JP2023013971A - ルーバ、ヘッドマウントディスプレイ、光学機器 - Google Patents

ルーバ、ヘッドマウントディスプレイ、光学機器 Download PDF

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Figure 2023013971000001
【課題】ヘッドマウントディスプレイにおいて見易い画像を提供するには、表示パネルからの表示光をなるべく損失や乱れが無いようにユーザの眼に伝播させ、かつ外光やヘッドマウントディスプレイ内の迷光がなるべくユーザの眼に入らないようにする必要がある。
【解決手段】透光性材料から成る基部の内部に、遮光性材料から成る遮光部が設けられ、前記透光性材料と接する前記遮光部の表面のうち、前記基部の中心側の表面を第1表面とし、前記基部の外縁側の表面を第2表面とした時、前記第1表面の表面粗さが、前記第2表面の表面粗さよりも大きい、ことを特徴とするルーバである。
【選択図】図6

Description

本発明は、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ等の光学機器に用いられるルーバとその製造方法等に関する。
近年、仮想現実をはじめとする種々の分野では、ヘッドマウントディスプレイが用いられている。ヘッドマウントディスプレイは、直視型のフラットパネルディスプレイや投映型のプロジェクションディスプレイに比べて、任意の方向から見る映像を表示できたり、ユーザの位置から見える外界像に映像を重畳させて表示できるなどの優れた点がある。
ヘッドマウントディスプレイは、図15に模式的に示すように、映像を表示する表示パネル21と、表示パネル21で表示された表示光IMGをユーザの眼24の位置近傍に結像させる光学要素22を有している。尚、図15はあくまで概念的な模式図であり、表示パネル21とユーザの眼24の間に、ミラーやPBSなどの光路変更素子を設けて、表示パネル21や光学要素22を異なる位置にレイアウトしてもよい。また、光学要素22は、凸レンズのような透過光学素子でもよいし、凹面鏡のよう反射光学素子でもよいし、それらを組み合わせた複数のものでもよい。
ユーザの視認性の便宜のために、ヘッドマウントディスプレイの筐体内にルーバを設けることが提案されている。
特許文献1には、前方からの外光と表示画像の表示光を合成するコンバイナを備えたヘッドマウントディスプレイにおいて、コンバイナに遮光性を有するルーバを設けることが提案されている。
また、特許文献2には、映像光が二重になるゴーストを抑制するため、ルーバの遮光部の表裏両面を粗面化する技術が開示されている。
特開平11-95160号公報 特開2009-75266号公報
ヘッドマウントディスプレイにおいて見易い画像を提供するには、表示パネルからの表示光をなるべく損失や乱れが無いようにユーザの眼に伝播させ、かつ外光やヘッドマウントディスプレイ内の迷光がなるべくユーザの眼に入らないようにする必要がある。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されたルーバでは、これらを十分に達成するのは困難であった。
本発明の第1の態様は、透光性材料から成る基部の内部に、遮光性材料から成る遮光部が設けられ、前記透光性材料と接する前記遮光部の表面のうち、前記基部の外縁側の表面を第2表面とし、前記第2表面の反対側の表面を第1表面とした時、前記第1表面の表面粗さが、前記第2表面の表面粗さよりも大きい、ことを特徴とするルーバである。
本発明の第2の態様は、透光性材料から成る基部の内部に、遮光性材料から成る遮光部が設けられ、前記透光性材料と接する前記遮光部の表面のうち、接眼側端面である第3表面の表面粗さRaは、20nm未満である、ことを特徴とするルーバである。
本発明の第3の態様は、透光性材料から成る基部の内部に、遮光性材料から成る第1遮光部が設けられ、前記基部の側面の少なくとも一部に、遮光性材料から成る第2遮光部が設けられている、ことを特徴とするルーバである。
本発明によれば、損失や乱れが抑制された状態で表示光をユーザの眼に伝播可能であるとともに、外光やヘッドマウントディスプレイ内の迷光がユーザの眼に入るのを抑制可能なルーバを提供することができる。
第1実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの光学系の構成を示す模式図。 第1実施形態の変形例に係るヘッドマウントディスプレイの光学系の構成を示す模式図。 (a)板状のルーバ23を主面と垂直な方向に切断した断面を示す模式的断面図。(b)光軸OXの方向からルーバ23の主面を見た平面図。(c)光軸OXの方向から変形例のルーバ23の主面を見た平面図。 第1実施形態に係るヘッドマウントディスプレイをユーザ側から見た平面図。 (a)遮光部の表面粗さを説明するためのルーバの断面図。(b)ルーバの一部を抽出して拡大した断面図。 (a)第1実施形態における遮光部の光学的作用を説明するための模式的断面図。(b)参考形態1における遮光部の光学的作用を説明するための模式的断面図。 (a)参考形態2における遮光部の光学的作用を説明するための模式的断面図。(b)参考形態3における遮光部の光学的作用を説明するための模式的断面図。 (a)同心円状の遮光部について表面粗さ測定用サンプルを作成する方法を説明するための図。(b)遮光部の表面粗さを測定する方法を説明するための図。 (a)ストライプ状の遮光部について表面粗さ測定用サンプルを作成する方法を説明するための図。(b)遮光部の表面粗さを測定する方法を説明するための図。 (a)第1実施形態に係るルーバの製造方法の第1の例において、基板に樹脂材料を付与した段階を示す図。(b)金型を用いて基板上の樹脂材料を成形する途中段階を示す図。(c)紫外線を照射して樹脂材料を硬化させる段階を示す図。(d)金型を離型した段階を示す図。 (a)第1実施形態に係るルーバの製造方法の第1の例において、ディスペンサを用いて遮光部の材料を塗布する段階を示す図。(b)第1の基部を形成するための樹脂材料を付与した後、型板を通して紫外線を照射して樹脂材料を硬化させる段階を示す図。(c)型板を離型した段階を示す図。 (a)第1実施形態に係るルーバの製造方法の第2の例において、基板に樹脂材料を付与した段階を示す図。(b)金型を用いて基板上の樹脂材料を成形する途中段階を示す図。(c)紫外線を照射して樹脂材料を硬化させる段階を示す図。(d)金型を離型した段階を示す図。 (a)第1実施形態に係るルーバの製造方法の第2の例において、ディスペンサを用いて遮光部の材料を塗布する段階を示す図。(b)第1の基部を形成するための樹脂材料を付与した後、型板を通して紫外線を照射して樹脂材料を硬化させる段階を示す図。(c)型板を離型した段階を示す図。 遮光部5の主面の傾きが変化する実施形態を示す模式的断面図。 従来のヘッドマウントディスプレイの構成を示す模式図。 (a)第2実施形態における遮光部の表面粗さを説明するためのルーバの断面図。(b)ルーバの一部を抽出して拡大した断面図。 (a)実施形態2Aにおける遮光部の光学的作用を説明するための模式的断面図。(b)実施形態2Bにおける遮光部の光学的作用を説明するための模式的断面図。 (a)参考形態4における遮光部の光学的作用を説明するための模式的断面図。(b)参考形態5における遮光部の光学的作用を説明するための模式的断面図。 (a)同心円状の遮光部について接眼側端面の表面粗さを測定する方法を説明するための図。(b)同心円状の遮光部について表示パネル側端面の表面粗さを測定する方法を説明するための図。 (a)ストライプ状の遮光部について接眼側端面の表面粗さを測定する方法を説明するための図。(b)ストライプ状の遮光部について表示パネル側端面の表面粗さを測定する方法を説明するための図。 (a)第3実施形態に係る板状のルーバ23を主面と垂直な方向に切断した断面を示す模式的断面図。(b)光軸OXの方向からルーバ23の主面を見た平面図。(c)光軸OXの方向から変形例のルーバ23の主面を見た平面図。 第3実施形態における第2の遮光部の光学的作用を説明するための模式的断面図。 (a)実施形態3Aにおける第2の遮光部の光学的作用を説明するための模式的断面図。(b)実施形態3Bにおける第2の遮光部の光学的作用を説明するための模式的断面図。 第3実施形態に係るルーバの製造方法において、ディスペンサを用いて第2の遮光部の材料を塗布する段階を示す図。
図面を参照して、本発明の実施形態であるヘッドマウントディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ用ルーバ等について説明する。
尚、以下に示す実施形態は例示であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更して実施をすることができる。
尚、以下の実施形態及び実施例の説明において参照する図面では、特に但し書きがない限り、同一の参照番号を付して示す要素は、同様の機能を有するものとする。
[第1実施形態]
(ヘッドマウントディスプレイの光学系)
図1は、実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ100の光学系の構成を示す模式図である。尚、図1は光学系の配置を説明するための模式図であるため、ユーザの頭部に装着するための装着具や筐体、映像情報を通信するための通信部、電源部、等は省略している。
21は表示部としての表示パネル、22は光学部としての光学要素、23はルーバ、24はユーザの眼を示している。ヘッドマウントディスプレイ100には、右眼用および左眼用に各1ユニットの光学系が設けられ、右眼用ユニットの表示パネルには右眼用の映像が、左眼用ユニットの表示パネルには左眼用の映像が表示される。図1は、右眼用光学系もしくは左眼用光学系の1ユニットを示している。表示パネル21は、具体的には例えば有機ELパネルや液晶パネルである。
光学部としての光学要素22は、表示パネル21が発する表示光IMGをユーザの眼にむけて、ユーザの眼の位置付近に集光する光学素子で、表示パネル21に表示された画像を明視距離の拡大像としてユーザに認識させるものである。光学要素22は、表示パネル21からユーザの眼24の位置に至るまでの表示光IMGの光路の途中に配置され、その光軸OXが表示パネル21の画面中心とユーザの眼を結ぶように配置されている。光学要素22は、典型的には凸の単レンズであるが、全体として正のパワーを持つように複数枚のレンズが組み合わされたレンズ系であってもよい。レンズ系を構成する光学要素22には結像させるための機能を有していないものが含まれてよく、例えば、表示パネル21全体からの光を効率よくユーザの眼に入射させる機能を有しているものが含まれても良い。
ルーバ23(ルーバ素子)は、光学要素22からユーザの眼に向かう表示光IMGの光路が占める光路空間内に配置された板状の部材である。言い換えれば、ルーバ23は、表示パネルから出力される表示光をユーザの眼に向ける光学部から、ユーザの眼に向かう表示光IMGの光路に配置されている。
ルーバ23は、内部に複数の遮光部を備えている。後に図3(b)を参照して説明するように、ルーバ23の複数の遮光部は、光学要素22の光軸OXの方向から見て、径が異なる複数の同心円に沿って設けられている。この同心円の中心が光学要素22の光軸OX上に位置するように、ルーバ23は配置されている。ここで、光軸OXに沿って見た時のルーバ23の長さをL1とする。また、光軸OXに沿って見て、ユーザの眼の位置からルーバ23の中心までの距離をL2とし、ルーバ23の中心から光学要素22の中心までの距離をL3とする。尚、ルーバ23の中心とは、光軸OXに沿って見た時の遮光部5の中心を指すものとする。L1は0.3mm以上かつ3mm以下、L2は30mm以下、L3は5mm以上かつ25mm以下の範囲内で設定されるのが好ましい。また、ルーバ23の鉛直方向の長さをL4とすると、L4は、光学要素22からユーザの眼に向かう表示光IMGの光路断面をカバーし得るだけの長さに設定される。
ルーバ23の遮光部5は、光学要素22に向かう外光25を遮蔽しつつ、光学要素22からユーザの眼24に向かう表示光IMGの大部分を透過させるような位置姿勢で配置されている。図1において実線で示される外光25は、ルーバ23の遮光部5までは到達するが、そこで遮蔽されるため、点線で示される光路を通ることはなく、ユーザの眼24に外光ゴーストとして到達することは大幅に抑制されている。
尚、ヘッドマウントディスプレイ100は、更に光学素子を備えていてもよい。例えば、図2に示すように、光学要素22とルーバ23の間に偏光ビームスプリッタPBSを備えていてもよい。あるいは、ルーバ23とユーザの眼24の位置の間に、装置の内部をダスト等から保護するための窓材EW(透明な板材)を設けてもよい。そうした場合であっても、実施形態のルーバ23は、光学要素22からユーザの眼に向かう表示光IMGの光路が占める光路空間内に配置される。
図4は、実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ100をユーザ側から見た平面図である。尚、図4は光学系の配置を説明するための模式図であるため、ヘッドマウントディスプレイ100をユーザの頭部に装着するための装着具や、映像情報を通信するための通信部、電源部、等は省略している。
PFは、遮光材から成るフレーム(額縁部)であり、表示パネルや光学部材を支持する筐体として機能するとともに、正面方向からの外光を遮光するカバーでもある。フレームPFには、ユーザの顔に位置決めするための鼻当て部NFが設けられている。右眼用の要素として、ユーザの顔側から順に窓材EWR、ルーバ23R、光学系22R、表示パネル21Rが配置され、左眼用の要素として、ユーザの顔側から順に窓材EWL、ルーバ23L、光学系22L、表示パネル21Lが設けられている。尚、図1に示した例のように、ダスト等から装置の内部を保護する窓材の役割をルーバ23が兼用する場合には、窓材EWR、窓材EWLは設けなくてもよい。
表示パネル21Rおよび表示パネル21Lとしては、画面のアスペクト比が、例えば4:3あるいは16:9のものが好適に用いられるが、それに限られるわけではない。各表示パネルの画面中心と、各結像光学系の光軸OX、および各ルーバの中心線Cは、ユーザ側から平面視した時に重なるように配置される。ただし、輻輳をつけるために、各表示パネルの画面中心と、各結像光学系の光軸OX、および各ルーバの中心線Cは僅かにずれていても構わない。
また、図4に示すように、ルーバの外形を結像光学系の外形(例えば凸レンズや凹ミラーの外形)と実質的に同一にすることにより、表示光の利用効率と外光の遮蔽を高いレベルでバランスさせることができる。
(ルーバ)
次に、図面を参照してルーバ23(ルーバ素子)について詳細に説明してゆく。図3(a)は、板状のルーバ23を主面と垂直な方向に切断した断面を示す模式的断面図であり、図3(b)は、図1における光軸OXの方向から板状のルーバ23の主面を見た平面図である。尚、図3(a)の断面図は、図3(b)中のA-A’線に沿って切断した断面を示している。ヘッドマウントディスプレイにルーバ23を設置する際の設置姿勢との対応を示すため、各図には、図1に示したXYZ座標系と対応させて座標系を示している。
ルーバ23の平面視における中心点を通り、主面と垂直な線を中心線Cと呼び、図3(a)に一点鎖線で示す。ヘッドマウントディスプレイにルーバ23が実装される際には、中心線Cが光学要素22の光軸OXと略一致するように、ルーバ23は配置される。
全体としてみれば板状の光学素子であるルーバ23は、透光性材料から成る基板1、透光性の樹脂材料から成る第1の基部2、透光性の樹脂材料から成る第2の基部3、遮光性材料から成る遮光部5が一体化された光学素子である。尚、以下の説明では、第1の基部2、第2の基部3、遮光部5を合わせて、ルーバ本体と呼ぶ場合がある。また、第1の基部2、第2の基部3を合わせて、単に基部と呼ぶ場合がある。
図3(a)に示す実施形態では、ルーバ23は基板1を備えているが、ルーバ本体だけで十分な機械的な強度が担保される場合には基板1を省略し、第1の基部2、第2の基部3、遮光部5のみでルーバ23を構成してもよい。逆に、ルーバ本体を、より強固に保護したい場合には、第2の基部3の側だけでなく第1の基部2の側にも基板1を設けて、2枚の基板1でルーバ本体を挟持する構造にしてもよい。
以下、基板およびルーバ本体について順次説明し、続いて本実施形態の特徴である遮光部の表面粗さについて詳しく述べる。
(基板)
基板1としては、透明性等、所望の光学特性を満足するものであれば、ガラス材料、光学樹脂材料のいずれでも用いることができる。特性変動がしにくいという観点(信頼性、耐久性)を重視する場合は、ガラス材料が好適である。例えば、珪酸ガラスや硼珪酸ガラス、リン酸ガラスに代表される一般的な光学ガラスや、石英ガラス、ガラスセラミックなど種々のガラスを用いることができる。一方、コストや軽量化という観点を重視する場合には、樹脂を用いるのが好ましく、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、2液硬化樹脂等の樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリスチレン、MS樹脂、AS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、セルロースアシレート、熱可塑性エラストマー、シクロオレフィンポリマーが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂がある。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。尚、基板1は、例えば熱インプリント法、光インプリント法、押出成形、射出成形等により、製造することができる。断面視した時の基板1の主面の形状は、必ずしも図3(a)に示すような平坦面に限定されるものではなく、例えば凹球面、凸球面、軸対称非球面などから選択できる。また、主面に垂直な方向(中心線Cに沿った方向)から平面視した時の基板1の外形形状は、種々のものを用いることができるが、円形や四角形などから選択できる。
(ルーバ本体)
ルーバ本体は、第1の基部2、第2の基部3、および遮光部5を備える。
図3(a)に示すように、第1の基部2についてみれば、ヘッドマウントディスプレイに組付けられたときに表示光IMGの出射側(ユーザの眼の側)になる主面は平坦面である。また、表示光IMGの入射側になる主面(第2の基部3と対向する面)は凹凸部分を有している。また、第2の基部3についてみれば、ヘッドマウントディスプレイに組付けられたときに表示光IMGの入射側になる主面(光学要素22の側)は平坦面であり、表示光IMGの出射側になる主面(第1の基部2と対向する面)は凹凸部分を有している。
尚、基板1として、断面視した時の主面形状が平坦ではない基板を用いた場合には、上述した第1の基部2および第2の基部3の平坦面は、基板1の主面形状にならった形状(非平坦面)とする。
第1の基部2の凹凸部分と第2の基部3の凹凸部分は互いに嵌合あるいは当接しており、第1の基部2と第2の基部3は一体化している。第1の基部2と第2の基部3は、屈折率が実質的に同一の材料から成り、好ましくは同一種類の樹脂材料により形成されている。これらを形成する樹脂材料としては、透過率等の光学特性と信頼性を満足する樹脂材料であれば特に制限は無いが、製造が容易であることから、感光性樹脂材料が好適に用いられる。具体的には、アクリレート系樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが好適に使用される。所定の光学特性を達成するために、この光学樹脂材料には無機微粒子を内添させることも可能である。添加される無機微粒子は、要求される光学特性により選択される。具体的には、酸化ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、インジウム錫酸化物(ITO)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)等が挙げられる。
第1の基部2および第2の基部3が備える凹凸部分は、互いに嵌合あるいは当接可能で、かつ後述するように遮光部5を所定の位置および所定の向きに形成できる形状であればよい。図3(a)に例示するように、凹凸部分の断面形状としては、三角形を並べた鋸歯形状が好適に用いられるが、それ以外であってもよい。例えば、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、四角形、台形、半円形などを連続的に配置した断面形状が挙げられる。また、図1における光軸OXの方向から平面視すると、凹凸部は、径が異なる複数の同心円に沿って形成されている。
第1の基部2と第2の基部3が嵌合あるいは当接している部分をZ方向に沿って見ると、第1の基部2と第2の基部3が当接している部分と、第1の基部2と第2の基部3が遮光部5を挟持している部分4とが、交互に配置されているのがわかる。Z方向に沿って見ると、透明な樹脂材料から成る基部と遮光部とが交互に配置されていると言い換えてもよい。尚、ここで言うZ方向は、主面と平行な方向、あるいは中心線Cと直交する方向、あるいは鉛直方向と言い換えることもできる。
図5(b)に、図3(a)の一部を抽出して拡大した断面図を示す。
第1の基部2の2a面と第2の基部3の3a面が当接している界面は、同一材料どうしが当接する界面であるため光学的に作用することはなく、この部分は表示光IMGを透過させる窓となる。
一方、第1の基部2の2b面と第2の基部3の3b面の間には、遮光部5が挟まれている。図1における光軸OXの方向から平面視すると、遮光部5は、図3(b)に示すように、径が異なる複数の同心円状に形成されている。ここで、図3(a)は、図3(b)のA-A’線に沿って切った断面に相当する。遮光部5は、図1に示したように、光学要素22に向かう外光25を有効に遮蔽するが、光学要素22からユーザの眼24に向かう表示光IMGを遮蔽しにくい位置・方向に設けられている。
尚、本実施形態において、遮光部5の平面視の形状は、図3(b)に示した複数の同心円に限られるわけではなく、例えば図3(c)に示すようなストライプ形状であってもよい。この場合は、図3(a)は、図3(c)のB-B’線に沿って切った断面に相当する。
図3(a)示すように、本実施形態のルーバ23には、光学要素22の光軸OXと直交する鉛直方向(Z方向)に沿って、複数の遮光部5が繰り返し設けられている。本実施形態のルーバ23は、ユーザの左右の眼を結ぶ方向(Y方向)に対して直交する鉛直方向(Z方向)に沿って見た時、図3(a)示すように、中心線Cに対して上下対称な構造を備えている。
ルーバ23をヘッドマウントディスプレイに実装する際には、中心線Cは、光学部の光軸、すなわち図1に示す光学要素22の光軸OXと略一致するように配置される。言い換えれば、表示パネル21の画面中心とユーザの眼24の位置を結ぶ線上に、遮光部5を構成する複数の同心円の中心、あるいは複数のストライプの中心が配置される。同心円状の遮光部を採用する場合には、表示画像の輝度均一性が優れる利点がある。また、金型成形やディスペンサを用いてルーバを作成する際に、例えば応力が等方的に作用するため歪が小さく、基板を回転させれば容易に遮光材を塗布可能という利点もあり、製造が容易である。
図5(b)に示すように、遮光部どうしの間隔(隣接する同心円の半径の差、あるいはストライプの間隔)をPとし、遮光部の厚さ(光軸OXの方向から平面視した時の遮光部の幅)をtとした時に、t/Pを9%以下にするのが良い(t/P≦9%)。その際、Pは500μm以上かつ2000μm以下の範囲内に設定するのが好ましく、tは0.1μm以上かつ45μm以下の範囲内に設定するのが望ましい。また、遮光部5の光軸方向の長さをL1とすると、L1は1mm以上かつ3mm以下の範囲内に設定するのが望ましい。
というのも、外光に対する十分な遮光性能を確保するには、tを0.1μm以上とするのが望ましく、Pを2000μm以下にするのが好ましく、L1を1mm以上にするのが望ましい。しかし、tを45μm以上にする、あるいはPを500μm以下にする、あるいはL1を3mm以上にすると、遮光部5が表示光IMGを遮る割合が増加し、表示画像が暗くなってしまう。そこで、t、P、L1を上述した範囲内に設定するのが望ましく、特にt/P≦9%とすることで、外光によるゴーストの防止と、表示画像の輝度および均一性の確保とを高いバランスで実現することができる。
遮光部5は、外光25の可視光成分が光学要素22に向かうのを遮蔽できれば良いので、可視光を吸収する光吸収性材料か、可視光を反射する光反射性材料を用いて形成することができ、場合によっては、これらの材料を重ねた多層構造にしてもよい。尚、可視光を反射する材料を用いる場合には、反射した外光が迷光にならないように、遮光部5の位置と形状を設定する。
可視光を吸収する材料としては、例えば顔料、染料を含む塗料を適宜選択して用いることができるが、特に光吸収能を高めたい場合には、黒色塗料を選択することが好ましく、耐久性の観点から顔料含有材料を用いることが好ましい。顔料としては、アイボリーブラック、ピーチブラック、ランプブラック、ビチューム、カーボンブラック、黒色アニリン等が挙げられる。これらの中でも、特に、カーボンブラック、黒色アニリンを用いることが好ましい。尚、入射する外光の波長に応じて異なる効果を得るため等の種々の目的で、カラー材料を適宜、使用することも可能である。
遮光部に反射層を形成する場合には、鏡面反射タイプと、拡散反射タイプとがあり得る。鏡面タイプを用いる場合は、表示光IMGの観察に影響を与えない方向に外光を反射させることで、外光ゴーストを抑えることが可能である。鏡面反射タイプの光反射層には、例えば、アルミ、銀、ニッケル、ステンレス、銅、亜鉛、鉄等のメタリック顔料含有材料を用いることが好ましい。アルミ、銀、ニッケル、ステンレス等の微粉末を単独で、又は混合して用いると、銀色の鏡面反射タイプの光反射層が得られる。銅、亜鉛、鉄等の微粉末を単独で、又は混合して用いると金色、赤銅色の鏡面反射タイプの光反射層が得られる。拡散反射タイプを用いる場合は、光量分布を平均化し、外光ゴーストを抑え、明るさムラを抑えることが容易である。拡散反射タイプの光反射層としては、例えば、シルバーホワイト、チタニウムホワイト、ジンクホワイト、アルミパウダー等の顔料含有材料を用いることが好ましい。尚、遮光部の屈折率と透光性の基部の屈折率は、差が0.01以上、かつ0.2以下であることが好ましい。
また、遮光部を形成する方法に特に制限はなく、適宜の製造方法が採用され得る。例えば、第1の基部2および/または第2の基部3の凹凸形状の所定の面に、着色材料を含んだ塗料を塗布する塗布法や、アルミニウム等の金属材料を真空蒸着する方法を用いることができる。塗布法により遮光部5を形成する場合には、接触式と非接触式が有り得る。接触式としては、例えば、レンズ墨塗等でも使用される筆やスポンジ等を用いて塗布する方法がある。非接触式としては、例えば、スプレーやディスペンサを用いて塗布する方法がある。後述するように、ディスペンサで塗布する場合には、第1の基部2および/または第2の基部3の凹凸部の所定の面に向けて斜め方向から塗料を付与することにより、環状の遮光部を形成することが出来る。
(遮光部の表面粗さ)
図5(a)を参照して、本実施形態の特徴の一つである遮光部5の表面粗さについて説明する。図5(a)は、図3(a)の断面図をさらに詳細に示した図である。本実施形態のルーバ23には、複数の遮光部5が配置されているが、各々の遮光部5において、中心線Cに近い側の主面を5Aとし、中心線Cと反対側の主面を5Bとする。言い換えれば、透光性材料より成る基部と接する遮光部5の表面のうち、基部の中心側の表面を5A(第1表面)と呼び、基部の外縁側の表面を5B(第2表面)と呼ぶこともできる。
本実施形態に係るルーバ23は、遮光部5において、中心線Cに近い側の主面である5Aと、中心線Cと反対側の主面である5Bを比較すると、5Aの表面粗さRaが5Bの表面粗さRaよりも大きいという特徴を備えている。(5A>5B)。
図6(a)~図7(b)を参照して、本実施形態において、遮光部5の表面粗さRaを5A>5Bとする理由について詳しく説明する。説明および図示の便宜のため、図6(a)~図7(b)の拡大断面図では、ルーバ本体の一部のみを模式的に示している。図6(a)は、本実施形態、すなわち遮光部5の表面粗さRaを5A>5Bとした場合を模式的に示している。図6(b)は、参考形態1として、5Aおよび5Bの表面粗さRaを概ね等しくし、かつ平坦性を高く(表面粗さRaを小さく)した場合を模式的に示している。
図7(a)は、参考形態2として、5Aおよび5Bの表面粗さRaを概ね等しくし、かつ粗面化(表面粗さRaを大きくした場合を模式的に示している。図7(b)は、参考形態3として、本実施形態とは逆に、5Bの表面粗さRaを5Aの表面粗さRaよりも大きく(5A<5B)した場合を模式的に示している。
遮光部5は、図5(b)に示したように、光軸OXに沿って見た時にL1の長さを有する。このため、ヘッドマウントディスプレイ内で光学要素22にて集光されてユーザの眼に向かう表示光IMGの一部の光線は、主面である5Aあるいは5Bに照射され得る。
図6(a)~図7(b)には不図示だが、中心線Cから遠い側の主面である5Bに照射される表示光は、5Aに照射される表示光に比べて少なく、5Bにより反射されたとしてもユーザの眼には届かない方向に光路が変更されるため、画質への影響は小さい。
一方、中心線Cに近い側の主面である5Aに照射される表示光IMG2は、5Bに照射される表示光よりも多い。このため、図6(b)あるいは図7(b)に示すように、5Aの平坦性が高い(表面粗さRaが小さい)と、5Aにより反射されて光路が変更された表示光IMG2Rが、光学要素22による本来の光路とは異なる光路を経由してユーザの眼に到達する。係る光は、コントラストの低下や解像度の低下など、ユーザにとっての画質の低下を招くものとなる。
本実施形態のルーバ23は、遮光部の中心線Cに近い側の主面である5Aの表面粗さを大きくしているため、図6(a)に示すように、5Aに照射された表示光IMG2は散乱され、ユーザの眼に届くのは散乱光の中のごく一部になる。このため、コントラストの低下や解像度の低下などの画質低下要因を抑制することができる。
また、ヘッドマウントディスプレイの筐体内に侵入する外光や、進入した外光が筐体内で反射して生じる迷光は、図6(a)~、図7(b)にOLとして示すように、中心線Cから遠い側の主面である5Bを照射する可能性が高い。図7(a)あるいは図7(b)に示す形態のように、5Bが粗面化されている(表面粗さRaが大きい)と、5Bにより散乱された外光あるいは迷光の一部であるOLDが、ユーザの眼に到達する。一般的に、外光や迷光であるOLは、表示光よりも輝度が高いため、散乱された一部であってもゴーストの発生など、ユーザにとっての画質の低下を招くものとなる。
本実施形態のルーバ23は、遮光部の中心線Cから遠い側の主面である5Bの表面粗さを小さくしているため、図6(a)に示すように、5Bに照射された外光や迷光であるOLは、反射光OLRとしてユーザの眼に届かない方向に反射される。このため、ゴーストの発生などの画質低下要因を抑制することができる。
このように、本実施形態によれば、表示光がルーバにより反射されてコントラストや解像度が低下するのを抑制することと、外光や迷光がルーバにより散乱されてゴーストが生じるのを抑制すること、の2つを両立させることができる。他方で、図6(b)、図7(a)、図7(b)に示した参考形態では、本実施形態のように2つの効果を両立させることはできない。
ここで、中心線Cに近い側の主面である5Aについて好ましい態様を述べるならば、5Aの表面粗さRaは、20nm以上、かつ2000nm以下とするのがよい。表示光を散乱させる散乱能を達成するためには表面粗さRaを20nm以上とするのがよいが、2000nmを超えると、製造が簡単ではなくなるからである。また、中心線Cから遠い側の主面である5Bについて好ましい態様を述べるならば、5Bの表面粗さRaは、20nm以下とするのがよい。外光あるいは迷光を散乱させずに、ユーザの眼に届かない方向に反射させるためである。
次に、5A及び5Bの表面粗さRaを測定する方法を説明する。まず、図3(b)に示した同心円状の遮光部5を設けたルーバについて、図8(a)および図8(b)を参照して、表面粗さRaを測定する方法を説明する。尚、以下に説明する測定方法は一例であり、これ以外の方法で表面粗さRaを測定しても差し支えない。
まず、図8(a)に示すD1線およびD2線に沿ってルーバ23を切断し、図8(b)に示す観察用サンプル片を作成する。遮光部5の中心線Cに近い側の主面である5Aの表面を観察方向DAから樹脂を通して正対観察でき、中心線Cから遠い側の主面である5Bを観察方向DBから樹脂を通して正対観察できるように、観察用サンプル片は切断されている。切断は、例えばメイワフォーシス株式会社製のマイクロカッティングマシンBS-300CPを用いて、バンド速度を60m/分として行うことができる。切断後、切断面を研磨加工する。研磨は、例えば精密研磨機ドクターラップML-180を用い、ダイヤモンドラップ盤(#2000)で研磨した後、ポリッシングクロスで仕上げる。
観察用サンプル片が作成出来たら、5Aの表面を観察方向DAから樹脂を通して正対観察し、5Bの表面を観察方向DBから樹脂を通して正対観察する。具体的には、ZYGO社製の白色干渉計Newview8300を用いて、対物レンズ倍率10倍で、約0.2mm四方の領域について表面粗さRaを測定した。測定対象の5Aあるいは5Bの各々について、例えば5箇所の表面粗さRaを測定し、その平均値を当該サンプルの表面粗さRaとした。
また、図3(c)に示したストライプ状の遮光部5を設けたルーバの場合は、図9(a)に示すD1線およびD2線に沿ってルーバ23を切断し、図9(b)に示す観察用サンプル片を作成する。以後の観察手順の説明は、同心円状の遮光部の場合と同様なので、省略する。
(ルーバの製造方法)
次に、本実施形態に係るルーバの製造方法について説明する。
本実施形態に係る製造方法では、ルーバの遮光部の表面粗さを制御する1つの方法として、遮光部の下地となる基部を樹脂材料を用いて形成する際に、基部の表面粗さが所定の表面粗さになるよう制御する。基部の表面粗さは、金型を用いて基部を転写成形する際の成形条件、すなわち樹脂材料の種類、射出時の樹脂材料の温度、保圧条件、等により制御することができる。尚、基部を転写成形する際に用いられる金型の成形面の表面粗さは、ルーバの遮光部の表面粗さを制御するパラメータとして特に有用である。
また、本実施形態に係る製造方法では、ルーバの遮光部の表面粗さを制御する1つの方法として、遮光性の材料を所定の条件で基部に被覆することにより制御する。所定の条件には、例えば液相塗布や真空成膜などの被覆方法や被覆装置の選択が含まれる。液相塗布の場合には、所定の条件には、例えば、塗料の物性(粘性、温度、添加物など)、塗布方法(ディスペンサ、インクジェット、コータなど)、乾燥方法(自然、エアブロー、オーブンなど)が含まれる。尚、塗料に含まれる溶媒の量は、ルーバの遮光部の表面粗さを制御するパラメータとして特に有用である。
ルーバの遮光部の表面粗さを制御するこれらの方法は、適宜に組み合わせたり、適宜に条件を変更して、実施することができる。
(第1の例)
図10(a)~図10(d)、および図11(a)~図11(c)を参照して、本実施形態に係るルーバの製造方法の第1の例について説明する。
まず、図10(a)に示すように、基板1の上に、第2の基部3を形成するための紫外線硬化型の樹脂材料11を適量付与する。
次に、図10(b)に示すように、第2の基部3の形状を転写成形するための金型12で樹脂材料11を押圧してゆき、隙間が生じないように基板1と金型12の間に樹脂材料11を充填してゆく。金型12には、径が異なる複数の同心円状の凹凸部を第2の基部3の主面に成形するためのパターンが形成されている。より詳しくは、金型12において、図5(b)に示す基部3の3b面を成形する面は、3b面の表面粗さRaが20nm以上かつ2000nm以下になるような転写面形状を備えている。尚、金型の転写面形状は、金型に転写面を形成する際の切削加工条件やブラスト加工条件を調整することにより制御することができる。
樹脂材料11の充填が完了したら、図10(c)に示すように、紫外光源13から紫外線を照射し、紫外線硬化型の樹脂材料11を硬化させる。紫外線の照射が完了したら、図10(d)に示すように、基板1と密着して形成された第2の基部3を金型12から離型する。更に、樹脂材料の硬化を完全なものとするため、オーブン内にセットして加熱処理してもよい。このようにして、基部3の3b面は、表面粗さRaが20nm以上かつ2000nm以下に形成される。
次に、図5(b)を参照して説明した第2の基部3の3b面に、遮光部を形成する。具体的には、図11(a)に示すように、径が異なる複数の同心円の中心線Cを回転軸として基板1を回転させ、ディスペンサ14を用いて各同心円の3b面に沿って遮光部5の材料を塗布してゆく。ディスペンサ14を適度に傾けて塗布することにより、3a面を汚すことなく3b面のみに遮光材料を含む塗料を塗布することができる。塗布完了後、オーブン中で加熱・焼成を行い塗料を乾燥・硬化させることにより、第2の基部3に遮光部5が形成される。
この例では、表面粗さRaが20nm以上かつ2000nm以下に形成された基部3の3b面を遮光材が被覆することにより、遮光部5の中心線Cに近い側の主面である5Aが形成される。このため、5Aの表面形状は、基部3の3b面の表面形状をそのまま反転した形状となり、5Aの表面粗さは20nm以上かつ2000nm以下となる。一方、遮光材を塗布した時点で露出している表側の面(下地である基部3の反対側の面)の表面形状は、ディスペンサ14を用いて塗布する際の条件により制御が可能である。
例えば、遮光部を形成する塗料において溶媒の含有比率を高めて塗料の粘度を小さくすると、薄い塗膜を形成できるため、表側の表面形状は下地の表面形状を比較的忠実に反映したものとなる。一方、塗料における溶媒の含有比率を小さくして塗料の粘度を大きくすると、表側の表面形状が下地の表面形状とは異なったものとなる傾向がある。あるいは、塗料を塗布した後の乾燥条件を変える(例えば、エアブローの有無など)ことにより、表側の表面形状を制御することも可能である。この例では、表側の表面粗さが、下地の表面粗さよりも小さくなるように溶媒の含有比率を調整して塗布することにより、結果として形成される遮光部主面の表面粗さが5A>5Bとなるように制御する。
次に、遮光部5が形成された第2の基部3の上に、第1の基部2を形成するための紫外線硬化型の樹脂材料16を適量付与する。さらに、第1の基部2の平坦面の形状を転写成形するための型板15で樹脂材料16を押圧してゆき、隙間が生じないように遮光部5が形成された第2の基部3と型板15との間に樹脂材料16を充填してゆく。尚、型板15は紫外線を透過させる透明材料より成り、樹脂材料16と接する成形面は平坦面である。
樹脂材料16の充填が完了したら、図11(b)に示すように、紫外光源13から紫外線を照射し、紫外線硬化型の樹脂材料16を硬化させる。紫外線の照射が完了したら、図11(c)に示すように、型板15から離型する。更に、樹脂材料の硬化を完全なものとするため、オーブン内にセットして加熱処理してもよい。
以上説明した製造方法の第1の例により、実施形態に係る密着二層型のルーバ23を製造することができる。この例では、金型を用いて、中心線Cに近い側の主面である5Aの下地となる第2の基部3の3b面に、表面粗さRaが20nm以上かつ2000nm以下の表面形状を転写する。そして、3b面の上から、表側の表面粗さが下地の表面粗さよりも小さくなるように溶媒の含有比率を調整した塗料を塗布することにより、主面の表面粗さが5A>5Bとなる遮光部を形成した。
(第2の例)
次に、図12(a)~図12(d)、および図13(a)~図13(c)を参照して、本実施形態に係るルーバの製造方法の第2の例について説明する。第2の例では、基板1を基部2側に配置する構成とし、金型を用いて、図5(b)に示す基部2の2b面を基板1の上に先に形成する点が、上述した第1の例と異なる。
第2の例では、まず、図12(a)に示すように、基板1の上に、第1の基部2を形成するための紫外線硬化型の樹脂材料11を適量付与する。
次に、図12(b)に示すように、第1の基部2の形状を転写成形するための金型12で樹脂材料11を押圧してゆき、隙間が生じないように基板1と金型12の間に樹脂材料11を充填してゆく。金型12には、径が異なる複数の同心円状の凹凸部を第1の基部2の主面に成形するためのパターンが形成されている。より詳しくは、金型12において、図5(b)に示す基部2の2b面を成形する面は、2b面の表面粗さRaが20nm以下になるような転写面形状を備えている。尚、金型の転写面形状は、金型に転写面を形成する際の切削加工条件やブラスト加工条件を調整することにより制御することができる。
樹脂材料11の充填が完了したら、図12(c)に示すように、紫外光源13から紫外線を照射し、紫外線硬化型の樹脂材料11を硬化させる。紫外線の照射が完了したら、図12(d)に示すように、基板1と密着して形成された第1の基部2を金型12から離型する。更に、樹脂材料の硬化を完全なものとするため、オーブン内にセットして加熱処理してもよい。このようにして、基部2の2b面は、表面粗さRaが20nm以下に形成される。
次に、図5(b)を参照して説明した第1の基部2の2b面に、遮光部を形成する。具体的には、図13(a)に示すように、径が異なる複数の同心円の中心線Cを回転軸として基板1を回転させ、ディスペンサ14を用いて各同心円の2b面に沿って遮光部5の材料を塗布してゆく。ディスペンサ14を適度に傾けて塗布することにより、2a面を汚すことなく2b面のみに遮光材料を含む塗料を塗布することができる。塗布完了後、オーブン中で加熱・焼成を行い塗料を乾燥・硬化させることにより、第1の基部2に遮光部5が形成される。
この例では、表面粗さRaが20nm以下に形成された第1の基部2の2b面を遮光材が被覆することにより、遮光部5の中心線Cから遠い側の主面である5Bが形成される。このため、5Bの表面形状は、第1の基部2の2b面の表面形状をそのまま反映した形状となり、5Bの表面粗さは20nm以下となる。一方、遮光材を塗布した時点で露出している表側の面(下地である第1基部2の反対側の面)の表面形状は、ディスペンサ14を用いて塗布する際の条件により制御が可能である。例えば、塗料における溶媒の含有比率を小さくして塗料の粘度を大きくすると、表側の表面形状が下地の表面形状とは異なったものとなる傾向がある。あるいは、塗料を塗布した後の乾燥条件を変える(例えば、エアブローの有無など)ことにより、表側の表面形状を制御することも可能である。この例では、表側の表面粗さが、下地の表面粗さよりも大きくなるように溶媒の含有比率を調整して塗布することにより、結果として形成される遮光部主面の表面粗さを5A>5Bとすることができる。
次に、遮光部5が形成された第1の基部2の上に、第2の基部3を形成するための紫外線硬化型の樹脂材料16を適量付与する。さらに、第2の基部3の平坦面形状を転写成形するための型板15で樹脂材料16を押圧してゆき、隙間が生じないように遮光部5が形成された第1の基部2と型板15との間に樹脂材料16を充填してゆく。尚、型板15は紫外線を透過させる透明材料より成り、樹脂材料16と接する成形面は平坦面である。
樹脂材料16の充填が完了したら、図13(b)に示すように、紫外光源13から紫外線を照射し、紫外線硬化型の樹脂材料16を硬化させる。紫外線の照射が完了したら、図13(c)に示すように、型板15から離型する。更に、樹脂材料の硬化を完全なものとするため、オーブン内にセットして加熱処理してもよい。
以上説明した製造方法の第2の例により、実施形態に係る密着二層型のルーバ23を製造することができる。この例では、金型を用いて、中心線Cから遠い側の主面である5Bの下地となる第1の基部2の2b面に、表面粗さRaが20nm以下の表面形状を転写する。そして、2b面の上から、表側の表面粗さが下地の表面粗さよりも大きくなるように溶媒の含有比率を調整した塗料を塗布することにより、主面の表面粗さが5A>5Bとなる遮光部を形成した。
実施形態に係るルーバをヘッドマウントディスプレイに実装すれば、損失や乱れが抑制された状態で表示光をユーザの眼に伝播可能であるとともに、外光やヘッドマウントディスプレイ内の迷光がユーザの眼に入るのを抑制することが可能である。
[実施例]
以下に、具体的な実施例と比較例を挙げる。
実施例の各サンプルは、上述した製造方法の第1の例または第2の例に準じて作成した。また、実施形態で説明した表面粗さの制御方法を応用して、比較例1及び比較例2については主面の表面粗さRaを5A=5Bとし、比較例3については主面の表面粗さRaを5A<5Bとした。
まず、実施例と比較例に関して共通する事項を説明する。
基板1には、ホウ素とシリコンを含有した光学ガラスを用いた。具体的には、(株)オハラ製のS-BSL7を用いて、φ45mmの円形形状の板材を準備した。基部に凹凸部を形成するための金型12は、金属母材上にメッキしたNiP層を精密加工機で切削加工し、所望の凹凸部の反転形状を形成したものを用いた。このとき、高精度な切削加工を行い、金型12の面の表面粗さを調整した。
第1の基部2は、硬化後の屈折率が1.58である紫外線硬化型のアクリル樹脂組成物を用いて形成した。遮光部5は、第1の基部2の同心円の中心を回転中心にして基板1を回転させながら、ディスペンサを用いて遮光部の原料となる塗料を斜め方向から塗布して形成した。ディスペンサを用いたのは、10μm前後の膜厚を形成するのに適切な吐出量を供給できることと、1基板あたり塗布する同心円の数が20本程度と少なく、前後工程との相性が良いためである。塗料は、有機溶剤を用いて原液を希釈して塗布した。その後、80℃のオーブン内で4時間加熱乾燥させた。塗料を乾燥させた後の屈折率は1.68である。
遮光部の平面視の形状は同心円状で、遮光部どうしのピッチP(隣接する遮光部どうしの間隔、あるいは隣接する同心円の半径の差)は1mmとした。また、遮光部5の光軸方向の長さL1は1mmとした。また、遮光部の厚さt(光軸OXの方向から平面視した時の遮光部の幅)は10μmとした。
続いて、第2の基部3を、第1の基部2と同じ紫外線硬化型のアクリル樹脂組成物で形成し、密着二層型のルーバ素子を作製した。
各サンプルの評価は、以下のようにして実施した。外光の影響を受けない暗室内に、評価対象のルーバ素子を設置したヘッドマウントディスプレイを設置し、ヘッドマウントディスプレイを装着した際のユーザの眼に相当する位置にデジタルカメラを設置した。
まず、表示光が遮光部の主面で反射されることにより生じる画質劣化を評価するため、ヘッドマウントディスプレイに1mm四方の白色と黒色の正方形が格子状に並んだチャートを表示し、デジタルカメラで撮影した。データ上の白色表示部と黒色表示部の割合は1:1である。デジタルカメラで撮影された5カ所の白色表示部の光強度平均値を白色表示部強度、5カ所の黒色表示部の光強度平均値を黒色表示部強度とした。
表示光の白色表示部強度に対する黒色表示部強度の割合が、0.01以下のものをA、すなわち優と評価した。表示光の白色表示部に対する黒色表示部の強度の割合が、0.01より大きいものをB、すなわち劣と評価した。
次に、外光あるいは外光が反射した迷光が遮光部の主面で反射されることにより生じる画質劣化を評価するため、LED照明を用いて、外光あるいは外光が反射した迷光を模擬した直径5mmの白色平行光を照射した。白色平行光の照射方向は、ルーバ素子のYZ面に対して45°、60°、75°傾斜した3水準で、ユーザから見て上側後方と横側後方に相当する各2水準で合計6水準照射した。また、白色平行光の照射位置はルーバの中心、及び中心から上方向Zに向かって中心と外周の中間位置、及び中心から外側の横方向Yに向かって中心と外周の中間位置の3カ所に照射した。照射方向及び照射位置の水準は合計18水準である。また白色平行光の単位面積当たりの光強度は、表示パネル21の白色表示時の光強度の100倍とした。表示パネル21に白色表示をさせながらLED照明を点灯した状態でデジタルカメラで撮影した。デジタルカメラで撮影された5カ所の白色表示部の光強度平均値を白色表示部強度とした。その後、表示パネル21を黒色表示としながらLED照明を点灯させて前述した18水準照射し、デジタルカメラで撮影された全面の光強度平均値を不要光強度とした。
表示光の白色表示部強度に対する不要光強度の割合が、0.01以下のものをA、すなわち優と評価し、0.01より大きいものをB、すなわち劣と評価した。
(実施例1)
基部を形成する際に用いる金型12の成形面の表面粗さRaは、8nmとした。金型12により転写成形された第1の基部2の2b面の表面粗さRaは、8nmであった。ディスペンサ14を用いて、2b面に遮光部5の原料である塗料を塗布した。塗料原液を有機溶剤を用いて4倍に希釈したものを塗布した。遮光部の主面のうち5Bは、第1の基部2の2b面の形状を反映して表面粗さRaは8nmであった。遮光部の主面のうち5Aは、表面粗さRaは100nmであった。以上のように、実施例1は、遮光部5の主面の表面粗さRaが、5A>5Bの関係を満足している。
(実施例2)
実施例2は、遮光部5を形成するために用いる塗料を除き、実施例1と同様の製造方法で製造した。実施例2では、塗料原液を有機溶剤を用いて1.5倍に希釈したものを塗布した。遮光部の主面のうち5Bは、第1の基部2の2b面の形状を反映して表面粗さRaは8nmであった。遮光部の主面のうち5Aは、表面粗さRaは1800nmであった。
以上のように、実施例2は、遮光部5の主面の表面粗さRaが、5A>5Bの関係を満足している。
(実施例3)
実施例3は、遮光部5を形成するために用いる塗料を除き、実施例1と同様の製造方法で製造した。実施例3では、塗料原液を有機溶剤を用いて10倍に希釈したものを塗布した。遮光部の主面のうち5Bは、第1の基部2の2b面の形状を反映して表面粗さRaは8nmであった。遮光部の主面のうち5Aは、表面粗さRaは25nmであった。以上のように、実施例3は、遮光部5の主面の表面粗さRaが、5A>5Bの関係を満足している。
(実施例4)
実施例4は、基部を形成する際に用いる金型12の成形面の表面粗さRaを20nmとしたことを除き、実施例1と同様の製造方法で製造した。金型12によりレプリカ成形された第1の基部2の2b面の表面粗さRaは18nmであった。遮光部の主面のうち5Bは、第1の基部2の2b面の形状を反映して表面粗さRaは18nmであった。遮光部の主面のうち5Aは、表面粗さRaは100nmであった。以上のように、実施例4は、遮光部5の主面の表面粗さRaが、5A>5Bの関係を満足している。
(比較例1)
比較例1は、図6(b)を参照して説明した参考形態1の具体例であり、5Aおよび5Bの表面粗さRaを概ね等しくし、かつ平坦性を高く(表面粗さRaを小さく)したものである。5Aおよび5Bの表面粗さRaは、8nmとした。
(比較例2)
比較例2は、図7(a)を参照して説明した参考形態2の具体例であり、5Aおよび5Bの表面粗さRaを概ね等しくし、かつ粗面化(表面粗さRaを大きくした)したものである。5Aおよび5Bの表面粗さRaは、1800nmとした。
(比較例3)
比較例3は、図7(b)を参照して説明した参考形態3の具体例であり、5Bの表面粗さRaを5Aの表面粗さRaよりも大きく(5A<5B)したものである。5Aの表面粗さRaは8nmで、5Bの表面粗さRaは100nmとした。
以下に、実施例および比較例の評価結果をまとめて、表1に示す。
Figure 2023013971000002
実施例1~実施例4のルーバをヘッドマウントディスプレイに実装したところ、損失や乱れが抑制された状態で画像をユーザに表示可能であるとともに、外光や迷光がユーザの眼に入るのを抑制することが可能であった。これに対して、比較例1~比較例3のルーバをヘッドマウントディスプレイに実装したところ、表示光の反射に起因する画質低下と、外光や迷光の散乱に起因する画質低下を、両方同時に抑制できるものはなかった。
[第2実施形態]
(ルーバ本体)
ルーバ本体は、第1の基部2、第2の基部3、および遮光部5を備える。
図3(a)に示すように、第1の基部2についてみれば、ヘッドマウントディスプレイに組付けられたときに表示光IMGの出射側(ユーザの眼の側)になる主面は平坦面である。また、表示光IMGの入射側になる主面(第2の基部3と対向する面)は凹凸部分を有している。また、第2の基部3についてみれば、ヘッドマウントディスプレイに組付けられたときに表示光IMGの入射側になる主面(光学要素22の側)は平坦面であり、表示光IMGの出射側になる主面(第1の基部2と対向する面)は凹凸部分を有している。
尚、基板1として、断面視した時の主面形状が平坦ではない基板を用いた場合には、上述した第1の基部2および第2の基部3の平坦面は、基板1の主面形状にならった形状(非平坦面)とする。
第1の基部2の凹凸部分と第2の基部3の凹凸部分は互いに嵌合あるいは当接しており、第1の基部2と第2の基部3は一体化している。第1の基部2と第2の基部3は、屈折率が実質的に同一の材料から成り、好ましくは同一種類の樹脂材料により形成されている。これらを形成する樹脂材料としては、透過率等の光学特性と信頼性を満足する樹脂材料であれば特に制限は無いが、製造が容易であることから、感光性樹脂材料が好適に用いられる。具体的には、アクリレート系樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが好適に使用される。所定の光学特性を達成するために、この光学樹脂材料には無機微粒子を内添させることも可能である。添加される無機微粒子は、要求される光学特性により選択される。具体的には、酸化ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、インジウム錫酸化物(ITO)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)等が挙げられる。
第1の基部2および第2の基部3が備える凹凸部分は、互いに嵌合あるいは当接が可能で、かつ後述するように遮光部5を所定の位置および所定の向きに形成できる形状であればよい。図3(a)に例示するように、凹凸部分の断面形状としては、三角形を並べた鋸歯形状が好適に用いられるが、それ以外であってもよい。例えば、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、四角形、台形、半円形などを連続的に配置した断面形状が挙げられる。
また、図1における光軸OXの方向から平面視すると、凹凸部は、径が異なる複数の同心円に沿って形成されている。
第1の基部2と第2の基部3が嵌合あるいは当接している部分をZ方向に沿って見ると、第1の基部2と第2の基部3が当接している部分と、第1の基部2と第2の基部3が遮光部5を挟持している部分4とが、交互に配置されているのがわかる。Z方向に沿って見ると、透明な樹脂材料から成る基部と遮光部とが交互に配置されていると言い換えてもよい。尚、ここで言うZ方向は、主面と平行な方向、あるいは中心線Cと直交する方向、あるいは鉛直方向と言い換えることもできる。
図16(b)に、図3(a)の一部を抽出して拡大した断面図を示す。第1の基部2の2a面と第2の基部3の3a面が当接している界面は、同一材料どうしが当接する界面であるため光学的に作用することはなく、この部分は表示光IMGを透過させる窓となる。
一方、第1の基部2の2b面と第2の基部3の3b面の間には、遮光部5が挟まれている。図1における光軸OXの方向から平面視すると、遮光部5は、図3(b)に示すように、径が異なる複数の同心円状に形成されている。ここで、図3(a)は、図3(b)のA-A’線に沿って切った断面に相当する。遮光部5は、図1に示したように、光学要素22に向かう外光25を有効に遮蔽するが、光学要素22からユーザの眼24に向かう表示光IMGを遮蔽しにくい位置・方向に設けられている。
尚、本実施形態において、遮光部5の平面視の形状は、図3(b)に示した複数の同心円に限られるわけではなく、例えば図3(c)に示すようなストライプ形状であってもよい。この場合は、図3(a)は、図3(c)のB-B’線に沿って切った断面に相当する。
図3(a)示すように、本実施形態のルーバ23には、光学要素22の光軸OXと直交する鉛直方向(Z方向)に沿って、複数の遮光部5が繰り返し設けられている。本実施形態のルーバ23は、ユーザの左右の眼を結ぶ方向(Y方向)に対して直交する鉛直方向(Z方向)に沿って見た時、図3(a)示すように、中心線Cに対して上下対称な構造を備えている。
ルーバ23をヘッドマウントディスプレイに実装する際には、中心線Cは、光学部の光軸、すなわち図1に示す光学要素22の光軸OXと略一致するように配置される。言い換えれば、表示パネル21の画面中心とユーザの眼24の位置を結ぶ線上に、遮光部5を構成する複数の同心円の中心、あるいは複数のストライプの中心が配置される。同心円状の遮光部を採用する場合には、表示画像の輝度均一性が優れる利点がある。なお、遮光部の複数の同心円の中心が中心線Cからずれていたとしても、複数の同心円の中心が光軸OXと一致すると、表示画像の輝度均一性が優れる。また、金型成形やディスペンサを用いてルーバを作成する際に、例えば応力が等方的に作用するため歪が小さく、基板を回転させれば容易に遮光材を塗布可能という利点もあり、製造が容易である。
図16(b)に示すように、遮光部どうしの間隔(隣接する同心円の半径の差、あるいはストライプの間隔)をPとし、遮光部の厚さ(光軸OXの方向から平面視した時の遮光部の幅)をtとした時に、t/Pを9%以下にするのが良い(t/P≦9%)。その際、Pは500μm以上かつ2000μm以下の範囲内に設定するのが好ましく、tは0.1μm以上かつ45μm以下の範囲内に設定するのが望ましい。また、遮光部5の光軸方向の長さをL1とすると、L1は1mm以上かつ3mm以下の範囲内に設定するのが望ましい。
というのも、外光に対する十分な遮光性能を確保するには、tを0.1μm以上とするのが望ましく、Pを2000μm以下にするのが好ましく、L1を1mm以上にするのが望ましい。しかし、tを45μm以上にする、あるいはPを500μm以下にする、あるいはL1を3mm以上にすると、遮光部5が表示光IMGを遮る割合が増加し、表示画像が暗くなってしまう。そこで、t、P、L1を上述した範囲内に設定するのが望ましく、特にt/P≦9%とすることで、外光によるゴーストの防止と、表示画像の輝度および均一性の確保とを高いバランスで実現することができる。
尚、遮光部の厚さであるtは、後述する接眼側端面5Cの幅、あるいは表示パネル側端面5Dの幅と言うこともできる。接眼側端面5Cにおける外光の反射、あるいは表示パネル側端面5Dにおける表示光の反射を制御する表面構造を形成するために、tは5μm以上かつ45μm以下の範囲内に設定するのがさらに望ましい。
遮光部5は、外光25の可視光成分が光学要素22に向かうのを遮蔽できれば良いので、可視光を吸収する光吸収性材料か、可視光を反射する光反射性材料を用いて形成することができ、場合によっては、これらの材料を重ねた多層構造にしてもよい。尚、可視光を反射する材料を用いる場合には、反射した外光が迷光にならないように、遮光部5の位置と形状を設定する。
可視光を吸収する材料としては、例えば顔料、染料を含む塗料を適宜選択して用いることができるが、特に光吸収能を高めたい場合には、黒色塗料を選択することが好ましく、耐久性の観点から顔料含有材料を用いることが好ましい。顔料としては、アイボリーブラック、ピーチブラック、ランプブラック、ビチューム、カーボンブラック、黒色アニリン等が挙げられる。これらの中でも、特に、カーボンブラック、黒色アニリンを用いることが好ましい。尚、入射する外光の波長に応じて異なる効果を得るため等の種々の目的で、カラー材料を適宜、使用することも可能である。
遮光部に反射層を形成する場合には、鏡面反射タイプと、拡散反射タイプとがあり得る。鏡面タイプを用いる場合は、表示光IMGの観察に影響を与えない方向に外光を反射させることで、外光ゴーストを抑えることが可能である。鏡面反射タイプの光反射層には、例えば、アルミ、銀、ニッケル、ステンレス、銅、亜鉛、鉄等のメタリック顔料含有材料を用いることが好ましい。アルミ、銀、ニッケル、ステンレス等の微粉末を単独で、又は混合して用いると、銀色の鏡面反射タイプの光反射層が得られる。銅、亜鉛、鉄等の微粉末を単独で、又は混合して用いると金色、赤銅色の鏡面反射タイプの光反射層が得られる。拡散反射タイプを用いる場合は、光量分布を平均化し、外光ゴーストを抑え、明るさムラを抑えることが容易である。拡散反射タイプの光反射層としては、例えば、シルバーホワイト、チタニウムホワイト、ジンクホワイト、アルミパウダー等の顔料含有材料を用いることが好ましい。尚、遮光部の屈折率と透光性の基部の屈折率は、差が0.01以上、かつ0.2以下であることが好ましい。
また、遮光部を形成する方法に特に制限はなく、適宜の製造方法が採用され得る。例えば、第1の基部2および/または第2の基部3の凹凸形状の所定の面に、着色材料を含んだ塗料を塗布する塗布法や、アルミニウム等の金属材料を真空蒸着する方法を用いることができる。塗布法により遮光部5を形成する場合には、接触式と非接触式が有り得る。接触式としては、例えば、レンズ墨塗等でも使用される筆やスポンジ等を用いて塗布する方法がある。非接触式としては、例えば、スプレーやディスペンサを用いて塗布する方法がある。後述するように、ディスペンサで塗布する場合には、第1の基部2および/または第2の基部3の凹凸部の所定の面に向けて斜め方向から塗料を付与することにより、環状の遮光部を形成することが出来る。
(遮光部の表面粗さ)
図16(a)を参照して、本実施形態の特徴の一つである遮光部5の表面粗さについて説明する。図16(b)は、図3(a)の断面図をさらに詳細に示した図である。尚、以下の説明において、例えばXプラス方向と記す場合には、図示の座標系におけるX軸矢印が指すのと同じ方向を指し、Xマイナス方向と記す場合には、図示の座標系におけるX軸矢印が指すのと180度反対の方向を指すものとする。X以外の方向についても、同様とする。
本実施形態のルーバ23には、複数の遮光部5が配置されているが、各々の遮光部5において、中心線Cに近い側の主面を5Aとし、中心線Cと反対側の主面を5Bとする。言い換えれば、透光性材料より成る基部と接する遮光部5の表面のうち、基部の中心側の表面を5A(第1表面)と呼び、基部の外縁側の表面を5B(第2表面)と呼ぶこともできる。
また、各々の遮光部5において、Xマイナス方向側の端部側面を5Cとし、Xプラス方向側の端部側面を5Dとする。遮光部5において、5Cを接眼側端面(第3表面)と、5Dを表示パネル側端面(第4表面)と、それぞれ呼ぶこともできる。
本実施形態に係るルーバ23は、遮光部5において、接眼側端面5C(Xマイナス方向側の端部側面)の表面粗さRaが20nm未満であるという特徴を備えている。図17(a)~、図18(b)を参照して、本実施形態において、遮光部5の接眼側端面5Cの表面粗さRaを20nm未満とする理由について、詳しく説明する。説明および図示の便宜のため、図17(a)~図18(b)の拡大断面図では、ルーバ本体の一部のみを模式的に示している。
図17(a)は、実施形態2Aとして、遮光部5の接眼側端面5Cを、表面粗さRaが20nm未満の平坦性が高い面とし、表示パネル側端面5Dを、接眼側端面5Cよりも表面粗さRaが大きな粗面にした構造を示している。図17(b)は、実施形態2Bとして、遮光部5の接眼側端面5Cと表示パネル側端面5Dを、ともに表面粗さRaが20nm未満の平坦性が高い面とした構造を示している。図18(a)は、参考形態4として、遮光部5の接眼側端面5Cと表示パネル側端面5Dを、ともに表面粗さRaが20nm以上の平坦性が低い粗面とした構造を示している。図18(b)は、参考形態5として、遮光部5の接眼側端面5Cを、表面粗さRaが20nm以上の平坦性が低い粗面とし、表示パネル側端面5Dを、接眼側端面5Cよりも表面粗さRaが小さな平坦性の高い面にした構造を示している。尚、実施形態と参考形態においては、ルーバ23の中心線Cに近い側の主面である5Aと、中心線Cと反対側の主面である5Bの表面粗さについては、どの形態も同一とし、接眼側端面5Cと表示パネル側端面5Dの影響のみを比較できるようにしている。
図16(b)に示したように、遮光部5は、光軸Cに沿って見た時にtの厚さを有する。このため、ヘッドマウントディスプレイの筐体内に侵入する外光OLが、接眼側端面5Cに照射され得る。また、表示光の一部である表示光IMG2が、表示パネル側端面5Dに照射され得る。外光OLは、表示光IMG2に比べて光強度が高い場合があるうえ、接眼側端面5Cにおける1回の反射でユーザの眼に到達する可能性があるので、画質に与える影響が大きい。
ルーバを使用する際には、外光の中で低い入射角の成分はユーザの頭部により遮られるため、筐体内に侵入してくる外光OLはルーバに対して高い入射角を有する成分となる。
実施形態2Aおよび実施形態2Bのルーバ23では、接眼側端面5Cを、表面粗さRaが20nm未満の高い平坦性を有する面にしている。そのため、図17(a)あるいは図17(b)に示されるように、高い入射角で遮光部5の接眼側端面5Cに照射された外光OLは、反射光OLRとしてユーザの眼に届かない方向に反射される。すなわち、実施形態1および実施形態2では、外光OLの反射によるフレアやゴーストの発生などの画質低下を抑制することができる。
さらに、実施形態2Aおよび実施形態2Bについて、表示パネル側端面5Dに照射される表示光IMG2の影響について検討する。実施形態1では、表示パネル側端面5Dは、表面粗さRaが20nm以上の粗面としているため、図17(a)に示すように表示光IMG2は散乱光として反射される。散乱光ではそれぞれの方向に反射される光強度は弱いため、たとえ光学要素22等により再反射されてユーザの眼に向かうような光路が存在したとしても、その光強度は弱く、ゴーストやコントラスト低下等の画質低下が生じることは抑制される。これに対して、実施形態2Bでは、表示パネル側端面5Dは、表面粗さRaが20nm未満の平坦性が高い面としているため、図17(b)に示すように表示光IMG2は正反射され得る。いずれかの遮光部5において、正反射された光が光学要素22等により再反射されてIMG2Rのようにユーザの眼に向かうような配置関係になっている場合には、ゴーストやコントラストの低下などの影響を発生させる可能性がある。実施形態2Aと実施形態2Bは、ともに外光OLによるフレアやゴーストの発生などを抑制することができるが、実施形態2Aはさらに表示光に起因するゴーストやコントラスト低下等の画質劣化を抑制する効果が高いと言える。
次に、参考形態4および参考形態5のルーバ23について、接眼側端面5Cに照射される外光OLの影響を検討する。参考形態4および参考形態5では、接眼側端面5Cを表面粗さが20nm以上である平坦性が低い粗面にしている。このため、図18(a)あるいは図18(b)に示されるように、接眼側端面5Cに照射された外光OLは、散乱光OLDとして広範囲に反射される。前述したように、外光は光強度が高い場合が多いので、たとえ散乱光であっても、その一部がユーザの眼に届くとフレアやゴーストとして表示画質を低下させてしまう要因になる。このため、参考形態4および参考形態5は、実施形態2Aおよび実施形態2Bと比較して、ユーザにとって実用上の画質が低いものとなる。
また、表示パネル側端面5Dに照射される表示光IMG2の影響については、実施形態2Aおよび実施形態2Bについて説明したのと同様の事が言える。したがって、参考形態4と参考形態5は、ともに外光OLによるフレアやゴーストが実施形態2Aおよび実施形態2Bよりも大きく発生し、参考形態5はさらに表示光に起因するゴーストやコントラスト低下等の画質劣化が発生しやすいと言える。
以上説明したように、図17(a)、図17(b)に示した実施形態によれば、外光が接眼側端面5Cにより散乱されてフレア等が発生するのを抑制することができる。他方で、図18(a)、図18(b)に示した参考形態では、外光が接眼側端面5Cにより散乱されるので、フレア等が発生するのを抑制することはできない。また、図17(a)の形態では、外光が接眼側端面5Cにより散乱されてフレア等が生じるのを抑制することに加えて、表示光が表示パネル側端面5Dにより反射されてゴーストやコントラスト低下が低下してしまうことを抑制できる。
尚、中心線Cに近い側の主面である5A(第1表面)と、中心線Cと反対側の主面である5B(第2表面)について付記すると、第1表面の表面粗さRaを第2表面の表面粗さRaよりも大きくするのが望ましい。(5A>5B)。ヘッドマウントディスプレイの筐体内に侵入する外光や、外光が筐体内で反射して生じる迷光は、中心線Cから遠い側の主面である5Bを照射する可能性が高い。このため、5B(第2表面)の表面粗さRaが大きいと、散乱光が生じてユーザの眼に到達し易くなるのである。したがって、実施形態においては、接眼側端面5C(第3表面)を、表面粗さRaが20nm未満の平坦性が高い面にするだけでなく、5A(第1表面)の表面粗さRaを5B(第2表面)の表面粗さRaよりも大きくするのが望ましい。具体的には、5A(第1表面)の表面粗さRaは、20nm以上かつ2000nm以下とするのが良い。また、5B(第2表面)の表面粗さRaは、20nm以下とするのが良い。
ここで、中心線Cに近い側の主面である5Aについて好ましい態様を述べるならば、5Aの表面粗さRaは、20nm以上、かつ2000nm以下とするのがよい。表示光を散乱させる散乱能を達成するためには表面粗さRaを20nm以上とするのがよいが、2000nmを超えると、製造が簡単ではなくなるからである。また、中心線Cから遠い側の主面である5Bについて好ましい態様を述べるならば、5Bの表面粗さRaは、20nm以下とするのがよい。外光あるいは迷光を散乱させずに、ユーザの眼に届かない方向に反射させるためである。
次に、接眼側端面5C(第3表面)と表示パネル側端面5D(第4表面)の表面粗さRaを測定する方法を説明する。尚、以下に説明する測定方法は一例であり、これ以外の方法で表面粗さRaを測定しても差し支えない。
図3(b)に示した同心円状の遮光部5を設けたルーバの場合は、まず、図19(a)に示すように、接眼側端面5C(第3表面)が正対観察できる向きにルーバ23をセットし、第1の基部2の樹脂を通して接眼側端面5Cを観察する。具体的には、ZYGO社製の白色干渉計Newview8300を用いて、対物レンズ倍率10倍で、約0.2mm四方の領域について表面粗さRaを測定した。測定対象の接眼側端面5Cについて、例えば5箇所の表面粗さRaを測定し、その平均値を当該サンプルの表面粗さRaとした。
同様に、図19(b)に示すように、表示パネル側端面5D(第4表面)が正対観察できる向きにルーバ23をセットし、第2の基部3の樹脂を通して表示パネル側端面5Dを観察する。観察の具体的な方法は、図19(a)の説明と同様である。
また、図3(c)に示したストライプ状の遮光部5を設けたルーバの場合は、まず、図20(a)に示すように、接眼側端面5C(第3表面)が正対観察できる向きにルーバ23をセットし、第1の基部2の樹脂を通して接眼側端面5Cを観察する。具体的には、ZYGO社製の白色干渉計Newview8300を用いて、対物レンズ倍率10倍で、約0.2mm四方の領域について表面粗さRaを測定した。測定対象の接眼側端面5Cについて、例えば5箇所の表面粗さRaを測定し、その平均値を当該サンプルの表面粗さRaとした。
同様に、図20(b)に示すように、表示パネル側端面5D(第4表面)が正対観察できる向きにルーバ23をセットし、第2の基部3の樹脂を通して表示パネル側端面5Dを観察する。観察の具体的な方法は、図20(a)の説明と同様である。
(ルーバの製造方法)
次に、本実施形態に係るルーバの製造方法について説明する。
本実施形態に係る製造方法では、ルーバの遮光部の表面粗さを制御する1つの方法として、遮光部の下地となる基部を樹脂材料を用いて形成する際に、基部の表面粗さが所定の表面粗さになるよう制御する。基部の表面粗さは、金型を用いて基部を転写成形する際の成形条件、すなわち樹脂材料の種類、射出時の樹脂材料の温度、保圧条件、等により制御することができる。尚、基部を転写成形する際に用いられる金型の成形面の表面粗さは、ルーバの遮光部の表面粗さを制御するパラメータとして特に有用である。
また、本実施形態に係る製造方法では、ルーバの遮光部の表面粗さを制御する1つの方法として、遮光性の材料を所定の条件で基部に被覆することにより制御する。所定の条件には、例えば液相塗布や真空成膜などの被覆方法や被覆装置の選択が含まれる。液相塗布の場合には、所定の条件には、例えば、塗料の物性(粘性、温度、添加物など)、塗布方法(ディスペンサ、インクジェット、コータなど)、乾燥方法(自然、エアブロー、オーブンなど)が含まれる。尚、塗料に含まれる溶媒の量は、ルーバの遮光部の表面粗さを制御するパラメータとして特に有用である。
ルーバの遮光部の表面粗さを制御するこれらの方法は、適宜に組み合わせたり、適宜に条件を変更して、実施することができる。
(第1の例)
図10(a)~図10(d)、および図11(a)~図11(c)を参照して、本実施形態に係るルーバの製造方法の第1の例について説明する。
まず、図10(a)に示すように、基板1の上に、第2の基部3を形成するための紫外線硬化型の樹脂材料11を適量付与する。
次に、図10(b)に示すように、第2の基部3の形状を転写成形するための金型12で樹脂材料11を押圧してゆき、隙間が生じないように基板1と金型12の間に樹脂材料11を充填してゆく。金型12には、径が異なる複数の同心円状の凹凸部を第2の基部3の主面に成形するためのパターンが形成されている。金型12の成形面は、遮光部5の表示パネル側端面5Dを所望の表面粗さで形成するための下地が第2の基部3に転写されるように構成される。例えば、図17(a)に示した実施形態2Aの場合は、遮光部5の表示パネル側端面5Dの表面粗さRaを20nm以上とするため、その下地部分である第2の基部3に表面粗さRaが20nm以上の面が転写されるように金型成形面は構成される。尚、金型の成形面形状は、金型に成形面を形成する際の切削加工条件やブラスト加工条件を調整することにより制御することができる。
樹脂材料11の充填が完了したら、図10(c)に示すように、紫外光源13から紫外線を照射し、紫外線硬化型の樹脂材料11を硬化させる。紫外線の照射が完了したら、図10(d)に示すように、基板1と密着して形成された第2の基部3を金型12から離型する。更に、樹脂材料の硬化を完全なものとするため、オーブン内にセットして加熱処理してもよい。このようにして、遮光部5の表示パネル側端面5Dの下地となる部分には、所定の表面粗さの下地面が形成される。
次に、図16(b)を参照して説明した第2の基部3の3b面に、遮光部を形成する。具体的には、図11(a)に示すように、径が異なる複数の同心円の中心線Cを回転軸として基板1を回転させ、ディスペンサ14を用いて各同心円の3b面に沿って遮光部5の材料を塗布してゆく。ディスペンサ14を適度に傾けて塗布することにより、3a面を汚すことなく3b面のみに遮光材料を含む塗料を塗布することができる。塗布完了後、オーブン中で加熱・焼成を行い塗料を乾燥・硬化させることにより、第2の基部3に遮光部5が形成される。
この例では、所定の表面粗さの下地面を遮光材が被覆することにより、遮光部5には所定の表面粗さの表示パネル側端面5Dが形成される。一方、遮光材を塗布した時点で露出している表側の面(接眼側端面5C)の表面形状は、ディスペンサ14を用いて塗布する際の条件により制御が可能である。
例えば、遮光部を形成する塗料において溶媒の含有比率を高めて塗料の粘度を小さくすると、薄い塗膜を形成できるため、表側の表面形状は下地の表面形状を比較的忠実に反映したものとなる。一方、塗料における溶媒の含有比率を小さくして塗料の粘度を大きくすると、表側の表面形状が下地の表面形状とは異なったものとなる傾向がある。あるいは、塗料を塗布した後の乾燥条件を変える(例えば、エアブローの有無など)ことにより、表側の表面形状を制御することも可能である。この例では、表側の表面粗さが、下地の表面粗さよりも小さくなるように溶媒の含有比率を調整して塗布することにより、表面粗さが小さく高い平坦性を有する接眼側端面5Cが形成されるように制御する。
次に、遮光部5が形成された第2の基部3の上に、第1の基部2を形成するための紫外線硬化型の樹脂材料16を適量付与する。さらに、第1の基部2の平坦面の形状を転写成形するための型板15で樹脂材料16を押圧してゆき、隙間が生じないように遮光部5が形成された第2の基部3と型板15との間に樹脂材料16を充填してゆく。尚、型板15は紫外線を透過させる透明材料より成り、樹脂材料16と接する成形面は平坦面である。
樹脂材料16の充填が完了したら、図11(b)に示すように、紫外光源13から紫外線を照射し、紫外線硬化型の樹脂材料16を硬化させる。紫外線の照射が完了したら、図11(c)に示すように、型板15から離型する。更に、樹脂材料の硬化を完全なものとするため、オーブン内にセットして加熱処理してもよい。
以上説明した製造方法の第1の例により、実施形態に係る密着二層型のルーバ23を製造することができる。
(第2の例)
次に、図12(a)~図12(d)、および図13(a)~図13(c)を参照して、本実施形態に係るルーバの製造方法の第2の例について説明する。第2の例では、基板1を基部2側に配置する構成とし、金型を用いて、図16(b)に示す基部2の2b面を基板1の上に先に形成する点が、上述した第1の例と異なる。
第2の例では、まず、図12(a)に示すように、基板1の上に、第1の基部2を形成するための紫外線硬化型の樹脂材料11を適量付与する。
次に、図12(b)に示すように、第1の基部2の形状を転写成形するための金型12で樹脂材料11を押圧してゆき、隙間が生じないように基板1と金型12の間に樹脂材料11を充填してゆく。金型12には、径が異なる複数の同心円状の凹凸部を第1の基部2の主面に成形するためのパターンが形成されている。金型12の成形面は、遮光部5の接眼側端面5Cを所望の表面粗さで形成するための下地が第1の基部2に転写されるように構成される。例えば、図17(a)に示した実施形態2Aの場合は、遮光部5の接眼側端面5Cの表面粗さRaを20nm未満とするため、その下地部分である第1の基部2に表面粗さRaが20nm未満の面が転写されるように金型成形面は構成される。尚、金型の成形面形状は、金型に成形面を形成する際の切削加工条件やブラスト加工条件を調整することにより制御することができる。
樹脂材料11の充填が完了したら、図12(c)に示すように、紫外光源13から紫外線を照射し、紫外線硬化型の樹脂材料11を硬化させる。紫外線の照射が完了したら、図12(d)に示すように、基板1と密着して形成された第1の基部2を金型12から離型する。更に、樹脂材料の硬化を完全なものとするため、オーブン内にセットして加熱処理してもよい。このようにして、接眼側端面5Cの下地となる部分の基部2の面は、表面粗さRaが20nm未満に形成される。
次に、図16(b)を参照して説明した第1の基部2の2b面に、遮光部を形成する。具体的には、図13(a)に示すように、径が異なる複数の同心円の中心線Cを回転軸として基板1を回転させ、ディスペンサ14を用いて各同心円の2b面に沿って遮光部5の材料を塗布してゆく。ディスペンサ14を適度に傾けて塗布することにより、2a面を汚すことなく2b面のみに遮光材料を含む塗料を塗布することができる。塗布完了後、オーブン中で加熱・焼成を行い塗料を乾燥・硬化させることにより、第1の基部2に遮光部5が形成される。
この例では、表面粗さRaが20nm未満に形成された下地面を遮光材が被覆することにより、接眼側端面5Cの表面形状は、下地面の表面形状をそのまま反映した形状となり、接眼側端面5Cの表面粗さは20nm未満となる。一方、遮光材を塗布した時点で露出している表側の面(表示パネル側端面5D)の表面形状は、ディスペンサ14を用いて塗布する際の条件により制御が可能である。例えば、塗料における溶媒の含有比率を小さくして塗料の粘度を大きくすると、表側の表面形状が下地の表面形状とは異なったものとなる傾向がある。あるいは、塗料を塗布した後の乾燥条件を変える(例えば、エアブローの有無など)ことにより、表側の表面形状を制御することも可能である。この例では、表側の表面粗さが、下地の表面粗さよりも大きくなるように溶媒の含有比率を調整して塗布することにより、結果として形成される遮光部の表示パネル側端面5Dの表面粗さRaを20nm以上とすることができる。
次に、遮光部5が形成された第1の基部2の上に、第2の基部3を形成するための紫外線硬化型の樹脂材料16を適量付与する。さらに、第2の基部3の平坦面形状を転写成形するための型板15で樹脂材料16を押圧してゆき、隙間が生じないように遮光部5が形成された第1の基部2と型板15との間に樹脂材料16を充填してゆく。尚、型板15は紫外線を透過させる透明材料より成り、樹脂材料16と接する成形面は平坦面である。
樹脂材料16の充填が完了したら、図13(b)に示すように、紫外光源13から紫外線を照射し、紫外線硬化型の樹脂材料16を硬化させる。紫外線の照射が完了したら、図13(c)に示すように、型板15から離型する。更に、樹脂材料の硬化を完全なものとするため、オーブン内にセットして加熱処理してもよい。
以上説明した製造方法の第2の例により、実施形態に係る密着二層型のルーバ23を製造することができる。この例では、金型を用いて、接眼側端面5Cの下地となる第1の基部2に、表面粗さRaが20nm未満の表面形状を転写する。そして、下地の上に遮光材の塗料を塗布することにより、接眼側端面5Cの表面粗さRaが20nm未満の遮光部5を形成した。
実施形態に係るルーバをヘッドマウントディスプレイに実装すれば、損失や乱れが抑制された状態で表示光をユーザの眼に伝播可能であるとともに、外光やヘッドマウントディスプレイ内の迷光がユーザの眼に入るのを抑制することが可能である。
[実施例]
以下に、具体的な実施例と比較例を挙げる。実施例の各サンプルは、上述した製造方法の第2の例に準じて作成した。まず、実施例と比較例に関して共通する事項を説明する。
基板1には、ホウ素とシリコンを含有した光学ガラスを用いた。具体的には、(株)オハラ製のS-BSL7を用いて、φ45mmの円形形状の板材を準備した。基部に凹凸部を形成するための金型12は、金属母材上にメッキしたNiP層を精密加工機で切削加工し、所望の凹凸部の反転形状を形成したものを用いた。このとき、高精度な切削加工を行い、金型12の面の表面粗さを調整した。
第1の基部2は、硬化後の屈折率が1.58である紫外線硬化型のアクリル樹脂組成物を用いて形成した。遮光部5が環状の場合は、第1の基部2の同心円の中心を回転中心にして基板1を回転させながら、ディスペンサを用いて遮光部の原料となる塗料を斜め方向から塗布して形成した。また、遮光部5がストライプ状の場合は、第1の基部2とディスペンサを直線に沿って相対的に走査させながら、遮光部の原料となる塗料を斜め方向から塗布して形成した。ディスペンサを用いたのは、10μm前後の膜厚を形成するのに適切な吐出量を供給できることと、1基板あたり形成する遮光部5の数が20本程度と少なく、前後工程との相性が良いためである。塗料は、有機溶剤を用いて原液を希釈して塗布した。その後、80℃のオーブン内で4時間加熱乾燥させた。
実施例5~8、10~11及び比較例4の遮光部の平面視の形状は同心円状で、遮光部どうしのピッチP(隣接する遮光部どうしの間隔、あるいは隣接する同心円の半径の差)は1mmとした。また、遮光部5の光軸方向の長さL1は1mmとした。また、遮光部の厚さt(光軸OXの方向から平面視した時の遮光部の幅)は10μmとした。また、実施例9の遮光部の平面視の形状は、図3(a)に示すような平行なストライプとした。
続いて、第2の基部3を、第1の基部2と同じ紫外線硬化型のアクリル樹脂組成物で形成し、密着二層型のルーバ素子を作製した。
各サンプルの評価は、以下のようにして実施した。外光の影響を受けない暗室内に、評価対象のルーバ素子を設置したヘッドマウントディスプレイを設置し、ヘッドマウントディスプレイを装着した際のユーザの眼に相当する位置にデジタルカメラを設置した。
まず、表示光が遮光部の主面および表示パネル側端面5Dで反射されることにより生じる画質劣化を評価するため、ヘッドマウントディスプレイに1mm四方の白色と黒色の正方形が格子状に並んだチャートを表示し、デジタルカメラで撮影した。データ上の白色表示部と黒色表示部の割合は1:1である。デジタルカメラで撮影された5カ所の白色表示部の光強度平均値を白色表示部強度、5カ所の黒色表示部の光強度平均値を黒色表示部強度とした。
表示光の白色表示部強度に対する黒色表示部強度の割合が、0.01以下のものをA、すなわち優と評価した。表示光の白色表示部に対する黒色表示部の強度の割合が、0.01より大きいものをB、すなわち劣と評価した。
次に、外光あるいは外光が反射した迷光が遮光部の端面(特に接眼側端面5C)で反射されることにより生じる画質劣化を評価するため、LED照明を用いて、外光あるいは外光が反射した迷光を模擬した直径5mmの白色平行光を照射した。白色平行光の照射方向は、ルーバ素子のYZ面に対して45°、60°、75°傾斜した3水準で、ユーザから見て上側後方と横側後方に相当する各2水準で合計6水準照射した。また、白色平行光の照射位置はルーバの中心、及び中心から上方向Zに向かって中心と外周の中間位置、及び中心から外側の横方向Yに向かって中心と外周の中間位置の3カ所に照射した。照射方向及び照射位置の水準は合計18水準である。また白色平行光の単位面積当たりの光強度は、表示パネル21の白色表示時の光強度の100倍とした。表示パネル21に白色表示をさせながらLED照明を点灯した状態でデジタルカメラで撮影した。デジタルカメラで撮影された5カ所の白色表示部の光強度平均値を白色表示部強度とした。その後、表示パネル21を黒色表示としながらLED照明を点灯させて前述した18水準照射し、デジタルカメラで撮影された全面の光強度平均値を不要光強度とした。
表示光の白色表示部強度に対する不要光強度の割合が、0.01以下のものをA、すなわち優と評価し、0.01より大きいものをB、すなわち劣と評価した。
(実施例5)
基部を形成する際に用いる金型12の成形面のうち、接眼側端面5Cの下地となる部分の表面粗さRaは、8nmとした。金型12により転写成形された第1の基部2の接眼側端面5Cの下地となる部分の表面粗さRaは、8nmであった。ディスペンサ14を用いて、遮光部5の原料である塗料を塗布した。塗料原液を有機溶剤を用いて4倍に希釈したものを塗布した。接眼側端面5Cの表面粗さRaは、8nmであった。また、表示パネル側端面5Dの表面粗さRaは、100nmであった。中心線Cに近い側の主面5Aおよび中心線Cと反対側の主面5Bの表面粗さRaは、いずれも8nmであった。
(実施例6)
実施例6は、遮光部5を形成するために用いる塗料を除き、実施例5と同様の製造方法で製造した。実施例6では、塗料原液を有機溶剤を用いて1.5倍に希釈したものを塗布した。実施例5と同様に、接眼側端面5Cの表面粗さRaは、8nmであった。また、塗料の希釈倍率を変更した結果、表示パネル側端面5Dの表面粗さRaは、9000nmであった。中心線Cに近い側の主面5Aおよび中心線Cと反対側の主面5Bの表面粗さRaは、いずれも8nmであった。
(実施例7)
実施例7は、遮光部5を形成するために用いる塗料を除き、実施例5と同様の製造方法で製造した。実施例7では、塗料原液を有機溶剤を用いて10倍に希釈したものを塗布した。実施例5と同様に、接眼側端面5Cの表面粗さRaは、8nmであった。また、塗料を希釈倍率を変更した結果、表示パネル側端面5Dの表面粗さRaは、25nmであった。中心線Cに近い側の主面5Aおよび中心線Cと反対側の主面5Bの表面粗さRaは、いずれも8nmであった。
(実施例8)
実施例8は、基部を形成する際に用いる金型12の成形面のうち、接眼側端面5Cの下地となる部分の表面粗さRaを20nmとしたことを除き、実施例5と同様の製造方法で製造した。金型12により転写成形された第1の基部2の接眼側端面5Cの下地となる部分の表面粗さRaは、18nmであった。塗布により形成された接眼側端面5Cの表面粗さRaは、18nmであった。また、表示パネル側端面5Dの表面粗さRaは、100nmであった。中心線Cに近い側の主面5Aおよび中心線Cと反対側の主面5Bの表面粗さRaは、いずれも8nmであった。
(実施例9)
実施例9は、基部を形成する際に用いる金型12の凹凸形状をストライプ形状としたことを除き、実施例5と同様の製造方法で製造した。実施例5と同様に、接眼側端面5Cの表面粗さRaは、8nmであった。また、表示パネル側端面5Dの表面粗さRaは、100nmであった。中心線Cに近い側の主面5Aおよび中心線Cと反対側の主面5Bの表面粗さRaは、いずれも8nmであった。
(実施例10)
実施例10は、基部を形成する際に用いる金型12の成形面のうち、中心線Cに近い側の主面5Aの下地となる部分の表面粗さRaを100nmとしたことを除き、実施例5と同様の製造方法で製造した。実施例5と同様に、接眼側端面5Cの表面粗さRaは8nm、表示パネル側端面5Dの表面粗さRaは100nm、中心線Cと反対側の主面5Bの表面粗さRaは8nmであったが、中心線Cに近い側の主面5Aの表面粗さRaは100nmであった。
(実施例11)
実施例11は、塗料の希釈倍率を実施例7よりもさらに大きくしたことを除き、実施例7と同様の製造方法で製造した。実施例7と同様に、接眼側端面5Cの表面粗さRaは、8nmであった。また、塗料を希釈倍率を変更した結果、表示パネル側端面5Dの表面粗さRaは、8nmであった。中心線Cに近い側の主面5Aおよび中心線Cと反対側の主面5Bの表面粗さRaは、いずれも8nmであった。
(比較例4)
比較例4は、図18(a)を参照して説明した参考形態4の具体例であり、接眼側端面5Cの表面粗さRaを100nmと粗面化したことを除き、実施例5と同様の製造方法で製造した。すなわち、基部を形成する際に用いる金型12の成形面のうち、接眼側端面5Cの下地となる部分の表面粗さRaを、100nmとして、基部を作成した。比較例4の接眼側端面5Cの表面粗さRaは、各実施例よりも大きく、100nmであった。
以下に、実施例および比較例の評価結果をまとめて、表2に示す。
Figure 2023013971000003
実施例5~実施例11のルーバをヘッドマウントディスプレイに実装したところ、画質への影響が大きな接眼側端面5Cで反射された外光が、ユーザの眼に入るのを抑制することが可能であった。また、実施例5~実施例10では、表示パネル側端面5Dで反射された表示光によりコントラスト低下等が生じるのが抑制された。また、実施例10では、中心線Cに近い側の主面5Aの表面粗さを中心線Cと反対側の主面5Bの表面粗さRaよりも大きくすることにより、これらの主面で反射された外光等の影響を抑制する効果も合わせて得ることができた。これに対して、比較例4のルーバをヘッドマウントディスプレイに実装したところ、画質への影響が大きな接眼側端面5Cで反射された外光の一部がユーザの眼に入りやすい傾向が有り、画質低下が観測された。
[第3実施形態]
(ルーバ本体)
第3実施形態は、ルーバ23が側面2Dに第2の遮光部30を有する点が第1実施形態及び第2実施形態と異なる。第3実施形態における第1の遮光部である遮光部5の形状は、第1実施形態及び第2実施形態と異なっていても良い。ただし、遮光部5は、第1実施形態のように中心線Cに近い側の主面である5Aの表面粗さRaを、中心線Cと反対側の主面である5Bの表面粗さRaよりも大きくすることが好ましい。また、遮光部5は、第2実施形態のように、接眼側端面5Cの表面粗さRaを20nm未満とすることが好ましい。
図21(a)は、第3実施形態に係る板状のルーバ23を主面と垂直な方向に切断した断面を示す模式的断面図である。ルーバ23の側面2Dには第2の遮光部30が形成されている。第2の遮光部30は側面2Dのすべてを覆って形成されていることが望ましい。また、ルーバの第1の基部2の接眼側の面2Cの一部を覆って形成されていることが望ましい。
第2の遮光部30の厚みは0.1μm以上かつ45μm以下の範囲内に設定するのが望ましい。0.1μm以上の厚みは外光に対する十分な遮光性能を確保するためであり、45μm以下の厚みは素子の外形精度を良好に保つためである。
実施形態3Aでは、図23(a)に示すようにルーバ23の接眼側の面2Cの外周を覆うように第2の遮光部30が形成されている。第2の遮光部30がルーバ23の接眼側の面2Cを覆う幅Mは0.01mm以上かつ1mm以下の範囲であることが望ましい。0.01mm未満であると外周を十分に覆うことが製造上難しく、1mmを超えるとルーバの光学有効域が狭くなるおそれがあるためである。
第2の遮光部30は、可視光を吸収する光吸収性材料を用いて形成される。第2の遮光部30に用いられる光吸収材料は、素子内部の遮光部5と同じでもよいし、違うものでも構わない。
可視光を吸収する材料としては、例えば顔料、染料を含む塗料を適宜選択して用いることができるが、特に光吸収能を高めたい場合には、黒色塗料を選択することが好ましく、耐久性の観点から顔料含有材料を用いることが好ましい。顔料としては、アイボリーブラック、ピーチブラック、ランプブラック、ビチューム、カーボンブラック、黒色アニリン等が挙げられる。これらの中でも、特に、カーボンブラック、黒色アニリンを用いることが好ましい。尚、入射する外光の波長に応じて異なる効果を得るため等の種々の目的で、カラー材料を適宜、使用することも可能である。
(第2の遮光部30の表面粗さ)
図22を参照して第2の遮光部30の好ましい表面粗さについて説明する。
第2の遮光部30における中心線Cと反対側の面である第5表面30Aは、表面粗さRaが20nm未満であることが好ましい。また、第2の遮光部30における中心線C側の面(第2の遮光部30の透光部2の側面2Dとの界面である第6表面30B)は、第5表面30Aよりも表面粗さRaが大きな粗面であることが好ましい。
ルーバを使用する際には、外光の中で低い入射角の成分はユーザの頭部により遮られるため、筐体内に侵入してくる外光OLはルーバに対して高い入射角を有する成分となる。
第3実施形態のルーバ23では、第2の遮光部30の第5表面30Aの表面粗さRaが20nm未満の高い平坦性を有する面にしている。そのため、図22に示されるように、高い入射角で第2の遮光部30の第5表面30Aに照射された外光OLは、大部分は第2の遮光部30に吸収されるが、一部が反射光OLRとしてユーザの眼に届かない方向に反射される。すなわち、第3実施形態では、外光OLの反射によるフレアやゴーストの発生などの画質低下を抑制することができる。第3実施形態について、第2の遮光部と透光部の界面に照射される表示光IMGの影響について検討する。第3実施形態では、第2の遮光部30の透光部との界面(すなわち第6表面30B)の表面粗さRaが20nm以上の粗面としているため、図22に示すように表示光IMGは一部が散乱光IMGDとして反射される。散乱光ではそれぞれの方向に反射される光強度は弱いため、たとえユーザの眼に向かうような光路が存在したとしても、その光強度は弱く、ゴーストやコントラスト低下等の画質低下が生じることは抑制される。
さらに、実施形態3Aでは、図23(a)に示すように、ルーバ23の接眼側の面2Cの外周を覆うように第2遮光部30が形成されている。そのため、図23(a)に示されるように第2の遮光部に照射された外光OLは、一部が反射光OLRとしてユーザの眼に届かない方向に反射される。
これに対して、図23(b)に示す実施形態3Bでは、ルーバ23の接眼側の面2Cの外周は透光部2が露出している。そのため、図23(b)に示すように、外光OLは散乱され、散乱光OLDとしてユーザの眼に向かう光線が、ゴーストやコントラストの低下などの影響を発生させる可能性がある。
実施形態3Aと実施形態3Bは、ともに外光OLや表示光IMGによるフレアやゴーストの発生などを抑制することができるが、実施形態3Aはさらに外光に起因するゴーストやコントラスト低下等の画質劣化を抑制する効果が高いと言える。
(ルーバの製造方法)
次に、本実施形態に係るルーバの製造方法について説明する。第2の遮光部30を設ける工程を中心に説明する。本実施形態に係る製造方法では、ルーバの第2の遮光部30の透光部2との界面、すなわち第6表面30Bの表面粗さを制御する1つの方法として、第2の遮光部30の下地となる基部を樹脂材料を用いて形成する際に、基部の表面粗さが所定の表面粗さになるよう制御する。基部の表面粗さは、金型を用いて基部を転写成形する際の成形条件、すなわち樹脂材料の種類、射出時の樹脂材料の温度、保圧条件、等により制御することができる。尚、基部を転写成形する際に用いられる金型の成形面の表面粗さは、ルーバ側面の表面粗さを制御するパラメータとして特に有用である。また、基板1の側面の表面粗さは、基板1の材質、研磨条件、ブラスト加工条件等により制御することができる。
また、本実施形態に係る製造方法では、ルーバの第2の遮光部30の第5表面30Aの表面粗さを制御する1つの方法として、遮光性の材料を所定の条件で基部に被覆することにより制御する。所定の条件には、例えば液相塗布や真空成膜などの被覆方法や被覆装置の選択が含まれる。液相塗布の場合には、所定の条件には、例えば、塗料の物性(粘性、温度、添加物など)、塗布方法(ディスペンサ、インクジェット、コータなど)、乾燥方法(自然、エアブロー、オーブンなど)が含まれる。尚、塗料に含まれる溶媒の量は、ルーバの遮光部の表面粗さを制御するパラメータとして特に有用である。
ルーバ本体は第1実施形態、第2実施形態と同様に製造される。次に、本実施形態ではルーバ本体の側面2Dに第2の遮光部30を形成する。具体的には、図24に示すように、中心線Cを回転軸としてルーバ本体を回転させ、ディスペンサ14を用いてルーバの側面2Dに沿って第2の遮光部の材料を塗布してゆく。塗布完了後、オーブン中で加熱・焼成し塗料を乾燥・硬化させることにより、ルーバ本体の側面2Dに第2の遮光部30が形成される。
この例では、表面粗さRaが20nm以上かつ2000nm以下に形成されたルーバ本体の側面2Dを遮光材が被覆することにより、第2の遮光部30と透光部2の界面が形成される。このため、第2の遮光部30の透光部2との界面、すなわち第6表面の表面形状は、ルーバ本体の側面2Dの表面形状をそのまま反転した形状となり、表面粗さは20nm以上かつ2000nm以下となる。一方、遮光材を塗布した時点で露出している表側の第5表面30Aの表面形状は、ディスペンサを用いて塗布する際の条件により制御が可能である。
例えば、遮光部を形成する塗料において溶媒の含有比率を高めて塗料の粘度を小さくすると、薄い塗膜を形成できるため、表側の表面形状は下地の表面形状を比較的忠実に反映したものとなる。一方、塗料における溶媒の含有比率を小さくして塗料の粘度を大きくすると、表側の表面形状が下地の表面形状とは異なったものとなる傾向がある。あるいは、塗料を塗布した後の乾燥条件を変える(例えば、エアブローの有無など)ことにより、表側の表面形状を制御することも可能である。この例では、表側の表面粗さが、下地の表面粗さよりも小さくなるように溶媒の含有比率を調整して塗布することにより、結果として形成される第2の遮光部の第5表面の表面粗さが第6表面の表面粗さよりも小さくなるように制御する。
第3実施形態に係るルーバをヘッドマウントディスプレイに実装すれば、損失や乱れが抑制された状態で表示光をユーザの眼に伝播可能であるとともに、外光やヘッドマウントディスプレイ内の迷光がユーザの眼に入るのを抑制することが可能である。
[実施例]
以下に、第3実施形態に係る具体的な実施例と、比較例を挙げる。実施例の各サンプルは、上述した製造方法の第2の例に準じて作成した。まず、実施例と比較例に関して共通する事項を説明する。
基板1には、ホウ素とシリコンを含有した光学ガラスを用いた。具体的には、(株)オハラ製のS-BSL7を用いて、φ45mmの円形形状の板材を準備した。基部に凹凸部を形成するための金型12は、金属母材上にメッキしたNiP層を精密加工機で切削加工し、所望の凹凸部の反転形状を形成したものを用いた。このとき、高精度な切削加工を行い、金型12の面の表面粗さを調整した。
第1の基部2は、硬化後の屈折率が1.58である紫外線硬化型のアクリル樹脂組成物を用いて形成した。遮光部5が環状の場合は、第1の基部2の同心円の中心を回転中心にして基板1を回転させながら、ディスペンサを用いて遮光部の原料となる塗料を斜め方向から塗布して形成した。また、遮光部5がストライプ状の場合は、第1の基部2とディスペンサを直線に沿って相対的に走査させながら、遮光部の原料となる塗料を斜め方向から塗布して形成した。ディスペンサを用いたのは、10μm前後の膜厚を形成するのに適切な吐出量を供給できることと、1基板あたり形成する遮光部5の数が20本程度と少なく、前後工程との相性が良いためである。塗料は、有機溶剤を用いて原液を希釈して塗布した。その後、80℃のオーブン内で4時間加熱乾燥させた。
実施例12~17、及び比較例5の第1遮光部の平面視の形状は、図21(b)に示すような同心円状で、遮光部どうしのピッチP(隣接する遮光部どうしの間隔、あるいは隣接する同心円の半径の差)は1mmとした。また、遮光部5の光軸方向の長さL1は1mmとした。また、遮光部の厚さt(光軸OXの方向から平面視した時の遮光部の幅)は10μmとした。また、実施例15の第1遮光部の平面視の形状は、図21(c)に示すような平行なストライプとした。
続いて、第2の基部3を、第1の基部2と同じ紫外線硬化型のアクリル樹脂組成物で形成し、第2の遮光部を有していないルーバ本体を作製した。
その後、中心線Cを回転中心にしてルーバ本体を回転させながら、ディスペンサを用いて第2の遮光部30の原料となる塗料を塗布して形成した。塗料は、有機溶剤を用いて原液を希釈して塗布した。その後、80℃のオーブン内で4時間加熱乾燥させた。塗料を乾燥させた後の屈折率は1.68である。
各サンプルの評価は、以下のようにして実施した。外光の影響を受けない暗室内に、評価対象のルーバ素子を設置したヘッドマウントディスプレイを設置し、ヘッドマウントディスプレイを装着した際のユーザの眼に相当する位置にデジタルカメラを設置した。
まず、表示光が第2の遮光部30と透光部の界面で反射されることにより生じる画質劣化を評価するため、ヘッドマウントディスプレイに1mm四方の白色と黒色の正方形が格子状に並んだチャートを表示し、デジタルカメラで撮影した。データ上の白色表示部と黒色表示部の割合は1:1である。デジタルカメラで撮影された5カ所の白色表示部の光強度平均値を白色表示部強度、5カ所の黒色表示部の光強度平均値を黒色表示部強度とした。
表示光の白色表示部強度に対する黒色表示部強度の割合が、0.01以下のものをA、すなわち優と評価した。表示光の白色表示部に対する黒色表示部の強度の割合が、0.01より大きいものをB、すなわち劣と評価した。
次に、外光が第2の遮光部30の第5表面30Aで散乱されることにより生じる画質劣化を評価するため、LED照明を用いて、外光を模擬した直径5mmの白色平行光を照射した。白色平行光の照射方向は、ルーバ素子のYZ面に対して45°、60°、75°傾斜した3水準で、ユーザから見て上側後方と横側後方に相当する各2水準で合計6水準照射した。また、白色平行光の照射位置はルーバの側面位置に照射した。また白色平行光の単位面積当たりの光強度は、表示パネル21の白色表示時の光強度の100倍とした。表示パネル21に白色表示をさせながらLED照明を点灯した状態でデジタルカメラで撮影した。デジタルカメラで撮影された5カ所の白色表示部の光強度平均値を白色表示部強度とした。その後、表示パネル21を黒色表示としながらLED照明を点灯させて前述した6水準照射し、デジタルカメラで撮影された全面の光強度平均値を不要光強度とした。
表示光の白色表示部強度に対する不要光強度の割合が、0.01以下のものをA、すなわち優と評価し、0.01より大きく0.02以下のものをA-、すなわち良と評価した。表示光の白色表示部強度に対する不要光強度の割合が、0.02より大きいものをB、すなわち劣と評価した。
(実施例12)
基板1は、側面の表面粗さRaが100nmのものを使用した。また、ルーバ側面を形成する金型12の成形面の表面粗さRaは、100nmとした。金型12により転写成形されたルーバ側面の表面粗さRaは100nmであった。ディスペンサを用いて、ルーバの側面2Dに第2の遮光部の原料である塗料を塗布した。また、ルーバ側面から接眼側の面2Cを覆うように、側面から0.3mmの範囲まで塗料を塗布した。塗料原液を有機溶剤を用いて4倍に希釈したものを塗布した。第2の遮光部30の透光部2の界面である第6表面30Bの表面粗さRaは100nmであった。第2の遮光部の第5表面30Aの表面粗さRaは8nmであった。以上のように、実施例12は、表面粗さRaが第6表面30B>第5表面30Aの関係を満足している。
(実施例13)
ルーバ側面から接眼側の面2Cを覆わずに、角を露出するように遮光材を塗布した。それ以外は実施例12と同様の方法でルーバサンプルを作製した。
(実施例14)
基板1は、側面の表面粗さRaが1800nmのものを使用した。また、ルーバ側面を形成する金型12の成形面の表面粗さRaは、1800nmとした。金型12により転写成形されたルーバの側面2Dの表面粗さRaは1800nmであった。塗料原液を有機溶剤を用いて4倍に希釈したものを塗布した。第2の遮光部30の透光部との界面である第6表面30Bの表面粗さRaは1800nmであった。第2の遮光部の第5表面30Aの表面粗さRaは18nmであった。
(実施例15)
基部を形成する際に用いる金型12の凹凸形状をストライプ形状としたことを除き、実施例12と同様の製造方法で製造した。第2の遮光部30の透光部との界面である第6表面30Bの表面粗さRaは100nmであった。第2の遮光部の第5表面30Aの表面粗さRaは8nmであった。
(実施例16)
塗料原液を有機溶剤を用いて20倍に希釈したものを塗布した。それ以外は実施例12と同様の方法でルーバサンプルを作製した。第2の遮光部30の透光部との界面である第6表面30Bの表面粗さRaは20nmであった。第2の遮光部の第5表面30Aの表面粗さRaは20nmであった。
(実施例17)
基板1の側面の表面粗さRaは18nmのものを使用した。また、ルーバ側面を形成する金型12の成形面の表面粗さRaは、18nmとした。金型12により転写成形されたルーバの側面2Dの表面粗さRaは18nmであった。塗料原液を有機溶剤を用いて20倍に希釈したものを塗布した。それ以外は実施例12と同様の方法でルーバサンプルを作製した。第2の遮光部30の透光部との界面である第6表面30Bの表面粗さRaは18nmであった。第2の遮光部の第5表面30Aの表面粗さRaは18nmであった。
(比較例5)
ルーバ側面に塗料を塗布せず、第2の遮光部を形成しなかった。それ以外は比較例1と同様の方法でルーバサンプルを作製した。第2の遮光部はないが、ルーバ側面の表面粗さRaは100nmであった。
以下に、実施例および比較例の評価結果をまとめて、表3に示す。
Figure 2023013971000004
実施例12~実施例17のルーバをヘッドマウントディスプレイに実装したところ、画質への影響が大きなルーバ側面で散乱された外光が、ユーザの眼に入るのを抑制することが可能であった。また、実施例12~実施例17では、ルーバ側面で反射された表示光がユーザの眼に入ることによりコントラスト低下等が生じるのが抑制された。特に、実施例12及び実施例14、実施例15では、第2の遮光部30が接眼側の面2Cの外周を覆うことにより、外光散乱の影響を抑制する効果も合わせて得ることができた。これに対して、比較例5ルーバをヘッドマウントディスプレイに実装したところ、外光の散乱または表示光の反射により画質低下が観測された。
[他の実施形態]
本発明は、以上説明した実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。上述した異なる実施形態や実施例を組合わせて実施しても構わない。
例えば、上述した製造方法の例では、遮光部材の下地となる基部の表面粗さを金型による転写成形で制御し、遮光材を塗布した時点で露出している側の表面粗さは塗料中の溶媒含有量や乾燥条件により制御した。しかし、遮光部材の表面粗さの制御方法は例示したものに限られるわけではなく、例えば遮光部材を被覆した後、露出している側の表面に研削加工やブラスト加工を実施することにより加工して遮光部材の表面粗さを制御してもよい。あるいは、遮光部材を真空成膜(例えば蒸着)により形成する場合には、成膜条件を調整することにより、表側の表面粗さを制御することが可能である。
また、遮光部5の形状は図1等に示した例に限られるわけではなく、表示パネル21や光学要素22によって決まる画角に応じて適宜変更可能である。例えば、図14に断面を示すように、ルーバ23の中心線Cから遠ざかるにつれて、遮光部5の主面の傾きが変化する形態であっても構わない。
また、遮光部5の平面視の形状は、図3(b)に示した複数の同心円や、図3(c)に示すようなストライプ形状に限られるわけではない。平面視の形状は、例えば、径が異なる複数の同心円弧や、楕円や多角形であってもよい。
また、画質評価の方法は、上述した実施例の方法に限られるわけではない。例えば、表示光が遮光部の主面で反射されることにより生じる画質劣化を評価する際には、表示パネルに市松模様、格子縞等の各種チャートを表示し、画像の面内均一性、コントラスト、シャープネス等を観察者による主観評価により行ってもよい。
また、外光あるいは外光が反射した迷光が遮光部の主面で反射されることにより生じる画質劣化を評価する際には、表示パネルに黒を表示させた状態でLEDの点灯と消灯とを切り替え、観察者による主観評価により比較を行ってもよい。
本発明に係るルーバは、ヘッドマウントディスプレイ以外の光学機器に設けてもよく、例えば、ハンドヘルドディスプレイ、静止画像や動画を撮影するカメラ、顕微鏡、内視鏡に装着してもよい。
以上説明した実施形態の開示は、以下の構成を含む。
[構成1]
透光性材料から成る基部の内部に、遮光性材料から成る遮光部が設けられ、
前記透光性材料と接する前記遮光部の表面のうち、前記基部の外縁側の表面を第2表面とし、前記第2表面の反対側の表面を第1表面とした時、前記第1表面の表面粗さが、前記第2表面の表面粗さよりも大きい、
ことを特徴とするルーバ。
[構成2]
前記第1表面の表面粗さRaは、20nm以上かつ2000nm以下である、
ことを特徴とする構成1に記載のルーバ。
[構成3]
前記第2表面の表面粗さRaは、20nm以下である、
ことを特徴とする構成1または2に記載のルーバ。
[構成4]
透光性材料から成る基部の内部に、遮光性材料から成る遮光部が設けられ、
前記透光性材料と接する前記遮光部の表面のうち、接眼側端面である第3表面の表面粗さRaは、20nm未満である、
ことを特徴とするルーバ。
[構成5]
前記透光性材料と接する前記遮光部の表面のうち、表示パネル側端面である第4表面の表面粗さRaは、前記第3表面の表面粗さRaよりも大きい、
ことを特徴とする構成4に記載のルーバ。
[構成6]
前記第4表面の表面粗さRaは、20nm以上である、
ことを特徴とする構成5に記載のルーバ。
[構成7]
前記第3表面の幅が、5μm以上かつ45μm以下である、
ことを特徴とする構成4乃至6のいずれか1項に記載のルーバ。
[構成8]
前記透光性材料と接する前記遮光部の表面のうち、前記基部の外縁側の表面を第2表面とし、前記第2表面の反対側の表面を第1表面とした時、
前記第1表面の表面粗さが、前記第2表面の表面粗さよりも大きい、
ことを特徴とする構成4乃至7のいずれか1項に記載のルーバ。
[構成9]
前記第1表面の表面粗さRaは、20nm以上かつ2000nm以下である、
ことを特徴とする構成8に記載のルーバ。
[構成10]
前記第2表面の表面粗さRaは、20nm以下である、
ことを特徴とする構成8または9に記載のルーバ。
[構成11]
透光性材料から成る基部の内部に、遮光性材料から成る第1遮光部が設けられ、
前記基部の側面の少なくとも一部に、遮光性材料から成る第2遮光部が設けられている、
ことを特徴とするルーバ。
[構成12]
前記基部の側面と接する前記第2遮光部の第6表面の表面粗さRaが、前記第6表面の反対側に位置する前記第2遮光部の第5表面の表面粗さRaより大きい、
ことを特徴とする構成11に記載のルーバ。
[構成13]
前記第6表面の表面粗さRaは、20nm以上かつ2000nm以下である、
ことを特徴とする構成12に記載のルーバ。
[構成14]
前記第5表面の表面粗さRaは、20nm以下である、
ことを特徴とする構成12または13に記載のルーバ。
[構成15]
前記第2遮光部は、前記基部の側面から接眼側主面の一部にまで延在している、
ことを特徴とする構成11乃至14のいずれか1項に記載のルーバ。
[構成16]
構成1乃至10のいずれか1項に記載のルーバの前記基部の側面の少なくとも一部に、遮光性材料から成る第2遮光部が設けられている、
ことを特徴とする構成11乃至15のいずれか1項に記載のルーバ。
[構成17]
構成1乃至16のいずれか1項に記載のルーバと、
表示パネルと、
前記表示パネルから出力される表示光をユーザの眼に向ける光学部と、を備え、
前記ルーバは、前記光学部から前記ユーザの眼に向かう前記表示光の光路に配置されている、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
[構成18]
構成1乃至16のいずれか1項に記載のルーバと、前記ルーバを支持する筐体とを備えた光学機器。
以上説明した実施形態の開示は、以下の方法を含む。
[方法1]
ルーバの製造方法において、
所定の表面粗さを有する基部を樹脂材料にて形成する工程と、
前記基部に、所定の条件で遮光性の材料を被覆して遮光部を形成する工程と、を備え、
前記遮光部の表面のうち、前記ルーバの中心側の表面を第1表面とし、前記ルーバの外縁側の表面を第2表面とした時、前記第1表面の表面粗さが前記第2表面の表面粗さよりも大きくなるように、前記基部の前記所定の表面粗さ及び前記遮光性の材料を被覆する際の前記所定の条件が制御される、
ことを特徴とするルーバの製造方法。
[方法2]
前記基部の前記所定の表面粗さは、金型を用いて前記基部を転写成形する際の成形条件により制御される、
ことを特徴とする方法1に記載のルーバの製造方法。
[方法3]
前記基部の前記所定の表面粗さは、前記基部を転写成形する際に用いられる金型の成形面の表面粗さにより制御される、
ことを特徴とする方法1または2に記載のルーバの製造方法。
[方法4]
前記遮光性の材料を被覆する際の前記所定の条件は、前記遮光性の材料を被覆する装置、及び/又は前記遮光性の材料を含有する塗料の物性、及び/又は乾燥方法、により制御される、
ことを特徴とする方法1乃至3のいずれか1項に記載のルーバの製造方法。
[方法5]
前記遮光性の材料を被覆する際の前記所定の条件は、前記遮光性の材料を被覆するための塗料に含まれる溶媒の量により制御される、
ことを特徴とする方法1乃至4のいずれか1項に記載のルーバの製造方法。
[方法6]
前記第1表面の表面粗さRaは、20nm以上かつ2000nm以下に制御される、
ことを特徴とする方法1乃至5のいずれか1項に記載のルーバの製造方法。
[方法7]
前記第2表面の表面粗さRaは、20nm以下に制御される、
ことを特徴とする方法1乃至6のいずれか1項に記載のルーバの製造方法。
[方法8]
ルーバの製造方法において、
所定の表面粗さを有する基部を樹脂材料にて形成する工程と、
前記基部に、所定の条件で遮光性の材料を被覆して遮光部を形成する工程と、を備え、
前記遮光部の表面のうち、接眼側端面の表面粗さRaが20nm未満になるように、前記基部の前記所定の表面粗さ及び前記遮光性の材料を被覆する際の前記所定の条件が制御される、
ことを特徴とするルーバの製造方法。
[方法9]
前記基部の前記所定の表面粗さは、金型を用いて前記基部を転写成形する際の成形条件により制御される、
ことを特徴とする方法8に記載のルーバの製造方法。
[方法10]
前記基部の前記所定の表面粗さは、前記基部を転写成形する際に用いられる金型の成形面の表面粗さにより制御される、
ことを特徴とする方法8または9に記載のルーバの製造方法。
[方法11]
前記遮光性の材料を被覆する際の前記所定の条件は、前記遮光性の材料を被覆する装置、及び/又は前記遮光性の材料を含有する塗料の物性、及び/又は乾燥方法、により制御される、
ことを特徴とする方法8乃至10のいずれか1項に記載のルーバの製造方法。
[方法12]
前記遮光性の材料を被覆する際の前記所定の条件は、前記遮光性の材料を被覆するための塗料に含まれる溶媒の量により制御される、
ことを特徴とする方法8乃至11のいずれか1項に記載のルーバの製造方法。
[方法13]
前記遮光部の表面のうち、表示パネル側端面の表面粗さRaは20nm以上に制御される、
ことを特徴とする方法8乃至12のいずれか1項に記載のルーバの製造方法。
[方法14]
方法8乃至13のいずれか1項に記載のルーバの製造方法において、
さらに、前記基部の側面の少なくとも一部に、遮光性材料から成る第2遮光部を形成する、
ことを特徴とするルーバの製造方法。
1・・・基板/2・・・第1の基部/3・・・第2の基部/4・・・遮光部5を挟持している部分/5・・・遮光部/5A・・・中心線Cに近い側の主面/5B・・・中心線Cと反対側の主面/11・・・樹脂材料/12・・・金型/13・・・紫外光源/14・・・ディスペンサ/15・・・型板/16・・・樹脂材料/21、21L、21R・・・表示パネル/22・・・光学要素/23・・・ルーバ/24・・・眼/25・・・外光/30・・・第2の遮光部/100・・・ヘッドマウントディスプレイ/EW、EWL、EWR・・・窓材/IMG・・・表示光/NF・・・鼻当て部/OX・・・光軸/PBS・・・偏光ビームスプリッタ/PF・・・フレーム

Claims (17)

  1. 透光性材料から成る基部の内部に、遮光性材料から成る遮光部が設けられ、
    前記透光性材料と接する前記遮光部の表面のうち、前記基部の外縁側の表面を第2表面とし、前記第2表面の反対側の表面を第1表面とした時、
    前記第1表面の表面粗さが、前記第2表面の表面粗さよりも大きい、
    ことを特徴とするルーバ。
  2. 前記第1表面の表面粗さRaは、20nm以上かつ2000nm以下である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のルーバ。
  3. 前記第2表面の表面粗さRaは、20nm以下である、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のルーバ。
  4. 透光性材料から成る基部の内部に、遮光性材料から成る遮光部が設けられ、
    前記透光性材料と接する前記遮光部の表面のうち、接眼側端面である第3表面の表面粗さRaは、20nm未満である、
    ことを特徴とするルーバ。
  5. 前記透光性材料と接する前記遮光部の表面のうち、表示パネル側端面である第4表面の表面粗さRaは、前記第3表面の表面粗さRaよりも大きい、
    ことを特徴とする請求項4に記載のルーバ。
  6. 前記第4表面の表面粗さRaは、20nm以上である、
    ことを特徴とする請求項5に記載のルーバ。
  7. 前記第3表面の幅が、5μm以上かつ45μm以下である、
    ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のルーバ。
  8. 前記透光性材料と接する前記遮光部の表面のうち、前記基部の外縁側の表面を第2表面とし、前記第2表面の反対側の表面を第1表面とした時、
    前記第1表面の表面粗さが、前記第2表面の表面粗さよりも大きい、
    ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のルーバ。
  9. 前記第1表面の表面粗さRaは、20nm以上かつ2000nm以下である、
    ことを特徴とする請求項8に記載のルーバ。
  10. 前記第2表面の表面粗さRaは、20nm以下である、
    ことを特徴とする請求項8に記載のルーバ。
  11. 前記第2表面の表面粗さRaは、20nm以下である、
    ことを特徴とする請求項9に記載のルーバ。
  12. 透光性材料から成る基部の内部に、遮光性材料から成る第1遮光部が設けられ、
    前記基部の側面の少なくとも一部に、遮光性材料から成る第2遮光部が設けられている、
    ことを特徴とするルーバ。
  13. 前記基部の側面と接する前記第2遮光部の第6表面の表面粗さRaが、前記第6表面の反対側に位置する前記第2遮光部の第5表面の表面粗さRaより大きい、
    ことを特徴とする請求項12に記載のルーバ。
  14. 前記第6表面の表面粗さRaは、20nm以上かつ2000nm以下である、
    ことを特徴とする請求項13に記載のルーバ。
  15. 前記第5表面の表面粗さRaは、20nm以下である、
    ことを特徴とする請求項13または14に記載のルーバ。
  16. 請求項1または4または12に記載のルーバと、
    表示パネルと、
    前記表示パネルから出力される表示光をユーザの眼に向ける光学部と、を備え、
    前記ルーバは、前記光学部から前記ユーザの眼に向かう前記表示光の光路に配置されている、
    ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
  17. 請求項1または4または12に記載のルーバと前記ルーバを支持する筐体とを備えた光学機器。
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