JP2023018887A - エスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤 - Google Patents

エスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤 Download PDF

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Koichi Yoshimoto
あすか 堅山
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順也 山下
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Abstract

【課題】粒子径が小さいエスシタロプラムシュウ酸塩を含むにも拘わらず、エスシタロプラムシュウ酸塩の安定性に優れる錠剤を提供する。【解決手段】メジアン径(D50)が50μm以下であるエスシタロプラムシュウ酸塩を含み、水分含有量が6質量%以下である、エスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤。この錠剤は、素錠とそれを覆うコーティング層からなるものであってよい。また、この錠剤が気密包装体で包装されてなる包装錠剤も提供する。気密包装体としては、ポリプロピレン層を含むシート、ポリ塩化ビニル層を含むシート、又は環状ポリオレフィン層を含むシートと、アルミニウムシートで構成されたPTP包装と、その外側のアルミニウム層を有するシートで形成されたピロー包装からなるものが挙げられる。【選択図】なし

Description

本発明は、エスシタロプラムシュウ酸塩を含有する安定な錠剤に関する。
エスシタロプラムシュウ酸塩((1S)-1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-1-(4-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カーボニトリルモノオキサレート)は、うつ病・うつ状態、社会不安障害の治療薬の有効成分であり、下記構造式で表される化合物である。
Figure 2023018887000001
エスシタロプラムシュウ酸塩含有製剤として、レクサプロ(登録商標)錠(持田製薬株式会社)が臨床で使用されている。レクサプロ錠は、添加物として、タルク、クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール400、酸化チタンを含有するフィルムコーティング錠である(非特許文献1)。
また、エスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤の特性を向上させる試みが種々報告されている。
例えば、特許文献1は、メジアン径が50~200μmのエスシタロプラムシュウ酸塩、及びこれと同程度のメジアン径を有する結晶セルロースを含む錠剤は、打錠前の組成物の流動性が良いため、直接打錠法で製造できることを教えている。
また、特許文献2は、メジアン径が50~200μmであり、90%分位が455μmであるエスシタロプラムシュウ酸塩と、90%分位が291μmであるフィラーを含む錠剤は、打錠前の組成物の流動性が良いため、直接打錠法で製造できることを教えている。
また、特許文献3は、メジアン径40μm以下のエスシタロプラムシュウ酸塩と、マンニトールを含む混合物の造粒物を打錠して得られる錠剤は、光安定性及び熱安定性に優れることを教えている。
また、特許文献4は、100μm未満の平均粒径を有するエスシタロプラムシュウ酸塩粒子と、充填剤の全質量に対して少なくとも50質量%のラクトースを含む充填剤とを含み、セルロースを含まない粒状物を打錠して得られる錠剤は、エスシタロプラムシュウ酸塩が均一に分散されると共に、製造時の不純物の生成が抑えられることを教えている。
ここで、錠剤間の成分均一性が低いと、有効成分の1日投与量に変動が生じ、予定した薬効が得られない場合がある。エスシタロプラムシュウ酸塩は、エスシタロプラムとしての1日投与量が通常10mg、最大20mgと比較的少ないため、錠剤間の成分均一性を高くすることが求められる。
有効成分の粒子径を小さくすれば、錠剤間の成分含有量のバラツキは抑えられるが、粒子径が小さいと比表面積が大きくなるため環境因子の影響を受け易くなり、有効成分の安定性が低下する。
特許第5192568号 特許第5719811号 特許第6423133号 特許第5575114号
レクサプロ錠 添付文書
本発明は、粒子径が小さいエスシタロプラムシュウ酸塩を含むにも拘わらず、エスシタロプラムシュウ酸塩の安定性に優れる錠剤を提供することを主な課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。
(1)エスシタロプラムシュウ酸塩は、水分により分解が促進されて、経時的に類縁物質が増加する。
(2)メジアン径(D50)が50μm以下であるエスシタロプラムシュウ酸塩を含む錠剤は、その水分含有量を6質量%以下にすることにより、55℃・75%RHで4週間の苛酷試験による主要類縁物質の生成量を0.5%以下に抑えることができる。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の錠剤、包装錠剤、及び錠剤の製造方法を提供する。
〔1〕 メジアン径(D50)が50μm以下であるエスシタロプラムシュウ酸塩を含み、水分含有量が6質量%以下である、エスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤。
〔2〕 錠剤がコーティング錠である、〔1〕に記載のエスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤。
〔3〕 〔1〕又は〔2〕に記載の錠剤が水密又は気密包装体で包装されてなる、包装されたエスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤。
〔4〕 錠剤が、ポリプロピレン層を含むシート、ポリ塩化ビニル層を含むシート、又は環状ポリオレフィン層を含むシートと、アルミニウムシートで構成されたPTP包装で包装され、さらにアルミニウム層を有するシートで形成されたピロー包装で包装されている、〔3〕に記載の包装されたエスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤。
〔5〕 エスシタロプラムシュウ酸塩を含む錠剤の製造方法であって、エスシタロプラムシュウ酸塩のメジアン径を50μm以下とし、錠剤の水分含有量を6質量%以下にすることにより、錠剤を55℃・75%RHで4週間保存した場合の類縁物質Cの生成量が0.5%以下である錠剤を製造する方法。
前述した通り、エスシタロプラムシュウ酸塩は、1日投与量が比較的少ないため、錠剤間の成分均一性を高くすることが求められる。このため、エスシタロプラムシュウ酸塩の原薬の粒子径を小さくしたいという要求がある。本発明の錠剤は、メジアン径が50μm以下と小さいにも拘わらず、水分含有量が少ないため、エスシタロプラムシュウ酸塩の分解が抑えられている。
本発明の錠剤は、特に、水分含有量が6質量%以下であることにより、55℃・75%RHで4週間保存の苛酷試験による類縁物質C(エスシタロプラムシュウ酸塩の主要類縁物質)の生成量が0.5%以下に抑えられる。
医薬品規制調和国際会議(ICH)の「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドライン」(ICH-Q3Bガイドライン)は、最大1日投与量が10~100mgの有効成分について、類縁物質の生成量が0.5%を超える場合は、安全性確認が必要であることを定めている。安全性は、突然変異や染色体異常の誘発を確認する遺伝毒性試験、動物を用いた一般毒性試験などにより確認するとされており、医薬品メーカー、特に後発医薬品メーカーにとって、負担が大きい。従って、0.5%は最低限クリアすべき類縁物質生成量である。
55℃・75%RHで4週間の条件は、常温常湿下で3年間保存に該当すると、予備試験により想定されたため、この条件で主要類縁物質生成量が0.5%以下であれば、医薬品メーカーの負担なく開発できる実用的な錠剤となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の錠剤は、メジアン径(D50)が50μm以下であるエスシタロプラムシュウ酸塩を含み、水分含有量が6質量%以下である錠剤である。
エスシタロプラムシュウ酸塩
本発明の錠剤に含まれるエスシタロプラムシュウ酸塩の原薬は、メジアン径(D50)が50μm以下である。また、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、又は10μm以下であってもよい。この範囲であれば、錠剤間のエスシタロプラムシュウ酸塩の含有量のバラツキが十分に小さくなる。
また、メジアン径は、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、10μm以上、又は11μm以上とすることができる。エスシタロプラムシュウ酸塩は苦みが強い薬物であるが、この範囲であれば、錠剤服用時に感じる苦みが抑えられて服薬コンプライアンスが向上し、また製造中の飛散や機器への付着が抑えられて取り扱いが容易である。
本発明において、メジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定法で測定した値である。
本発明の錠剤1錠当たりのエスシタロプラムシュウ酸塩の含有量は、エスシタロプラムとして、5~30mg、中でも10~20mg、中でも10mg又は20mgとすることができる。
エスシタロプラムシュウ酸塩は、水和物であってもよい。
水分
本発明の錠剤中の水分含有量は、6質量%以下である。また、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、又は2質量%以下であってもよい。錠剤中の水分含有量の下限値は0質量%とすることができる。
本発明において、水分含有量は、乾燥減量法で測定した値であり、具体的には実施例の項目に記載した方法で測定した値である。
錠剤の水分含有量は、それには限定されないが、錠剤製造後(被覆層を有する錠剤では素錠製造後)に、乾燥させることで調整できる。乾燥は、錠剤フィルムコーティング装置などの医薬品製造に用いられる装置を用いて行ってもよく、乾燥剤と共に密封することで行ってもよく、室内に静置することで行ってもよい。
添加物
本発明の錠剤は、エスシタロプラムシュウ酸塩の他に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、光沢化剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、保存剤又は防腐剤などの添加物を含むことができる。添加物は、1種又は2種以上を使用できる。
賦形剤としては、乳糖水和物、白糖、マルトース、果糖、ブドウ糖(デキストロース)、トレハロースのような糖類;マンニトール(特に、D-マンニトール)、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトールのような糖アルコール;デンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプンのようなデンプン類;結晶セルロース、ケイ酸処理結晶セルロースのようなセルロース類;デキストリンなどが挙げられる。
結合剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース類;ポビドン;ポリビニルアルコール;デンプン;ゼラチン;トラガントゴム;塩基性(メタ)アクリレートコポリマーなどが挙げられる。
崩壊剤としては、クロスポビドン;カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース類;デンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)のようなデンプン類;デキストリン;ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛など)、ステアリン酸塩エステル(フマル酸ステアリルナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリンなど)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、酒石酸ナトリウムカリウムなどが挙げられる。
流動化剤としては、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
光沢化剤としては、カルナウバロウ、精製パラフィン・カルナウバロウ混合ワックス、サラシミツロウ、精製セラックなどが挙げられる。
着色剤としては、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、酸化チタン、天然食用色素、合成食用色素などが挙げられる。
矯味剤としては、シクロデキストリン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリシン、アラニン、テルペン類(リモネン、ピネン、ゲラニオール、メントール、ボルネオール、メントン、カンフル、オイゲノールなど)、テルペンを含有する精油(オレンジ油、ハッカ油、ユーカリ油、レモン油、ケイヒ油、ラベンダー油、スペアミントなど)などが挙げられる。
甘味剤としては、マンニトール、ショ糖、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウム、還元麦芽糖水あめ、ソルビット、果糖、乳糖水和物、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、甘草及びその抽出物、グリチルリチン酸、甘茶、ソーマチンなどが挙げられる。
保存剤又は防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチルのようなパラベン類、安息香酸、エタノール、エデト酸四ナトリウム、サリチル酸、ソルビトール、ソルビン酸、グリセリン、クロロブタノール、フェノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
また、本発明の錠剤は、フィルムコーティング錠のようなコーティング錠であってもよく、コーティング剤としては、水溶性のものでは、キサンタンガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、グァーガム、アカシアガム、タマリンドガム、タラガム、アラビアゴム、カルナウバロウ、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルファー化デンプン、カゼインナトリウム、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルスターチナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、デキストラン、デキストリン、プルラン、キチン、キトサン、ガラクトマンナン、カゼイン、ゼラチン、水溶性プルランエーテル(プルランメチルエーテル、プルランエチルエーテル、プルランプロピルエーテルなど)、水溶性プルランエステル(プルランアセテート、プルランブチレートなど)、寒天、ビニル樹脂(ポビドン、コポリビドン、酢酸ポリビニル、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマーなど)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレングリコール、マクロゴール、グリチルリチン酸、糖類(白糖、果糖、乳糖、マルトース、ブドウ糖、シクロデキストリンなど)、糖アルコール(マンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど)などが挙げられる。
また、水不溶性又は水難溶性のコーティング剤としては、セルロース系コーティング剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロースなど)、ビニル樹脂(クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、酢酸フタル酸ポリビニルなど)、メタクリレートポリマー又はメタクリル酸ポリマー、ポリシロキサン系コーティング剤(ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物など)などが挙げられる。
メタクリレートポリマー又はメタクリル酸ポリマーとしては、レーム社のアミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットE100、EPOなど)、メタクリル酸コポリマーLD(オイドラギットL30D-55、L100-55など)、メタクリル酸コポリマーL(オイドラギットL100など)、メタクリル酸コポリマーS(オイドラギットS100など)、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー(オイドラギットRL100、RLPO、RS100、RSPO、RL30D、RS30Dなど)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー(オイドラギットNE30Dなど)などが挙げられる。
コーティング剤は、1種又は2種以上を使用できる。
コーティング層には可塑剤などの添加物を配合することができる。
可塑剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン(グリセリン三酢酸)のようなグリセリン脂肪酸エステル、流動パラフィン、ソルビタンモノラウレート、モノステアリン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ポロキサマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
コーティング層には、この他、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、光沢化剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、保存剤又は防腐剤などの添加物を配合することもできる。これらの添加物の具体例は、錠剤の添加物として例示した通りである。
本発明の錠剤が素錠とそれを被覆するコーティング層からなる場合は、水分含有量は、素錠とコーティング層からなる錠剤の全量中の水分含有量である。
錠剤の製造方法
本発明の錠剤は、例えば、エスシタロプラムシュウ酸塩と添加物を含む全成分を打錠する直接打錠法で製造することができる。
また、エスシタロプラムシュウ酸塩と添加物の混合物を造粒した後、そのまま又は添加物と混合して打錠する方法で製造することもできる。即ち、常法に従い、湿式又は乾式で造粒し、必要に応じて乾燥、整粒した後、得られた造粒物を打錠するか、又は得られた造粒物と添加物とを混合して打錠する方法により製造することができる。湿式造粒法としては、流動層造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、練合造粒法などが挙げられ、乾式造粒法としては、圧片造粒法、ブリケット造粒法、溶融造粒法などが挙げられる。
コーティング層を備えるときは、常法によりコーティング層を形成すればよい。
また、本発明の錠剤は口腔内崩壊錠であってもよく、当業者であれば、添加物の種類や量、打錠条件などを調整することにより口腔内崩壊錠とすることができる。
本発明の錠剤のサイズについては、長径は8mm以上、中でも9mm以上、中でも10mm以上で、15mm以下、中でも14mm以下、中でも13mm以下とすることができる。また、厚みは、2.5mm以上、中でも3mm以上、中でも3.3mm以上で、5mm以下、中でも4.5mm以下、中でも4mm以下とすることができる。
包装体
本発明の錠剤は、包装体、特に水密又は気密包装体に収容したものとすることができる。これにより、流通や保管中の吸湿が抑えられて、エスシタロプラムシュウ酸塩の分解が抑制される。
本発明において「水密又は気密包装体」は、外部からの水分(液体の水分、気体の水蒸気)の侵入を抑えるものであり、第十八改正日本薬局方の通則に定義される気密容器と密封容器が挙げられる。
水密又は気密包装体としては、PTP(Press Through Package)包装、SP(Strip Package)包装、ビン包装、バイアル包装、アンプル包装、ピロー包装、及びこれらを組み合わせたものが挙げられる。好ましくは、PTP包装で包装し、さらにピロー包装で包装する包装体が挙げられる。
水密又は気密包装体の材料は、防湿性を発揮できるものであればよく、プラスチック、アルミニウム、ガラス、セロハンなどが挙げられる。これらの包装体材料には、添加物を配合することができる。
包装体材料は、1種又は2種以上を使用することができ、2種以上の場合は、2種以上の材料の混合物を用いて成形した包装体であってもよく、種類が異なる材料を含む複数層からなる積層体(ラミネート)を成形した包装体であってもよい。SP包装は、通常、アルミニウム又はセロハンの層とプラスチック層の積層シートを成形したものである。また、PTP包装は、通常、錠剤をアルミニウムシートとプラスチックシートで挟むように成形した包装体である。
プラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グルコース変性PET、ナイロン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー樹脂(IO)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、環状ポリオレフィン(COC)などが挙げられる。
2層以上の積層体として、環状ポリオレフィン層とポリプロピレン層の積層体、ポリ塩化ビニル層とポリ塩化ビニリデン層との積層体などが挙げられ、中でも、環状ポリオレフィン層とポリプロピレン層との積層体が好ましい。
本発明の錠剤は、ポリプロピレン層を含むシート、ポリ塩化ビニルを含むシート、又は環状ポリオレフィン層を含むシートとアルミニウムシートで構成されるPTP包装、中でも環状ポリオレフィン層とポリプロピレン層を含むシート(中でも、環状ポリオレフィン層とポリプロピレン層からなるシート)とアルミニウムシートで構成されるPTP包装で包装され、さらに、アルミニウム層を含むシートを成形してなるピロー包装(中でも、アルミニウム層とポリエチレン層とのラミネートを成形してなるピロー包装)で包装されていることが好ましい。
また、本発明の錠剤は、乾燥剤と共に包装されることで、安定性が向上する。乾燥剤としては、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、ゼオライト、塩化カルシウム、生石灰(酸化カルシウム)、ベントナイトクレイ(モンモリロナイト)、塩化マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。中でも、シリカゲル、塩化カルシウムが好ましい。乾燥剤は1種又は2種以上を使用できる。
本発明は、上記説明した本発明の錠剤が水密又は気密包装体に収容されてなる包装錠剤も提供する。この場合、包装体中の錠剤の水分量が6質量%以下であればよい。包装体から取り出した直後の錠剤の水分量を包装体中の錠剤の水分量とみなすことができる。水密又は気密包装体は前述した通りである。
また、本発明は、エスシタロプラムシュウ酸塩を含む錠剤の製造方法であって、エスシタロプラムシュウ酸塩のメジアン径を50μm以下とし、錠剤の水分含有量を6質量%以下にすることにより、錠剤を55℃・75%RHで4週間保存した場合の類縁物質Cの生成量が0.5%以下である錠剤を製造する方法も提供する。
この方法において、錠剤の成分、サイズ、特性、物性評価方法、類縁物質C生成量の測定方法などは、本発明の錠剤について説明した通りである。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)物性試験方法
平均粒子径の測定方法
エスシタロプラムシュウ酸塩のメジアン径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(Malvern,MASTERSIZER3000)を用いて測定した。3回測定して平均値を算出した。
水分含有量の測定方法
乾燥減量試験法で測定した。乾燥条件は105℃で20分間とし、赤外水分測定装置を用いて測定した。
類縁物質量の測定方法
下記構造を有する、エスシロプラタムの類縁物質CをHPLCで定量した。
Figure 2023018887000002
(HPLC条件)
測定法:自動積分法
測定波長:237nm
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に4μmの液体クロマトグラフィー用エーテル結合型フェニルシリル化シリカゲルを充てんする。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相A:無水リン酸水素二ナトリウム7.10gを水1000mLに溶かし、リン酸でpH4.0に調整する。この液900mLにアセトニトリル100mLを加える。
移動相B:無水リン酸水素二ナトリウム7.10gを水1000mLに溶かし、リン酸でpH4.0に調整する。この液350mLにアセトニトリル650mLを加える。
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を表1のように変えて濃度勾配制御する。
面積測定範囲:試料注入後45分間
流量:毎分1.5mL
Figure 2023018887000003
(2)錠剤の製造
実施例1
表2の処方Aに従って、錠剤を以下のようにして製造した。
エスシタロプラムシュウ酸塩 1,225.92g、ケイ酸処理結晶セルロース 9,502.08g、クロスカルメロースナトリウム 480g、タルク 672g、ステアリン酸マグネシウム 120gを容器回転型混合機で混合することにより打錠用顆粒を得た。打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を製錠することにより、錠剤1を得た。錠剤1は、1錠中にエスシタロプラムシュウ酸塩 25.54mgを含む。この錠剤1に、全自動糖衣フィルムコーティング装置を用いてOPadry(登録商標) White 20A480001をコーティングし、カルナウバロウで表面の艶出しを行い、実施例1の錠剤を得た。
エスシタロプラムシュウ酸塩はメジアン径 8.92μmのものを使用した。錠剤の形状は、長径 13mm、厚さ 6mmの長球形である。
実施例2
表2の処方Aに従って、錠剤を以下のようにして製造した。
エスシタロプラムシュウ酸塩 1,225.92g、ケイ酸処理結晶セルロース 9,502.08g、クロスカルメロースナトリウム 480g、タルク 672g、ステアリン酸マグネシウム 120gを容器回転型混合機で混合することにより打錠用顆粒を得た。打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を製錠することにより、錠剤1を得た。錠剤1は、1錠中にエスシタロプラムシュウ酸塩 25.54mgを含む。この錠剤1に、全自動糖衣フィルムコーティング装置を用いてOPadry White 20A480001をコーティングし、カルナウバロウで表面の艶出しを行い、実施例1の錠剤を得た。
エスシタロプラムシュウ酸塩はメジアン径 18.70μmのものを使用した。錠剤の形状は、長径 13mm、厚さ 6mmの長球形である。
Figure 2023018887000004
※ Opadry White 20A480001:ヒプロメロース、タルク、ヒドロキシプロピルセルロース、タルクを含む。
(3)安定性の評価
実施例1、2で得た錠剤を、25℃、75%RH条件下で、0~5.5時間静置することで吸湿させ、種々の水分含有量の錠剤を得た(前処理)。
得られた錠剤を、環状ポリオレフィン層とポリプロピレン層からなる積層シートとアルミニウムシートで構成されたPTP包装体で包装した。包装された各水分含有量の錠剤について、55℃、75%RHで4週間保存の苛酷試験を行い、試験前後の錠剤中の類縁物質Cを定量した。
類縁物質Cの生成量は、以下の計算式を用いて算出した。

類縁物質Cの量(%)
=(AT/AS)×(MS/MT)× AM/C× 1/400×0.783 ×RF ×100

AS:標準溶液のエスシタロプラムのピーク面積
AT:試料溶液の類縁物質Cのピーク面積
MS:脱水物に換算した定量用エスシタロプラムシュウ酸塩の秤取量(mg)
MT:本品の秤取量(mg)
AM:本品の平均質量(mg)
C:1錠中のエスシタロプラム(C20H21FN2O)の含有量(表示量)(mg)
1/400:試料溶液の希釈率/標準溶液の希釈率=50/(200 × 50/5 × 50/5)
0.783:エスシタロプラム(C20H21FN2O)の分子量/エスシタロプラムシュウ酸塩(C20H21FN2O・C2H2O4)の分子量=324.39/414.43
RF:感度係数
結果を表3、表4に示す。
Figure 2023018887000005
Figure 2023018887000006
ICHのICH-Q3Bガイドラインは、最大1日投与量が10~100mgの有効成分について、類縁物質生成量0.5%を安全性確認が必要な閾値と定めており、類縁物質生成量0.2%を構造決定が必要な閾値と定めており、類縁物質生成量0.1%を報告すべき閾値と定めている。
メジアン径が18.70μmのエスシタロプラムシュウ酸塩を用いた場合、水分含有量が6.5質量%以下の場合に、苛酷試験後の主要類縁物質の生成量が0.5%以下に抑えられた。また、メジアン径が8.92μmのエスシタロプラムシュウ酸塩を用いた場合、水分含有量が6.0質量%以下の場合に、苛酷試験後の主要類縁物質の生成量が0.5%以下に抑えられた。
本発明の錠剤は、粒子径が小さいにも拘わらず、エスシタロプラムシュウ酸塩の分解が抑えられているため、成分含量均一性が良くかつ安定な錠剤である。

Claims (5)

  1. メジアン径(D50)が50μm以下であるエスシタロプラムシュウ酸塩を含み、水分含有量が6質量%以下である、エスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤。
  2. 錠剤がコーティング錠である、請求項1に記載のエスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤。
  3. 請求項1又は2に記載の錠剤が水密又は気密包装体で包装されてなる、包装されたエスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤。
  4. 錠剤が、ポリプロピレン層を含むシート、ポリ塩化ビニル層を含むシート、又は環状ポリオレフィン層を含むシートと、アルミニウムシートで構成されたPTP包装で包装され、さらにアルミニウム層を有するシートで形成されたピロー包装で包装されている、請求項3に記載の包装されたエスシタロプラムシュウ酸塩含有錠剤。
  5. エスシタロプラムシュウ酸塩を含む錠剤の製造方法であって、エスシタロプラムシュウ酸塩のメジアン径を50μm以下とし、錠剤の水分含有量を6質量%以下にすることにより、錠剤を55℃・75%RHで4週間保存した場合の類縁物質Cの生成量が0.5%以下である錠剤を製造する方法。
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