JP2022523748A - 医療送達装置及び椎間板の線維輪内に直接的に治療薬を送達する方法 - Google Patents

医療送達装置及び椎間板の線維輪内に直接的に治療薬を送達する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】椎間板異常の治療薬を経皮送達する装置の提供。【解決手段】脊椎板に治療薬を送達する装置は、中空カニューレを有する導入器ニードルと、スタイレットと、中空シャフトを有する送達カテーテルと、を含む。カテーテルは、スタイレットが取り外される際に導入器ニードルを通って同軸状にフィットする。カテーテルは、導入器ニードルよりも長い。カテーテルは、遠位端において、鈍閉端ティップと少なくとも1つの側方ポートとを有する。導入器ニードル及びスタイレットは、それらが線維輪の壁を貫通することを可能にする鋭さ及び堅さを有する。カテーテルは、導入器ニードルの遠位端を通って同軸状に抜け出た際に、プリセットされた屈曲部を形成する。鈍ティップと組み合わせたカテーテルの屈曲部の角度により、カテーテルは、髄核に侵入したり線維輪を抜け出て周囲の組織内に至ったりすることなく、線維輪の外周の内側を横切ることができる。【選択図】図9

Description

関連出願
本願は、2019年2月1日に出願された米国仮特許出願第62/800,215号の利益を主張する。上記出願の全教示が参照により本明細書に組み込まれる。
脊椎板の解剖についての説明
以下の背景についての説明は、特許文献1〔US6,749,605(Ashleyら)〕のコラム1の38行目~コラム3の36行目から適応され、図1A~1Dは特許文献1から適応されている。
椎間板(intervertebral disc)の異常(例えば、形態異常)は、人口における発生率が高く、内部断裂が発達して神経に突き当たるか神経を刺激すると、結果として痛み及び不快感が発生し得る。椎間板異常は、外傷、繰り返しの使用、代謝疾患、及び老化過程が原因である可能性がある。椎間板異常は、(i)線維輪における局所断裂又は亀裂、(ii)包含された又は脱出した押出物を伴う局所椎間板ヘルニア形成、及び(iii)慢性的な円周膨張椎間板といった変性椎間板のような疾患を含むが、これらに限定されない。
椎間板亀裂(disc fissures)は、線維輪(annulus fibrosus)の線維状構成成分の外傷又は構造的変性の後に幾分容易に発生する。くしゃみ、屈伸、又は単なる摩擦により、これらの変性した線維輪が断裂して亀裂が形成され得る。この亀裂は、線維輪内への又は、当該線維輪を越えての髄核物質の押出を伴う可能性もあり、伴わない可能性もある。後部線維輪は高度に神経支配されており、髄核の中身は、これらの断裂部内に移動した際に炎症促進性を有するため、この領域が損傷することで大部分の腰痛が発生する。この亀裂自体は、椎間板の結合組織における一般的な変性変化よりも大きく且つ当該変性変化を超える唯一の形態変化であると思われる。可視押出物がなくても、椎間板内の生化学物質は依然として周囲の構造を刺激する可能性がある。線維輪亀裂は、患者に対して激しい痛みと能力障害とを与え得、血液供給の不足により、生来の治癒能力が乏しい。初期治療は、床上安静と、鎮痛剤と、筋弛緩剤と、を含む対症療法である。慣例的な治療では痛みが緩和されない場合に、ケージ(cage)を用いた脊椎固定(spinal fusion)が行われてきた。亀裂は、線維輪のその部分のヘルニア形成と関連付けられる可能性もある。
椎間板内ヘルニア形成では、脊柱管における遊離核断片が存在しない。それでも、椎間板内ヘルニア形成でも問題となる。なぜなら、外方への突起が脊髄神経を圧迫し又はその他の構造を刺激し得るからである。神経根の圧迫に加え、脱出した髄核の中身が、神経構造を化学的に刺激する可能性がある。現行の治療方法は、経皮髄核摘出による内部髄核物質の一部の除去によって線維輪上の圧力を低下させることを含む。しかし、合併症が、椎間板腔感染症と、神経根損傷と、血腫形成と、隣接する椎骨の不安定性と、高さの減少による椎間板の圧潰と、を含む。
椎間板が1つの場所においてだけではなく外周においてあらゆる方向に外方に膨張する場合、椎間板についての別の問題が発生する。経時的に、椎間板が弱くなり、「ロール」形状又は外周のふくらみを帯びる。関節の力学的剛性が低下し、関節が不安定になる可能性がある。一の椎骨が他の椎骨の上部に据えられる可能性がある。この問題は、身体が老化するにつれて継続し、年を取って身長が低くなる原因になる。住民の平均余命の増加に伴い、そのような変性椎間板疾患及び神経機能の欠陥は、重大な公衆衛生問題になりつつある。椎間板「ロール」は正常な外周を越えて延在するため、椎間板の高さが損なわれる可能性があり、神経根のある孔(foramina)が圧縮される。加えて、骨棘(osteophytes)が椎間板ロールの外面上に形成されて、脊柱管と神経の通る孔とをさらに侵害する可能性がある。この状態は腰椎症(lumber spondylosis)及び脊柱管狭窄(spinal stenosis)と呼ばれる。
そのような椎間板変性(disc degeneration)は部分的不安定性を生み出し、この不安定性が敏感な構造を乱し、今度は当該構造が痛みを表す、と考えられてきた。伝統的で慣例的な治療方法は、床上安静と、痛みに対する薬剤と、理学療法と、硬膜外ステロイド注入と、を含む。慣例的な治療が失敗した際は、脊髄の痛み(不安定性によるものと考えられる)は、器具類を使用した又は使用しない脊椎固定によって治療されてきた。この脊椎固定により、椎間板の上方及び下方の椎骨は、共に頑丈に発達して単一の頑丈な骨片を形成する。この処置は、椎間板切除を伴って又は伴わずに行われる。その他の治療は、椎間板切除単独と、固定を伴った又は伴わない椎間板の除圧(disc decompression)と、を含む。
髄核摘出(nuclectomy)が、核の一部を除去して線維輪上の圧力を低下することで行われ得る。しかし、合併症が、椎間板腔感染症と、神経根損傷と、血腫形成と、隣接する椎骨の不安定性と、を含む。
これらの介入は問題となる。なぜなら、外科手術が成功したように思えても背痛の軽減は予測不可能であるためである。これらの難点を克服する試みでは、固定装置(fixation device)が市場に導入されてきた。これら固定装置は、椎弓根スクリュー(pedicle screw)と椎体間固定ケージ(interbody fusion cages)とを含むが、これらに限定されない。椎弓根スクリューでは固定の成功率が高いが、固定の成功と患者における機能及び痛みの改善との間に直接的な相関は依然としてない。固定についての研究では、痛みの改善について50%と67%との間の成功率が示され、かなりの数の患者が手術後に痛みが増していた。従って、変性椎間板の問題を抱える患者の予後を改善する代替的な方法を、特に、より低侵襲的な処置を通して調査する必要がある。
図1Aは椎骨と関連する椎間板との断面解剖図であり、図1Bは腰部及び胸部の脊椎の一部の側面図である。典型的な頸椎(上面図)102の構造体が図1Aに図示される:104-ラミナ;106-脊髄;108-脊髄神経の後根;114-脊髄神経の前根;116-後縦靱帯;118-椎間板;120-髄核;122-線維輪;124-前縦靱帯;126-椎体;128-椎弓根(図1C);130-椎骨動脈;132-椎骨静脈;134、144-上関節窩;136-線維輪の後部側方部;138-線維輪の後中間部;及び142-棘突起。図1Aでは、椎体126の前部が視認できるように、椎間板118の一方側が図示されていない。図1Bは、腰部領域全体と胸部領域の一部とを図示する、典型的な脊柱の下部の側面図である。図1Bは、以下の構造体を表示する:118-椎間板;126-椎体;142-棘突起;170-下椎切痕;172-脊髄神経;174-上関節突起;176-腰椎前弯;及び180-仙骨。
図1Cは、2つの腰椎の後部側方解剖図である。脊髄(神経嚢)及び椎体126の後部(棘突起142を含む)の存在と上下関節突起110とにより、真後ろの位置からのニードル又はトロカール(trocar)の導入が禁止される。このことは重要である。なぜなら、椎間板118の後部壁は、ほとんどの変性椎間板症候群において脊髄神経を圧迫又は刺激する椎間板突起/押出物及び症候性線維輪断裂の部位であるためである。下関節突起は、椎弓根128及び腰部脊髄神経と共に、小さな「三角形の」ウィンドウ168を形成する。ウィンドウ168を通して、後部側方アプローチからの導入が達成され得る。
図1Dは、頸椎椎間板及び椎骨の上断面図であって、当該椎間板内に位置する導入器カニューレを伴う上断面図である。図1Dは、後部側方アプローチにより導入された当該機器を上から見た図である。椎間板への経皮アクセスは、この後部側方アプローチから椎間板内に導入器150を配置することで達成されるが、三角形のウィンドウにより、操作できる余地があまりない。一旦導入器が頑丈な線維輪122を貫通すると、導入器はその長さに沿った2つの地点で固定され、動作上の自由がほとんどない。よって、このアプローチでは、髄核120の小さな中央部及び前部にしかアクセスできない。現行の方法では、核の後ろ半分又は椎間板の後部壁(例えば、136、138)への経皮アクセスができない。これらのエリアにアクセスするには、大がかりな、場合によっては危険な、外科手術が必要になる。
米国特許 6,749,605
これまでは経皮アプローチでアクセス不可能又は識別不可能であった位置において、椎間板に対する大がかりな外科的介入又は大幅な破壊無しに椎間板変性などの椎間板異常を診断して治療することが望ましい。
本発明は、線維輪における病態から生じる椎間板の問題を治療し且つ/又は椎間板組織を改良する方法及び装置に関する。より具体的には、本発明は、大がかりな外科的介入を避ける経皮技術に関する。一実施形態では、腰椎の損傷した椎間板に流体(例えば、生物学的薬剤)を正確に送達することで、線維輪亀裂(annular fissure)が治療される。一実施形態では、医療送達装置及び関連する方法が、腰部椎間板の後部外側線維輪(posterior outer annulus fibrosus)内に治療薬を直接送達するために提供される。
実施形態は、椎間板の線維輪の略全外周周辺の椎間板亀裂を診断及び治療する低侵襲(minimally invasive)方法及び装置を提供する。椎間板の線維輪における細胞は、修復を刺激する生物学的療法によく反応する。損傷したエリアに細胞を正確に送達することが可能であればあるほど、臨床結果がよりよく予想される。
実施形態は、生物学的療法を提供するために、椎間板の線維輪内に挿入されて線維輪の内壁と外壁との間の後部、後部側方、及び後部中間の領域にアクセスする遠位端(distal end)を有する装置を提供する。
実施形態は、複数の確認済及び未確認の線維輪亀裂に対してその領域特有の生物学的治療を提供すべく、線維輪の内壁の組織及び当該内壁周辺の組織を通して前進可能且つ操縦可能である装置を提供する。
実施形態は、椎間板の形態異常(morphologic abnormalities)を治療する非破壊方法及び装置を提供する。
実施形態は、線維輪の壁に埋め込まれた神経を選択的に修復すべく、生物学的物質(biologic)を送達することで変性椎間板を治療する方法及び装置を提供する。
実施形態は、髄核(nucleus pulposus)に侵入することなく線維輪の内壁と外壁との間で前進可能且つ操縦可能である変性椎間板(degenerative intervertebral discs)治療装置を提供する。
本発明の実施形態は、線維輪の壁の内側に留まるように設計されている。実施形態は、周辺の線維輪から中心の髄核に向けた注入中に流体の流れを管理すべく線維輪内側に方向づけられるように設計されている側方ポートを有する、オフセットされ得る閉端鈍ティップ又はキャップ(closed end blunt tip or cap)を含み得る。実施形態は、骨髄又は多血小板血漿(Platelet Rich Plasma)(PRP)などの生物学的物質(より具体的には、自己生物学的物質)を送達するのに用いられ得る。生物学的物質を組織に送達する際、送達者は、いつも決まって送達カテーテル又はカニューレを加熱したり熱を組織に送達したりするわけではない。なぜなら、熱は生物学的物質を損傷させたり無効化したりし得るからである。いくつかの実施形態では、取り外し可能スタイレット(stylet)が送達カテーテル内への配置用に設けられる。取り外し可能スタイレットは、その有効長に亘ってその直径を調整すべくセンターレス研磨され得、プリセットされた屈曲部も有し得、ニチノールなどの形状記憶材料から作成され得る。スタイレットは、椎間板内への生物学的物質の注入を可能にすべく、送達カテーテルが所望の位置に挿入後に取り外される。
線維輪の損傷は、環状繊維が局所的に弱くなることにより生じる。しかし、処置前に線維輪の構造を明確に可視化することはできず、この構造は患者により異なる。従って、本装置のある実施形態は、線維輪の内部組織の統合性に動的に順応すべく、スタイレット及び/又はカテーテルに構造的可撓性を持たせるデザイン要素を含む。この可撓性は、材料の選定及び剛性の組み合わせ、ティップにおける(場合によっては本装置の長さに沿った)プリセットされた弧部、又はスタイレットのセンターレス研磨、を通して達成され得る。その結果得られる可撓性は、抵抗の最も小さい経路(つまり、より弱い環状組織のある経路)に沿って周方向に本装置が線維輪を横切ることを可能にし、最終的に、組織の最も損傷しているエリアへのティップの正確な配置を可能にする。これにより、後部線維輪全体に亘って広範囲に治療薬が送達される。
椎間板の対象組織に治療薬を経皮送達する低侵襲装置(minimally invasive device)は、導入器ニードル(introducer needle)と送達カテーテル(delivery catheter)とを含む。前記導入器ニードルは剛性を有し得る。前記導入器ニードルは、近位端と遠位端とを有する長尺カニューレ(elongated cannula)を含む。前記近位端及び前記遠位端は、開口を形成し、前記カニューレに沿って連通(communication)している。スタイレットが、前記カニューレを通って延在する。前記スタイレットは、前記カニューレの前記遠位端における前記開口を塞ぐティップを有する。前記カニューレ及び前記スタイレットは、組織内への前記ニードルの経皮挿入を可能にするよう構成されている。前記送達カテーテルは、前記スタイレットが取り外される際に前記導入器ニードルを通って同軸状にフィットする。前記送達カテーテルは、前記導入器ニードルよりも長い。前記送達カテーテルは、プリセットされた屈曲部を有する長尺中空シャフトを含む。前記送達カテーテルは、近位端と遠位端とを有する。前記近位端及び前記遠位端は、開口を形成し前記中空シャフトに沿って連通している。前記遠位開口は、前記プリセットされた屈曲部の内部への側方開口である。前記送達カテーテルの前記遠位端は鈍ティップ(blunt tip)を含む。前記送達カテーテルは、前記導入器ニードルの前記遠位端から椎間板の対象組織内に伸ばすことができる。前記鈍ティップと前記プリセットされた屈曲部との組み合わせにより、前記送達カテーテルは、前記椎間板の線維輪を通って且つ前記線維輪からはみ出ないように前進可能になる。
前記鈍ティップは、前記送達カテーテルの中央線からオフセットされた角度で、前記送達カテーテルの前記遠位端において前記軸上に位置し得る。前記鈍ティップは、前記送達カテーテルの前記遠位端において前記中空シャフト上に溶接され得、前記軸の材料とは異なる材料から作成され得る。例えば、前記送達カテーテルの前記中空シャフトは、ニチノールから作成され得、前記送達カテーテルの前記鈍ティップは、ステンレス鋼から作成され得る。
前記導入器ニードルの前記カニューレは、前記カニューレの前記遠位端において、プリセットされた屈曲部(preset bend)を有し得る。前記カニューレの前記遠位端における前記プリセットされた屈曲部は、約4度と約6度との間の角度、好ましくは約5度の角度で、前記遠位ティップから約3mm~約9mm、好ましくは約6.25mmであり得る。
前記導入器ニードルは2部式ハンドルを含み得る。前記ハンドルの第1部は前記カニューレに取り付けられ、前記ハンドルの第2部は前記スタイレットに取り付けられる。各部は、前記導入器ニードルの前記近位端において取り付けられる。前記スタイレットと前記ハンドルの前記第2部とは、前記カニューレから選択的に取り外し可能であり得、前記ハンドルの前記第1部は、前記スタイレットと前記ハンドルの前記第1部とが取り外される際に、前記導入器ニードルの前記遠位端における前記開口と連通する通路を画定(define)し得る。前記ハンドルの前記第1部は、ルアーハブ(luer hub)を含み得る。
前記送達カテーテルは、前記送達カテーテルの前記近位端においてルアーロック接続部(luer lock connection)を含み得る。前記ルアーロックは、シリンジからの前記治療薬の送達を可能にし、前記シリンジは、前記治療薬を保持し前記ルアーロックに連結されている。
前記導入器ニードル及び前記送達カテーテルは、前記対象組織内への挿入距離の判定を可能にするマーキングを、外側において有し得る。例えば、前記送達カテーテルは、前記送達カテーテルが前記導入器ニードルを越えて挿入された距離又は前記対象組織から後退した距離の判定を可能にする1つ以上のマーキングを、外側において前記近位端上に有し得る。
前記対象組織は、前記椎間板の前記線維輪の後部外側3分の1(a posterior outer third)であり得る。
前記導入器ニードルは、前記線維輪内に所定の深さだけ挿入されるよう構成され得る。これにより、前記送達カテーテルの前記遠位端が前記導入器ニードルの前記遠位端を抜け出るスタート点と、前記送達カテーテルが前記導入器ニードルの前記遠位端を越えて完全に伸ばされた際に前記カテーテルが前記導入器ニードルを越えて延在する長さと、前記送達カテーテルの前記プリセットされた屈曲部と、前記送達カテーテルの前記端上の前記鈍ティップと、前記送達カテーテルの剛性又は持続長(persistence length)と、を組み合わせた結果、前記送達カテーテルは、前記線維輪の前記組織内に抜け出て前記組織内に留まる(exiting into and staying within the tissue)。
前記送達カテーテルは、設定された間隔で前記対象組織から後退するよう構成され得る。各間隔において、治療薬の一部が前記線維輪内に導入される。前記治療薬は、多血小板血漿、骨髄穿刺液、骨髄濃縮物、脂質由来の細胞、自己若しくは非自己フィブリン、薬剤、対比色素(contrast dye)、又はファイバー若しくはプローブを介して送達されるエネルギーであり得る。
前記送達カテーテルの前記プリセットされた屈曲部は、前記導入器ニードルを抜け出た際の前記カテーテルがオーバル状経路(oval path)を辿るような屈曲部であり得る。例えば、前記送達カテーテルの前記プリセットされた屈曲部は、前記導入器ニードルを抜け出た際の前記カテーテルが約1.5cmと約3.5cmとの間の初期直径を有する経路を辿るような屈曲部であり得る。
前記送達カテーテルが前記導入器ニードルの前記遠位端を越えて伸ばせられる長さは、前記送達カテーテルの前記プリセットされた屈曲部に基づく円の外周の少なくとも75%進行するのに十分な長さであり得る。
椎間板の対象組織に治療薬を低侵襲経皮送達する方法は、椎間板内に配置された導入器ニードルを通して前記椎間板の対象組織内に送達カテーテルを前進させることを含む。前記送達カテーテルは、前記導入器ニードルよりも長く、前記送達カテーテルは、近位端と遠位端とを有する。前記近位端及び前記遠位端は、開口を形成し前記送達カテーテルに沿って連通している。前記カテーテルの前記遠位開口は側方開口である。前記送達カテーテルの前記遠位端は、鈍ティップを含み、これにより、前記送達カテーテルの前記遠位端が前記導入器ニードルの遠位端から伸ばされた際に、前記鈍ティップにより、前記送達カテーテルが前記椎間板の線維輪を通って且つ前記線維輪からはみ出ないように前進可能になるようにする。本方法は、前記遠位側方開口を通して前記対象組織に治療薬を送達することをさらに含む。
前記送達カテーテルはプリセットされた屈曲部を有し得、前記側方開口は前記プリセットされた屈曲部の内部への開口であり得る。前記側方開口の位置により、前記対象組織への前記治療薬の送達が容易になる。前記対象組織は、前記椎間板の前記線維輪の後部外側3分の1である可能性がある。
前記治療薬を送達することは、設定された間隔で前記対象組織から前記送達カテーテルを後退させることと、各間隔において前記治療薬の一部を前記対象組織に送達することと、を含み得る。送達される前記治療薬は、多血小板血漿と、骨髄穿刺液と、骨髄濃縮物と、脂質由来の細胞と、自己若しくは非自己フィブリンと、薬剤と、対比色素と、又はファイバー若しくはプローブを介して送達されるエネルギーと、を含み得る。
本方法は、前記導入器ニードル内に同軸状に位置するスタイレットを有する前記導入器ニードルを、前記線維輪内に所定の深さまで挿入することと、前記送達カテーテルを前進させる前に前記スタイレットを取り外すことと、をさらに含み得る。前記対象組織内に前記送達カテーテルを前進させることは、前記送達カテーテル内に同軸状に位置する鈍スタイレット(blunt stylet)を有する前記送達カテーテルを導くことを含み得る。
上述の内容は、添付の図面にて図示するように、以下に示す例示の実施形態のより特定の説明から明らかとなるであろう。また、図面においては、同様の参照符号は異なる図面の全体にわたって同一の部分を指すものとする。図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、実施形態を説明することに強調が置かれている。
頸椎椎間板及び椎骨の上断面解剖図である。 腰部及び胸部の脊椎の一部の側面解剖図である。 2つの腰椎の後部側方解剖図である。 頸椎椎間板及び椎骨の上断面図であって、当該椎間板内に位置する導入器カニューレを伴う上断面図である。 シャープ・スタイレットと、ハブにおけるルアー接続部と、を有する導入器ニードルの平面図である。 スタイレットと、ハブにおけるルアー接続部と、ニードルの遠位端におけるプリセットされた屈曲部と、を有する導入器ニードルの平面図である。 導入器ニードルにおける屈曲部の角度は、送達カテーテルの屈曲部に関連して決定される。これによって、導入器ニードルを通って同軸状にフィットする送達カテーテルの組み合わせにより、送達カテーテルは線維輪の組織内に留まることができる。よって、送達カテーテルは、中心の髄核又は周囲の組織に侵入しなくなる。 送達カテーテルの平面図である。 導入器ニードルの深さの調整と送達カテーテルのプリセットされた屈曲部との組み合わせにより、湾曲した送達カテーテルが、髄核内に抜け出たり線維輪の外に抜け出たりすることなく、椎間板の線維輪の大きなジオグラフィーを横切ることができる。 考えられる一実施形態における、図3Aの送達カテーテルの遠位湾曲部の詳細図である。 図3Bの送達カニューレの閉鈍端ティップの詳細図である。 鈍ティップは、送達カテーテルの中空シャフトの端上に角度をつけて溶接され、サイドポートを有する。 導入器ニードルと、導入器ニードルを通って同軸状に配置された送達カテーテルと、を示す図である。 送達カニューレにおける屈曲部と導入器ニードルを通って同軸状にフィットする閉鈍ティップとの角度により、送達カテーテルが線維輪の組織内に留まることができる。よって、送達カテーテルは、中心の髄核又は周囲の組織に侵入しなくなる。 椎間板内に位置する導入器ニードルと、導入器ニードルを通って同軸状に配置された送達カテーテルと、を示す図である。 送達カテーテルは、送達カテーテルが線維輪の組織内に留まるように、プリセットされた屈曲部を有する。 導入器ニードルを図示する。 導入器スタイレットの上面図である。 導入器スタイレットの側面図である。 図6Aのスタイレットに対して組み付けられた図5の導入器ニードルを示す図である。 遠位ティップ部に形成された屈曲部を図示する、図7Aの導入器ニードル及びスタイレットの側面図である。 遠位ティップ部が短くされて傾斜付きシャープ・ティップを備えた、図7Bの導入器ニードル及びスタイレットを示す図である。 図7Cの導入器ニードル及びスタイレットの側面図である。 導入器ニードルのカニューレにおける遠位開口を塞ぐスタイレットの遠位ティップを図示する、図7Dの組み付けられた導入器ニードル及びスタイレットの遠位ティップの詳細図である。 送達カテーテルの側面図である。 送達カテーテルの上面図である。 送達カテーテルの正面図である。 スタイレットが取り外された後に図7Cの導入器ニードルを通して伸ばされた図8Aの送達カテーテルを示す図である。
例示の実施形態を以下に説明する。
用語「送達カテーテル」(delivery catheter)及びフレーズ「送達ニードルのカニューレ」(cannula of the delivery needle)は、この開示において、短尺導入器ニードルを通って同軸状にフィットする中空長尺カテーテルを表すのに用いられる。
オーバル(oval、ラテン語のovum「卵」から)は、卵の輪郭に「大まかに」似ている平面上閉曲線である。多くの特徴的な曲線が、一般的にオーバルと呼ばれたり「オーバル形状」を有すると言われたりする。一般的には、オーバルと呼ばれるには、平面曲線が卵又は楕円の輪郭に似ていることが必要になる。特に、以下がオーバルの共通の特徴である:1.区別可能(smooth looking)であり、シンプル(自己交差していない)であり、凸状の平面閉曲線である;2.それらの形状が楕円の形状からあまりずれていない;3.オーバルは一般的に対称軸心を有するが、これは必須ではない(情報源:オーバル、ウィキペディア、https://en.wikipedia.org/wiki/Oval、2019年1月30日にアクセス)。
数学では、楕円は、2つの焦点を、曲線上のあらゆる点において当該2つの焦点への距離の和が一定となるように取り囲む、平面上曲線である。よって、楕円は、円を一般化したものである。円は、両焦点が同じ位置にある特別な種類の楕円である(情報源:楕円、ウィキペディア、https://en.wikipedia.org/wiki/Ellipse、2019年1月30日にアクセス)。
持続長(persistence length)は、ポリマーの剛性を数量化する基本的力学的特性である(情報源:持続長、ウィキペディアhttps://en.wikipedia.org/wiki/Persistence_length、2019年1月30日にアクセス)。
椎間板は、10~20個の周方向に方向づけられたコラーゲン繊維輪によって包含されているゼラチン状の中心コア(髄核)からなる。髄核から線維輪にかけて移行ゾーンが存在するため、線維輪の外側繊維は、一般的に内側繊維よりも強い。
センターレス研磨は、ソリッドワイヤから、その長さに沿って可変外径(OD)(variable outer diameter)を有するように、材料を選択的に除去することを示す用語である。
従前アプローチについての説明
線維輪を貫通するスタイレットを備えた導入器ニードルを用いる多数の従前アプローチが存在する。スタイレットが取り外される際の導入器ニードルは、より長尺の第2のニードル(複数可)又はプローブを髄核内に導入するための作業チャネルを形成する。これらの二重ニードルシステムは一般的に、直線、曲線、又は直線と曲線との組み合わせのいずれかである。これらのシステムは、特定の対象治療ゾーン又は複数のゾーンにアクセスするように設計されている。当該アプローチのいくつかにおいて、本装置の組み付けられたカニューレにより形成された複合チャネルの形状により、髄核を跨いだ線維輪の両側と、第1の穴ができた場所に対する遠位側の線維輪の内壁と、を通って横切ることによる対象ゾーンへのアクセスが可能になる。いくつかのアプローチでは、カーブしたニードルが用いられる。
例えば、US9,113,950(Schultzら)には、ニードルアセンブリを含む治療用送達装置及びそれと関連する方法が教示されている。Schultzによると、ニードルアセンブリは、1)前進可能カニューレを内側に拘束する導入器ニードル、又は、2)前進可能カニューレを有する導入器ニードル、のいずれかを含み得る。ニードルアセンブリは、カニューレの内側に拘束された前進可能カテーテルをさらに含む。Schultzには、ニードルアセンブリの態様が記載されている。当該態様では、正確な距離まで正確なアーチを伴って、必要とされる導入器からカニューレ及びカテーテルをユーザによって独立的に前進させることができる。
既知のアプローチのいくつかは、髄核の湾曲形状と一致する湾曲プローブを介して線維輪の内壁を標的にすることで髄核の内部に治療を提供する。熱としてのエネルギーは、第1のカニューレを通して髄核内に導入された第2のカニューレ又はプローブを介して送達され得る。この熱は、椎間板をシールする手段として、組織を凝固させるのに十分な熱であり得る。エネルギーを送達するのに用いられるプローブは、導入器ニードルのカニューレを通して導入されたガイドワイヤを介して送達され得る。例えば、US6749605B2(Ashleyら)〔特許文献1〕、US6,007,570(Sharkeyら)、及びUS6,878,155(Sharkeyら)を参照のこと。
いくつかの技術文献には、椎体の骨髄腔にアクセスすべく椎弓根骨(pedicle bone)を横切るニードルの使用について記載されている。例えば、Pakterら(8,747,359)、McGuckinら(8,784,382)を参照のこと。クックメディカル社は、2本のニードル(導入器ニードル1本及び第2の送達ニードル1本)から構成される、Pakterニードルシステムと呼ばれる装置を販売している。第2の送達ニードルは、プリセットされた屈曲部を有し、ニチノールから作成され、導入器ニードルを通って同軸状にフィットし、屈曲して髄核の内部にアクセスする。
Shahら、には、失敗した背部手術後に脊椎内の神経に麻酔剤を送達するダブル・ニードルシステムが記載されている(Shahら、Targeting the spinal nerve via a double-needle, transforaminal approach in failed back surgery syndrome: Demonstration of a technique. Pain physician. 7. 93-7.2004年2月)。
Kumarら、には、髄核にアクセスするダブル・ニードル技術が記載されている(Kumar, Naresh & Agorastides, Ioannis. (2000). The curved needle technique for accessing the L5/S1 disc space. The British journal of radiology. 73. 655-7. 10.1259/bjr.73.870.10911790).
しかし、痛みを伴う断裂及びヘルニア形成は、脊椎板の後部外周を跨いで且つ当該後部外周の周辺で発生する。これらの断裂は、いつも容易に特定されるわけではなく、拡散し得、内側の髄核といつも連通するわけではない。従って、髄核侵入を介して送達される治療薬が、痛みを伴う全ての断裂部の隅々に必ずしも流れるわけではない。従前のニードルシステムは典型的には、個々のゾーン(複数可)にアクセスするように設計されており、損傷のエリア全体を度々見過ごしてしまう。これにより、注入物の潜在的治療効果が制限されてしまう。加えて、椎間板の血液供給が、線維輪の外側3分の1に制限されてしまう。血管周囲の修復細胞を刺激する流体(例えば、生物学的薬剤)は、できるだけ後部線維輪の近くに送達する必要がある。
現在、後部線維輪全体の隅々に治療薬を正確に確実に送達する装置は存在しない。従って、脊椎板の後部外周全体に治療を提供するより良い手段が必要である。本明細書に記載されている特徴を備えた装置が、線維輪断裂及び亀裂の診断及び/又は治療に有用なその他の材料(つまり、造影剤又は麻酔薬)の送達にも用いられ得る、と理解されるであろう。
例示の実施形態
図2A~4Bは、椎間板内に治療薬を送達する装置の例示の実施形態を図示する。本装置は、取り外し可能スタイレットを有する挿入ニードル又は導入器ニードル(insertion or introducer needle)(図2A及び2Bを参照)と、事前成形された湾曲部/屈曲部と鈍ティップとを有し挿入ニードル内に受け入れ可能な送達カテーテル/カニューレ(delivery catheter/cannula)(図3A~3C、4A、及び4Bを参照)と、を含む。
図2Aは導入器ニードル200を図示する。導入器ニードル200は、長尺カニューレ(elongated cannula)208と、遠位端204と、ニードル200の近位端203のハブ202におけるルアー接続部(luer connection)と、を備える。シャープ・スタイレット(sharp stylet)205は、ハブ202と長尺カニューレ208とを通って延在する。スタイレットの近位端におけるキャップ210が、図2Aで見て取れる。キャップ210及びハブ202は、アセンブリ導入器ニードル200の2部式ハンドル(two-part handle)を形成する。
図2Bは導入器ニードル200’を図示する。導入器ニードル200’は、スタイレット205’と、ハブ202におけるルアー接続部と、ニードル200’の遠位端204におけるプリセットされた屈曲部206と、を備える。スタイレット205’のうち、キャップ210のみが図2Bで見て取れる。キャップ210及びハブ202は、アセンブリ導入器ニードル200’の2部式ハンドルを形成する。ニードルの遠位端におけるプリセットされた屈曲部206は、約2度と約10度との間の角度、好ましくは約4度と約7度との間の角度、より好ましくは約5度の角度で、遠位ティップから約3mm~約9mm、好ましくは約5mm~約7mm、より好ましくは約6.25mmであり得る。カニューレの遠位端204は、組織内への貫通を容易にするためのシャープな傾斜ティップを有する。
図2A及び2Bに図示されるように、導入器ニードル200、200’は、対象組織内への挿入距離の判定を可能にするマーキング207を外側に有し得る。カニューレ208、208’は、露出長(exposed length)LN及び外径ODNを有する。例示の実施形態では、LNは約6.0インチ(152.4mm)であり、ODNは17-ゲージチューブの外径に相当する約0.058インチ(1.473mm)である。
図3Aは、近位端303のハブ302におけるルアー接続部305(例えば、ルアーロック)と、遠位端におけるティップ304と、長尺中空シャフト308と、を含む送達カテーテル300を図示する。カテーテルは、事前成形された湾曲部/屈曲部306と、ティップ304における鈍ティップ部(blunt tip portion)301と、を有する。カテーテル300はニチノール(Nitinol)から形成され得るが、ティップ部分304はニチノール部(例えば、中空シャフト308)にスチール溶接され得る。カテーテルは、マーキングを有し得る。これらのマーキングは、図2A及び2Bに図示されるような導入器カニューレのマーキングと類似であってもよい。カテーテルの中空シャフト308の、露出長LCは約5.0インチ(127.0mm)であり得、外径ODCは21-ゲージチューブの外径に相当する約0.032インチ(0.813mm)であり得る。
図3Bは、考えられる一実施形態における図3Aの送達カテーテル300の遠位湾曲部(distal curved portion)306の詳細図である。送達カテーテル300の湾曲部(例えば、プリセットされた屈曲部)は、導入器ニードルを抜け出た際のカテーテルがオーバル状経路(oval path)を辿るような湾曲部であり得る。例えば、プリセットされた屈曲部は、導入器ニードルを抜け出た際のカテーテルが約15mmと約35mmとの間の初期直径を有する経路を辿るような屈曲部であり得る。屈曲部306は、図示されるような半径R及び直径Dにより特徴づけられ得る。一実施形態では、Rは約0.678インチ(17.2mm)であり、Dは約0.918インチ(23.3mm)である。
図3B、3C、及び4Bに図示されるように、カテーテル300は、遠位側方開口(distal side opening)(サイドポート)312を含む。図示されるように、開口312は、プリセットされた屈曲部306のインサイドへの開口である。側方開口は、遠位ティップ304にレーザカットで形成されてもよい。図3Cに図示されるように、開口は細長く、カテーテル300の長さ方向軸に沿った長さLOを有する。図4Bに図示されるように、遠位ティップ304の長さはLTである。一実施形態では、LOは約0.075インチ(1.9mm)であり、LTは約0.20インチ(5.1mm)である。遠位湾曲形状部を備えるカテーテルのプリセットされた屈曲部306に加え、ティップ部分304は、図3C及び4Bに最もよく図示されるように、オフセット角度部又は屈曲部314を含み得る。カテーテル300の遠位端における屈曲部314は、約5度と約45度との間の角度α、好ましくは約10度の角度で、遠位ティップ301から約3mm~約6mmであり得る。図示されるように、鈍ティップ部301は、丸みを帯びて、カテーテル300の閉遠位端(closed distal end)を形成し得る。
図4Aは、導入器ニードル200と、導入器ニードル200を通って同軸状に配置された送達カテーテル300と、を含む装置400を図示する。送達カテーテル300は、送達カテーテルの少なくとも一部(例えば、カーブ部306)が導入器ニードルの遠位端を越えて伸ばせるように、導入器ニードル200よりも長い。
使用時、導入器ニードル200は、スタイレット205と共に皮膚を通して椎間板の線維輪内に挿入される。線維輪は、椎間板のより柔らかい核を取り囲む線維状外側組織である。スタイレット205が取り外されて、カテーテル300が導入器ニードル200を通して線維輪内に挿入される。従来のアプローチとは異なり、カテーテル300は、核(nucleus)に侵入せずに線維輪(annulus)内に留まる。図4Bは、破線の楕円状曲線によって境界づけられ、核425を取り囲む線維輪415を模式的に図示する。プリセットされた形状306及び鈍ティップ304により、カテーテル300は、線維輪415のリング形の線維状構造を辿って、線維輪の組織内に留まる。カテーテルは、椎間板の周囲の組織又は核425に侵入しない。カテーテル300が線維輪を通って増分的(incrementally)に後退するにつれ、治療薬が線維輪の組織内に送達される。送達は、カテーテル300の遠位端に近い側方ポート312を通して行われる。好ましい対象部位は、腰部椎間板の後部外側線維輪(posterior outer annulus fibrosus)である。図4Bに図示されるように、プリセットされた屈曲部306は複数の曲率角度を有し得、カテーテル300はオーバル形状を辿り得る。カテーテルの曲線は、水平角βで始まり、垂直に、180°を過ぎて垂直角γまで延在する。一実施形態では、合計曲率角度285°に対して、β=30°且つγ=45°である。
図5~9は、椎間板の対象組織に治療薬を経皮送達する低侵襲装置の構成要素を図示する。本装置は、図2A~4Bを参照して上述された特徴と類似の特徴を有する。
図5は、近位端におけるハブ502と、近位端から延在する長尺カニューレ508と、を有する導入器ニードル500を図示する。ハブは、ルアーコネクタを含むルアーハブである。長尺カニューレには、カニューレが組織内に侵入する深さを監視し易くするマーキング507が設けられる。カニューレ508の遠位端は、鈍く(blunt)、仕上がっていない。下記に述べるように、遠位端は、短くされ、鋭くされる。遠位端を短く鋭くすることは、所定の位置に導入スタイルですませることができる。
図6A及び6Bは、図5の導入器ニードルへの組み付け用に構成された導入器スタイレット(introducer stylet)605を図示する。スタイレット605は、近位端におけるハンドル610と、長尺の堅固なシャフト608と、を含む。シャフトは、ステンレス鋼ワイヤから形成され得る。シャフト608の外径は、シャフト608が導入器ニードルのカニューレ508を通して伸ばせるように、カニューレ508の内径よりも小さい。ハンドル610のテーパ部は、導入器ニードルのハブ502のルアーコネクタ(luer connector)にフィットするよう構成されている。ハンドル610はマーカ611を含む。マーカ611により、以下にさらに記載されているように、一旦組織内に挿入されたスタイレットと導入器ニードルとを、操作者が方向づけできる。図示されるように、マーカ611は、スタイレットのハンドルから遠位に延在するピンである。ピンは、導入器ニードル500のハンドル又はハブに形成された切欠きにフィットするよう構成され得る。図6Bに図示されるように、軸608は、軸の長さに沿って縮径プロファイル(reduced diameter profile)613を有し得る。プロファイル613は、軸の遠位端に近いが間隔をあけて位置してもよい。
図7Aは、図6Aのスタイレット605に組み付けられた図5の導入器ニードル500を図示する。スタイレット605のシャフトは、導入器ニードルの長尺カニューレ508を通って終端する。スタイレットのハンドル610のテーパ部は、ピン611がハブ502の切欠き内に位置した状態で、ハブ502に連結される。一旦導入器ニードル及びスタイレットが組み付けられると、図7Bに図示されるように、屈曲部506が遠位ティップ部に形成され得る。屈曲部の角度は、用途及び対象組織に基づいて選択され得る。図7Bは、カニューレ508の主長さ方向軸心に対して約5°の角度を成す屈曲部を図示する。そのような角度が椎間板へのアクセスに有用であることが分かった。
図7C及び7Dに図示されるように、組み付けられた導入器ニードル500及びスタイレット605は、例えば研磨又はその他の適切な手段により、遠位ティップ部を短くして傾斜付きシャープ・ティップ(sharp, beveled tip)を形成するようにさらに加工され得る。図7Eは、導入器ニードルのカニューレ508の遠位端504における開口507を塞ぐスタイレット605の軸の遠位ティップ604を図示する、組み付けられた導入器ニードル及びスタイレットの遠位ティップの詳細図である。本装置が組織内に挿入される際にかぎ裂き又は断裂を避けるべく、スタイレットの遠位ティップ604がカニューレ508の斜面と同一平面を成すことが望ましい。カニューレ508の遠位端における斜面と開口とは、スタイレット605のハンドルにおけるピン611と整列している。これにより、導入器ニードルが組織内に挿入された際に操作者が斜面と開口とを方向づけできる。好ましくは、斜面と開口とは、椎骨板の内部と向かい合う。このように、スタイレットが取り外されて送達カテーテルが導入器カニューレを通して挿入される際、送達カテーテルは、椎間板の内部に向かって導入器カニューレを抜け出る。
図8A~8Cは、ニードル500などの導入器ニードルを通して椎間板内に挿入されるよう構成された送達カテーテル800を図示する。図9は、スタイレット605が取り外された後に図7Cの導入器ニードルを通して伸ばされた図8Aの送達カテーテルを図示する。送達カテーテル800は、直線部と、カテーテルの遠位端におけるプリセットされた屈曲部806(例えば、湾曲部)と、を有する長尺中空シャフト808を含む。図8Aに図示されるように、中空シャフト808は露出長LC1を有し、カテーテル800は全長LC2を有する。例示の実施形態では、LC1は約8.1インチ(205.7mm)であり、LC2は約9.3インチ(236.2mm)である。近位端802上(例えば、ハブ又はハンドル802上)のマーキング又はインジケータ813が、屈曲部806の向きを操作者に示す。図8Bに図示されるように、マーキング813はハブ802上に印刷され得る。カテーテル800の近位端及び遠位端802、804は、中空シャフト808に沿って連通する開口を形成する。遠位開口812(図9)は、プリセットされた屈曲部806の内部への側方開口である。送達カテーテルの遠位端は、鈍ティップを含む。
図9に図示されるように、送達カテーテル800は、導入器ニードル500よりも長く、導入器ニードルのカニューレ508の遠位端から伸ばすことができる。図示された例では、導入器ニードルカニューレ508の露出長LNは約6.0インチ(152.4mm)であり、送達カテーテルの直線部がハブ502の遠位端から延在する長さLC3は約6.3インチ(160.0mm)である。本明細書に記載されているように、送達カテーテル800が椎間板の対象組織内に伸ばされる際、鈍ティップとプリセットされた屈曲部との組み合わせにより、送達カテーテルが椎間板の線維輪を通って且つ当該線維輪からはみ出ないように前進可能になる。
記載された本装置及び本方法は、椎間板症を治療するためのダブルニードルアセンブリを用いる従前アプローチに対する改良である。その他のアプローチでは、例えば、疾患のある又は損傷したと考えられる部位にアクセスすべく、髄核に侵入した後に椎間板の線維輪の内壁と外壁とを横切ることで線維輪上の単一の地点にアクセスするニードルが用いられる。これらのニードル送達システムは次に、厳格に特定された部位に治療薬を送達する。これらの装置の欠点は、線維輪全体又は後部線維輪の略全外周が治療されない、ということである。本装置は、特定のプリセットされた屈曲部と深さマーキング(depth marking)とを有する送達カテーテルと導入器ニードルとの新規組み合わせの確立により、これら及びその他の欠点に対処する。これにより、臨床医は、椎間板腔の後部線維輪の外周のうち、かなりの部分の内部に治療を確実に提供できる。カニューレのプリセットされた湾曲部は、複数の異なるアーチを有し得る。これにより、カニューレが導入器カニューレを通って完全に伸ばされた際に、カニューレの形状が、円形状ではなく、オーバル又は楕円形状を呈する。オプショナルスタイレットが、カニューレの持続長にバラつきを持たせるべく、上記カニューレ内に組み付けられ得る。様々な材料が、線維輪などの皮下組織の境界の内側における円形経路の周囲にカテーテルを通して治療薬を送達することを可能にするための、侵入深さと曲率と持続長との新規組み合わせを作り出すのに用いられ得る。異なる材料及び組み合わせが記載されているが、代替され得るその他のそういった適切な材料を制限することは意図していない。
一実施形態では、低侵襲椎間板装置(minimally invasive intradiscal device)が、対象組織に治療薬を経皮送達するために設けられる。本装置は、剛性導入器ニードルを含む。上記剛性導入器ニードルは、第1の端と第2の端とを有する長尺中空剛性カニューレ(elongated hollow rigid cannula)であって、上記第1の端及び上記第2の端は、開口を形成し上記中空シャフトに沿って連通している長尺中空剛性カニューレと、上記カニューレの遠位端から突出するシャープ・スタイレットと、を備える。上記軸及び上記スタイレットのティップは、身体を通して対象組織内に上記ニードルを挿入することを可能にするよう構成されている。上記導入器ニードルのティップは、事前指定された屈曲部を有し得、又は直線であり得る。本装置は、上記スタイレットが取り外される際に上記導入器カニューレを通って同軸状にフィットするより長尺の送達カテーテルをさらに含み、上記送達カテーテルは、長尺中空カニューレを有し、上記長尺中空カニューレも、プリセットされた屈曲部を有し、上記カニューレは、第1の端と第2の端とを有し、上記第1の端及び上記第2の端は、開口を形成し上記カニューレの中空シャフトに沿って連通し、上記カニューレの遠位端上に鈍ティップが溶接されており、これにより、送達カテーテルの遠位端が導入器ニードルの遠位端を抜け出て対象組織内に至る際に、組織内への導入器ニードルの深さと鈍ティップカテーテルとプリセットされた屈曲部との組み合わせにより、対象組織を通って且つ当該対象組織からはみ出ないように送達カテーテルを操作することができるようにする鈍ティップキャップは、送達カテーテルが対象組織の内部を周回することをさらに容易にすべく、迎え角を改善するように送達カニューレの遠位端上にオフセットして溶接され得る。対象組織は、例えば、後部外側線維輪であり得る。送達カテーテルの材料として、ニチノールが考えられる。溶接されるティップには、ステンレス鋼又はニチノールが考えられる。代替的に、キャップは、ニチノールカテーテルから、レーザ溶接又はその他の既知の手段で端を塞ぐことで作られ得る。
送達ニードルのカニューレには、カニューレ形状の重合体又はワイヤコイルなどのその他の材料が考えられる。送達ニードルのカニューレは、開口端と、カニューレの端を越えて突出する鈍スタイレットと、を有し得る。加えて、送達カニューレは、プリセットされた屈曲部を備えることなく、可撓性を有し、湾曲部がニチノールスタイレットにより設けられ得る。プリセットされた屈曲部を有するニチノールスタイレットは、送達カニューレの内側に配置され、そのような構成により、外側可撓カニューレは、内側に配置されたスタイレットの形状を有するようになる。
例えば、治療薬を皮下送達する低侵襲装置は、剛性導入器ニードルであって、第1の端と第2の端とを有する長尺中空剛性カニューレであって、上記第1の端及び上記第2の端は、開口を形成し上記中空シャフトに沿って連通している、長尺中空剛性カニューレと、上記導入器カニューレの遠位端から突出するシャープ・スタイレットと、を備える剛性導入器ニードルであって、上記軸及び上記スタイレットのティップは、身体を通して対象組織内に上記ニードルを挿入することを可能にするよう構成されている、剛性導入器ニードルと、上記スタイレットが取り外される際に上記導入器ニードル及び上記カニューレを通って同軸状にフィットする、より長尺の送達ニードル及びカニューレであって、上記送達ニードルは、ワイヤコイル又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から形成された長尺中空可撓カニューレであって、上記コイル又はPEEKカニューレは第1の端と第2の端とを有し、上記第1の端及び上記第2の端は、開口を形成し上記コイル又はPEEKカニューレの中空シャフトに沿って連通している、長尺中空可撓カニューレと、上記コイル又はPEEKカニューレの遠位端から突出する鈍スタイレットであって、鈍ティップスタイレットはプリセットされた屈曲部を有し、これにより、上記送達ニードルの遠位端が上記導入器ニードルの遠位端を抜け出て対象組織内に至る際に、上記内側に配置されプリセットされた屈曲部を有する鈍ティップスタイレットの組み合わせにより、上記送達カニューレが、上記対象組織を通って且つ上記対象組織からはみ出ないように通過するように円形軌道にて前進できるようにする、鈍スタイレットと、を有する、より長尺の送達ニードル及びカニューレと、から構成される。
スタイレットは、ニチノールから作成され、プリセットされた屈曲部を有し得る。プリセットされた屈曲部を維持できるその他の材料も適している。可撓コイル又はPEEKカニューレにおける内側に配置されたスタイレットにより、カニューレが、スタイレットと同じプリセットされた屈曲部を有するようになる。少なくとも1つの側方ポートを有する閉端部キャップが、ワイヤコイル又はPEEKカニューレのティップに溶接され得る。送達カニューレの内側に配置されたスタイレットは、同軸状にフィットし、遠位端のキャップで行き止まりになり、近位端においてカニューレの開口を越えて延在し得る。スタイレットを押すことで、可撓ワイヤ又はPEEKカニューレが前進する。送達カニューレのプリセットされた屈曲部に加えて導入器ニードルの深さ調整/設定の組み合わせにより、湾曲した送達ニードルが、髄核内に抜け出たり線維輪の外に抜け出たりすることなく椎間板の円形線維輪の大きなジオグラフィーを周回できる。開示されたどの送達カニューレも、カニューレが身体から引き出される際に治療薬の注入を可能にすべく、近位端上に標準のルアー接続部を有し得る。
PEEKに代えて、その他の適切な重合体がカニューレに用いられてもよい。
図3B、3C、及び4Bに図示されるように、カテーテル300の遠位端における開口312は、横向きの単一の孔であり得、鈍端ティップ304の一部であり得る。開口312は、好ましくは椎間板の中心、つまり髄核、に向かって方向づけられる。カテーテルを通して注入された流体(例えば、治療薬)は、椎間板の周辺又は外側部における断裂部又は突起物に対してこれ以上圧力をかけないように、椎間板の中心に向かって流れる。近位ハンドル端(例えば、ハブ302)におけるカテーテル上の方向づけマーキングが付加され得、これにより、ユーザは、椎間板の内側部に向かってポートを方向づけることができる。マーキングは、ハブ302における切欠き、突起、又はハブ上に印刷された記号であり得る。
本発明の一実施形態では、送達カテーテルは、プリセットされた屈曲部を有さず、可撓性が高く、側方ポートを有する鈍キャップ(ティップ)が遠位端上に形成又は溶接され得る。この実施形態では、スタイレットが、カテーテルを前進させる剛性を付与し、プリセットされた湾曲部を有する。これにより、組み付けられたスタイレット及びカテーテルは、導入器カニューレを同軸状に通った後に線維輪を通って進行できる。この実施形態では、カテーテルは、スタイレットの屈曲部に従属(slave)するものである。スタイレットは、スタイレットのセンターレス研磨によるODの変化に基づく、変化する剛性度を有し得る。これにより、組み付けられたスタイレット及びカテーテルが導入器カニューレを同軸状に通った後に線維輪を通るにつれて、当該アセンブリの持続長が変化し得る。
スタイレットは、例えば、ニチノールから作成され得る。カテーテルは、例えば、PEEKチューブ又はワイヤ巻線チューブ(wire wound tube)から作成され得る。側方ポートを有する鈍キャップは、PEEKチューブの端上に形成され得る。或いは、側方ポートを有する鈍キャップが、鋼から作成され得、ワイヤ巻線チューブの端上に溶接され得る。変化する持続長と湾曲部とを有する複数の異なるスタイレットが、キット内に配置され得る。あるスタイレットが線維輪を進むのに適正な剛性を有していない場合、当該スタイレットは取り外され得、より低い又は高い剛性を有する第2のスタイレットが挿入され得る。この実施形態では、個々の患者の特定のニーズに基づいてカニューレの湾曲部又は剛性をカスタマイズするために利用可能な複数のスタイレットと共に、1つのサイズのカニューレが用いられ得る。異なるスタイレットが、臨床医が直面するものに基づいて処置中に交換され得る。スタイレットのプリセットされた湾曲部は、複数の異なるアーチを有し得る。これにより、組み付けられたカテーテル及びスタイレットが導入器カニューレを通って完全に伸ばされた際にカテーテルが有するようになる形状は、円形状ではなく、オーバル又は楕円形状になる。スタイレットは、カテーテルのみを所定位置に残して取り外され得る。スタイレットを取り外した後に、流体がカテーテルを通して注入され、カテーテルは回収される。
導入器カニューレが、重合体とニチノールを含む金属との両方を含有するように様々な材料から作成され得ることと、導入器カニューレがプリセットされた屈曲部を有し得ることと、が考えられる。いずれの実施形態でもスタイレットが注入カテーテル及び導入器カニューレに用いられ得ることと、注入カテーテル用のスタイレットが、その長さに沿って変化する屈曲部の角度と変化するODとを有し得ることで、長さの独特の持続性が確立され得ることと、が考えられる。
本発明の実施形態は、導入器ニードル及びカニューレと、送達カテーテル及びカニューレと、を含む椎間板装置(intervertebral disc apparatus)を提供する。送達カテーテルは、導入器ニードル内に少なくとも部分的に位置する。送達カテーテルは、内壁と外壁との内側の線維輪の周辺で前進可能に構成されている。生物学的物質(つまり、自己多血小板血漿、骨髄穿刺液、骨髄濃縮物、フィブリン、非自己フィブリン若しくは細胞、又はそれらの組み合わせ)が、送達カテーテルを通して注入されることが考えられる。ファイバーを介して送達されるレーザエネルギーなどのエネルギーも、送達カテーテルを通して送達されることが考えられる。
実施形態は、外部から誘導可能な椎間板装置を提供することを含む。椎間板は、髄核と、線維輪と、線維輪の内壁及び外壁と、を有する。髄核は第1の直径を有し、周囲の線維輪及び髄核はより大きな第2の直径を有する。内壁と外壁との間の線維輪へのアクセスは、線維輪の内壁と外壁との対向するセクションの間に導入器ニードルと送達カテーテルとが配置される、ことでなされる。送達カテーテルは、終端において開口を有する内腔を備える。送達カテーテルは、縦方向のアクセスを有する遠位端と近位端とを有する中空シャフトをさらに備える。中空シャフトは、導入器内腔を通ってスライドするよう順応される。カテーテルは、カテーテルの遠位端において円板内湾曲セクションを有する。円板内湾曲セクションは、導入器の開口を通して伸ばすことができる。円板内湾曲セクションは、椎間板の線維輪の内壁と外壁との間における線維輪組織を通して前進可能であるために十分な剛性を有する。送達カテーテルの近位端に対して縦方向に加えられる力のもとでは、そのような力の加えられたカテーテルは、屈曲部と外側線維輪の壁を通して前進可能であるためには不十分な貫通能力とを有するが、線維輪を通って進行するのに十分な曲率と持続長とを有している。送達カテーテルは、近位端上に深さマーキングを有する。送達カニューレは、深さマーキングに基づく設定された間隔で椎間板から後退する。各間隔において、治療薬が椎間板に送達され、椎間板の後部外周全体に沿って当該治療薬を広範囲に送達することを可能にする。考えられるそのような治療薬は、多血小板血漿、骨髄穿刺液若しくは濃縮物、脂質由来の細胞、自己若しくは非自己フィブリン、又は送達カテーテルを通って同軸状にフィットする光ファイバーを通して送達されるレーザエネルギー若しくは送達カテーテルを通って同軸状にフィットするプローブを通して送達される他の種類のエネルギーであり得る。送達カニューレ上の深さマーキングは、例えば0.5センチメートルごとであり得る。
本装置の特別な利点は、生物学的物質又は流体を椎間板に送達する際に後部及び前部両方の迎え角(posterior and anterior angle of attack)から生物学的物質を送達することが可能になることである。
以下は、本装置が実際にどのように用いられ得るかをステップごとに説明している。
処置は、厳重な無菌条件下で外来手術室又は外来治療センターにおいて行われる。上記処置は、静脈内鎮静を伴って蛍光透視ガイダンスのもとで行われる。治療される椎間板レベルは、患者病歴、身体検査、疼痛部位図示法、及び放射線検査により処置前に判定される。
患者は、蛍光透視台に伏臥に乗せられる。通常の無菌皮膚処置、治療エリアの無菌ドレーピング、及び局所麻酔の後に、標準のエクストラペディキュラ(extra‐pedicular)アプローチを用いて17-ゲージ導入器ニードルが前部側方線維輪内に配置される。前部-後部蛍光透視画像及び側方蛍光透視画像の両方により、適切なニードル配置が確認される。導入器ニードルのスタイレットが取り外され、その後、半剛性カテーテルが、操縦のために、プリセットされた湾曲した鈍ティップを用いて蛍光透視ガイダンスのもとで前部線維輪内に手動で前進させられる。カテーテルは、側方蛍光透視撮像のもとで終板(end plate)と平行にゆっくりとなだらかに、反対側の前部線維輪まで、その後は後部中央線維輪を跨いで反対側の後部線維輪まで、そして最後に同側の後部線維輪まで、前進させられる。前部-後部蛍光透視画像及び側方蛍光透視画像の両方により、適切なカテーテル配置が確認される。
その後、予測可能な増分(increment)にてカテーテルが引き出されながら所望の流体がゆっくりと注入され、当該流体が後部外側線維輪全体の隅々に送達される。典型的な注入体積は、0.5~1.0cmの移動ごとに流体0.5~1.0ccであろう。処置のこの部分の間、側方ポートは、椎間板突起を悪化させないために外側線維輪に異常な力がかからないように内側椎間板に向けられる。椎間板カテーテルの端上のマーカが、インターベンショナリストに対して側方ポートの方向を知らせる。後部線維輪全体が流体に浸されると、カテーテルが導入器ニードルを通して後方に引き出され、導入器ニードル及びカテーテルの両方が椎間板から手動で取り外される。無菌包帯が傷口に貼られ、患者は、有害事象(adverse events)を監視すべく処置後、回復エリアに移される。
全特許と公開出願と本明細書で引用された文献との教示が、それらの全体に亘って参照により組み込まれる。
例示の実施形態が具体的に図示及び説明されたが、添付の請求の範囲に包含される実施形態の範囲を逸脱することなく、さまざまな形および詳細の変更がこれらの例示の実施形態においてなされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。

Claims (27)

  1. 椎間板の対象組織に治療薬を経皮送達する低侵襲装置であって、
    近位端と遠位端とを有する長尺カニューレであって、前記近位端及び前記遠位端は、開口を形成し前記カニューレに沿って連通している、長尺カニューレと、
    前記カニューレを通って延在するスタイレットであって、前記カニューレの前記遠位端における前記開口を塞ぐティップを有する、スタイレットと、
    を含む、剛性導入器ニードルであって、
    前記カニューレ及び前記スタイレットは、組織内への前記ニードルの経皮挿入を可能にするよう構成されている、剛性導入器ニードルと、
    前記スタイレットが取り外される際に前記導入器ニードルを通って同軸状にフィットする送達カテーテルであって、
    前記送達カテーテルは、前記導入器ニードルよりも長く、
    前記送達カテーテルは、プリセットされた屈曲部を有する長尺中空シャフトを含み、
    前記送達カテーテルは、近位端と遠位端とを有し、
    前記近位端及び前記遠位端は、開口を形成し前記中空シャフトに沿って連通しており、
    前記遠位開口は、前記プリセットされた屈曲部の内部への側方開口であり、
    前記送達カテーテルの前記遠位端は、鈍ティップを含み、
    前記送達カテーテルは、前記導入器ニードルの前記遠位端から椎間板の対象組織内に伸ばすことができ、
    前記鈍ティップと前記プリセットされた屈曲部との組み合わせにより、前記送達カテーテルは、前記椎間板の線維輪を通って且つ前記線維輪からはみ出ないように前進可能になる、送達カテーテルと、
    を備える装置。
  2. 請求項1に記載の装置において、前記鈍ティップは、前記送達カテーテルの中央線からオフセットされた角度で、前記送達カテーテルの前記遠位端において前記軸上に位置する、装置。
  3. 請求項2に記載の装置において、前記鈍ティップは、前記送達カテーテルの前記遠位端において前記中空シャフト上に溶接され、前記軸の材料とは異なる材料から作成される、装置。
  4. 請求項3に記載の装置において、前記送達カテーテルの前記中空シャフトは、ニチノールから作成される、装置。
  5. 請求項4に記載の装置において、前記送達カテーテルの前記鈍ティップは、ステンレス鋼から作成される、装置。
  6. 請求項1に記載の装置において、前記導入器ニードルの前記カニューレは、前記カニューレの前記遠位端において、プリセットされた屈曲部を有する、装置。
  7. 請求項6に記載の装置において、
    前記カニューレの前記遠位端における前記プリセットされた屈曲部は、
    約4度と約6度との間の角度で前記遠位ティップから約3mm~約9mmにあり、
    好ましくは、約5度の角度で、前記遠位ティップから約6.25mmにある、
    装置。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の装置において、
    前記導入器ニードルは、2つの部分からなるハンドルを有し、
    前記ハンドルの第1部は、前記カニューレに取り付けられ、
    前記ハンドルの第2部は、前記スタイレットに取り付けられ、
    各部分は、前記導入器ニードルの前記近位端において取り付けられ、
    前記スタイレットと前記ハンドルの前記第2部とは、前記カニューレから選択的に取り外し可能であり、
    前記ハンドルの前記第1部は、前記スタイレットと前記ハンドルの前記第1部とが取り外される際に、前記導入器ニードルの前記遠位端における前記開口と連通する通路を画定する、装置。
  9. 請求項8に記載の装置において、前記ハンドルの前記第1部はルアーハブを含む、装置。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の装置において、前記送達カテーテルは、前記送達カテーテルの前記近位端においてルアーロック接続部を含む、装置。
  11. 請求項10に記載の装置において、前記ルアーロックは、シリンジからの前記治療薬の送達を可能にし、前記シリンジは、前記治療薬を保持し前記ルアーロックに連結されている、装置。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の装置において、前記導入器ニードルは、前記対象組織内への挿入距離の判定を可能にするマーキングを外側において有する、装置。
  13. 請求項12に記載の装置において、前記送達カテーテルは、前記送達カテーテルが前記導入器ニードルを越えて挿入された距離又は前記対象組織から後退した距離の判定を可能にする1つ以上のマーキングを、外側において前記近位端上に有する、装置。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載の装置において、前記対象組織は、前記椎間板の前記線維輪の後部外側3分の1である、装置。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載の装置において、前記導入器ニードルは、前記線維輪内に所定の深さだけ挿入されるよう構成され、これにより、前記送達カテーテルの前記遠位端が前記導入器ニードルの前記遠位端を抜け出る開始地点と、前記送達カテーテルが前記導入器ニードルの前記遠位端を越えて完全に伸ばされた際に前記カテーテルが前記導入器ニードルを越えて延在する長さと、前記送達カテーテルの前記プリセットされた屈曲部と、前記送達カテーテルの前記端上の前記鈍ティップと、前記送達カテーテルの剛性又は持続長と、を組み合わせた結果、前記送達カテーテルは、前記線維輪の前記組織内に抜け出て前記組織内に留まる、装置。
  16. 請求項1~15のいずれか一項に記載の装置において、前記送達カテーテルは、設定された間隔で前記対象組織から後退するよう構成されており、各間隔において、治療薬の一部が前記線維輪内に導入される、装置。
  17. 請求項16に記載の装置において、前記治療薬は、多血小板血漿、骨髄穿刺液、骨髄濃縮物、脂質由来の細胞、自己若しくは非自己フィブリン、薬剤、対比色素、又はファイバー若しくはプローブを介して送達されるエネルギーである、装置。
  18. 請求項1~17のいずれか一項に記載の装置において、前記送達カテーテルの前記プリセットされた屈曲部は、前記導入器ニードルを抜け出た際の前記カテーテルがオーバル状経路を辿るような屈曲部である、装置。
  19. 請求項18に記載の装置において、前記送達カテーテルの前記プリセットされた屈曲部は、前記導入器ニードルを抜け出た際の前記カテーテルが約1.5cmと約3.5cmとの間の初期直径を有する経路を辿るような屈曲部である、装置。
  20. 請求項1~19のいずれか一項に記載の装置において、前記送達カテーテルが前記導入器ニードルの前記遠位端を越えて伸ばせられる長さは、前記送達カテーテルの前記プリセットされた屈曲部に基づく円の外周の少なくとも75%進行するのに十分な長さである、装置。
  21. 椎間板の対象組織に治療薬を低侵襲経皮送達する方法であって、
    椎間板内に配置された導入器ニードルを通して前記椎間板の対象組織内に送達カテーテルを前進させる工程であって、
    前記送達カテーテルは、前記導入器ニードルよりも長く、
    前記送達カテーテルは、近位端と遠位端とを有し、
    前記近位端及び前記遠位端は、開口を形成し前記送達カテーテルに沿って連通しており、
    前記遠位開口は、側方開口であり、
    前記送達カテーテルの前記遠位端は、鈍ティップを含み、これにより、前記送達カテーテルの前記遠位端が前記導入器ニードルの遠位端から伸ばされた際に、前記鈍ティップにより、前記送達カテーテルが前記椎間板の線維輪を通って且つ前記線維輪からはみ出ないように前進可能になるようにする、工程と、
    前記遠位側方開口を通して前記対象組織に治療薬を送達する工程と、
    を含む、方法。
  22. 請求項21に記載の方法において、前記送達カテーテルはプリセットされた屈曲部を有し、前記側方開口は前記プリセットされた屈曲部の内部への開口である、方法。
  23. 請求項21又は22に記載の方法において、前記対象組織は、前記椎間板の前記線維輪の後部外側3分の1である、方法。
  24. 請求項21~23のいずれか一項に記載の方法において、前記治療薬を送達する工程は、設定された間隔で前記対象組織から前記送達カテーテルを後退させる工程と、各間隔において前記治療薬の一部を前記対象組織に送達する工程と、を含む、方法。
  25. 請求項21~24のいずれか一項に記載の方法において、前記治療薬は、多血小板血漿、骨髄穿刺液、骨髄濃縮物、脂質由来の細胞、自己若しくは非自己フィブリン、薬剤、対比色素、又はファイバー若しくはプローブを介して送達されるエネルギーである、方法。
  26. 請求項21~25のいずれか一項に記載の方法において、
    前記導入器ニードル内に同軸状に位置するスタイレットを有する前記導入器ニードルを、前記線維輪内に所定の深さまで挿入する工程と、
    前記送達カテーテルを前進させる前に前記スタイレットを取り外す工程と、
    をさらに含む、方法。
  27. 請求項21~26のいずれか一項に記載の方法において、前記対象組織内に前記送達カテーテルを前進させる工程は、前記送達カテーテル内に同軸状に位置する鈍スタイレットを有する前記送達カテーテルを導く工程を含む、方法。
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