JP2022531348A - 鎖分離温度に基づくDNAに対してRNA標的の優先的/選択的増幅のためのdITPの利用 - Google Patents

鎖分離温度に基づくDNAに対してRNA標的の優先的/選択的増幅のためのdITPの利用 Download PDF

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Abstract

生物学的又は非生物学的サンプル中のDNAよりも標的RNAを優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量するための方法が記載される。その方法は、増幅工程、ハイブリダイズ工程、及び検出工程を実施することを含む。さらに、反応混合物は、dITPを含むdNTPを含む。dITPの存在下での、標的RNAの(DNAよりも)優先的及び/又は選択的増幅及び検出及び/又は定量のためのキット、反応混合物及びオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー及びプローブ)も記載される。この方法、キット及び反応混合物は、RNAをDNAよりも優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量するためのものであり、いくつかの異なるタイプの核酸(例えば、DNA及びRNA)を含むサンプルで特に有用である。

Description

本開示は、核酸検出の分野に関する。この分野では、本発明は、サンプル中に存在し得る標的核酸の増幅、検出及び/又は定量に関し、特に、2’-デオキシイノシン5’-三リン酸(dITP)をデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)として、プライマー及びプローブと共に利用する、デオキシリボ核酸(DNA)に対して標的リボ核酸(RNA)の選択的かつ優先的な増幅、検出及び/又は定量に関する。本発明はさらに、dITPと、DNAに対してRNA(例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)RNA)の選択的かつ優先的な増幅及び検出のためのプライマー及びプローブとを含有する反応混合物及びキットを提供する。
多くの生物学的サンプルは、デオキシリボ核酸(DNA)及び/又はリボ核酸(RNA)の両方を含む、いくつかの異なるタイプの核酸を含む。特定の状況では、1種類の核酸のみ(例えば、DNAではなくRNA、又は、RNAではなくDNA)を選択的かつ優先的に検出することが望ましく、又は有利であり得る。例えば、同じ生物学的サンプル中に存在し得る潜在的に干渉するRNAを検出せずに、ゲノムDNAを検出することが望ましく、又は有利であり得る。あるいは、同じ生物学的サンプル中に存在し得るいかなる潜在的に干渉するゲノムDNAも検出せずに、RNAを検出することが望ましく、又は有利であり得る。
生物学的サンプルから望ましくない核酸を選択的かつ優先的に枯渇させるか、又は望ましい核酸を濃縮するための当技術分野で周知の方法がある。増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))において、例えば、生物学的サンプルから望ましくないDNAを枯渇させ、それによってRNAの選択性を改善するための既存の溶液の一例は、PCRサイクリングの前に、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)酵素をサンプル調製材料に添加することである。この場合、DNAse酵素は、サンプル中で、RNAを無傷のままにしながら、DNAのみを選択的かつ優先的に分解する。しかしながら、この方法論には欠点がある。例えば、この方法は、反応にDNaseを導入するリスクをもたらす。さらに、この方法は、残留DNaseによるPCR中のオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー、プローブ及びアンプリコン/増幅産物)の分解を防ぐために、PCRサイクルの前にサンプル中のDNaseを除去する余分な工程を必要とする。DNaseが排除されず、PCR反応に導入された場合、プライマー、プローブ及びアンプリコン/増幅産物などのオリゴヌクレオチドは分解され、PCRは成功しない。DNAに対する優先的かつ選択的なRNA増幅のための既存の解決策のさらに別の例は、RNA内のポリAテール領域の周りのPCRアッセイを設計することである。しかしながら、全てのmRNAがポリAテールを含有するので、この方法は、目的の特定のRNA標的を検出するのに充分に特異的ではない。
分子診断の分野では、核酸の増幅及び検出はかなり重要である。そのような方法は、任意の数のウイルス及び細菌のような微生物を検出するために使用することができる。最も顕著で広く使用されている増幅技術は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。他の増幅技術としては、リガーゼ連鎖反応、ポリメラーゼリガーゼ連鎖反応、Gap-LCR、修復連鎖反応、3 SR、NASBA、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)及びQβ増幅が挙げられる。PCRに基づく分析のための自動化されたシステムは、しばしば、同じ反応容器におけるPCRプロセス中の産物増幅のリアルタイム検出を利用する。そのような方法の鍵は、レポーター基又は標識を有する修飾オリゴヌクレオチドの使用である。
本発明は、既存の技術に対する改善を表す。本発明は、増幅反応においてデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)として2’-デオキシイノシン5’-三リン酸(dITP)を利用することを含む、(DNAに対して)RNAを優先的及び/又は選択的に増幅及び検出する方法に関する。dITPの利用は、鎖分離温度の変化をもたらし、それにより、DNA標的から容易に識別することができない、又はポリAテール若しくはイントロン/エクソン・ジャンクションなどの明白な生物学的特性を利用することによっては標的化することができない、RNA標的のRNA選択性の改善が可能になる。この場合、dITPは、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)類似体として挙動し、dGTPと同様の化学構造を共有するが、dGTPと比較して、dITPは2-アミノ基を欠いている(図1を参照)。この差は、塩基スタッキング相互作用及び水素結合の減少をもたらし、T又は鎖分離温度の低下をもたらす。dGTPをdITPで置換すると、第一鎖及び第二鎖の相補DNA(cDNA)合成及びその後の新たに形成されるアンプリコンのTが低下し、それにより、鎖分離温度が天然の二本鎖DNAの融解に必要な温度よりも低くなるので、より低い温度での熱サイクルが可能になる。したがって、dITPを組み込むことは、二本鎖DNAの鎖分離を妨げることによってRNAを優先的に増幅し、それによってポリメラーゼがDNA標的にアクセスして増幅することを妨げる。したがって、当技術分野では、核酸タイプの混合物(例えば、DNA及びRNA)を含有し得るサンプル中のRNA標的を優先的に検出及び/又は増幅する迅速で信頼性の高い特異的方法が依然として必要とされている。
本発明は、dITPを利用することによる、RNA標的の選択的及び/又は優先的な検出及び/又は増幅のための方法を提供する。これは、生物学的サンプルが多くの異なるタイプの核酸タイプ(例えば、RNA及びDNA)を含有し、潜在的に干渉するDNAではなくRNAのみを検出することが望ましい状況で特に有用である。
本開示の特定の実施形態は、生物学的又は非生物学的サンプル中のDNAよりも標的RNAを優先的に検出及び/又は定量するための方法に関する。そのような方法は、インビトロで実施され得る。実施形態は、増幅工程及びハイブリダイズ工程を含み得る少なくとも1つのサイクリング工程を実施することを含む、DNAよりも標的RNAを優先的に検出及び/又は定量するための方法を含む。さらに、実施形態は、DNAよりも標的RNAを優先的に検出及び/又は定量するように設計されたプライマー、プローブ、ポリメラーゼ(単数又は複数)、dNTP(dATP、dTTP、dCTP、dGTP、及びdITPを含む)、及びキットを含む。
一実施形態は、サンプル中の1つ以上の標的RNAをDNAよりも選択的に検出及び/又は定量するための方法であって、(a)サンプルを提供することと、(b)1つ以上のポリメラーゼを提供することと、(c)少なくともdITPを含むdNTPを提供することと、(d)サンプルを、標的RNAに特異的な1組以上のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させることを含む、増幅工程を実施することと、(e)標的RNAがサンプル中に存在する場合に、増幅産物を1組以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させることを含む、ハイブリダイズ工程を実施することと、(f)検出工程を実施することであって、検出工程は、標的RNAの存在又は非存在を検出することを含み、増幅産物の存在は、サンプル中の標的RNAの存在を示し、増幅産物の非存在は、サンプル中の標的RNAの非存在を示す、検出工程を実施することと、を含み、ここで、増幅工程の間、1つ以上のポリメラーゼは、dITPを増幅産物中に組み込むことによって、サンプル中に存在する場合に標的RNAを増幅し、それにより、サンプル中のDNAと比較して標的RNAを選択的に検出及び/又は定量する、方法に関する。一実施形態では、dNTPは、dATP、dTTP、dCTP及びdGTPをさらに含む。一実施形態では、dITP:dGTPの比は、3:1、1:1、又は1:3である。一実施形態では、dITP:dGTPの比は3:1である。一実施形態では、dNTPは等量の(i)dATPと、(ii)dTTPと、(iii)dCTPと、(iv)dGTP+dITPとを含む。一実施形態では、dITP:dGTPの比は、3:1、1:1、又は1:3である。一実施形態では、dITP:dGTPの比は3:1である。一実施形態では、サンプルはRNAとDNAの両方を含有する。一実施形態では、サンプルは、生物学的サンプルである。一実施形態において、生物学的サンプルは、血液、血漿又は尿である。一実施形態では、1つ以上のポリメラーゼは、DNAポリメラーゼである。一実施形態では、dITPの存在は、増幅産物の融解温度(T)の低下をもたらす。一実施形態では、標的RNAはB型肝炎ウイルス(HBV)RNAである。一実施形態では、1組以上のオリゴヌクレオチドプライマー及び1組以上のオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号4を含む核酸配列にハイブリダイズする。一実施形態では、1組以上のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1及び配列番号2の核酸配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを含み、1組以上のオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号3の核酸配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを含む。一実施形態では、HBV RNAは、HBVプレゲノムRNA(pgRNA)である。一実施形態では、HBV pgRNAは、HBV共有結合閉環状DNA(cccDNA)の代用である。一実施形態では、定量されたHBV pgRNAの量は、サンプルの起源となる患者に関する処置決定のために考慮される因子である。
一実施形態は、サンプル中の1つ以上の標的RNAをDNAよりも選択的に検出及び/又は定量するためのキットであって、(a)1つ以上のポリメラーゼと、(b)少なくともdITPを含むdNTPと、(c)標的RNAに特異的な1組以上のオリゴヌクレオチドプライマーと、(d)1組以上のオリゴヌクレオチドプローブとを含むキットに関する。一実施形態では、dNTPは、dATP、dTTP、dCTP及びdGTPをさらに含む。一実施形態では、dITP:dGTPの比は、3:1、1:1、又は1:3である。一実施形態では、dITP:dGTPの比は3:1である。一実施形態では、dNTPは等量の(i)dATPと、(ii)dTTPと、(iii)dCTPと、(iv)dGTP+dITPとを含む。一実施形態では、dITP:dGTPの比は、3:1、1:1、又は1:3である。一実施形態では、dITP:dGTPの比は3:1である。一実施形態では、サンプルは、RNAとDNAの両方を含有する。一実施形態では、サンプルは、生物学的サンプルである。一実施形態において、生物学的サンプルは、血液、血漿又は尿である。一実施形態では、1つ以上のポリメラーゼは、DNAポリメラーゼである。一実施形態では、dITPの存在は、増幅産物の融解温度(T)の低下をもたらす。一実施形態では、標的RNAはB型肝炎ウイルス(HBV)RNAである。一実施形態では、1組以上のオリゴヌクレオチドプライマー及び1組以上のオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号4を含む核酸配列にハイブリダイズする。一実施形態では、1組以上のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1及び配列番号2の核酸配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを含み、1組以上のオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号3の核酸配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを含む。一実施形態では、HBV RNAは、HBVプレゲノムRNA(pgRNA)である。一実施形態では、HBV pgRNAは、HBV共有結合閉環状DNA(cccDNA)の代用である。一実施形態では、定量されたHBV pgRNAの量は、サンプルの起源となる患者に関する処置決定のために考慮される因子である。
別の実施形態は、サンプル中の1つ以上の標的HBV RNAをDNAよりも選択的に検出及び/又は定量するための方法であって、(a)サンプルを提供することと、(b)1つ以上のポリメラーゼを提供することと、(c)少なくともdITPを含むdNTPを提供することと、(d)増幅工程を実施することであって、増幅工程は、サンプルを、標的HBV RNAに特異的な1組以上のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させることを含み、1組以上のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1及び配列番号2の核酸配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを含む、増幅工程を実施することと、(e)ハイブリダイズ工程を実施することであって、ハイブリダイズ工程は、標的HBV RNAがサンプル中に存在する場合に、増幅産物を1組以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させることを含み、1組以上のオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号3の核酸配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを含む、ハイブリダイズ工程を実施することと、(f)検出工程を実施することであって、検出工程は、標的HBV RNAの存在又は非存在を検出することを含み、増幅産物の存在は、サンプル中の標的HBV RNAの存在を示し、増幅産物の非存在は、サンプル中の標的HBV RNAの非存在を示す、検出工程を実施することと、を含み、ここで、増幅工程の間、1つ以上のポリメラーゼは、dITPを増幅産物中に組み込むことによって、サンプル中に存在する場合に標的HBV RNAを増幅し、それにより、サンプル中のDNAと比較して標的RNAを選択的に検出及び/又は定量する、方法に関する。一実施形態では、dNTPは、dATP、dTTP、dCTP及びdGTPをさらに含む。一実施形態では、dITP:dGTPの比は、3:1、1:1、又は1:3である。一実施形態では、dITP:dGTPの比は3:1である。一実施形態では、dNTPは等量の(i)dATPと、(ii)dTTPと、(iii)dCTPと、(iv)dGTP+dITPとを含む。一実施形態では、dITP:dGTPの比は、3:1、1:1、又は1:3である。一実施形態では、dITP:dGTPの比は3:1である。一実施形態では、サンプルは、RNAとDNAの両方を含有する。一実施形態では、サンプルは、生物学的サンプルである。一実施形態において、生物学的サンプルは、血液、血漿又は尿である。一実施形態では、1つ以上のポリメラーゼは、DNAポリメラーゼである。一実施形態では、dITPの存在は、増幅産物の融解温度(T)の低下をもたらす。一実施形態では、1組以上のオリゴヌクレオチドプライマー及び1組以上のオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号4を含む核酸配列にハイブリダイズする。一実施形態では、HBV RNAは、HBVプレゲノムRNA(pgRNA)である。一実施形態では、HBV pgRNAは、HBV共有結合閉環状DNA(cccDNA)の代用である。一実施形態では、定量されたHBV pgRNAの量は、サンプルの起源となる患者に関する処置決定のために考慮される因子である。
一態様では、増幅は、5’から3’へのヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を使用することができる。したがって、ドナー蛍光部分及びアクセプター部分、例えばクエンチャーは、プローブの長さに沿って互いに5~20ヌクレオチド(例えば、7又は10ヌクレオチド)以内であり得る。別の態様では、プローブは、二次構造の形成を可能にする核酸配列を含む。そのような二次構造の形成は、第1の蛍光部分と第2の蛍光部分との間の空間的近接をもたらし得る。この方法によれば、オリゴヌクレオチドプローブ上の第2の蛍光部分はクエンチャーであり得る。
本開示はまた、個体由来の生物学的サンプル中のDNAよりも標的RNAを優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量する方法を提供する。これらの方法は、血液スクリーニング及び診断試験に使用するために、血漿中の標的RNAの存在又は非存在を検出するために使用することができる。さらに、DNA核酸よりも優先的及び/又は選択的に標的RNA核酸を検出及び/又は定量するために、尿及び他のサンプルタイプを評価するために当業者によって同じ試験が使用され得る。そのような方法は、一般に、増幅工程及び色素結合工程を含む少なくとも1つのサイクリング工程を実施することを含む。典型的には、増幅工程は、核酸分子がサンプル中に存在する場合に1つ以上の増幅産物を生成する複数対のオリゴヌクレオチドプライマーとサンプルを接触させることを含み、色素結合工程は、増幅産物を二本鎖DNA結合色素と接触させることを含む。そのような方法はまた、増幅産物への二本鎖DNA結合色素の結合の存在又は非存在を検出することを含み、結合の存在はサンプル中の標的RNA核酸の存在を示し、結合の非存在はサンプル中の標的RNA核酸の非存在を示す。代表的な二本鎖DNA結合色素は、臭化エチジウムである。他の核酸結合色素としては、DAPI、Hoechst色素、PicoGreen(登録商標)、RiboGreen(登録商標)、OliGreen(登録商標)、及びYO-YO(登録商標)及びSYBR(登録商標)Greenなどのシアニン色素が挙げられる。さらに、そのような方法はまた、増幅産物と二本鎖DNA結合色素との間の融解温度を決定することを含むことができ、融解温度は標的RNA核酸の存在又は非存在を確認する。
さらなる実施形態では、1つ以上の標的RNA核酸を優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量するためのキットが提供される。キットは、遺伝子標的の増幅に特異的な1組以上のオリゴヌクレオチドプライマー及び増幅産物の検出に特異的な1つ以上の検出可能なオリゴヌクレオチドプローブ、並びに、1つ以上のポリメラーゼ及びdNTP(dATP、dCTP、dTTP、dGTP、及びdITPを含む)を含み得る。一態様では、キットは、ドナー部分及び対応するアクセプター部分、例えば、別の蛍光部分又はダーク・クエンチャーで既に標識されているオリゴヌクレオチドプローブを含むことができ、又はオリゴヌクレオチドプローブを標識するためのフルオロフォア部分を含むことができる。キットはまた、ヌクレオシド三リン酸、核酸ポリメラーゼ及び核酸ポリメラーゼの機能に必要な緩衝液をさらに含むことができる。キットはまた、添付文書、並びに、サンプル中の標的RNAを優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量するためのオリゴヌクレオチドプライマー、オリゴヌクレオチドプローブ及び蛍光色素部分の使用に関する説明書を含むことができる。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料が本主題の実施又は試験で使用され得るが、好適な方法及び材料が以下に記載される。加えて、材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりその全体が援用される。矛盾する場合は、定義をも含む本明細書が優先する。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に示されている。本発明の他の特徴、目的及び利点は、図面及び発明を実施するための形態、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
図1は、dITPとdGTPとの間の分子差を示す。
図2Aは増幅曲線を示し、図2Bは融解曲線を示す。これらの図は、HBV領域7アンプリコンのTmが、dITP濃度が増加するにつれて低下することを示している。これらの実験を実施例2に記載する。 同上。
図3A~図3Cは、200μMのdITPを含むマスターミックスがより低い変性温度で性能を回復することを示すPCR増殖曲線を示す。これらの実験を実施例3に記載する。 同上。 同上。
図4A~図4Cは、200μMのdITPが、より低い変性温度で、改善された性能を有意に示すことを示すPCR増殖曲線及び融解曲線を示す。これらの実験を実施例3に記載する。 同上。 同上。
図5A~図5Cは、200μMのdITPを含む製剤が、より低い変性温度で、改善された性能を生じることを示すPCR増殖曲線及び融解曲線を示す。これらの実験を実施例3に記載する。 同上。 同上。
図6A及び図6Bは、HBVインサート3(図6A)及びGIC転写物(図6B)をTaqManプローブで二重化し、変性温度勾配で試験したことを示すPCR増殖曲線を示す。200μMのdITPを含む製剤は、特により低い変性温度で改善された性能を生じた。これらの実験を実施例4に記載する。 同上。
図7A~7Fは、6つの異なる臨床血漿サンプルからのPCR増殖曲線を示し、dITPを用いた反応は、dITPを用いない反応と比較した場合、DNAに対してRNAの選択的増幅を実証したことを示す。これらの実験を実施例5に記載する。 同上。 同上。 同上。 同上。 同上。
図8A~図8Dは、様々な実験条件下でのPCR増殖曲線を示し、Cy5.5チャネルにおいて、GICマイナスdITP、マイナスRT維持反応が予想外の増幅曲線を生成することを示す。RT活性は、RT維持が存在しない場合でさえ、これらの反応において依然として存在し得る。この現象は、プラスdITP、マイナスRT維持反応では観察されない。これらの実験を実施例5に記載する。 同上。 同上。 同上。
標的RNAの(DNAよりも)優先的及び/又は選択的検出及び/又は定量のための方法、キット、及び反応混合物が本明細書に記載される。特に、標的RNAを優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量するためのポリメラーゼ(単数又は複数)、dNTP(dATP、dTTP、dCTP、dGTP、及びdITPを含む)、プライマー及びプローブが提供され、そのような試薬を含む製造品又はキットも提供される。さらに、この技術は、血液スクリーニング並びに予後診断に使用することができる。
本明細書で使用される「増幅する」という用語は、鋳型核酸分子(例えば、HBVゲノムからのRNAなどの核酸分子)の一方又は両方の鎖に相補的な核酸分子を合成するプロセスを指す。核酸分子を増幅することは、典型的には、鋳型核酸を変性すること、プライマーの融解温度未満の温度でプライマーを鋳型核酸にアニーリングすること、及び増幅産物を生成するためにプライマーから酵素的に伸長することを含む。増幅には、典型的には、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、DNAポリメラーゼ酵素(例えば、Platinum(登録商標)Taq)並びにポリメラーゼ酵素の最適な活性のための適切な緩衝液及び/又は補因子(例えば、MgCl及び/又はKCl)の存在が必要である。
本明細書で使用される「プライマー」という用語は、当業者に知られており、オリゴマー化合物、主にオリゴヌクレオチドを指すが、鋳型依存性DNAポリメラーゼによるDNA合成を「プライミング」することができる修飾オリゴヌクレオチドも指しており、すなわち、例えばオリゴヌクレオチドの3’末端が遊離3’-OH基を提供し、そこに、3’から5’へのホスホジエステル結合を確立する鋳型依存性DNAポリメラーゼによってさらに「ヌクレオチド」が結合され得て、それによってデオキシヌクレオシド三リン酸が使用され、それによってピロリン酸が放出される。
「ハイブリダイズする」という用語は、増幅産物への1つ以上のプローブのアニーリングを指す。「ハイブリダイゼーション条件」は、典型的には、プローブの融解温度より低いが、プローブの非特異的ハイブリダイゼーションを回避する温度を含む。
「5’から3’へのヌクレアーゼ活性」という用語は、典型的には核酸鎖合成に関連し、それによってヌクレオチドが核酸鎖の5’末端から除去される核酸ポリメラーゼの活性を指す。
「熱安定性ポリメラーゼ」という用語は、熱安定性であるポリメラーゼ酵素を指し、すなわち、該酵素は、鋳型に相補的なプライマー伸長産物の形成を触媒し、二本鎖鋳型核酸の変性をもたらすのに必要な時間にわたり高温に曝された場合、不可逆的には変性しない。一般に、合成は各プライマーの3’末端で開始され、鋳型鎖に沿って5’から3’方向へ進行する。熱安定性ポリメラーゼは、例えば、サーマス・サーモフィルス(Thermus flavus)、T.ルーバー(T.ruber)、T.サーモフィルス(T.thermophilus)、T.アクアティカス(T.aquaticus)、T.ラクテウス(T.lacteus)、T.ルベンス(T.rubens)、バチルス・ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、及びメタノサーマス・フェルビダス(Methanothermus fervidus)から単離されている。それにもかかわらず、必要に応じて酵素が補充されるならば、熱安定性でないポリメラーゼをPCRアッセイに用いることもできる。
「その相補体」という用語は、所与の核酸と同じ長さであり、正確に相補的である核酸を指す。
核酸に関して使用される場合の「伸長」又は「延長」という用語は、追加のヌクレオチド(又は他の類似の分子)が核酸に組み込まれる場合を指す。例えば、核酸は、ヌクレオチドを取り込む生体触媒によって、例えば、典型的には核酸の3’末端にヌクレオチドを付加するポリメラーゼによって、任意に伸長される。
2以上の核酸配列の文脈における「同一」又は「同一性」パーセントという用語は、例えば、当業者に利用可能な配列比較アルゴリズムの1つを使用して又は目視検査によって測定して最大の一致に関して比較及びアラインメントした場合に、同一又は特定パーセンテージの同一ヌクレオチドを有する2以上の配列又は部分配列を指す。パーセント配列同一性及び配列類似性の決定に適した例示的なアルゴリズムは、BLASTプログラムであり、例えば、Altschul et al.(1990)「Basic local alignment search tool」J.Mol.Biol.215:403-410、Gish et al.(1993)「Identification of protein coding regions by database similarity search」Nature Genet.3:266-272、Madden et al.(1996)「Applications of network BLAST server」Meth.Enzymol.266:131-141,Altschul et al.(1997)「Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs」Nucleic Acids Res.25:3389-3402、及びZhang et al.(1997)「PowerBLAST:A new network BLAST application for interactive or automated sequence analysis and annotation」Genome Res.7:649-656に記載され、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
オリゴヌクレオチドの文脈における「修飾ヌクレオチド」とは、オリゴヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドに所望の特性を提供する異なるヌクレオチドによって置き換えられる変化を指す。本明細書に記載のオリゴヌクレオチド中で置換され得る例示的な修飾ヌクレオチドとしては、例えば、t-ブチルベンジル、C5-メチル-dC、C5-エチル-dC、C5-メチル-dU、C5-エチル-dU、2,6-ジアミノプリン、C5-プロピニル-dC、C5-プロピニル-dU、C7-プロピニル-dA、C7-プロピニル-dG、C5-プロパルギルアミノ-dC、C5-プロパルギルアミノ-dU、C7-プロパルギルアミノ-dA、C7-プロパルギルアミノ-dG、7-デアザ-2-デオキシ-キサントシン、ピラゾロピリミジン類似体、擬似dU、ニトロピロール、ニトロインドール、2’-0-メチルリボ-U、2’-0-メチルリボ-C、N4-エチル-dC、N6-メチル-dA、5-プロピニルdU、5-プロピニルdC、7-デアザ-デオキシグアノシン(デアザG(u-デアザ))などが挙げられる。オリゴヌクレオチド中で置換され得る多くの他の修飾ヌクレオチドは、本明細書で言及されるか、又は当技術分野で知られている。特定の実施形態では、修飾ヌクレオチド置換は、対応する修飾されていないオリゴヌクレオチドの融解温度と比較して、該オリゴヌクレオチドの融解温度(T)を改変する。さらに説明すると、特定の修飾ヌクレオチド置換は、いくつかの実施形態では、非特異的核酸増幅を減少させ(例えば、プライマーダイマー形成などを最小限に抑える)、意図する標的アンプリコンの収率を増加させることなどができる。これらのタイプの核酸修飾の例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,001,611号に記載されている。他の修飾ヌクレオチド置換は、オリゴヌクレオチドの安定性を変化させ得るか、又は他の望ましい特徴を提供し得る。
「プローブ」という用語は、合成的又は生物学的に生成された核酸(DNA又はRNA)を指し、これは、設計又は選択により、規定される所定のストリンジェンシーの下で特異的に(すなわち、優先的及び/又は選択的に)、「標的核酸」に、この場合はRNA(標的)核酸に、ハイブリダイズすることを可能にする、特定のヌクレオチド配列を含む。「プローブ」は、標的核酸を検出することを意味する「検出プローブ」と称され得る。
一部の実施形態では、記載されるプローブは、少なくとも1種の蛍光標識で標識され得る。一実施形態では、プローブは、ドナー蛍光部分、例えば蛍光色素、及び対応するアクセプター部分、例えばクエンチャーで標識することができる。
プローブとして使用されるオリゴヌクレオチドの設計は、プライマーの設計と同様の方法で行うことができる。実施形態は、増幅産物の検出のために単一のプローブ又は一対のプローブを使用することができる。実施形態に応じて、使用するプローブ(単数又は複数)は、少なくとも1種の標識及び/又は少なくとも1種のクエンチャー部分を含み得る。プライマーと同様に、プローブは通常、同様の融解温度を有し、各プローブの長さは、配列特異的ハイブリダイゼーションが起こるのに充分でなければならないが、合成中に忠実度が低下するほど長くはない。オリゴヌクレオチドプローブは、一般に15~40(例えば、16、18、20、21、22、23、24、又は25)ヌクレオチド長である。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号、同第4,800,159号及び同第4,965,188号は、従来のPCR技術を開示している。PCRは、典型的には、選択された核酸鋳型(例えば、DNA又はRNA)に結合する2種のオリゴヌクレオチドプライマーを用いる。一部の実施形態において有用なプライマーは、記載されるRNA標的核酸配列内の核酸合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを含む。プライマーは、従来の方法によって制限消化物から精製することができるか、又は合成的に生成することができる。プライマーは増幅における最大効率には一本鎖が好ましいが、プライマーは二本鎖であってもよい。二本鎖プライマーは、最初に変性され、すなわち、鎖を分離するために処理される。二本鎖核酸を変性させる1つの方法は、加熱によるものである。
鋳型核酸が二本鎖である場合、PCRで鋳型として使用することができるようにする前に、2本の鎖を分離することが必要である。鎖分離は、物理的、化学的、又は酵素的手段を含む任意の好適な変性方法によって達成することができる。核酸鎖を分離する1つの方法は、核酸が優位に変性する(例えば、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%を超える変性)まで加熱することを含む。鋳型核酸を変性させるのに必要な加熱条件は、例えば、緩衝塩濃度、並びに変性される核酸の長さ及びヌクレオチド組成に依存するが、典型的には、温度及び核酸長などの反応の特徴に応じて、約90℃~約105℃の範囲である。変性は、典型的には、約30秒間~4分間(例えば、1分~2分30秒、又は1.5分)行われる。
二本鎖の鋳型核酸が熱により変性された場合、反応混合物は、その標的配列に対する各プライマーのアニーリングを促進する温度まで冷却される。アニーリングの温度は、通常、約35℃~約65℃、(例えば、約40℃~約60℃、約45℃~約50℃)である。アニーリング時間は、約10秒~約1分(例えば、約20秒~約50秒、約30秒~約40秒)であり得る。次いで、ポリメラーゼの活性が促進又は最適化される温度、すなわち、アニーリングされたプライマーから伸長が起こって、鋳型核酸に相補的な産物を生成するのに充分な温度に、反応混合物を調節する。温度は、核酸鋳型にアニーリングされた各プライマーから伸長産物を合成するのに充分でなくてはならないが、その相補的な鋳型から伸長産物を変性させるほど高くすべきではない(例えば、伸長のための温度は、概して、約40℃~約80℃(例えば、約50℃~約70℃、約60℃)の範囲である)。伸長時間は、約10秒~約5分(例えば、約30秒~約4分、約1分~約3分、約1分30秒~約2分)であり得る。
PCRアッセイは、RNA又はDNA(cDNA)などの核酸を用いることができる。鋳型核酸は精製される必要はなく、ヒト細胞に含まれる標的RNAなどの複合混合物の微量画分であり得る。標的RNA核酸分子は、Diagnostic Molecular Microbiology:Principles and Applications(Persing et al.(eds),1993,American Society for Microbiology,Washington D.C.)に記載されているものなどの日常的な技術によって生物学的サンプルから抽出され得る。核酸は、任意の数の供給源、例えばプラスミド、又は、細菌、酵母、ウイルス、細胞小器官、又は植物若しくは動物などの高等生物を含む天然供給源から得ることができる。
オリゴヌクレオチドプライマーを、プライマー伸長を誘導する反応条件下でPCR試薬と組み合わせる。そのようなPCR試薬としては、限定されないが、1つ以上のポリメラーゼ及びdNTP(dATP、dTTP、dCTP、dGTP、及びdITPを含む)が挙げられる。例えば、鎖伸長反応には、一般に、50mM KCl、10mM Tris-HCl(pH8.3)、15mM MgCl、0.001%(w/v)ゼラチン、0.5~1.0μgの変性された鋳型DNA、50pmolの各オリゴヌクレオチドプライマー、2.5UのTaqポリメラーゼ及び10%DMSO)が含まれる。反応物は、通常、それぞれ150~320μMのdATP、dCTP、dTTP、dGTP、及びdITP、又はそれらの1種以上の類似体を含有する。
新規に合成された鎖は、反応の後続工程で使用できる二本鎖分子を形成する。標的RNA核酸分子に対応する所望の量の増幅産物を生成するために、鎖分離、アニーリング、及び伸長の工程を必要に応じて何度でも繰り返すことができる。反応の制限因子は、反応中に存在するプライマー、熱安定性酵素、及びヌクレオシド三リン酸の量である。サイクリング工程(すなわち、変性、アニーリング、及び伸長)は、好ましくは少なくとも1回繰り返される。検出での使用では、サイクリング工程の数は、例えば、サンプルの性質による。サンプルが核酸の複雑な混合物である場合、検出に充分な標的配列を増幅するために、より多くのサイクリング工程が必要となる。一般に、サイクリング工程は少なくとも約20回繰り返されるが、40、60、又は100回繰り返してもよい。
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)
FRET技術(例えば、米国特許第4,996,143号、同第5,565,322号、同第5,849,489号、同第6,162,603号を参照)は、ドナー蛍光部分及び対応するアクセプター蛍光部分が互いに一定の距離内に配置されると、2つの蛍光部分間でエネルギー移動が生じ、それを可視化することができ、又は他の方法で検出及び/又は定量することができるという概念に基づいている。典型的に、ドナーは好適な波長の光照射によって励起されると、アクセプターにエネルギーを移動させる。典型的に、アクセプターは移動されたエネルギーを異なる波長の光照射の形態で再発光する。特定の系では、非蛍光エネルギーは、実質的に非蛍光のドナー部分(例えば、米国特許第7,741,467号を参照)を含む生体分子を介して、ドナー部分とアクセプター部分との間で移動され得る。
一例では、オリゴヌクレオチドプローブは、ドナー蛍光部分又は色素(例えば、HEX又はFAM)と、蛍光性であってもなくてもよく、光以外の形態で伝達されたエネルギーを散逸させる対応するクエンチャー(例えば、BlackHole Quencher(商標)(BHQ)(BHQ-2など))とを含有することができる。プローブがインタクトである場合、エネルギー移動は、典型的には、ドナー蛍光部分からの蛍光発光がアクセプター部分によってクエンチされるように、ドナー部分とアクセプター部分との間で起こる。ポリメラーゼ連鎖反応の伸長工程中、増幅産物に結合したプローブは、ドナー蛍光部分の蛍光発光がもはやクエンチされないように、例えばTaqポリメラーゼの5’から3’へのヌクレアーゼ活性によって切断される。この目的のための例示的なプローブは、例えば、米国特許第5,210,015号、同第5,994,056号、及び同第6,171,785号に記載されている。一般的に使用されるドナー-アクセプター対は、FAM-TAMRA対を包含する。一般的に使用されるクエンチャーは、DABCYL及びTAMRAである。一般的に使用されるダーク・クエンチャーは、BlackHole Quencher(商標)(BHQ)(BHQ2など)、(Biosearch Technologies,Inc.、カリフォルニア州ノヴァト)、Iowa Black(商標)(Integrated DNA Tech.,Inc.、アイオワ州コーラルビル)、BlackBerry(商標)Quencher 650(BBQ-650)(Berry&Assoc、ミシガン州デクスタ)を包含する。
別の例では、それぞれが蛍光部分を含有する2つのオリゴヌクレオチドプローブは、標的RNA標的核酸配列に対するオリゴヌクレオチドプローブの相補性によって決定される特定の位置で増幅産物にハイブリダイズすることができる。オリゴヌクレオチドプローブが適切な位置で増幅産物核酸にハイブリダイゼーションすると、FRETシグナルが生成される。ハイブリダイゼーション温度は、約10秒間~約1分間、約35℃~約65℃の範囲であり得る。
蛍光分析は、例えば、光子計数落射蛍光顕微鏡システム(適切なダイクロイックミラー及び特定の範囲の蛍光発光を監視するためのフィルタを備える)、光子計数光電子増倍管システム、又は蛍光光度計を使用して行うことができる。エネルギー移動を開始するため、又は蛍光体の直接検出を可能にするための励起は、アルゴンイオンレーザー、高強度水銀(Hg)アークランプ、キセノンランプ、光ファイバー光源、又は所望の範囲の励起のために適切にフィルタリングされた他の高強度光源を用いて行うことができる。
ドナー部分及び対応するアクセプター部分に関して本明細書で使用される場合、「対応する」とは、ドナー蛍光部分の発光スペクトルと重複する吸光度スペクトルを有するアクセプター蛍光部分又はダーク・クエンチャーを指す。アクセプター蛍光部分の発光スペクトルの波長最大値は、ドナー蛍光部分の励起スペクトルの波長最大値よりも少なくとも100nm大きくなければならない。したがって、それらの間で効率的な非照射エネルギー移動を行うことができる。
蛍光ドナー部分及び対応するアクセプター部分は、一般に、(a)高効率Foersterエネルギー移動、(b)大きな最終ストークスシフト(>100nm)、(c)可能な限り可視スペクトルの赤色部分(>600nm)への発光のシフト;及び(d)ドナー励起波長での励起によって生じるラマン水蛍光発光よりも高い波長への発光のシフトのために選択される。例えば、ドナー蛍光部分は、レーザー線付近のその最大励起波長(例えば、ヘリウム-カドミウム442nm又はアルゴン488nm)、高い吸光係数、高い量子収率、及び、その蛍光発光の対応するアクセプター蛍光部分の励起スペクトルとの良好な重複を有するものを選択することができる。対応するアクセプター蛍光部分は、高い吸光係数、高い量子収率、ドナー蛍光部分の発光とのその励起の良好な重複、及び可視スペクトルの赤色部分(>600nm)の発光を有するものを選択することができる。
FRET技術において様々なアクセプター蛍光部分と共に使用することができる代表的なドナー蛍光部分としては、フルオレセイン、ルシファーイエロー、B-フィコエリトリン、9-アクリジンイソチオシアネート、ルシファーイエローVS、4-アセトアミド-4’-イソチオ-シアナトスチルベン-2、2’-ジスルホン酸、7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン、スクシンミル1-ピレンブチレート、及び4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸誘導体が挙げられる。代表的なアクセプター蛍光部分としては、使用されるドナー蛍光部分に応じて、LC Red 640、LC Red 705、Cy5、Cy5.5、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ローダミンxイソチオシアネート、エリスロシンイソチオシアネート、フルオレセイン、ジエチレントリアミンペンタアセテート、又はランタニドイオンの他のキレート(例えば、ユウロピウム、又はテルビウム)が挙げられる。ドナー蛍光部分及びアクセプター蛍光部分は、例えば、Molecular Probes(オレゴン州ジャンクションシティ)又はSigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)から得ることができる。
ドナー蛍光部分及びアクセプター蛍光部分を、リンカーアームを介して適切なプローブオリゴヌクレオチドに結合することができる。リンカーアームはドナー蛍光部分とアクセプター蛍光部分との間の距離に影響を及ぼすので、各リンカーアームの長さは重要である。リンカーアームの長さは、ヌクレオチド塩基から蛍光部分までのオングストローム(Å)の距離であり得る。一般に、リンカーアームは約10Å~約25Åである。リンカーアームは、国際公開第84/03285号に記載されている種類のものであってもよい。国際公開第84/03285号はまた、リンカーアームを特定のヌクレオチド塩基に結合させる方法、及び蛍光部分をリンカーアームに結合させる方法も開示している。
LC Red 640などのアクセプター蛍光部分を、アミノリンカー(例えば、ABI(カリフォルニア州フォスターシティ)又はGlen Research(バージニア州スターリング)から入手可能なC6-アミノホスホラミダイト)を含有するオリゴヌクレオチドと組み合わせて、例えば、LC Red 640標識オリゴヌクレオチドを生成することができる。フルオレセインなどのドナー蛍光部分をオリゴヌクレオチドに結合させるためによく使用されるリンカーとしては、チオ尿素リンカー(FITC由来、例えばGlen Research又はChemGene(マサチューセッツ州アッシュランド)製のフルオレセイン-CPG)、アミド-リンカー(BioGenex(カリフォルニア州サンラモン)製のCX-フルオレセイン-CPGなどの、フルオレセイン-NHS-エステル由来)、又はオリゴヌクレオチド合成後にフルオレセイン-NHS-エステルの結合を必要とする3’-アミノ-CPGが挙げられる。
標的RNA増幅産物(アンプリコン)の検出及び/又は定量
本開示は、生物学的又は非生物学的サンプル中の標的RNAを(DNAよりも)優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量するための方法を提供する。提供される方法は、サンプルの汚染、偽陰性、及び偽陽性の問題を回避する。この方法は、1対以上の標的RNAプライマーを使用して、サンプルから標的RNAの一部を優先的及び/又は選択的に増幅することを含む少なくとも1つのサイクリング工程と、FRET検出工程とを行うことを含む。複数のサイクリング工程は、好ましくはサーモサイクラーで行われる。方法は、標的RNAプライマー及びプローブを使用して、標的RNAを(DNAよりも)優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量するために実施することができ、標的RNAの存在及び標的RNAの検出は、サンプル中の標的RNAの存在を示す。
本明細書に記載されるように、増幅産物は、FRET技術を利用する標識ハイブリダイゼーションプローブを使用して検出することができる。1つのFRETフォーマットは、TaqMan(登録商標)技術を利用して、増幅産物の存在又は非存在、したがって標的RNAの存在又は非存在を検出する。TaqMan(登録商標)技術は、例えば1種の蛍光部分又は色素(例えばHEX又はFAM)と、蛍光性であってもなくてもよい1種のクエンチャー(例えば、BHQ-2)で標識された1つの一本鎖ハイブリダイゼーションプローブとを利用する。第1の蛍光部分が適切な波長の光で励起されると、吸収されたエネルギーは、FRETの原理に従って第2の蛍光部分又はダーク・クエンチャーに移動する。第2の蛍光部分は、一般的には、クエンチャー分子である。PCR反応のアニーリング工程中、標識されたハイブリダイゼーションプローブは、標的DNA(すなわち、増幅産物)に結合し、その後の伸長段階中に、例えばTaqポリメラーゼの5’から3’へのヌクレアーゼ活性によって分解される。その結果、蛍光部分とクエンチャー部分とが互いに空間的に分離される。結果として、クエンチャーの非存在下において第1の蛍光部分を励起すると、第1の蛍光部分からの蛍光発光を検出することができる。例として、ABI PRISM(登録商標)7700配列検出システム(Applied Biosystems)は、TaqMan(登録商標)技術を使用し、サンプル中の標的RNAを(DNAよりも)優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量するために本明細書に記載の方法を実施するのに適している。
FRETと組み合わせた分子ビーコンを使用して、リアルタイムPCR法を使用して増幅産物の存在を検出することもできる。分子ビーコン技術は、第1の蛍光部分及び第2の蛍光部分で標識されたハイブリダイゼーションプローブを使用する。第2の蛍光部分は一般的にはクエンチャーであり、蛍光標識は典型的にはプローブの各端部に配置される。分子ビーコン技術は、二次構造形成を可能にする配列(例えば、ヘアピン)を有するプローブオリゴヌクレオチドを使用する。プローブ内で二次構造が形成された結果、プローブが溶液中にある場合、両方の蛍光部位が空間的に近接する。標的核酸(すなわち、増幅産物)へのハイブリダイゼーション後、プローブの二次構造が破壊され、蛍光部分が互いに分離され、それにより、適切な波長の光による励起後、第1の蛍光部分の発光を検出することができる。
FRET技術の別の一般的な形式は、2つのハイブリダイゼーションプローブを利用する。各プローブは、異なる蛍光部分で標識することができ、一般に、標的DNA分子(例えば、増幅産物)内で互いに近接してハイブリダイズするように設計される。ドナー蛍光部分、例えばフルオレセインは、LightCycler(登録商標)Instrumentの光源によって470nmで励起される。FRETの間、フルオレセインは、そのエネルギーをアクセプター蛍光部分、例えばLightCycler(登録商標)-Red 640(LC Red 640)又はLightCycler(登録商標)-Red 705(LC Red 705)に伝達する。次いで、アクセプター蛍光部分はより長い波長の光を放出し、これはLightCycler(登録商標)機器の光学検出システムによって検出される。効率的なFRETは、蛍光部分が直接局所的に近接しており、ドナー蛍光部分の発光スペクトルがアクセプター蛍光部分の吸収スペクトルと重なっている場合にのみ起こり得る。放出されたシグナルの強度は、元の標的DNA/RNA分子の数(例えば、標的RNA分子の数)と相関させることができる。標的RNAの増幅が起こり、増幅産物が産生される場合、ハイブリダイズする工程は、プローブ対のメンバー間のFRETに基づく検出可能なシグナルをもたらす。
一般に、FRETの存在はサンプル中の標的RNAの存在を示し、FRETの非存在はサンプル中の標的RNAの非存在を示す。しかしながら、不十分な検体収集、輸送遅延、不適切な輸送条件、又は特定の収集スワブ(アルギン酸カルシウム又はアルミニウムシャフト)の使用はいずれも、試験結果の成功及び/又は精度に影響を及ぼし得る条件である。
本方法の実施に使用することができる代表的な生物学的サンプルとしては、全血、呼吸器検体、尿、糞便検体、血液検体、血漿、皮膚スワブ、鼻スワブ、創傷スワブ、血液培養物、皮膚及び軟部組織感染が挙げられるが、これらに限定されない。生物学的サンプルの収集及び保存方法は、当業者に知られている。生物学的サンプルを(例えば、当技術分野で知られている核酸抽出方法及び/又はキットによって)処理して核酸(標的RNAなど)を放出させることができ、又は一部の場合では、生物学的サンプルをPCR反応成分及び適切なオリゴヌクレオチドと直接接触させることができる。一部の例では、生物学的サンプルは全血である。全血を典型的に収集する場合、全血を適切な温度で保存することを可能にする、ヘパリン、クエン酸塩、又はEDTAなどの抗凝固剤を含む容器に収集することが多い。しかし、そのような条件下では、全血内の核酸はかなりの量の分解を受ける。したがって、核酸安定化溶液などの、核酸を含む全血成分を溶解、変性及び安定化する試薬に血液を回収することが有利であり得る。そのような場合、核酸は、後続の単離及びPCRなどの核酸試験などによる分析のために、より良好に保存及び安定化され得る。そのような核酸安定化溶液は当技術分野で周知であり、これには、限定するものではないが、pH 7.5で4.2 Mグアニジニウム塩(GuHCl)及び50 mM Trisを含有するcobas(登録商標)PCR培地が含まれる。
サンプルは、分析前にサンプルを適切に保持及び保存するように設計された任意の方法又は装置によって回収することができる。そのような方法及び装置は、当技術分野で周知である。サンプルが全血などの生物学的サンプルである場合、方法又は装置は、採血管を含むことができる。このような採血管は、当該技術において周知であり、例えば採血チューブを含むことができる。多くの場合、採血チューブを使用することが有利であり得、この場合、採血管は、サンプル取り込みのために意図された空間内で圧力下にあり、例えば、バキュテナー採血チューブのような、真空チャンバを有する血液管などである。真空チャンバを有するそのような採血チューブ、例えばバキュテナー採血チューブは、当技術分野で周知である。核酸を含む全血成分を溶解、変性、及び安定化する溶液、例えば核酸安定化溶液を内部に含む採血管内に、吸引される全血が採血管内の核酸安定化溶液と直ちに接触するように、真空チャンバの有無にかかわらず、血液を回収することがさらに有利であり得る。
融解曲線分析は、サイクルプロファイルに含めることができる追加の工程である。融解曲線分析は、核酸二本鎖の半分が一本鎖に分離されている温度として定義される融解温度(T)と呼ばれる特徴的な温度でDNA/RNAが融解するという事実に基づいている。DNA/RNAの融解温度は、主にそのヌクレオチド組成に依存する。したがって、G及びCヌクレオチドが豊富な核酸分子は、A及びTヌクレオチドが豊富な核酸分子よりも高いTmを有する。シグナルが失われる温度を検出することにより、プローブの融解温度を決定することができる。同様に、シグナルが発生する温度を検出することにより、プローブのアニール温度を決定することができる。標的RNA増幅産物からの標的RNAプローブの融解温度(単数又は複数)は、サンプル中の標的RNAの存在又は非存在を確認することができる。
各サーモサイクラーを運転している間に、対照サンプルも同様にサイクルすることができる。陽性対照サンプルは、例えば、対照プライマー及び対照プローブを使用して、(記載された標的遺伝子の増幅産物以外の)標的核酸対照鋳型を増幅することができる。陽性対照サンプルはまた、例えば、標的核酸分子を含むプラスミド構築物を増幅することができる。そのようなプラスミド対照は、意図された標的の検出に使用されるのと同じプライマー及びプローブを使用して、内部で(例えば、サンプル中で)又は患者のサンプルと並んで実行される別々のサンプル中で増幅することができる。そのような対照は、増幅、ハイブリダイゼーション及び/又はFRET反応の成功又は失敗の指標である。各サーモサイクラー実行はまた、例えば、標的鋳型DNAを欠く陰性対照を含むことができる。陰性対照は汚染を測定することができる。これにより、システム及び試薬が偽陽性シグナルを生じないことが保証される。したがって、対照反応は、例えば、プライマーが配列特異性によりアニールし、伸長を開始する能力、並びにプローブが配列特異性によりハイブリダイズし、FRETが発生する能力を容易に決定することができる。
一実施形態では、本方法は、汚染を回避する工程を含む。例えば、ウラシル-DNAグリコシラーゼを利用する酵素的方法は、あるサーモサイクラー運転と次のサーモサイクラー運転との間の汚染を低減又は排除するために、米国特許第5,035,996号、同第5,683,896号及び同第5,945,313号に記載される。
FRET技術と組み合わせた従来のPCR法を使用して、この方法を実施することができる。一実施形態では、LightCycler(登録商標)機器が使用される。以下の特許出願は、LightCycler(登録商標)技術で使用されるリアルタイムPCRを記載している:国際公開第97/46707号パンフレット、国際公開第97/46714号パンフレット及び国際公開第97/46712号パンフレット。
LightCycler(登録商標)は、PCワークステーションを使用して動作させることができ、Windows NTオペレーティングシステムを利用することができる。サンプルからのシグナルは、機械が光学ユニット上に毛細管を順次配置するときに得られる。ソフトウェアは、各測定の直後にリアルタイムで蛍光シグナルを表示することができる。蛍光取得時間は10~100ミリ秒(msec)である。各サイクリング工程の後、蛍光対サイクル数の定量的表示を、全てのサンプルについて連続的に更新することができる。生成されたデータは、さらなる分析のために保存することができる。
FRETの代替として、蛍光DNA結合色素(例えば、SYBR(登録商標)GREEN又はSYBR(登録商標)GOLD(Molecular Probes))のような二本鎖DNA結合色素を用いて、増幅産物を検出することができる。二本鎖核酸との相互作用の際、このような蛍光DNA結合色素は、適当な波長の光で励起した後、蛍光シグナルを発する。また、核酸インターカレート色素などの二本鎖DNA結合色素を用いることもできる。二本鎖DNA結合色素を使用する場合、増幅産物の存在を確認するために、通常は融解曲線分析を行う。
当業者は、他の核酸又はシグナル増幅方法も使用され得ることを理解するであろう。そのような方法の例としては、限定されないが、分岐DNAシグナル増幅、ループ媒介等温増幅(LAMP)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、自立配列複製(3 SR)、鎖置換増幅(SDA)、又はスマート増幅プロセスバージョン2(SMAP 2)が挙げられる。
本開示の実施形態は、1種以上の市販の機器の構成によって限定されないことが理解される。
製造品/キット
本開示の実施形態はさらに、(DNAよりも)標的RNAを優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量するための製造品又はキットを提供する。製造品は、dNTP(dATP、dCTP、dTTP、dGTP、及びdITPを含む)を含む適切なパッケージング材料を用いて、標的RNAを優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量するために使用されるプライマー及びプローブを含むことができる。標的RNAの(DNAよりも)優先的及び/又は選択的検出及び/又は定量のための代表的なプライマー及びプローブは、標的RNA分子にハイブリダイズすることができる。さらに、キットはまた、固体支持体、緩衝液、酵素及びDNA標準のような、DNA固定化、ハイブリダイゼーション及び検出に必要な適切に包装された試薬及び材料を含み得る。プライマー及びプローブを設計する方法が本明細書に開示され、RNA標的分子を優先的及び/又は選択的に増幅してハイブリダイズするプライマー及びプローブの代表的な例が提供される。
製造品はまた、プローブを標識するための1種以上の蛍光部分を含むことができ、あるいは、キットと共に供給されるプローブを標識することができる。例えば、製造品は、標的RNAプローブを標識するためのドナー及び/又はアクセプター蛍光部分を含み得る。好適なFRETドナー蛍光部分及び対応するアクセプター蛍光部分の例を上に提供する。
製造品はまた、添付文書、又は、サンプル中の標的RNA を検出するための標的RNAプライマー及びプローブの使用に関する説明書を有する包装ラベルを含むことができる。製造品は、本明細書に開示される方法を実施するための試薬(例えば、緩衝液、ポリメラーゼ酵素、補因子、又は汚染を防止するための薬剤)をさらに含み得る。そのような試薬は、本明細書に記載の市販の機器の1つに特異的であり得る。
本開示の実施形態はまた、サンプル中の標的RNA を優先的及び/又は選択的に検出及び/又は定量するための一組のプライマー及び1つ以上の検出可能なプローブを提供する。
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に記載される発明の範囲を限定しない以下の実施例においてさらに説明される。
以下の実施例及び図は、主題の理解を助けるために提供されており、その主題の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の要旨から逸脱することなく、記載された手順に変更を加えることができることが理解される。以下の実施例の全てにおいて、使用したポリメラーゼは、例えば、米国特許第8,962,293号、米国特許第9,102,924号及び米国特許第9,738,876号に記載されているZ05ポリメラーゼのD580G変異体であるZ05Dポリメラーゼであった。
実施例1:B型肝炎ウイルス(HBV)アッセイにおけるdITPの効果を試験するアプローチ
HBVは、逆転写される一本鎖RNAプレゲノム(pgRNA)をパッケージングする部分二本鎖DNAウイルスである。慢性HBV感染の現在の処置には、pgRNAの逆転写を破壊してDNA合成を抑制するヌクレオシ(チ)ド類似体(NA)が含まれる。HBV pgRNAはcccDNA(共有結合閉環状DNA)の代用であり、HBV DNA産生が抑制されている場合でも血漿中に検出されることが示されている。処置された患者の半数未満に見られる重篤な副作用及び長期的な利益のために、処置中止についての患者のモニタリングが重要である。現在のモニタリング方法は、HBV DNA定量又はHBV抗原検出を含み、これらの両方には限界があると考えられている。NA療法はcccDNAリザーバを直接排除しないので、これらのマーカーはcccDNA活性を反映するには不十分であり得る。したがって、NA療法を中断することによりHBV感染がリバウンドする可能性がある。HBV RNA粒子の継続的な存在はcccDNAの活性な転写を示し得るので、HBV pgRNAは、処置中止の候補であり得る長期ウイルス抑制患者を同定するための潜在的なバイオマーカーであり得る。
したがって、HBV pgRNA定量的アッセイは、患者の処置中止を監視するのに有用である。しかしながら、HBV pgRNAアッセイを開発する際の重要な課題の1つは、HBV RNAとウイルスDNA増幅を区別することである。HBV DNAの排除は、標的化することができるHBV pgRNAとの配列及び構造の違いの数が限られているため、達成が困難である。したがって、HBV定量アッセイの開発は、有用な方法でRNA選択性を確実にするためのdITPの有用性を評価するためのプラットフォームを提供した。
dITPの効果を評価するために、HBVアッセイをHBV領域7で開発した。HBV領域7アンプリコンはインサート3と呼ばれる。二価金属イオン調整(Mn(OAc))を回避する目的で、2.0 mMの総dNTP濃度は一定のままであり、dGTP及びdITPの比のみを変化させて、HBV領域7及び一般的内部制御(GIC)アッセイの最適濃度を決定した。GICアッセイは、HBV領域7アッセイと共に評価した。これは、GICアッセイが、全てのcobas(登録商標)6800/8800アッセイにおいて、完全工程制御(FPC)、内部制御(IC)、及び内部定量標準(IQS)として機能する一般的内部制御を検出するためである。最適なdGTP:dITP比は、プライマー、プローブ及びアンプリコンのGC含有量に依存する。選択的RNA増幅のための理想的な変性温度の決定は、組み込まれるdIMPの量及びアンプリコンの長さに依存する。dITP誘導体であるdIMPは、DNAに組み込まれるdITPのモノマー形態であることに留意されたい。HBV領域7及びGICアッセイ配列、T(℃)及びGC含有量を、それぞれ以下の表1及び表2に列挙する。
Figure 2022531348000002
Figure 2022531348000003
SYTO 9インターカレーティング色素を用いて最初の実験を実行して、融解産物及びアンプリコン Tに対するdITPの効果を観察した。SYTO 9実験は、HBVインサート3転写物、HBVインサート3 DNA gBlock(HBV転写物の配列と同一の二本鎖DNA断片)、及びGIC転写物に対して行った。続いて、TaqManプローブを用いたHBV及びGIC二重鎖反応を、変性及びアニーリング温度勾配にわたって様々なdGTP:dITP比で評価して、最適なdITP濃度及び熱サイクルパラメータを決定した。HBVインサート3 DNA gBlockをスパイクしたHBVインサート3転写物の性能評価を実行して、HBV DNA gBlockと比較してHBV RNA標的の増幅効率及び特異性を調べた。dITP濃度及び熱サイクル温度を最終決定した後、cobas(登録商標)6800/8800によって抽出された様々なウイルス量の臨床HBV血漿サンプルを、最適化されたdITP条件で評価した。
実施例2:dITPの使用は Tの低下をもたらす。
したがって、HBV領域7アッセイを、SYTO 9によるdITP滴定を使用して行った。HBVインサート3アンプリコン Tに対するdITPの効果を、SYTO 9色素(1μM/反応)を利用して評価した。アッセイを最適化するために、HBV領域7アッセイを異なる比のdGTP:dITPで試験した。マスターミックス中の最終dNTP濃度は2.0 mMであり、これは400μMのdATP、400μMのdCTP、800μMのdUTP及び400uMの(dGTP+dITP)からなる。backbone cobas(登録商標)6800/8800マスターミックスで様々なdGTP及びdITP比の以下の5つの製剤を試験し、以下の表3に示す:
Figure 2022531348000004
HBVインサート3転写物の滴定を、0.1、0.01、及び0.001ng/反応で試験した。一般的なcobas(登録商標)6800/8800の熱プロファイル(95℃及び91℃の変性温度を含む)を、以下の表4に列挙した実験で試験した。
Figure 2022531348000005
結果を図2A及び図2Bに示す。増幅曲線を図2Aに示す。図2Bに示される融解曲線は、全ての製剤にわたって、dGTPが非存在のマスターミックスを除いて増幅曲線が生成されたことを示す。これは、試験した熱サイクル条件下で標的を増幅するために、少なくともいくらかのdGTPが必要であることを示す。アンプリコンのTmは、反応中のdITPの濃度が増加するにつれて低下する。マイナスdITP反応の平均アンプリコンTmは87.2℃である。300μMのdITPを含む製剤のアンプリコンTmは74.1℃に有意に低下した。この実験から、HBVインサート3アンプリコンに対するdITPの効果は、結果として生じるTmの13℃の低下によって実証された。したがって、これらの研究は、dITPの濃度が増加するにつれて、アンプリコンのTmが低下することを実証している。
実施例3:HBV領域7並びにgBlock及び一般的内部制御(GIC)転写物に対するdITP性能評価
HBV領域7転写物と同一の配列を有するgBlock二本鎖DNA断片を評価した。ウイルスHBV RNA及びHBV DNAは非常に類似した配列を有するので、HBV gBlock及びHBV転写物標的プールの評価は、HBV RNA増幅効率及び特異性を決定するために関心があった。SYTO 9色素を用いた最初の実験を、HBV領域7転写物、HBV領域7 DNA gBlock及びGIC転写物を用いて試験して、アンプリコン融解曲線及びTを確認した。100μM及び200μMのdITPを含有する2つのマスターミックス製剤を、Roche LightCycler(登録商標)96において79.0から87.0℃の範囲の変性温度勾配にわたって3つ全ての標的で評価した。SYTO 9色素を1μMで試験し、熱プロファイルの最後に融解工程を含めた。SYTO 9インターカレーティング色素が反応中に存在するので、全ての標的を単一プレックスで試験した。HBVインサート3転写物、gBlock、及びGIC転写物を1つの濃度で試験した。
結果は、200μMのdITP(及び200μMのdGTP)を含むマスターミックス(図3B)が、わずか100μMのdITP(及び300μMのdGTP)を含むマスターミックス(図3A)と比較して、より低い変性温度で3つ全ての標的にわたってかなり改善された性能を示すことを示す。200μMのdITP(及び200μMのdGTP)を含むマスターミックスは、HBV領域7転写物を、81.1℃まで下げた変性温度で確実に増幅し、これは、図3A~図3Cに示されるように、上記の表3に示す一般的なcobas(登録商標)6800/8800の熱プロファイルの変性温度よりも少なくとも10℃低い。図4A~図4C及び図5A~図5Cに示すように、おそらく短い長さ(318 bp)に起因して、HBV領域7 gBlockの単一プレックス反応を増幅することもでき、GIC転写物を約79.0℃まで下げた変性温度で確実に検出することができる。
実施例4:HBV領域7及びdITPを用いたGIC二重性能評価
評価の大部分は、Tmに対するdITPの効果を調べるためにSYTO 9色素を用いて行った。この実験では、HBV及びGICアッセイをTaqManプローブで二重化し、79から84.0℃の変性温度勾配で評価した。100μMのdITP及び200μMのdITPを含む2つのマスターミックス製剤を、HBVインサート3(図6A)及びGIC転写物(図6B)の標的プールに対して試験した。HEX及びCy5.5 TaqManプローブの両方がこの評価に存在した。
結果は、図6A及び図6Bに示すように、変性温度勾配にわたって2つの製剤間にかなりの性能差があることを示す。200μMのdITP濃度は、より低い変性温度で性能を回復させ、一般的な cobas(登録商標)6800/8800の熱プロファイルで利用される変性温度よりも最大16℃低い79.0℃でHBV RNA標的を確実に検出することができた(図6A)。チャネルCy5.5のGIC転写物でも同様の傾向が観察された(図6B)。
実施例5:臨床HBV血漿サンプルに対するdITPの性能
さらなる滴定及び温度勾配実験の後、最適なヌクレオチド濃度及び熱サイクルパラメータは、300μMのdITP(及び100μMのdGTP)、78℃の変性(PCRサイクル中)及びUNG不活性化維持、及び55℃のアニーリング温度維持(最適化データは示さず)であると決定された。一般的なcobas(登録商標)6800/8800の熱プロファイルは、指定された温度変化以外は同じままであった。最終的なdITPの熱サイクルプロファイルを以下の表5に列挙する。
Figure 2022531348000006
熱サイクルプロファイルにおける逆転写(RT)PCR工程は、表4に列挙されるUNG不活性化工程後の55、60及び65°Cの3つの温度維持を含む。RT-PCRは、相補的DNAの合成がRNAから作り出されるRT工程中に起こる。RT維持の有無で評価する目的は、DNA(マイナスRT維持)とRNA(プラスRT維持)の増幅を比較することである。表4の熱プロファイルをRT維持の有無で試験して、本明細書に記載の臨床HBV血漿溶出液中のRNA及びDNA増幅を比較した。6つの臨床HBV血漿サンプルを、cobas(登録商標)6800/8800及びRoche High Pure Viral Nucleic Acid Kitによって抽出した。臨床サンプルは、処置を受けた患者又は受けなかった患者にわたって採取した。これらの臨床サンプルにおけるHBVウイルス量は、以下の表6に示すように、5.7E9の非常に高い力価から4.8E4までの範囲であった。
Figure 2022531348000007
全サンプルを±dITP(300μMの最適化された濃度)及び±RT維持で評価して、全核酸精製サンプル中のRNA及びDNA増幅を評価した。dITP最適化熱プロファイル(78℃の変性/UNG不活性化及び55℃のアニーリング温度を含む)を、プラスdITPの反応で試験した。比較のために、一般的なcobas(登録商標)6800/8800の一般的な熱プロファイル(95℃及び91℃の変性維持を含む)を用いて、マイナスdITPの反応を試験した。
Figure 2022531348000008
結果は、図7A~図7Fに示すように、試験した全ての臨床血漿サンプル(合計6つのサンプル)にわたって、プラスdITPの反応が有意に高い蛍光シグナルを生成し、±RT維持の反応間のΔCpがかなり大きかったことを示す。表6は、臨床HBV血漿サンプルの平均Cpsを示す。表6は、表7に示すように、両方の抽出方法にわたって、プラスdITPの反応が6.2及び5.7の平均ΔCpsを生じ、これはマイナスdITPの反応(平均ΔCpが1.9)と比較して著しく大きいことを明らかにする。
これは、HBV RNA特異性の改善を実証し、dITPの存在下でのDNAに対するRNA標的の優先的及び/又は選択的増幅を示す。マイナスdITPの反応は、±RT維持の間で最小のCp遅延を生じ、これは、HBV DNAの増幅効率がHBV RNA標的と同等又はそれに近いことを示唆している。
Cy5.5チャネルでは、プラスdITPの反応は一般にGIC増幅曲線を遅延させ、低い蛍光シグナルを生成した。dITPの利用では、GIC目標濃度の調整が必要な場合がある。予想されるように、GIC転写物プラスdITP/-RT維持は、図8Dに示されるように、いかなるCpコールも生成しない。マイナスdITP/マイナスRT維持の反応は、増幅曲線及びCpコールを生成する。これは、RT維持が存在しない場合でさえ、これらの反応におけるRT活性の存在に起因し得る。より高い温度での熱サイクルは、潜在的にこの結果に寄与し得る。
まとめると、これらの実施例は、HBV DNAの代わりにHBV RNA標的の優先的及び/又は選択的増幅が、dITP化学を一体化し、cobas(登録商標)6800/8800マスターミックス製剤の変化を制限して熱サイクルプロファイルを変化させることによって、HBV領域7アッセイで実証されたことを示した。これらの実施例は、天然のDNA標的から容易に識別することができないか、又はポリAテール若しくはイントロン/エクソン・ジャンクションを利用することによって標的化することができないRNA標的の選択的RNA増幅にこの方法を適用する可能性を実証する。
前述の発明を明確化及び理解するためにある程度詳細に説明してきたが、本開示を読むことにより、本発明の真の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることが当業者には明らかであろう。例えば、上述した全ての技術及び装置を、様々な組み合わせで使用することができる。本出願で引用される全ての刊行物、特許、特許出願、及び/又は他の文献は、あたかも各個別の刊行物、特許、特許出願、及び/又は他の文献が全ての目的のために参照により組み込まれることが個別に示されているのと同程度に、全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。

Claims (52)

  1. サンプル中の1つ以上の標的RNAをDNAよりも選択的に検出及び/又は定量するための方法であって、
    (a)サンプルを提供することと、
    (b)1つ以上のポリメラーゼを提供することと、
    (c)少なくともdITPを含むdNTPを提供することと、
    (d)前記サンプルを前記標的RNAに特異的な1組以上のプライマーと接触させることを含む増幅工程を実施することと、
    (e)前記標的RNAが前記サンプル中に存在する場合に、増幅産物を1組以上のプローブと接触させることを含むハイブリダイズ工程を実施することと、
    (f)検出工程を実施することであって、前記検出工程は前記標的RNAの存在又は非存在を検出することを含み、前記増幅産物の存在は前記サンプル中の前記標的RNAの存在を示し、前記増幅産物の非存在は前記サンプル中の前記標的RNAの非存在を示す、検出工程を実施することと、を含み、
    前記増幅工程の間、前記1つ以上のポリメラーゼが、前記dITPを前記増幅産物中に組み込むことによって、前記サンプル中に存在する場合に前記標的RNAを増幅し、それによってサンプル中のDNAと比較して標的RNAを選択的に検出及び/又は定量する、方法。
  2. 前記dNTPが、dATP、dTTP、dCTP及びdGTPをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. dITP:dGTPの比が3:1、1:1又は1:3である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記dITP:dGTPの比が3:1である、請求項3に記載の方法。
  5. 請求項2に記載の方法であって、前記dNTPが、等量の
    (i)dATPと、
    (ii)dTTPと、
    (iii)dCTPと、
    (iv)dGTP+dITPと、を含む、方法。
  6. dITP:dGTPの比が3:1、1:1又は1:3である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記dITP:dGTPの比が3:1である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記サンプルがRNA及びDNAの両方を含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記サンプルが生物学的サンプルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記生物学的サンプルが、血液、血漿又は尿である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記1つ以上のポリメラーゼがDNAポリメラーゼである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記dITPの存在が、前記増幅産物の融解温度(T)の低下をもたらす、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記標的RNAがB型肝炎ウイルス(HBV)RNAである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記1組以上のプライマー及び前記1組以上のプローブが、配列番号4を含む核酸配列にハイブリダイズする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記1組以上のプライマーが、配列番号1及び配列番号2の核酸配列を有するプライマーを含み、前記1組以上のプローブが、配列番号3の核酸配列を有するプローブを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記HBV RNAがHBVプレゲノムRNA(pgRNA)である、請求項13に記載の方法。
  17. 前記HBV pgRNAが、HBV共有結合閉環状DNA(cccDNA)の代用である、請求項16に記載の方法。
  18. 定量されたHBV pgRNAの量が、前記サンプルの起源となる患者に関する処置決定のために考慮される因子である、請求項17に記載の方法。
  19. サンプル中の1つ以上の標的RNAをDNAよりも選択的に検出及び/又は定量するためのキットであって、
    (a)1つ以上のポリメラーゼと、
    (b)少なくともdITPを含むdNTPと、
    (c)前記標的RNAに特異的な1組以上のプライマーと、
    (d)1組以上のプローブと、を含む、キット。
  20. 前記dNTPが、dATP、dTTP、dCTP及びdGTPをさらに含む、請求項19に記載のキット。
  21. dITP:dGTPの比が3:1、1:1又は1:3である、請求項20に記載のキット。
  22. 前記dITP:dGTPの比が3:1である、請求項21に記載のキット。
  23. 請求項20に記載のキットであって、前記dNTPが、等量の
    (i)dATPと、
    (ii)dTTPと、
    (iii)dCTPと、
    (iv)dGTP+dITPと、を含む、キット。
  24. dITP:dGTPの比が3:1、1:1又は1:3である、請求項23に記載のキット。
  25. 前記dITP:dGTPの比が3:1である、請求項24に記載のキット。
  26. 前記サンプルがRNA及びDNAの両方を含有する、請求項19から25のいずれか一項に記載のキット。
  27. 前記サンプルが生物学的サンプルである、請求項19から26のいずれか一項に記載のキット。
  28. 前記生物学的サンプルが、血液、血漿又は尿である、請求項27に記載のキット。
  29. 前記1つ以上のポリメラーゼがDNAポリメラーゼである、請求項19から28のいずれか一項に記載のキット。
  30. 前記dITPの存在が、増幅産物の融解温度(T)の低下をもたらす、請求項19から29のいずれか一項に記載のキット。
  31. 前記標的RNAがB型肝炎ウイルス(HBV)RNAである、請求項19から30のいずれか一項に記載のキット。
  32. 前記1組以上のプライマー及び前記1組以上のプローブが、配列番号4を含む核酸配列にハイブリダイズする、請求項19から31のいずれか一項に記載のキット。
  33. 前記1組以上のプライマーが、配列番号1及び配列番号2の核酸配列を有するプライマーを含み、前記1組以上のプローブが、配列番号3の核酸配列を有するプローブを含む、請求項32に記載のキット。
  34. 前記HBV RNAがHBVプレゲノムRNA(pgRNA)である、請求項31に記載のキット。
  35. 前記HBV pgRNAが、HBV共有結合閉環状DNA(cccDNA)の代用である、請求項34に記載のキット。
  36. 定量されたHBV pgRNAの量が、前記サンプルの起源となる患者に関する処置決定のために考慮される因子である、請求項35に記載のキット。
  37. サンプル中の1つ以上の標的HBV RNAをDNAよりも選択的に検出及び/又は定量するための方法であって、
    (a)サンプルを提供することと、
    (b)1つ以上のポリメラーゼを提供することと、
    (c)少なくともdITPを含むdNTPを提供することと、
    (d)増幅工程を実施することであって、前記増幅工程は、前記サンプルを前記標的HBV RNAに特異的な1組以上のプライマーと接触させることを含み、前記1組以上のプライマーは、配列番号1及び配列番号2の核酸配列を有するプライマーを含む、増幅工程を実施することと、
    (e)ハイブリダイズ工程を実施することであって、前記ハイブリダイズ工程は、前記標的HBV RNAが前記サンプル中に存在する場合に、増幅産物を1組以上のプローブと接触させることを含み、前記1組以上のプローブは、配列番号3の核酸配列を有するプローブを含む、ハイブリダイズ工程を実施することと、
    (f)検出工程を実施することであって、前記検出工程は前記標的HBV RNAの存在又は非存在を検出することを含み、前記増幅産物の存在は前記サンプル中の前記標的HBV RNAの存在を示し、前記増幅産物の非存在は前記サンプル中の前記標的HBV RNAの非存在を示す、検出工程を実施することと、を含み、
    前記増幅工程の間、前記1つ以上のポリメラーゼが、前記dITPを前記増幅産物中に組み込むことによって、前記サンプル中に存在する場合に前記標的HBV RNAを増幅し、それによってサンプル中のDNAと比較して標的RNAを選択的に検出及び/又は定量する、方法。
  38. 前記dNTPが、dATP、dTTP、dCTP及びdGTPをさらに含む、請求項37に記載の方法。
  39. dITP:dGTPの比が3:1、1:1又は1:3である、請求項38に記載の方法。
  40. 前記dITP:dGTPの比が3:1である、請求項39に記載の方法。
  41. 請求項38に記載の方法であって、前記dNTPが、等量の
    (i)dATPと、
    (ii)dTTPと、
    (iii)dCTPと、
    (iv)dGTP+dITPと、を含む、方法。
  42. dITP:dGTPの比が3:1、1:1又は1:3である、請求項41に記載の方法。
  43. 前記dITP:dGTPの比が3:1である、請求項42に記載の方法。
  44. 前記サンプルがRNA及びDNAの両方を含有する、請求項37から43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記サンプルが生物学的サンプルである、請求項37から44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記生物学的サンプルが、血液、血漿又は尿である、請求項45に記載の方法。
  47. 前記1つ以上のポリメラーゼがDNAポリメラーゼである、請求項37から46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記dITPの存在が、前記増幅産物の融解温度(T)の低下をもたらす、請求項37から47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記1組以上のプライマー及び前記1組以上のプローブが、配列番号4を含む核酸配列にハイブリダイズする、請求項37から48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記HBV RNAがHBVプレゲノムRNA(pgRNA)である、請求項37から49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記HBV pgRNAが、HBV共有結合閉環状DNA(cccDNA)の代用である、請求項50に記載の方法。
  52. 定量されたHBV pgRNAの量が、前記サンプルの起源となる患者に関する処置決定のために考慮される因子である、請求項51に記載の方法。
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