JP2022551169A - ロイシンリッチな抗癌ペプチドおよびその使用 - Google Patents

ロイシンリッチな抗癌ペプチドおよびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、癌治療に使用するための薬学的に許容される組成物に関し、その組成物がモチーフGLLxLLxLLLxAAGを含む配列を有する一つまたは複数のペプチドを含み、ここでxはアルギニン(R)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)、および一つまたは複数の薬学的に許容される添加剤から独立に選択される。本発明はまた、薬学的に許容される組成物、薬学的に許容される組成物を含むキット、そのペプチドをコードするヌクレオチドおよびそのペプチドを発現するベクターに関する。

Description

本発明の分野
本発明は、癌治療に使用することができる抗癌ぺプチド(ACPs)ファミリーに関する。
本発明の背景
腫瘍は細胞レベルで異質であり、異なるサブタイプの癌細胞から構成されている。これらのサブタイプのうち、癌幹細胞(CSCs)は、現在の抗癌剤を使用した従来の薬物治療において大きな障害となることがますます認識されている。乳癌は世界で2番目に多い癌であり、およびそのほとんどが女性に発生する。いくつかの研究は、乳癌幹細胞は従来の抗癌剤に対して耐性を獲得し、生存、自己複製、分化、および再発することがあることを示している。1-6CSCsは抗癌剤に対して容易に耐性を獲得し、固形癌に対する化学療法は、典型的に患者さんにおける薬剤耐性CSCsの割合を著しく増加させる結果となる。これは、再発および転移形成をもたらし得る。さらに、乳房の腫瘍は同じ患者内で異なることがあり、および従来の抗癌剤が効かないこともある。7-9ドキソルビシンなどの一般的に使用される抗癌剤は、健康な組織に対する毒性が一般的に高く、肝臓、腎臓、および心臓などの臓器に急性障害をもたらすため、高用量での治療は困難である。10-12それゆえ、癌細胞に対する選択性を向上させ、固形癌中の大部分の癌およびCSCsをすべて死滅させるのに十分な用量で、健康な組織を傷つけずに済む新しい抗癌剤の開発が急務であり、アンメットニーズである。
本発明の概要
本発明の第一の態様において、癌治療に使用するための薬学的に許容される組成物であって、モチーフGLLxLLxLLLxAAGを含む配列を有する一つまたは複数のペプチドを含む組成物が提供され、ここで各xはアルギニン(R)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)、および一つまたは複数の薬学的に許容される添加剤から独立に選択される、
本発明の詳細な説明
本発明はこれから、以下の図を参照しながら実施例によってのみ詳細に説明されることになる。
図1は、コンビナトリアルロイシンリッチペプチドライブラリーの設計および、他のポア形成性および癌標的膜活性ペプチドとの比較である。A)コンビナトリアルペプチドライブラリーの配列を、膜活性コンフォメーションと推定されるヘリカルホイールへのそれらの投影とともに示す。B)ライブラリーペプチドの等電点および疎水性を他のポア形成性および癌標的膜活性ペプチドと比較した。抗菌ペプチドデータベース(APD)、メリチンおよびそのアナログ(機能獲得型および機能喪失型アナログ)、pH依存性メリチン、および癌標的低pHインサーションペプチド(pHLIP)における26個のアミノ酸を含むペプチドである。
図2は、癌組織および健常人組織の両方に由来する異なるヒト細胞株に対する36個のコンビナトリアルペプチド(SEQ ID NO:1~36)からなる、現在同定されている配列のライブラリーのin vitro細胞毒性スクリーニングの結果を示す。また、選択されたD体ペプチド、ならびに臨床的に使用されている抗癌剤であるサリノマイシンおよびドキソルビシンに対するin vitro細胞毒性スクリーニングの結果も示す。細胞毒性は、A)HMLER対MCF-10A、B)HMLER-shEcad対MCF-10A、C)HMLER対HMLER-shEcad、D)HMLER対HEK293T、E)HMLER-shEcad対HEK293T、およびF)U2OS対HEK293Tについて、異なるヒト細胞株で評価され、および半数最大阻害濃度(IC50)を使用して定量化されている。
図3は、臨床的に使用されている2つの抗癌剤であるドキソルビシンおよびサリノマイシンと、2つの選択されたD体抗癌ペプチド(D体DEK、およびD体EEK)、および異なるヒト細胞株、例えば、HMLER(三角)、HMLER-shEcad(ひし形)、MCF-10A(実線)、U2OS(四角)、およびHEK293T(点線)に対する36のロイシンリッチ抗癌ペプチドのin vitro細胞毒性用量反応を示す。 図3は、臨床的に使用されている2つの抗癌剤であるドキソルビシンおよびサリノマイシンと、2つの選択されたD体抗癌ペプチド(D体DEK、およびD体EEK)、および異なるヒト細胞株、例えば、HMLER(三角)、HMLER-shEcad(ひし形)、MCF-10A(実線)、U2OS(四角)、およびHEK293T(点線)に対する36のロイシンリッチ抗癌ペプチドのin vitro細胞毒性用量反応を示す。 図3は、臨床的に使用されている2つの抗癌剤であるドキソルビシンおよびサリノマイシンと、2つの選択されたD体抗癌ペプチド(D体DEK、およびD体EEK)、および異なるヒト細胞株、例えば、HMLER(三角)、HMLER-shEcad(ひし形)、MCF-10A(実線)、U2OS(四角)、およびHEK293T(点線)に対する36のロイシンリッチ抗癌ペプチドのin vitro細胞毒性用量反応を示す。 図3は、臨床的に使用されている2つの抗癌剤であるドキソルビシンおよびサリノマイシンと、2つの選択されたD体抗癌ペプチド(D体DEK、およびD体EEK)、および異なるヒト細胞株、例えば、HMLER(三角)、HMLER-shEcad(ひし形)、MCF-10A(実線)、U2OS(四角)、およびHEK293T(点線)に対する36のロイシンリッチ抗癌ペプチドのin vitro細胞毒性用量反応を示す。 図3は、臨床的に使用されている2つの抗癌剤であるドキソルビシンおよびサリノマイシンと、2つの選択されたD体抗癌ペプチド(D体DEK、およびD体EEK)、および異なるヒト細胞株、例えば、HMLER(三角)、HMLER-shEcad(ひし形)、MCF-10A(実線)、U2OS(四角)、およびHEK293T(点線)に対する36のロイシンリッチ抗癌ペプチドのin vitro細胞毒性用量反応を示す。 図3は、臨床的に使用されている2つの抗癌剤であるドキソルビシンおよびサリノマイシンと、2つの選択されたD体抗癌ペプチド(D体DEK、およびD体EEK)、および異なるヒト細胞株、例えば、HMLER(三角)、HMLER-shEcad(ひし形)、MCF-10A(実線)、U2OS(四角)、およびHEK293T(点線)に対する36のロイシンリッチ抗癌ペプチドのin vitro細胞毒性用量反応を示す。 図3は、臨床的に使用されている2つの抗癌剤であるドキソルビシンおよびサリノマイシンと、2つの選択されたD体抗癌ペプチド(D体DEK、およびD体EEK)、および異なるヒト細胞株、例えば、HMLER(三角)、HMLER-shEcad(ひし形)、MCF-10A(実線)、U2OS(四角)、およびHEK293T(点線)に対する36のロイシンリッチ抗癌ペプチドのin vitro細胞毒性用量反応を示す。
図4は、ドキソルビシン(塗りつぶし四角)、サリノマイシン(塗りつぶし三角)およびロイシンリッチ抗癌ペプチドL体EEE(四角)、L体DEK(丸)、L体EEK(灰色の丸)およびD体EEK(黒丸)の腫瘍スフェア(HMLER-shEcad細胞)in vitro細胞毒性および用量反応性を示す。A)細胞生存率は、腫瘍細胞(HMLER-shEcad)マンモスフェアに対する抗癌剤の効力を定量化するために測定された。B)選択された抗癌剤化合物による処理後のマンモスフェア集団。破線は、処理無しで予想されるネガティブコントロールを示す。 C)各抗癌剤のIC50(灰色のバー)およびIC90(黒色のバー)の測定値および、特定の濃度でのマンモスフェアの光学顕微鏡画像。スケールバーは100μmである。
図5は、ドキソルビシン(塗りつぶし四角)、サリノマイシン(塗りつぶし三角)、およびロイシンリッチベースの抗癌ペプチドL体EEE(四角)、L体DEK(丸)、L体EEK(灰色の丸)およびD体EEK(黒丸)のマンモスフェア(MCA-10A細胞)in vitro細胞毒性および用量反応性を示す。細胞生存率は、健常ヒト乳房内皮細胞(MCA-10A)マンモスフェアに対する抗癌剤の効力を定量化するために測定された。B)選択された抗癌剤化合物で処理した後のマンモスフェア集団。破線は、任意の処理無しのネガティブコントロールを示す。 C)各抗癌剤のIC50(実線バー)およびIC90(バー)の測定値および、特定濃度におけるマンモスフェアの光学顕微鏡画像。スケールバーは100μmである。
図6は、異なるヒト細胞株:HMLER(丸)、HMLER-shEcad(灰色の塗りつぶし丸)、U2OS(四角)、MCF-10A(黒の塗りつぶし丸)、およびHEK293T(三角)に対するドキソルビシン、サリノマイシン、L体EEK、およびD体EEKのin vitro細胞毒性および用量反応性を示す。網掛け部分は、癌細胞株に対して細胞選択性を有し、正常細胞株(MCF-10A、およびHEK293T)には影響が少ない理想的な化合物濃度を示す。
図7は、トリプトファン蛍光結合アッセイの結果を示す。単一脂質種POPCリポソーム(丸)、または混合脂質種POPC:POPG(比率3:1、四角)リポソームのいずれかにペプチドの50%が結合する脂質濃度を示す。簡単に説明すると、50μMのペプチドを固定し、リン酸緩衝生理食塩水(1X、pH7.4)中で0、12.5、25、50、100、250、500、1000、2500、および5000μMの濃度の滴定POPCベシクル(黒)または3POPC/POPGベシクル(灰色)と共にインキュベートされた。50%のペプチド結合を引き起こす脂質濃度をトリプトファン蛍光結合アッセイを使用して測定し、その値をペプチド当たりの脂質として示した。このデータは、本発明のペプチドが中性ベシクル(POPC)および荷電ベシクル(POPC/POPG)を区別できることを示し、後者は癌細胞のモデルとして機能する(Warburg効果)。
図8は、リポソームからANTS/DPX色素の50%漏出を引き起こすペプチド濃度を示す。簡単に説明すると、0.5mM POPCベシクル(灰色)またはPOPC:POPGベシクル(比率3:1、黒色)を、0、0.02、0.04、0.08、0.16、0.32、0.64、1.25、2.5、5、10、および20μMのペプチド濃度でインキュベートした。A)塩酸調整リン酸緩衝食塩水(1X,pH4.8)および B)リン酸緩衝食塩水(1X,pH7.4)。ペプチドによる色素漏出の強さは、ペプチド当たりの脂質数で報告されている(高い値は、脂質膜を破壊するのにより強力なペプチドを意味する)。
図9は、ロイシンリッチACPsの作用メカニズムを示す。A)L体EEK(黒三角形)およびD体EEK(灰色の三角形)のヒト赤血球に対する溶血活性。B)滴定ペプチド濃度でHeLa細胞株へのペプチドによる高親和性核酸染色(SYTOX green)の侵入:L体EEK(黒三角形)、D体EEK(灰色の三角形)、およびポジティブコントロールとしてメリチン(四角形)。C)HMLER-shEcad(ヒト乳腺内皮癌幹細胞)のL体EEK(黒丸)およびD体EEK(灰色丸)存在下で、ネクロスタチン(ネクロプトーシス阻害剤)およびZVAD-FMK(アポトーシス阻害剤)とともに共インキュベートしたときの細胞生存率。D)ドキソルビシン(丸)、およびドキソルビシンと5μMのカパーゼ阻害剤z-VAD-FMKの併用(四角)、およびドキソルビシンと20μMのネクロスタチン-1の併用(三角)で処理したHMLER-shEcad細胞の生存率。
図10は、本発明のACPと銅系低分子抗癌剤とのコンジュゲーションの合成戦略を示す。
図11は、ACPs膜のポア構造および膜の穿孔メカニズムを原子レベルで詳細に示す。分子動力学シミュレーションにより、a,ACP膜の自発的吸着、b,挿入、およびc,ポアの形成(大型で不均一、完全に水で満たされたEEKポアを示す)、d,e結合ペプチドは2~16のペプチド(上)の一過性のポアのアンサンブルを形成し、水(中)およびイオン(下)の両方を膜越しに伝導する。
発明者らは、驚くべきことに、請求項に記載の処方に準拠したペプチドファミリーは、癌細胞に対する選択性が向上し、固形腫瘍における大部分の癌およびCSCsをすべて死滅させるのに十分な用量で健常組織を無傷のまま残すことを発見した。従来の多くの抗癌剤とは異なり、本発明で開発されたポア形成性膜活性ペプチドは、癌細胞を殺すために細胞膜を標的とし、および破壊する。これは、細胞質内に薬剤を輸送しなければならないという煩雑さがなく、したがってそのペプチドは伝統的な化学療法薬と比較して腫瘍への浸透性が向上する。本特許請求の範囲に記載されたペプチドは、癌細胞の細胞膜に選択的に作用し、そこにポアを形成することにより、それらの電気化学的勾配を短絡させて癌細胞を死滅させるものである。理論にとらわれることを望まずに、癌細胞膜の脂質組成および化学的微小環境を直接標的にすることができると考えられる。その結果、ペプチドは、腫瘍細胞がそれらの脂質組成を修飾することが困難であるため、(細胞が洗剤に対して耐性を獲得することが困難であるのと同様に)耐性を誘発しそうになることがほとんどない13-15
開示されたペプチドのいくつかは、大部分の癌およびCSCsに対してナノモル活性を有し、サリノマイシンなどの現在承認されている抗癌剤に匹敵する。さらに、細胞を球状の塊に成長させることによって実際の固形腫瘍を模倣する、現在最も優れたin vitro乳癌モデルの一つである、マンモスフェアモデルにおいて、本明細書に開示されたいくつかのペプチドは、正常で、健常な細胞に対する毒性を抑えながら、癌細胞に対しては優れた活性を示す。
ペプチドは、LおよびD体の両方のアミノ酸形態(後者はプロテアーゼ分解にするin vivo安定性が主な利点である)で作用し、非常に低いマイクロモーラー、およびいくつかの例ではナノモーラーで、二次元的に増殖した癌細胞、ならびに三次元的に培養した癌細胞培養(スフェロイド)を選択的に排除する。ヒトの非癌性乳房および腎臓細胞に損傷を与えるには、3~200倍以上の濃度が必要である。
ペプチドは安価かつ合成が簡便であり、修飾およびハイスループットスクリーニングが容易であり、および癌細胞を特異的に標的にするための化学および構造レパートリーを提示する。
本特許請求の範囲のペプチドは、現存のペプチドデータベースと比較することにより確認できるように、de novoで設計されたものであり、および天然のアナログは知られていない。このタイプの短いフレキシブルペプチドは低い免疫原性を有することになり、したがって薬学応用に適している。
本明細書で記載されるように、「ペプチド」という用語は、ペプチド結合または修飾ペプチド結合、すなわちペプチドイソスターにより互いに結合しているアミノ酸を含む任意のペプチドを指す。そのペプチドは一般的には天然に生じるアミノ酸を含むことになるが、翻訳後のプロセスなどの天然のプロセス、または当業者に周知の化学修飾技術のいずれかによって修飾されたアミノ酸配列を含み得る。かかる修飾は基本的な教科書によく記載されている。修飾はペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびそのアミノまたはカルボキシ末端を含む、ペプチドのどこにでも生じ得る。同じ種類の修飾が、所定のペプチドのいくつかの部位に、同じまたは様々な程度で存在し得ることを理解されることになる。また、所定のペプチドは多くの種類の修飾を含み得る。
好ましくは、そのペプチドは単離されたペプチドである。「単離された」という用語は、ペプチドがそのもともとの環境から取り除かれることを意味する。例えば、生存動物内に存在するペプチドは単離されていないが、自然界に共存する物質のいくつかまたは全てから分離した同じペプチド、またはかかるペプチドのフラグメントは、単離されている。かかるペプチドはベクターの一部であることができ、および/またはペプチドは組成物の一部であることができるが、かかるベクターまたは組成物の一部はその自然環境の一部ではないという点で依然として単離されている。
ペプチドを含む医薬組成物は、ヒトおよび獣医学において、ヒトまたは動物に使用するためのものであることができ、および一つまたは複数の適切な添加剤を典型的に含むことになる。治療用途のための許容される添加剤は、医薬業界で周知であり、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。医薬添加剤の選択は、意図された投与経路および標準的な薬務を考慮して選択されることができる。医薬組成物は、添加剤として、またはそれに加えて、任意の適切な結合剤、滑沢剤、懸濁化剤、コーティング剤または可溶化剤を含んでもよい。
防腐剤、安定化剤および色素が医薬組成物において提供され得る。防腐剤の例には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルを含む。酸化防止剤および懸濁化剤も使用され得る。
医薬組成物はまた、寛容促進アジュバント(tolerance-promoting adjuvants)および/または寛容促進細胞(tolerance promoting cells)も含み得る。寛容促進アジュバントには、IL-10、リコンビナントコレラ毒素Bサブユニット(rCTB)、Toll様受容体2のリガンド、ならびに抗CD3および共刺激ブロッカーなどの免疫応答を調節する生物製剤およびモノクローナル抗体を含み、これらはペプチドと共投与され得る。寛容促進細胞には、未成熟樹状細胞および、ビタミンD3、(1α,25-ジヒドロキシビタミンD3)またはそのアナログで処理した樹状細胞を含む。
癌が「治療」される場合、これは癌の一つまたは複数の臨床状態が改善していることを意味する。いくつかの方法においてはこれがそのケースとなることもあるが、癌の症状が完全に治療され、もはや患者に存在しないことを意味するものではない。「治療」は治療前よりも一つまたは複数の癌の症状が軽くなることをもたらす。例えば、腫瘍はサイズが減少するまたは完全に根絶し得る。
本発明の第二の態様は、癌治療のための医薬品製造に使用するための薬学的に許容される組成物、モチーフGLLxLLxLLLxAAGを含む配列を有する一つまたは複数のペプチドを含む組成物に関し、ここで各xはアルギニン(R)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)および一つまたは複数の薬学的に許容される添加剤から独立に選択される。
一実施形態において、そのペプチドはSEQ ID NO:1~36のいずれか一つまたはその組み合わせから選択される配列を含み得る。さらなる実施形態において、そのペプチドはSEQ ID NO:1~36のいずれか一つの配列からなり得る。
一実施形態において、薬学的に許容される組成物は、モチーフGLLxLLELLLxAAGを含む配列を有するペプチドを含み、ここでxはアルギニン(R)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)およびその組み合わせから選択される。本発明者らは驚くべきことに、本配列のペプチドがより優れた癌細胞選択性を有することを発見した。
一実施形態において、薬学的に許容される組成物は、モチーフGLLxLLxLLLxAAGを含む配列を有するペプチドを含み、ここでxはアルギニン(R)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)およびその組み合わせから選択されるが、ここでその配列はSEQ ID NO: 29またはSEQ ID NO:33を含まない。
一実施形態において、薬学的に許容される組成物は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26およびその組み合わせから選択される配列を含む。より好ましくは、薬学的に許容される組成物は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26およびその組み合わせから選択される配列を含む。さらにより好ましくは、薬学的に許容される組成物は、SEQ ID NO:25および/またはSEQ ID NO:26から選択される配列を含む。本発明者らはこれらの配列が特に癌細胞に対する選択性を有することを発見した。
本発明の薬学的に許容される組成物は、皮膚癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、大腸癌、膀胱癌、リンパ腫、腎臓癌、膵臓癌または子宮体癌などの任意の種類の癌を治療するために使用することができる。しかしながら、本発明の特定の実施形態において、その癌は乳癌である。
一実施形態において、薬学的に許容される組成物はペプチドを含み、さらにそのモチーフのC末端にトリプトファン残基(W)を含む。これは正確な濃度測定および正確な投与に役立つ。
ペプチド配列またはモチーフのNおよびC末端は、当業者に既知の任意の末端であってよく、および例えばNH2、NH3 +、COOHおよびCOO-を含み得る。
一実施形態において、薬学的に許容される組成物はペプチドを含み、ここでそのペプチド配列はモチーフGLLxLLxLLLxAAGからなる。
本発明の一実施形態において、その組成物は化学療法薬と組み合わせて使用するためのものである。発明者らは、本特許請求の範囲のペプチドのポア形成特性のため、これが標準的な化学療法剤の標的癌細胞へのアクセスを容易にさせることを発見した。化学療法薬はシクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ビノレルビシン、ドキソルビシン、ドセタキセル、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン、ムスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾロン、エトポシド、シスプラチン、エピルビシン、メトトレキサート、カペシタビン、ビノレルビン、葉酸、オキサリプラチンおよびその組み合わせから選択される。好ましくは、その化学療法薬はドキソルビシンである。化学療法薬と本ペプチドをコンジュゲートする手段の一例として、図10が提供される。
選択される送達システムに依存して、医薬組成物に対する異なる組成物/処方要件があり得る。例として、本発明の医薬組成物は、例えば、静脈内、皮内、筋肉内、皮下または腹腔内経路により、送達のために、組成物が注射可能な形態で製剤化される非経口的に送達されるように製剤化され得る。非経口投与のためには、組成物は他の物質、例えば溶液を血液と等張にするのに十分な塩または単糖類を含むことができる滅菌水性溶液の形態で使用することが最も良いことがある。皮内投与経路は、任意の皮内アクセス手段、例えばマイクロニードルをベースとした注射および注入システム(または皮内のスペースを正確に標的にするための他の手段)、皮内のスペース内への流体または粉末の針無しまたは針無し弾道注射(ballistic injection)、Mantouxタイプの皮内注射、マイクロデバイスにより促進されたイオントフォレーシス、および皮膚に組成物を付着させるためのパッチの使用を含む、皮膚への液体、固体または他の投与形態の直接的な付着、を含む。その組成物はまた、鼻腔内、経口または皮膚上を含む、経口または局所経路により投与されるように処方され得る。好ましくは、その組成物は静脈内経路により送達されるように処方される。
開示された抗癌ペプチドの投与される量または用量は、in vivoで癌細胞を効果的に標的とするために十分なものであるべきである。その用量は特定の製剤の有効性および対象における腫瘍の位置、ならびに治療される対象の体重により決定されることになる。
開示された抗癌ペプチドの用量は、特定の製剤の投与に付随することがある任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によっても決定されることになる。典型的には、医師は年齢、体重、一般的な健康状態、食事、性別、投与される化合物/製剤、投与経路、および治療される状態の重症度などの様々な要因を考慮して、個々の対象を治療するペプチドの投与量を決定することになる。おおよその投与量は当業者により決定され得る。非限定的な例として、本発明の抗癌ペプチドの総用量は、治療される対象の体重当たり約0.001~約1000mg/kg、体重当たり約0.01~約100mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、および体重当たり約0.5mg~約5mg/kgであり得る。別の実施形態において、ペプチドの総用量は、約1nM~約10,000nM、好ましくは約10nM~約5,000nM、より好ましくは約100nM~約500nMの濃度であり得る。
好ましい実施形態において、本発明のペプチドを含む組成物は、少なくとも1か月に1回、好ましくは各1~4週間に1回、4回投与される。
ペプチドは、D体またはL体のいずれかで存在し得る。一実施形態において、薬学的に許容される組成物は、L体のペプチドを含む。驚くべきことに、本明細書で示すペプチドがL体であるときに癌細胞により選択的であることが発明者らによって発見された。
一実施形態において、薬学的に許容される組成物は、アルファヘリックス集合体を形成するペプチドを含む。好ましくは、ペプチドは癌細胞膜にポアを形成する。そのペプチドは癌細胞膜の脂質組成物および化学的微小環境を直接的に標的として、そこにポアを形成して、それらの電気化学的勾配を短絡させることにより癌細胞が死滅すると信じられている。
本発明の第三の態様は、本発明の薬学的に許容される組成物が癌患者に投与される、癌治療方法に関する。一実施形態において、その癌は乳癌である。
本発明の第四の態様は、モチーフGLLxLLELLLxAAGを含む配列を有するペプチドに関し、ここで各xはアルギニン(R)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)から独立に選択される。
本発明の第五の態様は、モチーフGLLxLLxLLLxAAGを含む配列を有するペプチドに関し、ここでxは、各xは、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)から独立に選択され、およびその配列はSEQ ID NO:29またはSEQ ID NO:33を含まない。
本発明の第六の態様は、本発明の薬学的に許容される組成物を含む癌を治療するためのキットに関する。好ましい実施形態において、そのキットは乳癌を治療するためのものである。そのキットは、化学療法薬をさらに含む。
本発明の第七の態様は、SEQ ID NO:1~36のいずれか一つの配列を含むペプチドをコードしたヌクレオチド配列に関する。
本発明の第八の態様は、SEQ ID NO:1~36のいずれか一つの配列およびその組み合わせを含むペプチドを発現するベクターに関する。
そのベクターは、ウイルスおよび非ウイルスベクターを含む、本発明のペプチドを発現させるための任意の適切なベクターであり得る。ウイルスベクターは、パルボウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルスまたは単純ヘルペスウイルスを含む。パルボウイルスはアデノウイス関連ウイルス(AAV)であり得る。そのベクターは好ましくはリコンビナントアデノ関連ウイルス(rAAV)ベクターまたはレンチウイルスベクターである。より好ましくは、そのベクターはrAAVベクターである。
本発明によるベクターは、遺伝子送達ベクターであり得る。かかる遺伝子送達ベクターは、遺伝子送達ウイルスベクターまたは遺伝子送達非ウイルスベクターであり得る。
したがって、本発明は、本発明のペプチドを哺乳動物細胞に導入および/または発現させるためのベクターとして使用するための、動物パルボウイルス、特に感染性ヒトまたはサルAAVなどのディペンドウイルス(dependovirus)に基づく遺伝子送達ベクターおよびその成分(例えば、動物パルボウイルスゲノム)を提供する。本明細書で使用される「パルボウイルス」という用語は、したがって、任意の種類のAAVなどのディペンドウイルス(dependovirus)を包含する。
当業者は、本発明の全ての態様、それらが例えば薬学的に許容される組成物、ペプチド、その用途、または治療方法に関するものであろうと、本発明の全ての他の態様にも等価に適用できるものであることを理解することになる。特に、例えば薬学的に許容される組成物の態様は、本発明の他の態様、例えばそのペプチド自体よりもより詳細に記載されていることがある。しかしながら、当業者は、より詳細な情報が本発明の特定の態様について与えられた場合、本情報は本発明の他の態様に一般的には等価に適用できるということを理解することになる。
実施例1
材料および方法
ペプチド合成および精製
ペプチドは固相合成し、および98%純度で精製した。ペプチドの純度および同一性は、HPLCおよびESI質量分析により確認した。N末端は遊離アミノ基であり、およびC末端は遊離カルボキシル基またはアミド化されたいずれかであった。
リポソーム作製
脂質、1-パルミトイル-2-オレイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-パルミトイル-2-オレイル-snグリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)(POPG)はAvanti Polar Lipidsから購入し、クロロホルム中に溶解した。ラージユニラメラベシクル(LUVs)はAvanti Polar Lipidsから購入したエクストルーダーおよびフィルターを使用して100nmポアフィルターを通してエクストルージョンすることにより製造した。
細胞株および細胞培養条件
HMLER(ヒト乳腺内皮癌細胞)、HMLER-shEcad(ヒト乳腺内皮癌幹細胞)、およびMCF-10A(健常ヒト乳腺内皮)細胞は、サプリメントおよび成長因子:ウシ脳下垂体抽出物(BPE)、ヒドロコルチゾン、ヒト上皮成長因子(hEGF)、インスリン、およびゲンタマイシン/アムホテリシン-B)含有乳腺上皮細胞増殖培地(MEGM)中で維持した。HEK293T(ヒト胚性腎臓細胞)、およびU2OS(ホモサピエンス骨肉腫)細胞は、最終濃度10%のウシ胎児血清含有ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で維持した。細胞は310KのT75フラスコで、5%CO2を含む加湿雰囲気中で培養した。
細胞毒性アッセイ
抗癌ペプチドおよび従来の抗癌剤の毒性を測定するために、比色法であるMTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイを使用した。5x103個の細胞を96ウェルマイクロプレートの各ウェルに播種した。細胞を一晩インキュベートした。高濃度の化合物(0、0.1、0.2、0.4、0.8、1.6、3.1、6.3、12.5、25、50および100μM)を添加して、総液量200μLで72時間インキュベートした。化合物のストック溶液をDMSO中で5mM溶液として調製し、培地または純水を使用して希釈した。各ウェルのDMSOの最終濃度は0.5%または0%のいずれかであり、この量は未処理コントロール中に存在した。72時間後、PBS中の4mg/mL MTT溶液20μLを各ウェルに添加して、そのプレートをさらに4時間インキュベートした。MEGM/MTT混合物を吸引し、100μLのDMSOを添加して、得られた紫色のホルマザリン結晶を溶解した。各ウェル中の溶液の吸光度を550nmの波長で読み取った。吸光度の値はDMSO含有またはDMSO非含有のいずれかのコントロールウェルで正規化し、試験化合物の濃度対細胞生存率%としてプロットした。IC50値は、得られた用量依存性曲線から補間した。報告されたIC50値は、各濃度レベルごとに6つの複製からなる、2つの独立した実験の平均値である(全体としてn=12)。36のロイシンリッチベースのペプチドのIC50値は、2つの独立した実験の平均値であった(全体としてn=2)。
腫瘍スフェア形成および生存率アッセイ
HMLER-shEcad細胞(5x103)を低吸着性96ウェルプレート(Corning)に播種し、B27(Invitrogen)、20ng/mLのEGF、および4μg/mLヘパリン(Sigma)を添加したMEGM中で5日間インキュベートした。研究は抗癌ペプチド、ドキソルビシン、およびサリノマイシンの非存在下および存在下で実施した。抗癌ペプチド、ドキソルビシン、およびサリノマイシンで処理されたマンモスフェアは反転試薬(inverted based reagent)のTOX8(Sigma)を使用してカウントおよび画像化した。16時間インキュベーション後、溶液の蛍光を590nm(λex=560nm)で読み取った。生存できるマンモスフェアは、酸化型TOX8の量が減少し、同時に蛍光型TOX8中間体の量が増加することから、試験化合物により引き起こされるマンモスフェア細胞毒性の程度が示された。蛍光値はDMSO含有またはDMSO非含有コントロールで正規化され、および試験化合物の濃度対マンモスフェア生存率%としてプロットされた。IC50値は、得られた用量依存性曲線から補間した。報告されたIC50値は、各濃度レベルごとに2つの複製からなる、2つの独立した実験の平均値である(全体としてn=4)。
トリプトファン蛍光結合アッセイ
ペプチド(50μM)およびPOPC/POPG LUVs(600μM)を10mMリン酸緩衝液(pH7.0)中で調製した。その溶液をインキュベートし、60分後に測定した。励起光を280nm(スリット9nm)に固定し、蛍光は300~450nm(スリット9nm)で収集した。BioTekのSynergy H1 ハイブリッドマルチモードリーダー(図3A)およびCytation(商標)5 細胞イメージングマルチモードリーダー(図2)を使用してスペクトルを記録し、3スキャンで平均化した。
リポソーム漏出アッセイ
5mMのANTS(8-アミノナフタレン-1,3,6-トリスルホン酸、二ナトリウム塩)および12.5mMのDPX(p-キシレン-ビスーピリジニウムブロミド)を直径0.1μmで押し出された脂質含有ベシクルに封入した。Sephadex G-100(GE Healthcare Life Sciences Inc)を使用して、ゲルろ過クロマトグラフィーを封入物含有LUVsから外部遊離ANTS/DPXを除去するために使用した。LUVsを0.5mMに希釈し、ペプチドのアリコートを添加して漏出活性の測定に使用した。漏出は3時間インキュベーションした後に測定した。10%Tritonをポジティブコントロールとして使用して、ベシクルの最大漏出量を測定した。蛍光発光スペクトルは、BioTek Synergy H1 ハイブリッドマルチモードリーダーを使用して、ANTS/DPXの励起波長350nmおよび蛍光波長510nmを使用して記録した。
ホモライシスアッセイ
ペプチドは、100μMの濃度から開始してPBSで連続的に希釈された。各ウェルのペプチドの最終容量は50μLであった。各ウェルに、2x108細胞/mLでPBS中のRBCs50μLを添加した。ポジティブライシスコントロールとして、1%tritonを使用した。混合物を37℃で1時間インキュベートし、その後、1000x gで5分間遠心分離した。遠心分離後、上清10μLを新しい96ウェルプレート中の90μLのDI H2Oに移した。410nmでの放出ヘモグロビンの吸光度を記録し、100%および0%ライシスコントロールに基づいて分数溶血(fractional hemolysis)を計算した。
Sytox GreenアッセイによるHela細胞に対する細胞毒性測定
Hela細胞は、完全DMEM(10%FBS)中のT-75フラスコでコンフルエントになるまで増殖させた。細胞毒性実験の前の日に、細胞をトリプシン処理し、フラスコから剥がして、1300rpmでペレット化させた。トリプシンおよび使用済み培地を廃棄し、細胞を完全DMEMに再懸濁させた。細胞数はセルカウンターを使用して得た。次に、この細胞を96ウェル組織培養プレートに10,000細胞/ウェルの密度で播種した。翌日、別の96ウェルプレートで、ペプチドを完全DMEM(FBS添加10%)および0.1%sytox greenで連続希釈し、100μM(1番目)、67μM(2番目)の濃度から始めて、続いて2:3連続希釈を行った。各ウェルのペプチドの最終容量は100μLであった。細胞毒性アッセイを行うために、培地をウェルから除去し、ペプチド/DMEM/sytox green溶液に置き換えた。ネガティブコントロールとしてペプチド無し、ポジティブコントロールとして20μMのMelP5をそれぞれ使用した。励起波長504nmおよび蛍光波長523nmで、5分毎に1時間プレートの蛍光を読み取った。細胞毒性は、細胞壁の不安定化のために細胞内に入ったsytox greenに基づいて、100%および0%ライシスコントロールに基づいて計算した。
分子動力学シミュレーションおよび解析
不偏の全原子MDシミュレーションはGROMACS 2018.3(www.gromacs.org)、Hippo BETA(http://www.biowerkzeug.com)、およびVMD (http://www.ks.uiuc.edu/Research/vmd/)を使用して実施した。
拡張されたペプチド構造はHippo BETAを使用して生成した。これらの初期構造は200 Monte Carlo stepsを介して緩和され、水はGeneralized Born溶媒を使用して暗黙的に処理された。緩和後、CHARMM-GUI(http://www.charmm-gui.org/)を使用して、100mMのKおよびClイオン含有モデル膜を含む原子レベルのペプチド/脂質/水系にペプチドを配置した。タンパク質フォールディングシミュレーションは、ペプチドに位置拘束をかけながら10nsで平衡化した。ポア形成シミュレーションでは、単一ペプチドを二重膜上で600nsまで折り畳むことができた。一度安定な表面状態が得られた後、系をx、y方向(z方向は含まない)に4x4倍し、16個のペプチドからなる系とした。膜の両側のペプチドから始めると、初期構造は上部および下部のリーフレットに1つずつペプチドを有する。その後、3x3の多重化により大きな系を構築し、18個のペプチドからなるシミュレーションボックスを得た。MDシミュレーションは、TIP3P水モデルを併用し、CHARMM36力場を使用してGROMACS2018.3で実施した。静電相互作用はPMEを使用して計算し、ファンデルワールス相互作用には10オングストロームのカットオフを使用した。積分のタイムステップは2fsで、近隣リストは5ステップごとに更新された。すべてのシミュレーションは任意の拘束またはバイアスポテンシャル無しに、NPTアンサンブルで実施した。水およびタンパク質は、速度再スケール温度カップリングを使用して、時定数τT=0.5psで熱浴に別々に結合させた。大気圧1バールは、圧縮率κz=κxy=4.6・10-5bar-1、時定数τP=1psの弱い半等方的圧力結合を用いて維持された。
オリゴマー集団解析
シミュレーション中に最も多く存在するポア集合体を明らかにするため、各軌道フレームについて、すべてのオリゴマーの完全なリストを作成した。n個のオリゴマーは、重原子(N、C、O)の最小距離が<3.5オングストロームと定義され、相互に接触しているn個のペプチドの集合とみなされた。しばしば、この定義では、オリゴマーのコアを構成する膜貫通型ペプチドに緩く結合しているだけの一過性の表面結合型(S状態)ペプチドが多数あるため、オリゴマー状態を過剰にカウントしている。これらのS-状態ペプチドは、頻繁に位置を変えたり、ポアの安定な部分から出たり入ったりする。より長寿命のTMポアの解析に焦点を当てるため、ペプチドの傾斜角τに75°のカットオフ基準が導入された。τ≧75°のペプチドはS状態とみなされ、オリゴマー解析から除外された。この戦略により、真の長寿命ポア構造に焦点を当てることで、オリゴマークラスタリングアルゴリズムのノイズを大幅に減少させることができた。次に、オリゴマーnの占有率にそのペプチド数nを乗じたポピュレーションプロットを作成した。これにより、シミュレーション時間中に、どのオリゴマー状態にどの程度のペプチド質量が集中したかが明らかになった。
パーミュテーショナルクラスター解析
同じオーダーnのすべてのオリゴマーは、バックボーンRMSDの類似性のカットオフ基準を4オングストロームとしたクラスタリングアルゴリズムを使用して、コンフォメーション的にクラスタリングされた。各オリゴマーは異なるペプチドで構成されていることがあり、また同じペプチドであっても順序が異なるため、あるオリゴマーと別のオリゴマーのペプチド配置の順列n!を比較することでクラスタリングを実施した。並べ換えはHeapのアルゴリズムを使用して生成された。コンフォメーション類似性の最終的なRMSD値は、n!個の並べ替え比較から得られた最も低いRMSD値とみなされた。クラスタリングの結果は一般的に平坦であり、構造が非常に儚く動的であることが示された。
膜透過流束
膜孔を通る水およびイオンの流束は、二層膜パッチ全体を通る瞬間的な流束の合計を測定することによって計算された。膜の法線に直交する2つの面をz=-7オングストロームおよびz=+7オングストロームとみなし、その面を横切るすべての遷移事象をカウントした。次に、遷移回数を膜パッチの面積および各軌跡フレームの経過時間で割って流束を求めた。続いて、曲線は1000フレームを平均することにより平滑化された。
実施例2
ペプチドの理論的根拠
下記の表1は本開示の範囲内に収まる36のペプチドを含む。
Figure 2022551169000001
Figure 2022551169000002
Figure 2022551169000003
界面結合自由エネルギーは、ペプチドが膜にどれだけ結合するかを示す尺度であり、疎水性モーメントは、疎水性残基がらせん、膜挿入型、コンフォメーションのペプチド表面の周りにどれだけ均一に分布しているかを示す尺度である。
ペプチド濃度を定量するために、C末端にさらなるトリプトファンを導入した。また、膜透過性をさらに高めるために、荷電カルボキシル基のC末端(-CO2 -)を中性アミド基(-NH2)に変更した。本ペプチドは、荷電した残基がらせん構造の同じ極性面に位置するように設計されている。それゆえ、電荷の分布は、ペプチドの疎水性モーメント、pKa、癌細胞膜への結合力、および最終的には癌細胞膜内でのペプチド集合体の構造に影響を及ぼし得る(図1A)。癌を標的とした生物医学的な用途を有する多くのpH依存性ペプチドは、pKaが~4.0を有する。これは、癌細胞の微小環境がやや酸性に傾いていることに由来することがあり、Warburg効果によるものである。したがって、癌細胞膜は、本発明の負電荷アミノ酸をプロトン化し、pHトリガー膜活性をもたらすことができると考えられる(図1Bおよび表1)16-19
すべての36のロイシンリッチペプチド配列は、すべてL体として合成されたものである。ΔG界面は、水と膜界面との間のペプチドパーテーションの結合自由エネルギーを表す。ΔG界面および疎水性モーメントは、MPExソフトウェアを使用してWimley-White疎水性尺度を使用して推定した。結合自由エネルギーは、ペプチドが膜に結合する際に放出されるエネルギーである。0の時、ペプチドは水中50%、膜上50%、負は優先的に挿入され、正は水相を好む。疎水性モーメントは、疎水性残基がらせん状の輪の周りにどのように配置されているかを示す指標で、モーメントが大きいと全て片側に集まり、小さいと周りに均等に配置される。モーメントが大きいと表面結合に有利である(すなわち、疎水面は二重層に沈み、親水面は水面を向いている)。
実施例3
細胞毒性および有効性
ペプチドは、いくつかの異なるヒト細胞株に対してスクリーニングされ、それらの細胞毒性を測定した。利用した細胞株は、MCF-10A(ヒト乳房上皮細胞)、HMLER(ヒト乳癌バルク細胞)、HMLER-shEcad(ヒト乳癌幹細胞)、HEK293T(ヒト胚性腎細胞)、およびU2OS(ヒト骨肉腫)を含む。ペプチドは従来の抗癌剤と同じくらい強力であり、低マイクロモル濃度で癌細胞を消失させることができること、および多くが癌細胞株に対する高い選択性を有することが明らかになった(図2および表1)。ドキソルビシンおよびサリノマイシンの両方はまた、健常MCF-10A細胞よりも癌化したHMLERに対して選択性を有するものの、それらは両方ともHEK293T細胞に対してより顕著な毒性を有する。さらに両薬剤とも、現在固形腫瘍のin vitroモデルとしてはるかに正確であると考えられている三次元マンモスフェアとして増殖させた癌細胞を除去する効率ははるかに低かった。二次元のHMLER-shEcadに対するドキソルビシンおよびサリノマイシンの半数最大阻害濃度(IC50)はそれぞれ2.5±0.3nMおよび370±0.5nMであるが、in vivo条件にはるかに近い、よりリアルな三次元細胞培養モデルのマンモスフェアではこの値はそれぞれ43±6μMおよび22±5μMに下がり、ドキソルビシンの活性が1700倍、サリノマイシンは63倍に低下している。以下の表2および図3を参照。対照的に、EEK(GLLELLLKAAGW)、およびそのD体ペプチドは、HMLER、HMLER-shEcad、およびU2OS細胞の二次元培養に対してナノから低マイクロモル活性、マンモスフェアに対して7~13μMの活性を示し、二次元および三次元マンモスフェア腫瘍モデルの両方に有効である。図4から図6を参照。
すべてのデータポイントは、2回実施された。選択されたD体ペプチド、従来の抗癌剤、EEKペプチドおよび25B2ペプチドは6回繰り返された。†N末端は遊離、C末端:-WNH2である。
Figure 2022551169000004
Figure 2022551169000005
実施例4
トリプトファン結合アッセイおよびリポソーム漏出アッセイ
本開示のペプチドはほとんど中性またはアニオン性であり、配列中に正電荷を多くは含まない(表1)。本発明者らは癌細胞株へ高選択性であり、MCF-10A(IC50≧100μM)に対してごくわずかな影響を有し、およびHEK293Tに対する細胞毒性が比較的低い、6つの配列:EEE、KEE、EHE、EEH、DEK、およびEEKを同定した(図2および表2)。それらの正味電荷は-2~0間でpKaは3.85~7.96であり、それらの配列は一つの正電荷(正電荷のN末端)または2つの正電荷(一つの正電荷のN末端および4または11番目に一つのリシン)のいずれかを含む。いくつかの研究は、癌細胞膜は負に帯電している膜表面を有し得ることを示した。20,21 Ishikawaらは、HMLERと同様に、乳癌細胞株MCF-7が、膜表面に負に帯電したシアル酸を少量含むことを発見した。20 これは、本ロイシンリッチなペプチドの抗癌活性および細胞選択性は、静電的相互作用のみでは説明することができず、癌細胞の微小環境におけるWarburg効果による電荷分布が関与し得ることを示唆する。この仮説を確かめるために、本発明者らは、2つの異なる脂質モデルベシクル(双性イオン性POPCおよびアニオン性3POPC/1POPG混合物)をそれぞれpH7.4(生理的条件)およびpH4.8(弱酸性)でトリプトファン結合アッセイ(下記表3および図7参照)およびANTS/DPXリポソーム漏出アッセイ(下記表4および図8参照)を実施した。
表3は、リポソームへの脂質濃度による50%ペプチド結合を示す。50μMペプチドが固定され、リン酸緩衝生理食塩水(1X、pH7.4)中0、12.5、25、50、100、250、500、1000、2500、および5000μMの濃度の滴定脂質(POPCベシクルまたは3POPC/POPGベシクル)とインキュベートした。50%のペプチド結合を引き起こす脂質濃度は、トリプトファン蛍光結合アッセイを使用して測定し、その値はペプチド当たりの脂質として示した。†N末端は遊離、C末端:-W-NH2である。
表4は、ペプチド濃度による50%ANTS/DPXリポソームの漏出を示したものである。0.5mMのPOPCおよび3POPC/1POPGベシクルを固定し、リン酸緩衝生理食塩水(1X、pH7.4)および塩酸調整リン酸緩衝生理食塩水(1X、pH4.8)中で滴定ペプチドの濃度(0、0.02、0.04、0.08、0.16、0.32、0.64、1.25、2.5、5、10および20μM)でインキュベートした。その値はペプチド当たりの脂質で示した。†N末端は遊離、C末端:-W-NH2である。
Figure 2022551169000006
Figure 2022551169000007
Figure 2022551169000008
Figure 2022551169000009
その結果は、細胞選択性ペプチドは、中性pHにおいて双性イオン性およびアニオン性ベシクル間で任意の有意な結合選択性およびペプチドに起因するリポソーム漏出性を有さないが、6つの膜選択性ペプチドのうち4つ(EHE、EEH、DEK、およびEEK)はpH4.8においてアニオン性ベシクルから比較的高いリポソーム漏出活性を有することを示した。これは、これらの4つのペプチドは脂質組成とpH条件の両方に依存する環境トリガー型の膜活性ペプチドであると示唆される;しかしながら、他の2つの膜選択性ペプチド(EEEおよびKEE)のメカニズムは不明なままである。
実施例5
ロイシンリッチなペプチドの作用メカニズム
図9は、EEKのL体が90μM未満の濃度で最小限の溶解を引き起こし、治療濃度~10μMを大きく下回っていることを示している。D体EEKは、より溶解性がある。高親和性核酸染色剤であるSYTOX greenのHeLa細胞への濃度依存的な導入を比較すると、L体およびD体EEKは、強力なポア形成ペプチドであるメリチンと同様の挙動を示すことが示された。これらの結果をまとめると、作用メカニズムとしての癌細胞-細胞膜の選択的なポア形成を実証する。
図9Cは、LまたはD体EEKで処理したHMLER-shEcad細胞の細胞生存率は、ネクロプト-シス阻害剤ネクロスタチンとの共インキュベーション、およびアポトーシス阻害剤z-VAD-FMKとの共インキュベーションのいずれでも改善できないことから、ACPsが細胞膜にポアを形成してネクローシスを引き起こすことが示唆されることを示す。一方、図9Dは、ドキソルビシンで処理したHMLER-shEcad細胞の細胞生存率が、z-VAD-FMKまたはネクロスタチンのいずれかとの共インキュベーションによって劇的に改善できることを示す。
これらの結果をまとめると、ACPの抗癌作用は、癌細胞の細胞膜に選択的にポアを形成し、その結果、ネクローシスを引き起こすことが主なメカニズムであると示唆される。
実施例6
APCポアの構造および機能
膜貫通ペプチドは典型的には一過性のポアを形成するため、現在の技術では実験的に決定することができない。膜穿ポアを支える分子メカニズムを明らかにするために、我々はEEKのフォールディング-パーティショニングおよびポアの形成について、偏りのない長い時間スケールの原子詳細分子動力学シミュレーションを使用して研究した。ACPsは急速に膜界面に吸収され、折り畳まれる(図14a)。その後、数十μsの時間スケールで、APCsは脂質二重層を協調的に挿入および移動し、両方の膜界面を埋め尽くし(図14b)、ポアのアンサンブルを形成する(図14d)。構造解析の結果、ポアの構造は非常に不均一であり、大部分は6~10個のペプチドで構成され、膜内で絶えず形成と分解を繰り返していることが明らかになった(図14e)。ポアは水とイオンの両方を伝導し(図14d)、および漏出は極性および荷電側鎖で並べられた大きな水性チャネルを形成する10~12個のペプチドからなるより大きな安定なポアによって支配されている(図14c)。
Figure 2022551169000010
Figure 2022551169000011
参考文献
本明細書で引用されたすべての特許および科学文献はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
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17. Andreev, O. A.; Karabadzhak, A. G.; Weerakkody, D.; Andreev, G. O.; Engelman, D. M.; Reshetnyak, Y. K., pH (low) insertion peptide (pHLIP) inserts across a lipid bilayer as a helix and exits by a different path. Proc Natl Acad Sci U S A 2010, 107 (9), 4081-6.
18. An, M.; Wijesinghe, D.; Andreev, O. A.; Reshetnyak, Y. K.; Engelman, D. M., pH-(low)-insertion-peptide (pHLIP) translocation of membrane impermeable phalloidin toxin inhibits cancer cell proliferation. Proc Natl Acad Sci U S A 2010, 107 (47), 20246-50.
19. Wyatt, L. C.; Moshnikova, A.; Crawford, T.; Engelman, D. M.; Andreev, O. A.; Reshetnyak, Y. K., Peptides of pHLIP family for targeted intracellular and extracellular delivery of cargo molecules to tumors. Proc Natl Acad Sci U S A 2018, 115 (12), E2811-E2818.
20. Ishikawa, K.; Medina, S. H.; Schneider, J. P.; Klar, A. J. S., Glycan Alteration Imparts Cellular Resistance to a Membrane-Lytic Anticancer Peptide. Cell Chem Biol 2017, 24 (2), 149-158.
21. Freire, J. M.; Gaspar, D.; Veiga, A. S.; Castanho, M. A., Shifting gear in antimicrobial and anticancer peptides biophysical studies: from vesicles to cells. J Pept Sci 2015, 21 (3), 178-85.

Claims (32)

  1. 癌治療に使用するための薬学的に許容される組成物であって、前記組成物がモチーフGLLxLLxLLLxAAGを含む配列を有する一つまたは複数のペプチドを含み、ここで各xはアルギニン(R)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)、および一つまたは複数の薬学的に許容される添加剤から独立に選択される、癌治療に使用するための薬学的に許容される組成物。
  2. 癌治療のための医薬品製造に使用するための薬学的に許容される組成物であって、前記組成物がモチーフGLLxLLxLLLxAAGを含む配列を有する一つまたは複数のペプチドを含み、ここで各xはアルギニン(R)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)、および一つまたは複数の薬学的に許容される添加剤から独立に選択される、癌治療のための医薬品製造に使用するための薬学的に許容される組成物。
  3. 前記モチーフがGLLxLLELLLxAAGである、前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
  4. 前記配列がSEQ ID NO:29またはSEQ ID NO:33を含まない、前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
  5. 前記配列がSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:14、SEQIDNO:25またはSEQ ID NO:26およびその組み合わせから選択される配列を含む、請求項1または請求項2に記載の薬学的に許容される組成物。
  6. 前記配列がSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26およびその組み合わせから選択される配列を含む、請求項3に記載の薬学的に許容される組成物。
  7. 前記配列がSEQ ID NO:25および/またはSEQ ID NO:26から選択される配列を含む、請求項3に記載の薬学的に許容される組成物。
  8. 前記癌が乳癌である、前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
  9. 前記モチーフがC末端にトリプトファン残基(W)をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
  10. 前記ペプチド配列がモチーフGLLxLLxLLLxAAGからなる、前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
  11. 前記組成物が化学療法薬と組み合わせて使用するためのものである、前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
  12. 前記組成物が静脈内投与のためのものである、前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
  13. 前記組成物が、1nM~約10,000nM、好ましくは約10nM~約5,000nM、より好ましくは約100nM~約500nMの範囲の投与量で投与するためのものである、前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
  14. 前記ペプチドが、L体である、前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
  15. 前記ペプチドがアルファらせん集合体を形成する、前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
  16. 前記ペプチドが癌細胞膜にポアを形成する、前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
  17. 前記請求項のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物を癌患者に投与する癌治療方法であって、ここで好ましくは前記癌が乳癌である、癌治療方法。
  18. 各xがアルギニン(R)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)から独立に選択される、モチーフGLLxLLELLLxAAGを含む配列を有するペプチド。
  19. 各xがアルギニン(R)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)から独立に選択され、および前記配列がSEQ ID NO:29またはSEQ ID NO:33を含まない、モチーフGLLxLLxLLLxAAGを含む配列を有するペプチド。
  20. 前記配列がSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26およびその組み合わせから選択される配列を含む、請求項19に記載のペプチド。
  21. 前記配列がSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:25またはSEQ ID NO:26およびその組み合わせから選択される配列を含む、請求項18に記載のペプチド。
  22. 前記配列がSEQ ID NO:25および/またはSEQ ID NO:26から選択される配列を含む、請求項21に記載のペプチド。
  23. 前記モチーフがC末端にトリプトファン残基(W)をさらに含む、請求項18から22のいずれか一項に記載のペプチド。
  24. 前記ペプチド配列がモチーフGLLxLLxLLLxAAGからなる、請求項18から23のいずれか一項に記載のペプチド。
  25. 前記ペプチドがL体である、請求項18から24のいずれか一項に記載のペプチド。
  26. 前記ペプチドがアルファらせん集合体を形成する、請求項18から25のいずれか一項に記載のペプチド。
  27. 前記ペプチドが癌細胞膜にポアを形成する、請求項18から26のいずれか一項に記載のペプチド。
  28. 請求項1から16のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物を含む癌治療または予防のためのキット。
  29. 前記癌が乳癌である、請求項28に記載のキット。
  30. 化学療法薬をさらに含む、請求項28または請求項29に記載のキット。
  31. SEQ ID NO:1から36のいずれか一つの配列を含むペプチドをコードするヌクレオチド配列。
  32. SEQ ID NO:1から36およびその組み合わせのいずれか一つの配列を含むペプチドを発現するベクター。
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