JP2022538776A - 光電子デバイス - Google Patents

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Abstract

本発明は、(a)結晶性A/M/X材料を含む層、ここで該結晶性A/M/X材料は式:[A]a[M]b[X]c、式中:[A]は1つ以上のAカチオンを含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は1つ以上のXカチオンを含み;aは1~6の数字であり;bは1~6の数字であり;およびcは1~18の数字である;の化合物を含む;および(b)有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であるイオン性固体を含む光電子デバイスに関する。本発明はまた、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するための種々のプロセスを提供する。【選択図】図1a

Description

発明の分野
本発明は、イオン性固体改質結晶性A/M/X材料の層を含む光電子デバイスを提供する。結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するためのプロセスおよび結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを含む光電子デバイス製造するためのプロセスもまた、提供される。
発明の背景
ペロブスカイト太陽電池の最初の報告が2009年になされた際、電力変換効率は3%にとどまった。2012年までに、9.2%および10.9%を達成するペロブスカイト光起電デバイスが実証された。それ以降、他のA/M/X材料に基づくペロブスカイト光起電力技術および光起電デバイスの分野に関する研究が急成長し、このような材料はエネルギー地形を完全に変換する明るい見通しを示す。ペロブスカイト-ベースの光起電デバイスは、その後23%の認証効率を達成した。
金属ハライドペロブスカイトに基づく太陽電池は、最も有望な光起電(PV)技術の1つとして現れる。認証電力変換効率(PCE)は、わずか数年のうちに23.3パーセントに達し、多結晶シリコンおよび全ての他の薄膜PV技術を超えた。ペロブスカイトの組成工学、デバイス構造の界面工学、および封入技術に対する以前の努力は、ここ数年にわたってペロブスカイト太陽電池の長期安定性を顕著に前進させた。しかし、フルスペクトル太陽光および熱応力の組み合わせ下での作動デバイス安定性は、依然としてペロブスカイト太陽電池の実用的応用にとって鍵となる課題である。デバイス安定性に影響を与える全ての因子の中で、ペロブスカイト活性層中のイオン移動は無類の脅威をもたらす。
金属ハライドペロブスカイト中のイオン移動は、材料およびその後の太陽電池における不安定性に関し、そして移動する欠陥の存在は、これらの光起電材料の安定化にとって唯一無二の課題を示す。以前の研究は、イオン移動が熱的に活性化されること、および活性化エネルギーが照明下でさらに減少することを実証した。さらに、移動するイオン性種が空間または格子間原子(interstitials)などの欠陥であること、および表面および粒界に主として位置するこれらの欠陥が、環境因子に対する劣化の開始のための源であると予想されることが予想される。従って、特に任意の空気の存在下での光および熱は、ペロブスカイトの長期安定性に無類の脅威をもたらす。従って、実用的応用のために優れたPCEと良好な長期安定性の両方を組み合わせるペロブスカイトを得ることは非常に困難である。
Jungらの「Efficient, stable and scalable perovskite solar cells using poly(3-hexylthiophene)」は、正孔輸送材料(HTM)としてP3HTを用いるペロブスカイト太陽電池を記載する。これらのセルにおいて、薄膜が、ペロブスカイト表面上での4級アンモニウムハライド塩n-ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミドのその場反応によって、光吸収ペロブスカイト層の上部、およびP3HT層の下に形成される。これは、ペロブスカイトとHTMとの間の界面接触を改善すると言われている。80%湿度および室内温度でモニターした封入していないデバイスは、1,000時間にわたって電力変換効率の低下を示し、そしてデバイスは、その期間にわたってその初期効率のほぼ80%を維持したと言われた。しかし、周囲条件におけるより大きいデバイス安定性が実行可能な太陽電池のために要求され、これは、周囲条件下でできるだけ長く高い効率を維持しなければならない。
Zhengらの「Defect passivation in hybrid perovskite solar cells using quaternary ammonium halide anions and cations」Nature Energy, 2, 17102 (2017)は、4級アンモニウムハライド、および特に4級アンモニウムハライド塩コリンクロリドを使用して、ペロブスカイト太陽電池におけるイオン性欠陥を不動態化することに関する。Zhengらにおいて示される太陽電池は、約1か月、約21-18%のPCEを示し、その期間にわたって徐々に低下した。しかし、現実世界の応用について、太陽電池デバイスについてずっと長い使用可能な寿命が要求され、これらはまた、太陽光下、85℃などの室温よりもずっと高い温度で安定であることが要求される。
従って、厳しいエージング条件、例えば、熱応力を伴うフルスペクトル太陽光において高いPCEならびに長いデバイス寿命を同時に示す光起電装置などの光電子デバイスに組み込まれ得るペロブスカイト材料の必要性が存在する。
発明の要旨
本発明は、改善された性能(例えば、改善された効率)および優れた長期安定性を同時に示す結晶性A/M/X材料光電子デバイスを提供する。これは、イオン性固体をペロブスカイト集光層に組み込むことによって達成され、改善された効率および安定性をもたらす。
イオン移動は、A/M/X材料における不安定性に関連する。イオン移動は、環境因子による劣化の開始の源であると考えられる欠陥を引き起こす。
イオン移動は、熱および光で活性化され、従って、光および熱の応力の組み合わせに応答して安定でありそしてイオン移動を抑制する材料を開発することが重要である。本発明者らは、予想外に、イオン性固体が太陽電池の開回路電圧を増加させ、そしてそれゆえデバイスにおける望まないトラップに援助された再結合を減少させ、およびペロブスカイト材料の劣化を阻害し、それによって非理想のシミュレートした現実世界の条件、例えば、高温および高湿度でのフルスペクトル太陽光において使用した場合、急速に劣化しない材料を提供することを発見した。これは、ペロブスカイト光起電力技術の商業的な高級化および発展について鍵となる工程を表す。
さらに、イオン性固体をドープしたA/M/X材料は、A/M/X材料と任意の隣接する電荷輸送層との間の改善されたエネルギー整列を提供する。これは、イオン性固体をドープしたA/M/X材料を使用する光電子デバイスについて改善された電荷抽出および効率をもたらす。例えば、ポリTPD:F4-TCNQおよびN,N’-ビス(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(NPD)などのp-型正孔導体、および本明細書中で記載したA/M/X材料を使用する「ポジティブ-イントリンシック-ネガティブ」(p-i-n)平面ヘテロ接合太陽電池の効率は、19パーセントを超える効率で安定化され得る。
さらに、本願による光電子デバイスは、溶液ベースの方法または真空ベースの方法のいずれかを用いて作製され得る。これは、これらの改良した材料のための理想的な製造方法論について柔軟な選択を与える。
上記の利点は、商業的に採算の合う低コストPV技術の実現に向かう著しい進歩を表す。
従って、本発明は、以下を含む光電子デバイスを提供する:
(a)結晶性A/M/X材料を含む層、ここで該結晶性A/M/X材料は式:
[A]a[M]b[X]c
式中:
[A]は1つ以上のAカチオンを含み;
[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;
[X]は1つ以上のXカチオンを含み;
aは1~6の数字であり;
bは1~6の数字であり;および
cは1~18の数字である;
の化合物を含む;および
(b)有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であるイオン性固体。典型的には、イオン性固体は4級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常1級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、しばしば2級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常3級アンモニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的にはホルムアミジニウムハライド塩以外であり、そして通常グアニジニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的には本明細書中以下で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。しばしば、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外および本明細書中以下で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。典型的には、イオン性固体の対アニオンがハライドである場合、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。しばしば、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。
本発明はまた、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するためのプロセスに関し、ここで結晶性A/M/X材料は、式:[A]a[M]b[X]c、式中:[A]は1つ以上のAカチオンを含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は1つ以上のXカチオンを含み;ここでaは1~6の数字であり;bは1~6の数字であり;およびcは1~18の数字である、の化合物を含み、そしてイオン性固体は、有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であり、
当該プロセスは:フィルム形成溶液を基材上に配置すること、ここで該フィルム形成溶液は溶媒、該1つ以上のAカチオン、該1つ以上のMカチオン、該1つ以上のXカチオン、該有機カチオンおよび該対アニオンを含む。典型的には、イオン性固体は4級アンモニウムハライド塩以外であり、すなわち対アニオンはハライド以外であり、そして有機カチオンは級アンモニウムカチオン以外である。イオン性固体は、通常1級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、しばしば2級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常3級アンモニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外であり、すなわち対アニオンはハライド以外であり、そして有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外である。イオン性固体は、典型的にはホルムアミジニウムハライド塩以外であり、そして通常グアニジニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的には本明細書中以下で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。しばしば、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外および本明細書中以下で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。典型的には、イオン性固体の対アニオンがハライドである場合、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。しばしば、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。
本発明はまた、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するためのプロセスを提供し、この結晶性A/M/X材料は、式:[A]a[M]b[X]c、式中:[A]は1つ以上のAカチオンを含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は1つ以上のXカチオンを含み;ここでaは1~6の数字であり;bは1~6の数字であり;およびcは1~18の数字である、の化合物を含み、
当該プロセスは:
a)溶媒および1つ以上のMカチオンを含む第1溶液を基材上に配置し、および必要に応じて該溶媒を除去し、処理した基材を製造すること;
b)該処理した基材を、溶媒および1つ以上のAカチオンを含む第2溶液または1つ以上のAカチオンを含む蒸気と接触させること、
を含み、
ここで:1つ以上のXカチオンが(i)工程(a)で使用される該第1溶液、および(ii)工程(b)で使用される該第2溶液または蒸気のうちの1つまたは両方において存在し;および工程(a)で使用される該第1溶液が、イオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンをさらに含むか、または工程(b)が、該処理した基材をイオン性固体と接触させること、ここで該イオン性固体は有機カチオンおよび対アニオンを含む塩である、をさらに含む。典型的には、イオン性固体は4級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常1級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、しばしば2級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常3級アンモニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的にはホルムアミジニウムハライド塩以外であり、そして通常グアニジニウムハライド以外である。従って、典型的には、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的には本明細書中以下で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。しばしば、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外および本明細書中以下で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。典型的には、イオン性固体の対アニオンがハライドである場合、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。しばしば、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。
典型的には、工程(a)で使用される第1溶液は、イオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンをさらに含む。あるいは、工程(b)は、処理した基材をイオン性固体と接触させることをさらに含み得、必要に応じてここで工程(b)は:
(i)該処理した基材を該第2溶液と接触させること、ここで該第2溶液はイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンをさらに含む;または
(ii)該処理した基材を、該1つ以上のAカチオンを含む蒸気およびイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む蒸気と接触させること
を含み、必要に応じてここで工程(b)は:
b1)1つ以上のAカチオンおよびイオン性固体を含む組成物(単数または複数)を気化させること、および
b2)得られた蒸気を処理した基材上に堆積させること、
を含む。
本発明はまた、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するためのプロセスを提供し、ここで該結晶性A/M/X材料は、式:[A]a[M]b[X]c、式中:[A]は1つ以上のAカチオンを含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は1つ以上のXカチオンを含み;aは1~6の数字であり;bは1~6の数字であり;およびcは1~18の数字である、の化合物を含み;およびここで該イオン性固体は有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であり;当該プロセスは、結晶性A/M/X材料のフィルムをイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンで処理することを含む。典型的には、イオン性固体は4級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常1級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、しばしば2級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常3級アンモニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的にはホルムアミジニウムハライド塩以外であり、そして通常グアニジニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的には本明細書中以下で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。しばしば、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外および本明細書中以下で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。典型的には、イオン性固体の対アニオンがハライドである場合、イオン性固体の有機カチオンは結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。しばしば、イオン性固体の有機カチオンは結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。
結晶性A/M/X材料のフィルムを処理する工程は、フィルムを有機カチオンおよび対アニオンを含む溶液で処理することを含み得る。
あるいは、結晶性A/M/X材料のフィルムを処理する工程は、フィルムを有機カチオンを含む蒸気および対アニオンを含む蒸気に曝露することを含み得る。有機カチオンを含む蒸気および対アニオンを含む蒸気は、典型的には全く同一の蒸気であるが、それらは、あるいは、異なる蒸気であり得る。
実際、イオン性固体は昇華によって気化させられ得、これは、イオン性固体を用いることが結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するための蒸着プロセスの使用を容易にすることを意味する。A/M/X材料およびイオン性固体の両方とも、蒸着によって堆積され、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造し得る。
従って、本発明はまた、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するためのプロセスを提供し、ここで該結晶性A/M/X材料は、式:[A]a[M]b[X]c、式中:[A]は1つ以上のAカチオンを含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は1つ以上のXカチオンを含み;aは1~6の数字であり;bは1~6の数字であり;およびcは1~18の数字である、の化合物を含み、およびここで該イオン性固体は有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であり;当該プロセスは:
基材を、該1つ以上のAカチオンを含む蒸気、該1つ以上のMカチオンを含む蒸気、該1つ以上のXカチオンを含む蒸気、該有機カチオンを含む蒸気、および該対アニオンを含む蒸気に曝露することを含む。典型的には、イオン性固体は4級アンモニウムハライド塩以外であり、すなわち有機カチオンは4級アンモニウムカチオン以外であり、そして対アニオンはハライド以外である。イオン性固体は、通常1級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、しばしば2級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常3級アンモニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外であり、すなわち対アニオンはハライド以外であり、そして有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外である。イオン性固体は、典型的にはホルムアミジニウムハライド塩以外であり、そして通常グアニジニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的には本明細書中以下で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。しばしば、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外および本明細書中以下で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。典型的には、イオン性固体の対アニオンがハライドである場合、イオン性固体の有機カチオンは結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。しばしば、イオン性固体の有機カチオンは結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。
1つ以上のAカチオンを含む蒸気、1つ以上のMカチオンを含む蒸気、1つ以上のXカチオンを含む蒸気、有機カチオンを含む蒸気、および対アニオンを含む蒸気は、全く同一の蒸気であり得る。従って、本発明のこの局面のプロセスは、基材を、1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、有機カチオン、および対アニオンを含む蒸気に曝露することを含み得る。基材は、従って、1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、有機カチオンおよび対アニオンに同時に曝露され得る。
あるいは、1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、有機カチオン、および対アニオンは、2つ以上の異なる気相の一部であり得、これらに基材が曝露される。基材は、2つ以上の異なる気相に同時にまたは異なる時間に、例えば、別個におよび/または連続して曝露され得る。従って、本発明のこの局面のプロセスは、基材を2つ以上の異なる気相に曝露することを含み得、ここで2つ以上の異なる気相は一緒に1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、有機カチオン、および対アニオンを含む。基材は、2つ以上の異なる気相に同時に(一緒に)、別個に(異なる時間に)、例えば連続して(任意の順序で)曝露され得る。
例えば、基材は:(i)1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオンを含む蒸気;および(ii)イオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む蒸気に曝露され得る。あるいは、基材は、(i)1つ以上のMカチオンを含む蒸気、(ii)1つ以上のAカチオンを含む蒸気(ここで1つ以上のXカチオンは、1つ以上のMカチオンを含む蒸気中、1つ以上のAカチオンを含む蒸気中、または1つ以上のMカチオンを含む蒸気中および1つ以上のAカチオンを含む蒸気中の両方に存在し得る)、および(iii)イオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む蒸気に曝露され得る。基材は、これらの気相に同時にまたは異なる時間に、例えば、任意の順序で連続して曝露され得る。
本発明はまた、光電子デバイスを製造するためのプロセスを提供し、当該プロセスは、本明細書中で記載したプロセスによって、基材上に結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造することを含む。
本発明はまた、本明細書中で記載したプロセスによって得られ得る結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを提供する。
本発明はまた、
(a)本明細書中で記載したプロセスによって得られ得る結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを含む;または
(b)本明細書中で記載したプロセスによって得られ得る、
光電子デバイスを提供する。
図1a-fは、イオン性固体(1)、6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウム テトラフルオロボレート([PF-PTAM][BF4])をCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体に添加することについてのデバイス構造、太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。0.2 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、3 cm×3 cmの基材上に作製した。図1aは、[PF-PTAM][BF4]の化学構造および平面ヘテロ接合p-i-nペロブスカイト太陽電池の模式デバイス構造を示す。図1bは、100 mW/cm2の強度を有する模擬(simulated)AM1.5太陽光下、0.3 mol%(Pb原子に対して)の[PF-PTAM][BF4](0.3 mol%、丸)を有するおよびイオン性固体(Ref.、四角)を有しないCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池について順方向バイアス(FB)~短絡(SC)スキャンの電流密度および電圧(J-V)特性を示す。図1c-fは、0(すなわち、Ref.)から0.4 mol%までの範囲の異なる濃度を用いて、[PF-PTAM][BF4]を用いてCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についてPCE(図1c)、VOC(図1d)、JSC(図1e)およびFF(図1f)の統計学的結果を示す。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。 図2a-fは、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト吸収材層上に堆積したイオン性固体(1)、[PF-PTAM][BF4]についてのデバイス構造、太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。0.2 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、3 cm×3 cmの基材上に作製した。図2aは、[PF-PTAM][BF4]の化学構造および平面ヘテロ接合p-i-nペロブスカイト太陽電池におけるこのイオン性固体の相対位置を模式的に示す。図2bは、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池についてのFB~SCスキャンのJ-V特性を示す。J-V曲線は、100 mW/cm2の強度を有する模擬AM1.5太陽光下、0.6 mol%(Pb原子に対して)の[PF-PTAM][BF4]を有する(上部処理、黒丸)およびイオン性固体を有しない(Ref.、黒四角)、ならびに暗所中、0.6 mol%の[PF-PTAM][BF4]を有する(白抜き丸)およびイオン性固体を有しない(Ref.、白抜き四角)ペロブスカイト太陽電池を含む。図2c-fは、0.6 mol%の[PF-PTAM][BF4]の追加の層を有するおよびイオン性固体の添加を有しない(Ref.)、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についての統計学的結果を示す:PCE(図2c)、VOC(図2d)、JSC(図2e)、およびFF(図2f)。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。 図3a-fは、イオン性固体(2)、1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム テトラフルオロボレート([IPIM][BF4])をCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体に添加することについてのデバイス構造、太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。0.0919 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、2.8 cm×2.8 cmの基材上に作製した。図3aは、[IPIM][BF4]の化学構造および平面ヘテロ接合p-i-nペロブスカイト太陽電池の模式デバイス構造を示す。図3aは、[IPIM][BF4]の化学構造および平面ヘテロ接合p-i-nペロブスカイト太陽電池の模式デバイス構造を示す。図3bは、100 mW/cm2の強度を有する模擬AM1.5太陽光下、0.1 mol%(三角)(Pb原子に対して)、0.2 mol%(丸)、0.3 mol%(逆三角)の濃度の[IPIM][BF4]を有するおよびイオン性固体(すなわちRef.、四角)を有しないCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池についてFB~SCスキャンのJ-V特性を示す。図3c-fは、0(すなわち、Ref.)から0.3 mol%までの範囲の異なる濃度を用いて、[IPIM][BF4]を用いてCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についてPCE(図3c)、VOC(図3d)、JSC(図3e)およびFF(図3f)の統計学的結果を示す。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。 図4a-gは、イオン性固体(2)、[IPIM][BF4]を含むCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト吸収材層の前に堆積したイオン性固体(1)、[PF-PTAM][BF4]についてのデバイス構造、太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。図4に示すペロブスカイト太陽電池について、[PF-PTAM][BF4]を用いた底面処理を、特に明記しない限り、0.6 mol%(Pb原子に対して)の[PF-PTAM][BF4]イオン性固体前駆体から調製した。0.0919 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、2.8 cm×2.8 cmの基材上に作製した。図4aは、[PF-PTAM][BF4]および[IPIM][BF4]の化学構造ならびに平面ヘテロ接合p-i-nペロブスカイト太陽電池におけるイオン性固体の相対位置を模式的に示す。図4bは、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池についてのFB~SCスキャンのJ-V特性を示す。J-V曲線は、100 mW/cm2の強度を有する模擬AM1.5太陽光下ならびに暗所中(イオン性固体添加を有するセルについて白抜き丸;イオン性固体を有しないセルについて白抜き四角)、ペロブスカイト前駆体および[PF-PTAM][BF4]で底面処理したペロブスカイト中0.1 mol%の[IPIM][BF4]を含むイオン性固体添加を有する(0.1 mol%、黒丸)、およびイオン性固体を有しない(Ref.、黒四角)ペロブスカイト太陽電池を含む。図4cは、イオン性固体添加を有する(丸)および有しない(四角)セルについて定常状態出力を示す。図4d-gは、0.1~0.3 mol%の異なる濃度の[IPIM][BF4]でイオン性固体を有するおよびイオン性固体添加を有しない(Ref.)Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についての統計学的結果を示す:PCE(図4d)、VOC(図4e)、JSC(図4f)、およびFF(図4g)。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。 図5a-gは、イオン性固体(3)、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート([ジ-tBIM][BF4]、またはイオン性固体(4)、N-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウムテトラフルオロボレート([ジ-IPAM][BF4])をCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト吸収材層に添加することについてのデバイス構造、太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。0.0919 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、2.8 cm×2.8 cmの基材上に作製した。図5aは、[ジ-tBIM][BF4]および([ジ-IPAM][BF4]の化学構造ならびに平面ヘテロ接合p-i-nペロブスカイト太陽電池を模式的に示す。図5bは、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池についてのFB~SCスキャンのJ-V特性を示す。J-V曲線は、100 mW/cm2の強度を有する模擬AM1.5太陽光下ならびに暗所中([ジ-tBIM][BF4]を有するセルについて白抜き丸;[ジ-IPAM][BF4]を有するセルについて白抜き三角;イオン性固体を有しないセルについて白抜き四角)、0.2 mol%(Pb原子に対して)の[ジ-tBIM][BF4](黒丸)、0.2 mol%の[ジ-IPAM][BF4](黒三角)を有するおよびイオン性固体を有しない(Ref.、黒四角)ペロブスカイト太陽電池を含む。図5cは、[ジ-tBIM][BF4]を有する、[ジ-IPAM][BF4]を有する(三角)およびイオン性固体を有しない(四角)セルについて定常状態出力を示す。図5d-gは、[ジ-tBIM][BF4]および[ジ-IPAM][BF4]のイオン性固体を有するならびにイオン性固体添加を有しない(Ref.)Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についての統計学的結果を示す:PCE(図5d)、VOC(図5e)、JSC(図5f)、およびFF(図5g)。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。 図6a-kは、フルスペクトル太陽光および加熱(85℃)下、72-時間のエージング期間について、イオン性固体(3)、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート([ジ-tBIM][BF4]、またはイオン性固体(4)、N-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウムテトラフルオロボレート([ジ-IPAM][BF4])をCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト吸収材層に添加することについての太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。0.0919 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、2.8 cm×2.8 cmの基材上に作製した。図6a-cは、エージング前(丸)、24-時間のエージング後(四角)、および72-時間のエージング後(三角)の、イオン性固体を有しない(Ref.、図6a)、0.2 mol%(Pb原子に対して)の[ジ-tBIM][BF4]を有する(図6b)、および0.2 mol%の[ジ-IPAM][BF4]を有する(図6c)、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池についてのFB~SCスキャンのJ-V特性を示す。図6d-gは、24-時間のエージング後の、[ジ-tBIM][BF4]および[ジ-IPAM][BF4]のイオン性固体を有するならびにイオン性固体を有しない(Ref.)Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についての統計学的結果を示す:PCE(図6d)、VOC(図6e)、JSC(図6f)、およびFF(図6g)。図6h-kは、72-時間のエージング後の、[ジ-tBIM][BF4]および[ジ-IPAM][BF4]のイオン性固体を有するならびにイオン性固体を有しない(Ref.)Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についての統計学的結果を示す:PCE(図6h)、VOC(図6i)、JSC(図6j)、およびFF(図6k)。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。 図7は、ペロブスカイト太陽電池の特徴付け、特に:(A)p-i-nペロブスカイト太陽電池の略図および[BMP]+[BF4]-の化学構造。(B)0.25 mol% [BMP]+[BF4]-を有するCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3から作製したフルデバイススタックの走査電子顕微鏡画像(スケールバーは500nmである)。(C)模擬AM1.5太陽光下、順方向バイアス(FB)~短絡(SC)スキャンから測定した代表的な0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.90Br0.10)3デバイスおよびコントロールデバイスのJ-V特性および対応するSPO。(D)Cs0.17FA0.83Pb(I0.90Br0.10)3ベースのデバイスについてのデバイスパラメーターの統計学的結果。(E)0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.90Br0.10)3を有する最優秀(champion)セルについてのJ-V特性。差し込み図:対応するSPOおよびSPO(JSPO)下で測定した電流密度。(F)異なるバンドギャップのペロブスカイトを有するペロブスカイト-オン-ケイ素タンデムセルについての厚さ依存サブセルJSCのモデル化。ペロブスカイトサブセルJSCの発生は青で示し、一方、対応するSiサブセルJSCは赤で示す。(G)Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3を用いた代表的な0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質デバイスおよびコントロールデバイスのJ-V特性。(H)(G)に示すデバイスについての対応するSPO、EQEおよび統合(integrated)JSC。改質デバイスおよびコントロールデバイスについての統合JSC値は、それぞれ18.8および19.0 mA・cm-2である。(I)Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ベースのデバイスについてのデバイスパラメーターの統計学的結果、を示す。 図8は、(A)最適化0.25 mol% [BMP]+[BF4]-p-i-nペロブスカイト太陽電池および(B)Cs0.17FA0.83Pb(I0.90Br0.10)3のペロブスカイト組成を有するコントロールデバイスのJ-Vスキャンを示す。正逆スキャンは、それぞれフラットバンドから短絡まで(FB-SC)および短絡からフラットバンドまで(SC-FB)の電圧掃引に続く測定を表す。FB-SCスキャンについて、得られたデバイス性能パラメーターは以下の通りである:(A)VOC = 1.12 V、JSC = 22.7 mA・cm-2、FF = 0.80、PCE = 20.3%;(B)VOC= 1.07 V、JSC = 22.4 mA・cm-2、FF = 0.74、PCE = 17.6%。SC-FBスキャンについて、得られたデバイス性能パラメーターは以下の通りである:(A)VOC = 1.11 V、JSC = 22.5 mA・cm-2、FF = 0.73、PCE = 18.1%;(B)VOC = 1.07 V、JSC = 22.4 mA・cm-2、FF = 0.72、PCE = 17.2%。 図9は、図7Eに示す最優秀[BMP]+[BF4]-ペロブスカイトCs0.17FA0.83Pb(I0.90Br0.10)3太陽電池について、AM1.5(100 mW・cm-2)太陽スペクトルにわたって統合した、外部量子効率(EQE)スペクトル(線)および統合した光電流(散布)を示す。測定したEQEにわたって統合したJSC値は、22.1 mA・cm-2であった。 図10は、500-nm厚さのペロブスカイトトップセルおよびSiボトムセルについて、異なるペロブスカイトバンドギャップ(Eg)について模擬サブセル電流密度(JSC)を示す。このシミュレーションに使用したパラメーターは、以前の刊行物(Mazzarella et al., Adv. Energy Mater. 9, 1803241 (2019))から出典される。電流一致は、~1.66 eVのペロブスカイトバンドギャップで起こる。 図11は、図7Gに示す[BMP]+[BF4]-改質ペロブスカイト太陽電池について外部量子効率(EQE、実線)を示す。1.66 eVのバンドギャップ値は、光子エネルギーの関数としてEQE(灰色破線)の一次導関数から抽出される。 図12は、0 mol%(すなわちコントロールデバイス、Ctrl)~0.3 mol%(Pb濃度に対して)の範囲の[BMP]+[BF4]-濃度を有するペロブスカイト前駆体から作製した太陽電池についてのデバイス性能パラメーターの統計学を示す。(A)PCE、(B)VOC、(C)JSCおよび(D)FFは、各条件について、12のセルの逆J-Vスキャン(すなわちフラットバンドから短絡まで、FB-SC)から決定された。 図13は、(A)最適化0.25 mol% [BMP]+[BF4]-p-i-nペロブスカイト太陽電池および(B)Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3のペロブスカイトを有するコントロールデバイスのJ-Vスキャンを示す。正逆スキャンは、それぞれフラットバンドから短絡まで(FB-SC)および短絡からフラットバンドまで(SC-FB)の電圧掃引に続く測定を表す。FB-SCスキャンについて、得られたデバイス性能パラメーターは以下の通りである:(A)VOC = 1.16 V、JSC = 19.5 mA・cm-2、FF = 0.77、PCE = 17.3%;(B)VOC = 1.11 V、JSC = 19.9 mA・cm-2、FF = 0.75、PCE = 16.6%。SC-FBスキャンについて、得られたデバイス性能パラメーターは以下の通りである:(A)VOC = 1.13 V、JSC = 19.4 mA・cm-2、FF = 0.70、PCE = 15.1%;(B)VOC = 1.10 V、JSC = 19.8 mA・cm-2、FF = 0.69、PCE = 14.9%。 図14は、(A)光強度依存デバイスVOCを示す。コントロールフィルムおよび[BMP]+[BF4]-改質ペロブスカイトフィルムについて、それぞれ2および1.55の理想因子(nid)が決定される。(B)様々なバックグランド照明強度を用いた光誘起VOCの関数としての合計抽出電荷。[BMP]+[BF4]-含有量は、ペロブスカイトフィルム中のPb原子に対して0.25 mol%であり、一方、コントロールサンプル(Ctrl)は、いかなる[BMP]+[BF4]-添加物も有しないCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3である。 図15は、ポリTPD:F4-TCNQ/FTOガラス基材上に調製された、[BMP]+[BF4]-を有するおよび有しないCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3から得られた(A)時間分解光ルミネセンス(TRPL)および(B)定常状態光ルミネセンス(SSPL)結果を示す。TRPL結果から、コントロールデバイス(Ctrl)の初期減衰は[BMP]+[BF4]-よりも速く、より強い捕捉プロセスおよびより速い再結合を示唆する。一方、SSPL強度は、より高濃度の[BMP]+[BF4]-をペロブスカイトフィルムに添加した場合、増加する(Pb含有量に対する[BMP]+[BF4]-濃度)。 図16は、全抽出電荷の関数として(A)電荷担体寿命(VOCで測定)。(B)短絡条件で測定した有効拡散移動度を示す。[BMP]+[BF4]-含有量は、ペロブスカイトフィルム中のPb原子に対して0.25 mol%であり、一方、コントロールサンプル(Ctrl)は、いかなる[BMP]+[BF4]-添加物も有しないCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3である。 図17はTRMC過渡:(A)Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3の組成のコントロールサンプルおよび(B)0.25 mol%の[BMP]+[BF4]-を有する同じペロブスカイト組成物について、種々の入射光学フルエンスについて時間(t)の関数としての光伝導度(ΔG)を示す。全ての測定は、空気中、室温で行われた。 図18は時間分割マイクロ波伝導度(TRMC)性能指数を示す:0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質およびコントロールCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトサンプルについて、レーザーフルエンスの関数としてφΣμTRMC。点は実験値であり、そして線は、レーザーパルスの間の二分子およびAuger再結合を説明する数値モデルに対する直線フィットである。全ての測定は、空気中、室温で行われた。 図19は、(A)0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質(薄灰色丸)およびコントロール(濃灰色四角)Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトサンプルについて、異なる励起密度下、面内過渡光伝導度から得られた電子および正孔の電荷担体移動度φΣμip-TPCの合計。線は、目の案内であり、一方、エラーバーは標準微分(standard derivation)を表す。(B)パルスレーザー励起後の時間の関数として測定された光伝導度の減衰プロファイルを示す。データは、単一指数減衰関数(実線)と適合(フィット)させる。 図20は、(A)ペロブスカイトフィルム厚さにわたって1つの19F-ホットスポットを覆う領域(1.2 μm × 1.2 μm)から獲得した典型的な深さプロファイル (対応する情報について図21Aおよび21Dを参照)。(B)19F-ホットスポットおよび隣接するペロブスカイトを覆う領域から獲得した線プロファイルを示す。 図21は高分解能二次イオン質量分析およびX-線回折分析を示す。(AおよびB)~500 nmの0.25 mol%の[BMP]+[BF4]-を有するCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトフィルムの上面に向かうFおよびB分布についての19F?および11B16O2 -イオンマップ。(C)サンプル表面下~60 nmのスパッタリングした表面形態についての二次電子マップ。(A-C)に示した四角は、高度に局在化したFおよびB濃度の対応する領域を示すためのものである。(D)ペロブスカイト層にわたる19F-シグナルの分布を示す再構築した3Dマップ(明確にするためにZ方向に伸ばした)。(E)および(F)は、それぞれ、FTOガラス基材上に調製した封入していないコントロールおよび0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトフィルムの獲得についてのXRDシリーズを示す。PbI2(+)、FTO(*)および2次立方晶系ペロブスカイト相(≠)に対応するXRDピークに印が付けられる。 図22は、コントロールおよび[BMP]+[BF4]-改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3(CsFA)フィルムの固体核磁気共鳴特徴付けを示す:(A)[BMP]+[BF4]-のみについての1D 1H NMR(緑線);コントロールCs/FA(青線);[BMP]+[BF4]-Cs/FA(赤線)、一方、(B)および(C)は、それぞれコントロールCs/FAおよび[BMP]+[BF4]-改質Cs/FAについての1H-1H 2D相関を示す。 図23は、0.25 mol%の[BMP]+[BF4]-を有するCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3のX-線光電子分光C 1sおよびN 1sスペクトルの比較を提供する。フルスペクトル太陽光下、60℃で周囲空気中エージング後に測定したペロブスカイトフィルム:0.25 mol%の[BMP]+[BF4]-添加物を有するおよび有しない(コントロール)(A)C 1sおよび(B)N 1s領域。 図24は、フルスペクトル太陽光下、60℃で周囲空気中エージングした後に測定したCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトフィルムの紫外-可視吸光度スペクトルの発生を示す:(A)0.25 mol%の[BMP]+[BF4]-添加物を有する;(B)コントロール。 図25は、フルスペクトル太陽光下、60℃、周囲空気中でのエージング前後に測定した、Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3(いかなるイオン性添加物もなし)を用いたp-i-nペロブスカイト太陽電池の(A)逆J-V特性および(B)正規化EQEを示す。 図26は、CMPRソフトウェアを用いてピークを適合させることによって得られた半値全幅(FWHM)を示す。おおよそ20.2および26.5度のピークは、それぞれペロブスカイトおよびFTOのガラスの代表的なピークとして用いられた。FTOガラスピークは、内部標準として用いられた。 図27は、エージング前の封入していない(A)コントロールおよび(B)0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトフィルムのPawley適合(フィッティング)を示す。XRDピークは、PbI2について+、およびFTOについて*の印が付けられる。立方晶系の場合に(110)cピークに対応するピーク、または斜方晶系の場合に(020)o、(112)o、(200)oピークに対応するピークは、箱によって強調され、そしてコントロールフィルムについて(C)に、および改質フィルムについて(D)に示される。これは、立方晶系単位格子に適合される場合に大部分は明確に適合されなかったピークであり、斜方晶系セルが良く適合されることを要求した。斜方晶系セルを用いて、全体の適合度(G.O.F)が、コントロールフィルムについて1.17から1.12まで、および処理したフィルムについて1.18から1.11まで増加した。 図28は:(A)封入していないコントロールおよび0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3混合カチオン混合-アニオンペロブスカイトフィルムについて、精密化した格子パラメーターを用いて計算した主要な斜方晶系ペロブスカイト相の斜方晶歪み:
Figure 2022538776000002
。(B)エージング時間にわたって主要な斜方晶系ペロブスカイト相の精密化した体積、コントロールサンプルにおける急速な増加および次いで減少、および改質サンプルについてより緩やかな増加を示す。(C)二次立方晶系ペロブスカイト相の精密化した体積、コントロールにおいて168 hで、および改質サンプルにおいて360 hで最初に見られた。立方晶系相が処理したサンプルにおいて最初に見られる場合、それはFAPbBr3の格子パラメーターを有する(J. Phys. Chem. C 122, 13758-13766 (2018))、を示す。
図29は、(A)および(B)、それぞれエージング前後のコントロールおよび0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトフィルムについて二次相に対応するXRDピークを示す、を示す。 図30は、(A)および(B)、それぞれコントロールおよび0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトフィルムに対応する高角XRDデータを示す、を示す。 図31は、(AおよびB)作製したての(fresh)Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトフィルムおよび(C-F)フルスペクトル太陽光下、60℃で周囲空気中500時間エージングした後の該フィルムに対する光学顕微鏡(OM)測定を示す。(A、CおよびE)は、ハロゲンランプを用いてバック照明(back illumination)下でのみ取られたOM画像であり、一方、(B、DおよびF)は、バックライトハロゲンランプおよび順光(frontlit)375-nm UV光源の両方の下で取られる。スケールバー:100 μm。 図32は、(AおよびB)作製したての0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトフィルムおよび(CおよびD)フルスペクトル太陽光下、60℃で周囲空気中500時間より多くエージングした後の該フィルムに対する光学顕微鏡(OM)測定を示す。(AおよびC)は、ハロゲンランプを用いてバック照明下でのみ取られたOM画像であり、一方、(BおよびD)は、バックライトハロゲンランプおよび順光375-nm UV光源の両方の下で取られる。スケールバー:100 μm。 図33は、図31および32に示す作製したてのおよびエージングしたコントロールおよび[BMP]+[BF4]-改質フィルムの対応する上面SEM画像を示す:(A)作製したてのコントロール;(B)エージングしたコントロール;(C)作製したての改質;(D)エージングした改質。スケールバー:2 μm。 図34は、長期作動安定性を示す。フルスペクトル太陽光下、60℃で周囲空気中エージングした(A)封入していない0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質およびコントロール(Ctrl)Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイト太陽電池のSPOの発生(各条件について8つのセル)。改質デバイスのSPOについて95%の信頼区間は、緑のバンドとして示される。[BMP]+[BF4]-添加物を有する最優秀セルは、星として示され、そして黒の点線は、目の案内である。データ点と黒および緑の一点鎖線との間の交点は、それぞれ最優秀セルについてT80, champおよび8つの個別のセルについてT80, aveを示す。(B)(A)について対応するPCE。(C)フルスペクトル太陽光下、85℃で周囲空気中エージングした、封入した0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質およびコントロールCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3セルのSPOの発生(各条件について6つのセル)。初期のバーンイン(burn-in)領域(~264 h)は、線形モデル(決定計数R2 = 96.8%)を用いて決定される。データについての線形外挿(赤破線)と黒点線との間の交点は、寿命を、6つの個別のセルからのバーンイン後(post-burn-in)SPO(Est. T95, ave)の95%について見積もった。(D)(C)について対応するPCE。全ての図において、エラーバーは標準偏差を示す。 図35は、フルスペクトル太陽光下、60℃での、封入していないCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイト太陽電池についてデバイスパラメーターの発生を示す:(A)VOC;(B)JSC;(C)FF。 図36は、フルスペクトル太陽光下、60℃での、最も安定な0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイト太陽電池(封入していない)について電流密度-電圧(J-V)特性および定常状態出力(SPO)曲線の発生を示す:(A)エージング前;(B)48 h;(C)120 h;(D)360 h;(E)792 h;(F)1008 h。 図37は、フルスペクトル太陽光下、85℃での、封入したCs0.17FA0.83Pb(I0. 77Br0.23)3ペロブスカイト太陽電池についてデバイスパラメーターの発生を示す:(A)VOC;(B)JSC;(C)FF。 図38は、フルスペクトル太陽光下、85℃での、最も安定な0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイト太陽電池(封入した)について電流密度-電圧(J-V)特性および定常状態出力(SPO)曲線の発生を示す:(A)エージング前;(B)120 h;(C)360 h;(D)744 h。 図39は、作製したてのおよびエージングしたコントロールデバイス(コントロール)ならびに[BMP]+[BF4]-で処理したものについてPb 4fおよびI 3d内殻準位のX-線光子放出スペクトルを示す。 図40は、Pb 4f内殻準位スペクトルの直接比較を示す。エージングしたコントロールデバイスに対応するピークは、作製したてのデバイスと比較して明確な広がりを示す。この広がりは、エージングの結果としてペロブスカイト層におけるPbOxの出現による。対照的に、このような広がりは、[BMP]+[BF4]-を有するデバイスにおいて見られない。 図41は、Br 3d、C 1sおよびN 1s内殻準位のX-線光子放出スペクトルについて全ピークフィッティング(full peak fitting)を示す。 図42は、(A)等価太陽強度計算について、LED(青)およびAM1.5(橙)のスペクトル放射照度、およびPbI2吸収率(緑)。(B)窒素充填グローブボックス中、85℃での~0.32太陽白色LED照明下でエージングした後に測定したPbI2フィルムの外観の発生を示す。 図43は、エージング前後に測定した、図42に示すPbI2フィルムの対応するUV-vis吸光度スペクトルの発生を示す。 図44は、エージング前後に測定した、図42に示すPbI2フィルムの対応するXRDデータを示す。PbI2(+)、FTO(*)およびPb(◇)に対応するXRDピークに印が付けられる(Energy. Environ. Sci. 12, 3074-3088, 2019)。 図45は、PbI2フィルムおよびペロブスカイトフィルムのヨウ素損失分析を示す。(AおよびB)PbI2フィルムの上面SEM画像:(A)作製したて、および(B)窒素充填グローブボックス中、85℃、~0.32太陽白色LED照明下で6時間エージングした(スケールバー:1 μm)。(C)ヨウ素損失実験設定の略図:トルエン内に完全に浸漬したペロブスカイトフィルムを含むバイアルを窒素中で充填しそして封止し、60℃、周囲空気中でフルスペクトル太陽光に曝露した。(D)コントロールおよび0.25 mol% [BMP]+[BF4]-添加物改質Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトサンプルを有する封止したバイアルの写真を、4-hの光および熱曝露後に撮った。(EおよびF)異なるエージング時間で、(E)コントロールおよび(F)[BMP]+[BF4]-バイアルから取ったトルエン溶液について記録した10つのUV-vis吸光度スペクトル。(G)500 nmで記録した吸光度の発生。 図46Aおよび46Bは、Pb-ベースの太陽電池作動安定性を代表的な文献の研究と比較する表を提供する。封入していないセルについて、T80, SPO/MPP(またはT80, SPO/MPPが利用できない場合、T80, PCE)が列挙され、一方、封入したセルについて、T95, SPO/MPP(またはT95, SPO/MPPが利用できない場合、T95, PCE)が列挙される(Nat. Energy 5, 35-49, 2020)。性能が絶対値で与えられる場合、T80またはT95でのSPO、MPPまたはPCEの値が与えられる。
発明の詳細な説明
定義
本明細書中で使用される用語「結晶性」は、拡張3D結晶構造を有する化合物である結晶性化合物を示す。結晶性化合物は、典型的には結晶の形態、または多結晶性化合物の場合、微結晶(すなわち、1 μm以下の粒子径を有する多数の結晶)の形態である。結晶は、一緒になってしばしば層を形成する。結晶性材料の結晶は、任意の大きさであり得る。結晶が1 nmから1000 nmまでの範囲の1つ以上の寸法を有する場合、それらはナノ結晶と記載され得る。
本明細書中で使用される用語「有機化合物」および「有機溶媒」は、当該分野におけるそれらの典型的な意味を有し、そして当業者によって容易に理解されるであろう。用語「有機カチオン」は、炭素を含むカチオンをいう。カチオンはさらなる元素を含み得、例えば、カチオンは水素、窒素または酸素を含み得る。
本明細書中で使用される用語「結晶性A/M/X材料」は、1つ以上のAイオン、1つ以上のMイオン、および1つ以上のXイオンを含む結晶構造を有する材料をいう。AイオンおよびMイオンはカチオンである。Xイオンはアニオンである。A/M/X材料は、典型的には任意のさらなるタイプのイオンを含まない。
本明細書中で使用される用語「ペロブスカイト」は、CaTiO3の構造に関連する3次元結晶構造を有する材料またはCaTiO3の構造に関連する構造を有する材料の層を含む材料をいう。CaTiO3の構造は、式ABX3によって表され得、式中AおよびBは異なる大きさのカチオンであり、およびXはアニオンである。単位格子において、Aカチオンは(0,0,0)にあり、Bカチオンは(1/2, 1/2, 1/2)にあり、そしてXアニオンは(1/2, 1/2, 0)にある。Aカチオンは、通常Bカチオンよりも大きい。当業者は、A、BおよびXが変化する場合、異なるイオンサイズはペロブスカイト材料の構造をCaTiO3によって採用される構造から対称性がより低い歪んだ構造へと歪ませ得ることを理解する。対称性はまた、材料がCaTiO3の構造に関連する構造を有する層を含む場合、より低い。ペロブスカイト材料の層を含む材料はよく知られている。例えば、K2NiF4-型構造を採用する材料の構造は、ペロブスカイト材料の層を含む。当業者は、ペロブスカイト材料が式[A][B][X]3、式中[A]は少なくとも1つのカチオンであり、[B]は少なくとも1つのカチオンであり、および[X]は少なくとも1つのアニオンである、によって表され得ることを理解する。ペロブスカイトが1つよりも多いAカチオンを含む場合、異なるAカチオンは、秩序的な方法でまたは無秩序な方法でAサイトを超えて分布し得る。ペロブスカイトが1つよりも多いBカチオンを含む場合、異なるBカチオンは、秩序的な方法でまたは無秩序な方法でBサイトを超えて分布し得る。ペロブスカイトが1つよりも多いXアニオンを含む場合、異なるXアニオンは、秩序的な方法でまたは無秩序な方法でXサイトを超えて分布し得る。1つよりも多いAカチオン、1つよりも多いBカチオンまたは1つよりも多いXカチオンを含むペロブスカイトの対称性は、CaTiO3の対称性よりも低い。層状ペロブスカイトについて、化学量論は、A、BおよびXイオンの間で変化し得る。例として、[A]2[B][X]4構造は、Aカチオンが3Dペロブスカイト構造内で適合するにはあまりにも大きすぎるイオン半径を有する場合、採用され得る。用語「ペロブスカイト」はまた、ルドルスデン-ポッパー相を採用するA/M/X材料を含む。ルドルスデン-ポッパー相は、層状成分および3D成分の混合物を有するペロブスカイトをいう。このようなペロブスカイトは、結晶構造An-1A’2MnX3n+1、ここでAおよびA’は異なるカチオンであり、そしてnは1~8、または2~6の整数である、を採用し得る。用語「混合2Dおよび3D」ペロブスカイトは、AMX3およびAn-1A’2MnX3n+1ペロブスカイト相の両方の領域またはドメインがその中に存在するペロブスカイトフィルムをいうために使用される。
本明細書中で使用される用語「金属ハライドペロブスカイト」は、その式が少なくとも1つの金属カチオンおよび少なくとも1つのハライドアニオンを含むペロブスカイトをいう。
本明細書中で使用される用語「混合ハライドペロブスカイト」は、少なくとも2つのタイプのハライドアニオンを含むペロブスカイトまたは混合ペロブスカイトをいう。
本明細書中で使用される用語「混合カチオンペロブスカイト」は、少なくとも2つのタイプのAカチオンを含むペロブスカイトまたは混合ペロブスカイトをいう。
本明細書中で使用される用語「有機-無機金属ハライドペロブスカイト」は、その式が少なくとも1つの有機カチオンを含む金属ハライドペロブスカイトをいう。
本明細書中で使用される用語「モノカチオン」は、単一の正電荷を有する任意のカチオン、すなわち、式A+、式中Aは任意の部分、例えば、金属原子または有機部分である、のカチオンをいう。本明細書中で使用される用語「ジカチオン」は、2重の正電荷を有する任意のカチオン、すなわち、式A2+、式中Aは任意の部分、例えば、金属原子または有機部分である、のカチオンをいう。本明細書中で使用される用語「トリカチオン」は、3重の正電荷を有する任意のカチオン、すなわち、式A3+、式中Aは任意の部分、例えば、金属原子または有機部分である、のカチオンをいう。本明細書中で使用される用語「テトラカチオン」は、4重の正電荷を有する任意のカチオン、すなわち、式A4+、式中Aは任意の部分、例えば、金属原子である、のカチオンをいう。
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、直鎖または分岐鎖飽和炭化水素基をいう。アルキル基は、C1-20アルキル基、C1-14アルキル基、C1-10アルキル基、C1-6アルキル基またはC1-4アルキル基であり得る。C1-10アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルである。C1-6アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。C1-4アルキル基の例は、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、t-ブチル、s-ブチルまたはn-ブチルである。用語「アルキル」が本明細書中のどこででも炭素の数を特定する接頭辞なしで使用される場合、それは1~6個の炭素(およびこれはまた本明細書中で参照される任意の他の有機基に適用する)を有する。
本明細書中で使用される用語「シクロアルキル」は、飽和または部分不飽和環状炭化水素基をいう。シクロアルキル基は、C3-10シクロアルキル基、C3-8シクロアルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり得る。C3-8シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキシ-1,3-ジエニル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。C3-6シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを含む。
本明細書中で使用される用語「アルケニル」は、1つ以上の二重結合を含む直鎖または分岐鎖炭化水素基をいう。アルケニル基は、C2-20アルケニル基、C2-14アルケニル基、C2-10アルケニル基、C2-6アルケニル基またはC2-4アルケニル基であり得る。C2-10アルケニル基の例は、エテニル(ビニル)、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、へプテニル、オクテニル、ノネニルまたはデセニルである、C2-6アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルまたはヘキセニルである。C2-4アルケニル基の例は、エテニル、i-プロペニル、n-プロペニル、s-ブテニルまたはn-ブテニルである。アルケニル基は、典型的には1つまたは2つの二重結合を含む。
本明細書中で使用される用語「アルキニル」は、1つ以上の三重結合を含む直鎖または分岐鎖炭化水素基をいう。アルキニル基は、C2-20アルキニル基、C2-14アルキニル基、C2-10アルキニル基、C2-6アルキニル基またはC2-4アルキニル基であり得る。C2-10アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニルまたはデシニルである。C1-6アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルまたはヘキシニルである。アルキニル基は、典型的には1つまたは2つの三重結合を含む。
アルキレン基は、典型的には1~20個の炭素原子を有する炭化水素化合物の2つの水素原子を、両方とも同じ炭素原子から除去するか、または2つの異なる炭素原子のそれぞれから1つを除去するかのいずれかによって得られる無置換または置換の2座部分(C1-20アルキレン)であり、これは、脂肪族または脂環式であり得、およびこれは、飽和、部分不飽和、または完全不飽和であり得る。従って、用語「アルキレン」は、サブクラスのアルケニレン(C2-20アルケニレン)、アルキニレン(C2-20アルキニレン)、シクロアルキレンなどを含む。典型的には、それは、C1-10アルキレン、またはC1-6アルキレンである。典型的には、それは、C1-4アルキレン、例えば、メチレン、エチレン、i-プロピレン、n-プロピレン、t-ブチレン、s-ブチレンまたはn-ブチレンである。それはまた、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレンおよびそれらの種々の分岐鎖異性体であり得る。アルキレン基は、無置換または置換であり得る。
本明細書中で使用される用語「ヘテロシクリル」および「複素環」は、単環式、二環式または多環式複素環をいい、この環は飽和または不飽和であり、無置換または置換されており、そして環部分に典型的には5~14個、より典型的には5~10個の共有結合した原子を含み、ここで環原子の少なくとも1つはヘテロ原子、例えば、窒素、りん、ケイ素、酸素、セレン、または硫黄(しかし、より一般的には窒素、酸素、または硫黄)である。複素環は、芳香環であってもなくてもよい。芳香環である複素環のサブセットは、本明細書中、ヘテロアリール環またはヘテロ芳香環という。本明細書中で使用される用語「ヘテロシクリル」および「複素環」は、従って、ヘテロアリール環ならびに非芳香環を含む。環部分に5~10個の共有結合した原子を含む複素環は、C5-10複素環、またはC5-10ヘテロシクリルと呼ばれ得る。典型的には、複素環は1~4個のヘテロ原子を有し、環原子の残りは炭素である。典型的には、複素環は、環原子の1~4個が環ヘテロ原子であり、そして環原子の残りが炭素原子であるC5-6複素環である。この文脈において、接頭辞C5-10およびC5-6は、環原子の数、または環原子の数の範囲を示す。ヘテロシクリル、または複素環は、無置換であり得るか、または典型的には、1~4個の置換基(例えば、1個、2個、3個または4個)によって置換され得る。2個以上の置換基が存在する場合、これらは同一であっても異なってもよく、そして置換基の任意の2個が互いに結合してもよい。
本明細書中で使用される用語「アリール」および「アリール環」は、環部分に典型的には6~14個の炭素原子、より典型的には6~10個の炭素原子を含む単環式、二環式または多環式芳香族環をいう。例は、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アントラセニル(anthrecenyl)およびピレニル基を含む。本明細書中で使用される用語「アリール基」は、ヘテロアリール基を含む。アリール環は、無置換であり得るか、または典型的には、1~5個の置換基(例えば、1個、2個、3個、4個または5個)によって置換され得る。2個以上の置換基が存在する場合、これらは同一であっても異なってもよく、そして置換基の任意の2個が互いに結合してもよい。置換アリール基の例は、ペンタフルオロフェニルである。
本明細書中で使用される用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアリール環」は、1つ以上のヘテロ原子を含む環部分に典型的には6~14個、より典型的には6~10個の原子を含む単環式または二環式ヘテロ芳香族環をいう。ヘテロアリール基は、一般にO、S、N、P、SeおよびSiから選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む5-または6-員環である。それは、例えば、1つ、2つ、3つまたは4つのヘテロ原子を含み得る。ヘテロアリール基の例は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリジニル、ピロリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、キノリルおよびイソキノリルを含む。ヘテロアリール環は、無置換であり得るか、または典型的には、1~4個の置換基(例えば、1個、2個、3個または4個)によって置換され得る。2個以上の置換基が存在する場合、これらは同一であっても異なってもよく、そして置換基の任意の2個が互いに結合してもよい。
置換された有機基の文脈において本明細書中で使用される用語「置換された」は、C1-10アルキル、アリール(本明細書中で定義した通り)、シアノ、アミノ、ニトロ、C1-10アルキルアミノ、ジ(C1-10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリール(C1-10)アルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1-10アルコキシ、アリールオキシ、ハロ(C1-10)アルキル、スルホン酸、チオール、C1-10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸およびホスホン酸エステルから選ばれる1つ以上の置換基を有する有機基をいう。置換されたアルキル基の例は、ハロアルキル、パーハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキルおよびアルカリール基を含む。基が置換されている場合、それは1つ、2つまたは3つの置換基を有し得る。例えば、置換された基は1つまたは2つの置換基を有し得る。
本明細書中で使用される用語「ハライド」は、周期律表のVIII族の元素の1価のアニオンを示す。「ハライド」は、フルオリド、クロリド、ブロミドおよびヨージドを含む。
本明細書中で使用される用語「ハロ」は、ハロゲン原子を示す。例示的なハロ種は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード種を含む。
本明細書中で使用されるアミノ基は、式-NR2、式中各Rは同一または異なり、そして置換基である、の基である。Rは、通常水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、またはアリールから選ばれ、ここでアルキル、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールのそれぞれは本明細書中で定義した通りであり、そして置換されていても無置換でもよく、但し、2つのR基は一緒になってアルキレン基を形成してもよい。典型的には、各Rは、水素、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、およびC3-10シクロアルキルから選ばれる。好ましくは、各Rは、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、およびC3-6シクロアルキルから選ばれる。より好ましくは、各Rは、水素およびC1-6アルキルから選ばれる。
典型的なアミノ基は、式-NR2、式中少なくとも1つのRは本明細書中で定義した通りのアルキル基である、の基であるアルキルアミノ基である。しばしば、1つのRは、本明細書中で定義した通りのアルキル基であり、そして他のRは、アミノ基について上記で定義した通りであり、すなわち、他のRは、水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、またはアリールから選ばれる。典型的には、他のRは水素である。C1-10アルキルアミノ基は、少なくとも1つのRがC1-10アルキル基であるアルキルアミノ基である。C1-6アルキルアミノ基は、少なくとも1つのRがC1-6アルキル基であるアルキルアミノ基である。
別の典型的なアミノ基はジアルキルアミノ基であり、これは式-NR2、式中各Rは同一または異なり、そして本明細書中で定義した通りのアルキル基であり、但し2つのアルキル基Rは一緒に結合してアルキレン基を形成し得る、の基である。ジ(C1-10)アルキルアミノ基は、各Rが同一または異なるC1-10アルキル基であるジアルキルアミノ基である。ジ(C1-6)アルキルアミノ基は、各Rが同一または異なるC1-6アルキル基であるジアルキルアミノ基である。
本明細書中で使用されるイミノ基は、式R2C=N-または-C(R)=NR、式中各Rは置換基である、の基である。すなわち、イミノ基は、該C=N結合のN原子で基部分を有するか、または該C=N結合のC原子に結合した基部分を有するかのいずれかのC=N部分を含む基である。Rは、本明細書中で定義した通りである:すなわち、Rは、通常水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、またはアリールから選ばれ、ここでアルキル、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールのそれぞれは本明細書中で定義した通りである。典型的には、各Rは、水素、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、およびC3-10シクロアルキルから選ばれる。好ましくは、各Rは、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、およびC3-6シクロアルキルから選ばれる。より好ましくは、各Rは水素およびC1-6アルキルから選ばれる。
典型的なイミノ基は、式R2C=N-または-C(R)=NR、式中少なくとも1つのRは本明細書中で定義した通りのアルキル基である、の基であるアルキルイミノ基である。C1-6アルキルイミノ基は、R置換基が1~6個の炭素原子を含むアルキルイミノ基である。
本明細書中で使用される用語「エステル」は、式アルキル-C(=O)-O-アルキル、式中アルキル基は同じかまたは異なり、そして本明細書中で定義した通りである、の有機化合物を示す。アルキル基は、必要に応じて置換されていてもよい。
本明細書中で使用される用語「エーテル」は、本明細書中で定義した通りの2つのアルキル基で置換された酸素原子を示す。アルキル基は、置換されていてもよく、そして同一または異なっていてもよい。
本明細書中で使用される用語「アンモニウム」は、式R1R2R3R4N+の有機カチオンを示す。R1、R2、R3、およびR4は置換基である。R1、R2、R3、およびR4のそれぞれは、単結合を介して窒素原子、Nに結合している。R1、R2、R3、およびR4のそれぞれは、典型的には水素から、または必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキルおよびシクロアルケニルから独立して選ばれ;任意の置換基は、好ましくはヒドロキシルまたはアミノまたはイミノ置換基である。通常、R1、R2、R3、およびR4のそれぞれは、水素、および必要に応じて置換されたC1-10アルキル、C2-10アルケニル、C3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルケニルおよびC6-12アリールから独立して選ばれ;存在する場合、任意の置換基は、好ましくはヒドロキシルまたはアミノ基であり;例えばC1-6アミノである。好ましくは、R1、R2、R3、およびR4のそれぞれは、水素、および無置換のC1-10アルキル、C2-10アルケニル、C3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルケニルおよびC6-12アリールから独立して選ばれる。特に好ましい実施態様において、R1、R2、R3、およびR4は、水素、C1-10アルキル、およびC2-10アルケニルら独立して選ばれる。さらに好ましくは、R1、R2、R3、およびR4は、水素、C1-6アルキルおよびC2-6アルケニルから独立して選ばれる。
本明細書中で使用される用語「イミニウム」は、式(R1R2C=NR3R4)+、式中R1、R2、R3、およびR4はアンモニウムカチオンに関して定義した通りである、の有機カチオンを示す。従って、イミニウムカチオンの特に好ましい実施態様において、R1、R2、R3、およびR4は、水素、C1-10アルキル、C2-10アルケニルおよびC1-6アミノから独立して選ばれる。イミニウムカチオンのさらに好ましい実施態様において、R1、R2、R3、およびR4は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニルおよびC1-6アミノから独立して選ばれる。しばしば、イミニウムカチオンはホルムアミジニウムであり、すなわち、R1がNH2であり、およびR2、R3およびR4が全てHである。
本明細書中で使用される用語「1級アンモニウム」は、式RaH3N+の有機カチオンを示す。Raは水素以外の置換基である。Raは、単結合を介して窒素原子、Nに結合している。従って、本明細書中以下の正に帯電した窒素原子が二重結合を介して炭素原子に結合している式(I)の部分は、1級アンモニウムカチオンではない。Raは通常ハイドロカルビル基である。ハイドロカルビル基は、炭化水素から水素原子を除去することによって形成される基である。ハイドロカルビル基Raは、無置換であっても置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシル基で置換されていてもよい。Raは、典型的には無置換または置換アルキル、無置換または置換アルケニル、無置換または置換アリール、無置換または置換シクロアルキルおよび無置換または置換シクロアルケニルから選ばれ;任意の置換基は、好ましくはヒドロキシル、アミノまたはイミノ置換基である。通常、Raは、無置換または置換C1-10アルキル、無置換または置換C2-10アルケニル、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換C3-10シクロアルケニル、および無置換または置換C6-12アリールから選ばれ;存在する場合、任意の置換基は、好ましくはヒドロキシルまたはアミノ基(例えばC1-6アミノ)である。例えば、Raは、無置換C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルケニルおよびC6-12アリールから選ばれ得る。Raは、例えば無置換または置換C1-10アルキル基から、または、例えば、無置換または置換C1-6アルキル基から、または、例えば、メチル、エチルおよびプロピル基から選ばれ得る。任意の置換基は、例えばヒドロキシル基であり得る。1級アンモニウムカチオンの例は、メチルアンモニウム(「MA」)である。
本明細書中で使用される用語「1級アンモニウムハライド」は、従って1級アンモニウムカチオンおよびハライドアニオンを有する塩をいう。1級アンモニウムハライドは、しばしば1級アンモニウムクロリド、1級アンモニウムブロミドまたは1級アンモニウムヨージドである。それは、例えばメチルアンモニウムクロリド、ブロミドまたはヨージドであり得る。
本明細書中で使用される用語「2級アンモニウム」は、式RaRbH2N+の有機カチオンを示す。RaおよびRbは、水素以外の置換基である。RaおよびRbのそれぞれは、単結合を介して窒素原子、Nに結合している。従って、本明細書中以下の正に帯電した窒素原子が二重結合を介して炭素原子に結合している式(I)の部分は、2級アンモニウムカチオンではない。RaおよびRbは、通常両方ともハイドロカルビル基である。ハイドロカルビル基は、炭化水素から水素原子を除去することによって形成される基である。2級アンモニウムカチオン中のハイドロカルビル基RaおよびRbは、同一であっても異なっていてもよい。RaおよびRbは、必要に応じて互いに連結(結合)して(すなわち窒素を介して以外)二座基(これらは窒素原子、Nと一緒に複素環(heterocylic ring)を形成する)を形成し得る。各ハイドロカルビル基は、無置換であっても置換されていてもよく、例えば、2級アンモニウムカチオン中のハイドロカルビル基の1つまたは両方は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい。RaおよびRbのそれぞれは、典型的には独立して無置換または置換アルキル、無置換または置換アルケニル、無置換または置換アリール、無置換または置換シクロアルキルおよび無置換または置換シクロアルケニルから選ばれ;任意の置換基は、好ましくはヒドロキシル、アミノまたはイミノ置換基である。通常、RaおよびRbのそれぞれは、独立して無置換または置換C1-10アルキル、無置換または置換C2-10アルケニル、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換C3-10シクロアルケニル、および無置換または置換C6-12アリールから選ばれ;存在する場合、任意の置換基は、好ましくはヒドロキシルまたはアミノ基(例えばC1-6アミノ)である。例えば、RaおよびRbのそれぞれは、独立して無置換C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルケニルおよびC6-12アリールから選ばれ得る。RaおよびRbは、例えば無置換または置換C1-10アルキル基から、または、例えば、無置換または置換C1-6アルキル基から、または例えば、メチル、エチルおよびプロピル基から独立して選ばれ得る。任意の置換基は、例えばヒドロキシル基であり得る。2級アンモニウムカチオンの例は、フェニルエチルアンモニウムである。
本明細書中で使用される用語「2級アンモニウムハライド」は、従って2級アンモニウムカチオンおよびハライドアニオンを有する塩をいう。2級アンモニウムハライドは、しばしば2級アンモニウムクロリド、2級アンモニウムブロミドまたは2級アンモニウムヨージドである。それは、例えばフェニルエチルアンモニウムクロリド、ブロミドまたはヨージドであり得る。
本明細書中で使用される用語「3級アンモニウム」は、式RaRbRcHN+の有機カチオンを示す。Ra、RbおよびRcは、水素以外の置換基である。Ra、RbおよびRcのそれぞれは、単結合を介して窒素原子、Nに結合している。従って、本明細書中以下の正に帯電した窒素原子が二重結合を介して炭素原子に結合している式(I)の部分は、3級アンモニウムカチオンではない。Ra、RbおよびRcは、通常全てハイドロカルビル基である。ハイドロカルビル基は、炭化水素から水素原子を除去することによって形成される基である。3級アンモニウムカチオン中のハイドロカルビル基Ra、RbおよびRcは、同一であっても異なっていてもよい。Ra、RbおよびRcの1つは、必要に応じてRa、RbおよびRcの別の1つと連結(結合)して(すなわち窒素を介して以外)二座基(これらは窒素原子、Nと一緒に複素環(heterocylic ring)を形成する)を形成し得る。各ハイドロカルビル基は、無置換であっても置換されていてもよく、例えば、3級アンモニウムカチオン中のハイドロカルビル基の1つ以上は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい。Ra、RbおよびRcのそれぞれは、典型的には独立して無置換または置換アルキル、無置換または置換アルケニル、無置換または置換アリール、無置換または置換シクロアルキルおよび無置換または置換シクロアルケニルから選ばれ;任意の置換基は、好ましくはヒドロキシル、アミノまたはイミノ置換基である。通常、Ra、RbおよびRcのそれぞれは、独立して無置換または置換C1-10アルキル、無置換または置換C2-10アルケニル、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換C3-10シクロアルケニル、および無置換または置換C6-12アリールから選ばれ;存在する場合、任意の置換基は、好ましくはヒドロキシルまたはアミノ基(例えばC1-6アミノ)である。例えば、Ra、RbおよびRcのそれぞれは、独立して無置換C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルケニルおよびC6-12アリールから選ばれ得る。Ra、RbおよびRcは、例えば無置換または置換C1-10アルキル基から、または、例えば、無置換または置換C1-6アルキル基から、または例えば、メチル、エチルおよびプロピル基から独立して選ばれ得る。任意の置換基は、例えばヒドロキシル基であり得る。3級アンモニウムカチオンの例は、トリメチルアンモニウムである。
本明細書中で使用される用語「3級アンモニウムハライド」は、従って3級アンモニウムカチオンおよびハライドアニオンを有する塩をいう。3級アンモニウムハライドは、しばしば3級アンモニウムクロリド、3級アンモニウムブロミドまたは3級アンモニウムヨージドである。それは、例えばトリメチルアンモニウムクロリド、ブロミドまたはヨージドであり得る。
本明細書中で使用される用語「4級アンモニウム」は、式RaRbRcRdN+の有機カチオンを示す。Ra、Rb、Rc、およびRdは、水素以外の置換基である。Ra、Rb、Rc、およびRdのそれぞれは、単結合を介して窒素原子、Nに結合している。従って、本明細書中以下の正に帯電した窒素原子が二重結合を介して炭素原子に結合している式(I)の部分は、4級アンモニウムカチオンではない。アンモニウムイオン(NH4 +、これは無機カチオンである)および1級、2級、または3級アンモニウムカチオンとは異なり、4級アンモニウムカチオンは、それが存在し得る溶液のpHに関わらず、恒久的に帯電している。Ra、Rb、Rc、およびRdは、通常全てハイドロカルビル基である。ハイドロカルビル基は、炭化水素から水素原子を除去することによって形成される基である。4級アンモニウムカチオン中のハイドロカルビル基Ra、Rb、Rc、およびRdは、同一であっても異なっていてもよい。Ra、Rb、Rc、およびRdの1つは、必要に応じてRa、Rb、Rc、およびRdの別の1つと連結(結合)して(すなわち窒素を介して以外)二座基(これらは窒素原子、Nと一緒に複素環(heterocylic ring)を形成する)を形成し得る。各ハイドロカルビル基は、無置換であっても置換されていてもよく、例えば、4級アンモニウムカチオン中のハイドロカルビル基の1つ以上は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい。Ra、Rb、Rc、およびRdのそれぞれは、典型的には独立して無置換または置換アルキル、無置換または置換アルケニル、無置換または置換アリール、無置換または置換シクロアルキルおよび無置換または置換シクロアルケニルから選ばれ;任意の置換基は、好ましくはヒドロキシル、アミノまたはイミノ置換基である。通常、Ra、Rb、Rc、およびRdのそれぞれは、独立して無置換または置換C1-10アルキル、無置換または置換C2-10アルケニル、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換C3-10シクロアルケニル、および無置換または置換C6-12アリールから選ばれ;存在する場合、任意の置換基は、好ましくはヒドロキシルまたはアミノ基(例えばC1-6アミノ)である。例えば、Ra、Rb、Rc、およびRdのそれぞれは、独立して無置換C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルケニルおよびC6-12アリールから選ばれ得る。Ra、Rb、Rc、およびRdは、例えば無置換または置換C1-10アルキル基から、または、例えば、無置換または置換C1-6アルキル基から独立して選ばれ得る。任意の置換基は、例えばヒドロキシル基であり得る。4級アンモニウムカチオンの例は、テトラメチルアンモニウム、コリンおよびn-ヘキシルトリメチルアンモニウムを含む。
本明細書中で使用される用語「4級アンモニウムハライド」は、従って4級アンモニウムカチオンおよびハライドアニオンを有する塩をいう。4級アンモニウムハライドは、しばしば4級アンモニウムクロリド、4級アンモニウムブロミドまたは4級アンモニウムヨージドである。4級アンモニウムハライドの例は、テトラメチルアンモニウムクロリド、コリンハライド、およびn-ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミドを含む。
本明細書中で使用される用語「光電子デバイス」は、光を発生し、制御し、または検出するデバイスをいう。光は、任意の電磁放射を含むことが理解される。光電子デバイスの例は、光起電デバイス(太陽電池を含む)、光ダイオード、光トランジスタ、光電子増倍管、フォトレジスタ、および発光ダイオードを含む。
用語「から実質的になる」は、それが実質的に含む成分ならびに他の成分を含有する組成物をいい、但し、他の成分は組成物の必須の特性に実質的に影響を与えない。典型的には、ある特定の成分から実質的になる組成物は、95 wt%以上のそれらの成分または99 wt%以上のそれらの成分を含有する。
本明細書中で使用される用語「上に配置する」または「上に配置された」は、1つの成分を別の成分上で利用可能にするかまたは別の成分上に置くことをいう。第1成分は、第2成分上で利用可能にされ得るかまたは別の成分上に直接置かれ得、あるいは第1成分と第2成分との間に介在する第3成分が存在し得る。例えば、第1層が第2層上に配置される場合、これは、第1層と第2層との間に介在第3層が存在する場合を含む。典型的には、「上に配置する」は、1つの成分を他の成分上に直接置くことをいう。
同様に、本明細書中で使用される用語「~間に配置する」または「~間に配置された」は、1つの(第1)成分を2つの他の(第2および第3)成分間において利用可能にするかまたは置くことをいう。第1成分は、第2成分と第3成分との間において直接利用可能にされ得るかまたは置かれ得、または第1成分と第2成分との間および/または第1成分と第3成分との間に介在するさらなる成分が存在し得る。例えば、第1層が第2層と第3層との間に配置される場合、これは、第1層と第2層との間に介在する第4層および第1層と第3層との間に介在する第5層が存在する場合を含む。しかしながら、しばしば、「~間に配置する」は、2つの他の(第2および第3)成分間において1つの(第1)成分を直接配置することまたは利用可能にすることをいう。
本明細書中で使用される用語「層」は、実質的に層状の形態である任意の構造(例えば、実質的に2つの垂直方向に伸びるが、第3垂直方向におけるその伸びは制限される)をいう。層は、層の範囲にわたって変化する厚さを有し得る。典型的には、層はおおよそ一定の厚さを有する。本明細書中で使用される層の「厚さ」は、層の平均厚さをいう。層の厚さは、例えば、フィルムの横断面の電子顕微鏡法などの顕微鏡法によって、または触針式表面形状測定装置を用いた表面形状測定によって容易に測定され得る。
本明細書中で使用される用語「バンドギャップ」は、材料における価電子帯の最上部と伝導帯の最下部との間のエネルギー差をいう。当業者は、過度の実験を要求しない周知の手順を用いることによって半導体のバンドギャップ(ペロブスカイトの半導体を含む)を容易に測定することができる。例えば、半導体のバンドギャップは、光起電力ダイオードまたは太陽電池を半導体から構築し、そして光起電力作用スペクトルを決定することによって推定され得る。あるいは、バンドギャップは、透過分光光度法または光熱偏向分光法のいずれかにより光吸収スペクトルを測定することによって推定され得る。バンドギャップは、Tauc, J., Grigorovici, R. & Vancu, a. Optical Properties and Electronic Structure of Amorphous Germanium. Phys. Status Solidi 15, 627-637 (1966)に記載のようにタウクプロット(Tauc plot)を作成することによって決定され得、ここで吸収係数と光子エネルギーとの積の2乗がx-軸上の光子エネルギーに対してY-軸上にプロットされ、吸収端の直線切片を有し、x-軸が半導体の光学バンドギャップを与える。あるいは、光学バンドギャップは、[Barkhouse DAR, Gunawan O, Gokmen T, Todorov TK, Mitzi DB. Device characteristics of a 10.1% hydrazineprocessed Cu2ZnSn(Se,S)4 solar cell. Progress in Photovoltaics: Research and Applications 2012; published online DOI: 10.1002/pip.1160.]に記載のように、入射光子から電子への変換効率の開始をとることによって推定され得る。
本明細書中で使用される用語「半導体」または「半導体材料」は、導体の電気伝導度と誘電体の電気伝導度との間の中間の大きさの電気伝導度を有する材料をいう。半導体は、負(n)-型半導体、正(p)-型半導体または真性(i)半導体であり得る。半導体は、0.5~3.5 eV、例えば、0.5~2.5 eVまたは1.0~2.0 eV(300 Kで測定した場合)のバンドギャップを有し得る。
本明細書中で使用される用語「n-型領域」は、1つ以上の電子輸送(すなわち、n-型)材料の領域をいう。同様に、用語「n-型層」は、電子輸送(すなわち、n-型)材料の層をいう。電子輸送(すなわち、n-型)材料は、単一の電子輸送化合物または元素材料、あるいは2つ以上の電子輸送化合物または元素材料の混合物であり得る。電子輸送化合物または元素材料は、ドープされていなくてもよく、または1つ以上のドーパント元素でドープされていてもよい。
本明細書中で使用される用語「p-型領域」は、1つ以上の正孔輸送(すなわち、p-型)材料の領域をいう。同様に、用語「p-型層」は、正孔輸送(すなわち、p-型)材料の層をいう。正孔輸送(すなわち、p-型)材料は、単一の正孔輸送化合物または元素材料、あるいは2つ以上の正孔輸送化合物または元素材料の混合物であり得る。正孔輸送化合物または元素材料は、ドープされていなくてもよく、または1つ以上のドーパント元素でドープされていてもよい。
本明細書中で使用される用語「電極材料」は、電極における使用に適した任意の材料をいう。電極材料は、高い電気伝導度を有する。本明細書中で使用される用語「電極」は、電極材料からなる、または電極材料から実質的になる領域または層を示す。
本明細書中で使用される用語「イオン性固体」は、室温で固体状態である塩をいう。典型的には、イオン性固体は、50℃でおよび50℃未満の温度で固体状態である塩である。言い換えれば、イオン性固体は、典型的にはその融点が50℃より高い塩である。好ましくは、イオン性固体は、100℃および100℃未満の温度で固体状態である塩である。言い換えれば、イオン性固体は、好ましくはその融点が100℃より高い塩である。しばしば、イオン性固体は、120℃および120℃未満の温度で固体状態である塩である。言い換えれば、イオン性固体は、好ましくはその融点が120℃より高い塩である。
光電子デバイス
本発明は、以下を含む光電子デバイスを提供する:
(a)結晶性A/M/X材料を含む層、ここで該結晶性A/M/X材料は、式:
[A]a[M]b[X]c
式中:[A]は1つ以上のAカチオンを含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は1つ以上のXカチオンを含み;aは1~6の数字であり;bは1~6の数字であり;およびcは1~18の数字である;
の化合物を含む、および
(b)有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であるイオン性固体。必要に応じて、イオン性固体は4級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常1級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、しばしば2級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常3級アンモニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的にはホルムアミジニウムハライド塩以外、および通常グアニジニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的には本明細書中で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。しばしば、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外および本明細書中で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。典型的には、イオン性固体の対アニオンがハライドである場合、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の各1つ以上のAカチオン以外である。しばしば、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の各1つ以上のAカチオン以外である。
有機カチオンは、典型的には結晶性A/M/X材料を含む層上または層内に存在する。
有機カチオンは、典型的には結晶性A/M/X材料と接触している。それは、結晶性A/M/X材料内、結晶性A/M/X材料の外面上、または両方に存在し得る。
しばしば、有機カチオンは結晶性A/M/X材料を含む層内に存在する。有機カチオンが結晶性A/M/X材料を含む層内に存在することは、典型的には有機カチオンが、結晶性A/M/X材料を含む層の外縁に存在するだけでなく、結晶性A/M/X材料を含む層のバルク全体にわたって存在することを意味する。従って、有機カチオンは、結晶性A/M/X材料を含む層の表面に、および結晶性A/M/X材料を含む層のバルク全体にわたって存在し得る。表面は、結晶性A/M/X材料を含む層の上面または下面、すなわちその2つの表面のいずれかであり得る。有機カチオンは、結晶性A/M/X材料を含む層の両方の表面に(すなわち層の上面および下面の両方に)および結晶性A/M/X材料を含む層のバルク全体にわたって存在し得る。従って、有機カチオンは、結晶性A/M/X材料を含む層の表面におよび結晶性A/M/X材料を含む層のバルク全体にわたって存在し得る。
有機カチオンは、結晶性A/M/X材料を含む層の表面に存在し得る。表面は、結晶性A/M/X材料を含む層の上面または下面、すなわちその2つの表面のいずれかであり得る。有機カチオンは、結晶性A/M/X材料を含む層の両方の表面に(すなわち層の上面および下面の両方に)存在し得る。従って、有機カチオンは、結晶性A/M/X材料を含む層の表面に存在し得る。
有機カチオンは、結晶性A/M/X材料を含む層の表面上に存在し得る。有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の外面上に存在し得る。表面は、結晶性A/M/X材料の上面または下面であり得る。有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の上面および下面上に存在し得る。従って、有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の表面上に存在し得る。
しばしば、有機カチオンは結晶性A/M/X材料内に存在する。
典型的には、結晶性A/M/X材料は、A/M/X材料の微結晶および該微結晶間の粒界を含む多結晶性A/M/X材料である。従って、結晶性A/M/X材料を含む層は、微結晶間の粒界を有するA/M/X材料の複数の微結晶を含み得る。
結晶性A/M/X材料がA/M/X材料の微結晶および該微結晶間の粒界を含む多結晶性A/M/X材料である場合、有機カチオンは、典型的には微結晶間の粒界に存在する。例えば、有機カチオンは、結晶性A/M/X材料を含む層のバルク全体にわたって微結晶間の粒界に存在し得る。
従って、有機カチオンは、結晶性A/M/X材料内に、結晶性A/M/X材料内の粒界において存在し得る。
有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の表面上および結晶性A/M/X材料内に存在し得る。従って、有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の外面上および結晶性A/M/X材料に存在し得る。A/M/X材料は、多結晶性であり得、そして有機カチオンは、(i)多結晶性A/M/X材料の外面上、および(ii)多結晶性A/M/X材料内に、多結晶性A/M/X材料の微結晶間の粒界において存在し得る。従って、有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の表面上、例えば該材料の外面上、およびまた結晶性A/M/X材料内に、結晶性A/M/X材料内の粒界において存在し得る。
イオン性固体
典型的には、対アニオンはハライドアニオン以外であり、または有機カチオンは4級アンモニウムカチオン以外である。従って、1つの実施態様において、対アニオンはハライドアニオン以外である。別の実施態様において、有機カチオンは4級アンモニウムカチオン以外である。
従って、1つの実施態様において、イオン性固体は、4級アンモニウムカチオン以外の有機カチオンおよびハライドアニオンである対アニオンを含む。別の実施態様において、イオン性固体は、4級アンモニウムカチオンである有機カチオンおよびハライドアニオン以外である対アニオンを含む。別の実施態様において、有機カチオンは4級アンモニウムカチオン以外であり、そして対アニオンはハライドアニオン以外である。
典型的には、対アニオンはハライドアニオン以外であり、または有機カチオンは3級アンモニウムカチオン以外である。従って、1つの実施態様において、対アニオンはハライドアニオン以外である。別の実施態様において、有機カチオンは3級アンモニウムカチオン以外である。
従って、1つの実施態様において、イオン性固体は、3級アンモニウムカチオン以外の有機カチオンおよびハライドアニオンである対アニオンを含む。別の実施態様において、イオン性固体は、3級アンモニウムカチオンである有機カチオンおよびハライドアニオン以外である対アニオンを含む。別の実施態様において、有機カチオンは3級アンモニウムカチオン以外であり、そして対アニオンはハライドアニオン以外である。
典型的には、対アニオンはハライドアニオン以外であり、または有機カチオンは2級アンモニウムカチオン以外である。従って、1つの実施態様において、対アニオンはハライドアニオン以外である。別の実施態様において、有機カチオンは2級アンモニウムカチオン以外である。
従って、1つの実施態様において、イオン性固体は、2級アンモニウムカチオン以外の有機カチオンおよびハライドアニオンである対アニオンを含む。別の実施態様において、イオン性固体は、2級アンモニウムカチオンである有機カチオンおよびハライドアニオン以外である対アニオンを含む。別の実施態様において、有機カチオンは2級アンモニウムカチオン以外であり、そして対アニオンはハライドアニオン以外である。
典型的には、対アニオンはハライドアニオン以外であり、または有機カチオンは1級アンモニウムカチオン以外である。従って、1つの実施態様において、対アニオンはハライドアニオン以外である。別の実施態様において、有機カチオンは1級アンモニウムカチオン以外である。
従って、1つの実施態様において、イオン性固体は、1級アンモニウムカチオン以外の有機カチオンおよびハライドアニオンである対アニオンを含む。別の実施態様において、イオン性固体は、1級アンモニウムカチオンである有機カチオンおよびハライドアニオン以外である対アニオンを含む。別の実施態様において、有機カチオンは1級アンモニウムカチオン以外であり、そして対アニオンはハライドアニオン以外である。
典型的には、対アニオンはハライドアニオン以外であり、または有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外である。従って、1つの実施態様において、対アニオンはハライドアニオン以外である。別の実施態様において、有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外である。
従って、1つの実施態様において、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外の有機カチオンおよびハライドアニオンである対アニオンを含む。別の実施態様において、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオンである有機カチオンおよびハライドアニオン以外である対アニオンを含む。別の実施態様において、有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外であり、そして対アニオンはハライドアニオン以外である。
典型的には、対アニオンはハライドアニオン以外であり、または有機カチオンはホルムアミジニウムまたはグアニジニウムカチオン以外である。ホルムアミジニウム(FA)カチオンは式[H2N-C(H)=NH2]+を有し、そしてグアニジニウムカチオンは式[H2N-C(NH2)=NH2]+を有する。従って、1つの実施態様において、対アニオンはハライドアニオン以外である。別の実施態様において、有機カチオンはホルムアミジニウムまたはグアニジニウムカチオン以外である。
従って、1つの実施態様において、イオン性固体は、ホルムアミジニウムまたはグアニジニウムカチオン以外の有機カチオンおよびハライドアニオンである対アニオンを含む。別の実施態様において、イオン性固体は、ホルムアミジニウムまたはグアニジニウムカチオンである有機カチオンおよびハライドアニオン以外である対アニオンを含む。別の実施態様において、有機カチオンはホルムアミジニウムまたはグアニジニウムカチオン以外であり、そして対アニオンはハライドアニオン以外である。
典型的には、対アニオンはハライドアニオン以外であり、または有機カチオンは式(X)
[RPRQN-C(RS)=NH2]+ (X)
式中
RSはRTまたはNRURVであり、ここでRT、RUおよびRVは独立してH、メチル、エチルおよびフェニルから選ばれ;
RPおよびRQは独立して水素、無置換または置換C1-10アルキル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、または無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノから選ばれ、但しRxはRyと一緒にC1-6アルキレン基を形成し得る、
のカチオン以外である。通常、RPおよびRQは独立してH、メチル、エチルおよびフェニルから選ばれる。典型的には、RPおよびRQは両方ともHである。しばしば、RP、RQ、RT、RUおよびRVは全てHである。
従って、1つの実施態様において、対アニオンはハライドアニオン以外である。別の実施態様において、有機カチオンは式(X)のカチオン以外である。
従って、1つの実施態様において、イオン性固体は、式(X)のカチオン以外の有機カチオンおよびハライドアニオンである対アニオンを含む。別の実施態様において、イオン性固体は、式(X)のカチオンである有機カチオンおよびハライドアニオン以外である対アニオンを含む。別の実施態様において、有機カチオンは式(X)のカチオンであり、そして対アニオンはハライドアニオン以外であり、すなわちイオン性固体は式(X)カチオンのハライド塩ではない。
典型的には、対アニオンはハライドアニオン以外であり、または有機カチオンは、1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムカチオン以外である。従って、1つの実施態様において、対アニオンはハライドアニオン以外である。別の実施態様において、有機カチオンは、1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムカチオン以外である。
従って、1つの実施態様において、イオン性固体は、(i)1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムカチオン以外の有機カチオン、および(ii)ハライドアニオンである対アニオンを含む。別の実施態様において、イオン性固体は、(i)1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオンあるいはホルムアミジニウムまたはグアニジニウムカチオンである有機カチオン、および(ii)ハライドアニオン以外である対アニオンを含む。別の実施態様において、有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムカチオン以外であり、そして対アニオンはハライドアニオン以外である。
典型的には、対アニオンはハライドアニオン以外であり、または有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外および式(X)のカチオン以外である。従って、1つの実施態様において、対アニオンはハライドアニオン以外である。別の実施態様において、有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外および式(X)のカチオン以外である。
従って、1つの実施態様において、イオン性固体は、(i)1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外および式(X)のカチオン以外の有機カチオン、および(ii)ハライドアニオンである対アニオンを含む。別の実施態様において、イオン性固体は、(i)1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオンあるいは式(X)のカチオンである有機カチオン、および(ii)ハライドアニオン以外である対アニオンを含む。別の実施態様において、有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外および式(X)のカチオン以外であり、そして対アニオンはハライドアニオン以外である。
特にイオン性固体の対アニオンがハライドである場合、有機カチオンは、典型的には結晶性A/M/X材料の各1つ以上のAカチオン以外である。
ハライドアニオン以外の対アニオンは、当業者に周知である。例えば対アニオンは、ヒドロキシド、シアニド、カルコゲニド、ボレート、ホスフェート、ニトレート、ニトライト、カルボランアニオン、カーボネート、サルフェート、ハロゲンを含む多原子アニオン、チオシアネートアニオン、トリフレート、遷移金属のオキシアニオン、負に帯電した金属錯体または有機アニオンであり得る。
対アニオンは、例えば、モノアニオン、ジアニオンまたはトリアニオンであり得る。それは、典型的にはモノアニオンまたはジアニオンである。しかしながら、しばしば、対アニオンはモノアニオンであり、すなわちそれは単一の負電荷を有する。
カルコゲニドの例は、スルフィド、セレニド、およびテルリドを含む。ハロゲンを含む多原子アニオンの例は、ヘキサハロホスフェート(ヘキサフルオロホスフェートを含む)、テトラハロボレート(テトラフルオロボレートを含む)、ハイポフルオライト、ハイポクロライト(hypochorite)、クロライト、クロレート、パークロレート、ハイポブロマイト、ブロマイト、ブロメート、パーブロメート、ハイポヨーダイト、ハイポアイオイダイト(hypoioidite)、アイオデートおよびパーアイオジアート(periodiate)を含む。遷移金属のオキシアニオンは、マンガナイト([MnO4]-)、クロメート([CrO4]2-)およびジクロメート([Cr2O7]2-)を含む。負に帯電した金属錯体の例は、[Al(OC(CF3)3)4)]-を含む。
典型的には、対アニオンは多原子アニオンである。言い換えれば、対アニオンは、負電荷を有する2つ以上の原子を含む分子であり得る。好ましくは、多原子アニオンは非配位アニオンである。非配位アニオンの例は、ボレート(テトラハロボレートを含む)、クロレート、トリフレート、カルボランアニオン(例えば、CB11H12 -)、ホスフェート(ヘキサハロホスフェートを含む)および[Al(OC(CF3)3)4)]-を含む。しばしば、イオン性固体に使用される非配位多原子アニオンは、ヘキサハロホスフェートまたはテトラハロボレートであり;それはしばしばヘキサフルオロホスフェート([PF6]-)またはテトラフルオロボレート(BF4 -)である。
ホスフェートの例は、ヘキサフルオロホスフェート([PF6]-)などのヘキサハロホスフェートを含む。従って、1つの実施態様において、対アニオンはヘキサフルオロホスフェート([PF6]-)である。
典型的には、対アニオンはボレートアニオンである。典型的には、ボレートアニオンは、式[BX4]-、式中各Xは独立して水素、ハロ、無置換または置換アルキル、無置換または置換アルケニル(alkeynyl)、無置換または置換アルキニル、無置換または置換アリール、または無置換または置換ヘテロアリールから選ばれる、のアニオンである。例えば、各Xは、ハロまたは無置換または置換アリール、典型的にはペンタフルオロフェニルまたは3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルから独立して選ばれ得る。
典型的には、全ての4つのX原子はハロである。従って、好ましくは、対アニオンはテトラハロボレートである。しばしば、対アニオンはテトラフルオロボレート(BF4 -)である。
あるいは、全ての4つのX基は置換アリールであり得る。例えば全ての4つのX基はペンタフルオロフェニルまたは3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルであり得る。従って、対アニオンはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C6F5)4]-)またはテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート([B(3,5-(CF3)2C6H3)4]-)であり得る。
有機カチオンは、例えば、モノカチオン、ジカチオンまたはトリカチオンであり得る。それは、典型的にはモノカチオンまたはジカチオンである。しかしながら、通常、有機カチオンはモノカチオンであり、すなわちそれは単一の正電荷を有する。
有機カチオンは、典型的には結晶性A/M/X材料の各1つ以上のAカチオン以外である。
有機カチオンは、しばしば1級アンモニウムカチオン以外である。有機カチオンは、2級アンモニウムカチオン以外であり得る。有機カチオンは、しばしば3級アンモニウムカチオン以外である。有機カチオンは、4級アンモニウムカチオン以外であり得る。有機カチオンは、本明細書中上記で定義した式(X)のカチオン以外であり得る。例えば、有機カチオンは、しばしばホルムアミジニウムカチオン以外およびグアニジニウムカチオン以外である。有機カチオンは、1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外および式(X)のカチオン以外であり得る。有機カチオンは、1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外、ホルムアミジニウムカチオン以外およびグアニジニウムカチオン以外であり得る。
イオン性固体の有機カチオンはNH4 +ではないことが理解される。なぜなら、NH4 +は無機カチオンであり、有機カチオンではないからである。
有機カチオンは、典型的には少なくとも1つのヘテロ原子、例えばO、S、N、P、SeおよびSiから選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む。典型的には、有機カチオンは、O、S、N、PおよびSiから選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む。有機カチオンは、例えばO、SおよびNから選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含み得る。
しばしば、有機カチオンは少なくとも1つの窒素原子を含む。例えば、有機カチオンは、窒素原子(または、より具体的には、その複素環は窒素環原子を含む)を含む無置換または置換ヘテロシクリルカチオンであり得る。あるいは、有機カチオンは、窒素原子を含む非環式部分を含み得るか、または窒素原子を含む非環式部分であり得る。有機カチオンにおいて、該窒素原子は正に帯電し得る。
従って、有機カチオンは、典型的には正に帯電した窒素原子を含む。有機カチオンは、典型的には式(I):
Figure 2022538776000003
の部分を含む。
式(I)の部分は、無置換または置換ヘテロシクリルカチオン内にあり得る。特に、炭素原子および正に帯電した窒素原子は、このようなカチオンの複素環において隣接した環原子であり得る。あるいは、式(I)の部分は、非環式部分の一部であり得る。それは、例えばイミニウムカチオンの一部であり得る。
有機カチオンは、無置換または置換イミニウムカチオン、例えば式II:
[RxRyC=NRzRw]+ (II)
式中
Rxは水素、無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、または無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノであり、但しRxはRyと一緒にC1-20アルキレン基(典型的にはC1-6アルキレン基)を形成し得る;
Ryは水素、無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、または無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノであり、但しRyはRxと一緒にC1-20アルキレン基(典型的にはC1-6アルキレン基)を形成し得る;
Rzは無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、または無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノであり、但しRzはRwと一緒にC1-20アルキレン基(典型的にはC1-6アルキレン基)を形成し得る;および
Rwは無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、または無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノであり、但しRwはRzと一緒にC1-20アルキレン基(典型的にはC1-6アルキレン基)を形成し得る、
のイミニウムカチオンであり得る。
通常、式IIのイミニウムカチオンにおいて、Rxは無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノ、例えば無置換ジ(C1-10アルキル)アミノである。Rxは、例えば無置換または置換ジ(C1-6アルキル)アミノ、例えば無置換ジ(C1-6アルキル)アミノであり得る。Rxは、典型的には無置換ジ(C1-4アルキル)アミノである。例えばRxは、しばしばジ(イソプロピル)アミノである。
しばしば、式IIのイミニウムカチオンにおいて、Ryは水素である。典型的には、従って、RyはHである。
典型的には、式IIのイミニウムカチオンにおいて、RzおよびRwは同一または異なり、そして独立して無置換または置換C1-20アルキル基から選ばれる。従って、RzおよびRwは、典型的には無置換または置換C1-10アルキル基であり、より典型的には無置換または置換C1-6アルキル基である。RzおよびRwは、しばしば同一または異なる無置換ジ(C1-4アルキル)アミノ基である。例えば、RzおよびRwは、両方ともイソプロピル基であり得る。
従って、しばしば、式IIのイミニウムカチオンにおいて、Rxは無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノであり、Ryは水素であり、そしてRzおよびRwは同一または異なり、そして独立して無置換または置換C1-20アルキル基から選ばれる。
式IIのイミニウムカチオンの例は、N-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウム(ジ-IPAM)である。
従って、イオン性固体は、式IIのイミニウムカチオンである有機カチオンおよび多原子アニオンである対アニオンを含み得る。例えば、イオン性固体は、式IIのイミニウムカチオンである有機カチオンおよび非配位多原子アニオンである対アニオン、例えばボレート、クロレート、トリフレート、カルボラン(例えば、CB11H12 -)、ホスフェートまたは[Al(OC(CF3)3)4)]-アニオンを含み得る。典型的には、イオン性固体は、式IIのイミニウムカチオンである有機カチオン、およびボレートアニオン、典型的にはBF4 -、またはホスフェートアニオン、典型的にはPF6 -である対アニオンを含む。しばしば、対アニオンはボレートアニオン、典型的にはBF4 -である。従って、有機カチオンはN-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウムであり得、そして対アニオンはBF4 -であり得る。
イオン性固体は、例えばN-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウムテトラフルオロボレートであり得る。
あるいは、イオン性固体は、式(II)のイミニウムカチオンである有機カチオンおよびハライドである対アニオンを含み得る。従って、有機カチオンはN-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウムであり得、そして対アニオンはハライドアニオンであり得る。
しかしながら、有機カチオンは、しばしば無置換または置換複素環のカチオンである。従って、有機カチオンは無置換または置換ヘテロシクリルカチオンと呼ばれ得る。無置換または置換ヘテロシクリルカチオンは、例えば無置換または置換イミダゾリウムカチオン、無置換または置換ピラゾリウムカチオン、無置換または置換トリアゾリウムカチオン、無置換または置換テトラゾリウムカチオン、無置換または置換ピリジニウムカチオン、無置換または置換ピペリジニウムカチオンあるいは無置換または置換ピロリジニウムカチオンであり得る。
典型的には、有機カチオンが無置換または置換ヘテロシクリルカチオンである場合、複素環は少なくとも1つの窒素原子、例えば1~4個の窒素原子を含む。複素環は、例えば2または3個の窒素原子を含み得、例えば有機カチオンは、無置換または置換イミダゾリウムカチオン、無置換または置換ピラゾリウムカチオン、または無置換または置換トリアゾリウムカチオンであり得る。
通常、有機カチオンは無置換または置換複素環のカチオンであり、ここで該カチオンは正に帯電した環窒素原子を含む。
複素環は、芳香環であってもなくてもよい。複素環が芳香環(すなわちヘテロ芳香環)である場合、有機カチオンは無置換または置換ヘテロアリール環のカチオンである。この場合、有機カチオンは無置換または置換ヘテロアリールカチオンと呼ばれ得る。無置換または置換ヘテロアリールカチオンは、例えば無置換または置換ピリジニウムカチオンであり得る。
有機カチオンは、しばしば無置換または置換イミダゾリウムカチオンあるいは無置換または置換トリアゾリウムカチオンである。
有機カチオンは、例えば式III:
Figure 2022538776000004
式中R1、R2、R3、R4およびR5のそれぞれは、独立して水素、無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、および無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノから選ばれ、但しR1およびR4、またはR4およびR5、またはR5およびR2、またはR2およびR3、またはR3およびR1は、一緒にC1-10アルキレン基(典型的にはC1-4アルキレン基)を形成し得る、
のイミダゾリウムカチオンであり得る。
典型的には、式IIIにおいて、R1、R2、R3、R4およびR5のそれぞれは、独立して水素、無置換C1-20アルキル、無置換C2-20アルケニル、無置換C2-20アルキニル、無置換アリール、無置換C3-10シクロアルキル、および無置換ヘテロシクリルから選ばれ、但しR1およびR4、またはR4およびR5、またはR5およびR2、またはR2およびR3、またはR3およびR1は、一緒に無置換C1-10アルキレン基(典型的には無置換C1-3アルキレン基)を形成し得る。
しばしば、式IIIにおいて、R1およびR2は同一または異なり、そして両方とも無置換または置換C1-20アルキルまたはC3-10シクロアルキル基である。R1-およびR2は、典型的には例えば両方とも無置換または置換C3-20アルキルまたはC3-10シクロアルキル基、より典型的には無置換C3-10アルキルまたはC3-10シクロアルキル基である。R1およびR2は、例えば両方とも同一または異なる無置換C1-20アルキルまたはC3-10シクロアルキル基であり得る。R1-およびR2は、典型的には例えば両方とも同一または異なる無置換C3-20アルキルまたはC3-10シクロアルキル基、例えば無置換C3-10アルキルまたはC3-10シクロアルキル基である。例えば、R1およびR2は、両方ともイソプロピル基であり得るか、またはR1およびR2は、両方ともシクロヘキシル基であり得る。
しばしば、式IIIにおいて、R1およびR2は同一または異なり、そして両方とも無置換または置換C1-20アルキル基である。R1-およびR2は、典型的には例えば両方とも無置換または置換C3-20アルキル基、より典型的には無置換C3-10アルキル基である。R1およびR2は、例えば両方とも同一または異なる無置換C1-20アルキル基であり得る。R1およびR2は、典型的には例えば両方とも同一または異なる無置換C3-20アルキル基、例えば無置換C3-10アルキル基である。例えば、R1およびR2は両方ともイソプロピル基であり得、または両方ともtert-ブチル基であり得る。R1およびR2は、例えば両方とも無置換または置換C1-3アルキル基であり得;それらは両方とも例えば無置換C1-3アルキル基であり得、例えば、それらは両方ともイソプロピル基であり得る。あるいは、R1およびR2は両方とも無置換または置換C4-20アルキル基であり得、例えば、それらは両方ともtert-ブチル基であり得る。
あるいは、式IIIにおいて、R1およびR2は同一または異なり、そして両方とも無置換または置換C3-10シクロアルキル基である。R1-およびR2は、典型的には例えば両方とも無置換C3-10シクロアルキル基である。例えば、R1およびR2は両方ともシクロヘキシル基であり得る。
通常、式IIIにおいて、R3、R4およびR5はそれぞれ水素である。従って、典型的には、R3はHであり、R4はHであり、そしてR5はHである。
従って、1つの実施態様において、式IIIにおいて、R3、R4およびR5は水素であり、そしてR1およびR2は両方とも無置換C3-20アルキル基または無置換C3-10シクロアルキル基、より典型的には無置換C3-10アルキル基または無置換C3-10シクロアルキル基である。R1およびR2は両方ともイソプロピル基であり得る。R1およびR2は両方ともtert-ブチル基であり得る。R1およびR2は両方ともシクロヘキシル基であり得る。従って、有機カチオンは、1,3-ジイソプロピルイミダゾリウムまたは1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウムまたは1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウムであり得る。
有機カチオンは、例えば式IV:
Figure 2022538776000005
式中R1、R2、R3およびR4のそれぞれは、独立して水素、無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、および無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノから選ばれ、但しR1およびR4、またはR2およびR3、またはR1およびR3は、一緒にC1-10アルキレン基(典型的にはC1-4アルキレン基、例えばC1-3アルキレン基)を形成し得る、
のトリアゾリウムカチオンであり得る。
典型的には、式IVにおいて、R1、R2、R3およびR4のそれぞれは、独立して水素、無置換C1-20アルキル、無置換C2-20アルケニル、無置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換C3-10シクロアルキル、および無置換ヘテロシクリルから選ばれ、但しR1およびR4、またはR2およびR3、またはR1およびR3は、一緒に無置換C1-4アルキレン基(典型的には無置換C1-3アルキレン基)を形成し得る。
しばしば、式IVにおいて、R1およびR4は一緒に無置換または置換C1-4アルキレン基を形成する。R1およびR4は、例えば一緒に無置換C1-3アルキレン基を形成し得る。従って、R1およびR4は一緒にプロピレン基を形成し得る。
あるいは、式IVにおいて、R1-およびR4は両方とも無置換または置換C1-20アルキル基、より典型的には無置換C1-10アルキル基であり得;またはR4は水素であり得、そしてR1は無置換または置換C1-20アルキル基、より典型的には無置換または置換C1-10アルキル基、例えば無置換または置換C3-10アルキル基、例えば、無置換C3-10アルキルであり得る。
式IV中のR2は、典型的には無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、または無置換または置換ヘテロシクリルである。通常、例えば、R2は無置換または置換アリールである。R2はしばしば、例えば、ペンタフルオロフェニルなどの置換アリールである。
通常、式IV中のR3は水素である。従って、典型的には、R3はHである。
従って、1つの実施態様において、式IVにおいて、R3は水素であり;R2は無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、または無置換または置換ヘテロシクリルであり;そしてR1およびR4は一緒に無置換または置換C1-4アルキレン基を形成する。しばしば、R2は置換アリール、例えばペンタフルオロフェニルであり、そしてR1およびR4は一緒に無置換C1-4アルキレン基、例えばプロピレン基を形成する。
従って、有機カチオンは、6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウムであり得る。
従って、イオン性固体は、無置換または置換イミダゾリウムまたはトリアゾリウムカチオンである有機カチオン、および多原子アニオンである対アニオンを含み得る。例えば、イオン性固体は、それぞれ式IIIまたはIVのイミダゾリウムまたはトリアゾリウムカチオンである有機カチオンおよび非配位多原子アニオン、例えばボレート、クロレート、トリフレート、カルボラン(例えば、CB11H12 -)、ホスフェートまたは[Al(OC(CF3)3)4)]-アニオンである対アニオンを含み得る。典型的には、イオン性固体は、式IIIのイミダゾリウムカチオンまたは式IVのトリアゾリウムカチオンである有機カチオン、およびボレートアニオン、典型的にはBF4 -、またはホスフェートアニオン、典型的にはPF6 -である対アニオンを含む。しばしば、対アニオンはボレートアニオン、典型的にはBF4 -である。従って、好ましくは、有機カチオンは1,3-ジイソプロピルイミダゾリウムまたは1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウムまたは6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウムであり、そして対アニオンはBF4 -である。
従って、1つの実施態様において、有機カチオンは1,3-ジイソプロピルイミダゾリウムであり、そして対アニオンはBF4 -である。別の実施態様において、有機カチオンは1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウムであり、そして対アニオンはBF4 -である。別の実施態様において、有機カチオンは1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウムであり、そして対アニオンはBF4 -である。別の実施態様において、有機カチオンは6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウムであり、そして対アニオンはBF4 -である。
イオン性固体は、例えば1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 62-79℃)、1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 171-175℃)、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 157-198℃)または6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 245℃)であり得る。
しかしながら、イオン性固体は、無置換または置換イミダゾリウムまたはトリアゾリウムカチオンである有機カチオン、およびハライドアニオンである対アニオンを含み得る。例えば、イオン性固体は、それぞれ式IIIまたはIVのイミダゾリウムまたはトリアゾリウムカチオンである有機カチオンおよびハライドアニオンである対アニオンを含み得る。従って、有機カチオンは、1,3-ジイソプロピルイミダゾリウムまたは1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウムまたは1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウムまたは6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウムであり得、そして対アニオンはハライドアニオンであり得る。
イオン性固体は、例えば無置換または置換イミダゾリウムカチオンである有機カチオン、およびハライドアニオンである対アニオンを含み得る。例えば、イオン性固体は、式IIIのイミダゾリウムカチオンである有機カチオンおよびハライドアニオンである対アニオンを含み得る。従って、有機カチオンは、1,3-ジイソプロピルイミダゾリウムまたは1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウムまたは1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウムであり得、そして対アニオンはハライドアニオン、例えばクロリドであり得る。イオン性固体は、例えば1,3-ジイソプロピルイミダゾリウムクロリド(m.p. 182-186℃)であり得る。
イオン性固体は、無置換または置換トリアゾリウムカチオンである有機カチオン、およびハライドアニオンである対アニオンを含み得る。例えば、イオン性固体は、式IVのトリアゾリウムカチオンである有機カチオンおよびハライドアニオンである対アニオンを含み得る。従って、有機カチオンは、6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウムであり得、そして対アニオンはハライドアニオン、クロリドであり得る。
しかしながら、有機カチオンは無置換または置換イミダゾリウムカチオン以外であり得、そして対アニオンはハライドであり得る。有機カチオンは式IIIのイミダゾリウムカチオン以外であり得、そして対アニオンはハライドであり得る。
有機カチオンは無置換または置換イミダゾリウムカチオン以外であり得、そして対アニオンは、本明細書中で記載したハライド以外の任意のアニオンであり得る。有機カチオンは式IIIのイミダゾリウムカチオン以外であり得、そして対アニオンは、本明細書中で記載したハライド以外の任意のアニオンであり得る。
有機カチオンは、あるいは、無置換または置換ピリジニウムカチオン、無置換または置換ピペリジニウムカチオンまたは無置換または置換ピロリジニウムカチオンであり得る。
有機カチオンは、特に無置換または置換ピリジニウムカチオンであり得る。無置換または置換ピリジニウムカチオンは、式V:
Figure 2022538776000006
式中R6、R7、R8、R9、R10およびR11のそれぞれは、独立して水素、無置換または置換C1-10アルキル、無置換または置換C2-10アルケニル、無置換または置換C2-10アルキニル、無置換または置換C6-12アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換C3-10シクロアルケニル、アミノ、無置換または置換(C1-6アルキル)アミノおよび無置換または置換ジ(C1-6アルキル)アミノから選ばれる、
のピリジニウムカチオンであり得る。
典型的には、R6、R7、R8、R9、R10およびR11のそれぞれは、独立して水素、無置換または置換C1-10アルキル、無置換C2-10アルケニル、無置換C2-10アルキニル、無置換C6-12アリール、無置換C3-10シクロアルキル、無置換C3-10シクロアルケニル、アミノ、無置換(C1-6アルキル)アミノおよび無置換ジ(C1-6アルキル)アミノから選ばれる。
しばしばR7、R8、R10およびR11は水素であり、そしてR6およびR9のそれぞれは、独立して無置換C1-10アルキルおよびフェニル基で置換されたC1-10アルキルから選ばれる。例えば、R7、R8、R10およびR11は水素であり得、そしてR6およびR9は無置換C1-10アルキル、好ましくはC1-6アルキルである。従って、R7、R8、R10およびR11は水素であり得、R9はメチルであり得、そしてR6はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルから選ばれ得る。
有機カチオンは、あるいは、無置換または置換ピペリジニウムカチオンであり得る。この場合、対アニオンはしばしばハライド以外である。無置換または置換ピペリジニウムカチオンは、式VI:
Figure 2022538776000007
式中R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれは、独立して水素、無置換または置換C1-10アルキル、無置換または置換C2-10アルケニル、無置換または置換C2-10アルキニル、無置換または置換C6-12アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換C3-10シクロアルケニル、アミノ、無置換または置換(C1-6アルキル)アミノおよび無置換または置換ジ(C1-6アルキル)アミノから選ばれる、のピペリジニウムカチオンであり得る。しばしば、この実施態様において、R12およびR13の1つがメチルである場合、R12およびR13の他方はブチルではない。しばしば、例えば、R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれが水素であり、そしてR12およびR13の1つがメチルである場合、R12およびR13の他方はブチルではない。同様に、しばしば、対アニオンがBF4 -であり、そしてR12およびR13の1つがメチルである場合、R12およびR13の他方はブチルではない。従って、典型的には、R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれが水素であり、そして対アニオンがBF4 -であり、そしてR12およびR13の1つがメチルである場合、R12およびR13の他方はブチルではない。
従って、本発明において、有機カチオンは、R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれが水素であり、R12およびR13の1つがメチルであり、そしてR12およびR13の他方がブチルである式VIのピペリジニウムカチオン以外であり得る。特に、本発明において、イオン性固体は、R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれが水素であり、R12およびR13の1つがメチルであり、そしてR12およびR13の他方がブチルである式VIのピペリジニウムカチオンのテトラフルオロボレート塩以外であり得る。
典型的には、式VIのピペリジニウムカチオンにおいて、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれは、独立して水素、無置換または置換C1-10アルキル、無置換C2-10アルケニル、無置換C2-10アルキニル、無置換C6-12アリール、無置換C3-10シクロアルキル、無置換C3-10シクロアルケニル、アミノ、無置換(C1-6アルキル)アミノおよび無置換ジ(C1-6アルキル)アミノから選ばれる。しかしながら、しばしば、この実施態様において、R12およびR13の1つがメチルである場合、R12およびR13の他方はブチルではない。典型的には、例えば、対アニオンがBF4 -であり、そしてR12およびR13の1つがメチルである場合、R12およびR13の他方はブチルではない。
しばしば、式VIのピペリジニウムカチオンにおいて、R14、R15、R16、R17およびR18は水素であり、そしてR12およびR13のそれぞれは、独立して無置換C1-10アルキルおよびフェニル基で置換されたC1-10アルキルから選ばれる。しかしながら、しばしば、この実施態様において、R12およびR13の1つがメチルである場合、R12およびR13の他方はブチルではない。典型的には、例えば、対アニオンがBF4 -であり、そしてR12およびR13の1つがメチルである場合、R12およびR13の他方はブチルではない。
典型的には、式VIのピペリジニウムカチオンにおいて、R14、R15、R16、R17およびR18は水素であり、そしてR12およびR13のそれぞれは、独立して無置換C1-10アルキル、好ましくは無置換C1-6アルキルから選ばれる。例えば、R14、R15、R16、R17およびR18は水素であり得、R13はメチルであり得、そしてR12はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルから選ばれ得る。しばしば、例えば、R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれは水素であり、R13はメチルであり、そしてR12はブチルである。好ましい実施態様において、R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれは水素であり、R13はメチルであり、そしてR12はn-ブチルである。
しかしながら、あるいは、R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれは水素であり、そしてR12およびR13のそれぞれは、独立して無置換C1-10アルキル、好ましくは無置換C1-6アルキルから選ばれ、但しR12およびR13の1つがメチルである場合、R12およびR13の他方はブチルではない。例えば、R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれは水素であり、R13はメチルであり、そしてR12はメチル、エチル、プロピル、ペンチルまたはヘキシルから選ばれることがある。
しばしば、有機カチオンは、本明細書中で定義した式VIのピペリジニウムカチオンであり、但し対アニオンはテトラフルオロボレート以外である。有機カチオンは、本明細書中で定義した式VIのピペリジニウムカチオンであり得、但し対アニオンはハライド以外およびテトラフルオロボレート以外である。例えば、有機カチオンは、本明細書中で定義した式VIのピペリジニウムカチオンであり得、そして対アニオンは、本明細書中で記載したように、テトラフルオロボレート以外の多原子アニオンであり得る。
有機カチオンは、例えば本明細書中で定義した式VIのピペリジニウムカチオンであり得、但し対アニオンがBF4 -であり、そしてR12およびR13の1つがメチルである場合、R12およびR13の他方はブチルではない。有機カチオンは、例えば本明細書中で定義した式VIのピペリジニウムカチオン、ここで対アニオンはハライドではない、であり得、そして但し対アニオンがBF4 -であり、そしてR12およびR13の1つがメチルである場合、R12およびR13の他方はブチルではない。
好ましい実施態様において、有機カチオンは、本明細書中で定義した無置換または置換ピペリジニウムカチオン、例えば式VIのピペリジニウムカチオンであり、そして[A]a[M]b[X]cの化合物はメチルアンモニウムカチオンを含まない(すなわちメチルアンモニウムがない)かまたはメチルアンモニウムを少量しか含まないのいずれかである。ここで、メチルアンモニウムの「少量」は、典型的には式[A]a[M]b[X]cの化合物の[A]がメチルアンモニウムおよびメチルアンモニウム以外の少なくとも1つのAカチオンからなり、但し[A]中のメチルアンモニウムのモル分率が[A]の15%未満であることを意味する。好ましくは、[A]中のメチルアンモニウムのモル分率は、[A]の10%未満、およびより好ましくは[A]の5%未満、例えば[A]の2%未満、より好ましくは[A]の1%未満である。従って、メチルアンモニウムを少量しか含まない式[A]a[M]b[X]cの化合物は、式[(CH3NH3)x(A’)1-x]a[M]b[X]c、式中(A’)はメチルアンモニウム以外の少なくとも1つのAカチオンを表し、およびxは0.15未満、好ましくは0.10未満、例えば0.05未満、およびより好ましくは0.02未満、例えば0.01未満である、の化合物である。好ましい実施態様において、有機カチオンは、本明細書中で定義した無置換または置換ピペリジニウムカチオン、例えば式VIのピペリジニウムカチオンであり、そして[A]a[M]b[X]cの化合物はメチルアンモニウムカチオンを含まず、すなわちメチルアンモニウムがない。
有機カチオンは、あるいは、無置換または置換ピロリジニウムカチオンであり得る。この場合、対アニオンはしばしばハライド以外である。無置換または置換ピロリジニウムカチオンは、式VII:
Figure 2022538776000008
式中R19、R20、R21、R22、R23およびR24のそれぞれは、独立して水素、無置換または置換C1-10アルキル、無置換または置換C2-10アルケニル、無置換または置換C2-10アルキニル、無置換または置換C6-12アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換C3-10シクロアルケニル、アミノ、無置換または置換(C1-6アルキル)アミノおよび無置換または置換ジ(C1-6アルキル)アミノから選ばれる、
のピロリジニウムカチオンであり得る。
典型的にはR19、R20、R21、R22、R23およびR24のそれぞれは、独立して水素、無置換または置換C1-10アルキル、無置換C2-10アルケニル、無置換C2-10アルキニル、無置換C6-12アリール、無置換C3-10シクロアルキル、無置換C3-10シクロアルケニル、アミノ、無置換(C1-6アルキル)アミノおよび無置換ジ(C1-6アルキル)アミノから選ばれる。しばしば、R21、R22、R23およびR24は水素であり、そしてR19およびR20のそれぞれは、独立して無置換C1-10アルキルおよびフェニル基で置換されたC1-10アルキルから選ばれる。
典型的には、R21、R22、R23およびR24は水素であり、そしてR19およびR20のそれぞれは、独立して無置換C1-10アルキル、好ましくは無置換C1-6アルキルから選ばれる。例えば、R21、R22、R23およびR24は水素であり得、R19はメチルであり得、そしてR20は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルから選ばれ得る。
1つの実施態様において、有機カチオンは、上記の無置換または置換ピリジニウムカチオン、無置換または置換ピペリジニウムカチオンまたは無置換または置換ピロリジニウムカチオンであり、そして対アニオンはハライドアニオンである。
別の実施態様において、有機カチオンは、上記の無置換または置換ピリジニウムカチオン、無置換または置換ピペリジニウムカチオンまたは無置換または置換ピロリジニウムカチオンであり、そして対アニオンは、本明細書中で記載した多原子アニオンである。例えば、有機カチオンは、上記の無置換または置換ピペリジニウムカチオンであり得、そして対アニオンは、本明細書中で記載した多原子アニオンであり得る。典型的には、対アニオンはボレートアニオン、好ましくはBF4 -である。
しかしながら、イオン性固体は、しばしば1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 62-79℃)、1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 171-175℃)、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 157-198℃)、6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 245℃)、N-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウム テトラフルオロボレート(m.p. 280-284℃)、および1,3-ジイソプロピルイミダゾリウムクロリド(m.p. 182-186℃)から選ばれる。イオン性固体は、例えば1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 62-79℃)、1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 171-175℃)、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 157-198℃)、6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 245℃)、N-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウム テトラフルオロボレート(m.p. 280-284℃)、1,3-ジイソプロピルイミダゾリウムクロリド(m.p. 182-186℃)および1-n-ブチル-1-メチルピペリジニウム テトラフルオロボレート(m.p. 149℃)から選ばれ得る。イオン性固体は、例えば1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 62-79℃)、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 157-198℃)、6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウム テトラフルオロボレート(m.p. 245℃)、N-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウム テトラフルオロボレート(m.p. 280-284℃)および1-n-ブチル-1-メチルピペリジニウム テトラフルオロボレート(m.p. 149℃)から選ばれ得る。
イオン性固体は:(a)100℃でおよび100℃未満の温度で固体状態である塩;または(b)本明細書中のどこかで定義した式IIIのイミダゾリウムカチオンおよびテトラフルオロボレートアニオンを含む、(a)以外の塩であり得る。言い換えると、イオン性固体は:(a)融点が100℃よりも高い塩;または(b) 本明細書中のどこかで定義した式IIIのイミダゾリウムカチオンおよびテトラフルオロボレートアニオンを含む、(a)以外の塩であり得る。式IIIのカチオンにおいて、R1およびR2 は両方とも、例えば無置換または置換C1-3アルキル基であり得、例えば、それらは両方とも無置換C1-3アルキル基、例えばイソプロピル基であり得る。従って、イオン性固体は:(a)100℃でおよび100℃未満の温度で固体状態である塩;または(b)1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム テトラフルオロボレートであり得る。言い換えると、イオン性固体は:(a)融点が100℃よりも高い塩;または(b)1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム テトラフルオロボレートであり得る。
典型的には、イオン性固体は、結晶性A/M/X材料中の1つ以上の金属または半金属カチオンMのモル数に関し、50 mol%未満、例えば10 mol%未満または2.5 mol %以下、特に1.0 mol %未満の量で存在する。イオン性固体は、結晶性A/M/X材料中の1つ以上の金属または半金属カチオンMのモル数に関し、0.01~5 mol%、または0.02~2.5 mol%の量、より好ましくは0.05~2.0 mol%、または0.05~1.0 mol%の量、およびさらにより好ましくは0.1~1.5 mol%、または0.1~1.0 mol%の量で存在し得る。例えば、イオン性固体は、結晶性A/M/X材料中の1つ以上の金属または半金属カチオンMのモル数に関し、0.1 mol %~0.9 mol %、例えば0.1 mol %~0.8 mol%、0.2 mol %~0.8 mol %、0.2 mol %~0.7 mol %または0.5 mol %未満、または0.1 mol %~0.5 mol %、0.2 mol %~0.5 mol %、または0.3 mol %~0.5 mol %の量で存在し得る。
さらなる層、n-t型材料、p-型材料および電極材料
しばしば、光電子デバイスは、電荷輸送材料を含む層をさらに含む。典型的には、結晶性A/M/X材料を含む層は、電荷輸送材料を含む層上に配置される。好ましくは、結晶性A/M/X材料を含む層は電荷輸送材料を含む層上に直接配置され、その結果、結晶性A/M/X材料を含む層および電荷輸送材料を含む層は、物理的接触状態にある。
電荷輸送材料を含む層は、典型的には第1電極上に配置される。従って、電荷輸送材料を含む層は、典型的には結晶性A/M/X材料を含む層と第1電極との間に配置される。第1電極は、本明細書中でさらに定義される通りであり得る。それは、典型的には透明電極である。第1電極は、典型的には陽極である。第1電極は、典型的には透明導電性酸化物、例えばフッ素ドープした酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープした酸化亜鉛(AZO)またはインジウムドープした酸化スズ(ITO)を含む。
1つの実施態様において、電荷輸送材料を含む層は、電子輸送(n-型)材料の層(n-型層)である。従って、電荷輸送材料は正孔輸送(p-型)材料であり得る。別の実施態様において、電荷輸送材料を含む層は、正孔輸送(p-型)材料の層(p-型層)である。典型的には、電荷輸送材料を含む層は、正孔輸送(p-型)材料の層である。従って、典型的には電荷輸送材料は正孔輸送(p-型)材料である。
典型的には、電荷輸送材料を含む層は、1000 nm未満、または500 nm未満、または250 nm未満、好ましくは100 nm未満の厚さを有する。例えば、電荷輸送材料を含む層は、1~500 nm、例えば5~250 nm、または10~75 nmの厚さを有し得る。いくつかの実施態様において、電荷輸送材料の層は、20~50 nmまたは30~40 nmの厚さを有し得る。
電子輸送(n-型)材料の例は、当業者に公知である。適切なn-型材料は、有機または無機材料であり得る。適切な無機n-型材料は、金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、ペロブスカイト、アモルファスSi、n-型IV族半導体、n-型III-V族半導体、n-型II-VI族半導体、n-型I-VII族半導体、n-型IV-VI族半導体、n-型V-VI族半導体、およびn-型II-V族半導体、これらのいずれもドープされていてもよくまたはドープされていなくてもよい、から選ばれ得る。より典型的には、n-型材料は、金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物、および金属テルル化物から選ばれる。
従って、n-型層は、チタン、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジム、パラジウム、またはカドミウムの酸化物、または該金属の2つ以上の混合物の酸化物から選ばれる無機材料を含み得る。例えば、n-型層は、TiO2、SnO2、ZnO、Nb2O5、Ta2O5、WO3、W2O5、In2O3、Ga2O3、Nd2O3、PbO、またはCdOを含み得る。採用され得る他の適切なn-型材料は、カドミウム、スズ、銅、または亜鉛の硫化物を含み、該金属の2つ以上の混合物の硫化物を含む。例えば、硫化物は、FeS2、CdS、ZnS、SnS、BiS、SbS、またはCu2ZnSnS4であり得る。
n-型層は、例えば、カドミウム、亜鉛、インジウム、またはガリウムのセレン化物、または該金属の2つ以上の混合物のセレン化物;またはカドミウム、亜鉛、カドミウムまたはスズのテルル化物、または該金属の2つ以上の混合物のテルル化物を含み得る。例えば、セレン化物は、Cu(In,Ga)Se2であり得る。典型的には、テルル化物は、カドミウム、亜鉛、カドミウムまたはスズのテルル化物である。例えば、テルル化物はCdTeであり得る。
n-型層は、例えば、チタン(例えばTiO2)、スズ(例えばSnO2)、亜鉛(例えばZnO)、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ガリウム、ネオジム、パラジウム、カドミウムの酸化物、または該金属の2つ以上の混合物の酸化物;カドミウム、スズ、銅、亜鉛の硫化物または該金属の2つ以上の混合物の硫化物;カドミウム、亜鉛、インジウム、ガリウムのセレン化物または該金属の2つ以上の混合物のセレン化物;またはカドミウム、亜鉛、カドミウムまたはスズのテルル化物、または該金属の2つ以上の混合物のテルル化物から選ばれる無機材料を含み得る。
適切なn-型材料であり得る他の半導体の例は、例えば、それらがn-ドープされている場合、IV族元素または化合物半導体;アモルファスSi;III-V族半導体(例えばヒ化ガリウム);II-VI族半導体(例えばセレン化カドミウム);I-VII族半導体(例えば塩化第一銅);IV-VI族半導体(例えばセレン化鉛);V-VI族半導体(例えばテルル化ビスマス);およびII-V族半導体(例えばヒ化カドミウム)を含む。
他のn-型材料もまた採用され得、有機およびポリマー電子輸送材料、および電解質を含む。適切な例は、フラーレンまたはフラーレン誘導体(例えば、C60、C70、フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM)、PC71BM(すなわち、フェニルC71酪酸メチルエステル、ビス[C60]BM(すなわち、ビス-C60酪酸メチルエステル)、および1’,1’’,4’,4’’-テトラヒドロ-ジ[1,4]メタノナフタレノ[1,2:2’,3’,56,60:2’’,3’’][5,6]フラーレン-C60(ICBA))、ペリレンまたはその誘導体を含む有機電子輸送材料、ポリ{[N,N0-ビス(2-オクチルドデシル)-ナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)-2,6-ジイル]-alt-5,50-(2,20-ビチオフェン)}(P(NDI2OD-T2))またはバソクプロイン(BCP)を含むがこれらに限定されない。
典型的には、電子輸送n-型材料はフェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM)である。
正孔輸送(p-型)材料の例は、当業者に公知である。p-型材料は、単一のp-型化合物または元素材料、または2つ以上のp-型化合物または元素材料の混合物であり得、これはドープされていなくてもよく、または1つ以上のドーパント元素でドープされていてもよい。
p-型材料は、無機または有機p-型材料を含み得る。例えば、p-型材料は、有機p-型材料であり得る。
適切なp-型材料は、ポリマーまたは分子正孔輸送体から選ばれ得る。p-型材料は、例えば、スピロ-OMeTAD(2,2’,7,7’-テトラキス-(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)9,9’-スピロビフルオレン))、P3HT(ポリ(3-ヘキシルチオフェン))、PCPDTBT(ポリ[2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4,7-ジイル[4,4-ビス(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b:3,4-b']ジチオフェン-2,6-ジイル]])、PVK(ポリ(N-ビニルカルバゾール))、HTM-TFSI(1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)、Li-TFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、スピロ-OMETAD+-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド-(スピロ(TFSI)2)、tBP(tert-ブチルピリジン)、m-MTDATA(4,4’,4’’-トリス(メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、MeOTPD(N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)-ベンジジン)、BP2T(5,5’-ジ(ビフェニル-4-イル)-2,2’-ビチオフェン)、ジ-NPB(N,N’-ジ-[(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル]-1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン)、α-NPB(N,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニル-ベンジジン)、TNATA(4,4',4’’-トリス-(N-(ナフチレン-2-イル)-N-フェニルアミン)トリフェニルアミン)、BPAPF(9,9-ビス[4-(N,N-ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)フェニル]-9H-フルオレン)、スピロ-NPB(N2,N7-ジ-1-ナフタレニル-N2,N7-ジフェニル-9,9'-スピロビ[9H-フルオレン]-2,7-ジアミン)、4P-TPD(4,4-ビス-(N,N-ジフェニルアミノ)-テトラフェニル)、ポリTPD(すなわち、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビスフェニルベンジジン])、PTAA(すなわち、ポリ(トリアリールアミン)、ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン])としても知られる、またはPEDOT:PSSを含み得る。p-型材料は、炭素ナノチューブを含み得る。通常、p-型材料は、スピロ-OMeTAD、P3HT、PCPDTBT、ポリTPD、スピロ(TFSI)2およびPVKから選ばれる。
典型的には、正孔輸送(p-型)材料はポリTPDを含む。しばしば、正孔輸送(p-型)材料はN,N’-ビス(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(NPD)を含む。正孔輸送(p-型)材料は、例えばポリTPDおよびNPDを含み得る。例えば、電荷輸送材料を含む層は、ポリTPDを含む第1副層(サブレイヤー;sub-layer)およびNPDを含む第2副層を含むp-型層であり得る。NPDを含む第2副層は、結晶性A/M/X材料を含む層に隣接し得る。NPDを含む第2副層は、結晶性A/M/X材料を含む層と平面ヘテロ接合を形成し得る。
適切なp-型材料はまた、分子正孔輸送体、ポリマー正孔輸送体およびコポリマー正孔輸送体を含む。p-型材料は、例えば、分子正孔輸送材料、以下の部分の1つ以上を含むポリマーまたはコポリマーであり得る:チオフェニル、フェネレニル(phenelenyl)、ジチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ジケトピロロピロリル、エトキシジチオフェニル、アミノ、トリフェニルアミノ、カルボゾリル(carbozolyl)、エチレンジオキシチオフェニル、ジオキシチオフェニル、またはフルオレニル。
p-型材料は、例えば、tertブチルピリジンおよびLiTFSIでドープされ得る。p-型材料は、正孔密度を増加させるためにドープされ得る。p-型材料は、例えば、正孔密度を増加させるためにNOBF4(ニトロソニウムテトラフルオロボレート)でドープされ得る。p-型材料は、例えば2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)でドープされ得る。しばしば、正孔輸送(p-型)材料がポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビスフェニルベンジジン](ポリTPD)を含む場合、ポリTPDはF4-TCNQでドープされる。F4-TCNQでドープされたポリTPDは、一般にポリTPD:F4-TCNQと呼ばれる。
従って、正孔輸送(p-型)材料は、典型的にはポリTPD:F4-TCNQを含む。正孔輸送(p-型)材料は、例えばポリTPD:F4-TCNQおよびNPDを含み得る。例えば、電荷輸送材料を含む層は、ポリTPD:F4-TCNQを含む第1副層およびNPDを含む第2副層を含むp-型層であり得る。NPDを含む第2副層は、結晶性A/M/X材料を含む層に隣接し得る。NPDを含む第2副層は、結晶性A/M/X材料を含む層と平面ヘテロ接合を形成し得る。
正孔輸送材料(p-型材料)は固体無機正孔輸送材料を代わりに含み得る。例えば、p-型層は、ニッケル(例えばNiO)、バナジウム、銅、ガリウム、クロムまたはモリブデン、あるいはそれらの任意の組み合わせの酸化物;CuI、CuBr、CuSCN、Cu2O、CuOまたはCIS;ペロブスカイト;アモルファスSi;p-型IV族半導体、p-型III-V族半導体、p-型II-VI族半導体、p-型I-VII族半導体、p-型IV-VI族半導体、p-型V-VI族半導体、およびp-型II-V族半導体を含む無機正孔輸送体を含み得、この無機材料はドープされていなくてもよくまたはドープされていてもよい。p-型層は、該無機正孔輸送体の緻密層であり得る。
p-型材料は、無機p-型材料、例えば、ニッケル、バナジウム、銅またはモリブデンの酸化物;CuI、CuBr、CuSCN、Cu2O、CuOまたはCIS;アモルファスSi;p-型IV族半導体、p-型III-V族半導体、p-型II-VI族半導体、p-型I-VII族半導体、p-型IV-VI族半導体、p-型V-VI族半導体、およびp-型II-V族半導体を含む材料であり得、この無機材料はドープされていなくてもよくまたはドープされていてもよい。p-型材料は、例えば、CuI、CuBr、CuSCN、Cu2O、CuOおよびCISから選ばれる無機正孔輸送体を含み得る。
正孔輸送(p-型)材料の層は、ニッケル、バナジウム、銅またはモリブデンの酸化物を含む固体無機正孔輸送材料であり得る。固体無機正孔輸送材料は、典型的には緻密層として存在する。しばしば、固体無機正孔輸送材料は、酸化ニッケルを含む。例えば、光電子デバイスは、酸化ニッケルの緻密層を含み得る。従って、その上に結晶性A/M/X材料が配置される電荷輸送材料を含む層は、上記で議論したように、ニッケル、バナジウム、銅またはモリブデンの酸化物、例えば酸化ニッケルを含む固体無機正孔輸送材料であり得る。
しかしながら、典型的には、その上に結晶性A/M/X材料が配置される電荷輸送材料を含む層は、正孔輸送(p-型)材料の層であり、そしてこれは典型的には有機正孔輸送材料である。有機正孔輸送材料は、典型的にはポリTPD、またはNPDを含む。有機正孔輸送材料は、典型的にはポリTPDを含むが、ポリTPDおよびNPDを含み得る(例えばポリTPDを含む第1層およびNPDを含む第2層の形態で)。しばしば、ポリTPDはp-ドープされる。ドーパントは、F4-TCNQであり得る。従って、有機正孔輸送材料は、典型的にはポリTPD:F4-TCNQを含む。それはポリTPD:F4-TCNQおよびNPDを含み得る(例えばポリTPD:F4-TCNQを含む第1層およびNPDを含む第2層の形態で)。典型的には、結晶性A/M/X材料を含む層は、正孔輸送(p-型)材料の層上に直接、例えばポリTPD、好ましくはポリTPD:F4-TCNQを含む有機正孔輸送材料を含む層上に直接、またはNPDを含む有機正孔輸送材料を含む層上に直接配置される。
従って、本発明の光電子デバイスは、以下の層を以下の順序で含み得る:
・電荷輸送材料を含む層(典型的には、例えばポリTPD、NPD、ポリTPDおよびNPD、または酸化ニッケルを含む本明細書中で記載したp-型材料;しかし、これは、あるいは、n-型材料であり得る);
・本明細書中で記載したイオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層。
本発明の光電子デバイスは、第1電極をさらに含み得る。従って、本発明の光電子デバイスは、以下の層を以下の順序で含み得る:
・典型的には陽極である第1電極。それは典型的には透明電極である。第1電極は典型的には透明導電性酸化物を含む。
・電荷輸送材料を含む層(典型的には、例えばポリTPD、NPD、ポリTPDおよびNPD、または酸化ニッケルを含む本明細書中で記載したp-型材料;しかし、これは、あるいは、n-型材料であり得る);
・本明細書中で記載したイオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層。
1つの実施態様において、光電子デバイスは、本明細書中で記載した電荷輸送材料を含む2つの層を含む。2つの層は、典型的にはそれぞれ結晶性A/M/X材料の層の上方および下方に配置される。一般に、2つの層の1つはn-型層であり、そして他方はp-型層である。従って、典型的には、電荷輸送材料を含む層の1つは、正孔輸送(p-型)材料を含み、これは本明細書中で記載した任意のp-型材料であり得(例えば、それはポリTPD、NPD、ポリTPDおよびNPD(例えば、それぞれポリTPDおよびNPDを含む2つの副層において)、または酸化ニッケルを含み得る)、そして電荷輸送材料を含む層の他方は、電子輸送(n-型)材料を含み、これは本明細書中で記載した任意のn-型材料であり得る(例えば、それはPCBMまたは酸化チタンを含み得る)。従って、本発明の光電子デバイスは、以下の層を以下の順序で含み得る:
・電荷輸送材料を含む層(典型的には、本明細書中で記載したp-型材料、しかし、これは、あるいは、n-型材料であり得る);
・本明細書中で記載したイオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層;
・電荷輸送材料を含む層(典型的には、本明細書中で記載したn-型材料、しかし、これは、あるいは、p-型材料であり得る)。
本発明の光電子デバイスは、典型的には第1電極および第2電極をさらに含む。
第1電極は、金属(例えば、銀、金、アルミニウムまたはタングステン)、PEDOT:PSSなどの有機導電性材料、または透明導電性酸化物(例えば、フッ素ドープした酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープした酸化亜鉛(AZO)またはインジウムドープした酸化スズ(ITO))を含み得る。典型的には、第1電極は透明電極であり、そして典型的にはこれは陽極である。従って、第1電極は、典型的には陽極である(および第2電極は典型的には陰極である)。従って、第1電極は、典型的には透明導電性酸化物、好ましくはFTO、ITOまたはAZOを含む。第1電極の層の厚さは、典型的には10 nm~100 nm、より典型的には40~400nmである。
第2電極は、第1電極について上記で定義した通りであり得、例えば第2電極は、金属(例えば、銀、金、アルミニウムまたはタングステン)、PEDOT:PSSなどの有機導電性材料、または透明導電性酸化物(例えば、フッ素ドープした酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープした酸化亜鉛(AZO)またはインジウムドープした酸化スズ(ITO))を含み得る。しかし、典型的には、第2電極は、金属、例えば、元素金属を含み、またはそれから実質的になる。従って、第2電極は、典型的には陰極である(および第1電極は典型的には陽極である)。第2電極材料が含み得る、またはそれから実質的になり得る金属の例は、銀、金、銅、アルミニウム、モリブデン、白金、パラジウム、またはタングステンを含む。第2電極は、真空蒸着によって配置され得る。第2電極材料の層の厚さは、典型的には10~1000 nm、好ましくは50 nm~150 nmである。
第2電極(通常陰極)は、必要に応じて金属/金属酸化物を含むさらなる層、典型的にはクロムおよび酸化クロム(III)(Cr/Cr2O3)の混合物を含む層を含み得る。Cr/Cr2O3層の厚さは、典型的には1~10nmの間である。
典型的には、光電子デバイスは、本明細書中で記載した電荷輸送材料を含む1つ以上の層を含む。典型的には、それは、本明細書中で記載した電荷輸送材料を含む2つの層(すなわち少なくとも2つの層)を含む。2つの層は、典型的にはそれぞれ結晶性A/M/X材料の上方および下方に配置される。上記で議論したように、典型的には、電荷輸送材料を含む層の1つは、正孔輸送(p-型)材料を含み、これは本明細書中で記載した任意のp-型材料であり得(例えば、それはポリTPD、NPD、ポリTPDおよびNPD(例えば、それぞれポリTPDおよびNPDを含む2つの副層において)、または酸化ニッケルを含み得る)、そして電荷輸送材料を含む層の他方は、電子輸送(n-型)材料を含み、これは本明細書中で記載した任意のn-型材料であり得る(例えば、それはPCBMまたは酸化チタンを含み得る)。本明細書中で記載したように、典型的には、結晶性A/M/X材料を含む層は、正孔輸送材料を含む層上に配置され、そして電子輸送(n-型)材料を含む層は、結晶性A/M/X材料を含む層上に配置される。従って、本発明の光電子デバイスは、以下の層を以下の順序で含み得る:
・典型的には陽極である第1電極。第1電極は典型的には透明導電性酸化物、例えばFTOを含む;
・電荷輸送材料を含む層(これは、典型的には、例えばポリTPD:F4-TCNQ、またはNPD、またはポリTPD:F4-TCNQおよびNPDの両方(例えば、それぞれポリTPD:F4-TCNQおよびNPDを含む2つの副層において)、または酸化ニッケルを含む本明細書中で定義したp-型材料であり、しかし、それは、あるいは、n-型材料であり得る);
・本明細書中で記載したイオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層;
・電荷輸送材料を含む層(これは、典型的には、例えばPCBMを含む、またはPCBMおよびBCPの両方を含む本明細書中で記載したn-型材料であり(例えば、それぞれPCBMおよびBCPを含む2つの副層において)、しかし、これは、あるいは、他の電荷輸送材料を含む層がn-型材料を含む場合、p-型材料であり得る);
・典型的には陰極である第2電極。第1電極は、典型的には元素金属を含む。
本発明の光電子デバイスは、ポジティブ-イントリンシック-ネガティブ(p-i-n)構造またはネガティブ-イントリンシック-ポジティブ(n-i-p)構造を有し得る。ポジティブ-イントリンシック-ネガティブ(p-i-n)構造において、結晶性A/M/X材料の層はp-型層上に堆積され、そしてn-型層は結晶性A/M/X材料の層の上部に堆積される。典型的には、光はp-型層がある側からデバイスに入り、すなわちp-型層は透明電極(一般的には陽極)上に配置される。
ネガティブ-イントリンシック-ポジティブ(n-i-p)構造において、結晶性A/M/X材料の層はn-型層上に堆積され、p-型層は結晶性A/M/X材料の層の上部に堆積される。典型的には、光はn-型層がある側からn-i-pデバイスに入り、すなわちn-型層は第1透明電極(一般的には陽極)上に配置される。しかし、第2電極が半透明である場合、光はp-型層を通ってn-i-pセル構造に入射し得る。
典型的には、本発明の光電子デバイスは、ポジティブ-イントリンシック-ネガティブ(p-i-n)構造を有する。従って、光電子デバイスは、正孔輸送(p-型)材料を含む層(これは、本明細書中のどこかでさらに定義した通りであり得る)を含み得、ここで結晶性A/M/X材料を含む層は正孔輸送材料を含む層上に配置され、そして以下をさらに含み得る:
透明導電性酸化物を含む第1電極、ここで正孔輸送材料を含む層は、結晶性A/M/X材料を含む層と第1電極との間に配置される;
電子輸送(n-型)材料を含む層(これは、本明細書中のどこかでさらに定義した通りであり得る);および
元素形態の金属を含む第2電極、ここで電子輸送材料を含む層は、結晶性A/M/X材料を含む層と第2電極との間に配置される。
上記の光電子デバイスは、上記の層間に配置された1つ以上の追加の層を含み得ることが理解されるべきである。例えば、光電子デバイスは、第1電極と電荷輸送材料の層との間に配置された1つ以上の追加の層を含み得る。光電子デバイスは、電荷輸送材料の層のいずれかと結晶性A/M/X材料の層との間に配置された1つ以上の追加の層を含み得る。光電子デバイスは、電荷輸送材料の層と第2電極との間に配置された1つ以上の追加の層を含み得る。
例えば、光電子デバイスは、電子輸送(n-型)材料を含む1つ以上の追加の層、または1つ以上のバッファ層を含み得る。典型的には、このような層は、電荷輸送材料を含む層(典型的には電子輸送材料)と第2電極との間に配置される。この場合、電子輸送材料を含む追加の層は、本明細書中で記載した電子輸送材料を含み得る。典型的には、電子輸送材料は、有機電子輸送材料、例えばフラーレンまたはフラーレン誘導体(例えばC60、C70、フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM)、PC71BM(すなわちフェニルC71酪酸メチルエステル)、ビス[C60]BM(すなわちビス-C60酪酸メチルエステル)、および1’,1’’,4’,4’’-テトラヒドロ-ジ[1,4]メタノナフタレノ[1,2:2’,3’,56,60:2’’,3’’][5,6]フラーレン-C60(ICBA))、ペリレンまたはその誘導体を含む有機電子輸送材料、ポリ{[N,N0-ビス(2-オクチルドデシル)-ナフタレン-1,4,5,8-ビス(ジカルボキシイミド)-2,6-ジイル]-alt-5,50-(2,20-ビチオフェン)}(P(NDI2OD-T2))またはバソクプロイン(BCP)、好ましくはバソクプロイン(BCP)である。好ましくは、光電子デバイスは、電荷輸送材料を含む層(典型的には)と第2電極との間に配置されたバッファ層を含む。好ましくは、バッファ層はバソクプロイン(BCP)を含む。
従って、本発明は、典型的には第2電極と結晶性A/M/X材料の層との間に配置された2つの層;n-型層およびバッファ層、または2つのn-型層を使用する。従って、1つの実施態様において、本発明の光電子デバイスは、以下の層を以下の順序で含み、好ましくはp-i-nデバイスを反映する:
・典型的には陽極である第1電極。それは典型的には透明電極である。第1電極は典型的には本明細書中で記載した透明導電性酸化物、例えば、FTO、ITOまたはAZOを含む。しばしば、透明導電性酸化物はガラス上に配置される。
・正孔輸送(p-型)材料の層、典型的にはポリTPD(好ましくはポリTPD:F4-TCNQ)、NPD、ポリTPDおよびNPD(好ましくはポリTPD:F4-TCNQ and NPD)、または酸化ニッケルを含む;
・本明細書中で記載した結晶性A/M/X材料の層、典型的には本明細書中で記載したイオン性固体で改質された以下に記載した式I、IAまたはIDの化合物を含む;
・電子輸送(n-型)材料の層、PCBMを含む;
・任意のバッファ層または電子輸送(n-型)材料のさらなる層;これは、好ましくはバソクプロイン(BCP)を含む層である;
・典型的には陰極である第2電極。第2電極は、好ましくは金属、例えばAu、またはCr、またはAuおよびCrを含む。典型的には、それは元素金属を含む。第2電極は、クロムおよび酸化クロム(III)の混合物(Cr/Cr2O3)を含み得る。第2電極は、Auならびにクロムおよび酸化クロム(III)の混合物(Cr/Cr2O3)を含み得る。
典型的には、正孔輸送(p-型)材料の層は、イオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層と平面ヘテロ接合を形成する。典型的には、電子輸送(n-型)材料の層は、イオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層と平面ヘテロ接合を形成する。従って、典型的には、イオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層は、電子輸送(n-型)材料と第1の平面ヘテロ接合および正孔輸送(p-型)材料と第2の平面ヘテロ接合を形成する。
1つの実施態様において、本発明の光電子デバイスは、p-i-nデバイスにおいて、以下の層を以下の順序で含む:
・典型的には透明導電性酸化物、例えば、FTO、ITOまたはAZOを含む透明陽極である第1電極。好ましくは、透明導電性酸化物はガラス上に配置される;
・正孔輸送(p-型)材料の層、典型的にはポリTPD(好ましくは、ポリTPD:F4-TCNQ)、ポリTPDおよびNPD(好ましくは、ポリTPD:F4-TCNQおよびNPD)、または酸化ニッケルを含む;
・本明細書中で記載した結晶性A/M/X材料の層、典型的には本明細書中で記載したイオン性固体で改質された以下に記載した式I、IAまたはIDの化合物を含む;
・電子輸送(n-型)材料の層、好ましくはPCBMを含む;
・任意のバッファ層または電子輸送(n-型)材料のさらなる層;これは、好ましくはバソクプロインを含む層である;
・典型的には元素金属、例えばAuを含む陰極である第2電極。典型的には、それはCrをさらに含む。例えば、第2電極は、クロムおよび酸化クロム(III)の混合物(Cr/Cr2O3)をさらに含み得る。
典型的には、正孔輸送(p-型)材料の層は、イオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層と平面ヘテロ接合を形成する。典型的には、電子輸送(n-型)材料の層は、イオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層と平面ヘテロ接合を形成する。従って、典型的には、イオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層は、電子輸送(n-型)材料と第1の平面ヘテロ接合および正孔輸送(p-型)材料と第2の平面ヘテロ接合を形成する。
しかしながら、本発明の光電子デバイスは、ネガティブ-イントリンシック-ポジティブ(n-i-p)構造を有し得る。従って、光電子デバイスは、電子輸送(n-型)材料を含む層(これは、本明細書中のどこかでさらに定義した通りであり得る)を含み得、ここで結晶性A/M/X材料を含む層は電子輸送材料を含む層上に配置され、そして以下をさらに含み得る:
透明導電性酸化物を含む第1電極、ここで電子輸送材料を含む層は、結晶性A/M/X材料を含む層と第1電極との間に配置される;
正孔輸送(p-型)材料を含む層(これは、本明細書中のどこかでさらに定義した通りであり得る);および
元素形態の金属を含む第2電極、ここで正孔輸送材料を含む層は、結晶性A/M/X材料を含む層と第2電極との間に配置される。
別の実施態様において、本発明の光電子デバイスは、n-i-pデバイスにおいて、以下の層を以下の順序で含む:
・典型的には透明導電性酸化物、例えば、FTO、ITOまたはAZOを含む透明陽極である第1電極。好ましくは、透明導電性酸化物はガラス上に配置される;
・電子輸送(n-型)材料の層、これは本明細書中で定義した任意の電子輸送(n-型)材料、そして特に任意の好ましい無機n-型材料または好ましい有機n-型材料であり得る;
・本明細書中で記載した結晶性A/M/X材料の層、典型的には本明細書中で記載したイオン性固体で改質された以下に記載した式I、IAまたはIDの化合物を含む;
・正孔輸送(p-型)材料の層、これは本明細書中で定義した任意の正孔輸送(p-型)材料、そして特に任意の好ましい無機p-型材料または好ましい有機p-型材料であり得る;
・典型的には元素金属、例えばAuを含む陰極である第2電極。典型的には、それはCrをさらに含む。例えば、第2電極は、クロムおよび酸化クロム(III)の混合物(Cr/Cr2O3)をさらに含み得る。
典型的には、正孔輸送(p-型)材料の層は、イオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層と平面ヘテロ接合を形成する。典型的には、電子輸送(n-型)材料の層は、イオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層と平面ヘテロ接合を形成する。従って、典型的には、イオン性固体で改質された結晶性A/M/X材料の層は、電子輸送(n-型)材料と第1の平面ヘテロ接合および正孔輸送(p-型)材料と第2の平面ヘテロ接合を形成する。
本発明の光電子デバイスは、光起電デバイス(例えば太陽電池)、光ダイオード、光トランジスタ、光電子増倍管、フォトレジスタ、または発光デバイスであり得る。
典型的には、本発明の光電子デバイスは、光起電デバイスまたは発光デバイスである。それは、しばしば光起電デバイスである。好ましくは、光起電デバイスは、ポジティブ-イントリンシック-ネガティブ(p-i-n)平面ヘテロ接合光起電デバイスである。あるいは、それは、ネガティブ-イントリンシック-ポジティブ(n-i-p)平面ヘテロ接合光起電デバイスであり得る。本発明の光起電デバイスは、太陽電池であり得る。
本発明の光起電デバイスは、単接合光起電デバイスであり得る。あるいは、それは、タンデム接合または多接合光起電デバイス、例えばタンデム接合または多接合太陽電池であり得る。本発明のタンデム接合または多接合光起電デバイスにおいて、本明細書中で開示したA/M/X技術は、公知の技術と組み合わせて最適化した性能を提供し得る。
典型的には、本発明の光起電デバイスがタンデム接合光起電デバイスである場合、デバイスは、さらなる光活性領域、すなわち光を吸収し、そして次いで自由電荷担体を発生し得るさらなる領域をさらに含む。さらなる光活性領域は、結晶性A/M/X材料を含む層および電荷輸送材料(それぞれ電子-および正孔-輸送材料)を含む隣接する層を含む領域以外である。さらなる光活性領域は、通常、結晶性A/M/X材料を含む層および電荷(電子-および正孔-)輸送材料を含む隣接する層を含む領域の外側である。従って、さらなる光活性領域は、本明細書中で定義した本発明のデバイスにおいて、第1電極と電荷(電子または正孔)輸送材料を含む隣接する層との間、または第2電極と電荷(電子または正孔)輸送材料を含む隣接する層との間に配置され得る。典型的には、本発明の光起電デバイスが多接合光起電デバイスである場合、デバイスは、複数のさらなる光活性領域をさらに含む。さらなる光活性領域の1つ1つは、本明細書中で定義した本発明のデバイスにおいて、第1電極と電荷(電子または正孔)輸送材料を含む隣接する層との間、または第2電極と電荷(正孔または電子)輸送材料を含む隣接する層との間に配置され得る。
典型的には、そのまたは各さらなる光活性領域は、少なくとも1つの半導体材料の層を含む。半導体材料は、例えばケイ素を含み得る。それは、例えば結晶性ケイ素を含み得る。あるいは、例えば、半導体材料は、銅亜鉛スズスルフィド、銅亜鉛スズセレニド、銅亜鉛スズセレニドスルフィド、銅インジウムガリウムセレニド、銅インジウムガリウムジセレニドまたは銅インジウムセレニドを含み得る。
従って、例えば、本発明の光起電デバイスがタンデム接合光起電デバイスである場合、さらなる光活性領域は、従来のケイ素太陽電池であり得る。さらなる光活性領域は、例えば、結晶性ケイ素または銅亜鉛スズスルフィド、銅亜鉛スズセレニド、銅亜鉛スズセレニドスルフィド、銅インジウムガリウムセレニド、銅インジウムガリウムジセレニドまたは銅インジウムセレニドなどの別の薄膜技術を含み得る従来の薄膜太陽電池であり得る。さらなる光活性領域は、好ましくはケイ素サブセル(sub-cell)である。
本発明の光起電デバイスが多接合光起電デバイスである場合、少なくとも1つのさらなる光活性領域は、従来のケイ素太陽電池であり得る。少なくとも1つのさらなる光活性領域は、例えば、結晶性ケイ素または銅亜鉛スズスルフィド、銅亜鉛スズセレニド、銅亜鉛スズセレニドスルフィド、銅インジウムガリウムセレニド、銅インジウムガリウムジセレニドまたは銅インジウムセレニドなどの別の薄膜技術を含み得る従来の薄膜太陽電池であり得る。好ましくは、少なくとも1つのさらなる光活性領域は、ケイ素サブセルである。
しかしながら、1つの好ましい実施態様において、本発明の光電子デバイスは発光デバイスである。それは、例えば発光ダイオードであり得る。
対アニオンの位置
対アニオンは、(a)結晶性A/M/X材料を含む層内、(b)結晶性A/M/X材料を含む層と電荷輸送材料を含む層との間、および/または(c)電荷輸送材料を含む層内に存在し得る。
1つの実施態様において、対アニオンは、結晶性A/M/X材料を含む層内に存在する。別の実施態様において、対アニオンは、結晶性A/M/X材料を含む層と電荷輸送材料を含む層との間に存在する。別の実施態様において、対アニオンは、電荷輸送材料を含む層内に存在する。
例えば、対アニオンは:(a)結晶性A/M/X材料を含む層内および(b)結晶性A/M/X材料を含む層と電荷輸送材料を含む層との間に存在し得る。対アニオンは:(a)結晶性A/M/X材料を含む層内および(c)電荷輸送材料を含む層内に存在し得る。対アニオンは:(b)結晶性A/M/X材料を含む層間および(c)電荷輸送材料を含む層内に存在し得る。対アニオンは、(a)結晶性A/M/X材料を含む層内、(b)結晶性A/M/X材料を含む層と電荷輸送材料を含む層との間および(c)電荷輸送材料を含む層内に存在し得る。
典型的には、対アニオンのいくつかまたは全ては:(b)結晶性A/M/X材料を含む層と電荷輸送材料を含む層との間および(c)電荷輸送材料を含む層内に存在する。対アニオンのいくつかは:(b)結晶性A/M/X材料を含む層と電荷輸送材料を含む層との間および(c)電荷輸送材料を含む層内に存在し得る。対アニオンの全ては:(b)結晶性A/M/X材料を含む層と電荷輸送材料を含む層との間および(c)電荷輸送材料を含む層内に存在し得る。
典型的には、対アニオンのいくつかまたは全ては、電荷輸送材料を含む層内に存在する。例えば、対アニオンのいくつかは、電荷輸送材料を含む層内に存在し得る。例えば、対アニオンの全ては、電荷輸送材料を含む層内に存在し得る。
典型的には、有機カチオンおよび対アニオンは、結晶性A/M/X材料を含む層内に存在する。典型的には、結晶性A/M/X材料は、A/M/X材料の微結晶および該微結晶間の粒界を含む多結晶性A/M/X材料であり、ここで有機カチオンおよび対アニオンは、微結晶間の粒界において、および結晶性A/M/X材料の外面上に存在する。
典型的には、対アニオンのいくつかまたは全ては、結晶性A/M/X材料内に存在しない。例えば、対アニオンの少なくともいくつかは、結晶性A/M/X材料の外面上に存在し得る。例えば、対アニオンの全ては、結晶性A/M/X材料の外面上に存在し得る。従って、対アニオンは、結晶性A/M/X材料を含む層のバルク材料中に存在し得ず、そして例えば、電荷輸送材料との界面に存在し得る。
上記で議論したように、電荷輸送材料を含む層は、本明細書中で記載したように電子輸送(n-型)材料の層、または本明細書中で記載したように正孔輸送(p-型)材料の層であり得る。典型的には、電荷輸送材料を含む層は、正孔輸送(p-型)材料の層である。従って、典型的には、電荷輸送材料は正孔輸送(p-型)材料である。典型的には、電荷輸送材料を含む層は、ポリTPD、または酸化ニッケル、例えばそれはポリTPD:F4-TCNQであり得る、または酸化ニッケルの緻密層を含む。典型的には、結晶性A/M/X材料を含む層は、電荷輸送材料を含む層上に直接配置され、その結果、結晶性A/M/X材料を含む層および電荷輸送材料を含む層は物理的接触状態にある。従って、結晶性A/M/X材料を含む層は、ポリTPD(好ましくはポリTPD:F4-TCNQ)を含む層上に直接配置され得る。
従って、対アニオンは、(a)結晶性A/M/X材料を含む層内、(b)結晶性A/M/X材料を含む層と、好ましくはポリTPDまたは酸化ニッケルを含む正孔輸送(p-型)材料の層との間、および/または(c)好ましくはポリTPDまたは酸化ニッケルを含む正孔輸送(p-型)材料の層内に存在し得る。イオン性固体は、結晶性A/M/X材料の層と正孔輸送(p-型)材料の層との間の界面に改善された相互作用を提供し、それによってVOC、曲線因子(FF)および効率(PCE)を強化すると考えられる。
第2イオン性化合物でのさらなる処理
本発明の光電子デバイスは、第2イオン性化合物をさらに含み得、ここで第2イオン性化合物は、イオン性固体とは異なる、有機カチオンおよび対アニオンを含む塩である。第2イオン性化合物は、典型的には室温で固体状態である。それは、通常50℃でおよび50℃未満の温度で固体状態である。言い換えれば、第2イオン性化合物は、典型的には50℃より高い融点を有する。しばしば、第2イオン性化合物は、100℃でおよび100℃未満の温度で固体状態である。言い換えれば、第2イオン性化合物は、通常100℃より高い融点を有する。第2イオン性化合物は、イオン性固体について本明細書中のどこかでさらに定義した通りであり得、但し、第2イオン性化合物が本発明の光電子デバイスに存在する場合、それは、本発明の光電子デバイスに存在するイオン性固体とは異なる。通常、第2イオン性化合物の有機カチオン、対アニオン、または有機カチオンおよび対アニオンの両方は、イオン性固体のそれらとは異なる。
しばしば、第2イオン性化合物の有機カチオンは、イオン性固体のそれとは異なる。
例えば、本発明の光電子デバイスは、有機カチオンおよび対アニオンを含む塩である第2イオン性化合物をさらに含み得、ここで第2イオン性化合物の有機カチオンは式IIのイミニウムカチオン(例えばN-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウム)であり、そしてイオン性固体の有機カチオンは式IIIのイミダゾリウムカチオンまたは式IVのトリアゾリウムカチオンである。
あるいは、例えば、本発明の光電子デバイスは、有機カチオンおよび対アニオンを含む塩である第2イオン性化合物をさらに含み得、ここで第2イオン性化合物の有機カチオンは式IVのトリアゾリウムカチオン(例えば6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウム)であり、そしてイオン性固体の有機カチオンは式IIIのイミダゾリウムカチオンである。
しばしば、第2イオン性化合物の対アニオンは、イオン性固体のそれと同じである。それは、しばしば同じ多原子対アニオン、例えば同じボレート対アニオンである。それは、しばしばテトラフルオロボレートである。
第2イオン性化合物は、典型的には電荷輸送材料を含む層と結晶性A/M/X材料を含む層との間に配置される。従って、第2イオン性化合物は、結晶性A/M/X材料を含む層と電荷輸送材料を含む層との間の界面に配置され得る。電荷輸送材料を含む層は、本明細書中のどこかでさらに定義した通りであり得;それは、典型的には本明細書中で記載した正孔輸送(p-型)材料、例えばポリTPD、NPD、ポリTPDおよびNPD、または酸化ニッケルを含む;しかし、それは、あるいは、電子輸送(n-型)材料、例えばPCBMを含み得る。
第2イオン性化合物は、結晶性A/M/X材料を含む層のいずれかの側上、または結晶性A/M/X材料を含む層の両方の側上(すなわち「上方」および「下方」の両方)に配置され得る。第2イオン性化合物は、結晶性A/M/X材料を含む層と電荷輸送材料を含む、A/M/X材料の両側の2つの層との間の両方の界面に配置され得る。従って、第2イオン性化合物は、結晶性A/M/X材料を含む層と正孔輸送(p-型)材料を含む層との間および結晶性A/M/X材料を含む層と電子輸送(n-型)材料を含む層との間に配置され得る。従って、第2イオン性化合物は、結晶性A/M/X材料を含む層と正孔輸送(p-型)材料との間の界面に、および結晶性A/M/X材料を含む層と電子輸送(n-型)材料との間の界面に配置され得る。結晶性A/M/X材料を含む層と正孔輸送(p-型)材料を含む層との間に配置された第2イオン性化合物は、結晶性A/M/X材料を含む層と電子輸送(n-型)材料を含む層との間に配置された第2イオン性化合物と同じであっても異なっていてもよい。
従って、光電子デバイスは、結晶性A/M/X材料を含む層と正孔輸送(p-型)材料を含む層との間に配置された第1の第2イオン性化合物および結晶性A/M/X材料を含む層と電子輸送(n-型)材料を含む層との間に配置された第2の第2イオン性化合物を含み得、ここで第1および第2の第2イオン性化合物は同一または異なる。
A/M/X材料
本発明の光電子デバイスは、結晶性A/M/X材料を含む層を含み、該結晶性A/M/X材料は、式:[A]a[M]b[X]c、式中:[A]は1つ以上のAカチオンを含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は1つ以上のXアニオンを含み;aは1~6の数であり;bは1~6の数であり;およびcは1~18の数である、の化合物を含む。Aはしばしば1~4の数であり、bはしばしば1~3の数であり、そしてcはしばしば1~8の数である。
a、bおよびcのそれぞれは、整数であってもよく、整数でなくてもよい。例えば、a、bまたはcは、化合物が、結晶格子が完全には充填されていないように空孔を有する構造を採用する場合、整数でなくてもよい。本発明の方法は、生成物の化学量論に対して非常に良好な制御を提供し、そしてそれゆえa、bまたはcが整数ではない構造(例えば、A、MまたはXサイトの1つ以上において空孔を有する構造)を形成するのによく適している。従って、いくつかの実施態様において、a、bおよびcの1つ以上は、整数ではない値である。例えば、a、bおよびcの1つは、整数ではない値であり得る。1つの実施態様において、aは整数ではない値である。別の実施態様において、bは整数ではない値である。さらに別の実施態様において、cは整数ではない値である。
他の実施態様において、a、bおよびcのそれぞれは整数値である。従って、いくつかの実施態様において、aは1~6の整数であり;bは1~6の整数であり;そしてcは1~18の整数である。Aはしばしば1~4の整数であり、bはしばしば1~3の整数であり、そしてcはしばしば1~8の整数である。
式[A]a[M]b[X]cの化合物において、一般に:[A]は1つ以上のAカチオンを含み、このAカチオンは、例えば、アルカリ金属カチオンまたは有機モノカチオンから選ばれ得;[M]は、Pd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+、Te4+、Bi3+、Sb3+、Ca2+、Sr2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Yb2+およびEu2+、好ましくはSn2+、Pb2+、Cu2+、Ge2+、およびNi2+;特に好ましくはPb2+およびSn2+から選ばれる金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は、ハライドアニオン(例えばCl-、Br-、およびI-)、O2-、S2-、Se2-、およびTe2-から選ばれる1つ以上のXアニオンを含み;aは1~4の数であり;bは1~3の数であり;そしてcは1~8の数である。
しばしば、[A]a[M]b[X]cの化合物は、メチルアンモニウムカチオンを含まない(すなわちメチルアンモニウムがない)かまたはメチルアンモニウムを少量しか含まないかのいずれかである。ここで、メチルアンモニウムの「少量」は、典型的には式[A]a[M]b[X]cの化合物の[A]がメチルアンモニウムおよびメチルアンモニウム以外の少なくとも1つのAカチオンからなり、但し[A]中のメチルアンモニウムのモル分率が[A]の15%未満であることを意味する。好ましくは、[A]中のメチルアンモニウムのモル分率は、[A]の10%未満、およびより好ましくは[A]の5%未満、例えば[A]の2%未満、より好ましくは[A]の1%未満である。従って、メチルアンモニウムを少量しか含まない式[A]a[M]b[X]cの化合物は、式[(CH3NH3)x(A’)1-x]a[M]b[X]c、式中(A’)はメチルアンモニウム以外の少なくとも1つのAカチオンを表し、およびxは0.15未満、好ましくは0.10未満、例えば0.05未満、およびより好ましくは0.02未満、例えば0.01未満である、の化合物である。典型的には、[A]a[M]b[X]cの化合物は、メチルアンモニウムカチオンを含まず、すなわちメチルアンモニウムカチオンがない。
好ましくは、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、ペロブスカイトを含む。式[A]a[M]b[X]cの化合物は、しばしば金属ハライドペロブスカイトを含む。
[M]は、金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含む。[M]は、2つ以上の異なるMカチオンを含み得る。[M]は、1つ以上のモノカチオン、1つ以上のジカチオン、1つ以上のトリカチオンまたは1つ以上のテトラカチオンを含み得る。
典型的には、1つ以上のMカチオンは、Ca2+、Sr2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Yb2+、Eu2+、Bi3+、Sb3+、Pd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+またはTe4+から選ばれる。好ましくは、1つ以上のMカチオンは、Cu2+、Pb2+、Ge2+またはSn2+から選ばれる。
典型的には、[M]は、1つ以上の金属または半金属ジカチオンを含む。例えば、各Mカチオンは、Ca2+、Sr2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Yb2+およびEu2+、好ましくはSn2+、Pb2+、Cu2+、Ge2+、およびNi2+;好ましくはSn2+およびPb2+から選ばれ得る。いくつかの実施態様において、[M]は2つの異なるMカチオンを含み、典型的には、ここで該カチオンは、Sn2+およびPb2+、好ましくはPb2+である。
一般に、該1つ以上のAカチオンはモノカチオンである。[A]は、典型的には有機および/または無機モノカチオンであり得る1つ以上のAカチオンを含む。典型的には、[A]は、2つ以上の異なるAカチオンを含む。例えば、[A]は、有機および/または無機モノカチオンであり得る少なくとも2つのAカチオン、または有機および/または無機モノカチオンであり得る少なくとも3つのAカチオンを含み得る。従って、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、混合カチオンペロブスカイトであり得る。[A]は、有機カチオンである少なくとも1つのAカチオンおよび無機カチオンである少なくとも1つのAカチオンを含み得る。[A]は、両方とも有機カチオンである少なくとも2つのAカチオンを含み得る。[A]は、両方とも無機カチオンである少なくとも2つのAカチオンを含み得る。1つの実施態様において、[A]は、両方とも有機カチオンである2つのAカチオンおよび無機カチオンであるAカチオンを含む。
A種が無機モノカチオンである場合、Aは、典型的にはアルカリ金属モノカチオン(すなわち、周期律表の1族に見い出される金属のモノカチオン)、例えば、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、例えばCs+またはRb+である。典型的には、[A]は少なくとも1つの有機モノカチオンを含む。A種が有機モノカチオンである場合、Aは、典型的にはアンモニウムカチオン、例えば、メチルアンモニウム、またはイミニウムカチオン、例えば、ホルムアミジミウムである。
従って、典型的には各Aカチオンは:アルカリ金属カチオン、例えば、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+;式[R1R2R3R4N]+のカチオン、式中R1、R2、R3、R4のそれぞれは、独立して水素、無置換または置換C1-20アルキル、および無置換または置換C6-12アリールから選ばれ、およびR1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは水素ではない;式[R5R6N=CH-NR7R8]+のカチオン、式中R5、R6、R7およびR8のそれぞれは、独立して水素、無置換または置換C1-20アルキル、および無置換または置換C6-12アリール;およびC1-10アルキルアンモニウム、C2-10アルケニルアンモニウム、C1-10アルキルイミニウム、C3-10シクロアルキルアンモニウムおよびC3-10シクロアルキルイミニウム、これらはそれぞれ無置換であるかまたはアミノ、C1-6アルキルアミノ、イミノ、C1-6アルキルイミノ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C3-6シクロアルキルおよびC6-12アリールから選ばれる1つ以上の置換基で置換されている、から選ばれる;から選ばれる。
例えば、各Aカチオンは、Cs+、Rb+、メチルアンモニウム[(CH3NH3)+]、エチルアンモニウム[(CH3CH2NH3)+]、プロピルアンモニウム[(CH3CH2CH2NH3)+]、ブチルアンモニウム[(CH3CH2CH2CH2NH3)+]、ペンチルアンモニウム[(CH3CH2CH2CH2CH2NH3)+]、ヘキシルアンモニウム[(CH3CH2CH2CH2CH2CH2NH3)+]、ヘプチルアンモニウム[(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2NH3)+]、オクチルアンモニウム[(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2NH3)+]、テトラメチルアンモニウム[(N(CH3)4)+]、ホルムアミジニウム[(H2N-C(H)=NH2)+]、1-アミノエタン-1-イミニウム[(H2N-C(CH3)=NH2)+]およびグアニジニウム[(H2N-C(NH2)=NH2)+]から選ばれる。好ましくは、各Aカチオンは、Cs+、Rb+、メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ペンチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、ヘプチルアンモニウム、オクチルアンモニウム、ホルムアミジニウムおよびグアニジニウムから選ばれる。しかし、しばしば、[A]はメチルアンモニウムを含まない。
[A]は、通常1つ、2つまたは3つのAモノカチオンを含む。[A]は、メチルアンモニウム[(CH3NH3)+]、エチルアンモニウム[(CH3CH2NH3)+]、プロピルアンモニウム[(CH3CH2CH2NH3)+]、ジメチルアンモニウム[(CH3)2NH+]、テトラメチルアンモニウム[(N(CH3)4)+]、ホルムアミジニウム[(H2N-C(H)=NH2)+]、1-アミノエタン-1-イミニウム[(H2N-C(CH3)=NH2)+]、グアニジニウム[(H2N-C(NH2)=NH2)+]、Cs+およびRb+から選ばれる単一のカチオンを含み得る。例えば、[A]は、メチルアンモニウム[(CH3NH3)+]である単一のカチオンを含み得る。
あるいは、[A]は、この群、例えば、Cs+およびホルムアミジニウム[(H2N-C(H)=NH2)+]、または例えば、Cs+およびRb+、または例えば、メチルアンモニウム[(CH3NH3)+]およびホルムアミジニウム[(H2N-C(H)=NH2)+]、好ましくはCs+およびホルムアミジニウム[(H2N-C(H)=NH2)+]から選ばれる2つのカチオンを含み得る。しかし、しばしば、[A]はメチルアンモニウムを含まない。
あるいは、[A]は、この群、例えば、メチルアンモニウム[(CH3NH3)+]、ホルムアミジニウム[(H2N-C(H)=NH2)+]およびCs+から選ばれる3つのカチオンを含み得る。しかし、しばしば、[A]はメチルアンモニウムを含まない。従って、[A]は、例えばホルムアミジニウムおよびCs+を含み得るが、メチルアンモニウムを含み得ない。[A]は、例えばホルムアミジニウムおよびCs+のみからなり得る。
しばしば、[A]はCs+およびホルムアミジニウムを含み、そして:
(i)式[A]a[M]b[X]cの化合物はメチルアンモニウムを含まない、または
(ii)式[A]a[M]b[X]cの化合物の[A]は、メチルアンモニウム、Cs+およびホルムアミジニウムを含み、但し[A]中のメチルアンモニウムのモル分率は[A]の15%未満である。好ましくは、[A]中のメチルアンモニウムのモル分率は、[A]の10%未満、およびより好ましくは[A]の5%未満、例えば[A]の2%未満、より好ましくは[A]の1%未満である。
[X]は1つ以上のXアニオンを含む。典型的には、[X]は、1つ以上のハライドアニオン、すなわち、F-、Br-、Cl-およびI-から選ばれるアニオンを含む。典型的には、各Xアニオンはハライドである。[X]は、典型的には1つ、2つまたは3つのXアニオンを含み、そしてこれらは通常Br-、Cl-およびI-から選ばれる。
Xは、2つ以上の異なるXアニオンを含み得る。典型的には、[X]は、2つ以上の異なるハライドアニオンを含む。[X]は、例えば、ClおよびBr、またはBrおよびI、またはClおよびIなどの2つのXアニオンからなり得る。従って、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、しばしば混合ハライドペロブスカイトを含む。[A]が1つ以上の有機カチオンを含む場合、式[A]a[M]b[X]cの化合物は有機-無機金属ハライドペロブスカイトであり得る。
典型的には、該1つ以上のAカチオンはモノカチオンであり、該1つ以上のMカチオンはジカチオンであり、そして該1つ以上のXアニオンは1つ以上のハライドアニオンである。
しばしば、[A]は本明細書中で記載した少なくとも2つの異なるAカチオンを含み、そして[X]は本明細書中で記載した少なくとも2つの異なるXアニオンを含む。いくつかの実施態様において、[A]は本明細書中で記載した少なくとも3つの異なるAカチオンを含み、そして[X]は本明細書中で記載した少なくとも2つの異なるXアニオンを含む。
しばしば、[X]はIおよびBrを含む。いくつかの実施態様において、[X]はIおよびBrを含み、ここで式[A]a[M]b[X]cの化合物中のBrに対するIのモル比は、9:1未満、好ましくは7:1未満、より好ましくは4:1以下である。[X]はIおよびBrのみからなり得る。従って、[X]はIおよびBrのみからなり得、そして式[A]a[M]b[X]cの化合物中のBrに対するIのモル比は、9:1未満であり得、そして好ましくは7:1未満、より好ましくは4:1以下である。
しばしば、[X] はIおよびBrを含み、ここで式[A]a[M]b[X]cの化合物中のBrに対するIのモル比は、9:1未満、好ましくは7:1未満、より好ましくは4:1以下であり、そして[A]はCs+およびホルムアミジニウムを含み、ここで:
(i)式[A]a[M]b[X]cの化合物はメチルアンモニウムを含まない、または
(ii)式[A]a[M]b[X]cの化合物の[A]は、メチルアンモニウム、Cs+およびホルムアミジニウムを含み、但し[A]中のメチルアンモニウムのモル分率は[A]の15%未満である。好ましくは、[A]中のメチルアンモニウムのモル分率は、[A]の10%未満、およびより好ましくは[A]の5%未満、例えば[A]の2%未満、より好ましくは[A]の1%未満である。
しばしば、式[A]a[M]b[X]cの化合物において、[X]は[BryI1-y]であり、ここでyは0より大きく1より小さく、従って式[A]a[M]b[X]cの化合物は、式[A]a[M]b[BryI1-y]cの化合物、ここで[A]、a、[M]およびbは本明細書中で定義した通りであり、およびyは0より大きく1より小さい、である。このような実施態様において、yが0.10より大きく1より小さいことが好適であり得る。例えば、yは0.15より大きく1より小さくあり得る。典型的には、例えば、yは少なくとも0.20で1より小さく、例えばyは少なくとも0.22で1より小さくあり得、または少なくとも0.23で1より小さくあり得る。yは、例えば0.15~0.50、例えば0.20~0.40または0.20~0.30であり得る。
しばしば、式[A]a[M]b[X]cの化合物において、[X]は[BryI1-y]、ここでyは0.10より大きく1より小さく、好ましくは0.15より大きく1より小さく、およびより好ましくは少なくとも0.20で1より小さい、であり、そして[A]はCs+およびホルムアミジニウムを含み、ここで:
(i)式[A]a[M]b[X]cの化合物はメチルアンモニウムを含まない、または
(ii)式[A]a[M]b[X]cの化合物の[A]は、メチルアンモニウム、Cs+およびホルムアミジニウムを含み、但し[A]中のメチルアンモニウムのモル分率は[A]の15%未満である。好ましくは、[A]中のメチルアンモニウムのモル分率は、[A]の10%未満、およびより好ましくは[A]の5%未満、例えば[A]の2%未満、より好ましくは[A]の1%未満である。
式[A]a[M]b[X]cの化合物は:
[{(H2N-C(H)=NH2)0.83 (CH3NH3)0.17}0.95Cs0.05]Pb[Br0.1I0.9]3以外であり得る。言い換えれば、化合物は、(FA0.83MA0.17)0.95Cs0.05Pb(I0.9Br0.1)3、ここでFAはホルムアミジニウムであり、およびMAはメチルアンモニウムである、以外であり得る。
典型的には、a = 1、b = 1およびc = 3である。従って、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、式[A][M][X]3、式中[A]、[M]および[X]は本明細書中で記載した通りである、の化合物であり得る。典型的には、結晶性A/M/X材料は:式(I)のペロブスカイトを含む:
[A][M][X]3 (I)
式中:[A]は、モノカチオンである1つ以上のAカチオンを含み;[M]は、金属または半金属ジカチオンである1つ以上のMカチオンを含み;および[X]は、ハライドアニオンである1つ以上のアニオンを含む。
いくつかの実施態様において、式(I)のペロブスカイトは、単一のAカチオン、単一のMカチオンおよび単一のXカチオンを含み、すなわち、ペロブスカイトは式(IA)のペロブスカイトである:
AMX3 (IA)
式中A、MおよびXは上記で定義した通りである。好ましい実施態様において、Aは、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、(H2N-C(CH3)=NH2)+、(H2N-C(NH2)=NH2)+、Cs+およびRb+から選ばれ;MはPb2+またはSn2+であり、およびXはBr-、Cl-およびI-から選ばれる。
例えば、結晶性A/M/X材料は、APbI3、APbBr3、APbCl3、ASnI3、ASnBr3およびASnCl3から選ばれる式(IA)のペロブスカイト化合物を含み得、またはそれから実質的になり得、ここでAは本明細書中で記載したカチオンである。
例えば、結晶性A/M/X材料は、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbBr3、CH3NH3PbCl3、CH3NH3SnI3、CH3NH3SnBr3、CH3NH3SnCl3、CsPbI3、CsPbBr3、CsPbCl3、CsSnI3、CsSnBr3、CsSnCl3、(H2N-C(H)=NH2)PbI3、(H2N-C(H)=NH2)PbBr3、(H2N-C(H)=NH2)PbCl3、(H2N-C(H)=NH2)SnI3、(H2N-C(H)=NH2)SnBr3および(H2N-C(H)=NH2)SnCl3から選ばれ、特にCH3NH3PbI3またはCH3NH3PbBr3、好ましくはCH3NH3PbI3である式(IA)のペロブスカイト化合物を含み得、またはそれから実質的になり得る。
1つの実施態様において、ペロブスカイトは式(IB)のペロブスカイトである:
[AI xAII 1-x]MX3 (IB)
式中AIおよびAIIは、Aに関して上記で定義した通りであり、式中MおよびXは上記で定義した通りであり、および式中xは0より大きく1より小さい。好ましい実施態様において、AIおよびAIIはそれぞれ(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、(H2N-C(CH3)=NH2)+、(H2N-C(NH2)=NH2)+、Cs+およびRb+から選ばれ;MはPb2+またはSn2+であり、そしてXはBr-、Cl-およびI-から選ばれる。AIおよびAIIは、例えば、それぞれ(H2N-C(H)=NH2)+およびCs+であり得るか、またはそれらはそれぞれ(CH3NH3)+および(H2N-C(H)=NH2)+であり得る。あるいは、それらはそれぞれCs+およびRb+であり得る。好ましくは、AIおよびAIIはそれぞれ(H2N-C(H)=NH2)+およびCs+である。
例えば、結晶性A/M/X材料は、(CsxRb1-x)PbBr3、(CsxRb1-x)PbCl3、(CsxRb1-x)PbI3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]PbCl3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]PbBr3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]PbI3、[(CH3NH3)xCs1-x]PbCl3、[(CH3NH3)xCs1-x]PbBr3、[(CH3NH3)xCs1-x]PbI3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]PbCl3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]PbBr3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]PbI3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]SnCl3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]SnBr3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]SnI3、[(CH3NH3)xCs1-x]SnCl3、[(CH3NH3)xCs1-x]SnBr3、[(CH3NH3)xCs1-x]SnI3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]SnCl3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]SnBr3、および[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]SnI3から選ばれる式(IB)のペロブスカイト化合物を含み得、またはそれから実質的になり得、ここでxは0より大きく1より小さく、例えば、xは0.01~0.99または0.05~0.95または0.1~0.9であり得る。
1つの実施態様において、ペロブスカイトは式(IC)のペロブスカイト化合物である:
AM[XI yXII 1-y]3 (IC)
式中AおよびMは上記で定義した通りであり、式中XIおよびXIIは、Xに関して上記で定義した通りであり、および式中yは0より大きく1より小さい。好ましい実施態様において、Aは、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、(H2N-C(CH3)=NH2)+、(H2N-C(NH2)=NH2)+、Cs+およびRb+から選ばれ;MはPb2+またはSn2+であり;そしてXIおよびXIIはそれぞれBr-、Cl-およびI-から選ばれる。
例えば、結晶性A/M/X材料は、APb[BryI1-y]3、APb[BryCl1-y]3、APb[IyCl1-y]3、ASn[BryI1-y]3、ASn[BryCl1-y]3、ASn[IyCl1-y]3から選ばれる式(IC)のペロブスカイト化合物を含み得、またはそれから実質的になり得、ここでyは0より大きく1より小さく、そしてここでAは本明細書中で記載したカチオンである。yは0.01~0.99であり得る。例えば、yは0.05~0.95または0.1~0.9であり得る。
例えば、結晶性A/M/X材料は、CH3NH3Pb[BryI1-y]3、CH3NH3Pb[BryCl1-y]3、CH3NH3Pb[IyCl1-y]3、CH3NH3Sn[BryI1-y]3、CH3NH3Sn[BryCl1-y]3、CH3NH3Sn[IyCl1-y]3、CsPb[BryI1-y]3、CsPb[BryCl1-y]3、CsPb[IyCl1-y]3、CsSn[BryI1-y]3、CsSn[BryCl1-y]3、CsSn[IyCl1-y]3、(H2N-C(H)=NH2)Pb[BryI1-y]3、(H2N-C(H)=NH2)Pb[BryCl1-y]3、(H2N-C(H)=NH2)Pb[IyCl1-y]3、(H2N-C(H)=NH2)Sn[BryI1-y]3、(H2N-C(H)=NH2)Sn[BryCl1-y]3、および(H2N-C(H)=NH2)Sn[IyCl1-y]3から選ばれる式(IC)のペロブスカイト化合物を含み得、またはそれから実質的になり得、ここでyは0より大きく1より小さく、例えば、yは0.01~0.99または0.05~0.95または0.1~0.9であり得る。
好ましい実施態様において、ペロブスカイトは式(ID)のペロブスカイトである:
[AI xAII 1-x]M[XI yXII 1-y]3 (ID)
式中AIおよびAIIは、Aに関して上記で定義した通りであり、Mは上記で定義した通りであり、XIおよびXIIは、Xに関して上記で定義した通りであり、および式中xおよびyは両方とも0より大きく1より小さい。好ましい実施態様において、AIおよびAIIはそれぞれ((CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、(H2N-C(CH3)=NH2)+、(H2N-C(NH2)=NH2)+、Cs+およびRb+から選ばれ、好ましくはAIおよびAIIは、それぞれ(H2N-C(H)=NH2)+およびCs+であり;MはPb2+またはSn2+であり;そしてXIおよびXIIはそれぞれBr-、Cl-およびI-から選ばれる。
例えば、結晶性A/M/X材料は、(CsxRb1-x)Pb(BryCl1-y)3、(CsxRb1-x)Pb(BryI1-y)3、および(CsxRb1-x)Pb(ClyI1-y)3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]Pb[BryI1-y]3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]Pb[BryCl1-y]3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]Pb[IyCl1-y]3、[(CH3NH3)xCs1-x]Pb[BryI1-y]3、[(CH3NH3)xCs1-x]Pb[BryCl1-y]3、[(CH3NH3)xCs1-x]Pb[IyCl1-y]3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]Pb[BryI1-y]3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]Pb[BryCl1-y]3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]Pb[IyCl1-y]3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]Sn[BryI1-y]3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]Sn[BryCl1-y]3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x]Sn[IyCl1-y]3、[(CH3NH3)xCs1-x]Sn[BryI1-y]3、[(CH3NH3)xCs1-x]Sn[BryCl1-y]3、[(CH3NH3)xCs1-x]Sn[IyCl1-y]3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]Sn[BryI1-y]3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]Sn[BryCl1-y]3、および[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]Sn[IyCl1-y]3から選ばれる式(ID)のペロブスカイト化合物を含み得、またはそれから実質的になり得、ここでxおよびyは両方とも0より大きく1より小さく、例えば、xおよびyは両方とも0.01~0.99または0.05~0.95または0.1~0.9であり得る。好ましくは、式(ID)の化合物は[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]Pb[BryI1-y]3である。
[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]Pb[BryI1-y]3は特に好ましい。従って、結晶性A/M/X材料は、好ましくは[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]Pb[BryI1-y]3、ここでxおよびyは両方とも0より大きく1より小さく、例えばxおよびyは両方とも0.01~0.99または0.05~0.95または0.1~0.9であり得る、である式(ID)のペロブスカイト化合物を含むかまたはそれから実質的になる。しばしば、xは0より大きく1より小さく、そしてyは0.10より大きく1より小さい。例えば、xは0より大きく1より小さくあり得、そしてyは0.15より大きく1より小さくあり得る。典型的には、xは0より大きく1より小さく、そしてyは0.2より大きく1より小さい。しばしば、xは0より大きく1より小さく、そしてyは少なくとも0.22で1より小さく、例えばyは少なくとも0.23で1より小さくあり得る。Yは、例えば0.15~0.40、例えば0.20~0.30であり得る。
[(H2N-C(H)=NH2)0.83Cs0.17]Pb[Br0.23I0.77]3は、式(ID)の特に好ましいペロブスカイト化合物である。従って、典型的には、[A]a[M]b[X]cは[(H2N-C(H)=NH2)0.83Cs0.17]Pb[Br0.23I0.77]3である。言い換えれば、結晶性A/M/X材料は、好ましくは式[(H2N-C(H)=NH2)0.83Cs0.17]Pb[Br0.23I0.77]3のペロブスカイト化合物を含むかまたはそれから実質的になる。
1つの実施態様において、ペロブスカイトは式(IE)のペロブスカイトである:
A[MI zMII 1-z]X3 (IE)
式中MIおよびMIIは、Mに関して上記で定義した通りであり、AおよびXは上記で定義した通りであり、および式中zは0より大きく1より小さい。好ましい実施態様において、Aは、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、(H2N-C(CH3)=NH2)+、(H2N-C(NH2)=NH2)+、Cs+およびRb+から選ばれ;MIはPb2+であり、そしてMIIはSn2+であり;そしてXはBr-、Cl-およびI-から選ばれる。
例えば、結晶性A/M/X材料は、CH3NH3[PbzSn1-z]Cl3、CH3NH3[PbzSn1-z]Br3、CH3NH3[PbzSn1-z]I3、Cs[PbzSn1-z]Cl3、Cs[PbzSn1-z]Br3、Cs[PbzSn1-z]I3、(H2N-C(H)=NH2)[PbzSn1-z]Cl3、(H2N-C(H)=NH2)[PbzSn1-z]Br3、および(H2N-C(H)=NH2)[PbzSn1-z]I3から選ばれる式(IE)のペロブスカイト化合物を含み得、またはそれから実質的になり得、ここでzは0より大きく1より小さく、例えば、zは0.01~0.99または0.05~0.95または0.1~0.9であり得る。
1つの実施態様において、ペロブスカイトは式(IF)のペロブスカイトである:
[AI xAII 1-x][MI zMII 1-z]X3 (IF)
式中AIおよびAIIは、Aに関して上記で定義した通りであり、MIおよびMIIは、Mに関して上記で定義した通りであり、およびXは上記で定義した通りであり、および式中xおよびzは両方とも0より大きく1より小さい。好ましい実施態様において、AIおよびAIIは、それぞれ(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、(H2N-C(CH3)=NH2)+、(H2N-C(NH2)=NH2)+、Cs+およびRb+から選ばれ;MIはPb2+であり、そしてMIIはSn2+であり;そしてXはBr-、Cl-およびI-から選ばれる。AIおよびAIIは、例えば、それぞれ(H2N-C(H)=NH2)+およびCs+であり得、またはそれらはそれぞれ(CH3NH3)+および(H2N-C(H)=NH2)+であり得る。あるいは、それらはそれぞれCs+およびRb+であり得る。
例えば、結晶性A/M/X材料は、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x][PbzSn1-z]Cl3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x][PbzSn1-z]Br3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x][PbzSn1-z]I3、[(CH3NH3)xCs1-x][PbzSn1-z]Cl3、[(CH3NH3)xCs1-x][PbzSn1-z]Br3、[(CH3NH3)xCs1-x][PbzSn1-z]I3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x][PbzSn1-z]Cl3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x][PbzSn1-z]Br3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x][PbzSn1-z]I3から選ばれる式(IF)のペロブスカイト化合物を含み得、またはそれから実質的になり得、ここでxおよびzは両方とも0より大きく1より小さく、例えば、xおよびzは、それぞれ0.01~0.99または0.05~0.95または0.1~0.9であり得る。
1つの実施態様において、ペロブスカイトは式(IG)のペロブスカイト化合物である:
A[MI zMII 1-z][XI yXII 1-y]3 (IG)
式中Aは上記で定義した通りであり、MIおよびMIIは、Mに関して上記で定義した通りであり、および式中XIおよびXIIは、Xに関して上記で定義した通りであり、および式中yおよびzは両方とも0より大きく1より小さい。好ましい実施態様において、Aは、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、(H2N-C(CH3)=NH2)+、(H2N-C(NH2)=NH2)+、Cs+およびRb+から選ばれ;MIはPb2+であり、そしてMIIはSn2+であり;そしてXIおよびXIIはそれぞれBr-、Cl-およびI-から選ばれる。
例えば、結晶性A/M/X材料は、A[PbzSn1-z][BryI1-y]3、A[PbzSn1-z][BryCl1-y]3、A[PbzSn1-z][IyCl1-y]3から選ばれる式(IG)のペロブスカイト化合物を含み得、またはそれから実質的になり得、ここでyおよびzは両方とも0より大きく1より小さく、そしてここでAは本明細書中で記載したカチオンである。Yおよびzはそれぞれ0.01~0.99であり得る。例えば、yおよびzはそれぞれ0.05~0.95または0.1~0.9であり得る。
例えば、結晶性A/M/X材料は、CH3NH3[PbzSn1-z][BryI1-y]3、CH3NH3[PbzSn1-z][BryCl1-y]3、CH3NH3[PbzSn1-z][IyCl1-y]3、Cs[PbzSn1-z][BryI1-y]3、Cs[PbzSn1-z][BryCl1-y]3、Cs[PbzSn1-z][IyCl1-y]3、(H2N-C(H)=NH2)[PbzSn1-z][BryI1-y]3、(H2N-C(H)=NH2)[PbzSn1-z][BryCl1-y]3、および(H2N-C(H)=NH2)[PbzSn1-z][IyCl1-y]3から選ばれる式(IG)のペロブスカイト化合物を含み得、またはそれから実質的になり得、ここでyおよびzは両方とも0より大きく1より小さく、例えば、yおよびzはそれぞれ0.01~0.99または0.05~0.95または0.1~0.9であり得る。
好ましい実施態様において、ペロブスカイトは式(IH)のペロブスカイトである:
[AI xAII 1-x][MI zMII 1-z][XI yXII 1-y]3 (IH)
式中AIおよびAIIは、Aに関して上記で定義した通りであり、MIおよびMIIは、Mに関して上記で定義した通りであり、XIおよびXIIは、Xに関して上記で定義した通りであり、および式中x、yおよびzはそれぞれ0より大きく1より小さい。好ましい実施態様において、AIおよびAIIは、それぞれ((CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+、(H2N-C(CH3)=NH2)+、(H2N-C(NH2)=NH2)+、Cs+およびRb+から選ばれ;MIはPb2+であり、そしてMIIはSn2+であり;そしてXIおよびXIIはそれぞれBr-、Cl-およびI-から選ばれる。
例えば、結晶性A/M/X材料は、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x][PbzSn1-z][BryI1-y]3、[(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x][PbzSn1-z][BryCl1-y]3、(CH3NH3)x(H2N-C(H)=NH2)1-x][PbzSn1-z][IyCl1-y]3、[(CH3NH3)xCs1-x][PbzSn1-z][BryI1-y]3、[(CH3NH3)xCs1-x][PbzSn1-z][BryCl1-y]3、[(CH3NH3)xCs1-x][PbzSn1-z][IyCl1-y]3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x][PbzSn1-z][BryI1-y]3、[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x][PbzSn1-z][BryCl1-y]3、および[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x][PbzSn1-z][IyCl1-y]3から選ばれる式(IH)のペロブスカイト化合物を含み得、またはそれから実質的になり得、ここでx、yおよびzはそれぞれ0より大きく1より小さく、例えば、x、yおよびzはそれぞれ0.01~0.99または0.05~0.95または0.1~0.9であり得る。
1つの実施態様において、a = 2、b = 1およびc = 4である。その実施態様において、結晶性A/M/X材料は、式(II)の化合物(「2D層状ペロブスカイト」)を含む:
[A]2[M][X]4 (II)
式中:[A]は、モノカチオンである1つ以上のAカチオンを含み;[M]は、金属または半金属ジカチオンである1つ以上のMカチオンを含み;および[X]は、ハライドアニオンである1つ以上のXアニオンを含む。この実施態様において、AおよびMカチオン、およびXアニオンは上記で定義した通りである。
別の実施態様において、a = 2、b = 1およびc = 6である。その実施態様において、結晶性A/M/X材料は、その場合、式(III)のヘキサハロメタレートを含み得る:
[A]2[M][X]6 (III)
式中:[A]は、モノカチオンである1つ以上のAカチオンを含み;[M]は、金属または半金属テトラカチオンである1つ以上のMカチオンを含み;および[X]は、ハライドアニオンである1つ以上のXアニオンを含む。
式(III)のヘキサハロメタレートは、好ましい実施態様において混合モノカチオンヘキサハロメタレートであり得る。混合モノカチオンヘキサハロメタレートにおいて、[A]は、モノカチオンである少なくとも2つのAカチオンを含み;[M]は、金属または半金属テトラカチオンである少なくとも1つのMカチオンを含み(および典型的には、[M]は、金属または半金属テトラカチオンである単一のMカチオンを含み);そして[X]は、ハライドアニオンである少なくとも1つのXアニオンを含む(および典型的には、[X]は、単一のハライドアニオンまたは2つのタイプのハライドアニオンを含む)。混合金属ヘキサハロメタレートにおいて、[A]は、少なくとも1つのモノカチオンを含み(および典型的には、[A]は、単一のモノカチオンまたは2つのタイプのモノカチオンである);[M]は、少なくとも2つの金属または半金属テトラカチオン(例えば、Ge4+およびSn4+)を含み;そして[X]は、少なくとも1つのハライドアニオンを含む(および典型的には、[X]は、単一のハライドアニオンまたは2つのタイプのハライドアニオンである)。混合ハライドヘキサハロメタレートにおいて、[A]は、少なくとも1つのモノカチオンを含み(および典型的には、[A]は、単一のモノカチオンまたは2つのタイプのモノカチオンである);[M]は、少なくとも1つの金属または半金属テトラカチオンを含み(および典型的には、[M]は、単一の金属テトラカチオンである);そして[X]は、少なくとも2つのハライドアニオン、例えば、Br-およびCl--またはBr-およびI-を含む。
[A]は、ペロブスカイトについて上記で記載したものなどの任意の適切なモノカチオンから選ばれる少なくとも1つのAモノカチオンを含み得る。ヘキサハロメタレートの場合、各Aカチオンは、典型的にはLi+、Na+、K+、Rb+、Cs+、NH4 +および一価有機カチオンから選ばれる。一価有機カチオンは、単一の正電荷を有する有機カチオンであり、これらは、例えば、500 g/mol以下の分子量を有し得る。例えば、[A]は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、NH4 +および一価有機カチオンから選ばれる単一のAカチオンであり得る。[A]は、好ましくはRb+、Cs+、NH4 +および一価有機カチオンから選ばれるモノカチオンである少なくとも1つのAカチオンを含む。例えば、[A]は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+およびNH4 +から選ばれる単一の無機Aモノカチオンであり得る。別の実施態様において、[A]は、少なくとも1つの一価有機Aカチオンであり得る。例えば、[A]は、単一の一価有機Aカチオンであり得る。1つの実施態様において、[A]は(CH3NH3)+である。別の実施態様において、[A]は(H2N-C(H)=NH2)+である。
好ましくは、[A]は、2つ以上のタイプのAカチオンを含む。[A]は、単一のAモノカチオン、または実際には2つのAモノカチオンであり得、これらはそれぞれK+、Rb+、Cs+、NH4 +、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(CH3CH2CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(N(CH2CH3)4)+、(N(CH2CH2CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+および(H2N-C(CH3)=NH2)+から独立して選ばれる。
[M]は、適切な金属または半金属テトラカチオンから選ばれる1つ以上のMカチオンを含み得る。金属は、元素周期律表の3~12族の元素およびGa、In、Tl、Sn、Pb、BiおよびPoを含む。半金属は、Si、Ge、As、Sb、およびTeを含む。例えば、[M]は、Ti4+、V4+、Mn4+、Fe4+、Co4+、Zr4+、Nb4+、Mo4+、Ru4+、Rh4+、Pd4+、Hf4+、Ta4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Po4+、Si4+、Ge4+、およびTe4+から選ばれる金属または半金属テトラカチオンである少なくとも1つのMカチオンを含み得る。典型的には、[M]は、Pd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+、およびTe4+から選ばれる少なくとも1つの金属または半金属テトラカチオンを含む。例えば、[M]は、Pd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+、およびTe4+から選ばれる単一の金属または半金属テトラカチオンであり得る。
典型的には、[M]は、Sn4+、Te4+、Ge4+およびRe4+から選ばれる金属または半金属テトラカチオンである少なくとも1つのMカチオンを含む。1つの実施態様において、[M]は、Pb4+、Sn4+、Te4+、Ge4+およびRe4+から選ばれる金属または半金属テトラカチオンである少なくとも1つのMカチオンを含む。例えば、[M]は、Pb4+、Sn4+、Te4+およびGe4+から選ばれる少なくとも1つの金属または半金属テトラカチオンであるMカチオンを含み得る。好ましくは、[M]は、Sn4+、Te4+、およびGe4+から選ばれる少なくとも1つの金属または半金属テトラカチオンを含む。上記で議論したように、ヘキサハロメタレート化合物は、混合-金属または単一-金属ヘキサハロメタレートであり得る。好ましくは、ヘキサハロメタレート化合物は単一-金属ヘキサハロメタレート化合物である。より好ましくは、[M]は、Sn4+、Te4+、およびGe4+から選ばれる単一の金属または半金属テトラカチオンである。例えば、[M]は、Te4+である単一の金属または半金属テトラカチオンであり得る。例えば、[M]は、Ge4+である単一の金属または半金属テトラカチオンであり得る。最も好ましくは、[M]は、Sn4+である単一の金属または半金属テトラカチオンである。
[X]は、ハライドアニオンである少なくとも1つのXアニオンを含み得る。従って、[X]は、F-、Cl-、Br-およびI-から選ばれる少なくとも1つのハライドアニオンを含む。典型的には、[X]は、Cl-、Br-およびI-から選ばれる少なくとも1つのハライドアニオンを含む。ヘキサハロメタレート化合物は、混合-ハライドヘキサハロメタレートまたは単一-ハライドヘキサハロメタレートであり得る。ヘキサハロメタレートが混合である場合、[X]は、F-、Cl-、Br-およびI-から選ばれる2つ、3つまたは4つのハライドアニオンを含む。典型的には、混合-ハライド化合物において、[X]は、F-、Cl-、Br-およびI-から選ばれる2つのハライドアニオンを含む。
いくつかの実施態様において、[A]は単一のモノカチオンであり、そして[M]は単一の金属または半金属テトラカチオンである。従って、結晶性A/M/X材料は、例えば、式(IIIA)のヘキサハロメタレート化合物を含み得る
A2M[X]6 (IIIA)
式中:Aはモノカチオンであり;Mは金属または半金属テトラカチオンであり;および[X]は少なくとも1つのハライドアニオンである。[X]は、F-、Cl-、Br-およびI-から選ばれる、および好ましくはCl-、Br-およびI-から選ばれる1つ、2つまたは3つのハライドアニオンであり得る。式(IIIA)において、[X]は、好ましくはCl-、Br-およびI-から選ばれる1つまたは2つのハライドアニオンである。
結晶性A/M/X材料は、例えば、式(IIIB)のヘキサハロメタレート化合物を含み得、またはそれから実質的になり得る
A2MX6-yX’y (IIIB)
式中:Aはモノカチオン(すなわち、第2カチオン)であり;Mは金属または半金属テトラカチオン(すなわち、第1カチオン)であり;XおよびX’はそれぞれ独立して(異なる)ハライドアニオン(すなわち、2つの第2アニオン)であり;およびyは0~6である。yが0または6である場合、ヘキサハロメタレート化合物は単一-ハライド化合物である。yが0.01~5.99である場合、化合物は混合-ハライドヘキサハロメタレート化合物である。化合物が混合-ハライド化合物である場合、yは0.05~5.95であり得る。例えば、yは1.00~5.00であり得る。
ヘキサハロメタレート化合物は、例えば、A2SnF6-yCly、A2SnF6-yBry、A2SnF6-yIy、A2SnCl6-yBry、A2SnCl6-yIy、A2SnBr6-yIy、A2TeF6-yCly、A2TeF6-yBry、A2TeF6-yIy、A2TeCl6-yBry、A2TeCl6-yIy、A2TeBr6-yIy、A2GeF6-yCly、A2GeF6-yBry、A2GeF6-yIy、A2GeCl6-yBry、A2GeCl6-yIy、A2GeBr6-yIy、A2ReF6-yCly、A2ReF6-yBry、A2ReF6-yIy、A2ReCl6-yBry、A2ReCl6-yIyまたはA2ReBr6-yIyであり得、ここで:AはK+、Rb+、Cs+、(R1NH3)+、(NR2 4)+、または(H2N-C(R1)=NH2)+であり、ここでR1はH、置換または無置換C1-20アルキル基または置換または無置換アリール基であり、そしてR2は置換または無置換C1-10アルキル基であり;そしてyは0~6である。必要に応じて、yは0.01~5.99である。ヘキサハロメタレート化合物が混合-ハライド化合物である場合、yは、典型的には1.00~5.00である。Aは、上記で定義した通りであり得る。例えば、Aは、Cs+、NH4 +、(CH3NH3)+、(CH3CH2NH3)+、(N(CH3)4)+、(N(CH2CH3)4)+、(H2N-C(H)=NH2)+または(H2N-C(CH3)=NH2)+、例えば、Cs+、NH4 +、または(CH3NH3)+であり得る。
ヘキサハロメタレート化合物は、典型的にはA2SnF6-yCly、A2SnF6-yBry、A2SnF6-yIy、A2SnCl6-yBry、A2SnCl6-yIy、またはA2SnBr6-yIyであり得、ここで:AはK+、Rb+、Cs+、(R1NH3)+、(NR2 4)+、または(H2N-C(R1)=NH2)+であり、またはAは本明細書中で定義した通りであり、ここでR1はH、置換または無置換C1-20アルキル基または置換または無置換アリール基であり、またはR2は置換または無置換C1-10アルキル基であり;そしてyは0~6である。
別の実施態様において、ヘキサハロメタレート化合物は、A2GeF6-yCly、A2GeF6-yBry、A2GeF6-yIy、A2GeCl6-yBry、A2GeCl6-yIy、またはA2GeBr6-yIyであり、ここで:AはK+、Rb+、Cs+、(R1NH3)+、(NR2 4)+、または(H2N-C(R1)=NH2)+であり、またはAは本明細書中で定義した通りであり、ここでR1はH、置換または無置換C1-20アルキル基または置換または無置換アリール基であり、そしてR2は置換または無置換C1-10アルキル基であり;そしてyは0~6である。
ヘキサハロメタレート化合物は、例えば、A2TeF6-yCly、A2TeF6-yBry、A2TeF6-yIy、A2TeCl6-yBry、A2TeCl6-yIy、またはA2TeBr6-yIyであり得、ここで:AはK+、Rb+、Cs+、(R1NH3)+、(NR2 4)+、または(H2N-C(R1)=NH2)+であり、またはAは本明細書中で定義した通りであり、ここでR1はH、置換または無置換C1-20アルキル基または置換または無置換アリール基であり、そしてR2は置換または無置換C1-10アルキル基であり;そしてyは0~6であり、またはyは本明細書中で定義した通りである。
しばしば、yは1.50~2.50である。例えば、yは1.80~2.20であり得る。これは、以下で議論するように化合物が2当量のAX’および1当量のMX4を用いて製造される場合に起こり得る。
いくつかの実施態様において、全てのイオンは単一のアニオンまたはカチオンである。従って、結晶性A/M/X材料は、式(IIIC)のヘキサハロメタレート化合物を含み得、またはそれから実質的になり得る
A2MX6 (IIIC)
式中:Aはモノカチオンであり;Mは金属または半金属テトラカチオンであり;およびXはハライドアニオンである。A、MおよびXは本明細書中で定義した通りであり得る。
ヘキサハロメタレート化合物は、A2SnF6、A2SnCl6、A2SnBr6、A2SnI6、A2TeF6、A2TeCl6、A2TeBr6、A2TeI6、A2GeF6、A2GeCl6、A2GeBr6、A2GeI6、A2ReF6、A2ReCl6、A2ReBr6またはA2ReI6であり得、ここで:AはK+、Rb+、Cs+、(R1NH3)+、(NR2 4)+、または(H2N-C(R1)=NH2)+であり、ここでR1はH、置換または無置換C1-20アルキル基または置換または無置換アリール基であり、そしてR2は置換または無置換C1-10アルキル基である。Aは本明細書中で定義した通りであり得る。好ましくは、ヘキサハロメタレート化合物は、Cs2SnI6、Cs2SnBr6、Cs2SnBr6-yIy、Cs2SnCl6-yIy、Cs2SnCl6-yBry、(CH3NH3)2SnI6、(CH3NH3)2SnBr6、(CH3NH3)2SnBr6-yIy、(CH3NH3)2SnCl6-yIy、(CH3NH3)2SnCl6-yBry、(H2N-C(H)=NH2)2SnI6、(H2N-C(H)=NH2)2SnBr6、(H2N-C(H)=NH2)2SnBr6-yIy、(H2N-C(H)=NH2)2SnCl6-yIyまたは(H2N-C(H)=NH2)2SnCl6-yBryであり、ここでyは0.01~5.99である。例えば、ヘキサハロメタレート化合物は、(CH3NH3)2SnI6、(CH3NH3)2SnBr6、(CH3NH3)2SnCl6、(H2N-C(H)=NH2)2SnI6、(H2N-C(H)=NH2)2SnBr6または(H2N-C(H)=NH2)2SnCl6であり得る。ヘキサハロメタレート化合物は、Cs2SnI6、Cs2SnBr6、Cs2SnCl6-yBry、(CH3NH3)2SnI6、(CH3NH3)2SnBr6、または(H2N-C(H)=NH2)2SnI6であり得る。
結晶性A/M/X材料は、ビスマスまたはアンチモンハロゲノメタレートを含み得る。例えば、結晶性A/M/X材料は:(i)1つ以上のモノカチオン([A])または1つ以上のジカチオン([B]);(ii)1つ以上の金属または半金属トリカチオン([M]);および(iii)1つ以上のハライドアニオン([X])を含むハロゲノメタレート化合物を含み得る。化合物は、式BBiX5、B2BiX7またはB3BiX9の化合物であり得、ここでBは(H3NCH2NH3)2+、(H3N(CH2)2NH3)2+、(H3N(CH2)3NH3)2+、(H3N(CH2)4NH3)2+、(H3N(CH2)5NH3)2+、(H3N(CH2)6NH3)2+、(H3N(CH2)7NH3)2+、(H3N(CH2)8NH3)2+または(H3N-C6H4-NH3)2+であり、そしてXはI-、Br-またはCl-、好ましくはI-である。
なおさらなる実施態様において、結晶性A/M/X材料はダブルペロブスカイトであり得る。このような化合物はWO 2017/037448において定義されており、その内容全体は本明細書中に参考として援用される。典型的には、化合物は式(IV)のダブルペロブスカイト化合物である:
[A]2[B+][B3+][X]6 (IV);
式中:[A]は、本明細書中で定義したモノカチオンである1つ以上のAカチオンを含み;[B+]および[B3+]は、[M]と同等であり、ここでMは、モノカチオンである1つ以上のMカチオンおよびトリカチオンである1つ以上のMカチオンを含み;および[X]は、ハライドアニオンである1つ以上のXアニオンを含む。
[B+]に含まれるモノカチオンである1つ以上のMカチオンは、典型的には金属および半金属モノカチオンから選ばれる。好ましくは、モノカチオンである1つ以上のMカチオンは、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Cu+、Ag+、Au+およびHg+から選ばれる。より好ましくは、モノカチオンである1つ以上のMカチオンは、Cu+、Ag+およびAu+から選ばれる。最も好ましくは、モノカチオンである1つ以上のMカチオンは、Ag+およびAu+から選ばれる。例えば、[B+]はAg+である1つのモノカチオンであり得、または[B+]はAu+である1つのモノカチオンであり得る。
[B3+]に含まれるトリカチオンである1つ以上のMカチオンは、典型的には金属および半金属トリカチオンから選ばれる。好ましくは、トリカチオンである1つ以上のMカチオンは、Bi3+、Sb3+、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ga3+、As3+、Ru3+、Rh3+、In3+、Ir3+およびAu3+から選ばれる。より好ましくは、トリカチオンである1つ以上のMカチオンは、Bi3+およびSb3+から選ばれる。例えば、[B3+]はBi3+である1つのトリカチオンであり得、または[B3+]はSb3+である1つのトリカチオンであり得る。ビスマスは、鉛などの重金属と比較して比較的低い毒性を有する。
いくつかの実施態様において、モノカチオンである1つ以上のMカチオン([B+]中)は、Cu+、Ag+およびAu+から選ばれ、そしてトリカチオンである1つ以上のMカチオン([B3+]中)は、Bi3+およびSb3+から選ばれる。例示的なダブルペロブスカイトはCs2BiAgBr6である。
典型的には、化合物がダブルペロブスカイトである場合、それは式(IVa)の化合物である:
A2B+B3+[X]6 (IVa);
式中:Aカチオンは本明細書中で定義した通りであり;B+は、本明細書中で定義したモノカチオンであるMカチオンであり;B3+は、本明細書中で定義したトリカチオンであるMカチオンであり;および[X]は、ハライドアニオンである1つ以上のXアニオン、例えば、2つ以上のハライドアニオン、好ましくは単一のハライドアニオンを含む。
さらに別の実施態様において、化合物は式(V)の層状ダブルペロブスカイト化合物であり得る:
[A]4[B+][B3+][X]8 (V);
式中:[A]、[B+]、[B3+]および[X]は上記で定義した通りである。いくつかの実施態様において、層状ダブルペロブスカイト化合物は式(Va)のダブルペロブスカイト化合物である:
A4B+B3+[X]8 (Va);
式中:Aカチオンは本明細書中で定義した通りであり;B+は、本明細書中で定義したモノカチオンであるMカチオンであり;B3+は、本明細書中で定義したトリカチオンであるMカチオンであり;および[X]は、ハライドアニオンである1つ以上のXアニオン、例えば、2つ以上のハライドアニオン、好ましくは単一のハライドアニオンまたは2つ以上のハライドアニオンを含む。
さらに別の実施態様において、化合物は式(VI)の化合物であり得る:
[A]4[M][X]6 (VI);
式中:[A]、[M]および[X]は、(例えば、式(I)または(II)の化合物に関して)上記で定義した通りである。しかしながら、好ましくは、化合物は式(VI)の化合物ではない。化合物が式(VI)の化合物である場合、化合物は、好ましくは式(VIA)の化合物
[AIAII]4[M][X]6 (VIA);
すなわち、[A]が2つのタイプのAモノカチオン(monoacation)を含む化合物であり得る。他の好ましい実施態様において、式(VI)の化合物は式(VIB)の化合物:
[A]4[M][XIXII]6 (VIB);
すなわち、[X]が2つのタイプのXアニオンを含む式(VI)の化合物であり得る。さらに他の好ましい実施態様において、式(VI)の化合物は式(VIC)の化合物:
[AIAII]4[M][XIXII]6 (VIC);
すなわち、[A]が2つのタイプのAモノカチオン(monoacation)を含み、かつ[X]が2つのタイプのXアニオンを含む式(VI)の化合物であり得る。式(VIa)、(VIb)および(VIc)において、[A]、[M]および[X]のそれぞれは、(例えば、式(I)または(II)の化合物に関して)上記で定義した通りである。
別の実施態様において、a = 1、b = 1およびc = 4である。その実施態様において、結晶性A/M/X材料は、その場合、式(VII)の化合物を含み得る:
[A][M][X]4 (VII)
式中:[A]は、モノカチオンである1つ以上のAカチオンを含み;[M]は、金属または半金属トリカチオンである1つ以上のMカチオンを含み;および[X]は、ハライドアニオンである1つ以上のXアニオンを含む。AモノカチオンおよびMトリカチオンは、本明細書中で定義した通りである。例示的な式(VII)の化合物はAgBiI4である。
本発明はまた、上記の構造(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)および(VII)、ここで関連するa、bおよびc値の1つ以上は非整数値である、の変形体を製造するためのプロセスを含むことが理解されるべきである。
好ましくは、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、式[A][M][X]3の化合物、式[A]4[M][X]6の化合物または式[A]2[M][X]6の化合物である。例えば、好ましい実施態様において、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、式(I)の化合物、例えば式(IA)、(IB)、(IC)、(ID)、(IE)、(IF)、(IG)、(IH)、(IIIA)、の化合物、または式(IIIB)、(IIIC)、(VIA)、(VIB)、または(VIC)の化合物である。一般に、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、式(I)の化合物、例えば式(IA)、(IB)、(IC)、(ID)、(IE)、(IF)、(IG)または(IH)の化合物である。
いくつかの実施態様において、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、[A]が2つ以上の異なるAカチオンを含む化合物である。例えば、[A]は、2つのタイプのカチオンまたは3つのタイプのAカチオンを含み得る。いくつかの実施態様において、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、[X]が2つ以上の異なるXアニオンを含む化合物である。例えば、[X]は、2つのタイプのアニオン、例えば、ハライドアニオンを含み得る。いくつかの実施態様において、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、[M]が2つ以上の異なるMカチオンを含む化合物である。例えば、[X]は、2つのタイプのアニオン、例えば、Sn2+およびPb2+を含み得る。
これらの実施態様のそれぞれの1つの局面において、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、[A]が2つ以上の異なるAカチオンを含み、および[X]が2つ以上の異なるXアニオンを含む化合物である。例えば、[A]は2つのタイプのAカチオンを含み得、そして[X]は2つのタイプのXアニオン(例えば、2つのタイプのハライドアニオン)を含み得る。[A]は3つのタイプのAカチオンを含み得、そして[X]は2つのタイプのXアニオン(例えば、2つのタイプのハライドアニオン)を含み得る。
これらの実施態様のそれぞれの1つの局面において、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、[A]が2つ以上の異なるAカチオンを含み、および[M]が2つ以上の異なるMカチオンを含む化合物である。例えば、[A]は2つのタイプのAカチオンを含み得、そして[M]は2つのタイプのMカチオン(例えば、Sn2+およびPb2+)を含み得る。
これらの実施態様のそれぞれの1つの局面において、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、[X]が2つ以上の異なるXアニオンを含み、および[M]が2つ以上の異なるMカチオンを含む化合物である。例えば、[X]は2つのタイプのXアニオン(例えば、2つのタイプのハライドアニオン)を含み得、そして[M]は2つのタイプのMカチオン(例えば、Sn2+およびPb2+)を含み得る。
これらの実施態様のそれぞれの1つの局面において、式[A]a[M]b[X]cの化合物は、[A]が2つ以上の異なるAカチオンを含み、および[X]が2つ以上の異なるXアニオンを含み、および[M]が2つ以上の異なるMカチオンを含む化合物である。例えば、[A]は2つのタイプのAカチオンを含み得、[X]は2つのタイプのXアニオン(例えば、は2つのタイプのハライドアニオン)を含み得、そして[M]は2つのタイプのMカチオン(例えば、Sn2+およびPb2+)を含み得る。
プロセス1 - AMXおよびイオン性固体を有する溶液の堆積
本発明はまた、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するための第1プロセスに関し、ここで結晶性A/M/X材料は、式:[A]a[M]b[X]c、式中:[A]は1つ以上のAカチオンを含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は1つ以上のXカチオンを含み;ここでaは1~6の数字であり;bは1~6の数字であり;およびcは1~18の数字である、の化合物を含み、そしてここでイオン性固体は、有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であり、
当該プロセスは:
フィルム形成溶液を基材上に配置すること、ここで該フィルム形成溶液は溶媒、該1つ以上のAカチオン、該1つ以上のMカチオン、該1つ以上のXカチオン、該有機カチオンおよび該対アニオンを含む、
を含む。
イオン性固体は、必要に応じて4級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常1級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、しばしば2級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常3級アンモニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外であり、すなわち対アニオンはハライド以外であり、そして有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外である。イオン性固体は、典型的にはホルムアミジニウムハライド塩以外であり、そして通常グアニジニウムハライド塩以外であり、すなわち対アニオンはハライド以外であり、そして有機カチオンはホルムアミジニウムまたはグアニジニウム以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的には本明細書中で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。しばしば、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外および本明細書中で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。典型的には、イオン性固体の対アニオンがハライドである場合、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。しばしば、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。
本発明の第1プロセスにおいて、結晶性A/M/X材料、1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、イオン性固体、有機カチオンおよび対アニオンは、本明細書中のどこかでさらに定義した通りであり得;例えば、それらは、本発明の光電子デバイスについて本明細書中上記のどこかでさらに定義した通りであり得る。
典型的には、イオン性固体は、溶液中の1つ以上のMカチオンのモル数に関し、50 mol%以下、10 mol%以下、または2.5 mol %以下の量で、好ましくは溶液中の1つ以上のMカチオンのモル数に関し、0.01~5 mol%、または0.02~2.5 mol%の量、より好ましくは0.05~2.0 mol%、または0.05~1.0 mol%の量、およびさらにより好ましくは0.1~1.5 mol%、または0.1~1.0 mol%の量でフィルム形成溶液中に存在する。例えば、イオン性固体は、溶液中の1つ以上のMカチオンのモル数に関し、1.0 mol %未満の量でフィルム形成溶液中に存在し得、好ましくはイオン性固体は、溶液中の1つ以上のMカチオンのモル数に関し、0.1 mol %~0.9 mol %、好ましくは0.1 mol %~0.8 mol%、0.2 mol %~0.8 mol %、0.2 mol %~0.7 mol % または0.5 mol %未満、または例えば0.1 mol %~0.5 mol %、または0.2 mol %~0.5 mol %、または0.3 mol %~0.5 mol %の量でフィルム形成溶液中に存在する。
適切な溶媒は、当業者に公知である。例えば、溶媒は、1つ以上の有機溶媒、例えば1つ以上の有機極性溶媒、例えば1つ以上の有機極性非プロトン性溶媒を含み得る。例えば、溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、2-メトキシエタノール(2ME)、アセトニトリル(ACN)またはそれらの混合物を含み得る。しばしば、溶媒はDMFおよびDMSOを、典型的には2:1~6:1、例えば、4:1、DMF:DMSOの体積比で含む。
本発明のプロセスは、イオン性固体、少なくとも1つのM前駆体、少なくとも1つのA前駆体および必要に応じて少なくとも1つのX前駆体を溶媒中に溶解することによってフィルム形成溶液を形成する工程を含み得る。通常、溶媒中の少なくとも1つのM前駆体および少なくとも1つのA前駆体の相対濃度は、所望の結晶性A/M/X材料中のAおよびMイオンの化学量論に相当する。しばしば、溶媒中の少なくとも1つのM前駆体、少なくとも1つのA前駆体および少なくとも1つのX前駆体の相対濃度は、所望の結晶性A/M/X材料中のA、MおよびXイオンの化学量論に相当する。しばしば、使用されるペロブスカイト前駆体濃度は、0.5 M~2.5 M、例えば1 M~2 Mである。
イオン性固体は、本明細書中で記載した有機カチオンおよび対アニオンを含む任意のイオン性固体であり得る。
以下でより詳細に議論するように、M前駆体は、本明細書中で記載した[M]中に存在する1つ以上のMカチオンを含む化合物である。[M](すなわち、式[A]a[M]b[X]cの化合物中の[M])がただ1つのタイプのMカチオンを含む場合、ただ1つのM前駆体が本発明のプロセスにおいて必要である。
以下でより詳細に議論するように、A前駆体は、[A]中に存在する1つ以上のAカチオンを含む化合物である。[A](すなわち、式[A]a[M]b[X]cの化合物中の[A])がただ1つのタイプのAカチオンを含む場合、ただ1つのA前駆体が本発明のプロセスにおいて必要である。
本発明のプロセスにおけるXアニオンの供給源に関し、本発明のプロセスにおける別個のX前駆体を提供する必要はないかもしれない。これは、いくつかの実施態様において、A前駆体(またはプロセスが複数のA前駆体を含む場合、それらのうちの少なくとも1つ)および/またはM前駆体(またはプロセスが複数のM前駆体を含む場合、それらのうちの少なくとも1つ)が1つ以上のXカチオンを含む塩、例えばハライド塩であるからである。好ましい実施態様において、A前駆体(または存在する場合、複数のA前駆体)およびM前駆体(または存在する場合、複数のM前駆体)は、[X]中に存在するXカチオンのそれぞれを一緒に含む。例えば、前駆体CsI、FAI、PbI2、およびPbBr2を用いて、A/M/X材料Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3、ここでFAはホルムアミジニウムである、を製造し得る。従って、フィルム形成溶液は、CsI、FAI、PbI2、およびPbBr2、ならびにイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含み得る。
M前駆体は、典型的には1つ以上の対アニオンを含む。従って、典型的には、フィルム形成溶液は1つ以上のM前駆体対アニオンを含む。多くのこのような対アニオンは、当業者に公知である。1つ以上のMカチオンおよび1つ以上のM前駆体対アニオンは、両方とも第1前駆体化合物からのものであり得、これは本明細書中で記載した溶媒中に溶解され、フィルム形成溶液を形成する。
フィルム形成溶液中のM前駆体対アニオンは、ハライドアニオン、チオシアネートアニオン(SCN-)、テトラフルオロボレートアニオン(BF4 -)または有機アニオンであり得る。好ましくは、本明細書中で記載したM前駆体対アニオンはハライドアニオンまたは有機アニオンである。フィルム形成溶液は、2つ以上の対アニオン、例えば、2つ以上のハライドアニオンを含み得る。
典型的には、M前駆体対アニオンは、式RCOO-、ROCOO-、RSO3 -、ROP(O)(OH)O-またはRO-、式中RはH、置換または無置換C1-10アルキル、置換または無置換C2-10アルケニル、置換または無置換C2-10アルキニル、置換または無置換C3-10シクロアルキル、置換または無置換C3-10ヘテロシクリルまたは置換または無置換アリールである、のアニオンである。例えばRは、H、置換または無置換C1-10アルキル、置換または無置換C3-10シクロアルキルまたは置換または無置換アリールであり得る。典型的にはRは、H 置換または無置換C1-6アルキルまたは置換または無置換アリールである。例えば、Rは、H、無置換C1-6アルキルまたは無置換アリールであり得る。従って、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選ばれ得る。しばしば、(1つ以上の)対アニオンは、ハライドアニオン(例えば、F-、Cl-、Br-およびI-)および式RCOO-、式中RはHまたはメチルである、のアニオンから選ばれる。
典型的には、M前駆体対アニオンはF-、Cl-、Br-、I-、ホルメートまたはアセテートである。好ましくは、M前駆体対アニオンはCl-、Br-、I-またはF-である。より好ましくは、M前駆体対アニオンはCl-、Br-またはI-である。
典型的には、M前駆体は、式MY2、MY3、またはMY4、式中Mは本明細書中で記載した金属または半金属カチオンであり、およびYは該対アニオンである、の化合物である。
従って、M前駆体は、式MY2、式中MはCa2+、Sr2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Yb2+またはEu2+であり、およびYはF-、Cl-、Br-、I-、ホルメートまたはアセテートである、の化合物であり得る。好ましくは、MはCu2+、Pb2+、Ge2+またはSn2+であり、そしてYはCl-、Br-、I-、ホルメートまたはアセテート、好ましくはCl-、Br-またはI-である。
典型的には、M前駆体は、酢酸鉛(II)、ギ酸鉛(II)、フッ化鉛(II)、塩化鉛(II)、臭化鉛(II)、ヨウ化鉛(II)、酢酸スズ(II)、ギ酸スズ(II)、フッ化スズ(II)、塩化スズ(II)、臭化スズ(II)、ヨウ化スズ(II)、酢酸ゲルマニウム(II)、ギ酸ゲルマニウム(II)、フッ化ゲルマニウム(II)、塩化ゲルマニウム(II)、臭化ゲルマニウム(II)またはヨウ化ゲルマニウム(II)である。いくつかの場合、M前駆体は酢酸鉛(II)を含む。いくつかの場合、M前駆体はヨウ化鉛(II)を含む。
M前駆体は、典型的には式MY2の化合物である。好ましくは、M前駆体は式SnI2、SnBr2、SnCl2、PbI2、PbBr2またはPbCl2の化合物である。
M前駆体は、式MY3、式中MはBi3+またはSb3+であり、およびYはF-、Cl-、Br-、I-、SCN-、BF4 -、ホルメートまたはアセテートである、の化合物であり得る。好ましくは、MはBi3+であり、そしてYはCl-、Br-またはI-である。この場合、A/M/X材料は、典型的にはビスマスまたはアンチモンハロゲノメタレートを含む。
M前駆体は、式MY4、式中MはPd4+、W4+、Re4+、Os4+、Ir4+、Pt4+、Sn4+、Pb4+、Ge4+またはTe4+であり、およびYはF-、Cl-、Br-、I-、SCN-、BF4 -、ホルメートまたはアセテートである、の化合物であり得る。好ましくは、MはSn4+、Pb4+またはGe4+およびCl-、Br-またはI-である。この場合、A/M/X材料は、典型的にはヘキサハロメタレートを含む。
典型的には、フィルム形成溶液中の[M]カチオンの合計濃度は、0.01と5 Mとの間、例えば0.1と2.5 Mとの間、0.25と2.0 Mとの間、好ましくは0.5と2.5 Mとの間、例えば1.0 M~2.0 Mである。フィルム形成溶液の[M]カチオンの合計濃度は、例えば0.5 M~2.5 Mであり得る。それは、例えば1 M~2 Mであり得る。
AカチオンおよびXアニオンは、両方とも同じ前駆体化合物(単数または複数)からのものであり得、これらは本明細書中で記載した溶媒中に溶解され、フィルム形成溶液を形成する。好ましくは、A/X前駆体化合物は、式[A][X]、式中:[A]は本明細書中で記載した1つ以上のAカチオンを含み;および[X]は本明細書中で記載した1つ以上のXカチオンを含む、の化合物である。A/X前駆体化合物は、典型的には式AX、式中Xはハライドアニオンであり、およびAカチオンは本明細書中で定義した通りである、の化合物である。1つより多いAカチオンまたは1つより多いXアニオンが式[A]a[M]b[X]cの化合物に存在する場合、1つより多い式AXの化合物がフィルム形成溶液中に溶解され得る。
A/X前駆体化合物(単数または複数)は、例えば、CH3NH3Cl、CH3NH3Br、CH3NH3I、CH3CH2NH3Cl、CH3CH2NH3Br、CH3CH2NH3I、CH3CH2CH2NH3Cl、CH3CH2CH2NH3Br、CH3CH2CH2NH3I、N(CH3)4Cl、N(CH3)4Br、N(CH3)4I、(H2N-C(H)=NH2)Cl、(H2N-C(H)=NH2)Br、(H2N-C(H)=NH2)I、(H2N-C(CH3)=NH2)Cl、(H2N-C(CH3)=NH2)Br、(H2N-C(CH3)=NH2)I、(H2N-C(NH2)=NH2)Cl、(H2N-C(NH2)=NH2)Br、(H2N-C(NH2)=NH2)I、CsCl、CsBr、CsI、RbCl、RbBrおよびRbIから選ばれ得る。
典型的には、フィルム形成溶液中の[A]カチオンの合計濃度は、0.01と5 Mとの間、例えば0.1と2.5 Mとの間、0.25と2.0 Mとの間、好ましくは0.5と2.5 Mとの間、または例えば1.0 M~2.0 Mである。フィルム形成溶液中の[A]カチオンの合計濃度は、例えば0.5 M~2.5 Mであり得る。それは、例えば1 M~2 Mであり得る。
典型的には、Xアニオンの合計濃度は、Aおよび/またはMカチオンの合計濃度に依存する。例えば、1つ以上のXカチオンを含むA/X前駆体化合物および/またはM前駆体化合物が使用される場合、Xアニオンの合計濃度は、上記のように、存在するA/X前駆体化合物および/またはM前駆体化合物の合計量に依存するであろう。
典型的には、フィルム形成溶液は、液相堆積、例えばグラビアコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードコーティング、スプレーコーティング、ロールトゥロール(R2R)処理(roll-to-roll (R2R) processing)、またはスピンコーティングによって基材上に配置される。典型的には、フィルム形成組成物を基材上に配置することは、フィルム形成溶液を基材上にスピンコーティングする工程を含む。
典型的には、スピンコーティングは、少なくとも1000 RPM、例えば少なくとも2000 RPM、少なくとも3000 RPMまたは少なくとも4000 RPM、例えば、1000と10000 RPMとの間、2000と8000 RPMとの間、2500と7500 RPMとの間、好ましくは約5000 RPMの速度で行われる。典型的には、スピンコーティングは、少なくとも1秒、少なくとも5秒または少なくとも10秒、例えば、1秒~1分、10秒~50秒、好ましくは約20~40秒の時間行われる。
プロセスは、抗溶媒(anti-solvent)を用いて結晶性A/M/X材料の沈殿を容易にすることをさらに含み得る。典型的には、抗溶媒は、フィルム形成溶液を基材上に配置する間、またはフィルム形成溶液が基材上に配置された後のいずれかに、フィルム形成溶液に滴下される。例えば、抗溶媒は、スピンコーティングの間にフィルム形成溶液に滴下され得る。典型的には、抗溶媒は、トルエン、クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロベンゼン、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ベンゼン、キシレン、アニソールおよびそれらの混合物から選ばれる。
典型的には、プロセスは、溶媒、および必要に応じて抗溶媒を除去し、結晶性A/M/X材料を含む層を形成することをさらに含む。溶媒(および必要に応じて抗溶媒)を除去することは、溶媒を加熱すること、または溶媒を蒸発させることを含み得る。
溶媒(および必要に応じて抗溶媒)は、通常フィルム形成溶液で処理した基材を加熱する(アニーリングする)ことによって除去される。例えば、フィルム形成溶液で処理した基材は、30℃~400℃、例えば50℃~200℃の温度に加熱され得る。好ましくは、処理したフィルム形成溶液は、50℃~200℃の温度に5~200分、好ましくは10~100分の時間加熱される。
プロセス2 - イオン性固体を用いる2工程AMX堆積
本発明はまた、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するための第2プロセスを提供し、この結晶性A/M/X材料は、式:[A]a[M]b[X]c、式中:[A]は1つ以上のAカチオンを含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は1つ以上のXカチオンを含み;ここでaは1~6の数字であり;bは1~6の数字であり;およびcは1~18の数字である、の化合物を含み、
当該プロセスは:
a)溶媒および1つ以上のMカチオンを含む第1溶液を基材上に配置し、および必要に応じて該溶媒を除去し、処理した基材を製造すること;
b)該処理した基材を、溶媒および1つ以上のAカチオンを含む第2溶液または1つ以上のAカチオンを含む蒸気と接触させること、
を含み、
ここで:1つ以上のXカチオンが(i)工程(a)で使用される該第1溶液、および(ii)工程(b)で使用される該第2溶液または蒸気のうちの1つまたは両方において存在し;および工程(a)で使用される該第1溶液が、イオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンをさらに含むか、または工程(b)が、該処理した基材をイオン性固体と接触させること、ここで該イオン性固体は有機カチオンおよび対アニオンを含む塩である、をさらに含む。必要に応じて、イオン性固体は4級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常1級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、しばしば2級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常3級アンモニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外であり、すなわち対アニオンはハライド以外であり、そして有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外である。イオン性固体は、典型的にはホルムアミジニウムハライド塩以外であり、そして通常グアニジニウムハライド以外であり、すなわち対アニオンはハライド以外であり、そして有機カチオンはホルムアミジニウムまたはグアニジニウム以外である。従って、典型的には、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的には本明細書中で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。しばしば、イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外および本明細書中で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。典型的には、イオン性固体の対アニオンがハライドである場合、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。しばしば、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。
本発明の第2プロセスにおいて、結晶性A/M/X材料、1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、イオン性固体、有機カチオンおよび対アニオンは、本明細書中のどこかでさらに定義した通りであり得;例えば、それらは、本発明の光電子デバイスについて本明細書中上記のどこかでさらに定義した通りであり得る。
工程(a)で使用される第1溶液は、イオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンをさらに含み得る。例えば、第1溶液は、溶媒、1つ以上のMカチオン、必要に応じて1つ以上のXカチオンならびにイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含み得る。
あるいは、工程(b)は、処理した基材をイオン性固体と接触させることをさらに含み得る。例えば、工程(b)は、処理した基材を第2溶液と接触させることを含み得、ここで第2溶液はイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンをさらに含む。第2溶液は、従って、溶媒、1つ以上のAカチオン、必要に応じて1つ以上のXカチオンならびにイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含み得る。
1つの実施態様において、プロセスは:
a)溶媒、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオンならびにイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む第1溶液を基材上に配置し、および必要に応じて該溶媒を除去し、処理した基材を製造すること;
b)処理した基材を、溶媒、1つ以上のAカチオンおよび1つ以上のXカチオンを含む第2溶液と接触させること、
を含む。
別の実施態様において、プロセスは:
a)溶媒、1つ以上のMカチオンおよび1つ以上のXカチオンを含む第1溶液を基材上に配置し、および必要に応じて該溶媒を除去し、処理した基材を製造すること;
b)処理した基材を、溶媒、1つ以上のAカチオン、1つ以上のXカチオンならびにイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む第2溶液と接触させること、
を含む。
工程(a)および(b)における溶媒は、本発明の第プロセスについて上記の通りの任意の溶媒であり得る。
プロセスは、本明細書中で記載した少なくとも1つのM前駆体、必要に応じて本明細書中で記載した1つ以上のX前駆体および必要に応じてイオン性固体を溶媒中に溶解することによって第1溶液を形成する工程をさらに含み得る。
工程(b)が、処理する基材を溶媒および1つ以上のAカチオンを含む第2溶液と接触させることを含む場合、プロセスは、本明細書中で記載した少なくとも1つのA前駆体、必要に応じて本明細書中で記載した1つ以上のX前駆体および必要に応じてイオン性固体を溶媒中に溶解することによって第2溶液を形成する工程をさらに含み得る。
本発明のプロセスにおけるXアニオンの供給源に関し、本発明のプロセスにおける別個のX前駆体を提供する必要はないかもしれない。これは、いくつかの実施態様において、A前駆体(またはプロセスが複数のA前駆体を含む場合、それらのうちの少なくとも1つ)および/またはM前駆体(またはプロセスが複数のM前駆体を含む場合、それらのうちの少なくとも1つ)が1つ以上のXカチオンを含む塩、例えばハライド塩であるからである。好ましい実施態様において、A前駆体(または存在する場合、複数のA前駆体)およびM前駆体(または存在する場合、複数のM前駆体)は、[X]中に存在するXカチオンのそれぞれを一緒に含む。
第1および第2溶液は、本明細書中で記載した方法のいずれかによって基材上に配置され得る。典型的には、第1および第2溶液は、液相堆積、例えばグラビアコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードコーティング、スプレーコーティング、ロールトゥロール(R2R)処理、またはスピンコーティングによって基材上に配置される。典型的には、プロセスは、スピンコーティングによって基材上に第1溶液を配置する工程およびスピンコーティングによって基材上に第2溶液を配置する工程を含む。第1および第2溶液のいずれかまたは両方を基材上に配置する場合、抗溶媒を上記のように用い得る。
典型的には、スピンコーティングは、少なくとも1000 RPM、例えば少なくとも2000 RPM、少なくとも3000 RPMまたは少なくとも4000 RPM、例えば、1000と10000 RPMとの間、2000と8000 RPMとの間、2500と7500 RPMとの間、好ましくは約5000 RPMの速度で行われる。典型的には、スピンコーティングは、少なくとも1秒、少なくとも5秒または少なくとも10秒、例えば、1秒~1分、10秒~50秒、好ましくは約20~40秒の時間行われる。
工程(b)は、処理した基材を1つ以上のAカチオンを含む蒸気と接触させることを含み得る。例えば、工程(b)は、処理した基材を、1つ以上のAカチオンを含む該蒸気と、およびイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む蒸気と接触させることを含み得る。
従って、プロセスは:
a)溶媒、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオンならびにイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む第1溶液を基材上に配置し、および必要に応じて該溶媒を除去し、処理した基材を製造すること;
b)処理した基材を、1つ以上のAカチオンおよび1つ以上のXカチオンを含む蒸気と接触させること、
を含み得る。
あるいは、プロセスは:
a)溶媒、1つ以上のMカチオンおよび1つ以上のXカチオンを含む第1溶液を基材上に配置し、および必要に応じて該溶媒を除去し、処理した基材を製造すること;
b)処理した基材を、1つ以上のAカチオン、1つ以上のXカチオンならびにイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む蒸気と接触させること、
を含み得る。
典型的には、工程(b)は:
b1)1つ以上のAカチオンおよびイオン性固体を含む組成物(単数または複数)を気化させること、および
b2)得られた蒸気を処理した基材上に堆積させること、
を含む。
例えば、工程(b1)は、1つ以上のAカチオン、1つ以上のXカチオンおよびイオン性固体を含む組成物(単数または複数)を気化させることを含み得る。該組成物(単数または複数)は、Aカチオン前駆体、必要に応じて1つ以上のXアニオン前駆体およびイオン性固体を含み得るか、それらから実質的になり得るか、またはそれらからなり得る。従って、プロセスは、1つ以上のAカチオン前駆体、イオン性固体および必要に応じて1つ以上のXアニオン前駆体を混合することによって組成物(単数または複数)を調製する工程を含み得る。
溶媒を除去することは、溶媒を加熱すること、または溶媒を蒸発させることを含み得る。従って、典型的には、プロセスは基材をアニーリングすることを含む。
溶媒は、通常第1溶液で処理した基材を加熱する(アニーリングする)ことによって除去される。例えば、フィルム形成溶液で処理した基材は、30℃~400℃、例えば50℃~200℃の温度に加熱され得る。好ましくは、処理したフィルム形成溶液は、50℃~200℃の温度に5~200分、好ましくは10~100分の時間加熱される。
溶媒を除去する追加の工程はまた、処理した基材を、溶媒、1つ以上のAカチオン、必要に応じて1つ以上のXカチオンおよび必要に応じてイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む第2溶液と接触させる場合、上記のように工程b)の後に行われ得る。
プロセス3 - 全ての蒸着:AMXおよびイオン性固体
イオン性固体は昇華によって気化させられ得、これは、イオン性固体を用いることが結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するための蒸着プロセスの使用を容易にすることを意味する。A/M/X材料およびイオン性固体の両方とも、蒸着によって堆積され、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造し得る。
従って、本発明はまた、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するための第3プロセスを提供し、ここで該結晶性A/M/X材料は、式:[A]a[M]b[X]c、式中:[A]は1つ以上のAカチオンを含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は1つ以上のXカチオンを含み;aは1~6の数字であり;bは1~6の数字であり;およびcは1~18の数字である、の化合物を含み、およびここで該イオン性固体は有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であり;当該プロセスは:
基材を、該1つ以上のAカチオンを含む蒸気、該1つ以上のMカチオンを含む蒸気、該1つ以上のXカチオンを含む蒸気、該有機カチオンを含む蒸気、および該対アニオンを含む蒸気に曝露することを含む。典型的には、イオン性固体は4級アンモニウムハライド塩以外であり、すなわち有機カチオンは4級アンモニウムカチオン以外であり、そして対アニオンはハライド以外である。イオン性固体は、通常1級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、しばしば2級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常3級アンモニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外であり、すなわち対アニオンはハライド以外であり、そして有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外である。イオン性固体は、典型的にはホルムアミジニウムハライド塩以外であり、そして通常グアニジニウムハライド塩以外であり、すなわち対アニオンはハライド以外であり、そして有機カチオンはホルムアミジニウムまたはグアニジニウム以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的には本明細書中で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。しばしば、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外および本明細書中で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。典型的には、イオン性固体の対アニオンがハライドである場合、イオン性固体の有機カチオンは結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。しばしば、イオン性固体の有機カチオンは結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。
本発明の第3プロセスにおいて、結晶性A/M/X材料、1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、イオン性固体、有機カチオンおよび対アニオンは、本明細書中のどこかでさらに定義した通りであり得;例えば、それらは、本発明の光電子デバイスについて本明細書中上記のどこかでさらに定義した通りであり得る。
1つ以上のAカチオンを含む蒸気、1つ以上のMカチオンを含む蒸気、1つ以上のXカチオンを含む蒸気、有機カチオンを含む蒸気、および対アニオンを含む蒸気は、全く同一の蒸気であり得る。従って、本発明のこの局面のプロセスは、基材を、1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、有機カチオン、および対アニオンを含む蒸気に曝露することを含み得る。
あるいは、1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、有機カチオン、および対アニオンは、2つ以上の異なる気相の一部であり得、これらに基材が曝露される。基材は、2つ以上の異なる気相に同時にまたは異なる時間に、例えば、別個におよび/または連続して曝露され得る。従って、本発明のこの局面のプロセスは、基材を2つ以上の異なる気相に曝露することを含み得、ここで2つ以上の異なる気相は一緒に1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、有機カチオン、および対アニオンを含む。基材は、2つ以上の異なる気相に同時に(一緒に)、別個に(異なる時間に)、例えば連続して(任意の順序で)曝露され得る。
例えば、基材は:(i)1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオンを含む蒸気;および(ii)イオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む蒸気に曝露され得る。あるいは、基材は、(i)1つ以上のMカチオンを含む蒸気、(ii)1つ以上のAカチオンを含む蒸気(ここで1つ以上のXカチオンは、1つ以上のMカチオンを含む蒸気中、1つ以上のAカチオンを含む蒸気中、または1つ以上のMカチオンを含む蒸気中および1つ以上のAカチオンを含む蒸気中の両方に存在し得る)、および(iii)イオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む蒸気に曝露され得る。基材は、これらの気相に同時にまたは異なる時間に、例えば、任意の順序で連続して曝露され得る。
上記の第1、第2および第3プロセスにおいて、基材は、第1電荷輸送材料を含み得、これは本明細書中のどこかで定義した、特に本発明の光電子デバイスについて本明細書中上記で定義した電荷輸送材料であり得る。典型的には、第1電荷輸送材料は、第1電極上に配置される。第1電極は、本発明の光電子デバイスについて本明細書中上記のどこかで定義した通りであり得る。
従って、基材は、以下の層を以下の順序で含み得る:
・第1電極(典型的には陽極;典型的には透明電極、これは典型的には透明導電性酸化物を含み、必要に応じてそれ自体ガラス上に配置される);
・電荷輸送材料の層(典型的には、例えば、p-i-n光電子デバイスに関連して本明細書中上で記載したp-型材料、しかしそれは、あるいは、例えば、n-i-p光電子デバイスに関連して本明細書中上で記載したn-型材料であり得る)。
しばしば、第1電荷輸送材料は、本明細書中で記載した正孔輸送(p-型)材料を含む。典型的には、第1電極は透明電極、例えば本明細書中上で記載した透明導電性酸化物を含む電極である。
プロセス4 - イオン性固体でのAMXフィルムの処理
本発明はさらに、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するためのプロセスに関し、ここで結晶性A/M/X材料は、式:[A]a[M]b[X]c、式中:[A]は1つ以上のAカチオンを含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;[X]は1つ以上のXカチオンを含み;aは1~6の数字であり;bは1~6の数字であり;およびcは1~18の数字である、の化合物を含み;およびここでイオン性固体は、有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であり;当該プロセスは、結晶性A/M/X材料のフィルムをイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンで処理することを含む。典型的には、イオン性固体は4級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常1級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、しばしば2級アンモニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、通常3級アンモニウムハライド塩以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外であり、すなわち対アニオンはハライド以外であり、そして有機カチオンは1級、2級、3級または4級アンモニウムカチオン以外である。イオン性固体は、典型的にはホルムアミジニウムハライド塩以外、および通常グアニジニウムハライド塩以外であり、すなわち対アニオンはハライド以外であり、そして有機カチオンはホルムアミジニウムまたはグアニジニウム以外である。従って、典型的には、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である。イオン性固体は、典型的には本明細書中で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。しばしば、イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外および本明細書中で定義した式(X)のカチオンのハライド塩以外である。典型的には、イオン性固体の対アニオンがハライドである場合、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。しばしば、イオン性固体の有機カチオンは、結晶性A/M/X材料の1つ以上のAカチオンのそれぞれ以外である。
本発明の第4プロセスにおいて、結晶性A/M/X材料、1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、イオン性固体、有機カチオンおよび対アニオンは、本明細書中のどこかでさらに定義した通りであり得;例えば、それらは、本発明の光電子デバイスについて本明細書中上記のどこかでさらに定義した通りであり得る。
結晶性A/M/X材料のフィルムをイオン性固体で処理する工程は、当業者に公知の任意の技術または本明細書中で記載した任意の技術を用いて、イオン性固体を結晶性A/M/X材料のフィルム上に配置することを含み得る。例えば、イオン性固体は、蒸着または溶液堆積によって、例えばグラビアコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードコーティング、スプレーコーティング、ロールトゥロール(R2R)処理、またはスピンコーティングによって結晶性A/M/X材料のフィルム上に配置され得る。典型的には、イオン性固体は、結晶性A/M/X材料のフィルム上にスピンコーティングによって配置される。
従って、結晶性A/M/X材料のフィルムを処理する工程は、フィルムを有機カチオンおよび対アニオンを含む溶液で処理することを含み得る。フィルムを溶液で処理する工程は、グラビアコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードコーティング、スプレーコーティング、ロールトゥロール(R2R)処理、またはスピンコーティングを含み得る。
あるいは、結晶性A/M/X材料のフィルムを処理する工程は、フィルムをイオン性固体の有機カチオンを含む蒸気およびイオン性固体の対アニオンを含む蒸気に曝露することを含み得る。有機カチオンを含む蒸気および対アニオンを含む蒸気は、典型的には全く同一の蒸気であるが、それらは、あるいは、異なる蒸気であり得る。
イオン性固体は、本明細書中で記載した任意のイオン性固体であり得、すなわち本明細書中で記載した任意の有機カチオンおよび対アニオンを含むイオン性固体であり得る。結晶性A/M/X材料は、本明細書中で記載した任意の結晶性A/M/X材料であり得る。
典型的には、結晶性A/M/X材料のフィルムは基材上に配置される。基材は、本明細書中で記載した任意の基材であり得る。例えば、それは、本明細書中で定義した電荷輸送材料を含む層および本明細書中で定義した第1電極を含み得、ここで結晶性A/M/X材料は電荷輸送材料を含む層上に配置され、そして電荷輸送材料を含む層は第1電極上に配置される。
第4プロセスは、結晶性A/M/X材料を基材上に堆積する工程をさらに含み得る。例えば、結晶性A/M/X材料は、蒸着によって、または本明細書中で記載した溶液ベースの技術のいずれかによって堆積され得る。1つの実施態様において、プロセスは、本明細書中で記載したように、結晶性A/M/X材料を蒸着によって堆積し、次いでイオン性固体を結晶性A/M/X材料のフィルム上に蒸着または溶液堆積によって堆積することを含む。別の実施態様において、プロセスは、本明細書中で記載したように、結晶性A/M/X材料を本明細書中で記載した溶液ベースの技術のいずれかによって堆積し、次いでイオン性固体を結晶性A/M/X材料のフィルム上に蒸着または溶液堆積によって堆積することを含む。
光電子デバイスを製造するためのプロセス
本発明はまた、光電子デバイスを製造するためのプロセスに関し、当該プロセスは、基材上に、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを、本明細書中で記載した任意のプロセスによって、例えば本明細書中上で定義した第1、第2、第3および第4プロセスのいずれかによって製造することを含む。イオン性固体は、本明細書中で記載した任意のイオン性固体であり得、すなわち本明細書中で記載した任意の有機カチオンおよび対アニオンを含むイオン性固体であり得る。結晶性A/M/X材料は、本明細書中で記載した任意の結晶性A/M/X材料であり得る。基材は、本明細書中で記載した任意の基材であり得る。
典型的には、基材は、透明電極である第1電極上に配置された第1電荷輸送材料を含む。典型的には、第1電極(これは典型的には陽極である)は、透明導電性酸化物、例えばフッ素ドープした酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープした酸化亜鉛(AZO)またはインジウムドープした酸化スズ(ITO)を含む。典型的には、第1電荷輸送材料は、本明細書中で記載した正孔輸送(p-型)材料であるが、それは、あるいは、本明細書中で記載した電子輸送(n-型)材料であり得る。好ましくは、第1電荷輸送材料は、ポリTPDまたは酸化ニッケルを含み、例えば第1電荷輸送材料は、ポリTPDを含むか、または酸化ニッケルの緻密層であり得る。
典型的には、第1電荷輸送材料はポリTPDを含み;それは典型的にはp-ドープしたポリTPDであり;従って、第1電荷輸送材料は、典型的にはポリTPD:F4-TCNQを含む。湿潤性を改善するために、NPDは典型的にはポリTPDの後に堆積された。従って、第1電荷輸送材料はしばしばポリTPDおよびNPDを含む。
プロセスは、第1電荷輸送材料を第1電極上に配置することによって基材を形成する工程を含み得る。典型的には、第1電荷輸送材料は、溶媒および第1電荷輸送材料を含む溶液または第1電荷輸送材料前駆体を第1電極上にスピンコーティングすることによって、第1電極上に配置される。基材を形成するプロセスは、本明細書中で記載した任意の方法を用いて溶媒を除去し、処理した基材を製造する工程を含み得る。典型的には、溶媒は、溶液で処理した第1電極を加熱することによって除去される。例えば、溶液で処理した第1電極は、30℃~400℃、例えば50℃~200℃の温度に加熱され得る。好ましくは、溶液で処理した第1電極は、50℃~200℃の温度に2~200分、好ましくは5~30分の時間加熱される。
典型的には、第1電荷輸送材料はポリTPDを含み、従って、第1電荷輸送材料は、ポリTPDを含む溶液を第1電極上に堆積することによって(例えば、スピンコーティングすることによって)、第1電極上に配置される。これの後に、典型的には50℃~200℃の温度に2~200分、好ましくは5~30分の時間加熱することによるアニーリングが続く。
第1電荷輸送材料は、しばしばポリTPDおよびNPDの両方を含む。第1電荷輸送材料は、第1にポリTPDを含む溶液を第1電極上に配置することによって(例えば、スピンコーティングすることによって)ポリTPDを含む第1副層を形成し、そして第2にNPDを含む溶液を第1副層上に配置することによって(例えば、スピンコーティングすることによって)NPDを含む第2副層を形成することによって、第1電極上に配置され得る。ポリTPDはp-ドープされていてもよく、例えばそれはポリTPD:F4-TCNQであり得る。第1および第2の配置(例えば、スピンコーティング)工程の1つ1つの後には、50℃~200℃の温度に2~200分、好ましくは5~30分の時間加熱することを含むアニーリング工程が続く。
一方、第1電荷輸送材料が酸化ニッケルを含む場合、第1電荷輸送材料は、酸化ニッケルを含む溶液を第1電極上に配置すること(例えば、スピンコーティングする)ことによって第1電極上に配置され得る。基材は、必要に応じて焼結され得る。焼結は、典型的には基材を高温、例えば少なくとも100℃、少なくとも200℃、少なくとも300℃または少なくとも400℃の温度に10~100分、典型的には20~60分の期間加熱する工程を含む。あるいは、酸化ニッケル層は、スパッタコーティングなどの真空蒸着技術によって堆積され得る。
基材を形成する工程は、本明細書中で定義した第2イオン性化合物を第1電荷輸送材料上に配置することをさらに含み得る。これは、第1電荷輸送材料を第2イオン性化合物の有機カチオンおよび対アニオンで処理することを含み得る。第1電荷輸送材料を第2イオン性化合物の有機カチオンおよび対アニオンで処理する工程は、当業者に公知の任意の技術または本明細書中で記載した任意の技術を用いて、第2イオン性化合物を第1電荷輸送材料上に配置することを含み得る。例えば、第2イオン性化合物は、蒸着または溶液堆積によって、例えばグラビアコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードコーティング、スプレーコーティング、ロールトゥロール(R2R)処理、またはスピンコーティングによって第1電荷輸送材料上に配置され得る。これの後に、例えば50℃~150℃、典型的には100℃で、典型的には10分間、例えば5分間のアニーリングが続き得る。典型的には、第2イオン性化合物は、スピンコーティングによって第1電荷輸送材料上に配置される。これの後に、典型的には上述のアニーリングが続く。
典型的には、結晶性A/M/X材料を含む層は、第1電荷輸送材料の層上(または、存在する場合、それ自体第1電荷輸送材料の層上に配置される第2イオン性化合物上)に直接配置される。第1電荷輸送材料の層は、好ましくはポリTPD、またはポリTPDおよびNPDを含む(例えば、それぞれポリTPDおよびNPDを含む2つの副層において、好ましくはここで、ポリTPDを含む副層は第1電極に隣接し、そして好ましくはここで、NPDを含む副層は結晶性A/M/X材料を含む層に隣接する)か、または酸化ニッケルの緻密層である。ポリTPDはp-ドープされていてもよく、例えばそれはポリTPD:F4-TCNQであり得る。
プロセスは:第2電荷輸送材料を結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルム上に配置すること、および第2電極を第2電荷輸送材料上に配置することをさらに含み得る。第2電荷輸送材料を配置することは、第1電荷輸送材料を配置することについて上記した通りであり得る。第2電荷輸送材料を配置することは、典型的には溶媒および第2電荷輸送材料を含む溶液を結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルム上に配置することを含む。溶液配置は、グラビアコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードコーティング、スプレーコーティング、ロールトゥロール(R2R)処理、またはスピンコーティングを含み得る。これの後に、典型的には本明細書中で記載した任意の方法を用いて溶媒を除去する工程が続く。典型的には、溶媒は、例えば、30℃~400℃、例えば50℃~200℃の温度に加熱することによって除去される。典型的には、加熱は、50℃~200℃の温度に1~200分、好ましくは1~30分、例えば2~8分の時間加熱することを含む。異なる第2電荷輸送材料を含む2つの層(または2つの副層)が存在する場合、各層(または副層)は、上記のように、溶媒および特定の電荷輸送材料を含む溶液を配置することによって配置され得る。必要に応じて、各溶液配置工程の後に、上記の加熱工程が続く。例えば、PCBMの層(または副層)およびBCPの層(または副層)は、このようにして連続して配置され得る。
第2電荷輸送材料が結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルム上に配置される前に、プロセスは、本明細書中で定義した第2イオン性化合物を結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルム上に配置することをさらに含み得る。これは、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを第2イオン性化合物の有機カチオンおよび対アニオンで処理することを含み得る。結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを第2イオン性化合物の有機カチオンおよび対アニオンで処理する工程は、当業者に公知の任意の技術または本明細書中で記載した任意の技術を用いて、第2イオン性化合物を結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルム上に配置することを含み得る。例えば、第2イオン性化合物は、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルム上に、蒸着または溶液堆積によって、例えばグラビアコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードコーティング、スプレーコーティング、ロールトゥロール(R2R)処理、またはスピンコーティングによって配置され得る。これの後に、例えば50℃~150℃、典型的には100℃で、典型的には10分間、例えば5分間のアニーリングが続き得る。典型的には、第2イオン性化合物は、スピンコーティングによって結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルム上に配置される。これの後に、典型的には上述のアニーリングが続く。プロセスは、次いで:第2電荷輸送材料を第2イオン性化合物上に配置すること、および第2電極を第2電荷輸送材料上に配置することをさらに含み得る。
典型的には、第1電荷輸送材料は本明細書中で記載した正孔輸送(p-型)材料であり、そして第2電荷輸送材料は本明細書中で記載した電子輸送(n-型)材料である。あるいは、第1電荷輸送材料は本明細書中で記載した電子輸送(n-型)材料であり得、そして第2電荷輸送材料は本明細書中で記載した正孔輸送(p-型)材料である。例えば第1電荷輸送材料は、ポリTPD、またはポリTPDおよびNPD(例えば、それぞれポリTPDおよびNPDを含む2つの副層において)、または酸化ニッケルを含み得、そして第2電荷輸送材料は、有機電子輸送(n-型)材料、好ましくはPCBMであり得る。
典型的には、第1電極は透明導電性酸化物を含み、そして第2電極は元素金属を含む。
典型的には、第2電極は、金属、例えば元素金属を含むか、またはそれから実質的になる。第2電極材料が含み得るかまたはそれから実質的になり得る金属の例は、クロム、銀、金、銅、アルミニウム、白金、、パラジウム、またはタングステンを含む。第2電極は真空蒸発によって配置され得る。第2電極材料の層の厚さは、典型的には1~250 nm、好ましくは5 nm~100 nmである。
本プロセスによって製造される光電子デバイスは、本明細書中で記載したように、任意の追加の層、例えば追加の電子輸送(n-型)層または界面改質層またはバッファ層、例えば、BCPの層を含み得る。同様に、本プロセスは、任意のこのような追加の層を追加することをさらに含み得る。
本発明はまた、本明細書中で記載した任意のプロセスによって得られ得る結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムに関する。本発明はまた、本明細書中で記載した任意のプロセスによって得られる結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムに関する。
本発明はまた、
(a)本明細書中で記載した結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを含む;または
(b)本明細書中で記載したプロセスによって得られ得る、
光電子デバイスに関する。
本発明の利点は、いくつかの具体例を参照して以下に記載される。
実施例1
イオン性固体をペロブスカイト吸収材層に導入することによって、イオン移動は結束して(cohesively)抑制され得、そして周囲空気中、光と熱の組み合わせ下でフィルム安定性は改善され得る。好ましくはp-i-nまたはn-i-p平面デバイス構造のイオン性固体含有ペロブスカイトは、効率の改善だけでなく、フルスペクトル太陽光下、高温で応力を受けた場合、ほぼ「非劣化」太陽電池を与え得る。これは、ペロブスカイトPV技術の商業的な高級化および発展について鍵となる工程を表す。
方法
材料。ヨウ化鉛(PbI2、99.999%、金属基準)をAlfa-Aesarから、および臭化鉛(PbBr2、≧98%)をAlfa-Aesarから購入した。ヨウ化セシウム(CsI、99.99%)をAlfa-Aesarから購入した。ヨウ化ホルムアミジニウムヨージド(FAI)をGreatCell Solarから購入した。[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM、>99.5%)をSolenne BVから購入した。ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニル-アミン)(ポリTPD)を1-Materialから購入した。2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)をLumtecから購入した。N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPD)をSigma-Aldrichから購入した。バソクプロイン(BCP、98%)をAlfa Aesarから購入した。特に明記しない限り、全ての他の材料および溶媒をSigma-Aldrichから購入した。全ての材料をさらなる精製なしで受け取ったままで用いた。
金属ハライドペロブスカイトおよび有機輸送半導体の調製。混合カチオン鉛混合アニオンペロブスカイト前駆体溶液を形成するため、CsI、FAI、PbI2、およびPbBr2を、無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)および無水ジメチルスルホキシド(DMSO)をDMF:DMSO=4:1の比で含む混合有機溶媒系中の所望の金属ハライドペロブスカイト組成物[例えば、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3]について正確な化学量論に相当する方法で調製した。用いたペロブスカイト前駆体濃度は1.45Mであった。並行して、非イオン性固体を含むペロブスカイト前駆体溶液と同じペロブスカイト成分を、異なるイオン性固体をPb含有量に対して所望のモル比で有するDMF/DMSO混合溶媒系に溶解することによって、イオン性固体を含むペロブスカイト前駆体溶液を調製した。ペロブスカイト前駆体溶液を、窒素充填グローブボックス中で一晩攪拌し、そしてさらなる処理なしで用いた。正孔輸送材料について、ポリTPDを、20 wt%のF4-TCNQと共にトルエン中に1 mg/mLの濃度で溶解した。正孔輸送材料の一種としてNPDをm-キシレン中に3 mg/mLの濃度で溶解した。電子輸送(PCBM)および正孔阻止(BCP)材料について、PCBMおよびBCPを、それぞれクロロベンゼン(CB)および1,2-ジクロロベンゼン(DCB)(CB : DCB = 3 : 1体積)の混合有機溶媒系中およびイソプロパノール(IPA)中に20および0.5 mg/mLの濃度で溶解した。ペロブスカイト底面および上面処理について、イオン性固体を、それぞれDMFおよびDMSOをDMF:DMSO=4:1の比で含む混合溶媒中およびIPA中に溶解した。
基材調製およびデバイス作製。フッ素ドープ酸化スズ(FTO)コーティングしたガラス(Pilkington TEC 7、7Ω/□シート抵抗)を、亜鉛粉末および2 M HClでエッチングし、所望の透明電極パターンを得た。FTO-コーティングしたガラス基材以外に、予めパターン形成した(pre-patterned)スズドープ酸化インジウム(ITO)ガラス基材もまた、ペロブスカイト太陽電池の作製のために用いた。基材を、種々の溶液および溶媒を用いて一連の超音波洗浄浴中で、以下の順序で洗浄した:1)Decon 90洗浄剤の2% v/v溶液を有する脱イオン水;2)脱イオン水;3)アセトンおよび4)IPA(各工程5~8分)。超音波洗浄後、基材を乾燥窒素で乾燥し、次いで使用前にUV-オゾンで15~20分処理した。基材洗浄手順後、F4-TCNQドープポリTPDを、そのように調製した有機溶液を分配することによって2000 rpmで回転する基材上に20秒堆積し、続いて周囲空気中、130℃で10分熱アニーリングした。ペロブスカイトをITO基材上に加工する場合に湿潤性を改善するため、NPDを、ポリTPDと同じ加工プロトコルを用いてポリTPDの後に堆積した。ペロブスカイト層の堆積は、窒素充填グローブボックス中でスピンコーターを用いて以下の加工パラメーターで行った:1000 rpmで開始して5秒(静止状態から5秒の傾斜時間)および次いで5000 rpm(1000 rpmから5秒の傾斜時間)で30秒。回転プロセスの終わりの前に、溶媒-クエンチ法[Jeon, N. J. et al. Solvent engineering for high-performance inorganic-organic hybrid perovskite solar cells. Nat. Mater. 13, 897, (2014)]を、スピンコーティングプロセスの開始後、300-μLアニソールを40秒で回転する基材上に滴下することによって用いた。次いで、熱アニーリングプロセス(100℃で50~60分)をペロブスカイト層の形成のために行った。そのようにして調製したPCBM溶液を、ペロブスカイト層上に2000 rpmの速度で20秒動的スパンした(dynamically spun)。次いで、サンプルを100℃で3~5分アニーリングした。室温まで冷却後、そのようにして調製したBCP溶液をPCBM層上に4000 rpmの速度で20秒動的スパンし、続いて100℃で~1分簡単な熱アニーリングプロセスを行った。PCBMおよびBCPの両方を、窒素充填グローブボックス内で加工した。ペロブスカイト底面および上面処理について、イオン性固体溶液を6000 rpmでそれぞれ正孔輸送層(すなわちp-型半導体)上およびペロブスカイト層上に動的スパンし、続いて熱アニーリングプロセスを100℃で5分行った。イオン性固体表面処理を、グローブボックス中で行った。ペロブスカイト太陽電池を、周囲環境に配置した熱蒸発器(Nano 36, Kurt J. Lesker)を用いて高真空(6×10-6torr)下でのシャドーマスクを使って、Cr2O3/Cr(3.5 nm)およびAu電極(100nm)の熱蒸発によって完成した。
太陽電池の特徴付け。ペロブスカイト太陽電池についての電流密度および電圧(J-V)特性を、AM1.5太陽光下、ABET Sun 2000 Class Aシミュレーターを用いて発生させた100 mW/cm2放射照度でKeithley 2400ソースメーターで空気中で測定した。J-V曲線を、200 mV/s(10 mVの電圧ステップおよび10 msの遅延時間で)のスキャン速度で記録した。光強度を、1%未満の不整合率を有する国立再生エネルギー研究所(NREL)が較正したKG 5フィルター処理したケイ素参照セルを用いて較正した。全てのデバイスを、金属開口でマスクして、活性領域を定義しそしてエッジ効果を除去した。
デバイス安定性試験。ペロブスカイト太陽電池を、窒素充填グローブボックス中、カバーガラス(LT-Cover, Lumtec)およびUV接着剤(LT-U001, Lumtec)で封入した。全てのデバイスを、76 mW/cm2放射照度を有する模擬フルスペクトルAM1.5太陽光下、Atlas SUNTEST XLS+(1,700 W空冷キセノンランプ)光浸漬(light-soaking)チャンバーを用いてエージングした。全てのデバイスを、開回路条件下でエージングした。エージングするセルについてのJ-V特性を、別個の太陽シミュレーター(AM1.5、100 mW/cm2)下、異なる時間間隔で記録した。エージングプロセスの間、追加の紫外線フィルターを用いなかった。チャンバーを、黒色標準温度制御ユニットによって測定した85℃に制御した温度で空冷した。実験室中の相対湿度を、エージング期間の間、50-60%の範囲でモニターした。
結果
図1a-fは、イオン性固体(1)、6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウム テトラフルオロボレート([PF-PTAM][BF4])をCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体に添加することについてのデバイス構造、太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。0.2 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、3 cm×3 cmの基材上に作製した。図1aは、[PF-PTAM][BF4]の化学構造および平面ヘテロ接合p-i-nペロブスカイト太陽電池の模式デバイス構造を示す。図1bは、100 mW/cm2の強度を有する模擬AM1.5太陽光下、0.3 mol%(Pb原子に対して)の[PF-PTAM][BF4](0.3 mol%、丸)を有するおよびイオン性固体(Ref.、四角)を有しないCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池について順方向バイアス(FB)~短絡(SC)スキャンの電流密度および電圧(J-V)特性を示す。電力変換効率(PCE)、開回路電圧(VOC)、短絡電流(JSC)、およびフィルファクター(FF)を含む対応する性能パラメーターを、図1bにおいて測定したセルについて表1に要約する。図1c-fは、0(すなわち、Ref.)から0.4 mol%までの範囲の異なる濃度を用いて、[PF-PTAM][BF4]を用いてCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についてPCE(図1c)、VOC(図1d)、JSC(図1e)およびFF(図1f)の統計学的結果を示す。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。
表1:電力変換効率(PCE)、開回路電圧(VOC)、短絡電流(JSC)、およびフィルファクター(FF)を含む対応する性能パラメーターを、図1bにおいて測定したセルについて要約する。
Figure 2022538776000009
図2a-fは、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト吸収材層上に堆積したイオン性固体(1)、[PF-PTAM][BF4]についてのデバイス構造、太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。0.2 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、3 cm×3 cmの基材上に作製した。図2aは、[PF-PTAM][BF4]の化学構造および平面ヘテロ接合p-i-nペロブスカイト太陽電池におけるこのイオン性固体の相対位置を模式的に示す。図2bは、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池についてのFB~SCスキャンのJ-V特性を示す。J-V曲線は、100 mW/cm2の強度を有する模擬AM1.5太陽光下、0.6 mol%(Pb原子に対して)の[PF-PTAM][BF4]を有する(上部処理、黒丸)およびイオン性固体を有しない(Ref.、黒四角)、ならびに暗所中、0.6 mol%の[PF-PTAM][BF4]を有する(白抜き丸)およびイオン性固体を有しない(Ref.、白抜き四角)ペロブスカイト太陽電池を含む。PCE、VOC、JSC、およびFFを含む対応する性能パラメーターを、図2bにおいて測定したセルについて表2に要約する。図2c-fは、0.6 mol%の[PF-PTAM][BF4]の追加の層を有するおよびイオン性固体の添加を有しない(Ref.)、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についての統計学的結果を示す:PCE(図2c)、VOC(図2d)、JSC(図2e)、およびFF(図2f)。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。
表2:PCE、VOC、JSC、およびFFを含む対応する性能パラメーターを、図2において測定したセルについて要約する。
Figure 2022538776000010
図3a-fは、イオン性固体(2)、1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム テトラフルオロボレート([IPIM][BF4])をCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体に添加することについてのデバイス構造、太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。0.0919 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、2.8 cm×2.8 cmの基材上に作製した。図3aは、[IPIM][BF4]の化学構造および平面ヘテロ接合p-i-nペロブスカイト太陽電池の模式デバイス構造を示す。図3bは、100 mW/cm2の強度を有する模擬AM1.5太陽光下、0.1 mol%(三角)(Pb原子に対して)、0.2 mol%(丸)、0.3 mol%(逆三角)の濃度の[IPIM][BF4]を有するおよびイオン性固体(すなわちRef.、四角)を有しないCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池についてFB~SCスキャンのJ-V特性を示す。PCE、VOC、JSC、およびFFを含む対応する性能パラメーターを、図3bにおいて測定したセルについて表3に要約する。図3c-fは、0(すなわち、Ref.)から0.3 mol%までの範囲の異なる濃度を用いて、[IPIM][BF4]を用いてCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についてPCE(図3c)、VOC(図3d)、JSC(図3e)およびFF(図3f)の統計学的結果を示す。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。
表3:PCE、VOC、JSC、およびFFを含む対応する性能パラメーターを、図3bにおいて測定したセルについて要約する。
Figure 2022538776000011
図4a-gは、イオン性固体(2)、[IPIM][BF4]を含むCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト吸収材層の前に堆積したイオン性固体(1)、[PF-PTAM][BF4]についてのデバイス構造、太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。図4に示すペロブスカイト太陽電池について、[PF-PTAM][BF4]を用いた底面処理を、特に明記しない限り、0.6 mol%(Pb原子に対して)の[PF-PTAM][BF4]イオン性固体前駆体から調製した。0.0919 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、2.8 cm×2.8 cmの基材上に作製した。図4aは、[PF-PTAM][BF4]および[IPIM][BF4]の化学構造ならびに平面ヘテロ接合p-i-nペロブスカイト太陽電池におけるイオン性固体の相対位置を模式的に示す。図4bは、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池についてのFB~SCスキャンのJ-V特性を示す。J-V曲線は、100 mW/cm2の強度を有する模擬AM1.5太陽光下ならびに暗所中(イオン性固体添加を有するセルについて白抜き丸;イオン性固体を有しないセルについて白抜き四角)、ペロブスカイト前駆体および[PF-PTAM][BF4]で底面処理したペロブスカイト中0.1 mol%の[IPIM][BF4]を含むイオン性固体添加を有する(0.1 mol%、黒丸)、およびイオン性固体を有しない(Ref.、黒四角)ペロブスカイト太陽電池を含む。PCE、VOC、JSC、およびFFを含む対応する性能パラメーターを、図4bにおいて測定したセルについて表4に要約する。図4cは、イオン性固体添加を有する(丸)および有しない(四角)セルについて定常状態出力を示す。図4d-gは、0.1~0.3 mol%の異なる濃度の[IPIM][BF4]でイオン性固体を有するおよびイオン性固体添加を有しない(Ref.)Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についての統計学的結果を示す:PCE(図4d)、VOC(図4e)、JSC(図4f)、およびFF(図4g)。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。
表4:PCE、VOC、JSC、およびFFを含む対応する性能パラメーターを、図4bにおいて測定したセルについて要約する。
Figure 2022538776000012
図5a-gは、イオン性固体(3)、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート([ジ-tBIM][BF4]、またはイオン性固体(4)、N-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウムテトラフルオロボレート([ジ-IPAM][BF4])をCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト吸収材層に添加することについてのデバイス構造、太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。0.0919 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、2.8 cm×2.8 cmの基材上に作製した。図5aは、[ジ-tBIM][BF4]および([ジ-IPAM][BF4]の化学構造ならびに平面ヘテロ接合p-i-nペロブスカイト太陽電池を模式的に示す。図5bは、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池についてのFB~SCスキャンのJ-V特性を示す。J-V曲線は、100 mW/cm2の強度を有する模擬AM1.5太陽光下ならびに暗所中([ジ-tBIM][BF4]を有するセルについて白抜き丸;[ジ-IPAM][BF4]を有するセルについて白抜き三角;イオン性固体を有しないセルについて白抜き四角)、0.2 mol%(Pb原子に対して)の[ジ-tBIM][BF4](黒丸)、0.2 mol%の[ジ-IPAM][BF4](黒三角)を有するおよびイオン性固体を有しない(Ref.、黒四角)ペロブスカイト太陽電池を含む。PCE、VOC、JSC、およびFFを含む対応する性能パラメーターを、図5bにおいて測定したセルについて表5に要約する。図5cは、[ジ-tBIM][BF4]を有する、[ジ-IPAM][BF4]を有する(三角)およびイオン性固体を有しない(四角)セルについて定常状態出力を示す。図5d-gは、[ジ-tBIM][BF4]および[ジ-IPAM][BF4]のイオン性固体を有するならびにイオン性固体添加を有しない(Ref.)Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についての統計学的結果を示す:PCE(図5d)、VOC(図5e)、JSC(図5f)、およびFF(図5g)。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。
表5:PCE、VOC、JSC、およびFFを含む対応する性能パラメーターを、図5bにおいて測定したセルについて表5に要約する。
Figure 2022538776000013
図6a-kは、フルスペクトル太陽光および加熱(85℃)下、72-時間のエージング期間について、イオン性固体(3)、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート([ジ-tBIM][BF4]、またはイオン性固体(4)、N-((ジイソプロピルアミノ)メチレン)-N-ジイソプロピルアミニウムテトラフルオロボレート([ジ-IPAM][BF4])をCs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト吸収材層に添加することについての太陽電池性能パラメーターおよび統計学的結果を示す。0.0919 cm2のセルサイズを有する太陽電池を、2.8 cm×2.8 cmの基材上に作製した。図6a-cは、エージング前(丸)、24-時間のエージング後(四角)、および72-時間のエージング後(三角)の、イオン性固体を有しない(Ref.、図6a)、0.2 mol%(Pb原子に対して)の[ジ-tBIM][BF4]を有する(図6b)、および0.2 mol%の[ジ-IPAM][BF4]を有する(図6c)、Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3組成のペロブスカイト吸収材層を有するペロブスカイト太陽電池についてのFB~SCスキャンのJ-V特性を示す。PCE、VOC、JSC、およびFFを含む対応する性能パラメーターを、図6a-cにおいて測定したセルについて表6に要約する。図6d-gは、24-時間のエージング後の、[ジ-tBIM][BF4]および[ジ-IPAM][BF4]のイオン性固体を有するならびにイオン性固体を有しない(Ref.)Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についての統計学的結果を示す:PCE(図6d)、VOC(図6e)、JSC(図6f)、およびFF(図6g)。図6h-kは、72-時間のエージング後の、[ジ-tBIM][BF4]および[ジ-IPAM][BF4]のイオン性固体を有するならびにイオン性固体を有しない(Ref.)Cs0.17FA0.83Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体から作製したペロブスカイト太陽電池についての統計学的結果を示す:PCE(図6h)、VOC(図6i)、JSC(図6j)、およびFF(図6k)。全てのデバイスパラメーターを、FB~SC J-Vスキャン曲線から決定する。
表6:PCE、VOC、JSC、およびFFを含む対応する性能パラメーターを、図6a-cにおいて測定したセルについて要約する。
Figure 2022538776000014
実施例2
方法
前駆体材料調製
ヨウ化鉛(PbI2、99.999%、金属基準)、臭化鉛(PbBr2、≧98%)およびヨウ化セシウム(CsI、99.99%)をAlfa-Aesarから購入した。ホルムアミジニウムヨージド(FAI)をGreatCell Solarから購入した。1-n-ブチル-1-メチルピペリジニウム テトラフルオロボレート([BMP]+[BF4]-、99%)をSigma-Aldrichから購入した。[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PC61BM、>99.5%)をSolenne BVから購入した。バソクプロイン(BCP、98%)をAlfa Aesarから購入した。ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニル-アミン)(ポリTPD)を1-Materialから購入した。2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)をLumtecから購入した。特に明記しない限り、全ての他の材料および溶媒をSigma-Aldrichから購入した。この研究において、全ての材料をさらなる精製なしで受け取ったままで用いた。
混合カチオン鉛混合アニオンペロブスカイト前駆体溶液を形成するため、CsI、FAI、PbI2、およびPbBr2を、無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)および無水ジメチルスルホキシド(DMSO)をDMF:DMSO=4:1の体積比で含む混合有機溶媒系中の所望のハイブリッドペロブスカイト組成物[例えば、Cs0.17FA0.83Pb(I0.90Br0.10)3およびCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3]について正確な化学量論に相当する方法で調製した。用いたペロブスカイト前駆体濃度は1.45Mであった。並行して、非イオン性固体を含むペロブスカイト前駆体溶液と同じペロブスカイト成分を、[BMP]+[BF4]-をPb含有量に対して所望のモル比で有するDMF/DMSO混合溶媒系に溶解することによって、ピペリジニウムイオン性固体[BMP]+[BF4]-を含むペロブスカイト前駆体溶液を調製した。ペロブスカイト前駆体溶液を、窒素充填グローブボックス中で一晩攪拌し、そしてさらなる処理なしで用いた。正孔輸送材料について、ポリTPDを、20 wt%のF4-TCNQと共にトルエン中に1 mg/mL-1の濃度で溶解した。電子輸送(PC61BM)および正孔阻止(BCP)材料について、PC61BMおよびBCPを、それぞれクロロベンゼン(CB)および1,2-ジクロロベンゼン(DCB)(CB : DCB = 3 : 1体積)の混合有機溶媒系中および純粋なイソプロパノール(IPA)中に20および0.5 mg/mL-1の濃度で溶解することによって別個に調製した。
ペロブスカイトセルおよびフィルム作製
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)コーティングしたガラス(Pilkington TEC 7、7Ω/□シート抵抗)を、亜鉛粉末および2 M HClでエッチングし、所望の透明電極パターンを得た。基材を、種々の溶液および溶媒を用いて一連の超音波洗浄浴中で、以下の順序で洗浄した:1)Decon 90洗浄剤の2% v/v溶液を有する脱イオン水;2)脱イオン水;3)アセトンおよび4)IPA(各工程5~8分)。超音波洗浄後、基材を乾燥窒素で乾燥し、次いで使用前にUV-オゾンで15~20分処理した。基材洗浄手順後、F4-TCNQドープポリTPDを、そのように調製した有機溶液を分配することによって2000 rpmで回転する基材上に20秒堆積し、続いて周囲空気中、130℃で5分熱アニーリングした。ペロブスカイト層の堆積は、窒素充填グローブボックス中でスピンコーターを用いて以下の加工パラメーターで行った:1000 rpmで開始して5秒(静止状態から5秒の傾斜時間)および次いで5000 rpm(1000 rpmから5秒の傾斜時間)で30秒。回転プロセスの終わりの前に、溶媒-クエンチ法(Nat. Mater. 13, 897, 2014)を、スピンコーティングプロセスの開始後、250~300μLのアニソールを40秒で回転する基材上に滴下することによって用いた。次いで、熱アニーリングプロセス(100℃で50~55分)をペロブスカイト層の形成のために行った。そのようにして調製したPC61BM溶液を、ペロブスカイト層上に2000 rpmの速度で20秒動的スパンした。次いで、サンプルを100℃で3~5分アニーリングした。室温まで冷却後、そのようにして調製したBCP溶液をPCBM層上に4000 rpmの速度で20秒動的スパンし、続いて100℃で~1分簡単な熱アニーリングプロセスを行った。PCBMおよびBCPの両方を、窒素充填グローブボックス内で加工した。ハイブリッドペロブスカイト単接合太陽電池を、周囲環境に配置した熱蒸発器(Nano 36, Kurt J. Lesker)を用いて高真空(6×10-6torr)下でのシャドーマスクを使って、Cr(3.5 nm)およびAu電極(100nm)の熱蒸発によって完成した。
ペロブスカイト太陽電池の特徴付け
ペロブスカイト太陽電池についての電流密度および電圧(J-V)特性を、AM1.5太陽光下、ABET Sun 2000 Class Aシミュレーターを用いて発生させた98~102 mW/cm-2放射照度でKeithley 2400ソースメーターで空気中で測定した。試験セルについて不整合率、光源および国立再生エネルギー研究所(NREL)が較正したKG 5フィルター処理したケイ素参照セルを、等価AM1.5放射照度レベルを正確に見積るために、見積りそして適用した。デバイスの各セットについて測定の開始前に、太陽シミュレーターの強度を、KG5参照セルを用いて自動的に測定し、そしてこの記録した強度を用いて正確な電力変換効率を計算し、ここで電力変換効率(PCE)は:(電力/太陽光電力(solar light power in)) × 100%である。特に明記しない限り、全てのペロブスカイト単接合デバイスは、0.0919 cm2の金属開口でマスクして、活性領域を定義しそしてエッジ効果を除去した。J-V曲線を、1.3 Vから-0.1 Vまで100 mV・s-1のスキャン速度(100 msの遅延時間)でとり、次いで後戻り(-0.1 Vから1.3 Vまで)した。照明下1.3 Vの順方向バイアスでの1 sの安定化時間は、スキャン前に行った。我々は、最高の性能に達するために、セルが複数の連続した測定(典型的には5つまでのJ-Vスキャン)を使用することができたことに留意する。外部量子効果(EQE)測定を、Bruker Vertex 80vフーリエ変換分光計に基づいて特注のフーリエ変換光電流分光法を用いて行った。タングステン-ハロゲンランプを光源として用い、そして強度をNewport-c較正参照ケイ素光ダイオードに対して較正した。
ペロブスカイト太陽電池安定性試験およびデバイスの特徴付け
ペロブスカイト太陽電池を、窒素充填グローブボックス中、カバーガラス(LT-Cover, Lumtec)およびUV接着剤(LT-U001, Lumtec)で封入した。全ての封入したデバイスを、76 mW/cm-2放射照度を有する模擬フルスペクトルAM1.5太陽光下、Atlas SUNTEST XLS+(1,700 W空冷キセノンランプ)光浸漬チャンバーを用いてエージングした。封入していないデバイスについて、77 mW・cm-2放射照度を有する模擬フルスペクトルAM1.5太陽光下、Atlas SUNTEST CPS+光浸漬チャンバーを用いてエージングした。全てのエージング試験を、開回路条件で行ってJ-V特徴付けを行い、サンプルをチャンバーから取り出し、そして上記の測定プロトコルに従って異なる時間間隔で試験した。エージングプロセスの間、紫外線フィルターを適用しなかった。封入したサンプルを保存するためのエージングチャンバーを、85℃に制御した温度で空冷し、一方、封入していないサンプルをエージングしたチャンバーの温度は、60℃に設定した。両方のエージングチャンバーの温度は、黒色標準温度制御ユニットによって測定した。エージング期間の間、実験室中の相対湿度を、~50 ± 5%の範囲でモニターした。
PbI2フィルム調製および安定性試験
1 M PbI2溶液(DMF:DMSO=4:1)から調製したPbI2フィルムを、FTOガラス基材上に4000 rpmで30秒スパンし、続いて100℃で30分熱アニーリングした。全体の堆積は、N2中で行った。鏡面仕上げボックス(上面および底面の両方が開いている)上方に位置した発光ダイオード(LED)照明機器(Intelligent LED Solutions, ILF-GD72-WMWH-SD401-WIR200)を、照明源として用いた。照明機器に定電流モードに設定したVoltcraft DPPS-60-10から電力を供給し、2 A(~39.7 V)をLEDアレイに提供した。PbI2フィルムを、O2およびH2O <1 ppmの窒素充填グローブボックス内で85℃に設定したホットプレート(Fisher Scientific, 11-102-50H)上の照明を当てた領域の中央において照明機器/ミラーボックスアセンブリの下方に配置することによって、それらに照明を当てた。LED照明機器の等価太陽光照明強度の概算は、補遺文に提供される。
光ルミネセンスの特徴付け
定常状態光ルミネセンススペクトルを、510 nmの励起波長および5 mmのスリット幅を用いて市販の蛍光分光計(Horiba, Fluorolog)上で記録した。時間分解PL測定を、時間相関単一光子計数(TCSPC)設定(FluoTime 300 PicoQuant GmbH)を用いて取得した。フィルムサンプルを、0.2 MHzでパルスを発した507-nmレーザーヘッド(LDH-P-C-510, PicoQuant GmbH)を用いて光励起した。ペロブスカイトフィルムを、ポリTPDコーティングしたFTOガラス基材上に調製した。
高分解能二次イオン質量分析の特徴付け
これらのサンプルにおけるBおよびFの位置特定を調査するために、我々は、~0.25 mol%の[BMP]+[BF4]-(使用したペロブスカイトのPb含有量に対して)を有する500 nmペロブスカイトフィルムをSi/SiO2基材上に堆積し、そして高分解能二次イオン質量分析(NanoSIMS)を採用して、集束16 keV Cs+一次ビームを用いたCAMECA NanoSIMS 50システムにおいて元素マッピングを行った。D1開口をD1-3(直径150μm)に設定し、これは、選択した測定領域にわたってラスタ化した(rastered)~1 pA(ビーム直径~150nm)の一次ビームを提供する。入口および開口スリットは、それぞれ40×220μm(ES-2)および200×200μm(AS-2)となるよう選択した。ラスタサイズは、15μm×15μm(256×256ピクセル)であり、そして滞在時間はピクセル当たり2000μsであった。イオンマップを、スパッタリングプロセスの間に生成した二次電子シグナルと一緒に12C-19F-28Si-および11B16O2 -イオンシグナルについて同時に集め、これを用いてサンプルの形態および表面地形の両方を示すことができる。これらのスキャンは、同じ領域から200回繰り返し、各元素の分布の積層画像のセットを与え、そしてサンプルの表面下~700nmの合計深さまでスパッタリングする。図21A-Cにおける典型的な2次元(2D)SIMSマップは、画像#21から#40まで合計し、より良好な信号対雑音比(SNR)を与える。ImageJにおける「オートトラック」特徴を用いて、画像が合計される前にいかなる画像ドリフトも訂正し、そして次いでFEI Avizoソフトウェアパッケージを、Appl. Surf. Sci. 464, 311-320 (2019)に記載の方法論に従って図21Dに示す3次元(3D)視覚化のために適用した。我々は、OpenMIMSプラグイン(Harvard)を有するImageJを用いて、1つの19F-ホットスポットおよびペロブスカイトマトリクスの一部を覆う小さな領域から深さプロファイルおよび線プロファイルをプロットし、19F-強度を比較した。
固体核磁気共鳴
全ての固体核磁気共鳴(ssNMR)実験は、トリプルチャネル1.3 mm ssNMRプローブを用いて700 MHz Bruker AV III分光計上で行った。全ての1Hパルスは、55 kHzのマジックアングル回転周波数で回転するサンプルを用いて、67 kHzのニューテーション周波数においてであった。1D Bloch-減衰実験についてのスキャン数は3200であった。標準3-パルススキームを2Dスピン拡散実験のために用いた。2Dスペクトルを、4 msの最終t1放出時間および100 msの混合時間に相当する160の増加のそれぞれについて96スキャンで獲得した。States-TPPIを、間接次元における周波数識別のために用いた。20 Hzの指数線幅拡大を有するTopspin 3.5を用いてデータを処理し、inkscape 0.92を用いて編集した。実験の間の温度は298 Kに維持した。
過渡光電圧および光電流の特徴付け
照明を、高速スイッチング金属酸化物半導体電界効果トランジスタを有する12つの白色発光ダイオード(LED)のリングによって提供した。1つの太陽等価照明を、AM1.5G太陽シミュレーター測定下で得られたJSCおよびVOCの値を一致させることによって較正した。約2 ms明かりをつけ、定常状態に達するようにし、そしてより長い時間明かりを消して過熱を回避した。潜在的バイアスをKeithley 2400ソースメーターによって適用し、そして横切る電流および電圧を、1-MΩ入力インピーダンスを有するTektronix TDS3032Bオシロスコープによって測定した。電荷抽出を用いて、異なる照明レベルおよび異なるバイアス(この研究における開回路および短絡)下、デバイスにおける平均電荷担体密度を決定した。
所望の光強度を、上記と同じ12つの白色LEDのリングによって提供し、これは、5つまでの太陽等価物の電力が可能である。デバイスを、ある背景光で初期バイアス下保持し、そして次いで短絡に切り替え、そして明かりを消し、そして過渡をTektronix TDS3032Bオシロスコープに接続したDAQカードを用いて獲得した。電圧過渡を、オームの法則によって電流過渡に変換し、次いで電流過渡を統合して全電荷を得、デバイスにおける電荷担体密度を計算した。TPV測定の間、デバイスを、前に記載した白色LEDのリングによって制御された異なる背景光強度下、開回路条件で保持した;次いで、小さな光励起を、10 nmより小さいパルス幅を有する532nmでパルスを発したContinuum Minilite Nd:YAGレーザーによって提供した。この小さい励起は、小さい電圧過渡減衰を生じ、次いでオシロスコープによって測定された。結果を単一指数減衰関数に適合させて、小さい摂動担体寿命を得、そしてデバイス内での全電荷担体寿命を概算した。
時間分解マイクロ波伝導度の特徴付け
時間分解マイクロ波伝導度(TRMC)測定のための実験設定は、以前の研究(Chem. Mater. 31, 3359-3369, 2019)において見い出され得る。マイクロ波-周波数振動電気信号を、Sivers IMA VO4280X/00電圧制御オシレーター(VCO)を用いて発生させる。信号は、16 dBmのおおよその電力および8 GHzと15 GHzとの間の調節可能な周波数を有する。VCOには、NNS1512 TDK-Lambda一定12V電力供給装置で電力を供給し、そして出力周波数をStahl Electronics BSA-Series電源によって制御する。振動信号はWR90銅-合金導波管内部のアンテナに入射する。アンテナから発されたマイクロ波は、それらがサーキュレーター(Microwave Communication Laboratory Inc. CSW-3)に入射する前にアイソレーターおよび減衰器を通過する。サーキュレーターは、一方向デバイスとして作用し、ここで入射マイクロ波は固定したアイリス(fixed iris)(直径6.35mm)を通ってサンプルキャビティに入る。キャビティは、TE103モード定在波を支持し、そしてサンプルへの光アクセスを可能にするITO-コーティングしたガラス窓からなる。サンプルは、3D-プリントしたPLAサンプルホルダーを用いて、定在マイクロ波の電界成分の最大でキャビティ内部に取り付けられる。
キャビティから反射したマイクロ波は、次いで、サーキュレーターに入射し、アイソレーターを通り、そしてゼロバイアスショットキーダイオード検出器(Fairview Microwave SMD0218)に向かう。検出器は、入射マイクロ波の振幅に線形比例する電圧を出力する。検出された電圧信号は、Femto HAS-X-1-40高速増幅器(利得=×100)によって増幅される。増幅された検出器電圧は、Textronix TDS 3032Cデジタルオシロスコープによって時間の関数として測定される。Continuum Minilite IIパルスNd:YaGレーザーを用いて、サンプルを照らす。レーザーパルスは、532nmの波長、約5 nsの半値全幅およびサンプルに入射するcm2当たりパルス当たり~1015光子の最大フルエンスを有する。外部トリガーリンクを用いて、レーザーが燃える前にオシロスコープを動作させる。光伝導を、以前の研究(Chem. Mater. 31, 3359-3369, 2019; J. Mater. Chem. C 5, 5930-5938, 2017; J. Phys. Chem. C 117, 24085-24103, 2013)に記載の標準分析を用いて、検出器電圧の変化から評価した。全ての測定を、オーバー結合体制(over-coupled regime)で、封入せずに空気中で行った。ペロブスカイトフィルムを石英基材上に調製した。
面内過渡光伝導度の特徴付け
面内過渡光伝導度(ip-TPC)測定についての実験設定は、我々の以前の研究(Adv. Funct. Mater. 29, 1901371, 2019; Energy. Environ. Sci. 12, 169-176, 2019)において見い出され得る。FWHM = 3.74 nsを有する10 Hzで供給されるNd:YAGパルスレーザー励起源は、FACの電荷担体密度を変化させるために、フルエンスの範囲で470 nmに設定した。2.96 Vのバイアスを面内電極の1つに印加した。可変抵抗器をサンプルに直列に接続する。この抵抗器の電圧降下を、高い内部抵抗(1 MΩ)を有する並列に接続したオシロスコープによってモニターし、2つの面内Au電極にわたる電位の変化を決定した。ip-TPCを、以下の式を用いて計算した。
Figure 2022538776000015
ここで、Rrは可変抵抗器の抵抗であり、Vrは抵抗器にわたって測定した電位降下であり、Vapplは印加した電圧であり、lはチャネル長さであり、wはチャネル幅であり、そしてtはフィルム厚さである。ペロブスカイトフィルムをガラス基材上に調製した。
X-線回折の特徴付け
X-線回折(XRD)パターンを、Cu Kα X-線源およびPanalytical X’PERT Pro X-線回折計を用いて、FTOガラス基材上に堆積したペロブスカイトサンプルから測定した。Topas-6ソフトウェアを用いて、Pawleyフィットを実行し、FTOを内部標準として用いて、格子パラメーターを抽出した。
X-線光電子分光の特徴付け
X-線光電子分光測定を、Thermo Scientific Kα光電子分光計を用いて90°の取り出し角でモノクロメーターのAl Kα X-線源を用いて行った。コアレベルXPSスペクトルを、20 eV(解像度約0.4 eV)のパスエネルギーを用いて400 μm × 400 μmの分析領域から記録した。分光計の仕事関数および結合エネルギースケールを、実験の開始前に、フェルミ端および多結晶性銀(Ag)サンプルから記録した3dピークを用いて較正した。ピーク位置を抽出するための適合手順を、CasaXPSを用いて行い、スペクトルのバックグラウンドを、Shirley線形を用いて適合させ、そしてピークを、Gaussian/Lorentzian(Lorentzian = 20 %)線形の混合を用いて適合させた。ペロブスカイトフィルムの特徴付けのために、サンプルをポリTPDコーティングしたFTOガラス基材上に調製した。
紫外-可視分光法の特徴付け
紫外-可視(UV-vis)透過測定を、Agilent Cary 60 UV-vis分光光度計を用いて行った。サンプルを、上記と同じ堆積パラメーターを用いてFTO基材上に調製した。
光学顕微鏡法の特徴付け。光学顕微鏡測定を、Nikonモーター駆動顕微鏡(Eclipse LV100ND)を用いて行った。UV-375nm LEDバルブ(BSIL100LEDC)を、PL-モード特徴付けを行うために用いた。
走査電子顕微鏡法の特徴付け
Hitachi S-4300走査電子顕微鏡を用いて、標的サンプルの断面画像を取得した。
ヨウ素損失の特徴付け
ペロブスカイトフィルムを、上記と同じプロトコルを用いてFTOガラス基材上に調製し、そして堆積した。エージングのために、ペロブスカイトサンプル(3 cm × 3 cmの合計面積を有する)を、透明バイアル中、10-mLのトルエンに浸し、そして封入していないペロブスカイトセルについてと同じエージング環境に曝露した。ペロブスカイトからのヨウ素損失を、石英キュベット中にエージングしたトルエン溶液を調製することによって研究し、そして次いでUV-vis分光光度計を用いて測定した。
ペロブスカイト-オン-ケイ素タンデムサブセルについての光学モデリング
我々は、一般化した転送行列法(Appl. Opt. 41, 3978-3987, 2002)を用いてスタックの光学応答をモデル化した。全ての計算を、NumPyおよびSciPyライブラリを使用してPythonにおいて行った。転送行列計算は、入力として各層について複雑な屈折率スペクトルおよび厚さをとる。計算は、我々に、各層の吸収率、ならびにスタックの透過率および反射率を与える。我々は、完全な内部量子効率を仮定し、そして吸収率とのAM1.5太陽スペクトルの重なり積分として短絡電流を計算した。ペロブスカイトのバンドギャップを変化させるため、減衰係数を線形変換した。各変換について、屈折率をKramer’s Kronig関係式(Appl. Spectrosc. 42, 952-957, 1988)を用いて再計算した:
Figure 2022538776000016
転送行列計算のための入力としての各材料層に用いた材料スタックおよび光学データは、モノリシックペロブスカイト-オン-ケイ素タンデム太陽電池をモデル化するために我々が用いたデバイススタックを含む、以前の刊行物Adv. Energy Mater. 9, 1803241 (2019)において我々が用いたものと同じである。タンデム太陽電池の光学モデルのために、我々は、HTL-ペロブスカイト吸収材層-ETLスタックからの光学データを我々の単接合ペロブスカイトセルにおいて用いた。さらに、タンデムセルシミュレーションのために、我々は、Bush et al., Nat. Energy 2, 17009 (2017)によって報告されたスタックと同様に、SnO2バッファ層(5 nm)、ITO層(80 nm)および最終反射防止コーティングを用いた。
電荷抽出、過渡光電流、過渡光電圧および光ルミネセント。デバイス性能、特にVOCに対する[BMP]+[BF4]-の効果を理解するため、光誘起電荷担体、電荷担体寿命および有効電荷担体拡散移動度を、電荷抽出、過渡光電流および過渡光電圧を含む一連の過渡光電子測定によって測定した。これらの過渡光電子技術は、色素増感太陽電池、有機太陽電池、およびペロブスカイト太陽電池における再結合および輸送動態の研究に広く適用されている。
図14Aは、光強度依存VOCを示し、そしてコントロールおよび0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質デバイスについて抽出された理想因子は、それぞれ2および1.55である。より小さい理想因子は、[BMP]+[BF4]-改質デバイスがより深いトラップ状態によりより少ない再結合を有することを示唆する。電荷抽出に関し、図14Bは、光誘起VOCの関数として抽出された全電荷を示す。我々は、得られた電荷がVOCの関数として浅い勾配で光誘起VOCと共に指数関数的に増大し、捕捉された電荷担体分布nが熱エネルギーkTよりも顕著に大きいことを示すことを見い出した。この指数関数的増加は、擬フェルミ準位分裂が増加するので光生成した担体がバンド内トラップ状態を満たすことを示唆する。より小さい光誘起VOCで、コントロールデバイスにおける電荷は[BMP]+[BF4]-改質デバイスよりも顕著に高く、コントロールデバイスにおける相対的に深く捕捉された担体のより高い密度を示し、[BMP]+[BF4]-はペロブスカイトフィルムにおける相対的に深いトラップの密度を減少させる。
この地点により多くの光を発するため、我々は、時間分解および定常状態光ルミネセンス(すなわちTRPLおよびSSPL)を、コントロールおよびポリTPD/FTO基材上に作製した[BMP]+[BF4]-改質フィルムに対して行った(図15)。遅い初期TRPL減衰およびより高いSSPLが[BMP]+[BF4]-デバイスにおいて観察され、また、[BMP]+[BF4]-の添加によってペロブスカイトフィルム中のトラップ密度が効率的に低減され得ることを示す。
全電荷の関数として測定された有効電荷担体寿命を図16Aに示す。我々は、コントロールデバイスが、一致した担体密度で、特に低い電荷密度体制において[BMP]+[BF4]-改質デバイスよりも長い担体寿命を示すことを見い出した。これらのより長い担体寿命はまた、コントロールデバイスについてより高いトラップ密度を示す。図16Bにおいて、両方のデバイスの有効拡散移動度は同様であり、短絡条件で測定して~10-1cm2・V-1・s-1の値である。
時間分割マイクロ波伝導度性能指数の評価
図17Aおよび17Bは、それぞれコントロールハイブリッドペロブスカイトサンプル[すなわちCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3]および0.25 mol%の[BMP]+[BF4]-を有するサンプルについて、時間分割マイクロ波伝導度(TRMC)過渡データ(時間tの関数としての光伝導度ΔG)を示す。次いで、ピークの観察されたΔGの値(すなわちΔGmax)を用いて、式S3によってTRMC性能指数を決定することができる:
Figure 2022538776000017
ここで、φΣμTRMC=φ(μeh)、ここでφは担体生成効率であり、μeおよびμhはそれぞれペロブスカイトサンプルにおける電子移動度および正孔移動度である。eは、電荷の基本単位である。I0は、入射光のフルエンスであり、そしてFAは、励起波長(0と1との間)でのサンプルの光子の吸収率である。I0は、較正した光ダイオード/熱電対列(サーモパイル)を励起経路の経路に配置することによって測定され得る。FAは、紫外-可視分光法を用いて測定され得る。Mは、我々が「マスキングパラメーター」として定義するパラメーターであり、そして入射光に曝露されるキャビティの断面積の断片(フラクション)(0と1との間)である。我々の場合、全ての場合でM=0.25である。
式S3は、測定の応答時間に再結合が起こらないと仮定する。低いフルエンスではこれは合理的な仮定であるが、高いフルエンスでは、担体密度は非常に高い数に達し得た。これらの条件下、二分子およびAuger再結合は、ΔGのピーク値を理想条件下で予想される値から低下させ得る。これは、高いフルエンスでのフルエンスの関数としてのφΣμTRMCの減少として明らかである。レーザーパルスの有限の持続の間の再結合に基づく単純なモデルを用いて、この挙動はモデル化され得る。このモデルの具体的詳細は、J. Appl. Phys. 122, 065501 (2017)において見い出され得る。
時間分割マイクロ波伝導度および面内過渡光伝導度
電荷担体移動度の添加物の影響をさらに調査するため、ペロブスカイトフィルムを時間分割マイクロ波伝導度(TRMC)を用いて研究した。ここでTRMCは石英上の分離した薄膜に対して行った。図18は、コントロールサンプルおよび添加物を有するサンプルについて、光学フルエンスの関数としてTRMC性能指数φΣμTRMC=φ(μeh)を示し、ここでφは吸収した光子あたりの発生した電子正孔対の数であり、そしてμeおよびμhは、それぞれサンプル領域にわたる平均電子移動度および正孔移動度である。パラメーターφΣμは、移動度と同じ次元(例えば、cm2V-1s-1)を有するが、担体-型-特異的情報は不明瞭のままである。
高い光学フルエンスで、二分子およびAuger再結合のかなりの量は、TRMC実験の~5 nsレーザーパルスの間に起こり、ピーク観察可能な光伝導度の減少、およびそれゆえ抽出されたφΣμTRMCの減少を生じる(図18において観察されるように)。これは、TRMCにおいて広く観察される現象であり、そしてモデルはそれを説明するために開発された。我々は、このモデルを我々の実験データに適用し、ここで研究したフィルムについてφΣμTRMCの代表値を見積った。これらの適合から、我々は、コントロールサンプルについてφΣμ=0.23 cm2・V-1・s-1、および[BMP]+[BF4]-改質サンプルについてφΣμTRMC=0.21 cm2・V-1・s-1と評価する。
TRMCからの結果は、それゆえ我々の電荷抽出特徴付けから得られたデータと広く一致する。我々は、電荷抽出について測定した移動度は面外方向にあるが、TRMCはサンプルの平面において半導体の電気特性の領域平均局所プローブであることに留意する。
さらに、我々は、コントロールおよび[BMP]+[BF4]-サンプルの両方について面内過渡光伝導度(ip-TPC)を行った(図19)。得られた移動度φΣμip-TPCは、3桁にわたる励起密度の関数としてそれぞれ0.26 cm2・V-1・s-1および0.23 cm2・V-1・s-1である(図19A)。我々は、これらの値は我々のTRMC研究から得られた値と良好に一致することに留意する。1017 cm-3未満の励起密度について、移動度の値は、励起した電荷担体が低い結合エネルギーによる平衡下、大部分はフリーの担体として存在するので、ほぼ一定である。励起後に時間の関数として測定される光伝導度の減衰プロファイル(図19B)から、我々は、[BMP]+[BF4]-改質サンプルがずっと長い減衰を有することを見い出した。後者は、[BMP]+[BF4]-デバイスにおける電荷担体について、コントロールデバイスよりも長い寿命を示唆する。
固体核磁気共鳴
我々は、[BMP]+[BF4]-とCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトとの間に何らかの直接的な相互作用が存在したかを、改質およびコントロールペロブスカイトの固体核磁気共鳴(ssNMR)研究によって調査した。コントロールおよび改質ペロブスカイトの対応する1次元スペクトルおよび2D 1H-1Hスピン-拡散(100 msの混合時間)スペクトルを図22に示す。[BMP]+[BF4]-参照サンプルを参照として用いた。改質ペロブスカイトは、[BMP]+[BF4]-の署名ピークの大部分がCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3のそれらと重複したので、コントロールに類似するスペクトルを示した(図22A)。我々はまた、1H-1H 2D相関実験を行った。両方のサンプルにおいて得られた交差ピークが類似している(図22Bおよび22C)ので、これは、[BMP]+[BF4]-とペロブスカイトとの間の直接的な相互作用が非常に弱いかまたはないかのいずれかを示す。
X-線光電子分光法
我々は、X-線光電子分光法(XPS)を用いて改質およびコントロールサンプルを特徴付けることによってssNMR測定からの我々の知見をさらに確認した。図23Aおよび23Bは、それぞれC 1sおよびN 1sの高分解能スキャンを示す。改質およびコントロールサンプルの両方を比較した場合、A-サイトに関連するピーク、すなわちC(NH2)2(288.7 eV、図23A)およびHC(NH2)2(400 eV、図23B)にほとんど何の変化も観察されなかった。この結果は、再度、[BMP]+[BF4]-とCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3との間の相互作用が弱すぎて化学シフトの変化を決定できなかったことを示した。しかし、HC-N+(286 eV、図23A)およびN+C10H22BF4(402 eV、図23B)に帰属されたピークが改質サンプルにおいてのみ見い出されたので、この観察はサンプル表面での[BMP]+[BF4]-の存在を確認した。これらの結果は、[BMP]+[BF4]-がペロブスカイト構造の一部として成長し、そして結晶性材料の表面で、おそらくはフィルム内の結晶粒間でわずかに弱く相互作用した可能性は少ないことを示した。
等価太陽光照明強度の測定
PbI2フィルムに光を当てるために用いた等価太陽光放射照度を、LED照明装置から吸収した放射照度に対するAM1.5G太陽スペクトルから吸収した放射照度の比によって与える。照明源(i)から吸収した放射照度(Fi)は以下によって与える:
Figure 2022538776000018
ここでλは入射波長であり、A(λ)は材料のスペクトル吸収率であり、そしてPi(λ)はスペクトル放射照度である。等価太陽光放射照度(M)は、従って:
Figure 2022538776000019
である。
照明源のおおよその等価強度を計算するため、照明器具による照明下、ホットプレートの上部に配置されたKG3-フィルター処理した認証ケイ素参照ダイオード(Fraunhofer)(ダイオードそれ自体は、よってホットプレートの表面上方~1 cmであった)からの短絡電流(ISC)を、ソースメジャーユニット(Keithley Instruments, 2400)を用いて測定した。照明器具からの照明スペクトルを、光ファイバの光入力開口上にコサイン補正器を有するファイバ結合分光器(Ocean Optics MAYA Pro 2000)を用いて測定した。光学測定システムにおける分散を、公知のスペクトル放射照度の較正ランプ(Ocean Optics, HL-3P-CAL)を用いて補正した。太陽電池の短絡電流密度(JSC)は以下によって与えられる:
Figure 2022538776000020
ここでqは電子の電荷であり、EQE(λ)はスペクトル外部量子効率であり、そしてφi,normは照明源からの正規化入射光子流束であり、そしてNは正規化光子流束スペクトルを物理単位に尺度化する(scale)因子である。従って、較正セルの測定したJSCおよび認定したEQEならびにLEDアレイから測定したφi,normを用いて、絶対単位のN、PLED、ならびに測定したPbI2吸収率スペクトル(1 - Tとして近似した、ここでTは透過率である)を用いてFLEDおよびFAM1.5Gを計算することができる。我々の設定は、PbI2フィルムをN2中でエージングした場合、等価太陽光強度≒0.32太陽を与えた(図42)。
結果
この実施例の結果は、イオン性固体添加物が、分解生成物の発生を効果的に阻害することによってペロブスカイト太陽電池について例外的な長寿命を可能にすることをさらに実証する。長寿命は、ハイブリッドペロブスカイト太陽光発電への長期にわたる関心である。この実施例は、ピペリジニウムベースのイオン性化合物をホルムアミジニウム-セシウム鉛-トリハライドペロブスカイト吸収材に組み込むことによる高反発ポジティブ-イントリンシック-ネガティブペロブスカイト太陽電池を実証する。バンドギャップをペロブスカイト-オン-ケイ素タンデムセルに良く適するように調整すると、このピペリジニウム添加物は開回路電圧およびセル効率を向上させる。この添加物はまた、積極的なエージングの間にペロブスカイト吸収材層における不純物相への組成偏析およびピンホール形成を妨害する。周囲雰囲気中のフルスペクトル模擬太陽光下、封入していないおよび封入したセルは、それぞれそれらのピークの80%および95%、ならびに「ポストバーンイン」効率をセ氏60および85℃で1010および1200時間保持した。分析は、エージングしたセルの故障に寄与する詳細な分解経路を明らかにする。
2端子モノリシックペロブスカイト-オン-ケイ素タンデムセルは、近い将来の商業規模の開発のための最も有望な光起電力技術の1つであると思われる。それらは、ケイ素「ボトムセル」と比較して、太陽スペクトルの相補領域において吸収するワイドバンドギャップペロブスカイト「トップセル」を特徴付け、そしてこのような29.1%に達する認証PCEを有する太陽電池が実証された。
高い効率を達成することと長期安定性との間には、しばしば妥協がある。高温、露光、および雰囲気(4)下でより急速な分解を引き起こすペロブスカイト吸収材中のA-サイトカチオンとしてのメチルアンモニウム(MA)の存在は、ホルムアミジニウム(FA)またはFAおよびセシウム(Cs)の組成物での置き換えによって軽減され得る。しかし、MAの使用は、多くの最近の報告において、混合カチオンMA/FA/CsまたはFA/MAペロブスカイトの形態の最高効率のペロブスカイトセルについて主張される。また、高効率を与えるために要求される有機正孔導体2,2',7,7'-テトラキス[N,N-ジ(4-メトキシフェニル)アミノ]-9,9'-スピロビフルオレン(スピロ-OMeTAD)および「添加物」は、ペロブスカイトセルの安定性に害を及ぼすが、しばしば最高PCE単接合ペロブスカイトセルにおいて使用される。最後に、ペロブスカイト吸収材中の欠損の分子不動態化(パッシベーション)は、「放射」効率限界に近づく太陽電池を与えるために、しばしば熱的に不安定である。吸収材層およびセルは、60°~85℃の低さの温度での熱処理後、それらの「不動態化されていない(unpassivated)」状態に戻る。それゆえ、効率の増強を与え、および長期安定性を改善する努力が要求される。この実施例は、「熱的に安定な」Cs/FA-ベースの鉛-ハライドペロブスカイト吸収材層、低温処理した有機電荷抽出層、および有機イオン性固体添加物、1-n-ブチル-1-メチルピペリジニウム テトラフルオロボレート([BMP]+[BF4]-)を用いた高性能p-i-nペロブスカイト太陽電池を実証する。[BMP]+[BF4]-のペロブスカイト吸収材への組み込みは、85℃までの高温でのフルスペクトル太陽光下で応力を受けたセルの、深いトラップ状態を抑制し、性能を改善し、そして操作安定性を向上させた。
ピペリジニウム添加物を有するペロブスカイト太陽電池
我々は、ペロブスカイト太陽電池の効率を改善するための添加物として大きい化学的に安定な有機カチオンおよび[BF4]-アニオンを有する共通性を有する多数のイオン性塩を検査した。低濃度で、[BMP]+[BF4]-(化学構造について図7Aを参照)は、光起電性能において特に積極的な影響を生じた。我々は、図7Aにデバイス構造を示し、ここでポリTPDおよび[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PC61BM)をそれぞれ正孔輸送層および電子輸送層として用いた。Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3および0.25 mol% [BMP]+[BF4]-(Pb含有量に対して)のペロブスカイト組成物に基づく代表的なp-i-nセルについての走査電子顕微鏡法(SEM)画像を図7Bに示す。
性能の増強について[BMP]+[BF4]-の潜在力を実証するため、我々は、低いBr含有量のCs0.17FA0.83Pb(I0.90Br0.10)3を有する混合ハライドペロブスカイトを作製し、我々は、これが単接合セルの最大効率のための最良の組成物であることを見い出した。図7Cおよび図8において、我々は、0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質デバイスおよびコントロールデバイスについて典型的な電流密度-電圧(J-V)特性を示し、デバイス性能パラメーターの統計学的結果を図7Dに示す。最優秀[BMP]+[BF4]-デバイス(図7E)は、1.12 Vの開回路電圧(VOC)、22.8 mA・cm-2の短絡電流密度(JSC)および0.79のフィルファクター(FF)を示し、20.1%のPCEおよび20.1%の定常状態出力(SPO)を生じた。対応する外部量子効果(EQE)(図9)は、測定したJSCから無視できる変動(~2.5%)を有する統合JSCを生じた。ペロブスカイト光吸収材中の[BMP]+[BF4]-の添加は、今までの報告 (D. P. McMeekin et al., A mixed-cation lead mixed-halide perovskite absorber for tandem solar cells. Science 351, 151-155 (2016); S. H. Turren-Cruz, A. Hagfeldt, M. Saliba, Methylammonium-free, high-performance, and stable perovskite solar cells on a planar architecture. Science 362, 449-453 (2018))と比較して、「MAを含まない」単接合p-i-nペロブスカイト太陽電池について非常に高い性能へと至った。
ペロブスカイト-オン-ケイ素タンデム太陽電池について、構成要素のサブセル間の光吸収を釣り合わせることは、電流の一致を達成してPCEを最大化する鍵である。Mazzarella et al., Adv. Energy Mater. 9, 1803241 (2019)に従って、我々は、ペロブスカイト-オン-ケイ素タンデムセルにおけるサブセルJSC値の発生を、1.56、1.66、および1.76 eVのペロブスカイトバンドギャップについて吸収材層の厚さの関数としてシミュレートした(図1F)。1.66 eVバンドギャップに必要なこの理想的な厚さは、~500 nmであり、これは一般的なペロブスカイト処理窓(processing window)に入る (Turren-Cruz et al., Science 362, 449-453 (2018))。我々はまた、500-nmペロブスカイト層について種々のバンドギャップを有するサブセルJSCをモデル化し(図10)、そして1.66 eVバンドギャップもまた、現実世界の配置において配置されるモノリシックペロブスカイト-オン-ケイ素タンデムセルについてエネルギー収量を最大化するためにほぼ理想的であった(M. T. Horantner, H. J. Snaith, Energy. Environ. Sci. 10, 1983-1993, 2017)。
I/Br組成を調整することによって、我々は、Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトが、EQEスペクトルの導関数から決定した所望の1.66 eVバンドギャップを与えたことを見い出した(図11)。我々は、0.0(コントロール)~0.3 mol%の範囲の異なる[BMP]+[BF4]-濃度を用いて単接合を最適化し、そして大きな群のセルからのデバイス性能パラメーターを図12に要約する。[BMP]+[BF4]-の濃度が増加すると、我々は、VOCがコントロールデバイスについて1.11 Vの平均から0.3 mol% [BMP]+[BF4]-改質デバイスについて>1.16 Vまで上昇し;JSCがコントロールに対してはっきりと変化しなかったことを観察した。しかし、概して、FFは低濃度で増加したが、[BMP]+[BF4]-のより高い濃度で減少する傾向があった。従って、0.25 mol%の[BMP]+[BF4]-を有するデバイスは、最高のPCEを示した。最適化した0.25 mol% [BMP]+[BF4]-改質ペロブスカイト太陽電池およびコントロールデバイスについての特徴的なJ-V曲線を図7Gに示し、そして対応するSPOを図7Hに示す。対応する順方向および逆方法J-Vスキャンを図13に示す。0.25 mol%の[BMP]+[BF4]-を含むデバイスは、1.16 VのVOC、19.5 mA・cm-2のJSCおよび0.77のFFを示し、17.3%のPCEを生じた。16.6%のより低いPCEを示したコントロールデバイスは、1.11 VのVOCおよび0.75のFFを有した。対応するSPOは、改質デバイスおよびコントロールデバイスについてそれぞれ16.5%および15.7%であった。我々は、各タイプの15の個別のセルから得られた統計学的結果のセットを図7Iに示す。外部量子効率(EQE)(図7Hの差し込み図)は、J-Vスキャン(図7G)から測定したJSCと良く一致した。[BMP]+[BF4]-の添加で、セルは一般にVOC、FFおよびPCEの増加を示した。JSCは、全てのペロブスカイト組成物について最適なピペリジニウム含有量と同様であったかまたはわずかに高かった。
作製したてのおよびエージングしたペロブスカイトの光電子および材料分析
[BMP]+[BF4]-を添加したペロブスカイトフィルムの光電子特性に対する影響を理解するため、我々は、半完成したまたは完成したデバイス構造物に対して過渡光電圧(TPV、図14A)、電荷抽出(図14B)、時間分解光ルミネセンス(TRPL、図15A)、定常状態光ルミネセンス(SSPL、図15B)、および過渡光伝導度(TPC、図16)、ならびに分離したペロブスカイトフィルムに対して時間分割マイクロ波伝導度(TRMC、図17-18)および面内過渡光伝導度(ip-TPC、図19)を含む一連の分光測定を行った。我々は、[BMP]+[BF4]-を添加することが電荷担体移動度を損なわなかったことを見い出した(図16B、18および19A)。より重要なことに、完成したデバイスの光強度依存VOCおよび電荷-抽出測定から、我々は、低い光強度下、[BMP]+[BF4]-改質デバイスについて減少した理想係数およびキャパシタンス(または減少した全蓄積電荷密度)を観察した(図14B)。我々はまた、[BMP]+[BF4]-フィルムにおいてより遅いTRPL減衰および2倍以上のSSPL強度を観察した(図15)。これらの結果は、[BMP]+[BF4]-改質デバイスにおける深いトラップの減少した密度と一致した。光電子特徴付けおよび分光学的特徴付けのさらなる分析は、実施例2の他のどこかで提供される。
[BMP]+[BF4]-がペロブスカイト層内でどのように分布したかを明らかにするため、我々は、高分解能2次イオン質量分析法(NanoSIMS)を用いた。我々は、Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトフィルムにおける19F-および11B16O2 -分布について2次電子および元素マッピングを図21、A~Cに示す。図21Aにおいて、19F-シグナルは凝集を示し、そしてずっと低い強度を生じたにも関わらず、11B16O2 -強度マップ(図21B)は19F-マップと合理的に良く一致した。我々は、全体の19F-データセットの3次元(3D)視覚化を図21Dに示し、ここで我々は、19F-シグナルが、調査した体積全体に均一に分布した直径数百ナノメートルのおおよそ球形の領域に由来したことを観察した。深さ(図20A)および線形(図20B)プロファイルの両方は、少量のFが、凝集物に加えて、ペロブスカイト全体にわたって検出され得たことを明らかにした。
このNanoSIMS特徴付けから、我々は、[BMP]+[BF4]-分子の大部分が、おそらくペロブスカイトドメイン間に蓄積した分離した凝集物に局所的に存在し、しかし少量がフィルムの体積全体を貫通したと推測する。この分布は、イミダゾリウム-ベースのイオン性液体と対照的であり、我々は、これを以前にNiO p-型層と共に用いた。その材料について、[BF4]-の優勢な蓄積は埋設したNiO-ペロブスカイト界面においてであった(S. Bai et al., Nature 571, 245-250, 2019)。おそらく、ペロブスカイトフィルムの体積全体にわたる分布は、我々がポリ-TPD有機正孔導体を用いた場合、[BMP]+[BF4]-イオン性塩がセルの性能を向上させることを助けた。我々は、固体核磁気共鳴(ssNMR)およびX-線光電子分光法(XPS)によって、[BMP]+[BF4]-とペロブスカイトとの間の相互作用を観察しようと試み、これを、我々は、この実施例においておよびそれぞれ図22および23に示す。しかし、我々は、認識できる差異を観察しなかった。
我々はまた、[BMP]+[BF4]-の添加時のCs/FAペロブスカイト化合物の安定性を評価するための特徴付けを行った。模擬フルスペクトル太陽光下、60℃で周囲空気(実験室中の相対湿度~50%)中エージングした[BMP]+[BF4]-改質およびコントロールCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトフィルムの紫外-可視(UV-vis)吸収スペクトル(図24)およびX-線回折(XRD)パターン(図21、EおよびF)を得た。[BMP]+[BF4]-改質サンプルの吸収端は、最初の264 hについて小さな変化を示した(図24A)が、コントロールサンプルは吸収端の明らかなレッドシフトを示し、これれは~750 nmから>775 nmまで移動した(図24B)。この吸収のレッドシフトはまた、同様の方法でエージングした完成した太陽電池のEQEスペクトルのレッドシフトと一致し(図25)、同様の変化が、より低い速度にもかかわらず、完成したデバイスにおいて起こることを示す。XRD測定は、コントロール(図21E)サンプルおよび改質(図21F)サンプルの両方について、エージング時間で鉛ハライド(~12.7°)のいかなる顕著な形成も明らかにしなかった。これは、通常MAIの損失によるMA含有ペロブスカイトの分解の間に観察される(Habisreutinger et al., APL Mater. 4, 091503, 2016)。反対に、コントロールフィルムおよび改質フィルムの両方において、初期に12.7°に存在した小さいPbI2ピークは、エージングの間に消失した。時系列の間、主要なペロブスカイト相ピークは広がり(図26)、そして強度が減少し、そしてコントロールフィルムにおいて長いエージングのために14.6°および20.7°に追加のピーク、ならびに11.3°に小角ピークが現れる。
主要な相の広がりは、斜方晶歪みによって説明することができる。エージング前に、我々は、主要なペロブスカイト相を、コントロールフィルムについてa = 8.801(1)Å、b = 8.8329(3)Å、c = 12.4940(5)Å、vol = 971.3(2)Å3、および972.4(1)Å3のより大きい体積を有する改質フィルムについてa = 8.8146(3)Å、b = 8.8333(9)Å、c= 12.4892(9)Åの格子パラメーターで、空間群Pnmaにおいて斜方晶系セルに適合させた。両方とも、斜方晶系ペロブスカイトγ-CsPbI3(vol = 947.33(5)Å3)よりも大きく、混合Cs/FA相を示す。立方晶系から斜方晶系への対称性の低下は、XRDデータを良く適合させるために必要であった(図27)。我々は、エージングシリーズにわたって斜方晶系単位セルを精密化し、そして斜方晶歪みを
Figure 2022538776000021
として定義し、これを我々は図28Aに示す。コントロールフィルム及び改質フィルムにおける斜方晶歪みは、同様の速度で増加し;しかし、コントロールサンプルはわずかにより斜方晶系の相から始まった。
斜方晶歪みは、360 h未満のエージング時間で、[BMP]+[BF4]-改質サンプルについてXRDパターンの変化の兆候でしかなかった。スペクトルの比較は、斜方晶歪みが吸収に対して大きな効果を有しなかったことを示した。14.6°および20.7°での追加のピークは、コントロールサンプルについて168 hの最初のエージング工程後に、および改質サンプルについて264 hのエージングと360 hのエージングとの間に現れた。これらのピークは、
Figure 2022538776000022
空間群において立方晶系単位セルに適合させ、そしていかなる関連する2元ハライド塩の単位セルとも適合させることができなかった。360 hでエージングした改質サンプルについて、立方晶系単位セルは217(1)Å3の体積を有し、これはFAPbBr3の報告された体積(217.45(2)Å3)の誤差内である。我々は、この第2相に関連するXRDピークを図21E、21Fおよび29において(≠)によって示す。
FAPbBr3の偏析は、主要な相CsおよびIを豊富なままにする。ヨウ化物豊富化は、吸収スペクトルにおいて見られたレッドシフトに一致し(図24)、そしてこれらの相がXRDパターンに現れる時間は、レッドシフトのタイミングと一致する。主要な斜方晶系ペロブスカイト相および第2のFAPbBr3ペロブスカイト相の体積は、両方とも経時で最初は増加したが、コントロールについては264-hのエージング後に減少し始めた(図28、BおよびC)。この減少は、ハライドの混合または外部因子のいずれかのため、FAPbBr3の初期の分離後、他の組成変化が続いたことを示唆する。同時に、主要な相のピークの強度は減少し、そしてこの減少はコントロールサンプルにおいてより速かった。コントロールサンプルにおいて456 h後に現れた(図30)が、改質サンプルにおいて抑制された11.3°でのピークは、以前に、CsまたはFA含有量が強く不均衡である場合にペロブスカイトフィルムにおいて形成し得る非-ペロブスカイト黄色六方晶系δ-FAPbI3相(Adv. Energy Mater. 5, 1501310 (2015); Energy. Environ. Sci. 10, 361-369 (2017); Energy. Environ. Sci. 9, 656-662 (2016))に帰属された(Energy. Environ. Sci. 10, 361-369 (2017); Chem. Mater. 28, 284-292 (2016))。
エージングの間に発生した不純物相を可視化するための試みにおいて、我々は、FTOガラス上に成長させた作製したてのおよびエージングしたコントロール(図31)および[BMP]+[BF4]-改質(図32)Cs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ペロブスカイトフィルムに対して光学顕微鏡測定を行った。エージングしたサンプルを、XRDサンプルに適用したのと同じエージング環境パラメーターに500時間供した。顕微鏡は、ハロゲンランプのバックライト付きであり、PLを誘起するために、375-nm UV発光ダイオード(LED)で全面から任意の追加の光励起をした。作製したてのコントロールおよび[BMP]+[BF4]-改質フィルムの両方とも、橙赤色のように見え、そして抗溶媒急冷(quenching)スピンコーティング作製法(ACS Energy Lett. 3, 1225-1232, 2018)に特徴的なしわの寄った表面を有し、そしてUV照明ありおよびなしで明確な差異を示さなかった。エージング後、[BMP]+[BF4]-改質フィルムは、大部分は変化しなかったように見えた。
対称的に、コントロールフィルムについて、我々は、色の強い黒ずみおよび大きな暗いドメインの出現を観察した。UV照明により、これらの暗いドメインは青色光を発した。青色発光は、いくつかのよりワイドなギャップ不純物相材料、非-ペロブスカイト六方晶系δ-FAPbI3相(Energy. Environ. Sci. 10, 361-369 (2017); Chem. Mater. 28, 284-292 (2016))の可能性が最も高い、を含むこれらの領域と一致した。これらの粗い特徴に加えて、我々は、エージングしたコントロールサンプルの画像において多数の白/黄の明るいスポットを観察した(図31、C~F)。同じサンプル上のSEM画像から、我々は、これを(図33)において示し、我々は、これらの「明るいスポット」がフィルム中のピンホールであったことを確認した。エージングしたコントロールフィルム中のこれらのピンホールの存在は、[BMP]+[BF4]-改質フィルムには存在せず、鍵となる差異であった。[BMP]+[BF4]-の添加は、青色発光不純物相の形成、FAPbBr3不純物相成長、および重要なことには強く抑制されたピンホール形成を阻害したように見えた(図33D)。
ペロブスカイト太陽電池の長期安定性
我々は、フルスペクトル太陽光下、周囲空気(実験室中の相対湿度~50%)中、高温で、開回路条件でエージングしたCs0.17FA0.83Pb(I0.77Br0.23)3ベースのペロブスカイト太陽電池の作動安定性を調査した。我々は、最初に、60℃でエージングした封入していないデバイスの安定性を試験した。各条件について8つの個別のデバイスから得た平均SPOおよびPCEをそれぞれ図34、AおよびBに示し、そしてデバイスパラメーターの発生を図35においてプロットした。[BMP]+[BF4]-改質デバイスおよびコントロールデバイスの両方について、我々は、エージングの最初の数日の間に、SPO値およびPCE値を~2%絶対高めた正の光浸漬効果(positive light-soaking effect)を観察したが、一方、コントロールデバイスの平均SPOおよびPCEは、72 h後に初期性能を下回り、そして216 h後に継続的に~5%絶対効率まで低下する。最初の数百時間にわたって改善された[BMP]+[BF4]-改質デバイスの効率は、光生成超酸化物および過酸化物種との反応による、ペロブスカイトフィルム中の欠損の不動態化から生じる「増光(photo-brightening)」効果による可能性が高い。
我々の[BMP]+[BF4]-改質デバイスは、高度に作動性を維持し、平均時間はそれぞれ944 hおよび975 hのピークSPOおよびPCEの80%(T80, ave)まで減少する。我々は、VOCが1.2V近くで>1000 hその初期レベルを超えたままであったことを観察した(図35A)。我々は、封入していないデバイスが同じ条件下でエージングした分離したペロブスカイトフィルムよりもずっと安定であるように見えることに留意する。これは、大気の侵入および分解生成物の損失を阻害することによる、ペロブスカイトフィルムを部分的に封入するPC61BM/BCP電子抽出層およびCr/Au電極による可能性が高い(Nano Lett. 14, 5561-5568 (2014), Nat. Energy 2, 17009 (2017), Nat. Mater. 14, 1032-1039 (2015), Nat. Energy 4, 939-947, 2019)。文献からの長期安定性データに対する我々の安定性結果を評価するため(図46Aおよび46B)、我々の最優秀[BMP]+[BF4]-デバイスは、それぞれ1010 hおよび2630 hのピークSPOおよびPCEの80%(すなわち、T80, champ)について線形外挿により、測定しそして概算した寿命を示した(Nat. Energy 5, 35-49, 2020)。SPOとPCEとの間のT80, champの差異は、エージングしたサンプルからのJ-Vスキャンにおける無視できないヒステリシスに由来する(図36)。とりわけ、大部分の安定性研究は、封入したセル、または不活性雰囲気中のセルに対して行われる。周囲雰囲気中の封入していないセルからの以前の報告は、類似のエージング条件下、~100時間のT80(Nature 571, 245-250, 2019)または類似のT80寿命を与えたが、25℃、コロラドにおいて、15%の相対湿度で、70℃で~30時間まで降下した(Nat. Energy 3, 68-74, 2018)。
より高い温度下での我々のセルの安定性を調査するため、我々は、我々のセルを窒素雰囲気中でガラスカバースライドおよびUV-硬化したエポキシ樹脂で封止し、そして封入したデバイスをフルスペクトル太陽光下、85℃で空気中エージングした。図37は、デバイスパラメーターの発生を示す。最優秀[BMP]+[BF4]-デバイスについて異なるエージング段階でのJ-Vスキャンを図38に示す。この温度で、明確な「バーンイン」効果が、[BMP]+[BF4]-改質デバイスおよびコントロールデバイスの両方について、SPO(図34C)およびPCE(図34D)において観察された。コントロールデバイスのSPOは、264 h後<6%絶対効率まで急速に減少し、一方、改質デバイスは、エージング期間にわたって~12%絶対の作動SPOを維持する。我々は、バーンイン後SPO(図34C)の線形外挿を用いて、寿命を1200 hの「バーンイン後」効率の95%(T95, ave)に見積った(Nature 571, 245-250, 2019; Nat. Energy 5, 35-49, 2020)。
ペロブスカイト太陽電池についてエージング条件の多くの変動が実験室間で生じ、その結果、結果を比較することが直接的に実行可能ではない。我々の以前の「クラス最高」に関し、ここでの我々の封入していないセルの60℃でのT80寿命は、約7倍長い(Nature 571, 245-250, 2019)。我々の封入したセルの85℃でのバーンイン後T95, ave SPO寿命は1200時間であり、75℃で応力を加えられそして~360 hのT95, aveを与えた我々の以前のクラス最高のセル(Nature 571, 245-250, 2019)よりも3倍長かった。我々は、温度の10℃の増加で分解速度の約2倍の増加を予想することを考慮して(Nat. Energy 3, 459-465, 2018)、ここでの我々のセルは約6倍ゆっくりと分解するように思われる。
エージングしたセルの分解機構および欠陥分析
完成したセルの分解機構を解明するため、我々は、XPS分析を、電極がない封入していないデバイススタックに対し、60℃光浸漬300 h エージングプロセスの前後に行った。ペロブスカイト元素に関連する内殻準位のXPSスペクトルを測定し、そして全ピーク位置、スペクトルおよび適合(フィッティング)は、図39-41および表7に見い出され得る。[BMP]+[BF4]-デバイスとコントロールデバイスとの間の微細な差異は、C 1s、N 1s内殻準位において観察されたが、これらの追加のピークは[BMP]+[BF4]-の存在に対応する。[BMP]+[BF4]-デバイスおよびコントロールデバイスの両方についてI 3d5/2内殻準位は、エージングが~618 eVでの主要ピークに隣接するI-に起因する~620 eVの追加のピークの出現を生じたことを示す。より高い結合エネルギーでのこのピークは、メチルアンモニウムヨウ化鉛ペロブスカイトにおいて以前に観察されたIO2 -の形成(Phys. Chem. Chem. Phys. 18, 7284-7292 (2016))、またはヨウ化メチルの形成(Surf. Sci. 219, 294-316, 1989)のいずれかに対応し得た。
表7.全ての作製したてのおよびエージングしたデバイスの高分解能XPSについてピーク位置および完全な割り当て
Figure 2022538776000023
Pb 4f内殻準位スペクトルは、[BMP]+[BF4]-を有するおよび有しないエージングしたデバイス間の明確な差異を実証した。エージングしたコントロールデバイスにおいて、我々は、138.0および139.1 eV(Pb 4f7/2)に2つのピークを観察し、一方、[BMP]+[BF4]-を有するデバイスにおいて、我々は、137.8 eVに1つのピークしか観察しなかった。~138 eVのピークは、Pb2+の存在に対応し、一方、139.1 eVのピークは、PbOxに対応する。この結果は、エージングした場合、コントロールデバイスは酸化鉛を形成し、これは光酸化分解プロセスから形成した生成物であることを示唆する(J. Mater. Chem. A 7, 2275-2282, 2019)。[BMP]+[BF4]-の添加は鉛酸化を阻害した。
[BMP]+[BF4]-ペロブスカイトフィルムの安定性をどのようにして改善し得るかを理解するため、我々は、最初に、金属ハライドペロブスカイトの光誘起分解プロセスを説明するために提案された機構を再検討する。酸素および水分の役割は、特にメチルアンモニウムを含むペロブスカイトについて広く議論されてきた(Adv. Mater. 30, 1706208 (2018), Adv. Energy Mater., 1903109 (2019), Nat. Commun. 8, 15218, 2017)。しかし、不活性雰囲気中で調製しそして封入したペロブスカイトフィルムについて、光分解はなおも観察される。光分解における鍵となる因子は、照明下でのI2の生成であり、これは電気化学および光吸収(Nat. Mater. 17, 445-449, 2018)および質量分析(Sustain. Energy Fuels 2, 2460-2467, 2018)を含む広範な分析方法によって実験的に観察された。I2の有害な役割は、銀電極について(Adv. Mater. Interfaces 2, 1500195, 2015)だけでなく、ペロブスカイトに対して直接(Nat. Energy 2, 16195, 2016)確立された。
いくつかの機構がI2の生成を説明するために提案されている。それらは、一般にヨウ化物イオン(I-)による正孔の捕捉を有し、I-は、フレンケル対(Frenkel pair)
Figure 2022538776000024
からの格子間イオン(Nat. Photon. 13, 532-539, 2019)としてその格子サイトにある(クレーガー-ビンクの表記法における
Figure 2022538776000025
)(Joule 3, 2716-2731, 2019; Physica 35, 386-394, 1967)、または正孔捕捉時に格子間に位置するようになる
Figure 2022538776000026
(Nat. Mater. 17, 445-449, 2018)のいずれかである。気体状ヨウ素(I2)を生成するため、2つの中性原子
Figure 2022538776000027
が拡散しそして結合する必要がある。フィルムの表面からヨウ素を放出する能力のせいで、および粒子のバルク中よりも表面でより高い空孔密度の可能性のせいで、このプロセスは、粒子の表面で起こる可能性が高く、ヨウ素の放出およびヨウ化物空孔の対
Figure 2022538776000028
の生成をもたらす。
ペロブスカイトに対するI2の有害効果の正確な性質は、まだ議論中である(Nat. Energy 2, 16195 (2016)。Fuらは、これらの効果を詳細に調査し、そしてPbI2がペロブスカイト自体よりも分解する傾向があったこと、および光および熱に長期に曝露すると空間がPbI2のフィルム中に残ったことを見い出した(Fu et al., Energy. Environ. Sci. 12, 3074-3088, 2019)。我々は、窒素雰囲気中、光下、高温でのPbI2の光分解のためにFuの実験を繰り返し(図42および43)、そして鉛の生成(図44)およびフィルム中のピンホール(図45、AおよびB)が観察されたことを確認した。MA+を含むペロブスカイトよりも遅いが、この分解経路はFACペロブスカイトにおいても観察され、I2生成プロセスが鉛-ハライド骨格に関連することを示す。
我々は、トルエンに浸漬したフィルムを光および熱に曝露後、トルエンのUV-可視吸収スペクトルから、光浸漬の間、[BMP]+[BF4]-改質フィルムに対して我々のコントロールペロブスカイトフィルムからのI2のより速い放出を確認した(図45、C~G)(Nat. Mater. 17, 445-449 (2018), Nat. Energy 2, 16195, 2016)。エージング後のPbI2フィルム(およびコントロールペロブスカイトフィルム、図33)中の空間(またはピンホール、図45B)の存在は、金属鉛への変換によるI2放出の間の体積の損失によって説明され得る。PbOxの存在、我々はこれを分解した封入していないデバイスにおいて観察した(図40)、はまた、金属鉛の形成と一致し、これは続いて周囲空気中、PbOxまたはPb(OH)2へと酸化され、これはとりわけペロブスカイトよりもずっと高い密度を有する。
この分解機構の観点から、我々は、イオン性添加物によって誘起される安定化を議論する。分解が起こるために、正孔捕捉は格子間I-を要求する可能性が高く、そして2つの中性格子間ヨウ素原子は一緒に拡散しそして結合してI2を形成する必要がある。従って、この反応は、フレンケル欠陥の全体の密度(ヨウ素空間/格子間対)を減少させることによって、または格子間原子の拡散性を低下させることによってのいずれかで減速させ得た。大部分の結晶性材料と同様に、欠陥密度は、通常結晶表面上で最高である。従って、我々は、格子間原子またはフレンケル欠陥が、欠陥の最高密度が存在する多結晶性ドメインの表面の周辺に大部分は拡散すると予想する。
[BMP]+[BF4]-の存在下での結晶化が減少したフレンケル欠陥密度を引き起こす場合、これは、ヨウ化物酸化に利用可能なサイトの数を減少させる効果を有する。さらに、[BMP]+[BF4]-がこれらの表面欠陥に吸着する場合、このような欠陥のさらなる移動を阻止または阻害する可能性が高く、格子間ヨウ化物または中性ヨウ素格子間原子の拡散性を減速させ、I2形成の速度を低下させる。最後に、[BMP]+[BF4]-は、結晶化を改善することによって、フィルム中の残留PbI2の量を減少させるように思われる(図21に示すように)。I2生成はPbI2サイトで優先的に起こる(Energy. Environ. Sci. 12, 3074-3088 (2019))ので、残留PbI2の量を最小限にすることは重要な役割を果たし得る。
本願に至るプロジェクトは、贈与契約No. 763977の下、欧州連合のHorizon 2020研究および革新プログラムからの資金提供を受けた。

Claims (40)

  1. 以下を含む光電子デバイス:
    (a)結晶性A/M/X材料を含む層、ここで該結晶性A/M/X材料は式:
    [A]a[M]b[X]c
    式中:
    [A]は1つ以上のAカチオンを含み;
    [M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;
    [X]は1つ以上のXカチオンを含み;
    aは1~6の数字であり;
    bは1~6の数字であり;および
    cは1~18の数字である;
    の化合物を含む;および
    (b)有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であるイオン性固体、ここで該イオン性固体は、1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外であり、かつホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である。
  2. 有機カチオンが結晶性A/M/X材料を含む層内に存在する、請求項1に記載の光電子デバイス。
  3. 有機カチオンが結晶性A/M/X材料を含む層の表面において、かつ結晶性A/M/X材料を含む層のバルク全体にわたって存在する、請求項1または請求項2に記載の光電子デバイス。
  4. 結晶性A/M/X材料がA/M/X材料の微結晶および該微結晶間の粒界を含む多結晶性A/M/X材料であり、ここで有機カチオンが該微結晶間の粒界において、および該結晶性A/M/X材料の外面上に存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  5. 光電子デバイスが電荷輸送材料を含む層をさらに含み、ここで結晶性A/M/X材料を含む層が該電荷輸送材料を含む層上に配置され、
    必要に応じでここで:
    (A)該電荷輸送材料が正孔輸送(p-型)材料であり、必要に応じてここで該正孔輸送材料が(i)ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビスフェニルベンジジン](ポリTPD)、または2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)などのp-型ドーパントでドープされたポリTPDなどの有機正孔輸送材料、または(ii)ニッケル、バナジウム、銅またはモリブデンの酸化物などの固体無機正孔輸送材料を含み;
    または
    (B)該電荷輸送材料が電子輸送(n-型)材料であり、必要に応じてここで該電子輸送材料が(i)二酸化チタンなどの固体無機電子輸送材料、または(ii)[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM)などの有機電子輸送材料を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  6. 対アニオンが(a)結晶性A/M/X材料を含む層内、(b)結晶性A/M/X材料を含む層と電荷輸送材料を含む層との間、および/または(c)電荷輸送材料を含む層内に存在する、請求項5に記載の光電子デバイス。
  7. 電荷輸送材料がポリTPDを含む正孔輸送(p-型)材料であり、必要に応じてここで該ポリTPDが2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)などのp-型ドーパントでドープされており、および必要に応じてここで該正孔輸送材料がN,N’-ビス(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(NPD)をさらに含む、請求項5または請求項6に記載の光電子デバイス。
  8. 有機カチオンおよび対アニオンが結晶性A/M/X材料を含む層内に存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  9. 結晶性A/M/X材料がA/M/X材料の微結晶および該微結晶間の粒界を含む多結晶性A/M/X材料であり、ここで有機カチオンおよび対アニオンが該微結晶間の粒界において、および該結晶性A/M/X材料の外面上に存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  10. 有機カチオンが式(I):
    Figure 2022538776000029

    の部分を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  11. 有機カチオンが無置換または置換イミダゾリウムカチオン、無置換または置換トリアゾリウムカチオン、無置換または置換ピラゾリウムカチオン、無置換または置換イミニウムカチオン、または無置換または置換ピリジニウムカチオンである、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  12. 有機カチオンが:
    (a)式IIIのイミダゾリウムカチオン:
    Figure 2022538776000030

    式中R1、R2、R3、R4およびR5のそれぞれは独立して水素、無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、および無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノから選ばれ、但しR1およびR4、またはR4およびR5、またはR5およびR2、またはR2およびR3、またはR3およびR1は、一緒にC1-10アルキレン基を形成し得る;または
    (b)式IVのトリアゾリウムカチオン:
    Figure 2022538776000031

    式中R1、R2、R3およびR4のそれぞれは独立して水素、無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、および無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノから選ばれ、但しR1およびR4、またはR2およびR3、またはR1およびR3は、一緒にC1-10アルキレン基を形成し得る;または
    (c)式IIのイミニウムカチオン:
    [RxRyC=NRzRw]+ (II)
    式中
    Rxは水素、無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、または無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノであり、但しRxはRyと一緒にC1-20アルキレン基を形成し得る;
    Ryは水素、無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、または無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノであり、但しRyはRxと一緒にC1-20アルキレン基を形成し得る;
    Rzは無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、または無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノであり、但しRzはRwと一緒にC1-20アルキレン基を形成し得る;および
    Rwは無置換または置換C1-20アルキル、無置換または置換C2-20アルケニル、無置換または置換C2-20アルキニル、無置換または置換アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換ヘテロシクリル、無置換または置換アミノ、無置換または置換(C1-10アルキル)アミノ、または無置換または置換ジ(C1-10アルキル)アミノであり、但しRwはRzと一緒にC1-20アルキレン基を形成し得る、
    である、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  13. 有機カチオンが無置換または置換ピペリジニウムカチオンである、請求項1~9のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  14. 有機カチオンが式VIのピペリジニウムカチオン:
    Figure 2022538776000032

    式中R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれは独立して水素、無置換または置換C1-10アルキル、無置換または置換C2-10アルケニル、無置換または置換C2-10アルキニル、無置換または置換C6-12アリール、無置換または置換C3-10シクロアルキル、無置換または置換C3-10シクロアルケニル、アミノ、無置換または置換(C1-6アルキル)アミノおよび無置換または置換ジ(C1-6アルキル)アミノから選ばれる、
    である、請求項1~9および13のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  15. R14、R15、R16、R17およびR18のそれぞれが水素であり、R12がn-ブチルであり、およびR13がメチルである、請求項14に記載の光電子デバイス。
  16. 有機カチオンが請求項13~15のいずれか1項で定義した無置換または置換ピペリジニウムカチオンであり、およびここで:(i)式[A]a[M]b[X]cの化合物がメチルアンモニウムを含まない、または(ii)式[A]a[M]b[X]cの化合物の[A]がメチルアンモニウムおよびメチルアンモニウム以外の少なくとも1つのAカチオンからなり、但し[A]中のメチルアンモニウムのモル分率が[A]の15%未満である、請求項1~9のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  17. 対アニオンが多原子アニオンであり、好ましくはここで該多原子アニオンが非配位アニオンであり、必要に応じてここで該対アニオンがボレートアニオンである、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  18. 対アニオンがBF4 -である、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  19. 対アニオンがハライドアニオンである、請求項1~12のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  20. [A]がメチルアンモニウムを含まない、または[A]がメチルアンモニウムおよびメチルアンモニウム以外の少なくとも1つのAカチオンからなり、但し[A]中のメチルアンモニウムのモル分率が[A]の15%未満である、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  21. [A]が2つ以上の異なるAカチオンを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  22. [A]がCs+およびホルムアミジニウムを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  23. [A]がCs+およびホルムアミジニウムを含み、および:
    (i)式[A]a[M]b[X]cの化合物がメチルアンモニウムを含まない、または
    (ii)式[A]a[M]b[X]cの化合物の[A]がメチルアンモニウム、Cs+およびホルムアミジニウムを含み、但し[A]中のメチルアンモニウムのモル分率が[A]の15%未満である、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  24. [A]が少なくとも2つの異なるAカチオンを含み、および[X]が少なくとも2つの異なるXアニオンを含み、必要に応じてここで[A]が少なくとも3つの異なるAカチオンを含み、および[X]が少なくとも2つの異なるXアニオンを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  25. 式[A]a[M]b[X]cの化合物が式[(H2N-C(H)=NH2)xCs1-x]Pb[BryI1-y]3の化合物であり、式中xは0より大きく1より小さく、およびyは0より大きく1より小さい、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  26. [X]がIおよびBrを含み、ここで式[A]a[M]b[X]cの化合物中のBrに対するIのモル比が9:1未満、好ましくは7:1未満、より好ましくは4:1以下である、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  27. 式[A]a[M]b[X]cの化合物が[{(H2N-C(H)=NH2)0.83(CH3NH3)0.17}0.95Cs0.05]Pb[Br0.1I0.9]3以外であり、および好ましくは該化合物が[(H2N-C(H)=NH2)0.83Cs0.17]Pb[Br0.23I0.77]3である、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  28. 請求項5または請求項7で定義した正孔輸送(p-型)材料を含む層を含み、ここで結晶性A/M/X材料を含む層が該正孔輸送材料を含む層上に配置されており、およびここで当該光電子デバイスが:
    透明導電性酸化物を含む第1電極、ここで該正孔輸送材料を含む層は該結晶性A/M/X材料を含む層と該第1電極との間に配置されている;
    電子輸送(n-型)材料を含む層;および
    元素形態の金属を含む第2電極、ここで該電子輸送材料を含む層は該結晶性A/M/X材料を含む層と該第2電極との間に配置されている、
    をさらに含む、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  29. 光起電デバイスであり、必要に応じてここで該光起電デバイスが単接合光起電デバイス、タンデム接合光起電デバイスまたは多接合光起電デバイスである、前記請求項のいずれか1項に記載の光電子デバイス。
  30. 結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するためのプロセスであって、該結晶性A/M/X材料が、式:
    [A]a[M]b[X]c
    式中:
    [A]は1つ以上のAカチオンを含み;
    [M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;
    [X]は1つ以上のXカチオンを含み;
    ここで
    aは1~6の数字であり;
    bは1~6の数字であり;および
    cは1~18の数字である、
    の化合物および有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であるイオン性固体、ここで該イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である、を含み、
    当該プロセスが:
    フィルム形成溶液を基材上に配置すること、ここで該フィルム形成溶液は溶媒、該1つ以上のAカチオン、該1つ以上のMカチオン、該1つ以上のXカチオン、該有機カチオンおよび該対アニオンを含む、
    を含む、プロセス。
  31. 結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するためのプロセスであって、該結晶性A/M/X材料が、式:
    [A]a[M]b[X]c
    式中:
    [A]は1つ以上のAカチオンを含み;
    [M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;
    [X]は1つ以上のXカチオンを含み;
    ここで
    aは1~6の数字であり;
    bは1~6の数字であり;および
    cは1~18の数字である、
    の化合物を含み、
    当該プロセスが:
    a)溶媒および1つ以上のMカチオンを含む第1溶液を基材上に配置し、および必要に応じて該溶媒を除去し、処理した基材を製造すること;
    b)該処理した基材を、溶媒および1つ以上のAカチオンを含む第2溶液または1つ以上のAカチオンを含む蒸気と接触させること、
    を含み、
    ここで:
    1つ以上のXカチオンが(i)工程(a)で使用される該第1溶液、および(ii)工程(b)で使用される該第2溶液または蒸気のうちの1つまたは両方において存在し;および
    工程(a)で使用される該第1溶液が、イオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンをさらに含むか、または工程(b)が、該処理した基材をイオン性固体と接触させること、ここで該イオン性固体は有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であり、および該イオン性固体は1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外である、をさらに含む、
    プロセス。
  32. 工程(a)で使用される該第1溶液が、イオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンをさらに含み;または
    工程(b)が、処理した基材をイオン性固体と接触させることをさらに含み、必要に応じて工程(b)が:
    (i)該処理した基材を該第2溶液と接触させること、ここで該第2溶液はイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンをさらに含む;または
    (ii)該処理した基材を、該1つ以上のAカチオンを含む蒸気およびイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンを含む蒸気と接触させることを含み、必要に応じて工程(b)が:
    b1)1つ以上のAカチオンおよびイオン性固体を含む組成物(単数または複数)を気化させること、および
    b2)得られた蒸気を該処理した基材上に堆積させることを含む、
    請求項31に記載のプロセス。
  33. 結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するためのプロセスであって、該結晶性A/M/X材料が、式:
    [A]a[M]b[X]c
    式中:
    [A]は1つ以上のAカチオンを含み;
    [M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;
    [X]は1つ以上のXカチオンを含み;
    aは1~6の数字であり;
    bは1~6の数字であり;および
    cは1~18の数字である、
    の化合物を含み、
    ここで該イオン性固体が有機カチオンおよび対アニオンを含む塩であり、ここで該イオン性固体が1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外であり、
    当該プロセスが:
    基材を、該1つ以上のAカチオンを含む蒸気、該1つ以上のMカチオンを含む蒸気、該1つ以上のXカチオンを含む蒸気、該有機カチオンを含む蒸気、および該対アニオンを含む蒸気に曝露することを含む、
    プロセス。
  34. 当該プロセスが:
    基材を、1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、有機カチオン、および対アニオンを含む蒸気に曝露すること;または
    基材を、2つ以上の異なる気相に曝露すること、ここで該2つ以上の異なる気相は、一緒に、1つ以上のAカチオン、1つ以上のMカチオン、1つ以上のXカチオン、有機カチオン、および対アニオンを含む、
    を含む、請求項33に記載のプロセス。
  35. 基材が、必要に応じて第1電極上に配置された第1電荷輸送材料を含み、該第1電荷輸送材料が、好ましくは請求項5または請求項7で定義した正孔輸送(p-型)材料であり、および該第1電極が、好ましくは透明電極である、請求項30~34のいずれか1項に記載のプロセス。
  36. 結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを製造するためのプロセスであって、該結晶性A/M/X材料が、式:
    [A]a[M]b[X]c
    式中:
    [A]は1つ以上のAカチオンを含み;
    [M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;
    [X]は1つ以上のXカチオンを含み;
    aは1~6の数字であり;
    bは1~6の数字であり;および
    cは1~18の数字である、
    の化合物を含み、
    ここで該イオン性固体が1級、2級、3級または4級アンモニウムハライド塩以外およびホルムアミジニウムまたはグアニジニウムハライド塩以外であり、
    当該プロセスが、結晶性A/M/X材料のフィルムをイオン性固体の有機カチオンおよび対アニオンで処理することを含む、プロセス。
  37. 結晶性A/M/X材料のフィルムが基材上に配置され、必要に応じてここで該基材が請求項35で定義した通りである、請求項36に記載のプロセス。
  38. 光電子デバイスを製造するためのプロセスであって、当該プロセスが、基材上に、結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを、請求項30~37のいずれか1項で定義したプロセスによって製造することを含み、必要に応じてここで該基材が、透明電極である第1電極上に配置された第1電荷輸送材料を含み、および当該プロセスが必要に応じて:
    第2電荷輸送材料を結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルム上に配置すること、および
    第2電極を該第2電荷輸送材料上に配置すること
    をさらに含み、
    ここで該第1電荷輸送材料が正孔輸送(p-型)材料であり、および該第2電荷輸送材料が電子輸送(n-型)材料であるか、または該第1電荷輸送材料が電子輸送(n-型)材料であり、および該第2電荷輸送材料が正孔輸送(p-型)材料であり、
    好ましくはここで該第1電極が透明導電性酸化物を含み、および該第2電極が元素金属を含む、プロセス。
  39. 請求項30~38のいずれか1項で定義したプロセスによって得られ得る結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルム。
  40. (a)請求項39で定義した結晶性A/M/X材料のイオン性固体改質フィルムを含む;または
    (b)請求項38で定義したプロセスによって得られ得る
    光電子デバイス。
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