JP2023013751A - 非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライヒートプレスによる電極との接着及びウェットヒートプレスによる電極との接着に優れ、高温下で電池の膨れが起きにくく、且つ高温にさらされた後も電池の容量維持率が高い非水系二次電池用セパレータを提供する。【解決手段】非水系二次電池用セパレータは、多孔質基材と、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び無機フィラーを含む接着性多孔質層と、を備え、無機フィラーが金属水酸化物粒子、金属硫酸塩粒子及びチタン酸バリウム粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき吸熱ピークが2つ以上及び/又は発熱ピークが2つ以上観測される。【選択図】なし

Description

本開示は、非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池に関する。
特許文献1~4それぞれには、多孔質基材と、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層とを備え、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂が少なくとも2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む非水系二次電池用セパレータが開示されている。
特許文献5には、多孔質基材と、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層とを備え、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂がフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンと酸性基又はエステル基を有する単量体との共重合体を含む非水系二次電池用セパレータが開示されている。
国際公開第2013/058367号 国際公開第2013/058368号 国際公開第2013/058369号 国際公開第2013/058370号 特許第6487130号公報
ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層を有するセパレータを用いた電池は、一般的には、電極とセパレータの積層体を製造し、この積層体を外装材に収容して電解液を注入し、熱プレス処理(本開示において「ウェットヒートプレス」という。)を行って製造される。ウェットヒートプレスによれば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が電解液に膨潤した状態で熱プレスされるので電極とセパレータの接着がよく、良好な電池特性が得られやすい。ただし、比較的高温でウェットヒートプレスした場合は、電解液又は電解質が分解して電池内にガスが発生することがあり、例えば電池のサイクル特性及び寸法安定性の低下の原因となる。
一方、電極とセパレータの積層体に、電解液を含浸させずに熱プレス処理(本開示において「ドライヒートプレス」という。)を行って、電極とセパレータとを接着させる技術がある。ドライヒートプレスによって電極とセパレータとが十分に接着すれば、ウェットヒートプレスを要せず、したがって電解液及び電解質の分解は発生しない。
また、ウェットヒートプレスを行う場合も、それに先立って積層体にドライヒートプレスを行い電極とセパレータを接着しておけば、ウェットヒートプレスの温度を比較的低温に設定できるので、電解液及び電解質の分解が抑制できる。加えて、積層体を外装材に収容する前にドライヒートプレスによってセパレータを電極に接着しておけば、外装材に収容するための搬送時に起こり得る積層体の変形が抑制される。
したがって、ドライヒートプレスによってセパレータを電極に良好に接着できれば、より大面積化した電池の性能を保てると期待される。
ところで、非水系二次電池が高速で充放電するとき電池内部が高温になることがあり、高温にさらされた非水系二次電池は、セパレータの多孔質構造が変化し、電池性能(例えば容量維持率)が低下することが知られている。
また、電池内部が高温になると電解液又は電解質が分解して電池内にガスが発生し電池が膨れることがあるところ、無機フィラーの種類によって電解液又は電解質の分解が促進される。
本開示は、上記状況のもとになされた。
本開示は、ドライヒートプレスによる電極との接着及びウェットヒートプレスによる電極との接着に優れ、高温下で電池の膨れが起きにくく、且つ高温にさらされた後も電池の容量維持率が高い非水系二次電池用セパレータを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 多孔質基材と、
前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び無機フィラーを含む接着性多孔質層と、を備え、
前記無機フィラーが金属水酸化物粒子、金属硫酸塩粒子及びチタン酸バリウム粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき吸熱ピークが2つ以上及び/又は発熱ピークが2つ以上観測される、
非水系二次電池用セパレータ。
<2> 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき吸熱ピークが125℃以上140℃未満の領域と140℃以上190℃未満の領域とに少なくとも1つずつ観測される、<1>に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<3> 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき吸熱ピークが2つ以上観測され、隣り合う前記吸熱ピークの温度差がそれぞれ10℃以上60℃以下である、<1>又は<2>に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<4> 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき発熱ピークが80℃以上125℃未満の領域と125℃以上190℃未満の領域とに少なくとも1つずつ観測される、<1>~<3>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<5> 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき発熱ピークが2つ以上観測され、隣り合う前記発熱ピークの温度差がそれぞれ10℃以上90℃以下である、<1>~<4>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<6> 多孔質基材と、
前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び無機フィラーを含む接着性多孔質層と、を備え、
前記無機フィラーが金属水酸化物粒子、金属硫酸塩粒子及びチタン酸バリウム粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂が下記のポリフッ化ビニリデン系樹脂X及びポリフッ化ビニリデン系樹脂Yを含む、
非水系二次電池用セパレータ。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂X:フッ化ビニリデン由来の構成単位及びヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位を含み、全構成単位に占めるヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位の割合が3.5mol%超15mol%以下であり、重量平均分子量が10万以上100万未満であり、融点が125℃以上150℃未満である。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Y:フッ化ビニリデン由来の構成単位を含み、ヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位を含んでいてもよく、全構成単位に占めるヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位の割合が0mol%以上3.5mol%以下であり、重量平均分子量が100万以上300万未満であり、融点が150℃以上180℃未満である。
<7> 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき吸熱ピークが2つ以上及び/又は発熱ピークが2つ以上観測される、<6>に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<8> 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xの融点と前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yの融点との差分が25℃以上55℃未満である、<6>又は<7>に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<9> 前記接着性多孔質層に含まれる前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xと前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yとの質量比が20:80~80:20である、<6>~<8>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<10> 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xが、フッ化ビニリデン由来の構成単位及びヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位を含み、全構成単位に占めるヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位の割合が5.0mol%超15mol%以下であり、重量平均分子量が30万以上100万未満であり、融点が125℃以上140℃未満である、<6>~<9>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<11> 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yが、フッ化ビニリデン由来の構成単位を含み、ヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位を含んでいてもよく、全構成単位に占めるヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位の割合が0mol%以上2.0mol%以下であり、重量平均分子量が150万以上200万未満であり、融点が150℃以上170℃未満である、<6>~<10>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<12> 前記接着性多孔質層に含まれる無機フィラー全体に占める前記金属水酸化物粒子、前記金属硫酸塩粒子及び前記チタン酸バリウム粒子の合計量が80質量%以上である、<1>~<11>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<13> 前記無機フィラーが、水酸化マグネシウム粒子、水酸化アルミニウム粒子、水酸化カルシウム粒子、水酸化クロム粒子、水酸化ジルコニウム粒子、水酸化セリウム粒子及び水酸化ニッケル粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>~<12>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<14> 前記無機フィラーが、硫酸バリウム粒子、硫酸ストロンチウム粒子、硫酸カルシウム粒子、硫酸カルシウム二水和物粒子、ミョウバン粒子及びジャロサイト粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>~<13>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<15> 前記接着性多孔質層の空孔を除いた体積に占める前記無機フィラーの割合が30体積%~90体積%である、<1>~<14>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<16> 前記接着性多孔質層に含まれる無機フィラー全体の平均一次粒径が0.01μm~1.5μmである、<1>~<15>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<17> 前記接着性多孔質層が、下記の式(1)で表される単量体由来の構成単位を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む、<1>~<16>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
Figure 2023013751000001

式(1)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、カルボキシ基、又はカルボキシ基の誘導体を表し、Xは、単結合、炭素数1~5のアルキレン基、又は置換基を有する炭素数1~5のアルキレン基を表し、Yは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された炭素数1~5のアルキル基、少なくとも1つのカルボキシ基で置換された炭素数1~5のアルキル基、又は-R-O-C(=O)-(CH-C(=O)-OH(Rは炭素数1~5のアルキレン基を表し、nは0以上の整数を表す。)を表す。
<18> 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体の酸価が3.0mgKOH/g未満である、<1>~<17>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<19> 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体の重量平均分子量が30万以上300万未満である、<1>~<18>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<20> 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体において、全構成単位に占めるヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位の割合が3.5mol%超7.0mol%以下である、<1>~<19>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
<21> 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された<1>~<20>のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータと、を備え、リチウムイオンのドープ及び脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池。
本開示によれば、ドライヒートプレスによる電極との接着及びウェットヒートプレスによる電極との接着に優れ、高温下で電池の膨れが起きにくく、且つ高温にさらされた後も電池の容量維持率が高い非水系二次電池用セパレータが提供される。
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において、MD(Machine Direction)とは、長尺状に製造される多孔質基材及びセパレータにおいて長尺方向を意味し、TD(transverse direction)とは、多孔質基材及びセパレータの面方向においてMDに直交する方向を意味する。本開示において、TDを「幅方向」ともいう。
本開示において、セパレータを構成する各層の積層関係について「上」及び「下」で表現する場合、多孔質基材に対してより近い層について「下」といい、多孔質基材に対してより遠い層について「上」という。
本開示において、セパレータに電解液を含浸させて熱プレス処理を行うことを「ウェットヒートプレス」といい、セパレータに電解液を含浸させずに熱プレス処理を行うことを「ドライヒートプレス」という。
本開示において、共重合体又は樹脂の「構成単位」とは、単量体単位と同義である。
本開示において、接着性多孔質層の空孔を除いた体積を「固形分体積」という。
<非水系二次電池用セパレータ>
本開示の非水系二次電池用セパレータ(本開示において単に「セパレータ」ともいう。)は、多孔質基材と、多孔質基材の片面又は両面に設けられた接着性多孔質層とを備える。本開示のセパレータの接着性多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び無機フィラーを含む。
本開示における接着性多孔質層についての説明は、多孔質基材の片面それぞれの接着性多孔質層についての説明である。本開示のセパレータは、多孔質基材の少なくとも片面に本開示の接着性多孔質層を有していればよい。本開示のセパレータの実施形態例として、下記の形態例(1)~(3)が挙げられる。
(1)多孔質基材の両面に本開示の接着性多孔質層を有するセパレータ。当該セパレータにおいて一方の面の接着性多孔質層と他方の面の接着性多孔質層とは、成分、組成、熱的性質などにおいて同じでもよく異なっていてもよい。
(2)多孔質基材の一方の面に本開示の接着性多孔質層を有し、多孔質基材の他方の面に別の層を有するセパレータ。
(3)多孔質基材の一方の面に本開示の接着性多孔質層を有し、多孔質基材の他方の面に層を有しない(つまり、多孔質基材の表面が露出している。)セパレータ。
本開示のセパレータにおける接着性多孔質層は、無機フィラーとして、金属水酸化物粒子、金属硫酸塩粒子及びチタン酸バリウム粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。金属水酸化物粒子、金属硫酸塩粒子及びチタン酸バリウム粒子は、例えばアルミナ(Al)に比べて、電解液及び電解質との反応性が低く、高温下に電解液及び電解質を分解しにくい。したがって、金属水酸化物粒子、金属硫酸塩粒子又はチタン酸バリウム粒子を接着性多孔質層の無機フィラーとして用いることにより、ガス発生を起しにくく、電池の膨らみを起しにくいセパレータが得られる。
接着性多孔質層に含まれる無機フィラー全体に占める金属水酸化物粒子、金属硫酸塩粒子及びチタン酸バリウム粒子の合計量は、ガス発生を抑制する観点から、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上がより更に好ましく、100質量%が最も好ましい。
接着性多孔質層に含まれる無機フィラー全体に占める金属水酸化物粒子、金属硫酸塩粒子及びチタン酸バリウム粒子の合計量は、接着性多孔質層を形成する材料である無機フィラー、又は、セパレータの接着性多孔質層から取り出した無機フィラーを試料にして求める。セパレータの接着性多孔質層から無機フィラーを取り出す方法に制限はない。当該方法は、例えば、セパレータから剥がした接着性多孔質層を、樹脂を溶解する有機溶剤に浸漬して有機溶剤で樹脂を溶解させ無機フィラーを取り出す方法;セパレータから剥がした接着性多孔質層を800℃程度に加熱して樹脂を消失させ無機フィラーを取り出す方法;などである。
本開示のセパレータは、接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry, DSC)をしたとき、吸熱ピークが2つ以上及び/又は発熱ピークが2つ以上観測される。
吸熱ピークと発熱ピークは、少なくとも一方が2つ以上観測されればよく、両方が2つ以上観測されてもよい。吸熱ピークが2つ以上観測される場合、吸熱ピークは2つでもよく、3つ以上でもよい。発熱ピークが2つ以上観測される場合、発熱ピークは2つでもよく、3つ以上でもよい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料としてDSCをしたとき、熱流を縦軸とし時間又は温度を横軸としたDSC曲線において吸熱ピークが2つ以上又は発熱ピークが2つ以上観測されることは、比較的低温の加熱でポリマー鎖が運動するポリフッ化ビニリデン系樹脂(言い換えると、ポリマー鎖が運動しやすいポリフッ化ビニリデン系樹脂)と、比較的高温の加熱でポリマー鎖が運動するポリフッ化ビニリデン系樹脂(言い換えると、ポリマー鎖が運動しにくいポリフッ化ビニリデン系樹脂)とが接着性多孔質層に含まれていることを意味する。
ポリマー鎖が運動しやすいポリフッ化ビニリデン系樹脂が接着性多孔質層に含まれていることによって、電解液にポリフッ化ビニリデン系樹脂が膨潤しない状態での熱プレス又は比較的低温の熱プレスであっても接着性多孔質層が接着性を発揮する。そして、ポリマー鎖が運動しにくいポリフッ化ビニリデン系樹脂が接着性多孔質層に含まれていることによって、電解液にポリフッ化ビニリデン系樹脂が膨潤した状態での熱プレス又は比較的高温の熱プレスであっても接着性多孔質層の閉塞が抑制され、セパレータの性能が維持されると推測される。
また、ポリマー鎖が運動しにくいポリフッ化ビニリデン系樹脂が接着性多孔質層に含まれていることによって、電池内部が高温になっても接着性多孔質層の閉塞が抑制されと推測される。
したがって、本開示のセパレータは、セパレータの性能を維持しつつ、ドライヒートプレス及びウェットヒートプレスのいずれによっても電極との接着に優れ、且つ、高温にさらされた後も電池の容量維持率が高いと推測される。
本開示のセパレータは、熱プレスによる電極との接着と、熱プレス後のセパレータの性能維持とを両立する観点から、下記の(a)~(d)の少なくとも1つを示すことが好ましい。
(a)接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料としてDSCをしたとき、吸熱ピークが2つ以上観測され、125℃以上140℃未満の領域に少なくとも1つ且つ140℃以上190℃未満の領域に少なくとも1つ、吸熱ピークが観測される。
この場合、上記の2領域以外の領域にさらに吸熱ピークが観測されてもよい。
(b)接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料としてDSCをしたとき、吸熱ピークが2つ以上観測され、隣り合う吸熱ピークの温度差がそれぞれ10℃以上60℃以下である。
上記の温度差はそれぞれ、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。上記の温度差はそれぞれ、50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。
(c)接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料としてDSCをしたとき、発熱ピークが2つ以上観測され、80℃以上125℃未満の領域に少なくとも1つ且つ125℃以上190℃未満の領域に少なくとも1つ、発熱ピークが観測される。
この場合、上記の2領域以外の領域にさらに発熱ピークが観測されてもよい。
(d)接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料としてDSCをしたとき、発熱ピークが2つ以上観測され、隣り合う発熱ピークの温度差がそれぞれ10℃以上90℃以下である。
上記の温度差はそれぞれ、15℃以上が好ましく、18℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。上記の温度差はそれぞれ、80℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下が更に好ましい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂に係るDSCの吸熱ピーク及び発熱ピークの制御方法としては、例えば、下記の(I)及び(II)が挙げられる。
(I)ポリフッ化ビニリデン系樹脂の形成に、重合成分の種類若しくは量、分子量、又は融点において相違する2種類以上のポリフッ化ビニリデン系樹脂を使用し、その混合比を調整する。
(II)接着性多孔質層を形成する際の熱条件、フィラーの種類若しくは量、又は結晶制御剤の配合によって、接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂の結晶化度を制御する。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として行うDSC及び吸熱ピーク及び発熱ピークの観測方法を説明する。
-試料-
セパレータから接着性多孔質層を剥ぎ取り、剥ぎ取った接着性多孔質層をジメチルアセトアミドに浸漬し、50℃程度まで加熱し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が溶解した樹脂溶液を得る。樹脂溶液を遠心分離機で遠心し不溶物を沈降させる。遠心分離機の回転速度は、ローターの半径に応じて、不溶物を沈降させるために有効な速度に設定する。不溶物を沈降させた樹脂溶液の上澄みを取り出し、遠心分離を繰り返し、不溶物を除去する。不溶物が除去された樹脂溶液を水に滴下し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を凝固させる。凝固物を水から取り出し乾燥させ、乾燥後の固体を試料とする。
セパレータが両面に接着性多孔質層(又はそれに類する層)を有する場合、片面ずつ接着性多孔質層(又はそれに類する層)を剥ぎ取り、片面それぞれを別の試料とする。
-示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry, DSC)-
5.0mg±0.3mgの試料をアルミニウム製サンプルパンに入れ、測定装置にセットする。窒素雰囲気下、下記の3ステップを連続して行い、試料の熱分析を行う。
・ステップ1:30℃から200℃まで速度5℃/分で昇温する。
・ステップ2:200℃から30℃まで速度5℃/分で降温する。
・ステップ3:30℃から200℃まで速度5℃/分で昇温する。
-吸熱ピーク及び発熱ピークの観測-
DSCの熱分析結果をもとに、横軸が温度(℃)かつ縦軸が熱流(W/g)であるDSC曲線を描く。
ステップ2において、180℃から60℃までの温度領域で上に凸な部分を発熱ピークとする。発熱ピークの極大点の温度、すなわち、ステップ2のDSC曲線において、高温から低温に向かって、接線の傾きが負から正に変る温度を発熱ピーク温度とする。
ステップ3において、60℃から180℃までの温度領域で下に凸な部分を吸熱ピークとする。吸熱ピークの極小点の温度、すなわち、ステップ3のDSC曲線において、低温から高温に向かって、接線の傾きが負から正に変る温度を吸熱ピーク温度とする。
以下、本開示のセパレータが有する多孔質基材及び接着性多孔質層の詳細を説明する。
[多孔質基材]
本開示において多孔質基材とは、内部に空孔ないし空隙を有する基材を意味する。このような基材としては、微多孔膜;繊維状物からなる、不織布、紙等の多孔性シート;これら微多孔膜や多孔性シートに他の多孔性の層を1層以上積層した複合多孔質シート;などが挙げられる。本開示においては、セパレータの薄膜化及び強度の観点から、微多孔膜が好ましい。微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、微細孔が連結した構造となっており、一方の面から他方の面へと気体又は液体が通過可能となった膜を意味する。
多孔質基材の材料としては、電気絶縁性を有する材料が好ましく、有機材料又は無機材料のいずれでもよい。
多孔質基材は、多孔質基材にシャットダウン機能を付与するため、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。シャットダウン機能とは、電池温度が高まった際に、構成材料が溶解して多孔質基材の孔を閉塞することによりイオンの移動を遮断し、電池の熱暴走を防止する機能をいう。熱可塑性樹脂としては、融点200℃未満の熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;などが挙げられ、中でもポリオレフィンが好ましい。
多孔質基材としては、ポリオレフィンを含む微多孔膜(本開示において「ポリオレフィン微多孔膜」という。)が好ましい。ポリオレフィン微多孔膜としては、例えば、従来の電池セパレータに適用されているポリオレフィン微多孔膜が挙げられ、この中から十分な力学特性及びイオン透過性を有するものを選択することが好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜は、シャットダウン機能を発現する観点から、ポリエチレンを含む微多孔膜が好ましく、ポリエチレンの含有量としては、ポリオレフィン微多孔膜全体の質量に対して95質量%以上が好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜は、高温に曝されたときに容易に破膜しない耐熱性を備える観点から、ポリプロピレンを含む微多孔膜が好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜は、シャットダウン機能と、高温に曝されたときに容易に破膜しない耐熱性とを備える観点から、ポリエチレン及びポリプロピレンを含むポリオレフィン微多孔膜が好ましい。ポリエチレン及びポリプロピレンを含むポリオレフィン微多孔膜としては、ポリエチレンとポリプロピレンが1つの層において混在している微多孔膜が挙げられる。該微多孔膜においては、シャットダウン機能と耐熱性の両立という観点から、95質量%以上のポリエチレンと5質量%以下のポリプロピレンとを含むことが好ましい。また、シャットダウン機能と耐熱性の両立という観点からは、2層以上の積層構造を備え、少なくとも1層はポリエチレンを含み、少なくとも1層はポリプロピレンを含む構造のポリオレフィン微多孔膜も好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜に含まれるポリオレフィンとしては、重量平均分子量(Mw)が10万~500万のポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンのMwが10万以上であると、微多孔膜に十分な力学特性を付与できる。一方、ポリオレフィンのMwが500万以下であると、微多孔膜のシャットダウン特性が良好であるし、微多孔膜の成形がしやすい。
ポリオレフィン微多孔膜の製造方法としては、溶融したポリオレフィン樹脂をT-ダイから押し出してシート化し、これを結晶化処理した後延伸し、次いで熱処理をして微多孔膜とする方法:流動パラフィンなどの可塑剤と一緒に溶融したポリオレフィン樹脂をT-ダイから押し出し、これを冷却してシート化し、延伸した後、可塑剤を抽出し熱処理をして微多孔膜とする方法;などが挙げられる。
繊維状物からなる多孔性シートとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド等の耐熱性樹脂;セルロース;などの繊維状物からなる、不織布、紙等の多孔性シートが挙げられる。
本開示において耐熱性樹脂とは、融点が200℃以上の樹脂、又は、融点を有さず分解温度が200℃以上の樹脂を指す。つまり、本開示における耐熱性樹脂とは、200℃未満の温度領域で溶融及び分解を起こさない樹脂である。
複合多孔質シートとしては、微多孔膜や繊維状物からなる多孔性シートに、機能層を積層したシートが挙げられる。このような複合多孔質シートは、機能層によってさらなる機能付加が可能となる観点から好ましい。機能層としては、例えば耐熱性を付与するという観点からは、耐熱性樹脂からなる多孔性の層や、耐熱性樹脂及び無機フィラーからなる多孔性の層が挙げられる。耐熱性樹脂としては、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン及びポリエーテルイミドから選ばれる1種又は2種以上の耐熱性樹脂が挙げられる。無機フィラーとしては、アルミナ等の金属酸化物;水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;などが挙げられる。複合化の手法としては、微多孔膜や多孔性シートに機能層を塗工する方法、微多孔膜や多孔性シートと機能層とを接着剤で接合する方法、微多孔膜や多孔性シートと機能層とを熱圧着する方法等が挙げられる。
多孔質基材の表面には、接着性多孔質層を形成するための塗工液との濡れ性を向上させる目的で、多孔質基材の性質を損なわない範囲で、各種の表面処理を施してもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
[多孔質基材の特性]
多孔質基材の厚さは、電池のエネルギー密度を高める観点から、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましく、セパレータの製造歩留り及び電池の製造歩留りの観点から、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、8μm以上が更に好ましい。
多孔質基材のガーレ値(JIS P8117:2009)は、電池の短絡を抑制する観点から、20秒/100mL以上が好ましく、25秒/100mL以上がより好ましく、60秒/100mL以上が更に好ましく、65秒/100mL以上がより更に好ましい。
多孔質基材のガーレ値(JIS P8117:2009)は、イオン透過性の観点と、高温にさらされたときに多孔質基材と接着性多孔質層との境界において多孔質構造が閉塞することを抑制する観点とから、220秒/100mL以下が好ましく、200秒/100mL以下がより好ましく、190秒/100mL以下が更に好ましく、150秒/100mL以下がより更に好ましい。
多孔質基材の空孔率は、適切な膜抵抗やシャットダウン機能を得る観点から、20%~60%が好ましい。多孔質基材の空孔率ε(%)は、下記の式により求める。
ε={1-Ws/(ds・t)}×100
ここに、Wsは多孔質基材の目付(g/m)、dsは多孔質基材の真密度(g/cm)、tは多孔質基材の厚さ(μm)である。目付とは、単位面積当たりの質量である。
多孔質基材の平均孔径は、イオン透過性又は電池の短絡抑制の観点から、15nm~100nmが好ましい。多孔質基材の平均孔径は、パームポロメーター(PMI社製CFP-1500-A)を用いて、ASTM E1294-89に従って測定する。
[接着性多孔質層]
接着性多孔質層は、内部に多数の微細孔を有し、微細孔が連結した構造となっており、一方の面から他方の面へと気体又は液体が通過可能な層である。
接着性多孔質層は、多孔質基材の片面のみにあってもよく、多孔質基材の両面にあってもよい。接着性多孔質層が多孔質基材の両面にあると、セパレータにカールが発生しにくく、電池製造時のハンドリング性に優れる。接着性多孔質層が多孔質基材の片面のみにあると、セパレータのイオン透過性がより優れる。また、セパレータ全体の厚さを抑えることができ、エネルギー密度のより高い電池を製造し得る。
接着性多孔質層は、少なくともポリフッ化ビニリデン系樹脂と無機フィラーとを含有する。接着性多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂以外のその他の樹脂を含有していてもよい。接着性多孔質層は、有機フィラーを含有していてもよい。
-ポリフッ化ビニリデン系樹脂-
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂の含有量は、接着性多孔質層に含まれる全樹脂の全量に対して、85質量%~100質量%が好ましく、90質量%~100質量%がより好ましく、95質量%~100質量%が更に好ましい。
接着性多孔質層が多孔質基材の両面にある場合、一方の接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂の種類又は量と、他方の接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂の種類又は量とは、同じでもよく異なっていてもよい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデンの単独重合体(即ちポリフッ化ビニリデン);フッ化ビニリデンと、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリクロロエチレン等の含ハロゲン単量体との共重合体;フッ化ビニリデンと、含ハロゲン単量体以外のその他の単量体との共重合体;フッ化ビニリデンと、含ハロゲン単量体と、含ハロゲン単量体以外のその他の単量体との共重合体;これらの混合物;が挙げられる。ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、電極に対する接着性の観点から、フッ化ビニリデン(VDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体(VDF-HFP共重合体)が好ましい。本開示においてVDF-HFP共重合体には、VDFとHFPのみを重合した共重合体、及び、VDFとHFPと他の単量体を重合した共重合体のいずれも含まれる。VDF-HFP共重合体は、HFP単位の含有量を増減することによって、当該共重合体の結晶性、耐熱性、電解液に対する耐溶解性などを適度な範囲に制御できる。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体において、全構成単位に占めるHFP由来の構成単位の割合は、3.5mol%超7.0mol%以下であることが好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂全体の全構成単位に占めるHFP由来の構成単位の割合が3.5mol%超であると、ポリフッ化ビニリデン系樹脂のポリマー鎖が運動しやすく、電解液にポリフッ化ビニリデン系樹脂が膨潤しない状態での熱プレス又は比較的低温の熱プレスであっても電極に対する接着性に優れる。この観点から、HFP由来の構成単位の割合は、4.0mol%超がより好ましく、4.5mol%超が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂全体の全構成単位に占めるHFP由来の構成単位の割合が7.0mol%以下であると、電解液に対する耐溶解性に優れる。この観点から、HFP由来の構成単位の割合は、6.8mol%以下がより好ましく、6.5mol%以下が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、下記の式(1)で表される単量体由来の構成単位を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(本開示において「ポリフッ化ビニリデン系樹脂(1)」という。)を含むことが好ましい。
Figure 2023013751000002
式(1)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、カルボキシ基、又はカルボキシ基の誘導体を表し、Xは、単結合、炭素数1~5のアルキレン基、又は置換基を有する炭素数1~5のアルキレン基を表し、Yは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された炭素数1~5のアルキル基、少なくとも1つのカルボキシ基で置換された炭素数1~5のアルキル基、又は-R-O-C(=O)-(CH-C(=O)-OH(Rは炭素数1~5のアルキレン基を表し、nは0以上の整数を表す。)を表す。
式(1)中、R、R及びRが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれでもよく、フッ素原子が好ましい。
式(1)中、R、R及びRが表す炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、直鎖状のアルキル基である、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基;分岐状のアルキル基である、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基;が挙げられる。R、R及びRにおける炭素数1~5のアルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。
式(1)中、R、R及びRが表すカルボキシ基の誘導体としては、例えば、-C(=O)-OR(Rはアルキル基を表す。)が挙げられる。Rとしては、例えば、直鎖状のアルキル基である、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基;分岐状のアルキル基である、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基;が挙げられる。Rとしては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、炭素数1~3のアルキル基が更に好ましい。
式(1)中、Xが表す炭素数1~5のアルキレン基としては、例えば、直鎖状のアルキレン基である、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基;分岐状のアルキレン基である、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert-ペンチレン基;が挙げられる。Xにおける炭素数1~5のアルキレン基としては、炭素数1~4のアルキレン基が好ましく、炭素数1~3のアルキレン基がより好ましい。
式(1)中、Xが表す置換基を有する炭素数1~5のアルキレン基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれでもよい。Xにおける置換されている炭素数1~5のアルキレン基としては、例えば、直鎖状のアルキレン基である、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基;分岐状のアルキレン基である、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert-ペンチレン基;が挙げられる。Xにおける置換されている炭素数1~5のアルキレン基としては、炭素数1~4のアルキレン基が好ましく、炭素数1~3のアルキレン基がより好ましい。
式(1)中、Yが表す炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、直鎖状のアルキル基である、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基;分岐状のアルキル基である、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基;が挙げられる。Yにおける炭素数1~5のアルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。
式(1)中、Yが表す少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された炭素数1~5のアルキル基における、置換されている炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、直鎖状のアルキル基である、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基;分岐状のアルキル基である、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基;が挙げられる。Yにおける置換されている炭素数1~5のアルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。ヒドロキシ基の置換数としては、1つ又は2つが好ましく、1つがより好ましい。
式(1)中、Yが表す少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基が挙げられる。
式(1)中、Yが表す少なくとも1つのカルボキシ基で置換された炭素数1~5のアルキル基における、置換されている炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、直鎖状のアルキル基である、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基;分岐状のアルキル基である、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基;が挙げられる。Yにおける置換されている炭素数1~5のアルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。カルボキシ基の置換数としては、1つ又は2つが好ましく、1つがより好ましい。
式(1)中、Yが表す少なくとも1つのカルボキシ基で置換された炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、2-カルボキシエチル基、2-カルボキシプロピル基、4-カルボキシブチル基が挙げられる。
式(1)中、Yが表す-R-O-C(=O)-(CH-C(=O)-OHにおいて、Rは炭素数1~5のアルキレン基を表し、nは0以上の整数を表す。
Rとしては、例えば、直鎖状のアルキレン基である、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基;分岐状のアルキレン基である、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert-ペンチレン基;が挙げられる。Rとしては、炭素数1~4のアルキレン基が好ましく、炭素数1~3のアルキレン基がより好ましい。
nとしては、0~5の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましく、2又は3が更に好ましい。
当該基の具体例としては、例えば、-(CH-O-C(=O)-(CH-C(=O)-OHが挙げられる。
式(1)で表される単量体としては、例えば、R、R及びRがそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であり、Xが単結合であり、Yが炭素数1~4のアルキル基又は少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された炭素数1~3のアルキル基である単量体が挙げられる。
式(1)で表される単量体としては、例えば、アクリル系単量体、不飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸のモノエステル等が挙げられる。
アクリル系単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2-カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-カルボキシブチル、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸等が挙げられる。「(メタ)アクリル」との表記は「アクリル」及び「メタクリル」のいずれでもよいことを意味する。
不飽和二塩基酸の例としては、不飽和ジカルボン酸が挙げられ、より具体的には、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等が挙げられる。
不飽和二塩基酸のモノエステルの例としては、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸モノエチルエステル等が挙げられ、中でも、マレイン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステルが好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(1)において、全構成単位に占める式(1)で表される単量体由来の構成単位の割合は、電極に対する接着性の観点から、0.1mol%以上が好ましく、0.2mol%以上がより好ましく、0.5mol%以上が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(1)において、全構成単位に占める式(1)で表される単量体由来の構成単位の割合は、電極に含まれる活物質に対する影響の低さの観点から、5.0mol%以下が好ましく、4.0mol%以下がより好ましく、3.0mol%以下が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(1)は、フッ化ビニリデン(VDF)及び式(1)で表される単量体以外のその他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。その他の単量体としては、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリクロロエチレン等の含ハロゲン単量体が挙げられる。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(1)は、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)に由来する構成単位を含むことが好ましい。ポリフッ化ビニリデン系樹脂(1)は、全重合成分に占めるHFPの割合を増減することによって、当該樹脂の結晶性、電極に対する接着性、電解液に対する耐溶解性などを適度な範囲に制御できる。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(1)としては、VDFと、HFPと、式(1)で表される単量体とからなる三元共重合体が好ましい。当該三元共重合体としては、VDF-HFP-アクリル酸三元共重合体が好ましい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体に占めるポリフッ化ビニリデン系樹脂(1)の割合は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂全体の酸価を適切な範囲にする観点から、20質量%~80質量%が好ましく、30質量%~70質量%がより好ましく、40質量%~60質量%が更に好ましい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体の酸価(mgKOH/g)は、電極に含まれる活物質に対する影響の低さの観点から、3.0未満が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.0以下が更に好ましい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体の酸価(mgKOH/g)は、電極に対する接着性の観点から、0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、1.0以上が更に好ましい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体の酸価(mgKOH/g)は、接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂を抽出し、その酸価を電位差滴定法(JIS K1557-5:2007)により測定して求める。または、接着性多孔質層の形成に用いるポリフッ化ビニリデン系樹脂の酸価(mgKOH/g)を電位差滴定法(JIS K1557-5:2007)により測定して求める。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体の重量平均分子量(Mw)は、電池の製造時に接着性多孔質層に熱を印加した際に接着性多孔質層の空孔の閉塞が起きにくい観点から、30万以上が好ましく、50万以上がより好ましく、65万以上が更に好ましく、85万以上がより更に好ましい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体のMwは、電池の製造時に接着性多孔質層に熱を印加した際にポリフッ化ビニリデン系樹脂が適度に軟化し、接着性多孔質層と電極とが良好に接着する観点から、300万未満が好ましく、250万未満がより好ましく、230万未満が更に好ましく、200万未満がより更に好ましい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography, GPC)により測定した、ポリスチレン換算の分子量である。接着性多孔質層から抽出したポリフッ化ビニリデン系樹脂または接着性多孔質層の形成に用いるポリフッ化ビニリデン系樹脂を試料にする。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂に係るDSC曲線における吸熱ピーク温度及び発熱ピーク温度を所望の範囲に制御する観点から、接着性多孔質層は以下に説明するポリフッ化ビニリデン系樹脂Xとポリフッ化ビニリデン系樹脂Yとを含むことが好ましい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂Xとポリフッ化ビニリデン系樹脂Yとの合計量は、接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体に対して、85質量%~100質量%が好ましく、90質量%~100質量%がより好ましく、95質量%~100質量%が更に好ましい。
-ポリフッ化ビニリデン系樹脂X-
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xは、フッ化ビニリデン(VDF)由来の構成単位及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の構成単位を含み、全構成単位に占めるHFP由来の構成単位の割合が3.5mol%超15mol%以下であり、重量平均分子量(Mw)が10万以上100万未満であり、融点が125℃以上150℃未満である。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xにおいて、全構成単位に占めるHFP由来の構成単位の割合は、熱プレスによって当該樹脂のポリマー鎖が運動しやすく電極への接着に優れる観点から、3.5mol%超であり、4.0mol%超が好ましく、4.5mol%超がより好ましく、5.0mol%超が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xにおいて、全構成単位に占めるHFP由来の構成単位の割合は、電解液に対する耐溶解性に優れるから、15mol%以下であり、12mol%以下が好ましく、10mol%以下がより好ましく、8.0mol%以下が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂XのMwは、電池の製造時に接着性多孔質層に熱を印加した際に接着性多孔質層の空孔の閉塞が起きにくい観点から、10万以上であり、15万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、25万以上が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂XのMwは、電池の製造時に接着性多孔質層に熱を印加した際に当該樹脂が軟化し、接着性多孔質層と電極とが良好に接着する観点から、100万未満であり、90万未満が好ましく、60万未満がより好ましく、40万未満が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂XのMwは、GPCにより測定した、ポリスチレン換算の分子量である。接着性多孔質層の形成に用いるポリフッ化ビニリデン系樹脂Xを試料にする。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xの融点は、電池の製造時に接着性多孔質層に熱を印加した際に接着性多孔質層の空孔の閉塞が起きにくい観点から、125℃以上であり、128℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xの融点は、電池の製造時に接着性多孔質層に熱を印加した際に当該樹脂が軟化し、接着性多孔質層と電極とが良好に接着する観点から、150℃未満であり、145℃未満が好ましく、140℃未満がより好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xの融点は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry, DSC)を行って得たDSC曲線から求める。接着性多孔質層の形成に用いるポリフッ化ビニリデン系樹脂Xを試料にする。試料をアルミニウム製サンプルパンに入れ、測定装置にセットし、窒素雰囲気下、下記の3ステップを連続して行い、試料の熱分析を行う。
・ステップ1:30℃から200℃まで速度5℃/分で昇温する。
・ステップ2:200℃から30℃まで速度5℃/分で降温する。
・ステップ3:30℃から200℃まで速度5℃/分で昇温する。
上記ステップ3においてDSC曲線に現れた吸熱ピークの温度をポリフッ化ビニリデン系樹脂Xの融点とする。吸熱ピークが複数ある場合は、最も低温側の吸熱ピークの温度を融点とする。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xの好ましい形態として、全構成単位に占めるHFP由来の構成単位の割合が5.0mol%超15mol%以下であり、Mwが30万以上100万未満であり、融点が125℃以上140℃未満である形態が挙げられる。
-ポリフッ化ビニリデン系樹脂Y-
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yは、フッ化ビニリデン(VDF)由来の構成単位を含み、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の構成単位を含んでいてもよく、全構成単位に占めるHFP由来の構成単位の割合が0mol%以上3.5mol%以下であり、重量平均分子量(Mw)が100万以上300万未満であり、融点が150℃以上180℃未満である。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yにおいて、全構成単位に占めるHFP由来の構成単位の割合は、電解液に対する耐溶解性に優れるから、3.5mol%以下であり、3.0mol%以下が好ましく、2.5mol%以下がより好ましく、2.0mol%以下が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yにおいて、全構成単位に占めるHFP由来の構成単位の割合は、熱プレスによって当該樹脂のポリマー鎖が運動しやすく電極への接着に優れる観点から、0mol%超が好ましく、0.2mol%以上がより好ましく、0.5mol%以上が更に好ましく、0.7mol%以上がより更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂YのMwは、電池の製造時に接着性多孔質層に熱を印加した際に接着性多孔質層の空孔の閉塞が起きにくい観点から、100万以上であり、120万以上が好ましく、150万以上がより好ましく、160万以上が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂YのMwは、電池の製造時に接着性多孔質層に熱を印加した際に当該樹脂が適度に軟化し、接着性多孔質層と電極とが良好に接着する観点から、300万未満であり、250万未満が好ましく、230万未満がより好ましく、200万未満が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂YのMwは、GPCにより測定した、ポリスチレン換算の分子量である。接着性多孔質層の形成に用いるポリフッ化ビニリデン系樹脂Yを試料にする。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yの融点は、電池の製造時に接着性多孔質層に熱を印加した際に接着性多孔質層の空孔の閉塞が起きにくい観点から、150℃以上であり、160℃以上が好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yの融点は、電池の製造時に接着性多孔質層に熱を印加した際に当該樹脂が適度に軟化し、接着性多孔質層と電極とが良好に接着する観点から、180℃未満であり、175℃未満が好ましく、170℃未満がより好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yの融点は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry, DSC)を行って得たDSC曲線から求める。接着性多孔質層の形成に用いるポリフッ化ビニリデン系樹脂Yを試料にする。試料をアルミニウム製サンプルパンに入れ、測定装置にセットし、窒素雰囲気下、下記の3ステップを連続して行い、試料の熱分析を行う。
・ステップ1:30℃から200℃まで速度5℃/分で昇温する。
・ステップ2:200℃から30℃まで速度5℃/分で降温する。
・ステップ3:30℃から200℃まで速度5℃/分で昇温する。
上記ステップ3においてDSC曲線に現れた吸熱ピークの温度をポリフッ化ビニリデン系樹脂Yの融点とする。吸熱ピークが複数ある場合は、最も低温側の吸熱ピークの温度を融点とする。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yの好ましい形態として、全構成単位に占めるHFP由来の構成単位の割合が0mol%以上(好ましくは0mol%超、より好ましくは0.2mol%以上)2.0mol%以下であり、Mwが150万以上200万未満であり、融点が150℃以上170℃未満である形態が挙げられる。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yは、前記式(1)で表される単量体由来の構成単位を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂であることが好ましい。すなわち、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(1)であることが好ましい。すなわち、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yは、VDFと、HFPと、式(1)で表される単量体とからなる三元共重合体が好ましい。当該三元共重合体としては、VDF-HFP-アクリル酸三元共重合体が好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yにおいて、全構成単位に占める式(1)で表される単量体由来の構成単位の割合は、電極に対する接着性の観点から、0.1mol%以上が好ましく、0.2mol%以上がより好ましく、0.5mol%以上が更に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yにおいて、全構成単位に占める式(1)で表される単量体由来の構成単位の割合は、電極に含まれる活物質に対する影響の低さの観点から、5.0mol%以下が好ましく、4.0mol%以下がより好ましく、3.0mol%以下が更に好ましい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂Xとポリフッ化ビニリデン系樹脂Yとの質量比は、接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂に係るDSC曲線における吸熱ピーク温度及び発熱ピーク温度を所望の範囲に制御する観点から、ポリフッ化ビニリデン系樹脂X:ポリフッ化ビニリデン系樹脂Y=20:80~80:20であることが好ましく、30:70~70:30であることがより好ましく、35:65~65:35であることが更に好ましく、40:60~60:40であることがより更に好ましい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂Xの融点とポリフッ化ビニリデン系樹脂Yの融点との差分は、ドライヒートプレス及びウェットヒートプレスによる電極との接着性と高温にさらされた後も電池の容量維持率が高いことを両立する観点から、25℃以上であることが好ましく、27℃以上であることがより好ましく、28℃以上であることが更に好ましく、29℃以上であることが更により好ましい。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂Xの融点とポリフッ化ビニリデン系樹脂Yの融点との差分は、接着性多孔質層について均一性の高い多孔質構造を形成する観点から、55℃未満であることが好ましく、50℃未満であることがより好ましく、45℃未満であることが更に好ましく、40℃未満であることが更により好ましい。
-その他の樹脂-
接着性多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂以外のその他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、フッ素系ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体、ビニルニトリル化合物(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)の単独重合体又は共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等)、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂以外のその他の樹脂の含有量は、接着性多孔質層に含まれる全樹脂の全量に対して、0質量%~15質量%が好ましく、0質量%~10質量%がより好ましく、0質量%~5質量%が更に好ましい。
-無機フィラー-
接着性多孔質層は、無機フィラーとして、金属水酸化物粒子、金属硫酸塩粒子及びチタン酸バリウム粒子(BaTiO)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。無機フィラーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
金属水酸化物粒子を構成する金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化セリウム、水酸化ニッケルが挙げられる。
金属硫酸塩粒子を構成する金属硫酸塩としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、ミョウバン、ジャロサイトが挙げられる。
接着性多孔質層は、無機フィラーとして、上記粒子以外のその他の無機粒子を含んでいてもよい。その他の無機粒子としては、例えば、チタン酸バリウム粒子以外の金属酸化物粒子、金属炭酸塩粒子、金属窒化物粒子、金属フッ化物粒子、粘土鉱物粒子が挙げられる。
金属酸化物粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム、アルミナ(Al)、ベーマイト(アルミナ1水和物)、チタニア(TiO)、シリカ(SiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化亜鉛が挙げられる。
金属炭酸塩粒子を構成する金属炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが挙げられる。
金属窒化物粒子を構成する金属窒化物としては、例えば、窒化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化カルシウム、窒化チタンが挙げられる。
金属フッ化物粒子を構成する金属フッ化物としては、例えば、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムが挙げられる。
粘土鉱物粒子を構成する粘土鉱物としては、例えば、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、タルクが挙げられる。
無機フィラーは、シランカップリング剤等により表面修飾された無機フィラーでもよい。
接着性多孔質層が多孔質基材の両面にある場合、一方の接着性多孔質層に含まれる無機フィラーの種類と、他方の接着性多孔質層に含まれる無機フィラーの種類とは、同じでもよく異なっていてもよい。
無機フィラーの粒子形状に限定はなく、球状、板状、針状、不定形状のいずれでもよい。無機フィラーは、電池の短絡抑制の観点又は均一性の高い接着性多孔質層を形成する観点から、球状又は板状の粒子であることが好ましい。
接着性多孔質層に含まれる無機フィラー全体の平均一次粒径は、接着性多孔質層の耐熱性を高める観点から、1.5μm以下が好ましく、1.2μm以下がより好ましく、1.0μm以下が更に好ましい。
接着性多孔質層に含まれる無機フィラー全体の平均一次粒径は、無機フィラーどうしの凝集を抑制し均一性の高い接着性多孔質層を形成する観点から、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、0.5μm以上が更に好ましい。
接着性多孔質層に含まれる無機フィラー全体の平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察において無作為に選んだ無機フィラー100個の長径を計測し、100個の長径を平均することで求める。SEM観察に供する試料は、接着性多孔質層を形成する材料である無機フィラー、又は、セパレータの接着性多孔質層から取り出した無機フィラーである。セパレータの接着性多孔質層から無機フィラーを取り出す方法に制限はない。当該方法は、例えば、セパレータから剥がした接着性多孔質層を、樹脂を溶解する有機溶剤に浸漬して有機溶剤で樹脂を溶解させ無機フィラーを取り出す方法;セパレータから剥がした接着性多孔質層を800℃程度に加熱して樹脂を消失させ無機フィラーを取り出す方法;などである。
接着性多孔質層が多孔質基材の両面にある場合、一方の接着性多孔質層における無機フィラーの平均一次粒径と、他方の接着性多孔質層における無機フィラーの平均一次粒径とは、同じでもよく異なっていてもよい。
接着性多孔質層の固形分体積に占める無機フィラーの割合は、セパレータの耐熱性の観点から、30体積%以上が好ましく、35体積%以上がより好ましく、40体積%以上が更に好ましく、45体積%以上がより更に好ましい。
接着性多孔質層の固形分体積に占める無機フィラーの割合は、接着性多孔質層が多孔質基材から剥がれにくい観点から、90体積%以下が好ましく、85体積%以下がより好ましく、80体積%以下が更に好ましく、75体積%以下がより更に好ましい。
接着性多孔質層の固形分体積に占める無機フィラーの割合V(体積%)は、下記の式により求める。
V={(Xa/Da)/(Xa/Da+Xb/Db+Xc/Dc+…+Xn/Dn)}×100
ここに、接着性多孔質層の構成材料のうち、無機フィラーがaであり、その他の構成材料がb、c、…、nであり、所定面積の接着性多孔質層に含まれる各構成材料の質量がXa、Xb、Xc、…、Xn(g)であり、各構成材料の真密度がDa、Db、Dc、…、Dn(g/cm)である。
上記の式に代入するXa等は、所定面積の接着性多孔質層の形成に使用する構成材料の質量(g)、又は、所定面積の接着性多孔質層から取り出した構成材料の質量(g)である。
上記の式に代入するDa等は、接着性多孔質層の形成に使用する構成材料の真密度(g/cm)、又は、接着性多孔質層から取り出した構成材料の真密度(g/cm)である。
接着性多孔質層が多孔質基材の両面にある場合、一方の接着性多孔質層の固形分体積に占める無機フィラーの体積割合と、他方の接着性多孔質層の固形分体積に占める無機フィラーの体積割合とは、同じでもよく異なっていてもよい。
接着性多孔質層に含まれるフィラー全体量(すなわち、無機フィラーと有機フィラーの合計量)に占める無機フィラーの割合は、セパレータの耐熱性の観点から、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
-有機フィラー-
有機フィラーとしては、例えば、架橋ポリ(メタ)アクリル酸、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル、架橋ポリシリコーン、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド縮合物等の架橋高分子からなる粒子;ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミド等の耐熱性高分子からなる粒子;などが挙げられる。「(メタ)アクリル」との表記は「アクリル」及び「メタクリル」のいずれでもよいことを意味する。
有機フィラーを構成する樹脂は、上記の例示材料の、混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)又は架橋体であってもよい。
有機フィラーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
-その他の成分-
接着性多孔質層は、界面活性剤等の分散剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤などの添加剤を含んでいてもよい。分散剤は、接着性多孔質層を形成するための塗工液に、分散性、塗工性又は保存安定性を向上させる目的で添加される。湿潤剤、消泡剤、pH調整剤は、接着性多孔質層を形成するための塗工液に、例えば、多孔質基材とのなじみをよくする目的、塗工液へのエア噛み込みを抑制する目的、又はpH調整の目的で添加される。
[接着性多孔質層の特性]
接着性多孔質層の厚さは、電極に対する接着性又はハンドリング性の観点から、片面0.5μm以上が好ましく、片面1.0μm以上がより好ましく、片面1.5μm以上が更に好ましく、イオン透過性及び電池のエネルギー密度の観点から、片面10.0μm以下が好ましく、片面8.0μm以下がより好ましく、片面6.0μm以下が更に好ましい。
接着性多孔質層の厚さは、接着性多孔質層が多孔質基材の両面にある場合、両面の合計として、1.0μm以上が好ましく、2.0μm以上がより好ましく、3.0μm以上が更に好ましく、20.0μm以下が好ましく、16.0μm以下がより好ましく、12.0μm以下が更に好ましい。
接着性多孔質層が多孔質基材の両面にある場合、一方の接着性多孔質層の厚さと他方の接着性多孔質層の厚さとの差(μm)は、小さいほど好ましく、両面合計の厚さ(μm)の20%以下であることが好ましい。
接着性多孔質層の単位面積当たりの質量は、接着性多孔質層が多孔質基材の片面にある場合も両面にある場合も、電極に対する接着性又はハンドリング性の観点から、両面の合計として1.0g/m以上が好ましく、2.0g/m以上がより好ましく、3.0g/m以上が更に好ましく、イオン透過性及び電池のエネルギー密度の観点から、両面の合計として30.0g/m以下が好ましく、20.0g/m以下がより好ましく、10.0g/m以下が更に好ましい。
接着性多孔質層が多孔質基材の両面にある場合、一方の接着性多孔質層の単位面積当たりの質量と、他方の接着性多孔質層の単位面積当たりの質量との差(g/m)は、セパレータのカールを抑制する観点又は電池のサイクル特性を良好にする観点から、小さいほど好ましく、両面の合計量(g/m)の20%以下であることが好ましい。
接着性多孔質層の空孔率は、イオン透過性の観点から、30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましく、接着性多孔質層の力学的強度及び電極に対する接着性の観点から、70%以下が好ましく、65%以下がより好ましく、60%以下が更に好ましい。接着性多孔質層の空孔率ε(%)は、下記の式により求める。
Figure 2023013751000003

ここに、接着性多孔質層の構成材料1、構成材料2、構成材料3、…、構成材料nについて、各構成材料の単位面積当たりの質量がW、W2、、…、W(g/cm)であり、各構成材料の真密度がd、d、d、…、d(g/cm)であり、接着性多孔質層の厚さがt(cm)である。
接着性多孔質層の平均孔径は、10nm~200nmが好ましい。平均孔径が10nm以上であると、接着性多孔質層に電解液を含浸させたとき、接着性多孔質層に含まれる樹脂が膨潤しても孔の閉塞が起きにくい。平均孔径が200nm以下であると、接着性多孔質層におけるイオン移動の均一性が高く、電池のサイクル特性及び負荷特性に優れる。
接着性多孔質層の平均孔径(nm)は、すべての孔が円柱状であると仮定し、以下の式により算出する。
d=4V/S
式中、dは接着性多孔質層の平均孔径(直径)、Vは接着性多孔質層1m当たりの空孔体積、Sは接着性多孔質層1m当たりの空孔表面積を表す。
接着性多孔質層1m当たりの空孔体積Vは、接着性多孔質層の空孔率から算出する。
接着性多孔質層1m当たりの空孔表面積Sは、以下の方法で求める。
まず、多孔質基材の比表面積(m/g)とセパレータの比表面積(m/g)とを、窒素ガス吸着法にBET式を適用することにより、窒素ガス吸着量から算出する。これらの比表面積(m/g)にそれぞれの目付(g/m)を乗算して、それぞれの1m当たりの空孔表面積を算出する。そして、多孔質基材1m当たりの空孔表面積をセパレータ1m当たりの空孔表面積から減算して、接着性多孔質層1m当たりの空孔表面積Sを算出する。目付とは、単位面積当たりの質量である。
[セパレータの特性]
セパレータの厚さは、セパレータの機械的強度の観点から、8μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、12μm以上が更に好ましく、電池のエネルギー密度の観点から、25μm以下が好ましく、22μm以下がより好ましく、20μm以下が更に好ましい。
セパレータのガーレ値(JIS P8117:2009)は、電池の短絡を抑制する観点から、50秒/100mL以上が好ましく、60秒/100mL以上がより好ましく、70秒/100mL以上が更に好ましく、80秒/100mL以上がより更に好ましい。
セパレータのガーレ値(JIS P8117:2009)は、イオン透過性の観点から、200秒/100mL以下が好ましく、180秒/100mL以下がより好ましく、150秒/100mL以下が更に好ましく、130秒/100mL以下がより更に好ましい。
セパレータの膜抵抗は、電池の負荷特性の観点から、1Ω・cm~10Ω・cmが好ましい。セパレータの膜抵抗とは、セパレータに電解液を含浸させた状態での抵抗値であり、電解液として1mol/L LiBF-プロピレンカーボネート:エチレンカーボネート(質量比1:1)を用いて、温度20℃にて交流法にて測定される値である。セパレータの膜抵抗値が低いほど、セパレータのイオン透過性が優れる。
[セパレータの製造方法]
本開示のセパレータは、例えば、多孔質基材上に接着性多孔質層を湿式塗工法又は乾式塗工法で形成することにより製造できる。本開示において、湿式塗工法とは、塗工層を凝固液中で固化させる方法であり、乾式塗工法とは、塗工層を乾燥させて固化させる方法である。以下に、湿式塗工法の実施形態例を説明する。
湿式塗工法は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び無機フィラーを含有する塗工液を多孔質基材上に塗工し、凝固液に浸漬して塗工層を固化させ、凝固液から引き揚げ水洗及び乾燥を行う方法である。
接着性多孔質層形成用の塗工液は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び無機フィラーを溶媒に溶解又は分散させて作製する。塗工液には、必要に応じて、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び無機フィラー以外のその他の成分を溶解又は分散させる。
塗工液の調製に用いる溶媒は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解する溶媒(以下、「良溶媒」ともいう。)を含む。良溶媒としては、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の極性アミド溶媒が挙げられる。
塗工液の調製に用いる溶媒は、良好な多孔質構造を有する多孔質層を形成する観点から、相分離を誘発させる相分離剤を含んでいてもよい。したがって、塗工液の調製に用いる溶媒は、良溶媒と相分離剤との混合溶媒であってもよい。相分離剤は、塗工に適切な粘度が確保できる範囲の量で良溶媒と混合することが好ましい。相分離剤としては、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。
塗工液の調製に用いる溶媒が良溶媒と相分離剤との混合溶媒である場合、良好な多孔質構造を形成する観点から、良溶媒を60質量%以上含み、相分離剤を5質量%~40質量%含む混合溶媒が好ましい。
塗工液の樹脂濃度は、良好な多孔質構造を形成する観点から、1質量%~20質量%であることが好ましい。塗工液の無機フィラー濃度は、良好な多孔質構造を形成する観点から、0.5質量%~50質量%であることが好ましい。
塗工液は、界面活性剤等の分散剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤等を含有していてもよい。これらの添加剤は、非水系二次電池の使用範囲において電気化学的に安定で電池内反応を阻害しないものであれば、接着性多孔質層に残存するものであってもよい。
多孔質基材への塗工液の塗工手段としては、マイヤーバー、ダイコーター、リバースロールコーター、ロールコーター、グラビアコーター等が挙げられる。接着性多孔質層を多孔質基材の両面に形成する場合、塗工液を両面同時に多孔質基材へ塗工することが生産性の観点から好ましい。
塗工層の固化は、塗工層を形成した多孔質基材を凝固液に浸漬し、塗工層において相分離を誘発しつつポリフッ化ビニリデン系樹脂を固化させることで行われる。これにより、多孔質基材と接着性多孔質層とからなる積層体を得る。
凝固液は、塗工液の調製に用いた良溶媒及び相分離剤と、水とを含むことが一般的である。良溶媒と相分離剤の混合比は、塗工液の調製に用いた混合溶媒の混合比に合わせるのが生産上好ましい。凝固液中の水の含有量は40質量%~90質量%であることが、多孔質構造の形成及び生産性の観点から好ましい。凝固液の温度は、例えば20℃~50℃である。
凝固液中で塗工層を固化させた後、積層体を凝固液から引き揚げ、水洗する。水洗することによって、積層体から凝固液を除去する。さらに、乾燥することによって、積層体から水を除去する。水洗は、例えば、積層体を水浴中で搬送することによって行う。乾燥は、例えば、積層体を高温環境中で搬送すること、積層体に風をあてること、積層体をヒートロールに接触させることによって行う。乾燥温度は40℃~80℃が好ましい。
本開示のセパレータは、乾式塗工法でも製造し得る。乾式塗工法は、塗工液を多孔質基材に塗工し、塗工層を乾燥させて溶媒を揮発除去することにより、接着性多孔質層を多孔質基材上に形成する方法である。
本開示のセパレータは、接着性多孔質層を独立したシートとして作製し、この接着性多孔質層を多孔質基材に重ねて、熱圧着や接着剤によって複合化する方法によっても製造し得る。接着性多孔質層を独立したシートとして作製する方法としては、上述した湿式塗工法又は乾式塗工法を適用して、剥離シート上に接着性多孔質層を形成する方法が挙げられる。
<非水系二次電池>
本開示の非水系二次電池は、リチウムイオンのドープ及び脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池であり、正極と、負極と、本開示の非水系二次電池用セパレータとを備える。ドープとは、吸蔵、担持、吸着、又は挿入を意味し、正極等の電極の活物質にリチウムイオンが入る現象を意味する。
本開示の非水系二次電池は、例えば、負極と正極とがセパレータを介して対向した電池素子が電解液と共に外装材内に封入された構造を有する。本開示の非水系二次電池は、非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池に好適である。
以下、本開示の非水系二次電池が備える正極、負極、電解液及び外装材の形態例を説明する。
正極の実施形態例としては、正極活物質及びバインダ樹脂を含む活物質層が集電体上に成形された構造が挙げられる。活物質層は、さらに導電助剤を含んでもよい。正極活物質としては、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物が挙げられ、具体的にはLiCoO、LiNiO、LiMn1/2Ni1/2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3、LiMn、LiFePO、LiCo1/2Ni1/2、LiAl1/4Ni3/4等が挙げられる。バインダ樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体等が挙げられる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末等の炭素材料が挙げられる。集電体としては、例えば厚さ5μm~20μmの、アルミニウム箔、チタン箔、ステンレス箔等が挙げられる。
負極の実施形態例としては、負極活物質及びバインダ樹脂を含む活物質層が集電体上に成形された構造が挙げられる。活物質層は、さらに導電助剤を含んでもよい。負極活物質としては、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵し得る材料が挙げられ、具体的には例えば、炭素材料;ケイ素、スズ、アルミニウム等とリチウムとの合金;ウッド合金;などが挙げられる。バインダ樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体等が挙げられる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末、極細炭素繊維等の炭素材料が挙げられる。集電体としては、例えば厚さ5μm~20μmの、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等が挙げられる。また、上記の負極に代えて、金属リチウム箔を負極として用いてもよい。
電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した溶液である。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等が挙げられる。非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びそのフッ素置換体等の鎖状カーボネート;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状エステル;などが挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。電解液としては、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを質量比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)20:80~40:60で混合し、リチウム塩を0.5mol/L~1.5mol/Lの範囲にて溶解した溶液が好適である。
外装材としては、金属缶、アルミニウムラミネートフィルム製パック等が挙げられる。電池の形状は角型、円筒型、コイン型等があるが、本開示のセパレータはいずれの形状にも好適である。
本開示の非水系二次電池は、正極と負極との間に本開示のセパレータを配置した積層体を製造した後、この積層体を用いて、例えば下記の(1)~(3)のいずれかにより製造できる。
(1)積層体にドライヒートプレスして電極とセパレータとを接着した後、外装材(例えばアルミニウムラミネートフィルム製パック。以下同じ)に収容し、そこに電解液を注入し、外装材内を真空状態にした後、外装材の上からさらに積層体をウェットヒートプレスし、電極とセパレータとの接着と、外装材の封止とを行う。
(2)積層体を外装材に収容し、そこに電解液を注入し、外装材内を真空状態にした後、外装材の上から積層体をウェットヒートプレスし、電極とセパレータとの接着と、外装材の封止とを行う。
(3)積層体にドライヒートプレスして電極とセパレータとを接着した後、外装材に収容し、そこに電解液を注入し、外装材内を真空状態にした後、外装材の封止を行う。
上記の製造方法におけるウェットヒートプレスの条件としては、プレス温度は70℃~110℃が好ましく、プレス圧は0.5MPa~2MPaが好ましい。上記の製造方法におけるドライヒートプレスの条件としては、プレス温度は20℃~100℃が好ましく、プレス圧は0.5MPa~9MPaが好ましい。プレス時間は、プレス温度及びプレス圧に応じて調節することが好ましく、例えば0.5分間~60分間の範囲で調節する。
正極と負極との間にセパレータを配置した積層体を製造する際において、正極と負極との間にセパレータを配置する方式は、正極、セパレータ、負極をこの順に少なくとも1層ずつ積層する方式(所謂スタック方式)でもよく、正極、セパレータ、負極、セパレータをこの順に重ね、長さ方向に捲き回す方式でもよい。
以下に実施例を挙げて、本開示のセパレータ及び非水系二次電池をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本開示のセパレータ及び非水系二次電池の範囲は、以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきではない。
以下の説明において、合成、処理、製造などは、特に断りのない限り、室温(25℃±3℃)で行った。
<測定方法、評価方法>
実施例及び比較例に適用した測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。
[ポリフッ化ビニリデン系樹脂の構成単位の分析]
接着性多孔質層の形成に用いるポリフッ化ビニリデン系樹脂を試料にした。ポリフッ化ビニリデン系樹脂20mgを重ジメチルスルホキシド0.6mLに100℃にて溶解し、100℃で19F-NMRスペクトルを測定した。得られたNMRスペクトルから、HFP由来の構成単位の割合(mol%)及び式(1)で表される単量体由来の構成単位の割合(mol%)を求めた。
[ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量(Mw)]
接着性多孔質層の形成に用いるポリフッ化ビニリデン系樹脂を試料にして、GPCにより分子量を測定した。GPCによる分子量測定は、日本分光社製のGPC装置GPC-900を用い、カラムに東ソー社製TSKgel SUPER AWM-Hを2本用い、溶媒にN,N-ジメチルホルムアミドを使用し、温度40℃、流量0.6mL/分の条件で測定し、ポリスチレン換算の分子量を得た。
[ポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点]
接着性多孔質層の形成に用いるポリフッ化ビニリデン系樹脂を試料にし、示差走査熱量測定を行い、融点を求めた。測定装置として、商品名:DSC Q20(TA Instruments社)を使用した。
[ポリフッ化ビニリデン系樹脂の酸価]
接着性多孔質層の形成に用いるポリフッ化ビニリデン系樹脂を試料にして、電位差滴定法(JIS K1557-5:2007)により酸価(mgKOH/g)を測定した。
[無機フィラーの平均一次粒径]
接着性多孔質層の形成に用いる無機フィラーを試料にしてSEM観察を行い、平均一次粒径を求めた。
[無機フィラーの体積割合]
接着性多孔質層の固形分体積に占める無機フィラーの割合V(体積%)は、下記の式により求めた。
V={(Xa/Da)/(Xa/Da+Xb/Db+Xc/Dc+…+Xn/Dn)}×100
ここに、接着性多孔質層の構成材料のうち、無機フィラーがaであり、その他の構成材料がb、c、…、nであり、所定面積の接着性多孔質層に含まれる各構成材料の質量がXa、Xb、Xc、…、Xn(g)であり、各構成材料の真密度がDa、Db、Dc、…、Dn(g/cm)である。上記の式に代入するXa等は、所定面積の接着性多孔質層の形成に使用する構成材料の質量(g)である。上記の式に代入するDa等は、接着性多孔質層の形成に使用する構成材料の真密度(g/cm)である。
[接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂の示差走査熱量測定]
実施例及び比較例はそれぞれ、多孔質基材の両面に同じ塗工液を等量塗工して接着性多孔質層を形成したので、両面の接着性多孔質層は同じ熱特性を有すると推認した。
セパレータから一方の接着性多孔質層を剥ぎ取り、接着性多孔質層をジメチルアセトアミドに浸漬し、50℃程度まで加熱し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が溶解した樹脂溶液を得た。樹脂溶液を遠心分離機で遠心し不溶物を沈降させた。不溶物を沈降させた樹脂溶液の上澄みを取り出し、遠心分離を繰り返し、不溶物を除去した。不溶物が除去された樹脂溶液を水に滴下し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を凝固させた。凝固物を水から取り出し乾燥させ、乾燥後の固体を試料とした。
試料5mgをアルミニウム製サンプルパン(TA Instruments社製、部品番号900786.901)に入れ、ふた(TA Instruments社製、部品番号900779.901)をし、測定装置にセットした。測定装置として、商品名:DSC Q20(TA Instruments社)を使用した。窒素ガスを流量50ml/分で流しながら、先述の3ステップで試料温度を変化させ熱分析を行った。
[ドライ接着性]
負極活物質である人造黒鉛300質量部、バインダ樹脂であるスチレン-ブタジエン共重合体の変性体を40質量%含有する水溶性分散液7.5質量部、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース3質量部、及び適量の水を双腕式混合機にて攪拌して混合し、負極用スラリーを作製した。負極用スラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥後プレスして、負極活物質層を有する負極を得た。
上記の負極を15mm×70mmの長方形に切り出した。
セパレータをTD20mm×MD75mmの長方形に切り出した。
15mm×70mmの長方形の離型紙を用意した。
負極とセパレータと離型紙とをこの順に重ねた積層体を、アルミニウムラミネートフィルム製のパック中に挿入し、パックごと積層体の積層方向に熱プレス機を用いて熱プレスを行い(ドライヒートプレス)、これにより負極とセパレータとの接着を行った。熱プレスの条件は、温度90℃、電極1cm当たり30kgの荷重、プレス時間30秒間とした。その後、パックから積層体を取り出し、離型紙を剥離して、これを試験片とした。
試験片の負極の無塗工面を金属板に両面テープで固定し、金属板をテンシロン(エー・アンド・デイ社、STB-1225S)の下部チャックに固定した。この際、試験片の長さ方向(即ちセパレータのMD)が重力方向になるように、金属板をテンシロンに固定した。セパレータを下部の端から2cm程度負極から剥がして、その端部を上部チャックに固定し、180°剥離試験を行った。180°剥離試験の引張速度は300mm/分とし、測定開始後10mmから40mmまでの荷重(N)を0.4mm間隔で採取し、その平均を算出した。さらに試験片10枚の荷重を平均した。
[ウェット接着性]
正極活物質であるコバルト酸リチウム粉末89.5質量部、導電助剤であるアセチレンブラック4.5質量部、バインダ樹脂であるポリフッ化ビニリデン6質量部、及び適量のN-メチル-2-ピロリドンを双腕式混合機にて攪拌して混合し、正極用スラリーを作製した。正極用スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥後プレスして、正極活物質層を両面に有する両面正極を得た。
負極活物質である人造黒鉛300質量部、バインダ樹脂であるスチレン-ブタジエン共重合体の変性体を40質量%含有する水溶性分散液7.5質量部、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース3質量部、及び適量の水を双腕式混合機にて攪拌して混合し、負極用スラリーを作製した。負極用スラリーを厚さ10μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥後プレスして、負極活物質層を両面に有する両面負極を得た。
上記の正極及び負極をそれぞれ30mm×70mmの長方形に切り出した。
セパレータをTD35mm×MD75mmの長方形に切り出した。
これらを正極と負極が交互に且つ正極と負極の間にセパレータが挟まるように重ね、正極3枚、負極3枚、セパレータ5枚からなる積層体を作製した。積層体をアルミニウムラミネートフィルム製のパック中に挿入し、パック内に電解液(1mol/L LiPF-エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート[質量比3:7])を注入し、積層体に電解液をしみ込ませた。次いで、パックごと積層体の積層方向に熱プレス機を用いて熱プレスを行い(ウェットヒートプレス)、電極とセパレータとの接着を行った。熱プレスの条件は、温度90℃、電極1cm当たり10kgの荷重、プレス時間2分間とし、これをウェット接着性測定用セルとした。
上記セルについて圧縮型曲げ試験(3点曲げ測定)を行った。測定はテンシロン(エー・アンド・デイ社、STB-1225S)に圧縮型曲げ試験治具を取り付けて実施した。支持台間距離は4cmとし、セルの短手方向が圧子長手方向と平行になり且つ測定時の圧縮位置がセル内電極の長手方向の中央になるようにセルを支持台に設置し、0.1Nの荷重がかかるまで圧子を下げた時の変位を0とし測定を開始した。測定時の圧縮速度は2mm/minとし、変位2mmまで測定を行った。この結果から得られる荷重変位曲線における降伏点荷重をウェット接着強度とした。降伏点荷重が観測できなかった場合は最大荷重をウェット接着強度とした。
[セルの体積変化率]
セパレータを600cmの大きさに切り出してアルミニウムラミネートフィルム製パック中に入れ、パック中に電解液を注入してセパレータに電解液を含浸させ、パックを封止し、これを試験用セルとした。試験用セルは10個用意した。電解液としては、1mol/L LiPF-エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート(質量比3:7)を用いた。
試験用セルの体積を電子比重計(商品コード:EW-300SG、ALFA MIRAGE社製)で測定した。試験用セルを温度90℃下に20日間置き、熱処理後の試験用セルの体積を電子比重計で測定した。下記の式からセルの体積変化率(%)を求め、さらに試験用セル10個の平均値を算出した。
セルの体積変化率=熱処理後のセルの体積÷熱処理前のセルの体積×100
[放電容量維持率]
試験用電池を20個用意した。そのうち10個は熱処理せず、これらを標準電池とした。残り10個は温度100℃下で30分間静置し、これらを熱処理電池とした。
標準電池10個及び熱処理電池10個に次の充放電を行った。充電は0.2C且つ4.2Vの定電流定電圧充電を行い、放電は0.2C且つ2.5Vカットオフの定電流放電とした充放電を5サイクル行った。次いで、充電は0.2C且つ4.2Vの定電流定電圧充電を行い、放電は10C且つ2.5Vカットオフの定電流放電を行った。このときの放電容量を記録し、標準電池及び熱処理電池それぞれ10個の放電容量の平均値を算出した。標準電池の放電容量に対する熱処理電池の放電容量の比率を高温にさらされた電池の放電容量維持率(%)とし、下記の式から求めた。
放電容量維持率=熱処理電池の放電容量÷標準電池の放電容量×100
<セパレータ及び電池の作製>
[実施例1]
-セパレータの作製-
接着性多孔質層の材料として、2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂と水酸化マグネシウム粒子とを用意した。これらの物性は表1に記載のとおりである。
2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂を質量比30:70で混合し、樹脂濃度が5.0質量%となるようにジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、さらに水酸化マグネシウム粒子を攪拌分散し、塗工液(1)を得た。
マイヤーバーに塗工液(1)を適量のせ、ポリエチレン微多孔膜(厚さ7μm、空孔率45%、ガーレ値80秒/100mL)の両面に塗工液(1)を塗工した。その際、ポリエチレン微多孔膜の表裏の塗工量が等量になるように塗工した。これを、凝固液(DMAc:水=50:50[質量比]、液温40℃)に浸漬し塗工層を固化させ、次いで、水温40℃の水洗槽で洗浄し、乾燥した。こうして、ポリエチレン微多孔膜の両面に接着性多孔質層が形成されたセパレータを得た。接着性多孔質層の厚さは片面あたり概ね3μmとした。
-負極の作製-
負極活物質である人造黒鉛300質量部、バインダ樹脂であるスチレン-ブタジエン共重合体の変性体を40質量%含有する水溶性分散液7.5質量部、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース3質量部、及び適量の水を双腕式混合機にて攪拌して混合し、負極用スラリーを作製した。負極用スラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥後プレスして、負極活物質層を有する負極を得た。
-正極の作製-
正極活物質であるコバルト酸リチウム粉末89.5質量部、導電助剤であるアセチレンブラック4.5質量部、バインダ樹脂であるポリフッ化ビニリデン6質量部、及び適量のN-メチル-2-ピロリドンを双腕式混合機にて攪拌して混合し、正極用スラリーを作製した。正極用スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥後プレスして、正極活物質層を有する正極を得た。
-電池の作製-
正極を3cm×5cmの長方形に切り出し、負極を3.2cm×5.2cmの長方形に切り出して、それぞれにリードタブを溶接した。セパレータを3.4cm×5.4cmの長方形に切り出した。
正極、セパレータ、負極の順に積層した。積層体の積層方向に熱プレス機を用いて熱プレスを行い(ドライヒートプレス)、電極とセパレータとの仮接着を行った。熱プレスの条件は、温度90℃、電極1cm当たり30kgの荷重、プレス時間30秒間とした。
仮接着した積層体をアルミニウムラミネートフィルム製のパック中に挿入し、パック内に電解液(1mol/L LiPF-エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート[質量比3:7])を注入し、積層体に電解液をしみ込ませた。次いで、パックごと積層体の積層方向に熱プレス機を用いて熱プレスを行い(ウェットヒートプレス)、電極とセパレータとの接着を行った。熱プレスの条件は、温度90℃、電極1cm当たり10kgの荷重、プレス時間2分間とした。
次いで、真空シーラーを用いてパック内を真空状態にして封止し、試験用電池を得た。
[実施例2~8、比較例1~7]
実施例1と同様にして、但し、接着性多孔質層の材料であるポリフッ化ビニリデン系樹脂及び無機フィラーの種類及び量を表1に記載の仕様に変更して、各セパレータを作製した。接着性多孔質層の厚さは片面あたり概ね3μmとした。
そして、各セパレータを用いて実施例1と同様にして試験用電池を作製した。
表1の「PVDF系樹脂X」は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xに当たる樹脂又はその比較用ポリフッ化ビニリデン系樹脂である。PVDF系樹脂Xは、VDFとHFPとからなる二元共重合体である。
表1の「PVDF系樹脂Y」は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yに当たる樹脂又はその比較用ポリフッ化ビニリデン系樹脂である。PVDF系樹脂Yは、VDFとHFPと式(1)で表される単量体とからなる三元共重合体である。PVDF系樹脂Yにおける式(1)で表される単量体は全例においてアクリル酸である。
実施例2~8及び比較例1~7の各セパレータの組成、物性及び評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023013751000004
Figure 2023013751000005
[参考例1]
実施例1~6において使用した2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂を質量比50:50で混合した。この混合樹脂を試料にしてDSCを行い、熱特性を分析した。分析結果を表3に示す。
[参考例2]
実施例7において使用した2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂を質量比50:50で混合した。この混合樹脂を試料にしてDSCを行い、熱特性を分析した。分析結果を表3に示す。
Figure 2023013751000006
参考例1と参考例2とは、2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂の混合比が同じであるところ、2種類のうち低融点のポリフッ化ビニリデン系樹脂(ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xに当たる。)が別種類であり高融点のポリフッ化ビニリデン系樹脂(ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yに当たる。)が同種類である。
参考例1と参考例2とを対比すると、低融点のポリフッ化ビニリデン系樹脂の種類を変えることで、低温側の吸熱ピーク温度及び発熱ピーク温度が変動することが分る。
参考例1と比較例7とは、2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂が同種類でその混合比も同じである。ただし、比較例7においてDSCに供した試料は、接着性多孔質層から抽出したポリフッ化ビニリデン系樹脂であるので、接着性多孔質層を形成する工程を経たポリフッ化ビニリデン系樹脂である。
参考例1と比較例7とを対比すると、2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂の混合物は、接着性多孔質層を形成する工程を経ることによって、吸熱ピークの温度差及び発熱ピークの温度差が小さくなることが分る。すなわち、接着性多孔質層を形成する工程を経ることによって、低温側の吸熱ピーク及び発熱ピークが高温側にシフトし、高温側の吸熱ピーク及び発熱ピークが低温側にシフトしている。
このことから、接着性多孔質層を形成する工程において2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂が部分的に相溶し、低融点のポリフッ化ビニリデン系樹脂に高融点のポリフッ化ビニリデン系樹脂が僅かに溶け込んだ領域と高融点のポリフッ化ビニリデン系樹脂に低融点のポリフッ化ビニリデン系樹脂が僅かに溶け込んだ領域とが存在すると推測される。その結果、低温側の吸熱ピーク及び発熱ピークが高温側にシフトし、高温側の吸熱ピーク及び発熱ピークが低温側にシフトすると推測される。
比較例1、3及び5は、2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点の差分が22℃であるが、接着性多孔質層から抽出したポリフッ化ビニリデン系樹脂のDSC曲線には吸熱ピーク及び発熱ピークが2つずつではなく1つずつ観測された。
先述のとおり、接着性多孔質層を形成する工程において2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂が少なくとも部分的に相溶するものと推測される。このとき、2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂の特徴(当該特徴は、HFP割合、分子量及び融点によって特徴づけられる。)が近似していると2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂が完全に相溶し、DSC曲線に観察される吸熱ピーク及び発熱ピークが1つずつになると推測される。

Claims (21)

  1. 多孔質基材と、
    前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び無機フィラーを含む接着性多孔質層と、を備え、
    前記無機フィラーが金属水酸化物粒子、金属硫酸塩粒子及びチタン酸バリウム粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき吸熱ピークが2つ以上及び/又は発熱ピークが2つ以上観測される、
    非水系二次電池用セパレータ。
  2. 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき吸熱ピークが125℃以上140℃未満の領域と140℃以上190℃未満の領域とに少なくとも1つずつ観測される、請求項1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  3. 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき吸熱ピークが2つ以上観測され、隣り合う前記吸熱ピークの温度差がそれぞれ10℃以上60℃以下である、請求項1又は請求項2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  4. 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき発熱ピークが80℃以上125℃未満の領域と125℃以上190℃未満の領域とに少なくとも1つずつ観測される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  5. 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき発熱ピークが2つ以上観測され、隣り合う前記発熱ピークの温度差がそれぞれ10℃以上90℃以下である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  6. 多孔質基材と、
    前記多孔質基材の片面又は両面に設けられ、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び無機フィラーを含む接着性多孔質層と、を備え、
    前記無機フィラーが金属水酸化物粒子、金属硫酸塩粒子及びチタン酸バリウム粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂が下記のポリフッ化ビニリデン系樹脂X及びポリフッ化ビニリデン系樹脂Yを含む、
    非水系二次電池用セパレータ。
    ポリフッ化ビニリデン系樹脂X:フッ化ビニリデン由来の構成単位及びヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位を含み、全構成単位に占めるヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位の割合が3.5mol%超15mol%以下であり、重量平均分子量が10万以上100万未満であり、融点が125℃以上150℃未満である。
    ポリフッ化ビニリデン系樹脂Y:フッ化ビニリデン由来の構成単位を含み、ヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位を含んでいてもよく、全構成単位に占めるヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位の割合が0mol%以上3.5mol%以下であり、重量平均分子量が100万以上300万未満であり、融点が150℃以上180℃未満である。
  7. 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体を試料として示差走査熱量測定をしたとき吸熱ピークが2つ以上及び/又は発熱ピークが2つ以上観測される、請求項6に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  8. 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xの融点と前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yの融点との差分が25℃以上55℃未満である、請求項6又は請求項7に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  9. 前記接着性多孔質層に含まれる前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xと前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yとの質量比が20:80~80:20である、請求項6~請求項8のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  10. 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Xが、フッ化ビニリデン由来の構成単位及びヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位を含み、全構成単位に占めるヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位の割合が5.0mol%超15mol%以下であり、重量平均分子量が30万以上100万未満であり、融点が125℃以上140℃未満である、請求項6~請求項9のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  11. 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Yが、フッ化ビニリデン由来の構成単位を含み、ヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位を含んでいてもよく、全構成単位に占めるヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位の割合が0mol%以上2.0mol%以下であり、重量平均分子量が150万以上200万未満であり、融点が150℃以上170℃未満である、請求項6~請求項10のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  12. 前記接着性多孔質層に含まれる無機フィラー全体に占める前記金属水酸化物粒子、前記金属硫酸塩粒子及び前記チタン酸バリウム粒子の合計量が80質量%以上である、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  13. 前記無機フィラーが、水酸化マグネシウム粒子、水酸化アルミニウム粒子、水酸化カルシウム粒子、水酸化クロム粒子、水酸化ジルコニウム粒子、水酸化セリウム粒子及び水酸化ニッケル粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  14. 前記無機フィラーが、硫酸バリウム粒子、硫酸ストロンチウム粒子、硫酸カルシウム粒子、硫酸カルシウム二水和物粒子、ミョウバン粒子及びジャロサイト粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  15. 前記接着性多孔質層の空孔を除いた体積に占める前記無機フィラーの割合が30体積%~90体積%である、請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  16. 前記接着性多孔質層に含まれる無機フィラー全体の平均一次粒径が0.01μm~1.5μmである、請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  17. 前記接着性多孔質層が、下記の式(1)で表される単量体由来の構成単位を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む、請求項1~請求項16のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
    Figure 2023013751000007

    式(1)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、カルボキシ基、又はカルボキシ基の誘導体を表し、Xは、単結合、炭素数1~5のアルキレン基、又は置換基を有する炭素数1~5のアルキレン基を表し、Yは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された炭素数1~5のアルキル基、少なくとも1つのカルボキシ基で置換された炭素数1~5のアルキル基、又は-R-O-C(=O)-(CH-C(=O)-OH(Rは炭素数1~5のアルキレン基を表し、nは0以上の整数を表す。)を表す。
  18. 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体の酸価が3.0mgKOH/g未満である、請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  19. 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体の重量平均分子量が30万以上300万未満である、請求項1~請求項18のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  20. 前記接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂全体において、全構成単位に占めるヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位の割合が3.5mol%超7.0mol%以下である、請求項1~請求項19のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  21. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された請求項1~請求項20のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータと、を備え、リチウムイオンのドープ及び脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池。
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