JP2023016715A - 歯ブラシ並びに口腔内環境改善方法及び歯磨き方法 - Google Patents

歯ブラシ並びに口腔内環境改善方法及び歯磨き方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い照度の光を安定して発することができ、除菌効果及び歯垢検出効果を同時に奏する歯ブラシ等を提供すること。【解決手段】複数の毛束31が植設された植毛面32Aを有する第1歯ブラシヘッド部3と、第1歯ブラシヘッド部3を着脱可能に保持し、電源部21及びハンドル部を有する歯ブラシ本体2とを備え、第1歯ブラシヘッド部3は、板状の透光性樹脂プレート32が収容された凹部33が形成され、植毛面32Aが、透光性樹脂プレート32の上面であり、透光性樹脂プレート32の下面または内部に、複数の第1発光ダイオード34を有する電子回路基板35を配設し、第1発光ダイオード34は、電源部21からの給電によって、透光性樹脂プレート32の上面全体から毛束31の先端へ向かう方向に、除菌機能及び歯垢検出機能の双方を有する第1ピーク波長の光を発することを特徴とする歯ブラシ1。【選択図】図3

Description

本発明は、歯ブラシ、特に歯ブラシヘッド部に発光ダイオードを備えた歯ブラシ、並びに、口腔内環境改善方法及び歯磨き方法に関する。
従来より、発光ダイオード等の発光部を備え、口腔内に、主に可視光域における特定のピーク波長を有する光を照射することによって、除菌機能や細胞活性化機能などの種々の機能を発揮することができる歯ブラシが提供されている。
例えば、特許文献1には、波長域450~690nmのレーザー発光素子を有する光歯ブラシ装置が記載されている。この光歯ブラシ装置では、レーザー発光素子は歯ブラシのハンドル部の筐体に収容されている。ここで、出力光は、筐体先端部から歯ブラシヘッド内に延びた光ファイバーを通じて、植毛面へと導かれる。
特許文献2には、着脱自在構造の替歯ブラシと、光源とを有する光歯ブラシが記載されている。この光源は、替歯ブラシとは別体の歯ブラシハンドル容器内の先端に備えられ、歯ブラシハンドル容器の先端に装着した替歯ブラシの植毛面の近傍に位置する。この光歯ブラシにおいては、歯ブラシハンドル容器内の振動源によって、替歯ブラシを振動させる。加えて、替歯ブラシは、光源が位置する部分に透光穴が設けられ、光源からの光が、透光穴を通じて口腔内(毛束の先端に向かう方向)に発せられる。
特許文献3には、歯ブラシヘッド部起毛面の特定領域を通して光を照射する発光部と、受光する受光部とを備えた歯ブラシが記載されている。この歯ブラシでは、発光部がリード線を介して駆動回路と電気的に接続されている。
特許文献4には、歯ブラシ構造内に発光ダイオードを配置した、プラーク表示機能を備えた歯ブラシが記載されている。この歯ブラシでは、電池と電気的に接続された発光素子が、例えば歯ブラシヘッドが装着される別体の歯ブラシ柄の先端に設置され、歯の表面を照射する。
特許文献5には、低強度の励起光と、高強度の励起光とを放射する電気回路を有する歯科用装置が記載されている。この歯科用装置では、本体側の電気回路に発光ダイオードが付され、その位置に光学窓を有する歯ブラシアセンブリが装着される。ブラシが回転するタイプの歯ブラシであり、本体長手方向と垂直の方向に、歯ブラシアセンブリが据え付けられる。
特開平3-251207号公報 特開2009-22697号公報 特開2018-33591号公報 実用新案登録第3230433号公報 特開2016-501095号公報
しかしながら、特許文献1~5に記載の従来の光歯ブラシは、歯垢検出機能や除菌機能に関しては、必ずしも十分に発揮されているとはいえない。例えば特許文献1記載の歯ブラシでは、レーザー発光素子は歯ブラシのハンドル部内に設けられ、歯ブラシヘッド部内の光ファイバーを通じて植毛面に導かれる。これでは、導光中の光の散逸(損失)が避けられず、使用時の照度は低くならざるを得ない。また、光ファイバーを通じて発せられる光は、口腔内の狭い範囲しか照射することができない。そのため、歯磨き中に歯垢残存の有無を、鏡を見ながらチェックすることは難しい。結果として、磨き残し等の不具合が生じ易い。加えて、歯磨きの過程で除菌できる口腔内の領域も、光が照射される狭い領域になるため、口腔内を隅々まで除菌し、口腔内の環境を改善するには、かなり長い時間をかけて歯磨きすることが必要になるという問題がある。
また、特許文献2や特許文献3記載の歯ブラシにおいても、光は透光穴等の狭い特定領域から発せられるため、使用時の照度は低くならざるを得ないという問題がある。
特許文献4記載の歯ブラシでも、歯ブラシ柄側に設置された発光ダイオードに起因する光では、口腔内の十分な照射は期待できない。特許文献5では、歯ブラシアセンブリの光学窓の位置を、本体側に位置するLEDと合わせ、LEDの放射光を、光学窓を通過させて、通過させた光の反射光を、光学窓を再び通過させて光検出器に戻す構造であるため、十分な照度が得られない。そのため、十分な歯垢検出機能や除菌機能は発揮し難い。
本発明は、上記のような課題が解決され、高い照度の光を発し得る歯ブラシ、特に十分な除菌機能と歯垢検出機能(歯垢が見える機能)の双方を有し、しかも、歯ブラシ本体で発生させた音波振動を歯ブラシヘッドに伝達させた状態でブラッシング(歯磨き)を行う場合であっても、電気接点不良等を起こすことなく、歯ブラシヘッドに位置する発光ダイオードに電力を安定供給できるので、高い照度の光で口腔内の広い範囲を安定的に照射することができる歯ブラシ、並びにそれを用いた口腔内環境改善方法及び歯磨き方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、歯ブラシヘッド部の凹部に、透光性樹脂プレートを収容し、透光性樹脂プレートの下面または内部に、特定のピーク波長を有する光を発する複数の第1発光ダイオードを配設し、透光性樹脂プレートの上面(植毛面)の全体から発光させることによって、特定のピーク波長の光を、口腔内の比較的広い領域(例えば、植毛面の面積と同等の面積を有する領域)に高照度で照射でき、それによって、比較的短時間で除菌機能を発揮できるだけではなく、歯垢検出機能も同時に発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)複数の毛束が植設された植毛面を有する第1歯ブラシヘッド部と、当該第1歯ブラシヘッド部を着脱可能に保持し、内部に収容された電源部、及びブラッシング時に手で把持するハンドル部を有する歯ブラシ本体とを備えた歯ブラシにおいて、前記第1歯ブラシヘッド部は、板状の透光性樹脂プレートが収容された凹部が形成され、前記植毛面が、前記透光性樹脂プレートの上面であり、前記透光性樹脂プレートの下面または内部に、複数の第1発光ダイオードを有する電子回路基板を配設し、前記第1歯ブラシヘッド部に位置する前記第1発光ダイオードは、前記歯ブラシ本体に位置する前記電源部からの給電によって、前記透光性樹脂プレートの上面全体から前記毛束の先端へ向かう方向に、除菌機能及び歯垢検出機能の双方を有する第1ピーク波長の光を発することを特徴とする歯ブラシ。
(2)前記歯ブラシ本体に装着された前記第1歯ブラシヘッド部は、前記歯ブラシ本体に位置する前記電源部からの無線給電により前記第1発光ダイオードを発光させる、上記(1)に記載の歯ブラシ。
(3)前記第1発光ダイオードが、360~420nmの波長域にピーク波長を有する、上記(1)または(2)に記載の歯ブラシ。
(4)前記歯ブラシ本体は、前記第1歯ブラシヘッド部が装着される先端部分に、前記電源部からの給電により音波振動を発生させる発振部をさらに有し、前記発振部で発生させた音波振動が、前記第1歯ブラシヘッド部に伝達される、上記(1)~(3)のいずれかに記載の歯ブラシ。
(5)前記歯ブラシ本体に位置する前記電源部は、充電器からの無線給電によって充電される、上記(1)~(4)のいずれかに記載の歯ブラシ。
(6)前記透光性樹脂プレートが、前記第1歯ブラシヘッド部から着脱可能である、上記(1)~(5)のいずれかに記載の歯ブラシ。
(7)前記第1歯ブラシヘッド部は、前記歯ブラシ本体から取り外した状態で載置した前記充電器からの無線給電により、前記第1発光ダイオードを発光させる、上記(1)に記載の歯ブラシ。
(8)前記歯ブラシは、細胞活性化機能を有する第2ピーク波長の光を発する第2発光ダイオードを有し、前記第1歯ブラシヘッド部と同様の構成を備える第2歯ブラシヘッド部が、前記第1歯ブラシヘッド部が取り外された前記歯ブラシ本体に装着され、前記歯ブラシ本体に装着された前記第2歯ブラシヘッド部は、前記歯ブラシ本体に位置する前記電源部からの無線給電により前記第2発光ダイオードを発光させる、上記(1)に記載の歯ブラシ。
(9)前記第2発光ダイオードが、630~660nmの波長域にピーク波長を有する、上記(8)に記載の歯ブラシ。
(10)上記(1)~(9)のいずれかに記載の歯ブラシを使用する、口腔内環境改善方法。
(11)上記(1)~(9)のいずれかに記載の歯ブラシと、酸化チタンを含有する第1歯磨きジェル及び/または酸化タングステンを含有する第2歯磨きジェルとを使用する、歯磨き方法。
本発明により、口腔内の広い範囲にわたって、特定のピーク波長を有する光を、高い照度で安定して照射できる歯ブラシ、並びにそれを用いた口腔内環境改善方法や歯磨き方法が提供される。本発明の歯ブラシは、除菌機能及び歯垢検出機能の双方を備える光を発し得るので、歯垢チェッカーを使用せずとも、歯磨き中に歯垢を検出することができ、磨き残しを低減することが可能となる。また、歯ブラシ本体に位置する前記電源部からの無線給電によって発光ダイオードを発光させ、歯ブラシ本体で発生させた音波振動を歯ブラシヘッドに伝達させた状態でブラッシング(歯磨き)を行う場合であっても、ブラッシング時に電気接点不良を起こすことがなく、安定した光照射を実現できる。また、本発明の歯ブラシによれば、十分な除菌機能や細胞活性化機能を得ることができる。本発明の歯ブラシは、歯垢の検出や口腔内の環境改善用装置として、歯磨き時以外に使用することも可能である。
本発明に係る歯ブラシの一の実施形態を示す正面図である。 図1に示す歯ブラシにおいて、歯ブラシ本体に、第1歯ブラシヘッド部を装着する直前の状態を示した図である。 本発明に係る歯ブラシの内部構造を示す概略断面図である。 本発明の歯ブラシを構成する第1歯ブラシヘッド部を、歯ブラシ本体から取り外した時の状態で示した概略断面図である。 本発明の歯ブラシにおける第1歯ブラシヘッド部を構成する毛束及び透光性樹脂プレートの拡大斜視図である。 本発明の歯ブラシを構成する歯ブラシヘッド部に配置される6個の第1発光ダイオードの一の配置例を示した平面図であって、毛束が植設された植毛面(上面)をもつ透光性樹脂プレートを外した状態で示す。 本発明の歯ブラシを構成する歯ブラシヘッド部に配置される6個の第1発光ダイオードの他の配置例を示した平面図であって、毛束が植設された植毛面(上面)をもつ透光性樹脂プレートを外した状態で示す。 本発明における歯ブラシヘッド部の一実施形態を示す概念図であって、毛束が植設された透光性樹脂プレート、第1発光ダイオードを有する電子回路基板、及び歯ブラシヘッド部の筐体の分解斜視図である。 本発明に係る歯ブラシを構成する歯ブラシ本体に位置する電源部に充電する際の操作の一例を示したものであって、(a)が充電前の状態、(b)が充電時の状態を示す。 本発明の歯ブラシを構成する第1または第2歯ブラシヘッド部を、歯ブラシ本体から取り外して、直接充電器の所定の位置に載置し、充電器から無線給電により第1発光ダイオードを発光させて第1または第2歯ブラシヘッド部の殺菌等を行う場合の例を示す図であって、(a)が無線給電前の状態、(b)が無線給電されている状態を示す。 実施例1の歯ブラシの照度を測定したときの状態を示したものであって(a)が歯ブラシの上方から撮影したときの写真、(b)が歯ブラシの側方から撮影した時の写真である。 比較例1の歯ブラシの照度を測定したときの状態を示したものであって、(a)が歯ブラシの上方から撮影したときの写真、(b)が歯ブラシの側方から撮影した時の写真である。
以下、本発明の実施形態について詳記する。
<歯ブラシ>
本発明に係る歯ブラシは、複数の毛束が植設された植毛面を有する第1歯ブラシヘッド部と、第1歯ブラシヘッド部を着脱可能に保持し、内部に収容された電源部、及びブラッシング時に手で把持するハンドル部を有する歯ブラシ本体とを備えた歯ブラシにおいて、第1歯ブラシヘッド部は、板状の透光性樹脂プレートが収容された凹部が形成され、植毛面が、透光性樹脂プレートの上面であり、透光性樹脂プレートの下面または内部に、複数の第1発光ダイオードを有する電子回路基板を配設し、第1歯ブラシヘッド部に位置する第1発光ダイオードは、歯ブラシ本体に位置する電源部からの給電によって、透光性樹脂プレートの上面全体から毛束の先端へ向かう方向に、除菌機能及び歯垢検出機能の双方を有する第1ピーク波長の光を発することを特徴とする。
図1は、本発明に係る歯ブラシの一の実施形態を示す正面図である。図2は、図1に示す歯ブラシにおいて、歯ブラシ本体に第1歯ブラシヘッド部を装着する前の状態を示す図である。図3は、本発明に係る歯ブラシの内部構造を示す概略断面図である。図4は、本発明の歯ブラシを構成する第1歯ブラシヘッド部を、歯ブラシ本体から取り外した状態で示したときの概略断面図である。図5は、本発明の歯ブラシにおける歯ブラシヘッド部の拡大斜視図である。
(歯ブラシの一実施形態)
図示の歯ブラシ1は、歯ブラシ本体2と第1歯ブラシヘッド部3とを備える。本発明の歯ブラシ1は、図1では、第1歯ブラシヘッド部3を音波振動させることができる電動歯ブラシである場合を示しているが、第1歯ブラシヘッド部3を音波振動させる構成だけには限定されない。ここで、第1歯ブラシヘッド部3は着脱可能で、その着脱は、例えば図2に示すようにして行うことができる。第1歯ブラシヘッド部3では、複数の毛束31を有する透光性樹脂プレート32が凹部33に収容され、第1歯ブラシヘッド部3の内部には複数の第1発光ダイオード34を有する電子回路基板35が配設されている(図8参照)。この第1発光ダイオード34は、歯ブラシ本体2内部に収容された電源部21からの給電によって発光する。
(歯ブラシ本体)
歯ブラシ本体2は、第1歯ブラシヘッド部3を着脱可能に保持する。この歯ブラシ本体2は、図3に示すように、筒状の容器(筐体)2aで構成され、容器2aの外面の全体または一部に、ブラッシング時に手で把持する部分であるハンドル部を有する。歯ブラシ本体2はまた、内部に収容された電源部21を有する。本発明の歯ブラシ1は、好ましくは歯ブラシ本体2内に、例えば電動モーターのような発振部22を備える、電動歯ブラシである。
また、図3に示す実施形態の電動歯ブラシ1では、歯ブラシ本体2が、容器2aの外面に、ハンドル部に加えて、操作ボタン23を有し、また、容器2aの内部に、電源部21に加えて、発振部(駆動部)22、メイン基板24、第1受電用誘導コイル25及び第2送電用誘導コイル26を有する構成を採用した場合を示している。そして、図示の電動歯ブラシ1は、歯ブラシ本体2の先端部分に装着された発振部22が、電源部21からの給電により音波振動を発生させて第1歯ブラシヘッド部3に伝達することによって、歯ブラシ本体2に装着された第1歯ブラシヘッド部3を振動させることができる。
さらに、本実施形態の歯ブラシ1では、歯ブラシ本体2に装着された第1歯ブラシヘッド部3は、歯ブラシ本体2の内部に位置する電源部21からの無線給電により、第1発光ダイオード34を発光させる構成を採用した場合を示しているが、第1歯ブラシヘッド部3を音波振動させる構成を有さないような通常の歯ブラシの場合には、有線給電でも構わない。
無線給電であれば、第1歯ブラシヘッド部3が操作中に振動し続けていても、歯ブラシ本体2との電気接点不良による通電停止を伴うことなく、第1発光ダイオード34に安定した通電を行うことが可能である。なお、歯ブラシ本体2の内部に位置する電源部21は、充電器5からの無線給電によって充電されることが好ましい(図9参照)が、乾電池等を用いて構成してもよい。なお、無線給電の方式については、特に制限はなく、例えば電磁誘導方式や磁界共鳴方式等を用いることができる。
図3に示した実施形態では、歯ブラシ本体2内部に設けられた第1受電用誘導コイル25に、外部の充電器5に内蔵する第1送電用誘導コイル(図示せず)に電流を流し、これらの間で磁場を発生させることによって第1受電用誘導コイル25に起電力が発生し、その起電力によって発生した電流を電源部21に充電する、電磁誘導(磁界結合)方式を採用した場合を示している。また、図3に示した実施形態では、歯ブラシ本体2の第1歯ブラシヘッド部3側の内部に第2送電用誘導コイル26を設けるとともに、第1歯ブラシヘッド部3の歯ブラシ本体2側内部に第2受電用誘導コイル36をそれぞれ設け、第2送電用誘導コイル26に通電することによって、歯ブラシ本体2から第1歯ブラシヘッド部3への無線給電を行うことができる。
好ましくは、歯ブラシ本体2内部に収容された電動モーター等の発振部22は、歯ブラシ本体の容器2aを貫通して突き出した発振軸部22aを有し、この発振軸部22aを通じて第1歯ブラシヘッド部3または第2歯ブラシヘッド部4を振動させ、あるいは回転させて、歯磨き操作を行う。
ブラッシング(歯磨き)操作は、例えば歯ブラシ本体2の外面に設けられた操作ボタン23によって行う。図3に示した実施形態の電動歯ブラシ1の場合、操作ボタン23の操作によって、メイン基板(回路基板)24に所定の電気信号が入力され、メイン基板24は、入力された電気信号によって、発振部22や第1発光ダイオード34への給電がON/OFFされ、それによって、第1歯ブラシヘッド部3を、種々のモードで、振動や発光を開始または停止させる。
(第1歯ブラシヘッド部)
図6は、本発明の歯ブラシ1を構成する第1歯ブラシヘッド部3に配置される6個の第1発光ダイオード34の一の配置例を、図7は他の配置例を示した平面図であって、いずれも毛束31が植設された植毛面(上面)32Aをもつ透光性樹脂プレート32を外した状態で示す。図8は、本発明における歯ブラシヘッド部の一実施形態の部品を示す概念図であって、第1歯ブラシヘッド部3を、毛束31が植設された透光性樹脂プレート32、第1発光ダイオード34を有する電子回路基板35、及び第1歯ブラシヘッド部の本体(筐体)3aに分解して示す斜視図である。
第1歯ブラシヘッド部3は、筒状の本体(筐体)3aと、電子回路基板35と、透光性樹脂プレート32と、毛束31とで主に構成されている。ここで、前記透光性樹脂プレート32の上面が、複数の毛束31が例えば間隔をおいて植設された植毛面32Aとなる(図5)。また、第1歯ブラシヘッド部3には、板状の透光性樹脂プレート32が収容された凹部33が形成されている(図6~8参照)。透光性樹脂プレート32の下面または内部、図3に示す実施形態では透光性樹脂プレート32の下面に、複数の第1発光ダイオード34を有する電子回路基板35が、透光性樹脂プレート32と一体的に配設されている。
第1歯ブラシヘッド部3に位置する第1発光ダイオード34は、歯ブラシ本体2に位置する電源部21からの給電によって、透光性樹脂プレート32の上面である植毛面32Aの全体から毛束31の先端へ向かう方向に、除菌機能及び歯垢検出機能の双方を有する第1ピーク波長の光を発する。なお、第1発光ダイオード34を有する電子回路基板35は、第1歯ブラシヘッド部3の内部、透光性樹脂プレート32の下面に、透光性樹脂プレート32とは別体で配設されていることが好ましい。こうした、図3に示すような実施形態であれば、毛束31が植設された透光性樹脂プレート32のみを交換することが可能となり、経済的である。
(第1歯ブラシヘッド部の本体(筐体))
第1歯ブラシヘッド部3の本体(筐体)3aは、材質に特に制限はなく、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、シリコーン、またはスチレン系、オレフィン系、ポリアミド系、ポリウレタン系、もしくはポリエステル系の熱可塑性エラストマー等、種々の公知のポリマーを使用することができる。前記の歯ブラシ本体2の容器2aについても、同様である。なお、歯ブラシ本体2の容器2aのハンドル部とその他の部位、第1歯ブラシヘッド部3の筐体3aとで、材質が異なっていてもよい。
上記のように、第1歯ブラシヘッド部3の筐体3aの凹部33内に、複数の第1発光ダイオード34を有する電子回路基板35と、毛束31が植設された透光性樹脂プレート32とを順次配設することにより、歯ブラシヘッド部3を構成することができる(図8参照)。電子回路基板35や第1発光ダイオード34の形状やサイズ、凹部33の形状や材質にも特に制限はない。
ここで、透光性樹脂プレート32は、第1歯ブラシヘッド部3(の本体3a)と一体形成してもよく、あるいは、第1歯ブラシヘッド部3(の本体3a)とは別個に形成した上で、着脱可能に構成してもよい。例えば凹部付近をゴムや熱可塑性エラストマーで形成し、凹部表面近くの内側に板状物を嵌めるようなU字溝の付された形状とすることにより、透光性樹脂プレート32の着脱が容易となる。あるいは、透光性樹脂プレート32自体の材質を、透光性でかつ柔軟な熱可塑性エラストマーとすることにより、使用者による着脱を容易にし得る。本発明の歯ブラシにおいて、透光性樹脂プレートが、前記歯ブラシヘッド部から着脱可能であれば、発光ダイオード等の電子回路を廃棄することなく、ブラシ部分のみを交換することができ、経済的である。
(電子回路基板)
本発明の歯ブラシ1においては、上記のように、複数の第1発光ダイオード34が、透光性樹脂プレート32の下面または内部に配設された電子回路基板35上に位置する。このことによって、透光性樹脂プレート32の上面である植毛面32Aの全体から毛束31の先端へ向かう方向に、同じピーク波長を有する光が発せられて、口腔内を高照度で照らすことができる。複数の第1発光ダイオード34は、光量の多い光を発して口腔内をより一層高い照度で照らす必要がある場合には、複数の毛束31の間に位置するように配設するか、あるいは、毛束31自体を、透光性を有する材料を用いて形成し、第1発光ダイオード34から出射した光を、毛束31の内部を透過させ、あるいは毛束31の表面で反射させることによって、透光性樹脂プレート32の植毛面32Aから毛束31の先端へ向かう方向に光を伝送するように構成することが好ましい。
ここで、電子回路基板35上に配置される第1発光ダイオード34の配設個数は、複数個であることが必要である。これによって、第1発光ダイオード34から照射された光が、植毛面32Aの全体から毛束31の先端へ向かう方向に放出され、口腔内をより広範囲かつ高い照度で照らすことが可能になる。例えば、第1発光ダイオード34として、通常の照度を有する発光ダイオードを用いた場合には、第1発光ダイオード34の配設個数は4個以上であることが好ましく、より好ましくは6個以上である。また、第1発光ダイオード34として、通常の照度よりも高い照度を有する発光ダイオードを用いた場合には、第1発光ダイオード34の配設個数は、2個又は3個に減らすことも可能である。
第1発光ダイオード34として凸レンズ等のレンズ付きの発光ダイオードを配設し、照度や照射方向を調整してもよい。複数の第1発光ダイオード34の配置パターンにも特に制限はなく、例えば、図6に示すような配置パターンや、図7に示すような配置パターンなどが挙げられる。なお、第2歯ブラシヘッド部4についても、第2発光ダイオードの個数及び配列は、第1発光ダイオード34の配置パターンと同様にすることができる。
(透光性樹脂プレート)
本発明の歯ブラシ1において、透光性樹脂プレート32は、第1発光ダイオード34から発する光を植毛面32Aの全体から毛束31の先端へ向かう方向に透過させるため、半透明または透明であることが必要であるが、その形状や材質に特に制限はない。
透光性樹脂プレート32は、例えば平板楕円形状や円盤状であってもよく、目的に応じて片面または両面を凸面または凹面にして、光の照射方向や範囲を所望のように調整することもできる。例えば、透光性樹脂プレート32を凸レンズ状とすることによって照度を高めることが可能で、凹レンズ状にすることによって照射範囲を広げることができる。屈折による光の散逸を防ぐ見地からは、透光性樹脂プレート32は平板状またはそれに近い形状であることが好ましいが、透光性樹脂プレート32表面に凹凸を付し、小さなレンズが複数備えられた構造としてもよい。しかしながら、本発明の歯ブラシ1における透光性樹脂プレート32は、高い透光性を有することが好ましく、そのため、あまり微細な凹凸は表面に有さないことが好ましい。
透光性樹脂プレートの材質としては、透光性の高いポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン等が好適である。他に、ウレタン系、スチレン系、もしくはオレフィン系等の透光性の熱可塑性エラストマーを使用することもできる。また、透光性を損なわない範囲で、少量の着色剤や老化防止剤、抗菌剤、加工助剤等を含有していてもよい。
第1発光ダイオード34から発せられる光を有効利用する上で、透光性樹脂プレート32の側面32Bに金属メッキや金属蒸着、金属箔の接着等を施して、金属層を付与してもよい。同様に、筐体3aの凹部33の内面に金属層を付し、光を反射させる構成にすることも可能である。メッキや蒸着の方式にも特に制限はなく、例えば汎用の無電解メッキ法を用いることができる。これらとは別に、電子回路基板35の上面(毛束31側)上に、アルミニウム等の金属膜や、白色膜などのような反射層を形成することによって、光を反射させる構成にしてもよい。
毛束31の形状や材質にも特に制限はなく、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の汎用樹脂、あるいは動物の毛等から、目的に応じて選択することができる。また、毛束31は、例えば植毛面32Aの中央領域と、中央領域を取り囲んで位置する外周領域とで、毛の材質や硬さ、形状等を相違させてもよい。なお、後記するように第1発光ダイオードを備える第1歯ブラシヘッド部3と第2発光ダイオードを備える第2歯ブラシヘッド部とを使い分ける場合、両者を区別するために各毛束31の一部または全体を、例えば青色や赤色に着色してもよい。また、毛束の形状や材質が異なる、複数種の歯ブラシヘッド部のセットとしてもよい。
上記のように本発明の歯ブラシ1では、第1発光ダイオード34を有する電子回路基板35と、透光性樹脂プレート32とが、同一の歯ブラシヘッド部3または4を構成する凹部33内に配設・収容される。そのため、例えば特許文献5に記載の歯ブラシとは異なり、第1発光ダイオード34から発した光は、透光性樹脂プレート32を透過して口腔内に照射される。また、本発明の歯ブラシ1は、例えば特許文献1等に記載の歯ブラシとも異なり、光ファイバーでの導光中に光が散逸・損失するおそれもなく、また、光量が多い光を、透光性樹脂プレート32の上面である植毛面32Aの全体から毛束の先端へ向かう方向に発することができる。その結果、本発明の歯ブラシ1は、第1発光ダイオード34で発した光を、高い照度で口腔内を比較的広範囲にわたって照らすことができる。
(発光波長)
本発明において、第1発光ダイオードは除菌機能及び歯垢検出機能の双方を有する第1ピーク波長の光を発する。第1ピーク波長の光は、主として青色~紫色領域の光であって、好ましくは第1発光ダイオード34が、360~420nmの波長域にピーク波長を有する。
従来の歯ブラシでは、歯垢を検出する際、特許文献1に記載されたように波長450~690nm程度の光、特に波長460nm前後の青色光を用いるのが一般的であった。本発明においてもこうした青色光を用いることができるが、460nm前後のピーク波長を有する光を照射するよりも、360~420nmの波長域にピーク波長を有する光、例えば405nm前後の波長の光を照射する方が、歯垢が見え易くなる。波長360~420nmの光を照射すると、歯垢のある箇所は、ピンクに光って浮かび上がるため、歯磨き時の磨き残しを防止することができる。また、この波長域にピーク波長を有する光は、460nm前後の波長の光に比べて除菌性能の点でも優れており、そのため除菌機能及び歯垢検出機能の双方を有する。
ここで、除菌機能及び歯垢検出機能のうち、例えば除菌機能を重視する場合には、360~420nmの波長域内で、より短波長側にピーク波長を有する光、例えば360~390nmの波長域にピーク波長を有する光を照射することが好ましい。また、例えば歯垢検出機能を重視する場合には、360~420nmの波長域内で、より長波長側にピーク波長を有する光、例えば400~420nmの波長域にピーク波長を有する光を照射することが好ましい。こうした光を発する第1発光ダイオードとしては、特に制限はなく、任意のものを使用することができる。異なったピーク波長を有する複数種の発光ダイオードを、第1発光ダイオードとして併用することもできる。
なお、360~420nmの波長域内にピーク波長を有する光は、口腔照射領域で照射される光(青色~紫色光)が、(例えば10~30nm程度)長波長側に変化して好適ピーク波長範囲(360~420nm)を外れ、除菌機能及び歯垢検出機能を発揮できなくなるおそれがある。そのため本発明においては、透光性樹脂プレートのみならず上記の毛束も、高い透光性を有する(高透過率の)材質で形成されていることが好ましい。
(第2歯ブラシヘッド部)
本発明の歯ブラシはまた、好ましくは細胞活性化機能を有する第2ピーク波長の光を発する第2発光ダイオードを有し、第1歯ブラシヘッド部3と同様の構成を備える第2歯ブラシヘッド部4が、第1歯ブラシヘッド部3が取り外された歯ブラシ本体2に装着され、歯ブラシ本体2に装着されたこの第2歯ブラシヘッド部4は、歯ブラシ本体2に位置する電源部21からの無線給電により第2発光ダイオードを発光させることが好ましい。第2歯ブラシヘッド部4が歯ブラシ本体2に装着された場合も、上記無線給電や音波振動等は、上記の第1歯ブラシヘッド部3を装着した場合と同様に行うことができる。そのため、第2歯ブラシヘッド部は、発光ダイオード及び毛束以外は、第1歯ブラシヘッド部3と同様の部材や材料、例えば透光性樹脂プレート、凹部、電子回路基板、さらには反射機構等を有することが好ましい。
第2発光ダイオードは、細胞活性化機能を有する第2ピーク波長の光を発することにより、歯茎や唾液腺の細胞を活性化し、口腔内環境を整える効果を奏する。第2発光ダイオードは、好ましくは630~660nmの波長域に、より好ましくは640~650nm程度の波長域にピーク波長を有する。また、本発明においては第2発光ダイオードにも特に制限はなく、任意のものを使用することができる。
以上、第1発光ダイオード34を有する第1歯ブラシヘッド部3と、第2発光ダイオードを有する第2歯ブラシヘッド部4とを付け替える実施形態について説明したが、本発明の歯ブラシを構成する第1歯ブラシヘッド部3は、上記の第1発光ダイオード34だけではなく、さらに第2発光ダイオードを備えていてもよく、またピーク波長が位置する波長域が異なる他の発光ダイオードを備えていてもよい。
しかしながら、本発明においては、第1歯ブラシヘッド部3や第2歯ブラシヘッド部4のような各歯ブラシヘッド部は、それぞれ、同じ発光ダイオードだけを備えることが好ましい。これによって、上述した機能のうち、同じ機能を発揮するための同一のピーク波長をもつ光だけを発することができ、高照度で口腔内を照らすことができる点で好ましい。このことによって、各波長の光の照度を高めることができ、消費電力も低減される。また、歯ブラシヘッド部を付け替える際の利便性の観点から、第1歯ブラシヘッド部3と第2歯ブラシヘッド部4とは、発光ダイオード以外は同一の構成・材質であることが好ましい。
(電気的構成)
本発明の歯ブラシにおいては、上記のように歯ブラシ本体2の内部に電源部21が収容されている(図3参照)。電源部に特に制限はなく、例えば汎用の乾電池を挿入してもよい。しかしながら、本発明の歯ブラシにおいては、電源部21は蓄電池であることが好ましく、より好ましくは充電器5からの無線給電によって充電される。無線給電の方式に特に制限はない。
図9は、本発明に係る歯ブラシを構成する歯ブラシ本体に位置する電源部に充電する際の操作の一例を示したものであって、(a)が充電前の状態、(b)が充電時の状態を示す。このように、本発明の歯ブラシ本体2を、例えば、第1送電誘導コイル(図示せず)を内蔵した専用の充電器5上に載せ、USBケーブル6等を通じて外部から通電することにより、歯ブラシ本体2内部の第1受電用誘導コイル25に磁場を掛けて充電することができる。ここで、本体外側に充電表示ランプ27を付し、充電状態が判別できるようにしてもよい。
第1発光ダイオード34または第2発光ダイオードも、歯ブラシ本体2に位置する電源部21からの無線給電によって発光する構成であることが好ましい。例えば歯ブラシ本体2から第1歯ブラシヘッド部3への無線給電は、前記したように歯ブラシ本体2内部の第2送電用誘導コイル26と第1歯ブラシヘッド部3内部の第2受電用誘導コイル36を介して行うことができる。ここで、第2受電用誘導コイル36で発生した電流は、ヘッド部基板37と接続配線38、及び電子回路基板35を介して、第1発光ダイオード34に供給される。第2歯ブラシヘッド部4も、同様の電気的構成とすることが好ましい。
上記のような構成の第1歯ブラシヘッド部3は、歯ブラシ本体2に装着しなくても、例えば図10に示すように専用の充電器5に電気接続されて給電されることによって、発光させることが可能である。第1歯ブラシヘッド部3は、未使用時に歯ブラシ本体2に装着せずに直接発光させることにより、第1歯ブラシヘッド部3を殺菌して清潔に保つなどの除菌機能を発揮することができる。また、第2歯ブラシヘッド部4についても、第1歯ブラシヘッド部3と同様の構成を有するので、同様に発光させることが可能である。本発明においては、第1及び第2歯ブラシヘッド部は、歯ブラシ本体2から取り外した状態で載置した充電器5からの無線給電により、それぞれ第1及び第2発光ダイオードを発光させる構成であることが好ましい。
(他の実施形態)
以上、第1または第2歯ブラシヘッド部を歯ブラシ本体2の長手方向に据え付け、歯ブラシ本体2側の発振部22によって振動させる構成を中心に説明したが、本発明の歯ブラシはこうした構成に限定されるものではない。例えば歯ブラシヘッド部上の略円形状の透光性樹脂プレート32が、歯磨き時に回転する構成としてもよい。この場合、歯ブラシヘッド部は、歯ブラシ本体2に対して長手方向とは垂直側に重ねられ、歯ブラシ本体2内のモーター等の発振部22によって回転する実施形態であってもよい。この実施形態における歯ブラシ本体2と歯ブラシヘッド部との位置関係は、例えば特許文献5記載の方式と類似している。しかし、特許文献5の記載とは異なり、発光ダイオードを有する電子回路基板35は、歯ブラシヘッド部の凹部内に透光性樹脂プレート32と共に配設・収容されている。そのため、発光ダイオードから発せられた光が散逸して失われることが殆どなく、口腔内を十分な照度で照らすことができる。なお、この実施形態において、透光性樹脂プレート32とその周囲に磁石とコイルとを設け、歯磨き時の回転によって生じた電力を電子回路基板35に供給してもよい。
本発明の歯ブラシはまた、所望に応じて振動・回転等の機能を用いずに発光機能のみを用いて、手動での歯磨き用に使用してもよい。本発明の歯ブラシでは、上記のように歯ブラシヘッド部に、除菌機能を有しかつ歯垢が見える光を発する第1発光ダイオードか、細胞活性化機能を有する光を発する第2発光ダイオードの少なくともいずれかが備えられているので、これら発光機能を歯磨き中にまたはその前後に使用することにより、十分な歯磨き操作が促されると共に歯茎等の細胞活性化や除菌が行われ、口腔内の環境を良好に保つことができる。
<歯磨き方法>
(口腔内環境改善方法)
上記のように、本発明の歯ブラシ中の第1発光ダイオードの発光機能を活用し、歯磨き中またはその前後に歯垢を見え易くすることができる。そのため、本発明の歯ブラシを用いることにより、歯垢を残さずに歯を磨き、口腔内環境を良好にすることが可能となる。第1発光ダイオードから発せられる光、特に波長が360~420nm前後の光は、除菌機能も有するため、本発明の歯ブラシによって口腔内を除菌・殺菌することもできる。そのため、本発明の歯ブラシは、歯のホワイトニングの他、虫歯・歯周病予防、及び口臭の予防に有用である。本発明はまた、上記の歯ブラシを使用する、口腔殺菌方法等の口腔内環境改善方法をも包含する。
また、本発明の歯ブラシ中の第2発光ダイオードの発光機能を活用し、口腔内の細胞を活性化することも可能である。第2発光ダイオードから発せられる光、特に波長が630~660nm前後の光は、歯茎や唾液腺等の細胞を活性化する機能を有するので、歯のホワイトニングだけでなく、虫歯・歯周病を予防し、さらには歯茎等に潤いをもたらして、口腔内環境を整える上で有用である。
(歯磨きジェル)
本発明の歯ブラシは、上記のように種々の機能を有するので、所望の歯磨き剤と共に使用し、あるいは歯磨き剤なしでブラシのみを単独で使用することにより、使用者の口腔内環境をより一層良好に整えることができる。しかしながら本発明の歯ブラシは、特定の材料を含有する歯磨きジェルと共に使用することが好ましい。
酸化チタンや酸化タングステン等の物質は、光触媒として機能し、特定の波長の光が照射されると除菌や細胞活性化等の効果を奏する。そのため、そうした物質を含有する歯磨き剤と、特定波長の光を発する本発明の上記歯ブラシとを併用することにより、歯磨きの度に口腔内の環境を整えることができる。本発明はまた、上記のような本発明の歯ブラシと、酸化チタンを含有する第1歯磨きジェル及び/または酸化タングステンを含有する第2歯磨きジェルとを使用する、歯磨き方法を包含する。
ここで、酸化チタンは主に青色(~紫色)光、例えば360~500nm、中でも360~420nmの波長域、例えば365nm前後、375nm前後、385nm前後、または405nm前後にピーク波長を有する光を照射されると、光触媒としての機能を発揮する。本発明の歯ブラシにおいて、第1発光ダイオードは、除菌機能を有しかつ歯垢が見える光、例えば360~420nmの波長域にピーク波長を有する光を発する。そのため、本発明においては、第1発光ダイオードを有する第1歯ブラシヘッド部を備える歯ブラシで、第1歯磨きジェルを使用するのが好ましい。
一方の酸化タングステンは、主に赤色光、例えば630~660nm前後、特に640~650nm前後の波長の光により、光触媒機能を発揮する。本発明の歯ブラシにおける第2発光ダイオードは、細胞活性化機能を有する光、例えば630~660nm前後の波長域にピーク波長を有する光を発する。そのため、第2発光ダイオードを有する第2歯ブラシヘッド部を備える歯ブラシで、第2歯磨きジェルを使用するのが好ましい。
上記歯磨きジェルは、酸化チタンや酸化タングステン以外にも、炭酸カルシウムやヒドロキシアパタイト等の研磨剤、界面活性剤、増粘剤、pH調整剤、抗菌剤、殺菌剤、香料、ハッカ等の清涼剤類、着色剤、長鎖脂肪酸やヒマシ油等のオイル類、ヒアルロン酸類、キシリトール類、オリゴ糖やその塩、各種植物エキス等、種々の公知の成分を含有していてもよい。特に、第2歯磨きジェルは、細胞活性化機能をさらに高める上で、ヒアルロン酸類や各種植物エキス等の様々な成分を、より多く含んでいることが好ましい。
本発明の歯磨き方法や歯磨きジェルは上記に限定されるものではなく、所望により上記以外の使い方をすることができる。例えば、第1発光ダイオードと第2発光ダイオードの両者を備えた歯ブラシで、酸化チタンと酸化タングステンの両者を含有する歯磨きジェルを使用してもよい。歯垢を検知し易く、磨き残しを生じ難い第1発光ダイオードを備える第1歯ブラシヘッド部と、第1歯磨きジェルとの組み合わせを朝方に、細胞活性化機能を有する第2発光ダイオードを備えた第2歯ブラシヘッド部と、第2歯磨きジェルとの組み合わせを就寝前に、それぞれ使用することもできる。
本発明の歯ブラシは、上記のように口腔内の広い範囲にわたって、特定のピーク波長を有する光を、高い照度で安定して照射できる。また、除菌機能及び歯垢検出機能を備える光を発し得るので、歯垢チェッカーを使用せずとも、歯磨き中に歯垢を検出することができ、磨き残しを低減することができる。十分な除菌機能や細胞活性化機能を得ることも可能である。本発明の歯ブラシは、歯垢の検出や口腔内の環境改善用装置として、歯磨き時以外に使用することもできる。
以下、本発明を、実施例に基づきより具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本明細書に開示され、また添付の請求の範囲に記載された、本発明の概念及び範囲の理解をより容易なものとする上で、特定の態様及び実施形態の例示の目的のためにのみ記載するのであって、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
図1、図3、図4及び図8に示す構造を備えた歯ブラシを試作した。試作した歯ブラシは、第1歯ブラシヘッド部の透光性樹脂プレートの下面に、405nmにピーク波長を有する発光ダイオード6個が、第1発光ダイオードとして備えられている。
[比較例1]
比較のため、発光ダイオードをハンドル部先端に備えた構造の市販の歯ブラシ(ブルーオーシャン株式会社「はみえーる」を用意した。この歯ブラシの発光ダイオードは、実施例1の歯ブラシと同様、405nmにピーク波長を有する。
これら歯ブラシのそれぞれについて、発光ダイオード通電時の歯ブラシ先端での照度を測定した。歯ブラシの毛束の先端を、図11及び図12に示すように照度計(株式会社MonotaROのデジタル照度計)の感光部に直接接触させ、発光ダイオードに通電して照度(ルクス)を計測した。測定は、照度2.1ルクスの環境下で実施した。各歯ブラシの照度測定結果を、表1に示す。
Figure 2023016715000002
表1に示すように、実施例1の歯ブラシは、複数個の発光ダイオードが透光性プレートの下面に位置するように構成されているので、透光性樹脂プレートの上面全体から毛束の先端へ向かう方向に光を高い照度で照射することができる。
これに対し、比較例1の歯ブラシは、発光ダイオードがハンドル部先端に位置し、歯ブラシヘッド部全体が発光するように構成されているため、毛束の先端へ向かう方向に照射される光の照度が、実施例1の歯ブラシの照度と比べると3分の1程度と低かった。
図11(a)及び(b)は、実施例1の歯ブラシの照度を測定したときの状態を示したものであり、また、図12(a)および(b)は、比較例1の歯ブラシの照度を測定したときの状態を示したものである。
図11及び図12に示す結果から、実施例1の歯ブラシは、第1歯ブラシヘッド部を構成する透光性プレートの下面に発光ダイオードが配置されているため、発光ダイオードから発する光の大部分が、透光性プレートの上面全体から毛束の先端へ向かう方向に照射されている。
一方、比較例1の歯ブラシは、発光ダイオードが、ハンドル部の先端に配設されているため、発光ダイオードから発する光の一部が、ハンドル部の先端から毛束の根本部までの部分で放射されるため、歯ブラシヘッド部の上面から毛束の先端へ向かう方向に照射される光は弱い。
以上のことから、実施例1の歯ブラシは、比較例1の歯ブラシに比べて、発光ダイオードから発する光を、口腔内に高い照度で照射できることがわかる。
1 歯ブラシ
2 歯ブラシ本体
2a 容器
3 第1歯ブラシヘッド部
3a 筐体
4 第2歯ブラシヘッド部
5 充電器
6 USBケーブル
21 電源部
22 発振部
22a 発振軸部
23 操作ボタン
24 メイン基板
25 第1受電用誘導コイル
26 第2送電用誘導コイル
27 充電表示ランプ
31 毛束
32 透光性樹脂プレート
32A 植毛面
32B 透光性樹脂プレート側面
33 凹部
34 第1発光ダイオード
35 電子回路基板
36 第2受電用誘導コイル
37 ヘッド部基板
38 接続配線

Claims (11)

  1. 複数の毛束が植設された植毛面を有する第1歯ブラシヘッド部と、
    当該第1歯ブラシヘッド部を着脱可能に保持し、内部に収容された電源部、及びブラッシング時に手で把持するハンドル部を有する歯ブラシ本体と
    を備えた歯ブラシにおいて、
    前記第1歯ブラシヘッド部は、板状の透光性樹脂プレートが収容された凹部が形成され、
    前記植毛面が、前記透光性樹脂プレートの上面であり、
    前記透光性樹脂プレートの下面または内部に、複数の第1発光ダイオードを有する電子回路基板を配設し、
    前記第1歯ブラシヘッド部に位置する前記第1発光ダイオードは、前記歯ブラシ本体に位置する前記電源部からの給電によって、前記透光性樹脂プレートの上面全体から前記毛束の先端へ向かう方向に、除菌機能及び歯垢検出機能の双方を有する第1ピーク波長の光を発することを特徴とする歯ブラシ。
  2. 前記歯ブラシ本体に装着された前記第1歯ブラシヘッド部は、前記歯ブラシ本体に位置する前記電源部からの無線給電により前記第1発光ダイオードを発光させる、請求項1に記載の歯ブラシ。
  3. 前記第1発光ダイオードが、360~420nmの波長域にピーク波長を有する、請求項1に記載の歯ブラシ。
  4. 前記歯ブラシ本体は、前記第1歯ブラシヘッド部が装着される先端部分に、前記電源部からの給電により音波振動を発生させる発振部をさらに有し、前記発振部で発生させた音波振動が、前記第1歯ブラシヘッド部に伝達される、請求項1に記載の歯ブラシ。
  5. 前記歯ブラシ本体に位置する前記電源部は、充電器からの無線給電によって充電される、請求項1に記載の歯ブラシ。
  6. 前記透光性樹脂プレートが、前記第1歯ブラシヘッド部から着脱可能である、請求項1に記載の歯ブラシ。
  7. 前記第1歯ブラシヘッド部は、前記歯ブラシ本体から取り外した状態で載置した充電器からの無線給電により、前記第1発光ダイオードを発光させる、請求項1に記載の歯ブラシ。
  8. 前記歯ブラシは、
    細胞活性化機能を有する第2ピーク波長の光を発する第2発光ダイオードを有し、前記第1歯ブラシヘッド部と同様の構成を備える第2歯ブラシヘッド部が、前記第1歯ブラシヘッド部が取り外された前記歯ブラシ本体に装着され、
    前記歯ブラシ本体に装着された前記第2歯ブラシヘッド部は、前記歯ブラシ本体に位置する前記電源部からの無線給電により前記第2発光ダイオードを発光させる、請求項1に記載の歯ブラシ。
  9. 前記第2発光ダイオードが、630~660nmの波長域にピーク波長を有する、請求項8に記載の歯ブラシ。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の歯ブラシを使用する、口腔内環境改善方法。
  11. 請求項1~9のいずれか1項に記載の歯ブラシと、酸化チタンを含有する第1歯磨きジェル及び/又は酸化タングステンを含有する第2歯磨きジェルとを使用する、歯磨き方法。
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