JP2023019004A - ポリプロピレン樹脂組成物、それを用いた木材樹脂接合体及びその製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂組成物、それを用いた木材樹脂接合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】木材を破壊することなく、十分な接合強度を有する木材樹脂接合体を形成しうる、木材表面との接合用ポリプロピレン樹脂組成物、それを用いた木材樹脂接合体及びその製造方法を提供する。【解決手段】導管、仮導管又は人工の開孔部に由来する空隙を有する木材表面との接合用ポリプロピレン樹脂組成物であって、ポリプロピレン樹脂組成物はポリプロピレン樹脂及び数平均分子量(Mn)が1,000~40,000のポリオレフィンを含み、前記ポリプロピレン樹脂は、下記特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有する、ポリプロピレン樹脂組成物。特性(1):エチレン含有量が0.8~10質量%である。特性(2):示差走査熱量測定(DSC)による結晶化開始温度が80~110℃である。特性(3):数平均分子量(Mn)が40,000超~100,000である。【選択図】 なし

Description

本発明は、木材表面との接合用ポリプロピレン樹脂組成物、それを用いた木材樹脂接合体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、十分な接合強度を発現するポリプロピレン樹脂組成物、それを用いた木材樹脂接合体及びその製造方法に関する。
近代になり、樹脂、鉄、コンクリート等の素材が登場しこれらが木材の代わりに多く用いられるようになった。しかし、近年、木材の欠点を克服する様々な技術が生み出されており、再び木材の利用に注目が集まっている。
木質材料は、同強度の樹脂材料と比較すれば、非常に軽量な材料であるが、樹脂のように容易に加工することが困難という欠点を有する。特に、曲率半径の小さい湾曲形状を、樹脂のように容易に作り出すことはできず、木質材料では削り出して作り出すのが一般的である。もちろん、熱をかけながら湾曲形状に加工することは可能であるが、それでも引張ひずみ1~2%以下の緩やかな湾曲を超えて、曲率半径の小さい湾曲とすることは困難である。
この湾曲形状を作り出す等の加工が難しいという問題点を解決する方法の一つとして、例えば携帯電話ケースを製造する際に、平板部は薄板の木材で、湾曲部や合わせ目、又はラッチのような複雑な造形が必要となる部分を樹脂で製作し、その後接着することが考えられる。しかし、接着剤や相溶化剤を使用しても、接着強度が十分でなく、実用性に欠けた部材となっている。
木材と樹脂との接合の問題を解決すべく、特許文献1では、薄板木材側面に樹脂を接合した薄板木材樹脂接合体であって、該樹脂が該薄板木材側面から木材内部へ延びる無数の空隙へ貫入してなる、薄板木材樹脂接合体;及び該接合体の製造方法であって、薄板木材を、表裏両面が金型と密着するように金型内に配置した後、樹脂を金型へ射出し又は液状の成型材料を流し込み、樹脂を成形しつつ薄板木材へ接合する方法が提案されている。
特開2020-124911号公報
特許文献1の薄板木材樹脂接合体の製造方法では、射出圧が高いと薄板木材が樹脂圧に耐えられずに割り裂けてしまうことがある。また、樹脂の流動性を高めようと樹脂温度を上げると薄板木材が焼けたり焦げたりしてしまうことがある。
本発明の課題は、木材を破壊することなく、十分な接合強度を有する木材樹脂接合体を形成しうる、木材表面との接合用ポリプロピレン樹脂組成物、それを用いた木材樹脂接合体及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々検討の結果、所定の特性を有するポリプロピレン樹脂及び低分子量ポリオレフィンを含むポリプロピレン樹脂組成物が、木材を破壊することなく、木材表面の空隙へ貫入し十分な接合強度を有する木材樹脂接合体を形成しうることを見出し本発明に到達した。すなわち本発明は以下のとおりである。
本発明は、以下の[1]~[8]に関する。
[1]導管、仮導管又は人工の開孔部に由来する空隙を有する木材表面との接合用ポリプロピレン樹脂組成物であって、ポリプロピレン樹脂組成物はポリプロピレン樹脂及び数平均分子量(Mn)が1,000~40,000のポリオレフィンを含み、前記ポリプロピレン樹脂は、下記特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有する、ポリプロピレン樹脂組成物。
特性(1):エチレン含有量が0.8~10質量%である。
特性(2):示差走査熱量測定(DSC)による結晶化開始温度が80~110℃である。
特性(3):数平均分子量(Mn)が40,000超~100,000である。
[2]前記ポリプロピレン樹脂は、下記特性(4)を有する、[1]記載のポリプロピレン樹脂組成物。
特性(4):示差走査熱量測定(DSC)による結晶化温度が79~109℃である。
[3]前記ポリプロピレン樹脂は、下記特性(5)を有する、[1]又は[2]に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
特性(5):結晶化開始温度と結晶化温度との差が1~6℃である。
[4]前記ポリプロピレン樹脂は、下記特性(6)を有する、[1]~[3]のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
特性(6):Mw/Mnが2.0~4.0である。
(Mnは、数平均分子量であり、Mwは、重量平均分子量である。)
[5]前記ポリプロピレン樹脂組成物は、さらに変性ポリオレフィンを含む、[1]~[4]のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
[6]前記ポリプロピレン樹脂組成物は、さらにフィラーを含む、[1]~[5]のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
[7]木材と、[1]~[6]のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物との木材樹脂接合体であって、該ポリプロピレン樹脂組成物が木材表面の前記空隙へ貫入してなる木材樹脂接合体。
[8]金型キャビティに木材を配置する工程、及び金型内に可塑化した樹脂組成物を射出する工程を含む、[7]記載の木材樹脂接合体の製造方法。
本発明によれば、木材を破壊することなく、十分な接合強度を有する木材樹脂接合体を形成しうる、木材表面との接合用ポリプロピレン樹脂組成物、それを用いた木材樹脂接合体及びその製造方法を提供することができる。
図1は、実施例で作製した薄板木材樹脂接合体の模式図である。 図2は、実施例1で作製した薄板木材樹脂接合体の接合部についてのX線CT像である。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、導管、仮導管又は人工の開孔部に由来する空隙を有する木材表面との接合用ポリプロピレン樹脂組成物であって、ポリプロピレン樹脂組成物はポリプロピレン樹脂及び数平均分子量(Mn)が1,000~40,000のポリオレフィン(以下、低分子量ポリオレフィンともいう)を含み、前記ポリプロピレン樹脂は、下記特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有する。
特性(1):エチレン含有量が0.8~10質量%である。
特性(2):示差走査熱量測定(DSC)による結晶化開始温度が80~110℃である。
特性(3):数平均分子量(Mn)が40,000超~100,000である。
上記特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有するポリプロピレン樹脂及び低分子量ポリオレフィンを含むポリプロピレン樹脂組成物を使用することによって、木材を破壊することなく、十分な接合強度を有する木材樹脂接合体を得ることができる。本発明に係る木材樹脂接合体は、十分な接合強度を有するので接着剤や相溶化剤の使用量を削減又はカットすることができ、環境にやさしい素材として使うことが可能となる。
[木材]
本発明で使用する木材は、無垢材、板を重ねて貼り合わせた木質材料、明確な繊維方向配列を持たない繊維板、パーティクルボード等、仮道管や導管等によるミクロマクロな空隙を有するあらゆる木質材料を含む。樹種も問わない。樹種としては、例えば、ヒノキ、スギ、カラマツ、ベイマツ、トウヒ、ツガ、スギラミナ、ナラ、キリ、ケヤキ、カエデ、トチ、ホオ、サクラ、チーク、ラワン、スピナールを用いることができる。
板を重ねて貼り合わせた木質材料の場合、木材の繊維方向は、無垢材及びLVL(Laminated veneer Lumber)のように揃っていてもよいし、合板のように直交していてもよい。また、木材の形状は、特に限定されず、例えば薄板状、板状、角柱状、円柱状、角錐状、円錐状、不定形状等でもよい。木材の接合部の形状は典型的には平面であるが、階段状、ホゾ状、ギザギザ状、曲面状、不定形状等、いずれの形状でもよい。
薄板状又は板状の木材の場合、その形状は、典型的には表面(おもてめん)が長方形であるが、円形、楕円形、三角形、台形等の多角形、不定形等でもよく、特に制限はない。さらに、薄板状又は板状の木材は、例えば表面が長方形であれば縦横の長さに比べ厚みが薄い木材で、典型的には平板であるが、平板には湾曲部があってもよい。
木材としては、例えば、特開2013-226680号に開示されている木質薄層多層成形体(Micro Multiple Plywood、以下MMP)を使用することができる。MMPは、厚さ0.3mm以下の超薄板材を繊維方向が直交するように5~20層重ね合わせた厚さ2mm以下の薄板であり、超薄板材間を接着する接着剤の使用質量合計が超薄板材質量合計の40%以下の軽くて丈夫な薄板である。MMPを使用すれば、ポリプロピレン樹脂組成物との接合時の加熱による寸法変化や、接合後の吸湿による寸法変化が少なく好都合である。
ポリプロピレン樹脂組成物が接合される木材の表面は、導管、仮導管又は人工の開孔部に由来する空隙を有する。
通常、木材の繊維方向と垂直な面には、パイプの穴が並ぶような多数の空隙が存在する。この空隙は、針葉樹であれば主に仮道管、広葉樹であれば主に導管に相当し、繊維方向に接合部から木材内部へパイプのように延びている。また、明確な繊維方向配列を持たない木材は、ランダムにこの空隙が現れる。この多数の空隙へ射出成形等により樹脂を貫入させることで、アンカー効果が生じ、木材とポリプロピレン樹脂組成物を十分な接合強度で接合することが可能となる。
なお、貫入とは、樹脂組成物が空隙部に入ることであるが、接合部から木材内部へ延びる空隙に樹脂組成物が流入して硬化又は固化することで、硬化又は固化した樹脂組成物は空隙部に入り込んで多列のスパイクあるいは多数のピンのような形状を形成する。
アンカー効果をより発揮し、より高い接合強度を得るためには、繊維方向が明確である木材を使用すればより好ましく、繊維方向が揃っていれば木材の繊維方向に、直交していれば重ねた板材のうちのいずれかの繊維方向と同じ方向に接合するのが、より好ましい。ただし、この場合、接合の方向は繊維方向と厳密な一致を求めるものではない。
仮道管又は導管に由来する木材内部へ延びる空隙の存在しない無垢材、及びLVL(Laminated Veneer Lumber)の木端(こば)側の側面には、当然ながら樹脂組成物が貫入できないので、十分な接合強度で樹脂組成物を接合できない。よって、MMPや合板を使用したほうが、全ての側面に樹脂組成物を接合することができるので、木材樹脂複合体の用途が大きく広がる。ただし、木材内部へ延びる空隙の存在しない無垢材やLVLが木材の構成部分の一部になることは差し支えない。
木材の表面には、導管又は仮導管以外の人工の開孔部に由来する空隙を設けてもよい。人工の開孔部は、一方の表面から反対面まで到達する貫通孔であってもよく、木材内部の途中まで設けられた非貫通孔であってもよい。人工の開孔部を形成することで、人工の開孔部へ樹脂組成物が貫入して、より強いアンカー効果を生じさせ、これにより、木材樹脂接合体の強度をより大きくできる。さらに、導管又は仮道管由来の空隙のみの場合は、木材の種類による差及び個体差により、木材樹脂接合体の接合強度にバラつきが生じやすいが、人工の開孔部を形成することでこのバラつきを少なくすることができる。
人工の開孔部の数、配置、形状及び木材内部へ延びる際の方向に特に制限はないが、開孔部が形成される木材自体の強度低下を抑えつつ木材と樹脂の接合強度を高めるように、さらには両者の強度のバランスをとるように、数、配置、形状及び方向を考えると好ましい。
木材を破壊することなく、十分な接合強度を達成する観点から、人工の開孔部の配置は、接合部の特定箇所に偏ることなく、接合部全体に渡り、均一であることが好ましい。
人工の開孔部の形状は、特に限定されない。例えば、開孔部の断面は、円形、楕円形、三角形、四角形等の多角形、不定形等であってよいが、開孔部の設置が容易であることから、円形であることが好ましい。
人工の開孔部の断面積は、木材を破壊することなく、十分な接合強度を達成する観点から、円相当径で0.001~1mmであることが好ましく、0.01~0.1mmであることがより好ましい。開孔部の断面積は、木材表面から木材内部に向かう深さ方向で一定のままでもよく、深さに伴い、断面積が小さくなっていてもよく、大きくなっていてもよい。
人工の開孔部が非貫通孔の場合、開孔部の深さは、十分な接合強度を達成する観点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましい。
人工の開孔部が木材内部へ延びる際の方向は、無垢材、LVL、合板のように木材の繊維方向が存在する場合は、繊維方向と平行にしてもよいし、繊維方向と角度をつけてもよい。繊維方向と垂直に近づきすぎない程度に角度をつけて開孔部を形成すれば、木材自体の強度は低下する可能性があるが、木材と樹脂組成物の結合強度は大きくなる。角度をつけることで、繊維方向に延びる導管や仮道管の中の樹脂組成物と人工の開孔部の中の樹脂組成物が交差し、その交点で樹脂組成物同士が結合して、空隙中に貫入した樹脂組成物が木材に、より絡まるので、結合強度が大きくなると考えられる。
人工の開孔部は、例えば、木材表面に回転刃物、レーザー等を作用させて形成することができる。また、複数の木質材料を用い、木質材料の少なくとも1つにあらかじめ溝を設けた後に、溝が木材表面から木材内部に向かう貫通孔又は非貫通孔を形成するように、貼り合わせることにより、人工の開孔部を形成することもできる。溝は、複数設けてもよい。溝は、回転刃物、レーザー等で形成することができる。板を重ねて貼り合わせた木材の場合、これらを構成する板材の張り合わせ面に溝を千鳥状に設けてもよく、貼り合わせ後の木材を溝に対して垂直に切断した場合に、人工の開孔部が現れやすくなるため、好ましい。
薄板状又は板状の木材の場合、空隙の長手方向に樹脂組成物が貫入しうる状態に空隙が存在する面に樹脂組成物は接合されるが、ここで、空隙が存在する面には、木材の厚み方向の面で木材を取り囲む全ての面を含み、合板であればその4側面を、薄板木材が薄い円柱であればその側面を含む。無垢材の木口も当然含む。
前述のとおり、空隙に貫入した樹脂組成物のアンカー効果で十分な接合強度が生じるので、接着剤や相溶化剤を使用する必要はないし木材接合部に何らかの前処理を施す必要もないので、余計な材料が不要であるし、製造工程を簡素化することもできる。
さらに、本発明の木材樹脂接合体では、木材と樹脂組成物は、アンカー効果で、強く接合しているので、樹脂組成物がひけようとしても、木材の剛性により、ひけにくいし、反りも生じにくい効果がある。特に、MMPのように接合方向と垂直な方向にも剛性が高ければ、垂直方向にかかる、樹脂の収縮しようとする力に抗しやすい。加えて言えば、この樹脂の収縮するときの圧力が、木材と樹脂の接合強度を、より大きくしている可能性がある。
[ポリプロピレン樹脂組成物]
ポリプロピレン樹脂組成物はポリプロピレン樹脂及び低分子量ポリオレフィンを含む。
<ポリプロピレン樹脂>
ポリプロピレン樹脂は、下記特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有する。このようなポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン樹脂組成物を用いることにより、木材を破壊することなく、十分な接合強度を有する木材樹脂接合体を得ることができる。
特性(1):エチレン含有量が0.8~10質量%である。
特性(2):示差走査熱量測定(DSC)による結晶化開始温度が80~110℃である。
特性(3):数平均分子量(Mn)が40,000超~100,000である。
特性(1):エチレン含有量
ポリプロピレン樹脂は、エチレン含有量が0.8~10質量%であることが好ましく、より好ましくは1.6~8.6質量%、さらに好ましくは2.4~7.2質量%である。ポリプロピレン樹脂のエチレン含有量が上記の範囲であると、加熱時に柔軟で形状追随性が高いため、ポリプロピレン樹脂組成物を木材内部の空隙へ効果的に貫入させることができ、十分な接合強度を有する木材樹脂接合体をなすことができる。
ポリプロピレン樹脂は、プロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂、プロピレン・エチレンランダムブロック共重合体樹脂のいずれであってもよい。また、ポリプロピレン樹脂は、エチレン以外のコモノマー(例えば1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等)が少量(例えばエチレン含有量を超えない含有量)共重合されていてもよい。
ポリプロピレン樹脂のエチレン含有量は、フーリエ変換赤外分析法によって測定される値である。エチレン以外のコモノマーの含有量も同手法に準じて測定される値である。
本発明に係るポリプロピレン樹脂のエチレン含有量は、CFC-IR法によって測定される。その方法は、次の通りである。
(i)使用する分析装置
(ア)クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T-100(以下、CFCと略す。)
(イ)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT-IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT-IRを接続し、このFT-IRを検出器として使用する。
CFCから溶出した溶液の出口からFT-IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃の温度に保持する。FT-IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃の温度に保持する。
(ウ)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(ii)CFCの測定条件
(ア)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(イ)サンプル濃度:4mg/ml
(ウ)注入量:0.4ml
(エ)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(オ)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40℃、100℃及び140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。
なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40℃超~100℃で溶出する成分(フラクション2)、及び100℃超~140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:質量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100質量%である。また、分別した各フラクションは、そのままFT-IR分析装置へ自動輸送される。
(カ)溶出時溶媒流速:1ml/分
(iii)FT-IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT-IR測定を行い、上述した各フラクション1~3について、GPC-IRデータを採取する。
(ア)検出器:Polymer char社製MCT
(イ)分解能:8cm-1
(ウ)測定間隔:0.2分(12秒)
(エ)一測定当たりの積算回数:15回
(iv)測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT-IRによって得られる2945cm-1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100質量%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mlとなるようにODCB(0.5mg/mlのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含む)に溶解した溶液を0.4ml注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算は、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には、以下の数値を用いる。
(ア)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
PS:K=1.38×10-4、α=0.70
(イ)ポリプロピレン樹脂のサンプル測定時
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
上記(イ)における定数K及びαは、ポリプロピレン樹脂全般に使用できるだけでなく、プロピレン系ブロック共重合体のブロック部の分子量及び量の定量化にも使用できる。
上記溶出分別された各溶出部分の分子量は、Mw(40)、Mw(100)及びMw(140)と定義される。全体の分子量分布は、3分別で得られたデータを合計し、計算で求めた。
また、各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、FT-IRによって得られる2956cm-1の吸光度と2927cm-1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C-NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン・プロピレン・ラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して、予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(質量%)に換算して求める。
特性(2):結晶化開始温度
ポリプロピレン樹脂は、結晶化開始温度が80~110℃であることが好ましい。結晶化開始温度の上限は、より好ましくは107℃以下、さらに好ましくは104℃以下である。ポリプロピレン樹脂の結晶化開始温度が上記の範囲であると、加熱冷却時の溶融流動停止までの時間が延びるため、ポリプロピレン樹脂組成物を木材内部の空隙へ効果的に貫入させることができ、十分な接合強度を有する木材樹脂接合体をなすことができる。一方で、成形のしやすさの観点からは結晶化開始温度が低すぎないことが好ましく、結晶化開始温度の下限は、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは95℃以上である。
ポリプロピレン樹脂の結晶化開始温度及び結晶化温度は、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS-K7121に準じて測定される値である。試料を200℃で10分間保持した後、40℃まで10℃/分の冷却速度で結晶化させるときのDSC曲線から結晶化開始温度及び結晶化温度を求める。結晶化させるときのDSC曲線の高温側ベースラインの近似直線と発熱ピーク高温側の変曲点の接線との交点の温度を結晶化開始温度とし、前記DSC曲線の最大ピーク温度を結晶化温度とする。
特性(3):数平均分子量(Mn)
ポリプロピレン樹脂は、数平均分子量(Mn)が40,000超~100,000であることが好ましく、より好ましくは50,000~90,000、さらに好ましくは60,000~80,000である。ポリプロピレン樹脂の数平均分子量(Mn)が上記の範囲であると、加熱時の溶融流動性が高いため、ポリプロピレン樹脂組成物を木材内部の空隙へ効果的に貫入させることができ、十分な接合強度を有する木材樹脂接合体をなすことができる。ポリプロピレン樹脂の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される値である。GPCの測定法については後述する。
ポリプロピレン樹脂は、上記の特性(1)~(3)のいずれかを有するものであり、好ましくは上記の特性(1)及び(2)、特性(2)及び(3)、又は特性(3)及び(1)を有するものであり、より好ましくは上記の特性(1)、(2)及び(3)を有するものである。
ポリプロピレン樹脂は、一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリプロピレン樹脂が二種のポリプロピレン樹脂の組み合わせの場合、特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有するポリプロピレン樹脂と特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有するポリプロピレン樹脂との組み合わせ;特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有するポリプロピレン樹脂と特性(1)~(3)のいずれも有さないポリプロピレン樹脂との組み合わせであって、組み合わせたポリプロピレン樹脂の混合物が特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有する組み合わせ;特性(1)~(3)のいずれも有さないポリプロピレン樹脂二種の組み合わせであって、組み合わせたポリプロピレン樹脂の混合物が特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有する組み合わせ等を挙げることができる。ポリプロピレン樹脂が三種以上のポリプロピレン樹脂の組み合わせの場合も同様である。なお、特性(1)~(3)のいずれも有さないポリプロピレン樹脂には、後述の変性ポリオレフィン及び低分子量ポリオレフィンに該当するものは含まれない。
特性(4):結晶化温度
ポリプロピレン樹脂は、上記特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有し、さらに特性(4)を有するものであることが好ましい。
特性(4):示差走査熱量測定(DSC)による結晶化温度が79~109℃である。
ポリプロピレン樹脂は、結晶化温度が79~109℃であることが好ましく、より好ましくは88~105℃、さらに好ましくは93~102℃である。ポリプロピレン樹脂の結晶化温度が上記の範囲であると、結晶化速度が遅いため、ポリプロピレン樹脂組成物を木材内部の空隙に十分に貫入することが可能である。ポリプロピレン樹脂の結晶化温度の測定法は、前述のとおりである。
ポリプロピレン樹脂が二種のポリプロピレン樹脂の組み合わせの場合、特性(4)を有するポリプロピレン樹脂2種の組み合わせ;特性(4)を有するポリプロピレン樹脂と特性(4)を有さないポリプロピレン樹脂との組み合わせであって、組み合わせたポリプロピレン樹脂の混合物が特性(4)を有する組み合わせ;特性(4)を有さないポリプロピレン樹脂2種の組み合わせであって、組み合わせたポリプロピレン樹脂の混合物が特性(4)を有する組み合わせ等を挙げることができる。ポリプロピレン樹脂が三種以上のポリプロピレン樹脂の組み合わせの場合も同様である。後述する特性(5)~(8)についても同様である。
特性(5):結晶化開始温度と結晶化温度との差
ポリプロピレン樹脂は、上記特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有し、任意に上記特性(4)を有し、さらに特性(5)を有するものであることが好ましい。
特性(5):結晶化開始温度と結晶化温度との差が1~6℃である。
ポリプロピレン樹脂は、結晶化開始温度と結晶化温度との差が1~6℃であることが好ましく、より好ましくは2~5℃である。ポリプロピレン樹脂の結晶化開始温度と結晶化温度との差が上記の範囲であると、初期結晶化が抑制できるため、ポリプロピレン樹脂組成物は流動性を保持したまま木材内部に十分に貫入することが可能である。
特性(6):Mw/Mn
ポリプロピレン樹脂は、上記特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有し、任意に上記特性(4)及び/又は上記特性(5)を有し、さらに特性(6)を有するものであることが好ましい。
特性(6):Mw/Mnが2.0~4.0である。
(Mnは、数平均分子量であり、Mwは、重量平均分子量である。)
ポリプロピレン樹脂は、Mw/Mnが好ましくは2.0~4.0であり、より好ましくは2.0~3.5である。ここで、Mw/Mnは、GPC測定により測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である。ポリプロピレン樹脂のMw/Mnが上記の範囲であると、高分子量成分に起因するスウェルが小さいため、ポリプロピレン樹脂組成物は、幅方向に広がらず、木材内部に十分に貫入することが可能である。
Mn及びMwの定義は、「高分子化学の基礎」(高分子学会編、東京化学同人、1978)等に記載されており、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布曲線から計算する。
GPCの測定方法は、以下のとおりである。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・測定温度:140℃
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本直列)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン
・流速:1.0ml/分
・試料の調製:試料濃度が1mg/mLになるように、140℃のオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含む)に約1時間を要して溶解させる。
・注入量:0.2ml
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレン(PS)による検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
(ア)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
PS:K=1.38×10-4、α=0.70
(イ)ポリプロピレン樹脂のサンプル測定時
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
上記(イ)における定数K及びαは、ポリプロピレン樹脂全般に使用できるだけでなく、プロピレン系ブロック共重合体のブロック部の分子量及び量の定量化にも使用できる。
特性(7):40℃のオルトジクロロベンゼンに可溶な成分の量
ポリプロピレン樹脂は、上記特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有し、任意に上記特性(4)~(6)のうちの一以上の特性を有し、さらに特性(7)を有するものであることが好ましい。
特性(7):40℃のオルトジクロロベンゼンに可溶な成分の量が4.0質量%以下である。
ポリプロピレン樹脂は、40℃のオルトジクロロベンゼンに可溶な成分の量が好ましくは4.0質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下、特に好ましくは1.0質量%以下である。ポリプロピレン樹脂の40℃のオルトジクロロベンゼンに可溶な成分の量が上記の範囲であると、得られる木材樹脂接合体の臭気が良好である。
ポリプロピレン樹脂の40℃のオルトジクロロベンゼンに可溶な成分の量は、昇温溶離分別(TREF)法により測定する値である。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを、下記の条件で、140℃のTREFカラムに導入した後、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。得られた溶出曲線から40℃で溶出する成分の量の試料全量に対する割合(質量%)を算出する。
TREFの測定条件は、以下のとおりである。
・検出器:FOXBORO社製 MIRAN 1A検出器(測定波長:3.42μm)
・カラムサイズ:4.3mmφ×150mm
・カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
・溶媒:オルトジクロロベンゼン
・溶媒流速:1mL/分
・試料濃度:5mg/mL
・試料注入量:0.2mL
特性(8):MFR(230℃、2.16kg荷重)
ポリプロピレン樹脂は、上記特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有し、任意に上記特性(4)~(7)のうちの一以上の特性を有し、さらに特性(8)を有することが好ましい。
特性(8):MFR(230℃、2.16kg荷重)が10~300g/10分である。
ポリプロピレン樹脂は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が10~300g/10分であることが好ましく、より好ましくは13~200g/10分、さらに好ましくは16~100g/10分である。ポリプロピレン樹脂のMFRが上記の範囲であると、加熱時の溶融流動性が高いため、ポリプロピレン樹脂組成物を木材内部の空隙へ効果的に貫入させることができ、十分な接合強度を有する木材樹脂接合体をなすことができる。ポリプロピレン樹脂のMFRは、JIS-K7210:1982に準拠して測定される値である。
ポリプロピレン樹脂は、プロピレンを単段重合又は二段以上の多段重合で単独重合して得られるプロピレン単独重合体;プロピレンとα-オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合して得られるプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体;プロピレンを単段重合又は二段以上の多段重合で単独重合してプロピレン単独重合体を得る重合工程(1)と、プロピレンとα-オレフィンとを単段重合もしくは二段以上の多段重合で共重合してプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(2-1)又は二種以上のα-オレフィンを単段重合もしくは二段以上の多段重合で共重合してα-オレフィン間ランダム共重合体を得る共重合工程(2-2)と、を含む重合で得られるプロピレン・α-オレフィンブロック共重合体;プロピレンとα-オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合して得られるプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(1)と、プロピレンとα-オレフィンとを単段重合もしくは二段以上の多段重合で共重合してプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(2-1)又は二種以上のα-オレフィンを単段重合もしくは二段以上の多段重合で共重合してα-オレフィン間ランダム共重合体を得る共重合工程(2-2)と、を含む重合で得られるプロピレン・α-オレフィンランダムブロック共重合体等を挙げることができる。ポリプロピレン樹脂は、1種又は2種以上の組み合わせでもよい。
α-オレフィンは、好ましくはエチレン又は炭素数4~18のα-オレフィンである。具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ヘプテン、4-メチル-ペンテン-1、4-メチル-ヘキセン-1、4,4-ジメチルペンテン-1等を挙げることができる。α-オレフィンは、1種又は2種以上の組み合わせでもよい。
ポリプロピレン樹脂は、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1-ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1-ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンランダムブロック共重合体、プロピレン・エチレン・1-ブテンランダムブロック共重合体からなる群より選ばれる一種又は二種以上のポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂は、プロピレン単位を85~100モル%、好ましくは90~99.5モル%、より好ましくは92~98.5モル%含有しており、エチレン単位及び/又は1-ブテン単位を0~15モル%、好ましくは0.5~10モル%、より好ましくは1.5~8モル%を含有している。
ここで、プロピレン単位並びにエチレン及び/又は1-ブテン単位はフーリエ変換赤外分析法によって計測される値である。
ポリプロピレン樹脂は、チーグラーナッタ触媒により重合されるもの、メタロセン触媒により重合されるもの、ポストメタロセン触媒により重合されるもの等を挙げることができる。チーグラーナッタ触媒としては、チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須とする固体成分、有機アルミニウム、並びに必要に応じて用いられる電子供与体を含んでなる触媒等が挙げられる。メタロセン触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物、助触媒、及び必要に応じて用いられる有機金属化合物や担体を含んでなる触媒等が挙げられる。ポストメタロセン触媒としては、周期表第4族金属のビスアミド化合物、周期表第8~10族金属のビスイミノ化合物、周期表第4~10族金属のサリチルアルジミナト化合物等の有機金属化合物、助触媒、及び必要に応じて用いられる有機金属化合物や担体を含んでなる触媒等が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂は、市販品の中から選択することができる。ポリプロピレン樹脂の市販品には、日本ポリプロ社製WINTEC(登録商標)シリーズ、日本ポリプロ社製WELNEX(登録商標)シリーズ等が含まれる。
ポリプロピレン樹脂組成物100質量%中のポリプロピレン樹脂の含有量は、10~99質量%であることが好ましく、より好ましくは50~99質量部、さらに好ましくは70~95質量部であり、特に好ましくは75~85質量部である。ポリプロピレン樹脂の含有量が上記の範囲であると、ポリプロピレン樹脂組成物を木材内部の空隙へ効果的に貫入させることができ、十分な接合強度を有する木材樹脂接合体をなすことができる。
<数平均分子量(Mn)が1,000~40,000のポリオレフィン>
ポリプロピレン樹脂組成物は、数平均分子量(Mn)が1,000~40,000のポリオレフィンである、低分子量ポリオレフィンを含む。低分子量ポリオレフィンを含むポリプロピレン樹脂組成物を用いることにより、木材を破壊することなく、十分な接合強度を有する木材樹脂接合体を得ることが可能になる。なお、低分子量ポリオレフィンは、ポリプロピレン樹脂及び変性ポリオレフィンではない。
ポリオレフィンとしては、オレフィンの1種又は2種以上の(共)重合体、オレフィンの1種又は2種以上と他のモノマーの1種又は2種以上との共重合体等が挙げられる。オレフィンとしては、炭素数2~4のアルケン、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン;炭素数5~30のα-オレフィン(1-ヘキセン、1-デセン、1-ドデセン等);炭素数5~30のα-オレフィン以外のアルケン等が挙げられる。他のモノマーとしては、オレフィンとの共重合性を有する炭素数4~30の不飽和基を有するモノマーが挙げられ、例えば、スチレン等の芳香族モノマー、酢酸ビニル等を例示することができる。
低分子量ポリオレフィンの具体例には、エチレン単位含有(プロピレン単位不含有)(共)重合体、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数4~30の不飽和基を有するモノマー[ブテン(1-ブテン等)、炭素数5~30のα-オレフィン(1-ヘキセン、1-ドデセン等)、酢酸ビニル等]との共重合体;プロピレン単位含有(エチレン単位不含有)(共)重合体、例えばポリプロピレン、プロピレンと炭素数4~30の不飽和基を有するモノマー[ブテン(1-ブテン等)、炭素数5~30のα-オレフィン(1-ヘキセン、1-ドデセン等)、酢酸ビニル等]との共重合体;エチレン/プロピレン共重合体;炭素数4以上のオレフィンの(共)重合体、例えばポリブテンが含まれる。なかでも、木材樹脂接合体の接合強度を高める観点から、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体及びエチレン/プロピレン共重合体が好ましく、エチレン単独重合体及びプロピレン単独重合体がより好ましい。
低分子量ポリオレフィンは、数平均分子量(Mn)が1,000~40,000であり、好ましくは1,000~26,000、より好ましくは1,200~14,000、さらに好ましくは1,500~12,000である。低分子量ポリオレフィンの数平均分子量が上記の範囲であると、ポリプロピレン樹脂組成物の成形体の機械的強度を損なうことなく、ポリプロピレン樹脂に対する可塑化効果が発現することで、ポリプロピレン樹脂組成物の流動性が改良され、木材内部に樹脂が十分に貫入することが可能である。
低分子量ポリオレフィンのMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される値である。GPCの測定方法は、上記のポリプロピレン樹脂のGPCの測定方法に準ずる。
低分子量ポリオレフィンは、軟化点が好ましくは100~163℃であり、より好ましくは105℃~150℃である。低分子量ポリオレフィンの軟化点が上記の範囲であると、べたつきが抑えられ操作性が良く、ポリプロピレン樹脂の結晶化温度を上昇させることなく、樹脂組成物が木材内部に十分に貫入することが可能である。
低分子量ポリオレフィンの軟化点は、JIS-K2207に準拠して測定される値である。
低分子量ポリオレフィンは、密度が好ましくは0.85~0.97g/cmであり、より好ましくは0.87~0.92g/cmである。低分子量ポリオレフィンの密度が上記の範囲であると、べたつきが抑えられ操作性が良く、ポリプロピレン樹脂の結晶化速度を低下することができ、樹脂組成物が木材内部に十分に貫入することが可能である。
低分子量ポリオレフィンの密度は、JIS-K7112に準拠して20℃で測定される値である。
低分子量ポリオレフィンは、市販品の中から選択することができる。低分子量ポリオレフィンの市販品には、三洋化成工業社製サンワックス(登録商標)シリーズ(低分子量ポリエチレン)、三洋化成工業社製ビスコール(登録商標)シリーズ(低分子量ポリプロピレン)、三井化学社製ハイワックス(商品名)シリーズ、三井化学社製エクセレックス(登録商標)シリーズ等が含まれる。
低分子量ポリオレフィンは、一種を用いても、二種以上を併用してもよい。
低分子量ポリオレフィンの含有量は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、0.1~100質量部であることが好ましく、より好ましくは1~70質量部、さらに好ましくは5~40質量部である。低分子量ポリオレフィンの含有量が上記の範囲であると、ポリプロピレン樹脂組成物の成形体の機械的強度を損なうことなく、ポリプロピレン樹脂に対する可塑化効果が発現することで、ポリプロピレン樹脂組成物の流動性が改良される。また、ポリプロピレン樹脂の結晶化速度を低下することができ、樹脂組成物が木材内部に十分に貫入することが可能である。
<変性ポリオレフィン>
木材と樹脂との接合強度をより向上させる観点から、ポリプロピレン樹脂組成物は、さらに変性ポリオレフィンを含むことが好ましい。変性ポリオレフィンとは、オレフィンモノマー由来の重合単位と官能基を有するモノマー由来の重合単位とを含み、オレフィンモノマー由来の重合単位が50mol%以上である樹脂を指す。官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられる。なお、変性ポリオレフィンは、本発明に係るポリプロピレン樹脂及び低分子量ポリオレフィンではない。変性ポリオレフィンとしては、酸変性ポリオレフィン及びヒドロキシ変性ポリオレフィン等を好ましく使用することができる。
ポリオレフィンとしては、オレフィンの1種又は2種以上の(共)重合体、オレフィンの1種又は2種以上と他のモノマーの1種又は2種以上との共重合体等が挙げられる。オレフィンとしては、炭素数2~4のアルケン、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン;炭素数5~30のα-オレフィン(1-ヘキセン、1-デセン、1-ドデセン等);炭素数5~30のα-オレフィン以外のアルケン等が挙げられる。他のモノマーとしては、オレフィンとの共重合性を有する炭素数4~30の不飽和基を有するモノマーが挙げられ、例えば、スチレン等の芳香族モノマー、酢酸ビニル等を例示することができる。
ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・非共役ジエン化合物共重合体(EPDM等)、エチレン・芳香族モノビニル化合物・共役ジエン化合物共重合体等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィンとしては、酸変性モノマーとオレフィンとのランダム又はブロック共重合体、前記ポリオレフィンに酸変性モノマーをグラフト共重合したもの等が挙げられる。
酸変性モノマーとしては、不飽和カルボン酸及びその誘導体が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基及び必要に応じてヒドロキシル基、アミノ基等の官能基が導入された重合性二重結合を有する化合物等が挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等が挙げられ、その具体例には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N-ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等が含まれる。
グラフト共重合は、例えば前記ポリオレフィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシド等のラジカル発生剤を用いて、前記酸変性モノマーと反応させることにより行われる。
変性ポリオレフィン中の酸変性モノマーの含有量は、好ましくは0.05~10質量%であり、より好ましくは0.1~5質量%である。変性ポリオレフィン中の酸変性モノマーの含有量が上記の範囲であると、ポリプロピレン樹脂組成物と木材との相溶性を向上することができ、木材内部に貫入した該樹脂組成物と木材との接着性を向上することが可能である。
変性ポリオレフィン中の酸変性モノマーの含有量は、フーリエ変換赤外分析法によって測定される値である。
ヒドロキシ変性ポリオレフィンとしては、ヒドロキシル基を有するモノマーを構成単位として含有するポリオレフィンが挙げられる。ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、アリルアルコール、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、共役ジエンモノマーをアニオン重合等の公知の方法により重合させ、それを加水分解して得たポリマーを水素添加する方法で得ることができる。ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、ヒドロキシル基を適当な部位、例えば、主鎖の末端や側鎖に有していてもよい。
ヒドロキシ変性ポリオレフィンとしては、ヒドロキシ変性ポリエチレン(例えば、低密度、中密度又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等)、ヒドロキシ変性ポリプロピレン(例えば、アイソタクチックポリプロピレン等のポリプロピレンホモポリマー、プロピレンとα-オレフィン(例えば、エチレン、ブテン、1-ヘキセン等)とのランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体等)、ヒドロキシ変性ポリ(4-メチルペンテン-1)等が挙げられる。
変性ポリオレフィン中のヒドロキシル基を有するモノマーの含有量は、好ましくは0.1~20質量%であり、より好ましくは0.5~10質量%である。変性ポリオレフィン中のヒドロキシル基を有するモノマーの含有量が上記の範囲であると、ポリプロピレン樹脂組成物と木材との相溶性を向上することができ、木材内部に貫入した該樹脂組成物と木材との接着性を向上することが可能である。
変性ポリオレフィンのヒドロキシル基を有するモノマーの含有量は、フーリエ変換赤外分析法によって測定される値である。
変性ポリオレフィンは、市販品の中から選択することができる。変性ポリオレフィンの市販品には、三洋化成工業社製ユーメックス(登録商標)シリーズ、日本ポリエチレン社製アドテックス(登録商標)シリーズ、三菱ケミカル社製モディック(登録商標)シリーズ、三井化学社製アドマー(登録商標)シリーズ、日本製紙社製アウローレン(登録商標)シリーズ等が含まれる。
変性ポリオレフィンは、一種を用いても、二種以上を併用してもよい。ポリプロピレン樹脂との相溶性の観点から、変性ポリオレフィンは、マレイン酸変性ポリプロピレン及びマレイン酸変性ポリエチレンが好ましく。マレイン酸変性ポリプロピレンがより好ましい。
変性ポリオレフィンの含有量は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~10質量部、さらに好ましくは1~5質量部である。変性ポリオレフィンの含有量が上記の範囲であると、ポリプロピレン樹脂組成物と木材との相溶性を向上することができ、木材内部に貫入した該樹脂組成物と木材との接着性を向上することが可能である。
<フィラー>
ポリプロピレン樹脂組成物は、さらにフィラーを含んでもよい。フィラーを含むポリプロピレン樹脂組成物を用いることにより、反りが少ない木材樹脂接合体を得やすくなる。フィラーには、無機フィラー、有機フィラー等が含まれる。
無機フィラーとしては、シリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルン等の無機酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の無機水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩又は亜硫酸塩;タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩;カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球等の炭素類;硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、マグネシウムオキシサルフェイト、塩基性硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、各種金属繊維等が挙げられる。
有機フィラーとしては、モミ殻等の殻繊維、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、熱硬化性樹脂粉末等が挙げられる。
これらの中でも、ポリプロピレン樹脂組成物の剛性向上及び得られる木材樹脂接合体の反りの抑制の観点から、フィラーはタルク又はガラス繊維であることが好ましく、ガラス繊維が特に好ましい。
フィラーは、有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、不飽和カルボン酸又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン等によって表面処理されていてもよい。
フィラーの形状に制限はなく、粒状、板状、棒状、繊維状、ウィスカー状等、いずれの形状のものも使用することができる。
フィラーは、市販品の中から選択することができる。
フィラーは、一種を用いても、二種以上を併用してもよい。
ポリプロピレン樹脂組成物の剛性向上及び得られる木材樹脂接合体の反り抑制の観点から、平均粒径が1μm~150μmの板状フィラー、とりわけ平均粒径1.5μm~15μmの板状フィラー(例えばタルク);平均繊維直径が40μm以下の繊維状又はウィスカー状フィラー、とりわけ平均繊維直径が30μm以下の繊維状又はウィスカー状フィラー(例えば塩基性硫酸マグネシウム繊維及びガラス繊維)が好ましい。なかでも、平均粒径2μm~8μmのタルク及び平均繊維直径が3~25μmであり、平均繊維長さが1~20mmであるガラス繊維がより好ましく、平均繊維直径が6~15μmであり、平均繊維長さが2~10mmであるガラス繊維が特に好ましい。
フィラーの平均粒径は、レーザー回折散乱方式粒度分布計を用いて測定した値である。測定装置としては、例えば、堀場製作所社製LA-920型が挙げられる。平均繊維直径及び平均繊維長さは、顕微鏡等により測定した値である。
フィラーの含有量は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、5~30質量部であることが好ましく、より好ましくは10~25質量部、さらに好ましくは10~20質量部である。フィラーの含有量が上記の範囲であると、木材とポリプロピレン樹脂組成物との接合を悪化することなく、木材樹脂接合体の反りの低減が可能である。
<その他の成分>
ポリプロピレン樹脂組成物は、任意成分として、さらに、ポリプロピレン樹脂、低分子量ポリオレフィン、変性ポリオレフィン及びフィラー以外のその他の成分を配合してもよい。その他の成分としては、造核剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、界面活性剤、相溶化剤、着色剤、抗菌・防黴剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、導電剤、防腐剤、芳香剤、消臭剤、防虫剤;ポリプロピレン樹脂、低分子量ポリオレフィン及び変性ポリオレフィン以外のエラストマー等の樹脂等を挙げることができる。その他の成分は、2種以上を併用してもよい。また、その他の成分は、ポリプロピレン樹脂、低分子量ポリオレフィン、変性ポリオレフィン及びフィラーに配合されていてもよく、上記各成分においても、2種以上を併用することもできる。
[ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法]
ポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂及び低分子量ポリオレフィン、並びに、任意成分である変性ポリオレフィン、フィラー及びその他の成分を、混合又は単軸押出機、二軸押出機等により加熱混練して製造することができる。加熱混練の樹脂温度は、100℃~300℃の範囲であり、混練の負荷等を考慮して適宜定めることができる。
[木材樹脂接合体及びその製造方法]
木材樹脂接合体は、ポリプロピレン樹脂組成物が、導管、仮導管又は人工の開孔部に由来する木材表面の空隙へ貫入することにより、木材と前記樹脂組成物が接合している。
ポリプロピレン樹脂組成物の木材表面の空隙への貫入の程度は、X線CT法により確認することができる。X線CT法とは、X線を対象試料に360度全方向から照射し、その結果、透過してきた放射線を検出することで、対象試料の材質及び内部構造を知る方法である。波長1pm~10nmの電磁波であるX線は物質に入射すると、さまざまな原因により吸収されながら通過する。CT(スキャン装置)は、前述のX線が対象試料内を透過する際の「透過しやすさ」および「吸収されやすさ」の違いを利用して、試料内部の材質及び構造を調べることができ、ポリプロピレン樹脂組成物が木材表面の空隙にどの程度貫入しているかを調べることができる。X線CT法は、異なる材料で構成された物質の場合だけでなく、同じ物質であっても、密度が異なるとX線の吸収係数に違いが出るため、その差を計測することが可能となる。
木材樹脂接合体は以下のように製造することができる。
木材を金型キャビティに配置し、金型を型締めし、金型内に可塑化したポリプロピレン樹脂組成物を射出し、固化させて、木材と前記樹脂組成物の成形物とを一体化させることにより、木材樹脂接合体を製造することができる。
金型は、接合部と樹脂組成物部分にセットされていればよく、必ずしも木材部分も含めた全体にセットされる必要はない。金型が全体にセットされていないときは、木材と金型は、金型がセットされた部分で密着すればよく、当然ながら、金型がセットされていない部分では密着しない。よって、樹脂組成物単体で成形するより、金型の樹脂容積あるいは樹脂面積が小さいために金型及び射出成形機容量を小さくできるし、木材部分が湾曲していてもその部分に合わせた金型を用意する必要はない。金型の小型化は、取扱いの容易さやコストの削減につながり、車のボディのような大きいものを製造するとき、特に有用である。
射出成形時の樹脂組成物の温度は、木材の焼けの低減の観点から、好ましくは160℃~200℃である。射出成形時の射出圧は、木材を割裂かない程度に木材にかかる圧力の観点から、好ましくは10~25MPaである。
木材樹脂接合体は、例えば、自動車内外装部材、携帯電話ケース、パソコン及び家電の筐体、リターナブルカップ、家具、玩具等の素材として使うことが可能である。
以下に、本発明を実施例で説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[ポリプロピレン樹脂の評価]
1.エチレン含有量
ポリプロピレン樹脂のエチレン含有量を、以下のとおり、CFC-IR法によって測定した。
(i)使用する分析装置
(ア)クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T-100(以下、CFCと略す。)
(イ)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT-IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT-IRを接続し、このFT-IRを検出器として使用した。
CFCから溶出した溶液の出口からFT-IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃の温度に保持した。FT-IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃の温度に保持した。
(ウ)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用した。
(ii)CFCの測定条件
(ア)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(イ)サンプル濃度:4mg/ml
(ウ)注入量:0.4ml
(エ)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温した。
(オ)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40℃、100℃及び140℃とし、全部で3つのフラクションに分別した。
なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40℃超~100℃で溶出する成分(フラクション2)、及び100℃超~140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:質量%)を各々W40、W100、W140と定義した。W40+W100+W140=100質量%である。また、分別した各フラクションは、そのままFT-IR分析装置へ自動輸送した。
(カ)溶出時溶媒流速:1ml/分
(iii)FT-IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT-IR測定を行い、上述した各フラクション1~3について、GPC-IRデータを採取した。
(ア)検出器:Polymer char社製MCT
(イ)分解能:8cm-1
(ウ)測定間隔:0.2分(12秒)
(エ)一測定当たりの積算回数:15回
(iv)測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT-IRによって得られる2945cm-1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求めた。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100質量%となるように規格化した。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mlとなるようにODCB(0.5mg/mlのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含む)に溶解した溶液を0.4ml注入して較正曲線を作成した。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。
分子量への換算は、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いた。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には、以下の数値を用いた。
(ア)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
PS:K=1.38×10-4、α=0.70
(イ)ポリプロピレン樹脂のサンプル測定時
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
上記溶出分別された各溶出部分の分子量を、Mw(40)、Mw(100)及びMw(140)と定義した。全体の分子量分布は、3分別で得られたデータを合計し、計算で求めた。
また、各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、FT-IRによって得られる2956cm-1の吸光度と2927cm-1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C-NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン・プロピレン・ラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して、予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(質量%)に換算して求めた。
2.示差走査熱量測定(DSC)
ポリプロピレン樹脂の結晶化開始温度及び結晶化温度を、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS-K7121に準じて測定した。試料を200℃で10分間保持した後、40℃まで10℃/分の冷却速度で結晶化させるときのDSC曲線を得た。得られたDSC曲線の高温側ベースラインの近似直線と発熱ピーク高温側の変曲点の接線との交点の温度を結晶化開始温度とし、前記DSC曲線の最大ピーク温度を結晶化温度とした。
3.数平均分子量及び重量平均分子量
ポリプロピレン樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布曲線から算出した。GPCの測定方法は、以下のとおりとした。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・測定温度:140℃
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本直列)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン
・流速:1.0ml/分
・試料の調製:試料濃度が1mg/mLになるように、140℃のオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含む)に約1時間を要して溶解させた。
・注入量:0.2ml
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレン(PS)による検量線を用いて行った。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成した。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いた。
(ア)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
PS:K=1.38×10-4、α=0.70
(イ)ポリプロピレン樹脂のサンプル測定時
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
4.40℃のオルトジクロロベンゼンに可溶な成分の量
ポリプロピレン樹脂の40℃のオルトジクロロベンゼンに可溶な成分の量を昇温溶離分別(TREF)法により測定した。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とした。これを、下記の条件で、140℃のTREFカラムに導入した後、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持した。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得た。得られた溶出曲線から40℃で溶出する成分の量の試料全量に対する割合(質量%)を算出した。
TREFの測定条件は、以下のとおりである。
・検出器:FOXBORO社製 MIRAN 1A検出器(測定波長:3.42μm)
・カラムサイズ:4.3mmφ×150mm
・カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
・溶媒:オルトジクロロベンゼン
・溶媒流速:1mL/分
・試料濃度:5mg/mL
・試料注入量:0.2mL
5.MFR(温度230℃、荷重2.16kg)
ポリプロピレン樹脂のMFRをJIS-K7210:1982に準拠して測定した。
[使用原材料]
<ポリプロピレン樹脂>
ポリプロピレン樹脂として、以下の材料を用いた。ポリプロピレン樹脂の物性は、表1に示すとおりである。
・ポリプロピレン樹脂A(日本ポリプロ社製WINTEC(登録商標)WSX03、プロピレン系ランダム共重合体、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)=25g/10分、Mw/Mn=2.4)
・ポリプロピレン樹脂B(日本ポリプロ社製WELNEX(登録商標)RMG02、プロピレン系ブロック共重合体、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)=20g/10分、Mw/Mn=2.5)
Figure 2023019004000001
<低分子量ポリオレフィン>
低分子量ポリオレフィンとして、以下の材料を用いた。
低分子量ポリプロピレン;三洋化成工業社製ビスコール(登録商標)660-P:数平均分子量8,000
低分子量ポリエチレン;三洋化成工業社製サンワックス(登録商標)171-P:数平均分子量9,500
<変性ポリオレフィン>
変性ポリオレフィンとして、以下の材料を用いた。
・マレイン酸変性ポリプロピレン;三菱ケミカル社製モディック(登録商標)P928:変性率1.82質量%
実施例1
ポリプロピレン樹脂組成物の製造
表2に示すポリプロピレン樹脂組成物の各成分を秤量し、リボンブレンダーにより均一に撹拌混合した。得られた混合物をスクリュー口径15mmの二軸押出機に投入し、樹脂温度200℃で混練し、ストランド状に押出し水冷してペレタイズして、ポリプロピレン樹脂組成物を得た。
薄板木材樹脂接合体の製造
薄板木材は杉材由来の木質薄層多層成形体(Micro Multiple Plywood、以下MMP)を使用した。このMMPは厚さ0.15mmのスギ単板を繊維方向が直交するように9層重ねたもの(9ply、厚さ1.5mm)を用いた。このMMPはスギ単板をレーザーで切り出し、フェノール樹脂接着剤を1接着層あたり10g/m使用して製造した。
板状成形体用金型内に、表裏面を金型に密着するようにして、MMPを配置した。ポリプロピレン樹脂組成物のペレットを射出成形機へ投入し射出成形機から、スプール、ランナー、ゲートを経由して、金型内に、樹脂組成物を射出し、薄板木材の一側面に射出圧をかけ、図1に示すMMP樹脂接合体を成形した。図1において、ポリプロピレン樹脂組成物部は、100mm(接合部)×150mm×1.5mm(厚さ)の板状である。このときの成形条件は以下のとおりである。
射出圧:20MPa、樹脂温度:180℃、金型温度:40℃
実施例2
実施例1において、ポリプロピレン樹脂組成物を表2に示すものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のMMP樹脂接合体を作製した。
参考例1及び2
実施例1において、ポリプロピレン樹脂組成物を表2に示すものにそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして、参考例1及び2のMMP樹脂接合体を作製した。
[木材樹脂接合体の評価]
実施例1及び2並びに参考例1及び2で得られたMMP樹脂接合体について、木材と樹脂との接合面の状態を以下のとおり、評価した。
<木材破壊状態>
射出圧力による木材の割裂き破壊状態を以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
◎:木材積層部に樹脂の侵入は認められず、外観に変化は無い。
○:木材積層部に樹脂の侵入は認められるが、外観に変化は無い。
×:木材積層部に樹脂が侵入し、大きく剥がれている。
<接合状態>
木材破壊状態が×でないものについて木材と樹脂の接合面を以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
○:接合面を引っ張っても外れない。
×:接合できていなく、触れると容易に外れる。
Figure 2023019004000002
低分子量ポリオレフィンを配合したポリプロピレン樹脂組成物を用いた実施例1及び2の木材樹脂接合体は、木材積層部に樹脂の侵入が認められず、低分子量ポリオレフィンを配合しない参考例1及び2の木材樹脂接合体に比べ、木材破壊状態が優れていた。
<X線CTによる接合状態の観察>
実施例1の木材樹脂接合体について、X線CT法により、木材細孔に樹脂が貫入している状態を観察した。装置は、SCANCO MEDICAL社製MicroCT-50を用いて測定を行った。木材樹脂接合体の接合部の試料を約9mmφに切断し、専用の測定用フォルダーにセットした。X線管球出力45kV、88μA(4W)の出力で3.4時間かけX線スキャンを行い、1ボクセル当たり3μmの分解能の3D画像データを得た。得られた3D画像を図2に示す。樹脂が貫入していない木材の細孔部は黒色像となり、樹脂が貫入している木材の細孔部は灰色像となる。図2に示すように、実施例1の木材樹脂接合体では、木材細孔に樹脂が貫入していることが明確に確認された。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、表面に導管、仮導管又は人工の開孔部に由来する空隙を有する木材との接合に好適に使用することができる。本発明の木材樹脂接合体は、例えば、自動車内外装部材、携帯電話ケース、パソコン及び家電の筐体、リターナブルカップ、家具、玩具等の素材として好適に使用することができる。
1 ポリプロピレン樹脂組成物
2 薄板木材
3 接合位置(ポリプロピレン樹脂組成物と木材との境界)

Claims (8)

  1. 導管、仮導管又は人工の開孔部に由来する空隙を有する木材表面との接合用ポリプロピレン樹脂組成物であって、ポリプロピレン樹脂組成物はポリプロピレン樹脂及び数平均分子量(Mn)が1,000~40,000のポリオレフィンを含み、前記ポリプロピレン樹脂は、下記特性(1)~(3)のうちの一以上の特性を有する、ポリプロピレン樹脂組成物。
    特性(1):エチレン含有量が0.8~10質量%である。
    特性(2):示差走査熱量測定(DSC)による結晶化開始温度が80~110℃である。
    特性(3):数平均分子量(Mn)が40,000超~100,000である。
  2. 前記ポリプロピレン樹脂は、下記特性(4)を有する、請求項1記載のポリプロピレン樹脂組成物。
    特性(4):示差走査熱量測定(DSC)による結晶化温度が79~109℃である。
  3. 前記ポリプロピレン樹脂は、下記特性(5)を有する、請求項1又は2に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
    特性(5):結晶化開始温度と結晶化温度との差が1~6℃である。
  4. 前記ポリプロピレン樹脂は、下記特性(6)を有する、請求項1~3のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
    特性(6):Mw/Mnが2.0~4.0である。
    (Mnは、数平均分子量であり、Mwは、重量平均分子量である。)
  5. 前記ポリプロピレン樹脂組成物は、さらに変性ポリオレフィンを含む、請求項1~4のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  6. 前記ポリプロピレン樹脂組成物は、さらにフィラーを含む、請求項1~5のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  7. 木材と、請求項1~6のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物との木材樹脂接合体であって、該ポリプロピレン樹脂組成物が木材表面の前記空隙へ貫入してなる木材樹脂接合体。
  8. 金型キャビティに木材を配置する工程、及び金型内に可塑化した樹脂組成物を射出する工程を含む、請求項7記載の木材樹脂接合体の製造方法。
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