JP2022522966A - バッチ生産プロセスを連続生産プロセスに移行する方法 - Google Patents
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Abstract
モノクローナル抗体のバッチ生産プロセスを同じモノクローナル抗体の連続生産プロセスに移行する方法が開示される。
Description
治療用タンパク質を生産するための連続処理はますます重要になり、使い捨て機器に基づく真に連続的な完全自動化システムを実現するための最初のソリューションが開発された。
しかし、これまでのところ、工業規模の抗体はバッチプロセスで製造されている。したがって、生産プロトコルおよび規制詳細は、バッチ生産プロセスについてのみである。
したがって、本発明の目的は、所定のモノクローナル抗体のバッチ生産プロセスを同じモノクローナル抗体の連続生産プロセスに確実かつ効率的に移行する方法を提供することであった。
本発明は、モノクローナル抗体のバッチ生産プロセスを同じモノクローナル抗体の連続生産プロセスに移行する方法であって、
a)前記モノクローナル抗体を含有する不均一な細胞培養液混合物から、無粒子液体(生成物ストリーム)を生成物ストリームの形態で提供する工程、
b)苛性物質によるプロテインA樹脂の消毒により、無菌処理が連続モードにおいて保証されることを特徴とする、少なくとも1つの連続プロテインAクロマトグラフィー工程、
c)前記バッチ生産プロセスにおける前記生成物ストリームの流量は毎分1~20膜容量であり、および前記モノクローナル抗体の前記連続生産プロセスにおける生成物ストリームの流量は、毎分0.1~0.99膜容量である、フロースルーモードの少なくとも1つの陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)工程、または
d)前記モノクローナル抗体の前記バッチ生産プロセスが、AEXの膜吸収剤を含んでなり、および同じモノクローナル抗体の前記連続生産プロセスにおいて前記AEXが脈動方式で実施されることを特徴とする、少なくとも1つの陰イオン交換クロマトグラフィー工程、を含んでなる、前記方法を提供することによってこの目的を達成する。
a)前記モノクローナル抗体を含有する不均一な細胞培養液混合物から、無粒子液体(生成物ストリーム)を生成物ストリームの形態で提供する工程、
b)苛性物質によるプロテインA樹脂の消毒により、無菌処理が連続モードにおいて保証されることを特徴とする、少なくとも1つの連続プロテインAクロマトグラフィー工程、
c)前記バッチ生産プロセスにおける前記生成物ストリームの流量は毎分1~20膜容量であり、および前記モノクローナル抗体の前記連続生産プロセスにおける生成物ストリームの流量は、毎分0.1~0.99膜容量である、フロースルーモードの少なくとも1つの陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)工程、または
d)前記モノクローナル抗体の前記バッチ生産プロセスが、AEXの膜吸収剤を含んでなり、および同じモノクローナル抗体の前記連続生産プロセスにおいて前記AEXが脈動方式で実施されることを特徴とする、少なくとも1つの陰イオン交換クロマトグラフィー工程、を含んでなる、前記方法を提供することによってこの目的を達成する。
この方法には、所定のモノクローナル抗体のバッチ生産プロセスを同じモノクローナル抗体の連続生産プロセスに確実かつ効率的に移行することができるという利点がある。
驚くことに、試験された全ての生成物品質属性およびプロセスパフォーマンス属性は、生産プロセスにさらに必要な修正を加えることなく、バッチ処理と連続処理との間で同等であることがわかった。
本明細書に記載されている方法は、モノクローナル抗体に限定されるものではなく、通常の抗体、および場合によってはさらに目的のタンパク質にも適用され得る。
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」という表現は、1または複数を意味する。
本明細書で使用される場合、「前記(the)」、「1つ(a/an)」という用語は、「少なくとも1つ」を意味し、単数形だけでなく複数形も包含すると理解され、明示的に反対の指示がない限り、「1つのみ」に限定されるべきではないことも理解されたい。
本明細書で使用される場合、「タンパク質」という用語は、「目的のタンパク質」という用語と言い換え可能に使用され、アミノ酸のポリペプチドを指す。前記用語は、全長、野生型、またはそれらの断片であり得るタンパク質を包含する。前記タンパク質は、ヒトタンパク質、非ヒトタンパク質、および対応する天然に存在するアミノ酸の人工的または化学的模倣物、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーと非天然に存在するアミノ酸ポリマーの人工的または化学的模倣物であり得る。この用語はまた、ペプチド、すなわち比較的短い長さ(例えば、50アミノ酸未満)のアミノ酸のポリマーを包含する。前記ポリマーは、線状または分枝状であり得、修飾アミノ酸を含み得、非アミノ酸によって中断され得る。前記用語はまた、例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または蛍光マーカー、粒子、ビオチン、ビーズ、タンパク質、放射性ラベル、化学発光タグ、生物発光標識などであるがこれらに限定されない標識成分との結合などのその他の操作による修飾アミノ酸ポリマーも包含する。
好ましくは、前記タンパク質は治療用タンパク質である。
本明細書で使用される場合、「治療用タンパク質」という用語は、生物の組織、器官、または系の生物学的または医学的応答を誘発するために前記生物に投与され得るタンパク質を指す。
さらにより好ましくは、前記タンパク質は抗体である。
本明細書で使用される「抗体」という用語は、免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの免疫学的に活性な部分などの結合分子、すなわち、抗原結合部位を含む分子を指す。
最も好ましくは、前記タンパク質はモノクローナル抗体である。
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、本質的に同一の抗体の集団から得られる、単一の分子組成を有する抗体分子を指す。このモノクローナル抗体は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す。
本明細書で使用される場合、「抗体薬物複合体(antibody-drug-conjugate)(ADC)」という用語は、少なくとも1つの抗体、少なくとも1つの薬物、および前記抗体を前記薬物と結合させる少なくとも1つの「リンカー」を含む複合体を指す。
本明細書で使用される場合、「抗原結合抗体フラグメント」または「抗原結合フラグメント」という用語は、抗体/免疫グロブリンのフラグメント(例えば、IgGの可変ドメイン)であって、前記抗体/免疫グロブリンの抗原結合ドメインを依然として含んでなるものを指す。抗体の「抗原結合ドメイン」は、典型的には、抗体の1または複数の超可変領域を含んでなる。
本明細書で使用される「生物学的に活性な物質」、「活性物質」、「活性剤」、「薬物」、または「治療薬」という用語は、病気や感染症の治療、医用画像、モニタリング、避妊、化粧品、栄養補助食品、製薬、予防への適用を含む診断または治療目的で生物に投与される任意の原子および/または分子、分子複合体、または物質を指す。
「薬物」という用語は、化学的に修飾され、および/または生物学的または生体適合性構造に作動可能に付着しているそのような原子および/または分子、分子複合体、または物質を含む。「プロドラッグ」という用語は、インビボで治療的に活性なまたは利用可能な形態に変換されるまで完全に活性または利用可能ではない薬物、薬物前駆体、または修飾薬物を指す。
本明細書で使用される「トキソフォア」(toxophore)という用語は、細胞に投与された際に毒性効果を生み出す化学基を指す。
換言すれば、前記活性物質は、例えば、トリウム同位体-または有糸分裂阻害剤である放射性作用剤などの原子であり得る。
したがって、当業者は、抗体薬物複合体について本明細書に記載の方法およびデバイスが、標的化トリウム複合体(targeted thorium conjugate)(TTC)にも適用可能であることを直ちに認識する。
本明細書で使用される場合、「小分子薬物」という用語は、生物学的プロセスの調節を助け得る低分子量(<900ダルトン)化合物を指す。
本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらのポリマーを指す。特に限定されない限り、これらの用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドと同様の方法で代謝される天然ヌクレオチドの類似体を含む核酸を包含する。特に明記しない限り、特定の核酸配列はまた、その保存的に修飾されたバリアント(例えば、縮重コドン置換)および相補的配列、ならびに明示的に示された配列を黙示的に包含する。
本明細書で使用される場合、「無粒子液体」という用語は、生成物ストリーム、すなわち、目的のモノクローナル抗体を含み、0.2μmを超える粒子が除去された、不均一な細胞培養液混合物からの無細胞流体を指す。好ましい実施形態では、粒子の除去は、0.2μmろ過と組み合わせた深層ろ過によって達成される。あるいは、またはさらに、遠心分離、ろ過、ATF、凝集などの他の一般的に使用される清澄化法を使用して、粒子を除去してもよい。
本明細書で使用される場合、「バッチ」という用語は、モノクローナル抗体などのタンパク質を製造する技術、すなわちモードを指し、問題のタンパク質は、一連のユニット操作にわたって段階的に生成される。処理される全ての材料は、後続のユニット操作で当該材料のいずれかが処理される前に、所定のユニット操作を経る。
一部のバッチ生産プロセスでは、所定のユニット操作の生成物、すなわち生産プロセス全体の中間体が、全てのバッチ材料がそのユニット操作によって処理されるまで保存される。さらに、例えば、プロセス中間体も保存され得る、例えば、所定のバッチの完全な材料がユニット操作を経た後、後続のユニット操作が開始されるまで凍結され得る。後続のユニット操作が開始されるまでの時間は、必ずしも同じではない。
本明細書で使用される場合、「連続(的)」という用語は、上流工程の出口流体ストリーム(流体フロー)が下流工程に輸送される、少なくとも2つの方法工程および/またはユニット操作を直列に実行するための方法を指す。下流工程は、上流工程が完了する前に流体フローの処理を開始する。したがって、上流ユニットから下流ユニットへの流体フローの連続的な輸送または移送は、上流がシャットダウンされる前に下流ユニットがすでに作動していること、すなわち、直列に接続された2つのユニットが、流れる流体フローを同時に処理することを意味する。
本明細書で使用される場合、「無菌」という用語は、「病原体減少」、「微生物減少」および「細菌減少」という用語と言い換え可能に使用され、非消毒状態と比較して病原体数が減少し、理想的には病原体がないかまたは微生物やウイルスなどがないことを意味する。換言すれば、無菌とは、病原菌数が減少した状態、すなわち、適切な細菌減少法によって達成可能な、面積または体積単位あたりの病原菌数がゼロに近い状態を指し、この細菌減少法は、γ線照射、β線照射、オートクレーブ、エチレンオキシド(ETO)処理、オゾン処理、「スチームインプレース」(Steam-In-Place)(SIP)および/またはヒートインプレース(Heat-In-Place)処理、または1M水酸化ナトリウム(NaOH)などの消毒剤による処理から選択され得る。
本明細書で使用される場合、「流体ストリーム」または「流体フロー」という用語は、液体および/または気体の流れを指し、目的のモノクローナル抗体またはその沈殿物、塩、糖、および細胞成分および/または塩、凝集物、沈殿物および/または結晶のような溶解したまたは部分的に溶解した種を含み得る。
本明細書で使用される場合、「生成物ストリーム」という用語は、「生成物フロー」という用語と言い換え可能に使用され、目的のモノクローナル抗体を含む不均一な細胞培養液混合物からの無細胞流体を指す。明確にするために、生成物ストリームは、本明細書における意味での「流体ストリーム」または「流体フロー」でもある。
本明細書で使用される場合、「クロマトグラフィー」という用語は、固定相と移動相との間の成分の示差的分布に基づいて、2以上の分析物の混合物を個々の成分に分離することを指す。前記固定相は、樹脂および/または膜吸収剤であり得る。
本明細書で使用される場合、「フロースルー」という用語は、クロマトグラフィーユニットの操作モードを指し、不純物の多くは分離媒体に特異的に結合するが、目的の生成物は結合しないため、「フロースルー」で目的の生成物を回収可能であるか、および/または目的の生成物と1または複数の不純物との両方が分離媒体に結合する。後者では、不純物は目的の生成物よりも分離媒体に多く存在するため、ローディングを続けると、結合していない目的の生成物を「フロースルー」で回収可能である。換言すれば、生成物がクロマトグラフィーユニット操作にロードされる間中、クロマトグラフィーユニット操作を離れる流体ストリームは、生成物ストリームを構成する。
本明細書で使用される場合、「結合および溶出」(または結合ー溶出)という用語は、生成物がクロマトグラフィー媒体に示差的に結合するクロマトグラフィーユニットの操作モードを指す。したがって、結合および溶出タイプのクロマトグラフィーは、少なくともクロマトグラフィーカラムのローディング、洗浄、溶出、および再生の工程を含んでなり、溶出時にクロマトグラフィーカラムを出る流体ストリームの主成分は生成物ストリームである。
結合および溶出クロマトグラフィーの1つのタイプは、連続結合および溶出クロマトグラフィーであり、後続のユニット操作は、連続結合および溶出クロマトグラフィーが生成物ストリーム全体の処理を完了する前に生成物ストリームの処理を開始する、すなわち、直列に接続された2つのユニットが、それらを流れる流体フローを同時に処理する。
驚くべきことに、少なくとも1つの陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)において、モノクローナル抗体の連続生産プロセスにおける生成物ストリームのより低いフローは、より少ない沈殿物形成およびより多くの宿主細胞タンパク質(HCP)枯渇をもたらす。
理論に縛られることを望まずに、沈殿物の形成の最小化およびHCP枯渇の増加は、バッチプロセスと比較して連続プロセスでの陰イオン交換クロマトグラフィーとの生成物ストリームのより長い接触時間に起因し得るものであり、これにより、沈殿時間が長くなり、沈殿面が大きくなる。
したがって、当業者は、沈殿物の形成を最小限に抑え、HCPの枯渇を増加させるために、バッチプロセスにおける生成物ストリームの流れを低下させることも検討するであろう。
本明細書で使用される場合、ロード密度という用語は、所定のデバイス、例えば、クロマトグラフィーカラム、膜吸収剤、またはフィルターにロードされる目的のタンパク質の質量を指す。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、少なくとも1つの陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)がフロースルーモードになっており、バッチ生産プロセスにおける生成物ストリームの流量は、毎分1~20膜容量、好ましくは毎分8~18膜容量、最も好ましくは毎分14~16膜容量であること、およびモノクローナル抗体の連続生産プロセスにおける生成物ストリームの流量は、毎分0.1~2.0膜容量、好ましくは毎分0.1~0.99膜容量、最も好ましくは毎分0.3から~0.6膜容量であることを特徴とする。明確にするために、バッチ生産プロセスにおける毎分14~16の膜容量と、連続生産プロセスにおける毎分0.3~0.6膜容量との組み合わせが、本明細書に明示的に開示されている。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、少なくとも1つの陰イオン交換クロマトグラフィーは、モノクローナル抗体のバッチ生産プロセスが、同じモノクローナル抗体の連続生産プロセスよりもAEXの膜吸収剤を含んでなる場合、前記AEXが脈動方式で実施されることを特徴とする。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、陰イオン交換は、多数の平行膜吸収剤を使用して実行される。代替の実施形態では、生成物ストリームは、脈動方式を使用して陰イオン交換工程を経る。
本明細書で使用される場合、「脈動方式」という用語は、「交互方式」という用語と言い換え可能に使用され、充分な量の生成物ストリームが採取されるとすぐに、生成物ストリームの特定の部分のより高い流速を可能にするために、連続生産プロセスの生成物ストリームが特定のユニット操作に入る前に採取される処理モードを指す。換言すれば、所定の量の生成物ストリームが採取され、予定量に達すると、前記量を構成するプロセスストリームの部分の全てが一度に後続のユニット操作に入り、それにより、前記後続のユニット操作でより高い流速を可能にする。
陰イオン交換に脈動方式を使用することには、対応するバッチプロセスの既に検証済みの膜フィルターを使用できるという利点がある。
あるいは、連続生産プロセスで一定の流速を維持するために、並行して使用されるいくつかのより小さな陰イオン交換膜吸収剤を使用することができ、これは連続生産プロセス中に再生される必要がある。しかしながら、既に述べたように、バッチ生産プロセスに使用される膜吸着剤と脈動方式での一時的に高い流速との上記の組み合わせは、例えば、バッチプロセスのウイルスの安全性の観点から、すでに検証されている膜吸収剤を使用可能であるという利点を有する。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、濾液を提供する少なくとも1つのろ過が、生産プロセス中に実施される。
更なる実施形態において、プロテインAクロマトグラフィーは、一定のローディング率を目指すことにより、所定の時間、例えば、1サイクルタイムまたは36時間などの完全なプロセス時間において、±50%の範囲内で一定である生産率を達成する。換言すれば、平均生産率は、例えば、1サイクルタイムまたは1時間や完全なプロセス時間などの定義された時間内において、±50%である。
本明細書で使用される場合、「生産率」は、所定の時間内に生成物ストリーム中に存在する目的のタンパク質、すなわちモノクローナル抗体の平均質量、すなわち1時間あたりのタンパク質のグラムまたはサイクル時間あたりのタンパク質のグラムなどを指す。また、ローディング率は、所定の時間内に生成物ストリームに存在する目的のタンパク質、すなわちモノクローナル抗体の質量、すなわち、1時間あたりのタンパク質のグラムまたはサイクル時間あたりのタンパク質のグラムなどである。
この実施形態は、連続プロテインAクロマトグラフィーを離れる生成物ストリーム中の目的のタンパク質、すなわちモノクローナル抗体の濃度、したがってその後の全てのユニット操作の生成物ストリームが所定の時間内で平均して一定であるという利点を有する。
一例では、目的のモノクローナル抗体を含むバイオリアクターからの2000Lの無細胞収穫物が使用され、連続プロテインAクロマトグラフィーを離れる生成物ストリーム中の目的のモノクローナル抗体の濃度は42g/hである。当業者は、所定の目的のタンパク質、すなわちモノクローナル抗体の時間当たりの濃度が、前記目的のタンパク質、すなわちモノクローナル抗体、とりわけその安定性特性に依存することを知っている。したがって、別の例では、目的のタンパク質、すなわちモノクローナル抗体を含むバイオリアクターからの120Lの無細胞収穫物が使用され、連続プロテインAクロマトグラフィーを離れる生成物ストリームにおける目的のタンパク質、すなわちモノクローナル抗体の生産率は、9.2g/hである。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、連続プロテインAクロマトグラフィーで使用される苛性物質は、0.01~1.0M水酸化ナトリウム(NaOH)、0.01~1M水酸化カリウム(KOH)、0.5~1M塩化ナトリウム(NaCl)、0.1~1.0M硫酸ナトリウム(Na2SO4)、2~6M塩酸グアニジン、2~8M尿素、10~50%イソプロパノール、10~50%エタノール、0.1~5%ベンジルアルコール、過酢酸、またはそれらの組み合わせからなるグループから選択される。
前記苛性物質の使用には、0.1M水酸化ナトリウムによる周期的消毒と組み合わせて、25kGyのγ線照射と同等の収量純度を確実にするという利点がある。
本明細書に記載の方法の更なる実施形態において、少なくとも1つの連続プロテインAクロマトグラフィーは、連続モードでの流量がバッチモードでの流量よりも0~8倍、好ましくは0.2~3.8倍少ないことおよび/または連続モードのカラムあたりのサイクルは、バッチモードの10~20倍であることを特徴とする。
プロテインAクロマトグラフィーの流量を決定する1つの方法は、体積流量をクロマトグラフィーカラムの断面積で除することである、すなわち、流量の単位はm/sまたはcm/hである。当業者にとって、クロマトグラフィーの接触時間は、所定の流量および所定のカラム高さから導き出すことができることは明らかである。
本明細書に記載の方法の更なる実施形態では、ある時点でプロテインAクロマトグラフィーを通過する生成物ストリームを保持するか破棄するかを決定するため、プロテインAクロマトグラフィーは、連続プロテインAクロマトグラフィーの開始時、連続プロテインAクロマトグラフィーの途中、および連続サンプリングによる連続プロテインAクロマトグラフィーの終了時にモニタリングされる。
本明細書で使用される場合、「積分サンプリング」という用語は、予定の期間、すなわちある時間にわたる連続的なサンプル採取を指す。
いくつかの実施形態では、積分サンプル採取は、積分サンプルがサンプリングされる中和溶液を容器に提供することによって実施される。これには、サンプル採取にある程度時間を要する場合でも、分析が実行されるまでサンプルの特性が維持されるという利点がある。
さらに、または代わりに、いくつかの実施形態では、分析が実行されるまでその特性を維持するために、積分サンプルを冷却および/または凍結する。
更なる追加のまたは代替の実施形態では、積分サンプル採取は、インラインによるクエンチングと共に実行され、それによって、サンプルと同時に、安定剤および/または中和剤がサンプル容器に添加される。
積分サンプリングの好ましい実施形態では、積分サンプリングは、連続プロテインAクロマトグラフィーの開始時に、連続プロテインAクロマトグラフィーの途中、そして連続プロテインAクロマトグラフィーの終了時に実施される。
例えば、起動時に、タンパク質クロマトグラフィーの1サイクルで積分サンプリングを実施した。別の例では、結合および溶出クロマトグラフィー工程において、2~2.5カラム容量などの特定の予定した容量がカラムから溶出される時間について、積分サンプルを採取した。
さらに好ましい実施形態では、連続プロテインAクロマトグラフィーの積分サンプリングのためのサンプル採取は、サンプリングされる生成物ストリームの一部がプロテインAクロマトグラフィーを通過した後、例えば、生成物ストリームが後続のユニット操作に入る直前に実施され、採取されたサンプルは直ちに中和される。
この実施形態は、前記サンプルが生成物ストリームを表すという利点を有する。一例では、前記サンプルはクエン酸緩衝液を使用して中和される。
積分サンプルとは対照的に、グラブ(grab)サンプルは、本明細書では瞬間(momentary)サンプルとも呼ばれる即時(immediate)サンプルである。
本明細書に記載の方法の別の好ましい実施形態では、前記方法は、並列バッチモードにおける少なくとも1つの陽イオン交換(CEX)クロマトグラフィー工程を含んでなり、並列バッチモードを実行するためにCEX工程で使用されるクロマトグラフィーカラムの数は、所定の数のカラムの再生および溶出に必要な時間が所定のカラムのロード時間よりも短くなるように選択され、それにより常に少なくとも1つのカラムをローディングに使用できるため、連続的なローディング生成物ストリームが実現されることを確実にする。
並列バッチモードを使用すると、バッチプロセスのプロセス条件を連続プロセスに直接適用し得るという利点がある。
本文脈では、クロマトグラフィー並列バッチは、個々のカラムに過負荷をかけることなく連続ローディングを可能にするマルチカラムクロマトグラフィーデバイスを指す。生成物ストリームが前記デバイスに連続的に入ることを可能にするために、並列バッチマルチカラムクロマトグラフィーデバイスは、カラムに過負荷をかけることなく連続的なローディングを可能にする最小数のカラムを有する。
したがって、バッチモードよりも並列バッチモードで同じ量の目的のモノクローナル抗体を処理するには、より多くのカラムが必要である。さらに、並列バッチモードではカラムの過負荷が発生しないため、BioSMBなどの連続クロマトグラフィーを使用する場合よりも多くのカラムが並列バッチモードで必要になる。
したがって、好ましい実施形態では、並列バッチモードを実行するために前記CEX工程で使用されるクロマトグラフィーカラムの数は、2~8、好ましくは4の範囲内である。
さらに好ましい実施形態では、CEXクロマトグラフィーの寸法は、連続プロセスの生成物ストリームの流れがバッチプロセスの生成物ストリームの流れの50%~200%の範囲内にあるように選択される。
連続プロセスのプロセス条件をバッチプロセスのプロセス条件に関連付けることにより、特定の目的モノクローナル抗体を生産するために、また、同じ特定の目的モノクローナル抗体を生産するための連続プロセスにも、所定のバッチプロセス用に開発されたプロセス最適化計画を使用できる。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、少なくとも1つの連続プロテインAクロマトグラフィーは、溶出中にピークカットが行われないことをさらに特徴とする。代替の実施形態では、ピークカットは、連続プロテインAクロマトグラフィーにおいて行われる。
本明細書に記載の方法の更なる実施形態では、バッチモードでの前記CEX工程のために開発されたピークカット条件は、連続モードでも適用される。
本明細書で使用される場合、「ピークカット」または「ピークカット条件」という用語は、溶出液の特定の画分のみが捕捉され、残りが破棄される方法を指す。最初と最後の溶出画分などのより少ない生成物または低品質の可能性がある生成物を含む溶出液の画分を廃棄することにより、全体的な生成物品質が改善される。破棄する画分を決定するために、例えば、目的のタンパク質が通過する光を吸収する波長での溶出液のモニタリングにおいて、例えば、280nmが使用され得る。例えば、UVシグナルのピークが開始時点で、生成物ストリームの当該画分の採取が開始され、生成物ストリームのこの部分に目的のタンパク質の大部分が含まれるため、前記ピークが終了時点で、生成物ストリームの前記部分の採取が終了される。
したがって、バッチプロセスのピークカット基準を同じ目的タンパク質の連続生産プロセスに適用することにより、2つのプロセスで同様のタンパク質品質を達成し得る。
本明細書に記載の方法の更なる実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー処理の無菌処理は、苛性物質によるCEX樹脂の消毒を介して連続モードにおいて保証される。
本明細書に記載の方法の更なる実施形態では、連続プロセスは、使い捨て機器を使用する閉鎖系で実施される。
本明細書で使用される場合、「閉鎖」という用語は、「機能的閉鎖」および「完全閉鎖」の両方を指す。
本明細書で使用される「完全閉鎖」という用語は、流体ストリームが室内環境に曝露されないように生産プラントが稼働されることを意味する。材料、構成要素、物体、緩衝液などを外部から添加してもよいが、この添加は、流体ストリームが室内環境に曝露されることを回避するように行われる。
「機能的閉鎖」という用語は、開放される場合があるが、滅菌、無菌、または低バイオバーデン(bioburden)であるかどうかにかかわらず、プロセス要件に適切または一致する洗浄、消毒、および/または滅菌によって「閉鎖される」プロセスを指す。これらの系は、系内での生産中は閉鎖した状態にする必要がある。例としては、使用の合間に定置洗浄(CIP)および定置滅菌(SIP)され得るプロセス容器が挙げられる。クロマトグラフィーや一部のろ過系などの非滅菌系も、特定の系のセットアップ中に適切な措置が取られた場合、低バイオバーデン操作で閉鎖され得る。
更なる態様において、目的タンパク質のバッチクロマトグラフィープロセスを、同じ目的タンパク質の連続クロマトグラフィープロセスに移行するための方法であって、前記連続プロセスにおける少なくとも1つの連続結合および溶出タイプのクロマトグラフィーは、非対称因子分析を使用してモニタリングされる、前記方法が、本明細書に記載されている。
通常、クロマトグラフィーカラムの非対称係数(As)は、クロマトグラフィーカラムの充填状態を評価するためのパラメーターとして使用される。充分に充填されたカラムは、より高い分離能および収率をもたらす。「As」の計算では、評価物質を充填カラムに注入し、得られたクロマトグラムから「As」を計算する。評価物質の検出は、紫外線吸収(UV)検出器、導電率検出器、示差屈折率検出器などを使用することによって可能である。得られたピークを分析し、下記式で計算する。
As=b/a(式中、aはピーク高さの10%でのピーク幅(左半分)、bはピーク高さの10%でのピーク幅(右半分)である。)
非対称係数の決定とは別に、クロマトグラフィーカラムの充填効率は、高さ等価理論段数(Height Equivalent Theoretical Plates)(HETP)を計算することで確認され得る。
バッチクロマトグラフィープロセスでは、通常、非対称係数を使用して、所定のカラムが所定の生産プロセスで使用されるクロマトグラフィーカラムに設定された要件を満たしているかどうかを判断する。
連続プロセスでは、結合ー溶出タイプのクロマトグラフィーカラムが多くのサイクルで使用されることがよくある。このようなシナリオの例は、BioSMBデバイスなどの連続クロマトグラフィーまたは上記の並列バッチセットアップの使用である。したがって、連続プロセスでクロマトグラフィーカラムをローディング、結合、洗浄、および溶出する最初のサイクルの後、所定のカラムの非対称係数が変化している場合がある。
連続結合および溶出クロマトグラフィー中の非対称因子の変化を説明できるようにするために、本発明の発明者は、知る限りにおいて初めて、非対称因子分析を使用して少なくとも1つの連続結合および溶出型クロマトグラフィーをモニタリングした。
少なくとも1つの連続結合および溶出タイプのクロマトグラフィーをモニタリングするために使用される非対称因子分析の一実施形態では、検出器は、好ましくは280nmまたは300nmでUVシグナルを測定する。前記シグナルは、最初にカラムが高導電率の緩衝液に供される際に測定され、その後、カラムが低導電率の緩衝液に供される際に測定される。この実施形態では、高導電率の後に低導電率のそれぞれの緩衝液の2つの適用は、カラムの溶出の前に実行される。
測定された非対称係数を使用して、生成物品質の結果をカラムの充填状態に関連付けたり、および/または生成物品質を維持するために所定のカラムをいつ交換する必要があるかを判断してもよい。通常、約1.0の非対称係数が使用される。
本明細書に記載の方法の一実施形態において、驚くべきことに、結合ー溶出クロマトグラフィーカラム、1.5~1.9、好ましくは1.7の範囲内の非対称係数を有する連続結合ー溶出クロマトグラフィーカラムは、生成物品質に悪影響を及ぼさないことが好ましいことが見出された。
当業者は、上記の非対称係数値がクロマトグラフィーのタイプごとに異なり得ることを知っている。
通常、バッチおよび/または連続プロセスの両方で、収穫開始材料は2~8℃で保存し、その後、処理前に室温に平衡化してもよく、または、例えば、冷却した材料でプロテインAクロマトグラフィーを直接開始して直接処理してもよい。さらに、収穫材料、すなわちプロテインAユニット操作後のプロセスストリームを平衡化することも可能である。
さらに、特に連続プロセスの変形では、インラインガス添加用のモジュールが、脱泡モジュールの後に提供される。
1.全般
通常、モノクローナル抗体のバッチ生産プロセスを同じモノクローナル抗体の連続生産プロセスに移行する方法を確立した後、同じ収穫物からの目的のタンパク質、ここではモノクローナル抗体を精製することにより、両方のプロセスモード、すなわちバッチプロセスと連続プロセスとを実験的に比較した。
通常、モノクローナル抗体のバッチ生産プロセスを同じモノクローナル抗体の連続生産プロセスに移行する方法を確立した後、同じ収穫物からの目的のタンパク質、ここではモノクローナル抗体を精製することにより、両方のプロセスモード、すなわちバッチプロセスと連続プロセスとを実験的に比較した。
したがって、連続プロセスでは、バッチプロセスで採用されている流加USPおよび連続下流プロセス(DSP)の組み合わせを使用した。連続プロセスモードのこの変形は、いわゆるハイブリッドプロセスとして公知である。しかしながら、所定のモノクローナル抗体のバッチ下流生産プロセスを、モノクローナル抗体の連続下流プロセス生産プロセスに確実に効率的に移す方法は、これまで存在していなかった。
サンプルは、バッチモードおよび連続モードのプロセスの様々な時点と位置で抽出した。生成物品質属性およびプロセスパフォーマンス属性が決定された。得られた研磨材料を原薬に加工し、保存安定性および分解挙動をさらに評価した。バッチ処理および連続処理の性質が異なるため、処理条件の違いは避けられなかったため、バッチサンプルと連続サンプルとのわずかな違いが予想された。全ての試験で、両方のプロセスモードのサンプル間で中間体と原薬との比較可能性に有意差は見られなかった。最終生成物の安定性試験でも、保存中および強制分解中の安定性プロファイルに違いは見られなかった。
したがって、本明細書に記載の作業は、所定のモノクローナル抗体のバッチ生産プロセスを同じモノクローナル抗体の連続生産プロセスに、確実に効率的に移行する方法を提供するだけでなく、製品ライフサイクルの全ての段階でテクノロジーを正常に実装するための必須の前提条件である、プロセスモードが生成物品質に影響を及ぼさないことも実証した。
2.材料
収穫物は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞培養を使用して、200LのSartorius流加培養(フェッドバッチ)反応器(Sartorius Stedim Biotech社、ゲッティンゲン、ドイツ)で得られた。発酵槽において、Pall Stax深層フィルター(Pall GmbH、ドライアイヒ、ドイツ)を使用して収穫した。0.2μmろ過産物のIgG力価は2.8g/Lであった。
収穫物は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞培養を使用して、200LのSartorius流加培養(フェッドバッチ)反応器(Sartorius Stedim Biotech社、ゲッティンゲン、ドイツ)で得られた。発酵槽において、Pall Stax深層フィルター(Pall GmbH、ドライアイヒ、ドイツ)を使用して収穫した。0.2μmろ過産物のIgG力価は2.8g/Lであった。
GE MabSelect Sureを、プロテインA(タンパク質A)捕捉樹脂(GE Healthcare Life Sciences社、リトルチャルフォント、英国)として使用した。GE Capto SP impresを、中間結合および溶出(B/E)クロマトグラフィープロセスで使用した。Sartorius Sartobind Q膜吸着剤カプセルは、最終研磨工程として取り付けた。
全てのクロマトグラフィー工程にクエン酸緩衝液を使用した。連続処理の場合、緩衝液を0.2μmろ過し、200LのSartorius Flexboyバッグに入れた。バッチ処理の中間体は、保存前にSartorius Sartopore2フィルターを使用して0.2μmろ過した。Sartorius Sartoguard NFフィルターは、沈殿物を除去するための連続生産の中間フィルターとして使用した。
連続クロマトグラフィーにはPallBioSMB PDシステム(Pall Biotech社、ドライアイヘ、ドイツ)を使用し、バッチクロマトグラフィーにはAktaプロセスシステム(GE Healthcare Life Sciences社、リトルチャルフォント、英国)を使用した。
2.2.分析
重要な生成物属性は、バッチプロセスおよび連続プロセス内の様々な位置および時点で抽出されたサンプルからオフラインで決定された。生成物濃度は、POROS-A高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、またはProtAキャプチャー工程の後、280nm波長での吸光度(A280)の測定によって決定した。モノマー、高分子量(HMW)、および低分子量(LMW)アイソフォームの濃度は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)HPLCによって決定した。この方法ではLMWの分離能が充分ではなかったため、モノマー濃度およびHMWの結果のみをさらに使用した。プロセス中の生成物の軽鎖および重鎖(LCおよびHC)への断片化の程度を評価するために、非還元条件下でのキャピラリーゲル電気泳動を行った(CGE-nr)。さらに、還元条件下でのCGEを実施して、より小さな細片への断片化の程度を決定した(CGE-r)。電荷バリアントの分布は、キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)によって検討した。タンパク質酸化に対するプロセスモードの影響は、idES-HPLCによって決定した。mAbの活性は、結合酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって検討した。n-グリカンプロファイルは、InstantABキット(GPPNG-LB)でのGlykoprep(登録商標)-plus Rapid N-Glycanサンプル調整を用いたHILIC uHPLCによって検討した。
重要な生成物属性は、バッチプロセスおよび連続プロセス内の様々な位置および時点で抽出されたサンプルからオフラインで決定された。生成物濃度は、POROS-A高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、またはProtAキャプチャー工程の後、280nm波長での吸光度(A280)の測定によって決定した。モノマー、高分子量(HMW)、および低分子量(LMW)アイソフォームの濃度は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)HPLCによって決定した。この方法ではLMWの分離能が充分ではなかったため、モノマー濃度およびHMWの結果のみをさらに使用した。プロセス中の生成物の軽鎖および重鎖(LCおよびHC)への断片化の程度を評価するために、非還元条件下でのキャピラリーゲル電気泳動を行った(CGE-nr)。さらに、還元条件下でのCGEを実施して、より小さな細片への断片化の程度を決定した(CGE-r)。電荷バリアントの分布は、キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)によって検討した。タンパク質酸化に対するプロセスモードの影響は、idES-HPLCによって決定した。mAbの活性は、結合酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって検討した。n-グリカンプロファイルは、InstantABキット(GPPNG-LB)でのGlykoprep(登録商標)-plus Rapid N-Glycanサンプル調整を用いたHILIC uHPLCによって検討した。
さらに、宿主細胞タンパク質(HCP)、デオキシリボ核酸(DNA)、浸出プロテインAなどのプロセス関連不純物を測定した。DNAはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって検出したが、HCPおよび浸出ProtAは様々なELISA法によって検討した。
最後に、バッチモードおよび連続モードでのプロセスのバイオバーデンを決定した。したがって、総好気性微生物数(TAMC)および総酵母/カビ数(TYMC)を測定した。さらに、エンドトキシンレベルは、欧州薬局方、米国薬局方、日本薬局方、およびTGAの調和試験法に従って特定した。定量化には、Lonza社のテストキットN588Pyrogent-5000を使用した。
2.3.プラントセットアップ
バッチから連続に移行された工程は、捕捉(ProtA)、低pHウイルス不活化、陽イオン交換による中間クロマトグラフィー(CEX)、および陰イオン交換による研磨クロマトグラフィー(AEX)であった。図1は、サンプリングスポットおよび手法を含む連続DSPのプロセス概要を示した図である。最初のクロマトグラフィー工程の前に、収穫物は0.2μmフィルターで事前にろ過した。ProtAクロマトグラフィーはバッチプロセスと同様にB/Eモードで実行したが、5つのカラムのBioSMBクロマトグラフィーを使用することにより、連続フィードストリームと連続溶出ストリームが生成される。ProtA工程の後、後続の低pHウイルス不活化(VI)に合わせてpHを調整した。工程に必要な保持時間を生成するために、コイルドフローインバーター(CFI)をシステムに導入した。その後、pHおよび導電率を、後続のフロースルー(FT)UOと中間CEX用に調整した。中間クロマトグラフィー工程の前に、別のろ過工程を行った。CEXは並列バッチモードで実行することにより、この工程で必要な生成物純度を得るためのピークカットが可能となった。CEX溶出液は、pHおよび導電率に関して再度調整し、FTモードでAEXを研磨する前に0.2μmでろ過した。両方のプロセスモードの研磨AEXクロマトグラフィー後の材料は、全てバッチモードでVFおよび限外ろ過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)によってさらに処理した。
バッチから連続に移行された工程は、捕捉(ProtA)、低pHウイルス不活化、陽イオン交換による中間クロマトグラフィー(CEX)、および陰イオン交換による研磨クロマトグラフィー(AEX)であった。図1は、サンプリングスポットおよび手法を含む連続DSPのプロセス概要を示した図である。最初のクロマトグラフィー工程の前に、収穫物は0.2μmフィルターで事前にろ過した。ProtAクロマトグラフィーはバッチプロセスと同様にB/Eモードで実行したが、5つのカラムのBioSMBクロマトグラフィーを使用することにより、連続フィードストリームと連続溶出ストリームが生成される。ProtA工程の後、後続の低pHウイルス不活化(VI)に合わせてpHを調整した。工程に必要な保持時間を生成するために、コイルドフローインバーター(CFI)をシステムに導入した。その後、pHおよび導電率を、後続のフロースルー(FT)UOと中間CEX用に調整した。中間クロマトグラフィー工程の前に、別のろ過工程を行った。CEXは並列バッチモードで実行することにより、この工程で必要な生成物純度を得るためのピークカットが可能となった。CEX溶出液は、pHおよび導電率に関して再度調整し、FTモードでAEXを研磨する前に0.2μmでろ過した。両方のプロセスモードの研磨AEXクロマトグラフィー後の材料は、全てバッチモードでVFおよび限外ろ過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)によってさらに処理した。
連続DSPでは、必要に応じて、pHおよび導電率がインラインでモニタリングされ、フィードバック制御された。UVはインラインでのみモニタリングされた。全てのモジュールは高度に自動化され、PCS7分散制御システムを使用して同期した。全てのモジュール間に定常状態の流体接続が存在し、プロセス全体が閉鎖系であった。バイオバーデンおよび瞬間グラブサンプルのサンプリングは、手動モードまたは自動モードのいずれかで行った。積分サンプルのサンプリングは、自動モードで行った。グラブサンプルは非常に短時間で採取され、現在のステータスを示すものにすぎないが、積分サンプルは長期間にわたって抽出されたため、この長期間を示すものであった。
バッチDSPでは、pHおよび導電率の調整は手動で行った。異なるUO間に流体接続は存在しなかった。サンプルは、異なるUOの中間にあるプールされたプロセスから手動で取得した。精製プロセスには数日かかるため、プロセス中間体はUO間で2~8℃で保存したが、連続プロセスにはそのようなプロセス保持時間はない。
バッチプロセスでは、全てのクロマトグラフィー工程を水酸化ナトリウムで消毒した。連続プロセスでは、クロマトグラフィーカラムを含め、部品の大部分に少なくとも25kGyのγ線を照射した。γ線照射が適用できない場合、部品はシステムに導入する前にエチレンオキシド(EO)で処理するか、オートクレーブ処理した。
3.実験手順
出発原料への保存の影響を排除するために、2~8℃で5日間保存した収穫物は、処理の直前に2つのプロセスモードで2つに分割した。バッチ精製用の収穫部分を室温に平衡化し、ProtAカラムで約2時間以内に処理した。AEX工程までのバッチ生産は、2~8℃での中間保存を含む7日間で実施した。バッチクロマトグラフィープロセスは、設置および処理の標準的な手順に従った。これには、水酸化ナトリウムによる各工程の前の消毒が含まれていた。
出発原料への保存の影響を排除するために、2~8℃で5日間保存した収穫物は、処理の直前に2つのプロセスモードで2つに分割した。バッチ精製用の収穫部分を室温に平衡化し、ProtAカラムで約2時間以内に処理した。AEX工程までのバッチ生産は、2~8℃での中間保存を含む7日間で実施した。バッチクロマトグラフィープロセスは、設置および処理の標準的な手順に従った。これには、水酸化ナトリウムによる各工程の前の消毒が含まれていた。
連続DSP中の最初の工程として、動作点でクエン酸緩衝液を使用して、コンディショニングモジュール内のpHおよび導電率センサーをインラインでキャリブレーションおよび調整した。次に、DSP全体をプロセス緩衝液でプライミングし、流量、pH、導電率に関して制御した。定常状態に達すると、収穫物はDSPの最初のろ過モジュールに接続された。連続生産時間全体(40時間)の間、収穫物は冷蔵容器から供給された。ProtA UOに入る前に、最初の0.2μmろ過中に、供給材料を室温に平衡化した。
シャットダウンフェーズは、収穫用バッグをProtA平衡化緩衝液と置き換えることによって初期化した。ProtAクロマトグラフィー操作は、5つのカラム全てが溶出するまで続けた。ProtAモジュールを停止した後、VIモジュールの入口での低pH緩衝液フラッシュを行い、生成物の追跡を続けた。CEXおよびAEXクロマトグラフィーは、注入口のタンパク質濃度が0.1g/Lを下回るまで続けた。このプロセスは、イベントの開始、シャットダウン、処理を含め、完全に自動化された。確立されたパラメーター制御戦略により、通常の動作範囲(NOR)内の生成物のみがさらに処理されることが保証された。
プロセスパラメーターは、可能な限り、バッチ生産と連続生産との間で同一に保たれた。これには、クロマトグラフィー緩衝液、樹脂、膜の種類が含まれる。さらに、導電率とpHに関するカラム負荷条件は同じであった。
4.プロセス制御
同様のセンサーをバッチ処理および連続処理に使用したため、両方のプロセスモードでの測定精度は同等であった。導電率センサーの場合、±5%の精度が想定されたが、pHメーターの精度は通常±0.1pH単位である。連続プロセス中、センサーは処理の前後72時間ごとに調整し、センサードリフトを識別できるようにした。pHセンサーの場合、最大ドリフトは0.076であった。導電率センサーは最大0.02mS/cmドリフトした。
同様のセンサーをバッチ処理および連続処理に使用したため、両方のプロセスモードでの測定精度は同等であった。導電率センサーの場合、±5%の精度が想定されたが、pHメーターの精度は通常±0.1pH単位である。連続プロセス中、センサーは処理の前後72時間ごとに調整し、センサードリフトを識別できるようにした。pHセンサーの場合、最大ドリフトは0.076であった。導電率センサーは最大0.02mS/cmドリフトした。
したがって、本試験で示されたプロセス制御の精度は、収集された測定データに基づいて、DSP材料全体で同じプロセス条件を保証する。
5.品質属性
バッチ処理と連続ダウンストリーム処理とを並べて比較できるようにするには、生成物品質属性が、プロセスのすべての段階で、予想される違いを考慮して生産時間全体にわたって類似している必要がある。したがって、生成物濃度、生成物関連不純物、プロセス関連不純物などのいくつかのパラメーターを、バッチプロセスおよび連続プロセスから抽出したサンプルについて分析した。
バッチ処理と連続ダウンストリーム処理とを並べて比較できるようにするには、生成物品質属性が、プロセスのすべての段階で、予想される違いを考慮して生産時間全体にわたって類似している必要がある。したがって、生成物濃度、生成物関連不純物、プロセス関連不純物などのいくつかのパラメーターを、バッチプロセスおよび連続プロセスから抽出したサンプルについて分析した。
両方のプロセスモード間の比較可能性を評価するために、最終医薬品を広範囲に試験し、相互に比較した。さらに、保存および分解挙動の比較可能性を評価するために、最終医薬品を用いて安定性試験を実施した。最後に、両方のプロセスモードの微生物負荷試験を行った。
さらに、両方のプロセスモードの微生物負荷試験を行った。最後に、保存および分解挙動の比較可能性を評価するために、最終生成物を用いて安定性試験を実施した。
6.プロセス中間体
サンプリングは、バッチモードおよび連続モードの全てのクロマトグラフィー工程の前後に行った。
サンプリングは、バッチモードおよび連続モードの全てのクロマトグラフィー工程の前後に行った。
バッチ結果と連続結果とを比較すると、mAb濃度の違いが明らかであった。最も大きな違いは、AEX FTサンプルで観察された。このプロセス挙動は予期されたものであり、CEX属性とAEX属性との組み合わせにより説明される。カラム番号1の溶出量が多いため、CEX溶出液中のタンパク質濃度が低くなる。AEXプール内の濃度が低いのは、AEXサイクルの最後の追跡が長いためであったが、バッチでは、追跡はA280インラインシグナルに従って分画された。
モノマー比に関しては、異なるプロセス工程間でわずかな違いが観察された。これは、モノマーおよびLMWに対するこの方法の解像度が低いことで説明できる。HMWに関しては、アッセイの変動性の範囲内で、バッチプロセスおよび連続プロセス間に有意差はない。
還元条件下および非還元条件下でのCGEの結果は、IgGの純度が精製プロセス全体を通じて一定のままであり、バッチデータと同等であることを示した。違いはアッセイの偏差の範囲内である。
生成物関連の不純物の結果に加えて、cIEFを使用して電荷の不均一性を評価した。2つのプロセスモードのプロセス全体にわたって、異なるサンプル間の違いは観察できなかった。電荷バリアントの分布は安定していた。
プロセス関連の不純物に関しては、初期プロテインA(ProtA)濃度は、バッチプロセスよりも連続プロセスの方が高いことがわかった。これは、使用されている様々な消毒方法が原因である可能性があった。バッチカラムを0.1M水酸化ナトリウム(NaOH)で1回消毒した。連続プロセスに使用したカラムは、1回γ線照射し、全てのサイクルで0.1M水酸化ナトリウム(NaOH)で消毒した。さらに、連続DSPではより多くのサイクルを使用し、採取した溶出量はバッチDSPよりも多かった。両方のプロセスモードで、浸出したProtA濃度は、CEXの前のFT UOのため急速に減少した。その後、ProtA濃度は、使用したアッセイの定量限界近くで安定した。
また、前記プロセスの過程で宿主細胞のDNA濃度を測定した(データは示さず)。4つの連続サンプルおよびバッチサンプルを互いに比較すると、曲線はほぼ同じであった。DNAの主要な枯渇は、ProtAクロマトグラフィー工程中に発生した。その後、残りのDNAはFT UOによって除去された。その結果、CEXロードサンプル以降ではDNAは検出されなかった。
前記プロセスの過程でのHCP濃度の測定は、HCPの主な還元がProtAクロマトグラフィー中に行われ、続いてFT UOとCEXが行われたことを示した。プロテインAロードおよび溶出液の分析結果はほぼ同じであった。CEXロードサンプルから始めて、4つの連続サンプルおよびバッチサンプルの結果は異なった。mAbの特定のロードおよびFT UOの流量は、バッチモードにおいて連続モードよりも高かったため、HCPのブレークスルーも高くなった。それにもかかわらず、AEX FTサンプルの結果として得られた最終測定値は、同様の低いHCP濃度を示した。
結論として、全ての試験された生成物パラメーターおよびプロセス関連の不純物は、バッチ処理と連続処理の間、および異なる時点での連続処理の間でわずかな違いしか示さなかった。生じた変化は、消毒方法またはプロセスパラメーターの違いによって説明可能であった。これは、mAbのバッチおよび連続下流処理が、プロセスの全過程にわたって同等の生成物をもたらすことを証明した。
7.最終原薬
最終原薬の比較可能性を評価するために、最終生成物を広範囲に試験した。
最終原薬の比較可能性を評価するために、最終生成物を広範囲に試験した。
両方のプロセスモードのAEX後プロセス中間体は、ウイルスろ過、限外ろ過、および透析ろ過を介してバルク原薬にさらに処理した。得られた材料を、電荷変異体、pI範囲、n-グリカンプロファイル、活性、分子量、idES-HPLC、およびIgG純度などの生成物品質属性についてさらに分析した。さらに、生成物関連の不純物も分析した。ほとんどの結果が同一であるか、わずかな違いしか示さないことが明確に示された。他の全ての試験した属性でも同じ品質の結果が得られた(データは示さず)。全てのサンプルは所定の仕様の範囲内であった。宿主細胞のDNA、エンドトキシン、および微生物負荷試験は陰性であった。
結論として、バッチおよび連続処理の最終原薬の結果は、両方のプロセスモード間で完全な比較可能性を示している。結果として、本試験のデザインおよび実施は成功したと見なされ得る。
8.安定性試験の最終原薬
安定性試験は、室温(18~26℃)および40℃でそれぞれ4週間実施した。最終生成物は、本試験中、滅菌低密度ポリエチレン(LDPE)バッグに保管した。タンパク質濃度(OD A280)、SEC-HPLCによるモノマー濃度およびHMW濃度、CGE-nrによるインタクトIgG(%)、cIEFを用いた電荷バリアント分布(メインピーク(%)、総塩基性および酸性アイソフォーム(%))、タンパク質酸化への影響(idES-HPLC)、ならびに結合ELISAを介した最終活性など、いくつかの品質属性を本試験中にテストした。例示的な、電荷バリアント分布の結果は、電荷の不均一性に有意な影響を示さなかった。さらに、バッチ生成mAb溶液および連続生成mAb溶液間の違いは観察されなかった。また、高温(40℃)では、バッチサンプルおよび連続サンプル間に有意差は観察されなかった。結論として、安定性試験は、最終生成物の分解プロファイルも、電荷の不均一性を考慮すると、バッチ生成mAbおよび連続生成mAb間で同等であることを示した。
安定性試験は、室温(18~26℃)および40℃でそれぞれ4週間実施した。最終生成物は、本試験中、滅菌低密度ポリエチレン(LDPE)バッグに保管した。タンパク質濃度(OD A280)、SEC-HPLCによるモノマー濃度およびHMW濃度、CGE-nrによるインタクトIgG(%)、cIEFを用いた電荷バリアント分布(メインピーク(%)、総塩基性および酸性アイソフォーム(%))、タンパク質酸化への影響(idES-HPLC)、ならびに結合ELISAを介した最終活性など、いくつかの品質属性を本試験中にテストした。例示的な、電荷バリアント分布の結果は、電荷の不均一性に有意な影響を示さなかった。さらに、バッチ生成mAb溶液および連続生成mAb溶液間の違いは観察されなかった。また、高温(40℃)では、バッチサンプルおよび連続サンプル間に有意差は観察されなかった。結論として、安定性試験は、最終生成物の分解プロファイルも、電荷の不均一性を考慮すると、バッチ生成mAbおよび連続生成mAb間で同等であることを示した。
タンパク質濃度、モノマー濃度、HMW、タンパク質の酸化および活性を含む他の試験された品質属性に関して、両方のサンプル間に有意差は、室温ならびに40℃では観察されなかった。その結果、バッチ生産最終原薬および連続生産最終原薬の比較可能性は、関連する幅広い品質属性を含む安定性試験でも示された。
9.微生物制御
プロセスのバイオバーデンを評価するために、TAMCおよびTYMCを特定のサンプルから決定した(バイオバーデンのサンプリング位置については図1を参照)。さらに、エンドトキシンレベルを測定した。連続プロセスでは、微生物汚染がこれらの位置に集中する可能性があるため、サンプルは0.2μmフィルターの保持側から抽出した。試験された全てのサンプルで、TAMC、TYMC、およびエンドトキシンの結果は定量限界を下回った。これにより、TAMCおよびTYMCの値は<1cfu/100mL、エンドトキシンの値は<1.0EE/mLとなる。その結果、バッチ中間体および連続プロセス全体は、進行中の実行中にバイオバーデンフリーであると見なすことができる。
プロセスのバイオバーデンを評価するために、TAMCおよびTYMCを特定のサンプルから決定した(バイオバーデンのサンプリング位置については図1を参照)。さらに、エンドトキシンレベルを測定した。連続プロセスでは、微生物汚染がこれらの位置に集中する可能性があるため、サンプルは0.2μmフィルターの保持側から抽出した。試験された全てのサンプルで、TAMC、TYMC、およびエンドトキシンの結果は定量限界を下回った。これにより、TAMCおよびTYMCの値は<1cfu/100mL、エンドトキシンの値は<1.0EE/mLとなる。その結果、バッチ中間体および連続プロセス全体は、進行中の実行中にバイオバーデンフリーであると見なすことができる。
10.結論
全体として、上記の結果は、本明細書に記載のモノクローナル抗体のバッチ生産プロセスを同じモノクローナル抗体の連続生産プロセスに移行する方法を採用することにより、生成物品質属性に関して同等の結果が得られることを示している。したがって、既存のバッチプロセスは、最終原薬の特性の比較可能性に影響を与えることなく連続モードに移行できるため、上記の方法は、mAbの連続生産に向けた実装プロセスの主要な工程を表している。よって、将来的には、治験材料から大規模生産まで、製品ライフサイクルに関係なく個別に柔軟にプロセスモードを選択できるようになるであろう。
全体として、上記の結果は、本明細書に記載のモノクローナル抗体のバッチ生産プロセスを同じモノクローナル抗体の連続生産プロセスに移行する方法を採用することにより、生成物品質属性に関して同等の結果が得られることを示している。したがって、既存のバッチプロセスは、最終原薬の特性の比較可能性に影響を与えることなく連続モードに移行できるため、上記の方法は、mAbの連続生産に向けた実装プロセスの主要な工程を表している。よって、将来的には、治験材料から大規模生産まで、製品ライフサイクルに関係なく個別に柔軟にプロセスモードを選択できるようになるであろう。
Claims (8)
- モノクローナル抗体のバッチ生産プロセスを同じモノクローナル抗体の連続生産プロセスに移行する方法であって、
a)前記モノクローナル抗体を含有する不均一な細胞培養液混合物から、無粒子液体(生成物ストリーム)を生成物ストリームの形態で提供する工程、
b)苛性物質によるプロテインA樹脂の消毒により、無菌処理が連続モードにおいて保証されることを特徴とする、少なくとも1つの連続プロテインAクロマトグラフィー工程、
c)前記バッチ生産プロセスにおける前記生成物ストリームの流量は毎分1~20膜容量であり、および前記モノクローナル抗体の前記連続生産プロセスにおける生成物ストリームの流量は、毎分0.1~0.99膜容量である、フロースルーモードの少なくとも1つの陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)工程、または
d)前記モノクローナル抗体の前記バッチ生産プロセスが、AEXの膜吸収剤を含んでなり、および同じモノクローナル抗体の前記連続生産プロセスにおいて前記AEXが脈動方式で実施されることを特徴とする、少なくとも1つの陰イオン交換クロマトグラフィー工程、を含んでなる、方法。 - 濾液を提供する少なくとも1つのろ過が、前記生産プロセス中に実施される、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの連続プロテインAクロマトグラフィーは、連続モードでの流量がバッチモードでの流量よりも0~8倍、好ましくは0.2~3.8倍少ないことおよび/または連続モードのカラムあたりのサイクルは、バッチモードの10~20倍であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- 並列バッチモードにおける少なくとも1つの陽イオン交換(CEX)クロマトグラフィー工程をさらに含んでなり、前記並列バッチモードを実行するためにCEX工程で使用されるクロマトグラフィーカラムの数は、所定の数のカラムの再生および溶出に必要な時間が所定のカラムのロード時間よりも短くなるように選択され、それにより常に少なくとも1つのカラムをローディングに使用できるため、連続的なローディング生成物ストリームが実現されることを確実にする、請求項1に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの連続プロテインAクロマトグラフィーは、溶出中にピークカットが行われないことをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。
- バッチモードでの前記CEX工程のために開発されたピークカット条件は、連続モードでも適用される、請求項1に記載の方法。
- 前記連続プロセスは、使い捨て機器を使用する閉鎖系で実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
- 目的タンパク質のバッチクロマトグラフィープロセスを、同じ目的タンパク質の連続クロマトグラフィープロセスに移行するための方法であって、前記連続プロセスにおける少なくとも1つの連続結合および溶出タイプのクロマトグラフィーは、非対称因子分析を使用してモニタリングされる、方法。
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