JP2022521200A - タンパク質の安定性を決定する方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、製剤中の治療用タンパク質の安定性を評価する方法であって、この治療用タンパク質の熱安定性を測定する工程を含み、熱安定性の値は、統計的に有意に、サイズ排除クロマトグラフィーにより決定された主要ピーク増減率と相関する、方法を提供する。

Description

本願は、2019年2月20日に出願された米国仮特許出願第62/808,166号明細書に対する優先権を主張するものであり、この明細書は、その全体が本明細書に組み込まれる。
配列表の参照による組み込み
本出願は、本開示の別個の一部として、コンピュータ可読形式の配列表(ファイル名:53583A_SeqListing.txt;270,082バイト-2020年2月19日に作成されたASCIIテキストファイル)を含み、この配列表は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、任意選択的に製剤中での治療用タンパク質の安定性を評価する方法であって、この治療用タンパク質の熱安定性を測定する工程を含み、熱安定性の値は、統計学的に有意に、サイズ排除クロマトグラフィーにより決定された、この治療用タンパク質の主要ピーク増減率と相関する、方法を提供する。
タンパク質の安定性は、分子が大きい医薬品の製造可能性及び保存可能期間に重大な影響を及ぼしており、初期の分子評価での候補の選択の重要な属性の一つである。製剤緩衝液中での安定性が最適な候補分子を選択することにより、開発の後期に必要な分析が減少して時間及び資源が節約される。開発の初期に安定性の問題を特定することにより、タンパク質の安定性を改善して保存可能期間を増加させるために製剤の態様(例えば、緩衝剤、緩衝液、pH、添加剤)を変えることが可能になる。
タンパク質の安定性を測定するための現在のゴールドスタンダードは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法である。この方法は、時間と費用の両方がかかる。タンパク質の安定性を決定するための最も費用効率が高い方法が必要とされている。本開示は、熱安定性分析が、統計学的に有意に、SEC法により決定されたタンパク質の安定性と相関することを実証する。
本開示は、治療用タンパク質の安定性を評価する方法であって、この治療用タンパク質の熱安定性を測定する工程、及びこの治療用タンパク質の熱変性(融解)温度(T)と、コントロールタンパク質のTとを比較する工程を含み、コントロールタンパク質のTと比較した治療用タンパク質のTの上昇は、この治療用タンパク質の安定性の増加を示し、この治療用タンパク質のTは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定されたタンパク質サイズでの主要ピーク増減率と統計的有意性で相関する、方法を提供する。
本開示はまた、SECにより測定した場合に治療用タンパク質の安定性を予測する方法であって、この治療用タンパク質の熱安定性を測定する工程、及びこの治療用タンパク質の変性(融解)温度(T)と、コントロールタンパク質のTとを比較する工程を含み、この治療用タンパク質のTは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定されたタンパク質サイズでの主要ピーク増減率と統計的有意性で相関する、方法も提供する。
本開示の方法のいずれかは、治療用タンパク質のTと、SECにより決定された治療用タンパク質の主要ピークの変化との間の相関関係の統計的有意性を決定する工程をさらに含み得る。
本開示の方法のいずれかにおいて、治療用タンパク質のTは、0.05以下のp値で、又は0.01以下のp値で、又は0.005以下のp値で、又は0.001以下のp値で、SECにより決定されたタンパク質サイズでの主要ピーク増減率と相関する。加えて、統計的有意性を、線形回帰分析により決定するか、又はデータをフィットさせる他の方法(例えば多項式回帰)により決定する。
例えば、治療用タンパク質のT値の測定により、少なくとも1週間の期間にわたる、少なくとも2週間にわたる、少なくとも1ヶ月にわたる、少なくとも2ヶ月にわたる、少なくとも3ヶ月にわたる、少なくとも4ヶ月にわたる、少なくとも5ヶ月にわたる、少なくとも6ヶ月にわたる、少なくとも9ヶ月にわたる、少なくとも12ヶ月にわたる、少なくとも18ヶ月にわたる、少なくとも2年にわたる、又は少なくとも3年にわたる、製剤中でのこの治療用タンパク質の安定性が予測される。
本開示の方法のいずれかにおいて、熱安定性を、示差走査熱量測定(DSC)又は示差走査蛍光量測定(DSF)により測定する。これらの方法で使用されるDSFは、ナノDSFであり得る。
加えて、これらの方法のいずれかにおいて、治療用タンパク質のTにより、サイズ排除クロマトグラフィーで測定した場合の治療用タンパク質の主要ピーク増減率が予測される。
本開示の方法を、任意の治療用タンパク質に対して実行し得る。治療用タンパク質として、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))分子、Fc融合分子、及びムテインが挙げられる。
例示的なモノクローナル抗体として、表Aで表されているものが挙げられる。
例示的なBiTE分子として、CD33、BCMA、FLT3、CD-19、EGFRvIII、DLL3、及びCD-3の内の1つ又は複数に特異的に結合するBiTE分子が挙げられる。
例示的なFc融合分子として、IL-2、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-21、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CEACAM-1、TIGIT、LAG3、CD112、CD112R、CD96、TIM3、BTLA、ICOS、OX40、41BB、CD27、GITRに特異的に結合するFC融合タンパク質又はムテインが挙げられる。
本開示の方法のいずれかにおいて、治療用タンパク質は製剤化されている。例えば、この治療用タンパク質は、50mg/ml、60mg/ml、70mg/mL、80mg/ml、90mg/ml、100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mL、150mg/mL、160mg/mL、170mg/mL、180mg/mL、190mg/mL、200mg/mL、210mg/mL、及び220mg/mL、並びにこれらの間の全ての増分を超える濃度で製剤化されている。
本開示をより容易に理解し得るために、本明細書では、ある特定の用語を定義する。ある特定の用語の定義は、詳細な説明の最後に記載されている。さらなる定義は、詳細な説明の全体を通して記載されている。
様々な統計結果の代表的なレバレッジプロット(leverage plot)を示す。 mAb製剤の安定性試験のSEC及びDSCのデータのレバレッジプロットを示す。 BiTE製剤の安定性試験のSEC及びDESのデータのレバレッジプロットを示す。 Fcムテインの安定性試験のSEC及びDESのデータのレバレッジプロットを示す。
本開示は、示差走査熱量測定(DSC)又はナノ示差走査蛍光量測定(DSF若しくはナノDSF)等の熱安定性分析を使用してタンパク質の安定性を決定する方法を提供する。本明細書で説明されている実験から、タンパク質サンプルの熱安定性属性(thermal stability attribute)を分析することは当技術分野での現在の標準的な方法:サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用してタンパク質サンプルの安定性を分析することと統計学的に有意に相関することが実証される。タンパク質サンプルの熱安定性を決定する方法は、SEC法と比較して、労働集約性が低く、且つこの分析を実行するのに必要な時間及び資源(製品)が少ない。従って、タンパク質の安定性を決定するか又は予測するために熱安定性を使用する方法は、SECの実行と比べて費用が有意に低いだろう。例えば、SECは少なくとも2つの時点を必要とするが、本熱安定性法に必要な時点は1つのみであり、結果を得るための待ち時間がない。本開示の方法を、生物製剤開発の様々な段階(例えば、分子評価、製剤開発、タンパク質キャラクタリゼーション、及び規制当局への申請に必要な実験)に適用し得る。
治療用タンパク質は、非生理的環境下で保存されるか又は生理的ストレスに曝される場合には、構造変化を受ける。この構造変化により、タンパク質の物理的特性の変化、溶解度の変化、凝集傾向の変化、及び表面活性の変化が誘発され、最終的には、可溶性凝集体、不溶性沈殿物、タンパク質のアンフォールド又はミスフォールドの折り畳み形態、タンパク質の変性形態等の望ましくない分解が引き起こされる。治療用タンパク質の安定性を測定することにより、このタンパク質内でのこれらの構造変化が測定される。本明細書で実証されるように、熱安定性を測定することにより、温度変化に応じたこれらの構造変化が測定される。
現在の最先端では、ゼロ時点及び少なくとも別の時点(例えば、37℃で6ヶ月)にて、SECを使用してタンパク質サンプルが分析される。典型的なSEC分析には、サンプル中における約1mg/mlの治療用タンパク質と、約2ml以上のサンプルサイズとが必要である。しかしながら、DSCに必要なのは、分析用に1つの時点のみであり、且つ約0.4mlのサンプルサイズである。ナノDSFに必要なサンプルサイズは、さらに小さい(約0.01mL)。さらに重要なことに、熱安定性アッセイには、標準的なSEC法に必要とされるような長い保存期間が必要とされない。
熱安定性を分析する方法は、当技術分野では現在、製剤中の治療用タンパク質の安定性を評価するためには使用されていない。本開示の方法は独特であり、なぜならば、この方法は、熱安定性分析が統計学的に有意にSEC分析と相関することを実証した、本明細書に記載されているデータに基づくからである。
本開示の方法は、薬剤開発の全ての局面での製剤中における治療用タンパク質の安定性の分析に有用である。例えば、薬剤開発の初期段階では、この方法は、特定の製剤成分をさらに分析すべきか又はある特定の成分を開発の初期に除外しなければならないかどうかを決定するための迅速な分析を提供する。この方法はまた、短時間での多くの異なる製剤の分析も可能にし、これにより、研究者が、長期使用により適している特定の製剤成分に関する調査に集中することが可能になる。本開示の方法はまた、長い保存期間を必要とすることなく、製剤に対する小さな調整の迅速な試験も可能にする。
本明細書に記載されている実験データから、熱安定性の値とSECにより測定された場合のタンパク質の安定性の値とが統計学的に有意に相関することが実証されており、このことは、これらの値が強い直線関係を有することを統計分析が示すことを意味する。有意水準は、一般的に、所与の統計モデルに関する確率(p値)として示されており、統計的有意性は、0.05未満のp値(p<0.05)で示される。
治療用タンパク質の安定性を考察する場合には、安定性を、「タンパク質の安定性」又はこの用語の下位態様(sub-aspect)と称され得る。例えば、「タンパク質の安定性」は、天然の立体構造形態でのタンパク質の属性と、化学的因子又は環境的因子(例えば、緩衝液のpH、温度、塩類、機械的撹拌等)に応じた天然の形態に対する立体構造の変化(例えば、分解、変性、凝集、又は他の非天然の立体構造形態への変化)に抵抗する能力とを指す。製剤中における治療用タンパク質の安定性を決定するための一般的な方法は、SECである。
タンパク質の安定性の特定の態様は、熱安定性である。「熱安定性」は、温度変化に応じたタンパク質の形態における立体構造変化(例えば、分解、変性、凝集、又は非天然の立体構造形態への他の変化)に抵抗する、このタンパク質の属性を指す。本開示の方法のいずれかにおいて、熱安定性を、熱安定性を測定する任意の方法(例えば、示差走査熱量測定(DSC)又は示差走査蛍光量測定(DSF若しくはナノDSF))により測定する。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、タンパク質の安定性を決定するための慣行の現在の標準である。典型的なSEC安定性試験では、タンパク質のアリコートを、様々な時間にわたり様々な温度で保存する。各時点の終了時に、各タンパク質サンプルの主要ピークを、SECを使用して分析する。SEC法では、特定のサイズ分布の孔を有する球状ビーズからなるマトリックスに通すろ過を使用して、サイズに基づいて分子が分離される。様々なサイズの分子が、このマトリックス内の孔に入るか又はこの孔から除外される場合に、分離が起こる。小分子はこの孔中に拡散し、そのサイズに従って、カラムを通る小分子の流れが遅延されるが、大分子は、この孔には入らず、カラムの空隙容量に溶出される。その結果、分子は、カラムを通過する際に、この分子のサイズに基づいて分離し、分子量(MW)の小さい順に溶出される。主要ピークは、正確なMWで目的のタンパク質の嵩を表す。主要ピークでのタンパク質の量の任意の増減率は、タンパク質の不安定さ(例えば、分解、変性、凝集、又は他の非天然の立体構造形態)を示す。
熱安定性を決定する方法
本開示の方法は、任意選択的に製剤中での治療用タンパク質に対して熱安定性(T)分析を実行する工程を使用する。「熱安定性分析」は、いくつかの物理的パラメータが温度の関数として決定される及び/又は記録される技術を指す。熱安定性は、温度変化に応じたタンパク質の天然構造における立体構造変化(例えば、分解、変性、凝集、又は他の非天然の立体構造)に抵抗する、このタンパク質の属性を指す。
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)は、調節された温度の上昇又は低下内でサンプル中に起こる熱エネルギーの取り込みの直接評価のための熱力学的ツールである。熱力測定は、相転移をモニタリングするために適用される。DSCでは、物質の転移と関連する温度及び熱流量を時間及び温度の関数として決定する熱分析装置を使用して、温度の関数として熱容量が測定される。用語「熱容量」は、単位物質が保持し得るエネルギーの量を指す。熱容量は、温度と共に増加する。
温度変化中に、DSCでは、タンパク質サンプルと参照物質との間の温度差に基づいて、このサンプルにより過剰に放射されるか又は吸収される熱量が測定される。この分析では、熱量計が、タンパク質サンプルの内外の熱を測定する。DSC分析中に、サンプルセル(タンパク質サンプル)の熱容量と、参照セル(タンパク質を欠いている)の熱容量とが比較され、同時に、両方のセルの温度が徐々に上昇する。サンプル及び参照は両方とも、この分析全体を通してほぼ同一温度で維持される。これらのセルを加熱するのに必要なエネルギー流の差違が記録され、サンプルの熱容量を算出するために使用される。温度の関数として熱容量をプロットすることにより、DSCサーモグラムが作成される。タンパク質の変性転移は、熱容量の変化として検出される。実行後のデータ分析により、熱変性温度の中間点(T)が得られる。DSCから得られた熱変成温度を使用して、タンパク質の熱安定性を評価し得る。DSC分析を実行するのに必要なタンパク質の量は、ミリグラムである。Kodre et al.RRJA 3:11-22,2014及びGill et al.J.Biomed tech.,21(4):167-193,2010を参照されたい。
DSC分析を、熱流量DSC、熱流束DSC、入力補償型DSC(power compensated DSC)、変調型DSC、ハイパーDSC、又は圧力DSCを使用して実行し得る。熱流束DSCでは、パンに封入されたサンプル材料と、空の参照パンとを、炉に囲まれた熱電ディスク上に置く。この炉は、直線的な加熱速度で加熱され、この熱は、熱電ディスクを介してサンプル及び参照パンに伝達される。しかしながら、サンプルの熱容量(C)により、サンプルパンと参照パンとの間に温度差が生じ、この温度差は、領域熱電対(area thermocouple)により測定され、結果として生じる熱流量は、オームの法則(2点間の導体を流れる電流は、この2点間の電圧に正比例する)の熱当量により決定される。熱流束DSCでは、サンプル温度が一定速度で変化しつつ、サンプル及び参照への熱流量の差違が測定される。
入力補償型DSCでは、サンプルパン及び参照パンが、別々のヒーターで加熱される別々の炉に入れられる。サンプル及び参照が同一温度で維持され、これらを同一温度で維持するのに必要な熱出力の差違が測定され、温度又は時間の関数としてプロットされる。入力補償型DSCでは、サンプル及び参照の温度が互いに等しく保たれ、同時に両方の温度が直線的に上昇するか又は下降する。サンプル温度を参照温度に等しく維持するのに必要な電力が測定される。
変調型DSCでは、熱流束DSC法と同一の加熱及びセル配置が使用される。高速スキャンDSCでは、古典的な入力補償型DSCと比べて早い、特に冷却による高速直線制御速度(最大500K/分)で、有効な熱流量測定を実施し得る。標準的なDSCは、10K/分未満で動作する。圧力DSCでは、サンプルを、異なる圧力にかけ得、そのため、プロセスの圧力での物質のキャラクタリゼーション又は重複するピーク間の区別が可能になる。
さらなるDSCベースの技術として、下記が挙げられる:従来/基本のDSC、微小電気機械システム(MEMS)-DSC、赤外線(IR)加熱型DSC、変調温度DSC(MTDSC)、気体流量変調型DSC(GFMDSC)、並行ナノDSC(PNDSC)、圧力摂動熱量測定(PPC)、自己参照DSC(SRDSC)、及び高性能(HPer)DSC。DSCの用途として、構造相転移、融点、融解熱、結晶化度の割合、結晶化速度論及び相転移、酸化安定性、生体分子の熱力学分析、並びに非生体材料の硬化速度論の決定が知られている。DSCの利点は、分析の実行の容易さ、及びこの分析を使用して製品の遷移を観察し得る速度である。
示差走査蛍光量測定(DSF)
示差走査蛍光量測定(DSF)は、固有の蛍光強度比(350:330nm)の変化を温度の関数として測定する。芳香族アミノ酸残基(トリプトファン、チロシン、及びフェニルアラニン)を含むタンパク質は、固有の蛍光を示す。分子が展開する場合には、この芳香族アミノ酸残基の位置が変化し、その結果、蛍光スペクトルが変化する。DSF分析又はナノDSF分析の最中に、この固有の蛍光強度比(350:330nm)が、連続的に測定されて記録される。この固有の蛍光強度比(又はこの比の一次導関数)の温度の関数としてのプロットにより、DSFサーモグラムが作成される。実行後のデータ解析により、熱変性温度の中間点(T)が得られる。DSFから得られた熱変性温度を使用して、タンパク質の熱安定性を評価し得る。
相関関係
統計的アプローチを使用して、タンパク質の安定性を予測するための熱安定性属性の使用の可能性を評価する。統計学的な仮説検証では、ある試験で定義される有意水準αとは、帰無仮説が真実であると仮定すると、この試験の、この帰無仮説を拒絶する確率のことである。試験の有意水準は、典型的には5%(0.05)に設定される。p値は、帰無仮説の検証の文脈では、統計的有意性の考えを定量するために使用される。p値とは、所与の統計モデルに関する算出された確率のことである。所与の統計モデルの結果(即ち予測)は、p<α(即ちp<0.05)の場合に統計的に有意と見なされる。
本明細書で説明されている方法は、DSC技術及びナノDSF技術を使用して熱安定性を分析する。実施例で示されているデータから、標的タンパク質のDSC及びナノDSF分析は、同一の治療用タンパク質に対してSECを使用して実行したタンパク質の安定性分析と相関することが実証される。本開示は、タンパク質の安定性の決定において現在標準であるSEC分析により決定された場合のタンパク質サイズの変化率と相関し得る熱安定性を決定する他の方法を使用することを企図する。これらの方法のいずれに関しても、熱変性温度(T)の属性と、SECにより決定された場合のタンパク質の安定性値(タンパク質サイズの変化率)との相関関係を評価して、この相関関係が統計的に有意であるかどうかを決定すべきである。
この相関関係を、データを解析するために線形回帰を使用して評価し得る。線形回帰は、従属変数と、1つ又は複数の独立変数(又は説明変数)との間の関係をモデル化するための線形アプローチである。説明関数が1つの場合は、単純線形回帰と呼ばれる。単純線形回帰は、Y=a+bXという形の方程式を有し、ここで、Xは、説明関数であり、Yは、従属変数である。本発明では、従属変数は、安定性(MP%)であり、独立変数は、例えばTである。線形回帰では、補正を示すためにレバレッジプロットが作成される。このレバレッジプロットは、値がモデル内にあるかどうか、又はこの場合には熱安定性データがSEC分析と統計的に有意に相関するかどうかを示す。信頼曲線がレバレッジプロットのx軸と交差する場合には、相関関係は統計的に有意である。加えて、相関関係は、p値が0.05未満である場合には統計的に有意であるだろう。
線形回帰、多項式回帰、又は相関関係を決定するための他の方法を決定するために使用され得るデータ解析ソフトウェアの例として、下記が挙げられる:MicroCal Origin 7ソフトウェア(OriginLab;Northampton,MA)、MP(登録商標)統計ソフトウェア(SAS,Cary NC)、IBM(登録商標)SPSSソフトウェア(Armonk,NY)、SAS/STAT(登録商標)(Cary,NC)、STATA(登録商標)(StataCorp,College Station,TX)、Python(Wilmington,DE)、RStudio(Boston,MA)、及びPSPP(Boston,MA)。
治療用タンパク質
「治療用タンパク質」は、治療用の生物活性を示す任意のタンパク質分子を指す。本開示の一実施形態では、この治療用タンパク質分子は、完全長タンパク質である。他の実施形態では、この治療用タンパク質は、完全長タンパク質の活性フラグメントである。本開示の様々な実施形態では、この治療用タンパク質は、その天然の供給源から生成されて精製され得る。或いは、本開示によれば、用語「治療用組換えタンパク質」は、組換えDNA技術により得られた任意の治療用タンパク質を含む。
タンパク質(例えば、下記の内の1つ又は複数に結合するもの)は、本開示の方法で有用であり得る。これとして、下記が挙げられる:CDタンパク質、例えば、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、及びCD34;例えば、受容体結合を妨害するもの。HER受容体ファミリタンパク質、例えば、HER2、HER3、HER4、及びEGF受容体。細胞接着分子、例えば、LFA-I、MoI、pl50、95、VLA-4、ICAM-I、VCAM、及びアルファv/ベータ3インテグリン。増殖因子、例えば、血管内皮増殖因子(「VEGF」)、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、成長ホルモン放出因子、副甲状腺ホルモン、ミュラー管阻害物質、ヒトマクロファージ炎症タンパク質(MIP-I-アルファ)、エリスロポエチン(EPO)、神経成長因子、例えばNGF-ベータ、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子、例えば、aFGF及びbFGF、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、特に、TGF-α及びTGF-β、例えば、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、又はTGF-β5、インスリン様増殖因子I及びインスリン様増殖因子II(IGF-I及びIGF-II)、des(l-3)-IGF-I(脳IGF-I)、並びに骨誘導因子。インスリン及びインスリン関連タンパク質、例えば、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、及びインスリン様増殖因子結合タンパク質。凝固及び凝固関連タンパク質、特に、第VIII因子、組織因子、フォン・ヴィレブランド因子、プロテインC、α-1-アンチトリプシン、プラスミノーゲン活性化因子、例えば、ウロキナーゼ及び組織プラスミノーゲン活性化因子(「t-PA」)、ボンバジン(bombazine)、トロンビン、及びトロンボポエチン;(vii)他の血液タンパク質及び血清タンパク質、例えば、限定されないが、アルブミン、IgE、及び血液型抗原。コロニー刺激因子及びその受容体、特に、M-CSF、GM-CSF、及びG-CSF、並びにこれらの受容体、例えばCSF-1受容体(c-fms)。受容体及び受容体関連タンパク質、例えば、flk2/flt3受容体、肥満(OB)受容体、LDL受容体、成長ホルモン受容体、トロンボポエチン受容体(「TPO-R」、「c-mpl」)、グルカゴン受容体、インターロイキン受容体、インターフェロン受容体、T細胞受容体、幹細胞因子受容体、例えばc-Kit、及び他の受容体。受容体リガンド、例えば、OX40受容体のリガンドであるOX40L。神経栄養因子、例えば、骨由来神経栄養因子(BDNF)、及びニューロトロフィン-3、-4、-5、又は-6(NT-3、NT-4、NT-5、又はNT-6)。リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、及びプロリラキシン;インターフェロン及びインターフェロン受容体、例えば、インターフェロン-α、-β、及び-γ、並びにこれらの受容体。インターロイキン及びインターロイキン受容体、例えば、IL-I~IL-33及びIL-I~IL-33受容体、特に、IL-8受容体。ウイルス抗原、例えばAIDSエンベロープウイルス抗原。リポタンパク質、カルシトニン、グルカゴン、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、腫瘍壊死因子アルファ及びベータ、エンケファリナーゼ、RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted)、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNAse、インヒビン、及びアクチビン。インテグリン、プロテインA又はD、リウマチ因子、免疫毒素、骨形成タンパク質(BMP)、スーパーオキシド・ジスムターゼ、表面膜タンパク質、崩壊促進因子(DAF)、AIDSエンベロープ、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体。ミオスタチン、TALLタンパク質、例えばTALL-I、アミロイドタンパク質、例えば、限定されないが、アミロイドベータタンパク質、胸腺間質性リンパ球新生因子(「TSLP」)、RANKリガンド(「OPGL」)、c-kit、TNF受容体、例えばTNF受容体1型、TRAIL-R2、アンジオポエチン、並びに前述の何れかの生物活性フラグメント又は類似体又はバリアント。
例示的なポリペプチド及び抗体として、下記が挙げられる:Activase(登録商標)(アルテプラーゼ);アリロクマブ、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチン-アルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン);Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-Ia);Bexxar(登録商標)(トシツモマブ);Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β);ボコシズマブ(L1L3と呼ばれる抗PCSK9モノクローナル抗体、米国特許第8,080,243号明細書を参照されたい);Campath(登録商標)(アレムツズマブ);Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ);Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ);MLN0002(抗α4β7 Ab);MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体Ab);Enbrel(登録商標)(エタネルセプト);Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ);Erbitux(登録商標)(セツキシマブ);エボロクマブ;Genotropin(登録商標)(ソマトロピン);Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ);Humatrope(登録商標)(ソマトロピン[rDNA起源]注射用);Humira(登録商標)(アダリムマブ);Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1);Natrecor(登録商標)(ネシリチド);Kineret(登録商標)(アナキンラ);Leukine(登録商標)(サルグラモスチム);LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ);Benlysta(商標)(ベリムマブ);Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ);Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ);Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン);Raptiva(登録商標)(エファリズマブ);Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル);Soliris(商標)(エクリズマブ);パキセリズマブ(抗C5補体);MEDI-524(Numax(登録商標));Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ);エドレコロマブ(Panorex(登録商標));Trabio(登録商標)(レルデリムマブ);TheraCim hR3(ニモツズマブ);Omnitarg(ペルツズマブ、2C4);Osidem(登録商標)(IDM-I);OvaRex(登録商標)(B43.13);Nuvion(登録商標)(ビシリズマブ);カンツズマブメルタンシン(huC242-DMl);NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ);Neumega(登録商標)(オプレルベキン);Neulasta(登録商標)(ペグ化フィルグラスチム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF);Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム);Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)、Reopro(登録商標)(アブシキマブ)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体Ab)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)-(インターフェロンアルファ-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Stelara(商標)(ウステキヌマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ);146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照されたい)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ);Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌(B.anthracis)防御抗原Ab);ABthrax(商標);Vectibix(登録商標)(パニツムマブ);Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA Ab)、IL-I Trap(ヒトIgG1のFc部分及びIL-I受容体成分の両方の細胞外ドメイン(I型受容体及び受容体アクセサリータンパク質))、VEGF Trap(IgG1 Fcに融合したVEGFRlのIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(エゼチミブ)、Atacicept(TACI-Ig)、抗α4β7 Ab(ベドリズマブ);ガリキシマブ(抗CD80モノクローナル抗体)、抗CD23 Ab(ルミリキシマブ);BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFFアンタゴニスト);Simponi(商標)(ゴリムマブ);マパツズマブ(ヒト抗TRAIL受容体-1 Ab);オクレリズマブ(抗CD20ヒトAb);HuMax-EGFR(ザルツムマブ);M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンAb);MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 Ab及びVEGFR-I(IMC-18F1);抗BR3 Ab;抗C.ディフィシル(C.difficile)毒素A及び毒素B C Abs MDX-066(CDA-I)及びMDX-1388);抗CD22 dsFv-PE38コンジュゲート(CAT-3888及びCAT-8015);抗CD25 Ab(HuMax-TAC);抗TSLP抗体;抗TSLP受容体抗体(米国特許第8,101,182号明細書を参照されたい);A5と呼ばれる抗TSLP抗体(米国特許第7,982,016号明細書を参照されたい);(抗CD3 Ab(NI-0401)を参照されたい;アデカツムマブ(MT201、抗EpCAM-CD326 Ab);MDX-060、SGN-30、SGN-35(抗CD30 Ab);MDX-1333(抗IFNAR);HuMax CD38(抗CD38 Ab);抗CD40L Ab;抗Cripto Ab;抗CTGF特発性肺線維症I期フィブロジェン(FG-3019);抗CTLA4 Ab;抗eotaxinl Ab(CAT-213);抗FGF8 Ab;抗ガングリオシドGD2 Ab;抗スクレロスチン抗体(米国特許第8,715,663号明細書又は米国特許第7,592,429号明細書を参照されたい)、Ab-5と呼ばれる抗スクレロスチン抗体(米国特許第8,715,663号明細書又は米国特許第7,592,429号明細書を参照されたい);抗ガングリオシドGM2 Ab;抗GDF-8ヒトAb(MYO-029);抗GM-CSF受容体Ab(CAM-3001);抗HepC Ab(HuMax HepC);MEDI-545、MDX-1103(抗IFNα Ab);抗IGFIR Ab;抗IGF-IR Ab(HuMax-Inflam);抗IL12/IL23p40 Ab(ブリアキヌマブ);抗IL-23p19 Ab(LY2525623);抗IL13 Ab(CAT-354);抗IL-17 Ab(AIN457);抗IL2Ra Ab(HuMax-TAC);抗IL5 受容体Ab;抗インテグリン受容体Ab(MDX-Ol8、CNTO 95);抗IPIO潰瘍性大腸炎Ab(MDX-1100);抗LLY抗体;BMS-66513;抗マンノース受容体/hCGβ Ab(MDX-1307);抗メソセリンdsFv-PE38コンジュゲート(CAT-5001);抗PDlAb(MDX-1 106(ONO-4538));抗PDGFRα抗体(IMC-3G3);抗TGFβ Ab(GC-1008);抗TRAIL受容体-2ヒトAb(HGS-ETR2);抗TWEAK Ab;抗VEGFR/Flt-1 Ab;抗ZP3 Ab(HuMax-ZP3);NVS抗体#1;NVS抗体#2;並びに配列(配列番号8及び配列番号6)を含むアミロイド-ベータモノクローナル抗体(米国特許第7,906,625号明細書を参照されたい)。
本開示の方法に適した抗体の例として、表Aで示される抗体が挙げられる。好適な抗体のその他の例として、下記が挙げられる:インフリキシマブ、ベバシズマブ、ラニビズマブ、セツキシマブ、パリビズマブ、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アクトクスマブ、アダリムマブ、アフェリモマブ、アフツズマブ、アラシズマブ、アラシズマブペゴル、ald518、アレムツズマブ、アリロクマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブマフェナトクス、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ、アルチヌマブ、アトリズマブ、アトロリムマブ、トシリズマブ、バピヌズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビバツズマブ、ビバツズマブメルタンシン、ブリナツモマブ、ブロソズマブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、カナキヌマブ、カンツズマブメルタンシン、カプラシズマブ、カプロマブペンデチド、カルルマブ、カツマキソマブ、cc49、セデリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、シタツズマブボガトクス、シクスツムマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブテトラキセタン、コナツムマブ、クレネズマブ、cr6261、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダラツムマブ、デミシズマブ、デノスマブ、デツモマブ、ドルリモマブアリトクス、ドロジツマブ、デュリゴツマブ、デュピルマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エナバツズマブ、エンリモマブペゴル、エノキズマブ、エノキズマブ、エノチクマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブシツキセタン、エプラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エトロリズマブ、エクスビビルマブ、エクスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、fbta05、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレソリムマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲボキズマブ、ギレンツキシマブ、グレムバツムマブベドチン、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、gs6624、イバリズマブ、イブリツモマブチウキセタン、イクルクマブ、イゴボマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、インダツキシマブラブタンシン、インフリキシマブ、インテツムマブ、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、イラツムマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ、リゲリズマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ロルボツズマブメルタンシン、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツズマブ、マスリモマブ、マブリリムマブ、マツズマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モロリムマブ、モタビズマブ、モキセツモマブパスドトクス、ムロモナブ-cd3、ナコロマブタフェナトクス、ナミルマブ、ナプツモマブエスタフェナトクス、ナルナツマブ、ナタリズマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、ノフェツモマブメルペンタン、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブモナトクス、オレゴボマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パジバキシマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピジリズマブ、ピンツモマブ、プラクルマブ、ポネズマブ、プリリキシマブ、プリツムマブ、PRO 140、クイリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラムシルマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、ロレデュマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サマリズマブ、サリルマブ、サツモマブペンデチド、セクキヌマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソネプシズマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スビズマブ、タバルマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、タネズマブ、タプリツモマブパプトクス、テフィバズマブ、テリモマブアリトクス、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、TGN1412、トレメリムマブ、チシリムマブ、チルドラキズマブ、チガツズマブ、TNX-650、トシリズマブ、トラリズマブ、トシツモマブ、トラロキヌマブ、トラスツズマブ、TRBS07、トレガリズマブ、トレメリムマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、バパリキシマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビジリズマブ、ボロシキシマブ、ボルセツズマブマフォドチン、ボツムマブ、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ザツキシマブ、ジラリムマブ、及びゾリモマブアリトクス。
本開示の製剤及び方法での使用に最も好ましい抗体は、アダリムマブ、ベバシズマブ、ブリナツモマブ、セツキシマブ、コナツムマブ、デノスマブ、エクリズマブ、エレヌマブ、エボロクマブ、インフリキシマブ、ナタリズマブ、パニツムマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロモソズマブ、及びトラスツズマブ、並びに表Aから選択される抗体である。
Figure 2022521200000002
Figure 2022521200000003
ムテイン
ムテインは、核酸配列の変異(例えば、置換、欠失、又は挿入)に起因するアミノ酸変化を少なくとも有するタンパク質である。例示的なムテインは、野生型アミノ酸配列に対して少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は約90%超(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、若しくは約99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。加えて、ムテインは、上記で説明されている融合タンパク質であり得る。
例示的な実施形態では、ムテインは、野生型のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、このアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。本明細書で使用される場合、用語「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸の、同様の特性(例えば、サイズ、電荷、疎水性、親水性、及び/又は芳香性)を有する別のアミノ酸による置換を指し、下記の5つの群の内の1つ内での交換が挙げられる:
I.小さい脂肪族の非極性か又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II.極性の負に帯電した残基、並びにそのアミド及びエステル:Asp、Asn、Glu、Gln、システイン酸、及びホモシステイン酸;
III.極性の正に耐電した残基:His、Arg、Lys;オルニチン(Orn)
IV.大きい脂肪族の非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、Cys、ノルロイシン(Nle)、ホモシステイン
V.大きい芳香族残基:Phe、Tyr、Trp、アセチルフェニルアラニン。
例示的な実施形態では、ムテインは、野生型のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、このアミノ酸置換は、非保存的アミノ酸置換である。本明細書で使用される場合、用語「非保存的アミノ酸置換」は、本明細書では、あるアミノ酸の、異なる特性(例えば、サイズ、電荷、疎水性、親水性、及び/又は芳香性)を有する別のアミノ酸による置換と定義され、上記5つの群以外の交換が挙げられる。
例示的な態様では、ムテインは、野生型のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、この置換アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸である。「天然に存在するアミノ酸」、又は「標準アミノ酸」、又は「正規アミノ酸」は、ユニバーサル遺伝子コードのコドンにより直接コードされる、真核生物中で見出される20種のアルファアミノ酸(Ala、Val、Ile、Leu、Met、Phe、Tyr、Trp、Ser、Thr、Asn、Gln、Cys、Gly、Pro、Arg、His、Lys、Asp、Glu)の内の1つを意味する。例示的な態様では、ムテインは、野生型のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、この置換アミノ酸は、非標準アミノ酸であるか、又は翻訳中にタンパク質に組み込まれないアミノ酸である。非標準アミノ酸として下記が挙げられるが、これらに限定されない:セレノシステイン、ピロールリシン、オルニチン、ノルロイシン、β-アミノ酸(例えば、β-アラニン、β-アミノイソ酪酸、β-フェニルアラニン、β-ホモフェニルアラニン、β-グルタミン酸、β-グルタミン、β-ホモトリプトファン、β-ロイシン、β-リシン)、ホモ-アミノ酸(例えば、ホモフェニルアラニン、ホモセリン、ホモアルギニン、モノシステイン、ホモシステイン)、N-メチルアミノ酸(例えば、L-アブリン、N-メチル-アラニン、N-メチル-イソロイシン、N-メチル-ロイシン)、2-アミノカプリル酸、7-アミノセファロスポラニン酸、4-アミノ桂皮酸、アルファ-アミノシクロヘキサンプロピオン酸、アミノ-(4-ヒドロキシフェニル)酢酸、4-アミノ-ニコチン酸、3-アミノフェニル酢酸、及び同類のもの。
BiTE分子
二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)分子は、互いに連結された2つの抗体結合ドメイン(又はターゲティング領域)を含む二重特異性抗体コンストラクト又は二重特異性融合タンパク質である。この分子の一方のアームは、細胞傷害性T細胞の表面上で見出されるタンパク質と結合するように操作されており、他方のアームは、主に腫瘍細胞上で見出される特定のタンパク質に結合するように設計されている。両方の標的が関与している場合には、BiTE分子は、細胞傷害性T細胞と腫瘍細胞との間に架橋を形成し、この架橋により、T細胞は、腫瘍細胞を認識して毒性分子の注入により腫瘍細胞と戦い得る。例えば、この分子の腫瘍結合アームを、異なるタイプの癌を標的とする異なるBiTE抗体コンストラクトが作られるように変更し得る。
BiTE分子に関する用語「結合ドメイン」は、標的分子(抗原)上の所与の標的エピトープ又は所与の標的部位と(特異的に)結合する/これらと相互作用する/これらを認識するドメインを指す。第1の結合ドメインの構造及び機能(腫瘍細胞抗原の認識)、並びに好ましくは、同様に第2の結合ドメイン(細胞傷害性T細胞抗原)の構造及び/又は機能は、抗体(例えば、完全長免疫グロブリン分子又は全免疫グロブリン分子)の構造及び/又は機能に基づく。
「エピトープ」は、結合ドメイン(例えば、抗体若しくは免疫グロブリン、又は抗体若しくは免疫グロブリンの誘導体若しくはフラグメント)が特異的に結合する抗原上の部位を指す。「エピトープ」は抗原性であり、そのため、用語エピトープは、本明細書では「抗原性構造」又は「抗原決定基」と称される場合もある。そのため、結合ドメインは、「抗原相互作用部位」である。前記結合/相互作用は、「特異的認識」を定義するとも理解される。
例えば、BiTE分子は、3つの軽鎖CDR(即ち、VL領域のCDR1、CDR2、及びCDR3)、並びに3つの重鎖CDR(即ち、VH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3)の存在を特徴とする第1の結合ドメインを含む。第2の結合ドメインは、好ましくは、標的結合を可能にする抗体の最小構造要件も含む。より好ましくは、第2の結合ドメインは、少なくとも3つの軽鎖CDR(即ち、VL領域のCDR1、CDR2、及びCDR3)、並びに/又は3つの重鎖CDR(即ち、VH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3)を含む。第1及び/又は第2の結合ドメインは、既存の(モノクローナル)抗体由来のCDR配列の足場への移植ではなく、ファージディスプレイ法又はライブラリスクリーニング法により作製されるか又は得られることが想定される。
結合ドメインは、典型的には、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含み得るが、両方を含む必要はない。Fdフラグメントは、例えば、2つのVH領域を有し、多くの場合には、インタクトな抗原結合ドメインの一部の抗原結合機能を保持する。(改変された)抗原結合抗体フラグメントの例として、(1)VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、及びCH1ドメインを有する一価のフラグメントであるFabフラグメント;(2)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメントを有する二価のフラグメントであるF(ab’)2フラグメント;(3)2つのVHドメイン及びCH1ドメインを有するFdフラグメント;(4)抗体の単一アームのVLドメイン及びVHドメインを有するFvフラグメント、(5)VHドメインを有するdAbフラグメント(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546);(6)単離された相補性決定領域(CDR)、並びに(7)一本鎖Fv(scFv)が挙げられ、後者が好ましい(例えば、scFVライブラリ由来)。
BiTE分子に関する用語「に(特異的に)結合する」、「(特異的に)認識する」、「(特異的に)向けられる」、及び「と(特異的に)反応する」は、標的のタンパク質又は抗原上に位置するエピトープの1つ又は複数の、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは少なくとも3つの、最も好ましくは少なくとも4つのアミノ酸と相互作用するか又は特異的に相互作用する結合ドメインを指す。
用語「可変」は、配列内で可変性を示し且つ特定の抗体の特異性及び結合親和性の決定に関与する、抗体又は免疫グロブリンドメインの部分(即ち「可変ドメイン」)を指す。可変重鎖(VH)と可変軽鎖(VL)との対形成により、単一の抗原結合部位が形成される。VHに最も近接するCHドメインは、CH1と称される。各軽(L)鎖は、1つの共有結合性ジスルフィド結合により重(H)鎖に連結されるが、2本のH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つ又は複数のジスルフィド結合により互いに連結される。
可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均一に分布しているのではなく;重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の各々のサブドメインに集中している。これらのサブドメインは、「超可変領域」又は「相補性決定領域」(CDR)と呼ばれる。可変ドメインのより保存的な(即ち非超可変)部分は、「フレームワーク」領域(FRM)と呼ばれ、抗原結合表面を形成するために、三次元空間内において6つのCDRのための足場を提供する。天然に存在する重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、大部分がβシート配置をとる4つのFRM領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)を含み、ループ接続を形成し、場合によりβシート構造の一部を形成する3つの超可変領域によって接続される。各鎖の超可変領域は、FRMにより近接して一体に保持されており、他の鎖の超可変領域と共に、抗原結合部位の形成に寄与する(前掲のKabat et al.を参照されたい)。定常ドメインは、抗原結合に直接関与しないが、様々なエフェクター機能(例えば、抗体依存性、細胞介在性の細胞傷害性、及び補体活性化)を示す。
軽鎖のCDR3、及び特に重鎖のCDR3は、軽鎖及び重鎖の可変領域内での抗原結合において最も重要な決定因子を構成する場合がある。いくつかの抗体コンストラクトでは、重鎖CDR3が抗原と抗体との間の主要な接触領域を構成すると思われる。CDR3のみを変化させるインビトロ選択スキームを使用して、抗体の結合特性を変化させ得るか又はどの残基が抗原の結合に寄与するかを決定し得る。従って、CDR3は、典型的には、抗体結合部位内における分子多様性の最大の供給源である。例えば、H3は、2つのアミノ酸残基ほど短いものであり得るか、又は26個超のアミノ酸であり得る。
構築及び体細胞変異の後の抗体遺伝子の配列は、極めて多様であり、これらの多様化した遺伝子は、1010種の異なる抗体分子をコードすると推定される(Immunoglobulin Genes,2nd ed.,eds.Jonio et al.,Academic Press,San Diego,CA,1995)。従って、免疫系は、免疫グロブリンのレパートリーを提供する。用語「レパートリー」は、少なくとも1つの免疫グロブリンをコードする少なくとも1つの配列に全体又は一部が由来する少なくとも1つのヌクレオチド配列を指す。この配列は、重鎖のVセグメント、Dセグメント、及びJセグメント、並びに軽鎖のVセグメント及びJセグメントのインビボでの再編成により生成され得る。或いは、この配列は、再編成を生じさせる、例えばインビトロでの刺激に応答して、細胞から生成され得る。或いは、この配列の一部又は全てを、DNAスプライシング、ヌクレオチド合成、変異誘発、及び他の方法により得ることができる(例えば、米国特許第5,565,332号明細書を参照されたい)。レパートリーは、1つの配列のみを含み得るか、又は遺伝的に多様なコレクション内のものを含む複数の配列を含み得る。
用語「二重特異性」は、本明細書で使用される場合、「少なくとも二重特異性」である抗体コンストラクトを指し、即ち、この抗体コンストラクトは、少なくとも第1の結合ドメイン及び第2の結合ドメインを含み、第1の結合ドメインは、ある抗原又は標的に結合し、第2の結合ドメインは、別の抗原又は標的に結合する。従って、BiTE分子内の抗体コンストラクトは、少なくとも2種の異なる抗原又は標的に対する特異性を含む。本発明の用語「二重特異性抗体コンストラクト」は、多重特異性抗体コンストラクト、例えば3つの結合ドメインを含む三重特異性抗体コンストラクト又は3つ超(例えば、4つ、5つ...)の特異性を有するコンストラクトも包含する。
BiTE分子内の抗体コンストラクトの少なくとも2つの結合ドメイン及び可変ドメインは、ペプチドリンカー(スペーサーペプチド)を含んでもよいし含まなくてもよい。用語「ペプチドリンカー」は、本発明によれば、本発明の抗体コンストラクトの一方の(可変及び/又は結合)ドメイン及び他方の(可変及び/又は結合)ドメインのアミノ酸配列を互いに連結するアミノ酸配列を定義する。そのようなペプチドリンカーの必須の技術的特徴は、前記ペプチドリンカーがいかなる重合活性も含まないことである。好適なペプチドリンカーの内の1つは、米国特許第4,751,180号明細書及び同第4,935,233号明細書又は国際公開第88/09344号パンフレットで説明されているものである。
リンカーが使用される場合、このリンカーは、好ましくは、第1及び第2のドメインのそれぞれが互いに独立してこれらの異なる結合特異性を確実に保持し得るのに十分な長さ及び配列からなる。BiTE分子内の抗体コンストラクト中の少なくとも2つの結合ドメイン(又は2つの可変ドメイン)を接続するペプチドリンカーの場合、これらのペプチドリンカーは、好ましくは、数個のアミノ酸残基(例えば12個以下のアミノ酸残基)のみを含むものである。そのため、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、又は5個のアミノ酸残基のペプチドリンカーが好ましい。5個未満のアミノ酸を含む想定されるペプチドリンカーは、4個、3個、2個、又は1個のアミノ酸を含み、ここで、Glyリッチリンカーが好ましい。前記「ペプチドリンカー」に関連して特に好ましい「単一」のアミノ酸は、Glyである。従って、前記ペプチドリンカーは、単一のアミノ酸Glyからなり得る。ペプチドリンカーの別の好ましい実施形態は、アミノ酸配列Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(即ちGly4Ser)又はそのポリマー(即ち(Gly4Ser)x)を特徴とし、ここで、xは、1以上の整数である。二次構造を促進しないことを含む前記ペプチドリンカーの特徴は、当技術分野で既知であり、例えばDall’Acqua et al.(Biochem.(1998)37,9266-9273)、Cheadle et al.(Mol Immunol(1992)29,21-30)、並びにRaag及びWhitlow(FASEB(1995)9(1),73-80)で説明されている。いかなる二次構造も促進しないペプチドリンカーが好ましい。前記ドメインの相互の連結を、例えば、実施例で説明されている遺伝子操作により生じさせ得る。融合し且つ作動可能に連結された二重特異性一本鎖コンストラクトを調製し、それを哺乳動物細胞又は細菌において発現させる方法は、当技術分野で公知である(例えば、国際公開第99/54440号パンフレット、又はSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,2001)。
本開示のBiTE分子は、(scFv)2、scFv-単一ドメインmAb、上述のフォーマットの内のいずれかのダイアボディ及びオリゴマーからなる群から選択されるフォーマットで、抗体コンストラクトを含み得る。
特に好ましい実施形態によれば、且つ添付の実施例で記述されているように、BiTE分子内の抗体コンストラクトは、「二重特異性一本鎖抗体コンストラクト」であり、より好ましくは二重特異性「一本鎖Fv」(scFv)である。Fvフラグメントの2つのドメインであるVL及びVHは、別々の遺伝子によりコードされるが、これらを、VL領域及びVH領域が一価分子を形成するように対をなす単一のタンパク質鎖としてこれらが作製されることを可能にする合成リンカーにより、組換え法を使用して結合させ得る;例えば、Huston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci USA 85:5879-5883を参照されたい。これらの抗体フラグメントは、当業者に既知の従来技術を用いて得られ、且つこれらのフラグメントは、全抗体又は完全長抗体と同じ様式で機能について評価される。従って、単鎖可変フラグメント(scFv)は、約10~約25個のアミノ酸の、好ましくは約15~20個のアミノ酸の短いリンカーペプチドにより通常は接続される、免疫グロブリンの重鎖の可変領域(VH)及び軽鎖の可変領域(VL)の融合タンパク質である。リンカーは、通常、可動性のためにグリシンに富み、且つ溶解性のためにセリン又はスレオニンに富み、VHのN末端をVLのC末端に接続するか又はその逆のいずれかであり得る。このタンパク質は、定常領域の除去及びリンカーの導入にもかかわらず、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。
二重特異性一本鎖分子は、当技術分野で既知であり、国際公開第99/54440号パンフレット、Mack,J.Immunol.(1997),158,3965-3970、Mack,PNAS,(1995),92,7021-7025、Kufer,Cancer Immunol.Immunother.,(1997),45,193-197、Loeffler,Blood,(2000),95,6,2098-2103、Bruehl,Immunol.,(2001),166,2420-2426、Kipriyanov,J.Mol.Biol.,(1999),293,41-56で説明されている。一本鎖抗体の作製に関して説明された技術(とりわけ米国特許第4,946,778号明細書、Kontermann及びDuebel(2010),前掲、並びにLittle(2009),前掲を参照されたい)を、選出された標的を特異的に認識する一本鎖抗体コンストラクトを作製するために適合させ得る。
二価(bivalent)(二価(divalent)とも呼ばれる)又は二重特異性の一本鎖可変フラグメント(形式(scFv)2を有するbi-scFv又はdi-scFv)は、2つのscFv分子を連結することにより操作され得る。これら2つのscFv分子が同じ結合特異性を有する場合には、得られる(scFv)分子を二価と呼ぶことが好ましい(即ち、これは、同じ標的エピトープに対して2の価数を有する)。これら2つのscFv分子が異なる結合特異性を有する場合には、得られる(scFv)分子を二重特異性と呼ぶことが好ましい。連結は、2つのVH領域及び2つのVL領域を有する単一のペプチド鎖を作製して、タンデムscFvを生成することによりなされ得る(例えば、Kufer P.et al.,(2004)Trends in Biotechnology 22(5):238-244を参照されたい)。別の可能性は、2つの可変領域を一緒に折り畳むには短すぎる(例えば約5個のアミノ酸の)リンカーペプチドを用いてscFv分子を作製し、このscFvを二量体化させることである。この型は、ダイアボディとして知られている(例えば、Hollinger,Philipp et al.,(July 1993)Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 90(14):6444-8を参照されたい)。
単一ドメイン抗体は、他のV領域又はVドメインに非依存的に、特異抗原に選択的に結合可能である1つのみの(単量体の)抗体可変ドメインを含む。最初の単一ドメイン抗体は、ラクダにおいて見出される重鎖抗体から操作されており、これは、VHHフラグメントと呼ばれる。軟骨魚類も重鎖抗体(IgNAR)を有し、これから、VNARフラグメントと呼ばれる単一ドメイン抗体を得ることができる。代替的なアプローチは、例えば、ヒト又はげっ歯類由来の一般的な免疫グロブリン由来の二量体可変ドメインを単量体に分割し、それによって単一ドメインAbとしてVH又はVLを得ることである。単一ドメイン抗体に関する大部分の研究は、現時点で重鎖可変ドメインに基づいているが、軽鎖由来のナノボディも標的エピトープに特異的に結合することが示されている。単一ドメイン抗体の例は、sdAb、ナノボディ、又は単一可変ドメイン抗体と呼ばれる。
従って、(単一ドメインmAb)は、VH、VL、VHH及びVNARを含む群から個別に選択される(少なくとも)2つの単一ドメインモノクローナル抗体から構成されるモノクローナル抗体コンストラクトである。リンカーは、好ましくは、ペプチドリンカーの形態である。同様に、「scFv単一ドメインmAb」は、上述した少なくとも1つの単一ドメイン抗体と、上述した1つのscFv分子とで構成されたモノクローナル抗体コンストラクトである。この場合もやはり、リンカーは、好ましくは、ペプチドリンカーの形態である。
例示的なBiTE分子として、下記が挙げられる:抗CD33及び抗CD3 BiTE分子、抗BCMA及び抗CD3 BiTE分子、抗FLT3及び抗CD3 BiTE、抗CD19及び抗CD3 BiTE、抗EGFRvIII及び抗CD3 BiTE分子、抗DLL3及び抗CD3 BiTE、BLINCYTO(ブリナツモマブ)、並びにソリトマブ。
実施例1:
方法
サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)実験を、Agilent 1100 HPLCシステム、TSK-GEL G3000SWxl、5μm粒径、7.8mm ID×300mm 長さのカラム(Tosoh Biosep)、波長が280nmに設定されたAgilent UV検出器(Agilent;Santa Clara,CA)を使用して実施した。SEC-LSの行程を、移動相として使用される100mMのリン酸カリウム、250mMの塩化カリウム、pH6.8±0.1の緩衝液により室温で実施し、流速は0.5mL/分であった。
示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(DSC)実験を、MicroCal VP-Capillary DSCシステム(Malvern Panalytical Inc.;Westborough,MA)で実施した。このDSC実験で使用するサンプル濃度は、対応する製剤緩衝液を使用して元のサンプルを希釈することにより、約1mg/mLであった。このサンプルを、60℃/時間の速度で10℃から100℃へと加熱した。プレスキャンは15分であり、フィルタリング期間は10秒であり、フィードバックモードはなしとした。サンプルセル中における吸熱性の熱転移により、シグナルの正の偏向が生じる。データ解析を、MicroCal Origin 7ソフトウェア(OriginLab;Northampton,MA)を使用して実施した。
ナノ示差走査蛍光量測定
ナノ示差走査蛍光量測定(nanoDSF)実験を、nanoTemper nanoDSFシステム(Nanotemper;South San Francisco,CA)で実施した。このDSC実験で使用するサンプル濃度は、対応する製剤緩衝液を使用して元のサンプルを希釈することにより、約1mg/mLであった。このサンプルを、60℃/時間の速度で20℃から95℃へと加熱した。データ解析を、PR.ThermControlソフトウェア(Nanotemper)を使用して実施した。
統計解析
統計解析を、統計ソフトウェアJMP(登録商標)(Cary,North Carolina)を使用して行なった。p値及びレバレッジプロットを、JMPデータ解析から得た。様々な統計結果のレバレッジプロットの典型的な結果を、図1に示す。
実施例2
熱安定性データから、モノクローナル抗体の安定性が予測される
モノクローナル抗体(mAb-1)を含む製剤を、実施例1で説明されているSEC及びDSC法を使用して分析した。サンプルの情報、並びにSEC及びDSCのデータを、表1に示す。主要ピークは、天然形態のmAb-1からなった。
データを、JMP統計ソフトウェアで解析した。このJMP統計解析から得られたP値は、P=0.0159であり、0.05未満であった。このことは、6ヶ月間のSEC安定性データとTデータ(T=0)との間に統計的に有意な相関関係が存在したことを示唆する。JMP統計解析から得られたレバレッジプロットを、図2に示す。図2における信頼曲線は、灰色の実線の水平線と交差する。これからも、6ヶ月間のSEC安定性データとTデータ(T=0)との間に統計的に有意な相関関係が存在することが裏付けられた。このmAb-1データの統計解析結果は、熱安定性属性値を使用してmAb-1のSEC安定性データを予測し得ることを示す。
Figure 2022521200000004
実施例3
熱安定性データから、二重特異性T細胞エンゲージャー分子の安定性が予測される
二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE-1)分子の様々な構築物を含む製剤を、実施例1で説明されているSEC及びDSC法を使用して分析した。サンプルの情報を表2に示し、SEC及びDSCのデータを表3に示す。
データを、JMP統計ソフトウェアで解析した。このJMP統計解析から得られたP値は、P=0.0014であり、0.05未満であった。このことは、2週間のSEC安定性データとTデータとの間に統計的に有意な相関関係が存在したことを示唆する。JMPから得られたレバレッジプロットを、図3に示す。図3における信頼曲線は、灰色の実線の水平線と交差する。これからも、6週間のSEC安定性データとTデータとの間に統計的に有意な相関関係が存在することが裏付けられた。このBiTE-1データの統計解析結果は、熱安定性属性値を使用してBiTE-1 SEC安定性データを予測し得ることを示す。
Figure 2022521200000005
Figure 2022521200000006
実施例4
熱安定性データから、Fc融合タンパク質の安定性が予測される
ムテインFc融合タンパク質(ムテイン-1)を含む製剤を、実施例1で説明されているSEC及びDSC法を使用して分析した。サンプルの情報を表4に示し、SEC及びDSCのデータを表5に示す。
データを、JMP統計ソフトウェアで解析した。このJMP統計解析から得られたP値は、P<0.0001であり、0.05未満であった。このことは、2週間のSEC安定性データとTデータとの間に統計的に有意な相関関係が存在したことを示唆する。JMPから得られたレバレッジプロットを、図4に示す。図4における信頼曲線は、灰色の実線の水平線と交差する。これから、2週間のSEC安定性データとTデータとの間に統計的に有意な相関関係が存在したことが裏付けられる。このムテインデータの統計解析結果は、熱安定性属性値を使用してFc融合タンパク質の安定性データ及びmAb等の他の構造ファミリのムテインの安定性データを予測し得ることを示す。
Figure 2022521200000007
Figure 2022521200000008
結論
統計的アプローチを使用することにより、SEC法により測定されたタンパク質の安定性を、熱安定性属性(T)を使用して統計的に有意に予測し得ることが実証された。SECにより測定されたタンパク質の安定性を予測するために熱安定性属性(T)を測定する方法により、医薬品開発での分析中に時間及び資源が大幅に節約される。
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語は、別途文脈が明確に示さない限り、複数の参照物を含む。「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)という用語、並びに「1つ又は複数の(one or more)」及び「少なくとも1つの(at least one)」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。さらに、「及び/又は」は、本明細書で使用される場合、2つの特定の特徴又は構成要素のそれぞれの特定の開示として(他の特徴又は構成要素の有無にかかわらず)解釈されるべきである。そのため、「及び/又は」という用語は、本明細書において「A及び/又はB」等の語句で使用される場合、「A及びB」、「A又はB」、「A」(単独)、並びに「B」(単独)を包含することが意図される。同様に、「及び/又は」という用語は、「A、B、及び/又はC」等の語句で使用される場合、下記の態様のそれぞれを包含することが意図される:A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)。
「含む(comprise)」又は「含む(comprising)」という用語は、一般には包括的な意味で使用され、即ち、1つ又は複数の特徴又は構成要素の存在を許容するために使用される。
「約」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して数値に関連して使用される場合、当業者によく知られており且つ受け入れられる精度の間隔を示す。一般に、そのような精度の間隔は、±10%である。
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びOxford Dictionary of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の内の多くの一般辞書を当業者に提供する。下記の手順及び手法を、当技術分野において公知の従来の方法に従って、並びに本明細書全体を通して引用されており且つ論じられている様々な一般的で且つより具体的な参考文献で説明されているように、概して実施し得る。
単位、接頭辞、及び記号は、国際単位系(SI)で認められた形式で示される。数値範囲は、この範囲を規定する数値を含む。別途指示されない限り、アミノ酸配列は、左から右にアミノからカルボキシへの向きで記述されている。本明細書で示される見出しは、本開示の様々な態様を限定するものではなく、この限定を、本明細書全体を参照することにより得ることができる。

Claims (18)

  1. 治療用タンパク質の安定性を評価する方法であって、前記治療用タンパク質の熱安定性を測定する工程、及び前記治療用タンパク質の熱変性温度Tと、コントロールタンパク質のTとを比較する工程を含み、前記コントロールタンパク質のTと比較した前記治療用タンパク質のTの上昇は、前記治療用タンパク質の安定性の増加を示し、前記治療用タンパク質のTは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定された主要ピーク増減率と統計的有意性で相関する、方法。
  2. サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定した場合に治療用タンパク質の安定性を予測する方法であって、前記治療用タンパク質の熱安定性を測定する工程、及び前記治療用タンパク質の熱変性温度Tと、コントロールタンパク質のTとを比較する工程を含み、前記治療用タンパク質のTは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定された主要ピーク増減率と統計的有意性で相関する、方法。
  3. 前記治療用タンパク質のTは、0.05未満のp値で、SECにより決定された主要ピーク増減率と相関する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記治療用タンパク質のTは、0.01未満のp値で、SECにより決定された主要ピーク増減率と相関する、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記治療用タンパク質のTは、0.005未満のp値で、SECにより決定された主要ピーク増減率と相関する、請求項1又は2に記載の方法。
  6. 熱安定性を、示差走査熱量測定(DSC)又は示差走査蛍光量測定(DSF)により測定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記治療用タンパク質のT値と、SECにより決定された前記主要ピーク増減率との間の相関関係の統計的有意性を決定する工程をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 統計的有意性を、線形回帰分析又は多項式回帰により決定する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記治療用タンパク質のT値から、少なくとも6ヶ月の期間にわたる前記治療用タンパク質の安定性が予測される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記治療用タンパク質のT値から、サイズ排除クロマトグラフィーで測定した場合の治療用タンパク質の前記主要ピーク増減率が予測される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記治療用タンパク質は、モノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体、多重特異性抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))分子、Fc融合分子、又はムテインである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記モノクローナル抗体は、表Aで表されているものからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記BiTE分子は、CD33、BCMA、FLT3、CD-19、EGFRvIII、DLL3、及びCD-3の内の1つ又は複数に特異的に結合する、請求項11に記載の方法。
  14. 前記Fc融合分子又は前記ムテインは、IL-2、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-21、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CEACAM-1、TIGIT、LAG3、CD112、CD112R、CD96、TIM3、BTLA、ICOS、OX40、41BB、CD27、GITRに特異的に結合する、請求項11に記載の方法。
  15. 前記治療用タンパク質は、製剤化されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記治療用タンパク質は、70mg/mL超の濃度で製剤化されている、請求項15に記載の方法。
  17. 前記治療用タンパク質は、70mg/ml未満の濃度で製剤化されている、請求項15に記載の方法。
  18. 前記治療用タンパク質は、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、及び220、並びにこれらの間の全ての増分からなる群から選択されるmg/mLの濃度で存在する、請求項15に記載の方法。
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