JP2022516073A - 抗pd-1結合タンパク質およびその使用方法 - Google Patents

抗pd-1結合タンパク質およびその使用方法 Download PDF

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Abstract

PD-1と選択的に結合する抗原結合タンパク質(ABP)ならびにそのアイソフォームおよびホモログ、ならびにABPを含む組成物が、本明細書で提供される。ABPを使用する方法、例えば、治療方法および診断方法も提供される。PD-1に対する結合特異性を有する抗原結合タンパク質(ABP)、ならびに医薬組成物、診断組成物、およびキットを含めた、そのようなABPを含む組成物が、本明細書で提供される。PD-1 ABPを作製する方法、ならびに例えば治療目的、診断目的および研究目的で、PD-1 ABPを使用する方法も、提供される。

Description

1.関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月27日に出願した米国仮特許出願第62/785,660号の優先権および利益を主張する。
2.配列表
本出願は、EFS-Web経由で提出した12221の配列に関する配列表を含み、この配列表は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2019年12月20日に作成した前記ASCIIコピーは、GGN-011WO_SL.txtという名であり、サイズは2,018,899バイトである。
3.分野
PD-1に対する結合特異性を有する抗原結合タンパク質(ABP)、ならびに医薬組成物、診断組成物、およびキットを含めた、そのようなABPを含む組成物が、本明細書で提供される。PD-1 ABPを作製する方法、ならびに例えば治療目的、診断目的および研究目的で、PD-1 ABPを使用する方法も、提供される。
4.背景
プログラム細胞死タンパク質1およびCD279(表面抗原分類279)としても公知である、PD-1は、T細胞炎症活性を抑制する細胞表面受容体である。PD-1は、T細胞、B細胞およびマクロファージを含む免疫細胞により発現される。免疫細胞によっても発現されるPD-L1は、PD-1の主要リガンドである。PD-1とPD-L1との相互作用は、T細胞炎症活性を抑制することによる免疫応答の下方調節および自己免疫寛容の促進に極めて重要である。この活性は、免疫系ががん細胞を死滅させるのを防止するばかりでなく、自己免疫疾患も防止する。
腫瘍細胞は、PD-L1を上方調節することによりPD-1/PD-L1経路を乗っ取り、ひいては抗腫瘍免疫応答を抑制する。最近、PD-1阻害剤は、PD-1/PD-L1結合に拮抗し、それによって免疫系を活性化して腫瘍を攻撃することが示された。したがって、PD-1阻害剤は、いくつかの種類のがんを処置するために使用されているが、効果はまちまちである。
PD-1活性の抑制は、動物において脳アミロイドβ斑(cerebral amyloid-β plagues)を低減させ、認知能力を向上させることも判明している。PD-1活性の遮断は、単球由来のマクロファージを脳に動員するIFN-γ依存性免疫応答であって、その結果、これらのマクロファージが組織からアミロイドβ斑を一掃することができるIFN-γ依存性免疫応答を惹起することが実証された。したがって、抗PD-1抗体は、アルツハイマー病を処置するための治療薬としても提案されている。
したがって、がんおよびアルツハイマー病を含む様々な疾患の処置、診断および研究に使用することができるPD-1 ABPを開発する必要がある。
5.概要
PD-1に対する結合特異性を有する新規ABP、およびそのようなABPを使用する方法が、本明細書で提供される。PD-1は、ヒトPD-1(配列番号7001)またはヒトPD-1の断片である。
ABPは、抗体を含むことができる。一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗体は、キメラ抗体である。一部の実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。一部の実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。一部の実施形態では、ABPは、抗体断片を含む。一部の実施形態では、ABPは、代替足場を含む。一部の実施形態では、ABPは、単鎖可変断片(scFv)を含む。
本明細書で提供されるABPは、PD-1の阻害に関連する様々な生物学的効果を誘導することができる。一部の実施形態では、本明細書で提供されるABPは、PD-1とPD-L1との結合を防止する。一部の実施形態では、本明細書で提供されるABPは、エフェクターT細胞の阻害を防止する。一部の実施形態では、ABPは、エフェクターT細胞を共刺激する。一部の実施形態では、ABPは、調節性T細胞によるエフェクターT細胞の抑制を阻害する。一部の実施形態では、ABPは、組織内のまたは体循環におけるエフェクターT細胞の数を増加させる。一部の実施形態では、組織は、腫瘍である。一部の実施形態では、組織は、ウイルスに感染している組織である。
ABPを含む医薬組成物の1つまたは複数と医薬組成物の使用のための指示とを含むキットも提供される。
本明細書で提供されるABPをコードする単離されたポリヌクレオチドおよびそれらの部分も提供される。
そのようなポリヌクレオチドを含むベクターも提供される。
そのようなポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞、およびそのようなベクターを含む組換え宿主細胞も、提供される。
本明細書で提供されるポリヌクレオチド、ベクターまたは宿主細胞を使用してABPを産生する方法も提供される。
ABPと薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物も提供される。
より具体的には、本開示は、ヒトプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)に特異的に結合する単離された抗原結合タンパク質(ABP)であって、(a)配列番号3001~3028から選択される配列を有するCDR3-L、および配列番号6001~6028から選択される配列を有するCDR3-H;または(b)配列番号10092~10614から選択される配列を有するCDR3-L、および配列番号11661~12183から選択される配列を有するCDR3-H;または(c)ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCD3-Lの配列を有するCDR3-L、およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCD3-Lの配列を有するCDR3-Lを含む、単離された抗原結合タンパク質(ABP)を提供する。一部の実施形態では、CDR3-LおよびCDR3-Hは、同族対である。
一部の実施形態では、ABPは、(a)配列番号1001~1028から選択される配列を有するCDR1-L、および配列番号2001~2028から選択される配列を有するCDR2-L;および配列番号4001~4028から選択される配列を有するCDR1-H;および配列番号5001~5028から選択される配列を有するCDR2-H;または(b)配列番号9046~9568から選択される配列を有するCDR1-L;および配列番号9569~10091から選択される配列を有するCDR2-L、および配列番号10615~11137から選択される配列を有するCDR1-H;および配列番号11138~11660から選択される配列を有するCDR2-H;または(c)ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCDR1-Lから選択される配列を有するCDR1-L;およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCDR2-Lから選択される配列を有するCDR2-L;およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCDR1-Hから選択される配列を有するCDR1-H;およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCDR2-Hから選択される配列を有するCDR2-Hを含む。
一部の実施形態では、ABPは、CDR1-L、CDR2-L、CDR3-L、CDR1-H、CDR2-HおよびCDR3-Hを含み、CDR1-Lは、配列番号1001からなり、CDR2-Lは、配列番号2001からなり、CDR3-Lは、配列番号3001からなり、CDR1-Hは、配列番号4001からなり、CDR2-Hは、配列番号5001からなり、CDR3-Hは、配列番号6001からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1002からなり、CDR2-Lは、配列番号2002からなり、CDR3-Lは、配列番号3002からなり、CDR1-Hは、配列番号4002からなり、CDR2-Hは、配列番号5002からなり、CDR3-Hは、配列番号6002からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1003からなり、CDR2-Lは、配列番号2003からなり、CDR3-Lは、配列番号3003からなり、CDR1-Hは、配列番号4003からなり、CDR2-Hは、配列番号5003からなり、CDR3-Hは、配列番号6003からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1004からなり、CDR2-Lは、配列番号2004からなり、CDR3-Lは、配列番号3004からなり、CDR1-Hは、配列番号4004からなり、CDR2-Hは、配列番号5004からなり、CDR3-Hは、配列番号6004からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1005からなり、CDR2-Lは、配列番号2005からなり、CDR3-Lは、配列番号3005からなり、CDR1-Hは、配列番号4005からなり、CDR2-Hは、配列番号5005からなり、CDR3-Hは、配列番号6005からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1006からなり、CDR2-Lは、配列番号2006からなり、CDR3-Lは、配列番号3006からなり、CDR1-Hは、配列番号4006からなり、CDR2-Hは、配列番号5006からなり、CDR3-Hは、配列番号6006からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1007からなり、CDR2-Lは、配列番号2007からなり、CDR3-Lは、配列番号3007からなり、CDR1-Hは、配列番号4007からなり、CDR2-Hは、配列番号5007からなり、CDR3-Hは、配列番号6007からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1008からなり、CDR2-Lは、配列番号2008からなり、CDR3-Lは、配列番号3008からなり、CDR1-Hは、配列番号4008からなり、CDR2-Hは、配列番号5008からなり、CDR3-Hは、配列番号6008からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1009からなり、CDR2-Lは、配列番号2009からなり、CDR3-Lは、配列番号3009からなり、CDR1-Hは、配列番号4009からなり、CDR2-Hは、配列番号5009からなり、CDR3-Hは、配列番号6009からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1010からなり、CDR2-Lは、配列番号2010からなり、CDR3-Lは、配列番号3010からなり、CDR1-Hは、配列番号4010からなり、CDR2-Hは、配列番号5010からなり、CDR3-Hは、配列番号6010からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1011からなり、CDR2-Lは、配列番号2011からなり、CDR3-Lは、配列番号3011からなり、CDR1-Hは、配列番号4011からなり、CDR2-Hは、配列番号5011からなり、CDR3-Hは、配列番号6011からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1012からなり、CDR2-Lは、配列番号2012からなり、CDR3-Lは、配列番号3012からなり、CDR1-Hは、配列番号4012からなり、CDR2-Hは、配列番号5012からなり、CDR3-Hは、配列番号6012からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1013からなり、CDR2-Lは、配列番号2013からなり、CDR3-Lは、配列番号3013からなり、CDR1-Hは、配列番号4013からなり、CDR2-Hは、配列番号5013からなり、CDR3-Hは、配列番号6013からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1014からなり、CDR2-Lは、配列番号2014からなり、CDR3-Lは、配列番号3014からなり、CDR1-Hは、配列番号4014からなり、CDR2-Hは、配列番号5014からなり、CDR3-Hは、配列番号6014からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1015からなり、CDR2-Lは、配列番号2015からなり、CDR3-Lは、配列番号3015からなり、CDR1-Hは、配列番号4015からなり、CDR2-Hは、配列番号5015からなり、CDR3-Hは、配列番号6015からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1016からなり、CDR2-Lは、配列番号2016からなり、CDR3-Lは、配列番号3016からなり、CDR1-Hは、配列番号4016からなり、CDR2-Hは、配列番号5016からなり、CDR3-Hは、配列番号6016からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1017からなり、CDR2-Lは、配列番号2017からなり、CDR3-Lは、配列番号3017からなり、CDR1-Hは、配列番号4017からなり、CDR2-Hは、配列番号5017からなり、CDR3-Hは、配列番号6017からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1018からなり、CDR2-Lは、配列番号2018からなり、CDR3-Lは、配列番号3018からなり、CDR1-Hは、配列番号4018からなり、CDR2-Hは、配列番号5018からなり、CDR3-Hは、配列番号6018からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1019からなり、CDR2-Lは、配列番号2019からなり、CDR3-Lは、配列番号3019からなり、CDR1-Hは、配列番号4019からなり、CDR2-Hは、配列番号5019からなり、CDR3-Hは、配列番号6019からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1020からなり、CDR2-Lは、配列番号2020からなり、CDR3-Lは、配列番号3020からなり、CDR1-Hは、配列番号4020からなり、CDR2-Hは、配列番号5020からなり、CDR3-Hは、配列番号6020からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1021からなり、CDR2-Lは、配列番号2021からなり、CDR3-Lは、配列番号3021からなり、CDR1-Hは、配列番号4021からなり、CDR2-Hは、配列番号5021からなり、CDR3-Hは、配列番号6021からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1022からなり、CDR2-Lは、配列番号2022からなり、CDR3-Lは、配列番号3022からなり、CDR1-Hは、配列番号4022からなり、CDR2-Hは、配列番号5022からなり、CDR3-Hは、配列番号6022からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1023からなり、CDR2-Lは、配列番号2023からなり、CDR3-Lは、配列番号3023からなり、CDR1-Hは、配列番号4023からなり、CDR2-Hは、配列番号5023からなり、CDR3-Hは、配列番号6023からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1024からなり、CDR2-Lは、配列番号2024からなり、CDR3-Lは、配列番号3024からなり、CDR1-Hは、配列番号4024からなり、CDR2-Hは、配列番号5024からなり、CDR3-Hは、配列番号6024からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1025からなり、CDR2-Lは、配列番号2025からなり、CDR3-Lは、配列番号3025からなり、CDR1-Hは、配列番号4025からなり、CDR2-Hは、配列番号5025からなり、CDR3-Hは、配列番号6025からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1026からなり、CDR2-Lは、配列番号2026からなり、CDR3-Lは、配列番号3026からなり、CDR1-Hは、配列番号4026からなり、CDR2-Hは、配列番号5026からなり、CDR3-Hは、配列番号6026からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1027からなり、CDR2-Lは、配列番号2027からなり、CDR3-Lは、配列番号3027からなり、CDR1-Hは、配列番号4027からなり、CDR2-Hは、配列番号5027からなり、CDR3-Hは、配列番号6027からなるか;またはCDR1-Lは、配列番号1028からなり、CDR2-Lは、配列番号2028からなり、CDR3-Lは、配列番号3028からなり、CDR1-Hは、配列番号4028からなり、CDR2-Hは、配列番号5028からなり、CDR3-Hは、配列番号6028からなる。
一部の実施形態では、ABPは、配列番号1~28から選択される配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変軽鎖(V)、および配列番号101~128から選択される配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変重鎖(V);または配列番号8000~8522から選択される配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変軽鎖(V)、および配列番号8523~9045から選択される配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変重鎖(V);またはATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのV配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変軽鎖(V)、およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのV配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変重鎖(V)を含む。一部の実施形態では、VおよびVは、同族対である。
一部の実施形態では、ABPは、配列番号1~28から選択される配列を含む可変軽鎖(V)、および配列番号101~128から選択される配列を含む可変重鎖(V)、または配列番号8000~8522から選択される配列を含む可変軽鎖(V)、および配列番号8523~9045から選択される配列を含む可変重鎖(V);またはATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのV配列を含む可変軽鎖(V)、およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのV配列を含む可変重鎖(V)を含む。一部の実施形態では、VおよびVは、同族対である。
一部の実施形態では、ABPは、scFvまたは全長モノクローナル抗体を含む。一部の実施形態では、ABPは、免疫グロブリン定常領域を含む。
一部の実施形態では、ABPは、バイオレイヤー干渉法または表面プラズモン共鳴により測定して、500nM未満のKでヒトPD-1に結合する。一部の実施形態では、ABPは、バイオレイヤー干渉法または表面プラズモン共鳴により測定して、200nM未満のKでヒトPD-1に結合する。一部の実施形態では、ABPは、バイオレイヤー干渉法または表面プラズモン共鳴により測定して、25nM未満のKでヒトPD-1に結合する。一部の実施形態では、ABPは、25nM未満のKで細胞表面上のヒトPD-1と結合する。
本開示の別の態様は、本開示のABPのいずれか1つと賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
本開示の別の態様は、疾患を処置する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で開示されるABPのまたは本明細書で開示される医薬組成物の有効量を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、疾患は、がん、AIDS、アルツハイマー病およびウイルスまたは細菌感染症からなる群から選択される。一部の実施形態では、方法は、1つまたは複数の追加の治療剤を対象に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は、CTLA-4阻害剤、TIGIT阻害剤、化学療法剤、免疫刺激剤、放射線、サイトカイン、サイトカインをコードするポリヌクレオチド、およびこれらの組合せから選択される。
6.図面の簡単な説明
図1は、完全ヒトマウスから単離されたB細胞からscFvライブラリーを生成し、抗原に対して高い親和性を有する抗体を発現するB細胞を選択する方法を要約した。図1は、配列番号12194~12221を出現順にそれぞれ開示する。
図2は、scFv増幅手順を例示する。第一に、IgK C領域、IgG C領域、および全てのV領域を対象とするプライマーの混合物を使用して、IgKとIgHを別々に増幅させる。第二に、V-HおよびC-Kプライマーは、IgKとIgHとの融合生成物であるオーバーラップ伸長アンプリコンの形成をもたらす相補性領域を含有する。相補性領域は、Gly-SerリッチscFvリンカー配列をコードするDNA配列を含む。第三に、セミネステッドPCRは、Illuminaシークエンシングまたは酵母ディスプレイのためのアダプターを付加するために実施される。
図3は、示されているモノクローナル抗体およびペムブロリズマブのエピトープビニングを示すエピトープマップを含む。
7.詳細な説明
7.1.定義
本明細書中で別段の定義がない限り、本開示に関連して使用される科学および専門用語は、当業者により一般に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単数形の用語は、複数形のものを含むものとし、複数形の用語は、単数形のものを含むものとする。一般に、本明細書に記載の細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法、ならびに本明細書に記載の細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションの技術は、当技術分野において周知の、一般に使用されているものである。本開示の方法および技術は、別段の指示がない限り、一般に、当技術分野において周知の従来の方法に従って、ならびに本明細書の至る所で言及され、論じられる様々な一般およびより特異的な参考文献に記載されているように、行われる。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1992)、およびHarlow and Lane Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1990)を参照されたく、これらの参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。酵素反応および精製技術は、当技術分野において一般に遂行されているように、または本明細書に記載されるように、製造業者の仕様に従って行われる。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、医化学および薬化学に関連して使用される用語法、ならびに本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、医化学および薬化学の実験手順および技術は、当技術分野において周知の、一般に使用されているものである。化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤および送達、ならびに患者の処置には、標準的な技術を使用することができる。
下記の用語は、別段の指示がない限り、下記の意味を有すると解されるものとする:
用語「PD-1」、「PD-1タンパク質」、および「PD-1抗原」は、ヒトPD-1、または細胞により天然に発現される、もしくはpdcd1遺伝子をトランスフェクトした細胞により発現される、ヒトPD-1の任意のバリアント(例えば、スプライスバリアントおよび対立遺伝子バリアント)、アイソフォームおよび種ホモログを指すために、本明細書では同義的に使用される。一部の態様では、PD-1タンパク質は、霊長類(例えば、サルまたはヒト)、げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)、イヌ、ラクダ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマまたはヒツジにより天然に発現されるPD-1タンパク質である。一部の態様では、PD-1タンパク質は、ヒトPD-1(hPD-1;配列番号7001)である。
用語「免疫グロブリン」は、1対の軽(L)鎖および1対の重(H)鎖である、2対のポリペプチド鎖を一般に含む、構造的に関連しているタンパク質のクラスを指す。「無傷免疫グロブリン」では、これらの4本の鎖全てがジスルフィド結合により相互接続されている。免疫グロブリンの構造は、十分に特徴付けられている。例えば、Paul, Fundamental Immunology 7th ed., Ch. 5 (2013) Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PAを参照されたい。手短に述べると、各重鎖は、重鎖可変領域(V)および重鎖定常領域(C)を概して含む。重鎖定常領域は、CH1、CH2およびCH3と略記される、3つのドメインを概して含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(V)および軽鎖定常領域を概して含む。軽鎖定常領域は、Cと略記される、1つのドメインを概して含む。
用語「抗原結合タンパク質」(ABP)は、抗原またはエピトープと特異的に結合する1つまたは複数の抗原結合ドメインを含むタンパク質を指す。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、天然に存在する抗体のものと同様の特異性および親和性で抗原またはエピトープに結合する。一部の実施形態では、ABPは、抗体を含む。一部の実施形態では、ABPは、抗体からなる。一部の実施形態では、ABPは、抗体から本質的になる。一部の実施形態では、ABPは、代替足場を含む。一部の実施形態では、ABPは、代替足場からなる。一部の実施形態では、ABPは、代替足場から本質的になる。一部の実施形態では、ABPは、抗体断片を含む。一部の実施形態では、ABPは、抗体断片からなる。一部の実施形態では、ABPは、抗体断片から本質的になる。「PD-1 ABP」、「抗PD-1 ABP」、または「PD-1特異的ABP」は、抗原PD-1と特異的に結合する、本明細書で提供されるような、ABPである。一部の実施形態では、ABPは、PD-1の細胞外ドメインに結合する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるPD-1 ABPは、異なる種からのPD-1タンパク質間またはそれらの間で保存される、PD-1のエピトープと結合する。
用語「抗体」は、本明細書ではその最も広い意味で使用され、抗原またはエピトープと特異的に結合する1つまたは複数の抗原結合ドメインを含むある特定のタイプの免疫グロブリン分子を含む。抗体は、具体的には、無傷抗体(例えば、無傷免疫グロブリン)、抗体断片、および多重特異性抗体を含む。抗原結合ドメインの一例は、V-V二量体により形成される抗原結合ドメインである。抗体は、1つのタイプのABPである。
用語「代替足場」は、抗原またはエピトープと特異的に結合する1つまたは複数の抗原結合ドメインを生成するように1つまたは複数の領域を多様化することができる分子を指す。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、天然に存在する抗体のものと同様の特異性および親和性で、抗原またはエピトープに結合する。例示的な代替足場としては、フィブロネクチンに由来するもの(例えば、Adnectins(商標))、β-サンドイッチに由来するもの(例えば、iMab)、リポカリンに由来するもの(例えば、Anticalins(登録商標))、EETI-II/AGRPに由来するもの、BPTI/LACI-D1/ITI-D2に由来するもの(例えば、クニッツドメイン)、チオレドキシンペプチドアプタマーに由来するもの、プロテインAに由来するもの(例えば、Affibody(登録商標))、アンキリンリピートに由来するもの(例えば、DARPin)、ガンマ-B-クリスタリン/ユビキチンに由来するもの(例えば、アフィリン)、CTLDに由来するもの(例えば、テトラネクチン)、フィノマーに由来するもの、および(LDLR-A分子)に由来するもの(例えば、アビマー)が挙げられる。代替足場のさらなる情報は、Binz et al., Nat. Biotechnol., 2005 23:1257-1268;Skerra, Current Opin. in Biotech., 2007 18:295-304;およびSilacci et al., J. Biol. Chem., 2014, 289:14392-14398において提供されており、これらの参考文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。代替足場は、1つのタイプのABPである。
用語「抗原結合ドメイン」は、抗原またはエピトープと特異的に結合することができるABPの部分を意味する。
用語「全長抗体」、「無傷抗体」、および「全抗体」は、天然に存在する抗体構造と実質的に同様の構造を有する抗体であって、Fc領域を含む重鎖を有する抗体を指すために、本明細書では同義的に使用される。
用語「Fc領域」は、天然に存在する抗体では、Fc受容体とおよび補体系のある特定のタンパク質と相互作用する、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を意味する。様々な免疫グロブリンのFc領域およびそこに含有されているグリコシル化部位の構造は、当技術分野において公知である。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Schroeder and Cavacini, J. Allergy Clin. Immunol., 2010, 125:S41-52を参照されたい。Fc領域は、天然に存在するFc領域であってもよく、または本開示の他の箇所に記載されるように改変されたFc領域であってもよい。
およびV領域は、より保存される領域が散在する、超可変性の領域(「相補性決定領域(CDR)」とも呼ばれる「超可変領域(HVR)」)にさらに細分することができる。より保存される領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。VおよびV各々は、3つのCDRと4つのFRを一般に含み、これらは次の順序で配置されている(N末端からC末端へ):FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4。CDRは、抗原結合に関与し、抗体の抗原特異性および結合親和性に影響を及ぼす。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest 5th ed. (1991) Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MDを参照されたい。
いずれの脊椎動物種からの軽鎖も、その定常ドメインの配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる、2つのタイプの一方に指定され得る。
いずれの脊椎動物種からの重鎖も、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMという5つの異なるクラス(またはアイソタイプ)のうちの1つに指定され得る。これらのクラスは、それぞれ、α、δ、ε、γおよびμとも表記される。IgGおよびIgAクラスは、配列および機能の違いに基づいてサブクラスにさらに分けられる。ヒトは、次のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2。
CDRのアミノ酸配列境界を、当業者は、多数の公知番号付けスキームのいずれかを使用して決定することができ、そのような番号付けスキームには、Kabat et al.、上掲(「Kabat」番号付けスキーム);Al-Lazikani et al., 1997, J. Mol. Biol., 273:927-948(「Chothia」番号付けスキーム);MacCallum et al., 1996, J. Mol. Biol. 262:732-745(「Contact」番号付けスキーム);Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol., 2003, 27:55-77(「IMGT」番号付けスキーム);およびHonegge and Plueckthun, J. Mol. Biol., 2001, 309:657-70(「AHo」番号付けスキーム)により記載されたものが含まれ、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
表1は、KabatおよびChothiaスキームにより同定されたCDR1-L(VのCDR1)、CDR2-L(VのCDR2)、CDR3-L(VのCDR3)、CDR1-H(VのCDR1)、CDR2-H(VのCDR2)およびCDR3-H(VのCDR3)の位置を提供するものである。CDR1-Hについては、Kabat番号付けスキームとChothia番号付けスキームの両方を使用して残基番号付けが提供されている。
CDRは、例えば、www.bioinf.org.uk/abs/abnum/で入手可能であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Abhinandan and Martin, Immunology, 2008, 45:3832-3839に記載されている、Abnumなどの、抗体番号付けソフトウェアを使用して指定され得る。
Figure 2022516073000002
「EU番号付けスキーム」は、一般に、抗体重鎖定常領域中の残基(例えば、Kabat et al.、上掲で報告されているような)に言及する際に使用される。
「抗体断片」は、無傷抗体の一部分、例えば、無傷抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片は、例えば、Fv断片、Fab断片、F(ab’)断片、Fab’断片、scFv(sFv)断片、およびscFv-Fc断片を含む。
「Fv」断片は、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインの非共有結合で連結された二量体を含む。
「Fab」断片は、重鎖および軽鎖可変ドメインに加えて、軽鎖の定常ドメイン、および重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む。Fab断片は、例えば、組換え法により、または全長抗体のパパイン消化により、調製することができる。
「F(ab’)」断片は、ジスルフィド結合により連結された、ヒンジ領域付近にある、2つのFab’断片を含有する。F(ab’)断片は、例えば、組換え法により、または無傷抗体のペプシン消化により、調製することができる。F(ab’)断片は、例えばβ-メルカプトエタノールでの処置により、解離させることができる。
「単鎖Fv」または「sFv」または「scFv」抗体断片は、単一ポリペプチド鎖内にVドメインおよびVドメインを含む。VおよびVは、一般に、ペプチドリンカーにより連結されている。Plueckthun A. (1994)を参照されたい。一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)(配列番号12190)である。一部の実施形態では、n=1、2、3、4、5または6。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Antibodies from Escherichia coli. In Rosenberg M. & Moore G.P. (Eds.), The Pharmacology of Monoclonal Antibodies vol. 113 (pp. 269-315). Springer-Verlag, New Yorkを参照されたい。
「scFv-Fc」断片は、Fcドメインに結合しているscFvを含む。例えば、Fcドメインは、scFvのC末端に結合していることがある。scFv内の可変ドメインの配向に依存するVまたはV(すなわち、V-VまたはV-V)の後に、Fcドメインが続くことがある。当技術分野において公知のまたは本明細書に記載の任意の好適なFcドメインを使用することができる。一部の場合には、Fcドメインは、IgG4 Fcドメインを含む。
用語「単一ドメイン抗体」は、抗体の1つの可変ドメインが、他の可変ドメインが存在しない抗原と特異的に結合する、分子を指す。単一ドメイン抗体およびその断片は、Arabi Ghahroudi et al., FEBS Letters, 1998, 414:521-526およびMuyldermans et al., Trends in Biochem.Sci., 2001, 26:230-245に記載されており、これらの参考文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
「単一特異性ABP」は、単一のエピトープと特異的に結合する結合部位を含むABPである。単一特異性ABPの例は、二価だが、各抗原結合ドメインにおける同じエピトープを認識する、天然に存在するIgG分子である。結合特性は、あらゆる好適な結合価で存在し得る。
用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団からの抗体を指す。実質的に均一な抗体の集団は、モノクローナル抗体の産生中に通常生じ得るバリアントを除いて、実質的に同様であるおよび同じエピトープに結合する抗体を含む。そのようなバリアントは、一般に、ほんの少量でのみ存在する。モノクローナル抗体は、概して、複数の抗体からの単一の抗体の選択を含むプロセスにより得られる。例えば、選択プロセスは、ハイブリドーマクローン、ファージクローン、酵母クローン、細菌クローンまたは他の組換えDNAクローンのプールなどの、複数のクローンからのユニーククローンの選択であり得る。選択された抗体をさらに改造して、例えば、標的に対する親和性を向上させること(「親和性成熟」)、抗体をヒト化すること、細胞培養におけるその産生を改善すること、および/または対象におけるその免疫原性を低下させることができる。
用語「キメラ抗体」は、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定の供給源または種に由来するが、その重鎖および/または軽鎖の残部が異なる供給源または種に由来する、抗体を指す。
非ヒト抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。一般に、ヒト化抗体は、1つまたは複数のCDRからの残基が非ヒト抗体(ドナー抗体)の1つまたは複数のCDRからの残基により置換されている、ヒト抗体(レシピエント抗体)である。ドナー抗体は、所望の特異性、親和性または生物学的効果を有するマウス、ラット、ウサギ、ニワトリまたは非ヒト霊長類抗体などの、任意の好適な非ヒト抗体であり得る。一部の事例では、レシピエント抗体の選択されたフレームワーク領域残基は、ドナー抗体からの対応するフレームワーク領域残基により置換されている。ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基も含み得る。そのような改変は、抗体機能をさらに洗練するために行われ得る。さらなる詳細については、Jones et al., Nature, 1986, 321:522-525;Riechmann et al., Nature, 1988, 332:323-329;およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol., 1992, 2:593-596を参照されたく、これらの参考文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞により産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列、またはヒト抗体レパートリーもしくはヒト抗体をコードしている配列(例えば、ヒト供給源から得られたもしくは新規に設計された)を利用する非ヒト供給源に由来するアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する、抗体である。ヒト抗体は、具体的にはヒト化抗体を含まない。一部の実施形態では、げっ歯動物は、それらのげっ歯動物抗体配列をヒト抗体で置き換えるように遺伝子操作される。
「単離されたABP」または「単離された核酸」は、その天然環境の成分から分離および/または回収された、ABPまたは核酸である。天然環境の成分は、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性物質を含み得る。一部の実施形態では、単離されたABPは、例えばスピニングカップシークエネーターの使用により、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るために十分な程度に精製される。一部の実施形態では、単離されたABPは、クーマシーブルーまたは銀染色剤による検出を用いる還元または非還元条件下でのゲル電気泳動(例えば、SDS-PAGE)により、均一になるまで精製される。単離されたABPは、ABPの天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、組換え細胞内の元位置の(in situ)ABPを含む。一部の態様では、単離されたABPまたは単離された核酸は、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。一部の実施形態では、単離されたABPまたは単離された核酸は、少なくとも80重量%、85重量%、90重量%、95重量%または99重量%に精製される。一部の実施形態では、単離されたABPまたは単離された核酸は、少なくとも80体積%、85体積%、90体積%、95体積%または99体積%に精製される。一部の実施形態では、単離されたABPまたは単離された核酸は、少なくとも85重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%~100重量%ABPまたは核酸を含む溶液として提供される。一部の実施形態では、単離されたABPまたは単離された核酸は、少なくとも85体積%、90体積%、95体積%、98体積%、99体積%~100体積%ABPまたは核酸を含む溶液として提供される。
「親和性」は、分子(例えば、ABP)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原またはエピトープ)との非共有結合性相互作用の総計の強度を指す。別段の指示がない限り、本明細書で使用される場合、「親和性」は、結合対のメンバー(例えば、ABPおよび抗原またはエピトープ)間の1:1相互作用を表す、固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性を、解離平衡定数(K)により表すことができる。解離平衡定数に寄与する動態成分は、より詳細に下記で説明される。親和性は、本明細書に記載のものを含む、当技術分野で公知の一般的な方法により測定することができる。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)技術(例えば、BIACORE(登録商標))またはバイオレイヤー干渉法(例えば、FORTEBIO(登録商標))を使用して、親和性を決定することができる。
標的分子とのABPの結合に関して、特定の抗原(例えば、ポリペプチド標的)または特定の抗原上のエピトープ「に結合する」、「に特異的に結合すること」、「と特異的に結合する」、「に対して特異的」、「に選択的に結合する」、および「に対して選択的」という用語は、非特異的または非選択的相互作用(例えば、非標的分子との)とは明らかに異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、標的分子との結合を測定し、それを非標的分子との結合と比較することにより、測定することができる。特異的結合は、標的分子上の認識されるエピトープを模倣する対照分子との競合により決定することもできる。その場合、特異的結合は、ABPの標的分子との結合が対照分子により競合的に阻害される場合に示される。一部の態様では、PD-1 ABPの非標的分子に対する親和性は、PD-1に対する親和性の約50%未満である。一部の態様では、PD-1 ABPの非標的分子に対する親和性は、PD-1に対する親和性の約40%未満である。一部の態様では、PD-1 ABPの非標的分子に対する親和性は、PD-1に対する親和性の約30%未満である。一部の態様では、PD-1 ABPの非標的分子に対する親和性は、PD-1に対する親和性の約20%未満である。一部の態様では、PD-1 ABPの非標的分子に対する親和性は、PD-1に対する親和性の約10%未満である。一部の態様では、PD-1 ABPの非標的分子に対する親和性は、PD-1に対する親和性の約1%未満である。一部の態様では、PD-1 ABPの非標的分子に対する親和性は、PD-1に対する親和性の約0.1%未満である。
用語「k」(秒-1)は、本明細書で使用される場合、特定のABP-抗原相互作用の解離速度定数を指す。この値は、koff値とも呼ばれる。
用語「k」(M-1×秒-1)は、本明細書で使用される場合、特定のABP-抗原相互作用の会合速度定数を指す。この値は、kon値とも呼ばれる。
用語「K」(M)は、本明細書で使用される場合、特定のABP-抗原相互作用の解離平衡定数を指す。K=k/k
用語「K」(M-1)は、本明細書で使用される場合、特定のABP-抗原相互作用の会合平衡定数を指す。K=k/k
「親和性成熟した」ABPは、変更(複数可)を有さない親ABPと比較して、ABPのその抗原に対する親和性の改善をもたらす、1つまたは複数の変更(例えば、1つまたは複数のCDRまたはFRにおける)を有するABPである。一実施形態では、親和性成熟したABPは、標的抗原に対してナノモル濃度またはピコモル濃度の親和性を有する。親和性成熟したABPは、当技術分野において公知の様々な方法を使用して産生され得る。例えば、Marks et al.(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Bio/Technology, 1992, 10:779-783)は、VドメインとVドメインのシャフリングによる親和性成熟を記載している。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム変異誘発は、例えば、Barbas et al. (Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A., 1994, 91:3809-3813)、Schier et al., Gene, 1995, 169:147-155;Yelton et al., J. Immunol., 1995, 155:1994-2004、Jackson et al., J. Immunol., 1995, 154:3310-33199、およびHawkins et al, J. Mol. Biol., 1992, 226:889-896により記載されており、これらの参考文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
「イムノコンジュゲート」は、1つまたは複数の異種分子とコンジュゲートしているABPである。
「エフェクター機能」は、抗体のFc領域により媒介される生物活性を指し、これらの活性は、抗体アイソタイプによって異なり得る。抗体エフェクター機能の例としては、補体依存性細胞傷害(CDC)を活性化するためのC1q結合、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および抗体依存性細胞ファゴサイトーシス(ADCP)を活性化するためのFc受容体結合が挙げられる。
2つまたはそれより多くのABPに関連して本明細書で使用される場合、「と競合する」または「と交差競合する」という用語は、2つまたはそれより多くのABPが、抗原(例えば、PD-1)との結合について競合することを示す。1つの例示的アッセイでは、PD-1で表面を被覆し、それを第1のPD-1 ABPと接触させ、その後、第2のPD-1 ABPを添加する。別の例示的アッセイでは、第1のPD-1 ABPで表面を被覆し、それをPD-1と接触させ、次いで、第2のPD-1 ABPを添加する。第1のPD-1 ABPの存在が、どちらかのアッセイにおいて第2のPD-1 ABPの結合を低減させる場合には、これらのABPは競合する。「と競合する」という用語は、1つのABPが別のABPの結合を低減させるが、逆の順序でABPが添加されたときには競合が観察されない、ABPの組合せも含む。しかし、一部の実施形態では、第1および第2のABPは、それらが添加される順序に関係なく、互いの結合を阻害する。一部の実施形態では、1つのABPは、別のABPのその抗原への結合を少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減させる。当業者は、競合アッセイで使用される抗体の濃度をPD-1に対するABPの親和性およびABPの結合価に基づいて選択することができる。この定義に記載のアッセイは、説明のためのものであり、当業者は、任意の好適なアッセイを利用して、抗体が互いに競合するかどうかを決定することができる。好適なアッセイは、Cox et al., "Immunoassay Methods," in Assay Guidance Manual [Internet], Updated December 24, 2014 (www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK92434/; accessed September 29, 2015); Silman et al., Cytometry, 2001, 44:30-37;およびFinco et al., J. Pharm. Biomed. Anal., 2011, 54:351-358に記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
用語「エピトープ」は、ABPと特異的に結合する抗原の部分を意味する。エピトープは、多くの場合、表面露出アミノ酸残基および/または糖側鎖からなり、特異的三次元構造特性はもちろん特異的電荷特性も有し得る。立体構造エピトープと非立体構造エピトープとは、前者の立体構造エピトープとの結合は変性溶媒の存在下で失われることがあるが、後者の非立体構造エピトープとの結合はそうではないことで、区別される。エピトープは、結合に直接関与するアミノ酸残基と、結合に直接関与しない他のアミノ酸残基とを含み得る。ABPが結合するエピトープは、例えば、異なる点変異を有するPD-1バリアントとのまたはキメラPD-1バリアントとのABP結合の試験などの、公知のエピトープ決定技術を使用して、決定することができる。
ポリペプチド配列と参照配列との「同一性」パーセントは、配列をアラインさせ、最大配列同一性パーセントを達成するために必要に応じてギャップを導入した後、参照配列中のアミノ酸残基と同一であるポリペプチド配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当技術分野における技能の範囲内である様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、MEGALIGN(DNASTAR)、CLUSTALW、CLUSTAL OMEGAまたはMUSCLEソフトウェアなどの公開されているコンピュータソフトウェアを使用して、達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインさせるための適切なパラメーターを決定することができる。
「保存的置換」または「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸の化学的にまたは機能的に類似したアミノ酸での置換を指す。類似したアミノ酸をもたらす保存的置換表は、当技術分野において周知である。例として、表2~4で提供されるアミノ酸の群は、一部の実施形態では、互いに保存的置換とみなされる。
Figure 2022516073000003
Figure 2022516073000004
Figure 2022516073000005
追加の保存的置換は、例えば、Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties 2nd ed. (1993) W. H. Freeman & Co., New York, NYにおいて見出すことができる。親ABP中のアミノ酸残基の1つまたは複数の保存的置換を行うことにより生成されるABPは、「保存的に改変されたバリアント」と呼ばれる。
用語「処置すること」(およびその変形形態、例えば「処置する」または「処置」)は、それを必要とする対象における疾患または状態の自然な経過を変更する目的での臨床的介入を指す。処置は、発病予防のために行われることもあり、臨床病理学的検査の過程で行われることもある。処置の望ましい効果としては、疾患の発生もしくは再発を防止すること、症状を軽減すること、疾患の任意の直接的もしくは間接的病理学的帰結を和らげること、転移を防止すること、疾患進行速度を低下させること、病状を改善または緩和すること、および寛解、または予後改善が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」または「有効量」という用語は、対象に投与されたときに疾患または障害を処置するのに有効である、本明細書で提供されるABPまたは医薬組成物の量を指す。
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、哺乳動物対象を意味する。例示的な対象としては、ヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ラクダ、ヤギ、ウサギおよびヒツジが挙げられる。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、本明細書で提供されるABPで処置することができる疾患または状態を有する。一部の態様では、疾患または状態は、がんである。一部の態様では、疾患または状態は、ウイルス感染症である。
用語「添付文書」は、治療用または診断用製品(例えば、キット)の市販のパッケージ内に通例含まれている指示であって、そのような治療用または診断用製品の使用に関する適応症、使用法、投与量、投与、併用療法、禁忌および/または警告についての情報を含む指示を指すために使用される。
用語「細胞傷害剤」は、本明細書で使用される場合、細胞の機能を阻害もしくは防止するおよび/または細胞死もしくは破壊を引き起こす物質を指す。
「化学療法剤」は、がんの処置に有用な化学化合物を指す。化学療法剤は、がんの成長を促進することができるホルモンの効果を調節、低下、遮断または阻害するように作用する、「抗ホルモン剤」または「内分泌療法薬」を含む。
用語「細胞増殖抑制剤」は、in vitroまたはin vivoのどちらかで細胞の成長を抑止する、化合物または組成物を指す。一部の実施形態では、細胞増殖抑制剤は、S期の細胞のパーセンテージを低下させる薬剤である。一部の実施形態では、細胞増殖抑制剤は、S期の細胞のパーセンテージを少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、または少なくとも約80%低下させる。
用語「腫瘍」は、あらゆる新生物細胞成長および増殖を悪性であるか良性であるかを問わずに指し、ならびにあらゆる前がん性およびがん性細胞および組織を指す。用語「がん」、「がん性の」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、および「腫瘍」は、本明細書で言及される場合、相互排他的ではない。用語「細胞増殖性障害」および「増殖性障害」は、ある程度の異常細胞増殖を伴う障害を指す。一部の実施形態では、細胞増殖性障害は、がんである。
用語「医薬組成物」は、含有する活性成分の生物活性が対象の処置に有効であることを可能にするような形態である調製物であって、対象にとって許容できないほど毒性である追加の成分を含有しない調製物を指す。
用語「モジュレートする」および「モジュレーション」は、述べられている可変要素(recited variable)を低減させることもしくは阻害することまたは、代替的に、活性化することもしくは増加させることを指す。
用語「増加させる」および「活性化する」は、述べられている可変要素の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍またはそれより大きな増加を指す。
用語「低下させる」および「阻害する」は、述べられている可変要素の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%の、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1、20分の1、50分の1、100分の1への、またはそれより大きな減少を指す。
用語「刺激する(agonize)」は、受容体の活性化に関連する生物学的応答を誘導するための受容体シグナル伝達の活性化を指す。「アゴニスト」は、受容体と結合してそれを刺激する実体である。
用語「拮抗する」は、受容体の活性化に関連する生物学的応答を阻害するための受容体シグナル伝達の阻害を指す。「アンタゴニスト」は、受容体と結合してそれに拮抗する実体である。
用語「エフェクターT細胞」は、ヘルパーT(すなわち、CD4)細胞、および細胞傷害性(すなわち、CD8)T細胞を含む。CD4エフェクターT細胞は、B細胞の形質細胞およびメモリーB細胞への成熟、ならびに細胞傷害性T細胞およびマクロファージの活性化を含む、いくつかの免疫学的プロセスの進展に寄与する。CD8エフェクターT細胞は、ウイスル感染細胞および腫瘍細胞を破壊する。エフェクターT細胞に関するさらなる情報については、その全体が参照により本明細書に組み込まれるSeder and Ahmed, Nature Immunol., 2003, 4:835-842を参照されたい。
用語「調節性T細胞」は、例えばエフェクターT細胞を抑制することにより、免疫学的寛容を調節する細胞を含む。一部の態様では、調節性T細胞は、CD4CD25Foxp3表現型を有する。一部の態様では、調節性T細胞は、CD8CD25表現型を有する。調節性T細胞に関するさらなる情報については、その全体が参照により本明細書に組み込まれるNocentini et al., Br. J. Pharmacol., 2012, 165:2089-2099を参照されたい。
用語「樹状細胞」は、ナイーブT細胞を活性化することができ、B細胞の成長および分化を刺激することができる、プロフェッショナル抗原提示細胞を指す。
ポリペプチド(例えば、抗体)の「バリアント」は、天然ポリペプチド配列と比べて1つまたは複数のアミノ酸残基がアミノ酸配列に挿入されている、アミノ酸配列から欠失している、および/またはアミノ酸配列に置換されている、アミノ酸配列を含み、天然ポリペプチドと本質的に同じ生物活性を保持する。ポリペプチドの生物活性は、当技術分野における標準的技術を使用して測定することができる(例えば、バリアントが抗体である場合、その活性を本明細書に記載の結合アッセイにより試験することができる)。本開示のバリアントは、断片、アナログ、組換えポリペプチド、合成ポリペプチド、および/または融合タンパク質を含む。
ポリペプチドの「誘導体」は、例えば、別の化学的部分、例えばポリエチレングリコール、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)など、とのコンジュゲーション、リン酸化、およびグリコシル化によって、化学的に改変されているポリペプチド(例えば、抗体)である。別段の指示がない限り、用語「抗体」は、2本の全長重鎖と2本の全長軽鎖とを含む抗体に加えて、その誘導体、バリアント、断片およびムテインを含み、これらの例は、下に記載される。
ヌクレオチド配列は、調節配列がヌクレオチド配列の発現(例えば、発現のレベル、タイミングまたは位置)に影響を与える場合、調節配列に「作動可能に連結」されている。「調節配列」は、それが作動可能に連結されている核酸の発現(例えば、発現のレベル、タイミングまたは位置)に影響を与える、核酸である。調節配列は、例えば、調節される核酸に直接その効果を発揮することができ、または1つもしくは複数の分子(例えば、調節配列および/もしくは核酸と結合するポリペプチド)の作用によってその効果を発揮することができる。調節配列の例としては、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)が挙げられる。調節配列のさらなる例は、例えば、Goeddel, 1990, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CAおよびBaron et al., 1995, Nucleic Acids Res. 23:3605-06に記載されている。
「宿主細胞」は、核酸、例えば本開示の核酸を発現させるために使用することができる細胞である。宿主細胞は、原核生物、例えば、E.coliであってもよく、または真核生物、例えば、単細胞真核生物(例えば、酵母もしくは他の真菌)、植物細胞(例えば、タバコもしくはトマト植物細胞)、動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、もしくは昆虫細胞)もしくはハイブリドーマであってもよい。宿主細胞の例としては、CS-9細胞、サル腎細胞のCOS-7系(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al., 1981, Cell 23:175を参照されたい)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞もしくはそれらの誘導株、例えば、無血清培地で成長するVeggie CHOおよび関連細胞系(Rasmussen et al., 1998, Cytotechnology 28:31を参照されたい)、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞系、アフリカミドリザル腎細胞系CV1に由来するCV1/EBNA細胞系(ATCC CCL 70)(McMahan et al., 1991, EMBO J. 10:2821を参照されたい)、ヒト胎児由来腎細胞、例えば、293、293 EBNAもしくはMSR 293、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換霊長類細胞系、正常二倍体細胞、初代組織、初代外植片のin vitro培養から得られる細胞株、HL-60、U937、HakまたはJurkat細胞が挙げられる。典型的には、宿主細胞は、ポリペプチドをコードする核酸で形質転換することができるまたはそのような核酸をトランスフェクトすることができる培養細胞であり、したがって、そのような核酸は、宿主細胞において発現され得る。
句「組換え宿主細胞」は、発現させるべき核酸で形質転換されたまたはそのような核酸がトランスフェクトされた宿主細胞を示すために使用され得る。宿主細胞は、核酸を含むが、調節配列が宿主細胞に導入され、その結果、調節配列が核酸と作動可能に連結されない限り、その核酸を所望のレベルで発現しない細胞でもあり得る。用語宿主細胞が特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫も指すことは、理解されよう。例えば変異または環境の影響によって、ある特定の改変が後の世代で生じる可能性があるため、そのような子孫は、実際には親細胞と同一でない可能性があるが、それでもやはり、本明細書で使用されるこの用語の範囲内に含まれる。
7.2.他の解釈規定
本明細書で述べられている範囲は、述べられているエンドポイントを含む、範囲内の値の全てについての簡略表記であると解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49および50からなる群からの任意の数、数の組合せまたは部分的範囲を含むと解される。
別段の指示がない限り、1つまたは複数の立体中心を有する化合物への言及は、その化合物の各々の立体異性体、およびその化合物の立体異性体の全ての組合せを意図している。
7.3.核酸
一態様において、本開示は、単離された核酸分子を提供する。核酸は、例えば、抗原結合タンパク質の全てまたは一部、例えば、本開示の抗体の一方もしくは両方の鎖、またはその断片、誘導体、ムテインもしくはバリアントをコードするポリヌクレオチド;ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定、分析、変異または増幅するためのハイブリダイゼーションプローブ、PCRプライマーまたはシークエンシングプライマーとしての使用に十分なポリヌクレオチド;ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸;および前述のものの相補配列を含む。核酸は、いずれの長さであってもよい。核酸は、例えば、長さ5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1,000、1,500、3,000、5,000ヌクレオチドもしくはそれを超える長さであってもよく、および/または1つもしくは複数の追加の配列、例えば調節配列を含むこともあり、および/またはより大きい核酸、例えばベクター、の一部であってもよい。核酸は、一本鎖状または二本鎖状であり得、RNAおよび/もしくはDNAヌクレオチド、ならびにそれらの人工バリアント(例えば、ペプチド核酸)を含むこともある。
抗体ポリペプチド(例えば、重鎖または軽鎖、可変ドメインのみ、または全長)をコードする核酸は、PD-1で免疫されたマウスのB細胞から単離することができる。核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの従来の手順により単離することができる。
重鎖および軽鎖可変領域の可変領域をコードする核酸配列が本明細書で示される。遺伝コードの縮重に起因して、本明細書で開示されるポリペプチド配列の各々が、多数の他の核酸配列によりコードされることは、当業者には理解される。本開示は、本開示の各々の抗原結合タンパク質をコードする各々の縮重ヌクレオチド配列を提供する。
本開示は、特定のハイブリダイゼーション条件下で他の核酸(例えば、PDCD1遺伝子のいずれかのヌクレオチド配列を含む核酸)とハイブリダイズする核酸をさらに提供する。核酸をハイブリダイズさせる方法は、当技術分野において周知である。例えば、Curr. Prot. in Mol. Biol., John Wiley & Sons, N.Y.(1989), 6.3.1-6.3.6を参照されたい。本明細書で定義される場合、中等度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、5×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)を含有する、予洗溶液;約50%ホルムアミド、6×SSCのハイブリダイゼーションバッファー、および55℃のハイブリダイゼーション温度(または他の同様のハイブリダイゼーション溶液、例えば約50%ホルムアミドを含有するもの、と42℃のハイブリダイゼーション温度);および0.5×SSC、0.1%SDS中、60℃の洗浄条件を使用する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6×SSC中、45℃でハイブリダイズし、その後、0.1×SSC、0.2%SDS中、68℃で1回または複数回洗浄する。さらに、当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増加または減少させるように、その結果、互いと少なくとも65、70、75、80、85、90、95、96、97、98または99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸が、概して、互いにハイブリダイズした状態を維持するように、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を操作することができる。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を与える基本パラメーター、および好適な条件を考案するためのガイダンスは、例えば、Sambrook、Fritsch、およびManiatis(1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., chapters 9 and 11;およびCurr.Prot. in Mol.Biol.1995, Ausubel et al., eds., John Wiley & Sons, Inc., sections 2.10 and 6.3-6.4)により示されており、これらのことを、当業者は、例えばDNAの長さおよび/または塩基組成に基づいて容易に決定することができる。
変異により核酸に変化を導入し、それによって、核酸がコードするポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質)のアミノ酸配列の変化をもたらすことができる。当技術分野において公知の任意の技術を使用して変異を導入することができる。一実施形態では、例えば部位特異的変異誘発プロトコールを使用して、1つまたは複数の特定のアミノ酸残基を変化させる。別の実施形態では、例えばランダム変異誘発プロトコールを使用して、1つまたは複数のランダムに選択された残基を変化させる。どのように行ったとしても、変異体ポリペプチドを発現させ、所望の特性(例えば、PD-1との結合)についてスクリーニングすることができる。
変異を、核酸に、核酸がコードするポリペプチドの生物活性を有意に変えることなく導入することができる。例えば、非必須アミノ酸残基に対するアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換を行うことができる。一実施形態では、PD-1またはその所望の断片、バリアントもしくは誘導体について本明細書で提供されるヌクレオチド配列は、2つまたはそれより多く配列が異なる残基になるようなPD-1について本明細書で示されるアミノ酸残基の1つまたは複数の欠失または置換を含むアミノ酸配列をコードするように、変異させられる。あるいは、核酸がコードするポリペプチドの生物活性(例えば、PD-1の結合)を選択的に変化させる1つまたは複数の変異を、核酸に導入することができる。例えば、変異は、生物活性を量的にまたは質的に変化させることができる。量的変化の例としては、活性の増加、低減または消失が挙げられる。質的変化の例としては、抗原結合タンパク質の抗原特異性の変化が挙げられる。
別の態様では、本開示は、本開示の核酸配列の検出のためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとしての使用に好適である核酸分子を提供する。本開示の核酸分子は、本開示の全長ポリペプチドをコードする核酸配列の一部分、例えば、プローブもしくはプライマーとして使用することができる断片、または本開示のポリペプチドの活性部分(例えば、PD-1結合部分)をコードする断片のみを含むこともある。
本開示の核酸の配列に基づくプローブを使用して、本開示のポリペプチドをコードする核酸または類似の核酸、例えば転写物を検出することができる。プローブは、標識基、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子を含むことができる。そのようなプローブを使用して、ポリペプチドを発現する細胞を同定することができる。
7.4.発現ベクター
本開示は、本開示のポリペプチドまたはその一部分をコードする核酸を含むベクターを提供する。ベクターの例としては、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳動物ベクター、および発現ベクター、例えば組換え発現ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の別の態様では、本開示の核酸分子およびポリヌクレオチドを含有する発現ベクターも提供され、そのようなベクターで形質転換された宿主細胞、およびポリペプチドを産生する方法も提供される。用語「発現ベクター」は、ポリヌクレオチド配列からポリペプチドを発現させるためのプラスミド、ファージ、ウイルスまたはベクターを指す。ポリペプチドの発現のためのベクターは、ベクター伝播(vector propagation)のためにおよびクローニングされた挿入断片の発現のために必要な配列を最小限で含有する。発現ベクターは、(1)遺伝子発現において調節的役割を果たす遺伝子エレメント(単数または複数)、例えば、プロモーターまたはエンハンサーと、(2)mRNAに転写され、タンパク質に翻訳される、ポリペプチドおよびタンパク質をコードする配列と、(3)適切な転写開始および終結配列との集合体を含む、転写単位を含む。これらの配列は、選択マーカーをさらに含むこともある。宿主細胞における発現に好適なベクターは、容易に入手可能であり、核酸分子は、標準的な組換えDNA技術を使用してベクターに挿入される。そのようなベクターは、特定の組織において機能するプロモーター、および標的ヒトまたは動物細胞におけるポリペプチドの発現のためのウイルスベクターを含むことができる。
本開示の組換え発現ベクターは、本開示の核酸を、宿主細胞における核酸の発現に好適な形態で含むことができる。組換え発現ベクターは、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択される1つまたは複数の調節配列であって、発現される核酸配列に作動可能に連結されている配列を含む。調節配列は、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指令するもの(例えば、SV40初期遺伝子エンハンサー、ラウス肉腫ウイルスプロモーターおよびサイトメガロウイルスプロモーター)、ある特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指令するもの(例えば、組織特異的調節配列、Voss et al., 1986, Trends Biochem. Sci. 11:287、Maniatis et al., 1987, Science 236:1237を参照されたく、これらの参考文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる)、および特定の処置または状態に応答してヌクレオチド配列の誘導性発現を指令するもの(例えば、哺乳動物細胞におけるメタロチオネイン(metallothionin)プロモーター、ならびに真核細胞系と原核細胞系の両方におけるtet応答性および/もしくはストレプトマイシン応答性プロモーター(同文献を参照されたい)を含む。発現ベクターの設計が、形質転換すべき宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現レベルなどのような因子に依存し得ることは、当業者には理解される。本開示の発現ベクターを宿主細胞に導入して、それによって、本明細書に記載の核酸によりコードされるタンパク質またはペプチド、例えば融合タンパク質またはペプチドなど、を産生することができる。
一部の実施形態では、発現ベクターは、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリーのクローンのうちの1つから精製された発現ベクターである。一部の実施形態では、発現ベクターは、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリーから精製されたクローンのうちの1つにおける発現ベクターの1つの遺伝子改変により生成される。一部の実施形態では、発現ベクターは、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリーのクローンのうちの1つの重鎖および軽鎖の可変領域配列を使用することにより生成される。
本開示は、ポリペプチドを作製する方法をさらに提供する。様々な他の発現/宿主系を利用することができる。ベクターDNAを従来の形質転換またはトランスフェクション技術によって原核細胞または真核細胞系に導入することができる。これらの系としては、組換えバクテリオファージ、プラスミドもしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coli)などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)がトランスフェクトされたもしくは細菌発現ベクター(TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系;または動物細胞系が挙げられるが、これらに限定されない。組換えタンパク質産生に有用な哺乳動物細胞としては、VERO細胞、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系、もしくはそれらの派生株、例えば、Veggie CHO、および無血清培地で成長する関連細胞系(Rasmussen et al., 1998, Cytotechnology 28:31を参照されたい)またはDHFRが欠損しているCHO株DX-B11(Urlaub et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-20を参照されたい)、COS細胞、例えばサル腎細胞のCOS-7系(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al., 1981, Cell 23:175を参照されたい)、W138、BHK、HepG2、3T3(ATCC CCL 163)、RIN、MDCK、A549、PC12、K562、L細胞、C127細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞系、アフリカミドリザル腎細胞系CV1に由来するCV1/EBNA細胞系(ATCC CCL 70)(McMahan et al., 1991, EMBO J. 10:2821を参照されたい)、ヒト胎児由来腎細胞、例えば、293、293 EBNAもしくはMSR 293、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換霊長類細胞系、正常二倍体細胞、初代組織、初代外植片のin vitro培養から得られる細胞株、HL-60、U937、HakまたはJurkat細胞が挙げられるが、これらに限定されない。哺乳動物発現は、分泌または可溶性ポリペプチドの産生を可能にし、これらのポリペプチドを成長培地から回収することができる。
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術次第で、ほんの一部の細胞のみが、外来DNAをそれらのゲノムに取り入れることができることは、公知である。これらの組込み体を同定および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性について)をコードする遺伝子が、一般に、目的の遺伝子とともに宿主細胞に導入される。所望の発現カセットばかりでなく選択可能なマーカーも含有するベクターでそのような細胞を形質転換すると、これらの細胞を、強化培地において、例えば、強化培地を選択培地に切り替える前に、成長させることができる。選択可能なマーカーは、導入された配列を首尾よく発現する細胞の成長および回収を可能にするように設計される。安定に形質転換された細胞の耐性凝集塊(resistant clump)を、利用する細胞系に適している組織培養技術を使用して増殖させることができる。組換えタンパク質の発現についての概要は、Methods of Enzymology, v. 185, Goeddell, D.V., ed., Academic Press (1990)において見出すことができる。好ましい選択可能なマーカーとしては、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサートなどの、薬物に対する耐性を付与するものが挙げられる。導入された核酸が安定にトランスフェクトされた細胞は、数ある中でも特に、薬物選択(例えば、選択可能なマーカー遺伝子が組み込まれた細胞は生き残るが、他の細胞は死滅する)により同定することができる。
形質転換細胞を、ポリペプチドの発現を促進する条件下で培養し、ポリペプチドを従来のタンパク質精製手順(上記で定義した通り)により回収することができる。1つのそのような精製手順は、例えば、PD-1の全てまたは一部分(例えば、細胞外ドメイン)が結合したマトリックスを用いる、親和性クロマトグラフィーの使用を含む。本明細書における使用が企図されるポリペプチドは、内因性夾雑物質が実質的にない、実質的に均一な組換え哺乳動物抗PD-1抗体ポリペプチドを含む。
一部の場合、例えば、原核細胞系を使用する発現の場合には、本開示の発現されるポリペプチドを、生物活性になるように、「再び折り畳み」、酸化して適切な三次元構造にし、ジスルフィド結合を生成する必要があり得る。再折り畳みは、当技術分野において周知の多数の手順を使用して果たすことができる。そのような方法は、例えば、可溶化されたポリペプチドを、カオトロピック剤の存在下で、通常は7より高いpHに曝露することを含む。カオトロープの選択は、封入体可溶化に使用される選択と同様であるが、カオトロープは、より低い濃度で概して使用される。例示的なカオトロピック剤は、グアニジンおよび尿素である。ほとんどの場合、再折り畳み/酸化溶液は、システイン架橋の形成のためにジスルフィドシャフリングが起こることを可能にする特定のレドックス電位を生じさせるために、還元剤とその酸化形態も特定の比率で含有する。一般に使用される一部のレドックス対としては、システイン/シスタミン、グルタチオン/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオトレイトールDTT/ジチアンDTT、および2-メルカプトエタノール(bME)/ジチオ-bMEが挙げられる。多くの事例では、再折り畳みの効率を上昇させるために共溶媒が使用され得る。一般に使用される共溶媒としては、グリセロール、様々な分子量のポリエチレングリコール、およびアルギニンが挙げられる。
加えて、従来の技術に従って溶液中または固体支持体上でポリペプチドを合成することができる。様々な自動合成装置が市販されており、公知のプロトコールに従ってそれらを使用することができる。例えば、Stewart and Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2d.Ed., Pierce Chemical Co. (1984);Tam et al., J Am Chem Soc, 105:6442, (1983);Merrifield, Science 232:341-347 (1986);Barany and Merrifield, The Peptides, Gross and Meienhofer, eds, Academic Press, New York, 1-284;Barany et al., Int J Pep Protein Res, 30:705-739 (1987)を参照されたい。
本開示のポリペプチドおよびタンパク質は、当業者に周知のタンパク質生成技術に従って精製することができる。これらの技術は、あるレベルでの、タンパク質性および非タンパク質性画分の粗分画を含む。ペプチドポリペプチドを他のタンパク質から分離した後、クロマトグラフィーおよび電気泳動技術を使用して目的のペプチドまたはポリペプチドをさらに精製して、部分的精製または完全精製(または均一に至る精製)を達成することができる。用語「精製されたポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、他の成分から単離可能な組成物であって、ポリペプチドがその天然に得ることができる状態と比較して任意の程度に精製されている組成物を指すように意図されている。したがって、精製されたポリペプチドは、それが天然に存在する環境から分離されているポリペプチドも指す。一般に、「精製された」は、分画に供されて様々な他の成分が除去されたポリペプチド組成物であって、その発現された生物活性を実質的に保持する組成物を指す。用語「実質的に精製された」が使用される場合、この表記は、ポリペプチドまたはペプチドが、組成物の主要成分を形成する、例えば、組成物中のタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%またはそれより多くを構成する、ペプチドまたはポリペプチド組成物を指す。
精製における使用に好適な様々な技術が当業者には周知である。これらの技術は、例えば、硫酸アンモニウム、PEG、抗体(免疫沈降法)などでのまたは熱変性による沈殿、その後の遠心分離;クロマトグラフィー、例えば、親和性クロマトグラフィー(プロテインAカラム)、イオン交換、ゲル濾過、逆相、ヒドロキシルアパタイト、疎水性相互作用クロマトグラフィー、等電点電気泳動、ゲル電気泳動、ならびにこれらの技術の組合せを含む。当技術分野において一般に公知であるように、様々な精製ステップを行う順序を変えてもよく、またはある特定のステップを省いてもよく、それでもなお、実質的に精製されたポリペプチドの調製に好適な方法をもたらす可能性があると考えられる。例示的な精製ステップは、下記の実施例で提供される。
ポリペプチドの精製度を定量するための様々な方法は、本開示に鑑みれば当業者には公知である。これらの方法は、例えば、活性画分の比結合活性を決定すること、またはSDS/PAGE分析により画分中のペプチドまたはポリペプチドの量を評価することを含む。ポリペプチド画分の純度の好ましい評価方法は、画分の結合活性を計算すること、それを最初の抽出物の結合活性と比較すること、およびひいては、本明細書では「精製倍数」により評価される精製度を計算することである。結合活性の量を表すために使用される実際の単位は、精製を追跡するために選択される特定のアッセイ技術、およびポリペプチドまたはペプチドが検出可能な結合活性を示すか否かに、もちろん、依存する。
7.5.抗体
PD-1抗体は、ヘパリンHPカラムを使用し、塩勾配を使用する、宿主細胞培養液の濾過された上清の溶出により、抗体をコードする遺伝子がトランスフェクトされた宿主細胞から精製することができる。
Fab断片は、V、V、CおよびCH1ドメインを有する、一価断片であり;F(ab’)断片は、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を有する二価断片であり;Fd断片は、VおよびCH1ドメインを有し;Fv断片は、抗体の単一アームのVおよびVドメインを有し;dAb断片は、Vドメイン、Vドメイン、またはVまたはVドメインの抗原結合性断片を有する(米国特許第6,846,634号、同第6,696,245号、米国特許出願公開第05/0202512号、同第04/0202995号、同第04/0038291号、同第04/0009507号、同第03/0039958号、Ward et al., Nature 341:544-546, 1989)。
特定の軽鎖および重鎖可変領域ドメインのポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、下記で説明される。軽鎖および重鎖を含む抗体は、軽鎖可変ドメインの名称と重鎖可変ドメインの名称を組み合わせることにより表記される。例えば、「L4H7」は、L4の軽鎖可変ドメイン(配列番号4の配列を含む)とH7の重鎖可変ドメイン(配列番号107の配列を含む)とを含む抗体を示す。軽鎖可変配列は、配列番号1~28で提供され、重鎖可変配列は、配列番号101~128で提供される。
他の実施形態では、抗体は、特定の重鎖または軽鎖を含むことができるが、相補的軽鎖および重鎖可変ドメインは、不特定のままである。詳細には、本明細書におけるある特定の実施形態は、特定の軽鎖または重鎖によって特異的抗原(例えば、PD-1)に結合し、その結果、相補的重鎖または軽鎖が、無差別であっても、またはさらには無関係であってもよいが、例えばコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより、それらを決定することができる、抗体を含む。Portolano et al., J. Immunol. V. 150 (3), pp. 880-887 (1993);Clackson et al., Nature v. 352 pp. 624-628 (1991);Adler et al., A natively paired antibody library yields drug leads with higher sensitivity and specificity than a randomly paired antibody library, MAbs (2018));Adler et al., Rare, high-affinity mouse anti-PD-1 antibodies that function in checkpoint blockade, discovered using microfluidics and molecular genomics, MAbs (2017)。
天然に存在する免疫グロブリン鎖は、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる、3つの超可変領域によって結合された比較的保存されるフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。軽鎖および重鎖両方が、N末端からC末端へ、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed., US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH, NIH Publication no.91-3242, 1991におけるKabat et al.の定義に従う。
「完全ヒト抗体」とも呼ばれる、「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する1つまたは複数の可変および定常領域を有する全ての抗体を含む。一実施形態では、可変および定常ドメインの全ては、ヒト免疫グロブリン配列(完全ヒト抗体)に由来する。これらの抗体は、ヒト重鎖および/または軽鎖コード遺伝子に由来する抗体を発現するように遺伝子改変されるマウスの目的の抗原での免疫による方法を含む、様々な方法で調製することができ、これらの方法の例は、下に記載される。
ヒト化抗体は、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失および/または付加の点で非ヒト種に由来する抗体の配列とは異なる配列を有し、したがって、ヒト化抗体は、それがヒト対象に投与されたとき、非ヒト種抗体と比較して、免疫応答を誘導する可能性が低く、および/またはさほど激しくない免疫応答を誘導する。一実施形態では、非ヒト種抗体の重鎖および/または軽鎖のフレームワークおよび定常ドメイン内のある特定のアミノ酸を、ヒト化抗体を産生するように変異させる。別の実施形態では、ヒト抗体からの定常ドメイン(複数可)を非ヒト種の可変ドメイン(複数可)に融合させる。別の実施形態では、非ヒト抗体の1つまたは複数のCDR配列内の1つまたは複数のアミノ酸残基を、それがヒト対象に投与されたとき、非ヒト抗体の推定免疫原性を低下させるように変化させ、変化させるアミノ酸残基は、抗体のその抗原との免疫特異的結合にとって重要でないか、または加えられるアミノ酸配列に対する変化は、保存的変化であり、したがって、ヒト化抗体の抗原との結合は、非ヒト抗体の抗原との結合よりも有意に悪くはない。ヒト化抗体を作製する方法の例は、米国特許第6,054,297号、同第5,886,152号および同第5,877,293号において見出すことができる。
用語「キメラ抗体」は、1つの抗体からの1つまたは複数の領域と1つまたは複数の他の抗体からの1つまたは複数の領域とを含有する、抗体を指す。一実施形態では、CDRの1つまたは複数は、ヒト抗PD-1抗体に由来する。別の実施形態では、CDRの全てがヒト抗PD-1抗体に由来する。別の実施形態では、1つより多くのヒト抗PD-1抗体からのCDRが、キメラ抗体では、混合されており、マッチしている。例えば、キメラ抗体は、第1のヒト抗PD-1抗体の軽鎖からのCDR1と、第2のヒト抗PD-1抗体の軽鎖からのCDR2およびCDR3と、第3の抗PD-1抗体からの重鎖からのCDRとを含むことがある。さらに、フレームワーク領域は、同じ抗PD-1抗体のうちの1つに由来することもあり、ヒト抗体などの1つもしくは複数の異なる抗体に由来することもあり、またはヒト化抗体に由来することもある。キメラ抗体の一例では、重鎖および/または軽鎖の一部分は、特定の種からのまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体と同一であるか、相同であるか、またはそのような抗体に由来するが、鎖の残部は、別の種からのまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体と同一であるか、相同であるか、またはそのような抗体に由来する。所望の生物活性(すなわち、PD-1に特異的に結合する能力)を示すそのような抗体の断片も含まれる。
抗体の断片またはアナログを、当業者は、本明細書の教示に従って、および当技術分野において周知の技術を使用して、容易に調製することができる。断片またはアナログの好ましいアミノおよびカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界付近に存在する。構造ドメインおよび機能的ドメインは、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列データを公的または専有の配列データベースと比較することにより、同定することができる。コンピュータによる比較方法を使用して、構造および/または機能が分かっている他のタンパク質中に存在する配列モチーフまたは予測タンパク質立体構造ドメインを同定することができる。折り重なって公知の三次元構造になるタンパク質配列を同定する方法も公知である。例えば、Bowie et al., 1991, Science 253:164を参照されたい。
抗体に由来する抗原結合性断片は、例えば、抗体のタンパク質分解性加水分解、例えば、従来の方法による全抗体のペプシンまたはパパイン消化により、得ることができる。例として、F(ab’)と呼ばれる5S断片を得るためのペプシンでの抗体の酵素的切断により、抗体断片を生じさせることができる。チオール還元剤を使用してこの断片をさらに切断して、3.5S Fab’一価断片を生じさせることができる。必要に応じて、ジスルフィド結合の切断の結果として生じるスルフヒドリル基に対してブロッキング基を使用して、切断反応を行うことができる。代替方法として、パパインを使用する酵素的消化は、2つの一価Fab断片とFc断片とを直接生じさせる。これらの方法は、例えば、Goldenbergの米国特許第4,331,647号、Nisonoff et al., Arch. Biochem. Biophys. 89:230, 1960;Porter, Biochem. J. 73:119, 1959;Edelman et al., in Methods in Enzymology 1:422 (Academic Press 1967)により;およびAndrews, S.M. and Titus, J.A. in Current Protocols in Immunology (Coligan J.E., et al., eds), John Wiley & Sons, New York (2003), pages 2.8.1 2.8.10 and 2.10A.1 2.10A.5により記載されている。抗体を切断するための、例えば、重鎖を分離して一価軽重鎖断片(Fd)を形成し、さらに断片を切断するための、他の方法、または他の酵素的、化学的もしくは遺伝学的技術も、それらの断片が、無傷抗体により認識される抗原に結合する限り、使用することができる。
抗体断片は、いずれの合成タンパク質または遺伝子操作されたタンパク質であってもよい。例えば、抗体断片は、軽鎖可変領域からなる単離された断片;重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片;軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーにより接続されている、組換え単鎖ポリペプチド分子(scFvタンパク質)を含む。
抗体断片のもう1つの形態は、抗体の1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含むペプチドである。CDR(「最小認識単位」または「超可変領域」とも呼ばれる)を分子に共有結合であるいは非共有結合で組み込んで、その分子を抗原結合タンパク質にすることができる。CDRは、目的のCDRをコードするポリヌクレオチドを構築することにより得ることができる。そのようなポリヌクレオチドは、例えば、抗体産生細胞のmRNAを鋳型として使用して、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して可変領域を合成することにより、調製される(例えば、Larrick et al., Methods: A Companion to Methods in Enzymology 2:106, 1991;Courtenay Luck, "Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies," in Monoclonal Antibodies: Production, Engineering and Clinical Application, Ritter et al. (eds.), page 166 (Cambridge University Press 1995);およびWard et al., "Genetic Manipulation and Expression of Antibodies," in Monoclonal Antibodies: Principles and Applications, Birch et al., (eds.), page 137 (Wiley Liss, Inc. 1995)を参照されたい)。
したがって、一実施形態では、結合剤は、本明細書に記載の少なくとも1つのCDRを含む。結合剤は、本明細書に記載の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのCDRを含むこともある。結合剤は、本明細書に記載の抗体の少なくとも1つの可変領域ドメインをさらに含むことがある。可変領域ドメインは、いずれのサイズまたはアミノ酸組成のものであってもよく、本明細書に具体的に記載される、および1つまたは複数のフレームワーク配列と隣接しているまたはインフレームである、ヒトPD-1との結合に関与する少なくとも1つのCDR配列、例えば、CDR1-H、CDR2-H、CDR3-H、CDR1-L、CDR2-LおよびCDR3-Lを一般に含む。一般に、可変(V)領域ドメインは、免疫グロブリン重(V)鎖および/または軽(V)鎖可変ドメインのいずれの好適な配置であってもよい。したがって、例えば、V領域ドメインは、一価であることがあり、下記で説明されるように少なくとも1×10Mに等しいかまたはそれよりも低い親和性でヒトPD-1に独立して結合することができる、VまたはVドメインであることがある。あるいは、V領域ドメインは、二価であることがあり、V、V、またはV二量体を含有することがある。V領域二量体は、非共有結合で会合していることがある、少なくとも1本のVおよび少なくとも1本のV鎖(本明細書では以降Fと呼ばれる)を含む。必要に応じて、これらの鎖を、直接、例えば2つの可変ドメイン間のジスルフィド結合によって、あるいはリンカー、例えばペプチドリンカーを介して、共有結合でカップリングさせて、単鎖Fv(scFV)を形成することができる。
可変領域ドメインは、いずれの天然に存在する可変ドメインまたはその操作されたバージョンであってもよい。操作されたバージョンとは、組換えDNA操作技術を使用して作出された可変領域ドメインを意味する。そのような操作されたバージョンは、例えば、特異的抗体可変領域から、特異的抗体のアミノ酸配列におけるまたはそのようなアミノ酸配列への、挿入、欠失または変化により、作出されたものを含む。特定の例としては、第1の抗体からの少なくとも1つのCDRおよび必要に応じて1つまたは複数のフレームワークアミノ酸と、第2の抗体からの可変領域ドメインの残部とを含有する、操作された可変領域ドメインを含む。
可変領域ドメインを、少なくとも1つの他の抗体またはその断片のC末端側のアミノ酸に共有結合させることができる。したがって、例えば、可変領域ドメインに存在するVドメインを、免疫グロブリンCH1ドメインまたはその断片に連結させることができる。同様に、VドメインをCKドメインまたはその断片に連結させることができる。このように、例えば、抗体は、抗原結合性ドメインが、会合VおよびVドメインを含有し、これらのドメインのC末端がCH1およびCKドメインにそれぞれ共有結合で連結されている、Fab断片であり得る。CH1ドメインをさらなるアミノ酸で伸長させて、例えば、Fab’断片に見られるようなヒンジ領域もしくはヒンジ領域ドメインの一部分を得ることができ、または抗体CH2およびCH3ドメインなどのさらなるドメインを得ることができる。
本明細書中で説明されるように、抗体は、これらのCDRの少なくとも1つを含む。例えば、1つまたは複数のCDRを、既知抗体フレームワーク領域(IgG1、IgG2など)に組み込むことができ、または好適なビヒクルとコンジュゲートさせてその半減期を延ばすことができる。好適なビヒクルとしては、Fc、ポリエチレングリコール(PEG)、アルブミン、トランスフェリンなどが挙げられるが、それらに限定されない。これらおよび他の好適なビヒクルは、当技術分野において公知である。そのようなコンジュゲートCDRペプチドは、単量体形態、二量体形態、三量体形態または他の形態であり得る。一実施形態では、1つまたは複数の水溶性ポリマーが、結合剤の1カ所または複数ヶ所の特異的位置に、例えばアミノ末端に、結合される。
別の例では、抗体(すなわち、PD-1抗体)からの個々のVまたはV鎖を使用して、同じ特異性を有する、抗原結合性断片(またはFab)を形成することができる他のVまたはVについて、検索することができる。したがって、VおよびV鎖Ig遺伝子のランダムな組合せをバクテリオファージライブラリー(例えば、fdまたはラムダファージ)において抗原結合性断片として発現させることができる。例えば、抗原結合特異的VまたはV鎖ライブラリーとそれぞれ組み合わせた親VまたはV鎖ライブラリーを利用することにより、コンビナトリアルライブラリーを生成することができる。次いで、コンビナトリアルライブラリーを、従来の技術により、例えば、放射性標識されたプローブ(例えば、放射性標識されたPD-1)を使用することにより、スクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al., J. Immunol. V. 150 (3) pp. 880-887 (1993)を参照されたい。
ダイアボディは、2本のポリペプチド鎖を含む二価抗体であって、各ポリペプチド鎖が、リンカーにより結合されたVおよびVドメインを含み、このリンカーが、短すぎて同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を生じさせることができず、結果として、各ドメインによる別のポリペプチド鎖上の相補ドメインとの対合を可能にする、二価抗体である(例えば、Holliger et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-48、およびPoljak et al., 1994, Structure 2:1121-23を参照されたい)。ダイアボディの2本のポリペプチド鎖が同一である場合には、それらの鎖の対合の結果として生じるダイアボディは、2つの同一の抗原結合部位を有する。異なる配列を有するポリペプチド鎖を使用して、2つの異なる抗原結合部位を有するダイアボディを作製することができる。同様に、トリアボディおよびテトラボディは、3本および4本のポリペプチド鎖をそれぞれ含む抗体であって、同じであってもよく、または異なっていてもよい、3つまたは4つの抗原結合部位をそれぞれ形成する抗体である。
フィブロネクチンポリペプチドモノボディを含む、抗体ポリペプチドが、米国特許第6,703,199号においても開示されている。単鎖ポリペプチドである他の抗体ポリペプチドが、米国特許公開第2005/0238646号において開示されている。
ある特定の実施形態では、抗体は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールを含むがこれらに限定されない、結合している1つまたは複数の水溶性ポリマーを含む。例えば、米国特許第4,640,835号、同第4,496,689号、同第4,301,144号、同第4,670,417号、同第4,791,192号および同第4,179,337号を参照されたい。ある特定の実施形態では、誘導結合剤(derivative binding agent)は、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、もしくは他の炭水化物に基づくポリマー、ポリ-(N-ビニルピロリドン)-ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)およびポリビニルアルコールのうちの1つまたは複数、ならびにこのようなポリマーの混合物を含む。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の水溶性ポリマーは、1つまたは複数の側鎖にランダムに結合される。ある特定の実施形態では、PEGは、抗体などの結合剤の治療能を向上させるように作用することができる。ある特定のそのような方法は、例えば、あらゆる目的でこれにより参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,133,426号において論じられている。
7.6.抗原結合タンパク質
一態様では、本開示は、PD-1と結合する抗原結合タンパク質(例えば、抗体、抗体断片、抗体誘導体、抗体変異タンパク質、および抗体バリアント)を提供する。
抗原結合タンパク質は、例えば、天然に存在する免疫グロブリンの構造を有し得る。「免疫グロブリン」は、四量体分子である。天然に存在する免疫グロブリンでは、各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一な対から構成され、それぞれの対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)と1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識を担う約100から110またはそれより多いアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能を担う定常領域を定義する。ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖とラムダ軽鎖として分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして定義する。軽鎖および重鎖内では、可変領域および定常領域が約12個またはそれより多いアミノ酸の「J」領域によって接合し、重鎖はさらに約10個のアミノ酸の「D」領域も含む。一般に、Fundamental Immunology Ch. 7(Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y.(1989))(参照により全ての目的でその全体が組み込まれる)を参照されたい。各軽鎖/重鎖の対の可変領域は、無傷免疫グロブリンが2つの結合部位を有するように、抗体結合部位を形成する。
本開示による抗原結合タンパク質は、PD-1の生物活性を阻害する抗原結合タンパク質を含む。
異なる抗原結合タンパク質は、PD-1の異なるドメインと結合することもあり、または異なる作用機序により作用することもある。とりわけ本明細書で示される場合、ドメイン領域が表記され、例えば、別段の指示がない限り、群を含むドメイン領域が表記される。例えば、アミノ酸4~12は、次の9つのアミノ酸を指す:4位および12位のアミノ酸、ならびに配列内の介在する7つのアミノ酸。他の例は、PD-1のPD-L1との結合を阻害する抗原結合タンパク質を含む。抗原結合タンパク質は、本開示で使用されるためにPD-1誘導活性を完全に阻害する必要がなく、もっと正確に言えば、PD-1の特定の活性を低減させる抗原結合タンパク質も使用に企図される。(特定の疾患を処置する際のPD-1結合性抗原結合タンパク質についての特定の作用機序の本明細書での論述は、説明のためのものに過ぎず、本明細書で提示される方法は、そのような論述に縛られない)。
別の態様では、本開示は、A1LC-A28LCからなる群から選択される軽鎖可変領域またはA1HC-A28HCからなる群から選択される重鎖可変領域、ならびにその断片、誘導体、ムテイン、およびバリアントを含む抗原結合タンパク質を提供する。このような抗原結合タンパク質は、名称「LxHy」(式中、これらが以下の配列において標識されているように、「x」は軽鎖可変領域の数に相当し、「y」は重鎖可変領域の数に相当する)を使用して示すことができる。すなわち、例えば、「A1HC」は、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を示し、「A1LC」は、配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を示す、などである。より一般的に言えば、「L2H1」は、L2(配列番号2)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域およびH1(配列番号101)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗原結合タンパク質を指す。明確化のために、1つの群のうちの少なくとも2つのメンバーによって示される全ての範囲は、その範囲のメンバーの末端の間およびそれを含む群の全てのメンバーを含む。よって、範囲A1~A28の群は、A1からA28の間の全てのメンバー、ならびにメンバーA1およびA28自体を含む。範囲A4~A6の群は、メンバーA4、A5、およびA6を含む、などである。
一部の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリー内のクローンの1つと同一の重鎖配列および軽鎖配列両方の可変(V(D)J)領域を含む。一部の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリー内のクローンの1つと同一の重鎖配列または軽鎖配列のどちらかの可変(V(D)J)領域を含む。一部の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリー内のクローンのうちの1つにおいて発現ベクターから発現される。
抗原結合部位の一部を生じさせるCDRの位置(下線付き)も下記に示され、さらに、フレームワーク領域(FR)がこれらの可変ドメイン配列の介在セグメントである。軽鎖可変領域と重鎖可変領域の両方に、3つのCDR(CDR1~3)および4つのFR(FR1~4)が存在する。軽鎖および重鎖各々のCDR領域は、抗体型(A1、A2、A3など)によっても分類される。本開示の抗原結合タンパク質は、例えば、L1H1(抗体A1)、L2H2(抗体A2)、L3H3(抗体A3)、L4H4(抗体A4)、L5H5(抗体A5)、L6H6(抗体A6)、L7H7(抗体A7)、L8H8(抗体A8)、L9H9(抗体A9)、L10H10(抗体A10)、L11H11(抗体A11)、L12H12(抗体A12)、L13H13(抗体A13)、L14H14(抗体14)、L15H15(抗体15)、L16H16(抗体16)、L17H17(抗体17)、L18H18(抗体18)、L19H19(抗体19)、L20H20(抗体20)、L21H21(抗体21)、L22H22(抗体22)、L23H23(抗体23)、L24H24(抗体24)、L25H25(抗体25)、L26H26(抗体26)、L27H27(抗体27)およびL28H28(抗体28)からなる群から選択される軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの組合せを有する抗原結合タンパク質を含む。
一部の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリー内のクローンの1つと同一の6つ全てのCDR配列(軽鎖の3つのCDRおよび重鎖の3つのCDR)を含む。一部の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリー内のクローンの1つと同一の6つCDR配列(軽鎖の3つのCDRおよび重鎖の3つのCDR)のうちの3つを含む。一部の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリー内のクローンの1つと同一の6つのCDR配列のうちの1つ、2つ、3つ、4つまたは5つを含む。
一実施形態では、本開示は、L1~L28からなる群から選択される軽鎖可変ドメインの配列と15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1残基のみ異なるアミノ酸の配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、そのような配列差の各々が、独立して、1アミノ酸残基の欠失、挿入または置換のいずれかである、抗原結合タンパク質を提供する。別の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、L1~L28からなる群から選択される軽鎖可変ドメインの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、L1~L28からなる群(L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、L12、L13、L14、L15、L16、L17、L18、L19、L20、L21、L22、L23、L24、L25、L26、L27、および、L28を含む)から選択される軽鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、L1~L28からなる群から選択される軽鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドの相補体と中等度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、L1~L28からなる群から選択される軽鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドの相補体と中等度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、L1~L28の軽鎖ポリヌクレオチドの相補体と中等度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸の配列を含む。
一実施形態では、本開示は、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリーのクローンのうちの1つによりコードされる軽鎖可変ドメインの配列と15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1残基のみ異なるアミノ酸の配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、そのような配列差の各々が、独立して、1アミノ酸残基の欠失、挿入または置換のいずれかである、抗原結合タンパク質を提供する。別の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリーのクローンのうちの1つによりコードされる軽鎖可変ドメインの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリーのクローンのうちの1つのヌクレオチド配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸の配列を含む。
別の実施形態では、本開示は、H1~H28からなる群から選択される重鎖可変ドメインの配列と、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1つの残基のみで異なるアミノ酸の配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、このような配列の差異のそれぞれが、独立して、1つのアミノ酸残基の欠失、挿入、または置換のいずれかである、抗原結合タンパク質を提供する。別の実施形態では、重鎖可変ドメインは、H1~H28からなる群から選択される重鎖可変ドメインの配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態では、重鎖可変ドメインは、H1~H28からなる群から選択される重鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態では、重鎖可変ドメインは、H1~H28からなる群から選択される重鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドの相補体に対して適度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態では、重鎖可変ドメインは、H1~H28からなる群から選択される重鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチドの相補体に対して適度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態では、重鎖可変ドメインは、本明細書で開示される重鎖ポリヌクレオチドの相補体に対して適度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。
一実施形態では、本開示は、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリーのクローンのうちの1つによりコードされる重鎖可変ドメインの配列と15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1残基のみ異なるアミノ酸の配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、そのような配列差の各々が、独立して、1アミノ酸残基の欠失、挿入または置換のいずれかである、抗原結合タンパク質を提供する。別の実施形態では、重鎖可変ドメインは、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリーのクローンのうちの1つによりコードされる重鎖可変ドメインの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態では、重鎖可変ドメインは、ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたPD-1結合クローンのライブラリーのクローンのうちの1つのヌクレオチド配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸の配列を含む。
本開示の抗原結合タンパク質の特定の実施形態は、本明細書において参照されるCDRおよび/またはFRのうちの1つまたは複数のアミノ酸配列に対して同一である1つまたは複数のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、上記に例示された軽鎖CDR1配列を含む。別の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上記に例示された軽鎖CDR2配列を含む。別の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上記に例示された軽鎖CDR3配列を含む。別の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上記に例示された重鎖CDR1配列を含む。別の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上記に例示された重鎖CDR2配列を含む。別の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上記に例示された重鎖CDR3配列を含む。
一実施形態では、本開示は、上記に示されるCDR配列と、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸残基で異なる1つまたは複数のCDR配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
一部の実施形態では、抗原結合タンパク質のCDR1配列の少なくとも1つは、表5もしくは9に示されているようなA1~A28、CDR1-L1~28もしくはCDR1-H1~28からのCDR1配列、または表7に示されているようなそれらのコンセンサス配列である。一部の実施形態では、抗原結合タンパク質のCDR2配列の少なくとも1つは、表5もしくは9に示されているようなA1~A28、CDR2-L1~28もしくはCDR2-H1~28からのCDR2配列、または表7に示されているようなそれらのコンセンサス配列である。一部の実施形態では、抗原結合タンパク質のCDR3配列の少なくとも1つは、表5もしくは9に示されているようなA1~A28、CDR3-L1~28もしくはCDR3-H1~28からのCDR3配列、または表7に示されているようなそれらのコンセンサス配列である。
別の実施形態では、抗原結合タンパク質の軽鎖CDR3配列は、表5もしくは9に示されているようなA1~A28もしくはCDR3-L1~28の軽鎖CDR3配列、または表7に示されているようなそれらのコンセンサス配列であり、抗原結合タンパク質の重鎖CDR3配列は、表5もしくは9に示されているようなA1~A28もしくはCDR-H1~28の重鎖配列、または表7に示されているようなそれらのコンセンサス配列である。
別の実施形態では、抗原結合タンパク質は、各々独立して6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、1つまたは0の単一アミノ酸付加、置換および/または欠失の点でA1~A28のCDR配列と異なる、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのCDR配列を含み、抗原結合タンパク質は、各々独立して6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、1つまたは0の単一アミノ酸付加、置換および/または欠失の点でCDR配列と異なる、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのCDR配列をさらに含む。一部の実施形態では、抗原結合タンパク質は、A1~A28のCDR配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を各々が有する1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのCDR配列を含む。
A1~A28のヌクレオチド配列、またはA1~A28のアミノ酸配列を、例えば、ランダム変異誘発によりまたは部位特異的変異誘発(例えば、オリゴヌクレオチド指定部位特異的変異誘発)により変更して、非変異ポリヌクレオチドと比較して1つまたは複数の特定のヌクレオチド置換、欠失または挿入を含む変更されたポリヌクレオチドを作出することができる。このような変更を加える技術の例は、Walder et al., 1986, Gene 42:133;Bauer et al.1985, Gene 37:73;Craik, BioTechniques, January 1985, 12-19;Smith et al., 1981, Genetic Engineering: Principles and Methods, Plenum Press;ならびに米国特許第4,518,584号および同第4,737,462号に記載されている。これらおよび他の方法を使用して、例えば、所望の特性を有する、例えば、非誘導体化抗体と比較してPD-1に対する親和性、アビディティもしくは特異性が増加した、in vivoもしくはin vitroでの活性もしくは安定性が増加した、またはin vivoでの副作用が低減した、抗PD-1抗体の誘導体を作製することができる。
本開示の範囲内の抗PD-1抗体の他の誘導体は、抗PD-1抗体ポリペプチドのN末端またはC末端に融合させた異種ポリペプチドを含む組換え融合タンパク質の発現によるものなどの、抗PD-1抗体またはそれらの断片と他のタンパク質またはポリペプチドとの共有結合性または凝集性コンジュゲートを含む。例えば、コンジュゲートされるペプチドは、異種シグナル(またはリーダー)ポリペプチド、例えば、酵母アルファ因子リーダー、またはペプチド、例えばエピトープタグであり得る。抗原結合タンパク質含有融合タンパク質は、抗原結合タンパク質の精製または同定を助長するために付加されたペプチド(例えば、ポリHis)を含むことができる。抗原結合タンパク質を、Hopp et al., Bio/Technology 6:1204, 1988および米国特許第5,011,912号に記載されているようなFLAGペプチドAsp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(DYKDDDDK)(配列番号12191)に連結させることもできる。FLAGペプチドは、高抗原性であり、特異的モノクローナル抗体(mAb)により可逆的に結合されるエピトープを提供し、発現させた組換えタンパク質の迅速なアッセイおよび容易な精製を可能にする。FLAGペプチドが所与のポリペプチドに融合している融合タンパク質の調製に有用な試薬は、市販されている(Sigma、St.Louis、MO)。
1つの好適なFcポリペプチドは、PCT出願WO93/10151(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されており、ヒトIgG1抗体のFc領域の未変性C末端に対するN末端ヒンジ領域から伸長する一本鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチドは、米国特許第5,457,035号およびBaum et al., 1994, EMBO J. 13:3992-4001に記載されるFcムテインである。このムテインのアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに変化し、アミノ酸20がLeuからGluに変化し、かつアミノ酸22がGlyからAlaに変化したことを除いて、WO93/10151において示された未変性Fc配列のものと同一である。ムテインは、Fc受容体に対する親和性の低下を示す。
他の実施形態では、抗PD-1抗体の重鎖および/または軽鎖の可変部分は、抗体重鎖および/または軽鎖の可変部分の代わりに使用することができる。
1つまたは複数の抗原結合タンパク質を含有するオリゴマーをPD-1アンタゴニストとして利用することができる。オリゴマーは、共有結合で連結されたまたは非共有結合で連結された二量体、三量体またはより高次のオリゴマーの形態であることもある。2つまたはそれより多くの抗原結合タンパク質を含むオリゴマーは使用が企図され、一例はホモ二量体である。他のオリゴマーとしては、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体などが挙げられる。
一実施形態は、抗原結合タンパク質に融合したペプチド部分間の共有結合または非共有結合による相互作用を介して接合した複数の抗原結合タンパク質を含むオリゴマーを対象とする。このようなペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサー)、またはオリゴマー化を促進する特性を有するペプチドであってもよい。ロイシンジッパーおよび抗体に由来するある特定のポリペプチドは、以下により詳細に記載されるように、それに結合した抗原結合タンパク質のオリゴマー化を促進することができるペプチドに含まれる。
特定の実施形態では、オリゴマーは、2つ~4つの抗原結合タンパク質を含む。オリゴマーの抗原結合タンパク質は、上記の形態のいずれか、例えばバリアントまたは断片などの、いずれの形態であってもよい。好ましくは、オリゴマーは、PD-1結合活性を有する抗原結合タンパク質を含む。
一実施形態では、オリゴマーは、免疫グロブリンに由来するポリペプチドを使用して調製される。抗体由来のポリペプチドの様々な部分(Fcドメインを含む)に融合させたある特定の異種ポリペプチドを含む融合タンパク質の調製は、例えば、Ashkenazi et al., 1991, PNAS USA 88:10535;Byrn et al., 1990, Nature 344:677;およびHollenbaugh et al., 1992 Curr. Prot.s in Immunol., Suppl. 4, pages 10.19.1 - 10.19.11により記載されている。
本開示の一実施形態は、抗PD-1抗体のPD-1結合性断片を抗体のFc領域に融合させることにより作出される、2つの融合タンパク質を含む二量体に関する。この二量体は、例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合体を適切な発現ベクターに挿入し、組換え発現ベクターで形質転換された宿主細胞に遺伝子融合体を発現させ、かつ発現した融合タンパク質を抗体分子のように組み立て、それから、二量体を生じるように鎖間ジスルフィド結合がFc部分間に形成することによって、作製することができる、。
あるいは、オリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサーペプチド)を伴うまたは伴わない、複数抗原結合タンパク質を含む融合タンパク質である。好適なペプチドリンカーには、米国特許第4,751,180号および同第4,935,233号に記載されているものもある。
オリゴマー抗原結合タンパク質を調製するための別の方法は、ロイシンジッパーの使用を含む。ロイシンジッパードメインは、それらが見出されるタンパク質のオリゴマー化を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは、元々はいくつかのDNA結合タンパク質において同定されたものであり(Landschulz et al., 1988, Science 240:1759)、それ以来、様々な異なるタンパク質において見つかっている。公知のロイシンジッパーの中には、二量体化または三量体化する天然に存在するペプチドおよびそれらの誘導体もある。可溶性オリゴマータンパク質の産生に好適なロイシンジッパードメインの例は、PCT出願WO94/10308に記載されており、肺サーファクタントプロテインD(SPD)に由来するロイシンジッパーは、Hoppe et al., 1994, FEBS Letters 344:191に記載されており、これらの参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。改変ロイシンジッパーに融合させた異種タンパク質の安定な三量体化を可能にする、改変ロイシンジッパーの使用は、Fanslow et al., 1994, Semin. Immunol. 6:267-78に記載されている。1つの手法では、ロイシンジッパーペプチドに融合させた抗PD-1抗体断片または誘導体を含む、組換え融合タンパク質が、好適な宿主細胞に発現され、形成する可溶性オリゴマー抗PD-1抗体断片または誘導体が、培養上清から回収される。
一態様では、本開示は、PD-1のPD-L1との結合に干渉する抗原結合タンパク質を提供する。そのような抗原結合タンパク質をPD-1またはその断片、バリアントもしくは誘導体に対して生じさせ、従来のアッセイでPD-1のPD-L1との結合に干渉する能力についてスクリーニングすることができる。好適なアッセイの例は、PD-1を発現する細胞とPD-L1の結合を阻害する能力について抗原結合タンパク質を試験するアッセイ、または細胞表面PD-1とのPD-L1の結合の結果として生じる生物学的または細胞応答を低減させる能力について抗原結合タンパク質を試験するアッセイである。例えば、抗体を、固定化抗体表面(PD-1)と結合するそれらの能力に従って、スクリーニングすることができる。PD-1のPD-L1との結合を遮断する抗原結合タンパク質を、悪液質を含むがこれに限定されない、任意のPD-1関連状態の処置に利用することができる。ある実施形態では、トランスジェニックマウスの免疫を含む手順により生成されたヒト抗PD-1モノクローナル抗体が、そのような状態の処置に利用される。
本開示の抗原結合タンパク質の抗原結合性断片は、従来の技法によって産生することができる。このような断片の例としては、FabおよびF(ab’)断片が挙げられるがこれらに限定されない。遺伝子操作技法によって産生される抗体断片および誘導体も企図される。
追加の実施形態としては、キメラ抗体、例えば、非ヒト(例えば、マウス)モノクローナル抗体のヒト化バージョンが挙げられる。このようなヒト化抗体は、公知の技法によって調製することができ、抗体がヒトに投与された場合に、免疫原性の低下という利点をもたらす。一実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体は、マウス抗体の可変ドメイン(またはその抗原結合部位の全てもしくは一部)およびヒト抗体に由来する定常ドメインを含む。あるいは、ヒト化抗体断片は、マウスモノクローナル抗体の抗原結合部位およびヒト抗体に由来する可変ドメイン断片(抗原結合部位を欠如する)を含んでもよい。キメラおよびさらに操作されたモノクローナル抗体の産生のための手順は、Riechmann et al., 1988, Nature 332:323、Liu et al., 1987, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 84:3439、Larrick et al., 1989, Bio/Technology 7:934、およびWinter et al., 1993, TIPS 14:139に記載されたものを含む。一実施形態では、キメラ抗体は、CDR移植抗体である。抗体をヒト化するための技法は、例えば、米国特許第5,869,619号、同第5,225,539号、同第5,821,337号、同第5,859,205号、同第6,881,557号、Padlan et al., 1995, FASEB J. 9:133-39、およびTamura et al., 2000, J. Immunol. 164:1432-41において議論されている。
非ヒト動物においてヒトまたは部分ヒト抗体を生成するための手順が開発されている。例えば、1つまたは複数の内在性免疫グロブリン遺伝子が様々な手段により不活性化されたマウスが作製されている。不活性化されたマウス遺伝子を置き換えるために、ヒト免疫グロブリン遺伝子がマウスに導入されている。この動物において産生される抗体は、この動物に導入されたヒト遺伝物質によりコードされるヒト免疫グロブリンポリペプチド鎖を含む。一実施形態では、トランスジェニックマウスなどの非ヒト動物がPD-1ポリペプチドで免疫され、その結果、PD-1ポリペプチドに対する抗体が、その動物において生成される。
好適な免疫原の一例は、次の配列:配列番号7001を有するタンパク質の細胞外ドメインを含むかまたはこのタンパク質の他の免疫原性断片を含むポリペプチドなどの、可溶性ヒトPD-1である。ヒトまたは部分ヒト抗体の産生のためのおよび産生のためにトランスジェニック動物を使用するための技術の例は、米国特許第5,814,318号、同第5,569,825号および同第5,545,806号、Davis et al., 2003, Production of human antibodies from transgenic mice in Lo, ed. Antibody Engineering: Methods and Protocols, Humana Press, NJ:191-200、Kellermann et al., 2002, Curr Opin Biotechnol.13:593-97、Russel et al., 2000, Infect Immun.68:1820-26、Gallo et al., 2000, Eur J Immun.30:534-40、Davis et al., 1999, Cancer Metastasis Rev. 18:421-25、Green, 1999, J Immunol Methods.231:11-23、Jakobovits, 1998, Advanced Drug Delivery Reviews 31:33-42、Green et al., 1998, J Exp Med.188:483-95、Jakobovits A, 1998, Exp. Opin. Invest. Drugs. 7:607-14、Tsuda et al., 1997, Genomics.42:413-21、Mendez et al., 1997, Nat Genet.15:146-56、Jakobovits, 1994, Curr Biol.4:761-63、Arbones et al., 1994, Immunity.1:247-60、Green et al., 1994, Nat Genet.7:13-21、Jakobovits et al., 1993, Nature.362:255-58、Jakobovits et al., 1993, Proc Natl Acad Sci U S A. 90:2551-55. Chen, J., M. Trounstine, F. W. Alt, F. Young, C. Kurahara, J. Loring, D. Huszar. Inter'l Immunol. 5 (1993): 647-656、Choi et al., 1993, Nature Genetics 4: 117-23、Fishwild et al., 1996, Nature Biotech. 14: 845-51、Harding et al., 1995, Annals of the New York Academy of Sciences、Lonberg et al., 1994, Nature 368: 856-59、Lonberg, 1994, Transgenic Approaches to Human Monoclonal Antibodies in Handbook of Experimental Pharmacology 113: 49-101、Lonberg et al., 1995, Internal Review of Immunology 13: 65-93、Neuberger, 1996, Nature Biotechnology 14: 826、Taylor et al., 1992, Nucleic Acids Res.20: 6287-95、Taylor et al., 1994, Inter'l Immunol.6: 579-91、Tomizuka et al., 1997, Nature Genetics 16: 133-43、Tomizuka et al., 2000, Pro. Nat'l Acad. Sci. USA 97: 722-27、Tuaillon et al., 1993, Pro. Nat'l Acad. Sci. USA 90: 3720-24、およびTuaillon et al., 1994, J.Immunol.152: 2912-20に記載されている。
本開示の抗原結合タンパク質(例えば、抗体、抗体断片、および抗体誘導体)は、当技術分野で公知のいずれかの定常領域を含んでもよい。軽鎖定常領域は、例えば、カッパまたはラムダ型軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ型軽鎖定常領域であってもよい。重鎖定常領域は、例えば、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、またはミュー型重鎖定常領域、例えば、ヒトアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、またはミュー型重鎖定常領域であってもよい。一実施形態では、軽鎖または重鎖定常領域は、天然に存在する定常領域の断片、誘導体、バリアント、またはムテインである。
目的の抗体からの様々なサブクラスまたはアイソタイプの抗体を誘導するための技法、すなわちサブクラススイッチングが公知である。よって、IgG抗体は、例えば、IgM抗体に由来してもよく、逆もまた同様である。このような技法は、所与の抗体(親抗体)の抗原結合特性を有する新たな抗体の調製を可能にするが、親抗体のものと異なる抗体のアイソタイプまたはサブクラスと関連する生物学的特性も示す。組換えDNA技法が用いられてもよい。特定の抗体ポリペプチドをコードするクローニングされたDNA、例えば、所望のアイソタイプの抗体の定常ドメインをコードするDNAは、このような手順で用いることができる。Lantto et al., 2002, Methods Mol. Biol. 178:303-16も参照されたい。
一実施形態では、本開示の抗原結合タンパク質は、A1~A28のいずれかのIgG1重鎖ドメイン(H1~H28)またはA1~A28のいずれかのIgG1重鎖ドメイン(H1~H28)の断片を含む。別の実施形態では、本開示の抗原結合タンパク質は、A1~A28のカッパ軽鎖定常鎖領域(L1~L28)、またはA1~A28のカッパ軽鎖定常領域(L1~L28)の断片を含む。別の実施形態では、本開示の抗原結合タンパク質は、A1~A28のIgG1重鎖ドメイン(L1~L28)、またはその断片およびA1~A28のカッパ軽鎖ドメイン(L1~L28)、またはその断片を含む。
したがって、本開示の抗原結合タンパク質は、例えば、所望のアイソタイプ(例えば、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgEおよびIgD)ならびにそのFabまたはF(ab’)断片を有する、可変ドメインの組合せL1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、L14H14、L15H15、L16H16、L17H17、L18H18、L19H19、L20H20、L21H21、L22H22、L23H23、L24H24、L25H25、L26H26、L27H27、L28H28を含むものを含む。さらに、IgG4が所望される場合、IgG4抗体の不均一性をもたらし得るH鎖内ジスルフィド結合を形成する傾向を軽減するために、参照により本明細書に組み込まれるBloom et al., 1997, Protein Science 6:407に記載されているように、ヒンジ領域に点変異(CPSCP(配列番号12192)->CPPCP(配列番号12193))を導入することが望ましいこともある。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、1×10-4-1またはそれ未満のKoffを有する。別の実施形態では、Koffは、5×10-5-1またはそれ未満である。別の実施形態では、Koffは、L1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、・・・およびL28H28からなる組合せの群から選択される軽鎖可変ドメイン配列と重鎖可変ドメイン配列の組合せを有する抗体と実質的に同じである。別の実施形態では、抗原結合タンパク質は、L1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、・・・およびL28H28からなる組合せの群から選択される軽鎖可変ドメイン配列と重鎖可変ドメイン配列の組合せを有する抗体からの1つまたは複数のCDRを含む抗体と実質的に同じKoffでPD-1と結合する。別の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上記で説明されたアミノ酸配列のうちの1つを含む抗体と実質的に同じKoffでPD-1と結合する。別の実施形態では、抗原結合タンパク質は、上記で説明されたアミノ酸配列のうちの1つを含む抗体からの1つまたは複数のCDRを含む抗体と実質的に同じKoffでPD-1と結合する。
一態様では、本開示は、本開示の抗PD-1抗体の抗原結合性断片を提供する。そのような断片は、抗体由来の配列の全体からなることもあり、または追加の配列を含むこともある。抗原結合性断片の例としては、Fab、F(ab’)、単鎖抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、およびドメイン抗体が挙げられる。他の例は、Lunde et al., 2002, Biochem. Soc. Trans. 30:500-06において提供されている。
単鎖抗体(scFv)は、重鎖および軽鎖可変ドメイン(Fv領域)断片をアミノ酸架橋(短いペプチドリンカー、例えば、アミノ酸残基の合成配列)によって連結し、単一のポリペプチド鎖をもたらすことによって形成することができる。このような単鎖Fv(scFv)は、2つの可変ドメインポリペプチド(VおよびV)をコードするDNA間に、ペプチドリンカーをコードするDNAを融合させることによって調製されている。得られたポリペプチドは、2つの可変ドメイン間のフレキシブルリンカーの長さに応じて、それら自体において折り返し、抗原結合モノマーを形成することができるか、または多量体(例えば、二量体、三量体、または四量体)を形成することができる(Kortt et al., 1997, Prot. Eng. 10:423;Kortt et al., 2001, Biomol. Eng. 18:95-108、Bird et al., 1988, Science 242:423-26およびHuston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-83)。様々なVおよびVを含むポリペプチドを組み合わせることによって、様々なエピトープと結合する多量体scFvを形成することができる(Kriangkum et al., 2001, Biomol. Eng. 18:31-40)。単鎖抗体の産生のために開発された技法としては、米国特許第4,946,778号、Bird, 1988, Science 242:423;Huston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879;Ward et al., 1989, Nature 334:544;de Graaf et al., 2002, Methods Mol Biol. 178:379-87に記載のものが挙げられる。可変ドメインの組合せL1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、・・・、およびL28H28を含むscFvは、本開示に包含される。
7.7.モノクローナル抗体
別の態様では、本開示は、PD-1と結合するモノクローナル抗体を提供する。本開示のモノクローナル抗体は、様々な公知の技術を使用して生成することができる。一般に、特異的抗原と結合するモノクローナル抗体は、当業者に公知の方法により得ることができる(例えば、Kohler et al., Nature 256:495, 1975;Coligan et al.(eds.), Current Protocols in Immunology, 1:2.5.12.6.7 (John Wiley & Sons 1991);米国特許再発行第32,011号、米国特許第4,902,614号、同第4,543,439号および同第4,411,993号;Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses, Plenum Press, Kennett, McKearn, and Bechtol (eds.) (1980);ならびにAntibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Lane (eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press (1988);Picksley et al., "Production of monoclonal antibodies against proteins expressed in E. coli," in DNA Cloning 2: Expression Systems, 2nd Edition, Glover et al. (eds.), page 93 (Oxford University Press 1995)を参照されたい)。抗体断片を、そのようなモノクローナル抗体から、タンパク分解などの任意の好適な標準的技術を使用して、または必要に応じて、タンパク分解(例えば、パパインもしくはペプシンを使用する)、続いて、ジスルフィド結合の軽度の還元、およびアルキル化により、誘導することができる。あるいは、そのような断片を本明細書に記載の組換え遺伝子操作技法により生成することもできる。
モノクローナル抗体は、当技術分野において公知のおよび本明細書に記載の方法に従って、ヒトPD-1[配列番号7001]またはその断片を含む免疫原を動物、例えば、ラット、ハムスター、ウサギ、または好ましくはマウス、例えば、当技術分野において公知のトランスジェニック体もしくはノックアウト体などに注射することにより、得ることができる。初回注射後および/またはブースター注射後、血清試料を得、ヒトPD-1またはペプチドと結合する抗体の存在を当技術分野において公知のおよび本明細書に記載のいくつかの免疫検出法のいずれか1つを使用して検出することにより、特異的抗体産生の存在をモニターすることができる。所望の抗体を産生する動物から、リンパ系細胞が、最も一般的には、脾臓またはリンパ節からの細胞が、Bリンパ球を得るために取り出される。次いで、不死真核細胞系であるハイブリドーマを生じさせるために、Bリンパ球を、薬物感作骨髄腫細胞融合パートナー、好ましくは、免疫動物と同系であるもの、および他の望ましい特性(例えば、内在性Ig遺伝子産物の発現不能、例えば、P3X63-Ag 8.653(ATCC番号CRL 1580):NSO、SP20)を必要に応じて有するものと、融合させる。
リンパ系(例えば、脾臓)細胞および黒色腫細胞を、数分間、膜融合促進剤、例えば、ポリエチレングリコールまたは非イオン性界面活性剤と組み合わせ、次いで、ハイブリドーマ細胞の成長を支持するが未融合黒色腫細胞を支持しない選択培地に、低密度で蒔くことができる。好ましい選択培地は、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)である。十分な時間の後、通常は約1~2週間後に、細胞のコロニーが観察される。単一コロニーを単離し、当技術分野において公知のおよび本明細書に記載の様々なイムノアッセイのいずれか1つを使用して、細胞により産生された抗体をヒトPD-1に対する結合活性について試験することができる。ハイブリドーマが(例えば、限界希釈クローニングにより、または軟寒天プラーク単離により)クローニングされ、PD-1に特異的な抗体を産生する陽性クローンが選択され、培養される。ハイブリドーマ培養物からのモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養物の上清から単離することができる。
マウスモノクローナル抗体の産生のための代替方法は、ハイブリドーマ細胞を、同一遺伝子のマウス、例えば、モノクローナル抗体を含有する腹水液の形成を促進するように処置された(例えば、プリスタンでプライミングされた)マウスの腹膜腔に注射することである。モノクローナル抗体は、種々の十分に確立された技法によって、単離および精製することができる。このような単離技法としては、プロテインAセファロースによる親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーが挙げられる(例えば、Coligan at pages 2.7.1-2.7.12 and pages 2.9.1-2.9.3;Baines et al., "Purification of Immunoglobulin G(IgG)," in Methods in Molecular Biology, Vol. 10, pages 79-104(The Humana Press, Inc. 1992)を参照されたい)。モノクローナル抗体は、抗体の特定の特性(例えば、重鎖または軽鎖アイソタイプ、結合特異性など)に基づいて選択された適切なリガンドを使用する親和性クロマトグラフィーによって精製することができる。固体支持体上に固定された好適なリガンドの例としては、プロテインA、プロテインG、抗定常領域(軽鎖または重鎖)抗体、抗イディオタイプ抗体、およびTGF-ベータ結合タンパク質、またはその断片もしくはバリアントが挙げられる。
モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の任意の技術を使用して、例えば、免疫スケジュールの完了後にトランスジェニック動物から採取した脾臓細胞を不死化することにより、産生することができる。脾臓細胞は、当技術分野において公知の任意の技術を使用して、例えば、それらを骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを生じさせることにより、不死化することができる。PD-1ポリペプチドに結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞系が同定される。そのようなハイブリドーマ細胞系、およびそれらにより産生される抗PD-1モノクローナル抗体は、本開示に包含される。ハイブリドーマ産生融合手順に使用するための骨髄腫細胞は、好ましくは、非抗体産生性であり、高い融合効率、および酵素欠損を有し、この欠損のため、これらの細胞は、所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの成長を支持するある特定の選択培地では成長することができない。マウス融合における使用に好適な細胞系の例としては、Sp-20、P3-X63/Ag8、P3-X63-Ag8.653、NS1/1.Ag 4 1、Sp210-Ag14、FO、NSO/U、MPC-11、MPC11-X45-GTG 1.7およびS194/5XX0 Bulが挙げられ、ラット融合に使用される細胞系の例としては、R210.RCY3、Y3-Ag 1.2.3、IR983Fおよび4B210が挙げられる。細胞融合に有用な他の細胞系は、U-266、GM1500-GRG2、LICR-LON-HMy2およびUC729-6である。ハイブリドーマまたはmAbをさらにスクリーニングして、PD-1誘導活性を遮断する能力などの特定の特性を有するmAbを同定することができる。
本開示の抗体は、完全ヒトモノクローナル抗体でもあり得る。PD-1と特異的に結合する単離された完全ヒト抗体であって、抗原結合タンパク質がヒト抗PD-1抗体の少なくとも1つのin vivo生物活性を有する完全ヒト抗体が、提供される。
7.8.抗体を生成する方法
完全ヒトモノクローナル抗体は、当業者が精通している任意の数の技法により生成することができる。そのような方法には、ヒト末梢血細胞(例えば、Bリンパ球を含有する)のエプスタイン・バーウイルス(EBV)形質転換、ヒトB細胞のin vitro免疫、挿入されたヒト免疫グロブリン遺伝子を保有する免疫トランスジェニックマウスからの脾臓細胞の融合、ヒト免疫グロブリンV領域ファージライブラリーからの単離、または当技術分野において公知のおよび本明細書での開示に基づく他の手順が含まれるが、これらに限定されない。例えば、完全ヒトモノクローナル抗体は、抗原チャレンジに応答して特異的ヒト抗体を産生するように操作されたトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスから完全ヒト抗体を得るための方法は、例えば、Green et al., Nature Genet.7:13, 1994;Lonberg et al., Nature 368:856, 1994;Taylor et al., Int. Immun.6:579, 1994;米国特許第5,877,397号;Bruggemann et al., 1997 Curr.Opin.Biotechnol.8:455-58;Jakobovits et al., 1995 Ann. N. Y. Acad. Sci.764:525-35により記載されている。この技法では、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座のエレメントが、内在性重鎖および軽鎖遺伝子座の標的破壊を含有する胚性幹細胞系に由来するマウスの株に導入される(Bruggemann et al., Curr.Opin.Biotechnol.8:455-58 (1997)も参照されたい)。例えば、ヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、ミニ遺伝子構築物であってもよく、またはマウスリンパ系組織においてB細胞特異的DNA再構成および高頻度変異を起こす、酵母人工染色体上の導入遺伝子座であってもよい。完全ヒトモノクローナル抗体は、トランスジェニックマウスの免疫により得ることができ、これらのマウスが次いでPD-1に対して特異的なヒト抗体を産生することができる。本明細書に記載の方法に従って、免疫トランスジェニックマウスのリンパ系細胞を使用してヒト抗体分泌ハイブリドーマを生じさせることができる。完全ヒト抗体を含有するポリクローナル血清も、免疫動物の血液から得ることができる。
本開示のヒト抗体を生成するための別の方法は、EBV形質転換によるヒト末梢血細胞の不死化を含む。例えば、米国特許第4,464,456号を参照されたい。PD-1と特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するそのような不死化B細胞系(またはリンパ芽球様細胞系)を、本明細書で提供されるような免疫検出方法、例えばELISAにより同定し、次いで標準的なクローニング技術により単離することができる。抗PD-1抗体を産生するリンパ芽球様細胞系の安定性は、当技術分野において公知の方法(例えば、Glasky et al., Hybridoma 8:377-89 (1989)を参照されたい)に従って形質転換細胞系をマウス黒色腫と融合させてマウス-ヒトハイブリッド細胞系を生じさせることにより、向上させることができる。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのさらに別の方法は、ヒト脾臓B細胞をヒトPD-1で初回刺激し、その後、初回刺激されたB細胞をヘテロハイブリッド融合パートナーと融合させることを含む、in vitro免疫である。例えば、Boerner et al., 1991 J. Immunol.147:86-95を参照されたい。
ある特定の実施形態では、当技術分野において公知の(WO92/02551;米国特許第5,627,052号;Babcook et al., Proc. Natl.Acad.Sci.USA 93:7843-48 (1996))および本明細書に記載の分子生物学技術に従って、抗ヒトPD-1抗体を産生するB細胞が選択され、軽鎖および重鎖可変領域がB細胞からクローニングされる。免疫動物からのB細胞は、PD-1と特異的に結合する抗体を産生する細胞を選択することにより脾臓、リンパ節または末梢血試料から単離することができる。B細胞をヒトから、例えば、末梢血試料から単離することもできる。
所望の特異性を有する抗体を産生する単一のB細胞を検出するための方法は、当技術分野において周知であり、例えば、プラーク形成、蛍光活性化細胞選別、in vitro刺激に続いての特異的抗体の検出などによる。特異的抗体産生B細胞の選択方法は、例えば、ヒトPD-1を含有する軟寒天中でB細胞の単一細胞懸濁液を調製することを含む。B細胞により産生される特異的抗体が抗原と結合すると複合体が形成され、この複合体は、免疫沈降物として目視可能であり得る。
一部の実施形態では、特異的抗体を産生するB細胞は、自然に対合した抗体の同定を可能にする方法を使用することによって選択される。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Adler et al., A natively paired antibody library yields drug leads with higher sensitivity and specificity than a randomly paired antibody library, MAbs(2018)に記載された方法を用いることができる。本方法は、Adler et al.から採用された、図1にまとめられたマイクロ流体技術、分子ゲノミクス、酵母単鎖可変断片(scFv)ディスプレイ、蛍光標識細胞分取(FACS)およびディープシークエンシングを組み合わせる。要するに、B細胞は、免疫した動物から単離され、次いでプールされ得る。B細胞は、オリゴdTビーズおよび溶解溶液を用いて液滴に被包され、mRNAが結合したビーズが液滴から精製され、次いで、重鎖および軽鎖Igが自然に対合したscFvをコードするDNAアンプリコンを生成するOE-RT-PCR増幅ミックスを含む第2のエマルション中に注入される。次いで、自然に対合したアンプリコンのライブラリーを、scFvディスプレイのために酵母中に電気穿孔させる。FACSを使用して、高親和性scFvを同定する。最後に、抗体のディープシークエンシングを使用して、選別前後のscFvライブラリーにおける全てのクローンを同定することができる。
所望の抗体を産生するB細胞を選択した後で、当技術分野で公知であり、本明細書に記載の方法に従って、DNAまたはmRNAを単離および増幅することによって、特異的抗体遺伝子がクローニングされてもよい。
本開示の抗体を得るための方法は、当技術分野において公知の様々なファージディスプレイ技術も採用することができる。例えば、Winter et al., 1994 Annu. Rev. Immunol. 12:433-55;Burton et al., 1994 Adv.Immunol.57:191-280を参照されたい。ヒトまたはマウス免疫グロブリン可変領域遺伝子コンビナトリアルライブラリーをファージベクター内に生成してもよく、これらをスクリーニングして、PD-1結合タンパク質またはそのバリアントもしくは断片と特異的に結合するIg断片(Fab、Fv、sFv、またはこれらの多量体)を選択することができる。例えば、米国特許第5,223,409号;Huse et al., 1989 Science 246:1275-81;Sastry et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5728-32 (1989);Alting-Mees et al., Strategies in Molecular Biology 3:1-9 (1990);Kang et al., 1991 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:4363-66;Hoogenboom et al., 1992 J. Molec.Biol.227:381-388;Schlebusch et al., 1997 Hybridoma 16:47-52およびこれらに引用されている参考文献を参照されたい。例えば、Ig可変領域断片をコードする複数のポリヌクレオチド配列を含有するライブラリーを、ファージコートタンパク質をコードする配列とインフレームで、糸状バクテリオファージ、例えばM13またはそのバリアント、のゲノムに挿入することができる。融合タンパク質は、コートタンパク質と軽鎖可変領域ドメインとのおよび/または重鎖可変領域ドメインとの融合体であり得る。ある特定の実施形態によれば、免疫グロブリンFab断片をファージ粒子上に提示させることもできる(例えば、米国特許第5,698,426号を参照されたい)。
微量コートタンパク質などの、別のタンパク質に融合させた抗体断片を使用して、ファージが抗原を多く含むようにすることもできる。その場合、抗原(例えば、PD-1)に対するマウス免疫からの再構成重(V)および軽(V)鎖のランダムコンビナトリアルライブラリーを使用して、抗体断片の多様なライブラリーがファージの表面に提示される。これらのライブラリーを相補的可変ドメインについてスクリーニングし、例えば親和性カラムにより、ドメインを精製することができる。Clackson et al., Nature, V. 352 pp. 624-628 (1991)を参照されたい。
重鎖および軽鎖免疫グロブリンcDNA発現ライブラリーは、例えば、λlmmunoZap(商標)(H)およびλImmunoZap(商標)(L)ベクター(Stratagene、La Jolla、California)を使用して、ラムダファージにおいて調製されてもよい。簡潔には、mRNAは、B細胞集団から単離され、λImmunoZap(H)およびλImmunoZap(L)ベクターにおける重鎖および軽鎖免疫グロブリンcDNA発現ライブラリーを作出するために使用される。これらのベクターは、個々にスクリーニングされても、またはFab断片もしくは抗体を形成するために共発現されてもよい(Huse et al.、上掲を参照されたい;Sastry et al.、上掲も参照されたい)。次に、陽性プラークは、非溶解性プラスミドに変換されて、E.coliからのモノクローナル抗体断片の高レベルでの発現を可能にする。
一実施形態では、ハイブリドーマにおいて、目的のモノクローナル抗体を発現する遺伝子の可変領域は、ヌクレオチドプライマーを使用して増幅される。これらのプライマーは、当業者によって合成されてもよく、または市販の供給源から購入されてもよい。(例えば、とりわけ、VHa、VHb、VHc、VHd、CH1、VおよびC領域に対するプライマーを含むマウスおよびヒトの可変領域に対するプライマーを販売するStratagene(La Jolla、California)を参照されたい)。これらのプライマーを使用して、重鎖または軽鎖可変領域を増幅させ、次いで、それぞれ、ImmunoZAP(商標)HまたはImmunoZAP(商標)L(Stratagene)などのベクター中に挿入されてもよい。次いで、これらのベクターは、発現のために、E.coli、酵母、または哺乳動物ベースの系に、導入されてもよい。VおよびVドメインの融合体を含有する多量の単鎖タンパク質は、これらの方法(Bird et al., Science 242:423-426, 1988を参照されたい)を使用して産生されてもよい。
本開示による抗体を産生する細胞が、上記の免疫および他の技術のいずれかを使用して得られたら、本明細書に記載の標準手順に従ってそれらからDNAまたはmRNAを単離し、増幅することにより、特異的抗体遺伝子をクローニングすることができる。それらから産生された抗体をシークエンシングし、CDRを同定することができ、CDRをコードするDNAを前に説明したように操作して本開示による他の抗体を生成することができる。
本開示のPD-1結合剤は、好ましくは、本明細書に記載の細胞に基づくアッセイおよび/もしくは本明細書に記載のin vivoアッセイにおいてPD-1機能をモジュレートし、ならびに/または本明細書に記載のドメインのうちの1つもしくは複数と結合し、ならびに/または本出願に記載の抗体のうちの1つの結合を交差遮断し、ならびに/または本出願に記載の抗体のうちの1つによってPD-1への結合が交差遮断される。したがって、このような結合剤を、本明細書に記載のアッセイを使用して同定することができる。
ある特定の実施形態では、抗体は、本明細書で提供されるドメインのうちの1つもしくは複数と結合する、ならびに/または本明細書に記載の細胞に基づくアッセイおよび/もしくはin vivoアッセイで中和する、ならびに/または本出願に記載の抗体を交差遮断する、ならびに/または本出願に記載の抗体のうちの1つによるPD-1への結合が交差遮断される抗体を、先ず同定することにより生成される。次いで、これらの抗体からのCDR領域が、適切な生体適合性フレームワークへの挿入に使用されて、PD-1結合剤が生成される。結合剤の非CDR部分は、アミノ酸で構成されていてもよく、または非タンパク質分子で構成されていてもよい。本明細書に記載のアッセイは、結合剤の特徴付けを可能にする。好ましくは、本開示の結合剤は、本明細書で定義される通りの抗体である。
本開示による他の抗体は、本明細書に記載のおよび当技術分野において公知の従来の免疫および細胞融合手順により得ることができる。
抗体結合部位の中央の相補性決定領域(CDR)の分子進化も、親和性が増加した抗体、例えば、Schier et al., 1996, J. Mol. Biol. 263:551により記載されているような、c-erbB-2に対する親和性が増加した抗体を単離するために、使用されている。したがって、このような技術は、PD-1に対する抗体の調製に有用である。PD-1に対する抗原結合タンパク質を、例えば、in vitroまたはin vivoどちらかの、PD-1ポリペプチドの存在を検出するためのアッセイにおいて、使用することができる。抗原結合タンパク質を、免疫親和性クロマトグラフィーによるPD-1タンパク質の精製に利用することもできる。
ヒト、部分ヒト、またはヒト化抗体は、多くの応用、特に、ヒト対象への抗体の投与を含む多くの応用に好適であるが、ある特定の応用には他のタイプの抗原結合タンパク質が好適である。非ヒト抗体は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ロバ、または非ヒト霊長類(例えば、サル(例えば、カニクイザルまたはアカゲザル)または類人猿(例えば、チンパンジー))などの、いずれの抗体産生動物に由来してもよい。特定の種からの抗体は、例えば、その種の動物を、所望の免疫原(例えばPD-1ポリペプチド)で免疫すること、もしくはその種の抗体を生成するための人工系(例えば、特定の種の抗体を生成するための細菌もしくはファージディスプレイに基づく系)を使用して免疫することにより作製することができるか、またはある種からの抗体を、別の種からの抗体に、例えば、抗体の定常領域を他の種からの定常領域で置き換えることによって、もしくは抗体の1つもしくは複数のアミノ酸残基を、それが他の種からの抗体の配列にさらに酷似するように置き換えることによって、変換することにより作製することができる。一実施形態では、抗体は、2つまたはそれより多くの異なる種からの抗体に由来するアミノ酸配列を含むキメラ抗体である。
いくつかの従来の技術のいずれによって、抗原結合タンパク質を調製し、所望の特性についてスクリーニングしてもよい。これらの技術のいくつかは、目的の抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)のポリペプチド鎖(またはその一部分)をコードする核酸を単離すること、およびその核酸を組換えDNA技術により操作することを含む。核酸を目的の別の核酸に融合させることができるか、または例えば、1つまたは複数のアミノ酸残基が付加、欠失もしくは置換されるように(例えば、変異誘発または他の従来の技術により)変更することができる。さらに、当技術分野において公知の任意の技術を使用して、抗原結合タンパク質を、それらを天然に発現する細胞から精製することができ(例えば、抗体を、それを産生するハイブリドーマから精製することができ)、または組換え発現系において産生させることができる。例えば、Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses, Kennet et al. (eds.), Plenum Press, New York (1980);およびAntibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Land (eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, (1988)を参照されたい。
当技術分野で公知のいずれかの発現系を使用して、本開示の組換えポリペプチドを作製することができる。発現系は、上記で包括的に詳述されている。一般に、宿主細胞は、所望のポリペプチドをコードするDNAを含む組換え発現ベクターで形質転換される。用いられてもよい宿主細胞の中には、原核生物、酵母またはより高等な真核生物の細胞がある。原核生物としては、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、E.coliまたはBacilliが挙げられる。より高等な真核細胞としては、昆虫細胞および哺乳類起源の確立された細胞系が挙げられる。好適な哺乳類宿主細胞系の例としては、サル腎臓細胞(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al., 1981, Cell 23:175)のCOS-7系、L細胞、293細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞系、およびMcMahan et al., 1991, EMBO J. 10: 2821に記載されるアフリカミドリザルの腎臓細胞系CVI(ATCC CCL 70)由来のCVI/EBNA細胞系が挙げられる。細菌、真菌、酵母、および哺乳類細胞宿主に関して使用するための適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、Pouwels et al.(Cloning Vectors: A Laboratory Manual, Elsevier, New York, 1985)に記載されている。
本開示の抗体に、この抗体が結合特異性を保持するのであれば、少なくとも1つのアミノ酸置換があってもよいことは理解される。したがって、抗体構造に対する改変は、本開示の範囲内に包含される。これらの改変は、抗体のPD-1結合能力を壊さない、保存的でもよくまたは非保存的でもよいアミノ酸置換を含み得る。保存的アミノ酸置換は、生物システムにおける合成によるのではなく化学的ペプチド合成により概して組み込まれる、天然に存在しないアミノ酸残基を包含し得る。これらは、アミノ酸部分のペプチド模倣物および他の反転または逆方向形態を含む。保存的アミノ酸置換は、その位置のアミノ酸残基の極性または電荷に影響をほとんどまたは全く与えないような、規範的残基での天然アミノ酸残基の置換も含み得る。
非保存的置換は、1つのクラスのアミノ酸またはアミノ酸模倣体のメンバーの、異なる物理特性(例えば、サイズ、極性、疎水性、荷電)を有する別のクラスに由来するメンバーへの交換にも関与してもよい。このような置換された残基は、非ヒト抗体と相同であるヒト抗体の領域、または分子の非相同領域へと導入されてもよい。
さらに、当業者は、各所望のアミノ酸残基において、単一のアミノ酸置換を含有する試験バリアントを生成することができる。次いで、当業者に公知の活性アッセイを使用して、バリアントをスクリーニングすることができる。このようなバリアントを使用して、好適なバリアントの情報を収集することができる。例えば、特定のアミノ酸残基への変化が、破壊されたか、不必要に低下したか、または好適ではない活性をもたらすことが発見された場合、このような変化を有するバリアントは避けられてもよい。言い換えれば、このような日常的実験から収集された情報に基づき、当業者は、さらなる置換が、単独でまたは他の変異と組み合わせて回避されるべきアミノ酸を容易に決定することができる。
当業者は、周知の技法を使用して、本明細書に示されるポリペプチドの好適なバリアントを決定することができる。ある特定の実施形態では、当業者は、活性に対して重要であると考えられていない領域を標的とすることによって、活性を破壊することなく変化させることができる分子の好適なエリアを同定することができる。ある特定の実施形態では、類似するポリペプチド間で保存される分子の残基および部分を同定することができる。ある特定の実施形態では、生物活性または構造にとって重要であり得るエリアさえも、生物活性を破壊することなく、またはポリペプチド構造に有害な影響を及ぼすことなく、保存的アミノ酸置換に供されてもよい。
さらに、当業者は、活性または構造にとって重要である、類似するポリペプチドにおける残基を同定するための構造-機能研究を精査することができる。このような比較に鑑みて、類似するタンパク質の活性または構造にとって重要であるアミノ酸残基に対応するタンパク質のアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、このような予測される重要なアミノ酸残基に対して化学的に類似するアミノ酸置換を選択してもよい。
当業者は、類似するポリペプチドの三次元構造に関連するその構造およびアミノ酸配列を解析することもできる。このような情報に鑑みて、当業者は、その三次元構造に関して、抗体のアミノ酸残基のアラインメントを予測することができる。ある特定の実施形態では、タンパク質の表面上に存在すると予測されるアミノ酸残基は他の分子との重要な相互作用に関与し得るので、当業者は、このような残基に対して急激な変化が起こらないように選択することができる。
いくつかの科学論文が、二次構造の予測に貢献している。Moult J., Curr. Op. in Biotech., 7(4):422-427(1996)、Chou et al., Biochem., 13(2):222-245(1974);Chou et al., Biochem., 113(2):211-222(1974);Chou et al., Adv. Enzymol. Relat. Areas Mol. Biol., 47:45-148(1978);Chou et al., Ann. Rev. Biochem., 47:251-276およびChou et al., Biophys. J., 26:367-384(1979)を参照されたい。さらに、二次構造の予測を助長するために、コンピュータープログラムが現在利用可能である。二次構造を予測する1つの方法は、相同性モデリングに基づく。例えば、30%を超える配列同一性、または40%を超える類似性を有する2つのポリペプチドまたはタンパク質は、類似する構造トポロジーを有することが多い。ポリペプチドまたはタンパク質の構造内での潜在的な数の折り畳みを含む、タンパク質構造データベース(PDB)の最近の発展は、二次構造の増強された予測性をもたらしている。Holm et al., Nucl. Acid. Res., 27(1):244-247(1999)を参照されたい。所与のポリペプチドまたはタンパク質には制限された数の折り畳みが存在し、臨界数の構造が一旦解明されると、構造の予測は、劇的により正確になることが示唆されている(Brenner et al., Curr. Op. Struct. Biol., 7(3):369-376(1997))。
二次構造を予測する追加の方法としては、「スレッディング(threading)」(Jones, D., Curr. Opin. Struct. Biol., 7(3):377-87(1997);Sippl et al., Structure, 4(1):15-19(1996))、「プロファイル解析」(Bowie et al., Science, 253:164-170(1991);Gribskov et al., Meth. Enzym., 183:146-159(1990);Gribskov et al., Proc. Nat. Acad. Sci., 84(13):4355-4358(1987))、および「進化的連結」(Holm、上掲(1999)、およびBrenner、上掲(1997)を参照)が挙げられる。
ある特定の実施形態では、抗体のバリアントは、グリコシル化部位の数および/または種類が、親ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して、変更されているグリコシル化バリアントを含む。ある特定の実施形態では、バリアントは、天然のタンパク質よりも多いかまたは少ない数のN連結グリコシル化部位を含む。N連結グリコシル化部位は、配列:Asn-X-SerまたはAsn-X-Thrによって特徴付けられ、ここで、Xとして示されたアミノ酸残基は、プロリン以外の任意のアミノ酸残基であってもよい。この配列を作出するアミノ酸残基の置換によって、N連結炭水化物鎖の付加のための新たな可能な部位がもたらされる。あるいは、この配列を取り除く置換は、既存のN連結炭水化物鎖を除去する。1つまたは複数のN連結グリコシル化部位(典型的には、天然に存在するもの)が除外され、1つまたは複数の新たなN連結部位が作出されるN連結炭水化物鎖の再配列ももたらされる。追加の好ましい抗体バリアントは、1つまたは複数のシステイン残基が、親アミノ酸配列と比較して、欠失しているかまたは別のアミノ酸(例えば、セリン)に置換されているシステインバリアントを含む。システインバリアントは、例えば不溶性封入体の単離後に、抗体が生物学的に活性な立体構造へと再度折り畳まれなければならない場合に有用となり得る。システインバリアントは、一般に、天然のタンパク質よりも少ないシステイン残基を有し、典型的には、対合していないシステインから生じる相互作用を最小化するために偶数を有する。
所望のアミノ酸置換は(保存的であろうと、非保存的であろうと)、当業者によりそのような置換が所望される時点で決定され得る。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換は、PD-1に対する抗体の重要な残基を同定するために使用されることもあり、または本明細書に記載のPD-1に対する抗体の親和性を増加もしくは減少させるために使用されることもある。
ある特定の実施形態によれば、好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させる、(2)酸化に対する感受性を低下させる、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変更する、(4)結合親和性を変更する、および/または(4)このようなポリペプチドに関する他の生理化学または機能特性を付与もしくは改変するものである。ある特定の実施形態によれば、単一または複数のアミノ酸置換(ある特定の実施形態では、保存的アミノ酸置換)は、天然に存在する配列においてなされてもよい(ある特定の実施形態では、分子間接触を形成するドメイン(複数可)の外側のポリペプチドの部分)。ある特定の実施形態では、保存的アミノ酸置換は、典型的には、親配列の構造的特徴を実質的に変化させなくてもよい(例えば、アミノ酸の置き換えは、親配列に存在するヘリックスを切断するか、または親配列を特徴付ける他のタイプの二次構造を破壊する傾向にあるべきではない)。当技術分野で認識されるポリペプチドの二次および三次構造の例は、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Proteins, Structures and Molecular Principles(Creighton, Ed., W. H. Freeman and Company, New York(1984));Introduction to Protein Structure(C. Branden and J. Tooze, eds., Garland Publishing, New York, N.Y.(1991));およびThornton et al. Nature 354:105(1991)に記載されている。
ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、ポリマー、脂質、または他の部分と化学的に結合していてもよい。
結合剤は、生体適合性フレームワーク構造中に組み込まれる、本明細書に記載のCDRの少なくとも1つを含んでもよい。一例では、生体適合性フレームワーク構造は、局在化した表面領域において、抗原(例えば、CDR、可変領域など)と結合するアミノ酸のうちの1つまたは複数の配列をディスプレイすることができる、立体構造として安定な構造支持体、またはフレームワーク、または足場を形成するのに十分であるポリペプチドまたはその部分を含む。このような構造は、天然に存在するポリペプチドもしくはポリペプチド「折り畳み」(構造モチーフ)であってもよく、または天然に存在するポリペプチドもしくは折り畳みに対して、アミノ酸の付加、欠失もしくは置換などの1つもしくは複数の改変を有してもよい。これらの足場は、ヒト、他の哺乳動物、他の脊椎動物、無脊椎動物、植物、細菌またはウイルスなどのいずれかの種の(または2種以上の種の)ポリペプチドに由来し得る。
典型的には、生体適合性フレームワーク構造は、免疫グロブリンドメイン以外のタンパク質足場または骨格に基づく。例えば、フィブロネクチン、アンキリン、リポカリン、ネオカルジノスタチン(neocarzinostain)、チトクロムb、CP1ジンクフィンガー、PST1、コイルドコイル、LACI-D1、Zドメインおよびテンダミスタットドメインに基づくものを使用することができる(例えば、Nygren and Uhlen, 1997, Curr. Opin. In Struct. Biol., 7, 463-469を参照されたい)。
本明細書に記載されるものなどのヒト化抗体は、当業者に公知の技術を使用して産生することができる(Zhang, W., et al., Molecular Immunology.42(12):1445-1451, 2005;Hwang W. et al., Methods. 36(1):35-42, 2005;Dall'Acqua WF, et al., Methods 36(1):43-60, 2005;およびClark, M., Immunology Today. 21(8):397-402, 2000)。
加えて、好適な結合剤が、これらの抗体の部分、例えば、本明細書で具体的に開示されるような、配列番号1001~1011を有するCDR1-L1~11;配列番号2001~2011を有するCDR2-L1~11;配列番号3001~3011を有するCDR3-L1~11;配列番号4001~4011を有するCDR1-H1~11;配列番号5001~5011を有するCDR2-H1~11;および配列番号6001~6011を有するCDR3-H1~11、のうちの1つまたは複数を含むことは、当業者であれば分かる。抗体が非置換CDRの結合特異性を保持するのであれば、CDR領域のうちの領域の少なくとも1つに、ここで提供される配列から少なくとも1つのアミノ酸置換があってもよい。結合剤が、本明細書で開示される抗体のPD-1との結合を交差遮断する、および/またはPD-1を中和する、抗体の非CDR部分は、非タンパク質分子であり得る。抗体が、競合結合アッセイにおいて抗体A1~A28のうちの少なくとも1つにより示される結合パターンと同様のヒトPD-1ペプチドとの結合パターンを示す、および/またはPD-1を中和する、抗体の非CDR部分は、非タンパク質分子であり得る。抗体が、組換え結合タンパク質または合成ペプチドであり、組換え結合タンパク質が、本明細書で開示される抗体のPD-1との結合を交差遮断する、および/またはPD-1を中和する、抗体の非CDR部分は、アミノ酸で構成され得る。抗体が、組換え抗体であり、組換え抗体が、ヒトPD-1ペプチドエピトープ競合結合アッセイ(下文で説明される)において抗体A1~A28のうちの少なくとも1つにより示される結合パターンと同様のヒトPD-1ペプチドとの結合パターンを示す、および/またはPD-1を中和する、抗体の非CDR部分は、アミノ酸で構成され得る。
抗体は、上記のCDR1ーH、CDR2-H、CDR3-H、CDR1-L、CDR2-LおよびCDR3-Lのうちの1つまたは複数を含み、抗体は、これらの配列をコードするDNAを含有する宿主細胞からの発現によって得られてもよい。各CDR配列をコードするDNAは、CDRのアミノ酸配列に基づいて決定され、オリゴヌクレオチド合成技法、部位特異的変異誘発およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法を適宜使用して、任意の所望の抗体可変領域フレームワークおよび定常領域DNA配列と一緒に合成されてもよい。可変領域フレームワークおよび定常領域をコードするDNAは、GenBank(登録商標)などの遺伝子配列データベースから、当業者に広く利用可能である。
一旦合成されると、本開示の抗体をコードするDNAまたはその断片は、核酸の切除、ライゲーション、形質転換、およびいくつもの公知の発現ベクターを使用するトランスフェクションのための種々の周知の手順のいずれかに従って、増幅および発現され得る。よって、ある特定の実施形態では、抗体断片の発現は、原核生物宿主、例えばEscherichia coliにおいて好ましい場合がある(例えば、Plueckthun et al., 1989 Methods Enzymol. 178:497-515を参照されたい)。ある特定の他の実施形態では、抗体またはその断片の発現は、酵母(例えば、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、およびPichia pastoris)を含む真核生物宿主細胞、動物細胞(哺乳類細胞を含む)または植物細胞において好ましい場合がある。好適な動物細胞の例としては、以下に限定されないが、骨髄腫細胞(マウスNSO系など)、COS細胞、CHO細胞、またはハイブリドーマ細胞が挙げられる。植物細胞の例としては、タバコ、トウモロコシ、ダイズ、およびコメの細胞が挙げられる。
抗体の可変および/または定常領域をコードするDNAを含有する1つまたは複数の複製可能な発現ベクターが調製され、適切な細胞系、例えば、非産生骨髄腫細胞系、例えば、抗体の産生が生じるマウスNSO系または細菌、例えばE.coliを形質転換するために使用され得る。効率的な転写および翻訳を得るために、各ベクターにおけるDNA配列は、適切な調節配列、特にプロモーターおよび可変ドメイン配列に作動可能に連結されるリーダー配列を含むべきである。このように抗体を産生するための特定の方法は、一般的に周知であり、日常的に使用される。例えば、基礎分子生物学の手順は、Maniatis et al.(Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1989;Maniatis et al, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, New York,(2001)も参照されたい)に記載されている。DNA配列決定は、Sanger et al.(PNAS 74:5463,(1977))およびAmersham International plc sequencing handbookに記載されているように実施することができ、部位特異的変異誘発は、当技術分野で公知の方法に従って行うことができる(Kramer et al., Nucleic Acids Res. 12:9441,(1984);Kunkel Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488-92(1985);Kunkel et al., Methods in Enzymol. 154:367-82(1987);the Anglian Biotechnology Ltd. handbook)。さらに、多数の刊行物には、DNAの操作、発現ベクターの作出、ならびに適切な細胞の形質転換および培養による抗体の調製に好適な技法が記載される(Mountain A and Adair, J R in Biotechnology and Genetic Engineering Reviews(ed. Tombs, M P, 10, Chapter 1, 1992, Intercept, Andover, UK);"Current Protocols in Molecular Biology", 1999, F.M. Ausubel(ed.), Wiley Interscience, New York)。
本開示による抗体の親和性を改善することが望ましい場合、上述のCDRのうちの1つまたは複数を含有することは、CDRを維持すること(Yang et al., J. Mol. Biol., 254, 392-403, 1995)、チェーンシャッフリング(Marks et al., Bio/Technology, 10, 779-783, 1992)、E. coli.の変異株の使用(Low et al., J. Mol. Biol., 250, 350-368, 1996)、DNAシャッフリング(Patten et al., Curr. Opin. Biotechnol., 8, 724-733, 1997)、ファージディスプレイ(Thompson et al., J. Mol. Biol., 256, 7-88, 1996)およびセクシャルPCR(Crameri, et al., Nature, 391, 288-291, 1998)を含むいくつかの親和性成熟プロトコールによって得ることができる。親和性成熟のこれらの方法の全ては、Vaughan et al.(Nature Biotech., 16, 535-539, 1998)によって議論されている。
抗体などの一部のタンパク質は、種々の翻訳後修飾を受ける場合があることは当業者によって理解される。これらの修飾の種類および程度は、タンパク質を発現するために使用される宿主細胞系および培養条件に応じて変わることが多い。このような修飾は、グリコシル化、メチオニン酸化、ジケトピペリジン形成、アスパラギン酸異性化およびアスパラギンの脱アミド化の変化を含み得る。頻度の高い修飾は、カルボキシペプチダーゼの作用によるカルボキシ末端の塩基性残基(例えば、リシンまたはアルギニン)の損失である(Harris, R.J. Journal of Chromatography 705:129-134, 1995に記載されているように)。
7.9.配列
抗体A1~A28は、重鎖および軽鎖V(J)Dポリヌクレオチド(本明細書ではそれぞれL1~L28およびH1~H28とも呼ばれる)を含む。抗体A1~A28は、表5に収載される配列を含む。例えば、抗体A1は、軽鎖L1(配列番号1)および重鎖H1(配列番号101)を含む。軽鎖(L1~L28)および重鎖(H1~H28)中のCDR配列も、特異的配列番号とともに提供される。例えば、L1の3つのCDR配列(CDR1、CDR2およびCDR3)は、それぞれ、CDR1-L1(配列番号1001)、CDR2-L1(配列番号2001)およびCDR3-L1(配列番号3001)であり、H1の3つのCDR配列(CDR1、CDR2およびCDR3)は、CDR1-H1(配列番号4001)、CDR2-H1(配列番号5001)およびCDR3-H1(配列番号6001)である。
Figure 2022516073000006
Figure 2022516073000007
Figure 2022516073000008
7.10.医薬組成物
本開示のタンパク質およびポリペプチドを含有する医薬組成物も提供される。このような組成物は、薬学的に許容される材料、および生理学的に許容される製剤材料を含む混合物中に、治療または予防有効量のポリペプチドまたはタンパク質を含む。
医薬組成物は、例えば、組成物のpH、容量オスモル濃度、粘度、透明度、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解もしくは放出速度、吸着または浸透を修正、維持または保存するための製剤材料を含有してもよい。
好適な製剤材料としては、以下に限定されないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなど);抗菌剤;酸化防止剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムなど);バッファー(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris-HCl、クエン酸塩、リン酸塩、他の有機酸など);増量剤(マンニトールまたはグリシンなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ-シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンなど);充填剤;単糖類;二糖類および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど);着色剤;着香剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);防腐剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);懸濁化剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック(登録商標)、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパール(tyloxapal)など);安定性強化剤(スクロースまたはソルビトール);等張性強化剤(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または薬学的アジュバントが挙げられる。中性の緩衝食塩水または同種の血清アルブミンと混合した食塩水は、適切な希釈剤の例である。適切な工業標準に従って、ベンジルアルコールなどの防腐剤も添加してもよい。組成物は、希釈剤として適切な賦形剤溶液(例えば、スクロース)を使用して、凍結乾燥物として製剤化されてもよい。好適な構成成分は、用いられる投与量および濃度で、レシピエントに対して非毒性である。医薬製剤において用いることができる構成成分のさらなる例は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th Ed.(1980)and 20th Ed.(2000), Mack Publishing Company, Easton, PAに示されている。
必要に応じて、組成物は、1つまたは複数の生理活性薬剤、例えば、抗血管新生物質、化学療法物質(例えば、カペシタビン、5-フルオロウラシル、またはドキソルビシン)、鎮痛物質などをさらに含み、これらの非限定的な例は、本明細書で提供される。様々な特定の実施形態では、組成物は、PD-1結合タンパク質に加えて、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの生理活性薬剤を含む。
本開示の別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、中性または塩の形態で製剤化されてもよい。例示的な薬学的に許容される塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基により形成される)が挙げられ、これは、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などのような有機酸と共に形成される。遊離カルボキシル基と共に形成される塩は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基に由来してもよい。製剤化されると、液剤は、投与製剤と適合する方式で、治療上有効な量で投与される。
担体は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、バッファー、担体溶液、懸濁液、コロイドなどをさらに含んでもよい。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体および剤の使用は、当技術分野で周知である。いずれかの従来の媒体または剤が有効成分と不適合である場合を除いて、治療組成物におけるその使用が企図される。補足的な有効成分が組成物中に導入されてもよい。語句「薬学的に許容される」は、ヒトに投与された場合に、アレルギー反応や同様の有害反応を生じない分子実体および組成物を指す。
最適な医薬組成物は、例えば、意図される投与経路、送達形式、および所望の投与量に応じて、当業者によって決定される。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、上掲を参照されたい。このような組成物は、ポリペプチドの物理的状態、安定性、in vivo放出量、およびin vivoクリアランス量に影響を及ぼし得る。例えば、好適な組成物は、注射用水、非経口投与用の生理学的食塩水溶液であってもよい。
7.10.1.薬学的有効成分の含量
典型的な実施形態では、有効成分(すなわち、本開示のタンパク質およびポリペプチド)は、少なくとも0.01mg/ml、少なくとも0.1mg/ml、少なくとも0.5mg/ml、または少なくとも1mg/mlの濃度で、医薬組成物中に存在する。ある特定の実施形態では、有効成分は、少なくとも1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの濃度で、医薬組成物中に存在する。ある特定の実施形態では、有効成分は、少なくとも30mg/ml、35mg/ml、40mg/ml、45mg/mlまたは50mg/mlの濃度で、医薬組成物中に存在する。
一部の実施形態では、医薬組成物は、本開示のタンパク質またはポリペプチドに加えて、1つまたは複数の追加の活性成分を含む。1つまたは複数の追加の活性成分は、異なるチェックポイント受容体を標的とする薬物、例えば、CTLA-4阻害剤(例えば、抗CTLA-4抗体)またはTIGIT阻害剤(例えば、抗TIGIT抗体)であり得る。
7.10.2.一般的な製剤化
医薬組成物は、液体、油、エマルション、ゲル、コロイド、エアロゾルまたは固体を含む、ヒトまたは動物用の薬に適切な任意の形態であってもよい。
医薬組成物は、経腸および非経口投与経路を含む、ヒトまたは動物用の薬に適切な任意の投与経路による投与のために製剤化され得る。
様々な実施形態では、医薬組成物は、吸入による投与のために製剤化される。ある特定のこれらの実施形態では、医薬組成物は、気化器による投与のために製剤化される。ある特定のこれらの実施形態では、医薬組成物は、ネブライザーによる投与のために製剤化される。ある特定のこれらの実施形態では、医薬組成物は、エアロゾライザーによる投与のために製剤化される。
様々な実施形態では、医薬組成物は、経口投与、頬側投与、または舌下投与のために製剤化される。
一部の実施形態では、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、または皮下投与のために製剤化される。
一部の実施形態では、医薬組成物は、髄腔内または脳室内投与のために製剤化される。
一部の実施形態では、医薬組成物は、局所投与のために製剤化される。
7.10.3.注射に適合される医薬組成物
静脈内、皮膚もしくは皮下注射、または病気の部位への注射のために有効成分は、パイロジェンフリーであり、好適なpH、等張性および安定性を有する非経口的に許容される水性溶液の形態である。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸加リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを使用して、好適な液剤を十分に調製することができる。防腐剤、安定化剤、バッファー、酸化防止剤および/または他の添加剤が、必要な場合に含まれ得る。
様々な実施形態では、単位剤形は、バイアル、アンプル、ボトル、または予め充填されたシリンジである。一部の実施形態では、単位剤形は、0.01mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、10mg、12.5mg、25mg、50mg、75mg、または100mgの医薬組成物を含有する。一部の実施形態では、単位剤形は、125mg、150mg、175mg、または200mgの医薬組成物を含有する。一部の実施形態では、単位剤形は、250mgの医薬組成物を含有する。
典型的な実施形態では、単位剤形における医薬組成物は、液体形態である。様々な実施形態では、単位剤形は、0.1mLから50mlの間の医薬組成物を含有する。一部の実施形態では、単位剤形は、1ml、2.5ml、5ml、7.5ml、10ml、25ml、または50mlの医薬組成物を含有する。
特定の実施形態では、単位剤形は、0.01mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml、または1mg/mlの濃度の医薬組成物1mlを含有するバイアルである。一部の実施形態では、単位剤形は、0.01mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml、または1mg/mlの濃度の医薬組成物2mlを含有するバイアルである。
一部の実施形態では、単位剤形における医薬組成物は、固体形態、例えば、可溶化に好適な凍結乾燥物である。
皮下、皮内、または筋肉内投与に好適な単位剤形の実施形態は、充填済シリンジ、オートインジェクター、および自動注射ペン(autoinject pen)を含み、それぞれ、所定量の本明細書の上記に記載の医薬組成物を含有する。
様々な実施形態では、単位剤形は、シリンジおよび所定量の医薬組成物を含む充填済シリンジである。ある特定の充填済シリンジの実施形態では、シリンジは、皮下投与用に適合させる。ある特定の実施形態では、シリンジは、自己投与に好適である。特定の実施形態では、充填済シリンジは、単回使用シリンジである。
様々な実施形態では、充填済シリンジは、約0.1mLから約0.5mLの医薬組成物を含有する。ある特定の実施形態では、シリンジは、約0.5mLの医薬組成物を含有する。具体的な実施形態では、シリンジは、約1.0mLの医薬組成物を含有する。特定の実施形態では、シリンジは、約2.0mLの医薬組成物を含有する。
ある特定の実施形態では、単位剤形は、自動注射ペンである。自動注射ペンは、本明細書に記載される医薬組成物を含有する自動注射ペンを含む。一部の実施形態では、自動注射ペンは、所定体積の医薬組成物を送達する。他の実施形態では、自動注射ペンは、使用者によってある体積の医薬組成物を送達するように構成される。
様々な実施形態では、自動注射ペンは、約0.1mLから約5.0mLの医薬組成物を含有する。具体的な実施形態では、自動注射ペンは、約0.5mLの医薬組成物を含有する。特定の実施形態では、自動注射ペンは、約1.0mLの医薬組成物を含有する。他の実施形態では、自動注射ペンは、約5.0mLの医薬組成物を含有する。
7.11.単位剤形
医薬組成物は、便宜的に、単位剤形中に存在してもよい。
単位剤形は、典型的には、医薬組成物の1つまたは複数の具体的な投与経路に対して適する。
様々な実施形態では、単位剤形は、吸入による投与に適する。ある特定のこれらの実施形態では、単位剤形は、気化器による投与に適する。ある特定のこれらの実施形態では、単位剤形は、ネブライザーによる投与に適する。ある特定のこれらの実施形態では、単位剤形は、エアロゾライザーによる投与に適する。
様々な実施形態では、単位剤形は、経口投与、頬側投与、または舌下投与に適する。
一部の実施形態では、単位剤形は、静脈内、筋肉内、または皮下投与に適する。
一部の実施形態では、単位剤形は、髄腔内または脳室内投与に適する。
一部の実施形態では、医薬組成物は、局所投与用に製剤化される。
単一の剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、一般的に、治療効果をもたらす化合物の量である。
7.12.使用方法
無傷PD-1と特異的に結合する治療用抗体を使用することができる。
in vivoおよび/またはin vitroアッセイは、最適な投与量の範囲を特定するのを助けるために必要に応じて用いることができる。製剤中で用いられる正確な用量は、投与経路、および状態の重篤性に応じても変わり、開業医の判断および各対象の状況に従って決定されるべきである。有効用量は、in vitroまたは動物モデル試験系に由来する用量応答曲線から推定されてもよい。
オリゴペプチドまたはポリペプチドは、それが、本明細書で提供されるCDRのうちの少なくとも1つと、ならびに/または抗体A1~A28のうちの少なくとも1つのPD-1との結合を交差遮断するおよび/もしくは抗体A1~A28のうちの少なくとも1つによるPD-1との結合が交差遮断されるPD-1結合剤のCDRと、ならびに/またはPD-1のPD-L1との結合を遮断することができるPD-1結合剤のCDRと、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有する場合、本開示の範囲内である。
PD-1結合剤ポリペプチドおよび抗体は、それらが、抗体A1~A28のうちの少なくとも1つの可変領域と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一のアミノ酸配列を有し、抗体A1~A28のうちの少なくとも1つのPD-1との結合を交差遮断し、および/もしくは抗体A1~A28のうちの少なくとも1つによるPD-1との結合が交差遮断される場合、ならびに/またはPD-L1に対するPD-1の阻害効果を遮断することができる場合、本開示の範囲内である。
本開示による抗体は、ヒトPD-1に対して5×10-7M未満のもしくはそれに等しい、1×10-7M未満のもしくはそれに等しい、0.5×10-7M未満のもしくはそれに等しい、1×10-8M未満のもしくはそれに等しい、1×10-9M未満のもしくはそれに等しい、1×10-10M未満のもしくはそれに等しい、1×10-11M未満のもしくはそれに等しい、または1×10-12M未満のもしくはそれに等しい結合親和性を有し得る。
抗体または結合パートナーの親和性、および抗体が結合を阻害する程度は、従来の技法、例えば、Scatchard et al.(Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660-672(1949))に記載されるものを使用して、または表面プラズモン共鳴(SPR;BIAcore、Biosensor、Piscataway、NJ)によって、当業者によって決定され得る。表面プラズモン共鳴では、標的分子を固相に固定し、フローセルに沿って流れる移動相中のリガンドに曝露される。リガンドが、固定化された標的と結合する場合、局所的な屈折率が変化し、SPR角度の変化をもたらし、反射光の強度における変化を検出することにより、SPR角度の変化をリアルタイムでモニタリングすることができる。SPRシグナルの変化の速度を分析して、結合反応の会合および解離の相についての見かけの速度定数を得ることができる。これらの値の比率により、見かけの平衡定数(親和性)を得る(例えば、Wolff et al., Cancer Res. 53:2560-65(1993)を参照されたい)。
本開示による抗体は、いずれかの免疫グロブリンクラス、例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、またはIgAに属してもよい。本開示による抗体は、動物、例えば、家禽(例えば、ニワトリ)および哺乳動物(以下に限定されないが、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または他のげっ歯類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ヒト、または他の霊長類を含む)から得られるかまたはそれに由来する。抗体は、内在化抗体であってもよい。抗体の産生は、一般的に、米国特許出願公開第2004/0146888A1号に開示される。
新たなフレームワークおよび/または定常領域への特異的A1~A28 CDRの操作を含む、本開示に従って抗体を生成するための上記の方法では、所望の抗体を選択するために適切なアッセイ(すなわち、PD-1に対する結合親和性を決定するアッセイ;交差遮断アッセイ;Biacoreに基づく競合結合アッセイ;in vivoアッセイ)を利用できる。
7.12.1.PD-1阻害剤に応答する疾患を処置する方法
別の態様では、PD-1阻害剤に応答する疾患を有する対象を処置するための方法が提示される。疾患は、がん、AIDS、アルツハイマー病またはウイルスもしくは細菌感染症であり得る。
用語「処置(treatment)」、「処置する(treating)」などは、一般的に、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味するために本明細書において使用される。この効果は、疾患、状態、もしくはその症状を完全にもしくは部分的に防止するという点で予防的であってもよい、ならびに/または疾患もしくは状態および/もしくは疾患もしくは状態に起因する、症状などの有害作用に対する部分的または完全な治癒という点で治療的であってもよい。「処置」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物、特にヒトの疾患または状態の任意の処置を網羅し:(a)疾患もしくは状態に罹りやすい可能性があるが、疾患もしくは状態を有すると未だ診断されていない対象において、疾患もしくは状態が起こるのを防止すること;(b)疾患もしくは状態を阻害すること(例えば、その発症を阻止すること);または(c)疾患もしくは状態を緩和すること(例えば、疾患または状態を退縮させること、1つまたは複数の症状の改善をもたらすこと)を含む。いずれかの状態の改善は、標準的方法および当技術分野で公知の技法に従って、容易に評価することができる。その疾患について、その方法によって処置される対象の集団は、望ましくない状態または疾患を患っている対象、および状態または疾患の発症のリスクを有する対象を含む。
用語「治療有効用量」または「有効量」によって、それが投与されるものに対して所望の効果をもたらす用量または量を意味する。正確な用量または量は、処置の目的次第であり、公知の技法を使用して、当業者によって確認される(例えば、Lloyd(1999)The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compoundingを参照されたい)。
用語「十分な量」は、所望の効果をもたらすのに十分な量を意味する。
用語「治療有効量」は、疾患の症状を改善するのに有効である量である。治療有効量は、予防を治療とみなすことができるため、「予防有効量」であってもよい。
用語「改善する」は、疾患状態、例えば神経変性疾患状態の処置(その予防、重症度または進行の緩和、寛解、または治癒を含む)におけるいずれかの治療上有益な帰結を指す。
投与される実際の量、ならびに投与速度および時間経過は、処置されるタンパク質凝集疾患の性質および重症度に応じて決まる。処置の処方、例えば、投与量などの決定は、一般開業医および他の医師の責任の範囲内にあり、典型的には、処置される障害、個々の患者の状態、送達部位、投与方法および開業医に公知の他の要因を考慮に入れる。上述の技法およびプロトコールの例は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A.(ed), 1980に見出される。
一部の実施形態では、医薬組成物は、吸入によって、経口的に、頬側投与によって、舌下投与によって、注射によって、または局所投与によって投与される。
一部の実施形態では、医薬組成物は、ニューロンの生存またはドーパミン放出をモジュレートするのに十分な量で投与される。一部の実施形態では、主要なカンナビノイドは、用量当たり1g未満、500mg未満、100mg未満、10mg未満の量で投与される。
一部の実施形態では、医薬組成物は、1日に1回、1日に2~4回、1週間に2~4回、1週間に1回、または2週間ごとに1回投与される。
組成物を単独で、または他の処置と組み合わせて、処置すべき状態に依存して同時にもしくは逐次的にどちらかで、投与することができる。例えば、医薬組成物は、異なるチェックポイント受容体を標的とする1つまたは複数の薬物、例えば、CTLA-4阻害剤(例えば、抗CTLA-4抗体)またはTIGIT阻害剤(例えば、抗TIGIT抗体)と組み合わせて投与することができる。
8.実施例
以下は、本開示を実行するための特定の実施形態の例である。実施例は、例示目的のみのために提供され、本開示の範囲をいかなるようにも限定することを意図しない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力がなされているが、幾分かの実験誤差およびばらつきは、当然のことながら許容されるべきである。
本開示の実施は、別段の指示がない限り、当技術分野の技能の範囲内であるタンパク質化学、生化学、組換えDNA技術および薬理学の従来の方法を利用する。そのような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、T.E. Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W.H. Freeman and Company, 1993);A.L. Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., current addition);Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989);Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.);Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition (Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990);Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.(Plenum Press) Vols A and B(1992)を参照されたい。さらに、その全体が参照により本明細書に組み込まれるAdler et al., A natively paired antibody library yields drug leads with higher sensitivity and specificity than a randomly paired antibody library, MAbs (2018)、およびAdler et al., Rare, high-affinity mouse anti-PD-1 antibodies that function in checkpoint blockade, discovered using microfluidics and molecular genomics, MAbs (2017)で説明されている抗体を生成および選択する方法を、利用することができる。
(実施例1)
8.1.1.実施例1:抗原結合タンパク質の生成
抗原結合タンパク質の生成
マウス免疫および試料調製:
先ず、挿入されたヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを、TiterMaxをアジュバントとして使用して配列番号7001の可溶性PD-1免疫原(すなわち、Hisタグ付きPD-1タンパク質(R&D Systems))で免疫した。1μgの免疫原を各踵関節に注射し、3μgの免疫原を15日間、3日ごとに腹腔内投与した。1:200希釈物で開始する各動物の血清の1:2希釈系列を用いて酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により力価を評価した。採取の前に、2.5μg/踵関節の最終静脈内ブーストをアジュバントなしで各動物に投与した。リンパ節(膝窩、鼠径部、腋窩および腸間膜のもの)を屠殺後に外科的に摘出した。手作業で破壊し、その後、70μmフィルターに通すことにより、各動物の単一細胞懸濁物を作製した。次に、EasySep(商標)Mouse Pan-B Cell Isolation Kit(Stemcell Technologies)ネガティブ選択キットを使用して、各試料からB細胞を単離した。リンパ節B細胞集団をC-Chip血球計数器(Incyto)での計数により定量し、トリパンブルーを使用して生存率を評価した。次いで、細胞を、12%OptiPrep(商標)Density Gradient Medium(Sigma)を含有するリン酸緩衝食塩水(PBS)中、5,000~6,000細胞/mLに希釈した。この細胞混合物をマイクロ流体被包に使用した。動物6匹各々からのおおよそ100万個のB細胞をエマルジョン液滴マイクロフルイディクスプラットフォームで泳動させた。
対合した重鎖および軽鎖のライブラリーの生成:
エマルション液滴マイクロフルイディクスのプラットフォームまたはボルテックスエマルションを使用して、天然の重鎖-軽鎖Igが無傷で対合した、単一細胞のRNA由来のscFvをコードするDNAライブラリーを生成した。DNAライブラリーを生成する方法を、1)ポリ(A)+mRNA捕捉、2)多重化オーバーラップ伸長逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(OE-RT-PCR)、および3)人工産物を除去して、ディープシークエンシングまたは酵母ディスプレイライブラリーのためにアダプターを付加するためのネステッドPCRに分割した。scFvライブラリーは、陽性ELISA力価に達した各動物由来のおよそ100万個のB細胞から作成した。
ポリ(A)+mRNA捕捉のために、ガラス(Dolomite)から製作したカスタムデザインの並行流のエマルション液滴マイクロ流体チップを使用した。マイクロ流体チップは、フルオロカーボンオイル(Dolomite)のための2つのインプットチャネル、上記の細胞懸濁物ミックスのための1つのインプットチャネル、および細胞溶解バッファー(20mMのTris pH7.5、0.5MのNaCl、1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.5%のTween(登録商標)-20、および20mMのジチオトレイトール)中1.25mg/mlのオリゴ-dTビーズ(NEB)のための1つのインプットチャネルを有する。インプットチャネルは、チップの長さのほとんどに対しては150μmまで、液滴ジャンクションでは55μmまで狭く、50μmまでエッチングし、疎水性Pico-Glide(Dolomite)でコーティングした。3つのMitos P-Pump圧力ポンプ(Dolomite)を使用して、液体をチップを通してポンプで送った。液滴サイズは圧力に応じて変わるが、典型的には、約45mmの直径の液滴が最も安定している。エマルションを冷やした2mlのマイクロ遠心管中に回収し、mRNA捕捉のために40℃で15分間インキュベートした。Pico-Break(Dolomite)を使用して、ビーズを液滴から抽出した。一部の実施形態では、ボルテックスを使用して、類似する単一細胞分配エマルションを作製した。
マルチプレックスOE-RT-PCRには、ガラス製Telos液滴エマルジョンマイクロ流体チップ(Dolomite)を使用した。mRNA結合ビーズをOE-RT-PCRミックスに再懸濁させ、鉱物油系界面活性剤ミックス(GigaGenから市販されている)を用いて27μmの液滴を生じさせる圧力でマイクロ流体チップに注入した。OE-RT-PCRミックスは、2×ワンステップRT-PCRバッファー、2.0mM MgSO、SuperScript III逆転写酵素、およびPlatinum Taq(Thermo Fisher Scientific)、加えて、IgK C領域、IgG C領域および全V領域に対するプライマーの混合物を含有する(図2)。オーバーラップ領域は、Gly-SerリッチscFvリンカー配列をコードするDNA配列である。液滴破壊溶液(droplet breaking solution)(GigaGenから市販されている)を使用して液滴からDNA断片を回収し、次いで、QIAquick PCR Purificationキット(Qiagen)を使用して精製する。一部の実施形態では、ボルテックスを使用して同様のOE-RT-PCRエマルジョンを作製した。
ネステッドPCR(図2)では、最初に、精製したOE-RT-PCR産物を150Vで80分間1.7%のアガロースゲルにランした。連結した産物に対応する1200~1500塩基対(bp)のバンドを切り取り、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up Kit(Macherey Nagel)を使用して精製した。次いで、PCRを実施し、Illuminaシークエンシングまたは酵母ディスプレイのためにアダプターを付加した;シークエンシングでは、7つのヌクレオチドのランダマーを付加して、次の次世代シークエンシングステップのベースコールの精度を増加させる。プライマーを含有するIlluminaアダプターまたは酵母発現ベクター中にクローニングするためのプライマーのいずれかを含む2×NEBNext High-Fidelity増幅ミックス(NEB)を用いてネステッドPCRを実施した。ネステッドPCR産物を150Vで50分間1.2%のアガロースゲルにランした。800~1100bpのバンドを切り出し、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up Kit(Macherey Nagel)を使用して精製した。
一部の実施形態では、scFvライブラリーは自然に対合せず、例えばB細胞から単離されたRNAから直接的にscFvを増幅させることによってランダムに対合した。
(実施例2)
8.1.2.実施例2:酵母ディスプレイによるPD-1バインダーの単離
ライブラリースクリーニング:
ヒトIgG1-Fc(Thermo Fisher Scientific)およびPD-1(R&D Systems)タンパク質を、EZ-Link Micro Sulfo-NHS-LC-Biotinylationキット(Thermo Fisher Scientific)を使用してビオチン化した。ビオチン化試薬を再懸濁させて9mMにし、50倍モル過剰でタンパク質に添加した。反応物を氷上で2時間インキュベートし、次いで、Zeba脱塩カラム(Thermo Fisher Scientific)を使用してビオチン化試薬を除去した。最終タンパク質濃度をブラッドフォードアッセイで計算した。
次に、6つのDNAライブラリーを酵母において表面scFvとして発現させた。GAL1/10プロモーター、Aga2細胞壁テザー、およびC末端c-Mycタグを含有する酵母表面ディスプレイベクター(pYD)を構築した。GAL1/10プロモーターは、ガラクトースを含有する培地中でscFvタンパク質の発現を誘導する。Aga2細胞壁テザーは、scFvを酵母細胞表面に往復させ、scFvを細胞外スペースに係留させるために必要とされた。流動選別の間にc-Mycタグを使用して、インフレームscFvタンパク質を発現する酵母細胞を染色した。Saccharomyces cerevisiae細胞(ATCC)をゲル精製したネステッドPCR産物と共に電気穿孔し(Bio-Rad Gene Pulser II;0.54kV、25uF、抵抗を無限大に設定)、in vivoでの相同組換えのためのpYDベクターを線状化した。形質転換細胞を拡大させ、ガラクトースで誘導して、酵母scFvディスプレイライブラリーを生成した。
拡大scFvライブラリーからの200万個の酵母細胞を、抗c-Myc(Thermo Fisher Scientific A21281)およびAF488コンジュゲート二次抗体(Thermo Fisher Scientific A11039)で染色した。PD-1と結合するscFv発現細胞を選択するために、ビオチン化PD-1抗原を、一次抗体インキュベーション中に酵母培養物に添加し(最終7nM)、次いでPE-ストレプトアビジン(Thermo Fisher Scientific)で染色した。酵母細胞を二重陽性細胞(AF488C/PEC)についてBD Influx(Stanford Shared FACS Facility)で流動選別し、次いで、回収したクローンを拡大のためにカナマイシン、ストレプトマイシンおよびペニシリン(Teknova)とともにSD-CAAプレートに播種した。次いで、拡大された第1ラウンドFACSクローンを、同じ容量モル濃度(最終7nM)の同じ抗原での第2のFACSラウンドに供した。最終FACS選別から回収した酵母からプラスミドミニプレップ(Zymo Research)を調製した。テールドエンドPCRを使用して、ディープシークエンシングのためにプラスミドライブラリーにIlluminaアダプターを付加させた。
典型的なFACSドットプロットでは、四分円の右上は、抗原結合とscFv発現の両方について染色される(C末端c-Mycタグで同定される)酵母を含有する。四分円の左下は、抗原についてもscFv発現についても染色されない酵母を含有する。四分円の右下は、scFvを発現するが、抗原に結合しない酵母を含有する。各レパートリーにおけるバインダーの頻度は、抗原およびscFv発現について二重染色される酵母の数をscFvを発現する酵母の数で割ることによって推定した。7nMの最終抗原濃度で選別した場合、免疫したマウスから生成されたライブラリーによって、低いパーセンテージのscFvバインダー(0.08%~1.28%の範囲)しか得られなかった。レパートリーにおけるバインダーの血清中力価と頻度の間に明確な関連はなかった。これらの選別された細胞の拡大後に、7nMの最終抗原濃度で2回目のFACSを使用して、スクリーニングの特異性を増加させた。2回目のFACSにおけるバインダーの頻度は、通常、1回目のFACSよりも実質的に高く、8.39%~84.4%の範囲であった。一般的に、1回目の選別でのより低い頻度のバインダーによって、2回目の選別のより頻度の低いバインダーがもたらされた。おそらく、これは、元のレパートリーにおいて、より少ない真のバインダーしか有さない試料に対する、より低いゲーティング特異性によるものである。
ディープレパートリーシークエンシング:
PD-1結合クローンをライブラリー(「PD-1結合クローンのライブラリー」)として回収し、ディープレパートリーシークエンシングに供した。PD-L1結合クローンのライブラリーは、ATCCアカウント番号97361(アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110 USA)の下、2018年11月20日にブタペスト条約に基づいてATCC受託番号PTA-125509の下で寄託された。ライブラリー内の各クローンは、単一細胞が起源である重鎖配列と軽鎖配列両方の対合可変(V(D)J)領域を含むscFvを含有する。ディープレパートリーシークエンシングは、重鎖配列と軽鎖配列両方の全ての対合可変(V(D)J)領域の配列を決定する。酵母scFvライブラリーのシークエンシングから得た重鎖および軽鎖配列の一部を配列番号1~28および配列番号101~128で提供する。酵母scFvライブラリーのシークエンシングから得た追加の配列を配列番号8001~9045で提供する。具体的には、それらの可変軽鎖(V)配列は、配列番号8001~8522を含む。それらの可変重鎖(V)配列は、配列番号8523~9045を含む。
ディープ抗体シークエンシングライブラリーを、定量的PCR Illumina Library Quantification Kit(KAPA)を使用して定量し、17.5pMまで希釈した。製造業者の指示に従って、500サイクルのMiSeq Reagent Kit v2を使用して、ライブラリーをMiSeq(Illumina)でシークエンシングした。重鎖と軽鎖の連結を維持して、高品質の配列リードを得るために、2回の別々の実行でシークエンシングを行った。1回目の実行(「連結型の実行」)では、scFvライブラリーを直接シークエンシングして、軽鎖V遺伝子およびCDR3について340サイクルのフォワードリード、ならびに重鎖CDR3および重鎖V遺伝子の一部を網羅する162サイクルのリバースリードを得た。2回目の実行(「非連結型の実行」)では、scFvライブラリーをPCRに関する鋳型として最初に使用し、重鎖および軽鎖V遺伝子を別々に増幅させた。次いで、重鎖および軽鎖Igについて、340サイクルのフォワードリードと162サイクルのリバースリードを別々に得た。これにより、CDR3とV遺伝子の一部でオーバーラップするフォワードリードとリバースリードが得られ、ヌクレオチドコールの信頼性が増加する。
ベースコールエラーを除去するために、リードのエラー(E)の予想数をそのPhredスコアから計算した。デフォルトにより、E>1であるリードを廃棄し、ベースコールエラーの最確数がゼロであるリードを残した。追加のクオリティフィルターとして、シングルトンヌクレオチドリードを廃棄したが、これは、2回またはそれより多い回数見出される配列は正しい確率が高いからである。最後に、連結型および非連結型の実行からのフィルタリング済み配列をマージすることにより、高品質、連結抗体配列を生成した。手短に述べると、非連結型の実行からのフォワードリードとリバースリードを最初にマージした一連のスクリプトをPythonで書き込んだ。ミスマッチを有する一切のフォワード配列-リバース配列対を廃棄した。次に、連結型の実行からのヌクレオチド配列を使用して、非連結型の実行でのマージ配列に対してクエリを実行した。スクリプトから最終的に出力されるものは、Ig重鎖とIg軽鎖とが自然に対合している、一連の全長、高品質可変(V(D)J)配列である。
リーディングフレームおよびFR/CDR接合部を同定するために、十分に精選された免疫グロブリン配列のデータベースを先ず処理して、各FR/CDR接合部についての位置特異的配列行列(PSSM)を生成した。これらのPSSMを使用して、上記のプロセスを使用して生成したマージヌクレオチド配列の各々についてのFR/CDR接合部を同定した。これにより、ヌクレオチド配列の各々についてのタンパク質リーディングフレームを同定した。PSSMに対する低い同一性スコアを有するCDR配列を感嘆符により示す。次いで、Pythonスクリプトを使用して配列を翻訳した。有効な予測CDR3配列を有するリードが必要であったため、例えば、VセグメントとJセグメントとの間のフレームシフトがあるリードを廃棄した。次に、scFvヌクレオチド配列をクエリとして、ならびにIMGTデータベースからのVおよびJ遺伝子配列を参照配列として使用して、UBLASTを実行した。最低E値でのUBLASTアラインメントを使用して、VおよびJ遺伝子ファミリーを指定し、生殖細胞系列に対する%IDをコンピュータで計算した。
各動物は、合計28のユニークscFv候補バインダー(軽鎖については配列番号1~28、重鎖については配列番号101~128)を含む、0.1%またはそれより高い頻度で存在する38~50のユニークscFv配列を、第2のFACS選択後に得た。配列番号[n]の配列を有する軽鎖、および配列番号[100+n]の配列を有する重鎖は、単一細胞からの同族対であり、単一のscFvを形成する。例えば、配列番号1の軽鎖と配列番号101の重鎖とは同族対であり、配列番号11の軽鎖と配列番号111の重鎖とは同族対である、など。
この方法で、2ラウンドのFACSによりPD-1結合scFvが富化された。加えて、多くのscFvは、免疫マウスからのB細胞の最初の集団からのシークエンシングデータでは検出されず、選別前マウスレパートリーに存在したscFvの大部分がFACS後には消失していた。したがって、この研究は、免疫マウスのレパートリーに存在する抗体の大部分が、免疫原に対する強力なバインダーでないこと、およびこの方法が、免疫マウスからのB細胞の最初の集団からの希少nM親和性バインダーを富化できることを示唆している。
(実施例3)
8.1.3.実施例3:抗原結合タンパク質の生物学的特性
次いで、選別前ライブラリーに低頻度で存在するが選別後ライブラリーでは高頻度になるscFv配列を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において全長mAbとして合成した。これらのmAbは、各動物についての第2ラウンドのFACSにおいて2~3番目に存在量が多い配列を含む。加えて、SJLマウス株とBalb/cマウス株との間の収束進化を示唆する抗体配列を選択した。
全長mAbを、バイオレイヤー干渉法(BLI)および/または表面プラズモン共鳴(SPR)によって結合動態について検証し、in vitro細胞アッセイによってチェックポイント阻害について検証した。
標的結合プロファイル:
PD-1に対する各全長抗体の結合特異性および親和性を、BLIおよび/またはSPRを使用して決定した。抗ヒトPD-1親和性は、A1~A11に対してはSPRおよびA12~A28に対してはBLIを使用した。抗カニクイザルPD-1親和性は、BLIを使用して測定した。
BLIでは、Octet Red96システム(ForteBio)を使用して、Anti-Human IgG Fc(AHC)バイオセンサーに抗体をロードした。ロードしたバイオセンサーを、300nMで開始して1:3で6段階希釈した抗原希釈物に浸漬した。1:1の結合モデルおよびグローバルフィッティングを使用して動態解析を実施した。
SPRのために、中間密度(>>1,000応答単位)の抗ヒトIgG-Fc試薬(Southern Biotech 2047-01)を、100mM MES pH5.5中の133mM EDC(Sigma)および33.3mM S-NHS(ThermoFisher)で活性化したXantec CMD-50Mチップ(50nmカルボキシメチルデキストラン、中密度の官能基)に、アミンカップリングさせた。次いで、ヤギ抗ヒトIgG Fc(Southern Biotech 2047-01)を、10mM酢酸ナトリウム pH4.5(Carterra Inc.)中、25mg/mLで10分間、カップリングさせた。次いで、表面を1Mエタノールアミン pH8.5(Carterra Inc.)で失活させた。ローン(lawn)固定化に使用した泳動用緩衝液は、HBS-EPC(10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05%Tween 20、pH7.4;Teknova)であった。
次いで、センサーチップをアレイ捕捉のための連続フローマイクロスポッター(CFM;Carterra Inc.)に移した。mAb上清を1mg/mLのBSAを含むHBS-EPC中に50倍希釈した(最終濃度3~10mg/mL)。試料を、1回目と2回目のプリントにおいて、それぞれ、15分と4分の捕捉ステップでそれぞれ2回捕捉し、65mL/分の流速を使用して、複数密度を作り出した。CFMにおける泳動用緩衝液もHBS-EPCであった。
次に、動態解析のためにSPRリーダー(MX-96システム、Ibis Technologies)にセンサーチップをロードした。泳動用緩衝液(1.0mg/mLのBSAを含有するHBS-EPC)中、1.95、7.8、31.25、125および500nMの濃度である、4倍希釈系列での5つの漸増濃度で、PD-1を注入した。PD-1注入は、非再生動態系列において8mL/秒で5分であり、解離は15分であった。この系列の終了時に75mg/mLのヤギ抗ヒトIgG Fc捕捉抗体の注入を行って、各mAbの捕捉レベルを検証した。スポット間表面およびブランク注入を減算することにより結合データを二重参照し、Kinetic Interaction Toolソフトウェア(Carterra Inc.)を使用して、ka(オンレート)、kd(オフレート)およびK(親和性)について解析した。
細胞表面結合研究のために、安定なPD-1発現Flp-In CHO(Thermo Fisher Scientific)細胞を生成し、50:50比で混合した。100万個の細胞を、200μlのMACSバッファー(0.5%ウシ血清アルブミンと2mM EDTAとを含有するDPBS)中の1μgの抗PD-1組換え抗体で、30分間、4℃で染色した。次いで、細胞を抗ヒトCD134(OX40)-APC[Ber-ACT35](BioLegend 350008)および抗ヒトIgG Fc-PE[M1310G05](BioLegend 41070)抗体で30分間、4℃で共染色した。抗ヒトCD279(PD-1)-FITC[EH12.2H7](BioLegend 329903)抗体をこれらの混合実験の対照として使用し、細胞生存率をDAPIで評価した。フローサイトメトリー解析をStanford Shared FACS FacilityにおいてBD Influxで行い、FlowJoを使用してデータを解析した。
10~280nMの範囲の親和性(K)でPD-1と特異的に結合する抗体を同定した。各抗体のPD-1に対する親和性(K)を表6に提供する。
非同族対合抗体(例えば、Adler et al., 2018)が、強い親和性および望ましい薬理学的特性を保持することが多いことは、当業者には十分理解され得る。一部の具現形態では、本開示は、表6の他の重鎖もしくは軽鎖配列と非同族対合している重鎖もしくは軽鎖配列、または任意の他の重鎖もしくは軽鎖配列と非同族対合している重鎖または軽鎖配列を表6に記載する。
Figure 2022516073000009
in vitro細胞アッセイ:
PD-1/PD-L1相互作用を遮断する抗体の能力を解析するために、PD-1/PD-L1 Blockade Bioassay(Promega)を製造業者の指示に従って使用した。アッセイの前日に、PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞を90%ハムF-12/10%ウシ胎仔血清(FBS)に入れて解凍し、2つの96ウェルプレートの内側の60ウェルに蒔いた。細胞を一晩、37℃、5%COでインキュベートした。アッセイ当日、抗体を99%RPMI/1%FBSで希釈した。PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞が入っているウェルに抗体希釈物を添加し、その後、PD-1エフェクター細胞(99%RPMI/1%FBSに入れて解凍した)を添加した。細胞/抗体混合物を37℃、5%COで6時間インキュベートし、その後、Bio-Glo試薬を添加し、Spectramax i3xプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して発光を読み取った。[抗体に関するシグナル]/[無抗体に関するシグナル]の比を計算することにより誘導倍率をプロットし、これらのプロットを使用して、SoftMax Pro(Molecular Devices)を使用してIC50を計算した。社内産生ペムブロリズマブを陽性対照として使用し、無関係の抗原に結合する抗体を陰性対照として使用した。
PD-1のPD-L1との結合は、T細胞シグナル伝達の阻害をもたらす。したがって、PD-1に結合してPD-1/PD-L1相互作用に拮抗する抗体は、この阻害を除去し、その結果、T細胞を活性化することを可能にする。PD-1/PD-L1チェックポイント遮断を、in vitro細胞性の活性化T細胞核内因子(NFAT)ルシフェラーゼレポーターアッセイによって試験した。このアッセイでは、抗PD-1エピトープがPD-L1結合ドメイン内に入る抗体は、PD-1/PD-L1相互作用に拮抗し、その結果、NFAT-ルシフェラーゼレポーターが増加する。CHO細胞に発現させたPD-1に結合することができる全長mAb候補をアッセイした。各mAbについてのIC50値を生成するために、いくつかの濃度に渡って測定を行った。一部の全長mAb(tPD1.1(A1)、tPD1.3(A3)、tPD1.4(A4)、tPD1.5(A5)、tPD1.6(A6)、tPD1.16(A9)、およびtPD1.19(A10))は、表6に要約した通り、チェックポイント遮断において用量依存的に機能的である。7つの抗体のCDR配列は、下記の表7に要約する通り保存されるため、これらの配列をそれらのコンセンサス配列を使用して得ることができる。
本開示の一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、薬理学的には抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)により機能する。本開示の一部の実施形態では、ADCCにおいて機能するがチェックポイント遮断において機能しない抗体を用いて、抗PD-1抗体療法に関する免疫関連毒性を消失させる。
Figure 2022516073000010
Figure 2022516073000011
ヒトPD-1に対する各抗体の親和性を、Carterra(A1~A11)またはForteBio(A12~A28)を使用して決定した。オンレート、オフレート、およびKを決定し、表8に示す。
Figure 2022516073000012
Figure 2022516073000013
エピトープビニング:
改変された古典的サンドイッチアプローチにおいてハイスループットアレイSPRを使用して、エピトープビニングを実施した。CMD-200Mチップ型を使用した(200nmのカルボキシメチルデキストラン、Xantec)以外は、Carterra CFMおよびSPR親和性研究に類似する方法を使用して、センサーチップを官能化し、mAbを50mg/mLでカップリングさせて、より結合能の高い表面を作出した(固定された約3,000個の反応性単位)。mAb上清を、上清中のmAb濃度に応じて、泳動用緩衝液中で1:1または1:10で希釈した。
センサーチップをMX-96機器中に配置し、捕捉したmAb(「リガンド」)を二価のアミン反応性リンカーであるビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3、ThermoFisher)を使用して表面に架橋させ、これを水中0.87mMで10分間注入した。過剰に活性化したBS3を1Mのエタノールアミン(pH8.5)で中和させた。各ビニングサイクルでは、250mg/mLのヒトIgG(Jackson ImmunoResearch 009-000-003)の7分間の注入を使用して、参照表面および標的スポットのいずれかの残存能を遮断した。
次に、250nM PD-1タンパク質をセンサーチップ上に注入し、その後、希釈mAb上清(「分析物」)をまたは陰性対照としてのバッファーブランクを注入した。結果として、分析物mAbは、それがリガンドmAbと競合しなかった場合にのみ抗原と結合した。各サイクルの終了時に、4部のPierce IgG Elution Buffer(ThermoFisher #21004)、1部の5M NaCl(最終0.83M)および1.25部の0.85%HPO(最終0.17%)の溶液を使用して、1分再生注入を行った。mAbのうちの18のmAbみが、複数回の再生を通してリガンドとしての活性を維持したため、ビニング解析は、18×46の競合行列を含んだ。
次いで、SPRエピトープデータ解析ソフトウェアパッケージ(Carterra Inc.)においけるネットワークコミュニティプロットアルゴリズムを使用して、エピトープビンを決定した。クラスタリングアルゴリズムは、分析物データのみが入手可能なクラスターであるmAbを、リガンドデータと分析物データの両方が入手可能であるmAbとは別に分類することに留意されたい。この現象は、不完全競合行列のアーチファクトである。リガンドデータと分析物データの両方を有するmAbは、より多くのmAb-mAb測定値を有し、したがって、より多くのmAb-mAbの関連性をもたらし、このことにより、コミュニティプロットのより緊密な関係性が得られた。
エピトープビニングに供した抗体は、3つの異なる群に指定された(表6および図3のA、BおよびC)。
9.参照による組み込み
本出願において引用される全ての刊行物、特許、特許出願および他の文書は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願または他の文書が全ての目的で参照により本明細書に組み込まれることを個々に示されているのと同程度に、全ての目的で参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
10.均等物
様々な具体的な実施形態が例示および記載されているが、上記明細書は限定的ではない。本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることが認識される。多くの変更は、本明細書を鑑みて当業者にとって明らかになる。
Figure 2022516073000014
Figure 2022516073000015
Figure 2022516073000016
Figure 2022516073000017
Figure 2022516073000018
Figure 2022516073000019
Figure 2022516073000020
Figure 2022516073000021
Figure 2022516073000022
Figure 2022516073000023
Figure 2022516073000024
Figure 2022516073000025
Figure 2022516073000026
Figure 2022516073000027
Figure 2022516073000028
Figure 2022516073000029
Figure 2022516073000030
Figure 2022516073000031
Figure 2022516073000032

Claims (23)

  1. ヒトプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)に特異的に結合する単離された抗原結合タンパク質(ABP)であって、
    (a)配列番号3001~3028から選択される配列を有するCDR3-L、および配列番号6001~6028から選択される配列を有するCDR3-H;または
    (b)配列番号10092~10614から選択される配列を有するCDR3-L、および配列番号11661~12183から選択される配列を有するCDR3-H;または
    (c)ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCD3-Lの配列を有するCDR3-L、およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCD3-Lの配列を有するCDR3-L
    を含む、単離された抗原結合タンパク質(ABP)。
  2. 前記CDR3-Lおよび前記CDR3-Hが、同族対である、請求項1に記載のABP。
  3. (a)配列番号1001~1028から選択される配列を有するCDR1-L、および配列番号2001~2028から選択される配列を有するCDR2-L;および配列番号4001~4028から選択される配列を有するCDR1-H;および配列番号5001~5028から選択される配列を有するCDR2-H;または
    (b)配列番号9046~9568から選択される配列を有するCDR1-L;および配列番号9569~10091から選択される配列を有するCDR2-L、および配列番号10615~11137から選択される配列を有するCDR1-H;および配列番号11138~11660から選択される配列を有するCDR2-H;または
    (c)ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCDR1-Lから選択される配列を有するCDR1-L;およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCDR2-Lから選択される配列を有するCDR2-L;およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCDR1-Hから選択される配列を有するCDR1-H;およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのCDR2-Hから選択される配列を有するCDR2-H
    を含む、請求項1に記載のABP。
  4. CDR1-L、CDR2-L、CDR3-L、CDR1-H、CDR2-HおよびCDR3-Hを含み、
    前記CDR1-Lが、配列番号1001からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2001からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3001からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4001からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5001からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6001からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1002からなり、CDR2-Lが、配列番号2002からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3002からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4002からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5002からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6002からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1003からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2003からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3003からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4003からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5003からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6003からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1004からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2004からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3004からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4004からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5004からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6004からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1005からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2005からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3005からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4005からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5005からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6005からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1006からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2006からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3006からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4006からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5006からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6006からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1007からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2007からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3007からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4007からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5007からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6007からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1008からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2008からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3008からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4008からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5008からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6008からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1009からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2009からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3009からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4009からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5009からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6009からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1010からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2010からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3010からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4010からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5010からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6010からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1011からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2011からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3011からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4011からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5011からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6011からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1012からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2012からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3012からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4012からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5012からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6012からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1013からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2013からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3013からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4013からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5013からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6013からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1014からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2014からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3014からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4014からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5014からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6014からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1015からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2015からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3015からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4015からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5015からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6015からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1016からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2016からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3016からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4016からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5016からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6016からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1017からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2017からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3017からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4017からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5017からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6017からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1018からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2018からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3018からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4018からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5018からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6018からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1019からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2019からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3019からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4019からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5019からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6019からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1020からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2020からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3020からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4020からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5020からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6020からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1021からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2021からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3021からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4021からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5021からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6021からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1022からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2022からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3022からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4022からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5022からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6022からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1023からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2023からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3023からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4023からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5023からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6023からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1024からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2024からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3024からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4024からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5024からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6024からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1025からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2025からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3025からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4025からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5025からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6025からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1026からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2026からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3026からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4026からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5026からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6026からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1027からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2027からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3027からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4027からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5027からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6027からなるか;または
    前記CDR1-Lが、配列番号1028からなり、前記CDR2-Lが、配列番号2028からなり、前記CDR3-Lが、配列番号3028からなり、前記CDR1-Hが、配列番号4028からなり、前記CDR2-Hが、配列番号5028からなり、前記CDR3-Hが、配列番号6028からなる、請求項1に記載のABP。
  5. 配列番号1~28から選択される配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変軽鎖(V)、および配列番号101~128から選択される配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変重鎖(V);または
    配列番号8000~8522から選択される配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変軽鎖(V)、および配列番号8523~9045から選択される配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変重鎖(V);または
    ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのV配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変軽鎖(V)、およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのV配列と少なくとも97%同一の配列を含む可変重鎖(V
    を含む、請求項1に記載のABP。
  6. 前記Vおよび前記Vが、同族対である、請求項5に記載のABP。
  7. 配列番号1~28から選択される配列を含む可変軽鎖(V)、および配列番号101~128から選択される配列を含む可変重鎖(V);または
    配列番号8000~8522から選択される配列を含む可変軽鎖(V)、および配列番号8523~9045から選択される配列を含む可変重鎖(V);または
    ATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのV配列を含む可変軽鎖(V)、およびATCC受託番号PTA-125509の下で寄託されたライブラリー内のクローンのいずれか1つのV配列を含む可変重鎖(V
    を含む、請求項1に記載のABP。
  8. 前記Vおよび前記Vが、同族対である、請求項7に記載のABP。
  9. scFvまたは全長モノクローナル抗体を含む、請求項1から8のいずれかに記載のABP。
  10. 免疫グロブリン定常領域を含む、請求項1から8のいずれかに記載のABP。
  11. バイオレイヤー干渉法または表面プラズモン共鳴により測定して、500nM未満のKでヒトPD-1に結合する、前記請求項のいずれかに記載のABP。
  12. バイオレイヤー干渉法または表面プラズモン共鳴により測定して、200nM未満のKでヒトPD-1に結合する、請求項11に記載のABP。
  13. バイオレイヤー干渉法または表面プラズモン共鳴により測定して、25nM満のKでヒトPD-1に結合する、請求項12に記載のABP。
  14. 25nM未満のKで細胞表面上のヒトPD-1と結合する、請求項1から13のいずれかに記載のABP。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載のABPと賦形剤とを含む、医薬組成物。
  16. 疾患を処置する方法であって、
    それを必要とする対象に、請求項1から14のいずれかに記載のABPまたは請求項15に記載の医薬組成物の有効量を投与するステップ
    を含む方法。
  17. 前記疾患が、がん、AIDS、アルツハイマー病およびウイルスまたは細菌感染症からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記対象に1つまたは複数の追加の治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項16から17のいずれかに記載の方法。
  19. 前記追加の治療剤が、CTLA-4阻害剤、TIGIT阻害剤、化学療法剤、免疫刺激剤、放射線、サイトカイン、サイトカインをコードするポリヌクレオチド、およびこれらの組合せから選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 請求項1から10のいずれかに記載のABPをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
  21. 請求項20に記載の単離されたポリヌクレオチドを含むベクター。
  22. 請求項20に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは請求項21に記載のベクターを含む宿主細胞。
  23. ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗原結合タンパク質(ABP)を産生する方法であって、
    請求項22に記載の宿主細胞において前記ABPを発現させること、および前記ABPを単離すること
    を含む方法。
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