JP2022545798A - 振動分光法による抗原回収および標的回収進行量の評価 - Google Patents

振動分光法による抗原回収および標的回収進行量の評価 Download PDF

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Abstract

本開示は、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用して、マスキング解除プロセス(例えば、抗原回収プロセスおよび/または標的回収プロセス)に供された生物学的検体のマスキング解除状態を定量的に判定するための自動化されたシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンは、潜在構造回帰モデルへの投影に基づく機械学習アルゴリズムを含む。いくつかの実施形態では、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンは、ニューラルネットワークを含む。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年8月28日に出願された米国特許出願第62/892,688号の出願日の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本願発明の一実施例は、例えば、振動分光法による抗原回収および標的回収進行量の評価に関する。
免疫組織化学的(IHC)スライド染色は、組織切片の細胞内のタンパク質を特定するために利用可能であるため、生体組織内の癌性細胞や免疫細胞など、異なる種類の細胞の研究に広く使用されている。したがって、IHC染色は、免疫反応研究のために、癌性組織における免疫細胞(T細胞やB細胞など)の差次的に発現するバイオマーカーの分布と局在を理解するための研究に使用されることができる。例えば、腫瘍は、免疫細胞の浸潤物を含んでいることが多く、これは、腫瘍の発生を妨げたり、腫瘍の増殖を促進したりする場合がある。
インサイチュハイブリッド形成(ISH)が使用されて、顕微鏡で見ると形態学的に悪性であるように見える細胞内に特異的に遺伝子を生じさせる癌の増幅などの遺伝的異常または状態の存在を探すことができる。インサイチュハイブリッド形成(ISH)は、標的遺伝子配列または転写物に対してアンチセンスである標識DNAまたはRNAプローブ分子を使用して、細胞または組織試料内の標的核酸標的遺伝子を検出または局在化する。ISHは、スライドガラスに固定化された細胞または組織試料を、細胞または組織試料内の所与の標的遺伝子に特異的にハイブリッド形成することができる標識核酸プローブに曝露することによって実行される。複数の異なる核酸タグによって標識された複数の核酸プローブに細胞または組織試料を曝露することにより、いくつかの標的遺伝子を同時に分析することができる。異なる発光波長を有する標識を利用することにより、単一の標的細胞または組織試料に対して単一のステップで同時多色分析が実行されることができる。
薄い組織切片は、組織試料に関する代表的な情報を得るために組織学において使用される。薄い切片の質は、試料の切除が行われた組織領域全体を適切に表すために、いくつかの特徴を満たすべきである。ガイドラインは、組織の種類および使用によって異なることができるが、薄い切片のサイズは、一般に、2μm未満であるべきではない。典型的には、組織切片は、2から5μmの範囲で調製され、適切なさらなる処理を可能にするために、薄い切片の側方範囲にわたって厚さが50%を超えて変化してはならない。
組織および細胞試料の固定は、試料の形態および生体分子の空間分布が保存されるのを確実にし、したがって病理学者による診断を可能にするのを助けるために使用される。試料の固定は、中性緩衝ホルマリン(NBF)を使用して日常的に達成される。NBF中のホルムアルデヒドは、試料中のタンパク質および核酸上の反応性基間に架橋を形成することによって組織および細胞の形態を保存し、これらの架橋は、検出不能な状態にされた分子の特定の部分をもたらすことができると考えられる。例えば、ホルムアルデヒドは、主に、タンパク質中の第一級アミン基を、タンパク質またはDNA中の他の近くの窒素原子と-CH-結合を介して架橋することによって、組織または細胞を保存または固定する。しかしながら、組織固定のプロセスは、診断および予後の目的のために検出が望ましい特定のタンパク質上の抗原をマスキングすることが多い。したがって、免疫組織化学処置およびインサイチュハイブリダイゼーション処置では、多くの場合、タンパク質抗原または核酸標的を抗体またはプローブなどの検出試薬にアクセス可能にするマスキング解除プロセス(IHCおよびISHについてそれぞれ「抗原回収」または「標的回収」としても知られる)が使用される。
ホルマリン固定の効果を逆転させ、固定された生物学的試料中の抗原および標的へのアクセスを提供するために、様々な方法が使用される。1つの伝統的な方法は、組織を開いて抗体が抗原にアクセスすることを可能にするタンパク質分解酵素で組織を処理することを含む。いくつかの特異的抗体について、この方法は、好ましい抗原回収手順であるが、いくつかの制限を被る。タンパク質分解酵素は、組織タンパク質を分解するため、抗体が認識するタンパク質中の特異的エピトープを破壊する危険性が大きく、抗原性が回収されるのではなく失われる可能性がある。さらにまた、長期のタンパク質分解処理は、タンパク質の三次元構造を失わせる可能性があり、これは抗体-抗原認識にとっても重要である。これらの要因は、明らかに、インキュベーション時間による厳密な制御を必要とする。しかしながら、必要なインキュベーション時間は、酵素の活性に依存することがある。
タンパク質分解標的回収の効率に影響を及ぼす別の因子は、組織の固定の長さである。組織中の架橋度は、固定時間とともに増加すると考えられ、したがって、72時間固定された組織は、24時間固定された組織よりも長いタンパク質分解処理を必要とする。しかしながら、多くの場合、固定時間に関する情報は利用することができず、その場合、酵素インキュベーション時間において対応する調整を行うことができない。
根本的に異なる方法は、熱誘導抗原回収を含む。高温は、アルデヒド誘導修飾の加水分解を促進し、放出されたアルデヒドは、水に希釈され、したがって、それがタンパク質と再び反応するのを防ぐ。ホルムアルデヒド架橋抗原の免疫反応性を回収するための別の方法は、試料の熱または高エネルギー処理を使用する熱処理を含む。そのような方法は、例えば、米国特許第5,244,787号明細書に記載されており、ホルムアルデヒド固定組織調製物は、水に浸漬され、マイクロ波エネルギーに供される。ホルムアルデヒド固定組織から抗原を回収するためのさらに別の方法は、Norton,1994.J.Pathos.173(4):371-9およびTaylorら、1996.Biotech Histochem 71(5):263-70に記載されているように、マイクロ波と組み合わせたまたはオートクレーブの形態での圧力釜の使用である。
純粋な蒸留水に加えて、トリス、尿素、EDTA、クエン酸塩および生理食塩水緩衝液を含む多くの試薬が抗原回収のために日常的に使用されている。さらにまた、多くの溶液は、界面活性剤を含有し、選択は、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤の双方を含む。染色増強の分野における広範な研究にもかかわらず、その後の全ての免疫組織化学的手順または免疫細胞化学的手順で機能する普遍的な方法または試薬は特定されていない。
抗原回収は、IHCに基づく検出によって検出されることができるようにタンパク質エピトープをマスキング解除するため、現代の免疫組織化学の中心となっている。同様に、標的回収は、ISHに基づく検出のための核酸のマスキング解除において重要である。タンパク質エピトープおよび核酸のマスキング解除の正確なメカニズムは、推測的なままであるが、ホルマリン固定パラフィン包埋組織において抗原および核酸を検出することを可能にする重要な化学プロセスである。したがって、マスキング解除は、癌バイオマーカーなどのバイオマーカーを検出する際に根本的に重要である。さらに、組織がマスキング解除された程度は、検出されたタンパク質および/または核酸発現レベルに有意に影響を及ぼすことができる。今日まで、マスキング解除プロセスの質またはマスキング解除プロセスが実行される程度を測定する分析方法は存在しない。
この重要且つ満たされていない必要性を満たすために、出願人は、生物学的検体に由来する取得されたスペクトルデータ内の特徴を識別し、それらの識別された特徴に基づいて、生物学的検体のマスキング解除状態を予測するシステムおよび方法を開発した。いくつかの実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、取得されたスペクトルデータ内の「マスキング解除シグネチャ」を識別し、その識別されたマスキング解除シグネチャに基づいて予測されるマスキング解除状態を計算する。出願人は、生物学的検体の分子組成の変化(例えば、組織の生体構造の変化および/またはそれらの認識部位の立体配座変化に基づく免疫認識部位の利用可能性)が、取得された生物学的検体の振動スペクトルデータに現れることがあり、振動スペクトルデータのシフトが、生物学的検体のマスキング解除状態(例えば、マスキング解除時間、マスキング解除温度など)を予測するために利用されることができることを実証している。
上記を考慮して、出願人は、生物学的検体のマスキング解除状態の定量的および/または定性的予測を有利に可能にするシステムおよび方法を提供する。例えば、システムおよび方法は、生物学的検体のマスキング解除の程度の定量的決定を容易にし、マスキング解除の程度は、任意のマスキング解除プロセスの条件(例えば、温度、持続時間、使用される試薬、圧力、熱以外の導入されたエネルギーの存在、またはそれらの任意の組み合わせ)に対応することができる。出願人は、本明細書において、開示されたシステムおよび方法が生物学的検体のマスキング解除状態を正確に予測することができることを実証するだけでなく、システムおよび方法が様々な組織タイプ(例えば、乳房組織、扁桃組織)に対して正確な予測を行うことを可能にすることを実証している。したがって、本開示のシステムおよび方法は、任意の種類の組織または細胞検体に適用可能である。さらに、出願人は、本開示のシステムおよび方法が抗原回収プロセスおよび標的回収プロセスの双方に適用可能であることをさらに実証している。全体として、出願人は、開示されたシステムが、例えば機械学習アルゴリズムまたは他の自動化アルゴリズムなどの特定のアルゴリズムを使用することによって生物学的検体のマスキング解除状態の迅速且つ正確な予測を可能にし、最終的には改善されたIHCおよび/またはISHアッセイ結果および患者ケアを提供することを提出する。
上記を考慮して、本開示の第1の態様は、マスキング解除プロセスにおいて処理された試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測するシステムであって、(i)1つ以上のプロセッサと、(ii)1つ以上のプロセッサに結合された1つ以上のメモリであって、1つ以上のプロセッサによって実行されると、システムに、(a)試験生物学的検体から試験振動スペクトルデータを取得することであって、試験スペクトルデータが、生物学的検体の少なくとも一部から導出される振動スペクトルデータを含む、取得することと、(b)訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用して、取得された試験スペクトルデータからマスキング解除特徴を導出することと、(c)導出されたマスキング解除特徴に基づいて、試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測することと、を含む、動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を記憶する1つ以上のメモリと、を備える、システムである。いくつかの実施形態では、マスキング解除プロセスは、抗原回収プロセスである。いくつかの実施形態では、マスキング解除プロセスは、標的回収プロセスである。
いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、予測されるマスキング解除の持続時間または予測されるマスキング解除の温度のうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、予測されるマスキング解除の持続時間および予測されるマスキング解除の温度の双方を含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、組織の質の推定値をさらに含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジンは、1つ以上の訓練スペクトルデータセットを使用して訓練され、各訓練スペクトルデータセットは、複数の別個にマスキング解除された訓練組織試料から導出された複数の訓練振動スペクトルを含み、各訓練振動スペクトルは、1つ以上のクラスラベルを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のクラスラベルは、既知のマスキング解除持続時間、既知のマスキング解除温度、およびマスキング解除状態の定性的評価から選択される。
いくつかの実施形態では、各訓練スペクトルデータセットは、以下によって導出される:(i)訓練生物学的検体を取得することと、(ii)取得された訓練生物学的検体を複数の訓練組織試料に分割することと、(iii)異なるマスキング解除条件下で複数の訓練組織試料の各訓練組織試料をマスキング解除すること。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間およびマスキング解除の温度の双方を変化させることを含む。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除に使用されるマスキング解除剤を変化させることを含む。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除に使用される圧力を変化させることを含む。
いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、複数の正規化および補正振動スペクトルから導出された平均振動スペクトルを含む。いくつかの実施形態では、複数の正規化および補正された振動スペクトルは、以下によって取得される:(i)試験生物学的検体内の複数の空間領域を特定することと、(ii)複数の特定された領域の各個々の領域から振動スペクトルを取得することと、(iii)個々の領域ごとに補正された振動スペクトルを提供するために、各個々の領域から取得された振動スペクトルを補正することと、(iv)各個々の領域からの補正された振動スペクトルを所定の大域最大値に振幅正規化して、各領域の振幅正規化振動スペクトルを提供すること。いくつかの実施形態では、各個々の領域から取得された振動スペクトルは、以下によって補正される:(i)取得された各振動スペクトルを大気効果について補償して、大気補正振動スペクトルを提供することと、(ii)散乱のために前記大気補正振動スペクトルを補償すること。
いくつかの実施形態では、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンは、次元縮小に基づく機械学習アルゴリズムを含む。いくつかの実施形態では、次元縮小は、潜在構造回帰モデルへの投影を含む。いくつかの実施形態では、次元縮小は、主成分分析および判別分析を含む。いくつかの実施形態では、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンは、ニューラルネットワークを含む。
いくつかの実施形態では、システムは、試験生物学的検体が1つ以上の特異的結合実体による標識化に適しているかどうかを評価するための動作をさらに含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、少なくともアミドIバンドの振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約3200から約3400cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約2800から約2900cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約1020から約1100cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約1520から約1580cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。
本開示の第2の態様は、マスキング解除プロセスにおいて処理された試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測するための命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令が、(a)試験生物学的検体から試験スペクトルデータを取得することであって、試験スペクトルデータが、生物学的検体の少なくとも一部から導出される振動スペクトルデータを含む、取得することと、(b)訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用して、取得された試験スペクトルデータからマスキング解除特徴を導出することであって、マスキング解除状態推定エンジンが、複数の別個にマスキング解除された訓練生物学的検体から取得された訓練スペクトルデータセットを使用して訓練され、訓練スペクトルデータセットが、少なくともマスキング解除持続時間およびマスキング解除温度のクラスラベルを含む、導出することと、(c)導出されたマスキング解除特徴に基づいて、マスキング解除プロセスにおいて処理された試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体である。
いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、予測されるマスキング解除の持続時間、予測されるマスキング解除の温度、および組織の質の推定値のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、予測されるマスキング解除の持続時間および予測されるマスキング解除の温度の双方を含む。
いくつかの実施形態では、各訓練スペクトルデータセットは、以下によって導出される:(i)訓練生物学的検体を取得することと、(ii)取得された訓練生物学的検体を複数の訓練組織試料に分割することと、(iii)異なるマスキング解除条件下で複数の訓練組織試料の各訓練組織試料をマスキング解除すること。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間およびマスキング解除の温度の双方を変化させることを含む。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除に使用されるマスキング解除剤を変化させることを含む。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除に使用される圧力を変化させることを含む。
いくつかの実施形態では、訓練生物学的検体は、試験生物学的検体と同じ組織タイプを含む。いくつかの実施形態では、訓練生物学的検体は、試験生物学的検体とは異なる組織タイプを含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除プロセスは、抗原回収プロセスである。いくつかの実施形態では、マスキング解除プロセスは、標的回収プロセスである。いくつかの実施形態では、試験生物学的検体は染色されていない。いくつかの実施形態では、試験生物学的検体は、1つ以上のバイオマーカーの存在について染色される。
いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、少なくともアミドIバンドの振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約3200から約3400cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約2800から約2900cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約1020から約1100cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約1520から約1580cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。
本開示の第3の態様は、マスキング解除プロセスにおいて処理された試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測する方法であって、(a)試験生物学的検体から試験スペクトルデータを取得することであって、取得された試験スペクトルデータが、生物学的検体の少なくとも一部から導出される振動スペクトルデータを含む、取得することと、(b)訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用して、取得された試験スペクトルデータからマスキング解除特徴を導出することであって、マスキング解除状態推定エンジンが、複数の別個にマスキング解除された訓練生物学的検体から取得された訓練スペクトルデータセットを使用して訓練され、訓練スペクトルデータセットが、少なくともマスキング解除持続時間およびマスキング解除温度のクラスラベルを含む、導出することと、(c)導出されたマスキング解除特徴に基づいて、マスキング解除された試験生物学的健太が供されたマスキング解除プロセスの持続時間または温度のうちの少なくとも一方を予測することと、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、マスキング解除プロセスは、抗原回収プロセスである。いくつかの実施形態では、マスキング解除プロセスは、標的回収プロセスである。
いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、予測されるマスキング解除の持続時間および予測されるマスキング解除の温度の双方を含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、組織の質の推定値およびマスキング解除プロセス中に受けた損傷の推定値のうちの少なくとも1つをさらに含む。いくつかの実施形態では、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンは、潜在構造回帰モデルへの投影に基づく機械学習アルゴリズムを含む。いくつかの実施形態では、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンは、主成分分析および判別分析に基づく機械学習アルゴリズムを含む。いくつかの実施形態では、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンは、ニューラルネットワークを含む。
いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、少なくともアミドIバンドの振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約3200から約3400cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約2800から約2900cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約1020から約1100cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。いくつかの実施形態では、取得された試験スペクトルデータは、約1520から約1580cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む。
本開示の特徴の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同一の要素を特定するために、全体を通して同様の参照符号が使用されている。
本開示の一実施形態にかかる、画像取得装置およびコンピュータシステムを含む代表的なデジタル病理学システムを示している。 本開示の一実施形態にかかる、試験生物学的試料のマスキング解除状態を定量的または定性的に予測するために、システムまたはデジタル病理ワークフロー内で利用されることができる様々なモジュールを記載している。 本開示の一実施形態にかかる、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用して試験生物学的検体のマスキング解除状態を定量的または定性的に予測する様々なステップを示すフローチャートを記載している。 本開示の一実施形態にかかる、2つの異なる訓練生物学的検体から異なるマスキング解除のための複数の訓練組織試料を取得するプロセスを示している。 本開示の一実施形態にかかる、2つの異なる訓練生物学的検体から取得された複数の訓練組織試料の差次的マスキング解除を示している。 本開示の一実施形態にかかる、訓練生物学的検体の振動スペクトルを取得する様々なステップを示すフローチャートを記載している。 本開示の一実施形態にかかる、試験生物学的検体の平均振動スペクトルを取得する様々なステップを示すフローチャートを記載している。 本開示の一実施形態にかかる、試験生物学的検体および訓練生物学的検体を含む、生物学的検体に由来する取得されたスペクトルを補正、正規化、および平均化する様々なステップを示すフローチャートを記載している。 差次的に回収された組織試料からの中間IRスペクトルの第1の主成分(PC1)対第2の主成分(PC2)のグラフを記載している。実線は、2つの異なる回収条件を分離するための境界線を計算する判別分析からの出力を表している。 主成分の数が増加するPCA+DAの混同行列を記載している。最良の分類精度は、5つの主成分によって達成されると考えられる。 Ki-67に対して生じた抗血清で標識された扁桃組織の例を提供している。扁桃組織のみ画像分析が行われた(左画像の丸部分)。時折、高いバックグラウンドを示したが、他の切片には存在しなかった結合組織が除外された。 識別された複数の領域を有する例示的な組織切片の可視画像を提供している。図は、可視画像内の示された領域から収集され、平均化され、処理され、正規化された振動スペクトルの例をさらに提供している。 中間IR吸収スペクトルを提供し、具体的には、取得された中間IRスペクトル内のタンパク質バンドを示している。 アミドIバンドの一次導関数対バンドのFWHMのピーク位置を記載し、これは、回収されていないスペクトルが他の回収された組織とは有意に異なるスペクトルを有することを明確にしている。 マスキング解除状態推定エンジン、具体的にはPLSR機械学習アルゴリズムを訓練する例を記載している。最初に、モデルは、既知の分類を有する入力振動スペクトルで訓練され、各波長が応答(例えば、マスキング解除時間)に対してどの程度相関する(または反相関する)かにおおよそ対応する各波長に重みを割り当てるモデルが開発される。最後に、モデルは、それがマスキング解除時間をどれだけ正確に予測するかを評価するために訓練された振動スペクトルデータに適用される。 実験的なマスキング解除時間対マスキング解除状態推定エンジンの予測マスキング解除時間を記載している。マスキング解除状態推定エンジンは、「X」データ点で訓練され(精度=2分)、紫の円で示すように盲検スペクトルで性能が評価された(精度=8分)。 時間-温度経過において中IRによってイメージングされた4つの組織の写真を提供している。マスキング解除状態推定エンジンは、一番下の列および右側の組織(3つの組織切片を含む丸で囲んだ部分)で訓練され、マスキング解除状態推定エンジンの予測力は、画像の左上切片(単一の組織切片のみを含む丸で囲んだ部分)の組織で評価された。 盲検扁桃(図13に示される)についてのみ、実験的なマスキング解除温度対予測されるマスキング解除温度(訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用して予測されるものなど)を示している。平均予測精度は、約1.3℃であった。 98.6℃で60分間のいずれかで回収された扁桃試料から導出される連続切片を示している。オーバーレイされた点は、分析のために中間IRスペクトルを収集するために使用されるサンプリングパターンを示している。 140℃で5分間のいずれかで回収された扁桃試料から導出される連続切片を示している。オーバーレイされた点は、分析のために中間IRスペクトルを収集するために使用されるサンプリングパターンを示している。 XおよびY変数の分散を捕捉するためにPLSRモデルにおいていくつの成分が必要とされるかを示すグラフを提供している。 モデルの平均二乗予測誤差(MSPE)が成分の数とともにどのように増加するかを示すグラフを提供している。 訓練セットおよびホールドアウト検証データに対するモデルの性能を示すグラフを提供している。予測誤差は、中間IRスペクトルにおける回収の真のシグネチャを識別した十分に訓練されたモデルを示す双方のタイプのデータについて同一である。 低温回収および高温回収で回収された扁桃試料からの差動バンドを示している。各グラフは、それぞれの中間IR領域における中間IR吸収の可能性のある分子起源で標識されている。 訓練マスキング解除状態推定エンジンが、低温回収と高温回収とを区別することができたことを示しており、これらはまた、C4dについて異なって染色する。 異なるマスキング解除条件間で可視差が観察されるアミドI領域(左列)およびアミドA領域(右列)を中心とする中間IRスペクトル(上列)および中間IR一次導関数(下列)のグラフを提供している。 マスキング解除時間の全ての複製(図21A)およびそれぞれのマスキング解除温度の平均変形(図21B)についての、アミドIバンドの一次導関数対バンドのFWHMのアミドIピーク位置を示している。 マスキング解除時間の全ての複製(図21A)およびそれぞれのマスキング解除温度の平均変形(図21B)についての、アミドIバンドの一次導関数対バンドのFWHMのアミドIピーク位置を示している。 実験的なマスキング解除温度対モデル予測マスキング解除温度を提供している。マスキング解除状態推定エンジンは、「訓練」スペクトルで訓練され、性能は、「ホールドアウト」スペクトルで評価された(精度=2.02℃)。表示される統計は、2テール順位和検定によって決定されたホールドアウトデータ間のみである。 CC1およびCC2に基づく回収後の乳房組織の中間IR吸収スペクトルを提供している。 図23AのCC1およびCC2ベースの胸部組織の平均間の吸収スペクトルの差を提供している。 CC1およびCC2に基づく回収の中間IR一次導関数(A)、中間IR一次導関数の差(B)を提供している。以下の近くを中心としたバンドの拡大図:1200cm-1(C)、2880cm-1(D)およびE)1600cm-1(E)。 CC1およびCC2に基づく回収の中間IR一次導関数(A)、中間IR一次導関数の差(B)を提供している。以下の近くを中心としたバンドの拡大図:1200cm-1(C)、2880cm-1(D)およびE)1600cm-1(E)。 CC1およびCC2に基づく回収の中間IR一次導関数(A)、中間IR一次導関数の差(B)を提供している。以下の近くを中心としたバンドの拡大図:1200cm-1(C)、2880cm-1(D)およびE)1600cm-1(E)。 CC1およびCC2に基づく回収の中間IR一次導関数(A)、中間IR一次導関数の差(B)を提供している。以下の近くを中心としたバンドの拡大図:1200cm-1(C)、2880cm-1(D)およびE)1600cm-1(E)。 CC1およびCC2に基づく回収の中間IR一次導関数(A)、中間IR一次導関数の差(B)を提供している。以下の近くを中心としたバンドの拡大図:1200cm-1(C)、2880cm-1(D)およびE)1600cm-1(E)。 CC1ベースの回収とCC2ベースの回収との間で十分に区別されるいくつかのバンドの拡大図を示している(上列)。この図はまた、(A)1265cm-1、(B)1472cm-1、(C)1664cm-1、および(D)2862cm-1の波数でのCC1およびCC2回収のスペクトルの分布を示している(下列)。 CC1ベースの回収とCC2ベースの回収との間で十分に区別されるいくつかのバンドの拡大図を示している(上列)。この図はまた、(A)1265cm-1、(B)1472cm-1、(C)1664cm-1、および(D)2862cm-1の波数でのCC1およびCC2回収のスペクトルの分布を示している(下列)。 CC1ベースの回収とCC2ベースの回収との間で十分に区別されるいくつかのバンドの拡大図を示している(上列)。この図はまた、(A)1265cm-1、(B)1472cm-1、(C)1664cm-1、および(D)2862cm-1の波数でのCC1およびCC2回収のスペクトルの分布を示している(下列)。 CC1ベースの回収とCC2ベースの回収との間で十分に区別されるいくつかのバンドの拡大図を示している(上列)。この図はまた、(A)1265cm-1、(B)1472cm-1、(C)1664cm-1、および(D)2862cm-1の波数でのCC1およびCC2回収のスペクトルの分布を示している(下列)。 コラーゲンの典型的なFT-IRおよびラマンスペクトルを示している。 生物学的試料の赤外およびラマン特性周波数を示す表を提供している。 生物学的試料の赤外およびラマン特性周波数を示す表を提供している。(図27Aの続き)。
反対に明確に示されない限り、複数のステップまたは行為を含む本明細書において特許請求の範囲に記載される任意の方法において、方法のステップまたは行為の順序は、必ずしも方法のステップまたは行為が記載される順序に限定されないことも理解されたい。
本明細書における「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「例示的な実施形態(an illustrative embodiment)」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことができることを示すが、全ての実施形態がその特定の特徴、構造、または特性を必ずしも含んでも含まなくてもよい。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して記載されている場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性を実施することは当業者の知識の範囲内であると考えられる。
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。同様に、「または」という単語は、文脈が別途明確に指示しない限り、「および」を含むことを意図している。「含む」という用語は、「AまたはBを含む」がA、B、またはAおよびBを含むことを意味するように、包括的に定義される。
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有することを理解されたい。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的であると解釈されるものとする。例えば、要素の数またはリストの少なくとも1つを含むが、複数、および必要に応じて追加のリストに記載されていない項目を含むと解釈される。「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合、「からなる」など、反対に明確に示される用語のみは、数または要素のリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」など、排他権の用語が先行する場合にのみ、排他的な代替案(例えば、「一方または他方であるが双方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。「から本質的に構成される」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は、交換可能に使用され、同じ意味を有する。同様に、「備える(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(has)」などは、交換可能に使用され、同じ意味を有する。具体的には、各用語は、「備える」という一般的な米国特許法の定義と一致して定義されているため、「少なくとも以下」を意味するオープンな用語として解釈され、また、追加の特徴、制限、態様などを除外しないように解釈される。したがって、例えば、「構成要素a、b、およびcを有する装置」は、装置が少なくとも構成要素a、b、およびcを含むことを意味する。同様に、句:「ステップa、b、およびcを含む方法」は、その方法が少なくともステップa、b、およびcを含むことを意味する。さらに、ステップおよびプロセスは、ここにおいて特定の順序で概説され得るが、当業者は、順序付けのステップおよびプロセスが変化し得ることを認識するであろう。
本明細書の明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」という句は、要素のリストの任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも要素のリスト内に具体的にリスト化されているありとあらゆる要素の少なくとも1つを含まなくてもなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が参照する要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定されるそれらの要素に関連するかどうかにかかわらず、必要に応じて存在することができることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて2つ以上のAを含み、Bが存在しない(および必要に応じて、B以外の要素を含む)を指すことができ、別の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて2つ以上のBを含み、Aが存在しない(および必要に応じて、A以外の要素を含む)を指すことができ、さらに別の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて2つ以上のAを含み、少なくとも1つ、必要に応じて2つ以上のBを含む(および必要に応じて、他の要素を含む)を指すことができるなどである。
本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、抗体、抗体類似体(例えばアプタマー)、または抗体断片が結合する物質を指す。抗原は内因性であってもよく、それによって、正常もしくは異常な細胞代謝の結果として、またはウイルスもしくは細胞内細菌感染のために細胞内で生成される。内因性抗原は、異種(非相同)、自己およびイディオタイプまたは同種(相同)抗原を含む。抗原はまた、腫瘍特異的抗原とすることができるか、または腫瘍細胞によって提示されることができる。この場合、それらは、腫瘍特異的抗原(TSA)と呼ばれ、一般に腫瘍特異的変異に起因する。抗原はまた、腫瘍細胞および正常細胞によって提示される腫瘍関連抗原(TAA)とすることができる。抗原はまた、CD抗原も含み、これは白血球によって発現されるいくつかの細胞表面マーカーのいずれかを指し、細胞系統または発達段階を区別するために使用されることができる。そのようなマーカーは、特異的モノクローナル抗体によって同定されることができ、それらの分化クラスターによって番号付けされる。
本明細書で使用される場合、「生物学的検体」、「試料」、または「組織試料」という用語は、ウイルスを含む任意の生物から得られる生体分子(タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物、またはそれらの組み合わせなど)を含む任意の試料を指す。生物の他の例は、哺乳類(人間、猫、犬、馬、牛、および豚などの獣医動物、ならびにマウス、ラット、霊長類などの実験動物など)、昆虫、環形動物、クモ形類動物、有袋類、爬虫類、両生類、細菌、および菌類などを含む。生物学的検体は、組織試料(組織切片や組織の針生検など)、細胞試料(Pap塗抹検体もしくは血液塗抹検体などの細胞学的塗抹検体、またはマイクロダイセクションによって得られた細胞の試料など)、または細胞分画、断片または細胞小器官(細胞を溶解し、遠心分離などによってそれらの成分を分離することによって得られる)を含む。生物学的検体の他の例は、血液、血清、尿、精液、糞便、脳脊髄液、間質液、粘膜、涙、汗、膿、生検組織(例えば、外科的生検または針生検によって得られる)、乳頭吸引物、耳垢、乳、膣液、唾液、ぬぐい液(頬スワブなど)、または最初の生物学的検体に由来する生体分子を含む任意の材料を含む。特定の実施形態では、本明細書で使用される「生物学的検体」という用語は、対象から得られた腫瘍またはその一部から調製された試料(均質化または液化された試料など)を指す。
本明細書で使用される場合、「バイオマーカー」または「マーカー」という用語は、何らかの生物学的状態または状態の測定可能な指標を指す。特に、バイオマーカーは、特異的に染色されることができ、細胞の生物学的特徴、例えば細胞の細胞型または生理学的状態を示すタンパク質またはペプチド、例えば表面タンパク質とすることができる。免疫細胞マーカーは、哺乳動物の免疫応答に関する特徴を選択的に示すバイオマーカーである。バイオマーカーが使用されて、身体が疾患または症状の処置にどの程度よく応答するか、または対象が疾患または症状にかかりやすいかを決定することができる。癌の文脈において、バイオマーカーは、体内の癌の存在を示す生体物質を指す。バイオマーカーは、腫瘍によって分泌される分子、または癌の存在に対する身体の特異的応答とすることができる。遺伝子バイオマーカー、エピジェネティックバイオマーカー、プロテオミクスバイオマーカー、グリコームバイオマーカーおよびイメージングバイオマーカーは、癌の診断、予後診断および疫学のために使用されることができる。そのようなバイオマーカーは、血液または血清などの非侵襲的に収集された生体流体でアッセイされることができる。AFP(肝臓癌)、BCR-ABL(慢性骨髄性白血病)、BRCA1/BRCA2(乳癌/卵巣癌)、BRAF V600E(黒色腫/結腸直腸癌)、CA-125(卵巣癌)、CA19.9(膵臓癌)、CEA(結腸直腸癌)、EGFR(非小細胞肺癌)、HER-2(乳癌)、KIT(消化管間質腫瘍)、PSA(前立腺特異的抗原)、S100(黒色腫)などを含むがこれらに限定されないいくつかの遺伝子およびタンパク質ベースのバイオマーカーが既に患者ケアに使用されている。バイオマーカーは、診断薬(初期癌を同定するため)および/または予後診断薬(癌がどの程度侵攻性であるかを予測するため、および/または対象が特定の処置にどのように応答するかおよび/または癌がどの程度再発する可能性があるかを予測するため)として有用とすることができる。他のバイオマーカーの例が本明細書に開示される。
本明細書で使用される場合、「細胞学的試料」という用語は、試料が細胞試料が得られた対象に存在したときの細胞の空間的関係をもはや反映しないように、試料の細胞が部分的または完全に脱凝集している細胞試料を指す。細胞学的試料の例は、組織擦過物(子宮頸部擦過物など)、細針吸引物、対象の洗浄によって得られた試料などを含む。
本明細書で使用される場合、「免疫組織化学」という用語は、抗原と抗体などの特異的結合剤との相互作用を検出することによって、試料中の抗原の存在または分布を決定する方法を指す。試料は、抗体-抗原結合を可能にする条件下で抗体と接触される。抗体-抗原結合は、抗体にコンジュゲートされた検出可能な標識(直接検出)によって、または一次抗体に特異的に結合する二次抗体にコンジュゲートされた検出可能な標識(間接検出)によって検出されることができる。いくつかの例では、間接検出は、抗原の検出可能性をさらに高めるのに役立つ三次以上の抗体を含むことができる。検出可能な標識の例は、酵素、フルオロフォアおよびハプテンを含み、これらは、酵素の場合、発色性または蛍光発生性基質と共に使用されることができる。
本明細書で使用される場合、「スライド」という用語は、生物学的検体が分析のために配置される任意の適切な寸法の任意の基材(例えば、全体的または部分的に、ガラス、石英、プラスチック、シリコンなどから作製された基材)、より具体的には、標準の3インチ×1インチの顕微鏡スライドまたは標準の75mm×25mmの顕微鏡スライドなどの「顕微鏡スライド」を指す。スライド上に配置されることができる生物学的検体の例は、限定されるものではないが、細胞学的塗抹検体、薄い組織切片(生検からのものなど)、および生物学的検体の配列、例えば、組織配列、細胞配列、DNA配列、RNA配列、タンパク質配列、またはそれらの任意の組み合わせを含む。したがって、一実施形態では、組織切片、DNA試料、RNA試料、および/またはタンパク質は、スライド上の特定の位置に配置される。いくつかの実施形態では、スライドという用語は、SELDIおよびMALDIチップ、ならびにシリコンウェーハを指すことができる。
本明細書で使用される場合、「特異的結合実体」という用語は、特異的結合対のメンバーを指す。特異的結合対は、他の分子への結合を実質的に排除して互いに結合することを特徴とする分子の対である(例えば、特異的結合対は、生物学的試料中の他の分子との結合対の2つのメンバーのいずれかの結合定数よりも少なくとも10-1大きい、10-1大きいまたは10-1大きい結合定数を有することができる)。特異的結合部分の特定の例は、特異的結合タンパク質(例えば、抗体、レクチン、ストレプトアビジンなどのアビジン、およびプロテインA)を含む。特異的結合部分はまた、そのような特異的結合タンパク質によって特異的に結合される分子(またはその部分)を含むことができる。
本明細書で使用される場合、「スペクトルデータ」という用語は、分光計などを用いて、生物学的検体またはその任意の部分から取得された生の画像スペクトルデータを包含する。
本明細書で使用される場合、「スペクトル」という用語は、電磁放射の特定の波長または波数範囲「において」またはその範囲内で得られた情報(吸収、透過、反射)を指す。波数範囲は、4000cm-1ほど大きくてもよく、0.01cm-1ほど狭くてもよい。いわゆる「シングルレーザ波長」での測定は、典型的には、小さなスペクトル範囲(例えば、レーザ線幅)をカバーし、したがって、用語「スペクトル」が本原稿を通して使用されるときはいつでも含まれることに留意されたい。例えば、量子カスケードレーザの固定波長設定での透過測定は、本明細書では、本出願全体を通してスペクトルという用語に含まれるものとする。
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「染色」、「染色している」などの用語は、一般に、生物学的検体中の特定の分子(脂質、タンパク質、または核酸など)または特定の構造(正常または悪性の細胞、細胞質ゾル、核、ゴルジ装置、または細胞骨格など)の存在、位置、および/または量(濃度など)を検出および/または区別する生物学的検体の任意の処理を指す。例えば、染色は、特定の分子または特定の細胞構造と生物学的検体の周囲の部分との間のコントラストを提供することができ、染色の強度は、検体中の特定の分子の量の尺度を提供することができる。染色は、明視野顕微鏡だけでなく、位相差顕微鏡、電子顕微鏡、および蛍光顕微鏡などの他の観察ツールを使用して、分子、細胞構造、および生物の観察を支援するために使用されることができる。システムによって実行されるいくつかの染色は、細胞の輪郭を視覚化するために使用されることができる。システムによって実行される他の染色は、他の細胞成分の染色なしで、または比較的少ない染色で、染色される特定の細胞成分(分子または構造など)に依存することができる。システムによって実行される染色方法のタイプの例は、これらに限定されるものではないが、組織化学的方法、免疫組織化学的方法、および核酸分子間のハイブリッド形成反応などの分子間の反応(非共有結合相互作用を含む)に基づく他の方法を含む。特定の染色法は、これらに限定されるものではないが、一次染色法(例えば、H&E染色、Pap染色など)、酵素結合免疫組織化学的方法、および蛍光原位置ハイブリッド形成(FISH)などの原位置RNAおよびDNAハイブリッド形成法を含む。
本明細書で使用される場合、「標的」という用語は、存在、位置、および/または濃度が判定される、または判定されることができる任意の分子を指す。標的分子の例は、タンパク質、エピトープ、核酸配列、およびタンパク質に共有結合したハプテンなどのハプテンを含む。標的分子は通常、特異的な結合分子と検出可能な標識との、1つ以上の抱合体を用いて検出される。
本明細書で使用される場合、「組織試料」という用語は、試料が得られた対象内に存在した細胞間の断面の空間的関係を保存する細胞試料を指すものとする。「組織試料」は、初代組織試料(例えば、対象によって産生された細胞および組織)および異種移植片(例えば、対象に埋め込まれた外来細胞試料)の双方を包含するものとする。
本明細書で使用される場合、「マスク解除」または「マスキング解除」という用語は、組織診断の分野で一般に使用され、抗原または標的を回収すること、および/または固定組織内の抗原、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸、および/または他の標的の検出を改善することを指す。例えば、そうでなければ検出されない可能性がある抗原部位は、例えば、マスキング解除中に抗原を取り囲むタンパク質架橋の一部を破壊することによって明らかにされることができると考えられる。いくつかの実施形態では、抗原および/または他の標的は、1つ以上のマスキング解除剤、熱および/または圧力の適用によってマスキング解除される。いくつかの実施形態では、1つ以上のマスキング解除剤のみを検体に適用されて、マスキング解除を達成する(例えば、加熱または圧力は必要ない)。他の実施形態では、マスキング解除を達成するために熱のみが加えられる。いくつかの実施形態では、マスキング解除は、水および追加の熱の存在下でのみ行われてもよい。マスキング解除は、米国特許出願公開第2009/0170152号明細書および2009/0104654号明細書に記載されており、それらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。適切なマスキング解除剤の例が本明細書に記載される。
概要
本開示は、生物学的検体のマスキング解除状態を予測するシステムおよび方法を記載する。本明細書で使用される場合、「マスキング解除状態」という用語は、1つ以上のマスキング解除プロセスに供された生物学的検体のマスキング解除状態を指す。マスキング解除状態は、生物学的検体がマスキング解除プロセス中に供された条件に大きく依存すると考えられ、そのような条件は、温度、時間(例えば、マスキング解除プロセスの持続時間)、圧力、マスキング解除を達成するために利用される1つ以上のマスキング解除剤、外部エネルギー(UV、マイクロ波)が検体に供給されたかどうかなどを含む。したがって、マスキング解除状態は、マスキング解除プロセスの程度および/または質に関する洞察を提供し、任意のマスキング解除状態「出力」は、例えば、マスキング解除プロセスの予測持続時間またはマスキング解除プロセスが実行された温度を含むことができる。
上記を考慮して、本明細書でさらに記載されるように、いくつかの実施形態では、予測されるマスキング解除状態は、生物学的検体が受けたマスキング解除プロセスの温度および/または持続時間の定量的推定値を含むことができる。他の実施形態では、予測されるマスキング解除状態は、例えば抗原または標的がマスキング解除されなかったか、部分的にマスキング解除されたか、許容可能にマスキング解除されたか、または完全にマスキング解除されたかどうかなど、マスキング解除プロセスの程度または質の定性的推定値を含むことができる。いくつかの実施形態では、定性的推定値は、例えばマスキング解除されたかまたはマスキング解除されていないというバイナリとすることができる。例として、図15Bを参照すると、約98.6℃/約100℃のデータ点は、「未回収」であるデータ点と見なされてもよく、約140℃/約140℃のデータ点は、「過回収」であるデータ点と見なされてもよい。そのようなデータ点は、マスキング解除状態推定エンジンを訓練するために使用されることができる。
いくつかの実施形態では、生物学的検体のマスキング解除状態は、生物学的検体から取得されたスペクトルデータのマスキング解除特徴の識別に基づいて予測される。いくつかの実施形態では、生物学的検体から取得されたスペクトルデータ内のマスキング解除特徴は、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用して識別される。これらの識別されたマスキング解除特徴に基づいてマスキング解除状態が導出されることができる。いくつかの実施形態では、識別されたマスキング解除特徴は、マスキング解除プロセスの結果としての生物学的検体の組成の立体配座変化に対応する。例えば、組織の生体構造および/または組織内の免疫認識部位の利用可能性に対応するマスキング解除特徴が識別されることができる。免疫認識部位の利用可能性は、タンパク質または核酸の立体配座状態がマスキング解除プロセスの過程で変化するため、タンパク質または核酸の立体配座状態に関連すると考えられる。
本開示はまた、例えばクラスラベルを含む訓練スペクトルデータなどのグラウンドトゥルースデータに基づいてマスキング解除状態の定量的および/または定性的決定を可能にするために、マスキング解除状態推定エンジンを訓練するためのシステムおよび方法を記載する。本明細書でさらに説明されるように。いくつかの実施形態では、訓練スペクトルデータは、差次的にマスキング解除された生物学的検体を含む。
システム
本開示の少なくともいくつかの実施形態は、少なくとも部分的にマスキング解除プロセスに供された生物学的検体から取得されたスペクトルデータを分析するためのコンピュータシステムおよび方法に関し、マスキング解除プロセスは、抗原回収プロセス(抗体プローブなどの特異的結合実体によって抗原部位を認識可能にするために利用されるプロセス)または標的回収プロセス(核酸プローブなどの特異的結合実体によって核酸を認識可能にするために利用されるプロセス)のいずれかとすることができる。本開示によれば、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンが使用されて、試験生物学的検体のマスキング解除状態の定量的および/または定性的推定値を提供することができ、例えば、本開示のシステムは、試験生物学的検体から入力試験スペクトルデータを受信し、次いで、出力として、マスキング解除状態、例えば、マスキング解除温度の定量的推定値、マスキング解除持続時間の定量的推定値、および/またはマスキング解除の程度または質のマスキング解除の定性的推定値を提供することができる。
他の実施形態では、本開示のシステムおよび方法によって提供される出力が使用されて、1つ以上の特異的結合実体の適用前または任意のさらなる下流処理ステップの実施前に、特定の試験生物学的検体が十分にマスキング解除されたかどうかを評価することができる。異なるバイオマーカーは、マスキング解除処理の増加に対して異なる応答を示すことができると考えられる。例えば、本明細書の実施例および図に記載されるように、Ki-67は、染色強度および標識された細胞の数が増加し、その後に強度および陽性が減少する。逆に、C4dは、そうでなければ生物学的検体を損傷するであろうマスキング解除条件下であっても、適用されたマスキング解除プロセスの持続時間を通じて強度および陽性の増加を続ける。したがって、いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、生物学的検体に適用されたマスキング解除プロセスが、下流動作の前、例えばIHCまたはISHプロセスでの染色の前に十分にマスキング解除された検体を提供するかどうかの判定を可能にする。実際に、上記のようなKi-67による染色の文脈において、当業者は、(実験室によって報告されたマスキング解除条件(時間および持続時間)にかかわらず)検体の実際のマスキング解除状態に基づいて生物学的検体の予測されるマスキング解除状態を考慮して、実際のKi-67染色の結果を解釈することができるであろう。
いくつかの実施形態では、出力、例えば予測されたマスキング解除状態は、例えば、試料の報告されたマスキング解除状態を検証するために使用されることができる。例えば、試験生物学的検体が、試験生物学的検体が約30分間約120℃でマスキング解除プロセスに供されたことを示す報告とともに研究室で受け取られる場合、本開示のシステムおよび方法からの出力は、報告されたマスキング解除状態を検証するために使用されることができる。
いくつかの実施形態では、出力は、生成されたレポートの形態とすることができる。他の実施形態では、出力は、試験生物学的検体の画像に重ね合わされたオーバーレイであってもよい。さらに他の実施形態では、任意の出力は、システム(例えば、記憶システム240)に結合されたメモリに記憶されることができ、その出力は、試験生物学的検体および/または他の患者データに関連付けられることができる。
スペクトルデータ、例えば振動スペクトルデータを取得し、生物学的検体(試験生物学的検体および訓練生物学的検体を含む)を分析するためのシステム200が図1および図2に示される。システムは、生物学的検体(またはその任意の部分)の振動スペクトル(例えば、中間IRスペクトルまたはラマンスペクトル)を取得するように構成されたものなどのスペクトル取得装置12と、コンピュータ14とを含むことができ、それによってスペクトル取得装置12とコンピュータとは、互いに通信可能に結合されることができる(例えば、直接的に、またはネットワーク20を介して間接的に)。コンピュータシステム14は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットなど、デジタル電子回路、ファームウェア、ハードウェア、メモリ201、コンピュータ記憶媒体(240)、コンピュータプログラムまたは一連の命令(例えば、メモリまたは記憶媒体内にプログラムが記憶される)、1つ以上のプロセッサ(209)(プログラムされたプロセッサを含む)、および(本明細書でさらに記載されるような)任意の他のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアモジュールまたはそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、図1に示されるシステム14は、ディスプレイ装置16およびエンクロージャ18を備えたコンピュータを備えることができる。コンピュータシステムは、取得されたスペクトルデータを、メモリ、サーバ、または別のネットワーク接続された装置などにローカルに記憶することができる。
振動分光法は、電磁放射線の吸収または放出による遷移に関係する。これらの遷移は、102から104cm-1の範囲に現れ、任意の所与の試料中の分子を構成する核の振動に由来すると考えられる。分子内の化学結合は、多くの方法で振動することができると考えられており、それぞれの振動は、振動モードと呼ばれる。分子振動には、伸縮と屈曲の2種類がある。伸縮振動は、原子間距離の増加または減少に伴う結合軸に沿った移動を特徴とするが、屈曲振動は、分子の残りの部分に対する結合角の変化からなる。振動エネルギーに基づく2つの広く使用されている分光技術は、ラマン分光法および赤外分光法である。双方の方法は、相補的な情報を与え、任意の分子内で原子がその分子のいくつかの明確な明確に定義された周波数特性で振動するという事実に基づいている。試料は、入射放射線のビームに対して消去されると、分子内に存在する化学結合の振動の周波数に特徴的な周波数でエネルギーを吸収する。化学結合の振動によるエネルギーのこの吸収は、赤外線スペクトルをもたらす。
IRおよびラマン分光法は分子の振動エネルギーを測定するが、双方の方法は異なる選択規則、例えば吸収プロセスおよび散乱効果に依存する。それらのコントラスト機構は異なり、各方法論はそれぞれの長所と短所を有するが、各モダリティから得られたスペクトルは相関することが多い(例えば、図26および図27を参照)。
IR分光法は、電磁放射の吸収に基づくのに対して、ラマン分光法は、電磁放射の非弾性散乱に依存する。赤外分光法は、吸収技術から反射技術および分散技術まで、広範囲の波数に拡張され、試料分子中に存在する異なる結合が定性的および定量的目的の双方に使用するのに適した多数の一般的且つ特徴的なバンドを提供する近赤外領域、中間赤外領域および遠赤外領域を含む多数の分析ツールを提供する。試料は、IR分光法におけるIR光によって照射され、電気双極子モーメントによって誘起される振動が検出される。
ラマン分光法は散乱現象であり、入射放射周波数と散乱放射周波数との間の差に起因して生じる。これは、散乱光を利用して分子振動に関する知識を獲得し、分子の構造、対称性、電子環境、および結合に関する情報を提供することができる。ラマン分光法では、試料は、レーザ源からの単色の可視光または近IR光によって照射され、電気分極率変化中のその振動が決定される。
本開示のシステムでは、任意のスペクトル取得装置が利用されることができる。中間赤外スペクトルの取得に使用するのに適したスペクトル取得装置またはそのような装置の構成要素の例は、米国特許出願公開第2018/0109078a号明細書および米国特許出願公開第2016/0091704号明細書、ならびに米国特許第10,041,832号明細書、米国特許第8,036,252号明細書、米国特許第9,046,650号明細書、米国特許第6,972,409号明細書、および米国特許第7,280,576号明細書に記載されており、これらの特許の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
試料の代表的な中間IRスペクトルを生成するのに適した任意の方法が使用されることができる。フーリエ変換赤外分光法およびその生物医学的用途は、例えば、P.Lasch,J.Kneipp(Eds.)Biomedical Vibrational Spectroscopy’’ 2008(John Wiley&Sons)に記載されている。しかしながら、より最近では、波長可変量子カスケードレーザは、それらの高いスペクトル出力密度のために生物医学検体の迅速な分光法および顕微鏡法を可能にした(N.Krogerら、:Biomedical Vibrational Spectroscopy VI:Advances in Research and Industry,edited by A.Mahadevan-Jansen,W.Petrich,Proc.of SPIE Vol.8939,89390Z;N.Krogerら、J.Biomed.Opt.19(2014)111607;N.Kroger-Luiら、Analyst 140(2015)2086を参照)。これらの刊行物のそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。この研究は、調査がはるかに速く(例えば、18時間の代わりに5分)、液体窒素冷却を必要とせず、実質的に低コストで画像当たりより多くの画素を提供するという点で、(前述の赤外線顕微鏡のセットアップと比較して)適用性に対する大きなブレークスルーを構成すると考えられる。未染色組織の品質評価の文脈におけるQCLベースの顕微鏡法の特定の利点の1つは、例えば640×480ピクセルのマイクロボロメータアレイ検出器によって可能にされる(FT-IR撮像と比較して)より大きな視野である。
いくつかの実施形態では、スペクトルは、広い波長範囲、1つ以上の狭い波長範囲にわたって、または単一の波長のみ、またはそれらの組み合わせでさえも取得されることができる。例えば、アミドIバンドおよびアミドIIバンドのスペクトルが取得されることができる。別の例として、スペクトルは、約3200から約3400cm-1、約2800から約2900cm-1、約1020から約1100cm-1、および/または約1520から約1580cm-1の範囲の波長にわたって取得されてもよい。いくつかの実施形態では、スペクトルは、約3200から約3400cm-1の範囲の波長にわたって取得されることができる。いくつかの実施形態では、スペクトルは、約2800から約2900cm-1の範囲の波長にわたって取得されることができる。いくつかの実施形態では、スペクトルは、約1020から約1100cm-1の範囲の波長にわたって取得されることができる。いくつかの実施形態では、スペクトルは、約1520から約1580cm-1の範囲の波長にわたって取得されることができる。スペクトル範囲を狭めることは、通常、特に量子カスケードレーザを使用する場合、取得速度の点で有利であると考えられる。いくつかの実施形態では、単一の波長可変レーザは、次々にそれぞれの波長に調整される。あるいは、特定の周波数での測定に必要なレーザをオンおよびオフに切り替えることによって波長選択が行われるように、固定周波数の非同調レーザのセットが使用されることができる。
スペクトルは、例えば、透過または反射測定を使用して取得されることができる。透過測定のために、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、シリコン、薄いポリマー膜、またはセレン化亜鉛が、通常、基材として使用される。反射測定のために、金または銀メッキされた基板、ならびに標準的な顕微鏡ガラススライド、または中間IR反射コーティング(例えば、多層誘電体コーティングまたは薄スライバコーティング)でコーティングされたガラススライドが一般的である。さらに、ナノアンテナのような構造化表面などの表面増強(例えば、SEIRS)を使用するための手段が実装されてもよい。
当業者は、他のコンピュータ装置またはシステムが利用されることができ、本明細書に記載のコンピュータシステムが、例えば、顕微鏡、イメージング装置、スキャナ、その他のイメージングシステム、自動スライド調製装置などの追加の構成要素に通信可能に結合することができることを理解するであろう。これらの追加の構成要素のいくつか、および利用できる様々なコンピュータ、ネットワークなどは、本明細書でさらに説明される。
例えば、いくつかの実施形態では、システム200は、イメージング装置をさらに含んでもよく、イメージング装置から取り込まれた任意の画像は、ローカルまたはサーバ上などのバイナリ形式で記憶されてもよい。いくつかの実施形態では、捕捉された画像は、記憶サブシステム240などに、マスキング解除状態推定値および/または任意の患者データとともに記憶されてもよい。取り込まれたデジタル画像は、ピクセルのマトリックスに分割されることもできる。ピクセルは、ビット深度によって定義される1以上のビットのデジタル値を含むことができる。一般に、イメージング装置(またはメモリに記憶された事前走査画像を含む他の画像ソース)は、1つ以上の画像撮像装置を含むことができるが、これに限定されない。画像撮像装置は、限定されるものではないが、カメラ(例えば、アナログカメラ、デジタルカメラなど)、光学系(例えば、1つまたは複数のレンズ、センサフォーカスレンズ群、顕微鏡対物レンズなど)、画像化センサ(例えば、電荷結合素子(CCD)、相補的金属酸化物半導体(CMOS)イメージセンサなど)、写真フィルムなどを含む。デジタル実施形態では、画像撮像装置は、オンザフライフォーカシングを証明するために協働する複数のレンズを含むことができる。イメージセンサ、例えば、CCDセンサは、検体のデジタル画像を撮像することができる。
いくつかの実施形態では、イメージング装置は、明視野イメージングシステム、マルチスペクトルイメージング(MSI)システムまたは蛍光顕微鏡システムである。デジタル化された組織データは、例えば、VENTANA MEDICAL SYSTEMS,Inc.(アリゾナ州トゥーソン)によるVENTANA DP200スキャナなどの画像スキャンシステムまたは他の適切なイメージング装置によって生成されることができる。さらなるイメージング装置およびシステムは、本明細書でさらに説明される。当業者は、イメージング装置によって取得されたデジタルカラー画像が、従来、基本色画素から構成されることを理解するであろう。各色付き画素は、それぞれが同じビット数を含む3つのデジタルコンポーネントでコード化されることができ、各コンポーネントは、「RGB」コンポーネントという用語によっても示される、一般に赤、緑、または青の原色に対応する。
図2は、本開示のシステム200およびシステム内で利用される様々なモジュールの概要を提供する。いくつかの実施形態では、システム200は、1つ以上のプロセッサ209および1つ以上のメモリ201を有するコンピュータ装置またはコンピュータ実装方法を使用し、1つ以上のメモリ201は、1つ以上のプロセッサに本明細書に記載の特定の命令を実行させるために、1つ以上のプロセッサによる実行のための非一時的コンピュータ可読命令を記憶する。
いくつかの実施形態では、上述したように、システムは、得られた生物学的検体(例えば、図3のステップ310を参照)またはその任意の部分(例えば、図3のステップ320を参照)の中間IRスペクトルまたはラマンスペクトルなどの振動スペクトルを取得するためのスペクトル取得モジュール202を含む。いくつかの実施形態では、システム200は、取得されたスペクトルデータを処理するように適合されたスペクトル処理モジュール212をさらに含む。いくつかの実施形態では、スペクトル処理モジュール212は、スペクトルデータを前処理するように構成される。いくつかの実施形態では、スペクトル処理モジュール212は、取得されたスペクトルを補正および/または正規化するか、または取得された透過スペクトルを吸収スペクトルに変換する。他の実施形態では、スペクトル処理モジュール212は、単一の生物学的検体から取得された複数のスペクトルを平均化するように構成される。さらに他の実施形態では、スペクトル処理モジュール212は、取得されたスペクトルの一次導関数、二次導関数などを計算するなどのために、取得されたスペクトルをさらに処理するように構成される。
いくつかの実施形態では、システム200は、訓練スペクトルデータを受信し、受信した訓練スペクトルデータを使用してマスキング解除状態推定エンジン210を訓練するように適合された訓練モジュール211をさらに含む。
いくつかの実施形態では、システム200は、試験スペクトルデータ内のマスキング解除特徴を検出し(例えば、図3のステップ340を参照)、検出されたマスキング解除特徴に基づいて生物学的検体のマスキング解除状態の推定値を提供する(例えば、図3のステップ350を参照)ように訓練されたマスキング解除状態推定エンジン210を含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、1つ以上の機械学習アルゴリズムを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の機械学習アルゴリズムは、本明細書でさらに説明するように次元縮小に基づく。いくつかの実施形態では、次元縮小は、判別分析を伴う主成分分析などの主成分分析を利用した。他の実施形態では、次元縮小は、潜在構造回帰への投影である。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、ニューラルネットワークを含む。他の実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、サポートベクターマシンなどの分類器を含む。
当業者はまた、追加のモジュールがワークフローまたはシステム200に組み込まれることができることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、画像取得モジュールが実行されて、生物学的検体またはその任意の部分のデジタル画像を取得する。他の実施形態では、細胞が検出、分類、および/またはスコア付けされることができるように、自動画像分析アルゴリズムが実行されることができる(例えば、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0372117号明細書を参照)。
分光取得モジュールおよび取得された分光データ
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、システム200は、スペクトル取得モジュール202を実行して、生物学的検体(例えば、試験生物学的検体または訓練生物学的検体)の少なくとも一部から振動スペクトルを取得する(例えば、上述したもののいずれかなどのスペクトルイメージング装置12を使用して)。いくつかの実施形態では、生物学的検体は、染色されておらず、例えば、生物学的検体は、バイオマーカーの存在を示す染色を含まない。他の実施形態では、生物学的検体はまた、1つ以上の染色、例えば一次染色、または1つ以上のバイオマーカー(例えば、タンパク質、核酸)の存在を示す染色を含むことができる。スペクトル取得モジュール202を使用してスペクトルが取得されると、取得されたスペクトルは、記憶モジュール240(例えば、ローカル記憶モジュールまたはネットワーク記憶モジュール)に記憶されることができる。
いくつかの実施形態では、振動スペクトルは、生物学的検体の一部から取得されることができる(本明細書でさらに説明するように、これは、検体が訓練生物学的検体であるか試験生物学的検体であるかに関係しない)。そのような場合、スペクトル取得モジュール202は、例えばランダムサンプリングによって、または試料全体をカバーするグリッドにわたって規則的な間隔でサンプリングすることによって、試料の所定の部分から振動スペクトルを取得するようにプログラムされてもよい。これは、試料の特定の領域のみが分析に関連する場合にも有用とすることができる。例えば、関心領域は、特定の種類の組織、または別の関心領域と比較して特定の種類の細胞の比較的高い集団を含むことができる。例えば、扁桃組織を含むが結合組織を含まない関心領域が選択されることができる。そのような場合、スペクトル取得モジュール202は、例えばランダムサンプリングによって、または試料全体をカバーするグリッドにわたって規則的な間隔でサンプリングすることによって、試料の所定の部分から振動スペクトルを取得するようにプログラムされてもよい。試料が1つ以上の染色を含む実施形態では、染色を含まないか、または他の領域よりも比較的少ない染色を含む関心領域から振動スペクトルが取得されることができる。
いくつかの実施形態では、生物学的検体の少なくとも2つの領域がサンプリングされ、少なくとも2つの領域のそれぞれについて振動スペクトルが取得される(また、これは、検体が訓練生物学的検体であるか試験生物学的検体であるかに関係しない)。他の実施形態では、生物学的検体の少なくとも10個の領域がサンプリングされ、少なくとも10個の領域のそれぞれについて振動スペクトルが取得される。さらに他の実施形態では、生物学的検体の少なくとも30個の領域がサンプリングされ、少なくとも30個の領域のそれぞれについて振動スペクトルが取得される。さらなる実施形態では、生物学的検体の少なくとも60個の領域がサンプリングされ、少なくとも60個の領域のそれぞれについて振動スペクトルが取得される。またさらなる実施形態では、生物学的検体の少なくとも90個の領域がサンプリングされ、少なくとも90個の領域のそれぞれについて振動スペクトルが取得される。なおさらなる実施形態では、生物学的検体の約30個の領域と約150個の領域との間がサンプリングされ、各領域について振動スペクトルが取得される。
いくつかの実施形態では、生物学的検体の領域ごとに単一の振動スペクトルが取得される。他の実施形態では、生物学的検体の領域ごとに少なくとも2つの振動スペクトルが取得される。さらに他の実施形態では、生物学的検体の領域ごとに少なくとも3つの振動スペクトルが取得される。
いくつかの実施形態では、記憶モジュール240に記憶される取得スペクトルまたは取得スペクトルデータ(本明細書では互換的に使用される)は、「訓練スペクトルデータ」を含む。いくつかの実施形態では、訓練スペクトルデータは、訓練生物学的検体から導出され、訓練生物学的検体は、組織学的検体、細胞学的検体、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、訓練スペクトルデータは、本明細書に記載の訓練モジュール211の使用などによって、マスキング解除状態推定エンジン210を訓練するために使用される。いくつかの実施形態では、訓練スペクトルデータは、マスキング解除時間、マスキング解除持続時間、相対質情報(例えば、未回収、完全回収、部分回収)などのクラスラベルを含む。いくつかの実施形態では、訓練スペクトルデータは、複数のクラス標識を含む。
いくつかの実施形態では、訓練生物学的検体は、差次的にマスキングされていない。差次的マスキング解除は、単一の訓練生物学的検体が複数の部分(例えば、第1の訓練組織試料、第2の訓練組織試料、およびnの訓練組織試料)に分割され(例えば、図4Aを参照)、複数の部分の各部分が異なるマスキング解除処理に供されるプロセスである(例えば、図4Bを参照)。例えば、単一の扁桃組織試料は、10個以上の部分に分割され、各部分は、所定の時間および所定の温度でマスキング解除されることができる。いくつかの実施形態では、試料は、3つ以上の部分に区分されることができ、各部分は、異なるセットのマスキング解除条件の下でマスキング解除されることができる。他の実施形態では、試料は、5つ以上の部分に区分されることができ、各部分は、異なるセットのマスキング解除条件の下でマスキング解除されることができる。さらに他の実施形態では、試料は、7つ以上の部分に区分されることができ、各部分は、異なるセットのマスキング解除条件の下でマスキング解除されることができる。さらなる実施形態では、試料は、9つ以上の部分に区分されることができ、各部分は、異なるセットのマスキング解除条件の下でマスキング解除されることができる。このプロセスは、図4Aに示されている。
いくつかの実施形態では、単一の訓練生物学的検体から導出される複数の訓練試料は、それぞれ同じ温度で、異なる持続時間にわたってマスキング解除される。例えば、単一の訓練生物学的検体から導出される各訓練組織試料は、同じ温度(例えば、約98.6℃)でマスキング解除されることができるが、マスキング解除の持続時間は変化することができる(約5分、約30分、約60分など)。
他の実施形態では、単一の生物学的検体から導出される複数の訓練試料は、それぞれ同じ持続時間、異なる温度でマスキング解除される。例えば、各訓練試料は、同じ持続時間(例えば、10分)であるが、マスキング解除の温度が変化する場合(約98.6℃、約110℃、約120℃、約130℃など)、マスキング解除されることができる。
当然ながら、当業者は、マスキング解除時間および温度の双方を変えることができることを認識するであろう。上述した実施形態のように、第1のセットの訓練試料は、第1の温度であるが異なる持続時間でマスキング解除され、第1のセットの訓練試料を提供することができる。第2のセットおよび第3のセットの訓練試料は、それぞれ第2の温度および第3の温度で、また異なる持続時間にわたってマスキング解除され、第2および第3のセットの訓練試料を提供することができる。このプロセスは、図4Bに示されている。このプロセスは、マスキング解除状態推定エンジンを訓練する際に使用されることができる複数の訓練スペクトルデータセットを含むデータベース(記憶モジュール240内に記憶されたデータベースなど)を構築するために、同じまたは異なる組織タイプを有する生物学的検体などの複数の生物学的検体について繰り返されることができる。当業者はまた、温度および持続時間が、変更されることができる唯一のマスキング解除条件ではないことを理解するであろう。実際に、様々なマスキング解除試薬、圧力などが任意のマスキング解除プロセスで利用されることができ、そのような条件が変更されて、そのようなプロセス条件を考慮した訓練スペクトルデータセットを提供することができる。
差次的マスキング解除および差次的マスキング解除された試料からのスペクトルデータの取得のプロセスは、図4Cにさらに示されている。上記のように、まず、1つ以上の訓練生物学的検体が取得される(ステップ410)。次いで、1つ以上の訓練生物学的検体のそれぞれは、少なくとも2つの部分に分割される(ステップ420)。このようにして、1つ以上の訓練生物学的検体のそれぞれは、少なくとも2つの「訓練試料」を提供する。これらの訓練試料のそれぞれは、別個にマスキング解除されてもよく、例えば、それぞれは、異なる所定の時間量または異なる所定の持続時間にわたってマスキング解除されてもよい(ステップ430)。少なくとも2つの訓練試料の差次的マスキング解除に続いて、少なくとも2つの訓練試料のそれぞれにおける複数の領域が識別される(ステップ440)。
次に、複数の識別された領域のうちの識別された領域のそれぞれについて、少なくとも1つの振動スペクトルが取得される(ステップ450)。各識別された領域(または以下にさらに説明されるようなそのさらなる処理された変形)から取得された各振動スペクトルの平均が計算されて、その訓練試料の平均振動スペクトルを提供する(ステップ460)。ステップ400から460は、複数の異なる訓練生物学的検体について繰り返されてもよい(点線470を参照)。いくつかの実施形態では、記憶モジュール240などに、全ての訓練生物学的検体からの全ての訓練試料からの平均振動スペクトル「訓練スペクトルデータ」が記憶される(ステップ480)。このようにして、訓練スペクトルデータは、マスキング解除状態推定エンジン210の訓練のために訓練モジュール211によって記憶モジュール240から取得されることができる。全ての訓練試料からの平均振動スペクトルを記憶することに加えて、記憶モジュール240はまた、平均振動スペクトルに関連する任意のクラスラベル(例えば、マスキング解除温度、マスキング解除持続時間など)を記憶するように適合される。
いくつかの実施形態では、機能的染色強度が各訓練試料について評価されることができるように、訓練試料のそれぞれが1つ以上のバイオマーカーの存在について染色される。いくつかの実施形態では、各訓練試料は、単一のバイオマーカーの存在について染色され、次いで、試料の画像が、イメージング装置を使用して捕捉されて分析される(例えば、染色強度および/または陽性率について)。他の実施形態では、各訓練試料は、2つ以上のバイオマーカーの存在について染色され、次いで、試料の画像は、イメージング装置を使用して捕捉されて分析される(2つ以上のバイオマーカーのそれぞれの染色強度および/または陽性率が独立して分析されるように)。いくつかの実施形態では、各バイオマーカーが、マスキング解除処理に対して異なる応答を有することができるため、複数のバイオマーカーが、機能的染色情報について試験される。例えば、Ki-67およびC4dバイオマーカーは、異なる条件下でマスキング解除された試料に導入された場合、異なる挙動を示すことができる。例えば、Ki-67は、マスキング解除の程度が増加するにつれて染色強度が増加するが、特定の点までしか増加せず、その後に強度および陽性度が減少すると考えられる。逆に、C4dは、そうでなければ試料を損傷するであろうマスキング解除条件を介しても、強度および陽性度の増加を続ける。
訓練生物学的検体を調製し、そのような検体からスペクトルデータを取得するための上述したプロセスは、複数の異なる訓練生物学的検体について繰り返されてもよく、複数の異なる訓練生物学的検体のそれぞれは、同じ組織タイプであってもよく、または異なる組織タイプ(例えば、扁桃組織または乳房組織)であってもよい。本明細書の実施例セクションでは、扁桃組織および乳房組織の双から導出される試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測するためなど、マスキング解除状態推定エンジン210を訓練するのに使用するための訓練生物学的検体を調製する方法およびスペクトルデータの取得をさらに説明する。さらに、上述したプロセスは、異なるマスキング解除試薬について、または抗原回収プロセスおよび標的回収プロセスについて繰り返されることができる(本明細書で提供される実施例は、本開示のシステムおよび方法が抗原回収プロセスおよび標的回収プロセスに等しく適用可能であり、双方のユースケースで正確な結果が提供されることを示す)。
いくつかの実施形態では、記憶モジュール240に記憶された取得スペクトルデータは、「試験スペクトルデータ」を含む。いくつかの実施形態では、試験スペクトルデータは、対象(例えば、ヒト患者)に由来する検体などの試験生物学的検体に由来し、試験生物学的検体は、組織学的検体、細胞学的検体、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。
図5を参照すると、試験生物学的検体が取得されることができ(ステップ510)、次いで、試験生物学的検体内の複数の空間領域が識別されることができる(ステップ520)。各識別された領域について少なくとも1つの振動スペクトルが取得されることができる(ステップ530)。次いで、全ての領域から取得した振動スペクトルが補正され、正規化され、平均化され、試験生物学的検体の平均振動スペクトル(「試験スペクトルデータ」)を提供することができる。本明細書にさらに記載されるように、試験スペクトルデータは、訓練されたマスキング解除状態推定エンジン210に供給され、試験生物学的検体のマスキング解除状態が予測されることができる。次いで、予測されたマスキング解除状態は、下流プロセスまたは下流の意思決定において使用されて、例えば、1つ以上の特異的結合実体の堆積前に試験片が適切にマスキング解除されたかどうかを判定することができる。
上述したように、スペクトルデータが訓練または試験生物学的検体から取得されるかどうかにかかわらず、例えば試料の空間的不均一性を説明するために、各生物学的検体について複数の振動スペクトルが取得される。いくつかの実施形態では、スペクトル処理モジュール212は、取得された各振動透過スペクトルを振動吸収スペクトルに変換するために最初に利用される。いくつかの実施形態では、透過スペクトルおよび吸光度スペクトルは、式吸光度=ln(ブランク透過/組織を通る透過)を介して直接関連しており、したがって、取得された透過スペクトルは、吸収スペクトルに変換されることができる。振動スペクトルの全てが透過から吸光度に変換されると、いくつかの実施形態では、スペクトル処理モジュール212は、様々な領域の全てから取得されたスペクトルの全てを平均化し、それは下流分析、例えばマスキング解除状態の訓練または予測に使用される平均化された振動スペクトルである。いくつかの実施形態では、図6を参照すると、複数の空間領域のそれぞれから取得された振動スペクトルは、それらの平均化の前に最初に正規化および/または補正される。いくつかの実施形態では、各領域からの振動スペクトルは、補正された振動スペクトルを提供するために個別に補正される(ステップ620)。例えば、補正は、大気効果について各取得振動スペクトルを補正すること(ステップ630)と、次いで散乱について各大気補正振動スペクトルを補正すること(ステップ640)とを含むことができる。次いで、各補正された振動スペクトルは、検体の厚さおよび組織密度の差を緩和するために、例えば最大値2に正規化される(ステップ650)。続いて、振幅正規化スペクトルの集合が平均化される(ステップ660)。
マスキング解除状態推定エンジン
本開示のシステムおよび方法は、機械学習技術を使用してスペクトルデータをマイニングする。訓練モードにおけるマスキング解除状態推定エンジンの場合、マスキング解除状態推定エンジンは、複数の取得および処理された訓練スペクトル(記憶モジュール240内に記憶された訓練スペクトルなど)から特徴を学習し、それらの学習された特徴を訓練スペクトルに関連付けられたクラスラベルと相関させることができる(例えば、既知のマスキング解除温度、既知のマスキング解除持続時間、組織の質など)。訓練されたマスキング解除状態推定エンジンの場合、訓練されたマスキング解除状態エンジンは、試験生物学的検体からマスキング解除特徴を導出し、学習されたデータセットに基づいて、導出されたマスキング解除特徴に基づいて試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測することができる。
機械学習は、一般に、明示的にプログラムされることなく学習する能力をコンピュータに提供する一種の人工知能(AI)として定義されることができる。機械学習は、新たなデータにさらされたときに成長および変化することを自らに教えることができるコンピュータプログラムの開発に焦点を合わせている。換言すれば、機械学習は、コンピュータに明示的にプログラムされることなく学習する能力を与えるコンピュータ科学のサブフィールドとして定義されることができる。機械学習は、データから学習し、データ上で予測を行うことができるアルゴリズムの研究および構築を探求し、そのようなアルゴリズムは、試料入力からモデルを構築することによって、データ駆動予測または決定を行うことによって厳密に静的なプログラム命令に従うことを克服する。本明細書に記載の機械学習は、Sugiyama、Morgan Kaufmannによる 「Introduction to Statistical Machine Learning」、2016、534ページ;「Discriminative,Generative,and Imitative Learning」、Jebara,MIT Thesis、2002、212ページ;および「Principles of Data Mining(Adaptive Computation and Machine Learning)」、Handら、MIT Press、2001、578ページに記載されているようにさらに実行されることができ、これらは、本明細書に完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。本明細書に記載の実施形態は、これらの参考文献に記載されているようにさらに構成されることができる。
いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、試験生物学的検体から導出される試験スペクトルのマスキング解除状態を予測するタスクのために「教師あり学習」を使用する。教師あり学習は、例示的な入出力対に基づいて入力を出力にマッピングする関数を学習する機械学習タスクである。これは、訓練例のセット(ここでは訓練スペクトル)からなる標識付き訓練データ(ここで、マスキング解除状態は、訓練スペクトルデータに関連する標識である)から関数を推論する。教師あり学習では、各例は、入力オブジェクト(典型的にはベクトル)と所望の出力値(監視信号とも呼ばれる)とからなるペアである。教師あり学習アルゴリズムは、訓練データを分析し、新たな例をマッピングするために使用されることができる推測関数を生成する。最適なシナリオは、アルゴリズムが見えないインスタンスのクラス標識を正しく決定することを可能にする。
マスキング解除状態推定エンジン210は、当業者に知られている任意の種類の機械学習アルゴリズムを含むことができる。適切な機械学習アルゴリズムは、回帰アルゴリズム、類似度ベースのアルゴリズム、特徴選択アルゴリズム、正則化方法ベースのアルゴリズム、決定木アルゴリズム、ベイジアンモデル、カーネルベースのアルゴリズム(例えば、サポートベクターマシン)、クラスタリングベースの方法、人工ニューラルネットワーク、深層学習ネットワーク、アンサンブル方法、および次元縮小方法を含む。適切な次元縮小方法の例は、主成分分析(主成分分析および判別分析など)および潜在構造回帰への投影を含む。
いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、主成分分析を利用する。主成分分析(PCA)の主なアイデアは、データセットに存在する変動を最大限まで保持しながら、互いに相関する多くの変数からなるデータセットの次元を縮小することである。同じことが、変数を新たな変数のセットに変換することによって行われ、これらは、主成分(または単に、PC)として知られており、元の変数に存在する変動の保持が、それらが順序を下って移動するにつれて減少するように直交して並べられる。このようにして、第1の主成分は、元の成分に存在していた最大の変動を保持する。主成分は、共分散行列の固有ベクトルであるため、直交する。主成分分析およびそれを使用する方法は、米国特許出願公開第2005/0123202号明細書ならびに米国特許第6,894,639号明細書および米国特許第8,565,488号明細書に記載されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。PCAおよび線形判別分析は、Khanら、「Principal Component Analysis-Linear Discriminant Analysis Feature Extractor for Pattern Recognition」、IJCSI International Journal of Computer Sciences Issues,Vol.8,Issue 6,No.2,2011年11月によってさらに記載されており、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、潜在構造回帰(PLSR)への投影を利用する。PLSRは、PCAと多重線形回帰との特徴を組み合わせて一般化する最近の技術である。その目的は、独立変数または予測子のセットから従属変数のセットを予測することである。この予測は、予測器から、最良の予測力を有する潜在変数と呼ばれる直交因子のセットを抽出することによって達成される。これらの潜在変数を使用して、PCAディスプレイに似たディスプレイを作成することができる。PLS回帰モデルから得られた予測の品質は、ブートストラップおよびジャックナイフなどの交差検証技術で評価される。PLS回帰には2つの主な変形がある。最も一般的なものは、従属変数と独立変数の役割を分離する。第2のものは、従属変数および独立変数に同じ役割を与える。PLSRは、Abdi、「Partial Least Squares Regression and Projection on Latent Structure Regression(PLS Regression)」、WIREs Computational Statistics,John Wiley&Sons,Inc.,2010によってさらに記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で提供される実施例セクションは、PLSRに基づく訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを記載し、PLSRベースの訓練されたマスキング解除状態推定エンジン210が使用されて、マスキング解除温度および/またはマスキング解除持続時間の少なくとも定量的な推定値を提供することができることを示す。
いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、強化学習を利用する。強化学習(RL)は、エージェントがその前の行動を評価するために次の時間ステップにおいて遅延報酬を受け取る機械学習方法の一種である。換言すれば、RLは、累積報酬の概念を最大化するためにソフトウェアエージェントが環境内でどのように行動を起こすべきかに関するモデルなし機械学習パラダイムである。典型的には、RL設定は、2つの構成要素、エージェントおよび環境から構成される。環境は、エージェントが作用しているオブジェクトを指し、エージェントは、RLアルゴリズムを表す。環境は、エージェントに状態を送信することによって開始し、次いで、エージェントは、その知識に基づいてその状態に応答してアクションを実行する。その後、環境は、次の状態と報酬のペアをエージェントに送り返す。エージェントは、その最後の行動を評価するために、環境によって返された報酬でその知識を更新する。ループは、環境が終端状態を送信するまで継続し、これはエピソードまで終了する。強化学習アルゴリズムは、米国特許第10,279,474号明細書および米国特許第7,395,252号明細書にさらに記載されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、サポートベクターマシン(「SVM」)である。一般に、SVMは、非線形入力データセットが非線形の場合のカーネルを介して高次元線形特徴空間に変換される統計的学習理論に基づく分類技術である。サポートベクターマシンは、カーネル関数Kによって、2つの異なるクラスを表す訓練データEのセットを高次元空間に投影する。この変換されたデータ空間において、非線形データは、クラス分離を最大化するようにクラスを分離するためにフラットラインを生成することができるように変換される(識別超平面)。次いで、試験データは、Kを介して高次元空間に投影され、試験データ(以下に列挙される特徴またはメトリックなど)は、それらが超平面に対してどこに位置するかに基づいて分類される。カーネル関数Kは、データを高次元空間に射影する方法を定義する。
いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、ニューラルネットワークを含む。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、深層学習ネットワークとして構成される。一般的に言えば、「深層学習」は、データ内の高レベル抽象化をモデル化しようと試みるアルゴリズムのセットに基づく機械学習の分野である。深層学習は、データの表現を学習することに基づく機械学習方法の広範なファミリの一部である。観測は、ピクセルごとの強度値のベクトルなどの多くの方法で、またはエッジのセット、特定の形状の領域などとしてより抽象的な方法で表されることができる。いくつかの表現は、学習タスクを単純化する点で他の表現よりも優れている。深層学習の約束の1つは、ハンドクラフトされた特徴を、教師なしまたは半教師付き特徴学習および階層的特徴抽出のための効率的なアルゴリズムに置き換えることである。
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、生成的ネットワークである。「生成的」 ネットワークは、一般に、本質的に確率的であるモデルとして定義されることができる。換言すれば、「生成的」 ネットワークは、フォワードシミュレーションまたはルールベースの手法を実行するものではない。代わりに、生成的ネットワークは、適切な訓練データのセット(例えば、複数の訓練スペクトルデータセット)に基づいて学習されることができる(そのパラメータを学習することができるという点で)。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、深層生成的ネットワークとして構成される。例えば、ネットワークは、ネットワークが複数のアルゴリズムまたは変換を実行する複数の層を含むことができるという点で、深層学習アーキテクチャを有するように構成されることができる。
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、オートエンコーダを含む。オートエンコーダニューラルネットワークは、逆伝播を適用する教師なし学習アルゴリズムであり、目標値を入力と等しくなるように設定する。オートエンコーダの目的は、信号「ノイズ」を無視するようにネットワークを訓練することによって、典型的には次元縮小のために、データセットの表現(符号化)を学習することである。縮小側と共に、再構成側が学習され、オートエンコーダは、縮小された符号化からその元の入力に可能な限り近い表現を生成しようと試みる。オートエンコーダに関する追加情報は、http://ufldl.stanford.edu/tutorial/unsupervised/Autoencoders/に見出すことができ、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、世界を訓練するために供給されたデータに従って世界をモデル化する重みのセットを有する深層ニューラルネットワークであってもよい。ニューラルネットワークは、典型的には複数の層からなり、信号経路は、層の間を前後に横切る。この目的のために、任意のニューラルネットワークが実装されることができる。適切なニューラルネットワークは、LeNet、AlexNet、ZFnet、GoogLeNet、VGGNet、VGG16、DenseNet、およびResNetを含む。いくつかの実施形態では、Longら、「Fully Convolutional Networks for Semantic Segmentation」、Computer Vision and Pattern Recognition(CVPR),2015 IEEE Conference,2015年6月(INSPEC受託番号:15524435)に記載されているような、完全畳み込みニューラルネットワークが利用され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、AlexNetとして構成される。例えば、分類ネットワーク構造は、AlexNetとすることができる。「分類ネットワーク」という用語は、本明細書では、1つ以上の完全接続層を含むCNNを指すために使用される。一般に、AlexNetは、いくつかの畳み込み層(例えば、5つ)と、それに続く、データを分類するように組み合わせて構成および訓練されたいくつかの完全接続層(例えば、3つ)とを含む。
他の実施形態では、ニューラルネットワークは、GoogleNetとして構成される。GoogleNetアーキテクチャは、(特に本明細書に記載のいくつかの他のニューラルネットワークと比較して)比較的多数の層を含むことができるが、層のいくつかは、並列に動作することができ、互いに並列に機能する層のグループは、一般に、開始モジュールと呼ばれる。他の層が順次動作してもよい。したがって、GoogleNetは、層の全てが順次構造に配置されているわけではないという点で、本明細書に記載の他のニューラルネットワークとは異なる。GoogleNetとして構成されたニューラルネットワークの例は、参照により本明細書に完全に記載されているかのように組み込まれる、Szegedyらによる「Going Deeper with Convolutions」、CVPR 2015に記載されている。
他の実施形態では、ニューラルネットワークは、VGGネットワークとして構成される。例えば、分類ネットワーク構造は、VGGとすることができる。VGGネットワークは、アーキテクチャの他のパラメータを固定しながら畳み込み層の数を増加させることによって作成された。畳み込み層を追加して深さを増加させることは、全ての層において実質的に小さい畳み込みフィルタを使用することによって可能になる。
他の実施形態では、ニューラルネットワークは、深層残差ネットワークとして構成される。例えば、分類ネットワーク構造は、Deep Residual NetまたはResNetとすることができる。本明細書に記載の他のいくつかのネットワークと同様に、深層残差ネットワークは、畳み込み層と、それに続く完全接続層とを含むことができ、それらは組み合わせて、検出および/または分類のために構成および訓練される。深層残差ネットワークでは、層は、参照されていない関数を学習する代わりに、層入力を参照して残差関数を学習するように構成される。特に、いくつかの積層された各層が所望の基礎となるマッピングに直接適合することを望む代わりに、これらの層は、ショートカット接続を有するフィードフォワードニューラルネットワークによって実現される残差マッピングに明示的に適合することが可能にされる。ショートカット接続は、1つ以上の層をスキップする接続である。深層残差ネットは、畳み込み層を含むプレーンニューラルネットワーク構造を取り、ショートカット接続を挿入することによって作成されることができ、それによってプレーンニューラルネットワークを取り、それを残差学習の相手にする。深層残差ネットの例は、参照により本明細書に完全に記載されているかのように組み込まれる、Heらによる「Deep Residual Learning for Image Recognition」、NIPS 2015に記載されている。本明細書に記載のニューラルネットワークは、この参考文献に記載されているようにさらに構成されることができる。
マスキング解除状態推定エンジンの訓練
いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、訓練モードで動作するように適合される。いくつかの実施形態では、訓練モジュール211は、任意の適切な訓練アルゴリズムに従って、訓練スペクトルデータをマスキング解除状態推定エンジン210に提供し、その訓練モードでマスキング解除状態推定エンジン210を動作させるように動作することができる。いくつかの実施形態では、訓練モジュール211は、マスキング解除状態推定エンジン210と通信しており、訓練スペクトルデータ(または訓練吸光度スペクトルデータのさらなる処理された変形、例えば、訓練スペクトルデータの一次または二次導関数、訓練スペクトルデータ内の個々の帯域の大きさ、訓練スペクトルデータ内の帯域の積分、訓練スペクトルデータ内の2つ以上の帯域強度の比、訓練スペクトルデータの二次および三次導関数からの比など)を受信し、訓練スペクトルデータをマスキング解除状態推定エンジン210に供給するように構成される。いくつかの実施形態では、訓練モジュール211はまた、訓練スペクトルデータに関連付けられたクラスラベルを供給するように適合される。
いくつかの実施形態では、訓練アルゴリズムは、(本明細書に記載されるような)既知の訓練スペクトルデータのセットおよび(例えば、マスキング解除条件など)既知の出力クラスラベルの対応するセットを利用し、入力訓練スペクトルデータの処理が所望の対応するクラスラベルを提供するように、マスキング解除状態推定エンジン210内の内部接続を変更するように構成される。
マスキング解除状態推定エンジン210は、当業者に公知の任意の方法に従って訓練されることができる。標識の追加の例は、米国特許出願公開第2015/0268255号、同第2019/0102675号、同第2015/0356461号、同第2013/0132786、同第2013/0240010号、同第2014/0134616号、および同第2019/0108344号に開示されており、それらの開示は、参照によりその全体がここに組み込まれる。
いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、交差検証法を使用して訓練される。交差検証は、分類器を開発するときにモデル選択および/またはパラメータ調整を支援するために使用されることができる技術である。交差検証は、標識付き事例のセットからの事例の1つ以上のサブセットを試験セットとして使用する。例えば、k倍交差検証では、標識付き事例のセットは、k個の「折り畳み」に等しく分割され、例えば、K倍交差検証は、機械学習モデルを評価するために使用される再サンプリング手順である。一連の訓練-試験サイクルが実行され、各サイクルにおいて異なる折り畳みが試験セットとして使用され、残りの折り畳みが訓練セットとして使用されるように、k個の折り畳みを反復する。各折り畳みがある時点で試験セットとして使用されるため、標識付きケースのセット内のランダムでない選択されたケースは、交差検証にバイアスをかけるように見える。例えば、5倍交差検証(k=5)のシナリオでは、データセットは5倍に分割される。第1の反復では、第1の折り畳みが使用されてモデルを試験し、残りが使用されてモデルを訓練する。第2の反復では、第2の折り畳みが試験セットとして使用され、残りは訓練セットとして機能する。このプロセスは、5つの折り畳みの各折り畳みが試験セットとして使用されるまで繰り返される。閾値処理の追加の方法は、国際公開第2014/0279734号および国際公開第2005/0234753号に記載されており、それらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
PLSRに基づく機械学習アルゴリズムを利用するマスキング解除状態推定エンジン210の文脈において、図7および図11は、免疫認識部位の配座状態に関連する特徴などの訓練スペクトル内の特徴について振動スペクトルをマイニングするためにPLSRモデルがどのように訓練されるか、およびこれらの特徴がマスキング解除条件またはマスキング解除プロセスが進行するにつれてどのように変化するかを示している。いくつかの実施形態では、PLSRモデルはまた、異なる種類の組織および/または異なる種類の分子(タンパク質、核酸)に対するこれらの特徴の変化を認識するように訓練される。いくつかの実施形態では、PLSRアルゴリズムは、振動スペクトルデータ(例えば、吸収スペクトル、一次導関数、二次導関数)を取得し、どの特徴(波長)が応答変数(マスキング解除時間/持続時間など)を最も予測するかを判定するために使用されるモデルを作成する。いくつかの実施形態では、生成されたモデルは、性能評価および最適化のために同じ未知の振動スペクトルデータを使用して、性能についてさらに評価されることができる。
主成分分析に基づく機械学習アルゴリズムを利用するマスキング解除状態推定エンジン210の文脈において、PCAは、PCA変換行列を生成するためにデフォルト試料サイズの初期訓練データセットに対して実行される。第2のPCAは、初期訓練データセットおよび試験データセットを含む結合データセットに対して実行される。その後、初期訓練データセット内の試料数がインクリメントされて、拡張訓練データセットが生成される。拡張訓練データセットのPCAが実行されて、拡張訓練データセットのPCA数が初期訓練データセットと同じであるかどうかが判定される。そうである場合、初期試験データセットと拡張試験データセットとの間の誤差は、最終的な解誤差を推定するためにPCA信号およびPCA変換行列に基づいて評価される。結合データセットのPCA行列は、試験データセット推定値を生成するために第1のPCAからの変換行列を使用して初期訓練データセット領域(例えば、スペクトル領域)に変換し戻される。この方法は、PCA数が収束して最終的な誤差目標が達成されるまで、訓練行列のサイズを拡張して反復する。誤差目標に到達すると、識別されたサイズの訓練データセットは、指定された入力パラメータ範囲に含まれる訓練目標機能情報を適切に表す。次いで、機械学習システム(例えば、マスキング解除状態推定エンジン210)は、識別されたサイズの訓練行列で訓練されることができる。PCAを使用する訓練の追加の態様は、米国特許8,452,718号明細書および米国特許第7,734,087号明細書に記載されており、それらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
マスキング解除状態推定エンジン210がニューラルネットワークを含む実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210を訓練するために逆伝播アルゴリズムが使用されることができる。逆伝播は、ネットワークノード間の接続にいくつかのランダムな初期値が与えられ、ネットワークが入力ベクトルのセット(訓練スペクトルデータセット)の対応する出力ベクトルを計算するように操作される反復プロセスである。出力ベクトルは、訓練スペクトルデータセットの所望の出力と比較され、所望の出力と実際の出力との間の誤差が計算される。計算された誤差は、出力ノードから入力ノードに逆伝播され、誤差を低減するためにネットワーク接続重みの値を修正するために使用される。そのような各反復の後、訓練モジュール211は、訓練セット全体の総誤差を計算することができ、次いで、訓練モジュール211は、別の反復でプロセスを繰り返すことができる。マスキング解除状態推定エンジン210の訓練は、総誤差が最小値に到達すると完了する。所定の反復回数の後に総誤差の最小値に到達しない場合、および総誤差が一定でない場合、訓練モジュール211は、訓練プロセスが収束しないと考えることができる。
上述したように、差次的にマスキング解除された(例えば、異なる持続時間および/または異なる温度でマスキング解除された)訓練生物学的検体から取得された取得スペクトルデータを用いた訓練の文脈では、各取得訓練スペクトルは、既知のマスキング解除条件、例えば、マスキング解除プロセスの持続時間およびマスキング解除プロセスが実行された温度に関連付けられる。例えば、図4Bに示される2つの訓練スペクトルデータセット(点線のボックスを参照)は、任意の関連するクラスラベルとともに、マスキング解除状態推定エンジン210の訓練のために訓練モジュール211へ提供されることができる。他の実施形態では、訓練スペクトルデータは、未回収、完全回収、または部分回収などのクラスラベルをさらに含むことができる。
マスキング解除状態推定エンジン210の訓練が完了すると、システム200は、試験スペクトルデータ内の特徴を検出するように動作する準備ができ、検出された特徴に基づいて、試験生物学的検体のマスキング解除状態、例えば、適用されたマスキング解除プロセスの温度および/または持続時間を含むマスキング解除条件を推定する。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、入力データの変動に適応するように定期的に再訓練されることができる。
マスキング解除状態の推定
上述したように、マスキング解除状態推定エンジン210が適切に訓練されると、それが使用されて試験振動スペクトルデータ内の特徴を検出し、検出された特徴に基づいて、マスキング解除状態、例えばマスキング解除プロセスの持続時間および/または温度を予測することができる。いくつかの実施形態では、図3を参照すると、試験生物学的検体が取得され(ステップ310)(例えば、特定の疾患を有する疑いがあるか、または特定の疾患を有することが知られている対象から)、次いで、その試験生物学的検体から試験振動スペクトルデータが取得される(ステップ320)(図5も参照)。いくつかの実施形態では、試験振動スペクトルデータは、吸光度スペクトル、吸光度スペクトルの一次および/または二次導関数、訓練スペクトルデータ内の個々の帯域の大きさ、訓練スペクトルデータ内の帯域の積分、訓練スペクトルデータ内の2つ以上の帯域強度の比、訓練スペクトルデータの二次および三次導関数からの比などを含む。
上述した振動試験スペクトルデータおよび/またはその変形が取得されて処理されると、訓練されたマスキング解除状態推定エンジン210を使用して、試験スペクトルデータからマスキング解除特徴が導出されることができる(ステップ340)。いくつかの実施形態では、導出されたマスキング解除特徴は、各波数が回収状態の予測にどの程度関連するかのマッピングである。例えば、図11に示すように、PLSR係数のグラフを特に参照すると、大きな正の係数は、波数が探索状況と正に相関することを意味する。一方、大きな負の数は、波数が回収状況と負の相関関係にあることを意味する。0に近い値はほとんど有意性がない。いくつかの実施形態では、検出されることができるマスキング解除特徴は、ピーク振幅、ピーク位置、ピーク比、スペクトル値の和(特定のスペクトル範囲にわたる積分など)、勾配の1つ以上の変化(一次導関数)または曲率の変化(二次導関数)などを含む。導出されたマスキング解除特徴に基づいて、マスキング解除状態推定値が計算されることができる(ステップ350)。
マスキング解除状態推定エンジン210が既知のマスキング解除温度および持続時間クラスラベルを含む訓練スペクトルデータを用いて訓練される実施形態では、マスキング解除状態推定エンジン210は、試験生物学的検体が受けたマスキング解除プロセスの予測温度および/または持続時間を出力として提供することができる。この概念は、本明細書の実施例1にさらに記載されている。例として、図12および図14は、訓練されたマスキング解除状態推定エンジン210を使用して達成された結果を示している。図12および図14は、予測されたマスキング解除持続時間および温度を、差示的にマスキング解除された試験生物学的検体の既知の(実験的な)マスキング解除持続時間および温度と比較して示している。図示されるように、マスキング解除状態推定エンジン210は、個別にマスキング解除された検体にわたるマスキング解除時間および/またはマスキング解除持続時間を正確に予測することができる。
当業者は、出力として提供される情報が、さらなる下流プロセスで使用されてもよく、試験生物学的検体を1つ以上の特異的結合実体で処理すべきかどうかに関する決定を下すために使用されてもよいことを理解するであろう。
実施例1-訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用したマスキング解除状態の推定
要約
このプロジェクトは、組織学的組織切片における分子の振動状態を調べるために中間赤外(中間IR)分光法を利用した。試験可能な仮説は、中間IR信号によって判断される組織の振動状態が、抗原回収(AR)プロセス中に起こる組織組成の立体配座変化を示すことである。
中間IRスペクトルの変化を組織の抗原回収状態と相関させる計測が開発されている。この計測を使用して、低温回収と高温回収との間の差を調べた。中間IRの結果は、低温および高温の抗原回収に起因する異なる染色強度を示す染色結果によって裏付けられ、これらの処理が組織を同等の状態のままにしないことを示している。
この研究では、差示的に回収された扁桃組織に起因する中間IRスペクトルの変化が研究された。特に、抗原回収に影響を及ぼす2つの最大変数である時間および温度が独立して評価された。中間IRスペクトルの特定されたシフトは、Ki-67およびC4dタンパク質の免疫組織化学(IHC)染色と相関していた。結果は扁桃および乳房組織で検証され、この計測が異なる種類の組織に一般化可能であることを示している。さらに、CC1ベースの抗原回収およびCC2ベースの標的回収後に組織が劇的に異なる状態にあることが示された。したがって、提示された方法は、複数の回収方法に適用可能である。
序文
中間赤外分光法(MID-IR)は、組織内の個々の分子の振動状態をプローブする強力な光学技術であり、タンパク質の立体配座状態に非常に敏感である。内因性および外因性材料の存在およびさらには立体配座状態は、生物学的検体の中間IR吸収プロファイルの変化を通じて明らかになるため、この極端な感度は、中間IR分光法を顕微鏡用途に理想的に適合させる。振動分光法は、例えば健康な組織と癌性組織とを区別するための診断用途にも使用されている。
回収の正確なメカニズムは、完全には理解されていないが、エピトープのマスキング解除は、組織の生体組成の著しい変化を必要とする。したがって、生物学的検体の分子組成の変化が中間IRスペクトルの変化に現れるかどうかを調べることが求められた。最終的な目標は、中間IRスペクトルを使用して、組織試料の抗原回収を正確に判定するために使用されることができる計測を開発することであった。そのような新規な能力は、研究者が標準化された客観的な計測によって組織試料の回収状況を評価することを可能にするであろう。
抗原回収は、IHCに基づく検出によって検出されることができるようにタンパク質エピトープをマスキング解除するため、現代の免疫組織化学の中心となっている。抗原回収の正確なメカニズムは、推測的なままであるが、それはFFPE組織上でIHCを検出することを可能にする重要な化学プロセスである。したがって、回収は、現在の癌バイオマーカーを検出するために根本的に重要であり、組織が回収される程度でさえ、検出されるタンパク質発現レベルに有意に影響を及ぼすことができる。その重要性にもかかわらず、抗原回収の正確なメカニズムは不明なままであり、抗原回収の質を測定するための分析方法ではない。
方法および材料
取得手順
反射赤外研究用のMirrIR顕微鏡スライド(オハイオ州チェスターランドのKevley Technologies社)が中間IRスペクトル測定に使用された。ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)扁桃組織の4ミクロン連続切片を前処理したMirrIRスライド上に置いた。扁桃組織の脱パラフィン化を、OP2100-025に従って手動で行った。簡単に述べると、キシレンステップ後、スライドを、降順のグレードのエタノールを通して水和させ、次いで、VENTANA細胞調整1(CC1)溶液中で急速抗原回収(RAR)試験床に移した。
抗原回収ステップは、ヒーターをオンにする前に30psiに予め加圧したRARチャンバ内のCC1溶液中で行われた。任意の所与の実験の総加熱時間は、90秒間の上昇時間および2分間の冷却時間を含んだ。抗原回収ステップの後、スライドを脱イオン水で穏やかに洗浄し、室温で風乾した。無傷の扁桃組織を有する乾燥スライドを中間IR測定に使用した。
IHC染色および定量
免疫反応性データを全ての試料について収集し、処理を中間IR分光法で分析した。簡単に述べると、脱パラフィンおよび抗原回収を手動で行うハイブリッド手順を用いて試料を処理した。脱パラフィン(depar)をキシレンを使用して行い、続いて段階的アルコール系列を通して再水和した。次いで、試料をCC1(カタログ番号:950-124)に入れた。抗原回収後、過酸化物阻害剤から対比染色までのその後の処理ステップのために、試料を反応緩衝液(カタログ番号950-300)中でBenchMark UTLRA装置に移した。
ここに提示される研究では、扁桃試料をKi-67(30-9)またはC4d(SP91)に対して生じた抗血清で標識した。これらのマーカーは、増加する抗原回収処理に対して異なる応答を示すために選択した。Ki-67は、染色強度および標識された細胞の数が増加し、その後、強度および陽性度が減少する。逆に、C4dは、そうでなければ試料に損傷を与える抗原回収条件を介して強度および陽性度が増加し続ける。C4dは、現在の回収方法で処理した場合には性能が低いが、高温抗原回収で処理した場合には明らかな免疫反応性を示すため、さらに選択した(この挙動は、急速抗原回収からの染色品質の改善と題されたD081973の補遺に詳細に記載されている)。
Leica Aperio AT2(独国ヌスロッホのLeica Biosystems)スライドスキャナを用いて試料スライドをスキャンし、Aperio Imagescopeソフトウェアと共に供給される「正画素数v9」アルゴリズムを用いて免疫反応性の強度および染色された組織の割合を定量した。各組織について、染色が予想される扁桃組織を含むように関心領域(ROI)を選択した。図8に示すように、いくつかの染色処理で高いバックグラウンドを示したが、他の染色処理では欠けていた結合組織を除外した。
この定量化方法は、試料間で再現可能であり、実験内で比較することができる強度単位を生成する。しかしながら、強度測定値、または病理学者のスコアに報告された陽性画素の割合をマッピングまたは一致させる試みは行われなかった。
中間IRデータの収集
中間IRスペクトルは、付属の光干渉計(Vertex 70)を備えたフーリエ変換赤外(FTIR)顕微鏡(Bruker Hyperion 3000、マサチューセッツ州ビレリカのBruker Optics)で収集した。扁桃腺ブロックからの連続切片を4マイクロメートルの厚さで中間IR反射スライド(Kevley Technologies、MirrIR)上に切片化し、差次的に回収し、中間IR顕微鏡でイメージングした。異なる実験条件下で回収した扁桃組織切片をFTIR顕微鏡に置き、視野(FOV)をラスタスキャンすることによって組織切片全体を可視対物レンズでイメージングした。BrukerソフトウェアOPUSを使用して、水銀-カドミウム-テルル(MCT)検出器を使用して中間IRスペクトルを収集した組織の領域をランダムに選択した。典型的には、各組織試料から約20から約80個のスペクトルを収集した。吸収スペクトルを約4cm-1の分解能で収集し、選択した各ROIを64回サンプリングし、これらのスペクトルを一緒に平均して所与の位置の最終スペクトルを得た。例示的な組織画像、サンプリングパターン、および単一のROIについて得られた平均スペクトルが図9において以下に示される。全てのスペクトルは、約200μm×200μmのFOVを生成する15×IR対物レンズを用いて収集された。
中間IRデータの前処理
収集したスペクトルを前処理してアーチファクトを除去し、スペクトルのフォーマットを標準化し、組織の中間IR吸収を単離した。顕微鏡は、中間IR透過を直接測定する。透過スペクトルを吸収スペクトルに変換するために、参照透過スペクトルを試料の外側の空間位置で収集し、組織を通して収集されたスペクトルを分割するために使用した。この計算は、組織によって減衰(吸収および散乱)された光の量を提供する。次いで、主に水蒸気および二酸化炭素からの大気吸収を、OPUSソフトウェアのアルゴリズムを使用して除去した。次いで、ベースライン補正を使用して、凹状ゴムバンド補正(8反復、64ベースラインポイント)を使用して組織散乱を補正した。得られたスペクトルは、試料組織による吸収を表す。最後に、全てのスペクトルを最大値2に正規化して、切片厚および組織密度の差を緩和した。
実験設計および結果
一定の抗原回収温度における抗原回収時間の変動
この実験では、抗原回収を約98.6℃で約0、約10、約30、約60、または約120分間のいずれかで扁桃組織に対して行った。各処理を2つ組の試料に対して行った。中間IRスペクトルは、抗原回復処理と緩やかに相関した、アミドIバンドと呼ばれる一次タンパク質バンドの顕著なシフトを示す。このアミドIシフトの例が図10Aに示されている。アミドIバンドのピーク波長対半値全幅(FWHM)の定量化は、抗原回収処理を未回収と、部分的、完全および過剰回収(図10B)とに経時的に区別することを可能にする。
主成分分析、アミドIバンドの積分、散乱を補正するためのいくつかのバンドへの正規化、ならびにメチルおよびメチレンピークの定量化を含む複数の他の測定基準を、このプロジェクトを通して評価した。残念なことに、これらの他の測定基準のいずれも、組織の抗原回収状態の層別化のレベルを改善することができなかった。最後に、教師あり機械学習モデルを確立して、組織の抗原回収状態を示す中間IRスペクトルの明白でないシグネチャを利用した。スペクトルのこれらの小さな差は、潜在構造回帰(PLSR)法への投影を使用して識別された。このアルゴリズムは、中間IR信号(例えば、吸収スペクトル、一次導関数、二次導関数)を取得し、どの特徴(波長)が応答変数(抗原回収状況、標的回収状況など)を最も予測するかを決定するために使用されるモデルを作成する。次いで、生成されたモデルを、性能評価および最適化のために同じ未知の中間IRデータを使用して性能について評価した。図11は、PLSRモデルがどのようにして抗原回収シグネチャのための中間IRスペクトルを取得するように訓練されるかを示している。この実験では、モデルの精度は3分であった。
これらの研究は、教師あり機械学習モデルがデータをマイニングし、扁桃試料中の抗原回収時間を判定するために使用されることができる方法を開発することができることを実証している。モデルが真の抗原回収シグネチャを認識していることをさらに検証するために、アルゴリズムが訓練されていない一連のスペクトルをモデルに与えて、盲検予測をどれだけうまく行うことができるかを判定した。図12に見られるように、このモデルは、未知のスペクトル(紫色のドット)の抗原回収時間を8分以内に予測することができ、このモデルが中間IRペクトルにおいて堅牢な抗原回収シグネチャを見出したことを実証している。
抗原回収時間および温度の変動
この研究では、機械学習モデルと組み合わせた中間IRスペクトルが、抗原回収時間および温度を推定するためにどの程度良好に使用されることができるかを調べた。4つの別個の扁桃組織を有する5つの多組織スライドを約98.6℃から約140℃の温度で5分間回収した。3つの扁桃組織(図13、3つの組織検体を含む丸で囲まれた部分)からの中間IRスペクトルを使用して、PLSRモデルを訓練した。次いで、このモデルが使用されて、「不明」扁桃組織における抗原回収条件を推論した(図13)。
盲検(図13、単一の組織検体のみを含む丸で囲まれた部分)扁桃試料に対するモデルの性能を、約30分および約60分の抗原回収(図14を参照)で実行した同じ温度経過でさらに試験した。
図9からの結果は、少なくとも扁桃組織において、PLSRと結合した中間IRスペクトルが、全ての時間および温度にわたって、未知の試料が回収される程度を正確に定量することができることを実証している。時間および温度が抗原回収に影響を及ぼす2つの最も重要な変数であるため、これは極めて重要である。
2つの極端な抗原回収条件の比較
この実験では、C4dタンパク質の中間IRスペクトルおよびIHC染色を使用して、2つの完全に異なる抗原回収条件を比較した。扁桃組織における抗原回収ステップを、RAR試験台において行った。最初の抗原回収処理は、約98.6℃で60分間であり、これは、Ventana BenchMark ULTRAプラットフォームで典型的に使用される抗原回収条件を模倣している。試験した第2の抗原回収条件は、140℃で5分であった。この研究では、図17Aおよび図17Bに示されるように、各組織の中心付近のグリッドパターンで各試料を約128回撮像した。
2つの異なる処理された試料からの中間IRスペクトルの目視検査は、有意差を明らかにする(図18)。例えば、1060cm-1付近の中間IR吸収(図18、左)は、高温/短時間試料(実線トレース)には存在しない低温/長時間抗原回収試料(破線トレース)についての明確な吸収バンドを示す。これは、おそらく、組織の核酸が異なる立体配座状態にあり、低温核酸が中間IRエネルギーを吸収できることを示している。同様に、約1600から約1700cm-1(図18、中央)に位置する一次タンパク質バンドもまた、高温/短時間の抗原回収試料では存在しない低温/長時間組織で顕著な変形を伴う大きな差を有する。最後に、約2800から約2950cm-1(図18、右)の間のメチルおよびメチレン吸収バンドに実質的な差が観察される。これらのバンドは、タンパク質および脂質の中間IR吸収に関連する。これらの異なる信号の分子的基礎を理解するためにはさらなる研究が必要である。しかしながら、このデータは、組織検体が低温および高温の抗原回収後に非常に異なる配座状態にあるという理論を支持する。
さらに、これらの2つの抗原回収プロトコルは、訓練および盲検スペクトルの双方で機械学習アルゴリズムを使用して区別可能であった。中間IRスペクトルの明らかな違いは、C4dの別個のIHC染色によって反映される(図19)。約140℃で約5分間の抗原回収で処理した試料は、胚中心で有意なC4d免疫反応性を示すが、約98.6℃で1時間回収した試料では免疫反応性はほとんど見えない。
乳房組織の抗原回収
このセクションは、同じ方法を乳房組織に適用することによって扁桃組織において達成される結果を拡張する。4つの異なる乳房組織片を、約98.6℃、約110℃、約120℃、約130℃、または約140℃の温度で、全て5分間の一定時間にわたって差次的に回収した。各抗原回収温度に対して4つの平均スペクトルが得られるように、各組織を4つずつ切断した。
図20に見られるように、中間IR吸光度スペクトルならびに差示的に回収された組織の一次微分スペクトルに目に見える違いが見られる。図21Aおよび図21Bは、アミドIバンドの一次導関数ピーク位置対FWHMの定量図を提示している。抗原回収が進行するにつれて、より狭い帯域およびより低いピーク波数に向かう明らかな傾向がある。この方法は、抗原回収時間に対しては機能しなかったが、抗原回収温度を粗く分解することができた。個々のバンドの大きさ、バンドの積分、約2つ以上のバンド強度の比、ならびに二次および三次微分スペクトルからの大きさおよび比を見ることを含む、抗原回収状態に基づいて試料を確実且つ正確に区別することができなかったいくつかの他の分析方法も調査した。
この技術の実用的な実施形態に必要とされるより正確な結果を達成するために、PLSRモデルを訓練し、盲検スペクトルで試験した結果が図22に示されている。盲検スペクトルのみを見ると、訓練されたモデルは、組織の抗原回収温度を約2℃まで判定することができた。
乳房組織における標的回収
このセクションは、CC1ベースの抗原回収およびCC2ベースの標的回収後に組織が有意に異なる構成にあるという原理実証データを提示する。乳房組織の連続切片は、CC1またはCC2のいずれかを使用して回収された。平均吸収スペクトルは、図23Aおよび図23Bにプロットされており、スペクトル全体にわたって明確な差が観察される。図24は、いくつかの異なる帯域における一次微分スペクトルを示している。統計分析は、スペクトルが電磁範囲全体の帯域で有意に異なることを確認する。これは、CC1回収後とCC2回収後とで組織が劇的に異なる状態にあり、中間IR分光法がこれらのスペクトル差を検出および解決することができることを示している。図25は、CC1の使用とCC2の使用との間の違いのさらなる図を提供している。
概要および議論
この研究は、時間または温度によって駆動される場合、中間IR分光法を使用して抗原回収プロセスを定量することができるという仮説の概念実証を確立する。また、特定の抗体が、低温回収条件に供された標的と高温回収条件に供された標的とで異なる免疫認識を有することを示す、染色結果によって裏付けられる独立した計測法も確立した。したがって、中間IRスペクトルは、組織学的組織切片が低温および高温回収後に同一の状態にないという証拠を提供した。扁桃および乳房組織で所見が検証された。
実施例2-マスキング解除状態推定エンジンの訓練
一実施形態では、主成分分析および判別分析(PCDA)アルゴリズムが使用されて、組織の回収状況を判定する。中間IRスペクトルは、組織試料全体の約100箇所から収集されたため、平均スペクトルは、組織の平均を表す。全てのスペクトルが大気補正されてCO2汚染を除去し、10回の反復および64のベースラインポイントで凹状ゴムバンド補正を使用してベースライン補正し、次いで取得したスペクトルを振幅正規化した。最後に、各組織からの全てのスペクトルを平均化した。次に、PCDAモデルを使用して、あるスペクトルが属する群を分類した。このアルゴリズムにおける2つの主要変数は、分類目的に使用された主成分の数および判別分析のタイプ(線形または二次)であった。1つの例が図7Aに示されており、最初の2つの主成分は、異なる時間量の一連のスライド回収のためにプロットされている。したがって、判別分析は、最適な破断点を決定し、各スペクトルを回収条件の1つの群から分類した。当業者は、主成分の数が増加するにつれて、このアプローチが、その中間IRスペクトルに基づいてスライドの回収条件を決定するための実行可能な選択肢となり得ることを理解するであろう。混同行列は、訓練中により多くの成分が利用されるにつれて分類性能がさらに改善されることができることを示す図7Bに示されている。
他のシステム構成要素
本開示のシステム200は、組織検体に対して1つまたは複数の調製プロセスを実行することができる検体処理装置に結び付けられることができる。調製プロセスは、限定されるものではないが、検体の脱パラフィン、検体のコンディショニング(例えば、細胞コンディショニング)、検体の染色、抗原検索の実行、免疫組織化学染色(標識を含む)または他の反応の実行、および/またはインサイチュハイブリッド形成(例えば、SISH、FISHなど)染色(標識を含む)または他の反応の実行、ならびに顕微鏡検査、微量分析、質量分析法、または他の分析方法のための検体を調製するための他のプロセスを含むことができる。
処理装置は、検体に固定液を塗布することができる。固定剤は、架橋剤(例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、およびグルタルアルデヒドなどのアルデヒド、ならびに非アルデヒド架橋剤)、酸化剤(例えば、四酸化オスミウムおよびクロム酸などの金属イオンおよび複合体)、タンパク質変性剤(例えば、酢酸、メタノール、エタノール)、メカニズム不明の固定剤(例えば、塩化水銀、アセトン、およびピクリン酸)、配合試薬(例えば、カルノイ固定剤、メタカーン、ブアン液、B5固定剤)、ロスマンの液体、およびゲンドレの液体、マイクロ波、およびその他の固定剤(例えば、容積固定および蒸気固定を除外)を含むことができる。
検体がパラフィンに埋め込まれた試料である場合、試料は、適切な脱パラフィン液を使用して脱パラフィン化されることができる。パラフィンを除去した後、任意の数の物質を連続して検体に塗布することができる。物質は、前処理(例えば、タンパク質架橋を逆転させる、核酸を露出させるなど)、変性、ハイブリッド形成、洗浄(例えば、厳密洗浄)、検出(例えば、視覚的またはマーカー分子のプローブへの連結)、増幅(例えば、タンパク質、遺伝子などの増幅)、逆染色、カバースリップなどのためのものとすることができる。
検体処理装置は、検体に幅広い物質を塗布することができる。物質は、これらに限定されるものではないが、染色剤、プローブ、試薬、リンス、および/またはコンディショナを含む。物質は、流体(例えば、気体、液体、または気体/液体混合物)などとすることができる。液体は、溶媒(例えば、極性溶媒、非極性溶媒など)、溶液(例えば、水溶液または他のタイプの溶液)などとすることができる。試薬には、染色剤、湿潤剤、抗体(例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体など)、抗原回収液(例えば、水性または非水性ベースの抗原回収溶液、抗原回収緩衝液など)が含まれ得るが、これらに限定されない。プローブは、検出可能な標識またはレポータ分子に付着した、単離された核酸または単離された合成オリゴヌクレオチドとすることができる。標識は、放射性同位元素、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光または蛍光剤、ハプテン、および酵素を含むことができる。
染色は、組織化学染色モジュールまたは別個のプラットフォーム(例えば、自動化されたIHC/ISHスライド染色機など)を用いて行われることができる。自動化IHC/ISHスライド染色器は、典型的には、少なくとも、染色プロトコルで用いられる様々な試薬の貯蔵容器、試薬をスライド上に分配するための貯蔵容器と流体連通した、試薬分配ユニット、スライドから、使用済みの試薬と他の廃棄物を取り除くための、廃棄物除去システム、および、試薬分配ユニットと廃棄物除去システムの作用を調製する制御システムを含む。染色ステップの実施に加えて、多くの自動スライド染色装置はまた、スライドベーキング(試料をスライドに接着させるため)、脱脂(脱パラフィン化ともいう)、抗原回収、対比染色、脱水および透明化、カバーガラス被覆など、染色に付随するステップも行うことができる(または、そのような付随的なステップを実施する別のシステムと互換性がある)。全体が本明細書に援用されるPrichard,Overview of Automated Immunohistochemistry,Arch Pathol Lab Med.,138巻、1578-1582頁(2014年)は、intelliPATH(Biocare Medical)、WAVE(Celerus Diagnostics)、DAKO OMNISおよびDAKO AUTOSTAINER LINK 48(Agilent Technologies)、BENCHMARK(Ventana Medical Systems,Inc.)、Leica BOND、ならびにLab Vision Autostainer(Thermo Scientific)自動スライド染色装置を含む自動化IHC/ISHスライド染色装置およびそれらの様々な特徴のいくつかの具体的な例を記載している。さらに、Ventana Medical Systems,Inc.は、米国特許第5,650,327号明細書、米国特許第5,654,200号明細書、米国特許第6,296,809号明細書、米国特許第6,352,861号明細書、米国特許第6,827,901号明細書、および米国特許第6,943,029号明細書、ならびに米国特許出願公開第20030211630号明細書および米国特許出願公開第20040052685号明細書を含む、自動解析を実施するためのシステムおよび方法を開示している複数の米国特許の譲受人であり、これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
市販の染色ユニットは、通常、以下のいずれかの原理で動作する:(1)オープン個別スライド染色(open individual slide staining)、ここでは、スライドを水平に配置し、組織試料を含むスライドの表面に試薬を水たまりとして分配する(DAKO AUTOSTAINER Link 48(Agilent Technologies)およびintelliPATH(Biocare Medical)染色装置などで実施される);(2)液体オーバーレイ技術、ここでは、試薬は、試料上に堆積した不活性流体層で覆われるか、それを通って試料に対して分配される(VENTANA BenchMarkおよびDISCOVERY染色装置などで実施される);(3)毛細管ギャップ染色、ここでは、スライド表面を別の表面(別のスライドまたはカバープレートなど)の近くに配置して狭いギャップを作り、これを通って、毛細管力が吸引され、液体試薬が試料と接触し続ける(DAKO TECHMATE、Leica BOND、およびDAKO OMNIS染色装置で使用される染色原理など)。毛細管ギャップ染色を何回か繰り返しても、ギャップ内の流体は混ざらない(例えばDAKO TECHMATEおよびLeica BONDなどにおいて)。ダイナミックギャップ染色と呼ばれる毛細管ギャップ染色のバリエーションでは、毛細管力を利用してスライドに試料を塗布し、その後インキュベーション中に平行表面を互いに対して並進させて試薬を攪拌して試薬混合を行う(例えばDAKO OMNISスライド染色装置(Agilent)に実装されている)。並進ギャップ染色では、並進可能なヘッドがスライドの上に配置される。ヘッドの下面は、スライドの並進中にスライド上の液体から液体のメニスカスが形成されるのを可能にするのに十分な小ささの第1のギャップ分だけ、スライドから間隔が空いている。スライドの幅よりも小さい横寸法を有する混合延長部が、並進可能なヘッドの下面から延在して、混合延長部とスライドとの間の第1のギャップよりも小さい第2のギャップを画定する。ヘッドの並進中、混合延長部の横寸法は、スライド上の液体中に、概ね第2のギャップから第1のギャップに至る方向に横の移動を生じさせるのに十分である。国際公開第2011-139978号パンフレットを参照されたい。最近、スライド上に試薬を付着させるためにインクジェット技術を使用することが提案された。国際公開第2016-170008号パンフレットを参照されたい。染色技術のこのリストは、包括的なものであることを意図しておらず、バイオマーカー染色を実施するための、あらゆる完全または半自動化システムが、組織化学染色プラットフォームに組み込まれることができる。
形態学的に染色された試料も所望される場合、自動化されたH&E染色プラットフォームが使用されることができる。H&E染色を実施するための自動システムは、典型的には、2つの染色原理:バッチ染色(「dip’n dunk」とも呼ばれる)または個別スライド染色のうちの1つで動作する。バッチ染色装置は、一般に、多くのスライドを同時に浸す試薬バットまたは槽を使用する。一方、個別スライド染色装置は、試薬を各スライドに直接塗布し、同じアリコートの試薬を2枚のスライドで共有することはない。市販のH&E染色装置の例は、RocheのVENTANA SYMPHONY(個別スライド染色装置)およびVENTANA HE 600(個別スライド染色装置)シリーズH&E染色装置;Agilent TechnologiesのDako CoverStainer(バッチ染色装置);Leica Biosystems Nussloch GmbHのLeica ST4020 Small Linear Stainer(バッチ染色装置)、Leica ST5020 Multistainer(バッチ染色装置)、およびLeica ST5010 Autostainer XLシリーズ(バッチ染色装置)H&E染色装置を含む。
検体が染色された後、染色された試料が顕微鏡において手動で分析されることができ、および/または染色された試料のデジタル画像がアーカイブおよび/またはデジタル分析のために取得されることができる。デジタル画像は、20倍、40倍、または他の倍率で染色されたスライドを走査して高解像度全スライドデジタル画像を生成することができるスライドスキャナなどの走査プラットフォームを介して捕捉されることができる。基本的なレベルでは、典型的なスライドスキャナは、少なくとも以下を含む:(1)レンズ対物レンズを備えた顕微鏡、(2)光源(染料に応じて、ハロゲン、発光ダイオード、白色光、および/またはマルチスペクトル光源など)、(3)スライドガラスを移動させるもしくは光学素子をスライドの周りに移動させるまたはその双方のロボット工学、(4)画像捕捉用の1つ以上のデジタルカメラ、(5)ロボット工学を制御し、デジタルスライドを操作、管理、および表示するためのコンピュータおよび関連ソフトウェア。スライド上の複数の異なるX-Y位置(場合によっては複数のZ面)のデジタルデータが、カメラの電荷結合素子(CCD)によって捕捉され、これらの画像が合わさって、スキャンした面全体の合成画像を形成する。これを実現するための一般的な方法は、以下を含む:
(1)スライドステージまたは光学系を非常に小さな増分で移動させて正方形の画像フレームを捕捉し、この画像フレームが隣接する正方形と僅かに重なり合っている、タイルベースのスキャニング。その後、捕捉された正方形が自動的に互いに照合され、合成画像を作成する。および
(2)取得中にスライドステージが単一軸で移動して多数の合成画像「ストリップ」を捕捉する線ベースのスキャニング。その後、画像ストリップは、互いに照合され、より大きな合成画像を形成することができる。
様々なスキャナ(蛍光および明視野の双方)の詳細な概要は、Farahani et al.,Whole slide imaging in pathology:advantages,limitations,and emerging perspectives,Pathology and Laboratory Medicine Int’l,Vol.7,p.23-33(2015年6月)に見ることができ、その内容は参照によりその全体が組み込まれる。市販のスライドスキャナの例は、以下を含む:3DHistech PANNORAMIC SCAN II;DigiPath PATHSCOPE;Hamamatsu NANOZOOMER RS,HT,およびXR;Huron TISSUESCOPE 4000,4000XT,およびHS;Leica SCANSCOPE AT,AT2,CS,FL,およびSCN400;Mikroscan D2;Olympus VS120-SL;Omnyx VL4,およびVL120;PerkinElmer LAMINA;Philips ULTRA-FAST SCANNER;Sakura Finetek VISIONTEK;Unic PRECICE 500,およびPRECICE 600x;VENTANA ISCAN COREOおよびISCAN HT;およびZeiss AXIO SCAN.Z1。他の例示的なシステムおよび特徴は、例えば国際公開第2011-049608号パンフレット、またはIMAGING SYSTEMS,CASSETTES,AND METHODS OF USING THE SAMEと題された2011年9月9日出願の米国特許出願第61/533,114号に見出すことができ、それらの内容は、その全体が参照により組み込まれる。
いくつかの実施形態では、任意の撮像は、米国特許第10,317,666号明細書および第10,313,606号明細書に開示されているシステムのいずれかを使用して達成されることができ、それらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。イメージング装置は、Ventana Medical Systems,Inc.によって販売されているiScan Coreo(商標)明視野スキャナまたはDP 200スキャナなどの明視野イメージャであってもよい。
いくつかの場合では、画像は、画像分析システムにおいて分析されることができる。画像分析システムは、本明細書に記載される技術および動作を実行することができる、デスクトップコンピュータ、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン、サーバ、特定用途向けコンピュータ装置または任意の他のタイプの電子装置など、1つ以上のコンピュータ装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、画像分析システムは、単一の装置として実装されてもよい。他の実施形態では、画像分析システム は、本明細書で論じられる様々な機能性をともに実現する2つ以上の装置の組み合わせとして実装されてもよい。例えば、画像分析システムは、1つ以上のローカルエリアネットワークおよび/またはワイドエリアネットワーク(インターネットなど)を介して互いに通信可能に接続された、1つ以上のサーバコンピュータと1つ以上のクライアントコンピュータとを含むことができる。いくつかの実施形態では、画像分析システムは、典型的には、少なくともメモリ、プロセッサ、およびディスプレイを含む。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)などの読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、光ディスクなど、任意のタイプの揮発性または不揮発性メモリの任意の組み合わせを含むことができる。メモリは、単一の装置に含めることができ、2つ以上の装置にわたって分散させることもできることが理解される。プロセッサは、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、専用シグナルまたは画像プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、テンソル処理装置(TPU)などの任意のタイプの1種以上のプロセッサを含むことができる。プロセッサは、単一の装置に含まれてもよく、2つ以上の装置にわたって分散されてもよいことが理解される。ディスプレイは、LCD、LED、OLED、TFT、プラズマなど、任意の適切な技術を使用して実装されることができる。いくつかの実装形態では、ディスプレイは、タッチ感知ディスプレイ(タッチスクリーン)であってもよい。画像分析システムはまた、典型的には、プロセッサ上で実行可能な命令セットを備えるメモリ上に記憶されたソフトウェアシステムを含み、命令は、物体識別、染色強度定量化などの様々な画像分析タスクを含む。本明細書に開示のモジュールを実装するのに有用な、例示的な市販のソフトウェアパッケージは、VENTANA VIRTUOSO;Definiens TISSUE STUDIO、DEVELOPER XD、およびIMAGE MINER;およびVisopharm BIOTOPIX、ONCOTOPIX、およびSTEREOTOPIXソフトウェアパッケージを含む。
検体が処理された後、ユーザは、検体を含むスライドを画像化装置に輸送することができる。いくつかの実施形態では、画像化装置は、明視野イメージャスライドスキャナである。明視野イメージャの1つは、Ventana Medical Systems,Inc.によって販売されているiScan Coreo明視野スキャナである。自動化された実施形態では、画像化装置は、「IMAGING SYSTEM AND TECHNIQUES」と題された、国際特許出願第PCT/US2010/002772(特許公開第WO/2011/049608号)号に開示された、または2011年9月9日に出願され、「IMAGING SYSTEMS,CASSETTES,AND METHODS OF USING THE SAME」と題された米国特許出願第61/533,114号に開示されたデジタル病理装置である。国際特許出願第PCT/US2010/002772号および米国特許出願第61/533,114号は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
本明細書に記載の主題および動作の実施形態は、デジタル電子回路、または本明細書に開示される構造およびそれらの構造的均等物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェア、またはそれらの1つ以上の組み合わせで実装されることができる。本明細書に記載の主題の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム、例えば、データ処理装置による実行のために、またはデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ記憶媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実装されることができる。本明細書で説明されるモジュールのいずれも、プロセッサによって実行されるロジックを含むことができる。本明細書で使用される「ロジック」は、プロセッサの動作に影響を与えるために適用されることができる命令信号および/またはデータの形態を有する任意の情報を指す。ソフトウェアはロジックの例である。
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶装置、コンピュータ可読記憶基板、ランダムまたはシリアルアクセスメモリアレイまたは装置、あるいはそれらの1つ以上の組み合わせとすることができるか、またはそれらに含まれることができる。さらに、コンピュータ記憶媒体は伝搬信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝搬信号に符号化されたコンピュータプログラム命令のソースまたは宛先とすることができる。コンピュータ記憶媒体はまた、1つ以上の別個の物理的コンポーネントまたは媒体(例えば、複数のCD、ディスク、または他の記憶装置)とすることができるか、またはそれらに含まれることができる。本明細書に記載されている動作は、1つ以上のコンピュータ可読記憶装置に記憶されているか、または他のソースから受信されたデータに対してデータ処理装置によって実行される動作として実装されることができる。
「プログラムされたプロセッサ」という用語は、データを処理するためのあらゆる種類の装置、装置、およびマシンを包含し、例えば、プログラム可能なマイクロプロセッサ、コンピュータ、チップ上のシステム、または前述の複数のもの、またはそれらの組み合わせを含む。装置は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの特別な目的のロジック回路を含むことができる。装置はまた、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想マシン、またはそれらの1つ以上の組み合わせを構成するコードを含むことができる。装置および実行環境は、ウェブサービス、分散コンピューティング、グリッドコンピューティングインフラストラクチャなど、様々な異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャを実現することができる。
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとも呼ばれる)は、コンパイルまたは解釈された言語、宣言言語または手続き型言語を含む、あらゆる形式のプログラミング言語で記述されることができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、またはコンピューティング環境での使用に適したその他のユニットとして含む、あらゆる形式で展開されることができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応することができるが、対応する必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部(例えば、マークアップ言語ドキュメントに保存された1つ以上のスクリプト)、当該プログラム専用の単一ファイル、または複数の調整されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)に記憶されることができる。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータ、または1つのサイトに配置されているか、複数のサイトに分散され、通信ネットワークによって相互接続されている複数のコンピュータで実行されるように展開されることができる。
本明細書に記載のプロセスおよびロジックフローは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実行され、入力データを操作して出力を生成することによってアクションを実行することができる。プロセスおよびロジックフローは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの特殊用途のロジック回路によって実行されることもでき、装置は、それらとして実装されることもできる。
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および特殊目的の双方のマイクロプロセッサ、および任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリまたはランダムアクセスメモリ、あるいはその双方から命令とデータを受信する。コンピュータの本質的な要素は、命令に従ってアクションを実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つ以上のメモリ装置である。一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクを含むか、またはデータを受信するか、データを転送するか、またはその双方に動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータは、そのような装置を必要とするわけではない。さらに、コンピュータは、ほんの数例を挙げると、別の装置、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオまたはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、またはポータブル記憶装置(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)に組み込まれることができる。コンピュータプログラムの命令およびデータを記憶するのに適した装置は、例として半導体メモリ装置、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置を含む、全ての形態の不揮発性メモリ、メディアおよびメモリ装置、磁気ディスク、例えば、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、およびCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含む。プロセッサおよびメモリは、特別な目的のロジック回路によって補完され、またはこれに組み込まれることができる。
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載の主題の実施形態は、ディスプレイ装置、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)ディスプレイ、またはOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、ユーザに情報を表示するためのディスプレイ、およびユーザがコンピュータに入力を提供することができる、キーボードおよびポインティング装置、例えば、マウスまたはトラックボールを有するコンピュータ上に実装されることができる。いくつかの実装形態では、タッチスクリーンが使用されて、情報を表示し、ユーザからの入力を受け取ることができる。他の種類の装置が使用されて、ユーザとの対話を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚的フィードバックなど、任意の形態の感覚的フィードバックとすることができる。また、ユーザからの入力は、音響、音声、または触覚入力を含む任意の形式で受信されることができる。さらに、コンピュータは、例えば、Webブラウザから受信した要求に応答して、ユーザのクライアント装置上のWebブラウザにWebページを送信することによるなど、ユーザが使用する装置との間でドキュメントを送受信することにより、ユーザと対話することができる。
本明細書に記載される主題の実施形態は、例えば、データサーバとしてのバックエンドコンポーネントを含むか、またはアプリケーションサーバなどのミドルウェアコンポーネントを含むか、または、例えば、ユーザがこの明細書に記載されている主題の実装と対話することができるグラフィカルユーザインタフェースまたはWebブラウザを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンドコンポーネント、または1つ以上のそのようなバックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムに実装されることができる。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形式または媒体、例えば通信ネットワークによって相互接続されることができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)、ネットワーク間(例えば、インターネット)、およびピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピア-ピアツーピアネットワーク)を含む。例えば、図1のネットワーク20は、1つ以上のローカルエリアネットワークを含むことができる。
コンピューティングシステムは、任意の数のクライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、通常、互いにリモートであり、通常、通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントおよびサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され且つクライアント-サーバの関係を互いに有するコンピュータプログラムによって発生する。いくつかの実施形態では、サーバは、(例えば、データを表示し、クライアント装置と対話するユーザからのユーザ入力を受信する目的で)データ(例えば、HTMLページ)をクライアント装置に送信する。クライアント装置で生成されたデータ(例えば、ユーザの操作の結果)は、サーバにおいてクライアント装置から受信されることができる。
バイオマーカーの例
マスキング解除されることができるバイオマーカーの非限定的な例は、本明細書で特定される。特定のマーカーは、特定の細胞の性質である一方、他のマーカーは、特定の疾患または状態に関連付けられたものとして特定される。既知の予後マーカーの例は、例えば、ガラクトシルトランスフェラーゼII、ニューロン特異的エノラーゼ、プロトンATPアーゼ-2および酸性ホスファターゼなどの酵素マーカーを含む。ホルモンまたはホルモン受容体マーカーは、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、副腎皮質刺激ホルモン、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、アンドロゲン受容体、gC1q-R/p33補体受容体、IL-2受容体、p75ニューロトロフィン受容体、PTH受容体、甲状腺ホルモン受容体およびインスリン受容体を含む。
リンパ系マーカーは、アルファ-1-抗キモトリプシン、アルファ-1-抗トリプシン、B細胞マーカー、bcl-2、bcl-6、Bリンパ球抗原36kD、BM1(骨髄系マーカー)、BM2(骨髄系マーカー)、ガレクチン-3、グランザイムB、HLAクラスI抗原、HLAクラスII(DP)抗原、HLAクラスII(DQ)抗原、HLAクラスII(DR)抗原、ヒト好中球デフェンシン、免疫グロブリンA、免疫グロブリンD、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、カッパ軽鎖、カッパ軽鎖、ラムダ軽鎖、リンパ球/組織球抗原、マクロファージマーカー、ムラミダーゼ(リゾチーム)、p80未分化リンパ腫キナーゼ、形質細胞マーカー、分泌白血球プロテアーゼ阻害剤、T細胞抗原受容体(JOVI 1)、T細胞抗原受容体(JOVI 3)、ターミドヌクレオチジルトランスフェラーゼ、非クラスター化B細胞マーカーを含む。
腫瘍マーカーは、アルファフェトプロテイン、アポリポタンパク質D、BAG-1(RAP46タンパク質)、CA19-9(シアリルルイス)、CA50(癌腫関連ムチン抗原)、CA125(卵巣癌抗原)、CA242(腫瘍関連ムチン抗原)、クロモグラニンA、クラステリン(アポリポタンパク質J)、上皮膜抗原、上皮関連抗原、上皮特異的抗原、上皮成長因子受容体、エストロゲン受容体(ER)、肉眼的嚢胞性疾患流体タンパク質-15、肝細胞特異的抗原、HER2、ヘレグリン、ヒト胃ムチン、ヒト乳脂肪球、MAGE-1、マトリックスメタロプロテイナーゼ、メランA、メラノーママーカー(HMB45)、メソテリン、メタロチオネイン、微小フタル転写因子(MITF)、Muc-1コア糖タンパク質、Muc-1糖タンパク質、Muc-2糖タンパク質、Muc-5AC糖タンパク質、Muc-6糖タンパク質、ミエロペルオキシダーゼ、Myf-3(横紋筋肉腫マーカー)、Myf-4(横紋筋肉腫マーカー)、MyoD1(横紋筋肉腫マーカー)、ミオグロビン、nm23タンパク質、胎盤アルカリホスファターゼ、プレアルブミン、プロゲステロン受容体、前立腺特異的抗原、前立腺酸性ホスファターゼ、前立腺インヒビンペプチド、PTEN、腎細胞癌マーカー、小腸粘液性抗原、テトラネクチン、甲状腺転写因子-1、マトリックスメタロプロテイナーゼ1の組織阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ2の組織阻害剤、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質-1、ビリン、フォンウィルブランド因子、CD34、CD34、クラスII、CD51 Ab-1、CD63、CD69、Chk1、Chk2、クラスピンC-met、COX6C、CREB、サイクリンD1、サイトケラチン、サイトケラチン8、DAPI、デスミン、DHP(1-6ジフェニル-1,3,5-ヘキサトリエン)、E-カドヘリン、EEA1、EGFR、EGFRvIII、EMA(上皮膜抗原)、ER、ERB3、ERCC1、ERK、E-セレクチン、FAK、フィブロネクチン、FOXP3、ガンマ-H2AX、GB3、GFAP、ジャイアンチン、GM130、Golgin 97、GRB2、GRP78BiP、GSK3ベータ、HER-2、ヒストン3、ヒストン3_K14-エース[抗アセチル-ヒストンH3(Lys 14)]、ヒストン3_K18-エース[ヒストンH3-アセチルLys 18)、ヒストン3_K27-TriMe、[ヒストンH3(トリメチルK27)]、ヒストン3_K4-diMe[アンチジメチル-ヒストンH3(Lys 4)]、ヒストン3_K9-エース[アセチル-ヒストンH3(Lys 9)]、ヒストン3_K9-triMe[ヒストン3-トリメチルLys9]、ヒストン3_S10-Phos[抗Phospho ヒストンH3(Ser 10)、有糸分裂マーカー]、ヒストン4、ヒストンH2A.X-5139-Phos[Phospho ヒストンH2A.X(Ser139)抗体]、ヒストンH2B、ヒストンH3_DiMethyl K4、ヒストンH4_TriMethyl K20-Chip grad、HSP70、ウロキナーゼ、VEGF R1、ICAM-1、IGF-1、IGF-1R、IGF-1レセプタベータ、IGF-II、IGF-IIR、IKB-Alpha IKKE、IL6、IL8、インテグリンアルファVベータ3、インテグリンアルファVベータ6、インテグリンアルファV/CD51、インテグリンB5、インテグリンB6、インテグリンB8、インテグリンベータ1(CD 29)、インテグリンベータ3、インテグリンベータ5インテグリンB6、IRS-1、Jagged 1、抗プロテインキナーゼC Beta2、LAMP-1、ライトチェーンAb-4(カクテル)、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、M6P、Mach 2、MAPKAPK-2、MEK 1、MEK 1/2(Ps222)、MEK 2、MEK1/2(47E6)、MEK1/2ブロッキングペプチド、MET/HGFR、MGMT、ミトコンドリア抗原、Mitotracker Green FM、MMP-2、MMP9、E-カドヘリン、mTOR、ATPase、N-カドヘリン、ネフリン、NFKB、NFKB p105/p50、NF-KB P65、ノッチ1、ノッチ2、ノッチ3、OxPhos複合体IV、p130Cas、p38 MAPK、p44/42MAPK抗体、P504S、P53、P70、P70 S6K、パンカドヘリン、パキシリン、P-カドヘリン、PDI、pEGFR、ホスホAKT、ホスホCREB、ホスホEGF受容体、ホスホGSK3ベータ、ホスホH3、ホスホHSP-70、ホスホMAPKAPK-2、PHospho MEK1/2、phospho p38 MAPキナーゼ、Phospho p44/42 MAPK、Phospho p53、Phospho PKC、Phospho S6リボソームタンパク質、Phospho Src、Phospho-Akt、Phospho-Bad、Phospho-IKB-a、Phospho-mTOR、Phospho-NF-カッパB P65、Phospho-p38、Phospho-p44/42 MAPK、Phospho-p70 S6キナーゼ、Phospho-Rb、Phospho-Smad2、PIM1,PIM2,PKCβ,ポドカリキシン、PR、PTEN、R1、Rb 4H1、R-カドヘリン、リボヌクレオチドレダクターゼ、RRM1、RRM11、SLC7A5、NDRG、HTF9C、HTF9C、CEACAM、p33、S6リボソームタンパク質、Src、サバイビン、シナポポディン、シンデカン4、タリン、テンシン、チミジル酸シンターゼ、ツベリン、VCAM-1、VEGF、ビメンチン、凝集素、YES、ZAP-70およびZEBを含む。
細胞周期関連マーカーは、アポトーシスプロテアーゼ作動因子-1、bcl-w、bcl-x、ブロモデオキシウリジン、CAK(cdk作動キナーゼ)、細胞アポトーシス感受性タンパク質(CAS)、カスパーゼ2、カスパーゼ8、CPP32(カスパーゼ-3)、CPP32(カスパーゼ-3)、サイクリン依存性キナーゼ、サイクリンA、サイクリンB1、サイクリンD1、サイクリンD2、サイクリンD3、サイクリンE、サイクリンG、DNA断片化因子(N末端)、Fas(CD95)、Fas関連デスドメインタンパク質、Fasリガンド、Fen-1、IPO-38、Mc1-1、ミニ染色体維持タンパク質、ミスマッチ修復タンパク質(MSH2)、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、増殖細胞核抗原、p16タンパク質、p27タンパク質、p34cdc2、p57タンパク質(Kip2)、p105タンパク質、Stat1α、トポイソメラーゼI、トポイソメラーゼIIα、トポイソメラーゼIIIα、トポイソメラーゼIIβを含む。
神経組織マーカーおよび腫瘍マーカーは、αBクリスタリン、α-インターネキシン、αシヌクレイン、アミロイド前駆体タンパク質、βアミロイド、カルビンジン、コリンアセチルトランスフェラーゼ、興奮性アミノ酸輸送体1、GAP43、グリア原線維酸性タンパク質、グルタミン酸受容体2、ミエリン塩基性タンパク質、神経成長因子受容体(gp75)、神経芽細胞腫マーカー、神経線維68 kD、神経線維160 kD、神経線維200 kD、ニューロン特異的エノラーゼ、ニコチン性アセチルコリン受容体アルファ4、ニコチン性アセチルコリン受容体ベータ2、ペリフェリン、タンパク質遺伝子産物9、S-100タンパク質、セロトニン、SNAP-25、シナプシンI、シナプトフィシン、タウ、トリプトファンヒドロキシラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、ユビキチンを含む。
クラスター分化マーカーは、CD1a、CD1b、CD1c、CD1d、CD1e、CD2、CD3delta、CD3epsilon、CD3gamma、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8alpha、CD8beta、CD9、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CDw12、CD13、CD14、CD15、CD15s、CD16a、CD16b、CDw17、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31、CD32、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD39、CD40、CD41、CD42a、CD42b、CD42c、CD42d、CD43、CD44、CD44R、CD45、CD46、CD47、CD48、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、CD50、CD51、CD52、CD53、CD54、CD55、CD56、CD57、CD58、CD59、CDw60、CD61、CD62E、CD62L、CD62P、CD63、CD64、CD65、CD65s、CD66a、CD66b、CD66c、CD66d、CD66e、CD66f、CD68、CD69、CD70、CD71、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、CD86、CD87、CD88、CD89、CD90、CD91、CDw92、CDw93、CD94、CD95、CD96、CD97、CD98、CD99、CD100、CD101、CD102、CD103、CD104、CD105、CD106、CD107a、CD107b、CDw108、CD109、CD114、CD115、CD116、CD117、CDw119、CD120a、CD120b、CD121a、CDw121b、CD122、CD123、CD124、CDw125、CD126、CD127、CDw128a、CDw128b、CD130、CDw131、CD132、CD134、CD135、CDw136、CDw137、CD138、CD139、CD140a、CD140b、CD141、CD142、CD143、CD144、CDw145、CD146、CD147、CD148、CDw149、CDw150、CD151、CD152、CD153、CD154、CD155、CD156、CD157、CD158a、CD158b、CD161、CD162,CD163,CD164,CD165,CD166,およびTCRゼータを含む。
他の細胞マーカーは、セントロメアタンパク質-F(CENP-F)、ジアンチン、インボルクリン、ラミンA&C[XB 10]、LAP-70、ムチン、核孔複合体タンパク質、p180層状体タンパク質、ran、r、カテプシンD、Ps2タンパク質、Her2-neu、P53、S100、上皮マーカー抗原(EMA)、TdT、MB2、MB3、PCNAおよびKi67を含む。
適切なマスキング解除剤
本明細書で使用される場合、「マスキング解除剤」という用語は、マスキング解除を補助するために検体に分配される、溶液および混合物を含む任意の液体を指す。いくつかの実施形態では、マスキング解除剤は、以下に列挙される成分などの複数の成分を含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除剤は緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約5から約10の範囲のpHを有する。他の実施形態では、緩衝液は、約7から約9の範囲のpHを有する。他の実施形態では、緩衝液は、約7.5から約11の範囲のpHを有する。緩衝剤の非限定的な例は、クエン酸、リン酸二水素カリウム、ホウ酸、ジエチルバルビツール酸、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)、ジメチルアルシン酸、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(TRIS)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(TAPS)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(ビシン)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(トリシン)、4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、2-{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸(TES)、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除剤は水である。他の実施形態では、緩衝液は、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(TRIS)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(TAPS)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(ビシン)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(トリシン)、4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、2-{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸(TES)、またはそれらの組み合わせから構成されることができる。
いくつかの実施形態では、マスキング解除剤は、塩基性pHを有するTRISベースの緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、TRISベースの緩衝液は、約10のpHを有する(高温などにおいて)。さらに他の実施形態では、緩衝液は、高温で約6.0のpHを有するクエン酸リン酸ナトリウム緩衝液とすることができる。他の実施形態では、マスキング解除剤は、約0.05%のシトラコン酸無水物を含む。他の実施形態では、マスキング解除剤は、約100mMのTRISを含み、約8から約10のpHを有する。他の実施形態では、マスキング解除剤は、約10mMのクエン酸塩、約2mMのEDTAおよび約0.05%のTween 20を含み、約6.2のpHを有する。他の実施形態では、マスキング解除剤は、約0.01Mのクエン酸緩衝液を含み、約6.0のpHを有する。
いくつかの実施形態では、マスキング解除剤は、遊離した固定剤と反応して、それが試料と再び反応するのを防ぐ成分を含む。そのようなマスキング解除剤の例は、パージ剤またはジメドンを含む。代替的または追加的に、マスキング解除剤は、タンパク質の遊離アミノ基と可逆的に反応し、したがってそれらを任意の利用可能なホルムアルデヒド、例えば無水シトラコン酸(CCA)との反応から保護する成分を含むことができる。
他の実施形態では、マスキング解除剤はキレート剤を含む。キレート剤の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’、N’-四酢酸(EGTA)、EGTA/AM(EGTA、テトラ(アセトキシメチルエステル))、(1,2-ビス(o-アミノフェノキシ)エタン-N,N、N’,N’-四酢酸)(BAPTA)、BAPTA/AM(EGTAテトラ(アセトキシメチルエステル))、5,5’-ジメチル-BAPTA-AM、1,2-ビス(2-アミノ-5-メチルフェノキシ)エタン(MAPTAM)、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ピリジルメチル)エタン-1,2-ジアミン(TPEN)、クエン酸塩、またはイオノマイシンもしくはカルシマイシンなどのイオノフォア、またはそれらの任意の組み合わせもしくは混合物を含むが、これらに限定されるものではない。
他の実施形態では、マスキング解除剤は酵素を含む。酵素の非限定的な例は、プロテイナーゼ(例えば、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、またはプロテイナーゼK)、ヌクレアーゼ、グリカナーゼおよびヒアルロニダーゼを含む。
他の実施形態では、マスキング解除剤は、カオトロピック剤を含む。カオトロピック剤の非限定的な例は、ブタノール、エタノール、グアニジニウム塩(例えば、塩酸グアニジニウムまたはチオシアン酸グアニジニウム)、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、塩化マグネシウム、フェノール、プロパノール、チオ尿素および尿素を含む。
他の実施形態では、マスキング解除剤は、求核剤、例えば、求電子剤に電子対を供与する化学種を含む。求核剤の非限定的な例は、アンモニア、第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンを含む。求核剤の他の例は、ヒドラジン、アルコールおよびハロゲン化物を含む。
他の実施形態では、マスキング解除剤は、ルイス酸を含む。ルイス酸の非限定的な例は、鉄(III)イオンなどの金属イオン、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、またはトルエンスルホン酸、ホウ酸、三フッ化ホウ素、および酒石酸などの他の電子欠乏化合物を含む。
他の実施形態では、マスキング解除剤は、界面活性剤を含むことができる。本明細書で使用される場合、「界面活性剤」は、それらの化学的作用様式に応じて、アニオン性、カチオン性、または非イオン性に分類される。一般に、界面活性剤は、2つの液体間の界面張力を低下させる。界面活性剤の例は、ドデシル硫酸ナトリウムである。適切な非イオン性界面活性剤の例は、ポリエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、コカミドジエタノールアミン、コカミドモノエタノールアミン、デシルグルコシド、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコールモノイソヘキサデシルエーテル、ラウリルグルコシド、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール、4-ノニルフェニル-ポリエチレングリコール、1-(4-ノニルフェニル)-1,4,7,10,13、16,19,22,25ノナオキサヘプタコサン-27-オール、ノノキシノール、モノラウリン、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オレイルアルコール、ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、ポリグリセロールポリリシノレエート、ポリソルベート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコールp-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニルエーテル、およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、オクチル-、デシル、ドデシル-グルコピラノシド、-マルトシドまたはデオキシコール酸を含む。例示的な界面活性剤は、以下の名称で販売されている:Brij(登録商標)35、TWEEN(登録商標)、Tergitol(商標)、Triton(商標)、Ecosurf(商標)、Dowfax(商標)、ポリソルベート80(商標)、BigCHAP、Deoxy BigCHAP、IGEPAL(登録商標)、Saponin、Thesit(登録商標)、Nonidet(登録商標)、Pluronic F-68、ジギトニン、デオキシコレートなど。特定の開示された実施形態は、Brij(登録商標)35、TWEEN(登録商標)、Tergitol(商標)、Triton(商標)から選択される界面活性剤を使用することに関する。さらなる抗原マスキング解除剤は、米国特許第8,486,335号明細書に開示されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、マスキング解除剤は、脱イオン水、TRIS、およびキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除剤は、脱イオン水、TRIS、およびキレート剤を含み、約7から約9.5の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、マスキング解除剤は、脱イオン水、TRIS、キレート剤、および防腐剤を含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除剤は、米国アリゾナ州トゥーソンのVentana Medical Systems,Inc.から入手可能なCC1である。さらなるマスキング解除剤は、さらに本明細書に記載され、米国特許出願公開第2009/0170152号明細書に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
追加の実施形態
本開示の別の態様は、マスキング解除プロセスにおいて処理された試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測するシステムであって、(i)1つ以上のプロセッサと、(ii)1つ以上のプロセッサに結合された1つ以上のメモリであって、1つ以上のプロセッサによって実行されると、試験生物学的検体から試験スペクトルデータを取得することであって、試験スペクトルデータが、生物学的検体の少なくとも一部から導出される振動スペクトルデータを含む、取得することと、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用して、取得された試験スペクトルデータからマスキング解除特徴を導出することであって、マスキング解除状態推定エンジンが、複数の別個にマスキング解除された訓練生物学的検体から取得された訓練スペクトルデータセットを使用して訓練され、訓練スペクトルデータセットが、少なくともマスキング解除持続時間およびマスキング解除温度のクラスラベルを含む、導出することと、導出されたマスキング解除特徴に基づいて、試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測することと、を含む動作をシステムに実行させるコンピュータ実行可能命令を記憶する、1つ以上のメモリと、を備える、システムである。
いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、予測されるマスキング解除の持続時間、予測されるマスキング解除の温度、および組織の質の推定値のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、予測されるマスキング解除の持続時間および予測されるマスキング解除の温度の双方を含む。いくつかの実施形態では、各訓練スペクトルデータセットは、以下によって導出される:(i)訓練生物学的検体を取得することと、(ii)取得された訓練生物学的検体を複数の訓練組織試料に分割することと、(iii)異なるマスキング解除条件下で複数の訓練組織試料の各訓練組織試料をマスキング解除すること。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む。いくつかの実施形態では、訓練生物学的検体は、試験生物学的検体と同じ組織タイプを含む。いくつかの実施形態では、訓練生物学的検体は、試験生物学的検体とは異なる組織タイプを含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除プロセスは、抗原回収プロセスである。いくつかの実施形態では、マスキング解除プロセスは、標的回収プロセスである。
本開示の別の態様は、マスキング解除プロセスにおいて処理される試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測する方法であって、試験生物学的検体から試験スペクトルデータを取得することであって、試験スペクトルデータが、生物学的検体の少なくとも一部から導出される振動スペクトルデータを含む、取得することと、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用して、取得された試験スペクトルデータからマスキング解除特徴を導出することと、導出されたマスキング解除特徴に基づいて、試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測することと、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、予測されるマスキング解除の持続時間または予測されるマスキング解除の温度のうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、予測されるマスキング解除の持続時間および予測されるマスキング解除の温度の双方を含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、組織の質の推定値をさらに含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジンは、1つ以上の訓練スペクトルデータセットを使用して訓練され、各訓練スペクトルデータセットは、複数の別個にマスキング解除された訓練組織試料から導出された複数の訓練振動スペクトルを含み、各訓練振動スペクトルは、1つ以上のクラスラベルを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のクラスラベルは、既知のマスキング解除持続時間、既知のマスキング解除温度、およびマスキング解除状態の定性的評価から選択される。いくつかの実施形態では、各訓練スペクトルデータセットは、以下によって導出される:(i)訓練生物学的検体を取得することと、(ii)取得された訓練生物学的検体を複数の訓練組織試料に分割することと、(iii)異なるマスキング解除条件下で複数の訓練組織試料の各訓練組織試料をマスキング解除すること。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む。いくつかの実施形態では、試験スペクトルデータは、複数の正規化および補正振動スペクトルから導出された平均振動スペクトルを含む。
本開示の別の態様は、マスキング解除プロセスにおいて処理される試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測するための命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令が、試験生物学的検体から試験スペクトルデータを取得することであって、試験スペクトルデータが、生物学的検体の少なくとも一部から導出される振動スペクトルデータを含む、取得することと、訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用して、取得された試験スペクトルデータからマスキング解除特徴を導出することと、導出されたマスキング解除特徴に基づいて、試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体である。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、予測されるマスキング解除の持続時間または予測されるマスキング解除の温度のうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、予測されるマスキング解除の持続時間および予測されるマスキング解除の温度の双方を含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態は、組織の質の推定値をさらに含む。いくつかの実施形態では、マスキング解除状態推定エンジンは、1つ以上の訓練スペクトルデータセットを使用して訓練され、各訓練スペクトルデータセットは、複数の別個にマスキング解除された訓練組織試料から導出された複数の訓練振動スペクトルを含み、各訓練振動スペクトルは、1つ以上のクラスラベルを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のクラスラベルは、既知のマスキング解除持続時間、既知のマスキング解除温度、およびマスキング解除状態の定性的評価から選択される。いくつかの実施形態では、各訓練スペクトルデータセットは、以下によって導出される:(i)訓練生物学的検体を取得することと、(ii)取得された訓練生物学的検体を複数の訓練組織試料に分割することと、(iii)異なるマスキング解除条件下で複数の訓練組織試料の各訓練組織試料をマスキング解除すること。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む。いくつかの実施形態では、異なるマスキング解除条件は、マスキング解除の持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む。いくつかの実施形態では、試験スペクトルデータは、複数の正規化および補正振動スペクトルから導出された平均振動スペクトルを含む。
本明細書中で言及されるおよび/または出願データシートにおいてリスト化される全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、および刊行物の概念を使用してさらに別の実施形態を提供するように変更されることができる。
本開示は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本開示の原理の精神および範囲内に含まれるであろう多くの他の変更および実施形態が当業者によって考案されることができることを理解されたい。より具体的には、合理的な変形および変更は、本開示の精神から逸脱することなく、前述の開示、図面、および添付の特許請求の範囲内の主題の組み合わせ構成の構成部品および/または配置において可能である。構成部品および/または配置の変形および変更に加えて、代替の使用法も当業者にとって明らかであろう。

Claims (45)

  1. マスキング解除プロセスにおいて処理された試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測するシステム(200)であって、(i)1つ以上のプロセッサ(209)と、(ii)前記1つ以上のプロセッサ(209)に結合された1つ以上のメモリ(201)とを備え、前記1つ以上のメモリ(201)はコンピュータ実行可能命令を記憶し、前記コンピュータ実行可能命令が、前記1つ以上のプロセッサ(209)によって実行されると、前記システム(200)に、
    a.前記試験生物学的検体から試験スペクトルデータを取得することであって、前記試験スペクトルデータが、前記生物学的検体の少なくとも一部から導出される振動スペクトルデータを含む、試験スペクトルデータを取得することと、
    b.訓練されたマスキング解除状態推定エンジン(210)を使用して、取得された前記試験スペクトルデータからマスキング解除特徴を導出することと、
    c.導出された前記マスキング解除特徴に基づいて、前記試験生物学的検体の前記マスキング解除状態を予測することと、を含む動作を実行させる、システム。
  2. 前記マスキング解除状態が、予測されるマスキング解除の持続時間または予測されるマスキング解除の温度のうちの1つを含む、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記マスキング解除状態が、予測されるマスキング解除の持続時間および予測されるマスキング解除の温度の双方を含む、請求項2に記載のシステム。
  4. 前記マスキング解除状態が、組織の質の推定値をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
  5. 前記マスキング解除状態推定エンジンが、1つ以上の訓練スペクトルデータセットを使用して訓練され、前記1つ以上の訓練スペクトルデータセットの各訓練スペクトルデータセットが、複数の別個にマスキング解除された訓練組織試料から導出された複数の訓練振動スペクトルを含み、各訓練スペクトルデータセットが、1つ以上のクラスラベルを含む、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記1つ以上のクラスラベルが、既知のマスキング解除持続時間、既知のマスキング解除温度、およびマスキング解除状態の定性的評価から選択される、請求項5に記載のシステム。
  7. 各訓練スペクトルデータセットが、(i)訓練生物学的検体を取得することと、(ii)取得された前記訓練生物学的検体を複数の訓練組織試料に分割することと、(iii)異なるマスキング解除条件下で前記複数の訓練組織試料の各訓練組織試料をマスキング解除することと、によって導出される、請求項5または6に記載のシステム。
  8. 前記異なるマスキング解除条件が、マスキング解除の前記持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む、請求項7に記載のシステム。
  9. 前記異なるマスキング解除条件が、マスキング解除の前記温度を変化させながら、マスキング解除の持続時間を一定に保持することを含む、請求項7に記載のシステム。
  10. 取得された前記試験スペクトルデータが、複数の正規化および補正された振動スペクトルから導出された平均振動スペクトルを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
  11. 前記複数の正規化および補正された振動スペクトルが、(i)前記試験生物学的検体内の複数の空間領域を識別することと、(ii)前記複数の識別された領域の各個々の領域から振動スペクトルを取得することと、(iii)個々の領域ごとに補正された振動スペクトルを提供するために、各個々の領域から取得された前記振動スペクトルを補正することと、(iv)各個々の領域からの前記補正された振動スペクトルを所定の大域最大値に振幅正規化して、各領域の振幅正規化振動スペクトルを提供することと、によって取得される、請求項10に記載のシステム。
  12. 各個々の領域から取得された前記振動スペクトルが、によって補正される、請求項11に記載のシステム。
  13. 訓練された前記マスキング解除状態推定エンジンが、次元縮小に基づく機械学習アルゴリズムを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
  14. 前記次元縮小が、潜在構造回帰モデルへの投影を含む、請求項13に記載のシステム。
  15. 前記次元縮小が、主成分分析および判別分析を含む、請求項13に記載のシステム。
  16. 訓練された前記マスキング解除状態推定エンジンがニューラルネットワークを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
  17. 試験生物学的検体が1つ以上の特異的結合実体による標識化に適しているかどうかを評価するための動作をさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
  18. 取得された前記試験スペクトルデータが、少なくともアミドIバンドの振動スペクトル情報を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム。
  19. 取得された前記試験スペクトルデータが、約3200から約3400cm-1、約2800から約2900cm-1、約1020から約1100cm-1、および/または約1520から約1580cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム。
  20. マスキング解除プロセスにおいて処理された試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測するための命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、
    (a)前記試験生物学的検体から試験スペクトルデータを取得することであって、前記試験スペクトルデータが、前記生物学的検体の少なくとも一部から導出される振動スペクトルデータを含む、試験スペクトルデータを取得することと、
    (b)訓練されたマスキング解除状態推定エンジン(210)を使用して取得された前記試験スペクトルデータからマスキング解除特徴を導出することであって、前記マスキング解除状態推定エンジンが、複数の別個にマスキング解除された訓練生物学的検体から取得された訓練スペクトルデータセットを使用して訓練され、前記訓練スペクトルデータセットが、少なくともマスキング解除持続時間およびマスキング解除温度のクラスラベルを含む、マスキング解除特徴を導出することと、
    (c)導出された前記マスキング解除特徴に基づいて、前記試験生物学的検体の前記マスキング解除状態を予測することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
  21. 前記マスキング解除状態が、予測されるマスキング解除の持続時間、予測されるマスキング解除の温度、および組織の質の推定値のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
  22. 前記マスキング解除状態が、予測されるマスキング解除の持続時間および予測されるマスキング解除の温度の双方を含む、請求項20に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
  23. 各訓練スペクトルデータセットが、(i)訓練生物学的検体を取得することと、(ii)取得された前記訓練生物学的検体を複数の訓練組織試料に分割することと、(iii)異なるマスキング解除条件下で前記複数の訓練組織試料の各訓練組織試料をマスキング解除することと、によって導出される、請求項20から22のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
  24. 前記異なるマスキング解除条件が、マスキング解除の前記持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む、請求項23に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
  25. 前記異なるマスキング解除条件が、マスキング解除の前記温度を変化させながら、マスキング解除の持続時間を一定に保持することを含む、請求項23に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
  26. 前記訓練生物学的検体が、前記試験生物学的検体と同じ組織タイプを含む、請求項20から25のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
  27. 前記訓練生物学的検体が、前記試験生物学的検体とは異なる組織タイプを含む、請求項20から25のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
  28. 前記マスキング解除プロセスが、抗原回収プロセスである、請求項20から27のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
  29. 前記マスキング解除プロセスが、標的回収プロセスである、請求項20から27のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
  30. マスキング解除プロセスにおいて処理された試験生物学的検体のマスキング解除状態を予測する方法であって、
    a.前記試験生物学的検体から試験スペクトルデータを取得すること(320)であって、前記試験スペクトルデータが、前記生物学的検体の少なくとも一部から導出される振動スペクトルデータを含む、試験スペクトルデータを取得すること(320)と、
    b.訓練されたマスキング解除状態推定エンジンを使用して取得された前記試験スペクトルデータからマスキング解除特徴を導出すること(340)であって、前記マスキング解除状態推定エンジンが、複数の別個にマスキング解除された訓練生物学的検体から取得された訓練スペクトルデータセットを使用して訓練され、前記訓練スペクトルデータセットが、少なくともマスキング解除持続時間およびマスキング解除温度のクラスラベルを含む、マスキング解除特徴を導出すること(340)と、
    c.導出された前記マスキング解除特徴に基づいて、前記試験生物学的検体が供された前記マスキング解除プロセスの持続時間または温度のうちの少なくとも一方を予測すること(350)と、を含む、方法。
  31. 前記マスキング解除プロセスが、抗原回収プロセスである、請求項30に記載の方法。
  32. 前記マスキング解除プロセスが、標的回収プロセスである、請求項30に記載の方法。
  33. 前記マスキング解除状態が、予測されるマスキング解除の持続時間および予測されるマスキング解除の温度の双方を含む、請求項30から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 組織の質および前記マスキング解除プロセス中に受けた損傷のうちの少なくとも一方を推定することをさらに含む、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 訓練された前記マスキング解除状態推定エンジンが、潜在構造回帰モデルへの投影に基づく機械学習アルゴリズムを含む、請求項30から34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 訓練された前記マスキング解除状態推定エンジンが、主成分分析および判別分析に基づく機械学習アルゴリズムを含む、請求項30から34のいずれか一項に記載の方法。
  37. 訓練された前記マスキング解除状態推定エンジンがニューラルネットワークを含む、請求項30から34のいずれか一項に記載の方法。
  38. 各訓練スペクトルデータセットが、(i)訓練生物学的検体を取得することと、(ii)取得された前記訓練生物学的検体を複数の訓練組織試料に分割することと、(iii)異なるマスキング解除条件下で前記複数の訓練組織試料の各訓練組織試料をマスキング解除することと、によって導出される、請求項30に記載の方法。
  39. 前記異なるマスキング解除条件が、マスキング解除の前記持続時間を変化させながら、マスキング解除の温度を一定に保持することを含む、請求項38に記載の方法。
  40. 前記異なるマスキング解除条件が、マスキング解除の前記温度を変化させながら、マスキング解除の持続時間を一定に保持することを含む、請求項38に記載の方法。
  41. 前記訓練生物学的検体が、前記試験生物学的検体と同じ組織タイプを含む、請求項30から40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記訓練生物学的検体が、前記試験生物学的検体とは異なる組織タイプを含む、請求項30から40のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記試験生物学的検体が染色されていない、請求項30から42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記試験生物学的検体が、1つ以上のバイオマーカーの存在について染色される、請求項30から42のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記試験スペクトルデータが、約3200から約3400cm-1、約2800から約2900cm-1、約1020から約1100cm-1、および/または約1520から約1580cm-1の範囲の波長の振動スペクトル情報を含む、請求項30から44のいずれか一項に記載の方法。
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