JP2023010598A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤのマッド性能および耐カット性能を両立できるタイヤを提供すること。【解決手段】このタイヤ1は、タイヤ周方向に所定間隔で配列された複数のサイドブロック4をバットレス部に備える。また、サイドブロック4が、Y字形状に配列された短尺部41および長尺部42と、短尺部41および長尺部42の接続部を区画するスリット43とを有すると共に、Y字形状の頂部をタイヤ径方向内側に向けて配置される。また、サイドブロック4の径方向高さHbが、タイヤ断面高さSHに対して0.20≦Hb/SH≦0.50の範囲にある。【選択図】図5
Description
この発明は、タイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤのマッド性能および耐カット性能を両立できるタイヤに関する。
ピックアップトラック、SUV(Sport Utility Vehicle)などに装着される従来のオールシーズンタイヤでは、タイヤのオフロード性能を高めるべき課題がある。このような課題に関する従来のタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
この発明は、タイヤのマッド性能および耐カット性能を両立できるタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかるタイヤは、タイヤ周方向に所定間隔で配列された複数のサイドブロックをバットレス部に備えるタイヤであって、前記サイドブロックが、Y字形状に配列された短尺部および長尺部と、前記短尺部および前記長尺部の接続部を区画するスリットとを有すると共に、前記Y字形状の頂部をタイヤ径方向内側に向けて配置されることを特徴とする。
この発明にかかるタイヤでは、(1)バットレス部の平面視にて、サイドブロックが短尺部および長尺部から成るY字形状を有するので、サイドブロックが同一長さの一対の小ブロックから成る構成(いわゆるV字形状)と比較して、サイドブロックのエッジ部の総長さが増加し、サイドブロックの排泥作用が向上してタイヤのマッド性能が向上する。また、サイドブロックのタイヤ周方向への剛性が長尺部により補強されて、タイヤの耐カット性能が向上する。また、(2)スリットが短尺部および長尺部の接続部を区画してサイドブロックを貫通するので、タイヤ転動時にて、サイドブロックのY字形状の二股部に入り込んだ泥土の排出が促進されて、タイヤのマッド性能が向上する。これらにより、タイヤのマッド性能および耐カット性能が両立する利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[タイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかるタイヤ1を示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、タイヤの一例として、ライトトラック用の空気入りラジアルタイヤを示している。
図1は、この発明の実施の形態にかかるタイヤ1を示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、タイヤの一例として、ライトトラック用の空気入りラジアルタイヤを示している。
同図において、タイヤ子午線方向の断面は、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面として定義される。また、タイヤ赤道面CLは、JATMAに規定されたタイヤ断面幅の測定点の中点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面として定義される。また、タイヤ幅方向は、タイヤ回転軸に平行な方向として定義され、タイヤ径方向は、タイヤ回転軸に垂直な方向として定義される。
タイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、スチールから成る1本あるいは複数本のビードワイヤを環状かつ多重に巻き廻して成り、ビード部に埋設されて左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。
カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造あるいは複数枚のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、80[deg]以上100[deg]以下のコード角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの長手方向の傾斜角として定義される。)を有する。
ベルト層14は、複数のベルトプライ141~144を積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。ベルトプライ141~144は、一対の交差ベルト141、142と、複数のベルトカバー143、144とを含む。
一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で15[deg]以上55[deg]以下のコード角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のコード角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの長手方向の傾斜角として定義される)を有し、ベルトコードの長手方向を相互に交差させて積層される(いわゆるクロスプライ構造)。また、一対の交差ベルト141、142は、カーカス層13のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
ベルトカバー143、144は、スチールあるいは有機繊維材から成るベルトカバーコードをコートゴムで被覆して構成され、絶対値で0[deg]以上10[deg]以下のコード角度を有する。また、ベルトカバー143、144は、例えば、1本あるいは複数本のベルトカバーコードをコートゴムで被覆して成るストリップ材であり、このストリップ材を交差ベルト141、142の外周面に対してタイヤ周方向に複数回かつ螺旋状に巻き付けて構成される。また、複数のベルトカバー143、144が交差ベルト141、142の全域を覆って配置される。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側からタイヤ幅方向外側に延在して、ビード部のリム嵌合面を構成する。
[トレッドパターン]
図2は、図1に記載したタイヤのトレッド面を示す平面図である。同図は、オフロード用タイヤのトレッド面を示している。同図において、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。また、符号Tは、タイヤ接地端であり、寸法記号TWは、タイヤ接地幅である。
図2は、図1に記載したタイヤのトレッド面を示す平面図である。同図は、オフロード用タイヤのトレッド面を示している。同図において、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。また、符号Tは、タイヤ接地端であり、寸法記号TWは、タイヤ接地幅である。
図2に示すように、タイヤ1は、一対の周方向主溝2と、これらの周方向主溝2に区画されて成る一対のショルダー陸部31および1列のセンター陸部32と、をトレッド面に備える。
周方向主溝2は、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状を有する。また、周方向主溝2は、JATMAに規定されるウェアインジケータの表示義務を有する溝であり、7.0[mm]以上の最大溝幅および8.0[mm]以上の最大溝深さを有する。
溝幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、溝開口部における対向する溝壁間の距離として測定される。切欠部あるいは面取部を溝開口部に有する構成では、溝幅方向かつ溝深さ方向に平行な断面視におけるトレッド踏面の延長線と溝壁の延長線との交点を測定点として、溝幅が測定される。
溝深さは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、トレッド踏面から溝底までの距離として測定される。また、部分的な凹凸部やサイプを溝底に有する構成では、これらを除外して溝深さが測定される。
規定リムとは、JATMAに規定される「標準リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が規定内圧での最大負荷能力の88[%]である。
また、図2において、ショルダー陸部31の最大接地幅Wb1が、タイヤ接地幅TWに対して0.25≦Wb1/TW≦0.40の範囲にあることが好ましく、0.27≦Wb1/TW≦0.35の範囲にあることがより好ましい。
また、センター陸部32の最大接地幅Wb2が、タイヤ接地幅TWに対して0.30≦Wb2/TW≦0.60の範囲にあることが好ましく、0.40≦Wb2/TW≦0.50の範囲にあることがより好ましい。
陸部の接地幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与したときの陸部と平板との接触面におけるタイヤ軸方向の直線距離として測定される。
タイヤ接地幅TWは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与したときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の直線距離として測定される。
タイヤ接地端Tは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大幅位置として定義される。
また、図2に示すように、一対のショルダー陸部31とセンター陸部32とが、タイヤ周方向視にて相互にオーバーラップして配置される。したがって、周方向主溝2が、タイヤ周方向視にて、シースルーレス構造を有する。
また、ショルダー陸部31とセンター陸部32とのオーバーラップ量Dbが、タイヤ接地幅TWに対して0≦Db/TW≦0.10の関係を有する。
陸部31、32のオーバーラップ量Dbは、陸部31、32の最大接地幅Wb1、Wb2の測定点のタイヤ幅方向の距離として測定される。
[ショルダー陸部]
図3は、図2に記載したショルダー陸部31を示す拡大図である。
図3は、図2に記載したショルダー陸部31を示す拡大図である。
図2および図3に示すように、ショルダー陸部31は、複数のショルダーラグ溝311A、311Bと、これらのショルダーラグ溝311A、311Bに区画されて成る複数のショルダーブロック312A、312Bとを備える。
ショルダーラグ溝311A、311Bは、タイヤ幅方向に延在して、一方の端部にて周方向主溝2に開口し、他方向の端部にてタイヤ接地端Tに開口する。また、複数のショルダーラグ溝311A、311Bが、タイヤ周方向に所定間隔で配列される。また、ショルダーラグ溝311A、311Bは、13[mm]以上の溝幅W11(図3参照)および8.0[mm]以上の溝深さH11(後述する図6参照)を有する。また、ショルダーラグ溝311A、311Bの溝深さH11が、周方向主溝2の溝深さHm(図示省略)に対して0.80≦H11/Hm≦1.00の範囲にある。また、図2の構成では、相互に異なる形状をもつ第一および第二のラグ溝311A、311Bが、タイヤ周方向に交互に配列されている。また、ショルダーラグ溝311A、311Bの総数が周方向主溝2のジグザグ形状のピッチ数と同じであり、これらのショルダーラグ溝311A、311Bが周方向主溝2のタイヤ幅方向外側への最大振幅位置にそれぞれ開口している。
ショルダーブロック312A、312Bは、周方向主溝2のジグザグ形状に沿ってタイヤ赤道面CL側に突出する凸状のエッジ部を有する(図2参照)。また、複数のショルダーブロック312A、312Bが、タイヤ周方向に所定間隔で配列されて、単一のブロック列を形成する。また、図2の構成では、相互に異なる形状をもつ第一および第二のショルダーブロック312A、312Bが、タイヤ周方向に交互に配列されている。また、ショルダーブロック312A、312Bの総数が周方向主溝2のジグザグ形状のピッチ数と同じである。
また、図3において、ショルダーブロック312A;312Bの幅W12(W12A;W12B)が、ショルダーブロック312A;312Bの周方向長さL12に対して0.80≦W12/L12≦2.20の範囲にあり、好ましくは1.30≦W12/L12≦1.80の範囲にある。これにより、ショルダーブロック312A、312Bの剛性が適正に確保される。また、図3の構成では、長尺な第一ショルダーブロック312Aの幅W12Aが、タイヤ接地時におけるショルダー陸部31の接地幅Wb1に対応する。また、短尺な第二ショルダーブロック312Bの接地幅W12Bが、第一ショルダーブロック312Aの幅W12Aに対して0.70≦W12B/W12A≦1.00の範囲にある。
ショルダーブロック312A、312Bの周方向長さL12は、ブロックのタイヤ周方向への延在長さの最大距離であり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
ショルダーブロック312A、312Bの幅W12A、W12Bは、ブロックのタイヤ幅方向への延在長さの最大距離であり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
また、図3に示すように、ショルダーブロック312A、312Bのそれぞれが、ショルダー細溝313を備える。ショルダー細溝313は、一方の端部にてショルダーブロック312A、312Bの内部で終端すると共に他方の端部にてタイヤ接地端Tに開口する。また、ショルダー細溝313の溝幅W13が、ショルダーラグ溝311A、311Bの溝幅W11に対して0.05≦W13/W11≦0.50の範囲にあり、好ましくは0.15≦W13/W11≦0.40の範囲にある。また、ショルダー細溝313の溝幅W13が、0.8[mm]以上10[mm]以下の範囲にある。また、ショルダー細溝313のタイヤ幅方向への延在長さL13が、ショルダーブロック312A、312Bの幅W12(W12A、W12B)に対して0.40≦L13/W12≦0.80の範囲にあり、好ましくは0.50≦L13/W12≦0.70の範囲にある。図3の構成では、ショルダーブロック312A、312Bのそれぞれが、ショルダー細溝313に区画されて成るV字形状を有し、そのV字形状の頂部をタイヤ赤道面CL側に向けて配置されている。
なお、図3の構成では、ショルダーブロック312A、312Bのそれぞれが、複数のサイプ(図中の符号省略)と、スタッドレスピンを挿入するためのピン穴(図中の符号省略)とを、備えている。
[センター陸部]
図2に示すように、センター陸部32は、複数の傾斜主溝321と、複数の横溝あるいは補助溝(図中の符号省略)と、これらの溝に区画されて成る複数のセンターブロック322とを備える。
図2に示すように、センター陸部32は、複数の傾斜主溝321と、複数の横溝あるいは補助溝(図中の符号省略)と、これらの溝に区画されて成る複数のセンターブロック322とを備える。
傾斜主溝321は、図2に示すように、タイヤ周方向に対して傾斜しつつ延在してタイヤ赤道面CLに交差する。また、傾斜主溝321は、一方の端部にて周方向主溝2に開口すると共に、他方の端部にてセンター陸部32内で終端する。また、左右の傾斜主溝321、321が、タイヤ周方向に対して相互に同一方向に傾斜しつつ延在して、左右の周方向主溝2、2に開口する。また、傾斜主溝321が、5.0[mm]以上の溝幅および8.0[mm]以上の溝深さを有する。図2の構成では、傾斜主溝321が、周方向主溝2に対して同一の最大溝深さを有する。また、タイヤ赤道面CLにおける傾斜主溝321の傾斜角(図中の寸法記号省略)が、25[deg]以上70[deg]以下の範囲にある。
傾斜主溝321の傾斜角は、傾斜主溝321の溝中心線とタイヤ赤道面CLとのなす角として測定される。
センターブロック322は、周方向主溝2のジグザグ形状に沿ってタイヤ接地端T側に突出する凸状のエッジ部を有する。また、複数のセンターブロック322が、タイヤ周方向に所定間隔で配列される。また、図2の構成では、周方向主溝2のジグザグ形状のピッチ数と同数のセンターブロック322が、周方向主溝2に沿ってタイヤ周方向に配列される。また、センターブロック322のそれぞれが、複数のサイプ(図中の符号省略)備える。
[サイドブロック]
図4は、図1に記載したタイヤ1のショルダー部を示す拡大図である。図5は、図4に記載したタイヤ1のバットレス部を示す平面図である。図6は、図5に記載した記載したサイドブロック4を示す拡大図である。
図4は、図1に記載したタイヤ1のショルダー部を示す拡大図である。図5は、図4に記載したタイヤ1のバットレス部を示す平面図である。図6は、図5に記載した記載したサイドブロック4を示す拡大図である。
このタイヤ1は、図1および図4に示すように、サイドブロック4をバットレス部に備える。サイドブロック4は、タイヤのサイドプロファイルからタイヤ外面に突出した凸部であり、主として(1)タイヤサイド部を外傷から保護してタイヤの耐カット性を高める機能および(2)バットレス部の排泥性を向上してタイヤのマッド性能を高める機能を有する。
バットレス部は、トレッド部のプロファイルと、サイドウォール部のプロファイルとの接続部に形成された非接地領域として定義され、ショルダー陸部31のタイヤ幅方向外側の側壁面を構成する。
サイドプロファイルは、タイヤ子午線方向の断面視にてビード部からバットレス部に至るサイドウォールの外面を滑らかな円弧で近似した輪郭線であり、タイヤサイド部に形成された凹凸部(図4では、サイドブロック4およびモールドの割り位置Mなどの部分的な凸部)を除外して定義される。
タイヤのプロファイルは、タイヤ子午線方向の断面視におけるタイヤの輪郭線であり、レーザープロファイラを用いて計測される。レーザープロファイラとしては、例えば、タイヤプロファイル測定装置(株式会社マツオ製)が使用される。
例えば、図4の構成では、サイドブロック4が、バットレス部からモールドの割り位置Mを越えてタイヤ径方向内側に延在して、サイドプロファイルの最大幅位置Aよりもタイヤ径方向外側で終端している。また、サイドブロック4が、モールドの割り位置Mと同一の高さを有し、モールドの割り位置Mからタイヤ径方向内側の領域で一定の高さをもつ台形断面を有している。また、サイドブロック4の高さがモールドの割り位置Mからタイヤ径方向外側に向かって漸減することにより、サイドブロック4が滑らかにタイヤ接地端Tに接続している。
モールドの割り位置Mは、タイヤ成形金型の分割モールドの接続部に対応する位置として定義される。このモールドの割り位置Mには、タイヤ加硫成型時に噛み込んだ残留ゴムにより、2[mm]~3[mm]程度の幅を有するリブ状の突起が形成される。例えば、図4の構成では、分割モールドがタイヤ径方向に進退してトレッド部を形成する第一成形金型とタイヤ軸方向に進退してサイド部を形成する左右の第二成形金型とから成る(図示省略)ことにより、モールドの割り位置Mがタイヤのバットレス部に形成されている。しかし、これに限らず、タイヤ成形金型の分割モールドがタイヤ幅方向に二分割される構成(図示省略)では、モールドの割り位置Mがタイヤサイド部に形成されずに、トレッド面に形成される。この場合には、図4のモールドの割り位置Mが省略される。
また、サイドブロック4の高さHpが、3.0[mm]≦HP≦10[mm]の範囲にある。上記下限により、上記したサイドブロック4によるタイヤの耐カット性およびマッド性能の向上作用が確保される。上記上限により、サイドブロック4が過大となることに起因するタイヤ変形の自由度の低下が抑制されて、タイヤの接地特性が確保される。
サイドブロック4の最大高さHpは、サイドプロファイルからサイドブロック4の頂面までの突出高さの最大値として測定される。
また、図5に示すように、複数のサイドブロック4がタイヤ全周に渡って所定のピッチ長Pbで配列される。1つのサイドブロック4が、後述する短尺部41および長尺部42を一組として構成され、隣り合う一対のショルダーブロック312A、312B(図2および図3参照)に跨って形成される。このため、サイドブロック4のピッチ数が、ショルダーブロック312A、312Bの総数の半分である。
また、図5において、タイヤ接地端Tにおけるサイドブロック4の周方向長さLbが、サイドブロック4のピッチ長Pbに対して0.50≦Lb/Pb≦1.00の範囲にあり、好ましくは0.70≦Lb/Pb≦0.95の範囲にある。上記下限により、サイドブロック4の周方向長さLbが確保されて、サイドブロック4による耐カット性および排泥性の向上作用が確保される。また、上記上限により、サイドブロック4が過大となることに起因するタイヤ変形の自由度の低下が抑制されて、タイヤの接地特性が確保される。
サイドブロック4の周方向長さLbは、タイヤ接地端T上における1つのサイドブロック4のタイヤ周方向への延在長さであり、バットレス部の平面視にて測定される。図5の構成では、サイドブロック4が一対のショルダーブロック312A、312B(図3参照)に対してタイヤ接地端Tで接続するため、サイドブロック4の周方向長さLbがタイヤ接地端T(図2参照)におけるショルダーブロック312A、312Bのエッジ部を端点として測定される。また、例えば、サイドブロック4の径方向外側の端部がタイヤ接地端Tから離間した構成(図示省略)では、バットレス部の平面視にて、サイドブロック4の径方向外側の端部の延長線とタイヤ接地端Tとの交点が作図され、この交点を端点としてサイドブロック4の周方向長さLbが測定される。
サイドブロック4のピッチ長Pbも、タイヤ接地端T上にて測定される。
また、図5において、タイヤサイド部におけるサイドブロック4の径方向高さHbが、タイヤ断面高さSH(図1参照)に対して0.20≦Hb/SH≦0.50の範囲にあり、好ましくは0.30≦Hb/SH≦0.45の範囲にある。上記下限により、サイドブロック4の径方向高さHbが確保されて、サイドブロック4による耐カット性および排泥性の向上作用が確保される。また、上記上限により、サイドブロック4が過大となることに起因するタイヤ変形の自由度の低下が抑制されて、タイヤの接地特性が確保される。
サイドブロック4の径方向高さHbは、サイドブロック4のタイヤ径方向への延在長さの最大値であり、バットレス部の平面視にて測定される。図5の構成では、上記のように、サイドブロック4の径方向外側の端部がタイヤ接地端Tに接続し、また、サイドブロック4の径方向内側の端部がサイドプロファイルの最大幅位置Aよりもタイヤ径方向外側にある。
また、図5において、タイヤ接地端Tにおけるサイドブロック4の周方向長さLbが、タイヤサイド部におけるサイドブロック4の径方向高さHbに対して0.70≦Lb/Hb≦1.50の範囲にあり、好ましくは0.80≦Lb/Hb≦1.40の範囲にある。これにより、サイドブロックの縦横比が適正化されて、サイドブロック4によるタイヤの耐カット性およびマッド性能の向上作用が確保される。
また、図5において、隣り合うサイドブロック4、4の周方向距離Dpが、隣り合うサイドブロック4、4を区画するラグ溝(図5では、ショルダーラグ溝311Aの延長部)の溝幅WgAに対して0.10≦Dp/WgA≦1.00の範囲にあり、好ましくは0.30≦Dp/WgA≦0.80の範囲にある。上記下限により、サイドブロック4の周方向距離Dpが確保されて、サイドブロック4による耐カット性および排泥性の向上作用が確保される。また、上記上限により、サイドブロック4が過密となることに起因するタイヤ変形の自由度の低下が抑制されて、タイヤの接地特性が確保される。
サイドブロック4、4の周方向距離Dpは、隣り合うサイドブロック4、4のタイヤ周方向への最大突出位置を端点として測定される。
隣り合うサイドブロック4、4を区画するラグ溝の溝幅WgAは、サイドブロック4、4のタイヤ径方向外側の角部を端点として測定される。また、ラグ溝がタイヤ接地端T上に部分的な切欠部あるいは面取部を有する構成(図示省略)では、溝幅方向かつ溝深さ方向に平行な断面視におけるサイドブロックの頂面の延長線と溝壁の延長線との交点を測定点として、溝幅が測定される。なお、図5の構成では、サイドブロック4がタイヤ接地端Tまで延在するため、溝幅WgAが、タイヤ接地端Tにおけるショルダーラグ溝311Aの溝幅W11(図3参照)に等しい。
また、図5に示すように、1つのサイドブロック4が、全体としてY字形状の輪郭線を有する。具体的には、サイドブロック4が短尺部41および長尺部42(すなわち短尺な小ブロックおよび長尺な小ブロック)から成り、これらの小ブロックがY字形状に配列されて1つのサイドブロック4が構成される。また、サイドブロック4が、Y字形状の頂部をタイヤ径方向内側に向け、Y字形状の二股部をタイヤ径方向外側に向けて配置される。
サイドブロック4のY字形状は、後述する短尺部41および長尺部42を組み合わせたブロックの輪郭線により認識される。また、輪郭線は、タイヤサイド部の平面視にて、短尺部41および長尺部42に形成された部分的な切欠部、細溝、サイプ、凹凸部、表面加工などを除外して作図される。具体的に、図5の構成では、ショルダー細溝313(図3および図6参照)および後述するスリット43が、サイドブロック4のY字形状の輪郭線を構成しない。なお、サイドブロック4が、上記した部分的な切欠部、細溝、サイプ、凹凸部、表面加工などを有しても良い(図示省略)。
例えば、図5の構成では、短尺部41および長尺部42のそれぞれが、タイヤ接地端Tに接続し、モールドの割り位置Mを越えてタイヤ径方向内側に延在して、サイドプロファイルの最大幅位置Aに到達することなく終端している。また、ショルダーラグ溝311A、311B(図2参照)がバットレス部まで延在することにより、短尺部41および長尺部42がこれらのショルダーラグ溝311A、311Bの延長部により区画されている。具体的には、短尺部41が隣り合うショルダーラグ溝311A、311Bの延長部により区画され、また、長尺部42が隣り合うショルダーラグ溝311B、311Aの延長部により区画されている。
また、図5に示すように、長尺部42が、タイヤ接地端Tからタイヤ径方向内側に向かって、タイヤ周方向の一方向(図5では左側)に湾曲あるいは屈曲した形状を有する。また、短尺部41が、タイヤ接地端Tからタイヤ径方向内側に向かって、長尺部42と同一方向に湾曲あるいは屈曲した形状を有する。言い換えると、ショルダーラグ溝311A、311Bの延長部がタイヤ接地端Tからタイヤ径方向内側に向かってタイヤ周方向の一方向に湾曲あるいは屈曲することにより、短尺部41および長尺部42がタイヤ周方向の一方向に湾曲あるいは屈曲している。これにより、サイドブロック4のY字形状の頂部が、二股部に対してタイヤ周方向の一方向に偏在している。
上記の構成では、バットレス部の平面視にて、サイドブロック4が短尺部41および長尺部42から成るY字形状を有するので、サイドブロックが同一長さをもつ一対の小ブロックから成る構成(いわゆるV字形状:図示省略)と比較して、サイドブロック4のエッジ部の総長さが増加し、サイドブロック4の排泥作用が向上してタイヤのマッド性能が向上する。また、タイヤサイド部のタイヤ周方向への剛性が長尺部42により補強されて、タイヤの耐カット性能が向上する。
また、図6において、長尺部42の周方向長さL2が、サイドブロック4の周方向長さLb(図5参照)に対して0.80≦L2/Lb≦1.10の範囲にあり、好ましくは0.90≦L2/Lb≦1.00の範囲にある。上記下限により、サイドブロック4の排泥作用が確保され、また、長尺部42によるタイヤサイド部の剛性の補強作用が確保される。上記上限により、長尺部42が過大となることに起因するタイヤ変形の自由度の低下が抑制される。
例えば、図6の構成では、サイドブロック4の長尺部42が、上記のようにタイヤ接地端Tからタイヤ径方向内側に向かってタイヤ周方向の一方向に湾曲することにより、2つのショルダーブロック312A、312Bに対してタイヤ周方向に跨って延在している。また、長尺部42が短尺部41よりもタイヤ径方向内側まで延在する。このため、長尺部42の径方向高さH2が、サイドブロック4の径方向高さHbに等しい(H2=Hb)。これにより、長尺部42の延在長さが確保されている。
また、図6において、短尺部41の径方向高さH1が、長尺部42の径方向高さH2に対して0.50≦H1/H2≦0.95の範囲にあり、好ましくは0.70≦H1/H2≦0.90の範囲にある。上記下限により、サイドブロック4の排泥作用が確保される。上記上限により、短尺部41が過大となることに起因するタイヤ変形の自由度の低下が抑制される。
例えば、図6の構成では、サイドブロック4の短尺部41が、上記のようにタイヤ接地端Tからタイヤ径方向内側に向かって長尺部42と同一方向に湾曲することにより、タイヤ周方向の一方向(図6中の左側)に突出している。また、短尺部41が、長尺部42の湾曲形状の内径側に接続している。これにより、サイドブロック4が全体としてY字形状を有している。
また、図6に示すように、サイドブロック4が、短尺部41および長尺部42の接続部を区画するスリット43を有する。スリット43は、サイドブロック4の表面に形成された細溝、サイプあるいはカーフであり、サイドブロック4を貫通する。図6の構成では、短尺部41および長尺部42がショルダーラグ溝311Bの延在部により区画されて、サイドブロック4のY字形状の二股部が形成され、また、短尺部41と長尺部42との接続部が幅狭なスリット43により区画されている。また、スリット43が、ショルダーラグ溝311Bの延在部をさらに延長して、サイドブロック4の頂部を長尺部42の長手方向に貫通している。
上記の構成では、スリット43が短尺部41および長尺部42の接続部を区画してサイドブロック4を貫通するので、タイヤ転動時にて、サイドブロック4のY字形状の二股部(図6の構成では、ショルダーラグ溝311Bの延在部)に入り込んだ泥土の排出が促進される。これにより、タイヤのマッド性能が向上する。
また、図6において、スリット43の幅Wsが、短尺部41および長尺部42を区画するラグ溝(図6では、ショルダーラグ溝311Bの延在部)の溝幅WgBに対して0.01≦Ws/WgB≦0.60の範囲にあり、好ましくは0.04≦Ws/WgB≦0.40の範囲にある。また、スリット43の幅Wsが、0.4[mm]≦Ws≦7.0[mm]の範囲にあり、好ましくは2.0[mm]≦Ws≦5.0[mm]の範囲にある。上記下限により、スリット43の幅Wsが確保されて、スリット43による排泥性の向上作用が確保される。上記上限により、スリット43が幅広となることに起因するサイドブロック4の剛性の低下が抑制される。
スリット43の幅Wsは、サイドブロック4の頂面かつ短尺部41および長尺部42の接続部における開口幅として測定される。
短尺部41および長尺部42を区画するラグ溝の溝幅WgBは、短尺部41および長尺部42のタイヤ径方向外側の角部を端点として測定される。また、ラグ溝がタイヤ接地端T上に部分的な切欠部あるいは面取部を有する構成(図示省略)では、溝幅方向かつ溝深さ方向に平行な断面視におけるサイドブロックの頂面の延長線と溝壁の延長線との交点を測定点として、溝幅が測定される。なお、図5の構成では、短尺部41および長尺部42がタイヤ接地端Tまで延在するため、溝幅WgAが、タイヤ接地端Tにおけるショルダーラグ溝311Bの溝幅W11(図3参照)に等しい。
また、スリット43の深さHs(図示省略)が、スリット43の配置位置におけるサイドブロック4の高さHp(図3参照)に対して20[%]以上100[%]以下の範囲にある。上記下限により、スリット43の深さHsが確保されて、スリット43による排泥性の向上作用が確保される。上記上限により、スリット43が過剰に深くなることに起因するサイドブロック4の剛性の低下が抑制される。
また、図6において、スリット43のタイヤ周方向に対する傾斜角θsが、40[deg]≦θs≦90[deg]の範囲にあり、好ましくは60[deg]≦θs≦85[deg]の範囲にある。上記下限により、スリット43による排泥性の促進作用が確保され、上記上限によりサイドブロック4の剛性が確保される。
スリット43の傾斜角θsは、スリット43の両端を接続した仮想直線とタイヤ径方向に平行な仮想直線とのなす角度として測定される。また、図6に示すように、スリット43の傾斜角θsが、タイヤ径方向外側に向かって、サイドブロック4の長尺部42の傾斜方向に対して同一方向を正として定義される。
また、図6において、スリット43の周方向長さLsが、サイドブロック4の周方向長さLb(図5参照)に対して0.10≦Ls/Lb≦0.60の範囲にあり、好ましくは0.20≦Ls/Lb≦0.40の範囲にある。上記下限により、スリット43による排泥性の促進作用が確保され、上記上限によりサイドブロック4の剛性が確保される。
[効果]
以上説明したように、[1]このタイヤ1は、タイヤ周方向に所定間隔で配列された複数のサイドブロック4をバットレス部に備える(図4および図5参照)。また、サイドブロック4が、Y字形状に配列された短尺部41および長尺部42と、短尺部41および長尺部42の接続部を区画するスリット43とを有すると共に、Y字形状の頂部をタイヤ径方向内側に向けて配置される(図5および図6参照)。
以上説明したように、[1]このタイヤ1は、タイヤ周方向に所定間隔で配列された複数のサイドブロック4をバットレス部に備える(図4および図5参照)。また、サイドブロック4が、Y字形状に配列された短尺部41および長尺部42と、短尺部41および長尺部42の接続部を区画するスリット43とを有すると共に、Y字形状の頂部をタイヤ径方向内側に向けて配置される(図5および図6参照)。
かかる構成では、(1)バットレス部の平面視にて、サイドブロック4が短尺部41および長尺部42から成るY字形状を有するので、サイドブロックが同一長さの一対の小ブロックから成る構成(いわゆるV字形状:図示省略)と比較して、サイドブロック4のエッジ部の総長さが増加し、サイドブロック4の排泥作用が向上してタイヤのマッド性能が向上する。また、サイドブロック4のタイヤ周方向への剛性が長尺部42により補強されて、タイヤの耐カット性能が向上する。また、(2)スリット43が短尺部41および長尺部42の接続部を区画してサイドブロック4を貫通するので、タイヤ転動時にて、サイドブロック4のY字形状の二股部(図6の構成では、ショルダーラグ溝311Bの延在部)に入り込んだ泥土の排出が促進されて、タイヤのマッド性能が向上する。これらにより、タイヤのマッド性能および耐カット性能が両立する利点がある。
また、[2]このタイヤ1では、上記[1]のタイヤ1において、タイヤ接地端Tにおけるサイドブロック4の周方向長さLbが、サイドブロック4のピッチ長Pbに対して0.50≦Lb/Pb≦1.00の範囲にある(図5参照)。上記下限により、サイドブロック4の周方向長さLbが確保されて、サイドブロック4による耐カット性および排泥性の向上作用が確保される利点がある。また、上記上限により、サイドブロック4が過大となることに起因するタイヤ変形の自由度の低下が抑制されて、タイヤの接地特性が確保される利点がある。
また、[3]このタイヤ1では、上記[1]または[2]のタイヤ1において、サイドブロック4の径方向高さHbが、タイヤ断面高さSHに対して0.20≦Hb/SH≦0.50の範囲にある(図5参照)。上記下限により、サイドブロック4の径方向高さHbが確保されて、サイドブロック4による耐カット性および排泥性の向上作用が確保される利点がある。また、上記上限により、サイドブロック4が過大となることに起因するタイヤ変形の自由度の低下が抑制されて、タイヤの接地特性が確保される利点がある。
また、[4]このタイヤ1では、上記[1]~[3]のいずれか一つのタイヤ1において、タイヤ接地端Tにおけるサイドブロック4の周方向長さLbが、サイドブロック4の径方向高さHbに対して0.70≦Lb/Hb≦1.50の範囲にある(図5参照)。これにより、サイドブロックの縦横比が適正化されて、サイドブロック4によるタイヤの耐カット性およびマッド性能の向上作用が確保される利点がある。
また、[5]このタイヤ1では、上記[1]~[4]のいずれか一つのタイヤ1において、隣り合うサイドブロック4、4の周方向距離Dpが、隣り合うサイドブロック4、4を区画するラグ溝(図5では、ショルダーラグ溝311Aの延長部)の溝幅WgAに対して0.10≦Dp/WgA≦1.00の範囲にある(図5参照)。上記下限により、サイドブロック4の周方向距離Dpが確保されて、サイドブロック4による耐カット性および排泥性の向上作用が確保される利点がある。また、上記上限により、サイドブロック4が過密となることに起因するタイヤ変形の自由度の低下が抑制されて、タイヤの接地特性が確保される利点がある。
また、[6]このタイヤ1では、上記[1]~[5]のいずれか一つのタイヤ1において、長尺部42の周方向長さL2(図6参照)が、サイドブロック4の周方向長さLb(図5参照)に対して0.80≦L2/Lb≦1.10の範囲にある。上記下限により、サイドブロック4の排泥作用が確保され、また、長尺部42によるタイヤサイド部の剛性の補強作用が確保される利点がある。上記上限により、長尺部42が過大となることに起因するタイヤ変形の自由度の低下が抑制される利点がある。
また、[7]このタイヤ1では、上記[1]~[6]のいずれか一つのタイヤ1において、短尺部41の径方向高さH1が、長尺部42の径方向高さH2に対して0.50≦H1/H2≦0.95の範囲にある(図6参照)。上記下限により、サイドブロック4の排泥作用が確保される利点がある。上記上限により、短尺部41が過大となることに起因するタイヤ変形の自由度の低下が抑制される利点がある。
また、[8]このタイヤ1では、上記[1]~[7]のいずれか一つのタイヤ1において、短尺部41および長尺部42が、タイヤ接地端Tに接続する(図6参照)。かかる構成では、短尺部41および長尺部42がタイヤ接地端Tから離間する構成(図示省略)と比較して、サイドブロック4の排泥作用および剛性の補強作用が高まる利点がある。
また、[9]このタイヤ1では、上記[1]~[8]のいずれか一つのタイヤ1において、長尺部42が、タイヤ接地端Tからタイヤ径方向内側に向かって、タイヤ周方向の一方向に湾曲あるいは屈曲した形状を有する(図6参照)。これにより、長尺部42の延在長さが確保される利点がある。
また、[10]このタイヤ1では、上記[1]~[9]のいずれか一つのタイヤ1において、スリット43の幅Wsが、短尺部41および長尺部42を区画するラグ溝の溝幅WgBに対して0.01≦Ws/WgB≦0.60の範囲にある(図6参照)。上記下限により、スリット43の幅Wsが確保されて、スリット43による排泥性の向上作用が確保される利点がある。上記上限により、スリット43が幅広となることに起因するサイドブロック4の剛性の低下が抑制される利点がある。
また、[11]このタイヤ1では、上記[1]~[10]のいずれか一つのタイヤ1において、スリットのタイヤ周方向に対する傾斜角θsが、40[deg]≦θs≦90[deg]の範囲にある(図6参照)。上記下限により、スリット43による排泥性の促進作用が確保され、上記上限によりサイドブロック4の剛性が確保される利点がある。
また、[12]このタイヤ1では、上記[1]~[11]のいずれか一つのタイヤ1において、スリット43の周方向長さLs(図6参照)が、サイドブロック4の周方向長さLb(図5参照)に対して0.10≦Ls/Lb≦0.60の範囲にある。上記下限により、スリット43による排泥性の促進作用が確保され、上記上限によりサイドブロック4の剛性が確保される利点がある。
[適用対象]
この実施の形態では、上記のように、タイヤの一例として空気入りタイヤについて説明した。しかし、これに限らず、この実施の形態に記載された構成は、他のタイヤに対しても、当業者自明の範囲内にて任意に適用できる。他のタイヤとしては、例えば、エアレスタイヤ、ソリッドタイヤなどが挙げられる。
この実施の形態では、上記のように、タイヤの一例として空気入りタイヤについて説明した。しかし、これに限らず、この実施の形態に記載された構成は、他のタイヤに対しても、当業者自明の範囲内にて任意に適用できる。他のタイヤとしては、例えば、エアレスタイヤ、ソリッドタイヤなどが挙げられる。
図7~図9は、この発明の実施の形態にかかるタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、複数種類の試験タイヤについて、(1)マッド性能および(2)耐カット性能に関する評価が行われた。また、タイヤサイズLT265/70R17 121Qの試験タイヤがリムサイズ17×8Jのリムに組み付けられ、この試験タイヤに450[kPa]の内圧およびJATMAの規定荷重が付与される。また、試験タイヤが、試験車両であるLTピックアップ車の総輪に装着される。
(1)マッド性能に関する評価では、試験車両が所定の泥濘路を走行し、テストドライバーがトラクション性に関する官能評価を行う。この評価は従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
(2)耐カット性能に関する評価では、試験車両が所定のオフロード耐久路を8000[km]走行し、その後にタイヤのバットレス部に生じた外傷が観察される。そして、この結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この指数評価は、数値が大きいほど好ましい。
実施例の試験タイヤは、図1、図4および図5の構成を備え、1つのサイドブロック4が短尺部41および長尺部42から成るY字形状を有し、また、短尺部41および長尺部42の接続部にスリット43を有する。また、タイヤ断面高さSHが183[mm]であり、ショルダーラグ溝311A、311Bの溝幅W11が17.4[mm]であり、溝深さH11が14.6[mm]である。また、サイドブロック4のピッチ長Pbが105[mm]であり、サイドブロック4の径方向高さHbが65[mm]である。また、サイドブロック4の最大高さHpが5.0[mm]である。
比較例の試験タイヤは、実施例1の試験タイヤにおいて、1つのサイドブロックが矩形状の単一ブロックから成り、また、スリットを有していない。
試験結果が示すように、実施例の試験タイヤでは、タイヤのマッド性能および耐カット性能が両立することが分かる。
1 タイヤ;11 ビードコア;12 ビードフィラー;13 カーカス層;14 ベルト層;141、142 交差ベルト;143、144 ベルトカバー;15 トレッドゴム;16 サイドウォールゴム;17 リムクッションゴム;31 ショルダー陸部;311A、311B ショルダーラグ溝;312A、312B ショルダーブロック;313 ショルダー細溝;32 センター陸部;321 傾斜主溝;322 センターブロック;4 サイドブロック;41 短尺部;42 長尺部;43 スリット
Claims (12)
- タイヤ周方向に所定間隔で配列された複数のサイドブロックをバットレス部に備えるタイヤであって、
前記サイドブロックが、Y字形状に配列された短尺部および長尺部と、前記短尺部および前記長尺部の接続部を区画するスリットとを有すると共に、前記Y字形状の頂部をタイヤ径方向内側に向けて配置されることを特徴とするタイヤ。 - タイヤ接地端における前記サイドブロックの周方向長さLbが、前記サイドブロックのピッチ長Pbに対して0.50≦Lb/Pb≦1.00の範囲にある請求項1に記載のタイヤ。
- 前記サイドブロックの径方向高さHbが、タイヤ断面高さSHに対して0.20≦Hb/SH≦0.50の範囲にある請求項1に記載のタイヤ。
- タイヤ接地端における前記サイドブロックの周方向長さLbが、前記サイドブロックの径方向高さHbに対して0.70≦Lb/Hb≦1.50の範囲にある請求項1に記載のタイヤ。
- 隣り合う前記サイドブロックの周方向距離Dpが、前記隣り合うサイドブロックを区画するラグ溝の溝幅WgAに対して0.10≦Dp/WgA≦1.00の範囲にある請求項1に記載のタイヤ。
- 前記長尺部の周方向長さL2が、前記サイドブロックの周方向長さLbに対して0.80≦L2/Lb≦1.10の範囲にある請求項1に記載のタイヤ。
- 前記短尺部の径方向高さH1が、前記長尺部の径方向高さH2に対して0.50≦H1/H2≦0.95の範囲にある請求項1に記載のタイヤ。
- 前記短尺部および前記長尺部が、タイヤ接地端に接続する請求項1に記載のタイヤ。
- 前記長尺部が、タイヤ接地端からタイヤ径方向内側に向かって、タイヤ周方向の一方向に湾曲あるいは屈曲した形状を有する請求項1に記載のタイヤ。
- 前記スリットの幅Wsが、前記短尺部および前記長尺部を区画するラグ溝の溝幅WgBに対して0.01≦Ws/WgB≦0.60の範囲にある請求項1に記載のタイヤ。
- 前記スリットのタイヤ周方向に対する傾斜角θsが、40[deg]≦θs≦90[deg]の範囲にある請求項1に記載のタイヤ。
- 前記スリットの周方向長さLsが、前記サイドブロックの周方向長さLbに対して0.10≦Ls/Lb≦0.60の範囲にある請求項1に記載のタイヤ。
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