JP2022547328A - 金属又は金属酸化物ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

金属又は金属酸化物ナノ粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、金属塩と、金属キレート剤と、ホエータンパク質と、還元糖とを溶媒中で混合することと、上記混合物から溶媒を加熱及び蒸発させてゲルを形成し、これによりゲル中に金属又は金属酸化物ナノ粒子を形成することとを含む、金属又は金属酸化物ナノ粒子を製造する方法を提供する。

Description

本発明は、金属及び金属酸化物ナノ粒子の製造方法、並びに得られたナノ粒子に関する。
ナノ粒子は、その寸法のうちの少なくとも1つにおいて1nm~500nmの範囲のサイズを有するナノ材料の一部である。ナノ粒子は、その重要な光学的、電気的、及び磁気的特性により、通信、エネルギー保存、センシング、データ保存、光学、伝送、環境保護、化粧品、生物学、及び医学における新規な最先端用途の開発のための共通の材料となっている。
金属及び金属酸化物ナノ粒子の様々な製造方法が存在するが、その中でも非特許文献1にレビューされているゾル-ゲル法がある。該方法は、溶液状態の前駆体からの金属酸化物等の固体材料の合成を含む。これらには、架橋してゲルを形成する金属アルコキシド、金属水酸化物ゾル(非特許文献2)だけでなく、金属イオン-キレート錯体、又は金属種を含む有機ポリマーゲルも含まれ得る。反応体の選択によって、固体生成物の構造及び組成に重要な影響を与えることがある。
特許文献1は、捕捉されたタンパク質粒子を含む、酸化亜鉛のマイクロメートルサイズの結晶を開示する。
特許文献2(英語要約)は、生体ポリマー及び金属ナノ粒子を含む生分解性ナノコンポジットヒドロゲルを記載する。
特許文献3(英語要約)は、ZnOナノ粒子を用いた抗菌性ヒドロゲルドレッシングの製造方法を記載する。
一般的なゾル-ゲル法は、ポリマーゲル、例えばエチレングリコールによって形成されるもの等の存在下での金属酸化物ナノ粒子の合成である(特許文献4)。この方法は、結果物である粒子が比較的大きいサイズ分布(高い多分散性)を有し、かつ、合成ポリマーの使用は環境に優しくないという欠点がある。
国際公開第2018/019595号 韓国特許出願公開第20180104386号 中国特許出願公開第101664563号 米国特許第3,330,697号
Dankes et al., Mater. Horiz. 3, 2016:91 Mohapatra et al., Science of the Total Environment 485-486 (2014) 263-269
したがって、均一性の高い粒子サイズを提供し、環境に優しい金属酸化物ナノ粒子の代替的製造方法を提供すること、及び、この環境に優しい方法を金属ナノ粒子に拡張することが目標である。
本発明は、金属塩と、金属キレート剤と、ホエータンパク質又はホエーポリペプチドと、必要に応じて還元糖とを溶媒中で混合すること、加熱すること、及び上記混合物から溶媒を蒸発させてゲルを形成しすることを含み、これによりゲル中に金属又は金属酸化物ナノ粒子を形成する、金属及び金属酸化物ナノ粒子を製造する方法を提供する。
これに関して、本発明は、金属塩と、金属キレート剤と、ホエーとを溶媒中で混合すること、加熱すること、及び上記混合物から溶媒を蒸発させてゲルを形成し、これによりゲル中に金属又は金属酸化物ナノ粒子を形成する、金属又は金属酸化物ナノ粒子を製造する方法を更に提供する。
本発明は更に、このような方法から得られ得るナノ粒子及びナノ粒子の組成物を提供する。例えば、複数種の金属又は金属酸化物ナノ粒子を含む組成物が提供され、該金属又は金属酸化物ナノ粒子は、最長寸法において最大200nmの平均サイズを有し、該金属又は金属酸化物ナノ粒子の0.1%未満は、そのサイズが平均サイズから50%を超えて逸脱している。さらに、複数種の金属又は金属酸化物ナノ粒子を含む組成物が提供され、該金属又は金属酸化物ナノ粒子は、最長寸法において3nm~200nmの平均サイズを有し、該金属又は金属酸化物ナノ粒子は、0.2mol%~1mol%のCa及び/又は0.5mol%~4mol%のKを含む。
全ての態様は等しく本発明に関連しており、全ての詳細な説明及び全ての好ましい実施形態はこれら全ての態様に関連している。特に、方法の記載は、このような方法から得られ得るようなナノ粒子及び組成物に関する。ナノ粒子及び組成物の記載は、方法の生成物を記載することができる。
約20nmの均一なサイズを有する多数の本発明の酸化亜鉛ナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す図である。該ナノ粒子は、600℃で1時間焼成することによって製造された。100nmスケールバー。 約20nm(左)又は50nm(右)のサイズを有する酸化亜鉛ナノ粒子のTEM画像を示す図である。20nmスケールバー。 ゲル化剤としてエチレングリコールを用いる比較実施例によって調製された酸化亜鉛ナノ粒子のTEM画像を示す図である。該粒子は、多くのより大きな粒子を含む多分散体である(右上参照)。該ナノ粒子は、600℃で1時間焼成することによって製造された。100nmスケールバー。 ZnOキセロゲルの熱重量分析(TGA)及び示差熱分析(DTA)を示す図である。 異なる温度で焼成したZnOナノ粒子のXRDパターン(結晶構造)を示す図である。 ZnOナノ粒子の、200cm-1~1000cm-1のスペクトル範囲のラマンスペクトルを表す図である。 ZnOナノ粒子のEDSスペクトルを示す図である。
本発明の方法は、金属塩、金属キレート剤、ホエータンパク質及び還元糖(又は単に金属塩、金属キレート剤及びホエー)を用いて、金属又は金属酸化物ナノ粒子(本明細書において単に「ナノ粒子」ともいう)を製造する。ナノ粒子は、ゾル-ゲル法で製造することができる。この方法において、これらの成分の混合物を加熱して、溶媒中にゲルを形成させることができる。このプロセスでは、水性カチオンを取り囲んで立体的にこれらを捕捉するために、キレート剤、最も多くはクエン酸が使用される。ホエータンパク質の存在は、このプロセスをサポートし、キレート剤とともに捕捉マトリクスを形成する。その後、ポリマーマトリクスが形成されて、キレート化されたカチオンをゲル又は樹脂中に固定化する。
「金属又は金属酸化物」を総称して「金属(酸化物)」という。金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子が形成されるか否かは、酸化条件(例えば、酸素利用の有無、還元剤の存在及び量)及び金属材料の性質に依存する。貴金属、例えばAg及びAuは、(弱い)酸化条件下でも、金属酸化物の代わりに金属ナノ粒子を形成する傾向が高い。Ag又はAuのような貴金属を金属酸化物に変えるべき場合、通常、追加の酸化剤が必要とされる。
ゲル中に金属(酸化物)ナノ粒子が加熱中に形成され、加熱は通常、溶媒の蒸発、並びに任意選択でゲル及びキレート剤の熱分解を伴い、該ゲルからナノ粒子が取り出される。好ましくは、次いで結果物であるポリマーを酸化条件下で燃焼させて、有機含有物を除去し、均一に分散されたカチオンを含む生成物(酸化物)を得る。通常、酸化条件を促進するために、酸素が利用可能である。空気からもたらされる酸素を利用することができる。酸素は金属を酸化するか、又は単に金属塩の塩を置き換えて金属酸化物を形成することができる。周囲雰囲気下で貴金属ナノ粒子(Ag、Au)の場合、ゲルマトリクスによって提供される還元された金属原子/クラスタの閉じ込めによって、酸化が防止される。
好ましい実施形態において、本方法は、還元糖を金属塩と混合することを含む。このような還元糖は、ホエー中に既に存在する場合があり、この場合、追加の工程は必要ない場合がある。還元糖(reducing saccharide)は、還元糖(reducing sugar)ともいう。還元糖は、アノマー炭素を有する炭水化物であり得て、すなわちアルデヒド基を有する開鎖形態を有する。アルデヒド官能基は容易に脱プロトン化され、還元糖が還元剤として作用することを可能にする。
還元糖の存在は、金属カチオンを、より低い酸化状態、又は更には金属状態へと還元することをサポートすることができる。これは、均一な分散体の形成、及び単分散生成物が得られることから有益である。勿論、金属酸化物の場合、最終的には、金属は、金属酸化物に変換され、これは酸化条件下での酸化を含み得る。
好ましくは、還元糖は単糖又は二糖、例えば乳糖である。乳糖は通常、ホエー中に豊富に見出される。単糖又は二糖は、例えば、フルクトース、グルコース及びガラクトース単位を含み得る。
好ましい実施形態において、ホエータンパク質は、ラクトアルブミン、例えばα-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン;血清アルブミン及び免疫グロブリンから選択される。好ましくは、ホエータンパク質は、ラクトアルブミン、特に好ましくはα-ラクトアルブミンであり、これは、おそらく金属の捕捉プロセスに非常に適したマトリクスを形成することによって、高度に単分散のナノ粒子を得る。いくつかの実施形態において、天然のホエータンパク質が使用される。他の実施形態において、熱変性及び/又はpH変性タンパク質が使用され得る。
ホエー又はホエータンパク質は、また、ホエーポリペプチドを提供するために加水分解され得る。ホエー加水分解物としてのそのようなポリペプチドは、ホエータンパク質のゲル化能力を保持するホエータンパク質の断片である。これらのホエーポリペプチドは、本発明の方法において、ホエータンパク質又はホエーに追加して、又はその代替として使用することができる。これらの加水分解物/ポリペプチドは、ホエータンパクの酵素による物理的又は化学的分解によって製造することができる。分解の程度は、処理の強度及び持続時間によって制御することができる。所望の断片は、限外濾過のような分離技術によって更に選別することができる。トリプシン、キモトリプシン、アルカラーゼ、ニュートラーゼ又はこれらの組み合わせのような酵素を用いた酵素消化が好ましい(Mutilangi et al., Journal of Food Science 61(2), 1996: 270; Pouliot et al., Lait 80, 2000:113-122)。好ましくは、ホエーポリペプチドは、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、血清アルブミン及び免疫グロブリンの加水分解物から選択され、特に好ましくはラクトグロブリンの加水分解物である。好ましくは、ポリペプチドは、少なくとも1kDa、特に好ましくは少なくとも1.5Da、少なくとも2kDa又は少なくとも2.4kDaを有する。
ホエータンパク質及び/又はホエーポリペプチドは、例えば80%以上の純度(質量%での%)に単離及び精製され得る。好ましくは、単離されたホエータンパク質の純度は、少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は更に少なくとも99%である。純度は、全ての溶媒を除いた、組成物の固体画分として与えられる。
簡略化のため、ホエーは、すなわち、ホエータンパク質を他のホエー成分から単離することなく使用される。本発明の方法は、金属塩と、金属キレート剤と、ホエーとを溶媒中で混合することと、上記混合物から溶媒を加熱及び蒸発させてゲルを形成し、これによりゲル中に金属(酸化物)ナノ粒子を形成することとを含み得る。加熱中、好ましくは、上記のように酸素が利用可能である。
一般的なホエーは、金属イオン(例えばZnイオン、Tiイオン、Agイオン、Auイオン)の還元を担う二糖である乳糖と、ポリマーマトリクスを提供するゲルの形成を担う可溶性タンパク質とを含む。ホエーは、還元された金属の閉じ込め及び核生成部位として機能する。ホエーによって形成される核生成部位は、クエン酸によって誘導されるエチレングリコール重合によって形成されるものに比べ、温度及びpHに対してはるかに敏感である。このようなプロセスによって、より広い範囲の粒子サイズに適応可能である。ホエー中に存在するタンパク質は、その高い生物学的価値により、傑出している。これらは、分枝必須アミノ酸であるロイシン、イソロイシン、バリンが豊富である。ホエーは更に、塩成分、例えばKイオン及びCaイオンを含み得て、これらはドーピング成分として金属酸化物ナノ粒子に現れ得る。本発明の方法で使用されるホエーは、上記のうちのいずれか1つ以上の成分を含み得る。
スルフヒドリルアミノ酸残基の多さは、ホエータンパク質の有益な特性である。この特徴により、ホエータンパク質は、高温及び弱酸性の処理中に分子間共有結合を形成でき、その後ゲルマトリクスが形成される。マトリクスの孔は、タンパク質と、凝集タンパク質残基と、ペプチドとの間の分子間共有結合の長さによって決定され、これはpHによって調整することができ、直径で数nm、通常は2nm~100nm超で変化し得る。孔は、ナノ粒子形成のための核形成部位として機能し、理想的な電荷密度、及び調整可能な立体的な閉じ込め核形成部位を提供する。
ホエーは、好ましくは、ウシ、ヒツジ、野牛又はヤギの乳由来のホエーである。
本発明に従って使用されるようなホエーは、タンパク質含有量が0.5g/100g(100gのホエー当たりのgタンパク質)~5g/100gを有し得る。ホエーは、85%~95%(質量%)の水分含有量を有し得る。ホエーは、2g/100g~8g/100g(100gのホエー当たりのg炭水化物)の炭化水素含有量を有し得る。特に、ホエーは、1g/100g~7g/100g(100gのホエー当たりのg還元糖、例えば乳糖)の濃度、又はこれらの濃度の任意の組み合わせで、還元糖、例えば乳糖を含み得る。勿論、ホエーは、水分含有量を減らし、列挙した成分の濃度を、例えば、1.5倍、2倍、3倍、4倍等に高めるために濃縮され得る。
好ましくは、金属塩、キレート剤及びホエータンパク質(又はホエー、又はホエーポリペプチド)を含む、ゲル形成に用いられるような混合物は、中性又は弱酸性のpH、例えば4.5~8、好ましくは5.5~7.5、例えば6.5~7.2のpHで用いられることが好ましい。
溶媒は、水性溶媒、好ましくは水であることが好ましい。
本発明の方法は、上記混合物から溶媒を加熱及び蒸発させて、ゲルを形成する工程を更に含む。加熱は、ゲルが形成されるまで、例えば、50℃~90℃の温度で行われる。好ましくは、この加熱工程は、20分以上、例えば、30分~4時間、又は40分~3時間で行われる。蒸発によりキセロゲルの形成がもたらされ、金属(酸化物)ナノ粒子がゲル中に形成される。溶媒を除去するための更なる加熱は、溶媒及び圧力に応じて、例えば80℃~110℃であり得る。より高い温度は、ゲルの分解につながり得て、温度を高くすることで任意選択の次の工程である、好ましくは焼成又は熱分解によるゲルの除去に移行する。このような工程は、ゲルから解放されたナノ粒子を得るために追加することができる。このような分解は例えば加熱時に生じ得て、例えば、200℃以上、例えば300℃以上、400℃以上、500℃以上、600℃以上、700℃以上、800℃以上、900℃以上、好ましくは200℃~800℃以上、例えば最大1000℃又は更にはそれ以上で生じ得る。温度は、ナノ粒子サイズを制御するための一つの要因である。加熱工程の好ましい温度範囲は、300℃~600℃である。この範囲において、所望のサイズ、例えば10nm~40nmのナノ粒子が製造される。
キレート剤は、配位結合の中心原子としての金属に対して2つ以上の個別の配位結合を形成する配位子である。キレート剤は、金属と複数の結合、すなわち少なくとも2つの結合を形成するための多座配位子である。したがって、キレート剤は、金属と配位結合を形成するための、2つ以上の官能基を含み得る。好ましくは、官能基は、カルボン酸基、アミン基、3級アミン基、ヒドロキシル基、チオール基である。例えば、キレート剤は、2価~4価のカルボン酸、好ましくはクエン酸が可能である。更なるキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸、メチルグリシン二酢酸、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸、ポルフィン、コバラミン(ビタミンB-12;コバルト含有又は非含有)、ジメルカプロール(2,3-ジメルカプト-1-プロパノール)及びL-グルタミン酸N,N-二酢酸である。
好ましくは、金属酸化物ナノ粒子を形成するためのキレート剤と金属(複数の場合もある)とのモル比は、6:1~1:1、好ましくは5:1~2:1である。
好ましくは、クエン酸(水分を含まない質量)とホエーとの質量比は、2:1~1:50、例えば1:1~1:10、好ましくは1:1.5~1:5の範囲、特に好ましくは1:2である。更なる好ましい実施形態において、クエン酸(水分を含まない質量)とホエータンパク質又はホエーポリペプチド(乾燥質量)との質量比は、10:1~100:1、例えば、5:1~40:1、好ましくは10:1~30:1の範囲、特に好ましくは20:1である。
混合物は、任意選択で、還元酵素、好ましくはホエー由来の還元酵素を含み得る。ホエー中に存在する還元酵素は、酸素と結合するまで理想的な電荷分布を維持するのに役立つ。
本発明の方法では、ホエータンパク質/ホエーが、ゾル-ゲル法における金属(酸化物)ナノ粒子のサイズ及び形態を制御する。ゾル-ゲル法は、多種多様な金属(酸化物)ナノ粒子を形成するために使用することができる。この方法は、全ての金属に適用可能である。金属塩及び形成された金属(酸化物)ナノ粒子の金属は、任意の関心のあるもののいずれか1種でよく、例えば、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ti(チタン)、Zn(亜鉛)、Zr(ジルコニウム)、Ce(セリウム)、Li(リチウム)、Mn(マンガン)、Ag(銀)、Ni(ニッケル)、Sn(スズ)、Au(金)又はこれらの混合物、例えばLiMn、LiTi、LiCo等から選択することができる。Zn(亜鉛)、Ti(チタン)、Ag(銀)は、多くの用途があり、本発明のホエーベースの方法を用いて優れたナノ粒子を形成するため、特に好ましい。
好ましくは、金属酸化物は、式MeOのものであり、Meは金属であり、Oは酸素である。このような金属酸化物は、酸化状態2+の金属を有する。更なる実施形態において、金属の酸化状態は、1+、2+、3+、4+、5+、6+、又はこれらの混合物が可能である。例示的な金属酸化物は、SnO、TiO、Co、Fe、Fe、CeO、Ce、LiCoO、LiMn、LiTiである。酸化物へと処理されない好ましい例示的な金属は、Ag及びAuである。好ましくは、金属は、硝酸塩及び硫酸塩を形成する金属から選択される。
優先的には、金属塩は水溶性である。好ましくは、これは金属ハロゲン化物、例えばフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物;硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩又はリン酸塩である。金属塩は、金属とキレート剤との配位を可能にするために、容易に溶解すべきである。それ以外、塩を形成する対イオンの性質は重要ではない。
本発明は更に、本発明の方法によって得られ得る複数種の金属(酸化物)ナノ粒子を含む組成物を提供する。このような組成物はナノ粒子を含み得て、該金属(酸化物)ナノ粒子は、最長寸法において2nm~200nm、好ましくは3nm~10nmの平均サイズを有し、該金属酸化物ナノ粒子の0.1%未満は、そのサイズが平均サイズから50%を超えて逸脱している。サイズは、TEMで測定されたときの粒径である。
さらに、複数種の金属(酸化物)ナノ粒子を含む組成物が提供され、該金属酸化物ナノ粒子は最長寸法において2nm~200nmの平均サイズを有し、該金属酸化物ナノ粒子は0.1mol%~1mol%のCa及び/又は0.2mol%~4mol%のK及び/又は0.1mol%~3mol%のPを含む。Ca(カルシウム)、K(カリウム)及び任意選択でP(リン)の存在は、本発明の方法の指示薬であり、本発明の方法を用いて環境に優しく調製されたナノ粒子を識別するために使用することができる。
好ましくは、ナノ粒子は、45mol%~49mol%の金属(Me)、好ましくはZn、Ti、Agを含む。ナノ粒子の組成は、焼成及び酸素除去の後に決定され得る。さらに、残留物の組成は、好ましくは96%~99.5%のMe、好ましくはZn、Ti、Ag、及び好ましくは上記の指示薬、例えば0.2mol%~1mol%のCa及び/又は0.4mol%~4mol%のK及び/又は0.2mol%~3mol%のPを含む。
好ましくは、金属(酸化物)ナノ粒子は、2nm~200nm、特に好ましくは3nm~150nm、4nm~120nm、5nm~100nm、6nm~80nm、7nm~60nm、8nm~50nm、9nm~40nm、10nm~30nmの範囲、及びこれらの値の間の任意の範囲の平均サイズを有する。特に、小さな粒子、例えば20nm以下、例えば3nm~15nm、又は15nm以下、又は10nm以下の平均サイズを有する粒子が特に有益であり、本発明の方法によって効率的かつ均一に製造することができる。これらのサイズは、粒子の最長寸法におけるサイズに関連している。好ましくは、ナノ粒子は本質的に円形又は球形であり、組成物のナノ粒子の少なくとも90%、好ましくは組成物のナノ粒子の少なくとも95%において最長寸法の長さの最大25%だけ異なるナノ粒子の最短寸法及び最長寸法を有する。
個々のナノ粒子間のサイズ分布に関して、これは、本発明の本質的に単分散の粒子の高い均一性により、通常小さい。好ましくは、金属酸化物ナノ粒子の0.1%未満、例えば0.05%未満は、そのサイズが平均サイズから50%を超えて、又は30%を超えて、又は20%を超えて逸脱している。サイズは、TEMで測定されたときの粒径である。
本発明の製造プロセスにより、ホエーペプチド及びタンパク質、特にラクトグロブリン(除去されていない場合)の変性により生じた官能基及び金属をその表面に含むナノ粒子が得られ得る。これらの官能基は、ナノ粒子内の金属又は金属酸化物の固有の特性(例えば、抗微生物剤、光学的及び電子的特性)により、健康及び農業における幅広い応用が可能である。ホエーで製造された金属又は金属酸化物ナノ粒子は、これらの官能基と、エチレングリコール法のような他の方法からの有害な残留物が無いこととによって、本質的に生体適合性である。in vivoにおいて、生体適合性ナノ粒子は、このような有毒な残留物がないことから、有毒な反応を引き起こさないであろう。
いくつかの実施形態において、金属(酸化物)ナノ粒子は、その表面上にホエー熱分解又は焼成生成物から選択される有機化合物又は官能基を含む。ホエー熱分解又は焼成生成物のこのような有機化合物/官能基は、アルキルニトリル、ベンジルニトリル、スルフヒドリル/ジスルフィド、フェノール、ベンゼンアルキルニトリル、トルエン、フルフラール、2,5-ジメチルフラン、レボグルコセノン、レボグルコサン、3-メチルペンタン酸、5-メチル-2-フランカルボキシアルデヒド、アセトアミド、ピコリンアミド、3-ピリジノール、インドール、硫黄基、チオール基を含み得る。
通常、ホエーを用いた製造プロセスにより製造される金属(酸化物)ナノ粒子は、ホエータンパク質又はホエーの代わりにエチレングリコールを用いた場合等の従来の方法により製造される白色の金属酸化物ナノ粒子とは異なり、灰色である。この灰色は審美的なものではなく、ホエーベースの製造方法とそれがナノ粒子構造に与える影響、特に粒子表面上の有機化合物又は官能基の存在との結果である。特定の実施形態において、外観は、カラーコード#eeeeee又はRGB(238,238,238)又はより暗い、例えば#e0e0e0又はRGB(224,224,224)に従う。別のカラースケールでは、好ましくは、色は、RAL9003又はより暗い(RGB(236,236,231)又はより暗いものに相当)。好ましくは、RGBスケールの3色(赤、緑、青)の色値はほぼ同じであり、例えば、互いの10%以下の範囲内、例えば、互いの5%以下の範囲内である。
本発明の組成物は、粉末として、例えば、乾燥粉末として提供され得る。他の組成物は、流体、例えば、水性媒体中の懸濁液として提供され得る。
好ましくは、組成物は、複数のナノ粒子、例えば1000個以上のナノ粒子、例えば10000個以上のナノ粒子を含む。
ナノ粒子又は組成物は、様々な用途、例えば、衛生製品、例えば抗微生物剤としての用途;生物医学において、例えば生体マーカー;特に化粧品、例えば日焼け止め中のZnO及びTiO;化学において、例えば触媒として使用することができる。例えば、ZnOは、3.37eVという広いバンドギャップ、大きな結合強度、及び室温での大きな励起子結合エネルギー(60meV)により、短波長のオプトエレクトロニクス用途における魅力的な半導体材料である。広いバンドギャップ材料として、ZnOは、レーザ開発を含む、固体の青色~紫外(UV)オプトエレクトロニクスに用いられる。さらに、ZnOは、その非中心対称な結晶相により、デバイス、例えば電磁結合センサ及びアクチュエータの製造に非常に有用な圧電特性を示す。
金属酸化物材料に依存して、化学組成の変更(ドーピング元素を含ませる)又はナノ粒子サイズの変更のいずれかによってバンドギャップをシフトさせることができる(Fernandez-Garcia and Rodriguez, Metal Oxide Nanoparticles, DOI: 10.1002/9781119951438.eibc0331)。このような変更は、勿論、本発明のナノ粒子にも導入することができる。例えば、閉じ込めを増加させるゲル形成材料(ホエータンパク質及び/又はキレート剤)の濃度を増加させ、上記のように温度を上昇させることによって、サイズを製造プロセスにおいて制御することができる。バンドギャップを変更するために含めることができるドーピング元素は、例えば、Cr、Fe、Ni、Zn等であり、本質的に、それ自体で金属酸化物ナノ粒子を形成するためにも使用され得る任意の他の金属である。このようなドープされた金属酸化物ナノ粒子は、したがって、金属混合物、例えばCrMg、FeMg、NiMg、ZnMg等のナノ粒子である。ドーピング金属は、通常、主金属より低い濃度、例えば金属酸化物ナノ粒子の金属含有量の0.1%~10%、好ましくは1%~8%又は3%~7%(全てmol%)にある。
本発明は、添付の図及び実施例により更に説明されるが、これらの発明の実施形態に限定されない。
比較実施例:
ZnOナノ粒子を、Pechini法(特許文献4;非特許文献1にレビューされている)を用いて合成した。硝酸亜鉛六水和物(Zn(NO・6HO)(Sigma-Aldrich)を用い、予め蒸留水に溶解させた(0.1g/ml)キレート剤としてのクエン酸(CA)(C・HO)(Sigma-Aldrich)と、モル比1:3で混合して、クエン酸亜鉛を調製した。次いで、エチレングリコール(E)(Sigma-Aldrich)を、CA:E=60:40の質量比で、溶液に添加し、クエン酸塩のゲル形成を促進させた。次いで、出発材料を、混合し、均質化し、磁気撹拌しつつ100℃で1時間、ゲル形成まで保持する。試料をオーブン中で200℃に加熱して水分を除去すると、褐色の樹脂が得られる。次いで、樹脂を400℃~800℃の範囲の温度で1時間焼成して、結果物であるZnOナノ粒子を得る。
実施例1:ホエーの入手、処理及び特性評価
Minas Frescal(Carvalho et al., Food Control 18(3), 2007: 262-267)のチーズ製造からの新鮮な液体ホエーを実験室で使用した。得られたホエーは、十分に低温殺菌し、1lのミルクバッグ中で、使用時まで冷凍庫内で凍結保存した。低温殺菌した乳清を、以下の分析を3回決定することにより、物理的及び化学的に特性評価した。
1. Dornic度での酸度(°D)-容量ピペットを用いて10mLの試料を100mLビーカに移し、次いで1%フェノールフタレイン溶液(Neon(商標))5滴を添加し、水酸化ナトリウム溶液(Vetec(商標))N/9を用いて、10mLビュレット又はDornic酸度計を使用してピンク色が現れるまで滴定した。読み取りを行い、結果はDornic度で示され、N/9水酸化ナトリウム溶液の各0.1mlが1°Dに相当する。
2. 電位差計での直接測定によるpH;
3. 乾燥減量(湿度)-オーブン内における105℃での直接乾燥-ホットプレート中で粘度がペースト状になるまで試料を蒸発させた後、予め重さを計った磁器カプセル中で2~10gの試料を秤量した。これを温室中で3時間加熱し、デシケータ中で室温まで冷却した後、一定の重量となるまで加熱及び冷却作業を繰り返して秤量した。計算は、以下の式を用いて行った:
100×N/P=105℃における水分又は揮発性物質 %m/m
(式中、N=湿度グラム数(質量損失(g))、P=試料のグラム数)。
4. マッフル炉内における550℃での灰化による灰分;
5. 15℃における密度;総タンパク質;脂肪;消泡乾燥抽出物;乳糖;添加した水;超音波ミルクアナライザ-Lactoscan SLP(メーカ:Entelbra SA)による氷点及び全固形分;
6. 炭水化物含有量は、試料の総質量(100%)と、湿度、タンパク質、脂肪、灰分等の含有量との差により得た。
Figure 2022547328000001
参考文献:Teixeira and Fonseca, Arquivo Brasileiro de Medicina Veterinaria e Zootecnia 60(1), 2008:243-250;Ministerio da Agricultura Pecuaria e Abastecimento, BRASIL, ''Regulamento Tecnico de Identidade e Qualidade de Soro de Leite,'' Diario Oficial da Uniao, Brasilia, DF, pp. Portaria n° 53, 10 April 2013。酸度及びpHの値は、ホエーについて正常な範囲であることが判明した。酸度及びpHの値は、総細菌数に直接関係しており、というのも、これらの細菌は、乳中に含まれる乳糖を発酵させ、乳酸を形成し、これが酸度を高め、その結果pHを低下させるからである。ホエーの組成は、以下の要素によって変化する可能性がある:製造するチーズの種類、使用する凝固の種類、乳の組成、牛の飼料及びその他。
ホエーは、チーズ製造中の乳脂肪及びカゼインの沈殿から生じる生成物であり、乳量の85%~90%を占めており、乳の栄養素の大部分も保持している。
実施例2:10gのナノ粒子を得るための実験的合成:
酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を、ホエーで支援したゾル-ゲル法を用いて合成した。改良されたタンパク質ゾル-ゲル法において、サイズを制限したゲル化剤としてホエーを使用して、ナノ構造のZnOを得ることに成功した。合成されたナノ粒子は透過型電子顕微鏡検査(TEM)で特性評価した。粒子の直径を測定したところ、そのサイズは20nm~50nmであった。
合成に使用した材料:
73gの硝酸亜鉛(Zn(NO・6HO)
75mLの脱イオン水(HO)
80gのクエン酸(C・HO)
150mLのホエー
ナノ粒子の調製にはゾル-ゲル法を選択したが、これは、この方法が初期試薬を原子レベルで混合でき、良好な再現性を有するからである。また、この方法は化学組成及び該組成における均一な材料の制御が可能であり、検出が困難な不純物が含まれる可能性を低減することができる。ゾル-ゲル法は、金属酸化物ナノ粒子の調製の他の化学的形態に対して一定の利点を有しており、より早い核生成及び成長を提供し、ナノ粉末の大規模な工業的製造に使用することができる。さらに、このプロセスでのホエーの使用は、金属ナノ材料を得るための前駆体の他の高コストな方法よりも有利である。ZnOのナノ粒子は、ホエーを重合剤として用いたゾル-ゲル経路によって合成した。硝酸亜鉛六水和物を用い、予め蒸留水に溶解させた(0.1g/ml)キレート剤としてのクエン酸(CA)と、モル比約1:1.5で混合して、クエン酸亜鉛を調製した。次いで、この溶液にホエーを約1:2のCA:ホエー質量比で添加し、クエン酸塩の重合を促進させた。出発材料を混合して均質化し、磁気撹拌しつつ80℃で1時間ゲル化するまで保持し、その後、褐色で透明な外観を有する安定な樹脂(キセロゲル)を得て、100℃に加熱して過剰の水を除去した。その後、キセロゲルを200℃、400℃、800℃及び1000℃の温度で1時間焼成して、結果物であるZnOナノ粒子を得た。
以下を強調することが重要である:
1.)ホエーが金属イオンを閉じ込めるポリマーマトリクスを提供する。溶液が脱水されるとこれが重合し(Puff形成)、粒子表面を変化させる生物学的由来の化学環境の樹脂を形成する。
2.)ホエーが増粘剤及びゲル化剤として作用し、これがpuffの安定性を向上させる。
本発明の方法に従って得られる酸化亜鉛ナノ粒子のサイズは、温度によって制御される。図2は、透過型電子顕微鏡検査(TEM)により決定された20nm又は50nmのナノ粒子を示す。本発明によれば、環境に優しい合成を用いて、均一性の高い、安定な金属酸化物ナノ粒子を製造することができる。ホエーを使用することにより、安定性が向上する。
ホエーゾル-ゲル法は、結晶ZnOナノ粒子の合成に非常に有効であることが証明された。本研究により、ホエーが、良好な結晶性、高い純度、結晶サイズの制御、及び環境に優しい合成を備えた、ZnOナノ粒子を調製するためのエチレングリコールに代わる有用なキレート剤であることが確認された。このナノ粒子組成物は、灰色の外観、すなわちカラーコード#e0e0e0(RGB:224,224,224)を有していた。
実施例3:他の試薬との比較におけるホエーの効果
表2は、異なる試薬を比較した、ZnO試料に関する平均粒子サイズを表す。ホエーはエチレングリコール(EG)よりも効率よく、より小さな粒子を得る。
Figure 2022547328000002
ホエーを使用すると、EGで製造したものと比較して、より小さなナノ粒子が可能である(表2参照)。より広い範囲の異なるサイズのZnO NPを、ホエーを使用して、再現性よく製造することができる。ZnOナノ粒子のサイズは、ホエーの温度、pH及び濃度に依存する。その結果、EGで製造したZnO NPと比較して、より大きいバリエーションのバンドギャップが可能である。これは、光吸収スペクトルのバリエーションとして現れる。
エチレングリコールは石油ベースの材料であるが、ホエーは再生可能で持続可能な生成物であるだけでなくチーズ製造の副産物でもある。ホエーを使用することにより、酪農産業からの廃棄物をリサイクルすることができる。ホエーはタンパク質及びショ糖が豊富である。ゾル-ゲル法は、ナノ粒子の合成に選択される方法である。
実施例4:ZnOナノ粒子の特性評価
表3は、異なる温度での焼成により製造したZnO試料についての平均結晶サイズ及び格子定数を表す。TEM:透過型電子顕微鏡検査、XRF:蛍光X線分光法、XRD:X線回折。
Figure 2022547328000003
表4は、異なる温度で焼成したZnOナノ粒子のXRFデータを示す。Ndは検出不能、Trは微量を意味する。
Figure 2022547328000004
図4にZnOキセロゲルの熱重量分析(TGA)及び示差熱分析(DTA)を示す。
図5は、異なる温度で焼成したZnOナノ粒子のXRDパターン(結晶構造)を示す。図6は、200cm-1~1000cm-1のスペクトル範囲におけるZnOナノ粒子のラマンスペクトルを表す。図7は、EDSスペクトルを示す。

Claims (16)

  1. 金属塩と、金属キレート剤と、ホエータンパク質又はホエーポリペプチドとを溶媒中で混合すること、加熱すること、及び前記混合物から溶媒を蒸発させてゲルを形成することを含み、これにより前記ゲル中に金属酸化物又は金属ナノ粒子を形成する、金属酸化物又は金属ナノ粒子を製造する方法。
  2. 前記ホエータンパク質は、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、血清アルブミン及び免疫グロブリン、好ましくはラクトアルブミンから選択され、及び/又は前記ホエーポリペプチドが、少なくとも1kDaのポリペプチドを含むα-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、血清アルブミン及び免疫グロブリンの加水分解物から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 還元糖を前記金属塩と混合することを更に含み、好ましくは、前記還元糖は、単糖又は二糖、好ましくは乳糖である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 金属塩と、金属キレート剤と、ホエーとを溶媒中で混合すること、加熱すること、及び前記混合物から溶媒を蒸発させてゲルを形成することを含み、これにより前記ゲル中に金属又は金属酸化物ナノ粒子を形成する、金属又は金属酸化物ナノ粒子を製造する方法。
  5. 前記ゲルを好ましくは焼成によって除去することを更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 還元酵素を更に含み、好ましくは、還元酵素はホエー由来である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記キレート剤は、2価~4価のカルボン酸、好ましくはクエン酸である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記金属酸化物は、式MeOのものであり、Meは金属である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記金属は、亜鉛である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記金属酸化物は、TiO、Co、Fe、Fe、CeO、Ce、LiCoO、LiMn、LiTiOから選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記金属塩は、水溶性であり、好ましくは金属塩化物又は金属硝酸塩である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 複数種の金属酸化物又は金属ナノ粒子を含む組成物であって、前記ナノ粒子は最長寸法において最大200nmの平均サイズを有し、前記ナノ粒子の0.1%未満は、そのサイズが前記平均サイズから50%を超えて逸脱しており、及び/又は前記ナノ粒子は、0.2mol%~1mol%のCa及び0.5mol%~4mol%のKを含む、組成物。
  13. 平均直径は、15nm以下、好ましくは2nm~10nmである、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記ナノ粒子は、その表面にホエー熱分解生成物から選択される有機化合物を含み、好ましくは、前記ホエー熱分解生成物は、アルキルニトリル、ベンジルニトリル、フェノール、ベンゼンアルキルニトリル、トルエン、フルフラール、2,5-ジメチルフラン、レボグルコセノン、レボグルコサン、3-メチルペンタン酸、5-メチル-2-フランカルボキシアルデヒド、アセトアミド、ピコリンアミド、3-ピリジノール、インドール、チオール基、硫黄基である、請求項12又は13に記載の組成物。
  15. 前記ナノ粒子は、カラーコード(16進数コード)で#eeeeee若しくはそれより暗い、又はRGBで(238,238,238)若しくはそれより暗い、又はRALで9003若しくはそれより暗い、灰色である、請求項12~14のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 請求項1~11のいずれか1項に記載の方法によって得られ得る請求項12~15のいずれか1項に記載の組成物。
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