以下、バックアップ装置における一時保管領域位置決定方法および一時保管領域位置決定装置が適用された部品実装機10について説明する。
部品実装機10は、図1に示すように、いわゆるダブルトラックコンベヤ方式の部品実装機であり、基台11を有している。部品実装機10は、基板搬送装置20、バックアップ装置30、部品供給装置40、部品移載装置50、および制御装置60(一時保管領域位置決定装置である。)を備えている。
基板搬送装置20は、基板Sを所定方向であるX軸方向(図1参照)に沿って搬送する。バックアップ装置30は、搬送された基板Sを基板搬送装置20と協働して位置決め固定する。部品供給装置40は、基板搬送装置20の一側(または両側)に設けられて基板Sに装着する部品(例えば電子部品)を供給する。部品移載装置50は、これら装置20,30,40の上方に配設されて部品供給装置40により供給された部品を吸着ノズル55により吸着保持するとともに、吸着保持した部品を基板搬送装置20上に位置決め支持された基板Sに自動的に装着する。
基板搬送装置20は、いわゆるダブルトラックコンベヤ方式であり、基台11上に互いに並列に組み付けられた第1および第2コンベヤ21,22を備えている。
第1コンベヤ21は、図1に示すように、一対のガイドレールである第1および第2ガイドレール21a,21bを備えている。第1および第2ガイドレール21a,21bは、基板Sを搬送する方向(搬送方向)である第1方向(X軸方向)に沿って延設されるとともに、第1方向と直交する第2方向(Y軸方向)に沿って互いに相対的に移動可能である。
第1および第2ガイドレール21a,21bは、互いに平行に対向して配置されており、基板Sを搬送方向に案内する。図2に示すように、第1および第2ガイドレール21a,21bの各上端には、それぞれ内側に向けて凸設された係止部21a1,21b1が長手方向(搬送方向)に渡って設けられている。第1コンベヤ21には、第1および第2ガイドレール21a,21bの直下に互いに平行に設けられた第1および第2コンベヤベルト21c,21dが並設されている。第1および第2コンベヤベルト21c,21dは、基板Sを支持して搬送方向に搬送する。
第1コンベヤ21の第1ガイドレール21aおよび第1コンベヤベルト21cは、主として図2に示すように、X軸方向に沿って延在する細長い第1取付フレーム21eに取り付けられている。第1取付フレーム21eの両端は、一対の固定支持フレーム21fを介して基台11に固定されている。また、第1コンベヤ21の第2ガイドレール21bおよび第2コンベヤベルト21dは、X軸方向に沿って延在する細長い第2取付フレーム21gに取り付けられている。第2取付フレーム21gの両端は、一対の移動支持フレーム21hを介して、基台11に固定された一対のレール12上を移動可能な一対のスライダ21kにそれぞれ固定されている。レール12は、X軸方向に沿って延在する。
これにより、第2ガイドレール21bは、直下の第2コンベヤベルト21dとともにY軸方向に沿って移動して位置決め固定される。よって、第1コンベヤ21は搬送する基板Sの基板幅(Y軸方向の基板幅)に対応してコンベヤ幅(Y軸方向の幅)を変更できる。なお、第1および第2取付フレーム21e,21gは、第1および第2コンベヤベルト21c,21dの各下面にそれぞれ当接して支持する第1および第2支持板21i,21jが取り付けられている。
第2コンベヤ22は、図1に示すように、第1コンベヤ21と同様に、一対のガイドレールである第1および第2ガイドレール22a,22bを備えている。第1および第2ガイドレール22a,22bは、基板Sを搬送する方向(搬送方向)である第1方向(X軸方向)に沿って延設されるとともに、第1方向と直交する第2方向(Y軸方向)に沿って互いに相対的に移動可能である。第1および第2ガイドレール22a,22bは、第1コンベヤ21の第2ガイドレール21bと同様に、Y軸方向に沿って移動可能である。このように、第1および第2ガイドレール22a,22bは、直下の第1および第2コンベヤベルト(図示省略)とともにY軸方向に沿って移動して位置決め固定される。よって、第2コンベヤ22は搬送する基板Sの基板幅(Y軸方向の基板幅)に対応してコンベヤ幅(Y軸方向の幅)を変更できる。
基台11には、図1,2に示すように、基板搬送装置20によって所定の実装位置まで搬送された基板Sを押し上げてクランプ(位置決め支持)するバックアップ装置30が備えられている。バックアップ装置30は、一対のガイドレール21a,21bによって搬送されている基板Sへ部品を装着する際に前記部品が装着される部品装着面Sbの反対側の支持面Saから基板Sを支持する。バックアップ装置30は、基板Sを支持する基板支持ユニット31と、基板支持ユニット31を昇降させる昇降装置32とを備えている。
基板支持ユニット31は、バックアッププレート31aと、複数のバックアップピン31bとを備えている。バックアッププレート31aは、基板Sの支持面Saに対して対向しながら相対的に往復動可能である。バックアッププレート31aは、例えば方形板状に形成されている。バックアップピン31bは、基板Sの支持面Saに対向するバックアッププレート31aの対向面31a1に脱着可能でありかつ基板Sの支持面Saを支持する複数のバックアップ部材である。例えば、バックアップピン31bの下部(基部)には、磁石が設けられ、バックアップピン31bは、磁力によって対向面31a1に脱着可能である。なお、バックアップピン31bは、先端部が比較的硬い部材(例えば金属部材)で構成されているハードタイプのバックアップピン(図2に示す)や、先端部が比較的軟らかい部材(例えばゴム部材)で構成されているソフトタイプのバックアップピン(図示しない)から構成される。
なお、基板支持ユニット31は、上面に多数の穴が形成された方形状のバックアッププレートと、前記穴に挿脱可能に立設されて基板Sを支持するバックアップピン(バックアップ部材)とから構成されるようにしてもよい。
昇降装置32は、例えばエアシリンダにて構成されており、バックアッププレート31aの4隅が離脱可能に組み付けられるロッド32aと、ロッド32aを進退させるシリンダ本体32bとからなる。
このように構成されたバックアップ装置30は、部品の非実装時には、基板支持ユニット31を下降位置(図2にて2点鎖線にて示す)に保持する。一方、部品の実装時には、すなわち基板搬送装置20によって基板Sが所定の実装位置まで搬送されて停止されたときには(図1にて実線にて示す。図2にて2点鎖線にて示す)、バックアップ装置30は、昇降装置32によって基板支持ユニット31を上昇させ、基板Sを下から押し上げて上昇位置(図2にて実線にて示す)に保持する。そして、部品の実装が完了すると、バックアップ装置30は、昇降装置32によって基板支持ユニット31を下降位置まで下降させる。
部品実装機10には、図1に示すように、基板搬送装置20の一側(または両側)に部品供給装置40が配置されている。部品供給装置40は、着脱可能な多数の部品供給カセット41を並設してなるものである。部品供給カセット41は、本体41aと、本体41aの後部に設けた供給リール41bと、本体41aの先端部に設けた部品取出部41cを備えている。供給リール41bには、部品が所定ピッチで封入され細長いテープ(図示省略)が巻回保持されている。部品供給カセット41は、前記テープを所定ピッチで引き出し、部品を部品取出部41cに順次送り込む。なお部品供給装置40は、カセット式のものだけでなくトレイ上に部品が並べられているトレイ式のものもある。
部品実装機10には、図1に示すように、基板搬送装置20の上方(紙面手前方向)に部品移載装置50が設けられている。部品移載装置50は、例えばXYロボットタイプのものである。部品移載装置50は、Y軸方向に沿って延在する第1フレーム51、X軸方向に沿って延在する第2フレーム52、支持ベース53、装着ヘッド54、円筒状の吸着ノズル55、および撮像装置56を備えている。
第1フレーム51は、X軸方向に沿って移動可能に基台11に設けられている。第2フレーム52は、Y軸方向に沿って移動可能に第1フレーム51に設けられている。支持ベース53は、第2フレーム52に着脱可能に設けられている。装着ヘッド54は、X軸方向とY軸方向とに直交するZ軸方向に沿って昇降可能に支持ベース53に設けられている。吸着ノズル55は、装着ヘッド54から下方に突出して設けられている。吸着ノズル55の下端は、部品を吸着保持したり、吸着保持した部品を解放したりする。撮像装置56は、基板Sやバックアップピン31bを上方から撮像するものであり、撮像した画像データは、制御装置60に出力されている。
なお、部品移載装置50は、吸着ノズル55を、バックアップピン31bを保持する保持ノズル(図示省略)に交換可能である。保持ノズルは、バックアップピン31bを保持する保持部(係合部)を有しており、保持部がバックアップピン31bを着脱可能に保持する。
また、基台11には、撮像装置13が設けられている。撮像装置13は、吸着ノズル55に吸着された部品の状態をモニターしており、撮像装置13がモニターした部品の状態を示す画像データは、制御装置60に出力されている。
制御装置60はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、所定のプログラムを実行して基板への部品の実装を制御するとともに、図10に示したフローチャートに対応したプログラムを実行して、部品実装機10のバックアップ装置30のバックアップピン31bの一時保管場所の決定やバックアップピン31bの移動を行う。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
制御装置60は、図3に示すように、基板第2方向長さ取得部60a、一時保管領域第2方向位置決定部60b、基板第1方向長さ取得部60c、一時保管領域第1方向位置決定部60d、および制御部60eを備えている。
基板第2方向長さ取得部60aは、記憶装置70またはホストコンピュータ80から基板Sの第2方向の長さである基板第2方向長さを取得する。ホストコンピュータ80は、複数の部品実装機10を一括管理する。
一時保管領域第2方向位置決定部(以下、第2方向位置決定部と称する場合もある。)60bは、基板第2方向長さ取得部60aから入力した基板第2方向長さに基づいて、一時保管領域A1の第2方向位置である一時保管領域第2方向位置(以下、第2方向位置と称する場合もある。)を決定する(決定部)。
一時保管領域A1は、新しい一つのジョブが開始される度(または複数のジョブをグループ化した新しいグループが開始される度)に設定される領域である。一時保管領域A1は、バックアップピン31bを開始されるジョブに関するバックアップピン31bの支持位置(植立位置)に移動させる際に、バックアップピン31bを植立させる前に一時的に載置(保管)できる領域である。例えば、初期搭載領域A2のバックアップピン31bを支持位置に移動させる際に、一時保管領域A1は、初期搭載領域A2のバックアップピン31bを一時保管する。また、一のジョブが完了して次のジョブが開始される際に、旧支持位置にあるバックアップピン31bを新支持位置に移動させる場合、一時保管領域A1は、新支持位置に使用しないバックアップピン31bを一時保管する。なお、一時保管領域A1は、一つのジョブに使用しないバックアップピン31bをそのジョブの間に一時保管する領域である。
初期搭載領域A2は、作業者が初期(最初)にバックアップピン31bをバックアッププレート31aの対向面31a1(バックアップ装置30)に搭載する予め定められた領域である。初期搭載領域A2は、図4に示すように、一対のガイドレール21a,21bのうち作業者がバックアップピン31bを搭載する側であるガイドレール21a側に設定されている。初期搭載領域A2は、対向面31a1の第1方向に沿った端部(両側でも一側でもよい)に設けられるのが好ましい。初期搭載領域A2は、本実施形態においては、対向面31a1より若干低い凹状に形成されてもよく、外郭部分だけ対向面31a1より若干高い突状に形成されるようにしてもよい。
初期搭載領域A2は、作業者がバックアップピン31bを入出させやすい場所であって予め定められた領域である。よって、作業者は迷うことなくバックアップピン31bを搭載することができ、ひいては作業者の作業容易性を向上させることができる。
また、一時保管領域A1は、図4-6に示すように、基板装着位置の左右両側(第1方向に沿った両側)に設けられるのが好ましい。基板装着位置は、基板Sへ部品を装着するために位置決め固定される基板Sの位置である。一方側の一時保管領域A1に、ハードタイプのバックアップピンが配置されるようにし、他方側の一時保管領域A1に、ソフトタイプのバックアップピンが配置されるようにしてよい。両側の一時保管領域A1に、ハードタイプおよびソフトタイプのバックアップピンが混在されるようにしてもよい。
また、一時保管領域A1は、どちらか一方側に設けるようにしてもよい。
一時保管領域A1は、バックアッププレート31aの対向面31a1に設定される領域である。一時保管領域A1は、基板Sへ部品を装着する際に、基板Sの支持のために使用するバックアップピン31bを一時保管可能な領域(場所、範囲)である。一時保管領域A1は、図4に示すように、バックアップピン31bが整列される領域であり、例えば本実施形態においては、4×4(バックアップピン31bが第2方向に4個(4行)で第1方向に4個(4列)だけ配列される)に配列される方形状の領域である。このとき、互いに隣接するバックアップピン31bは、接していてもよく、隙間をおいて配設されていてもよい。なお、一時保管領域A1は、他の形状、例えば円形状の領域でもよく、不定形状でもよい。また、一時保管領域A1は、4×4に限られず、バックアップピン31bが第2方向に8個で第1方向に2個だけ配列される8×2や、バックアップピン31bが第2方向に2個で第1方向に8個だけ配列される2×8に配列されるようにしてもよい。
基板Sの第2方向長さが一時保管領域A1の第2方向長さより大きい場合、第2方向位置決定部60bは、一時保管領域A1の第2方向位置は、一時保管領域A1の第2方向中央が基板Sの第2方向中央に一致するように決定される。これにより、一時保管領域A1は、基板Sの第2方向中央部に決定され、支持位置(植立位置)に配置する前のバックアップピン31bを基板Sの第2方向中央部に配置することができる。また、一般的に、バックアップピン31bの支持位置は、基板Sの第2方向が撓むのを抑制するため、基板Sの第2方向中央部に配置する場合が多い。よって、一時保管領域A1にあるバックアップピン31bが、一時保管領域A1から支持位置(特に基板Sの第2方向中央部に位置される支持位置)まで移動する移動距離を短くすることができる。その結果、バックアップピン31bの支持位置への配置時間を短縮することができる。
具体的には、例えば、第2方向位置決定部60bは、基板Sの第2方向中央の座標を算出する。第2方向位置決定部60bは、基板Sの第2方向中央の座標に、一時保管領域A1の第2方向長さの半分の値を加算し、一時保管領域A1の第2方向の一方端の座標(一時保管領域A1の第2方向の第2ガイドレール21b側の端の座標)を算出する。第2方向位置決定部60bは、基板Sの第2方向中央の座標から、一時保管領域A1の第2方向長さの半分の値を減算し、一時保管領域A1の第2方向の他方端の座標(一時保管領域A1の第2方向の第1ガイドレール21a側の端の座標)を算出する。そして、第2方向位置決定部60bは、一時保管領域A1の第2方向の一方端の座標および他方端の座標によって、一時保管領域A1の第2方向位置を示すことができる。
なお、第2方向位置決定部60bは、基板第2方向の長さを段階的に区切った範囲に複数仕分けし、一時保管領域A1の第2方向位置を前記各範囲に応じて段階的に設定された設定位置に決定するようにしてもよい。例えば、前記各範囲は、一時保管領域A1の第2方向長さだけ異なる値となるように設定することができる。このとき、設定位置は、一時保管領域A1の第2方向長さの半分の値だけ隔てて段階的に設定される。
具体的には、図5に示すように、例えば、基板Sの基板第2方向長さがL2aからL2bまでの範囲にある場合、設定位置は第1設定位置Paに設定される。L2aは、一時保管領域A1の第2方向長さの4倍の長さである。L2bは、一時保管領域A1の第2方向長さの3倍の長さである。第1設定位置Paは、基板第2方向長さがL2aである基板Sの基板第2方向中央に設定されている。第1設定位置Paは、一時保管領域A1の中央が第1ガイドレール21aから一時保管領域A1の第2方向長さの2倍の値だけ第2方向に沿って離れるように設定された一時保管領域A1の位置である。なお、第1設定位置Paは、基板第2方向長さがL2bである基板Sの基板第2方向中央に設定されるようにしてもよい。
図6に示すように、基板第2方向長さがL2bからL2cまでの範囲にある場合、設定位置は第2設定位置Pbに設定される。L2cは、一時保管領域A1の第2方向長さの2倍の長さである。第2設定位置Pbは、基板第2方向長さがL2bである基板Sの基板第2方向中央に設定されている。第2設定位置Pbは、一時保管領域A1の中央が第1ガイドレール21aから一時保管領域A1の第2方向長さの1.5倍の値だけ第2方向に沿って離れるように設定された一時保管領域A1の位置である。また、第2設定位置Pbにある一時保管領域A1の第2ガイドレール21b側のY座標は、基板第2方向長さがL2cである基板Sの第2ガイドレール21b側のY座標と同じである。なお、第2設定位置Pbは、基板第2方向長さがL2bである基板Sの基板第2方向中央に設定されるようにしてもよい。
図7に示すように、基板第2方向長さがL2cからL2dまでの範囲にある場合であって、基板Sの第2ガイドレール21b側端が第3設定位置Pc(後述する)の第2ガイドレール21b側端を第2ガイドレール21b側に越える場合、設定位置は第3設定位置Pcに設定される。L2dは、部品実装機10が部品を実装できる最小基板の第2方向長さと同じ長さである。本実施形態において、L2dは、一時保管領域A1の第2方向長さと同じ長さとする。第3設定位置Pcは、一時保管領域A1の中央が第1ガイドレール21aから一時保管領域A1の第2方向長さと同じ値だけ第2方向に沿って離れるように設定された一時保管領域A1の位置である。なお、第3設定位置Pcは、基板第2方向長さがL2cである基板Sの基板第2方向中央に設定されるようにしてもよい。
なお、基板第2方向長さがL2cからL2dまでの範囲にある場合であって、基板Sの第2ガイドレール21b側端が第3設定位置Pcの第2ガイドレール21b側端を越えない場合、設定位置は次のように設定されるのが好ましい。例えば、一時保管領域A1の第2方向長さをより小さい値(例えば、第2方向長さを半分に変更する。(例えば2×8にする。))に設定することで、新しい設定位置の第2ガイドレール21b側端が基板Sの第2ガイドレール21b側端を越えないように設定することができる。また、単に新しい設定位置を第2方向に移動させることで、新しい設定位置の第2ガイドレール21b側端が基板Sの第2ガイドレール21b側端を越えないように設定するようにしてもよい。
図8に示すように、基板第2方向長さがL2dである場合、設定位置は第4設定位置Pdに設定される。第4設定位置Pdは、一時保管領域A1の中央が第1ガイドレール21aから一時保管領域A1の第2方向長さの半分の値だけ第2方向に沿って離れるように設定された一時保管領域A1の位置である。
なお、一時保管領域A1の第2方向長さが、部品実装機10が部品を実装できる最小基板の第2方向長さと同じ長さより大きい場合に、基板Sの第2方向長さが一時保管領域A1の第2方向長さ以下である場合、第2方向位置決定部60bは、一時保管領域A1の第2方向位置は、一時保管領域A1ができるだけ第1ガイドレール21a側に位置するように決定される。なお、図9には、基板Sの第2方向長さが一時保管領域A1の第2方向長さより小さい場合を示す。これにより、一時保管領域A1は、基板Sの第2方向中央部に決定され、支持位置に配置する前のバックアップピン31bを基板Sの第2方向中央部に配置することができる。よって、一時保管領域A1にあるバックアップピン31bが、一時保管領域A1から支持位置(特に基板Sの第2方向中央部に位置される支持位置)まで移動する移動距離を短くすることができる。その結果、バックアップピン31bの支持位置への配置時間を短縮することができる。
なお、一時保管領域A1のうち第1ガイドレール21aと第2ガイドレール21bとの間の領域は、基板Sの支持に使用しないバックアップピン31bを載置するために使用するのが好ましい。また、一時保管領域A1は、基板Sの第2方向長さより小さくなるように設定するのが好ましい。
また、第2方向位置決定部60bは、一つのジョブ(基板製品)の基板Sの第2方向長さだけでなく、複数のジョブの基板Sの第2方向長さも考慮して、一時保管領域A1の第2方向位置を決定するようにしてもよい。この場合、例えば、連続して生産する複数のジョブの基板Sの第2方向長さが異なっておりかつ所定の範囲(上述した前記各範囲の差分である、一時保管領域A1の第2方向長さと同じ値である。)内にある場合、一時保管領域A1の第2方向位置を同じ値に決定するようにしてもよい。また、連続して生産する複数のジョブの基板Sの第2方向長さが異なる場合、それら第2方向長さから算出される値(例えば、それらの平均値、最頻値)に基づいて一時保管領域A1の第2方向位置を決定するようにしてもよい。
これによれば、複数のジョブを連続して生産する場合、ジョブ毎に一時保管領域A1の位置を変更させる必要がないため、バックアップピン31bの移動効率を高く維持することができる。例えば、ジョブ毎に一時保管領域A1の位置を変更させる場合と比較して、一時保管領域A1内にある、基板Sの支持に使用しないバックアップピン31bを新たな一時保管領域A1に移動させる必要がない。
なお、この場合、複数のジョブの基板Sの第1方向長さも併せて考慮するとより好ましい。
基板第1方向長さ取得部60cは、記憶装置70またはホストコンピュータ80から基板Sの第1方向の長さである基板第1方向長さを取得する。
一時保管領域第1方向位置決定部(以下、第1方向位置決定部と称する場合もある。)60dは、基板第1方向長さ取得部60cから入力した基板第1方向長さに基づいて、一時保管領域A1の第1方向位置である一時保管領域第1方向位置(以下、第1方向位置と称する場合もある。)を決定する(決定部)。第1方向位置決定部60dは、第2方向位置決定部60bと同様に、新しい一つのジョブが開始される度(または複数のジョブをグループ化した新しいグループが開始される度)に第1方向位置を決定する。
例えば、一時保管領域A1が基板Sの第1方向の両端から所定距離(例えば、数ミリ)だけ隔てて配設されるように、第1方向位置(一時保管領域A1の基板Sに近い側の端)が設定されている。所定距離(最小所定距離)は、基板搬送装置20の基板Sの停止精度を考慮して設定されている。一時保管領域A1の基板Sから遠い側の端は、一時保管領域A1の基板Sに近い側の端から一時保管領域A1の第1方向長さだけ離れた位置である。なお、第1方向位置は、基準点(例えば、基板Sの基準点、部品実装機10の基準点)を基準とするXY座標で示すことができる。
また、所定距離は、最小所定距離より大きい値に設定されてもよい。この値は、支持位置にあるバックアップピン31bを作業者が手で取り出す場合の作業容易性を考慮した値に設定されるのが好ましい。
なお、一時保管領域第2方向位置決定部60bと一時保管領域第1方向位置決定部60dとは、決定部60fを構成する。決定部60fは、一時保管領域A1の位置(第1方向位置および第2方向位置)を決定する。
制御部60eは、部品移載装置50を制御して、バックアップピン31bを、初期搭載領域A2と一時保管領域A1のとの間で移動させ、または/および、支持位置と一時保管領域A1との間で移動させる。このとき、制御部60eは、初期搭載領域A2の座標データや支持位置を示す座標データは、記憶装置70やホストコンピュータ80から取得する。制御部60eは、一時保管領域A1の座標データ(位置情報)は、第1方向位置決定部60dおよび第2方向位置決定部60bから取得する。制御部60eは、これらデータに基づいてバックアップピン31bを移動させる。
さらに、上述した一時保管領域位置決定装置である制御装置60の作動について図10に示すフローチャートに沿って説明する。
制御装置60は、ジョブが開始される度にプログラムをステップS102に進めて、一時保管領域A1の位置を決定する。具体的には、制御装置60は、ステップS102において、上述した基板第2方向長さ取得部60aの処理により、記憶装置70またはホストコンピュータ80から基板第2方向長さを取得する。制御装置60は、ステップS104において、上述した第2方向位置決定部60bの処理により、第2方向位置を決定する。
さらに、制御装置60は、ステップS106において、上述した基板第1方向長さ取得部60cの処理により、記憶装置70またはホストコンピュータ80から基板第1方向長さを取得する。制御装置60は、ステップS108において、上述した第1方向位置決定部60dの処理により、第1方向位置を決定する。
そして、制御装置60は、一時保管領域A1の位置を決定した後、上述した制御部60eの処理により、部品移載装置50を制御して、バックアップピン31bを移動させる(ステップS110)。
上述した実施形態による一時保管領域位置決定装置60によれば、決定部60fは、基板Sの第2方向の長さに基づいて、一時保管領域A1の第2方向位置を決定する。よって、一時保管領域A1の第2方向位置は、基板Sの第2方向の長さに基づいて、基板Sの第2方向の適切な位置(例えば、基板Sの第2方向中央部)に設定することが可能となる。その結果、一時保管領域A1とバックアップピン31bの支持位置との間におけるバックアップ部材が移動する移動時間の短縮化が可能となる。
さらに、上述したバックアップ装置30に適用される一時保管領域決定方法について説明する。一時保管領域決定方法は、上述した一時保管領域A1の位置を決定するバックアップ装置における一時保管領域位置決定方法である。
一時保管領域位置決定方法は、基板Sの第2方向の長さに基づいて、一時保管領域A1の第2方向位置を決定する第1工程と、基板Sの第1方向の長さに基づいて、一時保管領域A1の第1方向位置を決定する第2工程を含む。第1工程は、上述したステップS104(第2方向位置決定部60b)の処理により、第2方向位置を決定する。第2工程は、上述したステップS108(第1方向位置決定部60d)の処理により、第1方向位置を決定する。
さらに、前記第1工程において、基板Sの第2方向の長さが段階的に区切った上述した範囲に仕分けされ、一時保管領域A1の第2方向位置が前記範囲に応じて段階的に設定された設定位置に決定されるのが好ましい。
さらに、前記第1工程において、複数のジョブの基板Sの第2方向の長さも考慮して、一時保管領域A1の第2方向位置が決定されるのが好ましい。
前述した実施形態によるバックアップ装置における一時保管領域位置決定方法によれば、第1工程は、基板Sの第2方向の長さに基づいて、一時保管領域A1の第2方向位置を決定する。よって、一時保管領域A1の第2方向位置は、基板Sの第2方向の長さに基づいて、基板Sの第2方向の適切な位置(例えば、基板Sの第2方向中央部)に設定することが可能となる。その結果、一時保管領域A1とバックアップピン31bの支持位置との間におけるバックアップピン31bが移動する移動時間の短縮化が可能となる。
なお、上述した一時保管領域決定装置は、部品実装機10の制御装置60であったが、複数の部品実装機10を一括管理するホストコンピュータ80が一時保管領域決定装置であってもよい。ホストコンピュータ80において、上述した一時保管領域決定方法を実行するようにしてもよい。
また、基板Sの第2方向の適切な位置は、基板Sの第2方向中央に限られず、基板Sの第2方向中央付近位置(例えば第2方向中央から所定距離離れた位置)も含むものとする。所定距離は、例えば最小基板の第2方向長さ、一時保管領域の第2方向長さ、バックアップピン31bの基板S上での分布(特に第2方向に沿ったバックアップピン31bの分布)の第2方向中央から第2方向に沿ったズレ長などに基づいて設定されることができる。