JP2022552378A - パーキンソン病を治療するための顆粒球マクロファージコロニー刺激因子をコードするmRNA - Google Patents

パーキンソン病を治療するための顆粒球マクロファージコロニー刺激因子をコードするmRNA Download PDF

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Abstract

本開示は、パーキンソン病の治療における、ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)ポリペプチドをコードするmRNA分子を含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物及びその使用を特徴とする。本開示のLNP組成物は、かかる治療で使用するヒトGM-CSFをコードするmRNA治療薬を含む。本発明は、例えば、対象におけるパーキンソン病の治療で使用するヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物であって、前記GM-CSFポリペプチドが、配列番号1、配列番号8、または配列番号187のアミノ酸配列を含む、LNP組成物を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月15日に出願された米国仮出願第62/915,317号及び2020年4月21日に出願された米国仮出願第63/013,139号の利益を主張する。当該出願の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
政府支援
本発明は、National Institutes of Healthにより付与されたP01 DA028555、R01 NS036126、P30 MH062261、R01 AG043540、及び2R01 NS034239の下、政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、当該配列表は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。2020年10月15日に作成された当該ASCIIコピーは、M2180-7002WO_SL.txtという名称であり、61,278バイトのサイズである。
制御性T細胞(T制御性細胞またはTregとしても知られている)は、脳卒中、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病及びパーキンソン病の予防及び/または治療に対して有力な治療価値を有する。パーキンソン病では、疾患の発症及び進行は、多くの場合、Tregの数ならびにそれらの抗増殖及び抗炎症作用の減少に関連している。しかしながら、これが発生する機序は研究中である。従って、パーキンソン病において制御性T細胞を刺激することができる治療法を開発するという満たされていないニーズが存在する。
本開示は、とりわけ、パーキンソン病の治療用の、ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物を使用する方法を提供する。本開示のLNP組成物は、本明細書に記載の方法で用いるヒトGM-CSFポリペプチドをコードするmRNA治療薬を含む。ある態様では、本開示のLNP組成物は、対象におけるパーキンソン病の治療に使用され得る。本開示のさらなる態様を以下にさらに詳細に記載する。
従って、1つの態様では、本開示は、対象におけるパーキンソン病の治療で使用するヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物を提供する。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、リーダー配列を含まない配列番号8のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、配列番号187のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、リーダー配列を含まない配列番号187のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、本明細書に提供するのは、対象におけるパーキンソン病の治療方法であり、該対象に対して、ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物の有効量を投与することを含む。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、リーダー配列を含まない配列番号8のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、配列番号187のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、リーダー配列を含まない配列番号187のアミノ酸配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物の実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号2の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号2のヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号3の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号3の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号188のヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号4の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号4のヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号5の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号6の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号6のヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号7の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号7のヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号12の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号12のヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号216に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号221に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号219に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号224に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号201に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号204に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号206に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号209に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号211に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号214に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、LNPの投与により、サンプル(例えば、対象からのサンプル)における、例えば、実施例2~8のいずれか1つに記載のアッセイによって特定されるT制御性細胞のレベル及び/または活性が増加する。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該T制御性細胞は、FoxP3+発現及び/またはCD25+発現T制御性細胞を含む。実施形態では、該T制御性細胞は、FoxP3+発現T制御性細胞を含む。実施形態では、該T制御性細胞は、CD25+発現T制御性細胞を含む。実施形態では、該T制御性細胞は、FoxP3+発現及びCD25+発現T制御性細胞を含む。
実施形態では、該T制御性細胞は、CD4+及び/またはCD8+T制御性細胞である。実施形態では、該T制御性細胞は、CD4+T制御性細胞である。実施形態では、該T制御性細胞は、CD8+T制御性細胞である。実施形態では、該T制御性細胞は、CD4+及びCD8+T制御性細胞である。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、T制御性細胞のレベル及び/または活性の増加は、該LNPと接触されないこと、または組み換えGM-CSFと接触されること以外は同様のサンプルにおけるT制御性細胞のレベル及び/または活性と比較される。実施形態では、T制御性細胞のレベル及び/または活性の増加は、インビボで生じる。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、T制御性細胞のレベル及び/または活性の増加は、以下のパラメータの1つ、2つ、もしくはすべて、またはそれらの組み合わせを含む:
(a)T制御性細胞(例えば、CD4+FoxP3+CD25+T制御性細胞)のレベル(例えば、数または割合)の増加、
(b)図6Aに記載の1つ以上の遺伝子の活性もしくは発現レベルの増加、または図6Bもしくは図6Cに記載の1つ以上の経路の活性もしくは発現レベルの増加、あるいは
(c)図6Aに記載の1つ以上の遺伝子の活性もしくは発現レベルの低下、または図6Bもしくは図6Cに記載の1つ以上の経路の活性もしくは発現レベルの低下。
実施形態では、T制御性細胞のレベル及び/または活性の増加は、図6Aに記載の1つ以上の遺伝子の活性もしくは発現レベルの増加、または図6Bもしくは図6Cに記載の1つ以上の経路の活性もしくは発現レベルの増加を含む。実施形態では、T制御性細胞のレベル及び/または活性の増加は、図6Aに記載の1つ以上の遺伝子の活性または発現レベルの増加を含む。実施形態では、該活性及び/または発現レベルの増加は、約2~5倍、約2~4.5倍、約2~4倍、約2~3.5倍、または約2~3倍である。実施形態では、該活性及び/または発現レベルの増加は、約2倍である。実施形態では、該活性及び/または発現レベルの増加は、約3倍である。実施形態では、該活性及び/または発現レベルの増加は、約4倍である。実施形態では、該活性及び/または発現レベルの増加は、約5倍である。実施形態では、該活性及び/または発現レベルの増加は、5倍を超える。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、GM-CSFをコードするポリヌクレオチドを含むLNPの投与により、GM-CSFのバイオアベイラビリティが(例えば、当該対象からのサンプルにおいて)増加する。実施形態では、該バイオアベイラビリティの増加は、組み換えGM-CSF、例えば、サルグラモスチムの投与と比較される。実施形態では、該バイオアベイラビリティの増加は、少なくとも1.5~10倍、少なくとも1.5~9倍、少なくとも1.5~8倍、少なくとも1.5~7倍、少なくとも1.5~6倍、少なくとも1.5~5倍、少なくとも1.5~4倍、少なくとも1.5~3倍または少なくとも1.5~2倍である。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、GM-CSFをコードするポリヌクレオチドを含むLNPの投与により、GM-CSFの発現レベル、例えば、安定性または半減期が(例えば、当該対象からの血漿サンプルにおいて)、GM-CSFをコードするポリヌクレオチドを含むLNPを投与されていない対象と比較して、または組み換えGM-CSF、例えば、サルグラモスチムを投与された対象と比較して増加する。GM-CSFの発現レベルの増加は、例えば、実施例2のアッセイによって測定して、約10~50倍である。実施形態では、GM-CSFの発現レベルの増加は、約10~45倍、約10~40倍、約10~35倍、約10~30倍、約10~25倍、約10~20倍または約10~15倍である。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、組織中のGM-CSFのレベルは、参照、例えば、適切な対照と比較して増加しない。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、GM-CSFをコードするmRNAを含むLNPは、異なる形態で投与されるGM-CSFの用量と比較して、低用量(例えば、低有効量)で投与され得る。実施形態では、該LNPの低用量は、組み換えGM-CSF、例えば、サルグラモスチムの用量と比較される。実施形態では、該LNPにおけるGM-CSFの用量は、少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍低い。実施形態では、該LNPにおけるGM-CSFの用量は、例えば、組み換えGM-CSF、例えば、サルグラモスチムと比較して、約1.5~10倍低いか、約1.5~9倍低いか、約1.5~8倍低いか、約1.5~7倍低いか、約1.5~6倍低いか、約1.5~5倍低いか、約1.5~4倍低いか、約1.5~3倍低いか、または約1.5~2倍低い。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、LNPの投与により、ニューロンのレベル(例えば、ニューロンの数または割合)の低下が、例えば、GM-CSFをコードするポリヌクレオチドを含むLNPを投与されていない対象におけるニューロンのレベルと比較して、または組み換えGM-CSF、例えば、サルグラモスチムを投与された対象におけるニューロンのレベルと比較して、防止される。実施形態では、ニューロンのレベル、例えば、数は、該LNPを投与された対象からのサンプルにおいて、例えば、実施例4または5に記載のアッセイによって測定して、少なくとも20~50%高い。
実施形態では、黒質線条体神経変性及び/またはミクログリア活性化は、GM-CSFをコードするmRNAを含むLNPの投与後に、例えば、参照、例えば、適切な対照と比較して低下する。実施形態では、該黒質線条体神経変性及び/またはミクログリア活性化の低下は、例えば、GM-CSFをコードするmRNAを含むLNPの投与がない参照における黒質線条体神経変性及び/またはミクログリア活性化と比較して、ほぼ少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍低い。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学的修飾を含む。実施形態では、該化学的修飾は、プソイドウリジン、N1-メチルプソイドウリジン、2-チオウリジン、4’-チオウリジン、5-メチルシトシン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、4-チオ-プソイドウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロプソイドウリジン、5-メチルウリジン、5-メチルウリジン、5-メトキシウリジン、及び2’-O-メチルウリジンからなる群から選択される。実施形態では、該化学的修飾は、プソイドウリジン、N1-メチルプソイドウリジン、5-メチルシトシン、5-メトキシウリジン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。実施形態では、該化学的修飾は、N1-メチルプソイドウリジンである。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、完全修飾されたN1-メチルプソイドウリジンを含むmRNAを含む。本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、1つ以上の修飾されたN1-メチルプソイドウリジンも完全修飾されたN1-メチルプソイドウリジンも含まないこと以外は同一のmRNAを含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該LNP組成物は、(i)イオン性脂質、例えば、アミノ脂質、(ii)ステロールまたは他の構造脂質、(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、及び(iv)PEG-脂質、例えば、PEG修飾脂質を含む。実施形態では、該イオン性脂質は、化合物18を含む。実施形態では、該リン脂質は、化合物H-409を含む。実施形態では、該構造脂質は、コレステロールを含む。実施形態では、該PEG-脂質は、PEG-DMGまたは化合物P-428を含む。
本開示の核酸(GM-CSF mRNAをコードする)は、通常は脂質ナノ粒子に製剤化される。いくつかの実施形態では、該脂質ナノ粒子は、少なくとも1つのイオン性カチオン性脂質、少なくとも1つの非カチオン性脂質、少なくとも1つのステロール、及び/または少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質を含む。
いくつかの実施形態では、該脂質ナノ粒子は、モル比20~60%のイオン性カチオン性脂質を含む。例えば、該脂質ナノ粒子は、モル比20~50%、20~40%、20~30%、30~60%、30~50%、30~40%、40~60%、40~50%、または50~60%のイオン性カチオン性脂質を含み得る。いくつかの実施形態では、該脂質ナノ粒子は、モル比20%、30%、40%、50、または60%のイオン性カチオン性脂質を含む。
いくつかの実施形態では、該脂質ナノ粒子は、モル比5~25%の非カチオン性脂質を含む。例えば、該脂質ナノ粒子は、モル比5~20%、5~15%、5~10%、10~25%、10~20%、10~25%、15~25%、15~20%、または20~25%の非カチオン性脂質を含み得る。いくつかの実施形態では、該脂質ナノ粒子は、モル比5%、10%、15%、20%、または25%の非カチオン性脂質を含む。
いくつかの実施形態では、該脂質ナノ粒子は、モル比25~55%のステロールを含む。例えば、該脂質ナノ粒子は、モル比25~50%、25~45%、25~40%、25~35%、25~30%、30~55%、30~50%、30~45%、30~40%、30~35%、35~55%、35~50%、35~45%、35~40%、40~55%、40~50%、40~45%、45~55%、45~50%、または50~55%のステロールを含み得る。いくつかの実施形態では、該脂質ナノ粒子は、モル比25%、30%、35%、40%、45%、50%、または55%のステロールを含む。
いくつかの実施形態では、該脂質ナノ粒子は、モル比0.5~15%のPEG修飾脂質を含む。例えば、該脂質ナノ粒子は、モル比0.5~10%、0.5~5%、1~15%、1~10%、1~5%、2~15%、2~10%、2~5%、5~15%、5~10%、または10~15%を含み得る。いくつかの実施形態では、該脂質ナノ粒子は、モル比0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%のPEG修飾脂質を含む。
いくつかの実施形態では、該脂質ナノ粒子は、モル比20~60%のイオン性カチオン性脂質、5~25%の非カチオン性脂質、25~55%のステロール、及び0.5~15%のPEG修飾脂質を含む。
実施形態では、該LNPは、モル比約20~60%の化合物18、5~25%のリン脂質、25~55%のコレステロール、及び0.5~15%のPEG修飾脂質を含む。実施形態では、該LNPは、モル比約50%の化合物18、約10%のリン脂質、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%のPEG修飾脂質を含む。
実施形態では、該LNPは、モル比約50%の化合物18、約10%の化合物H-409、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%のPEG-DMGを含む。
実施形態では、該LNPは、モル比約50%の化合物18、約10%の化合物H-409、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%の化合物P-428を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該LNP組成物は、(i)イオン性脂質、例えば、アミノ脂質、(ii)ステロールまたは他の構造脂質、(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、及び(iv)PEG-脂質、例えば、PEG修飾脂質を含む。実施形態では、該イオン性脂質は、化合物25を含む。実施形態では、該リン脂質は、化合物H-409を含む。実施形態では、該構造脂質は、コレステロールを含む。実施形態では、該PEG-脂質は、PEG-DMGまたは化合物P-428を含む。
実施形態では、該LNPは、モル比約20~60%の化合物25、5~25%のリン脂質、25~55%のコレステロール、及び0.5~15%のPEG修飾脂質を含む。実施形態では、該LNPは、モル比約50%の化合物25、約10%のリン脂質、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%のPEG修飾脂質を含む。
実施形態では、該LNPは、モル比約50%の化合物25、約10%の化合物H-409、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%のPEG-DMGを含む。
実施形態では、該LNPは、モル比約50%の化合物25、約10%の化合物H-409、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%の化合物P-428を含む。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該LNPを投与される対象は、哺乳類、例えば、マウス、ラットまたはヒトである。実施形態では、該対象は、ヒトである。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該組成物は、筋肉内または皮下投与される。実施形態では、該組成物は、筋肉内投与される。実施形態では、該組成物は、皮下投与される。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該LNPは、毎日、約2~35日間、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、21、28、30または35日間投与される。実施形態では、該LNPは、毎日、約2~35日間、約2~34日間、約2~33日間、約2~32日間、約2~31日間、約2~30日間、約2~29日間、約2~28日間、約2~27日間、約2~26日間、約2~25日間、約2~24日間、約2~23日間、約2~22日間、約2~21日間、約2~20日間、約2~19日間、約2~18日間、約2~17日間、約2~16日間、約2~15日間、約2~14日間、約2~13日間、約2~12日間、約2~11日間、約2~10日間、約2~9日間、約2~8日間、約2~7日間、約2~6日間、約2~5日間、約3~35日間、約5~35日間、約10~35日間、約14~35日間、約21~35日間、約28~35日間、約30~35日間、または約21~30日間投与される。実施形態では、該LNPは、毎日、約4日間投与される。実施形態では、該LNPは、毎日、約28日間投与される。別の実施形態では、該LNPは、それほど頻繁ではなく、例えば、毎週、隔週、毎月、またはより少ない頻度で投与される。
本明細書に開示する方法または本明細書に開示する使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該LNPは、単剤療法として投与される。
前述のLNP組成物または当該LNP組成物の使用方法のいずれかのさらなる特徴としては、以下の列挙される実施形態の1つ以上が挙げられる。当業者は、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、または確認することができるであろう。かかる均等物は、以下の列挙される実施形態によって包含されることが意図される。
本開示の他の実施形態
E1.対象におけるパーキンソン病の治療で使用するヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物であって、前記GM-CSFポリペプチドが、配列番号1、配列番号8、配列番号187、配列番号215、または配列番号220のアミノ酸配列を含む、LNP組成物。
E2.対象におけるパーキンソン病の治療方法であって、前記対象に対して、ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物の有効量を投与することを含む方法であって、前記GM-CSFポリペプチドが、配列番号1、配列番号8、配列番号187、配列番号215、または配列番号220のアミノ酸配列を含む、方法。
E3.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号2の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E4.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号3の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E5.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号4の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E6.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号5の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E7.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号6の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E8.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号7の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E9.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号188の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E10.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号216の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E11.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号219の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E12.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号221の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E13.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号224の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E14.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号201または204の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E15.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号206または209の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E16.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号211または214の配列に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載の使用のためのLNP組成物、または実施形態2に記載の方法。
E17.LNPの投与により、サンプル(例えば、対象からのサンプル)における、例えば、実施例2~8のいずれか1つに記載のアッセイによって特定されるT制御性細胞のレベル及び/または活性が増加する、実施形態1~16のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E18.前記T制御性細胞が、FoxP3+発現及び/またはCD25+発現T制御性細胞を含む、実施形態17に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E19.前記T制御性細胞が、CD4+及び/またはCD8+T制御性細胞である、実施形態17または18に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E20.前記T制御性細胞のレベル及び/または活性の増加が、前記LNPと接触されないこと、または組み換えGM-CSFと接触されること以外は同様のサンプルにおけるT制御性細胞のレベル及び/または活性と比較される、実施形態17~19のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E21.前記T制御性細胞のレベル及び/または活性の増加が、インビボで生じる、実施形態17~20のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E22.前記T制御性細胞のレベル及び/または活性の増加が、以下のパラメータの1つ、2つ、もしくはすべて、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態17~21のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法:
(a)T制御性細胞(例えば、CD4+FoxP3+CD25+T制御性細胞)のレベル(例えば、数または割合)の増加、
(b)図6Aに記載の1つ以上の遺伝子の活性もしくは発現レベルの増加、または図6Bもしくは図6Cに記載の1つ以上の経路の活性もしくは発現レベルの増加、あるいは
(c)図6Aに記載の1つ以上の遺伝子の活性もしくは発現レベルの低下、または図6Bもしくは図6Cに記載の1つ以上の経路の活性もしくは発現レベルの低下。
E23.前記T制御性細胞のレベル及び/または活性の増加が、例えば、実施例2~8のいずれか1つに記載のアッセイによって測定して、約1.5~5倍である、実施形態17~22のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E24.図6Aに記載の1つ以上の遺伝子の活性及び/または発現レベルの増加が、約2~5倍であるかまたは5倍を超える、実施形態17~22のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E25.図6Aに記載の1つ以上の遺伝子の活性及び/または発現レベルの低下が、約2倍である、実施形態17~22のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E26.前記GM-CSFをコードするポリヌクレオチドを含むLNPの投与により、GM-CSFのバイオアベイラビリティが(例えば、前記対象からのサンプルにおいて)、組み換えGM-CSF、例えば、サルグラモスチムの投与と比較して増加する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E27.前記バイオアベイラビリティの増加が、少なくとも1.5~10倍である、実施形態26に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E28.前記GM-CSFをコードするポリヌクレオチドを含むLNPの投与により、GM-CSFの発現レベル、例えば、安定性または半減期が(例えば、前記対象からの血漿サンプルにおいて)、前記GM-CSFをコードするポリヌクレオチドを含むLNPを投与されていない対象と比較して、または組み換えGM-CSF、例えば、サルグラモスチムを投与された対象と比較して増加する、実施形態26または27に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E29.前記GM-CSFの発現レベルの増加が、例えば、実施例2のアッセイによって測定して、約10~50倍である、実施形態28に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E30.前記LNPが、組み換えGM-CSF、例えば、サルグラモスチムの投与と比較して、低用量(例えば、低有効用量)で投与され得る、実施形態26~29のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E31.前記LNPにおけるGM-CSFの用量が、少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍低い、実施形態30に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E32.前記LNPの投与により、ニューロンのレベル(例えば、ニューロンの数または割合)の低下が、例えば、前記GM-CSFをコードするポリヌクレオチドを含むLNPを投与されていない対象におけるニューロンのレベルと比較して、または組み換えGM-CSF、例えば、サルグラモスチムを投与された対象におけるニューロンのレベルと比較して、防止される、実施形態1~31のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E33.前記ニューロンのレベル、例えば、数が、前記LNPを投与された対象からのサンプルにおいて、例えば、実施例4または5に記載のアッセイによって測定して、少なくとも20~50%高い、実施形態32に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E34.前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、少なくとも1つの化学的修飾を含む、実施形態1~33のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E35.前記化学的修飾が、プソイドウリジン、N1-メチルプソイドウリジン、2-チオウリジン、4’-チオウリジン、5-メチルシトシン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、4-チオ-プソイドウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロプソイドウリジン、5-メチルウリジン、5-メチルウリジン、5-メトキシウリジン、及び2’-O-メチルウリジンからなる群から選択される、実施形態34に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E36.前記化学的修飾が、プソイドウリジン、N1-メチルプソイドウリジン、5-メチルシトシン、5-メトキシウリジン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態35に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E37.前記化学的修飾が、N1-メチルプソイドウリジンである、実施形態35または36に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E38.前記ポリヌクレオチドが、完全修飾されたN1-メチルプソイドウリジンを含むmRNAを含む、実施形態1~37のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E39.前記LNP組成物が、(i)イオン性脂質、例えば、アミノ脂質、(ii)ステロールまたは他の構造脂質、(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、及び(iv)PEG-脂質、例えば、PEG修飾脂質を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E40.前記イオン性脂質が、化合物18または化合物25を含む、実施形態39に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E41.前記リン脂質が、化合物H-409である、実施形態39または40に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E42.前記構造脂質が、コレステロールである、実施形態39~41のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E43.前記PEG-脂質が、PEG-DMGまたは化合物P-428である、実施形態39~42のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E44.前記LNPが、モル比約20~60%の化合物18または化合物25、5~25%のリン脂質、25~55%のコレステロール、及び0.5~15%のPEG修飾脂質を含む、実施形態39~43のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E45.前記脂質ナノ粒子が、モル比約50%の化合物18、約10%のリン脂質、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%のPEG修飾脂質を含む、実施形態44に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E46.前記脂質ナノ粒子が、モル比約50%の化合物18、約10%のリン脂質、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%のPEG-DMGを含む、実施形態44に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E47.前記脂質ナノ粒子が、モル比約50%の化合物18、約10%のリン脂質、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%の化合物P-428を含む、実施形態44に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E48.前記脂質ナノ粒子が、モル比約50%の化合物25、約10%のリン脂質、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%のPEG修飾脂質を含む、実施形態44に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E49.前記脂質ナノ粒子が、モル比約50%の化合物25、約10%のリン脂質、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%のPEG-DMGを含む、実施形態44に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E50.前記脂質ナノ粒子が、モル比約50%の化合物25、約10%のリン脂質、約38.5%のコレステロール、及び約1.5%の化合物P-428を含む、実施形態44に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E51.前記対象が、哺乳類、例えば、マウス、ラットまたはヒトである、実施形態1~50のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E52.前記組成物が、筋肉内または皮下投与される、実施形態1~51のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E53.前記LNPが、毎日、約2~35日間、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、21、28、30または35日間投与される、実施形態1~52のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E54.前記LNPが、毎日、約4日間投与される、実施形態53に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E55.前記LNPが、毎日、約28日間投与される、実施形態53に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E56.前記LNPが、単剤療法として投与される、実施形態1~55のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E57.組織中のGM-CSFのレベルが、参照、例えば、適切な対照と比較して増加しない、実施形態1~56のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E58.黒質線条体神経変性及び/またはミクログリア活性化が、GM-CSFをコードするmRNAを含むLNPの投与後に、参照、例えば、適切な対照と比較して低下する、実施形態1~57のいずれか1つに記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
E59.前記黒質線条体神経変性及び/またはミクログリア活性化の低下が、例えば、GM-CSFをコードするmRNAを含むLNPの投与がない参照における黒質線条体神経変性及び/またはミクログリア活性化と比較して、ほぼ少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍低い、実施形態58に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
LNP製剤化Gm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。複数の漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNA足場または対照NTFIXでの処理前(前)及び6時間後(後)の末梢血中の血漿GM-CSFタンパク質レベルの定量化を示すグラフを示す。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。*前と比較してp<0.05、0mg/kgと比較してp<0.05。 LNP製剤化Gm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。複数の漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNA足場で処理したマウス由来の脾臓における脾腫を示す代表的な画像を示す。 LNP製剤化Gm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。最初の処理から4日後の臓器重量の定量化、及び臓器重量の線形回帰分析を示すグラフを示す。(R2=0.4674、P=0.0009)。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。*前と比較してp<0.05、0mg/kgと比較してp<0.05。 LNP製剤化Gm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。処理後の全血中の白血球(WBC)の絶対数を示すグラフを示す。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。*前と比較してp<0.05、0mg/kgと比較してp<0.05。 LNP製剤化Gm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。処理後の全血中の単球の絶対数を示すグラフを示す。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。*前と比較してp<0.05、0mg/kgと比較してp<0.05。 LNP製剤化Gm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。処理後の全血中の好中球の絶対数を示すグラフを示す。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。*前と比較してp<0.05、0mg/kgと比較してp<0.05。 LNP製剤化Gm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。処理後の全血中のリンパ球の絶対数を示すグラフを示す。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。*前と比較してp<0.05、0mg/kgと比較してp<0.05。 LNP製剤化Gm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。処理後のアルカリホスファターゼに関する血液化学プロファイルの変化を示すグラフを示す。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。*前と比較してp<0.05、0mg/kgと比較してp<0.05。 LNP製剤化Gm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。処理後のアルブミンに関する血液化学プロファイルの変化を示すグラフを示す。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。*前と比較してp<0.05、0mg/kgと比較してp<0.05。 LNP製剤化Gm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。処理後のアミラーゼに関する血液化学プロファイルの変化を示すグラフを示す。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。*前と比較してp<0.05、0mg/kgと比較してp<0.05。 漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAによるC57/BL6マウスにおけるCD4+CD25+FOXP3+のTreg数の増加を示す。処理後の末梢血中のCD4+T細胞頻度を示すグラフを示す。Tregは、未処理(0mg/kg)、Gm-csf mRNA処理(0.001mg/kg~0.1mg/kg)、または組み換えGM-CSFタンパク質処理マウスから、処理の4日後に単離した。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。0mg/kgと比較してp<0.05。 漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAによるC57/BL6マウスにおけるCD4+CD25+FOXP3+のTreg数の増加を示す。Gm-csf mRNA処理後の末梢血中のTreg頻度を示すグラフを示す(n=4~5、R2=0.37、P=0.006)。Tregは、未処理(0mg/kg)、Gm-csf mRNA処理(0.001mg/kg~0.1mg/kg)、または組み換えGM-CSFタンパク質処理マウスから、処理の4日後に単離した。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。0mg/kgと比較してp<0.05。 漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAによるC57/BL6マウスにおけるCD4+CD25+FOXP3+のTreg数の増加を示す。天然の組み換えGM-CSFタンパク質での処理と比較した、漸増用量のGm-csf mRNAでの処理後の末梢血中のCD3+細胞の定量化を示すグラフを示す。Tregは、未処理(0mg/kg)、Gm-csf mRNA処理(0.001mg/kg~0.1mg/kg)、または組み換えGM-CSFタンパク質処理マウスから、処理の4日後に単離した。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。0mg/kgと比較してp<0.05。 漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAによるC57/BL6マウスにおけるCD4+CD25+FOXP3+のTreg数の増加を示す。天然の組み換えGM-CSFタンパク質での処理と比較した、漸増用量のGm-csf mRNAでの処理後の末梢血中のCD8+細胞の定量化を示すグラフを示す。 漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAによるC57/BL6マウスにおけるCD4+CD25+FOXP3+のTreg数の増加を示す。天然の組み換えGM-CSFタンパク質での処理と比較した、漸増用量のGm-csf mRNAでの処理後の末梢血中のCD4+細胞の定量化を示すグラフを示す。Tregは、未処理(0mg/kg)、Gm-csf mRNA処理(0.001mg/kg~0.1mg/kg)、または組み換えGM-CSFタンパク質処理マウスから、処理の4日後に単離した。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。0mg/kgと比較してp<0.05。 漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAによるC57/BL6マウスにおけるCD4+CD25+FOXP3+のTreg数の増加を示す。天然の組み換えGM-CSFタンパク質での処理と比較した、漸増用量のGm-csf mRNAでの処理後の末梢血中のCD4+CD25+FOXP3+細胞の定量化を示すグラフを示す。Tregは、未処理(0mg/kg)、Gm-csf mRNA処理(0.001mg/kg~0.1mg/kg)、または組み換えGM-CSFタンパク質処理マウスから、処理の4日後に単離した。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。0mg/kgと比較してp<0.05。 漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAによるC57/BL6マウスにおけるCD4+CD25+FOXP3+のTreg数の増加を示す。抗CD3/CD28ビーズで刺激したCFSE染色Tresp(CD4+CD25-)のTregが媒介する阻害(±SEM)の評価を示すグラフを示す。Tregは、未処理(0mg/kg)、Gm-csf mRNA処理(0.001mg/kg~0.1mg/kg)、または組み換えGM-CSFタンパク質処理マウスから、処理の4日後に単離した。線形回帰分析は、0mg/kg、0.001mg/kg、0.01mg/kg、及びGM-CSFの直線に関してp<0.04、R2≧0.91、ならびに0.1mg/kgに関してp=0.08、R2=0.84を示す。平均±SEMの差(n=4~5/群)を特定した。 LNP製剤化GM-CSF mRNA処理後のC57/BL6マウスにおける用量依存的な骨髄集団の増加を示す。処理動物におけるCD11c+の頻度を示す。示した結果は、少なくとも3つの独立した実験からの平均+/-SEMである。 LNP製剤化GM-CSF mRNA処理後のC57/BL6マウスにおける用量依存的な骨髄集団の増加を示す。処理動物における全CD45+CD3-集団でゲートした代表的なフローサイトメトリープロットを示す。示した結果は、少なくとも3つの独立した実験からの平均+/-SEMである。 LNP製剤化GM-CSF mRNA処理後のC57/BL6マウスにおける用量依存的な骨髄集団の増加を示す。全CD11c+集団内のCD11b+またはCD8α亜集団の頻度を示す。示した結果は、少なくとも3つの独立した実験からの平均+/-SEMである。 LNP製剤化GM-CSF mRNA処理後のC57/BL6マウスにおける用量依存的な骨髄集団の増加を示す。全CD11c+集団内のCD11b+またはCD8α亜集団の代表的なフローサイトメトリープロットを示す。示した結果は、少なくとも3つの独立した実験からの平均+/-SEMである。 LNP製剤化GM-CSF mRNA処理後のC57/BL6マウスにおける用量依存的な骨髄集団の増加を示す。全CD45+CD3-集団内のCD11b+集団の頻度を示す。示した結果は、少なくとも3つの独立した実験からの平均+/-SEMである。 LNP製剤化GM-CSF mRNA処理後のC57/BL6マウスにおける用量依存的な骨髄集団の増加を示す。全CD45+CD3-集団内のCD11b+集団の代表的なフローサイトメトリープロットを示す。示した結果は、少なくとも3つの独立した実験からの平均+/-SEMである。 LNP製剤化GM-CSF mRNA処理後のC57/BL6マウスにおける用量依存的な骨髄集団の増加を示す。全CD11c+細胞でゲートしたCD86、CD40及びクラスIIのI-A/I-Eの発現(MFIで表される)を示す。示した結果は、2つの独立した実験からの平均+/-SEMである。 LNP製剤化GM-CSF mRNAで処理したアルファ-synモデルの動物におけるMPTPが誘導する黒質線条体神経変性及びミクログリア活性化の減弱を示す。マウスの黒質(SN)内のドーパミン作動性(TH+/ニッスル+)ニューロン及び線条体(STR)内のTH+細胞終末の顕微鏡写真を示す(SN TH+=スケールバー、500μm、STR=スケールバー、1000μm)。 LNP製剤化GM-CSF mRNAで処理したアルファ-synモデルの動物におけるMPTPが誘導する黒質線条体神経変性及びミクログリア活性化の減弱を示す。MPTP中毒後のSN内で生存するTH+/ニッスル+及び非ドーパミン作動性(TH-/ニッスル+)ニューロンの総数の立体解析学的定量化を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=8)の差を特定した。PBSで処理した群(図では「a」の文字で示される)、MPTPで処理した群(図では「b」の文字で示される)、0.01mg/kgのLNP製剤化GM-CSF mRNAで処理した群(図では「c」の文字で示される)、及び0.1mg/kgのLNP製剤化GM-CSF mRNAで処理した群(図では「d」で示される)と比較してp<0.05。残存総ニューロン数の平均パーセントは、各処理バーに示されている。 LNP製剤化GM-CSF mRNAで処理したアルファ-synモデルの動物におけるMPTPが誘導する黒質線条体神経変性及びミクログリア活性化の減弱を示す。線条体のドーパミン作動性終末におけるPBS対照に対して正規化したTH密度の相対的倍率変化を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=8)の差を特定した。PBS(図では「a」の文字で示される)と比較してp<0.05。 LNP製剤化GM-CSF mRNAで処理したアルファ-synモデルの動物におけるMPTPが誘導する黒質線条体神経変性及びミクログリア活性化の減弱を示す。SNにおけるMac-1+ミクログリアの顕微鏡写真を示す。すべての画像に関して、マウスをPBS、MPTP、0.001mg/kgのGm-csf mRNA、0.01mg/kgのGm-csf mRNA、0.1mg/kgのGm-csf mRNA、または0.1mg/kgの組み換えGM-CSFタンパク質で処理した(スケールバー、500μm、挿入画像=200x)。 LNP製剤化GM-CSF mRNAで処理したアルファ-synモデルの動物におけるMPTPが誘導する黒質線条体神経変性及びミクログリア活性化の減弱を示す。MPTP中毒から2日後の中脳から採取した反応性ミクログリアの定量化を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=6)の差を特定した。PBS(図では「a」の文字で示される)及びMPTP(図では「b」の文字で示される)と比較してp<0.05。 mRNAが誘導するTregの養子移入が、MPTPが誘導する病変に対して保護的であることを示す。PBSまたはMPTPでの処理後、0.01mg/kgのGm-csf mRNAまたは0.1mg/kgのGm-csf mRNAのいずれかで処理したマウスから単離したTregの養子移入を受けたマウスの黒質(SN、上段)内のTH+/ニッスル+ドーパミン作動性ニューロンの代表的な画像と、線条体(STR、下段)への投射を示す(SN TH+=スケールバー、500μm、STR=スケールバー、1000μm)。 mRNAが誘導するTregの養子移入が、MPTPが誘導する病変に対して保護的であることを示す。MPTP中毒及び1×10のTreg養子移入後のSN内で生存するドーパミン作動性(TH+/ニッスル+)及び非ドーパミン作動性(TH-/ニッスル+)ニューロンの総数の定量化を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=6~7)の差を特定した。PBS(図では「a」の文字で示される)と比較してp<0.05。 mRNAが誘導するTregの養子移入が、MPTPが誘導する病変に対して保護的であることを示す。MPTP中毒に続いてTregの養子移入を受けたSTR内のTH+細胞終末の濃度測定分析を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=6~7)の差を特定した。PBS(図では「a」の文字で示される)と比較してp<0.05。 LNP製剤化Gm-csf mRNAで処理した後のCD4+T細胞集団における遺伝子発現パターンを示す。上方制御または下方制御が2以上の遺伝子の表を示す。遺伝子を、上方制御または下方制御の程度に従って分類し、図6Aの凡例に記載の通りに異なる柄で示した。 LNP製剤化Gm-csf mRNAで処理した後のCD4+T細胞集団における遺伝子発現パターンを示す。Hematological System Development and Functionネットワーク内の調節異常遺伝子の経路解析図を示す。 LNP製剤化Gm-csf mRNAで処理した後のCD4+T細胞集団における遺伝子発現パターンを示す。Cellular and Tissue Developmentネットワーク内の調節異常遺伝子の経路解析図を示す。クロスハッチング柄のノードは、下方制御された遺伝子を示す。点及び長点柄のノードは、上方制御された遺伝子を示す。柄のないノードは、測定されなかったが各々対応するシグナル伝達経路に関与しているingenuity pathway analysis(IPA)によって識別される遺伝子を示す。灰色の矢印は、2つの接続遺伝子間の直接的な関係を示す。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNA処理の結果を示す。PBS、0.01mg/kg、または0.1mg/kgのラットGm-csf mRNA、または0.1mg/kgの組み換えラットGM-CSFタンパク質で処理した後の体重に対して正規化した脾臓重量の定量化を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=3)の差を特定した。0mg/kg(図では「a」の文字で示される)と比較してp<0.05。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNA処理の結果を示す。処理後の末梢血中のCD3+サブセットを含むT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=3)の差を特定した。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNA処理の結果を示す。処理後の末梢血中のCD4+サブセットを含むT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=3)の差を特定した。0mg/kg(図では「a」の文字で示される)と比較してp<0.05。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNA処理の結果を示す。処理後の末梢血中のCD4+CD25+FOXP3+サブセットを含むT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=3)の差を特定した。0mg/kg(図では「a」の文字で示される)及び0.1mg/kgのGM-CSF(図では「b」の文字で示される)と比較してp<0.05。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNA処理の結果を示す。様々なTresp:Treg比でのエキソビボでのTreg(CD4+CD25+)が媒介する細胞抑制(±SEM)の定量化を示すグラフを示す。Tregが媒介する抑制は、阻害パーセントとして表される。線形回帰分析は、すべての処理に関してp<0.01、R2≧0.87を示す。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNA処理の結果を示す。Sham、AAV2/1-GFP(AAV-GFP)ベクター、AAV2/1-α-syn(AAV-α-syn)ベクター、AAV-α-syn+0.01mg/kgのGm-csf mRNA、またはAAV-α-syn+0.1mg/kgのGm-csf mRNAのいずれかでの処理前(前)(黒いバー)及び処理後(後)(灰色のバー)のT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。末梢全血を、リンパ球集団内のCD3+細胞の頻度に関して分析した。平均(±SEM、n=7)の差を特定した。*前と比較してp<0.05。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNA処理の結果を示す。Sham、AAV2/1-GFP(AAV-GFP)ベクター、AAV2/1-α-syn(AAV-α-syn)ベクター、AAV-α-syn+0.01mg/kgのGm-csf mRNA、またはAAV-α-syn+0.1mg/kgのGm-csf mRNAのいずれかでの処理前(前)(黒いバー)及び処理後(後)(灰色のバー)のT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。末梢全血を、リンパ球集団内のCD4+細胞の頻度に関して分析した。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNA処理の結果を示す。Sham、AAV2/1-GFP(AAV-GFP)ベクター、AAV2/1-α-syn(AAV-α-syn)ベクター、AAV-α-syn+0.01mg/kgのGm-csf mRNA、またはAAV-α-syn+0.1mg/kgのGm-csf mRNAのいずれかでの処理前(前)(黒いバー)及び処理後(後)(灰色のバー)のT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。末梢全血を、リンパ球集団内のCD8+細胞の頻度に関して分析した。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNA処理の結果を示す。Sham、AAV2/1-GFP(AAV-GFP)ベクター、AAV2/1-α-syn(AAV-α-syn)ベクター、AAV-α-syn+0.01mg/kgのGm-csf mRNA、またはAAV-α-syn+0.1mg/kgのGm-csf mRNAのいずれかでの処理前(前)(黒いバー)及び処理後(後)(灰色のバー)のT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。末梢全血を、リンパ球集団内のCD4+CD25+FOXP3+細胞の頻度に関して分析した。平均(±SEM、n=7)の差を特定した。*前、Sham-後(図では「a」の文字で示される)、AAV-GFP-後(図では「b」の文字で示される)、AAV-α-syn-後(図では「c」の文字で示される)、またはAAV-α-syn+0.01mg/kgのGm-csf mRNA-後(図では「d」の文字で示される)と比較してp<0.05。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットモデルにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNAでの長期処理の神経保護的効果及び抗炎症作用を示す。定位固定法を用いて、同側でPBS(Sham)、AAV対照(AAV-GFP)、AAV-α-syn単独、またはAAV-α-synのいずれかを注射した後、0.01mg/kgまたは0.1mg/kgの2つの異なる用量のGm-csf mRNAで処理したSprague-Dawleyラットの黒質(1列及び2列)内のTH+/ニッスル+ドーパミン作動性ニューロンの代表的な画像を示す(スケールバー、1000μm)。処理後の線条体内のTH+ドーパミン作動性ニューロン終末の代表的な画像を3列に示す(スケールバー、1000μm)。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットモデルにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNAでの長期処理の神経保護的効果及び抗炎症作用を示す。α-syn過剰発現後のSNの同側及び反対側の半球内で生存するドーパミン作動性(TH+/ニッスル+、黒いバー)及び非ドーパミン作動性(TH-/ニッスル+、灰色のバー)ニューロンの総数の同側/反対側比の立体解析学的定量化を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=7)の差を特定した。Sham(図では「a」の文字で示される)、AAV-GFP(図では「b」の文字で示される)、またはAAV-α-syn処理(図では「c」の文字で示される)と比較してp<0.05。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットモデルにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNAでの長期処理の神経保護的効果及び抗炎症作用を示す。線条体の同側及び反対側半球内の線条体THドーパミン作動性終末密度の同側/反対側比を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=7)の差を特定した。Sham(図では「a」の文字で示される)、AAV-GFP(図では「b」の文字で示される)、AAV-α-syn(図では「c」の文字で示される)、またはAAV-α-syn+0.01mg/kgのGm-csf mRNA(図では「d」の文字で示される)と比較してp<0.05。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットモデルにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNAでの長期処理の神経保護的効果及び抗炎症作用を示す。反対側及び同側の両方の黒質内のIba1+ミクログリアの代表的な画像を示す(スケールバー、40μm)。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットモデルにおけるLNP製剤化Gm-csf mRNAでの長期処理の神経保護的効果及び抗炎症作用を示す。立体的解析を利用して、同側と反対側の密度の比として示される反応性のアメーバ様Iba1+ミクログリア密度の定量化を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=7)の差を特定した。Sham(図では「a」の文字で示される)、AAV-GFP(図では「b」の文字で示される)、またはAAV-α-syn(図では「c」の文字で示される)と比較してp<0.05。 A~Dは、AAVアルファ-syn及びLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理、またはLNP製剤化Gm-csf mRNA単独での処理後の末梢サイトカインプロファイルを示す。Aは、AAV-α-syn及び0.01mg/kgのGm-csf mRNAまたは0.1mg/kgのGm-csf mRNAでの処理後の末梢血血漿中のCINC-1、CINC-2a/b、CINC-3、CNTF、フラクタルカイン、GMCSF、siCAM-1、及びIP-10末梢サイトカインの倍率変化を示すグラフを示す。Bは、IFNγ、IL-1a、IL-1B、IL-1ra、IL-2、IL-3、及びIL-4の倍率変化を示すグラフを示す。Cは、LIX、L-セレクチン、MIG、MIP-1a、RANTES、CXCL7、及びTIMP-1の倍率変化を示すグラフを示す。Dは、IL-6、IL-10、IL-13、IL-17、TNFα、及びVEGFAの倍率変化を示すグラフを示す。平均(±SEM、n=4)の差を特定した。AAV-α-syn(図では「a」の文字で示される)と比較してp<0.05。 LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。複数の漸増用量のLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNA足場、対照NTFIX、またはGM-CSFタンパク質での処理から6時間後、ならびに1、3、及び5日後の末梢血中の血漿GM-CSFタンパク質レベルの定量化を示すグラフを示す。 LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。最初の処理から1、3、及び5日後の臓器重量の定量化を示すグラフを示す。 LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAによる筋肉内処理の効果を示す。処理後の全血中の白血球(WBC)(左上)、単球(左下)、好中球(右下)、及びリンパ球(右上)の絶対数を示すグラフを示す。 漸増用量のLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAを投与したマウスにおける処理後1、3、及び5日目での免疫組織化学効果を示す。天然の組み換えGM-CSFタンパク質及び対照NTFIXでの処理と比較した、漸増用量のMSAコンジュゲートGm-csf mRNAでの処理後の末梢血中のCD3+(右上)、CD8+(右下)、CD4+(左下)、及びCD4+CD25+FOXP3+(左上)細胞の定量化を示すグラフを示す。 漸増用量のLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAを投与したマウスにおける処理後1、3、及び5日目での免疫組織化学効果を示す。抗CD3/CD28ビーズで刺激したCFSE染色Tresp(CD4+CD25-)のTregが媒介する阻害(±SEM)の評価を示すグラフを示す。Tregは、未処理(0mg/kg)、MSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理(0.001mg/kg~0.1mg/kg)、または組み換えGM-CSFタンパク質処理マウスから、処理の1、3、及び5日後に単離した。 LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理した動物におけるMPTPが誘導する黒質線条体神経変性及びミクログリア活性化の減弱を示す。MPTP中毒後の黒質(SN)内で生存するドーパミン作動性(TH+/ニッスル+)及び非ドーパミン作動性(TH-/ニッスル+)ニューロンの総数の立体解析学的定量化を示すグラフとともに、マウスのSN内のTH+/ニッスル+ニューロンの顕微鏡写真を示す。平均(±SEM、n=15)の差を特定した。PBSで処理した群(図では「a」の文字で示される)、MPTPで処理した群(図では「b」の文字で示される)、0.01mg/kgのLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理した群(図では「c」の文字で示される)、0.03mg/kgのLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理した群(図では「d」の文字で示される)、及び0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAで処理した群(図では「e」の文字で示される)と比較してp<0.05。 LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理した動物におけるMPTPが誘導する黒質線条体神経変性及びミクログリア活性化の減弱を示す。線条体のドーパミン作動性終末におけるPBS対照に対して正規化したTH密度の相対的倍率変化を示すグラフとともに、マウスの線条体(STR)内のドーパミン作動性(TH+/ニッスル+)ニューロンの顕微鏡写真を示す。平均(±SEM、n=15)の差を特定した。PBS(図では「a」の文字で示される)、MPTPで処理した群(図では「b」の文字で示される)、0.01mg/kgのLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理した群(図では「c」の文字で示される)、0.03mg/kgのLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理した群(図では「d」の文字で示される)、及び0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAで処理した群(図では「e」の文字で示される)と比較してp<0.05。 LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理した動物におけるMPTPが誘導する黒質線条体神経変性及びミクログリア活性化の減弱を示す。SNにおけるMac-1+ミクログリアの顕微鏡写真を示す。すべての画像に関して、マウスをPBS、MPTP、0.01mg/kgのMSAコンジュゲートGm-csf mRNA、0.03mg/kgのMSAコンジュゲートGm-csf mRNA、0.1mg/kgのMSAコンジュゲートGm-csf mRNA、または0.1mg/kgのNTFIXで処理した。MPTP中毒から2日後の中脳から採取した反応性ミクログリアの定量化を示すグラフも示す。平均(±SEM、n=15)の差を特定した。PBS(図では「a」の文字で示される)、MPTPで処理した群(図では「b」の文字で示される)、0.01mg/kgのLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理した群(図では「c」の文字で示される)、0.03mg/kgのLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理した群(図では「d」の文字で示される)、及び0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAで処理した群(図では「e」の文字で示される)と比較してp<0.05。 PBS、MPTP、0.1mg/kgの組み換えGM-CSFタンパク質、及び0.1mg/kgのLNP製剤化MSAコンジュゲートGM-CSF mRNAで処理した群に関して、MPTP中毒後の黒質(SN内)で生存するドーパミン作動性(TH+/ニッスル+)及び非ドーパミン作動性(TH-/ニッスル+)ニューロンの総数の立体解析学的定量化を示すグラフとともに、マウスのSN内のTH+/ニッスル+ニューロンの顕微鏡写真を示す。 PBS、MPTP、0.1mg/kgの組み換えGM-CSFタンパク質、及び0.1mg/kgのLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理した群に関して、線条体のドーパミン作動性終末におけるTH密度の相対的倍率変化を示すグラフとともに、マウスの線条体(STR)内のドーパミン作動性(TH+/ニッスル+)ニューロンの顕微鏡写真を示す。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理の結果を示す。様々なTresp:Treg比でのエキソビボでのTreg(CD4+CD25+)が媒介する細胞抑制(±SEM)の定量化を示すグラフを示す。Tregが媒介する抑制は、阻害パーセントとして表される。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理の結果を示す。処理後に採取した脾臓におけるCD3+、CD4+、CD4+CD25+FOXP3+サブセットを含むT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理の結果を示す。処理後に採取した脾臓におけるCD8+、及びCD45R+サブセットを含むT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理の結果を示す。処理後の末梢血中のCD3+サブセットを含むT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理の結果を示す。処理後の末梢血中のCD4+サブセットを含むT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理の結果を示す。処理後の末梢血中のCD4+CD25+FOXP3+サブセットを含むT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理の結果を示す。処理後の末梢血中のCD8+サブセットを含むT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。 α-syn過剰発現Sprague-DawleyラットにおけるLNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理の結果を示す。処理後の末梢血中のCD45R+サブセットを含むT細胞表現型頻度のフローサイトメトリー分析を示すグラフを示す。
制御性T細胞(T制御性細胞またはTregとしても知られている)は、パーキンソン病(PD)の予防及び/または治療に対して有力な治療価値を有する。パーキンソン病では、疾患の発症及び進行は、多くの場合、Tregの数ならびにそれらの抗増殖及び抗炎症作用の減少に関連している。しかしながら、これが発生する機序は研究中である。
GM-CSF(LEUKINE(登録商標)、サルグラモスチム)の治療可能性は、PD患者を対象とした第I相臨床試験で最近明らかにされた(Gendelman,H.E.,et al.(2017)NPJ Parkinsons Dis 3,10)。GM-CSFを2か月間毎日投与することで、Tregの数と機能が増加した。しかしながら、毎日の治療は一般に忍容性良好であったものの、注射部位反応、白血球数増加、及び骨痛を含め、すべての被験者が軽度~中等度の有害事象を経験した。さらに、組み換えGM-CSFの限られたバイオアベイラビリティ及び短い半減期のため、比較的高用量及び頻回の投与が必要である。従って、GM-CSFの代替送達戦略を開発する必要がある。
従って、本明細書に開示するのは、PDを有する対象の治療で使用するヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む脂質ナノ粒子(LNP)である。実施例2~8に示すように、LNP製剤化GM-CSF mRNAの投与により、例えば、Treg数、機能、及び分岐するヒト疾患モデルにおける優れた神経保護活性の増強がもたらされ、天然のGM-CSFタンパク質を超える進歩が示された。
ある態様では、本開示は、とりわけ、ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)ポリペプチドを含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物を使用する方法を提供する。本明細書に記載の使用のための本開示のLNP組成物は、ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするmRNA治療薬を含む。ある態様では、本開示のLNP組成物は、対象におけるパーキンソン病の治療に使用され得る。
定義
投与すること:本明細書で使用される、「投与すること」とは、組成物を対象または患者に送達する方法を指す。投与方法は、身体の特定の領域または系への送達を標的とする(例えば、特異的に送達する)ように選択され得る。例えば、投与は、非経口(例えば、皮下、皮内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、または頭蓋内注射、及び任意の適切な注入技術)、経口、経皮または皮内、皮下、直腸、膣内、局所(例えば、粉末、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、及び/または点滴薬による)、粘膜、鼻、頬、経腸、硝子体、腫瘍内、舌下、鼻腔内で、気管内注入、気管支注入、及び/または吸入によって、経口スプレー及び/または粉末、点鼻薬、及び/またはエアロゾルとして、及び/または門脈カテーテルを通して行われ得る。
およそ、約:本明細書で使用される、1つ以上の目的の値に適用される、「およそ」または「約」という用語は、述べられた基準値と類似した値を指す。ある特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別途記載のない限りまたは別途内容から明らかでない限り(かかる数が可能な値の100%を超える場合を除く)、述べられた基準値のいずれかの方向(上回るまたは下回る)において、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満に含まれる値の範囲を指す。例えば、LNPの脂質成分中の所与の化合物の量の文脈で使用される場合、「約」は、列挙された値の+/-5%を意味し得る。例えば、約40%の所与の化合物を有する脂質成分を含むLNPは、30~50%の該化合物を含み得る。
コンジュゲートされる:本明細書で使用される、「コンジュゲートされる」という用語は、2つ以上の部分に関して使用される場合、該部分が、直接または連結剤として機能する1つ以上のさらなる部分を介して、互いに物理的に会合または接続され、十分に安定な構造が形成され、該構造が使用される条件、例えば、生理学的条件下で該部分が物理的に会合したままであることを意味する。いくつかの実施形態では、2つ以上の部分は、直接共有化学結合によってコンジュゲートされ得る。他の実施形態では、2つ以上の部分は、イオン結合または水素結合によってコンジュゲートされ得る。
接触させること:本明細書で使用される、「接触させること」という用語は、2つ以上の実体間の物理的接続を確立することを意味する。例えば、細胞をmRNAまたは脂質ナノ粒子組成物と接触させることとは、該細胞及びmRNAまたは脂質ナノ粒子に物理的接続を共有させることを意味する。細胞を、インビボ、インビトロ、及びエキソビボのいずれの外部実体とも接触させる方法は、生物学分野において周知である。本開示の例示的な実施形態では、哺乳類細胞を組成物(例えば、本開示のナノ粒子、または医薬組成物)と接触させるステップは、インビボで行われる。例えば、脂質ナノ粒子組成物と、生物(例えば、哺乳類)内に配置され得る細胞(例えば、哺乳類細胞)との接触は、任意の適切な投与経路(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、及び皮下投与を含めた生物への非経口投与)によって行われ得る。インビトロに存在する細胞の場合、組成物(例えば、脂質ナノ粒子)及び細胞は、例えば、該組成物を該細胞の培地に添加することによって接触される場合があり、トランスフェクションを伴う場合もトランスフェクションをもたらす場合もある。さらに、複数の細胞を、ナノ粒子組成物と接触させてもよい。
送達すること:本明細書で使用される、「送達すること」という用語は、実体を目的地に提供することを意味する。例えば、治療薬及び/または予防薬を対象に送達することとは、治療薬及び/または予防薬を含むLNPを対象に(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、または皮下経路によって)投与することを含み得る。哺乳類または哺乳類細胞へのLNPの投与は、1つ以上の細胞を脂質ナノ粒子と接触させることを含み得る。
封入する:本明細書で使用される、「封入する」という用語は、囲む、包囲する、または包み込むことを意味する。いくつかの実施形態では、化合物、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)、または他の組成物は、完全に封入される場合もあれば、部分的に封入される場合もあれば、実質的に封入される場合もある。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、脂質ナノ粒子、例えば、リポソームに封入され得る。
封入効率:本明細書で使用される、「封入効率」とは、LNPの調製に使用される治療薬及び/または予防薬の初期総量に対する、LNPの一部となる治療薬及び/または予防薬の量を指す。例えば、組成物に最初に提供される合計100mgの治療薬及び/または予防薬のうち、97mgの治療薬及び/または予防薬がLNPに封入される場合、封入効率は97%として与えられ得る。本明細書で使用される、「封入」とは、完全な、実質的な、または部分的な囲み、閉じ込め、包囲、または包み込みを指し得る。
有効量:本明細書で使用される、薬剤の「有効量」という用語は、有益なまたは所望の結果、例えば、臨床結果をもたらすのに十分な量であり、従って、「有効量」は、それが適用される状況に依存する。例えば、本開示の脂質組成物(例えばLNP)中の標的細胞送達促進脂質の量の観点から、標的細胞送達促進脂質の有効量は、該標的細胞送達促進脂質を欠く脂質組成物(例えば、LNP)と比較して、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。脂質組成物(例えば、LNP)によってもたらされる有益なまたは所望の結果の非限定的な例としては、トランスフェクトされた細胞のパーセンテージを増加させること、及び/または該脂質組成物(例えば、LNP)と会合した/それによって封入された核酸によってコードされるタンパク質の発現レベルを増加させることが挙げられる。有効量の脂質ナノ粒子が対象の標的細胞に取り込まれるように、標的細胞送達促進脂質含有脂質ナノ粒子を投与するという観点から、標的細胞送達促進脂質含有LNPの有効量とは、標的細胞送達促進脂質を欠くLNPと比較して、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。対象における有益なまたは所望の結果の非限定的な例としては、標的細胞送達促進脂質を欠くLNPと比較して、トランスフェクトされた細胞のパーセンテージを増加させること、標的細胞送達促進脂質含有LNPと会合した/それによって封入された核酸によってコードされるタンパク質の発現レベルを増加させること、及び/または標的細胞送達促進脂質含有LNPと会合した/それによって封入された核酸もしくはそのコードされたタンパク質のインビボにおける予防または治療効果を増加させることが挙げられる。いくつかの実施形態では、治療有効量の標的細胞送達促進脂質含有LNPは、感染、疾患、障害、及び/または状態に罹患しているかまたはそれに罹患しやすい対象に投与された場合、該感染、疾患、障害、及び/または状態を治療する、それらの症状を改善する、診断する、予防する、及び/またはそれらの発症を遅延させるのに十分である。別の実施形態では、有効量の脂質ナノ粒子は、標的細胞の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%またはそれ以上における所望のタンパク質の発現をもたらすのに十分である。
発現:本明細書で使用される、核酸配列の「発現」とは、以下の事象の1つ以上を指す:(1)DNA配列からのRNA鋳型の産生(例えば、転写による)、(2)RNA転写物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/または3’末端プロセシングによる)、(3)RNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳、ならびに(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。
エキソビボ:本明細書で使用される、「エキソビボ」という用語は、生物(例えば、動物、植物、もしくは微生物またはそれらの細胞もしくは組織)の外部で生じる事象を指す。エキソビボの事象は、天然の(例えば、インビボ)環境からの変更が最小限の環境で生じ得る。
断片:本明細書で使用される、「断片」とは、部分を指す。例えば、タンパク質の断片は、培養細胞から単離された完全長タンパク質を消化することにより得られる、または組み換えDNA技術を介して得られるポリペプチドを含み得る。タンパク質の断片は、例えば、タンパク質の断片がタンパク質の機能活性を保持するように、1つ以上の機能ドメインを含むタンパク質の部分であり得る。
GCリッチ:本明細書で使用される、「GCリッチ」という用語は、グアニン(G)及び/またはシトシン(C)核酸塩基、またはその誘導体もしくはアナログを含むポリヌクレオチド(例えば、mRNA)またはその任意の部分(例えば、RNA要素)のGC含量が約50%を超える核酸塩基組成を指す。「GCリッチ」という用語は、遺伝子、非コード領域、5’UTR、3’UTR、オープンリーディングフレーム、RNA要素、配列モチーフ、または約50%のGC含量を含むそれらの任意の別個の配列、断片、またはセグメントが挙げられるがこれらに限定されないポリヌクレオチドのすべてまたは一部を指す。本開示のいくつかの実施形態では、GCリッチポリヌクレオチド、またはそれらの任意の部分は、グアニン(G)及び/またはシトシン(C)核酸塩基のみから構成される。
GC含量:本明細書で使用される、「GC含量」という用語は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)、またはその一部(例えば、RNA要素)におけるグアニン(G)及びシトシン(C)核酸塩基、またはそれらの誘導体もしくはアナログである核酸塩基のパーセンテージを指す(DNA及びRNA中のアデニン(A)及びチミン(T)またはウラシル(U)、及びそれらの誘導体またはアナログを含めた可能な核酸塩基の総数から)。「GC含量」という用語は、遺伝子、非コード領域、5’もしくは3’UTR、オープンリーディングフレーム、RNA要素、配列モチーフ、またそれらの任意の別個の配列、断片、またはセグメントが挙げられるがこれらに限定されないポリヌクレオチドのすべてまたは一部を指す。
異種:本明細書で使用される、「異種」とは、配列(例えば、アミノ酸配列またはアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド)が、所与のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに通常は存在しないことを示す。例えば、1つのタンパク質のドメインまたはモチーフに対応するアミノ酸配列は、第二のタンパク質に対して異種であり得る。
単離された:本明細書で使用される、「単離された」という用語は、会合していた(天然にまたは実験的設定においてにかかわらず)成分の少なくとも一部から分離された物質または実体を指す。単離された物質は、それらが会合していた物質に関連して様々なレベルの純度を有し得る。単離された物質及び/または実体は、それらが最初に会合した他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれ以上から分離される可能性がある。いくつかの実施形態では、単離された物質は、約80%を超えて、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%を超えて純粋である。本明細書で使用される場合、物質は、実質的に他の成分を含まない場合、「純粋」である。
コザック配列:「コザック配列」(「コザックコンセンサス配列」とも呼ばれる)という用語は、遺伝子またはオープンリーディングフレームの発現を向上させる翻訳開始エンハンサー要素を指し、真核生物では、5’UTRに位置する。該コザックコンセンサス配列は、元々、プレプロインスリン遺伝子の翻訳における開始コドン(AUG)周囲の単一突然変異の影響の分析に従い、GCCRCC、ここで、R=プリン、の配列として定義された(Kozak(1986)Cell 44:283-292)。本明細書に開示するポリヌクレオチドは、コザックコンセンサス配列、またはその誘導体もしくは修飾を含む。(翻訳エンハンサー組成物及びその使用方法の例は、参照により全体として本明細書に組み込まれるAndrews et al.の米国特許第5,807,707号、参照により全体として本明細書に組み込まれるChernajovskyの米国特許第5,723,332号、参照により全体として本明細書に組み込まれるWilsonの米国特許第5,891,665号を参照されたい)。
スキャンニング漏れ:PICが開始コドンを迂回し、その代わりに代替の(alternate)または代替の(alternative)開始コドンが認識されるまで下流のスキャニングを継続する「スキャンニング漏れ」として知られる現象が生じる場合がある。発生頻度によっては、PICによる開始コドンの迂回により翻訳効率が低下する場合がある。さらに、この下流のAUGコドンからの翻訳が生じる可能性があり、その結果、望ましくない異常な翻訳産物が産生され、望ましい治療反応を引き出すことができない可能性がある。場合によっては、この異常な翻訳産物が、実際に有害な反応を引き起こし得る(Kracht et al.,(2017)Nat Med 23(4):501-507)。
リポソーム:本明細書で使用される、「リポソーム」とは、水性の内部を囲む脂質含有膜を含む構造を意味する。リポソームは、1つ以上の脂質膜を有し得る。リポソームとしては、単層リポソーム(当技術分野では単ラメラリポソームとしても知られている)及び多層(リポソーム(当技術分野では多重膜リポソームとしても知られている)が挙げられる。
修飾された:本明細書で使用される、「修飾された」または「修飾」とは、分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、mRNA)の組成または構造の変化した状態または変化を指す。分子(例えば、ポリヌクレオチド)は、化学的に、構造的に、及び/または機能的に等の様々な方法で修飾され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、1つ以上のRNA要素の組み込みによって構造的に修飾される場合があり、該RNA要素は、1つ以上の機能(例えば、翻訳調節活性)を提供する配列及び/またはRNAの二次構造(複数可)を含む。従って、本開示のポリヌクレオチドは、1つ以上の修飾で構成され得る(例えば、1つ以上の化学的、構造的、または機能的修飾を、それらの任意の組み合わせを含めて含み得る)。1つの実施形態では、本開示のmRNA分子は、例えば、天然のリボヌクレオチド、すなわち、A、U、G、及びCについて非天然のヌクレオシド及び/またはヌクレオチドの導入によって修飾される。非標準的ヌクレオチド、例えば、キャップ構造は、それらがA、C、G、Uリボヌクレオチドの化学構造と異なってはいるが、「修飾された」とは見なさない。
mRNA:本明細書で使用される、「mRNA」とは、伝令リボ核酸を指す。mRNAは、天然型であっても非天然型であってもよい。例えば、mRNAは、修飾された及び/または非天然型の成分、例えば、1つ以上の核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはリンカーを含み得る。mRNAは、キャップ構造、鎖終止ヌクレオシド、ステムループ、ポリA配列、及び/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。mRNAは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有し得る。mRNAの翻訳、例えば、哺乳類細胞内のmRNAのインビボ翻訳は、ポリペプチドを産生し得る。従来、mRNA分子の基本的構成要素には、少なくともコード領域、5’非翻訳領域(5’-UTR)、3’UTR、5’キャップ及びポリA配列が含まれる。
ナノ粒子:本明細書で使用される、「ナノ粒子」とは、約1000nm未満のスケールで任意の1つの構造的特徴を有し、同じ材料のバルクサンプルと比較して新規な特性を示す粒子を指す。日常的には、ナノ粒子は、約500nm未満、約200nm未満、または約100nm未満のスケールで任意の1つの構造的特徴を有する。同様に日常的には、ナノ粒子は、約50nm~約500nm、約50nm~約200nm、または約70nm~約120nmのスケールで任意の1つの構造的特徴を有する。例示的な実施形態では、ナノ粒子は、約1nm~約1000nm程度の1つ以上の寸法を有する粒子である。他の例示的な実施形態では、ナノ粒子は、約10nm~約500nm程度の1つ以上の寸法を有する粒子である。他の例示的な実施形態では、ナノ粒子は、約50nm~約200nm程度の1つ以上の寸法を有する粒子である。球状ナノ粒子は、例えば、約50nm~約100nmまたは約70nm~約120nmの直径を有する。ナノ粒子は、ほとんどの場合、その輸送及び特性の点で単位として挙動する。対応するバルク材料からナノ粒子を識別する新規な特性は、通常、1000nm未満のサイズスケールで、または約100nmのサイズで明らかになるが、ナノ粒子は、例えば、長円形、管状等である粒子に関しては、より大きなサイズのものであり得ることが留意される。ほとんどの分子のサイズは上記の外形に収まるが、個々の分子は通常、ナノ粒子とは呼ばれない。
核酸:本明細書で使用される、「核酸」という用語は、その最も広い意味で使用され、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/または物質を包含する。これらのポリマーは、多くの場合、ポリヌクレオチドと呼ばれる。本開示の例示的な核酸またはポリヌクレオチドとしては、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、DNA-RNAハイブリッド、RNAi誘導剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒DNA、三重らせん形成を誘導するRNA、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA、β-D-リボ構成を有するLNA、α-L-リボ構成を有するα-LNA(LNAのジアステレオマー)、2’-アミノ官能化を有する2’-アミノ-LNA、及び2’-アミノ官能化を有する2’-アミノ-α-LNA等)またはそれらのハイブリッドが挙げられるがこれらに限定されない。
核酸構造:本明細書で使用される、「核酸構造」(「ポリヌクレオチド構造」と同義で使用される)という用語は、核酸(例えば、mRNA)を含む連結したヌクレオチド、またはその誘導体もしくはアナログの原子、化学成分、要素、モチーフ、及び/または配列の配置または組織を指す。該用語はまた、2次元または3次元状態の核酸も指す。従って、「RNA構造」という用語は、RNA分子(例えば、mRNA)を含む連結したヌクレオチド、またはその誘導体もしくはアナログの原子、化学成分、要素、モチーフ、及び/または配列の配置または組織を指し、及び/または2次元及び/または3次元状態のRNA分子を指す。核酸構造は、さらに、本明細書では、組織複雑性の増加に基づいて「分子構造」、「一次構造」、「二次構造」、及び「三次構造」と呼ばれる4つの組織カテゴリーに区分され得る。
核酸塩基:本明細書で使用される、「核酸塩基」(または「ヌクレオチド塩基」もしくは「窒素塩基」)という用語は、核酸に見出されるプリンまたはピリミジンヘテロ環式化合物を指し、核酸またはその部分もしくはセグメントに改善された特性(例えば、結合親和性、ヌクレアーゼ耐性、化学的安定性)を付与する天然型プリン及びピリミジンの任意の誘導体またはアナログを含む。アデニン、シトシン、グアニン、チミン、及びウラシルが、天然の核酸に主に見られる核酸塩基である。当技術分野で既知の、及び/または本明細書に記載の他の天然、非天然、及び/または合成核酸塩基を核酸に組み込むことができる。
ヌクレオシド/ヌクレオチド:本明細書で使用される、「ヌクレオシド」という用語は、核酸塩基(例えば、プリンもしくはピリミジン)、またはその誘導体もしくはアナログ(本明細書では「核酸塩基」とも呼ばれる)に共有結合した糖分子(例えば、RNAのリボースもしくはDNAのデオキシリボース)、またはその誘導体もしくはアナログを含むが、ヌクレオシド間の連結基(例えば、リン酸基)を欠く化合物を指す。本明細書で使用される、「ヌクレオチド」という用語は、ヌクレオシド間連結基(例えば、リン酸基)に共有結合したヌクレオシド、あるいは核酸またはその部分もしくはセグメントに改善された化学的及び/または機能的特性(例えば、結合親和性、ヌクレアーゼ耐性、化学的安定性)を付与するその任意の誘導体、アナログ、または修飾を指す。
オープンリーディングフレーム:本明細書で使用される、「ORF」と略される「オープンリーディングフレーム」という用語は、ポリペプチドをコードするmRNA分子のセグメントまたは領域を指す。該ORFは、開始コドンで始まり、終止コドンで終わる一続きの非重複、インフレームコドンを含み、リボソームによって翻訳される。
患者:本明細書で使用される、「患者」とは、治療を求めている場合もあれば、治療を必要とする場合もある対象、治療が必要な対象、治療を受けている対象、治療を受ける予定の対象、または教育を受けた専門家によって特定の疾患もしくは状態の医療を受けている対象を指す。特定の実施形態では、患者は、ヒト患者である。いくつかの実施形態では、患者は、例えば、本明細書に記載の通り、自己免疫疾患に罹患している患者である。
医薬的に許容される:「医薬的に許容される」という句は、本明細書では、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なくヒト及び動物の組織と接触する用途に適した、合理的なリスク・ベネフィット比に見合った化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指すために使用される。
医薬的に許容される賦形剤:本明細書で使用される、「医薬的に許容される賦形剤」という句は、本明細書に記載の化合物を除いた任意の成分(例えば、該活性化合物を懸濁または溶解することが可能な媒体)であるとともに、患者において実質的に非毒性かつ非炎症性の特性を有する成分を指す。賦形剤としては、例えば、接着防止剤、酸化防止剤、結合剤、コーティング、圧縮助剤、崩壊剤、染料(着色剤)、エモリエント、乳化剤、充填剤(希釈剤)、造膜剤またはコーティング、香味料、香料、流動促進剤(流動向上剤)、滑沢剤、防腐剤、印刷インク、吸着剤、懸濁または分散剤、甘味料、及び水和水が挙げられ得る。例示的な賦形剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが挙げられるがこれらに限定されない。
医薬的に許容される塩:本明細書で使用される、「医薬的に許容される塩」とは、本開示の化合物の誘導体を指し、この場合、該親化合物は、既存の酸または塩基部分をその塩形態に転換することにより(例えば、遊離の塩基基を適切な有機酸と反応させることにより)修飾されている。医薬的に許容される塩の例としては、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩または有機塩等が挙げられるがこれらに限定されない。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、酢酸、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコへプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等が挙げられるがこれらに限定されない非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、及びアミンカチオンが挙げられる。本開示の医薬的に許容される塩としては、例えば、非毒性無機または有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩が挙げられる。本開示の医薬的に許容される塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から従来の化学的手法で合成され得る。一般に、かかる塩は、これら化合物の遊離酸または塩基形態を化学量論量の適切な塩基または酸と水中もしくは有機溶媒中またはこれら2つの混合物中で反応させることによって調製され得る。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水媒体が好ましい。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418,Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Wiley-VCH,2008、及びBerge et al.,Journal of Pharmaceutical Science,66,1-19(1977)に見出される。これらの各々は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
ポリペプチド:本明細書で使用される、「ポリペプチド」または「目的のポリペプチド」という用語は、通常は、天然に産生される(例えば、単離または精製される)場合もあれば合成される場合もあるペプチド結合によって接合されるアミノ酸残基のポリマーを指す。
転写開始前複合体(PIC):本明細書で使用される、「転写開始前複合体」(または「43S転写開始前複合体」、「PIC」と略される)という用語は、40Sリボソームサブユニット、真核生物の開始因子(eIF1、eIF1A、eIF3、eIF5)、及びeIF2-GTP-Met-tRNA Met三重複合体を含むリボ核タンパク質複合体を指し、これは、本質的にmRNA分子の5’キャップへの結合が可能であり、結合後、該5’UTRのリボソームスキャンニングを実施することが可能である。
RNA:本明細書で使用される、「RNA」とは、天然型でも非天然型でもよいリボ核酸を指す。例えば、RNAは、修飾された及び/または非天然型の成分、例えば、1つ以上の核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはリンカーを含み得る。RNAは、キャップ構造、鎖終止ヌクレオシド、ステムループ、ポリA配列、及び/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。RNAは、目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有し得る。例えば、RNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)であり得る。特定のポリペプチドをコードするmRNAの翻訳、例えば、哺乳類細胞内のmRNAのインビボ翻訳は、コードされたポリペプチドを産生し得る。RNAは、低分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ダイサー基質RNA(dsRNA)、小ヘアピンRNA(shRNA)、mRNA、長鎖非コードRNA(lncRNA)、及びそれらの混合物からなる限定されない群から選択され得る。
RNA要素:本明細書で使用される、「RNA要素」という用語は、生物学的機能を与え、及び/または生物活性(例えば、翻訳調節活性)を有するRNA分子の部分、断片、またはセグメントを指す。1つ以上のRNA要素、例えば、本明細書に記載のものの組み込みによるポリヌクレオチドの修飾は、当該修飾ポリヌクレオチドに1つ以上の所望の機能特性を与える。本明細書に記載のRNA要素は、天然型の場合、非天然型の場合、合成の場合、操作されている場合、またはそれらの任意の組み合わせの場合がある。例えば、調節活性を与える天然型RNA要素としては、ウイルス、原核生物及び真核生物(例えば、ヒト)のトランスクリプトーム全体に見出される要素が挙げられる。特定の真核生物のmRNA及び翻訳されたウイルスRNAにおけるRNA要素は、細胞の多くの機能を媒介することに関与していることが示された。例示的な天然のRNA要素としては、翻訳開始要素(例えば、配列内リボソーム進入部位(IRES)、Kieft et al.,(2001)RNA 7(2):194-206参照)、翻訳エンハンサー要素(例えば、APP mRNA翻訳エンハンサー要素、Rogers et al.,(1999)J Biol Chem 274(10):6421-6431参照)、mRNA安定性要素(例えば、AUリッチ要素(ARE)、Garneau et al.,(2007)Nat Rev Mol Cell Biol 8(2):113-126参照)、翻訳抑制要素(例えば、Blumer et al.,(2002)Mech Dev 110(1-2):97-112参照)、タンパク質結合RNA要素(例えば、鉄応答要素、Selezneva et al.,(2013) J Mol Biol 425(18):3301-3310参照)、細胞質ポリアデニル化要素(Villalba et al.,(2011)Curr Opin Genet Dev 21(4):452-457)、及び触媒RNA要素(例えば、リボザイム、Scott et al.,(2009)Biochim Biophys Acta 1789(9-10):634-641参照)が挙げられるがこれらに限定されない。
滞留時間:本明細書で使用される、「滞留時間」という用語は、mRNA分子に沿った個別の位置または場所での転写開始前複合体(PIC)またはリボソームの占有時間を指す。
特異的送達:本明細書で使用される、「特異的送達」、「特異的に送達する」、または「特異的に送達すること」という用語は、ナノ粒子による、目的の標的細胞(例えば、哺乳類の標的細胞)への、オフターゲット細胞(例えば、非標的細胞)より多く(例えば、少なくとも10%多く、少なくとも20%多く、少なくとも30%多く、少なくとも40%多く、少なくとも50%多く、少なくとも1.5倍多く、少なくとも2倍多く、少なくとも3倍多く、少なくとも4倍多く、少なくとも5倍多く、少なくとも6倍多く、少なくとも7倍多く、少なくとも8倍多く、少なくとも9倍多く、少なくとも10倍多く)の治療薬及び/または予防薬の送達を意味する。特定の細胞へのナノ粒子の送達のレベルは、非標的細胞に対する標的細胞で産生されるタンパク質の量を比較すること(例えば、フローサイトメトリーを使用した平均蛍光強度によって)、該タンパク質を発現する非標的細胞に対する標的細胞の%を比較すること(例えば、定量的フローサイトメトリーによって)、非標的細胞に対する標的細胞で産生されるタンパク質の量と、非標的細胞に対する該標的細胞の総タンパク質量を比較すること、または非標的細胞に対する標的細胞中の治療薬及び/または予防薬の量と、非標的細胞に対する該標的細胞中の治療薬及び/または予防薬の総量を比較することによって測定され得る。標的細胞へのナノ粒子の特異的送達能力は、治療される対象で特定する必要はなく、動物モデル(例えば、マウスまたはNHPモデル)等の代理のもので測定され得ることが理解されよう。
対象:本明細書で使用される、「対象」という用語は、例えば、実験的、診断的、予防的、及び/または治療的目的のために、本開示による組成物が投与され得る任意の生物を指す。典型的な対象としては、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒト等の哺乳類)及び/または植物が挙げられる。いくつかの実施形態では、対象は、患者であり得る。
実質的に:本明細書で使用される、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性の全面的もしくはほぼ全面的な範囲または程度を示す定性的状態を指す。生物学の分野における当業者には、生物学的及び化学的現象が、完成まで進むこと及び/または完全性へと進むことまたは絶対的な結果を達成することもしくは回避することがめったにないことが理解されよう。「実質的に」という用語は、従って、本明細書では、多くの生物学的及び化学的現象に内在する完全性の潜在的な欠如を捕えるために使用される。
~に罹患している:疾患、障害、及び/または状態「に罹患している」個体は、疾患、障害、及び/または状態であると診断されているか、またはその1つ以上の症状を示す。
標的部分:本明細書で使用される、「標的部分」とは、ナノ粒子に特定の細胞、組織、及び/または器官型を標的とさせ得る化合物または薬剤である。
治療薬:「治療薬」という用語は、対象に投与された場合に、治療的、診断的、及び/または予防的効果を有する、及び/または所望の生物学的及び/または薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。
トランスフェクション:本明細書で使用される、「トランスフェクション」という用語は、種(例えば、mRNA等のポリヌクレオチド)を細胞に導入する方法を指す。
翻訳調節活性:本明細書で使用される、「翻訳調節活性」(「翻訳調節機能」と同義で使用される)という用語は、翻訳装置の活性、すなわち、該PIC及び/またはリボソームの活性等を調節する(例えば、調整する、影響を与える、制御する、変化させる)生物学的機能、機序、またはプロセスを指す。いくつかの態様では、該所望の翻訳調節活性は、mRNA翻訳の翻訳忠実度を促進及び/または強化する。いくつかの態様では、該所望の翻訳調節活性は、スキャンニング漏れを低減及び/または抑制する。
治療すること:本明細書で使用される、「治療すること」という用語は、特定の感染症、疾患、障害、及び/または状態を部分的にまたは完全に緩和すること、軽快すること、改善すること、軽減すること、その発症を遅延させること、その進行を阻害すること、その重症度の低下させること、及び/またはその1つ以上の症状もしくは特徴の発生率を低下させることを指す。例えば、がんを「治療すること」とは、腫瘍の生存、成長、及び/または拡散を阻害することを指し得る。治療は、疾患、障害、及び/または状態の兆候を示していない対象に対して、及び/または疾患、障害、及び/または状態の初期症状を示しているのみの対象に対して、該疾患、障害、及び/または状態と関連する病態の発症のリスクを低下させる目的で施される場合がある。
予防すること:本明細書で使用される、「予防すること」という用語は、感染症、疾患、障害及び/または状態の1つ以上の症状または特徴の発症を部分的にまたは完全に阻害することを指す。
未修飾の:本明細書で使用される、「未修飾の」とは、何らかの方法で変更される前の任意の物質、化合物または分子を指す。未修飾のとは、必ずではないが、生体分子の野生型または天然型を指す場合がある。分子は、各修飾分子が後続の修飾に対して「未修飾の」出発分子としての役割を果たし得る一連の修飾を受ける場合がある。
ウリジン含量:「ウリジン含量」または「ウラシル含量」という用語は、同義であり、ある特定の核酸配列に存在するウラシルまたはウリジンの量を指す。ウリジン含量またはウラシル含量は、絶対値(該配列中のウリジンもしくはウラシルの総数)または相対値(該核酸配列中の核酸塩基の総数に対するウリジンもしくはウラシルのパーセンテージ)として表すことができる。
ウリジン修飾配列:「ウリジン修飾配列」という用語は、候補核酸配列のウリジン含量及び/またはウリジンパターンと比較して、異なる全体的なまたは局所的なウリジン含量(高いもしくは低いウリジン含量)あるいは異なるウリジンパターン(例えば、傾斜分布またはクラスタリング)を備えた配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)を指す。本開示の観点から、「ウリジン修飾配列」及び「ウラシル修飾配列」という用語は、同等及び同義であると見なされる。
「高ウリジンコドン」とは、2つまたは3つのウリジンを含むコドンとして定義され、「低ウリジンコドン」は、1つのウリジンを含むコドンとして定義され、「ウリジンなしのコドン」は、ウリジンを含まないコドンである。いくつかの実施形態では、ウリジン修飾配列は、高ウリジンコドンの低ウリジンコドンでの置換、高ウリジンコドンのウリジンなしのコドンでの置換、低ウリジンコドンの高ウリジンコドンでの置換、低ウリジンコドンのウリジンなしのコドンでの置換、ウリジンなしのコドンの低ウリジンコドンでの置換、ウリジンなしのコドンの高ウリジンコドンでの置換、及びそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、高ウリジンコドンは、別の高ウリジンコドンで置き換えることができる。いくつかの実施形態では、低ウリジンコドンは、別の低ウリジンコドンで置き換えることができる。いくつかの実施形態では、ウリジンなしのコドンは、別のウリジンなしのコドンで置き換えることができる。ウリジン修飾配列は、ウリジンが濃縮される場合もあれば、ウリジンが希薄にされる場合もある。
ウリジンが濃縮される:本明細書で使用される、「ウリジンが濃縮される」という用語及び文法上の異形は、対応する候補核酸配列のウリジン含量と比較した、配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)におけるウリジン含量(絶対値またはパーセンテージの値で表される)の増加を指す。ウリジン濃縮は、候補核酸配列におけるコドンをウリジン核酸塩基が少ない同義コドンで置換することによって実施され得る。ウリジン濃縮は、全体的(すなわち、候補核酸配列の全長に対する)の場合もあれば、局所的(すなわち、候補核酸配列の部分列または領域に対する)の場合もある。
ウリジンが希薄にされる:本明細書で使用される、「ウリジンが希薄にされる」という用語及び文法上の異形は、対応する候補核酸配列のウリジン含量と比較した、配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)におけるウリジン含量(絶対値またはパーセンテージの値で表される)の低下を指す。ウリジン希薄化は、候補核酸配列におけるコドンをウリジン核酸塩基が少ない同義コドンで置換することによって実施され得る。ウリジン希薄化は、全体的(すなわち、候補核酸配列の全長に対する)の場合もあれば、局所的(すなわち、候補核酸配列の部分列または領域に対する)の場合もある。
パーキンソン病の治療で使用するGM-CSFをコードするポリヌクレオチドを含むLNP
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、マクロファージ、T細胞、肥満細胞、ナチュラルキラー細胞、内皮細胞及び線維芽細胞を含めた多くの細胞によって分泌されるサイトカインである。GM-CSFは、コロニー刺激因子2(CSF2)としても知られている。GM-CSFは、幹細胞を刺激して顆粒球(例えば、好中球)及び単球を生成することができ、これらが成熟してマクロファージ及び樹状細胞(DC)になり得る。GM-CSFは、DCの成熟、機能、及び動員を増加させることもできる。
ある態様では、本開示は、パーキンソン病の治療で使用する、例えば、本明細書に記載のヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を含むLNP組成物を提供する。実施形態では、該LNP組成物は、ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするmRNAを含む。
実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドは、表1Aまたは4Aに示すヒトGM-CSFポリペプチドのアミノ酸配列に対して100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドは、リーダー配列を含まない配列番号8のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドは、配列番号187のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドは、リーダー配列を含まない配列番号187のアミノ酸配列を含む。
実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、表1Aもしくは4Aに示すヌクレオチド配列、または表1Aもしくは4Aに示すヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号2の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号2のヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号3の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号3のヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号4の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号4のヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号5の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号5のヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号6の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号6のヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号7の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号7のヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号188の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号188のヌクレオチド配列を含む。
ある態様では、本開示は、パーキンソン病の治療で使用する、例えば、本明細書に記載のマウスGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を含むLNP組成物を提供する。実施形態では、該LNP組成物は、マウスGM-CSFポリペプチドをコードするmRNAを含む。
実施形態では、該マウスGM-CSFポリペプチドは、表1Aに示すマウスGM-CSFポリペプチドのアミノ酸配列に対して100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。実施形態では、該マウスGM-CSFポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該マウスGM-CSFポリペプチドは、リーダー配列を含まない配列番号9のアミノ酸配列を含む。
実施形態では、該マウスGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、表1Aに示すヌクレオチド配列、または表1Aに示すヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該マウスGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号4の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該マウスGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号4のヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該マウスGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号5の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該マウスGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号5のヌクレオチド配列を含む。
ある態様では、本開示は、パーキンソン病の治療で使用する、例えば、本明細書に記載のラットGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を含むLNP組成物を提供する。実施形態では、該LNP組成物は、ラットGM-CSFポリペプチドをコードするmRNAを含む。
実施形態では、該ラットGM-CSFポリペプチドは、表1Aまたは4Aに示すラットGM-CSFポリペプチドのアミノ酸配列に対して100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。実施形態では、該ラットGM-CSFポリペプチドは、配列番号10のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該ラットGM-CSFポリペプチドは、リーダー配列を含まない配列番号10のアミノ酸配列を含む。
実施形態では、該ラットGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、表1Aもしくは4Aに示すヌクレオチド配列、または表1Aもしくは4Aに示すヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ラットGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号6の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ラットGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号6のヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ラットGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号7の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該ラットGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号7のヌクレオチド配列を含む。
ある態様では、本開示は、パーキンソン病の治療で使用する、例えば、本明細書に記載のcyno GM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を含むLNP組成物を提供する。実施形態では、該LNP組成物は、cyno GM-CSFポリペプチドをコードするmRNAを含む。
実施形態では、該cyno GM-CSFポリペプチドは、表1Aに示すcyno GM-CSFポリペプチドのアミノ酸配列に対して100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。実施形態では、該cyno GM-CSFポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該cyno GM-CSFポリペプチドは、リーダー配列を含まない配列番号11のアミノ酸配列を含む。
実施形態では、該cyno GM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、表1Aに示すヌクレオチド配列、または表1Aに示すヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該cyno GM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号12の配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該cyno GM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、配列番号12のヌクレオチド配列を含む。
実施形態では、該GM-CSF分子は、さらに、半減期延長剤、例えば、アルブミン、IgG、FcRnまたはトランスフェリン等の血清タンパク質に結合するタンパク質(またはその断片)を含む。実施形態では、該半減期延長剤は、アルブミンもしくはその断片、または抗体分子のFcドメイン(例えば、FcRn結合が強化されたFcドメイン)を含む。実施形態では、該半減期延長剤は、アルブミン、またはその断片である。実施形態では、該半減期延長剤は、アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、マウス血清アルブミン(MSA)、cyno血清アルブミン(CSA)またはラット血清アルブミン(RSA)である。実施形態では、該半減期延長剤は、ヒト血清アルブミン(HSA)である。実施形態では、該半減期延長剤は、マウス血清アルブミン(MSA)である。実施形態では、該半減期延長剤は、cyno血清アルブミン(CSA)である。実施形態では、該半減期延長剤は、ラット血清アルブミン(RSA)である。好ましい実施形態では、該血清アルブミン分子の種は、治療される種と同じである。
実施形態では、該半減期延長剤は、ヒト血清アルブミン(HSA)である。実施形態では、HSAは、配列番号189のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。実施形態では、HSAは、配列番号189のアミノ酸配列を含む。
実施形態では、該LNPは、半減期延長剤を含むGM-CSF分子をコードするポリヌクレオチドを含む。実施形態では、該半減期延長剤は、ヒト血清アルブミン(HSA)である。実施形態では、該HSAを含むGM-CSF分子、例えば、HSA-GM-CSFは、表1Aまたは4Aに示すHSA-GM-CSF配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。実施形態では、該HSAを含むGM-CSF分子、例えば、HSA-GM-CSFは、表1Aまたは4Aに示すHSA-GM-CSF配列のアミノ酸配列を含む。実施形態では、該半減期延長剤は、ヒト血清アルブミン(HSA)である。実施形態では、該HSAを含むGM-CSF分子、例えば、HSA-GM-CSFは、配列番号187に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。実施形態では、該HSAを含むGM-CSF分子、例えば、HSA-GM-CSFは、配列番号187のアミノ酸配列を含む。
実施形態では、半減期延長剤を含むGM-CSF分子をコードする第二のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を含むLNP組成物は、配列番号188の核酸配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。実施形態では、該半減期延長剤を含むGM-CSF分子をコードする第二のポリヌクレオチドは、配列番号188のヌクレオチド配列を含む。
実施形態では、該GM-CSF分子をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、さらに1つ以上の要素、例えば、本明細書に開示する5’UTR及び/または3’UTR、例えば、表4Bのものを含む。実施形態では、該5’UTR及び/または3’UTRは、1つ以上のマイクロRNA(miR)結合部位、例えば、本明細書に開示するものを含む。例示的な5’UTR及び3’UTRは、本明細書の「5’UTR及び3’UTR」と題されたセクションに開示されている。
Figure 2022552378000001
Figure 2022552378000002
Figure 2022552378000003
Figure 2022552378000004
Figure 2022552378000005
Figure 2022552378000006
Figure 2022552378000007
Figure 2022552378000008
理論に拘束されることを望むものではないが、当業者には、HSAが一般にプレプロペプチドとして作製されるため、いくつかの実施形態では、アミノ酸配列RGVFRRDが、本明細書に記載のリーダー配列の一部を構成し得ることが理解されよう。
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチド、例えば、ポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、(1)5’キャップ、例えば、本明細書に開示するもの、(2)5’UTR、例えば、表4Aに示すもの、(3)表1A、または4Aに示すヌクレオチド配列ORF、(4)終止コドン、(5)3’UTR、例えば、表4Aに示すもの、及び(6)ポリAテール、例えば、本明細書に開示するもの、例えば、約100残基のポリAテール、例えば、配列番号25を含む。
いくつかの実施形態では、GM-CSFポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、配列番号204を含み、これは、5’から3’末端に向かって、配列番号202の5’UTR、配列番号201のORF配列、配列番号203の3’UTR及び配列番号25のポリAテールからなる。
いくつかの実施形態では、GM-CSFポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、配列番号209を含み、これは、5’から3’末端に向かって、配列番号207の5’UTR、配列番号206のORF配列、配列番号208の3’UTR及び配列番号25のポリAテールからなる。
いくつかの実施形態では、GM-CSFポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、配列番号214を含み、これは、5’から3’末端に向かって、配列番号212の5’UTR、配列番号211のORF配列、配列番号213の3’UTR及び配列番号25のポリAテールからなる。
いくつかの実施形態では、GM-CSFポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、配列番号219を含み、これは、5’から3’末端に向かって、配列番号217の5’UTR、配列番号216のORF配列、配列番号218の3’UTR及び配列番号25のポリAテールからなる。
いくつかの実施形態では、GM-CSFポリペプチドをコードするmRNAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、配列番号224を含み、これは、5’から3’末端に向かって、配列番号222の5’UTR、配列番号221のORF配列、配列番号223の3’UTR及び配列番号25のポリAテールからなる。
Figure 2022552378000009
Figure 2022552378000010
Figure 2022552378000011
Figure 2022552378000012
Figure 2022552378000013
Figure 2022552378000014
Figure 2022552378000015
Figure 2022552378000016
Figure 2022552378000017
LNPの脂質含量
上記のように、脂質に関して、本明細書に開示するLNPは、(i)イオン性脂質、(ii)ステロールまたは他の構造脂質、(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、及び0(iv)PEG脂質を含む。これらの脂質のカテゴリーを、以下でより詳細に説明する。
イオン性脂質
本開示の脂質ナノ粒子は、1つ以上のイオン性脂質を含む。ある特定の実施形態では、本開示のイオン性脂質は、中心アミン部分及び少なくとも1つの生分解性基を含む。本明細書に記載のイオン性脂質は、核酸分子を哺乳類の細胞または器官へ送達するための本開示の脂質ナノ粒子に有利に使用され得る。
いくつかの態様では、本開示のイオン性脂質は、式Iの化合物:

Figure 2022552378000018
もしくはそれらのN-オキシド、またはそれらの塩もしくは異性体のうちの1つ以上でよく、式中:
は、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
及びRは、独立して、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群から選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、ヘテロ環もしくは炭素環を形成し、
は、水素、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群から選択され、ここで、Qは、炭素環、ヘテロ環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-N(R)R、-N(R)S(O)、-O(CHOR、-N(R)C(=NR)N(R)、-N(R)C(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)、-N(OR)C(S)N(R)、-N(OR)C(=NR)N(R)、-N(OR)C(=CHR)N(R)、-C(=NR)N(R)、-C(=NR)R、-C(O)N(R)OR、及び-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、各nは、独立して、1、2、3、4、及び5から選択され、
各Rは、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)-M”-C(O)O-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、ここで、M”は、結合、C1-13アルキルまたはC2-13アルケニルであり、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
は、C3-6炭素環及びヘテロ環からなる群から選択され、
は、H、CN、NO、C1-6アルキル、-OR、-S(O)R、-S(O)N(R)、C2-6アルケニル、C3-6炭素環及びヘテロ環からなる群から選択され、
各Rは、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R’は、独立して、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は、独立して、C3-15アルキル及びC3-15アルケニルからなる群から選択され、
各Rは、独立して、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは、独立して、C3-6炭素環であり、
各Xは、独立して、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択され、ここで、Rが(CHQ、(CHCHQR、-CHQR、またはCQ(R)の場合、(i)Qは、nが1、2、3、4もしくは5の場合にN(R)ではなく、または(ii)Qは、nが1もしくは2の場合に5、6、もしくは7員のヘテロシクロアルキルではない。
1つの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIa)、
Figure 2022552378000019
もしくはそれらのN-オキシド、またはそれらの塩もしくは異性体のものであり、式中、Rは、本明細書に記載の通りである。別の実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIb)、
Figure 2022552378000020
もしくはそれらのN-オキシド、またはそれらの塩もしくは異性体のものであり、式中、Rは、本明細書に記載の通りである。
本開示のイオン性脂質の構造は、それらを本発明の他の脂質と区別するための接頭辞Iを含む。
実施形態では、該LNPは、化合物I-18を含むイオン性脂質を含む。
Figure 2022552378000021
実施形態では、該LNPは、化合物I-25を含むイオン性脂質を含む。
Figure 2022552378000022
コレステロール/構造脂質
本明細書に記載のLNPは、1つ以上の構造脂質を含む。
本明細書で使用される、「構造脂質」という用語は、ステロールを指し、また、ステロール部分を含む脂質も指す。該脂質ナノ粒子に構造脂質を組み込むことで、粒子内の他の脂質の凝集の軽減が促される可能性がある。構造脂質としては、コレステロール、フェコステロール、エルゴステロール、ブラシカステロール、トマチジン、トマチン、ウルソル酸、アルファ-トコフェロール、及びこれらの混合物を挙げることができるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、該構造脂質は、コレステロールである。ある特定の実施形態では、該構造脂質は、コレステロール及びコルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾン及びヒドロコルチゾン等)、またはそれらの組み合わせを含む。
該脂質ナノ粒子に構造脂質を組み込むことで、粒子内の他の脂質の凝集の軽減が促される可能性がある。構造脂質は、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、トマチン、ウルソル酸、アルファ-トコフェロール、ホパノイド、フィトステロール、ステロイド、及びそれらの混合物を含む群から選択することができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、該構造脂質は、ステロールである。本明細書で定義される、「ステロール」とは、ステロイドアルコールからなるステロイドの下位群である。ある特定の実施形態では、該構造脂質は、ステロイドである。ある特定の実施形態では、該構造脂質は、コレステロールである。ある特定の実施形態では、該構造脂質は、コレステロールのアナログである。
非カチオン性ヘルパー脂質/リン脂質
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の脂質系組成物(例えば、LNP)は、1つ以上の非カチオン性ヘルパー脂質を含む。いくつかの実施形態では、該非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質である。いくつかの実施形態では、該非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質の代替物または置換物である。
本明細書で使用される、「非カチオン性ヘルパー脂質」という用語は、少なくとも8炭素長の少なくとも1つの脂肪酸鎖及び少なくとも1つの極性頭基部分を含む脂質を指す。1つの実施形態では、該ヘルパー脂質は、ホスファチジルコリン(PC)ではない。1つの実施形態では、該非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質またはリン脂質代替物である。いくつかの実施形態では、該リン脂質またはリン脂質代替物は、例えば、1つ以上の飽和または(ポリ)不飽和リン脂質の場合もあれば、リン脂質代替物の場合も、それらの組み合わせの場合もある。一般に、リン脂質は、リン脂質部分及び1つ以上の脂肪酸部分を含む。
リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2-リソホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。
脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファ-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸(phytanoic acid)、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択され得る。
リン脂質としては、グリセロリン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、及びホスファチジン酸が挙げられるがこれらに限定されない。リン脂質としてはまた、リンスフィンゴ脂質、例えば、スフィンゴミエリンも挙げられる。
いくつかの実施形態では、該非カチオン性ヘルパー脂質は、DSPCアナログ、DSPC代替物、オレイン酸、またはオレイン酸アナログである。
いくつかの実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、非ホスファチジルコリン(PC)双性イオン性脂質、DSPCアナログ、オレイン酸、オレイン酸アナログ、または1,2-ジステアロイル-i77-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)代替物である。
リン脂質
本明細書に開示する医薬組成物の脂質組成物は、1つ以上の非カチオン性ヘルパー脂質を含むことができる。いくつかの実施形態では、該非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質、例えば、1つ以上の飽和または(ポリ)不飽和リン脂質、またはそれらの組み合わせである。一般に、リン脂質は、リン脂質部分及び1つ以上の脂肪酸部分を含む。本明細書で使用される、「リン脂質」とは、リン酸部分及び1つ以上の炭素鎖、例えば、不飽和脂肪酸鎖を含む脂質である。リン脂質は、1つ以上の多重(例えば、二重または三重)結合(例えば、1つ以上の不飽和)を含み得る。リン脂質またはそのアナログもしくは誘導体は、コリンを含み得る。リン脂質またはそのアナログもしくは誘導体は、コリンを含まない場合もある。特定のリン脂質は、膜への融合を容易にすることができる。例えば、カチオン性リン脂質は、膜(例えば、細胞膜または細胞内膜)の1つ以上の負電荷を有するリン脂質と相互作用し得る。リン脂質が膜に融合することで、脂質含有組成物の1つ以上の要素が膜を通過することが可能になる場合があり、例えば、1つ以上の要素の細胞への送達が可能になる。
リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2-リソホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。
脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファ-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸(phytanoic acid)、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択され得る。
特定のリン脂質は、膜への融合を容易にすることができる。例えば、カチオン性リン脂質は、膜(例えば、細胞膜または細胞内膜)の1つ以上の負電荷を有するリン脂質と相互作用し得る。リン脂質が膜に融合することで、脂質含有組成物(例えば、LNP)の1つ以上の要素(例えば、治療薬)が膜を通過することが可能になる場合があり、例えば、1つ以上の要素の標的組織への送達が可能になる。
本開示の脂質ナノ粒子の脂質成分は、1つ以上のリン脂質、例えば、1つ以上の(ポリ)不飽和脂質を含み得る。リン脂質は、1つ以上の脂質二重層に集合し得る。一般に、リン脂質は、リン脂質部分及び1つ以上の脂肪酸部分を含み得る。例えば、リン脂質は、式(H III)による脂質であり得る:
Figure 2022552378000023
式中、Rは、リン脂質部分を表し、R及びRは、不飽和を含むまたは含まない脂肪酸部分を表し、同じでも異なってもよい。リン脂質部分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2-リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。脂肪酸部分は、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択され得る。分岐、酸化、環化、及びアルキンを含めた修飾及び置換を有する天然種を含めた非天然種もまた企図される。例えば、リン脂質は、1つ以上のアルキン(例えば、1つ以上の二重結合が三重結合で置き換えられているアルケニル基)で官能化または架橋され得る。適切な反応条件下で、アルキン基は、アジドへの曝露時に銅触媒による付加環化を受ける可能性がある。かかる反応は、膜浸透もしくは細胞認識を促進するためにLNPの脂質二重層を官能化するか、またはLNPを標的化もしくはイメージング部分(例えば、色素)等の有用な成分にコンジュゲートするのに有用であり得る。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
本明細書に記載の組成物及び方法において有用なリン脂質は、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DMPC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、
1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DUPC)、
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、
1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 Diether PC)、
1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、
1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、
1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:3(cis)PC)、
1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DAPC)、
1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:6(cis)PC)、
1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(4ME 16.0 PE)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(PE(18:2/18:2)、
1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(PE 18:3(9Z,12Z,15Z)、
1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DAPE 18:3(9Z,12Z,15Z)、
1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(22:6(cis)PE)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、
及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
いくつかの実施形態では、LNPは、DSPCを含む。ある特定の実施形態では、LNPは、DOPEを含む。いくつかの実施形態では、LNPは、DMPEを含む。いくつかの実施形態では、LNPは、DSPC及びDOPEの両方を含む。
1つの実施形態では、標的細胞送達LNPで使用する非カチオン性ヘルパー脂質は、DSPC、DMPE、及びDOPCまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
リン脂質としては、グリセロリン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、及びホスファチジン酸が挙げられるがこれらに限定されない。リン脂質としてはまた、リンスフィンゴ脂質、例えば、スフィンゴミエリンも挙げられる。
リン脂質の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
Figure 2022552378000024
Figure 2022552378000025
Figure 2022552378000026
Figure 2022552378000027
ある特定の実施形態では、本発明に有用なまたは潜在的に有用なリン脂質は、DSPC(1,2-ジオクタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)のアナログまたはバリアントである。ある特定の実施形態では、本発明に有用なまたは潜在的に有用なリン脂質は、式(H IX)の化合物:
Figure 2022552378000028
またはその塩であり、式中:
各Rは、独立して、任意に置換されるアルキルであるか、または、任意に、2つのRが介在原子と一緒になって、任意に置換される単環式カルボシクリルもしくは任意に置換される単環式ヘテロシクリルを形成するか、または、任意に、3つのRが介在原子と一緒になって、任意に置換される二環式カルボシクリルもしくは任意に置換される二環式ヘテロシクリルを形成し、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
Aは、式:
Figure 2022552378000029
のものであり、
の各例は、独立して、結合または任意に置換されるC1-6アルキレンであり、ここで、該任意に置換されるC1-6アルキレンの1つのメチレン単位は、任意に、-O-、-N(R)-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、または-NRC(O)N(R)-で置き換えられ、
の各例は、独立して、任意に置換されるC1-30アルキル、任意に置換されるC1-30アルケニル、または任意に置換されるC1-30アルキニルであり、任意に、ここで、Rの1つ以上のメチレン単位は、独立して、任意に置換されるカルボシクリレン、任意に置換されるヘテロシクリレン、任意に置換されるアリーレン、任意に置換されるヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-で置き換えられ、
の各例は、独立して、水素、任意に置換されるアルキル、または窒素保護基であり、
環Bは、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるヘテロシクリル、任意に置換されるアリール、または任意に置換されるヘテロアリールであり、
pは、1または2である。
ただし、該化合物は、下記式のものではない:
Figure 2022552378000030
式中、Rの各例は、独立して、非置換アルキル、非置換アルケニル、または非置換アルキニルである。
i)リン脂質の頭部修飾
ある特定の実施形態では、本発明に有用なまたは潜在的に有用なリン脂質は、修飾されたリン脂質頭部(例えば、修飾されたコリン基)を含む。ある特定の実施形態では、修飾された頭部を備えたリン脂質は、修飾された4級アミンを備えたDSPC、またはそのアナログである。例えば、式(IX)の実施形態では、少なくとも1つのRはメチルではない。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのRは、水素でもメチルでもない。ある特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000031
またはその塩のものであり、式中:
各tは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
各uは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
各vは、独立して、1、2、または3である。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、下記式のうちの1つ:

Figure 2022552378000032
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、下記のうちの1つ:
Figure 2022552378000033
Figure 2022552378000034
またはその塩である。
1つの実施形態では、標的細胞送達LNPは、非カチオン性ヘルパー脂質として化合物H-409を含む。
(ii)リン脂質の尾部修飾
ある特定の実施形態では、本発明に有用なまたは潜在的に有用なリン脂質は、修飾された尾部を含む。ある特定の実施形態では、本発明に有用なまたは潜在的に有用なリン脂質は、修飾された尾部を備えたDSPC(1,2-ジオクタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、またはそのアナログである。本明細書に記載の「修飾された尾部」とは、短縮されたまたは延長された脂肪族鎖を有する尾部、分岐が導入された脂肪族鎖を有する尾部、置換が導入された脂肪族鎖を有する尾部、1つ以上のメチレンが環状もしくはヘテロ原子基で置き換えられた脂肪族鎖を有する尾部、またはそれらの任意の組み合わせを有する尾部であり得る。例えば、ある特定の実施形態では、(H IX)の化合物は、式(H IX-a)、またはその塩のものであり、ここで、Rの少なくとも1つの例は、Rの各例は、任意に置換されるC1-30アルキルであり、ここで、Rの1つ以上のメチレン単位は、独立して、任意に置換されるカルボシクリレン、任意に置換されるヘテロシクリレン、任意に置換されるアリーレン、任意に置換されるヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-で置き換えられる。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、式(H IX-c):
Figure 2022552378000035
またはその塩のものであり、式中:
各xは、独立して、0と30を含めた0~30の整数であり、
Gの各例は、独立して、任意に置換されるカルボシクリレン、任意に置換されるヘテロシクリレン、任意に置換されるアリーレン、任意に置換されるヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、式(H IX-c-1):
Figure 2022552378000036
またはその塩のものであり、式中:
vの各例は、独立して1、2、または3である。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、式(H IX-c-2):
Figure 2022552378000037

またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(IX-c)の化合物は、下記式:
Figure 2022552378000038
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、下記:
Figure 2022552378000039
またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、式(H IX-c-3):
Figure 2022552378000040
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、下記式:
Figure 2022552378000041
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、下記:
Figure 2022552378000042
またはその塩である。
ある特定の実施形態では、本発明に有用なまたは潜在的に有用なリン脂質は、修飾されたホスホコリン部分を含み、ここで、4級アミンをホスホリル基に連結するアルキル鎖は、エチレンではない(例えば、nは2ではない)。従って、ある特定の実施形態では、本発明に有用なまたは潜在的に有用なリン脂質は、式(H IX)の化合物であり、ここで、nは、1、3、4、5、6、7、8、9、または10である。例えば、ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000043
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、下記のうちの1つ:
Figure 2022552378000044
Figure 2022552378000045
またはそれらの塩である。
ある特定の実施形態では、本発明のリン脂質の代わりに別の脂質が使用される。かかる別の脂質の非限定的な例としては、下記が挙げられる:
Figure 2022552378000046
リン脂質の尾部修飾
ある特定の実施形態では、本発明に有用なリン脂質は、修飾された尾部を含む。ある特定の実施形態では、本発明に有用なリン脂質は、修飾された尾部を備えたDSPC、またはそのアナログである。本明細書に記載の「修飾された尾部」とは、短縮されたまたは延長された脂肪族鎖を有する尾部、分岐が導入された脂肪族鎖を有する尾部、置換が導入された脂肪族鎖を有する尾部、1つ以上のメチレンが環状もしくはヘテロ原子基で置き換えられた脂肪族鎖を有する尾部、またはそれらの任意の組み合わせを有する尾部であり得る。例えば、ある特定の実施形態では、(H I)の化合物は、式(H I-a)、またはその塩のものであり、ここで、Rの少なくとも1つの例は、Rの各例は、任意に置換されるC1-30アルキルであり、ここで、Rの1つ以上のメチレン単位は、独立して、任意に置換されるカルボシクリレン、任意に置換されるヘテロシクリレン、任意に置換されるアリーレン、任意に置換されるヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-で置き換えられる。
ある特定の実施形態では、式(H I-a)の化合物は、式(H I-c):
Figure 2022552378000047
またはその塩のものであり、式中:
各xは、独立して、0と30を含めた0~30の整数であり、
Gの各例は、独立して、任意に置換されるカルボシクリレン、任意に置換されるヘテロシクリレン、任意に置換されるアリーレン、任意に置換されるヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、式(H I-c-1):
Figure 2022552378000048
またはその塩のものであり、式中:
vの各例は、独立して1、2、または3である。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、式(H I-c-2):
Figure 2022552378000049
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(I-c)の化合物は、下記式:
Figure 2022552378000050
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、下記:
Figure 2022552378000051
またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、式(H I-c-3):
Figure 2022552378000052
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、下記式:
Figure 2022552378000053
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、下記:
Figure 2022552378000054
またはその塩である。
ホスホコリンリンカーの修飾
ある特定の実施形態では、本発明に有用なリン脂質は、修飾されたホスホコリン部分を含み、ここで、4級アミンをホスホリル基に連結するアルキル鎖は、エチレンではない(例えば、nは2ではない)。従って、ある特定の実施形態では、本発明に有用なリン脂質は、式(H I)の化合物であり、ここで、nは、1、3、4、5、6、7、8、9、または10である。例えば、ある特定の実施形態では、式(H I)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000055
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(H I)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000056
Figure 2022552378000057
またはそれらの塩である。
以下の実施例で示すように、DSPC以外のリン脂質を有する多数のLNP製剤を調製し、活性について試験した。
リン脂質の代替物または置換物
いくつかの実施形態では、該脂質系組成物(例えば、脂質ナノ粒子)は、リン脂質の代わりにオレイン酸またはオレイン酸アナログを含む。いくつかの実施形態では、オレイン酸アナログは、修飾されたオレイン酸尾部、修飾されたカルボン酸部分、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、オレイン酸アナログは、オレイン酸のカルボン酸部分が異なる基で置き換えられている化合物である。
いくつかの実施形態では、該脂質系組成物(例えば、脂質ナノ粒子)は、リン脂質の代わりに異なる双性イオン性基を含む。
例示的なリン脂質代替物及び/または置換物は、参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願第WO2017/099823号に示されている。
例示的なリン脂質代替物及び/または置換物は、参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願第WO2017/099823号に示されている。
(i)PEG脂質
PEG-脂質の非限定的な例としては、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸、PEG-セラミドコンジュゲート(例えば、PEG-CerC14またはPEG-CerC20)、PEG修飾ジアルキルアミン及びPEG修飾1,2-ジアシルオキシプロパン-3-アミンが挙げられる。かかる脂質は、PEG化脂質とも呼ばれる。例えば、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、またはPEG-DSPE脂質であり得る。
いくつかの実施形態では、該PEG-脂質としては、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG-DMG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)](PEG-DSPE)、PEG-ジステリル(disteryl)グリセロール(PEG-DSG)、PEG-ジパルメトレイル(dipalmetoleyl)、PEG-ジオレイル、PEG-ジステアリル、PEG-ジアシルグリカミド(diacylglycamide)(PEG-DAG)、PEG-ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DPPE)、またはPEG-1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-アミン(PEG-c-DMA)が挙げられるがこれらに限定されない。
1つの実施形態では、該PEG-脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、該PEG-脂質の脂質部分としては、約C14~約C22、好ましくは、約C14~約C16の長さを有するものが挙げられる。いくつかの実施形態では、PEG部分、例えば、mPEG-NHは、約1000、2000、5000、10,000、15,000または20,000ダルトンのサイズを有する。1つの実施形態では、該PEG-脂質は、PEG2k-DMGである。
1つの実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、非拡散性PEGであるPEG脂質を含み得る。非拡散性PEGの非限定的な例としては、PEG-DSG及びPEG-DSPEが挙げられる。
PEG-脂質、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第8158601号及び国際公開第WO2015/130584A2号に記載のものは、当技術分野では既知である。
一般に、本明細書に記載の様々な式の他の脂質成分(例えば、PEG脂質)のいくつかは、参照により全体として組み込まれる、2016年12月10日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/000129号、発明の名称「Compositions and Methods for Delivery of Therapeutic Agents」に記載の通りに合成され得る。
脂質ナノ粒子組成物の脂質成分は、ポリエチレングリコール、例えば、PEGまたはPEG修飾脂質を含む1つ以上の分子を含み得る。かかる種は、代替的にPEG化脂質と呼ばれることもある。PEG脂質は、ポリエチレングリコールで修飾された脂質である。PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物を含む非限定的な群から選択され得る。例えば、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、またはPEG-DSPE脂質であり得る。
いくつかの実施形態では、該PEG修飾脂質は、PEG DMGの修飾形態である。PEG-DMGは、以下の構造を有する:
Figure 2022552378000058
1つの実施形態では、本発明に有用なPEG脂質は、参照によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる国際公開第WO2012099755号に記載のPEG化脂質であり得る。本明細書に記載のこれら例示的なPEG脂質のいずれかを修飾して、該PEG鎖にヒドロキシル基を含めてもよい。ある特定の実施形態では、該PEG脂質は、PEG-OH脂質である。本明細書で一般に定義される、「PEG-OH脂質」(本明細書では、「ヒドロキシ-PEG化脂質」とも呼ばれる)は、当該脂質に1つ以上のヒドロキシル(-OH)基を有するPEG化脂質である。ある特定の実施形態では、該PEG-OH脂質は、当該PEG鎖に1つ以上のヒドロキシル基を含む。ある特定の実施形態では、PEG-OHまたはヒドロキシ-PEG化脂質は、当該PEG鎖の末端に-OH基を含む。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
いくつかの実施形態では、該PEG脂質は、式(PI)の化合物:
Figure 2022552378000059
またはその塩もしくは異性体であり、式中:
rは、1~100の整数であり、
5PEGは、C10-40アルキル、C10-40アルケニル、またはC10-40アルキニルであり、任意に、R5PEGの1つ以上のメチレン基は、独立して、C3-10カルボシクリレン、4~10員のヘテロシクリレン、C6-10アリーレン、4~10員のヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-で置き換えられ、
RNの各例は、独立して、水素、C1-6アルキル、または窒素保護基である。
例えば、R5PEGは、C17アルキルである。例えば、該PEG脂質は、式(PI-a)の化合物:
Figure 2022552378000060
またはその塩もしくは異性体であり、式中、rは、1~100の整数である。
例えば、該PEG脂質は、下記式の化合物:
Figure 2022552378000061
またはその塩もしくは異性体である。
該PEG脂質は、式(PII)の化合物:
Figure 2022552378000062
またはその塩もしくは異性体であってもよく、式中:
sは、1~100の整数であり、
R”は、水素、C1-10アルキル、または酸素保護基であり、
7PEGは、C10-40アルキル、C10-40アルケニル、またはC10-40アルキニルであり、任意に、R5PEGの1つ以上のメチレン基は、独立して、C3-10カルボシクリレン、4~10員のヘテロシクリレン、C6-10アリーレン、4~10員のヘテロアリーレン、-N(R)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、-NRC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R)-、-NRC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR)-、-C(=NR)N(R)-、-NRC(=NR)-、-NRC(=NR)N(R)-、-C(S)-、-C(S)N(R)-、-NRC(S)-、-NRC(S)N(R)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、-N(R)S(O)O-、-S(O)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-、-N(R)S(O)N(R)-、-OS(O)N(R)-、または-N(R)S(O)O-で置き換えられ、
の各例は、独立して、水素、C1-6アルキル、または窒素保護基である。いくつかの実施形態では、R7PEGは、C10-60アルキルであり、R7PEGの1つ以上のメチレン基は、-C(O)-で置き換えられる。例えば、R7PEGは、C31アルキルであり、R7PEGのメチレン基のうちの2つは、-C(O)-で置き換えられる。
いくつかの実施形態では、R”は、メチルである。
いくつかの実施形態では、該PEG脂質は、式(PII-a)の化合物:
Figure 2022552378000063
またはその塩もしくは異性体であり、式中、sは、1~100の整数である。
例えば、該PEG脂質は、下記式の化合物:
Figure 2022552378000064
またはその塩もしくは異性体である。
ある特定の実施形態では、本発明に有用なPEG脂質は、式(PIII)の化合物である。本明細書に提供するのは、式(III)の化合物:
Figure 2022552378000065
またはそれらの塩であり、式中:
は、-ORであり、
は、水素、任意に置換されるアルキル、または酸素保護基であり、
rは、1及び100を含めた1~100の整数であり、
は、任意に置換されるC1-10アルキレンであり、ここで、該任意に置換されるC1-10アルキレンの少なくとも1つのメチレンは、独立して、任意に置換されるカルボシクリレン、任意に置換されるヘテロシクリレン、任意に置換されるアリーレン、任意に置換されるヘテロアリーレン、O、N(R)、S、C(O)、C(O)N(R)、NRC(O)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R)、NRC(O)O、またはNRC(O)N(R)で置き換えられ、
Dは、クリックケミストリーによって得られる部分、または生理学的条件下で切断可能な部分であり、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
Aは、式:
Figure 2022552378000066
のものであり、
の各例は、独立して、結合または任意に置換されるC1-6アルキレンであり、ここで、該任意に置換されるC1-6アルキレンの1つのメチレン単位は、任意に、O、N(R)、S、C(O)、C(O)N(R)、NRC(O)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R)、NRC(O)O、またはNRC(O)N(R)で置き換えられ、
の各例は、独立して、任意に置換されるC1-30アルキル、任意に置換されるC1-30アルケニル、または任意に置換されるC1-30アルキニルであり、任意に、ここで、Rの1つ以上のメチレン単位は、独立して、任意に置換されるカルボシクリレン、任意に置換されるヘテロシクリレン、任意に置換されるアリーレン、任意に置換されるヘテロアリーレン、N(R)、O、S、C(O)、C(O)N(R)、NRC(O)、NRC(O)N(R)、C(O)O、OC(O)、-OC(O)O、OC(O)N(R)、NRC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NR)、C(=NR)N(R)、NRC(=NR)、NRC(=NR)N(R)、C(S)、C(S)N(R)、NRC(S)、NRC(S)N(R)、S(O)、OS(O)、S(O)O、-OS(O)O、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、N(R)S(O)、S(O)N(R)、N(R)S(O)N(R)、OS(O)N(R)、N(R)S(O)O、S(O)、N(R)S(O)、S(O)N(R)、N(R)S(O)N(R)、OS(O)N(R)、または-N(R)S(O)Oで置き換えられ、
の各例は、独立して、水素、任意に置換されるアルキル、または窒素保護基であり、
環Bは、任意に置換されるカルボシクリル、任意に置換されるヘテロシクリル、任意に置換されるアリール、または任意に置換されるヘテロアリールであり、
pは、1または2である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、PEG-OH脂質である(すなわち、Rは-ORであり、Rは水素である)。ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII-OH):
Figure 2022552378000067
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、Dは、クリックケミストリーによって得られる部分(例えば、トリアゾール)である。ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII-a-1)もしくは(PIII-a-2):
Figure 2022552378000068
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000069
またはその塩のものであり、式中、
sは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000070
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000071
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000072
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、Dは、生理学的条件下で切断可能な部分(例えば、エステル、アミド、カーボネート、カルバメート、尿素)である。ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII-b-1)もしくは(PIII-b-2):
Figure 2022552378000073
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII-b-1-OH)もしくは(PIII-b-2-OH):
Figure 2022552378000074
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000075
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000076
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000077
またはその塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000078
またはそれらの塩のものである。
ある特定の実施形態では、本発明に有用なPEG脂質は、PEG化脂肪酸である。ある特定の実施形態では、本発明に有用なPEG脂質は、式(PIV)の化合物である。本明細書に提供するのは、式(PIV)の化合物:
Figure 2022552378000079
またはその塩であり、式中:
は、-ORであり、
は、水素、任意に置換されるアルキルまたは酸素保護基であり、
rは、1及び100を含めた1~100の整数であり、
は、任意に置換されるC10-40アルキル、任意に置換されるC10-40アルケニル、または任意に置換されるC10-40アルキニルであり、任意に、Rの1つ以上のメチレン基は、任意に置換されるカルボシクリレン、任意に置換されるヘテロシクリレン、任意に置換されるアリーレン、任意に置換されるヘテロアリーレン、N(R)、O、S、C(O)、C(O)N(R)、-NRC(O)、NRC(O)N(R)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R)、NRC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NR)、C(=NR)N(R)、NRC(=NR)、NRC(=NR)N(R)、C(S)、C(S)N(R)、NRC(S)、-NRC(S)N(R)、S(O)、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、N(R)S(O)、-S(O)N(R)、N(R)S(O)N(R)、OS(O)N(R)、N(R)S(O)O、S(O)、N(R)S(O)、S(O)N(R)、-N(R)S(O)N(R)、OS(O)N(R)、またはN(R)S(O)Oで置き換えられ、
の各例は、独立して、水素、任意に置換されるアルキル、または窒素保護基である。
ある特定の実施形態では、式(PIV)の化合物は、式(PIV-OH):
Figure 2022552378000080
またはその塩のものである。いくつかの実施形態では、rは、40~50である。いくつかの実施形態では、rは、45である。
ある特定の実施形態では、式(PIV)の化合物は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000081
またはその塩のものである。いくつかの実施形態では、rは、40~50である。いくつかの実施形態では、rは、45である。
さらに他の実施形態では、式(PIV)の化合物は:
Figure 2022552378000082
またはその塩である。
1つの実施形態では、式(PIV)の化合物は、
Figure 2022552378000083
である。
ポリマー組成物の多分散性を理解する当業者には、n値45(例えば、P-428等の構造式において)が、実際のPEG含有組成物では40~50の値の分布を表し得ることが理解されよう。
1つの態様では、本明細書に提供するのは、パーキンソン病の治療で使用する式(PV):
Figure 2022552378000084
のPEG脂質またはそれらの医薬的に許容される塩を含む脂質ナノ粒子(LNP)であり、式中:
は、結合、任意に置換されるC1-3アルキレン、任意に置換されるC1-3ヘテロアルキレン、任意に置換されるC2-3アルケニレン、任意に置換されるC2-3アルキニレンであり、
は、任意に置換されるC5-30アルキル、任意に置換されるC5-30アルケニル、または任意に置換されるC5-30アルキニルであり、
は、水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアシル、または酸素保護基であり、
rは、2及び100を含めた2~100の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、下記式:
Figure 2022552378000085
またはその医薬的に許容される塩のものであり、式中:
は、結合、-CR-、-O-、-NR-、または-S-であり、
Rの各例は、独立して、水素、ハロゲン、または任意に置換されるアルキルであり、
は、水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアシル、または窒素保護基である。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000086
またはその医薬的に許容される塩のものであり、式中:
Rの各例は、独立して、水素、ハロゲン、または任意に置換されるアルキルである。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、下記式のうちの1つ:

Figure 2022552378000087
またはその医薬的に許容される塩のものであり、式中:
sは、5及び25を含めた5~25の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、下記式のうちの1つ:

Figure 2022552378000088
またはその医薬的に許容される塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は:
Figure 2022552378000089
Figure 2022552378000090
ならびにそれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される。
別の態様では、本明細書に提供するのは、パーキンソン病の治療用の式(PVI):
Figure 2022552378000091
のPEG脂質またはそれらの医薬的に許容される塩を含む脂質ナノ粒子(LNP)であり、式中:
は、水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアシル、または酸素保護基であり、
rは、2及び100を含めた2~100の整数であり、
mは、5及び15を含めた5~15の整数、または19及び30を含めた19~30の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PVI)のPEG脂質は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000092
またはその医薬的に許容される塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PVI)のPEG脂質は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000093
またはその医薬的に許容される塩のものである。
別の態様では、本明細書に提供するのは、パーキンソン病の治療用の式(PVII):
Figure 2022552378000094
のPEG脂質またはそれらの医薬的に許容される塩を含む脂質ナノ粒子(LNP)であり、式中:
は-O-、-NR-、または-S-であり、
の各例は、独立して、任意に置換されるC5-30アルキル、任意に置換されるC5-30アルケニル、または任意に置換されるC5-30アルキニルであり、
は、水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアシル、または酸素保護基であり、
は、水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアシル、または窒素保護基であり、
rは、2及び100を含めた2~100の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000095
またはその医薬的に許容される塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000096
またはその医薬的に許容される塩のものであり、式中:
sの各例は、独立して、5及び25を含めた5~25の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000097
またはその医薬的に許容される塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は:
Figure 2022552378000098
ならびにそれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される。
別の態様では、本明細書に提供するのは、パーキンソン病の治療用の式(PVIII):
Figure 2022552378000099
のPEG脂質またはそれらの医薬的に許容される塩を含む脂質ナノ粒子(LNP)であり、式中:
は、結合、任意に置換されるC1-3アルキレン、任意に置換されるC1-3ヘテロアルキレン、任意に置換されるC2-3アルケニレン、任意に置換されるC2-3アルキニレンであり、
の各例は、独立して、任意に置換されるC5-30アルキル、任意に置換されるC3-30アルケニル、または任意に置換されるC5-30アルキニルであり、
は、水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアシル、または酸素保護基であり、
rは、2及び100を含めた2~100の整数である。ただし、Lが-CHCH-または-CHCHCH-の場合、Rは、メチルではない。
ある特定の実施形態では、Lが、任意に置換されるCまたはCアルキレンの場合、Rは、任意に置換されるアルキルではない。ある特定の実施形態では、Lが、任意に置換されるCまたはCアルキレンの場合、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Lが、-CHCH-または-CHCHCH-の場合、Rは、任意に置換されるアルキルではない。ある特定の実施形態では、Lが、-CHCH-または-CHCHCH-の場合、Rは、水素である。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、式:
Figure 2022552378000100
またはその医薬的に許容される塩のものであり、式中:
は、結合、-CR-、-O-、-NR-、または-S-であり、
Rの各例は、独立して、水素、ハロゲン、または任意に置換されるアルキルであり、
は、水素、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアシル、または窒素保護基である。
ただし、Yが、結合または-CH-の場合、Rは、メチルではない。
ある特定の実施形態では、Lが、-CR-の場合、Rは、任意に置換されるアルキルではない。ある特定の実施形態では、Lが、-CR-の場合、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Lが、-CH-の場合、Rは、任意に置換されるアルキルではない。ある特定の実施形態では、Lが、-CH-の場合、Rは、水素である。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000101
Figure 2022552378000102
またはその医薬的に許容される塩のものであり、式中:
Rの各例は、独立して、水素、ハロゲン、または任意に置換されるアルキルである。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000103
Figure 2022552378000104
またはその医薬的に許容される塩のものであり、式中:
Rの各例は、独立して、水素、ハロゲン、または任意に置換されるアルキルであり、
各sは、独立して、5及び25を含めた5~25の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、下記式のうちの1つ:
Figure 2022552378000105
Figure 2022552378000106
またはその医薬的に許容される塩のものである。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は:
Figure 2022552378000107
Figure 2022552378000108
及びそれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される。
前述のまたは関連する態様のうちのいずれかでは、rが40~50である本発明のPEG脂質を特徴とする。
本明細書に提供するLNPは、ある特定の実施形態では、既存のPEG脂質を含むLNP製剤と比較して、増加したPEG放出を示す。本明細書で使用される、「PEG放出」とは、PEG脂質からのPEG基の切断を指す。多くの場合、PEG脂質からのPEG基の切断は、血清によって引き起こされるエステラーゼ切断を介して、または加水分解によって生じる。本明細書に提供するPEG脂質は、ある特定の実施形態では、PEG放出の速度を制御するように設計されている。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するLNPは、ヒト血清中で約6時間後、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%を超えるPEG放出を示す。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するLNPは、ヒト血清中で約6時間後、50%を超えるPEG放出を示す。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するLNPは、ヒト血清中で約6時間後、60%を超えるPEG放出を示す。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するLNPは、ヒト血清中で約6時間後、70%を超えるPEG放出を示す。ある特定の実施形態では、該LNPは、ヒト血清中で約6時間後、80%を超えるPEG放出を示す。ある特定の実施形態では、該LNPは、ヒト血清中で約6時間後、90%を超えるPEG放出を示す。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するLNPは、ヒト血清中で約6時間後、90%を超えるPEG放出を示す。
他の実施形態では、本明細書に提供するLNPは、ヒト血清中で約6時間後、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%未満のPEG放出を示す。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するLNPは、ヒト血清中で約6時間後に、60%未満のPEG放出を示す。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するLNPは、ヒト血清中で約6時間後に、70%未満のPEG放出を示す。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するLNPは、ヒト血清中で約6時間後に、80%未満のPEG放出を示す。
本明細書に提供するPEG脂質に加えて、該LNPは、1つ以上のさらなる脂質成分を含み得る。ある特定の実施形態では、該PEG脂質は、該LNP中に、他の脂質に対してモル比0.15~15%で存在する。ある特定の実施形態では、該PEG脂質は、他の脂質に対してモル比0.15~5%で存在する。ある特定の実施形態では、該PEG脂質は、他の脂質に対してモル比1~5%で存在する。ある特定の実施形態では、該PEG脂質は、他の脂質に対してモル比0.15~2%で存在する。ある特定の実施形態では、該PEG脂質は、他の脂質に対してモル比1~2%で存在する。ある特定の実施形態では、該PEG脂質は、他の脂質に対してモル比約1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、または2%で存在する。ある特定の実施形態では、該PEG脂質は、他の脂質に対してモル比約1.5%で存在する。
1つの実施形態では、本明細書に開示する医薬組成物の脂質組成物中のPEG-脂質の量は、約0.1mol%~約5mol%、約0.5mol%~約5mol%、約1mol%~約5mol%、約1.5mol%~約5mol%、約2mol%~約5mol%、約0.1mol%~約4mol%、約0.5mol%~約4mol%、約1mol%~約4mol%、約1.5mol%~約4mol%、約2mol%~約4mol%、約0.1mol%~約3mol%、約0.5mol%~約3mol%、約1mol%~約3mol%、約1.5mol%~約3mol%、約2mol%~約3mol%、約0.1mol%~約2mol%、約0.5mol%~約2mol%、約1mol%~約2mol%、約1.5mol%~約2mol%、約0.1mol%~約1.5mol%、約0.5mol%~約1.5mol%、または約1mol%~約1.5mol%に及ぶ。
1つの実施形態では、本明細書に開示する脂質組成物中のPEG-脂質の量は、約2mol%である。1つの実施形態では、本明細書に開示する脂質組成物中のPEG-脂質の量は、約1.5mol%である。
1つの実施形態では、本明細書に開示する脂質組成物中のPEG-脂質の量は、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5mol%である。
例示的な合成:
Figure 2022552378000109
パラジウム炭素(10重量%、74mg、0.070mmol)を含む窒素充填フラスコに、ベンジル-PEG2000-エステル-C18(822mg、0.35mmol)及びMeOH(20mL)を添加した。フラスコを排気し、Hを3回充填し、室温及び1気圧のHで12時間撹拌した。その混合物をセライトを通して濾過し、DCMですすぎ、その濾液を真空中で濃縮して、所望の生成物を得た(692mg、88%)。この方法を用いると、n=40~50となる。1つの実施形態では、得られた多分散混合物のnは、平均45で表される。
例えば、rの値は、PEG脂質内のPEG部分の分子量に基づいて決定され得る。例えば、分子量2,000(例えば、PEG2000)は、nの値が約45に対応する。所与の組成物について、ポリマーはしばしば異なるポリマー鎖長の分布として見出されるため、nの値は、当技術分野で許容される範囲内の値の分布を意味し得る。例えば、かかるポリマー組成物の多分散性を理解する当業者には、n値45(例えば、構造式において)が、実際のPEG含有組成物、例えば、DMG PEG200のpeg脂質組成物では40~50の値の分布を表し得ることが理解されよう。
いくつかの態様では、本明細書に開示する医薬組成物の標的細胞送達脂質は、PEG-脂質を含まない。
1つの実施形態では、本開示の標的細胞送達LNPは、PEG-脂質を含む。1つの実施形態では、該PEG脂質は、PEG DMGではない。いくつかの実施形態では、該PEG-脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの態様では、該PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC及びPEG-DSPE脂質からなる群から選択される。他の態様では、PEG-脂質は、PEG-DMGである。
1つの実施形態では、本開示の標的細胞送達LNPは、鎖長が約14より長い、または分岐の場合は約10より長いPEG-脂質を含む。
1つの実施形態では、該PEG脂質は、化合物番号P415、P416、P417、P419、P420、P423、P424、P428、P L1、P L2、P L16、P L17、P L18、P L19、P L22及びP L23のうちのいずれかからなる群から選択される化合物である。1つの実施形態では、該PEG脂質は、化合物番号P415、P417、P420、P423、P424、P428、P L1、P L2、P L16、P L17、P L18、P L19、P L22及びP L23のいずれかからなる群から選択される化合物である。
1つの実施形態では、PEG脂質は、化合物428、PL16、PL17、PL18、PL19、PL1、及びPL2からなる群から選択される。
パーキンソン病の治療にLNP組成物を使用する方法、及びかかる治療方法で使用する構築物の最適化
ある態様では、本開示は、対象におけるパーキンソン病(PD)の治療で使用するヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
関連する態様では、本明細書に提供するのは、対象におけるパーキンソン病(PD)の治療方法であり、該対象に対して、ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物の有効量を投与することを含む。実施形態では、該GM-CSFポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
本明細書に開示する治療方法または使用のための組成物のいずれかの実施形態では、該対象は、PDを有するか、またはPDを有すると特定されている。
実施形態では、該対象は、哺乳類、例えば、ヒト、マウス、またはラットである。実施形態では、該対象は、ヒトである。
配列最適化及びその方法
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、本明細書に開示するポリペプチド、例えば、GM-CSFをコードする配列最適化ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、GM-CSFポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、該ORFは、配列最適化されている。
本明細書に開示する配列最適化ヌクレオチド配列は、対応する野生型ヌクレオチド酸配列及び他の既知の配列最適化ヌクレオチド配列とは異なり、例えば、これらの配列最適化核酸は、独特の組成特性を有する。
いくつかの実施形態では、配列最適化ヌクレオチド配列(例えば、GM-CSFポリペプチドをコードする)のウラシルまたはチミン核酸塩基のパーセンテージは、参照野生型ヌクレオチド配列のウラシルまたはチミン核酸塩基のパーセンテージに対して変更される(例えば、低減される)。かかる配列は、ウラシル修飾またはチミン修飾配列と呼ばれる。ヌクレオチド配列のウラシルまたはチミン含量のパーセンテージは、配列のウラシルまたはチミンの数をヌクレオチドの総数で除し、100を掛けることによって特定され得る。いくつかの実施形態では、該配列最適化ヌクレオチド配列は、参照野生型配列のウラシルまたはチミン含量より低いウラシルまたはチミン含量を有する。いくつかの実施形態では、本開示の配列最適化ヌクレオチド配列のウラシルまたはチミン含量は、参照野生型配列のウラシルまたはチミン含量より高いが、それでもなお、有益な効果、例えば、参照野生型配列と比較した場合に発現及び/またはシグナル応答の増加を維持する。
いくつかの実施形態では、本開示の最適化配列は、該配列において独自の範囲のウラシルまたはチミン(DNAの場合)を含む。該最適化配列のウラシルまたはチミン含量は、様々な方法、例えば、理論最小値に対する最適化配列のウラシルまたはチミン含量(%UTMまたは%TTM)、野生型に対する最適化配列のウラシルまたはチミン含量(%UWTまたは%TWT)、及び全ヌクレオチド含量に対する最適化配列のウラシルまたはチミン含量(%UTLまたは%TTL)で表現され得る。DNAの場合、ウラシルの代わりにチミンが存在することが認識されており、Uが現れる場所にTが代用される。従って、例えば、%UTM、%UWT、または%UTLに関連するRNAについてのすべての開示は、DNAについての%TTM、%TWT、または%TTLに同じように当てはまる。
ウラシルまたはチミンの理論最小値に対するウラシルまたはチミンの含量とは、配列最適化ヌクレオチド配列のウラシルまたはチミンの数を、すべてのコドンが最低限のウラシルまたはチミン含量を有する同義コドンで置き換えられている仮想ヌクレオチド配列のウラシルまたはチミンの総数で除し、100を掛けることによって特定されるパラメータを指す。このパラメータは、本明細書では%UTMまたは%TTMと略される。
いくつかの実施形態では、本開示のGM-CSFポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、対応する野生型核酸配列に対して、連続したウラシル数が少ない。例えば、2つの連続したロイシンは、4つのウラシルクラスターを含む配列CUUUUGによってコードされ得る。かかる部分列は、例えば、ウラシルクラスターを除去するCUGCUCで置換され得る。フェニルアラニンは、UUCまたはUUUによってコードされ得る。従って、UUUによってコードされるフェニルアラニンがUUCに置き換えられたとしても、同義コドンには依然としてウラシル対(UU)が含まれている。従って、配列中のフェニルアラニンの数は、コードされたポリペプチド中のフェニルアラニンの数を変更することなく排除することができないウラシル対(UU)の最小数を規定する。
いくつかの実施形態では、本開示のGM-CSFポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、野生型核酸配列に対して、三連ウラシル(UUU)の数が少ない。いくつかの実施形態では、GM-CSFポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、野生型核酸配列中のウラシル対(UU)の数に対して、ウラシル対(UU)の数が少ない。いくつかの実施形態では、本開示のGM-CSFポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、野生型核酸配列中のウラシル対(UU)の最小限の数に対応する数のウラシル対(UU)の数を有する。
「野生型核酸配列中のウラシル対(UU)に対するウラシル対(UU)」という句は、配列最適化ヌクレオチド配列のウラシル対(UU)の数を、対応する野生型ヌクレオチド配列中のウラシル対(UU)の総数で除し、100を掛けることによって特定されるパラメータを指す。このパラメータは、本明細書では%UUwtと略される。いくつかの実施形態では、GM-CSFポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、100%未満の間の%UUwtを有する。
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、本明細書に開示するGM-CSFポリペプチドをコードするウラシル修飾配列を含む。いくつかの実施形態では、該GM-CSFポリペプチドをコードするウラシル修飾配列は、少なくとも1つの化学的に修飾された核酸塩基、例えば、5-メトキシウラシルを含む。いくつかの実施形態では、本開示のGM-CSFポリペプチドをコードするウラシル修飾配列中の核酸塩基(例えば、ウラシル)の少なくとも95%は、修飾された核酸塩基である。いくつかの実施形態では、GM-CSFポリペプチドをコードするウラシル修飾配列中のウラシルの少なくとも95%は、5-メトキシウラシルである。いくつかの実施形態では、該ウラシル修飾配列を含むポリヌクレオチドはさらに、miRNA結合部位、例えば、miR-122に結合するmiRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態では、該ウラシル修飾配列を含むポリヌクレオチドは、送達剤、例えば、式(I)を有する化合物、例えば、化合物1~147のいずれか、または化合物1~232のいずれかとともに製剤化される。
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、GM-CSFポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、その野生型配列、機能的断片、またはバリアント)を含むポリヌクレオチド)は、配列最適化される。
配列最適化ヌクレオチド配列(ヌクレオチド配列は、本明細書では「核酸」とも呼ばれる)は、参照配列(例えば、GM-CSFポリペプチドをコードする野生型配列)に対して、少なくとも1つのコドン修飾を含む。従って、配列最適化核酸では、少なくとも1つのコドンは、参照配列(例えば、野生型配列)での対応するコドンと異なる。
一般に、配列最適化核酸は、少なくとも、参照配列中のコドンを同義コドン(すなわち、同じアミノ酸をコードするコドン)で置換することを含むステップによって生成される。かかる置換は、例えば、コドン置換マップ(すなわち、コドン最適化配列中の各アミノ酸をコードするコドンを示す表)を適用することによって、または一連の規則(例えば、グリシンが中性アミノ酸のとなりにある場合、グリシンはある特定のコドンによってコードされるが、極性アミノ酸のとなりにある場合は別のコドンによってコードされる)を適用することによって達成され得る。コドン置換(すなわち、「コドン最適化」)に加えて、本明細書に開示する配列最適化方法は、厳密にはコドン最適化を対象としない、有害なモチーフの除去(不安定モチーフ置換)等のさらなる最適化ステップを含む。これらの配列最適化核酸(例えば、RNA、例えば、mRNA)を含む組成物及び製剤は、それを必要とする対象に投与され、機能的に活性なGM-CSFポリペプチドのインビボ発現が促進され得る。
配列最適化のさらなる例示的な方法は、2017年5月18日に出願された国際PCT出願第WO2017/201325号に開示されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
マイクロRNA(miRNA)結合部位
本発明のポリヌクレオチドは、調節要素、例えば、マイクロRNA(miRNA)結合部位、転写因子結合部位、構造化mRNA配列及び/またはモチーフ、内因性核酸結合分子の擬似受容体として作用するように設計された人工結合部位、ならびにそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、かかる調節要素を含むポリヌクレオチドは、「センサー配列」を含むと言われる。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、リボ核酸(RNA)、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))は、目的のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、さらに1つ以上のmiRNA結合部位を含む。miRNA結合部位(複数可)の包含または組み込みは、天然型miRNAの組織特異的及び/または細胞型特異的発現に基づいて、本発明のポリヌクレオチド、ひいては、それからコードされるポリペプチドの調節をもたらす。
本発明はまた、上記ポリヌクレオチドのいずれかを含む医薬組成物及び製剤を提供する。いくつかの実施形態では、該組成物または製剤は、さらに送達剤を含む。
いくつかの実施形態では、該組成物または製剤は、ポリペプチドをコードする本明細書に開示する配列最適化核酸配列を含むポリヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、該組成物または製剤は、ポリペプチドをコードする本明細書に開示する配列最適化核酸配列に対して大幅な配列同一性を有するポリヌクレオチド(例えば、ORF)を含むポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)を含み得る。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドはさらに、miRNA結合部位、例えば、結合するmiR結合部位を含む。
miRNA、例えば、天然型miRNAは、ポリヌクレオチドに結合する19~25ヌクレオチド長の非コードRNAであり、該ポリヌクレオチドの安定性を低下させること、またはその翻訳を阻害することのいずれかによって遺伝子発現を下方制御する。miRNA配列は、「シード」領域、すなわち、成熟miRNAの位置2~8の領域の配列を含む。miRNAのシードは、成熟miRNAの位置2~8または2~7を含み得る。
マイクロRNAは、miRNA前駆体(pre-miRNA)(precursor-miRNA)としばしば呼ばれる短いヘアピン構造を形成するように自身で折り返すRNA転写物の領域から酵素的に生じる。miRNA前駆体は通常、その3’末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを有し、3’ヒドロキシル基及び5’リン酸基を有する。このmRNA前駆体は、核内でプロセシングされ、続いて細胞質に輸送され、そこでDICER(RNaseIII酵素)によってさらにプロセシングされ、約22ヌクレオチドの成熟マイクロRNAを形成する。該成熟マイクロRNAは、その後、リボ核粒子に組み込まれ、遺伝子サイレンシングを媒介するRNA誘導型サイレンシング複合体、RISCを形成する。当該技術分野において承認されている成熟miRNAの命名法は、通常、該成熟miRNAが生じるmiRNA前駆体のアームを指定する。すなわち、「5p」は、該マイクロRNAが該miRNA前駆体のヘアピンの5プライムアームに由来することを意味し、「3p」は、該マイクロRNAが該miRNA前駆体のヘアピンの3プライム末端に由来することを意味する。本明細書において番号で言及されるmiRは、同じmiRNA前駆体の対向するアームに由来する2つの成熟マイクロRNAのいずれか(例えば、3pまたは5pマイクロRNAのいずれか)を指すことができる。本明細書で言及されるすべてのmiRは、3pまたは5pの指定により特に指定されない限り、3p及び5pアーム/配列の両方を含むことが意図される。本明細書で使用される、「マイクロRNA(miRNAまたはmiR)結合部位」という用語は、ポリヌクレオチド内、例えば、DNA内または5’UTR及び/または3’UTRを含めたRNA転写物内の配列を指し、miRNAのすべてまたは領域に対して、該miRNAと相互作用し、会合し、または結合するのに十分な相補性を有する。いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドをコードするORFを含む本発明のポリヌクレオチドは、さらに1つ以上のmiRNA結合部位(複数可)を含む。例示的な実施形態では、該ポリヌクレオチド(例えば、リボ核酸(RNA)、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))の5’UTR及び/または3’UTRは1つ以上のmiRNA結合部位(複数可)を含む。
miRNAに対して十分な相補性を有するmiRNA結合部位とは、ポリヌクレオチドのmiRNAが媒介する調節、例えば、該ポリヌクレオチドのmiRNAが媒介する翻訳抑制または分解を促進するのに十分な相補性度を指す。本発明の例示的な態様では、該miRNAに対して十分な相補性を有するmiRNA結合部位とは、該ポリヌクレオチドのmiRNAが媒介する分解、例えば、mRNAのmiRNA誘導RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)が媒介する切断を促進するのに十分な相補性度を指す。該miRNA結合部位は、例えば、19~25ヌクレオチド長のmiRNA配列、19~23ヌクレオチド長のmiRNA配列、または22ヌクレオチド長のmiRNA配列に対して相補性を有し得る。miRNA結合部位は、miRNAの一部のみ、例えば、天然型miRNA配列の全長の1、2、3、もしくは4ヌクレオチド未満の部分、または天然型miRNA配列より短い1、2、3、もしくは4ヌクレオチド未満の部分に対して相補的であり得る。所望の調節がmRNA分解の場合、十分なまたは完全な相補性(例えば、天然型miRNAの長さのすべてまたはかなりの部分にわたって十分な相補性または完全な相補性)が好ましい。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、miRNAのシード配列と相補性(例えば、部分的または完全な相補性)を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、miRNAのシード配列と完全な相補性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、miRNA配列と相補性(例えば、部分的または完全な相補性)を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、miRNA配列と完全な相補性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、1つ、2つ、または3つのヌクレオチド置換、末端付加、及び/または切断を別にすればmiRNA配列と完全な相補性を有する。
いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、対応するmiRNAと同じ長さである。他の実施形態では、該miRNA結合部位は、対応するmiRNAより5’末端、3’末端、またはその両方で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヌクレオチド短い。さらに他の実施形態では、該マイクロRNA結合部位は、対応するマイクロRNAより5’末端、3’末端、またはその両方で2ヌクレオチド短い。対応するmiRNAよりも短いmiRNA結合部位はそれでもなお、1つ以上の該miRNA結合部位を組み込んだmRNAを分解することや、該mRNAの翻訳を妨げることが可能である。
いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、Dicerを含む活性RISCの一部である対応する成熟miRNAに結合する。別の実施形態では、RISC中の対応するmiRNAへ該miRNA結合部位が結合することで、該miRNA結合部位を含むmRNAが分解され、または該mRNAの翻訳が妨げられる。いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、miRNAに対して十分な相補性を有するため、該miRNAを含むRISC複合体は、該miRNA結合部位を含むポリヌクレオチドを切断する。他の実施形態では、該miRNA結合部位は、不完全な相補性を有するため、該miRNAを含むRISC複合体は、該miRNA結合部位を含むポリヌクレオチドに不安定性を誘導する。別の実施形態では、該miRNA結合部位は、不完全な相補性を有するため、該miRNAを含むRISC複合体は、該miRNA結合部位を含むポリヌクレオチドの転写を抑制する。
いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、対応するmiRNAから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個のミスマッチを有する。
いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、対応するmiRNAの少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21個の連続したヌクレオチドに対して相補的な、それぞれ、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21個の連続したヌクレオチドを有する。
1つ以上のmiRNA結合部位を本発明のポリヌクレオチドに組み込むことによって、問題のmiRNAが利用可能であれば、該ポリヌクレオチドを分解のための、または翻訳の低減のための標的とすることができる。これにより、該ポリヌクレオチドの送達に際するオフターゲット効果が低減され得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドが、組織または細胞に送達されることを意図していないが、当該組織または細胞に行き着く場合、該組織または細胞に豊富なmiRNAは、該miRNAの1つまたは複数の結合部位が該ポリヌクレオチドの5’UTR及び/または3’UTRに組み込まれれば、目的の遺伝子の発現を阻害することができる。従って、いくつかの実施形態では、本開示のmRNAに1つ以上のmiRNA結合部位を組み込むことで、核酸分子の送達に際するオフターゲット効果の危険が低下する場合があり、及び/または該mRNAによってコードされるポリペプチドの発現の組織特異的調節が可能になる場合がある。さらに他の実施形態では、本開示のmRNAに1つ以上のmiRNA結合部位を組み込むことで、インビボでの核酸送達に際する免疫応答を調節することができる。さらなる実施形態では、本開示のmRNAに1つ以上のmiRNA結合部位を組み込むことで、本明細書に記載の脂質含有化合物及び組成物の加速血中クリアランス(ABC)を調節することができる。
逆に、miRNA結合部位は、特定の組織でのタンパク質発現を高めるためにそれらが天然に存在するポリヌクレオチド配列から除去される場合がある。例えば、特定のmiRNAの結合部位を、該miRNAを含む組織または細胞でのタンパク質発現を改善するためにポリヌクレオチドから除去することができる。
複数の組織での発現の調節は、1つ以上のmiRNA結合部位、例えば、1つ以上の異なるmiRNA結合部位の導入または除去によって達成され得る。miRNA結合部位を除去するか挿入するかの決定は、発達中及び/または疾患における組織及び/または細胞でのmiRNAの発現パターン及び/またはそれらのプロファイリングに基づいてなされ得る。miRNA、miRNA結合部位、及びそれらの発現パターンならびに生物学における役割の特定が報告されている(例えば、Bonauer et al.,Curr Drug Targets 2010 11:943-949、Anand and Cheresh Curr Opin Hematol 2011 18:171-176、Contreras and Rao Leukemia 2012 26:404-413(2011 Dec 20.doi:10.1038/leu.2011.356)、Bartel Cell 2009 136:215-233、Landgraf et al,Cell,2007 129:1401-1414、Gentner and Naldini,Tissue Antigens.2012 80:393-403、及びそれらの中のすべての参考文献、参照によりその各々が全体として本明細書に組み込まれる)。
miRNAがmRNA、ひいてはタンパク質発現を調節することが既知の組織の例としては、肝臓(miR-122)、筋肉(miR-133、miR-206、miR-208)、内皮細胞(miR-17-92、miR-126)、骨髄細胞(miR-142-3p、miR-142-5p、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27)、脂肪組織(let-7、miR-30c)、心臓(miR-1d、miR-149)、腎臓(miR-192、miR-194、miR-204)、及び肺上皮細胞(let-7、miR-133、miR-126)が挙げられるがこれらに限定されない。具体的には、miRNAは、免疫細胞(造血細胞とも呼ばれる)、例えば、抗原提示細胞(APC)(例えば、樹状細胞及びマクロファージ)、マクロファージ、単球、Bリンパ球、Tリンパ球、顆粒球、ナチュラルキラー細胞等で差次的に発現されることが知られている。免疫細胞特異的miRNAは、免疫原性、自己免疫、感染に対する免疫応答、炎症、ならびに遺伝子治療及び組織/臓器移植後の望ましくない免疫応答に関与している。免疫細胞特異的miRNAはまた、造血細胞(免疫細胞)の発生、増殖、分化及びアポトーシスの多くの特徴を調節する。例えば、miR-142及びmiR-146は免疫細胞でのみ発現され、特に骨髄樹状細胞で豊富である。ポリヌクレオチドに対する免疫応答は、該ポリヌクレオチドの3’UTRにmiR-142結合部位を付加することで遮断することができ、組織及び細胞へのより安定した遺伝子導入を可能にすることが実証されている。miR-142は、抗原提示細胞で外因性ポリヌクレオチドを効率的に分解し、形質導入細胞の細胞傷害性排除を抑制する(例えば、Annoni A et al.,blood,2009,114,5152-5161、Brown BD,et al.,Nat med.2006,12(5),585-591、Brown BD,et al.,blood,2007,110(13):4144-4152、参照によりその各々が全体として本明細書に組み込まれる)。
抗原が媒介する免疫応答とは、生物に入った場合に抗原提示細胞によってプロセシングされ、該抗原提示細胞の表面で提示される外来抗原によって誘発される免疫応答を指すことができる。T細胞は、提示された抗原を認識し、該抗原を発現する細胞の細胞傷害性排除を誘導することができる。
miR-142結合部位を本発明のポリヌクレオチドの5’UTR及び/または3’UTRへ導入することで、miR-142が媒介する分解を介して抗原提示細胞での遺伝子発現を選択的に抑制し、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)における抗原提示を制限し、それにより、該ポリヌクレオチドの送達後に抗原が媒介する免疫応答を防ぐことができる。該ポリヌクレオチドは、次いで、細胞傷害性排除を誘発することなく標的組織または細胞で安定に発現される。
1つの実施形態では、免疫細胞、特に抗原提示細胞で発現されることが既知のmiRNAの結合部位を本発明のポリヌクレオチドに組み込み、miRNAが媒介するRNA分解を介して抗原提示細胞でのポリヌクレオチドの発現を抑制し、該抗原が媒介する免疫応答を抑えることができる。該ポリヌクレオチドの発現は、免疫細胞特異的miRNAが発現されない非免疫細胞で維持される。例えば、いくつかの実施形態では、肝臓特異的タンパク質に対する免疫原性反応を防ぐために、任意のmiR-122結合部位を除去することができ、miR-142(及び/またはmirR-146)結合部位を本発明のポリヌクレオチドの5’UTR及び/または3’UTRに組み込むことができる。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、当該5’UTR及び/または3’UTRにさらなる負調節要素を単独で、またはmiR-142及び/またはmiR-146結合部位と組み合わせて含むことができる。非限定的な例として、該さらなる負調節要素は、Constitutive Decay Element(CDE)である。
免疫細胞特異的miRNAとしては、hsa-let-7a-2-3p、hsa-let-7a-3p、hsa-7a-5p、hsa-let-7c、hsa-let-7e-3p、hsa-let-7e-5p、hsa-let-7g-3p、hsa-let-7g-5p、hsa-let-7i-3p、hsa-let-7i-5p、miR-10a-3p、miR-10a-5p、miR-1184、hsa-let-7f-1--3p、hsa-let-7f-2--5p、hsa-let-7f-5p、miR-125b-1-3p、miR-125b-2-3p、miR-125b-5p、miR-1279、miR-130a-3p、miR-130a-5p、miR-132-3p、miR-132-5p、miR-142-3p、miR-142-5p、miR-143-3p、miR-143-5p、miR-146a-3p、miR-146a-5p、miR-146b-3p、miR-146b-5p、miR-147a、miR-147b、miR-148a-5p、miR-148a-3p、miR-150-3p、miR-150-5p、miR-151b、miR-155-3p、miR-155-5p、miR-15a-3p、miR-15a-5p、miR-15b-5p、miR-15b-3p、miR-16-1-3p、miR-16-2-3p、miR-16-5p、miR-17-5p、miR-181a-3p、miR-181a-5p、miR-181a-2-3p、miR-182-3p、miR-182-5p、miR-197-3p、miR-197-5p、miR-21-5p、miR-21-3p、miR-214-3p、miR-214-5p、miR-223-3p、miR-223-5p、miR-221-3p、miR-221-5p、miR-23b-3p、miR-23b-5p、miR-24-1-5p、miR-24-2-5p、miR-24-3p、miR-26a-1-3p、miR-26a-2-3p、miR-26a-5p、miR-26b-3p、miR-26b-5p、miR-27a-3p、miR-27a-5p、miR-27b-3p、miR-27b-5p、miR-28-3p、miR-28-5p、miR-2909、miR-29a-3p、miR-29a-5p、miR-29b-1-5p、miR-29b-2-5p、miR-29c-3p、miR-29c-5p、miR-30e-3p、miR-30e-5p、miR-331-5p、miR-339-3p、miR-339-5p、miR-345-3p、miR-345-5p、miR-346、miR-34a-3p、miR-34a-5p、miR-363-3p、miR-363-5p、miR-372、miR-377-3p、miR-377-5p、miR-493-3p、miR-493-5p、miR-542、miR-548b-5p、miR548c-5p、miR-548i、miR-548j、miR-548n、miR-574-3p、miR-598、miR-718、miR-935、miR-99a-3p、miR-99a-5p、miR-99b-3p、及びmiR-99b-5pが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、新規なmiRNAは、マイクロアレイハイブリダイゼーション及びミクロトーム分析により免疫細胞で特定され得る(例えば、Jima DD et al,Blood,2010,116:e118-e127、Vaz C et al.,BMC Genomics,2010,11,288、参照によりその各々の内容が全体として本明細書に組み込まれる)。
肝臓で発現されることが既知のmiRNAとしては、miR-107、miR-122-3p、miR-122-5p、miR-1228-3p、miR-1228-5p、miR-1249、miR-129-5p、miR-1303、miR-151a-3p、miR-151a-5p、miR-152、miR-194-3p、miR-194-5p、miR-199a-3p、miR-199a-5p、miR-199b-3p、miR-199b-5p、miR-296-5p、miR-557、miR-581、miR-939-3p、及びmiR-939-5pが挙げられるがこれらに限定されない。任意の肝臓特異的miRNA由来のmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入し、またはそこから除去し、肝臓における該ポリヌクレオチドの発現を調節することができる。肝臓特異的miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドに単独で組み込むことも、さらに免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位と組み合わせて組み込むこともできる。
肺で発現されることが既知のmiRNAとしては、let-7a-2-3p、let-7a-3p、let-7a-5p、miR-126-3p、miR-126-5p、miR-127-3p、miR-127-5p、miR-130a-3p、miR-130a-5p、miR-130b-3p、miR-130b-5p、miR-133a、miR-133b、miR-134、miR-18a-3p、miR-18a-5p、miR-18b-3p、miR-18b-5p、miR-24-1-5p、miR-24-2-5p、miR-24-3p、miR-296-3p、miR-296-5p、miR-32-3p、miR-337-3p、miR-337-5p、miR-381-3p、及びmiR-381-5pが挙げられるがこれらに限定されない。任意の肺特異的miRNA由来のmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入し、またはそこから除去し、肺における該ポリヌクレオチドの発現を調節することができる。肺臓特異的miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドに単独で組み込むことも、さらに免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位と組み合わせて組み込むこともできる。
心臓で発現されることが既知のmiRNAとしては、miR-1、miR-133a、miR-133b、miR-149-3p、miR-149-5p、miR-186-3p、miR-186-5p、miR-208a、miR-208b、miR-210、miR-296-3p、miR-320、miR-451a、miR-451b、miR-499a-3p、miR-499a-5p、miR-499b-3p、miR-499b-5p、miR-744-3p、miR-744-5p、miR-92b-3p、及びmiR-92b-5pが挙げられるがこれらに限定されない。任意の心臓特異的マイクロRNA由来のmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入し、またはそこから除去し、心臓における該ポリヌクレオチドの発現を調節することができる。心臓特異的miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドに単独で組み込むことも、さらに免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位と組み合わせて組み込むこともできる。
神経系で発現されることが既知のmiRNAとしては、miR-124-5p、miR-125a-3p、miR-125a-5p、miR-125b-1-3p、miR-125b-2-3p、miR-125b-5p、miR-1271-3p、miR-1271-5p、miR-128、miR-132-5p、miR-135a-3p、miR-135a-5p、miR-135b-3p、miR-135b-5p、miR-137、miR-139-5p、miR-139-3p、miR-149-3p、miR-149-5p、miR-153、miR-181c-3p、miR-181c-5p、miR-183-3p、miR-183-5p、miR-190a、miR-190b、miR-212-3p、miR-212-5p、miR-219-1-3p、miR-219-2-3p、miR-23a-3p、miR-23a-5p、miR-30a-5p、miR-30b-3p、miR-30b-5p、miR-30c-1-3p、miR-30c-2-3p、miR-30c-5p、miR-30d-3p、miR-30d-5p、miR-329、miR-342-3p、miR-3665、miR-3666、miR-380-3p、miR-380-5p、miR-383、miR-410、miR-425-3p、miR-425-5p、miR-454-3p、miR-454-5p、miR-483、miR-510、miR-516a-3p、miR-548b-5p、miR-548c-5p、miR-571、miR-7-1-3p、miR-7-2-3p、miR-7-5p、miR-802、miR-922、miR-9-3p、及びmiR-9-5pが挙げられるがこれらに限定されない。神経系で豊富なmiRNAとしてはさらに、miR-132-3p、miR-132-3p、miR-148b-3p、miR-148b-5p、miR-151a-3p、miR-151a-5p、miR-212-3p、miR-212-5p、miR-320b、miR-320e、miR-323a-3p、miR-323a-5p、miR-324-5p、miR-325、miR-326、miR-328、miR-922が挙げられるがこれらに限定されないニューロンで特異的に発現されるもの、ならびにmiR-1250、miR-219-1-3p、miR-219-2-3p、miR-219-5p、miR-23a-3p、miR-23a-5p、miR-3065-3p、miR-3065-5p、miR-30e-3p、miR-30e-5p、miR-32-5p、miR-338-5p、及びmiR-657が挙げられるがこれらに限定されないグリア細胞で特異的に発現されるものが挙げられる。任意のCNS特異的miRNA由来のmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入し、またはそこから除去し、神経系における該ポリヌクレオチドの発現を調節することができる。神経系特異的miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドに単独で組み込むことも、さらに免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位と組み合わせて組み込むこともできる。
膵臓で発現されることが既知のmiRNAとしては、miR-105-3p、miR-105-5p、miR-184、miR-195-3p、miR-195-5p、miR-196a-3p、miR-196a-5p、miR-214-3p、miR-214-5p、miR-216a-3p、miR-216a-5p、miR-30a-3p、miR-33a-3p、miR-33a-5p、miR-375、miR-7-1-3p、miR-7-2-3p、miR-493-3p、miR-493-5p、及びmiR-944が挙げられるがこれらに限定されない。任意の膵臓特異的miRNA由来のmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入し、またはそこから除去し、膵臓における該ポリヌクレオチドの発現を調節することができる。膵臓特異的miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドに単独で組み込むことも、さらに免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位と組み合わせて組み込むこともできる。
腎臓で発現されることが既知のmiRNAとしては、miR-122-3p、miR-145-5p、miR-17-5p、miR-192-3p、miR-192-5p、miR-194-3p、miR-194-5p、miR-20a-3p、miR-20a-5p、miR-204-3p、miR-204-5p、miR-210、miR-216a-3p、miR-216a-5p、miR-296-3p、miR-30a-3p、miR-30a-5p、miR-30b-3p、miR-30b-5p、miR-30c-1-3p、miR-30c-2-3p、miR30c-5p、miR-324-3p、miR-335-3p、miR-335-5p、miR-363-3p、miR-363-5p、及びmiR-562が挙げられるがこれらに限定されない。任意の腎臓特異的miRNA由来のmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入し、またはそこから除去し、腎臓における該ポリヌクレオチドの発現を調節することができる。腎臓特異的miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドに単独で組み込むことも、さらに免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位と組み合わせて組み込むこともできる。
筋肉で発現されることが既知のmiRNAとしては、let-7g-3p、let-7g-5p、miR-1、miR-1286、miR-133a、miR-133b、miR-140-3p、miR-143-3p、miR-143-5p、miR-145-3p、miR-145-5p、miR-188-3p、miR-188-5p、miR-206、miR-208a、miR-208b、miR-25-3p、及びmiR-25-5pが挙げられるがこれらに限定されない。任意の筋肉特異的miRNA由来のmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入し、またはそこから除去し、筋肉における該ポリヌクレオチドの発現を調節することができる。筋肉特異的miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドに単独で組み込むことも、さらに免疫細胞(例えば、APC)のmiRNA結合部位と組み合わせて組み込むこともできる。
miRNAはまた、異なる細胞型、例えば、これらに限定されないが、内皮細胞、上皮細胞、及び脂肪細胞でも差次的に発現される。
内皮細胞で発現されることが既知のmiRNAとしては、let-7b-3p、let-7b-5p、miR-100-3p、miR-100-5p、miR-101-3p、miR-101-5p、miR-126-3p、miR-126-5p、miR-1236-3p、miR-1236-5p、miR-130a-3p、miR-130a-5p、miR-17-5p、miR-17-3p、miR-18a-3p、miR-18a-5p、miR-19a-3p、miR-19a-5p、miR-19b-1-5p、miR-19b-2-5p、miR-19b-3p、miR-20a-3p、miR-20a-5p、miR-217、miR-210、miR-21-3p、miR-21-5p、miR-221-3p、miR-221-5p、miR-222-3p、miR-222-5p、miR-23a-3p、miR-23a-5p、miR-296-5p、miR-361-3p、miR-361-5p、miR-421、miR-424-3p、miR-424-5p、miR-513a-5p、miR-92a-1-5p、miR-92a-2-5p、miR-92a-3p、miR-92b-3p、及びmiR-92b-5pが挙げられるがこれらに限定されない。内皮細胞において多くの新規なmiRNAがディープシーケンシング解析から発見される(例えば、Voellenkle C et al.,RNA,2012,18,472-484、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。任意の内皮細胞特異的miRNA由来のmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入し、またはそこから除去し、内皮細胞における該ポリヌクレオチドの発現を調節することができる。
上皮細胞で発現されることが既知のmiRNAとしては、呼吸器線毛上皮細胞で特異的なlet-7b-3p、let-7b-5p、miR-1246、miR-200a-3p、miR-200a-5p、miR-200b-3p、miR-200b-5p、miR-200c-3p、miR-200c-5p、miR-338-3p、miR-429、miR-451a、miR-451b、miR-494、miR-802及びmiR-34a、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-449a、miR-449b-3p、miR-449b-5p、肺上皮細胞で特異的なlet-7ファミリー、miR-133a、miR-133b、miR-126、腎上皮細胞で特異的なmiR-382-3p、miR-382-5p、ならびに角膜上皮細胞で特異的なmiR-762が挙げられるがこれらに限定されない。任意の上皮細胞特異的miRNA由来のmiRNA結合部位を、本発明のポリヌクレオチドに導入し、またはそこから除去し、上皮細胞における該ポリヌクレオチドの発現を調節することができる。
さらに、miRNAの大集団が胚性幹細胞に濃縮され、幹細胞の自己再生ならびに様々な細胞系統、例えば、神経細胞、心臓、造血細胞、皮膚細胞、骨形成細胞及び筋細胞の発生及び/または分化を制御している(例えば、Kuppusamy KT et al.,Curr.Mol Med,2013,13(5),757-764、Vidigal JA and Ventura A,Semin Cancer Biol.2012,22(5-6),428-436、Goff LA et al.,PLoS One,2009,4:e7192、Morin RD et al.,Genome Res,2008,18,610-621、Yoo JK et al.,Stem Cells Dev.2012,21(11),2049-2057、参照によりその各々が全体として本明細書に組み込まれる)。胚性幹細胞に豊富なmiRNAとしては、let-7a-2-3p、let-a-3p、let-7a-5p、let7d-3p、let-7d-5p、miR-103a-2-3p、miR-103a-5p、miR-106b-3p、miR-106b-5p、miR-1246、miR-1275、miR-138-1-3p、miR-138-2-3p、miR-138-5p、miR-154-3p、miR-154-5p、miR-200c-3p、miR-200c-5p、miR-290、miR-301a-3p、miR-301a-5p、miR-302a-3p、miR-302a-5p、miR-302b-3p、miR-302b-5p、miR-302c-3p、miR-302c-5p、miR-302d-3p、miR-302d-5p、miR-302e、miR-367-3p、miR-367-5p、miR-369-3p、miR-369-5p、miR-370、miR-371、miR-373、miR-380-5p、miR-423-3p、miR-423-5p、miR-486-5p、miR-520c-3p、miR-548e、miR-548f、miR-548g-3p、miR-548g-5p、miR-548i、miR-548k、miR-548l、miR-548m、miR-548n、miR-548o-3p、miR-548o-5p、miR-548p、miR-664a-3p、miR-664a-5p、miR-664b-3p、miR-664b-5p、miR-766-3p、miR-766-5p、miR-885-3p、miR-885-5p、miR-93-3p、miR-93-5p、miR-941,miR-96-3p、miR-96-5p、miR-99b-3p及びmiR-99b-5pが挙げられるがこれらに限定されない。多くの予測新規miRNAが、ヒト胚性幹細胞のディープシーケンシングで発見される(例えば、Morin RD et al.,Genome Res,2008,18,610-621、Goff LA et al.,PLoS One,2009,4:e7192、Bar M et al.,Stem cells,2008,26,2496-2505、参照によりこれらの各々の内容が全体として本明細書に組み込まれる)。
いくつかの実施形態では、miRNAは、造血系の免疫細胞、例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ、樹状細胞、ならびにTLR7及び/またはTLR8を発現し、及び/またはサイトカインを分泌することができることが知られる細胞、例えば、内皮細胞及び血小板での発現ならびに存在量に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、該miRNAのセットは、従って、これらの細胞の免疫原性に部分的に関与し得るmiRを含み、本発明のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)への対応するmiR部位の組み込みが、該特定の細胞型における該mRNAの不安定化、及び/またはこれらmRNAからの翻訳の抑制につながり得る。非限定的な代表的な例としては、造血細胞の多くに特異的なmiR-142、miR-144、miR-150、miR-155及びmiR-223、B細胞で発現されるmiR-142、miR150、miR-16及びmiR-223、造血前駆細胞で発現されるmiR-223、miR-451、miR-26a、miR-16、ならびに形質細胞様樹状細胞、血小板及び内皮細胞で発現されるmiR-126が挙げられる。さらなるmiRの組織発現についての議論は、例えば、Teruel-Montoya、R.et al.(2014)PLoS One 9:e102259、Landgraf、P.et al.(2007)Cell 129:1401-1414、Bissels、U.et al.(2009)RNA 15:2375-2384を参照されたい。任意の1つのmiR部位の3’UTR及び/または5’UTRへの組み込みは、複数の目的の細胞型においてかかる効果を媒介し得る(例えば、miR-142は、B細胞及び樹状細胞の両方で豊富である)。
いくつかの実施形態では、同じ細胞型を複数のmiRで標的化すること、ならびに3p及び5pのそれぞれのアームに対する結合部位を、両方が豊富にある(例えば、miR-142-3p及びmiR142-5pが両方とも造血幹細胞で豊富である)場合に組み込むことが有益であり得る。従って、ある特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、(i)miR-142、miR-144、miR-150、miR-155及びmiR-223からなる群(これらは多くの造血細胞で発現される)、または(ii)miR-142、miR150、miR-16及びmiR-223からなる群(これらはB細胞で発現される)、もしくはmiR-223、miR-451、miR-26a、miR-16からなる群(これらは造血前駆細胞で発現される)から、2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つもしくはそれ以上)のmiR結合部位を含む。
いくつかの実施形態では、複数の目的の細胞型が同時に標的化されるように様々なmiR(例えば、造血系及び内皮細胞の多くの細胞を標的とするmiR-142及びmiR-126)を組み合わせることもまた有益であり得る。従って、例えば、ある特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれ以上)のmiRNA結合部位を含み、ここで、(i)少なくとも1つのmiRは、造血系の細胞を標的とし(例えば、miR-142、miR-144、miR-150、miR-155もしくはmiR-223)、かつ少なくとも1つのmiRは、形質細胞様樹状細胞、血小板もしくは内皮細胞を標的とする(例えば、miR-126)か、または(ii)少なくとも1つのmiRは、B細胞を標的とし(例えば、miR-142、miR150、miR-16もしくはmiR-223)、かつ少なくとも1つのmiRは、形質細胞様樹状細胞、血小板もしくは内皮細胞を標的とする(例えば、miR-126)か、または(iii)少なくとも1つのmiRは、造血前駆細胞を標的とし(例えば、miR-223、miR-451、miR-26aもしくはmiR-16)、かつ少なくとも1つのmiRは、形質細胞様樹状細胞、血小板もしくは内皮細胞を標的とする(例えば、miR-126)か、または(iv)少なくとも1つのmiRは、造血系の細胞を標的とし(例えば、miR-142、miR-144、miR-150、miR-155もしくはmiR-223)、少なくとも1つのmiRは、B細胞を標的とし(例えば、miR-142、miR150、miR-16もしくはmiR-223)、かつ少なくとも1つのmiRは、形質細胞様樹状細胞、血小板もしくは内皮細胞を標的とする(例えば、miR-126)か、あるいは上記の4つのクラスのmiR結合部位(すなわち、造血系を標的とするもの、B細胞を標的とするもの、造血前駆細胞を標的とするもの及び/または形質細胞様樹状細胞/血小板/内皮細胞を標的とするもの)の任意の他の可能な組み合わせを標的とする。
1つの実施形態では、免疫応答を調節するため、本発明のポリヌクレオチドは、従来の免疫細胞またはTLR7及び/またはTLR8を発現しかつ炎症性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する任意の細胞で(例えば、末梢リンパ器官及び/または脾細胞及び/または内皮細胞の免疫細胞で)発現される1つ以上のmiRに結合する1つ以上のmiRNA結合配列を含むことができる。従来の免疫細胞またはTLR7及び/またはTLR8を発現しかつ炎症性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する任意の細胞で(例えば、末梢リンパ器官及び/または脾細胞及び/または内皮細胞の免疫細胞で)発現される1つ以上のmiRのmRNAへの組み込みは、免疫細胞の活性化(例えば、B細胞活性化、活性化B細胞の頻度で測定される)及び/またはサイトカイン産生(例えば、IL-6、IFN-γ及び/またはTNFαの産生)を低減または阻害することが分かっている。さらに、従来の免疫細胞またはTLR7及び/またはTLR8を発現しかつ炎症性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する任意の細胞で(例えば、末梢リンパ器官及び/または脾細胞及び/または内皮細胞の免疫細胞で)発現される1つ以上のmiRのmRNAへの組み込みは、該mRNAによってコードされる目的のタンパク質に対する抗薬物抗体(ADA)反応を低減または阻害することができる。
別の実施形態では、脂質含有化合物または組成物で送達されるポリヌクレオチドの加速血中クリアランスを調節するため、本発明のポリヌクレオチドは、従来の免疫細胞またはTLR7及び/またはTLR8を発現しかつ炎症性サイトカイン及び/またはケモカインを分泌する任意の細胞で(例えば、末梢リンパ器官及び/または脾細胞及び/または内皮細胞の免疫細胞で)発現される1つ以上のmiRNAに結合する1つ以上のmiR結合配列を含むことができる。1つ以上のmiR結合部位のmRNAへの組み込みにより、該mRNAの送達に使用される脂質含有化合物または組成物の加速血中クリアランス(ABC)が低減または阻害されることが分かっている。さらに、1つ以上のmiR結合部位のmRNAへの組み込みにより、該mRNAを含む脂質含有化合物または組成物の投与後、抗PEG抗IgMの血清レベルが低下し(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)を認識するIgMのB細胞による急性産生が低減または阻害され)、及び/または形質細胞様樹状細胞の増殖及び/または活性化が低減または阻害されることが分かっている。
いくつかの実施形態では、miR配列は、米国公開第US2005/0261218号及び米国公開第US2005/0059005号において教示されるものが挙げられるがこれらに限定されない免疫細胞で発現される任意の既知のマイクロRNAに対応し得る。これら公開の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。免疫細胞で発現されるmiRの非限定的な例としては、脾臓細胞、骨髄細胞、樹状細胞、形質細胞様樹状細胞、B細胞、T細胞及び/またはマクロファージで発現されるものが挙げられる。例えば、miR-142-3p、miR-142-5p、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24及びmiR-27は骨髄細胞で発現され、miR-155は、樹状細胞、B細胞及びT細胞で発現され、miR-146は、TLR刺激によりマクロファージにおいて上方制御され、miR-126は形質細胞様樹状細胞で発現される。ある特定の実施形態では、該miR(複数可)は、免疫細胞で豊富にまたは優先的に発現される。例えば、miR-142(miR-142-3p及び/またはmiR-142-5p)、miR-126(miR-126-3p及び/またはmiR-126-5p)、miR-146(miR-146-3p及び/またはmiR-146-5p)ならびにmiR-155(miR-155-3p及び/またはmiR155-5p)は、免疫細胞で豊富に発現される。これらのマイクロRNA配列は、当該技術分野で既知であり、従って、当業者は、ワトソン・クリックの相補性に基づいてこれらマイクロRNAが結合する結合配列または標的配列を容易に設計することができる。
従って、様々な実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、miR-142、miR-146、miR-155、miR-126、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24及びmiR-27からなる群から選択される少なくとも1つのmiRのマイクロRNA結合部位を含む。別の実施形態では、該mRNAは、免疫細胞で発現されるマイクロRNAの少なくとも2つのmiR結合部位を含む。様々な実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現されるマイクロRNAの1~4個、すなわち、1つ、2つ、3つ、または4つのmiR結合部位を含む。別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、3つのmiR結合部位を含む。これらのmiR結合部位は、miR-142、miR-146、miR-155、miR-126、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるマイクロRNAのものであり得る。1つの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現される同じmiR結合部位の2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ)のコピー、例えば、miR-142、miR-146、miR-155、miR-126、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27からなるmiRの群から選択されるmiR結合部位の2つ以上のコピーを含む。
1つの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、同じmiRNA結合部位の3つのコピーを含む。ある特定の実施形態では、同じmiR結合部位の3つのコピーを使用することで、単一のmiRNA結合部位を使用することに比べて有利な特性を示すことができる。3つのmiRNA結合部位を含む3’UTRの配列の非限定的な例は、配列番号155(3つのmiR-142-3p結合部位)及び配列番号157(3つのmiR-142-5p結合部位)に示される。
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現される少なくとも2つの異なるmiR結合部位の2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ)のコピーを含む。2つ以上の異なるmiR結合部位を含む3’UTRの配列の非限定的な例は、配列番号111(1つのmiR-142-3p結合部位及び1つのmiR-126-3p結合部位)、配列番号158(2つのmiR-142-5p結合部位及び1つのmiR-142-3p結合部位)、ならびに配列番号161(2つのmiR-155-5p結合部位及び1つのmiR-142-3p結合部位)に示される。
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現されるマイクロRNAの少なくとも2つのmiR結合部位を含み、該miR結合部位の1つはmiR-142-3pのものである。様々な実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、miR-142-3p及びmiR-155(miR-155-3pもしくはmiR-155-5p)、miR-142-3p及びmiR-146(miR-146-3もしくはmiR-146-5p)、またはmiR-142-3p及びmiR-126(miR-126-3pもしくはmiR-126-5p)の結合部位を含む。
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現されるマイクロRNAの少なくとも2つのmiR結合部位を含み、該miR結合部位の1つはmiR-126-3pのものである。様々な実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、miR-126-3p及びmiR-155(miR-155-3pもしくはmiR-155-5p)、miR-126-3p及びmiR-146(miR-146-3pもしくはmiR-146-5p)、またはmiR-126-3p及びmiR-142(miR-142-3pもしくはmiR-142-5p)の結合部位を含む。
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現されるマイクロRNAの少なくとも2つのmiR結合部位を含み、該miR結合部位の1つはmiR-142-5pのものである。様々な実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、miR-142-5p及びmiR-155(miR-155-3pもしくはmiR-155-5p)、miR-142-5p及びmiR-146(miR-146-3もしくはmiR-146-5p)、またはmiR-142-5p及びmiR-126(miR-126-3pもしくはmiR-126-5p)の結合部位を含む。
さらに別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞で発現されるマイクロRNAの少なくとも2つのmiR結合部位を含み、該miR結合部位の1つはmiR-155-5pのものである。様々な実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、miR-155-5p及びmiR-142(miR-142-3pもしくはmiR-142-5p)、miR-155-5p及びmiR-146(miR-146-3もしくはmiR-146-5p)、またはmiR-155-5p及びmiR-126(miR-126-3pもしくはmiR-126-5p)の結合部位を含む。
miRNAはまた、複雑な生物学的プロセス、例えば、血管新生を調節することもできる(例えば、miR-132)(Anand and Cheresh Curr Opin Hematol 2011 18:171-176)。本発明のポリヌクレオチドでは、かかるプロセスに関与するmiRNA結合部位を除去または導入し、該ポリヌクレオチドの発現を生物学的に関連した細胞型または関連した生物学的プロセスに合わせることができる。この状況では、本発明のポリヌクレオチドは、栄養要求性ポリヌクレオチドと定義される。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、miRNA結合部位を含み、該miRNA結合部位は、該miRNA結合部位の配列の任意の1つ以上の1つ以上のコピーを含め、表3Cまたは表4Bから選択される1つ以上のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、さらに、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の表3Cまたは表4Bから選択される同一または異なるmiRNA結合部位をそれらの任意の組み合わせを含めて含む。
いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、miR-142に結合するか、またはmiR-142に相補的である。いくつかの実施形態では、該miR-142は、配列番号114を含む。いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、miR-142-3pまたはmiR-142-5pに結合する。いくつかの実施形態では、該miR-142-3p結合部位は、配列番号116を含む。いくつかの実施形態では、該miR-142-5p結合部位は、配列番号118を含む。いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、配列番号116または配列番号118と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、miR-126に結合するか、またはmiR-126に相補的である。いくつかの実施形態では、該miR-126は、配列番号119を含む。いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、miR-126-3pまたはmiR-126-5pに結合する。いくつかの実施形態では、該miR-126-3p結合部位は、配列番号121を含む。いくつかの実施形態では、該miR-126-5p結合部位は、配列番号123を含む。いくつかの実施形態では、該miRNA結合部位は、配列番号121または配列番号123と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
1つの実施形態では、該3’UTRは、2つのmiRNA結合部位を含み、ここで、第一のmiRNA結合部位は、miR-142に結合し、第二のmiRNA結合部位は、miR-126に結合する。特定の実施形態では、該3’UTRのmiR-142及びmiR-126への結合は、配列番号163の配列を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。
Figure 2022552378000110
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドに、該ポリヌクレオチドの任意の位置(例えば、5’UTR及び/または3’UTR)で挿入される。いくつかの実施形態では、該5’UTRがmiRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態では、該3’UTRがmiRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態では、該5’UTR及び該3’UTRがmiRNA結合部位を含む。該ポリヌクレオチドの挿入部位は、該miRNA結合部位の該ポリヌクレオチドへの挿入が、対応するmiRNAの非存在下での機能的ポリペプチドの翻訳を妨害しない限り、また、該miRNAの存在下では、該miRNA結合部位の該ポリヌクレオチドへの挿入及び該miRNA結合部位の対応するmiRNAへの結合が、該ポリヌクレオチドを分解することまたは該ポリヌクレオチドの翻訳を妨げることが可能な限り、該ポリヌクレオチド内のどこであってもよい。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、ORFを含む本発明のポリヌクレオチドにおける当該ORFの終止コドンから少なくとも約30ヌクレオチド下流に挿入される。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドにおけるORFの終止コドンから少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約45ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約55ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約65ヌクレオチド、少なくとも約70ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約80ヌクレオチド、少なくとも約85ヌクレオチド、少なくとも約90ヌクレオチド、少なくとも約95ヌクレオチド、または少なくとも約100ヌクレオチド下流に挿入される。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドにおけるORFの終止コドンから約10ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約90ヌクレオチド、約30ヌクレオチド~約80ヌクレオチド、約40ヌクレオチド~約70ヌクレオチド、約50ヌクレオチド~約60ヌクレオチド、約45ヌクレオチド~約65ヌクレオチド下流に挿入される。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチド、例えば、mRNA内のコード領域の終止コドンの直後の3’UTR内に挿入される。いくつかの実施形態では、当該構築物に複数の終止コドンのコピーが存在する場合、miRNA結合部位は、最後の終止コドンの直後に挿入される。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、当該終止コドンのさらに下流に挿入され、この場合、該終止コドンと該miR結合部位(複数可)の間には3’UTR塩基が存在する。いくつかの実施形態では、3’UTRのmiRに対して可能な挿入部位の3つの非限定的な例が配列番号162、163、及び164に示され、これらは、該3’UTR内にそれぞれ、3つの異なる可能な挿入部位のうちの1つに挿入されたmiR-142-3p部位を備えた3’UTR配列を示す。いくつかの実施形態では、1つ以上のmiRNA結合部位は、該5’UTR内の1つ以上の可能な挿入部位に配置され得る。例えば、5’UTRのmiRに対して可能な挿入部位の3つの非限定的な例が配列番号165、166、または167に示され、これらは、該5’UTR内にそれぞれ、3つの異なる可能な挿入部位のうちの1つに挿入されたmiR-142-3p部位を備えた5’UTR配列を示す。
1つの実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは、終止コドンを含み、該少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は該終止コドン後の3’UTRの1~100ヌクレオチド内に配置される。1つの実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは、終止コドンを含み、免疫細胞で発現されるmiRの該少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、該終止コドン後の3’UTRの30~50ヌクレオチド内に配置される。別の実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは、終止コドンを含み、免疫細胞で発現されるmiRの該少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、該終止コドン後の3’UTRの少なくとも50ヌクレオチド内に配置される。他の実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは、終止コドンを含み、免疫細胞で発現されるmiRの該少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、該終止コドン直後の3’UTR内、または、該終止コドン後の3’UTRの15~20ヌクレオチド内もしくは該終止コドン後の3’UTRの70~80ヌクレオチド内に配置される。他の実施形態では、該3’UTRは、複数のmiRNA結合部位(例えば、2~4個のmiRNA結合部位)を含み、各miRNA結合部位間にはスペーサー領域(例えば、10~100、20~70または30~50ヌクレオチド長)が存在し得る。別の実施形態では、該3’UTRは、該miRNA結合部位(複数可)の終わりと該ポリAテールヌクレオチドの間にスペーサー領域を含む。例えば、10~100、20~70または30~50ヌクレオチド長のスペーサー領域は、該miRNA結合部位(複数可)の終わりと該ポリAテールの始まりの間に位置し得る。
1つの実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは、開始コドンを含み、該少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は該開始コドン前(上流)の5’UTRの1~100ヌクレオチド内に配置される。1つの実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは、開始コドンを含み、免疫細胞で発現されるmiRの該少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、該開始コドン前(上流)の5’UTRの10~50ヌクレオチド内に配置される。別の実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは、開始コドンを含み、免疫細胞で発現されるmiRの該少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、該開始コドン前(上流)の5’UTRの少なくとも25ヌクレオチド内に配置される。他の実施形態では、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレームは、開始コドンを含み、免疫細胞で発現されるmiRの該少なくとも1つのマイクロRNA結合部位は、該開始コドン直前の5’UTR内、または、該開始コドン前の5’UTRの15~20ヌクレオチド内もしくは該開始コドン前の5’UTRの70~80ヌクレオチド内に配置される。他の実施形態では、該5’UTRは、複数のmiRNA結合部位(例えば、2~4個のmiRNA結合部位)を含み、各miRNA結合部位間にはスペーサー領域(例えば、10~100、20~70または30~50ヌクレオチド長)が存在し得る。
1つの実施形態では、該3’UTRは、複数の終止コドンを含み、少なくとも1つのmiRNA結合部位は、該終止コドンの下流に配置される。例えば、3’UTRは、1、2、または3つの終止コドンを含み得る。使用され得る3重終止コドンの非限定的な例としては、UGAUAAUAG(配列番号124)、UGAUAGUAA(配列番号125)、UAAUGAUAG(配列番号126)、UGAUAAUAA(配列番号127)、UGAUAGUAG(配列番号128)、UAAUGAUGA(配列番号129)、UAAUAGUAG(配列番号130)、UGAUGAUGA(配列番号131)、UAAUAAUAA(配列番号132)、及びUAGUAGUAG(配列番号133)が挙げられる。3’UTR内で、例えば、1、2、3または4つのmiRNA結合部位、例えば、miR-142-3p結合部位は、該終止コドン(複数可)と直接隣接して、または最後の終止コドンの下流の任意のヌクレオチド数の箇所に配置され得る。該3’UTRが複数のmiRNA結合部位を含む場合、これらの結合部位は、該構築物において互いに直接隣接して(すなわち、交互に)配置され得るか、または、代替的に、スペーサーヌクレオチドが各結合部位間に配置され得る。
1つの実施形態では、該3’UTRは、3つの終止コドンを含み、3番目の終止コドンの下流に単一のmiR-142-3p結合部位が配置される。3つの終止コドン、及び最後の終止コドンの下流の異なる位置に配置された単一のmiR-142-3p結合部位を有する3’UTRの配列の非限定的な例は、配列番号151、162、163、及び164に示される。
Figure 2022552378000111
Figure 2022552378000112
Figure 2022552378000113
Figure 2022552378000114
Figure 2022552378000115
Figure 2022552378000116
Figure 2022552378000117
1つの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、5’UTR、目的のポリペプチドをコードするコドン最適化オープンリーディングフレーム、免疫細胞で発現されるmiRの少なくとも1つのmiRNA結合部位を含む3’UTR、及び連結されたヌクレオシドの3’テーリング領域を含む。様々な実施形態では、該3’UTRは、免疫細胞で発現される、好ましくは免疫細胞で豊富にまたは優先的に発現されるmiRの1~4個、少なくとも2個、1、2、3または4個のmiRNA結合部位を含む。
1つの実施形態では、免疫細胞で発現される該少なくとも1つのmiRNAは、miR-142-3pマイクロRNA結合部位である。1つの実施形態では、該miR-142-3pマイクロRNA結合部位は、配列番号116に示される配列を含む。1つの実施形態では、該miR-142-3pマイクロRNA結合部位を含むmRNAの3’UTRは、配列番号134に示される配列を含む。
1つの実施形態では、免疫細胞で発現される該少なくとも1つのmiRNAは、miR-126マイクロRNA結合部位である。1つの実施形態では、該miR-126結合部位は、miR-126-3p結合部位である。1つの実施形態では、該miR-126-3pマイクロRNA結合部位は、配列番号121に示される配列を含む。1つの実施形態では、該miR-126-3pマイクロRNA結合部位を含む本発明のmRNAの3’UTRは、配列番号149に示される配列を含む。
本開示のマイクロRNA結合部位(複数可)が結合し得るmiRの非限定的な例示的な配列としては、以下が挙げられる:miR-142-3p(配列番号115)、miR-142-5p(配列番号117)、miR-146-3p(配列番号135)、miR-146-5p(配列番号136)、miR-155-3p(配列番号137)、miR-155-5p(配列番号138)、miR-126-3p(配列番号120)、miR-126-5p(配列番号122)、miR-16-3p(配列番号139)、miR-16-5p(配列番号140)、miR-21-3p(配列番号141)、miR-21-5p(配列番号142)、miR-223-3p(配列番号143)、miR-223-5p(配列番号144)、miR-24-3p(配列番号145)、miR-24-5p(配列番号146)、miR-27-3p(配列番号147)及びmiR-27-5p(配列番号148)。免疫細胞で発現される(例えば、免疫細胞で豊富にまたは優先的に発現される)他の適切なmiR配列は、当技術分野で既知でありまた、例えば、マンチェスター大学のマイクロRNAデータベース、miRBaseにて入手可能である。上述したmiRのいずれかに結合する部位は、該miRに対するワトソン・クリック相補性、通常は該miRに対する100%の相補性に基づいて設計することができ、本明細書に記載の本開示のmRNA構築物に挿入され得る。
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、及びmRNA、例えば、その3’UTR)は、少なくとも1つのmiRNA結合部位を含み、それにより、例えば、IgM、例えば、PEGに対するものの、B細胞による産生を低減もしくは阻害することによって、及び/またはpDCの増殖及び/または活性化を低減もしくは阻害することによって、加速血中クリアランスを低減または阻害することができ、また、コードされた目的のタンパク質の組織発現を調節するための少なくとも1つのmiRNA結合部位を含むことができる。
miRNA遺伝子の調節は、該miRNAの周囲の配列、例えば、これらに限定されないが、該周囲の配列の種、配列のタイプ(例えば、異種、同種、外因性、内因性、または人工)、該周囲の配列の調節因子及び/または該周囲の配列の構造要素に影響を受ける可能性がある。該miRNAは、5’UTR及び/または3’UTRに影響を受ける可能性がある。非限定的な例として、非ヒト3’UTRは、同じ配列タイプのヒト3’UTRと比較して、目的のポリペプチドの発現に対する該miRNA配列の調節効果を高め得る。
1つの実施形態では、該5’UTRの他の調節要素及び/または構造要素は、miRNAが媒介する遺伝子調節に影響を与え得る。調節要素及び/または構造要素の1つの例は、該5’UTRの構造化IRES(配列内リボソーム進入部位)であり、これは、タンパク質の翻訳を開始するための翻訳伸長因子の結合に必要である。該5’UTRのこの二次的構造化要素へのEIF4A2の結合は、miRNAが媒介する遺伝子発現に必要である(Meijer HA et al.,Science,2013,340,82-85、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。本発明のポリヌクレオチドはさらに、マイクロRNAが媒介する遺伝子調節を高めるためにこの構造化5’UTRを含むことができる。
少なくとも1つのmiRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドの3’UTRに組み込まれ得る。この状況では、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれ以上のmiRNA結合部位が本発明のポリヌクレオチドの3’UTRに組み込まれ得る。例えば、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、2、または1個のmiRNA結合部位が本発明のポリヌクレオチドの3’UTRに組み込まれ得る。1つの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドに組み込まれるmiRNA結合部位は、同じmiRNA部位でも異なるmiRNA部位でもよい。本発明のポリヌクレオチドに組み込まれる異なるmiRNA結合部位の組み合わせは、異なるmiRNA部位のいずれかの複数のコピーが組み込まれる組み合わせを含むことができる。別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドに組み込まれるmiRNA結合部位は、体内の同じまたは異なる組織を標的とすることができる。非限定的な例として、本発明のポリヌクレオチドの3’UTRにおける組織特異的、細胞型特異的、または疾患特異的なmiRNA結合部位の導入を介して、特定の細胞型(例えば、骨髄細胞、内皮細胞等)における発現度が低減され得る。
1つの実施形態では、miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドの3’UTRの5’末端付近、3’UTRの5’末端と3’末端のほぼ中間、及び/または3’UTRの3’末端付近で組み込むことができる。非限定的な例として、miRNA結合部位は、該3’UTRの5’末端付近及び該3’UTRの5’末端と3’末端のほぼ中間で組み込むことができる。別の非限定的な例として、miRNA結合部位は、該3’UTRの3’末端付近及び該3’UTRの5’末端と3’末端のほぼ中間で組み込むことができる。別の非限定的な例では、miRNA結合部位は、該3’UTRの5’末端付近及び該3’UTRの3’末端付近で組み込むことができる。
別の実施形態では、3’UTRは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のmiRNA結合部位を含むことができる。該miRNA結合部位は、miRNA、miRNAのシード配列、及び/またはシード配列に隣接するmiRNA配列に相補的であり得る。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドの発現は、該ポリヌクレオチドに少なくとも1つのセンサー配列を組み込むこと及び該ポリヌクレオチドを投与用に製剤化することによって制御され得る。非限定的な例として、本発明のポリヌクレオチドは、miRNA結合部位を組み込むこと及び該ポリヌクレオチドを、本明細書に記載の脂質のいずれかを含めたイオン性脂質を含む脂質ナノ粒子に製剤化することによって、組織または細胞を標的とすることができる。
本発明のポリヌクレオチドは、異なる組織、細胞型、または生物学的条件におけるmiRNAの発現パターンに基づいて、特定の組織、細胞型、または生物学的条件でさらに標的化された発現のために操作され得る。組織特異的miRNA結合部位の導入を介して、本発明のポリヌクレオチドは、組織もしくは細胞で、または生物学的条件の観点から最適なタンパク質発現のために設計され得る。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、既知のmiRNAのシード配列に対して100%の同一性を有するか、またはmiRNAのシード配列に対して100%未満の同一性を有するmiRNA結合部位を組み込むように設計され得る。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、既知のmiRNAのシード配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するmiRNA結合部位を組み込むように設計され得る。該miRNAのシード配列は、miRNAの結合親和性が低下するように、従って、該ポリヌクレオチドの抑制的調節の低下をもたらすように部分的に変異させることができる。本質的に、該miRNA結合部位と該miRNAのシード間のマッチまたはミスマッチの程度は、該miRNAがタンパク質発現を調節する能力をより細かく調整するためのレオスタットの機能を果たし得る。さらに、miRNA結合部位の非シード領域における変異もまた、miRNAがタンパク質発現を調節する能力に影響を与え得る。
1つの実施形態では、miRNA配列は、ステムループのループに組み込むことができる。
別の実施形態では、miRNAのシード配列は、ステムループのループに組み込むことができ、miRNA結合部位は、該ステムループの5’または3’ステムに組み込むことができる。
1つの実施形態では、該5’UTRにおけるmiRNA配列を用いて、本明細書に記載の本発明のポリヌクレオチドを安定化することができる。
別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドの5’UTRにおけるmiRNA配列を用いて、翻訳開始部位、例えば、これに限定されないが、開始コドンのアクセシビリティを低下させることができる。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるMatsuda et al.,PLoS One.2010 11(5):e15057を参照されたい。これは、開始コドンの周り(-4~+37、ここでは、AUGコドンのAが+1)にアンチセンスロックド核酸(LNA)オリゴヌクレオチド及びエクソンジャンクション複合体(EJC)を使用し、最初の開始コドン(AUG)へのアクセシビリティを低下させた。Matsudaは、開始コドンの周りの配列をLNAまたはEJCで変更することが、ポリヌクレオチドの効率、長さ及び構造安定性に影響を与えることを示した。本発明のポリヌクレオチドは、Matsuda et alによって記載されたLNAまたはEJC配列の代わりに、翻訳開始部位付近にmiRNA配列を含んで、翻訳開始部位へのアクセシビリティを低下させることができる。翻訳開始部位は、該miRNA配列の前、後、またはその中にある場合がある。非限定的な例として、翻訳開始部位は、miRNA配列内、例えば、シード配列または結合部位に配置され得る。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、抗原提示細胞による抗原提示を減弱するために少なくとも1つのmiRNAを含み得る。該miRNAは、完全なmiRNA配列でも、該miRNAのシード配列でも、シードを含まない該miRNA配列でも、それらの組み合わせでもよい。非限定的な例として、本発明のポリヌクレオチドに組み込まれるmiRNAは、造血系に特異的であり得る。別の非限定的な例として、抗原提示を減弱するために本発明のポリヌクレオチドに組み込まれるmiRNAは、miR-142-3pである。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、目的の組織または細胞でのコードされたポリペプチドの発現を減弱するために少なくとも1つのmiRNAを含み得る。本発明のポリヌクレオチドの非限定的な例としては、少なくとも1つのmiR-142-3p結合部位、miR-142-3pシード配列、シードを含まないmiR-142-3p結合部位、miR-142-5p結合部位、miR-142-5pシード配列、シードを含まないmiR-142-5p結合部位、miR-146結合部位、miR-146シード配列及び/またはシード配列を含まないmiR-146結合部位を挙げることができる。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、免疫細胞でmRNA治療薬を選択的に分解するために少なくとも1つのmiRNA結合部位を3’UTRに含んで、治療薬の送達によって引き起こされる望ましくない免疫原性反応を抑制することができる。非限定的な例として、該miRNA結合部位は、本発明のポリヌクレオチドを、抗原提示細胞内でより不安定にすることができる。これらmiRNAの非限定的な例としては、miR-142-5p、miR-142-3p、miR-146a-5p、及びmiR-146-3pが挙げられる。
1つの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、RNA結合タンパク質と相互作用することができるポリヌクレオチドの領域に少なくとも1つのmiRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、(i)GMCSFポリペプチド(例えば、野生型配列、機能的断片、またはそのバリアント)をコードする配列最適化ヌクレオチド配列(例えば、ORF)ならびに(ii)miRNA結合部位(例えば、miR-142に結合するmiRNA結合部位)及び/またはmiR-126に結合するmiRNA結合部位を含む。
IVTポリヌクレオチド構造
いくつかの実施形態では、GM-CSFポリペプチドをコードするmRNAを含む本開示のポリヌクレオチドは、IVTポリヌクレオチドである。従来、mRNA分子の基本的構成要素には、少なくともコード領域、5’UTR、3’UTR、5’キャップ及びポリAテールが含まれる。本開示のIVTポリヌクレオチドは、mRNAとして機能し得るが、例えば、核酸ベースの治療法を使用した効果的なポリペプチド産生の既存の問題を克服するのに役立つ機能的及び/または構造的設計特性において、野生型mRNAと区別され得る。
IVTポリヌクレオチドの一次構築物は、両側に第一のフランキング領域及び第二のフランキング領域がある連結されたヌクレオチドの第一の領域を含む。この第一の領域は、GM-CSFポリペプチドを含むことができるが、これに限定されない。該第一のフランキング領域は、5’非翻訳領域(UTR)、例えば、該ポリペプチドの天然の5’UTRまたは非天然の5’UTR、例えば、これらに限定されないが、異種5’UTRもしくは合成5’UTRをコードする核酸のいずれかの5’UTRとして機能する連結されたヌクレオシドの配列を含み得る。該GM-CSFポリペプチドをコードするIVTは、その5’末端に1つ以上のシグナル配列をコードするシグナル配列領域を含み得る。該フランキング領域は、1つ以上の完全または不完全な5’UTR配列を含む連結されたヌクレオチドの領域を含み得る。該フランキング領域はまた、5’末端キャップも含み得る。該第二のフランキング領域は、該GM-CSFポリペプチドの天然の3’UTRまたは非天然の3’UTR、例えば、これらに限定されないが、異種3’UTRもしくは合成3’UTRをコードし得る1つ以上の完全または不完全3’UTRを含む連結されたヌクレオチドの領域を含み得る。該フランキング領域はまた、3’テーリング配列も含み得る。該3’テーリング配列は、ポリAテール、ポリA-Gカルテット及び/またはステムループ配列であり得るが、これらに限定されない。
IVTポリヌクレオチド構造のさらなる例示的な特徴は、2017年5月18日に出願された国際PCT出願第WO2017/201325号に開示されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
5’UTR及び3’UTR
UTRは、ポリヌクレオチドのコード領域と同種でも異種でもよい。いくつかの実施形態では、該UTRは、該GM-CSFポリペプチドをコードするORFと同種である。いくつかの実施形態では、該UTRは、該GM-CSFポリペプチドをコードするORFと異種である。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、2つ以上の5’UTRまたはそれらの機能的断片を含み、これらの各々は同じまたは異なるヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、2つ以上の3’UTRまたはそれらの機能的断片を含み、これらの各々は同じまたは異なるヌクレオチド配列を有する。
いくつかの実施形態では、該5’UTRもしくはその機能的断片、3’UTRもしくはその機能的断片、またはそれらの任意の組合せは、配列最適化される。
いくつかの実施形態では、該5’UTRもしくはその機能的断片、3’UTRもしくはその機能的断片、またはそれらの任意の組合せは、少なくとも1つの化学的に修飾された核酸塩基、例えば、N1-メチルプソイドウラシルまたは5-メトキシウラシルを含む。
UTRは、調節的な役割、例えば、安定性、局在化及び/または翻訳効率の向上もしくは低下を与える特徴を有し得る。UTRを含むポリヌクレオチドは、細胞、組織、または生物に投与することができ、1つ以上の調節機能は常法を用いて測定され得る。いくつかの実施形態では、5’UTRまたは3’UTRの機能的断片は、それぞれ、完全長の5’または3’UTRの1つ以上の調節機能を含む。天然の5’UTRは、翻訳開始において役割を果たす機能を有する。それらは、リボソームが多くの遺伝子の翻訳を開始するプロセスに関与することが一般に知られるコザック配列のような記号を有する。コザック配列は、コンセンサスCCR(A/G)CCAUGG(配列番号87)を有し、ここで、Rは、後ろに別の「G」が続く開始コドン(AUG)の3塩基上流のプリン(アデニンまたはグアニン)である。5’UTRはまた、延長因子の結合に関与する二次構造を形成することでも知られている。
特定の標的臓器の豊富に発現される遺伝子に通常見られる特徴を操作することにより、ポリヌクレオチドの安定性及びタンパク質産生を高めることができる。例えば、肝臓で発現されるmRNA、例えば、アルブミン、血清アミロイドA、アポリポタンパク質A/B/E、トランスフェリン、アルファフェトプロテイン、エリスロポエチン、または第VIII因子の5’UTRの導入で、肝細胞株または肝臓におけるポリヌクレオチドの発現を高めることができる。同様に、他の組織特異的mRNA由来の5’UTRの使用で、その組織での発現を改善することは、筋肉(例えば、MyoD、ミオシン、ミオグロビン、ミオゲニン、Herculin)、内皮細胞(例えば、Tie-1、CD36)、骨髄細胞(例えば、C/EBP、AML1、G-CSF、GM-CSF、CD11b、MSR、Fr-1、i-NOS)、白血球(例えば、CD45、CD18)、脂肪組織(例えば、CD36、GLUT4、ACRP30、アディポネクチン)及び肺上皮細胞(例えば、SP-A/B/C/D)で可能である。
いくつかの実施形態では、UTRは、そのタンパク質が共通の機能、構造、特徴または特性を共有する転写物のファミリーから選択される。例えば、コードされたポリペプチドは、特定の細胞、組織または発達の過程のある時点で発現されるタンパク質のファミリー(すなわち、少なくとも1つの機能、構造、特徴、局在、起源、または発現パターンを共有する)に属することができる。該遺伝子またはmRNAのいずれかに由来するUTRを同じまたは異なるタンパク質ファミリーの任意の他のUTRと交換して新たなポリヌクレオチドを生成することができる。いくつかの実施形態では、該5’UTR及び3’UTRは異種であり得る。いくつかの実施形態では、該5’UTRは、該3’UTRと異なる種由来であり得る。いくつかの実施形態では、該3’UTRは、該5’UTRと異なる種由来であり得る。
共有国際特許出願第PCT/US2014/021522(公開第WO/2014/164253号、参照により全体として本明細書に組み込まれる)は、ORFのフランキング領域として本発明のポリヌクレオチドに使用され得る例示的なUTRのリストを提供している。
本出願の例示的なUTRとしては、グロビン、例えば、α-またはβ-グロビン(例えば、Xenopus、マウス、ウサギ、またはヒトグロビン)、強力なコザック翻訳開始シグナル、CYBA(例えば、ヒトシトクロムb-245αポリペプチド)、アルブミン(例えば、ヒトアルブミン7)、HSD17B4(ヒドロキシステロイド(17-β)デヒドロゲナーゼ)、ウイルス(例えば、タバコエッチウイルス(TEV)、ベネズエラ馬脳炎ウイルス(VEEV)、デング熱ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば、CMV前初期1(IE1))、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、シンドビスウイルス、またはPAVオオムギ黄萎ウイルス)、熱ショックタンパク質(例えば、hsp70)、翻訳開始因子(例えば、elF4G)、グルコーストランスポーター(例えば、hGLUT1(ヒトグルコーストランスポーター1))、アクチン(例えば、ヒトαまたはβアクチン)、GAPDH、チュブリン、ヒストン、クエン酸回路酵素、トポイソメラーゼ(例えば、5’TOPモチーフを欠くTOP遺伝子の5’UTR(オリゴピリミジントラクト))、リボソームタンパク質Large32(L32)、リボソームタンパク質(例えば、rps9等のヒトまたはマウスリボソームタンパク質)、ATPシンターゼ(例えば、ATP5A1またはミトコンドリアH-ATPシンターゼのβサブユニット)、成長ホルモンe(例えば、ウシ(bGH)またはヒト(hGH))、延長因子(例えば、延長因子1α1(EEF1A1))、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)、筋細胞エンハンサー因子2A(MEF2A)、β-F1-ATPアーゼ、クレアチンキナーゼ、ミオグロビン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、コラーゲン(例えば、I型コラーゲン、アルファ2(Col1A2)、I型コラーゲン、アルファ1(Col1A1)、VI型コラーゲン、アルファ2(Col6A2)、VI型コラーゲン、アルファ1(Col6A1))、リボホリン(例えば、リボホリンI(RPNI))、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質(例えば、LRP1)、カルジオトロフィン様サイトカイン因子(例えば、Nnt1)、カルレティキュリン(Calr)、プロコラーゲン-リジン、2-オキソグルタル酸5-ジオキシゲナーゼ1(Plod1)、及びヌクレオビンディン(例えば、Nucb1)の核酸配列に由来する1つ以上の5’UTR及び/または3’UTRが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、該5’UTRは、β-グロビンの5’UTR、強力なコザック翻訳開始シグナルを含む5’UTR、シトクロムb-245αポリペプチド(CYBA)の5’UTR、ヒドロキシステロイド(17-β)デヒドロゲナーゼ(HSD17B4)の5’UTR、タバコエッチウイルス(TEV)の5’UTR、ベネズエラ馬脳炎ウイルス(TEEV)の5’UTR、非構造タンパク質をコードする風疹ウイルス(RV)RNAの5’近位オープンリーディングフレーム、デング熱ウイルス(DEN)の5’UTR、熱ショックタンパク質70(Hsp70)の5’UTR、elF4Gの5’UTR、GLUT1の5’UTR、それらの機能的断片及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、該3’UTRは、β-グロビンの3’UTR、CYBAの3’UTR、アルブミンの3’UTR、成長ホルモン(GH)の3’UTR、VEEVの3’UTR、B型肝炎ウイルス(HBV)の3’UTR、α-グロビンの3’UTR、DENの3’UTR、PAVオオムギ黄萎ウイルス(BYDV-PAV)の3’UTR、延長因子1α1(EEF1A1)の3’UTR、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)の3’UTR、ミトコンドリアH(+)-ATPシンターゼのβサブユニット(β-mRNA)の3’UTR、GLUT1の3’UTR、MEF2Aの3’UTR、β-F1-ATPアーゼの3’UTR、それらの機能的断片及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
任意の遺伝子またはmRNA由来の野生型UTRが本発明のポリヌクレオチドに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、UTRは、例えば、ORFに対する該UTRの向きもしくは位置を変更することによって、またはさらなるヌクレオチドを含めること、ヌクレオチドの削除、ヌクレオチドの交換もしくは転位によって、バリアントUTRを産生するように野生型または天然のUTRに対して変更され得る。いくつかの実施形態では、5’または3’UTRのバリアント、例えば、野生型UTRの突然変異体、または1つ以上のヌクレオチドが当該UTRの末端に追加されたまたは当該UTRの末端から除去されたバリアントが使用され得る。
さらに、1つ以上の合成UTRが1つ以上の非合成UTRと組み合わせて使用され得る。例えば、参照によりその内容が全体として本明細書に組み込まれるMandal and Rossi,Nat.Protoc.2013 8(3):568-82を参照されたい。
UTRまたはその部分は、それらが選択された転写物と同じ向きに配置することもできれば、向きまたは位置を変更することもできる。従って、5’及び/または3’UTRは、反転すること、短縮すること、延長すること、または1つ以上の他の5’UTRもしくは3’UTRと組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、複数のUTR、例えば、二重、三重、もしくは四重の5’UTRまたは3’UTRを含む。例えば、二重UTRは、同じUTRの2つのコピーを直列または実質的に直列に含む。例えば、二重ベータ-グロビンの3’UTRを使用することができる(参照によりその内容が全体として本明細書に組み込まれるUS2010/0129877参照)。
ある特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に開示するUTRのいずれかから選択される5’UTR及び/または3’UTRを含む。いくつかの実施形態では、該5’UTRは、以下を含む:
5’UTR-001(上流UTR)
(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号185)、
5’UTR-002(上流UTR)
(GGGAGAUCAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号89)、
5’UTR-003(上流UTR)(WO2016/100812参照)、
5’UTR-004(上流UTR)
(GGGAGACAAGCUUGGCAUUCCGGUACUGUUGGUAAAGCCACC)(配列番号90);
5’UTR-005(上流UTR)
(GGGAGAUCAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号91)、
5’UTR-006(上流UTR)(WO2016/100812参照)、
5’UTR-007(上流UTR)
(GGGAGACAAGCUUGGCAUUCCGGUACUGUUGGUAAAGCCACC)(配列番号92)、
5’UTR-008(上流UTR)
(GGGAAUUAACAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号93)、
5’UTR-009(上流UTR)
(GGGAAAUUAGACAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号94)、
5’UTR-010、上流
(GGGAAAUAAGAGAGUAAAGAACAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号95)、
5’UTR-011(上流UTR)
(GGGAAAAAAGAGAGAAAAGAAGACUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号96)、
5’UTR-012(上流UTR)
(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAUAUAUAAGAGCCACC)(配列番号97)、
5’UTR-013(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGACAAAACAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号98)、
5’UTR-014(上流UTR)
(GGGAAAUUAGAGAGUAAAGAACAGUAAGUAGAAUUAAAAGAGCCACC)(配列番号99)、
5’UTR-015(上流UTR)
(GGGAAAUAAGAGAGAAUAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号100)、
5’UTR-016(上流UTR)
(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAAUUAAGAGCCACC)(配列番号101)、
5’UTR-017(上流UTR)、または
(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUUUAAGAGCCACC)(配列番号102)、
5’UTR-018(上流UTR)5’UTR
(UCAAGCUUUUGGACCCUCGUACAGAAGCUAAUACGACUCACUAUAGGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号88)。
いくつかの実施形態では、該3’UTRは、以下を含む:
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号104)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号105)、または
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号106)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号107)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号108)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号109)。
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)
(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACUGAGUGGGCGGC)(配列番号110)、
3’UTR-018(配列番号150参照)、
3’UTR(miR142とmiR126結合部位バリアント1)
(UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCCGCAUUAUUACUCACGGUACGAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号111)
3’UTR(miR142とmiR126結合部位バリアント2)
(UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCCGCAUUAUUACUCACGGUACGAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号112)、または
3’UTR(miR142-3p結合部位バリアント3)
UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号186)。
ある特定の実施形態では、本発明の5’UTR及び/または3’UTR配列は、本明細書に提供する5’UTR及び/または3’UTR配列と、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、本発明の5’UTR及び/または3’UTR配列は、配列番号185、88~102、または165~167のいずれかを含む5’UTR配列及び/または配列番号104~112、150、151、または178のいずれかを含む3’UTR配列、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される配列と、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、本発明の5’UTR及び/または3’UTR配列は、配列番号185、配列番号193、配列番号39、または配列番号194のいずれかを含む5’UTR配列及び/または配列番号150、配列番号175、配列番号195、配列番号196、配列番号186、配列番号177、配列番号111、または配列番号178のいずれかを含む3’UTR配列、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される配列と、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、該5’UTRは、表4Bに示すアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、該3’UTRは、表4Bに示すアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、該5’UTRは、表4Bに示すアミノ酸配列を含み、該3’UTRは、表4Bに示すアミノ酸配列を含む。
本発明のポリヌクレオチドは、特徴の組み合わせを含むことができる。例えば、該ORFは、強力なコザック翻訳開始シグナルを含む5’UTR及び/またはポリAテールの鋳型化付加のためのオリゴ(dT)配列を含む3’UTRによって隣接され得る。5’UTRは、同じ及び/または異なるUTR由来の第一のポリヌクレオチド断片及び第二のポリヌクレオチド断片を含むことができる(例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるUS2010/0293625参照)。
他の非UTR配列は、本発明のポリヌクレオチド内の領域またはサブ領域として使用され得る。例えば、イントロンまたはイントロン配列の一部が、本発明のポリヌクレオチドに組み込まれ得る。イントロン配列を組み込むことが、タンパク質産生及びポリヌクレオチドの発現レベルを向上し得る。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、UTRの代わりに、またはそれに加えて配列内リボソーム進入部位(IRES)を含む(例えば、Yakubov et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.2010 394(1):189-193参照。参照によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、5’UTR配列の代わりにIRESを含む。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、ORF及びウイルスのカプシド配列を含む。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、合成5’UTRを非合成3’UTRと組み合わせて含む。
いくつかの実施形態では、該UTRはまた、少なくとも1つの翻訳エンハンサーポリヌクレオチド、または翻訳エンハンサー要素(複数可)(総称して「TEE」、これは、ポリペプチドの量またはポリヌクレオチドから生じるタンパク質の量を増加させる核酸配列を指す)も含み得る。非限定的な例として、該TEEは、転写プロモーターと開始コドンとの間に配置され得る。いくつかの実施形態では、該5’UTRはTEEを含む。1つの態様では、TEEは、キャップ依存性またはキャップ非依存性翻訳等であるがこれに限定されない核酸の翻訳活性を促進することができるUTR内の保存要素である。
5’キャップを有する領域
本開示はまた、5’キャップ及び本発明のポリヌクレオチド(例えば、GMCSFポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の両方を含むポリヌクレオチドを含む。
天然のmRNAの5’キャップ構造は、核外移行に関与し、mRNAの安定性を高め、該mRNAのキャップ結合タンパク質(CBP)に結合し、これは、細胞のmRNAの安定性と翻訳能力に、CBPとポリ(A)結合タンパク質との会合を介して関与し、成熟サイクリックmRNA種を形成する。該キャップはさらに、mRNAスプライシングの過程で5’近位イントロンの除去を助ける。
内因性mRNA分子は、該mRNA分子の末端グアノシンキャップ残基と5’末端転写センスヌクレオチド間で5’-ppp-5’-三リン酸結合を生成するように5’末端キャップされ得る。この5’-グアニル酸キャップはその後メチル化され、N7-メチル-グアニル酸残基を生成し得る。該mRNAの5’末端の末端及び/または末端前(ante-terminal)転写ヌクレオチドのリボース糖は、任意に2’-O-メチル化もされ得る。該グアニル酸キャップ構造の加水分解及び切断を介した5’-デキャッピングで、核酸分子、例えば、mRNA分子を分解の標的とすることができる。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、GMCSFポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、キャップ部分を組み込む。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(例えば、GMCSFポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、非加水分解性キャップ構造を含み、デキャッピングを防止し、ひいてはmRNAの半減期を延長する。キャップ構造の加水分解には、5’-ppp-5’-ホスホロジエステル結合の切断が必要なため、修飾ヌクレオチドがキャッピング反応の過程で使用され得る。例えば、New England Biolabs(Ipswich,MA)製ワクシニアキャッピング酵素を、製造業者の指示に従い、α-チオ-グアノシンヌクレオチドとともに使用し、該5’-ppp-5’キャップにホスホロチオエート結合を生成することができる。さらなる修飾グアノシンヌクレオチド、例えば、α-メチル-ホスホネート及びセレノ-リン酸ヌクレオチドが使用され得る。
さらなる修飾としては、該ポリヌクレオチド(上記)の5’末端及び/または5’末端前ヌクレオチドのリボース糖の糖環の2’-ヒドロキシル基における2’-O-メチル化が挙げられるがこれに限定されない。複数の異なる5’キャップ構造を用いて、核酸分子、例えば、mRNA分子として機能するポリヌクレオチドの5’キャップを生成することができる。キャップアナログは、本明細書では合成キャップアナログ、化学キャップ、化学キャップアナログ、または構造的もしくは機能的キャップアナログとも呼ばれるが、天然の(すなわち、内因性、野生型または生理学的)5’キャップとはそれらの化学構造において異なるが、キャップ機能は保持する。キャップアナログは、化学的に(すなわち、非酵素的に)もしくは酵素的に合成することができ、及び/または本発明のポリヌクレオチドに結合することができる。
例えば、アンチリバースキャップアナログ(ARCA)キャップは、5’-5’-三リン酸基で連結された2つのグアニンを含み、1つのグアニンがN7メチル基及び3’-O-メチル基を含む(すなわち、N7,3’-O-ジメチル-グアノシン-5’-三リン酸-5’-グアノシン(m7G-3’mppp-G、これは、同等に3’O-Me-m7G(5’)ppp(5’)Gと指定され得る)。他の未修飾グアニンの3’-O原子は、該キャップされたポリヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドに連結する。該N7-及び3’-O-メチル化グアニンは、該キャップされたポリヌクレオチドの末端部分を提供する。
別の例示的なキャップはmCAPであり、これは、ARCAと同様であるが、グアノシンに2’-O-メチル基を有する(すなわち、N7,2’-O-ジメチル-グアノシン-5’-三リン酸-5’-グアノシン、m7Gm-ppp-G)。
いくつかの実施形態では、該キャップは、ジヌクレオチドキャップアナログである。非限定的な例として、該ジヌクレオチドキャップアナログ、例えば、参照によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる米国特許第US8,519,110号に記載のジヌクレオチドキャップアナログは、異なるリン酸位置で、ボラノリン酸基またはホスホロセレノエート基で修飾され得る。
別の実施形態では、該キャップは、キャップアナログであり、当技術分野で既知の及び/または本明細書に記載のキャップアナログのN7-(4-クロロフェノキシエチル)置換ジヌクレオチド形態である。キャップアナログのN7-(4-クロロフェノキシエチル)置換ジヌクレオチド形態の非限定的な例としては、N7-(4-クロロフェノキシエチル)-G(5’)ppp(5’)G及びN7-(4-クロロフェノキシエチル)-m3’-OG(5’)ppp(5’)Gキャップアナログが挙げられる(例えば、Kore et al.Bioorganic & Medicinal Chemistry 2013 21:4570-4574に記載の様々なキャップアナログ及びキャップアナログの合成方法を参照されたい。参照によりその内容は全体として本明細書に組み込まれる)。別の実施形態では、本発明のキャップアナログは、4-クロロ/ブロモフェノキシエチルアナログである。
キャップアナログは、ポリヌクレオチドまたはその領域の同時キャッピングを可能にするが、インビトロ転写反応では、転写物の最大20%がキャップされないままの可能性がある。これは、内因性の細胞転写機構によって産生される核酸の内因性5’キャップ構造由来のキャップアナログの構造上の違いと同様、翻訳能力の低下及び細胞安定性の低下につながり得る。
本発明のポリヌクレオチド(例えば、GMCSFポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)は、より信頼できる5’キャップ構造を生成するために、製造後(IVTまたは化学合成にかかわらず)、酵素を用いてキャップすることもできる。本明細書で使用される、「より信頼できる」という表現は、構造的または機能的のいずれかで内因性または野生型の特徴をしっかりと反映もしくは模倣する特徴を指す。すなわち、「より信頼できる」特徴は、従来技術の合成の特徴またはアナログ等と比較して、内因性、野生型、天然もしくは生理学的細胞機能及び/または構造をよく表すか、または、対応する内因性、野生型、天然もしくは生理学的特徴を1つ以上の点で上回る。本発明のより信頼できる5’キャップ構造の非限定的な例は、とりわけ、当技術分野で既知の合成5’キャップ構造(または野生型、天然もしくは生理学的5’キャップ構造)と比較して、キャップ結合タンパク質の結合が向上したもの、半減期が延長したもの、5’エンドヌクレアーゼに対する感受性が低下したもの及び/または5’デキャッピングが減少したものである。例えば、組み換えワクシニアウイルスキャッピング酵素及び組み換え2’-O-メチルトランスフェラーゼ酵素は、ポリヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドとグアニンキャップヌクレオチド間で標準的な5’-5’-三リン酸結合を形成することができ、該キャップグアニンはN7メチル化を含み、該mRNAの5’末端ヌクレオチドは、2’-O-メチルを含む。かかる構造は、キャップ1構造と呼ばれる。このキャップは、例えば、当技術分野で既知の他の5’キャップアナログ構造と比較して、高い翻訳能力及び細胞安定性ならびに低い細胞の炎症性サイトカインの活性化をもたらす。キャップ構造としては、7mG(5’)ppp(5’)N、pN2p(キャップ0)、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNp(キャップ1)、及び7mG(5’)-ppp(5’)NlmpN2mp(キャップ2)が挙げられるがこれらに限定されない。
非限定的な例として、製造後のキメラポリヌクレオチドのキャッピングは、より効率的であり、当該キメラポリヌクレオチドのほぼ100%をキャップすることができる。これは、キャップアナログがインビトロ転写反応の過程でキメラポリヌクレオチドに連結された場合の約80%と対照的である。
本発明によれば、5’末端キャップは、内因性のキャップを含むこともキャップアナログを含むこともできる。本発明によれば、5’末端キャップは、グアニンアナログを含むことができる。有用なグアニンアナログとしては、イノシン、N1-メチル-グアノシン、2’フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、及び2-アジド-グアノシンが挙げられるがこれらに限定されない。
ポリAテール
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、GMCSFポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)はさらに、ポリAテールを含む。さらなる実施形態では、安定化のため、該ポリAテールの末端基が組み込まれ得る。他の実施形態では、ポリAテールは、デス-3’ヒドロキシルテールを含む。
RNAプロセシングの過程で、長鎖アデニンヌクレオチド(ポリAテール)をポリヌクレオチド、例えば、mRNA分子に付加し、安定性を高めることができる。転写直後、転写物の3’末端を切断し、3’ヒドロキシルを遊離させることができる。次いで、ポリAポリメラーゼが当該RNAにアデニンヌクレオチドの鎖を付加する。ポリアデニル化と呼ばれる該プロセスは、例えば、約80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240または250残基長を含めた約80~約250残基長であり得るポリAテールを付加する。1つの実施形態では、該ポリAテールは100ヌクレオチド長である(配列番号25)。
aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa(配列番号25)
ポリAテールは、当該構築物が核から移行された後に付加することもできる。
本発明によれば、安定化のため、該ポリAテールの末端基が組み込まれ得る。本発明のポリヌクレオチドは、デス-3’ヒドロキシルテールを含むことができる。それらは、Junjie Li,et al.(Current Biology,Vol.15,1501-1507,August 23,2005、参照によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる)によって教示された構造部分または2’-Oメチル修飾を含むこともできる。
本発明のポリヌクレオチドは、ヒストンmRNAを含めた代替ポリAテール構造を備えた転写物をコードするように設計され得る。Norburyによれば、「末端ウリジル化もまた、ヒト複製依存性ヒストンmRNAにて検出されている。これらmRNAの代謝回転は、染色体DNA複製の完了または阻害後の潜在的に毒性のあるヒストン蓄積の防止に重要であると考えられる。これらのmRNAは、3’ポリ(A)テールの欠如によって区別され、その機能は、代わりに安定なステムループ構造及びその同族ステムループ結合タンパク質(SLBP)によって仮定され、後者は、ポリアデニル化mRNAのPABPのものと同じ機能を果たす」(Norbury,“Cytoplasmic RNA:a case of the tail wagging the dog,”Nature Reviews Molecular Cell Biology、AOP,published online 29 August 2013、doi:10.1038/nrm3645)参照によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる。
独自のポリAテールの長さが、本発明のポリヌクレオチドにある特定の利点を与える。一般に、存在する場合、ポリAテールの長さは、30ヌクレオチド長より長い。別の実施形態では、該ポリAテールは、35ヌクレオチド長よりも長い(例えば、少なくとも約35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、及び3,000ヌクレオチドまたはそれより長い)。
いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドまたはその領域は、約30~約3,000ヌクレオチド(例えば、30~50、30~100、30~250、30~500、30~750、30~1,000、30~1,500、30~2,000、30~2,500、50~100、50~250、50~500、50~750、50~1,000、50~1,500、50~2,000、50~2,500、50~3,000、100~500、100~750、100~1,000、100~1,500、100~2,000、100~2,500、100~3,000、500~750、500~1,000、500~1,500、500~2,000、500~2,500、500~3,000、1,000~1,500、1,000~2,000、1,000~2,500、1,000~3,000、1,500~2,000、1,500~2,500、1,500~3,000、2,000~3,000、2,000~2,500、及び2,500~3,000)を含む。
いくつかの実施形態では、該ポリAテールは、ポリヌクレオチドの全長またはポリヌクレオチドの特定の領域の長さに対して設計される。この設計は、コード領域の長さ、特定の特徴または領域の長さを基にすることも、当該ポリヌクレオチドから発現される最終的な産物の長さを基にすることもできる。
これに関連して、該ポリAテールは、当該ポリヌクレオチドまたはその特徴よりも、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%長い場合がある。該ポリAテールはまた、それが属するポリヌクレオチドの一部として設計することもできる。これに関連して、該ポリAテールは、当該構築物の全長、構築物の領域または当該構築物の全長から該ポリAテールを引いた長さの10、20、30、40、50、60、70、80、もしくは90%またはそれ以上であり得る。さらに、組み込まれた結合部位及びポリA結合タンパク質のためのポリヌクレオチドのコンジュゲーションが発現を向上させ得る。
さらに、複数の異なるポリヌクレオチドは、PABP(ポリA結合タンパク質)を介して、3’末端を通じ、当該ポリAテールの3’末端で修飾されたヌクレオチドを用いて互いに連結され得る。トランスフェクション実験は、関連する細胞株で行うことができ、タンパク質産生は、トランスフェクションの12時間、24時間、48時間、72時間及び7日後にELISAによってアッセイすることができる。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、ポリA-Gカルテット領域を含むように設計される。該Gカルテットは、4つのグアニンヌクレオチドの環状の水素結合された配置であり、DNA及びRNAの両方でGリッチ配列によって形成され得る。本実施形態では、該Gカルテットは、ポリAテールの末端に組み込まれる。得られるポリヌクレオチドは、安定性、タンパク質産生及び様々な時点での半減期を含めた他のパラメータについてアッセイされる。該ポリA-Gカルテットは、120ヌクレオチドのポリAテール(配列番号26)単独を用いて見られるものの少なくとも75%に相当するmRNAからのタンパク質産生をもたらすことが分かっている。
aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa(配列番号26)
開始コドン領域
本発明は、開始コドン領域及び本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、GMCSFポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の両方を含むポリヌクレオチドも含む。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、開始コドン領域と類似の、または開始コドン領域のように機能する領域を有し得る。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの翻訳は、開始コドンAUGではないコドンで開始することができる。該ポリヌクレオチドの翻訳は、代替的な開始コドン、例えば、これらに限定されないが、ACG、AGG、AAG、CTG/CUG、GTG/GUG、ATA/AUA、ATT/AUU、TTG/UUGで開始することができる(Touriol et al.Biology of the Cell 95(2003)169-178及びMatsuda and Mauro PLoS ONE,2010 5:11参照。参照によりその各々の内容が全体として本明細書に組み込まれる)。
非限定的な例として、ポリヌクレオチドの翻訳は、代替的な開始コドンであるACGで始まる。別の非限定的な例として、ポリヌクレオチドの翻訳は、代替的な開始コドンであるCTGまたはCUGで始まる。別の非限定的な例として、ポリヌクレオチドの翻訳は、代替的な開始コドンであるGTGまたはGUGで始まる。
翻訳を開始するコドン、例えば、これらに限定されないが、開始コドンまたは代替的な開始コドンに隣接するヌクレオチドは、当該ポリヌクレオチドの翻訳効率、長さ及び/または構造に影響を与えることが知られている。(例えば、Matsuda and Mauro PLoS ONE,2010 5:11参照。参照によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる)。翻訳を開始するコドンに隣接するヌクレオチドのいずれかのマスキングを用いて、ポリヌクレオチドの翻訳開始位置、翻訳効率、長さ及び/または構造を変更することができる。
いくつかの実施形態では、マスキング剤を開始コドンまたは代替的な開始コドンの近傍で使用して該コドンをマスクまたは隠し、マスクされた開始コドンまたは代替的な開始コドンでの翻訳開始の確率を低下させることができる。マスキング剤の非限定的な例としては、アンチセンスロックド核酸(LNA)ポリヌクレオチド及びエクソンジャンクション複合体(EJC)が挙げられる(例えば、マスキング剤LNAポリヌクレオチド及びEJCを記載しているMatsuda and Mauro(PLoS ONE,2010 5:11)参照。参照によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる)。
別の実施形態では、マスキング剤を使用してポリヌクレオチドの開始コドンをマスクし、翻訳が代替的な開始コドンで開始される可能性を高めることができる。いくつかの実施形態では、マスキング剤を使用して第一の開始コドンまたは代替的な開始コドンをマスクし、マスクされた開始コドンまたは代替的な開始コドンの下流の開始コドンまたは代替的な開始コドンで翻訳が開始される可能性を高めることができる。
いくつかの実施形態では、開始コドンまたは代替的な開始コドンは、miRNA結合部位の完全な相補体内に配置され得る。miRNA結合部位の完全な相補体はマスキング剤と同様、当該ポリヌクレオチドの翻訳、長さ及び/または構造の制御に役立つ。非限定的な例として、該開始コドンまたは代替的な開始コドンは、miRNA結合部位の完全な相補体の中央に配置され得る。該開始コドンまたは代替的な開始コドンは、最初のヌクレオチド、2番目のヌクレオチド、3番目のヌクレオチド、4番目のヌクレオチド、5番目のヌクレオチド、6番目のヌクレオチド、7番目のヌクレオチド、8番目のヌクレオチド、9番目のヌクレオチド、10番目のヌクレオチド、11番目のヌクレオチド、12番目のヌクレオチド、13番目のヌクレオチド、14番目のヌクレオチド、15番目のヌクレオチド、16番目のヌクレオチド、17番目のヌクレオチド、18番目のヌクレオチド、19番目のヌクレオチド、20番目のヌクレオチドまたは21番目のヌクレオチドの後に配置され得る。
別の実施形態では、ポリヌクレオチドの開始コドンを当該ポリヌクレオチド配列から除去し、開始コドンではないコドンで該ポリヌクレオチドの翻訳を開始させることができる。該ポリヌクレオチドの翻訳は、除去された開始コドンに続くコドンもしくは下流の開始コドンまたは代替的な開始コドンで始まり得る。非限定的な例では、開始コドンであるATGまたはAUGを当該ポリヌクレオチド配列の最初の3ヌクレオチドとして除去し、下流の開始コドンまたは代替的な開始コドンで翻訳を開始させる。開始コドンが除去されたポリヌクレオチド配列はさらに、下流の開始コドン及び/または代替的な開始コドンのマスキング剤少なくとも1つを含んで翻訳の開始、当該ポリヌクレオチドの長さ及び/または該ポリヌクレオチドの構造を制御することまたは制御を試みることができる。
終止コドン領域
本発明は、終止コドン領域及び本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、GMCSFポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)の両方を含むポリヌクレオチドも含む。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、3’非翻訳領域(UTR)の前に少なくとも2つの終止コドンを含み得る。該終止コドンは、DNAの場合にはTGA、TAA及びTAGから、RNAの場合にはUGA、UAA及びUAGから選択され得る。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、DNAの場合には終止コドンTGA、RNAの場合には終止コドンUGA、及びさらに1つの追加の終止コドンを含む。さらなる実施形態では、該追加の終止コドンは、TAAでもUAAでもよい。別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、3つの連続した終止コドン、4つの終止コドン、またはそれ以上を含む。
パーキンソン病の治療で使用するポリヌクレオチドの作製方法
本開示は、本明細書に開示するポリヌクレオチドまたはその相補体の作製方法も提供する。いくつかの態様では、本明細書に開示する、及びGM-CSF分子をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、インビトロ転写を用いて構築され得る。
他の態様では、本明細書に開示する、GM-CSF分子をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、オリゴヌクレオチド合成装置を用いた化学合成によって構築され得る。他の態様では、本明細書に開示するGM-CSF分子をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、宿主細胞を用いて作製される。ある特定の態様では、本明細書に開示するGM-CSF分子をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、IVT、化学合成、宿主細胞による発現、または当技術分野で既知の任意の他の方法の1つ以上の組み合わせによって作製される。
天然型ヌクレオシド、非天然型ヌクレオシド、またはそれらの組み合わせは、候補ヌクレオチド配列に存在する天然型ヌクレオシドを完全にまたは部分的に置き換えることができ、GM-CSF分子をコードする配列最適化ヌクレオチド配列(例えば、mRNA)に組み込むことができる。得られるmRNAは、その後、タンパク質の産生能力及び/または治療結果を生み出す能力について試験され得る。
本明細書に開示するポリヌクレオチドの例示的な作製方法としては、インビトロ転写酵素合成及び化学合成が挙げられ、これらは、2017年5月18日に出願された国際PCT出願第WO2017/201325号に開示されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
精製
他の態様では、本明細書に開示するGM-CSF分子をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、精製され得る。本明細書に記載のGM-CSF分子をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の精製は、ポリヌクレオチドのクリーンアップ、品質保証及び品質管理を含み得るが、これらに限定されない。クリーンアップは、当技術分野で既知の方法、例えば、これらに限定されないが、AGENCOURT(登録商標)ビーズ(Beckman Coulter Genomics,Danvers,MA)、ポリTビーズ、LNA(商標)オリゴT捕捉プローブ(Exiqon,Vedbaek,Denmark)またはHPLC系の精製方法、例えば、これらに限定されないが、強アニオン交換HPLC、弱アニオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、及び疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)によって行われ得る。「精製されたポリヌクレオチド」のように、ポリヌクレオチドに関連して使用される場合の「精製された」という用語は、少なくとも1つの汚染物質から分離されたものを指す。本明細書で使用される、「汚染物質」とは、別の物質を不適当、不純または劣るものにする任意の物質である。従って、精製されたポリヌクレオチド(例えば、DNA及びRNA)は、それが天然に見出されるものとは異なる形態もしくは設定で存在するか、またはそれを処理または精製法に供する前に存在したものとは異なる形態もしくは設定で存在する。
いくつかの実施形態では、本開示のGM-CSF分子をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の精製で不純物を除去し、これにより、望ましくない免疫応答を低減または除去すること、例えば、サイトカイン活性を低下させることができる。
いくつかの実施形態では、本開示のGM-CSF分子をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、投与前にカラムクロマトグラフィー(例えば、強アニオン交換HPLC、弱アニオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、及び疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)、または(LCMS))を用いて精製される。いくつかの実施形態では、カラムクロマトグラフィー(例えば、強アニオン交換HPLC、弱アニオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)、または(LCMS))を用いて精製された本明細書に開示するGM-CSF分子をコードするポリヌクレオチドは、異なる精製法で精製されたGM-CSF分子をコードするポリヌクレオチドと比較して、GM-CSF分子の発現が増加する。
いくつかの実施形態では、カラムクロマトグラフィー(例えば、強アニオン交換HPLC、弱アニオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)、または(LCMS))で精製されたポリヌクレオチドは、GM-CSF分子をコードする。いくつかの実施形態では、該精製されたポリヌクレオチドは、ヒトGM-CSF分子をコードする。
いくつかの実施形態では、該精製されたポリヌクレオチドは、少なくとも約80%純粋、少なくとも約85%純粋、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、少なくとも約96%純粋、少なくとも約97%純粋、少なくとも約98%純粋、少なくとも約99%純粋、または約100%純粋である。
品質保証及び/または品質管理検査は、例えば、ゲル電気泳動、UV吸光度、または分析用HPLCであるが、これらに限定されない方法を用いて行われ得る。
別の実施形態では、該ポリヌクレオチドは、逆転写PCRが挙げられるがこれに限定されない方法によって配列決定され得る。
ポリヌクレオチドの化学的修飾
本開示は、核酸(例えば、RNA核酸、例えば、mRNA核酸)の修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドを提供する。「ヌクレオシド」とは、糖分子(例えば、ペントースもしくはリボース)またはその誘導体を、有機塩基(例えば、プリンもしくはピリミジン)またはその誘導体(本明細書では「核酸塩基」とも呼ばれる)と組み合わせて含む化合物を指す。「ヌクレオチド」とは、リン酸基を含むヌクレオシドを指す。修飾ヌクレオチドは、1つ以上の修飾または非天然ヌクレオシドを含むように、任意の有用な方法で、例えば、化学的に、酵素的に、または組み換え的に合成され得る。核酸は、連結されたヌクレオシドの領域(複数可)を含み得る。かかる領域は、可変骨格結合を有し得る。該結合は、標準的なホスホジエステル結合であってよく、この場合、該核酸は、ヌクレオチドの領域を含む。
修飾ヌクレオチドの塩基対合は、標準的なアデノシン-チミン、アデノシン-ウラシル、またはグアノシン-シトシン塩基対だけでなく、非標準または修飾塩基を含むヌクレオチド及び/または修飾ヌクレオチド間で形成される塩基対も包含し、ここで、水素結合供与体と水素結合受容体の配置により、非標準塩基と標準塩基間、または2つの相補的非標準塩基構造、例えば、少なくとも1つの化学的修飾を有するそれら核酸の間の水素結合が可能になる。かかる非標準塩基対合の一例は、修飾ヌクレオチドイノシンとアデニン、シトシンまたはウラシル間の塩基対合である。塩基/糖またはリンカーの任意の組み合わせが、本開示の核酸に組み込まれ得る。
いくつかの実施形態では、核酸(例えば、RNA核酸、例えば、mRNA核酸)における修飾核酸塩基は、N1-メチル-プソイドウリジン(m1ψ)、1-エチル-プソイドウリジン(e1ψ)、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、5-メチル-シチジン(m5C)、及び/またはプソイドウリジン(ψ)を含む。いくつかの実施形態では、核酸(例えば、RNA核酸、例えば、mRNA核酸)における修飾核酸塩基は、5-メトキシメチルウリジン、5-メチルチオウリジン、1-メトキシメチルプソイドウリジン、5-メチルシチジン、及び/または5-メトキシシチジンを含む。いくつかの実施形態では、該ポリリボヌクレオチドは、化学的修飾が挙げられるがこれに限定されない上記修飾核酸塩基のいずれか少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上)の組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、本開示のRNA核酸は、当該核酸の1つ以上またはすべてのウリジンの位置にN1-メチル-プソイドウリジン(m1ψ)置換を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のRNA核酸は、当該核酸の1つ以上またはすべてのウリジンの位置にN1-メチル-プソイドウリジン(m1ψ)置換を含み、当該核酸の1つ以上またはすべてのシチジンの位置に5-メチルシチジン置換を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のRNA核酸は、当該核酸の1つ以上またはすべてのウリジンの位置にプソイドウリジン(ψ)置換を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のRNA核酸は、当該核酸の1つ以上またはすべてのウリジンの位置にプソイドウリジン(ψ)置換を含み、当該核酸の1つ以上またはすべてのシチジンの位置に5-メチルシチジン置換を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のRNA核酸は、当該核酸の1つ以上またはすべてのウリジンの位置にウリジンを含む。
いくつかの実施形態では、核酸(例えば、RNA核酸、例えば、mRNA核酸)は、特定の修飾について均一に修飾される(例えば、完全に修飾される、すなわち、全配列を通して修飾される)。例えば、核酸は、N1-メチル-プソイドウリジンで均一に修飾され得る。つまり、当該mRNA配列のすべてのウリジン残基がN1-メチル-プソイドウリジンで置き換えられる。同様に、核酸は、上記のような修飾残基で置き換えることにより、当該配列に存在する任意の種類のヌクレオシド残基に関して均一に修飾され得る。
本開示の核酸は、当該分子の全長にわたって部分的にも完全にも修飾され得る。例えば、1つ以上もしくはすべてまたは所与の種類のヌクレオチド(例えば、プリンもしくはピリミジン、またはA、G、U、Cの任意の1つ以上もしくはすべて)が本開示の核酸において、またはその所定の配列領域において(例えば、ポリAテールを含めたもしくは除いたmRNAにおいて)均一に修飾され得る。いくつかの実施形態では、本開示の核酸における(またはその配列領域における)すべてのヌクレオチドXは修飾ヌクレオチドであり、ここで、Xは、ヌクレオチドA、G、U、Cのいずれか1つまたはA+G、A+U、A+C、G+U、G+C、U+C、A+G+U、A+G+C、G+U+CもしくはA+G+Cの組み合わせのいずれか1つであり得る。
該核酸は、約1%~約100%修飾されたヌクレオチド(総ヌクレオチド含量に関して、もしくはヌクレオチドの種類の1つ以上に関して、すなわち、A、G、U、もしくはCのいずれか1つ以上に関して)、またはその間の任意のパーセンテージ(例えば、1%~20%、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、及び95%~100%)を含み得る。残存パーセンテージは、未修飾A、G、U、またはCの存在によって説明されることが理解されよう。
該核酸は、最低1%及び最大100%の修飾ヌクレオチド、またはその間の任意のパーセンテージ、例えば、少なくとも5%の修飾ヌクレオチド、少なくとも10%の修飾ヌクレオチド、少なくとも25%の修飾ヌクレオチド、少なくとも50%の修飾ヌクレオチド、少なくとも80%の修飾ヌクレオチド、もしくは少なくとも90%の修飾ヌクレオチドを含み得る。例えば、該核酸は、修飾ピリミジン、例えば、修飾ウラシルまたはシトシンを含み得る。いくつかの実施形態では、当該核酸のウラシルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%が修飾ウラシル(例えば、5-置換ウラシル)で置き換えられる。該修飾ウラシルは、単一の独自構造を有する化合物で置き換えられる場合もあれば、異なる構造を有する複数の化合物(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の独自の構造)で置き換えられる場合もある。いくつかの実施形態では、当該核酸のシトシンの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%が修飾シトシン(例えば、5-置換シトシン)で置き換えられる。該修飾シトシンは、単一の独自構造を有する化合物で置き換えられる場合もあれば、異なる構造を有する複数の化合物(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の独自の構造)で置き換えられる場合もある。
パーキンソン病の治療で使用する医薬組成物
本開示は、本明細書に開示するLNP組成物のいずれか、例えば、GM-CSF分子をコードするmRNAを含むポリヌクレオチドを含むLNP組成物を含む医薬製剤を提供する。
本開示のいくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤と組み合わせて、組成物または複合体に製剤化される。医薬組成物は、任意に、1つ以上のさらなる活性物質、例えば、治療及び/または予防効果のある物質を含み得る。本開示の医薬組成物は、無菌及び/またはパイロジェンフリーであり得る。該製剤の概論及び/または医薬品製造の概論は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005に見出され得る。
いくつかの実施形態では、組成物はヒト、ヒト患者または対象に投与される。本開示の目的のため、「活性成分」という句は、一般に、本明細書に記載の通りに送達されるポリヌクレオチドを指す。
本明細書に提供する医薬組成物の説明は、主にヒトへの投与に適した医薬組成物に関するが、当業者には、かかる組成物が、一般に、任意の他の動物、例えば、非ヒト動物、例えば、非ヒト哺乳類への投与に適することが理解されよう。様々な動物への投与に適した医薬組成物を提供するために、ヒトへの投与に適した該組成物の修飾が十分に理解されており、通常の知識を有する獣医薬理学者であれば、かかる修飾を、たとえあったとしても単に通常の実験で設計及び/または実施することができる。該医薬組成物の投与が企図される対象としては、ヒト及び/また他の霊長類、哺乳類が挙げられるがこれらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病変内、頭蓋内、脳室内、経口、吸入スプレー、局所、直腸、鼻、頬、膣、または移植されたリザーバーの筋肉内、皮下、または皮内送達用に製剤化される。他の実施形態では、該ポリヌクレオチドは、皮下または静脈内送達用に製剤化される。
本明細書に記載の医薬組成物の製剤は、薬理学の分野で既知のまたは今後開発される任意の方法で調製され得る。概して、かかる調製方法は、活性成分を、賦形剤及び/または1つ以上の他の副成分と会合させるステップ、及びその後、必要に応じて及び/または所望により、生成物を所望の単回または複数回投与単位に分割、成形、及び/または包装するステップを含む。
本開示の医薬組成物における活性成分、医薬的に許容される賦形剤、及び/または任意のさらなる成分の相対量は、治療される対象の同一性、サイズ、及び/または状態によって、さらに該組成物が投与される経路によって変化し得る。例として、該組成物は、0.1%~100%、例えば、0.5~50%、1%~30%、5%~80%、または少なくとも80%(w/w)の活性成分を含み得る。
製剤
本開示のGM-CSF分子をコードするmRNAを含むポリヌクレオチドは、1つ以上の賦形剤を使用して製剤化され得る。
該1つ以上の賦形剤の機能は、例えば、(1)安定性を高める、(2)細胞のトランスフェクションを増加させる、(3)持続放出または遅延放出(例えば、該ポリヌクレオチドのデポー製剤から)させる、(4)生体内分布を変化させる(例えば、特定の組織または細胞型に該ポリヌクレオチドを標的化する)、(5)コードされたタンパク質のインビボでの翻訳を増加させる、及び/または(6)該コードされたタンパク質のインビボでの放出プロファイルを変化させることである。従来の賦形剤、例えば、ありとあらゆる溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体媒体、分散もしくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘もしくは乳化剤、防腐剤に加えて、本開示の賦形剤としては、リピドイド、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コアシェルナノ粒子、ペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドをトランスフェクトした細胞(例えば、対象への移植用)、ヒアルロニダーゼ、ナノ粒子模倣体及びそれらの組み合わせを挙げることができるがこれらに限定されない。従って、本開示の製剤は、1つ以上の賦形剤を、各々がともに該ポリヌクレオチドの安定性を増加させ、該ポリヌクレオチドによる細胞トランスフェクションを増加させ、該ポリヌクレオチドにコードされるタンパク質の発現を増加させ、及び/または該ポリヌクレオチドにコードされるタンパク質の放出プロファイルを変更する量で含み得る。さらに、本開示のポリヌクレオチドは、自己組織化核酸ナノ粒子を使用して製剤化され得る。
本明細書に記載の医薬組成物の製剤は、薬理学の分野で既知のまたは今後開発される任意の方法で調製され得る。概して、かかる調製方法は、活性成分を、賦形剤及び/または1つ以上の他の副成分と会合させるステップを含む。
本開示の医薬組成物は、大量に、単一の単位用量として、及び/または単一の単位用量の複数として調製、包装、及び/または販売され得る。本明細書で使用される、「単位用量」とは、所定量の活性成分を含む医薬組成物の個別の量を指す。該活性成分の量は、一般に、対象に投与される該活性成分の用量及び/またはかかる用量の便宜的な部分、例えば、かかる用量の半分または3分の1に等しい。
本開示の医薬組成物における活性成分、医薬的に許容される賦形剤、及び/または任意のさらなる成分の相対量は、治療される対象の同一性、サイズ、及び/または状態によって、さらに該組成物が投与される経路によって変化し得る。例えば、該組成物は、0.1%~99%(w/w)の該活性成分を含み得る。例として、該組成物は、0.1%~100%、例えば、.5~50%、1~30%、5~80%、または少なくとも80%(w/w)の活性成分を含み得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤は、少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。非限定的な例として、該製剤は、1、2、3、4または5個のポリヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤は、少なくとも1つLNP、例えば、1つのポリヌクレオチドを含む1つのLNPを含む。非限定的な例として、該製剤は、例えば、各LNPが1つのポリヌクレオチドを含む1、2、3、4または5個のLNPを含む。いくつかの実施形態では、該LNP(例えば、2、3、4、または5個のLNPを含む混合物)は、同じポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、該LNP(例えば、2、3、4、または5個のLNPを含む混合物)は、異なるポリヌクレオチドを含む。
医薬製剤は、さらに、医薬的に許容される賦形剤を含むことができ、これは、本明細書で使用される場合、これらに限定されないが、所望の特定の剤形に適したありとあらゆる溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体媒体、分散もしくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘もしくは乳化剤、防腐剤等を含む。医薬組成物の製剤化のための様々な賦形剤及び該組成物を調製するための技術は、当技術分野で既知である(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro,Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2006参照)。任意の従来の賦形剤媒体が、任意の望ましくない生物学的作用をもたらす、または別の方法で該医薬組成物の任意の他の成分(複数可)と有害な様式で相互作用すること等により、物質またはその誘導体と不適合であり得る場合を除き、従来の賦形剤媒体の使用は、本開示の範囲内であることが企図され得る。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子の粒径は、増加及び/または減少する。粒径の変化は、炎症等であるがこれに限定されない生物反応に対抗するのに役立つ場合もあれば、哺乳類に送達される修飾mRNAの生物学的効果を高める場合もある。
医薬組成物の製造に使用される医薬的に許容される賦形剤としては、不活性希釈剤、界面活性剤及び/または乳化剤、防腐剤、緩衝剤、滑沢剤、及び/または油が挙げられるがこれらに限定されない。かかる賦形剤は、任意に、本開示の医薬製剤に含まれ得る。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、コレステロール等の分子を隔離し得るナノ構造でもしくは該ナノ構造とともに投与されるか、該ナノ構造に製剤化されるか、または該ナノ構造とともに送達される。これらのナノ構造の非限定的な例及びこれらのナノ構造を作製する方法は、米国特許公開第US20130195759号に記載されている。これらのナノ構造の例示的な構造は、米国特許公開第US20130195759号に示されており、コア及び該コアを取り囲むシェルを含むことができる。
均等物及び範囲
当業者は、日常の実験のみを用いて、本明細書に記載の本開示に従う特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、または確認することができるであろう。本開示の範囲は、下記の説明に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に記載の通りである。
特許請求の範囲では、「a」、「an」、及び「the」等の冠詞は、それとは反対の指示がない限り、または文脈が明らかにそうではないことを示さない限り、1つ以上を意味し得る。群の1つ以上の成員間に「または」を含む請求項または説明は、それとは反対の指示がない限り、または文脈が明らかにそうではないことを示さない限り、該群の成員の1つ、複数、またはすべてが、所与の生成物もしくはプロセスに存在し、使用され、または関連する場合に満たされていると見なされる。本開示は、該群の正確に1つの成員が所与の生成物もしくはプロセスに存在し、使用され、または関連する実施形態を含む。本開示は、該群の複数の、またはすべての成員が所与の生成物もしくはプロセスに存在し、使用され、または関連する実施形態を含む。
「含む」という用語は、オープンであることを意図しており、さらなる要素またはステップの含有を許容するが、必要とはしないこともまた留意される。「含む」という用語が本明細書で使用される場合、「~からなる」という用語もまた、従って、包含され開示される。
範囲が与えられる場合、端点が含まれる。さらに、特に明記しない限り、または文脈及び当業者の理解から明らかでない限り、範囲で表される値は、本開示の異なる実施形態において規定される範囲内の任意の特定の値または部分的な範囲を、文脈が明らかにそうではないことを示さない限り、該範囲の下限の単位の10分の1までと見なすことができることが理解される。
本明細書で引用されているすべての出典、例えば、参考文献、出版物、データベース、データベース・エントリ、及び技術は、該引用で明示的に述べられていない場合であっても、参照により本出願に組み込まれる。引用された出典と本出願の記述が矛盾する場合は、本出願の記述が優先するものとする。
本開示は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。しかしながら、それらは、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載の実施例及び実施形態が例証のみを目的とするものであり、それを考慮した様々な修正または変更が当業者に提案され、本出願の趣旨及び範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。
Figure 2022552378000118
実施例1:パーキンソン病の治療用の組成物を作製する方法及びかかる組成物を試験する方法
mRNAの合成及び製剤化
Gm-csf mRNAは、インビトロにて、T7 RNAポリメラーゼが媒介する転写を使用して、ウリジンをN1-メチルプソイドウリジンで置き換えて合成した。線状化DNA鋳型には、先に記載の通り、5’及び3’非翻訳領域(UTR)及びポリAテールを組み込む(Bahl et al.,(2017)Mol Ther 25,1316-1327)。mRNAの翻訳効率を上げるため、最終的なmRNAをキャップする。精製後、クエン酸緩衝液でmRNAを希釈することにより、所望のmRNA濃度を得た。対照mRNA NTFIX(非翻訳第IX因子)を同様の方法で合成した。
脂質ナノ粒子(LNP)製剤は、先に記載の方法(Richner et al.,(2017)Cell 168,1114-1125)を修正して調製した。簡潔には、脂質をモル比50:10:38.5:1.5(イオン性脂質:ヘルパー脂質:構造脂質:PEG)にてエタノールに溶解し、この脂質混合物を、mRNAを含む50mMのクエン酸緩衝液(pH4.0)の酸性化緩衝液と2:1の比(水性:エタノール)にて、同期シリンジポンプ(Harvard Apparatus)を使用して混合した。製剤を、8%スクロースの20mM Tris(pH7.4)を使用して、Pellicon XL 100kDaタンジェント流膜(EMD Millipore)を介して透析濾過及び濃縮し、0.22μmのフィルターを通し、使用まで凍結した。このLNPの構造及び組成は、先に記載の通りである(Sabnis et al.,(2018)Mol Ther 26,1509-1519)。製剤を、粒径、RNA封入、及びエンドトキシンに関して調べた。すべての製剤は、動的光散乱による径が80~100nmであり、80%を超える封入及び10EU/ml未満のエンドトキシンであることが分かった。以下に記載のすべての実施例において使用されたイオン性脂質は化合物25であり、使用されたPEG脂質はPED-DMGであった。
動物、mRNA処理、及びMPTP中毒
動物は、National Institutes of HealthのInstitutionalの施設内倫理委員会によって明記され、University of Nebraska Medical Centerの実験動物委員会によって承認されたガイドラインに従って、飼育、維持、及び実験に使用した。マウスの実験では、C57BL/6Jマウス(6~8週齢)をJackson Laboratories(Stock #000664)から入手した。順化後、マウスにMus musculus Gm-csf mRNA(Gm-csf mRNA)を含む脂質ナノ粒子を筋肉内(i.m.)注射した。用量反応試験では、マウスに毎日4日間、0.00001mg/kg~0.1mg/kgに及ぶ用量で注射した。神経保護実験では、マウスに媒体(DPBS、10ml/kg体重)またはSigma-Aldrichから入手したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で再構成された1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン塩酸塩(MPTP-HCL)のいずれかを注射した。マウスに、各2時間間隔で4回、MPTP-HCl(16mg遊離塩基/kg)を皮下注射した。MPTPの安全措置は、規定の安全及び取扱プロトコル(Jackson-Lewis & Przedborski,(2007)Nat Protoc 2,141-151)に従った。MPTP中毒後2日目及び7日目にマウスをサクリファイスし、脳を採取し、神経炎症及びニューロン生存率の評価用にそれぞれ処理した。ラットの試験では、7週齢の雄のSprague-Dawley(SASCO)ラットをCharles River Laboratoriesに注文した。ラットにRattus norvegicus Gm-csf mRNAを含む脂質ナノ粒子をi.m.注射した。ナイーブラット試験では、動物に4日間連続して0.01mg/kgのGm-csf mRNAまたは0.1mg/kgのGm-csf mRNAのいずれかを注射し、5日目にサクリファイスした。ヒトアルファ-シヌクレイン(α-Syn)過剰発現試験では、ラットに4日間連続して定位的注入の直後に注射し、その後サクリファイスまで1日おきに注射した。28日目、ラットをサクリファイスし、脾臓及び脳を採取及び処理した。
定位的注入
2%イソフルランを含むOでSprague-Dawleyラットを麻酔し、定位固定装置(Leica Biosystems Inc.,Buffalo Grove,IL)に入れて頭蓋骨を固定した。頭蓋骨を露出させて1~2mmの穴をあけた後、26ゲージのニードルに取り付けた滅菌ハミルトンシリンジ(モデル8100、Thermo Fisher)を脳に挿入した。ベクターをシリンジポンプにより送達した。α-Synの過剰発現に関しては、AAV2/1-CBA-HuαSyn-IRES-eGFP-WPRE(Standaert-5713)ベクター(AAV-α-Syn)及び対照AAV2/1-IRES-eGFP-WPRE(Standaert-5712)ベクター(AAV-GFP)を、University of Iowa(Vector Core,Iowa City,IA)から入手した。3μlのPBSで、AAVベクターの3×10ゲノムコピーを、左半球の黒質上に、前項に対して以下の座標で送達した:AP、-5.3mm、ML、-2.0mm、DV、-7.5mm DV。
灌流及び免疫組織化学
終末麻酔(Fatal Plus、ペントバルビタール)下、マウス及びラットを心臓穿刺を介してDPBSに続いて4%パラホルムアルデヒド(PFA)(Sigma-Aldrich)を含むDPBSで灌流した。MPTPの7日後に動物から取り出した全脳を灌流後に採取し、黒質(SN)のドーパミン作動性ニューロン細胞体及び線条体の終末の生存を評価した。凍結中脳を30μmで切片化し、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)を免疫染色し(抗TH、1:2000、EMD Millipore)、ニッスル物質を対比染色した(Benner et al.,(2004)Proc Natl Acad Sci U S A 101,9435-9440)。ミクログリアの反応性を評価するため、MPTPの2日後(マウス)またはdpi28日(ラット)に脳を採取し、中脳切片(30μm)を、マウスに関してはMac-1(抗CD11b、1:1000、AbD Serotech)、ラットに関してはIba-1(1:1000、VWR)を免疫染色した。ドーパミン作動性終末を評価するため、線条体切片(30μm)を抗THで標識した(1:1000、EMD Millipore)。抗体標識組織を視覚化するため、切片をストレプトアビジン-HRP溶液(ABC Elite Vector Kit,Vector Laboratories)中でインキュベートし、ジアミノベンジジン(DAB)色原体(Sigma-Aldrich)の存在下H生成システムを使用して発色させた。推定ニューロン及び反応性ミクログリア数は、先に記載の通り、StereoInvestigatorソフトウェア(MBF Bioscience)を使用した偏りのない立体的解析によって定量化した(Benner et al.,(2004)Proc Natl Acad Sci U S A 101,9435-9440)。線条体のドーパミン作動性ニューロン終末の密度は、先に記載の通り、Image Jソフトウェア(National Institutes of Health)を使用したデジタル濃度測定によって特定した(Benner et al.,(2004)Proc Natl Acad Sci U S A 101,9435-9440)。
抑制アッセイ
マウスの実験では、CD4+CD25+及びCD4+CD25-細胞を、EasySepマウスCD4+CD25+制御性T細胞単離キットII(StemCell)を製造業者の指示に従って使用して脾臓から単離した。ラットの実験では、細胞をEasySepラットCD4+T細胞単離キット(StemCell)を使用して単離した。単離したラットCD4+細胞を、抗CD25PE(BD Bioscience)を用いて1.5×10細胞あたり0.75μg/mlの濃度で20分間染色した。次に、CD4+CD25+T細胞の正の磁気分離用に、EasySep PEポジティブセレクションキットII(StemCell)の抗PE磁気ビーズを加えた。単離した細胞集団をフローサイトメトリー分析によって純度について評価したところ、細胞内FOXP3発現により測定して、>90%のCD4+CD25+及び>60%のCD4+CD25+FOXP3+であることが特定された。CD4+CD25-T細胞画分をラット及びマウスの両未処理群から収集し、抑制アッセイ用のTキラー(Tresp)集団とした。単離したTrespをカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)(Thermo Fisher)で標識した。Tregを、96ウェルのU底マイクロタイタープレートのウェルに連続2倍希釈し、CFSE染色Trespを濃度50×10細胞/mlでプレーティングし、Treg:Tresp比2:1、1:1、1:0.5、1:0.25、及び1:0.125を得た。Dynabeads T-activator CD3/CD28ビーズ(ThermoFisher)をビーズ:細胞比1:1で使用して、マウス細胞の増殖を刺激した。ラット細胞の刺激では、ビーズは本発明者らの実験室でコンジュゲートした。Dynabeads M-450エポキシ(ThermoFisher)を、製造業者のプロトコルに従って、抗ラットCD3及び抗ラットCD28を使用してコンジュゲートした。得られたCD3:CD28比は1:1であり、得られたビーズ:抗体比は、1000ビーズ:200μg(各抗体100μg)であった。コンジュゲーション後、ビーズを4℃で、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むpH7.4のPBS中、濃度4×10ビーズ/mlにて保存した。刺激したTresp単独及び未刺激のTrespを対照としてプレーティングした。抑制アッセイ培養を37℃にて5%CO中で3日間インキュベートし、固定し、BD LSRIIフローサイトメーターで分析した。CFSE蛍光による増殖の程度を、FACSDivaソフトウェア(BD Biosciences,San Jose,CA)を使用して評価した。
養子移入
Gm-csf mRNAで処理したドナーマウスから、脾臓CD4+CD25+細胞を、抑制アッセイに記載したものと同じキットを使用して単離した。レシピエントマウスを記載の通りにMPTPで中毒させ、1×10のCD4+CD25+細胞をMPTP処理後8~12時間の間に尾静脈注射を介して養子移入した。MPTP投与後7日目にマウスをサクリファイスし、脳を採取及び処理した。
フローサイトメトリー評価
Gm-csf mRNAまたはタンパク質処理の4日後、ラット及びマウスの全血及び脾臓を収集し、フローサイトメトリー分析によってT細胞及びB細胞のプロファイルを特定した。全血(50μl)及び脾細胞(1×10)を、CD3、CD4、CD25、CD8、及びB220の細胞外マーカーならびにFOXP3の細胞内マーカーに対する抗体を使用して蛍光標識した。マウスの血液及び脾細胞を、PerCP-Cy5.5-anti-CD3(eBioscience)、PE-Cy7-anti-CD4(eBioscience)、PE-anti-CD25(eBioscience)及びFITC-anti-CD8(eBioscience)で標識した。ラット血液は、BV-421-anti-CD3(BD Bioscience)、PerCP-eFluor710-anti-CD4(eBioscience)、PE-anti-CD25(BD Bioscience)、BV-786-anti-CD8(BD Bioscience)及びBUV-737-anti-B220(BD Bioscience)で染色した。ラット及びマウスの両細胞の細胞内染色では、細胞を4℃にて45分間、FOXP3/転写因子染色緩衝剤セット(eBioscience)を使用して透過処理した。次に、細胞をAPC-anti-FOXP3(eBioscience)で標識した後、固定した。サンプルをBD LSRIIフローサイトメーターで処理し、FACSDivaソフトウェア(BD Biosciences,San Jose,CA)を使用して分析した。細胞頻度を全リンパ球集団から特定した。
血液化学及び末梢血評価
サクリファイスの時点で、250μlの全血を完全血球算定(CBC)レベル用のKEDTA採血チューブまたは血液化学及び代謝物レベル用のヘパリン添加採血チューブに収集した。単離後、ヘパリン添加血液を遠心分離し、血漿を回収した。完全な代謝パネルは、VetScan VS2機器にてVetScan Chemistry Comprehensive Testカートリッジ(Abaxis)を使用して行った。CBC分析では、KEDTAチューブから収集した全血を直ちにVetScan HM5機器でアッセイした。
GMCSFタンパク質の定量化
処理前に、上顎出血を介してマウスから末梢血を採取した。次に、マウスをGm-csf mRNAで処理し、6時間後にマウスから再度採血した。全血を10,000RPMで10分間遠心分離し、血漿を回収した。Gm-csf mRNA処理の4日後、マウスをサクリファイスし、脾臓、肝臓、脳、及び鼠径リンパ節等の臓器を採取した。臓器をドライアイスで急速冷凍した。凍結後、5mgの組織をNP40細胞溶解緩衝液(Invitrogen)、完全EDTAフリープロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma Aldrich)、及びPMSFを含むDMSOを使用して溶解した。サンプルを超音波処理し、遠心分離し、等分した。組織溶解物を使用して、Pierce BCAタンパク質アッセイ(ThermoFisher)を行い、全タンパク質濃度を特定した。血漿及び組織の単離後、GM-CSFタンパク質レベルをマウスGM-CSF Quantikine ELISAキット(R&D Systems)を使用し、製造業者のプロトコルを用いて特定した。
サイトカインの評価
α-synの過剰発現及びGm-csf mRNA処理の前に、ラットを上顎出血を介して採血し、末梢血をベースラインとして採集した。採集後、血液を10,000RPMで10分間遠心分離し、血漿を回収して-80℃で保存した。28日後、サクリファイスの時点で血液及び血漿を再度採集した。採集後、処理前後の血漿中のサイトカインのレベルをラットサイトカインアレイパネルA(R&D Systems)を使用し、製造業者のプロトコルに従って評価した。
RNAの単離及びトランスクリプトミクス
Gm-csf mRNA投与の4日後、マウスをサクリファイスし、脾臓を採取し、CD4+T細胞を、EasySepマウスCD4+T細胞単離キット(StemCell)を製造業者の指示通りに使用して単離した。単離した細胞の純度をフローサイトメトリー分析によって評価したところ、すべての単離に関して88%超であると特定された。細胞の単離後、RNeasy Miniキット(Qiagen)を使用してRnaseフリー条件下で全RNAを単離した。cDNAは、単離したRNAからRevertAid First Strand cDNA合成キット(Thermo Scientific)を使用して生成し、マウスTヘルパー細胞分化用のRT2 PCRアレイ(Qiagen)に対するプライマー混合物を使用して予備増幅を行った。定量的RT-PCRは、Eppendorf Mastercycler Realplex EP(Eppendorf)で行った。データ分析は、RT2 Profiler PCR Arrayのウェブベースのデータ分析ソフトウェアバージョン3.5(Qiagen)及びIngenuity Pathway Analysis(IPA、Qiagen)を使用して完了した。IPAの要件に従って、少なくとも2倍調節異常であることが判明した遺伝子のみを使用した。
統計解析
すべての試験で、データをGraphPad Prism 7.0ソフトウェア(La Jolla,CA)を使用して分析した。すべての値は平均±SEMとして表されている。群間の平均の差は、アッセイに応じて、一元配置分散分析とそれに続くテューキーまたはニューマン・コイルス事後検定を使用して分析した。すべての試験に関して有意差をp<0.05のレベルで選択した。Tregの機能及び用量依存性の測定は、線形回帰分析によってTreg:Tresp比またはGm-csf mRNA用量のいずれかの関数として評価した。Tregの抑制機能の差は、傾きまたは切片の群間の差によって特定した。すべての直線の勾配は、有意にゼロではないと特定された。
実施例2:LNP製剤化Gm-csf mRNAの注射により、血漿GM-CSF、脾臓のサイズ及び細胞数、ならびにWBC数が増加した
本実施例は、LNP(化合物25を含む)製剤化Gm-csf mRNA(表4Aに示す配列を含むMm.GMCSF構築物)をマウスに投与することの効果を記載する。Gm-csf mRNAを合成し、脂質ナノ粒子(LNP)に製剤化し、実施例1に記載の通りに6~8週齢のC57BL/6マウスに投与した。
血漿GM-CSFタンパク質レベルを実施例1に記載の通り、複数の漸増用量のGm-csf mRNAまたは非特異的mRNA対照(NTFIX)による処理の前(前)または6時間後(後)の末梢血中で定量化した(図1A)。図1Aに示す通り、Gm-csf mRNAは、0.01、0.05、及び0.1mg/kgで処理した後6時間以内に血漿中に検出可能なGM-CSFタンパク質を誘導する。0.01mg/kgのGm-csf mRNAでの処理により、レベルが188pg/mlから1487pg/mlに増加し、0.05mg/kgでの処理により、レベルは73pg/mlから6215pg/mlに増加し、0.1mg/kgでの処理により、レベルは12pg/mlから8211pg/mlに増加した。しかしながら、GM-CSFタンパク質レベルの上昇は、低用量のGm-csf mRNAで処理したマウス、または翻訳不可能なmRNA対照(NTFIX)で処理したマウスの血漿では検出されなかった。また、LNP製剤化Gm-csf mRNAで処理したマウスの脾臓、肝臓、脳、または鼠径リンパ節でGM-CSFタンパク質の増加は検出されず、すべての処理群に関してすべての組織レベルが71pg/ml未満のままであった。未処理の動物から分離された組織では、10~50pg/mlのGM-CSFタンパク質の範囲であり、LNP製剤化Gm-csf mRNA処理と差がなかった。
複数の漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAで処理したマウスの脾臓を画像化した(図1B)。脾臓重量を、最初の処理から4日後に定量化し、臓器重量の線形回帰分析を行った。漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理により、脾腫がもたらされ、線形回帰分析により、これが用量依存的であることが分かった(R=0.46、P=0.0009)(図1B及び図1C)。
処理後の全血中の白血球(WBC)、単球、好中球、及びリンパ球の絶対数を測定した。脾臓のサイズの増加とともに、末梢血白血球(WBC)の平行した増加が認められた(図1D~1G)。絶対血球数は、LNP製剤化Gm-csf mRNAの投与量の増加と平行して、WBC(図1D)、単球(図1E)及び好中球(図1F)の増加を示したが、0.1mg/kgの用量で増加したのみであった。リンパ球集団はわずかに影響を受けたのみであった(図1G)。
処理したマウスから単離した全血の完全な代謝パネルを実施例1に記載の通りに行った。処理後のアルカリホスファターゼ、アルブミン及びアミラーゼの血液化学プロファイルを図1H、図1I、及び図1Jにそれぞれ示す。全体として、クレアチニン、総ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ、グルコース、尿素窒素、ナトリウム、カルシウム、グロブリン、及びリンのレベルが処理によって変化しなかったため、包括的代謝パネルは、処理によって変化しなかったが、アルカリホスファターゼ(図1H)、アルブミン(図1I)、及びアミラーゼ(図1J)は、0.01及び/または0.1mg/kg処理動物で減少した。
総合すれば、これらの結果は、LNP製剤化Gm-csf mRNAによるマウスの処理が、GM-CSFタンパク質レベルの上昇、脾臓のサイズの増加、ならびに完全血球算定及び末梢血化学プロファイルの変化をもたらしたことを示す。
実施例3:LNP製剤化Gm-csfm RNAはTregを増加させ、1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(MPTP)中毒モデルで神経保護をもたらした
本実施例は、LNP(化合物25を含む)製剤化Gm-csf mRNA(表4Aに示す配列を含むMm.GMCSF構築物)をC57BL/6マウス及びMPTP中毒C57BL/6マウスに投与することの効果を記載する。天然の組み換えGM-CSFタンパク質でのマウスの処理をコンパレータとして使用した。LNP製剤化Gm-csf mRNAの合成及び製剤化、マウスの処理及びMPTP中毒、末梢血のフローサイトメトリー評価、抑制アッセイ、ならびに灌流及び免疫組織化学を実施例1に記載の通りに行った。
C57BL/6マウスの処理後の末梢血中のCD4+T細胞及びT制御性細胞(Treg)の頻度をフローサイトメトリーで特定した。0~0.01mg/kgに及ぶ用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAでのマウスの処理では、末梢血中のCD4+T細胞の頻度に変化は示されなかった(図2A)。しかしながら、0.1mg/kgでの処理により、未処理の動物で認められたものよりCD4+T細胞の頻度が減少した。対照的に、フローサイトメトリー分析により、線形回帰によって明白なCD4+CD25+FOXP3+制御性T細胞の頻度の用量依存的な増加が示された(R=0.76、P=0.02)(図2B)。末梢血中のTreg頻度は、漸増用量のGm-csf mRNAでの処理後、2.8±0.4から14.3±0.98%に増加した。同様に、mRNAとタンパク質処理を比較すると、0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAの投与により、対照及びGM-CSFタンパク質処理マウスと比較して、末梢血のリンパ球集団内のCD3、CD4、及びCD8の頻度が減少することが示された(図2C~2F)。LNP製剤化Gm-csf mRNAの投与により、CD4+CD25+FOXP3+細胞の頻度が3.5±0.49から14.3±0.99%に増加した(図2F)。0.001及び0.01mg/kgのGm-csf mRNAまたは0.1mg/kgの組み換えGM-CSFタンパク質での処理によってもまた、CD4+CD25+FOXP3+細胞の頻度が8.2±1.6、9.2±2.0、及び4.9±0.77%増加した。全体として、これらの結果は、漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAにより、CD4+CD25+FOXP3+Treg細胞がマウスで増加することを示している。
次に、処理動物及び未処理動物から単離されたTregがTキラー細胞(Tresp)を阻害する能力を、実施例1に記載の抑制アッセイにより評価した。図2Gに示す通り、Gm-csf mRNA処理動物から単離された脾臓Tregは、CD3/CD28刺激、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)染色CD4+CD25-Trespの増殖を抑制した。同様に、Saunders et al.,(2012)J Neuroimmune Pharmacol 7,927-938、Quah & Parish(2010)J Vis Exp.も参照されたい。線形回帰分析を使用した上昇の特定により、非mRNA処理対照からのCD4+CD25+Tregと比較して、LNP製剤化Gm-csf mRNAで0.01mg/kg(p=0.007)または0.1mg/kg(p=0.04)にて処理したマウスから単離されたTregの抑制能力の増強が示されたが、GM-CSFタンパク質処理動物からのTregと比較した場合には抑制活性に有意な差は認められなかった。勾配の上昇は、Tresp:Treg比が低いほど抑制能力が高いことを示した。
認められた上記の%Tregの変化に加えて、0.001~0.1mg/kgの用量でのLNP製剤化Gm-csf mRNAにより処理したマウスで脾臓のCD11c+MHCII+標準型樹状細胞(cDC)の頻度の増加が認められた(図3A及び3B)。CD11b及びCD8aの発現を使用して、Gm-csf mRNAによって拡大されたcDCサブセットをさらに特徴づけた。0.001~0.1mg/kgの用量でLNP製剤化Gm-csf mRNAにより処理した場合に両方のサブセットが同程度まで拡大した(図3C及び3D)。0.1mg/kgの製剤化Gm-csf mRNAで処理した群は、CD11b+Cd11c-骨髄集団の拡大を示した(図3E及び3F)。LNP製剤化Gm-csf mRNAが拡大されたCD11c+樹状細胞集団の成熟状態を変化させるかどうかを判断するため、CD86、CD40及びクラスII(IA~IE)等の成熟マーカーの発現をフローサイトメトリーで評価した。クラスII(IA~IE)の平均蛍光強度(MFI)は、0.01または0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAで処理した後に減少した(図3G)。
神経保護活性に処理が与える影響を特定するため、マウスをGM-CSFタンパク質またはLNP製剤化Gm-csf mRNAのいずれかで4日間前処理し、その後MPTP中毒を行った。凍結中脳の免疫染色切片の顕微鏡写真を評価し、マウスの黒質(SN)内のドーパミン作動性(TH+/ニッスル+)ニューロンの生存及び線条体(STR)内のTH+細胞終末を評価した。MPTP中毒後、生存黒質ドーパミン作動性(TH+/ニッスル+)ニューロンの総数を、それらの線条体投射とともに評価した(図4A)。生存ドーパミン作動性ニューロンの数は、未処理の動物と比較して、MPTPで処理した場合に10771±356から4893±489に減少した(図4B)。GM-CSFタンパク質での処理により、MPTP単独と比較して、ニューロン生存率が13%(6226±866)増加した。漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理により、MPTP単独と比較して、ドーパミン作動性ニューロン生存率が21%(7162±327)、34%(8576±494)、及び36%(8758±291)増加した。すべてのLNP製剤化Gm-csf mRNA用量で、MPTP中毒単独よりも高いTH+ニューロン数が得られた。特に、0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理は、非病変対照と有意な差がなく、Gm-csf mRNAの神経保護的効果が裏付けられた。非ドーパミン作動性(TH-/ニッスル+)ニューロンの数は、それらにMPTP感受性がないため、処理に関係なく変化しなかった(Otto & Unsicker(1993)J Neurosci Res 34,382-393、Jackson-Lewis & Przedborski(2007)Nat Protoc 2,141-151)。しかしながら、線条体終末は、いずれの処理によってもスペアされず、固有のMPTP毒性が示された(図4C)。
次に、MPTPが誘導する炎症反応の変化を評価した。MPTP投与の2日後、炎症及びニューロン死のピーク時に、脳を採取し、Mac-1発現及びアメーバ様形態によって特定される反応性ミクログリアを評価した(図4D)(Kurkowska-Jastrzebska et al.,(1999)Exp Neurol 156,50-61も参照されたい)。MPTPは、反応性ミクログリアの数を増やし、カウントがPBS対照マウスの0細胞/mmからMPTP中毒後の104±5細胞/mmまで上昇した(図4E)。漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNA(0.001mg/kg~0.1mg/kg)での処理により、反応性ミクログリア数がそれぞれ、85±4、92±5、85±10細胞/mmまで減少した。0.001及び0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理により、ミクログリア反応の統計的に有意な減弱がもたらされた。組み換えGM-CSFタンパク質での処理では、ミクログリア細胞数は98±7細胞/mmまで減少した。全体として、これらの結果は、LNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理が、マウスにおいてMPTPが誘導する黒質線条体神経変性及びミクログリア活性化の減弱をもたらしたことを示す。
実施例4:LNP製剤化Gm-csf mRNAはCD4+T細胞を形質転換し、骨髄細胞集団を誘導した
本実施例は、実施例3に記載のLNP(化合物25を含む)製剤化Gm-csf mRNA(示される配列を含むMm.GMCSF構築物)処理によってもたらされる神経保護及び抗炎症効果を記載する。
Gm-csf mRNA処理ドナー由来のCD4+CD25+T細胞を単離し、実施例1に記載の通りにMPTP中毒レシピエントマウスに養子移入した。7日後、腹側中脳及び線条体を、TH+ドーパミン作動性ニューロンの生存について評価した(図5A)。MPTP中毒により、ニューロン数がPBS対照の7065±878から4042±547に減少した(図5B)。0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAで処理したマウスに由来するCD4+CD25+細胞の養子移入により、MPTP中毒単独と比較して、TH+/ニッスル+ニューロンの生存が6098±1115に増加した。0.01mg/kgで処理したマウスから単離したCD4+CD25+細胞は、MPTP病変を超えてニューロン生存率レベルを高めることはなかった。線条体終末の濃度測定分析は、養子移入後に変化しなかった(図5C)。
次に、LNP製剤化Gm-csf mRNAがCD4+T細胞集団全体のトランスクリプトーム表現型を変化させる能力を評価した。この目的のために、動物を、PBSまたは0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAのいずれかで処理し、得られたCD4+T細胞集団を単離し、実施例1に記載の通りにトランスクリプトームの変化について分析した。LNP製剤化Gm-csf mRNA処理により、様々なT細胞集団と関連する遺伝子の上方制御及び下方制御の両方がもたらされた(図6A~6B)。非mRNA処理対照と比較して、2~5倍上方制御された遺伝子は、Ccr4、Il13、Csf2、Il4、Cacna1f、Hopx、Pparg、Fosl1、Gata4、Havcr2、Tbx21、Fasl、Perp、Il13ra1、Il17a、Ifng、Chd7、及びIl12rb2を含んでいた。5倍を超えて上方制御された遺伝子は、Foxp3、Il18、Asb2、Igsf6、Il1r2、Cebpb、Il1rl1、Ccr6、及びIkzfzを含み、2倍を超えて下方制御された遺伝子は、Zeb1、Trp53inp1、Rel、Nr4a3、Jak1、Socs1、及びRunx3であった。Ingenuity Pathway Analysis(IPA)を使用して得られた遺伝子発現のネットワークマッピングにより、2つの主要なネットワーク:Hematological System Development and Function(図6B)、及びCellular and Tissue Development(図6C)の調節異常が示された。これら2つのネットワーク内の遺伝子解析は、T細胞の分化、リンパ球形成、発達、及び量に関連する機能要素の変化に関連していた。この分析は、いくつかの実施形態では、LNP製剤化Gm-csf mRNAによる処理が、T細胞の分化及びリンパ球数に正の影響を与えることを示唆している。炎症性遺伝子及び抗炎症性遺伝子の両方が上方制御されたが、多くの調節がTreg及びTh2エフェクターの誘導及び安定化に関連する遺伝子に関与しており、いくつかの実施形態では、T細胞表現型全体で炎症性から抗炎症性への潜在的なシフトが示唆された。
実施例5:LNP製剤化Gm-csf mRNA処理は、パーキンソン病のアルファ-シヌクレイン(α-syn)モデルで神経保護及び抗炎症反応を引き起こした
本実施例は、パーキンソン病のアルファ-synモデルでの神経保護及び抗炎症反応を記載する。
ナイーブラットを、用量0.01もしくは0.1mg/kgのLNP(化合物25を含む)製剤化ラットGm-csf mRNA(表4に示す配列を含むRn.GMCSF構築物)または用量0.1mg/kgのラット組み換えGM-CSFタンパク質で4日間処理した。両方のmRNA用量により、マウスで同じ脾腫が認められた(図7A)。末梢血中のT細胞集団のフローサイトメトリー分析では、CD3のパーセンテージにはすべての処理で変化は示されず(図7B)、CD4パーセンテージの低下は0.1mg/kgのGm-csf mRNA処理で示され(図7C)、CD4+CD25+FOXP3+Tregのパーセンテージには両方のmRNA処理で増加が示された(図7D)。Treg頻度は、未処理の動物における4.1±0.26%から0.01mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNA処理動物で12±1.5%、0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNA処理動物で20±2.4%、及びGM-CSFタンパク質処理動物で8.6±0.66%まで増加し、マウスでの観察と類似した。各処理群から濃縮されたCD4+CD25+Treg細胞を次に、CD4+CD25-Trespの増殖を阻害するための抑制機能の変化について評価した(図7E)。両用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理により、PBS対照またはGM-CSFタンパク質処理CD4+CD25+Tregのいずれかと比較して抑制機能が増強された(R≧0.87、P<0.01)。
LNP製剤化ラットGm-csf mRNA処理は、健康なナイーブ動物でTreg頻度及び機能を選択的に増加させる能力があるため、次に、LNP製剤化Gm-csf mRNAの効果を、ヒトα-syn過剰発現を利用したパーキンソン病モデルで評価した。ラットに、PBS(Sham)、AAV-GFP(ベクター対照)、またはAAV-α-synの片側定位的注入を施し、続いてLNP製剤化Gm-csf mRNAを最初の4日間及びその後1日おきに筋肉内投与した。28日後、末梢血中のT細胞レベルを評価した(図7F~7I)。CD3+細胞のレベルは、AAV-α-syn+0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAを投与した動物では治療前のベースラインから減少し、他の処理では有意な変化はなかった(図7F)。CD4+及びCD8+細胞のレベルもまた、すべての処理で有意な影響を受けなかったが、mRNA処理で軽度の減少傾向が認められた(図7G及び7H)。マウスでの観察を要約すると、LNP製剤化Gm-csf mRNA処理により、末梢血のリンパ球集団内のCD4+CD25+FOXP3+Treg頻度が有意に増加した(図7I)。α-syn過剰発現動物での0.01及び0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNA処理により、Treg頻度が2.5からそれぞれ、4.0及び7.4%に増加した。
アルファ-syn過剰発現ラットでのLNP製剤化Gm-csf mRNAの神経保護能力を評価した。AAV-α-syn感染により、ShamまたはAAV-GFP処理動物と比較して、TH発現の喪失によって特定されるドーパミン作動性ニューロンの減少がもたらされた(図8A)。α-synの過剰発現により、ニューロン数が著しく49.3%減少した。しかしながら、LNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理により、用量にかかわらずニューロンの57%をスペアすることによりニューロンの損失を取り返し(28.2%及び28.8%の損失)、ひいては、いくつかの実施形態では、神経保護の可能性を示した(図8B)。同様に、0.01及び0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理によってもまた、ドーパミン作動性終末の生存が増加し、AAV-α-syn+PBS処理と比較して、それぞれ、13.7%及び27.9%の保護レベルをもたらした(図8C)。黒質内のIba-1+アメーバ様ミクログリアとしての反応性ミクログリアのレベルも評価した(図8D)。AAV-ベクターの投与では、反応性ミクログリア比はSham注射より上昇しなかったが、α-synの過剰発現により、反応性ミクログリアは3倍に増加した(図8E)。0.01または0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理により、α-synに関連するミクログリア反応が有意に減弱し、倍率比はそれぞれ、1.96±0.22及び2.28±0.09に減少した。ミクログリア反応とともに、血漿中のサイトカインタンパク質レベルも同様にAAV-α-syn過剰発現から28日後に評価し、疾患に関連する炎症反応の変化を特定した(図9A~9D)。0.01mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理により、CINC-1、CINC-2αβ、CINC-3、CNTF、IP-10、LIX、IL-1ra、IL-2、及びTNFαが減少した(p=0.09)。0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理により、CINC-1、CINC-2αβ、CINC-3、CNTF、IP-10、LIX、MIP-1α、RANTES、IL-1α、IL-1ra、IL-2、及びTNFαが、AAV-α-syn過剰発現単独で認められたレベルに対して減少した。両処理用量で増加することが見出されたタンパク質は、CXCL7、TIMP-1、IFNγ、及びIL-10であった。LIXのレベルは、AAV-α-syn過剰発現単独から下方制御された(図9C)。
総合すれば、これらの結果は、パーキンソン病のアルファ-synモデルでのLNP製剤化ラットGm-csf mRNA処理が、神経保護活性、ニューロン生存率の向上及びミクログリア関連炎症の減弱をもたらしたことを示す。
実施例6:LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAの注射により、血漿GM-CSF、脾臓サイズ、及びWBC数が増加した
本実施例は、マウスアルブミン(MSA)にコンジュゲートしたGm-csf mRNAとともに製剤化したLNP(化合物25を含む)(表4Aに示す配列を含むMSA-mmGMCSF構築物)をマウスに投与することの効果を記載する。MSAコンジュゲートGm-csf mRNAを合成し、脂質ナノ粒子(LNP)に製剤化し、マウスに用量0.001mg/kg、0.01mg/kg、または0.1mg/kgで0日目に筋肉内投与した。Rm-GM-CSFタンパク質対照をマウスに1日1回5日間、-4、-3、-2、-1及び0日目に腹腔内投与した。末梢血評価、タンパク質定量化、及び免疫組織化学試験のため、マウスを処理後1、3、及び5日目にサクリファイスした。
血漿GM-CSFタンパク質レベルを実施例1に記載の通り、複数の漸増用量のMSAコンジュゲートGm-csf mRNA、GM-CSFタンパク質対照、または非特異的mRNA対照(NTFIX)による処理の前(前)ならびに6時間ならびに1、3、及び5日後(後)の末梢血中で定量化した(図10)。図10に示す通り、MSAコンジュゲートGm-csf mRNAは、0.001、0.01、及び0.1mg/kgで処理した後6時間以内に血漿中に検出可能なGM-CSFタンパク質を誘導した。すべての用量(0.001、0.01、及び0.1mg/kg)でのMSAコンジュゲートGm-csf mRNAでの処理により、処理後6時間及び1日の両方での0.1mg/kgのGM-CSFタンパク質処理に対して有意に高いレベルの血漿GM-CSFタンパク質がもたらされた。MSAコンジュゲートGm-csf mRNA及びGM-CSFタンパク質の用量(すなわち、0.1mg/kg)が投与された場合、MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理した対象でのGM-CSFタンパク質で処理した対象に対するタンパク質レベルの増加は、投与後5日目まで認められた。最大の血漿GM-CSFタンパク質レベルは、0.001、0.01、及び0.1mg/kgの用量のMSAコンジュゲートGm-csf mRNAでの処理後約1日で認められた。
最初の処理から1、3、及び5日後の脾臓重量を特定するため、複数の漸増用量のLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAで処理したマウスから採取した脾臓を測定した。最高用量の0.1mg/kgのMSAコンジュゲートGm-csf mRNAにより、脾臓重量が最大に増加し、最大の脾腫は処理後約3日で生じた(図11)。対応する用量のGM-CSFタンパク質では、同等の脾腫を生じなかった。
処理後の全血中の白血球(WBC)、単球、好中球、及びリンパ球の絶対数を測定した。脾臓のサイズの増加とともに、末梢血白血球(WBC)の平行した増加が認められた(図12)。絶対血球数により、WBC、単球、好中球及びリンパ球の最大の増加が処理後約3日で生じたことが明らかになった。
総合すれば、これらの結果は、LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAによるマウスの処理が、GM-CSFタンパク質レベルの上昇、脾臓のサイズの増加、及び完全血球算定の変化をもたらしたことを示す。
実施例7:LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAはTregを増加させ、1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(MPTP)中毒モデルで神経保護をもたらした
本実施例は、LNP(化合物25を含む)製剤化Gm-csf mRNA(表4Aに示す配列を含むMSA-mmGMCSF構築物)をマウスまたはMPTP中毒マウスに投与することの効果を記載する。天然の組み換えGM-CSFタンパク質でのマウスの処理をコンパレータとして使用した。マウスの処理及びMPTP中毒、末梢血のフローサイトメトリー評価、抑制アッセイ、ならびに灌流及び免疫組織化学を実施例1に記載の通りに行った。
マウスの処理後の末梢血中のCD4+T細胞及びT制御性細胞(Treg)の頻度をフローサイトメトリーで特定した。フローサイトメトリー分析により、CD4+CD25+FOXP3+制御性T細胞の頻度が、LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAの投与でのマウス処理後に用量依存的に増加することが示された。末梢血中のTreg頻度の最大の増加は、処理後約5日で認められた。同様に、mRNAをタンパク質処理と比較すると、0.1mg/kgのLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAの投与により、対照及びGM-CSFタンパク質処理マウスと比較して、末梢血のリンパ球集団内のCD3、CD4、及びCD8の頻度が減少することが示された(図13)。全体として、これらの結果は、漸増用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAにより、CD4+CD25+FOXP3+Treg細胞がマウスで増加し、5日目でピークに達することを示している。
次に、処理動物及び未処理動物から単離されたTregがTキラー細胞(Tresp)を阻害する能力を、実施例1に記載の抑制アッセイにより評価した。図14に示す通り、Gm-csf mRNA処理動物から単離された脾臓Tregは、CD3/CD28刺激、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)染色CD4+CD25-Trespの増殖を抑制した。Tregの最大阻害能力は、処理後約3日で生じた。最大のTreg活性の時点を、MPTP中毒の点として特徴づけた。
神経保護活性に処理が与える影響を特定するため、マウスをGM-CSFタンパク質またはLNP製剤化Gm-csf mRNAのいずれかで4日間前処理し、その後MPTP中毒を行った。凍結中脳の免疫染色切片の顕微鏡写真を評価し、マウスの黒質(SN)内のドーパミン作動性(TH+/ニッスル+)ニューロンの生存及び線条体(STR)内のTH+細胞終末を評価した。MPTP中毒後、例えば、処理から3日後、生存黒質ドーパミン作動性(TH+/ニッスル+)ニューロンの総数を、それらの線条体投射とともに評価した(図15)。MSAコンジュゲートGM-CSFタンパク質での処理により、MPTP単独または翻訳不可能な対照と比較して、ニューロン生存率が増加した。漸増用量のLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAでの処理により、MPTP単独と比較して、対応する増加がドーパミン作動性ニューロン生存率にもたらされた。すべてのLNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNA用量で、MPTP中毒単独よりも高いTH+ニューロン数が得られた。特に、0.1mg/kgのLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理は、非病変対照と有意な差がなく、Gm-csf mRNAの神経保護的効果が裏付けられた。さらに、LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAは、4℃にて少なくとも6か月間はこの効果を損なうことなく保存することが可能であった。0.01または0.03mg/kgのMSAコンジュゲートGm-csf mRNAの投与ではMPTP単独と同様の線条体TH密度値を得たが、LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAの最高用量(0.1mg/kg)での投与では、非病変対照と同等の線条体TH密度が得られ、高用量ではある程度の保護能力が示された(図16)。さらに、この神経保護活性は、GM-CSFタンパク質単独の投与では0.1mg/kgの用量であっても認められなかった。(図18及び19)。
次に、MPTPが誘導する炎症反応の変化を評価した。MPTP投与の2日後、炎症及びニューロン死のピーク時に、脳を採取し、Mac-1発現及びアメーバ様形態によって特定される反応性ミクログリアを評価した(図17)。LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAでの処理により、ミクログリア反応の統計的に有意な減弱がもたらされ、組み換えGM-CSFタンパク質での処理よりも大幅な減少が生じた。全体として、これらの結果は、LNP製剤化MSAコンジュゲートGm-csf mRNAでの処理が、マウスにおいてMPTPが誘導する黒質線条体神経変性及びミクログリア活性化の減弱をもたらしたことを示す。
実施例8:パーキンソン病のアルファ-シヌクレイン(α-syn)モデルにおけるLNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理の試験
本実施例は、LNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csfのパーキンソン病のアルファ-synモデルでの効果を記載する。
ラットに、PBS(Sham)、AAV-GFP(ベクター対照)、またはAAV-α-synの片側定位的注入を施し、続いてLNP(化合物25を含む)製剤化ラットアルブミン(RSA)コンジュゲートGm-csf mRNA(表4Aに示す配列を含むRSA-rnGMCSF構築物)をAAVの投与時及びその後7日おきに0.1及び0.3mg/kgの用量で筋肉内投与した。対照試験は、翻訳不可能なGm-csf mRNAの筋肉内投与を用量0.3mg/kgで、またはラット組み換えGM-CSFタンパク質の腹腔内投与を用量0.1mg/kgで行った。末梢T細胞及びB細胞集団を評価するため、7、14、21、及び28日目にマウスから採血した。28日目にマウスをサクリファイスし、脾臓及び脳を採取した。
脾臓のT細胞集団のフローサイトメトリー分析により、すべての処理でCD3のパーセンテージにもCD4のパーセンテージにも有意な変化がないことが示されたが、CD4+CD25+FOXP3+Tregのパーセンテージ及びCD8+のパーセンテージの増加が両方のmRNA処理で、CD45R+パーセンテージのわずかな増加とともに認められた(図21及び22)。
各処理群から濃縮されたCD4+CD25+Treg細胞を、CD4+CD25-Trespの増殖を阻害するための抑制機能の変化について評価した(図20)。両用量のLNP製剤化Gm-csf mRNAでの処理により、PBS対照と比較して抑制機能が増強された。
T細胞レベルを7、14、21、及び28日目の末梢血で評価した(図23~27)。CD3+、CD4+、CD4+CD25+FOXP3+ CD8+、及びCD45R+細胞のレベルを評価した。CD4+CD25+FOXP3+Treg頻度に軽度の増加傾向が、漸増用量のLNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理で認められた(図25)。
これらの結果は、パーキンソン病のアルファ-synモデルにおいて、LNP製剤化RSAコンジュゲートGm-csf mRNA処理により、Treg活性が増加したことを示す。

Claims (20)

  1. 対象におけるパーキンソン病の治療で使用するヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物であって、前記GM-CSFポリペプチドが、配列番号1、配列番号8、または配列番号187のアミノ酸配列を含む、LNP組成物。
  2. 対象におけるパーキンソン病の治療方法であって、前記対象に対して、ヒトGM-CSFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物の有効量を投与することを含む方法であって、前記GM-CSFポリペプチドが、配列番号1、配列番号8、または配列番号187のアミノ酸配列を含む、方法。
  3. 前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号2に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の使用のためのLNP組成物、または請求項2に記載の方法。
  4. 前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号3に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の使用のためのLNP組成物、または請求項2に記載の方法。
  5. 前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号188に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の使用のためのLNP組成物、または請求項2に記載の方法。
  6. 前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号216に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の使用のためのLNP組成物、または請求項2に記載の方法。
  7. 前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号221に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の使用のためのLNP組成物、または請求項2に記載の方法。
  8. 前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号219に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の使用のためのLNP組成物、または請求項2に記載の方法。
  9. 前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号224に対して、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の使用のためのLNP組成物、または請求項2に記載の方法。
  10. 前記ヒトGM-CSFポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、少なくとも1つの化学的修飾を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
  11. 前記化学的修飾が、プソイドウリジン、N1-メチルプソイドウリジン、2-チオウリジン、4’-チオウリジン、5-メチルシトシン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、4-チオ-プソイドウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロプソイドウリジン、5-メチルウリジン、5-メチルウリジン、5-メトキシウリジン、及び2’-O-メチルウリジンからなる群から選択される、請求項10に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
  12. 前記化学的修飾が、N1-メチルプソイドウリジンを含む、請求項11に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
  13. 前記LNP組成物が、(i)イオン性脂質、例えば、アミノ脂質、(ii)ステロールまたは他の構造脂質、(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、及び(iv)PEG-脂質、例えば、PEG修飾脂質を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
  14. 前記イオン性脂質が、化合物18を含む、請求項13に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
  15. 前記イオン性脂質が、化合物25を含む、請求項13に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
  16. 前記PEG-脂質が、PEG DMGである、請求項13に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
  17. LNPの投与により、サンプル(例えば、対象からのサンプル)における、例えば、実施例2~8のいずれか1つに記載のアッセイによって特定されるT制御性細胞のレベル及び/または活性が増加する、請求項1~16のいずれか1項に記載の使用のためのLNP組成物、または方法。
  18. 前記LNPの投与により、サンプル(例えば、対象からのサンプル)におけるT制御性細胞のレベルが少なくとも約5%増加する、請求項1~17のいずれか1項に記載の使用のためのLNP組成物または方法。
  19. 組織中のGM-CSFのレベルが、参照、例えば、適切な対照と比較して増加しない、請求項1~18のいずれか1項に記載の使用のためのLNP組成物または方法。
  20. 黒質線条体神経変性及びミクログリア活性化が、参照、例えば、適切な対照と比較して低下する、請求項1~19のいずれか1項に記載の使用のためのLNP組成物または方法。
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