JP2022529265A - 機能的なC1エステラーゼインヒビター(fC1-INH)の定量化のための方法 - Google Patents

機能的なC1エステラーゼインヒビター(fC1-INH)の定量化のための方法 Download PDF

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Abstract

本明細書において、乾燥した血液スポットからfC1-INHを定量化するための方法が、提供される。このような方法は、支持体上にて血液サンプルをスポットおよび乾燥するステップと、乾燥した血液サンプルからタンパク質を抽出するステップと、抽出したタンパク質におけるfC1-INHのレベルを測定するステップとを含み得る。【選択図】図1

Description

関連出願
本出願は、米国特許法第119(e)条の下、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、2019年4月16日に出願の米国特許仮出願番号第62/834,461号、および2019年11月7日に出願の米国特許仮出願番号第62/932,011号の利益を主張するものである。
遺伝性血管性浮腫(HAE)は、血漿タンパク質C1エステラーゼインヒビター(簡潔にC1インヒビター、C1-INH)の遺伝的な欠損または機能障害により引き起こされる希少な常染色体優性の遺伝性疾患である。HAEは、通常顔、皮膚、腸、および/または気道に関与する、血管性浮腫の再発エピソードを特徴とする。この症状は他の疾患で見出される場合があり、HAEの診断を複雑にする。HAEは、主に、2つのタイプに分けることができる。I型は、低レベルのC1-INHタンパク質を特徴とし、HAE発症の約85%を占め、対してII型は、低機能的なC1-INH(fC1-INH)であるが、正常または高いC1-INHタンパク質レベルを特徴とし、約15%を占める。未処置のI型およびII型の患者においてUnits/mlで測定される場合、典型的なfC1-INHは、正常なレベルの5~30%である。
fC1-INHを測定するための現在利用可能なアッセイは、血漿ベースのアッセイである。頻繁に使用されるアッセイは、発色性アッセイであり、合成のC1エステラーゼに特異的な基質を使用して試験サンプルにおけるC1-INHによるC1エステラーゼの活性の阻害を間接的に測定する。別の一般に使用されるアッセイは、補体タンパク質成分C1sへのC1-INHの機能的な結合を測定するELISAアッセイである。しかしながら、集約された試験機関へのサンプルの発送および保存は、多くの場合、血漿ベースのアッセイにとって都合が悪い。
生体サンプルにおけるfC1-INHを測定するための中央の研究室で実行できる単純かつ使用しやすい方法を開発することに、強い関心がもたれている。
本開示は、たとえば液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)を介したC1エステラーゼ酵素反応に由来する基質産物(C1s基質産物)の測定による、分析のための機能的な血漿中C1エステラーゼインヒビター(fC1-INH)を含む乾燥した血液スポットの使用を含む、単純であり、感度があり、かつ選択的なアッセイの開発に少なくとも部分的に基づく。
よって、本開示の一態様は、乾燥した血液サンプル中のfC1-INHのレベルを決定するための方法であって、(i)対象由来の血液サンプルを支持体上にスポットするステップと、(ii)前記支持体上の血液サンプルを乾燥させて乾燥した血液スポットを形成するステップと、(iii)(ii)からの乾燥した血液スポットからタンパク質を抽出するステップと、(iv)存在する場合に、(iii)で抽出したタンパク質におけるfC1-INHのレベルを測定するステップとを含む、方法を提供する。このような測定は、検量線に照らしてまたはこれと比較して行われ得る。一部の例では、検量線は、C1-INHフリーのバッファーまたは他の適切な成分を用いた正常な対象由来の全血の段階希釈により、調製され得る。
一部の例では、血液スポットを乾燥させるステップ(ii)は、室温で3時間行われ得る。一部の例では、支持体はろ紙である。あるいはまたはさらに、乾燥した血液スポットからタンパク質を抽出するステップ(iii)は、乾燥した血液スポットを、ウシ血清アルブミン(BSA)/PBSバッファーと少なくとも3時間インキュベートすることにより行われ得る。
本明細書中開示される方法のいずれかでは、fC1-INHのレベルを測定するステップ(iv)は、(a)前記抽出したタンパク質を、補体成分1s(C1s)およびC1s基質とインキュベートして、反応混合物を産生させるステップと、(b)ステップ(a)で産生されたC1s基質産物のレベルを測定するステップと、(c)ステップ(b)で測定したC1s基質産物のレベルに基づき乾燥した血液スポットにおけるfC1-INHのレベルを決定するステップとを含み得る。一部の例では、C1基質産物は、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)または液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)のいずれかにより測定され得る。
一部の実施形態では、抽出したタンパク質を補体成分1s(C1s)およびC1s基質とインキュベートするステップ(a)は、抽出したタンパク質をC1sとインキュベートして反応混合物を産生させ、次に反応混合物をC1s基質とインキュベートしてC1s基質産物を産生させることにより、行われ得る。一部の例では、C1s基質産物のレベルは、液体クロマトグラフィー-質量分析法により測定され得る。例示的なC1s基質としては、限定するものではないが、C1s産物であるNα-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン(cbz-Lys)を生じさせるNα-カルボベンジルオキシ-Lys-チオベンジルエステルが挙げられる。
本明細書中記載の方法のいずれかは、対象、たとえばヒト対象から血液サンプル(たとえば全血サンプル)を入手するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、ヒト対象は、遺伝性血管性浮腫(HAE)、たとえばI型HAEまたはII型HAEといったC1-INH欠乏介在障害を有するかまたは有する疑いのあるヒト患者であり得る。
本明細書中記載の方法は、対象がHAEを有するかどうかを決定するステップをさらに含み得る。対照と比較して低いfC1-INHのレベル(C1s基質産物の高いレベルと相関する)は、対象が血漿カリクレイン(pKal)および/またはC1-INH欠乏介在障害、たとえば本明細書中開示されるHAEを有することを表す。本明細書中記載の方法のいずれかは、(a)機能的なC1-INHのレベルに基づき対象に適した処置を同定するステップ;(b)本明細書中開示される方法により決定されるfC1-INHのレベルに基づき疾患の処置の候補として対象を同定するステップ;またはその両方をさらに含み得る。
本明細書中記載の方法のいずれかは、本明細書中開示される方法のいずれかによりC1-INH欠乏介在障害のリスクがあるかまたはこれを有すると同定された対象に治療薬を投与するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、治療薬は、血漿カリクレイン(pKal)阻害剤、ブラジキニンB2受容体アンタゴニスト、またはC1エステラーゼインヒビターであり得る。例として、限定するものではないが、エカランチド、ラナデルマブ、イカチバント、またはヒト血漿由来のC1エステラーゼインヒビターが挙げられる。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、以下の説明に記載する。本発明の他の特性または利点は、以下の図面およびいくつかの実施形態の詳細な説明、また添付の特許請求の範囲から明らかである。
図1は、C1s産物(cbz-Lys)を分析するための例示的な乾燥した血液スポット(DBS)ベースのfC1-INHの液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)アッセイを示す概略図である。 図2は、衝突誘起解離(collision-induced dissociation:CID)下でのcbz-Lys親イオンのフラグメンテーションパターンを示す例示的なイオンクロマトグラムである。m/z 91で最も強いピークが、検出のためのプロダクトイオンとして選択された。 図3は、対照としての純粋な(neat)バッファー溶液(パネル(1));最適な体積比の赤血球およびBSA溶液の混合物から構成される代替のマトリックス由来のDBS抽出物の酵素反応(パネル(2));ならびに健常な個体由来の基準となる全血サンプル由来のDBS抽出物の酵素反応(パネル(3))に由来するcbz-Lysおよび内部標準を示す例示的なイオンクロマトグラムを含む。 図4は、DBSにおけるfC1-INHの測定を示す検量線である。 図5は、C1s産物(Nα-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン;cbz-Lys)を測定するための例示的な乾燥した血液スポット(DBS)ベースのfC1-INH液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)アッセイを示す概略図である。 図6A~6Dは、代表的なサンプルの例示的なイオンクロマトグラムを示す。図6Aは、対照としての純粋なバッファー溶液におけるcbz-Lysおよび内部標準を示す。図6Bは、ブランクの代替のマトリックスにおけるcbz-Lysおよび内部標準を示す。図6Cは、集められた基準となる血液におけるcbz-Lysおよび内部標準を示す。図6Dは、500mU/mLのC1-INHをスパイクした集められた健常な血液におけるcbz-Lysおよび内部標準を示す。mU/mLは、ミリリットルあたりの機能的なC1-INHのレベルのミリ単位である。 図7は、DBSにおけるfC1-INHの測定を示す代表的な検量線である。 図8は、健常な対象(n=103)およびHAE患者(n=24)に由来するサンプルにおけるfC1-INHのレベルを示すプロットである。mU/mLは、ミリリットルあたりの機能的なC1-INHのレベルのミリ単位である。 図9は、分析のため異なる位置から採取されたパンチ(N=3または=6)でのDBSサンプル(スポットA~D)を示す写真である。
C1インヒビタータンパク質(C1-INH)の遺伝的欠損は、遺伝性血管性浮腫(HAE)をもたらす。HAEを有する患者は、多くの場合、未知の引き金が関与する疼痛のある浮腫の急性発作に苦しんでいる。
C1エステラーゼ(C1s)インヒビター(C1-INH)は、ヒト血漿の正常な成分であり、アンチトロンビンIII、α1プロテアーゼインヒビター、α2-プラスミンインヒビター、およびヘパリンコファクターIIを含むセリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)のグループに属する。このグループの他の阻害剤と同じく、C1-INHは、補体系、内因性の凝固(接触)系、線維素溶解系、および凝固カスケードを含む人体の主要なカスケード系のうちのいくつかに関する重要な阻害性の潜在力を有する。C1-INHは、通常炎症プロセスの間に活性化され、反応部位への共有結合によりその基質を不活性化する。C1-INHは、補体成分1(C1r)の下位成分の、C1s、凝固第XIIa因子、およびカリクレインに対する唯一の既知の阻害剤である。さらにこれは、内因性の凝固カスケードにおける凝固第XIa因子の主要な阻害剤である。
HAEは、主に二つのタイプに分けることができる。I型は、低レベルのC1-INHタンパク質を特徴とし、HAE発症の約85%を占め、対してII型は、低機能のC1-INH(fC1-INH)であるが、正常または高いC1-INHのタンパク質レベルを特徴とし、約15%を占める。未処置のI型およびII型の患者においてUnits/mlで測定される場合、典型的なfC1-INHは、正常なレベルの5~30%である。患者由来のサンプルにおけるfC1-INHの正確かつ信頼できる測定は、HAE診断の基準として作用する。
現在、2つの種類の血漿試験が、fC1-INHのレベルを決定するために使用されている。第1のアッセイは、発色性アッセイであり、合成のC1sに特異的な基質を使用して試験サンプルにおけるC1-INHによる標的のプロテアーゼC1sの活性の阻害を間接的に測定する。第2の試験は、補体タンパク質の成分C1sへのC1-INHの機能的な結合に基づくELISAアッセイである。
現在、補体成分4(C4)のレベルと併せたfC1-INHの活性およびタンパク質の発現の血清または血漿中のレベルが、fC1-INHの活性が最も重要な試験ではあるが、HAEI型/II型の診断で推奨されている(たとえばMaurer M, et al. Allergy (2018)73:1575-96参照)。fC1-INHの活性を測定するための従来の方法は、発色性の方法または複合体を形成するイムノアッセイを含む。発色性の方法は、血漿サンプル中のC1-INHタンパク質の阻害活性を測定するため合成C1s基質を組み込み、ここで色の形成の欠損によりC1-INH誘導性の阻害が確認される。しかしながら、複合体を形成するイムノアッセイの方法は、C1-INHの阻害活性を直接測定することなく、C1-INH-C1s複合体の形成を検出する(たとえばLi HH, et al. J Allergy Clin Immunol Pract (2015)3:200-5参照)。
C1-INHおよびC4の抗原レベルは、通常、比濁法のアッセイにより測定される。これらアッセイは、医師のクリニックでの血液サンプルの即時処理および適切な保存を必要とし、全ての地理的領域において標準化されておらず、費用対効果が高くなく、または容易に利用可能ではない。今日まで、診断の比率は、中国、メキシコ、日本、韓国での5~10%から、米国および西ヨーロッパでの75~80%の範囲にある(データ未公開)。中央の研究室でfC1-INHを測定するための単純かつ標準化された方法を開発することに大きく関心が集まっている。
乾燥した血液スポット(DBS)ベースのアッセイは、新生児のスクリーニングまたはリソソーム蓄積症(LSD)などの多くの遺伝性疾患の患者の診断で広く利用されている(19~23)。複数のレポートからの結果により、酵素活性がDBSサンプルで保持され得ることが示された(2、24)。従来の血漿または血清のアッセイと比較して、DBSは、固有の利点を提供する。第1に、たとえば指の穿刺を使用する、DBSのサンプリングは、侵襲性が低く、大量の血液およびいずれの実験機器をも必要としない。第2に、DBSサンプルは、酵素活性または遺伝子の情報を有意に失うことなく、大気温度で長期間、輸送および保存できる。これら利点は、DBSサンプルが医師のオフィスで調製でき、集約された研究室で試験できることを保証している。
本開示は、乾燥した血液スポット(DBS)において機能的なC1インヒビター(fC1-INH)のレベルを測定するためのアッセイを記載する。このDBSベースの試験は、血漿ベースの発色性アッセイまたはELISAアッセイを超えるいくつかの利点、たとえば少量の血液、ろ紙で乾燥させた後の長期間の分析物の安定性、簡便なサンプルの輸送および保存を提供し、かつ/または、患者のサンプルを集約された研究室で試験することを可能にする。
I.機能的な血漿中エラスターゼC1インヒビター(fC1-INH)のレベルを検出するための方法
本開示は、患者の全血サンプルから調製した乾燥した血液スポット(DBS)を使用した強力な液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)によりfC1-INHのレベルを決定する方法に関する。このような方法は、HAEなどのC1-INH欠乏介在障害の診断に利用され得る。本方法は、DBSサンプルの調製、DBSサンプルからのタンパク質の抽出、タンパク質抽出物の補体成分1s(C1s)とのインキュベーション、および、C1s基質と反応させることによるC1s基質産物の産生を含み得、これは、たとえば液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)により測定され得る。
(i)サンプルの調製
C1-INH(たとえばfC1-INH、非機能的なC1-INH、またはその両方)を含んでもよくまたは含まなくてもよい全てのサンプルが、本明細書中記載の方法により分析され得る。本明細書中使用される場合、「サンプル」は、目的の分析物(本発明の場合はfC1-INH)を含み得る組成物を表す。サンプルは、対象由来の組織、血液、血漿、または血清を含み得る。用語「サンプル」は、対象から採取された最初の未処理のサンプル、およびその後処理されたサンプル、たとえば免疫沈降を介して部分的に精製または保存された形態の両方を包有し得る。例示的なサンプルとして、血液、血漿、血清、涙、または粘液が挙げられる。他の例では、サンプルは、in vitroアッセイ由来の組成物であり得る。
一部の実施形態では、サンプルは、体液サンプル、たとえば血清または血漿サンプルである。一部の実施形態では、サンプルは、分析を必要とする対象から得た生体サンプルである。「患者」、「対象」、または「宿主」(これら用語は互換可能に使用される)は、ヒトまたは非ヒトの動物を表し得る。一部の例では、対象は、接触系に関連する疾患を有し得るか、有する疑いがあり得るか、または当該疾患のリスクがあり得るヒト患者である。たとえば、ヒト患者は、HAEの病歴を有し得るか、またはHAEのリスクがあり得る。このようなヒト患者は、以前に処置されていてもよく、または接触系の成分(たとえばC1s、血漿カリクレイン)を標的とする薬物での処置の過程にあり得る。
生体サンプルは、体液サンプル、たとえば血液サンプルであり得る。一部の例では、血液サンプルは、全血サンプルである。全血は、赤血球、白血球、血小板、および血漿を含む。一部の実施形態では、血液サンプルは、血管(たとえば毛細血管、静脈、および動脈)から回収され得る。本明細書中記載の方法で使用するための全血サンプルは、当該分野で知られているいずれかの方法を使用して回収および処理され得る。一部の実施形態では、サンプルは、指の穿刺(指腹での採血)により得られる。一部の実施形態では、サンプルは、真空採血管を使用して回収され得る。
本開示のサンプルは、本明細書中記載される少なくとも1つのfC1-INH測定アッセイの実行に十分ないずれかの体積であり得る。一部の実施形態では、対象から得たサンプルは、25μL~10mLである。一部の実施形態では、本明細書中記載の方法で使用するためのサンプルまたはそのアリコートは、100μL~2mLである。一部の実施形態では、サンプルは、50μL~100μLである。一部の実施形態では、サンプルは、50μL~1mLである。一部の実施形態では、サンプルは、50μL、100μL、200μL、300μL、400μL、500μL、600μL、700μL、800μL、900μL、1mL、1.1mL、1.2mL、1.3mL、1.4mL、1.5mL、1.6mL、1.7mL、1.8mL、1.9mL、2.0mL、2.5mL、3.0mL、3.5mL、4.5mL、5.0mL、5.5mL、6.0mL、6.5mL、7.0mL、7.5mL、8.0mL、8.5mL、9.0mL、9.5mL、または10.0mLである。一部の実施形態では、サンプルは、60μLである。
本明細書中開示されるサンプルのいずれか、たとえば全血サンプルは、回収されてもよく、サンプルのアリコートは取り出され、支持体にスポットされ得る。一部の実施形態では、サンプルまたはサンプルのアリコートを含む支持体は、支持体上にサンプルの乾燥したスポットの形成を可能にするために適切な期間(たとえば少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、またはそれ以上の長い時間)、適切な条件下(たとえば室温)に維持される。
支持体は、膜、フィルム、ろ紙、または乾燥した血液スポットのカードであり得る。一部の実施形態では、支持体は、1つ以上のサンプル回収領域と、任意選択で巻き付けられたカバーとを含み得る。支持体は、サンプルの輸送を容易にするための密閉可能な容器、たとえばZiploc(登録商標)バッグに適合し得る。一部の実施形態では、支持体は、折り畳み式であり得る。本明細書中記載の支持体のいずれかは、サンプルのさらなる情報(たとえば対象の人口統計情報)を記録するための1つ以上の領域をさらに含み得る。
サンプル(またはそのアリコート)は、適切な条件下で適切な期間の範囲内にて支持体上で乾燥させることが可能であり得る。一部の実施形態では、サンプルは、約1~6時間、たとえば1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、または6時間、乾燥させられる。一部の実施形態では、サンプルは、約1~2時間、1~3時間、1~4時間、1~5時間、2~3時間、2~4時間、2~5時間、2~6時間、3~4時間、3~5時間、3~6時間、4~5時間、4~6時間、または5~6時間、乾燥させられる。
一部の実施形態では、サンプルは、適切な温度、たとえば10~40℃、またはそれ以上の温度で乾燥させられる。一部の実施形態では、サンプルは、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、またはそれ以上の温度で乾燥させられる。乾燥プロセスは、比較的高い温度下で短期間、またはあるいは比較的低い温度下で長期間、行われ得ることは当業者に知られている。一部の例では、サンプルは、室温(約25℃)で少なくとも3時間乾燥させられる。
(ii)タンパク質抽出
本明細書中記載されるように調製した乾燥したスポットサンプル、たとえば乾燥した血液サンプルは、サンプルに含まれる生体物質、たとえばタンパク質を抽出するように処理され得る。一部の実施形態では、乾燥したスポットサンプル、たとえばDBSサンプルは、タンパク質抽出のために処理され得る。タンパク質抽出は、本明細書中使用される場合、乾燥したサンプルに含まれるタンパク質またはタンパク質の特定の一部を(たとえば標的タンパク質が可溶性である)適切なバッファーに抽出することを表す。一部の例では、支持体のサンプル回収領域に存在する乾燥したスポットサンプル、たとえばDBSサンプルは、従来の方法(たとえばパンチャーを使用すること)により支持体の残りから単離され得る。単離された生体物質のサンプル、たとえばタンパク質サンプルは、さらなるタンパク質抽出のため適切な容器に移され得る。適切な容器の非限定的な例は、チューブ、ディッシュ、バイアル、複数のウェルのプレートであり得る。一部の例では、適切な容器は、96ウェルプレートであり得る。1つ以上の乾燥したスポットサンプル、たとえばDBSサンプルは、同時に処理され得る。
いずれかの適切なバッファーが、本明細書中記載の方法で使用され得る。好ましくは、バッファーは、抽出される生体物質と適合可能である(たとえばタンパク質を溶解でき、好ましくはタンパク質の機能を保持できる)。適切なバッファーの非限定的な例として、リン酸緩衝食塩水(PBS)、ダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)、またはハンクス平衡塩溶液(Hanks’ Balanced Salt Solution:HBSS)が挙げられる。一部の例では、バッファーは、PBSであり得る。一部の実施形態では、バッファーは、抽出される生体物質の安定性を促進し、かつ/または生体物質の分解を妨げるための1つ以上の成分を含み得る。
一部の実施形態では、抽出ステップで使用するためのバッファーは、適切な濃度(たとえば0.5%)でタンパク質抽出を容易にする1つ以上の作用物質(たとえばウシ血清アルブミン)を含み得る。一部の実施形態では、乾燥したスポットサンプル(たとえばDBSサンプル)を含む支持体またはその一部は、サンプル中の目的の生体物質(たとえばfC1-INH)の完全な抽出を可能にする適切な条件下でバッファーにおいてインキュベートされ得る。一部の実施形態では、乾燥したスポットサンプルを含有する支持体は、fC1-INHのレベルが測定され得るように目的の生体物質(たとえばfC1-INHを含むタンパク質)の十分な抽出を可能にするため、適切な温度、たとえば25~37℃(たとえば37℃)、適切な期間、たとえば2~5時間(たとえば3時間)、バッファーにおいてインキュベートされ得る。
一部の実施形態では、バッファー/サンプル混合物は、溶液への生体物質の抽出を容易にするため、適切な速度、たとえば800~2000rpm(たとえば1250rpm)で遠心分離され得る。温度、抽出期間、バッファーの使用、遠心分離を用いるかまたは用いないか、遠心分離の速度などを含む特定の抽出条件の選択は、たとえば抽出される生体物質および乾燥したスポットサンプルの形成に使用される支持体の種類に応じて変化し得る。このような情報は、当業者の知識の範囲内にあるとされているであろう。
(iii)fC1-INHの測定
上記に開示されるように調製されたfC1-INHを含む溶液は、溶液中のfC1-INHのレベルを決定するために分析され得る。一部の例では、fC1-INHのレベルは、たとえば従来の手法または本明細書中開示される方法により、fC1-INHの活性を決定することにより測定される。
fC1-INHのレベルは、当該分野で知られているかまたは本明細書中記載される適切な手法を使用して測定され得る。一部の実施形態では、fC1-INHのレベルは、C1sが切断できる発色性基質を使用した発色性アッセイにより測定される。一部の実施形態では、免疫アッセイが、本明細書中記載されるように目的のC1s産物のレベルを評価するために使用される。免疫アッセイの例として、限定するものではないが、ウェスタンブロット、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)(たとえばサンドイッチELISA)、ラジオイムノアッセイ、エレクトロケミルミネッセンスベースの検出アッセイ、および関連する技術が挙げられる。アッセイ、たとえばウェスタンブロットアッセイは、定量的なイメージングシステム、たとえば市販されているLICORイメージング技術(たとえばLI-COR Biosciences製のOdyssey(登録商標)CLx赤外線イメージングシステムを参照)の使用をさらに含み得る。一部の実施形態では、エレクトロケミルミネッセンス検出アッセイまたはエレクトロケミルミネッセンスおよびパターンアレイ技術の組み合わせに依存するアッセイ(たとえばMeso Scale Discovery(MSD)製のECLまたはMULTI-ARRAY技術アッセイ)が使用される。
本明細書中使用される場合、用語「~を測定する(measuring)」または「測定(measurement)」、またはあるいは「~を検出する(detecting)」または「検出(detection)」は、サンプルの中の物質の定性的または定量的な濃度のレベル、または対象の値もしくはカテゴリー化を評価する他のレベルの導出を含む、サンプルの中の当該物質の存在、非存在、量(quantity)、または量(amount)(有効量であり得る)を評価することを意味する。
一部の実施形態では、本明細書中開示される乾燥したスポットサンプル(たとえばDBSサンプル)のいずれかから抽出したfC1-INHを含有するサンプルは、C1sプロテアーゼおよびC1s基質とインキュベートされ得る。C1sプロテアーゼは、C1s基質に作用して、C1s基質をC1s基質産物に変換し、次にC1s基質産物の存在および/またはレベルを決定するために分析され得る。あるいは、C1s基質は、C1sプロテアーゼおよびfC1-INHを含有するサンプルとインキュベートした後に残存するC1s基質の存在および/またはレベルを決定するために分析され得る。C1sプロテアーゼがfC1-INHにより阻害されると、C1s基質産物の産生が減少または排除される。「C1s基質産物」は、本明細書中使用される場合、C1s基質でのC1sのプロテアーゼ反応からもたらされる切断された産物を表す。一部の実施形態では、C1s基質および/またはC1s基質産物の量は、C1sプロテアーゼおよび/またはfC1-INHの活性の間接的な尺度として使用され得る。
一部の実施形態では、本明細書中開示される乾燥したスポットサンプル(たとえばDBSサンプル)のいずれかから抽出したfC1-INHを含有するサンプルはまず、適切な期間、適切な条件下で、C1sプロテアーゼとインキュベートされ得る。次に、C1s基質が混合物に添加されてもよく、C1s基質産物の産生を可能にするための適切な期間、適切な条件下でさらにインキュベートされ得る。一部の実施形態では、このインキュベーションは、暗室で行われ得る。一部の例では、この方法は、C1sプロテアーゼ反応をクエンチするステップを含み得、これにより分析の正確性を増大させ得る。一部の実施形態では、C1sプロテアーゼ反応をクエンチすることは、クエンチ溶液でC1s反応混合物を希釈(たとえば1:5~1:20)することにより達成され得る。「クエンチ溶液」は、本明細書中使用される場合、本明細書中記載されるように酵素反応(たとえばC1sプロテアーゼ反応)を停止させるための溶液を表す。一部の実施形態では、クエンチ溶液は、酵素を変性または不活性化できる作用物質を含み得る。非限定的な変性剤として、アルコール、界面活性剤、強酸、強塩基、キレート剤などが挙げられる。一部の実施形態では、クエンチ溶液は、界面活性剤(たとえばSDS)および/またはアルコール(たとえばメタノール)を含み得る。
本明細書中開示される方法で使用するためのC1s基質は、検出可能なC1s基質産物を産生させるようにC1sプロテアーゼにより切断され得るいずれかの基質であり得る。C1s基質の非限定的な例として、C1sプロテアーゼ切断後にNα-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン(cbz-Lys)を産生するNα-カルボベンジルオキシ-Lys-チオベンジルエステル、ならびにC4aおよびC4bを産生するC4が挙げられる。
一部の実施形態では、酵素反応をクエンチした後、サンプルは、その後の液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)分析のためにさらに希釈され得る。一部の実施形態では、サンプルは、適切な溶液(たとえば80(v/v)%のMeOH水溶液)で200倍に希釈され得る。
このように産生されたC1s基質産物は、その存在および/またはレベルを決定するために従来の方法により分析され得る。一部の実施形態では、C1s基質産物は、質量分析法(MS)の質量分析の特性と液体クロマトグラフィーの物理的な分離特性を組み合わせる分析技術である、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)手法により分析され得る。LC-MS/MSアッセイは、規定の方法を使用して行われ得る。
一部の例では、C1s基質産物の分析に使用するための質量分析計は、選択反応モニタリング(selective reaction monitoring:SRM)モードの下で作動し得る。SRMモードは、特定の質量のイオンがタンデム質量分析計の最初のステージで選択され、前駆体イオンのフラグメント化反応のイオン生成物が検出のための第2の質量分析計のステージで選択されるタンデム質量分析法に関して高感受性かつ高選択性の方法である。SRMモードは、質量分析法による目的とされた定量化のために使用され得る。イオン化の後、たとえばエレクトロスプレーの供給源を使用して、まず前駆体が、主に意図した種(たとえば親イオン)の実質的なイオン集団を得るために単離される。次に、この集団は、シグナルの存在量がサンプル中の目的の生成物の存在量を表すプロダクトイオンをもたらすようにフラグメント化される。一部の実施形態では、cbz-Lysの親イオンは、m/z 281であり得、検出のため選択されるcbz-Lysのプロダクトイオンは、m/z 91であり得る。実施例に記載されるように、ABSciex 5500または6500 QTrap質量分析計などの適切な器具が使用されてもよく、様々なサンプル間の差異が、方法の最適化の後に評価され得る。個体の全血サンプルは、本明細書中記載されるように、LC-MS/MS分析用に調製され得る。
(たとえばAUCにより提示される)C1s基質産物のレベル(たとえば濃度)、よってfC1-INHの濃度は、従来の方法を介して決定され得る。検量線または標準曲線(たとえば4つのパラメータのロジスティックな検量線)は、内部標準(たとえばNε-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン-2,6,6-d3の濃度)に対する分析物(たとえばcbz-Lys)のピーク面積比に対してfC1-INHの濃度をプロットすることにより作成され得る。この検量線は、式、たとえば
Figure 2022529265000002
(式中、yはピーク面積比を表し、xはサンプル濃度を表し、A、B、C、およびDは、曲線適合パラメータである)
にあてはめられ得る。
一部の実施形態では、LC-MS/MS法は、本明細書中記載の方法を使用して調製される較正基準を分析することにより正確性および再現性に関して検証され得る。一部の実施形態では、サンプル中のfC1-INHのレベル(たとえば濃度)は、式(たとえば式1)により計算され得る。これら結果は、本明細書中記載の方法により調製されるサンプル中のC1s基質産物のレベルにより提示および計算されたfC1-INHのレベルが、HAEの診断にとって信頼できるバイオマーカーであることを表している。
一部の例では、検量線は、内部標準に対する目的の分析物(C1sシグネチャー産物)のピーク面積比で構築され得る。本明細書中使用される場合、「内部標準」は、サンプル調製の間の分析物の喪失を補正するため、よって分析物の分析の正確性を高めるために、試験サンプル、クオリティコントロール(QC)のサンプル、ブランク、および較正基準に一定量で添加される化学物質を表す。一部の実施形態では、内部標準は、Nε-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン-2,6,6-d3または別の安定したアイソトープで標識したC1s基質産物である。一部の実施形態では、検量線は、定量的な分析に使用され得る。
さらに、較正基準のシリーズが調製され得、アッセイの標準物質としてまたは品質管理のために、サンプルを用いたLC-MS/MS分析に供され得る。較正基準は、本明細書中使用される場合、既知の量の目的の分析物または物質(たとえば本開示のfC1-INH)を含む全血または溶液を表す。較正基準は、試験系が記録可能な範囲にわたりサンプルを正確に測定していることを確保するためにサンプルと同じ方法で既知の濃度の物質を試験するために使用され得る。較正基準は、目的の物質を当初含まないかまたはこれが枯渇した溶液に様々な既知の量の目的の物質(たとえばfC1-INH)を添加することにより調製され得る。一部の例では、目的の物質(たとえばfC1-INH)は、試験サンプルを模倣するように試験サンプル(たとえば全血サンプル)に類似する生体サンプル(たとえば代替のマトリックス)に添加され得る。一例では、較正基準は、fC1-INHが枯渇した代替の血液とfC1-INH(たとえば精製したfC1-INH)を混合することにより調製され得る。fC1-INHが枯渇した代替の血液は、本明細書中使用される場合、(i)適切な集団、理想的には対象と同じ種(たとえば健常な個体、雄性および/または雌性)から、適切な方法(たとえば真空採血管)により、新鮮な全血を入手および/または集め;(ii)適切な方法(たとえば室温、800rpm、10分間での遠心分離)を使用して上清の血漿を除去することにより血液サンプル中の内因性の目的の物質(たとえばfC1-INH)を枯渇させ;(iii)適切な容量(たとえば等体積)の集められた残りの赤血球を適切なバッファー(たとえばPBSにおいて約4.3%のBSA)と混合することにより、調製され得る。目的の物質(たとえばfC1-INH)のための較正基準およびクオリティコントロール(QC)は、本明細書中記載されるように、様々な既知の濃度の目的の物質(たとえばfC1-INH)を含む溶液をfC1-INHが枯渇した代替の血液にスパイクすることにより調製され得る。較正基準は、LC-MS/MS分析の前に、本明細書中記載されるC1s基質産物を産生させる方法に供され得る。
1つの特定の例では、本明細書中記載の方法は、(1)全血サンプルからのDBSカードの調製のための手法;(2)DBSカードからのC1-INHタンパク質の抽出;(3)補体成分C1sと抽出したタンパク質のインキュベーション;(4)酵素産物、Nα-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン(cbz-Lys)を産生させるための、C1s基質、Nα-カルボベンジルオキシ-Lys-チオベンジルエステルとの酵素反応;および(5)定量化のための内部標準としてNε-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン-2,6,6-dを使用するLC-MSアッセイによるcbz-Lysのその後の測定を含み得る。
II.乾燥したスポットのアッセイ方法の適用
本明細書中記載されるサンプル中のfC1-INHを測定するためのアッセイ方法は、臨床目的または非臨床目的のために使用され得る。
(i)疾患の診断および予後診断
遺伝性血管性浮腫(HAE)などのC1-INH欠乏介在障害の診断は、候補対象から得られたサンプル中のfC1-INHのレベルに基づき得る。
本明細書中記載されるアッセイ方法およびキットは、疾患の評価、たとえば疾患の診断または予後診断に適用され得る。評価は、本明細書中記載される疾患、たとえばHAE(たとえばI型HAEまたはII型HAE)などのC1-INH欠乏介在障害のリスクがあるかまたはこれを有すると対象を同定することを含み得る。また評価は、疾患の処置をモニタリングすること、たとえばHAEなどのC1-INH欠乏介在障害の処置の有効性を評価することを含み得る。さらに評価は、pKal阻害剤、たとえばC1sインヒビター(たとえばヒト血漿由来のC1sインヒビター)または血漿カリクレイン阻害剤により処置され得る疾患を同定することを含み得る。
A.診断
一部の実施形態では、本明細書中記載されるアッセイ、方法、およびキットは、候補対象(たとえばC1-INH欠乏介在障害(たとえばHAE)を有する疑いのあるヒト患者)から回収した生体サンプル(たとえば全血サンプル)中のfC1-INHのレベルを決定するために使用される。fC1-INHのレベルは、本明細書中記載される方法により(たとえば4つのパラメータのロジスティックな検量線により)もたらされるC1s基質産物のレベルに基づき決定され得る。このようなfC1-INHのレベルは、対象がたとえばHAEといったC1-INH欠乏介在障害を有するかまたはこのリスクがあるかどうかを決定するために、所定の参照値または参照比率と比較され得る。たとえば、候補対象のサンプル中のfC1-INHが参照値以下である場合、対象は、HAEなどのC1-INH欠乏介在障害を有するかまたはこのリスクがあると同定され得る。
参照サンプルは、本明細書中記載されるfC1-INHの対照レベルであり得る。一部の実施形態では、対照レベルは、好ましくは候補対象と同じ種および年齢である、健常な対象または健常な対象の集団から得た対照サンプル(たとえば全血サンプル)中のfC1-INHの量を表す。本明細書中使用される場合、健常な対象は、fC1-INHのレベルが測定される時点で標的の疾患(たとえばHAEなどのC1-INH欠乏介在障害)を明らかに有していないかまたはこの疾患の病歴がない対象である。
あるいは、参照値は、所定の値であり得る。このような所定のシグネチャーのfC1-INHは、標的の疾患を有さないかまたは標的の疾患のリスクがない対象の集団における本明細書中記載のfC1-INHの値を表し得る。
所定の値は、様々な形態をとり得る。たとえば、これは、単一のカットオフ値、たとえば中央値または平均値であり得る。一部の実施形態では、所定のレベルは、たとえば1つの定義されたグループが標的疾患を有することが知られており、別の定義されたグループが標的疾患を有さないことが知られているグループなどの、比較のグループに基づき確立され得る。あるいは、所定のレベルは、ある範囲にあり得、たとえば所定のパーセンタイルの範囲内での対照集団のfC1-INHの範囲であり得る。
本明細書中記載の対照値は、規定の技術により決定され得る。一部の例では、対照値は、同様に本明細書中開示される対照サンプルで従来の方法(たとえば本明細書中記載されるfC1-INHのレベルを得るための同じアッセイ)を行うことにより入手され得る。他の例では、fC1-INHのレベルは、対照集団のメンバーから入手され得、この結果は、たとえばコンピュータプログラムにより、対照集団におけるfC1-INHのレベルを表す対照レベル(所定のレベル)を入手するために、分析され得る。
候補対象から得たサンプル中の本明細書中記載されるfC1-INHの濃度を本明細書中記載される参照比率と比較することにより、候補対象がC1-INH欠乏介在疾患(たとえばHAE)を有するかまたは当該疾患のリスクがあるかどうかに関して決定され得る。たとえば、候補対象のサンプル中のfC1-INHの値が参照値または参照比率から逸脱(たとえば参照値と比較して減少)する場合、候補対象は、当該疾患を有するかまたは当該疾患のリスクがあると同定され得る。参照値が標的疾患を有する対象の集団において本明細書中記載されるfC1-INHの値の範囲を表す場合、この範囲にある候補のサンプルにおけるfC1-INHの値は、候補対象が標的疾患を有するかまたは当該疾患のリスクがあることを表す。
本明細書中使用される場合、「参照値未満の値の減少」は、fC1-INHのレベルが、参照値、たとえば対照サンプルにおけるfC1-INHの所定の閾値よりも低いことを意味する。対照レベルは、本明細書中詳述されている。fC1-INHの値の減少は、たとえば対照サンプルの参照値より1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上低い値を含む。
一部の実施形態では、候補対象は、C1-INH欠乏介在障害、たとえばHAEなどの1つ以上の症状を有するヒト患者である。たとえば、対象は、浮腫、腫脹(上記腫脹は、完全にまたは主に末梢性である);蕁麻疹;感染症のエビデンスの不存在下での発赤、疼痛、および腫脹;非ヒスタミン介在性浮腫、腫脹の再発性発作、またはそれらの組み合わせを有し得る。他の実施形態では、対象は、サンプルが回収される時点でC1-INH欠乏介在障害の症状を有さないか、C1-INH欠乏介在障害の症状の病歴を有さないか、またはHAEなどのC1-INH欠乏介在障害の病歴を有さない。さらなる他の実施形態では、対象は、抗ヒスタミン療法、副腎皮質ステロイド療法、またはその両方に耐性がある。
B.適した処置の同定
一部の実施形態では、本明細書中記載されるアッセイ方法およびキットはまた、C1-INH欠乏介在障害(たとえばI型HAEまたはII型HAE)を有するかまたは有するリスクがある対象に適した処置を同定するために使用され得る。たとえば、対象のfC1-INHのレベルは、本明細書中記載の方法のいずれかを使用して測定され、fC1-INHの所定の値と比較され得る。対象のfC1-INHの値が所定の値以下である場合、対象は、fC1-INHの所定の値に基づく処置(たとえば本明細書中記載される組み換えC1-INH治療薬または他の治療薬)により処置され得る。一部の例では、対象は、fC1-INHのレベルに基づく疾患の処置の候補であり得る。
一部の実施形態では、本明細書中記載の方法は、C1-INH欠乏介在障害(たとえばHAE)を有するかまたは有するリスクのある対象に治療薬を投与することをさらに含む。治療薬の非限定的な例として、血漿カリクレイン(pKal)阻害剤(たとえばエカランチド、ラナデルマブ)、ブラジキニンB2受容体アンタゴニスト(たとえばイカチバント)、およびC1sインヒビター(たとえばヒト血漿由来のC1sインヒビター)が挙げられる。
(ii)非臨床的な適用
さらに、本明細書中記載のアッセイ方法は、たとえば研究目的および/または前臨床の薬物開発の目的のための、非臨床的な適用を有し得る。C1-INH欠乏に関連する多くの疾患が同定されているが、他の疾患が同様の機構により仲介されるかまたは同様の構成要素を含む可能性がある。一部の実施形態では、本明細書中記載の方法は、C1-INH欠乏に関連する疾患を同定するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書中記載の方法は、疾患の機構(たとえば疾患の発症に関与する新規の生体経路またはプロセスの発見)または疾患の進行を試験するために使用され得る。
一部の実施形態では、本明細書中記載のアッセイ方法により決定されるfC1-INHのレベルは、C1-INH欠乏に関連する疾患のための新規の治療法の開発に使用され得る。たとえば、本明細書中記載されるfC1-INHのレベルは、新規の治療(たとえば遺伝子療法)を行った対象から得たサンプル、またはin vitroアッセイから得たサンプルで測定され得る。一部の実施形態では、fC1-INHレベルは、in vitroアッセイでの新規の治療法の活性または臨床試験の状況での新規の治療法の有効性を表し得る。
III.乾燥したスポットのアッセイ方法を行うためのキット
また本開示は、本明細書中記載されるfC1-INHのレベルの測定に使用するためのキットを提供する。このようなキットは、サンプルを回収および調製し、サンプルからタンパク質から抽出するための物質、サンプル中のfC1-INHを測定するための構成要素、および/またはサンプル中のfC1-INHレベルをアッセイするための説明書を含み得る。
一部の実施形態では、本キットは、膜、ろ紙、または乾燥した血液スポットのカードなどの支持体を含む。本方法に適切な支持体の選択は、評価されるサンプルの数およびサンプルからタンパク質を抽出する方法などの様々な要因に依存する。
一部の実施形態では、支持体は、ELISAプレートなどのマルチウェルプレートである。一部の実施形態では、本明細書中記載のイムノアッセイは、高スループットのプラットフォームで行われ得る。一部の実施形態では、マルチウェルプレート、たとえば24、48、96、384、またはそれ以上の数のウェルのプレートが、高スループットイムノアッセイで使用され得る。個別のイムノアッセイは、各ウェルにおいて並行して行われ得る。よって、全般的に、アッセイのスループットを増大させるために、マルチウェルプレートを並行して測定するようにプレートリーダーを使用することが望ましい。一部の実施形態では、並行して複数のウェル(たとえば4、16、24、48、96、384、またはそれ以上のウェル)をイメージングできるプレートリーダーがこのプラットフォームで使用され得る。
また本キットは、本明細書中に記載される1つ以上のバッファーを含み得るが、クエンチバッファー、変性バッファー、およびタンパク質抽出バッファーに限定されない。バッファーの例として、限定するものではないが、PBS、DPBS、HBSS、HEPES、Tris、Tris-HCl、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、および塩化カリウムが挙げられる。
一部の実施形態では、本キットは、本明細書中記載の方法のいずれかに係る使用のための説明書を含み得る。含まれる説明書は、ヒト患者などの対象から回収される生体サンプル中のfC1-INHのレベルを測定するためのキットに含まれる成分を使用する方法の説明を含み得る。
本キットの使用に関連する説明書は、全般的に、本明細書中記載の方法を行うための各成分の量および適切な条件に関する情報を含む。本キットの成分は、単位用量、バルクパッケージ(たとえば複数の用量のパッケージ)、または下位単位用量であり得る。本開示のキットに供給される説明書は、通常、ラベルまたは添付文書(たとえば本キットに含まれる紙のシート)上に書かれた説明書であるが、機械可読な説明書(たとえば磁気保存ディスクまたは光保存ディスクに担持された説明書)もまた許容される。
ラベルまたは添付文書は、本キットが1つ以上のサンプルにおけるfC1-INHのレベルを評価するために使用されることを表す。説明書は、本明細書中記載の方法のいずれかを行うために提供され得る。一部の実施形態では、本キットは、分析の前に乾燥したサンプルを輸送するための密閉可能な容器(たとえばZiploc(登録商標)バッグ)を含み得る。
本開示のキットは、適切なパッケージングにある。適切なパッケージングとして、限定するものではないが、バイアル、ビン、ジャー、可撓性のパッケージング(たとえば密閉されたマイラーバッグまたはプラスチックバッグ)などが挙げられる。
キットは、任意選択で、たとえば検量線を作成するための、対照および/または標準サンプルもしくは参照サンプルなどの解釈上の情報などのさらなる構成要素を提供し得る。通常、本キットは、容器および容器上にあるかまたは容器に関連したラベルまたは添付文書を含む。一部の実施形態では、本開示は、上述のキットの中身を含む製造物品を提供する。
さらに詳しく説明はされないが、当業者は上記説明に基づき本発明を最も完全な度合いまで利用できることが考えられる。よって、以下の特定の実施形態は、単なる例であり、いかなる方法であっても本開示の残りを限定しない。本明細書中引用される全ての刊行物は、本明細書中言及される目的または主題のため参照により組み込まれている。
実施例1:DBSベースのLC-MS/MS fC1-INHアッセイ
この実施例は、血液サンプル中の機能的なC1インヒビター(fC1-INH)を測定するための乾燥した血液スポット(DBS)ベースのLC-MS/MS分析を説明する。図1は、このアッセイの例示的なスキームを示す。
この方法は、ヒト全血サンプルにおけるfC1-INHレベルを決定することを目的とする。この方法は、較正基準、クオリティコントロール(QC)、およびDBSサンプルの調製、DBSサンプルからのタンパク質の抽出、タンパク質抽出物の補体成分1s(C1s)とのインキュベーション、Nα-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン(cbz-Lys)を産生させるためのC1s基質のNα-カルボベンジルオキシ-Lys-チオベンジルエステルとの反応、ならびに液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)を使用したcbz-Lysのその後の測定を含む。AB Sciex QTrap 6500質量分析計を、陽イオンモードにおいてcbz-Lysおよび内部標準(Nε-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン-2,6,6-d3)の検出に最適な条件下にて選択的反応モニタリング(SRM)モードで作動させた。
実験手法
(i)較正基準およびクオリティコントロール(QC)の調製
標準物質およびクオリティコントロール(QC)を、C1-INHタンパク質を枯渇させた代替血液から調製した。簡潔に述べると、健常な個体(雄性および雌性)由来の新鮮な全血を集め、1200×gにて室温で10分間遠心分離した。上清の血漿を廃棄し、得られた赤血球をリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液で1回洗浄した。C1-INHを含まない代替血液は、等体積の集めた赤血球およびPBSにおいて4.3%のウシ血清アルブミン(BSA)を混合することにより調製した。較正基準およびQCを調製するために、異なる濃度のC1-INH溶液を代替血液にスパイクした。
(ii)DBSサンプルの調製
全血の検体を回収した後、最大60μLのアリコートをDBSカード(903 Protein Saver Card, Whatman)のろ紙のスポット上に沈着させた。DBSカードは、ろ紙を染み通った血液の喪失を防ぐために後ろ側がどの表面との接触しないように湾曲していた。このカードを、少なくとも3時間(h)乾燥させ、室温で保存した。
標準物質、QC、および試験サンプルの調製のため、DBS Puncher(GE Health Care Life Science Whatman)を使用して3.0mmの孔をあけ、DBSサンプルを、500μLの96ウェルプレート(Eppendorf Protein Lobind)のバイアルに移した。DBSサンプルを、1250rpmで作動するインキュベータにて、PBSバッファー中0.5%のBSA100μLと37℃で3時間インキュベーションすることにより抽出した。抽出したサンプルのアリコート(20μL)を、別の96ウェルプレートに移し、PBS中0.5%のBSAで新たに調製した0.5μg/mLのC1s溶液50μLと混合させた。800rpm、37℃で1.5時間インキュベートした後、基質溶液(Nα-カルボベンジルオキシ-Lys-チオベンジルエステル)および内部標準(Nε-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン-2,6,6-d3)の混合物105μLを添加し、暗室にて室温で40分間インキュベートすることにより酵素反応を進行させた。この反応を、MeOH/水(80/20、V/V)において0.1%のSDS450μLに反応溶液50μLを移すことによりクエンチした。上記サンプルを、MeOH/水(80/20、V/V)で200倍にさらに希釈した後、LC-MS/MS分析を行った。
(iii)LC-MS/MS分析
反応しなかった基質、基質産物(分析物、cbz-Lys)、および内部標準の分離を、30℃に設定した逆相カラム(Waters Xbridge Protein BEH C4、3.5μm、2.1×50mm)を使用してWaters Acquity UPLC上で達成させた。移動相Aは、0.1%のギ酸水溶液であり、移動相Bはアセトニトリルであった。流速は0.3ml/分であり、移動相の勾配は、以下の時点(時間、B(%)):0分、4%;0.5分、4%;3.5分、12%;3.6分、70%;4.6分、70%;4.7分、4%;5.5分、4%の間の勾配ステップから構成された。オートサンプラーの温度は4℃に設定し、3μLのサンプルを、部分ループLC注入モードで注入した。分析物および内部標準のシグナルは、cbz-Lysおよび内部標準(Nε-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン-2,6,6-d3)の検出に最適な設定の下、エレクトロスプレーイオン化により形成される陽イオンを使用した選択的反応モニタリング(SRM)モードで作動させたAB Sciex QTrap 6500質量分析計で得た。
最適化されたMSパラメータの設定は、以下の通りであった:カーテンガス(Curtain Gas)、20;衝突ガス(Collision Gas)、中程度;イオンスプレー電圧(IonSpray Voltage)、4000;温度、550;イオン源ガス(Ion Source Gas)1、50;イオンガス源(Ion Gas Source)2、50;デクラスタリング電位(Declustering Potential)、120;Entrance Potential、10.0;衝突エネルギー(Collision Energy)、26.0;CXP(Collision Cell Exit Potential)、12.0。分析物および内部標準を、それぞれm/z 281.2からm/z 91.0まで、およびm/z 284.2からm/z 91.0まで、SRMイオンでモニタリングした。
(iv)データ分析
分析物および内部標準のピーク面積を、Analystソフトウェアにより決定した。4つのパラメータのロジスティックな検量線を、SoftMax Pro 7.0を使用し、内部標準に対する分析物のピーク面積比および標準物質にスパイクしたfC1-INHの濃度で構築した。サンプル中のfC1-INHのレベルを、以下の式に基づき計算した:
Figure 2022529265000003
(式中、yはピーク面積比を表し、xはサンプル濃度を表し、A、B、C、およびDは、曲線適合パラメータである)。さらに、正確性および相対標準偏差(RSD)を、エクセルを使用して計算した。
結果
図2は、衝突誘起解離(CID)の下でのcbz-Lys前駆体イオンのフラグメンテーションパターンを示す。m/z 91での最も強いピークが、検出のためのプロダクトイオンとして選択された。
図3は、(1)対照としての純粋なバッファー溶液;(2)最適な体積比の赤血球およびBSA溶液の混合物から構成される代替のマトリックス由来のDBS抽出物の酵素反応産物;(3)健常な個体由来の基準となる全血サンプル由来のDBS抽出物の酵素反応産物に由来するcbz-Lysおよび内部標準(IS)のイオンクロマトグラムを表す。異なる供給源のサンプルからのcbz-LysおよびISの保持時間は、再現性がある。さらに、純粋な溶液および代替血液マトリックスからのcbz-Lysのピーク強度は非常に類似しており、代替血液マトリックスにおける残渣のfC1-INHが最小限であることを暗示している。他方で、fC1-INHが正常である健常な血液サンプル由来のcbz-Lysのピーク強度は有意に低く、fC1-INHの存在によるC1sの酵素の活性の阻害が示唆される。この図は、DBS抽出物の酵素反応後のcbz-Lysを検出する実現可能性を示している。
DBSにおけるfC1-INHの測定のための検量線を、図4に示す。
DBSベースのLC-MS/MS fC1-INHアッセイの実験間(inter-run)での再現性を評価するために、6名の個別の対象から集めた血液サンプルを回収し、3つの異なる日に、DBSベースのLC-MS/MS fC1-INHアッセイを使用して分析した。このアッセイの結果を表1に示す。アッセイの精度(%CV~10.3)は、極めて良好である。
表1.DBSベースのLC-MS/MS fC1-INHアッセイの実験間での再現性
Figure 2022529265000004
DBSベースのLC-MS/MS fC1-INHアッセイの日内(intra-day)の再現性を評価するために、C1-INHを、クオリティコントロールとしての異なる濃度(定量下限(LLOQ)、Low、Mid、およびHigh)で赤血球マトリックスにスパイクした。次に、サンプルを、DBSベースのLC-MS/MS fC1-INHアッセイを使用して分析した。この結果を表2に示す。アッセイから得られたfC1-INHのレベルは、サンプルにスパイクしたfC1-INHのレベルに対応しており、DBSを使用してfC1-INHを測定する際のこのアッセイの精度を表す。
表2.DBSベースのLC-MS/MS fC1-INHアッセイの日内の再現性
Figure 2022529265000005
実施例2:DBSベースのLC-MS/MS fC1-INHアッセイの使用
本明細書において、HAE患者の診断のためのDBSにおけるfC1-INHの活性を測定できる新規アッセイの開発および検証を記載する。このアッセイは、規制のガイドラインおよび業界の最良の手法にしたがい検証した。HAE患者由来のDBSサンプルは、有意に低いfC1-INHの活性を示し、健常な対象とHAE患者の差別化を可能にした。
実験手法
(i)材料
α-カルボベンジルオキシ-Lys-チオベンジルエステルハイドロクロライド(Z-Lys-SBzl・HCl、C1s基質)およびNε-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン-2,6,6-d(Nε-CBZ-L-リジン-d、内部標準)は、それぞれBACHEM(Torrance, California, USA)およびCDN Isotopes(Quebec, Canada)から購入した。組み換え型ヒト補体成分C1s(C1s)は、R&D System(Minneapolis, MN, USA)から購入した。組み換え型C1-INH(CINRYZE(登録商標))は、組織内で入手した。ウシ血清アルブミン(BSA)は、Americanbio(Natick, MA, USA)から入手した。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液(10%)は、Sigma(St. Louis, MO, USA)の製品であった。500μLの96ウェルプレート(Eppendorf Protein LoBind)は、Eppendorf(Hamburg, Germany)から購入した。3mmのパンチャーおよびWhatman #903タンパク質保存カードは、GE Health Care Life Science(Little Chalfont, Buckinghamshire, UK)から購入した。乾燥剤(1g)およびバイオハザードバッグは、VWR(Radnor, PA, US)から得た。試験に使用される他の全ての化学物質は、最も高いグレードであり、さらに精製することなく使用した。
(ii)溶液の調製
C1s希釈標準溶液(0.5μg/mL)を、PBSバッファーにおいて調製した0.5%のBSA溶液でC1sストック溶液(367μg/mL)を734倍に希釈することにより新たに調製した。基質ストック溶液は、DMSOにZ-Lys-SBzl・HClを最終濃度10mMとなるまで溶解することにより調製した。内部標準(IS)ストック溶液(2.5mM)を、5mMのNaCOを含むメタノール/水(50/50)溶液にNε-CBZ-L-リジン-dを溶解することにより調製した。基質、C1s、およびISのストック溶液は、使用前に-80℃で保存した。0.83mMのZ-Lys-SBzl・HClおよび33.3μMのNε-CBZ-L-リジン-dを含む基質-ISカクテルを、PBSバッファーにおいて新たに調製した。SDS溶液(0.1%)をメタノール/水(80/20、V/V)溶液で10%のSDSを100倍に希釈することにより調製した。
(iii)DBSサンプルの調製
24名の以前に診断されたHAE患者由来の全血は、患者が記入したインフォームドコンセントと共に提供された。この血液を、バキュテイナEDTAチューブに引き込み、4℃で保存した。回収から24時間以内に、チューブを数回反転させて血液細胞を再懸濁させ、60μLのアリコートをろ紙の局所にスポットした。103名の健常な対象由来の正常なヒト全血を、BIOIVT(Westbury, NY, USA)から購入した。血液スポットを室温で少なくとも3時間乾燥させ、密閉したバイオハザードバッグに、各バッグに1つの乾燥剤を用いて-20℃で保存した。
(iv)代替のマトリックスとしてのC1-INHフリーの血液の調製
検量線およびクオリティコントロール(QC)の調製のためのfC1-INHを枯渇させた代替のマトリックスを得るために、ヒト全血サンプル(3名の男性および3名の女性、それぞれ10mL)の6つの異なるロットを、実施例1に記載のように調製した。簡潔に述べると、全血を、室温で、10分間、1200×gで遠心分離した。上清の血漿を除去し、赤血球を5mLのPBS溶液で洗浄して、残りの血漿およびfC1-INHを除去した。赤血球を、1200×g、室温で10分間遠心分離することにより再度単離した。結果得られるfC1-INHフリーの赤血球を集めた。代替血液マトリックスを、等体積の集めた赤血球およびPBSバッファーで調製した4.3%のBSAを混合することにより調製した。
(v)DBSにおける較正基準およびQCサンプルの調製
較正基準(標準物質)を、異なる濃度のfC1-INH(CINRYZE(登録商標))を代替のマトリックスにスパイクすることにより調製した。名目上のfC1-INHの濃度は、それぞれ100、200、300、500、1000、および1500mU/mLであった。クオリティコントロール(QC)のサンプルは、代替のマトリックスまたは集めたヒト全血のいずれかで調製した。定量下限(LLOQ)のQC(100mU/mL)およびLow QC(150mU/mL)を代替のマトリックスで調製した。他の全てのQCを、内因性C1-INHのレベル(EL):Low-Mid QC(EL)、Mid QC(EL+200mU/mL)、Mid-High QC(EL+500mU/mL)、およびHigh QC(EL+800mU/mL)を考慮することにより集めた全血で調製した。DBSにおける標準物質およびQCの調製は、同じ上述の手法に倣った。
(vi)サンプルの抽出および酵素反応
サンプルを抽出し、酵素反応を実施例1に記載のように行った。簡潔に述べると、DBSディスクを、3mmのパンチャーで切断し、500μLの96ウェルプレートに移した。ディスク中のタンパク質を、Thermomixerインキュベータにて、PBS中0.5%のBSA100μLにおいて37℃の温度、1250rpmで3時間ボルテックスしながらインキュベートすることにより、抽出した。プレートを、4000rpmで3分間遠心分離し、次に20μLの抽出物を、C1s希釈標準溶液50μLを含む別の96ウェルプレートに移した。この後に、800rpm、37℃で1.5時間インキュベートを行った。その後、105μLの基質-内部標準(基質-IS)カクテルを上記の溶液に添加した後、暗室にて、800rpm、室温で40分間インキュベートした。この反応を、50μLの溶液をMeOH/水(80/20、v/v)中0.1%のSDS450μLに移すことにより終結させた。結果得られたサンプルを、MeOH/水(80/20、v/v)で200倍にさらに希釈した後、LC-MS/MS分析を行った。
(vii)LC-MS/MS分析
反応サンプルを、実施例1に記載されるようにLC-MS/MSにより分析した。簡潔に述べると、基質(Z-Lys-SBzl・HCl)、分析物(Nα-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン、cbz-Lys)、およびIS(Nε-CBZ-L-リジン-d)の分離を、逆相カラム(Waters Xbridge Protein BEH C4、3.5μm、2.1×50mm)を使用してカラムの温度を30℃に維持しながらWaters Acquity UPLCシステムで達成した。移動相Aは、0.1%のギ酸水溶液であり、移動相Bは、アセトニトリルであった。流速は、0.3mL/分であり、移動相の勾配は、以下の通りであった(時間、B(%)):0分、4%;0.5分、4%;3.5分、12%;3.6分、70%;4.6分、70%;4.7分、4%;5.5分、4%。オートサンプラーは4℃に設定し、3.0μLのサンプルを、部分ループLC注入モードを使用して注入した。分析物およびISを、陽イオンを使用して選択的反応モニタリング(SRM)モードで作動させたAB Sciex QTrap 6500質量分析計で定量化した。最適なMSパラメータは、以下の通りであった:カーテンガス(Curtain Gas)、20;衝突ガス(Collision Gas)、中程度;イオンスプレー電圧(IonSpray Voltage)、4000;温度、550;イオン源ガス(Ion Source Gas)1、50;イオンガス源(Ion Gas Source)2、50;デクラスタリング電位(Declustering Potential)、120;Entrance Potential、10.0;衝突エネルギー(Collision Energy)、26.0;CXP(Collision Cell Exit Potential)、12.0。分析物およびISを、それぞれm/z 281.2~m/z 91.0およびm/z 284.2~m/z 91.0のSRMイオン対を使用してモニタリングした。
(viii)目的にかなったアッセイの検証
目的にかなったアッセイの検証は、バイオマーカーおよびDBSベースの診断アッセイのための業界の最良の手法に従うものであった(1~6)。この方法を、様々な条件下での検量線、正確性、精度、マトリックス効果、ヘマトクリット、抽出、サンプリングの位置、および安定性に関して検証した。
正確性(相対誤差またはRE(%))および精度(RSD(%))を、各濃度レベルで3日間毎日、代替のマトリックスおよび基準となるマトリックスの両方においてQCサンプルの6つのレプリケートを分析することにより評価した。日内および日間(Intra-およびinter-day)は、正確性および精度が連続して計算されたことを意味する。分析物のキャリーオーバーは、定量上限(ULOQ)の標準物質の実験を行った後ブランク溶液を注入することにより試験した。
アッセイの特性に及ぼすヘマトクリットレベルの影響を、4名の健常な対象由来の全血を使用して評価した。簡潔に述べると、血漿を、1200×g、10分間の遠心分離により赤血球から分離した。次に、異なる容量の血漿および赤血球を混合して、それぞれ25%、45%、60%、および75%のヘマトクリットレベルを達成した。45%のヘマトクリットに由来するDBSサンプルを、他のヘマトクリットレベルでのC1-INHの活性の正規化のための参照として使用した。
DBSスポット上のパンチの位置およびDBSスポットのバリエーションの作用を、スポット上の3~6つのパンチの位置および合計4つの異なるDBSスポットからLowおよびMid-High QCサンプルを使用することにより評価した(図9、表3)。Low QCは、代替のマトリックスで調製し、Mid-High QCは、集めた全血で調製した。
表3.DBS均一性試験の概要
Figure 2022529265000006
抽出効率を、100、600、および1000mU/mLの代替のマトリックスで調製したQCを使用してスパイク後(post-spiked)のサンプルとスパイク前(pre-spiked)サンプルの結果を比較することにより評価した。スパイク前のサンプルは、DBSカードを調製する前にC1-INHを代替のマトリックスにスパイクすることにより調製した。他方で、スパイク後のサンプルは、ブランクの代替のマトリックスに由来するDBS抽出物に同じ濃度のC1-INH(3.3μL、3.0mmのパンチにおける湿潤した血液量に対応)をスパイクすることにより調製した。
C1-INHの活性の全血の安定性を、6名の健常な対象(3名の男性および3名の女性)から集めた等体積の全血を使用して試験した。サンプルを、最大7日間4℃で保存した後、Whatman #903タンパク質保存カードに添加した。同様に、集めた全血から調製したDBSサンプルを、発送条件および保存条件下での安定性を評価するために、それぞれ45℃で3日間および室温で134日間保存した。
(ix)データ分析
データの分析を、実施例1に記載されるように行った。簡潔に述べると、内部標準に対する分析物のピーク面積比を、AB Sciex Analyst(1.6.3)により決定した。4つのパラメータのロジスティックな検量線を、SoftMax Pro 7.0を使用して、ピーク面積比およびスパイクしたC1-INHの濃度で構築した。サンプル濃度を、以下の式に基づき計算した:
Figure 2022529265000007
(式中、yはピーク面積比を表し、xはサンプル濃度を表し、A、B、C、およびDは、曲線適合パラメータである)。さらに、平均値、正確性(RE(%))、標準偏差、および相対標準偏差(RSD(%))を、エクセルを使用して計算した。
結果
包括的な戦略
乾燥した血液スポットに由来するサンプルにおける酵素反応産物のcbz-Lysを測定するためのLC-MS/MSアッセイを、図5に示すように開発した。このアッセイは、以下のステップ:(1)DBSカードからのC1-INHの抽出;(2)過剰なC1sとC1-INHの結合;(3)未結合のC1sのその基質との反応;および(4)酵素反応産物cbz-LysのLC-MS/MS分析からなる。C1sおよびその基質の相対濃度、C1sとfC1-INHとの間の結合時間および温度、C1sとその基質との間の酵素反応の時間および温度、ならびにLC-MS/MSの条件などのアッセイ条件は、検証前の実験の間に最適化した。
較正マトリックスおよび検量線
C1-INHを枯渇させた血液マトリックスを集めたヒト全血から調製して、C1-INHの活性が正常な対照より低いHAE患者のC1-INHの活性を測定した。C1-INHは、循環タンパク質であり、赤血球を沈降させるための遠心分離の後に血漿の上清に留まる。その後、基準となる全血における血漿タンパク質の濃度を模倣するために、赤血球にBSA溶液を補充した。同じ容量の赤血球と混合した4.3%のBSA(43mg/mL)は、ろ紙での同じスポットの大きさにより示されるように、基準となる全血と同じ粘度をもたらした。図6Aおよび6Bに示されるように、C1-INHの完全な枯渇が、代替のマトリックスおよびブランク対照由来の同じ分析物のシグナルにより確認され、代替のマトリックスにおけるfC1-INHの活性の不存在が暗示された。対照的に、集めた健常な血液(図6C)および500mU/mLのC1-INHをスパイクした集めた健常な血液(図6D)でC1-INH依存性のシグナルが減弱する。
図7は、4つのパラメータのロジスティックな曲線適合を使用して、代替のマトリックスにスパイクした6つの異なるC1-INH濃度(mU/mL)に対し分析物のシグナルをプロットすることによる典型的な検量線を示す。この曲線は、100~1500mU/mLの作用可能な範囲を示す。アッセイの検証結果は、6つのポイントの検量線が、予め設定した基準に一致することを示した:(1)各濃度レベルの標準物質の少なくとも半分で相対誤差(RE(%))が、25%以下であるLLOQおよびULOQの標準物質を除き、20%以下である;(2)標準物質の総数の75%以上が、検量線に含まれていなければならない;(3)2回超の連続する検証の実行が失敗しない。分析実行にパスした14回のうちの13回は、全ての標準物質において平均の実験間の正確性が-1.4%~5.9%の範囲にあった(表4)。
表4.較正結果の概要
Figure 2022529265000008
アッセイの精度および正確性
アッセイの精度および正確性を、代替のマトリックスおよび基準となる全血の両方で調製したQCサンプルを使用して評価した。LLOQ QCおよびLow QCは、fC1-INHを代替のマトリックスに、それぞれ100mU/mLおよび150mU/mLの最終濃度となるまでスパイクすることにより調製した。集めた全血は、Low-Mid QCとして使用し、Mid、Mid-High、およびHigh QCサンプルは、fC1-INHを集めた全血にスパイクすることにより調製した。それらの名目上の濃度は、内因性C1-INHの平均濃度(518mU/mL、n=18)およびスパイクしたfC1-INHの濃度の合計であった。表5に示されるように、それぞれ、日内の精度および正確性は、4.4%~11.6%および-11.1%~-2.1%の範囲にあり、日間の精度および正確性は、8.1%~13.1%および-10.3%~0.9%であった。
表5:日内および日間の精度および正確性の概要
Figure 2022529265000009
ヘマトクリットレベルの作用
全血のヘマトクリットレベルがろ紙における血液希釈、よってDBSのスポットの大きさに影響し、アッセイのバイアスをもたらすことが良好に論述されている(1-3、6、7)。ヘマトクリットレベルが増加すると、DBSサンプルのスポット領域は減少する。性別および年齢に応じて、全血におけるヘマトクリットレベルは、28%~67%の範囲にある(7)。アッセイの特性に及ぼすヘマトクリットの作用を、4つのヘマトクリットレベル、25%、45%、60%、および75%で調査し、ここで45%のヘマトクリットレベルを対照として使用した。fC1-INHの活性は、乾燥した血液スポットにおけるヘマトクリットレベルとの線形の相関を示した(表6)。30%~60%のヘマトクリットレベルはfC1-INHの活性の測定に最小限の作用を有する(RE<20%)。
表6.DBSで測定したfC1-INHの活性に及ぼすヘマトクリットレベルの作用
Figure 2022529265000010
C1-INHの活性のパンチの位置
DBSベースアッセイにおける別の関心は、分析物の測定に及ぼすパンチの位置の作用である(1、6、8)。C1-INHの活性に及ぼすDBSカード上のパンチの位置の作用を試験するために、中央および周辺のパンチからの合計18個の反復したサンプルを、同じ対象の4つのスポットから回収し、Low QCおよびMid-High QCサンプルについて分析した。精度および正確性は、15%の範囲内にあり、パンチの位置がC1-INHの活性の測定に影響しないことが暗示された(表4)。
抽出効率
C1-INHの抽出効率を、代替のマトリックスで調製したQCを使用して評価した。平均抽出効率は、100、600、および1000mU/mLのQC濃度で、それぞれ48.8%、65.9%、および58.2%であった(表7)。検量線は、サンプルの試験の間の各試験の実行に使用し、抽出効率の変動は、アッセイの正確性に影響しないと思われる。
表7.DBSサンプルにおけるC1-INHの抽出効率
Figure 2022529265000011
全血およびDBSにおけるfC1-INHの安定性
fC1-INHの安定性を、全血で評価した。以前の報告から、fC1-INHが、患者および健常な対象の両方において室温で最大3日間安定であることが示されていた(9)。集めた健常な血液でのfC1-INHの活性は、4℃で7日間保存した後の変化は最小限であった(表8)。DBSにおけるfC1-INHの安定性を試験するために、QC対照を、室温および45℃で、乾燥剤のパックを含む気密性のバッグに置いた。C1-INHの活性は、各カード由来の異なるパンチで測定し、45℃で3日間保存した後、室温で保存した場合は134日後に、最小限の喪失(<15%)を示した(表8)。これら結果は、fC1-INHが活性を喪失することなくDBSにおいて大気温度で発送および保存できることを示した。
表8.異なる温度で保存した全血およびDBSでのfC1-INHの活性の安定性
Figure 2022529265000012
再注入の安定性を評価するために、処理したサンプルを、4℃で2日間オートサンプラーに置いた後に再注入した。この結果は、精度および正確性があらかじめ定義された合否基準に一致したことを示した(表9)。さらに、分析物のキャリーオーバーは検出できなかった(データ不図示)。
表9.再注入の安定性の試験の概要
Figure 2022529265000013
健常な対象およびHAE対象に由来するDBSサンプルの分析
検証したアッセイを使用して、fC1-INHの活性を、103名の健常な対象および24名のHAE患者(9名の男性および15名の女性)から回収したDBSサンプルで測定し、この結果を図8に提示する。健常な対象のグループでは、fC1-INHの活性は、311~1090mU/mLの範囲にあり、平均活性および標準偏差(SD)は、それぞれ573および135mU/mLであった。にもかかわらず、全ての試験したHAE対象は、C1-INHが158mU/mLであった1名の対象を除き、LLOQ(100mU/mL)未満のC1-INHの活性を有していた。303mU/mLカットオフ値(平均値-2×SD)が確立され、これにより、健常な対象とHAE対象とを完全に差別化することができた。
論考
C1-INHは、補体系、接触系、凝固系、および線維素溶解系を含む幅広い範囲の阻害性生体活性を調節するように機能する(10~12)。カリクレイン-キニンカスケードにおける3つの酵素(第XIIa因子、第XIIf因子、および血漿カリクレイン)の鍵となる阻害剤として、正常なfC1-INHのレベルは、HAE発作を誘導する炎症促進性介在物質である、ブラジキニンの過剰産生を妨げる。fC1-INHの活性の欠乏は、接触系の再発する活性化をもたらし、活性タンパク分解性酵素である、血漿カリクレイン(pKal)を過度にもたらし、高分子量キニノーゲン(HMWK)を切断してブラジキニンを放出する(13~15)。現在、450超の変異が、C1-INH SERPING1遺伝子で同定されており、多くが、HAE患者のfC1-INHの欠乏に関連している(16)。
異なるタイプのHAEが存在するが、全てが、不十分なC1-INHの機能を特徴とする。通常、HAE患者のfC1-INHのレベルは、正常な値の5~30%であり、減弱したC1-INHの活性は、HAEの診断にとって最も重要な研究パラメータとして使用される(9)。fC1-INHの活性に関する従来のアッセイは、cbz-Lysおよびチオメチルベンゼンを産生させる、C1sとその人工的な基質の、Z-Lys-SBzl・HClとの間の反応によりfC1-INHの活性を間接的に測定する。チオメチルベンゼンは、5,5’-ジチオビス-(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)での誘導体化の後、発色性アッセイにより測定される(9)。内因性またはスパイクインのC1-INHの存在は、酵素反応を阻害し、よって、反応産物の形成は、C1-INHの活性と逆比例する。従来のアッセイは、血漿サンプルまたは血清サンプルで健常な対象およびHAE対象を区別するために有効ではあるが、DBSにおけるその使用は、全血における赤血球によるアッセイの干渉により限定されていた。LC-MS/MSアッセイは、従来の発色性アッセイを超える固有の利点を有する。第1に、発色性アッセイは、2つのステップの反応に基づくが、LC-MS/MSアッセイは、C1s反応の直接的な産物を測定し、よって、アッセイの変動を低くすることができる。第2に、アッセイにおける内部標準(IS)の使用もまた、サンプルの調製および分析の間の分析の変動を補正することを支援する。第3に、C1-INHを含まない代替のマトリックスで調製した検量線およびQCは、アッセイの正確性および再現性をさらに高めるために、各実験の実行に含まれていた。健常な対象の広い範囲のC1-INHの活性、HAE患者における限定されたC1-INHの活性の変化(正常な活性の5~30%)、および狭い範囲の酵素の動的反応を考慮すると、アッセイの変動を最小限にすることは、C1-INHの活性の正確な測定に対する重要な要因であり得る。
酵素活性のアッセイでは、分析物の検量線は、通常、基準となるマトリックスよりも純粋なバッファー溶液で調製され、アッセイの性能は、QCサンプルによりモニタリングされる。この手法は単純であるが、酵素反応は非常に迅速であり、反応条件のわずかな変化が分析の結果に影響し、よって患者の正確な診断に影響するため、C1-INHの活性の測定に容易に適用することはできない。「代替のマトリックス」の概念は、内因性の分析物を含む基準となるマトリックスとしてバイオマーカーアッセイでの標準物質およびQCの調製で広く利用されており、これらの試験で採用した(15)。代替のマトリックスは、分析物が枯渇しているが、消化効率、イオン化の作用、および抽出収率に関して基準となるマトリックスに近い。検量線およびQCの調製のための全血由来の代替のマトリックスの使用は、C1-INHの活性が低い患者サンプルの酵素反応を正確に評価するために重要である。この手法では、100~1500mU/mLのアッセイの範囲が達成された。さらに、極めて優れた正確性および精度が、代替のマトリックスおよび基準となる全血の両方で調製されたQCサンプルから達成され、アッセイ条件下での2つのマトリックスの類似が示された。
本明細書中記載されるLC-MS/MSアッセイは、15%未満の平均の日内および日間の変動、および無視できるサンプル間のキャリーオーバーを示した。さらに、C1-INHの活性の測定は、DBSの中のパンチの位置とは無関係であったが、DBSにおけるいくつかの他の分析物の場合ではこれは当てはまらなかった(1)。しかしながら、アッセイの正確性は、ヘマトクリットレベルの影響を受ける場合があり、30%未満または60%超のヘマトクリットレベルを有するサンプルから試験の結果を解釈する際には注意すべきである。
サンプルの輸送および保存の間DBSにおいて安定した分析物のレベルを有することが重要である。全血におけるC1-INHは、4℃で7日間安定していた。DBSでは、45℃で保存した場合最大3日間、室温で保存した場合は134日間安定していた。これは、発展途上国であっても、サンプルの回収、中央の研究室への発送、および研究室での試験および再試験の全期間にとって十分である。
103名の健常な対象で測定したC1-INHの活性は、573mU/mLの平均活性および135mU/mLの標準偏差で正規分布を示した。24名のHAE患者のうち、23名が、100mU/mL未満のC1-INHの活性を有し、最も高いC1-INHの活性、158mU/mLを有するHAEサンプルは、平均正常活性の27.6%に対応した。このデータは、健常な個体由来のサンプルと対応するHAE患者由来のサンプルとの間の明確な区別を支援する。
結論として、本明細書において、DBSサンプルにおけるfC1-INHの活性のための強力なアッセイを記載する。このアッセイは、HAE患者の診断のための優れた再現性および正確性を提供する。単純なサンプルの回収ならびに発送および保存の安定性の延長は、特に設備が完全に整った臨床検査室へのアクセスが限定されているかまたはアクセスがない場所において、診断試験の利用可能性を拡大する。本アッセイは、HAE診断のアルゴリズムを世界中で根本的に変える大きな可能性を示している。
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他の実施形態
本明細書に開示される全ての特性は、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。本明細書で開示される各特性は、同じであるか、均等であるか、または類似する目的を提供する別の特性と置き換わり得る。よって、他の意味が明記されない限り、開示される各特性は均等または類似する特性の包括的なシリーズの単なる例である。
上記説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に解明でき、その趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な使用および条件に適用するために本発明の様々な変更および修正を作製することができる。よって、他の実施形態もまた特許請求の範囲内にある。
均等論
いくつかの本発明の実施形態が本明細書において記載および例示されているが、当業者は、本明細書中記載される機能を行い、かつ/または結果および/もしくは1つ以上の利点を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想定し、このようなバリエーションおよび/または修正はそれぞれ、本明細書中記載される本発明の実施形態の範囲内にあるとされる。より全般的には、当業者は、本明細書中記載される全てのパラメータ、次元、物質、および構成が、単なる例であること、ならびに実際のパラメータ、次元、物質、および/または構成が、本発明の教示が使用される特定の適用に応じて変化することを容易に理解するであろう。当業者は、単なる規定の実験を使用して、本明細書中記載される本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識するかまたは解明できる。よって、上記の実施形態が単なる例であること、および添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、本発明の実施形態は、具体的に記載および請求されたもの以外の他の方法で実施され得ることを理解されたい。本開示の本発明の実施形態は、本明細書中記載される各個別の特性、系、物品、物質、キット、および/または方法を対象とする。さらに、当該特性、系、物品、物質、キット、および/または方法が互いに異なる場合、2つ以上のこのような特性、系、物品、物質、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本開示の本発明の範囲内に含まれる。
本明細書中定義および使用される全ての定義は、辞書上の定義、参照により組み込まれている文書での定義、および/または定義された用語の通常の意味を超えて統括すると理解されるべきである。
本明細書中開示される全ての参照文献、特許、および特許出願は、それぞれが引用されている主題に関して参照により組み込まれており、一部の場合では文書の全体を包有し得る。
不定冠詞「a」および「an」は、本明細書および特許請求の範囲においてここで使用される場合、明確に矛盾するような記載がない限り、「少なくとも1つ」を意味することを理解されたい。文言「および/または」は、本明細書および特許請求の範囲においてここで使用される場合、等位接続した要素の「いずれかまたは両方」、すなわち一部の場合では連言的に存在し、他の場合では選言的に存在している要素を意味することを理解されたい。「および/または」と共に列挙された複数の要素は、同じ形式、すなわち等位接続した要素の「1つ以上」と解釈される。具体的に同定された要素に関連するかまたは関連しないかに関わらず、「および/または」の項により具体的に同定された要素以外の他の要素が、任意選択で存在し得る。よって、非限定的な例として、「~を含む(comprising)」などのオープンエンドの言語と併用して使用される場合、「Aおよび/またはB」に対する言及は、一実施形態ではAのみ(任意選択でB以外の要素を含む);別の実施形態ではBのみ(任意選択でA以外の要素を含む);さらなる別の実施形態ではAおよびBの両方(任意選択で他の要素を含む)などを表し得る。
本明細書および特許請求の範囲においてここで使用される場合、「または」は、上記に定義される「および/または」と同じ意味を有することを理解されたい。たとえば、列挙の項目を分ける場合、「または」または「および/または」は、包括的であり、すなわち、少なくとも1つの包含だけでなく、要素の数または列挙のうちの1超と任意選択でさらなる列挙されていない項目とを含むと解釈されるべきである。「~のうちの1つのみ」または「~のうちの正確に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合の「~からなる」などの明らかに反対の意味を示す用語のみが、要素の数または列挙のうちの正確に1つの要素の包含を表す。一般的に、用語「または」は、本明細書中使用される場合、「いずれか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」、または「~のうちの正確に1つ」などの排他性の用語が先行する場合、排他的な選択肢(すなわち「いずれかではあるが両方ではない」)を示すとのみ解釈すべきである。「~から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される場合の通常の意味を有する。
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素の列挙に対する言及において、文言「少なくとも1つ」は、要素の列挙における要素のいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるが、要素のリストの中で具体的に列挙されるあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、要素のリスト中の要素のいずれかの組み合わせを排除するものではない。この定義はまた、文言「少なくとも1つの」が表す要素のリストの中で具体的に同定される要素以外の要素が、具体的に同定された要素に関連するかまたは関連しないかに関わらず、任意選択で存在し得ることを可能にする。よって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、任意選択で1超のAを含む少なくとも1つのA(ここでBは存在しない)(および任意選択でB以外の要素を含む)を表し;別の実施形態では、任意選択で1超のBを含む少なくとも1つのB(ここでAは存在しない)(および任意選択でA以外の要素を含む)を表し;さらなる別の実施形態では、任意選択で1超のAを含む少なくとも1つのAおよび任意選択で1超のBを含む少なくとも1つのB(および任意選択で他の要素を含む)などを表すことができる。
また、明確に矛盾する記載がない限り、1超のステップまたは作用を含む本明細書中請求される全ての方法において、この方法のステップまたは作用の順序は、本方法のステップまたは作用が記載される順序に必ずしも限定されないことを理解されたい。

Claims (21)

  1. サンプル中の機能的なC1エステラーゼインヒビター(fC1-INH)のレベルを決定するための方法であって、
    (i)対象由来の血液サンプルを支持体上にスポットするステップと、
    (ii)前記支持体上の血液サンプルを乾燥させて乾燥した血液スポットを形成するステップと、
    (iii)(ii)からの乾燥した血液スポットからタンパク質を抽出するステップと、
    (iv)存在する場合に、(iii)で抽出したタンパク質におけるfC1-INHのレベルを測定するステップと、
    を含む方法。
  2. fC1-INHのレベルを測定するステップが、
    (a)前記抽出したタンパク質を、必要に応じて連続的に、補体成分1s(C1s)およびC1s基質とインキュベートして、C1s基質産物を産生させるステップと、
    (b)ステップ(a)で産生されたC1s基質産物のレベルを測定するステップと、
    (c)ステップ(b)で測定したC1s基質産物のレベルに基づいて前記乾燥した血液スポットにおけるfC1-INHのレベルを決定するステップと、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. ステップ(a)が、前記抽出したタンパク質をC1sおよびC1s基質とインキュベートして反応混合物を産生させることにより行われる、請求項2に記載の方法。
  4. ステップ(b)の測定するステップが、液体クロマトグラフィー-質量分析法により行われる、請求項2または3に記載の方法。
  5. C1s基質が、Nα-カルボベンジルオキシ-Lys-チオベンジルエステルであり、C1s産物が、Nα-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン(cbz-Lys)である、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. (iii)の抽出が、前記乾燥した血液スポットを、ウシ血清アルブミン(BSA)/PBSバッファーと少なくとも3時間インキュベートすることにより行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記支持体がろ紙である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. ステップ(ii)の乾燥が、室温で少なくとも3時間行われる、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記対象から血液サンプルを得るステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記血液サンプルが、全血サンプルである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記対象が、ヒト対象である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記対象が、遺伝性血管性浮腫(HAE)を有するか、有する疑いがあるか、または有するリスクがある、請求項11に記載の方法。
  13. HAEが、I型HAEまたはII型HAEである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記対象が、C1-INH欠乏介在障害を有するかどうかを決定するステップをさらに含み、対照と比較して低いfC1-INH産物のレベルが、前記対象がC1-INH欠乏介在障害を有することを表す、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. fC1-INHのレベルに基づき、前記対象に適した処置を同定するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. ステップ(c)で決定したfC1-INHのレベルに基づき前記疾患の処置の候補として前記対象を同定するステップをさらに含む、請求項2~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記対象がC1-INH欠乏介在障害のリスクがあるかまたは当該障害を有すると同定される場合、前記対象に治療薬を投与するステップをさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記治療薬が、血漿カリクレイン(pKal)阻害剤、ブラジキニンB2受容体アンタゴニスト、またはC1エステラーゼインヒビターである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記治療薬が、エカランチド、ラナデルマブ、イカチバント、またはヒト血漿由来のC1エステラーゼインヒビターである、請求項17または18に記載の方法。
  20. 前記C1-INH欠乏介在障害が、HAEである、請求項14~19のいずれか1項に記載の方法。
  21. HAEが、I型HAEまたはII型HAEである、請求項20に記載の方法。
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