JP2022539257A - ベンズイミダゾール-2-オン系化合物の結晶体、溶媒和物、溶媒和物の結晶体、およびそれらの調製方法 - Google Patents

ベンズイミダゾール-2-オン系化合物の結晶体、溶媒和物、溶媒和物の結晶体、およびそれらの調製方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、化合物(1)の結晶体、その溶媒和物、その溶媒和物の結晶体、およびそれらの調製方法に関し、さらに、TNFαに関連する疾患を治療するための医薬品の調製における前記結晶体の使用に関する。TIFF2022539257000021.tif4146

Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、2019年07月04日に出願された中国特許出願CN201910602489.2および2020年05月19日に出願された中国特許出願CN202010426911.6に基づく優先権を主張する。
本発明は、化合物1の結晶体、その溶媒和物、その溶媒和物の結晶体、およびそれらの調製方法に関し、さらに、TNFαに関連する疾患を治療するための医薬品の調製における前記結晶体の使用に関する。
腫瘍壊死因子(TNFα)は、主に単核マクロファージが免疫刺激物に応答する際に放出するサイトカインである。TNFαは、分化、動員、増殖、タンパク質分解などのほとんどの細胞プロセスを促進することができる。低レベルでは、TNFαは、感染性病原体、腫瘍、および組織の損傷に対して保護効果がある。しかしながら、TNFαの過剰放出は、疾患を引き起こす可能性がある。たとえば、哺乳動物またはヒトにTNFαを投与すると、炎症、発熱、心血管系の影響、出血、血液凝固、および急性感染症やショック状態と同様の急性反応を引き起こしたり、悪化させたりすることがある。動物またはヒトにおける過剰または制御されていないTNFαの産生は、内毒素血症および/または毒素性ショック症候群、悪液質、成人呼吸窮迫症候群、癌(例えば、固形腫瘍および血液腫瘍)、心臓病(例えば、うっ血性心不全)、ウイルス感染症、遺伝性疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、または自己免疫疾患のような疾患を示唆することが多い。
癌は特に壊滅的な疾患である。血中のTNFαレベルの上昇は、癌のリスクまたは癌の広がりを示唆している。一般的に、癌細胞は、健康な生物体の循環器系で生き残ることができず、その理由の1つは、血管の内壁が癌細胞の血管外漏出に対する障壁として機能することである。研究によると、内皮細胞上のELAM-1は、サイトカインで処理された内皮に結腸癌細胞が付着することを媒介・促進することができる。
環状アデノシン一リン酸(cAMP)は、多くの疾患および病症において役割を果たす。炎症時の白血球中のcAMP濃度の増加は、白血球の活性化を阻害し、その後、TNFαおよびNF-κBなどを含む炎症制御因子を放出する。また、cAMPレベルの上昇は、気道の平滑筋の弛緩も引き起こす。
cAMP不活性化の主な細胞メカニズムは、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)と呼ばれるアイソザイムのファミリーによるcAMPの破壊である。なお、PDEファミリーには11メンバーがあることが知られている。これまで、PDE4酵素の阻害は、炎症性メディエーターの放出を阻害し、気道の平滑筋を弛緩させることに特に効果的であることが実証されているため、PDE4酵素は、創薬標的の一つとして注目されている。異なる遺伝子コードによって、PDE-4ファミリーは4つのサブタイプ(PDE-4A、B、C、D)に分けることができる。そのうち、炎症細胞(例えばB細胞、T細胞および好中球など)におけるPDE-4A、PDE-4BおよびPDE-4Dの発現は、PDE-4Cよりも強い。PDE4酵素の阻害は、cAMPレベルの上昇を引き起こすため、TNFαのレベルを調節し、疾患を治療する目的を達成する。
本発明は、化合物1の結晶体Aを提供する。そのX線粉末回折パターンは、11.91±0.20°、19.36±0.20°、23.17±0.2°の2θ角に特徴的回折ピークを有する。
Figure 2022539257000002
本発明の一部の実施形態において、前記化合物1の結晶体Aは、X線粉末回折パターンが、11.26±0.20°、11.91±0.20°、12.91±0.20°、14.27±0.20°、19.36±0.20°、22.26±0.20°、23.17±0.20°、24.97±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する。
本発明の一部の実施形態において、前記化合物1の結晶体Aは、X線粉末回折パターンが、11.26±0.20°、11.91±0.20°、12.91±0.20°、14.27±0.20°、15.83±0.20°、17.53±0.20°、19.36±0.20°、20.33±0.20°、22.26±0.20°、23.17±0.20°、24.97±0.20°、26.50±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する。
本発明の一部の実施形態において、前記化合物1の結晶体Aは、X線粉末回折パターンが、11.26°、11.91°、12.91°、14.27°、15.83°、17.53°、19.36°、20.33°、22.26°、22.59°、23.17°、24.97°、26.50°、29.46°の2θ角に特徴的回折ピークを有する。
本発明の一部の実施形態において、前記化合物1の結晶体AのXRPDパターンの解析データは、表1に示すとおりである。
表1
Figure 2022539257000003
本発明の一部の実施形態において、前記化合物1の結晶体AのXRPDパターンは、図1に示すとおりである。
本発明の一部の実施形態において、前記化合物1の結晶体Aの示差走査熱量測定曲線は、147.0±3.0℃に吸熱ピークの開始点を有する。
本発明の一部の実施形態において、前記化合物1の結晶体AのDSCパターンは、図2に示すとおりである。
本発明の一部の実施形態において、前記化合物1の結晶体Aの熱重量分析曲線は、140.0±3.0℃で0.70%の重量損失を有する。
本発明の一部の実施形態において、前記化合物1の結晶体AのTGAパターンは、図3に示すとおりである。
また、本発明は、式(I-1)で表される化合物の溶媒和物を提供する。
Figure 2022539257000004
ただし、nは0.1~1.5から選択される。
本発明の一部の実施形態において、前記溶媒和物におけるnは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4および1.5から選択される。
本発明の一部の実施形態において、前記溶媒和物におけるnは、0.5である。
また、本発明は、nが0.5である、式(I-1-1)で表される溶媒和物の結晶体Bを提供する。そのX線粉末回折パターンは、6.84±0.20°、8.90±0.20°、23.00±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する。
Figure 2022539257000005
本発明の一部の実施形態において、前記溶媒和物の結晶体BのX線粉末回折パターンは、6.84±0.20°、8.90±0.20°、11.27±0.20°、12.75±0.20°、16.15±0.20°、17.54±0.20°、22.06±0.20°、23.00±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する。
本発明の一部の実施形態において、前記溶媒和物の結晶体BのX線粉末回折パターンは、6.84±0.20°、8.90±0.20°、11.27±0.20°、12.75±0.20°、16.15±0.20°、17.54±0.20°、19.17±0.20°、19.70±0.20°、20.41±0.20°、22.06±0.20°、23.00±0.20°、25.95±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する。
本発明の一部の実施形態において、前記溶媒和物の結晶体BのX線粉末回折パターンは、6.84°、8.90°、11.27°、12.75°、13.29°、14.94°、16.15°、17.54°、17.93°、19.17°、19.70°、20.41°、20.79°、22.06°、22.72°、23.00°、23.86°、25.95°、27.82°、28.45°、30.14°、32.87°の2θ角に特徴的回折ピークを有する。
本発明の一部の実施形態において、前記溶媒和物の結晶体BのXRPDパターンの解析データは、表2に示すとおりである。
表2
Figure 2022539257000006
本発明の一部の実施形態において、前記溶媒和物の結晶体BのXRPDパターンは、図5に示すとおりである。
本発明の一部の実施形態において、前記溶媒和物の結晶体Bの示差走査熱量測定曲線は、77.5±3.0℃に吸熱ピークの開始点を有する。
本発明の一部の実施形態において、前記溶媒和物の結晶体BのDSCパターンは、図6に示すとおりである。
本発明の一部の実施形態において、前記溶媒和物の結晶体Bの熱重量分析曲線は、80.0±3.0℃で10.46%の重量損失を有する。
本発明の一部の実施形態において、前記溶媒和物の結晶体BのTGAパターンは、図7に示すとおりである。
さらに、本発明の一部の実施形態において、TNFαに関連する疾患を治療するための医薬品の調製における前記化合物1の結晶体A、前記溶媒和物または前記溶媒和物の結晶体Bの使用を提供する。
本発明の化合物1の結晶体Aは、安定性が良く、吸湿性が低く、ドラッガビリティが優れている。本発明の化合物1は、ホスホジエステラーゼ4Bサブタイプ(PDE4B)を阻害する優れたインビトロ活性を示す。本発明の化合物1は、hPBMCにおいてTNFαの産生を阻害する優れたインビトロ活性を示す。本発明の化合物1は、0.1、0.3および3mg/耳の3つの用量群においてマウスにおけるPMA誘発性耳浮腫の症状に対して顕著な改善効果を示し、耳の重量増加を著しく阻害することができ、しかも3つの用量群はいずれも良好な用量関係関係を示す。
定義と説明
特に断らない限り、本明細書で使用される以下の用語および語句は、以下の意味を有する。特定の用語や語句は、特定の定義がなければ、不明瞭または不明確であると見なされるべきではなく、通常の意味で理解されるべきである。本明細書に商品名が記載されている場合、対応する商品またはその有効成分を指すものである。
本発明の中間化合物は、以下に列挙される特定の実施形態、それらを他の化学合成方法と組み合わせることにより形成される実施形態、および当業者に周知の同等の代替方法を含む、当業者に周知の様々な合成方法によって調製することができる。好ましい実施形態は、本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
本明細書に開示される特定の実施形態における化学反応は、本発明の化学変化および必要とされる試薬や材料に適する適切な溶媒中で行う。本発明の化合物を得るために、当業者が、既存の実施形態に基づいて合成工程または反応スキームを変更または選択する必要がある場合がある。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
本発明の化合物は、当業者に周知の通常の方法によって構造を確認することができる。本発明が化合物の絶対配置に関与する場合、絶対配置は、当技術分野の従来の技術によって確認することができる。例えは、単結晶X線回折法(SXRD)では、育成した単結晶を、Bruker D8 venture X線回折計で回折強度データ(光源:CuKα放射線、スキャンモード:φ/ωスキャン)を収集し、関連データを収集した後、直接法(Shelxs97)で結晶構造をさらに解析することで、絶対配置を確認することができる。
本発明で使用されるすべての溶媒は市販されるものであり、さらに精製することなく使用される。
化合物は、当技術分野における一般的な命名法又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアによって命名され、市販の化合物は、メーカのカタログ名を使用する。
本発明における粉末X線回折(X-ray powder diffractometer,XRPD)方法
機器モデル:Bruker D8 advance X線回折計
測定方法:約10~20mgのサンプルをXRPD分析に使用した。
ライトチューブ:Cu、kα、(λ=1.54056Å)
ライトチューブ電圧:40kV、ライトチューブ電流:40mA
発散スリット:0.60mm
検出器スリット:10.50mm
散乱防止スリット:7.10mm
走査範囲:4~40deg
ステップサイズ:0.02deg
ステップ長さ:0.12秒
サンプルディスクの回転数:15rpm
本発明における含有量の測定方法
機器モデル:Agilent 1260高速液体クロマトグラフ
クロマトグラフィー条件における詳細なパラメーターは以下の通りである。
カラム:ACE Excel 3 super C18(4.6*150mm id),P.N.:EXL-1111-1546U
カラム温度:35℃
流速:0.8mL/min
検出波長:230nm
注入量:5μL
実行時間:15min
移動相A:0.04%トリフルオロ酢酸水溶液(V/V)
移動相B:100%アセトニトリル
希釈剤:アセトニトリル:純水=50:50(V/V)
プローブ洗浄液:アセトニトリル:純水=50:50(V/V)
グラジエンドプログラム:
Figure 2022539257000007
図1は、化合物1の結晶体AのCu-Kα放射線におけるXRPDパターンである。 図2は、化合物1の結晶体AのDSC曲線である。 図3は、化合物1の結晶体AのTGA曲線である。 図4は、化合物1の結晶体AのDVS曲線である。 図5は、化合物1の結晶体BのCu-Kα放射線におけるXRPDパターンである。 図6は、化合物1の結晶体BのDSC曲線である。 図7は、化合物1の結晶体BのTGA曲線である。
以下、本発明の内容をよりよく理解するために、特定の実施例によって本発明をさらに説明するが、これらの特定の実施形態は、本発明の内容を限定するものではない。
実施例1:アモルファス形態の化合物1の調製
Figure 2022539257000008
工程1:化合物4の合成
室温、窒素雰囲気下で化合物2(15.00g,94.29mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(150mL)に溶解させた後、化合物3(25.77g,94.29mmol)および炭酸カリウム(19.55g,141.43mmol)を順次に加え、反応混合物を70℃に加熱して、撹拌しながら16時間反応させた。反応が完了した後、室温に冷却し、飽和食塩水(400mL)を添加し、酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(200mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/石油エーテル=0:1~2:3、体積比)で精製して、目的化合物4を得た。HNMR(400mHz,CDCl)δ: 8.52(d,J=6.5Hz,1H),7.90(dd,J=8.9,3.0Hz,1H),7.20-7.15(m,1H),6.96-6.93(m,1H),6.90-6.85(m,2H),6.82-6.78(m,1H),5.20-5.15(m,1H),4.09-4.01(m,2H),3.86(s,3H),3.65(dd,J=14.7,8.1Hz,1H),3.48(dd,J=14.7,4.8Hz,1H),2.80(s,3H),1.45(t,J=6.9Hz,3H)。
工程2:化合物5の合成
室温、窒素雰囲気下で化合物4(16.00g,38.79mmol)を、エタノール(128mL)と酢酸エチル(32mL)との混合溶媒に溶解させた後、パラジウム炭素(水湿潤品)(5.00g,純度:10%)を加え、水素ガスで3回置換し、反応混合物を、室温、水素雰囲気(30psi)下で撹拌しながら16時間反応させた。反応が完了した後、反応混合物を濾過し、酢酸エチル(100mL×3)でフィルターケーキを洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/石油エーテル=0:1~3:2、体積比)で精製して、目的化合物5を得た。H NMR(400mHz,DMSO-d)δ: 7.07(d,J=1.2Hz,1H),6.91-6.84(m,2H),6.36(dd,J=10.8, 2.9Hz,1H),6.30(dd,J=8.6,5.8Hz,1H),6.09(td,J=8.6,2.9,1H),4.99(s,2H),4.96(d,J=9.3Hz,1H),4.74(td,J=9.4,3.8Hz,1H),4.02-3.96(m,2H),3.73-3.67(m,4H),3.39-3.36(m,1H),3.01(s,3H),1.30(t,J=7.0Hz,3H)。
工程3:アモルファス形態の化合物1の合成
室温で、化合物5(12.2g,31.90mmol)を酢酸エチル(120mL)に溶解させた後、カルボニルジイミダゾール(15.52g,95.70mmol)を加え、反応混合物を室温で撹拌しながら16時間反応させた。反応が完了した後、室温に冷却し、1M希塩酸(5mL)および水(50mL)を添加し、酢酸エチル(80mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(50mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/石油エーテル=0:1~3:2、体積比)で精製し、さらに分取HPLC(移動相:アセトニトリル/水、中性系)で精製し、真空で凍結乾燥し、アモルファス形態の目的化合物1を得た。MS-ESIm/z: 409.0 [M+H]H NMR(400mHz,CDOD)δ: 7.11-7.08(m,2H),7.06-7.04(m,1H),6.93(d,J=8.4Hz,1H),6.83(dd,J=8.5,2.4Hz,1H),6.79-6.74(m,1H),6.00(dd,J=10.5,3.9Hz,1H),4.58(dd,J=14.8,10.8Hz,1H),4.08-3.96(m,3H),3.80(s,3H),2.94(s,3H),1.35(t,J=7.0Hz,3H)。
実施例2:化合物1の結晶体Aの調製
Figure 2022539257000009
工程1:化合物4の合成
20℃~30℃で、化合物2(200.05g,1.26mol)をN,N-ジメチルアセトアミド(2000mL)に溶解した後、化合物3(516.45g,1.89moL)を加え、さらに、上記溶液にジイソプロピルエチルアミン(325.00g,2.52mol)をゆっくりと滴下(滴下時間:約20分)し、滴下した後、反応混合物を110℃~120℃に加熱し、また110℃~120℃で撹拌しながら16時間反応させた。反応が完了した後、15℃に冷却し、反応液を氷水(10500mL)にゆっくりと注いだ。大量の固形物が析出し、濾過し、フィルターケーキをエタノール(200mL)で洗浄し、フィルターケーキを回収し、減圧下で溶媒を除去した後、サンプルをエタノール(1500mL)に加え、15℃でスラリー化させ、16時間撹拌し、濾過し、フィルターケーキをエタノール(200mL)で洗浄し、フィルターケーキを減圧下で乾燥させて溶媒を除去し、目的化合物4を得た。HNMR(400mHz,CDCl)δ: 8.52(d,J=6.5Hz,1H),7.90(dd,J=8.9, 3.0Hz,1H),7.20-7.15(m,1H),6.96-6.93(m,1H),6.90-6.85(m,2H),6.82-6.78(m,1H),5.20-5.15(m,1H),4.09-4.01(m,2H),3.86(s,3H),3.65(dd,J=14.7, 8.1Hz,1H),3.48(dd,J=14.7, 4.8Hz,1H),2.80(s,3H),1.45(t,J=6.9Hz,3H)。
工程2:化合物5の合成
窒素雰囲気下、20℃~25℃で、化合物4(122.83g,0.30mol)をジクロロメタン(500mL)と酢酸エチル(500mL)との混合溶媒に溶解させた後、パラジウム炭素(水湿潤品)(7.50g,純度:10%)を加え、水素ガスで3回置換し、水素雰囲気(25~35psi)下、25℃~35℃で反応混合物を撹拌しながら16時間反応(4つのバッチを並行して反応させた後、合わせて処理した)させた。反応が完了した後、4つのバッチの反応液を合わせて、セライトで濾過し、フィルターケーキをジクロロメタン(200mL)で洗浄し、濾液を減圧下で回転蒸発して乾固させ、粗生成物を得た。粗生成物をエタノール(3200mL)に加え、78℃に昇温し、さらに78℃で1時間(反応混合物が完全に透明になるまで)撹拌し、加熱を停止し、撹拌しながら20℃にゆっくりと冷却させ、また20℃でさらに12時間撹拌した。撹拌中に大量の固形物が析出した。反応混合物を濾過し、フィルターケーキをエタノール(200mL)で洗浄し、フィルターケーキを回収し、減圧下で回転蒸発乾固させた後、406.15gの生成物を得た。329.50gの生成物を秤量し、ジクロロメタン(2000mL)で溶解させ、カラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール=1:0、体積比)で精製して化合物5を得た。H NMR(400mHz,DMSO-d)δ: 7.07(d,J=1.2Hz,1H),6.91-6.84(m,2H),6.36(dd,J=10.8,2.9Hz,1H),6.30(dd,J=8.6,5.8Hz,1H),6.09(td,J=8.6,2.9,1H),4.99(s,2H),4.96(d,J=9.3Hz,1H),4.74(td,J=9.4,3.8Hz,1H),4.02-3.96(m,2H),3.73-3.67(m,4H),3.39-3.36(m,1H),3.01(s,3H),1.30(t,J=7.0Hz,3H)。
工程3:化合物1の結晶体Aの合成
窒素雰囲気下、20℃で化合物5(175.09g,0.46moL)をアセトン(1800mL)に溶解した後、カルボニルジイミダゾール(163.32g,1.01mol)を加え、反応混合物を15℃~25℃で撹拌しながら16時間反応させた。反応が完了した後、反応混合物をそのまま減圧下で濃縮し、得られた残留物を酢酸エチル(1000mL)で溶解させ、1M希塩酸(1000mL×2)で洗浄し、水(1000mL×2)で洗浄し、飽和食塩水(1000mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して溶媒を除去した。得られた残留物をエタノール(360mL)に加え、30分間撹拌し、濾過し、フィルターケーキをエタノール(100mL)で洗浄し、フィルターケーキを回収し、さらに、減圧下で溶媒を除去し、生成物を得た。次に、生成物をエタノール(150mL)と酢酸エチル(150mL)との混合溶媒に加え、反応混合物を78℃に加熱し、反応液が透明になるまで78℃でさらに撹拌した。加熱を停止し、撹拌しながら反応液を20℃まで自然に冷却し、さらに12時間撹拌した。撹拌中に固形物が析出し、濾過し、フィルターケーキをエタノール(50mL×2)で洗浄した。フィルターケーキを回収し、減圧下で溶媒を除去し、生成物を得た。その後、生成物をエタノール(60mL)と酢酸エチル(60mL)との混合溶媒に加え、反応混合物を20℃で2時間撹拌し、濾過し、フィルターケーキをエタノール(10mL)で洗浄し、フィルターケーキを回収し、減圧下で溶媒を除去した後、真空で6時間乾燥(温度40~45℃、圧力:-0.08MPa)させ、目的化合物1の結晶体Aを得た。MS-ESIm/z: 409.0 [M+H]H NMR(400mHz,CDOD)δ: 7.11-7.08(m,2H),7.06-7.04(m,1H),6.93(d,J=8.4Hz,1H),6.83(dd,J=8.5,2.4Hz,1H),6.79-6.74(m,1H),6.00(dd,J=10.5,3.9Hz,1H),4.58(dd,J=14.8,10.8Hz,1H),4.08-3.96(m,3H),3.80(s,3H),2.94(s,3H),1.35(t,J=7.0Hz,3H)。
実施例3:化合物1の結晶体Aの調製
約175mgのアモルファス形態の化合物1を1.0mLのエタノールに加え、超音波で溶解した。次に、超音波処理を続けて白色固形物を大量に析出させた。室温で懸濁液を3時間撹拌した後、遠心分離して、化合物1の結晶体Aである固体を得た。
実施例4:化合物1の溶媒和物の結晶体Bの調製
Figure 2022539257000010
約24mgのアモルファス形態の化合物1を0.2mLのm-キシレンに加え、室温で懸濁液を約2日間撹拌し、遠心分離して、結晶体Bである固体を得た。H NMR(400mHz,CDCl)δ: 8.21(s,1H),7.15(dd,J=7.4,7.4Hz,0.5H),7.03(dd,J=2.3Hz,1H),7.02(dd,J=8.3,2.3Hz,1H),7.00-6.97(m,2.5H),6.84-6.78(m,3H),5.76(dd,J=9.5,4.2Hz,1H),4.71(dd,J=14.8,9.5Hz,1H),4.06(q,J=7.0Hz,2H),3.84(dd,J=15.1,4.8Hz,1H),3.84(s,3H),2.78(s,3H),2.32(s,3H),1.44(t,J=7.0Hz,3H)。
実験例1:化合物1の結晶体Aの吸湿性に関する研究
実験材料:
SMS Advantage-1動的蒸気吸着測定装置
実験法:
10~30mgの化合物1の結晶体AをDVSサンプルパンに取り、測定を行った。
実験の結果:
化合物1の結晶体AのDVS曲線を図4に示す。ΔW=0.05%である。
実験の結論:
化合物1の結晶体Aは、25℃および80%RHでの吸湿による重量増加が0.05%であり、0.2%未満であり、吸湿性がないか、またはほとんどない。
実験例2:異なる溶媒での化合物1の結晶体Aの安定性実験
化合物1の結晶体Aの17部をそれぞれ約15mgで秤量し、以下の表に示す単一または混合溶媒を適量でそれぞれ加え、室温または50℃の条件下で懸濁液を2週間撹拌した。遠心分離して、固体を収集し、XRPDによってその結晶体の状態を検出した。結果を表3に示す。
表3 異なる溶媒での化合物1の結晶体Aの安定性実験
Figure 2022539257000011
実験結論:化合物1の結晶体Aは、メチルtert-ブチルエーテル、トルエン、水、およびアルコール系溶媒と水との混合溶媒などの溶媒中で良好な安定性を有する。
実験例3:高温、高湿度および強光照射の条件での化合物1の結晶体Aの固体安定性実験
《原薬と製剤の安定性試験のガイドライン》(中国薬局方2015年版、第四巻、一般原則9001)に従って、高温(60℃、開放)、高湿度(室温/相対湿度92.5%、開放)および強光照射(5000±500Lux、90μw/cm、密閉)の条件での化合物1の結晶体Aの安定性を考察した。
化合物1の結晶形Aを1.5g秤量し、開放した時計皿に入れ、薄層に広げた。高温および高湿度の条件下で放置したサンプルを、デシケーターに入れ、5日目、10日目および30日目にサンプリングして測定し、測定結果を0日目の初期測定結果と比較した。強光照射の条件下で放置したサンプルを石英ガラスキャップで覆い、5日目および10日目にサンプリングして測定し、測定結果を0日目の初期測定結果と比較した。実験の結果を以下の表4に示す。
表4 高温、高湿度および強光照射の条件での化合物1の結晶体Aの固体安定性実験の結果
Figure 2022539257000012
結論:化合物1の結晶体Aは、高温、高湿度または強光照射の条件下で良好な安定性を有する。
実験例4:加速条件での化合物1の結晶体Aの固体安定性実験
《原薬と製剤の安定性試験のガイドライン》(中国薬局方2015年版、第四巻、一般原則9001)に従って、高温および高湿度の加速条件(40℃/相対湿度75%、密閉)での化合物1の結晶体Aの安定性を考察した。
化合物1の結晶形Aを約1.5g秤量し、2層の低密度ポリエチレンバッグに入れた。低密度ポリエチレンバッグの各層をそれぞれ縛って密封し、さらに、アルミホイルバッグに入れてヒートシールした。1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目、6ヶ月目にサンプリングして測定し、測定結果を0日目の初期測定結果と比較した。実験の結果を以下の表5に示す。
表5 加速条件(40℃/相対湿度75%、密閉)での化合物1の結晶体Aの固体安定性実験の結果
Figure 2022539257000013
結論:化合物1の結晶体Aは、40℃/相対湿度75%の加速条件下で良好な安定性を有する。
実験例5:長期条件での化合物1の結晶体Aの固体安定性実験
《原薬と製剤の安定性試験のガイドライン》(中国薬局方2015年版、第四巻、一般原則9001)に従って、長期条件(25℃/相対湿度60%、密閉)での化合物1の結晶体Aの安定性を考察した。
化合物1の結晶形Aを約1.5g秤量し、2層の低密度ポリエチレンバッグに入れた。低密度ポリエチレンバッグの各層をそれぞれ縛って密封し、さらに、アルミホイルバッグに入れてヒートシールした。3ヶ月目、6ヶ月目にサンプリングして測定し、測定結果を0日目の初期測定結果と比較した。実験の結果を以下の表6に示す。
表6 長期条件(25℃/相対湿度60%、密閉)での化合物1の結晶体Aの固体安定性実験の結果
Figure 2022539257000014
結論:化合物1の結晶体Aは、25℃/相対湿度60%の長期条件下で良好な安定性を有する。
アッセイ例1:ホスホジエステラーゼ4Bサブタイプ(PDE4B酵素)に対する化合物1の阻害活性
この生物学的実験では、蛍光偏光によりAMP/GMPの発現を測定し、即ち、AMP/GMP抗体の結合を追跡することで酵素の活性を示す。
試薬:
実験緩衝溶液:10mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン-塩酸緩衝溶液(Tris-HCl)(pH7.5)、5mM MgCl、0.01%ポリオキシエチレンラウリルエーテル(Brij 35)、1mMジチオスレイトール(DTT)、及び1%DMSO。
酵素:組換えヒトPDE4B(GeneBank accession number NM_002600;アミノ酸305末端)は、N末端GSTタグを使用して、Sf9昆虫細胞においてバキュロウイルスで発現された。MW=78kDa。
酵素基質:1μM cAMP
検出:Transcreener(登録商標)AMP2/GMP2 antibodyおよびAMP2/GMP2 AlexaFluor633 tracing。
操作手順:
1.組換えヒトPDE4B酵素および酵素基質(1μM cAMP)を、新たに調製した実験緩衝液にそれぞれ溶解した。
2.上記のPDE4B酵素緩衝溶液を反応ウェルに移した。
3.アコースティックテクノロジー(エコー550ナノリットル範囲)により、100%DMSOで溶解した化合物1を、PDE4B酵素緩衝液の反応ウェルに添加し、室温で10分間インキュベートした。
4.次に、酵素基質緩衝溶液を上記の反応ウェルに加えて反応を開始した。
5.室温で1時間インキュベートした。
6.検出混合物(Transcreener(登録商標)AMP2/GMP2 antibodyおよびAMP2/GMP2 AlexaFluor633 tracing)を加えて反応を停止し、ゆっくりと混合しながら90分間インキュベートした。蛍光偏光測定の範囲はEx/Em=620/688であった。
データ分析:
AMP/GMP標準曲線とExcelソフトウェアで計算したDMSO対照に対する酵素活性%から、蛍光偏光信号をnMに換算した。カーブフィッティングではGraphPad Prism(医学アイコンの描画)を使用した。
表7 本発明の化合物1のインビトロスクリーニングアッセイの結果
Figure 2022539257000015
3つのウェルで同様なアッセイを実施し、平均値をとる。
結論:化合物1は、ホスホジエステラーゼ4Bサブタイプ(PDE4B)を阻害する優れたインビトロ活性を示す。
アッセイ例2:ヒト末梢血単核細胞(hPBMC)におけるTNFαの産生に対する阻害効果のインビトロ評価
実験目的:
リポ多糖(LPS)によって誘発されるヒト末梢血単核細胞におけるTNFαの産生に対する化合物1の阻害活性。
実験操作の手順:
1.PBMC実験
細胞培養グレードの96ウェルプレートに、100000細胞/100μL/ウェルの密度でPBMC細胞を播種した。細胞培養培地は、10%血清を添加したRPMI-1640であった。37℃、5%COインキュベーターでプレートを2時間インキュベートした。16.8μL/ウェルの試験化合物を細胞に添加し、次に、37℃、5%COインキュベーターで60分間インキュベートした。その後、16.8μL/ウェルのLPSを細胞に添加し、37℃、5%COインキュベーターで18時間インキュベートした。DMSOの最終濃度は0.1%であった
2.化合物の用量の勾配希釈
1番目のステップでは、化合物1を、100%DMSOでストック濃度から1.5mMに希釈した。2番目のステップでは、希釈した化合物を最初の点として使用し、100%DMSOで3倍で9点まで連続希釈した。3番目のステップでは、無血清培地で125倍に希釈し、その時にDMSOの濃度は0.8%であった。次に、100μLの細胞プレートに、培地で希釈した化合物を16.8μL移した。
化合物を加えた後、細胞プレートを37℃、5%COインキュベーターに入れ、1時間インキュベートした。
3.LPSの希釈
1番目のステップでは、超純水でLPSを1mg/mLのストック濃度に希釈した。2番目のステップでは、ストック濃度のLPSを無血清培地で1μg/mLに希釈した。3番目のステップでは、LPSを無血清培地で1666.666倍に希釈した。次に、116.8μLの細胞プレートに、培地で希釈したLPSを16.8μL移し、その時にDMSOの最終濃度は0.1%であった。LPSを添加した後、細胞プレートを37℃、5%COインキュベーターに入れ、18時間インキュベートした。
4.ELISAアッセイ
1)コーティング溶液でTNF-α抗体を1倍の容量に希釈した後、高い結合性能を持つ96ウェルプレートに、ウェルあたり100μLで添加した。プレートをフィルムで密封し、4℃の冷蔵庫に18時間入れた。
2)2000mLの洗浄緩衝液を1倍量まで配合して用意した。
3)プレートを一晩コーティングした後、コーティング溶液を捨て、ウェルあたり300μLの洗浄緩衝液で3回洗浄した。
4)プレートを洗浄した後、ブロッキング緩衝液を各ウェルに200μLで添加し、プレートをフィルムで密封し、25℃のインキュベーターに入れ、1時間インキュベートした。
5)18時間インキュベートした細胞プレートを遠心分離機で遠心分離(温度:25℃、回転数:2000rpm、時間:10分、速度増加:9、速度減少:1)した。遠心分離した後、ウェルあたり100μLの細胞上清を3599細胞プレートに移し、4℃の冷蔵庫に入れた。
6)ブロッキング緩衝液で細胞上清を40倍に希釈し、4℃の冷蔵庫に入れた。標準液を配合し、4℃の冷蔵庫に入れた。
7)ブロッキングが完了した後、ブロッキング溶液を捨て、ウェルあたり300μLの洗浄緩衝液で3回洗浄した。
8)希釈した細胞上清サンプルおよび標準液をELISAプレートに加えた。プレートをフィルムで密封した後、25℃のインキュベーターに入れ、2時間インキュベートした。
9)プレート内の液体を捨て、プレートをウェルあたり300μLの洗浄緩衝液で5回洗浄した。
10)抗体液を調製し、ウェルあたり100μLでプレートに添加した。プレートを密封フィルムで密封した後、25℃のインキュベーターに入れ、1時間インキュベートした。
11)プレート内の液体を捨て、プレートをウェルあたり300μLの洗浄緩衝液で7回洗浄した。
12)発色溶液を調製し、ウェルあたり100μLでプレートに添加した後、25℃のインキュベーターに入れ、暗所で30分間インキュベートした。
13)各ウェルに50μLの停止液を加え、プレートを遠心分離(温度:25℃、回転数:1000rpm、時間:1分、速度増加:9、速度減少:9)した。
14)遠心分離後30分以内にEnvisionでプレートを読み取り、450での吸光度から570での吸光度を差し引いた値を最終的な生データとして使用した。
5.データ処理
生データに基づいて、以下の式に従って阻害率を算出した。
阻害率=(1-(生データの値-HPE平均値)/(ZPE平均値-HPE平均値))*100
ここで、ZPEは0%阻害(75pg/mL LPS、0.1%DMSO)であり、HPEは100%阻害(LPSなし、0.1%DMSO)である。
XLfit統計ソフトウェアを用いてデータ分析を実施した。IC50は、以下のように算出した。4パラメーターのロジスティック(logistic)用量反応方程式を使用して、試験化合物の濃度と阻害率(%)をプロットし、50%阻害に必要な化合物濃度(IC50)を決定した。
表8 hPBMCにおけるTNFαの産生に対する本発明の化合物1の阻害活性の結果
Figure 2022539257000016
3つのウェルで同様なアッセイを実施し、平均値をとる。
実験結論:化合物1は、hPBMCにおいてTNFαの産生を阻害する優れたインビトロ活性を示す。
アッセイ例3:PMAに誘発されるCD-1マウスの耳浮腫のインビボモデル
実験の目的:
炎症性浮腫は、組織浮腫とも呼ばれ、炎症による滲出液が組織の隙間に蓄積することで生じる浮腫である。ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(Phorbol 12-Myristate 13-Acetate、PMA)をマウスの耳に局所投与すると、プロテインキナーゼC(Protein Kinase C、PKC)によって媒介される明らかな炎症反応が起こり、それによってヒトアトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis、AD)と同様の一連の症状を引き起こす。通常、ADの治療のための候補化合物の前臨床評価において、マウスにおけるPMA誘発性耳浮腫の動物モデルは、その有効性を評価するために用いられる。
この実験の目的は、PMAに誘発されるCD-1マウスの耳浮腫のモデルにおける化合物1の治療効果を考察し、その後の臨床研究のための前臨床薬力学的情報を提供することである。
実験の方法:
1.PMAの調製
1mLのアセトンを加えて1mgのPMAを完全に溶解させた後、800μLの母液をピペットで取り、2400μLのアセトンに加えて、0.25mg/mLのPMAを調製した。
2.PMA誘発処理
CD-1マウスを、耳の厚さおよび体重に従って並べ替えた。平均値と大きく異なる4匹のマウスを取り除いた後、残りのマウスをランダムに正常対照群(6匹のマウス)と治療群(各治療群に10匹のマウス)に分けた。濃度が0.25mg/mLである10μLのPMAを、それぞれマウスの右耳の表裏両面に塗布した。
正常対照群のマウスは、誘発処理を実施する必要はない。
3.投与および用量のデザイン
第1群のマウスは正常なマウスであり、何の処理もされなかった。第2群のマウスに溶媒を投与した。第3群、第4群、および第5群のマウスに、それぞれ、0.1mg/耳、0.3mg/耳、および1mg/耳の用量で化合物1を投与した。なお、PMA誘発処理の30分前とPMA誘発処理の15分後に、それぞれマウスの右耳に薬を塗布した。
表9 実験の群分けおよび用量のデザイン
Figure 2022539257000017
注:NAは「なし」を表し、BIDは「1日2回の投与」を表す。
4.耳浮腫の発症指標の測定
測定およびサンプリング:PMA誘発処理の10時間後、マウスに麻酔をかけ、右耳の厚さを測定した。右耳の厚さを測定した後、すぐにマウスを安楽死させ、耳の部分(ear piece)を集めて秤量した。
5.統計学的処理
実験データは、平均値±標準誤差(Mean±SEM)として表され、耳の腫脹の程度および耳の重量は、一元配置分散分析(One-way ANOVA)によって分析され、ここで、p<0.05の場合、有意差があると見なされる。
実験の結果:
PMA誘発処理後、10時間の時点で測定した結果、耳の厚さは0.300~0.400mm増加し、通常の腫脹の範囲(-0.010~0.002mm)よりもはるかに高く、また、耳の重量は平均28.8mg増加し、耳浮腫モデルの確立は非常に成功したことを示した。
試験化合物1は、10時間の時点では、0.1mg/耳、0.3mg/耳および1mg/耳の3つの用量で、耳浮腫マウスの浮腫程度を著しく低下させることができ、良好な用量反応関係を示した。なお、耳の浮腫の阻害率はそれぞれ22%、39%、および88%であり、耳の重量増加の阻害率はそれぞれ39%、46%、および85%であった(溶媒対照群と比較して、すべてのp値<0.0001)。
実験の結論:
0.1、0.3および1mg/耳の3つの用量群において、化合物1は、PMA誘発性耳浮腫の症状に対して顕著な改善効果を有し、耳の重量増加を著しく阻害することができ、しかも3つの用量群はすべて良好な用量反応関係を示した。
また、本発明は式(I-1-1)で表される溶媒和物の結晶体Bを提供する。そのX線粉末回折パターンは、6.84±0.20°、8.90±0.20°、23.00±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する。
Figure 2022539257000032
4.ELISAアッセイ
1)コーティング溶液でTNF-α抗体を1倍の容量に希釈した後、高い結合性能を持つ96ウェルプレートに、ウェルあたり100μLで添加した。プレートをフィルムで密封し、4℃の冷蔵庫に18時間入れた。
2)2000mLの洗浄緩衝液を1倍量まで配合して用意した。
3)プレートを一晩コーティングした後、コーティング溶液を捨て、ウェルあたり300μLの洗浄緩衝液で3回洗浄した。
4)プレートを洗浄した後、ブロッキング緩衝液を各ウェルに200μLで添加し、プレートをフィルムで密封し、25℃のインキュベーターに入れ、1時間インキュベートした。
5)18時間インキュベートした細胞プレートを遠心分離機で遠心分離(温度:25℃、回転数:2000rpm、時間:10分、速度増加:9、速度減少:1)した。遠心分離した後、ウェルあたり100μLの細胞上清を3599細胞プレートに移し、4℃の冷蔵庫に入れた。
6)ブロッキング緩衝液で細胞上清を40倍に希釈し、4℃の冷蔵庫に入れた。標準液を配合し、4℃の冷蔵庫に入れた。
7)ブロッキングが完了した後、ブロッキング溶液を捨て、ウェルあたり300μLの洗浄緩衝液で3回洗浄した。
8)希釈した細胞上清サンプルおよび標準液をELISAプレートに加えた。プレートをフィルムで密封した後、25℃のインキュベーターに入れ、2時間インキュベートした。
9)プレート内の液体を捨て、プレートをウェルあたり300μLの洗浄緩衝液で5回洗浄した。
10)抗体液を調製し、ウェルあたり100μLでプレートに添加した。プレートを密封フィルムで密封した後、25℃のインキュベーターに入れ、1時間インキュベートした。
11)プレート内の液体を捨て、プレートをウェルあたり300μLの洗浄緩衝液で7回洗浄した。
12)発色溶液を調製し、ウェルあたり100μLでプレートに添加した後、25℃のインキュベーターに入れ、暗所で30分間インキュベートした。
13)各ウェルに50μLの停止液を加え、プレートを遠心分離(温度:25℃、回転数:1000rpm、時間:1分、速度増加:9、速度減少:9)した。
14)遠心分離後30分以内にEnvisionでプレートを読み取り、450nmでの吸光度から570nmでの吸光度を差し引いた値を最終的な生データとして使用した。

Claims (22)

  1. X線粉末回折パターンは、11.91±0.20°、19.36±0.20°、23.17±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する、
    Figure 2022539257000018
    化合物1の結晶体A。
  2. X線粉末回折パターンが、11.26±0.20°、11.91±0.20°、12.91±0.20°、14.27±0.20°、19.36±0.20°、22.26±0.20°、23.17±0.20°、24.97±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する、
    請求項1に記載の化合物1の結晶体A。
  3. X線粉末回折パターンが、11.26±0.20°、11.91±0.20°、12.91±0.20°、14.27±0.20°、15.83±0.20°、17.53±0.20°、19.36±0.20°、20.33±0.20°、22.26±0.20°、23.17±0.20°、24.97±0.20°、26.50±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する、
    請求項2に記載の化合物1の結晶体A。
  4. X線粉末回折パターンが、11.26°、11.91°、12.91°、14.27°、15.83°、17.53°、19.36°、20.33°、22.26°、22.59°、23.17°、24.97°、26.50°、29.46°の2θ角に特徴的回折ピークを有する、
    請求項3に記載の化合物1の結晶体A。
  5. XRPDパターンが図1に示すとおりである、
    請求項4に記載の化合物1の結晶体A。
  6. 示差走査熱量測定曲線が、147.0±3.0℃に吸熱ピークの開始点を有する、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物1の結晶体A。
  7. DSCパターンが図2に示すとおりである、
    請求項6に記載の化合物1の結晶体A。
  8. 熱重量分析曲線が、140.0±3.0℃で0.70%の重量損失を有する、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物1の結晶体A。
  9. TGA曲線が図3に示すとおりである、
    請求項8に記載の化合物1の結晶体A。
  10. Figure 2022539257000019
    nは0.1~1.5から選択される、
    式(I-1)で表される化合物の溶媒和物。
  11. nが0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4および1.5から選択される、
    請求項10に記載の溶媒和物。
  12. nが0.5である、
    請求項11に記載の溶媒和物。
  13. Figure 2022539257000020
    nは0.5であり、
    X線粉末回折パターンは、6.84±0.20°、8.90±0.20°、23.00±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する、
    式(I-1-1)で表される溶媒和物の結晶体B。
  14. X線粉末回折パターンが、6.84±0.20°、8.90±0.20°、11.27±0.20°、12.75±0.20°、16.15±0.20°、17.54±0.20°、22.06±0.20°、23.00±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する、
    請求項13に記載の溶媒和物の結晶体B。
  15. X線粉末回折パターンが、6.84±0.20°、8.90±0.20°、11.27±0.20°、12.75±0.20°、16.15±0.20°、17.54±0.20°、19.17±0.20°、19.70±0.20°、20.41±0.20°、22.06±0.20°、23.00±0.20°、25.95±0.20°の2θ角に特徴的回折ピークを有する、
    請求項14に記載の溶媒和物の結晶体B。
  16. X線粉末回折パターンが、6.84°、8.90°、11.27°、12.75°、13.29°、14.94°、16.15°、17.54°、17.93°、19.17°、19.70°、20.41°、20.79°、22.06°、22.72°、23.00°、23.86°、25.95°、27.82°、28.45°、30.14°、32.87°の2θ角に特徴的回折ピークを有する、
    請求項15に記載の溶媒和物の結晶体B。
  17. XRPDパターンが図5に示すとおりである、
    請求項16に記載の溶媒和物の結晶体B。
  18. 示差走査熱量測定曲線が、77.5±3.0℃に吸熱ピークの開始点を有する、
    請求項13~17のいずれか一項に記載の溶媒和物の結晶体B。
  19. DSCパターンが図6に示すとおりである、
    請求項13に記載の結晶体B。
  20. 熱重量分析曲線が、80.0±3.0℃で10.46%の重量損失を有する、
    請求項13~17のいずれか一項に記載の溶媒和物の結晶体B。
  21. TGA曲線が図7に示すとおりである、
    請求項20に記載の溶媒和物の結晶体B。
  22. TNFαに関連する疾患を治療するための医薬品の調製における、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物1の結晶体A、または請求項10~12のいずれか一項に記載の溶媒和物、または請求項13~21のいずれか一項に記載の溶媒和物の結晶体Bの使用。
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