JP2022179829A - レボドパ含有顆粒及び医薬組成物、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

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宏樹 新垣
Hiroki Aragaki
裕也 佐野
Yuya Sano
史恭 谷口
Fumiyasu Taniguchi
順也 山下
Junya Yamashita
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Abstract

【課題】 レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む安定な医薬組成物、並びにレボドパ及びカルビドパを含む安定な顆粒を提供する。【解決手段】 レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含み、エンタカポンをレボドパ及びカルビドパとは別部分又は別相に含む医薬組成物。レボドパ及びカルビドパとは別部分又は別相にヒドロキシプロピルセルロースを含むことや、レボドパ及びカルビドパと同じ部分又は相にポリビニルアルコールを含むことが好ましい。レボドパ、カルビドパ、及びポリビニルアルコールを含む顆粒は、この医薬組成物の製造に好適に使用できる。【選択図】なし

Description

本発明は、レボドパ及びカルビドパを含む顆粒、並びにレボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物に関する。
レボドパ(3-ヒドロキシ-L-チロシン)は、ドパミンの前駆物質であり、血液・脳関門を通過して脳内に取り込まれて、そこでドパミンに変換されて生理作用を発揮し、パーキンソン病の改善効果をもたらすとされている。
レボドパは、抹消でドパ脱炭酸酵素、及びカテコール-O-メチルトランスフェラーゼにより大部分が代謝されるため、これらの代謝酵素の阻害剤を併用しない場合、脳内に取り込まれるレボドパの量は極めて少ない。
カルビドパは、ドパ脱炭酸酵素の阻害剤で、それ自体は血液・脳関門を通過せず、脳内へ移行しないため、これをレボドパと共に投与すると、抹消でレボドパの脱炭酸反応による分解を防ぎ、脳への移行を高める。従って、パーキンソン病の治療剤として、レボドパとカルビドパの併用剤が使用されている。
レボドパとカルビドパを含有する医薬製剤として、ネオドパストン配合錠(第一三共株式会社)やメネシット配合錠(MSD株式会社)が知られている。ネオドパストン配合錠は、有効成分として、レボドパ、カルビドパ水和物を含有し、添加物として、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、黄色5号、ステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤である(非特許文献1)。また、メネシット配合錠は、有効成分として、レボドパ、カルビドパ水和物を含有し、添加物として、部分アルファー化デンプン、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、黄色2号、ステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤である(非特許文献2)。
レボドパとカルビドパの併用による治療によっても、脳内でのレボドパ量の不足を十分に抑制できず、症状の日内変動(ウェアリング・オフ現象)が生じるケースがあり、そのようなケースには、さらにエンタカポンが併用されている。エンタカポンは、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼの阻害剤である。
レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含有する医薬製剤として、スタレボ配合錠(ノバルティスファーマ社)が知られている。スタレボ配合錠は、有効成分として、レボドパ、カルビドパ水和物、及びエンタカポンを含有し、添加物として、デンプン、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ヒプロメロース、白糖、グリセリン、ポリソルベート80、酸化チタン、三二酸化鉄、ステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤である(非特許文献3)。
また、特許文献1は、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含有する医薬製剤として、エンタカポンとレボドパを含む顆粒と顆粒状又は粉末状のカルビドパを含む、錠剤やカプセル剤などを開示している。特許文献1は、顆粒状のエンタカポン・レボドパ混合物と、顆粒状又は粉末状のカルビドパを混合して製剤化することで、カルビドパのバイオアベイラビリティが向上することを教えている。
しかし、これらの製剤は、保存により、有効成分が分解し易いことが知られている。中でも、カルビドパが分解して生じる類縁物質の4-ジヒドロフェニルアセトン(DHPA)はin vitro試験で染色体異常を誘発したことが報告されていることから(平成28年6月1日、医薬・生活衛生局審査管理課、レボドパ/カルビドパ配合製剤についての審議結果報告書)、製剤の流通、保管中のDHPAの生成を抑えることが求められている。
特表2003-503454号
ネオドパストン配合錠 添付文書 メネシット配合錠 添付文書 スタレボ配合錠 添付文書
本発明は、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む安定な医薬組成物、並びにレボドパ及びカルビドパを含む安定な顆粒を提供することを課題とする。
また、本発明は、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む安定な医薬組成物の製造方法、並びにレボドパ及びカルビドパを含む安定な顆粒の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。
(1) レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物において、エンタカポンを、レボドパ及びカルビドパとは別部分に存在させることにより、保存による総類縁物質の生成が抑制される。
(2) レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物において、エンタカポンを、レボドパ及びカルビドパとは別部分に存在させると共に、結合剤として、ヒドロキシプロピルセルロース及び/又はポリビニルアルコールを配合することにより、保存によるカルビドパ類縁物質の生成が抑制される。
(3) レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物において、エンタカポンを、レボドパ及びカルビドパとは別部分に存在させると共に、レボドパ及びカルビドパとは別部分にヒドロキシプロピルセルロースを配合することにより、保存によるカルビドパ類縁物質の生成が一層抑制される。
(4) レボドパ及びカルビドパを含む顆粒にポリビニルアルコールを配合することにより、保存によるカルビドパ類縁物質の生成が抑制され、従って、この顆粒を用いて製造したレボドパ及びカルビドパを含む医薬組成物や、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物でも、保存によるカルビドパ類縁物質の生成が抑制される。
(5) レボドパ及びカルビドパを含む医薬組成物や、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物を、60℃を超える温度、中でも40℃を超える温度にすることなく製造することにより、製造中のカルビドパ類縁物質の生成が抑制される。
(6) レボドパ及びカルビドパを含む顆粒を、湿式造粒法で造粒し乾燥させることで製造する場合、乾燥時間を3時間以内にすることにより、カルビドパ類縁物質の生成が効果的に抑制される。
(7) レボドパ及びカルビドパを含む顆粒を湿式造粒法で製造する場合、造粒溶媒としてエタノールを含む溶媒を使用することにより、乾燥時の加熱によるカルビドパ類縁物質の生成が効果的に抑制される。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の〔1〕~〔8〕を提供する。
〔1〕 レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含み、エンタカポンをレボドパ及びカルビドパとは別部分又は別相に含む、レボドパ含有医薬組成物。
〔2〕 さらに、ヒドロキシプロピルセルロース及び/又はポリビニルアルコールを含む、〔1〕に記載のレボドパ含有医薬組成物。
〔3〕 ヒドロキシプロピルセルロースをレボドパ及びカルビドパとは別部分又は別相に含む、〔2〕に記載のレボドパ含有医薬組成物。
〔4〕 ポリビニルアルコールをレボドパ及びカルビドパと同じ部分又は同じ相に含む、〔2〕又は〔3〕に記載のレボドパ含有医薬組成物。
〔5〕 レボドパ、カルビドパ、及びポリビニルアルコールを含む、レボドパ含有顆粒。
〔6〕 レボドパ及びカルビドパを含むか、又はレボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物の製造方法であって、全工程を60℃以下で行う、レボドパ含有医薬組成物の製造方法。
〔7〕 レボドパ及びカルビドパを含む顆粒を湿式造粒法で造粒及び乾燥する工程を含み、乾燥時間を3時間以内とする、レボドパ含有顆粒の製造方法。
〔8〕 レボドパ及びカルビドパを含む顆粒を湿式造粒法で製造し、造粒溶媒としてエタノールを含む溶媒を使用する、レボドパ含有顆粒の製造方法。
レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを混合すると、保存によりこれらの成分の分解が促進されて総類縁物質の生成が増加する。このため、特許文献1が教えるように、エンタカポン及びレボドパを含む顆粒とカルビドパを含む組成物を充填したカプセル剤や、エンタカポン及びレボドパを含む顆粒とカルビドパを含む組成物を打錠した錠剤は、保管中に有効成分の分解により薬効が低下し易い。上市されているスタレボ錠も同様である。
これに対して、本発明の医薬組成物は、エンタカポンが、レボドパ及びカルビドパとは別部分に配合されているため、エンタカポンとレボドパ及びカルビドパとの接触によるこれらの成分の分解が抑制されている。
また、これらの成分の中でも、特にカルビドパの類縁物質の生成を抑えることが求められるところ、エンタカポンを、レボドパ及びカルビドパとは別部分に存在させると共に、結合剤として、特にヒドロキシプロピルセルロースやポリビニルアルコールを配合すれば、保存によるカルビドパ類縁物質の生成が抑制される。
中でも、レボドパ及びカルビドパとは別部分にヒドロキシプロピルセルロースを配合する場合は、保存によるカルビドパ類縁物質の生成が、より効果的に抑制される。
また、レボドパ及びカルビドパと同じ部分にポリビニルアルコールを配合する場合も、保存によるカルビドパ類縁物質の生成が、より効果的に抑制される。
従って、本発明の医薬組成物は、製造、流通、保管中の、レボドパ、カルビドパ、及び/又はエンタカポンの類縁物質の生成、特にカルビドパの類縁物質の生成による薬効の低下が抑制される。また、流通や保管に特別の工夫を要さず、実用価値が高い。
また、本発明の顆粒は、レボドパ及びカルビドパに加えて、結合剤の中でもポリビニルアルコールを使用していることにより、保存によるカルビドパ類縁物質の生成が抑制されている。従って、この顆粒を用いて製造したレボドパ及びカルビドパを含む医薬組成物や、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物でも、保存によるカルビドパ類縁物質の生成が抑制される。
医薬組成物の製造を高温下で行うと有効成分が分解し易い。例えば、錠剤の製造では、一般に、原料顆粒の乾燥時、原料顆粒や素錠のコーティング時に加熱が行われるため、この際に有効成分が分解し易い。
レボドパ及びカルビドパを含む医薬組成物や、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物の製造では、40℃を超える工程、特に60℃を超える工程を含むと、経時的にカルビドパ類縁物質の生成が増大するが、全工程を60℃以下、中でも40℃以下の温度に管理することにより、経時的なカルビドパ類縁物質の生成が認められない、又はほとんど認められない。従って、全工程を60℃以下で行う本発明の製造方法によれば、カルビドパ類縁物質が生成しない、又は実質的に生成しない。
一般に、湿式造粒した顆粒は、60~70℃で10~12時間、棚上に静置することで乾燥させるが、レボドパ及びカルビドパを含む顆粒の場合は、乾燥時間を3時間以内にすることにより、カルビドパ類縁物質の生成が効果的に抑制される。
また、湿式造粒の溶媒としてエタノールを含む溶媒を使用すれば、顆粒の乾燥時間が長くなっても、カルビドパ類縁物質の生成量がほとんど増大しない。従って、造粒溶媒としてエタノールを含む溶媒を用いる本発明方法によれば、長時間にわたり十分に乾燥させることができる。乾燥時間を3時間以内にしようとすると、十分に乾燥させるためには、流動層造粒装置などを用いて顆粒を撹拌しながら乾燥させることが望ましいが、造粒溶媒としてエタノールを含む溶媒を用いれば、長時間乾燥させることができるため、乾燥方法が限定されない。
結合剤の種類の検討(No.1)結果を示す図である。 結合剤の種類の検討(No.2)結果を示す図である。 ヒドロキシプロピルセルロースの配合部分の検討(No.1)結果を示す図である。 造粒溶媒・乾燥時間の検討結果を示す図である。 製造温度の検討結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)レボドパ含有医薬組成物
本発明の医薬組成物は、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含み、エンタカポンをレボドパ及びカルビドパとは別部分又は別相に含む組成物である。
本明細書において、「別部分」及び「別相」には、各部分又は各相間が隔壁、隔層、空間などで分離されている態様のみならず、各部分又は各相間が接触している態様も含まれる。例えば、顆粒と粉末を打錠して得られる錠剤において、顆粒由来の部分と粉末由来の部分は別部分又は別相である。また、「部分」及び「相」は、固体、液体、又は気体であり得る。
有効成分
本明細書では、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンは、それぞれ、薬学的に許容される塩であってもよい。また、レボドパ、カルビドパ、エンタカポンの水和物や、レボドパ、カルビドパ、エンタカポンの薬学的に許容される塩の水和物であってもよい。
レボドパの含有量は、1剤当たり、例えば10~200mg、好ましくは50~100mgとすることができる。カルビドパの含有量は、1剤当たり、例えば1~20mg、好ましくは5~10mgとすることができる。エンタカポンの含有量は、1剤当たり、例えば10~200mg、好ましくは50~150mgとすることができる。
製剤形態
本発明の医薬組成物の剤型は、特に限定されない。例えば、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ、カプセル剤(硬カプセル剤、ソフトカプセル剤)、錠剤などの固形製剤が挙げられる。特殊な錠剤として、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠なども挙げられる。
顆粒剤、細粒剤、ドライシロップとしては、レボドパ及びカルビドパを含む造粒物とエンタカポンを含む造粒物を混合したもの、レボドパ及びカルビドパを含む造粒物とエンタカポンを含む粉末を混合したもの、レボドパ及びカルビドパを含む粉末とエンタカポンを含む造粒物を混合したものが挙げられる。これらは、造粒物内外に添加物を配合できる。
これらの製剤において、造粒物をコーティング剤で被覆すれば、エンタカポンとレボドパ及びカルビドパとの接触が一層効果的に妨げられて、成分安定性が一層向上する。コーティング剤は、水溶性コーティング剤、水不溶性又は水難溶性コーティング剤の何れも用いることができる。
カプセル剤は、硬カプセル剤では、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを基剤とする硬カプセルに、上記説明した顆粒剤、細粒剤を充填したものとすることができる。また、軟カプセル剤では、上記説明した顆粒剤、細粒剤を、例えばゼラチン、グリセリン、ソルビトールなどを含む軟カプセル基剤に封入したものとすることができる。カプセル剤の場合も、造粒物をコーティング剤で被覆すれば、エンタカポンとレボドパ及びカルビドパとの接触が一層効果的に妨げられて、成分安定性が一層向上する。これらは、造粒物内外に添加物を配合できる。
錠剤は、レボドパ及びカルビドパを含む造粒物とエンタカポンを含む造粒物を、そのまま又は添加物と共に打錠してなる錠剤、レボドパ及びカルビドパを含む造粒物とエンタカポンと添加物を含む粉末を打錠してなる錠剤、エンタカポンを含む造粒物とレボドパ、カルビドパ、及び添加物を含む粉末を打錠してなる錠剤、レボドパ及びカルビドパを含む造粒物とエンタカポンを含む造粒物と添加物を含む造粒物を打錠してなる錠剤などが挙げられる。
打錠に供する造粒物をコーティング剤で被覆すれば、レボドパ及びカルビドパとエンタカポンとの接触が一層効果的に妨げられて、成分安定性が一層向上する。コーティング剤は、水溶性コーティング剤、水不溶性又は水難溶性コーティング剤の何れも用いることができる。
また、錠剤を核粒子とそれを被覆する1以上の層からなるものとすることで、レボドパ及びカルビドパとエンタカポンとを分けることもできる。例えば、レボドパ及びカルビドパを含む核粒子とエンタカポンを含む層を備える錠剤、エンタカポンを含む核粒子とレボドパ及びカルビドパを含む層を備える錠剤が挙げられる。また、賦形剤などからなる核粒子と2以上の層からなり、2以上の層の何れかに、レボドパ及びカルビドパとエンタカポンとをそれぞれ配合した錠剤も挙げられる。
何れの場合も、エンタカポンを含む部分とレボドパ及び/又はカルビドパを含む部分を中間層で隔離することで、成分安定性が一層向上する。核粒子と各層には、添加物を配合できる。
また、本発明の医薬組成物は、レボドパ及びカルビドパとエンタカポンとを別部分に収容した1剤型容器であって、エンタカポンとレボドパ及びカルビドパとを用時混合して使用する容器に、これら3成分が収容されたものとすることもできる。即ち、複数収容部を備える1剤型容器の別収容部に、レボドパ及びカルビドパとエンタカポンとを分けて収容することができる。各部分には、添加物を配合できる。
用時混合する手段は良く知られており、例えば、圧力をかけて、レボドパ及びカルビドパを収容した部分とエンタカポンを収容した部分との間の隔壁を破るもの、レボドパ及びカルビドパを収容した部分とエンタカポンを収容した部分のそれぞれに、薬剤吐出口又は薬剤吐出口となり得る部分(切り込み、ミシン目など)が設けられており、用時、各吐出口からレボドパ及びカルビドパとエンタカポンとをそれぞれ吐出させて同時に服用するようにしたものなどが挙げられる。
添加物
前述した通り、本発明の医薬組成物は、レボドパ及びカルビドパを含む部分、エンタカポンを含む部分、それら以外の部分のそれぞれに、1種又は2種以上の添加物を配合できる。添加物としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、保存剤又は防腐剤などが挙げられる。
賦形剤としては、例えば、乳糖水和物、白糖、マルトース、果糖、ブドウ糖(デキストロース)、トレハロースのような糖類;マンニトール(特に、D-マンニトール)、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトールのような糖アルコール;デンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプンのようなデンプン類;結晶セルロースのようなセルロース類;デキストリンなどが挙げられる。
結合剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース類;ポビドン;デンプン;ゼラチン;トラガントゴム;ポリビニルアルコール;塩基性(メタ)アクリレートコポリマーなどが挙げられる。
結合剤の中では、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールが好ましい。
本発明の医薬組成物が、ヒドロキシプロピルセルロース及び/又はポリビニルアルコールを含む場合、その他の結合剤は、含んでも含まなくてもよい。
ヒドロキシプロピルセルロースの配合量は、医薬組成物の全量に対して、1重量%以上、中でも1.5重量%以上、中でも2重量%以上が好ましく、また,20重量%以下、中でも8重量%以下、中でも3重量%以下が好ましい。
また、ポリビニルアルコールの配合量は、医薬組成物の全量に対して、0.5重量%以上、中でも0.8重量%以上、中でも1重量%以上が好ましく、また20重量%以下、中でも8重量%以下、中でも2重量%以下が好ましい。
上記範囲であれば、カルビドパの類縁物質の生成を十分に抑制できると共に、他の成分を十分量配合できる。
中でも、ヒドロキシプロピルセルロースを、レボドパ及びカルビドパを含む部分とは別部分に配合することが好ましい。中でも、レボドパ及びカルビドパが造粒物に含まれ、ヒドロキシプロピルセルロースが別の造粒物に含まれるか、粉末として含まれることが好ましく、レボドパ及びカルビドパが造粒物に含まれ、ヒドロキシプロピルセルロースが粉末として含まれることがより好ましい。
本発明の医薬組成物が錠剤である場合は、レボドパ及びカルビドパを含む造粒物と、エンタカポンを含む造粒物と、ヒドロキシプロピルセルロースを含む造粒物又は粉末(特に粉末)を打錠してなるものが好ましい。
レボドパ及びカルビドパを含む部分とは別部分に配合されるヒドロキシプロピルセルロースの配合量は、医薬組成物の全量に対して、20重量%以下(0~20重量%)とすることができる。
また、レボドパ及びカルビドパを含む部分とは別部分に配合されるヒドロキシプロピルセルロースの配合量は、これが配合された部分(造粒物、層、又は粉末)の全量に対して、3~10重量%とすることができる。複数部分にヒドロキシプロピルセルロースが配合される場合は、複数部分の合計中の濃度である。
上記範囲であれば、カルビドパの類縁物質の生成を十分に抑制できると共に、他の成分を十分量配合できる。
また、ポリビニルアルコールは、レボドパ及びカルビドパを含む部分に配合することが好ましい。
本発明の医薬組成物が錠剤である場合は、レボドパ及びカルビドパとポリビニルアルコールを含む造粒物と、エンタカポンを含む造粒物と、添加物を含む造粒物又は粉末(特に粉末)を打錠してなるものが好ましい。
レボドパ及びカルビドパを含む部分に配合されるポリビニルアルコールの配合量は、医薬組成物の全量に対して、20重量%以下(0~20重量%)とすることができる。
また、レボドパ及びカルビドパを含む部分に配合されるポリビニルアルコールの配合量は、これが配合された部分の全量に対して、0.5重量%以上、中でも1重量%以上、中でも2重量%以上が好ましく、また20重量%以下、中でも8重量%以下、中でも4重量%以下が好ましい。
上記範囲であれば、カルビドパの類縁物質の生成を十分に抑制できると共に、他の成分を十分量配合できる。
崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン;カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース類;デンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)のようなデンプン類;デキストリン;ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛など)、ステアリン酸塩エステル(フマル酸ステアリルナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリンなど)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、酒石酸ナトリウムカリウム、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。
流動化剤としては、例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、酸化チタン、食用タール色素、天然色素などが挙げられる。
矯味剤としては、例えば、シクロデキストリン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリシン、アラニン、テルペン類(リモネン、ピネン、ゲラニオール、メントール、ボルネオール、メントン、カンフル、オイゲノールなど)、テルペンを含有する精油(オレンジ油、ハッカ油、ユーカリ油、レモン油、ケイヒ油、ラベンダー油、スペアミントなど)などが挙げられる。
甘味剤としては、例えば、マンニトール、ショ糖、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウム、還元麦芽糖水あめ、ソルビット、果糖、乳糖水和物、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、甘草およびその抽出物、グリチルリチン酸、甘茶、ソーマチンなどが挙げられる。中でも、本発明の効果を得る上で、スクラロースが好ましい。
保存剤又は防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチルのようなパラベン類、安息香酸、エタノール、エデト酸四ナトリウム、サリチル酸、ソルビトール、ソルビン酸、グリセリン、クロロブタノール、フェノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
前述した通り、造粒物をコーティング層で被覆することにより、有効成分間の接触が一層効果的に妨げられる。造粒物をコーティングする場合のコーティング層の量は、造粒物1重量部に対して1~10重量部程度とすればよい。
また、錠剤をコーティング層で被覆することもできる。
コーティング剤としては、水溶性のものでは、例えば、キサンタンガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、グァーガム、アカシアガム、タマリンドガム、タラガム、アラビアゴム、カルナウバロウ、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルファー化デンプン、カゼインナトリウム、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルスターチナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、デキストラン、デキストリン、プルラン、キチン、キトサン、ガラクトマンナン、カゼイン、ゼラチン、水溶性プルランエーテル(プルランメチルエーテル、プルランエチルエーテル、プルランプロピルエーテルなど)、水溶性プルランエステル(プルランアセテート、プルランブチレートなど)、寒天、ビニル樹脂(ポビドン、コポリビドン、酢酸ポリビニル、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体など)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレングリコール、マクロゴール、グリチルリチン酸、糖類(白糖、果糖、乳糖、マルトース、ブドウ糖、シクロデキストリンなど)、糖アルコール(マンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど)、オパドライ(登録商標)などが挙げられる。
また、水不溶性又は水難溶性のコーティング剤としては、例えば、セルロース系コーティング剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキプロピルセルロース、ヒドロキプロピルメチルセルロース、ヒドロキプロピルセルロースフタル酸エステル、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、フタル酸ヒプロメロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロースなど)、ビニル樹脂(クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、酢酸フタル酸ポリビニルなど)、メタクリレートポリマー又はメタクリル酸ポリマー、ポリシロキサン系コーティング剤(ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物など)などが挙げられる。
メタクリレートポリマー又はメタクリル酸ポリマーとしては、レーム社のアミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットE100、EPOなど)、メタクリル酸コポリマーLD(オイドラギットL30D-55、L100-55など)、メタクリル酸コポリマーL(オイドラギットL100など)、メタクリル酸コポリマーS(オイドラギットS100など)、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー(オイドラギットRL100、RLPO、RS100、RSPO、RL30D、RS30Dなど)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー(オイドラギットNE30Dなど)などが挙げられる。
コーティング層には可塑剤などの添加物を配合することができる。可塑剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン(グリセリン三酢酸)のようなグリセリン脂肪酸エステル、流動パラフィン、ソルビタンモノラウレート、モノステアリン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ポロキサマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
本発明は、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物において、エンタカポンを、レボドパ及びカルビドパとは別部分に存在させることにより、この医薬組成物を安定化する方法、特にレボドパ、カルビドパ、及び/又はエンタカポンの類縁物質の生成を抑制する方法を包含する。
また、本発明は、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物において、エンタカポンを、レボドパ及びカルビドパとは別部分に存在させると共に、ヒドロキシプロピルセルロース及び/又はポリビニルアルコールを配合することにより、この医薬組成物を安定化する方法、特にカルビドパの類縁物質の生成を抑制する方法を包含する。
また、本発明は、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物において、エンタカポンとヒドロキシプロピルセルロースを、レボドパ及びカルビドパとは別部分に存在させることにより、この医薬組成物を安定化する方法、特にカルビドパの類縁物質の生成を抑制する方法を包含する。
また、本発明は、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物において、エンタカポンを、レボドパ及びカルビドパとは別部分に存在させると共に、ポリビニルアルコールをレボドパ及びカルビドパと同じ部分に存在させることにより、この医薬組成物を安定化する方法、特にカルビドパの類縁物質の生成を抑制する方法を包含する。
これらの方法において、各成分の種類や使用量、医薬組成物の形態などは、本発明の医薬組成物について説明した通りである。
(2)レボドパ含有顆粒
本発明の顆粒は、レボドパ、カルビドパ、及びポリビニルアルコールを含む顆粒である。結合剤の中でも、ポリビニルアルコールを含むことにより、カルビドパの分解による類縁物質の生成を効果的に抑制できる。
レボドパとカルビドパの含有量の比率は、レボドパ1重量部に対して、カルビドパ0.01~1重量部、中でも0.1重量部とすればよい。
ポリビニルアルコールの配合量は、顆粒の全量に対して、0.5量%以上、中でも1重量%以上、中でも2重量%以上が好ましく、また20重量%以下、中でも8重量%以下、中でも4重量%以下が好ましい。この範囲であれば、カルビドパの類縁物質の生成を十分に抑制できると共に、他の成分を十分量配合できる。
この顆粒には、医薬組成物に使用される任意の添加物を配合することができる。具体例は、本発明の医薬組成物について例示した通りである。本発明の顆粒は、ポリビニルアルコール以外の結合剤を、含んでも含まなくてもよい。
顆粒がコーティングされていてよいこと、及びコーティング剤や可塑剤の具体例も、本発明の医薬組成物について説明した通りである。
本発明は、レボドパ、及びカルビドパを含む顆粒にポリビニルアルコールを存在させることにより、この顆粒を安定化する方法、特にカルビドパの類縁物質の生成を抑制する方法を包含する。
(3)レボドパ含有顆粒の製造方法
本発明のレボドパ含有顆粒の第1の製造方法は、レボドパ及びカルビドパを含む顆粒を、湿式造粒法で造粒及び乾燥する工程を含み、乾燥時間を3時間以内とする方法である。乾燥時間は、2時間以内が好ましく、1時間以内がより好ましい。これにより、カルビドパの類縁物質の生成が顕著に抑制される。
この場合の乾燥時の製品温度は、20℃以上、中でも25℃以上、中でも30℃以上とすることが好ましく、また、80℃以下、中でも70℃以下、中でも60℃以下とすることが好ましく、50℃以下、又は40℃以下とすることもできる。
一般に、湿式造粒した顆粒は、60~70℃で10~12時間、棚上で静置することにより乾燥させる。本発明方法は、乾燥時間をこのような短時間とするため、十分に乾燥させるためには、静置ではなく、流動層造粒装置などを用いて、流動する空気と接触させながら乾燥することが望ましい。但し、流動層造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、練合造粒法などの何れの湿式造粒法で行ってもよく、静置乾燥を行うこともできる。乾燥後に、必要に応じて整粒すればよい。
また、本発明のレボドパ含有顆粒の第1の製造方法によれば、乾燥時間を短くすることでカルビドパの分解を抑制しているため、造粒溶媒は限定されず、水、エタノール、水/エタノール混液などの任意の溶媒を用いることができる。
本発明のレボドパ顆粒の第2の製造方法は、レボドパ及びカルビドパを含む顆粒を湿式造粒法で製造し、造粒溶媒としてエタノールを含む溶媒を使用する方法である。エタノールを含む溶媒を使用すれば、乾燥時のカルビドパ類縁物質の生成量の経時的な増大が抑制される。本発明のレボドパ含有顆粒の第2の製造方法によれば、造粒溶媒としてエタノールを含む溶媒を使用することでカルビドパの分解を抑制しているため、乾燥時間を長くして十分に乾燥させることができる。
この第2の方法は、流動層造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、練合造粒法などの何れの湿式造粒法で行ってもよい。造粒後に、乾燥し、必要に応じて整粒すればよい。
溶媒は、エタノールを30~100容量%、中でも50~100容量%、中でも80~100容量%含んでいればよい。溶媒としてエタノールのみを用いることが最も好ましい。この範囲であれば、カルビドパの類縁物質の生成を十分に抑制できる。エタノールと混合する溶媒としては水が好ましい。
本発明の第1及び第2のレボドパ含有顆粒の製造方法は、特に、「(2)レボドパ含有顆粒」の項目で説明した本発明のレボドパ含有顆粒の製造方法として好適である。
(4)レボドパ含有医薬組成物の製造方法
本発明のレボドパ含有医薬組成物の製造方法は、レボドパ及びカルビドパを含む医薬組成物、又はレボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物の製造方法であって、全工程を60℃以下の温度で行う方法である。
全工程は、55℃以下、中でも50℃以下、中でも40℃以下、中でも35℃以下、中でも30℃以下で行うことが好ましい。製造温度の下限値は20℃程度であり得る。
この製造工程の温度は、製品温度であり、乾燥工程では流動層乾燥機の排気の温度を顆粒の製品温度とみなすことができ、コーティング工程ではコーティング機の排気の温度を錠剤の製品温度とみなすことができる。
特に、顆粒のコーティングや素錠のコーティングは、通常60℃を超え80℃程度までの高温で行われるが、本発明のレボドパ含有医薬組成物の製造方法では、60℃以下で行うことにより、経時的なカルビドパ類縁物質の生成が抑制される。コーティングは、流動層コーティング機、ワースター式流動層コーティング機、遠心流動コーティング機、転動流動コーティング機などの装置を用いて行えばよい。
本発明のレボドパ含有医薬組成物の製造方法は、特に、「(1)レボドパ含有医薬組成物」の項目で説明した本発明のレボドパ含有医薬組成物や、「(2)レボドパ含有顆粒」の項目で説明した本発明のレボドパ含有顆粒を用いて製造した、レボドパ及びカルビドパを含む医薬組成物、又はレボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物の製造方法として好適である。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)エンタカポンとレボドパとカルビドパの組み合わせの検討
エンタカポン、レボドパ、カルビドパ水和物を、表1に示す質量比で合計が約1gになるようにガラス瓶に入れ、蓋を開けた状態で、温度55℃、相対湿度75%の下で4週間静置した。
Figure 2022179829000001
静置前後に、下記の2条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行い、この2条件で検出した類縁物質の合計を総類縁物質量とした。
組成物3と組成物4の総類縁物質量の合計を、エンタカポンをレボドパ及びカルビドパとは別部分に存在させた場合の総類縁物質量とし、組成物2と組成物5の総類縁物質量の合計を、カルビドパ水和物をレボドパ及びエンタカポンとは別部分に存在させた場合の総類縁物質量とし、組成物1と組成物6の総類縁物質量の合計を、レボドパをカルビドパ水和物及びエンタカポンとは別部分に存在させた場合の総類縁物質量とし、組成物7の総類縁物質量をレボドパ、カルビドパ水和物、及びエンタカポンを同じ部分に存在させた場合の総類縁物質量とした。

(HPLC条件1)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:280 nm)
カラム:内径4.6 mm,長さ25 cmのステンレス管に5 μmの液体クロマトグラフィー用オクチルシリル化シリカゲルを充填したもの
カラム温度:25℃
移動相:リン酸二水素ナトリウム二水和物15.6 gを水1000mLに溶かし、リン酸を加えてpH 2.7に調整したもの
流量:毎分1.0 mL
面積測定範囲:注入後40分間

(HPLC条件2)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:300 nm)
カラム:内径4.6 mm,長さ25 cmのステンレス管に5 μmの液体クロマトグラフィー用フェニルシリル化シリカゲルを充填したもの
カラム温度:25℃
移動相:リン酸二水素ナトリウム二水和物2.34 gを水1000 mLに溶かし、リン酸を加えてpH 2.1に調整する。この液540 mLにメタノール440 mL及びテトラヒドロフラン20 mLを加える。
流量:毎分1.0 mL
面積測定範囲:注入後60分間
静置前のエンタカポン、レボドパ、及びカルビドパ水和物の質量の合計に対する、4週間静置後の総類縁物質量の増加量の比率(%)を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2022179829000002
エンタカポン、レボドパ、カルビドパの組み合わせは安定性に強く影響した。エンタカポンを、レボドパ及びカルビドパと分けて収容することでこれらの有効成分の分解による類縁物質の増大が顕著に抑えられた。
(2)結合剤の種類の検討No.1
表3に示す組成で各成分を混合して、ガラス瓶に入れて密栓し、温度55℃、相対湿度75%の下で4週間静置した。
静置前後に、下記条件の高速液体クロマトグラフィーを行うことにより、カルビドパ類縁物質であるDHPAを定量した。

(HPLC条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:280 nm)
カラム:内径4.6 mm,長さ25 cmのステンレス管に5 μmの液体クロマトグラフィー用オクチルシリル化シリカゲルを充填したもの
カラム温度:40℃
移動相:リン酸二水素ナトリウム二水和物15.6 gを水1000mLに溶かし,リン酸を加えてpH 2.7に調整したもの
流量:カルビドパの保持時間が約8分になるように調整する。
面積測定範囲:カルビドパの保持時間の約7倍の範囲
Figure 2022179829000003
静置前のカルビドパの質量に対する、4週間静置後のDHPAの質量の比率(%)を算出した。結果を図1に示す。
ポリビニルピロリドンを配合するとDHPA生成が著しく促進された。80~400mgの配合量の範囲で、ポリビニルピロリドンは用量依存的にDHPAの生成を促進し、特に400mgの配合によりDHPAの生成を極端に促進した。ポリビニルピロリドンは、スタレボ配合錠で使用している結合剤である。
これに対して、ポリビニルアルコールではDHPAの生成が著しく抑制された。
また、ヒドロキシプロピルセルロースでもポリビニルピロリドンに比べて、DHPAの生成が非常に少なかった。ヒドロキシプロピルセルロース配合量が多くなるとDHPA生成量はやや増大したが、160mgと400mgの間でDHPA生成量にほとんど差がなかったことから、ポリビニルピロリドンと異なり、ヒドロキシプロピルセルロースは、80~400mgの配合量の範囲でDHPAの生成を抑制したと言える。
(3)結合剤の種類の検討No.2
実施例1(ポリビニルアルコール)
レボドパ200 g、カルビドパ水和物21.6 g及びトウモロコシデンプン46 g(日食コーンスターチ、日本食品化工株式会社)を高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサFS-2、株式会社アーステクニカ)に入れて、混合した。その後、精製水45 gにポリビニルアルコール8 g(EG-05、三菱ケミカル株式会社)を溶解させた結合液を投入し造粒した。造粒品を流動層造粒乾燥機(FLO-LABO、フロイント産業株式会社)に入れ乾燥させた。乾燥品を0.8 mmのスクリーンを用いた粉砕機(パワーミルP-04S、株式会社ダルトン)で整粒し、レボドパ・カルビドパ顆粒とした。
エンタカポン200 g、D-マンニトール52.3 g(マンニットP、三菱商事ライフサイエンス株式会社)、クロスカルメロースナトリウム29 g(Ac-Di-Sol、DuPont Nutrition Ireland)及びヒドロキシプロピルセルロース10 g(HPC-L-FP、日本曹達株式会社)を高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサFS-2、株式会社アーステクニカ)に入れて、混合した。その後、精製水160 gを投入し造粒した。造粒品を棚型乾燥機(DNF-812、ヤマト科学株式会社)に入れ乾燥させた。乾燥品を0.8 mmのスクリーンを用いた粉砕機(パワーミルP-04S、株式会社ダルトン)で整粒し、エンタカポン顆粒とした。
レボドパ・カルビドパ顆粒68.9 g、エンタカポン顆粒145.65 g、D-マンニトール6 g(グラニュトールS、フロイント産業株式会社)、ヒドロキシプロピルセルロース6 g(HPC-L-FP、日本曹達株式会社)及びステアリン酸マグネシウム3.45 g(ステアリン酸マグネシウム植物性、太平化学産業株式会社)を、容器回転型混合機(タンブラー型混合機TM-3S、昭和化学機械工作所)に入れて混合した。混合品について、ロータリー式打錠機(VIRGO24、菊水製作所)を用いて、錠剤重量が230 mg、錠剤厚みが3.9 mmになるように打錠し、素錠とした。
精製水80 g及びエタノール80 gの混液にヒプロメロース11.904 g(TC-5M、日進化成株式会社)、酸化チタン0.896 g(KRONOS 1171 Titanium Dioxide E171、KRONOS Worldwide, Inc.)及び三二酸化鉄0.23 g(癸巳化成株式会社)を溶解、分散させ、コーティング溶液を調整した。素錠にコーティング機(HICOATER-LABO、フロイント産業株式会社)を用いて、所定の重量になるようにフィルムコーティングを行い、被覆した錠剤を得た。
実施例2(ヒドロキシプロピルセルロース)
レボドパ200 g、カルビドパ水和物21.6 g、トウモロコシデンプン46 g(日食コーンスターチ、日本食品化工株式会社)及びヒドロキシプロピルセルロース10 g(HPC-L-FP、日本曹達株式会社)を高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサFS-2、株式会社アーステクニカ)に入れて、混合した。その後、精製水45 gを投入し造粒した。造粒品を流動層造粒乾燥機(FLO-LABO、フロイント産業株式会社)に入れ乾燥させた。乾燥品を0.8 mmのスクリーンを用いた粉砕機(パワーミルP-04S、株式会社ダルトン)で整粒し、レボドパ・カルビドパ顆粒とした。
エンタカポン200 g、D-マンニトール52.3 g(マンニットP、三菱商事ライフサイエンス株式会社)、クロスカルメロースナトリウム29 g(Ac-Di-Sol、DuPont Nutrition Ireland)及びヒドロキシプロピルセルロース10 g(HPC-L-FP、日本曹達株式会社)を高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサFS-2、株式会社アーステクニカ)に入れて、混合した。その後、精製水160 gを投入し造粒した。造粒品を棚型乾燥機(DNF-812、ヤマト科学株式会社)に入れ乾燥させた。乾燥品を0.8 mmのスクリーンを用いた粉砕機(パワーミルP-04S、株式会社ダルトン)で整粒し、エンタカポン顆粒とした。
レボドパ・カルビドパ顆粒68.9 g、エンタカポン顆粒145.65 g、D-マンニトール6 g(グラニュトールS、フロイント産業株式会社)、ヒドロキシプロピルセルロース6 g(HPC-L-FP、日本曹達株式会社)及びステアリン酸マグネシウム3.45 g(ステアリン酸マグネシウム植物性、太平化学産業株式会社)を、容器回転型混合機(タンブラー型混合機TM-3S、昭和化学機械工作所)に入れて混合した。混合品について、ロータリー式打錠機(VIRGO24、菊水製作所)を用いて、錠剤重量が230 mg、錠剤厚みが3.9 mmになるように打錠し、素錠とした。
精製水80 g及びエタノール80 gの混液にヒプロメロース11.904 g(TC-5M、日進化成株式会社)、酸化チタン0.896 g(KRONOS 1171 Titanium Dioxide E171、KRONOS Worldwide, Inc.)及び三二酸化鉄0.23 g(癸巳化成株式会社)を溶解、分散させ、コーティング溶液を調整した。素錠にコーティング機(HICOATER-LABO、フロイント産業株式会社)を用いて、所定の重量になるようにフィルムコーティングを行い、被覆した錠剤を得た。
実施例1、2の錠剤の組成を表4に示す。表4に示した各成分量は、1錠当たりの成分量(mg)である。実施例1は、レボドパとカルビドパを含む顆粒中にポリビニルアルコールを配合しているのに対して、実施例2は、レボドパとカルビドパを含む顆粒中にヒドロキシプロピルセルロースを配合している。
Figure 2022179829000004
実施例1、2の錠剤を、乾燥剤と共にポリ瓶に入れて密栓し、温度55℃、相対湿度75%の下で4週間静置した。静置前後に、「(2)結合剤の種類の検討No.1」の項目に記載の条件の高速液体クロマトグラフィーを行うことによりDHPAを定量した。
静置前のカルビドパの質量に対する、4週間静置後のDHPAの質量の比率(%)を算出した。
結果を図2に示す。実施例1、2共に、DHPAの生成は非常に少なかったが、レボドパとカルビドパを含む顆粒中に配合する結合剤をポリビニルアルコールにする方が、ヒドロキシプロピルセルロースにするより、DHPAの生成が一層抑制されることが分かる。
(4)ヒドロキシプロピルセルロースの配合部分の検討No.1
実施例3
レボドパ100 g、カルビドパ水和物10.8 g、トウモロコシデンプン15.2 g(日食コーンスターチ、日本食品化工株式会社)、ヒドロキシプロピルセルロース10 g(HPC-L-FP、日本曹達株式会社)、及びアルファー化デンプン10 g(マツノリンCM、松谷化学工業株式会社)を高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサFS-2、株式会社アーステクニカ)に入れて、混合した。その後、精製水25 gを投入し造粒した。棚型乾燥機(DNF-812、ヤマト科学株式会社)に入れ乾燥させた。乾燥品を0.8 mmのスクリーンを用いた粉砕機(パワーミルP-04S、株式会社ダルトン)で整粒し、レボドパ・カルビドパ顆粒とした。
エンタカポン200 g、D-マンニトール52.3 g(マンニットP、三菱商事ライフサイエンス株式会社)、クロスカルメロースナトリウム29 g(Ac-Di-Sol、DuPont Nutrition Ireland)、及びヒドロキシプロピルセルロース10 g(HPC-L-FP、日本曹達株式会社)を高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサFS-2、株式会社アーステクニカ)に入れて、混合した。その後、精製水160 gを投入し造粒した。造粒品を棚型乾燥機(DNF-812、ヤマト科学株式会社)に入れ乾燥させた。乾燥品を0.8 mmのスクリーンを用いた粉砕機(パワーミルP-04S、株式会社ダルトン)で整粒し、エンタカポン顆粒とした。
レボドパ・カルビドパ顆粒84 g、エンタカポン顆粒174.78 g、D-マンニトール13.08 g(グラニュトールS、フロイント産業株式会社)、及びステアリン酸マグネシウム4.14 g(ステアリン酸マグネシウム植物性、太平化学産業株式会社)を、容器回転型混合機(タンブラー型混合機TM-3S、昭和化学機械工作所)に入れて混合した。混合品について、ロータリー式打錠機(VIRGO24、菊水製作所)を用いて、錠剤重量が230 mg、錠剤厚みが3.9 mmになるように打錠し、素錠とした。
精製水205.85 gにヒプロメロース17.84 g(TC-5M、日進化成株式会社)、酸化チタン1.4 g(KRONOS 1171 Titanium Dioxide E171、KRONOS Worldwide, Inc.)、グリセリン0.8 g(濃グリセリン、阪本薬品工業株式会社)、及び三二酸化鉄0.36 g(癸巳化成株式会社)を溶解、分散させ、コーティング溶液を調整した。素錠にコーティング機(HICOATER-LABO、フロイント産業株式会社)を用いて、所定の重量になるようにフィルムコーティングを行い、被覆した錠剤を得た。
実施例4
レボドパとカルビドパを含む顆粒中に配合するヒドロキシプロピルセルロース量を4mgに増やした他は、実施例3と同様にして錠剤を得た。
実施例5
レボドパ200 g、カルビドパ水和物21.6 g、トウモロコシデンプン22.4 g(日食コーンスターチ、日本食品化工株式会社)、ヒドロキシプロピルセルロース8 g(HPC-L-FP、日本曹達株式会社)及びアルファー化デンプン20 g(マツノリンCM、松谷化学工業株式会社)を高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサFS-2、株式会社アーステクニカ)に入れて、混合した。その後、精製水50 gを投入し造粒した。棚型乾燥機(DNF-812、ヤマト科学株式会社)に入れ乾燥させた。乾燥品を0.8 mmのスクリーンを用いた粉砕機(パワーミルP-04S、株式会社ダルトン)で整粒し、レボドパ・カルビドパ顆粒とした。
エンタカポン200 g、D-マンニトール52.3 g(マンニットP、三菱商事ライフサイエンス株式会社)、クロスカルメロースナトリウム29 g(Ac-Di-Sol、DuPont Nutrition Ireland)及びヒドロキシプロピルセルロース10 g(HPC-L-FP、日本曹達株式会社)を高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサFS-2、株式会社アーステクニカ)に入れて、混合した。その後、精製水160 gを投入し造粒した。造粒品を棚型乾燥機(DNF-812、ヤマト科学株式会社)に入れ乾燥させた。乾燥品を0.8 mmのスクリーンを用いた粉砕機(パワーミルP-04S、株式会社ダルトン)で整粒し、エンタカポン顆粒とした。
レボドパ・カルビドパ顆粒68 g、エンタカポン顆粒145.65 g、ヒドロキシプロピルセルロース2 g(HPC-L-FP、日本曹達株式会社)、D-マンニトール10.9 g(グラニュトールS、フロイント産業株式会社)及びステアリン酸マグネシウム3.45 g(ステアリン酸マグネシウム植物性、太平化学産業株式会社)を、容器回転型混合機(タンブラー型混合機TM-3S、昭和化学機械工作所)に入れて混合した。混合品について、ロータリー式打錠機(VIRGO24、菊水製作所)を用いて、錠剤重量が230 mg、錠剤厚みが3.9 mmになるように打錠し、素錠とした。
精製水164.68 gにヒプロメロース14.24 g(TC-5M、日進化成株式会社)、酸化チタン1.12 g(KRONOS 1171 Titanium Dioxide E171、KRONOS Worldwide, Inc.)、グリセリン0.64 g(濃グリセリン、阪本薬品工業株式会社)及び三二酸化鉄0.288 g(癸巳化成株式会社)を溶解、分散させ、コーティング溶液を調整した。素錠にコーティング機(HICOATER-LABO、フロイント産業株式会社)を用いて、所定の重量になるようにフィルムコーティングを行い、被覆した錠剤を得た。
実施例6
顆粒と混合する添加物中のヒドロキシプロピルセルロース量を4mgに増やした他は、実施例5と同様にして錠剤を得た。
実施例3~6の錠剤の組成を表5に示す。表5に示した各成分量は、1錠当たりの成分量(mg)である。実施例3、4では、顆粒と混合する添加物にヒドロキシプロピルセルロースを配合しておらず、レボドパとカルビドパを含む顆粒中に2mg、4mgのヒドロキシプロピルセルロースをそれぞれ配合している。これに対して、実施例5、6では、顆粒と混合する添加物に、2mg、4mgのヒドロキシプロピルセルロースをそれぞれ配合している。
Figure 2022179829000005
実施例3~6の錠剤を、乾燥剤と共にポリ瓶に入れて密栓し、温度55℃、相対湿度75%の下で4週間静置した。静置前後に、「(2)結合剤の種類の検討No.1」の項目に記載の条件の高速液体クロマトグラフィーを行うことによりDHPAを定量した。
結果を図3に示す。実施例3~6の何れの錠剤も、DHPAの生成は非常に少なかった。ヒドロキシプロピルセルロースを後末添加した場合、ヒドロキシプロピルセルロース配合量を2倍にしてもDHPA生成量は変化しなかったが(実施例5と実施例6の対比)、ヒドロキシプロピルセルロースをレボドパとカルビドパを含む顆粒に配合した場合、ヒドロキシプロピルセルロース配合量を2倍にするとDHPA生成量がやや増大した(実施例3と実施例4の対比)。ヒドロキシプロピルセルロースを、顆粒と混合する添加物に配合すれば、配合量を広い範囲から選択できることが分かる。
(5)造粒溶媒・乾燥時間の検討
実施例7
レボドパ50 g、カルビドパ水和物5.4 g、トウモロコシデンプン11.5 g(日食コーンスターチ、日本食品化工株式会社)、ヒドロキシプロピルセルロース2 g(HPC-L-FP、日本曹達株式会社)及びアルファー化デンプン5 g(マツノリンCM、松谷化学工業株式会社)をステンレス製容器に入れて、混合した。その後、精製水12.5 gを投入し造粒し、湿潤した顆粒を得た。
実施例8
精製水に代えて同量のエタノールを使用した他は、実施例7と同様にして、レボドパ及びカルビドパを含有する湿潤した顆粒を得た。
実施例7、8の顆粒の組成を表6に示す。
Figure 2022179829000006
実施例7、8の顆粒を、湿潤した状態でガラス瓶に入れて密栓し、60℃の温度下で6時間静置した。静置前、1時間後、3時間後、6時間後に、「(2)結合剤の種類の検討No.1」の項目に記載の条件の高速液体クロマトグラフィーを行うことによりDHPAを定量した。
結果を図4に示す。造粒溶媒としてエタノールを使用した実施例8では、経時的なDHPAの増大がほとんど認められなかった。一方、造粒溶媒として水を使用した実施例8では、乾燥時間3時間まではDHPAの生成が抑制されたが、3時間を超えるとDHPAの生成量が増大した。
このことから、湿式造粒法でレボドパ・カルビドパ含有顆粒を製造する場合、乾燥時間は3時間以内にすることで、造粒溶媒に拘わらず、カルビドパ類縁物質の生成を効果的に抑制できることが分かる。
また、造粒溶媒としてエタノールを用いた場合、経時的なDHPAの増加はほとんど認められなかった。従って、エタノールを用いれば、乾燥時間が限定されず、十分に乾燥させることができることが分かる。また、長時間乾燥させてよいため、流動層造粒装置での乾燥以外にも、棚式乾燥なども行えることが分かる。
(6)製造温度の検討
実施例9
実施例1の錠剤の素錠を実施例9の錠剤とした。
実施例9の錠剤を、ガラス瓶に入れて密栓し、40℃、60℃、80℃の温度下でそれぞれ15時間静置した。静置前、1時間後、3時間後、6時間後、15時間後に、「(2)結合剤の種類の検討No.1」の項目に記載の条件の高速液体クロマトグラフィーを行うことによりDHPAを定量した。
結果を図5に示す。何れの温度でもDHPAの生成量は少なかったが、80℃の場合は、DHPAの経時的な増大が認められた。また、60℃の場合は、DHPAの経時的な増大がわずかに認められた。これに対して、40℃ではDHPAの経時的な増大が全く認められなかった。従って、60℃を超えない温度、特に40℃を超えない温度で錠剤を製造すれば、DHPAが生成しないことが分かる。
本発明の医薬組成物及び顆粒は、カルビドパが分解し難いため、薬効の低下が抑制されている。また、流通や保管に特別の工夫を要さず、実用価値が高いものである。

Claims (8)

  1. レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含み、エンタカポンをレボドパ及びカルビドパとは別部分又は別相に含む、レボドパ含有医薬組成物。
  2. さらに、ヒドロキシプロピルセルロース及び/又はポリビニルアルコールを含む、請求項1に記載のレボドパ含有医薬組成物。
  3. ヒドロキシプロピルセルロースをレボドパ及びカルビドパとは別部分又は別相に含む、請求項2に記載のレボドパ含有医薬組成物。
  4. ポリビニルアルコールをレボドパ及びカルビドパと同じ部分又は同じ相に含む、請求項2又は3に記載のレボドパ含有医薬組成物。
  5. レボドパ、カルビドパ、及びポリビニルアルコールを含む、レボドパ含有顆粒。
  6. レボドパ及びカルビドパを含むか、又はレボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む医薬組成物の製造方法であって、全工程を60℃以下で行う、レボドパ含有医薬組成物の製造方法。
  7. レボドパ及びカルビドパを含む顆粒を湿式造粒法で造粒及び乾燥する工程を含み、乾燥時間を3時間以内とする、レボドパ含有顆粒の製造方法。
  8. レボドパ及びカルビドパを含む顆粒を湿式造粒法で製造し、造粒溶媒としてエタノールを含む溶媒を使用する、レボドパ含有顆粒の製造方法。
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