JP2023000510A - 衣料 - Google Patents

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歳喜 西島
Toshiki Nishijima
英樹 森岡
Hideki Morioka
大士 勝田
Hiroshi Katsuta
健太郎 梶原
Kentaro Kajiwara
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【課題】 着用時の快適性に優れた衣料を提供すること。【解決手段】 少なくとも一部が積層不織布で構成されてなる衣料であって、前記の積層不織布は、第1の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(A)と、第2の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(B)とが、それぞれ少なくとも1層積層されてなる、積層不織布であって、前記の不織布層(A)を構成する繊維の平均単繊維直径Daに対する前記の不織布層(B)を構成する繊維の平均単繊維直径Dbの比(Db/Da)が1.1以上であり、前記の積層不織布の最も肌側の表面の水との接触角と、他方の表面の水との接触角とがともに30°以下であり、前記の積層不織布の、最も肌側の層が前記の不織布層(B)である、衣料。【選択図】 なし

Description

本発明は、少なくとも一部が吸水速乾性に優れた積層不織布で構成されてなる衣料に関するものである。
近年、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、容易に使い捨てができる不織布からなる衣料の需要が増加しており、触感や機能性を向上させるための様々な検討がなされている。特に、医療現場における使い捨て防護服や検査衣、クリーンルームでの作業服や防塵服などについては、作業時に汗をかいた際、速やかに汗を吸い取りべたつかないといった、着用時の快適性が要求される。
このような背景から、手術用外衣に関し、前身頃の襟ぐりの内側に不織布により形成された吸収シートを設置することで、着用者の顔付近から出た汗を吸収するようにした技術が提案されている。(例えば、特許文献1を参照)。
また、医療用ガウンに関し、衣料の背面へ吸収部材を配置することで、汗が着用者の背中を伝って不快に感じないようにした技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2002-220712号公報 特開2018-150651号公報
特許文献1に開示された技術においては、顔付近から流れる汗は局所的に吸収可能であるものの、衣料を着用している身体の大部分、特に、背面部や脇付近など、汗が生じやすい箇所の汗を吸収することができず、快適性に乏しいものである。
一方、特許文献2に開示された技術においても同様に、汗が伝いやすい背面部には吸収部材が設置され、発汗による不快感は軽減されるものの、身体の前面部や脇付近などの汗を吸収することができず、快適性が限定的なものである。
一般に、吸収部材は高吸水性ポリマーから構成されることが多いが、これらの異物感を感じさせるものが多く、全身を覆うような衣料について吸収部材を設置する場合には、衣料のあちこちに吸収部材を設けることとなり、全身に異物感が生じうる構造となる。
そこで、本発明の目的は、上記の事情を鑑みてなされたものであって、着用時の快適性に優れた衣料を提供することにある。
本発明者らが検討を進めたところ、不織布から構成されてなる衣料の吸水性を高めるためには、不織布自体の親水性を高めることが有効であるものの、親水性のみを高めた不織布を衣料に用いた場合、表面が水分を含んだまま乾かず、この衣料を着用した際には、快適性に劣る、さらには、かぶれが生じやすくなるといった課題が生じることを確認した。一方、速乾性を高める目的で、衣料を構成する不織布の一部に疎水性繊維を用いた場合や厚み方向に親水度勾配を付与した場合には、結果的に不織布表面の吸水性を低下させることとなり、汗を十分に吸い取らないなどの課題が生じることも確認した。
そこで、本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意検討した結果、衣料の少なくとも一部を積層不織布で構成し、その積層不織布において、各不織布層を構成する繊維の平均単繊維直径の比を特定の範囲とし、各不織布層を特定の構成で積層させ、さらに各不織布層の水との接触角を特定の範囲とすることで、着用時の快適性を保つために十分な吸水性および速乾性を有した衣料となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
本発明の衣料は、少なくとも一部が積層不織布で構成されてなる衣料であって、前記の積層不織布は、第1の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(A)と、第2の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(B)とが、それぞれ少なくとも1層積層されてなる、積層不織布であって、前記の不織布層(A)を構成する繊維の平均単繊維直径Daに対する前記の不織布層(B)を構成する繊維の平均単繊維直径Dbの比(Db/Da)が1.1以上であり、前記の積層不織布の最も肌側の表面の水との接触角と、他方の表面の水との接触角とがともに30°以下であり、前記の積層不織布の、最も肌側の層が前記の不織布層(B)である。
本発明の衣料の好ましい態様によれば、前記の積層不織布において、前記の不織布層(A)が前記の積層不織布の他方の最表面に積層されてなる。
本発明の衣料の好ましい態様によれば、前記の積層不織布の任意の一方向を0°とし、22.5°毎に180°まで積層不織布の面内で回転させて測定して得られる該積層不織布の破断強力のうち、最低破断強力σminに対する最高破断強力σmaxの比(σmax/σmin)が1.2以上4.0以下である。
本発明の衣料の好ましい態様によれば、前記の不織布層(A)および前記の不織布層(B)が、ともに長繊維不織布からなる層である。
本発明の衣料の好ましい態様によれば、着用者の最も肌側に前記の積層不織布が配され、さらに、その外側に多孔質フィルムまたはナノファイバー積層体が配されてなる。
本発明によれば、着用者の皮膚近傍の水分や汗などの液体を、着用者の外側に素早く移行させることができるため、着用時に不快感の少ない、快適な衣料を得ることができる。
本発明は、少なくとも一部が積層不織布で構成されてなる衣料であって、前記の積層不織布は、第1の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(A)と、第2の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(B)とが、それぞれ少なくとも1層積層されてなる、積層不織布であって、前記の不織布層(A)を構成する繊維の平均単繊維直径Daに対する前記の不織布層(B)を構成する繊維の平均単繊維直径Dbの比(Db/Da)が1.1以上であり、前記積層不織布の最も肌側の表面の水との接触角と、他方の表面の水との接触角とがともに30°以下であり、前記の積層不織布の、最も肌側の層が前記不織布層(B)である。以下に、その構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
[熱可塑性樹脂繊維]
本発明の衣料の少なくとも一部を構成する積層不織布は、第1の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(A)と第2の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(B)とからなる。
これらの第1の熱可塑性樹脂繊維、第2の熱可塑性樹脂繊維において、「熱可塑性樹脂繊維」とは、熱可塑性樹脂からなる繊維のことを指す。このような熱可塑性樹脂は1種類であってもよいし、複数の熱可塑性樹脂からなるものであってもよい。
本発明に係る熱可塑性樹脂繊維に用いられる熱可塑性樹脂の例としては、「ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート」等の芳香族ポリエステル系ポリマーおよびその共重合体、「ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート-ポリヒドロキシバリレート共重合体、ポリカプロラクトン」等の脂肪族ポリエステル系ポリマーおよびその共重合体、「ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6-12」等の脂肪族ポリアミド系ポリマーおよびその共重合体、「ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン」等のポリオレフィン系ポリマーおよびその共重合体、エチレン単位を25モル%から70モル%含有する水不溶性のエチレン-ビニルアルコール共重合体系ポリマー、ポリスチレン系、ポリジエン系、塩素系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、フッ素系のエラストマー系ポリマー等であり、これらの中から選んで用いることができる。また、上記のポリマーにおいては、酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤をポリマー中に含んでいてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂繊維は、単成分繊維はもとより、2種類以上の樹脂を複合した複合繊維であってもよい。上記の熱可塑性樹脂繊維が複合繊維の場合、本発明の効果を損ねない限り特に限定されるものではなく、芯鞘型や海島型、サイドバイサイド型、偏心芯鞘型、などから適宜選択すればよい。さらには、繊維の一部もしくは全体が一本の繊維から複数本の繊維に分割される割繊型複合繊維であってもよい。
本発明の熱可塑性樹脂繊維の断面形状は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されるものではなく、丸断面はもとより、三角や扁平、六角形、中空などの異形断面であっても良い。本発明の積層不織布を衣料に用いる場合、生産性が高く、かつ柔軟性に優れることから、丸断面が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂繊維は、いずれも水との接触角が90°未満であることが好ましい。熱可塑性樹脂繊維における水との接触角は、後述する不織布における水との接触角とは異なる指標であり、該接触角が90°以上であれば疎水性、90°未満であれば親水性となる。なお、本発明の熱可塑性樹脂繊維の水との接触角は、例えば、室温20℃、相対湿度65%の室内に24時間以上放置した不織布から取り出した熱可塑性樹脂繊維に対し、インクジェット方式水滴吐出部を搭載した自動接触角計を用いて極少量(15pL)の水滴を繊維表面に着液させた際の、液滴の空気界面と繊維のなす角を測定することにより求められる。
なお、第1の熱可塑性樹脂繊維と第2の熱可塑性樹脂繊維とで、構成する熱可塑性樹脂や繊維断面が同一であっても、異なっていてもよい。
[第1の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(A)]
本発明に係る不織布層(A)は、前記の第1の熱可塑性樹脂繊維から構成される。
本発明に係る不織布層(A)は、長繊維不織布からなることが好ましい。不織布層(A)が長繊維不織布からなることにより、高い生産性と優れた力学物性を有した不織布となる。
本発明に係る不織布層(A)を構成する第1の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径は、1.0~25.0μmであることが好ましい。第1の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径を好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.5μm以上とすることにより、衛生材料として使用した場合、隣接する吸水体に水分が移行しやすくなる。また、第1の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径を好ましくは25.0μm以下、より好ましくは20.0μm以下、さらに好ましくは16.0μm以下とすることにより、毛細管効果によって不織布層(A)の吸水性が向上する。
ここで言う平均単繊維直径とは、以下のようにして求めるものである。
まず、不織布層(A)を構成する繊維の横断面を走査型電子顕微鏡で1本の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。続いて、撮影した画像を用い、画像解析ソフト(例えば三谷商事株式会社製「WinROOF2015」など)を用いて、単繊維の断面輪郭が形成する面積Afを計測し、この面積Afと同一の面積となる真円の直径を算出する。これを同一の不織布層から任意に抽出した単繊維20本について測定し、単純な数平均を求め、単位をμmとして、小数点第2位を四捨五入した値が本発明で言う平均単繊維直径である。
[第2の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(B)]
本発明に係る不織布層(B)は、前記の第2の熱可塑性樹脂繊維から構成される。
そして、本発明に係る不織布層(B)は、長繊維不織布からなることが好ましい。不織布層(B)が長繊維不織布からなることにより、高い生産性と優れた力学物性を有した不織布となる。
本発明に係る不織布層(B)を構成する第2の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径は、3.0~30.0μmであることが好ましい。第2の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径を好ましくは3.0μm以上、より好ましくは5.0μm以上、さらに好ましくは8.0μm以上とすることにより、不織布層の繊維が緻密になり過ぎず、適度な通水性を有する不織布となる。また、第2の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径を好ましくは30.0μm以下、より好ましくは27.0μm以下、さらに好ましくは25.0μm以下とすることにより、良好な表面触感を有した衣料となる。
[不織布層(A)および不織布層(B)の平均単繊維直径]
本発明の衣料の少なくとも一部を構成する積層不織布は、不織布層(A)を構成する第1の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径Daに対する、不織布層(B)を構成する第2の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径Dbの比(Db/Da、以下、単に平均単繊維直径比と略することがある)が1.1以上である。
ここで言う平均単繊維直径比とは、前述の手法を用いて、不織布層(A)を構成する第1の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径Daと、不織布層(B)を構成する第2の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径Dbを測定し、その比(Db/Da)を算出し、小数点第2位を四捨五入した値である。
一般に、不織布においては、構成する繊維の平均単繊維直径に応じて、繊維同士が織りなす空隙サイズが変化する。このため、平均単繊維直径が異なる不織布層を重ねた場合には繊維間空隙サイズが異なる不織布層が積層されることとなり、水分が付着した場合には、毛細管効果の差により、太い繊維からなる不織布層に吸収された水分を、素早く細い繊維からなる不織布層に移行させることができるのである。さらに、本発明者らは鋭意検討の結果、平均単繊維直径比を特定の範囲とすることで、毛細管効果の差による吸水性向上効果のみならず、太い繊維からなる不織布層の表面に速乾性が付与されることを見出した。
したがって、平均単繊維直径比(Db/Da)を1.1以上、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上とすることにより、上述の毛細管効果が作用し、良好な吸水性および不織布層(B)における速乾性を得ることができる。なお、本発明における平均単繊維直径比の上限は特に制限されないが、工程安定性や生産性の観点から10.0以下が好ましい。
[積層不織布]
本発明の衣料の少なくとも一部を構成する積層不織布は、前記の不織布層(A)と不織布層(B)とが、それぞれ少なくとも1層積層された積層不織布である。そして、前記の積層不織布の、最も肌側の層が前記の不織布層(B)である。このように、平均単繊維直径が大きく、不織布層内の繊維間空隙が大きくなる不織布層(B)を、積層不織布の最も肌側の層となるように積層させることで、最も肌側の層である不織布層(B)側にて水分を吸水した場合には、速やかに外側に存在する不織布層(A)の方に向かって水分が移行されるため、積層不織布の不織布層(B)側の最も肌側の表面では速乾性を得ることができるのである。
本発明の衣料の少なくとも一部を構成する積層不織布は、この積層不織布の最も肌側の表面の水との接触角と、他方の表面の水との接触角とがともに30°以下である。前記の積層不織布の最も肌側の表面の水との接触角と、他方の表面の水との接触角がともに30°以下、好ましくは20°以下、さらに好ましくは10°以下であることにより、不織布が親水性であるため不織布表面に接触した水分が不織布に吸水されやすく、優れた吸水性を有する衣料となる。また、本発明における水との接触角の下限は0°であるが、水との接触角が0°とは、後述の測定方法においてすべての水が不織布に吸水された状態をいう。
なお、前記の積層不織布の最も肌側の表面の水との接触角と、他方の表面の水との接触角は、積層不織布を構成する繊維に用いられる熱可塑性樹脂の親水性や後工程による親水性油剤付与によって制御することができる。例えば、上記熱可塑性樹脂の親水性が高いほど、また親水性油剤の付着量が多いほど、水との接触角は小さくなる傾向にある。
本発明における積層不織布の最も肌側の表面の水との接触角と、他方の表面の水との接触角は、以下の方法で測定、算出された値を指す。なお、積層不織布の最も肌側の表面、すなわち、不織布層(B)が最表面に積層された面を第1面、その反対側の面を第2面と定義する。
(1)衣料から積層不織布を分離・採取する。
(2)分離・採取した積層不織布を、室温20℃、相対湿度65%の室内に24時間以上放置する。
(3)上記処理を施した積層不織布を、同室に設置した接触角計のステージ上に、第1面の不織布層(B)が測定面となるようにセットする。
(4)イオン交換水からなる2μLの液滴を針先に作製し、不織布に着液させる。
(5)不織布に液滴が着液してから2秒後の画像より、液滴との接触角を求める。なお、2秒以内にすべての水が不織布に吸水された場合は、液滴の空気との界面が不織布層の表面と同一面に存在すると判断し、水との接触角を0°と定義する。
(6)1水準につき測定位置を変更して5回測定を行い、その算術平均値を第1面と水との接触角とする。
(7)(2)と同様の処理を施した積層不織布を、第1面の不織布層(B)が裏面となるようにセットし、上記(3)~(6)の操作を繰り返し行い、その算術平均値を第2面と水との接触角とする。
なお、積層不織布の最も肌側の表面の水との接触角、他方の表面の水との接触角は、積層不織布を構成する繊維に用いられる熱可塑性樹脂の親水性を変更したり、後工程において付与する親水性油剤の付与量を変更したりすることなどにより、調整することができる。
また、本発明の衣料を構成する積層不織布は、この積層不織布の任意の一方向を0°とし22.5°毎に180°まで、積層不織布の面内で回転させて測定した該積層不織布の破断強力の内、最低破断強力σminに対する最高破断強力σmaxの比(σmax/σmin、以下、単に破断強力比と略することがある)が1.2~4.0であることが好ましい。破断強力比を好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上とすることにより、不織布面内のいずれかの方向に繊維が配向しているため、毛細管効果により吸水した水分を繊維配向方向に広げることができ、より高い吸水速乾性を得ることが可能となる。また、破断強度比を好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下とすることにより、極端に破断強力の低い角度がなくなるため、工程通過時や製品加工時の不織布の破れを抑制することができる。
なお、破断強力比は、各不織布層を構成する繊維の配向度を変更することにより、調整することができる。積層不織布を形成する方法としてスパンボンド法を採用する場合における、各不織布層を構成する繊維の配向度を変更する方法の一例としては、例えば、エジェクター圧力とコンベア速度の比を変更する方法が挙げられる。この方法によれば、積層不織布のコンベア搬送方向の繊維配向度を容易に変更することができ、結果、積層不織布の破断強度比を調整することができる。
本発明における積層不織布の破断強度比は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.3 引張強さ及び伸び率(ISO法)」に基づき、以下の方法で測定、算出された値を指す。
(1)衣料から積層不織布を分離・採取する。
(2)積層不織布の任意の一方向を0°とし、縦方向が上記の方向と一致するよう縦300mm×横25mmの試験片を切り出し、場所を変更して試験片を3枚採取する。
(3)試験片をつかみ間隔200mmで引張試験機にセットする。
(4)引張速度100m/分で引張試験を実施し、採取した3枚の試験片について破断時の強力〔N〕を求め、その算術平均値を破断強力σとする。
(5)0°とした任意の一方向に対して積層不織布の面内で時計回りに22.5°回転させた方向を軸とし、縦方向が上記の軸方向と一致するように縦300mm×横25mmの試験片を切り出し、場所を変更して試験片を3枚採取する。その後、上記(2)~(3)の操作を行い、破断強力σを算出する。
(6)積層不織布の面内での回転角度が180°になるまで上記(4)の操作を繰り返し行い、それぞれの角度における破断強力σを算出する。
(7)上記の方法で算出された破断強力σの内、最低破断強力σminに対する最高破断強力σmaxの比(σmax/σmin)を算出し、積層不織布の破断強度比とする。
本発明の積層不織布は、本発明の効果を損なわない範囲で、不織布層(A)および不織布層(B)以外の不織布層を含んでいても良い。不織布層(A)および不織布層(B)以外の不織布層を含む場合、その不織布層を構成する繊維は親水性であることが、吸水性を損なわない点で好ましい。
本発明の衣料を構成する積層不織布は、不織布層(B)が一方の最表面に積層されていることに加え、不織布層(A)が他方の最表面に積層されていることが好ましい。不織布層(A)が他方の最表面に積層されることにより、積層不織布の外側に向けて、吸水した水分を移行させることが容易となり、不織布層(A)に接するように衣料の外層部、例えば多孔質フィルムあるいはメルトブロー不織布層が設けられるような場合でも、速やかに移行させることが容易となる。
本発明の衣料を構成する積層不織布は、不織布層(B)が最表面に配された第1面にて測定された吸水速度が20秒以下であることが好ましい。吸水速度を好ましくは20秒以下、より好ましくは15秒以下、さらに好ましくは10秒以下とすることにより、表面に付着した水分を取り除く性能が良好である、すなわち吸水性に優れる衣料となる。
ここで言う吸水速度とは、JIS L1907:2010「繊維製品の吸水性試験方法」の「7.1.1 滴下法」に基づき測定されるものである。積層不織布に水滴を1滴滴下し、吸収されて表面の鏡面反射が消失するまでの時間を測定し、これを異なる10箇所で測定した値の単純平均を算出し、単位を秒として、小数点第1位を四捨五入した値を、本発明で言う吸水速度とする。
本発明の衣料を構成する積層不織布の目付は、10g/m以上100g/m以下とすることが好ましい。目付を好ましくは10g/m以上、より好ましくは13g/m以上、さらに好ましくは15g/m以上とすることにより、実用に供し得る機械的強度の積層不織布を得ることができる。また、目付を好ましくは100g/m以下、より好ましくは50g/m以下とすることにより、衣料の肌面側への使用に適した適度な柔軟性を有する積層不織布とすることができる。
なお、本発明における積層不織布の目付(g/m)とは、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に基づき、20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値から算出する1m当たりの質量を指すこととする。
本発明の積層不織布は、これらの不織布層(A)と不織布層(B)とが一体化していることが好ましい。ここでいう一体化とは、これらの層が繊維同士の交絡、接着剤等の成分による固定、それぞれの層を構成する熱可塑性樹脂同士の融着によって接合しているものである。
なお、本発明の積層不織布は、吸水性をより高くすることを目的として、親水化剤を付与しても良い。親水化剤の種類としては、界面活性剤などが挙げられるが、中でも非イオン性界面活性剤が好ましい。
[多孔質フィルム、ナノファイバー積層体]
本発明の衣料は、着用者の最も肌側に前記の積層不織布が配され、さらに、その外側に多孔質フィルムまたはナノファイバー積層体が配されてなることが好ましい。このようにすることで、衣料に液体バリア性、透湿性、ウィルスバリア性、防塵性を付与することができる。
本発明に係る多孔質フィルムとしては、本発明の効果を損なわないものであって、上記の液体バリア性、透湿性、ウィルスバリア性、防塵性のいずれかを有するフィルムであれば、特に限定はされない。
多孔性フィルムを構成する樹脂は、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、およびフッ素系樹脂などいずれでも構わない。中でも耐熱性、成形性、生産コストの低減、耐薬品性、および耐酸化・還元性などの観点からポリオレフィン樹脂が好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂を構成する単量体成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチルペンテン-1、3-メチルー1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチルー1-ペンテン、5-エチルー1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1―エイコセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、および5-メチルー2-ノルボルネンなどの炭素―炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。
上記単量体の単独重合体や上記単量成分からなる群から選ばれる少なくとも2種以上から構成される共重合体、およびこれら単独重合体や共重合体をブレンドした組成物などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
上記の単量体成分以外にも、例えば、ビニルアルコール、および無水マレイン酸などを共重合および/またはグラフト重合しても構わないが、これらに限定されるわけではない。
多孔性フィルムを構成する樹脂としてはエチレンを単量体成分として用いたポリエチレンおよび/またはプロピレンを単量体成分として用いたポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンが多孔性フィルムを構成する樹脂の成分であることが好ましい。
多孔質フィルム中に貫通孔を形成する方法としては、湿式法、乾式法どちらでも構わない。
本発明に係るナノファイバー積層体としても、本発明の効果を損なわないものであって、上記の液体バリア性、透湿性、ウィルスバリア性、防塵性のいずれかを有する積層体であれば、特に限定はされない。
ナノファイバー積層体は布帛からなるものである。布帛は、好ましくは織物、編物、または不織布であり、より好ましくは不織布である。不織布であれば、優れた液体バリア性を付与できるとともに、柔軟性と伸長性のバランスが良いため、衣料着用時の快適性が向上する。
不織布形状のナノファイバー積層体を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、メルトブロー法、湿式法、乾式法、スパンボンド法、フラッシュ紡糸法、エレクトロスピニング法、複合繊維分割法等が挙げられる。特に、適度な通気度を与え、かつ、得られる不織布の繊維径が小さく液体バリア性が優れることから、メルトブロー法が好ましい。
なお、エレクトロスピニング法とは、溶融紡糸法の一種であり、具体的には、ポリマー溶液に正の電荷を与え、正電荷を与えられたポリマー溶液をアースまたは負に帯電した基板表面にスプレーされる工程でポリマーを繊維化する手法をいう。
本発明に係るナノファイバー積層体に用いられる熱可塑性樹脂の例としては、「ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート」等の芳香族ポリエステル系ポリマーおよびその共重合体、「ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート-ポリヒドロキシバリレート共重合体、ポリカプロラクトン」等の脂肪族ポリエステル系ポリマーおよびその共重合体、「ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6-12」等の脂肪族ポリアミド系ポリマーおよびその共重合体、「ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン」等のポリオレフィン系ポリマーおよびその共重合体、エチレン単位を25モル%から70モル%含有する水不溶性のエチレン-ビニルアルコール共重合体系ポリマー、ポリスチレン系、ポリジエン系、塩素系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、フッ素系のエラストマー系ポリマー等であり、これらの中から選んで用いることができる。また、上記のポリマーにおいては、本発明の効果を損なわない範囲内で、酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤をポリマー中に含んでいてもよい。
[衣料]
本発明の衣料は、少なくとも一部が前記の積層不織布で構成されてなる衣料である。中でも、着用者の最も肌側に積層不織布を配されてなる衣料は、着用者の最も肌側の層が前記の不織布層(B)となるため、肌面側に付着した水分を積層不織布の内部へ直ちに吸収することができ、着用者の不快感を低減できるため、より好ましい。さらに、前記の積層不織布の外層に多孔質フィルムまたはナノファイバー層が配されてなることにより、液体バリア性、ウィルスバリア性、防塵性が付与されるため、本発明の衣料は、医療用ガウン、介護者用衣料、防塵服等に使用可能となる。
少なくとも一部が前記の積層不織布で構成されてなる以外は、本発明の衣料の構成は特に限定されるものではないが、医療用ガウンや防護服に使用される構成の一例として、スパンボンド層-メルトブロー層-スパンボンド層の順に一体化したSMS型構成やスパンボンド層-多孔質フィルム-スパンボンド層の順に一体化したSFS型構成が挙げられる。
上記のSMS型あるいはSFS型構成とする場合、最外層もしくは最内層の少なくとも一部に前記の積層不織布を配する以外、特に制限はないが、肌面に接する最内層に積層不織布を配することが好ましい。これによって、肌面側に付着した水分をメルトブロー層や多孔質フィルムの中間層へ直ちに吸収することができ、着用者の不快感を軽減できる。また、前記の積層不織布以外のスパンボンド層を構成する熱可塑性樹脂繊維としては特に制限はないが、例えば、「ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート」等の芳香族ポリエステル系ポリマーおよびその共重合体、「ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート-ポリヒドロキシバリレート共重合体、ポリカプロラクトン」等の脂肪族ポリエステル系ポリマーおよびその共重合体、「ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6-12」等の脂肪族ポリアミド系ポリマーおよびその共重合体、「ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン」等のポリオレフィン系ポリマーおよびその共重合体、エチレン単位を25モル%から70モル%含有する水不溶性のエチレン-ビニルアルコール共重合体系ポリマー、ポリスチレン系、ポリジエン系、塩素系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、フッ素系のエラストマー系ポリマー等が挙げられる。また、上記の熱可塑性樹脂繊維は、単成分で構成されていてもよいし、芯鞘型や海島型、サイドバイサイド型、偏心芯鞘型等の複合繊維で構成されていてもよい。さらに、前記の積層不織布以外のスパンボンド層を構成する不織布は、力学特性に優れたスパンボンド不織布が好ましい。
積層不織布の外層に使用するスパンボンド不織布の目付は、40g/m以下であることが好ましく、35g/m以下であることがより好ましく、30g/m以下であることが更に好ましい。一方、10g/m以上であることが好ましく、15g/m以上であることがより好ましい。外層は1層のみ有しても良いが、2層以上の積層構造としても良い。
本発明の衣料は、ガウン、カッパ、カバーオール等、用途に応じて種々の形に縫製が可能である。例えば、医療用ではガウン型、カバーオール型等が挙げられる。
本発明の衣料について、具体的な態様をいくつか例示する。
(1) 医療用ガウン
ガウンの前身頃として、前記の積層不織布の外側に多孔質フィルムあるいはナノファイバー積層体、およびスパンボンド不織布を積層したものを用い、ガウンの後見頃としても前記の積層不織布を用いてなる態様とすることで、血液などの外側からの液体から身体を守り、かつ吸水速乾性により汗を肌面側から外側へ速やかに移行することができるため、快適性に優れた医療用ガウンとすることができる。
(2) 防塵保護服
保護服の前身頃およびとして、前記の積層不織布の外側に多孔質フィルムあるいはナノファイバー積層体、およびスパンボンド不織布を積層したものを用いてなる態様とすることで、粉塵の侵入を防ぎ、かつ吸水速乾性により汗を肌面側から外側へ速やかに移行することができるため、快適性に優れた防塵保護服とすることができる。
(3) 患者衣あるいは介護用衣料
衣料の前見頃および後見頃として、前記の積層不織布の外側に酸化チタンあるいは着色剤などで防透け加工を施したスパンボンド不織布を用いてなる態様とすることで、吸水速乾性により汗を肌面側から外側へ速やかに移行することができるため、快適性に優れた患者衣あるいは介護用衣料とすることができる。
[積層不織布の製造方法]
次に、本発明の積層不織布を製造する好ましい態様を、具体的に説明する。
本発明の積層不織布を構成する不織布層(A)および不織布層(B)の製造法は、スパンボンド法、メルトブロー法、短繊維カード法などの公知の製造法から選ぶことができる。
中でも、スパンボンド法は生産性に優れるため、好ましい手法として挙げられる。
以下、スパンボンド法に基づいて本発明の積層不織布を製造する好ましい様態を説明するが、これに限定されるものではない。
スパンボンド法とは、原料である熱可塑性樹脂を溶融し、紡糸口金から紡糸した後、冷却固化して得られた糸条に対し、エジェクターで牽引し延伸して、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブ化した後、熱接着する工程を要する不織布の製造方法である。
用いられる紡糸口金やエジェクターの形状としては、丸形や矩形等種々のものを採用することができる。中でも、圧縮エアの使用量が比較的少なく、糸条同士の融着や擦過が起こりにくいという観点から、矩形口金と矩形エジェクターの組み合わせを用いることが好ましい態様である。
本発明における、紡糸温度は、(原料である熱可塑性樹脂の融解温度+10℃)以上(原料である熱可塑性樹脂の融解温度+100℃)以下とすることが好ましい。紡糸温度を上記範囲内とすることにより、安定した溶融状態とし、優れた紡糸安定性を得ることができる。
紡出された糸条は、次に冷却されるが、紡出された糸条を冷却する方法としては、例えば、冷風を強制的に糸条に吹き付ける方法、糸条周りの雰囲気温度で自然冷却する方法、および紡糸口金とエジェクター間の距離を調整する方法等が挙げられ、またはこれらの方法を組み合わせる方法を採用することができる。また、冷却条件は、紡糸口金の単孔あたりの吐出量、紡糸する温度および雰囲気温度等を考慮して適宜調整して採用することができる。
次に、冷却固化された糸条は、エジェクターから噴射される圧縮エアによって牽引され、延伸される。
本発明の積層不織布では、不織布層(A)および不織布層(B)を構成する繊維の平均単繊維直径の制御が肝となる。
繊維の平均単繊維直径は、紡糸口金の吐出孔当たりの吐出量と牽引速度、すなわち紡糸速度によって決定される。このため、所望の平均単繊維直径に応じて、吐出量と紡糸速度を決定することが好ましい。
紡糸速度においては、2000m/分以上であることが好ましく、より好ましくは3000m/分以上である。紡糸速度を2000m/分以上とすることにより、高い生産性を有することになり、また繊維の配向結晶化が進み高い強度の長繊維を得ることができる。
このように牽引により延伸された長繊維糸条は、移動するネットに捕集されることでシート化された後に、熱接着する工程に供される。
本発明の積層不織布は、不織布層(A)と不織布層(B)をそれぞれ少なくとも1層積層することにより得られる積層不織布である。2つの不織布層を積層する方法としては、例えば、前記のとおり捕集ネット上にスパンボンド法により第1の熱可塑性樹脂繊維を捕集して得た不織布層の上に、スパンボンド法により第2の熱可塑性樹脂繊維を捕集して得た不織布層をインラインで連続的に捕集し、積層一体化する方法、別々に得た不織布層(A)および不織布層(B)をオフラインで重ね合わせ、熱圧着などにより積層一体化する方法などを採用することができる。中でも生産性に優れているということから、捕集ネット上にスパンボンド法により第1の熱可塑性樹脂繊維を捕集して得た不織布層の上に、スパンボンド法により第2の熱可塑性樹脂繊維を捕集して得た不織布層をインラインで連続的に捕集、熱接着により積層一体化する方法が好ましい様態である。
本発明の積層不織布を熱接着により積層一体化する方法としては、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど、各種ロールにより熱接着する方法や、ホーンの超音波振動により熱溶着させる超音波接着などの熱圧着による方法を採用することができる。
熱圧着により本発明の積層不織布を製造した場合には、複数の不織布層が十分に接着されることで、積層不織布の機械強度が増すため、好ましい。
一方で、本発明の積層不織布を熱接着により積層一体化する方法として、熱風を吹き付ける手法である、いわゆるエアスルー法も挙げることができる。
このエアスルー法で本発明の積層不織布を製造した場合には、嵩高く、風合いに優れるため、好ましい。
このようにして得られた積層不織布に対し、巻取り前に親水化剤を付与しても良い。積層不織布への親水化剤の付与方法としては、キスロールやスプレーによる塗布やディップコーティングなどが挙げられるが、均一性や付着量制御の容易さからキスロールによる塗布が好ましい。
本発明の積層不織布では、不織布層(B)が少なくとも一方の最表面に積層されていれば良く、その層の数や組合せについては、目的に応じて任意の構成を採用することができる。
[衣料の製造方法]
次に、本発明の衣料を製造する好ましい態様を、例示・説明する。
本発明の衣料は、少なくとも一部が前記の積層不織布から構成されていれば、その他の構成は特に限定されないことから、本発明に係る衣料の製造方法についても、特段限定されず、公知の製造法に従い、製造することが可能である。
例えば、着用者の肌面側から最内層(積層不織布)-中間層-最外層を構成する不織布層を重ね合わせて縫製あるいは接着する等、公知の工程を経て完成される。
次に、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前述の方法に基づいて測定を行ったものである。
(1) 第1の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径Daに対する第2の熱可塑性樹脂繊維の平均単繊維直径Dbの比(Db/Da)
それぞれの熱可塑性樹脂繊維について、ネット上に捕集した不織繊維ウェブからランダムに繊維サンプル採取し、繊維の横断面を株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡「S-5500」で1本の繊維が観察できる倍率として画像を撮影した。その後、画像解析ソフトとして、三谷商事株式会社製「WinROOF2015」を用い、前述のとおり測定を行った。
(2) 積層不織布の最も肌側の表面の水との接触角、他方の表面の水との接触角
協和界面科学株式会社製の接触角計「DMo-501」を用い、前述のとおり測定を行った。
(3) 破断強力比(σmax/σmin
株式会社オリエンテック製の引張試験機「テンシロンUCT100」を用い、前述のとおり測定を行った。
(4) 吸水速度
不織布層(B)を最表面に配した面に対し、前述のとおり測定を行った。
(5) 着用性
30℃×80%の環境下において、健康な一般成人(男女5名ずつ計10名)が不織布から構成される衣料を着用し、30分間の歩行動作を継続し、30分経過した後の着用感について、次の5段階で評価した。各衣料について評価結果の平均点を算出し、その衣料の快適性とした。
5: 蒸れ感を感じず、さらっとした着心地である。
4: ほとんど蒸れ感を感じないが、一部湿っているように感じる部分がある。
3: 少し蒸れ感を感じ、湿っていたり、熱気を感じたりする部分がある。
2: 蒸れ感を感じ、湿っていたり、熱気を感じたりする部分が衣類の半分以上であり、やや不快である。
1: 蒸れ感を大いに感じ、湿っていたり、熱気を感じたりする部分が衣類のほとんどで、不快である。
[実施例1]
(不織布層(A))
ポリプロピレン(PP)を押出機で溶融し、孔径が0.4mmφの丸孔を有した矩形口金から、単孔吐出量が0.56g/分で紡出した。紡出した糸条を、冷風にて冷却固化した後、矩形エジェクターにおいてエジェクターでの圧力を0.08MPaとした圧縮エアによって、牽引・延伸し、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブを得た。得られた不織布層(A)を構成する繊維の平均単繊維直径は15.5μmであった。
(不織布層(B))
ポリプロピレン(PP)を押出機で溶融し、孔径が0.4mmφの丸孔を有した矩形口金から、単孔吐出量が1.30g/分で紡出した。紡出した糸条を、冷却固化した後、矩形エジェクターにおいてエジェクターでの圧力を0.10MPaとした圧縮エアによって、牽引・延伸し、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブを得た。得られた不織布層(B)を構成する繊維の平均単繊維直径は24.5μmであった。
(積層不織布)
上記で得られた不織布層(A)の上に直接不織布層(B)を捕集する(表1では積層方法について「インライン」と記載した)ことにより、スパンボンド不織布層-スパンボンド不織布層の2層構造(表1では積層構成について「A/B」と表記した)の積層繊維ウェブを得た。
このようにして得られた積層繊維ウェブを、上ロールに正円形の凸部がMDおよびCDの両方向に同じピッチで千鳥配置された金属製エンボスロールを用い、下ロールに金属製フラットロールで構成される上下一対の加熱機構を有するエンボスロールを用いて、線圧が300N/cmで、熱接着温度が125℃の温度で熱接着し、目付が40g/m2の積層不織布を得た。その後、親水加工として非イオン性界面活性剤を積層不織布重量に対して有効成分が0.5wt%となるよう、キスロールを用いて不織布に塗布した。
得られた積層不織布について、平均単繊維直径比(Db/Da)、積層不織布の水との接触角、破断強力比(σmax/σmin)、吸水速乾性を評価した。結果を表1に示す。
(衣料)
上記積層不織布を肌面側、すなわち最内層として、コロナ放電処理によるエレクトレット加工(直流電圧25KV)を施した目付重量15g/mのポリプロピレン製メルトブロー不織布層(M)を積層不織布の外層、すなわち中間層として、20g/mの目付重量のポリプロピレン製スパンボンド不織布(S)を最外層として、それぞれ配置し前身頃および袖を作製した。さらに、上記の積層不織布を肌面側に、その外側に20g/mの目付重量のポリプロピレン製スパンボンド不織布(S)をそれぞれ配置し後身頃を作製した。これら前見頃、後身頃および袖を接着することでガウン型の衣料を得た。得られた衣料の着用性評価結果を表1に示す。
[実施例2]
不織布層(B)の製法において、単孔吐出量を0.90g/分に変更した以外は実施例1と同様の方法で衣料を得た。得られた積層不織布および衣料の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
不織布層(B)の製法において、不織布層(A)と同様の条件で不織布層(B)を得た以外は実施例1と同様の方法で衣料を得た。得られた積層不織布および衣料の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
積層不織布の製法において、不織布層(A)の上に以下の方法で得られた不織布層(C)を捕集した後、不織布層(B)を捕集した以外は実施例1と同様の方法で衣料を得た。得られた積層不織布および衣料の評価結果を表1に示す。
(不織布層(C))
ポリプロピレン(PP)を押出機で溶融し、孔径が0.4mmφの丸孔を有した矩形口金から、単孔吐出量が0.90g/分で紡出した。紡出した糸条を、冷却固化した後、矩形エジェクターにおいてエジェクターでの圧力を0.10MPaとした圧縮エアによって、牽引・延伸し、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブを得た。得られた不織布層(B)を構成する繊維の平均単繊維直径は20.4μmであった。
[実施例4]
実施例1と同様の方法で不織布層(A)の繊維をコンベア上に捕集し、実施例1と同様の方法で熱接着をし、不織布層(A)を得た。不織布層(B)についても同様に、実施例1と同様の方法で不織布層(B)の繊維をコンベア上に捕集し、実施例1と同様の方法で熱接着をし、不織布層(B)を得た。このようにして得た不織布層(A)および不織布層(B)を積層させ(表1では積層方法について「オフライン」と記載した)、実施例1と同様の方法で熱接着することで積層不織布を得た。さらに、得られた積層不織布から実施例1と同様の方法で衣料を得た。得られた積層不織布および衣料の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
積層不織布の製法において、親水加工を施さないこと以外は実施例1と同様の方法にて衣料を得た。得られた積層不織布および衣料の評価結果を表2に示す。
[実施例5]
不織布層(A)および不織布層(B)に使用するポリマーを、ポリエチレングリコールを8wt%共重合したポリエチレンテレフタレート(共重合PET)とし、以下の方法で積層不織布を作製した以外は実施例1と同様の方法にて衣料を得た。得られた積層不織布および衣料の評価結果を表2に示す。
(不織布層(A))
ポリマーを共重合PETとした以外は実施例1と同様の方法で不織繊維ウェブを得た。得られた不織布層(A)を構成する繊維の平均単繊維直径は12.5μmであった。
(不織布層(B))
ポリマーを共重合PETとした以外は実施例1と同様の方法で不織繊維ウェブを得た。得られた不織布層(B)を構成する繊維の平均単繊維直径は19.8μmであった。
(積層不織布)
熱接着温度を200℃とし、親水加工を施さないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層不織布を得た。
[比較例3]
不織布層(A)に実施例5と同様の方法で得られた不織布層(A)を用い、積層不織布の製法において親水加工を施さないこと以外は実施例1と同様の方法にて衣料を得た。得られた積層不織布および衣料の評価結果を表2に示す。
[実施例6]
不織布層(A)に使用するポリマーについて、ポリエチレングリコールを8wt%共重合したポリエチレンテレフタレート(共重合PET)とポリアミド6(PA6)とし、以下の方法で不織布層(A)を得たこと以外は、実施例1と同様の方法にて衣料を得た。得られた積層不織布および衣料の評価結果を表2に示す。
(不織布(A))
共重合PETおよびNy6をそれぞれ押出機で溶融し、中空24分割の割繊型複合矩形口金から、単孔吐出量が0.56g/分で紡出した。紡出した糸条を、冷風にて冷却固化した後、矩形エジェクターにおいてエジェクターでの圧力を0.08MPaとした圧縮エアによって、牽引・延伸し、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブを得た。得られた不織布層(A)は1本の繊維が部分的に複数本の繊維に分割されており、分割後の繊維の平均単繊維直径は3.1μmであった。
[実施例7]
衣料の中間層について、メルトブロー不織布層の代わりに一般的なポリプロピレン製微多孔フィルム(F)を配置した以外は、実施例1と同様の方法にて積層不織布を得た。得られた衣料の評価結果を表2に示す。
Figure 2023000510000001
Figure 2023000510000002
実施例1~7は、平均単繊維直径比(Da/Db)が大きく、積層不織布の表裏面の水との接触角がともに小さいことから、不織布層(B)を最表面に積層した面において、優れた吸水速度および吸水速乾性を有していることが分かる。
一方、比較例1は、平均単繊維直径比が小さいため不織布内で水分が不織布層(A)側に移行されず、吸水速乾性に劣る。また、比較例2および3は、積層不織布の一部もしくは全てに疎水性の繊維を用いているため第1面の水との接触角が大きくなり、吸水速度が遅くなるとともに吸水速乾性も悪化した。

Claims (5)

  1. 少なくとも一部が積層不織布で構成されてなる衣料であって、
    前記積層不織布は、第1の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(A)と、第2の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布層(B)とが、それぞれ少なくとも1層積層されてなる、積層不織布であって、
    前記不織布層(A)を構成する繊維の平均単繊維直径Daに対する前記不織布層(B)を構成する繊維の平均単繊維直径Dbの比(Db/Da)が1.1以上であり、
    前記積層不織布の最も肌側の表面の水との接触角と、他方の表面の水との接触角とがともに30°以下であり、
    前記積層不織布の、最も肌側の層が前記不織布層(B)である、
    衣料。
  2. 前記積層不織布において、前記不織布層(A)が前記積層不織布の他方の最表面に積層されてなる、請求項1に記載の衣料。
  3. 前記積層不織布の任意の一方向を0°とし、22.5°毎に180°まで積層不織布の面内で回転させて測定して得られる該積層不織布の破断強力のうち、最低破断強力σminに対する最高破断強力σmaxの比(σmax/σmin)が1.2以上4.0以下である、請求項1または2に記載の衣料。
  4. 前記不織布層(A)および前記不織布層(B)が、ともに長繊維不織布からなる層である、請求項1~3のいずれかに記載の衣料。
  5. 着用者の最も肌側に前記積層不織布が配され、さらに、その外側に多孔質フィルムまたはナノファイバー積層体が配されてなる、請求項1~4のいずれかに記載の衣料。
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