JP2022532637A - オートファジー活性化剤を有効成分として含む心脳血管疾患の予防または治療用組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、心脳血管疾患(cardio-cerebrovascular disease)の予防または治療のための薬学的組成物に関し、下記化学式(1)で表される化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上を有効成分として含有する心脳血管疾患の予防または治療用薬学的組成物が提供され得る。JPEG2022532637000010.jpg4890
Description
本発明は、心脳血管疾患の予防または治療用薬学的組成物に関し、さらに詳細にはオートファジー活性を通じた心脳血管疾患の予防または治療用薬学的組成物に関する。
オートファジーは、細胞成分が分解されて栄養分及びエネルギー源にリサイクルされる自己消化システムであり、老化したり本機能をできなくなった細胞小器官及び損傷したり正しくフォールディング(folding)できなかったタンパク質がオートファジーの対象となり、細胞の恒常性と遺伝的な安定性を維持するために必須のタンパク質分解過程を調節する。これは、化学的な物質代謝を調節し、損傷したり長寿命のミトコンドリアを除去することにより活性酸素種(ROS)の生成を緩和させ、栄養欠乏、酸素枯渇、バクテリアとウイルスを含む病原菌の侵入、及びUV露出のような細胞内外の刺激から細胞を保護することにより細胞の恒常性を維持するための中心になる役割をする。結果的に、オートファジーの効率のよい誘導を通じて多様なタンパク質形態異常疾患またはプラーク蓄積による心脳血管疾患の症状が改善され得る。
本明細書全体にわたり多数の論文及び特許文献が参照されてその引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容はその全体として本明細書に参照として挿入され、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
Cardiovasc. Res. 2002, 54, 499-502
従って、本発明が解決しようとする技術的課題は、細胞内でオートファジーを誘導することにより平滑筋細胞の増殖を抑制する心脳血管疾患(cardio-cerebrovascular disease)の予防または治療用薬学的組成物を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする技術的課題は、血管内皮細胞の発現を直接的に調節せず、副作用を最小化する平滑筋細胞の増殖を抑制する心脳血管疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の一実施例による薬学的組成物は、下記化学式(1)で表される化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上を有効成分として含有する心脳血管疾患(cardio-cerebrovascular disease)の予防または治療用薬学的組成物であってもよい。
式中、R1はC1-C3アルキルであり、R2及びR3はそれぞれ独立に水素またはハロゲンであり、R2及びR3は同時に水素ではない。
本明細書において用語「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどを含む。C1-C3アルキルは、炭素数1~3のアルキルユニットを有するアルキル基を意味し、C1-C3アルキルが置換された場合、置換体の炭素数は含まれない。
本明細書において用語「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどを含む。C1-C3アルキルは、炭素数1~3のアルキルユニットを有するアルキル基を意味し、C1-C3アルキルが置換された場合、置換体の炭素数は含まれない。
本明細書において用語「ハロゲン」とは、ハロゲン族元素を意味し、例えば、フルオロ、クロロ(塩素)、ブロモ及びヨードを含む。
本発明の具体的な具現例によると、上記化学式(1)のR1はC1アルキルであり、R2及びR3は塩素である。
本発明の具体的な具現例によると、上記化学式(1)のR1はC1アルキルであり、R2及びR3は塩素である。
本明細書において用語「心脳血管疾患」は脳と心臓に血液を供給する血管に異常が生じて血流量の減少及びこれによる虚血性組織損傷を引き起こす疾患を意味し、虚血性心臓疾患、脳血管疾患及び高血圧、糖尿病、異常脂質血症、動脈硬化症などの先行疾患を総称する意味である。
本発明の組成物で予防または治療され得る心脳血管疾患は、例えば、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、粥状血栓症、冠状動脈疾患、安定及び不安定狭心症、脳卒中、血管狭窄症、血管再狭窄症、大動脈瘤及び急性虚血性心血管疾患(acute ischemic arteriovascular event)を含むが、それに制限されるものではない。
上記化合物は、ミトコンドリアの電位依存性陰イオンチャネル1(Voltage-dependent anion channel-1, VDAC1)と結合することができ、上記化合物は、上記電位依存性陰イオンチャネルのアスパラギン酸(Aspartic acid)12、アラニン(Alanine)17、バリン(Valine)20、ヒスチジン(Histidine)184、及びセリン(Serine)196と結合することができる。
一実施例において、上記化合物は、上記電位依存性陰イオンチャネルのATP結合ドメインと結合して上記電位依存性陰イオンチャネルのATP結合ドメインを抑制してオートファジーを誘導することができる。
また、上記化合物は、上記電位依存性陰イオンチャネルとの水素結合及び疎水性相互作用により上記電位依存性陰イオンチャネルと結合することができる。
上記化合物は、上記電位依存性陰イオンチャネルとの結合によるオートファジーを誘導することにより平滑筋細胞の増殖を抑制することができ、上記化合物は、上記電位依存性陰イオンチャネルとの結合により細胞内の活性タンパク質キナーゼ(AMPK)の発現を活性化することによりオートファジーを誘導して細胞の成長を抑制することができる。
上記化合物は、上記電位依存性陰イオンチャネルとの結合によるオートファジーを誘導することにより平滑筋細胞の増殖を抑制することができ、上記化合物は、上記電位依存性陰イオンチャネルとの結合により細胞内の活性タンパク質キナーゼ(AMPK)の発現を活性化することによりオートファジーを誘導して細胞の成長を抑制することができる。
上記他の課題を解決するための本発明の一実施例による心脳血管疾患(cardio-cerebrovascular disease)の改善用機能性食品組成物は、下記化学式(1)で表される化合物及びその食品学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上を有効成分として含有することができる。
本発明で用いられる化学式(1)の化合物、それを用いて改善され得る心脳血管疾患及びその作用機序については既に上述したため、過度な重複を避けるためにその記載を省略する。
上記更に他の課題を解決するための本発明の一実施例による心脳血管疾患(cardio-cerebrovascular disease)の予防または治療方法は、下記化学式(1)で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を対象体に投与する段階を含んでもよい。
本発明で用いられる化学式(1)の化合物、それを用いて改善され得る心脳血管疾患及びその作用機序については既に上述したため、過度な重複を避けるためにその記載を省略する。
上記更に他の課題を解決するための本発明の一実施例による血管成形用人体挿入装置は、下記化学式(1)で表される化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上を有効性分として含有する薬学的組成物コーティング層を含んでもよい。
本発明で用いられる化学式(1)の化合物については既に上述したため、過度な重複を避けるためにその記載を省略する。
本明細書において用語「血管成形用人体挿入装置」とは、動脈硬化などの血管疾患により狭くなったり狭窄された血管を機械的に拡張させるために、人体、具体的には血管に挿入される医療機器を意味する。血管成形(angioplasty)を目的とする人体挿入医療機器は、ステント、カテーテル、メッシュスキャフォールドを含むが、それに制限されるものではなく、具体的にはステント(stent)である。
本明細書において用語「血管成形用人体挿入装置」とは、動脈硬化などの血管疾患により狭くなったり狭窄された血管を機械的に拡張させるために、人体、具体的には血管に挿入される医療機器を意味する。血管成形(angioplasty)を目的とする人体挿入医療機器は、ステント、カテーテル、メッシュスキャフォールドを含むが、それに制限されるものではなく、具体的にはステント(stent)である。
アテローム性動脈硬化症などの心血管疾患は、血管内層に脂肪が沈着したり繊維化(fibrosis)されている疾患である。一方、血管再狭窄症(再発狭窄症)は、血管壁が損傷(traumatization)された後、血管通路が狭められる疾患である。動脈硬化進行とステント挿入術後に発生する血管再狭窄症は、血管平滑筋細胞の増殖、移動、そして細胞外基質(extracellular matrix)の分泌などに起因することが知られている(Cardiovasc. Res. 2002, 54, 499-502(非特許文献1))。従って、血管平滑筋細胞の増殖を非常に効率よく抑制する本発明の組成物はステント等の血管成形用人体挿入物にコーティングされ、挿入後に体内で放出される場合、再狭窄を防止し、追加の疾患治療効果を達成できる。具体的には、本発明の血管成形術は、ステントを用いた血管拡張術である。
本明細書において用語「コーティング(Coating)」とは、対象表面上に特定物質を改質することにより一定の厚さの新たな層を形成することを意味し、対象表面とコーティング物質は、イオン結合または非共有結合を通じて改質され得る。用語「非共有結合」とは、吸着(adsorption)、凝集(cohesion)、鎖もつれ(entanglement)及び絞扼(entrapment)などのような物理的結合だけでなく、水素結合及びファンデルワールス結合のような相互作用が単独でまたは上記物理的結合と共に作用して発生する結合を含む概念である。本発明において化学式(1)の化合物を含むコーティング層がステント等の血管成形装置にコーティングされる上記ステント表面を完全に囲みながら密閉された層を形成することもでき、部分的に密閉された層を形成することもできる。
本発明の一実施例によると、電位依存性陰イオンチャネル-1(VDAC1)と結合して細胞質内のATPレベルを減少させ、AMPKの発現を活性化させることにより、mTORの発現を抑制し、オートファジーを誘導して平滑筋細胞(SMC)の成長を抑制するセルトラリン及びその薬学的に許容可能な塩を含む心脳血管疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供することができる。
また、本発明の他の実施例によると、本発明の薬学的組成物は、従来のオートファジー誘導剤とは異なってmTORタンパク質をターゲットタンパク質とせずに、ミトコンドリアの外部メンブレンに存在する電位依存性陰イオンチャネル-1をターゲットタンパク質とするため、mTORタンパク質をターゲットとする抑制剤の短所であるインスリン抵抗のような他の生体内における主要発現に直接的に影響を及ぼさず、オートファジーを誘導するセルトラリン及びその薬学的に許容可能な塩を含む心脳血管疾患の改善用機能性食品組成物を提供することができる。
以下、添付した図面を参照し、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
本発明の実施例は、当該技術分野において通常の知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記実施例は様々な他の形態に変形され得、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。むしろ、これら実施例は本発明をさらに充実かつ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
本発明の実施例は、当該技術分野において通常の知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記実施例は様々な他の形態に変形され得、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。むしろ、これら実施例は本発明をさらに充実かつ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
また、以下の図面において各層の厚さや大きさは説明の便宜及び明確性のために誇張されたものであり、図面上において同一符号は同一の要素を指す。本明細書で用いられた通り、用語「及び/又は」は該当列挙された項目のいずれか一つ及び一つ以上の組合わせを含む。
本明細書で用いられた用語は、特定の実施例を説明するために用いられ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で用いられる場合、「包含する(comprise)」及び/又は「含む(comprising)」は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素及び/又はこれらグループの存在を特定することであり、一つ以上の異なる形状、数字、動作、部材、要素及び/又はグループの存在または付加を排除することでない。
本明細書では、心脳血管疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供するために、ジョンズホプキンス薬物ライブラリー(JHDL)からオートファジー誘導のためのフィーノウティピク(phynotypic)スクリーニングを行い、これからセルトラリン(sertraline)及びインダトラリン(indatraline)を含むオートファジー誘導活性を有する抗うつ剤を発見した。セルトラリンは1991年に米国で生体適合性を有する薬理効果の承認を受けて抗うつ剤として用いられるセロトニン選択的再取り込み阻害剤である。本明細書では上記発見されたオートファジー誘導活性を有する候補物質中、活性に優れたセルトラリン(商品名:Zoloft)を心脳血管疾患の治療用薬学的組成物として発見し、上記薬学的組成物のオートファジー誘導活性の詳細な分子的メカニズムとオートファジー関連の疾病のための臨床的な応用における潜在性を説明する。
本発明の一実施例による薬学的組成物は、R1はC1アルキルであり、R2及びR3は塩素である化学式(1)の化合物、即ち、セルトラリン(C17H17Cl2N)及びその薬学的に許容可能な塩であり、これは下記化学式(1)のように示すことができる。上記薬学的組成物は、セロトニン伝達体を抑制することにより抗うつ作用をする臨床的な薬物である。上記薬学的組成物は、重要なオートファジーマーカーであるLC3-I(microtubule-associated light chain protein type 3)をLC3-IIに変換することを誘導できる。LC3変換はオートファゴソームとリソソームの融合またはリソソームの分解のようなオートファジー抑制の後段階またはオートファジー誘導中に発生し得る。また、上記薬学的組成物は、オートファジーを誘導することにより、平滑筋細胞(Smooth Muscle Cell, SMC)の成長を抑制して新生血管の生成を抑制できる。従って、オートファジーフラックスで上記薬学的組成物の正確な効果を認知することが必要である。
一実施例において、上記薬学的組成物は、化学式(1)の化合物、それに含まれる化学式(2)の化合物(セルトラリン)及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上を有効成分とし、心脳血管疾患の予防または治療効果を提供することができる。本発明の組成物で予防または治療可能な心脳血管疾患としては、心筋硬塞、アテローム性動脈硬化症、粥状血栓症、冠状動脈疾患、安定及び不安定狭心症、脳卒中、血管狭窄症、血管再狭窄証、大動脈瘤、急性虚血性心血管疾患(acute ischemic arteriovascular event)及びそれらの組合わせで構成された群から選択される疾患であってもよいが、これに限定されるものではない。
上記薬学的組成物は、錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾル、外用剤、坐剤、液剤及び注射剤からなる群から選択されるいずれか一つの剤形に製造され得るが、それに制限されるものではない。他の実施例では、上記薬学的組成物は、皮膚外用組成物としても用いられる。
上記薬学的組成物は、セルトラリンは薬学的に許容可能な塩の形態で用いられてもよく、塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)により形成された酸付加塩が有用であり得る。例えば、上記酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸または亜リン酸のような無機酸類と脂肪族モノ及びジカルボキシレート、フェニル置換されたアルカノエート、ヒドロキシアルカノエート及びアルカンジオエート、芳香族酸類、脂肪族及び芳香族スルホン酸類のような無毒性有機酸から獲得され得る。上記無毒な塩類は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオネート、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオン酸塩、ヘキサン-1,6-ジオン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、1-ナフタレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、及びマンデル酸塩を含んでもよい。
本発明による酸付加塩は、常法、例えば、上記セルトラリンを過量の酸水溶液中に溶解させ、その塩を水混和性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、アセトンまたはアセトニトリルを用いて沈殿させて製造することができる。同量のセルトラリン及び水中の酸またはアルコールを加熱し、続いて、その混合物を蒸発させて乾燥させたりまたは析出された塩を吸込濾過させて製造することもできる。
また、塩基を用いて薬学的に許容可能な金属塩を作ることができる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩は、例えば、化合物を過量のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物溶液中に溶解し、非溶解化合物塩を濾過し、濾液を蒸発、乾燥させて得ることができる。その時、金属塩としては、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩を製造することが製薬上適している。また、これに対応する銀塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を適切な銀塩(例、硝酸銀)と反応させて獲得できる。また、本発明の上記薬学的組成物は、薬学的に許容される塩だけでなく、常法により製造され得る全ての塩、水和物及び溶媒和物をいずれも含み得る。
一実施例において、本発明による付加塩は、常法で製造することができ、詳しくは、セルトラリンを水混和性有機溶媒、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルなどに溶かして過量の有機酸を加えたり無機酸の酸水溶液を加えた後、沈殿させたり結晶化させて製造することができる。続いて、その混合物から溶媒や過量の酸を蒸発させた後、乾燥させて付加塩を得たり、または析出された塩を吸込濾過させて製造することができる。
本発明の薬学的組成物を医薬品として用いる場合、セルトラリン及び/又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む薬学的組成物は、臨床投与時に多様な下記経口または非経口の投与形態で製剤化されて投与され得るが、これに限定されるものではない。経口投与用剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、硬質/軟質カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳化剤、シロップ剤、顆粒剤、エリキシル剤などがあり、これら剤形は、有効成分以外に、希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及び/又はグリシン、及び滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸及びそのマグネシウムまたはカルシウム塩及び/又はポリエチレングリコールを含有している。錠剤は、また、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、澱粉ペースト、ゼラチン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及び/又はポリビニルピロリジンのような結合剤を含んでもよく、また必要に応じて、澱粉、寒天、アルギン酸若しくはそのナトリウム塩などの崩解剤または沸騰混合物及び/又は吸収剤、着色剤、香味剤、及び甘味剤を含有してもよい。
他の実施例において、本発明のセルトラリン及び/又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分とする薬学的組成物は、非経口投与することができ、非経口投与は、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射または胸部内注射を注入する方法によってもよい。その時、非経口投与用剤形に製剤化するために、上記セルトラリン及び/又はその薬学的に許容可能な塩を安定剤または緩衝剤と共に水に混合して溶液または懸濁液に製造し、これをアンプルまたはバイアル単位投与型で製造することができる。上記組成物は、滅菌され/されたり防腐剤、安定化剤、水和剤または乳化促進剤、浸透圧の調節のための塩及び/又は緩衝剤等の補助剤、及びその他治療的に有用な物質を含有することができ、常法は、混合、顆粒化またはコーティング方法により製剤化することができる。
また、本発明の薬学的組成物の人体に対する投与量は、患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態及び疾患の重症度に応じて変化し得、体重60kgである成人患者に基づくと、一般に0.001~1,000mg/日であり、望ましくは0.01~500mg/日であり、医師または薬剤師の判断に従って一定時間間隔で1日1回~数回に分割投与することができる。
本発明は、セルトラリン及びそれを薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上を有効成分として含む心脳血管疾患の予防または治療効果を奏する医薬部外品組成物を提供する。本発明のセルトラリンを医薬部外品組成物の有効成分として用いる場合、上記セルトラリンをそのまま添加したり、他の医薬部外品または医薬部外品成分と共に用いられ、常法によって好適に用いられる。有効成分の混合量は使用目的に応じて好適に用いられる。
上記医薬部外品組成物は、顆粒、粉末、溶液、クリーム、軟膏、エアロゾル、ペースト、ゲルまたはワックスなどの形態で製造され得、溶液は有効成分が溶媒に溶解した状態だけでなく、懸濁液やエマルジョン状態も含み得る。上記剤形化された医薬品の例としては、軟膏剤、パッチ、フィルタ充填剤、マスク、手洗浄剤、ヘアー製品、ウェットティッシュ、消毒清潔剤、石鹸、または洗剤石鹸などがあり、通常の意味での医薬部外品をいずれも含み得る。
また、各剤形において、心脳血管疾患の治療効果、望ましくは、オートファジー誘導を通じて平滑筋細胞(SMC)の成長を抑制する医薬部外品組成物は、他の成分をその他医薬部外品の剤形または使用目的などにより任意に選定して配合することができる。有効成分の混合量は、使用目的に応じて適切に決定され得、例えば、増粘剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常の補助剤、及び担体などを含み得る。上記組成物の含量は、全重量を基準に、それぞれ0.0001~10重量%であることが好ましく、10重量%を超える場合には、組成物の製造時に安定性が落ち、0.0001重量%未満の場合にはその効果が微少であるという短所がある。
本発明のセルトラリンを有効成分として含む医薬部外品組成物は、細胞に対する毒性及び副作用がほとんどなく、医薬部外品材料として有用に用いられる。また、本発明は、セルトラリン及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上を有効成分として含む心脳血管疾患の予防または治療効果、望ましくは、平滑筋細胞(SMC)成長抑制効果を奏する化粧料組成物を提供する。本発明の化粧料組成物に含まれる成分は、有効成分としてのセルトラリン及び/又はその薬学的に許容可能な塩以外に化粧品組成物に通常用いられる成分を含め、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常の補助剤、そして担体を含む。
本発明の化粧料組成物は、当業界において通常に製造される如何なる剤形にも製造され得、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファウンデーション、乳濁液ファウンデーション、ワックスファウンデーション及びスプレーなどに剤形化され得るが、これに限定されるものではない。
また、本発明は、セルトラリン及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上を有効成分として含む心脳血管疾患の治療効果、望ましくは、平滑筋細胞(SMC)の成長抑制効果を奏する健康機能性食品組成物を提供する。本発明による食品組成物は、当業界に公知となった常法によって多様な形態で製造することができる。一般の食品としては、これに限定されないが、飲料(アルコール性飲料を含む)、果実及びその加工食品(例:果物缶詰め、瓶詰、ジャム、マーマレード等)、魚類、肉類及びその加工食品(例:ハム、ソーセージ、コンビーフ等)、パン類及び麺類(例:うどん、ソバ、ラーメン、スパゲティ、マカロニ等)、果汁、各種ドリンク、クッキー、飴、乳製品(例:バター、チーズ等)、食用植物油脂、マーガリン、植物性タンパク質、レトルト食品、冷凍食品、各種調味料(例:味噌、醤油、ソース等)などに本発明のセルトラリンを添加して製造することができる。また、栄養補助剤としては、これに限定されないが、カプセル、タブレット、丸剤等に本発明のセルトラリンを添加して製造することができる。また、健康機能食品としては、これに限定されないが、例えば、本発明のセルトラリン自体を茶、ジュース及びドリンクの形態で製造して飲用(健康飲料)できるように液状化、顆粒化、カプセル化及び粉末化して摂取することができる。また、本発明のセルトラリンを食品添加剤の形態で用いるためには、粉末または濃縮液の形態で製造して用いることができる。また、本発明のセルトラリンと心脳血管疾患の予防または治療効果があることが知られている公知の活性成分と共に混合して組成物の形態で製造することができる。
本発明のセルトラリンを健康飲料として用いる場合、上記健康飲料組成物は、通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカリド;マルトース、スクロースのようなジサッカリド;デキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカリド;キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールであってもよい。甘味剤は、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤;サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを用いることができる。上記天然炭水化物の比率は、本発明の組成物100mL当たり一般に約0.01~0.04g、好ましくは約0.02~0.03gであってもよい。
また、本発明のセルトラリンは、抗ストレス、抗うつまたは抗不安効果を奏する健康機能食品の有効成分として含有され得るが、その量は、心脳血管疾患の治療効果を達成するのに有効な量であり、特に限定されるものではないが、全体組成物の全重量に対して0.01~100重量%であることが好ましい。本発明の食品組成物は、セルトラリンと共に心脳血管疾患の予防または治療効果があることが知られている他の活性成分と共に混合して製造され得る。上記以外に本発明の健康食品は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸、ペクチン酸の塩、アルギン酸、アルギン酸の塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコールまたは炭酸化剤などを含有し得る。その他に、本発明の健康食品は天然果物ジュース、果物ジュース飲料、または野菜飲料の製造のための果肉を含有し得る。そのような成分は、独立にまたは混合して用いることができる。そのような添加剤の比率はそれほど重要なことではないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01~0.1重量部の範囲から選択されることが一般的である。
また、本発明は、化学式(1)の化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される一つ以上を有効成分として含むコーティング層を含む血管成形用人体挿入装置、例えば、ステントを提供することができる。上記ステントは、血管の大きさ、長さ、及び形状のような種々の条件に応じて本発明のステントの寸法が変更可能であり、これにより上記コーティング層の厚さも適宜変更できることを本発明の属する技術分野の当業者であれば、容易に理解するはずである。
一実施例において、上記薬学的組成物は、上記ステントの表面にスプレー方式で塗布され得る。また、上記薬学的組成物は、一定期間持続的に放出されて拡張性ステントが血管通路内で膨張時に発生する血管損傷を治療し、再狭窄を防止できる。
上記ステントは、例えば、ポリグリコリド(polyglycolide)、ポリラクチド(polyactide)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、トリメチレンカーボネート(timethylene carbonate)、ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxy alkanoates)、ポリプロピレンフマレート(polypropylene fumarate)及びポリエステル(polyester)で構成された群から選択された少なくとも一つの重合体またはこれらの共重合体またはこれらの混合物からなってもよい。
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。本発明の目的、特徴、長所は、以下の実施例を通じて容易に理解されるはずである。本発明は、ここで説明する実施例に限定されず、他の形態に具体化され得る。ここで紹介される実施例は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に本発明の思想を十分に伝達させるために提供されるものである。従って、以下の実施例により本発明が制限されてはならない。
まず、本発明の一実施例による心脳血管疾患の予防または治療用薬学的組成物のオートファジー誘導及びこれによる心脳血管疾患の治療効果を立証するために、次のように実験を行った。ジョンズホプキンス薬物ライブラリー(JHDL)から獲得した2,386個の化合物から本発明の薬学的組成物であるセルトラリンをスクリーニングした。
図1a~図1gは、本発明の一実施例による心脳血管疾患治療用薬学的組成物であるセルトラリンのオートファジー誘導に関する実験イメージである。図1a及び図1bは、本発明の一実施例による薬学的組成物によるオートファジー誘導を免疫蛍光染色法により観察したものであり、図1cは、本発明の一実施例に係る薬学的組成物による自食作用胞に対するオートファジー誘導をMDC蛍光染色法で撮影したイメージ及びグラフである。また、図1dは、本発明の一実施例に係る薬学的組成物によるLC3-II及びp62への影響を詳察するためのイムノブロッティング実験結果である。図1eは、本発明の一実施例による薬学的組成物のE64D存否によるオートファジー誘導程度を詳察するためのものであり、図1fは、本発明の一実施例による薬学的組成物を処理したサンプルをGFP及び/又はmRFP蛍光法で観察したイメージである。図1gは、本発明の一実施例による薬学的組成物のリソソーム活動性を調査するためにアクリジンオレンジ染色法で詳察した結果である。
一実施例において、セルトラリンによるオートファジーの誘導は、LC3免疫蛍光染色法により立証され得る。図1aを参照すれば、サンプルに何の処理もしない比較群(Control)、インダトラリン(Indatraline)を処理した実験群(Inda)、及び本発明の薬学的組成物であるセルトラリンを処理した実験群(Sert)にLC3に対する免疫蛍光染色法を遂行した結果、非選択的モノアミン伝達抑制剤からオートファジー誘導及び抗うつ剤として知られているインダトラリンで処理された場合と類似してセルトラリンで処理されたセルも細胞質内でLC3が誘導されることを確認することができる。また、図1bを参照すれば、セルトラリンをそれぞれ0.1、2、5uMを投与したり、比較群としてセルトラリンを投与しないサンプルに対して細胞質内でLC3の誘導量を測定した結果、セルトラリンは投与量に比例して細胞質内でLC3を誘導させることを確認することができる。
一実施例において、セルトラリンによるオートファジーの誘導は、自食作用胞(autophagic vacuoles)と結合する蛍光染料であるMDC(monodansylcadaverine)染色法を用いて上記自食作用胞を染色して調査することができる。図1cを参照して自食作用胞に対して如何なる薬学的組成物も処理しない比較群(Control)、インダトラリンを処理した細胞(Inda)、及びセルトラリンを処理した細胞(Sert)のLC3発現を詳察すると、インダトラリンを処理した細胞とセルトラリンを処理した細胞はいずれもLC3が発現されることが分かる。また、インダトラリン及びセルトラリンを処理した細胞のそれぞれに対してMDC染色法を行った結果、セルトラリンを処理した細胞においてインダトラリンを処理した細胞より約1.5倍以上のLC3が発現されることを確認した。即ち、セルトラリンの自食作用胞に対するオートファジー誘導に対する効果がインダトラリンに比べて顕著に優れることが分かる。
上記薬学的組成物がタンパク質ターン-オーバー及びオートファジーの運動性を触発させるかどうかを調査するために利用可能な多様な方法がオートファジーの退化(autophagic degradation)を発見し、オートファジーフラックスをモニタリングするために用いられた。まず、リソソーム依存方式を通じてある程度のオートファジー基質が分解されたかどうかを詳察する方法で基本的な時間に応じたイムノブロッティング方法でLC3-II及びp62レベルを測定した。LC3-II及びp62はオートファジー中にのみ選択的に分解されるため、これらの分解は、オートファジーフラックスを評価するために広く用いられる。
図1dを参照すれば、本発明の一実施例による薬学的組成物であるセルトラリンを処理した場合(Sert)、24時間LC3-II及びp62のレベルが急激に増加して48時間目にピークを示し、その後、72時間には減少することが見られる。これは、上記LC3-II及びp62タンパク質の分解がオートファジーの後段階で生じることを示す。一方、V-ATPase抑制剤であるバフィロマイシンA(Baf)は、24時間内にLC3-II及びp62のレベルを増加させ、72時間の後処理時間中、上記2種類のタンパク質が高いレベルに維持されることを観察することができる。これは、上記バフィロマイシンAがオートファジーフラックスを抑制するためである。従って、本発明の薬学的組成物がオートファジーを誘導することを確認することができる。
また、他の実施例において、リソソームプロナーゼ抑制剤であるE64Dの存在及び非存在下でLC3-IIレベルに対する上記薬学的組成物であるセルトラリンの効果を調査した。もし上記薬学的組成物の処理が結果的にLC3-IIの正常的なフラックス状態を示すならば、プロテアーゼ抑制剤のみを処理する場合より上記化合物及びリソソームプロテアーゼ抑制剤を共に処理する場合、LC3-IIの発現がさらに増加することができる。
図1eを参照すれば、E64Dと本発明の一実施例による薬学的組成物を共に処理する場合(図1eの右側Sert)は、上記薬学的組成物のみを処理する場合(図1eの左側Sert)と比較すると、上記薬学的組成物とE64Dを共に処理する場合のLC3-IIレベルがさらに増加するため、これは、上記薬学的組成物によるオートファジーフラックスの活性を示すことである。一方、バフィロマイシン(Baf)の場合、E64Dの存否と関係なくLC3-IIの発現程度は類似する。従って、本発明の薬学的組成物であるセルトラリンは、プロテアーゼ抑制剤と共に処理する場合、オートファジーフラックスの活性をさらに増加させることが分かる。
また、mRFP-LC3及びGFP-LC3間の他のpH安定度に基づいて中性オートファゴソームから酸性のオートファゴソームへの変化を視覚化するために、mRFP/mCherry-GFP でダブルタグされたLC3を用いることができる。mRFPの蛍光は、リソソーム内でも相対的に安定化した一方、GFP蛍光は酸性物質内では不安定である。従って、オートファジーフラックスは、オートファゴソームによる緑色及び赤色蛍光が局地領域で減少し、オートリソソームによる赤色蛍光が増加することを観察することにより確認することができる。図1fを参照すれば、バフィロマイシンA、インダトラリン、セルトラリンを処理したサンプルに対してGFP、mRFP、及びGFPとmRFPをいずれも処理し、本発明の一実施例による薬学的組成物であるセルトラリンを処理した場合には、赤色蛍光(R value=0.517)を増加させたり、バフィロマイシンAを処理する場合には、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)内の黄色蛍光(R value=0.943)を蓄積させることができる。従って、本発明の薬学的組成物であるセルトラリンはオートファジーを大きく誘導することが分かる。
一実施例では、リソソームの役割及び信頼度を調査するための分析方法であるアクリジンオレンジ染色を用いてリソソーム活動性を調査した。図1gを参照すれば、セルトラリン処理はアクリジンオレンジの密度を顕著に増加させ、これは、リソソーム活動性を活性化することにより、セルトラリンは、オートファジーフラックスを誘導することを示す。そのような結果を通じて本発明の一実施例による薬学的組成物は、オートファジーフラックスを活性化させることが証明された。
また、上記薬学的組成物のオートファジー誘導を伴うシグナリング経路を特定するために、正規経路に対する効果を調査した。AMPK-mTOR正規経路は、不十分な細胞エネルギーを生成することにより活性化してオートファジーが誘導され得る。図2aは、本発明の一実施例による薬学的組成物のHUVEC内の細胞ATPレベルをATPlite発光分析システム(ATPlite luminescence assay system)で測定した結果である。
図2aを参照すれば、0~360分間、上記薬学的組成物を処理する場合、時間に比例して細胞内のATPレベルが減少することを確認することができる。細胞内のAMP-ATP比率の増加は、AMPK経路を順に活性化させる。それぞれラパマイシン、インダトラリン、及びセルトラリンを処理したサンプルでp-AMPK/AMPKの比率を測定した結果、ラパマイシンを処理したサンプルと比較し、インダトラリン及びセルトラリンを処理したサンプルから相対的に高いp-AMPK/AMPKが観察されることを確認することができ、これは、AMPK経路が活性化されることを示す。
図2bは、本発明の一実施例による薬学的組成物がmTOR/S6Kシグナリングを抑制するかどうかを確認するためのイムノブロッティング実験結果である。図2bを参照すれば、上記薬学的組成物は、AMPK活性を誘導してmTOR及びこのダウンストリームであるS6Kのリン酸化レベルを減少させてシグナリングを抑制することを確認することができ、詳しくは、p-mTOR/mTORの相対比率がラパマイシンやインダトラリンを処理した場合に比べてセルトラリンを処理した場合に低いことを通じて確認することができる。しかし、ラパマイシンを処理した場合は、AMPKのリン酸化レベルに影響を与えず、直接的にmTORのリン酸化を抑制し、従って、S6Kのリン酸化も抑制することを確認することができる。従って、上記薬学的組成物の効果はラパマイシンを処理する場合と区別され、上記薬学的組成物はAMPKの活性を誘導し、このダウンストリームであるmTOR及びS6Kのシグナリングを抑制できる。
図2cは、本発明の一実施例による薬学的組成物であるセルトラリンのEGFP-LC3斑点に対する影響を観察したイメージである。図2cを参照すれば、化合物Cの処理は、ラパマイシン誘導オートファジーに影響を及ぼさない、大きく影響を及ぼさない一方、化合物Cとセルトラリンを共に処理することにより細胞基質内のEGFP-LC3斑点が顕著に減少することを確認することができる。
図2dは、本発明の一実施例による薬学的組成物であるセルトラリンによるオートファジー誘導がmTOR上流のシグナリング経路を伴うことを観察した結果イメージ及びグラフである。セルトラリン誘導オートファジーがmTOR上流のシグナリング経路を伴うということを調査するために、PI3K抑制剤である3-MA,PI3K/AKT抑制剤であるウォルトマンニン(wortmannin)、及びMEK/ERK抑制剤であるPD98059を含むオートファジー抑制剤がセルトラリン処理1時間前に準備された。図2dを参照すれば、上記EGFP-LC3陽性斑点は、それぞれのオートファジー抑制剤の存在にもかかわらず、細胞基質内に残存することが分かる。そのような結果は、セルトラリン誘導オートファジーは、PI3K/AKT及びMEK/ERKシグナリング経路を調節しないことを示すことである。
最近、オートファジー誘導及びリソソームの生物発生説(biogenesis)の主要調節子である転写因子EB(TFEB)がmTORシグナリング経路とコミュニケーションすることが伝えられた。mTORが活性化されてV-ATPase/Regulator-Ragタンパク質コンプレックスの形成を経てリソソームの表面に位置を示す時、上記形成されたタンパク質コンプレックスはTFEBをリン酸化させ、TFEBの核転座を抑制でき、ターゲット染色体の発現を防止できる。
図2eは、本発明の一実施例による薬学的組成物が上記タンパク質コンプレックスからのmTOR分離によるTFEBの転座を動作させることを調査するために、強化された緑色蛍光タンパク質(EGFP)-TFEBプラスミドをHUVECに感染させることにより直接的にTFEBの核転座を観察した。図2eを参照すれば、TFEBの核転座は2~24時間、上記薬学的組成物を処理する間感知されなかったが、TFEB及びオートファジーの低分子活性子として知られているMSLは、HUVEC内でTFEB核転座を誘導することが分かる。従って、本発明の一実施例による薬学的組成物は、TFEBのリン酸化を抑制し、核転座を可能にするため、ターゲット染色体の発現を活性化させることができる。
図2fは、本発明の一実施例による薬学的組成物を処理したサンプルのオートファジー誘導を詳察するためのウェスタンブロットを施行した結果イメージである。実験のために、野生タイプ及びTFEBをなくしたヒーラ細胞にDMSO、ラパマイシン、または上記薬学的組成物であるセルトラリンを図2fに記載されたそれぞれの濃度で処理し、セル抽出物を、オートファジーを詳察するためにウェスタンブロット分析を行った。図2fを参照すれば、上記薬学的組成物の処理はTFEB+/+及びTFEB-/-ヒーラ細胞の両方でLC3-II変換を誘導し、これは上記薬学的組成物がTFEBに独立した方法でオートファジーを誘導することを示す。
酸化的リン酸化反応を経るATP生成でミトコンドリアが重要な役割をし、上記薬学的組成物がPI3K/AKT及びMEK/ERKシグナリング経路と独立にオートファジーを活性化させるように、ミトコンドリアの外部メンブレンに存在するチャネルである電位依存性陰イオンチャネル-1(Voltage-dependent anion channel-1,以下VDAC1と称する)をセルトラリンの候補ターゲット物質として選定した。VDAC1は、ATPを伝達することにより細胞物質の代謝に重要な役割をし、他の小型代謝物質は外部ミトコンドリアメンブレンを通りTOR活性と連関することが知られている。
最近、VDAC1の低分子拮抗剤であるイトラコナゾールはAMPK/mTORシグナリング軸を制御することにより血管生成の主要な抑制剤として発見された。VDAC1とセルトラリン間の直接的な相互作用がいかなるものかを確認するために、薬物親和反応的ターゲット安定度(DARTS)分析が適用された。
図3aは、本発明の一実施例による薬学的組成物が低分子(small molecule)と結合することによるタンパク質の加水分解敏感度の変化を示す結果である。上記加水分解敏感度の変化はDARTS法を用いて観察され、上記DARTS法は低分子結合によるタンパク質の加水分解敏感度における変化を用いるターゲット認識及び立証のための無標識検出法である。図3aを参照すれば、VDAC1及びβ-アクチンに対してセルトラリンを処理した後、プロナーゼを添加する場合、VDAC1は増加した安定性を示すが、セルトラリンと結合親和度を有さないタンパク質であるβ-アクチンはセルトラリン処理に対してタンパク質加水分解敏感度が変化しないため、プロナーゼにより分解されることが分かる。
また、図3bは、本発明の一実施例による薬学的組成物が他の低分子と結合することによるタンパク質の加水分解敏感度の変化を示す結果である。この実験では、抗うつ活動と関連のあるセルトラリンの公知となったターゲットタンパク質であるセロトニン再取り込み伝達(SRT)タンパク質を用いてDARTS分析を施行した。上記セロトニン再取り込み伝達タンパク質のセルトラリン誘導脱感作(desensitization)は、ナノ分子の濃度を証明できる。図3bを参照すれば、ナノ分子濃度においてセルトラリンはVDAC1ではなく、上記セロトニン再取り込み伝達タンパク質のプロナーゼに対して20分以上安定性を増加させる。従って、本発明の薬学的組成物(セルトラリン)は、VDAC1より上記セロトニン再取り込み伝達(SRT)タンパク質に、より大きい結合親和度を有することができる。
それにもかかわらず、これは、セルトラリンが細胞内のVDAC1に直接結合することを証明することができる。図3c~図3eは、本発明の一実施例による薬学的組成物のタンパク質内の結合位置を示すイメージである。図3cを参照すれば、セルトラリンのATP及びDIDSは、最も安定した状態でα-ヘリックス及びβ-シート間のVDAC1と結合することができ、結合モチーフをセルトラリンとVDAC1ポケット間の高親和性相互作用で描写した。リガンドは、図示された水素結合表面上に灰色棒で表し、疎水性相互作用はオレンジ色で、静電的相互作用は紫色で、水素結合は緑色及び水色で表した。
図3d及び図3eを参照すれば、VDAC1とセルトラリン間の水素結合(H184,S196)と疎水性相互作用(A17,V20)はVDAC1抑制剤であるATP(d)及びDIDS(e)であり、VDAC1に対して高い結合力を付与することを確認することができる。望ましくは、上記薬学的組成物は、上記電位依存性陰イオンチャネルであるVDAC1のATP結合ドメインと結合することができ、上記ATP結合ドメインのアスパラギン酸(Aspartic acid)12、アラニン(Alanine)17、バリン(Valine)20、ヒスチジン(Histidine)184、及びセリン(Serine)196と結合することができる。このように、上記ATP結合ドメインと結合した上記薬学的組成物は、上記ATP結合ドメインを抑制することにより細胞内でのオートファジーを誘導することができる。
図3f及び図3gは、本発明の一実施例による薬学的組成物によるAMPK/mTOR/S6Kシグナリングの調節がVDAC1との直接結合により始まるかを実験した結果である。今回の実験ではVDAC1ワイルドタイプと VDAC1-/- MEFs(Mouse Embryonic Fibroblasts)を用いて行い、ワイルドタイプ(WT MEFs)及びVDAC1がないMEFs(VDAC1-/-MEFs)はいずれもラパマイシン(Rapa)とセルトラリン(Sert)を処理した。図3fを参照すれば、ワイルドタイプMEFsでセルトラリンはAMPKを大きく活性化させ、mTOR/S6Kリン酸化は抑制させることが分かる。反対に、VDAC1がないMEFSではラパマイシンはVDAC1発現と関係なくmTORの活性を依然として抑制するが、セルトラリンはAMPK/mTOR/S6Kシグナリングを調節しないことを確認することができる。図3gを参照すれば、セルトラリン処理時にワイルドタイプのMEFsに比べてVDACがないMEFsでEGFP-LC3の斑点が顕著に減少した。
図3hは、本発明の一実施例による薬学的組成物のVDAC1に対する活性依存度を示すための結果である。図3hを参照すれば、細胞は48時間セルトラリンで処理され、細胞拡散及びミトコンドリア活性が評価されている。ワイルドタイプMEFsはセルトラリンにより細胞拡散が持続的に抑制されるが、VDAC1がないMEFsでは10uM程度にセルトラリンを多量に投与した時、72時間目に50%以上の細胞拡散が持続することを確認することができる。従って、VDAC1はAMPK/mTOR/S6Kシグナリング及びオートファジー誘導活性を調節するためのセルトラリンの生物学的に関連したターゲットタンパク質であってもよい。
図4a~4eは、本発明の一実施例による薬学的組成物の心脳血管疾患治療効果に関する試験結果である。オートファジーの薬理学的調節戦略は血管疾病において重要なアプローチ方法である。例えば、平滑筋細胞(SMCs)の非正常細胞の拡散による再発狭窄症とプラーク形成から引き起こされて形成されるマクロファージの蓄積及び血管が狭くなる現象は代表的なオートファジー関連の血管疾病の一つである。オートファジー誘導は、上記平滑筋細胞の迅速な拡散を抑制し、コレステロールとコレステリルエステルの酸加水分解を活性化し、これは、マクロファージ内におけるコレステロールの発散と発泡細胞形成の抑制を引き起こすことができる。最近、再発狭窄症の治療上のアプローチはステント挿入、血管成形術または放射線治療に依存し、限定的な薬学的物質について研究された。
再発狭窄層(Restenosis)に対する本発明の薬学的組成物の薬剤学的効果を調査するために、平滑筋細胞(SMC)内における細胞増幅及びオートファジー誘導活性に対する上記薬学的組成物の効果を調査した。細胞は、72時間、上記薬学的組成物であるセルトラリンで処理され、細胞拡散及びミトコンドリアの活性を評価した。
図4aは、本発明の一実施例による心脳血管疾患治療用薬学的組成物の平滑筋細胞拡散抑制効果を示すものである。72時間、上記薬学的組成物0~20uMで処理された細胞の成長はMTT色度分析を用いて測定された。図4aを参照すれば、上記薬学的組成物が0uM~20uMで多量が投与されるほど上記平滑筋細胞の拡散が大きく抑制されることが見られる。従って、上記薬学的組成物は、投与量に従属して上記平滑筋細胞の拡散を抑制することができる。
図4bは、本発明の一実施例による薬学的組成物の細胞内LC3-II及びp62レベルに対する影響を示すものである。LC3-II及びp62レベルは平滑筋細胞(SMCs)に24時間上記薬学的組成物を処理した後に測定された。図4bを参照すれば、上記薬学的組成物であるセルトラリンの処理は従来のラパマイシンを処理する場合のように処理濃度に比例してLC3-II及びp62のレベルを顕著に増加させることができる。しかし、ベータ-アクチンのラパマイシンまたはセルトラリンの処理に影響を受けないことを確認することができる。
図4cは、本発明の一実施例による薬学的組成物のリソソーム吸収を確認するためのアクリジンオレンジ染色結果を示したものである。5uMの上記薬学的組成物、5uMのインダトラリン,10uMのバフィロマイシンA、及び10uMのラパマイシンをサンプルにそれぞれ24時間処理した。上記細胞は固定される前に20分間2μg/mLのアクリジンオレンジで処理された。上記細胞が固定された後、サンプルは多焦点蛍光顕微鏡(confocal microscopy)で調査され、基準子は10μmである。図4cを参照すれば、上記薬学的組成物で処理されたサンプルはアクリジンオレンジ蛍光強度が増加することを確認することができ、これは、ラパマイシンまたはインダトラリンで処理したサンプルに比べて強度がさらに力強いことが分かる。従って、本発明の薬学的組成物は平滑筋細胞(SMCs)でリソソームを活性化させることによりオートファジーフラックスを効果的に誘導できる。
図4dは、本発明の一実施例による薬学的組成物の心脳血管疾患治療効果を示すイメージである。上記薬学的組成物の心脳血管疾患治療効果を調査するために、ラット頚動脈再発狭窄症モデルを用いた。グラフのY軸は臓器内側領域比新生血管内膜プラーク領域のパーセンテージを示し、これは、新生血管内膜の蓄積程度を示すことができる。
一実施例において、ラットモデルに動脈切開術を施行した後、全く処理をしなかったり(上部イメージ中、左側Controlイメージ)、本発明の薬学的組成物を2uM処理したモデル(上部イメージ中、右側Sertイメージ)の血管内部領域を撮影した。図4dを参照すれば、上記薬学的組成物を2uM投与したラットモデルの新生血管内膜層は減少したことを確認することができる。また、上記薬学的組成物は、平滑筋細胞の新生血管内膜の蓄積を効果的に抑制し得ることを確認することができる。
図4eは、本発明の一実施例による薬学的組成物の細胞の自然死(Apoptosis)に対する影響を確認するためのTUNEL染色結果である。ラットモデルに動脈切開術を施行した後、全く処理をしなかったり(Control)、本発明の薬学的組成物を処理した後(Sert)、サンプルにTUNELラベリングを施行した。上記TUNELラベリング方法によりサンプル内における細胞の自然死(apoptotic)を確認することができる。
図4eを参照すれば、本発明の薬学的組成物を処理したサンプルでは、細胞の自然死が大きく発生しないことを確認することができる。従って、本発明の薬学的組成物は、細胞の自然死に影響を与えずに血管が新たに生成されることを効果的に抑制できる。動脈切開術を施行したラットモデルにラパマイシンを処理する場合(図示せず)、平滑筋細胞の増殖を阻害して血管疾患の症状を改善する効果があるが、約30%程度の細胞の自然死も同伴して発生したが、本発明の薬学的組成物を処理したラットモデルでは細胞の自然死が誘導されなかった。そのため、本発明の薬学的組成物から誘導されるオートファジーは、細胞の自然死が誘導されて細胞内の毒性を引き起こさず、血管が新たに生成されることのみを独立的で効果的に抑制できる。
臨床薬物ライブラリーで表現型に基づくスクリーニングは効果的であり得るが、低分子(small molecule)活性の主要メカニズムを確立するためにオートファジー関連疾病の治療のための低分子の翻訳は重要である。本発明の一実施例による薬学的組成物であるセルトラリンは抗うつ剤として医薬用途に承認された選択的セロトニン伝達抑制剤である。上記セルトラリンは、本明細書を通じてオートファジー誘導のための主要物質であることが明らかになった。詳しくは、セルトラリンのナノモル濃度の水準はDARTS分析でセロトニン再取り込み伝達子と結合するには十分であるが、オートファジーを引き起こすことはない。
図5は、本発明の一実施例による薬学的組成物のオートファジー誘導方式を示すものである。セルトラリン誘導のオートファジーが行われる分子的メカニズムを知るために、セルトラリンの新たなターゲットタンパク質としてミトコンドリア外壁メンブレンタンパク質であるVDAC1に関する研究を進めた。図5と共に上述した実験例及び実施例を参照すれば、本発明の一実施例による薬学的組成物であるセルトラリンはVDAC1と結合し、細胞内のATPレベルを減少させ、AMPKを活性化し、mTORを抑制することにより、オートファジーを誘導できる。また、上記薬学的組成物はセルトラリンがオートファジーを誘導することにより効果的に動脈硬化などの心脳血管疾患及び再発狭窄症(restenosis)を抑制することができる。
また、化学的変更なしに低分子のターゲットタンパク質を確認するために、ラベルプレ方法論であるDARTSを用いた。DARTSウェスタン分析を含むシステムターゲットの確認、イン・シリコドッキングシミュレーション及びVDAC1を除去した細胞の実験によりVDAC1はオートファジー誘導活性化のためのセルトラリンの生物学的な関連ターゲットであることが分かる。
イトラコナゾール及びDIDSのような低分子抑制剤によるVDAC1の薬学的抑制はVDAC1とミトコンドリア物質代謝間の表現型的な連関状態を示すことができる。また、VDAC1の抑制はCa2+-調整される酸化ストレス及び細胞の自然死を防止できる。本発明の一実施例による薬学的組成物は、インダトラリンと構造的に類似するが、相対的に高い程度のリン酸化を進行するために、インダトラリンよりVDAC1と密接に相互作用をすることができる。従って、上記薬学的組成物は、HUVEC及び平滑筋細胞(SMC)におけるオートファジー及び抗増殖性活動においてインダトラリンより優れた生物学的活性を提供することができる。
また、他の実施例において、オートファジーを誘導するための本発明の一実施例による薬学的組成物の主要ターゲットとしてVDAC1を確認した。
また、本発明の薬学的組成物による細胞の自然死と独立的な効果と共にセルトラリンのVDAC1を調節するオートファジーは細胞毒性がないオートファジー治療法に適用され得る。また、上記セルトラリンのターゲットタンパク質としてVDAC1の確認は、オートファジー関連の疾病のための新たな治療物質の発展を促進するだけでなく、オートファジーシグナリング及びオートファジー関連疾病でVDAC1の機能を明らかにするための新たな化学的調査を提供することができる。
また、本発明の薬学的組成物による細胞の自然死と独立的な効果と共にセルトラリンのVDAC1を調節するオートファジーは細胞毒性がないオートファジー治療法に適用され得る。また、上記セルトラリンのターゲットタンパク質としてVDAC1の確認は、オートファジー関連の疾病のための新たな治療物質の発展を促進するだけでなく、オートファジーシグナリング及びオートファジー関連疾病でVDAC1の機能を明らかにするための新たな化学的調査を提供することができる。
以上で説明した本発明は、前述した実施例及び添付された図面に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であることは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に明白なはずである。
Claims (12)
- 前記化学式(1)のR1はC1アルキルであり、R2及びR3は塩素であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
- 前記心脳血管疾患は、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、粥状血栓症、冠状動脈疾患、安定及び不安定狭心症、脳卒中、血管狭窄症、血管再狭窄症、大動脈瘤、急性虚血性心血管疾患(acute ischemic arteriovascular event)で構成された群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
- 前記化合物は、ミトコンドリアの電位依存性陰イオンチャネル1(Voltage-dependent anion channel-1, VDAC1)と結合することを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
- 前記化合物は、前記電位依存性陰イオンチャネルのアスパラギン酸(Aspartic acid)12、アラニン(Alanine)17、バリン(Valine)20、ヒスチジン(Histidine)184、及びセリン(Serine)196と結合することを特徴とする、請求項4に記載の薬学的組成物。
- 前記化合物は、前記電位依存性陰イオンチャネルのATP結合ドメインと結合し、前記電位依存性陰イオンチャネルのATP結合ドメインを抑制してオートファジーを誘導することを特徴とする、請求項4に記載の薬学的組成物。
- 前記化合物は、前記電位依存性陰イオンチャネルとの水素結合及び疎水性相互作用により前記電位依存性陰イオンチャネルと結合することを特徴とする、請求項4に記載の薬学的組成物。
- 前記化学式(1)のR1はC1アルキルであり、R2及びR3は塩素であることを特徴とする、請求項8に記載の機能性食品組成物。
- 前記心脳血管疾患は、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、粥状血栓症、冠状動脈疾患、安定及び不安定狭心症、脳卒中、血管狭窄症、血管再狭窄症、大動脈瘤、急性虚血性心血管疾患(acute ischemic arteriovascular event)で構成された群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の機能性食品組成物。
- 前記化学式(1)のR1はC1アルキルであり、R2及びR3は塩素であることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
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