以下に、実施の形態にかかる下水処理プラントの運転管理システム、下水処理プラントの運転管理方法、および下水処理プラントの運転管理プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる下水処理プラントの構成の一例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる下水処理プラント1は、地下設備10と、水処理設備20と、運転管理システム30とを備える。かかる下水処理プラント1は、分流式下水道から流入する汚水を処理する。
地下設備10は、流入渠11と、流入ゲート12と、沈砂池13と、ポンプ井14と、揚水ポンプ15とを備える。流入渠11は、下水管2から流入する汚水を貯留する。下水管2は、幹線とも呼ばれる。流入ゲート12は、流入渠11と沈砂池13との間に設けられ、流入渠11から沈砂池13への汚水の流入を制御する。かかる流入ゲート12は、運転管理システム30によって制御される。
沈砂池13は、汚水の土砂などを沈殿させて取り除く。沈砂池13から土砂などが取り除かれた汚水はポンプ井14に流入する。揚水ポンプ15は、沈砂池13から流入したポンプ井14の汚水を汲み上げて水処理設備20へ供給する。かかる揚水ポンプ15は、運転管理システム30によって制御される。図1に示す例では、揚水ポンプ15は、4つのポンプによって構成されるが、揚水ポンプ15を構成するポンプの数は、4つに限定されず、3つ以下または5つ以上であってもよい。
水処理設備20は、分配槽21と、処理設備221,222,223と、消毒設備23とを備える。分配槽21には、ポンプ井14から揚水ポンプ15によって汲み上げられた汚水が供給される。水処理設備20は、3系統の処理設備221,222,223によって、水処理を行う。処理設備221,222,223は、例えば、標準活性汚泥法、嫌気無酸素好気法、または3段ステップ流入式硝化脱窒法などによって水処理を行う。
水処理設備20は、複数の処理設備221,222,223が互いに異なる水処理方法によって水処理を行う構成であってもよく、複数の処理設備221,222,223の一部または全部が共通の水処理方法によって水処理を行う構成であってもよい。以下において、処理設備221,222,223の各々を区別せずに示す場合、処理設備22と記載する場合がある。水処理設備20における処理設備22の系統は、3系統に限定されず、2つ以下または4つ以上であってもよい。
処理設備22は、最初沈殿池24と、反応槽25と、最終沈殿池26とを備える。最初沈殿池24は、分配槽21から汚水が供給され、汚水中の比較的沈みやすい固形物などを沈殿させる。反応槽25は、標準活性汚泥法、嫌気無酸素好気法、または3段ステップ流入式硝化脱窒法などによって、水処理を行う。反応槽25には、反応槽25内に空気を送り込んで活性汚泥混合液中に空気を溶解させるブロワが配置される。かかるブロワは、運転管理システム30によって制御される。
最終沈殿池26は、反応槽25から流入する活性汚泥混合液を上澄み水と活性汚泥とに分離する。消毒設備23は、最終沈殿池26から供給される最終沈殿池26の上澄み水を消毒して処理水として河川または海などへ放出する。また、最終沈殿池26で分離され沈殿した汚泥は、余剰汚泥が引き抜かれた後、適量が反応槽25に返送され、流入汚水と混合される。
次に、運転管理システム30について説明する。運転管理システム30は、流入渠11の水位、水処理設備20から放出する処理水の水質、および下水処理プラント1の運転コストなどに基づいて、下水処理プラント1の運転管理を行う。
また、運転管理システム30は、流入渠11へ流入する汚水の予測流入量に基づいて、揚水ポンプ15の操作パターン候補を選択し、選択した操作パターン候補を提示したり、選択した操作パターン候補で揚水ポンプ15を制御したりすることができる。以下においては、流入渠11の水位を流入渠水位と記載し、水処理設備20から放出する処理水の水質を処理水質と記載し、下水処理プラント1の消費電力量を単にプラント消費電力量と記載する場合がある。
図2は、実施の形態1にかかる運転管理システムの機能を説明するための図である。図2に示すように、運転管理システム30は、下水処理プラント1へ汚水が収集される地域である対象地域の降雨量を示す降雨量情報を雨量計3から取得し、取得した降雨量情報に基づいて、降雨時浸入水量を予測する。降雨時浸入水量は、下水管2に浸入する雨水の量であり、雨天時浸入水量と呼ばれることもある。下水管2への雨水の浸入は、例えば、地面に浸透した雨水が目池、継手、または損傷部などから下水管2へ流入したり、下水管2の接続誤りなどによって下水管2へ流入したりすることによって生じる。
運転管理システム30は、下水管2に流れる汚水の量である汚水流入量および下水管2に流れる汚水の水質である汚水水質を示す情報を下水処理場内または下水幹線などに設置された計測器から取得し、取得した情報を管理し保管する。そして、運転管理システム30は、管理し保管している汚水流入量および汚水水質を示す情報と、予測した降雨時浸入水量などに基づいて、下水処理プラント1への汚水の流入量の遷移および水質の遷移を予測する。以下において、運転管理システム30によって予測された下水処理プラント1への汚水の流入量を予測流入量と記載し、運転管理システム30によって予測された下水処理プラント1へ流入する汚水の水質を予測水質と記載する場合がある。また、汚水水質の管理の際は、計測器による水質だけでなく、下水処理プラント1の職員が手分析した水質の併用または代用することも可能である。
そして、運転管理システム30は、予測流入量、予測水質、および下水処理プラント1の現在の状態などに基づいて、複数種類の操作パターンの各々を評価するための指標として算出する。指標は、例えば、揚水ポンプ15に対する複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の流入渠水位の遷移、処理水質の遷移、汚泥界面の位置の遷移、および運転コストなどである。汚泥界面は、活性汚泥の界面である。以下、揚水ポンプ15に対する操作パターンを単に操作パターンと記載し、下水処理プラント1の運転コストを単に運転コストと記載する場合がある。
操作パターンは、例えば、単位時間当たりの揚水ポンプ15の操作パターンである。かかる操作パターンは、揚水ポンプ15の操作量の遷移を表し、例えば、揚水ポンプ15の操作量の変更タイミングと変更量などを含む。例えば、操作パターンは、揚水量を急激に上げる、揚水量を急激に下げる、揚水量を徐々に上げる、揚水量を徐々に下げる、または揚水量を急激に上げて徐々に下げる、揚水量を徐々に上げて急激に下げる、などである。なお、操作パターンは、単位時間当たりの揚水ポンプ15の操作パターンに限定されず、複数種類の操作パターン間で一部または全部が異なる長さの時間における揚水ポンプ15の操作パターンであってもよい。
また、揚水ポンプ15は、上述したように、4つのポンプを有しており、操作パターンは、4つのポンプのどのポンプをいつどのくらい動作させるのかを示す情報が含まれていてもよい。
運転管理システム30は、予測流入量の遷移、および複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の揚水量の遷移などに基づいて、流入渠水位の遷移を操作パターン毎に予測する。また、運転管理システム30は、下水処理プラント1の現在の状態、複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の揚水量の予測遷移、および揚水された汚水の水質の遷移などに基づいて、処理水の水質の遷移、汚泥界面の位置の遷移、および運転コストなどを操作パターン毎に予測する。
例えば、ASM(Activated Sludge Model:活性汚泥モデル)シミュレータを有しており、かかるASMシミュレータを用いたシミュレーションによって、処理水の水質を予測する。ASMシミュレータは、例えば、活性汚泥モデルを用いた演算を行って水処理における物理的、生物的、および科学的な挙動を模擬するシミュレータである。かかる活性汚泥モデルは、生物反応プロセスと物質収支の水質変化などを数学的に記述したモデルである。
また、運転管理システム30は、下水処理プラント1の現在の状態、および複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の揚水量の予測遷移などに基づいて、溶存酸素量(DO:Dissolved Oxygen)が予め設定された範囲内になるように曝気風量を制御するために必要となる消費電力量の遷移を曝気消費電力量の遷移として予測する。曝気は、反応槽25に空気を送り込むブロワ27によって行われ、運転管理システム30は、ブロワ27を制御することで曝気風量を制御する。以下において、曝気風量を制御することをDO制御と記載する場合がある。
また、運転管理システム30は、複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合に必要となる消費電力量の遷移をポンプ消費電力量の遷移として操作パターン毎に予測する。そして、運転管理システム30は、予測した曝気消費電力量の予測遷移およびポンプ消費電力量の予測遷移を積算することでプラント消費電力量の遷移を予測する。そして、運転管理システム30は、予測したプラント消費電力量の遷移から、運転コストを算出する。
また、運転管理システム30は、複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場の最終沈殿池26の汚泥界面の位置の遷移を予測する。運転管理システム30は、例えば、最終沈殿池26の汚泥界面の位置の変動を再現するシミュレータを有しており、かかるシミュレータを用いたシミュレーションによって、最終沈殿池26の汚泥界面の位置の遷移を予測する。かかるシミュレータは、例えば、重力沈降モデルを用いて最終沈殿池26の汚泥界面の位置の変動を再現するシミュレータである。運転管理システム30は、最終沈殿池26の汚泥界面の位置の変動を再現するシミュレータに下水処理プラント1の状態および操作パターンによる揚水量の遷移などをシミュレータに入力することで、最終沈殿池26の汚泥界面の位置の遷移を予測する。
このように、運転管理システム30は、複数の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の流入渠水位の遷移、処理水質の遷移、汚泥界面の位置の遷移、および運転コストを予測する。そして、運転管理システム30は、予測した流入渠水位の遷移、予測した処理水質の遷移、予測した汚泥界面の位置の遷移、および予測した運転コストに基づいて、複数の操作パターンの中から操作パターン候補を決定する。操作パターン候補は、推奨する操作パターンとして、下水処理プラント1の運転員へ提示する操作パターンまたは下水処理プラント1で自動的に実行される操作パターンである。
運転管理システム30は、例えば、予測した流入渠水位の遷移、予測した処理水質の遷移、予測した汚泥界面の位置の遷移、および予測した運転コストの各々に重み付けして得られる値の合算値に基づいて、操作パターン候補を選択する。また、運転管理システム30は、流入渠水位の低減を優先する操作パターン、処理水質の低下防止を優先する操作パターン、および運転コストの低減を優先する操作パターンなどを操作パターン候補として選択することもできる。
そして、運転管理システム30は、決定した操作パターンを行うための操作パターンを操作パターン候補として下水処理プラント1の運転員へ提示したり、決定した操作パターン候補に沿って自動的に揚水ポンプ15を制御したりすることができる。これにより、運転管理システム30は、汚水が流入する流入渠11を含む地下設備10を有する下水処理プラント1への汚水の流入に応じて下水処理プラント1の運転管理を適切に行うことができる。
以下において、運転管理システム30によって予測された流入渠水位の遷移を流入渠水位の予測遷移と記載し、運転管理システム30によって予測された処理水質の遷移を処理水質の予測遷移と記載する場合がある。また、運転管理システム30によって予測された汚泥界面の位置の遷移を汚泥界面の位置の予測遷移と記載し、運転管理システム30によって予測された運転コストを予測運転コストと記載する場合がある。
ここで、雨水が含まれない汚水の量を基本汚水量とし、雨水が含まれる汚水の量を降雨時汚水量とし、揚水ポンプ15による汚水の汲み上げの設定量を揚水設定量とし、流入渠11の貯留される汚水の量を貯留量とし、反応槽25の処理負荷を反応槽負荷とし、これらの関係について説明する。
図3は、実施の形態1にかかる下水処理プラントにおける揚水設定量を通常の2倍にした場合の揚水量、基本汚水量、降雨時汚水量、貯留量、および反応槽負荷の関係の一例を示す図である。図4は、実施の形態1にかかる下水処理プラントにおける揚水設定量を通常の2.5倍にした場合の揚水量、基本汚水量、降雨時汚水量、貯留量、および反応槽負荷の関係の一例を示す図である。図5は、実施の形態1にかかる下水処理プラントにおける揚水設定量を通常の3倍にした場合の揚水量、基本汚水量、降雨時汚水量、貯留量、および反応槽負荷の関係の一例を示す図である。図3~図5において、横軸は時間であり、縦軸は、揚水量、基本汚水量、降雨時汚水量、貯留量、および反応槽負荷を表す。
図3~図5に示すように、下水処理プラント1では、揚水設定量に対する揚水ポンプ15の揚水の時間遅れから、貯留量のピークに時間遅れが生じる。したがって、下水処理プラント1において、汚水の流入量から揚水ポンプ15の揚水量を設定すると、揚水ポンプ15による揚水の時間遅れから、流入渠11からの汚水の汲み上げが間に合わなくなる可能性がある。
図3~図5に示す反応槽負荷は、雨水による汚水の希釈度合いに揚水量を掛け合わせて求められ、揚水設定量に応じて、反応槽負荷の変動に相違が生じる。これは、流入渠11に汚水が溜まっている間に雨水を多く含む汚水が流入渠11に流れ込むことが原因であり、揚水ポンプ15の揚水量および揚水のタイミングなどによって、反応槽負荷は変動する。図3~図5に示す例では、揚水設定量を通常の3倍にした場合が反応槽負荷の変動が最も少ない。
また、降雨時汚水量は、雨が降ってから地表から地中を経由して下水管2に浸水して下水処理プラント1に到達するまでに数時間かかる場合があるため、揚水設定量に対する揚水ポンプ15の揚水の時間遅れに加え、降雨時汚水量の流入の時間遅れも、流入渠水位の変動に影響を及ぼす。また、処理水質は、揚水ポンプ15による揚水の変動から数時間後に影響が現れる。例えば、反応槽25へ流入した汚水の滞留時間は、反応槽25の容量を揚水ポンプ15で除して得られる値であり、汚水の滞留時間に応じて処理水質が変化する。
このように、揚水ポンプ15の揚水は、複数の要素に影響する。そして、下水処理プラント1では、流入渠11が地下にあり、処理能力を超える汚水を放流することができないことが多い。そこで、運転管理システム30は、流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストなどを操作パターンの選択指標として用いて、予測される汚水の流入量に応じて揚水ポンプ15での揚水を行う。
これにより、運転管理システム30は、下水処理プラント1への汚水の予測流入量に応じて下水処理プラント1の運転管理を適切に行うことができる。例えば、降雨による流入渠11への流入総量が過度に大きい場合、通常運転を行うと、下水処理プラント1の処理能力を超える場合がある。このような場合であっても、運転管理システム30は、例えば、流入渠水位の予測遷移などを操作パターンの選択指標として用いることで、例えば、汚水の流入量を見越した操作パターンで揚水ポンプ15を操作することができ、流入渠11への流入が多くなる前に揚水量を多くすることができる。
また、揚水量の変化のさせ方によって処理水の水質が変わる場合がある。図6は、実施の形態1にかかる下水処理プラントにおける揚水ポンプの揚水量の変化のさせ方の違いによる処理水の水質の違いを説明するための図である。図6において、横軸は、時間を表し、縦軸は、処理水のアンモニア濃度または揚水量を表す。
図6に示すように、揚水ポンプ15による揚水量を急激に上げた場合、揚水ポンプ15による揚水量を徐々に上げた場合に比べて、処理水のアンモニア濃度のピークが大きくなり、処理水の水質が悪化する。これは、水処理設備20において急に負荷が大きくなると、DO制御が追いつかなくなるためである。
また、揚水ポンプ15で急激に揚水量を上げた場合の方が、揚水ポンプ15で徐々に揚水量を上げた場合よりも、トータル的に処理水の水質がよい場合がある。例えば、比較的強い雨が長時間降るような場合、揚水ポンプ15で急激に揚水量を上げた方が、処理水の水質において悪化のピークは大きくなるものの、処理水の水質の平均値または積算値が低くなる場合がある。
このように、揚水ポンプ15による揚水量の変化のさせ方で処理水の水質が変わることから、運転管理システム30は、処理水質の予測遷移を操作パターンの選択指標として用いて、予測される汚水の流入量に応じて揚水ポンプ15での揚水を行う。これにより、運転管理システム30は、処理水の水質の悪化を抑制することができる。
また、反応槽負荷の変動が大きいと、曝気消費電力量がピークとなる時間が長くなる場合があり、下水処理プラント1の運転コストが大きくなる可能性がある。このような場合であっても、運転管理システム30は、予測運転コストを操作パターンの選択指標として用いることで、運転コストを抑えることができる。
また、揚水ポンプ15を構成する複数のポンプのうちどのポンプをどのくらいの時間どのくらい揚水させるかによって、同じ揚水量でもポンプ消費電力量が異なる場合がある。例えば、10000m3を揚水する場合、5000m3/時間で2時間かけて揚水すると800kWとなり、2000m3/時間で5時間かけて揚水すると1050kWとなる場合がある。
また、揚水ポンプ15を構成する各ポンプは、設計水量に近いほど揚水効率が高くなることが多く、設計水量近くで揚水させることができるように動作させるポンプを選択することで、ポンプ消費電力量を低減できる場合がある。図7は、実施の形態1にかかる下水処理プラントの揚水ポンプを構成する複数のポンプのうち使用する1以上のポンプにおける消費電力量と揚水量との関係を示す図である。図7において、横軸は、揚水ポンプ15による揚水量を表し、縦軸は、揚水ポンプ15の消費電力量を表す。図7では、揚水ポンプ15を構成する4つのポンプの名称が、1号、2号、3号、および4号である。
図7に示すように、同じ揚水量でもポンプまたはポンプの組み合わせによって消費電力量が異なり、また、ポンプまたはポンプの組み合わせは、設計水量に近いほど揚水効率が高くなっている。したがって、異なるポンプ毎または異なるポンプの組み合わせ毎に操作パターンを用意することで、曝気消費電力量を抑えることができる。運転管理システム30では、異なるポンプ毎または異なるポンプの組み合わせ毎に操作パターンを作成することもできる。
また、最終沈殿池26の汚泥界面は、揚水ポンプ15による揚水の変動から汚泥界面は数十分後に影響が現れることから、活性汚泥の流出を可及的に抑制することが望ましい。そこで、運転管理システム30は、汚泥界面の位置の予測遷移を操作パターンの選択指標として用いて、汚水の予測流入量に応じて揚水ポンプ15での揚水を行うこともできる。これにより、運転管理システム30では、下水処理プラント1への汚水の予測流入量に応じて下水処理プラント1の運転管理をより適切に行うことができる。
また、運転管理システム30は、地下設備10が水没しないように揚水ポンプ15を制御することから、例えば、流入ゲート12の閉状態の維持による外部施設の浸水、および沈砂池13の水没などを防止することができる。なお、地下設備10が水没しないとは、例えば、地下設備10の一部の水没、例えば、沈砂池13の水没を含む。
以下、運転管理システム30の構成について具体的に説明する。図8は、実施の形態1にかかる運転管理システムの構成の一例を示す図である。図8に示すように、運転管理システム30は、第1通信部31と、第2通信部32と、表示部33と、操作部34と、記憶部35と、処理部36とを備える。
第1通信部31は、例えば、インターネット、専用線、またはその他のネットワークなどの通信ネットワークに接続されており、かかる通信ネットワークを介して、幹線計測器4から送信される幹線情報および雨量観測システム5から送信される降雨量情報などを受信する。
流入の状況を把握する手段として、例えば、下水管2に流れる汚水の流量を検出する流量計および下水管2に流れる汚水の水質を検出する水質センサなどを含む幹線計測器4を用いてもよい。幹線情報には、下水管2に流れる汚水の量および水質を示す情報が含まれる。雨量観測システム5は、例えば、XRAIN(eXtended RAdar Information Network)と呼ばれる雨量観測システムである。雨量観測システム5は、上述した雨量計3を含む。雨量計3は、例えば、レーザ雨量計または地上雨量計である。降雨量情報には、下水処理プラント1に汚水が収集される地域の降雨量の情報が含まれる。
第2通信部32は、下水処理プラント1に設けられた複数のセンサを含むセンサ群7とネットワークを介して接続されており、ネットワークを介してセンサ群7によって検出されセンサ群7から送信される状態情報を受信する。状態情報は、下水処理プラント1の状態を示す情報であり、センサ群7に含まれるセンサは、下水処理プラント1の状態を検出する。
センサ群7に含まれるセンサによって検出される下水処理プラント1の状態は、例えば、流入渠11への汚水の流入量、流入渠11へ流入する汚水の状態、流入渠11などの水位、最初沈殿池24の状態、反応槽25の状態、および最終沈殿池26から放出される処理水の状態などである。流入渠11へ流入する汚水の状態は、例えば、汚水の水質または汚水の温度などである。
最初沈殿池24の状態は、例えば、最初沈殿池24内への汚水の流入量、最初沈殿池24内の汚水の水質または温度などである。最初沈殿池24内の汚水の水質は、例えば、BOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)、NH3の濃度、またはNH4+の濃度などである。BODは、例えば、最初沈殿池24からロボットで採取された汚水を、試薬を用いて、手分析またはセンサによって観測されるが、かかる例に限定されない。
反応槽25の状態は、反応槽25内の被処理水の水質または温度などである。被処理水の水質は、例えば、溶存酸素量、活性汚泥浮遊物質(MLSS:Mixed Liquor Suspended Solids)、BOD、アンモニア性窒素濃度、硝酸性窒素濃度、全窒素濃度、全リン濃度、リン酸性リン濃度、および全リン濃度でなどである。反応槽25内の被処理水は、最初沈殿池24から流入する汚水である。
処理水の状態は、例えば、処理水の放出量、処理水のBOD、処理水の全窒素濃度、および処理水の全リン濃度などである。なお、センサによって検出される下水処理プラント1の状態は、上述した例に限定されず、適宜変更可能である。また、下水処理プラント1の状態の一部は、センサに代えて、過去の実績、ロボットで採取した汚水に対する試薬などを用いた観測、またはASMシミュレーションなどによって推定されるものであってもよい。この場合、処理部36で取得される状態情報には、実時間で観測されるものと実時間で観測されないものが含まれる。
表示部33は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro Luminescence)などのディスプレイである。操作部34は、下水処理プラント1を操作するための操作装置であり、揚水ポンプ15、ブロワ27、および返送ポンプ28などを制御するためのボタンまたはレバーなどを含む。
記憶部35は、履歴情報および操作パターン情報などを記憶する。履歴情報は、下水処理プラント1の運転員による操作部34への過去の操作の履歴を示す操作履歴情報、下水処理プラント1の過去の状態を示す状態履歴情報、過去の降雨量を示す降雨量履歴情報などを含む。過去の操作の履歴には、揚水ポンプ15に対する過去の操作の履歴、およびブロワ27に対する過去の操作の履歴などが含まれる。
操作パターン情報は、予め設定された複数種類の操作パターンの情報または処理部36によって生成された複数種類の操作パターンの情報を含む。複数種類の操作パターンは、揚水ポンプ15に対する操作パターンである。
処理部36は、操作パターン抽出部40と、操作パターン情報生成部41と、予測情報生成部42と、予測情報取得部43と、状態情報取得部44と、指標情報取得部45と、操作パターン選択部46と、操作パターン提示部47と、揚水ポンプ制御部48とを備える。
操作パターン抽出部40は、記憶部35に記憶されている操作履歴情報に基づいて、下水処理プラント1の運転員による揚水ポンプ15に対する複数種類の操作パターンを抽出する。操作パターン抽出部40は、例えば、機械学習における教師なし学習によるクラスタリングによって、複数種類の操作パターンを抽出することができる。機械学習における教師なし学習は、例えば、k-means法などの非階層型クラスタリングであるが、かかる例に限定されない。
なお、操作パターン抽出部40は、操作履歴情報に基づいて抽出した複数種類の操作パターンの各々について、異なるポンプ毎または異なるポンプの組み合わせ毎の操作パターンに分割し、分割して得られる複数種類の操作パターンを操作履歴情報からの抽出結果とすることもできる。
操作パターン情報生成部41は、操作パターン抽出部40によって抽出された複数種類の操作パターンの情報を含む操作パターン情報を生成し、生成した操作パターン情報を記憶部35に記憶させる。
予測情報生成部42は、第1通信部31で受信された降雨量情報および幹線情報などを第1通信部31から取得し、取得した降雨量情報および幹線情報に基づいて、流入渠11への汚水の予測流入量の遷移および予測水質の遷移を示す予測情報を生成する。なお、予測情報生成部42は、降雨量情報および幹線情報の一方を用いずに、流入渠11への汚水の予測流入量の遷移および予測水質の遷移を示す予測情報を生成することもできる。
予測情報生成部42によって取得される降雨量情報は、雨量観測システム5によって観測される各地域の降雨量のうち、下水処理プラント1で汚水が収集される地域である対象地域の降雨量である。予測情報生成部42は、取得した降雨量情報を記憶部35の履歴情報に追加する。
予測情報生成部42は、降雨量情報に基づいて、例えば、公知の修正RRL法(Road Research Laboratory Method)を用いて、下水管2への雨水の浸入量である浸入水量を対象地域の地点毎に予測する。そして、予測情報生成部42は、例えば、雨水が地表に降ってから下水管2へ浸入して流入渠11へ到達するまでの遅れ時間分ずれて雨水を含む汚水が到達するものとして、予測した対象地域の地点毎の浸入水量を、雨水を含まない汚水量に対して時間をずらして加算することで、単位時間毎の流入渠11への汚水の予測流入量の遷移と予測水質の遷移とを算出する。
なお、予測情報生成部42は、例えば、対象地域に雨が降っていない状態における流入渠11への過去の汚水の流入量の遷移と水質の遷移とに基づいて、降雨時における雨水を含まない汚水の流入量の遷移と水質の遷移とを推定することができる。例えば、予測情報生成部42は、対象地域に雨が降っていない状態における流入渠11への過去の汚水の流入量の遷移パターンと水質の遷移パターンとを平日および休日の各々について判定し、かかる判定結果を、降雨時における雨水を含まない汚水の流入量の遷移および水質の遷移として推定することができる。この場合、予測情報生成部42は、推定した汚水の流入量および水質の遷移パターンと、降雨量情報から予測される雨水の浸入量とに基づいて、単位時間毎の流入渠11への汚水の予測流入量の遷移と予測水質の遷移とを算出することができる。なお、過去の汚水の流入量の遷移パターンおよび水質の遷移パターンの判定は、下水処理プラント1の運転員などの職員が行ってもよい。また、予測情報生成部42は、幹線情報に基づいて、流入渠11への汚水の予測流入量の遷移と実際の流入量の遷移とを比較することで、流入渠11への汚水の予測流入量の算出に用いる演算式のパラメータを調整することもできる。
また、予測情報生成部42は、幹線情報に含まれる汚水の水質、予測した浸入水量、および予測した雨水を含まない汚水量などに基づいて、流入渠11へ流入する汚水の水質の遷移を予測する。なお、降雨量に対する過去の汚水の水質が履歴情報から取得できる場合、予測情報生成部42は、幹線情報を用いずに、予測した浸入水量、および予測した雨水を含まない汚水量などに基づいて、流入渠11へ流入する汚水の水質の遷移を予測することもできる。この場合、予測情報生成部42は、雨水を含まない汚水の過去の水質を予測に用いることができる。
予測情報取得部43は、予測情報生成部42によって生成された予測情報を予測情報生成部42から取得する。なお、運転管理システム30とは異なる情報処理システムにおいて予測情報が生成される場合、予測情報取得部43は、第1通信部31を介して情報処理システムから予測情報を取得することもできる。
また、予測情報取得部43は、例えば、対象地域の予測降雨量を示す情報を含む気象予報情報を配信する気象予報サーバから不図示のネットワークおよび第1通信部31を介して気象予報情報を取得することもできる。
状態情報取得部44は、第2通信部32を介してセンサ群7から送信される状態情報を取得する。状態情報は、上述したように、下水処理プラント1の状態を示す情報であり、下水処理プラント1の状態を観測した情報である観測データと呼ばれることもある。状態情報取得部44は、取得した状態情報を指標情報取得部45へ通知したり、取得した状態情報を記憶部35の状態履歴情報に追加したりする。
指標情報取得部45は、記憶部35に記憶されている操作パターン情報と予測情報取得部43によって取得された予測情報と状態情報取得部44によって取得された状態情報とに基づき、指標情報を取得する。指標情報は、上述した複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の処理水質の予測遷移、流入渠水位の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストなどを示す情報を含む。
指標情報取得部45は、例えば、状態情報および予測情報に基づいて、複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の処理水質の予測遷移、流入渠水位の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストなどをシミュレーションによって算出することによって、指標情報を取得する。指標情報は、処理水質の予測遷移、流入渠水位の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストなどの情報を含む。
指標情報取得部45は、例えば、ASMシミュレータなどのシミュレータを有している。指標情報取得部45は、状態情報で示される下水処理プラント1の現在の状態、予測情報で示される流入渠11への汚水の予測流入量の遷移および予測水質の遷移、および操作パターンによる揚水量の遷移などをASMシミュレータに入力することで、処理水の水質の遷移を操作パターン毎に予測する。
また、指標情報取得部45は、例えば、予測情報で示される流入渠11への汚水の予測流入量の遷移、および操作パターンによる揚水量の遷移などに基づいて、流入渠水位の予測遷移を操作パターン毎に予測する。例えば、指標情報取得部45は、流入渠11への汚水の流入量の遷移と揚水量の遷移とから流入渠水位の予測遷移を算出する演算式またはシミュレータを用いて、流入渠水位の予測遷移を操作パターン毎に予測することができる。
また、指標情報取得部45は、下水処理プラント1の現在の状態、操作パターンによる揚水量の遷移、および予測情報で示される流入渠11へ流入する汚水の水質の遷移などに基づいて、溶存酸素量が予め設定された範囲内になるように曝気消費電力量を操作パターン毎に予測する。指標情報取得部45は、操作パターンによる揚水量で必要な消費電力量に曝気消費電力量を操作パターン毎に加算することで、操作パターン毎のプラント消費電力量を予測する。そして、指標情報取得部45は、予測した操作パターン毎のプラント消費電力量に基づいて、操作パターン毎の予測運転コストを算出する。
また、指標情報取得部45は、下水処理プラント1の現在の状態、操作パターンによる揚水量の遷移、および予測情報で示される流入渠11へ流入する汚水の水質の遷移などに基づいて、最終沈殿池26における汚泥界面の位置の遷移を予測することもできる。以下において、予測された汚泥界面の位置の遷移を汚泥界面の位置の予測遷移と記載する場合がある。
指標情報取得部45は、最終沈殿池26の汚泥界面の位置の変動を再現するシミュレータを有しており、かかるシミュレータを用いたシミュレーションによって、最終沈殿池26の汚泥界面の位置の遷移を予測する。かかるシミュレータは、例えば、重力沈降モデルを用いて最終沈殿池26の汚泥界面の位置の変動を再現するシミュレータであり、指標情報取得部45は、例えば、操作パターンによる揚水量の遷移などをシミュレータに入力することで、最終沈殿池26の汚泥界面の位置の遷移を予測する。
なお、指標情報取得部45による指標情報の取得方法は、上述した例に限定されず、状態情報および予測情報に基づいて指標情報が取得できればよく、上述した方法以外の方法であってもよい。
また、指標情報取得部45は、最終沈殿池26から反応槽25に活性汚泥を返送する返送ポンプ28を制御するために必要となる消費電力量の遷移を返送消費電力量の遷移として予測することもできる。この場合、指標情報取得部45は、曝気消費電力量の遷移、ポンプ消費電力量の遷移、および返送消費電力量の遷移を積算することでプラント消費電力量の遷移を予測することもできる。
操作パターン選択部46は、指標情報取得部45によって取得された指標情報に基づいて、複数種類の操作パターンの中から操作パターンの候補である操作パターン候補を選択する。例えば、操作パターン選択部46は、流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストに基づき、地下設備10が水没しないことおよび活性汚泥の流出が予め設定された上限値以下になることを制約条件として、複数種類の操作パターンの中から操作パターン候補を決定する。
操作パターン選択部46は、例えば、流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストの各々に重み付けして得られる値の合算値に基づいて、操作パターン候補を選択する。流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストの各々に重みは、予め設定された値であってもよく、流入渠11への汚水の予測流入量に応じた値であってもよく、操作パターン候補によって異なる値であってもよい。
例えば、単位時間当たりの予測流入量は多いが雨水が混じった汚水が流入する期間が短い場合であって下水処理プラント1の処理能力内である場合に水処理設備20が高負荷運転にならないように重み付けを行うことで、運転コストを抑えることができる操作パターン候補を操作パターン選択部46において決定することができる。
また、単位時間当たりの予測流入量は多くないが雨水が混じった汚水が流入する期間が長い場合であって通常の運転を続けると下水処理プラント1の処理能力を超える場合がある。このような場合に水処理設備20で通常よりも早めに高負荷運転を実施するように重み付けを行うことで、流入渠水位および処理水質を抑えることができる操作パターン候補を操作パターン選択部46において決定することができる。
操作パターン選択部46は、例えば、流入渠水位の予測遷移に対する重み付けを大きくすることで、水位優先の操作パターンを操作パターン候補として選択することができ、処理水質の重み付けを大きくすることで、処理水質の操作パターンを操作パターン候補として選択することができる。また、操作パターン選択部46は、例えば、予測運転コストの重み付けを大きくすることで、コスト優先の操作パターンを操作パターン候補として選択することができる。
また、操作パターン選択部46は、流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストに基づき、複数種類の操作パターンの中から操作パターン候補を時系列で組み合わせて選択することもできる。この場合、操作パターン選択部46は、時系列で組み合わされた複数の操作パターンを含み互いに組み合わせが異なる操作パターン群毎にかかる操作パターン群で揚水ポンプ15が操作された場合の流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、および予測運転コストに基づいて、時系列で組み合わされた複数の操作パターン候補を選択する。
この場合も、操作パターン選択部46は、流入渠水の予測遷移位、処理水質の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストの各々に重み付けして得られる値の合算値に基づいて、時系列で組み合わされた複数の操作パターン候補を選択することができる。以下において、時系列で組み合わされた複数の操作パターン候補を操作パターン候補群と記載する場合がある。
また、操作パターン選択部46は、流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストに基づいて、上記制約条件の下、操作パターン候補または操作パターン候補群を選択することができる。例えば、操作パターン選択部46は、流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストの各々に重み付けして得られる値の合算値に基づいて、操作パターン候補または時系列で組み合わされた複数の操作パターン候補を選択する。
操作パターン選択部46は、汚泥界面の位置の予測遷移を操作パターン候補または操作パターン候補群の選択指標とすることで、活性汚泥の流出を抑制することができる操作パターン候補または操作パターン候補群を選択することができる。処理設備22内の流速が速くなると、汚泥界面の位置が低くならずに活性汚泥が流出する可能性があるため、操作パターン選択部46において、汚泥界面の位置を選択指標とすることで、処理設備22内の流速が速くなりすぎないような操作パターン候補または操作パターン候補群を選択することができる。
なお、操作パターン選択部46は、例えば、流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および運転コストなどから得られるスコアが高い順に予め設定された数だけ操作パターン候補として抽出することもできる。スコアは、例えば、上述した合算値などである。
操作パターン提示部47は、操作パターン選択部46によって選択された操作パターン候補または操作パターン候補群を推奨操作パターンとして提示する。例えば、操作パターン提示部47は、操作パターン選択部46によって選択された操作パターン候補または操作パターン候補群を推奨操作パターンとして表示部33に表示させることによって、推奨操作パターンを提示する。
図9は、実施の形態1にかかる運転管理システムの処理部によって表示部に表示される推奨操作パターンの一例を示す図である。図9に示す推奨操作パターンは、時刻t1で揚水量を急激に上げて、その後、時刻t2および時刻t3で徐々に揚水量を下げる操作パターンである。
これにより、下水処理プラント1の運転者は、推奨操作パターンに従って操作部34を介して揚水ポンプ15を操作することで、下水処理プラント1への汚水の予測流入量に応じて下水処理プラント1の運転管理を適切に行うことができる。
揚水ポンプ制御部48は、下水処理プラント1の運転者による操作部34への操作に基づいて、揚水ポンプ15を制御する。また、揚水ポンプ制御部48は、下水処理プラント1の動作モードが自動運転モードである場合、操作パターン選択部46によって選択された推奨操作パターンに沿って揚水ポンプ15を制御することができる。
操作パターン提示部47は、推奨操作パターンに加え、流入渠11への汚水の予測流入量のパターンの情報および対象地域の予測降雨量パターンの情報のうちの少なくとも一方を表示部33に表示させることができる。流入渠11への汚水の予測流入量のパターンの情報は、予測情報生成部42によって生成される予測情報に含まれており、操作パターン提示部47は、予測情報取得部43によって取得された予測情報に基づいて、流入渠11への汚水の予測流入量のパターンの情報を表示部33に表示させる。
また、対象地域の予測降雨量パターンは、予測情報取得部43によって取得される気象予報情報に含まれており、操作パターン提示部47は、予測情報取得部43によって取得された気象予報情報に基づいて、対象地域の予測降雨量パターンの情報を表示部33に表示させる。
図10は、運転管理システムの処理部によって表示部に表示される推奨操作パターンの他の例を示す図である。図10に示すように、操作パターン提示部47は、推奨操作パターンの情報と予測降雨量パターンの情報とを時間軸を合わせて表示部33に表示させることができる。
また、操作パターン提示部47は、操作パターン選択部46によって複数の操作パターン候補が選択された場合、操作パターン選択部46によって選択された複数の操作パターン候補の情報を表示部33に同時に表示させることができる。
例えば、操作パターン提示部47は、流入渠水位を優先する操作パターン候補の情報、処理水質を優先する操作パターン候補の情報、および運転コストの抑制を優先する操作パターンの情報を同時に表示部33に表示させることができる。例えば、操作パターン提示部47は、各操作パターン候補での流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、および電力料金などの情報も併せて表示部33に表示させることができる。
これにより、下水処理プラント1の運転員は、流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、および運転コストなどを判断材料として、複数の操作パターン候補から実行する操作パターンを選択することができる。
つづいて、フローチャートを用いて運転管理システム30の処理部36による処理を説明する。図11は、実施の形態1にかかる運転管理システムの処理部による操作パターン情報生成処理の一例を示すフローチャートである。
図11に示すように、運転管理システム30の処理部36は、記憶部35から履歴情報を取得し(ステップS10)、取得した履歴情報に基づいて、操作パターンをクラスタリングする(ステップS11)。
次に、処理部36は、クラスタリングされた複数種類の操作パターンの情報を含む操作パターン情報を生成する(ステップS12)。そして、処理部36は、生成した操作パターン情報を記憶部35に記憶させ(ステップS13)、図11に示す処理を終了する。
図12は、実施の形態1にかかる運転管理システムの処理部による操作パターン提示処理の一例を示すフローチャートである。図12に示すように、処理部36は、対象地域の降雨量の情報を含む降雨量情報を雨量観測システム5から取得し(ステップS20)、取得した降雨量情報に基づいて、流入渠11への汚水の予測流入量および予測水質の情報を含む予測情報を生成する(ステップS21)。
次に、処理部36は、下水処理プラント1の状態を示す情報を含む状態情報をセンサ群7から取得する(ステップS22)。そして、処理部36は、ステップS21で生成した予測情報とステップS22で取得した状態情報とに基づいて、指標情報を取得する(ステップS23)。指標情報は、指標の予測遷移を示す情報を含む。指標の予測遷移は、例えば、流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、および予測運転コストなどである。
次に、処理部36は、ステップS23で取得した指標情報に基づいて、複数種類の操作パターンの中から操作パターン候補を選択する(ステップS24)。処理部36は、ステップS24で選択された操作パターン候補を表示部33に表示し(ステップS25)、図12に示す処理を終了する。
図13は、実施の形態1にかかる処理部のハードウェア構成の一例を示す図である。図13に示すように、処理部36は、プロセッサ101と、メモリ102と、バス103とを備えるコンピュータを含む。プロセッサ101およびメモリ102は、バス103によって互いに情報の送受信が可能である。
記憶部35は、メモリ102によって実現される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、処理部36の機能を実行する。プロセッサ101は、例えば、処理回路の一例であり、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち一つ以上を含む。
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうち一つ以上を含む。また、メモリ102は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうち一つ以上を含む。なお、処理部36は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいてもよい。
なお、運転管理システム30は、例えば、互いに異なる位置にある2以上の装置で構成されてもよい。例えば、運転管理システム30は、処理サーバと、データサーバとで構成されてもよい。
以上のように、実施の形態1にかかる下水処理プラント1の運転管理システム30は、状態情報取得部44と、予測情報取得部43と、指標情報取得部45と、操作パターン選択部46とを備える。状態情報取得部44は、下水処理プラント1の状態を示す状態情報を取得する。予測情報取得部43は、流入渠11への汚水の予測流入量を示す予測情報を取得する。指標情報取得部45は、状態情報および予測情報に基づき、複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の下水処理プラント1の処理水の水質、流入渠11の水位、および下水処理プラント1の運転コストを示す情報を含む指標情報を取得する。操作パターン選択部46は、指標情報に基づいて、複数種類の操作パターンの中から操作パターンの候補である操作パターン候補を選択する。これにより、運転管理システム30は、汚水が流入する流入渠11を含む地下設備10を有する下水処理プラント1への汚水の予測流入量に応じて下水処理プラント1の運転管理を適切に行うことができる。
また、指標情報取得部45は、状態情報および予測情報に基づいて、複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の水質、水位、および運転コストをシミュレーションによって算出することによって、指標情報を取得する。これにより、運転管理システム30は、事前に多数の指標情報を生成することなく、指標情報を取得することができる。
また、指標情報取得部45は、状態情報および予測情報に基づいて、複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の水質、水位、運転コスト、および水処理設備20における汚泥界面の位置を示す情報を含む情報を指標情報として取得する。これにより、運転管理システム30は、下水処理プラント1への汚水の予測流入量に応じて下水処理プラント1の運転管理をより適切に行うことができる。
また、運転管理システム30は、揚水ポンプ15の操作履歴から複数種類の操作パターンを抽出する操作パターン抽出部40を備える。これにより、運転管理システム30は、下水処理プラント1に応じた適切な操作パターンを抽出することができる。
また、操作パターン選択部46は、複数種類の操作パターンの中から操作パターン候補を時系列で組み合わせて選択する。これにより、運転管理システム30は、下水処理プラント1への汚水の予測流入量に応じて下水処理プラント1の運転管理をより適切に行うことができる。
また、運転管理システム30は、操作パターン選択部46によって選択された操作パターン候補の情報を推奨操作パターンの情報として提示する操作パターン提示部47を備える。これにより、下水処理プラント1の運転員は、推奨操作パターンに従って、揚水ポンプ15を適切に操作することができる。
また、操作パターン提示部47は、推奨操作パターンの情報に加え、流入渠11への汚水の予測流入量のパターンの情報および対象地域の予測降雨量パターンの情報のうちの少なくとも一方を提示する。これにより、下水処理プラント1の運転員は、予測流入量のパターンまたは予測降雨量パターンを見ながら、推奨操作パターンに従って、揚水ポンプ15を適切に操作することができ、状況に応じた操作パターンを把握することができる。
また、操作パターン提示部47は、水位を優先する操作パターン、水質を優先する操作パターン、および運転コストを優先する操作パターンのうち少なくとも1つを操作パターン候補として選択する。これにより、運転管理システム30は、下水処理プラント1への汚水の予測流入量に応じて下水処理プラント1の運転管理をより適切に行うことができる。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる運転管理システムは、流入渠への流入量の遷移と下水処理プラントの状態との複数の組み合わせに対して複数種類の操作パターンの各々での各指標の予測遷移を予め準備する点で、実施の形態1にかかる運転管理システム30と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の運転管理システム30と異なる点を中心に説明する。
図14は、実施の形態2にかかる下水処理プラントの構成の一例を示す図である。図14に示すように、実施の形態2にかかる下水処理プラント1Aは、運転管理システム30に代えて、運転管理システム30Aを備える点で、実施の形態1にかかる下水処理プラント1と異なる。
図15は、実施の形態2にかかる運転管理システムの構成の一例を示す図である。図15に示すように、実施の形態2にかかる運転管理システム30Aは、記憶部35および処理部36に代えて、記憶部35Aおよび処理部36Aを備える点で、実施の形態1にかかる運転管理システム30と異なる。
記憶部35Aは、処理部36Aで生成された指標情報を記憶する点で、記憶部35と異なる。処理部36Aは、指標情報生成部49をさらに備える点、および指標情報取得部45に代えて指標情報取得部45Aを備える点で、処理部36と異なる。
指標情報生成部49は、下水処理プラント1Aの状態および流入渠11への汚水の流入量の遷移についての様々な局面を想定して指標の状態を予測するシミュレーションをオフラインで実施する。
具体的には、指標情報生成部49は、下水処理プラント1Aの想定状態と流入渠11への汚水の流入量の想定遷移との複数の異なる組み合わせを決定する。そして、指標情報生成部49は、複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の処理水質の予測遷移、流入渠水位の予測遷移、およびプラント消費電力量の予測遷移などをシミュレーションによって算出して組み合わせ毎の指標情報を生成する。
指標情報生成部49は、生成した組み合わせ毎の指標情報を記憶部35Aに記憶させる。以下において、組み合わせ毎の指標情報を想定組み合わせ毎の指標情報と記載し、下水処理プラント1Aの想定状態の情報を想定状態情報と記載し、流入渠11への汚水の流入量の想定遷移の情報を想定予測情報と記載する場合がある。
指標情報生成部49は、指標情報取得部45と同様に各種のシミュレータを有しており、各種のシミュレータを用いたシミュレーションによって、上述した組み合わせ毎の指標情報を生成する。例えば、下水処理プラント1Aの想定状態と、流入渠11への汚水の予測流入量の想定遷移および予測水質の遷移と、操作パターンによる揚水量の遷移とをASMシミュレータに入力することで、処理水の水質を操作パターン毎に予測する。
また、指標情報生成部49は、例えば、流入渠11への汚水の流入量の想定遷移と操作パターンによる揚水量の遷移とから流入渠水位の遷移を算出する演算式またはシミュレータを用いて、流入渠水位の遷移を操作パターン毎に予測することができる。
また、指標情報生成部49は、汚泥界面の位置の予測遷移を含む想定組み合わせ毎の指標情報を生成することができる。この場合、指標情報生成部49は、最終沈殿池26の汚泥界面の位置の変動を再現するシミュレータに下水処理プラント1Aの状態および操作パターンによる揚水量の遷移などをシミュレータに入力することで、最終沈殿池26の汚泥界面の位置の遷移を予測する。
指標情報取得部45Aは、指標情報生成部49によって生成され記憶部35Aに記憶されている想定組み合わせ毎の指標情報のうち状態情報取得部44によって取得された状態情報および予測情報取得部43によって取得された予測情報に対応する指標情報を取得する。
指標情報取得部45Aは、例えば、想定組み合わせ毎の想定状態情報および想定予測情報のうち、状態情報取得部44によって取得された状態情報および予測情報取得部43によって取得された予測情報に最も類似する想定状態情報および想定予測情報の想定組み合わせの指標情報を取得する。
このように、実施の形態2にかかる運転管理システム30Aでは、想定組み合わせ毎の指標情報を予め用意することから、運転管理システム30Aの運転員に操作パターン候補を迅速に提示することができる。
つづいて、フローチャートを用いて運転管理システム30Aの処理部36Aによる処理を説明する。図16は、実施の形態2にかかる運転管理システムの処理部による指標情報生成処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示すように、運転管理システム30Aの処理部36Aは、記憶部35Aから操作パターン情報を取得する(ステップS30)。そして、処理部36Aは、下水処理プラント1Aの想定状態と流入渠11への汚水の流入量の想定遷移との未選択の想定組み合わせを選択する(ステップS31)。
次に、処理部36Aは、選択した想定組み合わせ毎の操作パターン毎の指標の予測遷移を算出する(ステップS32)。処理部36Aは、全ての想定組み合わせを選択したか否かを判定する(ステップS33)。
処理部36Aは、全ての想定組み合わせを選択していないと判定した場合(ステップS33:No)、処理をステップS31へ移行する。処理部36Aは、全ての想定組み合わせを選択したと判定した場合(ステップS33:Yes)、想定組み合わせ毎の指標情報を記憶部35Aに記憶させて(ステップS34)、図16に示す処理を終了する。
図17は、実施の形態2にかかる運転管理システムの処理部による操作パターン提示処理の一例を示すフローチャートである。なお、図17に示すステップS40~S42,S45,S46の処理は、図12に示すステップS20~S22,S24,S25の処理と同じであるため、説明を省略する。
図17に示すように、処理部36Aは、記憶部35Aから想定組み合わせ毎の指標情報を取得する(ステップS43)。次に、処理部36Aは、想定組み合わせ毎の指標情報のうちステップS41で生成した予測情報とステップS42で取得した状態情報との組み合わせに対応する想定組み合わせの指標情報を取得する(ステップS44)。
実施の形態2にかかる運転管理システム30Aの処理部36Aのハードウェア構成例は、図13に示す運転管理システム30の処理部36のハードウェア構成と同じである。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、処理部36Aの機能を実行することができる。
なお、処理部36,36Aは、記憶部35,35Aに記憶されている履歴情報から、下水処理プラント1,1Aの状態と汚水の流入量の遷移と操作パターンとの過去の組み合わせを抽出することができる。そして、処理部36,36Aは、抽出した操作パターンで揚水ポンプ15が操作された場合における処理水質の遷移、流入渠水位の遷移、汚泥界面の位置の遷移、および運転コストなどを抽出する。この場合、処理部36,36Aは、履歴情報に含まれない下水処理プラント1,1Aの状態と汚水の流入量の遷移と操作パターンとの組み合わせについては、シミュレーションで予測する。
さらに、処理部36,36Aは、履歴情報に基づいて抽出した処理水質の遷移、流入渠水位の遷移、汚泥界面の位置の遷移、および運転コストに対応する降雨量パターンを抽出することができる。処理部36,36Aは、図10において、予測降雨量パターンに代えて、降雨量パターンを推奨操作パターンともに表示部33に表示させることができる。
また、処理部36,36Aは、流入渠水位の予測遷移、処理水質の予測遷移、汚泥界面の位置の予測遷移、およびプラントの予測遷移を指標の予測遷移として用いたが、汚泥界面の位置の予測遷移を指標の予測遷移として用いなくてもよい。この場合、処理部36,36Aは、汚泥界面の位置を制約条件として用いる。
また、処理部36,36Aは、流入渠水位、処理水質、および汚泥界面の位置について、操作パターンを選択するために遷移を求めたが、遷移に代えて、平均値、ピーク値、ボトム値、または積算値などを、操作パターンを選択するための指標として用いることもできる。例えば、処理部36,36Aは、流入渠水位の予測ピーク値、処理水質の予測ピーク値、および汚泥界面の位置の予測ピーク値を含む情報を指標情報として用いることができる。また、処理部36,36Aは、流入渠水位、処理水質、汚泥界面、および運転コストの各々について、遷移、平均値、ボトム値、ピーク値、および積算値のいずれかを選択的に用いることもできる。
また、指標情報取得部45が指標情報を取得する際または指標情報生成部49が指標情報を生成する際に、汚水の予測流入量から汚水の水質が予測できるシミュレータを用いる場合、予測情報生成部42によって生成される予測情報には、汚水の予測水質の遷移は含まれなくてもよい。また、予測情報生成部42は、汚水の予測流入量の遷移に代えて、予測流入量のピーク値、平均値、または積算値を含む予測情報を生成することもできる。この場合、指標情報取得部45,45Aは、予測流入量のピーク値、平均値、または積算値と、下水処理プラント1,1Aの状態情報とに基づいて、操作パターン候補を選択する。
また、指標情報取得部45および指標情報生成部49は、運転コストとして、消費電力量に加えて、反応槽25に入らなかった汚水を一旦貯留し、その後、ポンプ井14に戻して、もう一度揚水ポンプ15で汲み上げる手間などで要したコストなどを指標情報に含めることもできる。
また、操作パターン抽出部40は、記憶部35,35Aに記憶されている操作履歴情報および状態履歴情報に基づいて、複数種類の操作パターンを降雨量パターン毎に生成することもできる。この場合、指標情報取得部45,45Aは、予測降雨量パターンに対応する降雨量パターンを選択し、選択した降雨量パターンに応じた複数種類の操作パターンの指標情報に基づいて、操作パターン候補を選択することもできる。
以上のように、実施の形態2にかかる下水処理プラント1Aの運転管理システム30Aは、指標情報生成部49を備える。指標情報生成部49は、下水処理プラント1Aの状態と流入渠11への汚水の流入量との異なる想定組み合わせ毎に複数種類の操作パターンの各々で揚水ポンプ15を操作した場合の水質、水位、および運転コストをシミュレーションによって算出して想定組み合わせ毎の指標情報を生成する。指標情報取得部45Aは、指標情報生成部49によって生成された想定組み合わせ毎の指標情報のうち状態情報および予測情報に対応する情報を指標情報として取得する。これにより、運転管理システム30Aは、想定組み合わせ毎の指標情報を事前に生成することができ、操作パターン候補を迅速に選択することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。