JP2022517124A - 分子コーティング並びにその作成方法及び使用方法 - Google Patents

分子コーティング並びにその作成方法及び使用方法 Download PDF

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Abstract

本明細書では、分子コーティングされた表面、表面をコーティングする方法及び表面上のコーティングを使用する方法が開示される。いくつかの実施形態において、コーティングされた表面は、ジェムストーン上の傷を回避し、表面に抗菌活性を付与し、表面に治療特性を付与し、検体を検出し、表面の色を変化させ、並びに又は表面の物理的及び/若しくは化学的特性を変化させるための用途に有用である。

Description

優先権出願の参照による援用
本出願は、2019年1月14日に出願された米国仮出願第62/792,125号の優先権の利益を主張し、その全体を参照により本明細書に援用する。
本開示は一般に、分子コーティング、その作成方法及びその使用方法に関する。
表面は、時間が経つにつれて、ほこり及び垢、微生物並びに他の望ましくない物質を引き付ける可能性がある。
本開示は一般に、分子コーティング、その作成方法及びその使用方法に関する。
本開示は一般に、分子コーティング、その作成方法及びその使用方法に関する。分子コーティングは、油、ほこり及び垢に耐え、他の表面に適用されて、プラスチック、木材、石、金属、骨、エナメル、磁器、セラミックなどの他の表面への細菌、バイオフィルム、油、ほこり及び垢に耐えて、その除去を容易にし得る。さらに、このコーティングは、付着物を防止するため若しくはその除去を容易にするために、又は追加の化学官能基を表面に結合させるために適用することができる。本明細書に開示するいくつかの実施形態は、コーティングされた表面及び表面のコーティングに関する。本明細書に開示するいくつかの実施形態は、表面用の分子コーティング、表面をコーティングする方法及び表面コーティングを使用して、表面上への物質の蓄積を検出するための及び/又は表面上の物質の蓄積に耐えるための触媒システムとして、抗菌効果、シグナル増強感知、薬物溶出、治療薬の制御放出、食品若しくは飲料の包装の1つ以上を実現する方法に関する。いくつかの実施形態において、それらのシステム及びコーティングは、以下の、官能性分子との混合又はアンカーを含有する官能性油を溶解させることによってプラスチックに包含された、プラスチックコーティングとして、木材若しくは木材含有複合材の官能化による又はアンカーを含有する官能性油を木材中に溶解させることによる、木材コーティングとして、(例えばジェムストーンの曇り、ほこり及び垢の蓄積などに耐えるための)ジェムストーンコーティングとして、抗菌表面として(及び/若しくは抗菌性、抗真菌性、殺虫性、抗ウイルス性、抗発癌性コーティング)、溶液と(例えばバイオフィルムの蓄積に対してバイオリアクタ又は発酵槽を不動態化する)再生可能コーティングを有する表面との間の相互作用の遮断による、生物付着の防止のために、(例えば生体分子、微生物、検体などの診断感知の)シグナル増強感知のために、後続の、ペプチド、ホルモン、タンパク質、及び抗体の定量化のために設計されたアッセイ技術であるELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)のための、タンパク質及び抗体の非共有表面付着のための直接捕捉表面としての、(例えばカテーテル、ステントなどで使用するため)薬剤溶出表面、治療薬(例えば成長因子分子、特異的タンパク質、抗炎症剤、抗酸化剤など)の制御放出のための創傷接触コーティングとして、環境制御系(例えば臭気、水分など)として、食品若しくは飲料包装系(例えばフレーバー分散、酸化防止剤制御、表面湿潤制御)として、並びに/又は(例えば高効率合成、重合、分解、酸化、還元などの)触媒表面コーティングとして、(例えば光学、幾何及び構造異性体などの)クロマトグラフィーによる分離若しくは検出のための、(例えば超高層ビルの窓、ソーラーパネル、フロントガラス、サングラス、携帯電話及びタブレット機器の)露出面の表面のクリーニングを容易にするための用途のいずれか1つにおいて、使用することができる。
いくつかの実施形態において、分子コーティングされた表面が提供される。いくつかの実施形態において、表面は、式Iを含む:
Figure 2022517124000002
いくつかの実施形態において、Sは表面を表し、-A(-X)mは分子コーティングを表す。いくつかの実施形態において、Aは、Sに結合したアンカー部分である。いくつかの実施形態において、Aは、共有結合、イオン結合、錯化などによってSに結合している。いくつかの実施形態において、Xは、Aに結合したペンダント部分である。いくつかの実施形態において、mは1~5の整数である。いくつかの実施形態において、コーティングされた表面は、コーティング前の表面とは異なる物理的特性及び/又は化学的特性を有する。いくつかの実施形態において、Sはジェムストーン表面である。他の実施形態において、Sはジェムストーン表面ではない。
いくつかの実施形態において、-A(-X)mは、以下の構造によって表される:
Figure 2022517124000003
いくつかの実施形態において、
Figure 2022517124000004
は、Sへの結合を示す。
いくつかの実施形態において、分子コーティングされた表面は、ホスト分子を含む。いくつかの実施形態において、ホスト分子はβ-シクロデキストリンである。
いくつかの実施形態において、Aは、式AI及び/又はAIIによって表される:
Figure 2022517124000005
いくつかの実施形態において、*は、X又はX’への結合を示す。いくつかの実施形態において、
Figure 2022517124000006
は、Sへの結合を示す。いくつかの実施形態において、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、-H、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキニル、C1~C6アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C6アルキル)、二置換アミン(C1~C6アルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基、及びポリエーテル基から独立して選択される。いくつかの実施形態において、X及びX’はそれぞれ、-H、-OH、アダマンチル、ヨード(-I)、ニトロ(-NO2)、ナフチル、アントラセニル、ペルフルオロオクタン酸、ピロニンY、ピロニンB、カルボラニル、フェロセニル、アゾベンゼン、トリシクロオクチル及びペルフルオロオクチル、抗菌剤、色素、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよいC1~C10アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルキニル、C1~C10アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C18ハロアルキル、C1~C10ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、二置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基から独立して選択される部分であり、それらのいずれか1つがエーテル、アミン、エステル、アミド、シラノール又は炭素結合を介して、シクロデキストリンへと官能化されることができる。いくつかの実施形態において、tは0~5の整数である。いくつかの実施形態において、u及びvはそれぞれ独立して、0~10の整数である。
いくつかの実施形態において、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、-H、C1~C6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン、及び-OCH3から独立して選択される。
いくつかの実施形態において、X又はX’の1つ以上は、以下の構造によって表される:
Figure 2022517124000007
いくつかの実施形態において、X又はX’の1つ以上は、以下の構造によって表される:
Figure 2022517124000008
いくつかの実施形態において、tは、0又は1である。いくつかの実施形態において、X又はX’部分の1つ以上は、任意選択により抗菌剤、治療剤、タンパク質、ヌクレオチド、酵素又は色素によって官能化されていてもよい、官能化されていてもよいシクロデキストリンの細孔に収容されるように構成されている。
いくつかの実施形態において、X又はX’部分の1つ以上は、官能化されていてもよいシクロデキストリンの細孔に収容されるように構成されており、以下の-H、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよいC1~C10アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルキニル、C1~C10アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C18ハロアルキル、C1~C10ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、二置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基から選択される基によって官能化されていてもよく、それらのいずれか1つがエーテル、アミン、エステル、アミド、シラノール、又は炭素結合を介して、シクロデキストリンへと官能化されていることができる。
いくつかの実施形態において、置換されていてもよいシクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、及びγ-シクロデキストリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、X又はX’部分の1つ以上は、包接錯体の形成を通じてホストに結合するように構成されている。いくつかの実施形態において、置換されていてもよいシクロデキストリンは、以下の構造によって表される:
Figure 2022517124000009
いくつかの実施形態において、pは1~8の整数である。いくつかの実施形態において、R14、R15及びR16はそれぞれ、-H、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよいC1~C10アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルキニル、C1~C10アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C18ハロアルキル、C1~C10ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、二置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基、色素、治療剤及び抗菌剤から独立して選択され、それらいずれか1つがエーテル、アミン、エステル、アミド、シラノール、又は炭素結合を介して、シクロデキストリンへと官能化されていることができる。
いくつかの実施形態において、表面は、アレキサンドライト、アメジスト、アクアマリン、シトリン、ダイヤモンド、エメラルド、ガーネット、ヒスイ、ラピスラズリ、ムーンストーン、モルガナイト、オニキス、オパール、パライバ、パール、ペリドット、ルベライト、ルビー、サファイア、スピネル、タンザナイト、トパーズ、トルマリン、ターコイズ及びジルコンからなる群から選択されるジェムストーンの表面である。いくつかの実施形態において、表面は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)アッセイの実施に好適な基材である。いくつかの実施形態において、表面は、床、壁又はカウンタートップである。いくつかの実施形態において、表面はプラスチック表面である。いくつかの実施形態において、表面はガラス表面である。
いくつかの実施形態において、Aは、分解性結合を介してSに結合される。いくつかの実施形態において、Aは、分解性結合を介してXに結合される。いくつかの実施形態において、Aは永久結合を介してSに結合され、Xは分解性結合を介してAに結合される。
いくつかの実施形態は、表面に共有結合したアンカー及び結合剤を含むコーティングされた表面に関し、アンカーは、結合剤に可逆的に結合するペンダント結合部分を含む。いくつかの実施形態において、結合剤は、コーティング前の表面とは異なる所望の特性をコーティングされた表面に付与する。
いくつかの実施形態は、ペンダントゲスト部分を含むアンカー官能基に結合した表面を含む、分子コーティングされた表面に関する。いくつかの実施形態において、ホスト分子は、アンカー分子のペンダントゲスト部分を介してアンカーに結合される。
いくつかの実施形態において、ホスト分子は、コーティングされた表面に表面特性を付与する。いくつかの実施形態において、ホスト分子によってコーティングされた表面に付与された表面特性は、未コーティング時の表面とは異なる表面特性である。いくつかの実施形態において、表面に付与された表面特性は、親水性又は疎水性である。いくつかの実施形態において、表面に付与された表面特性は抗菌活性である。いくつかの実施形態において、表面は、ジェムストーン表面、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)アッセイの実施に好適な基材、プラスチック表面、床、壁又はカウンタートップである。
いくつかの実施形態において、アンカーと表面との間の結合は共有結合である。いくつかの実施形態において、アンカーと表面との間の共有結合は分解性である。いくつかの実施形態において、アンカーとペンダントゲスト部分との間の結合は共有結合である。いくつかの実施形態において、アンカーとペンダントゲスト部分との間の共有結合は分解性である。
いくつかの実施形態において、ペンダントゲスト部分はアダマンチル基である。いくつかの実施形態において、ホスト分子は、官能化されていてもよいシクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、ホスト分子はベータ-シクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、親水性部分、疎水性部分又は両親媒性部分、抗菌剤、治療剤、色素、ヌクレオチド、タンパク質及び酵素の1つ以上によって官能化されている。いくつかの実施形態において、2つ以上のホスト分子が表面に結合している。
いくつかの実施形態において、ホスト分子は、ホスト分子上に位置するゲスト部位のサイズに基づいて選択され、アンカーのゲスト部分は、ホスト分子のゲスト部位内に適合(フィット)するように選択される。
いくつかの実施形態は、式IIによって表されるコーティング及び表面を含む、分子コーティングされた表面に関する:
Figure 2022517124000010
いくつかの実施形態において、Sは表面を表し、コーティングは-A(-X)mを含む。いくつかの実施形態において、Aは、Sに共有結合したアンカー部分である。いくつかの実施形態において、Xは、Aに共有結合し、ホスト分子に結合するように構成されたゲスト部分である。いくつかの実施形態において、mは1~5の整数である。いくつかの実施形態において、Yはホスト分子である。いくつかの実施形態において、qは1~5の整数である。いくつかの実施形態において、分子コーティングされた表面は、コーティングされた表面に所望の表面特性を付与するように構成されている。
いくつかの実施形態において、Aは、式AI及び/又はAIIによって表される:
Figure 2022517124000011
いくつかの実施形態において、*は、X又はX’への結合を示す。いくつかの実施形態において、
Figure 2022517124000012
は、Sへの結合を示す。いくつかの実施形態において、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、-H、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキニル、C1~C6アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C6アルキル)、二置換アミン(C1~C6アルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基から独立して選択される。いくつかの実施形態において、X及びX’はそれぞれ、-H、-OH、アダマンチル、ヨード(-I)、ニトロ(-NO2)、ナフチル、アントラセニル、ペルフルオロオクタン酸、ピロニンY、ピロニンB、カルボラニル、フェロセニル、アゾベンゼン、トリシクロオクチル及びペルフルオロオクチル、抗菌剤、色素、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよいC1~C10アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルキニル、C1~C10アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C18ハロアルキル、C1~C10ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、二置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基から独立して選択される部分であり、それらのいずれか1つがエーテル、アミン、エステル、アミド、シラノール又は炭素結合を介して、シクロデキストリンへと官能化されることができる。いくつかの実施形態において、tは0~5の整数である。いくつかの実施形態において、u及びvはそれぞれ独立して、0~10の整数である。
いくつかの実施形態において、Yは、以下の構造によって表される:
Figure 2022517124000013
いくつかの実施形態において、pは1~8の整数である。いくつかの実施形態において、R14、R15及びR16はそれぞれ、-H、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよいC1~C10アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルキニル、C1~C10アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C18ハロアルキル、C1~C10ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、二置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基、色素、治療剤及び抗菌剤から独立して選択され、それらのいずれか1つがエーテル、アミン、エステル、アミド、シラノール又は炭素結合を介して、シクロデキストリンへと官能化されることができる。
いくつかの実施形態は、アンカー試薬を表面と反応させて、アンカーを有するコーティング表面を提供することを含む、分子コーティングされた表面を作成(製造)する方法に関する。いくつかの実施形態において、本方法は、アンカー前駆体をペンダント官能基で官能化してアンカー試薬をもたらすことを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、ホストをアンカーのゲストに結合することを含む。
いくつかの実施形態において、使用方法が開示される。いくつかの実施形態において、その方法は、分子コーティングされた表面を汚れ、微生物、治療される疾患に罹患している患者又は検体に曝露することを含む。
いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンが提供される。いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンは、ジェムストーンの表面の異物(ほこり、垢、指紋、汚れ、油など)の蓄積に耐性である。いくつかの実施形態において、コーティングは、ジェムストーン表面に結合したアンカー官能基及び別個のホスト分子を含む多液(例えば2液)系である。いくつかの実施形態において、アンカー官能基は、ジェムストーン表面への永久結合を含む。いくつかの実施形態において、アンカー官能基は、1つ以上のペンダントゲスト部分(例えば複数のゲスト部分)を含む。いくつかの実施形態において、ゲスト部分(例えばゲスト)は、別個のホスト分子と相互作用する。いくつかの実施形態において、ホスト-ゲスト単位は、ジェムストーンのための所望の表面特性を有するジェムストーン(例えばコーティングされたジェムストーン)のためのコーティングを提供する。いくつかの実施形態において、ホスト分子は、コーティングされたジェムストーンの表面特性が未コーティングジェムストーンとは異なるように、コーティングされたジェムストーンに異なる表面特性を付与する。
上述した又は本明細書の他の箇所に記載した実施形態のいずれも、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
いくつかの実施形態において、ホスト分子は、もとのジェムストーン及び/又はアンカー官能化ジェムストーンの化学的特性とは化学的及び/又は物理的に異なる表面特性を付与する。いくつかの実施形態において、ホスト-ゲスト単位は、コーティングされたジェムストーンにホスト分子の1つ以上の表面特性を付与するため、ホスト分子を変更することにより、ホスト-ゲスト単位を通して様々な表面特性を達成することができる。いくつかの実施形態において、ホスト分子は親水性であり及び/又は親水特性を有する。いくつかの実施形態において、ホスト-ゲスト単位によってコーティングされたジェムストーンに付与された表面特性は、親水性である。いくつかの実施形態において、(アンカー官能化ジェムストーン及びホストを含む)コーティングされたジェムストーンは、ジェムストーンに対して及び/又はアンカー官能化ジェムストーンに対して親水性を向上させる。
いくつかの実施形態において、アンカー分子とジェムストーンの表面との間の結合は共有結合である。いくつかの実施形態において、アンカーのペンダントゲスト部分は空間充填分子を含む。いくつかの実施形態において、コーティングのホスト部分は、ゲストを収容し、及び/又はゲスト部分に結合するように構成されたポケット部分を含む。いくつかの実施形態において、アンカーのゲスト及びホスト分子のホストは、包接錯体として共に結合する。いくつかの実施形態において、アンカーのゲスト及びホスト分子のホストは、クーロン相互作用及び/又はファンデルワールス力の1つ以上によって共に結合する。
いくつかの実施形態において、ゲストはアダマンチル基である。いくつかの実施形態において、ゲストは、置換されていてもよいアダマンチル基である。いくつかの実施形態において、ホスト分子はシクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、ホスト分子は、置換されていてもよいシクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、ホスト分子はβ-シクロデキストリンである。
他の実施形態において、アンカー官能化ジェムストーンのアンカー部分は、空間充填結合剤(ゲスト)を収容するように構成されたポケット部分(例えばホスト)を含む。いくつかの実施形態において、ゲスト分子は、ジェムストーンに所望の特性を付与する。
いくつかの実施形態において、ジェムストーンは、貴石又は半貴石である。いくつかの実施形態において、ジェムストーンは、アレキサンドライト、アメジスト、アクアマリン、シトリン、ダイヤモンド、エメラルド、ガーネット、ガラス、ヒスイ、ラピスラズリ、ムーンストーン、モルガナイト、オニキス、オパール、パライバ、パール、ペリドット、ルベライト、ルビー、サファイア、スピネル、タンザナイト、トパーズ、トルマリン、ターコイズ、ジルコンなどからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ジェムストーンはダイヤモンドである。
いくつかの実施形態は、コーティング及びジェムストーンを含むコーティングされたジェムストーンであって、式Iによって表されるコーティングされたジェムストーンに関する:
Figure 2022517124000014
いくつかの実施形態において、Gはジェムストーンを表し、コーティングは-A(-X)mを含む。いくつかの実施形態において、Aは、Gに結合したアンカー部分である。いくつかの実施形態において、Xは、Aに共有結合し、ホスト分子に結合するように構成されたゲスト部分である。いくつかの実施形態において、mは1~5の整数である。いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンは、ホストによって官能化されたときにジェムストーンの表面の油及びほこりの蓄積に耐性であるように構成されている。いくつかの実施形態において、Gは、Aに(例えば共有結合を介して)永久結合されている。
いくつかの実施形態において、Aは、式AIII:
Figure 2022517124000015
によって表され、
式中、
Figure 2022517124000016
は、Gへの結合を示す。いくつかの実施形態において、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、-H、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキニル、C1~C6アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C6アルキル)、二置換アミン(C1~C6アルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基から独立して選択される。
いくつかの実施形態において、Xは、以下の構造によって表されるゲスト部分であり:
Figure 2022517124000017
式中、*はAへの結合を表す。いくつかの実施形態において、tは0~5の整数である。
いくつかの実施形態において、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、-H、C1~C6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン及び-OCH3から独立して選択される。
いくつかの実施形態において、Xは、以下の構造によって表される:
Figure 2022517124000018
いくつかの実施形態において、tは、0又は1である。
いくつかの実施形態において、ゲスト部分は、包接錯体の形成によってホストに結合するように構成されている。いくつかの実施形態において、ゲスト部分は、シクロデキストリンの細孔(例えば空洞)に受容されるように構成されている。いくつかの実施形態において、ゲスト部分は、シクロデキストリンの細孔内に存在するようなサイズ又は形状である。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、及びγ-シクロデキストリンからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンは、ホスト分子を含む。いくつかの実施形態において、ホストは、置換されていてもよいシクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、置換されていてもよいシクロデキストリンは、以下の構造によって表され:
Figure 2022517124000019
式中、pは1~8の整数である。いくつかの実施形態において、R14、R15及びR16はそれぞれ、-H、C1~C6アルコキシ、ハロゲン及びポリエーテルから独立して選択される。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、置換されていてもよいα-シクロデキストリン、置換されていてもよいβ-シクロデキストリン、及び置換されていてもよいγ-シクロデキストリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ホスト分子はβ-シクロデキストリンである。
いくつかの実施形態において、ジェムストーンは、アレキサンドライト、アメジスト、アクアマリン、シトリン、ダイヤモンド、エメラルド、ガーネット、ヒスイ、ラピスラズリ、ムーンストーン、モルガナイト、オニキス、オパール、パライバ、パール、ペリドット、ルベライト、ルビー、サファイア、スピネル、タンザナイト、トパーズ、トルマリン、ターコイズ及びジルコンからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、ジェムストーンはダイヤモンドであり、-A(-X)mは以下の構造によって表される:
Figure 2022517124000020
式中、
Figure 2022517124000021
は、Gへの結合を示す。いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンは、ホスト分子を含む。いくつかの実施形態において、ホスト分子はβ-シクロデキストリンである。
いくつかの実施形態は、ジェムストーンに不可逆的に結合されたアンカー及び結合剤を含む、コーティングされた耐汚性ジェムストーンであって、アンカーが結合剤に可逆的に結合するペンダント結合部分を含む、コーティングされた耐汚性ジェムストーンに関する。
いくつかの実施形態において、結合剤は親水性である。いくつかの実施形態において、結合剤は、ジェムストーンの1つ以上の表面特性を変化させて、耐汚性をもたらすように構成されている。
いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンは、コーティング前のジェムストーンの接触角よりも少なくとも50°小さい、水に対する接触角を有する。
いくつかの実施形態は、コーティングされたジェムストーンに関する。いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンは、アンカー官能基を有するジェムストーンを含む。いくつかの実施形態において、アンカー官能基は、ジェムストーンへの結合を含む。いくつかの実施形態において、アンカー官能基はペンダントゲスト部分を含む。いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンは、アンカー分子のペンダントゲスト部分を介してジェムストーンに結合したホスト分子を含む。
いくつかの実施形態において、ホスト分子は、ジェムストーンに表面特性を付与する。いくつかの実施形態において、ホスト分子によってジェムストーンに付与された表面特性は、未コーティング時にジェムストーンが有するのとは異なる表面特性である。いくつかの実施形態において、ジェムストーンに付与された表面特性は親水性である。
いくつかの実施形態において、ジェムストーンはダイヤモンドである。
いくつかの実施形態において、結合は共有結合である。
いくつかの実施形態において、ペンダントゲスト部分はアダマンチル基である。
いくつかの実施形態において、ホスト分子はシクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、親水性部分、疎水性部分、又は両親媒性部分の1つ以上によって官能化されている。いくつかの実施形態において、ホスト分子はベータ-シクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、2つ以上のホスト分子がアンカー/ゲスト単位に結合する。いくつかの実施形態において、ホスト分子は、ホスト分子上に位置するゲスト部位のサイズに基づいて選択され、アンカーのゲスト部分は、ホスト分子のゲスト部位内に適合するように選択される。
いくつかの実施形態は、コーティング及びジェムストーンを含むコーティングされたジェムストーンであって、式IIによって表されるコーティングされたジェムストーンに関する:
Figure 2022517124000022
いくつかの実施形態において、Gはジェムストーンを表し、コーティングは-A(-X)mを含む。いくつかの実施形態において、Aは、Gに共有結合したアンカー部分である。いくつかの実施形態において、Xは、Aに結合し、ホスト分子に結合するように構成されたゲスト部分である。いくつかの実施形態において、XはAに共有結合したゲスト部分である。いくつかの実施形態において、mは1~5の整数である。いくつかの実施形態において、Yはホスト分子である。いくつかの実施形態において、qは1~5の整数である。いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンは、ジェムストーンの表面上の油及びほこりの蓄積に耐性であるように構成されている。
いくつかの実施形態において、Aは、式AIIIによって表され:
Figure 2022517124000023
式中、
Figure 2022517124000024
は、Gへの結合を示す。いくつかの実施形態において、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、-H、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキニル、C1~C6アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C6アルキル)、二置換アミン(C1~C6アルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基から独立して選択される。
いくつかの実施形態において、Xは、以下の構造によって表されるゲスト部分であり:
Figure 2022517124000025
式中、*はAへの結合を表す。いくつかの実施形態において、tは0~5の整数である。
いくつかの実施形態において、Yは、以下の構造によって表される:
Figure 2022517124000026
いくつかの実施形態において、pは1~8の整数である。いくつかの実施形態において、R14、R15及びR16はそれぞれ、-H、C1~C6アルコキシ、ハロゲン及びポリエーテルから独立して選択される。
いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンは、ジュエリーグレードのジェムストーンを含む。
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、本明細書に開示するコーティングされたジェムストーンを含む宝飾品に関する。
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、コーティングされたジェムストーンを製造する方法に関する。いくつかの実施形態において、アンカー-ゲスト試薬をジェムストーンと反応させて、ペンダントゲスト部分を有するジェムストーンをもたらす。いくつかの実施形態において、ペンダントゲスト部分を含むジェムストーンは、ホスト分子に曝露される。
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ジェムストーンの汚損を防止又は遅延する方法に関する。いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンが提供される。いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーンをホスト分子に曝露させて、耐汚性ジェムストーンを提供する。いくつかの実施形態において、ホスト分子は、耐汚性ジェムストーンの使用期間後にアンカー官能化ジェムストーンに再適用される。いくつかの実施形態において、耐汚性ジェムストーンを洗浄して、耐汚性ジェムストーンの使用期間後に残留ホスト分子を除去する。いくつかの実施形態において、ホスト分子は、耐汚性ジェムストーンの使用期間後に再適用される。
セッティングによってリングに取り付けたダイヤモンドの図である。 他の炭素原子に結合した炭素原子を含む、ダイヤモンド結晶格子の一部の図である。 清浄なダイヤモンド及び汚損したダイヤモンドの写真及び角度スペクトル評価ツール(ASET)画像及びSEM画像である。清浄なダイヤモンドの写真を示す。 清浄なダイヤモンド及び汚損したダイヤモンドの写真及び角度スペクトル評価ツール(ASET)画像及びSEM画像である。汚損したダイヤモンドの写真を示す。 清浄なダイヤモンド及び汚損したダイヤモンドの写真及び角度スペクトル評価ツール(ASET)画像及びSEM画像である。清浄なダイヤモンドのASET画像を示す。 清浄なダイヤモンド及び汚損したダイヤモンドの写真及び角度スペクトル評価ツール(ASET)画像及びSEM画像である。汚損したダイヤモンドのASET画像を示す。 清浄なダイヤモンド及び汚損したダイヤモンドの写真及び角度スペクトル評価ツール(ASET)画像及びSEM画像である。ほこり粒子及び垢が蓄積した汚染ダイヤモンドの代表的なSEM画像を示す(矢印参照)。スケールバーは、2mm及び200μmを示す。 従来通りに洗浄にしたダイヤモンドの汚れを示す。 本明細書のいくつかの実施形態に開示されているようにコートしたダイヤモンドの汚れを示す。従来の洗浄方法(1H)と開示したコーティング手法(1I)との比較に示すように、本明細書に開示するコーティング手法は、経時的にジェムストーンの光学的光輝性を維持する。 ダイヤモンド表面を示す。 アンカー分子によるダイヤモンド表面の官能化を示す。 アンカー分子の一部に結合する結合剤(例えば親水性ホスト)によるアンカー官能化ダイヤモンドの処理を示す。 得られた処理済みダイヤモンド表面を示す。 ダイヤモンドを示す。 アンカー分子によるダイヤモンド表面の官能化を示す。 アンカー分子に結合する親水性剤による官能化ダイヤモンドの処理を示す。 リングにセットした、得られた処理済みダイヤモンドを示す。 ダイヤモンドの表面に結合させることができるアンカー分子のための出発材料の実施形態を示す。 アンカー分子の一部に結合する親水性結合剤の実施形態の骨格構造図を示す。 アンカー分子と親水性結合剤との相互作用の空間充填図を示す。 アンカー分子の実施形態を示す。 親水性結合剤の実施形態の図を示す。 ホスト分子(中央パネル)と相互作用して結合ホスト-ゲスト部分(右パネル;部分図)を提供するホスト部分(左パネル)を有するアンカー分子を示すスキームを示す。 ダイヤモンドに官能化されたアンカー分子を示すスキームを示す。 ホスト分子(中央パネル)と相互作用して結合ホスト-ゲスト官能化ジェムストーン(右パネル)を提供するホスト部分(左パネル)を有する図5のモチーフの図を示す。 本明細書に開示するアンカー部分の実施形態を示す。窒素系のジアゾ付着点606を示す、可変ゲスト部位を有するアンカー分子の属(X、X’)を示す。 本明細書に開示するアンカー部分の実施形態を示す。活性化アニオン形態の図6Aの属を示す。 本明細書に開示するアンカー部分の実施形態を示す。炭素ダイヤモンド表面に結合したアンカー分子の実施形態を示す。 本明細書に開示するアンカー部分の実施形態を示す。シクロデキストリンホストに結合したアダマンチルゲスト部位を有するアンカー分子の実施形態を示す。 本明細書に開示するいくつかの非限定的な実施形態によるダイヤモンドを官能化する方法の実施形態を示す。 ホストの反応性基を介してゲストに錯化する間のホストの官能化を示す。 様々なサイズのホスト分子及び異なるゲストに結合するその能力を示す。 これを利用して表面に異なる官能基を提供できることを示す。 ダイヤモンドの表面からのホスト分子の摩耗及びホスト分子によるダイヤモンド表面の再生を示す。アンカー分子で不可逆的に官能化したダイヤモンド表面を示す。図示するように、ダイヤモンドのあるアンカー分子は、ホスト分子を欠いている。 ダイヤモンドの表面からのホスト分子の摩耗及びホスト分子によるダイヤモンド表面の再生を示す。図8Aのダイヤモンド表面のアンカーのホスト分子への曝露を示す。 ダイヤモンドの表面からのホスト分子の摩耗及びホスト分子によるダイヤモンド表面の再生を示す。図8Bのホスト分子による処理後の図8Aのダイヤモンド表面を示す。 ダイヤモンドの表面からのホスト分子の摩耗及びホスト分子によるダイヤモンド表面の再生を示す。いくつかのホスト分子が摩耗した後の図8Cのダイヤモンド表面を示す。 ダイヤモンドの表面からのホスト分子の摩耗及びホスト分子によるダイヤモンド表面の再生を示す。ダイヤモンド表面からのホスト分子の除去を示す。 ダイヤモンドの表面からのホスト分子の摩耗及びホスト分子によるダイヤモンド表面の再生を示す。すべてのホスト分子が除去された後の図8Cのダイヤモンド表面を示す。 ダイヤモンドの表面からのホスト分子の摩耗及びホスト分子によるダイヤモンド表面の再生を示す。図8Fのダイヤモンド表面のアンカーのホスト分子への曝露を示す。 ダイヤモンドの表面からのホスト分子の摩耗及びホスト分子によるダイヤモンド表面の再生を示す。すべてのアンカーがホスト分子によって官能化されている図8Fのダイヤモンド表面を示す。 溶液の液滴によるコーティングを使用したダイヤモンドコートウエハー(図9A~図9C)及びダイヤモンド(図9D)の官能化を示す。2つの濃度のアンカー官能化溶液の液滴コーティングを適用した後のウエハーを示す。 溶液の液滴によるコーティングを使用したダイヤモンドコートウエハー(図9A~図9C)及びダイヤモンド(図9D)の官能化を示す。アンカー官能化溶液の蒸発後のウエハーを示す。 溶液の液滴によるコーティングを使用したダイヤモンドコートウエハー(図9A~図9C)及びダイヤモンド(図9D)の官能化を示す。ウエハーのすすぎを示す。 溶液の液滴によるコーティングを使用したダイヤモンドコートウエハー(図9A~図9C)及びダイヤモンド(図9D)の官能化を示す。2つの濃度のアンカー官能化溶液によって液滴コーティングしたダイヤモンドを示す。 アンカー官能基化ウエハーのサンプルのX線光電子分光法(XPS)データを提供する。 アンカー官能基化ウエハーのサンプルのX線光電子分光法(XPS)データを提供する。 アンカー官能基化ウエハーのサンプルのX線光電子分光法(XPS)データを提供する。 アンカー官能基化ウエハーのサンプルのX線光電子分光法(XPS)データを提供する。 アンカー官能基化ウエハーのサンプルのX線光電子分光法(XPS)データを提供する。 アンカー官能基化ウエハーのサンプルのX線光電子分光法(XPS)データを提供する。 アンカー官能基化ウエハーのサンプルのX線光電子分光法(XPS)データを提供する。 アンカー部分のない対照ダイヤモンド表面に対する官能化ダイヤモンド表面のXPSオーバーレイを提供する。 アンカー部分のない対照ダイヤモンド表面に対する官能化ダイヤモンド表面のXPSオーバーレイを提供する。 アンカー部分のない対照ダイヤモンド表面に対する官能化ダイヤモンドのXPSオーバーレイを示す。 アンカー官能化剤のいくつかの堆積物を使用して基材を官能化した実験のXPSデータを提供する。 基材上へのアンカー官能基の堆積中に様々な温度を使用した実験のXPSデータオーバーレイを示す。 基材上へのアンカー官能基の堆積中に様々な温度を使用した実験のXPSデータオーバーレイを示す。 アンカー官能基の堆積中に様々な反応時間を使用した実験のXPSデータオーバーレイを示す。 アンカー官能基の堆積中に液滴コーティング又は浸漬を使用した実験の概略図を示す。 ホスト官能基を使用してアンカーコート表面を処理した実験のXPSデータオーバーレイを示す。 本明細書に開示するコーティングをマルチパートバンドのサブピースに適用したリングを示し、ジェムストーン1がセッティング2に付着され、より小型のダイヤモンド3がバンド4に付着されている。コーティングは、アンカー付着法及びシクロデキストリン特性の両方によって調整することができる。シクロデキストリン相対物を必要とし得る又はし得ない代替コーティングを、金属又はセラミック表面に適用することができる。 本明細書に開示する特定の実施形態を表す。ポリマー鎖を提供する。 本明細書に開示する特定の実施形態を表す。ポリマー鎖を提供する。 本明細書に開示する特定の実施形態を表す。ジブロックコポリマー鎖を表す。 本明細書に開示する特定の実施形態を表す。ジブロックコポリマー鎖を表す。青色連鎖は、ホスト分子に好適なゲスト分子で官能化されたポリマーを表す。シクロデキストリン又は他のホスト分子は、溶液からの青色ポリマーに結合する。
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、表面用の分子コーティング、表面をコーティングする方法及び表面コーティングを使用して、表面上の物質の蓄積を検出するための及び/又は表面上の物質の蓄積に耐えるための触媒システムとして、抗菌効果、シグナル増強感知、薬物溶出、治療薬の制御放出、食品若しくは飲料の包装の1つ以上を実現する方法に関する。いくつかの実施形態において、システム及びコーティングは、以下の、ジェムストーンコーティング(例えばジェムストーンの曇り、ほこり及び垢の蓄積などに耐えるため)として、抗菌表面として(及び/若しくは抗菌性、抗真菌性、殺虫性、抗ウイルス性、抗発癌性コーティング)、溶液と再生可能コーティングを有する表面との間の相互作用の遮断による生物付着の防止のために、(例えば生体分子、微生物、検体などの診断感知の)シグナル増強感知のために、後続の、ペプチド、ホルモン、タンパク質、及び抗体の定量化のために設計されたアッセイ技術であるELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)のための、タンパク質及び抗体の非共有表面付着のための直接捕捉表面として、(例えば、カテーテル、ステントなどで使用するため)薬剤溶出表面、治療薬(例えば成長因子分子、特異的タンパク質、抗炎症剤、抗酸化剤など)の制御放出のための創傷接触コーティングとして、環境制御システム(例えば臭気、水分など)として、食品若しくは飲料包装システム(例えばフレーバー分散、酸化防止剤制御、表面湿潤制御)として、並びに/又は(例えば高効率合成、重合、分解、酸化、還元などの)触媒表面コーティングとして、(例えば光学、幾何及び構造異性体などの)クロマトグラフィーによる分離若しくは検出のための、(例えば超高層ビルの窓、ソーラーパネル、フロントガラス、サングラス、携帯電話及びタブレット機器の)露出面の表面のクリーニングを容易にするための用途のいずれか1つにおいて、使用することができる。
いくつかの実施形態において、分子コーティングは、アンカー分子及びホスト分子を含む。いくつかの実施形態において、アンカー分子は、ホスト分子と相互作用する及び/又はホスト分子に結合する1つ以上のゲスト官能基を含む。いくつかの実施形態において、ホスト分子は表面の物理的特性を変化させる。例えば、いくつかの実施形態において、親水性ホスト分子を使用して、疎水性表面を親水性表面に変換することができる。逆に、いくつかの実施形態において、疎水性ホスト分子を使用して、親水性表面を疎水性表面に変換することができる。いくつかの実施形態において、混合表面(親水性、両親媒性又は疎水性)は、様々なゲスト分子又はホスト分子を選択することによって達成することができる。
いくつかの実施形態において、分子コーティングはアンカーを含み、ホストを欠いている(並びに/又はホストは存在しない及び/若しくは必要ではない)。即ち、いくつかの実施形態において、アンカーは表面の物理的特性を変化させる。例えば、いくつかの実施形態において、親水性アンカー分子(例えば親水性アンカー部分)を使用して、疎水性表面を親水性表面に変換することができる。逆に、いくつかの実施形態において、疎水性アンカー分子(例えば疎水性アンカー部分)を使用して、親水性表面を疎水性表面に変換することができる。いくつかの実施形態において、混合表面(親水性、両親媒性又は疎水性)は、様々なアンカー分子(例えばアンカー部分)を選択することによって達成することができる。いくつかの実施形態において、アンカーは1つ以上のペンダント官能基を含むため、アンカーは表面に特定の特性を付与する。いくつかの実施形態において、ペンダント官能基は、アンカー及び/又は表面に特定の特性を付与する。いくつかの実施形態において、アンカーは表面の特性を変化させず、肉眼では実質的に見えない。
いくつかの実施形態において、アンカーは、永続的及び/又は実質的に永続的な結合を使用して表面に結合される。いくつかの実施形態において、アンカーは、実質的に可逆的又は可逆的な(例えば分解性)結合を使用して表面に結合される。換言すれば、いくつかの実施形態において、アンカーは、それを除去することを可能にする分解性結合を介して表面に結合される。いくつかの実施形態において、1つ以上のペンダント官能基は、永続的及び/又は実質的に永続的な結合を使用してアンカーに結合される。いくつかの実施形態において、1つ以上のペンダント官能基は、実質的に可逆的又は可逆的な(例えば分解性)結合を使用してアンカーに結合される。即ち、いくつかの実施形態において、1つ以上のペンダント官能基は、1つ以上のペンダント官能基を除去することができる分解性結合を介してアンカーに結合される。
以下の説明は、背景及び例を提供するが、本明細書に続く特許請求の範囲又は本明細書に対する優先権を主張する他の任意の出願に含まれる本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。単一の構成要素又は構成要素の集まりは必須でも不可欠でもない。例えば、上に開示したように、いくつかの実施形態は、ホスト分子を欠いていてもよく、アンカー自体が表面に所望の物理的特性を付与してもよい。以下、ダイヤモンドを参照ジェムストーン、又はより一般的にはジェムストーンとして使用して複数の例を説明するが、本明細書に記載の技術及び化学作用は、本明細書の他の箇所に開示するように、他のジェムストーン、他の結晶性材料(例えばSiC、合成ダイヤモンド、CVDダイヤモンドウエハーなど)、他の炭素質材料(例えば炭化物由来の炭素、炭素質エアロゲル、ナノ結晶性ダイヤモンド及び黒鉛状炭素含有マトリックス)、ガラス化アモルファス表面(例えば多様なガラス)、床、カウンタートップ、容器、チップなどに適合させることができる。したがって、ダイヤモンド又はジェムストーンが例示的な表面として使用される限り、他の表面も想定されることを理解されたい。いくつかの実施形態において、本明細書に開示する技術は、異なるアンカー付着化学作用(例えばシラン)を使用してガラス表面に異なる特性を提供することによって、ガラス表面に使用することもできる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の技術及び化学作用は、プラスチック、木材、磁器、石との使用に適応させることができる。いくつかの実施形態において、2部構成層システムは、アンカーが存在する限り、任意の表面上で作用する。いくつかの実施形態において、アンカーは、プラスチックに結合させる及び/又はプラスチックにブレンドすることができる。いくつかの実施形態において、コポリマーは、アンカーをプラスチックに取り付けるように設計することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示する分子コーティング系で木材表面(又は石及び/若しくは他の表面)にニスを塗る方法が開示される。いくつかの実施形態において、ラミネート材料及び複合材料がコーティングされる。いくつかの実施形態において、リング/時計/携帯電話/電子部品などがコーティングされる。いくつかの実施形態において、バイオフィルム形成及び予防技術が開示される。いくつかの実施形態において、床及び窓/ソーラーパネル向けの回復技術が含まれる(コーティングを再生することができる)。
基が本明細書において「置換されていてもよい」と記載される場合は必ず、その基は非置換であり得るか、又は示された置換基の1つ以上で置換され得る。同様に、「非置換又は置換」(又は「置換又は非置換」)と記載されているときに、置換されている場合、置換基は、示された置換基(単数又は複数)の1つ以上から選択され得る。置換基が示されていない場合、示された「置換されていてもよい」又は「置換された」基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、シクロアルキル(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、ヘテロシクリル(アルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、ニトロ、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、一置換アミン基、二置換アミン基、一置換アミン(アルキル)、二置換アミン(アルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基、ポリエーテル基から個別に独立して選択される1つ以上の基(単数又は複数)で置換され得ることを意味する。
本明細書で使用する場合、「a」及び「b」が整数である「Ca~Cb」は、基中の炭素原子の数を示す。示される基は、「a」~「b」個(両端を含む)の炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」基は、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH32CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、CH3CH(CH3)CH2-及び(CH33C-などの、1~4個の炭素、即ち1、2、3又は4個の炭素を有するすべてのアルキル基を示す。「a」及び「b」が指定されていない場合、これらの定義に記載されている最も広い範囲が想定される。
2個の「R」基が「ひとまとめにされて」いると記載される場合、R基及びR基が結合している原子は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロ環を形成することができる。例えば、限定されないが、NRaRb基のRa及びRbが「ひとまとめにされて」いると示される場合、Ra及びRbが互いに共有結合して環を形成することを意味する:
Figure 2022517124000027
本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、完全飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルキル部分は、分枝又は直鎖であり得る。分枝アルキル基の例としては、イソプロピル、sec-ブチル、t-ブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、1~30個の炭素原子を有し得る(本明細書で出現する場合は常に、「1~30」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を示す。例えば、「1~30個の炭素原子」は、アルキル基が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個の炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の出現も包含する。)。「アルキル」基は、1~12個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルであってもよい。「アルキル」基は、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであることもできる。アルキル基は、置換されていても又は非置換でもよい。単なる例として、「C1~C5アルキル」は、アルキル鎖に1~5個の炭素原子があること、即ち、アルキル鎖がメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル(分枝及び直鎖)などから選択されることを示す。代表的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル及びヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「アルキレン」という用語は、二価の完全飽和直鎖脂肪族炭化水素基を示す。アルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン及びオクチレンが挙げられるが、これらに限定されない。アルキレン基は、
Figure 2022517124000028
、それに続く炭素原子の数、それに続く「*」で表され得る。例えば、
Figure 2022517124000029
はエチレンを表す。アルキレン基は、1~30個の炭素原子を有し得る(本明細書で出現する場合は常に、「1~30」などの数値範囲は、所定の範囲内の各整数を示す。例えば、「1~30個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、30個以下の炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない「アルキレン」という用語の存在も包含する。)。アルキレン基は、1~12個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルであってもよい。アルキレン基は、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであることもできる。アルキレン基は、置換されていても又は非置換でもよい。例えば、低級アルキレン基は、低級アルキレン基の1つ以上の水素を置き換えることによって、及び/又は同じ炭素上の両方の水素をC3-6単環式シクロアルキル基(例えば
Figure 2022517124000030
)で置換することによって置き代えることができる。
本明細書で使用する「アルケニル」という用語は、これに限定されないが、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニルなどを含む、炭素二重結合(単数又は複数)を含有する、2~20個の炭素原子の一価の直鎖又は分枝鎖ラジカルを示す。アルケニル基は、非置換であっても又は置換されていてもよい。
本明細書で使用する「アルキニル」という用語は、これに限定されないが、1-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニルなどを含む、炭素三重結合(単数又は複数)を含有する、2~20個の炭素原子の一価の直鎖又は分枝鎖ラジカルを示す。アルキニル基は、非置換であっても又は置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、「シクロアルキル」は、完全飽和(二重結合も三重結合もない)単環式又は多環式(例えば二環式)炭化水素環システムを示す。2個以上の環から構成される場合、環は、縮合、架橋又はスピロ様式で共に結合され得る。本明細書で使用する場合、「縮合」という用語は、2個の原子及び1個の結合を共通に有する2個の環を示す。本明細書で使用する場合、「架橋シクロアルキル」という用語は、シクロアルキルが非隣接原子を連結する1個以上の原子の結合を含有する化合物を示す。本明細書で使用する場合、「スピロ」という用語は、1個の原子を共通に有し、2個の環が架橋によって結合されていない2個の環を示す。シクロアルキル基は、(単数又は複数の)環内に3~30個の原子、(単数又は複数の)環内に3~20個の原子、(単数又は複数の)環内に3~10個の原子、(単数又は複数の)環内に3~8個の原子又は(単数又は複数の)環内に3~6個の原子を含有することができる。シクロアルキル基は、非置換であっても又は置換されていてもよい。モノシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。縮合シクロアルキル基の例は、デカヒドロナフタレニル、ドデカヒドロ-1H-フェナレニル及びテトラデカヒドロアントラセニルである。架橋シクロアルキル基の例は、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、アダマンタニル及びノルボルナニルである。並びにスピロシクロアルキル基の例としては、スピロ[3.3]ヘプタン及びスピロ[4.5]デカンが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の環に1個以上の二重結合を含有する単環式又は多環式(例えば二環式)炭化水素環系を示す。ただし、1を超えて存在する場合、二重結合は、すべての環にわたって完全に非局在化したπ電子系を形成することはできない(さもなければ基は、本明細書で定義される「アリール」となる)。シクロアルケニル基は、(単数又は複数の)環内に3~10個の原子、(単数又は複数の)環内に3~8個の原子又は(単数又は複数の)環内に3~6個の原子を含有することができる。2個以上の環から構成される場合、環は、縮合、架橋又はスピロ様式で互いに結合され得る。シクロアルケニル基は、非置換であっても又は置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、「アリール」は、すべての環にわたって完全に非局在化したπ電子系を有する炭素環式(全炭素)単環式又は多環式(例えば二環式)芳香族環系(2個の炭素環式環が化学結合を共有する縮合環系を含む)を示す。アリール基中の炭素原子の数は変わることがある。例えば、アリール基は、C6~C14アリール基、C6~C10アリール基又はC6アリール基であることができる。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレン及びアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていても又は非置換でもよい。本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ原子(例えば1、2又は3個のヘテロ原子)、即ち、これに限定されないが、窒素、酸素及び硫黄を含む、炭素以外の元素を含有する、単環式又は多環式(例えば二環式)芳香族環系(完全に非局在化したπ電子系を有する環系)を示す。ヘテロアリール基の(単数又は複数の)環内の原子の数は変わることがある。例えば、ヘテロアリール基は、(単数又は複数の)環内に4~14個の原子、(単数又は複数の)環内に5~10個の原子又は(単数又は複数の)環内に5~6個の原子、例えば9個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;8個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;7個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;8個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;7個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;6個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;5個の炭素原子及び4個のヘテロ原子;5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;又は2個の炭素原子及び3個のヘテロ原子を含有することができる。さらに、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1個のアリール環及び少なくとも1個のヘテロアリール環又は少なくとも2個のヘテロアリール環などの2個の環が少なくとも1個の化学結合を共有する縮合環系を含む。ヘテロアリール環の例としては、これに限定されないが、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール
、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン及びトリアジンが挙げられる。ヘテロアリール基は、置換されていても又は非置換でもよい。
本明細書で使用する場合、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリシクリル」は、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、最大18員の単環式、二環式及び三環式環系を示し、炭素原子が1~5個のヘテロ原子と共に前記環系を構成している。ヘテロ環は、ただし、完全に非局在化したπ電子系がすべての環にわたって生じないように位置する1個以上の不飽和結合を含有していてもよい。(単数又は複数の)ヘテロ原子は、これに限定されないが、酸素、硫黄及び窒素を含む、炭素以外の元素である。ヘテロ環は、定義がラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド及び環状カルバメートなどのオキソ系及びチオ系を含むように、1個以上のカルボニル官能基又はチオカルボニル官能基をさらに含有し得る。2個以上の環から構成される場合、環は、縮合、架橋又はスピロ様式で共に結合され得る。本明細書で使用する場合、「縮合」という用語は、2個の原子及び1個の結合を共通に有する2個の環を示す。本明細書で使用する場合、「架橋ヘテロシクリル」又は「架橋ヘテロアリシクリル」という用語は、ヘテロシクリル又はヘテロアリシクリルが非隣接原子を連結する1個以上の原子の結合を含有する化合物を示す。本明細書で使用する場合、「スピロ」という用語は、1個の原子を共通に有し、2個の環が架橋によって結合されていない2個の環を示す。ヘテロシクリル基及びヘテロアリシクリル基は、(単数又は複数の)環内に3~30個の原子、(単数又は複数の)環内に3~20個の原子、(単数又は複数の)環内に3~10個の原子、(単数又は複数の)環内に3~8個の原子又は(単数又は複数の)環内に3~6個の原子を含有することができる。例えば、5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;2個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;1個の炭素原子及び4個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;又は2個の炭素原子及び1個のヘテロ原子。さらに、ヘテロアリシクリック中のいずれの窒素も四級化され得る。ヘテロシクリル基又はヘテロアリシクリック基は、非置換であっても又は置換されていてもよい。そのような「ヘテロシクリル」基又は「ヘテロアリシクリル」基の例としては、これに限定
されないが、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジン-N-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、アゼパン、ピロリドン、ピロリジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホン及びそのベンゾ縮合類似体(例えばベンズイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン及び/又は3,4-メチレンジオキシフェニル)が挙げられる。スピロヘテロシクリル基の例としては、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.4]オクタン及び2-アザスピロ[3.4]オクタンが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「アラルキル」及び「アリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合したアリール基を示す。アラルキルの低級アルキレン基及びアリール基は、置換されていても又は非置換でもよい。例としては、これに限定されないが、ベンジル、2-フェニルアルキル、3-フェニルアルキル及びナフチルアルキルが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「シクロアルキル(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合したシクロアルキル基を示す。シクロアルキル(アルキル)の低級アルキレン基及びシクロアルキル基は、置換されていても又は非置換でもよい。
本明細書で使用する場合、「ヘテロアラルキル」及び「ヘテロアリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合したヘテロアリール基を示す。ヘテロアラルキルの低級アルキレン基及びヘテロアリール基は、置換されていても又は非置換でもよい。例としては、これに限定されないが、2-チエニルアルキル、3-チエニルアルキル、フリルアルキル、チエニルアルキル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル及びイミダゾリルアルキル並びにそのベンゾ縮合類似体が挙げられる。
「ヘテロアリシクリル(アルキル)」及び「ヘテロシクリル(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合したヘテロシクリック基又はヘテロアリシクリック基を示す。(ヘテロアリシクリル)アルキルの低級アルキレン及びヘテロシクリルは、置換されていても又は非置換でもよい。例としては、これに限定されないが、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル(メチル)、ピペリジン-4-イル(エチル)、ピペリジン-4-イル(プロピル)、テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル(メチル)及び1,3-チアジナン-4-イル(メチル)が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を示す。
本明細書で使用する場合、「アルコキシ」は式-ORを示し、式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であり、本明細書で定義される。アルコキシの非限定的なリストは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ及びベンゾキシである。アルコキシは、置換されていても又は非置換でもよい。
本明細書で使用する場合、「アシル」は、カルボニル基を介して置換基として結合した水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)及びヘテロシクリル(アルキル)を示す。例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル及びアクリルが挙げられる。アシルは、置換されていても又は非置換でもよい。
本明細書で使用する場合、「シアノ」基は、「-CN」基を示す。
本明細書で使用する「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などの元素の周期表の第7列の放射安定性原子のうちのいずれか1つを意味する。
「チオカルボニル」基は「-C(=S)R」基を示し、式中、RがO-カルボキシに関して定義されるものと同じであることができる。チオカルボニルは、置換されていても又は非置換でもよい。「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)N(RARB)」基を示し、式中、RA及びRBは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。O-カルバミルは、置換されていても又は非置換でもよい。
「N-カルバミル」基は、「ROC(=O)N(RA)-」基を示し、式中、R及びRAは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。N-カルバミルは、置換されていても又は非置換でもよい。
「O-チオカルバミル」基は、「-OC(=S)-N(RARB)」基を示し、式中、RA及びRBは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。O-チオカルバミルは、置換されていても又は非置換でもよい。
「N-チオカルバミル」基は、「ROC(=S)N(RA)-」基を示し、式中、R及びRAは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。N-チオカルバミルは、置換されていても又は非置換でもよい。
「C-アミド」基は、「-C(=O)N(RARB)」基を示し、式中、RA及びRBは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。C-アミドは、置換されていても又は非置換でもよい。
「N-アミド」基は、「RC(=O)N(RA)-」基を示し、式中、R及びRAは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。N-アミドは、置換されていても又は非置換でもよい。
「S-スルホンアミド」基は、「-SO2N(RARB)」基を示し、式中、RA及びRBは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。S-スルホンアミドは、置換されていても又は非置換でもよい。
「N-スルホンアミド」基は、「RSO2N(RA)-」基を示し、式中、R及びRAは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。N-スルホンアミドは、置換されていても又は非置換でもよい。
「O-カルボキシ」基は、「RC(=O)O-」基を示し、式中、Rは、本明細書で定義するように水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。O-カルボキシは、置換されていても又は非置換でもよい。
「エステル」及び「C-カルボキシ」という用語は、「-C(=O)OR」基を示し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであることができる。エステル及びC-カルボキシは、置換されていても又は非置換でもよい。
「ニトロ」基は、「-NO2」基を示す。
「スルフェニル」基は、「-SR」基を示し、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。スルフェニルは、置換されていても又は非置換でもよい。
「スルフィニル」基は、「-S(=O)-R」基を示し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであることができる。スルフィニルは、置換されていても又は非置換でもよい。
「スルホニル」基は、「SO2R」基を示し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであることができる。スルホニルは、置換されていても又は非置換でもよい。
本明細書で使用する場合、「ハロアルキル」は、水素原子の1個以上がハロゲン(例えばモノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル及びポリハロアルキル)によって置き換えられたアルキル基を示す。そのような基としては、これに限定されないが、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-クロロ-2-フルオロメチル、2-フルオロイソブチル及びペンタフルオロエチルが挙げられる。ハロアルキルは、置換されていても又は非置換でもよい。
本明細書で使用する場合、「ハロアルコキシ」は、水素原子の1個以上がハロゲン(例えばモノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキシ及びトリ-ハロアルコキシ)で置き換えられたアルコキシ基を示す。そのような基としては、これに限定されないが、クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-クロロ-2-フルオロメトキシ及び2-フルオロイソブトキシが挙げられる。ハロアルコキシは、置換されていても又は非置換でもよい。
本明細書で使用する「アミノ」及び「非置換アミノ」という用語は、-NH2基を示す。
「一置換アミン」基は、「-NHRA」基を示し、式中、RAは、本明細書で定義するようにアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。RAは、置換されていても又は非置換でもよい。一置換アミン基としては、例えばモノ-アルキルアミン基、モノ-C1-C6アルキルアミン基、モノ-アリールアミン基、モノ-C6-C10アリールアミン基などを挙げることができる。一置換アミン基の例としては、これに限定されないが、-NH(メチル)、-NH(フェニル)などが挙げられる。
「二置換アミン」基は、「-NRARB」基を示し、式中、RA及びRBは本明細書で定義するように、独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。RA及びRBは独立して、置換される又は非置換であることができる。二置換アミン基としては、例えばジ-アルキルアミン基、ジ-C1-C6アルキルアミン基、ジ-アリールアミン基、ジ-C6-C10アリールアミン基などを挙げることができる。二置換アミン基の例としては、これに限定されないが、-N(メチル)2、-N(フェニル)(メチル)、-N(エチル)(メチル)などが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「一置換アミン(アルキル)」基は、低級アルキレン基を介して置換基として結合した、本明細書で提供される一置換アミンを示す。一置換アミン(アルキル)は、置換されていても又は非置換でもよい。一置換アミン(アルキル)基は、例えば、モノ-アルキルアミン(アルキル)基、モノ-C1-C6アルキルアミン(C1-C6アルキル)基、モノ-アリールアミン(アルキル基)、モノ-C6-C10アリールアミン(C1-C6アルキル)基などを挙げることができる。一置換アミン(アルキル)基の例としては、これに限定されないが、-CH2NH(メチル)、-CH2NH(フェニル)、-CH2CH2NH(メチル)、-CH2CH2NH(フェニル)などが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「二置換アミン(アルキル)」基は、低級アルキレン基を介して置換基として結合した、本明細書で提供される二置換アミンを示す。二置換アミン(アルキル)は、置換されていても又は非置換でもよい。二置換アミン(アルキル)基としては、例えばジアルキルアミン(アルキル)基、ジC1-C6アルキルアミン(C1-C6アルキル)基、ジ-アリールアミン(アルキル)基、ジ-C6-C10アリールアミン(C1-C6アルキル)基などを挙げることができる。二置換アミン(アルキル)基の例としては、これに限定されないが、-CH2N(メチル)2、-CH2N(フェニル)(メチル)、-CH2N(エチル)(メチル)、-CH2CH2N(メチル)2、CH2CH2N(フェニル)(メチル)、-NCH2CH2(エチル)(メチル)などが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「ジアミノ-」という用語は、「-N(RA)RB-N(RC)(RD)」基を意味し、式中、RA、RC及びRDは独立して、本明細書で定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができ、RBは、2個の「N」基を結合し、(RA、RC及びRDとは独立して)置換された又は非置換のアルキレン基であることができる。RA、RB、RC及びRDは独立して、さらに置換される又は非置換であることができる。
本明細書で使用する場合、「ポリアミノ」という用語は、「-(N(RA)RB-)n-N(RC)(RD)」を意味する。説明のために、ポリアミノという用語は、-N(RA)アルキル-N(RA)アルキル-N(RA)アルキル-N(RA)アルキル-Hを含むことができる。いくつかの実施形態において、ポリアミノのアルキルは、本明細書の他の箇所で開示されている通りである。この例は反復単位を4個のみを有するが、「ポリアミノ」という用語は1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の反復単位からなり得る。RA、RC及びRDは独立して、本明細書で定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができ、RBは、2個の「N」基を結合し、(RA、RC及びRDとは独立して)置換された又は非置換のC1~C6アルキレン基であることができる。RA、RC及びRDは独立して、さらに置換される又は非置換であることができる。本明細書に記載するように、ポリアミノは、介在アルキル基(アルキルは本明細書の他の箇所で定義される通りである)を有するアミン基を含む。「n」が指定されていない場合、これらの定義に記載されている最も広い範囲が想定される。
本明細書で使用する場合、「ジエーテル-」という用語は、「-ORBO-RA」基を意味し、式中、RAは、本明細書で定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができ、RBが2個の「O」基を結合し、置換又は非置換のアルキレン基であることができる。RAは独立して、さらに置換されていても又は非置換でもよい。
本明細書で使用する場合、「ポリエーテル」という用語は、繰り返し-(ORB-)oORA基を意味する。説明のために、ポリエーテルという用語は、-Oアルキル-Oアルキル-Oアルキル-Oアルキル-ORAを含むことができる。いくつかの実施形態において、ポリエーテルのアルキルは、本明細書の他の箇所で開示されている通りである。この例は反復単位を4個のみを有するが、「ポリエーテル」という用語は1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の反復単位からなり得る。RAは、本明細書で定義するように水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)又はヘテロシクリル(アルキル)であることができる。RBは、置換された又は非置換のC1~C6アルキレン基であることができる。RAは独立して、さらに置換されていても又は非置換でもよい。本明細書に記載するように、ポリエーテルは、介在アルキル基(アルキルは本明細書の他の箇所で定義される通りであり、置換されていてもよい)を有するエーテル基を含む。「○」が指定されていない場合、これらの定義に記載されている最も広い範囲が想定される。
置換基の数が明記されていない場合(例えばハロアルキル)、1個以上の置換基が存在し得る。例えば、「ハロアルキル」は、1個以上の同じ又は異なるハロゲンを含み得る。別の例として、「C1~C3アルコキシフェニル」は、1個、2個又は3個の原子を含有する、同じ又は異なるアルコキシ基を1個以上含み得る。
本明細書で使用する場合、ラジカルは、ラジカルを含有する種が別の種に共有結合することができるように、単独の不対電子を有する種を示す。したがって、この文脈において、ラジカルは必ずしもフリーラジカルではない。むしろ、ラジカルは、より大きな分子の特定の部分を示す。「ラジカル」という用語は、「基」という用語と互換的に使用することができる。
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、1)表面を共有結合的に修飾すること、2)その後、修飾された表面からペンダントされた(ぶら下がった)ゲスト部分にホスト分子を結合させることの、2ステップ工程に関する。本明細書の他の箇所で開示するように、ホスト分子は、表面上に独特の及び/又は異なる物理的及び/又は化学的特性をもたらすように選択することができる。いくつかの実施形態において、表面を化学的に修飾するための2ステップ工程によって、材料の本来の化学的性質を変化させることができ、結合したホスト分子を使用する際に、表面特性を変更することができる。いくつかの実施形態において、ホスト-ゲスト単位による官能化によって、変化した表面特性を提供する直接的な手法を欠いている表面化学の分野に、即時の影響がもたらされる。いくつかの実施形態において、この手法は、様々な産業用途向けの実用化に、例えば商業的クリーニング又は個々のユーザによるジェムストーンのクリーニングにおいて適している。
いくつかの実施形態において、このナノ分子層の設計における戦略は、一たび表面に結合すると検出できないままであるということである。いくつかの実施形態において、例えば表面(例えばジェムストーン又は本明細書の他の箇所に開示されている他の表面)が修飾されたことは、肉眼及び/又は(約10倍、20倍、30倍など以上の倍率で)小型拡大鏡には、視覚的に示されない。いくつかの実施形態において、例えば表面が修飾されたことは、肉眼及び/又は(約10倍、20倍、30倍など以上の倍率で)小型拡大鏡には、視覚的に示されない。
本明細書の他の箇所に開示されているように、いくつかの実施形態において、表面はジェムストーンである。いくつかの実施形態において、ジェムストーンはダイヤモンドである。
いくつかの実施形態において、アンカー分子は、完全に又は主に炭素から構成されている。いくつかの実施形態において、アンカーとひとたび共有結合すると、原子的に、元の炭素系表面(例えばダイヤモンド)の化学的構成が保存される。いくつかの実施形態において、化学的に類似したアンカーを使用すると、表面(例えばダイヤモンド、他のジェムストーン又は他の表面)の外観を有利に維持している、表面上の表面アンカーの検出が困難になる。表面がダイヤモンドの表面であるいくつかの実施形態において、ダイヤモンドの透明度及び/又は色は、分子コーティングの適用後に実質的に変化しない。例えば、いくつかの実施形態において、Dのカラー等級を有するダイヤモンドは、コーティング後にDのカラー等級のままである。いくつかの実施形態において、VVS2の透明度を有するダイヤモンドは、コーティング後もVVS2の透明度のままである。
図1Aは、本明細書に開示する実施形態を示す。図示するように、いくつかの実施形態において、表面は、宝飾品に取り付けられたダイヤモンドの表面である。ダイヤモンドは、図1Bに示すように、炭素原子100の格子から構成されている。宝飾品のダイヤモンドが摩耗又は保管されると、疎水性炭素格子100はグリース及び垢を引き付け始める。時間が経つにつれて、グリース及び垢が蓄積し、ダイヤモンドの光輝性を曇らせる。この蓄積を、ダイヤモンドについて図1C~図1Gに示す。図1C及び図1Eはそれぞれ、清浄なダイヤモンドの写真及びASET画像を示す。図1D及び図1Fは、汚損したダイヤモンドの写真及びASET画像をそれぞれ示す。留意され得るように、図1D及び図1Fは、図1C及び図1Eの清浄なダイヤモンドよりも光沢及び光輝性が低い。図1Gは、蓄積したほこり及び垢を示す、汚染ダイヤモンドの代表的なSEM画像を示す(矢印を参照)。スケールバーは、2mm及び200μmを示す。このほこり及び垢の蓄積並びに/又は付着物は、ユーザの宝飾品に対する喜びを著しく低下させるおそれがある。
この蓄積は、ダイヤモンドの表面が本質的に疎水性であることに、少なくとも部分的に起因して起こる。疎水性表面として、蓄積は(指紋からの)しみ、油、グリース及び垢などの疎水性残渣を引き付ける。ダイヤモンドは本来グリースを引き付ける(親油性)が、水をはじく(疎水性)。このことが、ダイヤモンド宝飾品に消費者を引き付ける煌めきと光輝性が、ショールームを離れるとすぐに失われる理由である。ヒトの指が触れるだけで、油及びローションを清浄な結晶表面に移すおそれがある。結晶がこれらの化学物質によって汚損されると、ほこり、タンパク質又は他の細片が結晶に非特異的に結合しやすくなり、それによってその輝きのある魅力を低下させる可能性がある。この蓄積は、目視検査並びにASET分析によって明白であり、図1C~図1Gに示すようにSEMで観察できる。同様の問題は、本明細書に開示される戦略も適用できる他の表面(例えば眼鏡、窓など)で起きることがある。
ダイヤモンド及び/又は他の表面から蓄積したグリース及び垢をクリーニングするための従来の対応策が2つある。第1の対応策は、専門的及び/又は商業的である。宝石商は、超音波洗浄器及び/又は非極性溶媒を含むクリーニング液を使用して汚損した石をクリーニングすることができる。クリーニング後、ダイヤモンドの光輝性と輝きが復元される(例えばそれらはショールームで見られるように新しい)。しかし、ダイヤモンドは疎水性であるため、ユーザがショールームを離れるとただちにグリース及び垢が蓄積し始める。第2の対応策は、家庭用クリーニング製品からなる。多くの家庭用クリーナーが存在し、様々な成功度で作用する。ほとんどの場合、ダイヤモンドは、ショールームのような新しいストーンの光輝性を復元するほど十分にはクリーニングされない。さらに、現在の対応策は復元的であるにすぎず、これは光輝性の改善がすぐに失われ始めることを意味する。図1Hは、ダイヤモンドの従来のクリーニングを示し、クリーニングの数ヶ月以内にダイヤモンド表面の汚染が生じる。
日常使用のための宝飾品の初期状態の光学特性の維持は、大きな課題である。クリーニングには、化学溶液及び特殊ツールを用いた反復的で単調な作業が必要である。完成した宝飾品は、多くの異なるサイズのストーン、及びストーンとセッティングとの間の閉鎖空間によって物理的に複雑であることが多い。(週2回を超える)化学的浸漬と、研磨機械的作用(軟質歯ブラシなど)とを組み合わせて、とりわけ最も多くの汚染物質を集める傾向がある、ダイヤモンドの裏面のような手が届きにくい場所で残存するほこりを除去することによって、家庭で継続的メンテナンスを行うことができる。又は、超音波洗浄器が専門的に使用され、ホームユーザに販売されている。このようなクリーナーは、ダイヤモンドに蓄積したほこり及び垢をより効果的に除去することができるが、過度に物理的に破壊的であり、セッティングからストーンを取り外してしまうおそれがある。取り付けられたストーンの超音波クリーニングを繰り返すと、互いに隣接してセットされたダイヤモンドのガードルが欠け、最終製品に不可逆的な損傷をもたらすおそれがある。多くの最終消費者は、実用的で実行可能な代替案がないという理由だけで、メンテナンスに興味を失い、慢性的に汚損された宝飾品に甘んじている。記載されている現行のクリーニング方法はいずれも受動的又は後処理のどちらかであり、有害物質の存在した後にその物質を除去し、いずれもピースの即時の再汚染を防止しない。
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、表面コーティングを提供することによってこれら又は他の問題を解決する。いくつかの実施形態において、分子ナノテクノロジーが使用される。いくつかの実施形態において、分子技術は、表面の本来の表面の化学的性質及び/又は表面の物理的特性を変化させる。ダイヤモンド(及び/若しくはいくつかの他のジェムストーン又は表面)は、大部分が化学的に不活性であり、汚染を防止するためのコーティングが困難である。これまで、親水性コーティングをダイヤモンド表面に直接付着させる技術は効果的ではなかった。例えば、ダイヤモンドはコーティングとの相互作用に抵抗し得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンド(又は他のジェムストーン)の表面の化学的性質を変更することができる。例えば、ダイヤモンドは疎水性である。いくつかの実施形態において、アンカー、次いでホスト分子で分子官能化することによって、親水性コーティングを有するダイヤモンドを作製することができる。いくつかの実施形態において、親水性コートダイヤモンドは、グリース及び垢をはじくのに適している。この修飾によってコーティングされたジェムストーンが得られ、このジェムストーンは、ほこり及び油をより長期間にわたってはじき、ダイヤモンド又はジェムストーン表面の汚染を(図1Iに示すように)防止又は遅延する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示する処理済みジェムストーン(例えば分子コーティングされたダイヤモンド)は、(図1H及び図1Iに示す)未処理のジェムストーンよりも長期間(例えば数日間、数週間及び数ヶ月間)にわたって、その光輝性、煌めき、光沢及びシンチレーションを保持する。さらに、現在の機械的又は化学的クリーニング法はすべての汚染物質を完全に除去するわけではないが、本明細書に開示する分子層は、グリースの蓄積からジェムストーン表面を保護し、光学的品質を与える。いくつかの実施形態において、処理済みジェムストーン(例えばダイヤモンド)は、少なくとも約1週間、2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の期間、又は上述の値を含む及び/又はそれらに及ぶ範囲の期間にわたって、通常の装着条件下でショールーム品質の光沢を保持する。この驚くべき予想外の改善は、未処理ダイヤモンドがクリーニングのほぼ直後に外観を曇らせる物質を蓄積し始めることを考慮すると、重要である。簡潔にするために、コーティングが適用される例示的な表面として、ダイヤモンド及び他のジェムストーンを使用する。しかし、本明細書に開示する戦略は、炭素質ではない表面を含む他の表面と共に使用するものであることを認識されたい。開示されたコーティングのための複数の他の用途を本明細書で提供する。
図2A~図2Dは、(本明細書に開示する実施形態に従って官能化することができるジェムストーン表面の非限定的な例として)ダイヤモンド用のナノ分子層(例えばホスト-ゲスト単位を含む可逆的リフトオフ層)を提供する方法の概略図を示す。いくつかの実施形態において、図2Aに示すように、ダイヤモンド表面100が提供される。いくつかの実施形態において、図2Bに示すように、ダイヤモンド表面100はアンカー分子200で官能化されている。いくつかの実施形態において、図2Bに示すように、アンカー分子は、ダイヤモンド表面と相互作用するアンカー部分201及びゲスト部分202を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、未被覆ダイヤモンド表面は、ダイヤモンドと反応して1つ以上のペンダントゲスト基(例えばアダマンチル基など)を有するアンカー単位を提供する、分子カルベンのインサイチュー形成によって共有結合的に官能化される。いくつかの実施形態において、図2Cに示すように、官能化ダイヤモンド表面(又は他のジェムストーン)を親水性結合剤250(例えば分子ホスト分子)に曝露することができる。いくつかの実施形態において、例えば官能化表面は、後続のβ-シクロデキストリン(例えばホスト)の付着のための受容体(例えばペンダントゲスト)を生成する。いくつかの実施形態において、図2Dに示すように、親水性結合剤は、例えば(図示するような)ゲスト-ホスト相互作用を介して、アンカー分子のゲスト部分202に結合する。いくつかの実施形態において、ホスト分子250は、アンカー分子200のゲスト部分202を収容する空洞251(例えばポケット、開口部、空隙など)を含む。いくつかの実施形態において、共有結合、イオン結合又は化学吸着が生じて、ホストをゲストに結合する。いくつかの実施形態において、図2Dに示すように、コートダイヤモンド149が得られる。いくつかの実施形態において、図2Dに示すように、ダイヤモンドは、ダイヤモンド基材に付着した薄い単層(例えばナノ分子層)によってこのように官能化され、ダイヤモンド表面の界面特性を変化させる。いくつかの実施形態において、アンカーコーティングは1分子の厚さである。いくつかの実施形態において、ホストはアンカー分子のゲスト部分に適合し、ナノ分子層は1分子の厚さ(例えばアンカー-ゲスト分子の厚さ
)である。
ここでは親水性ホスト分子の例示としてβ-シクロデキストリンを使用しているが、他のホストを使用することもできる。同様に、β-シクロデキストリンは、調整した特性を提供するために置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、β-シクロデキストリンホストは、C1~C6アルキル、C1~C6アルケニル、C1~C6アルキニル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、一置換アミン(アルキル)、二置換アミン(アルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基、及びポリエーテル基から個別に独立して選択される1つ以上の基(単数又は複数)によって(例えばβ-シクロデキストリンのヒドロキシルを介して、又はβ-シクロデキストリンのヒドロキシルの置換を介して)置換されていてもよい。
いくつかの実施形態において、シクロデキストリン環のサイズは、特定の化学標的に対する特異性を増加又は低減するように調整することができる。α(アルファ)-シクロデキストリンは内径0.56 nmの6員糖環分子であり、β(ベータ)-シクロデキストリンは内径0.7 nmの7員糖環分子であり、γ(ガンマ)-シクロデキストリンは内径0.88 nmの8員糖環分子であり、これら3つはすべて米国食品医薬品局により安全性が承認されている。いくつかの実施形態において、ゲスト部分は、アルファ、ベータ又はガンマ種に適合するように、より良好に一致するように調整することができる。いくつかの実施形態において、所望の疎水性空洞サイズを得るために、任意の数の糖分子を使用することができる。いくつかの実施形態において、アダマンタンケージは、β(ベータ)-シクロデキストリンの空洞径と一致し、非常に安定な包接錯体を形成する。いくつかの実施形態において、より小さいアンカー分子をα(アルファ)-シクロデキストリンと共に、又はより大きいアンカー分子をγ(ガンマ)-シクロデキストリンと共に使用することができる。
いくつかの実施形態において、すべての表面部位(例えばゲスト)がホスト分子で官能化されているわけではない。いくつかの実施形態において、少なくとも約1:1、2:1、4:1、10:1のゲスト対ホスト比、又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲で耐ほこり性及び耐垢性表面が得られる。いくつかの実施形態において、すべてのアンカー分子がゲストを含むわけではない。したがって、非ゲスト含有アンカー分子を使用して、ゲスト部分を互いに所望の距離だけ離間することができる。いくつかの実施形態において、少なくとも約:1:1、2:1、4:1、10:1のアンカー(ゲストを含む又は含まない)対ホスト比又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲で耐ほこり性及び耐垢性表面が得られる。いくつかの実施形態において、約0.5nm、1 nm、1.6 nm、2 nm、3 nm、5 nm、10 nm以上の又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲の距離による、ダイヤモンドの表面の2つのゲスト分子。
いくつかの実施形態において、1を超える種類のホスト分子を使用して、単一の表面を官能化して、様々な表面特性を生じさせることができる。例えば、いくつかの実施形態において、非置換β-シクロデキストリンと置換β-シクロデキストリンとの混合物が使用される。いくつかの実施形態において、ゲスト部分は、複数のホスト分子(図示せず)を収容するための単一又は複数の種類のゲスト部位を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の結合剤(例えば1つ以上のホスト)又はゲスト分子を変化させることによって、疎水性、親水性及び/又は両親媒性である表面を得ることができる。いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーン上の水の接触角は、約0°、1°、2.5°、5°、10°、12°、15°、20°又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲以下である。いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーン上の水の接触角は、コーティング前のジェムストーン上の水の接触角よりも50%、75%、90%、95%、99%(又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲)小さい。いくつかの実施形態において、コーティングされたジェムストーン上の水の接触角は、未コーティングジェムストーン上の水の接触角に対して、約20°、40°、50°、60°以上又は上述の値を含む及び/若しくはその範囲で変化する。
いくつかの実施形態において、図3A~図3Dに示すように、宝飾品にセッティングする前にダイヤモンドを官能化することができる。他の実施形態において、ダイヤモンドは、宝飾品(例えばリング又はペンダント)にはめ込んだ後に官能化することができる。いくつかの実施形態において、ジェムストーンはアンカーと反応する表面を有するが、セッティングは有さない。いくつかの実施形態において、セッティングは、コーティング工程によって損傷又は変化を受けない。
図3A及び図3Bに示すように、カットダイヤモンド300は、反応性非連結アンカー分子204の浴に配置することによって、アンカー分子でコーティングすることができる。いくつかの実施形態において、アンカー分子200は、ダイヤモンド100の表面の原子に結合される。いくつかの実施形態において、アンカー分子はダイヤモンド表面に共有結合する。いくつかの実施形態において、アンカー分子200は疎水性である。いくつかの実施形態において、図3Cに示すように、アンカー官能化ダイヤモンド350は、次いでホスト分子250によって処理される。いくつかの実施形態において、ホスト分子はアンカー分子のゲスト部分(図3Cに示さず)に結合し、アンカー分子を介してダイヤモンドに結合する。いくつかの実施形態において、ホスト分子は親水性である。いくつかの実施形態において、ホスト分子は、ダイヤモンド表面に所望の物理的特性(例えば未被覆ジェムストーンなどとは異なる親水性、両親媒性、疎水性)を付与する。いくつかの実施形態において、ホスト分子は、これに限定されないが、修飾された光学特性(即ち可逆的な着色、UV遮断又は光沢の増強)などの外部仕様を満たすように化学修飾されている。いくつかの実施形態において、ホスト分子がひとたび結合すると、ダイヤモンドの表面化学的性質が変化する。いくつかの実施形態において、図3Dに示すように、コートダイヤモンド380の色及び全体的な外観は、(図3Aに示すように)未処理ダイヤモンド300と同一又は実質的に同一であることができる。
いくつかの実施形態において、アンカー官能化ダイヤモンドは、式Iによって表すことができ:
Figure 2022517124000031
式中、Sは表面を表し、Aはアンカー部分であり、XはAに共有結合したゲスト官能基(又は特性付与官能基)であり、mは1~5の整数(例えば1、2、3、4又は5)である。図2B~図2Dは、mが1であり、単一のXゲスト官能基が単一のアンカー部分に(例えば共有結合的になど)結合している実施形態を示す。図5Eは、mが2であり、2個のXゲスト官能基が単一のアンカー部分に結合している実施形態を示す。
本明細書の他の箇所に開示されるように、いくつかの実施形態において、以下の式I’に示すように、複数の異なるタイプのホストを単一のアンカー部分に使用してよく:
Figure 2022517124000032
式中、Sは表面であり、Aはアンカー部分であり、XはAに共有結合した第1のゲスト官能基(又は特性付与官能基)であり、X’はAに共有結合した第2のゲスト官能基(又は特性付与官能基)であり、X’はXとは異なり、mは1~5の整数であり、m’は1~5の整数(例えば1、2、3、4又は5)である。いくつかの実施形態において、m’は、0(例えばコーティングされた表面が式Iを含む)である。スペースの関係で示していないが、Aに共有結合した追加のゲスト官能基(又は特性付与官能基)を有する追加の式が想定される(例えばそれぞれX’’、X’’’、X’’’’、X’’’’’、及びm’’、m’’’、m’’’’、m’’’’’)。
いくつかの実施形態において、Sは、アレキサンドライト、アメジスト、アクアマリン、シトリン、ダイヤモンド、エメラルド、ガーネット、ヒスイ、ラピスラズリ、ムーンストーン、モルガナイト、オニキス、オパール、パライバ、パール、ペリドット、ルベライト、ルビー、サファイア、スピネル、タンザナイト、トパーズ、トルマリン、ターコイズ及びジルコンからなる群から選択されるジェムストーンの表面であることができる。いくつかの実施形態において、Sは、プラスチック材料の表面、壁、窓、レンズ、医療機器、床などであることができる。
いくつかの実施形態において、アンカー部分Aは、置換されていてもよいアリール基又は(ビス)アリール基を含む。いくつかの実施形態において、アンカー部分Aは、以下の式の1つ以上によってさらに表すことができ:
Figure 2022517124000033
式中、*はXへの結合を示し、
Figure 2022517124000034
はSへの結合を示し、R1~R12はそれぞれ独立して、-H、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよいC1~C10アルキル(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C10アルキニル、C1~C10アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C18ハロアルキル、C1~C10ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、二置換アミン(C1~C10アルキル)(式中、C1~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、ジアミノ基、ポリアミノ基、ジエーテル基及びポリエーテル基から選択される。「*」は上記の
Figure 2022517124000035
への結合に対してパラ位に示されているが、いくつかの実施形態において、「*」はメタ位又はオルト位にあってもよい。いくつかの実施形態において、表面への直接結合の代わりに、アンカーは、C1-10アルキレンを介して表面に結合されてもよい。
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、式AIII及びAIVに示すように、1を超えるゲスト分子をアンカーからペンダントさせる(ぶら下げる)ことができ:
Figure 2022517124000036
式中、R5~R12はそれぞれ独立して上で定義した通りであり、及び/又は-H、ハロゲン若しくはヒドロキシによって置換されていてもよい C1~C6アルキル、ハロゲン若しくはヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルケニル、ハロゲン若しくはヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキニル、C1~C6アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C6アルキル)、二置換アミン(C1~C6アルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基から独立して選択される。式AIIIでは、Xは上記のメチンへの結合に対してパラ位に示されているが、いくつかの実施形態において、Xはメタ位又はオルト位にあってもよい(例えば左側環のXは、その位置をR5~R8のいずれか1つと交換することができ、右側環のXは、その位置をR9~R12のいずれか1つと交換することができる。)。式AIVでは、X及びX’は上記のメチンへの結合に対してパラ位に示されているが、いくつかの実施形態において、X又はX’はメタ位又はオルト位にあってもよい(例えばXは、その位置をR5~R8のいずれか1つと交換することができ、X’は、その位置をR9~R12のいずれか1つと交換することができる。)。
いくつかの実施形態において、X又はX’は、以下の基:アダマンチル、ヨード(-I)、ニトロ(-NO2)、ナフチル、アントラセニル、ペルフルオロオクタン酸、ピロニンY、ピロニンB、カルボラニル、フェロセニル、アゾベンゼン、トリシクロオクチル及びペルフルオロオクチルの1つ以上から独立して選択される。いくつかの実施形態において、ゲスト部分は、そのサイズ及びシクロデキストリン空洞内に存在する能力に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、X又はX’は、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アリールの1つ以上から独立して選択される。原則として、シクロデキストリン又は関連する超分子ホスト/ゲスト化合物の疎水性空洞に適合できる分子は、アンカー(及び/又はアンカーのゲスト部分)として用いることができる。いくつかの実施形態において、X又はX’は、以下の1つ以上によって構造が表されるものから選択されてよく:
Figure 2022517124000037
Figure 2022517124000038
式中、*はAへの結合を表し、tは0~5の整数(例えば0、1、2、3、4、5又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲)である。いくつかの実施形態において、X’はHである。いくつかの実施形態において、X又はX’は、シクロデキストリンの疎水性空洞よりも小さいか、又はより小さい部分を有する任意の化学種から選択され得る。いくつかの実施形態において、X又はX’は、Aに官能化されている抗菌剤又は色素から選択され得る。
いくつかの実施形態において、アダマンチル、ペルフルオロオクタン酸、ピロニンY、ピロニンBは、独立して場合により置換されていてもよい。例えば、X基上に位置する各C-H又はC-F結合は、任意の置換によって置き換えられ得る。いくつかの実施形態において、アダマンチル、ペルフルオロオクタン酸、ピロニンY、ピロニンBはそれぞれ、-H、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキニル、C1~C6アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C6アルキル)、二置換アミン(C1~C6アルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基から独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。
いくつかの実施形態において、Xは以下であり:
Figure 2022517124000039
式中、R13の各例は、-H、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキニル、C1~C6アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C6アルキル)、二置換アミン(C1~C6アルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基から独立して選択される。
いくつかの実施形態において、Xはペルフルオロオクチルである。いくつかの実施形態において、-A(X)は、以下によって表される:
Figure 2022517124000040
いくつかの実施形態において、ペルフルオロ化炭素がX(又はX’)として提供される場合、この鎖の長さは任意の長さであることができ、一般により長い鎖がより疎油性の挙動を付与する。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、鎖長は1~8炭素単位の範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、鎖長は2~12炭素単位の範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、鎖長は12~18炭素単位の範囲である。いくつかの実施形態において、これらの化合物は、例えば以下の試薬(例えば4,4’-(ジアゾメチレン)ビス(ペルフルオロオクチル)ベンゼン)を使用して、カルベン法によって表面に結合される:
Figure 2022517124000041
いくつかの実施形態において、これらの化合物は、例えば以下の試薬の1つ以上を使用して、カルベン法によって表面に結合される:
Figure 2022517124000042
Figure 2022517124000043
いくつかの実施形態において、アンカー/ゲストモチーフは、以下の構造の1つ以上によって表される:
Figure 2022517124000044
いくつかの実施形態において、アンカー/ゲストモチーフは、本明細書の他の箇所に開示されるカルベン試薬のいずれか1つ以上によって表される。
アンカースペーサ単位が使用されるいくつかの実施形態において、アンカーモチーフは、以下の1つ以上によって表され得る:
Figure 2022517124000045
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、コーティングされた表面はホスト分子をさらに含む。いくつかの実施形態において、結合したホスト分子を有するコーティングされた表面は、式IIによって表され:
Figure 2022517124000046
式中、ホストはYで表され、qは1~5の整数である。いくつかの実施形態において、qはmと同じである。いくつかの実施形態において、qはmより小さい整数である。
いくつかの実施形態において、ホスト「Y」はシクロデキストリンを含むことができる。いくつかの実施形態において、「Y」は置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、「Y」は、以下の構造を含むシクロデキストリン(例えばα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンなど)によって表され:
Figure 2022517124000047
式中、「p」は1~8の整数であり、「(_)」は、示されていないシクロデキストリンの置換されていてもよいグルコピラノシド単位を表し、R14~R16はそれぞれ、-H、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC1~C6アルキニル、C1~C6アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1~C12ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、一置換アミン(C1~C6アルキル)、二置換アミン(C1~C6アルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基から独立して選択される。いくつかの実施形態において、R14~R16は、シラノール(例えば-OSi(OH)2O-)を介してシクロデキストリンコアに官能化された、上で開示した基の1つ以上を含む。
いくつかの実施形態において、例えばシクロデキストリンを修飾する化学的方法を用いて、表面アルコール部位に結合したシクロデキストリンにペルフルオロ化炭素鎖を付加することができる。いくつかの実施形態において、ホストYは、以下:
Figure 2022517124000048
を含む。
いくつかの実施形態において、上で示したように、Yはフルオロカーボン修飾シクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、シラン部分を使用して、フルオロカーボン鎖を結合させることができる。いくつかの実施形態において、他のカップリング結合(例えばエステル、アミド、直接炭素結合、エーテル、チオエーテル、架橋配位錯体、又はクリックケミストリー連結体)を使用することができる。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンに官能基をカップリングする方法は、NHS/EDCカップリング又は「クリック」ケミストリー手法を含み得る。いくつかの実施形態において、他の化学的手法(ビニル基対ヒドロキシル)も使用することができる。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンのすべてのヒドロキシル官能基の部分的又は完全な官能化を使用することができる。いくつかの実施形態において、性能に対する追加の制御を付与するために混合官能性を使用することができる。いくつかの実施形態において、この官能化シクロデキストリンは、単一ステップで長期持続性調製表面をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、修飾されたbCDは、配合に応じて水不溶性であり得る。
図4A~図4Cは、ジェムストーンに結合していないと考えられるアンカーゲストモチーフ(図4A)、図4Aのゲストとホストとの間の相互作用(図4B)及び空間充填構造図におけるホストとゲストとの間の相互作用(図4C)を示す。いくつかの実施形態において、ジェムストーンとの反応の前に、アンカー分子及びゲスト分子200は、図4Aに示すように、4-(1-アダマンチル)アニリンを含む。
いくつかの実施形態において、アンカー官能化表面をもたらすために表面と混合された前駆体アンカー/ゲストモチーフは、カルベンである。いくつかの実施形態において、カルベンは、以下の式:
Figure 2022517124000049
の1つ以上を有する。
いくつかの実施形態において、カルベンは、本明細書の他の箇所に開示される、ジアゾ前駆体から調製される。いくつかの実施形態において、(例えば一致するジアゾ化合物から調製されるような)カルベンは、4-(1-アダマンチル)フェニルカルベン又は1,1’-((メチレン-カルベン)ビス(4,1-フェニレン))ビス(メタクリダマンタン(methladamantane)):
Figure 2022517124000050
を含む。
いくつかの実施形態において、アダマンチル基(ペンダントゲスト基)を提示する他の化合物又は同様の形状のゲストを使用することができる。いくつかの実施形態において、ゲスト分子200は、市販のアンカー分子400である。
いくつかの実施形態において、連結されていないアンカー分子は、これらを共に少なくとも約127℃の温度に加熱することによって、ダイヤモンドに結合される。いくつかの実施形態において、連結されていないアンカー分子は、少なくとも約80℃、110℃、125℃、150℃、180℃、200℃の温度、上述の値の間の値、それらの値を含む及び/又はそれらの値に及ぶ範囲まで、又はその他であろうと、これらを共に加熱することによって、ダイヤモンドに結合される。いくつかの実施形態において、加熱によりジアゾ基から窒素が遊離してカルベンが得られ、次いでカルベンは表面(例えばダイヤモンド表面)と反応する。
いくつかの実施形態において、図2Bに示すように、アンカー分子は、単一アンカー部位201又は複数のアンカー部位(図示せず)を含む。いくつかの実施形態において、アンカー分子は、図2Bに示すように、単一のゲスト部位202又は複数のゲスト部位(図5Aに示す)を含む。いくつかの実施形態において、アンカー部位はアミン基401(図4Aに示す)である。いくつかの実施形態において、ゲスト部位は、フェニル基403の4位にそれぞれ結合したアダマンタン系基402である。いくつかの実施形態において、アンカー分子は、単分枝の市販のアンカー分子(例えば4-(アダマンタン-1-イル)アニリン、類似のゲストなど)である。いくつかの実施形態において、アダマンタンゲスト部位402は、図4Bに示すように、ホスト分子450のポケット451を介して、ホスト分子450に可逆的に結合する。いくつかの実施形態において、ホスト分子はシクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、ホスト分子は、図示するように、β-シクロデキストリン450である。いくつかの実施形態において、図4Cに示すように、ゲスト部位402は、ホスト分子と分子間相互作用を形成して、図4Bの骨格構造形態に示すように、ゲスト-ホスト相互作用を形成する。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されているように、アンカー分子に結合する前に、β-シクロデキストリンをさらに官能化して、ダイヤモンドの表面の化学的性質を調整することができ、具体的には、ダイヤモンドを多少、親水性にすることができる。いくつかの実施形態において、ゲスト分子250、450上の曝露されたヒドロキシル基の修飾又は部分修飾は、表面分子(例えばゲスト分子)の可逆的結合の前及び/又は後の表面特性のカスタマイズを可能にする。例えば、シクロデキストリンを例として使用すると、以下の基:C1-6アルキル、ポリエーテル(例えばトリエチレングリコール、オリゴエチレングリコール、ポリエチレングリコール)などの1つ以上を、シクロデキストリンの表面ヒドロキシルに共有結合させることができる。
いくつかの実施形態において、アンカー/ゲスト単位は、グリニャール試薬を使用してグリニャール反応を介してジェムストーンに官能化される。いくつかの実施形態において、グリニャール試薬は、アンカー/ゲスト単位に結合した有機金属ハロゲン化マグネシウムである。いくつかの実施形態において、ジェムストーンとの混合時に、グリニャール試薬はアンカー/ゲスト単位をジェムストーン表面にカップリングさせる。いくつかの実施形態において、以下の式の1つ以上によって表されるグリニャール試薬を使用して、アンカー/ゲストコーティングされたジェムストーンが調製される:
Mg(A(X)m)Cl、Mg(A(X)m(X’)m’Cl、Mg(A(X)m)Br、Mg(A(X)m(X’)m’)Br、Mg(A(X)m)I、Mg(A(X)m(X’)m’)I
式中、A、X、X’、m及びm’は、本明細書の他の箇所に開示されている通りである。
いくつかの実施形態において、アンカー分子200の末端のペンダントアダマンタン基は、β-シクロデキストリン450の受容体として作用する。いくつかの実施形態において、官能化ダイヤモンドをβ-シクロデキストリンで処理して、ダイヤモンド表面にシクロデキストリン官能基を露出させる、β-シクロデキストリン/アンカー錯体(又は結合体)を形成する。
いくつかの実施形態において、図5Aに示すように、アンカー分子500は、複数のゲスト部分502及び単一のアンカー部分501を含む多分枝構造を有する。いくつかの実施形態において、図5Aに示すように、アンカー分子は、それぞれフェニル基505の4位に結合したアダマンタンゲスト部位502の二重分枝構造500であり、2個のフェニル基は、アンカー分子のアンカー部分として作用する単一の付着点501にて共に末端をなす。図5Bは、シクロデキストリンの拡大図を示す。
図5Cは、ダイヤモンド(又は他のジェムストーン)の直接官能化の概略図を示す。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、カルベンは、ジアゾ化合物から溶液中で生成される。いくつかの実施形態において、カルベン(又はカルベンを生成するカルベン前駆体)を溶液中でジェムストーンと混合して、ジェムストーンを官能化する。いくつかの実施形態において、カルベン溶液(及び/又は又はカルベン前駆体溶液)をジェムストーンに塗布する、又はジェムストーンを溶液に浸漬する(又は部分的に浸漬する)。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されているように、カルベン溶液(及び/又は又はカルベン前駆体溶液)をジェムストーンと共に加熱して、ジェムストーンをアンカー/ゲスト分子で官能化する。いくつかの実施形態において、ジアゾ基を有する前駆体を穏やかに加熱して窒素(N2)として窒素基を放散させて、反応性カルベン中間体を残す。このカルベン基は、ダイヤモンド表面に急速に結合し、例えば、可逆的リフトオフレジスト層のためのアンカー層を形成する(図5Cの左パネル)。いくつかの実施形態において、標的分子は、溶液中のβ-シクロデキストリン(図5Cの中央パネルに示す)のゲストとして作用する2個のペンダントアダマンチル基を含む。最終結果は、ダイヤモンド表面にグラフトされたβ-シクロデキストリンの共有結合受容体の薄膜である(図5Cの右パネル)。
図5Dは、1,1’((ジアゾメチレン)ビス(4,1-フェニレン))ビスメチルアダマンタン)を使用したダイヤモンド(又は他のジェムストーン)の直接官能化の概略図を示す。図示するように、このジアリールジアゾ化合物は、2つの主成分:メチルアダマンタン(受容体部)及びカルベン前駆体(ジアリールジアゾ単位、アンカー部)を含有する。未被覆ダイヤモンド表面は、ペンダントアダマンチル基を有する分子カルベンのインサイチュー(その場での)形成によって共有結合的に官能化される。図5Eは、図5Dのβ-シクロデキストリン及びアンカー/ゲストモチーフの空間充填描写を使用した概略図を示す。いくつかの実施形態において、図5Eに示すように、ダイヤモンドの可逆的リフトオフ層は、ペンダントアダマンチル基を有する分子カルベンのインサイチュー形成(図5E、左パネル)によって共有結合的に官能化された未被覆ダイヤモンド表面(図示せず)から作製される。これは、その後のβ-シクロデキストリン(β-CD)の付着のための受容体を作り出す(図5E、中央パネル)。ダイヤモンドは、ダイヤモンド基材に付着した薄い単層レジストによってこのように官能化され、ダイヤモンド表面の界面特性を変化させる(図5E、右パネル)。
いくつかの実施形態において、図6A~図6Bに示され、本明細書の他の箇所に開示されるように、ジェムストーンへのアンカー分子の官能化は、この場合はX及びX’で表される、各フェニル基の4位に可変ゲスト基607、607’を有する前駆体604の使用を含む。いくつかの実施形態において、可変基は使用されず、同一のX基が使用される。いくつかの実施形態において、図5D及び図6Cに示すように、X基は両方ともアダマンチルであり、前駆体アンカー分子604のゲスト部分がビス(4-アダマンチルフェニル)になる。いくつかの実施形態において、前駆体アンカー分子のアンカー部分606は、結合されてジアゾメタン(例えば1,1’-((ジアゾメチレン)ビス(4,1-フェニレン))ビス(アダマンタン))を形成するジアゾ基である。いくつかの実施形態において、前駆体分子は、ビス(4-アダマンチルフェニル)ジアゾメタンである。
いくつかの実施形態において、図6Bに示され、本明細書の他の箇所に開示されるように、前駆体アンカー分子604’を高温(例えば130℃又はその付近)にて溶液中で反応させて、アンカー部分をダイヤモンド表面に結合する工程を開始する。いくつかの実施形態において、反応は、ジアゾメタンからジアゾ基606を除去することによって進行し、活性化されたアニオン性メチル基606’を生成する。いくつかの実施形態において、この活性化メチル基は、図6Dに示すように、ダイヤモンド表面と反応して、結合アンカー分子(例えば1,1’-ビス(4,1-フェニレン))ビス(アダマンタン))を形成する。いくつかの実施形態において、これはダイヤモンド表面に結合したビス(4-アダマンチルフェニル)アンカー分子610を形成する。
本明細書の他の箇所に開示されているように、図5Cに概略的に示されている、ダイヤモンド基材上に可逆的リフトオフ層を作製するための2ステップ工程を使用することができる。いくつかの実施形態において、第1のステップは、カスタム設計された「アンカー」分子(1,1’-((ジアゾメチレン)ビス(4,1-フェニレン))ビス(アダマンタン))(図6A))をダイヤモンドの表面(図6D)に共有結合することである。いくつかの実施形態において、化学気相成長(CVD)ダイヤモンド基材は、官能化用基材として(例えばダイヤモンド、他の宝石表面又は非宝石表面のモデルとして)使用される。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、アンカー分子はアダマンチル基(又は他の何らかのゲスト分子)を含む。いくつかの実施形態において、疎水性化合物をダイヤモンド表面(又は他の試験表面)に塗布し、次いで約100℃(及び/又は約:80℃、100℃、150℃、200℃以上又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲)まで穏やかに加熱する。特定の機構理論に束縛されるものではないが、いくつかの実施形態において、化学反応により、ジアゾ基が窒素ガスとして除去され、カルベンが形成される。いくつかの実施形態において、カルベンは次いで、水素末端ダイヤモンド表面と反応する。いくつかの実施形態において、化学反応は、適度な温度の真空炉内で行うことができる。
いくつかの実施形態において、表面に共有結合すると、ペンダントアダマンチルケージが基材に固定される(図6D)。いくつかの実施形態において、これらの基は、既知の最も強力な既知の超分子ホスト-ゲスト集合体の中で、β-シクロデキストリンとのホスト-ゲスト相互作用のためのゲストとして作用する。いくつかの実施形態において、基材を次いで親水性β-シクロデキストリン溶液に浸漬して、図5Eに概略的に示すβ-シクロデキストリン単層を形成できるようにする。β-シクロデキストリンは、危険性をほぼ引き起こすことのない、安価で水溶性の市販の化合物であり、いくつかの家庭用香料及び空気清浄剤(例えばファブリーズ(Febreeze)(商標))の有効成分である。
いくつかの実施形態において、図7Aに示すように、系は、ベルクロのように働き、ここでアンカー分子700は、ホスト分子750を付着させるためのフックとして働く。いくつかの実施形態において、アンカー分子700は、ホスト分子750を引き付けて固定する。いくつかの実施形態において、完成した官能化表面は、二層ベルクロリボンに似ており、アンカー分子(フック)がダイヤモンド表面に規則正しい単層として結合し、表面上のホスト分子(フェルト)の不規則な層に付着される。いくつかの実施形態において、処理表面の外面は親水性である。
いくつかの実施形態において、表面に結合したアンカーコーティングは永続的である。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、アンカーの親水性ホスト官能基は、ホスト-ゲスト包接錯体を介して結合される。いくつかの実施形態において、ホストは、ゲスト部分に付着しながら、本明細書の他の箇所に開示されているように、官能化することができる(図7B参照)。図示するように、いくつかの実施形態において、露出したOH基を修飾することによりカスタマイズが可能となる。いくつかの実施形態において、図示した種類のフルオロオクチル鎖を含むであろう。いくつかの実施形態において、-CH2OHヒドロキシルのみが官能化されている(及び/又は反応性である)。いくつかの実施形態において、ホストのアルコール部位を任意の官能性単位に官能化することができる。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されている任意の官能化技術が使用される。いくつかの実施形態において、示すように、反応性シランを気相中で結合させて官能化ホストを提供する。図7Bに示すように、官能化ホストはフッ素リッチ表面を含むことができる。いくつかの実施形態において、表面は真空チャンバ内に配置され、シランは表面上に液体(例えば液滴)として配置される。次いで、真空にほぼ一晩引いて官能化表面を作製することができる。
いくつかの実施形態において、(図7Bに示すような)官能化された表面の合成後の修飾は、構築物に疎油性(lipophobicity)を付与する。いくつかの実施形態において、次いで、アンカーで官能化された表面を気相シラン、例えばトリクロロ(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチル)シランに曝露する。いくつかの実施形態において、クロロシランは、表面又はアンカー(又はリングセッティングなどの存在し得る他の表面)と反応しないが、シクロデキストリン上のアルコール基と直接反応する。いくつかの実施形態において、この手法により、安価な気相反応剤を使用して、コーティングを単一ステップで容易にフッ素化することができる。いくつかの実施形態において、複数のクロロシラン又は関連する化学基を有する他の分子を使用して、表面をフッ素化化合物によって効果的に架橋し、膜の滞留時間及び耐久性を大幅に向上させうる。
いくつかの実施形態において、ホスト-ゲスト相互作用は本質的に永久的ではないため、ホストがゲストから分離され、コーティングの表面特性が経時的に劣化し得る。いくつかの実施形態において、有利には、メンテナンスステップを使用してホストを置き換えることができる。いくつかの実施形態において、メンテナンスステップを行って、親水性官能基(又はホストがそのような特性を有する場合は両親媒性若しくは疎水性官能基)を再導入することができる。
いくつかの実施形態において、官能化の可逆性は、本明細書の他の箇所に開示されているような1つ以上の実施形態を使用して達成される。いくつかの実施形態において、官能化の可逆性は、少なくともシクロデキストリンを除去できるようにして、表面(例えばダイヤモンド又は他のジェムストーン)の元の表面特性を復元することを含む、1つ以上の目標を達成することができる。いくつかの実施形態において、可逆性は破壊的又は非破壊的である。いくつかの実施形態において、ホストで官能化された表面を遊離ゲスト分子(例えばアンカーに結合していないもの)に曝露させて、ホストに競合的に結合させて、これを表面から除去することができる。いくつかの実施形態において、例えばダイヤモンドのアダマンチル含有アンカー上のシクロデキストリンホストを、アダマンタンを含有する溶液(例えば5ppmアダマンタンを含むエタノール/水混合物)中に置くことができる。いくつかの実施形態において、溶液相アダマンタンと表面結合アダマンタンとの間の競合は、可溶性溶液相錯体の形成を促進し、それによってダイヤモンドの元の表面特性を復元することができる。いくつかの実施形態において、受容体(例えばホスト)構造はダイヤモンド表面に残存する。又は、いくつかの実施形態において、シクロデキストリンの酸に基づく加水分解を用いてシクロデキストリンリンカーを加水分解する。シクロデキストリンリンカーを1回切断することによって、そのリンカーが直鎖炭水化物オリゴマーに変換され、オリゴマーは可溶化されて、もはや表面に影響を与えない。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは他の化学的手段、例えば、熱処理による又は過マンガン酸塩によるシクロデキストリンの酸化によって破壊することができる。
いくつかの実施形態において、アンカーの付着(結合)は可逆的又は分解性である。いくつかの実施形態において、カルベン法は、ダイヤモンド表面に炭素-炭素結合を生成する。いくつかの実施形態において、この結合の除去が望ましくないのは、この結合を除去する方法がダイヤモンド表面を損傷する可能性があるためである。しかし、加水分解性結合がアンカー部分に配置される場合、強酸(HCl、HNO3、H2SO4)による処理は、除去された加水分解性結合の上のすべてからアンカーを切断する。いくつかの実施形態において、ゲスト官能基又は特性付与官能基(例えばX)は、Aに可逆的又は分解可能に結合することができる。そのような化合物の一例をここに示す。
Figure 2022517124000051
いくつかの実施形態において、この化合物(又は他の分解可能に連結された化合物)は、本質的に同一に分解不能に結合されたゲスト-アンカーシステムを実施することができる。いくつかの実施形態において、アミド結合(C=ONH)結合は、強酸による処理によって切断され得る。いくつかの実施形態において、この切断の結果、ダイヤモンド表面に残留炭素が残るが、この追加の炭素は、いかなる科学的方法によっても容易に検出することはできず、窒素を含有しない。いくつかの実施形態において、アミド結合は、任意の他の加水分解性単位、例えばエステルで置き換えることができる。いくつかの実施形態において、金属/カルボン酸塩などのより化学的な系で置き換えることもできる。
いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、それらのホストの同一性(形状、サイズ、構造、化学的性質)に関連する結合定数を有する。いくつかの実施形態において、アダマンタン/bCD結合体は、特に強い対である。いくつかの実施形態において、β-シクロデキストリン空洞(キャビティ)よりも著しく大きいアンカー分子は、シクロデキストリンに十分に結合しないため、そのようなより大きいアンカーはβ-シクロデキストリンを感知できるほど引き寄せることはない。逆に、より小さいゲストは、β-シクロデキストリンとのはるかに弱く、より不安定な相互作用を有する。いくつかの実施形態において、この効果を利用して、表面上の異なるアンカーの比を変化させることにより、異なる材料を正確な量で共に配置することができる。
図7Cは、α、β及びγシクロデキストリンのサイズを比較する。図示するように、いくつかの実施形態において、ゲストのサイズは異なる。いくつかの実施形態において、異なるアンカー分子を付着させることによって、違いのある捕捉を達成することができる。いくつかの実施形態において、アダマンチルをβ-シクロデキストリン用フィッティングホストとして使用することができ、一方、より大きなゲスト(例えばアイサン、カルボラン)又はより小さなゲスト(例えばナフチル、トリシクロオクチル)をγ又はαシクロデキストリン用にそれぞれ使用することができる。いくつかの実施形態において、表面がカルベン法又は同様の手法によって官能化され、適切なサイズのアンカーが付着(結合)している場合、シクロデキストリンを溶液中で混合し、同時に表面に適用することができ、ここで、シクロデキストリンはその標的ホストと相互作用する。いくつかの実施形態において、アンカー単位の比率を変化させることによって、堆積材料の相対的な被覆率及び局所的な位置決めを厳密に制御することができる。
いくつかの実施形態において、図7Dに示すように、シクロデキストリンは、特定の「カーゴ」に付着するように合成前に修飾することができ、ここでカーゴは、シクロデキストリンに化学的に結合することができる任意の分子、ナノ粒子、元素、触媒、官能基、生体分子、タンパク質、ホルモン、材料又は物質を表す。いくつかの実施形態において、認識系集合体(recognition-based assenbly)によって、これらの要素の複雑な混合物を光輝手法(glisten approach)によって表面に付着できるようにするか、又は段階的手法によって材料を連続的に堆積させることができる。いくつかの実施形態において、ナノ粒子を使用してaCDを官能化する場合、代表的な例として、酵素をbCDにグラフト化し、DNA鎖をγCDに固定することができる。いくつかの実施形態において、表面上の比は、2:1:2として任意に選択されたため、カーゴはそのように識別された。いくつかの実施形態において、この技術を使用して、完全に直交する化学的性質を有する異なる要素を非共有結合的に固定することができる。いくつかの実施形態において、これらのような手法によって、分子触媒、抗体、ナノ粒子又はポリマーの表面への無官能基付着が可能になる。
いくつかの実施形態において、図8A~図8Hに示すように、表面官能基を付与する分子(例えばホスト分子、例えばβ-シクロデキストリン)は経時的に摩耗し、アンカー分子の一部が露出されたままになる800。いくつかの実施形態において、図8Bに示すように、汚損した又は老化した官能化ダイヤモンドは、石鹸及び/又はホスト分子850若しくはその誘導体の溶液890中に保持される。いくつかの実施形態において、石鹸がいずれの汚染物質(図示せず)も浮かせて、遊離ホスト分子850が遊離アンカーゲスト部分802に結合する。いくつかの実施形態において、官能基化及びコーティングされた表面がグリース及び垢によってひどく汚損されると、図8Dに示すように、ホスト分子850が表面から解離する。いくつかの実施形態において、汚損された表面は、図8Eに示すように、洗浄剤895を用いた化学処理によって元のアンカー官能化状態に戻すことができる。いくつかの実施形態において、洗浄剤は酸又は塩基である。いくつかの実施形態において、酸は、約3、2、1、0以下のpH、又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲を有する。いくつかの実施形態において、塩基は、約:11、12、13、14以上のpH、又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲を有する。いくつかの実施形態において、界面活性剤溶液中の残存する結合ホスト分子の加水分解により、(図8Fに示すように)膜から微量の結合ホスト分子がすべて除去される。いくつかの実施形態において、酸、塩基、及び/又は界面活性剤溶液による処理は、アンカー分子を実質的に除去しないか、又はさもなければアンカー分子に実質的に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態において、酸、塩基及び/又は界面活性剤溶液で処理した後、クリーニング済み表面896を、図8Gに示すように、ホスト分子850の再適用のための状態に復元する。いくつかの実施形態において、それにより、官能化ダイヤモンド表面849は、ホスト分子の結合層によって再仕上げされ、ホスト-ゲスト単位及び分子コーティング(例えば図7Aに記載されている構造)を修飾する。
いくつかの実施形態において、ダイヤモンド表面をショールーム状態に維持するために、クリーニング及び/又は再官能化工程(ホスト分子を使用)を毎月、毎週、又は毎日実施することができる。いくつかの実施形態において、ホスト分子(並びに/又はホスト分子及び界面活性剤)の溶液を使用して、被覆の任意のギャップを充填することができる。いくつかの実施形態において、酸及び/又は塩基溶液並びにホスト分子(及び/又はホスト分子及び界面活性剤)の溶液を並行して使用して、ダイヤモンドへのコーティング(例えば親水性コーティング)を完全に再生することができる。いくつかの実施形態において、再生は、ユーザが自宅で行うことができる。いくつかの実施形態において、これらの溶液は、親水性層でダイヤモンドを完全に再表面化することができる。いくつかの実施形態において、アンカー配置及び又はホスト配置を含む工程は可逆的又は不可逆的である。いくつかの実施形態は、ユーザがジェムストーンの再コーティングを行えるようにするための、ホスト溶液及びクリーニング溶液(例えば酸、塩基、及び/又は界面活性剤溶液)を含むキットを提供する。
いくつかの実施形態は、以下の利点:感熱性でない表面、安全で使いやすいコーティング溶液システム、家庭で実施できるコーティング及びコーティング除去システム、安価な材料(シクロデキストリンなど)の使用、非破壊的なダイヤモンド再生及び保護(付加コーティング)並びにダイヤモンドチップ上でこれらのシステムを試験する能力のうちの1つ以上を提供する。
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、分子コーティング(例えばナノ分子コーティング)は、受動的、非反応性、疎水性/親油性表面を官能性表面に変換する表面コーティングである。いくつかの実施形態において、表面は、ナノスケール層(例えば約1 nm、5 nm以下の厚さの官能性化合物を有する層)を結合して保持することができる。この追加された層は、表面に任意の所望の官能性を付与するように組織化される。例えば親水性コーティングが存在すると、ダイヤモンド表面について以下の利点:(a)宝飾品のダイヤモンドの汚損速度を低下させること、(b)ダイヤモンドのクリーニングを容易にすることの1つ以上、又は他の利点が達成される。いくつかの実施形態において、コーティング自体は、(c)可逆性であり、(d)復元性であり、(e)初期コーティングの適用を超えて、表面自体を分解又は修飾しない。
いくつかの実施形態において、分子コーティングは、ワックス、ワニス、シーラーとして、ウレタンフィニッシャーによって、又は問題の材料に油を送達する化学物質によって適用される。いくつかの実施形態において、分子コーティングは、表面に適用する溶媒に溶解させる化合物である。いくつかの実施形態において、コーティングは材料の配合物の一部である。いくつかの実施形態において、材料は、自然に表面に引き付けられる又は存在する分子と一体化される。いくつかの実施形態において、この手法によって、材料内部の分子を表面に移動させることができる。いくつかの実施形態において、分子
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されているように、コーティングは、以下の用途のいずれか1つにおいて、ジェムストーンコーティングとして、抗菌表面として、溶液と表面との間の相互作用を再生可能コーティングで遮断することによる生物付着の防止のために、シグナル増強感知のために、後続のELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)のために、タンパク質及び抗体を非共有結合表面に付着させるための直接捕捉表面として、薬物溶出表面、治療薬の制御放出のための創傷接触コーティングとして、環境制御システムとして、食品又は飲料包装システムとして、触媒表面コーティングとして、クロマトグラフィー分離又は検出のために、露出表面の表面クリーニングを容易にするために使用することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示する技術及び構造は、壁、床、カウンター、医療機器、プラスチック表面などの表面を修飾するために使用される。いくつかの実施形態において、これらの技術は、永続的コーティング、半永続的抗菌性コーティング、又は再生可能コーティングを付与するために、病院、個人病院、小学校、手術器具(例えばメス、ナイフ、フック、リトラクター、手術器具、内視鏡器具、ピンセット、鉗子、縫合器具、喉頭鏡など)において有用である。いくつかの実施形態において、これらの技術は、永続的コーティング、半永続的抗菌性コーティング又は再生可能コーティングを付与するために、病院、個人病院、小学校において有用である。いくつかの実施形態において、手術器具の表面の修飾は、感染を引き起こす可能性がある微生物に対してさらに耐性がある。いくつかの実施形態において、プラスチック表面の修飾は、例えばチューブ内の液体反発を低減して、妨げられずに内容物を流出させることができる。いくつかの実施形態において、表面の修飾は、子供の玩具用に抗菌コーティングを調製できるようにする。いくつかの実施形態において、(例えば手術装置の)表面の修飾は、感染の可能性を低減し、器具をより容易に挿入/除去可能にする表面を形成し、及び/又は薬剤/処理を引き付ける/反発する表面を形成する。いくつかの実施形態において、以下の殺菌及び消毒クラスが、官能基を介して(例えば共有結合的に、イオン的に、錯化などによって)、本明細書に開示するアンカー、ゲスト及び/又はホストの1つ以上に結合される:β-ラクタム、ペニシリン、セファロスポリン、マクロライド、テトラサイクリン、メトロニダゾール、クリンダマイシン、抗真菌剤、アミノグリコシド、フルオロキノロン、銀ナノ粒子、銅ナノ粒子、量子ドット、及び次亜塩素酸、過酸化物又はホウ酸基を有する官能基を有する分子、ヨウ素、金属イオンを含有するキレート基。いくつかの実施形態において、以下の抗菌剤が、官能基を介して、本明細書に開示するアンカー、ゲスト及び/又はホストに結合される:バンコマイシン、ペニシリンV、アモキシシリン、セファレキシン、セファドロキシル、クリンダマイシン、メトロニダゾール、ドキシサイクリン、セファゾリン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、フルコナゾール、メトロニダゾール、ニトロフラン、ナフタルイミド、サリチルアニリド、ビピリジニウム、キノアゾリンジアミン、銀ナノ粒子、銅ナノ粒子、量子ドット、及び次亜塩素酸、過酸化物又はホウ酸基を有する官能基を有する分子、ヨウ素、金属イオンを含有するキレート基。
プラスチックは、様々な分野において不可欠であり、使い捨てから高耐久性用途にまで及ぶ。プラスチック表面(例えばプラスチックフィルム又は成形材料の表面)は経時的に、細菌、ほこり及び垢を引き付けるか、又はそれらによって汚染されるおそれがある。ほこり及び垢は、材料の外観を曇らせ、機械的用途における性能に影響を及ぼし、細菌又はウイルス粒子を含むことによってヒトの健康に影響するおそれがある。いくつかの実施形態において、プラスチックは、外面の直接化学官能化によって修飾することができる。いくつかの実施形態において、アンカー官能基をプラスチックにカップリングすることは、標準的な化学カップリング条件(例えばN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)カップリングを使用するカルボジイミドカップリング)、「クリック」ケミストリー、他の化学的手法(ビニル基対ヒドロキシル)を含み、シラン又は関連試薬が、表面ヒドロキシル部位にアンカー固定することが可能であり、カルベンを使用してC-H結合に挿入することが可能であり、又は共有結合の形成を含む他の方法も用いることができる。いくつかの実施形態において、プラスチックは、アンカー官能基を含む二次ポリマー鎖とブレンドすることができる。
いくつかの実施形態において、可塑剤は、プラスチックにその特性を変化させるために組み入れられた化学物質である。いくつかの実施形態において、ポリマーは、耐性特性(例えばほこり又は他の汚染物質に対する耐性)を付与するためのアンカー官能基を含む可塑剤分子とブレンドすることができる。いくつかの実施形態において、可塑剤は、アンカーとして作用するゲスト(例えばアダマンチル基)によって官能化される。いくつかの実施形態において、可塑剤は、表面にアンカー分子を露出させるように構成されている。いくつかの実施形態において、アンカー-可塑剤のペアが摩耗後に表面に連続的に拡散し得るため、可塑剤官能基は自己修復品質を付与する。いくつかの実施形態において、ゲスト(例えばアダマンチル基)は、ホスト(例えばシクロデキストリン)超分子結合体のための任意の好適なゲスト分子で置き換えることができる。いくつかの実施形態において、ゲスト部分のサイズを変化させて、異なるサイズのホスト(例えばシクロデキストリン)又は関連する超分子結合体にわたって選択性を付与することができる。
いくつかの実施形態において、コポリマーは、2つの異なるモノマーと1種類を超える単位との反応によって作られるポリマーである。いくつかの実施形態において、2つの単位は任意の比であることができる。いくつかの実施形態において、コポリマーはブロック中に見出される。いくつかの実施形態において、コポリマーの1単位は、超分子コーティングのためにゲスト分子で官能化することができる。いくつかの実施形態において、コポリマーの一方又は両方の単位をアンカーで、合成後修飾することができる。いくつかの実施形態において、この官能化は、カルベン、NHS:EDCカップリング、「クリック」化学、又は材料への結合を形成するための任意の他の適切な方法によって行うことができる。いくつかの実施形態において、アンカーはプラスチックの表面に存在する。いくつかの実施形態において、プラスチックの損傷は、(本明細書に開示するように官能化することができる)より多くのアンカーを露出させる。図19A~図19Bは本明細書に開示する特定の実施形態を表す。図19A及び図19Bはポリマー鎖を示し、図19C及び図19Dはジブロックコポリマー鎖を表す。青色連鎖は、ホスト分子に好適なゲスト分子で官能化されたポリマーを表す。シクロデキストリン又は他のホスト分子は、溶液からの青色ポリマーに結合する。
木材は、壁、木材、調理、建築に使用される一般的な材料である。木材の多孔質性は、吸水、カビ、物理的摩耗を含む化学的曝露によって、経時的に損傷されるようになるおそれがある。いくつかの実施形態において、アンカー分子を木材に含浸させることができる(物理的に吸収されるか、又は化学結合を介して)。いくつかの実施形態において、木材への化学結合は、ヒドロキシル官能基又はカルボキシル官能基を官能化することにより、炭水化物への任意の化学結合を作ることによって達成することができる。いくつかの実施形態において、化学結合は、偶発的に利用可能なヒドロキシル官能基への結合により、木材のセルロース成分又はリグニン成分の切断後に形成される。いくつかの実施形態において、アンカー分子は、より軽い油に溶解させることによって木材中に含浸される。いくつかの実施形態において、アンカー分子は、ワニス中の構成要素として含まれるか、又は主成分である。いくつかの実施形態において、アンカー分子は木材表面に直接適用される。いくつかの実施形態において、コーティングをアンカー分子に付着させることができ、したがって木材をコーティングすることができる。いくつかの実施形態において、コーティング官能基は、含浸されたアンカー分子の表面への移動によって維持することができる。いくつかの実施形態において、コーティングは、油、垢、及び水をはじいて、木材を保存する。いくつかの実施形態において、アンカー分子は、ワニス中の構成要素として含まれるか、又は主成分である。いくつかの実施形態において、アンカー分子は木材表面に直接適用される。
ストーン及びセラミックは、広範囲の鉱物及び生成物によって説明される複合材料である。いくつかの実施形態において、アンカーはストーンの表面に化学的に付着(結合)させることができる。いくつかの実施形態において、アンカー分子は、材料に浸透する溶媒に溶解されることによってストーンの細孔に含浸される。いくつかの実施形態において、溶媒が蒸発して、アンカーが後に残る。
バイオフィルムは、表面に粘着性となる細胞と細胞外物質との複合混合物である。医学的には、バイオフィルムは、カテーテル、心臓弁及び子宮内器具を含むインプラント器具の表面に形成されることが多く、歯科、産業、発酵、及び食品生産にさらに影響を及ぼす。バイオフィルムは除去が困難であり、用途に応じて、感染、農業的、医薬的又は工業的損失を引き起こす。バイオフィルムを防止するためのいくつかの方法は、分子コーティングを表面に配置して、バイオフィルムの形成を困難にすることを含む。しかし、分子規模での摩耗によって、そのような分子コーティングが除去され、コーティングの有効性を低下させるおそれがある。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生可能コーティングは、官能基の表面回復及び損傷した界面の自己修復によってバイオフィルム形成を継続的に防止するように設計することができる。
いくつかの実施形態において、超分子ホスト分子は、金属粒子(例えば銅、銀)、抗体、ペプチド、又はバイオフィルム形成を防ぐように設計された他の薬剤、で官能化することができる。例えば、銀及び銅は抗菌性金属である。いくつかの実施形態において、超分子ホスト分子は、抗菌種(例えば抗菌性金属)で官能化されている。
いくつかの実施形態において、コーティングは、細胞外及び細菌汚染をはじくように設計及び/又は構成されている。いくつかの実施形態において、この反発は、化合物の設計によって界面表面エネルギーを制御することによって達成される。いくつかの実施形態において、汚染物質に対する界面表面エネルギーは、親水性、疎水性、親油性、又は疎油性の特性を与える。いくつかの実施形態において、この特性の相対値を調整することにより、コーティング性能を予測し、水、油、細菌、及びバイオフィルムをはじくように設計することができる。
いくつかの実施形態において、コーティングは、積層木材製品、タイル、手すりに適用される。いくつかの実施形態において、積層体、タイル、木板、プラスチック、又は関連材料の単一の成分は、(本明細書の他の箇所に開示されるように)アンカー分子によって官能化される。いくつかの実施形態において、アンカー分子は、積層体、タイル、木板、プラスチック、又は関連材料の複合成分に組み入れられる。いくつかの実施形態において、コーティングは、バイオフィルム形成を防ぐように作られ及び/又は構成されている。いくつかの実施形態において、コーティングは、ちり、油及び垢を防止するように作られ及び/又は構成されている。いくつかの実施形態において、コーティングは、抗体認識、殺菌性攻撃、標的毒素又は金属曝露によって、特定の細菌又はウイルスを攻撃するように作られ及び/又は構成されている。いくつかの実施形態において、コーティングは、微生物を攻撃するように設計及び/又は構成されている。
いくつかの実施形態において、コーティングは、再適用されるように設計及び/又は構成されている。いくつかの実施形態において、アンカー分子は、ホスト(例えばシクロデキストリン)又は修飾ホスト(例えば修飾シクロデキストリン)溶液への再曝露によって置き換えられる。いくつかの実施形態において、溶液中のホスト又は修飾ホストは、表面に特定の特性を与えるように、又は表面に別の大きな粒子を付着させるように改変及び/又は構成されている。いくつかの実施形態において、ホスト(例えばシクロデキストリン)は、殺菌性分子若しくは酸化性分子で修飾されているか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、酸化防止剤で修飾されているか、又は酸化防止剤を含む。いくつかの実施形態において、ホスト(例えばシクロデキストリン)は、抗体で標識されるか、又は抗体を含む。いくつかの実施形態において、ホスト(例えばシクロデキストリン)は、粒子で標識されているか、又は粒子を含む。いくつかの実施形態において、粒子は、金属、プラスチック、ダイヤモンド、ガラス又は同様の材料で作られている。いくつかの実施形態において、粒子は表面に機能を付与することができる。いくつかの実施形態において、その機能はバイオフィルム形成又は細菌に対して標的化される。いくつかの実施形態において、細菌は感染性である(例えばMRSA)。
いくつかの実施形態において、コーティングは、継続的な使用によって分解されはじめる。いくつかの実施形態において、表面は分解性である。いくつかの実施形態において、表面に到達可能である、又は到達させることが可能なアンカーを有する追加の分子が存在する。他の実施形態では、新しいアンカーを表面に適用する必要がある。いくつかの実施形態において、ホスト(例えばシクロデキストリン)が除去されたが、アンカーは残存している。いくつかの実施形態において、新しいホスト(例えばシクロデキストリン)を有する溶液を適用して、第2ステップのコーティングを回復又は再適用することができる。いくつかの実施形態において、この再適用は、初期コーティングの性能を回復させることができる。いくつかの実施形態において、性能は、任意の用途で死滅させることができる細菌の数に関連している。いくつかの実施形態において、ホスト(例えばシクロデキストリン)又は修飾ホスト(例えば修飾シクロデキストリン)を有する溶液を用いてクリーニングする行為を置き換えることができる。
いくつかの実施形態において、アンカー分子が含浸された表面での摩耗又は損傷、エッチングは、埋め込み官能基の拡散又は新たな露出によって、その表面に新たなアンカー分子が現れるようにできる。いくつかの実施形態において、これはアンカーコーティングをより可撓性にし、外部適用よりも少ないメンテナンスしか必要としない。いくつかの実施形態において、この方法は、高トラフィック領域(例えば廊下、階段、手すり、蛇口ハンドル、磁器、タイル、シャワー、トイレ、地下鉄の座席、航空機部品、布地、ラグ、カーペット、フローリングなど)に有効である。
いくつかの実施形態において、第2ステップのコーティングの再適用は、設備管理タスクと統合することができる。いくつかの実施形態において、その設備管理タスクは、モッピング、クリーニング、スクラビング、噴霧、乾燥、バフ研磨、ワックスがけを含め、液体を表面に分配することを含む。いくつかの実施形態において、表面に適用された液体溶液又は関連媒体にホスト(例えばシクロデキストリン)又は修飾ホスト(例えば修飾シクロデキストリン)アンカーが含まれている場合、通常の設備管理レベルのタスクで性能を復元することができる。
いくつかの実施形態において、第2ステップのコーティングの再適用は、例えば、サイクル間の発酵槽内で行うことができる。いくつかの実施形態において、ホスト/アンカー結合に有利である傾向により、汚染物質種を打ち負かすことができる。いくつかの実施形態において、第2ステップのコーティングの再適用は、通常のメンテナンス予防ステップ中に行われる。いくつかの実施形態において、ホスト(例えばシクロデキストリン又は修飾シクロデキストリン)を溶媒(例えば水)に溶解させて、クリーニング製品中に分配させて、復元機能を付加する。
いくつかの実施形態において、窓又はソーラーパネルの外面は、コーティングされたアンカー分子である。いくつかの実施形態において、アンカー分子は、反射防止又は透過防止コーティングに適用される。いくつかの実施形態において、ソーラーパネルは、アンカー分子によって官能化することができる。いくつかの実施形態において、ホスト分子からなる第2の層は、親水性/疎水性/親油性/疎油性のいずれかの調整によって、油グリース及び垢をはじくように設計される。いくつかの実施形態において、この反発は、ソーラーパネル上の垢の蓄積を防止することができる。いくつかの実施形態において、シクロデキストリン又は修飾シクロデキストリンは、動力噴霧器の追加で再適用することができる。いくつかの実施形態において、ホスト(例えばシクロデキストリン又は修飾シクロデキストリン)を含有する水をパネルに噴霧することにより、クリーニング能力の向上及び蓄積速度の低下の両方が可能であり、洗浄をより少なくすることができる。いくつかの実施形態において、コーティングは氷の融解に有利であり得る。いくつかの実施形態において、ホスト分子は、オリゴエチレングリコールによって修飾される。いくつかの実施形態において、オリゴエチレングリコール(又は他の凝固点降下剤)は、氷/コーティング/表面界面での氷の凝固点を低下させる。いくつかの実施形態において、これにより、氷の蓄積と表面との間の摩擦が低減される。いくつかの実施形態において、これは、窓及び太陽光発電表面からの垢及び氷の蓄積をより迅速に除去するのに役立つ。
いくつかの実施形態において、消費者製品を保護するために多様なコーティングが使用される。いくつかの実施形態において、製品は、金属、プラスチック、ジェムストーン、岩石、木材、石又は複合材料で作られている。いくつかの実施形態において、これらの製品は、複数の種類のこれらの材料で作られている。いくつかの実施形態において、コーティング技術は、複数の付着方法にもかかわらず物体全体に適用することができる。いくつかの実施形態において、いくつかの材料は、製品の異なる成分に対して異なって調整されたコーティングを有することができる。いくつかの実施形態において、製品は、装飾的又は機能的、電子的又は機械的であり得る。いくつかの実施形態において、製品はリングである。いくつかの実施形態において、リングは、金属、セラミック、ジェムストーンの特徴を有する。いくつかの実施形態において、コーティング技術は、各種類の材料間で異なる。いくつかの実施形態において、金属と同様に、硫黄/セレン結合を使用して自己集合(セルフアセンブル)単層又はそれから誘導された層を付着させて表面エネルギーを制御するが、カルベンを含めたその他の方法を用いることができる。いくつかの実施形態において、チオール、セレノール、ジスルフィド、ジセレニド又は関連する官能基によって官能化された有機分子が表面に露出される。いくつかの実施形態において、プロトンが溶液へと失われ、イオン種が基材上に化学吸着する。いくつかの実施形態において、ジスルフィド、ジセレニド又は関連化学種が切断し、半分又は半分の両方が表面に堆積する。官能基と表面との間の強い結合は分子を所定の位置に維持して、有機基は界面に露出される。セラミックにおいて、シランは、分子を堆積させることができる結合手法である。ダイヤモンドでは、カルベン付着が利用可能である。いくつかの実施形態において、方法及びコーティングの組み合せは、グリース及び垢の除去を容易にし、グリース及びほこり及び垢の形成を制限し、バイオフィルムを防止し、又は腐食若しくは摩耗から保護することができる。いくつかの実施形態において、異なる領域上のコーティングは、化学汚染を回避する優れた領域を提示する。いくつかの実施形態において、製品は機械構造である。いくつかの実施形態において、異なる直交コーティングを構成要素に適用することができる。いくつかの実施形態において、製品は玩具である。いくつかの実施形態において、製品は、コンピュータ及び/又はその部品(例えばキーボード、スクリーンなど)である。いくつかの実施形態において、製品はテレビ(例えばスクリーン又はフレーム)である。いくつかの実施形態において、製品は自動車部品又は航空宇宙部品である。
いくつかの実施形態において、治療剤は、官能基を介してアンカー、ゲスト及び/又はホストに結合されて、治療効果を達成する。いくつかの実施形態において、以下の治療剤は、官能基を介して本明細書に開示するアンカー、ゲスト及び/又はホストに結合される:タンパク質、酵素、コラーゲン、ペプチド、金属ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、オリゴマー(例えばオリゴエチレングリコール)、炭水化物、セルロース、グリカン。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示する技術及び構造を使用して、一時的に色を変えることができる、色変化表面(例えばジェムストーン、子供の玩具など)を調製する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示する技術及び構造は、(例えば外出先でカラーフィルタを変更するために)写真撮影レンズに使用される。例えば、様々な色素などは、エステル、アミド、炭素-炭素結合を介して、又は本明細書の他の箇所に開示されているように、アンカー官能基及び又はホスト官能基への錯化によって共有結合することができる。いくつかの実施形態において、以下の色素が、官能基を介して本明細書に開示するアンカー、ゲスト及び/又はホストに共有結合している:ATTO 425、ATTO 488、アミノメチルクマリン、ローダミン、R-フィコエリトリン、ATTO 550、ATTO 594、アロフィコシアニン、ATTO 647 N、ATTO 655、セレン化カドミウム量子ドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、ラマンレポーター分子など。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示する技術及び構造を使用して、サングラス及び眼科処方眼鏡を作製して、これらを耐汚性とする。いくつかの実施形態において、本明細書に開示する技術及び構造を使用して、グリース及び垢を捕捉できるソーラーパネルを作製する。いくつかの実施形態において、波長変換色素をソーラーパネルに添加して、エネルギー送達改善のために、例えばIR又はUV波長を使用可能な波長の光に変換することができる。いくつかの実施形態において、防塵溶液は、パネルをほこりのない状態に保つためにそのように単純化するのに役立ち得る。いくつかの実施形態において、パネルを直接修飾することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示する方法及び組成物は、ダイヤモンド及び他のジェムストーンの予防的メンテナンスを可能にする。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のコーティングは、ダイヤモンドをショールームで新品に見えるように維持する。
いくつかの実施形態において、カスタム二重分枝アンカー分子は、前駆体として、それぞれが2個のフェニル基の一方の4位に結合した、2個の可変部分X及びX’を有する、ビス(フェニル)-ジアゾメチレン(例えば1,1’-((ジアゾメチレン)ビス(4,1-フェニレン))を有する。その可変部分は、ゲスト-ホスト相互作用によって環分子(例えば親水性環など)に可逆的に結合するよう規定されている。いくつかの実施形態において、可変部分は、ホスト分子と相互作用しないが、代わりに構造的機能(例えば立体障害効果の低減、結合効率の向上、ゲスト官能性の利用可能性の向上など)をもたらす非結合セクションを含む。いくつかの実施形態において、構造セクションは可撓性である。いくつかの実施形態において、構造セクションは不撓性である。いくつかの実施形態において、前駆体アンカー分子604は、フェニル部分とアダマンチル部分(図示せず)との間に可撓性リンカーを含むように設計することができる。例えば、いくつかの実施形態において、可撓性リンカーは、ゲスト部分を末端に有する中程度のサイズのアルキレン又は低級アルキレンである。いくつかの実施形態において、可撓性リンカーは、1~10個の反復単位を有し、ゲスト部分を末端に有する(ゲスト部分で末端化された)ポリアミノである。いくつかの実施形態において、可撓性リンカーは、1~10個の反復単位を有し、ゲスト部分で末端化されたポリエーテルである。いくつかの実施形態において、アダマンチル基は、同様のサイズの代替的な疎水性構造(又は親水性構造)で置き換えることができる。いくつかの実施形態において、非対称アンカー分子が使用され得る。いくつかの実施形態において、異なるアンカー分子を単一の表面上で使用することができる。いくつかの実施形態において、異なるホスト分子を単一の表面上で使用することができる。いくつかの実施形態において、任意のサイズのホスト分子(例えばシクロデキストリン)を、それらを特に標的とするアンカーゲストに(例えばサイズに基づいて)適合させることができる。いくつかの実施形態において、アダマンタンよりも大きい又は小さい部分である炭化水素をゲストとして選択することができる。いくつかの実施形態において、より大きなシクロデキストリンを使用することができる。いくつかの実施形態において、ゲスト及びホストのこの選択は、前駆体とシクロデキストリンとの間の相互作用を調整するように行われる。
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、ジアゾ基が除去されて、フリーラジカル形態又はアニオン形態の活性種が残る。いくつかの実施形態において、その活性化された形態は、その後、天然ダイヤモンド表面に曝され、その表面に共有結合によって結合する。結合反応の最終生成物は、一端でダイヤモンド表面に結合し、続いての環分子の結合のための2つの活性アンカー点を提示する、二重分枝アンカー分子である。
いくつかの実施形態において、ダイヤモンドは、ダイヤモンドの表面上の分子に引き付けられ、本質的に親水性である分子(例えばホスト分子)の浴中に置かれる。その親水性分子は、ダイヤモンドの表面に結合する。その分子がひとたび結合すると、ダイヤモンドの表面化学的性質が変化する。いくつかの実施形態において、ゲスト-ホスト化学を使用して、カスタム設計され且つカスタム製造された分子を、市販の親水性分子(例えばシクロデキストリン)に導入する。いくつかの実施形態において、ゲスト-ホスト相互作用は、通常の(ダイヤモンドの)着用条件下で永続的、ほぼ永続的、又は実質的に永続的である。しかし、いくつかの実施形態において、親水性表面を作り出す分子は、経時的に摩耗する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリン(又は別の異なるホスト分子)を化学的に官能化して、ジェムストーンの表面化学的性質を正確に調整することができる。例えば疎水性鎖、親水性鎖又は両親媒性鎖を、シクロデキストリンの外部に化学的に付着(共有結合的、イオン的など)させることができる。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、露出したヒドロキシル部位における共有結合を介して官能化することができる。いくつかの実施形態において、ゲスト(例えばアダマンチル)内のホスト(例えばシクロデキストリン)の結合定数に実質的に影響を及ぼさないように、追加の官能性を選択することができる。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドの表面特性に影響を及ぼすように追加の官能性を選択し、コーティング(例えばフィルム)性能に対する直接的かつ正確な制御のための二次的な手段を可能にすることができる。
いくつかの実施形態において、ダイヤモンド(又はジェムストーン)をコーティングする方法は、以下のステップの1つ以上を含む。ジェムストーンを取得する。ジェムストーンを、反応性アンカー前駆体の溶液中に置く。いくつかの実施形態において、アンカー溶液は加熱される。いくつかの実施形態において、アンカー溶液は超音波照射される。いくつかの実施形態において、ジェムストーンを次いで、溶媒(例えばトルエン、アセトン、水など)に浸漬して、結合していない及び/又は未反応のアンカー前駆体を除去する。いくつかの実施形態において、ジェムストーンを浸漬溶液中で超音波照射又は加熱して、未反応又は未結合のアンカーを除去する。いくつかの実施形態において、前駆体は、蒸着によって、滴下によって、又は溶液中でジェムストーンに付加される。いくつかの実施形態において、アンカーがコーティングされたダイヤモンド(又はジェムストーン)をホスト溶液(例えばβ-シクロデキストリン又は誘導体溶液)に曝露する。いくつかの実施形態において、アンカーがコーティングされたダイヤモンドを界面活性剤(例えば石鹸)及びβ-シクロデキストリン又は誘導体の水溶液中に保持する。石鹸は、任意の汚染物質及び遊離シクロデキストリン錯体を任意の未被覆受容体から浮かせる。いくつかの実施形態において、水溶液は石鹸を含有しない。いくつかの実施形態において、重度に汚損されたダイヤモンドを酸又は塩基で処理することによって、元の未コート(コーティングされていない)状態に戻すことができる。いくつかの実施形態において、界面活性剤溶液中でのシクロデキストリンの加水分解によって、フィルムから生成物の痕跡がすべて除去されるが、アンカーは除去されない。いくつかの実施形態において、クリーニング済み表面は次いで、標的表面官能基を復元するためのホスト分子溶液(復元溶液)の再適用の準備が整っている。いくつかの実施形態において、加水分解処理及び復元処理は定期的に行われる。いくつかの実施形態において、加水分解溶液及び復元処理溶液を直列的に使用して、ダイヤモンドに対して親水性コーティングを完全に再生する。いくつかの実施形態において、加水分解処理及び再生処理は、処理間でコーティングのほこり及び垢をはじく能力を実質的に失うことなく、毎週、毎月、又は毎年行うことができる。いくつかの実施形態において、加水分解(又は再生)溶液は、ダイヤモンドから親水性表面を完全に除去する。いくつかの実施形態において、回復(又は復元)溶液は、ダイヤモンド上の親水性表面を完全に再表面化する。
いくつかの実施形態において、ダイヤモンド(及び/又はジェムストーン)はユーザによって取得される。いくつかの実施形態において、アンカー分子はダイヤモンド(及び/又はジェムストーン)に付加される。いくつかの実施形態において、ダイヤモンド(及び/又はジェムストーン)は、(例えばアンカーのゲスト部分に結合するホスト分子を用いて)本質的に親水性になるようにコーティングされる。いくつかの実施形態において、次いでダイヤモンド(及び/又はジェムストーン)をセットして販売することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示する溶液は、キット(例えばメンテナンスキット)として販売することができる。いくつかの実施形態において、メンテナンスキットは、アンカー溶液、アンカーをダイヤモンドに結合するための加熱素子、ホスト溶液、酸及び/又は塩基溶液(再生溶液)、回復溶液(ゲスト分子及び/又は界面活性剤/ゲスト分子溶液を含む)の1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態において、キットは、これらの項目の1つ以上(例えばアンカー溶液又は加熱素子など)を含まない。
いくつかの実施形態において、ホストコーティングは、長期間の使用に十分な耐久性がある(例えば定期的及び通常の使用で少なくとも6ヶ月の期間にわたって、完全性及び実質的に低下しない有効性を維持することができる)。いくつかの実施形態において、通常の損耗条件下で、ホストは、約1週間、1ヶ月、6ヶ月、1年以上又は上述の値に及ぶ及び/若しくはそれを含む範囲の期間にわたって、アンカー部分(例えばホストコーティング)に結合したままである。いくつかの変形形態において、ジェムストーン(例えばダイヤモンド)の外観は実質的に変化しないままであり、及び/又はコーティングの防垢/防汚特性は、長期使用(例えば経時的に又は加速ストレス条件で測定され得るような、6ヶ月、1年、2年などの期間)中に実質的に変化しないままである。
いくつかの実施形態において、コーティングは、繰り返しのクリーニング又は洗浄に十分に耐える耐久性を有する。例えばジェムストーンは、通例、例えばユーザの入浴中に洗浄条件に曝されるため、ある変形形態において、コーティングは、スクラブ洗浄及び石鹸水による洗浄を含む反復クリーニング後にその抗汚/抗垢特性を維持するように構成される。いくつかの実施形態において、耐久性コーティングは、標準的な洗浄布及び石鹸水で少なくとも約25回、少なくとも約50回、少なくとも約100回、又はそれ以上洗浄した後で、その抗汚/抗垢特性を維持している。ある変形形態において、コーティングは、ペーパータオル(例えば石鹸の有無にかかわらず、乾燥、湿性(damp)又は湿潤(wet)ペーパータオル)で少なくとも約100回、少なくとも約200回、少なくとも約500回、又はそれ以上拭き取った後で、その抗汚/抗垢特性を維持している。
いくつかの実施形態において、X線光電子分光法を使用して、官能化ジェムストーン(例えばダイヤモンド表面、アンカー分子が結合した後の表面、及び/又はホスト分子が結合して包接錯体を形成した後の表面)の表面組成を探査することができる。いくつかの実施形態において、元素存在量対ダイヤモンド基材の強度の比較を用いて、アンカー及びホスト/ゲスト錯体に関する吸着種の比被覆率を分析によって求めることができる。いくつかの実施形態において、XPSを使用して、ホスト/ゲスト包接錯体が形成された後の通常使用後の様々な段階で測定を行うことによって、ジェムストーンコーティングの耐久性を求めることができる。
いくつかの実施形態において、水接触角ゴニオメトリーを使用して、官能化ジェムストーン(例えばダイヤモンド表面、アンカー分子が結合した後の表面、及び/又はホスト分子が結合して包接錯体を形成した後の表面)の表面特性及び性能を探査することができる。いくつかの実施形態において、水接触角の比較を用いて、アンカー及びホスト/ゲスト錯体に関する吸着種の比被覆率を分析によって求めることができる。いくつかの実施形態において、水接触角を使用して、ホスト/ゲスト包接錯体が形成された後の通常の使用後の様々な段階で測定を行うことによって、ジェムストーンコーティングの耐久性を求めることができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、1)シリコンウエハー上の化学蒸着(CVD)ダイヤモンドからなる試験基材(例えば水素末端基材、ダイヤモンド表面など)への受容体/アンカー分子(例えば1,1’-((ジアゾメチレン)ビス(4,1-フェニレン))ビス(アダマンタン))の共有結合による付着を実施及び/又は実証することに関する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のプロジェクトは、2)ダイヤモンド上の超分子的に自己集合(セルフアッセンブリ)したシクロデキストリン単層の形成をサポートするための修飾基材の使用に関する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、3)エリプソメトリー、接触角ゴニオメトリー及びX線光電子分光法による超分子自己集合への曝露時のダイヤモンド表面疎水性の変化を実証することに関する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、コーティング性能の定量化、薄膜の堅牢性/分解研究、コーティングの溶解度及びリフトオフ層性能の最適化に関する。
いくつかの実施形態において、アンカー分子及びβ-CDの両方の表面被覆率、疎水性の変化並びに層の耐久性及び可逆性が定量化される。いくつかの実施形態において、XPS、共焦点ラマンイメージング、SEM、FESEM、AFM、XRD、エリプソメトリー、接触角ゴニオメトリー及び原子層堆積を使用して、膜のキャラクタリゼーションを行い、対照及び比較実験を行う。いくつかの実施形態において、アンカー分子及びβ-シクロデキストリンの特定の配合が分析に基づいて選択され、通常の摩耗及び引裂中に通常遭遇する多種多様の環境条件下:熱、低温、様々な溶液(石鹸、ローション、アルコール)などで層を試験するための実験が行われる。いくつかの実施形態において、この曝露によって、単層の自己復元のために、β-シクロデキストリン溶液への再曝露の有効性を試験する機会も与えられる。いくつかの実施形態において、XPS、AFM、及びSEMセッションを使用して、様々な修飾を行った後の表面被覆率及び厚さについて調査する。いくつかの実施形態において、接触角測定は、例えば、表面の親水性(及び/又は疎水性)に対する変化の程度を監視するために行われる。いくつかの実施形態において、蛍光標識シクロデキストリンが使用される。いくつかの実施形態において、蛍光標識の使用により、膜の被覆率及び/又は堅牢性を検査するための追加の方法が与えられる。いくつかの実施形態において、ツァイス共焦点顕微鏡を使用して、バイオロジカルナノストラクチャーズ(biological nanostructures)の施設にてそのような特徴を分析することができる。
いくつかの実施形態において、耐久性研究が行われる。いくつかの実施形態において、本発明のナノ層の耐久性及び「有効期間」が求められる。いくつかの実施形態において、ホスト-ゲスト分子層の有効期間(有効期間は、その時間中にホストの10%以下がアンカー-ゲスト単位から失われることを意味する)は、約1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月以上、又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲である。いくつかの実施形態において、過酷な条件(例えばペーパータオルによるふき取り、石鹸水での洗浄、高温(60℃)、各種環境条件及びクリーナーへの曝露、ほこり及び/又は油への曝露など)下での長期間の後、表面はその抗汚/抗垢特性を維持する。いくつかの実施形態において、コーティングの耐久性を実証するために、接触角測定と共に、XPS、AFM(例えばナノ磁力計)、STM(例えば光子)、TEM、ラマン、UV-Vis、及びSEMセッションを使用することができる。いくつかの実施形態において、過酷な条件(例えば加速場所条件)下での長期間の後、有効期間は、約1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月以上、又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲である。いくつかの実施形態において、ジェムストーンの光輝性及び美的品質は、標準的な洗浄布及び石鹸水で少なくとも約25回、少なくとも約50回、少なくとも約100回又はそれ以上洗浄した後に、肉眼には実質的に変化のないままである。いくつかの実施形態において、ジェムストーンの光輝性及び美的品質は、少なくとも約100回、少なくとも約200回、少なくとも約500回又はそれ以上、ペーパータオル(例えば石鹸の有無にかかわらず、乾燥、湿性(damp)又は湿潤(wet)ペーパータオル)で拭いた後に、肉眼には実質的に変化のないままである。いくつかの実施形態において、ジェムストーンの光輝性及び美的品質は、約1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月以上、又は上述の値を含む及び/若しくはそれに及ぶ範囲の期間にわたって、肉眼には実質的に変化のないままである。
いくつかの実施形態において、メチンを介したダイヤモンド表面(又は他の表面)への直接結合の代わりに、アルキレン結合を使用してダイヤモンド表面をメチンに結合することができる。いくつかの実施形態において、C1~C10アルキレンを使用してメチンをダイヤモンドに結合させる。いくつかの実施形態において、これを使用して、表面及び/又は追加のβ-シクロデキストリン化合物に対してより高密度の付着を与え、表面にいっそう大きな親水性を付与することができる。
この新規なナノ分子層の意図的な設計の一部は、ダイヤモンドの表面(又は他の表面)に付着すると、検出できないままであることである。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドが修飾されていることは、肉眼又は小型拡大鏡(jeweler’s loop)でも目に見えるしるし(視覚表示)はない。いくつかの実施形態において、アンカー分子は、ひとたび共有結合すると完全に炭素から構成されるので、元のダイヤモンドの構成は原子的に不変又は実質的に不変である。いくつかの実施形態において、その作成は、反応後に単層を形成する。いくつかの実施形態において、炭素の使用は、ヘテロ原子を付加しないため魅力的である。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子は、潜在的な化学的不安定性及び分解点(例えばアミド又はエステル系結合として)であり得る。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子は、炭素のみの構成と併せて、又はその代わりに使用することができる。いくつかの実施形態において、ダイヤモンド系アンカーは、除去的方法ではなく、付加的方法によって結合される。いくつかの実施形態において、分光法、顕微鏡法及びエリプソメトリーなどを使用して、製品(及び/又は本明細書に記載の他の技術)をキャラクタリゼーションすることができる。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子が存在しないことにより、本明細書に記載の技術を使用して、バルクダイヤモンドから薄膜を区別することができる。
いくつかの実施形態において、ナノ加工設備をキャラクタリゼーションに使用することができる。いくつかの実施形態において、エリプソメトリー及び接触角ゴニオメトリーは、信頼できる表面の評価を与えて、例えば測定可能な変化がなされたか否か、又は合成手順を変更する必要があるか否かを判定することができる。いくつかの実施形態において、原子層堆積を使用して、対照としての試験基材が作製され得る。いくつかの実施形態において、AFMを使用して、処理の前後にダイヤモンドの粗さ(及び又は表面の他の特徴、例えば官能化のレベル、シクロデキストリン層の結合強度など)を測定することができる。いくつかの実施形態において、XPSは、発明者が、本発明者の分子のフェニル環中に埋もれたsp2混成炭素を探索することを可能にし、XPSを使用して表面上のB-シクロデキストリン分子の存在を検出することさえ、より容易に行うことができる。いくつかの実施形態において、XPSは、本発明者らの薄膜の被覆率及び官能性を求めるための有用な分析ツールであると予想される。いくつかの実施形態において、FESEMによる撮像は、表示図の作成のために有用である。いくつかの実施形態において、薄膜の被覆率(例えば共焦点RAMAN顕微鏡)、ダイヤモンド基材の構造及び形態(例えばデスクトップSEM)を評価するための有用な機器が用いられる。
いくつかの実施形態は、共有結合/非共有結合対(例えばアダマンチルアンカー分子及びそれに伴うアダマンチル)を含む光輝分子(glisten molecule, 例えばホスト-ゲスト単位)に関する。いくつかの実施形態において、ゲストは、第2の種(ホスト)の疎水性ポケット中に存在することができ、本明細書に開示する1つ以上の効果を生じさせるために使用することができる。いくつかの実施形態において、ホスト-ゲスト単位はアダマンタン/β-CDを含むが、例えばナフタレン/α-CDを含む他の対合単位が存在することができる。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、いくつかの例示的なゲスト部分が使用されるが、シクロデキストリン中に存在し得る任意のゲストを使用することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、本明細書に開示するコーティングは、界面の濡れ特性を制御するように作用し、したがって、グリース、ローション、ちり、ほこり又は任意の他の特異的又は非特異的汚染物質による汚染を防止又は低減するように調整することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されているように「カルベン法」が使用され、「カルベン法」は、表面に容易に適用することができ、次いで穏やかに加熱されて、所与の表面の官能化を推進することができる、クラスI爆発物の使用を含む。
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、ナノ分子コーティングの基礎は、β-CDとアダマンタンケージ(C10H14)との超分子会合に依拠する。これは、利用可能な最も強力なホスト-ゲスト超分子カップリングの1つである。いくつかの実施形態において、アダマンタンケージは、十分に高密度の「分子カーペット」内の表面上に配置されることができ、β-CD基はこれらの部位に自発的に結合し、ダイヤモンドが処理溶液から取り出された後に表面上に残る。いくつかの実施形態において、これらの分子の存在が、界面の表面化学的性質を決定する。β-シクロデキストリンは、7個のD-グルコピラノースから構成される環状オリゴ糖である。β-シクロデキストリンは、親油性/疎水性の内部及びヒドロキシル端部を備えた親水性外部を有する。β-CD単位をアダマンチルケージにドッキングさせると、界面がより親水性になるが、親油性がはるかに低くなり、結果として油粒子を遮断する。
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されるように、アダマンタン部分は、受容体として使用できる唯一の化合物ではない。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に開示されているように、シクロデキストリン分子の疎水性ポケット内に適合する分子を使用することができる。例としては、ナフチル基、アントラセニル、又はキノニルが挙げられる。受容体部分がB-CDの空洞(キャビティ)よりも大きい場合、より大きい及びより小さいCDを使用することができる。例えばα-CDは、より小さいポケットを有し、共有結合したナフチレン基のために使用される。
いくつかの実施形態において、コーティングされる表面は、ジェムストーン又は宝石の表面ではない。いくつかの実施形態において、上記システム及びコーティングは、ジェムストーンコーティングとして使用されない。
材料及び計測
例示的な販売者及び計測がここに開示される。特に明記しない限り、試薬はスピロケム(Spirochem)社から購入した。塩化メチレン(試薬グレード)及び97%以上のβ-シクロデキストリンは、シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)社から入手した。特に明記しない限り、すべての反応は空気雰囲気下で行った。
399.85 MHzのエネルギーのバリアン(Varian)400分光計又は499.9 MHzのエネルギーのバリアン(Varian)500分光計を使用して、1H及び13C NMRスペクトルを得た。すべてのNMRスペクトルは25℃で分析し、残留溶媒ピークに対して評価した。
X線光電子分光法(XPS)を、サーモフィッシャー(Thermo Fisher)社製のK-Alpha Plusで行い、同梱のAvantageソフトウェアを使用して分析した。フラッドガンを電荷補償に利用して、粉砕は行わなかった。
例1:ビス(4-ヨードフェニル)官能化ダイヤモンド表面の作製
サンプル調製
以下の手順及び分析を行って、ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタンを使用する水素末端ダイヤモンド表面上での分子層の形成を評価した。以下のスキームは、ビス(4-ヨードフェニル)で官能化されたダイヤモンド表面の形成を示す。
Figure 2022517124000052
簡潔には、ビス(4-ヨードフェニル)で官能化されたダイヤモンド表面を形成するために、ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)(1 mg, 0.0022 mmol)の1%w/v(1%溶液は溶液100 mL当たり化合物1グラムに相当する)ジクロロメタン(DCM, 100 μL)溶液を調製する。この溶液を、ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)が完全に溶解するまで撹拌した(「溶液1.1」が生じる)。ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)(1 mg, 0.0022 mmol)の第2の0.2%w/vジクロロメタン(DCM, 500 μL)溶液も、完全に溶解するまで撹拌しながら調製した(「溶液1.2」)。その際、各ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)溶液を、別のダイヤモンドコーティングされたシリコンウエハー(ダイヤモンドコートシリコンウエハー(ダイヤモンドのモデル面として使用)にピペット及びゴム球を用いて適用した。ドロップコーティングの前後のダイヤモンドコートシリコンウエハーを図9Aに示し、左側は溶液1.1でコートしたウエハーであり、右側は溶液1.2でコーティングしたウエハーである。ダイヤモンドコートシリコンウエハーを室温にて30分間蒸発させた。DCMが蒸発した後、材料の層が見えた(図9B;左側は溶液1.1でコーティングしたウエハー、右側は溶液1.2でコーティングしたウエハー)。
各ウエハーに溶液1滴を適用した後、ドロップコートしたダイヤモンドコートシリコンウエハーを真空オーブン内400 K(127℃)の温度で5分間アニーリングした。次いで、ドロップコートしたダイヤモンドコートシリコンウエハーを、図9Cに示すように、DCM浴中で約5分間すすいだ(左側の溶液1.1でコーティングしたウエハーは以下「サンプル1.1」、右側の溶液1.2でコートしたウエハーは以下「サンプル1.2」)。図9Dは、溶液1.1(左側のダイヤモンド)又は溶液1.2(右側のダイヤモンド)を使用した二つのファセットダイヤモンドの処理を示す。
例2:XPSサンプル調製及び分析
サンプル調製
ビス(4-ヨードフェニル)で官能化されたダイヤモンド表面を形成するために、実施例1に使用したのと同様の手順を、以下に示す点を変更して行った。「サンプル2.1」については、ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)(1 mg, 0.0022 mmol)の1%w/vジクロロメタン(DCM, 100μL)溶液を調製した。「サンプル2.2」については、ジクロロメタン(DCM, 200μL)中に0.5%w/vビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)(1 mg, 0.0022 mmol)を含む第2の溶液を調製した。「サンプル2.3」、「サンプル2.4」及び「サンプル2.5」については、ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)(1 mg, 0.0022 mmol)の0.2%w/vジクロロメタン(DCM, 500μL)溶液を調製した。その際、各ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)溶液を含むピペットを使用して、溶液をダイヤモンドコーティングされたシリコンウエハー(ダイヤモンドコートシリコンウエハー)(ダイヤモンドのモデル面として使用)上に滴下した。サンプル2.1及び2.2では、ダイヤモンドコートシリコンウエハー上の溶液を室温にて10分間又は乾燥するまで蒸発させた。サンプル2.3では、ウエハーを130℃のホットプレート上に置いて5分間蒸発させた。サンプル2.4では、ウエハーを180℃のホットプレート上に置いて5分間蒸発させた。サンプル2.5では、ウエハーを140℃のホットプレート上に置いて5分間蒸発させた。
分析
(ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)による処理を実施しなかった)対照に対して、サンプル2.1~2.5ではそれぞれ、別の3個の部分においてXPSを行った。各例において、ウエハー上の3個の別の点をXPSによりプローブした。各サンプルの点の例示的なXPSスペクトルを図10A~図10Gに示す。図10Aは対照のデータを示す。図10B及び図10Cは、それぞれ第1点及び第2点におけるサンプル2.1のデータを示す。図10Dは、サンプル2.2のデータを示す。図10Eは、サンプル2.3のデータを示す。図10Fは、サンプル2.4のデータを示す。図10Gは、サンプル2.5のデータを示す。
XPSデータより、以下の観察がされた。すべてのサンプルの炭素シグナルは単結晶ダイヤモンドが優位であり、サンプル間でほとんど変化しなかった。窒素シグナルはすべての例で低く、これらの系における一般的な属性である、窒素空孔欠陥を介してダイヤモンド格子に捕捉された窒素に起因する。ケイ素の特徴は、ダイヤモンド膜におけるピンホール欠陥に起因し、サンプル品質の尺度である。ケイ素の特徴はすべての場合で低い。未焼成の対照サンプルであるサンプル2.1は、ヨウ素原子について小さな残留シグナルを示した。この弱いシグナルは、物理吸着された未反応のビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)に由来する。逆に、すべての加熱されたサンプルは、ダイヤモンド基材へのビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)の化学吸着と一致する強いヨウ素の特徴を示す。
例3:堆積方法
塩化メチレン中のビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)を堆積させるための様々な技術を用いて、堆積の種類、温度及びビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)濃度について傾向が存在するか否かを確認した。ヨウ素XPSスペクトルを図11A及び図11Bに示し、図11Aは拡大図を示す。データは、追加の原子が検出されないか又は失われないことを示す。この実験では、ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)をウエハー表面上で乾燥させ、次いで加熱した基材を比較した(すすぎ-乾燥-加熱1%及びすすぎ-乾燥-加熱0.5%と記載したサンプルが、それぞれ1%及び0.1%w/v溶液を用いた)。溶液を乾燥させ、次いで140℃にて加熱した。Hotp 130及びHotp 140は予熱したウエハーであり、その上に溶液を滴下して反応させた。これらは、他のすべてのサンプルと比較して、より高いヨウ素被覆率を示した。この高温処理によって、溶媒が乾燥するまで待機する必要がなくなった。これらのサンプルは、最良の性能を最高のヨウ素被覆率と共に有していた。サンプルHotp-180マルチは、最初の反応後にサンプルの被覆率が不完全であるか否かを確かめる試みであった。180℃まで予熱したウエハー上に堆積3回を行った。溶媒はいずれの場合も急速に蒸発した。サンプルの超音波処理を行って、表面から残留分解炭素を除去する必要があった。ヨウ素の相対的増加は認められなかった。
例4:ジェムストーンダイヤモンド:ヨード-ジアリール炭素との化学反応
サンプル調製
追加のビス(4-ヨードフェニル)で官能化されたダイヤモンド表面を形成するために、例1及び2の手順と同様の手順を行った。ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)(1 mg, 0.0022 mmol)の1%w/vジクロロメタン(DCM, 100μL)溶液を調製し、スタンド上に直立させたダイヤモンドに堆積させた。溶液を20分間乾燥させた。ダイヤモンドのサイズが小さいと、DCM溶媒の乾燥時間が長くなった。ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)コートダイヤモンドを150℃にて10分間加熱した。ダイヤモンドをトルエン中で1時間超音波処理し、続いてすすいだ。
分析
XPSデータを図12に示す。官能化されていない対照に対して、ダイヤモンドの3個の異なる部分においてXPSを行った。対照実験では、ヨウ素被覆率を示されなかった。修飾されたダイヤモンドは、検出可能なヨウ素を有していた。化学吸着化合物の物理吸着化合物に対する比に関して、単一のサンプル表面で多少の変動があった。ヨウ素シグナルのこれらの相違は、サンプルのトポグラフィに起因していた。ダイヤモンドのいくつかの領域は、その形状及びホットプレートとの接触面積が小さいために、好適に加熱されていないおそれがある。それにもかかわらず、強い化学吸着ヨウ素シグナルによって、単結晶ジェムストーンダイヤモンドの官能化が最初に示された。
例5:反応及びすすぎサイクル
サンプル調製
ビス(4-ヨードフェニル)官能化ダイヤモンド表面を形成するために、例1に対して使用したのと同様の手順を、以下に示す点を変更して行った。「サンプル5.1~5.5」については、ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)(1 mg, 0.0022 mmol)の1%w/vジクロロメタン(DCM, 100μL)溶液を調製した。このサンプルを乾燥させ、サンプルを加熱した。次いで加熱した。サンプルをすべてジクロロメタン中で5分間超音波処理して、すすいだ。次いでサンプル5.2~5.5は、堆積、加熱及び超音波処理の別のサイクルを有した。このパターンを、サンプル1に1サイクル、サンプル5.5に5サイクル行われるように続けた。
分析
サンプル5.1~5.5のそれぞれの別の3個の部分でXPSを行った。各例において、ウエハー上の3個の別の点をXPSによりプローブした。図13は結果を示し、単一サイクルによって良好な官能化をもたらされ得ることを示している。ヨウ素シグナルの相違は、単一サイクル後の不完全な被覆ではなく、むしろ結合のためにアクセス可能な部位のサンプル間変動性に起因するものであった。
例6:温度変化
サンプル調製
ビス(4-ヨードフェニル)で官能化されたダイヤモンド表面を形成するために、例1に対して使用したのと同様の手順を、以下に示す点を変更して行った。用いた温度120、130、140、150、160、170、180に従ってサンプルを命名した。ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)(1 mg, 0.0022 mmol)の1%w/vジクロロメタン(DCM, 100μL)溶液を調製して、ウエハー上に堆積した。この溶液を乾燥させ、サンプルを規定の温度まで加熱した。サンプルをすべてジクロロメタン中で60分間超音波処理して、すすいだ。
分析
温度は、被覆率又は方法開発のための信頼性のある対照であるとは認められなかった。反応を生じさせるのに好適な温度すべてで、ダイヤモンド表面の官能基化が成功した。2つの異常が認められた。図14Aでは、物理吸着された特徴をオレンジ色矢印で示す。これらの特徴は130℃及び170℃で認められた。物理吸着された特徴は、不十分なすすぎに起因していた。図14Bは、サンプルが様々な温度にて被覆率を生じたことを示す。
例7:反応時間の変動
ビス(4-ヨードフェニル)で官能化されたダイヤモンド表面を形成するために、例1に使用したのと同様の手順を、以下に示す点を変更して行った。ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)(1 mg, 0.0022 mmol)の0.2%w/vジクロロメタン(DCM, 500μL)溶液を調製して、ウエハー上に堆積させた。これを5分間乾燥させた。高い被覆率を確保するために、ドロップキャストを繰り返し、さらに5分間乾燥させた。次いで、サンプルを以下の時間:1分、5分、10分、20分にわたって160℃のホットプレート上で焼成した。サンプルすべてをトルエン中で30分間超音波処理した。トルエンを新しい溶媒に交換し、さらに30分間超音波処理して、サンプルの清浄度を確保した。
分析
XPSスペクトルのヨウ素領域を比較して被覆率を評価する。化学吸着及び物理吸着ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)に帰属されるピークを図15に示す。より短時間の反応は物理吸着に有利であり、一方、より長時間の反応は化学吸着に有利であった。
例8:浸漬基材を使用する反応
ビス(4-ヨードフェニル)で官能化されたダイヤモンド表面を形成するために、ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)(1mg, 0.0022 mmol)の1%w/vジクロロメタン(DCM, 100μL)溶液を調製した。ダイヤモンドコートウエハーをこの溶液中に入れた。この溶液を160℃のホットプレート設定にて密閉バイアル内で加熱した。圧力の蓄積により、この反応は少量又はPARR型反応器で行うことができる。溶液の色は20分の加熱後に消失した。図16は、ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)を堆積させるための液滴コーティング及び浸漬手法の概略図を示す。固体-固体反応では、乾燥試薬がウエハー表面に適用され、加熱される。固体-液体反応では、試薬の溶液を基材に曝露して加熱する。
分析
浸漬したダイヤモンドコートウエハーでは化学吸着が明らかであったが、被覆率は固体-固体法よりも低かった。固体-液体の被覆率は固体-固体の場合よりも低かったが、カルベン試薬が温度によって生成されるため、カルベン試薬を消費し得る他の機構が効果を現わしている。溶媒とカルベンとの間の副反応は、異なる溶媒(例えば非炭化水素含有溶媒、例えばテトラクロロメタン)を選択することによって回避することができた。
例10:シクロデキストリン分子による官能化
サンプル調製
ビス(4-ヨードフェニル)で官能化されたダイヤモンド表面を形成するために、実施例1に対して使用したのと同様の手順を、以下に示す点を変更して行った。ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)(1 mg, 0.0022 mmol)の1%w/vジクロロメタン(DCM, 100μL)の溶液を調製し、ダイヤモンドコートウエハー上に堆積させた。これを5分間乾燥させた。サンプルを150℃で5分間加熱した。トルエン中で1時間音波照射して、残留材料を除去する。10 mg/mLシクロデキストリン水溶液を重量測定により調製した。シクロデキストリン溶液を修飾ダイヤモンドコーティングウエハー及び未修飾ダイヤモンドコーティングウエハーに1分間適用した。蒸留水流下で45秒間ウエハーから溶液をすすいだ。
Figure 2022517124000053
分析
各サンプルの3個の別の部分でXPSを行って、ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)で処理されたダイヤモンドコートウエハー及び未処理ダイヤモンドコートウエハー上のシクロデキストリン被覆率を対照の未修飾ダイヤモンドコートウエハーと比較した。各例において、ウエハー上の3個の別の点をXPSによりプローブした。ヨウ素シグナルは、ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)処理ダイヤモンドコートウエハーで確認された。O1sシグナルをシクロデキストリン被覆率の代用として使用したのは、シクロデキストリンが酸素に富む分子であり、ダイヤモンドの強いバックグラウンドに対して寄与した炭素の区別が困難なためである。O1sシグナルは、両方のシクロデキストリンに曝露されたウエハー上で増強され、これは、すすぎ後に両方の表面に残存するシクロデキストリンと整合する。ビス(4-ヨードフェニル)ジアゾメタン)は、未修飾ダイヤモンドと比較して被覆率が持続的に上昇した。各サンプル上の点の例示的なXPSスペクトルを以下の図17に示す。各サンプルについて、O1s XPS領域の比較を示す。酸素は、この例ではシクロデキストリン被覆率の代用である。未処理ダイヤモンドは、ベースライン酸素強度を有する。シクロデキストリンを未修飾ダイヤモンド表面に露出させ、次いですすぐと、より高い観測シグナルが生じる。修飾ダイヤモンドは最大のシグナルを有する。サンプルを水流下で45秒間すすいだ。
例11:ビス(4-アダマンチル)で官能化されたダイヤモンド表面の調製
サンプル調製
以下は、ビス(4-アダマンチル)ダイヤモンド表面の官能化及び試験の例である。
以下のスキームは、ビス(4-アダマンチル)で官能化されたダイヤモンド表面の形成を示す。
Figure 2022517124000054
接触角試験は、ダイヤモンドが疎水性であり、約65°の接触角を有することを示した。b-シクロデキストリン又はアンカーのみをダイヤモンド表面に付加した場合、それぞれ61°及び62°の接触角が認められた。アンカー及びb-シクロデキストリンでコーティングされたダイヤモンドは、12°の、はるかに低い接触角を有していた。以下に示す。
Figure 2022517124000055
例12:ビス(4-アダマンチル)で官能化されたダイヤモンド表面の調製
サンプル調製
以下は、ビス(4-アダマンチル)ダイヤモンド表面の官能化及び試験の予測的な例である。
以下のスキームは、ビス(4-アダマンチル)官能化ダイヤモンド表面の形成を示す。
Figure 2022517124000056
簡潔には、ビス(4-アダマンチル)ジアゾメタン官能化ダイヤモンド表面を形成するために、ビス(4-アダマンチル)ジアゾメタン)(1 mg, 0.00323 mmol)の1%w/v(1%溶液は溶液100 mL当たり化合物1グラムに相当する)ジクロロメタン(DCM, 100μL)の溶液を調製する。その際、ビス(4-アダマンチル)ジアゾメタン溶液に、ダイヤモンドコートウエハー又は単結晶ダイヤモンドを添加する。溶媒を5~10分間蒸発させる。その際、ダイヤモンドコートウエハーのダイヤモンドを120~180℃の温度に5~20分間加熱する。次いで、サンプルをトルエン溶液中に保持し、10時間超音波照射する。又は、サンプルを120~180℃に予熱し、溶液をサンプルに適用し、超音波照射の前に高温で乾燥させる。それにもかかわらず、洗浄後、反応によってアンカーで官能化されたダイヤモンドが得られる。
接触角試験は、ダイヤモンドが疎水性であり、約60°の接触角を有することを示す。
ペンダントアダマンチル基をβ-シクロデキストリンで官能化するために、アンカー官能化ダイヤモンドを10 mg/mLを超える濃度のβ-シクロデキストリンの溶液に入れる。シクロデキストリン溶液を、修飾されたダイヤモンドコーティングウエハー及び未修飾ダイヤモンドコーティングウエハーに1分間適用する。蒸留水流下で45秒間ウエハーから溶液をすすぐ。
分析
XPSを試験基材上で、未処理のβ-シクロデキストリン曝露対照(ビス(4-アダマンチル)ジアゾメタン)による処理を行っていない)及び未修飾ダイヤモンドに対して行う。データを比較すると、修飾ダイヤモンドの方が酸素シグナルが高いことが分かる。アダマンタンケージはシクロデキストリンの空洞サイズに合わせて調整されているので、より高い結合係数によってより安定で弾力性のあるシクロデキストリンコーティングが生成されると予想される。
β-シクロデキストリンの自己集合(セルフアッセンブリ)を水接触角によって分析する。角度は、基材上に存在するシクロデキストリンの量に応じて低下する。分子コーティング後の表面の屈折率の変化は、光学エリプソメトリーを用いて求める。これにより1~3 nmの追加の膜厚が得られる。ホスト官能化ダイヤモンドの接触角は0°~15°である。
次いで汚損試験を行う。コーティングされたダイヤモンド及び未コーティングダイヤモンドをリングセッティングに並べて配置する。ダイヤモンドの光学性能を検査する標準化技術である角度スペクトル評価ツール(ASET)を使用して、ダイヤモンドを処理の前後で比較する。コートダイヤモンド上の付着物は、(図1C及び図1Eに示すように)ASETによって検出できない。汚損性能は、ヒトが装着したリングの実際の利用と、ダイヤモンドコーティングを石鹸、ほこり、ローション及び油に対する試験の両方で評価される。処理済みダイヤモンド及び未処理ダイヤモンドをクリーニングして偶発的かつ大型の粒子を除去し、ASETで比較して、吸着したほこり及び垢に対して消失した煌めき及び光輝性を評価する。図1C及び図1Eに示すように、1ヶ月間の通常の損耗では、ホストコートしたダイヤモンドにはほこり又は油は蓄積しない。しかし、未処理ダイヤモンドは、図1D、図1F、及び図1Gに示すように汚損されている。
例13:1,1’-(ビス(4,1-フェニレン))ビスメチルアダマンタン)で官能化されたダイヤモンド表面の調製
サンプル調製
以下は、コーティングされたダイヤモンド表面の官能化及び試験の予測的な例である。
以下のスキームは、アダマンチルで官能化されたダイヤモンド表面の形成を示す。
Figure 2022517124000057
簡潔には、ビス(4-アダマンチル)ジアゾメタンで官能化されたダイヤモンド表面を形成するために、1,1’-((ジアゾメチレン)ビス(4,1-フェニレン))ビスメチルアダマンタン)(1 mg)の1%w/v(1%溶液は溶液100 mL当たり化合物1グラムに相当する)ジクロロメタン(DCM, 100μL)溶液を調製する。その際、1,1’-((ジアゾメチレン)ビス(4,1-フェニレン))ビスメチルアダマンタン)溶液にダイヤモンドコートウエハー又は単結晶ダイヤモンドを添加する。溶媒を5~10分間蒸発させる。その際、ダイヤモンドコートウエハーのダイヤモンドを120~180℃の温度に5~20分間加熱する。次いで、サンプルをトルエン溶液中に保持し、10時間超音波処理する。又は、サンプルを120~180℃に予熱し、溶液をサンプルに適用し、超音波処理の前に高温で乾燥させる。それにもかかわらず、洗浄後、反応によってアンカーで官能化されたダイヤモンドが得られる。
接触角試験は、ダイヤモンドが疎水性であり、約65°の接触角を有することを示す。
ペンダントアダマンチル基をβ-シクロデキストリンで官能化するために、アンカーで官能化されたダイヤモンドを10 mg/mLを超える濃度のβ-シクロデキストリンの溶液に入れる。シクロデキストリン溶液を修飾されたダイヤモンドコーティングウエハー及び未修飾ダイヤモンドコーティングウエハーに1分間適用する。蒸留水流下で45秒間ウエハーから溶液をすすぐ。
分析
XPSを試験基材上で、未処理のβ-シクロデキストリン曝露した対照(1,1’-((ジアゾメチレン)ビス(4,1-フェニレン))ビスメチルアダマンタンによる処理を行っていない)及び未修飾ダイヤモンドに対して行う。データを比較すると、修飾ダイヤモンドの方が酸素シグナルが高いことが分かる。アダマンタンケージはシクロデキストリンの空洞サイズに合わせて調整されているので、より高い結合係数が、より安定で弾力性のあるシクロデキストリンコーティングを作りだすことが予想される。
β-シクロデキストリンの自己集合(セルフアッセンブリ)を水接触角によって分析する。角度は、基材上に存在するシクロデキストリンの量に応じて低下する。分子コーティング後の表面の屈折率の変化は、光学エリプソメトリーを用いて求める。これにより1~3 nmの追加の膜厚が得られる。ホストで官能化されたダイヤモンドの接触角は0°~10°である
次いで汚損試験を行う。コーティングされたダイヤモンド及び未コーティングダイヤモンドをリングセッティングに並べて配置する。ダイヤモンドの光学性能を検査する標準化技術である角度スペクトル評価ツール(ASET)を使用して、ダイヤモンドを処理の前後で比較する。コートダイヤモンド上の付着物は、(図1C及び図1Eに示すように)ASETによって検出できない。汚損性能は、ヒトが装着したリングの実際の利用と、ダイヤモンドコーティングを石鹸、ほこり、ローション及び油に対する試験の両方で評価される。処理済みダイヤモンド及び未処理ダイヤモンドをクリーニングして偶発的かつ大型の粒子を除去し、ASETで比較して、吸着したほこり及び垢に対して消失した煌めき及び光輝性を評価する。図1C及び図1Eに示すように、1ヶ月間の通常の損耗では、ホストでコーティングされたダイヤモンドにはほこり又は油は蓄積しない。しかし、未処理ダイヤモンドは、図1D、図1F、及び図1Gに示すように汚損されている。
例14:官能化された床面の調製
サンプル調製
以下は、コーティングされた床面の官能化及び試験の予測的な例である。以下のスキームは、再生可能な抗菌官能化シクロデキストリンを用いたアダマンチル官能化床面の形成を示す。
Figure 2022517124000058
簡潔には、ビス(4-アダマンチル)ジアゾメタンで官能化さあれた表面を形成するために、1,1’-((ジアゾメチレン)ビス(4,1-フェニレン))ビスメチルアダマンタン)(1 mg)の1%w/v(1%溶液は溶液100 mL当たり化合物1グラムに相当する)ジクロロメタン(DCM, 100μL)溶液を調製する。その際、床材の一部に1,1’-((ジアゾメチレン)ビス(4,1-フェニレン))ビスメチルアダマンタン)溶液を置く。溶媒を5~10分間蒸発させる。その際、表面を120~180℃の温度に5~20分間加熱する。次いで、そのサンプルをトルエン溶液中に保持し、10時間超音波照射する。又は、サンプルを120~180℃に予熱し、溶液をサンプルに適用し、超音波照射の前に高温で乾燥させる。
又は、以下の手順を使用して、8-ヒドロキシキノリンを使用して抗菌性床面を調製する。
Figure 2022517124000059
両方の表面は、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性を備えている。
例15:可逆的に官能化された表面の調製
サンプル調製
以下は、コーティングされたイヤモンド表面の官能化及び試験の予測的な例である。ダイヤモンド表面は、例12に開示したものと同様の条件を使用して官能化される。以下に示すように、官能化後、アミド結合が切断して、どのような検出可能な表面コーティングもないダイヤモンドが示される。
Figure 2022517124000060
100 ダイヤモンド表面、疎水性炭素格子、炭素原子
149 コートダイヤモンド
200 アンカー分子、ゲスト分子
201 アンカー部
202 ゲスト部、ゲスト部位
204 反応性非連結アンカー分子
250 親水性結合剤、ゲスト分子、ホスト分子
251 空洞
300 カットダイヤモンド、未処理ダイヤモンド
350 アンカー官能化ダイヤモンド
380 コートダイヤモンド
400 市販のアンカー分子
401 アミン基
402 アダマンタン系基、ゲスト部位、アダマンタンゲスト部位
403 フェニル基
450 ホスト分子、β-シクロデキストリン
451 ポケット
500 アンカー分子、二重分枝構造
501 単一のアンカー部、単一の付着点
502 複数のゲスト部、アダマンタンゲスト部
505 フェニル基
604 前駆体、前駆体アンカー分子
604’ 前駆体アンカー分子
606 アンカー部分、ジアゾ基
606’ アニオン性メチル基
607 可変ゲスト基
607’ 可変ゲスト基
610 ビス(4-アダマンチルフェニル)アンカー分子
700 アンカー分子
750 ホスト分子
800 アンカー分子の一部が露出されたままになる
802 遊離アンカーゲスト部分
849 官能化ダイヤモンド表面
850 石鹸及び/又はホスト分子、遊離ホスト分子
890 溶液
895 洗浄剤
896 クリーニング済み表面

Claims (46)

  1. 式I:
    Figure 2022517124000061
    を含む分子コーティングされた表面であって、
    式中、
    Sは表面を表し、-A(-X)は分子コーティングを表し、
    Aは、Sに共有結合したアンカー部分であり、
    Xは、Aに結合したペンダント部分であり、
    mは、1~5の整数であり、かつ
    前記コーティングされた表面が、コーティング前の表面とは異なる物理的特性及び/又は化学的特性を有し、
    前記表面がジェムストーンの表面ではない、分子コーティングされた表面。
  2. -A(-X)が以下の構造によって表され:
    Figure 2022517124000062
    式中、
    Figure 2022517124000063
    はSへの結合を示す、請求項1に記載の分子コーティングされた表面。
  3. 前記分子コーティングされた表面がホスト分子を含む、請求項2に記載の分子コーティングされた表面。
  4. 前記ホスト分子がβ-シクロデキストリンである、請求項3に記載の分子コーティングされた表面。
  5. Aが式AI及び/又はAIIで表され:
    Figure 2022517124000064
    式中
    *がX又はX’への結合を示し、
    Figure 2022517124000065
    がSへの結合を示し、
    、R、R、R、R、R10、R11、及びR12が、-H、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~Cアルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~Cアルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~Cアルキニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、一置換アミン(C~Cアルキル)、二置換アミン(C~Cアルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基、及びポリエーテル基から独立して選択され、
    X及びX’がそれぞれ、-H、-OH、アダマンチル、ヨード(-I)、ニトロ(-NO)、ナフチル、アントラセニル、ペルフルオロオクタン酸、ピロニンY、ピロニンB、カルボラニル、フェロセニル、アゾベンゼン、トリシクロオクチル、及びペルフルオロオクチル、抗菌剤、色素、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよいC~C10アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~C10アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~C10アルキニル、C~C10アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C~C18ハロアルキル、C~C10ハロアルコキシ、一置換アミン(C~C10アルキル)(C~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、二置換アミン(C~C10アルキル)(式中、C~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基、及びポリエーテル基から独立して選択された部分であり、それらのいずれか1つがエーテル、アミン、エステル、アミド、シラノール又は炭素結合を介して、シクロデキストリンへと官能化されていることができ、
    tが0~5の整数であり、かつ
    u及びvはそれぞれ独立して、0~10の整数である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  6. 、R、R、R、R、R10、R11、及びR12が、-H、C~Cアルキル、ヒドロキシル、ハロゲン、及び-OCHから独立して選択される、請求項5に記載の分子コーティングされた表面。
  7. X又はX’の1つ以上が、以下の構造:
    Figure 2022517124000066
    によって表される、請求項5又は6に記載の分子コーティングされた表面。
  8. X又はX’の1つ以上が以下の構造:
    Figure 2022517124000067
    によって表される、請求項5~7のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  9. tが0又は1である、請求項7又は8に記載の分子コーティングされた表面。
  10. X又はX’部分の1つ以上が、抗菌剤又は色素によって官能化されていてもよい、官能化されていてもよいシクロデキストリンの細孔に収容されるように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  11. X又はX’部分の1つ以上が、以下の-H、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよいC~C10アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~C10アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~C10アルキニル、C~C10アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C~C18ハロアルキル、C~C10ハロアルコキシ、一置換アミン(C~C10アルキル)(式中、C~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、二置換アミン(C~C10アルキル)(式中、C~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基及びポリエーテル基から選択される基によって官能化されていてもよく、そのいずれか1つがエーテル、アミン、エステル、アミド、シラノール又は炭素結合を介して、シクロデキストリンへと官能化されていることができる、官能化されていてもよいシクロデキストリンの細孔に収容されるように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  12. 前記置換されていてもよいシクロデキストリンが、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、及びγ-シクロデキストリンからなる群から選択される、請求項10又は11に記載の分子コーティングされた表面。
  13. 前記X又はX’部分の1つ以上が、包接錯体の形成を通じてホストに結合するように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  14. 置換されていてもよいシクロデキストリンが以下の構造:
    Figure 2022517124000068
    によって表され、式中
    pが1から8までの整数であり、
    14、R15、及びR16のそれぞれが、-H、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよいC~C10アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~C10アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~C10アルキニル、C~C10アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C~C18ハロアルキル、C~C10ハロアルコキシ、一置換アミン(C~C10アルキル)(式中、C~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、二置換アミン(C~C10アルキル)(式中、C~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基、ポリエーテル基、色素、治療剤、及び抗菌剤から独立して選択され、それらのいずれか1つがエーテル、アミン、エステル、アミド、シラノール又は炭素結合を介して、シクロデキストリンへと官能化されていることができる、請求項13に記載の分子コーティングされた表面。
  15. 前記表面が、木材、金属、石、又はプラスチックである、請求項1から14のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  16. 前記表面が、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)アッセイを実施するのに好適な基材である、請求項1から14のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  17. 前記表面が、床、壁、又はカウンタートップである、請求項1から14のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  18. 前記表面がプラスチック表面である、請求項1から14のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  19. 前記表面がガラス表面である、請求項1から14のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  20. Aが分解性結合を介してSに結合している、請求項1から14のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  21. Aが分解性結合を介してXに結合している、請求項1から14のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  22. Aが永久結合を介してSに結合し、Xが分解性結合を介してAに結合している、請求項1に記載の分子コーティングされた表面。
  23. 表面に共有結合したアンカー、及び結合剤を含むコーティングされた表面であって、前記アンカーが、前記結合剤に可逆的に結合するペンダント結合部分を含む、コーティングされた表面。
  24. 前記結合剤が、コーティング前の表面とは異なる所望の特性を前記コーティングされた表面に付与する、請求項23に記載の分子コーティングされた表面。
  25. 分子コーティングされた表面であって、
    アンカー官能基に結合された表面であって、前記アンカー官能基がペンダントゲスト部分を含む表面、
    前記アンカー分子の前記ペンダントゲスト部分を介して前記アンカーに結合したホスト分子
    を備え、
    前記ホスト分子が、前記コーティングされた表面に表面特性を付与する、分子コーティングされた表面。
  26. 前記ホスト分子によって前記コーティングされた表面に付与された前記表面特性が、未コーティング時の前記表面とは異なる表面特性である、請求項25に記載の分子コーティングされた表面。
  27. 前記表面に付与される前記表面特性が親水性又は疎水性である、請求項25又は26に記載の分子コーティングされた表面。
  28. 前記表面に付与される前記表面特性が抗菌活性である、請求項25から27のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  29. 前記表面が、ジェムストーン表面、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)アッセイの実施に好適な基材、プラスチック表面、床、壁、又はカウンタートップである、請求項25から28のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  30. 前記アンカーと前記表面との間の結合が共有結合である、請求項25から29のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  31. 前記アンカーと前記表面との間の共有結合が分解性である、請求項30に記載の分子コーティングされた表面。
  32. 前記アンカーと前記ペンダントゲスト部分との間の結合が共有結合である、請求項25から31のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  33. 前記アンカーと前記ペンダントゲスト部分との間の共有結合が分解性である、請求項32に記載の分子コーティングされた表面。
  34. 前記ペンダントゲスト部分がアダマンチル基である、請求項25から33のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  35. 前記ホスト分子が官能化されていてもよいシクロデキストリンである、請求項25から34のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  36. 前記ホスト分子がベータ-シクロデキストリンである、請求項25から35のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  37. 前記シクロデキストリンが、親水性部分、疎水性部分、又は両親媒性部分、抗菌剤、治療剤、色素、ヌクレオチド、タンパク質、及び酵素のうちの1つ以上によって官能化されている、請求項35又は36に記載の分子コーティングされた表面。
  38. 1を超えるホスト分子が前記表面に結合している、請求項25から37のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  39. 前記ホスト分子が、前記ホスト分子の上に位置するゲスト部位のサイズに基づいて選択され、前記アンカーの前記ゲスト部分が、前記ホスト分子の前記ゲスト部位内に適合するように選択される、請求項25から37のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面。
  40. コーティング及び表面を含む分子コーティングされた表面であって、前記分子コーティングされた表面が、式II:
    Figure 2022517124000069
    によって示され、式中
    Sが前記表面を表し、前記コーティングが-A(-X)を含み、
    Aが、Sに共有結合したアンカー部分であり、
    Xが、Aに共有結合し、ホスト分子に結合するように構成されたゲスト部分であり、
    mが1~5の整数であり、
    Yがホスト分子であり、及び
    qが1~5の整数であり、
    前記分子コーティングされた表面が、前記コーティングされた表面に所望の表面特性を付与するように構成されている、分子コーティングされた表面。
  41. Aが式AI及び/又はAIIで表され:
    Figure 2022517124000070
    式中
    *がX又はX’への結合を示し、
    Figure 2022517124000071
    がSへの結合を示し、
    、R、R、R、R、R10、R11、及びR12が、-H、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~Cアルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~Cアルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~Cアルキニル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、一置換アミン(C~Cアルキル)、二置換アミン(C~Cアルキル)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基、及びポリエーテル基から独立して選択され、かつ
    X及びX’がそれぞれ、-H、-OH、アダマンチル、ヨード(-I)、ニトロ(-NO)、ナフチル、アントラセニル、ペルフルオロオクタン酸、ピロニンY、ピロニンB、カルボラニル、フェロセニル、アゾベンゼン、トリシクロオクチル及びペルフルオロオクチル、抗菌剤、色素、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよいC~C10アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~C10アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~C10アルキニル、C~C10アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C~C18ハロアルキル、C~C10ハロアルコキシ、一置換アミン(C~C10アルキル)(C~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、二置換アミン(C~C10アルキル)(式中、C~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基、及びポリエーテル基から独立して選択された部分であり、それらのいずれか1つがエーテル、アミン、エステル、アミド、シラノール又は炭素結合を介して、シクロデキストリンに官能化することができ、
    tが0~5の整数であり、並びに
    u及びvがそれぞれ独立して、0~10の整数である、
    請求項40に記載の分子コーティングされた表面。
  42. Yが以下の構造:
    Figure 2022517124000072
    によって表され、式中
    pが1から8までの整数であり、
    14、R15、及びR16のそれぞれが、-H、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよいC~C10アルキル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~C10アルケニル、ハロゲン又はヒドロキシによって置換されていてもよいC~C10アルキニル、C~C10アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C~C18ハロアルキル、C~C10ハロアルコキシ、一置換アミン(C~C10アルキル)(式中、C~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい。)、二置換アミン(C~C10アルキル)(式中、C~C10アルキルは、ハロゲン又はヒドロキシ基によって置換されていてもよい。)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基、ポリエーテル基、色素、治療剤、及び抗菌剤から独立して選択され、それらのいずれか1つがエーテル、アミン、エステル、アミド、シラノール、又は炭素結合を介して、シクロデキストリンへと官能化されていることができる、請求項40又は41に記載の分子コーティングされた表面。
  43. 請求項1から42のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面を作成する方法であって、
    アンカー試薬を前記表面と反応させて、アンカーを有するコーティングされた表面をもたらすステップ
    を含む、方法。
  44. アンカー前駆体をペンダント官能基で官能化して前記アンカー試薬をもたらすステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記アンカーのゲストにホストを結合するステップをさらに含む、請求項43又は44に記載の方法。
  46. 請求項1から42のいずれか一項に記載の分子コーティングされた表面を使用する方法であって、
    前記分子コーティングされた表面を、汚れ、微生物、治療される疾患に罹患している患者、又は検体に曝露するステップ
    を含む、方法。
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