JP2022535523A - Pan-ノイラミニダーゼ阻害抗体 - Google Patents

Pan-ノイラミニダーゼ阻害抗体 Download PDF

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Abstract

本発明は、インフルエンザノイラミニダーゼに対する抗体、その抗体を含有する組成物、およびその抗体を使用する方法に関する。

Description

連邦政府が後援する研究または開発に関する声明
本発明は、国立衛生研究所(the National Institutes of Health)によって授与されたHHSN272201400008CおよびAI141990の下で政府の支援を受けてなされたものである。政府は、本発明において一定の権利を有する。
本発明は、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに対して選択的である抗体または抗原結合フラグメントに関する。注目すべきことに、この抗体または抗原結合フラグメントは、インフルエンザAおよびインフルエンザBウイルスの両方のノイラミニダーゼに対して選択的である。本明細書で提供される抗体または抗原結合フラグメントを使用してインフルエンザを処置する医薬組成物および方法も提供される。
季節性インフルエンザウイルス感染は、世界中で毎年顕著な罹患率および死亡率をもたらす。さらに、パンデミックは不規則な間隔で発生し、数百万の生命を奪い得る。現在の季節性インフルエンザワクチンは、狭い株特異的免疫応答を誘導し、それらが循環株とどの程度よく適合するかによってその有効性が変動し得る(1)。加えてこれらのワクチンは、新たなパンデミックウイルスを防御しない。したがって、広く防御的またはユニバーサルなインフルエンザウイルスワクチンを開発することが緊急に必要とされている(2)。現在のワクチンは、ウイルスの主要な表面糖タンパク質であるヘマグルチニン(HA:hemagglutinin)に対する抗体応答を誘導するように設計されている(3)。HAに対する抗体、その球状ヘッドドメインに対して特異的な抗体は、ウイルスがそのシアル酸受容体に結合することを遮断できるが、こうした活性はしばしばそのワクチン株に限定されて幅を欠く。HAストークに対する抗体は、インフルエンザAグループ1および2内およびそれらにわたってはるかに大きな幅を有することが示されており、稀にはインフルエンザBウイルスにも及ぶ(4~7)。
ウイルスの第2の主要な表面糖タンパク質はノイラミニダーゼ(NA:neuraminidase)であり、これは、N結合グリカンから末端シアル酸を切断する受容体破壊酵素である(8)。この活性は、粘膜表面上の天然防御タンパク質のグリカンによって捕捉された流入ウイルスを放出するため、および感染細胞から出芽した新生ウイルスを放出するために重要である。抗NA抗体は、NAの酵素部位に直接結合することによって、またはNAとその基質との間の相互作用を立体的に妨害することによって、この活性を遮断することができる(9、10)。抗NAモノクローナル抗体(mAb)およびNAワクチン接種は、動物モデルにおいてインフルエンザウイルスの致死的チャレンジに対する防御を行うことが示されている(9~15)。さらに、モルモットにおけるNAワクチン接種はウイルス伝播を防止することができる(16)。最も重要なことに、抗NA抗体力価は、野外研究およびヒトチャレンジ研究において、感染からの防御と独立的に相関することが示されている(17~19)。ヒトインフルエンザウイルスは、免疫圧力、ポリメラーゼのエラー率、およびその球状ヘッドドメインの高い可塑性のために、HA中の優性抗原部位を高比率で突然変異させ得る(20)。一方、NAは、HAと一致しないより遅いドリフトを示すことが示されている(21、22)。したがって、NAに対する抗体応答は、典型的にはより広い交差反応性を示すが、この幅は、それぞれのサブタイプ(インフルエンザAウイルスについてはN1~N9)に限定されると想定されている(8)。
インフルエンザに対するより効果的な抗ウイルス療法が緊急に必要とされている。
本発明は、a)配列番号1、2、3、7、10、13、14、40、42、または44に対する少なくとも約70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;b)配列番号4、5、6、8、9、11、12、15、16、41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域;あるいは(c)それらの組み合わせを含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
加えて本発明は、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントであって、a)配列番号1もしくは13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2もしくは7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3、10、もしくは14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3、もしくはそれらのいずれかの組み合わせを含む免疫グロブリン重鎖可変領域;(b)配列番号4、8、11、もしくは15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5もしくは9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、配列番号6、12、もしくは16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3、もしくはそれらのいずれかの組み合わせを含む免疫グロブリン軽鎖可変領域;または(c)それらの組み合わせを含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
加えて、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに結合する抗体または抗原結合フラグメントが提供され、この抗体または抗原結合フラグメントは配列番号40、42、または44の少なくとも約70%を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む。
さらに、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに結合する抗体または抗原結合フラグメントが提供され、この抗体または抗原結合フラグメントは配列番号41、43、または45の少なくとも約70%を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。
加えて、本明細書に記載される抗体または抗原結合フラグメントのいずれかと構造的に類似している抗体または抗原結合フラグメントが提供される。
加えて、インフルエンザウイルスのN1ノイラミニダーゼに対する特異的親和性を有する抗体または抗原結合フラグメントが提供され、この抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号46の少なくとも約70%を含み、かつ配列番号46のアミノ酸番号付けに従うR118、E119、L134、D151、R152、R156、W178、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406から選択される少なくとも1つの残基を含有するN1ノイラミニダーゼの活性部位残基に結合する。
さらに、本明細書において提供される任意の抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域および/または免疫グロブリン重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む核酸が提供される。加えて、その核酸を含む発現ベクター、その発現ベクターを含む宿主細胞、ならびに本明細書における抗体および抗原結合フラグメントを産生する方法が提供される。
加えて、(a)本明細書に記載される抗体もしくは任意の抗原結合フラグメント、および/または(b)ポリペプチドもしくはそのポリペプチドをコードする核酸を含むインフルエンザワクチンが提供され、このポリペプチドは、本明細書に記載される任意の抗体または抗原結合フラグメントによって標的とされるエピトープに対する少なくとも約70%の同一性を含むアミノ酸配列を含む。
加えて、本明細書に開示される抗体または抗原結合フラグメントのいずれかと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が開示される。
加えて、必要とする対象においてインフルエンザを予防または処置する方法が提供され、この方法は、本明細書に記載される任意の抗体もしくは抗原結合フラグメント、本明細書における抗体もしくは抗原結合フラグメントの少なくとも一部をコードするヌクレオチド配列を含む任意の核酸、本明細書に記載される任意の発現ベクター、本明細書に記載される任意のワクチン、または本明細書に開示される抗体の少なくとも1つを含む任意の組成物を対象に投与することを含む。
その他の目的および特徴は、以下で部分的に明らかになり、かつ部分的に指摘されることとなる。
インフルエンザAおよびBウイルスNAの系統樹を示す図である。3つのmAbの反応性の幅が示されている。スケールバーは、アミノ酸の6%の変化を表す。ClustalOmegaにおけるアミノ酸配列を使用してツリーを構築し、FigTreeにおいて可視化した。 推定される非変異共通祖先(UCA:unmutated common ancestor)に対する各mAbのアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。 ELISAにおける組み換えタンパク質への抗体結合のヒートマップを示す図である。最小結合濃度が示されている。 ELLA NIアッセイにおける抗体活性のヒートマップを示す図である。IC50が示されている。 H3N2株A/Hong Kong/4801/2014に対するELLAアッセイ(大基質、立体障害感受性)におけるNAの代表的な阻害曲線を示す図である。 NAスターアッセイ(小基質、立体障害非感受性)におけるA/Hong Kong/4801/2014に対する同じmAbの活性を示す図である。 A/Hong Kong/4801/2014に対するELLAアッセイにおけるmAb 1G01のFabの活性を示す図である。 3つのmAbの生殖系列(GL:germline)バージョンもH3N2株A/Hong Kong/4801/2014に対して活性であることを示す図である。 3つのmAbがH3N2株A/Hong Kong/4801/2014に対するマイクロ中和アッセイにおいて活性であることを示す図である。 3つのmAbのADCCレポーターバイオアッセイ活性を示す図である。H3N2に対する既知のADCCレポーター活性を有するMAb CR9114を陽性対照として使用した。 3.45Å分解能でのHunan N9 NAを伴う1G04の結晶構造を示す図である。左上:NA四量体の各プロトマーに結合した1つのFabを有するNA四量体。左下:1つのFabを有するNAプロトマー。右上:NA上のエピトープ。右下:NA上のFabパラトープ。左パネルについては、1つのNA-Fabプロトマーを、NAを薄灰色で、Fab軽鎖(L鎖)を薄灰色で、Fab重鎖(H鎖)を濃灰色で着色している。右パネルのNAおよびFabは、それぞれ濃灰色および薄灰色である。N結合グリカンは、灰色の炭素原子によるスティック表示で示されている。カルシウムイオンは黒色の球として示されている。エピトープを示す分子表面は黒色/濃灰色で着色されている。 2.45Å分解能でのJapan57 N2 NAを伴う1E01の結晶構造を示す図である。左上:NA四量体の各プロトマーに結合した1つのFabを有するNA四量体。左下:1つのFabを有するNAプロトマー。右上:NA上のエピトープ。右下:NA上のFabパラトープ。左パネルについては、1つのNA-Fabプロトマーを、NAを薄灰色で、Fab軽鎖(L鎖)を薄灰色で、Fab重鎖(H鎖)を濃灰色で着色している。右パネルのNAおよびFabは、それぞれ濃灰色および薄灰色である。N結合グリカンは、灰色の炭素原子によるスティック表示で示されている。カルシウムイオンは黒色の球として示されている。エピトープを示す分子表面は黒色/濃灰色で着色されている。 3.27Å分解能でのCA04 N1 NAを伴う1G01の結晶構造を示す図である。左上:NA四量体の各プロトマーに結合した1つのFabを有するNA四量体。左下:1つのFabを有するNAプロトマー。右上:NA上のエピトープ。右下:NA上のFabパラトープ。左パネルについては、1つのNA-Fabプロトマーを、NAを薄灰色で、Fab軽鎖(L鎖)を薄灰色で、Fab重鎖(H鎖)を濃灰色で着色している。右パネルのNAおよびFabは、それぞれ濃灰色および薄灰色である。N結合グリカンは、灰色の炭素原子によるスティック表示で示されている。カルシウムイオンは黒色の球として示されている。エピトープを示す分子表面は黒色/濃灰色で着色されている。 グループ2ノイラミニダーゼ(N2)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を、鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前に5mg/kgのmAbで腹腔内処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 感染後3日目および6日目に(図4Aについて記載したとおりに)mAbで予防的に処置した動物の肺力価を示す図である。グループ当たり3匹のマウスを使用した。 グループ2ノイラミニダーゼ(N2)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を、鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前に5mg/kgのmAbで腹腔内処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 グループ2ノイラミニダーゼ(N3)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を、鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前に5mg/kgのmAbで腹腔内処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 グループ2ノイラミニダーゼ(N6)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を、鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前に5mg/kgのmAbで腹腔内処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 グループ2ノイラミニダーゼ(N7)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を、鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前に5mg/kgのmAbで腹腔内処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 グループ2ノイラミニダーゼ(N9)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を、鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前に5mg/kgのmAbで腹腔内処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 グループ1ノイラミニダーゼ(N1)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を、鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前に5mg/kgのmAbで腹腔内処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 グループ1ノイラミニダーゼ(N1)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を、鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前に5mg/kgのmAbで腹腔内処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 グループ1ノイラミニダーゼ(N4)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を、鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前に5mg/kgのmAbで腹腔内処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 グループ1ノイラミニダーゼ(N5)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を、鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前に5mg/kgのmAbで腹腔内処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 グループ1ノイラミニダーゼ(N8)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を、鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前に5mg/kgのmAbで腹腔内処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 インフルエンザBウイルスノイラミニダーゼを発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を5mg/kgのmAbで処置した。鼻腔内ウイルスチャレンジの2時間前の腹腔内で、体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントがそれぞれの図の凡例に示されている。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 グループ2ノイラミニダーゼ(N2)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を感染の48時間後に5mg/kgのmAbで処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 グループ2ノイラミニダーゼ(N2)を発現するウイルスによるチャレンジに対するマウスモデルにおける3つのmAbの有効性を示す図である。動物を感染の72時間後に5mg/kgのmAbで処置した。グループ当たり5匹の動物を使用した。体重減少パーセントが示されており、生存率パーセントが図の凡例に示されている。 IgG抗体の一般的構造を示す図である。 小基質NA-スターアッセイにおける(A)pH1N1 A/Singapore/GP1908/2015に対するmAb 1G04、1E01、および1G01の阻害効果を示す図である。阻害曲線が示されており、点線はNA活性の50%阻害を表す。無関係のヒトIgG1 mAbを陰性対照抗体として使用した。 小基質NA-スターアッセイにおけるH5N1 A/Indonesia/5/2005に対するmAb 1G04、1E01、および1G01の阻害効果を示す図である。阻害曲線が示されており、点線はNA活性の50%阻害を表す。無関係のヒトIgG1 mAbを陰性対照抗体として使用した。 小基質NA-スターアッセイにおけるH7N9 A/Shanghai/2/2013に対するmAb 1G04、1E01、および1G01の阻害効果を示す図である。阻害曲線が示されており、点線はNA活性の50%阻害を表す。無関係のヒトIgG1 mAbを陰性対照抗体として使用した。 小基質NA-スターアッセイにおけるB/Malaysia/2506/2004に対するmAb 1G04、1E01、および1G01の阻害効果を示す図である。阻害曲線が示されており、点線はNA活性の50%阻害を表す。無関係のヒトIgG1 mAbを陰性対照抗体として使用した。 阻害曲線として示されるmAb 1G04、1E01、および1G01による野生型ウイルス(E119)の阻害パーセントを示す図である。 オセルタミビル耐性H3N2ウイルス(E119V)の阻害を示す図である。技術的重複を行った。 H3N2 A/Philippines/2/1982ウイルスに対するmAbの最小中和濃度を示す図である。無関係のヒトIgG1 mAbを陰性対照抗体として使用した。抗体は、技術的重複において実行された。 H9N2 A/chicken/Hong Kong/G9/1997ウイルスに対するmAbの最小中和濃度を示す図である。無関係のヒトIgG1 mAbを陰性対照抗体として使用した。抗体は、技術的重複において実行された。 H7N2 A/feline/New York/16-040082-1/2016ウイルスに対するmAbの最小中和濃度を示す図である。無関係のヒトIgG1 mAbを陰性対照抗体として使用した。抗体は、技術的重複において実行された。 pH1N1 A/Singapore/GP1908/2015ウイルスを試験するADCCアッセイにおいて測定された1G04、1E01、および1G01の曲線下面積値を示す図である。ヒトmAb CR9114を陽性対照として使用し、無関係のヒトIgG mAbを陰性対照抗体として使用した。全てのmAbを技術的重複において実行した。 H5N1 A/Indonesia/5/2005ウイルスを試験するADCCアッセイにおいて測定された1G04、1E01、および1G01の曲線下面積値を示す図である。ヒトmAb CR9114を陽性対照として使用し、無関係のヒトIgG mAbを陰性対照抗体として使用した。全てのmAbを技術的重複において実行した。 H7N9 A/Shanghai/2/2013ウイルスを試験するADCCアッセイにおいて測定された1G04、1E01、および1G01の曲線下面積値を示す図である。ヒトmAb CR9114を陽性対照として使用し、無関係のヒトIgG mAbを陰性対照抗体として使用した。全てのmAbを技術的重複において実行した。 B/Malaysia/2506/2004ウイルスを試験するADCCアッセイにおいて測定された1G04、1E01、および1G01の曲線下面積値を示す図である。ヒトmAb CR9114を陽性対照として使用し、無関係のヒトIgG mAbを陰性対照抗体として使用した。全てのmAbを技術的重複において実行した。 3.45Å分解能での結晶構造からの1G04Fab CDRとHunan N9 NAとの相互作用を示す図である。1G04軽鎖は薄灰色の炭素原子で示されており(CDRL1またはCDRL2と標識された各パネルの左側)、重鎖は灰色の炭素原子で示されている(CDRH1およびCDRH2と標識された各パネルの左側、またはCDRH3と標識されたパネルの中央)。NA側鎖は、濃灰色の炭素原子で示されている(CDRL1、CDRL2、CDRH1、およびCDRH2と標識されたパネルの右側、またはCDRH3と標識されたパネルの周囲方向)。水素結合または塩橋は黒色の点線である。 2.45Å分解能での結晶構造からの1E01 Fab CDRとJapan57 N2 NAとの相互作用を示す図である。1E01軽鎖は薄灰色の炭素原子で示されており(CDRL1またはCDRL2と標識された各パネルの左側)、重鎖は灰色の炭素原子で示されている(CDRH1およびCDRH2と標識された各パネルの左側、またはCDRH3と標識されたパネルの中央)。NA側鎖は、濃灰色の炭素原子で示されている(CDRL1、CDRL2、CDRH1、およびCDRH2と標識されたパネルの右側、またはCDRH3と標識されたパネルの周囲方向)。水素結合または塩橋は黒色の点線である。 3.27Å分解能での結晶構造からの1G01 Fab CDRとCA04 N1 NAとの相互作用を示す図である。1G01軽鎖は薄灰色の炭素原子で示されており(CDRL1またはCDRL2と標識された各パネルの左側)、重鎖は灰色の炭素原子で示されている(CDRH1およびCDRH2と標識された各パネルの左側、またはCDRH3と標識されたパネルの中央)。NA側鎖は、濃灰色の炭素原子で示されている(CDRL1、CDRL2、CDRH1、およびCDRH2と標識されたパネルの右側、またはCDRH3と標識されたパネルの周囲方向)。水素結合または塩橋は黒色の点線である。1G01 Fabは、隣接するNAプロトマー由来の残基W456と相互作用するFR L3由来のY67を除き、1つのNAプロトマーを認識する。
本発明は、種々のインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに対して広範な特異性を示す新規の抗体および抗原結合フラグメントに関する。本明細書における抗体および抗原結合フラグメントは、有利なことに任意の公知のノイラミニダーゼに結合することができる(かつタイプによって限定されない)。様々な実施形態では、抗体および抗原結合フラグメントは、a)配列番号1、2、3、7、10、13、14、40、42、または44に対する少なくとも約70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;b)配列番号4、5、6、8、9、11、12、15、16、41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域;あるいは(c)それらの組み合わせを含む。付加的な実施形態では、抗体および抗原結合フラグメントは、配列番号1、2、3、7、10、13、および14のいずれか1つを含むアミノ酸配列を有する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR:complementary determining region)を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、ならびに/または配列番号4、5、6、8、9、11、12、15、および16のいずれか1つを含むアミノ酸配列を有する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み得る。様々な実施形態では、抗体および抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、または44の少なくとも約70%を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む。様々な実施形態では、抗体および抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、または45の少なくとも約70%を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。本発明の抗体の特定の軽鎖および重鎖は、本明細書においてより詳細に説明される。
定義
本明細書で使用される「抗原結合フラグメント」という用語は、インタクトな抗体、または改変、遺伝子操作、もしくは化学的にコンジュゲートされた抗原結合フラグメントを含む、抗体の任意の抗原結合フラグメントを意味する。改変または遺伝子操作された抗体の例は、キメラ抗体、ヒト化抗体、および多重特異性抗体(例、二重特異性抗体)である。抗原結合フラグメントとしては、とりわけFab、F(ab´)、F(ab´)2、Fv、dAb、Fd、相補性決定領域(CDR)フラグメント、単鎖抗体(scFv)、二価単鎖抗体、単鎖ファージ抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、(ポリ)ペプチドに特異的抗原結合を付与するのに十分な免疫グロブリンの少なくとも1つのフラグメントを含有する(ポリ)ペプチドなど)が挙げられる。構造にかかわらず、抗原結合フラグメントは、インタクトな免疫グロブリンによって認識されるものと同じ抗原に結合する。抗原結合フラグメントは、結合分子のアミノ酸配列の少なくとも2、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、または250の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含むペプチドまたはポリペプチドを含み得る。上記のフラグメントは、合成によって生成されてもよいし、インタクトな免疫グロブリンの酵素的または化学的切断によって生成されてもよいし、それらは組み換えDNA技術によって遺伝子操作されてもよい。生成方法は当技術分野で周知であり、例えば「抗体:実験マニュアル(Antibodies:A Laboratory Manual)」、E.ハーロウ(Harlow)およびD,レーン(Lane)編(1988)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory),コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor),N.Y.などに記載されている。
本明細書で使用される「相補性決定領域」(CDR)という用語は、抗原上で認識されるエピトープに対して形状および電荷分布が相補的である抗原結合部位に通常大部分寄与する抗体の可変領域内の配列を意味する。CDR領域は、天然立体構造のタンパク質上に存在するか、または場合によっては例えばSDSにおける可溶化などによって変性されたタンパク質上に存在するかのいずれかの、タンパク質またはタンパク質フラグメントの線状エピトープ、不連続エピトープ、または立体構造エピトープに対して特異的であり得る。加えて、エピトープはタンパク質の翻訳後修飾からなっていてもよい。
本明細書で使用される「インフルエンザAウイルス」は、ヘマグルチニン(H)およびノイラミニダーゼ(N)ウイルス表面タンパク質の様々な組み合わせによって特徴付けられる異なる「サブタイプ」にさらに特徴付けることができるインフルエンザウイルスのタイプを指す。インフルエンザAウイルスには、18の異なるヘマグルチニンサブタイプおよび9の異なるノイラミニダーゼサブタイプ(H1~H18およびN1~N9)が存在する。インフルエンザAノイラミニダーゼは、サブタイプ(グループ1およびグループ2)にさらに分けられる。グループ1はN1、N4、N5、およびN8を含み、グループ2はN2、N3、N6、N7、およびN9を含む。本発明によると、インフルエンザAウイルスのサブタイプは、それらのH数によって例えば「H1またはH5サブタイプのHAを含むインフルエンザウイルス」、または「H1インフルエンザウイルス」、「H5インフルエンザウイルス」などと示されてもよいし、それらのN数を示すことによって例えば「N1またはN2サブタイプのNAを含むインフルエンザウイルス」などと示されてもよいし、H数とN数との組み合わせによって例えば「インフルエンザウイルスサブタイプ「H5N1またはH3N2」などと示されてもよい。インフルエンザウイルス「サブタイプ」という用語は、具体的には、通常は突然変異から生じ、異なる病原性プロファイルを示す、各サブタイプ内の全ての個々のインフルエンザウイルス「株」を含む。こうした株は、ウイルスサブタイプの種々の「単離株」とも呼ばれることがある。したがって、本明細書で使用される「株」および「単離株」という用語は、交換可能に使用されてもよい。ヒトインフルエンザウイルス株または単離株に対する現在の命名法は、最初の単離の地理的位置、株番号、および単離年を含み、通常は括弧内にHAおよびNAの抗原性の記載が与えられ、例えばA/Moscow/10/00(H3N2)などとなる。非ヒト株は、命名法に起源の宿主も含む。
本明細書で使用される「インフルエンザBウイルス」は、インフルエンザウイルスの第2のカテゴリー(タイプ)を指す。インフルエンザAとは異なり、インフルエンザBウイルスはサブタイプに分けられないが、系統および株に分解され得る(例、B/YamagataおよびB/Victoria)。しかし、インフルエンザBウイルスは、本明細書においてそれぞれ「B型ヘマグルチニン」および「B型ノイラミニダーゼ」と分類されるヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼタンパク質を含有する。
本明細書で使用される「宿主」という用語は、例えばクローニングベクターまたは発現ベクターなどのベクターが導入された生物または細胞を指すことが意図される。生物または細胞は、原核または真核であり得る。好ましくは、宿主は単離された宿主細胞、例えば培養された宿主細胞などである。「宿主細胞」という用語は、その細胞が本発明の抗体の(過剰)発現のために改変されていることのみを意味し、これらの抗体を元々発現しているB細胞であって、不死化、増幅、発現の増強などによって結合分子を過剰発現するように改変されている細胞を含む。
アミノ酸配列同一性パーセント(%)は、2つの配列を整列させたときに、参照配列と比較して候補配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸残基と同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセンテージとして理解される。同一性パーセントを決定するために、配列を整列させ、必要であれば、最大の配列同一性パーセントを達成するためにギャップを導入する。同一性パーセントを決定するための配列アラインメント手順は、当業者に周知である。配列を整列させるために、例えばBLAST、BLAST2、ALIGN2、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアがしばしば使用される。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。配列を整列させるとき、所与の配列Bに対する所与の配列Aの配列同一性パーセント(所与の配列Bに対する特定の配列同一性パーセントを有するかまたは含む所与の配列Aと言い換えることができる)は、配列同一性パーセント=(X/Y)*100として算出でき、ここでXは、配列アラインメントプログラムまたはアルゴリズムのAおよびBのアラインメントによって同一マッチとしてスコア付けされた残基の数であり、Yは、Bの残基の総数である。配列Aの長さと配列Bの長さとが等しくないとき、AのBに対する配列同一性パーセントは、BのAに対する配列同一性パーセントと等しくならない。
「動作可能に連結された」という用語は、通常は物理的に連結され、互いに機能的関係にある2つ以上の核酸配列要素を指す。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現を開始または調節することができるとき、プロモーターはコード配列に動作可能に連結されており、その場合、コード配列はプロモーターの「制御下」にあると理解されるべきである。
「薬学的に許容される賦形剤」とは、好ましいかまたは好都合な剤形を調製するために、例えば薬物、薬剤、または抗体などの活性分子と組み合わされる任意の不活性物質を意味する。「薬学的に許容される賦形剤」は、使用される用量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、かつ薬物、薬剤、または結合分子を含む製剤の他の成分と適合性である賦形剤である。薬学的に許容される賦形剤は広く適用されており、当技術分野で公知である。
抗体と、例えば抗原などのその結合パートナーとの相互作用に関して本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、その相互作用が、結合パートナー上の例えば抗原決定基またはエピトープなどの特定の構造の存在に依存することを意味する。言い換えると、たとえ結合パートナーが他の分子または生物の混合物中に存在するときにも、抗体は結合パートナーに優先的に結合するか、またはそれを認識する。結合は、共有もしくは非共有相互作用または両方の組み合わせによって媒介されてもよい。さらに言い換えると、「特異的に結合する」という用語は、抗原決定基またはエピトープに免疫特異的に結合し、他の抗原決定基またはエピトープに免疫特異的に結合しないことを意味する。抗原に免疫特異的に結合する抗体は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA:radioimmunoassays)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA:enzyme-linked immunosorbent assays)、BIACORE、または当技術分野において公知の他のアッセイなどによって決定されるときに、より低い親和性で他のペプチドまたはポリペプチドに結合してもよい。抗原に免疫特異的に結合する抗体またはそのフラグメントは、同じエピトープを保有する関連抗原と交差反応性であってもよい。好ましくは、抗原に免疫特異的に結合する抗体またはそのフラグメントは、他の抗原と交差反応しない。
本発明の抗体に関連して本明細書で使用される「中和する」という用語は、中和が達成される機構、または中和活性を測定するために使用されるアッセイにかかわらず、インビトロおよび/またはインビボでインフルエンザウイルスの複製を阻害する抗体を指す。
「治療上の有効量」という用語は、インフルエンザAウイルスによる感染から生じる状態を予防、改善、および/または処置するために有効な、本明細書で定義される抗体の量を指す。本明細書で使用される改善とは、インフルエンザ感染の目に見えるかもしくは知覚できる疾患症状、ウイルス血症、または任意のその他の測定可能な徴候の低減を指してもよい。
「処置」という用語は、疾患の進行を治癒または停止または少なくとも遅延させるための治療的処置および予防的または防止的方策を指す。処置を必要とする者には、インフルエンザウイルスによる感染から生じる状態を既に患っている者、およびインフルエンザウイルスによる感染を予防されるべき者が含まれる。インフルエンザウイルスによる感染から部分的にまたは完全に回復した対象も処置を必要とし得る。予防とは、インフルエンザウイルスの伝播を阻害もしくは低減すること、またはインフルエンザウイルスによる感染に関連する症状のうちの1つ以上の発症、発生、もしくは進行を阻害もしくは低減することを包含する。
「ベクター」という用語は、第2の核酸分子を宿主に導入してそこで複製および場合によっては発現させるために、第2の核酸分子を挿入することができる核酸分子を意味する。言い換えると、ベクターは、自身が連結された核酸分子を輸送することができる。本明細書で使用される「ベクター」という用語によって、クローニングベクターおよび発現ベクターが意図される。ベクターとしては、プラスミド、コスミド、細菌人工染色体(BAC:bacterial artificial chromosomes)および酵母人工染色体(YAC:yeast artificial chromosomes)、ならびにバクテリオファージまたは植物もしくは動物(ヒトを含む)ウイルスに由来するベクターが挙げられるが、これらに限定されない。ベクターは、提案される宿主によって認識される複製起点を含み、かつ発現ベクターの場合には、宿主によって認識されるプロモーターおよびその他の調節領域を含む。第2の核酸分子を含むベクターは、形質転換、トランスフェクション、またはウイルス侵入機構の利用によって、細胞に導入される。特定のベクターは、自身が導入された宿主中で自律複製することができる(例、細菌の複製起点を有するベクターは、細菌中で複製できる)。他のベクターは、宿主への導入時に宿主のゲノムに組み込まれることができ、それによって宿主ゲノムとともに複製される。
ポリペプチド(例、抗体またはその抗原結合フラグメント)に関する「構造的に類似する」という用語は、参照ポリペプチドと比較して1つ以上の保存的置換および/または化学修飾を有するが、参照ポリペプチドまたはタンパク質の全体的な二次、三次、および/または四次構造を保持するポリペプチドまたはタンパク質を指す。別のポリペプチドまたはタンパク質と「構造的に類似する」ポリペプチドまたはタンパク質は、参照タンパク質の結合標的に対して類似の結合親和性を有することが予期される。
一般的に、保存的置換は、必要な活性が保持される限り、任意の位置で行われ得る。置換されるアミノ酸が元のアミノ酸と類似の特性を有する、いわゆる保存的交換が行われてもよく、それは例えばGluのAspによる交換、GlnのAsnによる交換、ValのIleによる交換、LeuのIleによる交換、およびSerのThrによる交換などである。例えば、類似の特性を有するアミノ酸は、脂肪族アミノ酸(例、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン);ヒドロキシルもしくは硫黄/セレン含有アミノ酸(例、セリン、システイン、セレノシステイン、スレオニン、メチオニン);環状アミノ酸(例、プロリン);芳香族アミノ酸(例、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン);塩基性アミノ酸(例、ヒスチジン、リジン、アルギニン);または酸性およびそれらのアミド(例、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン)であり得る。欠失は、直接結合によるアミノ酸の置換である。欠失の位置には、ポリペプチドの末端および個々のタンパク質ドメイン間の結合部が含まれる。挿入は、ポリペプチド鎖へのアミノ酸の導入であり、直接結合が形式的に1つ以上のアミノ酸によって置換される。アミノ酸配列は、例えば改善された活性または変更された調節などを有するポリペプチドを生成し得る当技術分野で公知のコンピュータシミュレーションプログラムの助けを借りて調節され得る。この人工的に生成されたポリペプチド配列に基づいて、こうした調節されたポリペプチドをコードする対応の核酸分子を、所望の宿主細胞の特異的コドン使用を用いてインビトロで合成できる。
ノイラミニダーゼ特異性および抗体特性
本発明は、インフルエンザAおよびBウイルスを阻害できる高活性ヘテロサブタイプ抗NA抗体の発見に基づくものである。過去の抗体特徴付けおよびワクチン接種の研究は、サブタイプ内の防御は非常に広範であり得るが、NAに対する免疫はヘテロサブタイプではないことを示唆していた(通常異なるサブタイプにわたって結合する抗HAストーク抗体と比較したとき)(9~15)。保存された線状ペプチドに対してウサギにおいてヘテロサブタイプ抗NA mAbを生じさせる試みによって、低いNI活性およびわずかな防御効果を有するmAbがもたらされた(28、29)。いくらかの交差反応性結合を示すが、インビトロまたはインビボでいかなる抗ウイルス活性も有さない少数のヒト抗NA mAbが近年報告されている(10)。これに対し、本明細書で報告される本発明のモノクローナル抗体は高活性であり、インビボで強力な防御を媒介する。
したがって、様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに選択的に結合することができる。本明細書に記載される抗体および抗原結合フラグメントは、インフルエンザ感染の治療的処置および予防的処置の両方のための重要な用途を有し得る。
急性感染に対処するための治療的使用
ノイラミニダーゼは検証された薬物標的であり、その活性を阻害するいくつかの小分子はインフルエンザ治療薬である。ここに報告される3つのmAbと同様に、これらの小分子はNAの活性部位を標的とする。したがって、かつこれらのmAbの広範な幅のために、それらはヒトにおける季節性、パンデミック、および人畜共通感染性のインフルエンザウイルス感染の処置のための抗ウイルス剤として使用され得る可能性がある。小分子は確かに利点を有するが、これらの薬物の治療ウィンドウは症状の発症後48時間に制限される。マウスモデルにおいて、本発明者らのmAbは、致死的インフルエンザウイルスチャレンジの72時間後という遅さで投与されたときにも堅固な防御を示し、それらがより長い治療ウィンドウを有し得ることを示唆した。この効果の基礎は、それらの強力なNI活性が、エフェクター機能およびおそらくは感染に対する免疫応答の調節と組み合わされたものであり得る(30)。
予防的処置のためのワクチン
これらのmAbが治療薬として役立つ可能性に加えて、それらは抗体誘導ワクチン設計にも有用であり得る。不活化および弱毒化生ワクチンを含む、現在認可されているインフルエンザウイルスワクチンは、抗NA免疫の誘導が不十分である(8)。しかし、組み換えNAベースのワクチンおよびNAウイルス様粒子は、致死的なマウスおよびフェレットチャレンジモデルにおける広範な防御が可能な高力価の抗NA抗体を誘導することが示されている(13~15)。さらに、組み換えNAベースのワクチンは、モルモットモデルにおいてインフルエンザウイルス伝播を阻害することが示されている(16)。これらの研究においてはサブタイプ内の広範な防御が観察されたが、ヘテロサブタイプ免疫は、マウスモデルにおいて明確に試験されたにもかかわらず検出されなかった(13)。しかし、異なるサブタイプを含む組み換えNAワクチンによる連続的なプライムブーストレジメンは、1G01様抗体の誘導をもたらし得る。さらに、1G01エピトープを表すスカフォールド/安定化された構築物も、同様のヘテロサブタイプ抗体を誘導できる可能性がある。これらのワクチンの開発に伴う1つの問題は、インフルエンザウイルスワクチンの動物モデルとして使用される多くの種が、報告された3つのmAbの特徴である長いCDR H3領域を有する抗体を有さないことであり得る。したがって、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスは、これらのワクチンを試験するためのより良好なモデルであり得る。
要約すると、酵素活性部位に長いCDR H3を挿入し、通常シアル酸によって占有される空間を占有することによって、クローン的に関連し、かつインフルエンザウイルスNAに結合する3つのmAbを合成した。3つのmAbは全て広範な結合を示し、1G01は全てのインフルエンザAウイルスNAサブタイプおよびインフルエンザBウイルスNAを阻害し、そのことはこれらのmAbを治療薬開発の有望な候補としている。これらの抗体は、インビトロではNA活性の高活性の阻害剤であり、インビボでは死亡率および罹患率からの広範な防御を提供する。これらのmAbの発見は、適切なワクチン接種レジメンが与えられれば集団において類似の抗体が誘導され得るという希望をもたらす。次いで、これらのmAbの結合様式およびエピトープについての知識は、NAベースのユニバーサルインフルエンザウイルスワクチンの開発を導き得る。
抗体構造およびその配列
IgG抗体の一般的構造を図5に示している。簡潔には、2つの主要なサブユニット、すなわちジスルフィド結合を介して接続された重鎖および軽鎖が存在する。各重鎖および軽鎖は、可変領域または定常領域にさらに分けられる。可変領域は、抗原と最も直接的に相互作用し、かつ3つの超可変領域(相補性決定ドメイン、CDR)をさらに含む。よって、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む単一の抗体は、合計12のCDR(各重鎖および各軽鎖に対して3つ)を含む。しかし、各々の可変領域、特にCDRは、抗原に対してある程度の親和性を有し、単一の軽鎖に結合した単一の重鎖は最大の親和性を達成できる。このため、典型的なIgG抗体は二価であると考えられ、おそらくは重鎖および軽鎖の同一性に応じて2つの異なる抗原を同時に標的とすることができる。抗体の可変領域(重鎖および軽鎖の両方)は、集合的にFabフラグメントとして公知であり、定常領域(Fc部分として公知である)から切断されて抗原結合フラグメントを形成することができる。加えて注記したとおり、各々のCDRは抗原に対してある程度の親和性を有し、各々が抗原結合フラグメントとみなされ得る。抗体フラグメントは、標的に対して親抗体と等価の結合親和性を有し得る。二価および一価抗体フラグメントの両方が本発明に含まれる。
したがって、様々な実施形態では、抗体または抗体結合フラグメントは、重鎖可変領域(またはそのフラグメント)および/または軽鎖可変領域(またはそのフラグメント)を含む。重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3として分類される3つの相補性定義領域(CDR)を含む。同様に、軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3として分類される3つの相補性決定領域(CDR)を含む。本発明の抗体および抗体フラグメントに組み込まれ得る好適なCDR配列は、それらの全ておよびそれらが由来する抗体に類似する仮説的な「共通祖先」に対応する配列とともに表1に記載されている。「共通祖先」配列に対する配列中のアミノ酸置換は、太字の下線付きの文字によって識別される。
Figure 2022535523000002
CDRは、軽鎖および重鎖に沿って間隔を空けて配置され、フレームワーク領域(FR:framework regions)として公知である4つの比較的保存された領域に隣接する。すなわち、重鎖可変領域はFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4として分類される4つのフレームワーク領域(FR)を含み、軽鎖可変領域はFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4として分類される4つのフレームワーク領域(FR)を含む。本明細書に記載される抗体におけるフレームワーク領域の代表的な配列を以下の表2に示す。上と同様に、仮説的な「共通祖先」も含まれており、「共通祖先」配列に対するアミノ酸置換は、太字および下線で示されている。
Figure 2022535523000003
CDR領域のいずれかを、上述のFR配列の1つ以上と組み合わせて、重鎖可変領域を形成してもよい。様々な実施形態では、好適な重鎖可変領域は、配列番号40、42、または44のいずれか1つを含み得る。さらに、多くの保存的置換が当業者によって想定され得るため、抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約70%の配列同一性を含む重鎖可変領域を含み得る。例えば、抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の配列同一性を含む重鎖可変領域を含み得る。同様に、CDR領域のいずれかを、上述のFR配列の1つ以上と組み合わせて、軽鎖可変領域を形成してもよい。様々な実施形態では、好適な軽鎖可変領域は、配列番号41、43、または45のいずれか1つを含み得る。さらに、抗体の活性に影響を及ぼすことなく多くの保存的置換が当業者によって想定され得るため、抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つの少なくとも約70%の配列同一性を含む軽鎖可変領域を含み得る。例えば、抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の配列同一性を含む軽鎖可変領域を含み得る。
参照を容易にするために、配列番号40~45に対する配列を以下の表3に記載する。この表では、各鎖内のCDR配列に下線が引かれており、「共通祖先」に対する点突然変異は太字の斜字体にされている。
Figure 2022535523000004
当業者によって想定され得るとおり、種々のCDR配列およびFR配列が様々なやり方で組み合わされて、新たな抗体が形成されてもよい。表3の完全な重鎖または軽鎖可変領域内であるか、またはそれを除いたCDR配列の特定の組み合わせについて、以下により詳細に説明する。
様々な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、a)配列番号1、2、3、7、10、13、14、40、42、または44に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;b)配列番号4、5、6、8、9、11、12、15、16、41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域;あるいは(c)それらの組み合わせを含む。
様々な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1もしくは13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2もしくは7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3、10、もしくは14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む免疫グロブリン重鎖を含む。
さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号4、8、11、もしくは15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5もしくは9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、配列番号6、12、もしくは16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み得る。
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、a)配列番号1もしくは13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2もしくは7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、または配列番号3、10、もしくは14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;および(b)配列番号4、8、11、もしくは15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5もしくは9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、または配列番号6、12、もしくは16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号1または13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2または7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号3、10、または14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含み得る。
なおさらなる実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号1または13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの重鎖可変領域は、配列番号1を含むアミノ酸配列を有するCDRH1を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの重鎖可変領域は、配列番号13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの重鎖可変領域は、配列番号2を含むアミノ酸配列を有するCDRH2を含み得る。
さらなる実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2を含み得る。
なおさらなる実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号3、10、または14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの重鎖可変領域は、配列番号3を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの重鎖可変領域は、配列番号10を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの重鎖可変領域は、配列番号14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン重鎖可変領域は、
a)配列番号1を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号3もしくは配列番号10を含むアミノ酸配列を有するCDRH3、または
b)配列番号13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含み得る。
さらなる実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号4、8、11、または15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5または9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号6、12、または16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含み得る。
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号4、8、11、または15のいずれか1つを含むアミノ酸配列を有するCDRL1を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号4を含むアミノ酸配列を有するCDRL1を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号8を含むアミノ酸配列を有するCDRL1を含み得る。
別の例として、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号11を含むアミノ酸配列を有するCDRL1を含み得る。
さらなる例として、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1を含み得る。
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号5または9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号5を含むアミノ酸配列を有するCDRL2を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2を含み得る。
さらなる実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号6、12、または16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号6を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含み得る。
例えば、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号12を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含み得る。
別の例として、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含み得る。
例えば、様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域は、
a)配列番号8を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号6を含むアミノ酸配列を有するCDRL3、または
b)配列番号11を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号12を含むアミノ酸配列を有するCDRL3、または
c)配列番号15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含み得る。
したがって、様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、(a)配列番号1または13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2または7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号3、10、または14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;ならびに(b)配列番号4、8、11、または15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5または9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号6、12、または16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み得る。
本発明の例示的な抗体は、a)配列番号1を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号3を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;ならびにb)配列番号8を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号6を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み得る。
本発明の第2の例示的な抗体は、a)配列番号1を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号10を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;ならびにb)配列番号11を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号12を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み得る。
本発明の第3の例示的な抗体は、a)配列番号13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;ならびにb)配列番号15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み得る。
様々な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1、2、3、7、10、13、14、40、42、または44に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む。様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、または44に対する少なくとも約70%の同一性を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む。例えば、様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、または44に対する少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の同一性を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号40、42、または44に対する少なくとも約70%の同一性を含み、かつ配列番号1、3、7、10、13、または14のうちの少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号40、42、または44に対する少なくとも約70%の同一性を含み、かつ配列番号1、3、または7のうちの少なくとも1つをさらに含む。例えば、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号1、3、および7を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号40、42、または44に対する少なくとも約70%の同一性を含み、かつ配列番号1、7、または10のうちの少なくとも1つをさらに含む。例えば、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号1、7、および10を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号40、42、または44に対する少なくとも約70%の同一性を含み、かつ配列番号7、13、または14のうちの少なくとも1つをさらに含む。例えば、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号7、13、および14を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号40、42、または44に対する少なくとも約70%の同一性を含み、かつ配列番号1または13を含むCDRH1をさらに含む。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号40、42、または44に対する少なくとも約70%の同一性を含み、かつ配列番号2または7を含むCDRH2をさらに含む。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号40、42、または44に対する少なくとも約70%の同一性を含み、かつ配列番号3、10、または14を含むCDRH3をさらに含む。
様々な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号4、5、6、8、9、11、12、15、16、41、43、または45に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、または45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み得る。例えば、様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、または45の少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号41、43、または45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の配列同一性を含み、かつ配列番号4、6、8、9、11、12、15、または16のうちの少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号41、43、または45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の配列同一性を含み、かつ配列番号6、8、または9のうちの少なくとも1つをさらに含む。例えば、免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号6、8、および9を含む。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号41、43、または45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の配列同一性を含み、かつ配列番号9、11、または12のうちの少なくとも1つをさらに含む。例えば、免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号9、11、および12を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号41、43、または45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の配列同一性を含み、かつ配列番号9、15、または16のうちの少なくとも1つをさらに含む。例えば、免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号9、15、および16を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号41、43、または45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の配列同一性を含み、かつ配列番号4、8、11、または15のいずれか1つを含むCDRL1をさらに含む。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号41、43、または45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の配列同一性を含み、かつ配列番号5または9を含むCDRL2をさらに含む。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号41、43、または45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の配列同一性を含み、かつ配列番号6、12、または16のいずれか1つを含むCDRL3をさらに含む。
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の配列同一性を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の配列同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含み得る。
いくつかの実施形態では、抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つを含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号41、43、および45のいずれか1つを含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含み得る。
例えば、いくつかの実施形態では、抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号40を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号41、43、および45を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含み得る。
いくつかの実施形態では、抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号42を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号41、43、および45を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含み得る。
さらなる実施形態では、抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号44を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号41、43、および45を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含み得る。
他の実施形態では、抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号40、42、または44を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号41を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含む。
いくつかの実施形態では、抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号40、42、または44を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号43を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含む。
いくつかの実施形態では、抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号40、42、または44を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号45を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含む。
本明細書において提供される例示的な抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号40を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号41を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含んでもよい。
本明細書において提供される第2の例示的な抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号42を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号43を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含んでもよい。
本明細書において提供される第3の例示的な抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号44を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号45を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含んでもよい。
誘導体および合成的に合成された抗体または結合部分。
本明細書に記載される抗体または抗体結合フラグメントのいずれかに由来するペプチド、ポリペプチド、および/またはタンパク質も提供される。一般的に、本明細書で使用されるとき、本明細書で提供される誘導体は、本明細書に記載される抗体または抗体結合フラグメントと実質的に類似のものである。例えば、誘導体は、自身のアミノ酸配列中に1つ以上の保存的置換を含んでいてもよいし、化学的修飾を含んでいてもよい。誘導体および修飾ペプチド/ポリペプチド/タンパク質は全て「構造的に類似している」と考えられ、これは、それらが親分子の構造を保持しており、親分子と同じやり方で抗原と相互作用すると予想されることを意味する。
合成的に誘導された抗体または抗原結合部分のクラスは、親分子の残基を保存的に変異させて、親分子と同じ活性を維持するペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を生成することによって生成され得る。代表的な保存的置換は当技術分野で公知であり、本明細書でも要約されている。
一般的に、保存的置換は、必要な活性が保持される限り、任意の位置で行われ得る。置換されるアミノ酸が元のアミノ酸と類似の特性を有する、いわゆる保存的交換が行われてもよく、それは例えばGluのAspによる交換、GlnのAsnによる交換、ValのIleによる交換、LeuのIleによる交換、およびSerのThrによる交換などである。例えば、類似の特性を有するアミノ酸は、脂肪族アミノ酸(例、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン);ヒドロキシルもしくは硫黄/セレン含有アミノ酸(例、セリン、システイン、セレノシステイン、スレオニン、メチオニン);環状アミノ酸(例、プロリン);芳香族アミノ酸(例、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン);塩基性アミノ酸(例、ヒスチジン、リジン、アルギニン);または酸性およびそれらのアミド(例、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン)であり得る。欠失は、直接結合によるアミノ酸の置換である。欠失の位置には、ポリペプチドの末端および個々のタンパク質ドメイン間の結合部が含まれる。挿入は、ポリペプチド鎖へのアミノ酸の導入であり、直接結合が形式的に1つ以上のアミノ酸によって置換される。アミノ酸配列は、例えば改善された活性または変更された調節などを有するポリペプチドを生成し得る当技術分野で公知のコンピュータシミュレーションプログラムの助けを借りて調節され得る。この人工的に生成されたポリペプチド配列に基づいて、こうした調節されたポリペプチドをコードする対応する核酸分子を、所望の宿主細胞の特定のコドン使用を用いてインビトロで合成することができる。
本明細書で提供される配列に基づいて機能性ペプチド/ポリペプチドまたはタンパク質を生成する第2のやり方は、コンピュータによる「インシリコ」設計の使用によるものである。例えば、当技術分野の標準的な方法を使用して、コンピュータ設計された抗体または抗原結合フラグメントが設計されてもよい。例えば、各々がその全体にわたって引用により援用される、ストラウチ(Strauch)EMら、(「ネイチャー・バイオテクノロジー(Nat BioTechnol.)」2017年7月;35(7):667-671)、フライシュマン(Fleishman)SJら、(「サイエンス(Science.)」2011年5月13日;332(6031):816-21)、およびコダーイ(Koday)MTら(「プロス・パソジェンズ(PLoS Pathog.)」2016年2月4日;12(2):e1005409)などを参照されたい。
様々な実施形態では、本明細書に記載される抗体のいずれかと構造的に類似している抗体またはその抗体結合フラグメントが提供される。例えば、抗体または抗原結合フラグメントは、単一のCDRループと構造的に類似であり得る。例えば、抗体または抗原結合フラグメントは、例えば配列番号3、10、14、またはそれらの任意の組み合わせを含むループなどのCDRH3ループと構造的に類似であり得る。
配列番号1~45のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと構造的に類似した三次構造を有するポリペプチドを含む抗体または抗原結合フラグメントも提供される。具体的には、このポリペプチドは、配列番号3、10、および14のいずれか1つを含む単一のCDRH3ループと構造的に類似した三次構造を有してもよい。
抗体および抗原結合フラグメントの結合および機能
本明細書に記載される抗体およびその抗原結合フラグメントは、インフルエンザウイルスに結合できる。様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに結合できる。様々な実施形態では、ノイラミニダーゼはインフルエンザA型ノイラミニダーゼである。様々な実施形態では、ノイラミニダーゼは、N1~N9型ノイラミニダーゼのいずれか1つである。上述のとおり、A型インフルエンザウイルスは、自身のヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼに基づいて分類される。したがって、様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、HXN1、HXN2、HXN3、HXN4、HXN5、HXN6、HXN7、HXN8、またはHXN9によって発現されるノイラミニダーゼに対する結合親和性を有し、ここで「X」は1~18の任意の整数である。様々な実施形態では、ノイラミニダーゼはB型ノイラミニダーゼである。本発明の利点は、これらの抗体および/または抗原結合フラグメントが全てのノイラミニダーゼに対して全般的な親和性を有することである(すなわち、それらはB型を除外してA型ノイラミニダーゼのみに対して選択的なのではない)。様々な実施形態では、ノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスの表面上に発現されてもよい。さらに、本明細書中の抗体および抗原結合フラグメントは、ノイラミニダーゼ上の特異的エピトープに対して特定の親和性を有してもよい。エピトープは、例えば本明細書において配列番号46として提供されるものなどの、N1ノイラミニダーゼの活性部位などを含んでもよい。
様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、ノイラミニダーゼの少なくとも1つの活性部位残基と相互作用する。例えば、抗体または抗原結合フラグメントは、N1残基の少なくとも1つの活性部位残基と相互作用し得る。N1ノイラミニダーゼ(CA04N1)の活性部位の代表的なアミノ酸配列(配列番号46)を以下の表に示す。
Figure 2022535523000005
様々な実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号46のアミノ酸番号付けに従うR118、E119、D151、R152、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406からなる群より選択される1つ以上の残基と相互作用し得る。好ましくは、抗体または抗体結合フラグメントがこれらの残基の1つ以上と相互作用するとき、それは配列番号3を含むCDRH3領域を含む。
様々な実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号46のアミノ酸番号付けに従うR118、E119、D151、R152、I222、R224、E277、R371、およびY406からなる群より選択される1つ以上の残基と相互作用し得る。好ましくは、抗体または抗体結合フラグメントがこれらの残基の1つ以上と相互作用するとき、それは配列番号10を含むCDRH3領域を含む。
様々な実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗体結合フラグメントは、配列番号46のアミノ酸番号付けに従うR118、E119、L134、D151、R152、R156、W178、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406からなる群より選択される1つ以上の残基と相互作用し得る。好ましくは、抗体または抗体結合フラグメントがこれらの残基の1つ以上と相互作用するとき、それは配列番号14のCDRH3領域を含む。
したがって、インフルエンザウイルスのN1ノイラミニダーゼに対する特異的親和性を有する抗体または抗原結合フラグメントが提供され、この抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号46の少なくとも約70%を含み、かつ配列番号46のアミノ酸番号付けに従うR118、E119、L134、D151、R152、R156、W178、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406から選択される少なくとも1つの残基を含有するN1ノイラミニダーゼの活性部位残基に結合する。
抗体または抗原結合フラグメントの結合は、ノイラミニダーゼが、シアル酸受容体を切断して感染細胞からのウイルス粒子の放出を促進するという自身の正常な機能を果たす能力を中和または阻害できる。様々な実施形態では、抗体および/または結合フラグメントは、ノイラミニダーゼが自身の基質を切断する機能を、約0.0001μg/ml~約30μg/mlのIC50で阻害する。例えば、抗体または抗原結合フラグメントは、約0.001μg/ml~約30μg/mlのIC50を有し得る。抗体または抗原結合フラグメントの阻害機能は、例えば、抗体または抗原結合フラグメントの存在下または非存在下でノイラミニダーゼが自身の基質(シアル酸)を切断する能力を測定することなどによって決定され得る。
ヒト化抗体、モノクローナル抗体、およびIgG抗体
様々な実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合フラグメントはヒト化されている。「ヒト化」抗体とは一般的に、ヒト定常および/もしくは(ir)可変領域ドメインまたは特異的変化を有するマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはその他の種由来のキメラまたは突然変異モノクローナル抗体である。いわゆる「ヒト化」抗体を生成するための技術は、当業者に周知である。
様々な実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合フラグメントはモノクローナル抗体である。本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、抗原の同じエピトープに結合する抗体または抗原結合フラグメントを指す。
様々な実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合フラグメントはIgG型抗体である。
様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、野生型ヒンジ領域または野生型Fc領域の配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有するヒンジ領域またはFc領域を含む。例えば、いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、野生型Fc領域の配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有するFc領域を含む。様々な実施形態では、置換、欠失、または挿入は、抗体または抗原結合フラグメントの再利用を防止または低減する。
様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40~46のいずれかと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を含む。
抗体産生
本発明の抗体を産生するための方法は、当技術分野で公知である。例えば、軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域をコードするDNA分子を化学的に合成できる。合成DNA分子を、例えば定常領域コード配列および発現制御配列などを含む他の適切なヌクレオチド配列に連結して、所望の抗体をコードする従来の遺伝子発現構築物を生成できる。定義された遺伝子構築物の生成は、当技術分野における日常的な技術の範囲内である。
所望の抗体をコードする核酸を発現ベクターに組み込む(連結する)ことができ、これを従来のトランスフェクションまたは形質転換技術によって宿主細胞に導入することができる。例示的な宿主細胞は、大腸菌(E.coli)細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO:Chinese hamster ovary)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK:baby hamster kidney)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例、Hep G2)、および他様ではIgGタンパク質を産生しない骨髄腫細胞である。形質転換された宿主細胞は、宿主細胞が免疫グロブリン軽鎖および/または重鎖可変領域をコードする遺伝子を発現することを可能にする条件下で増殖され得る。
特定の発現および精製条件は、使用される発現系に依存して変化するだろう。例えば、遺伝子が大腸菌(E.coli)において発現されるとき、最初に、遺伝子操作された遺伝子を例えばTrpまたはTacなどの好適な細菌プロモーターおよび原核生物シグナル配列の下流に配置することによって、その遺伝子を発現ベクターにクローニングする。発現された分泌タンパク質は、屈折体または封入体中に蓄積し、フレンチプレスまたは超音波処理による細胞破壊後に回収され得る。次いで、屈折体を可溶化し、当技術分野で公知の方法によってタンパク質をリフォールディングおよび切断する。
遺伝子操作された遺伝子が、例えばCHO細胞などの真核宿主細胞において発現されるとき、それは最初に発現ベクターに挿入され、この発現ベクターは好適な真核生物プロモーターと、分泌シグナルと、ポリA配列と、終止コドンとを含み、かつ必要に応じてエンハンサーおよび種々のイントロンを含んでもよい。この発現ベクターは、重鎖または軽鎖の全体または一部が発現されることを可能にする定常領域の全体または一部をコードする配列を必要に応じて含む。遺伝子構築物は、従来の技術を用いて真核宿主細胞に導入され得る。宿主細胞は、VLもしくはVHフラグメント、VL-VHヘテロ二量体、VH-VLもしくはVL-VH単鎖ポリペプチド、完全な免疫グロブリン重鎖もしくは軽鎖、またはそれらの一部分を発現し、それらの各々は、別の機能(例、細胞毒性)を有する部分に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、重鎖(例、重鎖可変領域)または軽鎖(例、軽鎖可変領域)の全体または一部を発現するポリペプチドを発現する単一ベクターでトランスフェクトされる。他の実施形態では、宿主細胞は、(a)重鎖可変領域を含むポリペプチドおよび軽鎖可変領域を含むポリペプチド、または(b)免疫グロブリン重鎖全体および免疫グロブリン軽鎖全体をコードする単一のベクターでトランスフェクトされる。さらに他の実施形態では、宿主細胞は、2つ以上の発現ベクター(例、重鎖または重鎖可変領域の全体または一部を含むポリペプチドをコードする1つの発現ベクター、および軽鎖または軽鎖可変領域の全体または一部を含むポリペプチドをコードする別の発現ベクター)で同時トランスフェクトされる。
免疫グロブリン重鎖可変領域または軽鎖可変領域を含むポリペプチドは、こうした可変領域をコードする発現ベクターでトランスフェクトした宿主細胞を、ポリペプチドの発現を可能にする条件下で増殖(培養)させることによって産生され得る。発現の後、例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST:glutathione-S-transferase)およびヒスチジンタグなどの親和性タグを用いることなどの、当技術分野で公知の技術を用いて、ポリペプチドを回収して精製または単離できる。
ノイラミニダーゼタンパク質に結合するモノクローナル抗体、または抗体の抗原結合フラグメントは、(a)完全もしくは部分的な免疫グロブリン重鎖をコードする発現ベクター、および完全もしくは部分的な免疫グロブリン軽鎖をコードする別個の発現ベクター;または(b)両方の鎖(例、完全もしくは部分的な重鎖および軽鎖)をコードする単一の発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を、両方の鎖の発現を可能にする条件下で増殖(培養)させることによって産生され得る。インタクトな抗体(または抗体の抗原結合フラグメント)は、例えばプロテインA、プロテインG、例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)およびヒスチジンタグなどの親和性タグなどの、当技術分野で公知の技術を用いて、回収および精製または単離され得る。単一の発現ベクターまたは2つの別個の発現ベクターから重鎖および軽鎖を発現させることは、当業者の技術の範囲内である。
したがって、様々な実施形態では核酸が提供され、この核酸は、本明細書に記載される抗体または抗原結合フラグメントをコードするヌクレオチド配列を含む。当業者は、これらの核酸分子の機能的変異体も本発明の一部であることが意図されることを理解するであろう。機能的変異体は、標準的な遺伝子コードを用いて直接翻訳されて、親核酸分子から翻訳されたものと同一のアミノ酸配列を提供し得る核酸配列である。
核酸は、例えば、以下の表に記載される配列番号47~52のいずれか1つを含むヌクレオチド配列を含み得る。例えば、核酸は、配列番号47~49のいずれか1つを含み得る。例えば、核酸は、配列番号50~52のいずれか1つを含み得る。
Figure 2022535523000006
Figure 2022535523000007
様々な実施形態では、核酸は、本明細書に記載される抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む。様々な実施形態では、核酸は、本明細書に記載される抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、本明細書に記載されるアミノ酸配列を有する1つ以上の相補性決定領域(CDR)をコードする。上述のとおり、2つ以上のタンパク質産物(例、免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖)をコードする単一の核酸が提供されてもよい。代替的には、抗体および/または抗原結合フラグメントの1つの成分(例、軽鎖または重鎖)を各々がコードする2つ以上の別個の核酸が提供されてもよい。
様々な実施形態では、本明細書に記載される核酸のうちの1つ以上を含む発現ベクターが提供される。ベクターは、例えばF、F1、RP1、Col、pBR322、TOL、Tiなど;コスミド;ファージ、例えばラムダ、ラムドイド、M13、Mu,P1、P22、Qβ、T偶数系、T奇数系、T2、T4、T7など;または植物ウイルスなどのプラスミドに由来し得る。ベクターは、本発明の結合分子のクローニングおよび/または発現のために使用されてもよく、遺伝子治療の目的のためにも使用され得る。本発明による1つ以上の核酸分子が1つ以上の発現調節核酸分子に動作可能に連結されたものを含むベクターも、本発明によって包含される。ベクターの選択は、その後の組み換え手順および使用される宿主に依存する。宿主細胞へのベクターの導入は、とりわけ、リン酸カルシウムトランスフェクション、ウイルス感染、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクタミントランスフェクション、またはエレクトロポレーションによって行われ得る。ベクターは、自律的に複製してもよいし、自身が組み込まれた染色体と一緒に複製してもよい。好ましくは、ベクターは1つ以上の選択マーカーを含む。マーカーの選択は、選択した宿主細胞に依存してもよい。マーカーとしては、カナマイシン、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、ゼオシン、単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼ遺伝子(HSV-TK:thymidine kinase gene from Herpes simplex virus)、マウス由来のジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(dhfr:dihydrofolate reductase)が挙げられるが、これらに限定されない。ヒト結合分子を単離するために使用され得るタンパク質またはペプチドをコードする1つ以上の核酸分子に動作可能に連結された上述のヒト結合分子をコードする1つ以上の核酸分子を含むベクターも、本発明によって包含される。これらのタンパク質またはペプチドとしては、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、金属結合ポリヒスチジン、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、およびベータ-ガラクトシダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトして、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域への核酸の翻訳および発現を誘導してもよい。したがって、本明細書に記載される任意の発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。宿主細胞としては、哺乳動物、植物、昆虫、真菌、または細菌起源の細胞が挙げられるが、これらに限定されない。細菌細胞としては、グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌、例えば大腸菌(E.coli)などのエシェリキア(Escherichia)属のいくつかの種、およびシュードモナス(Pseudomonas)などに由来する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。真菌細胞のグループにおいて、好ましくは酵母細胞が使用される。酵母における発現は、例えば、とりわけピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、およびハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)などの酵母株を使用することによって達成され得る。さらに、例えばショウジョウバエ(Drosophila)およびSf9由来の細胞などの昆虫細胞が、宿主細胞として使用され得る。それに加えて、宿主細胞は、例えばとりわけ、例えば森林植物などの作物植物由来の細胞、または例えば穀物植物もしくは薬用植物などの食物および原料を提供する植物由来の細胞、または観賞植物由来の細胞、または花球作物由来の細胞などの植物細胞であり得る。形質転換された(トランスジェニック)植物または植物細胞は、例えばアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介遺伝子移入、葉片の形質転換、ポリエチレングリコール誘導DNA移入によるプロトプラスト形質転換、エレクトロポレーション、超音波処理、マイクロインジェクション、またはボリスティック(bolistic)遺伝子移入などの公知の方法によって産生される。加えて、好適な発現系はバキュロウイルス系であり得る。例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、BHK細胞、NSO細胞、またはボウズ(Bowes)メラノーマ細胞などの哺乳動物細胞を使用する発現系が、本発明において好ましい。哺乳動物細胞は、哺乳動物起源の天然分子に最も類似した翻訳後修飾を有する発現タンパク質を提供する。本発明はヒトに投与する必要があり得る分子を取り扱うため、完全なヒト発現系が特に好ましいだろう。したがって、さらにより好ましくは、宿主細胞はヒト細胞である。ヒト細胞の例は、とりわけHeLa、911、AT1080、A549、HEK293、およびHEK293T細胞である。
さらに、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに結合する抗体または抗原結合フラグメントを産生するための方法が提供され、この方法は、宿主細胞が免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む1つまたは複数のポリペプチドを発現するような条件下で本明細書に記載される宿主細胞を増殖させることによって抗体または抗原結合フラグメントを産生することと、抗体または抗原結合フラグメントを精製することとを含む。
医薬組成物
本明細書に記載される抗体または抗原結合フラグメントの少なくとも1つと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物も提供される。
本明細書に記載される抗体または抗原結合フラグメントのうちの1つ以上を含有する医薬組成物は、任意の従来の方式で製剤化され得る。適切な製剤は、選択された投与経路に部分的に依存する。投与経路としては、非経口投与(例、静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、直腸投与、皮下投与、筋肉内投与、眼窩内投与、嚢内投与、脊髄内投与、腹腔内投与、または胸骨内投与)、局所投与(経鼻投与、経皮投与、眼内投与)、膀胱内投与、髄腔内投与、腸内投与、経肺投与、リンパ内投与、腔内投与、膣内投与、経尿道投与、皮内投与、耳内投与、乳房内投与、頬側投与、同所投与、気管内投与、病変内投与、経皮投与、内視鏡的投与、経粘膜投与、舌下投与、および腸内投与が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、組成物は非経口的に投与されるか、または吸入される(例、鼻腔内)。
本発明の組成物における使用のための薬学的に許容される賦形剤は、使用される特定の化合物、ならびにその濃度、安定性、および意図されるバイオアベイラビリティ;対象、その年齢、サイズ、および全身状態;ならびに投与経路を含むいくつかの因子に基づいて選択される。
加えて医薬組成物は、非経口投与のために製剤化されてもよく、例えば静脈内、動脈内、皮下、直腸、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、脊髄内、腹腔内、または胸骨内などの経路を介した注入のために製剤化され得る。非経口投与に好適な剤形としては、溶液、懸濁物、分散物、エマルション、または非経口投与され得る任意のその他の剤形が挙げられる。
薬学的に許容される賦形剤は、例えば「薬品添加物ハンドブック(The Handbook of Pharmaceutical Excipients)」(米国薬剤師会(American Pharmaceutical Association)、ワシントン(Washington),D.C.および英国薬剤師会(The Pharmaceutical Society of Great Britain)、ロンドン(London)、イングランド(England)、1968)などにおいて同定されている。様々な目的のために、本発明の医薬組成物に付加的な賦形剤が含まれ得る。これらの賦形剤は、投与部位における化合物の保持の増強、組成物の安定性の保護、pHの調節、および化合物の医薬組成物への加工の促進などの特性を付与することができる。その他の賦形剤としては、例えば充填剤または希釈剤、界面活性剤、湿潤剤または乳化剤、保存剤、pH調整剤または緩衝剤、増粘剤、着色剤、染料、流動助剤、不揮発性シリコーン、接着剤、増量剤、香味料、甘味料、吸着剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング剤、および抗酸化剤などが挙げられる。
様々な実施形態では、本発明による医薬組成物は、インフルエンザウイルスを標的とする少なくとも1つの付加的な抗体または抗原結合フラグメントを含み得る。これらの実施形態では、医薬組成物は抗体のカクテルまたは混合物を含む。付加的な抗体は、ヘマグルチニン(HA)タンパク質またはインフルエンザウイルス上に存在する異なる免疫原性構造(M2など)に対して選択的であってもよい。付加的な抗体は、ヘマグルチニンタンパク質のヘッドまたはストークに選択的に結合してもよい。
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの他の治療剤、予防剤、および/または診断剤をさらに含んでもよい。好ましくは、前記治療剤および/または予防剤は、インフルエンザウイルス感染および/またはこうした感染から生じる状態を予防および/または処置できる薬剤である。治療剤および/または予防剤としては抗ウイルス剤が挙げられるが、これに限定されない。こうした薬剤は、結合分子、小分子、有機または無機化合物、酵素、ポリヌクレオチド配列、抗ウイルスペプチドなどであり得る。治療剤および/または予防剤は、M2阻害剤(例、アマンタジン、リマンタジン)および/またはノイラミニダーゼ阻害剤(例、ザナミビル、オセルタミビル)を含み得る。様々な実施形態では、抗ウイルス剤は、バロキサビル、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
付加的な抗体または治療剤/予防剤および/もしくは診断剤を、本発明の抗体および抗原結合フラグメントと組み合わせて使用してもよい。本明細書において「組み合わせて」とは、同時に、別個の製剤として、または1つの単一の組み合わされた製剤として、または別個の製剤としての逐次投与レジメントに従って、任意の順序でということを意味する。実験段階にある、インフルエンザウイルスによる感染および/またはこうした感染から生じる状態を予防および/または処置することができる薬剤も、本発明において有用なその他の治療剤および/または予防剤として使用されることがある。
医薬組成物は、血液、血漿、または血液もしくは血漿の主要成分(例、血球、フィブリン、ヘモグロビン、アルブミンなど)を伴わずに製剤化され得る。医薬組成物は、血液、血漿、または血液もしくは血漿の主要成分を含まないか、または実質的に含まない(例、1wt.%未満またはさらに0.1wt.%未満)ことも可能である。
ユニバーサルインフルエンザワクチン
様々な実施形態では、インフルエンザ感染を予防するためのワクチンが提供される。有利なことに、このワクチンは、インフルエンザAおよびインフルエンザBウイルスからの防御を提供し得る。様々な実施形態では、ワクチンは、ノイラミニダーゼに対して選択的な本明細書に開示される抗体または抗原結合フラグメントのいずれかを含む。様々な実施形態では、ワクチンは、例えば本明細書に記載される抗体または抗原結合フラグメントが標的とする残基を含むポリペプチドなどのユニバーサルノイラミニダーゼエピトープを含んでもよい。例えば、エピトープは、配列番号46に対して少なくとも約70%の配列同一性を含み、かつR118、E119、L134、D151、R152、R156、W178、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406からなる群より選択される残基の少なくとも1つを含むアミノ酸配列を含み得る。いくつかの場合には、エピトープは、配列番号46に対して少なくとも約70%の同一性を含み、かつ以下の残基、すなわちR118、E119、D151、R152、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406を含む。いくつかの場合には、エピトープは、配列番号46に対して少なくとも約70%の同一性を含み、かつ以下の残基、すなわちR118、E119、D151、R152、I222、R224、E277、R371、およびY406を含む。いくつかの場合には、エピトープは、配列番号46に対して少なくとも約70%の同一性を含み、かつ以下の残基、すなわちR118、E119、L134、D151、R152、R156、W178、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406を含む。本明細書に記載されるエピトープの全てにおいて、残基は、配列番号46のアミノ酸番号付けに従って番号付けされている。いくつかの実施形態では、ワクチンは、上述のエピトープ(例、ポリペプチド)のいずれかをコードする核酸(例、RNAまたはDNA)を含んでもよい。
様々な実施形態では、ワクチンは、免疫応答を刺激するアジュバントをさらに含む。好適なアジュバントは当技術分野で公知であり、例えばミョウバン、水酸化アルミニウム、モノホスホリルリピドA(MPL:monophosphoryl lipid A)、またはそれらの組み合わせなどを含み得る。さらに、ワクチンは、本明細書で上述した医薬組成物に従う好適な担体および賦形剤を使用して調製されてもよい。
様々な実施形態では、ワクチンは、インフルエンザ感染を予防するための免疫学的応答を誘発できる。インフルエンザ感染は、インフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスによって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、インフルエンザ感染は、HXN1、HXN2、H2N3、HXN4、HXN5、HXN6、HXN7、HXN8、HXN9、またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるインフルエンザAウイルスによって引き起こされ、ここでXは1~18の任意の整数である。
処置の方法
様々な実施形態では、必要とする対象においてインフルエンザを予防または処置する方法が提供される。この方法は、本明細書に記載される任意の抗体もしくは抗原結合フラグメント(抗体もしくは抗原結合フラグメントをコードする任意の核酸もしくは発現ベクターを含む)、任意のワクチン、または任意の組成物を対象に投与することを含み得る。
様々な実施形態では、組成物は非経口的に(parentally)(例、全身的に)投与される。他の実施形態では、組成物は経口的に(例、鼻腔内に)吸入される。両方の場合において、組成物は、上述の投与様式に従って(例、賦形剤とともに)製剤化される。
様々な実施形態では、組成物は、鼻腔内、筋肉内、静脈内、および/または皮内の経路を介して投与される。いくつかの実施形態では、組成物はエアロゾル(例、経鼻投与用)として提供される。
投与レジメントは、最適な所望の応答(例、予防的または治療的応答)を提供するように調整され得る。したがって、本明細書における方法で使用される用量は、意図される使用(例、予防的使用対治療的使用)に応じて変動し得る。それにかかわらず、本明細書に記載される組成物は、約1~約100mg/kg体重、または約1~約70mg/kg体重の用量で投与されてもよい。さらに、単回ボーラスが投与されてもよいし、数回に分割した用量が経時的に投与されてもよいし、治療状況の治療の緊急性によって示されるとおりに用量を相対的に減少または増加させてもよい。
様々な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、遺伝子治療技術を使用して送達される。こうした技術は当技術分野で周知であり、一般的に、目的の遺伝子産物をコードする核酸を含むウイルスベクターを、必要とする対象に投与することを含む。したがって、特定の実施形態では、抗体または抗体結合フラグメントをインビボで発現させるために必要な核酸(例えば本明細書で提供される核酸など)のうちの1つ以上を含有するウイルスベクターまたは複数のベクター(例、アデノウイルス)を投与することによって、本明細書に記載される抗体または抗原結合フラグメントがそれを必要とする対象に送達される。同様の送達方法は、他の疾患状況における防御抗体の発現に成功している。例えば、その全開示が本明細書において引用により援用されるソーフェル-ポデスタ(Sofer-Podesta)C.ら、「抗V抗原モノクローナル抗体のアデノウイルス媒介送達は致死性ペスト菌チャレンジに対してマウスを防御する(Adenovirus-mediated delivery of an Anti-V Antigen Monoclonal Antibody Protects Mice against a Lethal Yersinia pestis Challenge)」インフェクション・アンド・イミュニティ(Infection and Immunity)2009年3月、77(4)1561-1568などを参照されたい。
様々な実施形態において、処置されるべきインフルエンザは、インフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスである。いくつかの実施形態では、処置されるべきインフルエンザは、HXN1、HXN2、H2N3、HXN4、HXN5、HXN6、HXN7、HXN8、HXN9、またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択され、ここでXは1~18の任意の整数である。
本発明を詳細に説明してきたが、添付の請求項において定義された本発明の範囲から逸脱することなく修正および変形が可能であることは明らかであろう。
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに例示するために提供されるものである。
材料および方法
以下の材料および方法を使用して、実施例1~4に記載の実験を行った。
患者
ヒト抹消血単核細胞(PBMC:peripheral blood mononuclear cells)を、バーンズ・ジューイッシュ病院救急部門インフルエンザ(Barnes Jewish Hospital Emergency Department Influenza)(EDFLU)前向き観察コホート研究に登録された単一の対象1718003から得た。EDFLU研究は、セントルイス・ワシントン大学(Washington University in Saint Louis)の機関審査委員会(Institutional Review Board)によって審査および承認された(承認#2017-10-220)。1718003は、2017~2018年のH3N2優勢インフルエンザシーズン中に採用され、バーンズ・ジューイッシュ病院救急部門への治療提示後の症候性疾患の5日目にPBMCが得られた。対象は、疾患の発症前に2017~2018年の季節性インフルエンザワクチンを受けており、過去のインフルエンザシーズンには他の季節性インフルエンザワクチンを受けていた。対象は短期間入院し、合併症は伴わずに入院の1.5日後に退院した。
PBMC単離
標準的な静脈切開技術を用いて、エチレンジアミン四酢酸(EDTA:ethylenediaminetetraacetic acid)で抗凝固剤処理したサンプルチューブに血液を採取した。採取から8時間以内に、フィコール(Ficoll)上での層化および400gにて30分間の遠心分離によって、PBMCを調製した。フィコール界面のPBMC層を回収し、1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS:phosphate buffered saline)で洗浄し、ロズウェルパーク記念研究所(RPMI:Roswell Park Memorial Institute)-1640培地に再懸濁した。細胞カウントが得られ、10%ジメチルスルホキシド(DMSO:dimethyl sulfoxide)および40%ウシ胎児血清(FBS:fetal bovine serum)を補充したRPMI-1640培地中で細胞を低温保存した。
細胞選別
2%FBSおよび1mM EDTAを補充したPBS中に再懸濁した凍結保存PBMCを使用して、選別のための染色を行った。細胞を、CD71-FITC(バイオレジェンド(Biolegend)、クローンCY1G4)、CD19-PE(バイオレジェンド、クローンHIB19)、IgD-PerCP-Cy5.5(バイオレジェンド、クローンIA6-2)、CD38-BV605(バイオレジェンド、クローンHIT2)、およびZombie Aqua(バイオレジェンド)によって4℃で30分間染色した。次いで細胞を2回洗浄し、FACSAria IIを使用して、単一のASC(生シングレットCD19+CD4-IgDlo CD38+CD71+)を、1U/μLのRNアーゼ阻害剤(プロメガ(Promega))を補充した10μLの10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)を含有する96ウェルプレート中に選別し、直ちにドライアイス上で凍結させた。
モノクローナル抗体生成
以前に記載されたとおりに抗体をクローニングした(1)。一般的に、IgA抗体を発現する3つの抗体分泌細胞(ASC:antibody secreting cells)を上述のとおりに対象から単離した。可変遺伝子(VおよびVκ)を細胞cDNAからIgG1発現ベクターにクローニングして、インビボでIgA抗体の特異性を有する天然に存在しないIgG抗体を発現させた。簡潔には、VおよびVκ遺伝子を、(2)に詳述されるプライマーセットを使用して、IgGおよびIgκに特異的なプライマーのカクテルを使用して、単一に選別された抗体分泌細胞(ASC)からの逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR:reverse transcriptase-polymerase chain reaction)およびネステッドPCR反応によって増幅し、次いで配列決定した。組み換え抗体を生成するために、VH3-20、JH2、VK1-9、およびJK3遺伝子に対するプライマーによるPCRによって制限部位を組み込んだ。増幅されたVおよびVκ遺伝子を、以前に記載されたとおりに、それぞれIgG1およびIgκ発現ベクターにクローニングした(1~3)。抗体を発現させるために使用したヌクレオチド配列を以下の表に示す。重鎖および軽鎖プラスミドを発現のためにExpi293F細胞(ジブコ(Gibco))に同時トランスフェクトし、抗体をプロテインAアガロース(インビトロジェン(Invitrogen))で精製した。
Figure 2022535523000008
Figure 2022535523000009
細胞、ウイルス、およびタンパク質
ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s modified Eagle’s medium)(DMEM;ジブコ)にペニシリン-ストレプトマイシン抗生物質混合物(100U/mLのペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン;ジブコ)およびFBS(10%;コーニング(Corning))を含ませて完全DMEM(cDMEM:complete DMEM)とした培地中で、ヒト胎児腎臓細胞(293T)を増殖させた。メイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK:Madin Darby canine kidney)細胞をcDMEM中で増殖させて維持した。BTI-TN-5B1-4(イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni))細胞を、抗生物質(100U/mLのペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン;ジブコ)を補充した無血清SFX培地(ハイクローン(HyClone))中で増殖させた。Sf9(ヨトウガ(Spodoptera frugiperda))細胞を、10%FBSおよびpen-strep抗生物質混合物の存在下でTNM-FH培地(ジェミニ・バイオプロダクツ(Gemini Bio-Products))中で維持した。ADCCバイオエフェクターFcγRIIIa細胞(プロメガ)の単回使用アリコートを使用前に解凍した。インフルエンザウイルスを、8~10日齢の発育鶏卵(チャールズリバーラボラトリーズ(Charles River Laboratories))において、33℃(インフルエンザBウイルス)で3日間、または37℃(インフルエンザAウイルス)で2日間、それぞれ増殖させた。ウイルスリアソータントを、以前に記載されたとおりのプラスミドベースの逆遺伝学技術によってレスキューした(4)。この研究で使用したウイルスの完全なリストが表6に見出され得る。以前に詳細に記載されたとおりのバキュロウイルス発現系において組み換えタンパク質を発現させた(5)。全てのNAを、N末端血管拡張剤刺激リンタンパク質四量体化ドメインおよび精製のためのヘキサヒスチジンタグを有する外部ドメインとして発現させた。組み換えノイラミニダーゼの完全なリストが以下の表4に見出され得る。
Figure 2022535523000010
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)。
96ウェルマイクロタイタープレート(サーモフィッシャー(Thermo Fisher))を、1×コーティング緩衝液(KPLコーティング溶液;セラケア(SeraCare))中の2μg/mLの濃度の組み換えNA50μLで、4℃にて一晩コーティングした。220μLのブロッキング溶液(PBS(ジブコ)に0.1%Tween-20(T-PBS;フィッシャーサイエンティフィック(Fisher Scientific))、3%ヤギ血清(ライフテクノロジーズ(Life Technologies))、および0.5%粉乳(アメリカン-バイオ(American-Bio))を補充したもの)を全てのウェルに加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。mAbを30μg/mLの出発濃度に希釈し、1:3で連続希釈し、室温で2時間インキュベートした。プレートをT-PBSで3回洗浄し、ブロッキング溶液で1:3000に希釈した50μLの抗ヒトIgG(Fab特異的)西洋ワサビペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)抗体(HRP、ヤギで産生;シグマ(Sigma)、#A0293)を全てのウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。マイクロタイタープレートを4回洗浄し、100μLのSigmaFast o-フェニレンジアミン二塩酸塩(o-phenylenediamine dihydrochloride)(OPD;シグマ)を全てのウェルに加えた。10分後に50μLの3M塩酸(サーモフィッシャー)で反応を停止させ、マイクロタイタープレートリーダー(バイオテック(Bio-Tek))によって490nmの波長でプレートを読み取った。マイクロソフト・エクセル(Microsoft Excel)およびGraphPad Prism7でデータを分析した。カットオフ値は、全てのブランクウェルの平均にブランクウェルの標準偏差の3倍を足したものとして定義した。最小結合濃度は、カットオフ値より高いシグナルを有する最後のウェルとして定義した。
酵素結合レクチンアッセイ(ELLA:Enzyme-linked lectin assay)
96ウェルマイクロタイタープレート(サーモフィッシャー)を、1×コーティング緩衝液(KPLコーティング溶液;セラケア)中の25μg/mLの濃度のフェチュイン(シグマ)100μL/ウェルで、4℃にて一晩コーティングした。翌日、プレートをT-PBSで3回洗浄し、200μLのブロッキング緩衝液(PBS中の5%ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin)(BSA、バイオメディカルズ(Biomedicals))中で室温にてブロッキングした。別個の96ウェルプレートにおいて、ウイルスをPBSで1:2に連続希釈した。75μLのPBSを全てのウェルに加え、プレートを振とう機上で室温で1.5時間インキュベートした。ブロッキング後、プレートをT-PBSで3回洗浄し、100μLの連続希釈ウイルスを、フェチュインでコーティングしたプレートにウェルごとに移し、プレートをウイルスのタイプに応じて33℃または37℃で2時間インキュベートした。プレートを4回洗浄し、5μg/mLの濃度のHRPにコンジュゲートしたピーナッツ凝集素(PNA:peanut agglutinin)100μLを全てのウェルに加えた。プレートを暗所で2時間インキュベートし、プレートを4回洗浄し、100μLのSigmaFast OPDで発色させた。5分後に50μLの3M塩酸(サーモフィッシャー)で反応を停止させ、マイクロタイタープレートリーダー(バイオテック)によって490nmの波長でプレートを読み取った。マイクロソフト・エクセルおよびGraphPad Prism7でデータを分析し、各ウイルスに対する50%有効濃度(EC50:50% effective concentration)を計算した。
ノイラミニダーゼ阻害アッセイを行うために、マイクロタイタープレートを上述のとおりにコーティングおよびブロッキングした。フェチュインコーティングプレートのブロッキング中に、mAbを30μg/mLの出発濃度に希釈し、別個の96ウェルプレートにおいてPBSで1:2に連続希釈した。2×有効濃度50(EC50)に希釈した75μLのウイルスを連続希釈したmAbのウェルに加え、振とう機上で1.5時間インキュベートした。フェチュインコーティングプレートをT-PBSで3回洗浄し、ウイルス/mAb混合物をプレートに加え、33℃または37℃で2時間インキュベートした。残りのアッセイは上述のとおりに行った。マイクロソフト・エクセルおよびGraphPad Prism7でデータを分析し、阻害濃度50(IC50:inhibitory concentration 50)を計算した。
NA-スターアッセイ
NA-Star Influenza Neuraminidase Inhibitor Resistance Detection Kit(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems))を使用して、抗NA mAbによるウイルスNAの小さな可溶性の化学発光基質の切断に対する阻害を測定した。製造者のプロトコルに従ってアッセイを行った。簡潔には、mAbを30μg/mLの濃度に希釈し、1:2で連続希釈し、25μLを白色の平底96ウェル細胞培養プレートに移した。決定された2×EC50濃度の25μLのウイルスを各ウェルに加え、プレートを振とうし、37℃で20分間インキュベートした。NA-スター基質を使用直前に調製し、10μL/ウェルの基質を全てのウェルに加えた。プレートを室温で30分間インキュベートし、マイクロタイタープレートリーダー(バイオテック)を使用してプレートを読み取る直前に、60μL/ウェルのNA-スター促進剤溶液を全てのウェルに加えた。マイクロソフト・エクセルおよびGraphPad Prism7を用いてデータを分析し、阻害曲線を可視化した。
マイクロ中和アッセイ
1.5×105細胞/mLの濃度の100μL/ウェルのMDCK細胞を96ウェル細胞培養プレート(シグマ)に播種し、37℃で一晩インキュベートした。翌日、別個の96ウェル細胞培養プレートにおいて、mAbを30μg/mLの出発濃度に希釈し、1μg/mLの濃度のトシルフェニルアラニルクロロメチルケトン(TPCK:tosyl phenylalanyl chloromethyl ketone)処理トリプシンを補充したUltraMDCK培地(ロンザ(Lonza))(感染培地;シグマ)で1:2に連続希釈した。ウイルスを感染培地で100×TCID50/50μLの濃度に希釈し、60μLのウイルス希釈液を60μLの連続希釈mAbとともにインキュベートし、振とう機上で室温で1時間インキュベートした。次に、MDCK細胞プレートをPBS(ジブコ)で洗浄し、100μLのウイルス/mAb混合物を加えた。プレートを33℃で1時間インキュベートし、インキュベーション時間後にウイルス/mAb混合物を除去し、前の濃度の希釈mAbと交換した。プレートを33℃で48時間インキュベートし、古典的な血球凝集アッセイによって読み出しを行った。簡潔には、ニワトリ赤血球(red blood cells)(RBC;ランパイアバイオロジカルラボラトリーズ(Lampire Biological Laboratories))をPBSで0.5%の濃度に希釈し、v底96ウェルプレート(コーニング)中の50μLの細胞上清に加えた。プレートを4℃で30~45分間インキュベートし、スキャンし、結果をマイクロソフト・エクセルで分析し、GraphPad Prism7で可視化した。
ADCCレポーターバイオアッセイ
1.5×105細胞/mLの濃度の100μL/ウェルのMDCK細胞を白色の平底96ウェル細胞培養プレート(コーニング)に播種し、37℃で一晩インキュベートした。翌日、細胞をPBSで洗浄し、無血清UltraMDCK培地で1.5×106プラーク形成単位(PFU:plaque forming units)/mL(約5の感染多重度(MOI:multiplicity of infection)に相当する)に希釈したウイルス100μLを各ウェルに加え、プレートを37℃で24時間インキュベートした。別個の96ウェル細胞培養プレートにおいて、mAbを60μg/mLの出発濃度に希釈し、RPMI1640培地(ライフテクノロジーズ)で1:2に連続希釈した。ヒトADCCバイオエフェクターFcγRIIIa細胞(プロメガ)を37℃の水浴中で解凍した。培地をMDCK細胞プレートから除去し、25μLのRPMI1640培地、25μLの連続希釈mAb、および25μLのバイオエフェクター細胞(6.25×104細胞/25μL)を加えた。37℃で6時間インキュベートした後、75μLのBio-Gloルシフェラーゼ(プロメガ)を各ウェルに加えた。プレートを暗所で10分間インキュベートし、ルシフェラーゼ誘導発光をマイクロプレートリーダー(バイオテック)で測定した。マイクロソフト・エクセルおよびGraphPad Prism7で結果を分析し、曲線下面積(AUC:area under the curve)値を決定した。カットオフ値は、ブランクウェルの値の平均にブランクウェルの標準偏差の3倍を足したものとして定義した。
結晶構造決定のためのノイラミニダーゼのクローニング、バキュロウイルス発現、および精製。
Hunan N9、Japan57 N2、およびCA04 N1 NAの外部ドメインを、本質的に以前に記載されたとおりにバキュロウイルス系において発現させた(6)。簡潔には、A/Hunan/02650/2016(H7N9)(Hunan N9、GISAIDアクセッション番号EPI961189)由来のN9 NAの外部ドメイン(残基83~470、N2番号付けで82~468)と、A/Japan/305/1957(H2N2)(Japan N2、GenBankアクセッション番号CY045806)由来のN2 NAの外部ドメイン(残基82~469)と、A/California/04/2009(H1N1)(CA04 N1、GenBankアクセッション番号FJ969517)由来のN1 NAの外部ドメイン(残基82~469、N2番号付けで82~470)とを構造解析のためにバキュロウイルス系で発現させた。NA外部ドメインに対応するcDNAを、N末端gp67シグナルペプチド、トロンビン切断部位、およびヘキサヒスチジンタグとともにバキュロウイルストランスファーベクターpFastbacHT-A(インビトロジェン)に組み込んだ(6)。構築されたプラスミドを使用して、部位特異的転位(Tn-7媒介)によってDH10bacコンピテント細菌細胞を形質転換して、ベータ-ガラクトシダーゼ青白受容体選択を有する組み換えバクミドを形成した。精製した組み換えバクミドを用いて、過剰発現のためにSf9昆虫細胞(サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific))をトランスフェクトした。5~10のMOIの組み換えバキュロウイルスによってSf9細胞の懸濁培養物中でNAタンパク質を産生させ、1分当たり110回転で振とうしながら28℃でインキュベートした。72時間後、Sf9細胞を遠心分離によって除去し、分泌された可溶性NAタンパク質を含有する上清を濃縮し、20mMトリスpH8.0、150mM NaClに緩衝液交換し、次いでNi-ニトリロ三酢酸(NTA:Ni-nitrilotriacetic acid)樹脂(キアゲン(Qiagen))を用いた金属アフィニティークロマトグラフィーによってさらに精製した。結晶化のために、NA外部ドメインをトロンビンで消化してヘキサヒスチジンタグを除去し、20mMトリスpH8.0、150mM NaCl、および0.02%NaN3中でHiload16/90Superdex200カラム(GEヘルスケア(GE healthcare))でのサイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製した。精製されたNAを280nmにおける光学吸光度によって測定し、純度および完全性を還元および非還元ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE:sodium dodecyl sulfate polyacrylamide gel electrophoresis)によって分析した。
結晶構造決定のための哺乳動物細胞における組み換え抗体Fabの発現。
ヒト抗体1G04、1E01、および1G01の軽鎖および重鎖可変領域を、それぞれ対応するラムダまたはカッパCL領域、およびヘキサヒスチジンタグに付加されたヒトIgG1のCH1領域を含むベクターphCMVにクローニングした。重鎖および軽鎖を含有する発現ベクターのExpiCHO細胞(サーモフィッシャーサイエンティフィック)への一過性同時トランスフェクションによって、Fabを発現させた。NTA樹脂(キアゲン)を使用する金属アフィニティークロマトグラフィーを使用し、続いてSuperdex200カラム(GEヘルスケア)を使用するサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、培養上清から組み換えFabを精製した。20mMトリスpH8.0、150mM NaCl、および0.02%NaN3中の精製Fabを280nmにおける光学吸光度によって測定し、純度および完全性を還元および非還元SDS-PAGEによって分析した。
結晶構造決定
結晶化実験は、シッティングドロップ蒸気拡散法を用いて設定した。6.0mg/mlの1G04FabとHunan N9 NAとの複合体の回折品質結晶を、0.1M4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES:4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)、pH7.5、5%(w/v)ポリエチレングリコール3000、30%(w/v)ポリエチレングリコール400、および10%(v/v)グリセロール中で20℃で成長させた。6.0mg/mlの1E01 FabとJapan57 N2 NAとの複合体を、20%(v/v)グリセロールおよび24%(w/v)ポリエチレングリコール1500中で20℃で結晶化させた。最後に、3.0mg/mlの1G01 FabとCA04 N1 NAとの複合体を、0.1Mトリス、pH8.5、10%(v/v)グリセロール、20%(w/v)ポリエチレングリコール300、および5%(w/v)ポリエチレングリコール8000中で20℃で結晶化させた。全ての結晶を、付加的な凍結保護物質なしで100Kでフラッシュ冷却した。
回折データをシンクロトロンビームラインで収集した(表5)。全ての結晶についてのデータを統合し、HKL2000でスケーリングした(7)。データ収集の統計を表5に概説する。
Figure 2022535523000011
Figure 2022535523000012
全ての結晶構造は、プログラムPhaserを用いた分子置換によって決定した(8)。1E01 FabとJapan57 N2 NAとの複合体構造を、A/RI/5+/1957(H2N2)由来のN2 NA(PDB 3TIA)ならびにFab軽鎖および重鎖(それぞれPDBコード5ITBおよび4FQL)を入力MRモデルとして使用して決定した。1G04 FabとHunan N9 NAとの複合体構造を、A/Shanghai/2/2013(H7N9)(PDB5L14)由来のN9 NAおよび精密化した1E01 Fab構造を入力MRモデルとして使用して決定した。最後に、1G01 FabとCA04 N1 NAとの複合体構造を、アポCA04 N1 NA構造(PDBコード3NSS)および精密化した1E01 Fab構造を入力MRモデルとして使用して決定した。Japan57 N2 NAを伴う1E01 Fabの構造精密化およびHunan N9 NAを伴う1G04Fabの構造精密化のために、REFMAC5で初期剛体精密化を行い(9)、PHENIXで模擬アニーリングおよび拘束精密化(TLS精密化を含む)を行った(10)。CA04 N1 NAとの複合体における1G01 Fabの構造精密化のために、aがcにほぼ等しい双晶P21空間群(表5)およびC中心斜方晶空間群に対応するより高い見かけの対称性によって擬メロヘドラル双晶が検出された。初期剛体精密化ならびにツインオペレータ-l、-k、-hおよび精密化ツインフラクション0.335による拘束ツイン精密化は全てREFMAC5で実施した(9)。これら3つの構造の精密化ラウンドの間に、プログラムCootによってモデル構築を行った(11)。これらの構造に対する最終的な統計を表5に要約する。JCSG検証スイートを使用して構造の品質を分析した。全ての図はPyMolによって生成した。
マウスにおける受動移入実験
mAbの予防的および治療的有効性を試験するための受動移入実験を、以前に記載されたとおりに行った(12)。手短に言えば、予防的設定のために、6~8週齢の雌BALB/cマウス(n=5マウス/グループ)または6~8週齢の雌DBA/2Jマウス(n=5マウス/グループ)に、100μLのmAb 1G04、1E01、または1G01を5mg/kgの濃度で腹腔内投与した。陰性対照マウスには、100μLの無関係なヒトIgG対照mAbを5mg/kgの濃度で与えた。移入の2時間後、マウスをケタミン-キシラジン-水混合物(0.15mgケタミン/kgおよび0.03mg/kg体重のキシラジン;腹腔内100μl)で麻酔し、5×LD50のチャレンジウイルスで鼻腔内チャレンジし、例外としてH7N2 A/feline/New York/16-040082/2016およびB/Malaysia/2506/2004チャレンジ実験についてはそれぞれ2×LD50または7.5×LD50を与えた。トリH4N6ウイルスはBALB/cマウスにおいて体重減少を誘導しないためにDBA/2Jマウスを使用したH4N6 A/duck/Czechoslovakia/1956ウイルスチャレンジを除いて、全てのチャレンジ実験にBALB/cマウスを使用した。チャレンジに使用したウイルスの完全なリストおよび対応するLD50情報は表10(実施例5)に見出され得る。体重減少を14日間毎日モニターし、人道的エンドポイントを最初の0日目の体重の25%の減少と定義した。
治療効果を試験するために、マウスを5×LD50のH3N2 A/Philippines/2/1982ウイルスに感染させた。mAb 1G04、1E01、1G01、およびヒト陰性対照mAbを感染の48または72時間後に5mg/kgの濃度で投与した。体重減少を14日間毎日測定し、0日目の体重の25%以上が減少したマウスを施設ガイドラインに従って安楽死させた。
肺ウイルス力価の低下を決定するために、マウスに5mg/kgのmAb 1G04、1E01、1G01、および陰性対照ヒトIgGを腹腔内注射により与え、2時間後に0.1×LD50のH3N2 A/Philippines/2/1982ウイルスを感染させた。感染後3日目(n=3マウス/mAb)および6日目(n=3マウス/mAb)に、肺を採取し、BeadBlaster24(ベンチマーク(Benchmark))を用いてホモジナイズした。肺ウイルス力価を、以前に記載されたとおりの標準的プラークアッセイによって評価した(13)。マイクロソフト・エクセルおよびGraphPad Prism7で結果を分析した。
NA配列
系統樹を作成するための配列は、インフルエンザ・リソース・データベース(Influenza Resource Database)および鳥インフルエンザデータ共有のグローバル・イニシアチブ(Global Initiative on Sharing Avian Influenza Data)からダウンロードした。
実施例1:季節性インフルエンザの感染後のヒトモノクローナル抗体の単離および同定。
症候性疾患の発症後5日目に末梢血単核細胞(PBMC)から形質芽球を単一細胞選別し、以前に記載されたとおりに対応する免疫グロブリン重鎖および軽鎖可変(immunoglobulin heavy and light variable)(IGHVおよびIGLV)遺伝子をクローニングして発現させた(23)。次いで、mAbの組み換えH3 HA、N2 NA、核タンパク質、およびマトリックスタンパク質1への結合をスクリーニングした。このスクリーニングからの3つの抗体、mAb 1G04、1E01、および1G01は、季節性インフルエンザウイルス株A/Hong Kong/4801/2014のN2 NA(H3N2)に結合し、これはおそらく感染を引き起こした株に密接に関連する。1G04、1E01、および1G01は、IGHV3-20およびIGKV1-9がそれぞれIGHVおよびIGLV遺伝子をコードする3メンバークローンファミリーを形成する(図1A)。特にIGHV遺伝子における多数の体細胞超変異の蓄積によって証明されるとおり、3つのmAbは、メモリーB細胞に由来する可能性が最も高い。推定される非変異共通祖先(UCA)に対する各mAbのアミノ酸配列のアラインメントは、1G04、1E01、および1G01の重鎖がそれぞれ12、14、および19位でUCAと異なることを示した(図1B)。
実施例2:ELISAを用いた組み換えN2タンパク質への単離mAb結合の特徴付け。
本発明者らは最初に、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、種々の季節性インフルエンザウイルスおよびトリインフルエンザウイルス由来の組み換えノイラミナーゼ(neuraminases)(NA)に対する3つのmAbの結合親和性および交差反応性を測定した。さらなる特徴付けの際に、本発明者らは、3つの抗体が季節性インフルエンザウイルスおよびトリインフルエンザウイルス由来の組み換えN2 NA(グループ2)への広範な結合を示すことを見出した(図1C、表4)。さらに、1G04は、N3およびN6(グループ2)ならびにN1、N5、およびN8(グループ1)に対するいくらかの交差反応性を示し、かつインフルエンザB NAに対する弱い結合を示した(図1C)。1E01は、グループ2のNA N3、N6、N7、およびN9、グループ1のNA N1、N5、およびN8を含むさらに広範な結合パターンを示し、かつB/Victoria/2/87系統由来のインフルエンザB NAへの強い結合およびB/Yamagata/16/88系統のNAへの弱い結合を示した。最後にmAb 1G01は、グループ1のNA(N1、N4、N5、およびN8)およびグループ2のNA(N2、N3、N6、N7、およびN9)の全て、ならびに両方のインフルエンザBウイルス系統由来のNAを包含する最も広い結合活性を示した(図1C)。
実施例3:ノイラミニダーゼを阻害するmAbの機能的能力。
本発明者らは次に、ノイラミニダーゼ阻害(NI:neuraminidase inhibition)を測定する酵素結合レクチンアッセイ(ELLA)において、3つのmAbの機能的能力を調べた(図1Dおよび図2A)。評価したウイルス株を以下の表6に列挙する。1G04はN2、N3および特定のN1 NAを阻害したのに対し、1E01はグループ2のNA、N1およびB/Victoria/2/87系統のNAを阻害した。1G01は、全てのA/グループ2およびグループ1NAならびにB/Victoria/2/87系統NAの活性を顕著に阻害した(図1Dおよび図2A)。NA活性は、酵素活性部位内のエピトープに直接結合する抗体によって阻害され得るか、または抗体が活性部位の近位に結合するときの立体障害によって阻害され得る。しかし、立体障害によるNIは、フェチュインなどの大きな天然基質を使用したときのELLAでのみ観察される。NA-スターアッセイのように小分子が基質として使用されるとき、活性部位に直接結合しない抗体は阻害しない(9、10)。NA-スターアッセイで試験したとき、3つ全てのmAbがNA活性を強力に阻害し、NA活性部位内の結合フットプリントを示唆した(図2Bおよび図6A~6D)。1G01については、阻害に対する立体障害の寄与の可能性も除去するELLAにおける完全抗体の代わりに抗原結合フラグメント(Fab)を使用することによってこのことをさらに確認した。1G01 Fabは依然として強力な阻害を示し、抗体が活性部位を直接標的とし得ることをさらに示唆した(図2C)。興味深いことに、これら3つのmAbの生殖系列バージョンも、ELLAアッセイにおいてNA活性を強力に阻害した(図2D)。
重要なことに、3つの抗体は全て、感受性対照ウイルスと同様の効力でオセルタミビル耐性H3N2ウイルスを阻害した(図7A~7B)。典型的には、抗NA抗体はインビトロ中和アッセイにおいて活性を示さないが(9)、ここでの3つのmAbは全て、様々なN2ウイルスに対するアッセイにおいて強力な阻害活性を示した(図2Eおよび図8A~8C)。この効果は、全てが細胞へのウイルス侵入の阻害によるものではないかもしれないが、そのアッセイにおける陽性読み出しに必要なウイルス放出およびその後のウイルス複製を効率的に遮断するmAbの強いNI活性を反映しているかもしれない。Fabベースの抗ウイルス活性に加えて、抗体依存性細胞毒性(ADCC:antibody dependent cellular cytotoxicity)などのFc-FcR媒介性エフェクター機能は、広範に防御的な抗HA抗体にとって重要であることが示されており、抗NA抗体についても検出されている(9、24)。3つのmAbは全て、それらがより高い濃度でのみ結合したときでさえ(例、インフルエンザB NAへの1G04結合)、ADCCバイオレポーターアッセイにおいて異なるNAのパネルに対する活性を示した(図2Fおよび図9A~9D)。
Figure 2022535523000013
Figure 2022535523000014
実施例4:モノクローナル抗体に対する結合エピトープの構造決定。
3つのmAbのエピトープおよびそれらの広範な防御の構造的根拠を解明するために、本発明者らは、3.45Åでの最近のH7N9流行単離株A/Hunan/02650/2016(Hunan N9)由来のN9 NAを伴う1G04と、2.45Åでの1957H2N2パンデミック単離株A/Japan/305/1957(Japan57N2)のN2 NAと複合した1E01と、3.27Å分解能での2009パンデミックH1N1単離株A/California/04/2009(CA04 N1)のN1 NAと複合した1G01との結晶構造を決定した(図3、NA株を表4に列挙する)。3つ全てのFab-NA複合体構造において、1つのFabがNA四量体の1つのNAプロトマーに結合した。重要なことに、3つのFabは全て、NA活性部位を完全に遮断するようにNAに結合した(図3)。1G04、1E01、および1G01は、重鎖および軽鎖の両方を用いてそれらのエピトープを認識した。3つの抗体における重鎖、特に相補性決定領域(CDR)H3がそれらのNA相互作用において支配的な役割を果たした。1G04、1E01、および1G01によるNA上の総埋没表面積は、それぞれ1030Å2、900Å2、および800Å2であり、その87%、84%、および77%が重鎖から生じ、67%、66%、および77%が伸長CDR H3ループから生じた。
抗体1G04は、CDR L1、L2、H1、H2、およびH3を使用してHunan N9 NAと相互作用した(図3A、図10、表7)。1G04の長い21残基CDR H3は、10の活性部位残基を含む20のN9 NA残基に対するFab相互作用のほとんどに寄与しており、これらの活性部位残基は、グループ1、グループ2、およびインフルエンザB NAにおいて保存されたR118、E119、D151、R152、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406である。CDR L1、L2、H1、およびH2は、いくつかの非保存N9 NA残基と接触した。同様に、1E01は、1G04と同じ5つのCDRループを用いてJapan57 N2と相互作用した。1E01の21残基CDR H3は、E276を除いて1G04によって認識される保存された活性部位エピトープ残基の全てを含む16N2 NA残基との相互作用を支配した(図3B、図11、表8)。興味深いことに、1G01は、CDR L1、L2、およびH3ならびにフレームワーク領域(FR)L3由来の1つの残基Y67のみを使用してCA04 N1 NAに結合した。1G01の21残基CDR H3は、19のCA04 N1 NA残基と相互作用し、これは13のNA保存活性部位(そのうち10は1G04で保存されている)またはL134、R156、W178を含む第2シェル残基を含む(図3C、図12、表9)。これらの3つの抗体のエピトープは、活性部位から離れたエピトープまたは活性部位の縁上のエピトープに結合する、構造的に特徴付けられたマウスNA抗体と比較して独特である(12、25~27)。
これらの反応性プロファイルは、これらの抗体が最初にH3N2感染によって誘導され、その後この個体がH1N1およびインフルエンザBウイルスに曝露することによってN1およびインフルエンザBウイルスNA抗原に対する親和性を獲得したことを示唆している。次いで、この個体の最近のH3N2感染が、これらのクローンをリコールした。この個体における実際の血清抗体力価は、防御を媒介するほど十分に高くなかったと考えられ、それによってこの人物が感染した理由が説明されるだろう。したがって、この抗体クローンは個体のメモリーB区画に存在するが、骨髄中の長寿命の形質細胞区画には存在しない可能性がある。
Figure 2022535523000015
Figure 2022535523000016
Figure 2022535523000017
Figure 2022535523000018
Figure 2022535523000019
Figure 2022535523000020
実施例5:インフルエンザのマウスモデルにおけるモノクローナル抗体の防御能力。
次に、本発明者らは、マウスモデルにおいてインビボでの3つのmAbの防御能力を評価した。本発明者らは、ヒトN2、トリN2、ブタN3、ならびにトリN6、N7、およびN9 NA(全てグループ2)、ヒトN1、トリN1、ならびにトリN4、N5、およびN8 NA(全てグループ1)、ならびにB/Victoria/2/88系統由来のインフルエンザBウイルスを発現するウイルスに対する防御効果を試験した(図4A、図4C~4M、表10)。対照抗体を受けた動物において重篤な体重減少のみが観察されたが死亡は観察されなかったトリN2およびN6を除くと、全てが致死的チャレンジモデルであった。感染の2時間前に5mg/kgのmAbを動物に投与し、次いで罹患率(体重減少)および死亡率を14日間モニターした。mAbは、それらの反応性パターンと一致した方式で体重減少および死亡率の両方からの防御を行い、これは結合が観察された場合にそれらは防御的でもあったことを意味する。特に1G01は、全ての単一チャレンジウイルスに対して致死性からの完全な防御を提供した。いくらかの一過性の体重減少が観察されたN4チャレンジ(図4J)を除いて、1G01は体重減少に対する堅固な防御を提供した。H3N2チャレンジについて、本発明者らは、感染後3日目および6日目のチャレンジを受けた動物の肺におけるウイルス複製もモニターし、複製ウイルスを何ら検出できず、このことは、3つのmAbの強力なインビトロ阻害および中和活性が、少なくともサンプリングした日においてはインビボでの殺菌免疫に変換されたことを示唆するものである(図4B)。mAbが治療薬として与えられた場合に有用であり得るかどうかを決定するために、本発明者らは、マウスに致死量のH3N2ウイルスを感染させ、それらを感染の48時間または72時間後にそれぞれの抗体で処置した(図4Nおよび図4O)。一時的な体重減少が観察されたが、低用量の5mg/kg mAbで処置したときに全ての動物が回復し、これらの抗NA mAbが治療可能性を有することが示唆された。
Figure 2022535523000021
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本発明またはその好ましい実施形態(単数または複数)の要素を導入するときの冠詞「a」、「an」、「the」、および「前記(said)」は、1つ以上のその要素が存在することを意味することが意図される。用語「備える(comprising)」、「含んでいる(including)」および「有する(having)」は、包括的であることが意図され、列挙された要素以外の付加的な要素が存在し得ることを意味する。
上記を考慮すると、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られることが分かるであろう。
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の方法、プロセス、および組成物において様々な変更を行うことができるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、例示的なものとして解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことが意図される。
Figure 2022535523000067
Figure 2022535523000068

Claims (118)

  1. 抗体または抗原結合フラグメントであって、前記抗体または抗原結合フラグメントは、
    a)配列番号1、2、3、7、10、13、14、40、42、または44に対する少なくとも約70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;
    b)配列番号4、5、6、8、9、11、12、15、16、41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域;または
    c)それらの組み合わせを含む、抗体または抗原結合フラグメント。
  2. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、
    (a)配列番号1もしくは13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2もしくは7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号3、10、もしくは14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3、もしくはそれらのいずれかの組み合わせを含む免疫グロブリン重鎖可変領域;
    (b)配列番号4、8、11、もしくは15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5もしくは9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、配列番号6、12、もしくは16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3、もしくはそれらのいずれかの組み合わせを含む免疫グロブリン軽鎖可変領域;または
    (c)それらの組み合わせを含む、請求項1に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  3. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号1もしくは13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2もしくは7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、または配列番号3、10、もしくは14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む、請求項1または2に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  4. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号1または13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  5. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号1を含むアミノ酸配列を有するCDRH1を含む、請求項4に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  6. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1を含む、請求項4に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  7. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号2または7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  8. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号2を含むアミノ酸配列を有するCDRH2を含む、請求項7に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  9. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2を含む、請求項7に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  10. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号3、10、または14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  11. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号3を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む、請求項10に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  12. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号10を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む、請求項10に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  13. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む、請求項10に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  14. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、配列番号1または13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2または7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号3、10、または14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  15. 前記免疫グロブリン重鎖可変領域は、
    a)配列番号1を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号3を含むアミノ酸配列を有するCDRH3
    b)配列番号1を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、およびアミノ酸配列もしくは配列番号10を有するCDRH3;または
    c)配列番号13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  16. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号4、8、11、もしくは15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5もしくは9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、または配列番号6、12、もしくは16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  17. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号4、8、11、または15のいずれか1つを含むアミノ酸配列を有するCDRL1を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  18. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号4を含むアミノ酸配列を有するCDRL1を含む、請求項17に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  19. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号8を含むアミノ酸配列を有するCDRL1を含む、請求項17に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  20. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号11を含むアミノ酸配列を有するCDRL1を含む、請求項17に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  21. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1を含む、請求項17に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  22. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号5または9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  23. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号5を含むアミノ酸配列を有するCDRL2を含む、請求項22に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  24. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2を含む、請求項22に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  25. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号6、12、または16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  26. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号6を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む、請求項25に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  27. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号12を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む、請求項25に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  28. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む、請求項25に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  29. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、配列番号4、8、11、または15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5または9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号6、12、または16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  30. 前記免疫グロブリン軽鎖可変領域は、
    a)配列番号8を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号6を含むアミノ酸配列を有するCDRL3、または
    b)配列番号11を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号12を含むアミノ酸配列を有するCDRL3、または
    c)配列番号15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  31. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、
    (a)配列番号1または13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号2または7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号3、10、または14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;ならびに
    (b)配列番号4、8、11、または15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号5または9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号6、12、または16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  32. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、
    a)配列番号1を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号3を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;ならびに
    b)配列番号8を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号6を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項31に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  33. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、
    a)配列番号1を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号10を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;ならびに
    b)配列番号11を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号12を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項31に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  34. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、
    a)配列番号13を含むアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号7を含むアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号14を含むアミノ酸配列を有するCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域;ならびに
    b)配列番号15を含むアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号9を含むアミノ酸配列を有するCDRL2、および配列番号16を含むアミノ酸配列を有するCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項31に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  35. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  36. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  37. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1または36のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  38. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  39. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  40. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  41. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約96%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  42. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約97%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  43. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  44. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  45. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  46. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  47. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約70%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  48. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約75%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  49. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約80%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  50. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約85%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  51. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約90%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  52. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約95%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  53. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約96%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  54. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約97%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  55. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約98%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~54のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  56. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約99%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~55のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  57. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約99.5%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  58. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約99.9%の同一性を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  59. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つに対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%配列、または少なくとも約99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号41、43、および45のいずれか1つに対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含む、請求項1~58のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  60. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40、42、および44のいずれか1つを含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号41、43、および45のいずれか1つを含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含む、請求項59に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  61. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項60に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  62. 抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号42を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項60に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  63. 抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号44を含む免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、請求項60に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  64. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号41を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項60に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  65. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号43を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項60に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  66. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号45を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項60に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  67. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号41を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含む、請求項60に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  68. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号42を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号43を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含む、請求項60に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  69. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号44を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、配列番号45を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域とを含む、請求項60に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  70. 配列番号1~46のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと構造的に類似した三次構造を有するポリペプチドを含む、抗体またはその抗原結合フラグメント。
  71. 前記ポリペプチドは、配列番号3、10、および14のいずれか1つを含む単一のCDRH3ループと構造的に類似した三次構造を有する、請求項70に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  72. 前記抗体または抗原結合フラグメントはインフルエンザウイルスに結合する、請求項1~71のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  73. 前記抗体または抗原結合フラグメントはノイラミニダーゼに特異的に結合する、請求項72に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  74. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、約0.0001μg/ml~約30μg/mlのIC50で前記ノイラミニダーゼを阻害する、請求項73に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  75. 前記抗体または抗原結合フラグメントの前記CDRH3領域は、前記ノイラミニダーゼの少なくとも1つの活性部位残基と相互作用する、請求項73または74に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  76. 前記ノイラミニダーゼはN1ノイラミニダーゼであり、前記CDRH3領域は配列番号3を含み、前記N1ノイラミニダーゼの前記活性部位残基はR118、E119、D151、R152、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406のうちの少なくとも1つを含み、ここでアミノ酸番号付けは配列番号46に従う、請求項75に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  77. 前記ノイラミニダーゼはN1ノイラミニダーゼであり、CDRH3は配列番号10を含み、前記活性部位残基はR118、E119、D151、R152、I222、R224、E277、R371、およびY406のうちの少なくとも1つを含み、ここでアミノ酸番号付けは配列番号46に従う、請求項75に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  78. ノイラミニダーゼはN1ノイラミニダーゼであり、前記CDRH3は配列番号14を含み、前記活性部位残基はR118、E119、L134、D151、R152、R156、W178、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406のうちの少なくとも1つを含み、ここでアミノ酸番号付けは配列番号46に従う、請求項75に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  79. 前記ノイラミニダーゼはインフルエンザA型ノイラミニダーゼを含む、請求項73~78のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  80. 前記ノイラミニダーゼはN1~N9のいずれか1つを含む、請求項79に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  81. 前記ノイラミニダーゼはインフルエンザB型ノイラミニダーゼを含む、請求項73~78のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  82. 前記ノイラミニダーゼは、前記インフルエンザウイルスの表面上に発現される、請求項73~81のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  83. 前記抗体または抗原結合フラグメントはヒト化されている、請求項1~82のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  84. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体および/またはIgG抗体である、請求項1~83のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  85. インフルエンザウイルスのN1ノイラミニダーゼに対する特異的親和性を有する抗体または抗原結合フラグメントであって、前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号46の少なくとも約70%を含み、かつ配列番号46のアミノ酸番号付けに従うR118、E119、L134、D151、R152、R156、W178、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406から選択される少なくとも1つの残基を含有する前記N1ノイラミニダーゼの活性部位残基に結合する、抗体または抗原結合フラグメント。
  86. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、野生型ヒンジ領域または野生型Fc領域の配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有するヒンジ領域またはFc領域を含む、請求項1~85のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  87. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、野生型Fc領域の配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有するFc領域を含む、請求項1~86のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  88. 前記置換、欠失、または挿入は、前記抗体または抗原結合フラグメントの再利用を防止または低減する、請求項87に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  89. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号40~46のいずれかと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を含む、請求項1~88のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
  90. 請求項1~89のいずれか一項に記載の抗体。
  91. 請求項1~89のいずれか一項に記載の抗原結合フラグメント。
  92. 請求項1~91のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメントの前記免疫グロブリン重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む、核酸。
  93. 前記核酸は配列番号47~49のいずれか1つを含む、請求項92に記載の核酸。
  94. 請求項1~91のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメントの免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む、核酸。
  95. 前記核酸は配列番号50~52を含む、請求項94に記載の核酸。
  96. 請求項92もしくは93に記載の核酸、および/または請求項94もしくは95のいずれか一項に記載の核酸を含む、発現ベクター。
  97. 請求項96に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  98. インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに結合する抗体または抗原結合フラグメントを産生する方法であって、前記方法は、宿主細胞が前記免疫グロブリン重鎖可変領域および前記免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む1つまたは複数のポリペプチドを発現するような条件下で請求項97に記載の宿主細胞を増殖させることによって前記抗体または抗原結合フラグメントを産生することと、前記抗体または抗原結合フラグメントを精製することとを含む、方法。
  99. 請求項1~91のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメントを含む、ワクチン。
  100. ポリペプチドまたは前記ポリペプチドをコードする核酸を含むワクチンであって、前記ポリペプチドは、請求項1~91のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメントによって標的とされるエピトープに対する少なくとも約70%の同一性を含むアミノ酸配列を含む、ワクチン。
  101. 前記ポリペプチドは、配列番号46を含む参照配列に従うR118、E119、D151、R152、W178、R156、I222、R224、E276、E277、R371、およびY406から選択されるアミノ酸残基を含む、請求項100に記載のワクチン。
  102. 前記核酸はDNAまたはRNAを含む、請求項100または101に記載のワクチン。
  103. 前記ワクチンは、対象に投与されたときにインフルエンザウイルスに対する有効な免疫学的応答を提供する、請求項99~102のいずれか一項に記載のワクチン。
  104. 医薬組成物であって、前記組成物は、請求項1~91のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメントと、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む、医薬組成物。
  105. 前記組成物は、前記インフルエンザウイルスのヘマグルチニンに対する選択的なモノクローナル抗体をさらに含む、請求項104に記載の医薬組成物。
  106. 前記組成物は抗ウイルス薬をさらに含む、請求項104または105に記載の医薬組成物。
  107. 前記抗ウイルス薬は、バロキサビル、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項106に記載の医薬組成物。
  108. 前記薬学的に許容される担体または賦形剤は、充填剤、希釈剤、界面活性剤、湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤、pH調整剤、緩衝剤、増粘剤、着色剤、染料、流動助剤、不揮発性シリコーン、接着剤、増量剤、香味料、甘味料、吸着剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング剤、または抗酸化剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項104~107のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  109. 前記組成物は、血液、血漿、または血液もしくは血漿の主要成分を伴わずに製剤化される、請求項104~108のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  110. 前記組成物は、血液、血漿、または血液もしくは血漿の主要成分を含まないか、または実質的に含まない、請求項104~109のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  111. 必要とする対象においてインフルエンザを予防または処置する方法であって、前記方法は、請求項1~91のいずれか一項に記載の抗体もしくは抗原結合フラグメント、請求項92~95のいずれか一項に記載の核酸、請求項96に記載の発現ベクター、請求項99~103のいずれか一項に記載のワクチン、または請求項104~110のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
  112. 前記インフルエンザ感染はインフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスによって引き起こされる、請求項111に記載の方法。
  113. 前記インフルエンザAウイルスの血清型は、HXN1、HXN2、H2N3、HXN4、HXN5、HXN6、HXN7、HXN8、HXN9、またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択され、ここでXは1~18の整数である、請求項112に記載の方法。
  114. 前記抗体もしくは抗原結合フラグメント、核酸、発現ベクター、ワクチン、または組成物は非経口的に投与される、請求項111~113のいずれか一項に記載の方法。
  115. 前記抗体もしくは抗原結合フラグメント、核酸、発現ベクター、ワクチン、または組成物は、筋肉内、静脈内、もしくは皮内送達を介して投与されるか、またはエアロゾルを介して鼻腔内に投与される、請求項114に記載の方法。
  116. 前記抗体もしくは抗原結合フラグメント、核酸、発現ベクター、ワクチン、または組成物は、活性インフルエンザ感染を処置するために治療的に投与される、請求項111~115のいずれか一項に記載の方法。
  117. 前記抗体もしくは抗原結合フラグメント、核酸、発現ベクター、ワクチン、または組成物は、インフルエンザ感染を予防するために予防的に投与される、請求項111~116のいずれか一項に記載の方法。
  118. 抗体もしくは抗原結合フラグメント、核酸、発現ベクター、ワクチン、または組成物は、約1~70mg/kgの用量で投与される、請求項111~117のいずれか一項に記載の方法。
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