JP2023013488A - 壁面強度推定方法、地山性状の評価方法、及び弾性波探査システム - Google Patents

壁面強度推定方法、地山性状の評価方法、及び弾性波探査システム Download PDF

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康一 奥澤
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信博 谷口
Nobuhiro Taniguchi
慎理 倉橋
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Abstract

【課題】迅速かつ安全に地山の一軸圧縮強度を推定し、地山性状を評価することである。【解決手段】調査対象面近傍の地山の一軸圧縮強度を推定する壁面強度推定方法であって、表面波速度に基づいて地山の一軸圧縮強度を推定する強度推定式を取得する推定式取得工程と、前記調査対象面に衝撃を付与することで発生する表面波の表面波速度を取得する速度取得工程と、前記表面波速度と前記強度推定式に基づいて、前記一軸圧縮強度を推定する強度推定工程と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、壁面強度推定方法、地山性状の評価方法、及び弾性波探査システムに関する。
例えば、山岳トンネル工事では、特許文献1の従来技術で開示されているように、事前にボーリング作業等による地質調査を行って支保パターンを計画したのち、トンネル施工を進行しながら、原位置調査や室内岩石試験、切羽の観察など様々な調査を行って地山の性状を把握し、支保パターンを決定する。
室内岩石試験としては、切羽から採取したボーリングコアを用いた岩石の一軸圧縮試験や、パルス透過法による岩石の超音波速度試験などが挙げられる。また、原位置調査としては、岩検ハンマーを利用して定性的に地山の軟硬を判定する試験や、切羽にシュミットロックハンマーを押し当てた際の反発度に基づいて一軸圧縮強度を推定するシュミットハンマー試験等が挙げられる。
これら原位置調査や室内岩石試験は、山岳トンネル工事だけでなく、ダムや道路などの岩盤を対象とする工事においても地山の性状を把握するべく、岩盤斜面などを利用して実施されている。
特開2020-20208号公報
原位置調査はもとより室内岩石試験においても岩盤から岩石を採取するといった、現場作業員が岩盤斜面やトンネル切羽近傍で実施する必要のある作業が含まれている。このような作業は、現場の工事を中断して実施することとなるが、作業が煩雑であるとともに手間がかかるため、多大な時間を要する場合がある。また、岩盤斜面やトンネル切羽近傍での作業は肌落ちや落石等による労働災害が発生しやすく、作業安全の確保に課題が生じる。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、迅速かつ安全に地山の一軸圧縮強度を推定し、地山性状を評価することである。
かかる目的を達成するため、本発明の壁面強度推定方法は、調査対象面近傍の地山の一軸圧縮強度を推定する壁面強度推定方法であって、表面波速度に基づいて地山の一軸圧縮強度を推定する強度推定式を取得する推定式取得工程と、前記調査対象面に衝撃を付与することで発生する表面波の表面波速度を取得する速度取得工程と、前記表面波速度と前記強度推定式に基づいて、前記一軸圧縮強度を推定する強度推定工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の壁面強度推定方法によれば、表面波探査技術を利用して遠隔で表面波を検知することで、表面波速度を取得し地山の一軸圧縮強度を推定することができる。これにより、従来より現場作業員が調査対象面近傍で実施していた、調査対象面から室内岩石試験用のコアを採取する、調査対象面でシュミットハンマーによる試験を実施する、もしくはハンマーによる打音調査を実施する等の作業を省略できる。したがって、調査対象面がいずれの作業環境にあっても、遠隔操作により現場作業員の安全性を確保しつつ迅速に地山の強度特性を評価することが可能となる。
また、表面波速度を採用するため、従来の調査方法では一軸圧縮強度を推定できない程度に調査対象面に劣化が生じている場合にも、地山の強度特性を高い精度で評価することが可能となる。
本発明の壁面強度推定方法は、前記推定式取得工程で、P波速度に基づいて地山の一軸圧縮強度を推定する強度推定式を、別途取得し、前記速度取得工程で、前記表面波とともに発生する実体波のP波速度の取得を試み、前記強度推定工程で、前記P波速度が取得できた場合にはP波速度を選択し、対応する強度推定式に基づいて前記一軸圧縮強度を推定することを特徴とする。
本発明の壁面強度推定方法によれば、調査対象面に衝撃を付与することで表面波とともに発生する実体波を観測し、表面波速度と併せてP波速度の取得を試みる。これにより、P波速度が取得できた場合にはP波速度を、取得できなかった場合には表面波速度を選択でき、調査対象面の現状に見合った一軸圧縮強度を推定し地山の強度特性を評価することが可能となる。
本発明の壁面強度推定方法は、前記調査対象面に対をなす受振点を設け、対をなす該受振点間の前記表面波速度及び又はP波速度を取得する速度取得工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の壁面強度推定方法は、前記調査対象面の3次元形状データを取得する形状取得工程を備え、前記速度取得工程は、前記3次元形状データから推定した伝播経路に基づいて、前記表面波速度及び又は前記P波速度を取得することを特徴とする。
本発明の壁面強度推定方法によれば、一軸圧縮強度の推定に用いる表面波速度又はP波速度を、3次元形状データから推定した伝播経路に基づいて算定できる。これにより、調査対象面の現状に見合った表面波速度を利用して、一軸圧縮強度を推定することが可能となる。
本発明の壁面強度推定方法は、前記調査対象面が、トンネル切羽であることを特徴とする。
本発明の壁面強度推定方法によれば、肌落ちや落石等による災害を生じる可能性のあるトンネル切羽近傍での現場作業員の作業を省略し、トンネル建設工事に係る調査作業の安全性を向上することが可能となる。
本発明の地山性状の評価方法は、トンネル掘削時の押出し性を地山強度比により評価する地山性状の評価方法であって、前記地山強度比の算定に、本発明の壁面強度推定方法で推定した一軸圧縮強度を採用することを特徴とする。
本発明の地山性状の評価方法は、トンネル掘削時の押出し性を地山強度比により評価する、地山性状の評価方法であって、前記地山強度比の算定に、準岩盤圧縮強度を用いるとともに、該準岩盤圧縮強度の算定に、少なくとも本発明の壁面強度推定方法で推定した一軸圧縮強度を採用することを特徴とする。
本発明の地山性状の評価方法によれば、壁面強度推定方法で推定した一軸圧縮強度を利用して地山強度比を迅速に取得し、地山強度比に基づく支保パターンの設計を速やかに実施することが可能となる。
本発明の弾性波探査システムは、本発明の壁面強度推定方法に用いる弾性波探査システムであって、前記調査対象面に衝撃を付与する加振装置と、衝撃により発生する振動を検知し、振動情報を取得する振動計測装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の弾性波探査システムによれば、調査対象面に衝撃を付与する作業から一軸圧縮強度を推定するまでの一連の作業を連続して実施でき、調査作業に係る省人化を図ることが可能となる。
本発明の弾性波探査システムは、前記振動計測装置に、レーザードップラー振動計が備えられていることを特徴とする。
本発明の弾性波探査システムは、前記振動計測装置に、振動可視化レーダーが備えられていることを特徴とする。
本発明の弾性波探査システムは、前記加振装置に、加振用レーザー発振器が備えられていることを特徴とする。
本発明の弾性波探査システムは、前記加振装置に、前記調査対象面を直接打撃する打撃手段が備えられていることを特徴とする。
本発明の弾性波探査システムによれば、前記振動計測装置にレーザードップラー振動計や振動可視化レーダーを、また加振装置に加振用レーザー発振器を備えることで、遠隔から安全かつ迅速に調査対象面近傍の表面波や実体波を検知できる。また、加振点と受振点の離間距離を自在に設定することができ、例えば数cm程度に設定することも可能となる。したがって、岩盤の状態が一様ではなく様々な岩石が現れている状態にあるトンネル切羽であっても、切羽内における岩盤強度の分布計測を容易に実施して、切羽の安定性評価に寄与することが可能となる。
本発明によれば、調査対象面がいずれの作業環境にあっても、調査対象面近傍で実施する作業を大幅に省略でき、現場作業員の安全性を確保しつつ原位置で迅速に地山の強度特性を評価することが可能となる。
本発明の実施の形態における弾性波探査システムを設置した状態を示す図である。 本発明の実施の形態における表面波速度及びP波速度を取得する様子を示す図である。 本発明の実施の形態における壁面強度推定方法の手順を示す図である。 本発明の実施の形態における表面波速度に基づく強度推定式の取得方法を示す図である。 本発明の実施の形態における切羽表面の3次元形状データを取得する様子を示す図である。 本発明の実施の形態における3次元形状データから推定した表面波の伝播経路に基づいて表面波速度を取得する様子を示す図である。 本発明の実施の形態における地山性状の評価方法に用いる地山強度比の算定手順を示す図である。 本発明の実施の形態における切羽に設定した狭小範囲及び広大範囲で表面波及び実体波を検出する様子を示す図である。 本発明の実施の形態における振動可視化レーダーを備えた弾性波探査システムを示す図である。
本発明は、現場作業員の安全性を確保しつつ高い精度で地山の一軸圧縮強度を推定し、さらには、推定した地山の一軸圧縮強度をトンネル掘削時の押出し性の判定指標として用いられる地山強度比の算定に採用し、切羽近傍の地山性状を把握しようとするものである。
以下に、図1~図9を参照しつつ、本発明における壁面強度推定方法、地山性状の評価方法、及び弾性波探査システムについて、詳細を説明する。なお、壁面強度推定方法及びこれに使用する弾性波探査システムは、山岳トンネルの掘削工事だけでなく、山岳で実施するダムや道路等の様々な建設工事もしくは岩盤斜面の安定性評価等において採用可能である。
≪≪壁面強度推定方法≫≫
図1(a)で示すように、山岳トンネル1の切羽2に設けた加振点P1に衝撃を付与すると、弾性波が発生し地山を伝搬する。壁面強度推定方法では、図2(a)(b)で示すように、弾性波の中でも表面波4と実体波5に着目し、切羽近傍の一軸圧縮強度quを推定する。
具体的には、地盤中を伝播する実体波5及び表面波4の両者を切羽2表面で観測してP波速度PVと表面波速度Rvの取得を試みる。こののち、P波速度PVを取得できた場合にはP波速度Pvを選択し、P波速度Pvが取得できなかった場合には、表面波速度Rvを選択する。選択した速度に基づいて切羽2近傍の一軸圧縮強度quを推定する。一軸圧縮強度quの推定には、事前に取得した強度推定式を採用し、強度推定式にP波速度Pvもしくは表面波速度Rvを代入する。
以下に、壁面強度推定方法の手順を、図3で示すフローに沿って説明する。なお、表面波4は、弾性波のなかでも切羽2の表面に沿って伝播する波のレイリー波を採用し、実体波5は、切羽2近傍の地盤中を伝播する直接波のP波を採用している。
≪≪≪推定式取得工程≫≫≫
まず、一軸圧縮強度quの推定に用いる強度推定式を取得する。強度推定式は、P波速度Pvに基づいて一軸圧縮強度quを推定する際に用いる強度推定式(P波用)と、表面波速度Rvに基づいて一軸圧縮強度quを推定する際に用いる強度推定式(表面波用)を取得する。
≪強度推定式(P波用)の取得≫
一般に、岩盤から採取した岩石の一軸圧縮強度と岩石から取得した供試体の弾性波速度は相関関係があることが知られており、近似式も広く活用されている。したがって、P波速度Pvに基づいて一軸圧縮強度quを推定する際に用いる強度推定式(P波用)は、これらの近似式を適宜採用すればよい。
≪強度推定式(表面波用)の取得≫
一方、表面波速度Rvに基づいて一軸圧縮強度quを推定する強度推定式(表面波用)の取得方法は、次に示すとおりである。
表面波速度RvとP波速度Pvとの間に相関があるとの一般的な知見に鑑みると、一軸圧縮強度quと表面波速度Rvとの間にも相関があるといえる。そこで、次の試験を行って、切羽2近傍の一軸圧縮強度quと表面波速度Rvとの関係式を取得し、これを強度推定式(表面波用)として採用する。
試験は、任意の複数の岩盤各々からコアSを採取し、それぞれ一軸圧縮試験を行って一軸圧縮強度quを測定した。一軸圧縮試験は、JGS 2521「岩石の一軸圧縮試験方法」に基づいて実施した。また、図4(a)で示すように、一軸圧縮試験に用いるコアSの各々に対して、人工的に弾性波動を発生させ、コアS表面を伝搬する表面波4の表面波速度Rvを測定した。
表面波速度Rvを測定する手段はなんら制限されるものではないが、本実施の形態では、コアSを加振する手段及び表面波4を受振する手段の両者に、レーザーを採用した。具体的には、コアSの側面に設けた加振点P1に向けて加振用レーザー光L1を照射し、同じくコアSの側面に設けた受振点P2に向けて計測用レーザーL2を照射した。
加振用レーザー光L1の照射は、加振用レーザー発振器201としてパルス間隔8nsのNd-YAGレーザーを採用した。その原理は、パルスレーザー照射によりコアS表面がアブレーションあるいは温度上昇によって瞬間的に膨張し、コアSの内部に弾性波が発生するというものである。また、計測用レーザー光L2の照射は、遠隔から高精度に振動を測定できるレーザードップラー振動計111を採用した。変位分解能は1μm、測定距離は5~10m程度、加振点P1と受振点P2の離間距離は、40~80mm程度に設定した。
上記の加振用レーザー発振器201により、コアSの加振点P1に向けて加振用レーザー光L1を照射して弾性波を発生させた。また、上記のレーザードップラー振動計111により、コアSの受振点P2に向けて計測用レーザーL2を照射して振動測定を行い、表面波4を検知した。こののち、加振点P1から受振点P2までの到達時間と両者の離間距離とに基づいて、表面波速度Rvを測定した。
測定した結果を、図4(b)で示すように、一軸圧縮強度quを縦軸とし表面波速度Rvを横軸としたグラフにプロットした。これにより得られる一軸圧縮強度quと表面波速度Rvとの関係式を、表面波速度Rvに基づいて切羽2近傍の一軸圧縮強度quを推定する強度推定式(表面波用)として、採用する。
図4(b)をみると、決定係数R2は0.8を超えており、関係式は上記の試験で取得したデータに当てはまる様子がわかる。なお、上記の試験では、コアSの側面を研磨し表面波速度Rvを測定した。
≪弾性波探査システムの据え付け≫
上記のとおり、強度推定式を取得する作業と同時にもしくはこれと前後して、切羽2を加振してP波速度Pvと表面波速度Rvを取得するべく、山岳トンネル1の坑内に弾性波探査システム100を据え付ける。
≪弾性波探査システム100≫
弾性波探査システム100は、図1(a)で示すように、少なくとも振動計測装置10と、加振装置20と、情報処理端末30とを備えている。
振動計測装置10は、加振により発生した振動を受振する装置であり、レーザー振動計11と、レーザー振動計11を制御する振動計コントローラー12を備える。また、スキャナー13と、スキャナー13を制御するスキャナーコントローラー14とを備える。
レーザー振動計11は、上記の≪事前準備≫で強度推定式(表面波用)を取得するための試験で使用したレーザードップラー振動計111を採用している。レーザードップラー振動計111は、切羽2に設けた受振点P2に向けて計測用レーザーL2を照射して反射したレーザー光の周波数の変化を検知し、振動情報を取得する。
その性能(変位分解能等)は、振動計コントローラー12を利用して適宜制御することが可能である。レーザー振動計11で取得した振動情報に基づいて、実体波5及び表面波4を検出することができる。
スキャナー13は、計測用レーザーL2を受振点P2にピンポイントで照射することを目的に使用するものであり、いわゆるガルバノスキャナを採用している。ガルバノスキャナは、レーザー光反射鏡131を備え、スキャナーコントローラー14により所望の角度に回転することができる。
加振装置20は、上記の≪事前準備≫で強度推定式(表面波用)を取得するための試験で使用した加振用レーザー発振器201を採用している。加振用レーザー発振器201は、パルスレーザー照射によって切羽2の表面をアブレーションあるいは温度上昇させ、地山の内部に弾性波を発生させる。
情報処理端末30は、振動計測装置10及び加振装置20との間でデータの送受信が可能となるよう、無線もしくは有線で接続されるとともに、図1(b)で示すように、入力装置31、出力装置32、中央演算処理装置33、ファイル装置34、及びメインメモリ35を備えている。
入力装置31は、例えばキーボード、スキャナー、タッチパネル等であり、出力装置32は、ディスプレイやプリンター等が挙げられる。また、中央演算処理装置33は、CPU、GPU、ROM、RAM及びハードウェアインタフェース等を有するコンピュータである。
ファイル装置34は、半導体メモリ又はハードディスクドライブ等からなる記憶装置である。詳細は後述するが、壁面強度推定方法で使用する条件データファイル341、観測データファイル342、算定データファイル343等が格納されている。例えば、条件データファイル341には、P波速度Pv及び表面波速度Rvの算定に必要となる強度推定式等のデータを格納しておくとよい。
また、本実施の形態では、壁面強度推定方法に引き続き、後述する地山性状の評価方法にも情報処理端末30を利用する場合を考慮し、性状評価ファイル344等をファイル装置34に格納している。さらに、これらのファイルに加えて、切羽2の位置情報や地山の地質情報、もしくは切羽2の画像データ等、トンネル施工に必要な情報を記録したファイルを、ファイル装置34に格納してもよい。
メインメモリ35は、中央演算処理装置33によって実行可能なプログラムやデータを一時的に格納するものであり、詳細は後述するが、速度算定部351、強度推定部352、地山性状の評価方法で用いる強度比算定部353、準岩盤強度算定部354を、少なくとも備えている。
上記の弾性波探査システム100を用いれば、切羽2へ衝撃を付与する作業から一軸圧縮強度quの推定、さらには後述する地山強度比GNの算定に係る一連の作業を、連続して迅速に行うことができ、調査作業に係る省人化を図ることができる。
なお、弾性波探査システム100は上記の構成に限定されるものではなく、例えば、情報処理端末30を省略してもよい。情報処理端末30を省略する場合には、情報処理端末30に代わる機能を有する他のシステムや携帯処理端末等を別途準備し、振動計測装置10及び加振装置20との間で、データの送受信が可能となるよう、無線もしくは有線で接続すればよい。また、振動計測装置10は1台に限定されるものではなく、複数台を装備し、複数の受振点で振動情報を取得してもよい。
さらに、振動計測装置10や加振装置20についても、切羽2との間で現場作業員の安全を確保できる距離を確保可能であれば、いずれの手段もしくは設備を採用してもよい。例えば、図9で示すように、加振装置20にジャイアントブレーカー202を採用してもよいし、振動計測装置10に振動を検知可能な振動可視化レーダー101を採用してもよい。振動可視化レーダー101としては、例えば、ミリ波(波長がmm単位となる30~300Ghz帯の電波)を対象物に照射してセンシングを行う、ミリ波レーダーの採用が考えられる。
ミリ波レーダーは、動作距離が数十m、電波の発信及び受信が検知角度100°前後程度の性能を有する。したがって、ミリ波レーダーで切羽2表面を探査することにより、加振装置20により加振された切羽2表面の微細な振動挙動を、切羽2における所望の複数位置で同時に検出することができる。なお、ミリ波レーダーを使用する場合には、切羽とミリ波レーダーとの間に、ミリ波が透過しない物体(例えば、施工機器や現場作業員等)が入り込む事象を排除する対策が必要となる。
上記のように、振動計測装置10にレーザードップラー振動計または振動可視化レーダー110を採用し、加振装置20に加振用レーザー発振器を採用すると、加振点P1と受振点P2の離間距離を自在に設定することができ、例えば数cm程度に設定しつつ、実体波5及び表面波4を検出することも可能となる。したがって、切羽2近傍の岩盤が一様ではなく様々な岩盤が現れている状態にあっても、切羽2内における岩盤強度の分布計測を容易に実施して、切羽の安定性評価に寄与することが可能となる。
≪≪≪速度取得工程≫≫≫
上述した弾性波探査システム100を利用して、実体波5及び表面波4を観測し、P波速度Pv及び表面波速度Rvの算定を試みる。
≪事例1:加振点P1と受振点P2を利用≫
まず、図1(a)で示すように、切羽2上に設けた加振点P1に向けて加振装置20から加振用レーザー光L1を照射して弾性波を発生させるとともに、照射時刻を取得する。また、切羽2上に設けた受振点P2に向けて振動計測装置10から計測用レーザーL2を照射して振動測定を行い、表面波4及び実体波5を観測するとともに観測時刻を取得する。
加振点P1に向けた加振用レーザー光L1の照射時刻と、受振点P2で観測した表面波4及び実体波5各々の観測時刻は、情報処理端末30に送信され、ファイル装置34の観測データファイル342に格納される。すると、中央演算処理装置33は速度算定部351の指令を受け、表面波速度Rv及びP波速度Pvを算定する。
P波速度Pvは、図2(a)で示すように、加振点P1での照射時刻と受振点P2での実体波5の観測時刻との差である時間差Δtpと、加振点P1と受振点P2との離間距離D1とに基づいて算定する。一方、表面波速度Rvは、加振点P1での照射時刻と受振点P2での表面波4の観測時刻との差である時間差Δtrと、加振点P1と受振点P2との離間距離D1とに基づいて算定する。
≪事例2:2つの受振点P2、P3を利用≫
P波速度Pv及び表面波速度Rvは、図2(b)で示すように、切羽2に2つの受振点P2、P3を設け、これらで観測したデータを用いて算定してもよい。なお、加振装置20としてジャイアントブレーカー202を採用する場合には、2つの受振点P2、P3と加振点P1とを概ね一直線上に配置するとよい。
具体的には、P波速度Pvを、2つの受振点P2、P3間の実体波5の到達時間差Δtpと、2つの受振点P2、P3間の離間距離D2とに基づいて算定する。一方、表面波速度Rvは、2つの受振点P2、P3間の表面波4の到達時間差Δtrと、2つの受振点P2、P3間の離間距離D2とに基づいて算定する。
事例1及び事例2のいずれの場合も、算定されたP波速度Pv及び表面波速度Rvは、ファイル装置34の算定データファイル343に格納される。また、加振点P1と受振点P2との離間距離D1、及び2つの受振点P2、P3間の離間距離D2は各々の最短距離を採用し、条件データファイル341に格納しておくとよい。
≪事例3:3次元形状データを利用≫
切羽2の表面形状に凹凸がある場合、表面波4及び実体波5はともに直線的に伝播せず、事例1及び事例2のような、表面波速度Rv及びP波速度Pvの算定に最短の離間距離D1もしくは離間距離D2を採用すると、実際の速度より遅く評価されるおそれが生じる。特に、切羽2の表面形状に谷部がある場合に顕著である。
そこで、事例3では、表面波速度Rv及びP波速度Pvの算定に先立ち、切羽2表面の3次元形状を把握するべく、3次元形状データを取得する。そして、取得した3次元形状データから推定した伝播経路に基づいて、加振点P1と受振点P2間の最短の伝播距離D3及び2つの受振点P2、P3間の最短の伝播距離D4を算定する。
この伝播距離D3もしくは伝播距離D4を採用し、表面波速度Rv及びP波速度Pvを算出することとした。以下に、切羽2表面の3次元形状データの取得方法、及び推定した表面波4及び実体波5の伝播経路に基づいて、伝播距離D3及び伝播距離D4の算出方法を説明する。
≪≪≪形状取得工程≫≫≫
≪3次元形状データの取得≫
図5(a)で示すように、切羽2表面の3次元形状データは、3次元形状計測装置40を利用して取得する。3次元形状計測装置40は、何ら限定されるものではないが、例えば、3DレーザースキャナやLiDAR等を採用すると良い。
3Dレーザースキャナは、計測対象物の表面に係る形状把握や凹凸を計測する手段として広く一般に採用されており、計測対象物の表面形状をxyz座標上の点群で表現した点群モデルを、3次元表面形状データとして取得できる。したがって、計測対象物として切羽2を採用すれば、切羽2表面の3次元形状を点群モデルで取得することができる。これにより、切羽2表面に設定した2地点間の寸法や角度は、点群モデルを形成する点群の位置座標から取得することもできるし、点群モデルと3次元CADデータとの関連付けを行うと、CAD上で寸法計算を行うことも可能である。
≪推定した伝播経路に基づく伝播距離D3、D4≫
例えば、図5(b)で示すような、加振点P1と受振点P2間の最短の伝播距離D3は、次の手順により算定できる。なお、本実施の形態では、切羽2表面上の頂部と谷部とを結ぶ稜線上に位置する2点間の最短距離を、稜線距離と称する。
まず、加振点P1及び受振点P2の各々に隣接して位置する谷部間の最短距離D31を計測する。次に、加振点P1とこれに隣接する谷部までの稜線距離D32、及び受振点P2とこれに隣接する谷部までの稜線距離D33をそれぞれ計測する。そして、これら3つの算定結果を合算することで、加振点P1及び受振点P2間の最短の伝播距離D3が算出される。
また、2つの受振点P2、P3が、例えば図6(a)~(c)で示すような位置にある場合には、両者間の最短の伝播距離D4を次の手順により算定できる。なお、伝播距離D4の算定手順は、上述した加振点P1と受振点P2の最短の伝播距離D4の算定に用いることも可能である。
図6(a)は、切羽2表面の不陸が小さいなだらかな場合の、最短の伝播距離D4の算定方法を示している。まず、共に谷部に位置する加振点P1及び受振点P2の最短距離D41を計測する。次に、同じく共に谷部に位置する加振点P1、P3間の最短距離D42を計測し、両者の差を伝播距離D4として算定する。
図6(b)は、加振点P1及び2つの受振点P2、P3が、切羽2表面の凹部に位置する場合の伝播距離D4の算定方法を示している。まず、谷部に位置する加振点P1と頂部に位置する受振点P2との最短距離D41を計測する。最短距離D41は、加振点P1と受振点P2に近接する谷部間の直線距離と、この谷部と受振点P2間の稜線距離を合算する。次に、谷部に位置する加振点P1と同じく谷部に位置する受振点P3との地山内の最短距離D42を算定する。そして、最短距離D42と最短距離D41の差を、伝播距離D4として算定する。
図6(c)は、加振点P1及び2つの受振点P2、P3が、切羽2表面の凸部に位置する場合の伝播距離D4の算定方法を示している。まず、稜線上に位置する加振点P1と谷部に位置する受振点P2までの最短距離D41を算定する。最短距離D41は、加振点P1とこれに近接する谷部間の稜線距離と、この谷部と受振点P2間の直線距離を合算する。次に、稜線上に位置する加振点P1と谷部に位置する受振点P3までの最短距離D42を算定する。最短距離D42は、加振点P1とこれに近接する谷部間の稜線距離と、この谷部と受振点P3間の直線距離を合算する。そして、最短距離D42と最短距離D41の差を、伝播距離D4として算定する。
≪≪≪強度推定工程≫≫≫
算定されたP波速度Pv及び表面波速度Rvが、ファイル装置34の算定データファイル343に格納されると、中央演算処理装置33は強度推定部352の指令を受け、表面波速度RvもしくはP波速度Pvに基づいて、切羽2近傍の切羽2近傍の一軸圧縮強度quを推定する。
一軸圧縮強度quを算定するにあたっては、P波速度Pvが取得できた場合にはP波速度Pvを選択し、取得できなかった場合に表面波速度Rvを採用する。P波速度Pvを選択した場合には強度推定式(P波用)を採用し、表面波速度Rvを選択した場合には強度推定式(表面波用)を採用して、一軸圧縮強度quを算定する。強度推定式(P波用、表面波用)はいずれも、ファイル装置34の条件データファイル341に格納されている。また、算定された一軸圧縮強度quは、ファイル装置34の算定データファイル343に格納される。
実体波5は表面波4と比較して振幅が小さいため、加振点P1への1回の打撃につき、実体波5を捉えることができれば表面波4を捉えることもでき、P波速度Pv及び表面波速度Rvの両者を取得できる。例えば、起振力の大きいブレーカー起振の場合(加振装置20にジャイアントブレーカー202を採用した場合等)、P波速度Pv及び表面波速度Rvの両者を取得できる蓋然性が高い。このような場合には、P波速度Pvを採用する。
一方、起振力が小さいレーザー起振の場合(加振装置20に加振用レーザー発振器201を採用した場合等)、P波速度Pvを取得できない蓋然性が高い。このように、実体波5を捉えることができない場合には、表面波4を捉えて表面波速度Rv取得し、これを採用する。
上記のとおり、壁面強度推定方法によれば、弾性波探査システム100を利用してP波速度Pv及び表面波速度Rvを取得し、切羽2近傍の一軸圧縮強度quを推定することができる。これにより、従来より現場作業員が調査対象面近傍で実施していた、調査対象面から室内岩石試験用のコアを採取する、もしくは調査対象面でシュミットハンマーによる試験を実施する等の作業を省略できる。したがって、調査対象面がいずれの作業環境にあっても、現場作業員の安全性を確保しつつ原位置で迅速に地山の強度特性を評価することが可能となる。
また、表面波速度Rvを採用し一軸圧縮強度を推定するため、従来の調査方法では推定できない程度に切羽2が劣化している場合にも、地山の強度特性を評価することが可能となる。
≪≪地山性状の評価方法≫≫
上述した手順により推定した切羽2近傍の一軸圧縮強度quを用いて地山強度比GNを算定する手順を、図7のフローに沿って図1(b)を参照しつつ、以下に説明する。なお、地山強度比GNは、弾性波探査システム100の情報処理端末30で実施する場合を事例に挙げる。これらの説明に先立ち、地山強度比GN及び準岩盤圧縮強度σC′について説明する。
≪地山強度比≫
地山強度比GNは、軟岩地山におけるトンネル掘削時の押出し性の判定指標であり、(1)式で示すような地山の一軸圧縮強度σcと鉛直土被り圧の比である。鉛直土被り圧は、土被り厚Hと岩石の単位体積重量γから求めることができる。そして、土被り厚Hは既知であり、単位体積重量γはトンネル周辺の同一岩石の値を用いることができる。したがって、ファイル装置34の条件データファイル341に、土被り厚H及び単位体積重量γを格納しておくと良い。
Figure 2023013488000002
≪準岩盤圧縮強度≫
ところで、地山強度比GNには本来、図1(a)で示すような、亀裂3を含む地山の一軸圧縮強度σCが用いられるが、地山の一軸圧縮強度σCの測定には大変な手間がかかる。そのため、一般的には切羽2の亀裂3を含まない範囲から採取したボーリングコアから求めた試料の一軸圧縮強度qu’が使用される。
しかし、試料の一軸圧縮強度qu’から地山強度比GNを求めると、危険側の評価となりやすいことが知られている。このため、亀裂3の影響が大きい地山の性状を評価する場合、地山強度比GNの算定に必要な地山の一軸圧縮強度σCに、準岩盤圧縮強度σc’を採用する。
準岩盤圧縮強度σC’は、下記の(2)式で示すように、地山の弾性波速度VP、試料の超音波(弾性波)速度vP、及び試料の一軸圧縮強度qu’から求めることができる。
Figure 2023013488000003
したがって、地山強度比GNを算定するにあたっては、上記の事情を鑑みて準岩盤圧縮強度σC′を採用するか否かを選択する(Step1)。
≪準岩盤圧縮強度σC′を採用しない場合≫
準岩盤圧縮強度σC′を採用しない場合、まず、上記の地盤強度推定方法により、切羽2近傍の一軸圧縮強度quを推定する(Step2)。
一軸圧縮強度quは、上記の壁面強度推定方法により推定すればよい。このとき、表面波4及び実体波5を、図2(a)で示すように受振点P2のみで検出する場合、加振点P1と受振点P2との間に亀裂3を含める。また、図2(b)で示すように2つの受振点P2、P3で検出する場合も同様に、受振点P2、P3との間に亀裂3を含める。そのうえで、P波速度Pv及び表面波速度Rvの算定を試み、P波速度Pvが取得できた場合にはP波速度Pvを選択し、取得できなかった場合に表面波速度Rvを採用し、切羽2近傍の一軸圧縮強度quを推定する。推定した一軸圧縮強度quは、ファイル装置34の算定データファイル343に格納される。
すると、中央演算処理装置33は強度比算定部353の指令を受け、算定データファイル343に格納された切羽2近傍の一軸圧縮強度quを、地山強度比GNの算定に必要な地山の一軸圧縮強度σcと見做して、上記の(1)式に代入する。併せて、ファイル装置34の条件データファイル341に格納されている土被り厚H及び単位体積重量γを、上記の(1)式に代入し、地山強度比GNを算出する(Step3、Step4)。
≪準岩盤圧縮強度σC′を採用する場合≫
一方、準岩盤圧縮強度σC′を採用する場合は、まず、亀裂3を含まない狭小範囲と亀裂3を含む広大範囲それぞれを対象範囲とし、上記の地盤強度推定方法により切羽2近傍の一軸圧縮強度quを推定する。
≪狭小範囲で一軸圧縮強度quを推定≫
図8(a)で示すように、受振点P2、P3の離間距離を、亀裂3を含まない数cm~10cm程度の狭小範囲に設定する。加振装置20には、加振用レーザー発振器201を採用すると良い。このような亀裂3を含まない狭小範囲でP波速度Pvが取得できた場合にはP波速度Pvを採用し、取得できなかった場合に表面波速度Rvを採用して、切羽2近傍の一軸圧縮強度quを推定する。
このとき、P波速度Pv及び表面波速度Rvの算定には、受振点P2、P3の離間距離を採用してもよいし、図6(a)~(c)で示すような3次元形状データから推定した伝播距離D4を採用してもよい。算定結果は、ファイル装置34の算定データファイル343に格納される(Step5)。
すると、中央演算処理装置33は準岩盤強度算定部354の指令を受け、算定データファイル343に格納された切羽2近傍の一軸圧縮強度quを、準岩盤圧縮強度σC′の算定に必要な試料の一軸圧縮強度qu’と見做し、上記の(2)式に代入する。また、切羽2近傍の一軸圧縮強度quの推定にP波速度Pvが用いられた場合には、P波速度Pvを準岩盤圧縮強度σC′の算定に必要な試料の超音波(弾性波)速度vPと見做し、上記の(2)式に代入する。
一方、切羽2近傍の一軸圧縮強度quの推定に表面波速度Rvが用いられた場合には、表面波速度RvとP波速度Pvとの相関式をもとに、表面波速度Rvから換算P波速度を算出し、この換算P波速度を準岩盤圧縮強度σC′の算定に必要な試料の超音波(弾性波)速度vPと見做し、上記の(2)式に代入する(Step6)。
≪広大範囲でP波速度Pv及び表面波速度Rvを取得≫
図8(b)で示すように、受振点P2、P3の離間距離を、亀裂3を含み先の狭小範囲より十分大きい広大範囲に設定する。広大範囲は、地山の弛みの影響を避けることを考慮し、切羽2内のできるだけ離れた2点間を設定すると良い。また、加振装置20には、ジャイアントブレーカー202を採用すると良い。ジャイアントブレーカー202を採用した場合には、P波速度Pvを取得できる蓋然性が高い。ここでは、切羽2近傍の一軸圧縮強度quを推定する工程は省略する(Step7)。
この場合も、P波速度Pv及び表面波速度Rvの算定には、受振点P2、P3の離間距離を採用してもよいし、図6(a)~(c)で示すような3次元形状データから推定した伝播距離D4を採用してもよい。算定結果は、ファイル装置34の算定データファイル343に格納される。すると、中央演算処理装置33は準岩盤強度算定部354の指令を受け、算定データファイル343にP波速度Pv及び表面波速度Rvが格納されている場合には、P波速度Pvを準岩盤圧縮強度σC′の算定に必要な地山の弾性波速度VPと見做して、(2)式に代入する(Step8)。
一方、P波速度Pvが取得できず、算定データファイル343に表面波速度Rvのみが格納されている場合には、表面波速度RvとP波速度Pvとの相関式をもとに、表面波速度Rvから換算P波速度を算出する。この換算P波速度を準岩盤圧縮強度σC′の算定に必要な地山の弾性波速度VPと見做して、(2)式に代入する(Step8)。
上記の手順により準岩盤圧縮強度σC′が算出され、算定結果は、ファイル装置34の算定データファイル343に格納される(Step9)。すると、中央演算処理装置33は強度比算定部353の指令を受け、算定データファイル343に格納された準岩盤圧縮強度σC′を、地山強度比GNを求めるための一軸圧縮強度σcと見做して、上記の(1)式に代入する。併せて、ファイル装置34の条件データファイル341に格納されている土被り厚H及び単位体積重量γを上記の(1)式に代入し、地山強度比GNを算出する(Step3、Step4)。
上記のとおり、地山性状の評価方法によれば、壁面強度推定方法で推定した切羽2近傍の一軸圧縮強度quを利用して地山強度比GNを迅速に取得し、地山強度比GNに基づく支保パターンの設計を、速やかに実施することが可能となる。
なお、図8(a)(b)で示すような、受振点P2、P3の離間距離の調整は、例えば、受振点P3に向けて計測用レーザー光L2を照射する振動計測装置10を適宜操作すれば良い。つまり、図1(a)及び図8(b)で示すように、スキャナー13に備えたレーザー光反射鏡131を、スキャナーコントローラー14により所望の角度に回転する。こうすると、計測用レーザー光L2を照射する受振点P3の位置を、容易に変更することが可能となる。
したがって、狭小範囲で一軸圧縮強度quを推定するべく、山岳トンネル1内に振動計測装置10を据え付けた後、その据え付け位置を移動することなく、広大範囲でP波速度Pv及び表面波速度Rvを取得する作業を実施でき、作業効率を大幅に向上することが可能となる。
本発明の壁面強度推定方法及び地山性状の評価方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、弾性波探査システム100を利用して壁面強度推定方法を実施したが、必ずしもこれに限定するものではなく、地盤調査で一般に採用されている弾性波探査技術を採用し、P波速度PVもしくは表面波速度Rvを取得してもよい。
さらに、本実施の形態では、弾性波探査システム100の情報処理端末30を利用して、地山性状の評価方法における地山強度比GN及び準地盤強度σC’の算定を行う場合を事例に挙げた。しかし、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、地山性状の評価方法における地山強度比GN及び準地盤強度σC’の算定に用いる処理端末を別途準備し、弾性波探査システム100との間で、データの送受信が可能となるよう、無線もしくは有線で接続する構成としてもよい。
100 弾性波探査システム
10 振動計測装置
11 レーザー振動計
111 レーザードップラー振動計
12 振動計コントローラー
13 スキャナー
14 スキャナーコントローラー
101 振動可視化レーダー
20 加振装置
201 加振用レーザー発振器
202 ジャイアントブレーカー
30 情報処理端末
31 入力装置
32 出力装置
33 中央演算処理装置
34 ファイル装置
341 条件データファイル
342 観測データファイル
343 算定データファイル
344 性状評価ファイル
35 メインメモリ
351 速度算定部
352 強度推定部
353 強度比算定部
40 3次元形状計測装置
1 トンネル
2 切羽(調査対象面)
3 亀裂
4 表面波
5 実体波
Rv 表面波速度
Pv P波速度
S コア
P1 加振点
P2 受振点
P3 受振点
L1 加振用レーザー光
L2 計測用レーザー光

Claims (12)

  1. 調査対象面近傍の地山の一軸圧縮強度を推定する壁面強度推定方法であって、
    表面波速度に基づいて地山の一軸圧縮強度を推定する強度推定式を取得する推定式取得工程と、
    前記調査対象面に衝撃を付与することで発生する表面波の表面波速度を取得する速度取得工程と、
    前記表面波速度と前記強度推定式に基づいて、前記一軸圧縮強度を推定する強度推定工程と、
    を備えることを特徴とする壁面強度推定方法。
  2. 請求項1に記載の壁面強度推定方法において、
    前記推定式取得工程で、P波速度に基づいて地山の一軸圧縮強度を推定する強度推定式を、別途取得し、
    前記速度取得工程で、前記表面波とともに発生する実体波のP波速度の取得を試み、
    前記強度推定工程で、前記P波速度が取得できた場合にはP波速度を選択し、対応する強度推定式に基づいて前記一軸圧縮強度を推定することを特徴とする壁面強度推定方法。
  3. 請求項1または2に記載の壁面強度推定方法において、
    前記調査対象面に対をなす受振点を設け、対をなす該受振点間の前記表面波速度及び又はP波速度を取得する速度取得工程と、
    を備えることを特徴とする壁面強度推定方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の壁面強度推定方法において、
    前記調査対象面の3次元形状データを取得する形状取得工程を備え、
    前記速度取得工程は、前記3次元形状データから推定した伝播経路に基づいて、前記表面波速度及び又は前記P波速度を取得することを特徴とする壁面強度推定方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の壁面強度推定方法において、
    前記調査対象面が、トンネル切羽であることを特徴とする壁面強度推定方法。
  6. トンネル掘削時の押出し性を地山強度比により評価する地山性状の評価方法であって、
    前記地山強度比の算定に、請求項5に記載の壁面強度推定方法で推定した一軸圧縮強度を採用することを特徴とする地山性状の評価方法。
  7. トンネル掘削時の押出し性を地山強度比により評価する、地山性状の評価方法であって、
    前記地山強度比の算定に、準岩盤圧縮強度を用いるとともに、
    該準岩盤圧縮強度の算定に、少なくとも請求項5に記載の壁面強度推定方法で推定した一軸圧縮強度を採用することを特徴とする地山性状の評価方法。
  8. 請求項1から5のいずれか1項に壁面強度推定方法に用いる弾性波探査システムであって、
    前記調査対象面に衝撃を付与する加振装置と、
    衝撃により発生する振動を検知し、振動情報を取得する振動計測装置と、
    を備えることを特徴とする弾性波探査システム。
  9. 請求項8に記載の弾性波探査システムにおいて、
    前記振動計測装置に、レーザードップラー振動計が備えられていることを特徴とする弾性波探査システム。
  10. 請求項8または9に記載の弾性波探査システムにおいて、
    前記振動計測装置に、振動可視化レーダーが備えられていることを特徴とする弾性波探査システム。
  11. 請求項8から10のいずれか1項に記載の弾性波探査システムにおいて、
    前記加振装置に、加振用レーザー発振器が備えられていることを特徴とする弾性波探査システム。
  12. 請求項8から10のいずれか1項に記載の弾性波探査システムにおいて、
    前記加振装置に、前記調査対象面を直接打撃する打撃手段が備えられていることを特徴とする弾性波探査システム。
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