JP2022546573A - 高除去速度の磁気粘性仕上げ用ヘッド - Google Patents
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Abstract
体積除去速度を最大化するように調整された磁極片、ノズル形状およびホイール形状を含む磁気粘性仕上げ用ヘッド。磁気粘性流体のリボン用の担体ホイールは非球面であり、好ましくは、回転軸に直交する短半径および回転軸に平行な長半径を有するトロイドであるが、ホイールの形状は、ホイールの回転軸に平行なあらゆる非球面または自由形態、例えばトロイド形または円筒形であり得る。流体リボンの部域内の磁場強度が均一になるような形で、間に画定されたギャップ全体にわたり実質的に均一な磁場を作り出すように磁極片を成形することによって、磁場が生成される。ノズルは、磁場の幅範囲を網羅する幅を有する流体流を提供するための非円形開口部を有する。新規のMRF除去機能を可能にするのは、これら3つの特徴の組合せである。
Description
本発明は、基材表面の磁気粘性仕上げのためのシステムに関し;より詳細には、相対する磁極片間に配置されかつホイールならびに仕上げ中の基材(「加工物」)の加工表面の間の加工ゾーン(「スポット」)内へおよびこのゾーンを通ってホイールの表面上で磁気粘性流体(MR流体)を搬送する能力を有する回転可能な加工表面(「ホイール」の赤道区分の外側表面)を含む磁気粘性仕上げ用ヘッドであって、MR流体は、電磁石または永久磁石であり得る磁極片が及ぼす磁場を受けることによって「固化(stiffened)」され、材料が、固化されたMR流体による研摩によって基材表面から除去される磁気粘性仕上げ用ヘッドに関し;最も詳細には、回転可能な加工表面が非球形であり、磁極片が実質的に均一な磁場を生成し、MR流体が流体材料の幅広のリボンとして回転可能な加工表面上の加工ゾーンに提供される、このような磁気粘性仕上げ用ヘッドに関する。
基材の研摩仕上げおよび研磨のための磁気的に固化された磁気粘性流体の使用は、周知である。液体担体中に分散した磁気的に軟質の研摩粒子を含有するこのような流体は、磁場の存在下で、磁気的に誘発された塑性挙動を示す。MR流体の稠度がほぼ水のような状態から極めて剛性の高い研摩ペーストの状態へと変化するように、MR流体の見かけ粘度を、磁気により何桁分も増大させることが可能である。このような研摩ペーストが、成形または研磨すべき基材表面、例えば光学素子などに対して適切に向けられた場合、非常に高レベルの仕上げ品質、精度および制御を達成することができる。
Jacobsらに対して1998年8月18日に発行された米国特許第5,795,212号「Deterministic magnetorheological finishing」は、MR流体を用いて加工物表面を仕上げるための方法および装置であって、加工物が担体表面の近くに位置付けされ、こうして加工物表面の一部分と担体表面との間に、収束するギャップが画定されるようになっている方法および装置を開示している。実質的にこのギャップにおいて磁場が適用され、ギャップ内に固化したMR流体の流れが導入され、こうしてMR流体内に加工ゾーンが創出され、それにより、加工物表面の部分において、係合させ、材料除去をひき起こすための、開口部下の過渡的な仕上げ工具が形成されるようになっている。加工物または加工ゾーンは、他方に対して移動させられて、加工物表面の異なる部分を既定の時間、加工ゾーンに対して露出して、加工物表面の部分を選択的に既定の度合いまで仕上げることになる。
Jacobsらに対して1998年11月24日に発行された米国特許第5,839,944号「Apparatus for deterministic finishing of workpieces」は、MR流体を用いて加工物表面を仕上げるための方法および装置であって、加工物が担体表面の近くに位置付けされ、こうして加工物表面の一部分と担体表面の間に、収束するギャップが画定されるようになっている方法および装置を開示している。実質的にこのギャップにおいて磁場が適用され、収束するギャップの中に固化したMR流体の流れが導入され、こうしてMR流体内に加工ゾーンが創出され、それにより、加工物表面の部分において、係合させ、材料除去をひき起こすための、開口部下の過渡的な仕上げ工具が形成されるようになっている。加工物または加工ゾーンは、他方に対して移動させられて、加工物表面の異なる部分を既定の時間、加工ゾーンに対して露出して、加工物表面の部分を選択的に既定の度合いまで仕上げることになる。
Kordonskiらに対して1999年9月14日に発行された米国特許第5,951,369号「System for magnetorheological finishing of substrates」は、基材の磁気粘性仕上げの有効性を増大させるための改良型システムを開示している。加工ゾーンへの磁気粘性流体の流れが一定となることを確実にするため、加圧ポンプの回転速度に対してインライン流量計が閉ループリンクされている。流体送達システム内に、ホイール表面上へのその出口において、簡易毛細管粘度計が配置されている。流量計および粘度計圧力センサからの出力信号が、コンピュータに送られ、このコンピュータが、加工ゾーンに送達されているMRFの粘度を計算し、かつ加工濃縮MR流体への担体流体の補充を発生させて粘度を目標値まで戻し、一定の濃度の磁気固体が確実に加工ゾーンに提供されているようにする。加工ゾーンにある界磁石のための非対称な磁極片が、加工ゾーンの上流側でホイール表面に沿って磁場を拡大して、粘度計の近傍でのフリンジング磁場を最小限に抑えながら、加工物と係合する前にMRFの十分な磁気固化を可能にし、加工ゾーンの下流側でホイール表面に沿って磁場を短縮する。
Jacobsらに対して2000年8月22日に発行された米国特許第6,106,380号「Deterministic magnetorheological finishing」は、MR流体を用いて加工物表面を仕上げるための方法および装置であって、加工物が担体表面の近くに位置付けされ、こうして加工物表面の一部分と担体表面との間に、収束するギャップが画定されるようになっている方法および装置を開示している。実質的にこのギャップにおいて磁場が適用され、収束するギャップの中に固化したMR流体の流れが導入され、こうしてMR流体内に加工ゾーンが創出され、それにより、加工物表面の部分において、係合させ、材料除去をひき起こすための、開口部下の過渡的な仕上げ工具が形成されるようになっている。加工物または加工ゾーンは、他方に対して移動させられて、加工物表面の異なる部分を既定の時間、加工ゾーンに対して露出して、加工物表面の複数部分を選択的に既定の度合いまで仕上げることになる。
Kordonskiらに対して2003年1月14日に発行された米国特許第6,506,102号「System for magnetorheological finishing of substrates」は、水平軸を有する垂直配向のボウル形担体ホイールを含む基材の磁気粘性仕上げ用の改良型システムを開示している。担体ホイールは好ましくは、球形の赤道区分であり、こうして担体表面は球形になっている。ホイールは、回転駆動手段に連結された半径方向円形プレートを含み、このプレートはこのプレートから横方向に延在する球形表面を支持している。平面的なNおよびS磁極片を有する電磁石が、ホイール内部、球の包絡線の内部、好ましくはホイールによって画定された球形区分の包絡線の内部に配置されている。磁石は、約120度の中心ホイール角度にわたり延在しており、こうして、磁気粘性流体が加工ゾーンの手前から加工ゾーンを超えるまで部分的に固化した状態に維持されるようになっている。固化が緩和されるにつれて磁気スクレーパがMR流体をホイールから除去し、コンディショニングおよびホイール上への再押出し加工のためにこのMR流体を従来の流体送達システムに戻す。該システムは、ホイールの縁部を超えて延在しなければならない大きい凹状基材の仕上げにおいて、ならびにホイールの下死点位置において加工ゾーン内で非常に大きい基材を仕上げるために、有用である。
Kordonskiに対して2015年2月3日に発行された米国特許第8,944,883号「System for magnetorheological finishing of a substrate」は、磁気粘性仕上げ用流体を担持し、中心を通ってくり抜かれた円筒形キャビティを伴い一次および二次ギャップにより分離されたNおよびSの鉄磁極片を有する可変場永久磁石システムを収容するために意図された球形ホイールを開示している。シリンダ軸に対し垂直に磁化された円筒形永久磁石が、キャビティ内に回転可能に配置される。アクチュエータが、永久磁石の任意の角度への回転を可能にしており、この回転が、磁極片を通した磁気回路内の磁束の分布を変える。したがって、必要とされる磁場強度を提供するいかなる角度にでも永久磁石を位置付けすることによって、ギャップ内の磁場強度値を制御することができる。磁場は同様に、磁極片の上方を通過してホイール表面の外側でフリンジング磁場を画定することから、可変的磁場がホイール上のMR流体層を通って延在し、こうして、仕上げ制御のために所望され得る通りにMR流体の剛性が変動させられる。
これらの先行技術文献全てにおいて、開示されたホイールは、赤道球形区分であり;磁極片の先端部を成形することによって磁場の形状を調整する方法は開示されておらず;非円形ノズル出口を伴うホイール上の磁気粘性流体リボンの横断部域を成形するための方法および装置は開示されていない。
先行技術の磁気粘性仕上げ用ヘッドには、2つの主要な要因によってもたらされる材料除去速度の限界がある。第1の要因は、ピーク除去速度をもたらす、プロセス中で使用されている流体である。第2の要因は、仕上げ用ヘッドを構成している装置であり、これは、ピークおよび体積除去速度の両方をもたらす。
装置の幾何形状は、除去工具の物理的サイズを制限し、多くの事例において、決定的磁気粘性仕上げプロセスを制限する。詳細には、大きな光学素子の仕上げおよび/または球形表面に対する非球面形状の誘発に焦点をあてた先行技術のプロセスでは、所望の最終的外観に到達するのに何時間も、さらには何日間もの仕上げが必要となる可能性がある。このような場合においては、より強い除去機能を有することで、研磨作業のサイクルタイムを著しく削減する有利な状況が提供される。
先行技術においては、より強い除去機能は、単に球形磁気粘性仕上げ用ホイールの直径を増大させることによって創出されてきたが、多くの場合において、より大きいホイールは不可能であるかまたは実用的でなく、求められる精度で製造するにはコストが非常に高いものでもある。ホイールが大きくなるにつれて、ホイールの振れのためになおも同じ精度が求められ、所望の許容誤差を達成するのが著しくさらに困難になり、かつ費用が高額になる。
除去速度を制御する要因を考慮すると、ホイールの移動方向とホイールの移動方向に対する横断方向の両方向で加工ゾーンを拡大して、除去速度を加速させなければならない。ホイール半径を増大させることによってスポットを延長できること、およびホイールと基材加工物の間でスポットをより深くすることによりピーク除去速度を加速させることができること、は公知である。先行技術では知られていなかったのは、好ましくはホイールの半径または他の幾何形状を実質的に増大させることなく、スポットをより広くすることにより体積除去速度をいかに加速させるかである。
当該技術分野において必要とされているのは、基材材料の体積除去速度を最大化する調整された磁場、ノズル形状およびホイール形状を有する磁気粘性仕上げ用ヘッドである。
磁気粘性仕上げ用ヘッドは、特定的に成形された相対する先端部を有する磁極片;非円形ノズル形状;ならびに、体積除去速度を最大化するための非球形ホイール形状および表面を含む。MR流体リボン用の担体ホイールは非球形であり、好ましくは、ホイールの回転軸に平行な軸を中心とする短半径およびこの回転軸に直交する軸を中心とする長半径を有するトロイドの赤道区分であるが、ホイールの形状は、例えばトロイド形または円筒形など、ホイールの回転軸に対して平行な回転軸を有する任意の非球面または自由形態の形状であってよい。磁極片の先端部を成形して、先行技術のギャップよりも大きい、それらの間に画定されるギャップ全体にわたってフリンジング磁場を創出して、リボンの幅全体にわたり磁場強度を有用な強度値に維持することによって、調整された磁場が生成される。磁石は、電磁石または永久磁石のいずれでもあり得るが、典型的には、先行技術の場合のように電磁石が利用される。ノズルは、磁場の範囲を網羅する幅で流体流を提供するため、非円形開口部を有する。MRF除去機能の最大限の増大を可能にするのは、これら3つの特徴の組合せであるが、これらの特徴を単独でまたはペアとして用いた場合でも、先行技術のものに比べて有意なMRF除去機能の増大を提供することができる。
本発明は、先行技術のシステムに比べて少なくとも4倍高い材料除去速度のために有利な状況を創出する。
システムは、大型の基材上で低次の外観補正を行ない、非球面生成などの光学表面に対する形状変化を導入するために特に有用である。
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の好ましい実施形態の図面および詳細な説明を考慮することで、当業者にとって明白になる。
ここから、例として、添付図面を参照して、本発明について説明する。
図1および6を参照すると、先行技術の磁気粘性仕上げ用ヘッド10の一部分は、仕上げ表面18を有する赤道球形仕上げ部分16を支持するディスク状の中央部分14を有する仕上げ用ホイール12を含んでいる。ホイール12は、精密軸受22a、22b内に担持された心棒20上で回転するように組付けられている。心棒20は電動機システム(図示せず)によって回転軸30を中心にして駆動される。仕上げ部分16の下方およびこれに隣接して、かつディスク状の中央部分14の相対する側に、好ましくは同一であるが、反対の極性の、すなわちNとSとの第1および第2の磁極片24a,24bがある。これらの磁極片は、典型的には、互いから既定の第1の離隔距離のところに設定された平面的な相対する面26a、26bを有している。磁極片24a,24bは電磁石であってもよいし永久磁石であってもよい。
電磁石が励磁されると、フリンジング磁場(図示せず)が仕上げ部分16を通ってかつこの仕上げ部分の上方に形成され、ここで表面18上に担持されているMR流体リボン17がペーストの稠度まで固化させられる。仕上げすべき基材21は、例えば図6に示されているレンズは、典型的には自軸23を中心として回転するように、ホイール表面上方で、入来するMR流体リボンの厚みより小さいホイールからの距離のところに位置付けされ、こうして収束するギャップを創出し、加工ゾーンまたは「スポット」19を形成し、ここで、加工ゾーン19内に配置された基材21の研摩仕上げが実施される。収束ギャップの寸法は、具体的仕上げ用途の要件に応じて変動させられる可能性がある。図6において、加工ゾーンに入るリボンの高さはRHであり、リボン内への加工物の突入深さはDであり、加工物とホイール表面との間の、結果として得られるギャップGが加工ゾーン19の厚みである。
ここで図2a、2b、6、8および9~13を参照すると、より幅広で長い加工ゾーンを形成するための改良型磁気粘性仕上げ用ヘッド110は、磁極片124a、124bの上部のコーナーが図示されているように修正されているという点を除いて、図1に示されている先行技術の磁気粘性仕上げ用ヘッド10と実質的に同一である。好ましくは上部のコーナーは、図2a、10および13中に示されているように丸味が付いている128a、128bであるか、または、図9および12に示されているように傾斜が付いた126a,126bおよび226a,226bであり、例えば円錐形、ある半径で湾曲したもの、または自由形態など、任意の所望の形状を有し得る。磁極片124a、124b間の離隔距離および半径の実際値は、いずれかの特定の利用分野のために具体的サイズの加工ゾーンを形成するために要求される通りに選択されてよい。丸味のあるまたは傾斜の付いた形状を提供することによって、結果として、図1に示された先行技術の磁極片配設によって形成されるものよりも実質的に大きい幅全体にわたって、横方向均一性を有するフリンジング磁場40、240をもたらすことができることが分かった。好ましくは、湾曲形状128a、128bは、仕上げ用ホイール表面の形状に関して以下で示される等式にしたがったトーラス、詳細には、管の中心からトーラスの中心までの距離が管の半径よりも大きいリングトーラス、の部分として形成される。
さらに、上述の通りの改良型磁気粘性仕上げ用ヘッド110を参照すると、仕上げ表面118を有する仕上げ部分116が、非球体、好ましくは回転軸130に直交する短半径119とこの回転軸と一致する長半径とを有するトロイドとして形成されているが、ホイールの形状は、例えばトロイド形または円筒形(無限長半径を伴うトロイド)など、ホイールの回転軸130に対して平行な任意の非球面または自由形態であってよい。この幾何形状の1つの利点は、それが、工具全体のサイズ、すなわちホイール直径の有意な増加無しに、より大きな除去機能を可能にするという点にある。別の利点は、トロイド形ホイールが、先行技術の球形ホイールが必要とする流体の体積を増大させることなく、除去機能をさらに広くすることができる、という点にある。この特徴は、等価の結果を達成するためのより高い流量およびより大きな圧送システムに対するニーズを削減する一助となる。
図2a、8aおよび8bを参照すると、表面118を有する仕上げ用ホイール116は、球形以外の回転表面としてより一般的に定義され得る。図8a、8bは、3次元形状144を形成するために第2の半径R2を中心にして回転させられている、第1の半径R1を有する理想的形状142を示しており、ここでR1およびR2は、ホイール表面118上にそれぞれの直角に交差する円弧A1およびA2を創出する。(R1=R2である場合、ホイール表面は、先行技術の場合のように球形であることに注意せよ)。最も単純な形態においては、形状142は円であり、形状144はトーラスであるが、R2の周りを回転できる表面を画定するために、より高次の多項式または他の等式を使用し得る場合がある。より高い除去速度のためには、R1はR2よりもはるかに大きくなければならない。これらの値は、次の2つの要因に基づいて選択され得る:1)ホイールの幾何形状が加工物(詳細には凹状の光学素子)の幾何形状と干渉するのを回避するための光学素子の形状、および2)所与のMRF流量について、半径R2が大きくなればなるほど、除去機能は広く(したがって大きく)なる。
明示的形態では、ホイールの幾何形状は、以下の式で表現され得る:
z=f(x,y)=Ry±√[Ry-g(x))2-y2]
式中、g(x)は、生成曲線であり、zはホイールの代数的形状である。
z=f(x,y)=Ry±√[Ry-g(x))2-y2]
式中、g(x)は、生成曲線であり、zはホイールの代数的形状である。
トーラスについて:
g(x)=Rx{1-√[1-(x/Rx 2)]}
式中、g(x)は半径Rxの円である。
g(x)=Rx{1-√[1-(x/Rx 2)]}
式中、g(x)は半径Rxの円である。
図3~5を参照すると、本発明は、仕上げ表面118上に形成されたMRFリボンに対する形状変更を必要としている。先行技術のMRFリボンは、規定の内径の丸いノズル出口を用いて創出される。直径3mm、横断面積7.3mm2の先行技術の出口ポートから押出された場合、典型的なリボン形状は丸形である。
除去機能(加工ゾーン)のサイズを増大するためには、その幅を増大させる必要がある。より広い除去機能には、MRFリボン150が加工ゾーン、典型的にはホイールの上死点位置に達する前に、横方向に展延され、除去機能の幅を網羅する部域を横断してホイール上に注入されるMRF流が必要である。したがって、ノズル出口が非円形であり、好ましくはスロットとして成形されている場合には、MR流体はホイールに接する前に展延させられて、より広い除去機能を可能にする。
ノズルアセンブリ132は、ハウジングブロック136内に進入させられハウジングブロック136内部の分配装置138で終結している補給管134を含んでおり、これにより生成すべきMRFリボンが所望の幅で形成され、出口スロット140で終結している内部スロット内に排出している。現在好ましい実施形態においては、出口スロット140は、幅約19mm、高さ約0.9mmであり、結果としてアスペクト比は20より大きい。この設計の断面積は17.8mm2であり、同じ送達圧力で動作させられた場合、先行技術のノズルの流量のほぼ2.5倍を計容する。ホイールと基材の間のより大きい部域を充填することによって、より広い除去機能を生成するには、流量の増加が求められる。好ましくは、コーナーにおける滞留ゾーンおよび望ましくない流体の蓄積を回避するために、スロットの端部には丸味が付けられる。
明らかに、具体的な仕上げ利用分野のために必要に応じて、他のスロット形状および寸法を選択することも可能であり、例えば、連続したスロットではなくむしろ一連の排出孔により「スロット」を形成してもよく、あるいはスロットは高さが均一でなくてもよい。
リボンの高さおよび幅は、押出し後にホイール上で操作可能である。ホイール上への流体噴流の入射角は、リボンの幅に影響し得る:ノズル押出し角度が接線方向から垂直方向に向かって増大するにつれて、リボンはホイール上で横方向に展延する傾向をもつ。流体噴流速度がホイールの接線方向速度と整合する「流れ整合」値を超えてホイール速度を増大させると、流体は、引き延ばされ、結果としてリボンの横断面積は減少する。リボンを展延することのメリットにより、オペレータは、リボンの全体的高さおよび図6中に示された寸法を管理して、広い除去機能を達成することができるようになる。流体リボンが磁場によってひとたび励磁されると、リボンの幅を横断して、研摩境界層19(加工ゾーン)が生成される。
好ましくは、加工ゾーン内に入るときの仕上げ用ホイール上の磁気粘性流体リボンの高さは1.20mm~1.56mmであり、磁気粘性仕上げ用ヘッドが仕上げる加工物の、前記磁気粘性流体リボン内への突入深さは0.60mm~0.81mmであり、加工物と仕上げ用ホイールの間のギャップは0.60mm~0.75mmである。
図3および7は、ホイール表面118上に配置された幅W、厚みRHのリボン150を示す。
ここで図11を参照すると、先行技術の平面的に対面する磁極片26a、26bを、図1に示されている標準的離隔距離よりもさらに離して移動させるだけであれば、横方向に不均一で中心部において幾分か弱くなっていて、結果として望ましくない二峰性の除去機能をもたらす磁場140が、加工ゾーン内に創出されるということが分かる。代替的には(図9、12および14)、円錐面226a、226bなどで磁極片に傾斜を付けると、結果として、わずかに低い磁場強度を有する、かなり均一な磁場240が全体的にもたらされる。ここで、図10、13および14を参照すると、磁極片124a、124b上にRを設けることで、結果として、より高い磁場強度を有する、かなり均一な磁場40が全体的にもたらされる。
ここで図14を参照すると、図11~13中において以上で開示された条件について、ホイール表面の直ぐ上方の理想的磁場が示されている。
ここで図15および16を参照すると、図2aで示されている本発明に係る磁気粘性仕上げ用装置によって達成可能な加工ゾーンスポット155と比較して、先行技術の加工ゾーンスポット55(図15)が示されている。直径150mmの球形ホイールによる典型的な先行技術のスポット55は、約4.0mmの幅60と約10.0mmの長さ70を有し、したがって約40.0mm2の加工部域を有し、一方、改良型スポット155は、約18.0mmの幅160および約21.0mmの長さ170を有し、したがって約378.0mm2の加工部域を有し、先行技術のスポットに比べて何倍もの除去速度を提供することができる。
したがって、本発明は3つの新規要素、すなわちa)丸味のある上部のコーナーを有する磁極片、b)非球形、好ましくはトロイド形のホイール仕上げ表面、およびc)非円形出口を有するMRF適用ノズルを含む。MRF除去機能の最大の増加を可能にするのはこれら3つの特徴の組合せであるが、これらの特徴は、単独でまたはペアでこれらの特徴を用いて、先行技術のものに比べてMRF除去機能の有意な増加を提供することが可能である。
本発明の原理を具体化する構造および方法に対して、さまざまな変更を加えることが可能である。以上の実施形態は、限定的な意味合いではなく例示の意味で明記されたものである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
Claims (11)
- a)非球形仕上げ表面を有する回転可能な仕上げ用ホイール;
b)前記仕上げ用ホイールの内部に配置され、相対する面を有し、コーナーを有する相対する極性の第1および第2の磁極片であって、前記仕上げ表面に最も近い前記相対する面の前記コーナーが、円錐形、傾斜付き、トロイド形、放射状および自由形態からなる群から選択された形状を有する第1および第2の磁極片;ならびに
c)非円形出口で終結しているノズルアセンブリ
を含む、磁気粘性仕上げ用ヘッド。 - a)非球形仕上げ表面を有する回転可能な仕上げ用ホイール;
b)前記仕上げ用ホイールの内部に配置され、相対する面を有する、相対する極性の第1および第2の磁極片であって、前記仕上げ表面に最も近い前記相対する面の前記コーナーが、円錐形、傾斜付き、トロイド形、放射状および自由形態からなる群から選択された形状を有する第1および第2の磁極片;ならびに
c)非円形出口で終結しているノズルアセンブリ
という3つの要素のうちのいずれか1つを含む、磁気粘性仕上げ用ヘッド。 - a)非球形仕上げ表面を有する回転可能な仕上げ用ホイール;
b)前記仕上げ用ホイールの内部に配置され、相対する面を有し、コーナーを有する相対する極性の第1および第2の磁極片であって、前記仕上げ表面に最も近い前記相対する面の前記コーナーが、円錐形、傾斜付き、トロイド形、放射状および自由形態からなる群から選択された形状を有する第1および第2の磁極片;ならびに
c)非円形出口で終結しているノズルアセンブリ
という3つの要素のうちのいずれか2つを含む、磁気粘性仕上げ用ヘッド。 - 前記非球形仕上げ表面の形状が、トロイド形、円筒形および自由形態からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気粘性仕上げ用ヘッド。
- 前記磁極片が、電磁石および永久磁石からなる群から選択された磁気システムの構成要素である、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気粘性仕上げ用ヘッド。
- 前記仕上げ表面の上方に形成された磁場が、前記磁場の縁部から縁部まで実質的に均一である、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気粘性仕上げ用ヘッド。
- 前記非円形出口がスロットである、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気粘性仕上げ用ヘッド。
- 前記回転可能な仕上げ用ホイールが、以下の式:
z=f(x,y)=Ry±√[(Ry-g(x))2-y2]
にしたがって形成され、式中、g(x)は生成曲線であり、zは前記回転可能な仕上げ用ホイールの代数的定義である、請求項1のいずれか一つに記載の磁気粘性仕上げ用ヘッド。 - 前記第1および第2の磁極片が、励磁されたときに前記回転可能な仕上げ用ホイール上で所望の幅にわたり均一なフリンジング磁場が形成されるように、形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気粘性仕上げ用ヘッド。
- 前記ノズルアセンブリが、それから押出される磁気粘性流体のリボンが前記リボンの縁部から縁部まで均一の厚みを有しているように、形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気粘性仕上げ用ヘッド。
- 前記ノズルアセンブリの前記非円形出口が、スロット、丸味のある端部を有するスロットおよび複数の孔からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気粘性仕上げ用ヘッド。
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