JP2022530632A - 網膜変性疾患及び/又は組織傷害を処置するための短鎖合成ペプチド及びその使用 - Google Patents

網膜変性疾患及び/又は組織傷害を処置するための短鎖合成ペプチド及びその使用 Download PDF

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Abstract

網膜変性疾患又は組織傷害の処置のための合成ペプチド及びそれを含む組成物がここに開示される。そのような処置を必要とする被検体に本開示の合成ペプチドの治療上有効量を含有する組成物を投与することによって網膜変性疾患又は組織傷害を処置する方法もここに開示される。【選択図】 図2

Description

本開示は、神経保護作用並びに/又は組織修復及び再生作用を有し、したがって網膜変性疾患又は組織傷害の処置又は予防の分野において有用となる短鎖合成ペプチドの発見に関する。
網膜変性は、網膜又は網膜色素上皮(RPE)細胞の進行性及び最終的な死によって引き起こされる網膜の悪化である。網膜変性には、動脈若しくは静脈の閉塞、糖尿病網膜症、後水晶体線維増殖症/未熟児網膜症又は(通常は遺伝性の)疾患を含むいくつかの理由がある。これらは、視力障害、夜盲症、網膜剥離、光感受性、トンネル視及び周辺視野の喪失から視野の完全喪失などの多数の異なる様式で存在し得る。網膜変性は、網膜色素変性症(RP)、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病網膜症、白内障、急性UV網膜症及び緑内障を含む、網膜疾患の多数の異なる形態で見られる。
軟部組織、例えば、血管、皮膚又は筋骨格組織への傷害は、非常に一般的なことである。軟部組織状態は、例えば、皮膚の状態(例えば、虚血性創傷、糖尿病性創傷、外傷性創傷、火傷、皮膚潰瘍及び外科的創傷)、血管状態(例えば、血管疾患、血管傷害及び血管発達不全)、美容状態(例えば、修復、増強又は美化を伴うもの)、筋疾患(例えば、炎症性、神経性及び筋形成性の筋疾患並びに筋ジストロフィー)並びに腱及び靱帯などの結合組織の状態を含み得る。他の軟部組織状態は、組織修復及び細胞再生の減速を引き起こす、皮膚の老化又はストレスへの曝露(例えば、UV曝露、汚染など)である。皮膚の老化プロセスは、非常に明確な兆候:しわの出現、皮膚の色素沈着の変化、弾力性及び緊密さの喪失、並びに組織の弛緩を特徴とする。
したがって、関連分野において、組織修復及び再生を必要とする網膜変性疾患及び/又は状態を処置及び/又は防止するための改善された薬物療法及び/又は方法のニーズが存在する。
概略として、本開示は、網膜変性疾患及び/又は組織傷害を処置するための新規な化合物及び/又は方法の開発に関する。
そこで、本開示の第1の態様は、網膜変性疾患又は組織傷害を処置することができる短鎖合成ペプチドを提供することを目的とする。短鎖合成ペプチドは、XEX(SEQ ID NO:(配列番号)1)として記載されるアミノ酸配列からなり、
は、セリン(S)又はアラニン(A)であり、
は、ロイシン(L)、アラニン(A)又はイソロイシン(I)であり、
は、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)又はアスパラギン(N)であり、
は、アラニン(A)、グリシン(G)又はグルタミン酸(E)であり、
は、グルタミン(Q)、アラニン(A)又はアスパラギン(N)であり、
、X、X及びXは独立してL体であり、X及びEは独立してL体又はD体であり、
配列番号1がSLGAEQ(配列番号9)の配列を有する場合には、セリン(S)又はグルタミン酸(E)はD体である。
任意の実施形態によると、合成ペプチドのアミノ酸配列のN末端がアセチル化され、アミノ酸配列のC末端がアミド化される。
ある実施形態によると、Xはセリン(S)であり、Xはロイシン(L)であり、Xはグリシン(G)であり、Xはアラニン(A)であり、Xはグルタミン(Q)であり、合成ペプチドはSLGAEQのアミノ酸配列(配列番号9、以下「6量体」)を有する。
他の好適な実施形態によると、合成ペプチドは、配列番号12、13、14、15、17、19、20、21、22又は26のいずれかであるアミノ酸配列を有する。一実施例では、Xはアラニン(A)であり、Xはロイシン(L)であり、Xはグリシン(G)であり、Xはアラニン(A)であり、Xはグルタミン(Q)であり、合成ペプチドは配列番号12のアミノ酸配列(以下、「6量体Sa」)を有する。他の実施例では、Xはセリン(S)であり、Xはアラニン(A)であり、Xはグリシン(G)であり、Xはアラニン(A)であり、Xはグルタミン(Q)であり、合成ペプチドは配列番号13のアミノ酸配列(以下、「6量体La」)を有する。さらに他の実施例では、Xはセリン(S)であり、Xはロイシン(L)であり、X及びXは独立してアラニン(A)であり、Xはグルタミン(Q)であり、合成ペプチドは配列番号14のアミノ酸配列(以下、「6量体Ga」)を有する。さらに他の実施例では、Xはセリン(S)であり、Xはロイシン(L)であり、Xはグリシン(G)であり、Xはグリシン(G)であり、Xはグルタミン(Q)であり、合成ペプチドは配列番号15のアミノ酸配列(以下、「6量体Ag」)を有する。さらに他の実施例では、Xはセリン(S)であり、Xはロイシン(L)であり、Xはグリシン(G)であり、X及びXは独立してアラニン(A)であり、合成ペプチドは配列番号17のアミノ酸配列(以下、「6量体Qa」)を有する。更なる実施例では、Xはセリン(S)であり、Xはイソロイシン(I)であり、Xはグリシン(G)であり、Xはアラニン(A)であり、Xはグルタミン(Q)であり、合成ペプチドは配列番号19のアミノ酸配列(以下、「6量体Li」)を有する。他の実施例では、Xはセリン(S)であり、Xはロイシン(L)であり、Xはバリン(V)であり、Xはアラニン(A)であり、Xはグルタミン(Q)であり、合成ペプチドは配列番号20のアミノ酸配列(以下、「6量体Gv」)を有する。さらに他の実施例では、Xはセリン(S)であり、Xはロイシン(L)であり、Xはアスパラギン(N)であり、Xはアラニン(A)であり、Xはグルタミン(Q)であり、合成ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列(以下、「6量体Gn」)を有する。さらに他の実施例では、Xはセリン(S)であり、Xはロイシン(L)であり、Xはグリシン(G)であり、Xはグルタミン酸(E)であり、Xはグルタミン(Q)であり、合成ペプチドは配列番号22のアミノ酸配列(以下、「6量体Ae」)を有する。更なる実施例では、Xはセリン(S)であり、Xはロイシン(L)であり、Xはグリシン(G)であり、Xはアラニン(A)であり、Xはアスパラギン(N)であり、合成ペプチドは配列番号26のアミノ酸配列(以下、「6量体Qn」)を有する。
更なる実施例では、6量体のX及びグルタミン酸(E)が独立してL体又はD体であり、アミノ酸残基の残余が全てL体である。一実施例では、6量体のXはD体アラニンである(以下、「6量体dS」)。更なる実施例では、6量体のグルタミン(Q)はD体である(以下、「6量体dE」)。
本開示の第2の態様は、網膜変性疾患又は組織傷害を処置するのに適した医薬品及び/又は組成物を提供することを目的とする。その医薬品又は組成物は、有効量の上述の合成ペプチド、及び薬学的に許容可能な担体を含む。
ある好適な実施形態によると、合成ペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列(以下、6量体)を有する。他の好適な実施形態によると、合成ペプチドは、配列番号12、13、14、15、17、19、20、21、22又は26のいずれかであるアミノ酸配列を有する。一実施例では、合成ペプチドは、配列番号12のアミノ酸配列(以下、「6量体Sa」)を有する。他の実施例では、合成ペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列(以下、「6量体La」)を有する。他の実施例では、合成ペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列(以下、「6量体Ga」)を有する。他の実施例では、合成ペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列(以下、「6量体Ag」)を有する。更なる実施例では、合成ペプチドは、配列番号17のアミノ酸配列(以下、「6量体Qa」)を有する。更なる実施例では、合成ペプチドは、配列番号19のアミノ酸配列(以下、「6量体Li」)を有する。他の実施例では、合成ペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列(以下、「6量体Gv」)を有する。さらに他の実施例では、合成ペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列(以下、「6量体Gn」)を有する。更なる他の実施例では、合成ペプチドは、配列番号22のアミノ酸配列(以下、「6量体Ae」)を有する。また更なる実施例では、合成ペプチドは、配列番号26のアミノ酸配列(以下、「6量体Qn」)を有する。
ある実施形態では、6量体合成ペプチド(配列番号9)は、少なくとも1つのD体アミノ酸残基を有する。好ましくは、6量体の第2、第3、第4及び第6の残基は独立してL体であり、第1及び第5のアミノ酸残基はL体又はD体である。一実施例では、6量体の第1の残基は、D体アラニン(6量体dS)である。他の実施例では、6量体の第5の残基は、D体グルタミン酸(6量体dE)である。
本医薬品又は組成物によって処置可能な網膜変性疾患は、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、加齢黄斑変性(AMD)、網膜色素変性症(RP)、白内障、緑内障又は急性UV網膜症のいずれかである。
本医薬品又は組成物によって処置可能な組織傷害は、ドライアイ疾患(DED)又は網膜虚血/再灌流傷害である。
本開示の医薬品又は組成物は、血管内送達(例えば、注入又は点滴)、経口、経腸、経直腸、経肺(例えば、吸入)、経鼻、(経皮、口腔内及び舌下を含む)局所、膀胱内、硝子体内、結膜下、腹腔内、膣内、脳送達(例えば、脳室内及び脳内)、CNS送達(例えば、くも膜下、脊椎周囲及び髄腔内)若しくは非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内及び皮内)、経粘膜投与若しくはインプラントを介した投与、又は当技術で周知の他の送達経路を介して被検体に投与され得る。
本開示の第3の態様は、結果として、網膜変性疾患又は組織傷害を患う被検体を処置する方法に向けられる。その方法は、網膜変性疾患又は組織傷害に関する症状を改善又は軽減するために上述の本開示の医薬品又は組成物を被検体に投与するステップを備える。
全ての実施形態において、被検体はヒトである。
好適な実施形態では、本開示の合成ペプチドは、0.001~100mg/Kgの量で被検体に投与される。
以下に、本発明の1以上の実施形態の詳細を付随する説明において記載する。本発明の他の特徴及び有利な効果は、詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなる。
特許又は出願の提出は、カラーで制作された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面を有する本特許又は特許出願の公報の複写は、請求及び必要な料金の支払いに応じて特許庁によって提供される。本記載は、添付図面を考慮して読まれる以下の詳細な説明からより深く理解される。
本短鎖合成ペプチドの、グルタミン酸誘導性Neuro-2a細胞死に対する効果の分析である。細胞を合成ペプチドで4時間、前処置した。100mMのグルタミン酸への6時間の曝露後のNeuro-2a細胞の培地へのLDH放出の測定値を、平均±SD(n=6)として表す。溶媒/グルタミン酸処置細胞に対してP<0.05である。 C2C12細胞における6量体dS誘導性サバイビン発現は、STAT3依存的であった。(A)代表的な免疫ブロットは、6量体dS又は5量体dSの、STAT3のリン酸化に対する効果を示した。STAT3をローディングコントロールとして用いた。(B)種々の長さの合成ペプチド又はSTAT3阻害剤によって誘導されるサバイビン遺伝子発現のリアルタイムqPCR分析である。溶媒処置細胞に対してP<0.002である。 アラニンスキャニングアプローチによって作成された6量体変異体の、C2C12細胞におけるサバイビンmRNA誘導に対する効果である。3つの独立したアッセイを行い、データを平均±S.D.として表す。溶媒コントロールに対してP<0.04である。 D体アミノ酸による置換によって作成された6量体変異体の、C2C12細胞におけるサバイビンmRNA誘導に対する効果である。3つの独立したアッセイを行い、データを平均±S.D.として表す。溶媒コントロールに対してP<0.05である。 アミノ酸置換によって作成された6量体変異体の、C2C12細胞におけるサバイビンmRNA誘導に対する効果である。3つの独立したアッセイを行い、データを平均±S.D.として表す。溶媒コントロールに対してP<0.05である。 6量体dSの、ARPE-19細胞に対する4-HNE誘導性アポトーシスに対抗する保護効果である。細胞から血清が24時間にわたって取り除かれ、そして20μMの6量体dS又は溶媒で前処置された後、25μMの4-HNEでさらに24時間曝露された。アポトーシスを、TUNEL染色(緑色の点)及びヘキスト33258(青色の点)での対比染色によって決定した。(A)3つの独立した実験による代表的なグラフを示す。(B)細胞死の割合を、TUNEL陽性細胞の数を条件ごとに2000個のカウントされた細胞の母集団で除算することによって定量化した。TUNELは、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介性dUTPニックエンドラベリングである。溶媒処置細胞に対してP<0.00003である。溶媒/4-HNE処置細胞に対してP<0.0006である。 6量体変異体の処置無し又は有りでのI/R傷害の20時間後での眼球によるTUNEL染色されたラット網膜の代表的な画像である。網膜切片をTUNEL(緑)及びヘキスト33258(青)で染色した。GCLは神経節細胞層であり、INLは内顆粒層であり、ONLは外顆粒層である。 6量体dSの処置無し又は有りでのI/R傷害の14日後に調製された眼球によるヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色されたラット網膜切片の代表的な写真である。コントロール群及び6量体dSプラスI/R群では、GCL及びINLは、鮮明で良好に組織化されていた。当初の倍率は、200倍である。 I/R傷害の2週間後の非虚血性(コントロール)及び虚血性網膜における、ミクログリア及びアストロサイトの免疫染色パターンの代表的な画像である。網膜切片を、Iba-1(緑、ミクログリアマーカー)、GFAP(緑、アストロサイトマーカー)及びヘキスト33258(青)で染色した。代表的なグラフは、3つの独立した実験によるものであり、400倍の倍率で得られた。 I/R傷害の2週間後での、対側眼(偽)及び虚血性網膜における変性毛細血管の代表的な画像である。ラット網膜微小血管系をイソレクチンGS-IB4(赤)で染色し、ヘキスト33258(青、周皮細胞核染色)で対比染色した。矢印は、細い管を有して核を有さない変性毛細血管である。実験は、3つの独立した実験によるものである。当初の倍率は、400倍である。 STZ注入後2週間目に、ビヒクル又は6量体dS点眼薬で処置された糖尿病マウスによるフラットマウントされた網膜の代表的な蛍光画像である。血管透過率を、FITC-BSAの腹腔内注入によって決定した。矢印は、蓄積されたFITC-BSAを有する網膜での血管出血病変を指す。網膜の出血領域の数を、平均±SD(1群あたりn=6)として表す。当初の倍率は、200倍である。ビヒクル/STZ群に対してP<0.007である。 STZ注入後2週間目に、ビヒクル又は6量体dS点眼薬で処置された偽コントロール及び糖尿病マウスによる網膜におけるGFAP陽性アストロサイトの代表的な蛍光画像である。データは、3つの独立した実験によるものである(1群あたりn=6)。当初の倍率は、400倍である。ビヒクル/STZ群に対してP<0.0002である。 角膜上皮傷害に対する6量体変異体ペプチドの効果である。C57BL6マウスを環境制御室(CEC)に14日間収容して眼表面破壊を誘導し(0日目)、そして、6量体変異体ペプチド又はビヒクルを用いたドライアイの処置をさらに4日間行った(4日目)。(A)0日目及び4日目でのマウスによる、代表的な角膜のフルオレセイン染色された画像である。(B)フルオレセイン染色の程度によって判断される角膜上皮損傷のスコアである。値を、各群(n=10)において平均±SDとして表す。0日目での6量体dS群に対してP<0.000001である。 ウサギ角膜上皮細胞における高浸透圧ストレスによって誘導される炎症性遺伝子発現に対する6量体変異体ペプチドの効果である。3つの独立したアッセイを行い、データを平均±SDとして表す。溶媒コントロールに対してP<0.003である。
添付図面との関連で以下に与えられる詳細な説明は、本実施例の説明としてのものであり、本実施例が構成又は利用され得る形態のみを示すものではない。その記載は、実施例の機能及び実施例を構成して動作させるためのステップの配列を説明する。ただし、同一又は同等の機能及び配列が、異なる実施例によっても実現され得る。
1.定義
便宜上、本開示の背景において採用される特定の用語をここにまとめる。特に断りがない限り、ここに使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。
ここで使用する用語「ペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーを示す。ここで使用されるような用語「合成ペプチド」によって、天然に生じるタンパク質分子全体を含まないペプチドが意味される。ペプチドは、それが化学合成、遺伝子組換え技術又は抗原全体などの断片化などの技術を用いてヒトの介在によって生成され得る点において「合成」のものである。本開示全体を通じて、ペプチド内の任意の具体的なアミノ酸残基の位置は、ペプチドのN末端から開始して番号付けされる。アミノ酸がD-又はL-アミノ酸として指定されない場合、文脈が特定の異性体を要件としない限り、アミノ酸はL-アミノ酸であるか、あるいはD-又はL-アミノ酸のいずれかであり得る。また、ポリペプチドアミノ酸残基についてここで使用される表記は、本技術において一般的に使用されるそれらの略称である。
ここで記載するように、タンパク質/ペプチドのアミノ酸配列の軽微な変形は、そのアミノ酸配列の変形が少なくとも70%、71%、72%、73%、75%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%など、少なくとも90%を維持することを条件として、現に開示され、特許請求される発明のコンセプトによって包含されるものとみなされる。本合成ペプチドは、その生理学的活性に関連しないペプチドの特徴を変更するように特異的に修飾され得る。例えば、あるアミノ酸は、この研究におけるペプチドの生理学的活性(すなわち、その血管新生関連の疾患及び/又は状態を処置する能力)に影響を与えることなく変更及び/又は削除可能である。特に、保存的なアミノ酸置換が考慮される。保存的な置換は、それらの側鎖に関連するアミノ酸のファミリー内で起こるものである。遺伝子的にコードされたアミノ酸は、概略として以下のファミリーに分類される:(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸、(2)塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン、(3)疎水性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、及び(4)非電荷極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。より好適なファミリーとして、セリン及びスレオニンは脂肪族-水酸基ファミリーであり、アスパラギン及びグルタミンはアミド含有ファミリーであり、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンは脂肪族ファミリーであり、フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは芳香族ファミリーである。例えば、イソロイシン又はバリンによるロイシンの単独置換、グルタミンによるアスパラギン酸の単独置換、セリンによるスレオニンの単独置換、又は構造的に関連するアミノ酸によるアミノ酸の同様の置換は、特に、置換がフレームワーク部位内のアミノ酸を関与させない場合に、結果として得られる分子の結合又は特性に大きく影響することはないと期待するのが合理的である。アミノ酸の変更が機能的ペプチドとなるか否かは、ペプチド誘導体の特異的活性をアッセイすることによって容易に判定可能である。タンパク質/ペプチドの断片又は類似体は、当業者によって容易に調製可能である。断片又は類似体の好適なアミノ-及びカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界付近にある。一実施例では、本合成ペプチドの1つのアミノ酸残基(例えば、アスパラギン酸、バリン又はフェニルアラニン)は、疎水性アミノ酸残基によって(例えば、アラニンによって)保存的に置換される。他の実施例では、本合成ペプチドの1つのアミノ酸残基はそのD体アミノ酸残基によって保存的に置換され、例えば、L体セリン(S)及びL体グルタミン酸(E)は対応するD体残基によってそれぞれ置換される。
ここで使用する用語「処置」は、所望の薬理学的及び/若しくは生理学的作用、例えば、神経保護作用を得ること、又は組織の修復若しくは再生を促進することを意味するものである。作用は、疾患若しくはその症状を完全に若しくは部分的に防止する観点では予防的であり、並びに/又は疾患及び/若しくはその疾患に起因する有害な作用の部分的若しくは完全な治癒の観点では治療的となり得る。ここで使用する「処置」は、哺乳類、特にヒトにおける疾患の防止的(例えば、予防的)、治癒的又は一時的緩和の処置を含み、(1)疾患に罹患しやすいが未だにそれを有しているとは診断されていない個人において疾患若しくは状態(例えば、網膜変性若しくは組織傷害)が発生することの防止的(例えば、予防的)、治癒的若しくは一時的緩和の処置、(2)疾患を(例えば、その進行を停止することによって)阻害すること、又は(3)疾患を軽減すること(例えば、その疾患に関連する症状を軽減すること)を含む。
用語「投与され」、「投与する」又は「投与」は、ここでは互換可能に使用されて、限定することなく、本発明の薬剤(例えば、化合物又は組成物)を静脈内に、筋肉内に、腹腔内に、動脈内に、頭蓋内に又は皮下に投与することを含む送達のモードをいう。ある実施形態では、本開示の合成ペプチド及び/又はその類似体は、角膜面への直接の塗布のための点眼薬に調合される。他の実施形態では、本開示の合成ペプチド及び/又はその類似体は、皮膚への直接の塗布のための皮膚軟膏又はローションに調合される。更なる実施形態では、本開示の合成ペプチド及び/又はその類似体は、静脈注射などの使用前に適切な担体(例えば、緩衝液)と混合される粉体に調合される。
ここで使用される用語「有効量」は、疾患の処置に関して所望の結果を達成するのに必要な期間にわたる用量での有効量のことである。例えば、網膜変性疾患の処置では、網膜変性疾患のいずれかの症状を軽減させ、予防し、遅延させ、抑制し又は停止させる薬剤(すなわち、治療用ペプチドをコードする化合物、合成ペプチド又は核酸)が有効となる。同様に、組織の修復又は再生を必要とする状態の処置では、状態のいずれかの症状を軽減させ、予防し、遅延させ、抑制し、若しくは停止させ、又は組織の修復若しくは再生を促進する薬剤(すなわち、治療用ペプチドをコードする化合物、合成ペプチド又は核酸)が有効となる。薬剤の有効量は、疾患又は状態を治癒することは要件とされないが、疾患若しくは状態の発症が遅延、阻害若しくは予防され、又は疾患若しくは状態の症状が改善されるように、疾患又は状態に対する処置を与えることになる。有効量は、指定期間全体を通じて1回、2回又はそれ以上の回数で投与される適切な形態で1、2又はそれ以上の用量に分割され得る。
用語「被検体」又は「患者」は、ここでは互換可能に使用され、本発明の合成ペプチド及び/又は方法によって処置可能なヒト種を含む哺乳類を意味するものとする。用語「哺乳類」は、ヒト、霊長類、ウサギ、ブタ、ヒツジ及びウシのような飼育動物及び家畜、その他動物園、競技用又はペット用動物並びにマウス及びラットのような齧歯類を含む哺乳網の全てのメンバーのことである。また、用語「被検体」又は「患者」は、ある性別が具体的に示されない限り雄及び雌の両性別をいうものとする。したがって、用語「被検体」又は「患者」は、本開示の処置方法から利益を得ることができる任意の哺乳類を含む。「被検体」又は「患者」の例は、これに限定されないが、ヒト、ラット、マウス、モルモット、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、トリ及び家禽を含む。例示的実施形態では、患者はヒトである。
発明の広い範囲を説明する数値範囲及びパラメータは概数であるものの、具体的な実施例で説明される数値は可能な限り厳密に報告される。ただし、いずれの数値も、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的にもたらされる所定の誤差を本来的に含む。また、ここで使用されるように、用語「約」は、所与の値又は範囲の10%、5%、1%又は0.5%内を一般に意味する。あるいは、用語「約」は、当業者によって考慮される場合の平均の許容標準誤差内を意味する。有効な/効果的な実施例以外においても、明示の断りがない限り、ここに開示されるその材料の量、継続時間、温度、動作条件、量の比率などに対するものなどの数値範囲、量、値及び割合の全ては、いずれの場合においても用語「約」によって変更されるものとして理解されるべきである。したがって、逆のことが示されない限り、本開示及び添付の特許請求の範囲で説明される数値パラメータは、所望のように変化し得る概数である。少なくとも、各数値パラメータは、報告される有効数字の数を考慮してかつ通常の四捨五入手段を適用して少なくとも解釈されるべきである。
単数形「a」、「an」及び「the」は、そうでないことを文脈が明示しない限り、ここでは複数の参照を含むものとして使用される。
2.好適な実施形態の詳細な説明
本開示は、少なくともある程度、被検体が網膜変性疾患又は組織傷害を発症するのを処置及び/又は予防可能な短鎖合成ペプチドの発見に基づく。したがって、本発明は、網膜変性疾患又は組織傷害の処置及び/又は予防に対する、新規に同定された合成ペプチドを備える方法及び組成物を提供する。
2.1 本合成ペプチド
本開示の短鎖合成ペプチドは、XEX(配列番号1)として記載されるアミノ酸配列からなり、
はセリン(S)又はアラニン(A)であり、
はロイシン(L)、アラニン(A)又はイソロイシン(I)であり、
は、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)又はアスパラギン(N)であり、
はアラニン(A)、グリシン(G)又はグルタミン酸(E)であり、
は、グルタミン(Q)、アラニン(A)又はアスパラギン(N)であり、
、X、X及びXは独立してL体である一方で、X及びEは独立してL体又はD体であり、
配列番号1がSLGAEQ(配列番号9)の配列を有する場合、セリン(S)又はグルタミン酸(E)はD体である。
代替的に又は任意に、合成ペプチドのアミノ酸配列のN末端はアセチル化され、アミノ酸配列のC末端はアミド化される。
好適な一実施形態によれば、本開示の合成ペプチドは、SLGAEQ(配列番号9、6量体)のアミノ酸配列を有する。好ましくは、6量体合成ペプチドは、その中に少なくとも1つのD体アミノ酸残基を含み、それにより、そのD体類似体をもたらす。好適な一実施形態では、6量体ペプチドのセリン残基は、D体(6量体dS)である。他の好適な実施形態では、6量体ペプチドのグルタミン酸残基は、D体(6量体dE)である。
他の実施形態によれば、6量体合成ペプチドは、その中に保存的置換を有し、それにより、配列番号12、13、14、15、17、19、20、21、22又は26のいずれかであるアミノ酸配列を有する類似体をもたらし得る。
本合成ペプチドを以下の表1に詳細に示す。
表1 本合成ペプチド
Figure 2022530632000002
いずれの配列中の太字も、特定のアミノ酸がD体であることを示す。
好適な実施形態によれば、6量体(配列番号9)の第6のアミノ酸残基(すなわち、グルタミン(Q))は存在しなければならず、そうでなければ合成ペプチドはその神経保護活性を喪失する。一実施形態では、6量体による第6のアミノ酸残基(Q)を削除した5量体合成ペプチド(配列番号10)を生成し、5量体はいずれの有意な神経保護活性も欠乏している。
他の実施形態によれば、6量体(配列番号9)の第1、第2、第3、第4及び第6のアミノ酸残基は、独立して他の保存的アミノ酸残基で置換され得る。一実施形態では、6量体の第1の残基(すなわち、セリン(S))をアラニン(A)によって置換し、それにより配列番号12のアミノ酸配列の合成ペプチド(以下、「6量体Sa」)をもたらす。他の実施形態では、6量体の第2の残基(すなわち、ロイシン(L))をアラニン(A)によって置換し、それにより配列番号13のアミノ酸配列の合成ペプチド(以下、「6量体La」)をもたらす。代替的に、6量体のロイシン(L)残基をイソロイシン(I)によって置換し、それにより配列番号19のアミノ酸配列の合成ペプチド(以下、「6量体Li」)をもたらす。さらに他の実施形態では、6量体の第3の残基(すなわち、グリシン(G))をアラニン(A)によって置換し、それにより配列番号14のアミノ酸配列の合成ペプチド(以下、「6量体Ga」)をもたらす。代替的に、6量体のグリシン(G)残基をバリン(V)によって置換し、それにより配列番号20のアミノ酸配列の合成ペプチド(以下、「6量体Gv」)をもたらす。さらに他の実施形態では、6量体の第4の残基(すなわち、アラニン(A))をグリシン(G)によって置換し、それにより配列番号15のアミノ酸配列の合成ペプチド(以下、「6量体Ag」)をもたらす。代替的に、6量体のアラニン(A)残基をグルタミン酸(E)によって置換し、合成ペプチドは配列番号22のアミノ酸配列(以下、「6量体Ae」)を有する。更なる実施形態では、6量体の第6の残基(すなわち、グルタミン(Q))をアラニン(A)によって置換し、それにより配列番号17のアミノ酸配列の合成ペプチド(以下、「6量体Qa」)をもたらす。代替的に、6量体のグルタミン(Q)残基をアスパラギン(N)によって置換し、合成ペプチドは配列番号26のアミノ酸配列を有する(以下、「6量体Qn」)。
更なる実施形態によれば、少なくとも1つのD体アミノ酸残基が6量体合成ペプチドに含まれ、特に、6量体の2、3、4及び6位でのアミノ酸残基の各々がL体のままでなくてはならないが、6量体の第1及び第5位はL体であってもよいし、D体であってもよい。ある実施形態では、6量体の1及び5位でのアミノ酸残基は独立してD体であり、したがって上記の表1に示すように6量体のD体類似体をもたらす。
本合成ペプチドは、当技術で任意の標準的なペプチド合成プロトコルに従って合成され得る。例えば、本合成ペプチドは、製造者のプロトコルに従って、固相ペプチドシンセサイザー(ABI433Aペプチドシンセサイザー、Applied Biosystems Inc.、Life Technologies Corp、フォスターシティー、カリフォルニア州、米国)の使用によって合成され得る。
代替的に、本合成ペプチドは、組換え技術を用いて調製され得る。例えば、本ペプチドをコードする核酸は発現ベクターにクローニング可能であり、核酸は宿主細胞において本ペプチドを発現するのに適した調節配列に動作可能に連結される。そして、ベクターは、適切な宿主細胞に導入されてペプチドを発現することができる。発現された組換えポリペプチドを、硫酸アンモニウム沈殿及び分画カラムクロマトグラフィーなどの方法によって宿主細胞から精製することができる。このように調製されたペプチドを、以下の実施例に示す方法に従って、その活性について試験することができる。
上記の核酸又はポリヌクレオチドを、当技術で周知のポリマー、生分解性微粒子又はマイクロカプセル送達デバイスの使用によって送達することができる。宿主での核酸の取り込みを達成するための他の様式は、標準的な方法によって調製されたリポソームの使用である。ポリヌクレオチドは、これらの送達ビヒクルに単独で組み込まれ、又は組織特異的な抗体とともに組み込まれ得る。代替的に、ポリ-L-リジンを付着したプラスミド又は他のベクターから構成される分子複合体は、静電気又は共有結合力によって調製することができる。代替的に、組織特異的標的化は、当技術で周知の組織特異的転写調節要素の使用によって達成され得る。筋肉内、皮内又は皮下部位への「裸のDNA」の送達(すなわち、送達ビヒクル無し)は、in vivo発現を達成する他の手段である。
本合成ペプチドは、そのN末端又はC末端で修飾され得る。N末端修飾の例は、これに限定されないが、N-糖化、N-アルキル化及びN-アセチル化アミノ酸を含む。末端修飾は、PEG化を含み得る。C末端修飾の例は、C末端アミド化アミノ酸である。代替的に、1以上のペプチド結合は非ペプチジル結合で置換されてもよく、個々のアミノ酸部分は選択された側鎖又は末端残基と反応可能な薬剤での処置を介して修飾されてもよい。
種々の官能基は、化学修飾の影響を受けやすい合成ペプチドの種々の点に付加もされ得る。官能基は、ペプチドの末端に付加され得る。ある実施形態では、官能基は、合成ペプチドの安定性、有効性又は選択性の改善、細胞膜及び/又は組織バリアを横断する合成ペプチドの浸透の改善、組織局在の改善、毒性又はクリアランスの低減、並びに細胞ポンプ等による排出抵抗の改善などの、1以上の特性に関してペプチドの活性を改善する。適切な官能基の非限定的な例は、例えば、ペプチドの親水性の低減及び親油性の増加によって、そこに付着したペプチドの細胞への輸送を促進するものであり、これらの官能基は、任意に及び好適にはin vivoで、細胞内で加水分解又は酵素的に切断され得る。ヒドロキシ保護基は、エステル、カーボネート及びカルバメート保護基を含む。アミン保護基は、アルコキシ及びアリールオキシカルボニル基を含む。カルボン酸保護基は、脂肪族、ベンジル及びアリールエステルを含む。
「ペプチド模倣有機部分」は、保存的及び非保存的置換の双方として、本合成ペプチドのアミノ酸残基と任意に置換され得る。ペプチド模倣有機部分は置換されたアミノ酸と同様の立体的、電子的又は配置特性を任意に及び好適に有し、そのようなペプチド模倣物は必須位置のアミノ酸を置換するように使用され、保存的置換とみなされる。ペプチド模倣物は、酵素的又は他の分解プロセスによるペプチドの分解を阻害するように任意に使用され得る。ペプチド模倣物は、任意に及び好適には、有機合成技術によって生成され得る。適切なペプチド模倣物の非限定的な例は、アミド結合の同配体、3-アミノ-2-プロペニドン-6-カルボン酸、ヒドロキシル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-カルボキシレート、1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-カルボキシレート及びヒスチジンイソキノロンカルボン酸を含む。
合成ペプチドの任意の部分は、官能基の付加などによって、任意に化学的に修飾され得る。修飾は、本ペプチドの合成中に任意に行われ得る。非限定的な例示的な修飾の種類は、カルボキシメチル化、アシル化、リン酸化、グリコシル化又は脂肪酸アシル化を含む。エーテル結合は、セリン又はスレオニンのヒドロキシルを糖のヒドロキシルに結合するのに任意に使用され得る。アミド結合は、グルタミン酸又はアスパラギン酸のカルボキシ基を糖のアミノ基に結合するのに任意に使用され得る。アセタール及びケタール結合も、アミノ酸と炭水化物の間に任意に形成され得る。
2.2 網膜変性疾患及び/又は組織修復若しくは再生を必要とする状態の処置のための組成物
本合成ペプチドは、網膜変性疾患及び/又は組織修復若しくは再生を必要とする組織傷害を患う被検体を処置するのに適している。したがって、本開示の更なる態様は、網膜変性疾患及び/又は組織傷害を処置するための本合成ペプチドを含む医薬品を提供することである。
一実施形態では、医薬品は、網膜変性疾患、特に、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、加齢黄斑変性(AMD)、網膜色素変性症(RP)、緑内障又は急性UV網膜症の処置のためのものである。
他の実施形態では、医薬品は、組織傷害、特に、ドライアイ疾患(DED)又は網膜虚血/再灌流(I/R)傷害の処置のためのものである。
医薬品を、適切な量の本合成ペプチドを薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤とともに組成物に混合することによって製造する。特定の実施形態では、合成ペプチドを、6量体、6量体Sa、6量体La、6量体Ga、6量体Ag、6量体Qa、6量体Li、6量体Gv、6量体Gn、6量体Ae、6量体Qn、6量体dS、6量体dE及びそれらの組合せを含むがこれに限定されない、上述のペプチドの群から選択する。
医薬品又は組成物中に存在するペプチドの量は、使用されるペプチドに依存する。ペプチドは、通常は、0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.9、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9及び10.0重量%などの、約0.001重量%から約10重量%の量で、特に、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.9、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9及び5.0重量%などの約0.01重量%から約5重量%の量で組成物中に存在する。
合成ペプチドとともに使用する薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、関連技術で周知であり、非毒性の不活性固体、半固体若しくは液体充填剤、希釈剤、封入剤又は製剤補助剤を含むが、これに限定されない。標準的な薬学的に許容可能な担体は、水又は生理食塩水である。薬学的に許容可能な担体の例は、非毒性の潤滑剤(例えば、ラウリル硫酸及びステアリン酸マグネシウム)、着色剤、放出剤、着香料、防腐剤及び酸化防止剤などの他の薬剤と同様に、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖、コーンスターチのようなデンプン、セルロース並びにカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのその誘導体、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油などの油、プロピレングリコールのようなグリコール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル、アガー、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸を含むがこれに限定されない。組成物は、その中に抗生物質又は抗真菌の薬剤をさらに含み得る。
本発明の医薬品又は組成物の適切な投与経路は、血管内送達(例えば、注入又は点滴)、経口、経腸、経直腸、経肺(例えば、吸入)、経鼻、(経皮、口腔内及び舌下を含む)局所、膀胱内、硝子体内、腹腔内、膣内、脳送達(例えば、脳室内及び脳内)、CNS送達(例えば、くも膜下、脊椎周囲及び髄腔内)若しくは非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内及び皮内)、経粘膜投与若しくはインプラントを介した投与、又は当技術で周知の他の送達経路である。
経口投与に適した薬学的組成物は、ピル、タブレット、甘味入りの錠剤又は硬質若しくは軟質カプセルなど、分散性の粉末若しくは顆粒など、又は溶液若しくは懸濁液、例えば、水性若しくは油性の懸濁液、乳濁液、シロップ、エリキシル剤若しくは経腸栄養製剤などの、個別の投与単位に処方され得る。好適な一実施例では、薬学的組成物は、点眼薬である。組成物は、封止されたバイアル又はアンプルなどの単回投与又は複数回投与の容器で提示されてもよく、使用前に滅菌液体担体(例えば、水又は生理食塩水)の添加を必要とする凍結乾燥状態で保存されてもよい。
非経口投与に適した薬学的組成物は、本合成ペプチドを水、リンゲル液、生理食塩水、1,3-ブタンジオール、アルコールなどの滅菌溶媒に混合又は分散させることにより、水性又は非水性滅菌注射に処方され得る。あるいは、固定油、脂肪酸又は合成モノグリセリド若しくはジグリセリドが溶媒として用いられてもよい。組成物は、フィルターを通して濾過することによって滅菌され得る。
局所又は経皮適用に対して、薬学的組成物は、一般に、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、パッチ又はスプレーに処方される。眼科用製剤、点耳薬及び点眼薬もまた、本発明の範囲内で考慮される。ある実施形態によれば、発明の組成物は、眼に局所的に投与される。他の実施形態によれば、薬学的組成物は、皮膚に使用する軟膏である。疾患の種類及び重症度に応じて、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990若しくは1,000μg/kg、又は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99若しくは100mg/kgなどの、約1μg/kg~約100mg/kg(例えば、0.01~50mg/kg)の本合成ペプチドが患者に投与される。標準的な1日又は週1回の投与量は、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50mg/Kgなどの、約0.01mg/Kg~約50mg/kg以上の範囲となり得る。局所投与の上記の目的のいずれかに利用される投与は、一般に、1日あたり1~数回、例えば、4、6、8又はそれ以上の回数で投与される。
経肺投与に適した薬学的組成物は、定量加圧エアロゾル、ネブライザー又は吸入器を用いて生成され得る細塵又はミストとして処方される。
発明によって提供される薬学的組成物は、好ましくは、キットの形態で提示される。本発明では、「キット」は、その輸送、保存及び同時又は連続投与を可能とするようにパッケージングされた組成物を形成する、本発明によって提供される合成ペプチド及び/又は追加の治療用化合物を含む製品として理解される。したがって、発明のキットは、単回投与又は複数回投与として調製可能な、発明の合成ペプチドをそれぞれ含む1以上の封止アンプルを含み得る。キットは、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース及び塩化ナトリウムなどの水性媒体、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピルエチレングリコールなどの水溶性媒体、並びに必要に応じて水不溶性ビヒクルなどの、合成ペプチドを可溶化するのに適したビヒクルを追加的に含み得る。キットに存在し得る他の成分は、発明の組成物を決定された制限内で維持することを可能とするパッケージである。そのようなパッケージを調製するのに適した材料は、ガラス、プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなど)、ボトル、バイアル、紙、小袋などを含む。
発明のキットは、キットに存在する異なる製剤の同時、連続又は別個の投与についての説明書を追加的に含み得る。したがって、発明のキットは、異なる成分の同時、連続又は別個の投与についての説明書をさらに備え得る。上記説明書は、印刷物の形態で、又は電子記憶媒体(磁気ディスク、テープなど)、光学媒体(CD-ROM、DVD)などの、それが被検体によって読み取られ得るように説明書を記憶可能な電子支援の形態であり得る。媒体は、上記の説明書を提供するインターネットウェブページを追加的に又は代替的に含み得る。
2.3 網膜変性疾患及び/又は組織修復若しくは再生を必要とする状態の処置のための方法
上述のように、本発明中で説明される発見は、網膜変性疾患及び/又は組織傷害の防止及び/又は処置に有用である。
したがって、本発明は、XEX(配列番号1)として記載されるアミノ酸配列からなる合成ペプチドであって、
はセリン(S)又はアラニン(A)であり、
はロイシン(L)、アラニン(A)又はイソロイシン(I)であり、
は、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)又はアスパラギン(N)であり、
はアラニン(A)、グリシン(G)又はグルタミン酸(E)であり、
は、グルタミン(Q)、アラニン(A)又はアスパラギン(N)であり、
、X、X及びXは独立してL体であり、X及びEは独立してL体又はD体であり、
配列番号1がSLGAEQ(配列番号9)の配列を有する場合、セリン(S)又はグルタミン酸(E)はD体である、合成ペプチドと、
薬学的に許容可能な担体とを備える、上記の医薬品又は組成物を、それを必要とする被検体に投与するステップを備える、網膜変性疾患及び/又は組織傷害の防止及び/又は処置のための方法に関する。
代替的に又は任意に、合成ペプチドのアミノ酸配列のN末端はアセチル化され、アミノ酸配列のC末端はアミド化される。
被検体に投与された場合の医薬品及び/又は組成物は、網膜変性疾患及び/又は組織修復若しくは再生を必要とする状態に関連する症状を改善又は緩和可能である。
特定の実施形態では、合成ペプチドは、6量体Sa、6量体La、6量体Ga、6量体Ag、6量体Qa、6量体Li、6量体Gv、6量体Gn、6量体Ae、6量体Qn、6量体dS、6量体dE及びそれらの組合せを含むがこれらに限定されない上記のペプチドの群から選択される。
一実施形態によれば、本発明は、本発明の医薬品又は組成物を、それを必要とする被検体に投与するステップを備える、網膜変性疾患、特に、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性(AMD)、網膜色素変性症(RP)、緑内障又は急性UV網膜症を処置するための方法に関する。
他の実施形態によれば、本発明は、本発明の医薬品又は組成物を、それを必要とする被検体に投与するステップを備える、組織修復又は再生を必要とする組織傷害、特に、ドライアイ疾患(DED)、骨関節炎、急性腱断裂、皮膚創傷、皮膚老化、しわ、脱毛症又は網膜虚血/再灌流(I/R)傷害を処置するための方法に関する。
方法は、本発明の医薬品又は組成物を、それを必要とする被検体に投与するステップを含む。
全ての実施形態では、処置に適した被検体は、ヒトである。
ここで、本発明を、限定ではなく実証の目的のために提供される以下の実施形態を参照してより具体的に説明する。
材料及び方法
材料
Dulbecco’s modified Eagle’s培地(DMEM)及びウシ胎児血清(FBS)を、Invitrogen社(カールスバッド、カリフォルニア州)から購入した。Phospho-Stat3(Tyr705)及びSTAT3抗体を、Cell Signaling Technology社(ダンバーズ、マサチューセッツ州)から購入した。STAT3ペプチド阻害剤(No.573096)及びSTAT3阻害剤V(No.573099)を、Calbiochem社(ラホーヤ、カリフォルニア州)から購入した。グルタミン酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ストレプトゾトシン(STZ、S0130)、フルオレセインイソチオシアネート-ウシ血清アルブミン(FITC-BSA)及び全ての化学物質は、全てSigma-Aldrich社(セントルイス、ミズーリ州)によるものであった。短鎖合成ペプチドをGenScript社(ピスカタウェイ、ニュージャージー州)によって合成し、各ペプチドを安定性のためにNH末端でのアセチル化及びCOOH末端でのアミド化によって修飾し、質量分析によって特徴付けした(>95%純度)。
細胞培養
C2C12マウス筋芽細胞株及びNeuro-2aマウス神経芽細胞株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC、マナッサス、バージニア州)によるものであった。細胞をDMEM-高グルコース培地で維持した。ヒト網膜色素上皮細胞株であるARPE-19細胞をDMEM/F12(Dulbecco’s modified Eagle’s培地及びHam’s F12の1:1混合物)で培養した。全ての培地に、37℃で、5%CO雰囲気の存在下で、10%のFBS、4mMのl-グルタミン、1mMのピルビン酸及び100U/mlのペニシリン-100μg/mlのストレプトマイシンを補足した。
Neuro-2細胞死の評価
Neuro-2a細胞を48ウェル培養プレート(1.5×10細胞/ウェル)に24時間播種し、20μMの本ペプチド(0.5mlの培地中に7μgの6量体)を含む新鮮な0.5mlの2%のFBS-DMEM培地でさらに4時間培養した。続いて、(1Mのストック及び溶媒としてのPBSによる)100mMのグルタミン酸をさらに6時間、細胞に添加した。グルタミン酸誘導性細胞死を、損傷した細胞によって培養培地中に放出された乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を測定することによって定量的に評価した。LDH活性を、PicoProbe(登録商標)LDH-Cytotoxicity Fluorometric Assay Kit(カタログ#K314-500、BioVision社)を用いて取扱説明書に従って測定した。LDH活性を、自動マイクロプレートリーダー(UVmax、Molecular Devices社、サンフランシスコ、カリフォルニア州)を用いて蛍光生成物(Ex/Em=535/587nm)を測定することにより推定した。
ウェスタンブロット分析
細胞溶解、分画及びSDS-PAGEを、以前に説明された手順(Yang YC他、BMC Cancer 2007、7、216)に従って実施した。この研究で用いた抗体は、Phospho-Stat3及びSTAT3(1:1000倍希釈)に対するものであった。対象のタンパク質を、適切なIgG-HRP二次抗体(Santa Cruz Biotechnology社)及びECL試薬(Amersham Biosciences社)を用いて検出した。
定量リアルタイムPCR
全RNAを、TRIzol(Invitrogen社)を用いて細胞から抽出した。cDNA合成を、オリゴ(dT)プライマー及び逆転写酵素(Superscript III、Invitrogen社)を用いて1μgの全RNAとともに50℃で50分間行った。簡潔には、cDNAの定量化を、LightCycler(Roche社、マンハイム、ドイツ)で、DNA Master SYBR Green Iキット(Roche社)を用いて以下のサイクリング条件、95℃で10分間の初期変性、続いて、95℃で10秒間、60℃で10秒間及び72℃で10秒間の40サイクル、並びに72℃で5分間の最終インキュベーション、で行った。データを、ΔΔCtで計算した。そして、発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対して正規化した。PCRプライマーは、マウスサバイビン センス、5´-TGCCACGATGGTGATGAAAC-3´(配列番号27)、アンチセンス、5´-TGACGGGTAGTCTTTGCAGT-3´(配列番号28)(アクセッション番号、NM_001012273.1、PCR産物、136bp)、マウスGAPDH センス、5´-AACGGATTTGGCCGTATTGG-3´(配列番号29)、アンチセンス、5´-CATTCTCGGCCTTGACTGTG-3´(配列番号30)(NM_001289726.1、149bp)であった。ウサギ炎症性遺伝子発現の分析に対して、PCRプライマーは、ウサギTNF-α センス、5´-CCTGTGCCTCCCTTCACTTA-3´(配列番号31)、アンチセンス、5´-CCCTTAGGGAGCAGAGGTTC-3´(配列番号32)、(アクセッション番号、NM_001082263.1)、ウサギIL-1β センス、5´-CCTGTTCTTTGAGGCCGATG-3´(配列番号33)、アンチセンス、5´-GCCGGAAGCTCTTGTTGTAG-3´(配列番号34)、(NM_001082201.1)、ウサギGAPDH センス、5´-AGGTCATCCACGACCACTTC-3´(配列番号35)、アンチセンス、5´-GTGAGTTTCCCGTTCAGCTC-3´(配列番号36)(アクセッション番号、NM_001082253.1)であった。PCR産物のサイクル閾値(Ct)の値及びGAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ)コントロールmRNAを用いてmRNAの相対量を計算した。
動物研究
全ての実験は、Mackay Memorial Hospital Review Board(台湾)によって承認された。動物の検証及び眼の外科的処置は、Association for Research in Vision and Ophthalmology Statement for the Use of Animals in Ophthalmic and Vision Researchに従って実施した。全ての手術を無菌状態下で行った。
網膜虚血-再灌流(I/R)動物モデル
実験手順は、Mackay Memorial Hospital Review Board(台湾、中華民国)によって承認された。全ての手術を無菌状態下で行った。成体の10週齢のオスのSprague-Dawleyラット(初期体重=312±11g)を、キシラジン(10mg/kg)の腹腔内注入によって麻酔した。ペプチドを0.85%の通常の生理食塩水中に1mMに溶解し、I/Rの誘導の前に、マイクロシリンジにより31G針を通じた100μLのペプチドの結膜下注入によって送達した。通常の生理食塩水をビヒクルコントロールとした。ラットI/Rを、ペプチド又はビヒクルを注入した後に4時間行った。瞳孔を0.5%のトロピカミド及び0.5%のフェニレフリンで拡張した。体温を、加熱ブランケットを用いて37℃に維持した。瞳孔の拡張後、右眼の前房に、生理食塩水リザーバーに接続された27ゲージの針でカニューレ挿入した。眼圧(IOP)を、リザーバーを眼の上方150cmに保つことによって110mmHgに上昇させ、網膜虚血を、虹彩の白化及び網膜の赤色反射の喪失を観察することによって確認した。虚血の90分後、カニューレ挿入針を引き抜いてIOPを正常な圧力に戻し、網膜動脈からの血液供給の回復及び誘導された再灌流傷害をもたらした。再灌流は、赤色反射の復帰によって明白であった。角膜鎮痛を、0.4%のオキシブプロカイン塩酸塩を1又は2滴使用することによって達成し、オフロキサシン点眼ジェル(0.3%)を手順の前後に眼に局所的に塗布した。右眼のみを全ての実験で使用した。偽手技を、動物内コントロールの役割を果たす左眼で行った。
I/R誘導性網膜傷害の組織学的評価
ラット(各群でn=6)を、I/R傷害の14日後にペントバルビタールの過剰投与(静脈内に体重1kgあたり100mg)を用いて安楽死させ、眼球を絹の縫合糸で角膜の12時の位置にマーキングし、その後、摘出して4%のパラホルムアルデヒド(PFA)において4℃で24時間固定した。固定後、前区を除去し、視神経乳頭を含む後部眼球を段階的な一連のエタノールで脱水し、パラフィン中に包埋した。ヘマトキシリン及びエオジン(H&E)染色のために、厚さ5μmの切片をミクロトームを用いて視神経頭を通じて垂直子午線に沿って採取し、200倍のCCDカメラを装備する光学顕微鏡(Leica社、ハイデルベルク、ドイツ)で観察した。網膜におけるI/R損傷の程度を定量化するために、中心網膜厚の全体(OT、GCLとONLの間)、内顆粒層(INL)及び外顆粒層(ONL)を測定した。神経節細胞層(GCL)の細胞数を、線形細胞密度(200μmあたりの細胞数)を用いて計算した。1個の眼ごとに3切片を平均し、6個の眼の平均を各群の代表値として記録した。
I/R傷害網膜のTUNEL染色
20時間のI/R後、ラット(各群でn=6)をペントバルビタールの過剰投与によって安楽死させた。摘出した眼球を4%のPFAで24時間4℃で固定した。固定された網膜組織をパラフィン中に包埋した。網膜細胞のアポトーシスを同定するために、5μm厚の切片を、視神経乳頭を通過して切り、脱パラフィンし、再水和し、20μg/mLのプロテイナーゼKとともに10分間インキュベートし、アポトーシス細胞の免疫蛍光染色を、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)媒介性dUTPニックエンドラベリング(TUNEL)ベースキット(Roche Molecular Biochemicals社、インディアナポリス、インディアナ州)を用いて製造者の説明書に従って行った。核を、ヘキスト33258で7分間対比染色することにより位置特定した。切片を電荷結合素子(CCD)カメラ(Zeiss AxioCam HRm、Zeiss社)(400倍、6フィールド/サンプル)を装備する落射蛍光顕微鏡(Zeiss Axioplan2 imaging、Zeiss社、オーバーコッヘン、ドイツ)下で観察し、定量化をAxiovertソフトウェア(Zeiss AxioVision リリース4.8.2、Zeiss社)を用いて行った。1個の眼ごとに3切片を平均し、6個の眼の平均を各群の代表値として記録した。
免疫蛍光染色
脱パラフィンした網膜切片を、非特異的染色をブロックするために、0.5%のTritonX-100(PBST)を含むPBS中の10%のヤギ血清及び5%のウシ血清アルブミン(BSA)で、室温で20分間ブロッキングした。染色を、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)(1:100希釈)又はIba-1(1:100希釈)に対する一次抗体を用いて37℃で3時間行った。続いて、スライドを、適切な蛍光標識二次抗体(1:500希釈)とともに37℃で1時間インキュベートし、その後にヘキスト33258で6分間、対比染色した。そして、スライドをPBSTで3回リンスし、FluorSave(登録商標)試薬(Calbiochem社)を用いてマウントし、落射蛍光顕微鏡(Zeiss Axioplan2 imaging、Zeiss社、オーバーコッヘン、ドイツ)で目視した。1個の眼ごとに3切片を平均し、6個の眼の平均を各群の代表値として記録した。
網膜血管構造の調製及び分析
ラット(各群でn=6)を、I/R傷害の14日後にペントバルビタールの過剰投与を用いて安楽死させ、眼球を4%のPFAで4℃で一晩固定した。網膜を単離し、PBSTで5分間透過処理し、水で一晩洗浄し、スライドガラス上に配置し、2.5%のトリプシン(50μl、Invitrogen社、カールスバッド、カリフォルニア州)とともに37℃で30分間インキュベートし、時折、穏やかに振とうした。非血管細胞を血管構造から静かに払い落とし、PBSで洗浄した。そして、切片をイソレクチンGS-IB4(Alexa Fluor 568コンジュゲート、1:200希釈、Thermo Fisher Scientific社)で37℃で1時間染色し、その後、ヘキスト33258で10分間対比染色し、PBSTでリンスしてから、FluorSave(登録商標)試薬を用いてマウントし、200倍の落射蛍光顕微鏡下で視覚化した。変性毛細血管を、その長さに沿っていずれの箇所にも周皮細胞がない小血管の管として同定し、網膜領域の平方ミリメートルごとに報告する。1個の眼ごとに10切片を平均し、6個の眼の平均を各群の代表値として記録した。
糖尿病マウスの網膜における血管異常の測定
糖尿病マウスを、1日目及び3日目にストレプトゾトシン(STZ、体重1kgあたり200mg)の腹腔内注入によって生成した。STZを、0.1Mのクエン酸緩衝液(pH4.5)で新規に調製した。注入後、マウスに一晩10%のスクロースを供給し、突然の低血糖ショックを防いだ。1週間後(7日目)、空腹時血糖値>500mg/dlのマウスを糖尿病と定義し、実験に用いた。平衡塩類溶液(BSS)を、ペプチドビヒクル(Alcon、Novartis社)として使用した。(BSSに200μMに溶解した)6量体類似体点眼薬を1日3回眼に局所投与した。2週間後(14日目)、マウスに100mg/kgのFITC-BSAをさらに30分間腹腔内注入して網膜における血管病変(出血領域)を決定した。続いて、動物をCO吸入によって安楽死させ、眼を摘出し、4%のPFAにおいて4℃で一晩固定し、スライドガラス上にフラットマウントして光学切片を得た。網膜における血管病変を、200倍の落射蛍光顕微鏡検査によってフラットマウントの4つの網膜象限の全てでスコアリングした。中枢及び末梢網膜の双方の各象限で3つの顕微鏡視野をサンプリングし、データを病変/網膜の平均数として示した。
ドライアイ動物モデル
動物
このモデルシステムでは、C57BL/6マウス(7~8週齢、各体重約18~25g)を用いた。全てのマウスを、Mackay Memorial Hospital Review Board(台湾、中華民国)によって承認された手順に従って動物施設で維持した。全ての動物実験手順を、ARVO Statement for the Use of Animals in Ophthalmic and Vision Researchに従って実施した。
ドライアイ誘導
ドライアイを、Barabino他(IVOS(2005)46(8)、2766-2771)による前述の手順に従って、マウスを環境制御室(CEC)に14日間配置することによって誘導した。CECに配置されたマウスを、相対湿度(RH)を25%未満、温度を20~22℃、気流を約15L/minに維持する条件に、1日あたり12時間曝露した。コントロールマウスを正常な環境(RH>50%、気流無し、温度20~22℃)で同じ期間保持した。
処置
一般的な人工涙液製剤、平衡塩類溶液(BSS)に溶解した1%のカルボキシメチルセルロース(CMC)をペプチドビヒクルとして使用した。ペプチド(一方の眼の処置に使用される10μlの点眼薬中に100μM、約0.7μgのペプチド)又は1%のCMCビヒクルを1日3回、眼に局所投与した。本合成ペプチドがドライアイに対していずれかの治療的な作用を与え得るか否かを試験するために、マウスを局所処置無しで、14日間CECで収容し、そして本ペプチドで4日間処置した。
角膜フルオレセイン染色
動物をゾレチル(6mg/kg)及びキシラジン(3mg/kg)の混合物の腹腔内注入によって麻酔した。角膜上皮傷害を局所フルオレセイン(Fluor-I-Strip、Ayerst Laboratories社、フィラデルフィア、ペンシルベニア州)で染色することによって決定した。角膜フルオレセイン染色をコバルトブルー照明下で細隙灯生体顕微鏡で検査し、デジタルカメラで撮影した。角膜の染料染色を、以下の盲検様式でスコアリングした:点状染色無しに対してスコア0、角膜の3分の1未満が染色された場合にスコア1、3分の2以下が染色された場合にスコア2、及び3分の2より多く染色された場合にスコア3(Horwath-Winter J 2013)。
角膜上皮細胞の培養及び処置
輪部幹上皮細胞(LSEC)を、6ヶ月齢のニュージーランドホワイトウサギから単離し、DMEM/F-12基礎培地ベースの細胞浮遊培養によって14日間継続的に培養し、前述(Ho他、Stem Cells、2013、31、1775)のように、角膜様上皮細胞の分化を達成した。LSEC(6ウェルプレートのウェルごとに2×10細胞)を、20μMの6量体変異体ペプチドと混合した2%のFBS含有基礎培地で6時間処置し、そして90mMのNaClで直接処置すると、細胞は高浸透圧(HOP)を受けた。3時間後、定量リアルタイムPCRを用いてHOP誘導性腫瘍壊死因子(TNF)-α及びインターロイキン-1ベータ(IL-1β)の発現を推定した。DMEM/F-12基礎培地(309 mOsm)において培養した細胞を陰性コントロールとして使用した。
統計
結果を、3つの独立した実験で生成した。全ての数値を平均±SDとして表した。2つの群の比較を、マンホイットニーの検定を用いて行った。P<0.05を有意であるとみなした。
実施例1 神経保護ペプチドの同定及び特徴付け
1.1 神経保護ペプチドの同定
この実施例では、表2に列挙されるように一連の短鎖合成ペプチドを合成し、「材料及び方法」の章に記載される手順に従って、それらの神経保護効果をNeuro-2a神経芽細胞におけるグルタミン酸誘導性細胞死によって評価した。さらに、各合成ペプチド(配列番号2~11)の第1のアミノ酸残基(すなわち、セリン)は、プロテアーゼ耐性を増加するようにD体であった。
簡潔には、細胞を、指定されたペプチド(すなわち、配列番号2~11のいずれか)で4時間、前処置し、そして100mMのグルタミン酸で6時間処置した。細胞死を、市販の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)細胞毒性アッセイキットによって検出した。結果を図1に示す。
表2 以下を有する短鎖合成ペプチド
Figure 2022530632000003
いずれの配列中の太字も、特定のアミノ酸がD体であることを示す。
図1に示すように、グルタミン酸は時間の経過とともに細胞死を誘発した(7.6±0.8%、グルタミン酸を添加したペプチド溶媒DMSOを陽性コントロールとして使用した)。興味深いことに、6量体dSペプチド(SLGAEQ、配列番号9)のみがNeuro-2a細胞に対して保護効果を示したのに対し、6個よりも多くアミノ酸残基を有するペプチド(すなわち、13量体dS~7量体dS(配列番号2~8))も、6個未満のアミノ酸残基を有するペプチド(すなわち、5量体dS又は4量体dS(配列番号10又は11))も、細胞保護効果を示さない(1.5±0.5%に対して8.2±0.6%~11.4±0.3%)ことが見出された。
結果は、6量体dS(SLGAEQ、配列番号9)中の第6のアミノ酸残基(Gln、Q)が6量体の神経保護活性を維持する重要な残基であることを暗示した。結果はまた、アルギニン(R)残基(7量体dS(配列番号8)の最後のアミノ酸)が6量体の生体機能に対して阻害的役割を果たし得ることも示唆している。
1.2 6量体dSペプチドの特徴付け
1.2.1 6量体dSペプチドはSTAT3依存様式を介したサバイビン発現を誘導する
サバイビンは、虚血中の神経細胞の生存に重要なSTAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子)の転写標的である。したがって、この実施例では、STAT3シグナル伝達が6量体dSの神経保護効果に役割を果たすか否かを調べた。結果を図2に示す。
ウェスタンブロット分析は、6量体dSによって刺激されたC2C12筋芽細胞が、刺激後5~20分の期間に発生したSTAT3リン酸化を誘発したことを明らかにした。対照的に、5量体dSは、そのような効果を有していなかった(図2、パネルA)。
さらに、6量体dSで3時間刺激した後、C2C12細胞のサバイビンmRNAのレベルは、溶媒処置細胞のレベルと比較して、2.6倍に有意に増加した(図2、パネルB)。他のペプチド(すなわち、配列番号2~8又は10~11のいずれか)で処置されたC2C12細胞は、そのような誘導をもたらさなかった。
STAT3pep及びSTAT3阻害剤Vを含む周知の薬理学的阻害剤も、サバイビン誘導の分子メカニズムを調査するように使用した。リアルタイムqPCRアッセイは、6量体dSによって誘導されるサバイビンmRNAの発現が、STAT3阻害剤(すなわち、STAT3pep又はSTAT3阻害剤V)で前処置した細胞において2.6倍から1.3倍まで抑制されることを明らかにした(図2、パネルB)。
まとめると、この実施例における発見は、6量体dSペプチドがSTAT3シグナル伝達経路の活性化を介してサバイビン発現を誘導することによりその神経保護効果を与えたことを示唆した。
1.2.2 グルタミン酸残基は6量体dSペプチドによって誘導されるサバイビン発現に重要である
6量体dSペプチドの重要な残基をさらに調べるために、アラニンスキャニング及びアミノ酸置換をそれぞれ用いて、6量体dSペプチドの残基をアラニン若しくはそのD体-アミノ酸で系統的に置換又は突然変異させた6量体変異体を作成し、そのように作成された6量体変異体を表3~4に示す。
表3 アラニンスキャニングアプローチによって作成された6量体変異体
Figure 2022530632000004
表4 D体アミノ酸による置換によって作成された6量体変異体
Figure 2022530632000005


いずれの配列中の太字も、特定のアミノ酸がD体であることを示す。
表5 突然変異によって作成された6量体変異体
Figure 2022530632000006
実施例1.2.1でのアプローチと同様に、表3~5の6量体変異体の機能についての指標としてC2C12細胞におけるサバイビンmRNAの発現レベルを用いた。簡潔には、低血清培地中のC2C12細胞を、20μMの6量体変異体によって6時間処置した。リアルタイムqPCRアッセイは、6量体Sa(1.7倍)、6量体La(1.5倍)、6量体Ga(1.6倍)、6量体Ag(1.5倍)及び6量体Qa(1.6倍)がサバイビン誘導に関して6量体dS活性を部分的に保持可能であることを明らかにした(溶媒コントロールに対してP<0.004、図3)。結果はまた、グルタミン酸(E)残基でのアラニン置換が6量体の活性を著しく損なうことも裏付けた。
その非天然アミノ酸(D体アミノ酸)による置換によって作成される6量体変異体の機能に関して、リアルタイムqPCRアッセイは、そのD体残基によるセリン(S)の置換が溶媒コントロールのもの(図4、dS対溶媒)と比較してサバイビンmRNAのレベルを増加させ、したがって6量体dSは陽性コントロールとして作用したが、その一方で、ロイシン(L)、アラニン(A)又はグルタミン(Q)の、それに対応するD体残基による置換はサバイビン遺伝子誘導活性を有意に妨害することを明らかにした(図4、dL、dA又はdQ対6量体dS)。グルタミン酸(E)の、そのD体残基による置換は、サバイビンmRNAに適度な誘導をもたらし(図4、dE対6量体dS)、レベルは溶媒コントロールよりも未だ有意に高かった。
アミノ酸は通常、側鎖(すなわち、R基)の特性によって分類されるため、突然変異を、R基において同様の特性を示す他の残基によって6量体中のアミノ酸残基を置換することによって作成した(表5参照)。図5のリアルタイムqPCRアッセイは、ロイシン(L)をイソロイシン(I)に(6量体Li)、グリシン(G)をアスパラギン(N)に(6量体Gn)、グリシン(G)をバリン(V)に(6量体Gv)、アラニン(A)をグルタミン酸(E)に(6量体Ae)、グルタミン(Q)をアスパラギン(N)に(6量体Qn)置換することが、溶媒コントロールと比較して、サバイビンmRNAを独立して2.1倍、1.5倍、2.3倍、1.5倍及び2.1倍に誘導可能であったことを明らかにした(図5、P<0.05)。対照的に、セリン(S)をスレオニン(T)に(6量体St)、アラニン(A)をイソロイシン(I)に(6量体Ai)、アラニン(A)をセリンに(6量体As)又はグルタミン酸(E)をアスパラギン酸(D)に(6量体Ed)置換することは、サバイビンmRNAの誘導を著しく損った(すなわち、基礎レベルと同等以下)。
まとめると、結果は、グルタミン酸残基(E)は6量体ペプチドの神経保護活性に重要であるが、6量体dS(配列番号9)の6残基のうちの5個がアミノ酸置換を許容し得ることを示唆した。
実施例2 6量体dS、6量体Sa、6量体Li、6量体Gv及び6量体Qnは、網膜虚血/再灌流傷害に対して網膜を保護する
網膜血管閉塞症、急性緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性(AMD)、網膜剥離及び未熟児網膜症などの多数の眼疾患は、これらの患者を失明させ得る網膜虚血/再灌流(I/R)傷害に関連する。通常、網膜虚血は網膜の領域におけるエネルギー枯渇をもたらす毛細血管閉塞が原因であり、その後の自然な再灌流が強い酸化ストレスを誘導する。I/R傷害の数時間後、炎症及び細胞死が起こる。最終的に、これらの病理学的反応は、視神経及び網膜毛細血管の変性をもたらす。
この実施例では、神経網膜細胞及び網膜毛細血管系に対する6量体変異体ペプチドの神経保護効果を、「材料及び方法」の章において説明したI/R傷害のラットモデルを用いて調べた。簡潔には、I/Rの誘導の前に、6量体変異体ペプチド(1mM、120μl)をSprague-Dawleyラットの結膜下腔に4時間注入した。そして、眼圧(IOP)を眼において90分間110mmHgに上昇させてから20時間再灌流することにより、ラット網膜にI/R傷害を誘導した。続いて、網膜細胞アポトーシスのレベルを、TUNEL染色を用いて評価した。さらに、網膜形態を、I/R傷害の14日後にH&E染色により分析した。結果を図6~10及び表6~9にまとめる。
ARPE-19細胞の4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4-HNE)誘導性アポトーシスに対する6量体dS又は6量体dEの保護効果を示す図6を参照する。4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4-HNE)は脂質酸化の生成物であり、種々の細胞標的、特にレドックスシグナル伝達に関与するタンパク質との付加物を形成可能な最も厄介な反応性アルデヒドの1つともみなされている。明らかに、4-HNEは、ATPase活性を損い、酸素消費を途絶し、最終的には早期アポトーシスをトリガすることにより、ミトコンドリアに影響を及ぼすことが示されている。6量体dSは4-HNE誘導性アポトーシスを抑制でき、6量体dSは6量体よりも効果的であることが見出された(図6、パネルB)。
6量体ペプチド(6量体dS又は6量体St)の無し又は有りで処置されたI/R傷害後に眼から採取された網膜の画像を図7に提示する。ビヒクルによって処置された偽物群の眼について、網膜細胞核はTUNEL染色に対して陰性であり、豊富な緑色蛍光網膜細胞核がビヒクルプラスI/R群における内顆粒層(INL)、外顆粒層(ONL)及び神経節細胞層(GCL)内に見出された。対照的に、6量体dSによって処置された眼では、ラット網膜のTUNEL染色によって、少数の緑色蛍光核のみが同定され、一方で6量体Stにはそのような効果(すなわち、I/R誘導性網膜細胞アポトーシスの阻害)がなかった。特に、表6にまとめるように、I/Rの前の6量体Sa、6量体Li、6量体Gv又は6量体Qnペプチドの結膜下注入は、I/Rによって誘導される網膜細胞アポトーシスも低減した。
表6 ラットの眼におけるI/R傷害の20時間後における網膜におけるTUNEL陽性細胞数の定量分析
Figure 2022530632000007
データを平均±標準偏差として表す(1群あたりn=6個の眼)。
ビヒクル+I/Rに対してP<0.0001。
ここで、6量体dSの有り又は無しで処置したI/R傷害後に眼から採取した、H&E染色網膜切片の写真である図8を参照する。14日間のI/R傷害後のH&E染色網膜断面は、偽コントロール群と比較して、低減した網膜厚(ビヒクルI/R群)を示した。さらに、I/R傷害の眼への6量体dSの単回結膜下注入は、網膜厚の全体を偽コントロール群と同様のレベルに改善し、6量体dS処置がI/R誘導性網膜変性を効果的に防止可能であることを示唆した。統計的に、6量体dSプラスI/R群の総網膜、INL及びONLの厚さは、ビヒクルプラスI/R群のものよりも有意に大きく、コントロール群に匹敵した(P>0.05)(表7)。結果は、6量体dSがI/Rによって初期段階(20時間)で誘導される網膜細胞アポトーシスを防止する能力を有し、それにより網膜厚の全体をI/R傷害に続く14日間、保持することをさらに裏付ける。これらの結果はまた、6量体変異体が網膜変性を緩和する神経保護効果を有することも示唆する。
表7 I/R傷害の14日後のH&E染色による網膜萎縮の組織学的検査
Figure 2022530632000008
データを平均±標準偏差として表す(1群あたりn=6)。
炎症は、遅延相中のI/R傷害の一般的な特徴であり、更なる網膜細胞死をもたらし、それは次に血液網膜関門(BRB)破壊を引き起こす。網膜炎症は、糖尿病網膜症及び緑内障などの複数の網膜疾患に関連する。ミクログリア及びアストロサイトは、視覚系(網膜、視神経及び脳の視覚中枢)の常在免疫細胞であり、主要なエフェクター細胞として炎症性ストレスに応答する。
図9に示すように、I/R傷害の14日後の網膜炎症の免疫蛍光染色がIba-1陽性ミクログリア細胞の有意な活性化を裏付け、GFAP陽性アストロサイトがコントロール群と比較してビヒクルで処置されたI/R傷害の眼において見られ、その一方で、Iba-1陽性ミクログリア細胞及びGFAP陽性アストロサイトの活性化は6量体dsによって処置された眼においてはあまり顕著ではなかった。さらに、2つの炎症性エフェクターがGCLにごく接近して全ての群の内網膜の境界に沿って局在することが見出された。平均して、6量体dSプラスI/R群と比較して、有意に多い数のミクログリア及びアストロサイトが、ビヒクルプラスI/R群で認められた(表8)。まとめると、6量体dSは、I/Rによって刺激された網膜において、ミクログリア及びアストロサイトの病理学的活性化を効果的に抑制することができる。
表8 I/R傷害の14日後における免疫蛍光染色による網膜ミクログリア/アストロサイト分析
Figure 2022530632000009
データを平均±標準偏差として表す(1群あたりn=6)。
網膜I/R傷害モデルにおいて、網膜内皮細胞及び周皮細胞の死は、無細胞毛細血管をもたらす。6量体dS処置がI/R傷害後の網膜血管構造を効果的に保護し得るか否かを判定するために、ホールマウント網膜をイソレクチンGS-IB4(内皮細胞に結合する蛍光標識イソレクチン)及びヘキスト33258(マーキングされた細胞核に対する蛍光色素)で染色した。偽試験によって対側眼から得られたコントロール網膜と比較して、無細胞毛細血管の数の増加が、ビヒクルで処置したI/R傷害の眼の網膜において見出された(図10)。変性毛細血管の数は、6量体dS処置によって低減した。無細胞毛細血管の定量化を表9にまとめる。さらに、ビヒクル又は6量体dSのいずれかによる対側眼の偽試験の成績は、網膜血管構造に対して細胞毒性効果を有さなかった。まとめると、6量体dSペプチドは、網膜微小血管構造へのI/R誘導性傷害に対する保護を可能とする。
表9 虚血後14日目のI/R損傷網膜における無細胞毛細血管の数
Figure 2022530632000010
データを平均±標準偏差として表す(1群あたりn=6)。
要約すると、I/R動物モデル研究による結果は、6量体dS、6量体Sa、6量体Li、6量体Gv及び6量体Qnを含む6量体変異体が、I/R誘導性の神経及び血管損傷並びに網膜の炎症から網膜を独立して保護可能であることを裏付けた。さらに、動物研究は、6量体変異体の結膜下注入がI/R誘導性網膜傷害を処置する潜在的な治療選択肢として作用し得ることを示唆する。
実施例3 6量体dSは糖尿病マウスにおいて網膜血管構造を保護する
I/R誘導性網膜における変性毛細血管の顕微鏡像は、糖尿病網膜症に見られる無細胞毛細血管のものと同様である。糖尿病網膜症に対する6量体dSの可能な有益な効果を評価するために、STZ誘導性糖尿病マウスの眼を6量体dS又はビヒクル点眼薬によって14日間、1日3回局所処置した。網膜血管異常を、フルオレセインイソチオシアネート-ウシ血清アルブミン(FITC-BSA)の血管外漏出を検出することによって調べた。顕微鏡画像は、ビヒクル処置糖尿病マウスの網膜において幾つかの出血領域を明らかにし(図11)、一方で、6量体dS点眼薬によって処置された眼では、血管病変の数が低減した(6量体dSでは2.8±0.6に対してビヒクルコントロールでは8.2±1.5)。
網膜では、内皮細胞、周皮細胞及びアストロサイトが協力して作用し、網膜内毛細血管網内に血液網膜関門を形成した。アストロサイトは糖尿病マウスにおいて炎症性反応の増幅に関与し、それは次に網膜での血管漏洩の一因となる。図12を参照すると、STZ注入の14日後の網膜のGFAP免疫蛍光染色は、GFAP陽性アストロサイトの有意な活性化は(コントロール群と比較して)ビヒクル/STZ群で見られたが、一方で、6量体dS/STZ群ではあまり顕著ではなかったことを示し(数/400倍のフィールド、24.3±2.7対11.0±1.4)、6量体dSが糖尿病マウスの網膜においてアストロサイトの病理学的活性化を効果的に抑制可能であることを示している。
非増殖性糖尿病網膜症(NPDR)のまだ対処されていない処置ニーズは未だ存在し、それは患者が増殖性糖尿病網膜症(PDR)及び/又は糖尿病黄斑浮腫(DME)に進行するのを防止するのに重要である。6量体dS点眼薬は、糖尿病網膜症の初期段階において網膜炎症及び血管異常を防止するのに効果的であり、新規治療法の臨床開発への前進を可能とし得る。
実施例4 6量体dSは角膜の創傷治癒を促進する
重度のドライアイ疾患(DED)は、通常、損傷を受けた角膜上皮を伴う。この実施例では、「材料及び方法」の章で記載した手順に従って確立したマウスドライアイモデルを用いて損傷角膜に対する6量体変異体ペプチドの治療効率を評価した。
簡潔には、マウスを環境制御室(CEC)に14日間収容して(0日目として設定)、角膜表面破壊を誘導した。角膜フルオレセイン染色を用いて角膜表面傷害を推定し、染色スコアが2の動物(CECに14日間配置した後のマウス)についてペプチド処置を行った。DEDの処置のための6量体変異体ペプチド製剤を方法において説明した。6量体dSによる4日間の処置の後、結果は、0日目のその染色スコアと比較して、角膜フルオレセイン染色における有意な減少を示した(スコア、1.4±0.2対3±0、図13)。ビヒクル、6量体dA又は6量体Stによる4日間の処置は、治療効果を有さなかった。
乾燥ストレス誘導性ドライアイ動物において、炎症によって眼表面損傷が誘導及び/又は促進されることは周知である。炎症性メディエーターの中で、IL-1β及びTNF-αの抑制は、動物においてドライアイの改善に有益であると報告されている。さらに、涙液浸透圧の上昇は、炎症及び眼表面損傷を誘導するドライアイのコアなメカニズムであると考えられている。
6量体変異体が角膜上皮細胞における炎症性遺伝子発現に対する高浸透圧ストレスの影響を抑制する能力を有するか否かを調べるために、ウサギ角膜上皮細胞を単離し、培養下で増殖させ、その後(463mOsM、90mMのNaClの添加による)高浸透圧培地で細胞培養する前に、6量体変異体ペプチド(20μM)によって6時間処置した。基礎培地(309mOsm)で培養した細胞を陰性コントロールとして使用した。
細胞を高浸透圧培地で3時間にわたって培養した後、TNF-α及びIL-1β遺伝子発現を含む炎症性メディエーターのmRNAレベルをリアルタイムqPCRによって決定した。結果は、TNF-α及びIL-1βmRNAは、基礎培地(溶媒単体)で培養した細胞と比較して、それぞれ12.8倍及び4.5倍有意にアップレギュレーションされたことを示した(図14)。一方、6量体dS、6量体Sa又は6量体Gvによって6時間にわたって前処置した細胞は、溶媒処置した細胞と比較して、TNF-α及びIL-1βのmRNA発現をそれぞれ明らかに制止した。
炎症は、ドライアイ発症の主要な要因である。結果は、6量体dS、6量体Sa及び6量体Gvが実際に抗炎症剤として可能であり、改善された角膜の創傷治癒を導き得ることを裏付けた。
まとめると、前述の効果的な実施例に提示された結果は、本開示の短鎖合成ペプチドが神経保護機能を有し、神経変性疾患(例えば、網膜変性疾患)並びに組織修復及び再生(例えば、網膜虚血/再灌流傷害、創傷治癒、ドライアイ症候群など)に関する疾患又は状態の処置及び/又は予防に使用され得ることを裏付ける。
実施形態の上記説明は例示のみのために与えられること及び種々の変形が当業者によってなされ得ることが理解されるはずである。上記仕様、実施例及びデータは、発明の例示的実施形態の構造及び使用の完全な説明を与える。発明の種々の実施形態がある程度の特殊性で又は1以上の個別の実施形態を参照して上述されたが、当業者であれば、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく開示の実施形態に対して多数の変更を行うことができるはずである。

Claims (22)

  1. EX(配列番号1)として記載されるアミノ酸配列からなる合成ペプチドであって、
    は、セリン(S)又はアラニン(A)であり、
    は、ロイシン(L)、アラニン(A)又はイソロイシン(I)であり、
    は、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)又はアスパラギン(N)であり、
    は、アラニン(A)、グリシン(G)又はグルタミン酸(E)であり、
    は、グルタミン(Q)、アラニン(A)又はアスパラギン(N)であり、
    、X、X及びXは独立してL体であり、X及びEは独立してL体又はD体であり、
    前記配列番号1がSLGAEQ(配列番号9)の配列を有する場合には、前記セリン(S)又は前記グルタミン酸(E)はD体である、合成ペプチド。
  2. 前記アミノ酸配列のN末端がアセチル化され、前記アミノ酸配列のC末端がアミド化された、請求項1に記載の合成ペプチド。
  3. 前記合成ペプチドは、配列番号9、12、13、14、15、17、19、20、21、22又は26のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の合成ペプチド。
  4. 請求項1に記載の合成ペプチド及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物。
  5. 前記合成ペプチドは、配列番号9、12、13、14、15、17、19、20、21、22又は26のアミノ酸配列を有する、請求項4に記載の薬学的組成物。
  6. 前記薬学的に許容可能な担体は、液体、ゲル、クリーム及び軟膏からなる群から選択される、請求項5に記載の薬学的組成物。
  7. 網膜変性疾患又は組織傷害を患う被検体を処置する方法であって、XEX(配列番号1)として記載されるアミノ酸配列からなる合成ペプチドの有効量を前記被検体に投与するステップを備え、
    は、セリン(S)又はアラニン(A)であり、
    は、ロイシン(L)、アラニン(A)又はイソロイシン(I)であり、
    は、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)又はアスパラギン(N)であり、
    は、アラニン(A)、グリシン(G)又はグルタミン酸(E)であり、
    は、グルタミン(Q)、アラニン(A)又はアスパラギン(N)であり、
    、X、X及びXは独立してL体であり、X及びEは独立してL体又はD体であり、
    前記配列番号1がSLGAEQ(配列番号9)の配列を有する場合には、前記セリン(S)又は前記グルタミン酸(E)はD体である、方法。
  8. 前記アミノ酸配列のN末端がアセチル化され、前記アミノ酸配列のC末端がアミド化された、請求項7に記載の方法。
  9. 前記合成ペプチドは、配列番号9、12、13、14、15、16、17、19、20、21、22又は26のアミノ酸配列を有する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記網膜変性疾患は、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、加齢黄斑変性(AMD)、網膜色素変性症(RP)、緑内障又は急性UV網膜症のいずれかである、請求項7に記載の方法。
  11. 前記組織傷害は、ドライアイ疾患(DED)又は網膜虚血/再灌流傷害である、請求項7に記載の方法。
  12. 前記被検体はヒトである、請求項11に記載の方法。
  13. 網膜変性疾患又は組織傷害を処置するための医薬品を製造するための合成ペプチドの使用であって、該合成ペプチドはXEX(配列番号1)として記載されるアミノ酸配列からなり、
    は、セリン(S)又はアラニン(A)であり、
    は、ロイシン(L)、アラニン(A)又はイソロイシン(I)であり、
    は、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)又はアスパラギン(N)であり、
    は、アラニン(A)、グリシン(G)又はグルタミン酸(E)であり、
    は、グルタミン(Q)、アラニン(A)又はアスパラギン(N)であり、
    、X、X及びXは独立してL体であり、X及びEは独立してL体又はD体であり、
    前記配列番号1がSLGAEQ(配列番号9)の配列を有する場合には、前記セリン(S)又は前記グルタミン酸(E)はD体である、使用。
  14. 前記アミノ酸配列のN末端がアセチル化され、前記アミノ酸配列のC末端がアミド化された、請求項13に記載の使用。
  15. 前記合成ペプチドは、配列番号9、12、13、14、15、17、19、20、21、22又は26のアミノ酸配列を有する、請求項13に記載の使用。
  16. 前記網膜変性疾患は、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、加齢黄斑変性(AMD)、網膜色素変性症(RP)、緑内障又は急性UV網膜症のいずれかである、請求項13に記載の使用。
  17. 前記組織傷害は、ドライアイ疾患(DED)又は網膜虚血/再灌流傷害である、請求項13に記載の使用。
  18. 網膜変性疾患又は組織傷害の処置のための医薬品としての使用のための合成ペプチドであって、該合成ペプチドはXEX(配列番号1)として記載されるアミノ酸配列からなり、
    は、セリン(S)又はアラニン(A)であり、
    は、ロイシン(L)、アラニン(A)又はイソロイシン(I)であり、
    は、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)又はアスパラギン(N)であり、
    は、アラニン(A)、グリシン(G)又はグルタミン酸(E)であり、
    は、グルタミン(Q)、アラニン(A)又はアスパラギン(N)であり、
    、X、X及びXは独立してL体であり、X及びEは独立してL体又はD体であり、
    前記配列番号1がSLGAEQ(配列番号9)の配列を有する場合には、前記セリン(S)又は前記グルタミン酸(E)はD体である、使用のための合成ペプチド。
  19. 前記アミノ酸配列のN末端がアセチル化され、前記アミノ酸配列のC末端がアミド化された、請求項18に記載の使用のための合成ペプチド。
  20. 前記合成ペプチドは、配列番号9、12、13、14、15、17、19、20、21、22又は26のアミノ酸配列を有する、請求項18に記載の使用のための合成ペプチド。
  21. 前記網膜変性疾患は、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、加齢黄斑変性(AMD)、網膜色素変性症(RP)、緑内障又は急性UV網膜症のいずれかである、請求項18に記載の使用のための合成ペプチド。
  22. 前記組織傷害は、ドライアイ疾患(DED)又は網膜虚血/再灌流傷害である、請求項18に記載の使用のための合成ペプチド。
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