JP2022531230A - Pimキナーゼインヒビター組成物及びその使用 - Google Patents

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Abstract

本開示は、PIMキナーゼのインヒビターとして有用な化合物及び組成物に関する。また、癌性悪性腫瘍に罹患した個体の治療における、PIMインヒビターの合成方法及び使用方法も提供される。【選択図】図1A

Description

背景
プロテインキナーゼは、ヌクレオシド三リン酸から、シグナル伝達経路が関与しているタンパク質アクセプタへのリン酸転移を引き起こすことにより、細胞内シグナル伝達を媒介する。これらのリン酸化事象は、標的タンパク質の生物学的機能を調節又は制御することができる、分子のオン/オフスイッチとして働く。
多くの疾患が、先に説明されたような、プロテインキナーゼが媒介した事象により駆動される異常な細胞反応に関連している(Roskoski, R. Jr.、Pharmacol. Res., 2015, 100, 1-23;Fleuren, E.D.G.ら、Nat. Rev. Cancer, 2016, 16, 83-98)。これらの疾患は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝性疾患、神経学的及び神経変性疾患、心臓血管疾患、アレルギー及び喘息、アルツハイマー病、及びホルモン関連疾患を含むが、これらに限定されるものではない。従って治療薬として有用である、新規の安全で効果的なプロテインキナーゼインヒビターを見つける必要性が依然存在している。
モロニーマウス白血病ウイルス(PIM)キナーゼに関するプロウイルスの組込み部位は、3種の構成的活性型の癌原遺伝子のセリン/スレオニンキナーゼであるPIM1、PIM2、及びPIM3のファミリーであり、これらは細胞の生存、増殖、分化、及びアポトーシスを含む、いくつかの重要な正常な生物学的プロセスに関連したシグナル伝達を制御することが示されている。しかし、これらのプロセスが破壊又は過剰活性化され始めた時点で、これらは癌の顕著な特徴を呈する。PIMキナーゼは、細胞の生存を促進し、且つ細胞アポトーシスをダウンレギュレートし、従って腫瘍形成に関連したシグナル伝達機序に直接関与していることが示されている。
PIM1及び/又はPIM3を過剰発現する内胚葉癌及び他の癌に関連した予後不良及び限定された治療の選択肢のために、PIM1及び/又はPIM3キナーゼの選択的インヒビターの開発は、現存する治療モダリティと比べ、より高い有効性、より低い毒性、及びより低い抵抗への感受性を示す薬物により、単独で、又は他の治療薬と組合せてのいずれかで、癌、特にユーイング肉腫などの肉腫、又は胃、肝臓、結腸、前立腺、食道、膵臓、及び他の内胚葉器管の癌を、特異的に治療するための新規戦略を表している。
要約
本開示は、以下に詳述する一般式(I)の3種のPIMインヒビター組成物のファミリーの強力で選択的なインヒビター、医薬製剤、それらの調製方法、及びPIM3の選択的阻害を通じて内胚葉癌を特異的に標的化することを目的とする使用を含む、それらの使用を提供する。
開示された実施態様は、式(I)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり;ここで、式(I)は、規定されているものである。
別の実施態様は、式(IIA)又は(IIB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで式(IIA)又は(IIB)は、以下に規定されているものである。
別の実施態様は、式(IIIA)又は(IIIB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで式(IIIA)又は(IIIB)は、以下に規定されているものである。
別の実施態様は、式(IVA)又は(IVB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで式(IVA)又は(IVB)は、以下に規定されているものである。
別の実施態様は、式(VA)又は(VB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで式(VA)又は(VB)は、以下に規定されているものである。
別の実施態様は、式(VIA)又は(VIB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで式(VIA)又は(VIB)は、以下に規定されているものである。
別の実施態様は、式(VIIA)又は(VIIB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで式(VIIA)又は(VIIB)は、以下に規定されているものである。
別の実施態様は、式(VIIIA)又は(VIIIB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで式(VIIIA)又は(VIIIB)は、以下に規定されているものである。
本開示の別の実施態様は、式(IXA)又は(IXB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで式(IXA)又は(IXB)は、以下に規定されているものである。
同じく、本明細書に開示された化合物、例えばそれらの立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種;又は、それらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグを含む、式(I)-(IX)の化合物;並びに、1又は複数の薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物も開示されている。
本明細書に開示された化合物、例えば、それらの立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種;又は、それらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグを含む、式(I)-(IX)の化合物の治療的有効量を、対象へ投与することを含む、対象におけるPIM3発現に関与した障害、疾患、又は病態の1又は複数の症状を治療、予防、又は改善する方法が、更に開示される。
同じく、本明細書に開示された化合物、例えば、それらの立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種;又は、それらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグを含む、式(I)-(IX)の化合物の治療的有効量を、対象へ投与することを含む、胃、肝臓、結腸、膵臓、前立腺、及び胆嚢などの、内胚葉器管の癌、並びにPIM3発現に関与する他の癌を含む、対象における障害、疾患、又は病態の1又は複数の症状を治療、予防、又は改善する方法も、開示される。
加えて、本明細書において開示された化合物、例えば、それらの立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種;又は、それらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグを含む、式(I)-(IX)の化合物の治療的有効量と、PIM3キナーゼを、インビトロ又はインビボにおいて、接触させることを含む、PIM3キナーゼ活性を調節する方法が、開示される。
同じく、本明細書において開示された化合物、例えば、それらの立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種;又は、それらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグを含む、式(I)-(IX)の化合物の治療的有効量を、対象へ投与することを含む、対象においてPIM3キナーゼ-媒介した障害、疾患、又は病態の1又は複数の症状を治療、予防、又は改善する方法も、開示され、ここでこの化合物は、PIM3活性を部分的又は完全に阻害し、並びにPIM1キナーゼ、PIM2キナーゼ及び人体に存在することが分かっている他のキナーゼと比べ、PIM3キナーゼに対する増大した効能及び/又はPIM3キナーゼの阻害に関する増大した選択性を発揮する。
同じく、例えば、異常な疲労、疼痛、持続性のしこり、出血、硬直、眩暈、貧血、感染症に対する感受性、持続性の咳又はそう痒、頭痛、突然の体重減少、回復しない痛み、及び発熱により特徴付けられる癌性病態を治療する方法も、開示される。癌性悪性腫瘍は、心臓、脳、神経、筋肉、皮膚、眼、関節、肺、膵臓、前立腺、生殖器、腎臓、腺、リンパ系、免疫系、胃腸系、循環系及び血管を含む、体のほとんど全ての部位に影響を及ぼし得る。
図1A、1B及び1Cは、化合物18に関する、生化学アッセイを使用し、PIM1-3を標的化するIC50プロットのグラフ表示であり、PIM3選択性を示している。 図1A、1B及び1Cは、化合物18に関する、生化学アッセイを使用し、PIM1-3を標的化するIC50プロットのグラフ表示であり、PIM3選択性を示している。 図1A、1B及び1Cは、化合物18に関する、生化学アッセイを使用し、PIM1-3を標的化するIC50プロットのグラフ表示であり、PIM3選択性を示している。 図2A及び2Bは、各々、化合物32及び53に関する、LANCEウルトラアッセイを使用し、PIM1-3キナーゼを標的化する、IC50プロットのグラフ表示であり、PIM1及びPIM3選択性を示している。 図2A及び2Bは、各々、化合物32及び53に関する、LANCEウルトラアッセイを使用し、PIM1-3キナーゼを標的化する、IC50プロットのグラフ表示であり、PIM1及びPIM3選択性を示している。 図3A、3B及び3Cは、化合物19、24及び37に関する、EC50細胞傷害性プロットのグラフ表示であり、それぞれ、癌細胞株HepG2、A673、及びHuh7へ添加した場合の、成長阻害を示している。 図3A、3B及び3Cは、化合物19、24及び37に関する、EC50細胞傷害性プロットのグラフ表示であり、それぞれ、癌細胞株HepG2、A673、及びHuh7へ添加した場合の、成長阻害を示している。 図3A、3B及び3Cは、化合物19、24及び37に関する、EC50細胞傷害性プロットのグラフ表示であり、それぞれ、癌細胞株HepG2、A673、及びHuh7へ添加した場合の、成長阻害を示している。 図4は、化合物49の投薬時の、CD57マウスにおける相対Hepal-6腫瘍サイズのグラフ表示である。
詳細な説明
本明細書に説明した開示の理解を促進するために、数多くの用語を、以下に定義する。
一般に、本明細書において使用される命名法、並びに本明細書に記載された有機化学、医化学、分子生物学、微生物学、生化学、酵素学、計算生物学、計算化学、及び薬理学の実験手順は、当該技術分野において周知であり且つ通常利用される。別に定義しない限りは、全ての技術用語及び科学用語は、一般に本開示が属する分野の業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。
別に指摘されない限りは、以下の定義が適用されるべきである。本開示の目的に関して、化学元素は、元素の周期表、CAS版「化学・物理学ハンドブック」、第75版に従い確定される。加えて有機化学の一般原則は、「有機化学」、Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999、及び「March最新有機化学」、第6版、編集:Smith, M. B.及びMarch, J., John Wiley & Sons、ニューヨーク:2007に説明されており、これらの全ての内容は、引用により本明細書中に組み込まれている。
PIMキナーゼの選択的インヒビターを、それを必要とする対象へ投与することによる、特定型の癌の治療に関する、化合物及び方法が、本明細書に提供される。特定の実施態様において、対象は、PIMキナーゼの過剰発現又は過剰活性に関連していることがわかっている癌を伴うと診断されているか、又は罹患が疑われる。胃、肝臓、結腸、膵臓及び胆嚢などの、内胚葉器管の癌は、PIM1及び/又はPIM3の関与が明らかにされている癌の例を表しており、従って効果的PIM1及び/又はPIM3インヒビターによる治療のための候補である。
PIMインヒビター
PIM1及び/又はPIM3の選択的阻害を示す特定の化合物による、PIMキナーゼのインヒビターが、開示されている。高度に選択性のPIM1及び/又はPIM3インヒビターは、その病理学的成長及び増殖に関して、このキナーゼを発現し及び/又はその活性に左右される癌の治療に、特に有用である。胃、結腸、肝臓、膵臓、前立腺、及び胆嚢の悪性腫瘍を含む、内胚葉の癌は、PIM1及び/又はPIM3を過剰発現することが示されており、並びにPIM1及び/又はPIM3の阻害は、これらの癌の成長を阻害することが明らかにされている。同じく、内胚葉癌を含む、癌性悪性腫瘍に関連した1又は複数の負の症状を逆行又は軽減するための、PIMインヒビター(例えば、本明細書記載のPIMインヒビター化合物)を含有する医薬組成物も、本明細書において説明されている。同じく内胚葉癌を含む、癌性悪性腫瘍に関連した負の症状の進行を停止又は遅延するための、PIMインヒビターを含有する医薬組成物も、本明細書において説明されている。1又は複数の癌の症状を治療するための医薬品の製造のための、PIMインヒビターの使用は、本明細書に説明されている。
一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、全てのPIMキナーゼを、ほぼ同等の効力で阻害する。特定の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、1又は複数のPIMキナーゼの活性を減少又は阻害する一方で、その他の活性には大きく影響しない。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、PIM3のキナーゼ活性を実質的に減少又は阻害する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、PIM3キナーゼの実質的に完全なインヒビターである。本明細書において使用される、「実質的に完全な阻害」は、例えばPIM3の>95%阻害を意味する。別の実施態様において、「実質的に完全な阻害」は、例えばPIM3の>90%阻害を意味する。一部の別の実施態様において、「実質的に完全な阻害」は、例えばPIM3の>80%阻害を意味する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIM3インヒビターは、PIM3の部分的インヒビターである。本明細書において使用される、「部分的阻害」は、例えばPIM3の約40%~約60%阻害を意味する。別の実施態様において、「部分的阻害」は、例えばPIM3の約50%~約70%阻害を意味する。本明細書において使用される、PIM3インヒビターは、PIM3の活性を実質的に阻害又は部分的に阻害する一方で、PIM1及び/又はPIM2の活性に大きく影響しないとは、例えば、PIM1及び/又はPIM2が、PIM3インヒビターと同じ濃度で接触される場合に、PIM1及び/又はPIM2の約10%未満の阻害を意味する。別の場合において、PIM3インヒビターは、PIM3の活性を実質的に阻害又は部分的に阻害する一方で、PIM1及び/又はPIM2の活性に大きく影響しないとは、例えば、PIM1及び/又はPIM2が、PIM3について使用されるものと同じ濃度と接触される場合に、PIM1及び/又はPIM2の約5%未満の阻害を意味する。更に別の場合において、PIM3インヒビターは、PIM3の活性を実質的に阻害又は部分的に阻害する一方で、PIM1及び/又はPIM2の活性に大きく影響しないとは、例えば、PIM1及び/又はPIM2が、PIM3に使用されるものと、同じ濃度のPIM3インヒビターと接触される場合に、PIM1及び/又はPIM2の約1%未満の阻害を意味する。
一実施態様は、式(I)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり;ここで:
Figure 2022531230000002
A、B、C、及びDの各々は、同じ又は異なり、並びに、独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、--OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-OR3、-N(H)R3、-N(R32、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択された任意の置換基から選択され;
A’、B’、C’、及びD’の各々は、同じ又は異なり、並びに、独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、--OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3,-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択された任意の置換基から選択され;
E、F、G、及びMの各々は、独立してC又はNであり;
E’、F’、G’、及びM’の各々は、独立してC又はNであり;
各Yは、一置換された、二置換された、又は環状のアミン基であり;
各Lは、YのアミンN原子に直接連結された1~6個の炭素の直鎖アルキルであり;
各Xは、NH、O、S、又はCH2であり;
1は、H、もしくは直線又は分岐した置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のシクロアルケニル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリールもしくは置換又は非置換のヘテロアリールであり;
2は、直線又は分岐した置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のシクロアルケニル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリールもしくは置換又は非置換のヘテロアリールであり;
各R3は、独立して、H、直線又は分岐した置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のシクロアルケニル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、もしくは置換又は非置換のアシル(-C(=O)R1)であるか、或いは2個のR3は、それらが結合した原子と一緒に置換又は非置換のヘテロ環を形成し;
式(I)の化合物は、それら自身、プロテインキナーゼインヒビターとして有用であるか、又はキナーゼインヒビター活性を示す化合物の調製に有用な中間体を表す。先に注記したように、キナーゼインヒビターは、癌、中枢神経系障害、アルツハイマー病、心臓血管疾患、皮膚科疾患、炎症、関節リウマチなどの自己免疫疾患、及び糖尿病性合併症を含む、様々な病態の治療に有用である。
別の実施態様は、式(IIA)、(IIB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これらは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで:
Figure 2022531230000003
各R4は、以下のアミン基の1つであり、式中、n=0~5であり:
Figure 2022531230000004
5、R6、R7、R8、R9、及びR10の各々は、同じ又は異なり、並びに独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、--OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択された任意の置換基から選択される。
式IIA及びIIBの選択された化合物は、式IIA及びIIBの化合物を含み、ここで各R4は、以下からなる群から選択され:
Figure 2022531230000005
(式中、n=1である);
5、R6、R8及びR9の各々は、同じ又は異なり、並びにH、ハロゲン、又は-OHから独立して選択され、並びにR7及びR10の各々は、Hである。
別の実施態様は、式(IIIA)、(IIIB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで:
Figure 2022531230000006
4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10の各々は、式(IIA)について先に規定されている。
別の実施態様は、式(IVA)、(IVB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで:
Figure 2022531230000007
4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10の各々は、式(IIA)について先に規定されている。
別の実施態様は、式(VA)、(VB)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで:
Figure 2022531230000008
4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10の各々は、式(IIA)について先に規定されている。
別の実施態様は、式(VI)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで:
Figure 2022531230000009
4、R5、R6、R7、R8、及びR9の各々は、式(II)について先に規定されている。
式VIA及びVIBの選択された化合物は、各R4が、以下からなる群から選択される、式VIA及びVIBの化合物を含み:
Figure 2022531230000010
式中、n=1であり、
5、R6、及びR8の各々は、同じ又は異なり、並びに独立して、H、ハロゲン、又は-OHから選択され、並びにR7及びR9の各々は、Hである。
別の実施態様は、式(VII)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで:
Figure 2022531230000011
4、R5、R6、R7、R8、及びR9の各々は、式(II)について先に規定されている。
別の実施態様は、式(VIII)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで:
Figure 2022531230000012
4、R5、R6、R7、R8、及びR9の各々は、式(II)について先に規定されている。
別の実施態様において、式(IX)の構造を有する化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、及び代謝産物であり、これは、キナーゼインヒビターを表す例であり、ここで:
Figure 2022531230000013
4、R5、R6、R7、R8、及びR9の各々は、式(II)について先に規定されている。
別の実施態様は、式(I)-(IX)の化合物であり、ここで非置換のアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどから選択される。別の実施態様において、A、B、C、及びDの各々は、独立してH、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-N3、-OR3、-NO2、-NH2、-CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換された1,2,3-トリアゾール、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、もしくは置換又は非置換のアシルであり;別の実施態様において、A’、B’、C’、及びD’は、独立してH、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-N3、-OR3、-NO2、-NH2、-CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換された1,2,3-トリアゾール、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、もしくは置換又は非置換のアシルであり;別の実施態様において、E、F、G、又はMは、独立して窒素である。別の実施態様において、E’、F’、G’、又はM’は、独立して窒素である。別の実施態様において、E及びFは、窒素である。別の実施態様において、E’及びF’は、窒素である。別の実施態様において、E及びFは、窒素である。別の実施態様において、E及びGは、窒素である。別の実施態様において、E’及びG’は、窒素である。
別の実施態様において、E及びMは、窒素である。別の実施態様において、E’及びM’は、窒素である。別の実施態様において、F及びMは、窒素である。別の実施態様において、F’及びM’は、窒素である。
この開示の別の実施態様において、式(II)の化合物であり、ここでY、Z、Y’、及びZ’は、水素であり、並びにXは、-CH2N(Me)2である。
代わりの実施態様において、組合せた転写/翻訳(TX-TL)無細胞生合成(CFB)システムにより、式(I)-(IX)のビスインドールアルカロイド及びアナログを生成する方法が、本明細書に提供され、ここで反応は、代謝酵素、塩、補因子、アミノ酸、糖、ヌクレオチド、並びにトリプトファン及び/又はトリプトファン誘導体などの前駆体分子を含む無細胞抽出物への、ビスインドールアルカロイド経路遺伝子の添加により実施され、並びにここで任意に、この混合物は、式(I)の分子を生成する、インビトロにおける転写、翻訳及び/又は組合せ転写/翻訳が可能であり、式中Q及びRは独立して、水素、1個のインドール窒素原子に結合したグリコース基のいずれかであるか、又は一緒に両方のインドール窒素原子を架橋するグリコースを形成する。式(I)の化合物は引き続き、水素でないQ基及びR基を導入する化学変換を通じて生成されてよい。
代わりの実施態様において、無細胞抽出物は、オープン細胞(open cell)の成長及び破壊、細胞膜及び細胞壁物質の除去、並びに未変性のDNA及び/又はRNAの消化により作製され、ここでこれらの細胞は、様々な界、門、綱、目、科、属又は種に由来し、並びにこれらの細胞は、原核細胞又は真核細胞;或いは、細菌細胞、真菌細胞、藻細胞、古細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、哺乳動物細胞又はヒト細胞である。
代わりの実施態様において、ビスインドールアルカロイド合成に関する天然又は非天然の経路酵素に対応する単離された酵素の使用が関与する、無細胞反応を通じて、式(I)-(IX)のビスインドールアルカロイド及びアナログを生成する方法が、本明細書に提供され、ここでトリプトファン及び/又はトリプトファン誘導体は、そのような酵素と結合され、式(I)-(IX)の分子をもたらす。
同じく本明細書に開示された化合物、例えばそれらの立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種;又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグを含む、式(I)-(IX)の化合物;並びに、1又は複数の薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物も、本明細書に提供される。
対象においてPIM3発現が関与している障害、疾患、又は病態の1又は複数の症状を治療、予防、又は改善する方法が、更に本明細書に提供され、これは対象へ、治療的有効量の本明細書に開示された化合物、例えばそれらの立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種;又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグを含む、式(I)-(IX)の化合物を投与することを含む。
同じく、対象において、胃、肝臓、結腸、膵臓、前立腺、及び胆嚢などの内胚葉器管の癌、並びにPIM3発現が関与している他の癌を含む、障害、疾患、又は病態の1又は複数の症状を治療、予防、又は改善する方法も、本明細書に提供され、これは対象へ、治療的有効量の本明細書に開示された化合物、例えばそれらの立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種;又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグを含む、式(I)-(IX)の化合物を投与することを含む。
加えて、PIMキナーゼ活性を調節する方法が、本明細書に提供され、これはPIMキナーゼを、インビトロ又はインビボにおいて、治療的有効量の本明細書に開示された化合物、例えばそれらの立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種;又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグを含む、式(I)-(IX)の化合物と接触させることを含む。
同じく、PIMキナーゼ-媒介型障害、疾患、又は病態の1又は複数の症状を治療、予防、又は改善する方法も、本明細書に提供され、これは対象へ、治療的有効量の本明細書に開示された化合物、例えばそれらの立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種;又はそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグを含む、式(I)-(IX)の化合物を投与することを含み、ここでこの化合物は、PIM活性を部分的に又は完全に阻害し、並びに1種のPIMキナーゼに対する増強された効能、及び/又は他の2種のPIMキナーゼと比べ及び人体に存在することがわかっている他のキナーゼと比べ1種のPIMキナーゼの阻害に関する増大された選択性を示す。
一部の実施態様において、PIMインヒビターは、小型分子である。本明細書に言及される「小型分子」は、サイズが約5キロダルトン(kDa)未満である有機分子である。一部の実施態様において、小型分子は、約4kDa未満、3kDa、約2kDa、又は約1kDaである。一部の実施態様において、小型分子は、約800ダルトン(Da)未満、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、又は約100Daである。一部の実施態様において、小型分子は、約4000g/mol未満、約3000g/mol未満、2000g/mol未満、約1500g/mol未満、約1000g/mol未満、約800g/mol未満、又は約500g/mol未満である。一部の実施態様において、小型分子は、非-多量体型である。典型的には、小型分子は、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、多糖、糖タンパク質、又はプロテオグリカンではないが、最大約40個のアミノ酸のペプチドは含む。小型分子の誘導体は、当初の小型分子と同じ構造中心を共有するが、当初の小型分子を変動し且つその誘導体を形成する一連の化学反応により調製される分子を指す。一例として、小型分子のプロドラッグは、その小型分子の誘導体である。小型分子のアナログは、当初の小型分子と同じもしくは類似した構造中心を共有し、並びに当初の小型分子と類似の又は関連した経路によるか、又は当該技術分野において認められた変形により合成された分子を指す。特定の実施態様において、本明細書記載の化合物は、1又は複数のキラル中心を有する。従って、全ての立体異性体が、本明細書において構想される。様々な実施態様において、本明細書記載の化合物は、光学活性型又はラセミ型で存在する。本明細書記載の化合物は、本明細書記載の治療的に有用な特性を持つ、ラセミ体、光学活性型、位置異性型及び立体異性型、又はそれらの組合せを包含することは理解されるべきである。光学活性型の調製は、非限定的例として、再結晶技術によるラセミ体の分割による、光学活性のある出発材料からの合成による、キラル合成による、又はキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離によるなどを含む、任意の好適な様式で達成される。一部の実施態様において、1又は複数の異性体の混合物は、本明細書記載の治療的化合物として利用される。特定の実施態様において、本明細書記載の化合物は、1又は複数のキラル中心を含む。これらの化合物は、エナンチオ選択的合成並びに/又はエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマーの混合物の分離を含む、任意の手段により調製される。化合物及びそれらの異性体の分割は、非限定的例として、化学プロセス、酵素的プロセス、分別晶析、蒸留、クロマトグラフィーなどを含む、任意の手段により達成される。
様々な実施態様において、本明細書記載の薬学的に許容される塩は、非限定的例として、硝酸塩、塩化物、臭化物、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、スルホサリチル酸塩、マレイン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、アムソネート(amsonate)、パモ酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メシラートなどを含む。更に、薬学的に許容される塩は、非限定的例として、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム又はマグネシウム)、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム-依存型又はカリウム)、アンモニウム塩などを含む。
本明細書記載の化合物はまた、1又は複数の原子が、同じ原子番号を有するが、通常天然に認められる原子質量もしくは質量数とは異なる原子質量もしくは質量数を有する原子により置き換えられている、同位体-標識された化合物も含む。
本明細書記載の化合物、及び異なる置換基を有する他の関連する化合物は、本明細書記載の技術及び材料、並びに/又は、例えば、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、1-17巻(John Wiley and Sons, 1991);Rodd's Chemistry of Carbon Compounds、1-5巻及び補遺(Elsevier Science Publishers, 1989);Organic Reactions、1-40巻(John Wiley and Sons, 1991);Larock's Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc., 1989);March, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY、第6版(Wiley 2007);Carey and Sundberg, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY、第4版、A及びB巻(Plenum 2000, 2001)、並びにGreen and Wuts, PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、第3版(Wiley 1999)に記載された技術及び材料を用いて合成され、これらの文献は全て本開示に関して引用により本明細書中に組み込まれている。本明細書記載の化合物の調製に関する全般的方法は、本明細書に提供される式において認められる様々な部分の導入に関する、好適な試薬及び条件の使用により、改変される。
定義
置換基部分を確定するために本明細書において使用される用語「ハロ」及び「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表し、好ましくはフッ素、塩素又は臭素を表す。
用語「アルキル」は、単独又は組合せて、環状、直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基を表し、これは直鎖又は分岐鎖の場合、好ましくは1~4個の炭素原子を有し(C1-C4アルキル)、及び環状炭化水素の場合、好ましくは3~7個の炭素原子を有する。用語「置換されたアルキル」は、Hではない置換基により置換されたアルキル基を含むことが意図される。アルキル基の言及は、「飽和アルキル」及び/又は「不飽和アルキル」を含む。アルキル基は、飽和又は不飽和かどうかにかかわらず、分岐鎖基、直鎖基、又は環状基を含む。「低級アルキル」は、C1-C6アルキルである。
用語「シクロアルキル」は、環状炭化水素鎖を指し、ここでシクロアルキルは、本明細書記載の1又は複数の置換基により任意に置換される。一実施態様において、単環式又は多環式シクロアルキル基は、飽和又は不飽和であるが、非-芳香族、並びに/又はスピロ及び/又は非-スピロ、並びに/又は架橋、及び/もしくは非架橋の、並びに/又は縮合した二環式基であってよく、ここで環を形成する各原子(すなわち骨格原子)は、炭素原子である。様々な実施態様において、シクロアルキルは、飽和又は部分的に不飽和である。一部の実施態様において、シクロアルキルは、芳香環に縮合される。用語シクロアルキルは、「不飽和の非芳香族カルボシクリル」基又は「非芳香族の不飽和カルボシクリル」基を含み、両方共、本明細書で定義されたように、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合又は1個の炭素-炭素三重結合を含む非芳香族炭素環を指す。
用語「ハロアルキル」は、1又は複数のハロ原子により置換された、1つのそのように置換されたアルキルであり、及び好ましくは、1~5個のハロ原子により置換されたC1~C10アルキルである。ハロアルキル基の例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:ジフルオロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、及びペンタフルオロエチル。
単独又は組合せて使用される用語「アルコキシ」は、単独又は組合せて-O-連結を介して親分子に共有結合された、アルキル、好ましくはC1~C4アルキルである。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ及びt-ブトキシである。用語アルコキシカルボニルは、例えば、t-ブトキシカルボニル又はBOCである。「アルコキシ」基は、(アルキル)O-基を指し、ここでアルキルは本明細書において定義されている。
用語「アルキルアミン」は、-N(アルキル)xy基を指し、ここでアルキルは、本明細書において定義され、並びにx及びyは、群x=1、y=1及びx=2、y=0から選択される。x=2である場合、アルキル基は、それらが結合した窒素と一緒に、環状環系を任意に形成する。
本明細書において使用される用語「アリール」は、環を形成する各原子が炭素原子である、芳香環を指す。本明細書記載のアリール環は、5個、6個、7個、8個、9個、又は9個よりも多い炭素原子を有する環を含む。アリール基は、任意に置換される。アリール基の例は、フェニル、及びナフタレニルを含むが、これらに限定されるものではない。用語「アリール」は、単独又は組合せて使用される場合、置換又は非置換のフェニル、ビフェニル、又はナフチルを表す。アリールは、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、好ましくはC1~C10アルコキシ、アルキル、好ましくはC1-C10アルキル、ハロアルキル、ニトロ、-NR23、-NHCO(C1-C10アルキル)、-NHCO(ベンジル)、-NHCO(フェニル)、-SH、-S(C1-C4アルキル)、-(C1-C4アルキル)、-SO2(NR23)、-SO2(C1-C10アルキル)、-SO2(フェニル)、又はハロ(ここでR2及びR3は先に定義されている)から独立して選択される1又は複数の置換基により、任意に置換されてよい。
用語「アリールオキシ」は、-O-連結を介して共有結合された1つのそのようなアリールである。用語「アリールアルキル」は、置換されたアルキルと考えることができ、且つ-(CH2mアリールを表し(mは一般に1~3の整数である)、並びに好ましくはベンジルである。対照的に用語アルキルアリールは、置換されたアリールと考えることができ、且つ例えば、アリール(CH2n-CH3などの部分を表す(nは一般に0~6の整数である)。
用語「アルケニル」は、1又は複数の炭素-炭素二重結合、好ましくは1又は2個の二重結合を含む、2~10個の炭素の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を指し、ここでアルケニル基は、1又は複数の本明細書記載の置換基により任意に置換されている。アルケニルの例は、エチレニル、プロピレニル、1,3-ブタジエニル、及び1,3,5-ヘキサトリエニルを含む。
用語「アルキニル」は、1又は複数の炭素-炭素三重結合(複数可)を含む、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を指し、ここでアルキニルは、1又は複数の本明細書記載の置換基により任意に置換されている。
アシルアミノ基又はアシルアミノアルキル基のアシル部分は、最大10個、好ましくは最大6個の炭素原子を含むアルカン酸(例えば、アセチル、プロピオニル又はブチリル)から、或いは芳香族カルボン酸(例えば、ベンゾイル)から誘導される。アシルオキシは、-O-連結により結合された、1つのそのようなアシルであり、例えば、アセチルオキシ、CH3C(=O)O-である。アシルアミノは、例えば、CH3(C=O)NH-(アセチルアミノ)である。同様にアシルアミノアルキルは、CH3(C=O)NH(CH2m-である。
用語「ヘテロ原子」は、ハロゲン、リン、窒素、酸素、又は硫黄など、炭素又は水素ではない、任意の原子を指し、並びに窒素又は硫黄の任意の酸化された形、及び塩基性窒素の四級化された形を含む。「ヘテロアルキル」基は、アルキル基の任意の1個の炭素を、好適な数の結合した水素原子を有するヘテロ原子で置換する(例えば、CH基をNH基又はO基へ)。
「アミド」は、式-C(O)NHR又は-NHC(O)Rを伴う化学部分を指し、ここでRは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介し結合される)及びヘテロ脂環式(環炭素を介し結合される)から選択される。
用語「エステル」は、式-C(O)ORを伴う化学部分であり、ここでRは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロ脂環式からなる群から選択される。
用語ヘテロ環又はヘテロ環式基は、また「Het」又は「ヘテロシクリル」とも記され、これらは安定した、飽和、部分的不飽和、又は芳香族の5-もしくは6-員のヘテロ環式基であることができる。このヘテロ環は、炭素原子、並びに窒素、酸素、及び硫黄からなる群から独立して選択される1~3個のヘテロ原子からなる。ヘテロアリール基は、ピリジンなど、芳香族であるヘテロ環である。ヘテロ環式基は、ハロゲン、アルキル、アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル及びアルキルスルホニルから独立して選択される、1~4個の置換基により任意に置換されることができるか、或いはヘテロ環式基が、芳香族窒素-含有ヘテロ環式基である場合、この窒素原子は、オキシド基を保有することができる。そのようなヘテロ環式基の例は、イミダゾリル、イミダゾリニル、チアゾリニル、ピリジル、インドリル、フリル、ピリミジニル、モルホリニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル及びトリアゾリルである。2個以上のヘテロ環は縮合して、ポリヘテロ環、例えばアザインドール又はプリンを形成してよい。
用語「ヘテロアリール」又は代わりに「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は複数の環ヘテロ原子を含む、アリール基を指す。N-含有「ヘテロ芳香族」又は「ヘテロアリール」部分は、その環の少なくとも1個の骨格原子が、窒素原子である、芳香族基を指す。特定の実施態様において、ヘテロアリール基は、単環式又は多環式である。
用語「ヘテロシクロアルキル」は、飽和又は部分的不飽和である環状の非-芳香族化合物を指し、且つその環内に1又は複数のカルボニル(C=O)官能基を含んでよい。
用語「トリプトファン誘導体」又は「トリプトファンアナログ」は、1又は複数のその芳香環上で、水素以外の1又は複数の置換基により置換されており、従ってこれらの置換基は、A、B、C、D、A’、B’、C’、及びD’について提供された定義に対応しているアミノ酸トリプトファン、並びに/又は先にE、F、G、M、E’、F’、G’、及びM’について定義されたようなC又はNにより環位置で置換されているトリプトファンを指す。
用語「置換された」は、水素の代わりに、主要炭化水素スカフォールドの炭素に結合されている、A、B、C、及びDについて説明されたもののような、置換基又は官能基もしくは複数の基を意味する。
本明細書において使用される用語「脱離基」(LG)は、当業者により容易に理解される。一般に脱離基は、求核性の基又は原子により容易に置き換えるために、それが結合した原子の求電子性を増強する任意の基又は原子である。好ましい脱離基の例は、トリフラート(-OSO2CF3)、メシラート、トシラート、イミデート、塩化物、臭化物、及びヨウ化物である。
特定の状況下において、公知の安定した「保護基」により、式(I)の化合物の合成時に中間体の窒素(N)を保護することは、少なくとも望ましく、且つ必要とされることが多い。そのような窒素保護基の導入及び除去は、当業者には周知である。
これに関して、同様の状況において使用され、並びに本明細書及び請求項において使用される用語「-NH保護基」及び「保護基」は、その化合物上の他の官能基と反応しながら、-NH官能性をブロック又は保護するために通常使用されるアミノ保護基の亜クラスを指す。本開示の方法を実行する上で利用される保護基の種類は、誘導された-NH基が、後続の反応(複数可)の条件(複数可)に対し安定し、且つその分子の残余を破壊することなく適当な時点で除去され得る限りは、重要ではない。T. W. Greene及びP. Wuts、「有機合成における保護基」、第7章、385-394及び397-403頁は、インドール及びマレイミドに関して通常利用される保護基の一覧を提供している。好ましいインドール保護基は、トリメチルシリルエトキシメチル、ベンジル、トシル、カルバメート、アミド、アルキル又はアリールスルホンアミドであるのに対し、マレイミド保護基は、アルコキシ、ベンジル、ジアルコキシベンジル、ベンジルオキシアルキル又はアリルを含む。関連する用語「保護された-NH」は、-NH保護基により置換された基を定義している。
特定の状況において、本開示の合成プロセス時に、ヒドロキシ基及びアミノ基を保護する必要性も存在することがある。当業者は、そのような「ヒドロキシ保護基」及びそのような「アミノ保護基」を熟知している。用語「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ基をブロック又は保護するために通常利用される一方で、反応は化合物上の他の官能基で実行される、ヒドロキシ基のエーテル又はエステル誘導体の1つを指す。利用されるヒドロキシ保護基の種類は、誘導体化されたヒドロキシ基が、後続の反応(複数可)の条件に対し安定し、且つその分子の残余を破壊することなく適当な時点で除去することができる限りは、重要ではない。好ましいヒドロキシ保護基は、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ(TBDPS)、tert-ブチルジメチルシリルオキシ(TBDMS)、トリフェニルメチル(トリチル)、モノ-もしくはジメトキシトリチル、又はアルキルもしくはアリールエステルである。
用語「アミノ保護基」は、アミノ官能性をブロック又は保護するために通常利用される一方で、その化合物上の他の官能基と反応する、アミノ基の置換基を指す。本開示の方法を実行する際に利用されるアミノ保護基の種類は、誘導体化されたアミノ基が、後続の反応(複数可)の条件(複数可)に対し安定し、且つその分子の残余を破壊することなく適当な時点で除去され得る限りは、重要ではない。好ましいアミノ保護基は、t-ブトキシカルボニル、フタルイミド、環状アルキル、及びベンジルオキシカルボニルである。
本明細書において使用される用語「活性化されたマレイミド」は、試薬との及び特に任意にN-置換されたオルガノメタリック-3-インドールとの反応を促進する少なくとも1個の脱離基により置換された、3,4-二置換されたマレイミド(ピロリル-2,5-ジオン)又は2,3,4-三置換されたマレイミドを指す。
用語「インドリルマレイミド」は、それらの基本構造(root structure)として3-(インドール-3-イル)-ピロリル-2,5-ジオンを有する化合物の部類を包含し、並びにそれらの基本構造として、3,4-(インドール-3-イル)-ピロリル-2,5-ジオンを有する「ビスインドリルマレイミド」の亜部類を含み、ここでインドール-3-イル部分又は複数の部分は、任意にN-置換されており、インドリル部分の縮合された6-員の芳香環上で任意に置換されてよく、並びにインドール-3-イル部分又は複数の部分の2位で任意に置換されてよい。同じく、インドリルのN-置換基が、式(I)及び式(II)について先にQ及びRについて説明された架橋部分を介して一緒に連結されているビスインドリルマレイミドも含まれる。先行技術は、広範なそのような任意に置換されたインドリルマレイミドを説明している。
用語「インドロカルバゾール」は、トリプトファンから誘導された2個のインドール環及び縮合されたマレイミド又はラクタム官能性を含むアルカロイド化合物、及びそれらの誘導体を指す。最も頻繁に単離される天然のインドロカルバゾールは、インドロ(2,3-a)カルバゾールであり、最も一般的な亜群は、インドロ(2,3-a)ピロール(3,4-c)カルバゾールである。
本明細書記載のように、本開示の化合物は、「任意に置換された」部分を含んでよい。概して、用語「置換された」は、用語「任意に」が先行するかどうかにかかわらず、指定された部分の1又は複数の水素が、好適な置換基により置き換えられることを意味する。別に指定しない限りは、「任意に置換された」基は、その基の各置換可能な位置に好適な置換基を有してよく、並びにいずれか所定の構造の2つ以上の位置が、特定された群から選択された2個以上の置換基により選択される場合、この置換基は、各位置において、同じ又は異なってよい。本明細書において使用される用語「安定した」は、本明細書において開示された1又は複数の目的のために、それらの保護、検出、並びに特定の実施態様において、それらの回収、精製、及び使用を可能にする条件に供された場合に、実質的に変更されない化合物を指す。
本明細書において使用される用語「可溶化基」は、それが結合した化合物の溶解度を促進する化学的部分を指す。好適な可溶化基は、例えば、モルホリノ、ピペラジニル、及びピペラジニルなどの飽和されたヘテロ環、並びにジメチルアミノ及びメトキシプロピルアミノなどのアミノ基を含む。
別に指定しない限りは、本明細書に描かれた構造はまた、その構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマーの、ジアステレオマーの、及び幾何(又は配座))の形状;例えば、各不斉中心についてR及びS配置、Z及びE二重結合異性体、並びにZ及びE立体配置異性体を含むことも意味する。従って、本化合物の単独の立体化学異性体、並びにエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何異性体(又は配座)の混合物は、本開示の範囲内である。別に指定しない限りは、本開示の化合物の全ての互変異性体は、本開示の範囲内である。
用語「同位体変種」は、そのような化合物を構成する1又は複数の原子の同位体を非天然の割合で含む化合物を指す。特定の実施態様において、化合物の「同位体変種」は、不安定な形状であり、すなわち放射性である。そのような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、又は本開示に従う治療薬として有用である。
用語「溶媒和物」は、化学量論的な又は非-化学量論的な量で存在する、溶質、例えば本明細書に提供される化合物の1又は複数の分子、及び溶媒の1又は複数の分子により形成される複合体又は凝集体を指す。好適な溶媒は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、及び酢酸を含むが、これらに限定されるものではない。特定の実施態様において、溶媒は、薬学的に許容される。一実施態様において、複合体又は凝集体は、結晶形状である。別の実施態様において、複合体又は凝集体は、非晶質形状である。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。水和物の例は、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、及び五水和物を含むが、これらに限定されるものではない。
核酸分子、アミノ酸、ポリペプチド、小型分子の天然生成物、宿主細胞などの天然に生じる生物学的物質と結びつけて使用される場合の用語「天然に生じる」又は「天然の」又は「未変性の」は、自然界に認められるか又は自然界から直接単離される、並びにヒトにより変化もしくは操作されない物質を指す。同様に「天然に生じない」又は「非天然の」又は「不自然の」又は「非-未変性の」は、自然界に存在することが不明であるか又は自然界に認められないか、又はヒトにより構造的に修飾されるかもしくは合成された物質を指す。
用語「半合成」は、当初の天然の物質の新規の変種、誘導体、又はアナログを合成的に作製するために、天然の材料を修飾することを指す。用語「誘導体」又は「アナログ」は、天然又は非天然の物質から誘導される化合物の構造的変種を指す。
用語「光学活性」及び「鏡像異性的に活性」とは、鏡像体過剰率の約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上を有する、分子の集合を指す。特定の実施態様において、この化合物は、問題のラセミ体の総重量を基に、一方のエナンチオマーを約95%以上及び他方のエナンチオマーを約5%未満含む。光学活性化合物を説明する際に、そのキラル中心(複数可)についての分子の絶対配置を示すために、接頭辞R及びSが使用される。記号(+)及び(-)は、化合物の旋光、すなわち光学活性化合物により偏光面が回転される方向を示すために使用される。接頭辞(-)は、化合物が左旋性である、すなわち化合物は偏光面を左へ又は反対時計回りに回転することを指摘している。接頭辞(+)は、化合物が右旋性である、すなわち化合物は偏光面を右へ又は時計回りに回転することを指摘している。しかし、旋光度の記号(+)及び(-)は、その分子の絶対配置R及びSとは関係がない。
語句「それらの立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種;又は、それらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグ」は、語句「そこで言及された化合物の立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種;そこで言及された化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグ;又は、そこで言及された化合物の立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、もしくは同位体変種の薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグ」と同じ意味を有する。
用語「約」又は「およそ」は、その値の測定又は決定方法により一部左右される、当業者により決定されるような特定の値に関する許容誤差を意味する。特定の実施態様において、用語「約」又は「およそ」は、1、2、3、又は4標準偏差以内を意味する。特定の実施態様において、用語「約」又は「およそ」は、所定の値又は範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。
用語「活性成分」及び「活性物質」は、障害、疾患、又は病態の1又は複数の症状の治療、予防、改善のために対象へ、単独で又は1又は複数の薬学的に許容される賦形剤と組合せて投与される化合物を指す。本明細書において使用される「活性成分」及び「活性物質」は、本明細書記載の化合物の光学活性異性体又は同位体変種であってよい。
用語「薬物」、「治療薬」、及び「化学療法薬」は、障害、疾患、又は病態の1又は複数の症状の治療、予防、改善のために対象へ投与される、化合物、又はその医薬組成物を指す。
用語「対象」は、非限定的に霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、又はマウスを含む、動物を指す。用語「対象」及び「患者」は、例えば、ヒト対象などの哺乳動物の対象を言及するよう、本明細書において互換的に使用され、一実施態様において、ヒトである。
本明細書において使用される用語「患者」は、動物、好ましくは哺乳動物、及び最も好ましくはヒトを意味する。
用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、障害、疾患、又は病態を、もしくは障害、疾患、又は病態に関連した1又は複数の症状を、緩和又は抑止すること;或いは、障害、疾患、又は病態それ自身の原因(複数可)を緩和又は根絶することを含むことを意味する。
用語「予防する」、「予防している」及び「予防」は、障害、疾患、又は病態及び/又はその随伴症状の開始を遅延及び/又は排除する;対象が障害、疾患、又は病態を獲得することを阻む;或いは、障害、疾患、又は病態を獲得する対象のリスクを低下する方法を含むことを意味する。
用語「治療的有効量」は、投与される場合に、治療される障害、疾患、又は病態の1又は複数の症状の発達を予防する、又はある程度緩和するのに十分である化合物量を含むことを意味する。用語「治療的有効量」はまた、研究者、獣医師、医師、又は臨床医により求められる、生物学的分子(例えば、タンパク質、酵素、RNA、もしくはDNA)、細胞、組織、体系、動物、又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発するのに十分である、化合物の量も指す。
用語「IC50」又は「EC50」は、そのような反応を測定するアッセイにおける最大反応の50%阻害に必要とされる化合物の量、濃度、又は用量を指す。用語「CC50」は、宿主の生存度の50%減少を生じる化合物の量、濃度、又は用量を指す。特定の実施態様において、化合物のCC50は、化合物により処置される細胞の生存度を、その化合物により処置されない細胞と比べ、50%だけ減少するために必要とされる化合物の量、濃度、又は用量である。用語「Kd」は、小型分子リガンド(小型分子薬物など)が、キナーゼなどのタンパク質について有する結合強度を評価するために測定される、リガンド及びタンパク質の平衡解離定数を指す。解離定数Kdは、リガンドとタンパク質の間の親和性;すなわち、どの位密にリガンドが特定のタンパク質に結合するかを説明するために、通常使用され、並びにこれは会合定数の逆数である。リガンド-タンパク質親和性は、2つの分子の間の非共有的分子間相互作用、例えば水素結合、静電相互作用、疎水性及びファンデルワールス力などにより、影響を受ける。類似の用語「Ki」は、インヒビター定数又は阻害定数であり、これは酵素インヒビターに関する平衡解離定数であり、インヒビターの効能の指標を提供する。
本明細書において使用される語句「生物学的活性」は、生物学的体系及び/又は生物において活性を有する任意の物質の特徴を指す。例えば、生物へ投与される場合に、その生物に生物学的効果を有する物質は、生物学的活性があると考えられる。特定の実施態様において、タンパク質又はポリペプチドに生物学的活性がある場合、タンパク質又はポリペプチドの少なくとも1つの生物活性を共有している、そのタンパク質又はポリペプチドの部分は、典型的には「生物学的活性」部分と称される。
本明細書において使用される用語「有効量」は、全身に投与される場合に、恩恵のある又は所望の臨床結果など、恩恵のある又は所望の結果を、又は疾患の状態の改善に繋がる他の所望の効果を作用するのに十分である量である。有効量はまた、予防作用を生じる量、例えば自己免疫疾患又は癌に関連した病理学的状態又は望ましくない状態の出現を遅延、軽減、又は排除する量でもある。有効量は、1又は複数回の投与で任意に投与される。治療に関して、本明細書記載の組成物の「有効量」は、自己免疫疾患又は癌の進行を和らげる、緩和する、改善する、安定化する、逆行する又は遅くするのに十分である量である。
本明細書において使用される用語「インヒビター」は、標的分子、例えばPIMキナーゼの1又は複数の生物学的活性を阻害(部分的阻害又はアロステリック阻害を含む)することが可能である分子を指す。インヒビターは、例えば、標的分子の活性を減少もしくは抑制する、及び/又はシグナル伝達を減少もしくは抑制することにより、作用する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、3種のPIMキナーゼ全ての実質的に完全な阻害を引き起こす。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、PIM1及びPIM3など、2種のPIMキナーゼの実質的に完全な阻害を引き起こす。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、PIM3など、1種のPIMキナーゼの実質的に完全な阻害を引き起こす。一部の実施態様において、語句「部分的インヒビター」は、例えば、標的分子の活性を部分的に減少もしくは抑制する及び/又はシグナル伝達を部分的に減少もしくは抑制することにより、部分的反応を誘導することができる分子を指す。場合によっては、部分的インヒビターは、インヒビターの空間的配置、電子特性、又は一部の他の物理化学的及び/もしくは生物学的特性を模倣する。場合によっては、上昇したレベルのインヒビターの存在下で、部分的インヒビターは、標的分子の占拠についてインヒビターと競合し、インヒビター単独と比べ、低下した有効性を提供する。
一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、PIMキナーゼの部分的インヒビターである。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、PIMキナーゼのアロステリックモジュレーターである。一部の実施態様において、PIMインヒビターは、PIMキナーゼのキナーゼドメインに結合する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、PIMのATP結合部位をブロックする。一部の実施態様において、PIMインヒビターは、「II型」キナーゼインヒビターである。一部の実施態様において、PIMインヒビターは、それらの不活性配座又は状態にあるPIMキナーゼを安定化する。一部の実施態様において、PIMインヒビターは、PIMキナーゼの「DFG-アウト」配座を安定化する。
一部の実施態様において、PIMインヒビターは、PIMと、少なくとも1種のその天然の結合パートナー(例えば、アポトーシス促進性Bcl-2-関連したデスプロモータータンパク質(BAD)、リボソームタンパク質4E-BP1、及び転写因子c-Mycなど)の間の結合を低下、破棄、及び/又は除去する。場合によっては、PIMと少なくとも1種のその天然のパートナーの間の結合は、PIMインヒビターの非存在下で、PIMインヒビターの存在下よりもより強力となる(例えば、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%(°A)又は20%だけ)。代わりに又は加えて、PIMインヒビターは、例えば、触媒部位に直接結合するか、又はPIMの配座を変更し、その結果触媒部位が基質と接近不可能になることにより、PIMキナーゼのリン酸転移酵素活性を阻害する。一部の実施態様において、PIMインヒビターは、例えば転写因子STAT3及びSTAT5(シグナル伝達因子及び転写活性化因子)、c-Myc、FoxO1a、及びFoxO3a、細胞周期制御因子p27、Cdc25A、及びCdc25C、又はそれ自身など、その標的基質の少なくとも1つをリン酸化するPIMキナーゼの能力を阻害する。PIMインヒビターは、無機化合物及び/又は有機化合物を含む。
一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、サイトカイン受容体に結合するインターロイキン及びインターフェロンなどの、分裂促進性増殖因子により誘導されたシグナル伝達を減少する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、アポトーシス促進性BADのリン酸化を減少し、結果的に細胞アポトーシスが可能である。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、転写因子タンパク質c-Mycの細胞レベルを減少する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、解糖及びミトコンドリア新生が可能である酵素ペルオキシソーム増殖因子-活性化受容体γ共役因子1α(PGC-1α)の細胞レベルを減少する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、転写因子STAT3、Myb、FoxO1a、及びFoxO3aのリン酸化及び活性化を減少する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、耐糖能及びインスリン感受性を増大する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、STAT3をリン酸化することにより、VEGF及び血管新生のレベルを低下する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、膵癌細胞の細胞増殖を減少する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、胃癌細胞の細胞増殖を減少する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、結腸直腸癌細胞の細胞増殖を減少する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、前立腺癌細胞の細胞増殖を減少する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、胆嚢癌細胞の細胞増殖を減少する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、鼻咽腔癌細胞の細胞増殖を減少する。一部の実施態様において、本明細書記載のPIMインヒビターは、肝癌細胞の細胞増殖を減少する。
一部の実施態様において、本明細書記載の方法に適したPIMインヒビターは、直接的PIMインヒビターである。一部の実施態様において、本明細書記載の方法に適したPIMインヒビターは、間接的PIMインヒビターである。一部の実施態様において、本明細書の方法に適したPIMインヒビターは、PIM活性の基本レベルに比べ、約1.1倍~約1000倍、例えば約1.2倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、2.0倍、3.0倍、5.0倍、6.0倍、7.0倍、8.5倍、9.7倍、10倍、12倍、14倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、95倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍だけ、PIM活性を減少するか、又は基本PIM3活性に比べ約1.1倍~約1000倍の任意の他の量だけ減少する。一部の実施態様において、PIMインヒビターは、可逆的PIMインヒビターである。別の実施態様において、PIMインヒビターは、不可逆的PIMインヒビターである。直接的PIMインヒビターは、悪性又は癌性の疾患の治療のための医薬品の製造に、任意に使用される。
一部の実施態様において、本明細書記載の方法に使用されるPIMインヒビターは、PIMインヒビターをPIMキナーゼと接触させた後、100μM未満(例えば、10μM未満、5μM未満、4μM未満、3μM未満、1μM未満、0.8μM未満、0.6μM未満、0.5μM未満、0.4μM未満、0.3μM未満、0.2μM未満、0.1μM未満、0.08μM未満、0.06μM未満、0.05μM未満、0.04μM未満、0.03μM未満、0.02μM未満、0.01μM未満、0.0099μM未満、0.0098μM未満、0.0097μM未満、0.0096μM未満、0.0095μM未満、0.0094μM未満、0.0093μM未満、0.00092μM未満、0.0090μM未満、0.0010μM未満、又は0.00010μM未満)の、1又は複数のPIMキナーゼの活性の50%が残る阻害濃度として定義される、インビトロIC50、又は解離定数(Kd)、又は阻害定数(Ki)を有する。
本明細書において使用される核酸配列の「発現」は、以下の事象の1又は複数を指す:(1)DNA配列からのRNA鋳型の作製(例えば、DNAのメッセンジャーRNAへの転写による);(2)RNA転写物のプロセッシング(例えば、スプライシング、編集、5'キャップ形成、及び/又は3'末端形成);(3)RNAのポリペプチド又はタンパク質への翻訳;(4)ポリペプチド又はタンパク質の翻訳後修飾。
本明細書において使用される用語「PIMポリペプチド」又は「PIMタンパク質」又は「PIM」又は「PIMキナーゼ」は、ヒトキナーゼのセリン/スレオニンファミリーに属するタンパク質を指す。PIM1アミノ酸配列の代表例は、ヒトPIM1(GenBank寄託番号P11309)を含むが、これに限定されるものではない。ヒトPIM1はまた、同定された34kDa及び44kDaの2種の切断型アイソフォームも有し、並びにPIM1ホモログは、動物界全体に存在する。PIM2アミノ酸配列の代表例は、ヒトPIM2(GenBank寄託番号Q9P1W9)を含むが、これに限定されるものではない。ヒトPIM2もまた、同定された3種の切断型アイソフォーム34kDa、37kDa、及び40kDaを有し、並びにPIM2ホモログは、動物界全体に存在する。PIM3アミノ酸配列は、ヒトPIM3(GenBank寄託番号Q86V86)を含むが、これに限定されるものではない。ヒトPIM3もまた、同定された多くの切断型アイソフォームを有し、並びにPIM3ホモログは、動物界全体に存在する。
一部の実施態様において、PIM1ポリペプチドは、GenBank寄託番号P11309の配列と、少なくとも60%~100%同一、例えば、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、又は約70%~約100%の任意の他の割合同一である、アミノ酸配列を含む。一部の実施態様において、PIM2ポリペプチドは、GenBank寄託番号Q9P1W9の配列と、少なくとも60%~100%同一、例えば、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、又は約70%~約100%の任意の他の割合同一である、アミノ酸配列を含む。一部の実施態様において、PIM3ポリペプチドは、GenBank寄託番号Q86V86の配列と、少なくとも60%~100%同一、例えば、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、又は約70%~約100%の任意の他の割合同一である、アミノ酸配列を含む。
PIM1タンパク質をコードしているヒトPIM1遺伝子の代表例は、ヒトPIM1(GenBank寄託番号5292)を含むが、これに限定されるものではない。一部の実施態様において、ヒトPIM1遺伝子は、GenBank寄託番号5292の配列と、少なくとも70%~100%同一、例えば、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、又は約70%~約100%の任意の他の割合同一であるヌクレオチド配列を含む。PIM2タンパク質をコードしているヒトPIM2遺伝子の代表例は、ヒトPIM2(GenBank寄託番号11040)を含むが、これに限定されるものではない。一部の実施態様において、ヒトPIM2遺伝子は、GenBank寄託番号11040の配列と、少なくとも70%~100%同一、例えば、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、又は約70%~約100%の任意の他の割合同一であるヌクレオチド配列を含む。PIM3タンパク質をコードしているヒトPIM3遺伝子の代表例は、ヒトPIM3(GenBank寄託番号415116)を含むが、これに限定されるものではない。一部の実施態様において、ヒトPIM3遺伝子は、GenBank寄託番号415116の配列と、少なくとも70%~100%同一、例えば、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、又は約70%~約100%の任意の他の割合同一であるヌクレオチド配列を含む。
2種のアミノ酸配列又は2種の核酸のホモロジー率を決定するために、これらの配列を、最適に比較するために整列させる(例えば、第二のアミノ酸又は核酸配列との最適なアラインメントのために、ギャップを、第一のアミノ酸配列又は核酸配列に導入することができる)。次に対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置のアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第一の配列の位置が、第二の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドにより占拠されている場合、この分子は、その位置で同一である。2つの配列間のホモロジー率は、それらの配列により共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一位置の数/位置の総数(例えば、重複する位置)×100)。一実施態様において、これら2つの配列は、同じ長さである。
2つの配列間のホモロジー率を決定するために、Karlin, S.及びAltschul, S.F., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1990, 87:2264-2268;改編されたKarlin, S.及びAltschul S.F.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1993, 90:5873-5877のアルゴリズムが使用される。そのようなアルゴリズムは、Altschul, S.F.ら、J. Mol. Biol., 1990, 215, 403-410のNBLAST及びBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワードレングス=12で実行され、本明細書に説明又は開示された核酸分子とホモログなヌクレオチド配列を得る。BLASTタンパク質検索は、BLASTプログラム、スコア=50、ワードレングス=3で実行される。比較目的でギャップ付きアラインメントを得るためには、Altschul, S.F.ら、Nucleic Acids Res., 1997, 25, 3389-3402に説明されたGapped BLASTが、利用される。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、BLAST及びNBLAST)のデフォルトのパラメータが使用される。更なる詳細については、米国国立生物工学情報センター(NIBC)のウェブサイトを参照されたい(www.ncbi.nlm.nih.gov)。本明細書記載の方法における使用に適したタンパク質もまた、本明細書記載の任意のタンパク質PIM3インヒビターのアミノ酸配列と比べ、1~15個のアミノ酸変化、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を有するタンパク質を含む。別の実施態様において、変更されたアミノ酸配列は、本明細書記載の任意のタンパク質PIM3インヒビターのアミノ酸配列と、少なくとも75%同一、例えば、77%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一である。そのような配列-バリアントタンパク質は、変更されたアミノ酸配列が、本明細書記載の組成物及び方法において機能するのに十分な生物活性を保持する限りは、本明細書記載の方法に適している。アミノ酸置換が成される場合は、これらの置換は、保存的アミノ酸置換でなければならない。20種の一般的タンパク質を構成するアミノ酸の中で、例えば「保存的アミノ酸置換」は、各々以下の群内のアミノ酸の間の置換により例証される:(1)グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシン、(2)フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファン、(3)セリン及びスレオニン、(4)アスパラギン酸及びグルタミン酸、(5)グルタミン及びアスパラギン、並びに(6)リジン、アルギニン及びヒスチジン。BLOSUM62表は、タンパク質配列セグメントの約2,000のローカルマルチプルアラインメント由来の、アミノ酸置換マトリクスであり、これは関連タンパク質の500を超える群の高度に保存された領域を表している(Henikoff、S.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1992、89、10915-10919)。従って、BLOSUM62置換頻度は、説明された又は本明細書記載のアミノ酸配列へ導入され得る保存的アミノ酸置換を規定するために使用される。化学特性のみを基にアミノ酸置換をデザインすることは(先に考察したように)可能であるが、語句「保存的アミノ酸置換」は、1より大きいBLOSUM62値により表される置換を指すことが好ましい。例えば、アミノ酸置換が、BLOSUM62値0、1、2、又は3により特徴付けられる場合に、その置換は保存的である。このシステムに従い、好ましい保存的アミノ酸置換は、少なくとも1(例えば、1、2又は3)のBLOSUM62値により特徴付けられるが、より好ましい保存的アミノ酸置換は、少なくとも2(例えば、2又は3)のBLOSUM62値により特徴付けられる。
本明細書において使用される用語「PIM活性」は、別に特定しない限りは、少なくとも1種のPIMキナーゼタンパク質-タンパク質相互作用、PIMリン酸転移酵素活性(分子間又は分子間)、1又は複数のPIMアイソフォームの転座などを含むが、これらに限定されるものではない。本明細書において使用される「PIMインヒビター」は、PIM活性を直接又は間接に減少する、任意の分子、化合物、又は組成物を指す。一部の実施態様において、PIMインヒビターは、PIM mRNA及び/又はタンパク質のレベルを、もしくはPIM mRNA及び/又はタンパク質の半減期を、阻害、減少、及び/又は破棄し、そのようなインヒビターは、「クリアランス物質」と称される。一部の実施態様において、PIMインヒビターは、PIMの活性を阻害、減少、及び/又は破棄する、PIMアンタゴニストである。一部の実施態様において、PIMインヒビターはまた、標準方法を用いて測定される、PIMと、その天然の結合パートナー(例えば、PIM3キナーゼ、又はBAD、又はc-Mycの基質)、又は病的状態のPIMの結合パートナーであるタンパク質との間の相互作用を破壊、阻害、又は破棄する。
一部の実施態様において、PIM3インヒビターは、PIMと、その天然の結合パートナー(例えば、BAD、AMPK、STAT3、c-Myc、Myb、FoxO1a、及びFoxO3a、p21、p27、PGC-1α、eIF4B、Cdc25A,、Cdc25C、又は翻訳制御された腫瘍タンパク質TCTP/TPT1)の少なくとも1種との間の結合を減少、破棄、及び/又は除去する。場合によっては、PIMと、その天然の結合パートナーの間の結合は、PIMインヒビターの非存在下で、PIMインヒビターの存在下よりも、より強力である(例えば、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%又は20%だけ)。一部の実施態様において、PIMインヒビターは、PIMと、疾患状態の細胞又は組織中で異常に蓄積又は凝集するタンパク質の間の結合を予防、減少、又は破棄する。場合によっては、PIMと、細胞又は組織において凝集又は蓄積するタンパク質の少なくとも1種の間の結合は、PIMインヒビターの非存在下で、インヒビターの存在下よりも、より強力である(例えば、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%又は20%だけ)。「個体」又は「個体」は、哺乳動物である。一部の実施態様において、個体は、動物、例えば、ラット、マウス、イヌ又はサルである。一部の実施態様において、個体は、ヒト患者である。一部の実施態様において、個体は、癌に罹患しているか、又は癌に罹患していることが疑われるか、又は遺伝学的に癌の素因がある。一部の実施態様において、PIMインヒビターを含有する薬理学的組成物は、「末梢投与」か又は「末梢に投与され」る。本明細書において使用されるこれらの用語は、個体へ、中枢神経系へ直接投与されない物質、すなわち、血液-脳関門の非脳側と接触させる物質、例えば治療薬の投与の任意の形を指す。本明細書において使用される「末梢投与」は、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、経皮、吸入による、口腔経由、鼻腔内、経直腸、経口、非経口、舌下、又は経鼻を含む。一部の実施態様において、PIM3インヒビターは、脳内経路により投与される。
用語「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すよう、本明細書において互換的に使用される。すなわち、ポリペプチドに関する説明は、タンパク質の説明に同等に適用され、逆もまた当てはまる。これらの用語は、天然のアミノ酸ポリマー、並びに1又は複数のアミノ酸残基が非天然のアミノ酸、例えばアミノ酸アナログであるアミノ酸ポリマーに適用される。本明細書において使用される用語は、完全長タンパク質(すなわち、抗原)を含む、任意の長さのアミノ酸鎖を包含し、ここでアミノ酸残基は、共有ペプチド結合により連結されている。
用語「アミノ酸」は、天然及び非天然のアミノ酸、並びに天然のアミノ酸と類似の方法で機能するアミノ酸アナログ及びアミノ酸模倣体を指す。用語「核酸」は、一本鎖又は二本鎖のいずれかの形の、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、又はリボヌクレオチド、及びそれらのポリマーを指す。具体的に限定しない限りは、この用語は、参照核酸と類似の結合特性を有し、並びに天然のヌクレオチドに似た様式で代謝される、天然のヌクレオチドの公知のアナログを含む核酸を包含している。別に具体的に限定されない限りは、この用語はまた、PNA(ペプチド核酸)を含むオリゴヌクレオチドアナログ、アンチセンス技術で使用されるDNAのアナログ(ホスホロチオエート、ホスホロアミデートなど)も指す。別に指摘しない限りは、特定の核酸配列はまた、それらの保存的に修飾されたバリアント(非限定的に、縮重コドン置換を含む)及び相補的配列、並びに明確に示された配列を暗に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1又は複数の選択された(又は全ての)コドンの第三の位置が、混合された-塩基及び/又はデオキシイノシン残基により置換されている配列を作製することにより、実現されてよい(Batzer, M.A.ら、Nucleic Acid Res., 1991, 19, 5081-1585;Ohtsuka, E.ら、J. Biol. Chem., 1985, 260, 2605-2608;及び、Rossolini, G.M.ら、Mol. Cell. Probes, 1994, 8, 91-98)。
用語「単離された」及び「精製された」は、その天然の環境から実質的に又は本質的に除去された又は濃縮された物質を指す。例えば、単離された核酸は、それ又は試料中の他の核酸もしくは成分(タンパク質、脂質など)と通常隣接している拡散から分離されているものである。別の例において、ポリペプチドは、それが、その天然の環境において実質的に除去されるか又は濃縮されている場合に、精製される。核酸及びタンパク質の精製及び単離の方法は、文書化された方法論である。
用語「抗体」は、天然に又は部分的もしくは全体に合成により生成された免疫グロブリンを説明する。この用語はまた、抗原結合ドメインであるか又はそれに相同である、結合ドメインを有する任意のポリペプチド又はタンパク質も対象としている。CDRグラフト抗体もまた、この用語により企図される。本明細書において使用される用語抗体はまた、抗原へ特異的に結合する能力を保持している1又は複数の抗体の断片を意味することも理解されるであろう(一般に:Holliger, P.ら、Nature Biotech. 2005, 23 (9), 1126-1129参照)。
「アッセイする」により、実験条件の作出、並びに具体的実験条件に晒された特定の結果に関するデータの集積を意味する。例えば、酵素は、検出可能な基質に対し作用するそれらの能力を基に、アッセイされ得る。化合物は、特定の標的分子又は分子類に結合するその能力を基に、アッセイされ得る。
本明細書において使用される用語「調節している」又は「調節する」は、生物活性、特にプロテインキナーゼなどの特定の生体分子に関連した生物活性を変更する(すなわち、活性を増加又は減少する)作用を指す。例えば特定の生体分子のインヒビターは、酵素などの生体分子の活性を減少することにより、その生体分子、例えば酵素の活性を調節する。そのような活性は、典型的には、例えば酵素に関して、インヒビターについての化合物の阻害濃度(IC50)の観点から指定される。
モジュレーターであるか又はそうであり得る化合物の使用、試験又はスクリーニングの状況において、用語「接触している」は、化合物(複数可)が、生物内の特定の分子、複合体、細胞、組織に対し、又は化合物と他の特定された物質の間の可能性のある結合相互作用及び/もしくは化学反応が起こり得る他の特定された物質に対し、十分に近接するようにされることを意味する。
キナーゼ活性アッセイ
キナーゼ活性に関する数多くの様々なアッセイが、活性モジュレーターをアッセイし、及び/又は特定のキナーゼもしくはキナーゼ群に関するモジュレーターの特異性を決定するために、利用され得る。下記実施例において言及したアッセイに加え、当業者は、利用することができる他のアッセイを知っており、且つ特定の適用のためにアッセイを修飾することができる。例えば、キナーゼに関する多くの論文が、使用することができるアッセイを説明している。加えて代替のアッセイは、結合の決定を利用することができる。例えばいくつかのアッセイは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)フォーマットにおいて、又はストレプトアビジンもしくはリン光体-特異的抗体に結合されるドナー試薬及びアクセプタ試薬を変動することによるAlphaScreen(化学増幅型ルミネセンスプロキシミティホモジニアスアッセイ)フォーマットの使用のいずれかでフォーマットすることができる。
本明細書において使用される用語「生物製剤特性」は、対象への投与時の化合物の溶解、吸収及び分布を含む、本開示の化合物又は複合体の薬物動態作用を指す。従って本開示の化合物の非晶質複合体などの、本開示の化合物の特定の固体形は、この活性化合物の改善された溶解及び吸収を提供することが意図され、これは典型的には、改善されたCmax(薬物投与後の血漿内の最大到達濃度)及び改善されたAUC(すなわち、薬物投与後の薬物血漿濃度、対、時間の曲線下面積)を反映している。
代替の化合物形又は誘導体
本明細書において企図された化合物は、一般式及び具体的化合物の両方に関して説明されている。代替形又は誘導体は、例えば、(a)プロドラッグ、及び活性代謝産物、(b)互変異性体、異性体(立体異性体及び位置異性体を含む)、並びにラセミ混合物、(c)薬学的に許容される塩、並びに(d)それらの水和物及び溶媒和物を含む、様々な結晶形、多形性又は非晶質固体を含む、固体形、及び他の形:を含む。
(a)プロドラッグ及び代謝産物
本式及び本明細書記載の化合物に加え、本開示はまた、プロドラッグ(一般に薬学的に許容されるプロドラッグ)、活性代謝誘導体(活性代謝産物)、及びそれらの薬学的に許容される塩も含む。
プロドラッグは、生理的条件下で代謝される場合、又は加溶媒分解により変換される場合に、所望の活性化合物を生じる、化合物又はそれらの薬学的に許容される塩である。一部のプロドラッグは、酵素的に活性化され、活性化合物を生じるか、或いは化合物は、更なる化学反応を受け、活性化合物を生じる。プロドラッグは、プロドラッグ形から単独の工程で活性形まで進行されるか、又はそれら自身活性があるかもしくは不活性である、1又は複数の中間体形を有してよい。The Practice of Medicinal Chemistry、第31-32章(編集Wermuth、Academic Press、サンディエゴ、CA.、2001)に記載されたように、プロドラッグは、2つの非-排他的なカテゴリーである、生体前駆体プロドラッグ及び担体プロドラッグに概念的に分けることができる。一般に、生体前駆体プロドラッグは、1又は複数の保護基を含み、且つ代謝又は加溶媒分解により活性形へ変換される、不活性であるか又は対応する活性薬物化合物と比べ低い活性を有する化合物である。活性薬物形及び任意の放出された代謝生成物は両方共、許容し得る低い毒性を有さなければならない。典型的には、活性薬物化合物の形成は、代謝プロセス又は反応に関与している。
(b)互変異性体、立体異性体、及び位置異性体
一部の化合物は、互変異性を示してよいことが理解される。そのような場合、本明細書に提供される式は、ただ1つの可能性のある互変異性形を明白に描いている。従って、本明細書に提供される式は、描かれた化合物の任意の互変異性形を表しすことを意図し、並びに式の図により描かれた具体的な互変異性形のみに限定されないことは理解される。同様に、本開示に従う化合物の一部は、立体異性体として、すなわち原子の空間的配向は異なるが、共有結合した原子と同じ原子結合性を有するものとして、存在してよい。反対を特定しない限り、そのような立体異性体形は全て、本明細書に提供される式に含まれる。
一部の実施態様において、本開示のキラル化合物は、単独の異性体を少なくとも80%(60%鏡像体過剰(”e.e.”)又はジアステレオマー過剰(”d.e.”))、又は少なくとも85%(70%e.e.又はd.e.)、90%(80%e.e.又はd.e.)、95%(90%e.e.又はd.e.)、97.5%(95%e.e.又はd.e.)、もしくは99%(98%e.e.又はd.e.)含む形である。当業者に一般に理解されるように、1つのキラル中心を有する光学的に純粋な化合物は、2種の可能なエナンチオマーの1つから本質的になるもの(すなわち、鏡像異性的に純粋)であり、並びに2つ以上のキラル中心を有する光学的に純粋な化合物は、ジアステレオマー的に純粋および鏡像異性的に純粋の両方であるものである。一部の実施態様において、この化合物は、当該技術分野において公知の方法(例えば、再結晶技術、キラル合成技術(光学的に純粋な出発材料からの合成を含む)、及びキラルカラムを使用するクロマトグラフィー分離により、調製及び/又は単離される光学的に純粋な形など、光学的に純粋な形で存在する。
(c)薬学的に許容される塩
反対を特定しない限り、本明細書の化合物の仕様は、そのような化合物の薬学的に許容される塩を含む。
本明細書において使用する用語「薬学的に許容される塩」は、正当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、且つ妥当なベネフィット/リスク比と釣り合っている、ヒト又は下等動物の組織と接触して使用するのに適しているそれらの塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、薬学的に許容される塩は、S. M. Bergeら、J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19に説明されており、これは引用により本明細書中に組み込まれている。
(d)その他の化合物形
固体である物質の場合、当業者により、これらの化合物及び塩は、異なる結晶形又は多形体形で存在してよいか、又は共晶として製剤化されてよいか、又は非晶質形であってよいか、又はそれらの任意の組合せであってよい(例えば、部分的に結晶、部分的に非晶質、又は多形体の混合物)ことが理解され、それらの全ては、本開示及び特定された式の範囲内であることが意図される。
薬学的に許容される組成物
用語「薬学的に許容される担体」、「薬学的に許容される賦形剤」、「生理的に許容し得る担体」、又は「生理的に許容し得る賦形剤」は、薬学的に許容される物質、組成物、又はビヒクル、例えば液体又は固体の充填剤、希釈剤、溶媒、又は封入材料を指す。一実施態様において、各成分は、医薬製剤の他の構成成分と適合可能であり、且つ妥当なベネフィット/リスク比と釣り合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、又は他の問題点もしくは合併症を伴うことなく、ヒト及び動物の組織又は器官と接触して使用するのに適しているという意味で、「薬学的に許容される」。「Remington:薬学の科学と実践」、第21版; Lippincott Williams & Wilkins、フィラデルフィア、Pa., 2005;「医薬賦形剤ハンドブック」、第6版;Roweら編集; The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association: 2009;「医薬添加剤ハンドブック」、第3版、Ash及びAsh編集; Gower Publishing Company: 2007;Pharmaceutical Preformulation and Formulation、第2版; Gibson編集; CRC Press LLC:ボカラトン、Fl., 2009を参照されたい。用語「薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクル」は、それと共に製剤化されている化合物の医薬活性を破壊しない、無毒の担体、アジュバント、又はビヒクルを指す。別の実施態様に従い、本開示は、本開示の化合物又はそれらの薬学的に許容される誘導体、及び薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルを含有する組成物を提供する。
「薬学的に許容される誘導体」は、レシピエントへの投与時に、直接的又は間接的のいずれかで、本開示の化合物又はそれらの阻害活性のある代謝産物もしくは残基を提供することが可能である、本開示の化合物の任意の無毒の塩、エステル、エステルの塩又は他の誘導体を意味する。
本明細書において使用される用語「阻害活性のあるそれらの代謝産物又は残基」は、それらの代謝産物又は残基は、PIM3又はその変異体のインヒビターでもあることを意味する。
本開示の組成物は、経口、非経口、吸入スプレーにより、局所的、経直腸、経鼻、口腔内、経膣、又は移植された貯蔵庫を介して投与されてよい。本明細書において使用される用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内及び頭蓋内の注射又は注入技術を含む。
好ましくは、本組成物は、経口、腹腔内又は静脈内に投与される。この開示の組成物の無菌の注射可能な形は、水性又は油性の懸濁液であってよい。これらの懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用し、当該技術分野において公知の技術に従い製剤化されてよい。この開示の薬学的に許容される組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤又は液剤を含むが、これらに限定されるものではない、任意の経口的に許容し得る剤形で、経口投与されてよい。
あるいは、この開示の薬学的に許容される組成物は、直腸投与のための坐剤の形状で投与されてよい。これらは、本物質を、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って直腸内で溶融し、薬物を放出する、好適な無刺激性の賦形剤と混合することにより、調製することができる。そのような材料は、カカオバター、蜜ろう及びポリエチレングリコールを含む。
この開示の薬学的に許容される組成物はまた、特に、治療の標的が眼、皮膚、又は下部腸管の疾患を含む局所適用により容易にアクセス可能な領域又は器官を含む場合、局所的に投与されてよい。本明細書において使用される用語「インヒビター」は、測定可能な親和性で、標的プロテインキナーゼに結合及び/又は阻害する化合物として定義される。特定の実施態様において、インヒビターは、約50μM未満、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、約10nM未満、又は約1nM未満のIC50及び/又は結合定数を有する。
本開示の化合物は、検出可能な部分に繋がれてよい。当業者は、検出可能な部分は、好適な置換基を介して、提供された化合物に結合されてよいことを認めるであろう。本明細書において使用される用語「好適な置換基」は、検出可能な部分への共有結合が可能である部分を指す。
本明細書において使用される用語「検出可能な部分」は、用語「標識」と互換的に使用され、並びに例えば一次標識及び二次標識など検出されることが可能な部分に関連している。例えば放射性同位元素(例えば、トリチウム、32P、33P、35S、又は14C)、質量タグ、及び蛍光標識などの一次標識は、更なる修飾を伴わずに検出することができるシグナルを発生するレポーター基である。検出可能な部分はまた、ルミネセンス基及びリン光基を含む。
本明細書において使用される用語「測定可能な親和性」及び「測定できる阻害」とは、本開示の化合物、又はその組成物、及びタンパク質を含有する試料と、該化合物、又はその組成物の非存在下で、プロテインキナーゼを含有する同等の試料の間でのプロテインキナーゼ活性の測定可能な変化を意味する。
本明細書において使用される用語「PIM-媒介した」障害又は病態は、本明細書において使用されるようにPIMキナーゼ、又はその変異体が、役割を果たすことが分かっている任意の疾患又は他の有害な病態を意味する。従って、本開示の別の実施態様は、1又は複数のPIMキナーゼ又はその変異体が、役割を果たすことがわかっている、1又は複数の疾患を治療するか又はその重症度を軽減することに関する。具体的には、本開示は、増殖性障害から選択される疾患又は病態を治療するか又はその重症度を軽減する方法に関し、ここで該方法は、本開示の化合物又は組成物を、それを必要とする患者へ投与することを含む。
一部の実施態様において、本開示は、様々な癌形から選択された1又は複数の障害を治療するか又はその重症度を軽減する方法を提供する。一部の実施態様において、癌は、固形腫瘍に関連している。特定の実施態様において、癌は、乳癌、膵臓癌、肝細胞癌、前立腺癌、胃癌、膠芽細胞腫、肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、膀胱癌、又は非-小細胞肺癌である。場合によっては、本開示は、扁平上皮癌、唾液腺癌、卵巣癌、又は膵臓癌から選択される1又は複数の障害を治療するか又はその重症度を軽減する方法を提供する。別の実施態様において、癌は、白血病、リンパ腫又は骨髄腫などの可溶性腫瘍に関連している。
一部の実施態様において、本開示は、喘息、アレルギー、移植拒絶反応、移植片対宿主拒絶反応などの1又は複数の免疫障害又は過敏障害、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、及び多発性硬化症などの自己免疫疾患、並びに白血病、リンパ腫、及び骨髄腫などの固形及び血液系悪性疾患を治療するか又はその重症度を軽減する方法を提供し、ここで該方法は、本開示の組成物を、それを必要とする患者へ投与することを含む。治療される特定の病態、又は疾患に応じて、その病態を治療するために通常投与される追加の治療薬もまた、この開示の組成物中に存在してよい。本明細書において使用されるような、特定の疾患、又は病態を治療するために通常投与される追加の治療薬は、「治療される疾患、又は病態に好適である」として公知である。例えば、本開示の化合物、又はそれらの薬学的に許容される組成物は、増殖性疾患及び癌を治療するために、化学療法薬と組合せて投与される。公知の化学療法薬の例は、中でも、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タキソール、インターフェロン、白金誘導体、タキサン(例えばパクリタキセル)、ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン)、アントラサイクリン(例えばドキソルビシン)、エピポドフィロトキシン(例えばエトポシド)、シスプラチン、mTORインヒビター(例えばラパマイシン)、メトトレキセート、アクチノマイシンD、ドラスタチン10、コルヒチン、エメチン、トリメトレキサート、メトプリン、シクロスポリン、ダウノルビシン、テニポシド、アンホテリシン、アルキル化剤(例えばクロラムブシル)、5-フルオロウラシル、カンプトテシン、シスプラチン、メトロニダゾール、及びグリーベック(商標)を含むが、これらに限定されるものではない。別の実施態様において、本開示の化合物は、アバスチン(商標)又はベクチビックス(商標)などの、生物剤と組合せて投与される。特定の実施態様において、本開示の化合物、又はそれらの薬学的に許容される組成物は、抗増殖薬又は化学療法薬と組合せて投与される。
本明細書において使用される用語「組合せ」、「組合せた」及び関連用語は、この開示に従う治療薬の同時又は連続投与を指す。例えば、本開示の化合物は、個別の単位剤形中で又は単独の単位投与剤形中で一緒に、別の治療薬と同時に又は連続して投与されてよい。従って本開示は、式(I)-(IX)の化合物、追加の治療薬、及び薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルを含有する単独の単位投与剤形を提供する。単独の剤形を作製するために担体物質と組合せられてよい、(先に記載された追加の治療薬を含有するそれらの組成物中の)本発明の化合物及び追加の治療薬の両方の量は、治療される宿主及び特定の投与様式に応じて変動するであろう。好ましくは、この開示の組成物は、本発明の化合物の0.01~100mg/kg体重/日の間の用量が投与され得るように、製剤化されるべきである。
追加の治療薬を含有するそれらの組成物において、その追加の治療薬及びこの開示の化合物は、相乗的に作用してよい。従ってそのような組成物中の追加の治療薬の量は、その治療薬のみを利用する単剤療法において必要とされる量未満であろう。そのような組成物において、追加の治療薬の0.01~1,000mg/kg体重/日の間の用量が、投与され得る。この開示の組成物中に存在する追加の治療薬の量は、単独の物質としてその治療薬を含有する組成物中で通常投与される量を超えないであろう。好ましくはここで開示された組成物中の追加の治療薬の量は、単独の治療的活性物質としてその物質を含有する組成物中に通常存在する量の約50%~100%の範囲であろう。
本開示の化合物、又はその医薬組成物はまた、プロテーゼ、人工弁、血管グラフト、ステント及びカテーテルなどの、移植可能な医療用具をコーティングするための組成物に混入されてもよい。
薬物耐性が、標的化された療法への重大なチャレンジとして出現している。例えば、薬物耐性は、グリーベック(商標)及びイレッサ(商標)、並びに数種の他の開発中のキナーゼインヒビターについて報告されている。薬物耐性は、例えば、癌治療に使用されるインヒビターcKit及びEGFRキナーゼについて報告されている。不可逆的インヒビターは、プロテインキナーゼの薬物耐性型に対して効果があることが報告されている(Kwak, E.L.ら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 2005, 102, 7665-7670参照)。本開示の化合物は、プロテインキナーゼの薬物耐性型の効果的インヒビターであることができる。
本明細書において使用される用語「臨床的薬物耐性」とは、薬物標的における変異の結果として薬物治療に対する薬物標的の感受性が失われることを指す。本明細書において使用される用語「耐性」は、標的タンパク質又はそのプロモーター、及び/又は標的のタンパク質配列をコードしている野生型の核酸配列の変化を指し、その変化は、標的タンパク質に対するインヒビターの阻害作用を減少又は破棄する。例えば、PIM3インヒビター耐性はまた、PIM1などの別のプロテインキナーゼの発現に関与することができ、このことはPIM3キナーゼ活性の喪失を補う。本明細書記載の化合物及び組成物により阻害される及びそれに対して本明細書に記載の方法が有用であるキナーゼの例は、PIMキナーゼ、又はその変異体である。
標的キナーゼ、特にPIMキナーゼ及び好ましくはPIM3、又はその変異体のインヒビターとしてこの開示において利用される化合物の活性は、インビトロ、インビボ又は細胞株においてアッセイされてよい。インビトロアッセイは、活性化された標的キナーゼ、又はその変異体の、リン酸化活性及び/又はその後の機能的結果、又はATPase活性のいずれかの阻害を決定するより多くのアッセイを含む。別のインビトロアッセイは、標的キナーゼ、例えばPIM3に結合するインヒビターの能力を定量する。インヒビター結合は、結合前にインヒビターを放射標識するか、インヒビター/標的キナーゼ複合体を単離するか、及び結合された放射標識の量を決定することにより、測定されてよい。或いは、インヒビター結合は、新規インヒビターが、既知の放射性リガンドに結合された標的キナーゼと一緒にインキュベーションされる競合実験を試行することにより、決定されてよい。特定のキナーゼ、又はその変異体のインヒビターとしてこの開示において利用される化合物をアッセイするための詳細な条件は、以下の実施例に説明されている。
プロテインキナーゼは、ATP又はGTPから、タンパク質基質上に配置されたアクセプタアミノ酸残基(例えば、チロシン、セリン、及びスレオニン残基)へのリン酸基の転移を触媒する酵素のクラスである。受容体キナーゼは、リン酸化事象を介して、二次的メッセージ伝達エフェクター(secondary messaging effector)により、細胞の外側から、内側へ、シグナルを伝達するように作用する。増殖、糖利用、タンパク質合成、血管新生、細胞成長、及び細胞生存を含むこれらのシグナルにより、様々な細胞プロセスが促進される。
本明細書に使用される用語「治療」、「治療する」及び「治療している」は、本明細書記載の疾患又は障害、もしくはそれらの1又は複数の症状の進行の逆行、緩和、発症の遅延、又は阻害を指す。一部の実施態様において、治療は、1又は複数の症状が顕在化した後に、投与されてよい。別の実施態様において、治療は、症状の非存在下で投与されてよい。例えば、治療は、症状の発症前に感受性のある個体に投与されてよい(例えば、症状の病歴を考慮し、及び/又は遺伝的もしくは他の感受性因子を考慮し)。治療はまた、例えば、それらの再発を予防又は遅延するために、症状が消散した後も継続されてよい。
提供された化合物は、標的PIMキナーゼのインヒビターであり、並びにPIMキナーゼの活性に関連した1又は複数の障害の治療に有用である。従って特定の実施態様において、本開示は、本開示の化合物、又はそれらの薬学的に許容される組成物を、それを必要とする患者へ投与する工程を含む、PIM-媒介した障害を治療する方法を提供する。
一部の実施態様において、この開示の化合物は、任意にPIMインヒビタークリアランス物質と組合せて投与される。一部の実施態様において、この開示の化合物は、任意に、PIMの上流エフェクターの活性化又は活性を直接又は間接に減少する化合物と組合せて投与される。例えば一部の実施態様において、Janusキナーゼ(JAK1-3)の活性を阻害する化合物が組合せて使用され、これによりPIMキナーゼの活性化を減少する。例えば、JAKインヒビターであるトファシチニブの使用は、活性STAT3及びSTAT5のリン酸化及び生成を減少し、その結果PIM3の発現、活性又は活性化を減少する(Hodge, J.A.ら、Clin. Exp. Rheumatol., 2016; 34, 318-328参照)。一部の実施態様において、PIM3活性化はまた、STAT3及びSTAT5へ直接結合する小型分子により減少される。一部の実施態様において、PIM3インヒビターは、BADに直接結合する物質、又はこれらの下流エフェクターのセリン残基(例えば、BAD Ser112)のリン酸化からPIMキナーゼを保護する物質と組合せて使用される。
一部の実施態様において、本開示の化合物は、PIMの下流標的の脱リン酸化を阻害するペプチド、ポリペプチド、又は小型分子を含む、PIMキナーゼのレベルを減少する化合物と組合せて任意に投与され、その結果下流標的のリン酸化は、PIMレベルのダウンレギュレーションにつながるレベルであり続ける。一部の実施態様において、PIM活性は、PIMの上流レギュレーター及び/又は下流標的の活性化及び/又は阻害を介して、減少又は阻害される。一部の実施態様において、PIMのタンパク質発現は、ダウンレギュレートされる。一部の実施態様において、細胞内のPIMの量は、減少される。一部の実施態様において、細胞内のPIM3タンパク質レベルを減少する化合物はまた、細胞内のPIMキナーゼの活性を減少する。一部の実施態様において、PIMタンパク質レベルを減少する化合物は、細胞内のPIM活性を減少しない。一部の実施態様において、細胞内のPIM活性を増加する化合物は、細胞内のPIMタンパク質レベルを減少する。
PIMインヒビター及び第二の治療薬の任意の組合せは、本明細書記載のいずれかの方法と適合可能である。
加えて、PIMインヒビターは任意に、患者への相加的又は相乗的ベネフィットを提供する手順と組合せて使用される。単なる例として、患者は、本明細書記載の方法に治療的及び/又は予防的ベネフィットを認めることが予想され、ここでPIMインヒビターの医薬組成物及び/又は他の治療薬との組合せは、個体が、特定の疾患又は病態に関連している変異体遺伝子のキャリアであるかどうかを決定する遺伝子試験と組合せられる。
PIMインヒビター及び追加の療法は、疾患又は病態の発生前、発生時、又は発生後に、任意に投与され、並びにPIMインヒビターを含有する組成物の投与のタイミングは、一部の実施態様において変動する。従って例えばPIMインヒビターは、予防薬として使用され、並びに疾患又は病態の発生を予防するために、病態又は疾患を発生する傾向を持つ個体へ継続して投与される。
医薬組成物、製剤、及び投与方法
治療的有効量の任意の本明細書記載の化合物(例えば、式(I)-(IX)の化合物)を含有する組成物が、特定の実施態様において本明細書において提供される。医薬組成物は、活性化合物の医薬として使用される調製品への加工処理を促進する賦形剤及び補助剤を含む1又は複数の生理的に許容し得る担体を用い、製剤化される。適切な製剤は、選択された投与経路によって決まる。医薬組成物のまとめは、例えば、「Remington:薬学の科学と実践」、第19版(イーストン、Pa.: Mack Publishing社、1995);Hoover, John E.、「Remington薬科学」、Mack Publishing社、イーストン、Pa. 1975;Liberman, H. A.及びLachman, L.編集、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker社、ニューヨーク、N.Y., 1980;並びに、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版(Lippincott Williams & Wilkins社, 1999)において認められる。
PIMインヒビター及び薬学的に許容される希釈剤(複数可)、賦形剤(複数可)、又は担体(複数可)を含有する医薬組成物が、本明細書に提供される。加えて、PIMインヒビターは、併用療法として、その中で他の活性成分と混合されている医薬組成物として、任意に投与される。一部の実施態様において、本医薬組成物は、他の薬剤又は医薬品、担体、アジュバント、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤又は乳化剤など、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩、及び/又は緩衝液などを含有している。加えて医薬組成物はまた、他の治療的価値のある物質も含有する。本明細書において使用される医薬組成物は、PIMインヒビターの、例えば担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、及び/又は賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。本医薬組成物は、PIMインヒビターの生物への投与を促進する。本明細書に提供される治療及び使用の方法の実践において、PIMインヒビターの治療的有効量が、医薬組成物中で、治療されるべき病態、疾患、又は障害を有する哺乳動物へ、投与される。好ましくは、この哺乳動物は、ヒトである。治療的有効量は、病態の重症度及び病期、個体の年齢及び相対的健康状態、使用されるPIMインヒビターの効能及び他の要因に応じて変動する。PIMインヒビターは任意に、単独で、又は混合物の成分として1又は複数の治療薬と組合せて使用される。
本明細書記載の医薬製剤は、水性液体分散剤、自己乳化型分散剤、固溶体、リポソーム分散剤、エアロゾル、固体剤形、散剤、即時放出製剤、制御放出製剤、速溶性製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤、並びに混合型即時及び制御放出製剤を含むが、これらに限定されるものではない。本医薬組成物は、遊離酸もしくは遊離塩基の形で、又は薬学的に許容される塩の形で、活性成分として、少なくとも1種のPIMインヒビターを含むであろう。加えて本明細書記載の方法及び医薬組成物は、N-オキシド、結晶形(多形体としても公知)、並びに同じ活性型を有するこれらのPIMインヒビターの活性代謝産物の使用を含む。「担体物質」は、医薬品中で通常使用される任意の賦形剤を含み、且つPIMインヒビターなどの本明細書に開示された化合物との相溶性、並びに所望の剤形の放出プロファイル特性を基に選択されるべきである。
経口使用のための医薬調製品は、1又は複数の固体賦形剤を、PIMインヒビターと混合し、生じる混合物を任意に粉砕し、並びに望ましいならば錠剤もしくは糖衣錠コアを得るために、好適な補助剤の添加後、顆粒の混合物を加工することにより、任意に得られる。好適な賦形剤は、例えば、乳糖、ショ糖を含む糖、マンニトール、又はソルビトールなどの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどの、セルロース調製品;又は、ポリビニルピロリドン(PVPもしくはポビドン)又はリン酸カルシウムなどのその他のものを含む。望ましいならば、崩壊剤、例えば架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩が添加される。糖衣錠コアは、好適なコーティングを備えている。この目的のために、濃縮された糖溶液が一般に使用され、これは任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー液、並びに好適な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含む。活性化合物の投与量の異なる組合せの識別又は特徴付けのために、染料又は顔料が、錠剤又は糖衣錠コーティングに任意に添加される。
一部の実施態様において、本明細書に開示された固体剤形は、錠剤(懸濁液錠剤、速溶性錠剤、咀嚼錠、急速崩壊錠、発泡錠、又はカプレットを含む)、丸剤、散剤(無菌包装された散剤、分散性散剤、又は発泡散剤を含む)、カプセル剤(軟カプセル又は硬カプセルの両方、例えば、動物由来のゼラチン又は植物由来のHPMCから作製されたカプセル剤、又は「スプリンクルカプセル」を含む)、固体分散剤、固溶体、生分解性剤形、制御放出製剤、パルス放出剤形、多粒子剤形、ペレット、顆粒剤、又はエアロゾルの形状である。例として、実施例20は、錠剤である経口固体剤形を説明している。
PIMインヒビターを含有する、本明細書記載の製剤を含む、医薬用固体経口剤形は、PIMインヒビターの制御放出を提供するために任意に更に製剤化される。制御放出は、延長された期間にわたり所望のプロファイルに従うそれが混入されている剤形からの、PIMインヒビターの放出を指す。制御放出プロファイルは、例えば、持続放出、延長された放出、パルス放出、及び遅延放出のプロファイルを含む。
別の実施態様において、PIMインヒビターを含有する、本明細書記載の製剤は、パルス剤形を使用し送達される。パルス剤形は、管理された時間のずれの後予め決められた時点での、又は特定の部位での、1又は複数の即時放出パルスを提供することが可能である。PIMインヒビターを含有する本明細書記載の製剤を含むパルス剤形は、米国特許第5,011,692号;第5,017,381号、第5,229,135号、及び第5,840,329号において説明されたものを含むが、これらに限定されるものではない、様々なパルス製剤を用いて、任意に投与される。本製剤との使用に適した他のパルス放出剤形は、例えば、米国特許第4,871,549号;第5,260,068号;第5,260,069号;第5,508,040号;第5,567,441号;及び第5,837,284号を含むが、これらに限定されるものではない。
経口投与のための液体製剤剤形は、任意に、非限定的に、薬学的に許容される水性経口分散剤、乳剤、液剤、エリキシル剤、ゲル剤、及びシロップ剤を含む群から選択される水性懸濁液である。例えば、Singhら、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology、第2版、754-757頁(2002)参照。PIMインヒビターに加えて、これらの液体剤形は、任意に、添加剤、例えば:(a)崩壊剤;(b)分散剤;(c)湿潤剤;(d)少なくとも1種の保存剤、(e)増粘剤、(f)少なくとも1種の甘味剤、及び(g)少なくとも1種の香味剤などを含む。一部の実施態様において、水性分散剤は、結晶形成するインヒビターを更に含む。
一部の実施態様において、本明細書記載の医薬製剤は、自己乳化型薬物送達システム(SEDDS)である。乳剤は、別の相中の1つの非混和相の分散剤であり、通常液滴を形成する。一般に、乳剤は、激しい機械的分散により作製される。乳剤又はマイクロエマルジョンとは対照的に、SEDDSは、過剰な水に添加される場合に、外部の機械的分散又は激しい攪拌を伴わずに、乳剤を自然発生的に形成する。SEDDSの利点は、溶液全体に液滴を分布するために、穏やかな混合のみが必要であることである。加えて、水又は水相は、投与の直前に、任意に添加され、このことは、不安定な又は疎水性の活性成分の安定性を確実にする。従って、SEDDSは、疎水性活性成分の経口及び非経口の送達に関して、効果的送達システムを提供する。一部の実施態様において、SEDDSは、疎水性活性成分の生物学的利用能の改善を提供する。自己乳化型剤形の製造方法は、例えば、米国特許第5,858,401号;第6,667,048号;及び、第6,960,563号を含むが、これらに限定されるものではない。
好適な鼻腔内製剤は、例えば、米国特許第4,476,116号及び第5,116,817号に説明されたもの、並びに活性成分に添加されるある量の水を含む。pH調節剤、乳化剤もしくは分散剤、保存剤、界面活性剤、ゲル化剤、又は緩衝剤及び他の安定化剤及び可溶化剤などの少量の他の構成成分が、任意に存在する。
吸入による投与に関して、PIMインヒビターは、任意にエアロゾル、ミスト又は粉末の形状である。本明細書記載の医薬組成物は、好都合なことに、好適な噴射剤、例えば、ジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適な気体などを使用する、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレー放出の形状で送達される。加圧されたエアロゾルの場合、単位用量は、定量された量が送達される、バルブにより決定される。吸入器又は注入器において使用するための、単に例としてのゼラチンなどの、カプセル及びカートリッジは、PIMインヒビター及び乳糖又はデンプンなどの好適な粉末基剤の粉末混合物を含有するよう、製剤化される。
PIMインヒビターの経皮製剤は、皮膚を通じて投与される。本明細書記載の経皮製剤は、少なくとも3種の成分を含む:(1)PIMインヒビターの製剤;(2)浸透増強剤;及び、(3)水性アジュバント。加えて経皮製剤は、非限定的に、ゲル化剤、クリーム及び軟膏の基剤などの成分を含む。一部の実施態様において、経皮製剤は更に、吸収を増強し、及び皮膚からの経皮製剤の脱落を防止するために、物質に対する織物又は非織物の裏当てを含む。別の実施態様において、本明細書記載の経皮製剤は、皮膚への拡散を促進するために、飽和された又は過剰飽和された状態を維持する。筋肉内、皮下、又は静脈内注射に適したPIMインヒビターを含有する製剤は、生理的に許容し得る無菌の水性又は非水性の溶液、分散剤、懸濁剤又は乳剤、並びに無菌の注射用溶液又は分散液に再構成するための無菌散剤を含む。
投薬方法及び治療レジメンの例
PIM3インヒビターは任意に、少なくとも一部は、症状の改善から恩恵がある、疾患又は障害の予防的及び/又は治療的処置のための医薬品の調製に使用される。加えて、そのような治療を必要とする個体において本明細書記載の任意の疾患又は病態を治療する方法は、少なくとも1種の本明細書記載のPIM3インヒビター、又はその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN-オキシド、医薬活性のある代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグ、又は薬学的に許容される溶媒和物を、該個体に対する治療的有効量で含有する、医薬組成物の投与に関与している。
患者の病態が改善しない場合は、医師の裁量により、患者の疾患又は病態の症状を改善、又はそうでなければ管理もしくは限定するために、PIM3インヒビターの投与が、任意に慢性的に、すなわち患者の人生の期間を通じてを含む延長された期間、投与される。
患者の状態が改善する場合、医師の裁量により、PIM3インヒビターの投与は、任意に継続して与えられるか;或いは、投与される薬物の投与量は、ある期間にわたり、一時的に減少又は一時的に中断される(すなわち、「休薬期間」)。休薬の長さは、任意に2日間~1年間の間を変動し、単に例として、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間、15日間、20日間、28日間、35日間、50日間、70日間、100日間、120日間、150日間、180日間、200日間、250日間、280日間、300日間、320日間、350日間、又は365日間を含む。休薬時の投与量減少は、10%~100%を含み、単に例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%を含む。一旦患者の病態の改善が生じたならば、必要に応じて、維持量が投与される。引き続き、用量又は投与頻度は、症状の関数として、改善された疾患、障害又は病態が続くレベルにまで両方共減少される。
一部の実施態様において、患者は、症状の何らかの再発を基に長期間の断続的治療を必要とする。一部の実施態様において、本明細書記載の医薬組成物は、正確な用量の単回投与に適した単位剤形である。単位剤形において、この製剤は、1又は複数のPIMインヒビターの適量を含む、単位投与量に分割される。一部の実施態様において、単位用量は、製剤の個別の量を含有するパッケージの形状である。非限定的例は、包装された錠剤又はカプセル剤、及びバイアル又はアンプル内の散剤である。一部の実施態様において、水性懸濁組成物は、単回-投与量の再び密封できない容器中に包装されている。或いは、複数回-投与量の再び密封できる容器が使用され、その場合典型的には、組成物中に保存剤を含む。単なる例として、非経口注射用の製剤は、単位剤形で提供され、これはアンプル、又は添加された保存剤を伴う反復投与量容器を含むが、これらに限定されるものではない。PIM3インヒビターに適した1日量は、約0.01~約2.5mg/kg体重である。非限定的にヒトを含む比較的大型の哺乳動物における指定された1日量は、約0.5mg~約1000mgの範囲であり、好都合なことに、非限定的に1日に最大4回又は長時間放出型を含む、分割量で投与される。経口投与に好適な単位剤形は、約1~約500mgの活性成分、約1~約250mgの活性成分、又は約1~約100mgの活性成分を含む。前述の範囲は、単なる示唆であり、個別の治療レジメンに関する変数の数は大きく、これらの推奨値からのかなりの偏位は珍しいことではない。そのような用量は、使用されるPIMインヒビターの活性、治療される疾患又は病態、投与様式、個体の必要要件、治療される疾患又は病態の重症度、並びに医師の判断を含むが、これらに限定されるものではない、数多くの変数に応じて、任意に変更される。
そのような治療レジメンの毒性及び治療有効性は、LD50(集団の50%の致死量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な投与量)の決定を含むが、これらに限定されるものではない、細胞培養物又は実験動物において任意に決定される。毒性効果と治療効果の間の投与量比は、治療係数であり、これはLD50とED50の間の比として表される。高い治療係数を示すPIMインヒビターが、好ましい。細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータは、ヒトにおける使用に関する用量範囲の処方において任意に使用される。そのようなPIMインヒビターの用量は、最小毒性を伴うED50を含む循環濃度の範囲内であることが好ましい。用量は、使用される剤形及び利用される投与経路に応じて、この範囲内を、任意に変動する。
PIM3インヒビターの同定及び特徴決定のためのアッセイ
小型分子PIMインヒビターは、例えば、米国特許第8,283,356B2号、第7,671,063B2号、及び第8,431,589B2号に記載された、ハイスループットのインビトロアッセイ又は細胞アッセイにおいて任意に同定される。本明細書記載の方法に適したPIMインヒビターは、天然(例えば、細菌培養物、土壌、又は植物抽出物)及び合成の両方を含む様々な給源から入手可能である。例えば、候補PIMインヒビターは、コンビナトリアルライブラリー、すなわち、数多くの化学「ビルディングブロック」の組合せにより、化学合成又は生物学的合成のいずれかにより作製された多様な化学的化合物の収集物から単離される。例えば、ポリペプチドライブラリーなどの線状コンビナトリアル化学ライブラリーは、所定の化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)について全ての可能な様式でアミノ酸と称される化学ビルディングブロックのセットを組合せることにより、形成される。100万種の化学的化合物が、所望のように、化学ビルディングブロックのそのようなコンビナトリアル混合を通じて、合成され得る。理論的には、100の交換可能な化学ビルディングブロックの体系的コンビナトリアル混合は、10000万種の四量体化合物又は100億の五量体化合物の合成を生じる(例えば、Gallop, M.A.ら、J. Med. Chem., 1994, 37(9), 1233-1251参照)。ライブラリーの各メンバーは、単独であってよいか、及び/又は混合物の一部であってよい(例えば、「圧縮ライブラリー」)。このライブラリーは、精製された化合物を含んでよく、及び/又は「ダーティ」(すなわち、かなりの不純物を含む)であってよい。コンビナトリアル化学ライブラリーの調製及びスクリーニングは、文書化された方法論である(Cabilly, S.編集、Combinatorial Peptide Library Protocols in Methods in Molecular Biology, Humana Press、トトワ、N.J., (1998)参照)。コンビナトリアル化学ライブラリーは、以下を含むが、これらに限定されるものではない:例えば、DeWitt, S.H.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 1993, 90, 6909-6913に記載されたような、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン、及びジペプチドなどのダイバーソマー(diversomers);Chen, C.ら、J. Am. Chem. Soc., 1994,116, 2661-2662に記載されたような、小型化合物ライブラリーの類似の有機合成;Cho, C.Y.ら、Science, 1993, 261, 1303-1305に記載されたような、オリゴカルバメート;Campbell, D.A.、Bermak, J.C.、J. Org. Chem., 1994, 59, 658-660に記載されたような、ペプチジルホスホネート;並びに、例えば、チアゾリジノン及びメタチアザノン(米国特許第5,549,974号)、ピロリジン(米国特許第5,525,735号及び第5,519,134号)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)を含む、小型有機分子ライブラリー。
コンビナトリアルライブラリーの調製のための装置は、市販されている(例えば、Advanced Chem Tech社(ルイビル、Ky.)からの357 MPS、390 MPS;Rainin社(ウーバン、MA)からのSymphony;Applied Biosystem社(フォスターシティ、CA)からの433A;並びに、Millipore社(ベッドフォード、MA)からの9050 Plusを参照)。液相化学に関する数多くのロボットシステムも、開発されている。これらのシステムは、Hamilton社(リノ、NV)により開発されたMicrolab NIMBUS、Microlab VANTAGE、及びMicrostarシステム、並びにChemspeed Technologies社(ニューブランスウィック、NJ)により開発されたFLEX ISYNTHシステムなどの、自動化されたワークステーション及び自動化された合成システム、更にロボットアームを使用する多くのロボットシステム(例えば、Staubli)を含む。先の装置はいずれも、本明細書記載の方法に適している小型分子PIMインヒビターにより実施される手動合成操作に類似している、PIMインヒビターの同定及び特徴決定のためのコンビナトリアルライブラリーを作製するために、任意に使用される。先の装置はいずれも、本明細書記載の方法に適している小型分子PIMインヒビターを同定及び特徴決定するために、任意に使用される。
可能性のあるPIMインヒビターの同定は、例えば、候補インヒビターの存在下で、PIMキナーゼをインビトロにおいてキナーゼ活性をアッセイすることにより決定される。そのようなアッセイにおいて、PIM及び/又は組換え手段により作製された特徴的PIM断片は、放射標識されたリン酸を含むリン酸ドナー(例えばATP)の存在下で、基質と接触され、並びにPIMに依存した取込みが測定される。「基質」は、PIMにより触媒される反応において、y-リン酸基をATPなどのドナー分子から受け取ることができる、好適なヒドロキシル部分を含む任意の物質を含む。基質は、PIMの内在性基質、すなわち天然のPIM3により未修飾の細胞においてリン酸化される天然の物質(例えば、BAD又はCdc25A)、或いは生理的条件においてはPIMにより通常リン酸化されないが、利用される条件においてはリン酸化され得る任意の他の物質であってよい。基質は、タンパク質又はペプチドであってよく、並びにリン酸化反応は、この基質のセリン及び/又はスレオニン残基で起こり得る。例えば、そのようなアッセイにおいて通常利用される特異的基質は、ヒストンタンパク質及びミエリン塩基性タンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施態様において、PIM3インヒビターは、IMAP(登録商標)技術又はLanthaScreen技術を用いて同定される。
基質のPIM依存型リン酸化の検出は、放射標識されたリン酸取込みの測定以外の、数多くの手段により定量することができる。例えば、リン酸基の取込みは、電気泳動の移動度、クロマトグラフィー特性、光吸収、蛍光、及びリン光などの、基質の物理化学的特性に影響を及ぼし得る。或いは、基質のリン酸化された形をリン酸化されない形から選択的に認識する、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体が、作製されることができ、これにより抗体を、PIM3キナーゼ活性のインジケーターとして機能させる。
ハイスループットPIMキナーゼアッセイを、例えば、PIMキナーゼ又はその活性断片、各ウェルに共有的に結合された基質、P32放射標識されたATP及び可能性のあるPIMインヒビター候補を含む各ウェルを備える、マイクロタイタープレートにおいて実行することができる。マイクロタイタープレートは、コンビナトリアルライブラリー化合物の大規模スクリーニングのために、96ウェル又は1536ウェルを含むことができる。リン酸化反応が完了した後、そのプレートを洗浄し、結合した基質を除去する。次にプレートを、オートラジオグラフィー又は抗体検出により、リン酸基取込みについて検出する。候補PIMインヒビターは、単独のPIMリン酸転移酵素能力と比べ、基質に対するPIM3リン酸転移酵素能力の量を減少するそれらの能力により、同定される。
可能性のあるPIMインヒビターの同定はまた、例えば、ATP結合部位及び/又は基質結合部位などのPIMの触媒部位に対するインビトロ競合結合アッセイにより、決定されてもよい。ATP結合部位に対する結合アッセイに関して、スタウロスポリンなどの、ATP結合部位に対し高い親和性を持つ既知のプロテインキナーゼインヒビターが使用される。スタウロスポリンは、固定され、且つ蛍光標識されるか、放射標識されるか、又は検出を可能にする任意の様式であってよい。標識されたスタウロスポリンは、組換えにより発現されたPIMタンパク質又はその断片へ、可能性のあるPIM3インヒビター候補と共に導入される。この候補は、PIMタンパク質への結合に関して、濃度-依存様式で、固定されたスタウロスポリンと競合するその能力について試験される。スタウロスポリン結合したPIMの量は、候補インヒビターのPIMキナーゼへの親和性に反比例する。可能性のあるインヒビターは、スタウロスポリンのPIMへの定量可能な結合を減少するであろう(例えば、Fabian, M.A.ら、Nat. Biotech., 2005, 23, 329-336参照)。次にPIM3に対するATP結合部位に関してこの競合結合アッセイから同定された候補は、PIMキナーゼ特異性に関して他のキナーゼに対する選択性について更にスクリーニングされる。
可能性のあるPIMインヒビターの同定はまた、例えば、インヒビター候補の存在下での、PIM活性の細胞アッセイによっても、決定されてよい。この目的のために特異的に操作された細胞を含む、様々な細胞株及び組織が、使用される。インヒビターの細胞スクリーニングにおいて、候補は、PIM活性の下流作用、並びに成長、成長停止、分化、もしくはアポトーシスなどの他の細胞反応をモニタリングすることにより、PIM活性をアッセイすることができる。
或いは、PIMの下流標的のPIM-媒介したリン酸化は、最初に様々な細胞株又は組織を、PIMインヒビター候補により処理し、その後これらの細胞を溶解し、且つPIM媒介した事象を検出することによる、細胞ベースのアッセイにおいて認めることができる。この実験において使用される細胞株(例えば、HepG2、HepaRG、Huh7、及びHep3bなどの肝癌細胞株)は、この目的のために特異的に操作された細胞を含んでよい。PIM媒介した事象は、下流PIMメディエーターのPIM媒介したリン酸化を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、下流PIMメディエーターのリン酸化は、リン酸化されたPIMメディエーターを特異的に認識するが、リン酸化されない形は認識しない抗体を用いて検出する事ができる。これらの抗体は、文献に説明されており、且つキナーゼスクリーニングキャンペーンにおいて広範囲に使用されている。
多くの外部委託研究(CRO)が、PIMキナーゼアッセイサービスを提供し、これはDiscoverX社(サンディエゴ、CA)、Reaction Biology Corporation社(マルバーン、PA)、ChemDiv社サンディエゴ、CA)、及びCarna Biosciences社(東京、日本)を含む。
可能性のあるPIMインヒビターの同定は、例えば、特異的欠損を持つか、又は候補物質の生体内の異なる細胞への到達及び/又は影響する能力を測定するために使用することができるマーカーを保有するように操作された、トランスジェニック動物を含む、動物モデルの使用が関与するインビボアッセイによっても決定されてよい。例えば、マウスは、PIMを過剰発現するように操作され、これはPIMインヒビターにより治療され得る、悪性腫瘍などの疾患につながる。
前述に従い、本開示はまた、以下も提供する:
(1)医薬品として使用するための、式(I)-(IX)の化合物、又はその薬学的に許容される塩;
(2)PIMインヒビターとして使用するため、例えば本明細書において先に説明した特定の適応症のいずれかにおいて使用するための、式(I)-(IX)の化合物、又はその薬学的に許容される塩;
(3)式(I)-(IX)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を、1又は複数の薬学的に許容される希釈剤又はそのための担体と一緒に含有する、例えば本明細書において先に説明した適応症のいずれかにおいて使用するための、医薬組成物;
(4)有効量の式(I)-(IX)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を、対象へ投与することを含む、それを必要とする対象において先に説明された特定の適応症のいずれかを治療する方法;
(5)例えば、先に考察したような;PIM3活性化が役割を果たすか又は関与している疾患又は病態の治療又は予防のための医薬品を製造するための、式(I)-(IX)の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用。式(I)-(V)の化合物は、単独の活性成分として、或いは例えばアジュバントとして、他の薬物と、例えば、同種もしくは異種移植の急性もしくは慢性の拒絶反応、又は炎症もしくは自己免疫疾患の治療もしくは予防のための免疫抑制レジメンもしくは免疫調節レジメン又は他の抗炎症薬、化学療法薬又は感染治療薬、例えば、例として抗-レトロウイルス薬もしくは抗生物質などの抗ウイルス薬と結びつけて、投与されてよい。例えば、式(I)の化合物は、以下と組合せて使用されてよい:カルシニューリンインヒビター、例えば、シクロスポリンA、ISA247又はFK506など;mTORインヒビター、例えば、ラパマイシン、CC1779、ABT578、biolimus-7、biolimus-9、TAFA-93、AP23573、AP23464、又はAP23841など;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えば、ABT-281、ASM981など;コルチコステロイド;カテプシンSインヒビター;シクロホスファミド;アザチオプリン;メトトレキセート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノレートモフェチル;15-デオキシスペルグアリン又はそれらの免疫抑制性のホモログ、アナログもしくは誘導体;スフィンゴシン-l-リン酸受容体アゴニスト、例えば、FTY720、又はそのアナログ、例えばY-36018など;白血球受容体に対するモノクローナル抗体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD11a/CD18、CD25、CD27、CD28、CD40、CD45、CD58、CD80、CD86、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4-1BB、又はそれらのリガンド、例えば、CD154又はそのアンタゴニスト;他の免疫調節化合物、例えば、CTLA4の細胞外ドメインの少なくとも一部又はその変異体を有する組換え結合分子、例えば、非-CTLA4タンパク質配列へ結合されたCTLA4の少なくとも細胞外部分又はその変異体、例えばCTLA4Ig(例えばATCC 68629と指定される)又はその変異体、例えばLEA29Y;接着分子インヒビター、例えば、LFA-1アンタゴニスト、ICAM-1もしくは-3アンタゴニスト、VCAM-4アンタゴニストもしくはVLA-4アンタゴニスト、例えばナタリズマブ(アンテグレン(登録商標));又は、抗ケモカイン抗体又は抗ケモカイン受容体抗体又は低分子量ケモカイン受容体アンタゴニスト、例えば、抗MCP-1抗体。
式(I)-(IX)の化合物はまた、他の抗増殖剤と組合せて使用されてもよい。そのような抗増殖剤は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:
(i)アロマターゼインヒビター、例えば、ステロイド、特にエクセメスタン及びホルメスタン、並びに特に、非-ステロイド、特にアミノグルテチミド、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾール及び非常に特別にレトロゾール;
(ii)抗エストロゲン剤、例えば、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン及びラロキシフェン塩酸塩;
(iii)トポイソメラーゼIインヒビター、例えば、トポテカン、イリノテカン、9-ニトロカンプトテシン及び高分子カンプトテシンコンジュゲートPNU-166148(W099/17804の化合物Al);
(iv)トポイソメラーゼIIインヒビター、例えば、アントラサイクリン系ドキソルビシン(リポソーム製剤、例えばCAELYX(商標)を含む)、エピルビシン、イダルビシン及びネモルビシン、アントラキノン系ミトキサントロン及びロソキサントロン、並びにポドフィロトキシン系エトポシド及びテニポシド;
(v)微小管活性化剤、例えば、タキサン系パクリタキセル及びドセタキセル、ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、特にビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン、特にビンクリスチン硫酸塩、並びにビノレルビン、ディスコデルモリド、並びにエポチロン、例えばエポチロンB及びD;
(vi)アルキル化剤、例えば、シクロホスファミド、イホスファミド及びメルファラン;
(vii)ヒストンデアセチラーゼインヒビター;
(viii)ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター;
(ix)COX-2インヒビター、例えば、セレコキシブ(セレブレックス(登録商標))、ロフェコキシブ(バイオックス(登録商標))及びルミラコキシブ(COX189);
(x)MMPインヒビター;
(xi)mTORインヒビター;
(xii)抗悪性腫瘍性代謝産拮抗薬、例えば、5-フルオロウラシル、テガフル、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、フルダラビンリン酸エステル、フルオロウリジン、ゲムシタビン、6-メルカプトプリン、ヒドロキシ尿素、メトトレキセート、エダトレキサート及びそのような化合物の塩、並びに更にZD1694(ラルチトレキセド(商標))、LY231514(アリムタ(商標))、LY264618(ロモトレキソール(商標))及びOGT719;
(xiii)白金化合物、例えば、カルボプラチン、シスプラチン及びオキサリプラチン;
(xiv)プロテインキナーゼ活性を減少する化合物及び更に抗血管新生化合物、例えば、(i)血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、(b)上皮成長因子(EGF)、c-Src、プロテインキナーゼC、血小板由来成長因子(PDGF)、Bcr-Ablチロシンキナーゼ、c-kit、Flt-3及びインスリン様成長因子I受容体(IGF-IR)及びサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性を減少する化合物;(ii)イマチニブ、ミドスタウリン、イレッサ(商標)(ZD1839)、CGP75166、バタラニブ、ZD6474、GW2016、CHIR-200131、CEP-7055/CEP-5214、CP-547632及びKRN-633;(iii)サリドマイド(サロミド)、セレコキシブ(セレブレックス)、SU5416及びZD6126;
(xv)ゴナドレリンアゴニスト、例えば、アバレリクス、ゴセレリン及びゴセレリン酢酸塩;
(xvi)抗-アンドロゲン、例えば、ビカルタミド(カソデックス(商標));
(xvii)ベンガミド;
(xviii)ビスホスホネート、例えば、エチドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸及びゾレドロン酸;
(xix) 抗増殖性抗体、例えば、トラスツズマブ(ハーセプチン(商標))、トラスツズマブ-DM1、エルロチニブ(タルセバ(商標))、ベバシズマブ(アバスチン(商標))、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、PRO64553(抗-CD40)及び2C4抗体;
(xx)テモゾロミド(テモダール(商標))。
コード番号、一般名又は商標により確定された活性物質の構造は、標準の概要である「The Merck Index」の書籍版(actual edition)から又はデータベース、例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications)から、得ることができる。
前述のことに従い、本開示は、また更なる態様を提供する:
(6)例えば、同時に又は順に、治療的有効量の(a)式(I)-(IX)の化合物、又はその許容し得る塩、及び(b)第二の原薬を同時投与することを含む、先に規定された方法であって、該第二の原薬は、例えばここで先に説明した特定の適応症のいずれかに使用される:
(7)治療的有効量のPIMキナーゼインヒビター、例えば式(I)及び/又は(II)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、並びに第二の原薬を含有する組合せであって、該第二の原薬は、例えば先に明らかにされている。PIMキナーゼインヒビター、例えば式(I)及び/又は(II)の化合物が、例えば先に明らかにされた、他の免疫抑制性、免疫調節性、抗炎症性又は抗悪性腫瘍性の薬剤と一緒に投与される場合、同時投与される薬物又は薬剤の用量は、使用される共薬物もしくは薬剤の種類、又は使用される具体的薬物又は薬剤、又は治療される病態などにより当然変動するであろう。
無細胞生合成
一部の実施態様において、PIMインヒビターを含む、本開示の化合物及び組成物を合成する方法及びシステムは、生存細胞を伴わずに、細胞、酵素及び代謝機構を使用する、タンパク質及び小型分子代謝産物を生成するプラットフォームとして働く、インビトロ無細胞生合成(CFB)システムである(Hodgman, C.E., Jewett, M. C., Metab. Eng., 2012, 14(3), 261-269参照)。本明細書に提供される無細胞生合成システムは、天然の生合成遺伝子及び経路の迅速な発現を可能にすることにより、並びにプラスミドベースのクローニング及びインビボ増殖を必要とすることなく、活性スクリーニングを可能にすることにより、創薬に関する多くの適用を有し、その結果迅速なプロセス/生成物パイプライン(小型分子ライブラリーの作製)が可能である。本明細書において使用されるCFB方法及びシステムの重要な特徴は、標的化合物への生合成経路フラックスは、ユーザーが規定した目的物へリソースを方向付けることにより、最適化され得、その結果大きい配列空間の探索を可能にすることである。中心となる代謝、酸化、リン酸化、及びタンパク質合成は、ユーザーにより同時活性化され得る。細胞壁の欠如はまた、毒性のある代謝産物、タンパク質、及び小型分子を容易にスクリーニングする能力を提供する。インビトロ転写/翻訳(TX-TL)に関与する無細胞生合成法を使用し、(1)タンパク質(例えば、Carlson, E.D.ら、Biotechnol. Adv., 2012, 30(5),1185-1194;Swartz, J.ら、米国特許第7,338,789号;Goerke, A.R.ら、米国特許第8,715,958号参照)、(2)抗体及び抗体アナログ(例えば、Zimmerman, E.S.ら、Bioconjugate Chem., 2014, 25, 351-361;Thanos, C.D.ら、米国特許第2015/0017187A1号参照)、並びに(3)小型分子(例えば、Kay, J.ら、Metabolic Engineering, 2015, 32, 133-142;Goering, A.W.ら、ACS Synth Biol., 2017, 6(1), 39-44;Blake, W.J.ら、米国特許第9,469,861号参照)を生成する。
CFB方法及びシステムを、迅速なプロトタイプ新規複合体バイオサーキット並びに代謝経路に使用することができる。線状及びプラスミドベースのDNAを含む、複数のDNAピースからのタンパク質発現が、実行され得る。このCFB方法及びシステムは、個別の経路の酵素をコードしているDNAの濃度の調節、並びに代謝産物生成に対する関連作用の試験を可能にする。CFB方法及びシステムにおいて線状DNAを使用しマルチ-酵素経路を発現する能力は、プラスミドのインビボにおける選択及び増殖の必要性を回避する。線状DNA断片は、等温又はGolden Gate集成技術により、1~3時間(hrs)の間に集成され、且つCFB反応に直ちに使用され得る。CFB反応には、数時間、例えばおよそ4~8時間かけることができるか、又は最大48時間までより長い期間かけて試行されてよい。線状DNAの使用は、DNA/遺伝子のラピッドプロトタイピングライブラリーのための価値のあるプラットフォームを提供する。CFB方法及びシステムにおいて、tetリプレッサー及びT7 RNAポリメラーゼなどの大腸菌に、又は他の宿主細胞抽出物に対し外来の調節及び転写の機序は、内在性の特性、多様性又は生成を生じ且つ最大化するようにユーザーにより規定されるので、補足され得る。CFB方法及びシステムは更に、mRNA及びDNA分解速度を含む内在性の特性を修飾することにより、標的化合物の多様性及び生成を増強する。タンパク質合成の強力なインヒビターである、無機リン酸の再利用を可能にするATP再生システムは、CFB方法及びシステムにおいて操作される。例えばNAD/NADH、NADP/NADPHを含む酸化還元電位は、CFB、並びに次にユーザーがCFBシステムにおける任意の反応を選択的に調節することを可能にする特定の補因子の酸化還元及び利用可能性を修飾する方法において、再生される。
代わりの実施態様において、CFB方法及びシステムは、インビトロ無細胞転写/翻訳システム(TX-TL)、並びに生合成経路遺伝子由来の生成物の、例えば天然生成物(NP)又は天然生成物アナログ(NPA)の、合成、修飾及び同定のためのラピッドプロトタイピングプラットフォームとしての機能を可能にする。代わりの実施態様において、CFBシステムは、本開示において提供されるものなどの、天然生成物及び天然生成物アナログのコンビナトリアル生合成に使用される。代わりの実施態様において、CFBシステムは、式(I)-(IX)の化合物の合成に関するコンビナトリアルデザインを迅速に評価する方式としての、複雑な生合成経路のラピッドプロトタイピングに使用される。代わりの実施態様において、これらのCFBシステムは、本開示において提供される式(I)-(IX)の化合物などの、天然生成物経路遺伝子、コードされ且つ合成される天然生成物、並びに天然生成物アナログのラピッドプロトタイピングに関するハイスループット自動化のために多重化される。CFB方法及びシステムは、Culler, S.らのPCT特許出願第WO2017/031399A1号に説明されており、これは引用により本明細書中に組み込まれている。
本明細書記載のように、CFB組成物、方法、及びシステムは、既知の化合物のアナログ、例えば式(I)-(IX)の化合物などの、天然生成物アナログ及び二次代謝の構造的アナログの迅速な生成に使用され得る。従ってCFB方法は、多様性のある生成物を作製する本明細書記載のプロセスにおいて使用することができる。一部の実施態様において、本明細書に提供される方法は、式(I)-(IX)の化合物の構造を作製し、合成し又は変更するための、無細胞(インビトロ)生合成(CFB)方法を含む。CFB方法は、変更された化合物のライブラリーを作製するために、TX-TL抽出物又は少なくとも2種以上の変更された化合物の抽出混合物を生成することができ;好ましくはこのライブラリーは、CFB方法により調製され、合成され又は修飾された、天然生成物アナログライブラリーである。
代わりの実施態様において、この開示の実践は、分子生物学、微生物学、及び組換えDNAにおいて通常使用される、任意の慣習的技術の使用を含み、これは当該技術分野の技術の範囲内である。そのような技術は、当業者に公知であり、数多くのテキスト及び参考文献において説明されている(例えば、Sambrookら、「分子クローニング:実験マニュアル」第2版、コールドスプリングハーバー、1989;及び、Ausubelら、「最新分子生物学プロトコール」、1987参照)。本明細書において別に規定しない限りは、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、この開示の関係する技術分野の業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Singleton及びSainsbury、「微生物学及び分子生物学事典」、第2版、John Wiley and Sons, NY (1994);並びに、Hale及びMarham、「ハーパーコリン生物学事典」、Harper Perennial, NY (1991)は、当業者にこの開示において使用される多くの用語の一般的辞書を提供する。本明細書記載のものと類似又は同等の方法及び材料は、本開示の実践における使用を認めるが、好ましい方法及び材料は、本明細書に記載されている。従って、すぐ下段に規定した用語は、総じて本明細書を参照することにより、より完全に説明される。
本明細書において別に規定しない限りは、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、この開示の関係する技術分野の業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書記載のものと類似又は同等の方法及び材料は、本開示の実践における使用を認めるが、好ましい方法及び材料は、本明細書に記載されている。従って、すぐ下段に規定した用語は、総じて本明細書を参照することにより、より完全に説明される。
本明細書において使用される単数用語「ある("a"、"an"及び"the")」は、文章が別に明確に指摘しない限りは、複数の言及を含む。別に指定しない限りは、それぞれ、核酸は、左から右へ5'から3'の方向で記載され;アミノ酸配列は、左から右へ、アミノからカルボキシの方向で記載される。この開示は、当業者により使用される状況に応じて変動することができるので、この開示は、記載された特定の方法論、プロトコール、及び試薬に限定されないことは理解されるべきである。
合成方法
数多くの方法が、式(I)-(IX)により表されるものなどの化合物の合成に利用可能である。これらの方法の一部は、Rao, B.P.C.ら、Strategies Towards the Synthesis of Staurosporine Indolocarbazole Alkaloid and Its Analogues in Scope of Selective Heterocycles from Organic and Pharmaceutical Perspective、第4章、Intech Publishers;Rijeka, クロアチア(EU), 2016において検証されている。同じく、Wilson, L.J.ら、米国特許出願第US2007/0249590A1号;Kleinschroth, J.ら、米国特許第5,438,050号;Kleinschroth, J.ら、米国特許第5,489,608号;Faul, M.M.ら、米国特許第5,665,877号;Faul, M.M.ら、米国特許第5,919,946号;Faul, M.M.ら、米国特許第5,614,647号;Faul, M.M.ら、米国特許第6,037,475号も参照されたい。
Figure 2022531230000014
一実施態様において、式(I)の化合物は、スキーム2に示し且つ文献に報告されたように、インドール-3-アセトアミド誘導体を、THF溶媒中カリウムtert-ブトキシドの存在下で、メチルインドール-3-グリオキシラートと反応することにより、調製されてよい(例えば、Faulら、Tetrahedron Lett., 1999, 40, 1109-1112;Faulら、J. Org. Chem. 1998, 63, 6053-6058;Faulら、J. Org. Chem. 1999, 64, 2465-2470参照)。インドール-3-アセトアミド及びインドール-3-グリオキシラート誘導体は、広範な利用可能な置換されたインドールから迅速に調製される。Pd(OAc)2、PdCl2、hv/O2又はI2、DDQ、CuCl2、又はPd(OTf)2を含む、様々なオキシダント[O]による処理により、式(XI)により例示される最初に形成されたビスインドロマレイミド誘導体の閉環は、式(X)により表されるインドロ[2,3-a]カルバゾールをもたらす(例えば、Faulら、J. Org. Chem. 1999, 64, 2465-2470参照)。それに続く2-クロロエチルアミンなどの反応物質による式(X)のアルキル化は、その後所望の式(I)を生じる。
Figure 2022531230000015
別の実施態様において、式(XI)の化合物は、スキーム3に示したように(X=Cl、Br)及び文献に説明されたように(例えば、Faulら、Synthesis, 1995, 1511-1516;Gallantら、J. Org. Chem. 1993, 58, 343-349参照)、Mg又は他の金属により金属化されている、置換されたインドールの、3,4-ジハロスクシンイミド又はそのN-保護型との逐次反応により調製されてよい。次に式(I)の化合物は、スキーム2で先に説明したように、酸化により調製される。スキーム2及びスキーム3の両方において、イミド官能性は、水素化ホウ素ナトリウム又は亜鉛アマルガムなどの、標準試薬を使用し、ラクタム官能性へ還元することができる。スキーム3において、Q基及び/又はR基は、インドールN-H官能性との反応を通じて(例えば、アルキル化又はアシル化反応を通じて)、標準方法により付加することができる。
Figure 2022531230000016
別の実施態様において、式(X)及び(XI)の化合物は、スキーム4に示したような、無細胞生合成(CFB)が関与するプロセスにおいて、トリプトファン誘導体を反応することにより、調製されてよい。この生物学的プロセスにおいて、酵素は、2個のトリプトファン分子又はトリプトファン誘導体を縮合し、式(I)の化合物(ここで、Q及びRは水素である)を直接生成するために、使用される。これらの転換に必要とされる酵素は、解明されており、並びに様々な経路由来の酵素を使用し、インドロカルバゾール誘導体を作製することができる。特定の酵素は、転換を触媒し、並びに天然のインドロカルバゾールを生成する経路を促進することがわかっている。これらの酵素は、例として、プロセスCFB-1を使用する式(X)について:ビオラセイン経路のVioA(アミノオキシダーゼ)及びVioB(クロモピロール酸合成酵素)、スタウロスポリン経路のStaO(アミノオキシダーゼ)、StaD(クロモピロール酸合成酵素)、StaP(シトクロムP450モノオキシゲナーゼ)、及びStaC(フラビン水酸化酵素)、並びにレベッカマイシン経路のRebO(アミノオキシダーゼ)、RebD(クロモピロール酸合成酵素)、RebP(シトクロムP450モノオキシゲナーゼ)、及びRebC(フラビン水酸化酵素)、又はそれらのホモログが挙げられる(例えば、Sanchezら、Nat. Prod. Rep. 2006, 23, 1007-1045;Sanchezら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2005, 102, 461-466;Duら、ACS Synth. Biol. 2015, 4, 682-688;Duら、Curr. Opin. Chem. Bio., 2016, 31, 74-81参照)。同様に、式(XI)の化合物は、例えば酵素VioA及びVioB、StaO及びStaD、RebO及びRebD、又はそれらのホモログを、メチルアルシリアルビン経路の酵素MarCもしくはそれらのホモログと組合せて用いる、プロセスCFB-2を使用し、生成することができる(Chang, F.-Y.及びBrady, S.F.、ChemBioChem, 2014, 15(6), 815-821参照)。これらの酵素は、式(X)及び(XI)の化合物(前駆体としてトリプトファンが使用される場合、式中、A、B、C、D、A’、B’、C’、D’、Q及びRは水素であり、並びにE、F、G、M、E’、F’、G’、M’は炭素である)を直接生成するために、ここで使用される。これらの酵素は、操作された生存細胞において、代わりに無細胞プロセスにおいて使用し、式(X)の無細胞反応生成物の化学アルキル化により、式(I)の化合物を生成することができる。天然生成物-様化合物の無細胞生合成は、Culler, S.らのPCT出願WO2017/031399A1に説明されており、これは引用により本明細書中に組み込まれている。
本開示の一実施態様において、ビオラセイン経路の酵素VioA及びVioB、スタウロスポリン経路のStaO、StaD、StaP、及びStaC、並びに/又はレベッカマイシン経路のRebO、RebD、RebP、及びRebC、並びに/又はメチルアルシリアルビン経路のMarCは、スキーム4に概説したように、無細胞生合成プロセスにおいて使用され、2個の同じ又は異なる置換されたトリプトファン誘導体の結合又は転換により、式(X)又は(XI)の化合物を生成する。レベッカマイシン経路酵素(RebO、RebD、RebP、及びRebC)を使用し、式(X)又は式(XI)の化合物を直接生成することができる。
Figure 2022531230000017
本開示の別の実施態様において、式(X)又は(XI)の化合物は、式(I)により表されるように、インドールN原子に結合されたヘテロ原子-含有する尾部を導入するように、化学プロセスを通じて転換されてよい。
実施例
全般的方法
本開示に関連した実施例が、以下に説明される。ほとんどの場合において、代替の技術を使用することができる。実施例は、例証することを意図しており、この開示の範囲を限定もしくは制限するものではない。例えば、追加の化合物が特定の化合物に関するスキームのプロトコールに従い調製される場合、条件は、例えば溶媒、反応時間、試薬、温度、後処理条件のいずれかを変動し得るか、又は他の反応パラメータは変動され得ることは理解される。全ての分子生物学的反応及び無細胞生合成反応は、典型的にはDNA、RNA及びタンパク質などの生物学的分子を作業する場合に利用される、標準のプレート、バイアル、及びフラスコを使用し、実施した。全ての合成化学は、実施例において別に指摘しない限りは、標準の実験用ガラス製品及び装置で実行した。市販の試薬は、受け取った状態で使用した。LC/MSデータは、質量分離器(PE SCIEX API 150EX)に接続され及び自動サンプラー(Gilson 215)を装着した、Shimadzu SCL10Avp HPLCシステム、又は交互の陽イオン及び陰イオンスキャンを伴う、Applied Biosystems 3200 APCIトリプル四重極質量分析計のいずれかを用いて収集した。高解像質量分析は、Thermo Fisher Q Exactive MS計器を用いて行った。Exactive HR MS:陰及び/又は陽イオン化モードのESI、XIC 正確な質量±10ppm(m/z):GC-MSは、5973N不活性質量選択検出装置を装備したAgilent 6890N計器を用いて行った。全てのマイクロ波照射実験は、最大出力300Wの連続照射で、周波数2.45GHzで操作する、マイクロウェーブ反応器(Biotage Initiator EXP EU 355301)において実行した。光化学反応は、高圧水銀ランプ(LISMA、DRL-400 E40)を使用し実施した。イオンクロマトグラフィーは、Metrohm 940 Professional IC Vario計器を用いて行った。マイクロ波反応は、加熱時間及び圧力を制御するために計器ソフトウェアを使用し、Biotage Initiatorにおいて行った。水素化反応は、市販の触媒カートリッジを使用し、H-Cube上で行った。シリカゲルクロマトグラフィーは、標準カラムを用い手動で、又はWaters社の予め充填されたSep-Pakシリカカートリッジを用いるかのいずれかで行った。薄層クロマトグラフィー(TLC)分析は、アルミフォイルで裏当てしたシリカゲルプレート60 F254 シリカ(Sorbfil、ロシア)を用いて行った。カラムクロマトグラフィー(CC)は、Merck 60(70-230メッシュ)シリカを用いて実行した。分取HPLCは、220nmでのUV検出器及び手動収集を備えた、Waters 1525/2487上で行った。1H-NMRは、Jeol JNM-ECS-400上で400MHzで、又はBruker DRX-600上で600MHzで、又はBruker DPX-400上で400MHzで行い、1H-NMRに関して、溶媒残留ピークは、各々、CDCl3の7.26ppm又はDMSO-d6の2.54ppmのいずれかを参照した。6-アザインドール、6-ベンジルオキシインドール及び3-フルオロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドは、Combi-Blocks社(サンディエゴ, CA, USA)から購入した。略語は以下の通りである:RT又はrtは、室温であり;THFは、テトラヒドロフランであり;EtOAcは、酢酸エチルであり;TFAは、トリフルオロ酢酸であり;Et2Oは、ジエチルエーテルであり;DCMは、ジクロロメタンであり;ppmは、百万分率であり;s=一重線;d=二重線;t=三重線;m=多重線;dd=二重の二重線;br=広幅である。
実施例1. 3,4-ジブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-1H-ピロール-2,5-ジオン(3)の合成
Figure 2022531230000018
工程1:3,4-ジブロモ-2,5-フランジオンである中間体(2)の合成。アルゴン大気下で、フラスコに、マレイン酸無水物(3.00g、30.6mmol)、臭素(3.15ml、61.2mmol)、及び塩化アルミニウム(0.200g、1.53mmol)を充填した。このフラスコを密封し、反応混合物を、120~130℃に加熱し、この温度で16h維持した。rtまで冷却した後、この混合物を、EtOAc(50ml)中に溶解し、濾過した。濾液を、真空において蒸発乾固させ、粗化合物2(10.1g)を明オレンジ色油状物と無色の結晶の混合物として供した。この粗生成物を、更に精製することなく、次工程で使用した。
工程2:3,4-ジブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-1H-ピロール-2,5-ジオン(3)の合成。酢酸(50ml)中の粗化合物2(10.1g)の撹拌溶液へ、2,4-ジメトキシベンジルアミンを、Ar下、rtで滴加した。この混合物を、Ar下、16h還流した。溶液を蒸発乾固させ、残渣をEtOAc(100ml)中に溶解し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及びブラインで洗浄した。この溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させ、カラムクロマトグラフィー((シリカゲル、溶離液DCM/CCl4の1:1からDCM100%まで)により精製し、化合物(3)(3.8g、2工程にわたる合計収率31%)を黄色固形物として供した。生成物純度をNMRで確認した。1H-NMR (400MHz, CDCl3):δ(ppm) 7.21 (d, 1H), 6.41-6.45 (m, 2H), 4.74 (s, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.76 (s, 3H)。
実施例2. 6-(ベンジルオキシ)-5-フルオロ-1H-インドール(8)の合成
Figure 2022531230000019
工程1:中間体アジド酢酸エチルの合成。トルエン(200mL)中のブロモ酢酸エチル(55.0mL、0.5mol)の撹拌溶液へ、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(3.3g、0.009mol)を添加し、混合物を5~10℃に冷却した。その後水(100mL)中のアジ化ナトリウム(34.0g、0.5mol)及び炭酸ナトリウム(2.15g、0.02mol)の溶液を添加した。得られた混合物を、外界温度で3h撹拌した。次に有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。得られるアジド酢酸エチルの溶液を、更に精製することなく次工程で使用した。
工程2:3-フルオロ-4-ベンジルオキシベンズアルデヒド(5)の合成。DMF(0.5L)中の3-フルオロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(4)(50g、0.35mol)の撹拌溶液へ、K2CO3(59.2g、0.43mol)及び臭化ベンジル(67g、0.39mol)を添加した。この反応混合物を、55℃で2h撹拌し(TLC対照)、その後冷却し、水(1.5L)を添加し、形成された沈殿物を濾過し、少量ずつのDMF、水で洗浄し、その後乾燥させ、化合物(5)(74g、90%)を供した。最終生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 9.86 (d, 1H), 7.56-7.68 (m, 2H), 7.31-7.53 (m, 5H), 7.13 (t, 1H), 5.25 (s, 2H)。
工程3:エチル 6-(ベンジルオキシ)-5-フルオロ-1H-インドール-2-カルボキシラート(6)の合成。化合物(5)(25.0g、0.1mol)を、トルエン中のアジド酢酸エチルの溶液中に溶解した(前記参照)。この混合物を、エタノール(250mL)中のナトリウムエトキシド(13.5g、0.44mol)の冷(-20℃)溶液へ、80分以内でゆっくり添加した。この反応混合物を、0℃で3h撹拌し、濾過し、沈殿物を、少量のエタノールで洗浄した。次にこの固形物を、塩化アンモニウム(1L)飽和水溶液と酢酸エチル(1L)の間で分配した。水層を、酢酸エチルにより抽出し、一緒にした有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、乾燥するまで真空において濃縮した。この固形残渣を、p-キシレン(200mL)中に懸濁させ、2h還流した。溶媒を、真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCM)により精製し、化合物(6)(12.0g、44%)を供した。最終生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 8.90 (br, 1H), 7.44-7.51 (m, 2H), 7.32-7.43 (m, 4H), 7.14 (d, 1H), 6.94 (d, 1H), 5.19 (s, 2H), 4.33-4.46 (m, 2H), 1.40 (t, 3H)。
工程4:6-(ベンジルオキシ)-5-フルオロ-1H-インドール-2-カルボン酸(7)の合成。メタノール(100mL)中の化合物6(12g、0.04mol)の溶液へ、水(50mL)中のNaOH(1.8g、0.08mol)の溶液を添加した。この溶液を、1h還流し(TLC対照)、真空下で蒸発乾固させた。残渣を、水(200mL)中に再懸濁させ、この溶液を、HClでpH3に調節し、形成された沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、酸(7)(9.8g、90%)を供した。最終生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 12.8 (br, 1H), 11.67 (s, 1H), 7.5 (d, 2H), 7.40 (m, 3H), 7.35 (t, 1H), 7.09 (d, 1H), 7.01 (s, 1H), 5.18 (s, 2H)。
工程5:6-(ベンジルオキシ)-5-フルオロ-1H-インドール(8)の合成。酸(7)(7.5g、0.0273mol)を、油浴上で、完全に溶融するまで240℃で加熱し、引き続きこの温度で更に10分間加熱した。冷却後、残渣を、ヘキサン/DCMの2:3の最小量の混合物中に溶解し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液ヘキサン/DCMの2:3)により精製し、6-(ベンジルオキシ)-5-フルオロ-1H-インドール(8)(3.6g、54%)を供した。最終生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 8.02 (br, 1H), 7.49 (d, 2H), 7.40 (t, 2H), 7.30-7.36 (m, 2H), 7.14 (t, 1H), 6.98 (d, 1H), 6.47 (t, 1H), 5.18 (s, 2H)。
実施例3. tert-ブチル 3-(トリブチルスタンニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-カルボキシラート(12)の合成
Figure 2022531230000020
工程1:3-ブロモ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(10)の合成。MeOH(30ml)中の6-アザインドール(9)(2.30g、19.5mmol)及び炭酸水素ナトリウム(4.91g、58.5mmol)の撹拌混合物へ、MeOH(5ml)中の臭素(3.12g、19.5mmol)の溶液を-5~0℃で滴加した。得られた混合物を、rtで4h撹拌した。この反応混合物を、真空において蒸発乾固させ、残渣を、EtOAc(100ml)中に溶解し、この溶液を水及びブラインで洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させ、粗生成物を供した。この生成物を、エーテル/ヘキサンの1:1混合液からの再結晶により精製し、化合物(10)(3.00g、78%)をベージュ色固形物として供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.99 (br, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.19 (dd, 1H), 7.82-7.81 (m, 1H), 7.40 (dd, 1H)。
工程2:tert-ブチル 3-ブロモ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-カルボキシラート(11)の合成。ジオキサン(80ml)中の化合物(10)(3.00g、15.2mmol)及び触媒量のDMAP(150mg)の撹拌溶液へ、ジオキサン(20ml)中のBoc-無水物(4.00g、18.2mmol)の溶液をrtで添加した。得られる溶液を、rtで16h撹拌し、その後真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCM/エーテルの8:1)により精製し、化合物(11)(4.0g、88%)をベージュ色固形物として供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLCで確認した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 9.41 (s, 1H), 8.51 (d, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.50 (d, 1H), 1.71 (s, 9H)。MS (ESI) m/z 299.3 [MH]+。
工程3:tert-ブチル 3-(トリブチルスタンニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-カルボキシラート(12)の合成。THF(300ml)中の化合物(11)(3.00g、10.1mmol)及び塩化トリブチルスズ(19.70g、60.6mmol)の撹拌溶液へ、THF中のブチルリチウムの2.5M溶液(20.0ml、50.5mmol)を、アルゴン大気下、-70℃で滴加した。得られる溶液を、-70℃で30分間攪拌し、その後ひとりでにrtに到達させた。この反応混合物を、水(200ml)でクエンチさせ、エーテル(200ml)で希釈し、その後有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させた。残渣を、エーテル(3ml)中に溶解し、ヘキサン(15ml)で希釈し、その後形成された沈殿物を濾過した(固形物は出発材料3である)。濾液を、真空において蒸発乾固させ、残渣を、CCl4中に溶解させ、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液EtOAc/ヘキサンの1:10からEtOAc/ヘキサンの1:5まで)により精製し、化合物(12)(2.00g、40%)を淡黄色油状物として供した。最終生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 9.38 (br, 1H), 8.39 (d, 1H), 7.68-7.73 (m, 1H), 7.48 (d, 1H), 1.72 (s, 9H), 1.52-1.60 (m, 6H), 1.31-1.40 (m, 6H), 1.15-1.19 (m, 6H), 0.9 (t, 9H)。
実施例4. 化合物(18)及び(19)(個別の異性体)の合成
Figure 2022531230000021
工程1:3-[6-(ベンジルオキシ)-5-フルオロ-1H-インドール-3-イル]-4-ブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-1H-ピロール-2,5-ジオンの化合物(13)の合成。THF(20ml)中の6-(ベンジルオキシ)-5-フルオロ-1H-インドール(8)(1.2g、4.9mmol)の撹拌溶液へ、THF/トルエンの1:3中の1.4Mメチルマグネシウムブロミド溶液(3.8ml、4.9mmol)を、アルゴン大気下、rtで滴加した。得られる暗色溶液を、40~50℃で1h撹拌した。この反応混合物を、rtまで冷却し、THF(10ml)中のジブロモマレイミド(2)(1.0g、2.5mmol)の溶液を、アルゴン下、rtで1h以内で滴加した。この反応混合物を、外界温度で1h撹拌し、その後氷冷した10%クエン酸水溶液(200ml)に注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×50mL)により抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMからDCM/EtOAcの9:1まで)により精製し、化合物(13)(1.2g、86%)を供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 8.71 (br, 1H), 7.96 (d, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.43-7.50 (m, 2H), 7.30-7.43 (m, 4H), 7.22 (d, 1H), 6.97 (d, 1H), 6.37-6.54 (m, 1H), 5.18 (s, 2H), 4.80 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.79 (s, 3H)。
工程2:tert-ブチル 6-(ベンジルオキシ)-3-[4-ブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル]-5-フルオロ-1H-インドール-1-カルボキシラートの化合物(14)の合成。THF(20ml)中の化合物(13)(1.2g、2.1mmol)及びDMAP(0.012g、0.1mmol)の撹拌溶液へ、THF(5ml)中のBoc2O(0.5g、2.2mmol)の溶液を、アルゴン下、rtで添加した。得られる溶液を、rtで2h撹拌し、その後、真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMからDCM/EtOAcの9:1まで)により精製し、化合物(14)(1.2g、85%)を供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 8.15 (s, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.61 (d, 1H), 7.50 (d, 2H), 7.30-7.46 (m, 3H), 7.25 (d, 1H), 6.40-6.52 (m, 2H), 5.23 (s, 2H), 4.80 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.79 (S, 3H), 1.68 (s, 9H)。
工程3:tert-ブチル 6-(ベンジルオキシ)-3-[1-(2,4-ジメトキシベンジル)-4-(1H-インドール-3-イル)-2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル]-5-フルオロ-1H-インドール-1-カルボキシラートの化合物(15)の合成。THF(50ml)中のHMDS(0.5g、3.4mmol)の撹拌溶液へ、TH中の2.5Mブチルリチウム溶液F(1.4ml、3.4mmol)を、アルゴン下、0℃で滴加した。得られる溶液は、0℃で、30分間攪拌した。その後この溶液を、-20℃まで冷却し、THF(5ml)中の1H-インドール(0.37g、3.1mmol)の溶液を滴加した。この反応混合物を、-20℃で45分間攪拌した。その後この攪拌溶液へ、THF(20ml)中の中間体化合物(14)(0.7g、1.0mmol)の溶液を、アルゴン大気下、-20℃で、45分間かけて滴加した。得られた混合物を、-20℃で45分間、加えて0℃で1h攪拌し、その後得られた混合物を、氷冷した10%クエン酸水溶液(200ml)へ注いだ。この混合物を、EtOAc(2×50mL)により抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMからDCM/EtOAcの9:1まで)により精製し、化合物(15)(525mg、68%)を供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.92 (br, 1H), 7.78-8.04 (m, 3H), 7.24-7.55 (m, 7H), 6.97-7.14 (m, 2H), 6.85 (d, 1H), 6.73 (t, 1H), 6.53-6.65 (m, 2H), 6.47 (d, 1H), 5.14 (s, 2H), 4.67 (s, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 1.60 (s, 9H)。
工程4:tert-ブチル 10-(ベンジルオキシ)-6-(2,4-ジメトキシベンジル)-9-フルオロ-5,7-ジオキソ-5,6,7,13-テトラヒドロ-12H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-12-カルボキシラートの化合物(16)の合成。トルエン(700ml)中の化合物(15)(0.3g、0.68mmol)の溶液へ、ヨウ素(1.7g、6.8mmol)を添加した。得られた混合物に、高圧水銀ランプ(400W)を4h照射し、その後溶液を、真空において、乾燥するまで濃縮した。残渣を、エーテルから結晶化し、化合物(15)(150mg、59%)を供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.7 (s, 1H), 11.61 (s,1H), 8.92 (d, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.27-7.67 (m, 9H), 7.02 (d, 1H), 6.59 (s, 1H), 6.44 (d, 1H), 5.34 (s, 2H), 4.74 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 1.68 (s, 9H)。
工程5:1-(2-クロロエチル)-モルホリン遊離塩基の調製。1-(2-クロロエチル)-モルホリン塩酸塩(5.00g、26.86mmol)を、水(10ml)に溶解し、この溶液へ、エーテル(10ml)を添加した。激しく攪拌した混合物へ、水(10ml)中のKOH(1.50g、26.80mmol)の溶液を、rtで5分間かけて滴加した。有機層を分離し、水層を、エーテル(2×20ml)で抽出した。一緒にした有機抽出液を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させ、粗1-(2-クロロエチル)-モルホリン(3.1g、78%)を淡黄色油状物として得た。生成物を、精製せずに次の合成に使用した。
工程6:2-(ベンジルオキシ)-6-(2,4-ジメトキシベンジル)-3-フルオロ-12-(2-モルホリン-4-イルエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオン及び2-(ベンジルオキシ)-6-(2,4-ジメトキシベンジル)-3-フルオロ-13-(2-モルホリン-4-イルエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの、各々、異性体17A及び17Bの合成。DMF(3mL)中の化合物(5)(0.37g、0.5mmol)の溶液へ、60%水素化ナトリウム(0.042g、1.0mmol)を添加した。得られた暗色混合物を、外界温度で1h撹拌し、その後1-(2-クロロエチル)-モルホリン(0.15g、1.0mmol)を添加した。この反応混合物を、外界温度で16h撹拌し、その後得られた混合物を、氷冷した10%クエン酸水溶液(20ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×10mL)により抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液EtOAc勾配0%-100%のDCM)により精製し、化合物(17A)(140mg、37%):1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 12.10 (br, 1H), 8.98 (d, 1H), 8.63 (d, 1H), 7.76 (d, 1H), 7.51-7.65 (m, 4H), 7.46 (t, 2H), 7.27-7.41 (m, 2H), 6.95 (d, 1H), 6.57 (s, 1H), 6.39 (d, 1H), 5.34 (s, 2H), 4.87 (s, 2H), 4.63 (s, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.69 (s, 3H), 3.29 (s, 4H), 2.44 (s, 2H), 2.32 (s, 4H);及び、化合物(17B)(160mg、42%)を供した:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 12.00 (s, 1H), 9.02 (d, 1H), 8.67 (d, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.51-7.65 (m, 3H), 7.27-7.50 (m, 5H), 6.99 (d, 1H), 6.58 (s, 1H), 6.41 (d, 1H), 5.35 (s, 2H), 4.90 (s, 2H), 4.67 (m, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 3.28 (s, 4H), 2.75 (m, 2H), 2.34 (s, 4H)。
工程7:3-フルオロ-2-ヒドロキシ-12-(2-モルホリン-4-イルエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオン(18)の合成。アニソール/TFAの1:1混合液(2ml)中の化合物(17A)(0.140g、0.19mmol)の溶液を、マイクロウェーブ反応器内で150℃で2h撹拌した。得られた混合物を、rtまで冷却し、エーテル(5ml)で希釈した。沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄し、得られる固形物を、EtOAc/THFの2:1混合液(10ml)中に溶解した。溶液を、10%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及びブラインで洗浄した。この有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させ、エーテルから結晶化し、化合物(18)(70mg、89%)を供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、アセトニトリル、10分間かけて5%-87%、保持時間6.19分)で確認した。構造は、2D-NOESY NMR H-H及びH-F相関を基に割り当てた。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 12.00 (br, 1H), 11.00 (s, 1H), 10.36 (s,1H), 9.04 (d, 1H), 8.73 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.56 (t, 1H), 7.20-7.43 (m, 2H), 4.93 (s, 2H), 3.41 (s, 4H), 2.79 (s, 2H), 2.41 (s, 4H)。MS (ESI) m/z 473.3 [MH]+。
工程8:(3-フルオロ-2-ヒドロキシ-13-(2-モルホリン-4-イルエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオン(19)の合成。工程7に説明したものと同じ手順で、化合物(17B)を使用し、異性体生成物である化合物(19)(70mg、81%)を供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、アセトニトリル、10分間かけて5%-87%、保持時間6.06分)で確認した。構造は、2D-NOESY NMR H-H及びH-F相関を基に割り当てた。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.95 (br, 1H), 10.98 (s, 1H), 10.35 (br, 1H), 9.06 (d, 1H), 8.70 (d,1H), 7.81 (d, 1H), 7.58 (t, 1H), 7.18-7.47 (m, 2H), 4.97 (s, 2H), 3.38 (s, 4H), 2.75 (s, 2H), 2.37 (s, 4H)。MS (ESI) m/z 473.3 [MH]+。
実施例5. 化合物23及び24(任意に割り当てられた個別の異性体)の合成
Figure 2022531230000022
工程1:3-(6-(ベンジルオキシ)-5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-4-ブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-1H-ピロール-2,5-ジオンの化合物(3)の合成。THF(25ml)中の6-(ベンジルオキシ)-5-フルオロ-1H-インドール(8)(1.2g、5.2mmol、実施例2参照)の撹拌溶液へ、THF/トルエンの1:3混合液中の1.4Mメチルマグネシウムブロミド溶液(3.8mL、5.2mmol)を、アルゴン大気下、外界温度で滴加した。得られる暗色溶液を、40~50℃で1h撹拌した。この反応混合物を、外界温度まで冷却し、THF(25ml)中の3,4-ジブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-1H-ピロール-2,5-ジオン(3)(1.0g、2.6mmol)の溶液を、アルゴン大気下、外界温度で、1h以内で滴加した。反応混合物を、外界温度で2h撹拌し、その後氷冷した10%クエン酸水溶液(200ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×70ml)により抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCM100%からDCM/EtOAcの9:1まで)により精製し、化合物(13)(1.2g、86%)を供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 8.71 (br, 1H), 7.96 (d, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.43-7.50 (m, 2H), 7.30-7.43 (m, 4H), 7.22 (d, 1H), 6.97 (d, 1H), 6.37-6.54 (m, 1H), 5.18 (s, 2H), 4.80 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.79 (s, 3H)。
工程2:tert-ブチル 3-(4-(6-(ベンジルオキシ)-5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-カルボキシラートの化合物(20)の合成。THF(50ml)中の化合物(13)(1.0g、1.8mmol)及びtert-ブチル 3-(トリブチルスタンニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-カルボキシラート(12)(1.3g、2.6mmol)の撹拌溶液へ、CuBr*SMe2(0.55g、2.6mmol)及びPd(PPh34(0.04g、0.03mmol)を添加し、得られた混合物を、30分間還流した。この反応混合物を、rtまで冷却し、次に33%のNH4OH水溶液を添加した(2ml/mmol)。触媒を、セライト床を通す濾過により除去し、セライト層を、EtOAc(2×30ml)で洗浄した。有機層を分離し、次に20%炭酸ナトリウム水溶液で、青色の変色が消えるまで洗浄し、その後ブラインで洗浄し、真空において蒸発乾固させた。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCM100%からDCM/EtOAcの1:1まで)により精製し、化合物(20)(0.7g、56%)を供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.83 (s, 1H), 9.27 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 8.03 (d, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.27-7.47 (m, 5H), 7.16 (d, 1H), 7.08 (d, 1H), 6.82 (d, 1H), 6.54-6.63 (m, 2H), 6.48 (dd, 1H), 5.12 (s, 2H), 4.68 (s, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 1.65 (s, 9H)。MS (ESI) m/z 703.7 [MH]+。
工程3:10-(ベンジルオキシ)-6-(2,4-ジメトキシベンジル)-9-フルオロ-12,13-ジヒドロ-5H-ピリド[4',3':4,5]ピロロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(21)の合成。トルエン(700mL)中の化合物(20)(0.2g、0.28mmol)の溶液へ、ヨウ素(0.7g、2.8mmol)を添加した。得られた混合物に、高圧水銀ランプ(400W)を4h照射し、その後溶液を、真空において蒸発乾固させ、エーテルから再結晶化し、化合物(21)(0.150mg、88%)を黄色固形物として供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 12.09 (br, 1H), 11.87 (br, 1H), 9.11 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.35-8.52 (m, 2H), 7.30-7.65 (m, 8H), 7.00 (d, 1H), 6.69 (s, 1H), 6.40 (d, 1H), 5.24 (s, 2H), 4.68 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.71 (s, 3H)。MS (ESI) m/z 601.5 [MH]+。
工程4:化合物(22A)及び(22B)(位置異性体)の合成。DMF(1ml)中の化合物(21)(0.200g、0.33mmol)の撹拌溶液へ、60%水素化ナトリウム(0.026g、0.66mmol)を添加した。得られた暗色混合物を、外界温度で1h撹拌し、その後1-(2-クロロエチル)-モルホリン(0.1g、0.66mmol)を添加した。この反応混合物を、外界温度で16h撹拌し、その後氷冷した10%クエン酸水溶液(20ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc/THF(2×10ml)により抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において乾燥するまで濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCM100%からDCM+2.5容量%MeOHまで)により精製し、個別の(任意に構造を割当て)異性体(22A)(40mg、16%)及び(22B)(40mg、16%)を供した。最終生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR(22A)(400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 9.30 (s, 1H), 8.95 (s, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.46 (s, 1H), 7.29-7.66 (m, 8H), 7.11-7.24 (m, 1H), 6.89-7.05 (m, 1H), 6.24-6.57 (m, 2H), 5.31 (s, 2H), 4.74 (s, 4H), 3.85 (s, 3H), 3.74 (s, 3H), 3.66 (s, 4H), 3.05 (s, 2H), 2.67 (s, 4H);及び、(22B)(400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 12.43 (br, 1H), 8.40-9.11 (m, 4H), 7.30-7.63 (m, 8H), 7.00-7.20 (m, 2H), 6.30-6.59 (m, 2H), 5.32 (s, 2H), 4.82 (s, 4H), 3.89 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 3.68 (s, 4H), 3.17 (s, 2H), 2.68 (s, 4H)。MS (ESI) m/z 714.3 [MH]+。
工程5:化合物(23)の合成。アニソール/TFAの1:1混合液(2ml)中の異性体(22A)(0.080g、0.1mmol)の溶液を、マイクロウェーブ反応器中、150℃で2h撹拌した。得られた混合物を、外界温度まで冷却し、エーテル(5ml)で希釈した。沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄し、TFA塩(23)(0.050g、66%)を供した。この固形物を、EtOAc/THFの2:1混合液(10mL)中に溶解し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及びブラインで洗浄した。有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させ、残渣を、エーテル中で結晶化し、化合物の遊離塩基型(23)(9mg、17%)を供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、10分間かけて5%から87%のアセトニトリル、保持時間4.61分)で確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 12.07 (br, 1H), 11.09 (br, 1H), 10.41 (br, 1H), 9.24 (m, 1H), 8.81 (m, 1H), 8.48 (d, 1H), 7.34 (m, 1H), 5.00 (s, 2H), 3.37 (s, 4H), 2.79 (s, 2H), 2.33 (s, 4H)。MS (ESI) m/z 474.3 [M+H]+。
工程6:化合物(24)の合成。工程5に説明したものと同じ手順を使用し、化合物22Bを利用し、異性体生成物の化合物の遊離塩基型(24)(8mg、16%)を供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、10分間かけて5%から87%のアセトニトリル、保持時間4.44分)で確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 12.33 (br, 1H), 11.06 (br, 1H), 10.46 (br, 1H), 9.14 (s, 1H), 8.81 (m, 1H), 8.70 (m, 1H), 8.49 (m, 1H), 7.33 (m, 1H), 4.90 (s, 2H), 3.39 (m, 4H), 2.75 (s, 2H), 2.36 (m, 4H)。MS (ESI) m/z 474.3 [MH]+。
実施例6. 2,10-ジヒドロキシ-12-(2-モルホリノエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(32)の合成
Figure 2022531230000023
工程1:3-(6-(ベンジルオキシ)-1H-インドール-3-イル)-4-ブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-1H-ピロール-2,5-ジオンの化合物(26)の合成。THF(25ml)中の6-(ベンジルオキシ)-1H-インドール(25)(2.20g、9.87mmol)の撹拌溶液へ、THF/トルエンの1:3中の1.4Mメチルマグネシウムブロミド溶液(7.0ml、9.87mmol)を、アルゴン大気下、rtで滴加した。得られる暗色溶液を、50~60℃で1h撹拌した。反応混合物を、rtまで冷却し、THF(25ml)中のジブロモマレイミド(2)(2.00g、4.93mmol)の溶液を、アルゴン大気下で、rtで1h以内で滴加した。この反応混合物を、rtで1h撹拌し、その後氷冷した10%クエン酸水溶液(200ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×70ml)で抽出し、有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において乾燥するまで濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCM/CCl4の1:1から100%DCMまで)により精製し、化合物(26)(1.80g、66%)を、赤茶色がかった固形物として供した。最終生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.96 (br, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.83 (d, 1H), 7.46-7.48 (m, 2H), 7.40 (t, 2H), 7.30-7.35 (m, 1H), 7.02-7.07 (m, 2H), 6.89 (dd, 1H), 6.56-6.57 (m, 1H), 6.46 (dd, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.61 (s, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.70 (s, 3H)。MS (ESI) m/z 549.5 [MH]+。
工程2:tert-ブチル 6-(ベンジルオキシ)-3-[4-ブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル]-1H-インドール-1-カルボキシラートの化合物(27)の合成。THF(20ml)中の化合物(26)(1.80g、3.28mmol)及びDMAP(0.02g、0.16mmol)の撹拌溶液へ、THF(5ml)中のBoc-無水物(0.79g、3.61mmol)の溶液を、アルゴン大気下、rtで添加した。得られる溶液を、rtで2h撹拌し、その後真空において乾燥するまで濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCM/CCl4の1:2から100%DCMまで)により精製し、化合物(27)(1.55g、73%)を黄色固形物として供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 8.02 (s, 1H), 7.77 (br, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.47-7.49 (m, 2H), 7.49 (t, 2H), 7.31-7.35 (m, 1H), 7.09 (t, 2H), 6.56 (s, 1H), 6.46 (dd, 1H), 5.19 (s, 2H), 4.62 (s, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 1.64 (s, 9H)。
工程3:tert-ブチル 6-(ベンジルオキシ)-3-[4-[6-(ベンジルオキシ)-1H-インドール-3-イル]-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル]-1H-インドール-1-カルボキシラートの化合物(28)の合成。THF(50ml)中のHMDS(1.11g、6.90mmol)の撹拌溶液へ、THF中の2.5Mブチルリチウム溶液(2.8ml、6.90mmol)を、アルゴン大気下、0℃で滴加した。得られる溶液を、0℃で30分間攪拌し、その後-20℃まで冷却し、THF(5ml)中の6-(ベンジルオキシ)-1H-インドール(0.62g、2.78mmol)の溶液を滴加した。この反応混合物を、-20℃で45分間攪拌した。その後THF(20ml)中の化合物(27)(1.50g、2.30mmol)の溶液を、アルゴン大気下、-20℃で45分間以内で滴加した。得られた混合物を、-20℃で45分間、その後0℃で1h撹拌し、次に氷冷した10%クエン酸水溶液(200ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×70ml)により抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において乾燥するまで濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMからDCM/エーテルの5:1まで)により精製し、化合物(28)(1.10g、61%)を赤茶色がかった固形物として供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): 11.68 (br, 1H), 7.81-7.82 (m, 1H), 7.76-7.78 (m, 1H), 7.71 (br, 1H), 7.30-7.41 (m, 10H), 7.04 (dd, 1H), 6.97 (br, 1H), 6.87 (t, 2H), 6.57-6.63 (m, 2H), 6.47 (dd, 2H), 6.05 (d, 4H), 4.66 (s, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 1.60 (s, 9H)。
工程4:tert-ブチル 2,10-bis(ベンジルオキシ)-6-(2,4-ジメトキシベンジル)-5,7-ジオキソ-5,6,7,13-テトラヒドロ-12H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-12-カルボキシラートの化合物(29)の合成。トルエン(700ml)中の化合物(28)(0.350g、0.443mmol)の溶液へ、触媒量のヨウ素を添加した。得られた混合物に、高圧水銀ランプ(400W)を2h照射し、その後真空において蒸発乾固させ、エーテルから再結晶化し、粗生成物(29)の0.250gを暗緑色固形物として供した。粗生成物を、DCM中に溶解し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCM/エーテルの5:1)により精製し、化合物(29)(0.160g、47%)を黄色固形物として供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): 11.17 (br, 1H), 8.99 (d, 1H), 8.80 (d, 1H), 7.69 (1H), 7.36-7.52 (m, 11H), 7.11 (d, 1H), 6.96 (t, 2H), 6.57 (br, 1H), 6.39 (d, 1H), 5.19 (d, 4H), 4.65 (s, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 1.79 (s, 9H)。
工程5:2,10-ビス(ベンジルオキシ)-6-(2,4-ジメトキシベンジル)-12-(2-モルホリノエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(7)の合成。DMF(1ml)中の化合物(29)(0.240g、0.304mmol)の溶液へ、60%水素化ナトリウム(0.024g、0.608mmol)を添加した。得られた暗色混合物を、rtで1h撹拌し、その後1-(2-クロロエチル)-モルホリン(0.091g、0.608mmol)を添加した。反応混合物を、rtで16h撹拌し、その後氷冷した10%クエン酸水溶液(20ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×10ml)により抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において乾燥するまで濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCM/エーテル5:1)により精製し、化合物(30)(0.130g、54%)を黄色固形物として供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、アセトニトリル、10分間かけて40%から87%まで、保持時間7.28分)で確認した。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.91 (br, 1H), 8.88-8.91 (m, 2H), 7.52-7.54 (m, 4H), 7.35-7.45 (m, 7H), 7.28 (br, 1H), 7.02-7.06 (m, 3H), 6.59 (br, 1H), 6.43 (d, 1H), 5.28(br, 4H), 4.91 (br, 2H), 4.76 (br, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.74 (s, 3H), 3.29 (br, 4H), 2.72 (br, 2H), 2.34 (br, 4H)。MS (ESI) m/z 801.5 [MH]+。
工程6:6-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,10-ジヒドロキシ-12-(2-モルホリノエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(31)の合成。1:1のTHF/MeOH混合液(20ml)中の化合物(30)(0.130g、0.162mmol)の溶液へ、触媒量の炭素上に担持された10%のパラジウム(10mg)を添加した。得られた混合物を、水素大気下、rtで16h撹拌した。この溶液を濾過し、触媒を除去し、濾液を、THF/MeOHにより洗浄した。濾液を、真空において乾燥するまで濃縮し、エーテルから結晶化し、粗生成物(31)(0.080g、80%)を黄色固形物として供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、10分間かけてアセトニトリルの5%から87%まで、保持時間7.07分)で確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.75 (br, 1H), 9.83 (s, 1H), 9.78 (s, 1H), 8.80 (t, 2H), 7.11 (d, 1H), 7.00-7.07 (m, 2H), 6.78-6.83 (m, 2H), 6.59 (d, 1H), 6.43 (dd, 1H), 4.83 (t, 2H), 4.77 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 3.38 (m, 4H), 2.75 (t, 2H), 2.40 (m, 4H)。MS (ESI) m/z 621.3 [MH]+。
工程7:2,10-ジヒドロキシ-12-(2-モルホリノエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(32)の合成。アニソール/TFAの1:1混合液(4ml)中の化合物(8)(0.080g、0.129mmol)の溶液を、アルゴン大気下、70~80℃で5h撹拌した。得られた混合物を、rtまで冷却し、エーテル(5ml)で希釈した。この沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄し、TFA塩32(0.050g、66%)として供した。固形物残渣を、EtOAc/THFの2:1混合液(10ml)中に溶解し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及びブラインで洗浄した。この溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において乾燥するまで濃縮し、エーテルから再結晶化させ、化合物(32)の遊離塩基型(0.030g、40%)を供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、10分間かけてアセトニトリルの5%から87%まで、保持時間5.50分)で確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.56 (br, 1H), 10.89 (br, 1H), 9.92 (br, 1H), 9.82 (br, 1H), 8.80-8.86 (m, 2H), 7.12-7.14 (m, 2H), 6.89 (d, 1H), 6.81 (d, 1H), 5.10 (br, 2H), 3.70 (br, 4H), 2.40-2.53 (m, 6H)。MS (ESI) m/z 471.3 [MH]+。
実施例7. 3,9-ジフルオロ-2,10-ジヒドロキシ-12-(2-モルホリノエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオン、化合物(37)の合成
Figure 2022531230000024
工程1-7:工程1及び3において、6-(ベンジルオキシ)-1H-インドールの代わりに、6-(ベンジルオキシ)-5-フルオロ-1H-インドール(実施例2の化合物8)を使用したことを除いて、実施例6で利用した同じ手順を使用し、表題化合物(37)を生成した。この手順は、化合物(37)の遊離塩基型(0.030g、40%)を黄色固形物として供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、10分間にわたりアセトニトリルの5%から87%まで、保持時間6.02分)で確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.82 (br, 1H), 10.95 (s, 1H), 10.29 (s, 2H), 8.67 (dd, 2H), 7.28 (dd, 2H), 4.84 (t, 2H), 3.34 (m, 4H), 2.71 (t, 2H), 2.54 (m, 2H), 2.37 (m, 2H). MS (ESI) m/z 507.4 [MH]+。
実施例8. 化合物41及び42の合成
Figure 2022531230000025
工程1:3-[6-(ベンジルオキシ)1H-インドール-3-イル]-4-ブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-1H-ピロール-2,5-ジオンの化合物(26)の合成。THF(50mL)中の6-(ベンジルオキシ)-1H-インドール(25)(3.3g、14.9mmol)の撹拌溶液へ、THF/トルエン1:3の混合液中の1.4Mメチルマグネシウムブロミド溶液(10.6mL、14.9mmol)を、アルゴン大気下、外界温度で滴加した。得られる暗色溶液を、40~50℃で1h撹拌した。この反応混合物を、外界温度まで冷却し、THF(25mL)中の3,4-ジブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-1H-ピロール-2,5-ジオン(3)(3.0g、7.5mmol)の溶液を、Ar下、外界温度で1h滴加した。反応混合物を、アルゴン大気下、外界温度で1h以内撹拌した。この反応混合物を、外界温度で2h撹拌し、次に氷冷した10%クエン酸水溶液(200ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×100ml)により抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCMの100%からDCM/EtOAcの9:1まで)により精製し、化合物(26)(3.2g、75%)を供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.96 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.84 (d, 1H), 7.28-7.55 (m, 5H), 6.99-7.11 (m, 2H), 6.90 (dd, 1H), 6.56 (s, 1H), 6.47 (dd, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.61 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.73 (s, 3H)。
工程2:tert-ブチル 3-[4-[6-(ベンジルオキシ)-1H-インドール-3-イル]-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル]-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-カルボキシラートの化合物(38)の合成。THF(50ml)中の化合物(26)(0.6g、1.1mmol)及びtert-ブチル 3-(トリブチルスタンニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-カルボキシラート(12)(0.72g、1.4mmol)の撹拌溶液へ、CuBr*SMe2(0.29g、1.4mmol)及びPd(PPh34(0.025g、0.022mmol)を添加し、得られた混合物を、30分間還流した。この反応混合物を、rtまで冷却し、その後33%NH4OH水溶液を添加した(3.6ml)。触媒を、セライト床を通す濾過により除去し、セライト層を、EtOAc(2×30ml)により洗浄した。有機層を、分離し、次に20%炭酸ナトリウム水溶液により、青色の変色が消えるまで洗浄し、その後ブラインで洗浄し、真空において蒸発乾固させた。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCMの100%からDCM/EtOAcの1:1まで)により精製し、化合物(38)(0.45g、60%)を供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.76 (s, 1H), 9.25 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 8.06 (d, 1H), 7.83 (d, 1H), 7.21-7.47 (m, 6H), 7.06 (d, 1H), 6.98 (s, 1H), 6.82 (d, 1H), 6.70 (d, 2H), 6.57 (s, 1H), 6.39-6.51 (m, 2H), 5.02 (s, 2H), 4.67 (s, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 1.64 (s, 9H)。MS (ESI) m/z 685.7 [MH]+。
工程3:10-(ベンジルオキシ)-6-(2,4-ジメトキシベンジル)-12,13-ジヒドロ-5H-ピリド[4',3':4,5]ピロロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(39)の合成。トルエン(700mL)中の化合物(38)(0.15g、0.22mmol)の溶液へ、ヨウ素(0.7g、2.8mmol)を添加した。得られた混合物に、高圧水銀ランプ(400W)を4h照射し、その後真空において蒸発乾固させ、エーテルから再結晶化し、化合物(39)(0.12g、94%)を黄色固形物として供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 13.20 (br.s. 1H), 12.56 (s, 1H), 9.22 (s, 1H), 8.70 (d, 1H), 8.50 (d, 1H), 7.50-7.65 (m, 2H), 7.32-7.49 (m, 3H), 7.29 (s, 1H), 7.01 (t, 1H), 6.57 (s, 1H), 6.26 (d, 1H), 4.70 (c, 2H), 4.68 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.70 (s, 3H)。MS (ESI) m/z 583.3 [MH]+。
工程4:化合物(40A)及び(40B)(個別の異性体)の合成。DMF(5ml)中の化合物39(0.20g、0.34mmol)の撹拌溶液へ、60%水素化ナトリウム(0.04g、0.96mmol)を添加した。得られた暗色混合物を、外界温度で1h撹拌し、その後1-(2-クロロエチル)-モルホリン(0.8g、0.51mmol)を添加した。この反応混合物を、外界温度で16h撹拌し、その後氷冷した10%クエン酸水溶液(20ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc/THF(2×10ml)で抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において乾燥するまで濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCMの100%からDCM+2.5容量%MeOHまで)により精製し、個別の位置異性体(40A)(65mg、27%)及び(40B)(25mg、10%)を供した。最終生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (40A)(400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 9.19 (s, 1H), 8.85-9.04 (m, 2H), 8.50 (s, 1H), 7.48-7.60 (m, 2H), 7.34-7.48 (m, 3H), 7.17 (d, 1H), 7.02 (d, 1H), 6.83 (s, 1H), 6.38 (d, 1H), 5.19 (s, 2H), 4.76 (s, 2H), 4.47-4.65 (m, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.74 (s, 3H), 3.66 (br, 4H), 2.98 (br, 2H), 2.59 (br, 4H);(40B)(400 MHz, CDCl3):δ(ppm) 12.27 (br, 1H), 8.80-9.10 (m, 3H), 8.56 (s, 1H), 7.48-7.58 (m, 2H), 7.32-7.49 (m, 3H), 7.0-7.21 (m, 3H), 6.44 (d, 1H),6.37 (dd, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.68 (br, 4H), 3.84 (s, 3H), 3.74 (s, 3H), 3.40 (br, 4H), 3.01-3.22 (m, 2H), 2.56-2.8 (m, 4H)。MS (ESI) m/z 696.3 [MH]+。
工程5:化合物(41)の合成。アニソール/TFAの1:1混合液(2ml)中の(40A)(0.065g、0.095mmol)の溶液を、マイクロウェーブ反応器内で、150℃で2h撹拌した。得られた混合物を、外界温度まで冷却し、エーテル(5ml)により希釈した。その沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄し、化合物(41)のTFA塩(0.07g)を供した。この固形物を、EtOAc/THFの2:1混合液(10mL)中に溶解し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及びブラインで洗浄した。有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させ、残渣を、エーテル中で結晶化し、化合物(41)の遊離塩基型(40mg、97%)を供した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.06 (br, 1H), 9.93 (br, 1H), 9.15 (s, 1H), 8.82-8.92 (m, 2H), 8.51 (s, 1H), 7.11 (s, 1H), 6.89 (d, 1H), 4.92 (br, 2H), 3.76 (s, 4H), 2.11 (br, 2H), 2.37 (br, 4H)。この遊離塩基試料を、TFA-含有溶離液による分取HPLCに供した。この生成物画分を、真空において蒸発乾固させ、化合物(41)のTFA塩(21mg、31%)を得た。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、10分間かけて5%から87%までのアセトニトリル、保持時間4.33分)で確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.29 (s, 1H), 10.17 (br, 1H), 9.33 (s, 1H), 9.20 (d, 1H), 8.89 (d, 1H), 8.68 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 6.98 (br, 1H), 5.14 (br, 4H), 1.23 (br, 2H)。MS (ESI) m/z 456.5 [M+H]+。
工程6:化合物(42)の合成。化合物(40B)を利用し、工程5において説明したものと同じ手順で、生成物の化合物(42)のTFA塩(14mg、21%)を供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、10分間かけて5%から87%までのアセトニトリル、保持時間4.41分)で確認した。1H-NMR (400 MHz, CD3OD):δ(ppm) 9.33 (s, 1H), 9.23 (d, 1H), 8.26 (d, 1H), 6.99 (s, 1H), 6.54 (d, 1H), 4.95 (br, 2H), 3.76 (br, 4H), 3.24 (br, 2H), 2.94 (br, 4H)。MS (ESI) m/z 456.5 [MH]+。
実施例9. tert-ブチル 6-(2,4-ジメトキシベンジル)-3,9-ジフルオロ-5,7-ジオキソ-5,6,7,13-テトラヒドロ-12H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-12-カルボキシラートの化合物(47)の合成
Figure 2022531230000026
工程1:3-ブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-4-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-1H-ピロール-2,5-ジオンの化合物(44)の合成。THF(20mL)中の5-フルオロ-1H-インドール(43)(2.5g、18.5mmol、Sigma Aldrich、セントルイス、MO)の撹拌溶液へ、THF/トルエン1:3中の1.4Mメチルマグネシウムブロミド溶液(13.2ml、18.5mmol)を、アルゴン大気下、rtで滴加した。得られる暗色溶液を、50~60℃で1h撹拌した。この反応混合物を、rtまで冷却し、THF(10ml)中のジブロモマレイミド(3)(2.5g、6.2mmol)の溶液を、アルゴン大気下、rtで、1h以内で滴加した。この反応混合物を、rtで1h撹拌し、その後、氷冷した10%クエン酸水溶液(100ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×50ml)で抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において乾燥するまで濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMからDCM/EtOAcの9:1まで)により精製し、化合物(44)(2.8g、99%)を供し、これを更に精製することなく使用した。
工程2:tert-ブチル 3-[4-ブロモ-1-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル]-5-フルオロ-1H-インドール-1-カルボキシラートの化合物(45)の合成。THF(20ml)中の化合物(44)(2.8g、6.1mmol)及びDMAP(0.035g、0.3mmol)の撹拌溶液へ、THF(5ml)中のBoc-無水物(1.3g、6.1mmol)の溶液を、アルゴン大気下、rtで添加した。得られる溶液を、rtで2h撹拌し、次に真空において乾燥するまで濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMからDCM/EtOAcの9:1まで)により精製し、化合物(45)(3.0g、88%)を供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 8.90 (s, 1H), 8.14 (dd, 1H), 7.57 (dd, 1H), 7.24-7.36 (m, 1H), 7.12 (d, 1H), 6.57 (d, 1H), 6.46 (dd, 1H), 4.63 (s, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.74 (s, 3H), 1.65 (s, 9H)。
工程3:tert-ブチル 3-[1-(2,4-ジメトキシベンジル)-4-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル]-5-フルオロ-1H-インドール-1-カルボキシラートの化合物(46)の合成。THF(50ml)中のHMDS(3.2g、16.0mmol)の撹拌溶液へ、THF中の2.5Mブチルリチウム溶液(6.4ml、16.0mmol)を、アルゴン大気下、0℃で滴加した。得られる溶液を、0℃で30分間攪拌し、その後-20℃まで冷やし、THF(5ml)中の5-フルオロ-1H-インドール(43)(0.9g、6.0mmol)の溶液を滴加した。この反応混合物を、-20℃で45分間攪拌した。その後THF(30ml)中の化合物45(3.0g、5.0mmol)の溶液を、アルゴン大気下、-20℃で、45分間以内で滴加した。得られた混合物を、-20℃で45分間、その後0℃で1h攪拌し、その後氷冷した10%クエン酸水溶液(100ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×100ml)により抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において乾燥するまで濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMからDCM/EtOAcの7:3まで)により精製し、化合物(46)(2.3g、85%)を供した。
工程4:tert-ブチル 6-(2,4-ジメトキシベンジル)-3,9-ジフルオロ-5,7-ジオキソ-5,6,7,13-テトラヒドロ-12H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-12-カルボキシラートの化合物(47)の合成。トルエン(700ml)中の化合物(46)(0.50g、8mmol)の溶液へ、触媒量のヨウ素を添加した。得られた混合物に、高圧水銀ランプ(400W)を2h照射し、その後真空において蒸発乾固させ、エーテルから再結晶化し、化合物(47)(0.32g、64%)を供した。生成物の純度は、NMRで確認した。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6):11.72 (s, 1H), 8.51 (dd,1H), 7.76 (dd, 1H), 7.30-7.47 (m, 1H), 6.96 (d, 1H), 6.57 (s, 1H), 6.40 (d, 1H), 4.62 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 1.67 (s, 9H)。
実施例10. 3,9-ジフルオロ-12-(2-モルホリン-4-イルエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(49)の合成
Figure 2022531230000027
工程5:6-(2,4-ジメトキシベンジル)-3,9-ジフルオロ-12-(2-モルホリン-4-イルエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(48)の合成。DMF(5ml)中の化合物(47)(0.2g、0.4mmol)の溶液へ、60%水素化ナトリウム(0.047g、1.2mmol)を添加した。得られた暗色混合物を、rtで1h撹拌し、その後1-(2-クロロエチル)-モルホリン(0.12g、0.8mmol)を添加した。この反応混合物を、rtで16h撹拌し、次に氷冷した10%クエン酸水溶液(20ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×10ml)により抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において乾燥するまで濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMから100%EtOAcまで)により精製し、化合物(48)(0.1g、50%)を供した。
工程6:3,9-ジフルオロ-12-(2-モルホリン-4-イルエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(49)の合成。アニソール/TFAの1:1混合液(2ml)中の化合物48(0.1g、0.16mmol)の溶液を、マイクロウェーブ反応器内で、130℃で5分間攪拌した。得られた混合物を、rtまで冷やし、エーテル(5ml)で希釈した。その沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄し、その後固形物を、EtOAc/THFの2:1混合液(10ml)中に溶解し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及びブラインで洗浄した。この溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において乾燥するまで濃縮し、エーテルから再結晶化し、化合物(49)(0.030g、40%)の遊離塩基型を供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、10分間かけてアセトニトリル5%から87%まで、保持時間6.80分)で確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 12.18 (br., 1H), 11.07 (br, 1H), 8.56-8.90 (m, 2H), 7.66-7.95 (m, 2H), 7.27-7.57 (m, 2H), 4.96 (s, 2H), 3.21-3.29 (m, 4H), 2.74 (s, 2H), 2.18-2.41 (m, 4H)。MS (ESI) m/z 475.3 [MH]+。
実施例11. 3,9-ジフルオロ-12-(2-ピペリジン-1-イルエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(51)の合成
Figure 2022531230000028
工程1-2:3,9-ジフルオロ-12-(2-ピペリジン-1-イルエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(51)の合成。1-(2-クロロエチル)ピペリジン塩酸塩(5.00g、27.0mmol)を、水(5ml)に溶解し、この撹拌溶液へ、エーテル(10ml)を添加した。激しく攪拌している得られた混合物へ、水(5ml)中のKOH(1.50g、27.0mmol)の溶液を、rtで5分間かけて滴加した。この有機層を分離し、水層を、エーテル(2×10ml)で抽出した。一緒にした有機抽出液を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において一定の残留容積になるまで蒸発させ、粗1-(2-クロロエチル)ピペリジン(2.5g、62%)を明黄色油状物として生じた。この生成物を、精製せずに、次の合成に使用した。
DMF(5ml)中の化合物(47)(0.19、0.4mmol)の溶液へ、60%水素化ナトリウム(0.047g、1.2mmol)を添加した。得られた暗色混合物を、外界温度で1h撹拌し、その後1-(2-クロロエチル)ピペリジン(0.11g、0.8mmol)を添加した。この反応混合物を、rtで16h撹拌し、その後反応混合物を、氷冷した10%クエン酸水溶液(20mL)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×10ml)で抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMから100%EtOAcまで)により精製し、化合物(50)(0.1g、50%)を供した。この生成物を、アニソール/TFAの1:1混合液(2ml)中に溶解し、この溶液を、マイクロウェーブ反応器内で、130℃で5分間攪拌した。得られた混合物を、rtまで冷却し、エーテル(5ml)で希釈した。沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄した。この固形物を、EtOAc/THFの2:1の混合液(10ml)中に溶解し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及びブラインで洗浄した。この有機溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させ、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMからDCM/THFの9:1まで)により精製し、化合物(51)(20mg、32%)の遊離塩基型を供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、10分間かけてアセトニトリル5%から87%、保持時間6.84分)で確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 12.69 (br, 1H), 11.05 (s, 1H), 8.56-8.97 (m, 2H), 7.66-7.98 (m, 2H), 7.27-7.57 (m, 2H), 4.88 (s, 2H), 2.75 (s, 2H), 2.20-2.42 (m, 4H), 1.14-1.39 (m, 6H)。 MS (ESI) m/z 473.3 [MH]+。
実施例12. 12-{2-[(2R,6S)-2,6-ジメチルピペリジン-1-イル]エチル}-3,9-ジフルオロ-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(53)の合成
Figure 2022531230000029
工程1-2:12-{2-[(2R,6S)-2,6-ジメチルピペリジン-1-イル]エチル}-3,9-ジフルオロ-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオン(53)の合成。DMF(5ml)中の化合物(47)(0.19g、0.4mmol)の溶液へ、60%水素化ナトリウム(0.047g、1.2mmol)を添加した。得られた暗色混合物を、外界温度で1h撹拌し、その後(2R,6S)-1-(2-クロロエチル)-2,6-ジメチルピペリジン(0.13g、0.8mmol)を添加した。この反応混合物を、rtで16h撹拌し、その後氷冷した10%クエン酸水溶液(20mL)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×10ml)で抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMから100%EtOAcまで)により精製し、化合物(52)(0.12g、53%)を供した。この生成物を、アニソール/TFAの1:1の混合液(2ml)中に溶解し、この溶液を、マイクロウェーブ反応器内で、130℃で5分間撹拌した。得られた混合物を、rtまで冷却し、Et2O(5ml)で希釈した。この沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄した。固形物を、EtOAc/THFの2:1の混合液(10ml)中に溶解し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、及びブラインで洗浄した。この溶液を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させ、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMからDCM/THFの7:3まで)により精製し、化合物(53)(25mg、35%)を供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、10分間かけてアセトニトリル5%から87%まで、保持時間6.78分)で確認した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 13.17 (br, 1H), 11.05 (s, 1H), 8.56-8.84 (m, 2H), 7.66-7.91 (m, 2H), 7.19-7.57 (m, 2H), 4.73 (s, 2H), 3.07 (s, 2H), 1.04-1.65 (m, 6H), 0.74 (s, 6H)。MS (ESI) m/z 501.3 [MH]+。
実施例13. 2,10-ジヒドロキシ-12-(2-ピペリジノエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオン(ZE12-0027A)の合成
Figure 2022531230000030
工程1:2,10-ビス(ベンジルオキシ)-6-(2,4-ジメトキシベンジル)-12-(2-ピペリジノエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(54)の合成。DMF(1ml)中のtert-ブチル 2,10-ビス(ベンジルオキシ)-6-(2,4-ジメトキシベンジル)-5,7-ジオキソ-5,6,7,13-テトラヒドロ-12H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-12-カルボキシラート(29)(0.320g、0.406mmol)の溶液へ、60%水素化ナトリウム(0.033g、0.812mmol)を添加した。得られた暗色混合物を、rtで1h撹拌し、その後1-(2-クロロエチル)-ピペリジン(0.120g、0.812mmol)を添加した。この反応混合物を、rtで16h撹拌し、氷冷した10%クエン酸水溶液(20ml)に注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×10ml)で抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液DCM/エーテル5:1)により精製し、化合物(54)(0.180g、56%)を黄色固形物として供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、アセトニトリル、勾配40%から87%まで、保持時間7.11分)で確認した。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 12.28 (br, 1H), 8.91 (d, 1H), 8.86 (d, 1H), 7.53-7.58 (m, 6H), 7.36-7.46 (m, 6H), 7.09 (d, 1H), 7.01 (t, 2H), 6.59 (s, 1H), 6.43 (dd, 1H), 5.32 (s, 4H), 5.22 (s, 2H), 4.75 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 3.59-3.66 (m, 2H), 3.43-3.52 (m, 2H), 2.98-3.11 (m, 2H), 1.75-1.92 (m, 5H), 1.33-1.46 (m, 1H)。MS (ESI) m/z 799.5 [MH]+。
工程2:6-(2,4-ジメトキシベンジル)-2,10-ジヒドロキシ-12-(2-ピペリジノエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(55)の合成。THF/MeOHの1:1混合液(20ml)中の化合物(54)(0.180g、0.225mmol)の溶液へ、触媒量の炭素上に担持された10%パラジウム(10mg)を添加した。得られた混合物を、水素大気下、rtで16h撹拌した。触媒を濾過により除去し、THF/MeOHで洗浄した。濾液を、真空において蒸発乾固させ、残渣を、エーテルにより結晶化し、化合物(55)(0.100g、71%)を黄色固形物として供した。生成物の純度は、LCMS(C18カラム、アセトニトリル、勾配5%から87%まで、保持時間7.13分)で確認した。MS (ESI) m/z 799.5 [MH]+。
工程3:2,10-ジヒドロキシ-12-(2-ピペリジノエチル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオン(56)の合成。アニソール/TFAの1:1混合液(4ml)中の化合物(55)(0.100g、0.162mmol)の溶液を、アルゴン大気下、70~80℃で5h撹拌した。得られた混合物を、rtまで冷却し、エーテル(5ml)で希釈した。この沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄し、化合物(56)のTFA塩型(0.030g、40%)を黄色固形物として供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、アセトニトリル、勾配5%から87%まで、保持時間5.82分)で確認した。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 12.01 (s, 1H), 11.02 (br, 1H), 10.89 (s, 1H), 9.92 (s, 1H), 9.77 (s, 1H), 8.86 (d, 1H), 8.80 (d, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.15 (s, 1H), 6.84 (dd, 2H), 5.26-5.31 (m, 2H), 3.65-3.70 (m, 2H), 3.44-3.52 (m, 2H), 3.04-3.11 (m, 2H), 1.74-1.92 (m, 5H), 1.34-1.45 (m, 1H)。MS (ESI) m/z 469.4 [MH]+。
実施例14. 12-{2-[(2R,6S)-2,6-ジメチルピペリジン-1-イル]エチル}-3,9-ジフルオロ-2,10-ジヒドロキシ-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(59)の合成
Figure 2022531230000031
工程1:2,10-ビス(ベンジルオキシ)-6-(2,4-ジメトキシベンジル)-12-{2-[(2R,6S)-2,6-ジメチルピペリジン-1-イル]エチル}-3,9-ジフルオロ-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(57)の合成。DMF(5ml)中の化合物(34)(0.2g、0.24mmol)の溶液へ、60%水素化ナトリウム(0.019g、0.48mmol)を添加した。得られた暗色混合物を、外界温度で1h撹拌し、その後(2R,6S)-1-(2-クロロエチル)-2,6-ジメチルピペリジン(0.085g、0.48mmol)を添加した。この反応混合物を、rtで16h撹拌し、その後氷冷した10%クエン酸水溶液(20ml)へ注いだ。得られた混合物を、EtOAc(2×10ml)により抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空において蒸発乾固させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液100%DCMから100%EtOAcまで)により精製し、粗化合物(57)(150mg、72%)を供した。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 8.55 (d, 2H), 7.31-7.65 (m, 12H), 7.22 (d, 1H), 6.92 (d, 1H), 6.57 (d, 1H), 6.38 (dd, 1H), 5.36 (s, 2H), 5.33 (s, 2H), 4.58 (s, 2H), 4.45-4.55 (m, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.69 (s, 3H), 2.90-3.11 (m, 2H), 2.35-2.45 (m, 2H), 0.90-1.59 (m, 6H), 0.68 (s, 3H), 0.66 (s, 3H)。
工程2:6-(2,4-ジメトキシベンジル)-12-{2-[(2R,6S)-2,6-ジメチルピペリジン-1-イル]エチル}-3,9-ジフルオロ-2,10-ジヒドロキシ-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(58)の合成。THF/MeOHの1:1混合液(20ml)中の化合物(2)(0.150g、0.162mmol)の溶液へ、触媒量の炭素に担持された10%パラジウム(10mg)を添加した。得られた混合物を、水素大気下、rtで16h撹拌した。触媒を濾過により除去し、THF/MeOHで洗浄した。濾液を、真空において蒸発乾固させ、残渣を、エーテルにより結晶化させ、化合物(58)(0.100g、82%)を黄色固形物として供した。
工程3:12-{2-[(2R,6S)-2,6-ジメチルピペリジン-1-イル]エチル}-3,9-ジフルオロ-2,10-ジヒドロキシ-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオンの化合物(59)の合成。アニソール/TFAの1:1混合液(2ml)中の化合物58(0.100g)の溶液を、90℃で12h撹拌した。得られた混合物を、外界温度まで冷却し、エーテル(5ml)で希釈した。この沈殿物を、濾過し、エーテルで洗浄し、化合物(59)(20mg、33%)を供した。最終生成物の純度は、NMR及びHPLC(C18カラム、10分間かけてアセトニトリル5%から87%まで、保持時間6.18分)で確認した。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6):δ(ppm) 11.87 (s, 1H), 11.05 (s, 1H), 10.60 (s, 1H), 10.40 (s, 1H), 9.40 (s, 1H), 8.74 (d, 1H), 8.65 (d, 1H), 7.40 (d, 1H), 7.26 (d, 1H), 5.09-5.43 (m, 2H), 3.23-3.45 (m, 4H), 1.44-2.04 (m, 6H), 1.23 (s, 6H)。MS (ESI) m/z 533.4 [MH]+。
実施例15
キナーゼアッセイ
PIMキナーゼの阻害に関する本開示の化合物の有効性を評価するために、キナーゼ阻害活性を測定する2種の異なるアッセイを利用した。ひとつのアッセイは、放射標識されたATPを利用する標準生化学アッセイであり、ここでキナーゼ活性の50%阻害濃度(IC50)は、標準のペプチド基質への放射標識取込みの量を定量することにより、測定した。使用した第二のアッセイは、Perkin Elmer社のLANCE(登録商標)ウルトラキナーゼアッセイであり、これはULight(商標)-標識したペプチド基質、及び好適なユーロピウム-標識した抗-ホスホ抗体を使用する。この基質が関心対象のキナーゼによりリン酸化され始めると、この基質上のリン酸化部位は、ユーロピウム-標識した抗-ホスホ抗体により認識される。ユーロピウムドナー発蛍光団の320nm又は340nmでの励起時に、エネルギーは、基質上のULightアクセプタ色素へ移動され、665nmの光の放出を生じる(FRET)。発光強度は、ULightペプチドリン酸化のレベルに比例する。キナーゼインヒビターは、FRETシグナルを減少し、その結果阻害効能の正確で感度の良い測定を提供する。
生化学キナーゼアッセイ
基本の生化学アッセイは、放射標識されたATPを利用し、下記一般式に従う、放射性リンのチロシン-含有ペプチド基質へのキナーゼ-触媒した移動を測定する:
反応:基質+[γ-33P]-ATP→33P-基質+ADP
PIM3のために使用された標準プロトコールは、10mM MgCl2、10mM MnCl2、1mM EGTA、0.02%Brij35、0.02mg/mL BSA、0.1mM Na3VO4、2mM DTT、0.02% Brij35、10μM ATP、及び20μMペプチド基質RSRHSSYPAGTを含有する20mM HEPES(pH7.5)において実行された捕獲アッセイを使用し、Reaction Biology社(モルバーン、PA)により実行された。DMSO中のインヒビターを、DMSOの最終濃度が1%を超えないように、及び酵素をATPの消費が10%未満であるように添加した。試薬を一緒にし、且つ30℃で30分間インキュベーションし、この反応を、[γ-33P]-ATP(10μCi/mL[γ-33P]-ATP)の添加により開始し、30℃で2hインキュベーションした。その後この反応を、1/3容積の停止試薬(dH20中0.25mM EDTA及び33mM ATP)の添加により、停止した。15mLアリコートを取りだし、P-81フィルターマットイオン交換ペーパー上にスポッティングし、10%(w/v)クロロ酢酸及びdH20により連続して洗浄し、ATPを除去した。結合した33P-ペプチド基質を、シンチレーション計数により定量し、壊変毎分(dpm)を得、これはPIM3により生成された33P-ペプチドの量に正比例し、これを使用し、各化合物に関するIC50を決定した。PIM1及びPIM2に関するアッセイは、PIM1についてペプチド基質KKRNRTLTKを、及びPIM2についてRSRHSSYPAGTを使用した以外は、同様に行った。
各化合物のPIMキナーゼに対する阻害活性は、Reaction Biology社(モルバーン、PA)から入手可能な、基質リン酸化アッセイの一種である、放射性同位体のフィルター結合アッセイにより測定した。PIM3キナーゼが関与するこのアッセイにおいて、この開示の化合物は、0.1nM~2μMの範囲、好ましくは0.1nM~10nMの範囲のIC50値を示す。実施例4の化合物18は、PIM3に関して0.25nMのIC50を示す。陽性対照インヒビターであるスタウロスポリンは、このアッセイを使用し、PIM3に対し0.14nMのIC50を有する。
PIM1及びPIM2キナーゼに関与するこのアッセイにおいて、本開示の化合物は、0.1nM~10μMの範囲、好ましくは0.1nm~<10μMの範囲のIC50を示す。実施例4の化合物18は、このアッセイを使用し、PIM1に関して1.8nM、及びPIM2に関して7.4nMのIC50を示す。陽性対照インヒビターのスタウロスポリンは、このアッセイを使用し、PIM1及びPIM2に対し、各々、4.0nM及び33nMのIC50を有する。
IC50値による化合物18及び19によるPIMキナーゼの生化学阻害の例は、表1に示される。
Figure 2022531230000032
この生化学アッセイを使用し、PIM1-3を標的化する化合物18に関するIC50プロットを、図1A、1B及び1Cに提供している。
LANCE(登録商標)ウルトラキナーゼアッセイ
このアッセイは、2工程で、384-ウェルプレートにおいて実行した:
PIMキナーゼを、緩衝液中でULight-基質(CREBtide)と混合し、10分間インキュベーションした。引き続き、ATP及び本開示の分子を、キナーゼ緩衝液へ、好適な濃度で添加し、この反応液を、暗所において、室温で1時間インキュベーションした。
1h後、EDTAを添加し、このキナーゼ反応を停止し、Eu-W1024-標識した抗-ホスホセリン-CREB(Ser133)抗体(抗-ホスホCREBtide特異的抗体)を、LANCE検出緩衝液中の反応物へ添加した。この混合物を、30分間インキュベーションし、抗体をリン酸化部位に結合させ、その後このプレートを、Tecanマイクロプレートリーダーを用いて測定した。
Figure 2022531230000033
Tecan測定パラメータ:
励起フィルター:325nm(BW 20nm)
吸収フィルター1:616nm(BW 12nm)
吸収フィルター2:665nm(BW 12nm)
ゲイン:100
Z-位置:23800
遅滞時間:60us
積分時間:500us
使用した材料:
プレート:384ウェル、白色Corning低容積(#3674)
Tecan Infinite M1000マイクロプレートリーダー(Thermo Fisher、ウォルサ、MA)
マルチチャネルピペット:5~120μl、0.2~10μl
フリーザー:-20℃
P30-384FXピペットチップ(Beckman)
Biomek FXラボラトリー自動化ワークステーション
試薬:
PIM1キナーゼ10ug(#0186-0000-1;ProQinase、フライブルグ、独国)
PIM2キナーゼ10ug(#0223-0000-1;ProQinase、フライブルグ、独国)
PIM3キナーゼ10ug(#P37-10BG;SignalChem、リッチモンド、カナダ)
LANCE(登録商標)Ultra ULight(商標)-CREBtide 5nmol(#TRF0107-M;PerkinElmer、ウォルサム、MA)
ATP(#A1388;Sigma、セントルイス、MO)-100mMストック液
Eu-W1024-標識した抗-ホスホセリン-CREB(Ser133)抗体(#TRF0200-D;PerkinElmer、ウォルサム、MA)
キナーゼアッセイ緩衝液-50mM HEPES(pH7.0)、1mM EGTA、10mM MgCl2、0.01%BRIJ-35。
PIMキナーゼに対する各化合物の阻害活性は、ChemDiv社(サンディエゴ、CA)により、LANCE(登録商標) Ultraキナーゼアッセイで測定した。2種の既知の汎-PIMインヒビターであるPIM447及びAZD-1208(両方共Selleckchem社、ヒューストン、TX、USAから購入)を、陽性対照として使用した。このアッセイを使用して測定したPIM1、PIM2、及びPIM3のATP Km値は、以下であった:PIM1=170μM、PIM2=4μM、PIM3=17μM。LANCE(登録商標)ウルトラキナーゼアッセイにより測定したこの開示の化合物を使用するPIMキナーゼ阻害の例は、表1に、IC50値及び使用したATP濃度と共に示している。
Figure 2022531230000034
0.1mM ATPでLANCEアッセイを使用しPIM1-3を標的化している化合物32及び53の重ねたIC50プロットは、図2A及び2Bに提供される。
実施例16
PIMインヒビターに関する細胞-ベースの成長阻害
成長及び増殖阻害アッセイに使用した癌細胞株は、RIKEN(東京、日本)から購入した肝癌細胞株Huh7以外は、商業的共有業者(Life Technologies、カールスバッド、CA又はATCC、マナサス、VA)から入手した。全ての細胞株は、供給業者の指示に従い、10%ウシ胎仔血清(Thermo Fisher、ウォルサム、MA)を含有する推奨される培地内で貯蔵し且つ維持した。活性についてPIMインヒビターをスクリーニングする為に使用した癌細胞株は、以下を含む:
膵臓:MIA PaCa-2、PANC-1、Capan-1、PSN1、及びJOPACA-1
結腸直腸:Caco-2、COLO 320、DLD-1、HCT-15、HCT-116、HT-29、及びSW48
胃:AGS、SNU-1、SNU-5、SNU-16、Hs 746T、NCI-N87、KATO III、HGC-27、MNK28、MNK45
肝臓:HepG2、C3A、HuH7、Hep3B、HLE、HepaRG、HLF、SK-Hep1、PLC/PRF/5
前立腺:DU-145、PC-3及びLNCaP、LAPC-4、LAPC-9、及びVCaP
ユーイング肉腫:A673、TC-71、RD-ES、A4573、Hs 822T、Hs 863T
癌細胞成長阻害データ:
この開示の化合物を、CELL TITER-GLO(登録商標)2.0ルミネセント細胞生存度アッセイ(Promega社、マジソン、WI)を使用し、HepG2、Huh7、HepRG、A673、及びDU-145を含む癌細胞株に対する成長阻害について試験した。CELL TITER-GLO(登録商標)2.0ルミネセント細胞生存度アッセイは、培養物中の生存細胞の数を決定するための、感度の良い均質な方法である。検出は、生存細胞からのATP量を測定するための、ルシフェラーゼ反応の使用を基にし、測定する。細胞内のATP量は、細胞生存度と相関している。膜の完全性を喪失した後わずかな時間内に、細胞は、ATPを合成する能力を失い、且つ内在性ATPaseは、残存するATPを破壊し;従って、ATPレベルは、急勾配で下落する。CellTiter-Glo(登録商標)試薬は、細胞への添加時に3つの働きをする。これは、細胞膜を溶解し、ATPを放出し;これは、内在性ATPaseを阻害し、且つ生物発光反応を使用するATPの測定に必要な、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び他の試薬を放出する。独自の特性は自社開発の(proprietary)安定したルシフェラーゼである。発光シグナルと1ウェル当たり0~50.000個細胞の細胞数の間には、直線関係が存在する(r2=0.99)。
使用した試薬:
・DMEM(Paneco、カタログ番号C420)
・Williams培地(Gibco、カタログ番号12551032)
・ウシ胎仔血清、FBS(HyClone、カタログ番号SH 30084.03)
・Pen-Strep(Paneco、カタログ番号A065)
・MEM非必須アミノ酸(Paneco、カタログ番号F115)
・L-グルタミン(Paneco、カタログ番号F032)
・ピルビン酸ナトリウム(Paneco、カタログ番号F023)
・ベルセン(Paneco、カタログ番号P080)
・アキュターゼ(Innovative Cell Technologies社、カタログ番号AT104)
・DMSO(Panreac、カタログ番号141954.1611)
・CellTiter-Glo(登録商標)ルミネセント細胞生存度アッセイ(Promega、カタログ番号G7573)。
使用した装置及び材料:
・Biomek 384 FXラボラトリー自動化ワークステーション(Beckman Coulter社、フラートン、CA)
・Biomek 2000ラボラトリー自動化ワークステーション(Beckman Coulter社、フラートン、CA)
・顕微鏡Axiovert 40
・微生物安全キャビネット、クラスII(NuAire、USA)
・CO2インキュベーター(VWR Science、USA)
・ブライトライン血球計(Z359629、Sigma、IL、USA)
・Tecan Infinite M1000マイクロプレートリーダー(Thermo Fisher、ウォルサム、MA)
・プレート:384-ウェル黒色/透明、組織培養処理、平底(Falcon、#353962)。
細胞株:
・Huh7
・HepG2
・A673
・DU-145
・HepaRG。
Figure 2022531230000035
全てのアッセイは、Reaction Biology社(モルバーン、PA)又はChemDiv社(サンディエゴ、CA)により行った。Huh7(RIKEN、東京、日本)及びHepaRG(Life Technologies、カールスバッド、CA)を除いて、全ての細胞株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC、マナサス、VA)から購入した。細胞株は、10%ウシ胎仔血清、100μg/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシンの存在する、推奨される培養培地において、HEPA-フィルターを通して5%CO2及び95%空気の、加湿した大気中、37℃で維持した。
細胞増殖
条件:37℃、空気95%;HEPA-フィルターを通した二酸化炭素(CO2)5%、加湿した大気。
・細胞は、175cm2フラスコにおいて、集密度80~90%まで成長させた。
・培養培地を、吸引し、細胞層を、ベルセン溶液で簡単にすすぎ、微量の血清を完全に除去した。
・2mLのアキュターゼを、細胞へ添加した。
・フラスコを、5分間インキュベーターに戻し、細胞を剥離させた。
・完全成長培地6.0mLを添加した。
・穏やかにピペッティングすることにより、単独の細胞浮遊液を作製した。
・細胞を、血球計を用いてカウントし、且つ望ましい細胞濃度の浮遊液を調製した。
細胞プレーティング
・単独の細胞浮遊液を、前述のように調製し、細胞を、再度カウントし、且つ最終密度に再浮遊させる。
・細胞を、Biomek 384 FXによる384-ウェル光学底のプレートに、各ウェルに細胞浮遊液40μLでプレーティングした。
・アッセイプレートを、100rpmで1分間遠心し、次に37℃、5%CO2、加湿大気で24時間維持し、その後処置した。
成長阻害試験を開始するために、この開示の化合物及び参照化合物を、DMSO溶液に溶解し、10mMストック溶液を作製した。ストック溶液(70mL)を、細胞培養培地により希釈し、500×連続希釈物を作製し、最終の化合物希釈物10mLを、アッセイプレート内の細胞へ添加し、100mMから始まる、連続する10種の投与量をスクリーニングした。最終のDMSO濃度は、0.2%であった。アッセイプレートは、100rpmで1分間遠心し、37℃、5%CO2、加湿大気で維持した。化合物と共に72時間インキュベーションした後、CellTiter-Glo試薬10μLを、Biomek 384 FXを用いて、アッセイプレートへ添加した。CellTiter-Glosi試薬と5分間インキュベーションした後、ルミネセンス強度を、Tecan M 1000マイクロプレートリーダーを用い、各ウェルについて測定した。培養物中の生存細胞の数を、各培養ウェルに存在するATPの量を基に決定した。実験データを、処置したウェル由来のルミネセンス値を、未処置対照ウェル由来の平均ルミネセンス値で除算し、100から減算することにより、成長阻害率(%)として計算した。EC50値は、未処置の対照細胞の成長と比べ、細胞成長を50%阻害するために必要とされる薬物濃度として規定した。EC50曲線を、プロットし、且つEC50値を、S字型の用量-反応曲線を基に、GraphPad Prism 4プログラムを使用し算出した。表4は、試験した癌細胞株に対する、この開示の化合物のEC50値を列挙している。
Figure 2022531230000036
化合物19、24及び37による癌成長の阻害を示すEC50プロットを、図3A、3B及び3Cに提供している。
実施例17.
動物モデルにおける本明細書において開示されたPIMインヒビター化合物の投与による肝癌の治療
動物モデルを使用し、この開示の化合物の肝癌の成長を改善する能力を試験した。この開示のインヒビターを、マウスの皮下もしくは腹腔内空間へのHep2GもしくはHuh7などの肝癌細胞の移植によるか、又はヒト-マウス肝腫瘍異種移植片の生成を介して、作出された異種移植片により、肝腫瘍が誘導されているマウスに適用した。
マウス:12匹の雌のBALB/cマウスを、The Jackson Laboratory(バーハーバー、ME、USA)から購入した。動物は、「実験動物の管理と使用に関する指針」に従い維持した。全ての試験プロトコールは、施設の動物の管理と使用に関する委員会の承認を受けている。
化合物:化合物24及び37は、0.5%メチルセルロース/0.025%Tween 20(Sigma-Aldrich、セントルイス、MO)を含有するPBSビヒクル(リン酸-緩衝食塩水:ThermoFisher Scientific社、ウォルサム、MA)中でインビボにおける腹腔内投与のために調製した。
肝癌異種移植片マウス
HepG2ヒト肝癌細胞を、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)中に浮遊させ(2×107個細胞/mL)、この浮遊液(100μL)を、21匹の雌のBALB/cマウスの背中に皮下注射した。マウスを、HepG2細胞の注射後15日間維持し、その後無作為に、1群につき6匹の治療マウス及び1匹の対照マウスの3群に分けた。ヌードマウス異種移植片モデルの確立後、腫瘍寸法を、マイクロメーターキャリパーを使用し、3日毎に測定した。化合物24(25mg/kg)を、各群6匹の治療マウスに腹腔内投与する一方で、各群の対照マウスは、ビヒクルのみを、1日1回(q.d.)5連続日受け取り、その後2日間は注射を受け取らず、並びにこのサイクルをその後3回繰り返した。マウスは、HepG2細胞注射の日(0日目)から始めて、毎日秤量した。HepG2細胞の皮下接種後43日目に、マウスを、二酸化炭素による窒息により安楽死させ、全ての腫瘍を、死後直ちに摘出し、秤量し且つ測定し、その後液体窒素中に瞬間凍結させた。腫瘍容積(TV)を、下記式により計算し:TV=0.5ab2、ここでaは、腫瘍長(mm)であり、bは、腫瘍幅(mm)である。この開示の化合物は、対照腫瘍と比べ、腫瘍サイズの0%~88%の減少を示し、並びにマウス体重は、0日目のベースラインの10%以内に維持された。
異種移植片標本中のアポトーシス細胞の免疫蛍光分析
6個の連続切片(厚さ5μm)を、各凍結腫瘍から入手し、ガラススライド上に搭載し、その後1%パラホルムアルデヒドで固定した。アポトーシス検出のための末端デオキシヌクレオチジル転移酵素-媒介したニック末端標識-ベースのTUNELアッセイを、インサイチュBrdU-Red TUNELアッセイキットを製造業者(Abcam、ケンブリッジ、UK)の指示に従い使用し、4個の切片について行った。末端デオキシヌクレオチジル転移酵素の非存在下で処理した2個の組織切片は、陰性対照として働いた。蛍光色素-コンジュゲートした抗-BrdU-Red抗体を、490nmバンドパスフィルターを用いて励起し、発光を576nmで収集した。
蛍光顕微法は、Olympus Eclipse TE2000-S倒立相顕微鏡(Olympus、メルビル、NY, USA)上、40×対物レンズ(Zeiss Plan-Neofluar)を用いて行った。画像は、Image-Pro Plusソフトウェアバージョン4.0を用いて解析した。各動物のアポトーシス-陽性細胞数は、実験手順について盲検化された試験官により、400×倍率で10個の無作為に選択された視野において決定した。同じ腫瘍について4個の切片及び1群につき4個の腫瘍を解析した。腫瘍は、解析から輪郭(edges)並びに壊死性及び非悪性組織を除くために、並行してH&E切片を参照し、手動により追跡した。離散した核断片のクラスターからなることが多い、アポトーシス核は、人為結果を拒絶するための画像解析基準を用い、容易に規定することができる。各腫瘍内のアポトーシスの程度は、比例面積として表し、これは、総生存腫瘍面積により除算した、TUNEL-陽性ピクセル面積の合計から計算した。
統計解析:平均値及び標準偏差を、測定した全てのパラメータについて計算した。各群間のマウス体重並びに腫瘍重量及び容積は、対のあるスチューデントt-検定を使用し比較し、平均±標準偏差として報告した。対照群と治療群の間の比較を行い、並びに統計学的有意性は、SPSS 10ソフトウェア(IBM社、シカゴ、IL, USA)を使用し、一元配置ANOVAにより、その後チューキー・クレーマー検定により、評価した。P-値<0.05を、統計学的有意性のある結果を示すものと考えた。
Hepa1-6肝癌異種移植片マウス
Hepa1-6マウス肝癌細胞を、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)中に浮遊させ(2×107個細胞/mL)、この浮遊液(100μL)を、6匹の雌のCD57免疫応答性マウスの脇腹後方に皮下注射した。21日間成長させた後、腫瘍を切除し、小片に細断し、12匹の雌のCD57マウスの各脇腹後方上の皮膚の下側に挿入した(合計24の腫瘍)。マウスを、腫瘍挿入後15日間維持し、堅固で一貫した腫瘍成長を確実にした。これらのマウスを、各2匹のマウスの(2つの腫瘍/マウス)の6群に無作為に分けた。CD57マウスにおけるHepa1-6異種移植片の確立後、腫瘍寸法を、マイクロメーターキャリパーを使用し、2日毎に測定した。4群は、1日1回(q.d.)の経口(PO、経管栄養)及び腹腔内(IP)投与の両方で、化合物49(PO:25mg/kg及び50mg/kg;IP:10mg/kg及び25mg/kg)により治療し、2対照群には、ビヒクルのみを、同じ経路で、10日間連続して投与した。マウスは、Hepa1-6腫瘍挿入の日(0日目)から始めて、毎日秤量した。Hepa1-6腫瘍の皮下接種後25日目に、マウスを、二酸化炭素による窒息により安楽死させ、全ての腫瘍を、死後直ちに摘出し、秤量し且つ測定し、その後液体窒素中に瞬間凍結させた。腫瘍容積(TV)を、下記式により計算し:TV=0.5ab2、ここでaは、腫瘍長(mm)であり、bは、腫瘍幅(mm)である。この試験からの相対腫瘍データを、図4に示している。この開示の化合物49は、投与量25mg/kgを使用するIP注射により投与した場合に、対照腫瘍と比べ最大50%の腫瘍サイズの減少を示した。本試験において、より少ない投与量、又はPO投薬時には、腫瘍減少は認められなかった。全ての群のマウス体重は、0日目のベースラインの10%以内に維持された。
製剤実施例
実施例18
非経口製剤
注射による投与に適しているこの開示の化合物の非経口医薬組成物を調製するために、これらの化合物を、混合物として製剤化し、且つ単位剤形へ取り込むことができる。例として、この開示の化合物の代表的5mg/mL非経口製剤は、化合物それ自身(0.5%)に加え、プロピレングリコール(40%)、エチルアルコール(10%)、安息香酸ナトリウム/安息香酸(5%)、ベンジルアルコール(1.5%)、及び水(43%)を比例して含有する。
実施例19.
経口マイクロエマルジョン製剤
経口投与に適しているこの開示の化合物の医薬組成物を調製するために、この化合物を、混合物として製剤化し、且つ単位投与剤形へ取り込むことができる。例として、この開示の化合物の代表的25mg経口(カプセル)製剤は、化合物それ自身に加え、ポリオキシル40、水素化ヒマシ油、ゼラチン、ポリエチレングリコール400、グリセリン85%、無水アルコール、トウモロコシ油、モノ-ジ-トリグリセリド、二酸化チタン、ビタミンE、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、カーマイン、ヒプロメロース2910、プロピレングリコール、及び精製水を含む。
実施例20.
経口固形製剤
経口の固形用量(錠剤)の投与に適しているこの開示の化合物の医薬組成物を調製するために、この化合物を、混合物として製剤化し、且つ単位投与剤形へ取り込むことができる。例として、この開示の化合物の代表的50mg経口固形投薬製剤は、化合物それ自身に加え、加工デンプン、ポリエチレングリコール400、クエン酸ステアリル、ポリビニルピロリドン、レシチン、マンニトール、ソルビトール、セージ抽出物、リン酸カルシウム及びゼラチンを含む、賦形剤、結合剤及び充填剤を含有する固形混合物へ、造粒し、且つ圧縮することにより調製することができる。
実施例21
舌下(硬舐剤)組成物
硬舐剤などの口腔内送達のための医薬組成物を調製するために、この開示の化合物100mgの粉末化した糖420mgと混合し、その後ライトコーンシロップ1.6mL、蒸留水2.4mL、及びミント抽出物0.42mLと混合する。この混合物を穏やかに配合し、型に注ぎ、口腔内投与に適した舐剤を形成する。
実施例22.
即時崩壊性舌下錠
即時崩壊性舌下錠は、この開示の化合物の48.5重量%化合物を、44.5重量%の微結晶性セルロース(KG-802)、5重量%の低置換ヒドロキシプロピルセルロース(50gm)、及び2重量%のステアリン酸マグネシウムと一緒に混合することにより、調製することができる。この製剤は、式(I)又は(IV)-(VI)の化合物を、三次元手動ミキサー(INVERSINA(登録商標)、Bioengineering AG、スイス)を4.5分間使用し、総量の微結晶性セルロース(MCC)及び2/3量の低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)と混合することにより、調製することができる。ステアリン酸マグネシウム(MS)の全量及び残りの1/3量のL-HPCは、混合が終わる30秒前には添加する。錠剤は、直接打錠により調製する(AAPS Pharma Sci Tech.、2006; 7(2):E41)。圧縮錠の総重量は、150mgで維持される。

Claims (28)

  1. 式(I)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000037
    (式中、
    A、B、C、及びDの各々は、同じ又は異なり、並びに、独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、--OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-OR3、-N(H)R3、-N(R32、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択された任意の置換基から選択され;
    A’、B’、C’、及びD’の各々は、同じ又は異なり、並びに、独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、--OH、-OCF3、-OCH2F,-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2),-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32,-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3,-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択された任意の置換基から選択され;
    E、F、G、及びMの各々は、独立してC又はNであり;
    E’、F’、G’、及びM’の各々は、独立してC又はNであり;
    各Yは、一置換された、二置換された、又は環状のアミン基であり;
    各Lは、YのアミンN原子に直接連結された1~6個の炭素の直鎖アルキルであり;
    各Xは、NH、O、S、又はCH2であり;
    1は、H、もしくは直線又は分岐した置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のシクロアルケニル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリールもしくは置換又は非置換のヘテロアリールであり;
    2は、直線又は分岐した置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のシクロアルケニル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリールもしくは置換又は非置換のヘテロアリールであり;並びに
    各R3は、独立して、H、直線又は分岐した置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のシクロアルケニル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、もしくは置換又は非置換のアシル(-C(=O)R1)であるか、或いは2個のR3は、それらが結合した原子と一緒に置換又は非置換のヘテロ環を形成する)。
  2. 式(IIA)又は式(IIB)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000038
    (式中、各R4は、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000039
    (式中、n=0~5である)
    5、R6、R7、R8、R9、及びR10の各々は、同じ又は異なり、並びに独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、--OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択された任意の置換基から選択される)。
  3. 前述の各R4が、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000040
    (式中、n=1である)
    5、R6、R8、及びR9の各々は、同じ又は異なり、並びに独立して、H、ハロゲン、又は-OHから選択され、並びにR7及びR10の各々は、Hである、請求項2記載の化合物。
  4. 式(IIIA)又は式(IIIB)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000041
    (式中、各R4は、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000042
    (式中、n=0~5である)、
    5、R6、R7、R8、R9及びR10の各々は、同じ又は異なり、並びに独立して、H、ハロゲン、又は-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択された任意の置換基から選択される)。
  5. 式(IVA)又は式(IVB)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000043
    (式中、各R4は、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000044
    (式中、n=0~5である)、
    5、R6、R7、R8、R9及びR10の各々は、同じ又は異なり、並びに独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択される任意の置換基から選択される)。
  6. 式(VA)又は式(VB)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000045
    (式中、各R4は、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000046
    (式中、n=0~5である)
    5、R6、R7、R8、R9、及びR10の各々は、同じ又は異なり、並びに独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択された任意の置換基から選択される)。
  7. 式(VIA)又は式(VIB)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000047
    (式中、各R4は、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000048
    (式中、n=0~5である)
    5、R6、R7、R8、及びR9の各々は、同じ又は異なり、並びに独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択される任意の置換基から選択される)。
  8. 前述の各R4が、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000049
    (式中、n=1である)、並びに
    5、R6、R8の各々が、同じ又は異なり、並びに、独立して、H、ハロゲン、又は-OHから選択され、並びにR7及びR9の各々が、Hである、請求項7記載の化合物。
  9. 式(VIIA)又は式(VIIB)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000050
    (式中、各R4は、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000051
    (式中、n=0~5である)、
    5、R6、R7、R8及びR9の各々は、同じ又は異なり、並びに独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは、例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択された任意の置換基から選択される)。
  10. 式(VIIIA)又は式(VIIIB)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000052
    (式中、各R4は、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000053
    (式中、n=0~5である)、
    5、R6、R7、R8、及びR9の各々は、同じ又は異なり、並びに、独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択される任意の置換基から選択される)。
  11. 式(IXA)又は式(IXB)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000054
    (式中、各R4は、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000055
    (式中、n=0~5である)、
    5、R6、R7、R8、及びR9の各々は、同じ又は異なり、並びに、独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択される任意の置換基から選択される)。
  12. 式(I)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000056
    (式中、A、B、C、及びDの各々は、同じ又は異なり、並びに、独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、--OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-OR3、-N(H)R3、-N(R32、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは、例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択される任意の置換基から選択され;
    A’、B’、C’、及びD’の各々は、同じ又は異なり、並びに、独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、--OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは、例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択される任意の置換基から選択され;
    E、F、G、及びMの各々は、独立してC又はNであり;
    E’、F’、G’、及びM’の各々は、独立してC又はNであり;
    各Yは、一置換された、二置換された、又は環状のアミン基であり;
    各Lは、YのアミンN原子に直接連結された1~6個の炭素の直鎖アルキルであり;
    各Xは、O、S、又はCH2であり;
    1は、H、もしくは直線又は分岐した置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のシクロアルケニル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリールもしくは置換又は非置換のヘテロアリールであり;
    2は、直線又は分岐した置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のシクロアルケニル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリールもしくは置換又は非置換のヘテロアリールであり;並びに
    各R3は、独立して、H、直線又は分岐した置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のシクロアルケニル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、もしくは置換又は非置換のアシル(-C(=O)R1)であるか、或いは2個のR3は、それらが結合した原子と一緒に、置換又は非置換のヘテロ環を形成する)。
  13. 式(IIA)又は式(IIB)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000057
    (式中、各R4は、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000058
    (式中、n=0~5である)、
    5、R6、R7、R8、R9、及びR10の各々は、同じ又は異なり、並びに、独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、--OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは、例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択される任意の置換基から選択される)。
  14. 前述の各R4が、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000059
    (式中、n=1である)、
    5、R6、R8、及びR9の各々は、同じ又は異なり、並びに、独立して、H、ハロゲン、又は-OHから選択され、並びにR7及びR10の各々は、Hである、請求項13記載の化合物。
  15. 式(VIA)又は式(VIB)の構造を有する化合物:
    Figure 2022531230000060
    (式中、各R4は、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000061
    (式中、n=0~5である)、
    5、R6、R7、R8、及びR9の各々は、同じ又は異なり、並びに独立して、H、ハロゲン、-N3、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-CF2H、-SR1、-S(=O)R2、-S(=O)22、-OS(=O)2F、-OS(=O)2(OR2)、-S(=O)2(OR2)、-NR3S(=O)22、-S(=O)2N(R32、-OC(=O)R2、-CO23、-N(H)R3、-N(R32、-OR3、-NR3C(=O)R2、-NR3C(=O)OR3、-NR3C(=O)N(R32、CH2NH2、-CH2N(R32、-CH2SR1、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R32、-C(=O)R3、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、もしくは置換又は非置換のヘテロアリール、或いは、例えば、ハロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基、グリコース、アミノグリコース又はアルキルグリコース残基から選択された任意の置換基から選択される)。
  16. 前述の各R4が、以下からなる群から選択され:
    Figure 2022531230000062
    (式中、n=1である)、並びに
    5、R6、R8の各々は、同じ又は異なり、並びに独立して、H、ハロゲン、又は-OHから選択され、並びにR7及びR9の各々は、Hである、請求項15記載の化合物。
  17. 請求項1~16のいずれか一項記載の、薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ、立体異性体、エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、同位体変種、又は代謝産物。
  18. 請求項1~17のいずれか一項記載の化合物を、薬学的に許容される賦形剤、担体又は結合剤と組合せて含有する、医薬組成物。
  19. 前記化合物が、セリン/スレオニンキナーゼPIM1、PIM2、及び/又はPIM3の触媒活性を阻害する、請求項1~17のいずれか一項記載の化合物。
  20. 前記化合物が、1又は複数のPIMキナーゼの触媒活性を選択的に阻害する、請求項1~17のいずれか一項記載の化合物。
  21. 前記化合物が、PIM3キナーゼの触媒活性を選択的に阻害する、請求項1~17のいずれか一項記載の化合物。
  22. 請求項1~17のいずれか一項記載の化合物をPIMキナーゼと接触させることを含む、PIMキナーゼの活性を阻害又は部分的に阻害する方法。
  23. 請求項1~17のいずれか一項記載の化合物をPIMキナーゼと接触させることを含む、1又は複数のPIMキナーゼの活性を選択的に阻害する方法。
  24. 請求項1~17のいずれか一項記載の化合物を、3種のキナーゼと、インビトロ又はインビボにおいて、個別に又は一緒に接触させることを含む、1.5、10、100、1000倍、又はそれ以上でPIM1及びPIM2キナーゼに勝るPIM3の選択的阻害により、PIMキナーゼの活性を阻害又は部分的に阻害する方法。
  25. 請求項1~17のいずれか一項記載の化合物の治療的有効量を患者へ投与することを含む、悪性疾患を有する患者を治療する方法。
  26. 前記悪性疾患が、盲腸、膵臓、肝臓、胃、小腸、結腸、前立腺、甲状腺、食道、肺、及び胆嚢を含むが、これらに限定されるものではない、内胚葉器管の癌である、請求項25記載の方法。
  27. 前記癌が、膵臓癌、肝癌、胃癌、結腸直腸癌、前立腺癌、食道腺癌、扁平上皮癌、鼻咽喉癌、胃腺癌、膵管腺癌、肝細胞癌、肝芽腫、胆嚢腺癌、前立腺腺癌、結腸直腸腺癌、消化管間質腫瘍(GIST)、又は消化管カルチノイド腫瘍である、請求項26記載の方法。
  28. 前記悪性疾患が、血管肉腫、軟骨肉腫、線維芽細胞肉腫、婦人科肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、カポジ肉腫、又はユーイング肉腫を含むが、これらに限定されるものではない、骨又は軟組織の肉腫である、請求項25記載の方法。
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