JP2022521230A - 化学的スカルペル - Google Patents

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Abstract

本発明は、固形腹膜腫瘍の治療において細胞傷害性薬物の増強治療又は補助治療として使用するため、所定の時間にわたって所定の濃度の溶液で洗浄することにより、腹膜腫瘍を覆う組織のプレコンディショニングを行う液体コラゲナーゼ溶液に関する。本発明の溶液は、中間層又は内層を損傷することなく、腸管を覆う中皮層の減少をもたらす濃度及び時間で、腫瘍に直接投与又は灌注するために使用される。【選択図】なし

Description

本発明は、医療分野、特に固形腫瘍の治療における細胞傷害性薬物増強治療用又は補助治療用の、溶液中にコラゲナーゼを含む組成物に関する。
本発明は、主に癌性腹膜炎の治療における臨床結果を改善することを意図している。腹腔内化学療法は、これらの進行癌のほとんどの病期を治療するための最良の方法である。無症候期間及び生存率の点で良好な結果を得るには、複雑な外科的処置によって完全な細胞切除(全ての癌性腫瘤の摘出)を達成することが不可欠である。しかしながら、外科医は、手術後に発生する可能性のある微視的腫瘍インプラントを検出できない場合がある。時々、微視的腫瘍インプラントは、アクセスして検出するのが非常に難しい位置にある。さらに、これらの微視的インプラントは通常、腹膜中皮細胞の層で覆われている場合があり、化学療法が腫瘍塊に効果的に到達できずに、無効となる可能性がある。
本発明は、固形腫瘍の治療における細胞傷害性薬物増強治療用又は補助治療用の、溶液中にコラゲナーゼを含む組成物を提案することによって、この問題に対処する。
培養し、96時間にコラゲナーゼでin vitro処理した患者生検試料を起源とする腫瘍組織から得られた細胞を示す図である。A)皿上の移植試料;B)組織が30分間消化される際にコラゲナーゼによって解放される中皮細胞の例;C)組織がコラゲナーゼで24時間消化される際に解放される細胞の例、腫瘍形態を有する細胞及び高度に屈折性の中皮細胞(細胞が培養皿から脱離し、おそらく死にかけている兆候)の解放が観察される。 癌性腹膜炎動物モデル(ラット)の例を示す図である。動物の腹腔内に様々な腫瘍結節が観察される。 癌性腹膜炎動物モデルにおけるコラゲナーゼによる治療の一般図である。動物を麻酔にかけ、播種性腫瘍塊を含む腹腔を露出したら、腔がいっぱいになるまでコラゲナーゼで洗浄を行い、次いでコラゲナーゼを含む溶液を制御された速度及び温度で再循環させ、最後に溶液を除去し、腹膜を乳酸リンゲル溶液で洗浄し、腹膜を分析した後、追跡のために動物の腹部を再び閉じる。 癌性腹膜炎動物モデルの腹膜洗浄液中のコラゲナーゼ濃度及び曝露時間を微調整するために行った試験中のヘマトキシリン及びエオシン染色による組織学的試料分析を示す図である。図示されるように、腸切片の剥離細胞の増加は、ラット3及びラット5の場合にのみ観察される(それぞれ35U/mL及び87.5U/mL)。それにもかかわらず、腸の内層(粘膜下組織、粘膜、及び上皮)は全く影響を受けないが、87.5U/mLの濃度は腸陰窩に影響を与えることなく、粘膜下組織を局所的に破壊する。群2及び群4からのラット(8.75U/mL及び乳酸リンゲル溶液)の場合、腹膜洗浄及び低酵素濃度に関連する外筋層の剥離は事実上存在せず、それらの濃度及び選択した時間で悪影響が生じていないことを示す。 癌性腹膜炎動物モデルでの試験中の種々の治療群の剖検を示す図である。 図5A. 1週間の追跡後にマイトマイシン5mg治療を行った群からの健康なラットの剖検例。主な所見として、全ての腹部器官が弛緩して収縮した状態(腎臓が壊死しているように見え、肝臓がつぶれているように見える)にあり、接触すると大網が破裂し、大腸が閉塞する可能性があることが観察される。 図5B. 2ヶ月の追跡後にマイトマイシン0.1mg治療を行った群からの健康なラットの剖検例。主な所見として、腸及び大網が血性(hematic)であることが観察される。 図5C. コラゲナーゼ74U/mLで治療され、2ヶ月後に屠殺された健康なラットの剖検例。主な所見として、腹部器官及び大網の非関与が見られる。 図5D. 1週間の追跡後のコラゲナーゼ37U/mL+マイトマイシン0.5mg治療を行った群からの腹膜癌を有するラットの剖検例。主な所見として、器官はよく保存されており、大網は正常に見えることが観察され得る。 図5E. 1ヶ月の追跡後のDHD処理を行った群からの腹膜癌を有するラットの剖検例。大網及び腹壁に関連する幾つかの腫瘍塊を、腹水を伴う腸に見ることができる。 図5F. 腹膜癌及びコラゲナーゼの例。微調整を行う際に群Fを分析したところ、結果は群Eの結果と同様であった(表3を参照されたい)。 デジタルPCRによる変異型及び非変異型のKRAS癌遺伝子検出を表すグラフである。A)陽性対照の例、腹膜癌(皮下DHD)のラットからの血漿;B)5mg/動物のマイトマイシンCで治療された腹膜癌(皮下DHD)のラットからの血漿、唯一血漿中に正の変異型KRAS値をもたらすのもの。変異型KRAS(i);変異型KRAS+非変異型KRAS(ii);陰性対照(iii);非変異型KRAS(iv)。
定義
本発明の文脈では、「ダブルノックアウト」マウスは、それらの遺伝子が不活性化されるように遺伝子工学によって改変されたマウスであり、そのため標的遺伝子の発現又は活性化が遮断されると理解される。
本発明の文脈では、液体コラゲナーゼ溶液に言及しており、これは、所定の時間で所定の濃度の上記溶液で洗浄することによって、腹膜腫瘍を覆う組織のプレコンディショニングをもたらす。本発明を通して、上記溶液は、中間層又は内層の関与なしに腸管を覆う中皮層の菲薄化を引き起こすような濃度及び時間で、腫瘍に直接投与又は灌注するために使用される。本発明の文脈では、上記コラゲナーゼ溶液は、特定の濃度範囲内で規定され、好ましくは生理食塩水中に希釈されることに留意されたい。
本発明の文脈では、「DHD細胞」は、ラットにおける結腸転移を研究し、偽粘液腫(粘液性腹腔内腫瘍の存在を特徴とする腹腔癌)を生じさせるために使用される上皮形態を有するラット結腸癌細胞株であると理解される。
本発明の文脈では、「同系BDIXラット」は、1937年にH. Druckrey博士(Druckrey H., Landschutz C., and Ivankovic S.(1970) Transplacentare Erzeugnung maligner Tumoren des Nervensystems. II. Athyl-nitrosoharnstoff an 10 genetisch definierten Ratten-stammen. Z. Krebsforsch. 73, 371-386)によって、同じ遺伝子及び組織を有する兄弟姉妹ラットBDIとBDVIIIとの交配から作製されたラットの系統であると理解され、兄弟姉妹ラット間の同系交配はそれ以来維持されている。言及される研究チームによって開発されたこのモデルは、特に解剖病理学レベルで、ラットにおけるヒト癌性腹膜炎又は偽粘液腫を再現するための進行時間及び注入される細胞の濃度を知ることを可能にする。
本発明の文脈では、「いかなる器官の関与もなしに腫瘍組織の露出を引き起こすような濃度及び時間で腫瘍に直接投与又は灌注される液体コラゲナーゼ溶液を含む組成物」は、制御された条件下及び濃度で腹膜をコラゲナーゼで洗浄して、腫瘍塊を取り巻く中皮組織を破壊し、局所投与された化学療法剤によるその後の治療を可能にすることを意味すると理解される。隣接する器官の非関与を分析するために、器官の組織学的非関与及びそれらの正常な機能的活動を実証する解剖学的機能データを、提案された治療後に分析する。
本発明の文脈では、「中間層又は内層の関与なしに、腸管を覆う中皮層の菲薄化を引き起こすような濃度及び時間での上記の腫瘍への直接投与又は灌注」は、腸管がいかなる解剖学的機能障害も受けておらず、機能が正常な器官活動と規定されることを意味すると理解される。
本発明の文脈では、「固形腫瘍」は、一般に嚢胞又は液体を伴う領域を含まない異常な組織塊であると理解される。固形腫瘍は、良性(非癌性)又は悪性(癌性)の場合がある。様々な種類の固形腫瘍の名称は、それらを形成する細胞の種類に由来する。肉腫、癌腫、及びリンパ腫は固形腫瘍の例である。
本発明の文脈では、コラゲナーゼ溶液に関して「化学療法処置の前に投与される」とは、腫瘍塊を取り囲む組織を調整し、その後投与される細胞増殖抑制剤へのアクセスを容易にする目的で制御された方法でコラゲナーゼによって固形腫瘍又は微小腫瘍を含む腹膜領域を洗浄することを意味すると理解される。細胞傷害性薬物又は化学療法薬の投与の前に、コラゲナーゼ溶液を阻害することが好ましいことに留意しなければならない。
本発明の文脈では、「固形腫瘍の治療における細胞傷害性薬物増強治療又は補助治療」は、細胞傷害性薬物の腫瘍へのより良いアクセスを可能にし、腫瘍組織に対する細胞傷害性薬物の作用を集中させることによって、隣接組織の保護を可能にする治療を意味すると理解される。
本発明の文脈では、ドットは、整数部分を小数部分から分離するために使用される。
本発明の文脈では、酵素単位(記号U)は、最適な酵素条件下で毎分1μmolの基質を変換することを担う触媒活性として定義される。また、酵素単位を他の単位(U/mgタンパク質又はU/mL)と組み合わせて使用して、それぞれ特定の酵素活性又は酵素活性濃度を示す。
本発明の文脈では、溶液は、2つ以上の物質の均一な混合物である。溶解した物質を溶質と呼び、溶質を溶解する物質を溶媒と呼ぶ。
本発明の文脈では、懸濁液は、液体媒体(分散相)に分散される粉末化された固体又は小さな不溶性粒子(分散相)によって形成される不均一な混合物である。
細胞傷害性薬物増強治療又は補助治療は、細胞傷害性薬物で治療する前にコラゲナーゼで前処理することにより、疾患の経過を改善し、腫瘍細胞を腹腔内化学療法の作用に曝露することによって実際の化学療法効果を増強し、化学療法処置自体によって示される毒性に対する保護効果を提供することを意味すると理解される。
説明
まず、本発明は、癌性腹膜炎を治療する目的でコラゲナーゼ酵素溶液を用いて腹膜洗浄を行うことからなる新たな治療方法論を説明し、該腹膜洗浄は、化学療法の腹腔内適用の前に、好ましくはアクセス可能な固形腫瘍の外科的摘出(細胞切除)後に行われなければならない。この意味で、本特許明細書の実施例(実施例1を参照されたい)に示されている実験に基づいて、好ましくは、3000cc~5000cc(立方センチメートル)の溶液、37U/mL(1ミリリットル当たりの単位)~148U/mLの濃度、5分~45分の時間間隔、及び36.5℃~39℃の平均温度のコラゲナーゼ溶液を用いて癌性腹膜炎に冒されたヒト被験体において腹膜洗浄を行うことは、腹膜表面からの中皮細胞、及び手術中に行われる細胞切除の後に残る可能性のある微視的腫瘍インプラントの完全な剥離を可能にすると結論付けることができる。これにより、全ての腫瘍細胞が腹腔内化学療法の作用に曝露される。さらに、この形態の前処理は、腹膜癒着に作用して、「細胞シェルター」空間にアクセスできるようにするという該前処理の追加の利点を有する。
この方法は「化学的腹膜切除」と呼ばれ、本発明は、HIPEC(腹腔内温熱化学療法)又はPIPAC(加圧腹腔内エアロゾル化学療法)(HIPEC、PIPAC等)を含む全ての形態の腹腔内化学療法に対してプレコンディショニングと同じものを使用することを提案する。
癌性腹膜炎を治療するために行われた実験から得られた結果では、化学療法処置のプレコンディショニングとしてのコラゲナーゼの使用(実施例の表3の群Dを参照されたい)が細胞傷害性効果、したがって腹腔内化学療法の治療効果を高めるだけでなく、化学療法処置自体によって示される毒性に対する、この場合はマイトマイシンCによって示される高い毒性に対する保護効果も提供する。0.1mgのマイトマイシンCのみで治療された対照群である群B2の治療を表す表3から導き出されるように、多くの癒着だけでなく壁が菲薄化した血性の器官が観察されることを考えると、これは重要である。さらに、5mgのマイトマイシンのみで治療された対照群である群B1の剖検では、多くの刺激性及び血性の癒着、並びに薄い器官壁及び血管が観察される。さらに、群Eの全ての動物が死亡したことがわかる。言い換えれば、高いマイトマイシンC濃度は動物を殺傷し、約0.1mgのマイトマイシンCの低いマイトマイシンC濃度でさえ、多くの癒着だけでなく、菲薄化した血性の壁をもたらす。このデータとは全く対照的に、0.5mg又は0.1mgのマイトマイシンCでの治療前にコラゲナーゼによるプレコンディショニングを行った群Dの剖検は、全ての動物の生存を示し、癒着はないが、癌腫症は主に腸で高度に局在化して、筋肉及び腎臓にも影響を及ぼすことが観察された。言い換えれば、表3の群B、群E、及び群Dのデータを比較すると、コラゲナーゼで動物をプレコンディショニングすることで、疾患の経過を改善できるだけでなく、実際の化学療法効果を高めることが観察できるため、コラゲナーゼは、主に癌性腹膜炎を治療する目的で、補助治療又はマイトマイシンC等の化学療法処置を増強する治療として、及び化学療法処置自体、この場合はマイトマイシンCによって示される毒性に対する保護剤として作用する。
これらの結果に基づいて、本発明の第1の態様は、固形腫瘍の治療における細胞傷害性薬物増強治療又は補助治療として使用される、溶液又は懸濁液中、任意に凍結乾燥コラゲナーゼを含む組成物を再水和した結果として生じる懸濁液又は溶液中にコラゲナーゼを含む組成物に関し、コラゲナーゼを含む上記組成物は細胞傷害性治療の前に投与され、コラゲナーゼを含む上記溶液又は懸濁液は腫瘍に直接投与又は灌注される。好ましくは、上記細胞傷害性薬物は腫瘍に直接投与又は灌注され、コラゲナーゼを含む上記組成物は細胞傷害性治療の前に投与される。
本発明の第1の態様の好ましい実施形態において、固形腫瘍は、好ましくは腹膜腫瘍から、より好ましくは胃腺癌又は癌性腹膜炎からなる群より選択される。
本発明の第1の態様の別の好ましい実施形態又はその好ましい実施形態のいずれかにおいて、上記細胞傷害性薬物は、抗生物質(マイトマイシン若しくはマイトマイシンC、アントラサイクリン、ブレオマイシン、又はミトラマイシン等)、アルキル化剤、代謝拮抗剤(5-フルオロウラシル等)、プラチナ誘導体(シスプラチン又はカルボプラチン等)、ホルモン(アンドロゲン、抗アンドロゲン薬、及びエストロゲン等)、ドキソルビシン、又はパクリタキセル、インターフェロン、インターロイキン、及びモノクローナル抗体からなる群より選択される。好ましくは、細胞傷害性薬物はマイトマイシン、より好ましくはマイトマイシンCである。
「腫瘍に直接投与又は灌注される」とは、腫瘍が位置する生物の領域又は腔を洗浄することを意味すると理解されることに留意されたい。
本発明の第1の態様の別の好ましい実施形態又はその好ましい実施形態のいずれかにおいて、上記組成物は、いかなる器官の関与もなしに腫瘍組織の露出を引き起こすような濃度及び時間で、腫瘍に直接投与又は灌注される。いかなる器官の関与もなしに腫瘍組織の露出を引き起こすような濃度及び時間での上記の腫瘍への直接投与又は灌注は、好ましくは、任意に1000cc~10000cc、好ましくは3000cc~5000ccの容量で、37U/mL~148U/mL、好ましくは37U/mL~74U/mLのコラゲナーゼ溶液を用いて細胞傷害性薬物の投与に先立って、コラーゲン等のコラゲナーゼ阻害剤を使用する前の2分~45分間、好ましくは7分~12分間上記溶液を作用させて行われることに留意されたい。
本発明の第1の態様の別の好ましい実施形態又はその好ましい実施形態のいずれかにおいて、上記固形腫瘍は腹膜腫瘍であり、上記組成物は、中間層又は内部層の関与なしに腸管を覆う中皮層の菲薄化を引き起こすような濃度及び時間で腫瘍に直接投与又は灌注される。
中間層又は内層の関与なしに、腸管を覆う中皮層の菲薄化を引き起こすような濃度及び時間での上記の腫瘍への直接投与又は灌注は、好ましくは、任意に1000cc~10000cc、好ましくは3000cc~5000ccの容量で、37U/mL~148U/mL、好ましくは37U/mL~74U/mLのコラゲナーゼ溶液を用いて、細胞傷害性薬物の投与に先立って、コラーゲン等のコラゲナーゼ阻害剤を使用する、又は乳酸リンゲル溶液等の溶液に基づく阻害の前の2分~45分、好ましくは7分~12分間上記溶液を作用させて行われることに再度留意されたい。
本発明の第2の態様は、1000cc~10000cc、好ましくは3000cc~5000ccのコラゲナーゼ溶液を平均温度36.5℃~39℃でヒト被験体の腹腔に注入するのに適した装置であって、さらに、上記装置が溶液を、好ましくは1L/分の速度で再循環させるのに適していることを特徴とする、装置に関する。
第3の態様は、本発明の第2の態様による装置を備えるキットに関し、該キットは、ヒト被験体の腹腔内で1000cc~10000cc、好ましくは3000cc~5000ccの容量で2分~45分間直接腫瘍を灌注する際に、いかなる器官の関与もなしに、腫瘍組織の露出を引き起こすような濃度の任意に凍結乾燥されたコラゲナーゼ組成物を更に備える。好ましくは、溶液中又は懸濁液中の上記再水和コラゲナーゼ組成物又はコラゲナーゼ組成物は、1000cc~10000cc、好ましくは3000cc~5000ccの容量で、37U/mL~148U/mL、好ましくは37U/mL~74U/mLである。
本発明の第4の態様において、本発明の第2又は第3の態様の装置は、該装置に、1000cc~10000cc、好ましくは3000cc~5000ccの容量で2分~45分間ヒト被験体の腹腔内で直接腫瘍を灌注する際に、いかなる器官の関与もなしに腫瘍組織の露出を引き起こすような濃度のコラゲナーゼ溶液が事前に装填されていることを特徴とする。好ましくは、上記コラゲナーゼ溶液は、37U/mL~148U/mL、好ましくは37U/mL~74U/mLの濃度の3000cc~5000ccのコラゲナーゼ溶液を含む。
本発明の第5の態様は、前述の態様のいずれかによる装置又はキットに関し、上記装置は、本発明の第1の態様又はその好ましい実施形態のいずれかで指定される治療方法論において使用される。
先の詳細な態様に加えて、実施例2は、後の使用のためにラットにおける腹膜癒着のモデルを設計するためのアッセイを示す。この目的のため、2つの異なる可能性を、いずれも雄性のWistarラットで試験し、4匹の対照(手術していないラット)を使用した。上記2つの場合には、低密度ポリプロピレンメッシュ等の日常の診療で癒着を引き起こすことが証明されている異物を適用することによって癒着を作り出す可能性を検討した。使用したコラゲナーゼの濃度はPBS中0.05%、適用時間20分、容量20ml、及びサーマルブランケット内で温度37℃であり、事前に薬剤をテンパリング(tempering)した。
上記アッセイの結果により、コラゲナーゼの使用は癒着の解放に有利であると判断され、さらに、ポリプロピレンメッシュ等の腹膜組織に密接に癒着する既知の能力を有する異質要素の無害な取り出しが達成される。
したがって、本発明の第6の態様は、癒着、好ましくは腹部、腹膜若しくは腸の癒着、又は組織間の任意のタイプの術後癒着の解放を支持する治療として使用される溶液又は懸濁液中にコラゲナーゼを含む組成物に関する。本発明の第6の態様の代替の実施形態は、動物又はヒトの組織に密接に癒着する能力を有するメッシュ、特にポリプロピレンメッシュ等の異質要素を、動物又はヒトの体から取り出すことを支持する治療として使用される溶液又は懸濁液中にコラゲナーゼを含む組成物に関する。より詳しくは、手術で使用され、その後組織間に残される材料(メッシュ、縫合糸、プロテーゼ、カテーテル、心臓弁、ペースメーカー等)によって引き起こされる全てのそれらの癒着を取り出し、治療するための組成物である。
本発明の第6の態様の特定の実施形態において、コラゲナーゼは、0.01%~0.1%、より好ましくは0.04%~0.06%、更により好ましくは約0.05%の濃度である。本発明の第6の態様の特定の実施形態において、コラゲナーゼを含む上記組成物を、癒着に直接投与又は灌注する。本発明の第6の態様の別の特定の実施形態において、コラゲナーゼを含む上記組成物は、1000立方センチメートル~10000立方センチメートルのコラゲナーゼ溶液を平均温度36.5℃~39℃でヒト被験体の腹腔に注入するように適合された装置を介して投与又は灌注され、さらに、上記装置は、好ましくは1L/分の速度で溶液を再循環するように適合されることを特徴とする。
本発明を以下の実施例において解説する。この実施例は本発明を限定するものではないことに留意されたい。
実施例1
材料及び方法
in vitro研究
Fundacion Jimenez Diazの医薬品研究委員会から承認(PIC75/2016_FJD)を得た後、同意書に署名した癌性腹膜炎の患者に由来する組織を収集した。組織片をマルチウェルプレートに入れ、35U/mLのコラゲナーゼで30分間又は24時間処理した後、培養物を洗浄し、酵素処理から得られた細胞を分析した。着想は、中皮細胞が単独で得られたのか、腫瘍細胞も得られたのかを様々な時間に確認することであった(図1)。
in vivo研究
アジュバントとしてのコラゲナーゼによる用量/容量/時間の調整に関する研究:
微調整:
マウスに対するコラゲナーゼによる腹膜洗浄の第1の試験:
リポカリン-2遺伝子(好中球動員に影響を与える)及びApoE遺伝子(マウスがアテローム性動脈硬化症を発症する可能性を高める)が除去された5週齢のダブルノックアウト雌性マウス(LIPDKO)6匹を使用した。コラゲナーゼの濃度が異なる3本のチューブ:滅菌PBS(緩衝液)中、350U/mL、87.5U/mL、及び35U/mLを調製した。各濃度を、体重に応じて2匹のマウスに注射した。
ラットに対するコラゲナーゼによる腹膜洗浄の第1の試験:
腔の容積及び最適な治療時間を微調整して、腔内の器官が損傷を受けないようにする目的で、体重250グラムの6週齢のWistarラットを20匹使用し、臨床使用のための35U/mLのコラゲナーゼ及び37U/mLのコラゲナーゼの種々の濃度で試験した。これまでは全ての研究を実験用途のコラゲナーゼを用いて行ってきたが、製造業者から要求された効力当量計算を考慮して、ここからは臨床使用が許可されたコラゲナーゼを使用することを選択した。次いで、コラゲナーゼによる2分~30分の種々の治療時間(30分、20分、15分、10分、5分、及び2分)を使用して研究を実施し、4つの中間時間でn=2を使用した。
微調整試験の簡単な概要:
本発明の方法論を微調整するため、種々のコラゲナーゼ酵素用量(350U/mL、175U/mL、87.5U/mL、70U/mL、35U/mL、17.5U/mL、8.75U/mL、3.5U/mL、及び0%)を、10分間の腹膜洗浄によってLIPDKOマウスで試験した。培養皿で増殖させた洗浄から得られた細胞、及び種々の濃度で洗浄した後の腹膜組織の形態を分析した。最も適切な用量は35U/mLのコラゲナーゼであると決定した。
酵素用量を選択したら、40分、30分、20分、10分、及び5分の試験によって、同じ方法で同じモデルで操作時間を決定した。この微調整法全体を通して、洗浄液を収集し、完全培地で培養して得られた細胞を分析し、動物の種々の器官も同時に収集して、任意の器官損傷の存在を任意の場面(濃度/時間)に確認し、そして腹膜組織の状態を確認した。
最後に、継続的な外部アクセスによる腹膜洗浄(開放洗浄)又は灌流ポンプを備えた閉鎖システムの使用と、手術室で使用されるものと同様の温度制御との間の比較研究を行った。洗浄液の灌流速度及びこの閉鎖システムを備えた収集システムで様々な試験を行った。
腹膜発癌モデル
癌性腹膜炎モデルは、同系BDIXラットへのDHD細胞の腹腔内注射によって、2001年にGarcia Olmo博士らによって微調整された(The site of injection of tumor cells in rats does not influence the subsequent distribution of metastases. Garcia-Olmo DC, Garcia-Rivas M, Garcia-Olmo D, Ontanon J. Oncol Rep. 2003;10(4):903-7.;Orthotopic implantation of colon carcinoma cells provides an experimental model in the rat that replicates the regional spreading pattern of human colorectal cancer. Garcia-Olmo D, Garcia-Rivas M, Garcia-Olmo DC, Atienzar M Cancer Lett. 1998; 23;132(1-2):127-33)。本明細書の図2に見られるように、このモデルは、ヒト偽粘液腫(癌性腹膜炎の一種)を確実に再現する。
癌腫症を有するラットに対するコラゲナーゼの安全性/有効性試験
「in vivo」モデルの開発。癌性腹膜炎のラットでの第I相(微調整)
「in vivo」モデルの開発のため、6匹のBDIXラットで癌腫症を引き起こし、治療を4週間後に提案した。治療は腹膜洗浄によって異なる濃度(370U/mL、2×148U/mL、74U/mL、37U/mL、0)のコラゲナーゼを使用することからなり、3匹の動物に対して開放システムで灌流ポンプを使用し、他の3匹の動物にはいかなる灌流ポンプも使用せずに行った(図3)。コラゲナーゼの用量選択は、群の以前の研究によって決定された(微調整中のマウス及びラットでの第1の試験)。接種された6匹の動物のうち、4匹は非常に広範な癌腫症を示し、2匹は軽度の癌腫症を示し、1匹は皮下注射領域の腫瘍のみを示した。腹膜洗浄の方法は、動物に吸入麻酔を与えた後、腹腔を縦切開で露出させ、腹腔を上記の種々の濃度に希釈したコラゲナーゼで満たすことからなった。次いで、腹膜の連続洗浄(乳酸リンゲル溶液のみ)を行い、動物はそれぞれの場合に無作為に選択し、治療を全ての動物で10分間継続した。
全ての場合に、組織学的研究のために、洗浄した組織試料及び器官を収集した(図4)。
癌腫症を有するラットに対するコラゲナーゼ+化学療法剤の安全性に関する試験
化学療法剤のコアジュバントとしてのコラゲナーゼの用量の調整
参照される本発明の実施例に記載される実験を行う前に、本発明を実施するため、規定の時間及び用量でのコラゲナーゼによる治療の安全性を作業の第1段階で試験した。
その後、規定の用量、濃度、及び時間のコラゲナーゼ溶液で、主に癌性腹膜炎を治療する目的で、マイトマイシンCによる化学療法処置のコアジュバント又は増強剤としての治療の安全性を試験した。今日、術中化学療法処置の間に腹膜洗浄を行うため、様々な細胞傷害剤が使用されているが、マイトマイシンCが最も一般的に使用される細胞傷害性薬物であり、最も高い有効性を示すという証明がなされている。
この意味で、全ての動物にDHD細胞を接種した後、したがって腹膜に固形腫瘍(癌性腹膜炎)を誘発した後、様々な作業群においてマイトマイシンCによる化学療法処置のコアジュバント又は増強剤としてコラゲナーゼを使用するための安全性の観点でコラゲナーゼの最適な用量を決定した。
対照群:乳酸リンゲル溶液のみで洗浄。中胚葉は容易に分離し、洗浄は非血性である。緻密な大網。
群1:370U/mLのコラゲナーゼ。血性洗浄液、大網及び中胚葉の破壊。洗浄液中の腫瘍片。
群2:148U/mLのコラゲナーゼ。わずかに血性の洗浄液、容易に分離可能な大網及び中胚葉。洗浄液中に固形腫瘍片が観察される。
群3:74U/mLのコラゲナーゼ。非血性洗浄液、容易に分離可能な大網及び中胚葉。洗浄液にはインプラントはほとんど観察されないが、中胚葉及び大網の腫瘍インプラントのアクセス可能性は絶対的である。
群4:37U/mLのコラゲナーゼ。非血性洗浄液、容易に分離可能な大網及び中胚葉。洗浄液には腫瘍インプラントは観察されないが、中胚葉及び大網の両方で完全に露出しているように見える。
この段階での外科的処置は、DHD細胞を腹膜に注射し、腹部触診により腹膜における腫瘍塊の存在を確認するまで、6週間~8週間経過させた腹膜癌誘発の第1の方法、及び動物に吸入麻酔を与えた後、腹腔を腹部の縦切開によって露出させ、37℃で(各動物が対応する群に応じて)試験対象の種々の濃度のコラゲナーゼ溶液で腹腔を満たして、腹膜を手で10分間穏やかに振蕩し続けながら連続的に洗浄した第2の治療法からなった(動物はそれぞれの場合に無作為に選択された)。
異なる治療に関する癌腫症を有するラットの生存の分析
この段階の間、マイトマイシンC等の化学療法剤による腹膜腫瘍の治療におけるコラゲナーゼのコアジュバント又は増強の役割について学ぶために、様々な作業群及びサブグループで一連の生存実験を確立した。
Figure 2022521230000001
この段階での外科的処置は、動物に吸入麻酔を与えた後、腹腔を縦切開で露出させること、(各動物が対応する群に応じて)37℃で、乳酸リンゲル溶液で希釈された37U/mLのコラゲナーゼ溶液、又は乳酸リンゲル溶液若しくはマイトマイシンC溶液で腹腔を満たすこと、及び手で穏やかに振蕩し続けながら腹膜を連続的に洗浄することからなり、動物はそれぞれの場合に無作為に選択され、治療は全ての動物で10分間継続した。
手順は、TCQ群で2回行われ、1回目はコラゲナーゼを用い、2分後、試験対象の種々の濃度のマイトマイシンCで腹膜洗浄を繰り返した。全ての場合に、組織学的研究のため、洗浄した組織試料及び器官を収集した。また、動物を屠殺する前に全ての動物から血液を収集し、取り出した後1時間以内に血液を処理して血漿を得て、一方で変異型KRAS癌遺伝子(DHD細胞により発現されるエクソン1のコドン12中の変異)の存在、もう一方で腹膜洗浄後の血液中のコラゲナーゼ痕跡又は残留物の存在を分析した。KRAS癌遺伝子局在化研究にはデジタルPCRを使用した。コラゲナーゼ痕跡研究のため、匿名化された試料を、特異的抗MMP-1及び抗MMP-2 ELISAの実施のためLyposmol研究所に送った。
各群は当初、6匹のラット(2×3)からなった。初期設計では、15日後に3匹の動物を屠殺し、残りは動物が屠殺する必要がある状態になるまで(皮下腫瘍の成長が直径0.5cm超)、又は最大2ヶ月間放置した。行った試験は、データ収集表に従った毎日の動物管理;屠殺時の血漿を得るための採血;及び腹壁、小腸、大腸(上行、横行、及び下行)、肝臓、脾臓、腎臓、及び大網の組織学的研究からなった。それにもかかわらず、残念ながら、DHDを注射した全ての動物が癌腫症を引き起こしたわけではなく、全ての動物が提案された時間を生き延びたわけではなかったため、全ての群で初期設計に従うことはできなかった。
結果
これまで、以下の重大な結果が得られた。
マウスに対するコラゲナーゼによる腹膜洗浄の第1の試験:
「in vitro」の結果から、コラゲナーゼは、35U/mLの濃度で組織の端部を破壊し、中皮細胞を解放して、腫瘍の血管新生を制限すると推定された。より長い酵素時間は、より多くの細胞の解放及びより大きな組織損傷につながる。さらに、時間が45分を超えると組織が損傷し、取り出された細胞の生存率が阻害されることが観察された(図1)。
幾つかの「in vitro」試験の後に到達した主な結論は、コラゲナーゼの最適濃度は35U/mLであり、最適時間は30分であるということである。時間又は濃度のかなりの増加は、「in vitro」で細胞に高い割合で損傷を引き起こす。
下の表に示すように、種々の用量のコラゲナーゼを投与してから30分後のマウスでの第I段階(微調整)の間の「in vivo」の結果から、マウス5及びマウス6(最も高い用量を受けた)は無気力であり、痛みの兆候を示し、取り扱いに対する反応が非常に低下したことを観察することができる。腹壁が脱離しているのも肉眼で確認できた。さらに、35U/mLのコラゲナーゼを受けたマウスの1匹は、取り扱いによく反応したが、痛みの兆候を示した。最高用量のコラゲナーゼを用いたマウスは1時間以内に死亡した。鎮痛剤を用いて残りの動物を24時間放置した。
Figure 2022521230000002
微調整段階の剖検の結果を以下に要約する:
コラゲナーゼ87.5U/mLの用量を用いたマウス:皮膚から完全に剥がれ、触れると自然に破裂する、血液性で実質的に透明な腹壁。腹膜洗浄はPSS(生理食塩水、0.9%塩化ナトリウム)で行い、洗浄した生成物をDMEM+10%FBS+1%P/Sが入ったペトリ皿(P100)に播種する。6時間後に顕微鏡下で皿を観察すると、細胞が皿に付着しているのが見られ、大量の赤血球も見られる。全ての腹部器官を摘除する。器官をつなぐ全ての構造が弱くなったか、又は存在しなかったかのように、摘除の際に器官は非常に簡単に互いに分離することがわかる。
コラゲナーゼ35U/mLの用量を用いたマウス:自然に破裂する非常に薄い血性腹壁。非常に容易な器官の摘除。
17.5U/mL及び8.75U/mLの用量を用いたマウス:マウスの1匹は、菲薄化が最も少ない、幾分血性の腹壁を示す。腸腫瘤全体が固定されており、切除するのにより多くの労力が必要である。もう一方のマウスは、正常な外観及び色の腹壁を持つ。腸腫瘤はしっかりと固定されている。摘除した全ての器官(腹膜、膀胱、子宮、大腸、小腸、胃、脾臓、肝臓、腎臓、及び大血管)を、その後の解剖病理学研究のためにホルムアルデヒド中に保管する。
ラットに対するコラゲナーゼによる腹膜洗浄の第1の試験:
ラットでの「in vivo」微調整試験の当初の結果から、35U/mLのコラゲナーゼの濃度が提案された目的に理想的であり、最良の治療時間は10分~15分であると推定され、その後、腸及び大網を覆う中皮細胞の除去が観察されるが、腸管を含むいかなる器官も関与していない。上記の濃度及び時間での組織学的研究は、中間層又は内層の関与なしに腸管を覆う中皮層の菲薄化を実証し、これは、いかなる器官の関与もなしに腫瘍組織を露出することと同等であると理解される。腹腔と相互作用した残りの器官は影響を受けず、腹腔壁の菲薄化は1つの研究でのみ観察されたが、動物を損なうことなくその後の生存率が確認された(図4)。
試料の解剖病理学レポート:
ラット1。菲薄化は外筋壁で観察され、幾つかの局所的な最小の損傷が或る特定の領域で観察される。腸を取り巻く脂肪細胞は確かに破壊されている。
ラット2。腸壁は幾分薄いが、損傷は見らない。
ラット4。正常に見える。
ラット5。最も損傷を受けたラット。外筋層には、損傷及び糜爛の幾つかの病巣ポイントがある。
図2に見られるように、腸切片における剥離細胞の増加は、ラット3及びラット5(それぞれ70U/mL及び87.5U/mL)の場合にのみ観察され、それにもかかわらず腸の内層(粘膜下組織、粘膜、及び上皮)は全く影響を受けないが、87.5U/mLの濃度は、腸陰窩に影響を与えることなく、実際に粘膜下組織を局所的に破壊し、群2及び群4(8.75U/mL及びリンゲル液)のラットの場合、外筋層の剥離は事実上存在せず、それらの濃度及び選択した時間で影響が生じないことを示している。
ラットに対するこの微調整法の第2の評定可能な結果は、製造業者の指示に従って、解剖病理学的研究、並びに動物及びそれらの腹膜器官の巨視的研究で得られた同一の結果を考慮して、実験用コラゲナーゼ及び臨床用コラゲナーゼの間の同等性を計算及び検証したことである。
癌性腹膜炎を発生させるためのモデル:
癌性腹膜炎モデルを微調整するための研究において、同系BDIXラットにDHD細胞を注射した後の癌性腹膜炎の発生は、全ての場合で80%成功した。
異なる治療に関する癌腫症を有するラットの生存分析
濃度及び癌腫症モデルを生成したら、上記の表1に列挙された群に従って、コラゲナーゼによる治療とマイトマイシンCによる治療とを関連付けることにより安全性研究を実施した。文献では同等性は5mg/動物のマイトマイシンCの用量を推奨しているが、本著者らによって行われた最初の試験が、エンドポイント基準に達し、適切な鎮痛プロトコルにもかかわらず屠殺しなければならなかった動物の数が多かったことを指摘することは重要である。この理由で、群Dでは用量を0.5mg/動物及び0.1mg/動物に下げた。このようにして、適切な鎮痛プロトコルを用いると、動物は場合によっては2週間まで生存することができた。
表3に示すように、種々の治療に関連する巨視的及び生存の結果。
Figure 2022521230000003
以下は、表3に列挙されている結果の概要と見なすことができる。
群A(コラゲナーゼ):5匹中4匹が生存し、1匹は内臓摘出のために手術後に死亡した。
群B(種々の用量のマイトマイシン)。大量の連続鎮痛(トラマドールSC/12時間で2日間、ブプレクス+ミダゾラムSC/12時間で1週間)にもかかわらず、動物は高用量(5mg/動物)では2週間を超えて生存することができず、動物は常に無気力であり、ほとんど活動を示さない。低用量(0.1mg/動物)では、高用量の動物と比較するために1週目に1匹の動物を屠殺するが、残りは試験が終了するまで生存する。この低用量群の1週目に大量の鎮痛剤が必要であることを指摘しなければならない。
群C(DHD):文献のデータによる通常の動物の進行があり、動物を適切な時期に屠殺する。
群D(DHD+コラゲナーゼ+マイトマイシン):2つの濃度(0.5mg/動物及び0.1mg/動物)のマイトマイシンを使用し、最初の動物を1週間後の適切な時間に屠殺し、残りを2週間後に屠殺する。これらの屠殺時間は、動物の状態が悪化しているためではなく、腸の構造を群Bの動物と比較する必要があるために選択される。
群E(DHD+マイトマイシン5mg/動物)。この群は生成された最初の動物群であり、追跡期間全体を通して大量の鎮痛剤が使用されたにもかかわらず、エンドポイント基準のために全ての動物を屠殺しなければならなかった。動物の半数は、おそらく5mgの用量での腹腔内マイトマイシンの影響のために、手術後の最初の夜に死んでいるのが発見された。
群F(DHD+コラゲナーゼ):異なる動物を1ヶ月後及び2ヶ月後に屠殺する(動物モニタリングプロトコルによると痛みの兆候は観察されない)。
このデータに基づいて、化学療法処置のためのプレコンディショニングとしてコラゲナーゼを使用することが(群D)、どのようにして使用する化学療法剤(この場合はマイトマイシンC)の濃度を大幅に下げて同様の解剖病理学的結果を得るのか注目される。0.1mgのマイトマイシンを用いる群B2の治療を表す表3に見られるように、多くの癒着だけでなく菲薄化した血性の壁を有する器官が観察されることを考えると、これは非常に重要である。さらに、5mgのマイトマイシンで治療された群B1の剖検では、多くの刺激性及び血性の癒着、並びに薄い器官壁及び血管が観察される。さらに、群Eの全ての動物が死亡したことがわかる。言い換えれば、高いマイトマイシン濃度は動物を殺傷し、0.1mgのマイトマイシンCの濃度は、多くの癒着だけでなく、菲薄化した血性の壁をもたらす。このデータとは全く対照的に、0.5mgのマイトマイシンでの治療前にコラゲナーゼによるプレコンディショニングを行った群Dの剖検は、全ての動物の生存を示し、癒着はないが、癌腫症は主に腸で高度に局在化して、筋肉及び腎臓にも影響を及ぼすことが観察された。言い換えれば、表3のB及びDのデータを比較すると、コラゲナーゼで動物をプレコンディショニングすることで、疾患の経過を改善できるだけでなく、実際の化学療法効果を高めることが観察できるため、コラゲナーゼは、主に癌性腹膜炎を治療する目的で、マイトマイシンC等の化学療法処置の補助治療として、及び化学療法処置自体、この場合はマイトマイシンCによって示される毒性に対する保護剤として作用する。
さらに、異なる群の動物から得られた血漿試料を分析した。
収集される血漿及びその状態を表4に示す。
Figure 2022521230000004
デジタルPCRによって異なる群の血液中の変異型KRASの存在を分析するために、製造業者のデータに従ってQIAamp Circulating Nucleic Acidキットにより少なくとも2mlの血漿/群からDNAを抽出し、結果は表4に収載されているものである。図6は、群C(陽性対照)並びに種々の治療のうち血漿中に陽性の変異型KRASがあると見なすことができる唯一の群である群Eについて得られたグラフを示す。
Figure 2022521230000005
治療及び追跡期間後に動物の血液中にコラゲナーゼ残留物が残っているかどうかを確認するためのELISAの結果は、MMP-1及びMMP-2の両方についていずれも陰性であった。
結論:
設計された方法は、実行可能で、安全で、再現性がある。
生成された製品は、化学的/酵素的なスカルペル(手術用ナイフ)として示される。
研究で開発された最適な濃度及び時間では、組織学的に器官又は組織の障害は観察されない。
治療後に生き残った唯一の動物は、障害も疼痛も示さなかった。
実施例2
癒着の除去におけるコラゲナーゼの有効性
このアッセイの目的は、後で使用するためにラットの腹膜癒着のモデルを設計することであった。そのため、いずれも雄性のWistarラットで2つの異なる可能性を試験した。4匹の対照(手術されていないラット)を使用した。
上記2つの場合には、低密度ポリプロピレンメッシュ等の日常の診療で癒着を引き起こすことが証明されている異物を適用することによって癒着を作り出す可能性を検討した。使用したコラゲナーゼの濃度はPBS中0.05%、適用時間20分、容量20ml、及びサーマルブランケット内で温度37℃であり、事前に薬剤をテンパリングした。
このデータで、わずかに引っ張ると癒着を解放する際のコラゲナーゼの有効性を見ることができた。他の関連する知見は、治療の適用時に現れる膵臓反応である。
実験の第1段階
低密度ポリプロピレンメッシュの小片の適用
最初の群(群1)に属する合計10匹のラットのうち5匹の6週齢のWistarラットの介入。フォーレンによる事前の吸入麻酔、動物の剃毛、及び無菌対策を実施し、皮膚及び腹壁に最小限の開口部を作り、正中線の両側に5つずつ、ポリプロピレンメッシュの小片を10個移植する。ポリプロピレンメッシュは、事前にpss(生理食塩水(0.9%NaCl))で湿らせた0.5cmの小片に切断されている。
手術の前に、トラマドール5mg/kg及びセファゾリン30mg/kgを投与する。適切な容量を投与するために希釈を行う必要がある。
毎日の体重管理及び皮下トラマドール投与の追跡。
その後(最初の介入の2日後)、群1の残りの5匹のWistarラットに介入を行い、体重及び創傷の進行を同じように追跡し、次の72時間にわたり鎮痛剤を投与する。
約1ヶ月後、第2の群(群II)に属する6匹の追加の6週齢のWistarラットに介入を行う。フォーレンによる吸入麻酔、動物の剃毛、及び無菌対策の実施後、開腹術を行い、正中線の両側に2つずつ、腹腔内に4つのポリプロピレンメッシュを移植する。移植前に、メッシュをpssで濡らす。
24時間ごとに72時間皮下トラマドールを投与して、翌日にラットの追跡を行う。
実験の第2段階
腹腔内プロテーゼの適用から4ヶ月後、実験の最終段階のため動物を再び手術する。その前に採血する。まず、群1に属するラットで実験を行う。研究をペア及び単盲検(研究者)で無作為化する。検査技師は使用された溶液を知っているが、それが何であるかについては述べない。次に、手術したラットのそれぞれで得られた結果を収集する:
1. R13、295g:ディクテーション:「肉眼ではメッシュは見られない。盲腸の腸間膜及び回腸末端には、折り返された領域があり、明らかにメッシュ小片を含む。腹壁の閉鎖への癒着なし。非外傷性エントリ。」
未知の溶液(PBS)を37℃で20分間投与。
ディクテーション:「腹腔を四分円で体系的に確認し、そこに触診によって判断したメッシュ片を含む脂肪凝集体が見つかる。アクセス可能なメッシュが見つからず、内臓損傷のリスクがあるため、試料を取り出さない。」
2. R14、268g:ディクテーション:「脾臓の腹膜に癒着した2つのメッシュと、大網及び卵巣脂肪(左腸骨窩)に癒着したメッシュが認められる。回腸末端及び結腸にはない。小腸の相互及び肝臓へのしっかりとした癒着、おそらくメッシュに続発するものであるが、肝臓の出血リスクにより取り出すことができないため、確認できない。右腸骨窩には、その内部にメッシュが付いた丸まった卵巣脂肪がある。別のメッシュによる卵巣脂肪の壁へのしっかりとした癒着。」
未知の溶液(PBS)を37℃で20分間投与する。
ディクテーション:「メッシュは、損傷を与えることなく穏やかに引っ張ると解放できないことが認められるため、試料を収集しない。」
3. R11、294g;ディクテーション:「非外傷性エントリ。壁への癒着なし。右季肋部には、メッシュ片を含む大網を伴う腸ループの球がある。その領域で少なくとも2つの球が観察される。盲腸は折り返されて拡張している。左季肋部にはない。メッシュは骨盤脂肪に含まれる。」
20mlの未知の溶液(PBS中の0.05%コラゲナーゼ)を20分間加える。
ディクテーション:季肋部ループの球の1つをわずかに引っ張ると壊れて、メッシュ(3)の幾つかの断片が解放され、これをホルマリンに導入する。
4. R12、284g:ディクテーション:「非外傷性エントリ。壁への癒着なし。右季肋部には、治療を加える前に摘除された、汚染されたように見えるメッシュ片がある。その手触りにより、メッシュを含む可能性のある圧縮された脂肪が下腹部で観察される。腔の残りの部分ではメッシュ片は観察されない。」
20mlの未知の溶液(PBS中の0.05%コラゲナーゼ)を20分間加える。
ディクテーション:「洗浄後、大網に見られるメッシュはわずかに引っ張るとすぐに解放される。恥骨上脂肪の別のメッシュは、脂肪凝集体を損傷することなく切り離され(dissected and released)、6片のメッシュがデジタル解剖で出血することなく解放される。」
5. R15、309g:ディクテーション:「非外傷性エントリ。右季肋部にはメッシュの残留物は見られない。露出したメッシュのない脂肪凝集体は、卵巣及び子宮内膜に隣接して見られる。左季肋部では、盲腸及び小腸に隣接して脂肪凝集体がある。大網に付着した2つの部分的に露出したメッシュを見ることができる。下腹部の脂肪には、露出していない、該脂肪に含まれるメッシュが見られる。」
20mlの未知の溶液(PBS)を20分間加える。
ディクテーション:「右季肋部では、露出したメッシュは見られない。メッシュは、ループを損傷することなく、わずかに引っ張ると脱離する。以前に見られた脂肪凝集体が見つかり、弱く引っ張って分離しようとしたが、メッシュは見られなかった。出血の開始に応じて、左季肋部に切り替えた。盲腸に隣接する前述のメッシュは、実際には完全に解放されることなく、強く引っ張ると幾らかは脱離する。より大きな力で引っ張ることにより、メッシュを取り出した。腸のループに折り返されたメッシュを弱く引っ張って解放しようとする。脂肪が壊れてメッシュが解放される。3つ目のメッシュは盲腸及び回腸末端の凝集体から解放される。下腹部に、強く引っ張ると外れる1つ目のメッシュを確認した。2つ目のメッシュがその領域に見られ、これも解放されるが、多くの力を加えなくてはならない。」
6. R16、257g:ディクテーション:「非外傷性エントリ。腹腔にアクセスすると、脾臓の側面に大網に含まれたメッシュが見られる。右季肋部にはメッシュの残留物は見られず、脂肪にメッシュの残留物が含まれている可能性もない。左側腹部には、目に見える少なくとも1つのメッシュを含むループの球が観察される。ループの奥深くにメッシュがある可能性がある。下腹部では、卵巣脂肪と共にループの球が見られ、少なくとも1つの目に見えるメッシュが含まれている。左腸骨窩には、メッシュが見えない脂肪凝集体がある。下腹部には、ループの球を形成する少なくとも2つのメッシュがある。」
20mlの未知の溶液(PBS)を20分間加える。
ディクテーション:「大網に依存するメッシュは、わずかに引っ張ると解放される。下腹部のメッシュは、わずかに中程度の強さで引っ張っても解放されない。下腹部の球は、わずかに引っ張っても解放されない。球の2番目のメッシュを中程度の強さで引っ張って脱離しようとしたが、成功しなかった。」
7. R17、249g:ディクテーション:「非外傷性エントリ。腸は正中線に沿って2つの堅い球に集まり、これらは共に動く。ループの球に癒着した脾臓大網にメッシュがある。右季肋部にはメッシュは見られない。脂肪は左季肋部に集まっているが、目に見えるメッシュはない。下腹部には、内部にメッシュのある脂肪凝集体がある。」
20mlの未知の溶液(PBS中の0.05%コラゲナーゼ)を20分間加える。
ディクテーション:「洗浄後、脾臓大網のメッシュは自己限定的な出血の兆候を示す。メッシュは完全に上皮化され、高度に血管新生されている。中程度に繰り返し引っ張ると、脂肪はその構造を失うが、メッシュは強制的に取り出さない。回腸末端の球に含まれるメッシュの1つは、わずかに引っ張ると完全に分離する。メッシュを取り除いた後、組織は幾分壊れやすい。中程度の強さの引っ張りで解放される堅い恥骨上脂肪(tense suprapubic fat)のメッシュへの回腸末端の癒着がある。恥骨上脂肪組織からメッシュを解放する試みがなされ、強く引っ張ったが成功しなかった。デジタル鈍的切開を試みたがメッシュの取り出しは成功しなかった。2回目の試みでは、メッシュが脾臓の大網から解放され、隣接する組織が壊れやすくなる。ループの集合体からメッシュを解放しようとしたが、成功しなかった。腹腔内出血のため、腹腔内洗浄を閉じる前に行う。」
8. R18、256g:ディクテーション:「腹腔に侵入しない少量の筋肉出血を伴うエントリ。盲腸は大きい。回腸末端には襞があり、白っぽい膜で覆われた盲腸から数cmのところに2つの屈曲がある。腸の残りの部分にはない。盲腸に隣接する右側腹部には、脂肪が含まれているループの球があり、取り出すことができず、引っ張ると非常に壊れやすい。少なくとも2つのメッシュの肝周囲脂肪内のメッシュ。下腹部には、壁に接触している2つのメッシュで結合された脂肪。」
20mlの未知の溶液(PBS中の0.05%コラゲナーゼ)を20分間加える。
ディクテーション:「盲腸は同じ外観で、慢性炎症の兆候がある。同じ位置に屈曲があり、それらは容易に分離されない。デジタルプル(digital pulling)ではメッシュでは感じられない。肝臓では、これまで見られなかったメッシュが観察され、強く引っ張っても分離せず、出血のリスクがあるため手技を停止する。メッシュはわずかに引っ張ると肝大網から分離する(メッシュは2つあり、そのうちの1つは簡単に分離することができない)。下腹部では、壁と接触しているメッシュの1つが分離され、2つ目のより深いメッシュは分離されない。腹腔内出血のためpssによる洗浄を行う。」
9. R19、330g:ディクテーション:「非外傷性エントリ。壁への癒着は見られない。小腸ループの凝集体があり、腸間膜においてメッシュで盲腸に隣接する。右季肋部には、メッシュが見られない正常な側面を持つループの球がある。肝大網に、そこに含まれるメッシュが認められる。肝臓と脾臓の大網の間には別のメッシュがある。恥骨上脂肪には幾つかのメッシュが感じられる。」
20mlの未知の溶液(PBS中の0.05%コラゲナーゼ)を20分間加える。
ディクテーション:「腸間膜のメッシュは、わずかに引っ張るとすぐに解放される。肝大網のメッシュは完全に上皮化されているが、容易に解放される。また脾臓大網のメッシュも完全に上皮化されており、これも容易に解放される。壁への下腹部脂肪への癒着は容易に解放される。3つのメッシュがいかなる合併症及び出血もなしに恥骨上脂肪から解放される。」
10. R20、264g:ディクテーション:「わずかに貫通する外傷、血液は腹腔に入らない。進入すると、正中線にループの球が見られ、小腸及び盲腸を冒している。小腸の腸間膜に幾つかのメッシュ片が2点で認められ、2つの回転領域を形成している。肝大網はメッシュの2つの群の1つにしっかりと癒着しており、右は腸間膜に依存している。脾臓の大網は盲腸の下でねじれており、最も遠位の部分に別のメッシュ群がある。左恥骨上脂肪のメッシュ片は、壁に結合及び癒着しており、少なくとも2つのメッシュ片を含み、小腸にも癒着している。」
20mlの未知の溶液(PBS)を20分間加える。
ディクテーション:「腸ループに癒着した大網メッシュは、操作すると壊れやすいことが示される。出血を伴う脂肪からの部分的な分離があり、停止する必要があった。脾臓の大網に癒着したメッシュは、中程度の強さの引っ張りでは解放されず、自己制限的な出血がある。同じ群で、別のメッシュを強く引っ張ると解放することができ、2つ目のメッシュを強く引っ張ると解放される。メッシュは、強く引っ張っても恥骨上脂肪から解放されない。」
新たな血液検査を、第1群の10匹のラットで行った。それぞれについて、手術の15日後に採血した。コラゲナーゼ後のサイトカインを分析した。
次に、群2に属するラットで実験を行った。この群のラットは手術を受け、それぞれ3匹のラットを含む2つの群に分けられ、1つ目の群には0.05%のコラゲナーゼが投与され、もう1つの群にはプラセボ(PBS)が投与された。その後、それらのラットを癒着引裂試験に供し、最大圧力及び癒着が裂ける曲線を測定した。そのために、3つの出口を備えた閉鎖剛性システムの圧力を測定する高精度のデジタル圧力計からなる癒着裂傷測定システムを使用した。1つは手動圧力ポンプであり、もう1つは、引っ張るためのクランプが取り付けられ、圧力計から圧力を奪う線形可動性のピストンであった。コラゲナーゼ群対対照群で生じた癒着の引裂きをもたらすのに必要な圧力をこのシステムで測定した。
プロセスを、引裂きをもたらすのに必要な圧力曲線の分析を可能にするために記録した。
1. R1、245g:ディクテーション:「腸ループの重要な拡張。結腸は崩壊しており、糞便はほとんどない。ゲージの変化は骨盤で確認され、小腸及び壁に癒着したメッシュに関連する。腸閉塞。他のラットほど体重が増えておらず、尾に濃い茶色の斑点があり、脱水症状を示唆している。」
大きなメッシュが左の壁に癒着し、別のメッシュが右の大網に癒着しているのが見られる。
未知の溶液による治療:37℃のPBSで20分間。
閉塞を解消するための機械的癒着剥離。縫合糸を設置して引張(mmHg単位の圧力(P))を実施する:
左上大網の引裂きP:243
左壁の引裂きP:286
左下部の引裂きP:298
右下部の引裂きP:269
2. R6、298g:ディクテーション:「非外傷性エントリ。正常な側面を有するループ。盲腸が含まれるループの球、メッシュは全く見られない。2つのメッシュが胃肝大網及び恥骨上脂肪に癒着し、1つは右側に、もう1つは左側にある。第3のメッシュが左壁に固定されている。閉塞なし。」
未知の溶液による治療:PBS(mmHg単位の圧力(P)):
右季肋部の引裂きP:275
左季肋部の引裂きP:320
左上側腹部の引裂きP:288
左下側腹部の引裂きP:380
右腸骨窩の引裂きP:340
左腸骨窩の引裂きP:380
*引裂きP=引裂き圧力
3. R7、273g:ディクテーション:非外傷性エントリ。その中にメッシュのない接着したループ。メッシュは、肝大網から恥骨上脂肪までの右側腹部に見られる。別のメッシュは、脾臓、胃、及び左季肋部の壁に強く癒着している。左腸骨窩及び左側腹部のメッシュは、子宮、恥骨上脂肪、及び左壁に癒着していた。骨盤のメッシュは、膀胱及び恥骨上脂肪に癒着していた。
未知の溶液による治療:PBS(mmHg単位の圧力(P)):
右季肋部の引裂きP:268
左季肋部の引裂きP:315
左季肋部2の引裂きP:344
左側腹部の引裂きP:393
左側腹部2の引裂きP:378
下腹部の引裂きP 360
右側腹部の引裂きP:401
4. R8、268g:「非外傷性エントリ。中にメッシュのないループの球。左腸骨窩-左側腹部の3つのメッシュ、壁、子宮、及び恥骨上脂肪への癒着。4つ目のメッシュは右季肋部にあり、壁、大網、及び肝臓に癒着している。」
治療:0.05%コラゲナーゼ(mmHg単位の圧力(P)):
右腰部(hyp)の引裂きP:320
右腰部の引裂きP:262
左腰部の引裂きP:276
左腰部2の引裂きP:198
左腰部3の引裂きP:253
左腰部4の引裂きP:168
左腰部の引裂きP:340
5. R9、275g:ディクテーション:「非外傷性エントリ。正常な分布の腸ループ。壁及び後腹膜脂肪に付着した右側腹部のメッシュ。左上側腹部のメッシュは、上皮化及び血管形成し、壁及び恥骨上脂肪に強く付着している。左腸骨窩のメッシュは、壁に強く付着していた。」
治療:0.05%コラゲナーゼ(mmHg単位の圧力(P)):
右腰部の引裂きP:170
右腰部2の引裂きP:291
右腸骨窩の引裂きP:140
胃間膜の引裂きP:120
下腹部の引裂きP:180
左腸骨窩の引裂きP:184
左側腹部の引裂きP:181
左大網の引裂きP:145
左大網2の引裂きP:201
6. R10、260g:ディクテーション:「非外傷性エントリ。正常な側面を有する腸ループ、盲腸の肥大を伴う。右腸骨窩では、後腹膜脂肪に沈み、下腹部及び後壁に部分的に癒着したメッシュが認められる。左側腹部には、互いに癒着した3つの部分的に上皮化したメッシュが見られる。上の2つは脾臓を含み、下の1つは卵巣と密接に接触しており、外観は黒色で肥大している。」
治療:0.05%コラゲナーゼ(mmHg単位の圧力(P)):
肝臓の引裂きP:130
下部肝臓の引裂きP:230
右上季肋部の引裂きP:270
下部肝臓2の引裂きP:123
左側腹部の引裂きP:129
左側腹部2の引裂きP:144
盲腸の引裂きP:126
胃間膜の引裂きP:79
胃間膜2の引裂きP:91
右側腹部の引裂きP:172
右側腹部2の引裂きP:160
2018年7月26日に、第2の群の6匹のラット及び4匹の対照で新たな血液検査が行われる。コラゲナーゼ後のサイトカインを分析する。
両群の安楽死
生化学及びサイトカインのために心臓内穿刺によって全てのラットから採血した。
群1(10匹のラット、そのうち9匹が言及されている)
R11、355g
心臓内穿刺による採血の合併症。壁、横隔膜、腸間膜を含む小腸の試料を採取してホルマリンに導入した。
巨視的:中間領域のループの球。メッシュも癒着も見られない。
R12、310g
生化学及びサイトカインのため心臓内穿刺によって採血する。組織をサンプリングする。
巨視的:壁への癒着、ループ間の癒着、目に見えるメッシュはない。
R15、335g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:非常に肥大した盲腸は、ループの球と共に骨盤脂肪に付着している。
R13、313g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:恥骨上脂肪及び胃大網への癒着、メッシュが含まれ、完全に脂肪で覆われている。
R14、276g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:壁への癒着又はループ間の癒着はない。メッシュなし。
R16、304g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:強く結合した小腸の腸ループの球、及び恥骨上脂肪へのループの癒着。メッシュを見ることはできない。
R17、265g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:ループの球が恥骨上脂肪に癒着し、その中にメッシュが含まれている。盲腸にも癒着している。
R18、270g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:肥大した盲腸。肝大網内のメッシュ。腸ループ及び肉芽腫への堅い癒着。これを取り出し、後で分析するために印を付ける。
R19、368g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:ねじれた側面を有する、互いに癒着した腸ループ。左側壁脂肪(left parietal fat)への癒着。肥大した盲腸。
対照群(4匹のラット)
R2、328g(対照)
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:対照ラット。病理学的所見なし。
R3、288g(対照)
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:対照ラット。病理学的所見なし。
R4、327g(対照)
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:対照ラット。病理学的所見なし。
R5、298g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:対照ラット。病理学的所見なし。
群II(6匹のラット)
R1、250g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:小腸を犠牲にして閉塞を伴う腸閉塞の注目すべき兆候。腹腔を開く前に閉塞の兆候が認められる。骨盤内のゲージの変化。骨盤、左壁、及び脾臓下大網に癒着したメッシュ。
R6、312g
1mlの採血の合併症(生化学)
巨視的:恥骨上脂肪で覆われた骨盤内のメッシュ、及びそれに癒着して部分的に覆われたループの球内のメッシュが認められる。
R7、296g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:肥大した盲腸。回腸中央部のレベルでの小腸のループのゲージの違い、閉塞の原因は認められない。小腸のループ間の癒着。子宮に癒着した左壁のメッシュ。左季肋部において別のメッシュが、胃及び大網脂肪及び卵巣に癒着していた。
R8、291g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:肥大した盲腸。回腸の終末部-中間部のループの球。ループの球に付着した胃肝大網にあるメッシュの癒着。左腸骨窩のメッシュ。
R9、301g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:メッシュを犠牲にした盲腸の癒着。小腸、恥骨上脂肪、及び右壁に癒着した骨盤内の2つのメッシュ。
R10、258g
採血し、組織の試料を問題なく採取する。
巨視的:回腸末端レベル及び左壁に癒着した腸ループ。
実施した実験の表形式の概要を以下に示す。
Figure 2022521230000006
結論:
0.05%の濃度のコラゲナーゼは、関連する死亡率がなく、マウスモデルでの腹腔内適用に安全である。コラゲナーゼを37℃(コラゲナーゼの作用温度)で20分間激しく洗浄することにより適用した。
組織学的研究は、メッシュを配置する前又はメッシュを除去する際のいずれかにおいてコラゲナーゼで治療した場合(腹膜洗浄により)、腹膜に小さなメッシュ又は側腹部に大きなメッシュを有する動物の組織は影響を受けないことを実証する。逆に、生理食塩水で洗浄すると、メッシュに関連する多数の癒着が発生し、メッシュの取り出しが困難になる。
対照の介入直後及び介入後の種々の時点の両方において使用したモデルで連続試験を行ったところ、対照群との有意差を見つけることができず、又は生化学的パラメーター若しくは血液学的パラメーターとの関連もなかった。アミラーゼは、おそらくモデルの解剖学的特徴に起因して、両方の研究群で増加する(ラットでは、膵臓は非常に可動性がある)。
両方の群(群1及び群2)のサイトカインは、特定の試験として両方の群で研究されており、治療したマウスの血漿中を循環するサイトカインから得られた結果は次のとおりである。
抗炎症性サイトカイン:コラゲナーゼで治療したマウスにおいて、PBSで治療したマウスと比較してIL4及びIL10のわずかな増加
炎症性サイトカイン。コラゲナーゼで洗浄した動物におけるTNF-α及びIL12-p70の有意な増加(p<0.01)。INF-γに違いはない。
調節性サイトカイン:コラゲナーゼで治療した群では、IL2及びIL18の有意な増加(p<0.05)が観察される。IL1a、IL1b、IL5、IL6、IL7、IL13、及びIL17aのレベルに両群間で違いはない。
ケモカイン:コラゲナーゼで治療した群では、VEGF及びMCP1のレベルの有意な増加が観察され、分析された残りのケモカインは、群間で違いを示さない(M-MCF、MIP3a、GM-CSF、G-CSF、RANTRES、KC、及びMIP1a)。
4ヶ月で、2つの群間の全てのサイトカイン及びケモカインのレベルが正常化され、腹部手術を受けていない対照ラットのレベルに近づいた。
提案モデル(ポリプロピレンメッシュ)による癒着の発生は、ヒトにおける場合と同等である。このモデルは、堅い癒着と緩い癒着との両方を発生させ、それらが発生する期間(4ヶ月)の間に、8%~10%閉塞及び偽腸閉塞の症例が観察され、これらは薬物の適用後に改善が見られた。
ペアで無作為化された群1の盲検研究では、10個の小片を有するモデルにおいて薬物を適用すると、メッシュを取り出すことの有効性の結果42%を提供するのに対し、希釈剤(PBS)を使用する対照症例では8%である。
群2の盲検研究では、4つの大きなメッシュ片を有するモデルに薬物を適用すると、188.26ミリバールの癒着引裂圧の結果を提供するのに対し、希釈剤(PBS)を使用する対照の場合は325.76ミリバールである。さらに、薬物で治療されたラットでは、薬物自体の癒着を解放する能力のため実施される引張の回数が多く、より大きな腹膜表面を露出させる。
薬物又はPBSを使用してから2ヶ月後の安楽死の際のモデルの分析では、有意差は見られなかったが、薬物で治療したモデルでは、主観的に癒着が少なくなった。
最終結論:腹膜洗浄として37℃で20分間、37mg/Kgの濃度のコラゲナーゼを使用すると、ヒトモデルに匹敵するマウスモデルでの癒着の解放が支持される。さらに、ポリプロピレンメッシュ等の腹膜組織に密接に癒着する既知の能力を有する異質要素の無害な取り出しが達成される。

Claims (12)

  1. 溶液又は懸濁液中にコラゲナーゼを含む、固形腹膜腫瘍の治療における細胞傷害性薬物増強治療用又は補助治療用の組成物であって、コラゲナーゼを含む前記組成物が、細胞傷害性治療に先立って投与され、腫瘍に直接投与又は灌注され、前記細胞傷害性薬物がマイトマイシンである、組成物。
  2. 前記細胞傷害性薬物が前記腫瘍に直接投与又は灌注され、コラゲナーゼを含む前記組成物が細胞傷害性治療に先立って投与され、前記腫瘍に直接投与又は灌注される、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物が、いかなる器官の関与もなしに腫瘍組織の露出を引き起こすような濃度及び時間で、前記腫瘍に直接投与又は灌注される、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記コラゲナーゼの作用が、前記細胞傷害性薬物の投与に先立って、前記腫瘍に直接投与又は灌注されるコラーゲン等のコラゲナーゼ阻害剤によって阻害される、請求項2又は3に記載の組成物。
  5. 腫瘍が腹膜腺癌又は腹膜癌腫からなる群より選択される、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
  6. 前記組成物が、中間層又は内層の関与なしに腸管を覆う中皮層の菲薄化を引き起こすような濃度及び時間で前記腫瘍に直接投与又は灌注される、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記組成物が、37U/mL(1ミリリットル当たりの単位)~148U/mLのコラゲナーゼ溶液を含む、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
  8. 前記コラゲナーゼを、前記細胞傷害性薬物の投与に先立って、前記コラゲナーゼ阻害剤を使用する前に、腫瘍に直接投与又は灌注し、2分間~45分間作用させたままにする、請求項7に記載の組成物。
  9. 1000立方センチメートル~10000立方センチメートルのコラゲナーゼ溶液を平均温度36.5℃~39℃でヒト被験体の腹腔に注入するのに適した装置であって、さらに、該装置が前記溶液を、好ましくは1L/分の速度で再循環させるのに適していることを特徴とする、装置。
  10. 固形腹膜腫瘍の治療における細胞傷害性薬物増強治療用又は補助治療用のキットであって、
    a.1000立方センチメートル~10000立方センチメートルのコラゲナーゼ溶液を平均温度36.5℃~39℃でヒト被験体の腹腔に注入するのに適した装置であって、さらに、前記装置が前記溶液を、好ましくは1L/分の速度で再循環させるのに適していることを特徴とする、装置を備え、
    b.前記キットが、ヒト被験体の腹腔内の前記腫瘍を1000cc~10000ccの容量で2分間~45分間直接灌注するとき、いかなる器官の関与もなしに前記腫瘍組織の露出を引き起こすような濃度の任意に凍結乾燥されたコラゲナーゼ組成物を更に備え、
    コラゲナーゼを含む前記組成物が、前記細胞傷害性治療に先立って投与され、前記腫瘍に直接投与又は灌注され、前記細胞傷害性薬物がマイトマイシンである、キット。
  11. 溶液中の前記再水和コラゲナーゼ組成物又はコラゲナーゼ組成物が、1000cc~10000ccの容量で37U/mL(1ミリリットル当たりの単位)~148U/mLの濃度である、請求項10に記載のキット。
  12. 前記装置に、37U/mL(1ミリリットル当たりの単位)~148U/mLの濃度で3000cc~5000ccのコラゲナーゼ溶液を含む組成物が事前に装填されていることを特徴とする、請求項10に記載のキット。
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