JP2023015204A - 調整方法、検出機器及び検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の検出装置の検出範囲を好適に調整することが可能な調整方法並びに当該調整方法により調整された検出機器及び検出装置を提供する。【解決手段】第1調整工程では、第1スキャナの検出範囲FOVの水平方向の両端を基準として設置された第1及び第2ポールに合わせて、第1スキャナの検出範囲FOVを調整する。第2調整工程では、第2スキャナの検出範囲FOVを、第2ポールが当該検出範囲FOVの水平方向の一端に位置するように調整する。第3調整工程では、第2調整工程による調整後の第2スキャナの検出範囲FOVの水平方向の他端を基準として設置され、第2ポールに対して第1ポールと反対側に設けられた第3ポールと第2ポールとに合わせて、第2スキャナの検出範囲FOVを調整する。【選択図】図10
Description
本発明は、複数の検出装置の検出範囲の調整技術に関する。
従来から、レーザ光等による走査を行う走査部を複数配置するシステムが開示されている。例えば、特許文献1には、検出領域が一部重複するように距離測定手段を複数配置した場合に、これらの距離測定手段のそれぞれの距離測定を、当該距離測定手段の検出領域と一部が重なる他の距離測定手段が距離測定を実施していないタイミングで実行する技術が開示されている。
それぞれ所定の範囲を検出する検出装置を複数配置する場合には、その配置位置や検出方向の調整が必要となる。例えば、ある検出装置が所望の位置からずれて配置されてしまった場合や、車両の振動等の外的要因により配置後に位置ずれが発生した検出装置が存在する場合には、当該検出装置の検出範囲が本来の範囲からずれてしまい、検出装置を含むシステム全体を最適な状態で稼働することができなくなる可能性がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、複数の検出装置の検出範囲を好適に調整することが可能な調整方法並びに当該調整方法により調整された検出機器及び検出装置を提供することを主な目的とする。
請求項に記載の発明は、第1検出装置及び第2検出装置の検出範囲を調整する調整方法であって、前記第1検出装置の検出範囲の水平方向の両端を基準として設置された第1及び第2基準物に合わせて、前記第1検出装置の検出範囲を調整する第1調整工程と、前記第2検出装置の検出範囲を、前記第2基準物が当該検出範囲の水平方向の一端に位置するように調整する第2調整工程と、前記第2調整工程による調整後の前記第2検出装置の検出範囲の水平方向の他端を基準として設置され、前記第2基準物に対して前記第1基準物と反対側に設けられた第3基準物と前記第2基準物とに合わせて、前記第2検出装置の検出範囲を調整する第3調整工程と、を有する。
本発明の好適な実施形態によれば、第1検出装置及び第2検出装置の検出範囲を調整する調整方法であって、前記第1検出装置の検出範囲の水平方向の両端を基準として設置された第1及び第2基準物に合わせて、前記第1検出装置の検出範囲を調整する第1調整工程と、前記第2検出装置の検出範囲を、前記第2基準物が当該検出範囲の水平方向の一端に位置するように調整する第2調整工程と、前記第2調整工程による調整後の前記第2検出装置の検出範囲の水平方向の他端を基準として設置され、前記第2基準物に対して前記第1基準物と反対側に設けられた第3基準物と前記第2基準物とに合わせて、前記第2検出装置の検出範囲を調整する第3調整工程と、を有する。
ここで、「第1検出装置の検出範囲の水平方向の両端を基準として設置」とは、第1検出装置の検出範囲の水平方向の両端に第1及び第2基準物が大まかに設置されていればよく、厳密な位置精度を要求するものではない。一方、「第1及び第2基準物に合わせて、前記第1検出装置の検出範囲を調整」とは、「第1検出装置の検出範囲の水平方向の両端を基準として設置」の場合よりも高い精度の位置調整を行うものであって、第1検出装置の検出範囲の水平方向の両端を基準として設置された第1及び第2基準物に対し、第1検出装置の検出範囲の水平方向の両端をより高い精度により合わせ込む処理を指す。そして、この調整方法によれば、第1及び第2検出装置の各検出範囲を歪みや傾きが生じないように調整しつつ、これらの検出範囲に不要な重なりが生じないように各検出範囲を好適に調整することができる。
上記調整方法の一態様では、前記第1~第3基準物は、柱状の物体である。このような第1~第3基準物を用いて各検出装置の検出範囲の調整を行うことで、各検出範囲に傾きや歪みが生じないように好適に各検出範囲を調整することができる。
上記調整方法の他の一態様では、調整方法は、前記第1及び第2検出装置の検出結果を取得する取得工程をさらに備え、前記第1調整工程は、前記第1検出装置の検出結果に基づき、前記第1検出装置の検出範囲を調整し、前記第2及び第3調整工程は、前記第2検出装置の検出結果に基づき、前記第2検出装置の検出範囲を調整する。この態様により、第1及び第2検出装置の各検出範囲に対する実際の第1~第3基準物の位置関係を的確に把握し、各検出範囲を第1~第3基準物に合わせて好適に調整することができる。
上記調整方法の他の一態様では、前記第1調整工程は、前記第1基準物の少なくとも一部が、前記第1検出装置の検出範囲に含まれ、かつ、前記第2基準物の一部が、前記第1検出装置の検出範囲に含まれるように、前記第1検出装置の検出範囲を調整し、前記第3調整工程は、前記第2基準物の一部が、前記第2検出装置の検出範囲に含まれ、かつ、前記第3基準物の少なくとも一部が、前記第2検出装置の検出範囲に含まれるように、前記第2検出装置の検出範囲を調整する。ここで、第1調整工程において第1検出装置の検出範囲に含まれることになる第2基準物の一部は、第3調整工程において第2検出装置の検出範囲に含まれる第2基準物の一部と重複しない又は重複面積が小さいことが好ましく、これらの一部は水平方向において近接していることがさらに好ましい。この態様によれば、調整方法は、第1検出範囲の検出範囲と第2検出装置の検出範囲とが実質的に重ならないように好適に調整することができる。
上記調整方法の一態様では、前記第1~第3基準物は、延伸方向において反射率が所定間隔ごとに変化するパターンを有し、前記第1及び第2検出装置は、前記検出範囲において電磁波を射出し、前記電磁波の反射波の強度に応じた検出結果を出力し、前記第1調整工程は、前記第1検出装置の検出結果に基づき、前記第1検出装置の検出範囲を調整し、前記第2及び第3調整工程は、前記第2検出装置の検出結果に基づき、前記第2検出装置の検出範囲を調整する。この態様によれば、第1及び第2検出装置の検出結果において表れる各基準物に形成されたパターンに基づき、各検出範囲に歪みや傾きが生じないように各検出範囲を好適に調整することができる。
上記調整方法の他の一態様では、前記第1基準物と、前記第2基準物と、前記第3基準物とは、前記第1検出装置及び前記第2検出装置の位置を基準とした略円孤上に配置される。この態様により、第1及び第2検出装置からの各基準物への距離を好適に均一化し、調整精度を好適に高めることができる。
上記調整方法の他の一態様では、前記第1検出装置と前記第2検出装置とは、同一筐体内に収容される。この態様により、同一筐体内に複数の検出装置が収容された場合であっても、不要な検出範囲の重複が生じないように各検出装置の検出範囲を好適に調整することができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、検出機器は、上記いずれか記載の調整方法により検出範囲が調整された第1検出装置及び第2検出装置を有する検出機器である。このような検出機器は、第1検出装置及び第2検出装置の個々の検出範囲を有効に活用し、広視野の検出範囲を好適に実現することができる。
本発明の他の好適な実施形態によれば、上記いずれか記載の調整方法の第2調整工程と第3調整工程とにより検出範囲が調整された検出装置である。このような検出装置は、上述の第2検出装置に相当し、第1検出装置と不要な検出範囲の重複が生じないように好適に調整されている。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[全体構成]
図1は、本実施例に係る計測システム100の概略構成である。計測システム100は、図示しない車両周辺の計測を行うシステムであって、主に、入力部1と、センサ部2と、記憶部3と、表示部4と、通信部5と、制御部6とを備える。制御部6と他の要素とは、所定の通信プロトコルに基づきデータ通信が可能に構成されている。
図1は、本実施例に係る計測システム100の概略構成である。計測システム100は、図示しない車両周辺の計測を行うシステムであって、主に、入力部1と、センサ部2と、記憶部3と、表示部4と、通信部5と、制御部6とを備える。制御部6と他の要素とは、所定の通信プロトコルに基づきデータ通信が可能に構成されている。
入力部1は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等であり、種々の入力を受け付ける。センサ部2は、車両の状態を検出する内界センサ及び車両の周辺環境を認識するための外界センサから構成される。センサ部2は、ライダ(Lidar:Light Detection and Ranging、または、Laser Illuminated Detection And Ranging)ユニット7を含んでいる。
ライダユニット7は、水平方向および垂直方向の所定の角度範囲に対して電磁波であるパルスレーザを出射することで、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の位置を示す3次元の点群情報を生成する。この場合、ライダユニット7は、照射方向を変えながらレーザ光を出射し、かつ、照射したレーザ光の反射光(散乱光)を受光するための走査部(スキャナ)を有する。本実施例では、ライダユニット7は、異なる向きに設置された複数のスキャナを有する。ライダユニット7の構成例については、図2及び図3を参照して後述する。
記憶部3は、制御部6が実行するプログラムや、制御部6が所定の処理を実行するのに必要な情報(例えば地図情報)を記憶する。表示部4は、制御部6の制御に基づき、ライダユニット7が出力する点群情報に基づく画像などを表示する。通信部5は、制御部6の制御に基づき外部装置とデータ通信を行う。
制御部6は、プログラムを実行するCPUなどを含み、計測システム100の全体を制御する。制御部6は、車両の運転を自動制御するECU(Electronic Control Unit)であってもよく、当該ECUに制御信号を送信する車載機のCPU等であってもよい。他の例では、制御部6は、ライダユニット7の一部として構成されてもよい。
[ライダユニットの構成例]
次に、ライダユニット7の構成例について説明する。図2は、ライダユニット7のブロック図を示す。ライダユニット7は、例えばTOF(Time Of Flight)方式のライダであって、車両周辺に存在する物体の測距や検知を行う。ライダユニット7は、例えば、先進運転支援システムの一部として、車両の周辺環境認識補助の目的で用いられる。ライダユニット7は、主に、複数のスキャナ(L1~L4、…)と、信号処理部SPと、を有する。なお、以下の説明においては、スキャナ(L1~L4、…)の各々を区別しない場合には単に「スキャナL」と記す。
次に、ライダユニット7の構成例について説明する。図2は、ライダユニット7のブロック図を示す。ライダユニット7は、例えばTOF(Time Of Flight)方式のライダであって、車両周辺に存在する物体の測距や検知を行う。ライダユニット7は、例えば、先進運転支援システムの一部として、車両の周辺環境認識補助の目的で用いられる。ライダユニット7は、主に、複数のスキャナ(L1~L4、…)と、信号処理部SPと、を有する。なお、以下の説明においては、スキャナ(L1~L4、…)の各々を区別しない場合には単に「スキャナL」と記す。
スキャナLは、所定の水平角及び垂直角の範囲においてレーザパルス(以下、「送信光パルス」とも呼ぶ。)を出射する。スキャナLは、上述の水平角を等角度により区切ったセグメントごとに送信光パルスを出射する。そして、スキャナLは、送信光パルス出射後の所定期間内に当該送信光パルスの反射光(以下、「受信光パルス」とも呼ぶ。)を受光することで生成したセグメントごとの受光強度に関する信号(「セグメント信号Sseg」とも呼ぶ。)を、信号処理部SPへ出力する。信号処理部SPは、スキャナLから受信したセグメントごとのセグメント信号Ssegに基づいて、送信光パルスが照射される対象物の各点に対する距離及び対象物の角度の組を示した点群情報を出力する。なお、信号処理部SPは、スキャナLごとに設けられていてもよい。
スキャナLの各々には、各スキャナLの位置調整(向きの調整も含む)を行うための調整機構8(8a~8d、…)が設けられている。調整機構8は、例えばアクチュエータなどを含み、制御部6から供給される制御信号に基づいて、対応するスキャナLの位置調整を行う。なお、調整機構8は、信号処理部SPから駆動用の制御信号を受信してもよい。この場合、制御部6は、信号処理部SPに対し、調整機構8の駆動を指示する制御信号を送信する。また、スキャナLの各々には、各スキャナLの姿勢を検出するための姿勢センサなどがさらに設けられてもよい。スキャナLは、本発明における「検出装置」の一例である。
また、スキャナLは、1又は複数のスキャナLを収容するためのスキャンボックス51~53に収容される。図2の例では、スキャンボックス51は、スキャナL1~L4を収容し、スキャンボックス52は、スキャナL5及びスキャナL6を収容し、スキャンボックス53は、スキャナL7を収容している。スキャンボックス51~53には、それぞれのスキャンボックスの位置調整のための調整機構、又は/及び、姿勢を検出するための姿勢センサなどが設けられてもよい。
ここで、スキャナL同士の送信光パルスの走査範囲が重複するとライダユニット7全体としての走査範囲が狭くなるため、同一のスキャンボックスに複数のスキャナLが収容される場合には、これらのスキャナL同士の送信光パルスの走査範囲が重複しないように調整する必要がある。そこで、本実施例では、同一のスキャンボックスに複数のスキャナLが収容される場合に、これらのスキャナLによる送信光パルスの走査範囲が重複しないように、上述の調整機構8などを用いた調整を行う。
図3は、スキャナLの概略的な構成例を示す。図3に示すように、スキャナLは、主に、同期制御部11と、LDドライバ12と、レーザダイオード13と、MEMSミラー14と、駆動ドライバ15と、受光素子16と、電流電圧変換回路(トランスインピーダンスアンプ)17と、A/Dコンバータ18と、セグメンテータ19と、水晶発振器20と、を有する。
水晶発振器20は、同期制御部11及びA/Dコンバータ18にパルス状のクロック信号「S1」を出力する。同期制御部11は、パルス状のトリガ信号「S2」をLDドライバ12に出力する。また、同期制御部11は、後述するセグメンテータ19がA/Dコンバータ18の出力を抽出するタイミングを定めるセグメント抽出信号「S3」をセグメンテータ19に出力する。
LDドライバ12は、同期制御部11から入力されるトリガ信号S2に同期してパルス電流をレーザダイオード13へ流す。また、本実施例では、LDドライバ12は、信号処理部SPから供給される制御信号に基づき、レーザダイオード13へのパルス電流の供給の有無を切り替える。レーザダイオード13は、例えば赤外パルスレーザであって、LDドライバ12から供給されるパルス電流に基づき光パルスを出射する。
MEMSミラー14は、角度を変えながらレーザダイオード13が出射する送信光パルスを外部へ反射すると共に、当該送信光パルスが照射された対象物で反射された戻り光である受信光パルスを受光素子16に向けて反射する。駆動ドライバ15は、信号処理部SPの制御に基づき、MEMSミラー14を水平方向及び垂直方向において駆動するための駆動電流をMEMSミラー14に印加する。
受光素子16は、例えば、アバランシェフォトダイオードであり、MEMSミラー14により導かれた対象物からの反射光、即ち受信光パルスの光量に応じた微弱電流を生成する。受光素子16は、生成した微弱電流を、電流電圧変換回路17へ供給する。電流電圧変換回路17は、受光素子16から供給された微弱電流を増幅して電圧信号に変換し、変換した電圧信号をA/Dコンバータ18へ入力する。
A/Dコンバータ18は、水晶発振器20から供給されるクロック信号S1に基づき、電流電圧変換回路17から供給される電圧信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をセグメンテータ19に供給する。セグメンテータ19は、セグメント抽出信号S3がアサートされている期間におけるA/Dコンバータ18の出力であるデジタル信号を、セグメント信号Ssegとして生成する。セグメンテータ19は、生成したセグメント信号Ssegを信号処理部SPへ供給する。
信号処理部SPは、駆動ドライバ15を制御することで、所定領域となる走査領域内を送信光パルスにより走査するように各スキャナLのMEMSミラー14を駆動する。また、信号処理部SPは、各スキャナLのMEMSミラー14による送信光パルスの発光を制御するための制御信号をLDドライバ12等に供給する。また、信号処理部SPは、各スキャナLから送信されるセグメント信号Ssegに基づき、スキャナLごとに対象物の距離及び角度を示す点群情報を生成する。具体的には、信号処理部SPは、セグメント信号Ssegの波形からピークを検出し、検出したピークに対応する振幅及び遅延時間の推定を行う。そして、信号処理部SPは、セグメント信号Ssegが示す波形のピークのうち、推定した振幅が所定の閾値以上となるピークの遅延時間に対応する距離の情報と対象のセグメントに対応する角度の情報との組を、点群情報を構成する各点の情報として生成する。
[機構的調整及び電子的調整]
まず、各スキャナLによる送信光パルスの走査領域の調整方法について説明する。制御部6は、各スキャナLによる送信光パルスの走査領域を、各スキャナLの位置を機構的(物理的)に調整する機構的調整、又は、後述する走査可能範囲における実走査範囲(即ち検出範囲)を変更する電子的調整により調整する。
まず、各スキャナLによる送信光パルスの走査領域の調整方法について説明する。制御部6は、各スキャナLによる送信光パルスの走査領域を、各スキャナLの位置を機構的(物理的)に調整する機構的調整、又は、後述する走査可能範囲における実走査範囲(即ち検出範囲)を変更する電子的調整により調整する。
まず、機構的調整の具体例について説明する。機構的調整では、制御部6は、調整対象のスキャナLに対応する調整機構8に対して制御信号を送信することで、スキャナLの位置(向きも含む)を調整する。
図4(A)は、車両から前方に所定距離だけ離れた仮想的な照射面(仮想照射面)におけるあるスキャナLの走査領域を示す。以後では、スキャナLの走査領域の長手方向(水平方向)を「x軸」、当該走査領域の短手方向(垂直方向)を「y軸」、仮想照射面と垂直な方向を「z軸」とし、各軸正方向を図示のように定める。図4(A)の例では、スキャナLによる送信光パルスの射出方向は仮想照射面と垂直になっており、仮想照射面上の走査領域は矩形領域となっている。
図4(B)は、調整機構8により対象のスキャナLを図4(A)の状態からz軸回りに所定角度だけ回転させた場合の仮想照射面上の走査領域を示す。図4(B)に示すように、この場合、調整対象のスキャナLの走査領域は、z軸回りに所定角度だけ回転する。
図4(C)は、調整機構8により対象のスキャナLを図4(A)の状態からx軸回りに所定角度だけ回転させた場合の仮想照射面上の走査領域を示す。図4(C)に示すように、この場合、対象のスキャナLの走査領域は、上下の幅が縮まると共に、上辺が縮小かつ底辺が拡大した台形形状となり、全体として下方に移動する。なお、x軸回りに図4(C)の場合と逆方向に対象のスキャナLを回転させた場合には、対象のスキャナLの走査領域は、上下の幅が縮まると共に、上辺が拡大かつ底辺が縮小した台形形状となり、全体として上方へ移動する。
図4(D)は、調整機構8により対象のスキャナLを図4(A)の状態からy軸回りに所定角度だけ回転させた場合の仮想照射面上の走査領域を示す。図4(D)に示すように、この場合、対象のスキャナLの走査領域は、左右の幅が縮まると共に、右辺が縮小かつ左辺が拡大した台形形状となり、全体として左へ移動する。なお、y軸回りに図4(D)の場合と逆方向に対象のスキャナLを回転させた場合には、対象のスキャナLの走査領域は、左右の幅が縮まると共に、右辺が拡大かつ左辺が縮小した台形形状となり、全体として右に移動する。
図4(E)は、調整機構8により調整対象のスキャナLを図4(A)の状態からz軸正方向に所定距離だけスライドさせた場合の仮想照射面上の走査領域を示す。また、図4(F)は、調整機構8により対象のスキャナLを図4(A)の状態からz軸負方向に所定距離だけスライドさせた場合の仮想照射面上の走査領域を示す。図4(E)の例では、対象のスキャナLが仮想照射面に近付くことから、走査領域が縮小している。一方、図4(F)の例では、対象のスキャナLが仮想照射面に遠ざかることから、走査領域が拡大している。
そして、制御部6は、調整機構8に所定の制御信号を送信することで、図4(B)~図4(F)に示すようなスキャナLの位置調整を機構的調整として行う。これにより、制御部6は、後述する基準物に合わせて各スキャナLの走査領域を好適に調整する。なお、調整機構8は、図4(B)~図4(F)に示すようなスキャナLの位置調整に加えて、対象のスキャナLを図4(A)の状態からx軸方向又はy軸方向に所定距離だけスライドさせる位置調整が可能であってもよい。なお、信号処理部SPが調整機構8に対して駆動信号を送信する態様では、制御部6は、信号処理部SPに対し、調整機構8の駆動を指示する制御信号を送信するとよい。
次に、電子的調整の具体例について説明する。図5(A)は、あるスキャナLの射出方向に垂直な仮想照射平面上における、当該スキャナLの走査可能範囲「SR」と、物体の検出が行われる検出範囲「FOV」との対応関係を示す。ここで、走査可能範囲SRは、送信光パルスによる走査が可能な範囲を指し、検出範囲FOVは、送信光パルスによる走査が実際に行われている範囲を指す。
図5(A)に示すように、検出範囲FOVは、走査可能範囲SRより小さい範囲に設定されている。例えば、制御部6は、信号処理部SPを介してLDドライバ12のレーザダイオード13へのパルス電流の供給の有無を制御することによって、走査可能範囲SR内の任意の領域が検出範囲FOVとなるように調整可能である。
図5(B)、(C)は、電子的調整に基づき検出範囲FOVをxy平面内で移動させた場合の走査可能範囲SRと、検出範囲FOVとの対応関係を示す。図5(B)の例では、検出範囲FOVは、走査可能範囲SR内において、x軸負方向に所定距離だけ移動し、かつ、y軸正方向に所定距離だけ移動している。図5(C)の例では、検出範囲FOVは、走査可能範囲SR内において、所定角度だけ時計周りに回転移動している。
このように、制御部6は、電子的調整によっても、機構的調整と同様に、検出範囲FOVの位置調整を行うことが可能である。なお、検出範囲FOVと走査可能範囲SRとを特に区別しない場合、これらを「走査領域」とも呼ぶ。
[検出範囲の調整]
次に、同一のスキャナボックス内に収容されたスキャナLの検出範囲FOVの調整方法について説明する。以下に述べる調整方法では、対象のスキャナボックスを中心とする円弧上に並べた基準物に合わせて、各スキャナLの検出範囲FOVの左右端の位置を調整する。以後では、一例として、スキャンボックス51に収容されたスキャナL1~L4の各検出範囲FOV1~FOV4を調整する方法について説明する。
次に、同一のスキャナボックス内に収容されたスキャナLの検出範囲FOVの調整方法について説明する。以下に述べる調整方法では、対象のスキャナボックスを中心とする円弧上に並べた基準物に合わせて、各スキャナLの検出範囲FOVの左右端の位置を調整する。以後では、一例として、スキャンボックス51に収容されたスキャナL1~L4の各検出範囲FOV1~FOV4を調整する方法について説明する。
図6は、上述の基準物の一例であるポールP1~P4を配置し、スキャナL1~L4の各検出範囲FOV1~FOV4を調整した後の状態を示す俯瞰図である。ここで、ポールP1~P5は、送信光パルスを反射可能な柱状物体であり、スキャンボックス51を中心とする円弧(破線参照)上に設けられている。このようにすることで、基準物となるポールP1~P4がスキャンボックス51に対しておよそ等距離となるため、スキャンボックス51内の各スキャナLの検出範囲FOV1~FOV4を均一に調整することができる。また、スキャナL1~L4の各走査角度「θ1」~「θ4」が同一である場合には、ポールP1~P5は、円上においておよそ等間隔に並べられる。後述するように、ポールP1を除くポールP2~P5については、スキャナL1~L4の各検出範囲FOV1~FOV4の調整過程において順次配置される。
また、スキャナL1~L4の各検出範囲FOV1~FOV4は、それぞれ、ポールP1~P5のうち隣接する2つのポールに検出範囲FOVの左右の境界が重なるように調整されている。ここでは、検出範囲FOV1の左端は、ポールP1に合わせて調整されており、検出範囲FOV1の右端及び検出範囲FOV2の左端は、ポールP2に合わせて調整されている。同様に、検出範囲FOV2の右端及び検出範囲FOV3の左端は、ポールP3に合わせて調整されており、検出範囲FOV3の右端及び検出範囲FOV4の左端は、ポールP4に合わせて調整されており、検出範囲FOV4の右端は、ポールP5に合わせて調整されている。そして、図6の状態では、各検出範囲FOV1~FOV4は、実質的に重複することなく並べられており、スキャンボックス全体として広い走査角度(およそθ1~θ4の合計角度)となる検出範囲FOVを実現している。
図7は、図6の矢印A1からポールP1~P5及び検出範囲FOV1~FOV4を観察した図である。なお、図7では、説明便宜上、ポールP1~P5によって実際には遮蔽される検出範囲FOVについても透過的に明示している。
図7に示すように、この場合、検出範囲FOV1~FOV5は、実質的な隙間及び重複が生じることなく同一高さとなるように水平方向に並べられている。ここで、各検出範囲FOV1~FOV5の短手方向は、ポールP1~P5の延伸方向(即ち地面に対し垂直な方向)と一致するように調整された結果、それぞれ実質的に一致しており、かつ、検出範囲FOVの各々について左右の歪みや傾きが生じていない。また、ポールP1~P5は、反射率が所定間隔ごとに変化するパターンを有する。具体的には、ポールP1~P5には、反射率が他の領域よりも高い帯領域Phが延伸方向において所定間隔ごとに形成されている。帯領域Phは、後述するように、検出範囲FOVの短手方向(垂直方向)における位置調整に好適に利用される。
次に、代表例として、スキャンボックス51に収容されたスキャナL1~L4の各検出範囲FOV1~FOV4の調整手順について具体的に説明する。
図8(A)は、スキャンボックス51から観察したポールP1、P2と検出範囲FOV1との位置関係を示す図である。まず、制御部6は、検出範囲FOV1の調整を行う場合、スキャナL1により送信光パルスのスキャンを行うことで、送信光パルスの反射光により得られた検出範囲FOV1内の各位置での反射光の強度を表す点群画像(「点群画像Im1」とも呼ぶ。)をライダユニット7から取得し、表示部4に表示する。そして、ポールP1が検出範囲FOV1の右端(スキャンボックス51から観察した時の右端を示す、以下同じ。)に位置し、ポールP2が検出範囲FOV1の左端(スキャンボックス51から観察した時の左端を示す、以下同じ。)に位置するように、スキャンボックス51を中心とした円弧上でのポールP1、P2の移動が行われる。この場合、例えば、ポールP1については、水平方向における一部または全部(図8(A)では全部)が検出範囲FOV1に含まれるように位置調整を行い、ポールP2については、水平方向における一部(図8(A)では略半分)が検出範囲FOV1に含まれるように位置調整を行う。なお、検出範囲FOV1の左右端を基準として行われるこれらのポールP1、P2の位置調整は、高い精度を要求するものではなく、後述するスキャナL1の機構的調整又は/及び電子的調整によって、より高精度な位置調整が行われる。
ポールP1、P2の配置後、制御部6は、点群画像Im1に基づき、スキャナL1の機構的調整又は電子的調整の少なくともいずれかを実行し、ポールP1、P2に検出範囲FOV1の両端位置を合わせる。例えば、制御部6は、点群画像Im1を参照し、ポールP1が検出範囲FOV1の左端に位置した状態で、水平方向におけるポールP2の約半分が検出範囲FOV1の右端に位置し、かつ、検出範囲FOV1内におけるポールP1、P2の帯領域Phが左右対称の位置関係となるように検出範囲FOV1を調整する。
図8(B)、(C)は、検出範囲FOV1の調整時に参照される点群画像Im1を示す。図8(B)、(C)に示す点群画像Im1には、ポールP1を表すポール領域R1と、約左半分のポールP2を表すポール領域R2aとが存在する。ここで、ポール領域R1は、帯領域Phに対応する高反射領域R11、R13、R15と、その他の低反射領域R12、R14と、を含んでいる。同様に、ポール領域R2aは、帯領域Phに対応する高反射領域R21a、R23a、R25aと、その他の低反射領域R22a、R24aとを含んでいる。図8(B)では、検出範囲FOV1に入らなかった約右側半分のポールP2の外形を破線65により明示している。また、図8(C)では、高反射領域R11、R13、R15の各境界位置から点群画像Im1の上端位置までの距離を表す矢印71~74を明示すると共に、高反射領域R21a、R23a、R25aの各境界位置から点群画像Im1の上端位置までの距離を表す矢印75~78を明示している。
この場合、制御部6は、点群画像Im1を参照し、ポール領域R2aの横方向の長さとポール領域R1の横方向の長さとがそれぞれ所定の長さとなるように検出範囲FOV1の調整を行う。図8(B)の例では、制御部6は、ポール領域R1の横方向の長さを、水平方向においてポールP1の全体が検出範囲FOV1に含まれていた場合の長さとなるように調整し、かつ、ポール領域R2aの横方向の長さを、水平方向においてポールP2の半分が検出範囲FOV1に含まれていた場合の長さ(ここではポール領域R1の横方向の長さの半分)となるように調整する。なお、ポール領域R2aの横方向の長さとポール領域R1の横方向の長さのそれぞれの適正値(目標値)は、制御部6により参照可能なように予め記憶部3等に記憶されてもよい。
さらに、制御部6は、高反射領域R11及び高反射領域R21aの各下端から点群画像Im1の上端までの距離(矢印71及び矢印75参照)が一致し、高反射領域R13及び高反射領域R23aの各上端から点群画像Im1の上端までの距離(矢印72及び矢印76参照)が一致し、上記高反射領域R13及び高反射領域R23aの各下端から点群画像Im1の上端までの距離(矢印73及び矢印77参照)が一致し、高反射領域R15及び高反射領域R25aの各上端から点群画像Im1の上端までの距離(矢印74及び矢印78参照)が一致するように、検出範囲FOV1の調整を行う。これにより、制御部6は、ポールP1及びポールP2の延伸方向と検出範囲FOV1の短手方向とを好適に一致させ、かつ、左右における歪みや左右の傾きが生じない検出範囲FOV1を好適に設定することができる。
そして、制御部6は、上述の調整完了後、調整機構8aの制御値、及び、電子的調整後の走査可能範囲SRにおける検出範囲FOVの位置情報などを、スキャナL1に対するキャリブレーション情報として記憶する。
次に、検出範囲FOV2の調整について説明する。図9(A)は、スキャンボックス51から観察したポールP2、P3と検出範囲FOV2との位置関係を示す図である。
制御部6は、検出範囲FOV2の調整を行うため、スキャナL2による送信光パルスのスキャンを開始し、検出範囲FOV2内の各位置での反射光の強度を表す点群画像(「点群画像Im2」とも呼ぶ。)をライダユニット7から取得し、表示部4に表示する。このとき、制御部6は、ポールP2及びスキャナL1を固定したまま、検出範囲FOV2の左端をポールP2に合わせるように、検出範囲FOV2を機構的調整又は/及び電子的調整により調整する。このとき、制御部6は、ポールP2水平方向における一部(図9(A)では略半分)が検出範囲FOV2に含まれるように位置調整を行う。その後、図9(A)に示すように、検出範囲FOV2の右端にポールP3を配置し、水平方向における一部(図9(A)では略半分)が検出範囲FOV2に含まれるようにポールP3の位置調整を行う。なお、検出範囲FOV2の左端を基準として行われるポールP3の位置調整は、高い精度を要求するものではなく、後述するスキャナL2の機構的調整又は/及び電子的調整によって、より高精度な位置調整が行われる。
ポールP3の配置後、制御部6は、点群画像Im2に基づき、スキャナL2の機構的調整又は電子的調整の少なくともいずれかを実行することで、ポールP2、P3に合わせて検出範囲FOV2の両端位置を調整する。具体的には、制御部6は、点群画像Im2を参照し、ポールP2及びポールP3の水平方向の約半分がそれぞれ検出範囲FOV2に含まれ、かつ、検出範囲FOV2内におけるポールP2、P3の帯領域Phの位置が左右対称となるように、検出範囲FOV2を調整する。
図9(B)、(C)は、検出範囲FOV2の調整時に参照される点群画像Im2を示す。図9(B)、(C)に示す点群画像Im2には、ポールP2を表すポール領域R2bと、ポールP3を表すポール領域R3とが存在する。ここで、ポール領域R2bは、帯領域Phに対応する高反射領域R21b、R23b、R25bと、その他の低反射領域R22b、R24bとを含んでいる。同様に、ポール領域R3は、帯領域Phに対応する高反射領域R31、R33、R35と、その他の低反射領域R32、R34と、を含んでいる。図9(B)では、検出範囲FOV2に入らなかったポールP2及びポールP3の外形を破線66及び破線67により明示している。また、図9(C)では、高反射領域R21b、R23b、R25bの各境界位置から点群画像Im2の上端位置までの距離を表す矢印81~84を明示すると共に、高反射領域R31、R33、R35の各境界位置から点群画像Im2の上端位置までの距離を表す矢印85~88を明示している。
この場合、制御部6は、点群画像Im2を参照し、ポール領域R2bの横方向の長さとポール領域R3の横方向の長さとがそれぞれ所定の長さとなるように検出範囲FOV1の調整を行う。図9(B)の例では、制御部6は、ポールP2及びポールP3の水平方向の約半分がそれぞれ検出範囲FOV2に含まれるように検出範囲FOV2の調整を行う。なお、ポール領域R2bの横方向の長さとポール領域R3の横方向の長さのそれぞれの適正値(目標値)は、制御部6により参照可能なように予め記憶部3等に記憶されてもよい。
さらに、制御部6は、高反射領域R21b及び高反射領域R31の各下端から点群画像Im1の上端までの距離(矢印81及び矢印85参照)が一致し、高反射領域R23b及び高反射領域R33の各上端から点群画像Im2の上端までの距離(矢印82及び矢印86参照)が一致し、上記高反射領域R23b及び高反射領域R33の各下端から点群画像Im2の上端までの距離(矢印83及び矢印87参照)が一致し、高反射領域R25b及び高反射領域R35の各上端から点群画像Im2の上端までの距離(矢印84及び矢印88参照)が一致するように、検出範囲FOV2の調整を行う。これにより、制御部6は、ポールP2及びポールP3の延伸方向と検出範囲FOV2の短手方向とを一致させ、かつ、左右における歪みや左右の傾きが生じない検出範囲FOV2を好適に設定することができる。また、この場合、検出範囲FOV1と検出範囲FOV2とは、図6及び図7の例において示したように、水平方向においてずれることなく配列され、不要な重複範囲が実質的に生じない。
そして、制御部6は、上述の検出範囲FOV2の調整後、調整機構8bの制御値、及び、電子的調整後の走査可能範囲SRにおける検出範囲FOV2の位置情報などを、スキャナL2に対するキャリブレーション情報として記憶する。
その後、制御部6は、検出範囲FOV2の調整と同様の手順により検出範囲FOV3と検出範囲FOV4の調整を順次行う。この場合、制御部6は、スキャナL3による送信光パルスのスキャンを開始し、検出範囲FOV3の右端を調整機構ポールP3に合わせるように、検出範囲FOV3を調整する。その後、水平方向における一部が検出範囲FOV3に含まれるようにポールP4を配置し、ポールP3及びポールP4の水平方向の約半分がそれぞれ検出範囲FOV3に含まれ、かつ、検出範囲FOV3内におけるポールP3、P4の帯領域Phが左右対称の位置関係となるように検出範囲FOV3を調整する。次に、制御部6は、スキャナL4による送信光パルスのスキャンを開始し、検出範囲FOV4の右端をポールP4に合わせるように、検出範囲FOV4を調整する。その後、水平方向における一部が検出範囲FOV4に含まれるようにポールP5を配置し、ポールP4の水平方向の約半分及びポールP5の水平方向の少なくとも一部がそれぞれ検出範囲FOV4に含まれ、かつ、検出範囲FOV4内におけるポールP4、P5の帯領域Phが左右対称の位置関係となるように検出範囲FOV4を調整する。
このように、制御部6は、スキャナL2の検出範囲FOV2の調整方法と同様にスキャナL3の検出範囲FOV3及びスキャナL4の検出範囲FOV4を順次調整することで、スキャンボックス51内の全スキャナLの検出範囲FOVを好適に調整することができる。
なお、図8及び図9の説明では、スキャンL1~L4のうちスキャンボックス51から観察して最も左側に検出範囲が存在するスキャンL1から順次調整を行う例を説明した。これに代えて、スキャンL1~L4のうちスキャンボックス51から観察して最も右側に検出範囲が存在するスキャンL4から順次調整を行ってもよい。この場合、ポールP5及びポールP4の設置後、検出範囲FOV4の調整を行い、その後にポールP3を設置して検出範囲FOV3の調整を行う。そして、ポールP2を設置して検出範囲FOV2の調整を行い、その後にポールP1を設置して検出範囲FOV1の調整を行う。
図10は、本実施例におけるスキャンボックス51内のスキャナLの調整手順を示すフローチャートの一例である。図10のフローチャートの説明では、最初に検出範囲FOVを調整するスキャナLを「第1スキャナ」、第1スキャナの次に検出範囲FOVを調整するスキャナLを「第2スキャナ」と呼ぶ。同様に、第1スキャナの検出範囲FOVの左右端に設置するポールを「第1ポール」及び「第2ポール」とし、そのうち第1スキャナと第2スキャナの検出範囲FOVの境界位置に設置するポールを第2ポールとする。また、第2スキャナの検出範囲FOVの左右端に設置するポールのうち第2ポールと反対側に設置するポールを「第3ポール」とする。
まず、制御部6は、第1スキャナの検出範囲FOVの左右端にそれぞれ第1ポール及び第2ポールが配置されたか否か判定する(ステップS101)。例えば、制御部6は、点群画像Im1の所定画素数以上の大きさとなる物体の領域を左端及び右端のそれぞれにおいて検出した場合、第1スキャナの検出範囲FOVの左右端にそれぞれ第1ポール及び第2ポールが配置されたと判断する。他の例では、制御部6は、点群画像Im1を表示部4に表示し、第1ポール及び第2ポールの配置が完了した旨の入力部1への所定のユーザ入力があった場合、第1スキャナの検出範囲FOVの左右端にそれぞれ第1ポール及び第2ポールが配置されたと判断する。
そして、制御部6は、第1スキャナの検出範囲FOV1の左右端にそれぞれ第1ポール及び第2ポールが配置されたと判断した場合(ステップS101;Yes)、第1スキャナの検出範囲FOVの左右端を第1ポール及び第2ポールに合わせるように、第1スキャナの機構的調整又は/及び電子的調整を実行する(ステップS102)。この場合、制御部6は、例えば、図8(B)に示すポール領域R1及びポール領域R2aの横幅の情報、及び、点群画像Im1から図8(C)に示す帯領域Phに対応する高反射領域に関する情報(例えば矢印71~78が示す距離の情報)等をパラメータとして取得し、これらの取得したパラメータに基づき、機構的調整又は/及び電子的調整の調整方向及び調整量を決定する。この場合、例えば、制御部6は、上述のパラメータの値の組み合わせごとに調整対象の第1スキャナに適用する必要がある調整方向及び調整量を示したマップ情報を予め記憶部3に記憶しておき、当該マップ情報を参照することで、機構的調整又は/及び電子的調整で調整すべき調整方向及び調整量を決定する。他の例では、制御部6は、機構的調整又は/及び電子的調整の調整方向及び調整量を指示するユーザ入力を入力部1により受け付けることで、機構的調整又は/及び電子的調整で調整すべき調整方向及び調整量を決定してもよい。
次に、制御部6は、第2ポールを固定した状態で、第2スキャナの検出範囲FOVの一端に第2ポールが位置するように第2スキャナを機構的調整又は/及び電子的調整により調整する(ステップS103)。この場合、制御部6は、例えば、第2スキャナの点群画像において所定画素数以上の大きさとなる第2ポールの領域を左端又は右端において検出できるように、第2スキャナを機構的調整又は/及び電子的調整により調整する。なお、この場合、制御部6は、第2スキャナの点群画像では、第1スキャナの点群画像において第2ポールが位置する端(図8(A)では右端)と反対側の端(図9(A)では左端)に第2ポールが検出されるように調整する。
次に、制御部6は、第3ポールが第2スキャナの検出範囲FOVの他端(即ち第2ポールが設置された端とは逆の端)に配置されたか否か判定する(ステップS104)。この場合、制御部6は、ステップS101での判定と同様、第2スキャナの点群画像に基づき自動判定してもよく、ユーザ入力に基づき判定してもよい。
そして、制御部6は、第3ポールが第2スキャナの検出範囲FOVの他端に配置されたと判断した場合(ステップS104;Yes)、第2スキャナの検出範囲FOVの左右端を第2ポール及び第3ポールに合わせるように、第2スキャナの機構的調整又は/及び電子的調整を実行する(ステップS105)。この場合、制御部6は、第2スキャナの点群画像の解析結果又は入力部1へのユーザ入力に基づき、第2スキャナの機構的調整又は/及び電子的調整を実行する。この調整方法については、ステップS102における第1スキャナへの機構的調整又は/及び電子的調整と同様である。
次に、制御部6は、調整すべきスキャナがまだ存在するか否か判定する(ステップS106)。具体的には、制御部6は、対象のスキャンボックスにおいて3個以上のスキャナが収容されているか否か判定する。そして、制御部6は、調整すべきスキャナが存在する場合(ステップS106;Yes)、ステップS103~ステップS105と同様の手順により、残りのスキャナの検出範囲FOVを順次調整する(ステップS107)。これにより、制御部6は、残りのスキャナLのいずれかを調整対象とする度にポールを順次設置し、調整対象のスキャナLの検出範囲FOVの両端を新たに設置したポール及び当該ポールの1つ前に設置したポールに合わせるように調整を行う。一方、制御部6は、調整すべきスキャナが存在しない場合(ステップS106;No)、フローチャートの処理を終了する。
なお、ステップS102、ステップS103、及びステップS105等での検出範囲FOVの調整において、制御部6は、電子的調整により代替できない調整(例えば、x軸又はy軸回りの回転ずれ調整及び前後ずれ調整)が必要なときは、機構的調整を行う。一方、制御部6は、電子的調整又は機構的調整のいずれでも可能な調整(例えば、z軸回りの回転ずれ調整、上下ずれ調整、及び左右ずれ調整)については、電子的調整を機構的調整よりも優先して実行するとよい。後者の場合、例えば、制御部6は、電子的調整のみでは目標の調整量を実現できないと判断した場合に限り、機構的調整を行ってもよい。この場合、制御部6は、電子的調整により調整可能な回転ずれ調整、上下ずれ調整、及び左右ずれ調整の調整量の情報を予め記憶部3等に記憶してもよい。
以上説明したように、本実施例における調整方法は、第1スキャナ及び第2スキャナの検出範囲FOVを調整する調整方法であって、以下の第1調整工程から第3調整工程を含む。第1調整工程では、第1スキャナの検出範囲FOVの水平方向の両端を基準として設置された第1及び第2ポールに合わせて、第1スキャナの検出範囲FOVを調整する。第2調整工程では、第2スキャナの検出範囲FOVを、第2ポールが当該検出範囲FOVの水平方向の一端に位置するように調整する。第3調整工程では、第2調整工程による調整後の第2スキャナの検出範囲FOVの水平方向の他端を基準として設置され、第2ポールに対して第1ポールと反対側に設けられた第3ポールと第2ポールとに合わせて、第2スキャナの検出範囲FOVを調整する。これにより、計測システム100全体としての検出範囲FOVを好適に拡大するように複数のスキャナの調整を好適に実行することができる。
[変形例]
次に、実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
次に、実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
(変形例1)
実施例では、各スキャナLの検出範囲FOVを定める基準物として、帯領域Phが所定間隔ごとに形成されたポールが用いられた。これに代えて、帯領域Phが形成されていない基準物を用いて各スキャナLの調整を行ってもよい。
実施例では、各スキャナLの検出範囲FOVを定める基準物として、帯領域Phが所定間隔ごとに形成されたポールが用いられた。これに代えて、帯領域Phが形成されていない基準物を用いて各スキャナLの調整を行ってもよい。
図11(A)は、帯領域Phが設けられていないポールを用いてスキャナL1の調整を行う場合のポールP1及びポールP2と検出範囲FOV1との位置関係を示す図であり、図11(B)は、図11(A)の場合に取得された点群画像Im1を示す。図11(A)、(B)に示すように、この場合、ポールP1及びポールP2は、検出範囲FOV1の上端よりも低く、かつ、反射率が均一の柱状物体となっている。
この場合、制御部6は、図11(B)に示すように、ポール領域R1の上端と点群画像Im1の上端との距離(矢印93参照)とポール領域R2aの上端と点群画像Im1の上端との距離(矢印94参照)とを計測し、これらの距離が一致するように、機構的調整又は電子的調整の少なくともいずれかを実行することで、検出範囲FOV1の調整を行う。また、制御部6は、実施例で説明した図8(B)の例と同様、ポール領域R1の横方向の長さとポール領域R2aの横方向の長さとがそれぞれ所定の長さとなるように、機構的調整又は電子的調整の少なくともいずれかを実行することで、検出範囲FOV1の調整を行う。この例によっても、制御部6は、ポールP1及びポールP2の延伸方向と検出範囲FOV1の短手方向とを一致させ、かつ、左右における歪みや左右の傾きが生じないように検出範囲FOV1を好適に調整することができる。
また、各スキャナLの検出範囲FOVを定める基準物は、柱状である必要はなく、全体又は一部が地面に対して略垂直方向に延びた任意の物体であってもよい。
(変形例2)
制御部6の処理の一部を、信号処理部SPが実行してもよい。この場合、信号処理部SPは、各スキャナLに設けられた調整機構8に制御信号を送信することで各スキャナLの機構的調整が可能であり、図10のフローチャートの処理を制御部6の代わりに実行する。他の例では、信号処理部SPと制御部6とは同一装置であってもよい。この場合、ライダユニット7の信号処理部SPは、入力部1、記憶部3、表示部4、通信部5等と電気的に接続し、計測システム100の全体を制御する。
制御部6の処理の一部を、信号処理部SPが実行してもよい。この場合、信号処理部SPは、各スキャナLに設けられた調整機構8に制御信号を送信することで各スキャナLの機構的調整が可能であり、図10のフローチャートの処理を制御部6の代わりに実行する。他の例では、信号処理部SPと制御部6とは同一装置であってもよい。この場合、ライダユニット7の信号処理部SPは、入力部1、記憶部3、表示部4、通信部5等と電気的に接続し、計測システム100の全体を制御する。
(変形例3)
実施例では、図6及び図7に示すように、調整対象の各スキャナLの検出範囲FOVを重複させることなく水平方向に隣接させるように調整を行った。これに代えて、隣り合う検出範囲FOVを僅かに重複させるように調整を行ってもよい。
実施例では、図6及び図7に示すように、調整対象の各スキャナLの検出範囲FOVを重複させることなく水平方向に隣接させるように調整を行った。これに代えて、隣り合う検出範囲FOVを僅かに重複させるように調整を行ってもよい。
この場合、例えば、制御部6は、図8(B)で説明した検出範囲FOV1の調整において、水平方向においてポールP2が半分より長い所定長だけ点群画像Im1に表示されるようにポール領域R2aの横幅の長さを調整する。同様に、制御部6は、図9(B)で説明した検出範囲FOV2の調整において、水平方向においてポールP2が半分より長い所定長だけ点群画像Im2に表示されるようにポール領域R2bの横幅の長さを調整する。そして、制御部6は、ポールP2以後に設置するポールについても同様に、調整対象の検出範囲FOV内に水平方向において半分より長い所定長だけ表示されるように調整対象の検出範囲FOVを調整する。
同様に、制御部6は、隣り合う検出範囲FOVを接することなく僅かに離すように調整を行ってもよい。この場合、例えば、制御部6は、図8(B)で説明した検出範囲FOV1の調整において、水平方向においてポールP2が半分より短い所定長だけ点群画像Im1に表示されるようにポール領域R2aの横幅の長さを調整する。同様に、制御部6は、図9(B)で説明した検出範囲FOV2の調整において、水平方向においてポールP2が半分より短い所定長だけ点群画像Im2に表示されるようにポール領域R2bの横幅の長さを調整する。そして、制御部6は、ポールP2以後に設置するポールについても同様に、調整対象の検出範囲FOV内に水平方向において半分より短い所定長だけ表示されるように調整対象の検出範囲FOVを調整する。
(変形例4)
計測システム100は、異なるボックスに属するスキャナLであって、検出範囲FOVが水平方向において近接するスキャナLを対象に本実施例の調整を行ってもよい。また、計測システム100は、スキャンボックスに収容されていない複数のスキャナLを対象に本実施例の調整を行ってもよい。このように、本実施例の調整方法は、同一ボックス内のスキャナLの検出範囲FOVの調整に限定されない。
計測システム100は、異なるボックスに属するスキャナLであって、検出範囲FOVが水平方向において近接するスキャナLを対象に本実施例の調整を行ってもよい。また、計測システム100は、スキャンボックスに収容されていない複数のスキャナLを対象に本実施例の調整を行ってもよい。このように、本実施例の調整方法は、同一ボックス内のスキャナLの検出範囲FOVの調整に限定されない。
(変形例5)
ポールP1~P5などの基準物を、検出範囲FOV間の境界位置にのみ設置してもよい。以下では、図8及び図9等において説明したスキャナL1~スキャナL5の調整において、検出範囲FOV間に置かれるポールP2~P4のみを設置し、ポールP1及びポールP5を設置しない例について説明する。
ポールP1~P5などの基準物を、検出範囲FOV間の境界位置にのみ設置してもよい。以下では、図8及び図9等において説明したスキャナL1~スキャナL5の調整において、検出範囲FOV間に置かれるポールP2~P4のみを設置し、ポールP1及びポールP5を設置しない例について説明する。
この場合、制御部6は、検出範囲FOV1の調整では、水平方向において点群画像Im1の右端にポールP2の一部(例えば半分)が検出範囲FOV1に含まれるように検出範囲FOV1を調整する。このとき、制御部6は、例えば、ポールP2を示すポール領域R2aの長手方向が点群画像Im1の短手方向と一致する矩形領域となるように検出範囲FOV1を機構的調整又は/電子的調整により調整してもよく、低反射領域R22aと低反射領域R24aとが合同な長方形となるように検出範囲FOV1を機構的調整又は/電子的調整により調整してもよい。その後、スキャナL2及びスキャナL3の調整では、実施例と同様にポールP3及びポールP4を順次設置してそれぞれの検出範囲FOVを調整する。そして、最後の調整対象であるスキャナL4の調整では、水平方向においてスキャナL4の点群画像の左端にポールP2の一部(例えば半分)が検出範囲FOV4に含まれるように検出範囲FOV4を調整する。この調整方法は、検出範囲FOV1の調整方法と同様に行う。
本変形例によっても、計測システム100は、スキャンボックス内のスキャナLの検出範囲FOVが実質的に重ならないように好適に各スキャナLの調整を行うことができる。
(変形例6)
実施例では、図8(C)及び図9(C)に示すように、各高反射領域の上端及び下端から点群画像の上端までの距離が一致するように検出範囲の調整を行った。これに代えて、各高反射領域の上端及び下端から点群画像の下端までの距離が一致するように検出範囲の調整を行ってもよい。
実施例では、図8(C)及び図9(C)に示すように、各高反射領域の上端及び下端から点群画像の上端までの距離が一致するように検出範囲の調整を行った。これに代えて、各高反射領域の上端及び下端から点群画像の下端までの距離が一致するように検出範囲の調整を行ってもよい。
図12は、検出範囲FOV1の調整時に参照される図8(B)の点群画像Im1において、各高反射領域の上端及び下端から点群画像Im1の下端までの距離を矢印71x~78xにより明示した図である。図12の場合、制御部6は、高反射領域R11及び高反射領域R21aの各下端から点群画像Im1の下端までの距離(矢印71x及び矢印75x参照)が一致し、高反射領域R13及び高反射領域R23aの各上端から点群画像Im1の下端までの距離(矢印72x及び矢印76x参照)が一致し、上記高反射領域R13及び高反射領域R23aの各下端から点群画像Im1の下端までの距離(矢印73x及び矢印77x参照)が一致し、高反射領域R15及び高反射領域R25aの各上端から点群画像Im1の下端までの距離(矢印74x及び矢印78x参照)が一致するように、検出範囲FOV1の調整を行う。
本変形例によっても、制御部6は、ポールP1及びポールP2の延伸方向と検出範囲FOV1の短手方向とを好適に一致させ、かつ、左右における歪みや左右の傾きが生じない検出範囲FOV1を好適に設定することができる。なお、制御部6は、検出範囲FOV1以降に調整を行う他の検出範囲FOVについても同様に、点群画像に表示される各高反射領域の上端及び下端から点群画像の下端までの距離が一致するように検出範囲FOVの調整を行うとよい。
1 入力部
2 センサ部
3 記憶部
4 表示部
5 通信部
6 制御部
100 計測システム
2 センサ部
3 記憶部
4 表示部
5 通信部
6 制御部
100 計測システム
Claims (1)
- 第1検出装置及び第2検出装置の検出範囲を調整する調整方法であって、
前記第1検出装置の検出範囲の水平方向の両端を基準として設置された第1及び第2基準物に合わせて、前記第1検出装置の検出範囲を調整する第1調整工程と、
前記第2検出装置の検出範囲を、前記第2基準物が当該検出範囲の水平方向の一端に位置するように調整する第2調整工程と、
前記第2調整工程による調整後の前記第2検出装置の検出範囲の水平方向の他端を基準として設置され、前記第2基準物に対して前記第1基準物と反対側に設けられた第3基準物と前記第2基準物とに合わせて、前記第2検出装置の検出範囲を調整する第3調整工程と、
を有する調整方法。
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