JP2023013287A - 光硬化性組成物、樹脂硬化物、樹脂硬化物の製造方法、反応促進剤、接合体及び接合体の製造方法 - Google Patents

光硬化性組成物、樹脂硬化物、樹脂硬化物の製造方法、反応促進剤、接合体及び接合体の製造方法 Download PDF

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恵 稲葉
Megumi Inaba
貴子 谷川
Takako Tanigawa
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尚平 齊藤
Shohei Saito
由美 ▲廣▼▲瀬▼
Yumi Hirose
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Abstract

【課題】アウトガスの発生が少ない樹脂硬化物を形成可能な光硬化性組成物を提供すること。【解決手段】光重合性モノマーと、光重合開始剤と、式(1)で表される縮合環化合物と、を含む、光硬化性組成物。【化1】TIFF2023013287000012.tif42149[式中、n1は0~2の整数を示し、n2は0~4の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に1価の基を示す。複数のn1、n2、R1及びR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化性組成物、樹脂硬化物、樹脂硬化物の製造方法、反応促進剤、接合体及び接合体の製造方法に関する。
従来から、光照射によって硬化可能な光硬化性組成物は、接着剤、封止剤等の様々な技術分野で利用されている。例えば、特許文献1には、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が記載されている。
特開2019-108426号公報
光硬化性組成物は、光重合性モノマーが光照射により重合して硬化するが、重合が不十分であると被加熱時にアウトガスが発生し易くなる傾向がある。
本発明は、アウトガスの発生が少ない樹脂硬化物を形成可能な光硬化性組成物を提供することを目的とする。また本発明は、アウトガスの発生が少ない樹脂硬化物及びその製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、光硬化性組成物に配合することで硬化後のアウトガスの発生を抑制可能な反応促進剤を提供することを目的とする。更に本発明は、アウトガスの発生が少ない接着層を備える接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、光重合性モノマーと、光重合開始剤と、式(1)で表される縮合環化合物と、を含む、光硬化性組成物に関する。
Figure 2023013287000001

[式中、nは0~2の整数を示し、nは0~4の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に1価の基を示す。複数のn、n、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
一態様において、上記縮合環化合物の含有量は、上記光重合性モノマー100質量部に対して、0.001~10質量部であってよい。
一態様に係る光硬化性組成物は、接着剤であってよい。
本発明の他の一側面は、上記光硬化性組成物を硬化してなる、樹脂硬化物に関する。
本発明の更に他の一側面は、光重合性モノマーの重合体と、式(1)で表される縮合環化合物と、を含む、樹脂硬化物に関する。
Figure 2023013287000002

[式中、nは0~2の整数を示し、nは0~4の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に1価の基を示す。複数のn、n、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
一態様において、上記縮合環化合物の含有量は、上記重合体100質量部に対して、0.001~10質量部であってよい。
本発明の更に他の一側面は、上記樹脂硬化物を製造する方法であって、上記光硬化性組成物に波長250~450nmの光を照射する光照射工程を含む、樹脂硬化物の製造方法に関する。
本発明の更に他の一側面は、式(1)で表される縮合環化合物を含む、反応促進剤に関する。
Figure 2023013287000003

[式中、nは0~2の整数を示し、nは0~4の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に1価の基を示す。複数のn、n、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
本発明の更に他の一側面は、第一の部材と、第二の部材と、上記第一の部材及び上記第二の部材の間に配置された接着層と、を備え、上記接着層が、上記樹脂硬化物を含有する、接合体に関する。
本発明の更に他の一側面は、上記接合体を製造する方法であって、上記第一の部材と上記第二の部材との間に配置された上記光硬化性組成物に波長250~450nmの光を照射して、上記接着層を形成する光照射工程を含む、接合体の製造方法に関する。
本発明によれば、アウトガスの発生が少ない樹脂硬化物を形成可能な光硬化性組成物が提供される。また本発明によれば、アウトガスの発生が少ない樹脂硬化物及びその製造方法が提供される。また本発明によれば、光硬化性組成物に配合することで硬化後のアウトガスの発生を抑制可能な反応促進剤が提供される。更に本発明によれば、アウトガスの発生が少ない接着層を備える接合体及びその製造方法が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(光硬化性組成物)
本実施形態の光硬化性組成物は、光重合性モノマーと、光重合開始剤と、式(1)で表される縮合環化合物と、を含む。
Figure 2023013287000004

[式中、nは0~2の整数を示し、nは0~4の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に1価の基を示す。複数のn、n、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
本実施形態の光硬化性組成物によれば、アウトガスの発生が少ない樹脂硬化物が形成される。
本実施形態の光硬化性組成物では、上記縮合環化合物を含むことで、光照射時の光重合性モノマーの重合反応が促進されて低分子量の成分が減少し、アウトガスの発生が少ない樹脂硬化物が形成されると考えられる。
上記縮合環化合物は、基底状態では、シクロオクタテトラエン骨格の形状に起因する特徴的なV字型の分子骨格を有している。上記縮合環化合物は、光照射により励起されると、シクロオクタテトラエン骨格の平面化に伴って平面型の分子骨格に変化し、次いで、発熱を伴う失活によって、基底状態のV字型の分子骨格へと戻る。すなわち、上記縮合環化合物は、光照射中、基底状態のV字型の分子骨格と励起状態の平面型の分子骨格とを繰り返す羽ばたき運動を行う。本実施形態では、この羽ばたき運動に伴う発熱によって、光重合性モノマーの重合反応が促進されると考えられる。
下記式(1-a)は、式(1)のnが0、nが2、RがORである縮合環化合物を例に取り、V字型の分子骨格を説明する式である。これ以外の縮合環化合物も同様のV字型の分子骨格を有する。
Figure 2023013287000005
光硬化性組成物を外部から加熱する場合、光照射前に加熱すると、加熱による光重合開始剤の劣化、予期しない反応開始等によって、樹脂硬化物の物性低下が懸念される。また、光照射中に加熱すると、光硬化性組成物の外周部と内部とに温度差が生じ、硬化が不均一となって、樹脂硬化物の物性低下が懸念される。また、いずれの場合もアウトガスの発生は抑制されず、むしろアウトガスの発生が増加することが懸念される。これに対して、本実施形態の光硬化性組成物は、光照射時に上記縮合環化合物の発熱によって系中が均一に加熱されるため、組成物全体が均一に硬化され、アウトガスの発生が顕著に抑制されると考えられる。
光重合性モノマーは、光重合開始剤の存在下に光照射を受けることで重合可能な化合物であればよく、公知の光重合性モノマーを特に制限なく用いることができる。光重合性モノマーは、光重合性基を有する化合物、ということもできる。
光重合性モノマーが有する光重合性基としては、例えば、ビニル基(例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、アリル基、ビニルアリール基、マレイミド基、ビニルエステル基、ビニルハライド基、シクロアルケニル基等)、エポキシ基(例えば、グリシジル基等)等が挙げられる。
光重合性モノマーとしては、光重合性基を1つ有する単官能化合物、及び、光重合性基を2つ以上有する多官能化合物が挙げられる。光重合性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、光重合性モノマーは、単官能化合物及び多官能化合物のうちいずれか一方のみを含むものであってよく、両方を含むものであってもよい。
光重合性モノマーは、例えば、ビニル基を1つ有する単官能化合物を含んでいてもよく、ビニル基を2つ以上有する多官能化合物を含んでいてもよく、ビニル基を1つ有する単官能化合物とビニル基を2つ以上有する多官能化合物とを含んでいてもよい。
ビニル基を1つ有する単官能化合物としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2-デシル-1-テトラデカニル(メタ)アクリレート、2-ドデシル-1-ヘキサデカニル(メタ)アクリレート、2-テトラデシル-1-オクタデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;
フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化-o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート;
イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、フルフリル(メタ)アクリレート、環状トルメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、ジオキソラン(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート;
2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート;
1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、ノルボルネン、シクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン等のオレフィン単量体;
スチレン、パラメチルスチレン、パライソブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等の芳香族ビニル化合物;
ジエチレングリコールビニルエーテル、ジエチルビニルオルトギ酸トリメチル、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、エチル-1-プロペニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、2-クロロエチルビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、1,4-ブタンジオールビニルエーテル、1,4-ブタンジオールビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;
酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ビニルトリフルオロアセタート、ピバル酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル、デカン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、吉草酸ビニル等のビニルエステル化合物;
アリルアルコール、アリルエーテル、2-アリルオキシエタノール、3-アリルオキシ-1,2-ブロパンジオール、N-アリルカルバミン酸tert-ブチル、アリルフェニルエーテル、アリルブチルエーテル、シアン化アリル、2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸アリル、炭酸アリルメチル、酢酸アリル等のアリル化合物;
N-アリールマレイミド、N-アルキルマレイミド等のマレイミド化合物;
1,3-ジクロロプロペン等のビニルハライド化合物;
等が挙げられる。
ビニル基を1つ有する単官能化合物は、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する単官能化合物であってよく、アルキル(メタ)アクリレートであってよい。
ビニル基を2つ以上有する多官能化合物としては、例えば、
1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1、5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3-アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等の環状骨格を有するジ(メタ)アクリレート;
1,3-ブタジエン、1,5-ヘキサジエン等のジエン化合物、
エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、フルオレンジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、4,4’-イソプロピリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、等の芳香環を有するジ(メタ)アクリレート;
1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオール ジビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル等のジビニルエーテル化合物;
アリルエーテル、炭酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等のジアリル化合物;
ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン等のジビニルアリール化合物;
1,2-ビスマレイミドエタン、1,4-ビスマレイミドブタン、1,6-ジマレイミドヘキサン、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド等のビスマレイミド化合物;
グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート;
等が挙げられる。
ビニル基を2つ以上有する多官能化合物は、例えば、(メタ)アクリロイル基を2以上有する多官能化合物であってよく、環状骨格を有するジ(メタ)アクリレートであってよい。
光重合性モノマーは、例えば、エポキシ基を1つ有する単官能化合物を含んでいてもよく、エポキシ基を2つ以上有する多官能化合物を含んでいてもよく、エポキシ基を1つ有する単官能化合物とエポキシ基を2つ以上有する多官能化合物とを含んでいてもよい。
エポキシ基を1つ有する単官能化合物としては、例えば、1,2-エポキシブタン、1,2-エポキシペンタン、1,2-エポキヘキサン、1,2-エポキシオクタン、1,2-エポキシ-2-メチルプロパン、1,2-エポキシ-3-フェノキシプロパン、(2,3-エポキシプロピル)ベンゼン、N-(2,3-エポキシプロピル)フタルイミド、スチレンオキシド、エポキシノルボルナン、グリシジルヘキサデシルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド等が挙げられる。
エポキシ基を2つ以上有する多官能化合物としては、例えば、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、1,4-ブタンジオール ジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、1,3-ブタジエンジエポキシド、ビス[4-(グリシジルオキシ)フェニル]メタン、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌラート等が挙げられる。
光重合性モノマーが単官能化合物及び多官能化合物を含む場合、単官能化合物及び多官能化合物の合計100質量部に対する、単官能化合物の割合は、例えば30質量部以上、40質量部以上、50質量部以上、又は60質量部以上であってよい。また、単官能化合物及び多官能化合物の合計100質量部に対する、単官能化合物の割合は、例えば95質量部以下、90質量部以下、85質量部以下、又は80質量部以上であってよい。
光硬化性組成物中の光重合性モノマーの含有量は特に限定されず、例えば、固形分の全量基準で、10質量%以上であってよく、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上又は50質量%以上であってもよい。また、光硬化性組成物中の光重合性モノマーの含有量は、固形分の全量基準で、例えば90質量%以下であってよく、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下又は50質量%以下であってもよい。
光重合開始剤は、光照射によって活性種(例えば、ラジカル、カチオン等)を生じさせ、光重合性モノマーの重合反応を開始させることが可能な化合物であればよく、公知の光重合開始剤を特に制限無く用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジエトキシフェニルホスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド系化合物;
ビス(η5-2、4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;
2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イルフェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のα-アミノアルキルフェノン系化合物;
1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン 2-O-ベンゾイルオキシム、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン 1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;
カンファーキノン、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシ-2-ブロモエチルエステル、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシ-2-メチルエステル、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸クロライド等のカンファーキノン系化合物;
ジエトキシアセトフェノン、4-t-ブチルトリクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系化合物;
ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
アントラキノン等のキノン系化合物;
ベンゾイン、ベンゾイン メチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾイン イソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;
等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、例えば、アシルフォスフィンオキシド系化合物であってよい。
光ラジカル重合開始剤としては市販品を用いてもよい。光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、Omnirad 819、Omnirad 651、Omnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 2959,Omnirad 127、Omnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 369E、Omnirad 379EG、Omnirad TPO H、Omnirad MBF、Omnirad 754、Omnirad EMK、Omnirad EDB、Omnirad BMS、Omnirad EHA、Omnirad BP、Omnirad OMBB、Omnirad 4MBZ、Omnirad DETX(IGM Resins社製)、Irgacure 784(Ciba Specialty Chemicals社製)、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE03、Irgacure OXE04(BASF社製)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ビスtert-ブチルスルホニルジアゾメタン等のジアゾジスルホン系化合物;
トリフェニルスルホニウムトリフラート等のトリフェニルスルホニウム系化合物;
2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン系化合物;
ヨードニウム(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロフォスフェート等のジフェニルヨードニウム化合物;
等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては市販品を用いてもよい。光カチオン重合開始剤の市販品としては、例えば、三新化学工業社のサンエイドSIシリーズ、サンアプロ社のCPIシリーズ、ADEKA社のアデカアークルズSPシリーズ、富士フィルム和光純薬社のWPAGシリーズ、ダイセル・オルネクス社のUVACUREシリーズ、IGM Resins社のOmnicatシリーズ、BASF社のIrgacure 290等が挙げられる。
光硬化性組成物中の光重合開始剤の含有量は特に限定されず、例えば、光重合性モノマー100質量部に対して、0.1質量部以上であってよく、0.2質量部以上、0.3質量部以上、0.4質量部以上又は0.5質量部以上であってもよい。また、光硬化性組成物中の光重合開始剤の含有量は、例えば、光重合性モノマー100質量部に対して、1質量部以下であってよく、0.9質量部以下、0.8質量部以下、0.7質量部以下又は0.6質量部以下であってもよい。
上記縮合環化合物は、光照射時に系中を均一に昇温させて光重合性モノマーの重合反応を促進する、反応促進剤ということもできる。
式(1)中、nは0~2の整数を示し、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。複数のnは同一でも異なっていてもよいが、製造が容易となる観点からは同一であることが好ましい。
式(1)中、nは0~4の整数を示し、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。複数のnは同一でも異なっていてもよいが、製造が容易となる観点からは、同一であることが好ましい。
式(1)中、Rは、上述の羽ばたき運動を阻害しない基であれば特に限定されない。Rは、例えば、アルキル基(例えば炭素原子数1~20のアルキル基、好ましくは炭素原子数3~20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数3~12のアルキル基)、アルコキシ基(例えば炭素原子数1~20のアルコキシ基、好ましくは炭素原子数3~20のアルコキシ基、より好ましくは炭素原子数3~12のアルコキシ基)、アリール基(例えば炭素原子数6~18のアリール基、好ましくは炭素原子数6~14のアリール基、より好ましくは炭素原子数6~10のアリール基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、好ましくはフッ素原子又は塩素原子、より好ましくはフッ素原子)等であってよい。式(1)中にRが複数存在するとき、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、製造が容易となる観点からは、同一であることが好ましい。
式(1)中、Rは、上述の羽ばたき運動を阻害しない基であれば特に限定されない。Rは、例えば、炭素原子数3~20のアルキル基を有する基であってよい。Rをこのような基とすることで、縮合環化合物の他の成分との相溶性が向上し、光硬化性組成物中でより均一に分散しやすくなる傾向がある。当該基は、アルキル基を一つ有していても複数有していてもよい。
が有するアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。Rが有するアルキル基の炭素原子数は、好ましくは4~20であり、より好ましくは6~20である。
としては、例えば、-Rで表される基(すなわち、炭素原子数3~20のアルキル基)、-O-Rで表される基(すなわち、炭素原子数3~20のアルコキシ基)、-CO-Rで表される基、-COO-Rで表される基、-OCO-Rで表される基、-NHRで表される基、-N(Rで表される基、-CONHRで表される基等が挙げられる。なお、Rは、炭素原子数3~20のアルキル基を示す。また、Rは、これらのRを含む基を置換基として有する、アリール基、アリールオキシ基等であってもよい。
アリール基及びアリールオキシ基の炭素原子数(置換基を含めない炭素原子数)は、それぞれ、例えば6~18であってよく、好ましくは6~14、より好ましくは6~10である。また、アリール基及びアリールオキシ基は、それぞれ、上述のRを含む基を少なくとも一つ有していればよく、2つ以上有していてもよい。
は、製造が容易となる観点からは、-Rで表される基又は-O-Rで表される基であることが好ましく、-O-Rで表される基であることがより好ましい。
式(1)中にRが複数存在するとき、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、製造が容易となる観点からは、同一であることが好ましい。
光硬化性組成物中の縮合環化合物は、光重合性モノマー100質量部に対して、例えば0.001質量部以上であってよく、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは1質量部以上である。これにより、上述の効果がより顕著に奏される。また、光硬化性組成物中の縮合環化合物の含有量は、光重合性モノマー100質量部に対して、例えば10質量部以下であってよく、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。縮合環化合物の含有量が多すぎると、縮合環化合物の融点以上の温度で樹脂硬化物が軟化して変形しやすくなるおそれがあるが、上記範囲であれば、この軟化及び変形が十分に抑制される。
本実施形態の光硬化性組成物は、上記以外の他の成分を更に含有していてもよい。他の成分は特に限定されず、公知の光硬化性組成物に配合される成分を特に制限無く用いることができる。他の成分としては、例えば、増粘剤、粘度調整剤、酸化防止剤、着色剤、スペーサー等が挙げられる。
増粘剤は、例えばポリマーであってよい。増粘剤は、例えばポリオレフィンであってよく、ポリイソブテンであってよい。
増粘剤の重量平均分子量は特に限定されず、ポリスチレン換算で、例えば100000以上であってよく、300000以上であってもよく、500000以上であってもよい。また、増粘剤の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、例えば1000000以下であってよく、800000以下であってもよく、600000以下であってもよい。
増粘剤の分子量分布は特に限定されず、例えば3.0以下であってよく、2.8以下であってもよく、2.6以下であってもよい。また、増粘剤の分子量分布は、例えば1.1以上、1.2以上、1.5以上、2.0以上又は2.3以上であってよい。
なお、本明細書中、重量平均分子量及び分子量分布は、GPCで標準ポリスチレンを用いて測定される、ポリスチレン換算の値を示す。
光硬化性組成物中の増粘剤の含有量は特に限定されず、固形分の全量基準で、例えば20質量%以下であってよく、10質量%以下、8質量%以下又は7質量%以下であってもよい。また、光硬化性組成物中の増粘剤の含有量は、固形分の全量基準で、例えば0.1質量%以上であってよく、1質量%以上、2質量%以上又は3質量%以上であってもよい。
本実施形態の光硬化性組成物の用途は特に限定されず、公知の光硬化性組成物の用途に特に制限無く適用してよい。本実施形態の光硬化性組成物は、例えば、接着剤、封止剤、塗料、コーティング剤、シール剤、粘着剤、プライマー、表面処理剤等であってよい。
上述のとおり、本実施形態の光硬化性組成物によれば、アウトガスの発生が少ない樹脂硬化物が得られる。このため、本実施形態の光硬化性組成物は、アウトガスの低減が求められる用途(例えば、電子部品用接着剤、電子部品用封止剤、電子部品用粘着シート等)に特に好適に用いることができる。
本実施形態の光硬化性組成物を光照射により硬化することで、樹脂硬化物が得られる。光照射の条件は特に限定されないが、縮合環化合物の羽ばたき運動による発熱を効率良く得る観点から、照射光の波長は、好ましくは250~450nm(より好ましくは280~400nm)である。
本発明者らの知見によれば、上記縮合環化合物は、積算光量よりも照射強度が発熱量に影響し、照射強度を強くすることで発熱量が上昇する傾向がある。このため、光照射時の照射強度は、好ましくは50mW/cm以上、より好ましくは150mW/cm以上である。光照射時の照射強度は、例えば1000mW/cm以下であってよく、材料の劣化を防ぐ観点からは700mW/cm以下が好ましい。
(樹脂硬化物)
本実施形態の樹脂硬化物は、上述の光硬化性組成物を硬化してなる。
本実施形態の樹脂硬化物は、光重合性モノマーの重合体と、上記縮合環化合物と、を含むものであってよい。
樹脂硬化物中の光重合性モノマーの重合体の含有量は、樹脂硬化物の全量基準で、例えば10質量%以上であってよく、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上又は50質量%以上であってもよい。また、樹脂硬化物中の光重合性モノマーの重合体の含有量は、樹脂硬化物の全量基準で、例えば90質量%以下であってよく、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下又は50質量%以下であってもよい。
樹脂硬化物中の縮合環化合物の含有量は、光重合性モノマーの重合体100質量部に対して、例えば0.001質量部以上であってよく、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは1質量部以上である。また、樹脂硬化物中の縮合環化合物の含有量は、光重合性モノマーの重合体100質量部に対して、例えば10質量部以下であってよく、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
本実施形態の樹脂硬化物は、例えば、上述の光硬化性組成物に光を照射する光照射工程を含む製造方法により、製造することができる。
光照射工程は、光硬化性組成物に光を照射して、光硬化性組成物中の光重合性モノマーを重合させて、樹脂硬化物を得る工程ということもできる。
光照射工程における光照射の条件は特に限定されないが、光硬化性組成物中の縮合環化合物の羽ばたき運動による発熱を効率良く得る観点から、照射光の波長は、好ましくは250~450nm(より好ましくは280~400nm)である。また、照射強度は、好ましくは50mW/cm以上、より好ましくは150mW/cm以上であり、例えば1000mW/cm以下であってよく、好ましくは700mW/cm以下である。
本実施形態の樹脂硬化物は、例えば、2つの部材の間に配置される接着層、部材の所定範囲を被覆するように配置される封止材、プライマー、コーティング層、表面処理層等の用途に好適に用いることができる。
(反応促進剤)
本実施形態の反応促進剤は、光硬化性組成物中に配合して光硬化性組成物の硬化反応(光重合性モノマーの重合反応)を促進するための反応促進剤であり、上記縮合環化合物を含む。
上述のとおり、上記縮合環化合物は、光照射により羽ばたき運動に伴う発熱を生じる。このため、本実施形態の反応促進剤を光硬化性組成物に配合することで、硬化のための光照射時に系中が均一に加熱され、光硬化性組成物の硬化反応(光重合性モノマーの重合反応)が促進される。
本実施形態の反応促進剤によれば、アウトガスの発生がより少ない樹脂硬化物を形成可能な光硬化性組成物が得られる。すなわち、本実施形態の反応促進剤は、アウトガス抑制剤として用いることもできる。
本実施形態の反応促進剤は、上記縮合環化合物のみから構成されていてもよく、上記縮合環化合物以外の他の成分を更に含有していてもよい。他の成分は特に限定されず、公知の光硬化性組成物に配合される成分を特に制限無く用いることができる。他の成分としては、例えば、粘度調整剤、酸化防止剤、着色剤等が挙げられる。
以下、本実施形態の光硬化性組成物の好適な用途の一例として、接合体及びその製造方法について説明する。
(接合体)
一実施形態の接合体は、第一の部材と、第二の部材と、第一の部材及び第二の部材の間に配置された接着層と、を備え、接着層が、上述の樹脂硬化物を含有する。
接着層は、樹脂硬化物のみから構成されていてよく、樹脂硬化物以外の他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、粘弾性調整剤、酸化防止剤、着色剤、スペーサー等が挙げられる。
本実施形態の接合体は、例えば、第一の部材と第二の部材との間に配置された光硬化性組成物に光を照射する光照射工程を含む製造方法により、製造することができる。
光照射工程は、光硬化性組成物に光を照射して、樹脂硬化物を含む接着層を形成する工程ということもできる。
光照射工程における光照射の条件は特に限定されないが、光硬化性組成物中の縮合環化合物の羽ばたき運動による発熱を効率良く得る観点から、照射光の波長は、好ましくは250~450nm(より好ましくは280~400nm)である。また、照射強度は、好ましくは50mW/cm以上、より好ましくは150mW/cm以上であり、例えば1000mW/cm以下であってよく、好ましくは700mW/cm以下である。
本実施形態において、第一の部材及び第二の部材は特に限定されず、例えば、電子部品、光学部材等であってよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(確認試験1)
下記式(1-a-1)で表される縮合環化合物を、特開2021-31456号公報に記載の方法に従って製造した。なお、式(1-a-1)中、Rは、3,7-ジメチルオクチル基を示す。
Figure 2023013287000006
700μm厚のガラス板に縮合環化合物の粉末を乗せ、ホットプレート上で170℃に加熱することで、縮合環化合物を液化させた。次いで、膜厚を調整するスペーサーとして50μm厚のテフロンシート(日東電工社製ニトフロンフィルムNo.900UL)を用い、200μm厚のテフロンシート(日東電工社製ニトフロンフィルムNo.900UL)を縮合環化合物上に載せ、500gの分銅を載せて荷重をかけた。その後、室温まで冷却することで、ガラス板上に50μm厚の縮合環化合物の膜を作製した。得られたガラス板と縮合環化合物の膜(以下、材料膜)との積層体を測定サンプルとして、光照射による温度上昇を測定した。
具体的には、測定サンプルのガラス板側からUV照射し、材料膜側をサーモグラフィー(日本アビオニクス社製、InfReC R550pro)で撮影して温度を測定した。UV照射はUV-LED(中心波長365nm、照度150mW/cm又は650mW/cm、旭分光社製CL 1501)を用いた。式(1-a-1)で表される縮合環化合物の輻射率は0.94であったため、この値を使用して温度を測定した。
2パターンの照度(照射強度)で測定を行い、それぞれの結果を表1に示した。表1の結果から、式(1-a-1)で表される縮合環化合物が光照射により発熱を生じ、反応促進剤として使用できることが確認された。
Figure 2023013287000007
(実施例1-1)
特記しない限り、23℃、湿度50%で実施した。
単官能(メタ)アクリレートとしてイソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製「ISTA」、分子量325)、多官能(メタ)アクリレートとしてトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステルDCP(DCP)」、分子量332)、光ラジカル重合開始剤としてビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(IGM Resins社製「Omnirad 819」)を準備した。
65質量部のISTA、30質量部のDCP、0.5質量部のOmnirad 819、0.1質量部の式(1-a-1)で表される縮合環化合物、及び、増粘剤として5質量部のポリイソブテン(Oppanol N 50SF、BASF社製、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw):565,000、分子量分布2.4)を、100℃に加温しながら混合し、光硬化性組成物を得た。
得られた光硬化性組成物を、50μmテフロンシート(日東電工社製ニトフロンフィルムNo.900UL)をスペーサーとして、2枚のPETフィルムに挟み込み、押し広げ、9秒間のUV照射により硬化させて、樹脂硬化物を作製した。UV照射には、UV-LED(中心波長365nm、照度650mW/cm、CCS社製HLDL-120V0-NWPSC)を用いた。
得られた樹脂硬化物について、示差熱・熱重量同時測定装置「TG-DTA2000SA」(ブルカー・エイエックスエス株式会社製)により、1%重量減少温度及び5%重量減少温度を測定した。具体的には、樹脂硬化物10mgを、窒素気流下にて昇温速度5℃/分で30℃から350℃まで昇温し、次いで空気気流下にて昇温速度20℃/分で350℃から800℃まで昇温し、1%重量減少温度及び5%重量減少温度を測定した。結果を表2に示す。
(実施例1-2)
縮合環化合物の量を0.1質量部から2質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂硬化物を製造し、1%重量減少温度及び5%重量減少温度を測定した。結果を表2に示す。
(比較例1-1)
縮合環化合物を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして樹脂硬化物を製造し、1%重量減少温度及び5%重量減少温度を測定した。結果を表2に示す。表2の結果から、実施例では、1%重量減少温度及び5%重量減少温度が高く、アウトガスの発生が顕著に抑制されることが確認された。
Figure 2023013287000008

Claims (10)

  1. 光重合性モノマーと、光重合開始剤と、式(1)で表される縮合環化合物と、を含む、光硬化性組成物。
    Figure 2023013287000009

    [式中、nは0~2の整数を示し、nは0~4の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に1価の基を示す。複数のn、n、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  2. 前記縮合環化合物の含有量が、前記光重合性モノマー100質量部に対して、0.001~10質量部である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
  3. 接着剤である、請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物を硬化してなる、樹脂硬化物。
  5. 光重合性モノマーの重合体と、式(1)で表される縮合環化合物と、を含む、樹脂硬化物。
    Figure 2023013287000010

    [式中、nは0~2の整数を示し、nは0~4の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に1価の基を示す。複数のn、n、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  6. 前記縮合環化合物の含有量が、前記重合体100質量部に対して、0.001~10質量部である、請求項5に記載の樹脂硬化物。
  7. 請求項4~6のいずれか一項に記載の樹脂硬化物を製造する方法であって、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物に波長250~450nmの光を照射する光照射工程を含む、樹脂硬化物の製造方法。
  8. 式(1)で表される縮合環化合物を含む、反応促進剤。
    Figure 2023013287000011

    [式中、nは0~2の整数を示し、nは0~4の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に1価の基を示す。複数のn、n、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  9. 第一の部材と
    第二の部材と、
    前記第一の部材及び前記第二の部材の間に配置された接着層と、
    を備え、
    前記接着層が、請求項4~6のいずれか一項に記載の樹脂硬化物を含有する、接合体。
  10. 請求項9に記載の接合体を製造する方法であって、
    前記第一の部材と前記第二の部材との間に配置された請求項1~3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物に波長250~450nmの光を照射して、前記接着層を形成する光照射工程を含む、接合体の製造方法。
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