発明の実施形態に係るふっ素樹脂構造体の製造方法は、チューブ状または紐状の第1押出成形品を得ることと、第1押出成形品に対し長手方向へ3.0倍以下の第1一軸延伸を行なって内部前駆体を得ることと、チューブ形状を有する第2押出成形品を得ることと、第2押出成形品のチューブ形状の中空部内に内部前駆体が設置されている状態で第2押出成形品に対し長手方向への第2一軸延伸を行って複合前駆体を得ることと、複合前駆体に対する焼成を行うことと、を含む。第1押出成形品は、ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを含む第1混和物を押出成形して得られる。第2押出成形品は、ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを含む第2混和物を押出成形して得られる。
上記製造方法によれば、非多孔質である内側部位と、該内側部位の外側に位置し多孔質である外側部位とを含むふっ素樹脂構造体を得ることができる。内側部位および外側部位の何れもポリテトラフルオロエチレン樹脂を含む。ふっ素樹脂構造体は、内側部位としてチューブ形状の内層と、外側部位としてチューブ形状の外層とを含む複層チューブであり得る。或いは、ふっ素樹脂構造体は、内側部位として紐またはロッドの形状を有する芯と、外側部位としてチューブ形状の外層とを含む複合構造コードであり得る。何れの形態についても外側部位(外層)は、内側部位(内層または芯)に対する袖であるといえる。
気密性や液漏れ防止のための非多孔質の充実構造の内層と、可撓性や屈曲性を付与するための多孔質の外層とを含んだ複層チューブでは、複数の異なる層が径方向に隣接して配置されている。層間の密着力が不十分であると、層間で剥離が生じて性能が損なわれる場合がある。チューブ状の内層の代わりに充実構造の芯を含んだ構造体についても同様に、芯と外層との密着力が不十分であると、剥離によって性能が損なわれ得る。
また、内層および外層の一方または両方の厚み(径方向の厚み)が少ないと、構造体の屈曲時に薄い層の破れが生じ得る。
上記製造方法によって得られるふっ素樹脂構造体は、可撓性に優れるとともに屈曲時の内側部位と外側部位との剥離が抑制されている。また、内側部位および外側部位ともに押出成形により形成されるため任意の寸法(例えば、層の厚さ)に設定することができ、破れやすい薄い層を避けることができる。即ち、優れた可撓性により自由な配策が可能であるうえに寸法設計を任意に選択でき、且つ、耐久性が高いため、様々な用途に好適に適用できる。
ふっ素樹脂構造体の複層チューブとしての態様は、ふっ素樹脂の充実単層チューブと比較して優れた可撓性を有し、多孔質単層チューブと比較して側壁の通気性が抑えられている。その用途としては、例えば、内視鏡やカテーテル等といった医療用器具の部材や様々な流体の流路としての管路等が挙げられる。
ふっ素樹脂構造体の複合構造コードとしての態様では、屈曲時に芯および外層(内側部位および外側部位)の間で皺がよらず剥離が生じない。その用途としては、例えば、誘電体導波管を挙げることができる。複合構造コードの芯および外層は、それぞれ可撓性導波管のコアとクラッドであり得る。
PTFEファインパウダーとして、PTFE成形品の押出成形に汎用されている材料を用いることができる。ファインパウダーとは、乳化重合で得られた水性分散液を凝析・乾燥して得られるものである。ファインパウダーは、例えば、重合により生成した1次粒子が凝集して粒径400μmから500μm程度の2次粒子となったものを主体とし得る。上記範囲は2次粒子径の典型例であり、200μm以下や800μm以上の2次粒子径のファインパウダーを用いることもできる。
PTFEファインパウダーは、充填剤や添加剤等を含まない、PTFEのみの粉末であり得る。即ち、PTFEファインパウダーは、PTFEから成る、バージンPTFEパウダーであり得る。又は、PTFEファインパウダーは、添加剤を含むものであってもよい。例えば、医療用の複層チューブの材料としてのPTFEファインパウダーに、硫酸バリウムやビスマスなどの造影剤を添加することができる。
内側部位の中間成形物を押出成形するための第1混和物に用いるPTFEファインパウダーとして、単一モノマーからなるホモポリマーであるPTFE粉末を用いてもよいし、異なるモノマーを共重合させたコポリマーであるPTFE粉末を用いてもよい。コポリマーの例として、変性子を含むことで加熱により膨張する材料を挙げることができる。例えば、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)系の側鎖を含んだ変性タイプPTFEを用いることができる。
外側部位の中間成形物を押出成形するための第2混和物に用いるPTFEファインパウダーとしては、多孔質化しやすいという観点から高分子のPTFEを好適に用いることができる。これは、高分子量のポリマーは強度が高いため、多孔質化のために延伸(第2一軸延伸)する際に破断しにくいためである。第2混和物用のPTFEファインパウダーの材料としての適性の良さは、次のとおりであって、高分子量ホモポリマーが最も適している:変性ポリマー < 低分子量ホモポリマー < 中分子量ホモポリマー < 高分子量ホモポリマー。なお、分子量が低い材料ほど多孔質化が容易であるものの、強度も低くなるため破断しやすいので、延伸時に注意する。
例えば、PTFEファインパウダーに潤滑剤等の押出助剤を混合することで、ペースト状の混和物(第1混和物、又は第2混和物)を得ることができる。PTFEファインパウダーを含んだ混和物をチューブ状に押出成形することで、チューブ形状の押出成形品を得ることができる。混和物を紐状またはロッド状に押出成形することで、紐またはロッドの形状を有する押出成形品を得ることができる。
第1混和物を用いた押出成形により得られる第1押出成形品は、製造されるふっ素樹脂構造体の形状やその用途に応じてチューブ形状、紐形状、又はロッド形状を取る。なお、ふっ素樹脂構造体およびそこに含まれる部材は可撓性を有するため、ここでいう“紐”及び“ロッド”の形状とは同義のものである。例えば、複層チューブを製造する場合は、単層チューブの形状を有する第1押出成形品を形成する。又は、例えば、複合構造コードを製造する場合は、ロッド形状の第1押出成形品を形成する。
第2混和物を用いた押出成形により得られる第2押出成形品は、チューブ形状を取る。例えば、単層チューブの形状を有する第2押出成形品を形成する。
押出助剤としては、例えば、汎用されているソルベントナフサ(例えば、登録商標:ISOPAR E、エクソン化学社製)、ホワイトオイル、炭素数6乃至12の流動パラフィン(例えば、登録商標:カクタスノルマルパラフィンN-10、(株)ジャパンエナジー製)、非結晶性のふっ素重合体を含んだふっ素系溶剤等を挙げることができる。
第1混和物および第2混和物の組成は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
PTFEファインパウダーと押出助剤とを混合して得られる混和物(第1混和物、又は第2混和物)は、押出成形に供する前に熟成してもよい。また、熟成させた混和物を圧縮して、予備成形品(ビレット)を造ってもよい。圧縮することにより、PTFEファインパウダーにおける空気を除き、押出成形品の均一性を向上させることができる。予備成形品の形状は特に限定されないが、例えば、円筒形状または円柱形状であり得る。混和物からなる予備成形品を押出機に入れ、押出成形を行う。
第1混和物を用いた第1の押出成形により、例えば、肉厚が0.32mm以上3mm以下であるチューブ形状を有する第1押出成形品を得る。又は、第1の押出成形により、例えば、直径が0.32mm以上9mm以下である紐形状を有する第1押出成形品を得る。チューブ形状の第1押出成形品は、例えば、1mm以上20mm以下の内径を有し得る。チューブ形状の第1押出成形品は、好ましくは2mm以上5mm以下の内径を有し、さらに好ましくは2.5mm以上4.5mm以下の内径を有する。チューブ形状の第1押出成形品は、例えば、3mm以上9mm以下の外径を有し得る。また、第1押出成形品は、複数の内径を有するマルチルーメン形状でも良い。
第2混和物を用いた第2の押出成形により、例えば、肉厚が0.5mm以上15mm以下であるチューブ形状を有する第2押出成形品を得る。第2押出成形品は、例えば、2mm以上9mm未満の内径を有し得る。
押出成形の際、加熱を行ってもよい。例えば、押出成形機の金型(例えば、ダイ又はダイス)の温度を30℃以上120℃以下に設定することで、加熱しながら押出成形を行ってもよい。金型を40℃以上80℃以下に加熱することが好ましい。
一軸延伸(第1一軸延伸、又は第2一軸延伸)に先駆けて、押出成形品(第1押出成形品、又は第2押出成形品)を乾燥、焼成させることが好ましい。また、乾燥、焼成を行いながら一軸延伸を実施してもよい。典型的な押出助剤は100℃~300℃程度で揮発する。又は、延伸時には押出成形品を乾燥させずに、焼成前に乾燥を行ってもよい。乾燥温度から焼成温度まで昇温することにより、乾燥と焼成を連続的に行ってもよい。
第2押出成形品については、第1押出成形品に対し後述する第1一軸延伸を行って得られる内部前駆体を、芯線として用いることもできる。内部前駆体を芯線として押出成形を行うことで、内部前駆体を第2押出成形品で直接被覆することができる。
乾燥、焼成を行ってから延伸を行う場合、第1押出成形品に対し、長手方向へ3.0倍以下の第1一軸延伸を行なうことで、内部前駆体が得られる。3.0倍以下の長さまでの弱延伸に留めることで、PTFE樹脂の多孔質化を避け、充実構造を維持することができる。延伸、乾燥、焼成を同じ工程で行う場合は、第1一軸延伸を長手方向1.5倍以下に留めるよう留意する。第1一軸延伸は、延伸によって得られる内部前駆体の長さが延伸前の第1押出成形品の長さの1.1倍以上になるように行うことが望ましい。1.1倍以上の延伸を行うと、後段の焼成により内部前駆体が内側部位に変化する際にその外径が径方向に膨張する。内部前駆体の膨張により形成される内側部位は、その外径表面での外側部位との密着力が高まった状態になる。つまり内部前駆体の膨張は、内側部位と外側部位との間の剥離の低減につながる。
第2押出成形品のチューブ形状の中空部内に内部前駆体が設置されている状態で、第2押出成形品に対し長手方向への第2一軸延伸を行って複合前駆体を得る。内部前駆体は、例えば、別途の押出成形によって得られた第2押出成形品のチューブ内に挿入することで、第2押出成形品の中空部内に設置することができる。或いは、上述したように内部前駆体を芯線に用いた第2の押出成形により第2押出成形品を内部前駆体の外径表面上に直接形成することで、内部前駆体が第2押出成形品のチューブ形状の中に設置された状態を得てもよい。
第2一軸延伸は第2押出成形品のチューブ内に内部前駆体が入っている状態で行うものの、第2一軸延伸では第2押出成形品のみ延伸し、内部前駆体は延伸しない。例えば、第2押出成形品の長手方向の両端をつかみ、反対方向に引っ張ることで第2押出成形品のみ延伸する。第2一軸延伸により第2押出成形品を多孔質化し、外部前駆体を得る。こうして内部前駆体とその外径に隣接して重なる外部前駆体とを含む複合前駆体が得られる。
第2一軸延伸は、第2押出成形品が多孔質化するとともに、得られる外部前駆体の内径が内部前駆体の外径未満になる条件で行う。ここでいう“内部前駆体の外径未満の内径になる条件”とは、チューブ内に内部前駆体を含んでいない状態を仮定して第2押出成形品を単体で延伸した場合に、延伸後の内径が内部前駆体の外径未満となる条件と同等の延伸条件を指す。例えば、1.9倍以上10倍以下の延伸により外側部位として高気孔率の多孔質層を得ることができる。延伸後の内径については、延伸倍率に加え、延伸前の第2押出成形品の内径を調整することにより制御することができる。
第2一軸延伸の際に内部前駆体は延伸されず第2押出成形品の延伸に追随しないため、複合前駆体には、外部前駆体と内部前駆体とが重なってなく外部前駆体だけが余っている部分を含み得る。このような余剰な外部前駆体は、焼成前に切り落としてもよい。或いは、焼成後に残り得る余剰の外側部位を切り落としてもよい。
第1一軸延伸および第2一軸延伸の何れについても、加熱環境下で行ってもよい。例えば、50℃以上450℃以下の温度で第1一軸延伸を行う。また、例えば、50℃以上340℃以下の温度で第2一軸延伸を行う。
第1押出成形品に対する第1一軸延伸を行った後、得られた内部前駆体を第2押出成形品のチューブ形状の中空部内に設置する前に、内部前駆体を焼成してもよい。このように予め内部前駆体の予備焼成をすることで、ハンドリング性が良くなる。焼成は、例えば、PTFEの融点340℃以上の温度で行うことができる。或いは、融点未満の温度で半焼成を実施してもよい。具体例として、340℃以上450℃以下の焼成を挙げることができる。
示差走査熱量計(DSC)を用いて熱分析を行うことで、PTFE成形品の焼成度合いを確認することができる。焼成PTFEを測定して得られるDSC曲線には、327℃付近に融点に帰属されるピークが観測され得る。未焼成PTFEについてのDSC曲線では、融点のピークが340℃付近に現れる。半焼成PTFEについてのDSC曲線では、327℃付近および340℃付近の両方に融点のピークが現れ得る。或いは、半焼成PTFEのDSC曲線は、327℃~340℃にかけて大きくブロードな波形を示し得る。
第2一軸延伸の後、複合前駆体に対する焼成を行うことによって、非多孔質な内側部位とその外側に設けられた多孔質な外側部位とを含むふっ素樹脂構造体が得られる。この本焼成により、外部前駆体および内部前駆体の両方が共に焼成され、一体化する。
焼成の際に、外部前駆体の内径表面が内部前駆体に押し付けられた状態になっているとともに、上述したとおり内部前駆体が膨張する。つまり外部前駆体と内部前駆体とが接する界面にて両側から界面へ向かって応力がかかっている状態で焼成が進行する。この状態における焼成により内部前駆体と外部前駆体とが溶融するため、高度に密着して一体化した内側部位と外側部位とを含むふっ素樹脂構造体が得られる。内側部位と外側部位との間の結合力は高く、剥離が生じにくい。
本焼成は、PTFEの融点以上の温度で行う。PTFEの融点以上の温度で焼成することで、内部前駆体がゲル化し、膨張する。例えば、340℃以上450℃以下の温度で本焼成を行う。また、本焼成は3分以上行うことが望ましい。
ふっ素樹脂構造体の製造方法の具体例を、図面を参照しながら説明する。図1は、押出成形の一例を概略的に示す断面図である。具体的には、図1は、内側部位の中間成形物である第1押出成形品および/又は内部前駆体の製造の一例を示す。図2は、第2押出成形品に対する第2一軸延伸の一例を概略的に示す断面図である。
押出成形機50が備える押出金型51にPTFEファインパウダーを含む第1混和物20が充填される。第1混和物20は、PTFEファインパウダーと押出助剤等の他の材料との混合物である。第1混和物20は、例えば、PTFEファインパウダーを含んだペーストであり得る。或いは、第1混和物20は、PTFEファインパウダーを含んだ圧縮成型体(ビレット)であり得る。
押出金型51の内部に、マンドレル55が挿入されている。
押出用ラム53が吐出口52へ向かって動かされることにより、第1混和物20が圧縮されながら吐出口52から押し出される。こうして、チューブ状の第1押出成形品21が得られる。
例えば、押出金型51内のマンドレル55の先端にコアピンを設置し、コアピンの径によりチューブ内径を制御できる。押出金型51の吐出口52の口径を調整することで、第1押出成形品21の外径を制御できる。また、外径を制御するために、例えば、適切な寸法のサイジングダイスを用いてもよい。コアピン径及び吐出口52の口径(又はダイス寸法)の調整により、第1押出成形品21の肉厚を制御できる。
第1押出成形品21は、乾燥炉61に供給されて、そこで乾燥される。図示する例では、押出成形と乾燥が連続して行われる設定になっているが、この限りではない。例えば、乾燥炉61で乾燥と焼成を同一工程で行ったり、得られる第1押出成形品21をバッチで乾燥に供したりしてもよい。また、乾燥や焼成を省略してもよい。
押出成形機50の下流側に配したテンションプーリ91及びガイドローラー92により第1押出成形品21に張力を加え、たるみを防止することが望ましい。また、押出成形機50及び乾燥炉61の下流側にてテンションプーリ91及びガイドローラー92による第1押出成形品21に対する張力を適切に制御することで、同一の製造ライン上で押出成形および乾燥の後に連続して第1一軸延伸を行うことができる。例えば、第1押出成形品21に対する第1一軸延伸により得られた内部前駆体22は、巻取りロール93に巻き取られ得る。或いは、第1押出成形品21に対する第1一軸延伸をバッチで行ってもよい。
外側部位の中間成形物である第2押出成形品は、一例では、第1押出成形品についての第1の押出成形と類似する第2の押出成形を行うことで得ることができる。第1混和物20の代わりに第2混和物を用い、コアピン径や吐出口52(又はダイス寸法)を製造する外側部位の寸法に応じて適宜調整する。但し、第2押出成形品については、この時点では延伸処理を行わない。それ以外は、第2の押出成形の詳細は第1の押出成形のそれと同様であるため、図示を省略する。
図2に、第2一軸延伸の一例を概略的に示す。チューブ状の第2押出成形品31の中に内部前駆体22が含まれている状態で、第2一軸延伸を行う。例えば、上記第1一軸延伸を行って得られた内部前駆体22を、上記第2の押出成形で得られた第2押出成形品31の中空部に挿入する。或いは、図3を用いて後述する例のように内部前駆体22の外径上に第2押出成形品31を直接被覆してもよい。また、図示する例ではチューブ状の内部前駆体22を用いているが、紐やロッドの形状を有する内部前駆体を代わりに用いてもよい。
内部前駆体22及び第2押出成形品31の長手方向に沿って、第2押出成形品31のみに対し一軸延伸を行う。例えば、第2押出成形品31の長手方向に沿う第1方向100の両端部分をチャック70で把持し、第1方向100に沿って引っ張る。なお、第1方向100は、第2押出成形品31が有するチューブ形状を円筒形に見立てた場合の円筒軸に対応し得る。つまり第1方向100は、第2押出成形品31の円形断面と直交する方向に対応し得る。
図示するチャック70は、チャックフレーム71と、スクリューシャフト73と、スクリューシャフト73を介してチャックフレーム71と接続されているアゴ72と、スクリューシャフト73を手動で操作するためのつまみ74とを備えている。また、チャック70は、例えば、引張試験機などの引張装置との連結のための連結部75を備える。チャック70は、アゴ72にて第2押出成形品31の端部を把持する。連結部75を介してチャック70に連結された装置の作動により、第1方向100に沿った第2押出成形品31の各端部をそれぞれ把持するチャック70が第1方向100に沿う反対方向に向かって動かされ、第2押出成形品31に対する第2一軸延伸が行われる。チャック70により第2押出成形品31の端部を把持することができる限り、チャック70の設計は図示するものに限られない。
図3は、第2の押出成形の一例を概略的に示す断面図である。具体的には、図3は、内部前駆体を芯線として用いて第2の押出成形を行う例を示す。ここでは、芯線として機能するチューブ状の内部前駆体を図示するが、紐状の押出成形品を代わりに芯線として用いてもよい。
押出成形機50が備える押出金型51にPTFEファインパウダーを含む第2混和物30が充填される。第2混和物30は、PTFEファインパウダーと押出助剤等の他の材料との混合物である。第2混和物30は、例えば、PTFEファインパウダーを含んだペーストであり得る。或いは、第2混和物30は、PTFEファインパウダーを含んだ圧縮成型体(ビレット)であり得る。
押出金型51の内部に、供給ロール90から送り出された内部前駆体22が、芯線として供給されている。内部前駆体22は、押出金型51の内側を通り抜けて、押出金型51の吐出口52から外部へ引き出されている。
押出用ラム53が吐出口52へ向かって動かされることにより、第2混和物30が圧縮されながら内部前駆体22とともに吐出口52から押し出される。こうして、内部前駆体22の外周を覆うチューブ状の第2押出成形品31が得られる。
第2押出成形品31のチューブ内径は、適切な外径を有する内部前駆体22を選択することにより制御できる。押出金型51の吐出口52の口径を調整することで、第2押出成形品31の外径を制御できる。また、外径を制御するために、例えば、適切な寸法のサイジングダイスを用いてもよい。内部前駆体22の外径および吐出口52の口径(又はダイス寸法)の調整により、第2押出成形品31の肉厚を制御できる。
内部前駆体22上の第2押出成形品31は、乾燥炉61に供給されて、そこで乾燥される。図示する例では、押出成形と乾燥が連続して行われる設定になっているが、この限りではない。例えば、乾燥炉61を省略したり、得られる第2押出成形品31をバッチで乾燥に供してもよい。また、乾燥を省略してもよい。
押出成形機50の前後に配したテンションプーリ91及びガイドローラー92により内部前駆体22及び第2押出成形品31に張力を加え、たるみを防止することが望ましい。第2押出成形品31は、チューブ内に内部前駆体22を含んだ状態で巻取りロール93に巻き取られ得る。
内部前駆体22上に形成した第2押出成形品31に対し、第2一軸延伸を行う。内部前駆体22を芯線として用いて第2の押出成形を行った場合の第2押出成形品31に対する第2一軸延伸の詳細は、別途押出成形した内部前駆体22を第2押出成形品31に挿入して行う場合と同様のため、説明を省略する。
チューブ状の押出成形品の押出し成形には、例えば、図4に示す構造の押出成形機を用いることができる。図4は、一例の押出成形機を示す概略断面図である。図4は、図1に示した押出成形機50のより詳細な図に該当し得る。
図示する例の押出成形機は、シリンダー51a及び該シリンダー51aの下部にシールリング51bを介して配置されているダイ51cを有する。また、このダイ51cの下部には、外周部にバンドヒーター54が巻かれたダイス51dが配置されている。シリンダー51aの内側には、ラム53aやラムヘッド53bを介してマンドレル55が配置されている。マンドレル55の下部には、コアピン51eが連結されている。一般的には、ダイス51dの先端部(下端部)には、センターリングブッシュ56が挿着される。
なお、ダイ51cにおける中央部の傾斜した傾斜角(θ)は、例えば、30°以上60°以下であり得る。高絞り比(RR:Reduction Ratio)にて成形する場合においては、傾斜角(θ)は10°以上20°以下とすることが好ましい。また、ダイス部分はバンドヒーター54等により、例えば、50℃以上60℃以下に加熱することができる。
こうした構成の押出機において、図4に示すように、シリンダー-マンドレル部の断面積をS1、ダイス-コアピンの断面積をS2としたとき、上記RRはS1/S2となり、RRが高いほど絞り比が大きくなる。
図5は、他の例の押出成形機の概略断面図である。図5は、図3に示した押出成形機50のより詳細な図に該当し得る。図5については、図4と同部材は同符番を付して説明する。当該押出成形機はコアピンを有さず、ガイドチューブ57を有する。このガイドチューブ57内に芯線としての内部前駆体が挿入される。ダイス51dのストレート部とガイドチューブ57間には、クリアランスが設けられている。なお、押出成形機は、シリンダー51a及びダイ51cの外周に、2分割された筒状の枠体58a,58b及びこれら枠体58a,58bを固定する環状のクランプ59をさらに有し得る。
第2一軸延伸を行った後、外部前駆体の中に内部前駆体が設置されたままの状態で焼成を行うことで、非多孔質な充実内側部位と、該内側部位と隣接する多孔質外側部位とを含むふっ素樹脂構造体が得られる。外側部位は、例えば、10%以上90%以下の気孔率を有し得る。チューブ状の構造を有する第1押出成形品ひいては内部前駆体を形成した場合は、内側部位としてチューブ形状の内層と外側部位としてチューブ形状の外層とを含む複層チューブを得ることができる。紐形状の構造を有する第1押出成形品ひいては内部前駆体を形成した場合は、内側部位として紐形状を有する芯と外側部位としてチューブ形状の外層とを含む複合構造コードを得ることができる。
ふっ素樹脂構造体の例を、図6-図9に示す。
図6は、一例のふっ素樹脂構造体を概略的に示す斜視図であり、図7は、図6に示す仮想面VII-VII’に沿った断面図である。具体的には図6及び図7は、ふっ素樹脂構造体の複層チューブとしての態様を示す。図7は、複層チューブの管軸方向と直交する断面を示す。
図6及び図7に示す複層チューブ1は、円管形状を有する。複層チューブ1は、円管の放射方向へ内層チューブ2及び外層チューブ3が積層されている2層構造を有する。内層チューブ2及び外層チューブ3の何れについても、円形断面を有することが望ましい。
内層チューブ2は、例えば、0.02mm以上2.5mm以下の肉厚を有し得る。外層チューブ3は、例えば、0.3mm以上8mm以下の肉厚を有し得る。
複層チューブ1は、例えば、3mm以上25mm以下の最外径DEXを有し得る。ここでいう“最外径”とは、外層チューブ3の外径直径に対応し得る。複層チューブ1は、例えば、3mm以上9mm以下の界面径DIFを有し得る。ここでいう“界面径”とは、内層チューブ2と外層チューブ3との界面を外径とみなした場合の直径を指し、つまりは内層チューブ2の外径ともいえる。複層チューブ1は、例えば、2mm以上5mm以下の最内径DINを有し得る。ここでいう“最内径”とは、内層チューブ2の内径直径に対応し得る。
外層チューブ3は、例えば、10%以上90%以下の気孔率を有し得る。
図8は、他の例のふっ素樹脂構造体を概略的に示す斜視図であり、図9は、図8に示す仮想面IX-IX’に沿った断面図である。具体的には図8及び図9は、ふっ素樹脂構造体の複合構造コードとしての態様を示す。図9は、複合構造コードの主軸と直交する断面を示す。
図8及び図9に示す複合構造コード10は、円柱系の紐形状を有する。複合構造コード10は、コード芯12と、コード芯12の外周に隣接して設けられている外層13とを含む。コード芯12及び外層13の何れについても、円形断面を有することが望ましい。
コード芯12は、例えば、0.3mm以上10mm以下の直径を有し得る。コード芯12の直径は、複合構造コード10についての界面径DIFに該当する。外層13は、0.3mm以上8mm以下の肉厚を有し得る。また、複合構造コード10は、例えば、3mm以上25mm以下の最外径DEXを有し得る。ここでいう“最外径”とは、外層13の外径直径に対応し得る。
外層13は、例えば、10%以上90%以下の気孔率を有し得る。
以下のとおり、2つの部位を含む複合構造のふっ素樹脂構造体が得られていることを確認できる。ふっ素樹脂構造体の主軸を交差する切断面にて該構造体を切断することで、断面を露出させる。得られた断面を光学顕微鏡により観察する。充実部である内側部位と多孔質部である外側部位との間で見た目の違いが視認され得る。その場合に、断面観察により内側部位と外側部位とを区別することができる。また、断面にて内側部位および外側部位のそれぞれの寸法を測定できる。
ふっ素樹脂構造体の各部位を形成する樹脂材料は、次のようにして確認できる。示差走査熱量計(DSC)を用い、融点を測定することで樹脂材料がPTFEであることを確認することが可能である。
[実施例]
(実施例1)
図1及び図2、並びに図4及ぶ図5を参照しながら説明した製造方法と同様の方法により、図6及び図7に例示したような内層および外層を有する二層構造のPTFE樹脂複層チューブを製造した。詳細には、次のとおりである。
内層(内側部位)の形成には、三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製のテフロン(登録商標)PTFEファインパウダー 640-Jを用いた。外層(外側部位)の形成には、三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製のテフロン(登録商標)PTFEファインパウダー 650-Jを用いた。
次の手順により、内層チューブ前駆体(チューブ状の内部前駆体)を得た。PTFEファインパウダー(640-J)100質量部に対してナフサ(押出助剤)18質量部を加えた後、ターブラーミキサーを用いて常温にて混合して、第1混和物を調製した。続いて、第1混和物を予備成形機により円筒状に成形した。得られた予備成形品をφ5.9(mm)のダイスおよびφ4.1(mm)のコアピン(チップ)を取り付けた押出機に投入した。押出成形を、押出と同調させてチューブを引っ張りながら行い、得られた第1押出成形品を180℃~200℃に設定した加熱炉にて乾燥させることで押出助剤を除去した。
100℃の温度環境下で第1押出成形品に対し長さ方向への一軸延伸(第1一軸延伸)を行った。この際、長手方向への長さが1.5倍程度になるように、弱延伸を行った。次いで、380℃~400℃に設定した加熱炉にて予備焼成を行い、内層チューブ前駆体を得た。
次の手順により、外層を構成する部位の中間成形物たる第2押出成形品を得た。PTFEファインパウダー(650-J)100質量部に対してナフサ(押出助剤)21質量部を加えた後、ターブラーミキサーを用いて常温にて混合して、第2混和物を調製した。続いて、第2混和物を予備成形機により円筒状に成形した。得られた予備成形品をφ7.05(mm)のダイスおよびφ5.70(mm)コアピンを取り付けた押出機に投入した。押出成形を、押出と同調させてチューブを引っ張りながら行い、得られた第1押出成形品を180℃~200℃に設定した加熱炉にて乾燥させることで押出助剤を除去した。
得られた第2押出成形品のチューブ形状の中空部に内層チューブ前駆体を設置した。外側に設けられた第2押出成形品のみが延伸されるよう、第2押出成形品の長手方向に沿う一端および他端を延伸機の試験サンプル保持用のチャックにそれぞれ固定し、100℃の温度環境下で長さ方向への一軸延伸(第2一軸延伸)を行った。この際、長手方向への長さが2.8倍になるように、延伸を行った。この延伸加工により、外層のチューブ状成形品のみ多孔質化して、充実構造の内層チューブ前駆体と多孔質の外層チューブ前駆体との複層前駆体(チューブ形状の複合前駆体)を得た。
得られた複層前駆体に対し、380℃に設定した加熱炉にて10分以上焼成を行った。焼成物のうち長手方向の両端において内層チューブを含まず外層チューブのみの部分を切り落とし、複層チューブ(チューブ状ふっ素樹脂構造体)を得た。
(実施例2)
押出成形の際の寸法設計を次のとおり変更したことを除き、実施例1と同様の手順でPTFE樹脂複層チューブを製造した。第1押出成形品を押出成形する際に用いたダイスをφ6.3(mm)のものに変更し、コアピンを外径5.5(mm)のものに変更した。第2押出成形品を押出成形する際に用いたダイスをφ7.65(mm)のものに変更し、コアピンを外径6.15(mm)のものに変更した。
(実施例3)
図3を参照しながら説明した例と同様の製造方法により、内層および外層を有する二層構造のPTFE樹脂複層チューブを製造した。詳細には、次のとおりである。
内層(内側部位)の形成には、ダイキン工業株式会社製のPTFEファインパウダー ポリフロン(登録商標)F-302を用いた。外層(外側部位)の形成には、三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製のテフロン(登録商標)PTFEファインパウダー 650-Jを用いた。
先ず、PTFEファインパウダーとして上記F-302を用いるとともに押出成形の際の寸法設計を次のとおり変更したことを除き、実施例1と同様の手順で内層チューブ前駆体を得た。第1押出成形品を押出成形する際に用いたダイスをφ4.15(mm)のものに変更し、コアピンの代わりに外径3.75(mm)のガイドチューブを使用した。
次に、上記内層チューブ前駆体を芯線として用い、PTFEファインパウダーとして上記650-Jを用い、押出成形の際に用いたダイスをφ5.0(mm)のものに変更したことを除き、実施例1と同様の手順で押出成形を行って第2押出成形品を得た。得られた第2押出成形品に対し、実施例1と同様の手順で外層のみを多孔質化する一軸延伸(第2一軸延伸)、焼成、及び余剰の外層チューブ切り落としを実施し、複層チューブ(チューブ状ふっ素樹脂構造体)を得た。
(実施例4)
押出成形の際の寸法設計を次のとおり変更したことを除き、実施例3と同様の手順でPTFE樹脂複層チューブを製造した。第1押出成形品は実施例3と同じものを用い、第2押出成形品を押出成形する際に用いたダイスをφ4.9(mm)のものに変更した。
(実施例5)
図8及び図9に示したような芯(内側部位)および外層(外側部位)を有するPTFE樹脂複合構造コードを製造した。詳細には、次のとおりである。
芯(内側部位)及び外層(外側部位)の形成の何れについても、ダイキン工業株式会社製のPTFEファインパウダー ポリフロン(登録商標)F-104を用いた。
次の手順により、芯前駆体(紐状の内部前駆体)を得た。PTFEファインパウダー100質量部に対してナフサ(押出助剤)18質量部を加えた後、ターブラーミキサーを用いて常温にて混合して、第1混和物を調製した。続いて、第1混和物を予備成形機により円柱状に成形した。得られた予備成形品をφ7.9(mm)のダイスを取り付けた押出機に投入し、押出成形した。得られた第1押出成形品を180℃~200℃に設定した加熱炉にて乾燥させることで押出助剤を除去した。
第1押出成形品に対し200℃の温度環境下で長さ方向への一軸延伸(第1一軸延伸)を行った。この際、長手方向への長さが1.5倍程度になるように、弱延伸を行った。次いで、380℃~400℃に設定した加熱炉にて予備焼成を行い、芯前駆体を得た。
PTFEファインパウダーとして上記F-104を用いるとともに押出成形の際の寸法設計を次のとおり変更したことを除き、実施例1と同様の手順で第2押出成形品を得た。第1押出成形品を押出成形する際に用いたダイスをφ22.5(mm)のものに変更し、コアピンを外径8.5(mm)のものに変更した。
得られた第2押出成形品の中空部に芯前駆体を代わりに設置した。内側に芯前駆体を保持した第2押出成形品に対し、温度設定を270℃に変更したことを除き実施例1と同様の手順で外層のみを多孔質化する一軸延伸(第2一軸延伸)を行った。続いて実施例1と同様の条件で焼成を行い、実施例1と同様に余剰の外層チューブ切り落とし、複合構造コード(紐状ふっ素樹脂構造体)を得た。
(比較例)
下記方法により、内層および外層を有する二層構造のPTFE樹脂複層チューブを製造した。
弱延伸(第1一軸延伸)を省略したことを除き、実施例1と同様の手順で内層チューブ前駆体(内部前駆体)を製造した。第2押出成形品を押出成形する際に用いたコアピンをφ5.9のコアピンのものに変更したことを除き、実施例1と同様の手順で押出成形を行って第2押出成形品を得た。第2押出成形品に対し、100℃の温度環境下で長手方向へ2.8倍の長さまで一軸延伸を行い、多孔質化させた。次いで、延伸した第2押出成形品の中空部に、内層チューブ前駆体を挿入した。内層チューブ前駆体が挿入された状態の第2押出成形品に対し350℃~370℃に設定した加熱炉にて焼成を行い、PTFE樹脂複層チューブを得た。
実施例1-5及び比較例で製造した各種ふっ素樹脂構造体に対し、先に説明した方法により寸法測定を行った。測定結果を表1に示す。具体的には、表1には、各構造体の外径、界面径、内径、外側部位の厚み、及び内側部位の厚みを示す。ここでいう“界面径”とは、内側部位と外側部位との界面を外径とみなした場合の直径を指し、つまりは内側部位の外径ともいえる。なお、中空ではない実施例5の構造体(複合構造コード)については、内径を「ゼロ」と表記する。また、表1には、各構造体の形状を示す。
各々のふっ素樹脂構造体について、内側部位と外側部位との密着力を次の方法により評価した。実施例1-4及び比較例で得られた成形品(複層チューブ)に対しては、万能試験機を用いた評価を行った。径が大きい実施例5の成形品(複合構造コード)については、他の方法を用いたため、別途説明する。
実施例1-4及び比較例で得られた各複層チューブからそれぞれ切り出した一定長さのチューブ節の各々を、切断面が長さ方向に沿うように半分に縦割りし、半分に切断した各チューブの片方を帯形状に開いた後、裁断することにより寸法を調節して約5mm幅の短冊状の試験片を得た。
各試験片の長さ方向の両端面の断面にて、そこに見られる充実層(非多孔質層)と多孔質層との間にカミソリで切込みを入れた。一端側の充実層と他端側の多孔質層とをそれぞれ万能試験機のチャックで固定し、引裂き試験を実施した。引裂き試験は、次の条件で実施した:チャック圧力:0.3 MPa;引裂きスピード:200 mm/min;引裂き長さ:約50 mm。
実施例1-4の複層チューブについては、充実層と多孔質層との間では剥離が生じず、代わりに多孔質層内で凝集剥離が見られた。比較例の複層チューブでは、充実層と多孔質層との間の剥離が確認された。
上記引裂き試験では層間剥離が確認されなかった実施例1-4について、次の引張試験により内層チューブと外層チューブが別々に破断するか、或いは同時に破断するか、評価した。
各複層チューブからそれぞれ切り出した一定長さのチューブ節の各々を、万能試験機を用いて次の条件で少なくとも外層に破断が確認されるまで引っ張った:チャック圧力:0.3 MPa;開始時のチャック間距離:40 mm;引張スピード:50 mm/min。
実施例1-4の何れについても、外層と内層との同時の破断が確認された。また、実施例1-4の何れについても、試験後のサンプルにおいて層間の剥離が見られなかった。
上記2つの試験の結果から実施例1-4では、製造した複層チューブでは内層チューブと外層チューブとの間の結合性が高く、層間剥離が生じにくい複層チューブが得られたことがわかる。
実施例5で得られた複合構造コードについては、内側部位と外側部位との密着力を次の方法により評価した。得られた複合構造コードから切り出した一定長さのサンプルにおいて、側面の互いに反対側の2箇所にて長手方向に沿って外層の多孔質チューブ部分(外側部位)に切込みを入れた。コード芯にあたる充実ロッド部分(紐状の内側部位)と多孔質チューブ部分とをそれぞれラジオペンチで挟み、長手方向に沿って反対方向に手動で引っ張った。多孔質チューブ部分を充実ロッド部分から部分的に剥離させることができたものの、途中で多孔質チューブ部分が径方向に破断してしまった。当該試験結果から、実施例5で製造した複合構造コードでは充実ロッド部分と多孔質チューブ部分との間の結合性が高く、剥離が生じにくい複合構造コードが得られたことがわかる。
各試験の結果を表2にまとめる。
以上説明した実施形態によれば、ふっ素樹脂構造体の製造方法および当該製造方法によって得られるふっ素樹脂構造体が提供される。当該ふっ素樹脂構造体は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を含み非多孔質である内側部位と、内側部位の外側に袖のごとく位置し、且つ、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を含み多孔質である外側部位とを含む。製造方法は、チューブ状または紐状の第1押出成形品を得ることと、第1押出成形品に対し長手方向へ3.0倍以下の第1一軸延伸を行なって内部前駆体を得ることと、チューブ形状を有する第2押出成形品を得ることと、第2押出成形品のチューブ形状の中空部内に内部前駆体が設置されている状態で第2押出成形品に対し第2一軸延伸を行って複合前駆体を得ることと、複合前駆体に対する焼成を行うことと、を含む。第1押出成形品は、ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを含む第1混和物を押出成形して得られる。第2押出成形品は、ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを含む第2混和物を押出成形して得られる。提供されるふっ素樹脂構造体は、内側部位と外側部位との剥離耐性に優れている。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。