JP2023004981A - 偏光もつれ光子とのクロック同期のためのシステム - Google Patents

偏光もつれ光子とのクロック同期のためのシステム Download PDF

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Abstract

【課題】装置間のタイミングを同期させ、量子信号を分析して信号がセキュアであるかどうかを決定するシステム装置及び方法を提供する。【解決手段】システム10において、ソース装置は、複数対の光子であって、複数対の光子の各光子対が量子もつれ状態を占有する複数対の光子を放出する光源を備える量子光装置を含む。量子光装置は、光子の第1のセット及び光子の第2のセットを受け取る光学回路及び光子検出器を含む。光子検出器のセットは、光学回路から光子の第1のセット及び光子の第2のセットを受け取る。ソース装置は更に、光子検出器のセットの各光子検出器に対応する時間信号のセットに基づいて、クラウザー、ホーン、シモニー及びホルト(CHSH)パラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定する処理回路を含む。【選択図】図1

Description

本出願は、2021年6月25日に出願された米国仮特許出願第63/215,298号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、量子通信及び時間転送に関する。
量子もつれは、光子の群がその群の他の光子と量子状態を共有するときに、その群の光子が大きな距離だけ分離されている場合でも生じる現象である。光子の群の量子状態は、光検出器のセットが光子の群を検知する方法に影響を及ぼすことがある。もつれた光子対が使用されて、2つ以上の装置間の正確なタイミング同期を保証することができる。システムは、2つ以上の装置間のセキュアな通信を容易にするために量子もつれの現象を使用することができる。
一般に、本開示は、もつれ光子の偏光に基づくタイミングのセキュアな同期のためのシステムに関する。もつれのシグネチャは、装置間の任意のオフセット時間差との同期を実行するために使用されることができ、装置分離の正確な制御の必要性を軽減する。システムは、量子信号が第三者干渉からセキュアになるように、ソース装置と1つ以上のウィング装置との間で量子信号を送信することができる。例えば、量子光装置は、1つ以上の光子を第1のウィング装置に送信し、1つ以上の光子を第2のウィング装置に送信することができる。量子光装置は、複数対の光子を放出することができ、複数対の光子の各光子対は、量子もつれ状態を占有する。各光子対は、第1のウィング装置に放出される1つの光子と、第2のウィング装置に放出される1つの光子とを含むことができる。光子は、各々のウィング装置から反射し、量子光装置に戻ることができる。光装置は、戻り光子に対応するタイムスタンプのセットを各々生成する光子検出器のセットを含むことができる。処理回路は、タイムスタンプを分析して、どの光子対がもつれたかを決定し、時間同期を可能にすることができる。
量子光装置の光源は、量子もつれ状態を占有する光子の1つ以上の対を放出することができる。例えば、光源が単一のポンプ光子を光子対に分割する場合、光子対は、光子対が光学回路を移動するときに光子対がどのように挙動するかに影響を及ぼす量子もつれ状態を占有することができる。量子もつれ状態は、光子対が大きな距離だけ離れているとき、及び光子対が互いに近接しているときに保存されることができる。これは、対の第1の光子が第1のウィング装置に移動し、対の第2の光子が第1のウィング装置から所定距離だけ離れた第2のウィング装置に移動するように、光源が量子もつれ光子の対を放出する場合、第1のウィング装置と第2の装置とが所定距離だけ離れているにもかかわらず、光子対は、量子もつれ状態を呈することができることを意味する。量子もつれ光子対の第1の光子及び第2の光子の双方が量子光装置に戻り、光学回路を通って1つ以上の光子検出器に移動する場合、第1の光子及び第2の光子は、光子対が光装置によって放出されたときに占有されたのと同じ量子もつれ状態を維持することができる。
光装置によって放出された光子対の量子もつれ状態は、光子対が光学回路を通って1つ以上の光子検出器に移動する方法に影響を及ぼすことがある。1つ以上の光子検出器のうちの各光子検出器は、各々の検出器が光子を受け取る時間を示す一連の時間信号を各々放出することができる。システムは、本明細書に記載の1つ以上の技術を使用して、1つ以上の光子検出器によって生成された時間信号に基づいてパラメータ値を計算することができる。パラメータ値が閾値より大きい場合、これは、光源によってウィング装置に放出された一対の量子もつれ光子が量子光装置に戻され、光学回路を通って1つ以上の光検出器に移動したことを示すことができる。全ての入射光子対のパラメータ値を計算することにより、別々の事象において放出された光子はもつれないため、同時に放出された光子対のみが閾値を超えるパラメータ値を有する。次いで、決定された事象の同時性が使用されて、各装置のクロックを同期させることができる。これはまた、量子光装置とウィング装置との間の通信がセキュアであることを確認することができる。
パラメータ値を計算する際に、システムは、量子光装置と第1のウィング装置との間の距離及び量子光装置と第2のウィング装置との間の距離の差を考慮することができる。量子もつれ光子対の第1の光子及び第2の光子は、双方とも光速で移動することができる。量子もつれ光子の対が光装置によって同時に放出されると、量子光装置と第1のウィング装置との間の距離及び量子光装置と第2のウィング装置との間の距離が異なる場合、光子は、異なる時間に量子光装置に戻ることができる。システムは、これらの距離の差から生じる時間遅延を考慮に入れることによってパラメータを計算することができる。いくつかの例では、システムは、自由変数であると考えられる時刻に対するパラメータの依存性を分析することによって時刻を計算することができる。
いくつかの例では、システムは、複数対の光子を放出するように構成された光源を含む量子光装置を備え、複数対の光子の各光子対は、量子もつれ状態を占有する。量子光装置はまた、第1のウィング装置から、光子の複数対のうちの光子の第1のセットを受け取り、第2のウィング装置から、複数対の光子のうちの光子の第2のセットを受け取るように構成された光学回路を含む。量子光装置はまた、光学回路から光子の第1のセット及び光子の第2のセットを受け取るように構成された光子検出器のセットを含み、光子検出器のセットの各光子検出器は、時間信号のセットを生成するように構成され、時間信号のセットの各時間信号は、各々の光子センサが光子を検出した時間を表す。更に、システムは、光子検出器のセットの各光子検出器に対応する時間信号のセットに基づいて、クラウザー、ホーン、シモニー及びホルト(CHSH)パラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定するように構成された処理回路を含む。
いくつかの例では、方法は、量子光装置の光源によって、複数対の光子であって、複数対の光子の各光子対が量子もつれ状態を占有する複数対の光子を放出することと、量子光装置の光学回路によって、第1のウィング装置から複数対の光子のうちの光子の第1のセットを受け取ることと、光学回路によって、第2のウィング装置から複数対の光子のうちの光子の第2のセットを受け取ることと、量子光装置の光子検出器のセットによって、光学回路から光子の第1のセット及び光子の第2のセットを受け取ることと、を含む。更に、本方法は、光子検出器のセットの各光子検出器によって、時間信号のセットであって、時間信号のセットの各時間信号が各々の光子センサが光子を検出した時間を表す時間信号のセットを生成することと、光子検出器のセットの各光子検出器に対応する時間信号のセットに基づいて処理回路によって、クラウザー、ホーン、シモニー及びホルト(CHSH)パラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定することと、を含む。
いくつかの例では、非一時的コンピュータ可読媒体は、実行されると、1つ以上のプロセッサに、量子光装置の光源を制御させて、複数対の光子であって、複数対の光子の各光子対が量子もつれ状態を占有する複数対の光子を放出させ、量子光装置の光学回路に、第1のウィング装置から複数対の光子のうちの光子の第1のセットを受け取らせ、光学回路に、第2のウィング装置から複数対の光子のうちの光子の第2のセットを受け取らせ、量子光装置の光子検出器のセットに、光学回路から光子の第1のセット及び光子の第2のセットを受け取らせる命令を含む。更に、命令は、1つ以上のプロセッサに、光子検出器のセットの各光子検出器に時間信号のセットであって、時間信号のセットの各時間信号が各々の光子センサが光子を検出した時間を表す時間信号のセットを生成させ、光子検出器のセットの各光子検出器に対応する時間信号のセットに基づいて、クラウザー、ホーン、シモニー及びホルト(CHSH)パラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定させる。
概要は、本開示に記載される主題の概要を提供することを意図している。添付の図面及び以下の説明の中で詳細に説明されるシステム、装置、及び方法の排他的又は網羅的な説明を提供することを意図するものではない。本開示の1つ以上の例の更なる詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、及び利点は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
は、本開示の1つ以上の技術に係る、セキュアな時間同期のためのシステムを例示するブロック図である。 は、本開示の1つ以上の技術に係る、図1の第1のウィング装置及び第2のウィング装置の構成要素を示す概念図である。 は、本開示の1つ以上の技術に係る、図1の量子光装置の1つ以上の構成要素を示す概念図である。 は、本開示の1つ以上の技術に係る、図1の光子検出器の各光子検出器に対応する時間図プロットを含む時間図90を示す概念図である。 は、本開示の1つ以上の技術に係る、時間転送がセキュアであるか否かを決定するための動作の例を例示するフロー図である。
説明及び図面を通して、同様の参照符号は同様の要素を示す。
本開示は、装置間のタイミングを同期させ、量子信号を分析して信号がセキュアであるかどうかを決定するための装置、方法、及び技術を記載する。システムは、移動体間の直接クロック同期、及び物体間の距離の高感度測定のために量子信号を使用することができる。場合によっては、システムは、敵対者がシステムのノードの1つを置き換えて偽の信号を送信しようとするのを防ぐために量子もつれを使用することができる。いくつかの例では、システムは、1つ以上のノード間の相対距離が決定されることができるように、光ビーム内の光子の飛行時間遅延を測定することができる。その結果、中央ノードは、敵対者がシステムを攻撃しようとしているかどうかを検出することができるため、システムは、敵対者による攻撃に対してセキュアとすることができる。
図1は、本開示の1つ以上の技術に係る、セキュアな時間同期のためのシステム10を例示するブロック図である。図1に見られるように、システム10は、ソース装置18と、量子光装置20と、第1のウィング装置30と、第2のウィング装置40と、処理回路50とを含む。量子光装置20は、光源22と、光学回路24と、光子検出器26とを含む。第1のウィング装置30及び第2のウィング装置40は、場合によっては、本明細書において「ウィング装置30、40」と総称されることがある。
ソース装置18は、セキュアな量子通信を実行するように構成されることができる。量子光装置20及び第1のウィング装置30、ならびにソース装置18は、量子光装置20と第2のウィング装置40との間でセキュアな量子通信を実行するように構成されることができる。例えば、量子光装置20は、第1のウィング装置30に1つ以上の光子を放出し、第2のウィング装置40に1つ以上の光子を放出し、第1のウィング装置30及び/又は第2のウィング装置40から1つ以上の光子を受け取ることができる。ソース装置18は、1つ以上の受け取った光子が量子光装置20によって放出され、第1のウィング装置30及び/又は第2のウィング装置40から「跳ね返った」かどうかを決定するように構成されることができる。すなわち、ソース装置18は、1つ以上の受け取った光子が、他の装置によって傍受されることなく量子光装置20とウィング装置30、40との間の往復を完了したかどうかを決定するように構成されることができる。これは、量子光装置20が、量子光装置20とウィング装置30、40との間の通信がセキュアであるかどうか、又は量子光装置20とウィング装置30、40との間の通信が危険にさらされているかどうかを決定することができることを意味する。
ソース装置18は、場合によっては、量子光装置20とウィング装置30、40との間の通信がセキュアであると決定することに基づいて、ウィング装置30、40と通信するように量子光装置20を制御し続けることができる。ソース装置18が、量子光装置20とウィング装置30、40との間の通信が危険にさらされていると決定した場合、ソース装置18は、1つ以上の動作を実行することができる。例えば、ソース装置18は、通信が危険にさらされていると決定したことに基づいて、量子光装置20にウィング装置30、40との通信を停止させることができる。追加的又は代替的に、ソース装置18は、量子光装置20とウィング装置30、40との間の通信が損なわれたことを示す1つ以上のメッセージを出力することができる。
量子光装置20は、同じ装置の一部として、光源22、光学回路24、及び光子検出器26を含むことができる。いくつかの例では、量子光装置20は、別の装置上又はその中に配置されるが、これは必須ではない。いくつかの例では、量子光装置20は、スタンドアロン装置であってもよい。量子光装置20は、比較的コンパクトな領域内に光源22、光学回路24、及び光子検出器26を含むことができ、それにより、光源22と第1のウィング装置30との間の距離は、光学回路24と第1のウィング装置30との間の距離とほぼ同じである。更に、光源22と第2のウィング装置40との間の距離は、光学回路24と第2のウィング装置40との間の差とほぼ同じであってもよい。
光源22は、複数対の光子を放出するように構成され、複数対の光子の各光子対は、量子もつれ状態を占有する。光源22は、光子ビームを光子の1つ以上の対に分割するように構成された1つ以上の非線形結晶を含むことができる。いくつかの例では、光子の1つ以上の対は、光源22の1つ以上の結晶によって分割される光子ビームのエネルギーに等しいエネルギーを有する。いくつかの例では、光子ビームは、一連の光子を含むことができ、1つ以上の結晶は、一連の光子の各光子を光子対に分割することができ、光子対は、各々、1つ以上の結晶によって分割される光子よりも低いエネルギーを有する。いくつかの例では、1つ以上の結晶は、1つ以上のβ-ホウ酸バリウム(BBO)結晶及び/又は1つ以上のニオブ酸リチウム結晶を含むことができるが、これは必須ではない。光源22の1つ以上の結晶は、追加的又は代替的に、1つ以上の他の種類の結晶を含んでもよい。いくつかの例では、1つ以上の結晶は、非線形結晶を含むことができる。
いくつかの例では、光源22は、縮退自然パラメトリック下方変換(dSPDC)の非線形光学効果を利用して、複数対の光子の各光子対を生成する。光子対を生成するために、光源22は、ほぼ同じ瞬間に「生まれた」2つの「双子の」娘光子に分割するポンプ光子を放出することができる。例えば、光子対の第1の光子と第2の光子とを分離する時間量は、100フェムト秒未満とすることができる。いくつかの例では、光源22がポンプ光子から生成する双子各光子対は、信号光子及びアイドラ光子を含む。
いくつかの例では、光源22は、時間的にランダムな分布に従って光子対を放出する。例えば、光源22は、第1の光子対を放出し、光源22が第1の光子対を放出してからランダムな時間量の第2の光子対を放出してもよい。ランダムな時間量は、時間の範囲内のランダムな時間であってもよい。
いくつかの例では、光源22によって放出された複数対の光子の各光子対は、ベル状態のセットの各々のベル状態を占有する。ベル状態は、量子もつれの例を表す量子状態とすることができる。量子もつれは、2つ以上の光子の各光子の量子状態が、2つ以上の光子の他の各光子の量子状態とは無関係に記述されることができないような何らかのものにおいて、2つ以上の光子が相互作用する現象を表すことができる。光源22が単一のポンプ光子を光子対に分割すると、光子対は、量子もつれを示すことができる。いくつかの例では、光子対は、光子対が大きな距離だけ分離されている場合であっても、量子もつれを示すことができる。これは、光源22が同じポンプ光子から分割された光子対を放出する場合、光源22が光子対を異なるウィング装置30、40に放出する場合であっても、光子対が量子もつれを示すことを意味する。光子対がウィング装置30、40からソース装置18に戻ると、光子対は、光源22がそれらを放出したときに光子が示す量子もつれの同じ状態を維持することができる。
同じポンプ光子から分割された光子対によって占有されることができる可能なベル状態のセットは、いくつかの例では、4つの異なるベル状態を含むことができる。1つのベル状態は、
Figure 2023004981000002
である。他のベル状態は、
Figure 2023004981000003
を含む。H及びVは、各々、水平偏光及び垂直偏光を表す。いくつかの例では、光子対がベル状態
Figure 2023004981000004
を占有する場合、第1の光子は、状態
Figure 2023004981000005
を占有することができ、第2の光子は、状態
Figure 2023004981000006
を占有することができる。いくつかの例では、光子対がベル状態
Figure 2023004981000007
を占有する場合、第1の光子は、状態
Figure 2023004981000008
を占有することができ、第2の光子は、状態
Figure 2023004981000009
を占有することができる。いくつかの例では、光子対がベル状態
Figure 2023004981000010
を占有する場合、第1の光子は、状態
Figure 2023004981000011
を占有することができ、第2の光子は、状態
Figure 2023004981000012
を占有することができる。いくつかの例では、光子対がベル状態
Figure 2023004981000013
を占有する場合、第1の光子は、状態
Figure 2023004981000014
を占有することができ、第2の光子は、状態
Figure 2023004981000015
を占有することができる。いくつかの例では、2つのもつれ光子が4つのベル状態のうちの1つを占有する確率は100%である。
いくつかの例では、光源22が複数対の光子の各光子対を放出すると、光源22は、各光子対の第1の光子を第1のウィング装置30に放出し、光源22は、各光子対の第2の光子を第2のウィング装置40に放出することができる。光源22によって放出された各光子対の第1の光子及び第2の光子は、量子もつれ状態(例えば、ベル状態)を占有することができる。
複数対の光子の各光子対の量子もつれ光子は、第1の光路長と第2の光路長との間のオフセットを決定するために使用されることができる。第1の光路長は、量子光装置20と第1のウィング装置30との間に存在する。第2の光路長は、量子光装置20と第2のウィング装置40との間に存在する。量子光装置20は、光源22からバイフォトン(例えば、光子の複数対)を投影し、第1のウィング装置30からのいくつかの光子及び第2のウィング装置40からのいくつかの光子を反射し、光源において光子のうちの1つ以上を再び合成することによって、光路長オフセットを決定することができる。いくつかの例では、第1のウィング装置30は、第1のウィング装置光子検出器を含んでもよく、第2のウィング装置40は、第2のウィング光子検出器を含んでもよい。第1のウィング装置光子検出器及び第2のウィング光子検出器は、光源22から放出された光子の一部を検出してもよい。従って、第1のウィング装置30及び第2のウィング装置40は、光源22によって放出される全ての光子を反射しないことがある。
いくつかの例では、ウィング装置30、40は、各々が1つ以上のミラーを含む光子装置を表すことができる。ウィング装置30、40の各々の1つ以上のミラーは、各々のウィング装置によって受け取られた1つ以上の光子を反射してソース装置18に戻すことができる。いくつかの例では、ウィング装置30、40の各々は、光子が検出器に当たるたびに電気信号を生成するように構成された1つ以上の光子検出器を含むことができる。いくつかの例では、ウィング装置30、40の各々の1つ以上のミラーは、ソース装置18から受け取った1つ以上の光子を反射してソース装置18に戻すことができる。いくつかの例では、ウィング装置30、40の各々の1つ以上の光子検出器は、各々のウィング装置30、40の1つ以上のミラーが光子を反射してソース装置18に戻すことなく、ソース装置18から受け取った1つ以上の光子を受け取ることができる。これは、ソース装置18がウィング装置30、40のいずれかに放出する全ての光子がソース装置18に戻るわけではないことを意味する。しかしながら、ソース装置18が量子もつれ光子の対の第1の光子を第1のウィング装置30に放出し、ソース装置18が量子もつれ光子の対の第2の光子を第2のウィング装置40に放出し、第1の光子及び第2の光子の双方が反射されてソース装置18に戻る1つ以上の場合が存在することができる。これらの場合、ソース装置18は、第1の光子及び第2の光子が同じ光子対の一部としてソース装置18によって放出されたかどうかを識別するように構成されてもよく、ソース装置18は、ソース装置18とウィング装置30、40との間の通信が損なわれているかどうかを決定するように構成されてもよい。
いくつかの例では、量子光装置20及び/又は処理回路50は、量子光装置20に戻る光子のどの対が同じ光子対の中の光源22によって放出されたかを決定するために、1つ以上の光子測定に基づいてベルの状態測定を実行することができる。場合によっては、同じ瞬間に生成された光子対のみが、ベルの不等式に反する相関を示す。
例えば、光学回路24は、ビームスプリッタのセット及び波長板のセットを含むことができる。光学回路24に到達する各光子は、一組のビームスプリッタのうちの1つ以上のビームスプリッタを通過し、一組の波長板のうちの1つ以上の波長板を通過して光子検出器26の光子検出器に到達することができる。光子検出器26の各光子検出器は、光子が各々の光子検出器に当たるたびに電気信号を生成することができる。これは、光子検出器26が、光子検出器26の各光子検出器に対して、各々の光子検出器が光子を記録するたびに示す時間プロットを生成することができることを意味する。処理回路50は、時間プロットが光源22によって放出された量子もつれ光子の任意の対を示すかどうかを決定するために、光子検出器のセットの各光子検出器に対応する時間プロットを分析することができる。
いくつかの例では、光学回路24は、第1のウィング装置30から光子の第1のセットを受け取ることができる。いくつかの例では、光学回路24は、第2のウィング装置40から光子の第2のセットを受け取ることができる。いくつかの例では、光子の第1のセットは、光源22から第1のウィング装置30に放出される1つ以上の光子を含むことができる。いくつかの例では、光子の第2のセットは、光源22から第2のウィング装置40に放出される1つ以上の光子を含むことができる。光源22は、光子の1つ以上の対を放出し、各光子対の第1の光子を第1のウィング装置30に放出し、各光子対の第2の光子を第2のウィング装置40に放出することができる。いくつかの例では、ソース装置18と第1のウィング装置30との間の距離は、ソース装置18と第2のウィング装置40との間の距離とは異なる。これは、ソース装置18がウィング装置30、40に光子対を放出し、光子対がソース装置18に戻ると、ソース装置18がソース装置18により近いウィング装置に放出する光子対の光子は、ソース装置18がソース装置18からより遠いウィング装置に放出する光子対の光子よりも前に、ソース装置18に戻ることができることを意味する。
ソース装置18は、光子対を同時にウィング装置30、40に放出することができるが、光子対は、必ずしも同時にソース装置18に戻るわけではないため、ソース装置18は、本明細書に記載の1つ以上の技術を使用して、光源22がポンプ光子を分割したときに同時にソース装置18によって放出された、ソース装置18に戻る光子対を識別することができる。例えば、光学回路24は、量子光装置20によって受け取られた光子を光子検出器26に導くことができる。光子検出器26は、いくつかの例では、4つの光子検出器を含むことができる。光学回路24は、ビームスプリッタのセット及び波長板のセットを含むことができる。いくつかの例では、ビームスプリッタのセット及び波長板のセットは、光学回路24に到達する各光子を光子検出器26の一方の光子検出器に導くことができる。
いくつかの例では、光子検出器26は、光学回路24に到達する複数の光子の各光子が光子検出器26の各々の光子検出器に到達する時間を検出するように構成される。例えば、光子検出器26の第1の光子検出器は、時間信号の第1のセットを出力することができ、時間信号の第1のセットの各時間信号は、第1の光子検出器が光子を受け取る時間に対応する。光子検出器26の第2の光子検出器は、時間信号の第2のセットを出力することができ、時間信号の第2のセットの各時間信号は、第2の光子検出器が光子を受け取る時間に対応する。光子検出器26の第3の光子検出器は、時間信号の第3のセットを出力することができ、時間信号の第3のセットの各時間信号は、第3の光子検出器が光子を受け取る時間に対応する。光子検出器26の第4の光子検出器は、時間信号の第4のセットを出力することができ、時間信号の第4のセットの各時間信号は、第4の光子検出器が光子を受け取る時間に対応する。これは、一例では、光子検出器26が、各々が4つの光子検出器のセットのうちの1つに対応する4セットの時間信号を生成することができることを意味する。本開示は、4つの光子検出器を有する光子検出器26に限定されない。いくつかの例では、光子検出器26は、4つを超える光子検出器又は4つ未満の光子検出器を有することができる。
処理回路50は、いくつかの例では、システム10内で実行するための機能を実施し、及び/又は命令を処理するように構成された1つ以上のプロセッサを含むことができる。処理回路50は、例えば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は同等の個別のもしくは集積論理回路、又は前述の装置もしくは回路のいずれかの組み合わせを含むことができる。従って、処理回路50は、本明細書で処理回路50に帰する機能を実行するために、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせのいずれかの適切な構造を含むことができる。
メモリ52は、動作中にシステム10内に情報を記憶するように構成されることができる。メモリは、コンピュータ可読記憶媒体又はコンピュータ可読記憶装置を含むことができる。いくつかの例では、メモリは、短期メモリ又は長期メモリの一方又は双方を含む。メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、又は電気的プログラマブルメモリ(EPROM)もしくは電気的消去可能プログラマブルメモリ(EEPROM)の形態を含むことができる。いくつかの例では、メモリは、処理回路50による実行のためのプログラム命令を記憶するために使用される。
処理回路50は、いくつかの例では、光子検出器26から時間信号の1つ以上のセットを受け取ることができる。いくつかの例では、処理回路50は、光子検出器26から受け取った時間信号の1つ以上のセットに基づいて、光子の1つ以上の対を識別することができ、光子の1つ以上の対の各光子対は、光源22がポンプ光子を光子の各々の対に分割したときに同時に光源22によって放出される。いくつかの例では、処理回路50は、時間信号の1つ以上のセットを分析することによって光子の1つ以上の対を識別する。例えば、処理回路50は、時間信号の1つ以上のセットに基づいて、時間信号の1つ以上のセットのうちの2つの時間信号間の時間遅延値であって、クラウザー、ホーン、シモニー及びホルト(CHSH)パラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定することができる。CHSHパラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい、時間信号の1つ以上のセットのうちの2つの時間信号間の時間遅延値が存在する場合、2つの時間信号に対応する2つの光子は、光源22がポンプ光子を分割したときに光源22によって放出される光子対を表すことができる。処理回路50は、閾値CHSHパラメータ値よりも大きいCHSHパラメータに対応する時間遅延値を有する時間信号の1つ以上の対を識別することができる。
いくつかの例では、光源22によって同時に放出され、ウィング装置30、40に送信される光子対に対応する時間遅延値は、量子光装置20と第1のウィング装置30との間の第1の距離及び量子光装置20と第2のウィング装置40との間の第2の距離に依存することができる。第1の距離及び第2の距離は、光子対の第1の光子が光源22から第1のウィング装置30に移動して量子光装置20に戻るのにかかる時間を決定し、光子対の第2の光子が光源22から第2のウィング装置40に移動して量子光装置20に戻るのにかかる時間を決定することができる。例えば、第2の距離が第1の距離よりも長い場合、第2の光子が光源22から第2のウィング装置40に移動して量子光装置20に戻るのに要する時間は、第1の光子が光源22から第1のウィング装置30に移動して量子光装置20に戻るのに要する時間よりも長くなることができる。これは、同時に光源22によって放出された一対の光子が、量子光装置20とウィング装置30、40の各々との間の各々の距離に応じて光子間の時間遅延を伴って、異なる時間に量子光装置に戻ってもよいことを意味する。
処理回路50は、時間遅延の予想値の範囲内の全ての入射光子対の相関パラメータを決定することができる。場合によっては、光源22によって同時に放出された光子対のみがもつれを呈する。これは、適用されなければならない時間遅延が、どの時間遅延が入射光子対間の最大の相関をもたらすかによって決定されることを意味する。もつれた光子対から時間遅延が確立されると、ウィング装置光子検出器66及び69に記録された事象の対が識別され、2つのウィング位置において独立したクロックを同期させるためのプロトコルの一部として使用されることができる。
いくつかの例では、処理回路50は、光子検出器26の第1の光子検出器と光子検出器26の第3の光子検出器との間の相関に対応する第1の相関パラメータを決定するように構成される。いくつかの例では、処理回路50は、光子検出器26の第1の光子検出器と第4の光子検出器との間の相関に対応する第2の相関パラメータを決定するように構成される。いくつかの例では、処理回路50は、光子検出器26の第2の光子検出器と光子検出器26の第3の光子検出器との間の相関に対応する第3の相関パラメータを決定することができる。いくつかの例では、処理回路50は、第2の光子検出器と第4の光子検出器との間の相関に対応する第4の相関パラメータを決定することができる。いくつかの例では、処理回路50は、第1の相関パラメータ、第2の相関パラメータ、第3の相関パラメータ、及び第4の相関パラメータの合計を計算して、量子光装置20と第1のウィング装置30との間の距離及び量子光装置20と第2のウィング装置40との間の距離に対応する予想される時間遅延によって分離された一対の時間信号のCHSHパラメータを決定してもよい。
いくつかの例では、処理回路50は、一対の時間信号のCHSHパラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい場合に、一対の時間信号が光源22によって放出された量子もつれ光子対に対応すると決定することができる。いくつかの例では、閾値CHSHパラメータは、定数値(例えば、2)である。場合によっては、一対の時間信号が量子もつれしていない光子に対応する(例えば、光子対が、ポンプ光子を分割することによって同時に放出されなかった)とき、一対の時間信号が閾値CHSHパラメータ値よりも大きいCHSHパラメータ値を有することは不可能であり得る。
図2は、本開示の1つ以上の技術に係る、図1の第1のウィング装置30及び第2のウィング装置40の構成要素を示す概念図である。図2に見られるように、第1のウィング装置30は、第1のミラー62と、第2のミラー64と、第1のウィング装置光子検出器66と、第1の原子時計70とを含むことができる。第2のウィング装置40は、第3のミラー67と、第4のミラー68と、第2のウィング装置光子検出器69と、第2の原子時計71とを含むことができる。
第1のウィング装置30は、量子光装置20から1つ以上の光子を受け取ることができる。いくつかの例では、量子光装置20から受け取った1つ以上の光子の各光子は、光源22によって放出された光子対の1つの光子を表すことができる。いくつかの例では、量子光装置20から第1のウィング装置30によって受け取られた1つ以上の光子の各光子は、各々の光子対の別の光子と量子もつれしており、各々の光子対の双方の光子は、実質的に同時に量子光装置20によって放出される。いくつかの例では、量子光装置20からウィング装置30によって受け取られた1つ以上の光子の各光子に対応する他の光子は、第2のウィング装置40によって受け取られる。量子光装置20から第1のウィング装置30によって受け取られた各光子は、光子が第1のミラー62に到達するまで第1のウィング装置30を通って移動することができる。
第1のミラー62は、部分反射ミラーを表してもよい。部分反射ミラーは、いくつかの例では、ミラーの第1の表面から1つ以上の光子を反射し、光子がミラーの第1の表面を横切ってミラーを通過し、ミラーの第2の表面を通ってミラーを出るように、1つ以上の光子がミラーを通過することを可能にすることができる。例えば、量子光装置20から受け取った1つ以上の光子のうちの少なくとも1つの光子は、第1のミラー62を通過して第1のウィング装置光子検出器66に至ることができ、量子光装置20から受け取った1つ以上の光子のうちの少なくとも1つの光子は、第1のミラー62から第2のミラー64に向かって反射することができる。第1のミラー62は、第1のミラー62から反射される第1のウィング装置30によって受け取られた1つ以上の光子の割合と、第1のミラー62を通過する第1のウィング装置30によって受け取られた1つ以上の光子の割合とを決定する反射係数を有してもよい。いくつかの例では、第1のミラー62の反射係数は、第1のウィング装置30によって受け取られた1つ以上の光子の半分以上が第2のミラー64に反射されるように、比較的高くてもよい。
第2のミラー64は、第1のミラー62から第2のミラー64に当たる全ての光子が第2のミラー64から反射することができるように、完全に反射性であってもよい。いくつかの例では、第2のミラー64から反射する各光子は、第1のウィング装置30から量子光装置20に向かって出てもよい。いくつかの例では、第1のウィング装置30は、量子光装置20から受け取った1つ以上の光子の半分以上を反射して量子光装置20に戻す。第1のウィング装置30から量子光装置20に戻る光子の時間遅延は、量子光装置20と第1のウィング装置30との間の距離に依存することができる。
光子検出器66は、いくつかの例では、光子が光子検出器66に到達するたびに時間信号を放射するように構成された単一光子検出器(SPD)を含むことができる。いくつかの例では、光子検出器66によって放出される時間信号は、電気信号であってもよい。第1のウィング装置30の処理回路(図2には示されていない)は、光子検出器66によって発せられる各時間信号を受け取り、光子が光子検出器66に到達する各時間を記録するタイムスタンプ記録を生成するように構成されてもよい。いくつかの例では、第1のミラー62は、第1のウィング装置30に到達する光子の半分以上を反射してもよく、これは、量子光装置20からウィング装置30に到達する光子の半分未満が第1のミラー62を通過して光子検出器66に到達することを意味する。
第2のウィング装置40は、量子光装置20から1つ以上の光子を受け取ることができる。いくつかの例では、量子光装置20から第2のウィング装置40によって受け取られた1つ以上の光子の各光子は、光源22によって放出された光子対の一方の光子を表すことができる。いくつかの例では、量子光装置20から第2のウィング装置40によって受け取られた1つ以上の光子の各光子は、各々の光子対の別の光子と量子もつれしており、各々の光子対の双方の光子は、実質的に同時に量子光装置20によって放出される。いくつかの例では、量子光装置20から第2のウィング装置40によって受け取られた1つ以上の光子の各光子に対応する他の光子は、第2のウィング装置40によって受け取られる。量子光装置20から第2のウィング装置40によって受け取られた各光子は、光子が第3のミラー67に到達するまで第2のウィング装置40を通って移動することができる。
第3のミラー67は、部分反射ミラーを表してもよい。部分反射ミラーは、いくつかの例では、ミラーの第1の表面から1つ以上の光子を反射し、光子がミラーの第1の表面を横切ってミラーを通過し、ミラーの第2の表面を通ってミラーを出るように、1つ以上の光子がミラーを通過することを可能にすることができる。例えば、量子光装置20から受け取った1つ以上の光子のうちの少なくとも1つの光子は、第3のミラー67を通過して第1のウィング装置光子検出器66に至ることができ、量子光装置20から受け取った1つ以上の光子のうちの少なくとも1つの光子は、第3のミラー67から第4のミラー68に向かって反射することができる。第3のミラー67は、第3のミラー67から反射された第2のウィング装置40によって受け取った1つ以上の光子の割合と、第3のミラー67を通過する第2のウィング装置40によって受け取った1つ以上の光子の割合とを決定する反射係数を有してもよい。いくつかの例では、第3のミラー67の反射係数は、第2のウィング装置40によって受け取られた1つ以上の光子の半分以上が第4のミラー68に反射されるように、比較的高くてもよい。
第4のミラー68は、第3のミラー67から第4のミラー68に当たる全ての光子が第4のミラー68から反射することができるように、全反射性であってもよい。いくつかの例では、第4のミラー68から反射する各光子は、量子光装置20に向かって第2のウィング装置40を出ることができる。いくつかの例では、第2のウィング装置40は、量子光装置20から受け取った1つ以上の光子の半分以上を反射して量子光装置20に戻す。第2のウィング装置40から量子光装置20に戻る光子の時間遅延は、量子光装置20と第2のウィング装置40との間の距離に依存することができる。
光子検出器69は、いくつかの例では、光子が光子検出器69に到達するたびに時間信号を放射するように構成されたSPDを含むことができる。いくつかの例では、光子検出器69によって放出される時間信号は、電気信号であってもよい。第2のウィング装置40の処理回路(図2には示されていない)は、光子検出器69によって放出される各時間信号を受け取り、光子が光子検出器69に到達する各時間を記録するタイムスタンプ記録を生成するように構成されてもよい。いくつかの例では、第3のミラー67は、第2のウィング装置40に到達する光子の半分以上を反射することができ、これは、量子光装置20から第2のウィング装置40に到達する光子の半分未満が第3のミラー67を通過して光子検出器69に到達することを意味する。
いくつかの例では、第1のウィング装置30は、第1の原子時計70を含んでもよく、第2のウィング装置40は、第2の原子時計71を含んでもよい。場合によっては、第1の原子時計70と第2の原子時計71との双方が実質的に同じ時間を示すように、第1の原子時計70と第2の原子時計71とを同期させることが有益であり得る。
いくつかの例では、第1のウィング装置30及び第2のウィング装置40は、光子検出器66によって生成された第1のタイムスタンプ記録と光子検出器69によって生成された第2のタイムスタンプ記録とを比較することによって、第1の原子時計70及び第2の原子時計71を同期させることができる。光子検出器66は、光子が光子検出器66に当たるたびに記録するための第1のタイムスタンプ記録を生成することができる。光子検出器69は、光子が光子検出器69に当たるたびに記録するための第2のタイムスタンプ記録を生成することができる。いくつかの例では、第1のウィング装置30及び/又は第2のウィング装置40は、第1のウィング装置30から量子光装置20に戻る量子もつれ対の第1の光子と、第2のウィング装置40から量子光装置20に戻る量子もつれ対の第2の光子との間の時間遅延を量子装置20から受け取ってもよい。第1のウィング装置30及び/又は第2のウィング装置40は、量子光装置20から受け取った時間遅延を使用して原子時計70、71を同期させ、光子が量子光装置20と第1のウィング装置30との間を移動するのにかかる時間と光子が量子光装置20と第2のウィング装置40との間を移動するのにかかる時間との間の差を考慮することができる。
いくつかの例では、量子光装置20は、光子の1つ以上の対を放出することができ、各対の一方の光子が第1のウィング装置30に放出され、各対の一方の光子が第2のウィング装置40に放出される。第1のウィング装置30に放出された一部の光子は、第1のミラー62を通過して量子光装置20に反射されず、第2のウィング装置40に放出された一部の光子は、第3のミラー67を通過して量子光装置20に反射されないため、量子光装置20によって放出された光子の全ての対が量子光装置20に戻るわけではない。しかしながら、量子光装置20が、第1のウィング装置30に放出された第1の光子及び第2のウィング装置40に放出された第2の光子を含む一対の光子を放出し、第1の光子及び第2の光子の双方が量子光装置20に戻ることが、1回以上起こることができる。図1及び図2は、2つのウィング装置を示しているが、本開示の技術は、2つのウィング装置を有するシステムに限定されない。本明細書に記載された技術は、3つ以上のウィング装置のクロックを同期させるために使用されてもよい。
図3は、本開示の1つ以上の技術に係る、図1の量子光装置20の1つ以上の構成要素を示す概念図である。図3に見られるように、量子光装置20は、光学回路24及び光子検出器26A~26D(まとめて「光子検出器26」)を含む。量子光装置20は、光源22を更に含んでもよいが、光源22は、図3には示されていない。光学回路24は、第1のビームスプリッタ72と、第1の波長板74と、第2のビームスプリッタ76と、第2の波長板78と、第3のビームスプリッタ80とを含む。
いくつかの例では、第1のビームスプリッタ72は、無偏光ビームスプリッタである。例えば、第1のビームスプリッタ72は、光子の偏光に関係なく光子を通過又は偏向させることができる。第1のビームスプリッタ72は、第1のウィング装置30から戻ってくる1つ以上の光子と、第2のウィング装置40から戻ってくる1つ以上の光子とを受け取ることができる。いくつかの例では、第1のビームスプリッタ72は、第1のビームスプリッタ72に到達する光子のおおよそ半分を第1の波長板74に導いてもよく、第1のビームスプリッタ72は、第1のビームスプリッタ72に到達する光子のおおよそ半分を第2の波長板78に導いてもよい。
いくつかの例では、第1のウィング装置30から光学回路24に到達する光子は、第1のチャネル73を介して到達することができ、第2のウィング装置40から光学回路24に到達する光子は、第2のチャネル73’を介して到達することができる。第1のチャネル73を介して到達する光子は、第1のビームスプリッタ72の第1の面と接触してもよく、第2のチャネル73’を介して到達する光子は、第1のビームスプリッタ72の第2の面と接触してもよい。場合によっては、第1のチャネル73を介してビームスプリッタ72に到達する1つ以上の光子は、ビームスプリッタ72を通過して第1の波長板74に到達することができ、第1のチャネル73を介してビームスプリッタ72に到達する1つ以上の光子は、ビームスプリッタ72の第1の面から第2の波長板78に向かって反射することができる。場合によっては、第2のチャネル73’を介してビームスプリッタ72に到達する1つ以上の光子は、ビームスプリッタ72を通過して第2の波長板78に到達することができ、第2のチャネル73’を介してビームスプリッタ72に到達する1つ以上の光子は、ビームスプリッタ72の第2の面から第1の波長板74に向かって反射することができる。
いくつかの例では、第1の波長板74は、通過する光子を第1の所定角度に従って偏光するように構成された偏光波長板を表してもよい。例えば、第1の波長板74に到達する各光子は、偏光角を含んでもよく、第1の波長板74は、到達する各光子の偏光角を所定の角度だけ変えてもよい。いくつかの例では、第2の波長板78は、通過する光子を第2の所定角度に従って偏光するように構成された偏光波長板を表してもよい。例えば、第2の波長板78に到達する各光子は、偏光角を含んでもよく、第2の波長板78は、到達する各光子の偏光角を第2の所定の角度だけ変えてもよい。いくつかの例では、第1の所定の角度は、第2の所定の角度と同じであってもよいが、これは必須ではない。いくつかの例では、第1の所定の角度は、第2の所定の角度とは異なる。いくつかの例では、第1の波長板74及び/又は第2の波長板78は、λ/2波長板を表してもよい。
いくつかの例では、第2のビームスプリッタ76は、偏光ビームスプリッタを表してもよい。例えば、第2のビームスプリッタ76は、境界77において第2の角プリズムに固定された第1の角プリズムを有してもよい。第1の波長板74から第2のビームスプリッタ76に到達する1つ以上の光子は、第1の角プリズム及び第2の角プリズムを通って境界77を越えて光子検出器26Dに向かって移動することができる。第1の波長板74から第2のビームスプリッタ76に到達する1つ以上の光子は、第1の角プリズムを通って移動し、境界77から光子検出器26Cに向かって反射してもよい。
いくつかの例では、第3のビームスプリッタ80は、偏光ビームスプリッタを表してもよい。例えば、第3のビームスプリッタ80は、境界81において第2の角プリズムに固定された第1の角プリズムを含んでもよい。第2の波長板78から第3のビームスプリッタ80に到達する1つ以上の光子は、境界81を横切って、第1の角プリズム及び第2の角プリズムを通って光子検出器26Aに向かって移動することができる。第2の波長板78から第3のビームスプリッタ80に到達する1つ以上の光子は、第1の角プリズムを通過し、境界81から光子検出器26Bに向かって反射することができる。
第2のビームスプリッタ76及び第3のビームスプリッタ80などの偏光ビームスプリッタは、1つ以上の偏光角を有する光子を「通過」し、1つ以上の偏光角を有する光子を「反射」するように構成されてもよい。例えば、偏光ビームスプリッタ表面に平行又は垂直に偏光された光子は、表面を通過又は反射のいずれかを行うことができる。中間軸に沿った偏光を有する光子は、反射される何らかの確率及び送信される何らかの確率を有することができる。
光源22によって放射されたもつれた光子対(例えば、
Figure 2023004981000016
)は、もつれたベル状態測定に入る可能性があるため、光子検出器26の対間の相関は、光源22によって放出され、光学回路24によって受け取られた1つ以上の光子対のもつれた状態に起因して存在することができる。いくつかの例では、光子検出器26の対の間の1つ以上の相関は、2つの異なるソースからの光子(例えば、量子もつれしていない光子対)によって達成することが不可能であり得る。いくつかの例では、光子検出器26のセットの各光子検出器は、光子が各々の検出器26に到達したときに時間信号を出力するように構成される。処理回路50は、光子検出器26から受け取った時間信号の1つ以上のセットに基づいて、光子検出器26の光子検出器の1つ以上の対の相関E(x,y)を計算することができる。処理回路50は、1つ以上の光子検出器相関に基づいてSパラメータを計算することができる。いくつかの例では、Sパラメータは、CHSHパラメータ値を表すことができる。
いくつかの例では、Sパラメータは、光子検出器26の対の1つ以上の相関の尺度を表す。いくつかの例では、Sパラメータは、S=E(a,c)-E(a,d)+E(b,c)+E(b,d)として定義される。E(x,y)は、光子検出器26の各々の対の間の相関である。例えば、E(a,c)は、光子検出器26Aと光子検出器26Cとの相関、E(a,d)は、光子検出器26Aと光子検出器26Dとの相関、E(b,c)は、光子検出器26Bと光子検出器26Cとの相関、E(b,d)は、光子検出器26Bと光子検出器26Dとの相関である。2つの光子検出器間の相関は、光子が2つの特定の検出器において同時に見つかる確率を表すことができる。例えば、光子検出器は、光子が検出器において検出されるたびに値(1)を割り当てることができ、光子検出器は、検出器が光子を記録しないときに値(0)を割り当てることができる。2つの光子検出器間の相関は、式E(x,y)=P(0,0)-E(1,0)+E(0,1)+E(1,1)を使用して決定されることができる。処理回路50は、多くの光子収集事象にわたる確率として、確率P(0.0)、E(1,0)、E(0,1)、及びE(1,1)を計算することができる。
いくつかの例では、Sパラメータ値は、量子光装置20から第1のウィング装置30までの距離と量子光装置20から第2のウィング装置40までの距離との間の差に対応する時間遅延を考慮に入れることができる。光源22は、各対のもつれ光子の一方の光子を第1のウィング装置30に放出し、各対のもつれ光子の他方の光子を第2のウィング装置40に放出する。量子光装置20から第1のウィング装置30までの距離と、量子光装置20から第2のウィング装置40までの距離との間には差が存在することができるため、同時に光源22によって放出された2つのもつれ光子は、同時に量子光装置20に戻らない可能性がある。処理回路50は、場合によっては、最初に予想される時間遅延を考慮することによってSパラメータ値を計算することができる。例えば、E(x,y)は、2つの光子が予想される時間遅延によって分離された2つの各々の光子検出器に到達する確率を測定することができる。
いくつかの例では、処理回路50は、光子検出器26の光子検出器の全ての対についてE(x,y)を計算することができる。処理回路50は、光子検出器26の光子検出器の各々の対に対応するE(x,y)値に基づいてSパラメータ値を計算することができる。場合によっては、光子検出器26に到達する一対の古典的な光子が、閾値Sパラメータ値よりも大きいSパラメータを計算する処理回路50をもたらすことは不可能であり得る。
いくつかの例では、Sパラメータに可能な最大値が存在する。例えば、Sパラメータ値の最大可能値は、2√2とすることができる。いくつかの例では、可能な最大Sパラメータ値は、量子光装置20が量子もつれ光子を受け取ったときにのみ達成されることができる。量子光装置20に到達する量子もつれ光子は、いくつかの例では、処理回路50に、閾値Sパラメータ値よりも大きいが、Sパラメータの最大可能値よりも小さいSパラメータ値を計算させることができる。例えば、もつれた光子は、処理回路50に2よりも大きいSパラメータを計算させることができる。いくつかの例では、暗計数からの損失又は余分な時間信号は、1つ以上の量子もつれ状態から生じるan-Sパラメータ値を低下させる可能性がある。しかし、量子もつれしていない光子対は、場合によっては、処理回路50に閾値Sパラメータ値よりも大きいSパラメータ値を計算させることができない可能性がある。
図4は、本開示の1つ以上の技術に係る、図1の光子検出器26の各光子検出器に対応する時間図プロットを含む時間図90を示す概念図である。時間図プロット90は、時間信号のセット92A~92D(まとめて「時間信号のセット92」)を含む。
いくつかの例では、光子検出器26Aは、時間信号のセット92Aを生成することができ、光子検出器26Bは、時間信号のセット92Bを生成することができ、光子検出器26Cは、時間信号のセット92Cを生成することができ、光子検出器26Dは、時間信号のセット92Dを生成することができる。例えば、光子検出器26Aは、光子検出器26Aが光子を検出するたびに時間信号のセット92Aの時間信号を生成し、光子検出器26Bは、光子検出器26Bが光子を検出するたびに時間信号のセット92Bの時間信号を生成し、光子検出器26Cは、光子検出器26Cが光子を検出するたびに時間信号のセット92Cの時間信号を生成し、光子検出器26Dは、光子検出器26Dが光子を検出するたびに時間信号のセット92Dの時間信号を生成してもよい。
一例では、光子検出器26Bは、光子検出器26Bが時間T1において光子を検知したときに時間信号94を生成することができる。量子光装置20からの異なる距離であるウィング装置30、40から生じる変化する時間遅延を考慮するために、処理回路50は、時間遅延(t)96を時間T1に追加することができる。いくつかの例では、時間遅延は、光子が量子光装置20と第1のウィング装置30との間を往復するのにかかる予想される時間量と、光子が量子光装置20と第2のウィング装置40との間を往復するのにかかる時間量との間の差を表すことができる。時間遅延96は、時間T1から時間T2まで延びることができる。いくつかの例では、図4に示すように、光子検出器26A、26Bと光子検出器26C、26Dとの間に時間遅延T1が追加される。換言すれば、量子もつれ光子対の第1の光子が光子検出器26A又は光子検出器26Bに到達した場合、もつれ光子対の第2の光子は、時間T2において光子検出器26C又は光子検出器26Dに到達すると予想されることができ、T1及びT2は、予想される時間遅延96だけ分離される。又は、量子もつれ対の第1の光子は、時間T1において光子検出器26C又は光子検出器26Dに到達することができ、もつれ対の光子の第2の光子は、時間T2において検出器26A又は光子検出器26Bに到達すると予想されることができ、T1及びT2は、予想される時間遅延96だけ分離している。
光子検出器26は、光子が各々の光子検出器に到達したときに応じたシーケンスで信号を放出することができる。処理回路50は、1つ以上の時間遅延値についての相関を平均することに基づいてSパラメータを計算してもよい。例えば、システムは、光子検出器26に対応する1つ以上の異なる角度についてSパラメータを測定することができる。いくつかの例では、光子検出器26の角度は、第1の波長板74及び第2の波長板78を回転させることによって変更されてもよい。第1の波長板74の回転は、偏光ビームスプリッタ76が光子検出器26C又は光子検出器26Dに1つ以上の光子を誘導するかどうかに影響を及ぼすことができる。第2の波長板78の回転は、偏光ビームスプリッタ80が光子検出器26A又は光子検出器26Bに1つ以上の光子を誘導するかどうかに影響を及ぼすことができる。
いくつかの例では、処理回路50は、1つ以上の時間遅延値のSパラメータを決定することができる。最大のSパラメータをもたらす時間遅延値は、量子光装置20と第1のウィング装置30との間の距離及び量子光装置20と第2のウィング装置40との間の距離に対応する真の時間遅延を表すことができる。いくつかの例では、最大Sパラメータは、2√2である。全く同じ瞬間に放出された光子、例えば、もつれた対のみが量子相関を示すため、ウィング(例えば、第1のウィング装置30及び第2のウィング装置40)と、ソース(例えば、量子光装置20)との間の距離は、最大のSパラメータを有するtを決定することができる。
いくつかの実施形態では、ダウンコンバートされた光子の一部が通過して検出され、タイムスタンプが局所的に、原子時計同期に使用されるように、各ウィング装置上の再帰反射光学系は、部分的にのみ反射している。
いくつかの例では、量子相関を測定することは、ユーザが、プロトコルにおいて使用される光子の何らかの傍受又は操作があったかどうかを識別することができるため、システム10は、ソースと2つのウィングとの間の飛行時間遅延を確立する他の方法よりも有利である。敵対者がプロトコルを盗聴する目的で光子を傍受しようとしたり、プロトコルを偽装する目的で新たなパルスを送り返したりしようとすると、光子は、正しい量子相関を示さないことがある。
図5は、本開示の1つ以上の技術に係る、量子時間転送がセキュアであるか否かを決定するための動作の例を例示するフロー図である。図5は、図1のシステム10に関して説明される。しかしながら、図5の技術は、システム10の異なる構成要素によって、又は追加のもしくは代替の装置によって実行されてもよい。
量子光装置20の光源22は、複数対の光子を放出することができ、複数対の光子の各光子対は、量子もつれ状態を占有する(102)。いくつかの例では、複数対の光子を放出するために、光源22は、複数対の光子の各光子対のうちの1つの光子を第1のウィング装置30に放出することができ、光源22は、複数対の光子のうちの各光子対のうちの1つの光子を第2のウィング装置40に放出することができる。いくつかの例では、量子もつれ状態は、ベル状態のセットのベル状態を含む。光源22は、量子もつれ光子の各々の対の各々よりも高いエネルギーを有するポンプ光子を分割することによって、複数の光子の各光子対を放出することができる。
量子光装置20の光学回路24は、第1のウィング装置30から光子の第1のセットを受け取ることができる(104)。追加的又は代替的に、光学回路24は、第2のウィング装置40から光子の第2のセットを受け取ってもよい(106)。いくつかの例では、光子の第1のセット及び光子の第2のセットは、第1のウィング装置30及び第2のウィング装置40に放出された複数対の光子の光子を表すことができる。すなわち、光子の第1のセットは、光装置22によって第1のウィング装置30に放出され、量子光装置20に戻る1つ以上の光子を含んでもよく、光子の第2のセットは、光装置22によって第2のウィング装置40に放出され、量子光装置20に戻る1つ以上の光子を含んでもよい。いくつかの例では、複数対の光子のうちの1つ以上は、第1のウィング装置30に放出され、量子光装置20に戻る第1の光子と、第2のウィング装置40に放出され、量子光装置20に戻る第2の光子とを含むことができる。量子光装置20と第1のウィング装置30との間の第1の距離は、量子光装置20と第2のウィング装置40との間の第2の距離と異なってもよい。これは、光子対が第1のウィング装置30及び第2のウィング装置40に放出されると、光子が異なる時間に量子光装置20に戻る場合があることを意味する。
量子光装置20の光子検出器26は、光学回路24から光子の第1のセット及び光子の第2のセットを受け取ることができる(108)。光子検出器26の各光子検出器は、時間信号のセットを生成することができる(110)。いくつかの例では、光子検出器26の第1の光子検出器は、時間信号の第1のセットを出力することができ、時間信号の第1のセットの各時間信号は、第1の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する。いくつかの例では、光子検出器26の第2の光子検出器は、時間信号の第2のセットを出力することができ、時間信号の第2のセットの各時間信号は、第2の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する。いくつかの例では、光子検出器26の第3の光子検出器は、時間信号の第3のセットを出力することができ、時間信号の第3のセットの各時間信号は、第3の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する。いくつかの例では、光子検出器26の第4の光子検出器は、時間信号の第4のセットを出力することができ、時間信号の第4のセットの各時間信号は、第4の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する。
処理回路50は、光子検出器26の各光子検出器に対応する時間信号のセットに基づいて、CHSHパラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定することができる(112)。いくつかの例では、処理回路50は、光子検出器26の第1の光子検出器と光子検出器26の第3の光子検出器との間の相関に対応する第1の相関パラメータを決定するように構成される。いくつかの例では、処理回路50は、光子検出器26の第1の光子検出器と光子検出器26の第4の光子検出器との間の相関に対応する第2の相関パラメータを決定するように構成される。いくつかの例では、処理回路50は、光子検出器26の第2の光子検出器と光子検出器26の第3の光子検出器との間の相関に対応する第3の相関パラメータを決定するように構成される。いくつかの例では、処理回路50は、光子検出器26の第2の光子検出器と光子検出器26の第4の光子検出器との間の相関に対応する第4の相関パラメータを決定するように構成される。いくつかの例では、処理回路50は、第1の相関パラメータ、第2の相関パラメータ、第3の相関パラメータ、及び第4の相関パラメータの合計を計算して、CHSHパラメータを決定してもよい。
以下の例は、本明細書に記載のシステム、装置、及び方法の例である。
実施例1:複数対の光子であって、複数対の光子の各光子対が量子もつれ状態を占有する複数対の光子を放出するように構成された光源と、複数対の光子のうちの光子の第1のセットを第1のウィング装置から受け取り、複数対の光子のうちの光子の第2のセットを第2のウィング装置から受け取るように構成された光学回路と、を備える量子光装置を備えるシステム。更に、量子光装置は、光学回路から光子の第1のセット及び光子の第2のセットを受け取るように構成された光子検出器のセットを備え、光子検出器のセットの各光子検出器は、時間信号のセットを生成するように構成され、時間信号のセットの各時間信号は、各々の光子センサが光子を検出した時間を表す。更に、システムは、光子検出器のセットの各光子検出器に対応する時間信号のセットに基づいて、クラウザー、ホーン、シモニー及びホルト(CHSH)パラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定するように構成された処理回路を備える。
実施例2:量子光装置と第1のウィング装置との間の第1の距離は、量子光装置と第2のウィング装置との間の第2の距離とは異なり、時間遅延値は、第1の距離と第2の距離との間の差に対応する、実施例1に記載のシステム。
実施例3:複数対の光子を放出するために、光源は、複数対の光子の各光子対のうちの1つの光子を第1のウィング装置に放出し、複数対の光子の各光子対のうちの1つの光子を第2のウィング装置に放出するように構成される、実施例1~2のいずれかに記載のシステム。
実施例4:光子検出器のセットは、光子検出器のセットの第1の光子検出器によって、時間信号の第1のセットであって、時間信号の第1のセットの各時間信号が第1の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する時間信号の第1のセットを出力し、光子検出器のセットの第2の光子検出器によって、時間信号の第2のセットであって、第2の時間信号のセットの各時間信号が第2の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する時間信号の第2のセットを出力し、光子検出器のセットの第3の光子検出器によって、時間信号の第3のセットであって、時間信号の第3のセットの各時間信号が第3の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する時間信号の第3のセットを出力し、光子検出器のセットの第4の光子検出器によって、時間信号の第4のセットであって、時間信号の第4のセットの各時間信号が第4の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する時間信号の第4のセットを出力するように構成される、実施例1~3のいずれかに記載のシステム。
実施例5:時間遅延値が、第1の光子検出器又は第2の光子検出器に到達する量子もつれ状態を占有する光子対の第1の光子と、第3の光子検出器又は第4の光子検出器に到達する光子対の第2の光子との間の時間遅延に対応する、実施例4に記載のシステム。
実施例6:処理回路は、第1の光子検出器と第3の光子検出器との間の相関に対応する第1の相関パラメータを決定し、第1の光子検出器と第4の光子検出器との間の相関に対応する第2の相関パラメータを決定し、第2の光子検出器と第3の光子検出器との間の相関に対応する第3の相関パラメータを決定し、第2の光子検出器と第4の光子検出器との間の相関に対応する第4の相関パラメータを決定し、第1の相関パラメータ、第2の相関パラメータ、第3の相関パラメータ、及び第4の相関パラメータの合計を計算して、CHSHパラメータを決定するように更に構成される、実施例4~5のいずれかに記載のシステム。
実施例7:光源は、複数対の光子の各光子対をランダムな時間に放出するように構成される、実施例1~6のいずれかに記載のシステム。
実施例8:量子もつれ状態がベル状態のセットのベル状態を含む、実施例1~7のいずれかに記載のシステム。
実施例9:処理回路は、CHSHパラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい存在する時間遅延値に基づいて、量子光装置と第1のウィング装置との間の通信及び量子光装置と第2のウィング装置との間の通信がセキュアであることを検証するように更に構成される、実施例1~8のいずれかに記載のシステム。
実施例10:光源は、複数対の光子の各光子対について、各々の光子対の第1の光子と各々の光子対の第2の光子とを分離する時間が100フェムト秒未満であるように、複数対の光子を放出するように構成される、実施例1~9のいずれかに記載のシステム。
実施例11:CHSHパラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定するために、処理回路は、複数のCHSHパラメータであって、複数のCHSHパラメータの各CHSHパラメータが複数の時間遅延値の各々の時間遅延値に対応する複数のCHSHパラメータを決定し、複数のCHSHパラメータのうちのCHSHパラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きいかどうかを決定するように構成される、実施例1~10のいずれかに記載のシステム。
実施例12:量子光装置は、時間遅延値を第1のウィング装置及び第2のウィング装置に出力して、第1のウィング装置の第1の原子時計を第2のウィング装置の位置する第2の原子時計と同期させるように構成される、実施例1~11のいずれかのシステム。
実施例13:量子光装置の光源によって、複数対の光子であって、複数対の光子の各光子対が量子もつれ状態を占有する複数対の光子を放出することと、量子光装置の光学回路によって、第1のウィング装置から複数対の光子のうちの光子の第1のセットを受け取ることと、光学回路によって、第2のウィング装置から複数対の光子のうちの光子の第2のセットを受け取ることと、量子光装置の光子検出器のセットによって、光学回路から光子の第1のセット及び光子の第2のセットを受け取ることと、を含む方法。更に、本方法は、光子検出器のセットの各光子検出器によって、時間信号のセットであって、時間信号のセットの各時間信号が各々の光子センサが光子を検出した時間を表す時間信号のセットを生成することと、光子検出器のセットの各光子検出器に対応する時間信号のセットに基づいて処理回路によって、クラウザー、ホーン、シモニー及びホルト(CHSH)パラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定することと、を含む。
実施例14:量子光装置と第1のウィング装置との間の第1の距離は、量子光装置と第2のウィング装置との間の第2の距離とは異なり、時間遅延値は、第1の距離と第2の距離との間の差に対応する、実施例13に記載の方法。
実施例15:複数対の光子を放出することは、光源によって、複数対の光子の各光子対のうちの1つの光子を第1のウィング装置に放出することと、光源によって、複数対の光子の各光子対のうちの1つの光子を第2のウィング装置に放出することと、を含む、実施例13~14のいずれかに記載の方法。
実施例16:光子検出器のセットの第1の光子検出器によって、時間信号の第1のセットであって、時間信号の第1のセットの各時間信号が第1の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する時間信号の第1のセットを出力することと、光子検出器セットの第2の光子検出器によって、時間信号の第2のセットであって、時間信号の第2のセットの各時間信号が前記第2の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する時間信号の第2のセットを出力することと、光子検出器のセットの第3の光子検出器によって、時間信号の第3のセットであって、時間信号の第3のセットの各時間信号が第3の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する時間信号の第3のセットを出力することと、光子検出器のセットの第4の光子検出器によって、時間信号の第4のセットであって、時間信号の第4のセットの各時間信号が第4の光子検出器が光子の第1のセット又は光子の第2のセットの光子を受け取る時間に対応する時間信号の第4のセットを出力することと、を更に含む、実施例13~14のいずれかに記載の方法。
実施例17:処理回路によって、第1の光子検出器と第3の光子検出器との間の相関に対応する第1の相関パラメータを決定することと、処理回路によって、第1の光子検出器と第4の光子検出器との間の相関に対応する第2の相関パラメータを決定することと、処理回路によって、第2の光子検出器と第3の光子検出器との間の相関に対応する第3の相関パラメータを決定することと、処理回路によって、第2の光子検出器と第4の光子検出器との間の相関に対応する第4の相関パラメータを決定することと、処理回路によって、第1の相関パラメータ、第2の相関パラメータ、第3の相関パラメータ、及び第4の相関パラメータの合計を計算して、CHSHパラメータを決定することと、を更に含む、実施例16に記載の方法。
実施例18:光子対の各光子対を放出することは、光子対の各光子対をランダムな時間に放出することを含む、実施例13~17のいずれかに記載の方法。
実施例19:CHSHパラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい存在する時間遅延値に基づいて、処理回路によって、量子光装置と第1のウィング装置との間の通信及び量子光装置と第2のウィング装置との間の通信がセキュアであることを検証することを更に含む、実施例13~18のいずれかに記載の方法。
実施例20:実行されると、1つ以上のプロセッサに、量子光装置の光源を制御させて、複数対の光子であって、複数対の光子の各光子対が量子もつれ状態を占有する複数対の光子を放出させ、量子光装置の光学回路に、第1のウィング装置から複数対の光子のうちの光子の第1のセットを受け取らせ、光学回路に、第2のウィング装置から複数対の光子のうちの光子の第2のセットを受け取らせ、量子光装置の光子検出器のセットに、光学回路から光子の第1のセット及び光子の第2のセットを受け取らせ、光子検出器のセットの各光子検出器に時間信号のセットであって、時間信号のセットの各時間信号が各々の光子センサが光子を検出した時間を表す時間信号のセットを生成させ、光子検出器のセットの各光子検出器に対応する時間信号のセットに基づいて、クラウザー、ホーン、シモニー及びホルト(CHSH)パラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定させる、命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
1つ以上の例において、本明細書に記載された技術は、記載された機能を達成するために、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせを利用することができる。ソフトウェアに実装されたこれらの機能は、コンピュータ可読媒体に記憶されるか、又は1つ以上の命令又はコードとして伝送され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行されることができる。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体などの有形媒体に対応するコンピュータ可読記憶媒体、又は例えば通信プロトコルに従って、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含むことができる。このようにして、コンピュータ可読媒体は、一般に、(1)非一時的である有形のコンピュータ可読記憶媒体、又は(2)信号又は搬送波などの通信媒体に対応することができる。データ記憶媒体は、本開示に記載された技術を実施するための命令、コード、及び/又はデータ構造を取り出すために、1つ以上のコンピュータ又は1つ以上のプロセッサによってアクセスされることができる任意の利用可能な媒体とすることができる。
命令は、システム内の1つ以上のプロセッサによって実行されてもよく、又はシステムに通信可能に結合されてもよい。1つ以上のプロセッサは、例えば、1つ以上のDSP、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路ASIC、FPGA、又は他の同等の集積又は個別論理回路を含むことができる。従って、本明細書において使用される「プロセッサ」という用語は、前述の構造のいずれか、又は本明細書に記載の技術の実装に適した任意の他の構造を指すことができる。更に、いくつかの態様では、本明細書に記載された機能は、本明細書に記載された技術を実行するように構成された専用のハードウェア及び/又はソフトウェアモジュール内で提供されることができる。また、これらの技術は、1つ以上の回路又は論理素子に完全に実装されることができる。
本開示の技術は、集積回路(IC)又はICのセット(例えば、チップセット)を含む多種多様な装置又は装置において実装されることができる。本開示では、開示された技術を実行するように構成された装置の機能的態様を強調するために、様々な構成要素、モジュール、又はユニットが記載されているが、必ずしも異なるハードウェアユニットによる実現を必要としない。むしろ、様々なユニットは、適切なソフトウェア及び/又はファームウェアと共に、上述したような1つ以上のプロセッサを含む相互動作可能なハードウェアユニットの集合によって組み合わされ、又は提供されてもよい。

Claims (3)

  1. システムであって、
    量子光装置であって、
    複数対の光子であって、前記複数対の光子の各光子対が量子もつれ状態を占有する複数対の光子を放出するように構成された光源と、
    光学回路であって、
    第1のウィング装置から、前記複数対の光子のうちの光子の第1のセットを受け取り、
    第2のウィング装置から、前記複数対の光子のうちの光子の第2のセットを受け取るように構成された光学回路と、
    前記光学回路から前記光子の第1のセット及び前記光子の第2のセットを受け取るように構成された光子検出器のセットと、を備え、
    前記光子検出器のセットの各光子検出器が、時間信号のセットであって、前記時間信号のセットの各時間信号が各々の光子センサが光子を検出した時間を表す時間信号のセットを生成するように構成された量子光装置と、
    処理回路であって、
    前記光子検出器のセットの各光子検出器に対応する前記時間信号のセットに基づいて、クラウザー、ホーン、シモニー及びホルト(CHSH)パラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定するように構成された処理回路と、を備える、システム。
  2. 前記複数対の光子を放出するために、前記光源が、
    前記複数対の光子の各光子対のうちの1つの光子を前記第1のウィング装置に放出し、
    前記複数対の光子の各光子対のうちの1つの光子を前記第2のウィング装置に放出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
  3. 方法であって、
    量子光装置の光源によって、複数対の光子であって、前記複数対の光子の各光子対が量子もつれ状態を占有する複数対の光子を放出することと、
    前記量子光装置の光学回路によって、第1のウィング装置から前記複数対の光子のうちの光子の第1のセットを受け取ることと、
    前記光学回路によって、第2のウィング装置から前記複数対の光子のうちの光子の第2のセットを受け取ることと、
    前記量子光装置の光子検出器のセットによって、前記光学回路から前記光子の第1のセット及び前記光子の第2のセットを受け取ることと、
    前記光子検出器のセットの各光子検出器によって、時間信号のセットであって、前記時間信号のセットの各時間信号が各々の光子センサが光子を検出した時間を表す時間信号のセットを生成することと、
    前記光子検出器のセットの各光子検出器に対応する前記時間信号のセットに基づいて処理回路によって、クラウザー、ホーン、シモニー及びホルト(CHSH)パラメータが閾値CHSHパラメータ値よりも大きい時間遅延値が存在するかどうかを決定することと、を含む、方法。
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