JP2023009499A - 紙トレー容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器単体で包装できて、金属を収納しても錆びず、軽く、安価で、廃棄する場合にも手間なく償却可能な紙製容器を得る。【解決手段】少なくとも、上面から、バリア層を含むバリアフィルム層(101)、紙層(102)、防錆フィルム層(103)、を有する積層シート(10)から形成され、該紙層は、坪量が80g/m2以上600g/m2以下の範囲であって、かつ、伸びが、流れ方向(MD方向)、垂直方向(TD方向)共に0.5~20%であって、また、破断強度が、流れ方向(MD方向)で50~500N/15mm、垂直方向(TD方向)で30~400N/15mmとし、該防錆フィルム層は、金属表面に接すると有機皮膜を形成する防錆薬剤を添着させたフィルムとし、上記積層シートを基材として、フランジを有するシート成形容器とした事を特徴とする紙トレー容器(1)。【選択図】図3

Description

本発明は、金属製品を収納する為の容器で、収納する金属製品を錆びさせないで、かつ、孔が開きにくくても、軽くて丈夫なトレー容器に関する。
従来、食品収納容器、あるいは各種工業製品を収納する包装材料として、プラスチック製容器が用いられていた。しかし、近年は、環境問題等に鑑み、紙製の容器が採用されつつある。ただ、紙によっては、容易に成形することができないので、成形加工しやすい紙素材や、それを使用した容器が求められていた。
例えば、特許文献1には、請求項1として、
下記の(1)~(4)の4つの条件を満足し、
坪量15~100g/m2で密度0.7~0.9g/cm3の高密度層、及び密度0.3~0.6g/cm3の低密度層を有し、坪量が100~500g/m2、全体の密度が0.4~0.7g/cm3、かつ低密度層が機械パルプ、カールドファイバー、及びマーセル化パルプの少なくとも一つから選ばれるパルプを主体として構成される成形加工原紙を多層抄き合わせフォーマを用いて抄紙したことを特徴とする絞り成形加工用原紙。
(1)引張強度(JIS-P8113)が2.0kN/m以上。
(2)破断伸び(JIS-P8113)が1.5%以上。
(3)下記式により定義される限界圧縮応力が1~10MPaの範囲。
限界圧縮応力=A/B
但し、AはJIS-P8126による圧縮強度、Bは圧縮強度測定時における試験片の荷重部分面積を各々示す。
(4)厚さ方向に20kgf/cm2の圧縮応力を加えたときの圧縮変形量が10%以上、を提案している。
また、請求項2で、請求項1に記載の絞り成形加工用原紙を、プレス用金型を用いて、温度100~150℃、プレス圧10~100kgf/cm2条件で絞り成形したことを特徴とする紙製成形容器を提案している。
このような絞り成形加工用原紙を用いた紙製成形容器は、金属製品を保存する容器として使用した場合、紙が吸湿しやすい為、吸湿した水分によって、収納した金属製品が錆びてしまう問題が発生していた。この為、紙製成形容器を更に吸湿剤と共に包装袋などで二重に包装するなどの形態が必要になり、高価になってしまう、開封が面倒となる、などの問題があった。
特許第4039006号公報
そこで、容器単体で包装できて、金属を収納しても錆びず、軽く、安価で、廃棄する場合にも手間なく償却可能な紙製容器を得ることが本発明の課題である。
本発明は、
少なくとも、上面から、バリア層を含むバリアフィルム層、紙層、防錆フィルム層、を有
する積層シートから形成され、
該紙層は、坪量が80g/m2以上600g/m2以下の範囲であって、かつ、
伸びが、流れ方向(MD方向)、垂直方向(TD方向)共に0.5~20%であって、
また、破断強度が、流れ方向(MD方向)で50~500N/15mm、垂直方向(TD方向)で30~400N/15mmとし、
該防錆フィルム層は、金属表面に接すると有機皮膜を形成する防錆薬剤を添着させたフィルムとし、
上記積層シートを基材として、フランジを有するシート成形容器とした事を特徴とする紙トレー容器である。
本発明の紙トレー容器は、紙を基材としているので、ナイフなど尖った鋭利な金属部品であっても、裂けることがない。また、防錆フィルム層が覆っていることによって、金属製品が錆びるのを防止するので、長期に収納して保存可能な容器である。
本発明の第一実施形態例で、その紙トレー容器本体の平面図である。 本発明の第一実施形態例で、その紙トレー容器本体の縦断面図である。 本発明の第一実施形態例と、紙トレー容器本体に使用する積層シートの構成例を示す模式図である。 本発明の第二実施形態例で、その紙トレー容器の縦断面図と、容器としてフランジ同士を融着して密閉した状態を示す断面図である。
以下、図1及び図2を参照しながら、本発明の紙トレー容器本体について、説明する。図1は、本実施形態に係る紙トレー容器本体1の概略平面図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図1及び図2に示される紙トレー容器本体1は、種々の内容物を収容するための成形品である。紙トレー容器本体1の主成分は、紙である。
紙トレー容器本体1は、要求される性能(例えば、ガスバリア性、遮光性、耐水性、耐温湿性、機械的強度、印刷容易性、印刷適性、装飾容易性等)を備え得る。ガスバリア性は、酸素、水蒸気等のガス透過を防止または抑制する性能を意味する。耐水性は、紙容器が濡れた時の強度低下率によって評価される。印刷適性は、印刷された部分のピンホール、虫食い等の数によって評価される。例えば、印刷適性が高いほど印刷された部分におけるピンホール等の数が少ないので、当該部分の発色性が高い傾向にある。
紙トレー容器本体1は、底部2と、底部2から立設する側壁部3と、側壁部3の先端3aから延在するフランジ部4とを有しており、先端3aによって画成される開口端OEが設けられる。紙トレー容器本体1は、例えば、直接、あるいは間接的に加熱された状態で、プレス成形、真空成形、圧空成形、及び真空圧空成形の少なくとも何れかにて、紙製の基材102を有する積層シート10(図4を参照)を成形することによって得られる。このため、底部2と、側壁部3と、フランジ部4とは、上記積層シート10が変形した部分である。換言すると、底部2と、側壁部3と、フランジ部4とは、1枚の積層シート10から形成される。
本実施形態では、紙トレー容器本体1は、加熱された成形金型を使用して、プレス成形によって成形される。底部2と、側壁部3と、フランジ部4とは、同時に形成されてもよいし、異なるタイミングにて形成されてもよい。
図1及び図2には、互いに直交する方向X,Y,Zが示される。方向X,Yのそれぞれ
は水平方向における一方向に相当し、方向Zは当該水平方向に直交する鉛直方向に相当する。以下では、方向X,Y,Z(もしくは水平方向)を用いながら、紙トレー容器本体1の底部2、側壁部3、及びフランジ部4の構造を説明する。
底部2は、紙トレー容器本体1に収容される内容物が載置される部分である。底部2は、水平方向に延在する板状部分であり、方向Zから見て角が丸められた略長方形状を呈する。底部2の4辺のうち、方向Xに沿った2辺が長辺に相当し、方向Yに沿った2辺が短辺に相当する。本実施形態では、底部2の全体が水平方向に延在するが、これに限られない。例えば、底部2の一部には、凹部、凸部等が形成されてもよい。底部2に凹部、凸部等が形成されることによって、底部2と内容物との接触面積を低減できる。本明細書では、方向Zから見て底部2が水平方向に延在している場合、底部2が水平方向に延在するとみなされ得る。
側壁部3は、紙トレー容器本体1に収容される内容物の方向X,Yに沿った移動を規制する部分である。側壁部3は、方向Zから見て、底部2の縁から外側に広がるように延在しており、底部2を囲っている。側壁部3の先端3aは、フランジ部4に繋がる部分であり、方向Zから見て角が丸められた略長方形状を描く。方向Xに沿った先端3aの寸法S1は開口端OEの長辺の寸法に相当し、方向Yに沿った先端3aの寸法S2は開口端OEの短辺の寸法に相当する。寸法S1,S2のそれぞれは、例えば30mm以上350mm以下である。この場合、紙トレー容器本体1の形成時における破損を抑制できると共に、十分な深さを有する紙トレー容器本体1を形成できる。本実施形態では、開口端OEの最大長さLは、先端3aによって描かれる図形の対角線に相当する。最大長さLは、例えば42mm以上495mm以下である。
紙トレー容器本体1の深さは、方向Zに沿った底部2と側壁部3の先端3aとの距離Hに相当する。開口端OEの最大長さLに対する上記距離Hの割合は、例えば、2.0%以上25.0%以下である。この場合、紙トレー容器本体1の形成時における破損を抑制できると共に、十分な深さを有する紙トレー容器本体1を形成できる。上記割合の下限値は、2.7%~5.0%でもよい。上記割合の上限値は、20.0%~8.0%でもよい。
寸法S1に対する距離Hの割合は、例えば、5.0%以上25.0%以下である。当該割合の下限値は、5.4%~9.0%としてもよい。上記割合の上限値は、22.5%でもよいし、20.0%でもよい。
側壁部3は、底部2とフランジ部4との間に位置する胴部11、及び、底部2と胴部11とをつなぐ腰部12を有する。胴部11は、底部2に対して傾斜するように延在する部分である。胴部11の一部には、凹部、凸部等が形成されてもよい。胴部11と、側壁部3の先端3aにて方向X,Yに延在する仮想面VPと、がなす角度θは、例えば15°以上65°以下である。角度θが15°以上であることによって、十分な深さを有する紙容器1を形成できる。
角度θが65°以下であることによって、紙容器1の形成時における破損を抑制できる。角度θの下限値は、20°~30°、角度θの上限値は、60°~35°が好ましい。
腰部12は、底部2及び胴部11に対する接続部であり、側壁部3において湾曲した部分である。腰部12は、側壁部3の先端3aの反対側に設けられる。腰部12の曲率半径Rは、例えば8mm以上30mm以下である。曲率半径Rが8mm以上であることによって、紙容器1の形成時における破損を抑制できる。曲率半径Rが30mm以下であることによって、十分な深さを有する紙容器1を形成できる。曲率半径Rの下限値は、10mm、上限値は、25mmが好ましい。
フランジ部4は、紙トレー容器本体1の縁部であり、方向Zから見て角が丸められた略矩形枠形状を呈する。例えば紙トレー容器本体1が蓋材5によって封止されるとき、フランジ部4は、当該蓋材5が貼り付けられる部分として機能し得る。
この場合、図3-1に示す第一実施形態例のように、フランジ部4には上記蓋材5を溶着してもよい。または、接着剤を介してフランジ部4と上記蓋材5を接着してもよい。
フランジ部4は、方向Zから見て平滑である。換言すると、方向Zから見たフランジ部4の表面4aには、罫線等の意図がある凹凸が形成されていない。これにより、フランジ部4と上記蓋材5とを強固に密着できる。よって、紙トレー容器本体1に収容される内容物を隙間なく封止できる。フランジ部4の表面4aの粗さは、例えばJIS B 0601:2013にて規定される算術平均粗さにおいて、20μm以上500μm以下が好ましい。
第一実施形態例では、フランジ部4は、方向X,Yに沿って延在しているが、これに限らない。フランジ部4は、仮想面VPに対して傾斜してもよい。フランジ部4の幅は、例えば2mm以上40mm以下である。この場合、上記包装用シート等に対する接触面積を確保できる。
図4―1、図4-2、図4-3は、二つの紙トレー容器本体1をフランジ部4で向かい合わせ、互いのフランジ部4同士を融着した第二実施形態例の一例である。
このように、蓋材を用いずに、深さを持った紙トレー容器本体1同士を向かい合わせて厚みのある内容物も収納可能な容器とすることができる。
次に、図3-2を参照しながら紙トレー容器本体1の材料となる積層シート20の一例について説明する。
図3-2は、積層シートの構成例で、その概略断面図である。図3-2に示されるように、構成例の積層シート20は、上面から、バリア層を含むバリアフィルム層101と、バリアフィルム層に積層される基材の紙基材102と、紙層に積層する防錆剤を添着させた熱可塑性樹脂層103、を有する積層シート10から形成されている。
紙基材102は、抄紙された紙自体から形成されるシート状部材である。
基材の紙層102を構成する紙は、例えば上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、和紙、模造紙、クラフト紙等である。紙トレー容器本体1の外表面における美粧性の観点から、紙層102に使用する基材は、雲龍紙でもよいし、混抄紙でもよい。
また、上記紙基材102は、紙そのものであっても良いが、紙基材の表面に耐水コートや、耐油コート、ポリエチレンコートなどを施して、耐水性や耐油性、表面の滑り性や光沢等を向上させたものであっても良い。
紙基材102の坪量は、80g/m2以上400g/m2以下とする。
坪量が80g/m2以上であることにより、収納する金属製品の角部が当たっても、容易に裂けたり破れたりせず、表面の紙トレー容器本体1の物理的強度を確保して、成形した形状を維持することができる。
坪量が400g/m2以上とすると、型の形状通りに沿って基材が伸びない、高価になってしまうなどの問題が発生する。
そこで、80g/m2以上で、かつ、坪量が400g/m2以下であることにより、安価に、そして、プレス成形等によって紙トレー容器本体1を安定して製造することができる。
さらに、MD方向(Machine-Direction)における紙基材102の破断強度は、50N/15mm以上500N/15mm以下とする。また、TD方向における紙基材102の破断強度は、30N/15mm以上400N/15mm以下とする。
これらの破断強度の範囲の紙基材102は、紙トレー容器本体1を良好に成形できる。
すなわち、紙基材102の破断強度は、30N/15mm未満の場合、成形時に基材が破断したりする問題が発生する。また、紙基材102の破断強度が、400N/15mm以上の場合、基材が硬く、型の形状通りに沿って基材が伸びない問題が発生する。
上記紙基材102の破断強度は、JIS P 8113:2006に規定される手法にて測定される。
また、紙基材102のMD方向における紙基材102の破断伸びは、1.5%以上20%未満とする。MD方向における紙基材102の破断伸びが1.5%未満の場合、型で押圧しても、型に沿った形状に成形することができない問題が発生する。
また、紙基材102の破断伸びが、20%以上であると、薄くなって形状を維持できない容器となってしまう問題が発生する。
そこで、紙基材102の破断伸びは、1.5%以上20%未満とすることによって、紙基材を破断させずに型に沿って、良好に成形できる。
MD方向における紙基材102の破断伸びは、JIS P 8113:2006にて規定される引張破断伸びに相当する。MD方向は、紙の繊維方向に相当し、例えば、紙基材102の断面を観察することによって特定できる。
さらに、紙基材102のTD方向(Transverse-Direction)における紙基材102の破断伸びは、例えば0.5%以上20%未満である。TD方向における紙基材102の破断伸びが1.5%以上であることによって、紙トレー容器本体1を良好に成形できる。
TD方向における紙基材102の破断伸びが20%未満であることによって、紙基材102を容易に製造できる。TD方向における紙基材102の破断伸びは、JIS P 8113:2006にて規定される引張破断伸びに相当する。TD方向は、紙基材102の厚さ方向から見てMD方向に直交する方向に相当する。
バリア層を含むバリアフィルム層101は、紙トレー容器本体1の要求される性能を向上するための層であり、主面102bの一部もしくは全体をコーティングする。積層シート10によって紙トレー容器本体1が形成された場合、バリアフィルム層101は、紙トレー容器本体1における内面側に位置する。バリアフィルム層101は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。バリアフィルム層101が多層構造を有する場合、バリアフィルム層101に含まれる各層は、共押出成形法にて同時に形成されてもよい。バリアフィルム層101は、紙基材102の主面102bにラミネートされる層でもよいし、主面102bをコーティングする層でもよい。バリアフィルム層101は、例えば、耐水性、耐油性等を示す。バリアフィルム層101の厚さは、例えば50μm以上200μm以下である。
バリアフィルム層101は、例えばポリオレフィンフィルムと、バリア性樹脂フィルムか無機コーティング層等を少なくとも一つ含む層である。
ポリオレフィンフィルムは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンを主材料として形成されるフィルムである。ポリオレフィンフィルムは、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)等によって形成される。
バリア性樹脂フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)等から形成される。樹脂フィルムは、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)(P
HBH)等の生分解性樹脂から形成されてもよい。
無機コーティング層は、例えば、アルミニウムなどの金属や、アルミナやシリカ、酸化ケイ素などの酸化金属等が、基材21に蒸着されることによって形成される。
バリアフィルム層101がポリオレフィンフィルム及びバリア樹脂フィルムを含む場合、当該ポリオレフィンフィルム及び当該バリア樹脂フィルムは、共押出成形されてもよいし、互いに異なるタイミングで成形されてもよい。
なお、「生分解性」とは、黴(かび)、細菌、酵母等の環境中に存在する微生物が産生する酵素の作用によって、例えば1年以内など一定の期間に、ポリマーがオリゴマー、モノマー、もしくはさらに低分子の物質まで分解される性質のことである。
バリアフィルム層101には、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤等の各種添加材が添加されてもよい。
防錆フィルム層103は、防錆薬剤として、収納する金属の表面に有機物の皮膜を形成することができる薬剤を、熱可塑性樹脂フィルムの表面に添着したフィルム層で形成する。
金属の表面に有機物の皮膜を形成する防錆薬剤としては、ケイ酸塩系、リン酸塩系、アミン酸化剤系などの有機系薬剤が使用できる。
また、上記防錆薬剤を添着する熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン・プロピレン共重合体フィルムなどのオレフィン系フィルムや、イージーピールシーラント樹脂フィルムなど、防錆薬剤を含有できる材料が任意で使用できる。
イージーピールシーラントとしては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体などの共重合樹脂や、エチレン・グリシジル・ジ・メタクリレートなどの低分子量樹脂などを混合した低融点熱可塑性樹脂からなるフィルムが使用できる。
図3-1、図4-1、図4-2、図4-3は、本実施形態に係る紙トレー容器1を示す概略図である。
図3-1に示される包装容器50の第一実施形態例は、紙トレー容器1と、開口端OEを封止する蓋材5とを有する。
蓋材5は、フランジ部4に密着することによって、開口端OEを封止している。蓋材5は、例えばヒートシール、インパルスシール、超音波シール等によって、紙容器1のフランジ部4に対して接合する。
このとき、蓋材5は、接着剤等を介してフランジ部4に密着してもよいし、フランジ部4に溶着してもよい。
蓋材5を構成するシートは、例えばプラスチックフィルム等でもよい。環境保護の観点から、プラスチックフィルムは、生分解性樹脂から形成されてもよいし、紙トレー容器本体1に使用する積層シートを、成形しないシート状で使用しても良い。
図4-3に示される包装容器50の第二実施形態例本実施形態では、開口端OEを封止する蓋材は、紙トレー容器本体1と同一に成形した部材である。これにより、単にフィルム等によって紙容器1をシールする場合よりも、包装容器30の容積を容易に大きくできる。
次に、本実施形態に係る紙トレー容器本体の製造方法の一例について説明する。
まず、紙基材102を有するシートを準備する(第1工程)。第1工程では、所定の寸法に整えられ、少なくとも内側から、バリアフィルム層101、紙基材102、防錆薬剤を
添着させた熱可塑性樹脂層103を積層した積層シート10を準備する。
続いて、積層シート10をプレス成形、真空成形、圧空成形、及び真空圧空成形の少なくとも何れかにて成形する(第2工程)。
第2工程では、まず、フランジ部4になる部分に罫線等を設けることなく、積層シート10を成形装置に設置する。
続いて、成形装置に設置した積層シート10を金型に沿うように成形する。このとき、積層シート10は予め加熱して、柔軟に形状が引き伸び易くしておいてもよい。
あるいは、成形する金型を加温し、接した部分の樹脂成分が型に馴染みながら成形されて、上記金型の形状に応じた底部2と、側壁部3と、フランジ部4とを有する紙トレー容器本体1が成形される。
紙トレー容器本体1の全体は、上記金型の形状に沿わなくてもよい。例えば、紙トレー容器本体1のうち側壁部3の一部及びフランジ部4が、上記金型の形状に沿ったものであってもよい。
次に、紙トレー容器本体1に成形されたフランジ部の外形を、他の積層シート10部分から抜いて、独立した容器とする(第3工程)である。第3工程では、紙トレー容器本体1を積層シートからビク刃で抜いても、プレス型やロータリー刃で抜いても良い。
以上に説明した本実施形態に係る製造方法にて製造される紙トレー容器本体1によって奏される作用効果について、以下に説明する参照例を用いつつ説明する。
ここで本実施形態に係る製造方法について説明する。
製造される紙トレー容器本体1では、積層シート10に積層している紙基材を、坪量が50g/m2以上400g/m2以下、MD方向における破断伸びが1.5%以上20%未満である紙基材21が用いられる。
この為、当該積層シート10は、プレス成形、真空成形、圧空成形、及び真空圧空成形の少なくとも何れかにて成形することができる。
加えて、紙トレー容器本体1においては、胴部11と、側壁部3の先端3aにて方向X,Yに延在する仮想面VPとがなす角度θは、15°以上65°以下であり、且つ、腰部12の曲率半径Rは、8mm以上30mm以下とする。これにより、パルプモールドを実施しなくとも、方向Zから見た開口端OEの最大長さに対する、方向Zに沿った底部2と側壁部3の先端3aとの距離の割合は、2.0%以上25.0%以下であり、且つ、方向Zから見て平滑なフランジ部4が得られる。したがって本実施形態によれば、良好な密閉性及び生産性を発揮可能な紙容器1が得られる。
本発明の一側面に係る紙トレー容器本体、および、その製造方法は、上記実施形態及び上記変形例に限らない。
例えば、上記実施形態及び上記変形例では、バリア層は、基材の一方の主面上に設けられるが、これに限らない。
例えば、バリア層は、基材の両面に設けられてもよい。この場合、一方のバリアフィルム層と、他方のバリアフィルム層とは、互いに同一の構成を有してもよいし、互いに異なる構成を有してもよい。換言すると、一方のバリア層と、他方のバリア層とは、互いに同一の機能を示してもよいし、互いに異なる機能を示してもよい。
上記実施形態及び上記変形例では、紙トレー容器は、鉛直方向から見て略長方形状を呈するが、これに限られない。鉛直方向から見て、紙容器は、円形状でもよいし、楕円形状でもよいし、多角形状でもよい。
また、図4に示すように、二つの紙トレー容器本体1が、帯状のヒンジ6で繋がって、該ヒンジ6を軸に180度回動させて、二つの紙トレー容器本体1同士がフランジ部4で向
かい合って密着して、包装容器50とする形態であっても良い。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
層構成を図4-1の構成とし、外層には紙基材として、坪量300g/m2の紙を準備した。この紙基材は、MD方向における破断伸びが5~14%、TD方向の破断伸びが3~12%の紙を使用した。
中間層のバリアフィルム層としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン(厚さ18μm)/エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物(厚さ12μm)/無水マレイン酸変性ポリエチレン(厚さ18μm)の共押し出しフィルムを準備した。
さらに、内層の防錆フィルム層として、大洋シーアイエス株式会社製(登録商標)ゼラストフィルムで、厚さ80μmの低密度ポリエチレンからなるフィルムを使用した。
上記積層シートを加熱した状態で、図4-2に示す二つの開口Φ72のフランジ付き、深さを12mmの円形の紙トレーを成形し、その二つの紙トレーを繋ぐヒンジ6を軸に180度回動して、それぞれのフランジ同士を重ね合わし、実施例1の紙トレー容器とした。
(実施例2)
内層用の、防錆フィルム層を、大洋シーアイエス株式会社製(登録商標)ゼラストフィルムで、厚さ80μmのポリプロピレンからなるフィルムを使用した。
その他は実施例1と同じとした。
(実施例3)
内層用の、防錆フィルム層を、大洋シーアイエス株式会社製(登録商標)ゼラストフィルムで、厚さ80μmのイージーピールシーラントからなるフィルムを使用した。
その他は実施例1と同じとした。
(比較例1)
内層用フィルムを、防錆剤含有ではない、一般的な厚さ80μmの低密度ポリエチレンからなるフィルムを使用した。
その他は実施例1と同じとした。
(比較例2)
内層用フィルムを、防錆剤含有ではない、一般的な厚さ80μmのポリプロピレンからなるフィルムを使用した。
その他は実施例1と同じとした。
(比較例3)
内層用フィルムを、防錆剤含有ではない、一般的な厚さ80μmのイージーピールシーラントからなるフィルムを使用した。
その他は実施例1と同じとした。
(比較例4)
外層の紙基材として、坪量300g/m2の紙を準備した。この紙基材は、MD方向における破断伸びが0.4%、TD方向の破断伸びが0.3%の伸びにくい紙を使用した。その他は実施例1と同じとした。
<評価方法>
各実施例と比較例の紙トレー容器を3個ずつ作成し、内部に鉄製の釘、ねじ、ナットを約5本ずつ入れ、フランジ同士を重ね合わし、実施例1、3、比較例1,3,4では120℃3秒間、実施例2、比較例2では135℃3秒間で加熱シールして密封した。
その状態で、40℃90%RHの条件で6か月間保存し、その後、開封して、内部の釘、ねじ、ナットの状態を確認、評価した。
上記評価について、評価物15個中一つでも錆びたり変色したりしていない場合を〇、2個以上変色したものを△、一つでも錆びたものを×、とした。
<紙トレー容器評価結果>
実施例1~3では、錆びたり、変色したりした製品はなく、〇であった。
しかし、比較例1、比較例2、比較例3では、湿気が浸透し、金属製品はほとんど錆びが発生した。
また、比較例4では、紙トレー容器を加熱した状態で成形した時、紙基材に、高い伸びができなかったので、フランジにシワが発生し、フランジ同士のシールが確実にできず、シワの部分から、容器外部の湿気が浸透し、錆が発生した。
従って、実施例1~3が錆び無しで〇、比較例1~4が錆び発生で×、となった。
上記結果を、表1に記した。
Figure 2023009499000002
本発明の紙トレー容器は、伸び易い紙を基材とし、防錆剤含有フィルムと組み合わせることによって、スプーン、フォーク、ドリルの刃、フライス盤の刃、金属製やすり、などの金属製品を収納しても、強度があるので裂けたりしないトレー容器が得られた。
しかも、紙によって表面強度が高いばかりか、伸び易い紙基材によって、収納しやすいように、深みのあるトレー容器に成形できるので、使い勝手の良い、収納しやすい紙トレー容器を得ることができた。
本発明の紙トレー容器は、単に加熱して押圧するプレス成形や、真空成形、真空圧空成形、などの一般的な成形装置で加工できるので、生産性も高く、汎用機械を使用できるので、安価に製造可能であるなど、本発明のメリットは大きい。
1・・・・・・・・紙トレー容器
10・・・・・・・積層シート
101・・・・・・バリアフィルム層
101b・・・・・主面(バリアフィルム層の主面)
102・・・・・・紙基材
102b・・・・・主面(紙基材の主面)
103・・・・・・防錆フィルム層(防錆剤を添着させた熱可塑性樹脂層)
11・・・・・・・胴部
12・・・・・・・腰部
2・・・・・・・・底部
3・・・・・・・・側壁部
3a・・・・・・・先端(側壁部先端)
4・・・・・・・・フランジ部
4a・・・・・・・フランジ部の表面
5・・・・・・・・蓋材
50・・・・・・・包装容器
6・・・・・・・・ヒンジ
OE・・・・・・・開口端
L・・・・・・・・最大長さ(開口端の最大長さ)
VP・・・・・・・仮想面
θ・・・・・・・・胴部と仮想面とがなす角度
R・・・・・・・・腰部の曲率半径
H・・・・・・・・距離(底部と側壁部先端とのZ方向距離)

Claims (2)

  1. 少なくとも、上面から、バリア層を含むバリアフィルム層、紙層、防錆フィルム層、を有する積層シートから形成され、
    該紙層は、坪量が80g/m2以上600g/m2以下の範囲であって、かつ、
    伸びが、流れ方向(MD方向)、垂直方向(TD方向)共に0.5~20%であって、
    また、破断強度が、流れ方向(MD方向)で50~500N/15mm、垂直方向(TD方向)で30~400N/15mmとし、
    該防錆フィルム層は、金属表面に接すると有機皮膜を形成する防錆薬剤を添着させたフィルムとし、
    上記積層シートを基材として、フランジを有するシート成形容器とした事を特徴とする紙トレー容器。
  2. 上記防錆フィルム層を、防錆薬剤としてケイ酸塩系、リン酸塩系、アミン酸化剤系などの有機系薬剤を使用し、該防錆剤が、シール可能な熱可塑性樹脂フィルム表面に添着したことを特徴とする請求項1に記載の紙トレー容器。
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