ブロモ-2' -デオキシウリジン(BrdU)、5 -エチニル-2'-デオキシウリジン(EdU))の細胞内取込みを測定する方法、細胞代謝能を測定する方法(例えばMTTアッセイ、XTTアッセイ)、増殖細胞特異的なタンパク質(例えばPCNA、Ki67)を検出する方法、T細胞表面マーカー(例えばCD4、CD8)を指標として増殖細胞数を計測する方法、及びT細胞を標識した蛍光色素(例えばCFSE、CellTraceTM Violet)の発光の減衰を測定する方法を挙げることができるが、これらには限定されない。T細胞増殖は、CD4陽性T細胞及びCD8陽性T細胞の一方又は両方について取得することが好ましい。
本発明において、T細胞増殖の指標となるデータは、フローサイトメトリーによって取得することが好ましい。また、フローサイトメトリーによるデータ取得は、CD11b陰性かつCD3陽性細胞のゲーティングにより選択された細胞集団のなかからCD4陽性細胞及びCD8陽性細胞を検出することによって行われることが好ましい。貪食細胞マーカーであるCD11bが陰性であり、かつT細胞マーカーであるCD3が陽性である細胞集団のなかからCD4陽性細胞及びCD8陽性細胞を検出することによって、CFSEで染色されたCD4陽性細胞又はCD8陽性細胞を取り込んだ貪食細胞の影響を排除したデータを得ることが可能になる。
次いで、取得されたT細胞増殖の指標となるデータに基づいて、被験者の免疫反応が評価される。T細胞増殖の程度は、拒絶反応が生じないドナーとレシピエント、例えば同一個体から調製されたiPS細胞とT細胞を含む検体とをインビトロで共存させたときのデータをネガティブコントロールとして評価することができる。また、T細胞増殖の程度は、拒絶反応を生じるドナーとレシピエント、例えば互いにMHCが完全不一致であるiPS細胞とT細胞を含む検体とをインビトロで共存させたときのデータを、あるいは互いにMHCは完全一致又は部分一致であるが、マイナー組織適合性抗原が完全一致ではないiPS細胞とT細胞を含む検体とをインビトロで共存させたときのデータをポジティブコントロールとして評価することができる。
T細胞増殖の程度がネガティブコントロールよりも大きい場合、被験者は前記iPS細胞を移植した際に拒絶反応を起こす可能性がある。T細胞増殖の程度が大きくなるほど、拒絶反応の可能性は高まると評価することができる。
本発明における、iPS細胞に対する被験者の免疫反応を評価する方法は、iPS細胞と被験者との免疫学的適合性を予測する方法と表すこともできる。また、上記のiPS細胞に対するMHC発現増強処理からT細胞増殖の指標となるデータ取得までのステップを含む方法は、iPS細胞に対する被験者の免疫反応を評価するためのデータを取得する方法、又はiPS細胞と被験者との免疫学的適合性を予測するためのデータを取得する方法と表すこともできる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の理解を助けるためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
試験例
京都大学が樹立したヒトiPS細胞株Ff-I01s04(HLAハプロタイプ:A*24:02、B*52:01、DRB1*15:02)を1000~1500個/cm2の濃度で播種し、StemFit(登録商標)AK02N培地(味の素株式会社)で5~7日間培養した後、50 ng/mLのヒトIFN-γを含む同培地でさらに48時間インキュベートした。細胞を回収し、FITC標識抗HLA-A, B, C抗体 Clone: G46-2.6(ベクトンディッキンソン)、FITC標識抗ヒト抗HLA-DR, DP, DQ抗体 Clone: Tu39(ベクトンディッキンソン)、又はアイソタイプコントロール抗体(ベクトンディッキンソン)で染色して、フローサイトメトリー(BD FACSCelesta、ベクトンディッキンソン)で解析した。
京都大学が樹立したヒトiPS細胞株Ff-I01s04(HLAハプロタイプ:A*24:02、B*52:01、DRB1*15:02)を1000~1500個/cm2の濃度で播種し、StemFit(登録商標)AK02N培地(味の素株式会社)で5~7日間培養した後、50 ng/mLのヒトIFN-γを含む同培地でさらに48時間インキュベートした。細胞を回収し、FITC標識抗HLA-A, B, C抗体 Clone: G46-2.6(ベクトンディッキンソン)、FITC標識抗ヒト抗HLA-DR, DP, DQ抗体 Clone: Tu39(ベクトンディッキンソン)、又はアイソタイプコントロール抗体(ベクトンディッキンソン)で染色して、フローサイトメトリー(BD FACSCelesta、ベクトンディッキンソン)で解析した。
結果を図1に示す。IFN-γ処理はiPS細胞においてHLA-A, B, C発現を増加させることが確認された。
実施例
1)ドナーiPS細胞の調製
試験例と同様にして、iPS細胞株Ff-I01s04を5~7日間培養後、50 ng/mLのヒトIFN-γ含有培地で48時間インキュベートした。次いで細胞に30 Gyの放射線照射処理を行った。
1)ドナーiPS細胞の調製
試験例と同様にして、iPS細胞株Ff-I01s04を5~7日間培養後、50 ng/mLのヒトIFN-γ含有培地で48時間インキュベートした。次いで細胞に30 Gyの放射線照射処理を行った。
2)混合リンパ球反応
レシピエントA(HLA ハプロタイプ:A*24:02, B*52:01, DRB1*15:02)及びレシピエントB(HLA ハプロタイプ:A*26:01, B*40:01, DRB1*09:01)のそれぞれの末梢血から常法に従ってPBMCを調製した。レシピエントAはドナーiPS細胞とMHC一致でマイナー抗原不一致、レシピエントBはドナーiPS細胞とMHC不一致でマイナー抗原不一致である。レシピエントPBMCを、CellTraceTM Violet(Thermo Fisher SCIENTIFIC)で染色した1.0×105個の放射線照射ドナーiPS細胞と1.0×105個のレシピエントPBMCをRPMI-1640中で37℃、7日間共培養した。細胞を回収し、FITC標識抗ヒトCD3抗体 Clone: UCHT1(ベクトンディッキンソン)、PE標識抗ヒトCD4抗体 Clone: OKT4(ベクトンディッキンソン)、APC標識抗ヒトCD8α抗体 Clone: RPA-T8(ベクトンディッキンソン)、PerCP-Cy5.5標識抗ヒト/マウスCD11b抗体 Clone: M1/70(バイオレジェンド)で染色して、フローサイトメトリー(BD FACSCelesta、ベクトンディッキンソン)で解析した。CellTraceTM Violet で染色した細胞を貪食した細胞の蛍光を除去するため、CD11b陰性かつT細胞マーカーであるCD3陽性細胞をゲートし、CD4陽性細胞、CD8陽性細胞におけるCellTraceTM Violetの減衰を測定し、CellTraceTM Violetが減衰した細胞を増殖細胞とし、その割合を算出した。
レシピエントA(HLA ハプロタイプ:A*24:02, B*52:01, DRB1*15:02)及びレシピエントB(HLA ハプロタイプ:A*26:01, B*40:01, DRB1*09:01)のそれぞれの末梢血から常法に従ってPBMCを調製した。レシピエントAはドナーiPS細胞とMHC一致でマイナー抗原不一致、レシピエントBはドナーiPS細胞とMHC不一致でマイナー抗原不一致である。レシピエントPBMCを、CellTraceTM Violet(Thermo Fisher SCIENTIFIC)で染色した1.0×105個の放射線照射ドナーiPS細胞と1.0×105個のレシピエントPBMCをRPMI-1640中で37℃、7日間共培養した。細胞を回収し、FITC標識抗ヒトCD3抗体 Clone: UCHT1(ベクトンディッキンソン)、PE標識抗ヒトCD4抗体 Clone: OKT4(ベクトンディッキンソン)、APC標識抗ヒトCD8α抗体 Clone: RPA-T8(ベクトンディッキンソン)、PerCP-Cy5.5標識抗ヒト/マウスCD11b抗体 Clone: M1/70(バイオレジェンド)で染色して、フローサイトメトリー(BD FACSCelesta、ベクトンディッキンソン)で解析した。CellTraceTM Violet で染色した細胞を貪食した細胞の蛍光を除去するため、CD11b陰性かつT細胞マーカーであるCD3陽性細胞をゲートし、CD4陽性細胞、CD8陽性細胞におけるCellTraceTM Violetの減衰を測定し、CellTraceTM Violetが減衰した細胞を増殖細胞とし、その割合を算出した。
レシピエントAのPBMCを用いた混合リンパ球反応では、CD4+T細胞及びCD8+T細胞はほとんど増殖しなかったのに対し、レシピエントBのPBMCを用いた混合リンパ球反応では、CD4+T細胞は50%弱、CD8+T細胞は30%弱にまで増加した。この結果から、iPS細胞株Ff-I01s04又はこれを分化させた細胞を用いた細胞移植は、レシピエントAには適用可能と期待される一方、レシピエントBでは拒絶反応により組織定着率が低下すると予測される。
Claims (7)
- iPS細胞に対して主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex、MHC)の発現を増強させる処理を行うステップ、
処理後のiPS細胞を、被験者由来のT細胞を含む検体とインビトロで共存させるステップ、
T細胞増殖の指標となるデータを取得するステップ、及び
前記データに基づいて、前記iPS細胞を移植した際に被験者が拒絶反応を起こす可能性を評価するステップ
を含む、前記iPS細胞に対する被験者の免疫反応を評価する方法。 - MHCの発現を増強させる処理が、IFN-γ及びTNF-αのうちの一方又は両方と共存させる処理である、請求項1に記載の方法。
- MHCが、MHCクラスIである、請求項1又は2に記載の方法。
- 被験者由来のT細胞を含む検体が、被験者由来の末梢血単核細胞である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- CD4陽性T細胞及びCD8陽性T細胞の増殖の程度に基づいて、被験者が拒絶反応を起こす可能性が評価される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- T細胞増殖の指標となるデータが、フローサイトメトリーによって取得される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
- フローサイトメトリーによるデータ取得が、CD11b陰性かつCD3陽性細胞のゲーティングにより選択された細胞集団のなかからCD4陽性細胞及びCD8陽性細胞を検出することによって行われる、請求項6に記載の方法。
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