JP2022551033A - 血小板糖タンパク質Ib(GPIb)αの細胞外ドメインに結合する化合物による非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および肝細胞がん(HCC)の治療 - Google Patents

血小板糖タンパク質Ib(GPIb)αの細胞外ドメインに結合する化合物による非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および肝細胞がん(HCC)の治療 Download PDF

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Abstract

本開示は、血小板糖タンパク質Ib(GPIb)αの細胞外ドメインに対する化合物の特異的結合が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患(肝細胞がんなど)の発生および進行を低減するという発見に基づくものである。本開示は、GPIb細胞外ドメインへの特異的結合に基づいて、好ましくはGPIb-トロンビン相互作用を損なうことによって、NAFLD/NASHおよびHCC患者の新たな治療の選択肢を提供する。本開示は、薬物療法、さらにNAFLD/NASHおよびHCCの治療に適した化合物を特定するためのスクリーニング方法も提供する。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、血小板糖タンパク質Ib(GPIb)αの細胞外ドメインに対する化合物の特異的結合が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患(肝細胞がんなど)の発生および進行を低減するという発見に基づくものである。本発明は、GPIb細胞外ドメインへの特異的結合に基づいて、好ましくはGPIb-トロンビン相互作用を損なうことによって、NAFLD/NASHおよびHCC患者の新たな治療の選択肢を提供する。本発明は、薬物療法、さらにNAFLD/NASHおよびHCCの治療に適した化合物を特定するためのスクリーニング方法も提供する。
説明
我々の生活習慣および食事の変化は、肥満、過体重、およびメタボリックシンドロームの発生率を劇的に上昇させた。過体重および肥満は、西欧先進諸国において問題であるばかりではない。同時に、発展途上国の小児および成人も同様に強く影響を受けている(Anstee et al., 2019)。WHOの最新報告によると、肥満疾患の数は今後20年間で2倍から3倍になると予想されている(Stewart and Wild, 2014)。
身体のもっとも重要な代謝臓器である肝臓は、慢性的な高カロリー摂取、肥満、座ることの多い(sedentary)ライフスタイル、およびその結果としての病的状態によって深刻な影響を受ける。世界的にもっともよく見られる肝疾患である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、過体重/肥満およびメタボリックシンドロームの臨床症状である(図1)。NAFLDは、最長で数十年間続くこともある慢性疾患である。NAFLDは、肝臓の顕著な大滴性脂肪変性および代謝の低下を特徴とするが、必ずしも明白な臨床症状によって特徴付けられるわけではない。現在、9000万人の米国人および4000万人の欧州人がNAFLDを有している(Ringelhan et al., 2018; Anstee et al., 2019)。肥満とがん発症との間の密接な関連性はよく知られている(Calle and Kaaks, 2004)。実際、かなりの数のNAFLD患者が、線維症および肝細胞がん(HCC)に罹りやすくなる脂肪性肝疾患の病態である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、または肝機能障害を発症する(Anstee et al., 2019)。
NAFLDおよびNASHの患者数は、米国および欧州において確実に増加している(Loomba et al, 2013; Ringelhan et al, 2018; Anstee et al, 2019)。したがって、肝機能障害およびHCCの発症率増加の原因である肥満、脂肪症、および脂肪性肝炎は、西欧諸国において注目の主原因である(White et al., 2012)。
これまで、先進工業国では、慢性ウイルス感染症(たとえばB型およびC型肝炎ウイルスなど)が、肝機能障害およびHCCの発症につながる最大の病因とされてきた。しかしながら、NAFLDの患者数は日々増加しており、したがってNAFLDは先進国および発展途上国において、もっとも一般的な肝疾患となっている。その結果として、HCCは米国において患者の増加率がもっとも高いがんであり、欧州でもすでに同様の傾向がみられる(Anstee et al., 2019)。
一方、NASHを治療する有効な治療薬はなく、末期NASHから生じるHCCのための治療の選択肢は限られている(Villanueva et al., 2014; Ringelhan et al., 2018; Anstee et al., 2019)。これは主として、最近までこの慢性炎症性/代謝性肝疾患を引き起こすもっとも重要なメカニズムが理解されていなかったことに起因する。結果として、副作用を引き起こさない特異的な治療法が緊急に必要とされている。
過去10年間に、NASH、およびNASHからHCCへの移行を模倣するいくつかのモデルが確立されてきた。これらのモデルは、一方では、遺伝学的に進められ、他方では、明確に食事に起因して誘発された(Anstee et al., 2019)。重要なことは、これまでに使用された前臨床モデル(遺伝的および食事性)のほとんどが、疾患の慢性度を表現型模倣することができず、NASHとともに見られる二次的疾患である2型糖尿病、腹部肥満、NASH関連肝臓病変が同時に存在すること、すなわち慢性的なメタボリックシンドロームの存在を表現型模倣することにも失敗していることである。
さらに、モデルの多くは、一方で、NASHおよびHCCの高い発生率、ならびに迅速な疾患の発症を引き起こす遺伝子異常を含んでいるが、これは、ゆっくりと発症して数十年続く疾患であるNASHの病態生理学的動態を必ずしも反映していない。C57BL/6マウスにおいて、NASHは、メチオニン/コリン欠乏食(MCD)またはコリン欠乏食(CD)によって引き起こすことができるが、高脂肪食(HFD)単独では引き起こすことができない(Hebbard and George, 2011)。しかしながら、MCDまたはCDを給餌したC57BL/6マウスは、肥満、メタボリックシンドロームもしくはHCCを発症せず、体重減少(最大40%)または悪液質のために数ヶ月後に食餌を中止しなければならない(Hebbard and George, 2011)。したがって、これらの短期的なアプローチでは、ヒトの肝臓あるいは他の代謝臓器で見られる、NASHによる長期的帰結を再現することができない。
適当なマウスモデルがないため、NASHおよびHCCに至る正確な長期的メカニズムはほとんど不明なままである。必須栄養素であるコリンの欠乏は、NAFLD患者においてNAFLDおよびNASHを悪化させることが報告されている(Guerrerio et al., 2012)。さらに、コリンの取り込みが不十分であるヒトは、肝臓リポタンパク質分泌の異常、ミトコンドリア機能障害に起因する酸化的損傷、および小胞体ストレスを有する(Corbin and Zeisel, 2012)。これらの臨床的観察が本発明の基礎となった(Wolf et al., Cancer Cell, 2014)。本発明者らは、コリン欠乏と高脂肪食(CD-HFD)または西洋食(WD)(高脂肪;果糖;コレステロール)とを12ヶ月間組み合わせ、それによってC57BL/6マウスにおいて、メタボリックシンドローム、慢性NASH、およびNASH誘発性HCCに至るモデルを確立した。これまでに、実験的に誘導されたNASHにおける免疫細胞の役割について、相反する結果が、短期間のin vivo実験を用いて発表されている(Martin-Murphy et al., 2014; Lynch et al., 2012; Bhattacharjee et al., 2014)。それに対して、最近のデータは、C57BL/6マウスにおいて、メタボリックシンドロームに至る長期間のCD-HFDまたはWDに基づいて、免疫細胞が脂肪症、NASHおよびNASH誘発性HCC(Wolf et al., Cancer Cell, 2014)の誘発に重要な役割を果たすことをはじめて示している(Mahlemir et al., Nature Medicine 2019;参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、特にその中の図6に示される記述および結果)。
したがって、NAFLD/NASH患者、および、最終的には、HCC患者のための新たな治療の選択肢を提供することが本発明の目的である。
発明の簡単な説明
概して、簡単な説明として、本発明の主要な態様は、以下のように説明することができる。
第1の態様において、本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患(肝細胞がんなど)の治療に使用するための化合物に関するものであって、その化合物は血小板糖タンパク質Ib(GPIb)の細胞外ドメインに特異的に結合するものである。
第2の態様において、本発明は、第1の態様に記載の化合物を含む医薬組成物に関する。
第3の態様において、本発明は、抗体、抗体様分子、またはその抗原結合フラグメントを作製する方法に関するが、その方法は、GPIbの細胞外ドメインの配列を含むか、またはその配列からなるペプチドで、非ヒト動物を免疫化するステップ、ならびにその免疫化された哺乳動物から、そのような抗体、抗体様分子、またはその抗原結合フラグメントを発現する免疫細胞を単離するステップ、を含む。
第4の態様において、本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患、の治療に適した化合物を特定する方法に関するが、その方法は
(a)(x)GPIbもしくはGPIbのバリアントの、タンパク質もしくはmRNAを発現する第1の細胞を用意するステップ、または(y)GPIbもしくはGPIbのバリアントの細胞外ドメインを含むか、または(本質的に)その細胞外ドメインからなる第1のテストタンパク質を用意するステップ、
(b)候補化合物を用意するステップ、
(c)第1の細胞または第1のテストタンパク質と候補化合物とを接触させるステップ、ならびに
(d)ステップ(c)の後に、
(i)候補化合物と、第1の細胞または第1のテストタンパク質との結合;および/または
(ii)その結合がトロンビンタンパク質と競合する、候補化合物と、第1の細胞または第1のテストタンパク質との結合
のいずれか一方または両方を測定するステップ、
を含むものであって、
この(i)の結合または(ii)の競合的結合は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患の、治療に適した候補化合物を指示するものである。
第5の態様において、本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患など、を治療するための方法に関するが、その治療は、治療を必要とする被験体に、治療上有効な量の、血小板糖タンパク質Ib(GPIb)の細胞外ドメインに特異的に結合する化合物を投与するステップを含む。
発明の詳細な説明
本発明の要素を以下に説明することとする。これらの要素は、具体的な実施形態とともに記載されるが、当然のことながら、それらの要素を任意の方法および任意の数で組み合わせて、追加の実施形態を作り出すことができる。さまざまに記載された例および好ましい実施形態は、明示的に記載された実施形態のみに本発明を限定すると解釈されるべきではない。この説明は、2つ以上の明示的に記載された実施形態を組み合わせた実施形態、または1つもしくは複数の明示的に記載された実施形態と、任意の数の開示された要素および/または好ましい要素とを組み合わせた実施形態を、確認し包含するものと解されるべきである。さらに、本出願に記載されたすべての要素の、任意の順序での入れ替え、および任意の組み合わせは、文脈上他の意味を示す場合を除き、本出願の記述によって開示されたとみなされるべきである。
本明細書で使用される「[本]発明の」、「本発明に従う」、「本発明による」などの表現は、本明細書において記載され、および/または請求される、本発明のすべての態様および実施形態を指すことを意図するものである。
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語は、「含める(including)」および「からなる(consisting of)」の両方を包含していると解釈され、両者の意味は、具体的に意図され、したがって、個別に開示された、本発明の実施形態である。本明細書で使用される場合、「および/または」は、2つの指定された特徴もしくは構成要素のそれぞれが、もう一方を伴って、または伴わずに具体的に開示されることとして、受け止められるべきである。たとえば、「Aおよび/またはB」は、それぞれが本明細書において個別に提示されているかのように、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびB、のそれぞれを具体的に開示するものとみなされるべきである。本発明の文脈において、「約(about)」および「約(approximately)」という用語は、当該の特徴の技術的効果を依然として確保していると当業者が理解する、正確さの幅を意味する。この用語は、典型的には、指示された数値から±20%、±15%、±10%、たとえば±5%だけ逸脱していることを示す。当業者には明らかなように、所与の技術的効果に関する数値の、そのような個別のずれは、その技術的効果の性質によって決まってくるものである。たとえば、自然または生物に関する技術的効果は、一般に、人工的または工学的な技術的効果よりも大きな上記のようなずれを有する可能性がある。当業者には明らかなように、所与の技術的効果に関する数値の、そのような個別のずれは、その技術的効果の性質よって決まってくるものである。たとえば、自然または生物に関する技術的効果は、一般に、人工的または工学的な技術的効果よりも大きな上記のようなずれを有する可能性がある。単数名詞に言及する際に不定冠詞または定冠詞、たとえば「a」、「an」もしくは「the」が使用される場合、これには、他に何か具体的に記述されない限り、その名詞の複数形を含める。
当然のことながら、本発明の教示を特定の問題または環境に適用すること、ならびに本発明の変更または本発明に追加された特徴(さらに他の態様および実施形態など)を含めることは、本明細書に含まれる教示に照らして、当業者の能力の範囲内にあるといえる。
文脈上ほかに指示のない限り、上記の特徴に関する記述および定義は、本発明の特定の態様もしくは実施形態に限定されることなく、記載されるすべての態様および実施形態に等しく適用される。
本明細書に引用されたすべての文献、特許、および出版物は、参照によりその全体がそのまま本明細書に組み入れられる。
第1の態様において、本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患(肝細胞がんなど)の治療に使用する化合物に関するが、この化合物は血小板糖タンパク質Ib(GPIb)の細胞外ドメインに特異的に結合するものである。
したがって、本発明は、より詳細には、NAFLD、NASHおよび/またはHCCなどの肝障害の治療のための、さまざまな化合物によるGPIb細胞外ドメインの結合の医学的応用に関する。この第1の態様において、「治療に使用するための化合物」などの表現は、対応する「化合物を使用することによって障害を治療するための方法」、ならびに「障害を治療するための薬物を製造するための化合物の使用」を、別の実施形態として同様に開示していると理解されるべきである。
したがって、本発明は第1の態様において、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害または疾患(肝細胞がんなど)の治療に使用するための化合物に関するが、この化合物は、血小板糖タンパク質Ib(GPIb)(α)のトロンビン、好ましくはα-トロンビンとの結合/相互作用のモジュレーターである。
「血小板糖タンパク質Ib(GPIb)」という用語は、一般に、血小板の表面に見出される膜糖タンパク質を指すものとする。好ましいのは、血小板糖タンパク質Ib(GPIb)α鎖(GPIbα)であり、もっとも好ましいのは、ヒトGPIbαである。ヒトGPIbαは、染色体17p13.2に局在する糖タンパク質Ib血小板サブユニットα遺伝子によって発現されるタンパク質である。この遺伝子は、アクセッション番号 HGNC:4439(The HUGO Gene Nomenclature Committee at the European Bioinformatics Institute; https://www.genenames.org/)の項に見出すことができる。GPIbαタンパク質は、アミノ酸配列として配列番号1に示され、UniProtデータベースにおいてアクセッションP07359(https://www.uniprot.org/uniprot/P07359;Nucleic Acids Res. 47: D506-515 (2019))により確認することができる。
さらに、本発明の文脈において「血小板糖タンパク質Ib(GPIb)」という用語は、ヒトGPIbαのバリアントまたは断片を指す場合がある。このようなバリアントまたは断片は、ヒトGPIbαのオルソログ、ホモログまたはパラログであってもよい。あるいはまた、このようなバリアントまたは断片は、ヒトGPIbαの細胞外ドメインの配列、好ましくはヒトGPIbαの全長タンパク質の配列と、少なくとも50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、または100%同一なアミノ酸配列を有するタンパク質である。GPIbの断片は、GPIb、好ましくはヒトGPIbαの細胞外ドメインを含むが、このタンパク質の膜貫通部分または細胞内部分を欠くタンパク質であることが好ましい。もっとも好ましくは、GPIbの断片は、トロンビンに結合する機能を保持しているか、または少なくともトロンビンとの結合部位、もしくは隣接するタンパク質配列(そのような結合部位に隣接する10、20、50、100または200個のアミノ酸)を含んでいる。GPIbのバリアントは、いくつかの実施形態において、タンパク質、すなわち(i)GPIbのトロンビン結合断片、および/または(ii)配列番号1に示すアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質、である。
本発明は第1の態様において、GPIbαとのトロンビン結合を妨害することによってNAFLD、NASHおよび/またはHCCを治療するための、化合物および方法も提供する。このような化合物および組成物は、好ましくは、たとえば、その細胞外ドメインに特異的に結合し、それによってGPIbαとのトロンビン結合を損なうことによって、GPIbαを直接標的とする。しかしながら、いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に開示された態様および実施形態のすべてで、トロンビンもしくはα-トロンビンに特異的に結合する化合物を除外する。
本明細書において、「トロンビン」という用語は、可溶性のフィブリノゲンを不溶性のフィブリン鎖に変換し、他の多くの凝固関連反応を触媒するセリンプロテアーゼを指す。この用語は、特に指定のない限り、種特異的でない。この用語は、トロンビンの本来の形であるα-トロンビン、ならびにα-トロンビンから生成され、血小板活性化能力の多くを保持する非凝固性の誘導体であるγ-トロンビンを包含する。
「GPIbタンパク質の細胞外ドメイン」という用語は、細胞、好ましくは、そのようなGPIbタンパク質を含む血小板の、脂質二重層の細胞質側に露出したGPIbタンパク質の部分を指す。タンパク質の細胞外ドメインを決定する方法は、当技術分野で知られている(Singer (1990); High et al. (1993)、およびMcVector software, Oxford Molecular)。GPIbαの細胞外ドメインはよく知られている。ヒトタンパク質では、タンパク質のN末端は細胞外であるのに対して、C末端尾部は細胞質内にある。膜貫通領域は、アミノ酸532-552の間に位置する可能性がもっとも高い(好ましくは、シグナルペプチドを除く)。したがって、本発明に関してGPIbの細胞外ドメインは、好ましくは、ヒトGPIbαの最初の531個の連続するN末端アミノ酸に位置する領域を含む。このような細胞外ドメインは、さらにロイシンリッチリピートドメインを含んでおり、これは、本明細書で開示される本発明に従って標的とされる、好ましいドメインである。したがって、本発明に従って使用するための化合物は、GPIbの細胞外ドメイン中のロイシンリッチリピート含有ドメインに特異的に結合する。細胞外ドメインは、好ましくは、GPIbのN末端の少なくとも100個、好ましくは少なくとも200個、もっとも好ましくは少なくとも290個の連続したアミノ酸であって、好ましくはN末端を始点とする前記の連続したアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、開示された医学的応用に従って使用するための化合物に関するが、この化合物は、GPIbのエキソサイトIおよび/またはIIに特異的に結合する。
本発明の特に好ましい実施形態において、GPIbの細胞外ドメインに結合する化合物は、GPIbの細胞外ドメインとの結合について、トロンビン、好ましくはα-トロンビンと競合する。このように競合結合することによって、化合物は、GPIbとトロンビンとの間の正常な相互作用を損なう。しかしながら、トロンビン-GPIb相互作用を損なう本発明の化合物の他のメカニズムもまた、本発明によって包含される。
別の実施形態において、GPIbの細胞外ドメインに結合する化合物は、GPIbの細胞外ドメインとの結合について、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)、Pセレクチン、Mac-1、凝固第XI因子および/または凝固第XII因子と競合しない。したがって、本発明の化合物は、好ましいことに、上記のGPIbリガンドにも、それらの生物学的経路もしくは効果にも影響を及ぼさず、損なうこともない。
本明細書で使用される「非アルコール性脂肪性肝疾患」すなわち「NAFLD」という用語は、肝細胞内に脂肪が蓄積することを共通点とする疾患群を指し、NAFLDは、単なる脂肪肝(脂肪症)から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変(肝臓の不可逆で進行した瘢痕化)までの範囲にわたる。「NAFLD」という用語には、いかなる進行段階もしくは進行程度の疾患であっても含まれる。
本明細書で使用される「非アルコール性脂肪性肝炎」すなわち「NASH」という用語は、アルコール摂取と関連しない、肝臓の炎症性および脂肪性浸潤を特徴とする慢性肝疾患の重要な病型に関するものである。
本発明との関連において「NAFLDまたはNASHに関連する障害または疾患」という用語は、NAFLDまたはNASHによって病理学的に直接影響を受け、または間接的に影響される、任意の障害または疾患であるとする。好ましくは、この用語は、NAFLDまたはNASHから発症する障害または疾患を含むが、これはすなわち、このような障害または疾患が、進行中の、たとえば未治療の、NAFLDまたはNASHによって引き起こされることを意味する。好ましい例は、肝硬変または肝細胞がん(HCC)である。
本明細書で使用される「肝細胞がん」すなわち「HCC」という用語は、悪性肝がんとも呼ばれるもっとも一般的なタイプの肝臓がんを指す。HCCは多くの異なる原因を有する可能性があるが、本発明のいくつかの好ましい実施形態において、肝疾患の根本的な原因は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。NAFLDは、西欧先進工業国においてもっともよく見られる肝疾患である。これは、メタボリックシンドロームの肝臓に現れる所見であるとみなされる。したがって、NAFLDは、過体重もしくは肥満である人、および/または糖尿病、高コレステロール、もしくは高トリグリセリドを有する人に発症しやすい傾向がある。ほとんどの人には、NAFLDは徴候および症状を引き起こさず、合併症も起こさない。しかし、一部のNAFLD患者では、肝臓に蓄積した脂肪が、肝臓で炎症および瘢痕化を引き起こすことがあり、これは結果として線維症および肝硬変をもたらすと考えられている。こうしたNAFLDのより重篤な病態は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と呼ばれることもある。メタボリックシンドロームおよび2型糖尿病がHCCの独立した危険因子であることが実証されたことは注目に値する - 好ましくは、治療には、NAFLD/NASHおよび/またはHCCの発症を回避するか、またはその発症の可能性を減らすために、本発明の化合物および方法を使用する予防的治療も含まれるので、このような危険因子を抱える患者は本発明にしたがって治療されるべき好ましい患者である。
本発明に関する治療には、たとえば、疾患の危険因子に悩む患者において、疾患を発症する可能性を低減するための予防的治療が含まれる。しかしながら、好ましくは、本発明の治療は、NASHおよび/もしくはHCC、またはその症状もしくは合併症の、緩和または進行抑制である。NASHを発症するリスクのある被験体は、たとえば、好ましくは、糖尿病患者、肥満患者、またはメタボリックシンドロームもしくは別の代謝障害に罹患した患者である。
いくつかの実施形態において好ましいのは、本発明の治療が、NAFLD/NASHの肝硬変への進行を抑制し、遅らせ、または反転(reverse)することであり、好ましくはNASHの肝細胞がん(HCC)への進行を抑制し、遅らせ、または反転することである。さらに好ましいのは、その治療が、肝硬変および/またはHCCを発症するリスクのあるNASH患者において、HCCを予防することである。
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、治療を受ける被験体は、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性活動性肝炎、肝臓脂肪症および肝細胞アポトーシスからなる一群から選択される疾患を有しておらず、好ましくは、その患者は炎症性脂肪肝に罹っている。
上記のように、本発明に照らして、驚くべきことに、GPIbの細胞外ドメインがNAFLD、特にNASHの発症または進行に関与していることが判明した。GPIbは、多種多様な生物学的機能を有し、多くの異なるリガンドと結合できることが知られている。しかしながら、本発明は、トロンビンとGPIbとの相互作用を、NAFLD/NASHおよびHCCの病態の重要な標的として明確に特定するものである。したがって、本発明は、添付の実施例によって裏付けられるように、指示された疾患の治療および予防のための新たな治療戦略として、そのような相互作用を損なうための手段を提供する。
本発明のいくつかの実施形態において、化合物は、トロンビン結合部位に、好ましくはα-トロンビン結合部位に結合するが、前記結合部位はGPIbの細胞外ドメイン内にある;および/または、前記化合物がGPIbの細胞外ドメインに結合することで、化合物とGPIbとの結合により、たとえばGPIb-トロンビン相互作用を立体的に妨害することによって、および/またはGPIbの3次元構造を変化させることによって、GPIbに対するトロンビン(α-トロンビンなど)のそれ以上の結合を抑制し、または損なうようにする。
好ましくは、本発明にしたがって使用するための化合物は、好ましくは、GPIbの細胞外ドメインに結合したときに、血小板の肝臓への輸送を減少させ、および/または血小板とクッパー細胞との相互作用を弱め、および/または血小板凝集塊のサイズを小さくし、および/または血小板面積を減少させ、および/または血小板-内皮被覆率を低下させることを特徴とする化合物である。
さらに、本発明にしたがって使用するための化合物は、いくつかの代わりの実施形態、または追加の実施形態において、その化合物が、好ましくはNAFLD/NASH/HCC患者に投与された場合、以下の活性/効果または特性のうち1つもしくは複数もしくは組み合わせを有することを特徴とする:
・化合物を投与された被験体において、血清コレステロール、肝臓トリグリセリド、血清ALTおよび/またはASTレベルを低下させる;および/または
・化合物を投与された被験体において、血清LDLおよび/または血清HDLコレステロールを減少させる;および/または
・化合物を投与された被験体において、脂質代謝関連遺伝子のmRNA発現の調節異常を防ぐ(prevents);および/または
・化合物を投与された被験体において、肝臓損傷を減弱する;および/または
・肝臓内CD8+ T細胞および/またはNKT細胞を減少させる;および/または
・肝臓内の好中球の蓄積および/またはマクロファージの流入/活性化を減少させる;および/または
・いくつかの炎症促進性および恒常性サイトカイン/ケモカインのタンパク質発現を減少させる;および/または
・脂質の蓄積を減少させる;
または、好ましくは:
・肝臓内の血小板蓄積の減少、および/または
・肝臓内の炎症の減少、および/または肝臓内の免疫細胞浸潤の減少、および/または
・脂肪症の軽減、および/または
・肝臓体積の減少、および/または
・肝臓トリグリセリドの減少、および/または
・肝臓損傷の軽減、および/または
・NASの減少、および/または
・肝線維症の抑制。
GPIbタンパク質もしくはGPIbタンパク質のバリアントの、細胞外ドメインに特異的に結合する化合物は、好ましくはタンパク質結合化合物(PBC)、好ましくは抗原結合タンパク質(ABP)である。
本明細書で使用される「GPIbの細胞外ドメインに特異的に結合する」という用語は、それぞれの抗原(標的)または抗原発現細胞に対する化合物の結合を意味し、これはELISAによって測定され、前記ELISAは好ましくは、それぞれの抗原(GPIbの細胞外ドメイン)を固体担体にコーティングすること、それぞれの抗原またはタンパク質との複合体の形成を可能にする条件下で前記化合物を添加すること、本発明の化合物に結合する二次抗体を用いて光学密度の値(OD)を測定することにより、前記複合体を検出すること、ならびに非限定的な例としてペルオキシダーゼによる発色を使用すること、を含む。
本発明に記載の「抗原」という用語は、免疫化に用いる抗原、または当該抗原をタンパク質配列の一部として含むタンパク質を指す。たとえば、免疫化には、タンパク質の細胞外ドメインの断片(たとえば、最初の20アミノ酸)を使用することができ、検出/検定などには、タンパク質の細胞外ドメインまたは全長タンパク質を使用することができる。
このような本発明の結合化合物は、好ましくは、ポリペプチド、ペプチド、糖タンパク質、ペプチドミメティック、抗原結合構築物(たとえば、抗体、抗体様分子(たとえば、ナノボディ)もしくは他の抗原結合誘導体、またはその抗原結合フラグメント)、DNAもしくはRNAなどの核酸、たとえば、リボザイム、またはRNAもしくはDNAアプタマー(ペプチド核酸(PNA)のようなそのバリアントもしくは誘導体など)であるか、または低分子化合物である。
好ましくは、化合物は、GPIbの前記細胞外ドメイン、またはGPIbの前記バリアントの細胞外ドメインに結合する、抗原結合構築物(たとえば、抗体、ナノボディ、scFv、Fab、抗体様分子もしくは他の抗原結合誘導体、またはその抗原結合フラグメント)である。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体とすることができる。
本明細書で使用される「抗体」という用語は、広義では、そのエピトープへの結合を可能にするあらゆる免疫グロブリン(Ig)として理解することができる。このような抗体は、ABPの一種である。全長の「抗体」または「免疫グロブリン」は、一般に、2本の同一の軽鎖および2本の同一の重鎖からなる、約150kDaのヘテロ4量体糖タンパク質である。それぞれの軽鎖は1つの共有結合性ジスルフィド結合によって重鎖と結合しているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖によって異なっている。それぞれの重鎖および軽鎖はまた、規則的間隔の鎖内ジスルフィド結合を有する。それぞれの重鎖は、アミノ末端可変ドメイン(VH)に続いて、3つのカルボキシ末端定常ドメイン(CH)を有する。それぞれの軽鎖は、N末端可変ドメイン(VL)および1つのC末端定常ドメイン(CL)を有する。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分化することができ、そこにフレームワーク領域(FR)と呼ばれる保存性の高い領域が散在している。それぞれのVHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序で並んだ、3つのCDRおよび4つのFR、すなわちFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4から構成されている。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系のさまざまな細胞(たとえば、エフェクター細胞)および古典経路の補体系の第一成分(C1q)を含む、細胞または因子に対する免疫グロブリンの結合に関与しうる。他の形態の抗体としては、2本の重鎖のみからなり、抗体に通常存在する2本の軽鎖の欠如した、重鎖抗体がある。重鎖抗体には、ヒトコブラクダ、ラクダ、ラマ、およびアルパカなどのラクダ科動物のhcIgG(IgG様)抗体、および軟骨魚類(サメなど)のIgNAR抗体などがある。そしてさらに他の形態の抗体としては、単一の単量体抗体可変ドメインからなる抗体フラグメントである、シングルドメイン抗体(sdAb、開発したAblynx社はNanobody(ナノボディ)と称する)がある。シングルドメイン抗体は、通常、重鎖抗体から製造されるが、従来の抗体から得られることもある。
抗体(またはそのフラグメントを単離することができるもの)は、たとえば、抗原もしくはエピトープに対して二重特異性または多重特異性を有するキメラ抗体、ヒト化抗体、(完全)ヒト抗体もしくはハイブリッド抗体、抗体フラグメントおよび抗体サブフラグメント、たとえば、Fab、Fab'もしくはF(ab')2フラグメント、一本鎖抗体(scFv)など(下記)を含み得るが、これには、任意の免疫グロブリン、または特定の抗原に結合して複合体を形成することにより抗体のように作用する、任意の天然、合成もしくは遺伝子工学的合成タンパク質の、ハイブリッド断片が含まれる。
したがって、特定の実施形態において、本発明の化合物は、抗体重鎖もしくはその抗原結合フラグメント、および/または抗体軽鎖もしくはその抗原結合フラグメントを含むことができる。
「ナノボディ」(またはVHH、Hamers-Casterman et al, 1993)という用語は、4つのFRドメイン(フレームワーク領域)によって隔てられた3つのCDR(相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3)で基本的に構成され、軽鎖または定常ドメインを基本的に欠いた、一本鎖ポリペプチドを示す。「ナノボディ(複数)」、「ナノボディ(単数)」、「VHH」、「VHH抗体フラグメント」または「シングルドメイン抗体」という用語は、区別せずに使用される。ナノボディは、通常、以下の構造:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を有する。好ましくは、本発明のナノボディは、組換え技術または化学技術によって製造された合成分子である。ナノボディは、高いエピトープ特異性および親和性を示す。ナノボディは、従来のIgG分子より小さく10分の1ほどの大きさである。それは一本鎖ポリペプチドであり、非常に安定であって、極端なpHおよび温度条件に抵抗性である。さらに、プロテアーゼの作用に耐えることができる。GPIbの細胞外ドメインに特異的に結合する化合物としてのナノボディは、本発明のいくつかの実施形態において好ましい。本発明のナノボディは、アルパカから得られることが好ましい。
好ましいいくつかの実施形態において、本発明の化合物は、好ましくはその化合物が抗体もしくはナノボディ、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体である場合、Kleinschnitz er al. (circulation vol. 115 p.2323-2330 (2007))に記載の既知の抗GPIbα抗体pOp/Bと競合する。他の好ましい実施形態において、本発明の化合物は、好ましくは本明細書に定義される、抗GPIbα抗体pOp/B、またはその抗原結合フラグメントである。
好ましい可能性のあるさらにいくつかの他の実施形態において、本発明の化合物は、好ましくはその化合物が抗体もしくはナノボディ、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体である場合、Kleinschnitz er al. (circulation vol. 115 p.2323-2330 (2007))に記載の既知の抗GPIbα抗体pOp/Bではないか、またはそれを含んでいるものではなく、その抗原結合フラグメント、たとえばそのような抗体の可変ドメイン重鎖配列および/または軽鎖配列も含まない。
第2の態様において、本発明は、第1の態様による化合物を含む医薬組成物に関する。好ましくは、本発明の医薬組成物は、第1の態様に従って使用するためのものである。また、本発明の医薬組成物は好ましくは、さらに、製薬上許容される基剤および/または添加物を含む。
本明細書で使用される「製薬上許容される基剤(担体)」という用語は、薬剤投与に適合する、任意のあらゆる溶媒、溶解剤、増量剤、安定化剤、結合剤、吸収剤、賦形剤、緩衝剤、滑沢剤、放出制御剤、希釈剤、乳化剤、湿潤剤、滑沢剤、分散媒、被覆剤、抗菌もしくは抗真菌剤、等張剤、および吸収遅延剤などを含めるものとする。薬学的活性物質に対するこのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野において周知である。従来の媒体もしくは薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、それらを組成物に使用することが想定される。追加の薬剤も組成物に組み入れることができる。特定の実施形態において、製薬上許容される基剤は、血清アルブミンを含む。
本発明の医薬組成物は、予定される投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例としては、非経口、たとえば、くも膜下腔、動脈内、静脈内、皮内、皮下、経口、経皮(局所)および経粘膜投与が挙げられる。もっとも好ましくは、投与経路は、治療を受ける被験体の肝臓を直接標的とする経路である。
治療への応用において、組成物は、記載されるように、NAFLD、NASHまたはHCCにすでに罹患している患者に、疾患およびその合併症の症状を治癒させるか、または少なくとも部分的に抑制するのに十分な量で投与される。医薬組成物の適当な投与量は、いくつかの確立されたプロトコルのうちのいずれか1つに従って容易に決定される。たとえば、動物実験(たとえば、マウスまたはラットを使用)は、体重1キログラム当たりの生物活性薬剤の最大耐量を決定するために一般的に使用される。一般に、テストされる動物種の少なくとも1つは哺乳類である。動物実験の結果は、たとえばヒトのような他の種で使用するための用量を決定するために外挿することができる。何が有効量とみなされるかは、疾患または病態の性質および重症度、ならびに患者の全般的な健康状態にも依存する。
予防への応用において、たとえばGPIbの細胞外ドメインに特異的に結合する化合物を含有する組成物を、肝疾患に罹患しやすいか、または肝疾患のリスクのある患者に投与する。このような量は、「予防上有効な」量または用量であると定義される。この使用において、正確な量は、患者の健康状態および体重に依存する。
治療的および予防的治療のいずれにおいても、医薬組成物に含まれるアンタゴニストは、望ましい反応が得られるまで、数回に分けて投与することも、単回で投与することも可能である。治療は典型的にはモニターされ、必要に応じて反復投薬を行うことができる。本発明の化合物は、GPIbとのトロンビン相互作用を障害する必要がある場合にはいつでも、確立された投薬計画に従って投与することができる。
製品の1日投与量は、成人について1日当たり0.01~1,000 mgの広範囲にわたって変更することができる。好ましくは、組成物は、治療すべき患者への投与量を症状に応じて調節するために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250および500mgの有効成分を含有する。医薬品は、通常、約0.01mg~約500mgの有効成分を含有するが、好ましくは1mg~約100mgの有効成分を含有する。薬物の有効量は、通常、1日当たり0.0002mg/kg~約20mg/kg体重、特に約0.001mg/kg~約10mg/kg体重の投与量レベルで供給される。とはいえ、当然のことながら、任意の特定の患者に対する個別の用量レベルおよび投与頻度は変更しうるものであり、使用される個別の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用時間、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与方法および投与時期、排泄速度、薬物の組み合わせ、個別の病態の重症度、ならびに受容者が受けている治療などのさまざまな要因に依存するものである。
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所または直腸投与のための本発明の医薬組成物において、活性成分は、単独で、または別の活性成分と組み合わせて、従来の医薬支持体との混合物として単位投与形態で、動物およびヒトに投与することができる。適当な単位投与形態は、錠剤、ゲルカプセル、粉末、顆粒および経口懸濁液もしくは溶液などの経口投与形態、舌下および頬側投与形態、噴霧剤、留置剤、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、皮下、経皮、くも膜下腔および鼻内投与形態、ならびに直腸投与形態を含む。
適当な投与単位形態としては、経口摂取される錠剤、ゼラチンカプセル、粉末、顆粒、および溶液または懸濁液などの、経口投与用の形態、舌下および頬側投与用の形態、噴霧剤、留置剤、皮下、筋肉内、静脈内、鼻内または眼内投与用の形態、および直腸投与用の形態がある。
本発明の医薬組成物において、活性成分は、一般に、連日投与用の投与単位につき、前記活性成分を0.5~1000mg、好ましくは1~500mg、より好ましくは2~200mg含有する投与単位として製剤化される。
固体組成物を錠剤の形で調製する場合、ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤を、必要に応じて微粉化した活性成分に添加してもよく、これを次にシリカ、ゼラチン、デンプン、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアゴムなどの医薬賦形剤と混合する。錠剤は、ショ糖、さまざまなポリマーまたは他の適当な物質でコーティングすることができるが、そうでなければ、延長された活性または遅延した活性を有するように、ならびに、所定量の活性成分を連続的に放出するように、処理することができる。
ゼラチンカプセルの形をとる製剤は、活性成分をグリコールまたはグリセロールエステルなどの希釈剤と混合し、得られた混合物を軟ゼラチンもしくは硬ゼラチンカプセルに流し込むことにより得られる。
シロップ剤またはエリキシル剤の形をとる製剤は、活性成分を、好ましくはノンカロリーの甘味料、防腐剤であるメチルパラベンおよびプロピルパラベン、香味料ならびに適当な色素とともに含有することができる。
水分散性粉末または顆粒は、活性成分を、分散剤もしくは湿潤剤、またはポリビニルピロリドンなどの懸濁剤と混合し、さらに甘味料または矯味剤とも混合して、含有することができる。
直腸投与は、直腸温度で融解する結合剤、たとえばカカオバターもしくはポリエチレングリコールなどを用いて調製される坐剤を用いて行われる。
非経口、鼻腔内または眼内投与は、水性懸濁剤、等張生理食塩水または無菌注射剤を用いて実施されるが、これらは、薬理学的に適合する分散剤および/または湿潤剤、たとえばプロピレングリコール、ブチレングリコールまたはポリエチレングリコールを含有するものである。
したがって、共溶媒、たとえば、エタノールなどのアルコール、またはポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコールなどのグリコール、およびTween. RTM80などの親水性界面活性剤を使用して、静脈内経路で注射可能な水溶液を調製することができる。活性成分を、トリグリセリドもしくはグリセロールエステルによって溶解させ、筋肉内経路で注射可能な油性溶液を調製することができる。
経皮投与は、活性成分がアルコール溶液の形で含まれる多重積層貼付剤またはリザーバーを用いて行われる。
吸入による投与は、たとえばソルビタントリオレエートまたはオレイン酸をトリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは他の生物学的に適合する推進剤ガスとともに含有する、噴霧剤を用いて行われる。
活性成分はまた、必要に応じて1つもしくは複数の基剤または添加物を用いて、マイクロカプセルまたはマイクロスフェアとして製剤することもできる。
長期的な治療の場合に有用な長期持続放出形態の中で、留置剤を使用することができる。これは、油性懸濁液の形で、または等張液中のミクロスフェアの懸濁液の形で、調製することができる。
第3の態様において、本発明は、抗体、抗体様分子またはその抗原結合フラグメントを作製する方法に関するが、その方法は、GPIbの細胞外ドメインの配列を含むか、またはその配列からなるペプチドで、非ヒト動物を免疫化するステップ、ならびにその免疫化された哺乳動物から、前記のような抗体、抗体様分子またはその抗原結合フラグメントを発現する免疫細胞を単離するステップ、を含む。
好ましくは、GPIbおよび/またはその細胞外ドメインは、本発明の第1の態様について本明細書の上記で定義した通りである。
したがって、特定の態様において、本発明はまた、GPIbの細胞外ドメイン、またはそのバリアントもしくはフラグメント/エピトープに(たとえば特異的に)結合するABPを、特定して、生成させ、および/または作製するための方法(またはその方法)に関するが、その方法は、このようなドメイン(またはバリアントもしくはフラグメント/エピトープ)を、(i)複数のABPのディスプレイライブラリー(たとえばファージディスプレイライブラリー)をスクリーニングするために、または(ii)動物、特に哺乳動物(マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ラクダ、もしくはラマなど)を免疫化するために、使用することを含む。
そのような特定の実施形態において、複数のABPをディスプレイするディスプレイライブラリー(たとえば、ファージディスプレイライブラリー)がスクリーニングされるが、そのようなライブラリーは好ましくは、上記のようなタンパク質に結合するABPについてスクリーニングされる。
好ましい実施形態において、動物を免疫化することは、動物に免疫化組成物を投与するステップを含んでなるが、この免疫化組成物は、上記のようなGPIbもしくはそのバリアントの細胞外ドメイン、またはその、もしくはそれに含まれる、少なくとも1つもしくは複数のエピトープを(たとえば、タンパク質として、またはそのドメインもしくはエピトープをコードする核酸として)、必要に応じて製薬上許容される基剤および/または添加物とともに含むものであって、より好ましくは、そのような免疫化組成物は1つもしくは複数のアジュバントを含む。本発明の免疫化組成物は、免疫された動物において、GPIb(またはそのバリアント)の細胞外ドメインに特異的な免疫反応を、好ましくはそのようなタンパク質に対する抗体の産生によって引き起こす。免疫化の後、本発明の特定のそのような実施形態は、動物から、(i)GPIb(またはそのバリアント)の前記細胞外ドメインに特異的に結合するABPを含む血清;および/または(ii)IGSF11(またはそのバリアント)の前記ドメインに特異的に結合するABPを発現するB細胞、を単離するステップをさらに含むことができる。
そのような方法または使用の態様のいずれにおいても、医薬に使用するためのABPは、典型的には(そして、たとえば本明細書においてさらに詳細に別記されるように):
その代わりに、またはそれに加えて、そのような方法または使用の態様のいずれにおいても、ABPは(たとえば、本明細書においてさらに詳細に別記されるように):
・化合物を投与された被験体において、血清コレステロール、肝臓トリグリセリド、血清ALTおよび/またはASTレベルを低下させる;および/または
・化合物を投与された被験体において、血清LDLおよび/または血清HDLコレステロールを減少させる;および/または
・化合物を投与された被験体において、脂質代謝関連遺伝子のmRNA発現の調節異常を防ぐ;および/または
・化合物を投与された被験体において、肝臓損傷を減弱する;および/または
・肝臓内CD8+ T細胞、および/またはNKT細胞を減少させる;および/または
・肝臓内の好中球の蓄積および/またはマクロファージの流入/活性化を減少させる;および/または
・いくつかの炎症促進性および恒常性サイトカイン/ケモカインのタンパク質発現を減少させる;および/または
・脂質の蓄積を減少させる。
そのような態様のいずれにおいても(たとえば本明細書においてさらに詳細に別記されるように)、ABPは、抗体もしくはナノボディ、またはその抗原結合フラグメントとすることができる。より詳細には、抗体/ナノボディは、モノクローナル抗体であってもよく、またはその場合、抗原結合フラグメントはモノクローナル抗体のフラグメントとすることができる。たとえば、このような抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラヒト抗体とすることができ、抗原結合フラグメントは、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラヒト抗体のフラグメントとすることができる。
第4の態様において、本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患、の治療に適した化合物を特定する方法に関するが、その方法は、
(a)(x)GPIbもしくはGPIbバリアントのタンパク質またはmRNAを発現する第1の細胞、または(y)GPIbもしくはGPIbバリアントの細胞外ドメインを含むか、もしくは(本質的に)それらからなる第1のテストタンパク質、を用意するステップ、
(b)候補化合物を用意するステップ、
(c)第1の細胞または第1のテストタンパク質と候補化合物とを接触させるステップ、および
(d)ステップ(c)の後に、
(i)候補化合物と、第1の細胞または第1のテストタンパク質との結合;および/または
(ii)その結合がトロンビンタンパク質と競合する、候補化合物と、第1の細胞または第1のテストタンパク質との結合;
のいずれか一方または両方を測定するステップ、
を含むものであって、
この(i)の結合、または(ii)の競合的結合は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患の、治療に適した候補化合物を指示する。
好ましい実施形態において、第1の細胞は血小板である。
いくつかの実施形態において、第1の細胞または第1のテストタンパク質に対する候補化合物の結合は、候補化合物とGPIbの細胞外ドメインとの間の相互作用であり、好ましくはトロンビン結合部位、好ましくはα-トロンビン結合部位との結合であって、この前記の結合部位は、GPIbの細胞外ドメイン内にある;ならびに/または、前記候補化合物は、GPIbの細胞外ドメインに結合することで、その化合物とGPIbとの結合により、たとえばGPIb-トロンビン相互作用を立体的に妨害することによって、および/もしくは、GPIbの3次元構造を変化させることによって、GPIbに対するトロンビン(α-トロンビンなど)のそれ以上の結合を減少させ、または損なうようにする。
第5の態様において、本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患、を治療するための方法に関するが、その治療は、治療を必要とする被験体に、治療上有効な量の、血小板糖タンパク質Ib(GPIb)の細胞外ドメインに特異的に結合する化合物を投与するステップを含む。好ましくは、その化合物は、本明細書において上記で開示されている通りである。
上記を考慮すると、当然のことながら、本発明はまた、以下の項目別の実施形態にも関係している:
第1項:非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患(肝細胞がんなど)の治療に使用するための化合物であって、その化合物が血小板糖タンパク質Ib(GPIb)の細胞外ドメインに特異的に結合する、前記化合物。
第2項:化合物が、トロンビン結合部位、好ましくはα-トロンビン結合部位に結合し、その結合部位は、GPIbの細胞外ドメイン内にある;ならびに/または、前記化合物がGPIbの細胞外ドメインに結合することで、その化合物とGPIbとの結合により、たとえばGPIb-トロンビン相互作用を立体的に妨げることによって、および/もしくは、GPIbの3次元構造を変化させることによって、GPIbに対するトロンビン(α-トロンビンなど)のそれ以上の結合を減少させ、または損なうようにする、第1項に記載の使用のための化合物。
第3項:化合物が、血小板の肝臓への輸送を減少させ、および/または血小板とクッパー細胞との相互作用を弱め、および/または血小板凝集塊のサイズを小さくし、および/または血小板面積を減少させ、および/または血小板-内皮被覆率を低下させる、第1項または第2項に記載の使用のための化合物。
第4項:第1項~第3項のいずれか1つに記載の使用のための化合物であって、その化合物が
(a) 化合物を投与された被験体において、血清コレステロール、肝臓トリグリセリド、血清ALTおよび/またはASTレベルを低下させる;および/または
(b) 化合物を投与された被験体において、血清LDLおよび/または血清HDLコレステロールを減少させる;および/または
(c) 化合物を投与された被験体において、脂質代謝関連遺伝子のmRNA発現の調節異常を防ぐ;および/または
(d) 化合物を投与された被験体において、肝臓損傷を減弱する;および/または
(e) 肝臓内CD8+ T細胞および/またはNKT細胞を減少させる;および/または
(f) 肝臓内の好中球の蓄積および/またはマクロファージの流入/活性化を減少させる;および/または
(g) いくつかの炎症促進性および恒常性サイトカイン/ケモカインのタンパク質発現を減少させる;および/または
(h) 脂質の蓄積を減少させる、
前記化合物。
第5項:化合物が、GPIbの細胞外ドメイン内のロイシンリッチリピート含有ドメインに特異的に結合する、第1項~第4項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第6項:GPIbがGPIbα鎖(GPIbα)である、第1項~第5項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第7項:GPIbがヒトGPIbもしくはそのバリアントであって、このヒトGPIbが配列番号1に示すアミノ酸配列(UniProt ref: P07359)を含む、第1項~第6項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第8項:GPIbのバリアントが、(i)GPIbのトロンビン結合断片、および/または(ii)配列番号1に示すアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質、である、第7項に記載の使用のための化合物。
第9項:化合物が、GPIbのエキソサイトIおよび/またはIIに特異的に結合する、第1項~第8項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第10項:細胞外ドメインが、GPIbのN末端の少なくとも100個、好ましくは少なくとも200個、もっとも好ましくは少なくとも290個の連続したアミノ酸であって、好ましくはN末端を始点とする前記の連続したアミノ酸を含む、第1項~第9項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第11項:化合物が、GPIbの細胞外ドメインとの結合について、トロンビン、好ましくはα-トロンビンと競合する、第1項~第10項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第12項:化合物が、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)、Pセレクチン、Mac-1、凝固第XI因子および/または凝固第XII因子と競合しない、第1項~第11項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第13項:化合物が、NAFLD/NASH/HCC患者に投与された場合、以下の効果:
(a) 肝臓内の血小板の蓄積の減少、
(b) 肝臓内の炎症の減少、および/または肝臓内の免疫細胞浸潤の減少、
(c) 脂肪症の軽減、
(d) 肝臓体積の減少、
(e) 肝臓トリグリセリドの減少、
(f) 肝臓損傷の軽減、
(g) NASの減少、および/または
(h) 肝線維症の抑制、
のうちいずれか1つ、もしくはそれらの組み合わせを有する、第1項~第12項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第14項:化合物が、GPIbとの結合について、pop/B抗体またはその抗原結合フラグメントと競合する、第1項~第13項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第15項:化合物が、タンパク質結合化合物(PBC)、好ましくは抗原結合タンパク質(ABP)から選択され、ポリペプチド、ペプチド、糖タンパク質、ペプチドミメティック、抗原結合構築物(たとえば、抗体、抗体様分子(たとえばナノボディ)もしくは他の抗原結合誘導体、またはその抗原結合フラグメント)、DNAもしくはRNAなどの核酸、たとえばリボザイム、またはRNAもしくはDNAアプタマー(ペプチド核酸(PNA)のようなそのバリアントまたは誘導体など)であってもよいが、あるいは低分子化合物である、第1項~第14項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第16項:化合物が、GPIbの前記細胞外ドメイン、またはGPIbの前記バリアントの細胞外ドメインに結合する、抗原結合構築物(たとえば、抗体、ナノボディ、scFv、Fab、抗体様分子もしくは他の抗原結合誘導体、またはその抗原結合フラグメント)である、第1項~第15項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第17項:治療が、NASHおよび/またはHCCの緩和または進行の抑制である、第1項~第16項のいずれか1つに記載の使用のための阻害剤。
第18項:治療が、NAFLD/NASHの肝硬変への進行を抑制し、遅らせ、または反転することであり、好ましくはNASHの肝細胞がん(HCC)への進行を抑制し、遅らせ、または反転することである、第1項~第17項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第19項:治療が、肝硬変および/またはHCCを発症するリスクのあるNASH患者において、HCCを予防することである、第1項~第18項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第20項:治療が、糖尿病患者、肥満患者、またはメタボリックシンドロームもしくは別の代謝障害に罹患した患者などの、NASHを発症するリスクのある患者について行われる、第1項~第19項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第21項:治療を受ける被験体が、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性活動性肝炎、肝臓脂肪症および肝細胞アポトーシスからなる一群から選択される疾患を有しておらず、好ましくは、患者が炎症性脂肪肝に罹患している、第1項~第20項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第22項:NAFLDまたはNASHに関連する障害または疾患が、肝細胞がん(HCC)などの腫瘍性疾患である、第1項~第21項のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
第23項:第1項~第22項のいずれか1つに記載の化合物を含む医薬組成物。
第24項:第1項~第20項のいずれか1つに記載の使用のための、第23項に記載の医薬組成物。
第25項:抗体またはその抗原結合フラグメントを作製するための方法であって、その方法が、GPIbの細胞外ドメインを含むか、またはGPIbの細胞外ドメインからなるペプチドで非ヒト動物を免疫化するステップ、ならびに、その免疫化された哺乳動物から、前記抗体を発現する免疫細胞を単離するステップを含む、前記方法。
第26項:前記抗体が、第1項~第22項のいずれか1つに記載の化合物である、第23項に記載の方法。
第27項:非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患、の治療に適した化合物を特定するための方法であって、その方法が、
(a)(x)GPIbもしくはGPIbのバリアントの、タンパク質もしくはmRNAを発現する第1の細胞、または(y)GPIbもしくはGPIbバリアントの細胞外ドメインを含むか、もしくは(本質的に)それらからなる第1のテストタンパク質、を用意するステップ、
(b)候補化合物を用意するステップ、
(c)第1の細胞または第1のテストタンパク質と候補化合物とを接触させるステップ、および
(d)ステップ(c)の後に、
(i)候補化合物と、第1の細胞または第1のテストタンパク質との結合;および/または
(ii)その結合がトロンビンタンパク質と競合する、候補化合物と、第1の細胞または第1のテストタンパク質との結合;
のいずれか一方または両方を測定するステップ、
を含むものであって、
この(i)の結合、または(ii)の競合的結合が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患の、治療に適した候補化合物を指示するものである、
前記方法。
第28項:第1の細胞が血小板である、第27項に記載の方法。
第29項:第1の細胞または第1のテストタンパク質に対する候補化合物の結合が、候補化合物とGPIbの細胞外ドメインとの間の相互作用であり、好ましくはトロンビン結合部位、好ましくはα-トロンビン結合部位との結合であって、この前記結合部位が、GPIbの細胞外ドメイン内にある;ならびに/または、前記の候補化合物がGPIbの細胞外ドメインに結合することで、その化合物とGPIbとの結合により、たとえばGPIb-トロンビン相互作用を立体的に妨害することによって、および/もしくは、GPIbの3次元構造を変化させることによって、GPIbに対するトロンビン(α-トロンビンなど)のそれ以上の結合を減少させ、または損なうようにする、第27項または第28項に記載の方法。
第30項:非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患を治療するための方法であって、その治療が、治療を必要とする被験体に、治療上有効な量の、血小板糖タンパク質Ib(GPIb)の細胞外ドメインに特異的に結合する化合物を投与するステップを含む、前記方法。
第31項:化合物が、第1項~第22項のいずれか1つに記載の化合物である、第30項に記載の方法。
図面および配列の簡単な説明
図1は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および肝細胞がん(HCC)発生の自然経過、ならびに非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および肝がんの経時的な病態生理学的状態の模式図を示す。座ることの多いライフスタイルおよび高カロリー摂取は、脂肪症およびNASHの原因となる。脂肪症およびNASHは、NASHに起因するHCCとは対照的に、高度に動的であり、ほとんど可逆的であると思われる。NASHは、肝線維症および肝硬変の有無にかかわらず、肝がんを引き起こす可能性がある。NASHは、全体の約30%の症例において、線維症/肝硬変のない状態で肝がんを引き起こしうる。 図2は、血小板由来GPIbαの阻害が、可能性のあるNASHの標的であることを示す。6ヶ月間、ND、CD-HFD、またはCD-HFD/hIL4rα/GP1bα-Tgを与えられたマウスの、(A)血清コレステロール、肝臓トリグリセリド、および(B)ALTレベル(n≧4/群)。(i)に示すマウスの肝内免疫細胞((左)CD8+ T細胞、(中)活性化CD8+ T細胞、(右)NKT細胞)のフローサイトメトリーによる定量化(n≧4/群)。(C)示されたマウスの代表的なH/E染色、損傷した肝細胞(アスタリスク)および衛星病変(矢印)の表示、スケールバー:10Xで100μm、40Xで25μm。(D)スダンレッド染色およびスダンレッド陽性領域の定量化、NAS評価、(E)6ヶ月間、ND、CD-HFDまたはCD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tgを与えられたマウス(n≧4/群)の線維形成の定量化およびシリウスレッド染色。(F)12ヶ月間、ND、CD-HFDまたはCD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tgを与えられたマウス(n≧10/群)のALTレベル。(G)(r)に示すマウスの腫瘍の肉眼的画像(腫瘍小結節は矢印で示す)、スケールバー:750 mm。示されたマウスの、CD44v6、IV型コラーゲン(Coll IV)およびKi67染色によるHCCの特徴。矢印は陽性肝細胞、破線は腫瘍(T)境界を示す;スケールバー:200μm(CD44v6およびColl IV)、50μm(Ki67)。12ヶ月間、CD-HFDまたはCD-HFD/HIL4rα/GPIbα-Tgを与えられたマウスからのHCC発生率(T=HCC;NT=非腫瘍)、(CD-HFD:n=13/51;CD-HFD/HIL4rα/GPIbα-Tg:n=0/24)。すべてのデータは、平均値±SEMで示される。*:P < 0.05;**: P < 0.01;***: P < 0.001;****: P < 0.0001;N.s: 有意ではない。Mahlemir et al., Nature Medicine 2019から引用されたが、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。 図3は、機能的な血小板GPIbαの欠如が肝臓の脂肪症、損傷および炎症を防ぐことを示す。(a)6ヶ月間、CD-HFDまたはCD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tgを与えられたマウス(ND n=5マウス、CD-HFD=5マウス、CD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tg n=3マウス)の代表的なCD42b染色。スケールバー:50μm。(b)3D共焦点画像、血小板(緑)/肝臓内皮(グレー)相互作用(ND n=5マウス、CD-HFD=5マウス、CDHFD/hIL4rα/GPIbα-Tg n=4マウス)、スケールバー:20μm。(c)視野の中心(FOV)における血小板(PLT)凝集塊のサイズ、全体のPLT表面積、および血小板/肝臓内皮被覆率の定量化(ND n=9マウス、CD-HFD=9マウス、CD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tg n=4マウス)。血管内イベントの視覚化のため、正弦波レンダリングの透明度は50%に設定された。(d)体重の推移(ND n=5マウス、CD-HFD=4マウス、CD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tg n=3マウス)。統計:ND対CD-HFD(黒のアスタリスク)、CD-HFD対CD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tg(黄色のアスタリスク)。(e)AST(ND n=4マウス、CD-HFD=3マウス、CD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tg n=4マウス)、LDLおよびHDLレベル(n=3マウス/群)。(f)脂質代謝/β酸化に関与する遺伝子に関するリアルタイムqPCR分析(ND n=4マウス、CD-HFD=4マウス、CD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tg n=3マウス)。統計:CD-HFD対CD-HFD/HIL4rα/GPIbα-Tgマウス(黄色のアスタリスク)。(g)代表的なCD3、F4/80、MHCIIおよびLy-6G染色(ND n=5マウス、CDHFD=5マウス、CD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tg n=3マウス)、スケールバー。50μm。(h)CD3+細胞およびF4/80+凝集の定量化(ND n=5マウス、CD-HFD=5マウス、CD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tg n=3マウス)。(i)(a)に示したマウスのプールした肝組織の肝内サイトカイン/ケモカインプロファイルの解析(n=2/群)。すべてのデータは、平均値±SEMで示す。(c)、(e)および(h)のデータは、一元配置分散分析およびその後のTukey多重比較検定により分析した。(d)のデータは、二元配置分散分析およびその後のボンフェローニ多重比較検定により分析した。(f)のデータは、両側マン・ホイットニー検定により分析した。N.s.:有意ではない *: P < 0.05. **: P < 0.01. ***: P < 0.001. ****: P < 0.0001. 図3-1の続きである。 図4は、抗GPIbα抗体投与がNASHおよび線維症を低減することを示す。(A)6ヶ月間、NDまたはCD-HFDを与えられたマウスの、GPIbα(緑、緑の矢じり)/クッパー細胞(赤、赤の矢じり)相互作用の代表的な3D共焦点画像。肝内皮(グレー)、スケールバー:30μm。(B)6ヶ月間、NDまたはCD-HFDを与えられたマウス(n=4/群)におけるGPIbα(緑)/クッパー細胞(赤)およびGPIbα(緑)/LSEC(グレー)相互作用の高倍率3D共焦点画像および定量化、スケールバー:3μm。血管内イベントの視覚化のため、正弦波レンダリングの透明度を50%に設定した。(C)6ヶ月間、CD-HFDを与えられたマウスにおけるGPIbαブロッキングまたはコントロールFabの5週間後の代表的なH/EおよびCD42b染色、スケールバー:50μm。血小板は矢印で示す。(D)(c)に示したマウス(n≧5/群)の血小板定量、NAS評価、ALTレベル、肝臓トリグリセリド、およびシリウスレッド陽性領域の定量化。 図5は、GPIbαの構造を示す。(A)ヒトGPIbα(左)とα-トロンビン(右)の2.6Åにおける結晶構造。(http://www.ebi.ac.uk/)。(B、Aの挿入図)GPIb細胞外ドメインの1.26Åにおける結晶構造(McEwan et al., 2010)。 図6は、ナノボディを生成するためのアルパカの免疫化を示す。アルパカは、アジュバントと組み合わせて、(たとえば、in vitroで翻訳された)それぞれの抗原の投与を受ける。B細胞を分離した後、B細胞に由来する、可変領域に特異的なVHHS PCR産物のm-RNAをVHHSファージライブラリーにサブクローニングし、細菌により発現させる。ナノボディの最初の選択時に、ELISAおよび他の特異的アッセイによって希少な形状がテストされる - (フェーズIIも参照されたい)。
配列
配列番号1:ヒト血小板糖タンパク質Ibα鎖:
Figure 2022551033000001
(実施例)
次に、本発明の特定の態様および実施形態を、本明細書に記載された記述、図、および表に準拠して、例を示して説明する。本発明の方法、使用および他の態様のこのような例は、代表的なものに過ぎず、本発明の範囲をこのような代表的な例のみに限定するものと解されるべきではない。
血小板由来GPIbαの阻害はNASHのための実現可能な標的である
GPIbαを介した血小板の活性化は、血小板により生じる、免疫細胞の誘引に寄与するカーゴベシクルの分泌のための前提条件である。GPIbαの細胞外ドメイン機能の阻害が疾患の進行に重要であるかどうかを遺伝子モデルで検討するために、GPIbαのリガンド結合細胞外ドメインをヒトIL-4受容体のαサブユニットに置換したGPIbα-/-バックグラウンドにおいて、IL-4rα/GPIbα融合タンパク質を発現する遺伝子導入マウス(hIL4rα/GP1bα-Tg)に6ヶ月間CD-HFDを与えた(図2)。驚くべきことに、CD-HFDを与えたhIL4Rα/GPIbα-Tgマウスでは、CD-HFDを与えたC57Bl/6対照マウスと比較して、血小板凝集サイズ、血小板面積および血小板-肝臓内皮被覆率が有意に低かった(図3a-c)。hIL4rα/GPIbα-TgマウスおよびC57Bl/6マウスはともに、CD-HFDを与えた場合、同様に体重増加した(図3d)。血清コレステロール、肝臓トリグリセリド、血清ALTおよびASTレベルは、CD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tgマウスにおいて有意に低く、LDLおよびHDLコレステロールの減少を伴っていた(図3e)。同様に、CD-HFDを与えたC57BL/6マウスの肝臓における脂質代謝関連遺伝子のmRNA発現異常は、CD-HFD/hIL4rα/GPIbα-Tgマウスの肝臓では阻止された(図3f)。フローサイトメトリー分析により、肝内CD8+ T細胞およびNKT細胞の大幅で有意な減少も観察された。免疫組織化学を用いて、CD3+の減少、ならびにマクロファージの流入および活性化の減少が観察された(図3g、h)。
興味深いことに、これまでに記載されたGPIbα細胞外ドメインの同族リガンドである、主要な血小板接着受容体P-セレクチンを欠損(Selp-/-)、フォン・ヴィルブランド因子を欠損(vWF-/-)、またはMac-1を欠損した(Mac1-/-)マウスは、CD-HFD(6ヶ月)の状況の下で完全なNASHを示した(詳細データ、Nature Medicine VOL 25 / APRIL 2019 / 641-655 の図8-10、参照により本明細書に組み入れられる)。
これらのデータは、GPIbαの細胞外ドメインに結合する別のリガンドが、止血に影響を及ぼすことなく血小板に関連する免疫機能、炎症促進機能を駆動するGPIbα活性化にとって重要である可能性を示唆するものであった。
最後に、hIL4rα/GPIbα-Tgマウスが長期間のCD-HFDによってHCCを発症するかどうかを検討した。注目すべきことに、12ヶ月間CD-HFDを受けたhIL4rα/GPIbα-Tgマウスは、有意に低い線維化、血清ALTレベルを示し、HCCの証拠を、肉眼的にも顕微鏡的にも欠いていた(図2F、G)。これらのデータは、GPIbαがNASH、NASH-HCC治療のための強力なターゲットであることを実証している。
血小板由来GPIbαの阻害はNASHのための実現可能な標的である
GPIbαは、NASHの間に炎症を起こした肝臓において血小板輸送・活性化を仲介し、肝臓への免疫細胞の効率的な動員に寄与している可能性があると仮説化した。そこで、本発明者らは、NASHにおけるGPIbαと肝実質細胞および肝臓非実質細胞(LSEC;クッパー細胞など)との相互作用を解析した(図4A、4B)。3D再構成は、マウスおよびヒトの試料において、GPIbα+血小板とクッパ―細胞との相互作用がもっとも多く、LSECとの相互作用はそれより少ないことを示した。
6ヶ月間CD-HFDを与えたマウスにおいてGPIbαの主要なリガンド結合ドメインをブロックするために、抗GPIbα抗体pop/BのFabフラグメントを5週間使用した。この抗体は、GPIbαの細胞外ドメインに結合することが実証された。
注目すべきは、この比較的短い治療期間でもすでに、NASH食の存在下で肝内血小板の蓄積を有意に減少させたことである。その結果、脂肪症、NAS、肝障害および肝内免疫細胞浸潤が有意に(平均50%を超えて)減少し、線維化が抑制された(図4Cおよび図4D)。さらに、抗GPIbα抗体による処置は、いくつかの炎症促進性および恒常性サイトカイン/ケモカインのタンパク質発現を減少させたが、これは肝内血小板活性化およびその後のカーゴ放出と、炎症のメディエーターとを関連付けるものである(Malehmir et al., 2019, Nature Medicine)。
抗GPIbαナノボディの作製
アルパカおよび他のラクダ科動物におけるナノボディの製造は、ナノボディ・プールにおいてきわめて多大な多様性が達成され、望ましい特性、すなわち高親和性、固有のエピトープ、最適な動態を有するナノボディを得る可能性が高まるという点において、他の方法に優る明白な利点を有している。本発明のナノボディの作製を図6に示す。
理解されるように、このようなナノボディは、ナノボディを作製するために3つの異なる抗原を用いて調製される。1つのエピトープは、ヒトGPIbαの細胞外ドメインの全体を包含するものである。第2の抗原は、ヒトGPIbα細胞外ドメインの5’および3’上流の30アミノ酸を含む(図5を参照されたい)。免疫化に使用される最後のペプチドは、ヒトGPIbα細胞外ドメイン内に位置するトロンビン結合部位を包含する一続きの19アミノ酸である。in vitro翻訳のためのそれぞれのプラスミドの品質管理はすでに達成されている。
新規ナノボディのスクリーニングおよび検証
GPIbαに対して未知の結合親和性および結合特異性を有する、多数の抗体/ナノボディを取得した後、作製されたナノボディを、いくつかの生物学的特性:(I)血小板への結合、(II)in vitroでのGPIbαのトロンビン結合ドメインの機能的遮断、(III)in vitroでの血小板活性化に及ぼす機能的影響、に関して特徴づける。
以下の5つの異なるアッセイが適用される:
(I)ナノボディの親和性およびアビディティを検証するために、本発明者らはBiaCore分析を実施して、金表面に結合したヒト組換えGPIbαに対してどの抗体が最も高い親和性およびアビディティを有するかを調べる。
(II)ELISAを実施して、ナノボディのヒトGPIbαに対する結合をスクリーニング/確認する。
(III)血小板との結合について、蛍光標識したナノボディーを用いてFACS分析を行う。
(IV)トロンビン活性化血小板をナノボディで処理するか、またはナノボディなしで処理し、(たとえば、組換えトロンビンを介した)血小板活性化を検証する。
(V)トロンビンに対する結合の特異性を再確認するために、ヒトGPIbαを、全長のヒトGPIbα、またはGPIbαに対するトロンビン結合を無効にする1つのアミノ酸置換を有する変異型GPIbαのいずれかを有するマウスにおいて血小板に発現させる。これらのマウスの血小板は、in vivoおよびex vivoでナノボディの特異性を検証するために使用されることになる。さらに、GPIbαに対するトロンビン結合の阻害が観察され、抗体がトロンビンによる血小板活性化を阻害するかどうかが検証される(IVも参照されたい)。
得られた定量結果を用いて、さまざまなナノボディを、GPIbαのトロンビン結合ドメインに対してランク付けすることができる。
選択されたナノボディのin vivoでの検証
in vivoでの検証のために、NASH食(コリン欠乏高脂肪食:CD-HFDおよび西洋食(WD))に基づくいくつかのマウスモデルを使用する。マウスはそれぞれのNASH食を6ヶ月間与えられ、血清マーカーおよび超音波(US)により非侵襲的にモニターされる。すべてのマウスがNASHを示した時点で(Mahlemir et al., Nature Medicine 2019も参照されたい)、12週間のナノボディによる治療を開始する。4週間および8週間後、治療の有効性を、血清マーカー(ALT、AST、アルカリホスファターゼ)により非侵襲的に検証し、マウスの行動を注意深くモニターするが、それは個々のナノボディの予期せぬ毒性のためである。さらに、in vivoおよびex vivoで血小板を活性化し、非NASH、非メタボリックシンドロームの状況下でも、得られたナノボディが血小板活性化を抑制することができるかどうかを検証する。
これには、Mahlemir et al., 2019 Nature Medicineによる発表に基づいて、マウス抗体(抗GPIbα抗体)の投与を受ける、NASH(CD-HFDおよびWD)を誘導したC57B/6/Jマウスが含まれ、ベースライン比較を行って、NASHの可逆性を評価する(マウス群n=8)。
・6ヶ月間NASH CD-HFD食 - その後、食餌存在下で12週間治療。
・6ヶ月間NASH WD食 - その後、食餌存在下で12週間治療。
・6ヶ月間ND対照食 - その後、食餌存在下で12週間治療。
これには、Mahlemir et al., 2019 Nature Medicineによる発表に基づいて、6種類の事前に選択された抗GPIbαナノボディの投与を受ける、NASH(CD-HFDおよびWD)を誘導した、GPIbαトランスジェニックC57B/6マウスおよびトロンビン結合部位欠損GPIbαトランスジェニックC57B/6マウスが含まれる(マウス群n=8)。マウスは、それぞれのNASH食を6カ月間与えられ、血清マーカーおよび超音波(US)により非侵襲的にモニターされる。すべてのマウスがNASHを示した時点で(Mahlemir et al., Nature Medicine 2019も参照されたい)、12週間のナノボディによる治療を開始する。2つの投与量(高および低)で治療を行う。治療の4週間後および8週間後に、治療の効果を追跡するために非侵襲的な分析を行う。治療期間の終わりにマウスを屠殺し、NASHの肝臓組織像(たとえば、H/Eおよび特殊染色)を分析して、NASスコア、FACS分析ならびに免疫細胞、線維症、脂肪沈着の組織学的検査を行い、脂質代謝の分子解析、ELISAを実施して、in situシングルセルメタボロミクス解析を行う。
1群につき1回の実験(例:ヒト化GPIbαマウス;1群n=8)。
a) 6ヶ月間NASH CD-HFD食 - その後、食餌存在下で12週間ナノボディ治療。
b) 6ヶ月間NASH WD食 - その後、食餌存在下で12週間ナノボディ治療。
c) 6ヶ月間ND対照食 - その後、食餌存在下で12週間ナノボディ治療。
組織学的分析(H/E;スダンレッド;B細胞、T細胞、T-regなどに対する免疫組織化学的検査)、細胞レベルの解析(FACS)、血清学的分析(ALT、AST)、および分子解析(トランスクリプトーム、肝トリグリセリドなど)は、追加実験に使用されるべきナノボディ候補を特定するために役立つであろう。同時に、最も重要な臓器(心臓、肺、膵臓、腎臓、消化管)の組織学的分析を行って、起こりうる毒作用を分析する。

Claims (15)

  1. 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害または疾患、たとえばNAFLDまたはNASHから発症する障害もしくは疾患(肝細胞がんなど)の治療に使用するための化合物であって、その化合物が血小板糖タンパク質Ib(GPIb)の細胞外ドメインに特異的に結合する、化合物。
  2. 化合物が、トロンビン結合部位、好ましくはα-トロンビン結合部位に結合し、その結合部位が、GPIbの細胞外ドメイン内にある;ならびに/または、前記化合物がGPIbの細胞外ドメインに結合することで、その化合物とGPIbとの結合により、たとえばGPIb-トロンビン相互作用を立体的に妨げることによって、および/もしくはGPIbの3次元構造を変化させることによって、GPIbに対するトロンビン(α-トロンビンなど)のそれ以上の結合を減少させ、または損なうようにする、請求項1に記載の使用のための化合物。
  3. 化合物が、GPIbの細胞外ドメイン内のロイシンリッチリピート含有ドメインに特異的に結合する、請求項1または2に記載の使用のための化合物。
  4. GPIbがヒトGPIbもしくはそのバリアントであって、好ましくは、ヒトGPIbが配列番号1に示すアミノ酸配列(UniProt ref: P07359)を含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
  5. GPIbのバリアントが、(i)GPIbのトロンビン結合断片、および/または(ii)配列番号1に示すアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質、である、請求項4に記載の使用のための化合物。
  6. 化合物が、GPIbの細胞外ドメインとの結合について、トロンビン、好ましくはα-トロンビンと競合する、請求項1~5のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
  7. 化合物が、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)、Pセレクチン、Mac-1、凝固第XI因子および/または凝固第XII因子と競合しない、請求項1~6のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
  8. 化合物が、GPIbとの結合について、pop/B抗体またはその抗原結合フラグメントと競合する、請求項1~7のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
  9. 化合物が、抗体、ナノボディ、scFv、Fab、抗体様分子もしくは他の抗原結合誘導体、またはその抗原結合フラグメントから選択される抗原結合構築物であって、GPIbαの前記細胞外ドメイン、またはGPIbαの前記バリアントの細胞外ドメインに結合する、請求項1~8のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
  10. 治療が、肝硬変および/またはHCCを発症するリスクのあるNASH患者において、HCCを予防することである、請求項1~9のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
  11. 請求項1~10のいずれか1つに記載の化合物を、製薬上許容される基剤および/または添加物とともに含む医薬組成物であって、請求項1~10のいずれか1つに記載の使用のための前記医薬組成物。
  12. 抗体またはその抗原結合フラグメントを作製するための方法であって、その方法が、GPIbの細胞外ドメインを含むか、またはGPIbの細胞外ドメインからなるペプチドで、非ヒト動物を免疫化するステップ、ならびに、その免疫化された哺乳動物から、前記抗体を発現する免疫細胞を単離するステップを含む、前記方法。
  13. 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患、の治療に適した化合物を特定するための方法であって、その方法が、
    (a)(x)GPIbαもしくはGPIbαのバリアントの、タンパク質もしくはmRNAを発現する第1の細胞、または(y)GPIbαもしくはGPIbαバリアントの細胞外ドメインを含むか、もしくは(本質的に)それらからなる第1のテストタンパク質、を用意するステップ、
    (b)候補化合物を用意するステップ、
    (c)第1の細胞または第1のテストタンパク質と候補化合物とを接触させるステップ、および
    (d)ステップ(c)の後に、
    (i)候補化合物と、第1の細胞もしくは第1のテストタンパク質との結合;および/または
    (ii)その結合がトロンビンタンパク質と競合する、候補化合物と、第1の細胞または第1のテストタンパク質との結合;
    のいずれか一方または両方を測定するステップ、
    を含むものであって、
    この(i)の結合、または(ii)の競合的結合が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはNAFLDもしくはNASHに関連する障害もしくは疾患、たとえばNAFLDもしくはNASHから発症する障害もしくは疾患の、治療に適した候補化合物を指示するものである、
    前記方法。
  14. 第1の細胞が血小板である、請求項13に記載の方法。
  15. 第1の細胞または第1のテストタンパク質に対する候補化合物の結合が、候補化合物とGPIbαの細胞外ドメインとの間の相互作用であり、好ましくはトロンビン結合部位、好ましくはα-トロンビン結合部位との結合であって、この前記結合部位が、GPIbαの細胞外ドメイン内にある;ならびに/または、前記候補化合物がGPIbαの細胞外ドメインに結合することで、その化合物とGPIbαとの結合により、たとえばGPIb-トロンビン相互作用を立体的に妨害することによって、および/もしくは、GPIbαの3次元構造を変化させることによって、GPIbαへのトロンビン(α-トロンビンなど)のそれ以上の結合を減少させ、または損なうようにする、請求項13または14に記載の方法。
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