JP2023008057A - 画像形成装置および加熱制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー像と記録媒体との境界面に存在するトナーの定着性能差に起因する定着不良の発生を抑制することが可能な画像形成装置および加熱制御方法を提供する。【解決手段】画像形成装置は、定着性能が異なる複数のトナーを用いて記録媒体に形成されたトナー像を加熱して定着させる定着部と、トナー像を構成するトナーのうちトナー像と記録媒体との境界面に存在するトナーの定着性能に応じて、トナー像に対する加熱量を制御する制御部と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、画像形成装置および加熱制御方法に関する。
一般に、電子写真プロセス技術を利用した画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体に対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成された感光体(像担持体)へ現像装置よりトナーを供給することにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。さらに、感光体上のトナー像が中間転写体に順次重ねて一次転写された後、二次転写ニップを記録媒体(用紙)が通過する際、中間転写体上のトナー像が用紙に二次転写される。そして、トナー像が転写された用紙は定着装置に向けて搬送され、定着装置において加熱、加圧して定着させることにより用紙に画像を形成する。
また、近年の画像形成装置は、CMYK(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))のトナーである有色トナーの他、有色トナー以外のトナーである特色トナーを使用可能なものがある。特色トナーとしては、クリアトナー(透明トナー、無有色トナー、無彩有色トナー、ノーピグメントトナー)やホワイト(W)のトナーがある。クリアトナーは、カラー画像が形成された印刷物に対して、全面あるいは部分的に重ねて印刷され、光沢調整を行い、付加価値の高い印刷物を生成する。また、ホワイト(W)のトナーは、カラー画像の発色を良くして狙いの色を再現するために、特に当該カラー画像の下地画像として用いられる。
このような画像形成装置は、CMYKの有色トナーそれぞれを用いた有色トナー像を形成する4つの画像形成ユニットに加えて、特色トナーを用いた特色トナー像を形成する画像形成ユニットを1つ以上有している。
特許文献1には、温度30℃以上50℃以下の範囲で測定した低温側貯蔵弾性率が異なるトナーで構成される複数の層が重ねられたトナー画像を媒体に定着させる画像形成装置が記載されている。特許文献1に記載の技術では、低温側貯蔵弾性率が異なるトナーで構成される複数の層の重ね順に応じて定着温度を変更することによって定着不良が抑制されるようにしている。
特開2017-151323号公報
ところで、記録媒体に対するトナー像の定着性能は、当該トナー像を構成するトナーのうち、当該トナー像と記録媒体との境界面(用紙界面)に存在するトナーの定着性能が支配的である。そのため、記録媒体上において、下地画像として例えばホワイト(W)のトナーを使用した領域とホワイト(W)のトナーを使用していない領域との間では定着性能が異なる。よって、ホワイト(W)のトナー等、特色トナーを使用した印刷物においては、トナー像と記録媒体との境界面に存在するトナー(有色トナーおよび特色トナー)の定着性能差を考慮して加熱量を設定しなければ定着不良が発生してしまうという問題があった。
例えば、用紙界面にホワイト(W)のトナーが存在していない領域の定着性能を考慮して一律に加熱量を設定した場合、用紙界面にホワイト(W)のトナーが存在する領域において加熱量が過小となりアンダーオフセットが発生してしまう。ここで、アンダーオフセットとは、記録媒体が定着装置を通過する際に与えられた熱によるトナー画像層の溶融が不十分であるために記録媒体から剥離してしまう画像欠陥を生じる現象をいう。
一方、用紙界面にホワイト(W)のトナーが存在している領域の定着性能を考慮して一律に加熱量を設定した場合、用紙界面にホワイト(W)のトナーが存在していない領域において加熱量が過剰となりホットオフセットが発生してしまう。ここで、ホットオフセットとは、定着部材によりトナー層を加熱および加圧して記録媒体に定着させる際に、過剰に加熱・溶融されたトナーの凝集力が、トナーと定着部材との接着力を下回ることによってトナー画像層が分断され、トナーの一部が定着部材に付着して取り去られる現象をいう。
なお、上記特許文献1に記載の技術は、トナー像と記録媒体との境界面に存在するトナーの定着性能の違いに起因する定着不良の発生を抑制することを目的としておらず、上記問題を解決することができない。
本発明は、トナー像と記録媒体との境界面に存在するトナーの定着性能差に起因する定着不良の発生を抑制することが可能な画像形成装置および加熱制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係る画像形成装置は、
定着性能が異なる複数のトナーを用いて記録媒体に形成されたトナー像を加熱して定着させる定着部と、
前記トナー像を構成するトナーのうち前記トナー像と前記記録媒体との境界面に存在するトナーの定着性能に応じて、前記トナー像に対する加熱量を制御する制御部と、
を備える。
本発明に係る加熱制御方法は、
定着性能が異なる複数のトナーを用いて記録媒体に形成されたトナー像を加熱して定着させ、
前記トナー像を構成するトナーのうち前記トナー像と前記記録媒体との境界面に存在するトナーの定着性能に応じて、前記トナー像に対する加熱量を制御する。
本発明によれば、トナー像と記録媒体との境界面に存在するトナーの定着性能差に起因する定着不良の発生を抑制することができる。
本実施の形態における画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。 本実施の形態における画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。 本実施の形態におけるハロゲンヒーターの構成を示す図である。 トナー像と記録媒体との境界面に存在するトナーの例を示す図である。 トナー像と記録媒体との境界面に存在するトナーの例を示す図である。 複数の加熱対象領域毎にトナー像に対する加熱量を制御する例を説明する図である。 トナー像と用紙との境界面に存在するトナーの上層に形成されるトナーの量や定着性能に応じてトナー像に対する加熱量を制御する例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態における画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
図1、2に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたW(ホワイト)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)およびK(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写した後、用紙S(本発明の「記録媒体」に対応)に二次転写することにより、画像(トナー像)を形成する。
また、画像形成装置1には、WCMYKの5色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の移動方向に直列配置し、中間転写ベルト421に各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
本実施の形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色(有色、標準色とも言う)のトナーは、入力画像データ(入力画像情報)に基づくカラー画像(有色トナー像ともいう)を、中間転写ベルト421を介して用紙Sに形成するためのトナーとして使用される。一方、W(ホワイト)すなわち特色のトナーは、カラー画像の発色を良くして狙いの色を再現する観点から、用紙Sにおけるカラー画像の下に下地画像としての白色画像(以下、特色トナー像ともいう)を形成するためのトナーとして使用される。なお、特色のトナーは、W(ホワイト)のトナーでなく、クリアトナーでも良い。
図1、2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部100を備えている。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102およびRAM(Random Access Memory)103等を備えている。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103(揮発性メモリ)に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されているLUT(Look Up Table)等の各種データが参照される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)またはWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された入力画像データを受信し、この入力画像データに基づいて用紙に画像を形成する。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置(スキャナー)12等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿Dまたはコンタクトガラス上に載置された原稿Dを光学的に走査し、原稿Dからの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面及び各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキーおよびスタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備えている。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正およびシェーディング補正等の各種補正処理、並びに圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分およびK成分の各有色トナーによるカラー画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、W成分の白色トナーによる白色画像を形成するための画像形成ユニット41Wおよび中間転写ユニット42等を備えている。
Y成分、M成分、C成分、K成分およびW成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、41Wは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、KまたはWを添えて示す。図1では、W成分用の画像形成ユニット41Wの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備えている。
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)および電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層することで構成された、光導電性を有する感光体である。感光体ドラム413は、例えば負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させるストロコロン帯電器である。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。レーザー光の照射により感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されると、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。その結果、感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーとキャリアー(磁性体)とからなる二成分現像剤)を収容しており、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードおよび潤滑剤塗布装置416を有する。一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
潤滑剤塗布装置416は、感光体ドラム413の回転方向において、ドラムクリーニングブレードよりも下流側に位置しており、感光体ドラム413の表面に潤滑剤を塗布することによって供給する。潤滑剤塗布装置416は、複数の感光体ドラム413のそれぞれに対応して設けられ、固形潤滑剤416Aと、塗布ブラシローラー416Bと、バネ(図示せず)と、均しブレード416Cとを有する。
固形潤滑剤416Aは、直方体状に形成された潤滑剤であり、バネにより塗布ブラシローラー416Bに向けて押圧される。
塗布ブラシローラー416Bは、固形潤滑剤416Aと感光体ドラム413との間に回転可能に配置され、固形潤滑剤416Aと感光体ドラム413のそれぞれに接触している。塗布ブラシローラー416Bは、制御部100の制御の下、固形潤滑剤416Aから潤滑剤を掻き取り、掻き取った潤滑剤を感光体ドラム413との接触位置まで搬送して、感光体ドラム413に供給する。そのため、塗布ブラシローラー416Bの回転速度に応じて、潤滑剤の供給量(塗布量)が制御される。
均しブレード416Cは、ゴム状の均しブレードであり、感光体ドラム413の回転方向において、固形潤滑剤416Aおよび塗布ブラシローラー416Bよりも下流側に配置されている。均しブレード416Cは、感光体ドラム413上に供給された潤滑剤を、感光体ドラム413に押し付けるように構成されている。この均しブレード416Cに潤滑剤が押し付けられることで、感光体ドラム413上の潤滑剤量が均一化される。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
中間転写ベルト421は、制御部100からの制御信号によって回転駆動される。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、二次転写ニップを用紙Sが通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
定着部60は、用紙Sの定着面、すなわちトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面すなわち定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
定着ベルト61は、トナー像が形成された用紙Sに接触して、この用紙Sを定着可能温度(例えば、160~200℃)で加熱する。ここで、定着可能温度とは、用紙S上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度であり、画像形成される用紙Sの紙種、坪量によって異なる。
加熱ローラー62は、定着ベルト61ひいては定着ローラー63を加熱する加熱源としてハロゲンヒーター62Aを内蔵している。
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61を介して定着ローラー63を所定の定着荷重(例えば、2200N)で加圧する。このようにして、加圧ローラー64は、定着ベルト61を介して定着ローラー63との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
加圧ローラー64は、定着ニップを用紙Sが通過する場合(通紙時)、押圧手段(図示せず)により定着ベルト61を介して定着ローラー63に圧接する一方、定着ニップを用紙Sが通過しない場合(非通紙時)、定着ローラー63から離間する。加圧ローラー64の駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、回転数等)は、制御部100によって行われる。
本実施の形態では、図3に示すように、加熱ローラー62に内蔵されるハロゲンヒーター62Aは、ハロゲンヒーター62Aの軸方向(図3の左右方向)において3つの発熱領域(発熱領域A、発熱領域B、発熱領域C)に分割されている。制御部100は、ハロゲンヒーター62Aの各発熱領域の温度を検出するサーミスタ(温度検出部)の検出結果に基づいてハロゲンヒーター62Aの各発熱領域へ供給する電力を個別に制御することによって、各発熱領域の発熱量を個別に制御する。これにより、定着ニップにおいて用紙Sの搬送方向に直交する方向に分割して形成される3つの加熱領域110A~110C(図6を参照)が個別に加熱される。なお、ハロゲンヒーター62Aは、ハロゲンヒーター62Aの軸方向において2つ、または4つ以上の発熱領域に分割されても良い。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー53a等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー53aが配設されたレジスト部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されると共に搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sの一方の面に転写され、定着部60において定着工程が施される。定着工程によりトナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により画像形成装置1の外部に排紙される。
また、用紙搬送部50は、反転搬送経路54および非反転搬送経路55を備える。反転搬送経路54は、定着部60により画像(トナー像)が定着された用紙Sの表裏を反転して画像形成部40に搬送する搬送経路である。非反転搬送経路55は、定着部60により画像(トナー像)が定着された用紙Sの表裏を反転せずに画像形成部40に搬送する搬送経路である。
上述したように画像形成装置1においては、CMYKの有色トナーそれぞれを用いた有色トナー像を形成する4つの画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kに加えて、特色トナーを用いた特色トナー像を形成する1つの画像形成ユニット41Wを有している。
ところで、用紙Sに対するトナー像の定着性能は、当該トナー像を構成するトナーのうち、当該トナー像と用紙Sとの境界面(用紙界面)に存在するトナーの定着性能が支配的である。そのため、用紙S上において、下地画像として例えばホワイト(W)のトナーを使用した領域とホワイト(W)のトナーを使用していない領域との間では定着性能が異なる。よって、ホワイト(W)のトナー等、特色トナーを使用した印刷物においては、トナー像と記録媒体との境界面に存在するトナー(有色トナーおよび特色トナー)の定着性能差を考慮して加熱量を設定しなければ定着不良が発生してしまう。
例えば、用紙界面にホワイト(W)のトナーが存在していない領域の定着性能を考慮して一律に加熱量を設定した場合、用紙界面にホワイト(W)のトナーが存在する領域において加熱量が過小となりアンダーオフセットが発生してしまう。ここで、アンダーオフセットとは、用紙Sが定着部60における定着ニップを通過する際に与えられた熱によるトナー画像層の溶融が不十分であるために用紙Sから剥離してしまう画像欠陥を生じる現象をいう。
一方、用紙界面にホワイト(W)のトナーが存在している領域の定着性能を考慮して一律に加熱量を設定した場合、用紙界面にホワイト(W)のトナーが存在していない領域において加熱量が過剰となりホットオフセットが発生してしまう。ここで、ホットオフセットとは、定着ベルト61(定着部材)によりトナー層を加熱および加圧して用紙Sに定着させる際に、過剰に加熱・溶融されたトナーの凝集力が、トナーと定着部材との接着力を下回ることによってトナー画像層が分断され、トナーの一部が定着部材に付着して取り去られる現象をいう。
そこで本実施の形態では、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの定着性能差に起因する定着不良の発生を抑制することを目的として、制御部100は、定着性能が異なる複数のトナーを用いて用紙Sに形成されたトナー像を定着部60により加熱して定着させる際、当該トナー像を構成するトナーのうち当該トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの定着性能に応じて、当該トナー像に対する加熱量を制御する。具体的には、制御部100は、用紙Sに形成されるトナー像に対応する印刷ジョブ情報に基づいて境界面に存在するトナーの種類を取得し、当該種類に対応する定着性能に応じて、トナー像に対する加熱温度(加熱量)を制御する。
トナーの定着性能は、例えばトナーの樹脂分子量、含有ワックス量または粘弾性等の違いに起因する。トナーの樹脂分子量(樹脂特性)や含有ワックス量が異なると、トナーの溶融性ひいては定着性能が異なるからである。また、トナーの粘弾性や表面張力が異なると、用紙Sへの溶融トナーの濡れ広がり方や用紙Sの繊維内への溶融トナーの浸透性ひいては定着性能が異なるからである。
本実施の形態では、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの樹脂分子量が多い場合、トナーの樹脂分子量が多くない場合と比べて定着可能温度が高いため、当該トナー像に対する加熱温度を高くする。また、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの含有ワックス量が多い場合、トナーの含有ワックス量が多くない場合と比べて定着可能温度が高いため、当該トナー像に対する加熱温度を高くする。また、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの粘弾性が大きい場合、トナーの粘弾性が大きくない場合と比べて定着可能温度が高いため、当該トナー像に対する加熱温度を高くする。また、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの表面張力が大きい場合、トナーの表面張力が大きくない場合と比べて定着可能温度が高いため、当該トナー像に対する加熱温度を高くする。
また、トナーの定着性能は、トナーの製造方法(粉砕または重合)の違いに起因する。トナーの製造方法が粉砕である場合、トナーの製造方法が重合である場合と比べて、トナーの粒径分布が悪く、トナーの表面にワックスが出てしまっていることもあり、定着可能温度は高い。そのため、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの製造方法が粉砕である場合、トナーの製造方法が重合である場合と比べて、当該トナー像に対する加熱温度を高くする。
図4は、トナー像と用紙Sとの境界面80に存在するトナーの例を示す図である。図4Aに示すように、トナー像と用紙Sとの境界面80には、当該トナー像を構成し、特色トナーより定着性能が高い有色トナー82が存在している。有色トナー82の定着性能に基づく適正な加熱温度(定着可能温度、以下同じ)は、特色トナーの定着性能に基づく適正な加熱温度より低く、例えば180±10℃である。この場合、制御部100は、境界面80に存在する有色トナー82の定着性能に基づく適正な加熱温度に応じて、トナー像に対する加熱温度を制御する。
また、図4Bに示すように、トナー像と用紙Sとの境界面80には、当該トナー像を構成し、有色トナーより定着性能が低い特色トナー84が存在している。特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度は、有色トナーの定着性能に基づく適正な加熱温度より高く、例えば200±10℃である。この場合、制御部100は、境界面80に存在する特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度に応じて、トナー像に対する加熱温度を制御する。
また、図4Cに示すように、トナー像と用紙Sとの境界面80には、有色トナー82が存在し、有色トナー82の上層には特色トナー84が形成されている。また、図4Dに示すように、トナー像と用紙Sとの境界面80には、特色トナー84が存在し、特色トナー84の上層には有色トナー82が形成されている。このようにトナー像を構成するトナーの量が同じであっても、制御部100は、境界面80に存在するトナーの定着性能に基づく適正な加熱温度に応じて、トナー像に対する加熱温度を制御する。つまり、制御部100は、境界面80に存在するトナーが有色トナー82である場合(図4Cを参照)、境界面80に存在するトナーが特色トナー84である場合(図4Dを参照)よりも、トナー像に対する加熱温度を低くする。
制御部100は、定着部60における定着温度を制御することによってトナー像に対する加熱温度(加熱量)を制御する。または、制御部100は、定着部60における定着ニップ時間を制御することによってトナー像に対する加熱温度を制御する。具体的には、制御部100は、定着ニップを用紙Sが通過する場合(通紙時)、定着ベルト61を介した定着ローラー63に対する加圧ローラー64の圧接量を制御することによって定着ニップ時間を制御する。
図5は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在する複数のトナーの例を示す図である。図5Aに示すように、トナー像と用紙Sとの境界面には、当該トナー像を構成する有色トナー82および特色トナー84が存在している。この場合、制御部100は、境界面に存在する有色トナー82および特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度を平均して得られた加熱温度(加熱量)に応じて、トナー像に対する加熱温度を制御する。具体的には、制御部100は、有色トナー82の定着性能に基づく適正な加熱温度(例えば180℃)と、特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度(例えば200℃)とを平均して得られた例えば190℃を加熱温度として設定することで、有色トナー82および特色トナー84から構成されるトナー像を加熱する制御を行う。このようにトナー像の加熱温度を190℃に設定することで、有色トナー82の定着性能に基づく適正な加熱温度の範囲(180±10℃)と、特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度の範囲(200±10℃)の両方を満たし、定着不良の発生を抑制することができる。
図5Bに示すように、トナー像と用紙Sとの境界面には、当該トナー像を構成する3つの有色トナー82と2つの特色トナー84とが存在している。この場合、制御部100は、境界面に存在する有色トナー82および特色トナー84の面積比率に応じて、トナー像に対する加熱温度を制御する。この場合、制御部100は、境界面に存在する有色トナー82および特色トナー84の面積比率が3:2であるため、有色トナー82および特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度を以下の式(1)により算出し、算出した加熱温度(188℃)に応じて、トナー像に対する加熱温度を制御する。
加熱温度=180(有色トナー82の定着性能に基づく適正な加熱温度)×3/5+200(特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度)×2/5・・・(1)
なお、トナー像と用紙Sとの境界面に存在している各種トナーの面積比率に関して、画像処理部30は、用紙S上の主走査方向位置と副走査方向位置とがなす位置座標(X,Y)上において、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの形成態様を求める。まず、画像処理部30は、各位置座標上において境界面に存在するトナーが有色トナーか特色トナーかについて判断する。次に、画像処理部30は、各位置座標上において境界面に存在する有色トナーの合計量と、各位置座標上において境界面に存在する特色トナーの合計量とを求めることによって、トナー像と用紙Sとの境界面に存在している有色トナー82および特色トナー84の面積比率を求めることができる。
図6は、用紙S上において定着部60により加熱される対象の領域を複数の加熱対象領域に分割し、複数の加熱対象領域毎に、トナー像に対する加熱温度を制御する例を説明する図である。
図6Aは、用紙S上において定着部60により加熱される対象の領域を主走査方向(X方向)で3つ、かつ、副走査方向で6つの加熱対象領域に分割した例を示している。加熱対象領域の各々において、トナー像と用紙Sとの境界面には、当該トナー像を構成する有色トナー82や特色トナー84が存在している。
図5Aを参照して説明したように、トナー像と用紙Sとの境界面に有色トナー82のみが存在している加熱対象領域では、有色トナー82の定着性能に基づく適正な加熱温度は、180℃である。また、トナー像と用紙Sとの境界面に有色トナー82および特色トナー84が同じ面積比率で存在している加熱対象領域では、有色トナー82および特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度は、190℃である。また、トナー像と用紙Sとの境界面に特色トナー84のみが存在している加熱対象領域では、特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度は、200℃である。
本実施の形態では、定着ニップにおいて用紙Sの搬送方向に直交する方向(図6中の上下方向)に分割して形成される3つの加熱領域110A~110Cが個別に加熱される。そのため、制御部100は、用紙S上において定着部60により加熱される対象の領域を加熱領域110A~110C単位で平均をとり、主走査方向(X方向)で3つ、かつ、副走査方向で3つの加熱対象領域に分割する。そして、制御部100は、分割した加熱対象領域毎に、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの定着性能に応じて、トナー像に対する加熱温度を制御する。
図6Bに示すように、トナー像と用紙Sとの境界面に有色トナー82および特色トナー84が異なる面積比率(3:1)で存在している加熱対象領域では、有色トナー82および特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度は、185℃である。また、トナー像と用紙Sとの境界面に有色トナー82および特色トナー84が同じ面積比率(2:2)で存在している加熱対象領域では、有色トナー82および特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度は、190℃である。また、トナー像と用紙Sとの境界面に特色トナー84のみが存在している加熱対象領域では、特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度は、200℃である。
図6Bに示す例は、加熱領域110A~110Cの加熱温度を主走査方向(X方向)で瞬時に変更することができる場合、すなわち主走査方向(X方向)で分割された加熱対象領域毎に、境界面に存在するトナーの定着性能に応じてトナー像に対する加熱温度を変更可能な構成に適用される。
一方、図6Cに示す例は、加熱領域110A~110Cの加熱温度を主走査方向(X方向)で瞬時に変更することができない場合、すなわち主走査方向(X方向)で分割された加熱対象領域毎に、境界面に存在するトナーの定着性能に応じてトナー像に対する加熱温度を変更不可能な構成に適用される。
図6Cに示すように、制御部100は、用紙S上において定着部60により加熱される対象の領域を加熱領域110A~110C単位で平均をとり、副走査方向(Y方向)で3つの加熱対象領域に分割する。そして、制御部100は、分割した加熱対象領域毎に、境界面に存在するトナーの定着性能に応じて、トナー像に対する加熱量を制御する。
図6Cに示すように、トナー像と用紙Sとの境界面に有色トナー82および特色トナー84が面積比率(9:3)で存在している加熱対象領域(加熱領域110Cにより加熱される領域)では、有色トナー82および特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度は、185℃である。また、トナー像と用紙Sとの境界面に有色トナー82および特色トナー84が面積比率(7:5)で存在している加熱対象領域(加熱領域110Bにより加熱される領域)では、有色トナー82および特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度は、188℃である。また、トナー像と用紙Sとの境界面に有色トナー82および特色トナー84が面積比率(5:7)で存在している加熱対象領域(加熱領域110Aにより加熱される領域)では、有色トナー82および特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度は、191℃である。
図7は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの上層に形成されるトナーの量や定着性能に応じてトナー像に対する加熱温度を制御する例を示す図である。
図7Aに示すように、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナー(有色トナー82)の上層に形成されるトナーの量の増大に応じてトナー像に対する加熱温度を高くする。具体的には、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在する有色トナー82の定着性能に基づく適正な加熱温度(180℃)に応じて、トナー像に対する加熱温度を制御する。また、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在する有色トナー82の上層に形成されるトナー(有色トナー82)の量の増大に応じて、2つの有色トナー82の定着性能に基づく適正な加熱温度(185℃)を設定して、トナー像に対する加熱温度を制御する。また、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在する有色トナー82の上層に形成されるトナー(有色トナー82および特色トナー84)の量の増大に応じて、2つの有色トナー82および1つの特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度(195℃)を設定して、トナー像に対する加熱温度を制御する。
また、図7Bに示すように、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在する特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度(200℃)に応じて、トナー像に対する加熱温度を制御する。また、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在する特色トナー84の上層に形成されるトナー(有色トナー82)の量の増大に応じて、有色トナー82および特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度(205℃)を設定して、トナー像に対する加熱温度を制御する。また、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在する特色トナー84の上層に形成されるトナー(有色トナー82および特色トナー84)の量の増大に応じて、1つの有色トナー82および2つの特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度(215℃)を設定して、トナー像に対する加熱温度を制御する。
また、図7Cに示すように、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在する特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度(200℃)に応じて、トナー像に対する加熱温度を制御する。また、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在する特色トナー84の上層に形成されるトナー(特色トナー84)の量の増大に応じて、2つの特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度(210℃)を設定して、トナー像に対する加熱温度を制御する。また、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在する特色トナー84の上層に形成されるトナー(2つの特色トナー84)の量の増大に応じて、3つの特色トナー84の定着性能に基づく適正な加熱温度(220℃)を設定して、トナー像に対する加熱温度を制御する。
以上のように、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの上層に形成されるトナーの量が増大するたびに加熱温度を高く設定して、トナー像に対する加熱温度を制御する。また、制御部100は、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの上層に形成されるトナーが特色トナー84である場合、当該境界面に存在するトナーの上層に形成されるトナーが有色トナー82である場合と比べて、加熱温度を高く設定して、トナー像に対する加熱温度を制御する。
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、画像形成装置1は、定着性能が異なる複数のトナーを用いて用紙S(記録媒体)に形成されたトナー像を加熱して定着させる定着部60と、トナー像を構成するトナーのうちトナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの定着性能に応じて、トナー像に対する加熱量を制御する制御部100とを備える。
このように構成した本実施の形態によれば、トナー像と用紙Sとの境界面に存在するトナーの定着性能差を考慮してトナー像に対する加熱温度が適正な加熱温度(定着可能温度)に制御されるため、当該境界面に存在するトナーの定着性能差に起因する定着不良の発生を抑制することができる。また、トナー像に対する加熱温度が適正な加熱温度に制御されるため、定着ニップにおける熱ダメージによる用紙Sの変形やハロゲンヒーター62Aの消費電力の増加という問題の発生も抑制することができる。
なお、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
1 画像形成装置
10 画像読取部
20 操作表示部
21 表示部
22 操作部
30 画像処理部
40 画像形成部
50 用紙搬送部
60 定着部
62A ハロゲンヒーター
71 通信部
72 記憶部
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
413 感光体ドラム
421 中間転写ベルト
S 記録媒体

Claims (13)

  1. 定着性能が異なる複数のトナーを用いて記録媒体に形成されたトナー像を加熱して定着させる定着部と、
    前記トナー像を構成するトナーのうち前記トナー像と前記記録媒体との境界面に存在するトナーの定着性能に応じて、前記トナー像に対する加熱量を制御する制御部と、
    を備える画像形成装置。
  2. 前記制御部は、前記境界面に存在するトナーの定着性能に基づく適正な加熱量に応じて、前記トナー像に対する加熱量を制御する、
    請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御部は、前記境界面に存在する複数のトナーの定着性能に基づく適正な加熱量を平均して得られた加熱量に応じて、前記トナー像に対する加熱量を制御する、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御部は、前記境界面に存在する複数のトナーの面積比率に応じて、前記トナー像に対する加熱量を制御する、
    請求項1~3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御部は、前記記録媒体上において前記定着部により加熱される対象の領域を複数の加熱対象領域に分割し、前記複数の加熱対象領域毎に、前記境界面に存在するトナーの定着性能に応じて、前記トナー像に対する加熱量を制御する、
    請求項1~4の何れか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記制御部は、前記境界面に存在するトナーの上層に形成されるトナーの量に応じて、前記トナー像に対する加熱量を制御する、
    請求項1~5の何れか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記制御部は、前記境界面に存在するトナーの上層に形成されるトナーの定着性能に応じて、前記トナー像に対する加熱量を制御する、
    請求項1~6の何れか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記制御部は、前記定着部における定着温度を制御することによって前記トナー像に対する加熱量を制御する、
    請求項1~7の何れか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記制御部は、前記定着部における定着ニップ時間を制御することによって前記トナー像に対する加熱量を制御する、
    請求項1~8の何れか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記定着性能は、トナーの樹脂分子量、含有ワックス量、粘弾性または表面張力に起因する、
    請求項1~9の何れか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記定着性能は、トナーの製造方法に起因する、
    請求項1~10の何れか1項に記載の画像形成装置。
  12. 前記制御部は、前記記録媒体に形成される前記トナー像に対応する印刷ジョブ情報に基づいて前記境界面に存在するトナーの種類を取得し、当該種類に対応する定着性能に応じて、前記トナー像に対する加熱量を制御する、
    請求項1~11の何れか1項に記載の画像形成装置。
  13. 定着性能が異なる複数のトナーを用いて記録媒体に形成されたトナー像を加熱して定着させ、
    前記トナー像を構成するトナーのうち前記トナー像と前記記録媒体との境界面に存在するトナーの定着性能に応じて、前記トナー像に対する加熱量を制御する、
    加熱制御方法。
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