JP2022554230A - 神経系の状態の処置 - Google Patents

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Abstract

4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体及び塩、又は、被験体中の神経系の状態の治療において使用するための同じものを提供する。好ましくは、状態は、グリア性瘢痕のような瘢痕に関連するものである。典型的には、神経系の状態は、トラウマ、損傷、感染、変質、構造上の欠損、腫瘍及び、血液流中断により生じる状態を含む群から選択される。神経系の及び他の損傷は、透過性があり、そして、修復可能であるように作られている。

Description

本発明は、被験体の神経系の状態の処置に関するものである。特に、本発明は、被験体の脊髄損傷の処置に関するものである。この発明は、神経系の状態に関連する病変の処置にも関するものである。
脊髄は、神経組織を含む長い管状構造であり、そして、それは、主に神経シグナル又はメッセージを伝達し、体と脳が連絡出来るようにさせる。それにより、反射神経も調整する。脊髄は、脊柱内に包まれている。脊髄神経は、椎骨と、各脊柱の何れかの側で脊髄を出る神経根との間の空間に配置される。脊髄はセグメントに分けられ、そして、大部分の体の機能は、特定にセグメントに対応する。ヒトの脊髄中には、31の脊髄神経セグメントが存在する。
脊髄損傷(SCI)は、その機能に変更を生じさせる脊髄を損傷させる。これらの変更は、一時的であるか、又は永久であるかもしれない。損傷は、脊髄のあらゆるレベルで生じることがあり、完全又は不完全であり得る。機能損失は、運動及び感覚の両方で、ダメージの場所及び損傷の程度に依存する。
外傷性疾患による椎骨の脱臼又は骨折は、脊髄を挫傷させ又は切断させ得る。この主な機械的損傷は、最初にダメージを脊髄に与え、血液の供給を妨害し、そして、細胞及び神経にダメージを与える。二次的な応答が続き、そして、脊髄の中心部分を崩壊させる。ミエリンの喪失は、シグナル伝達を喪失させる。グリア細胞は、生じたダメージを修復しようとして脊髄損傷の部分に移動する。グリア性瘢痕は、細胞的及び生化学的な2つの成分から構成される。脊髄に対する損傷の後に、アストログリア増殖症及び、ミクログリア活性化が生じる。これらは、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンを含む、過剰な分子を分泌させる。
2百万ケース以上の脊髄挫傷負傷が存在する。6百万ケース以上の脳卒中が存在する。70万ケース以上の脳性麻痺が存在する。百万ケース以上のパーキンソン病が存在する。40万ケース以上の多発性硬化症が存在する。
脊髄損傷の現在の治療方法は、損傷の8時間以内に、メチルプレドニゾロンと呼ばれるステロイドを静脈内に投与することを含むが、しかし、これは限定的なものあり、また、治療薬の有用性はないことが分かっている。
神経可塑性は、中枢神経系(CNS)が、シナプス接続及び回路の再編成を通して外的環境からの変化に適応する方法である。それは、脊髄損傷後の成功裏の機能回復にとって極めて重要である。ペリニューロナルネット(PNNs)は、CNS(Kwok et al., 2011)全体を通して見つかった密な細胞周囲の細胞外マトリックス構造であり、そして、それらの形成は、発達可塑性の終了と関係してきている(Carulli et al., 2010; Pizzorusso et al., 2002)。PNNsは、シナプスがある(図7)ところの穴で神経の表面を包む。これは、これらの神経細胞が機能回復のためのシナプスを有することはないであろうことを意味する。これは、シナプス形成を限定し、そして、従って、神経可塑性を限定する。
コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPGs)は、神経突起伸長を抑制し、そして、従って、再構成及び可塑性(Kwok et al., 2011; Silver 及び Miller, 2004)を抑制するグリカンファミリーである。CSPGsは、脊髄損傷後、PNNs中に存在し、そして、グリア性瘢痕中で増加することが分かってきた。
PNNs中でのCSPGsの除去、及び、コンドロイチナーゼABC(ChABC)の注入を介したグリア性瘢痕は、急性及び、18カ月までの慢性損傷モデル(Bradbury et al., 2002; Wang et al., 2011; Warren et al., 2018)の両方において、SCI後の回復を促進させる可塑性及び、再構成の機会を開くことを示してきている。ChABCは、リハビリテーションを含む、他の治療と一緒に、回復に有益なことが示されてきている(Garcia-Alias et al., 2011)。しかしながら、このアプローチは、ヒト適用への転換において、非常の大きな障害を提起する(例えば、酵素の限定された安定性、従って、継続した注入を必要とし、注入は侵襲的で、細菌蛋白質に長期間暴露されることによる免疫応答の潜在的な進行)。
4-メチルウンベリフェロンは胆汁治療において一般的に使用されている化合物である。ヨーロッパでは、名称:ヒメクロモンとして入手可能である。この薬は、この分野で、多くの年月の間使用されてきており、そして、良好な安全性プロファイルを有する。この化合物は、最初、1995年に、Nakamuraらによって初めてインビトロで皮膚線維芽細胞におけるHA合成を抑制するため使用された(Nakamura et al., 1995)。
Fontaineらは、4-メチルウンベリフェロンの毒物学的及び、奇形学的研究を行った(Fontaine et al., 1968)。彼らは、数種において、急性毒性、慢性毒性、局所耐性及び実験的奇形発生の研究結果を報告した。慢性毒性の研究において、経口比率における最大耐性投与量は、ラットにおいて、6000mg/kgに等しいことが分かった。慢性の研究において、ラットに、3カ月間、200mg/kg/日及び、40mg/kg/日で与えられた。死亡は報告されず、ラットの食欲行動及び、外観に影響はなかった。著者は、全体としてこれらの条件下、ラットにおける耐性投与量は、少なくとも200mg/kg/日に決定できると報告しており、それはヒトにおいて予想されている、毎日の投与量の10倍を示す。著者は、薬剤は局所的に良く保持されていることも報告している。製品は、非常に高い投与量においても、研究されたラット、マウス及び、ラビットの三種において、奇形効果を有しないようである。特に、薬剤は、妊娠ラットで1200mg/kg/日においても良く保持されていることが分かった。また、若年のラットの発達においても何の影響もなかった。
本発明は、従来技術の問題点を述べることに役立ち、そして、神経系の状態の処置において使用するための薬剤を提供する。特に、本発明は、脊髄損傷の処置において使用するための薬剤を提供する。
成人の中枢神経系アクソンは、再構成能力を保持しない。損傷の後、細胞外マトリックスは、再生不良を増強させる多様な役割を示す。コンドロイチン硫酸プロテオグリカンは、脊髄損傷の後、グリア性瘢痕中で増加し、そして、神経突起伸長を抑制し、従って、再構成を抑制する細胞外マトリックス分子のファミリーである。更に、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンは、潜在的な機能回復のための可塑性を限定するPNNsと呼ばれる特定の構造中にも存在する。脊髄の免疫組織化学的検査は、ヒメクロモンにより抑制されたヒアルロン酸合成に起因して、運動ニューロンの周りでPNNsが減少することを示した。更に、我々は、脊髄中で、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの染色強度が顕著に減少したことも観察した。
本発明の一つの実施態様は、神経系の状態の処置に使用するための、4-メチルウンベリフェロン(本明細書において、「本発明のPNN抑制剤(PNNi)と呼ぶ」)、それらの誘導体又は塩を提供する。
一つの実施形態で、神経系の状態は、病変の形成に関連するものである。一つの実施形態で、病変はグリア性瘢痕である。一つの実施形態で、病変は、毒性蛋白質集合の集積に起因するプラークである。一つの具体例は、アミロイド瘢痕である。
別の更なる実施形態で、神経系の状態は、トラウマ、損傷、感染、変質、構造上の欠損、腫瘍及び、血液流中断により生じる状態を含む群から選択されても良い。
この状態は、脳卒中、一過性脳虚血発作、脊髄症、出血、髄膜炎、脳炎、ベル麻痺、脳又は脊髄腫瘍、パーキンソン病、ハンチントン舞踊病及び、アルツハイマー病を含む群から選択されても良い。それは、脳性麻痺かもしれない。
一つの実施形態で、神経系の状態は、神経系に対する損傷であるかもしれない。好ましくは、神経系の状態は脊髄損傷である。
本発明の一つの実施態様は、4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体又は塩、即ち、神経系の状態に関連した病変の治療に使用するための、本発明のPNN抑制剤(PNNi)を提供する。
本発明の一つの実施態様は、被験体の神経系の状態の処置のための方法を提供し、この方法は、4-メチルウンベリフェロン(本明細書において、「本発明のPNN抑制剤(PNNi)と呼ぶ」)、それらの誘導体又は塩を、被験体に投与することを含む。この状態は、本明細書に開示されているようなものであっても良い。
更なる実施態様では、本発明は、被験体中の神経系の状態に関連した病変の処置のための方法を提供する。この方法は、4-メチルウンベリフェロン(本明細書において、「本発明のPNN抑制剤(PNNi)と呼ぶ」)それらの誘導体又は塩を、被験体に投与することを含む。この状態は、本明細書に開示されているようなものであっても良い。
(定義)
本明細書中に記載している全ての刊行物、特許、特許出願及び、他の参照物は、各個々の刊行物、特許、特許出願が、特定され、そして、個々に参照により組込まれて示されているように、全ての目的のためのそれらの変形物、そして、それらの引用されている内容の全体は、参照により本明細書中に組込まれる。
本明細書で使用され、そして、本明細書で、それ以外に特に示していない場合、以下の用語は、当該技術分野において享受しえる用語を意味する広い意味(又は狭い意味)に加えて、以下の意味を有することを意図するものである。
文脈により必要とされている場合でなければ、本明細書における単数の使用は、複数も含むものとして読まれるべきで、そして、その逆もあり得る。存在との関係で使用される用語「a」又は「an」は、一つ以上の存在を言うと読むべきである。用語「a」(又は「an」)、「一つ以上」及び、「少なくとも一つ」は、本明細書において交換的に使用されている。
本明細書で使用されているように、用語「含む(comprise)」又は、用語「含む(comprises)」又は「含んでいる(comprising)」のようなその変形物は、いかなる引用された整数(例えば、特徴、要素、特性、性質、方法/プロセス工程又は、限定)又は整数の群(例えば、特徴、要素、特性、性質、方法/プロセス工程又は、限定)を含み、いかなる別の整数又は整数の群を除外するものではない。したがって、本明細書で使用されているように、用語「含んでいる(comprising)」は、包括したものであり、又は、制限のないもので、そして、追加の引用していない整数又は方法/プロセスステップを除外するものではない。
本明細書で使用されるとき、用語「神経系」又は「ヒト神経系」は、動作を調整し、そして、体の部分の間でシグナル又はメッセージを送る体の一部分を言う。神経系は、中枢神経系又は、CNS(脳及び脊髄)及び、末梢神経系又はPNSを備える。
本明細書で使用されるとき、用語「神経系の状態」は、神経系の通常の機能に影響を与える、いかなる病気、障害又は、状態であるかもしれない。この状態は、損傷又はダメージであるかもしれない。この状態は、トラウマ、損傷、感染、変質、構造上の欠損、腫瘍及び、血液流中断及び、自己免疫異常により生じるものから選択されても良いが、それらに限定されるものではない。この状態は、脳卒中、一過性脳虚血発作、脊髄症、出血、髄膜炎、脳炎、ベル麻痺、脳又は脊髄腫瘍、パーキンソン病、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン舞踊病及び、アルツハイマー病から選択されても良いが、それらに限定されるものではない。
本明細書で使用されるとき、用語「脊髄損傷」は、その機能において変更を生じさせる脊髄又はその一部に対する損傷又はダメージを言う。それは、脊髄のいかなる部位又はセグメントであるかもしれず、そして、ダメージはいかなるレベルでもありえる。一つ以上の損傷部位があるかもしれない。損傷は、末梢神経を含む脊髄円すい下の損傷を含む。疑義を避けるため、この用語は、脊髄に対して開いて、閉じて及び貫通する損傷も含む。これは、完全及び不完全の病変、部分的及び完全な切断、脊髄中心症候群、ブラウンセカール症候群、馬尾症候群及び、脊髄症並びに、いかなる程度又はタイプの神経根障害を含む。
本明細書で使用されるとき、用語「状態」は、生理学的機能を損ね、そして、特定の症状に関連している異常ないかなる状態を規定するために使用される。この用語は、生理学的機能が、病理学的(又は、確かに病気に対する病理学的根拠が確立されているか否か)の性質に関係のなく損なわれる、いかなる病気、障害、疾病、異常、病状、疾患、状態又は症候群を包含するように広く使用される。したがって、それは、感染、トラウマ、損傷、手術、放射線切断、中毒又は、栄養不足を包含する。
本明細書で使用される場合、用語「処置」もしくは「処置する」とは、状態若しくは病気の症状を治癒させ、改善させ若しくは低減させ又は、その原因を除去(又はその原因の強度の低減)させる介入(例えば、被験体に薬剤を投与する)を言う。この場合、用語「処置」は、回復を促進させることも包含し得る。この場合、用語は、「治療」と同義で使用される。追加的に、用語「処置」もしくは「処置する」とは、病気の始まりや、進行を予防若しくは遅らせ、又は、処置を受けた集団内で、その出現を低減(根絶)させる介入(例えば、被験体に薬剤を投与する)を言う。用語「処置」は、用語「予防」と同義で使用される。
本明細書で使用される場合、薬剤の「有効(な)量」もしくは「治療上有効な量」とは、過剰な毒性、炎症、アレルギー反応又は他の問題若しくは事態なしに 合理的な有益性/危険性の比率に相応し、しかし、所望の効果(例えば、被験体の状態の永久の若しくは一時的な改善を示す処置もしくは予防)を提供するために十分な量を指す。この量は、被験体毎に、年齢及び、個々の一般的状態、投与のモード及び、別の要素に依存して、変わることになるであろう。したがって、正確な有効量を特定することは可能ではないが、当業者は、通常の実験及び、背景となる一般知識を用いて、いかなる個々のケースにおいても、好適な「有効」量を決定することが出来るであろう。この文脈で、治療の結果は、症状、痛み又は不快感の根絶又は低減、長期の生存、可動性の改善及び、医療上の改善の他のマーカーを包含する。治療の結果は完全な治癒である必要はない。
上記に定義したように、処置及び有効量の文脈において、用語「被験体」(文脈が可能であれば、「個人」、「動物」、「患者」又は「哺乳類」を含むように読む)は、処置が示されている、被験体、特に、哺乳類被験体を規定する。好ましい実施形態では、被験体はヒトである。一つの実施形態では、被験体は大人である。一つの実施形態では、被験体は、例えば、21歳以下の小児科年齢の被験体であう。被験体は、いかなる性であり得る。
本明細書で使用されるとき、用語「組成物」は、ヒトの手により製造されたある物を意味し、自然に生じる組成物は含まないものであると理解するべきである。組成物は、ユニット投与形態、即ち、1ユニット投与又は、1ユニットの複数若しくはサブユニット投与を含む別々の部分の形態中で、組成されても良い。
本明細書で使用されるとき、用語「医薬組成物」は、本発明のPNNi又は、本発明の組成物、一つ以上の医薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤若しくは賦形剤との混合物に関する。本発明のPNNiが単独で投与された場合であっても、許容可能なキャリア、賦形剤若しくは希釈剤との混合物で、特にヒトの治療に対しては、一般的に投与されることになるであろう。医薬組成物は、ヒト及び獣医学用薬におけるヒト又は動物使用のためであっても良い。本明細書に記載の医薬組成物の多様な異なる形態に対するそのような好適な賦形剤の具体例は、「“Handbook of Pharmaceutical Excipients, 8th Edition, Edited by A Wade and PJ Weller. In particular, American Pharmaceutical Review “Opportunities and Challenges in Biologic Drug Discovery (Hooven, 2017)」に見出すことが出来、局所的送達に対する組成は「Topical drug delivery formulations edited by David Osborne and Antonio Aman, Taylor & Francis」において記載されており、それらの全ての内容は、参照のより、本明細書に組込まれる。
治療に使用するために許容可能なキャリア又は、希釈剤は、医薬技術分野において周知であり、そして、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.(A. R. Gennaro edit. 1985)中に記載されている。好適なキャリアの具体例は、ラクトース、スターチ、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどを含む。好適な希釈剤の具体例は、エタノール、グリセロール及び水を含む。医薬学的に許容可能なキャリア、賦形剤若しくは希釈剤の選択は、意図する投与ルート及び、標準的な医薬慣習に関連して選択することが出来る。医薬組成物は、キャリア、賦形剤若しくは希釈剤として、又は、それに加えて、いかなるバインダー、滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、溶解剤を包含しても良い。好適なバインダーは、スターチ、ゼラチン、グルコースのような天然の糖、無水ラクトース、フリーフローラクトース、β-ラクトース、コーン甘味料、アカシア、トラガカントのような天然及び合成ガム、又は、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース及びポリエチレングリコールを包含する。好適な滑剤の具体例は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを包含する。保存剤、安定化剤、色素及び、香料も、医薬組成物中に提供されても良い。保存剤の具体例は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及び、ヒドロキシ安息香酸のエステルを含む。抗酸化剤及び、懸濁剤も使用しても良い。
特定の実施形態で、用語「医薬的に許容可能」は、連邦政府若しくは州政府の規制機関により承認されているか、又は、動物における使用、そして、より特にヒトにおける使用に対して、米国薬事局若しくは、他の一般的に承認されている薬事局においてリストされていることを意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「誘導体」は、例えば、化学反応により、PNNを除去する能力を維持する、即ち、本明細書に記載のような神経系の状態を処置する、変更されている4-メチルウンベリフェロンからの化合物に由来する化合物を言う。PNN除去を決定する方法は、本明細書に記載されている通りであっても良い。誘導体は、限定されるものではないが、4-メチルウンベリフェロンと比べて、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル及び/又は、スルホニルによる置換体を有しても良い。この用語は、機能的誘導体と代替的に使用されても良い。4-メチルウンベリフェロン誘導体は、当該技術分野で周知である。具体例は、US2019269647又はUS2018201640に見出すことが出来、全ては、参照により本明細書中に組込まれる。そのような誘導体の全ては、この開示の範囲内にあると考えられる。
誘導体又は医薬的に許容可能な塩は、本発明の処置方法のために使用することが出来る。本発明のPNN抑制剤又は化合物は、塩の形態であっても良いが、薬化学の当業者は、塩の選択は重要ではないと理解するし、そして、他の医薬的に許容可能な塩は、周知の方法により調製することが出来る。本発明のPNN抑制剤又は化合物は、代謝物又はプロドラッグの形態であっても良い。
本明細書で使用されるとき、用語「病変」とは、損傷又は病気により臓器又はその一部における異常な変化を言う。それは、傷跡又はプラークを包含しても良い。
用語「持続した放出」は、化合物又は活性剤の送達システムに関する従来の意味、期間中、この化合物又は活性剤が徐々に放出されること、必ずしも必要ではないが、期間中に渡り、相対的に一定の化合物の放出レベルで放出されること、で使用されている。
ヒメクロモンは、ヒアルロン酸合成抑制剤である。それは、(4-メチルウンベリフェロン)(Andreichenko et al., 2019)である。我々のデータは、10日の非侵襲的経口投与が脊髄中のコンドロイチン硫酸及び、ヒアルロン酸の両方を低下させることを示した。これにより、ヒメクロモンが、脊髄損傷の後に、抑制性のコンドロイチン硫酸プロテオグリカンを減少させるための第一候補となる。
可塑性を限定する際のPNNsの関与は、生理学的事象である。通常の生理学的条件でPNNsが除去されるときでも、可塑性の活性化は観察され得る。慢性期の脊髄損傷は、通常の生理学におけるように、PNNsの同様の特徴を示し、同様に、有益なことに敏感に反応する。
「アルキル」は、特定された炭素原子の数(例えば、C1-C4アルキル)又は、この範囲(メチル、エチル、プロピル、i-プロピル、ブチル、i-ブチル、t-ブチルなど)のいかなる数の直鎖又は分岐鎖アルキル基を言う。アルキルは、C1-C18、C1-C12、又は、C1-C6でも良い。
「アリル」は、芳香族炭化水素から水素原子を除去することに由来する一価のいかなる有機ラジカルである。例えば、簡単なアリル基は、ベンゼン由来の基、フェニル(化学式、C6H5)である。
「アシル」は、R基に結合されたカルボニル基から構成される原子のグループである。アシル基は、化学式、RCO-を有する官能基であり、ここで、Rは単結合で炭素原子に結合されたアルキル基である。典型的に、アシル基は大きな分子に付けられ、炭素原子と酸素原子は二重結合により連結されるようになる。アシル基は、有機化学においてほとんど議論されているにも関わらず、それらは、ホスホン酸及びスルホン酸のように、無機化合物に由来するものであり得る。エステル、ケトン、アルデヒド及び、アミドの全ては、アシル基を包含する。特定の具体例は、塩化アセチル(CH3COCl)及び、塩化ベンゾイル(C65COCl)を包含する。
本発明は、添付の図面と共に参照して、例示目的のみで提供される下記の本発明の実施態様の記載から、より良く理解されるであろう。
図1は、本発明のPNNiによる処置の後に観察された、PNNs及び細胞外マトリックス中、特に前角中のアグリカン(ACAN)染色(PNNマーカー)の欠如(A-B)を示し;(C-D)PNNi処置は、パルブアルブミン(PV)-陽性ニューロンを囲み、そして、細胞外マトリックス中で、ヒアルロン酸結合蛋白質(HABP)の減少を誘導したことを示す。 図2は、Basso, Beattie and Bresnahan(BBB)後肢歩行運動オープンフィールドテスト装置(Basso et al., 1995)を示す。(A)およそ1mの直径のフラットオープンフィールド装置。(B)ラットを、オープンフィールド装置に毎週、4分間配置し、後肢歩行運動能力を評価する。 図3は、機械的感覚評価;von Freyアッセイのための装置を示す。動物は、ワイヤメッシュ底(B)を有する足底刺激用の完全なベースアセンブリ(A)内に配置され、そして、およそ20分間、慣れさせた。対数的に厚みが増加したVon Frey ヘアー(C)は、ワイヤメッシュ底を通して押され、そして、左又は右後肢の平らな表面に対して垂直に押し下げられ、Dixon up-down 法を使用して、50%逃避閾値を決定した。 図4は、図2~5により示された研究の具体例のタイムラインを示す。 図5は、ラットにおける、挫傷フォース分析(A)を示す。全てのラットは、全ての実験群で、類似の挫傷の強さを受け:(B)Basso, Beattie and Bresnahan(BBB)スコアを得た。結果は、中程度のT9挫傷損傷後に、PNNi処置ラット(毎日の処置)において、より良好な機能回復を示した。賦形剤処置を受けたラットは、損傷の5週間後、~10スコアに達し、4-MU処置群は~15スコアに達し;(C)Von Frey ヘアテスト結果。異なる処置群からのラットは、Von Frey ヘアテストを使用して、触覚感度においていかなる差異も示さなかった。全ての群で、n=11であった。 図6は、本発明のPNNiの毎日の投与量計算を示す。 図7は、ペリニューロナルネット(PNNs)を示す。(A)ニューロンの表面上のPNNs(緑色)の模式図、(B)シナップス様小胞(赤色)がPNNs(緑色)の穴の中に集合して見える(de Winter et al., 2016; Vo et al., 2013)。 図8は、脊髄中のα運動ニューロン上のPNNsの存在に対する代表的なイメージである(Galtrey et al., 2008; Irvine and Kwok, 2018)。アグリカン(ACAN)陽性PNNsは、ほとんどのα運動ニューロン(Mns)NeuNを囲み、そして、ChAT共局在化は、Mnsを示す。(A)NeuN、ACAN陽性PNNs及びそれらの共局在化(ACAN+/NeuN+)により囲まれた腹部運動プール中のMnsの比率。脊髄中における、それぞれ、ACAN陽性PNNs(B)、囲むNeuN-陽性(C)及び、ChAT-陽性Mns(D)を示す共焦点イメージ。誤差バー±SD;n=3。統計 ワンウェイANOVA;有意レベル:*p<0.05。スケールバー、100μm。 図9-1(A-I)は、インビトロ(A-I)で、PNNsを除去するPNNiの有効性の分析を示す。処置なしPNN+HEK細胞は、WFA陽性PNNsの明確なシグナルを示した(B)一方、PNN+HEK細胞への2日間のPNNi処置(0.5mM又は、1.0mM)投与は、WFA陽性染色の86.4±4.47%(全ての処置タイムポイントvs非処置に対して、F3.66=73.60,p<0.0001)を除去した。染色強度は、処置後3日以内(3日及び5日処置後vs処置中に対してp<0.0001、図C-I)にベースラインのレクチン結合の43.6±14.6%に部分的に回復した。 図9-2(J-O)は、10日間の投与後に終了した動物からの組織学から、PNNiの両方の方法は、非処置の動物と比較して、CNS全体を通して、WFA陽性結合を減少させるため十分なことを示した(J-O)。 図9-3(P-S)は、脊髄の後角中の定量化は、10日間の経口PNNi投与がWFA陽性部分の部分的な除去を、ベースラインのECMレベルの71.0±7.20%(t(3)=5.15,p=0.0142;図9P)に誘導したことを示している。短期間PNNiは、感覚変化を誘導するため十分であったが、処置無傷のラット(Q-S)中で、運動機能誘導には十分でなかった。 図10-1(A)では、ペリニューロナルネット抑制剤(PNNi)が、無傷のラット中で感覚運動マップ(M1)の再構成を誘導させることを示す。皮質内微小刺激(ICMS)を用いて、HL及びFL皮質運動表現のマッピングが、有望な可塑性強化剤、PNNiによる長期間処置の後に、無傷/シャム動物のM1の機能的な組織を調べるために使用された。ICMSは、右脳半球開頭内、前項(B)に体軸方向5mmの定位固定の座標で、(A)11週後の胸中部椎弓切除(シャム)又は、年齢制御の無傷のラットに対して行われた。 図10-2(B-D)は、個々のICMSマップは組合せられて、各定位固定の座標に対する[後肢(HL;B-D)運動が誘発され得る]動物の比率を示す群当たりの代表的なヒートマップを与えた。ベースラインHL皮質マップは、リスターフードラット(B;B-D中の点線の囲み)に対して作成され、シャム手術群(C)と、長期PNNi投与群(D)との機能的可塑性を比較した。 図10-3(E-H)では、HL分析(F-G)のための測定が、E)に示されている。H)HL表現の平均エリア(mm2)は、PNNi処置で減少した。PNNi処置は、HLを誘発させた無傷のHL中心の比率を減少させた(F)が、しかし、無傷のHL中心中の群当たりの誘発された合計HLエリアの比率は減少させなかった(G)。 図10-4(I-J)は、(I)短期間刺激間隔(20-40ms)及び、(J)長期間刺激間隔(150-250ms)の両方に対する電場電位の二連発刺激は、群間(I-J)で観察された、短期間又は長期間の二連発刺激比率の代替にならないことを明らかにした。 図10-5(K-M)は、個々のICMSマップは組合せられて、各定位固定の座標に対する[前肢(FL;K-M)運動が誘発され得る]動物の比率を示す群当たりの代表的なヒートマップを与えた。ベースラインFL皮質マップは、リスターフードラット(K;K-M中の点線の囲み)に対して作成され、シャム手術群(L)と、長期PNNi投与群(M)との機能的可塑性を比較した。 図10-6(N-S)では、FL分析(P-S)の測定が、O)中に示されている。PNNi処置後、FL運動は、FL又はHL運動に関連していないエリア(ベースラインHLマップの右を参照;白点線の囲みK-M)で誘発された。FLを誘発する合計表面エリアは、顕著に変化はしない(N)一方、シャム動物のPNNi処置は、無傷のFL中心(P)中でFLが誘発されるエリアを減少させたが、しかし、無傷のHLエリア(R)中で誘発されたFL運動中では対応する増加を生じさせなかった。FLの無傷中心(Q)又はHLの無傷中心(S)中の合計FLの比率は、シャム手術又はPNNi処置で変化はなかった。全てのICMS群に対して、無傷n=4、シャムn=4及び、シャム/PNNi n=5であった。二連発刺激群に対して、無傷n=32、シャムn=15及び、シャム/PNNi n=19であった。統計、ワンウェイ ANOVA;有意レベル:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。 図11-1(A)は、ペリニューロナルネット抑制剤(PNNi)及び脊髄損傷(SCI)組合せの後、感覚運動皮質(M1)の後肢(HL)エリア中への前肢(FL)シフトを示す。PNNi及び/又は損傷は独立して、脊髄損傷ラット中の皮質可塑性を強化させる。皮質内微小刺激(ICMS)は、右脳半球開頭内、前項(B)に体軸方向5mmの定位固定の座標で、(A)損傷の11週後に行われた。 図11-2(B-E)は、群毎の代表的なヒートマップが、HL(B-C)又はFL(D-E)運動を誘発することが出来る各定位固定の座標に対する動物の比率を示す。リスターフードラットベースラインHL及びFL皮質マップ(B-E中の点線の囲み)は、胸中部SCI(B,D)群及び/又は長期間PNNi投与(C,E)群とで比較され、構造上の可塑性が評価された。HL運動は、SCI後は、誘発され得なかった(B-C)。 図11-3(F-I)では、Gが、平均電場電位の振幅vs群毎の刺激強度のプロットを示す。シナップス応答が、皮質層V/IV中に配置された双極電極を介した電気刺激により、皮質層II/III中で誘発された。記録は、以下の座標において:ML:2-3mm及び、AP 1.40-1.8mm体軸方向、皮質スライス上で行われた。損傷とPNNi処置の組合せは、シナップス伝達を高めた(G)。短い刺激間隔(20-40ms)及び、長い刺激間隔(150-250ms)の両方に対する電場電位の二連発刺激は、群間(I)で観察された長期間二連発刺激比率(PPR)の代替にならないことを明らかにした。しかしながら、損傷単独の場合、より低い短期間PPR(p=0.052;H)が観察された。統計、ワンウェイANOVA;群に対して、シャムn=4,賦形剤n=3及び、PNNi n=3であった。G:データは、平均±SEMとして示され、nは皮質スライスを表す。統計:ツーウェイ繰返し測定分散分析(ANOVA)。H―I:統計、群に対してワンウェイANOVA。 図11-4(J-N)では、FL分析(K-N)のための測定が、J中に示されている。PNNi及び/又はSCIの後、FL運動が、以前誘発されたHL運動(白点線の囲みD-Eの右を参照)のエリアで誘発された。シャムコントロール(p=0.197、M;p<0.05,N)と比較して、FLを誘発する合計表面エリアは、顕著に変化(F)せず、無傷のFL中心におけるFLの比率も変化しかった(K-L)が、損傷後のPNNi処置で無傷のHL中心に関連するFLエリア中では増加した。 図12-1(A-B)は、持続したリハビリテーションを伴う、PNNi投与の限定は、後肢(HL)運動回復を更に可能にさせることを示す。PNNi処置は、PNNの再形成をさせる実験(8週間のPNNi処置)の最後の2-3週間前に終了されたとき、更にHLの改善がリハビリトレーニングを続けてきた動物で確認された(A)。棒グラフは、損傷の9週後(WPI)でPNNi投与の最後、10及び12WPIにおいて、前肢-後肢(FL-HL)の調整を達成することが出来た動物の比率を示している(B)。 図12-2(C-E)は、積み重ね棒グラフが、 [旧式ラダースコアーシステム(Metz and Whishaw, 2009)で、[ヒット:3-6、スリップ:1-2及び、ミス:0のスコア] 水平踏み台9及び、12WPI上で、(C)HL及び、(D)前肢(FL)ステップの分類を示している。E)9及び、12WPIで実行されたVon Freyアッセイにより決定された後肢足底に対する、左-右(L-R)の平均50%離脱閾値は、痛覚過敏を示さなかった。PNNi処置の終了後PNNsの強化は、感覚変化を誘導させなかった。(群に対して、8週PNNi及び、8週PNNi+Tに対して、それぞれ、n=10及び、9。統計、A,C-E:ツーウェイ 混合要因ANOVA;有意レベル:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、A,C,D:誤差バーは、±SEM) 図13-1(A-E)は、持続したリハビリテーションを伴う8週PNNiは、FLエリアの皮質再構成を無傷の構成に部分的に回復させることを示す。個々のICMSマップは組合せられて、各定位固定の座標に対する[後肢(HL:B-C)ではなく、しかし、前肢(FL:D-E)運動を誘発することが出来る]動物の比率を示す各郡に対する代表的なヒートマップを与えた。点線囲みは、HL(B-C)及び、FL(D-E)に対する無傷のベースラインエリアを、8週PNNi投与群(B,D)と、持続したトレッドミルトレーニングを伴う8週PNNi投与群(C,E)との機能的可塑性を比較して、示す。 図13-2(F-K)では、F)FL表現の平均エリア(mm2)が、持続したトレーニングと限定されたPNNi処置とを伴う場合のみで、通常/無傷レベルに減少したことを示し、分析(G-H,J-K)のための測定が、I)に示されている。脊髄損傷後、FL運動は、以前にHL運動が誘発されたエリアで誘発された(白点線の囲みD-E中で示されるベースラインHLマップ)。G)FL運動は、8週PNNi+T(p=0.243)で若干の減少傾向を伴って、無傷のFLエリア内でほとんど誘発することが出来た。H)無傷のFLエリア中で誘発された合計FLエリアの比率は、持続したトレーニングを伴う場合のみの傾向(p=0.112)として、8週PNNi処置で減少した。J)損傷に続き、8週PNNi処置で、FL運動はHLエリア中で誘発することが出来る。しかし、持続したトレーニングと伴う場合のみ、HLエリアからFLの部分的な離脱が観察された(p=0.514)。K)無傷のHLエリア中で誘発されたFLエリアの比率は、損傷していないコントロールと比較して、増加するようである(p=0.114 8週PNNi及び、p=0.177 週PNNi+T)。 図14は、JD009及びJD013はPNN形成を弱めることを示す。PNN形成を減少させる、PNNi、JD009及びJD013の効率を、免疫細胞化学を使って分析したことを示す。染色強度を、標識されたPNNsに対するN-アセチルガラクトサミン結合レクチンWFAを用いて測定した。1mM及び、2mMのPNNiは、非処理細胞と比較して細胞中のPNN形態及び、発現の実質的な変化を生じさせるには不十分であった。対照的に、JD009及びJD013処置の両方は、0.5mM及び1mM濃度で、細胞中のPNN発現を変更させた。 図15-1(A-L)は、長期間PNNi処置は、前角(VH)中で、キーPNN成分により標識され、ペリニューロナルネット(PNNs)の発現を選択的に減少させることを示す。損傷12週後に得られたラット脊髄部分(T4-6)は染色され、そして、強度がVH中で分析された。共焦点イメージは、損傷(A-C,G-I)を伴うVH中での球状ACAN(A-F)発現及びWFA(G-L)発現を示す。PNNi処置のシャム動物は、PNNsの全体の発現に変化を示す(D,J)。PNNi単独処置(E,K)又は、PNNi及びトレーニングの組合処置(F,L)された損傷動物は、VH中でWFA発現の減少を示した。スケールバー、100μm。全てのグラフに対して、誤差バー±SD;処理群に対してn=3。統計、ワンウェイ ANOVA;有意レベル:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。 図15-2(M-N)は、PNNiは、アグリカン(ACAN:M)及び、ノダフジ凝集素(WFA;N)により標識されているように、特に損傷後、部分的にPNNsの数を減少させることを示す。
本発明者は、驚くべきことに、4-メチルウンベリフェロン(本明細書において、「本発明のPNN抑制剤(PNNi)と呼ぶ」)が、神経系の状態を処置するために使用出来ることを見出した。
4-メチルウンベリフェロンは小さい分子であり、そして、以下の化学構造を有する。
Figure 2022554230000002
4-メチルウンベリフェロンの誘導体は、本発明の使用及び、処置方法に対して使用することが出来る。4-メチルウンベリフェロンの誘導体は、4-メチルウンベリフェロンの変形形態であっても良い。
一つの実施形態で、4-メチルウンベリフェロンの誘導体は、以下の構造の化合物である。
Figure 2022554230000003
赤字の数は、炭素位置を示す。ここで、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル、モルホリノ及び、スルホニルによる置換体を追加しても良い。この置換は、いかなる位置で起こっても良い。
置換は、位置C4であっても良い。置換は、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル、モルホリノ及び、スルホニルによる置換であっても良い。一つ以上の実施形態で、NR12は、C4でメチル基(CH3)に加えても良く、R1及び/又はR2は、それぞれ独立して、H、アルキル、アリル、アシル、スルホニルであっても良い。好ましくは、R1及びR2は、アルキルである。アルキルは、C1-C18であっても良く、例えば、C1-C6であっても良い。
そのような誘導体は、以下の構造を有する。
Figure 2022554230000004
一つの実施形態で、OR1は、C4で、メチル基(CH3)に加えても良く、R1は、アルキル、アリル、アシルであっても良い。好ましくは、R1はヒドロキシエチルである。
そのような誘導体は、以下の構造を有する。
Figure 2022554230000005
置換は、位置C3であっても良い。置換は、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル、モルホリノ及び、スルホニルによる置換であっても良い。
置換は、位置C5であっても良い。置換は、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル、モルホリノ及び、スルホニルによる置換であっても良い。
置換は、位置C6であっても良い。置換は、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル、モルホリノ及び、スルホニルによる置換であっても良い。
置換は、位置C8であっても良い。置換は、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル、モルホリノ及び、スルホニルによる置換であっても良い。
一つの実施形態で、置換は、位置C1であっても良い。置換は、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル、モルホリノ及び、スルホニルによる置換であっても良い。好ましくは、誘導体は、以下の化学式の化合物である。
Figure 2022554230000006
ここで、Oは、位置1でNR1に置換されている。R1はアリル、アシルであっても良い。好ましくは、R1はアルキルである。
特に、誘導体は、本発明の実施形態中で、以下の構造の分子又は化合物である。
JD01-009:
Figure 2022554230000007
IUPAC名称:4-[(ジメチルアミノ)メチル-7-ヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン
JD01-013:
Figure 2022554230000008
IUPAC名称:7-ヒドロキシ-4-[(モルフィン-4-イル)メチル]-2H-1-ベンゾピラン-2-オン
一つの実施形態で、PNNiはヒメクロモン(C1083)である。
4-メチルウンベリフェロンの医薬的に許容可能な塩、代謝物若しくはプロドラッグ、又はそれらの誘導体は、本発明の使用及び処置方法に使用することが出来ると理解されるであろう。本発明のPNNiに関して、本明細書中に開示しているように、特徴、使用及び方法は、4-メチルウンベリフェロンの誘導体、塩、代謝物及び、プロドラッグにも適用することも出来る。
更なる、本発明の実施態様は、4-メチルウンベリフェロンの誘導体又は、それらの塩及び、前記誘導体を含む組成物を提供する。誘導体は、本明細書に開示の誘導体である。
ペリニューロナルネット(神経周囲のネット)(PNNs)は、中枢神経系の全体を通して見つかった密な細胞周囲の細胞外マトリックス構造である。PNNsは、ニューロンの表面を包む。特に、PNNsで包まれたニューロンの個体群は脊髄において見られる。PNNsは、脊髄中で、ほとんどの(~97%)α運動ニューロン(Mns)を囲む。PNNsは、アグリカン(ACAN)/CSPG陽性である。脊髄損傷後、例えば、PNNsは、病変部位で低下し、損傷から離れた部位の中に無傷で残る。PNNsは、病変部位で低下するが、抑制性CSPGは、ばらばらになった細胞外マトリックス中では増加する。
本発明者は、驚くべきことに、4-メチルウンベリフェロン、即ち、本発明のPNNiが、ヒアルロン酸及び、CPSGsを減少させ、したがって、中枢神経系中のPNNsを除去することを見出した。PNNsを除去は、被験体中で、可塑性の機会を開くものであり、そして、再構成を促進させるものである。
添付の実施例に示されているように、パルブアブルビン(PV)-陽性ニューロンを囲むヒアルロン酸結合蛋白質(HABP)強度の低下により示されるように、本発明のPNNiは、ヒアルロン酸の低減を誘導する。
本発明者は、本発明のPNNiが、中枢神経系においてCSPGs合成を抑制するように機能することも見出した。CSPGsを減少させることは可塑性を促進させる。
この点に関して、本発明のPNNiは、可塑性及び、再構成を促進させることにより、神経系の状態を処置するために使用することが出来る。この作用は回復を促進させる。
神経系の状態は、被験体の中枢又は末梢神経系の状態であっても良い。神経系の状態は、少なくとも一つの病変の形成に関連するいかなる状態であっても良い。病変はCSPGによるものである。CSPGは、その状態なしに被験体と比べて減少しても良い。病変はグリア性瘢痕であるかもしれない。病変はプラークであるかもしれない。病変は脊髄中又は脊髄近傍にあるかもしれない。病変は、脳中にあるかもしれない。
神経系の状態は、トラウマ、損傷、感染、変質、構造上の欠損、腫瘍及び、血液流中断、及び、自己免疫疾患を含む群から選択されても良い。この状態は、限定されるものではないが、脳卒中、一過性脳虚血発作、脊髄症、出血、髄膜炎、脳炎、ベル麻痺、脳又は脊髄腫瘍、パーキンソン病、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン舞踊病、アルツハイマー病及び、脳性麻痺を含む群から選択されても良い。
神経系の状態は、脊髄損傷であっても良い。損傷は、脊髄のいかなる部分であっても良い。脊髄損傷は、いかなるタイプの脊髄損傷であっても良く、そして、全てが本明細書中に含まれると理解されるべきである。
脊髄損傷の処置の文脈で使用されるとき、本発明のPNNi及び、それらの誘導体は、PNN形成を抑制し、そして、PNNsから、そして、形成されたグリア性瘢痕からHA及びCSPGsを除去する。これは、脊髄損傷後、可塑性及び、再構成の機会を開き、回復を促進させる。
本発明のPNNiは、以下の脊髄損傷のいかなる時間において投与されても良い。それは、損傷後直ぐに、損傷後1時間以内に、損傷後2~12時間以内に、又は、損傷後最初の7日以内のいかなる時間において投与しても良い。脊髄損傷が慢性的脊髄損傷であるとき、投与は損傷後いかなる時間であっても良い。被験体は、本発明のPNNiの最初の投与を、上記のように受けることが出来、その後、任意選択的に、長期間の投与を経験することも出来る。それは、継続的な毎日の処置又は期間的な処置であり得る。投与は、いかなる数の月又は年であっても良く、典型的には、約1カ月~約36カ月又は、6カ月~12又は24カ月であっても良い。投与のパターンと期間は、被った損傷の程度に依存することになる。
本発明のPNNiは、リハビリテーションと組合せて、被験体に投与されても良い。リハビリテーションは、本発明のPNNiが投与される前に行なわれても、投与中、即ち、同時若しくは、投与後又は、それらの組合せであっても良い。本発明のPNNiは、本発明の組成物であっても良い。好適なリハビリテーションの方法は、当業者にとって周知であり、そして、全てが本明細書中では想定される。本発明で使用されるために想定される具体例は、Garcia-Alias et al. and Wang et al. (Garcia-Alias et al., 2009; Wang et al., 2011)に開示されているものを包含する。
本発明のPNNiは、電気刺激と組合せて投与しても良い。電気刺激は、本発明のPNNiが投与される前に行なわれても、投与中、即ち、同時に若しくは、投与後又は、それらの組合せであっても良い。本発明のPNNiは、本発明の組成物であっても良い。好適な電気刺激の方法は、当業者にとって周知であり、そして、全てが本明細書中では想定される。具体例は、US62/800,817又はUS16/781, 696に開示されているものを包含する。
本発明のPNNiは、機能的な回復を最大化させるために他の処置と組合せて、被験体に投与しても良い。他の処置は、脊髄に対する処置であっても良い。そのような処置は、当該技術分野で周知である。この処置は、ISPペプチド又は変性ISPペプチドであっても良い。
本発明のPNNiは、医薬組成物であっても良い。この点で、本発明は、治療学上有効量の4-メチルウンベリフェロン又は、それらの誘導体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、本明細書に開示の処置に対して使用される。
本発明は、神経系の病変の処置において使用する本発明のPNNiも提供する。病変は、被験体の中枢または末梢神経系中のいかなる病変又は傷跡であっても良い。
一つの実施形態で、病変は脊髄損傷後に形成されたグリア性瘢痕である。この点で、本発明は、脊髄損傷の処置中に使用するためのPNNiを提供すると理解されることになるであろう。処置は、脊髄損傷後の回復を強化しても良い。病変はグリア性瘢痕であっても良い。病変は蛋白質が蓄積したプラークであっても良い。他の具体例は一つ以上のアミロイド病変、タウ蓄積及び、レビー小体を包含する。
病変の処置は、完全な又は部分的な除去であっても良い。処置は、病変の解消であっても良い。処置は、関与する部分又は複数部分の通常機能が戻るようであっても良い。
本発明のPNNi若しくは本発明の組成物の導入又は投与方法は、制限されるものではないが、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、鼻腔内、大脳内、経直腸及び、経口経路を包含する。それは、舌下滴下であっても良い。本発明のPNNi若しくは本発明の組成物は、いかなる便利な経路、例えば、注入又は、ボーラス注入、上皮又は、皮膚粘膜裏側(例えば、口腔粘膜、直腸及び、腸粘膜等)を通した吸収により、投与されても良い。投与は、組織的であるか又は、局所的であっても良い。更に、それは、本発明の組成又は組成物を、脳室内及び、髄腔内注入を含む、いかなる好適な経路により、中枢神経系に導入することが望ましいかもしれない。脳室内注入は、例えば、容器に付けられた脳室内カテーテルにより促進されても良い。本発明のPNNi若しくは組成物は、ゆっくりとした放出又は持続した放出のために組成されても良い。
本発明のPNNi若しくは組成物は、通常の手続きに従って、組成されても良い。本発明のPNNiは、その投与に適した組成で、組成されても良い。典型的には、本発明のPNNi若しくは本発明の組成物は、経口送達のために組成されても良い。本発明のPNNi若しくは本発明の組成物は、注入のために組成されても良い。脊髄損傷の文脈で、注入は、脊髄中に直接されても良い。注入は、直接グリア性瘢痕中にされても良い。
本発明のPNNi若しくは組成物は、医療装置から放出されるように組成されても良い。医療装置は、パッチ又はステントのような埋込型の装置であっても良い。
本発明のPNNi及び、本発明のPNNiを含む組成物は、多様な好適な形態で、調製/組成され及び/又は投与されても良い。そのような形態は、例えば、それに限定されるものではないが、液体溶液(例えば、注入可能且つ注入出来る溶液)、分散液若しくは、懸濁液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、タブレット、ピル、粉体、リポソーム、デンドリマー及び、他のナノ粒子、マイクロ粒子並びに、座剤のような液体、半固体及び、固体投与形態を包含する。形態は、意図する投与モードに依存し得ると理解されるであろう。
脊髄損傷の文脈において、本発明のPNNi若しくは組成物は、被験体の状態により、最初の静脈内投与として、投与されても良い。それに次ぐ、投与は、経口及び/又は静脈内で与えられても良い。投与の方法は、患者の状態、損傷の程度及び/又は位置に依存する。
本発明のPNNiの投与は、被験体同様に、状態及び、処置される状態の厳しさに依存すると理解されるべきである。それは、適用する化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び、活性の長さ、年齢、個体重量、一般的健康状態、性別、食事、モード及び、投与時間、排泄量、薬剤組合、特定の状態の厳しさ及び、個々が受けている治療を含む、多様なファクターに依存することになる。もちろん、個々の例では高い又は低い投与量は当然であるが、そのようなものも本発明の範囲内に入り得る。例えば、組成物は、10~50mg/kg体重のような、好ましくは、17~42mg/kg体重/日のように、5~60mg/kg体重/日の投与量で、投与されても良い。一つの実施形態で、1000~3000mg/日、好ましくは、1000~2000mg/日で、被験体に投与され、好ましくは、1200~1300mg/日で被験体に投与される。量及び頻度は、目的に適合するようにする。適用及び、投与の頻度は、月に1回~日に10回まで、好ましくは、週に1回~日に4回、より好ましくは、週に3回~日に3回、更により好ましくは、日に1回又は2回の頻度で、適用又は投与の推奨で、各被験体の必要性により、非常に大きく変わり得る。処置の長さは、被験体の必要性に依存して、非常に大きく変わり得る。好ましい実施形態では、その繰替えし使用が提供される。
投与は、小児への使用に適したものでも良い。
一つの実施形態で、PNNiは、経口投与のためのタブレット形態で組成される。タブレットは、本発明のPNNiを、400mgより多く、好ましくは500mg~600mgの量で包含しても良い。各タブレットは、一回の投与であり、そして、投与の頻度は、一日当たり2回又は、一日当たり3回であっても良い。
一つの実施形態で、被験体は、一日当たり2~3回の投与を、例えば、タブレットを、2~6カ月又は、3~4カ月のような数カ月の期間受けて、そして、任意選択的に、例えば、2~6カ月又は、3~4カ月の投与なしの期間を有しても良い。この形態は、その後繰返しても良い。この投与は、本明細書に記載されているようでも良い。
(実施例1)
経口PNNi投与は、急性打撲性脊髄損傷の動物モデルの脊髄中の脊髄損傷の機能的回復を増強させた。
(方法論)
成体雌レスターフード付きラット(200-250g)を、Charles River Laboratories (Canterbury, UK)から購入した。ラットは、ペアーで、Central Biomedical Services (University of Leeds, UK)において、温度制御環境下(20±1℃)、12時間、明暗サイクル(7:00ライト点灯)で飼育された。全ての手続及び実験は、the UK Animals (Scientific Procedures) Act 1986)を遵守した。
図4は、研究のタイムラインの概要を示す。
(椎弓切除術及び、打撲(Cx)損傷)
イソフルランを麻酔薬(導入時にO2中に5%及び、手術間O2中に1-2%)として使用し、動物は脱毛され、そして消毒された。椎骨セグメントT7-13が露出され、そして、脊椎の椎弓切除術がT8で実行された。不定形の地平線インパクター(Precision Systems and Instrumentation, LLC, Fairfax Station, VA)を用いて200kdyn Cx(中程度損傷)をT9のレベルで与える一方、椎骨レベルT7及びT8は安定化された。筋肉は、縫合わせ、そして、皮膚はオートクリップで閉じられた。鎮痛剤(獣医ブプレノルフィン;0.015mg/kg;Henry Schein Animal Health, Dumfries, UK)及び、抗生物質(バリトリル エンロフロキシン;2.5mg/kg;Henry Schein Animal Health, Dumfries, UK)が、損傷後直ぐに、そして、手術後の3日間、皮下注射を介して与えられた。
(処置)
外科的Cx損傷の後、動物は、処置パラダイムに従って群分けされて、小分子PNN抑制剤(PNNi)、即ち、4-メチルウンベリフェロンのSCI後の回復を増強させることに対する有効性がテストされた。
SCI治療としてのリハビリテーションの重要性のため、PNNi及び、リハビリテーショントレーニングのとの組合せ群が、適合性の問題を見出すため含まれた。
(薬理学的投与)
薬理学的処置は、損傷の日(PNNi;0.2g/mlのストック溶液から2g/kg)から開始した。この投与は、非-CNS関連疾患の処置に対するPNNiの許可された用量よりも高く、そして、インビトロ実験において予備的に使用することが確立されていた。経口投与は、強制投与とは対照的に、毎日2回の投与を完了する、注射摂取により行われた。
PNNiは経口化合物であるため、投与の期間はコントロール可能である。第一に、薬剤は、損傷/手術から処置の日まで長期間投与された。
(リハビリテーション)
トレーニングは、割り当てられた練習四足動物インターバルトレッドミルトレーニングから構成され、課題特異的なリハビリテーションが提供された。最初のセッションは、損傷7日後(DPI)に開始され、以下に述べる歩行運動行動テストが続いた。毎日のトレーニングは、10分間のトレッドミル、トレッドミル上での10分間の最後のセッション前に10分間のブレイクが続く。ラットは、トレッドミル上で、各10分間のセッションのための継続的な歩行を維持できるような最大限のスピードで、週に5回トレーニングされた。
(歩行運動評価)
行動上及び、後肢(HL)機能の機能上の評価を、研究全体と通して評価した。
(Basso, Beattie and Bresnahan(BBB)HL歩行運動オープンフィールドテスト)
HL歩行運動能力を、BBB HL歩行運動スケールを使用して、急性SCIパラダイム全体を通して多様な時間点で評価した。BBBテストは、オープン歩行運動フィールド(特注のパースペクスOリング:直径80cm、高さ30cm)を使用して行われ、そこに、動物は4分間の間置かれた(図2)。各BBBテストは、二人の個人により同時に評価された。得られたスコアは、プールされ、そして、客観化のため平均化された。BBBテストは、0-21のランキングスケールを使用して、HL運動機能を評価する。動物は、それらのBBBスコアに基づいて、3つの広いカテゴリーにランク付けされる:肢運動がほとんど又は全くないことを示す初期フェーズ(0-7のスコア);ぎこちない歩行の発生を有する中間ステージ(8-13のスコア);FLとHLの協調及び安定性を示す後期ステージ(14-21のスコア)(Basso et al., 1995)。損傷に続き、その後、BBBsは、1DPIで損傷を確認するため行われ、そして、その後、7DPIから毎週、行われた。動物がリハビリテーショントレーニングも受けた場合、BBBsは前もって行われた。
(Von Frey評価)
HL感覚機能に対する変化は、Von Frey方法論を使用して評価し、痛覚過敏及び、ニューロパチー性疼痛を探した。同時に4匹の動物を、金網底付のパースペクスケージ(図3)に、テスト前、およそ15~20分間及び、一般的な運動迄及び、身づくろいが終わるまで、順応させた。Von Freyフィラメント(Touch Test(登録商標)Sensory Evaluator Kit of 20; #39337500; Leica Biosystems, Milton Keynes, England、図3C)は、HLフットパッドのより敏感な肢底アーチに対して金網底を通して押し下げられ、そこで、肢の逃避を、肯定的な結果としてカウントした。歩行は、適当な遅れの後に再テストを必要とするあいまいな応答であるが、尻込みすることも、肯定的な反応であると見られた。全ての動物の左後肢及び、右後肢に、刺激の間に十分なインターバルを与えて、順次実行された。感覚テスト手続及び、分析は、Dixonアップダウン法(Dixon, 1980)を使用して、Chaplin et al. (1994)(Chaplan et al., 1994)により記載されているように実行されて、各HLに対して、50%逃避閾値を決定した。
(組織学)
(組織調製)
動物は、ペントバルビタールナトリウム(Pentoject; Henry Schein;200mg/kg;腹腔内注射)の過剰投与が行われ、心臓機能の停止なしに、深く麻酔がかけられた。その後、経心腔的灌流(Gage et al., 2012)が、リン酸緩衝液(PB;0.12M リン酸一塩基ナトリウム;0.1M NaOH;pH7.4)、次に、組織の固定化のために、4%パラホルムアルデヒド(PFA;PB中;pH7.4)を使用して行われた。脳及び脊髄は切断され、その後、一晩、PFA(4%;4℃)中で固定され、そして、組織が飽和するまで、30%ショ糖溶液中(PB中で30%v/wショ糖;4℃)で凍結防止された。左脳半球及び、適当な脊髄セグメントは切除され、そして、切断するまで-80℃で保存する前、好適な温度媒体(OCT; Leica FSC 22 Frozen Section Media; Leica Biosystem)中に保存された。組織の切断は、浮遊性のセクションに対しては40μmの横断面に、クリオスタット(Leica CM1850; Leica Biosystems)を使用して行われ、そして、生理的緩衝液(PBS;0.13M塩化ナトリウム、0.7M リン酸二塩基ナトリウム、0.003M リン酸一塩基ナトリウム;pH7.4)を含む48ウェルプレート中に収集され、4℃で保存のための30%ショ糖溶液に移動させる前に、OCTを除去した。
(免疫組織化学的技術)
室温(RT)で、セクションは、トリス緩衝生理食塩水(TBS;0.1M トリスベース、0.15M NaCl;pH7.4)により、各5分間、3回洗浄され、ショ糖残差を除去した。その後、組織は、0.3% TBST(1xTBS溶液及び、0.3%v/vトリトンX―100)及び、3%標準ロバ血清(NDS;v/v)中で2時間ブロックされた。その後、セクションは、第一抗体を含むブロッキング用緩衝液(0.3%TBST中の3%NDS;pH7.4)中に移動され、4℃で共培養された。
第一抗体又は、レクチン培養の次に、その後、セクションは、TBS(10分;RT)を使用して3回洗浄された。各第一抗体染色を可視化するため、その後、組織は一次抗体の種に対して蛍光共役二次抗体(1:500;2時間;RT)と、暗室で共培養された。その後、組織は、光から保護されつつ、TBS(10分;RT)中で3回洗浄された。トリス非生理食塩水(TNS;0.5Mトリス、pH7.6)中での最後の洗浄は、空気乾燥前の沈殿を減少させるために行なわれた。組織は、Superfrost Plusスライド上にのせられ、空気乾燥、そして、のせられた媒体FluorSave(登録商標)Reagent (EMD Millipore)でカバーガラスが載せられた。
第一抗体は、ACAN,BCAN及び、NCANを含むCSPG成分である。
レクチン:ビオチン標識されたノダフジ凝集素(バイオ-WFA)、ビオチン標識されたヒアルロン酸結合蛋白質(bHABP)
ニューロンの合計数及び、PNNsに囲まれたニューロンの数は、研究について知らせずに、二人の独立した研究者により定量化された。結果は、統計的有意のためワンウェイ ANOVAで分析された。
(PNNiのメカニズム及び、薬物動態の決定)
<目的(1)どのようにPNNiが血液脳関門(BBB)を横断するかのメカニズム>
背景:我々の予備的な結果は、PNNiの経口投与が、中枢神経系(CNS)中でPNNsの低減を導くことを明らかに示してきている。しかしながら、そうような効果が残るようにどのようにPNNiが誘導するかのメカニズムは知られていない。PNNiがBBBを横断するのか、そして、インサイチューでPNNiを低減させるのか?または、PNNiが体系的に、基質のプールを低減させ、そして、それにより、少ない基質がPNN合成のためにBBBを横断することになるのであろうか?
方法:PNNiが、成体ラットに、10日継続して経口投与される。サンプル中におけるPNNi存在の濃度を分析するために、ラットからの血液、尿及び、脳脊髄流体を、0日、5日及び10日に収集する。PNNiの存在は、蛍光分光計を使用して測定される。
動物数:8匹のラット
<目的(2)PNNiの薬物動態の再確立>
背景:薬物動態の先に公表したデータは、マウス及びラット中への経口投与致死量が、動物の体重の7.5及び、6.2g/kgであることを示す。しかしながら、マウスにおける我々のパイロット実験において、我々は、6.8~12.8g/kgをマウスに継続的に6カ月投与して来ており、そして、マウスはいかなる死亡も示さず、そして、悪いサインも確認されなかった。これは、我々に以前の薬物動態が正確に確立されていたのか否かについての疑問を生じさせる。ここで、我々は、生体ラット及びマウスにおけるPNNiの薬物動態の再確立を目的とする。
方法:全体を通した薬物動態の研究は、動物の死亡を導く投与量を必然的にカバーすることになる。したがって、英国におけるいかなる個々のプロジェクトライセンス下でも、これを行うことは出来ない。我々は、これらの実験を行うために、会社Charies River(合法動物提供者)からのサービスを使用することになる。
関連する情報は、このウェブサイトで見つけることが出来る。
https://www.criver.com/products-services/safety-assessment/dmpk/pharmacokinetics-toxicokinetics?region=3696
(結果及び、結論)
歩行運動機能の評価が、Basso, Beattie, and Bresnahan(BBB)を使用して毎週行われた。その後、コレラ中毒B及び、ビオチン標識化デキストランを使用して、神経経路は、逆行性及び順行性の両方で調べられた。
(BBB及び、Von Freyテストからの結果)
図5(A)中に示すように、全てのラットは、全ての実験群で、同様の打撲傷強度を受けた。(中央)Basso, Beattie, and Bresnahan(BBB)スコアは、中程度T9打撲傷損傷後、PNNi処置ラット(毎日の処置)で良好な機能回復を示した。賦形剤処置ラットは、損傷後5週間で、~10スコアであったが、4-MU処置群では、~15スコアに達した。(右)異なる処置群からのラットは、Von Freyヘアテストを用いた触覚感受性に関していかなる相違も示さなかった。全ての群n=11。
これらの結果は、PNNiを使用した経口処置が機能回復を強化することを示す。
(免疫化学結果)
図15に示すように、長期間のPNNi処置は、前角(VH)中で、キーPNN成分により標識されたPNNsの発現を低減させる。損傷の12週後に得られたラット脊髄セクション(T4-6)は染色され、そして、VH中で強度が分析された。アグリカン(ACAN)及び、ノダフジ凝集素(WFA)により標識されているので、特に損傷後、PNNiは部分的にPNNsの数を低減させている。
(実施例2)
ラット中のPNNiによるPNNの除去
(結果及び、結論)
図1に示すように、無傷のラット中で、PNNiの経口投与10日後、PNNsは減少している。図1A及びBは、ACAN染色(CSPG;PNNマーカー)の欠如を示しており、特に、前角においてPNNi処置後に観察されている。図C及びDは、PNNi処置が、パルブアルブミン(PV)陽性ニューロンを囲むヒアルロン酸結合蛋白質(HABP)の低減を誘導することを示している。これは、PNNiが脊髄中においてCSPGsの除去に効果的であることも示唆している。
(実施例3)
この実施例では、現在の発明者は、非侵襲的化合物、PNN抑制剤(PNNi)を導入し、PNNsを可逆的に除去し、そして、可塑性を強化させ、PNN形成の崩壊を介してPNNsを除去して、急性脊髄損傷後の回復を強化させる。
(PNNsは脊髄中の大部分の(~97%)アルファ運動ニューロン(Mns)を囲む)
PNNsの研究の大部分は、脳サンプル中で実行されており、発明者は、脊髄中でのPNNsで包まれたニューロンの集団を特定しようとするものである。図8は、脊髄中のアルファ運動ニューロン上のPNNsの存在に対する代表的なイメージである(Galtrey et al., 2008; Irvine and Kwok, 2018)。
(PNNiは、劇的にインビトロ及び、インビボで、PNNを除去する)
細胞周辺のPNN様構造(PNN+HEK細胞)(Kwok et al., 2010)の形成を誘導するために必要とされている、必須のECM成分(ヒアルロン酸合成酵素3(HAS-3)及びHAPLN―1)を発現するように加工された、以前開発したヒト胚腎臓293T(HEK)細胞モデルを使用して、インビトロでPNNsの除去に関するPNNiの効率(図9A-I)が調べられた。非処置のPNN+HEK細胞は、WFA陽性のPNNsの明らかなシグナルを示すが(図9B)、PNN+HEK細胞へ投与された2日間のPNNs処置(0.5mM又は1.0mM)は、WFA陽性染色の86.4±4.47%(全ての処置時間点vs非処置に対して、F3.66=73.60、p<0.0001)を除去した。染色強度は、処置後の3日以内にベースラインレクチン結合の43.6±14.6%に部分的に回復している(処置後の3日及び5日vsその間に対して、p<0.0001、図9C-I)。これらの結果は、PNNiが媒介したPNNsの除去は機能的であり、そして、可逆的であることを示している。
(経口PNNi投与は、脊髄中のPNNsを除去する)
PNNi処置は、1日に2回の経口投与又は腹腔(i.p.)注入の何れかを介して、インビボで、短期間の投与(10日)により、その結果が調べられた。10日間の投与が終了した動物からの組織学により、PNNi投与の両方の方法は、非処置動物と比較して、CNSの全体を通してWFA陽性結合を低減させるために十分であることを明らかになった(図1M-O)。興味深いことに、PNNiは皮質と比較して、脊髄中でより効率良くレクチン結合を低減させるようである(図9J-O)。重要なことに、これは、PNNi又は、その代謝物が、血液脳バリアを横断することが出来て、CNS中のECMに影響を与えられることを示す。脊髄の後角中における定量化により、10日間の経口PNNi投与は、ベースラインECMレベルの71.0±7.20%に、WFA陽性部分の部分的な除去を誘導したこと示した(t(3)=5.15,p=0.0142;図9P)。短期間の経口PNNiは、HA結合蛋白質との染色を、64.0±5.84(HABP;t(3)=7.69,p=0.00456)へ、そして、HAPLN-1を、後角中のベースラインレベルの68.3±8.09%(t(3)=5.01,p=0.0153)へ低減させた。経口PNNi処置は、非侵襲的で且つ、インビボにおいて神経のECM上で十分な効果を発生させるので、レスターフード付きラットによる以下のPNNi投与実験を、投与の方法として使用された。
(PNNiの急性短期間処置による部分的なPNNsの除去は、副作用を示さなかった)
最初に、発明者は、CNS全体を通したPNNの除去は、通常の感覚及び、運動機能に影響を与えるか否かを問うた。このことを調べるため、成体雌レスターフード付きラット(n=11)に、10日間、経口PNNi処置がされ、そして、通常の行動テストを受けさせた。これらにより、短期間のPNNiは、処置された無傷のラット中において、感覚の変更を誘導するには十分であるが、しかし、運動機能の変化を誘導しないことが明らかになった(図9Q-S)。同様のラットとの処置前ベースライン(7.9±2.73g)と比較により、短期間のPNNi投与は、逃避閾値を、5.5±2.03に低減させ、感受性のおよそ30%増加を示すこと(t(10)=2.76,p=0.02,図9Q)が明らかになった。オープンフィールド歩行運動テストは、短期間のPNNi処置において、Basso, Beattie, and Bresnahan 後肢(HL)スケール(Basso et al., 1995)(n.s.:p=1;データは表示せず)上で、全ての動物は21のトップスコアーを達成し、顕著な差異は見られなかった。より熟練を要す歩行課題を用いて、歩行運動を評価したとき、HL歩行運動活動は水平の踏み台上で、正確な歩行(緑)が、全てのステップに対して、およそ92.7±0.82%(n.s.,t(16)=0.259,p=0.799)の時間であり、スリップ(黄色)及び、ミス(赤)は、それぞれ、5.43±0.70%(n.s.,t(16)=-0.978,p=0.343)及び、1.92±0.41%(n.s.,t(16)=1.15,p=0.268)に上がり、PNNi処置及び、非処置動物の間で一致していたようでもある(図9R)。同様に、前肢(FL)の実績も、1.13±0.24%のミス(n.s.,t(16)=-1.64,p=0.121)、4.35±0.54%のスリップ(n.s.,t(16)=1.97,p=0.0667)及び、94.4±0.56%の正確な歩行(n.s.,t(16)=-1.34,p=0.197)であり、短期間のPNNi処置により影響を受けなかった(図9S)。
処置に関わらず、HL及びFL機能は、歩行エラーの低い比率で同様に実行された。全体として、通常の成体ラット中のPNNsの急性除去は、同じ処置パラダイムで、後角中のPNN成分を減少させ同時に、テストされた肢の感覚を若干増加させたが、歩行運動機能に影響を与えなかった。別の行動上の差異は観察されなかった。
感覚運動皮質(M1)は、感覚運動学習や神経損傷に応答して、構造上及び機能上の可塑性に影響を受ける運動の高度に組織化された局所的な表示を含む。
皮質内微小刺激(ICMS)を用いて、HL及びFL皮質運動表示マッピングが、無傷のベースラインHL及びFL表示又は「中心」(点線を参照;図10)と比較することにより、有望な可塑性強化剤、PNNiによる長期間の処置後、無傷/シャム動物のM1の機能的組織を調べるために使用された。PNNi処置は、HL運動を引き起こすことが出来るエリア合計を低減させるが(シャム/PNNivs無傷に対して、F2、12=10.7、p=0.00764、シャム/PNNivsシャムに対して、p=0.00914)、これは、無傷のHL中心のいくつかがHL運動をもはや引き起こせないことに起因した(シャムvsシャム/PNNiに対して、F2、12=18.6、p=0.00411、無傷vsシャム/PNNiに対して、p=0.001;図10A-H)。二連発刺激プロトコル(Gigout et al., 2013; Luhmann et al., 1995)が、インビトロ感覚運動皮質スライスを用いて、同時に皮質外GABA作動性抑制の可能性がある改変を研究するためのインデックスとして使用され、そこで、短期及び長期の刺激時間感覚に対する二連発刺激比率(PPR)により、我々は、GABAA及び、GABABレセプター媒介抑制を、それぞれ調べることが出来た。健康なコントロールスライスは、顕著な二連発刺激抑制(PRP:~0.5)を示したが、しかし、これは、シャム手術又は、PNNi処置の何れかにより改変されたものではなかった(n.s.,F2、65=1.52,p=0.227、図10I;F2、65=2.35,p=0.0960、図10J)。これは、HLエリアで観察されたPNNi誘導による減少は、構造上の再構成によるものであり、そして、皮質抑制の改変によるものではないこと(神経の可塑性の証拠)を示唆した。
HL表示で観察されたように、PNNiは、シャム動物中のFL表示の機能的な再構成を誘導する(図10K-S)。FL運動を引き起こす表面エリア合計は変化しないにも関わらず(n.s.F2、12=0.249、p=0.784,図2N)、これらの事象は、無傷のFL中心中で減少したが(F2、12=5.61、p=0.0226,図2P)、しかし、HLエリア上には侵入しないようであった(n.s.F2、12=0.900、p=0.437,図2R;F2、12=2.38、p=0.142,図10S)。PNNi処置で、HL及びFL運動を引き起こすために必要な皮質刺激閾値において、顕著な変化を生じなかった。短期間のPNNi処置は、触覚感覚を増強させ、そして、長期間のPNNi処置は、構造上の再構成を誘導したことから、我々は、PNNiによるPNNsの部分的な除去は、上記に示したように、CNSの複数のレベルにおいて、機能上の可塑性を向上させるために良好な環境を作るのに十分であると結論付けることが出来る。これらの可塑性の変化は処置された無傷の動物において観察されてきているので、これは、不適切な接続の結果であるかもしれない。
(PNNi及び/又は損傷は、脊髄損傷ラット中の皮質可塑性を独立して強化させる)
中位胸部SCIの後、FL運動は、無傷のFL及びHLエリアの両方において誘導されることが出来た(図11D-E)が、オープンフィールドHL歩行運動の証拠にも関わらず、HL運動はICMSにより誘導することは出来なかった(図11B-C)。損傷及び/又は処置は、FL運動を誘導するために必要な最小又は平均の皮質刺激閾値に変化を生じさせなかった(補充テーブル1)。損傷及び/又は長期間のPNNi処置で、FL運動を誘導する表面エリア中で全体としての変化はなく(n.s.F2、9=0.403、p=0.683,図5F)、無傷のFL中心に関連したエリアの変化もなかった(n.s.F2、9=0.891、p=0.452,図5K;F2、9=0.0685、p=0.934,図5L)。しかしながら、損傷と長期間のPNNi処置の両方の組合せは、FL運動のより大きい比率(4.27±1.56%~23.9±8.01%)が、以前にHL運動を誘導したエリアに関連したものにさせ、シャムコントロールと比較して、拡張ではなく、群の代表的なFLエリアを無傷のHL中心へ、全体としてシフトさせることを示唆する(シャムvsSCI/PNNiに対して、F2、9=0.258、p=0.197、図5M;シャムvsSCI/PNNiに対して、F2、9=5.23、p=0.0432、図11N)。
ボルツマン式により、適合したフィールドポテンシャルの大きさ(図11G)の個々の入力-出力曲線を使用して、インビトロ皮質スライスの局所的な興奮を示す並行実験により、PSPmax、I50及び、傾斜ファクターを得た。重要なことに、これにより、SCIとPNNi処置の組合せは、他の全て実験群とは顕著に異なる結果を与えたことが明らかになり(Greenhouse-Geisser、全群vsSCI/PNNiに対して、 F1.49、13.4=1.61、p<0.001、図11G)、PNNiと損傷との組合せが、この群で観察されたM1の再構成に寄与するかもしれない、特により高い刺激強度で、増強された皮質内の神経伝達の環境を作ることを示唆した。二連発刺激プロトコルは、SCI/PNNiとの組合せではなく、損傷単独が、長い刺激間隔ではなく、短い刺激間隔で、PPRを0.42±0.26%~0.63±0.24%(シャムvs対SCI/賦形剤に対して、F2、57=3.09、p=0.052、図5H-I)に増加させて、二連発刺激プロトコルに影響を与えること、SCIがGABAAレセプター媒介伝達の低減を誘導することを示唆することも明らかにした。要約すると、M1中で、CSPG含有量を、独立して同様に低減を誘導させる損傷とPNNiの両方の能力にも関わらず、長期間のPNNi投与のみが、皮質運動マップの再構成を助長するために十分に可塑性を強化することが出来、局所的皮質内興奮の観察された増加のような追加のメカニズムが、これらの機能的な変化の根底にあるかもしれないことを示唆する。
(持続したリハビリテーションと同時にPNNi処置を限定すると、運動回復を可能にさせる)
効果的な機能回復のために可塑性を強化するために、我々は、11週間のリハビリテーションと組わせて8週間、PNNiを投与した。リハビリテーションを持続して同時に、PNNiの投与を限定すると、さらに後肢(HL)運動を可能にしたが、しかし、感覚回復にはならなかった(図12)。PNNi処置は、PNN再構成を可能にさせるための実験(8週間、PNNi処置)終了の2~3週間前に終了され、更なるHL改良が、リハビリテーションを継続してきた動物で観察された(A)。棒グラフは、損傷の9週後(WPI)で、PNNi投与の最後で、及び、12WPIで、前肢及び後肢(FL-HL)の協調を達成することが出来た動物の比率を示す(B)。更にリハビリテーショントレーニングを持続した動物(8週間PNNi+T)は、9WPI~12WPIで、FL-HLの協調ができる比率が増加することを示した(A及びB)。積み重ね棒グラフは、水平の踏み台9及び12WPI上で、(C)HL及び、(D)前肢(FL)ステップの分類を示し、そこでは、古典的踏み台スコアシステム上で、ヒット:3~6のスコア、スリップ:1~2及び、ミス:0(Metz and Whishaw, 2009)を示している。踏み台上のHL実績は、PNNi処置が限定されて、且つ、持続したリハビリテーション処置のときのみ改善した。全体の誤差は減少する(黒)が、限定されたPNNi処置及び、リハビリテーショントレーニングは、特に、HLステップのミス(赤)の数を減少させた。FL実績も、限定されたPNNi処置及と持続したトレーニングで改善した。9及び12WPIで行われたVon Freyアッセイから決定された、後肢の足底に対する、E)左-右(L-R)平均50%逃避閾値は、痛覚過敏を示さなかった。PNNi処置の終了後、PNNsの強化は、感覚変化を誘導しない(群に対して、8週間PNNi及び、PNNi+T、それぞれに対して、n=10及び、9。統計、A,C-E:ツーウェイ混合要因 ANOVA;有意レベル:*p<0.05、**p<0.01、及び、***p<0.001。A,C,D:誤差ベースは、±SEM。)。
(持続したハビリテーションを伴う8週間のPNNiは、FLエリアの皮質再構成を無傷組織に部分的に回復させる)
皮質内微小刺激(ICMS)が、胸部中心の打撲傷損傷(図13)のおよそ15週後、右脳半球上(A)でブレグマの上及び下5mm開頭術内で、定位固定座標で実行された。個々のICMSマップは、組合せて、各定位固定座標に対する動物の比率を示す、各群に対する代表的なヒートマップを提供し、そこで、後肢(HL;B-C)ではなく、しかし、前肢(FL;D-E)運動を誘発することが出来た。点線囲みは、HL(B-C)と、FL(D-E)に対する無傷のベースラインエリアを示し、8週間のPNNi投与(B,D)及び、持続したトレッドミルトレーニングを伴う8週間のPNNi投与(C,E)とを比較している。F)FL表示の平均エリア(mm2)は、持続したトレーニングを伴う限定されたPNNi処置のみで、通常/無傷レベルに減少した。分析のための測定(G-H、J-K)は、I)に示されている。脊髄損傷後、FL運動は、以前にHL運動(白色の点線囲みD-E中に示されるベースラインHLマップ)が誘発されたエリアにおいて誘導された。G)FL運動は、ほとんどは、8週間PNNi+T(p=0.243)で若干の減少傾向と共に、無傷のFLエリア内で誘発され得た。H)無傷のFLエリア中で誘発されたFLエリア合計の比率は、持続したトレーニング(p=0.112)を伴うときのみでの傾向で、8週間PNNi処置で減少した。J)損傷後、FL運動は、8週間PNNi処置を伴うHLエリア内で誘発されることが出来た。しかしながら、持続したトレーニングを伴う場合のみに、HLエリアから部分的なFLの離脱が確認された(p=0.514)。K)無傷のHLエリア中で誘発されたFLエリアの比率は、損傷されていないコントロールと比較して、増加したようである(p=0.114、8週PNNi及び、p=0.177 週PNNi+T)。
これは、持続したハビリテーションと組合せた限定したPNNiが、不適応可塑性を限定し、そして、機能性回復のためのハビリテーションから新しく確立された結合を強化することを示唆する。
(PNNアナログの予備的な結果)
JD009及び、JD013は、PNNiよりも低い濃度でPNN形成を低減させるかもしれない。
PNNiは、水溶液中で略不溶である(Nagy et al., 2015)から、溶解性を上げたPNNiの誘導体(JD009及び、JD013)が開発された。発明者は、PNNアナログをデザインするときに、活性に必要な水酸官能基は変更されていないので、それらはPNNsを強力に減少させる能力を保持しているはずであるという仮説を持つ。
PNN形成を低減させる、PNNi、JD009及び、JD013の効率と比較するために、免疫細胞化学が、PNNs標識のN-アセチルガラクトサミン結合レクチンWFAを使用して行われた。PNN-HEK293細胞は、インビトロで、3日間、0.5mM及び、1mMの化合物に暴露された。DMSO賦形剤コントロールも含有され、そして、使用された量は、全容量の0.1%を超えなかった。細胞ごとのWFA蛍光発色強度は、興味あるマッチした領域(ROI)に起因するもので、細胞数に対するWFA蛍光発色強度全体を正規化している。以下の数字は、PNNiの0.5及び、1mM投与が、非処理細胞と比較して、細胞中のPNN形態及び、発現に実質的な変化を生じさせるためには不十分であることを示した。対照的に、JD009及び、JD013処置は、0.5mM及び、1mM濃度で、細胞中のPNN発現を変更させた。
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Figure 2022554230000009

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Figure 2022554230000011

Figure 2022554230000012

Claims (35)

  1. 被験体中の神経系の状態の処置に使用する、4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体又は塩。
  2. 神経系の状態の処置に使用する、4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体又は塩を、治療上有効量含む、医薬組成物。
  3. 神経系の状態が病変に関連しているものである、請求項1に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項2に記載の使用のための医薬組成物。
  4. 病変がグリア性瘢痕、アミロイド病変、タウ蓄積及び、レビー小体を含む群から選択される、請求項3に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項3に記載の使用のための医薬組成物。
  5. 病変がグリア性瘢痕である、請求項4に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項4に記載の使用のための医薬組成物。
  6. 神経系の状態は、トラウマ、損傷、感染、変質、構造上の欠損、腫瘍、血液流中断により起こされる状態を含む群から選択される、請求項1、3~5に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項2~5に記載の使用のための医薬組成物。
  7. 状態は、脳卒中、一過性脳虚血発作、出血、髄膜炎、脳炎、ベル麻痺、脳又は脊髄腫瘍、パーキンソン病、ハンチントン舞踊病及び、アルツハイマー病を含む群から選択され得る、請求項6に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項6に記載の使用のための医薬組成物。
  8. 状態は、脊髄損傷である、請求項7に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項7に記載の使用のための医薬組成物。
  9. 4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、医薬組成物が、損傷の直ぐ後に又は、損傷の最初の7日以内に投与され、及び、任意選択的に、継続した処置が続く、請求項8に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項8に記載の使用のための医薬組成物。
  10. 4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、医薬組成物が、リハビリテーション若しくは電気刺激又はそれらの組合せと、組合せて与えられる、請求項8又は9に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項8又は9に記載の使用のための医薬組成物。
  11. 4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、医薬組成物が、経口送達用に組成されている、請求項1若しくは3~10の何れか一項に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項2~10の何れか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  12. 4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、医薬組成物が、注入用に、好ましくは、前記被験体の瘢痕又は脊髄中への直接注入用に組成されている、請求項1若しくは3~10の何れか一項に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項2~10の何れか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  13. 4-メチルウンベリフェロンの誘導体が下記の式の分子である、請求項1若しくは3~12の何れか一項に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項2~12の何れか一項に記載の使用のための医薬組成物。
    Figure 2022554230000013
    (ここで、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル、モルホリノ及び、スルホニルの置換体が、一つ以上のC1~C9の位置で結合されている)
  14. NR12は、C4でメチル基(CH3)に結合されており、R1及び/又はR2は、それぞれ独立して、H、アルキル、アリル、アシル又は、スルホニルである、請求項13に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項13に記載の使用のための医薬組成物。
  15. 1及びR2は、アルキルである、請求項14に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項14に記載の使用のための医薬組成物。
  16. OR1は、C4でメチル基(CH3)に結合され、R1は、アルキル、アリル又は、アシルである、請求項13に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項13に記載の使用のための医薬組成物。
  17. 1はヒドロキシエチルである、請求項16に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項16に記載の使用のための医薬組成物。
  18. C3,C5,C6及び/又はC8は、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル、モルホリノ及び、スルホニルの置換体により置換されている、請求項13に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項13に記載の使用のための医薬組成物。
  19. 位置1でOがNR1に置換されており、R1はアリル又はアシルである、請求項13に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項13に記載の使用のための医薬組成物。
  20. 1はアルキルである、請求項19に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項19に記載の使用のための医薬組成物。
  21. 4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、医薬組成物は、5~60mg/kg体重/日の投与量で、投与される、請求項1若しくは3~20の何れか一項に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項2~20の何れか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  22. 投与量は、一日当たり、少なくとも2回、約500~600mg/kgである、請求項21に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩又は、請求項21に記載の使用のための医薬組成物。
  23. 神経系の状態に関連した病変を処置するための方法に使用されるための、4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩。
  24. 病変がグリア性瘢痕である、請求項23に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩。
  25. 神経系の状態は、トラウマ、損傷、感染、変質、構造上の欠損、腫瘍、血液流中断により起こされる状態を含む群から選択される、請求項23又は24に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩。
  26. 状態は、脳卒中、一過性脳虚血発作、出血、髄膜炎、脳炎、ベル麻痺、脳又は脊髄腫瘍、パーキンソン病、ハンチントン舞踊病、アルツハイマー病及び、脳性麻痺を含む群から選択され得る、請求項25に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩。
  27. 状態は、脊髄損傷である、請求項26に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩。
  28. 4-メチルウンベリフェロンの誘導体が下記の式の分子である、請求項23~28の何れか一項に記載の使用のための4-メチルウンベリフェロン、それらの誘導体若しくは塩。
    Figure 2022554230000014
    (ここで、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル、モルホリノ及び、スルホニルの置換体が、一つ以上のC1~C9の位置で結合されている)
  29. 以下の式の4-メチルウンベリフェロンの誘導体又はそれらの塩。
    Figure 2022554230000015
    (ここで、一つ以上のアルキル、アリル、アシル、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メチル、モルホリノ及び、スルホニルの置換体が、一つ以上のC1~C9の位置で結合されている)
  30. NR12は、C4でメチル基(CH3)に結合されており、R1及び/又はR2は、それぞれ独立して、H、アルキル、アリル、アシル又は、スルホニルである、請求項29に記載の4-メチルウンベリフェロンの誘導体。
  31. 1及びR2はアルキルである、請求項30に記載の4-メチルウンベリフェロンの誘導体。
  32. OR1は、C4でメチル基(CH3)に結合され、R1は、アルキル、アリル又は、アシルである、請求項29に記載の4-メチルウンベリフェロンの誘導体。
  33. 1はヒドロキシエチルである、請求項32に記載の4-メチルウンベリフェロンの誘導体。
  34. 位置1でOがNR1に置換されており、R1はアリル又はアシルである、請求項29に記載の4-メチルウンベリフェロンの誘導体。
  35. 1はアルキルである、請求項34に記載の4-メチルウンベリフェロンの誘導体。
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