JP2023013780A - 液体吐出ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】第2の封止樹脂の被覆状態が良好な液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。【解決手段】本発明の液体吐出ヘッドは、開口が形成されたフレキシブルフィルム配線基板と、各々が液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口面を備え、開口内で所定方向に並べられた複数の吐出素子基板と、開口内で所定方向に並べられた複数のリード電極の集まりであり、吐出素子基板ごとにフレキシブルフィルム配線基板に設けられた、吐出素子基板に接続するリード電極群と、互いに隣接するリード電極群の間に設けられたダミーリードと、吐出素子基板の周囲に設けられた第1の封止樹脂と、リード電極とダミーリードを覆うように、第1の封止樹脂よりも上層側に設けられた第2の封止樹脂とを有し、ダミーリードは、吐出素子基板の吐出口面に直交する方向に見た場合に、互いに隣接する吐出素子基板の隙間に達している。【選択図】図1
Description
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドに関するものである。
インクジェット記録ヘッドのような液体吐出ヘッドにおけるフレキシブルフィルム配線基板(配線フィルム)では、その電気的接続部が封止剤で被覆される。図12は従来のインクジェット記録ヘッドを示す模式図である。
図12において、吐出素子基板としての記録素子基板1(記録素子基板1a,1bのそれぞれ)は、記録液に吐出エネルギーを付与する複数の吐出エネルギー発生素子(不図示)を有する。また、記録素子基板1には、記録液(液体)を吐出するための複数の吐出口6が形成される。吐出エネルギーにより生じる圧力によって、記録液が吐出口6から吐出される。また、支持部材8は、複数の記録素子基板1が並列的に接着固定される部材である。また、フレキシブルフィルム配線基板11は、記録素子基板1と電気的に接続され、記録装置本体(不図示)からの電気信号を記録素子基板1に伝達するための複数の配線(不図示)と当該複数の配線を保護するための配線保護層とを有する。また、支持板9は、支持部材8に接着固定され、フレキシブルフィルム配線基板11を保持固定する。また、第1の封止樹脂18は、記録素子基板1の周囲と記録素子基板1に設けられた電極パッド7の一部とを、記録液による腐食およびショートから保護するために封止する。また、第2の封止樹脂19は、記録素子基板1に設けられた電極パッド7とフレキシブルフィルム配線基板11に設けられたリード電極13との電気的接続部と、ダミーリード17とを、記録液による腐食、ワイピングなどの外力から保護するために被覆する。なお、図12では電極パッド7やリード電極13を示すために、第2の封止樹脂19を破線で示しており、以下で説明する同様の図においても、同様に第2の封止樹脂19を破線で示すことがある。
特許文献1に開示された液体吐出ヘッドでは、図12に示すように、記録素子基板1に接続されたリード電極群(複数のリード電極13)に隣接して、ダミーリード17が設けられる。ダミーリード17は、リード電極13よりも短く張り出し、電極パッド7とは接続されない。このようなダミーリード17により、フレキシブルフィルム配線基板11の開口12(デバイスホール)の内周部(端部)の空間(隙間)を狭くすることができる。記録素子基板1aに接続されたリード電極群と記録素子基板1bに接続されたリード電極群と間の空間とを狭くすることもできる。これにより、第2の封止樹脂19がこれらの空間(隙間)に落ち込むことを抑制することができ、電極パッド7とリード電極13との電気的接続部を第2の封止樹脂19が被覆する被覆状態の悪化を抑制することができる。
しかし、従来技術では、第2の封止樹脂19による電気接続部の被覆状態が良好でなくなり、電気接続部の信頼性が低下する虞がある。例えば、互いに隣接する記録素子基板1a,1b間に第1の封止樹脂18が十分に流れ込んでいない状態で、第2の封止樹脂19を塗布すると、塗布後の加熱硬化の際に第1の封止樹脂18が記録素子基板1a,1b間に流動することがある。従来技術では、記録素子基板1a,1b間において、第2の封止
樹脂19は第1の封止樹脂18の上に直接設けられる。そのため、第1の封止樹脂18が記録素子基板1a,1b間に流動した際に、第2の封止樹脂19も引っ張られて記録素子基板1a,1b間に落ち込むことがある。そして、第2の封止樹脂19が記録素子基板1a,1b間に落ち込むと、電極パッド7上の第2の封止樹脂19の被覆状態が良好でなくなり、電気接続部の信頼性が低下する可能性がある。
樹脂19は第1の封止樹脂18の上に直接設けられる。そのため、第1の封止樹脂18が記録素子基板1a,1b間に流動した際に、第2の封止樹脂19も引っ張られて記録素子基板1a,1b間に落ち込むことがある。そして、第2の封止樹脂19が記録素子基板1a,1b間に落ち込むと、電極パッド7上の第2の封止樹脂19の被覆状態が良好でなくなり、電気接続部の信頼性が低下する可能性がある。
そこで、本発明は、第2の封止樹脂の被覆状態が良好な液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の液体吐出ヘッドは、開口が形成されたフレキシブルフィルム配線基板と、各々が液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口面を備え、前記開口内で所定方向に並べられた複数の吐出素子基板と、前記開口内で前記所定方向に並べられた複数のリード電極の集まりであり、前記吐出素子基板ごとに前記フレキシブルフィルム配線基板に設けられた、前記吐出素子基板に接続するリード電極群と、互いに隣接するリード電極群の間に設けられたダミーリードと、前記吐出素子基板の周囲に設けられた第1の封止樹脂と、前記リード電極と前記ダミーリードを覆うように、前記第1の封止樹脂よりも上層側に設けられた第2の封止樹脂とを有し、前記ダミーリードは、前記吐出素子基板の前記吐出口面に直交する方向に見た場合に、互いに隣接する吐出素子基板の隙間に達していることを特徴とする。
本発明は、第2の封止樹脂の被覆状態が良好な液体吐出ヘッドを提供することができる。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の液体吐出ヘッドを上から見た模式図である。第1実施形態においては、2つの吐出素子基板としての2つの記録素子基板1(記録素子基板1a,1b)を支持部材8上に配置する。記録素子基板1の数は2つに限られず、3つ以上であってもよい。
図1において、記録素子基板1(記録素子基板1a,1bのそれぞれ)は、記録液(液体)に吐出エネルギーを付与する複数の吐出エネルギー発生素子(不図示)を有する。また、記録素子基板1には、記録液を吐出するための複数の吐出口6が形成される。吐出エネルギーにより生じる圧力によって、記録液が吐出口6から吐出される。また、支持部材8は、複数の記録素子基板1が接着固定される部材である。また、フレキシブルフィルム配線基板11は、記録素子基板1と電気的に接続され、記録装置本体(不図示)からの電気信号を記録素子基板1に伝達するための複数の配線(不図示)と当該複数の配線を保護するための配線保護層とを有する。また、支持板9は、支持部材8に接着固定され、フレキシブルフィルム配線基板11を保持固定する。また、第1の封止樹脂18は、記録素子基板1の周囲と記録素子基板1に設けられた電極パッド7の一部とを、記録液による腐食およびショートから保護するために封止する。さらに、第1の封止樹脂18は、フレキシブルフィルム配線基板11の配線等を記録液による腐食から保護するために、フレキシブルフィルム配線基板11の外周にも塗布される。また、第2の封止樹脂19は、記録素子基板1に設けられた電極パッド7とフレキシブルフィルム配線基板11に設けられたリード電極13との電気的接続部と、ダミーリード17とを、記録液による腐食、ワイピングなどの外力から保護するために被覆する。つまり、第2の封止樹脂19は、電極パッド7、リード電極13、およびダミーリード17を被覆する。第2の封止樹脂19は第1の封止樹脂18よりも後に塗布され、第1の封止樹脂18よりも上層側に設けられる。第1の封止樹脂18と第2の封止樹脂19とには、それぞれの用途に応じた材料が選択される。例えば、第1の封止樹脂18には、記録素子基板1の周囲に回りこみやすい低粘度の材料が選択される。そして、第2の封止樹脂19には、リード電極13をより確実に被覆するためにチクソ性が高く、ワイピングなどの外力に耐え得るように硬化後に非常に硬くなる材料が選択される。
第1実施形態では、フレキシブルフィルム配線基板11に、記録素子基板1を露出する開口12(デバイスホール)が形成される。支持板9にも、開口12と同様の開口(不図示)が形成される。そして、記録素子基板1に複数の電極パッド7が所定の間隔(所望の間隔)で設けられ、これら開口内に、当該複数の電極パッド7に電気的に接続される複数のリード電極13が所定の間隔で設けられる。記録素子基板1a,1bの配列方向も、複数のリード電極13の配列方向も、上記開口(開口12など)の辺に沿った所定方向である。また、互いに隣接する記録素子基板1a,1b間に対応するように、リード電極13が設けられない領域として、上記所定の間隔よりも広い領域が存在する。その領域には、ダミーリード17とダミーリード17に隣接するリード電極13との間隔が所定の間隔になるように、ダミーリード17が追加される。こうすることで、リード電極13とダミーリード17を含む全てのリードが所定の間隔(同じ間隔)で並ぶようにできる。ダミーリード17は、例えば、フレキシブルフィルム配線基板11に設けられる。ダミーリード17は、記録素子基板1に接続されたリード電極群(複数のリード電極13)に対して上記所定方向に隣接するように設けられる。
図1に示すように、第2の封止樹脂19は、記録素子基板1の電極パッド7とフレキシブルフィルム配線基板11のリード電極13との電気的接続部と、ダミーリード17とを含む領域を完全に被覆するように塗布される。こうすることで、図2(複数の電極パッド7に沿った断面)に示すように、記録素子基板1の外周に塗布された第1の封止樹脂18は、毛管現象によりリード電極13とダミーリード17の下方を隅々まで充填していく。さらに、互いに隣接するリード電極13間では、第1の封止樹脂18は、表面張力により、リード電極13とダミーリード17の高さまで引き上げられる。このとき、第1の封止樹脂18は、自重により、リード電極13間の中心が最下点となるように落ち込む。互いに隣接するリード電極13とダミーリード17の間でも、リード電極13間と同様に、第1の封止樹脂18は、表面張力により、リード電極13とダミーリード17の高さまで引き上げられる。そして、第1の封止樹脂18は、自重により、リード電極13とダミーリ
ード17の間の中心が最下点となるように落ち込む。このような第1の封止樹脂18と、その上に塗布された第2の封止樹脂19とは、互いに密着している。ここで、第1の封止樹脂18の落ち込み量は、樹脂の粘度とリード(リード電極13やダミーリード17)の間隔とで決定される。一般的に、全てのリードが所定の間隔(同じ間隔)で並んでいる場合には、第1の封止樹脂18の落ち込みは問題ない。
ード17の間の中心が最下点となるように落ち込む。このような第1の封止樹脂18と、その上に塗布された第2の封止樹脂19とは、互いに密着している。ここで、第1の封止樹脂18の落ち込み量は、樹脂の粘度とリード(リード電極13やダミーリード17)の間隔とで決定される。一般的に、全てのリードが所定の間隔(同じ間隔)で並んでいる場合には、第1の封止樹脂18の落ち込みは問題ない。
また、第1の封止樹脂18は、互いに隣接する記録素子基板1a,1bの隙間も、毛管現象により充填していく。しかし、図3(a),3(b)に示すように、記録素子基板1a,1b間の状態(幅、濡れ性)、第1の封止樹脂18の粘度等に依っては、第2の封止樹脂19を塗布しても、記録素子基板1a,1b間に第1の封止樹脂18を充填しきらないことがある。図3(a)は第2の封止樹脂19を塗布する前の状態を示し、図3(b)は第2の封止樹脂19を塗布した後の状態を示す。第2の封止樹脂19の塗布後は、封止樹脂(第1の封止樹脂18と第2の封止樹脂19)を加熱硬化(キュア)させるが、昇温中に封止樹脂の粘度が一時的に低下して、封止樹脂の流動性が上昇する。そのため、図3(b)の状態で封止樹脂をキュアすると、第1の封止樹脂18が硬化する前に、記録素子基板1a,1b間を再び流動することがある。第1実施形態においては、互いに隣接する記録素子基板1a,1b間の距離(隙間)を110μmとし、記録素子基板1の寸法精度、記録素子基板1の固定精度による当該距離のばらつきを±20μmとした。
従来技術(図12)のようにダミーリード17が短い場合には、図13(a)に示すように、互いに隣接する記録素子基板1a,1bの隙間において、第2の封止樹脂19は第1の封止樹脂18に支えられる。そのため、封止樹脂をキュアする際に第1の封止樹脂18が流動すると、図13(b)に示すように、第2の封止樹脂19も引っ張られて記録素子基板1a,1b間に落ち込むことがある。第2の封止樹脂19が記録素子基板1a,1b間に落ち込むと、第2の封止樹脂19の被覆状態が、図14に示す状態から、図15に示す状態に変化してしまう。例えば、ダミーリード17に対する第2の封止樹脂19の被覆量や、互いに隣接する記録素子基板1a,1bの隙間に最も近い電極パッド7に対する第2の封止樹脂19の被覆量などが、大幅に減少してしまう。
そこで、第1実施形態では、記録素子基板1の吐出口6が設けられた吐出口面に直交する方向に見た場合に、ダミーリード17が互いに隣接する記録素子基板1a,1bの隙間に達するようにする。例えば、図3(a)に示すように、ダミーリード17の長さをリード電極13の長さと略等しくし、ダミーリード17が、互いに隣接する記録素子基板1a,1bの隙間内に延びるようにする。なお、電気信頼性の観点から、ダミーリード17の端から、第2の封止樹脂19による被覆領域の端までの距離は、0.1mm以上であることが好ましい。ダミーリード17の長さはリード電極13の長さより長くても短くてもよい。第1実施形態においては、リード電極13の長さを560μmとし、ダミーリード17の長さも同様に560μmとした。
ダミーリード17の長さを従来よりも長くすることで、第2の封止樹脂19と第1の封止樹脂18とが触れ合う領域を従来よりも小さくすることができ、ダミーリード17上や電極パッド7上などにおける第2の封止樹脂19の形状を保つことができる。換言すれば、ダミーリード17に対する第2の封止樹脂19の被覆量や、互いに隣接する記録素子基板1a,1bの隙間に最も近い電極パッド7に対する第2の封止樹脂19の被覆量などを保つことができる。例えば、図4(a)に示すように、互いに隣接する記録素子基板1a,1bの隙間において、第2の封止樹脂19の大部分がダミーリード17に支えられており、第2の封止樹脂19と第1の封止樹脂18とが触れ合う領域は小さい。そのため、封止樹脂をキュアする際に第1の封止樹脂18が流動しても、図4(b)に示すように記録素子基板1a,1b間への第2の封止樹脂19の落ち込みは少なく、第2の封止樹脂19の被覆状態は図2に示す良好な状態から大きくは変化しない。
このように、第1実施形態においては、第2の封止樹脂19と第1の封止樹脂18とが触れ合う領域を従来よりも小さくすることで、第1の封止樹脂18の流動によって第2の封止樹脂19が大きく陥没するといった現象が発生することを抑制できる。ひいては、第2の封止樹脂19で所望の領域を好適に(例えば均一な形状で)被覆することができる。
さらに、第1実施形態では、リード電極13とダミーリード17を含む全てのリードの間隔を揃えるために、ダミーリード17の幅をリード電極13の幅よりも大きくしている。そのため、記録素子基板1a,1b間からフレキシブルフィルム配線基板11にかけてダミーリード17が存在する領域が大きい。こうすることでも、第2の封止樹脂19と第1の封止樹脂18とが触れ合う領域を小さくすることができ、第1の封止樹脂18の流動による第2の封止樹脂19の形状変化(落ち込み)を抑制することができる。
さらに、第1実施形態では、ダミーリード17は、リード電極13と同様に、記録素子基板1に固定される。例えば、図3(a)に示すように、ダミーリード17は、互いに隣接する記録素子基板1a,1bの両方に固定される。こうすることで、ダミーリード17の反りや曲がりを抑制することができ、ダミーリード17の反りや曲がりによりダミーリード17が第2の封止樹脂19から露出してしまうことを抑制することができる。さらに、第2の封止樹脂19が塗布される土台となる部分の高さを均一にすることができ、第2の封止樹脂19の形状を安定させることができる。
なお、ダミーリード17の固定方法は特に限定されない。例えば、記録素子基板1に電極ではないパッド部を設け、パッド部にダミーリード17を固定してもよい。複数の記録素子基板1に対して共通の電気配線としてダミーリード17を使用可能にする電極パッドを記録素子基板1に設け、当該電極パッドにダミーリード17を電気的に接続してもよい。
また、リード電極13とダミーリード17を含む全てのリードを実質的に等間隔(略等しい間隔)で配置したが、上述したような第2の封止樹脂19の陥没(落ち込み)が生じない範囲内でリードの間隔を不均一にしてもよい。但し、互いに隣接するリード電極13の間隔をPとし、ダミーリード17とリード電極13(ダミーリード17に隣接するリード電極13)の間隔をP’とした場合に、0.75P≦P’≦1.25Pであることが好ましい。
また、リード電極13の材料とダミーリード17の材料とを同じとすれば、フレキシブルフィルム配線基板11を製造する際に、それらを同一の工程で形成することができる。そうすることで、より少ない工数で液体吐出ヘッドを製造することができ、液体吐出ヘッドの製造に係るコストを低減することができる。
また、ダミーリード17の形状は、図1に示した形状に限定されない。第1の封止樹脂18の流動による第2の封止樹脂19の形状変化(落ち込み)を抑制することができれば、ダミーリード17の形状はどのような形状であってもよい。例えば、図5,6に示すように、フレキシブルフィルム配線基板11の側におけるダミーリード17の幅を、互いに隣接する記録素子基板1a,1bの隙間の側におけるダミーリード17の幅よりも小さくしてもよい。
図5は、本発明に係る第2実施形態の液体吐出ヘッドを上から見た模式図である。第2実施形態においては、記録素子基板1における電極パッド7の配列とダミーリード17の形状の他は第1実施形態と同様である。
図5に示すように、第2実施形態では、記録素子基板1における複数の電極パッド7(複数のリード電極13がそれぞれ接続される複数の電極パッド7)が、第1実施形態に比べ、別の記録素子基板1が隣接する側に寄っている。そして、リード電極13の配列も電極パッド7の配列と同様に変更されている。このため、記録素子基板1aに接続されたリード電極群と記録素子基板1bに接続されたリード電極群との間隔が、第1実施形態に比べ狭い。このような場合に、ダミーリード17の形状および固定方法が第1実施形態と同様であると、ダミーリード17とリード電極13(ダミーリード17に隣接するリード電極13)の間隔が、互いに隣接するリード電極13の間隔と大きく異なってしまう。そこで、第2実施形態では、リード電極13とダミーリード17を含む全てのリードが実質的に等間隔となるとなるように、ダミーリード17の形状をT字形状とする。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、ダミーリード17は、互いに隣接する記録素子基板1a,1bの両方に固定される。
図6は、本発明に係る第3実施形態の液体吐出ヘッドを上から見た模式図である。図6に示すように、第3実施形態では、ダミーリード17はL字形状を有し、互いに隣接する記録素子基板1a,1bの一方(図6では記録素子基板1b)に固定される。このような構成は、例えば、記録素子基板1a,1bの一方にしかダミーリード17を固定するスペースがない場合などにおいて、好適に採用することができる。
図7は、本発明に係る第4実施形態の液体吐出ヘッドを上から見た模式図である。第4実施形態において、ダミーリード17の輪郭および固定方法は、第1実施形態と同様である。但し、第4実施形態では、ダミーリード17に、記録素子基板1に略垂直な方向の開口が形成される。すなわち、ダミーリード17に、記録素子基板1の吐出口面の側の、ダミーリード17の第1の面と、第1の面の裏面であるダミーリード17の第2の面とを貫通する開口が形成される。こうすることで、第1の封止樹脂18でダミーリード17の下側を充填する際にダミーリード17から空気が抜けるため、第1の封止樹脂18でダミーリード17の下側を容易に充填することができる。なお、互いに隣接する記録素子基板1a,1bの隙間において、ダミーリード17が第2の封止樹脂19を支える領域は大きいことが好ましい。そのため、記録素子基板1a,1bに垂直な方向(記録素子基板1a,1bの吐出口面に直交する方向)に見た場合に、記録素子基板1a,1bの隙間からずれた位置に、上記の開口が形成されることが好ましい。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの全体的な構成を、図8~図10を用いて説明する。図8は外観斜視図、図9は図8におけるA-A断面図、図10は図8におけるB-B断面図である。
本発明に係る液体吐出ヘッドは、図8に示すように、形状およびサイズの異なる複数の記録素子基板1と支持部材8とフレキシブルフィルム配線基板11とを含む部材で構成される。ここでは、便宜上、複数の記録素子基板1が2つの記録素子基板1a,1bである場合の例を説明する。各記録素子基板1の表面側の吐出口プレート5には、記録液を吐出するための複数の吐出口6が、複数の吐出エネルギー発生素子4(例えば、複数の電気熱変換素子)にそれぞれ対応して形成される。そして、記録素子基板1の裏面側に設けられた支持部材8には、記録液を供給するための貫通した記録液供給口3が形成される。また、記録素子基板1の両端部には複数の吐出エネルギー発生素子4それぞれに電気的に接続された複数の電極パッド7が設けられる。各電極パッド7には、金線を用いたスタッドバンプ14(金バンプ)が設けられる。なお、スタッドバンプ以外のソルダーバンプやめっきバンプが設けられてもよい。記録素子基板1は、支持部材8上に近接して配設され、数μm~数十μmオーダーという高い精度で所定位置に接着固定される。なお、図9,10では、吐出口6は例示的に数個しか示していないが、実際の製品では数十~数百個形成される。同様に、電極パッド7も、実際の製品では数十~数百個設けられる。
フレキシブルフィルム配線基板11には、2つの記録素子基板1a,1bを露出するように開口12が設けられる。そして、2つの記録素子基板1a,1bを電気的に実装するために、開口12の周辺に、記録素子基板1a,1bに設けられた複数の電極パッド7と1対1で電気的に接続される複数のリード電極13が設けられる。リード電極13は電極パッド7にスタッドバンプ14を介して電気的に接続される。例えば、電極パッド7上のスタッドバンプ14と、フレキシブルフィルム配線基板11に設けられ金めっきされたリード電極とを接触させ、その接触部を150~200℃に加熱した状態で、当該接触部に任意の荷重と超音波振動を所定時間かける。これにより、上記接触部で金属間結合が引き起こされ、リード電極13が電極パッド7と電気的に接続される。リード電極13と電極パッド7の接続方法は、上述したようなシングルポイントボンディングに限られない。例えば、熱圧着ユニットを用いたギャングボンディングにより、複数のリード電極13を複数の電極パッド7に一括で接続してもよい。リード電極13と電極パッド7の接続には、はんだバンプを溶融するリフロー法や、対応する両電極間をワイヤーで接続するワイヤーボンディングや、ACF接続法等、いかなる方法を用いてもよい。リード電極13と同様に、開口12の周辺にダミーリード17も設けられる。
フレキシブルフィルム配線基板11は、支持板9を完全に覆い、且つ所定量庇状に出っ張るように支持板9上に接着固定される。そのため、フレキシブルフィルム配線基板11の外周を記録液による腐食から保護するために吐出口6側に突出するように第1の封止樹脂18を塗布するといった必要がない。よって、支持板9から出っ張った分のフレキシブルフィルム配線基板11の裏面に支持板9の外周に沿って第1の封止樹脂18が塗布されればよい。第1の封止樹脂18は、記録素子基板1の周囲と電極パッド7の一部とを保護するために、それらの箇所にも塗布される。電極パッド7の一部に第1の封止樹脂18を塗布することで、記録素子基板1とフレキシブルフィルム配線基板11との電気的接続部が保護される。ここで、記録素子基板1の周囲とは、フレキシブルフィルム配線基板11の開口12、開口12と同様の支持板9の開口、支持部材8、および、記録素子基板1により形成される凹部である。
第1の封止樹脂18として粘度が低い材料を用いれば、所定位置に第1の封止樹脂18を所定量塗布することで、毛管力により第1の封止樹脂18が自然に広がっていくため、良好な塗布状態を得ることができる。第1の封止樹脂18としては、例えばパナソニック株式会社製熱硬化型エポキシ樹脂であるCV5420FS(22Pa・s)またはCV5420AR(40Pa・s)などが選択される。特に、電気的特性が良好だが粘度が高いCV5420ARを選択した場合に、本発明で解決する課題(図13(b),14)が発生する可能性が高い。
そして、記録素子基板1とフレキシブルフィルム配線基板11との電気的接続部の上部を保護するために、その部分を第2の封止樹脂19により被覆する。ここで、記録素子基板1とフレキシブルフィルム配線基板11との電気的接続部の上部とは、フレキシブルフィルム配線基板11の端部からリード電極13(およびダミーリード17)を挟んで吐出口プレート5の一部までの領域である。第2の封止樹脂19としては、例えば、パナソニック株式会社製熱硬化型エポキシ樹脂であるCV5420Dのような、硬化後の機械的強度(硬度など)が非常に高い熱硬化型封止剤が選択される。
第1の封止樹脂18と第2の封止樹脂19との塗布後に、第1の封止樹脂18と第2の封止樹脂19とを同時に加熱硬化(キュア)させる。上述の各実施形態では100℃で1時間キュアし、その後150℃で3時間キュアした。キュア条件は特に限定されず、例えばデバイスの熱によるダメージを考慮して決定される。
その後、記録装置本体側から液体吐出ヘッドに記録情報などの電気信号を与える外部入力パッド15が設けられた第2の配線基板16が、フレキシブルフィルム配線基板11に対して電気的に接続される。勿論、フレキシブルフィルム配線基板11と第2の配線基板16とは同一基板で一体構成とされてもよい。以上の工程を経て、液体吐出ヘッドが作製される。そして、フレキシブルフィルム配線基板11を、インク(記録液)を貯留する部材の外形に沿うように折り曲げ、当該部材に貼り付けることにより、図11に示すような記録ヘッドカートリッジ100(液体吐出ヘッドカートリッジ)などが作製される。図11は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える記録ヘッドカートリッジ100の斜視図である。
記録ヘッドカートリッジ100は、記録素子ユニット101(液体吐出ヘッド)、タンクホルダー102、及び、インク供給ユニット103から構成される。タンクホルダー102は、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク等の複数色のインクをそれぞれ貯留する複数のインクタンクを着脱自在に保持する。インク供給ユニット103は、これらのインクタンクからのインクを記録素子ユニット101(液体吐出ヘッド)に供給する。記録ヘッドカートリッジ100は、インクジェット記録装置本体に対して電気的に接続されるように、インクジェット記録装置のキャリッジ等に対して着脱自在に装着される。そして、記録ヘッドカートリッジ100は、記録媒体等へのインクジェット記録に供される。
以上述べたように、各実施形態によれば、フレキシブルフィルム配線基板のデバイスホール内に設けられた複数のリード電極の配列において所望の間隔以上に渡って何も無い空間を生じさせないように、互いに隣接するリード電極群の間にダミーリードを設ける。1つのリード電極群は、1つの記録素子基板に接続された複数のリード電極の集まりである。ダミーリードは、互いに隣接する記録素子基板の隙間に達するように設ける。そうすることで、キュアする際に第1の封止樹脂が記録素子基板間を流動した場合に、第2の封止樹脂が引っ張られて記録素子基板間に落ち込むことを抑制することができる。ひいては、第2の封止樹脂で所望の領域を好適に(例えば均一な形状で)被覆することができ、信頼性の高い液体吐出ヘッドを提供することができる。
さらに、フレキシブルフィルム配線基板の複数のリード電極と複数のダミーリードとを同じ製造工程において形成できるので、コストアップを抑制して効率的な生産が可能となる。
なお、上記実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨の範囲内で上記実施形態の構成を適宜変形したり変更したりすることにより得られる構成も、本発明に含まれる。上記実施形態の構成を適宜組み合わせて得られる構成も、本発明に含まれる。
1,1a,1b:記録素子基板 6:吐出口 11:フレキシブルフィルム配線基板
12:開口 13:リード電極 17:ダミーリード
18:第1の封止樹脂 19:第2の封止樹脂
100:記録ヘッドカートリッジ 101:記録素子ユニット(液体吐出ヘッド)
102:タンクホルダー 103:インク供給ユニット
12:開口 13:リード電極 17:ダミーリード
18:第1の封止樹脂 19:第2の封止樹脂
100:記録ヘッドカートリッジ 101:記録素子ユニット(液体吐出ヘッド)
102:タンクホルダー 103:インク供給ユニット
Claims (14)
- 開口が形成されたフレキシブルフィルム配線基板と、
各々が液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口面を備え、前記開口内で所定方向に並べられた複数の吐出素子基板と、
前記開口内で前記所定方向に並べられた複数のリード電極の集まりであり、前記吐出素子基板ごとに前記フレキシブルフィルム配線基板に設けられた、前記吐出素子基板に接続するリード電極群と、
互いに隣接するリード電極群の間に設けられたダミーリードと、
前記吐出素子基板の周囲に設けられた第1の封止樹脂と、
前記リード電極と前記ダミーリードを覆うように、前記第1の封止樹脂よりも上層側に設けられた第2の封止樹脂と
を有し、
前記ダミーリードは、前記吐出素子基板の前記吐出口面に直交する方向に見た場合に、互いに隣接する吐出素子基板の隙間に達している
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記ダミーリードは、前記吐出素子基板の前記吐出口面に直交する方向に見た場合に、互いに隣接する吐出素子基板の隙間内に延びている
請求項1に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記ダミーリードの長さは、前記リード電極の長さと略等しい
請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記ダミーリードは、前記隙間を形成する2つの吐出素子基板の少なくとも一方に固定されている
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記ダミーリードの幅は、前記リード電極の幅よりも大きい
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記フレキシブルフィルム配線基板の側における前記ダミーリードの幅は、前記隙間の側における前記ダミーリードの幅よりも小さい
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記ダミーリードはT字形状を有する
請求項6に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記ダミーリードはL字形状を有する
請求項6に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記ダミーリードは、前記吐出素子基板の前記吐出口面の側の第1の面と、前記第1の面の裏面である第2の面と、を貫通する開口が形成される
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記ダミーリードは、前記フレキシブルフィルム配線基板に設けられている
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記ダミーリードと前記ダミーリードに隣接するリード電極との間隔は、互いに隣接するリード電極の間隔と略等しい
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 互いに隣接するリード電極の間隔をPとし、前記ダミーリードと前記ダミーリードに隣接するリード電極との間隔をP’とした場合に、0.75P≦P’≦1.25Pである
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記リード電極の材料と前記ダミーリードの材料は同じである
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 請求項1ないし13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
液体を含んだタンクを保持するタンクホルダーと、
前記タンクホルダーに保持された前記タンクから前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給する供給ユニットと
を有する液体吐出ヘッドカートリッジ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021118192A JP2023013780A (ja) | 2021-07-16 | 2021-07-16 | 液体吐出ヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021118192A JP2023013780A (ja) | 2021-07-16 | 2021-07-16 | 液体吐出ヘッド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023013780A true JP2023013780A (ja) | 2023-01-26 |
Family
ID=85129126
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021118192A Pending JP2023013780A (ja) | 2021-07-16 | 2021-07-16 | 液体吐出ヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023013780A (ja) |
-
2021
- 2021-07-16 JP JP2021118192A patent/JP2023013780A/ja active Pending
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