JP2023005662A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】フックテープが外れにくい吸収性物品を提供する。【解決手段】着用者の後身頃領域から前身頃領域まで長手方向に延在し、股下領域を覆うことが可能な吸収体と、前記吸収体の肌面側に配置される透水性シートと、前記吸収体の非肌面側に配置される非透水性シートと、前記後身頃領域の幅方向端部から突出する、肌面側にメカニカルファスナを備えたフックテープと、前記非透水性シートの非肌面側における、少なくとも前記吸収体の長手方向端部に対応する部位に直接または間接的に接着された、前記フックテープと係合可能なフロントパッチと、を、備え、前記吸収体の長手方向端部において、前記透水性シートは前記吸収体の端部に沿って非肌面側に屈曲して前記非透水性シートに達し、前記非透水性シートは屈曲しない、吸収性物品を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、吸収性物品に関する。
吸収性物品であるおむつの一例として、テープ型の使い捨ておむつが知られている。テープ型の使い捨ておむつでは、股下領域に一定の厚みを持った吸収体を組み込んだおむつの後身頃領域から幅方向に突出する面ファスナを備えるテープを、おむつの前身頃領域非肌面側に接着された面ファスナ止着材であるフロントパッチに接着し、着用者の腰回りを固定する(特許文献1)。
特開2019-216796号公報
おむつで吸収すべき排出物の吸水量や漏れ防止を考慮すれば、一定の厚みを持った吸収体を少なくともフロントパッチの存在する腰回りまで延在させるのが好適である。一方で、面ファスナとフロントパッチを正しく係合させるためには、フロントパッチに屈曲部分が存在しないことが望ましい。
上記課題を解決するため、本発明では、吸収体長手方向端部において、吸収体肌面側を覆うシートを吸収体の端部に沿って屈曲させ、吸収体非肌面側を覆うシートを屈曲させないおむつを提供する。
具体的には、本発明は、着用者の後身頃領域から前身頃領域まで長手方向に延在し、股下領域を覆うことが可能な吸収体と、前記吸収体の肌面側に配置される透水性シートと、前記吸収体の非肌面側に配置される非透水性シートと、前記後身頃領域の幅方向端部から突出する、肌面側にメカニカルファスナを備えたフックテープと、前記非透水性シートの非肌面側における、少なくとも前記吸収体の長手方向端部に対応する部位に直接または間接的に接着された、前記フックテープと係合可能なフロントパッチと、を、備え、前記吸収体の長手方向端部において、前記透水性シートは前記吸収体の端部に沿って非肌面側に屈曲して前記非透水性シートに達し、前記非透水性シートは屈曲しない、吸収性物品である。
前記吸収体の長手方向端部から長手方向に、前記透水性シートと前記非透水性シートとを接着しない所定長の非接着領域を設け、前記透水性シートを、前記非接着領域の先で前記非透水性シートと接着し、当該非接着領域において、前記透水性シートと前記非透水性シートとの間に形成される空間を緩衝空間としてよい。
前記透水性シートと、前記非透水性シートの吸収体側に、前記吸収体の外周を被覆する被覆シートを更に備えてよい。
前記緩衝空間における非接着領域において、前記透水性シートの非肌面側と、前記非透水性シートの肌面側に、前記被覆シートを接着してよい。
前記緩衝空間の長手方向外側の端部は、前記吸収体の長手方向に略直交してよい。
前記緩衝空間の長手方向外側の端部は、前記吸収体の長手方向に対して斜め方向であってよい。
前記緩衝空間の長手方向外側の端部は、吸収性物品の幅方向中央において前記吸収体の端部から最も離れていてよい。
長手方向端部付近に、肌面側を覆う非透水性のシートであって、長手方向端部側を他のシートと接着し、前記股下領域の方向を開口部とする衣嚢部材を設けてよい。
前記衣嚢部材の前記開口部に相当する位置に、前記緩衝空間を設けてよい。
本発明によれば、フロントパッチ存在部分まで吸収体を設ける場合でも、吸収体の厚みによってフロントパッチに屈曲が発生しないので、面ファスナとの係合に問題が発生しないおむつを提供できる。
図1は、実施形態に係るおむつの斜視図である。 図2は、実施形態に係るおむつの分解斜視図である。 図3は、実施形態に係るおむつの平面図である。 図4は、実施形態に係るおむつのフロントパッチ部分の断面図である。 図5は、吸収体端部に緩衝空間を設けた例を示す断面図である。 図6は、緩衝空間の別の例を示す断面図である。 図7は、緩衝空間を有するおむつの平面図である。 図8は、緩衝空間がおむつ幅方向に平行でない場合の平面図である。 図9は、緩衝空間が幅方向中央において最も広がっている平面図である。 図10は、肌面側にポケット部を設けたおむつの分解斜視図である。 図11は、肌面側にポケット部を設けたおむつの平面図である。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係るおむつについて説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
本実施形態では、テープ型使い捨ておむつ(本願でいう「吸収性物品」の一例であり、以下、単に「おむつ」という)について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、おむつが着用者に装着された状態(以下、「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着された状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着された状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
図1は、本実施形態に係るおむつの斜視図である。おむつ1は、装着状態において着用者の陰部を覆う股下に対応する部位である股下領域1Bと、股下領域1Bの前側に位置し、着用者の前身頃に対応する部位である前身頃領域1Fと、股下領域1Bの後ろ側に位置し、着用者の後身頃に対応する部位である後身頃領域1Rとを有する(以下、本願でいう
本体)。後身頃領域1Rの左右両側の縁には、前身頃領域1Fの非着用者側の面に設けられたフロントパッチ2Fへ貼着可能なテープ2L,2Rが設けられている。おむつ1は、前身頃領域1Fが着用者の腹側に配置され、後身頃領域1Rが着用者の背側に配置された状態でテープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着されると、着用者の腹囲と大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ1がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ1を着用した状態で立ち歩き可能である。
おむつ1には、液体を吸収して保持することができる吸収体が主に股下領域1B付近を中心に配置されている。また、おむつ1には、おむつ1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の脚周り部(大腿部)を取り巻く部位にレグギャザー3AL,3ARが設けられ、レグギャザー3AL,3ARよりもおむつ1の幅方向内側に立体ギャザー3BL,3BRが設けられ、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー3Rが設けられている。レグギャザー3AL,3AR、立体ギャザー3BL,3BR及びウェストギャザー3Rは、弾性部材の弾性力で着用者の肌に密着する。よって、着用者の陰部から排出される液体は、おむつ1から漏出することなくおむつ1の吸収体に吸収される。なお、弾性部材としては糸状や帯状のゴム等を適宜選択できる。
図2は、実施形態に係るおむつの分解斜視図である。図示するように、おむつ1は複数のシートから構成され、複雑な構造を有している。おむつ1は、装着状態において外表面を形成するカバーシート4を有する。カバーシート4は、長辺に相当する部位に括れ4KL,4KRを設けた略長方形の外観を有するシート状の部材であり、おむつ1の外装面を形成する。括れ4KL,4KRは、着用者の大腿部が位置する部位に設けられる。カバーシート4は、後述するバックシート5の補強や手触りの向上のために設けられ、例えば、排泄物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。カバーシート4は、単層構造に限らず、インナカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。なお、カバーシート4の機能を、バックシート5と統合することもできる。バックシート5とカバーシート4を統合する場合、フロントパッチ2Fはバックシート5と直接接着される。カバーシート4を設ける場合、またカバーシート4を多層構造とする場合には、フロントパッチ2Fはバックシート5と間接的に接着される。
そして、おむつ1は、カバーシート4の着用者側の面において順に積層されるバックシート5、吸収体6、トップシート7を有する。バックシート5、吸収体6、トップシート7は、何れも略長方形の外観を有するシート状の部材であり、長手方向がカバーシート4の長手方向と一致する状態でカバーシート4に順に積層されている。バックシート5は、カバーシート4と同様に、排泄物の漏れを抑制するために非透水性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。バックシート5は、着用状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつ材料で構成されることが好ましい。また、トップシート7は、吸収体6の吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。このトップシート7は、その一部又は全部において透水性を有する。そのため、おむつ1が装着された状態において、着用者から排泄された液体は、着用者の肌に接触し得るトップシート7を通って吸収体6に進入し、そこで吸収される。例えば、織布、不織布、多孔質フィルムがトップシート7の材料として材用できる。トップシート7は親水性を有していてもよい。
また、吸収体6は、股下領域1Bを含んで、少なくとも前身頃領域1Fの中央部から、少なくとも後身頃領域1Rの中央部まで、長手方向に延在している。また、トップシート7は本願でいう肌面側シートの一例であり、バックシート5は本願でいう非肌面側シート
の一例である。
バックシート5、吸収体6、トップシート7は、何れも前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにまで延在する。よって、バックシート5と吸収体6とトップシート7が積層されているカバーシート4で着用者の陰部を覆うと、バックシート5と吸収体6とトップシート7の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体6に覆われる状態となる。したがって、着用者が腹を下へ向けた姿勢と背を下へ向けた姿勢の何れの姿勢で液体を体外へ排出しても、排出された液体はトップシート7を介して吸収体6に接触することになる。
また、おむつ1は、細長い帯状のサイドシート8R,8Lを有する。サイドシート8R,8Lは、トップシート7の長辺の部分に設けられる液不透過性のシートである。サイドシート8R,8Lには、カバーシート4と同様、着用者の大腿部が位置する部位に括れ8KR,8KLが設けられる。そして、サイドシート8R,8Lには立体ギャザー3BR,3BLを形成するための弾性部材8ER,8ELが長手方向に沿って編み込まれている。サイドシート8R,8Lは、おむつ1が装着状態の形態、すなわち、おむつ1が側面視U字状の形態になると、弾性部材8ER,8ELの収縮力で長手方向に引き寄せられてトップシート7から立ち上がり、液体の流出を防ぐ立体ギャザー3BR,3BLとなる。
なお、カバーシート4には、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ弾性部材4Cが弾性部材4SL,4SRよりもおむつ1の幅方向内側でおむつ1の長手方向に沿って設けられている。弾性部材4Cは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて設けられる。
吸収体6は、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるSAP(高吸収性重合体:Super Absorbent Polymer)等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。よって、吸収体6では、液体を吸収する前後の吸収性樹脂の体積変動は、基本的には吸収性樹脂を隙間に保持する短繊維内で行われることになる。したがって、吸収体6全体を俯瞰してみると、液体を吸収した吸収体6の厚みの膨張率は、吸収性樹脂自体の膨張率ほど大きくはないと言える。
本実施形態のSAP粒子とは、SAPを含む樹脂組成物を粒状としたものを指す。ここで言う「SAPを含む樹脂組成物」とは、SAPのみからなる組成物、SAPを主成分とし、これに吸水性に悪影響を及ぼさない程度に他の物質が含まれた組成物、の双方を包含する概念である。「他の物質」としては、添加剤(粒子表面を疎水化する目的で添加される表面改質剤等)、SAPの合成時に残存した未反応のモノマー等を挙げることができる。
なお、吸収体6は、その外周を本図では図示しないコアラップシート6Rで包まれていてよい。コアラップシート6Rは、ティッシュペーパー等のパルプ繊維や薄い樹脂繊維で形成された不織布からなる透水性のシートであり、吸収体6の全体を被覆して、吸収体6の形態を維持し、SAP粒子が他の構造に散らばるのを防ぐ。また、透水性のため、肌面側からの吸収体6への尿の通過を妨げない。コアラップシート6Rは、本願でいう被覆シートの一例である。
図3は、実施形態に係るおむつの平面図である。本図では、上方向が後身頃領域1Rであり、幅方向端部から面ファスナを備えるテープ2R,2Lを備えている。股下領域1Bには、幅方向左右にはサイドシート8R,8Lが設けられている。サイドシート8R,8
Lの幅方向中央側には弾性部材8ER,8ELが編み込まれ、当該弾性部材8ER,8ELの収縮力でトップシート7から立ち上がり、立体ギャザー8BR,8BLを構成している。前身頃領域1Fの非肌面側には、テープ2R,2Lの面ファスナと係合可能なフロントパッチ2Fが接着されており、テープ2R,2Lの面ファスナを貼り付けることができる。
他のシートで覆われた吸収体6は、後身頃領域1Rの中間部分から、股下領域1Bの立体ギャザーの内側を通って、前身頃領域1Fの中間部分まで延在している。吸収体6は、本図では図示しない当該吸収体を覆うコアラップシート6Rと、ホットメルト等で接着されている。更に、コアラップシート6Rは、当該吸収体6を覆うトップシート7およびバックシート5と、ホットメルト等で接着されている。吸収体6が存在しない箇所では、トップシート7とバックシート5同士がホットメルト等で接着されている。
図4は、実施形態に係るおむつのフロントパッチ部分の断面図である。本図は、非肌面側にフロントパッチ2Fが存在する、おむつ1の前身頃領域1F近傍の構造を示す断面図であり、吸収体6の端部付近を長手方向に切断したものである。フロントパッチ2Fは前身頃領域の非肌面側に配置され、メカニカルファスナと係合可能なフックテープ雌部であって、後身頃領域端部付近から幅方向に突出したメカニカルファスナを備えるテープ2R,2Lを貼り付けることができる。
本図におけるトップシート7は、コアラップシート6Rに包まれた吸収体6の長手方向端部を起点として、吸収体6の外縁に沿って折れ曲がり、バックシート5と当接する。バックシート5と当接したトップシート7は、バックシート5と接着した状態でおむつ長手方向端部にまで延在する。一方、バックシート5は吸収体6の長手方向端部では屈曲しない。このため、バックシート5と接着したカバーシート4の非肌面側には吸収体6の長手方向端部に沿った段差が現れることがなく、カバーシート4に接着されたフロントパッチ2Fの表面にも段差は生じない。このような構成は、トップシート7の長手方向長を、吸収体6の厚みに対応してバックシート5より長くすることで実現できる。
フロントパッチ2Fの表面に段差が存在し、その場所にテープ2R,2Lを貼り付けると、テープ2R,2Lに付されたメカニカルファスナとフロントパッチ2Fに付されたフックテープは十分に係合せず、おむつ1装着中にテープ2R,2Lが外れてしまう虞があるが、本図のようにフロントパッチ2Fに段差が存在していなければ、当該メカニカルファスナとフックテープは強固に接合し、装着中に外れにくくなる。
従来から、吸収体6端部に現れる段差がフロントパッチ2Fの機能に影響を与えないように、フロントパッチ2Fの位置を、肌面側に吸収体6が積層されている箇所または吸収体6が存在しない箇所に限定することが行われていた。本図のように構成すれば、吸収体6の位置に左右されることなく、フロントパッチ2Fを自由に配置することができる。
図5は、吸収体端部に緩衝空間を設けた例を示す断面図である。本図は、図4と同一箇所の別の形態を示す断面図である。本図におけるトップシート7は、コアラップシート6Rに包まれた吸収体6の長手方向端部を起点として吸収体の側面に沿わずに斜めに屈曲し、所定長の非接着領域を経た後にバックシート5と接触し、以後バックシート5と接着した状態でおむつ長手方向端部にまで延在する。本図の実施形態では、吸収体6の外縁と、平板状のバックシート5と、トップシート7の当該非接着領域とにより、略三角形状の緩衝空間6Eが形成される。
バックシート5が屈曲せず、バックシート5と接着したカバーシート4の非肌面側に吸収体6の長手方向端部に沿った段差が現れないため、フロントパッチ2Fの表面にも段差
が生じず、上述のメカニカルファスナとフックテープとの係合に悪影響を発生させないことは図4と同様である。更に、本図の形態では、吸収体6の長手方向端部におけるトップシート7の傾斜が緩やかになる。図4のように吸収体6の端部が肌面側に直角に突出していると、吸収体6の端部にできる段差が肌面に強く当接して着用者に違和感を与え、場合によっては褥瘡を誘発することもある。一方、本図の形態では、緩衝空間6Eの存在により、吸収体6の長手方向端部が肌面に強く当接しにくくなるので、着用者に与える違和感が軽減される。
更に、緩衝空間6Eには別の効果がある。排出物の量が多いか勢いが強い場合、排出物はトップシート7を通過して吸収体6に進入するものの、完全に吸収されることなく吸収体6の長手方向端部から再び肌面に戻ることがある。肌面に戻った排出物は、着用者に不快感を与える。また、排出物の勢いが強い場合には腹漏れの原因ともなる。本図のように吸収体6の長手方向端部の先に緩衝空間6Eが存在する場合、吸収体6から溢れ出た排出物は、トップシート7を超えて肌面側に漏出する前に緩衝空間6Eの内部に貯留される。すなわち、緩衝空間6Eは液収容空間としても機能する。
吸収体6から溢れ出た排出物の量が緩衝空間6Eの容積を下回る場合、緩衝空間6Eに貯留された排出物は、時間の経過とともに吸収体6に再度吸収される。このため、緩衝空間6Eにより、排出物の肌面への漏出を防ぐことができる。なお、バックシート5は疎水性であり、排出物はバックシート5を透過しないため、緩衝空間6Eを設けても、排出物の非肌面側への漏出は発生しない。
図6は、緩衝空間の別の例を示す断面図である。本図の例では、緩衝空間6Eの内側に、吸収体6を被覆するコアラップシート6Rが接着されている。緩衝空間6Eに貯留された排出物がトップシート7を超えて肌面側に漏出するためには、トップシート7に加えて、コアラップシート6Rを超える必要がある。このため、排出物は緩衝空間6Eから肌面側に漏出しにくくなる。また、吸収体6と緩衝空間6Eとの間にコアラップシート6Rがないため、緩衝空間6Eに貯留された排出物は、吸収体6に再吸収されやすくなる。
また、コアラップシート6Rを緩衝空間6Eの内側に延在させると、緩衝空間6Eの肌面側が吸収体6の長手方向端部に沿って屈曲しにくくなる。このため、吸収体6の長手方向端部が肌面側に強く当接しにくくなるので、着用者に与える違和感は軽減される。
図7は、緩衝空間を有するおむつの平面図である。本図では、緩衝空間6Eのおむつ長手方向外側の端部は、おむつ長手方向に対して略直交している。すなわち、緩衝空間6Eはおむつ幅方向に平行に付されている。緩衝空間6Eを設けることで、吸収体6の長手方向端部の肌面側にできる段差を軽減でき、更に吸収体6の端部から漏出した排出物を貯留でき、当該排出物が肌面側に戻るのを防ぐことができる。
なお、肌面側において吸収体6端部にできる段差が問題になるのは、主にフロントパッチ2Fが存在する前身頃領域1Fについてである。よって、緩衝空間6Eを前身頃領域1Fについてのみ設け、後身頃領域1Rには設けないこともできる。しかし、おむつ着用者は仰向け姿勢を取っていることが多く、排出物はむしろ後身頃領域1Rに向けて流れやすい。前述の通り、緩衝空間6Eには排出物を一時的に貯留する効果もあるため、後身頃領域1Rにも緩衝空間6Eを設けるのが好適である。
図8は、緩衝空間がおむつ幅方向に平行でない場合の平面図である。本図では、緩衝空間6Eのおむつ長手方向端部が鋸状になっている。換言すると、緩衝空間6Eのおむつ長手方向外側の端部は、おむつ長手方向に対して斜め方向になっている。排出物の勢いが強い場合、排出物は、吸収体6の一部を長手方向に一直線に流れて端部に達することがある
。このような排出物を緩衝空間6Eに導いても、排出物の勢いを十分に弱めることができずにトップシート7を再度通過して肌面側に戻る虞がある。
そこで、本図では、緩衝空間6Eの長手方向外側の端部が、おむつ長手方向に対して斜めになるようにする。トップシート7の非肌面側にはホットメルト接着剤が塗布されており、排出物がトップシート7を超えて吸収体側から再度肌面側に漏出するのは、肌面側から吸収体側に移動するよりも困難である。このため、緩衝空間6Eに到達した排出物は、まず、緩衝空間6Eの内部に広がり、緩衝空間6Eを満たそうとする。ここで、緩衝空間6Eの長手方向端部は、おむつ長手方向に対して斜めになっているので、吸収体6の一部を長手方向に一直線に流れて端部に達した排出物は、長手方向端部が斜めになった緩衝空間6Eを満たすために方向を変える。流れの方向が変わることにより排出物の勢いが弱まるので、排出物が吸収体6の長手方向端部でトップシート7を再度通過して肌面側に逆流する可能性をより低くすることができる。
また、このように緩衝空間6Eの長手方向端部が斜めになっていると、吸収体6の長手方向端部においても、トップシート7はおむつの長手方向に略平行にやや波打った形状になり、非肌面側に一斉に折れ曲がりにくくなる。このため、吸収体6の長手方向端部は肌面側に強く当接しにくくなり、着用者に与える違和感は軽減される。
図9は、緩衝空間が幅方向中央において最も広がっている平面図である。本図では、緩衝空間6Eのおむつ長手方向端部が、おむつの幅方向中央において吸収体6の端部から最も離れている。このため、緩衝空間6Eは、吸収体6の長手方向端部を底辺とし、おむつの長手方向を頂点とする略二等辺三角形形状になっている。
上述の通り、おむつ着用者が取る姿勢として最も多い姿勢は仰向け姿勢であり、排出物は、人体の正中線に沿って放出される。着用者が仰向け姿勢かうつ伏せ姿勢を取っている場合、排出物は吸収体6の幅方向中央部を長手方向に向かって流れ、排出物の量また勢いの如何によっては吸収体6の長手方向端部に到達して、幅方向中央部から緩衝空間6Eに流入して一時的に貯留される。
おむつ着用者が横向き姿勢などの他の姿勢を取っている場合、緩衝空間6Eに流入する位置は幅方向中央部ではないことがあるが、この場合排出物の流速は立体ギャザー3BR,3BLなどによって規制されて低下する。このため、緩衝空間6Eにまで排出物が到達する可能性は低い。よって、緩衝空間6Eに排出物が流入する可能性が高い場所は幅方向中央部であるといえ、本図に係るおむつはこの部分の空間が最も広くなっているため、大量の排出物を効果的に貯留することができる。
更に、緩衝空間6Eの頂点部分近くまで到達した排出物は、その過程で十分に減速される。当該排出物は途中で流れを変え、等辺部分を流れて吸収体6側に戻って行き、吸収体6に再吸収される。このため、緩衝空間6Eをこのような形に構成することで、排出物がトップシート7を再度通過して肌面側に逆流する可能性を十分に低くすることができる。
図10は、肌面側にポケット部を設けたおむつの分解斜視図である。おむつ1の長手方向端部肌面側には、更にポケット部(衣嚢部)を設けることができる。当該ポケット部は、前身頃領域と後身頃領域のどちらかまたは両方に設けることができる。本図におけるおむつ1は、後身頃領域に、ポケット部材11、前身頃領域にポケット部材12を有している。ポケット部材11,12は疎水性である。
ポケット部材(衣嚢部材)11,12は、おむつ1の長手方向端部付近の最も肌面側に設けられ、幅方向端部はサイドシート8R,8Lと接着されている。更に、長手方向端部
側ではトップシート7を含む、隣接する全てのシートと接着されている。なお、当該長手方向端部側では、元々積層された全てのシートが接着されており、ポケット部材11,12はそれら積層された全てのシートと共に接着されることになる。
図11は、肌面側にポケット部を設けたおむつの平面図である。ポケット部材11,12の長手方向中央側は、幅方向端部のみがサイドシート8R,8Lと接着されており、トップシート7とは接着されていない。前述の通りサイドシート8R,8Lの幅方向中央側には弾性部材8ER,8ELが組み込まれている。サイドシート8R,8Lの幅方向中央部は弾性部材8ER,8ELの付勢力により立ち上がって立体ギャザー3BR,3BLを形成している。ポケット部材11,12が接着されている位置のサイドシート8R,8Lには、弾性部材8ER,8ELは存在せず、立体ギャザー3BR,3BLも形成されていないが、弾性部材8ER,8ELの付勢力は依然として及んでおり、幅方向中央側端部が浮き上がっている。このため、サイドシート8R,8Lの幅方向中央側端部に押し上げられて、ポケット部材11,12は、股下領域1B側に開口部を持つポケット状になる。
万が一排出物の量が多いか勢いが強いために、吸収体6で吸収し切れずに長手方向端部に到達しても、排出物はポケット部材11,12とトップシート7で形成されるポケット状の空間の内側に入り込む。ポケット状の空間に入り込んだ排出物は、疎水性のポケット部材11,12と疎水性のバックシート5との間で一時的に保持されてそれ以上長手方向端部側に流出せず、やがて吸収体6に徐々に吸収される。このため、排出物の背漏れや腹漏れを効果的に抑制することができる。
なお、ポケット部材11,12は、おむつ1の長手方向端部のどちらか片方に設けられてよい。前述の通り、おむつ着用者が取る姿勢として最も多い姿勢は仰向け姿勢であって、排出物は後身頃領域に向かって勢いよく流れやすい。よって、後身頃領域1Rにポケット部材11を設けることは好適である。着用者が男性で、尿道当接位置が前身頃領域に近い場合には、排出物が勢いよく前身頃領域1Fに到達することがあるため、前身頃領域1Fにもポケット部材12を設ける意義がある。
また、特に、前身頃領域1F側の吸収体6の長手方向端部を覆うようにポケット部材12が存在することで、吸収体6の長手方向端部にできる段差は直接肌面に触れることがなくなり、着用者に与える違和感が軽減される。更に、吸収体6の長手方向端部の先に上述の緩衝空間6Eを設ければ、相乗効果により着用者に与える違和感は更に軽減されることになる。
更に、ポケット部材11,12と緩衝空間6Eを同時に設けることにより、排出物の腹漏れ、背漏れを防ぐ面でも相乗効果が発生する。上述の通り、ポケット部材11,12の長手方向中央側の幅方向中央部は他のシートと接着されておらず、立体ギャザー3BR,3BLを構成しているサイドシート8R,8Lに残存した付勢力により、トップシート7との間で股下領域1B側に開かれたポケット状の空間を形成している。しかし、サイドシート8R,8Lにおいて、ポケット部材11,12が接着されている位置に弾性部材が存在している訳ではないため、ポケット部材11,12は肌面側に確実に浮き上がって、股下領域1B側に開口部を持つポケット状の空間を形成できるわけではない。
もし、ポケット状の空間の股下領域1B側が開いていない(非肌面側の他のシートと接している)状態で、排出物が吸収体6に吸収されずにトップシート7の上を流れて長手方向端部に到達した場合、排出物はポケット部材11,12と肌面との間に入り込む場合がある。上述の通り、ポケット部材11,12は疎水性であり排出物を吸収できないため、排出物はそのまま長手方向端部に到達する。このため、ポケット部材11,12の股下領域1B側が正しく開いておらず、排出物の勢いが強い場合には、かえって腹漏れを誘発し
やすくなる。
そこで、本実施形態では、本図のように当該ポケット状の空間の入口と吸収体6端部との間に緩衝空間6Eを設ける。緩衝空間6Eの肌面側において、トップシート7(実施形態によっては、トップシート7とコアラップシート6R)の下は空間になっており、排出物はトップシート7を容易に通過して緩衝空間6Eに貯留される。排出物の勢いが強い場合、緩衝空間6Eの端において再度トップシート7を通過して肌面側に溢れ出る可能性もあるが、溢れ出た場所はポケット部材11,12とトップシート7との間に形成されているポケット状の空間の中になる。
このため、例えポケット状の空間の股下領域1B側の入口が開いていない場合でも、緩衝空間6Eを設けることにより、緩衝空間6Eを経由して、排出物をポケット状の空間の中に導くことができる。ポケット状の空間に流入した排出物は、それ以上長手方向端部側に流出せず、やがて徐々に吸収体6に吸収される。このような機序により、本実施形態では、股下領域1B側が開いているか否かによらず、ポケット状の空間を効果的に機能させることができる。
以上、本発明における吸収性物品の実施の形態について説明したが、本発明の内容は上記実施の形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態ではポケット部材11,12は付勢されていない非透水性シートとして説明したが、ポケット部材11,12に弾性部材を編み込み、ウェストギャザーとして機能させることもできる。ポケット部は最も肌面に近いため、ポケット部材11,12をウェストギャザーにすると、肌面に密着するウェストギャザーが実現でき、腹漏れ、背漏れを強力に抑制することができる。
以上で開示した実施形態やその応用例は、それぞれ組み合わせることができる。
1・・おむつ
1R・・後身頃領域
1B・・股下領域
1F・・前身頃領域
2R,2L・・テープ
2F,2F1,2F2・・フロントパッチ
3BL,3BR・・立体ギャザー
4・・カバーシート
5・・バックシート
6・・吸収体
6R・・コアラップシート
6E・・緩衝空間
7・・トップシート
8R,8L・・サイドシート
11,12・・ポケット部材

Claims (9)

  1. 着用者の後身頃領域から前身頃領域まで長手方向に延在し、股下領域を覆うことが可能な吸収体と、
    前記吸収体の肌面側に配置される透水性シートと、
    前記吸収体の非肌面側に配置される非透水性シートと、
    前記後身頃領域の幅方向端部から突出する、肌面側にメカニカルファスナを備えたフックテープと、
    前記非透水性シートの非肌面側における、少なくとも前記吸収体の長手方向端部に対応する部位に直接または間接的に接着された、前記フックテープと係合可能なフロントパッチと、
    を、備え、
    前記吸収体の長手方向端部において、前記透水性シートは前記吸収体の端部に沿って非肌面側に屈曲して前記非透水性シートに達し、前記非透水性シートは屈曲しない、
    吸収性物品。
  2. 前記吸収体の長手方向端部から長手方向に、前記透水性シートと前記非透水性シートとを接着しない所定長の非接着領域を設け、
    前記透水性シートを、前記非接着領域の先で前記非透水性シートと接着し、
    当該非接着領域において、前記透水性シートと前記非透水性シートとの間に形成される空間を緩衝空間とする、
    請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記透水性シートと、前記非透水性シートの吸収体側に、前記吸収体の外周を被覆する被覆シートを更に備える、
    請求項2に記載の吸収性物品。
  4. 前記緩衝空間における非接着領域において、前記透水性シートの非肌面側と、前記非透水性シートの肌面側に、前記被覆シートを接着した、
    請求項3に記載の吸収性物品。
  5. 前記緩衝空間の長手方向外側の端部は、前記吸収体の長手方向に略直交する、
    請求項2~4のうちいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記緩衝空間の長手方向外側の端部は、前記吸収体の長手方向に対して斜め方向である、
    請求項2~4のうちいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記緩衝空間の長手方向外側の端部は、吸収性物品の幅方向中央において前記吸収体の端部から最も離れている、
    請求項2~4のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
  8. 長手方向端部付近に、肌面側を覆う非透水性のシートであって、長手方向端部側を他のシートと接着し、前記股下領域の方向を開口部とする衣嚢部材を設けた、
    請求項2~7のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
  9. 前記衣嚢部材の前記開口部に相当する位置に、前記緩衝空間を設けた、
    請求項8に記載の吸収性物品。
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