JP2023012215A - アクリル板 - Google Patents
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Abstract
【課題】非接触型ICタグを内蔵し、意匠性の高いアクリル板を提供することができる。【解決手段】アクリル板1は、アクリル樹脂で構成される板状の本体2と、本体2に内蔵される非接触で通信可能なICタグ3と、ICタグ3よりも本体の一方表面側に設けられ、所定の色に着色された不透明層である印刷層6と、ICタグ3よりも本体2の他方表面側に設けられた不透明層である印刷層6を備え、2つの印刷層6のそれぞれは、本体2の厚み方向から見た場合に、ICタグ3の全体を覆うように設けられる。【選択図】図1
Description
この発明は、アクリル樹脂で構成されるアクリル板に関する。
従来より、透明なアクリル樹脂を基材として用いることにより、透明感を有するように形成されたキーホルダー等のアクリル製品が提供されている(特許文献1参照)。また、近年、様々な目的で近距離通信用の非接触型ICタグが搭載された製品が提供されている。これらの技術を組み合わせて透明なアクリル板に非接触型ICタグを組み込もうとすると、非接触型ICタグが外から見えてしまい、製品の意匠性を損なうという問題がある。
この発明は、上述の問題に鑑みて、非接触型ICタグを内蔵し、意匠性の高いアクリル板を提供することを目的とする。
この発明は、アクリル樹脂で構成される板状の本体と、前記本体に内蔵されるICタグと、前記ICタグよりも前記本体の一方表面側に設けられる第1不透明層と、前記ICタグよりも前記本体の他方表面側に設けられる第2不透明層を備え、前記第1不透明層および前記第2不透明層のそれぞれは、前記本体の厚み方向から見て前記ICタグの全体を覆うように設けられるアクリル板である。
この発明により、非接触型ICタグを内蔵し、意匠性の高いアクリル板を提供することができる。
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本実施形態のアクリル板1の平面図であり、図2は、本実施形態のアクリル板1の側面図である。
図1は、本実施形態のアクリル板1の平面図であり、図2は、本実施形態のアクリル板1の側面図である。
図1および図2に示すように、アクリル板1は、耐久性、耐熱性、意匠性(たとえば透明の場合の透明性)に優れるポリメチルメタクリレート樹脂(アクリル樹脂)で構成される本体2と、本体2に内蔵されるICタグ3とを備える。アクリル板1(本体2)は、全体として板状をなし、平板状であってもよいし、全体または一部が湾曲していてもよい。また、アクリル板1(本体2)は、人の指で簡単に曲がらない程度の固さを有している。このため、本体2に内蔵されるICタグ3の破損を抑制ないし防止できる。
たとえば、アクリル板1は、建物や各種機器の風防、水槽のフレーム、看板、計器カバー、玩具、およびアクセサリー(身飾品)などである。以下の各実施例では、アクリル板1が平板状(略直方体形状)のキーホルダーである場合を例に挙げて説明する。
ICタグ3は、非接触で通信可能なRFID(Radio Frequency Identifier)タグまたはNFCタグである。ICタグ3は、UHF帯、HF帯、またはLF帯等の周波数帯の電波を用いて外部機器(図示せず)と近距離無線通信を行うことができる。ICタグ3と通信可能な外部機器としては、ICタグ読取機能を有する携帯端末(スマートフォン)、リーダ(リーダライタ)単体、およびICタグ読取機能を有する機器(たとえばチェックイン機、自動販売機、および自動改札装置等)等がある。
ICタグ3の全体形状は、平板状(略直方体形状)であり、ICタグ3は、本体2と平行に(厚み方向が同じ方向となるように)配置される。以下、この明細書では、本体2(アクリル板1)の厚み方向と、ICタグ3の厚み方向とを特に区別する必要がない場合には、単に「厚み方向」ということがある。また、この明細書では厚み方向を上下方向とし、厚み方向に直交する方向のそれぞれを前後左右方向とする。
ICタグ3の平面形状(厚み方向から見た外形形状)は、略四角形状であって、ICタグ3の外寸法は、たとえば26mm四方である。また、ICタグ3の厚みは、0.05mm~0.5mmである。なお、ICタグ3の平面形状は略円形状であってもよく、この場合、ICタグ3の外寸法(直径)は、たとえば26mmである。
また、ICタグ3は、アンテナ31と、アンテナ31に接続されたICチップ32とを有している。アンテナ31は、環状のアンテナコイルからなり、ICチップ32は、所定の情報を記憶しており、アンテナ31の一端に接続されている。なお、ICタグ3は、書き込み可能なものであってもよいし、書き込み不可(読み取り専用)なものであってもよい。
図2に示すように、ICタグ3は、本体2の厚み方向の一方の表面(一方表面)および他方の表面(他方表面)のそれぞれから所定の間隔を隔てて離れた位置に配置されている。以下、図2~図10では、紙面の上下方向を本体2の厚み方向としており、本体2の厚み方向の表面のうち、紙面上方側の面を一方表面とし、紙面下方側の面を他方表面という。ICタグ3と本体2の一方表面との距離D1およびICタグ3と本体2の他方表面との距離D2のそれぞれは、0.4~4.0mmであり、ICタグ3と外部機器との通信状態を良好に保つためには0.5~2.0mmであることが好ましい。
<実施例1>
<実施例1>
図3Aは実施例1のアクリル板1の一例を示す断面図である。図3Bは実施例1のアクリル板1の変形例を示す断面図である。図3Cは実施例1のアクリル板1の変形例を示す断面図である。図3Dは実施例1のアクリル板1の変形例を示す断面図である。図3Eは実施例1のアクリル板1の変形例を示す断面図である。
実施例1では、図3A~図3Eに示すように、本体2は、アクリル層を有している。アクリル層は、透明アクリル層4および不透明アクリル層(着色アクリル層)5のいずれかである。すなわち、本体2は、透明アクリル層4および不透明アクリル層5の少なくとも1つを有している。アクリル樹脂の自然色は透明であるため、透明アクリル層4は、特に着色等されていないアクリル樹脂により構成される層であり、不透明アクリル層5は、厚み方向から見て反対側が透けない程度に着色されたアクリル樹脂により構成される層である。
また、本体2が有する透明アクリル層4または不透明アクリル層5の少なくとも1つには、ICタグ3を収容するための凹部が形成されており、ICタグ3は、透明アクリル層4または不透明アクリル層5に形成された凹部に収容されている。凹部は、本体2の内部に(本体2の表面に露出しないように)深さ一定で形成されている。凹部の深さは、ICタグ3の厚みに応じて設定され、たとえばICタグ3の厚みに対して100%~110%に設定される。これにより、ICタグ3が凹部に収納されても、本体2が厚み方向に膨らまず、かつ、ICタグ3が凹部の中で自由に移動することを防止できる。
また、アクリル板1には、ICタグ3の一方表面側および他方表面側のそれぞれに、所定の色に着色された着色層(不透明層)が設けられる。不透明層は、不透明アクリル層5または印刷層6で構成される。
印刷層6は、所定の色(たとえば白色)の下地層と、下地層に積層されるデザイン印刷層とを有する。下地層およびデザイン印刷層は、下地層が本体2の内面側(内側)に、デザイン印刷層が表面側(外側)に位置するように配置される。デザイン印刷層には、アクリル板1の用途に応じて、模様、絵、図形、文字、記号などが描かれている。たとえば、デザイン印刷層には、キャラクターのイラスト、写真等が描かれている。また、印刷層6は、透明アクリル層4または不透明アクリル層5にインクジェットプリンタ等でインクを定着させることによって形成される層であってもよいし、透明アクリル層4または不透明アクリル層5に貼り付けられるシール(フィルム)によって形成される層であってもよい。
さらに、不透明層(印刷層6または不透明アクリル層5)は、厚み方向から見た場合に、少なくとも、ICタグ3の全体を覆うように設けられる。すなわち、印刷層6の輪郭または不透明アクリル層5の輪郭は、厚み方向から見た場合に、少なくとも、ICタグ3の輪郭を包含する(ICタグ3の輪郭の外側に位置する)ように設けられる。また、印刷層6の輪郭または不透明アクリル層5の輪郭は、厚み方向から見た場合に、ICタグ3の輪郭を外側に10%拡大した範囲を包含するように設けられることが好ましく、ICタグ3の輪郭を外側に20%拡大した範囲を包含するように設けられることがより好ましい。図3A~図3Eに示す例では、印刷層6または不透明アクリル層5は、本体2の前後左右の幅方向(本体2の延伸方向)の全体に亘って設けられる。
図3Aに示す例では、一方表面から他方表面に向かって、透明アクリル層4、印刷層6、不透明アクリル層5の順に配置されている。すなわち、ICタグ3は、印刷層6と、不透明アクリル層5との間に配置されている。また、ICタグ3は、不透明アクリル層5の一方表面側に形成された凹部に収容されている。
図3Bに示す例では、一方表面から他方表面に向かって、印刷層6、透明アクリル層4、印刷層6の順に配置されている。すなわち、ICタグ3は、2つの印刷層6の間に配置されている。また、ICタグ3は、透明アクリル層4の一方表面側に形成された凹部に収容されている。
図3Cに示す例では、一方表面から他方表面に向かって、透明アクリル層4、印刷層6、透明アクリル層4、印刷層6の順に配置されている。また、ICタグ3は、2つの透明アクリル層4のうち、他方表面側の透明アクリル層4(2つの印刷層6に挟まれた透明アクリル層4)の一方表面側に形成された凹部に収容されている。
図3Dに示す例では、一方表面から他方表面に向かって、透明アクリル層4、印刷層6、透明アクリル層4、印刷層6、透明アクリル層4の順に配置されている。また、ICタグ3は、3つの透明アクリル層4のうち、2番目(厚み方向の中央に位置し、2つの印刷層6に挟まれた透明アクリル層4)の一方表面側に形成された凹部に収容されている。この場合、ICタグ3を収容する透明アクリル層4の厚みを、他の透明アクリル層4の厚みよりも薄くしてもよい。このようにすれば、ICタグ3と本体2の表面(一方表面または他方表面)との距離を短くすることができ、ICタグ3と外部機器との通信状態を良好に保つことができる。
図3Eに示す例では、一方表面から他方表面に向かって、印刷層6、透明アクリル層4、透明アクリル層4、印刷層6の順に配置されている。また、ICタグ3は、2つの透明アクリル層4の互いの対向面に形成された凹部に収容されている。各透明アクリル層4の凹部は、互いに対応する位置および互いに対応する大きさに形成されている。このため、図3Eに示す例では、比較的厚み方向の寸法が大きいICタグ3を収容することができる。
以上のように、図3Aに示す例では、ICタグ3は、印刷層6と、不透明アクリル層5との間に配置され、図3B~図3Eに示す例では、ICタグ3は、2つの印刷層6の間に配置されている。このため、アクリル板1の外側からICタグ3が透けて見えないようにすることができ、ICタグ3を内蔵し、かつ、意匠性の高いアクリル板1を提供することができる。また、ICタグ3の位置が外から見えないため、ICタグ3の情報が不正に読み取られることを抑制ないし防止できる。
なお、本体2は、少なくとも1つのアクリル層(透明アクリル層4および不透明アクリル層5)と、ICタグ3の一方表面側および他方表面側のそれぞれに設けられる不透明層とを有していればよく、本体2の層構造は、図3A~図3Eに示す例に限定されることなく、適宜変更可能である。
また、図3B~図3Eに示す例では、透明アクリル層4の一方表面側に形成された凹部に収容されているようにしたが、ICタグ3は、透明アクリル層4の他方表面側に設けられていてもよい。この場合であっても、ICタグ3が2つの不透明層の間に配置されていれば、アクリル板1の外側からICタグ3が透けて見えないようにすることができる。
<実施例2>
<実施例2>
図4Aは実施例2のアクリル板1の一例を示す断面図である。図4Bは実施例2のアクリル板1の変形例を示す断面図である。図4Cは実施例2のアクリル板1の変形例を示す断面図である。
図4A~図4Cに示すように、実施例2では、本体2は、実施例1の構成に加え、電波吸収層7を有している。電波吸収層7は、ゴムまたはシリコンに、フェライト、カーボン、またはセンダスト(Fe-Si-Al合金)といった磁性材料の粉末を練り込んだ磁性層である。電波吸収層7としては、板状(シート状)の磁石(たとえば永久磁石)を用いることもできる。
電波吸収層7は、ICタグ3の一方表面側および他方表面側の少なくとも一方に設けられ、ICタグ3と本体2の表面(一方表面または他方表面)の間に配置される。また、電波吸収層7は、厚み方向においてICタグ3に隣接するように配置されることが好ましい。実施例2では、電波吸収層7は、ICタグ3の他方表面側に隣接するように配置される。
また、電波吸収層7は、厚み方向(一方表面または他方表面)から見た場合に、少なくとも、ICタグ3の全体を覆うように設けられる。すなわち、電波吸収層7の輪郭AWは、厚み方向から見た場合に、少なくとも、ICタグ3の輪郭TWを包含するように設けられる。また、電波吸収層7の輪郭AWは、厚み方向から見た場合に、ICタグ3の輪郭TWを外側に10%拡大した範囲を包含するように設けられることが好ましく、ICタグ3の輪郭TWを外側に20%拡大した範囲を包含するように設けられることがより好ましい。すなわち、電波吸収層7は、厚み方向から見た場合に、少なくともICタグ3と同じ大きさか、ICタグ3よりも大きく形成される。
アクリル板1が金属材料の近傍に位置する(たとえば鉄製テーブル等の金属製品に載置される)場合、金属材料に反射した干渉電波等による電磁障害によって、ICタグ3と外部機器との通信状態が悪化するという問題がある。これに対し、実施例2では、ICタグ3に隣接する電波吸収層7が設けられるので、アクリル板1が金属材料の近傍に位置する場合であっても、干渉電波を吸収して電磁障害を抑制し、ICタグ3と外部機器との通信状態を良好に保つことができる。また、電波吸収層7の存在により、ICタグ3と外部機器との通信可能距離が短くなり、第三者による遠距離からの不正な通信を抑制ないし防止できる。
<実施例3>
<実施例3>
図5Aは実施例3のアクリル板1の一例を示す断面図である。図5Bは実施例3のアクリル板1の変形例を示す断面図である。図5Cは実施例3のアクリル板1の変形例を示す断面図である。図6Aは実施例3のアクリル板1の変形例を示す断面図である。図6Bは実施例3のアクリル板1の変形例を示す断面図である。図6Cは実施例3のアクリル板1の変形例を示す断面図である。
図5A~図5Cに示すように、実施例3では、本体2は、実施例1の構成に加え、板状の電波遮断材8を有している。電波遮断材8は、銅箔やアルミ箔などで構成され電波を反射する電波反射層を有する平板状の部材である。たとえば、電波遮断材8は、シート状の柔らかい部材である。この電波遮断材8は、本体2の一方表面および他方表面の少なくとも一方に取り外し可能に設けられる。たとえば、電波遮断材8は、弱粘のりまたは弱粘テープなどの接着部材9によって本体2に貼り付けられている。実施例3では、電波遮断材8は、本体2の他方表面に取り外し可能に設けられる。
また、電波遮断材8は、厚み方向から見た場合に、少なくとも、ICタグ3の全体を覆うように設けられる。すなわち、電波遮断材8の輪郭RWは、厚み方向から見た場合に、少なくとも、ICタグ3の輪郭TWを包含するように設けられる。また、電波遮断材8の輪郭RWは、厚み方向から見た場合に、ICタグ3の輪郭TWを外側に10%拡大した範囲を包含するように設けられることが好ましく、ICタグ3の輪郭TWを外側に20%拡大した範囲を包含するように設けられることがより好ましい。すなわち、電波遮断材8は、厚み方向から見た場合に、少なくともICタグ3と同じ大きさか、ICタグ3よりも大きく形成される。
ICタグ3を内蔵したアクリル板1では、販売前の状態(店舗等に陳列されている状態)でICタグ3から情報が抜き取られる可能性があり、安全性の観点で問題がある。これに対し、実施例3では、厚み方向から見た場合にICタグ3の全体を覆う電波遮断材8が設けられるので、電波遮断材8の外側(本実施例では他方表面側)からはICタグ3の情報を読み取ることができない。また、電波遮断材8が設けられていない側(本実施例では一方表面側)からも、電波遮断材8の電磁障害によってICタグ3の情報を読み取りにくくなる。同様に、ICタグ3が書き込み可能な場合、不正な書き込みを防止することもできる。このため、ICタグ3の情報が不正に読み取られること、および情報が不正に書き込まれることを抑制ないし防止でき、安全性を高めることができる。なお、使用時(販売後)に電波遮断材8を取り外す(シート状の電波遮断材8をはがす)ことによって、電波遮断材8の電磁障害が無くなるので、ICタグ3の情報の読み取りが可能になる。また、電波遮断材8はシート状の柔らかい部材であるので、指で簡単にはがすことができる。
電波遮断材8が設けられていない側からの読み取りに対する電磁障害効果を発揮するためには、ICタグ3と電波遮断材8の厚み方向の距離が短い方がよく、ICタグ3と電波遮断材8の厚み方向の距離は、最大でも4.0mm以下であり、2.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
また、図6A~図6Cに示すように、ICタグ3が、透明アクリル層4の電波遮断材8側(本実施例では他方表面側)に設けられるようにすれば、ICタグ3と電波遮断材8との距離が短くなり、電波遮断材8の反対側からICタグ3の情報をより読み取りにくくなる。同様に、同様に、ICタグ3が書き込み可能な場合、不正な書き込みにくくなる。このため、より安全性を高めることができる。
<実施例4>
<実施例4>
図7Aは実施例4のアクリル板1の一例を示す断面図である。図7Bは実施例4のアクリル板1の変形例を示す断面図である。図7Cは実施例4のアクリル板1の変形例を示す断面図である。
図7A~図7Cに示すように、実施例4では、本体2は、実施例1の構成に加え、電波吸収層7と、電波遮断材8を有している。なお、電波吸収層7は、実施例2で説明した電波吸収層7と同じ構成であり、電波遮断材8は、実施例3で説明した電波遮断材8と同じ構成である。
ICタグ3、電波吸収層7、電波遮断材8の配置順としては、一方表面側からまたは他方表面側から、ICタグ3、電波吸収層7、電波遮断材8の順に配置されている。本実施例では、一方表面から他方表面に向かって、ICタグ3、電波吸収層7、電波遮断材8の順に配置されている。
このようにすれば、電波遮断材8が取り外されるまでは、少なくとも電波遮断材8の外側からはICタグ3の情報を読み取ることができず、かつ、電波遮断材8が設けられていない側からもICタグ3の情報を読み取りにくくなる。このため、安全性を高めることができる。また、電波遮断材8が取り外された後は、アクリル板1が金属材料の近傍に位置する場合であっても、電波吸収層7によって電磁障害を抑制し、ICタグ3と外部機器との通信状態を良好に保つことができる。
<実施例5>
<実施例5>
図8Aは実施例5のアクリル板1の一例を示す断面図である。図8Bは実施例5のアクリル板1の変形例を示す断面図である。図8Cは実施例5のアクリル板1の変形例を示す断面図である。
図8A~図8Cに示すように、実施例5では、本体2は、板状の電波遮断材81と、電波遮断材81の一方表面側に設けられる第1本体2Aと、第1本体2Aに内蔵される第1のICタグ3Aと、第1のICタグ3Aと電波遮断材81の間に配置される第1電波吸収層7Aと、電波遮断材81の他方表面側に設けられる第2本体2Bと、第2本体2Bに内蔵される第2のICタグ3Bと、第2のICタグ3Bと電波遮断材81の間に配置される第2電波吸収層7Bとを有する。なお、第1電波吸収層7Aおよび第2電波吸収層7Bのそれぞれは、実施例2で説明した電波吸収層7と同じ素材を用いたものであり、電波遮断材81は、実施例3で説明した電波遮断材8と同じ素材を用いたものである。
第1電波吸収層7Aは、厚み方向から見て第1のICタグ3Aの全体を覆うように設けられる。第2電波吸収層7Bは、厚み方向から見て第2のICタグ3Bの全体を覆うように設けられる。電波遮断材81は、厚み方向(電波遮断材の厚み方向)から見て第1のICタグ3Aおよび第2のICタグ3Bの全体を覆うように設けられる。すなわち、第1電波吸収層7Aの輪郭、第2電波吸収層7Bの輪郭、および電波遮断材81の輪郭のそれぞれは、厚み方向から見た場合に、少なくとも、ICタグ3の輪郭を包含(包囲)するように設けられる。また、第1電波吸収層7Aの輪郭、第2電波吸収層7Bの輪郭、および電波遮断材81の輪郭のそれぞれは、厚み方向から見た場合に、ICタグ3の輪郭を外側(外方向)に10%拡大した範囲を包含するように設けられることが好ましく、ICタグ3の輪郭を外側に20%拡大した範囲を包含するように設けられることがより好ましい。すなわち、第1電波吸収層7A、第2電波吸収層7Bおよび電波遮断材81のそれぞれは、厚み方向から見た場合に、少なくともICタグ3と同じ大きさか、ICタグ3よりも大きく形成される。
実施例5では、第1のICタグ3Aと第2のICタグ3Bとは同じ大きさであり、第1電波吸収層7Aと第2電波吸収層7Bとは同じ大きさである。また、第1のICタグ3A、第1電波吸収層7A、第2のICタグ3Bおよび第2電波吸収層7Bは、厚み方向において重なるように(同軸上に)配置されている。
図8Aに示す例では、第1本体2Aおよび第2本体2Bのそれぞれは、透明アクリル層4、印刷層6、透明アクリル層4を有する。第1本体2Aでは、一方表面から他方表面に向かって、透明アクリル層4、印刷層6、透明アクリル層4の順に配置されている。また、第2本体2Bは、一方表面から他方表面に向かって、透明アクリル層4、印刷層6、透明アクリル層4の順に配置されている。第1のICタグ3Aおよび第2のICタグ3Bのそれぞれは、電波遮断材8に隣接する透明アクリル層4に形成された凹部に収容されている。
図8Bに示す例では、第1本体2Aでは、一方表面から他方表面に向かって、透明アクリル層4、印刷層6、透明アクリル層4の順に配置されている。また、第2本体2Bでは、一方表面から他方表面に向かって、透明アクリル層4、印刷層6、透明アクリル層4の順に配置されている。ただし、電波遮断材8に隣接する2つの透明アクリル層4には、電波遮断材8に向かって開口する凹部41が形成されており、第1のICタグ3A、第1電波吸収層7A、第2のICタグ3Bおよび第2電波吸収層7Bは、凹部41に収容される。凹部41の前後左右の寸法は、第1のICタグ3A、第1電波吸収層7A、第2のICタグ3Bおよび第2電波吸収層7Bの前後左右の外寸法よりも大きい。したがって、第1のICタグ3A、第1電波吸収層7A、第2のICタグ3Bおよび第2電波吸収層7Bの前後左右には、スペース(空間)が形成される。
図8Cに示す例では、第1本体2Aでは、一方表面から他方表面に向かって、透明アクリル層4、印刷層6の順に配置されている。また、第2本体2Bでは、一方表面から他方表面に向かって、印刷層6、透明アクリル層4の順に配置されている。さらに、図8Cに示す例では、第1本体2Aおよび第2本体2Bの間に介在する別のアクリル層(中間アクリル層)21が設けられる。
中間アクリル層21は、透明でも不透明でもよい。また、アクリル層21の一方表面側および他方表面側のそれぞれに凹部22が形成されており、第1のICタグ3A、第1電波吸収層7A、第2のICタグ3Bおよび第2電波吸収層7Bは、凹部22に収容される。また、電波遮断材81は、それぞれの凹部22の底部に設けられる。本実施例では、電波遮断材81は、凹部22の底部の全体に亘って設けられる。凹部22の前後左右の寸法は、第1のICタグ3A、第1電波吸収層7A、第2のICタグ3Bおよび第2電波吸収層7Bの外寸法よりも大きい。したがって、第1のICタグ3A、第1電波吸収層7A、第2のICタグ3Bおよび第2電波吸収層7Bの前後左右には、スペース(空間)が形成される。
実施例5では、第1のICタグ3Aと第2のICタグ3Bの間に電波遮断材81が設けられるので、一方表面側からは第1のICタグ3Aのみと通信することができ、他方表面側からは第2のICタグ3Bのみと通信することができる。したがって、外部機器が2つのICタグを同時に認識することによる読み取りエラーを防止することができる。また、第1のICタグ3Aと第2のICタグ3Bにそれぞれ異なる情報または機能を持たせるようにすれば、読み取り面を切り替えて、異なる情報を読み取ることができるようになる。たとえば、第1のICタグ3Aには、アクリル板1(アクリル製品)を購入しなくても見ることができる情報としてCM等を記憶させ、第2のICタグ3Bにはアクリル板1を購入しなければ見ることができない限定の特典映像を記憶させるといったことができる。
<実施例6>
<実施例6>
図9は実施例6のアクリル板1の一例を示す断面図である。図9に示すように、実施例6では、本体2は、実施例5の構成に加え、電波遮断材8を有している。なお、電波遮断材8は、実施例3で説明した電波遮断材8と同じ構成であり、本体2の一方表面および他方表面の少なくとも一方に取り外し可能に設けられる。本実施例では、電波遮断材8は、本体2の他方表面に設けられる。
また、電波遮断材8は、厚み方向から見た場合に、少なくとも、電波遮断材8と電波遮断材81の間に位置するICタグ(本実施例では第2のICタグ3B)の全体を覆うように設けられる。
実施例6では、電波遮断材8が設けられる側のICタグ(本実施例では第2のICタグ3B)は、電波遮断材81と電波遮断材8に挟まれるようになるので、電波遮断材8と電波遮断材81の間に位置するICタグからは情報を読み取ることおよび情報を書き込むことができない。このため、電波遮断材8が設けられる側のICタグについての安全性(情報セキュリティ性)をより高めることができる。
<包装状態>
<包装状態>
図10Aは包装状態のアクリル板1の一例を示す断面図である。図10Bは包装状態のアクリル板1の変形例を示す断面図である。図10Cは包装状態のアクリル板1の変形例を示す断面図である。
アクリル板1がキーホルダー等のアクセサリーである場合、店頭に陳列される際には、包装部材11に収納された状態となることがある。包装部材11に収納されるアクリル板1としては、実施例1~6のものを使用することができる。図10A~図10Cには、包装部材11に収納されるアクリル板1として実施例3、4、6のいずれかを使用した場合を示している。
包装部材11は、プラスチック(たとえばポリプロピレン)製の袋体、紙製の袋体、プラスチック製の箱、紙箱等である。また、包装部材11として、銅箔やアルミ箔などで構成され電波を反射する電波反射層を有する袋体を用いることもでき、この場合、電波遮断材8を省略することができ、かつ、包装部材11が取り外されるまでは、ICタグ3の情報を読み取ることおよび情報を書き込むことができないので、安全性(情報セキュリティ性)を高めることができる。
たとえば、図10Aに示すように、アクリル板1がブリスターパック10とともに包装部材11に包装されるようにしてもよい。また、図10Bに示すように、アクリル板1が台紙12に貼り付けられた状態で包装部材11に包装されるようにしてもよい。この場合、包装部材11に電波遮断層(電波反射層)を設けることによって、電波遮断材8を省略することもできる。
また、図10Cに示すように、本体2に電波遮断材8が取り付けられる場合、本体2に係止する係止部82を有する電波遮断材8を用いることもできる。この場合、接着部材9を省略することができる。
この発明におけるアクリル板は、アクリル板1に対応し、以下同様に、ICタグは、ICタグ3に対応し、第1不透明層は、不透明アクリル層5または印刷層6のいずれかに対応し、第2不透明層は、不透明アクリル層5または印刷層6のいずれかに対応し、電波吸収層は、電波吸収層7に対応し、電波遮断材は、電波遮断材8に対応するが、この発明は本実施形態に限られず他の様々な実施形態とすることができる。また、上述の実施形態で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
上述の実施形態では、ICタグ3の一方表面側および他方表面側のそれぞれに、不透明層を設けたが、一方表面側および他方表面側の少なくとも一方に不透明層を設けてもよい。この場合、アクリル板1の外側からICタグ3が見えることになるが、アクリル板1の利用者がICタグ3の位置を確認(視認)することができるという利点がある。
また、上述の実施形態の構成に加え、本体2(アクリル板1)の一方表面側および他方表面側のうち、通信可能な表面に点字(点字表示部)が形成されていてもよい。点字は、本体2の表面に形成された凹凸によって構成されてもよいし、印刷(点字印刷)によって構成されていてもよい。このようにすれば、視覚障がい者がICタグ3の通信可能が向きを認識することができ、アクリル板1に内蔵されたICタグ3の情報を有効活用することができる。
さらに、上述の実施形態の構成に加え、ICタグ3に緊急連絡先(緊急通報用電話番号、家族の電話番号、自宅の電話番号等)を記憶しておき、携帯端末(スマートフォン)でICタグ3と通信したときに、緊急連絡先に自動的に電話を発信できるようにしてもよい。このようにすれば、アクリル板1を防犯、防災時に有効活用できる。
この発明は、非接触型ICタグを内蔵したアクリル板の製造販売の産業に利用することができる。
1…アクリル板
2…本体
3…ICタグ
4…透明アクリル層
5…不透明アクリル層
6…印刷層
7…電波吸収層
8…電波遮断材
9…接着層
2…本体
3…ICタグ
4…透明アクリル層
5…不透明アクリル層
6…印刷層
7…電波吸収層
8…電波遮断材
9…接着層
Claims (5)
- アクリル樹脂で構成される板状の本体と、
前記本体に内蔵されるICタグと、
前記ICタグよりも前記本体の一方表面側に設けられる第1不透明層と、
前記ICタグよりも前記本体の他方表面側に設けられる第2不透明層を備え、
前記第1不透明層および前記第2不透明層のそれぞれは、前記本体の厚み方向から見て前記ICタグの全体を覆うように設けられる
アクリル板。 - 前記ICタグの一方表面側および他方表面側の少なくとも一方に設けられる電波吸収層をさらに備え、
前記電波吸収層は、前記ICタグに隣接するように配置され、かつ、前記本体の厚み方向から見て前記ICタグの全体を覆うように設けられる
請求項1記載のアクリル板。 - 前記本体の一方表面および他方表面の少なくとも一方に取り外し可能に設けられる電波遮断材をさらに備え、
前記電波遮断材は、前記本体の厚み方向から見て前記ICタグの全体を覆うように設けられる
請求項1または2記載のアクリル板。 - アクリル樹脂で構成される板状の本体と、
前記本体に内蔵されるICタグと、
前記ICタグの他方表面側に隣接するように配置され、かつ、前記本体の厚み方向から見て前記ICタグの全体を覆うように設けられる電波吸収層と、
前記本体の他方表面に取り外し可能に設けられる電波遮断材を備え、
前記電波遮断材は、前記本体の厚み方向から見て前記ICタグの全体を覆うように設けられる
アクリル板。 - 板状の電波遮断材と、
前記電波遮断材の一方表面側に設けられ、アクリル樹脂で構成される板状の第1本体と、
前記第1本体に内蔵される第1のICタグと、
前記第1のICタグと前記電波遮断材の間に配置され、かつ、前記電波遮断材の厚み方向から見て前記第1のICタグの全体を覆うように設けられる第1電波吸収層と、
前記電波遮断材の他方表面側に設けられ、アクリル樹脂で構成される板状の第2本体と、
前記第2本体に内蔵される第2のICタグと、
前記第2のICタグと前記電波遮断材の間に配置され、かつ、前記電波遮断材の厚み方向から見て前記第2のICタグの全体を覆うように設けられる第2電波吸収層を備え、
前記電波遮断材は、前記電波遮断材の厚み方向から見て前記第1のICタグおよび前記第2のICタグの全体を覆うように設けられる
アクリル板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021115727A JP2023012215A (ja) | 2021-07-13 | 2021-07-13 | アクリル板 |
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Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2021115727A Pending JP2023012215A (ja) | 2021-07-13 | 2021-07-13 | アクリル板 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2023012215A (ja) |
-
2021
- 2021-07-13 JP JP2021115727A patent/JP2023012215A/ja active Pending
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