JP2022532050A - 呼吸器感染の検出および分類 - Google Patents

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Abstract

本発明は、身体試料中の決定されたTK1蛋白質レベルをもとに呼吸器感染症を診断および分類することに関する。特に、決定されたTK1蛋白質レベルにもとづいて、呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎として診断および分類することができる。【選択図】図1

Description

本実施形態は総じて呼吸器感染に関するものであり、特にはかかる呼吸器感染の検出および分類に関するものである。
医学的に最も重要なマイコプラズマ感染は、モリクテス綱の極小型無壁細菌であるマイコプラズマ肺炎菌に起因する下気道感染である。本疾病は非定型細菌性肺炎であり、マイコプラズマ肺炎とよばれ、潜伏期間は比較的長く臨床症状も多彩であるが、典型的な症状は軽度の持続性乾性咳である。推計では、米国において毎年約200万症例が発生し、市中肺炎の50症例当たり1~10例をマイコプラズマ肺炎菌感染が占める。したがって、これは世界的に重要な健康問題であると一般的に考えられている。
現在利用可能なマイコプラズマ肺炎菌感染の診断検査としては、培養による方法および血清学的方法ならびにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく方法が挙げられ、また限定的な数の方法しかないが分子論的方法も現在では利用されている。したがって、より良い診断方法がさらに必要とされる。
呼吸器感染の検出および分類の改善が一般的な目標である。
本目標およびその他の目標は、本明細書中に開示する実施形態によって達成される。
本発明を独立形式請求項によって規定する。さらなる本発明の実施形態を従属形式請求項によって規定する。
本開示の実施形態は、マイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎を患者において予測および診断するために、身体試料中のチミジンキナーゼ1(TK1)物質について測定されたレベルを利用することを含む。TK1物質について測定されたレベルは、患者の呼吸器感染を、マイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎あるいはウイルスに起因するウイルス性肺炎またはマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎のいずれかに分類するために利用することも可能である。
本開示の実施形態は、それ以外では診断が困難なマイコプラズマ肺炎菌感染の検出および分類のための技術を提供する。
以下の説明およびそれに付属する図面を参照することによって、本開示の実施形態、ならびにさらなる目標とその利点についても、最大の理解が得られるであろう。
健常被験者(n=144)、および急性細菌感染(n=98)、ウイルス感染(n=64)またはマイコプラズマ肺炎菌感染(n=25)の罹患者における血清チミジンキナーゼ1(STK1)蛋白質濃度を示す。Y軸はSTK1濃度の10-log値を示し、有意水準P値は健常群と異なる患者群との間での一対比較に関するものである。 健常被験者(n=144)、および急性細菌(n=60)またはマイコプラズマ肺炎菌(n=25)下気道感染の罹患者におけるSTK1蛋白質濃度を示す。Y軸はSTK1濃度の10-log値を示し、有意水準P値は健常群と異なる患者群との間での一対比較に関するものである。 健常被験者およびマイコプラズマ肺炎菌急性感染の罹患者の間の差異を示す。臨床診断によってマイコプラズマ肺炎菌が感染原因である可能性が高いとされた患者の結果を示す。図中のP値は、STK1濃度の受信者操作特性(ROC)曲線間の統計的差異である。 下気道感染の原因が細菌である場合とマイコプラズマ肺炎菌である場合の間の差異に関するROC分析結果を示す。 下気道感染の原因がウイルスである場合とマイコプラズマ肺炎菌である場合の間の差異に関するROC分析結果を示す。 下気道感染の原因が細菌である場合とマイコプラズマ肺炎菌である場合の間の差異に関するROC分析結果を示す。 下気道感染の原因が細菌である場合とマイコプラズマ肺炎菌である場合の間の差異に関して、CRP(C反応性蛋白質)、PCT(プロカルシトニン)および血中好中球数と比較したときのROC分析結果を示す。 下気道感染の原因が細菌である場合とマイコプラズマ肺炎菌である場合の間の差異についてのROC分析結果を、血清TK1(S-TK1)、血漿HNL(P-HNL二量体)、血漿C反応性蛋白質(P-CRP)、血清プロカルシトニン(S-PCT)、および血清TK1と血漿HNL(TK1/HNL二量体)間の比に関して示す。 図9Aおよび9Bは健常被験者(n=144)、および細菌性肺炎罹患者(n=86)またはマイコプラズマ肺炎罹患者(n=28)における血清TK1(S-TK1)(9A)および血漿HNL(P-HNL二量体)蛋白質濃度を示す。Y軸は濃度の10-log値を示す。
本実施形態は総じて呼吸器感染に関するものであり、特にはかかる呼吸器感染の検出および分類に関するものである。
本発明は、マイコプラズマ肺炎菌に起因する呼吸器感染、特にマイコプラズマ肺炎がヒト患者においてチミジンキナーゼ1(TK1)蛋白質レベル、特に血清 TK1(STK1またはS-TK1)蛋白質レベルを有意に増加させることを示す実験結果に基づくものである。しかし、他の病原体に起因する呼吸器感染、例えば、ウイルスに起因するウイルス性肺炎およびマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎に罹患した患者においても、また健常人においても、このようなSTK1蛋白質レベルの増加は見られない。
したがって、呼吸器感染患者をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎に罹患していると同定する、あるいは診断するために、TK1蛋白質レベル(STK1蛋白質レベルなど)を利用することができる。このようなマイコプラズマ肺炎患者を、マイコプラズマ肺炎菌以外の病原体に起因する呼吸器感染に罹患している他の患者から区別することができる。
すなわち、TK1蛋白質の測定はそれ以外では診断が困難なマイコプラズマ肺炎菌感染に関するバイオマーカーとして有益に利用することができ、任意にC反応性蛋白質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、カルプロテクチンおよび/またはヒト好中球リポカリン(HNL)(血中HNL(B-HNL)および/または血漿中HNL(P-HNL)など)などの他のバイオマーカーと組み合わせて用いることができるということを、上記は意味している。
一つの実施態様においては、CRP、PCT、カルプロテクチンおよびHNLから成る群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカーと共に、TK1をバイオマーカーとして用いる。一つの好ましい実施形態においては、CRP、PCTおよびHNLから成る群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカー、より好ましくはCRP、PCTおよびP-HNLと共に、TK1をバイオマーカーとして用いる。
したがって、一つの実施形態においては、TK1をCRPと共に用いる。別の一つの実施態様においては、TK1をPCTと共に用い、さらなる実施形態においては、TK1をHNLと共に用い、B-HNLおよび/またはP-HNLなどと共に用い、好ましくはP-HNLと共に用いる。さらに別の一つの実施形態においては、TK1をカルプロテクチンと共に用いる。TK1を少なくともさらに2種類の別のバイオマーカーと共に用いてもよい(TK1およびCRP、TK1およびPCT、TK1およびカルプロテクチン、またはTK1およびHNL(B-HNLおよび/またはP-HNLなど、好ましくはP-HNL)など)。さらなる実施形態においては、TK1を少なくとも3種類の別のバイオマーカーと共に用いる(TK1、CRPおよびPCT;TK1、CRPおよびカルプロテクチン;TK1、CRPおよびHNL(B-HNLおよび/またはP-HNLなど、好ましくはP-HNL);TK1、PCTおよびカルプロテクチン;TK1、PCTおよびHNL(B-HNLおよび/またはP-HNLなど、好ましくはP-HNL);またはTK1、カルプロテクチンおよびHNL(B-HNLおよび/またはP-HNLなど、好ましくはP-HNL)など)。さらに別の実施形態においては、TK1を少なくともさらに4種類の別のバイオマーカーと共に用いる(TK1、CRP、PCTおよびカルプロテクチン、TK1、CRP、PCTおよびHNL(B-HNLおよび/またはP-HNLなど、好ましくはP-HNL);TK1、CRP、カルプロテクチンおよびHNL(B-HNLおよび/またはP-HNLなど、好ましくはP-HNL);TK1、PCT、カルプロテクチンおよびHNL(B-HNLおよび/またはP-HNLなど、好ましくはP-HNL)など)。別の一つの実施態様においては、TK1をCRP、PCT、カルプロテクチンおよびHNL(B-HNLおよび/またはP-HNLなど、好ましくはP-HNL)と共に用いる。
例えば、TK1を少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーと共に用いる場合には、TK1のレベルおよび該少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーのレベルを各閾値に対して比較し、各バイオマーカー(TK1および少なくともさらに1種類の別のバイオマーカー)とその各閾値との比較をもとに推定、診断または分類を行う。
別の一つの実施形態においては、TK1のレベルおよび該少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーのレベルにもとづいて値を算出し、その値を閾値と比較する。例えば、値は関数f( )に基づき、f(TK1、(CRP、PCT、カルプロテクチンおよび/またはHNL))のように算出することもでき、ここでTK1、CRP、PCT、カルプロテクチンおよびHNLは特定バイオマーカーについて決定されたそれぞれのレベルまたは量を表している。用いることができる関数f( )の典型的な例は、2種類のバイオマーカー(TK1/HNLなど、例えば、TK1/P-HNL、またはHNL/TK1(P-HNL/TK1など))のレベル間の比または商である。関数f( )の他の例は、2種類あるいはそれ以上のバイオマーカーのレベルの積である。
TK1は血液悪性腫瘍の予後および長年にわたる追跡のための血清バイオマーカーとして利用されている。TK1はアデノシン三リン酸(ATP)をリン酸ドナーとして利用し、チミジン(dThd)をリン酸化してデオキシチミジン一リン酸(dTMP)に変換する酵素である。dTMPはさらにリン酸化されてデオキシチミジン三リン酸(dTTP)になるが、これは細胞周期のS期にデオキシリボ核酸(DNA)に取り込まれる。
STK1は、酵素活性アッセイ、あるいはさらに最近では免疫アッセイ、のいずれかによって測定されている。
複数の悪性腫瘍(例えば、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病および様々な種類の白血病)においては、血清TK1測定が予後推定に有用であることが、放射性TK1酵素活性アッセイ(TK-REA)を用いた臨床試験によって実証された。
TK-REAを用いた初期の研究では、複数の異なる種類の悪性腫瘍ならびにその他の臨床病態(ウイルス感染、単核球症およびマイコプラズマ肺炎菌を含む)について調べている[1]。単核球症の患者では、疾病の急性症状を有する患者すべてにおいてTK1レベルが顕著に増加することが明らかになった。ウイルス診断用に供された患者血清のTK1レベルの場合には、83%が健常者のカットオフレベルよりも低いレベルであったが、17%の血清ではTK1活性レベルの上昇を示した。TK1活性の上昇は、風疹、麻疹、サイトメガロウイルスに関連し、また単純ヘルペスウイルス(HSV)または水痘帯状ヘルペスウイルス(VZV)感染の一部の症例にも関連した。しかし、報告のマイコプラズマ肺炎菌感染の罹患対象ではTK1活性レベルの上昇は認められなかった[1]。ウイルス肝炎、特にA型肝炎の感染患者における血清TK1活性の上昇についても記載があり、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(ASAT)、アラニン・アミノ基転移酵素(ALAT)および乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に有意な相関があったが、血液中の他の肝臓バイオマーカーに対しては相関を示さなかった。
急性細菌感染患者の血清TK1活性についてはあまり研究されておらず、このテーマに関する報告もわずかしかない。100人の健常被験者について血清TK1活性が測定されており[2、3]、その平均値は4U/Lであった。一方、不定の細菌感染に罹患した100人の患者ではその中央値が10U/Lであり、これは良性乳癌を有する40人の女性における値と同程度であった。これに対し、不定のウイルス感染に罹患した100人の患者では、その平均値は54U/Lであった[2、3]。
実施形態の一局面は、呼吸器感染に罹患している患者または対象においてマイコプラズマ肺炎が存在するか否かを予測する方法に関する。該方法は、患者または対象から取得した身体試料中のTK1物質のレベルを、抗TK1抗体またはその断片を用いて測定することを含む。該方法はまた、身体試料におけるTK1物質のレベルをもとに、呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎である可能性を推定することをも含む。
一つの実施態様においては、該方法はまた、該身体試料または対象から取得した別の身体試料における少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーのレベルを測定することをも含む。この実施形態においては、該少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーは、CRP、PCT、カルプロテクチンおよびHNLから成る群から選択される。この実施形態においては、可能性を推定することは、身体試料中のTK1物質について測定されたレベルをもとに、および該身体試料または別の身体試料における少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーについて測定されたレベルをもとに、呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎である可能性を推定することを含む。
実施形態の別の一つの局面は、患者または対象においてマイコプラズマ肺炎を診断する方法に関する。該方法は、患者または対象から取得した身体試料中のTK1物質のレベルを、抗TK1抗体またはその断片を用いて測定することを含む。該方法はまた、身体試料におけるTK1物質のレベルをもとに、マイコプラズマ肺炎に罹患した患者または対象を診断することをも含む。
一つの実施態様においては、該方法はまた、該身体試料または対象から取得した別の身体試料における少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーのレベルを測定することをも含む。本実施形態においては、該少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーは、CRP、PCT、カルプロテクチンおよびHNLから成る群から選択される。本実施形態においては、対象を診断することは、身体試料中のTK1物質について測定されたレベルをもとに、および該身体試料または別の身体試料における少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーについて測定されたレベルをもとに、マイコプラズマ肺炎に罹患した対象を診断することを含む。
一つの実施態様においては、TK1物質について測定されたレベルと閾値との間の比較をもとに、上記の実施形態の推定工程および診断工程を実施する。特定の実施態様においては、該推定工程は、TK1物質について測定されたレベルが閾値より高い場合に呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎である可能性が高いと推定し、そうでなければ呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎である可能性は低いと推定することを含む。したがって、一つの実施形態においては、該方法は、TK1物質について測定されたレベルが閾値を超えない場合に、呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌以外の病原体に起因する(ウイルスに起因するウイルス性肺炎またはマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎など)可能性が高いと推定することを含む。
実施形態のさらなる一局面は、対象の呼吸器感染を分類する方法に関する。本方法は、対象から取得した身体試料中のTK1物質のレベルを、抗TK1抗体またはその断片を用いて測定することを含む。本方法はまた、身体試料中のTK1物質について測定されたレベルにもとづいて、呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎として分類する、あるいは呼吸器感染をウイルスに起因するウイルス性肺炎またはマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎として分類することをも含む。
一つの実施態様においては、該方法はまた、該身体試料または対象から取得した別の身体試料における少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーのレベルを測定することをも含む。本実施形態においては、該少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーは、CRP、PCT、カルプロテクチンおよびHNLから成る群から選択される。本実施形態においては、呼吸器感染を分類することは、身体試料中のTK1物質について測定されたレベルをもとに、および該身体試料または別の身体試料における少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーについて測定されたレベルをもとに、呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎として分類する、あるいは呼吸器感染をウイルスに起因するウイルス性肺炎またはマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎として分類することを含む。
特定の実施態様においては、該方法は、該身体試料または対象から取得した別の身体試料におけるHNLのレベルを測定することを含む。該方法はまた、身体試料中のTK1物質について測定されたレベルと身体試料または別の身体試料中のHNLについて測定されたレベルとの間の比または商を算出することをも含む。この特定の実施形態においては、呼吸器感染を分類することは、商または比が閾値を超えた場合に、呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎として分類し、そうでなければ呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎として分類することを含む。
実施形態のさらなる一局面は、患者または対象の呼吸器感染を分類する方法に関する。該方法は、患者または対象から取得した身体試料中のTK1物質のレベルを、抗TK1抗体またはその断片を用いて測定することを含む。該方法はまた、身体試料中のTK1物質のレベルが閾値を超えた場合に、呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎として分類し、そうでなければ呼吸器感染をウイルスに起因するウイルス性肺炎またはマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎として分類することをも含む。
ウイルス性肺炎は、ウイルスに起因する肺炎である。ウイルスは小児肺炎の最も一般的な原因であり、一方、成人では細菌がより一般的な原因である。ウイルス性肺炎の一般的な原因としては、インフルエンザウイルスAおよびB、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、ヒトボカウイルス、およびパラインフルエンザウイルスが挙げられる。一般的に肺炎を起こすより稀なウイルスとしては、アデノウイルス、メタ肺炎ウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス、および中東呼吸器症候群(MERS)ウイルスが挙げられる。主には他の疾患を引き起こすが、時として肺炎を起こすこともあるウイルスとしては、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、はしかウイルス、風疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、天然痘ウイルスおよびデングウイルスが挙げられる。
細菌性肺炎は、細菌感染に起因するタイプの肺炎である。細菌性肺炎はグラム陽性菌によってもグラム陰性細菌によっても起こり得る。肺炎球菌が、新生児を除くすべての年齢層において肺炎の最も一般的な細菌性の原因である。肺炎球菌はグラム陽性細菌であり、肺炎に罹患していないヒトの喉に生息することも多い。肺炎の原因となるその他の重要なグラム陽性細菌は、黄色ブドウ球菌および炭疽菌である。グラム陰性細菌が肺炎の原因となることはあまり多くない。インフルエンザ菌、肺炎桿菌、大腸菌、緑膿菌、百日咳菌、およびモラキセラ・カタラリス菌が、肺炎の原因となる最も一般的なグラム陰性細菌である。細菌性肺炎が、Q熱リケッチア、クラミジア肺炎、および在郷軍人病菌などの非定型細菌によって起こることもある。
本明細書中の細菌性肺炎は、マイコプラズマ肺炎菌以外の細菌に起因する肺炎を意味する。
マイコプラズマ肺炎はマイコプラズマ肺炎菌に起因するタイプの肺炎である。マイコプラズマ肺炎菌は呼吸器飛沫感染によって広がる。宿主生物の粘膜に付着したマイコプラズマ肺炎菌は、栄養分を取り込んで増殖し、二分裂によって繁殖する。接着部位としては上気道および下気道が挙げられ、咽頭炎、気管支炎、および肺炎を惹起する。この細菌に起因する感染は非定型肺炎とよばれることもあり、その理由としては、長引く経過、痰産生の欠如、および肺外症状に富むことなどが挙げられる。マイコプラズマ肺炎は、スティーブンス・ジョンソン症候群、自己免疫性溶血性貧血、心臓血管疾患、脳炎、またはギランバレー症候群を合併することがある。
一つの実施態様においては、呼吸器感染を分類することは、身体試料中のTK1物質について測定されたレベルが閾値を超える場合には、呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎として分類し、そうでなければ呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎として分類することを含む。
該方法で用いる閾値は、典型的には身体試料中のTK1を測定する方法に依存する(測定に用いる特定の単一の抗TK1抗体または複数の抗体によるなど)。該閾値は、実施例の節に開示のような方法で決定することができ、マイコプラズマ肺炎と診断された患者から採取した身体試料中のTK1のレベルを測定する、および任意に、健常被験者および/またはウイルス性肺炎またはマイコプラズマ肺炎以外の細菌性肺炎と診断された患者から採取した身体試料中のTK1のレベルを測定する。このような測定から、該閾値を決定することができるであろう。例えば、図1および図2は、TK1の酵素免疫測定法(ELISA)(AroCell TK 210 ELISA)を用いて測定した、健康なボランティアおよび異なる患者群における血清TK1(STK1)物質について測定されたレベルを示している。そのような場合においては、好適な閾値を0.5から1.0μg/Lまでの範囲(0.6から1.0μg/Lまでなど、好ましくは0.7から0.9μg/Lまで(0.7μg/Lまたは0.8μg/Lなど)内で選択することができる。
一つの実施態様においては、該方法はまた、患者から身体試料を取得することをも含む。
該身体試料は、好ましくはTK1物質を含む体液試料である。非限定的であるが、好ましいそのような体液試料の例としては、血清試料、血漿試料、血液試料、滑液試料、リンパ液試料、尿試料および唾液試料、好ましくは血清試料、血漿試料または血液試料、およびより好ましくは血清試料または血漿試料(リチウムヘパリン血漿試料など)が挙げられる。
一つの実施態様においては、TK1物質のレベルを測定することは、採取した患者の血清または血漿試料中のSTK1物質のレベルを、抗TK1抗体またはその断片を用いて測定することを含む。
ヒトのTK1は、特定分子の存在に応じて様々な形態で存在する(例えば、アデノシン三リン酸(ATP)が存在するか非存在であるか;蛋白質濃度に依存して、すなわち、高濃度か低濃度か;蛋白質のタイプに依存して、すなわち、天然TK1であるか組換えTK1であるか;および蛋白質の存在部位に依存して、すなわち、血清中か細胞質中か)。
一般的に、細胞質に存在する組換えヒトTK1の場合には、ATP存在下あるいは高濃度で存在するときには四量体であり、ATP非存在下または低濃度で存在するときには二量体である。細胞質に存在する組換えヒトTK1の四量体型は高いTK1活性を有し、それに対し二量体型ではTK1活性が低い。細胞TK1ともよばれる細胞質中のTK1は、細胞内に存在するTK1であって、そのような細胞から単離することもできる。
対照的に、ヒトSTK1はTK1活性を有する高分子量の複合体(オリゴマーまたはそのようなオリゴマーを含むものなど)の形態、およびTK1活性が非常に低いかTK1活性のない二量体および四量体型の形態で存在することができる。オリゴマー形成は、血液中でのジスルフィド架橋形成が関係していると考えられる。
本明細書中のTK1物質は、様々な形態(二量体、四量体、オリゴマーおよびTK1を含む複合体など)のTK1を指す。TK1物質は、好ましくは血清TK1物質、すなわち、患者の血液、血漿または血清に存在するSTK1物質である。STK1物質は、上記の形態(二量体、四量体、オリゴマーおよびSTK1を含む複合体)のSTK1を含み得る。TK1物質は、少なくとも1つのTK1蛋白質単位ならびに他の分子および/または高分子を含む複合体をも含む。
TK1物質に加えて、少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーを測定する場合には、身体試料またはTK1物質の場合と同じ種類の身体試料中の少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーのレベルを測定することができる。別の一つの実施態様においては、対象に由来する別の身体試料中の該少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーを測定する。例えば、対象の血清試料中の血清TK1物質を測定し、一方で対象の血漿試料中の該少なくともさらに1種類の別のバイオマーカー(HNLなど)を測定してもよい。
少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーのレベルは、当該技術分野で周知の技術(各バイオマーカーに特異的に結合する抗体を用いた免疫アッセイを含む)によって決定することができる。そのような免疫アッセイの具体例としては、ELISAまたは粒子増強免疫比濁法(PETIA)が挙げられるが、それらのみに限定されるものではない。
一つの実施態様においては、TK1物質のレベルを測定することは、身体試料を抗TK1抗体またはその断片に接触させることを含む。本実施形態はまた、TK1物質に結合している抗TK1抗体または断片の量を検出または測定することを含む。
身体試料を抗体またはその断片に接触させることは、抗体またはその断片を身体試料に添加し、身体試料を抗体またはその断片と共にインキュベートすることによって達成してもよい。抗体またはその断片はTK1物質に結合し、抗体またはその断片とTK1物質との間で複合体を形成する。そのような実施形態において、TK1物質に結合した抗体または断片の量を測定することは、抗体またはその断片とTK1物質との間の複合体を測定または定量してTK1物質に結合した抗体または断片の量を測定または定量することであってもよい。
一つの実施態様においては、TK1物質のレベルを測定することは、結合した抗TK1抗体または断片について測定された結合量、ならびに結合した抗TK1抗体または断片について測定された結合量とTK1物質のレベルとの間の標準相関関係をもとに、身体試料中のTK1物質のレベルを決定することを含む。したがって、本実施形態においては、標準相関関係は、結合した抗TK1抗体または断片の量とTK1物質の既定濃度または既定レベル(組換えTK1の既定濃度または既定レベルなど)との間において確立される。次に、組換えTK1の異なる既定濃度について、結合した抗TK1抗体または断片の量をそれぞれ決定して相関関係を明らかにすることによって、そのような標準相関関係を確立することができる。
一つの実施態様においては、該方法は、TK1物質に結合した抗体または断片の量についての測定値をTK1物質のレベルに相関付けることを含む。これは、対照TK1物質に結合した抗体または断片の量についての測定値と対照TK1物質の濃度との間の既定相関関係または標準相関関係を用いることによって、実施してもよい。そのような既定相関関係または標準相関関係を得るときに用いることのできる典型的な対照TK1物質は、組換えヒトTK1である。
したがって、抗体またはその断片を異なる濃度の対照TK1物質(好ましくは、組換えヒトTK1)を含む異なる試料に添加することによって、既定相関関係または標準相関関係を得ることもできる。次に、対照TK1物質(好ましくは組換えヒトTK1)の濃度と対照TK1物質(好ましくは組換えヒトTK1)に結合した抗体または断片の量についての測定量との間の標準曲線、関数または関係を得るために、異なる試料中の対照TK1物質(好ましくは組換えヒトTK1)に結合した抗体または断片の量を測定する。
次に、この既定相関関係または標準相関関係(標準曲線、関数または関係など)を用いて、身体試料中のTK1物質に結合した抗体または断片の量の測定値を身体試料中のTK1物質の濃度にマップする、または変換することができる。
一つの実施態様においては、身体試料を抗体またはその断片と共にインキュベートする前、あるいはインキュベーション中に、該身体試料を処理する。身体試料中の選択したTK1形態を安定化する目的、および/またはより大型のTK1複合体またはオリゴマーをより小さな複合体または多量体に分離する目的で、この試料処理を利用してもよい。
したがって、一つの実施形態においては、抗体またはその断片を身体試料に添加する前に、または添加すると同時に、好ましくは抗体またはその断片を身体試料に添加する前に、試料希釈緩衝液または前処理緩衝液を身体試料に添加する。
一つの実施態様においては、試料希釈緩衝液はATPを含み、好ましくは1.5mMから50mMまでの範囲内で選択される濃度で含む。本明細書中で上記のように、ATPはTK1の四量体型を安定化し、この四量体は高いTK1酵素活性を有する。
別の一つの実施態様においては、該試料希釈緩衝液は還元剤を含む。還元剤はジスルフィド架橋を開裂して、大型のTK1複合体およびオリゴマーをより小型のTK1(四量体など)に分離することができる。ジスルフィド結合を開裂可能な様々の還元剤を実施形態にしたがって用いることができ、このような還元剤としては、ジチオエリトリトール(DTE)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオブチラミン(DTBA)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)(TCEP)、およびその組み合わせが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。還元剤の量は通常、0.1mMから10mMの範囲内から選択される。
一つの実施形態においては、該試料希釈緩衝液はATPおよび還元剤の両方を含んでいてもよい。
一つの実施態様においては、抗TK1抗体は抗TK1モノクローナル抗体である。別の一つの実施態様においては、抗TK1抗体は抗TK1ポリクローナル抗体である。
一つの実施態様においては、抗TK1抗体は、TK1のC末端領域、好ましくはヒトTK1のC末端領域のアミノ酸配列から成るエピトープまたはペプチドに特異性を有する。
該ペプチドは、好ましくはTK1の200番目のアミノ酸から末端、すなわち234番目のアミノ酸までの範囲のTK1の一部分から選択される(配列番号28)。特定の実施態様においては、該ペプチドは205番目のアミノ酸から、好ましくは210番目のアミノ酸から230番目のアミノ酸まで、好ましくは225番目のアミノ酸までの範囲のTK1蛋白質の一部分から選択される。
該ペプチドは、好ましくはNマーであり、ここでNは8から20までの範囲内の整数、好ましくは10から15までの範囲内の整数である。
該ペプチドは好ましくはTK1蛋白質のC末端領域の連続するN個のアミノ酸から成る。
一つの実施態様においては、該ペプチドはアミノ酸配列GEAVAARKLF(配列番号1)から成る。別の一つの実施態様においては、該ペプチドはアミノ酸配列NCPVPGKPGE(配列番号2)から成る。さらなる実施形態においては、該ペプチドはアミノ酸配列PVPGKPGEAV(配列番号3)から成る。さらに別の一つの実施形態においては、該ペプチドはアミノ酸配列NCPVPGKPGEAV(配列番号4)から成る。
GEAVAARKLF(配列番号1)から成るエピトープに特異性を有する抗TK1モノクローナル抗体は:
アミノ酸配列DYEMH(配列番号5)を有する重鎖可変領域(VHドメイン)相補性決定領域1(CDR1);
アミノ酸配列AIHPGYGGTAYNQKKG(配列番号6)を有するVHドメインCDR2;
アミノ酸配列FITKFDY(配列番号7)を有するVHドメインCDR3;
アミノ酸配列KSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号8)を有する軽鎖可変領域(VLドメイン)CDR1;
アミノ酸配列LVSKLDS(配列番号9)を有するVLドメインCDR2;
および
アミノ酸配列WQGTHFPWT(配列番号10)を有するVLドメインCDR3、
を有する。
エピトープNCPVPGKPGE(配列番号2)、エピトープPVPGKPGEAV(配列番号3)およびエピトープNCPVPGKPGEAV(配列番号4)に特異性を有する抗TK1モノクローナル抗体は:
アミノ酸配列DYEMH(配列番号5)を有するVHドメインCDR1;
アミノ酸配列AILPGSGGTAYNQKFKG(配列番号17)を有するVHドメインCDR2;
アミノ酸配列LITTFDY(配列番号18)を有するVHドメインCDR3;
アミノ酸配列KSSQSLLDSDGKTYLN(配列番号19)を有するVLドメインCDR1;
アミノ酸配列LVSKLDS(配列番号9)を有するVLドメインCDR2;
および
アミノ酸配列WQGTHFPWT(配列番号10)を有するVLドメインCDR3、
を有する。
別の一つの実施態様においては、抗TK1抗体はヒトTK1の立体構造依存性エピトープに特異性を有する。そのような立体構造依存性エピトープに特異性を有する抗TK1モノクローナル抗体は:
アミノ酸配列SGYSWH(配列番号11)を有するVHドメインCDR1;
アミノ酸配列YIHYSGSTTYNPSLKG(配列番号12)を有するVHドメインCDR2;
アミノ酸配列WGTGHWYFDV(配列番号13)を有するVHドメインCDR3;
アミノ酸配列RSSTGAVTTTNYAN(配列番号14)を有するVLドメインCDR1;
アミノ酸配列GTNNRVP(配列番号15)を有するVLドメインCDR2;
および
アミノ酸配列ALWYSNHWV(配列番号16)を有するVLドメインCDR3、
を有する。
実施形態にしたがって用いることのできる上記3つの抗TK1モノクローナル抗体の例は、WO2015/094106においてさらに開示される。
したがって、一つの実施形態においては、モノクローナル抗体またはその断片は:
ヒトTK1のGEAVAARKLF(配列番号1)に特異性を有するモノクローナル抗体またはその断片;
ヒトTK1のNCPVPGKPGE(配列番号2)、PVPGKPGEAV(配列番号3)およびNCPVPGKPGEAV(配列番号4)のうちの少なくとも1つに特異性を有するモノクローナル抗体またはその断片;
および
ヒトTK1の立体構造依存性エピトープに特異性を有するモノクローナル抗体またはその断片、
から成る群から選択される。
別の一つの実施態様においては、抗TK1抗体はKPGEAVAARKLFAPQ(配列番号20)から成るエピトープまたはペプチドに特異性を有する。
このエピトープに特異性を有する抗TK1抗体は、WO95/29192においてさらに開示される。
他の分子(担体蛋白質など)との連結に用いる目的で、少なくとも1つの付加的なアミノ酸(システイン残基など)を、ペプチドのN末端またはC末端に、好ましくはN末端に付け加えてもよい。
さらなる実施形態においては、抗TK1抗体は、TK1の活性部位のアミノ酸配列から成るエピトープまたはペプチドに特異性を有する。該ペプチドは、好ましくはヒトTK1の150番目のアミノ酸から190番目のアミノ酸までの範囲のTK1の一部分から選択する。特定の実施態様においては、該ペプチドは155番目のアミノ酸から、好ましくは160番目のアミノ酸から、より好ましくは161番目のアミノ酸から、185番目のアミノ酸まで、好ましくは183番目のアミノ酸までの範囲のTK1の一部分から選択する。
該ペプチドは、好ましくはMマーであり、ここでMは10から40までの範囲内の整数、好ましくは20から30までの範囲内の整数、より好ましくは23または24である。
該ペプチドは、好ましくはTK1蛋白質の活性部位の連続するM個のアミノ酸から成る。
他の分子(担体蛋白質など)との連結に用いる目的で、少なくとも1つの付加的なアミノ酸(システイン残基など)を、ペプチドのN末端またはC末端に、好ましくはN末端に付け加えてもよい。
一つの実施態様においては、TK1の活性部位に由来するアミノ酸配列から成る該ペプチドは、ヒトTK1の161番目のアミノ酸から183番目のアミノ酸に対応するアミノ酸配列、すなわちアミノ酸配列AYTKRLGTEKEVEVIGGADKYHS(配列番号21)を有する。
このエピトープに特異性を有する抗TK1抗体は、WO2008/142664においてさらに開示される。
さらなる実施形態においては、該抗体またはその断片は、WO2019/201901に開示されるようなモノクローナル抗体またはその断片である。
例えば、該モノクローナル抗体は、mAb6C6、mAb4H4またはmAb23C11であり得る。
mAb6C6のVHドメイン(配列番号22):
METGLRWLLLVAVLKGVQCQEQLEESGGDLVKPEGSLTLTCTASRFSFSSSYWICWVRQAPGKGLEWIACIYAGDSGSSYYASWAKGRFTVSKTSSTTVTLQTTSLTAADTATYFCARASVGAAYDYFALWGPGTLVTVSSGQPKAPSVFPLAPCCGDTPSSTVTLGCLVKGYLPEPVTVTWNSG
mAb6C6のVLドメイン(配列番号23):
MDTRAPTQLLGLLLLWLPGARCALVMTQTPASVEAAMGGTVTIKCQASEDVSSHLAWYQQRPGQPPKLLIYGASDLASGVPSRFTGSGSGTQFTLAISDLECADAATYYCQGYYYISDSPYVFGGGTEVVVKGDPVAPTVLIFPPAADQVATGTVTIVCVANKYFPDVTVTWEVDGTTQTTGIENSKTPQNSADCTYNLSSTLTLTSTQYNSHKEYTCKVTQGTTSVVQSFNRGDC
mAb4H4のVHドメイン(配列番号24):
METGLRWLLLVAVLKGVQCQSLEESGGGLVQPEGSLTLTCTASGFSFSSGYDMCWVRQTPGKGLEWIACISVDSDGVTYYASWAKGRFTISKTSSTTVTLQMTSLTAADTATYFCARGYESSSGVYIPYFTLWGPGTLVTVSSGQPKAPSVFPLAPCCGDTPSSTVTLGCLVKGYLPEPVTVTWNSG
mAb4H4のVLドメイン(配列番号25):
MDMRAPTQLLGLLLLWLPGARCADIVLTQTPASVEAAVGGTVTIKCQASQSIYSYLAWYQHKPGQPPKLLIYKASTLASGVPSRFKGSGSGTEYTLTISDLECADAATYYCQHYYYSSTSGGGVFGGGTEVVVKGDPVAPTVLIFPPAADQVATGTVTIVCVANKYFPDVTVTWEVDGTTQTTGIENSKTPQNSADCTYNLSSTLTLTSTQYNSHKEYTCKVTQGTTSVVQSFNRGDC
mAb23C11のVHドメイン(配列番号26):
METGLRWLLLVAVLKGVQCQSLEESGGRLVTPGTPLTLTCTASGFSLSNYYMSWVRQAPGKGLEWIGIIYGDDNTYCANWTKGRFTISKTSTTVDLTITSPTTEDTATYFCARGPDYIAAKMDIWGPGTLVTVSLGQPKAPSVFPLAPCCGDTPSSTVTLGCLVKGYLPEPVTVTWNSG
mAv23C11のVLドメイン(配列番号27):
MDTRAPTQLLGLLLLWLPGARCDVVMTQTPASVEAAVGGTVTIKCQASQSISGYLSWYQQKPGQRPKLLIYRASTLESGVPSRFKGSGSGTEFTLTISDLECADAATYYCQCTYGSSTFSSYGNAFGGGTEVVVKGDPVAPTVLIFPPAADQVATGTVTIVCVANKYFPDVTVTWEVDGTTQTTGIENSKTPQNSADCTYNLSSTLTLTSTQYNSHKEYTCKVTQGTTSVVQSFNRGDC
一つの実施態様においては、キットを用いて身体試料中のTK1物質のレベルを決定する。該キットは、好ましくは支持体に固定化された、または支持体への固定化が意図される第1の抗TK1抗体、あるいはいわゆる捕捉抗TK1抗体、ならびに第2の抗TK1抗体、あるいはいわゆる検出抗TK1抗体を含む。第1および第2の抗TK1抗体は、上記の抗TK1モノクローナル抗体および抗TK1ポリクローナル抗体の具体例から選択することができる。
特定の実施態様においては、該キットは:
(i)ヒトTK1のGEAVAARKLF(配列番号1);
(ii)ヒトTK1のNCPVPGKPGE(配列番号2)、PVPGKPGEAV(配列番号3)およびNCPVPGKPGEAV(配列番号4)のうちの少なくとも1つ;
および
(iii)ヒトTK1の立体構造依存性エピトープ、
から成る群から選択されるエピトープに特異性を有する第1のモノクローナル抗体またはその第1の断片を含む。該キットはまた、
(i)ヒトTK1のGEAVAARKLF(配列番号1);
(ii)ヒトTK1のNCPVPGKPGE(配列番号2)、PVPGKPGEAV(配列番号3)およびNCPVPGKPGEAV(配列番号4)のうちの少なくとも1つ;
および
(iii)ヒトTK1の立体構造依存性エピトープ、
から成る群から選択されるエピトープに特異性を有する第2のモノクローナル抗体またはその第2の断片も含む。
一つの実施態様においては、第1の抗体またはその第1の断片は、支持体に固定化された、または支持体への固定化が意図される、いわゆる捕捉抗体であり、第2の抗体またはその第2断片はいわゆる検出抗体である。別の一つの実施態様においては、第2の抗体またはその第2の断片は、支持体に固定化された、または支持体への固定化が意図される、いわゆる捕捉抗体であり、一方、第1の抗体またはその第1の断片は検出抗体として用いられる。
一つの実施態様においては、該第1および第2の抗TK1抗体はヒトTK1の異なるエピトープに特異性を有する。
別の一つの実施態様においては、該第1および第2の抗TK1抗体はヒトTK1の同じエピトープに特異性を有する。複数のTK1蛋白質単位である高分子量複合体においては同じエピトープが複数箇所存在し得るのでこのようなことが可能である。したがって、該TK1物質は、複数のTK1蛋白質単位、すなわち、少なくとも2つのTK1蛋白質単位の多価複合体であってもよい。
したがって、本明細書中のTK1物質は、TK1蛋白質、複数のTK1蛋白質単位を有する複合体(二量体、三量体、四量体など)を含む。TK1物質は、少なくとも1つのTK1蛋白質単位と他の分子および/または高分子との間の複合体をも含む。
一つの実施態様においては、第1および第2の抗TK1抗体の一方がTK1の活性部位に由来するアミノ酸配列から成るペプチドに特異性を有し、第1および第2の抗TK1抗体の他方がTK1のC末端領域に由来するアミノ酸配列から成るペプチドに特異性を有する。
別の一つの実施態様においては、第1および第2の抗TK1抗体の一方がTK1のC末端領域に由来するアミノ酸配列から成るペプチドに特異性を有し、第1および第2の抗TK1抗体の他方がTK1のC末端領域に由来する該第1のアミノ酸配列またはTK1のC末端領域に由来する第2の異なるアミノ酸配列から成るペプチドに特異性を有する。
さらなる実施形態においては、第1および第2の抗TK1抗体の一方がTK1のC末端領域に由来するアミノ酸配列から成るペプチドに特異性を有し、第1および第2の抗TK1抗体の他方がヒトTK1の立体構造依存性エピトープに特異性を有する。
本明細書中の抗体断片は、一本鎖抗体、Fv断片、scFv 断片、Fab 断片、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fd 断片、単一ドメイン抗体(sdAb)、scFv-Fc断片、di-scFv断片およびCDR領域から成る群から選択することができる。
該抗体またはその断片はTK1物質に特異的に結合し、また特にTK1蛋白質に特異的に結合する。
抗体の特異性は、親和性(affinity)および/または親和性(avidity)にもとづいて決定することができる。抗原と抗体の解離の平衡定数(K)によって表される親和性(affinity)は、抗原決定基と抗体の抗原結合部位との間の結合強度の尺度である。K値が小さくなるにしたがい、抗原決定基と抗体との間の結合強度は強くなる。あるいは、親和性(affinity)は親和性定数(K)によって表すこともでき、これは1/Kである。当業者にとっては自明のことであるが、親和性(affinity)は、目的の特定抗原に応じて本質的に公知の方法で決定することができる。
親和性(avidity)は抗体と関連抗原との間の結合強度の尺度である。親和性(avidity)は、抗原決定基とそれに対する抗体の抗原結合部位との間の親和性(affinity)および抗体に存在する関連結合部位の数の両方に関連する。
通常、10-5から10-12モル/リッター(M)の解離定数(K)あるいはそれより小さい解離定数(K)、好ましくは10-7から10-12Mの解離定数(K)あるいはそれより小さい解離定数(K)、より好ましくは10-8から10-12Mの解離定数(K)、すなわち10から1012-1の結合定数(K)あるいはそれより大きい結合定数(K)、好ましくは10から1012-1の結合定数(K)あるいはそれより大きい結合定数(K)、より好ましくは10から1012-1の結合定数(K)で、抗体が抗原に結合する。
一般的に、K値が10-4Mより大きい(またはK値が10-1より小さい)場合には、非特異結合を示すと考えられる。
好ましくは、該実施形態の抗TK1抗体または断片は、500nM未満の親和性(affinity)、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(5nM未満など)の親和性(affinity)で血清型のヒトTK1に結合する。
抗体またはその断片の抗原または抗原決定基に対する特異的結合は、本質的に公知のいずれかの好適な方法で決定することができ、そのような方法としては、例えば、スキャッチャード分析および/または競合結合アッセイ(放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)およびサンドイッチ競争アッセイなど)、および当該技術分野で本質的に公知の変法が挙げられる。
一つの実施態様においては、該キットはサンドイッチアッセイキットである。特定の実施態様においては、該キットはELISAキットであり、好ましくはサンドイッチELISAである。
下記の説明においては、該第1の抗TK1抗体または第1の断片を捕捉抗体とし、第2の抗Tk1抗体または第2の断片は検出抗体として作用するものと仮定する。しかし、該実施形態はこれらのみに限定されるものではなく、捕捉抗体と検出抗体を交換することもできる。
いわゆる捕捉抗体としての第1の抗TK1抗体が結合している支持体(固体支持体など)の表面を準備することによって、サンドイッチELISAを生物学的試料中のTK1蛋白質の検出に用いることができる。一つの好ましい実施形態においては、既知量の第1の抗TK1抗体が支持体表面に結合している。表面の非特異結合部位は、任意ではあるが、ブロックすることが好ましい。次に、生物学的試料を表面に添加すると、その試料中に存在するTK1蛋白質が固定化された第1の抗TK1抗体によって捕捉される。結合していない物質を、好ましくは単回もしくは複数回の洗浄工程によって除去する。次に、通常は検出抗体とよばれる第2の抗TK1抗体を添加し、第1の抗TK1抗体によって捕捉されたTK1蛋白質に結合させる。
次に、結合した第2抗TK1抗体の量を、直接または間接的検出法によって測定する。例えば、標識または酵素を直接的に、あるいはリンク(ビオチン-ストレプトアビジンまたはビオチン-アビジン結合など)によって間接的に第2の抗TK1抗体に付加することができる。あるいは、標識されている、または酵素に連結されている二次抗体であって、第2の抗TK1抗体に特異的に結合する二次抗体を用いてもよい。
したがって、一つの実施形態においては、該第2の抗TK1抗体は共有結合のビオチンを有する。あるいは、該第2の抗TK1抗体は共有結合のストレプトアビジンまたはアビジンを有する。
該キットはまた、好ましくは西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ストレプトアビジンまたはHRP標識アビジンを含む。あるいは、該キットはまたHRP標識ビオチンを含む。該キットはまた、HRP基質(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)基質、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)基質または2,2’-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)基質など)を含む。このような場合、試料中のTK1蛋白質のレベルは、HRPによる発色基質の検出可能な有色生成物への変換を検出する分光光法によって決定することができる。
一つの実施態様においては、該キットはまた、第1の抗TK1抗体が固定化されている、または固定化が意図される支持体としてのマイクロタイタープレート(MCP)を含む。
該実施形態にしたがって用いることのできる好適なELISAキットは、AroCell AB(Uppsala、Sweden)が生産するAroCell TK 210 ELISAである。
該キットは必ずしもELISAキットである必要はない。別の一つの実施態様においては、該キットは親和性クロマトグラフィーを利用し、ここで該第1の抗TK1抗体は固定相(カラム内のゲルマトリックスまたはビーズなど)に結合している。例えば、該ゲルマトリックスまたはビーズはアガロース(SEPHAROSE(登録商標)など)で作られていてもよい。
そのような場合、生物学的試料中のTK1蛋白質は固定化された第1の抗TK1抗体への結合によってカラムに捕捉される。洗浄後、結合したTK1蛋白質を溶出し、第2の抗TK1抗体を用いて検出することができる。例えば、直接または間接的検出法によるTK1検出のための第2の抗TK1抗体を用いたウェスタンブロッティングによって、溶出TK1蛋白質の量を決定することができる。
あるいは、該支持体は磁気ビーズ(DYNABEADS(登録商標)磁気ビーズなど)であってもよい。
該キットは、必ずしも2種類の抗TK1抗体を含む必要はなく、代わりに単一種類の抗TK1抗体のみを含むものであってもよい。
さらに、該キットは必ずしもいわゆる抗TK1捕捉抗体を含む必要はない。対照的に、複数の、すなわち少なくとも2種類の異なる抗TK1抗体を、該抗TK1抗体のうちの少なくとも1つを固定化することなく用いて、TK1物質のレベルを決定することもできる。
一つの実施態様においては、患者はヒト患者、好ましくは成人の患者である。
一つの実施態様においては、該方法はまた、患者の身体試料中のTK1物質について測定されたレベルにもとづいて予測された可能性、あるいは該レベルにもとづいて得られた診断または分類を基準にして患者の治療を選択することをも含む。
したがって、身体試料中のTK1物質について測定されたレベルを基準に、それによって患者の呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌に起因すると予想されるか否か、すなわち患者がマイコプラズマ肺炎に罹患している可能性が高いか否か、あるいはウイルスまたは他の細菌に起因する可能性が高いか、すなわち、あるいは患者がウイルス性肺炎またはマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎に罹患している可能性が高いか否かにもとづいて、患者にとって最適なまたは少なくとも好適な治療が選択される。このことが意味するのは、患者の測定されたTK1物質のレベルが高くマイコプラズマ肺炎に罹患していると予想される場合には、マイコプラズマ肺炎菌感染に適合する治療を受けられるようにそのような患者を選択し、一方、患者のTK1物質のレベルが比較的低い場合には、ウイルスまたは他の細菌感染に適合する治療を受けられるようにそのような患者を選択することが可能だということである。マイコプラズマ肺炎に適合する治療の例としては、リボソーム複合体中の細菌rRNAを標的とする抗生物質(マクロライド類、テトラサイクリン、ケトライド系薬剤、およびフルオロキノロンを含む)が挙げられる。マイコプラズマ肺炎菌感染を撲滅することの難しさは、マイコプラズマ肺炎菌の個体中で存続し続ける能力と細胞壁の欠失(感染治療において細菌の細胞壁を標的とする複数の抗生物質を無効化する)が原因である。したがって、マイコプラズマ肺炎菌は、抗菌剤(β-ラクタム、糖ペプチド、スルホンアミド類、トリメトプリム、ポリミキシン類、ナリジク酸、およびリファンピンなど)に抵抗性を示す。
本明細書中の前記のように、該実施形態にしたがうTK1蛋白質測定は、マイコプラズマ肺炎菌に関する少なくとも1種類の別のバイオマーカー(CRP、PCT、カルプロテクチンおよびB-HNLおよび/またはP-HNLが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない)と組み合わせることができる。したがって、該方法は、対象から取得した身体試料におけるCRP、PCT、カルプロテクチンおよび/またはB-HNLおよび/またはP-HNLのレベルを決定する少なくともさらに1つの別の工程を含んでもよい。そのような実施形態においては、可能性を推定することは、TK1物質について測定されたレベルおよびCRP、PCT、カルプロテクチンおよび/またはB-HNLおよび/またはP-HNLについて測定されたレベルにもとづいて呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎である可能性を推定することを含む。これに対応して、対象を診断することは、そのような実施形態において、TK1物質について測定されたレベルおよびCRP、PCT、カルプロテクチンおよび/またはB-HNLおよび/またはP-HNLについて測定されたレベルにもとづいて、マイコプラズマ肺炎を有する対象を診断することを含む。
実施例
実施例1
AroCell AB(Uppsala、Sweden)が生産したサンドイッチAroCell TK 210 ELISAをTK1活性アッセイの代替法として用いた。本ELISAは、試料、ビオチン標識抗TK1モノクローナル抗体、ストレプトアビジン標識酵素複合体および基質を、もう一つの別の抗TK1モノクローナル抗体をコーティングしたマイクロタイターウェルに逐次添加することを基礎とする定量的酵素免疫アッセイである[4]。
本研究の目的は、急性感染、より具体的には、マイコプラズマ肺炎菌による下気道感染は、その他のウイルスおよび細菌感染に起因する下気道感染と比較して、血清TK1蛋白質濃度を変化させるか否かを調べることであった。本研究における試験対象患者基準は、発熱が>38℃であること、ならびに急性感染の兆候および症状の存在であった。一つの対照群は非感染であることが明らかである144名の健常対象であり、第2の対照群は臨床診断で細菌感染とされた98名の患者であった。下気道感染は、肺のX線検査ならびにCRP、白血球数、および一部の症例では、微生物学的検査結果によって確認した。肺炎群において、胸部X線検査が陽性であることによって診断を確認し、下気道試料のマイコプラズマ肺炎菌に関するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が陽性であることによってさらに確認した[5]。
健常被験者、ならびに急性ウイルス感染および細菌に起因する下気道感染に罹患した対象のそれぞれと比較して、急性マイコプラズマ肺炎菌感染の患者では、血清中のTK1蛋白質レベルが有意に増加していることを、本結果は明確に示した。したがって、マイコプラズマ肺炎菌感染の診断は困難であるが、TK1蛋白質測定をバイオマーカーとして利用するのが有益であり、CRPおよびB-HNLなどの他のバイオマーカーを補完する、あるいは代替するものであることを、これらの結果は示した。
材料と方法
異なる種類の感染の患者と診断
急性感染の症状を有する162人の患者について、感染原因が細菌である(n=98)またはウイルス(n=64)である、いずれかの臨床根拠にもとづいて判断し臨床診断が下された。細菌感染の臨床診断が下された98人の患者は、55人の女性(年齢の中央値が37歳;18から84歳までの範囲)および43人の男性(年齢の中央値が48歳;20から90歳までの範囲)から成る。
試験対象患者基準は、少なくとも38℃の発熱ならびに急性呼吸器感染の兆候および症状の存在であった。評価者(adjudicator)に与えられた情報は、臨床所見に加え、CRP、白血球数、X線所見、および一部の症例では微生物学的検査結果であった。この情報にもとづき、患者は感染因子として細菌またはウイルスのいずれかを有するものと判断され、すなわち、感染しているとの臨床診断が下された。下気道感染は肺のX線検査によって確認した。除外基準は既知の慢性ウイルス感染(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染など)であった。
AroCell TK 210 ELISA法
血清試料中のTK1蛋白質レベルの測定は、AroCell TK 210 ELISAを用いて製造元の説明書にしたがい実施した[4、6]。簡単に説明すると、試料希釈緩衝液(SDB)を用いて血清試料、校正物質および対照を、室温で1時間、前恒温静置した。インキュベートした血清試料、校正物質および対照を添加する前に、予め抗体をコーティングしたプレートを洗浄緩衝液で洗浄した。振盪台上でインキュベーションを2時間行った後、プレートを洗浄緩衝液で4回洗浄した。次に、ビオチン化抗TK1抗体を加え、プレートを振盪台上で1時間インキュベートした。再度洗浄工程を行った後に、酵素標識ストレプトアビジンを添加して、プレートを30分間インキュベートした。最終洗浄の後に、基質溶液を添加し、分光光度計を用いて450nmの波長で色強度を測定した。校正物質を標準として用い、およびSDBをブランクとして用いて、4-PL曲線フィットプログラムにより血清試料中の血清TK1蛋白質のレベルを算出した。各試料は二重化して分析し、その平均値をμg/Lで表した。
統計学的方法
データは中央値および四分位範囲として表した。群間比較は、独立した群に関するノンパラメトリック・マン-ホイットニー検定により実施した。バイオマーカーアッセイの臨床性能を推定するために、受信者操作特性(ROC)分析を実施し、曲線下領域(AUC)の比較をc-統計により分析した。
統計計算には、MedCalc統計ソフトウェア、バージョン16.4.3(MedCalcソフトウェアbvba、Ostend、Belgium[https://www.medcalc.org];2016)を用いた。
結果
図1は、健常被験者ならびに細菌、ウイルスまたはマイコプラズマ肺炎菌感染に罹患した患者におけるTK1蛋白質濃度を示す。健常群および患者群の間の一対比較では、P値<0.0001で有意差が認められた。患者群を細菌またはマイコプラズマ肺炎菌に起因する上気道感染の患者に限定した場合にも、なお群間差異は健常および細菌に起因する肺炎の両方に対して非常に有意であった(図2を参照のこと)。
マイコプラズマ肺炎菌患者群を健常対照と区別することにおけるTK1バイオマーカーの潜在的な臨床性能を推定するために、ROC曲線分析を実施した(図3を参照のこと)。曲線下領域(AUC)値は0.98であり、感度および特異性はそれぞれ95%および94%であった。
あるいは、マイコプラズマ肺炎菌群を急性細菌感染の患者と比較した場合には、AUC値は0.84であり、感度および特異性はそれぞれ64%および90%であった(図4を参照のこと)。
図5は、ウイルス性因子に起因する急性感染の患者と比較したマイコプラズマ肺炎菌群のROC曲線解析を示す。この実験において、AUC値は0.77であり、感度は68%および特異性は81%であった。あるいは、マイコプラズマ肺炎菌群を下気道細菌感染の患者と比較した場合には、AUC値は0.81であり、感度および特異性はそれぞれ91%および68%であった(図6を参照のこと)。
CRPおよびプロカルシトニン(PCT)ならびに血中好中球数は、細菌感染患者におけるバイオマーカーとして用いられている。図7に示すROC曲線分析では、これらのバイオマーカーをTK1と比較している。細菌感染とマイコプラズマ肺炎菌感染を区別することに関してTK1は他のバイオマーカーよりも優れており、その有意差はP値<0.02から<0.0002であることを、これらの結果は明確に示している。
マイコプラズマ肺炎菌感染において血清TK1が上方制御される機序は不明である。マイコプラズマ肺炎菌は無壁細菌であり、そのためリポ多糖抗原を欠いている。したがって、他のほとんどの細菌とは機序が異なる。マイコプラズマ肺炎菌は宿主細胞からのATP流出を誘導し、これによりP2X7受容体を介したインフラマソームの活性化が可能であり、その後にIL-1β分泌が起きることが、実証されている。マイコプラズマ肺炎菌の宿主細胞への細胞接着は炎症反応誘導に強く相関することも、他の研究から分かっている。このように、マイコプラズマ肺炎菌が、他の細菌とは異なる宿主応答機序を誘導する証拠が存在する。
他の感染原因(ウイルスまたは細菌性因子など)からマイコプラズマ肺炎菌感染を区別することにおいて、血清中TK1蛋白質測定は高感度な血中バイオマーカーとして機能することを、図1~図7の結果は強く示唆している。TK1は、バイオマーカーとしてCRP、PCTおよび好中球数よりも明らかに優れていた。したがって、TK1濃度をもバイオマーカーとして利用するならば、特に下気道感染性疾患の場合には、一次医療を求めている大勢の患者のインビトロ診断を大幅に改善するであろう。
実施例2
細菌、マイコプラズマまたはウイルスに関する急性感染の正確な診断は臨床的課題であり、治療上の決定に大きな影響を与える。現在用いられている気道のマイコプラズマ肺炎菌感染の診断検査(PCR検査および血清学検査など)は、やや信頼性が低いまたは迅速性が劣るものであり、正確かつ迅速な診断の臨床ニーズには必ずしも合致していない。本実施例の目的は、一連の候補バイオマーカーを調べ、細菌またはウイルスのいずれかに起因する呼吸器感染からマイコプラズマ肺炎菌呼吸器感染を区別する性能についてそれらを評価することである。
材料と方法
本研究の対象となる群は、平均年齢が43.6±12.8歳の144人の健常対照(57人の男性(41.3±12.7歳)および87人の女性(45.0±12.8歳)から成る)、および急性呼吸器感染の病因が確認されている156人の患者から成る。試験対象患者基準は、発熱が>38℃であること、ならびに急性呼吸器感染の兆候および症状が存在することであった。客観的な微生物学的/血清学的検査によって感染原因の臨床診断を補完した。抗生物質治療前に血液を採取した。本研究はウプサラ倫理委員会で承認されたものである。
これらの156人の患者のうち:86人が細菌感染(男性n=41(54歳、四分位範囲41~71歳)および女性n=45(43歳、四分位範囲29~66歳);42人がウイルス感染(男性n=23(49歳、四分位範囲39~73歳)および女性n=19(40歳、四分位範囲25~57歳));および28人がマイコプラズマ肺炎菌感染(男性n=14(42.5歳、四分位範囲34~61歳)および女性n=14(36.5歳、四分位範囲22~44歳))であった。マイコプラズマ感染の推定期間は168時間(中央値)および130~196時間(四分位範囲)である。
バイオマーカーアッセイ
HNL分子二量体(以降、P-HNL二量体とよぶ)を特異的捕捉するHNLアッセイを用いて、EDTA-血漿(Diagnostics Development、Uppsala、Sweden)中のHNLを測定した。EDTA-血漿中のカルプロテクチン(Gentian AS、Norway)を測定した。血清中のPCT(Thermo Fisher Scientific Frederick、MD、USA)およびTK1(AroCell AB、Uppsala、Sweden)を測定した。バイオマーカーはいずれも、用いた製造元の説明書にしたがって測定した。全てのアッセイについて、二重試料における不確定度は4~10%CVの範囲内であった。
統計
図に示されるように、データは中央値および四分位範囲または全範囲として表した。群間比較は、独立した群に関するノンパラメトリック・マン-ホイットニー検定またはクラスカル・ワリスANOVAにより実施した。受信者操作特性(ROC)分析によってバイオマーカーアッセイの臨床性能を推定した。バイオマーカーの組み合わせの診断性能をROC曲線の曲線下領域(AuROC)で表し、ロジスティック回帰分析によって算出した。統計計算には、MedCalc統計ソフトウェア、バージョン19.1.5(MedCalcソフトウェアbvba、Ostend、Belgium;http://www.medcalc.org;2020)を用いた。
結果
図9Aおよび図9Bは、マイコプラズマ肺炎菌または細菌に起因する急性呼吸器感染の患者における、血漿/血清中のTK1およびHNL二量体の分布を示している。健常被験者の所見と比較して、マイコプラズマ肺炎菌感染の患者では、S-TK1が有意に上昇した。細菌感染と比較して、マイコプラズマ肺炎菌感染では、S-TK1濃度(p<0.001)が上昇し、P-HNL二量体の濃度(p<0.001)は有意に低かった。
マイコプラズマ肺炎菌呼吸器感染と細菌に起因する呼吸器感染の間の差異をROC曲線分析によって推定した。図8に示されるように、すべてのバイオマーカーが有意な差異を示した。AUCに関して、P-HNL二量体およびS-TK1がそれぞれ0.82および0.79と、際立っていた。
上記の結果にもとづいて、選択したバイオマーカー間の比を算出した。マイコプラズマ肺炎菌感染と細菌性呼吸器感染との間の区別に関しては、血清および血漿中のTK1およびHNL二量体の各結果間の比をとることによって、AUCが増加し、これらのバイオマーカーのそれぞれを超えて0.95となった。
細菌に起因する肺炎と区別したマイコプラズマ肺炎の臨床診断は課題であり、現状では臨床徴候および症状、PCR診断および血清学に頼っている。軽度マイコプラズマ肺炎も重篤な疾患へと進行することがあり、それが早期発見および早期治療が重要な理由である。本実施例においては、選択された異なる血中バイオマーカーに関する結果が、細菌に起因する下気道感染からマイコプラズマ肺炎を区別する性能と共に示される。細菌感染に対する区別に関して、TK1および二量体型HNLは特に関心が寄せられる。マイコプラズマ肺炎菌感染ではTK1濃度が増加し、このことは診断性能の向上につながる。これについては対照的に、HNL二量体では細菌感染と比較してマイコプラズマ肺炎菌で低かった。しかし、ロジスティック回帰分析では、両バイオマーカーによって有意な診断性能の向上がみられ、非常に高いAUC値(0.95)を与え、患者分類の正確度は88%となった。TK1およびP-HNL二量体間の比は、マイコプラズマ肺炎菌と細菌感染間の区別に関して優れた診断比でありロジスティック回帰の結果と合致すると考えられる。
上記の実施形態は、本発明のいくつかの具体例であると理解されるべきである。本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変形、組み合わせ、および変更が実施形態に対して行われてもよいことは、当業者であれば理解するであろう。特に、異なる実施形態における異なる部分の解決策は、技術的に可能な場合には他の構成で組み合わせ可能である。

参考文献
[1]Gronowitz et al., Application of an in vitro assay for serum thymidine kinase: results on viral disease and malignancies in humans. Int J Cancer. 1984, 33:5-12
[2]Svobodova et al., Prognostic importance of Thymidine kinase in colorectal and breast cancer. Anticancer Research 2007, 27:1907-1910
[3]Topolcan & Holubec, The role of thymidine kinase in cancer disease. Expert Opin Med. Diagn. 2008, 2:129-141
[4]Kumar et al., A clinical evaluation of the TK 210 ELISA in sera from breast cancer patients demonstrates high sensitivity and specificity in all stages of disease. Tumour Biol 2016, 37:11937-11945
[5]Venge et al., Human Neutrophil Lipocalin as a Superior Diagnostic Means To Distinguish between Acute Bacterial and Viral Infections. Clin Vaccine Immunol. 2015, 22:1025-1032
[6]AroCell TK 210 ELISA, Thymidine Kinase 1 (TK1), Enzyme Linked Immuno Sorbet assay, Instructions for Use, 31-11TF710B1-04 issued date 2017-05-19, www.e-labeling.eu/ARO1001-15-4

Claims (28)

  1. 呼吸器感染に罹患している対象において、マイコプラズマ肺炎が存在することを予測する方法であって、ここで該方法が:
    対象から取得した身体試料中のチミジンキナーゼ1(TK1)物質のレベルを、抗TK1抗体またはその断片を用いて測定すること;
    および
    該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルにもとづいて、呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎である可能性を推定すること、
    を含む方法。
  2. 請求項1の方法であって、該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルを閾値と比較することをさらに含み、ここで可能性を推定することは、該比較にしたがって呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎である可能性を推定することを含む、方法。
  3. 請求項2の方法であって、ここで可能性を推定することは、該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルが閾値を超える場合に、呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎である可能性が高いことを推定し、そうでなければ呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎である可能性が低いことを推定することを含む、方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の方法であって、該方法が該身体試料または対象から取得した別の身体試料における少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーのレベルを測定することをさらに含み、
    ここで該少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーがC反応性蛋白質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、カルプロテクチンおよびヒト好中球リポカリン(HNL)から成る群から選択され、好ましくはCRP、PCTおよびHNLから成る群から選択され、またより好ましくはHNLであり、
    ここで可能性を推定することが、該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルをもとに、および該身体試料または別の身体試料における少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーについて測定されたレベルをもとに、呼吸器感染がマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎である可能性を含む、方法。
  5. 対象においてマイコプラズマ肺炎を診断する方法であって、該方法が:
    対象から取得した身体試料中のチミジンキナーゼ1(TK1)物質のレベルを、抗TK1抗体またはその断片を用いて測定すること;
    および
    該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルをもとに対象がマイコプラズマ肺炎に罹患していると診断すること、
    を含む、方法。
  6. 請求項5の方法であって、該方法が該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルを閾値と比較することをさらに含み、ここで対象を診断することが、該比較にもとづいて対象がマイコプラズマ肺炎に罹患していると診断することを含む、方法。
  7. 請求項6の方法であって、ここで対象を診断することが、該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルが閾値を超えた場合に、対象がマイコプラズマ肺炎に罹患していると診断することを含む、方法。
  8. 請求項5~7のいずれか1項に記載の方法であって、該方法が該身体試料または対象から取得した別の身体試料において、少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーのレベルを測定することをさらに含み、
    ここで該少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーがC反応性蛋白質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、カルプロテクチンおよびヒト好中球リポカリン(HNL)から成る群から選択され、好ましくはCRP、PCTおよびHNLから成る群から選択され、より好ましくはHNLであり、
    ここで対象を診断することが、該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルをもとに、および該身体試料または別の身体試料における少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーについて測定されたレベルをもとに、対象がマイコプラズマ肺炎に罹患していると診断することを含む、方法。
  9. 対象の呼吸器感染を分類する方法であって、該方法が:
    対象から取得した身体試料中のチミジンキナーゼ1(TK1)物質のレベルを、抗TK1抗体またはその断片を用いて測定すること;
    該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルにもとづいて、呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎として分類すること、あるいは呼吸器感染がウイルスに起因するウイルス性肺炎またはマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎として分類すること、
    を含む、方法。
  10. 請求項9の方法であって、該方法が該身体試料または対象から取得した別の身体試料において、少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーのレベルを測定することをさらに含み、
    ここで該少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーがC反応性蛋白質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、カルプロテクチンおよびヒト好中球リポカリン(HNL)から成る群から選択され、好ましくはCRP、PCTおよびHNLから成る群から選択され、より好ましくはHNLであり、
    ここで呼吸器感染を分類することが、該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルをもとに、および該身体試料または別の身体試料における少なくともさらに1種類の別のバイオマーカーについて測定されたレベルをもとに、呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎として分類する、もしくは呼吸器感染をウイルスに起因するウイルス性肺炎またはマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎として分類することを含む、方法。
  11. 請求項9または10の方法であって、該方法が:
    該身体試料または対象から取得した別の身体試料におけるヒト好中球リポカリン(HNL)のレベルを測定すること;
    および
    該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルと該身体試料中または別の身体試料中のHNLについて測定されたレベルの間の商を算出すること、
    をさらに含み、
    ここで呼吸器感染を分類することが、該商が閾値を超える場合に呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎として分類し、そうでなければ呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎として分類することを含む、方法。
  12. 対象における呼吸器感染を分類する方法であって、該方法が:
    対象から取得した身体試料中のチミジンキナーゼ1(TK1)物質のレベルを、抗TK1抗体またはその断片を用いて測定すること;
    該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルが閾値を超える場合に、呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎として分類し、そうでなければ呼吸器感染をウイルスに起因するウイルス性肺炎またはマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎として分類することを含む、方法。
  13. 請求項12の方法であって、ここで呼吸器感染を分類することが、該身体試料中のTK1物質について測定されたレベルが閾値を超えた場合に呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌に起因するマイコプラズマ肺炎として分類し、そうでなければ呼吸器感染をマイコプラズマ肺炎菌以外の細菌を原因とする細菌性肺炎として分類することを含む、方法。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の方法であって、該方法が対象から身体試料を取得することをさらに含む、方法。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該身体試料がTK1物質を含む体液試料であって、該体液試料が好ましくは血清試料、血漿試料および血液試料から成る群から選択される、方法。
  16. 請求項15の方法であって、ここでTK1物質のレベルを測定することが、対象から得られた血清または血漿試料中の血清TK1(STK1)物質のレベルを、抗TK1抗体またはその断片を用いて測定することを含む、方法。
  17. 請求項1~16のいずれか1項に記載の方法であって、ここでTK1物質のレベルを測定することが:
    該身体試料を抗TK1抗体またはその断片に接触させること;
    および
    TK1物質に結合した抗TK1抗体または断片の量を測定すること、
    を含む、方法。
  18. 請求項17の方法であって、ここでTK1物質のレベルを測定することが、結合した抗TK1抗体または断片について測定された結合量、および結合した抗TK1抗体または断片について測定された結合量とTK1物質のレベルとの間の標準相関関係をもとに、該身体試料中のTK1物質のレベルを決定することを含む、方法。
  19. 請求項1~18のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該抗TK1抗体が抗TK1モノクローナル抗体である、方法。
  20. 請求項1~19のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該抗TK1抗体がTK1のC末端領域に由来するアミノ酸配列から成るエピトープに特異性を有し、該アミノ酸配列が好ましくはTK1の200番目のアミノ酸から234番目のアミノ酸までの範囲のTK1の一部分、より好ましくはTK1の205番目のアミノ酸から230番目のアミノ酸までの範囲のTK1の一部分、およびさらに一層好ましくはTK1の210番目のアミノ酸から225番目のアミノ酸までの範囲のTK1の一部分から選択される、方法。
  21. 請求項20の方法であって、ここで該エピトープがNマーであり、ここでNは8から20までの範囲内の整数、好ましくは10から15までの範囲内の整数である、方法。
  22. 請求項20または21の方法であって、ここで該エピトープが、GEAVAARKLF(配列番号1)、NCPVPGKPGE(配列番号2)、PVPGKPGEAV(配列番号3)、および NCPVPGKPGEAV(配列番号4)から成る群から選択される、方法。
  23. 請求項20~22のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該抗TK1抗体が、GEAVAARKLF(配列番号1)から成るエピトープに特異性を有する抗TK1モノクローナル抗体であって、該モノクローナル抗体が:
    アミノ酸配列DYEMH(配列番号5)を有する重鎖可変領域(VHドメイン)相補性決定領域1(CDR1);
    アミノ酸配列AIHPGYGGAYNQKFKG(配列番号6)を有するVHドメインCDR2;
    アミノ酸配列FITKFDY(配列番号7)を有するVHドメインCDR3;
    アミノ酸配列KSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号8)を有する軽鎖可変領域(VLドメイン)CDR1;
    アミノ酸配列LVSKLDS(配列番号9)を有するVLドメインCDR2;
    および
    アミノ酸配列WQGTHFPWT(配列番号10)を有するVLドメインCDR3、
    を有する、方法。
  24. 請求項20~22のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該抗TK1抗体がエピトープNCPVPGKPGE(配列番号2)、エピトープPVPGKPGEAV(配列番号3)、およびエピトープNCPVPGKPGEAV(配列番号4)に特異性を有する抗TK1モノクローナル抗体であって、該モノクローナル抗体が:
    アミノ酸配列DYEMH(配列番号5)を有する重鎖可変領域(VHドメイン)相補性決定領域1(CDR1);
    アミノ酸配列AILPGSGGTAYNQKFKG(配列番号17)を有するVHドメインCDR2;
    アミノ酸配列LITTFDY(配列番号18)を有するVHドメインCDR3;
    アミノ酸配列KSSQSLLDSDGKTYLN(配列番号19)を有する軽鎖可変領域(VLドメイン)CDR1;
    アミノ酸配列LVSKLDS(配列番号9)を有するVLドメインCDR2;
    および
    アミノ酸配列WQGTHFPWT(配列番号10)を有するVLドメインCDR3、
    を有する、方法。
  25. 請求項1~24のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該抗TK1抗体がTK1の立体構造依存性エピトープに特異性を有する抗TK1モノクローナル抗体であって、該モノクローナル抗体が:
    アミノ酸配列SGYSWH(配列番号11)を有する重鎖可変領域(VHドメイン)相補性決定領域1(CDR1);
    アミノ酸配列YIHYSGSTTYNPSLKG(配列番号12)を有するVHドメインCDR2;
    アミノ酸配列WGTGHWYFDV(配列番号13)を有するVHドメインCDR3;
    アミノ酸配列RSSTGAVTTTNYAN(配列番号14)を有する軽鎖可変領域(VLドメイン)CDR1;
    アミノ酸配列GTNNRVP(配列番号15)を有するVLドメインCDR2;
    および
    アミノ酸配列ALWYSNHWV(配列番号16)を有するVLドメインCDR3 、
    を有する、方法。
  26. 請求項1~25のいずれか1項に記載の方法であって、ここでTK1物質のレベルを測定することが、対象から取得された身体試料中のTK1物質のレベルを:
    支持体に固定化された、または支持体への固定化が意図される第1の抗TK1抗体;
    および
    第2の抗TK1抗体、
    を含む、
    キットを用いて測定することを含み、
    ここで該第1および第2の抗TK1抗体が好ましくは請求項17~19のいずれか1項に記載の抗TK1モノクローナル抗体のなかから選択される、方法。
  27. 請求項26の方法であって、
    ここで該第1の抗TK1抗体が請求項23または24に記載の抗TK1モノクローナル抗体であり、
    および
    該第2の抗TK1抗体が請求項23または24に記載の抗TK1モノクローナル抗体である、方法。
  28. 請求項26または27の方法であって、ここで該キットが酵素免疫測定法(ELISA)キット、好ましくはサンドイッチELISAキットである、
    方法。
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