JP2023006888A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】通信装置の通信性及び耐久性の両立を実現したタイヤを提供すること。【解決手段】本発明のタイヤ1は、一対のビードコア5と、本体部6aと、折り返し部6bと、を備える少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカス6と、を備えるタイヤであって、タイヤ径方向における少なくとも一部が本体部6aと折り返し部6bとの間に挟まれるように、ビードコア5のタイヤ径方向外側に配置された、第一ゴム部材10を有し、第一ゴム部材10のタイヤ径方向高さは、タイヤ断面高さの15%以下であり、第一ゴム部材10のタイヤ幅方向外側に、サイドゴム9よりも硬度が高い高硬度ゴム部材(11A、11B)を有し、タイヤ最大幅位置SWHよりタイヤ径方向内側かつ高硬度ゴム部材よりタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に、通信装置12が埋設されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤに関する。
従来から、タイヤの空気圧などのタイヤの内部状態を検出するセンサや、タイヤの固有識別情報等を記憶可能な記憶部を備えるRFタグなど、の通信装置を、タイヤ内部に埋め込む構成、が知られている。例えば、通信装置としてのセンサにより、走行中のタイヤの状態を判定したり、通信装置としてのRFタグの記憶部から取得されるさまざまなタイヤ情報を保守サービス等に活用したりすることができる。
特許文献1には、補強プライで補強したビード部にRFIDタグを配置することによって、RFIDタグの耐久性を向上させたタイヤが開示されている。
特開2020-185975号公報
しかしながら、従来の技術においては、主にタイヤ幅方向外側のゴム部材に起因した通信装置の通信性に改善の余地があった。
この発明は、上述した課題を解決するためのものであり、通信装置の通信性及び耐久性の両立を実現したタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明のタイヤは、
一対のビードコアと、前記一対のビードコア間をトロイダル状に連続して延在している本体部と、前記本体部から連続して延び、前記ビードコアの周囲をタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側へ巻き回して折り返される折り返し部と、を備える少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスと、を備えるタイヤであって、
タイヤ径方向における少なくとも一部が、前記本体部と前記折り返し部との間に挟まれるように、前記ビードコアのタイヤ径方向外側に配置された、第一ゴム部材を有し、
前記第一ゴム部材のタイヤ径方向高さは、タイヤ断面高さの15%以下であり、
前記第一ゴム部材のタイヤ幅方向外側に、サイドゴムよりも硬度が高い高硬度ゴム部材を有し、
タイヤ最大幅位置よりタイヤ径方向内側かつ前記高硬度ゴム部材よりタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に、通信装置が埋設されていることを特徴とする。
本発明のタイヤによれば、通信装置の通信性及び耐久性の両立を実現することができる。
本発明のタイヤにおいては、
前記高硬度ゴム部材は、
前記タイヤの適用リムと少なくとも一部が接触するように配置された、第二ゴム部材を含み、
前記通信装置は、前記第二ゴム部材よりもタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に埋設されることが好適である。
これにより、通信装置の通信性及び耐久性の両立を効果的に実現することができる。
本発明のタイヤにおいては、前記高硬度ゴム部材は、
前記タイヤの適用リムと少なくとも一部が接触するように配置された、第二ゴム部材、及び前記折り返し部のタイヤ幅方向外側であって、前記第二ゴム部材のタイヤ幅方向内側に配置された、第三ゴム部材を含み、
前記通信装置は、前記第二ゴム部材及び前記第三ゴム部材よりもタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に埋設されることが好適である。
これにより、通信装置の通信性及び耐久性の両立を効果的に実現することができる。
本発明のタイヤにおいては、
前記通信装置は、前記折り返し部の端と同一のタイヤ径方向位置には配置されていないことが好適である。
これにより、通信装置の十分な耐久性をより効果的に確保することができる。
本発明のタイヤにおいては、
前記通信装置は、RFタグであることが好適である。
これにより、タイヤの外部の所定の装置と無線通信することができる。
本発明により、通信装置の通信性及び耐久性の両立を実現したタイヤを提供することができる。
本発明の第1の実施形態のタイヤの幅方向断面図(半図)である。 本実施形態のタイヤに配置される通信装置としてのRFタグを示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態のタイヤの幅方向断面図(半図)である。
本発明に係るタイヤは、任意の種類のタイヤに利用できるものであるが、好適には、乗用車用タイヤに利用できるものである。
以下、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態のタイヤ1の幅方向断面図(半図)である。図1では、タイヤ1を適用リムRに装着した状態を示している。
ここで、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO (The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA (The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(すなわち、上記の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTOのSTANDARDS MANUAL 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
また、「所定の内圧」とは、上記のJATMA YEAR BOOK等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいい、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
なお、ここでいう空気は、窒素ガス等の不活性ガスその他に置換することも可能である。
本明細書において、「タイヤ最大幅位置」とは、一対のサイドウォール部でのカーカス同士の間のタイヤ幅方向距離が最大となるタイヤ径方向位置を意味する。
ここで、本明細書では、特に断りのない限り、タイヤ幅方向間距離等の各要素の寸法は、後述の「基準状態」で測定されるものとする。「基準状態」とは、タイヤをリムに組み付け、上記所定の内圧を充填し、無負荷とした状態を指す。
また、本明細書において、「ゴムの硬度」とは、JIS K6253に準拠して、タイプAデュロメータ(A型)を用いて室温23℃下で測定されるJIS-A硬度を意味する。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態のタイヤ1は、一対のビード部2と、一対のサイドウォール部3と、両サイドウォール部3間に跨るトレッド部4とを有している。
タイヤ1は、一対のビード部2に埋設された一対のビードコア5を有するとともに、カーカス6を有している。カーカス6は、一対のビードコア5間をトロイダル状に連続して延在している本体部6aと、本体部6aから連続して延び、ビードコア5の周囲をタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側へ巻き回して折り返される折り返し部6bと、を備え、折り返し端6cで終端する、少なくとも1枚(本実施形態では1枚)のカーカスプライからなる。カーカスプライの材質は特に限定されないが、スチール製又は有機繊維等のコードをゴム被覆することにより形成されてもよい。
トレッド部4の、カーカス6のクラウン域よりもタイヤ径方向外側には、複数のベルト層からなるベルト(本実施形態では2層)7及びトレッドゴム8が順次配置されており、サイドウォール部3には、カーカス6のタイヤ幅方向外側に、サイドゴム9が配置されている。
本実施形態のタイヤ1は、タイヤ径方向における少なくとも一部が、カーカス6の本体部6aと折り返し部6bとの間に挟まれるように、ビードコア5のタイヤ径方向外側に配置された、第一ゴム部材10を有している。第一ゴム部材10のタイヤ径方向高さh1は、タイヤ断面高さSHの15%以下である。
ここで、「タイヤ断面高さ」とは、タイヤ1をリムRに組み込み、基準状態でのタイヤ1の外径とリム径との差の1/2をいうものとする。
また、本実施形態のタイヤ1は、第一ゴム部材10のタイヤ幅方向外側に、高硬度ゴム部材11を有している。高硬度ゴム部材11は、サイドゴム9よりも硬度が高いゴム部材である。
高硬度ゴム部材11の構成は特に限定されないが、図1に示すように、例えば、タイヤ1の適用リムRと少なくとも一部が接触するように配置された、第二ゴム部材11Aとすることができる。
本実施形態のタイヤ1は、タイヤ最大幅位置SWHよりタイヤ径方向内側かつ高硬度ゴム部材11(本実施形態においては第二ゴム部材11A)のタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に、通信装置12が埋設されている。
ここで、通信装置12は、タイヤ1の外部の所定の装置と無線通信可能な構成であればよく、通信装置12の構成は特に限定されるものではない。通信装置12は、例えば、RFタグとすることができる。RFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグともいう。通信装置12は、制御部及び記憶部を構成するICチップ13と、ICチップ13に接続される1つ以上のアンテナ12aと、を備える構成としてもよい。例えば、通信装置12は、直線状、波状、又は螺旋状に延びる2つのアンテナがICチップ13から互いに反対方向に延びるように設けられた、全体として長手状の形状を有していてもよい。
また、ICチップは、1つ以上のアンテナで受信する電磁波により発生する誘電起電力により動作してもよい。すなわち、通信装置12は、パッシブ型の通信装置であってもよい。或いは、通信装置12は、電池を更に備え、自らの電力により電磁波を発生して通信可能であってもよい。すなわち、通信装置12は、アクティブ型の通信装置であってもよい。
図2は、本実施形態のタイヤ1に配置される通信装置12としてのRFタグを示す斜視図である。図2に示すように、本実施形態のタイヤ1に配置される通信装置12としてのRFタグは、アンテナ12aを構成する第1アンテナ12a1及び第2アンテナ12a2と、これら第1アンテナ12a1及び第2アンテナ12a2で受信する電波により発生する誘電起電力により稼働する、制御部12b及び記憶部12cを構成するICチップ13と、このICチップ13が取り付けられている板状の支持部材12dと、ICチップ13と、第1アンテナ12a1及び第2アンテナ12a2それぞれと、を電気的に接続する導電性の導通部材12eと、を備えている。
なお、通信装置12は、被覆ゴムによって被覆されていてもよい。
本実施形態のタイヤの構成による作用効果について説明する。
第一ゴム部材10のタイヤ径方向高さh1を、タイヤ断面高さSHの15%以下とすることで、ビード部2の剛性が過度に高まることを防ぎ、タイヤ1の乗り心地性を高めるとともに、転がり抵抗を抑制することができ、加えて、タイヤ1の軽量化を図ることができる。そして、第一ゴム部材10のタイヤ幅方向外側に、サイドゴム9よりも硬度が高い高硬度ゴム部材11を設けることによって、ビード部2の近傍をタイヤ幅方向外側から強化し、タイヤ1の十分な剛性を維持するとともに、タイヤ1に埋設された通信装置12の十分な耐久性も確保することができる。
ここで、ゴムの硬度を高める手法の1つとして、カーボンの含有量を多くする手法が挙げられる。カーボンの含有量を多くしたゴムは、硬度が高まる一方で、比誘電率も高まる傾向があり、これが通信性を抑制する要因の1つとなる虞がある。そこで、高硬度ゴム部材11(本実施形態では第二ゴム部材11A)が配置されたタイヤ径方向位置を避けて通信装置12を埋設することにより、通信装置12の十分な通信性を確保することができる。
また、ビードコア5の近傍においては、ビードコア5やリムR等の金属部材が、ビードコア5よりもタイヤ径方向外側に比べて多くなる傾向があり、この点が通信性に影響する虞がある。タイヤのトレッド部のゲージを薄くした場合においては、タイヤの剛性を維持するために、ビードコア近傍の幅方向外側のゴムを厚くすることによって、ビードコア近傍を強化する手法が取られることがあり、この点も通信性に影響する虞がある。このような位置を避け、通信装置12をタイヤ最大幅位置SWHよりタイヤ径方向内側かつ高硬度ゴム部材11よりタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に配置することによって、通信装置12の十分な通信性を確保することができる。
このように、本実施形態のタイヤ1の構成によれば、通信装置の通信性及び耐久性の両立を実現することができる。
以下、第1の実施形態のタイヤ1における各構成要素の、好適な構成等について、説明する。
本実施形態において、第一ゴム部材10は、カーカス6の折り返し端6cよりもタイヤ径方向内側に配置されているが、カーカス6の折り返し端6cよりも第一ゴム部材10のタイヤ径方向外側の端がタイヤ径方向外側に位置するように配置されてもよい。好適には、カーカス6の本体部6aと、折り返し部6bとに囲まれた部分において、第一ゴム部材10が配置されている。カーカスプライの折り返し端6cが、第一ゴム部材10のタイヤ径方向外側を超えて延び、第一ゴム部材10がカーカスプライによって囲まれることで、ビード部2の近傍及びサイドウォール部3における剛性が高まり、タイヤ1の十分な剛性を効果的に維持するとともに、タイヤ1に埋設された通信装置12の十分な耐久性も確保することができる。
本実施形態において、第一ゴム部材10の断面積S1は、ビードコア5の断面積よりも小さいことが好ましい。
上記構成によれば、ビード部2の剛性が過度に高まることを効果的に防ぎ、タイヤ1の乗り心地性を高めるとともに、転がり抵抗を効果的に抑制することができ、加えて、タイヤ1の十分な軽量化を図ることができる。
なお、第一ゴム部材10の断面積S1の最小値は特に限定されず、ビードコア5のタイヤ径方向外側の、カーカス6の本体部6aと折り返し部6bとの間に挟まれた部分において、ビードコア5の被覆ゴムを第一ゴム部材10として取り扱うことによって、第一ゴム部材10の断面積を極力小さいものとすることもできる。このような構成によれば、タイヤの軽量化及び乗り心地性の強化を図ることができる。
また、第一ゴム部材10のタイヤ径方向高さh1は、20mm以下とすることが好ましい。タイヤ径方向高さh1を20mm以下とすることによって、ビード部2の剛性が過度に高まることを効果的に防ぎ、タイヤ1の乗り心地性を高めるとともに、転がり抵抗を効果的に抑制することができ、加えて、タイヤ1の十分な軽量化を図ることができる。
なお、第一ゴム部材10のゴムの硬度は、特に限定されない。ビード部2の適度な剛性を維持する観点から、サイドゴム9よりも硬度が高いゴム又は高硬度ゴム部材11(本実施形態では第二ゴム部材11A)と同程度の硬度のゴム等を使用してもよい。あるいは、タイヤの乗り心地性及び転がり抵抗の低減効果の強化を図る観点から、サイドゴム9と同程度の硬度のゴム又はサイドゴム9よりも硬度が低いゴムを使用してもよい。
本実施形態のタイヤ1において、高硬度ゴム部材11(本実施形態では第二ゴム部材11A)のタイヤ径方向外側の端は、ビードコア5及び第一ゴム部材10よりも、タイヤ径方向において外側に位置していることが好ましい。
上記構成によれば、ビード部2の近傍及びサイドウォール部3の一部をタイヤ幅方向外側から強化し、タイヤ1の十分な剛性を効果的に維持するとともに、タイヤ1に埋設された通信装置12の十分な耐久性も確保することができる。
より好適には、高硬度ゴム部材11(本実施形態では第二ゴム部材11A)のタイヤ径方向外側の端は、ビード部2よりもタイヤ径方向外側に位置している。
ビードコア5の近傍においては、ビードコア5やリムR等の金属部材が、サイドウォール部3に比べて多くなる傾向があり、この点が通信性に影響する虞がある。このことから、高硬度ゴム部材11をサイドウォール部3まで延ばすことによって、通信装置12を確実にビードコア5の近傍よりもタイヤ径方向外側に配置することができ、通信装置12の十分な通信性をより効果的に確保することができる。
本実施形態のタイヤ1において、通信装置12は、タイヤ最大幅位置SWHよりタイヤ径方向内側かつ高硬度ゴム部材11のタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に配置されていれば、タイヤ径方向位置については特に限定されないが、カーカス6の折り返し端6cと同一のタイヤ径方向位置には配置されていないことが好ましい。
上記構成によれば、通信装置12が、タイヤの負荷転動時に、カーカス6の折り返し端6c付近において発生する歪みの影響を受けることを防止して、通信装置12の十分な耐久性をより効果的に確保することができる。加えて、カーカス6の折り返し端6c付近において、通信装置12が故障の核となって、カーカスプライ端の故障を誘発することを防止することができる。
また、通信装置12は、高硬度ゴム部材11(本実施形態では第二ゴム部材11A)と、高硬度ゴム部材11にタイヤ径方向外側の端において接するサイドゴム9との境界位置に配置することが好ましい。
上記構成によれば、生産性の観点から好適であるとともに、タイヤの負荷転動時におけるカーカスプライの変形の影響を緩和して、通信装置12の十分な耐久性をより効果的に確保することができる。加えて、金属部材及び高硬度ゴムによる通信性の影響を防止して、通信装置12の十分な通信性をより効果的に確保することができる。
なお、通信装置12の配置の向きについては特に限定されないが、通信装置12が、図2に示す、長手状の形状を有する場合においては、例えば、第1アンテナ12a1及び第2アンテナ12a2の長手方向が、タイヤ周方向に沿うように配置することができる。ここで、「タイヤ周方向に沿う」とは、アンテナの長手方向が、タイヤ周方向に平行である場合や、タイヤ周方向に対してわずかに傾斜している場合(例えば、タイヤ周方向に対する傾斜角度が5°以下)を含むものとする。
[第2の実施形態]
次に、本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係るタイヤについて、図3を参照しながら説明する。第2の実施形態のタイヤ101は、第三ゴム部材11Bを有する以外は、第1の実施形態のタイヤ1と同様の構成であり、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図3は、本発明の第2の実施形態のタイヤの幅方向断面図(半図)である。図3では、タイヤ1を適用リムRに装着した状態を示している。
本発明の第2の実施形態のタイヤ101において、高硬度ゴム部材11は、タイヤ101の適用リムRと少なくとも一部が接触するように配置された、第二ゴム部材11A、及び、カーカス6の折り返し部6bのタイヤ幅方向外側であって、第二ゴム部材11Aのタイヤ幅方向内側に配置された、第三ゴム部材11Bを含む。
第三ゴム部材11Bは、サイドゴム9よりも硬度が高いゴム部材である。
なお、図3においては、第三ゴム部材11Bのタイヤ径方向外側の端が、第二ゴム部材11Aよりもタイヤ径方向内側に位置しているが、第三ゴム部材11Bのタイヤ径方向外側の端が第二ゴム部材11Aよりもタイヤ径方向外側に位置しているものとしてもよく、第二ゴム部材11A及び第三ゴム部材11Bのタイヤ径方向外側の端の位置関係は、特に限定されない。
本実施形態のタイヤ101において、通信装置12は、第二ゴム部材11A及び前記第三ゴム部材よりもタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に埋設されている。
本実施形態のタイヤの構成による作用効果について説明する。
第一ゴム部材10のタイヤ径方向高さh1を、タイヤ断面高さSHの15%以下とすることで、ビード部2の剛性が過度に高まることを防ぎ、タイヤ1の乗り心地性を高めるとともに、転がり抵抗を抑制することができ、加えて、タイヤ1の軽量化を図ることができる。そして、第一ゴム部材10のタイヤ幅方向外側に、サイドゴム9よりも硬度が高い高硬度ゴム部材11(本実施形態では第二ゴム部材11A及び第三ゴム部材11B)を設けることによって、ビード部2の近傍をタイヤ幅方向外側から強化し、タイヤ1の十分な剛性を維持するとともに、タイヤ1に埋設された通信装置12の十分な耐久性も確保することができる。
ここで、ゴムの硬度を高める手法の1つとして、カーボンの含有量を多くする手法が挙げられる。カーボンの含有量を多くしたゴムは、硬度が高まる一方で、比誘電率も高まる傾向があり、これが通信性を抑制する要因の1つとなる虞がある。そこで、高硬度ゴム部材11(本実施形態では第二ゴム部材11A及び第三ゴム部材11B)が配置されたタイヤ径方向位置を避けて通信装置12を埋設することにより、通信装置12の十分な通信性を確保することができる。
また、ビードコア5の近傍においては、ビードコア5やリムR等の金属部材が、ビードコア5よりもタイヤ径方向外側に比べて多くなる傾向があり、この点が通信性に影響する虞がある。タイヤのトレッド部のゲージを薄くした場合においては、タイヤの剛性を維持するために、ビードコア近傍の幅方向外側のゴムを厚くすることによって、ビードコア近傍を強化する手法が取られることがあり、この点も通信性に影響する虞がある。このような位置を避け、通信装置12をタイヤ最大幅位置SWHよりタイヤ径方向内側かつ高硬度ゴム部材11よりタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に配置することによって、通信装置12の十分な通信性を確保することができる。
このように、本実施形態のタイヤ101の構成によれば、通信装置の通信性及び耐久性の両立を効果的に実現することができる。
以下、第2の実施形態のタイヤ101における各構成要素の、好適な構成等について、説明する。
本実施形態においても、第一ゴム部材10のゴムの硬度は、特に限定されない。ビード部2の適度な剛性を維持する観点から、サイドゴム9よりも硬度が高いゴム又は高硬度ゴム部材11(本実施形態では第二ゴム部材11A及び第三ゴム部材11B)と同程度の硬度のゴム等を使用してもよい。あるいは、タイヤの乗り心地性及び転がり抵抗の低減効果の強化を図る観点から、サイドゴム9と同程度の硬度のゴム又はサイドゴム9よりも硬度が低いゴムを使用してもよい。
本実施形態のタイヤ1において、高硬度ゴム部材11である、第二ゴム部材11A及び第三ゴム部材11Bのうち、よりタイヤ径方向外側に位置している方のタイヤ径方向外側の端は、ビードコア5及び第一ゴム部材10よりも、タイヤ径方向において外側に位置していることが好ましい。
上記構成によれば、ビード部2の近傍及びサイドウォール部3の一部をタイヤ幅方向外側から強化し、タイヤ1の十分な剛性を効果的に維持するとともに、タイヤ1に埋設された通信装置12の十分な耐久性も確保することができる。
より好適には、高硬度ゴム部材11である第二ゴム部材11A及び第三ゴム部材11Bのうち、よりタイヤ径方向外側に位置している方のタイヤ径方向外側の端は、ビード部2よりもタイヤ径方向外側に位置している。
ビードコア5の近傍においては、ビードコア5やリムR等の金属部材が、サイドウォール部3に比べて多くなる傾向があり、この点が通信性に影響する虞がある。このことから、高硬度ゴム部材11をサイドウォール部3まで延ばすことによって、通信装置12を確実にビードコア5の近傍よりもタイヤ径方向外側に配置することができ、通信装置12の十分な通信性をより効果的に確保することができる。
また、通信装置12は、高硬度ゴム部材11である第二ゴム部材11A及び第三ゴム部材11Bのうち、よりタイヤ径方向外側に位置している方と、よりタイヤ径方向外側に位置している高硬度ゴム部材11にタイヤ径方向外側の端において接するサイドゴム9と、の境界位置に配置することが好ましい。
上記構成によれば、生産性の観点から好適であるとともに、タイヤの負荷転動時におけるカーカスプライの変形の影響を緩和して、通信装置12の十分な耐久性をより効果的に確保することができる。加えて、金属部材及び高硬度ゴムによる通信性の影響を防止して、通信装置12の十分な通信性をより効果的に確保することができる。
本発明に係るタイヤは、任意の種類のタイヤに利用できるものであるが、好適には、乗用車用タイヤに利用できるものである。
1、101:タイヤ、 2:ビード部、 3:サイドウォール部、 4:トレッド部、 5:ビードコア、 6:カーカス、 6a:本体部、 6b:折り返し部、 6c:折り返し端、 7:ベルト、 8:トレッドゴム、 9:サイドゴム、 10:第一ゴム部材、 11:高硬度ゴム部材、 11A:第二ゴム部材、 11B:第三ゴム部材、 12:通信装置、 12a:アンテナ、 12a1:第一アンテナ、 12a2:第二アンテナ、 12b:制御部、 12c:記憶部、 12d:支持部材、 12e:導電部材、 13:ICチップ、 SWH:タイヤ最大幅位置

Claims (5)

  1. 一対のビードコアと、前記一対のビードコア間をトロイダル状に連続して延在している本体部と、前記本体部から連続して延び、前記ビードコアの周囲をタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側へ巻き回して折り返される折り返し部と、を備える少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスと、を備えるタイヤであって、
    タイヤ径方向における少なくとも一部が、前記本体部と前記折り返し部との間に挟まれるように、前記ビードコアのタイヤ径方向外側に配置された、第一ゴム部材を有し、
    前記第一ゴム部材のタイヤ径方向高さは、タイヤ断面高さの15%以下であり、
    前記第一ゴム部材のタイヤ幅方向外側に、サイドゴムよりも硬度が高い高硬度ゴム部材を有し、
    タイヤ最大幅位置よりタイヤ径方向内側かつ前記高硬度ゴム部材よりタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に、通信装置が埋設されていることを特徴とする、タイヤ。
  2. 前記高硬度ゴム部材は、
    前記タイヤの適用リムと少なくとも一部が接触するように配置された、第二ゴム部材を含み、
    前記通信装置は、前記第二ゴム部材よりもタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に埋設された、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記高硬度ゴム部材は、
    前記タイヤの適用リムと少なくとも一部が接触するように配置された、第二ゴム部材、及び前記折り返し部のタイヤ幅方向外側であって、前記第二ゴム部材のタイヤ幅方向内側に配置された、第三ゴム部材を含み、
    前記通信装置は、前記第二ゴム部材及び前記第三ゴム部材よりもタイヤ径方向外側の、タイヤ径方向位置に埋設された、請求項1に記載のタイヤ。
  4. 前記通信装置は、前記折り返し部の端と同一のタイヤ径方向位置には配置されていない、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記通信装置は、RFタグである、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
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