JP2022534665A

JP2022534665A - 動物において健康効果をもたらすためのｍｃｔベースの栄養ブレンド

Info

Publication number: JP2022534665A
Application number: JP2021565111A
Authority: JP
Inventors: オスカーイスキエルド，; ジョージアーサーベイリーウェルズ，; ユアンロンパン，
Original assignee: ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
Priority date: 2019-05-31
Filing date: 2020-05-29
Publication date: 2022-08-03
Also published as: US20200375934A1; BR112021021774A2; EP3937653A1; WO2020240498A1; CN113853199A; MX2021013826A; CA3140166A1; AU2020284722A1

Abstract

治療有効量の中鎖トリグリセリドを含む組成物を動物に経口投与するステップを含み、中鎖トリグリセリドがカプリル酸を含む、減量のための方法。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照

[0001]本出願は、２０１９年５月３１日に出願された米国特許仮出願第６２／８５５，０５０号の優先権を主張するものであり、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。

[0002]肥満は、イヌ及びネコなどのコンパニオンペットの最も一般的な栄養疾患であり、全ての欠乏症を合わせてもこれをはるかに上回る。一般に、コンパニオンペットの体重が最適体重より１５％以上多い場合には肥満であるとみなされ、肥満では体重増加に伴い健康問題が増加する。例えば、肥満及び過体重の動物は、心臓疾患、糖尿病、高血圧、脳卒中、脂質異常症、特定の種類のがん、無呼吸症及び変形性関節炎を含む多くの慢性疾患のリスクが増加している。コンパニオンペットにおける肥満症の発生率は、当該ペットの年齢と共に増加する。人間と同様に、動物は加齢により体脂肪が増加し、且つ除脂肪体重量が減少する。

[0003]肥満は徐々に進行するため、コンパニオンペットの飼い主は、注意喚起されるまで過体重の状態に気づかないことが多い。肥満であることのみを問題として獣医にかかる動物はまれであり、その代わりに皮膚炎、息切れ、定期予防接種、又は関節炎若しくは非外傷性症状、又は上記のような他の症状を理由として受診する。肥満は飼い主が気づく症状の素因であり得るが、肥満自体は見落とされ得る。例えば、ある研究では、肥満のイヌの飼い主のうちほぼ３分の１は、飼い犬が過体重であることを認識していなかった。

[0004]肥満の最も一般的な治療法は、食物摂取の制限である。食物摂取を制限すると、コンパニオンペットは空腹感が絶えず続くことにより、食物を漁ること及び／又はせがむことが多くなることもある。その結果、ペットは追加の食物を見つけ出し、又はペットの飼い主はペットに食物を与えてせがむことを止めさせることから、体重は減少しない。要するに、減量の成功には、食物摂取量の減少のみならず、飼い主が規律を守ることも求められる。

[0005]肥満に対する代替的な治療法としては、食欲を原体させるアンフェタミンなどの薬物、悪心を引き起こす薬物、腸管吸収を減少させる薬物、又は甲状腺ホルモンなどの代謝速度を増加させる薬物、並びに最終的には、精神安定剤又は利尿薬として作用する薬物のいずれかが挙げられる。上記のいずれも全般的に有効ではない。これらの薬剤は、多くの場合副作用を生じさせるのに加え、ほとんどの試験において高価であるだけでなく、ペットは、多くの場合食品を給餌される自由選択時に薬剤を含有する食品を避ける傾向があることから、効果的でないことが示されている。

[0006]したがって、安全で有効であり、飼い主との関係に変化を生じさせる程ペットの行動パターンを変更させることなく、肥満の低減を成功裏にもたらすことができる、哺乳類の、特に、コンパニオンペットの治療法が、実際にかつ継続的に必要性とされている。

[0007]本開示は、中鎖トリグリセリドを含む組成物、及び当該組成物を動物に投与して健康効果をもたらすステップを含む方法に関する。より具体的には、本開示は、減量のための方法及び組成物に関する。一実施形態では、方法は、治療有効量の中鎖トリグリセリドを含む組成物を動物に経口投与するステップを含むことができ、中鎖トリグリセリドはカプリル酸を含有する。

[0008]本発明者らは、本発明のＭＣＴ組成物が肥満の動物を効果的に治療することができることを見出した。かかる組成物は、除脂肪体重を維持すること、動物における減量中の除脂肪体重の減少を防止又は最小化すること、動物におけるエネルギー代謝の低下を予防すること、減量後の動物における体重の再増加のリスクを低減すること、インスリン抵抗性の低減、糖尿病のリスク低減、前糖尿病のリスク低減、コレステロールの低下、グルコースの低下、トリグリセリドの低下、インスリンの低下、インスリン感受性の改善、前糖尿病の予防、前糖尿病の発症の遅延、前糖尿病の治療、糖尿病の予防、糖尿病の発症の遅延、糖尿病の治療、インスリン抵抗性の予防、インスリン抵抗性の発症の遅延、インスリン抵抗性の治療、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される健康効果をもたらす。

[0009]更なる特徴及び利点が本明細書に記述されており、以下の発明を実施するための形態から明らかとなる。

定義
[0010]以下、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。

[0011]本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「１つの」、すなわち「ａ」、「ａｎ」及び「ｔｈｅ」には、別段の指示がない限り、複数の参照物も含まれる。したがって、例えば、「１つの成分／ある成分／１つの原材料／ある原材料（ａｎｉｎｇｒｅｄｉｅｎｔ）」又は「その成分／その原材料（ｔｈｅｉｎｇｒｅｄｉｅｎｔ）」についての言及は、２つ以上の成分を包含する。「Ｘ及び／又はＹ」の文脈にて使用される用語「及び／又は」は、「Ｘ」又は「Ｙ」、又は「Ｘ及びＹ」と解釈されるべきである。本明細書で使用する場合、用語「例（ｅｘａｍｐｌｅ）」は、特に、後に用語の掲載が続く場合は、単に例示的なものであり、かつ説明のためのものであり、排他的又は包括的なものであると判断すべきではない。

[0012]本明細書で使用するとき、「約」は、ある数値範囲の数字、例えば、参照する数字の－１０％～＋１０％、好ましくは参照する数字の－５％～＋５％以内、より好ましくは参照する数字の－１％～＋１％以内、最も好ましくは参照する数字の－０．１％～＋０．１％以内の範囲の数字を指すものと理解されたい。２つの値の「間」の範囲は、その２つの値を含む。更に、本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数（ｉｎｔｅｇｅｒｓ）、整数（ｗｈｏｌｅ）又は分数、を含むものと理解されたい。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、１～１０という開示は、１～８、３～７、１～９、３．６～４．６、３．５～９．９などの範囲をサポートするものと解釈されたい。

[0013]本明細書に記載の全ての百分率は、別途記載のない限り乾燥物での組成物の総重量の重量基準である。ｐＨについての参照がなされる場合には、値は標準的な装置により２５℃にて測定されるｐＨに相当する。

[0014]用語「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」とは、動物による摂取を意図し、その動物に少なくとも１種の栄養素を提供する、製品又は組成物を意味する。用語「ペットフード」とは、コンパニオンアニマルが摂取することを意図する、任意の組成物を意味する。かかる食品組成物は、主要な食事、菓子、飲料、栄養補助食品（ｓｕｐｐｌｅｍｅｎｔｓ）などを含むことができる。

[0015]用語「コンパニオンアニマル」とは、イヌ又はネコを意味する。本明細書で使用するとき、用語「ネコ」及び「ネコ科の動物」は、互換的に使用することができる。加えて、用語「イヌ」及び「イヌ科の動物」は、互換的に使用され得る。一実施形態では、コンパニオンアニマルはイヌであり得る。別の実施形態では、コンパニオンアニマルはネコであり得る。

[0016]用語「老齢」は、動物がその特定の種及び／又は種内の品種の平均寿命の５０％を超えるような高齢であることを意味する。例えば、イヌの所与の品種の平均寿命が１０年である場合、その品種に含まれかつ５歳を超えるイヌは、本明細書の目的に関して「老齢」であるとみなされるであろう。。更に、例えば、ネコの品種の平均寿命が１５年である場合、その品種に含まれかつ７．５歳を超えるネコは、本明細書の目的に関して「老齢」であるとみなされる。一実施形態では、本明細書に開示される組成物及び方法は、高齢の動物、例えば、高齢のイヌ又は高齢のネコに関わる。イヌ及びネコなどの動物は、寿命の最後から２５％の時点において高齢であると考えられる。本明細書に記載されるように、イヌ又はネコの寿命はそのサイズ及び／又はその品種によるものであり、高齢のイヌ又は高齢のネコは、上記の計算に基づき、但し年齢閾値が平均寿命の７５％を超えるように７５％の数値を使用して、決定され得る。

[0017]「ウェットフード」とは、含水率が約５０％～約９０％、一態様では約７０％～約９０％であるペットフードを意味する。「ドライフード」とは、含水率が約２０％未満、一態様では約１５％未満、特定の態様では約１０％未満であるペットフードを意味する。「セミモイストフード」とは、含水率が約２０％～約５０％、一態様では約２５％～約３５％のペットフードを意味する。「キブル」とは、ペレットの形状であっても、他の任意の形状であってもよい、ドライタイプ又はセミモイストタイプのペットフードの小塊を意味する。キブルの非限定例としては、粒子状のもの；ペレット；ペットフード、脱水肉、肉類似物、野菜、及びこれらの組み合わせの小塊；並びに肉若しくは野菜の干物、ローハイド、及びビスケットなどのペットスナックが挙げられる。

[0018]本明細書で開示される組成物には、本明細書にて具体的に開示されない任意の要素が存在しない場合がある。したがって、「含む／備える（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成要素「を本質的に含む（ｃｏｎｓｉｓｔｉｎｇｅｓｓｅｎｔｉａｌｌｙｏｆ）」実施形態、及び「を含む（ｃｏｎｓｉｓｔｉｎｇｏｆ）」実施形態の開示を含む。同様にして、本明細書で開示される方法には、本明細書において具体的に開示されない任意の工程が存在しない場合がある。したがって、「を含む」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている工程「を本質的に含む」実施形態、及び「を含む」実施形態の開示を含む。また、「任意選択的な」ステップとしてのいくつかのステップの記載は、任意選択的なことが明示的に記載されていない他のステップが必須であることを意味するものではない。

[0019]本明細書で開示される任意の実施形態は、本明細書で開示される任意の他の実施形態と組み合わせることができる。

[0020]「予防」は、状態又は疾患のリスク及び／又は重症度を低減させることを含む。「処置／治療（ｔｒｅａｔｍｅｎｔ）」、「処置する／治療する（ｔｒｅａｔ）」及び「緩和すること（ｔｏａｌｌｅｖｉａｔｅ）」という用語は、（標的とする病態又は障害の発症を予防する及び／又は遅らせる）予防用の（ｐｒｏｐｈｙｌａｃｔｉｃ）処置又は予防的な（ｐｒｅｖｅｎｔｉｖｅ）処置と、診断された病態又は疾患を治癒させる、遅らせる、その症状を減弱する、かつ／又はその進行を止める治療的手段を含む、治癒的、治療的又は疾患修飾処置との両方；並びに疾患にかかるリスクを有する、又は疾患にかかったと推測される患者の処置に加えて、病気である、又は疾患若しくは医学的状態に罹患していると診断された患者の処置を含む。この用語は、必ずしも完治するまで対象が処置／治療されることを意味するものではない。「処置／治療」及び「処置／治療する」という用語はまた、疾患に罹患してはいないが不健康な状態を招きやすい可能性のある個体の健康を維持及び／又は促進することも指す。「処置／治療」、「処置／治療する」及び「緩和すること」という用語はまた、１つ以上の主たる予防的又は治療的手段の相乗作用、又は別の増強作用を含むことも意図している。「処置／治療」、「処置／治療する」及び「緩和すること」という用語は更に、疾患若しくは状態の、食事による管理（ｄｉｅｔａｒｙｍａｎａｇｅｍｅｎｔ）、又は疾患若しくは状態の予防（ｐｒｏｐｈｙｌａｘｉｓ若しくはｐｒｅｖｅｎｔｉｏｎ）のための、食事による管理を含むことも意図している。治療は患者に関連するものであってもよく、又は医師に関連するものであってもよい。

[0021]相対的な用語、「改善された」、「向上した」、「増強された」などは、本明細書で開示される組成物（治療有効量の中鎖トリグリセリド又は予防量の中鎖トリグリセリドを含む組成物）を、より少量の中鎖トリグリセリドを含む組成物と比較した、又は中鎖トリグリセリドを含まないがその他は同様である組成物と比較した効果を指す。

[0022]用語「治療有効量」とは、（ｉ）特定の疾患、状態、若しくは障害を治療若しくは予防する、（ｉｉ）それに関連して特定の疾患、状態、若しくは障害の１つ以上の症状を和らげる、寛解させる、若しくは取り除く、又は（ｉｉｉ）本明細書に記載の特定の疾患、状態、若しくは障害の１つ以上の症状の発現を予防若しくは遅延させる、本発明の化合物の量のことを意味する。一実施形態では、治療に効果的な量は、肥満に関連する任意の状態を治療する量を指すことができる。

[0023]用語「長期投与」は、１ヶ月を超える反復した投与又は摂取の期間を意味する。特定の実施形態では、２ヶ月、３ヶ月、又は４ヶ月超の期間を用いることができる。また、５ヶ月、６ヶ月、７ヶ月、８ヶ月、９ヶ月、又は１０ヶ月超を含むより長期間を用いてもよい。１１ヶ月又は１年を超える期間も採用し得る。１年、２年、３年、又はそれ以上にわたる長期間を用いることも本発明に含めることができる。特定の老齢動物については、当該動物は、その残りの生涯にわたって定期的な摂取を続けることになるであろう。これは、「長期」摂取と呼ばれる場合もある。

[0024]用語「定期的に」は、少なくとも月１回組成物を投与する又は組成物を摂取することを意味し、いくつかの態様では、週１回投与することを意味する。特定の実施形態では、週に２回、３回、又は７回などのより頻繁な投与又は摂取を用いることができる。更に他の実施形態では、少なくとも１日１回の摂取を含むレジメンを含む。当業者は、投与頻度が、摂取される又は投与される組成物に応じて異なるものであり、いくつかの組成物は、所望のレベルの水分補給を維持するために、より多い又はより少ない頻度での投与を必要とし得ることを理解するであろう。

[0025]「中鎖トリグリセリド」は、３つの脂肪酸がグリセロール骨格にエステル結合により結合した脂質であり、脂肪酸のうちの少なくとも２つ、好ましくは３つ全ての長さは各々炭素６～１２個である。中鎖脂肪酸には、カプロン酸（６個の炭素原子、又はＣ６：０を含む）、カプリル酸（８個の炭素原子、又はＣ８：０を含む）、カプリン酸（１０個の炭素原子、又はＣ１０：０を含む）、及びラウリン酸（１２個の炭素原子、又はＣ１２：０を含む）がある。一実施形態において、中鎖脂肪酸は、主に（例えば、少なくとも９８％）、トリグリセリドの形態である。「中鎖トリグリセリドを本質的に含む脂質」を含む組成物は、中鎖トリグリセリドを、脂質の少なくとも２０％となるよう、いくつかの実施形態では、脂質の少なくとも３０％となるよう、他の実施形態では脂質の少なくとも４０％となるよう、いくつかの実施形態では脂質の少なくとも５０％となるよう含有する。一実施形態では、中鎖トリグリセリドの中鎖脂肪酸は、存在する全中鎖脂肪酸の少なくとも５０％のカプリル酸を含み得る。別の実施形態では、中鎖トリグリセリドの中鎖脂肪酸は、存在する全中鎖脂肪酸の少なくとも９０％のカプリル酸を含み得る。

実施形態
[0026]本開示は、中鎖トリグリセリドを含む組成物、及び当該組成物を動物に投与して健康効果をもたらすステップを含む方法、に関する。より具体的には、本開示は、中鎖トリグリセリド（ＭＣＴ）を含み、いくつかの態様では、任意選択的に、イソフラボン、Ｌ－カルニチン、共役リノール酸、アスタキサンチン、又はアルギニンを含むことができる、組成物に関する。本開示はまた、本発明のＭＣＴ組成物を動物に投与することによって、治療を必要としている動物における肥満を治療するための方法にも関する。

[0027]本発明者らは、本発明のＭＣＴ組成物により、動物における肥満を治療し、他の健康効果をもたすことができることを発見した。かかる組成物により、除脂肪体重を維持すること、動物における減量中の除脂肪体重の減少を防止又は最小化すること、動物におけるエネルギー代謝の低下を予防すること、減量後の動物における体重の再増加のリスクを低減すること、インスリン抵抗性の低減、糖尿病のリスク低減、前糖尿病のリスク低減、コレステロールの低下、グルコースの低下、トリグリセリドの低下、インスリンの低下、インスリン感受性の改善、前糖尿病の予防、前糖尿病の発症の遅延、前糖尿病の治療、糖尿病の予防、糖尿病の発症の遅延、糖尿病の治療、インスリン抵抗性の予防、インスリン抵抗性の発症の遅延、インスリン抵抗性の治療、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される様々な健康効果をもたらすことができる。

[0028]本方法は、全般的に、中鎖トリグリセリドを含む、かつ様々な実施形態では、任意選択的にイソフラボン、Ｌ－カルニチン、共役リノール酸、アスタキサンチン、多価不飽和脂肪酸、及び／又はモノ不飽和脂肪酸を含むことができる組成物を、動物に経口投与するステップを含む。一実施形態では、組成物は、ω－３脂肪酸、酸化防止剤（ビタミンＥ、ビタミンＣ、セレン、及び／又はポリフェノールを含む）、アルギニン、及びこれらの混合物からなる群から選択される成分を更に含み得る。組成物は、ウエットタイプのペットフード、セミモイストタイプのペットフード、又はドライタイプのペットフード、例えばキブルなどのペットフードであってもよい。

[0029]本方法は、求められている健康効果を特定するステップを更に含むことができる。例えば、本方法は、体重減少を必要とする動物を識別するステップを更に含むことができる。他の実施形態では、本方法は、以下：除脂肪体重を維持すること、動物における減量中の除脂肪体重の減少を防止又は最小化すること、動物におけるエネルギー代謝の低下を予防すること、減量後の動物における体重の再増加のリスクを低減すること、インスリン抵抗性の低減、糖尿病のリスク低減、前糖尿病のリスク低減、コレステロールの低下、グルコースの低下、トリグリセリドの低下、インスリンの低下、インスリン感受性の改善、前糖尿病の予防、前糖尿病の発症の遅延、前糖尿病の治療、糖尿病の予防、糖尿病の発症の遅延、糖尿病の治療、インスリン抵抗性の予防、インスリン抵抗性の発症の遅延、インスリン抵抗性の治療、及びこれらの組み合わせ、のうちの１つを必要とする動物を識別するステップを更に含み得る。

[0030]一般的に、中鎖トリグリセリドは、組成物の約０．５重量％～約６０重量％であってもよい。一態様において、中鎖トリグリセリドは、組成物の約１重量％～約２０重量％であってもよい。他の態様において、中鎖トリグリセリドは、組成物の約１重量％～約１５重量％、約１重量％～約１０重量％、又は約２重量％～約７．５重量％であってもよい。中鎖トリグリセリドは、直接エステル化、転位、分留、及び／又はエステル交換などの、任意の公知のプロセスによって調製され得る。例えば、中鎖トリグリセリドは、ココナッツ油などの植物油素材から転位プロセスを介して調製することもできる。それらの鎖長及び分布は、素材となる油によって異なり得る。例えば、１～１０％のＣ６、３０～６０％のＣ８、３０～６０％のＣ１０、及び１～１０％のＣ１２を含有するＭＣＴを、パーム油及び／又はココナッツ油から誘導することもできる。いくつかの実施形態では、ＭＣＴの少なくとも一部分はココナッツ油から得られるが、他の実施形態では、組成物はココナッツ油を含有しない。オクタン酸のグリセリンに対する半合成エステル化によって、Ｃ８を少なくとも約９５％含有するＭＣＴを製造することができ、そのうちのいくつかの実施形態では、残りの脂肪酸はＣ６及びＣ１０である。また、約５０％の総Ｃ８及び／又は約５０％の総Ｃ１０を有するＭＣＴを含む混合物も、本明細書において有用である。一実施形態では、ＭＣＴは、カプリル酸、カプリン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される中鎖脂肪酸を有し得る。一実施形態では、ＭＣＴは、カプリル酸（Ｃ８）である脂肪酸を十分に含み得る。例えば、かかるＭＣＴとしては、少なくとも５０％、少なくとも５５％、少なくとも６０％、少なくとも６５％、少なくとも７０％、少なくとも７５％、少なくとも８０％、少なくとも８５％、少なくとも９５％、少なくとも９８％、又は更には１００％のカプリル酸を含有するものが挙げられ得る。

[0031]好適なω－３脂肪酸の非限定例としては、エイコサペンタエン酸（ＥＰＡ）、ドコサヘキサエン酸（ＤＨＡ）、α－リノレン酸（ＡＬＡ）、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、ω－３脂肪酸は、組成物の約０．２重量％～約３重量％の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、ω－３脂肪酸は、少なくとも約０．２重量％、少なくとも約１．０重量％、又は少なくとも約２．０重量％であってもよい。一実施形態では、ω－３脂肪酸は、エイコサペンタエン酸（ＥＰＡ）、ドコサヘキサエン酸（ＤＨＡ）、α－リノレン酸（ＡＬＡ）、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。

[0032]いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも１週間、少なくとも１ヶ月、少なくとも２ヶ月、３ヶ月、４ヶ月、５ヶ月、又は６ヶ月の期間、及びいくつかの実施形態では、少なくとも１年にわたってコンパニオンアニマルに投与することができる。期間中に、組成物をイヌに摂取させるのは、少なくとも１日／週、少なくとも２日／週、少なくとも３、４、５、若しくは６日／週、又は更には週７日であってもよい。組成物は、１日１回単回用量で投与することも、１日に複数の分割用量で投与することもできる。一実施形態において、組成物を摂取させるのは、１日あたり、コンパニオンアニマルの体重１ｋｇあたり約０．００１～５０ｇのＭＣＴを提供する量であってもよい。一態様において、１日あたり、コンパニオンアニマルの体重１ｋｇあたり０．１ｇ～約５ｇのＭＣＴを摂取させてもよい。

[0033]特定の一実施形態において、動物はコンパニオンアニマルであってもよい。一態様において、コンパニオンアニマルはイヌとすることができる。一実施形態では、動物は、高齢の動物又は老齢の動物であり得る。

[0034]一実施形態では、本明細書に記載の組成物は、ペットフード組成物であり得る。本明細書で開示されるペットフード組成物は、イヌなどのペットの飲食のために調整されたあらゆる食品にすることができる。一実施形態では、ペットフード組成物は、２０１９年１月に米国飼料検査官協会（ＡＡＦＣＯ）によって定義されたものであり、かつ組成物に意図される動物（例えば、イヌ）の種類に応じた、完全な栄養を提供する。別の実施形態では、組成物は、栄養補助食品であってもよい。このような栄養補助食品は、食品組成物に添加することができ、又は食品組成物と共に投与することができ、又は別個に投与することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本組成物は、完全なものであり、かつ栄養的にバランスのとれたペットフードであり得る。

[0035]全般的に、ペットフード組成物は、タンパク質、炭水化物、脂肪、及び灰分を含み得る。様々な実施形態において、ペットフード組成物は、約１５％～約５０％の粗タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、かかる組成物は、約５％～約４０％の脂肪を更に含んでもよい。他の実施形態では、組成物は、約１０％～約６０％の炭水化物を更に含んでもよい。他の実施形態では、組成物は、約０．１％～約１５％の灰分を更に含んでもよい。

[0036]ペットフード組成物は、乳化した肉などの肉を含んでもよい。好適な肉の例としては、家禽肉、牛肉、豚肉、ラム肉、及び魚が挙げられ、特にペットに好適な種類の肉が挙げられる。肉は、臓物を含む、屠体の何らかの余剰部分（ａｄｄｉｔｉｏｎａｌｐａｒｔｓｏｆａｎａｎｉｍａｌ）を含んでもよい。肉のいくらか又は全てを、１つ以上のミートミールとして、すなわち、乾燥し、挽いて、実質的に均一なサイズの粒子を形成し、かつＡＡＦＣＯが規定した、肉として提供してもよい。追加的又は代替的に、エンドウ豆タンパク質、トウモロコシタンパク質（例えば、挽いたトウモロコシ又はトウモロコシグルテン）、小麦タンパク質（例えば、挽いた小麦又は小麦グルテン）、大豆タンパク質（例えば、大豆粕、大豆濃縮物、又は大豆分離物）、米タンパク質（例えば、挽いた米又は米グルテン）などの植物性タンパク質を使用することができる。

[0037]本明細書で開示のペットフード組成物は、植物油、風味剤、着色剤、又は水のうちの１つ以上を含んでもよい。好適な植物油の非限定例としては、大豆油、トウモロコシ油、綿実油、ヒマワリ油、キャノーラ油、落花生油、紅花油などが挙げられる。いくつかの実施形態において、組成物中の脂質は、ＭＣＴ、並びに任意の植物油、任意の魚油、任意の肉由来の脂質、及び任意のω３脂肪酸のうちの１つ以上を含み得る。

[0038]好適な風味剤の非限定例としては、酵母、牛脂（ｔａｌｌｏｗ）、レンダリングしたアニマルミール（例えば、家禽肉、牛肉、ラム肉、及び豚肉）、香料の抽出物又はブレンド（例えば、グリルした牛肉）、及び動物消化処理物などが挙げられる。好適な着色剤の非限定例としては、青色１号、青色２号、緑色３号、赤色３号、赤色４０号、黄色５号及び黄色６号などのＦＤ＆Ｃ着色料；カラメル色素、アンナット、クロロフィリン、コチニール、ベタニン、ウコン、サフラン、パプリカ、リコピン、ニワトコジュース、パンダン、チョウマメなどの天然着色剤、二酸化チタン、並びに当業者に既知の任意の好適な食品着色料が挙げられる。

[0039]本明細書で開示のペットフード組成物は、任意選択的に、デンプン、湿潤剤、口腔ケア成分、保存料、アミノ酸、繊維、プレバイオティクス、糖類、動物油、アロマ、他の油などの更なる原材料を、植物油、塩類、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス微生物、生物活性分子若しくはこれらの組み合わせに対して追加して、又は代替として含んでもよい。

[0040]好適なデンプンの非限定例としては、例えば、トウモロコシ、コメ、小麦、大麦、オート麦、ジャガイモ、エンドウマメ、豆類、キャッサバなどの穀物類、並びにこれらの穀物類の混合物が挙げられ、好適なデンプンは、任意の穀粉に少なくとも部分的に含まれ得る。好適な湿潤剤の非限定例としては、塩、糖類、プロピレングリコール、並びにグリセリン及びソルビトールなどの多価グリコールなどが挙げられる。好適な口腔ケア成分の非限定例としては、クロロフィルを含有するアルファルファ栄養濃縮物、重曹、ホスフェート（例えば、リン酸三カルシウム、酸性ピロホスフェート、ピロリン酸四ナトリウム、メタホスフェート、及びオルトホスフェート）、ペパーミント、クローブ、パセリ、及び生姜などが挙げられる。好適な保存料の非限定例としては、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、メチルパラヒドロキシ安息香酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸及びこれらの組み合わせが挙げられる。

[0041]本明細書で開示されるペットフード組成物におけるそれぞれの追加の原材料の具体的な量は、第１の食材及び任意の第２の食材に含まれる成分；動物の種；動物の齢、体重、健康状態、性別、及び食生活；動物の飲食速度；食品製品を動物に投与する目的などの様々な因子に応じたものとなる。したがって、成分、及びその量は非常に様々であり得る。

[0042]本開示の更に別の態様は、ＭＣＴを少なくとも１つの他の可食成分に添加するステップを含むペットフードの製造方法であって、ＭＣＴは、本明細書に開示される健康効果をもたらすのに有効な量で添加される。例えば、ペットフードの１回分が肥満を治療又は予防するのに有効な量のＭＣＴを含むように、ＭＣＴを添加することができる。

[0043]限定ではなく例示として、以下の非限定的な試験は、本開示によって提供される１つ以上の実施形態における、コンパニオンアニマルにおける肥満を治療するためのＭＣＴを使用する組成物及び方法を説明する。

実施例１－イヌでの試験
[0044]この試験では、３０匹のイヌを使用した。１５匹のイヌには、５５％のＣ８及び４５％のＣ１０を有する５．５％のＭＣＴを含有する規定食により、１００％のＭＥＲを２週間給餌したのに対し（Ｃ８Ｃ１０ＭＣＴ群）、もう１５匹のイヌには、５．５％のＣ１０ＭＣＴを含有する規定食により、１００％のＭＥＲを２週間給餌した（Ｃ１０ＭＣＴ群）。各イヌについて血中β－ヒドロキシブチレート（ＢＨＢ）値を試験１日目に測定し、且つベースライン体重及び週の終わりの体重の２つの値を記録した。ＢＨＢ値を表１に示す。

[0045]表１の結果は、Ｃ８Ｃ１０ＭＣＴ群のイヌは、Ｃ１０ＭＣＴ群のイヌよりもはるかに高い血中ＢＨＢを有しており、イヌでは、Ｃ１０ＭＣＴのほとんどはケトン体に代謝されない一方で、Ｃ８ＭＣＴのほとんどがケトン体に変換され得ることを示す。Ｃ８及びＣ１０ＭＣＴの代謝が異なることの結果として、Ｃ８Ｃ１０ＭＣＴ群のイヌは、体重が２週間で１．０６％減少した一方で、Ｃ１０群のイヌは、体重が２週間で０．７％増加した。したがって、Ｃ８ＭＣＴを含む本発明のＭＣＴ組成物は、予想外にも動物の減量効果をもたらした。

[0046]本明細書で説明されている現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び変形が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。かかる変更及び変形は、本発明の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、行うことができる。それゆえ、そのような変更及び変形は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。

Claims

治療有効量の中鎖トリグリセリドを含む組成物を動物に経口投与するステップを含み、前記中鎖トリグリセリドがカプリル酸を含む、減量のための方法。
前記中鎖トリグリセリドが、前記組成物の約０．５重量％～約６０重量％である、請求項１に記載の方法。
前記中鎖トリグリセリドが、前記組成物の約１重量％～約１５重量％である、請求項１に記載の方法。
前記中鎖トリグリセリドが、少なくとも２５％のカプリル酸を含有する、請求項１に記載の方法。
前記中鎖トリグリセリドが、少なくとも９０％のカプリル酸を含有する、請求項１に記載の方法。
前記組成物が、イソフラボン、Ｌ－カルニチン、共役リノール酸、アスタキサンチン、多価不飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、アルギニン、及びこれらの混合物からなる群から選択される成分を更に含む、請求項１に記載の方法。
前記組成物が、タンパク質、炭水化物、脂肪、及び繊維を含む、請求項１に記載の方法。
前記組成物が、完全なものであり、かつ栄養的にバランスのとれたペットフードである、請求項１に記載の方法。
前記動物が、コンパニオンアニマルである、請求項１に記載の方法。
前記動物が、イヌである、請求項１に記載の方法。
前記動物が、ネコである、請求項１に記載の方法。
前記組成物を、少なくとも１週間にわたって毎日前記動物に投与する、請求項１に記載の方法。
前記組成物が、１日に前記動物の体重１ｋｇ当たり約０．００１～約５０．０ｇの前記ＭＣＴを提供する量で投与される、請求項１に記載の方法。
前記方法が、除脂肪体重を維持すること、前記動物における減量中の除脂肪体重の減少を防止又は最小化すること、動物におけるエネルギー代謝の低下を予防すること、減量後の動物における体重の再増加のリスクを低減すること、インスリン抵抗性の低減、糖尿病のリスク低減、前糖尿病のリスク低減、コレステロールの低下、グルコースの低下、トリグリセリドの低下、インスリンの低下、インスリン感受性の改善、前糖尿病の予防、前糖尿病の発症の遅延、前糖尿病の治療、糖尿病の予防、糖尿病の発症の遅延、糖尿病の治療、インスリン抵抗性の予防、インスリン抵抗性の発症の遅延、インスリン抵抗性の治療、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される健康効果をもたらす、請求項１に記載の方法。