JP2023010220A - 給電システム、及び給電方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】給電マットの部位ごとの劣化度合いの均一化を図る。【解決手段】給電システムが、給電マットを用いて、移動体に対してワイヤレス給電を行なうように構成される。給電マットは、複数の送電コイルを含む。こうした給電システムが、診断装置と、誘導装置とを備える。診断装置は、給電マットの劣化度合いが大きい部位である劣化部位を特定するように構成される。誘導装置は、劣化部位を避けるように移動体を誘導するように構成される。【選択図】図6
Description
本開示は、給電システム及び給電方法に関する。
たとえば特開2018-157686号公報(特許文献1)には、複数の給電ユニットが走行車線に沿って設けられた給電レーンを車両が走行する際に、車体前方の道路上に異物の存在を検知した場合に、異物の存在を検知した地点の前後の所定範囲に存在する給電ユニットからの給電を停止又は抑制させることが開示されている。
上記特許文献1に記載される給電ユニットは道路に埋設される。そして、複数の給電ユニットの各々は1つの送電コイルを備える。これに対し、本願発明者は、複数の送電コイルを含む給電マットを提案する。1つの給電マットに含まれる複数の送電コイルは、別々の移動体に個別に給電可能に構成される。
ユーザ(移動体)は、給電マットに含まれる複数の送電コイルの中から1つの送電コイルを選んで、選んだ送電コイルから給電を受けることができる。しかし、給電マットのいずれの送電コイルを使用するかをユーザ(移動体)に自由に選ばせると、特定の送電コイルに使用が集中して、給電マットの特定の部位だけが急速に劣化する可能性がある。給電マットの特定の部位だけが他の部位と比べて大きく劣化すると、給電マットの利便性が低下したり給電マットの寿命が短くなったりする可能性がある。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、給電マットの部位ごとの劣化度合いの均一化を図ることである。
本開示の第1の観点に係る給電システムは、複数の送電コイルを含む給電マットを用いて、移動体に対してワイヤレス給電を行なうように構成される。こうした給電システムが診断装置と誘導装置とを備える。診断装置は、給電マットの劣化度合いが大きい部位である劣化部位を特定するように構成される。誘導装置は、劣化部位を避けるように移動体を誘導するように構成される。
給電マットの上記劣化部位は、給電マットの他の部位と比べて劣化度合いが大きい。上記給電システムでは、誘導装置が、劣化部位を避けるように移動体を誘導するため、給電マットの劣化部位が使用されにくくなる。すなわち、給電マットの劣化部位の劣化が進行しにくくなる。これにより、給電マットの部位ごとの劣化度合いの均一化が図られる。
移動体の例としては、無人の移動体(無人搬送車(AGV)、ドローン等)、乗り物(自動車、飛行機等)が挙げられる。
給電マットの表面は複数の部位に区分けされてもよい。そして、区分けされた部位ごとに発光装置が設けられてもよい。診断装置は、上記複数の部位の中から劣化部位に該当する部位を特定するように構成されてもよい。誘導装置は、劣化部位を避ける方向へ移動体を誘導するように発光装置を制御するように構成されてもよい。
上記構成によれば、光により移動体を的確に誘導することが可能になる。たとえば、移動体のドライバーが、発光装置から発せられる光を見て、劣化部位を避けるように移動体を移動させてもよい。あるいは、自動運転中の移動体が、発光装置から発せられる光を感知して劣化部位を避けるように移動してもよい。
給電マットの表面は複数の走行レーンに区分けされてもよい。診断装置は、複数の走行レーンの中から劣化部位に該当する走行レーンを特定するように構成されてもよい。給電システムは、劣化部位に該当する走行レーンを避けるように移動体を誘導する表示装置をさらに備えもよい。
上記構成によれば、表示により移動体を的確に誘導することが可能になる。たとえば、移動体のドライバーが、表示装置による誘導(表示)を見て、劣化部位を避けるように移動体を移動させてもよい。あるいは、自動運転中の移動体が、表示装置による誘導(表示)に従って、劣化部位を避けるように移動してもよい。
誘導装置は、移動体との通信により、劣化部位を避けるように移動体を誘導するように構成されてもよい。こうした構成によれば、通信により移動体を的確に誘導することが可能になる。
移動体は、無人で走行可能に構成される自動運転車両であってもよい。上記通信による誘導方法によれば、こうした自動運転車両を確実に誘導しやすくなる。
診断装置は、給電マットの部位ごとの使用履歴を用いて劣化部位を特定するように構成されてもよい。こうした構成によれば、給電マットのいずれの部位が他の部位と比べて劣化度合いが大きいかを簡易かつ的確に判別することができる。
使用履歴の例としては、対象部位に含まれる送電コイルの通電回数、対象部位に含まれる送電コイルの累積通電時間、対象部位に含まれる送電コイルの累積給電電力量、移動体が対象部位の上を通過した回数が挙げられる。
診断装置は、給電マットの部位ごとの温度を用いて劣化部位を特定するように構成されてもよい。
給電マットの劣化部位は給電時に発熱しやすくなる。上記構成によれば、給電マットのいずれの部位が他の部位と比べて劣化度合いが大きいかを簡易かつ的確に判別することができる。
上述したいずれかの給電システムにおいて、給電マットは、複数の送電コイルを用いて、給電マット上を走行中の移動体に対して給電を行なうように構成されてもよい。こうした構成によれば、移動体は走行しながら給電マットから給電を受けることができる。
給電マットは、筒状に巻回可能な程度の柔軟性を有してもよい。こうした給電マットは、巻いて筒状にできるため、持ち運びが容易である。
給電マットは、複数の板材が組み合わさって形成されてもよい。給電マットは、複数の板材に分解可能に構成されてもよい。複数の板材の各々は、1つ以上の送電コイルを含んでもよい。
上記給電マットは、複数の板材に分解可能に構成されるため、持ち運びが容易である。
給電マットは、屋内に設置可能に構成されてもよい。こうした給電マットは、屋内で使用される小型の移動体(たとえば、AGV又はロボット)の充電に適している。
給電マットは、屋内に設置可能に構成されてもよい。こうした給電マットは、屋内で使用される小型の移動体(たとえば、AGV又はロボット)の充電に適している。
本開示の第2の観点に係る給電方法は、複数の送電コイルを含む給電マットを用いて、移動体に対してワイヤレス給電を行なう給電方法であって、給電マットの劣化度合いが大きい部位である劣化部位を特定することと、劣化部位を避けるように移動体を誘導することとを含む。
上記給電方法によっても、前述した給電システムと同様、給電マットの部位ごとの劣化度合いの均一化が図られる。
本開示によれば、給電マットの部位ごとの劣化度合いの均一化を図ることが可能になる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
図1は、この実施の形態に係る給電マットを示す図である。図1を参照して、給電マット100は、シート基材110と、シート基材110の内部に設けられた複数の送電コイル120とを含む。給電マット100は持ち運び可能に構成される。給電マット100の重さは、たとえば1人又は数人で持ち運び可能な程度に軽い。また、後述する給電マット100の電源設備(図3参照)は給電マット100に対して着脱可能に構成される。給電マット100は、筒状に巻回可能な程度の柔軟性を有する。図1には、部分的に筒状に巻回された状態の給電マット100を示している。ただし、給電マット100は、全体を筒状に巻回することもできる。給電マット100を巻いて筒状にすることで、給電マット100を持ち運びやすくなる。給電マット100は、筒状に巻回された状態で保管されてもよい。給電マット100は、シート状に広げることもできる。給電マット100は広げられた状態で使用される(後述する図2参照)。給電マット100は、敷物として扱うことができる。給電マット100は、屋内の床の上に設置可能に構成される。給電マット100は屋内の通路(たとえば、通路の交差点)に設置されてもよい。給電マット100は、床の上に設置された後に、取外し可能な留め具(たとえば、押さえ金具又はグリッパー)で固定されてもよい。
図1は、この実施の形態に係る給電マットを示す図である。図1を参照して、給電マット100は、シート基材110と、シート基材110の内部に設けられた複数の送電コイル120とを含む。給電マット100は持ち運び可能に構成される。給電マット100の重さは、たとえば1人又は数人で持ち運び可能な程度に軽い。また、後述する給電マット100の電源設備(図3参照)は給電マット100に対して着脱可能に構成される。給電マット100は、筒状に巻回可能な程度の柔軟性を有する。図1には、部分的に筒状に巻回された状態の給電マット100を示している。ただし、給電マット100は、全体を筒状に巻回することもできる。給電マット100を巻いて筒状にすることで、給電マット100を持ち運びやすくなる。給電マット100は、筒状に巻回された状態で保管されてもよい。給電マット100は、シート状に広げることもできる。給電マット100は広げられた状態で使用される(後述する図2参照)。給電マット100は、敷物として扱うことができる。給電マット100は、屋内の床の上に設置可能に構成される。給電マット100は屋内の通路(たとえば、通路の交差点)に設置されてもよい。給電マット100は、床の上に設置された後に、取外し可能な留め具(たとえば、押さえ金具又はグリッパー)で固定されてもよい。
この実施の形態では、広げられた状態の給電マット100が矩形状の外形(平面形状)を有する。ただし、給電マット100の外形は矩形状に限られず適宜変更可能である。給電マット100の外形は、四角形以外の多角形(三角形、五角形、六角形等)でもよいし、円形でもよい。この実施の形態では、給電マット100に含まれる複数の送電コイル120がシート基材110に内蔵されている。しかしこれに限られず、送電コイル120は給電マット100の表面に露出するように設けられてもよい。シート基材110は、たとえば樹脂で形成される。ただし、シート基材110の材質は適宜変更可能である。送電コイル120は、たとえば金属で形成される。ただし、送電コイル120の材質は適宜変更可能である。たとえば、送電コイル120は導電性樹脂で形成されてもよい。
この実施の形態では、マット面(給電マット100の主面)において、複数の送電コイル120が縦と横とに規則的に配列されている。送電コイル120は、たとえば格子状に配置されている。ただしこれに限られず、送電コイル120の配置は適宜変更可能である。送電コイル120は不規則に配置されてもよい。図1に示す例では、送電コイル120が平面視で正六角形に形成されているが、送電コイル120の形状は適宜変更可能である。送電コイル120の平面形状は、六角形以外の多角形(たとえば、四角形)であってもよいし、円形であってもよい。送電コイル120の大きさも、給電マット100の用途(たとえば、給電マット100を使用する移動体の構造)に合わせて適宜変更してもよい。
図2は、給電マット100の使用中の状態の一例を示す図である。図2に示す例では、給電マット100上に移動体201~207が載っている。給電マット100に含まれる複数の送電コイル120は、別々の移動体に個別に給電可能に構成される。給電マット100に含まれるいずれかの送電コイル120と移動体201~207のいずれかとの位置合わせが完了すると、位置合わせされた送電コイル120から上記移動体(移動体201~207のいずれか)へのワイヤレス給電が可能になる。移動体201~207の各々は、給電マット100に含まれる複数の送電コイル120の中から1つの送電コイル120を選んで、選んだ送電コイル120から給電を受けることができる。ワイヤレス電力伝送(WPT)の方式は任意であり、磁界共鳴方式でもよいし、電磁誘導方式でもよい。また、他の方式が採用されてもよい。
移動体201~207の各々は、屋内を走行可能に構成される小型のBEV(電気自動車)である。移動体201~205の各々は無人搬送車(AGV)である。移動体206及び207の各々は1人乗り電気自動車である。
移動体201~205は、同じタイプのAGVである。移動体201~205の各々は、荷物の搬送に使用される。図2に示す例では、移動体201~203の各々が単独で荷物を運んでいる。一方、移動体204及び205は、1台では運べない大きな荷物を協働で運んでいる。移動体201~205の各々は、屋内での搬送に適している。以下では、区別して説明する場合を除いて、移動体201~205の各々を「AGV200」と称する。
移動体206及び207の各々は、人が乗って手動で運転することも無人で自動運転で走行することも可能に構成される。移動体206はハンドルバーを備える。移動体207はハンドルバー及び座席を備える。移動体206及び207の各々は、屋内を移動する乗り物として適している。
図3は、給電マット100から給電を受ける移動体の構成と、給電マット100の電源設備の構成とについて説明するための図である。以下では、移動体の一例として、AGV200の構成について説明する。
図2とともに図3を参照して、この実施の形態に係る給電システムは、給電マット100と、電源モジュール300と、カメラ350とを含む。電源モジュール300は、給電マット100の電源設備に相当する。電源モジュール300はケーブルを介して給電マット100と電気的に接続される。電源モジュール300は電源回路310を備える。電源回路310は、電力系統PGから電力の供給を受け、給電マット100に含まれる複数の送電コイル120の各々に電力を供給するように構成される。電力系統PGは、図示しない発電所及び送配電設備によって構築される電力網である。電力系統PGは、交流電力(たとえば、三相交流電力)を電源モジュール300へ供給する。電源回路310は、電力変換回路を含む。電源回路310は、電力系統PGから供給される電力を、給電マット100に適した電力に変換して、変換後の電力を給電マット100へ供給する。
カメラ350は、電源モジュール300から電力の供給を受け、給電マット100の上方から給電マット100の周辺を撮像するように構成される。電源モジュール300は、給電マット100のための電源回路310に加えて、カメラ350のための電源回路(図示せず)も含む。カメラ350は、壁に取り付けられてもよい。あるいは、カメラ350を支持する支柱が設けられてもよい。この実施の形態では、カメラ350が可視光撮像素子と赤外光撮像素子とを含む。ただしこれに限られず、カメラ350は、可視光及び赤外光を同時に撮影可能な1つの撮像素子を含んでもよい。この実施の形態に係るカメラ350は、赤外線サーモグラフィカメラとして機能する。各撮像素子は、給電マット100の全面を撮像する。カメラ350は、上記の撮像素子に加えて、各撮像素子で取得した映像を解析するためのプロセッサ及び画像処理回路を内蔵する。カメラ350は、各撮像素子で取得した映像に基づいて、給電マット100の状態及び周辺環境を示す情報を取得する。たとえば、カメラ350は、給電マット100の各部位から発せられる赤外線放射エネルギーに基づいてマット面の温度分布を取得する。また、カメラ350は、給電マット100上に存在する対象(生体又は物体)を識別する。カメラ350によって給電マット100の状態及び周辺環境が監視される。
給電マット100は、シート基材110(図1)の内部に、電力制御回路130と、無線通信機140と、電力制御回路130を制御するマットコントローラ150とをさらに備える。マットコントローラ150としては、プロセッサ、RAM(Random Access Memory)、記憶装置、及び通信I/F(インターフェース)を備えるコンピュータを採用できる。この実施の形態では、マットコントローラ150において記憶装置に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することで、給電マット100における各種制御が実行される。ただし、給電マット100における各種制御は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
電力制御回路130は接続切替回路を含む。この接続切替回路は、電源回路310から電力の供給を受け、給電マット100に含まれる各送電コイル120と電源回路310との接続/遮断を切り替えるように構成される。電力制御回路130の接続切替回路は、送電コイル120ごとに設けられたスイッチを含んでもよい。この実施の形態では、接続切替回路がノーマリオフ型のスイッチ回路である。マットコントローラ150が停止状態(スリープ状態を含む)になっているときには、給電マット100に含まれる各送電コイル120と電源回路310とは遮断状態になる。
電力制御回路130は電力変換回路をさらに含む。この電力変換回路は、電源回路310と電気的に接続された各送電コイル120に対して、ワイヤレス給電に適した電圧を印加するように構成される。具体的には、電力制御回路130の電力変換回路は、共振回路(たとえば、LC共振回路)、フィルタ回路、インバータ、及びPFC(Power Factor Correction)回路を含んでもよい。詳細は後述するが、マットコントローラ150は、電力制御回路130を制御することにより、給電マット100に含まれる任意の送電コイル120から微弱電力(位置確認用の電力)を送電することもできる。
電力制御回路130は、給電マット100の各種装置(無線通信機140及びマットコントローラ150を含む)に電力を供給するように構成される。たとえば、以下に説明する表示装置及びセンサモジュール122の各々も、電力制御回路130から電力の供給を受ける。電力制御回路130からマットコントローラ150を介して表示装置及びセンサモジュール122の各々に電力が供給されてもよい。
給電マット100は、移動体を誘導する表示装置を備える。表示装置は、複数の発光体121と、各発光体121を駆動する駆動回路(図示せず)とを含む。発光体121は送電コイル120ごとに設けられている。駆動回路は、電力制御回路130から電力の供給を受け、マットコントローラ150からの指示に従って各発光体121を駆動する。発光体121としては任意の発光体(発光装置)を採用可能であるが、この実施の形態では、発光体121として発光ダイオードを採用する。各発光体121は、たとえば給電マット100の表面に設けられている。
複数のセンサモジュール122が、複数の送電コイル120に対応して設けられている。センサモジュール122は、送電コイル120の状態を検出する各種センサを含む。センサモジュール122は、送電コイル120に加わった圧力を検出する圧力センサと、送電コイル120周辺の温度を検出する温度センサと、送電コイル120に流れる電流を検出する電流センサと、送電コイル120に印加される電圧を検出する電圧センサとを含む。センサモジュール122に含まれる各センサの検出結果は、マットコントローラ150へ出力される。上記構成を有するセンサモジュール122が送電コイル120ごとに設けられている。各センサモジュール122は、たとえばシート基材110(図1)に内蔵される。
図示は割愛しているが、給電マット100に含まれる送電コイル120ごとに磁気マーカが設けられている。磁気マーカは、対応する送電コイル120の位置を示す。移動体は、磁気マーカが発する磁気を磁気センサで検出することにより、その磁気マーカに対応する送電コイル120の位置を検出できる。
給電マット100と電源モジュール300とをつなぐケーブルの内部には電力線だけでなく通信線も設けられている。この実施の形態では、給電マット100と電源モジュール300とが通信可能に構成される。マットコントローラ150は、電源モジュール300内の電源回路310を制御するように構成される。また、カメラ350は電源モジュール300を介して給電マット100と通信可能に接続されている。カメラ350が取得した情報は電源モジュール300を経由してマットコントローラ150に入力される。
AGV200は、バッテリ210と、送電コイル120から非接触で電力を受ける受電コイル220と、受電コイル220で受けた電力を用いてバッテリ210の充電を行なう充電回路230と、無線通信機240と、充電回路230を制御するECU(Electronic Control Unit)250とを備える。
バッテリ210としては、公知の車両用蓄電装置(たとえば、液式二次電池、全固体二次電池、又は組電池)を採用できる。車両用二次電池の例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が挙げられる。二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタのような他の蓄電装置を採用してもよい。充電回路230は、バッテリ210の車載充電器として機能する。ECU250としては、プロセッサ、RAM、記憶装置、及び通信I/Fを備えるコンピュータを採用できる。この実施の形態では、ECU250において記憶装置に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することで、AGV200における各種制御が実行される。ただし、AGV200における各種制御は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
AGV200は、バッテリ210に蓄えられた電力を用いて無人で走行可能に構成される自動運転車両である。図示は割愛しているが、AGV200は、電動モータと、BMS(Battery Management System)と、自動運転センサと、地図情報を有するナビゲーションシステムとをさらに備える。AGV200は、バッテリ210から電動モータに電力を供給して、電動モータによって生成される動力によって走行する。また、BMSは、バッテリ210の状態(たとえば、電流、電圧、及び温度)を検出する各種センサを含み、その検出結果がECU250に入力される。たとえば、バッテリ210の充電電力(充電電流及び充電電圧)がBMSによって検出される。また、BMSによってバッテリ210のSOC(State Of Charge)が推定され、その推定結果がECU250に入力される。
自動運転センサは、自動運転に使用されるセンサである。ただし、自動運転センサは、自動運転が実行されていないときに所定の制御で使用されてもよい。自動運転センサは、AGV200の外部環境を認識するための情報を取得するセンサと、AGV200の位置及び姿勢に関する情報を取得するセンサとを含む。自動運転センサは、たとえば、カメラ、ミリ波レーダ、及びライダーの少なくとも1つを含んでもよい。自動運転センサは、たとえば、IMU(Inertial Measurement Unit)及びGPS(Global Positioning System)センサの少なくとも一方を含んでもよい。
AGV200は、所定の走行スケジュールに従って無人で自律走行可能に構成される。走行スケジュールは、たとえば目的地への出発時刻及び到達時刻を含む。走行スケジュールの設定方法は任意である。たとえば、AGV200と無線通信可能なユーザ端末(たとえば、モバイル端末)をユーザが操作して、ECU250に走行スケジュール及び目的地を設定してもよい。あるいは、AGV200と有線通信可能に接続されたサービスツール、又はAGV200が備えるHMI(Human Machine Interface)をユーザが操作して、ECU250に走行スケジュール及び目的地を設定してもよい。
ECU250は、所定の自動運転プログラムに従い、自動運転(自動駐車を含む)を実行するように構成される。ECU250は、自動運転センサによって取得される各種情報を用いて、AGV200のアクセル装置、ブレーキ装置、及び操舵装置(いずれも図示せず)を制御することにより、AGV200の自動運転を実行する。自動運転プログラムは、OTA(Over The Air)によって逐次更新されてもよい。
充電回路230は、バッテリ210と受電コイル220との間に位置し、ECU250によって制御される。充電回路230は、電力変換回路を含む。送電コイル120から受電コイル220に供給される電力によってバッテリ210の充電が行なわれる場合には、受電コイル220からバッテリ210に適切な電力が入力されるようにECU250が充電回路230を制御する。充電回路230は、受電コイル220から入力される交流電力を直流電力に変換してバッテリ210へ直流電力を出力する。具体的には、充電回路230は、共振回路(たとえば、LC共振回路)、フィルタ回路、整流回路を含んでもよい。
AGV200は、マット面(給電マット100の主面)におけるAGV200の位置を検出する位置センサモジュール221をさらに備える。位置センサモジュール221は、たとえば給電マット100のいずれかの送電コイル120と受電コイル220との位置合わせに使用される。位置センサモジュール221は、たとえばAGV200の底面に設けられている。位置センサモジュール221は複数の磁気センサを含む。複数の磁気センサは格子状に配置されてもよい。位置センサモジュール221に含まれる各磁気センサは、各送電コイル120の磁気マーカから発せられる磁気を検出する。ECU250は、位置センサモジュール221の検出結果に基づいて、送電コイル120と受電コイル220との位置ずれ量を取得するように構成される。
この実施の形態では、給電マット100とAGV200とが通信可能に構成される。マットコントローラ150とECU250とは、無線通信機140及び240を介して、相互に無線通信を行なってもよい。通信方式は任意である。マットコントローラ150とECU250とは、たとえばNFC(Near Field Communication)又はBluetooth(登録商標)のような近距離通信(たとえば、給電マット100周辺の範囲での直接通信)を行なうように構成されてもよい。また、マットコントローラ150とECU250とは、無線LAN(Local Area Network)を利用した無線通信を行なうように構成されてもよい。AGV200は、RFID(Radio Frequency IDentification)装置を備えてもよい。そして、マットコントローラ150は、AGV200のRFID装置から発せられる信号を受信するように構成されてもよい。
上記では、AGV200の構成について説明したが、図2に示した移動体206及び207の各々も、図3に示した構成に準ずる構成を内部に有する。必要に応じて、上述した回路構成を変更して同様の機能を実現してもよい。
図4は、この実施の形態に係る給電システムの全体構成を示す図である。図4を参照して、この実施の形態に係る給電システムは、上述した給電マット100及び電源モジュール300に加えて、サーバ500をさらに含む。サーバ500は、給電マット100に対応する複数の対象移動体の各々と無線通信するように構成される。図2に示した移動体201~207の各々は、給電マット100の対象移動体に相当する。給電マット100の対象移動体は、給電マット100を使用可能に構成される。この実施の形態では、給電マット100の各対象移動体(移動体201~207を含む)の情報が予めサーバ500に登録されている。各移動体の情報がサーバ500に登録されることで、各移動体の情報を管理しやすくなる。サーバ500は、登録されていない移動体と無線通信してもよい。サーバ500は、通信により、未登録の移動体の情報を取得してもよい。
サーバ500は、プロセッサ510と、記憶装置520と、通信装置530とを備える。プロセッサ510は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶装置520は、各種情報を保存可能に構成される。通信装置530は、各種通信I/Fを含む。サーバ500は、通信装置530を通じて外部と通信するように構成される。
記憶装置520には、プロセッサ510に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置520に記憶されているプログラムをプロセッサ510が実行することで、サーバ500における各種処理が実行される。ただし、サーバ500における各種処理は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
サーバ500には、複数の移動体(給電マット100の対象移動体を含む)と複数の給電マット(たとえば、図1~図3に示した給電マット100)とが登録されている。サーバ500は、登録された各移動体に関する情報(以下、「移動体情報」と称する)と、登録された各給電マットに関する情報(以下、「マット情報」と称する)とを管理する。移動体情報及びマット情報は記憶装置520に記憶されている。移動体情報及びマット情報は随時更新される。
移動体を識別するための識別情報(移動体ID)が移動体ごとに付与されており、サーバ500は移動体情報を移動体IDで区別して管理している。移動体情報には、たとえば、移動体の仕様(たとえば、充電に関するスペック)と、移動体が対応する給電マットのマットIDと、サーバ500が移動体から受信した情報(たとえば、移動体の現在の位置及び状態)とが含まれる。
給電マットを識別するための識別情報(マットID)が給電マットごとに付与されており、サーバ500はマット情報をマットIDで区別して管理している。マット情報には、給電マットの仕様(たとえば、給電に関するスペック)と、給電マットの位置(設置場所)とが含まれる。
この実施の形態では、給電マット100が、n個の送電コイル120(送電コイル120-1~120-n)と、n個の発光体121(121-1~121-n)と、n個のセンサモジュール122(122-1~122-n)と、n個の磁気マーカとを含む。nは2以上の整数である。nは5以上100未満の範囲から選ばれた整数であってもよい。また、nは100以上であってもよい。この実施の形態に係る給電マット100が備える送電コイル120の数(n)は100程度である。
この実施の形態では、給電マット100の周辺の所定エリア内に移動体が存在しないときには、給電マット100のマットコントローラ150が停止状態(たとえば、スリープ状態)になっている。そして、1台目の移動体が上記所定エリア内に入ると、マットコントローラ150が起動する。たとえば、カメラ350が給電マット100の周辺に移動体を認識したときに、移動体が所定エリア内に入ったと認定されてもよい。また、移動体のRFID装置から発せられる信号を無線通信機140が受信したときに、移動体が所定エリア内に入ったと認定されてもよい。また、給電システムは、ジオフェンシング技術を利用して、移動体が所定エリア内に入ったか否かを判断するように構成されてもよい。
図5は、マットコントローラ150が実行するマット情報の取得に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、マットコントローラ150が作動状態であるときに所定周期で繰り返し実行される。マットコントローラ150は、起動すると、以下に説明する図5に示す一連の処理を開始する。以下では、フローチャート中の各ステップを、単に「S」と表記する。
図3及び図4とともに図5を参照して、S101では、マットコントローラ150がカメラ350から取得した情報を記憶装置に記録する。
具体的には、カメラ350は、給電マット100において劣化部位(すなわち、劣化度合いが大きい部位)を発見した場合に、その劣化部位を特定する情報(以下、「劣化情報」とも称する)をマットコントローラ150へ送信する。劣化情報は、劣化部位の位置を示す。この実施の形態では、給電マット100が送電コイル120に対応する部位ごとに区分けされ、送電コイル120ごとに劣化の有無が判断される。カメラ350は、給電マット100に含まれる複数の部位の中から劣化部位に該当する部位を特定する。送電コイル120の位置は、マット面におけるXY座標で示されてもよいし、送電コイル120を識別するための識別情報(コイルID)で示されてもよい。
カメラ350は、たとえばサーモグラフィによって得た給電マット100の温度分布に基づいて、給電マット100の中に所定の基準温度以上に発熱した部位を検出した場合に、その発熱した部位を劣化部位として認定するように構成されてもよい。劣化した送電コイル120は給電中に特に発熱しやすいため、カメラ350は給電中の送電コイル120について発熱の有無を確認してもよい。認定の精度を高めるために、所定回数(たとえば、2回以上)の発熱が確認されたときに、発熱した部位を劣化部位と認定するようにしてもよい。
また、カメラ350は、給電マット100上に移動体以外の対象(以下、「異物」と称する)を検出した場合に、異物が存在する部位を特定する情報(以下、「異物情報」とも称する)をマットコントローラ150へ送信する。異物には生物(たとえば、人)も含まれる。
マットコントローラ150は、カメラ350から劣化情報及び異物情報の少なくとも一方を受信した場合には、受信した情報を現在時刻と紐づけて記憶装置に記録する。マットコントローラ150は、劣化情報及び異物情報をコイルID及び取得時刻で区別して管理する。この実施の形態では、マットコントローラ150が、カメラ350からの情報に基づいて、給電マット100の部位ごとの現在の状態(たとえば、性能及び環境)を取得する。しかし、カメラ350の用途は上記に限られない。マットコントローラ150は、給電マット100の使用履歴を記録するためにカメラ350を用いてもよい。
続くS102では、マットコントローラ150がセンサモジュール122から取得した情報を記憶装置に記録する。具体的には、マットコントローラ150は、対象部位(送電コイル120)ごとに、センサモジュール122に含まれる圧力センサ、温度センサ、電流センサ、及び電圧センサの各々の検出値を取得し、以下に説明する第1~第5履歴情報を記録する。
第1履歴情報は、送電コイル120の通電回数を示す。たとえば、通電回数をカウントするための第1カウンタが、マットコントローラ150の記憶装置に用意される。マットコントローラ150は、電流センサによって検出される電流値が所定の第1閾値を超えるたびに第1カウンタをインクリメントする。
第2履歴情報は、移動体が対象部位(送電コイル120)の上を通過した回数(以下、単に「通過回数」と称する)を示す。たとえば、通過回数をカウントするための第2カウンタが、マットコントローラ150の記憶装置に用意される。マットコントローラ150は、圧力センサによって検出される圧力(荷重)が所定の第2閾値を超えるたびに第2カウンタをインクリメントする。
第3履歴情報は、対象部位の温度(たとえば、送電コイル120周辺の温度)が常用温度域(推奨温度範囲)から外れている時間の累積値(以下、「温度ダメージ時間」とも称する)を示す。マットコントローラ150は、温度センサによって検出される送電コイル120周辺の温度が所定の温度範囲から外れている時間を計測し、計測された時間(温度ダメージ時間に相当)を、第3履歴情報として記憶装置に記録する。
第4履歴情報は、送電コイル120の累積通電時間を示す。マットコントローラ150は、送電コイル120の通電時間(たとえば、電流センサによって検出される電流値が上記第1閾値を超えている時間)を計測し、計測された通電時間を、第4履歴情報として記憶装置に記録する。
第5履歴情報は、送電コイル120の累積給電電力量を示す。マットコントローラ150は、送電コイル120の通電中に、電流センサ及び電圧センサの検出結果に基づいて給電電力量(=電流×電圧×時間)を測定し、測定された給電電力量を、第5履歴情報として記憶装置に記録する。
上記第1~第5履歴情報の各々は、給電マット100の部位ごとの使用履歴を示す。マットコントローラ150は、上記使用履歴から、給電マット100の各部位におけるダメージの蓄積度合いを推定することができる。マットコントローラ150は、第1~第5履歴情報をコイルIDで区別して管理する。この実施の形態では、マットコントローラ150が、センサモジュール122からの情報に基づいて、給電マット100の使用履歴を記録する。しかし、センサモジュール122の用途は上記に限られない。マットコントローラ150は、センサモジュール122からの情報に基づいて、給電マット100の部位ごとの現在の状態を取得してもよい。マットコントローラ150は、たとえばセンサが異常値を示した場合に、そのセンサに対応する部位(送電コイル120)が劣化部位に該当すると認定してもよい。
起動したマットコントローラ150が図5のS101及びS102を繰り返し実行することによって、劣化情報、異物情報、及び第1~第5履歴情報の各々は逐次更新される。第1~第5履歴情報の各々が示す値は、対象部位(送電コイル120)が交換又は修復されない限り、リセットされず、累積される。
図6は、実施の形態1に係る給電方法を示すフローチャートである。この実施の形態では、所定の充電開始条件が成立したときに、移動体が図6に示す処理を開始する。所定の充電開始条件は、たとえば移動体が給電マット100の周辺の所定エリア内に入ると成立する。以下では、図6に示される処理をAGV200が実行する場合について説明するが、図6に示される処理は、他の移動体(たとえば、図2に示した移動体206又は207)によっても実行される。
図3及び図4とともに図6を参照して、S11では、AGV200のECU250が、マットコントローラ150と通信して給電マット100のマットIDを取得した後、給電マット100のマットID、及びAGV200の移動体IDとともに、充電許可要求(充電許可を要求する信号)をサーバ500へ送信する。
サーバ500は、AGV200(ECU250)から上記充電許可要求を受信すると、図6に示す処理を開始する。サーバ500は、S21において、AGV200が給電を受けようとする給電マット100(以下、「対象マット」とも称する)に診断用データを要求する。
対象マットは、サーバ500から上記診断用データの要求を受けると、図6に示す処理を開始する。対象マットは、S31において、図5に示した処理によって取得される最新の劣化情報及び第1~第5履歴情報をサーバ500へ送信する。この実施の形態では、前述した劣化情報及び第1~第5履歴情報が、診断用データに相当する。
サーバ500は、対象マットから診断用データを受信すると、S22において、対象マットの劣化診断を行なう。具体的には、サーバ500は、対象マットにおいて以下に示す(A)~(F)のいずれかに該当する部位を、劣化部位と認定する。すなわち、サーバ500は、給電マット100に含まれる複数の部位の中から劣化部位に該当する部位を特定する。
(A)カメラ350によって特定された劣化部位(劣化情報が示す劣化部位)
(B)送電コイル120の通電回数が所定の第1基準値以上である部位
(C)通過回数が所定の第2基準値以上である部位
(D)温度ダメージ時間が所定の第3基準値以上である部位
(E)送電コイル120の累積通電時間が所定の第4基準値以上である部位
(F)送電コイル120の累積給電電力量が所定の第5基準値以上である部位
この実施の形態に係るサーバ500は、上記(A)~(F)が示す要件に基づいて劣化部位を特定する。この実施の形態では、サーバ500及びカメラ350の各々が、本開示に係る「診断装置」の一例に相当する。上記第1~第5基準値は、固定値であってもよいし、可変であってもよい。たとえば、第1基準値、第2基準値、第3基準値、第4基準値、第5基準値は、それぞれ給電マット100における通電回数、通過回数、温度ダメージ時間、累積通電時間、累積給電電力量の平均値(たとえば、給電マット100に含まれる全ての送電コイル120の平均値)に応じて可変であってもよい。
(B)送電コイル120の通電回数が所定の第1基準値以上である部位
(C)通過回数が所定の第2基準値以上である部位
(D)温度ダメージ時間が所定の第3基準値以上である部位
(E)送電コイル120の累積通電時間が所定の第4基準値以上である部位
(F)送電コイル120の累積給電電力量が所定の第5基準値以上である部位
この実施の形態に係るサーバ500は、上記(A)~(F)が示す要件に基づいて劣化部位を特定する。この実施の形態では、サーバ500及びカメラ350の各々が、本開示に係る「診断装置」の一例に相当する。上記第1~第5基準値は、固定値であってもよいし、可変であってもよい。たとえば、第1基準値、第2基準値、第3基準値、第4基準値、第5基準値は、それぞれ給電マット100における通電回数、通過回数、温度ダメージ時間、累積通電時間、累積給電電力量の平均値(たとえば、給電マット100に含まれる全ての送電コイル120の平均値)に応じて可変であってもよい。
ただし、劣化診断方法は上記に限られず、適宜変更可能である。上記(A)~(F)から任意の要件を割愛してもよい。たとえば、(D)~(F)を割愛してもよい。あるいは、(A)を割愛してもよい。上記(A)~(F)のうち、1つの要件のみを採用してもよい。たとえば、(A)のみによって劣化部位を特定してもよい。あるいは、(B)又は(C)のみによって劣化部位を特定してもよい。サーバ500は、送電コイル120の位置ずれ量又は変形量に基づいて送電コイル120の劣化診断を行なってもよい。送電コイル120の位置ずれ量又は変形量はカメラ350で検出されてもよい。また、送電コイル120の位置ずれ量又は変形量を検出するためのセンサが、センサモジュール122に含まれてもよい。
続くS23では、サーバ500が、S22で特定された劣化部位を示す情報(以下、「診断結果」とも称する)を対象マットへ送信する。劣化部位は、たとえばコイルIDによって特定される。診断結果は、劣化部位に該当すると認定された全ての部位(送電コイル120)のコイルIDを示す。
対象マットが診断結果を受診すると、対象マットのマットコントローラ150が、S32において、診断結果が示す劣化部位を避けるようにAGV200を誘導する。この実施の形態では、マットコントローラ150が、本開示に係る「誘導装置」の一例に相当する。
図7は、図6のS32において実行される移動体の誘導について説明するための図である。図7には、給電マット100(対象マット)の一部の平面構造が模式的に示されている。
この実施の形態では、給電マット100の各部位が劣化部位と非劣化部位とのいずれかに区別される。さらに、非劣化部位は、推奨部位と普通部位とのいずれかに区別される。推奨部位は、非劣化部位の中で最も劣化度合いが小さい部位である。この実施の形態では、非劣化部位の中で最も累積通電時間が短い部位を、推奨部位とする。ただしこれに限られず、非劣化部位の中で最も通電回数又は累積給電電力量が少ない部位を、推奨部位としてもよい。推奨部位は、マットコントローラ150によって特定されてもよいし、サーバ500によって特定されてもよい。前述の診断結果(S23参照)が、劣化部位に加えて推奨部位を示してもよい。
図7に示される領域Rに含まれる各部位(送電コイル120)が劣化部位に相当する。以下、推奨部位に設けられた送電コイル120、発光体121を、それぞれ「送電コイル120A」、「発光体121A」と表記する。普通部位に設けられた送電コイル120、発光体121を、それぞれ「送電コイル120B」、「発光体121B」と表記する。劣化部位に設けられた送電コイル120、発光体121を、それぞれ「送電コイル120C」、「発光体121C」と表記する。
図3及び図4とともに図7を参照して、この実施の形態では、給電マット100の表面が複数の部位に区分けされ、区分けされた部位ごとに発光体121が設けられている。マットコントローラ150は、これらの発光体121を用いてAGV200を誘導する。マットコントローラ150は、劣化部位を避ける方向へAGV200を誘導するように各発光体121を制御する。具体的には、マットコントローラ150は、発光体121Aを点滅、発光体121Bを点灯、発光体121Cを消灯させる。AGV200は、自動運転センサによって光を認識できる。AGV200は、各部位における発光体121の点灯の仕方の違いに基づき、送電コイル120C(劣化部位)を認識し、送電コイル120Cを避ける方向へ移動する。この実施の形態では、AGV200が、送電コイル120A(推奨部位)を認識し、送電コイル120Aに向かって移動する。
上記の例では、劣化部位と非劣化部位とで点灯の仕方を変えることで、移動体(たとえば、AGV200)が劣化部位を避けるように誘導される。しかし、点灯の仕方ではなく、点灯色を変えることで、移動体を誘導してもよい。たとえば、マットコントローラ150は、発光体121Aを青色、発光体121Bを黄色、発光体121Cを赤色に点灯させてもよい。
図3、図4、及び図7とともに再び図6を参照して、AGV200は、S12において、上記誘導(S32参照)に従って移動する。具体的には、AGV200は、自動運転センサによって送電コイル120A~120C(図7)を認識し、送電コイル120Aに向かって移動する。
なお、図6に示される一連の処理を、運転者が乗っている移動体206又は207(図2)が実行する場合には、運転者が、上記誘導(S32参照)に従って移動体を運転して送電コイル120Aまで移動してもよい。ただし、運転者は、移動完了後に給電マット100から離れる。移動完了後、移動体に搭載されたナビゲーションシステムが、運転者に対して給電マット100から離れるように音声で促してもよい。
上記S12の処理により、対象マットに含まれる1つの送電コイル120(たとえば、送電コイル120A)の上にAGV200が移動する。以下、S12の処理によりAGV200が移動した送電コイル120を、「対象コイル」とも称する。
続くS13では、ECU250が、磁気マーカによって示される対象コイルの位置に受電コイル220の位置を合わせるように、AGV200を自動運転で移動させる。ECU250は、たとえば、自動運転センサによって取得される情報に基づいて、AGV200を対象コイルまで移動させた後、位置センサモジュール221の検出結果に基づいて、対象コイルの基準位置(たとえば、中心)と受電コイル220の基準位置(たとえば、中心)とを一致させるようにAGV200の位置を微調整する。なお、送受電コイルの位置合わせの方法は上記に限られない。ワイヤレス電力伝送(WPT)で実績のある他の位置合わせ方法を採用してもよい。
ECU250は、送受電コイルの位置合わせが完了すると、位置合わせ完了通知を対象マットへ送信する。その後、ECU250は、S14において、対象マットから充電許可を受けたか否かを判断する。ECU250は、AGV200が後述する充電許可通知(S34)を受信するまで待機する。
対象マットのマットコントローラ150は、前述の誘導(S32)を行ないながら、S33において、誘導が完了したか否かを判断する。対象マットが上記位置合わせ完了通知をAGV200から受信し、かつ、位置合わせされた対象コイルが非劣化部位(推奨部位又は普通部位)に該当すれば、S33においてYES(誘導完了)と判断され、処理がS34に進む。マットコントローラ150は、カメラ350から取得した情報、又は対象マットに搭載されたセンサモジュール122の出力に基づいて、対象コイルを認定してもよい。あるいは、マットコントローラ150は、対象コイルを示す信号をAGV200(ECU250)から受信してもよい。
S34では、対象マットがAGV200へ充電許可通知を送信する。その後、対象マットは、S35において給電制御を実行する。給電制御の詳細については後述する。
何かの不具合により誘導がうまくいかず、劣化部位の送電コイル120に対して受電コイル220の位置合わせ(S13)が行なわれた場合には、S33においてYESと判断されない。この場合、対象マットからAGV200へ充電許可通知が送信されない。AGV200は、充電許可通知を受けるために、非劣化部位の送電コイル120に対して受電コイル220の位置合わせが行なわれるようにS12及びS13を再度実行してもよい。
AGV200が対象マットから充電許可通知を受信すると(S14にてYES)、処理がS15に進む。S15では、AGV200が充電制御を実行する。図8は、図6に示したS15の処理の詳細を示すフローチャートである。
図3及び図4とともに図8を参照して、S41では、ECU250が、対象マットのマットコントローラ150と通信しながらバッテリ210の充電を行なう。対象マットの対象コイル(図6のS12及びS13)からAGV200の受電コイル220に供給される電力によってバッテリ210の充電が行なわれる。バッテリ210の充電中は、マットコントローラ150が給電電力を調整するように電力制御回路130を制御するとともに、ECU250が充電電力を調整するように充電回路230を制御する。
続くS42では、所定の充電完了条件が成立するか否かを、ECU250が判断する。この実施の形態では、バッテリ210のSOCが所定SOC値(たとえば、満充電を示すSOC値)以上になったときに充電完了条件が成立する。ただしこれに限られず、充電完了条件は任意に設定できる。たとえば、充電開始から所定時間が経過したときに充電完了条件が成立してもよい。
S41の処理は、S42でNOと判断されている間は継続して実行される。対象マットの対象コイルからAGV200の受電コイル220への給電が継続していれば、S41の処理によりバッテリ210の充電が行なわれる。予期せず対象マットからの給電が停止された場合には、ECU250は、送受電コイルの位置合わせ(図6のS13)を再度実行した後、位置合わせ完了通知を対象マットへ再度送信してもよい。他方、充電完了条件が成立すると(S42にてYES)、処理はS43に進み、S41の処理は実行されなくなる。これにより、バッテリ210の充電は行なわれなくなる。
S43では、ECU250が対象マットへ給電停止要求を送信する。S43の処理が実行されると、図8に示す一連の処理が終了する。これにより、図6に示した一連の処理も終了する。AGV200に目的地が設定されている場合には、AGV200は、目的地に向かって走行を再開する。
図9は、図6に示したS35の処理の詳細を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、給電マット100(対象マット)のマットコントローラ150によって実行される。
図3及び図4とともに図9を参照して、S51では、対象コイル(図6のS12)の位置と受電コイル220の位置とが合っているか否かを、マットコントローラ150が判断する。
ワイヤレス給電(後述するS53参照)がまだ開始されていない場合には、マットコントローラ150は、S51において、対象コイルから受電コイル220に向けて微弱電力を送電するように電力制御回路130を制御する。微弱電力は、位置確認用の電力であり、充電中に対象コイルから送電される給電電力よりも小さい。そして、マットコントローラ150は、ECU250からの情報(たとえば、受電コイル220で受電された電力)に基づいて、対象コイルから受電コイル220に適切に電力が伝送されたかを確認する。対象コイルから受電コイル220に適切に電力が伝送されている場合には、マットコントローラ150は、対象コイルの位置と受電コイル220の位置とが合っていると判断する。マットコントローラ150は、ワイヤレス給電の実行中においても、S51の処理を実行する。この場合、マットコントローラ150は、微弱電力ではなく給電電力(充電のために送電される電力)を対象コイルから受電コイル220に送電しながら、ECU250からの情報(たとえば、受電コイル220で受電された電力)に基づいて、対象コイルの位置と受電コイル220の位置とが合っているか否かを判断する。
対象コイルの位置と受電コイル220の位置とが許容範囲を超えてずれている場合(S51にてNO)には、図9に示す一連の処理は終了する。他方、対象コイルの位置と受電コイル220の位置とが合っている場合(S51にてYES)には、処理がS52に進む。S52では、ワイヤレス給電に適した環境か否かを、マットコントローラ150が判断する。たとえば、マットコントローラ150は異物の有無に基づいて環境の適否を判断する。この実施の形態では、給電マット100上に異物が存在する場合には、S52において、給電マット100の環境がワイヤレス給電に適していないと判断される。他方、給電マット100上に異物が存在しない場合には、S52において、給電マット100の環境がワイヤレス給電に適していると判断される。マットコントローラ150は、カメラ350から取得した異物情報(図5のS101)に基づいて、ワイヤレス給電に適した環境か否かを判断する。ただし、上記の例に限られず、マットコントローラ150は、異物の有無以外の観点で、環境の適否を判断してもよい。
給電マット100の環境がワイヤレス給電に適している場合(S52にてYES)には、マットコントローラ150は、S53において、ECU250と通信しながらワイヤレス給電を行なう。S53の処理は、図8のS41の処理と並行して実行される。これにより、給電マット100の対象コイルからAGV200の受電コイル220に電力が供給され、受電コイル220が受電した電力が充電回路230を経由してバッテリ210に入力される。ワイヤレス給電中(すなわち、バッテリ210の充電中)は、マットコントローラ150が給電電力を調整するように電力制御回路130を制御する。
続くS54では、給電マット100がAGV200から給電停止要求(図8のS43)を受信したか否かを、マットコントローラ150が判断する。給電マット100が給電停止要求を受信していなければ(S54にてNO)、処理はS51に戻る。
ワイヤレス給電(S53)は、S51及びS52の両方でYESかつS54でNOと判断されている間は継続して実行される。他方、S51とS52とのいずれかでNO又はS54でYESと判断されると、図9に示す一連の処理が終了し、ワイヤレス給電(S53)が行なわれなくなる。これにより、図6に示した一連の処理も終了する。
給電中にS51とS52とのいずれかでNOと判断されてワイヤレス給電(S53)が中断された場合には、マットコントローラ150が所定の期間においてS51及びS52の判断を繰り返し行なってもよい。そして、所定の期間内にS51及びS52の両方でYESと判断された場合には、マットコントローラ150がワイヤレス給電(S53)を再開してもよい。
以上説明したように、実施の形態1に係る給電システムは、複数の送電コイル120を含む給電マット100を用いて、移動体に対してワイヤレス給電を行なうように構成される。こうした給電システムが診断装置(たとえば、サーバ500及びカメラ350)と誘導装置(たとえば、マットコントローラ150)とを備える。診断装置は、給電マットの劣化度合いが大きい部位である劣化部位を特定する(図6のS21~S23参照)。誘導装置は、劣化部位を避けるように移動体を誘導する(図6のS32及び図7参照)。これにより、給電マット100の劣化部位が使用されにくくなる。すなわち、給電マット100の劣化部位の劣化が進行しにくくなる。このため、給電マット100の部位ごとの劣化度合いの均一化が図られる。
実施の形態1に係る給電方法は、給電マット100の劣化度合いが大きい部位である劣化部位を特定すること(図6のS22)と、劣化部位を避けるように移動体を誘導すること(図6のS32)とを含む。こうした給電方法により、給電マット100の部位ごとの劣化度合いの均一化が図られる。
上記実施の形態1では、非劣化部位が推奨部位と普通部位とに区別され、誘導装置が移動体を推奨部位に誘導している。しかし、誘導装置は、劣化部位を避けるように移動体を誘導すればよく、移動体を推奨部位に誘導することは必須ではない。非劣化部位のいずれを使用するかはユーザに一任してもよい。
[実施の形態2]
本開示の実施の形態2に係る給電システムについて説明する。実施の形態2は実施の形態1と共通する部分が多いため、主に相違点について説明し、共通する部分についての説明は割愛する。
本開示の実施の形態2に係る給電システムについて説明する。実施の形態2は実施の形態1と共通する部分が多いため、主に相違点について説明し、共通する部分についての説明は割愛する。
実施の形態1では、図6に示した処理により、移動体が停車中充電を行なう。これに対し、実施の形態2では、移動体が走行中充電を行なうように構成される。給電マット100は、複数の送電コイル120を用いて、給電マット100上を走行中の移動体に対して給電を行なうように構成される。実施の形態2では、図6に示した処理の代わりに、以下に説明する図10に示す処理が実行される。
図10は、実施の形態2に係る給電方法を示すフローチャートである。図3及び図4とともに図10を参照して、S11Aでは、AGV200のECU250が、マットコントローラ150と通信して対象マットのマットIDを取得した後、対象マットのマットID、及びAGV200の移動体IDとともに、給電要求(給電を要求する信号)をサーバ500へ送信する。
サーバ500は、AGV200(ECU250)から上記給電要求を受信すると、図10に示す処理を開始する。そして、図6に示した処理と同様、S21、S31、S22、S23の処理が順に実行される。ただし、S22では、後述する劣化レーンが特定される。そして、診断結果は、S22で特定された劣化レーンを示す。
対象マットが診断結果(S23)を受診すると、対象マットのマットコントローラ150が、S32Aにおいて、診断結果が示す劣化レーンを避けるようにAGV200を誘導する。
図11は、実施の形態2に係る劣化診断方法及び誘導方法について説明するための図である。図11には、給電マット100(対象マット)の一部の平面構造が模式的に示されている。
図3及び図4とともに図11を参照して、この実施の形態では、給電マット100の表面が複数の走行レーン(走行レーンL1~L5を含む)に区分けされている。走行レーンL1~L5の各々は、走行中の移動体に対して給電を行なう給電レーンに相当する。各走行レーンは、所定の走行方向に沿った送電コイル120の列である。各走行レーンは、給電マット100の一端から他端までの長さを有する。
この実施の形態では、各走行レーンが、劣化レーンと非劣化レーンとのいずれかに区別される。劣化レーンは、劣化度合いが大きい走行レーンであり、劣化部位に相当する。サーバ500は、図10のS22において、給電マット100に含まれる複数の走行レーンの中から劣化レーンを特定する。サーバ500は、たとえば、前述の(A)~(F)のいずれかに該当する送電コイル120を所定数(たとえば、1つ)以上含む走行レーンを、劣化レーンとして認定してもよい。また、サーバ500は、走行レーンごとの通電回数、通過回数、温度ダメージ時間、累積通電時間、又は累積給電電力量を比較することにより、劣化レーンを特定してもよい。比較される値(回数、時間、又は電力量)は、1つの走行レーンに含まれる全ての送電コイル120の平均値又は合計値であってもよい。
非劣化レーンは、推奨レーン(推奨部位に相当)と普通レーン(普通部位に相当)とのいずれかに区別される。推奨レーンは、非劣化レーンの中で最も劣化度合いが小さい走行レーンである。この実施の形態では、非劣化レーンの中で最も累積通電時間が短い部位を、推奨レーンとする。ただしこれに限られず、非劣化レーンの中で最も通電回数又は累積給電電力量が少ない部位を、推奨レーンとしてもよい。
図11に示す例では、走行レーンL1及びL3の各々が普通レーンに相当し、走行レーンL2が推奨レーンに相当し、走行レーンL4及びL5の各々が劣化レーンに相当する。マットコントローラ150は、図10のS32Aにおいて、推奨レーンに属する各発光体121Aを点滅、普通レーンに属する各発光体121Bを点灯、劣化レーンに属する各発光体121Cを消灯させる。AGV200は、自動運転センサによって光を認識できる。AGV200は、劣化レーン(走行レーンL4及びL5)を認識し、劣化レーンを避ける方向へ移動する。
図3、図4、及び図11とともに再び図10を参照して、マットコントローラ150は、上述の誘導(S32A)を行ないながら、S35Aにおいて、非劣化レーンに属する送電コイル120A及び120B(劣化レーン以外の送電コイル120)に給電のための電圧を印加する。そして、マットコントローラ150は、AGV200から充電完了通知を受信するまで、上記の誘導(S32A)及び給電(S35A)を継続する。マットコントローラ150は、S35Bにおいて、対象マットが充電完了通知を受信したか否かを判断する。
一方、AGV200は、S12Aにおいて上記誘導(S32A)に従って走行し、S13Aにおいて走行中充電を実行する。具体的には、AGV200は、推奨レーン(たとえば、図11に示した走行レーンL2)を走行しながら、推奨レーンに属する各送電コイル120Aから順次、給電を受ける。AGV200は、所定の充電完了条件が成立するまで、上記の走行(S12A)及び充電(S13A)を継続する。
ECU250は、S14Aにおいて、上記充電完了条件が成立したか否かを判断する。この実施の形態では、AGV200が対象マットを通過したときに充電完了条件が成立する。ECU250は、受電コイル220が対象マットから給電を受けなくなったときに、AGV200が対象マットを通過したと判断してもよい。また、バッテリ210のSOCが所定SOC値(たとえば、満充電を示すSOC値)以上になったときにも充電完了条件が成立する。充電完了条件が成立すると(S14AにてYES)、ECU250は、S15Aにおいて、対象マットへ充電完了通知を送信する。そして、対象マットが充電完了通知を受信すると(S35BにてYES)、図10に示す一連の処理が終了する。
上記実施の形態2に係る給電マット100では、送電コイルごとに発光体が設けられている。しかし、発光体は走行レーンごとに設けられてもよい。
図12は、図11に示した構成の第1変形例を示す図である。図12を参照して、給電システムは表示装置610を備える。表示装置610は、発光体611~615と、発光体611~615を駆動する駆動回路(図示せず)とを備える。発光体611~615は、それぞれ走行レーンL1~L5の入り口付近に設けられている。発光体611~615は、給電マット100の端部に設けられてもよいし、給電マット100近傍の床に設けられてもよい。マットコントローラ150は、表示装置610を制御することにより移動体を誘導できる。マットコントローラ150は、無線通信で表示装置610を制御してもよい。マットコントローラ150は、発光体611~613を点灯、発光体614及び615を消灯させることで、劣化レーン(走行レーンL4及びL5)を避けるように移動体を誘導することができる。
図13は、図11に示した構成の第2変形例を示す図である。図13を参照して、給電システムは、ラベル621と、ディスプレイ622とを備える。ディスプレイ622は、FPD(フラットパネルディスプレイ)であってもよい。ラベル621は、走行レーンL1~L5を識別する文字(A~E)を表示する。文字の代わりに、数字又は記号が採用されてもよい。ラベル621は、走行レーンL1~L5の入り口付近に設けられている。マットコントローラ150は、ディスプレイ622を制御することにより移動体を誘導できる。マットコントローラ150は、無線通信でディスプレイ622を制御してもよい。マットコントローラ150は、走行レーンL1~L3を示す文字(A~C)をディスプレイ622に表示させることにより、劣化レーン(走行レーンL4及びL5)を避けるように移動体を誘導することができる。
上記実施の形態2、並びに第1及び第2変形例に係る給電マット100では、表示装置によって誘導が実行される。しかしこれに限られず、表示装置の代わりにゲート装置が採用されてもよい。
図14は、図11に示した構成の第3変形例を示す図である。図14を参照して、給電システムはゲート装置630を備える。ゲート装置630は、ゲート631~635と、ゲート631~635を動かすアクチュエータ(図示せず)とを備える。ゲート631~635は、それぞれ走行レーンL1~L5の入り口付近に設けられている。ゲート631~635の各々は、たとえば昇降式のゲートである。開状態のゲートは、床下に収納され、移動体の走行を妨げない。ゲートは、アクチュエータによって駆動されて上昇すると、閉状態になる。閉状態のゲートは、地上に突出し、対応する走行レーンに移動体が進入することを妨げる。マットコントローラ150は、ゲート装置630に含まれる各ゲートのアクチュエータを制御することにより移動体を誘導できる。マットコントローラ150は、無線通信でゲート装置630を制御してもよい。マットコントローラ150は、ゲート631~633を開状態、ゲート634及び635を閉状態にすることで、劣化レーン(走行レーンL4及びL5)を避けるように移動体を誘導することができる。
[他の実施の形態]
サーバ500は、複数の移動体から収集した情報に基づいて給電マット100の劣化診断を行なってもよい。各移動体は、使用中の送電コイル120の情報(たとえば、給電電力)をサーバ500へ送信してもよい。サーバ500は、給電マット100の使用履歴を収集することで、統計的な手法で給電マット100の劣化診断を行なうことができる。
サーバ500は、複数の移動体から収集した情報に基づいて給電マット100の劣化診断を行なってもよい。各移動体は、使用中の送電コイル120の情報(たとえば、給電電力)をサーバ500へ送信してもよい。サーバ500は、給電マット100の使用履歴を収集することで、統計的な手法で給電マット100の劣化診断を行なうことができる。
マットコントローラ150が給電マット100の劣化診断を行なってもよい。図15は、図6に示した処理の変形例を示すフローチャートである。図15を参照して、この変形例では、サーバ500ではなくマットコントローラ150が劣化診断(S22)を行なう。図16は、図10に示した処理の変形例を示すフローチャートである。図16を参照して、この変形例では、サーバ500ではなくマットコントローラ150が劣化診断(S22)を行なう。これらの変形例では、マットコントローラ150が診断装置として機能する。
移動体を誘導する方法は上述の方法に限られず任意である。たとえば、マットコントローラ150は、移動体と通信を行ない、通信により移動体に進行方向を指示してもよい。マットコントローラ150は、図6のS32、図15のS32、図10のS32A、又は図16のS32Aにおいて、移動体(たとえば、AGV200)との通信により、劣化部位を避けるように移動体を誘導してもよい。
上記各実施の形態では、給電マットが筒状に巻回可能な程度の柔軟性を有する(図1参照)。しかし、給電マットは曲げられなくてもよい。図17は、図1に示した給電マット100の第1変形例を示す図である。
図17を参照して、給電マット100Aは、1枚の第1板材101と複数の第2板材102とが組み合わさってシート状に形成されている。
第1板材101はケーブルを介して電源モジュール300と電気的に接続される。第1板材101は、電源モジュール300に対して常に接続されてもよいし、着脱可能であってもよい。第1板材101は、シート基材110Aと、電力制御回路130と、無線通信機140と、マットコントローラ150とを備える。電力制御回路130、無線通信機140、及びマットコントローラ150は、シート基材110Aに内蔵されている。第1板材101は、長方形状の外形(平面形状)を有する。ただしこれに限られず、第1板材101の外形は適宜変更可能である。
複数の第2板材102の各々は、シート基材110Bと、送電コイル120とを備える。送電コイル120はシート基材110Bの表面に設けられている。ただしこれに限られず、送電コイル120はシート基材110Bに内蔵されてもよい。電力系統PGから供給される電力は、電源モジュール300及び第1板材101を経由して、各第2板材102に供給される。電源モジュール300に含まれる電源回路310は、各第2板材102に含まれる送電コイル120に電力を供給する。
第2板材102は1つの送電コイル120を備える。しかしこれに限られず、第2板材102は2以上の送電コイル120を備えてもよい。第2板材102は、正方形状の外形(平面形状)を有する。ただしこれに限られず、第2板材102の外形は、正方形に限られず、長方形状でもよいし、四角形以外の多角形(三角形、五角形、六角形等)でもよいし、円形でもよいし、帯状でもよい。
第2板材102は、隣接する第2板材102の電線(たとえば、送電コイル120とつながる電線)を接続するためのコネクタを有してもよい。第2板材102は、接続されたコネクタを固定するロック機構をさらに有してもよい。第2板材102は、隣接する第2板材102との物理的な接続を補強するための留め具を有してもよい。第2板材102は、隣接する第2板材102との連結部(たとえば、嵌合可能な嵌合部、係合可能な係合部、又は締結可能な締結部)を有してもよい。隣り合う第2板材102は嵌合方式で連結されてもよい。隣り合う第2板材102は締結されてもよい。隣り合う第2板材102は、位置決めピンで位置決めされてもよい。
1つの第1板材101に対して複数の第2板材102を組み合わせることで、図1に示した給電マット100に準ずる機能を有する給電マット100Aが形成される。第1板材101と第2板材102との連結方式は、隣り合う第2板材102同士の連結方式と同じであってもよいし異なってもよい。複数の第2板材102は格子状に連結されてもよい。
給電マット100Aは分解可能に構成される。組み合わさって給電マット100Aを形成する複数の第2板材102は、個々の小片(第2板材102)に戻すことができる。給電マット100Aは、1枚の第1板材101と複数の第2板材102とに分解可能に構成される。このため、給電マット100Aは持ち運びが容易である。また、給電マット100Aを構成する複数の第2板材102のうち一部の第2板材102が故障又は劣化した場合には、該当する第2板材102のみを交換することができる。
上記各実施の形態では、給電マットが床に設置される(図3参照)。しかし、給電マットは壁に設置可能に構成されてもよい。図18は、図1に示した給電マット100の第2変形例を示す図である。
図18を参照して、給電マット100Bは、屋内の壁に設置される。設置方式は、壁掛け方式であってもよいし、貼付け方式であってもよい。給電マット100Bは、複数の送電コイル120と、電力制御回路130と、無線通信機140と、マットコントローラ150とを備える。この変形例に係る給電システムは、給電マット100Bに加えて、表示装置640を備える。表示装置640は、複数の発光体640aと、各発光体640aを駆動する駆動回路(図示せず)とを備える。送電コイル120ごとに発光体640aが設けられている。AGV200Aは、給電マット100Bを使用可能に構成される。AGV200Aは、基本的には図3に示した構成を有する。ただし、AGV200Aは、車体下部に設けられた受電コイル220(図3)に代えて又は加えて、車体側部に設けられた受電コイル220Aを備える。受電コイル220Aは、壁に設置された給電マット100Bの送電コイル120から非接触で電力を受けるように構成される。
マットコントローラ150は、表示装置640を制御することにより移動体を誘導できる。マットコントローラ150は、無線通信で表示装置640を制御してもよい。たとえば、マットコントローラ150は、劣化していない送電コイル120に対応する発光体640aを点灯させ、劣化した送電コイル120に対応する発光体640aを消灯させることで、劣化部位(劣化した送電コイル120)を避けるように移動体を誘導することができる。
給電マットは屋外に設置されてもよい。給電マットが適用される移動体は、図2及び図3に示した車両に限られない。移動体は、内燃機関を備えないBEVに限られず、内燃機関を備えるPHEV(プラグインハイブリッド車両)であってもよい。移動体は、農業機械、歩行ロボット、ドローン、ロボットクリーナ、又は宇宙探査機であってもよいし、鉄道車両、船、又は飛行機であってもよい。
上記の各種変形例は任意に組み合わせて実施されてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100,100A,100B 給電マット、101 第1板材、102 第2板材、110,110A,110B シート基材、120 送電コイル、121,611~615,640a 発光体、122 センサモジュール、130 電力制御回路、140 無線通信機、150 マットコントローラ、200,200A AGV、201~207 移動体、210 バッテリ、220,220A 受電コイル、221 位置センサモジュール、230 充電回路、240 無線通信機、250 ECU、300 電源モジュール、310 電源回路、350 カメラ、500 サーバ、510 プロセッサ、520 記憶装置、530 通信装置、610,640 表示装置、621 ラベル、622 ディスプレイ、630 ゲート装置、631~635 ゲート、L1~L5 走行レーン、PG 電力系統。
Claims (12)
- 複数の送電コイルを含む給電マットを用いて、移動体に対してワイヤレス給電を行なう給電システムであって、
前記給電マットの劣化度合いが大きい部位である劣化部位を特定する診断装置と、
前記劣化部位を避けるように前記移動体を誘導する誘導装置と、
を備える、給電システム。 - 前記給電マットの表面は、複数の部位に区分けされ、区分けされた前記部位ごとに発光装置が設けられており、
前記診断装置は、前記複数の部位の中から前記劣化部位に該当する部位を特定し、
前記誘導装置は、前記劣化部位を避ける方向へ前記移動体を誘導するように前記発光装置を制御する、請求項1に記載の給電システム。 - 前記給電マットの表面は、複数の走行レーンに区分けされ、
前記診断装置は、前記複数の走行レーンの中から前記劣化部位に該当する走行レーンを特定し、
当該給電システムは、前記劣化部位に該当する前記走行レーンを避けるように前記移動体を誘導する表示装置をさらに備える、請求項1に記載の給電システム。 - 前記誘導装置は、前記移動体との通信により、前記劣化部位を避けるように前記移動体を誘導するように構成される、請求項1に記載の給電システム。
- 前記移動体は、無人で走行可能に構成される自動運転車両である、請求項4に記載の給電システム。
- 前記診断装置は、前記給電マットの部位ごとの使用履歴を用いて前記劣化部位を特定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の給電システム。
- 前記診断装置は、前記給電マットの部位ごとの温度を用いて前記劣化部位を特定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の給電システム。
- 前記給電マットは、前記複数の送電コイルを用いて、前記給電マット上を走行中の前記移動体に対して給電を行なうように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の給電システム。
- 前記給電マットは、筒状に巻回可能な程度の柔軟性を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の給電システム。
- 前記給電マットは、複数の板材が組み合わさって形成されており、
前記給電マットは、前記複数の板材に分解可能に構成され、
前記複数の板材の各々は、1つ以上の前記送電コイルを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の給電システム。 - 前記給電マットは、屋内に設置可能に構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の給電システム。
- 複数の送電コイルを含む給電マットを用いて、移動体に対してワイヤレス給電を行なう給電方法であって、
前記給電マットの劣化度合いが大きい部位である劣化部位を特定することと、
前記劣化部位を避けるように前記移動体を誘導することと、
を含む、給電方法。
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