JP2022513590A - 新規な化合物およびカルシニューリン阻害剤を含む、移植拒絶反応または移植拒絶疾患を予防および治療するための組成物 - Google Patents

新規な化合物およびカルシニューリン阻害剤を含む、移植拒絶反応または移植拒絶疾患を予防および治療するための組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、新規な化合物およびカルシニューリン阻害剤を含む、移植拒絶反応または移植拒絶疾患を予防または治療するための組成物に関する。本発明の併用投与は、生体内または試験管内のアロジェニックモデル、移植拒絶疾患モデル、皮膚移植モデル、および肝臓移植患者において、1)病原性Th1細胞またはTh17細胞の活性を減少させ、2)Treg細胞の活性を増加させ、3)その単独投与で生じる組織損傷などの副作用に対する阻害効果を有し、4)さまざまな病原性経路を阻害し、5)炎症細胞の細胞死を阻害し、6)ミトコンドリアの活性を増加させ、したがって、従来の免疫抑制剤単独の投与で発生し得る副作用を軽減するとともに、移植拒絶反応を阻害する。したがって、本発明は、移植拒絶反応または移植後に発生し得る様々な免疫障害に関連する薬学の分野で使用できる。

Description

本発明は、新規な化合物およびカルシニューリン阻害剤を含む、移植拒絶反応または移植拒絶疾患を予防および治療するための組成物に関する。
免疫抑制剤は、抗原に対する抗体を産生する体液性または細胞性免疫反応を遮断または低下させる薬剤であり、主に臓器移植後に発生する免疫拒絶反応または骨髄移植後の移植片対宿主病の治療に使用される。また、免疫抑制剤は、ループスや関節リウマチなどの自己免疫疾患;アレルギーやアトピーなどの過剰免疫反応;および炎症性疾患の症状の長期治療にも非常に重要に使用される。
現在使用されている免疫抑制剤は、その作用メカニズムに応じて、コルチコステロイド、代謝拮抗剤、カルシニューリン阻害剤、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害剤、および抗体に分類される。これらは、免疫系のT細胞の増殖または活性化をさまざまな段階でブロックすることによって免疫抑制効果を示す(Dalal, P et al. Int. J. Nephrol. Renovasc. Dis. 3:107-115(2010))。免疫抑制剤の主要な標的であるT細胞は、人体の胸腺で生成され、主に細胞性免疫に関与する1型ヘルパー細胞(Th1)または体液性免疫に関与する2型ヘルパー細胞(Th2)に分化する。2つのT細胞群は互いに過活動にならないようにバランスが取られており、バランスが崩れると自己免疫または過敏症などの異常反応が起こることが知られている。さらに、免疫反応を調節できる免疫制御性T細胞(Treg細胞)またはTh17細胞などの新しいタイプのT細胞が知られている。Th1細胞の活性を調節できるTreg細胞は、異常に活性化された免疫細胞の機能を阻害し、炎症反応を調節する。対照的に、Th17細胞はIL-17を分泌し、炎症反応シグナルを最大化し、それによって疾患の進行を加速化させる。最近、これらのTreg細胞またはTh17細胞が免疫疾患の新たな標的として浮上しており、免疫調節治療剤に関するさまざまな研究が行われている(Wood, K J et al., Nat. Rev. Immunol. 12(6):417-430, 2012; Miossec, P et al., Nat. Rev. Drug Discov. 11(10):763-776, 2012; Noack, M et al., Autoimmun. Rev. 13(6):668-677, 2014)。
一方、移植とは、ある個体から細胞、組織、または臓器(すなわち移植片)を採取し、それらを別の個体に移すプロセスを言う。移植片を提供する個体はドナーと呼ばれ、移植片を受け取る個体はレシピエントまたは宿主と呼ばれる。臓器を移植した場合、移植片の細胞表面にある組織適合抗原(移植された抗原)に対する免疫反応により拒絶反応が起こる。免疫抑制されていないレシピエントにおける移植片の長期生着は、組織適合性が完全にまたはほぼ一致している場合に限定され、したがって、ドナーとレシピエントの間の遺伝的関係は、移植片の生着期間に大きな影響を与える要因である。一般的に、拒絶反応は自家移植および同系移植ではめったに起こらないが、アログラフトでは、ほとんどの場合、拒絶反応が発生する。組織または臓器の移植中、ドナーとレシピエントとの間の遺伝的差異は、宿主免疫系によって容易に検出され、その結果、移植組織に対する宿主の反応(宿主対移植片反応)および/または宿主に対する移植組織の反応(移植片対宿主反応)が生じる。これらの事実は、組織移植および臓器移植でもたらされた拒絶反応によって実証されている(Nash et al.,Blood,80,1838-1845,1992)。また、同種移植組織の拒絶反応は、移植細胞の表面に存在するMHCに対する免疫反応によって活性化されたT細胞によって起こることが報告されている(Benichou et al., J. Exp. Med. 175, 305-308, 1992; Benichou et al., J. Immunol. 162, 352-358, 1998; Fangmann et al., J. Exp. Med. 175, 1521-1529, 1992; Lombardi et al., Proc. Acad. Sci. USA, 86, 4190-4194, 1989)。
これらの移植拒絶反応または移植拒絶疾患を抑制するためにT細胞を非特異的に阻害する免疫抑制剤は、一般に、細胞毒性、免疫低下による感染症、糖尿病、振戦、頭痛、下痢、高血圧、悪心、および腎機能障害などの副作用を伴うため、長期間にわたって治療効果を維持することが困難であるという欠点を有する。したがって、重大な副作用を軽減し、免疫抑制治療効果を高めるために、特に臓器移植の分野において、異なる作用メカニズムを有する免疫抑制剤を併用投与する方法や該免疫抑制剤で代替する方法が試みられている。しかし、免疫抑制剤を併用投与するための最適化された組み合わせまたは治療法はまだ明らかになっていない。
したがって、既存の免疫抑制剤の副作用を軽減し、その治療効果を改善することができる新規な免疫抑制治療法または免疫調節治療法を開発する必要性;およびより安全で副作用の少ない新規な免疫抑制剤候補を発見する緊急の必要性がある。
本発明者らは、化合物SD282とカルシニューリン阻害剤の併用処理が、移植拒絶を抑制し;T細胞の非特異的阻害に由来する副作用を軽減し;また移植後に起こり得る免疫疾患を予防および治療することを見出し、それによって本発明を完成した。
本発明の目的は、1)下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、移植拒絶反応または移植拒絶疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供することである。
また、本発明の別の目的は、1)下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、移植後の免疫抑制のための医薬組成物を提供することである。
本発明の上記の目的を達成するために、本発明は、1)下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、移植拒絶反応または移植拒絶疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
また、本発明は、1)下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、移植後の免疫抑制のための医薬組成物を提供する。
本発明による化合物SD282とカルシニューリン阻害剤の併用投与は、生体内または試験管内のアロジェニックモデル、移植拒絶疾患モデル、皮膚移植モデル、および肝臓移植患者において、1)病原性Th1細胞またはTh17細胞の活性を減少させ、2)Treg細胞の活性を増加させ、3)その単独投与で生じる組織損傷などの副作用に対する阻害効果を有し、4)さまざまな病原性経路を阻害し、5)炎症細胞の細胞死を阻害し、6)ミトコンドリアの活性を増加させ、したがって、従来の免疫抑制剤単独の投与で発生し得る副作用を軽減するとともに、移植拒絶反応を阻害する。したがって、本発明は、移植拒絶反応または移植後に発生し得る様々な免疫障害に関連する薬学の分野で使用できる。
図1は、アロジェニック移植マウスモデルにおいて、SD282+FK506の併用処理によるT細胞増殖反応を3H-チミジン取り込みアッセイで確認することによって得られた結果である。 図2(A)は、アロジェニック移植マウスモデルにおいて、SD282+FK506の併用処理によるT細胞増殖反応をフローサイトメトリー分析で確認することによって得られた結果であり;図2(B)は、そのグラフ結果である。 図3は、アロジェニック移植マウスモデルにおいて、SD282+FK506の併用処理による、病原性Th17細胞の活性に対する阻害効果を確認することによって得られた結果である。 図4は、アロジェニック移植マウスモデルにおいて、SD282+FK506の併用処理による、Treg細胞の活性の増加効果を確認することによって得られた結果である。 図5は、移植片対宿主病(GVHD)動物モデルにおいて、併用投与の効果を確認するための実験方法である。 図6は、移植片対宿主病(GVHD)動物モデルにおいて、SD282およびFK506の併用処理による、GVHDの治療効果を確認することによって得られた結果である。 図7は、移植片対宿主病(GVHD)動物モデルにおいて、SD282およびFK506の併用処理による、GVHDの治療効果を確認することによって得られた結果である。 図8は、移植片対宿主病(GVHD)動物モデル(図8a:肺、肝臓、皮膚;図8b:大腸、小腸、盲腸)において、SD282およびFK506の併用処理による、臓器損傷に対する阻害効果を確認することによって得られた結果である。 図9は、移植片対宿主病(GVHD)動物モデルにおいて、SD282およびFK506の併用処理による免疫細胞調節効果を確認することによって得られた結果である。 図10は、皮膚移植動物モデルにおいて、SD282およびFK506の併用処理による効果を確認するための実験の概略図である。 図11は、皮膚移植動物モデルにおいて、SD282およびFK506の併用処理による、移植片の生存率の増加および皮膚移植後の病因に対する阻害効果を確認することによって得られた結果である。 図12は、皮膚移植動物モデルにおいて、SD282およびFK506の併用処理による、皮膚移植後のバイオマーカーの変化を確認することによって得られた結果である。 図13は、ヒトアロ反応条件下で、SD282およびFK506の併用処理による免疫調節効果を確認することによって得られた結果である。 図14は、ヒトアロ反応条件下で、SD282およびFK506の併用処理による免疫調節効果を確認することによって得られた結果である。 図15は、ヒトアロ反応条件下で、SD282およびFK506の併用処理による免疫調節効果を確認することによって得られた結果である。 図16は、肝臓移植患者の免疫細胞において、SD282およびFK506の併用処理による、免疫細胞マーカーの発現変化を確認することによって得られた結果である。 図17は、肝臓移植患者において、SD282およびFK506の併用処理によりKEGG経路が阻害された結果を示す図である。 図18は、肝臓移植患者において、SD282およびFK506の併用処理による、病原性細胞の調節および遺伝子調節効果を確認することによって得られた結果である(図18a:STAT調節効果;図18b:ミトコンドリア機能回復効果;図18c:炎症性細胞の細胞死に対する調節効果;図18d:細胞移動に対する調節効果)。 図19は、肝臓移植患者において、SD282およびFK506の併用処理による、細胞死に対する阻害効果を確認することによって得られた結果である。 図20は、肝臓移植モデル(図20a:マウス;図20b:ヒト)において、SD282およびFK506の併用処理による、細胞移動に対する阻害効果を確認することによって得られた結果である。 図21は、肝臓移植患者のアバターモデルにおいて、炎症および線維症のレベルを確認することによって得られた結果である。
本発明は、1)下記化学式1で表される化合物(以下、「化合物SD282」という)またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、移植拒絶反応または移植拒絶疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
本発明による化合物SD282とカルシニューリン阻害剤の併用投与は、生体内または試験管内のアロジェニックモデル、移植拒絶疾患モデル、皮膚移植モデル、および肝臓移植患者において、1)病原性Th1細胞またはTh17細胞の活性を減少させ、2)Treg細胞の活性を増加させ、3)その単独投与で生じる組織損傷などの副作用に対する阻害効果を有し、4)さまざまな病原性経路を阻害し、5)炎症細胞の細胞死を阻害し、6)ミトコンドリアの活性を増加させ、7)細胞移動を減少させ、したがって、従来の免疫抑制剤単独の投与で発生し得る副作用を軽減するとともに、様々なタイプの移植拒絶反応を効果的に阻害する。
本発明による化学式1の化合物とカルシニューリン阻害剤との重量比は、1:1ないし5000:1、好ましくは1:1ないし2000:1、1:1ないし1000:1、1:1ないし500:1、1:1ないし300:1、1:1ないし200:1、1:1ないし100:1、1:1ないし50:1、1:1ないし10:1、1:1ないし5:1の範囲であってもよいが、これらに限定されない。
本明細書で使用される、用語「移植拒絶反応」とは、移植後に移植された組織を非自己として認識し、レシピエントの免疫系が移植された組織または臓器を攻撃して除去する反応を意味する。移植拒絶反応に関与する最も重要な因子は、主要組織適合性複合体(MHC)であり、マイナー組織適合性複合体も関連していることが知られている。細胞性免疫反応と体液性免疫反応の両方が拒絶反応に関与する。細胞性反応は、レシピエントのリンパ球とドナーのMHCとの遭遇によって、CD4T細胞タイプIIMHC分子またはCD8T細胞タイプIMHC分子により引き起こされる。活性化したT細胞は、サイトカインを分泌し、血管透過性を増加させ、マクロファージなどの単球の浸潤を引き起こし、それによって微小血管の損傷、組織虚血、および移植された組織と細胞の破壊をもたらす。
本明細書で使用される、用語「化合物SD282」とは、韓国特許第10-1613371号で知られており、下記の化学式1で表される化合物を意味し、その薬学的に許容される塩を含んでもよい。
<化学式1>
Figure 2022513590000002
本明細書で使用される、用語「カルシニューリン阻害剤」とは、Tリンパ球においてmRNAの形成を干渉することによってIL-2の生成を阻害する一種の免疫抑制剤を意味し、代表的にシクロスポリン(化学式2の左の化合物)およびFK-506(タクロリムス;化学式2の右の化合物)を含む。
<化学式2>
Figure 2022513590000003
本明細書で使用される、用語「FK-506」とは、ストレプトマイセス・ツクバエンシスから単離された化合物を意味する。FK-506は、シクロスポリンとは構造的に異なるが、シクロスポリンの作用メカニズムと同様にTリンパ球を抑制し、免疫抑制機能を示す。FK-506は、シクロスポリンの10倍ないし100倍の効能を有することが知られている。
カルシニューリンは、免疫系のT細胞だけでなく他の細胞および組織でも発現するため、シクロスポリンまたはタクロリムスのカルシニューリンに対する阻害作用は、免疫抑制以外にもさまざまな副作用を引き起こす(Liu、EH et al、Nat Immunol 8(1):25-30、 2007)。免疫抑制剤の副作用は、長期間安定的で、成功的な臓器移植、および移植を受けた患者の生存率に深刻な影響を与える。さらに、上記の副作用は、免疫抑制を必要とする、臓器移植以外の疾患の治療においても大きな問題となる。カルシニューリン免疫抑制剤の副作用の中でも、急性および慢性の腎毒性が特に重要である(Naesens、M et al、Clin J Am Soc Nephrol 4(2):481-508,2009)。カルシニューリン免疫抑制剤によって誘発される腎毒性は、尿細管の空胞化、間質性線維症、および細動脈の硝子化などの腎臓組織の組織学的変化を示し;有効な腎血流量および糸球体濾過量の低下などの腎機能の低下を示す。
本発明の実施形態において、上記カルシニューリン免疫抑制剤の副作用、すなわち、Treg細胞を阻害し、病原性Th17細胞を増加させる副作用を低減するために、化合物SD282をカルシニューリン免疫抑制剤FK-506と組み合わせて併用処理した。その結果、前記併用処理が、生体内および試験管内でTreg細胞を増加させ、病原性Th17細胞を減少させることによって、カルシニューリン免疫抑制剤の副作用を軽減することが確認された。
移植拒絶反応は、細胞、血液、組織、および臓器からなる群から選択される1種以上の移植拒絶反応である。好ましくは、前記移植拒絶反応は、骨髄移植拒絶反応、心臓移植拒絶反応、角膜移植拒絶反応、腸移植拒絶反応、肝臓移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、膵臓移植反応、腎臓移植拒絶反応、および皮膚移植拒絶反応からなる群から選択される1種以上であるが、これに限定はされない。
本発明において、移植拒絶疾患は、移植片対宿主病(GVHD)を含むが、移植拒絶反応に関連する疾患で、SD282単独、FK-506単独またはこれらの組み合わせで治療される疾患であれば、これに限定はされない。
さらに、本発明は、移植後の免疫疾患を治療するために使用されてもよい。前記免疫疾患は、自己免疫疾患または炎症性疾患を含んでもよい。
自己抗原に対する生体の無反応は、免疫学的無反応または免疫寛容と呼ばれる。本明細書で使用される、用語「自己免疫疾患」とは、自己免疫寛容の誘導または維持に問題があるために、自己抗原に対する免疫反応によって自分の組織を攻撃する現象により引き起こされる疾患を意味する。
本明細書で使用される、用語「炎症性疾患」とは、炎症誘導因子や放射線照射などの有害な刺激に起因して免疫システムの過剰な亢進が起こった結果、免疫細胞(例えばマクロファージ)から炎症性物質(炎症性サイトカイン)が分泌され、その炎症性物質によって引き起こされる疾患を意味し、炎症性物質(炎症性サイトカイン)としては、TNF-α(腫瘍壊死因子-α)、IL-1(インターロイキン-1)、IL-6、プロスタグランジン、ロイコトリエン、一酸化窒素(NO)などが挙げられる。
前記免疫疾患は、関節リウマチ、ベーチェット病、多発性筋炎または皮膚筋炎、自己免疫性血球減少症、自己免疫性心筋炎、アトピー性皮膚炎、喘息、原発性肝硬変、皮膚筋炎、グッドパスチャー症候群、自己免疫性髄膜炎、シェーグレン症候群、ループス、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性耳下腺炎、クローン病、インスリン依存性糖尿病、栄養障害型表皮水疱症、副睾丸炎、糸球体腎炎、バセドウ病、ギラン・バレー症候群、橋本病、溶血性貧血、多発性硬化症、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、乾癬、リウマチ熱、類肉腫症、強皮症、脊椎関節症、甲状腺炎、血管炎、白斑症、粘液水腫、悪性貧血、ミトコンドリア関連疾患および潰瘍性大腸炎が挙げられるが、これらに限定されない。
前記組成物は、T細胞の増殖を阻害することができる。また、前記組成物は、未分化T細胞のTh1細胞もしくはTh17細胞への分化またはTh1細胞もしくはTh17細胞の活性を減少させることができる。
また、前記組成物は、未分化T細胞のTreg細胞への分化およびTreg細胞の活性を増加させるが、これらに限定されない。
Th1細胞への分化に関する最近の研究によれば、新しい集団、すなわち、Th1細胞の活性を調節する制御性T細胞(Treg細胞)の存在が見出されており、これに伴って、Tregを用いた免疫疾患の治療に関する研究が実施され始めている。Treg細胞は、異常に活性化された免疫細胞の機能を抑制して炎症反応を調節するという特性を有するため、Treg細胞の活性を増強することによって免疫疾患を治療することができる。
Treg細胞に加えて、分化過程においてTh17細胞が別のグループとして形成される。Th17細胞は、Treg細胞と類似した分化プロセスによって、未分化T細胞からの分化過程において形成されることが知られている。すなわち、Treg細胞およびTh17細胞への分化はいずれもTGF-βの存在下で行われる。しかし、Treg細胞への分化にはIL-6は必要とされないが、Th17細胞への分化はTGF-βおよびIL-6の両方の存在下で行われる。分化したTh17細胞はIL-17の分泌を特徴とする。
Th17細胞は、Treg細胞とは異なり、免疫疾患に見られる炎症反応の最前線に関与して、炎症反応のシグナルを最大化させ、その結果、免疫疾患の進行を加速させることが明らかとなっている。したがって、Treg細胞の制御を受けない自己免疫疾患の場合、Th17細胞活性の抑制を標的とする免疫疾患の治療剤の開発が大いに注目を集めている。
本明細書で使用される、免疫反応に関与する細胞である用語「T細胞」とは、特定の細胞表面マーカーを発現するT細胞集団を言う。
ヒトは様々な組織適合抗原を有し、例えば、HLA-A、HLA-B、HLA-CなどのクラスI抗原;およびHLA-DR、HLA-DP、HLA-DQなどのクラスII抗原を有する。これらの抗原は、Tリンパ球に抗原を伝達することを生物学的機能とする。クラスI抗原は有核細胞の大部分で発現されており、クラスI抗原によって伝達された抗原は、CD8+細胞傷害性Tリンパ球によって認識される。クラスII抗原は、抗原提示細胞として知られている樹状細胞、Bリンパ球、活性化されたTリンパ球、マクロファージなどに発現されており、CD4+Tリンパ球に抗原を伝達する。Tリンパ球は、Tリンパ球に伝達された抗原に受容体を介して結合することによって該抗原を認識する。移植の過程では、Tリンパ球は、自分自身の組織適合抗原よりも他者に由来する組織適合抗原を高頻度に認識する。ドナーまたは患者の全Tリンパ球中1%~10%のTリンパ球が、患者またはドナー由来の組織適合抗原を認識し、これに応答して増殖し、一連の免疫応答を引き起こす。これを「アロ反応」と呼ぶ。
本発明の医薬組成物は、アジュバントをさらに含んでもよい。当技術分野で知られているアジュバントのいずれも、制限なしに使用してもよい。例えば、フロイントの完全アジュバントまたは不完全アジュバントが、免疫効果を高めるためにさらに含まれていてもよい。
本発明による医薬組成物は、活性成分が薬学的に許容可能な担体に組み込まれた形態で製造されてもよい。薬学的に許容可能な担体には、薬学分野で通常使用されている担体、賦形剤、および希釈剤が含まれる。本発明の医薬組成物に使用できる薬学的に許容可能な担体としては、乳糖、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物は、通常の方法にしたがって、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エアロゾル剤などの経口剤形、外用製剤、坐剤、または無菌注射剤の形態に製剤化して使用してもよい。
本発明の組成物を製剤化する場合、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、および界面活性剤などの通常使用される希釈剤または賦形剤を使用して調製してもよい。経口投与用の固形製剤には、錠剤、丸薬、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、これらは、有効成分をデンプン、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどの少なくとも1種の賦形剤と混合することによって調製してもよい。賦形剤に加えて、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクなどの潤滑剤を使用してもよい。経口投与用の液体製剤には、懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤などが含まれ、これらは、湿潤剤、甘味料、香料、防腐剤などの様々な賦形剤、ならびに水および液体パラフィンなどの通常使用される希釈剤を含んでもよい。非経口投与用の製剤には、滅菌水性液剤、非水性液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、および坐剤が含まれる。非水性溶媒または懸濁化剤として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能なエステルを使用してもよい。坐剤のベースとして、ウィテプソル、ツイーン61、カカオバター、ラウリンバター、グリセロゼラチンなどを使用してもよい。
本発明による医薬組成物は、様々な経路を介して対象に投与してもよい。任意の投与様式が期待できるため、前記組成物は、経口投与、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、および腹腔内注射によって投与してもよい。
本発明による医薬組成物の投与量は、対象の年齢、体重、性別、および身体状態を考慮して選択される。医薬組成物中の有効成分の濃度は、対象に応じて様々な方法で選択できることは明らかである。好ましくは、有効成分は、医薬組成物中、0.01ないし5,000μg/mlの範囲の濃度で存在してもよい。濃度が0.01μg/ml未満の場合、薬理活性が現れない場合があり;濃度が5,000μg/mlを超える場合、人体への毒性が生じる可能性がある。
本発明の医薬組成物において、有効成分として含まれるカルシニューリン阻害剤の薬学的に有効な量は、シクロスポリンの場合は1ないし5mg/日/kg体重、タクロリムスの場合は0.01ないし0.1mg/日/kg体重、メトホルミンの場合は5ないし35mg/日/kg体重である。しかし、薬学的に有効な量は、疾患およびその重症度、患者の年齢、体重、健康状態、性別、投与経路、および治療期間などの様々な要因に応じて適切に変更してもよい。
また、本発明は、1)化学式1で表される化合物(以下、「化合物SD282」という)またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、移植後の免疫抑制のための組成物を提供する。
また、本発明は、試験管内で未分化T細胞を1)化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩で処理することにより、未分化T細胞のTh1細胞もしくはTh17細胞への分化またはTh1細胞もしくはTh17細胞の活性を減少させる方法を提供する。
また、本発明は、試験管内で未分化T細胞を1)化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩で処理することにより、未分化T細胞のTreg細胞への分化およびTreg細胞の活性を増加させる方法を提供する。
また、本発明は、移植拒絶反応または移植拒絶疾患の予防または治療を必要とする対象に、有効成分として薬学的に有効な量の1)化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、移植拒絶反応または移植拒絶疾患を予防または治療するための方法を提供する。さらに、本発明は、移植後の免疫抑制を必要とする対象に、有効成分として薬学的に有効な量の1)化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、移植後の免疫抑制のための方法を提供する。
本発明の医薬組成物は、治療的に有効な量または薬学的に有効な量で投与される。用語「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な利益/リスク比で疾患を治療するのに十分な量を言う。有効量レベルは、個体の種別と重症度、年齢、性別、薬物の活性、薬物に対する感受性、投与時間、投与経路と排泄率、治療期間、併用薬、および医療分野でよく知られている他の要因を含む、さまざまな要因に従って決定してもよい。
以下、実施例により本発明についてさらに詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
実施例1:試験方法
1-1:試験管内のシンジェニック移植モデルまたはアロジェニック移植モデル
In vitro実験として、正常なレシピエント(Balb/c、レスポンダー)由来のCD4+T細胞(2×10個)を、96ウェル丸底プレートの各ウェルに注入した。その後、シンジェニック移植のために、放射線を照射した正常なレシピエント由来のT細胞除去の脾細胞(2×10個)を各ウェルに加え、混合培養した。アロジェニック移植のために、ドナー(C57BL/6、スティミュレーター)由来のT細胞除去の脾細胞を各ウェルに加え、混合培養した。
1-2:急性移植片対宿主病(aGVHD)動物モデル
aGVHDモデルを作製するために、レシピエントマウスBalb/c(H-2k/d)に800cGyで全身照射(TBI)を行った。ドナーマウスC57BL/6(H-2k/b)の大腿骨と脛骨から造血幹細胞と脾細胞を採取した。造血幹細胞(5×10)と脾細胞(1×10)をレシピエントマウスBalb/c(H-2k/d)に移植した。aGVHDの発症後、各薬物を経口投与して、疾患に対する調節効果を分析した。
1-3:皮膚移植動物モデル
皮膚移植動物モデルを作製するために、レシピエントマウスBalb/c(H-2k/d)に、皮膚移植の3日前から、薬物を注射した。ドナーマウスC57BL/6(H-2k/b)の皮膚から1cm以下の皮膚片を切り取り、皮膚片の端が丸まらないように真っ直ぐにして、BALB/Cマウスに移植した。移植後の経過を観察して、拒絶反応の有無を確認した。各薬物の注射濃度は、SD282は50mg/kg、FK506は10mg/kgであった。
実施例2:マウス細胞における、SD282単独、FK506単独、またはこれらの組み合わせの処理によるT細胞増殖の評価
SD282単独、FK506単独またはこれらの組み合わせの処理によるT細胞増殖を評価するために、実施例1-1の未処理のシンジェニック群および未処理のアロジェニック群を対照として使用した。アロジェニックモデルを、50μM、250μM、および500μMのSD282単独、または1nMおよび5nMのFK506単独で処理した。また、FK506(1nMおよび5nM)とSD282(250μM)をそれぞれ組み合わせて処理した。処理後、各群を4日間培養した後、3H-チミジン取り込み法、CFSEアッセイ法、またはフローサイトメトリー法に従って、培養細胞中のT細胞増殖を観察することによってアロ反応を評価した。
図1aに示すように、未処理のアロジェニック群ではT細胞増殖は阻害されなかったが、250μM以上のSD282単独で処理した場合、T細胞増殖が有意に阻害されることが確認された。また、図1bに示すように、FK506単独で処理した群での阻害は効果がなく、未処理群と同様であることが確認された。しかし、SD282とFK506を組み合わせて処理すると、アロジェニックT細胞の増殖が有意に抑制されることが確認された。
また、図2aおよび図2bに示すように、未処理のアロジェニック群ではT細胞増殖は抑制されなかったが、SD282単独処理群またはFK506単独処理群ではT細胞増殖が抑制され、SD282とFK506を組み合わせて処理した群ではT細胞増殖がより効果的に阻害されることが確認された。
さらに、SD282とFK506の併用処理による相乗効果を評価するために、組み合わせ指数(CI)値(薬物処理)を計算した。CI値は下記式で求めた。1以下の値は2つの薬物の組み合わせの間に相乗効果があることを意味し、1以上の値は2つの薬物の組み合わせの間に拮抗効果があることを意味する。
その結果、本発明のSD282とFK506の併用処理によるCI値は、0.6(すなわち、1未満)であり、優れた相乗効果を示すことが確認された。
[式1]
CI=(D併用)1/(D単独)1 +(D併用)2/(D単独)2
実施例3:マウス細胞における、SD282およびFK506の組み合わせの処理によるTh17細胞またはTreg細胞の活性の評価
3-1:病原性Th17細胞に対する抑制効果の評価
T細胞反応はTh17(Tヘルパー17細胞)/IL-17(インターロイキン17)の活性を調節し、IL-17は炎症性サイトカインとして分類される。実施例2では、T細胞は、SD282とFK506の単独または組み合わせの処理によって効果的に阻害されることが確認された。ここでは、SD282とFK506の単独処理または併用処理による、炎症性サイトカインに対する阻害活性を評価した。実施例1-1の未処理のシンジェニック群および未処理のアロジェニック群を対照として使用した。アロジェニックモデルを、50μM、250μM、および500μMのSD282単独、または1nMおよび5nMのFK506単独で処理した。また、FK506(1nMおよび5nM)とSD282(250μM)をそれぞれ組み合わせて処理した。処理後、各群を4日間培養した後、抗CD3(0.1μg/ml)で刺激した。IL-17+CD4+T細胞およびIL-17に対する阻害効果は、ELISA法に従って培養Th17細胞を分析することにより評価した。Fox3+Treg細胞の増殖は、Treg細胞の分析により評価した。
図3に示すように、FK506単独で処理した群では、対照群、すなわち、抗CD3処理群と同様に、病原性Th17細胞の増殖に対する効果的な阻害は確認されなかった。これはFK506単独の処理が炎症性サイトカインIL-17の活性を効果的に阻害しなかったことを意味する。一方、IL-17+CD4+T細胞(%)およびIL-17の活性は、SD282単独およびFK506単独で処理することにより阻害され、これらを併用して処理することによりさらに有意に阻害されることが確認された。
3-2:Treg活性増加の評価
実施例1-1のアロジェニックモデルを、20μMおよび500μMのSD282単独、または1nMおよび5nMのFK506単独で処理した。また、FK506(1nMおよび5nM)とSD282(250μM)をそれぞれ組み合わせて処理した。Th17細胞への分化を誘導するために、単離したT細胞を、Th17細胞分化の条件下で4日間培養した。その後、Th17細胞分化の条件下でも、各処理群においてTreg細胞活性が誘導されるかどうかを評価するために、Foxp3 Treg細胞をフローサイトメトリーによって分析し、そのアロジェニック反応を評価した。
図4に示すように、FK506単独で処理した群では、対照群、すなわち、抗CD3処理群と同様に、Treg細胞の増殖の増加は確認されなかった。一方、SD282単独、FK506単独、SD282とFK506の併用で処理した群ではTreg細胞が有意に増加していることが確認された。
したがって、前記の併用投与は、病原性Th17細胞の活性を低下させる効果だけでなく、Treg細胞の活性を増加させる効果も有することが確認された。
実施例4:急性移植片対宿主病(GVHD)動物モデルにおける、SD282およびFK506の組み合わせの処理による治療効果の評価
4-1:SD282とFK506の併用処理によるGVHDマウスモデルの変化
図5に示すような実験を、実施例1-2のGVHD動物モデルで実施した。GVHDの発症後、50mg/kgもしくは100mg/kgのSD282を単独で、または10mg/kgのFK506を単独で投与した。また、10mg/kgのFK506と50mg/kgまたは100mg/kgのSD282をそれぞれ経口で併用投与した。その後、GVHDマウスモデルにおいて、体重(g)、体重の変化率(%)、および体重の変化率のスコア(%)を評価した。
図6に示すように、SD282およびFK506を組み合わせて処置したGVHDマウスモデル群においては、正常な体重が維持された。また、アロジェニック移植による移植拒絶反応の誘発に伴う体重減少率(%)は、SD282単独投与群またはFK506単独投与群と比較して、著しく低いことが確認された。体重の変化率とそのスコア(%)は、シンジェニック群と同様であった。したがって、GVHDマウスモデルにおいて、前記薬物がGVHD治療効果を示すことが確認された。
さらに、20mg/kg、50mg/kg、または100mg/kgのSD282を単独で投与した群、2mg/kgまたは10mg/kgのFK506を単独で投与した群、および50mg/kgのSD282+2mg/kgまたは10mg/kgのFK506を組み合わせて投与した群の疾患スコアを、GVHDマウスモデルで評価した。
図7aに示すように、組み合わせて投与した群の疾患スコアは、SD282を単独で投与した群の疾患スコアと比較して低いことが確認された。また、図7bに示すように、組み合わせて投与した群の疾患スコアは、FK506を単独で投与した群の疾患スコアと比較して低いことが確認された。
また、式1に従ってCI値を算出した結果、SD282とFK506を組み合わせた場合のCI値は0.7であり、相乗効果を示すことが確認された。
4-2:SD282とFK506の併用処理による組織細胞浸潤と組織損傷の抑制に関する評価
図5に示すような実験を、実施例1-2のGVHD動物モデルで実施した。GVHDの発症後、50mg/kgのSD282単独、または10mg/kgのFK506単独で処理した。また、10mg/kgのFK506と50mg/kgのSD282をそれぞれ経口で併用投与した。その後、GVHDの治療効果を、皮膚、肺、肝臓、大腸、小腸、盲腸において疾患の重症度を示す組織学的スコアにより評価した。
図8aに示すように、皮膚、肺および肝臓の組織学的スコアは、FK506単独で処理した群と比較して、SD282およびFK506を組み合わせて処理した群では低いことが確認された。また、図8bに示すように、小腸、大腸、盲腸の組織学的スコアも低いことが確認された。
したがって、SD282とFK506を併用して処理した群では、炎症細胞の組織への侵入とGVHDによる組織損傷が抑制されていることが観察された。
4-3:SD282単独、FK506単独、またはこれらの組み合わせの処理によるTh17細胞およびTh1細胞の活性の評価
サイトカインIFN-γ(インターフェロン-γ)を分泌するTh1細胞(Tヘルパー1細胞)、サイトカインIL-4(インターロイキン4)を分泌するTh2細胞(Tヘルパー2細胞)、サイトカインIL-17(インターロイキン17)を分泌するTh17細胞(Tヘルパー17細胞)、およびFoxp3転写因子を発現するTreg細胞の活性を評価した。具体的には、図5に示すように、実施例1-2のGVHD動物を、GVHDの発症後に、50mg/kgのSD282単独または10mg/kgのFK506単独で処理した。また、10mg/kgのFK506と50mg/kgのSD282をそれぞれ経口で併用投与した。その後、それぞれの細胞およびサイトカインの活性を評価した。
図9aに示すように、組み合わせて処理した群では、IFN-γ陽性CD4+T細胞(%)およびIL-17陽性CD4+T細胞(%)が有意に減少し、Th1細胞およびTh17細胞の発現が抑制されていることが確認された。また、組み合わせて処理した群では、IL-4陽性CD4+T細胞(%)およびFoxp3+Treg細胞(%)が有意に増加し、Th2細胞およびTreg細胞の発現が増加していることが確認された。
図9b~図9dに示すように、組み合わせて処理した群では、STAT3細胞、IL-17陽性細胞、およびIFN-γ陽性細胞の数が減少し、炎症性サイトカインに対して優れた抑制効果を示すことが確認された。また、Foxp3+Treg細胞が著しく増加していることがわかる。
したがって、本発明によるSD282とFK506の併用処理は、生体内で優れた免疫調節能を有し、したがってGVHDに対する治療効果を有することが確認された。
実施例5:皮膚移植動物モデルにおける、SD282およびFK506の組み合わせの処理による移植拒絶反応の評価
5-1:SD282単独、FK506単独、またはこれらの組み合わせの処理による皮膚移植拒絶反応の抑制に関する評価
皮膚移植後の拒絶反応を評価するために、実施例1-3の皮膚移植動物モデルを使用して、図10aおよび図10bに示す手順に従って、実験を実施した。皮膚移植後、50mg/kgのSD282を単独で、または10mg/kgのFK506を単独で投与した。また、10mg/kgのFK506と50mg/kgのSD282をそれぞれ経口で併用投与した。その後、表皮の厚さを測定して、移植された皮膚組織の生着レベルを評価し、続いてH&E(ヘマトキシリンおよびエオシン)染色で分析した。
図11に示すように、SD282とFK506を組み合わせて処理した群の移植片の表皮の厚さは、対照群より薄く、優れた皮膚組織生着および移植された皮膚組織への低い損傷を示した。したがって、移植片の生存率が増加し、炎症性細胞浸潤が減少し、それにより病因が阻害されることが確認された。
5-2:SD282単独、FK506単独、またはこれらの併用処理による免疫活性の調節能の評価
Th17細胞のサイトカインIL-17分泌、Foxp3転写因子を発現するTreg細胞の活性、およびSTAT3を調節する能力を評価するために、上記実施例と同じ条件で、皮膚動物モデルでの皮膚移植後21日目に移植部位を摘出して、組織中のSTAT3、リン酸化STAT3(pSTAT3(Tyr705)およびpSTAT3(Ser727))、IL-17およびFoxp3の活性レベルを評価した。
図12aおよび図12bに示すように、SD282およびFK506を組み合わせて処理した群において、STAT3、リン酸化STAT3(pSTAT3(Tyr705)およびpSTAT3(Ser727))、およびIL-17の発現が、SD282を単独で、またはFK506を単独で投与した群と比較して有意に低いことが確認された。また、Foxp3の発現が増加していることも確認され、SD282とFK506の併用処理が免疫活性を調節する優れた能力を持っていることが示唆された。
したがって、本発明によるSD282およびFK506の併用処理は、生体内で移植動物モデルの移植拒絶を阻害することが確認された。
実施例6:正常なヒト細胞における、SD282単独、FK506単独、またはこれらの併用処理によるT細胞増殖の評価
正常なヒトPBMC(末梢血単核細胞、PBMC)において、SD282単独処理、FK506単独処理、またはこれらの併用処理によるT細胞増殖を評価するために、混合白血球反応(MLR)およびCFSE(カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル)染色を行った。未処理のシンジェニック群および未処理のアロジェニック群を対照として使用した。アロジェニックモデルを、50μM、250μM、および500μMのSD282単独、または1nMおよび5nMのFK506単独で処理した。また、FK506(1nMおよび5nM)とSD282(250μM)をそれぞれ組み合わせて処理した。処理後、各群を4日間培養した後、3H-チミジン取り込み法またはフローサイトメトリー法に従って、培養細胞中のT細胞増殖を観察することによってアロ反応を評価した。
図13aに示すように、未処理のアロジェニック群ではT細胞増殖は阻害されなかったが、50nM以上のSD282単独で処理した場合、対照群と比較して、T細胞増殖が抑制されることが確認された。また、図13bに示すように、FK506単独で処理した群での阻害は効果がなく、未処理群と同様であることが確認された。しかし、SD282単独の処理およびSD282とFK506の組み合わせの処理は、アロジェニックT細胞の増殖を有意に阻害することが確認された。
実施例7:正常なヒト血液細胞における、SD282単独、FK506単独、またはこれらの組み合わせによる処理による、炎症性サイトカインの活性に対する阻害に関する評価
正常なヒト末梢血細胞(PBMC)において、SD282単独、FK506単独、またはこれらの組み合わせによる処理による、炎症性サイトカインの活性に対する阻害を評価するために、未処理のシンジェニック群および未処理のアロジェニック群を対照として使用した。アロジェニックモデルを、50μM、250μM、および500μMのSD282単独、または1nMおよび5nMのFK506単独で処理した。また、FK506(1および5nM)とSD282(250μM)をそれぞれ組み合わせて処理した。処理後、各群を4日間培養した後、ELISA法に従って、培養細胞中のIL-17、IFN-γおよびTNF-αに対する阻害効果を評価してアロ反応を評価した。
図14および図15に示すように、IL-17、IFN-γ、およびTNF-αの活性は、FK506単独で処理した群に比べて、SD282単独で処理した群およびSD282とFK506を組み合わせて処理した群で、より有意に阻害されることが確認された。
実施例8:肝臓移植患者における併用投与による効果の評価
8-1:併用投与による免疫細胞マーカーの変化の評価
肝臓移植患者の血液からフィコールを用いて、末梢血細胞(PBMC)を分離した。PBMCを、TCR刺激の条件下で(CD3刺激下で)、250μMのSD282単独、5nMのFK506単独、およびこれらを組み合わせて処理した。4日間培養した後、免疫細胞のサブタイプをフローサイトメトリーで分析して、Treg細胞の活性がそれぞれの薬物処理によって誘導されたかどうかを評価した。
図16aおよび図16bに示すように、SD282およびFK506を組み合わせて処理した群では、免疫制御性サブタイプ細胞(CD4+Treg細胞、CD8+Treg細胞、形質細胞様樹状細胞)の増加が確認され、また移植拒絶反応に関連する免疫細胞サブタイプ(セントラルメモリーTh17細胞、移行期B細胞、血漿B細胞)の減少が確認された。
8-2:併用投与によるKEGG経路と遺伝子調節の分析
肝臓移植患者の末梢血細胞(PBMC)において、薬物処理による免疫細胞調節に関連するシグナル因子の変化を調査するために、PBMCを、TCR刺激の条件下(CD3刺激下)で、250μMのSD282単独、5nMのFK506単独、およびこれらを組み合わせて処理した。48時間培養した後、Macrogen、Inc.でマイクロアレイ解析を行った。
図17に示すように、肝臓移植患者で亢進する様々な経路が、SD282の処理によって阻害されることが確認された。また、SD282とFK506の併用により、ケモカインシグナル伝達経路やIL-17シグナル伝達経路などの病因関連シグナルが有意に低下することが確認された。
上記の条件下でどのような遺伝子が実際に増加または減少したかを分析した結果、併用投与は、SD282単独投与と比較して、STAT3経路に対してより優れた阻害効果を示すことが図18aから確認された。図18bに示すように、併用投与は、SD282単独投与と比較して、ミトコンドリア機能のより優れた回復効果を示すことが確認された。図18cに示すように、併用投与は、SD282単独投与と比較して、炎症性細胞の細胞死に対してより優れた阻害効果を示すことが確認された。また、図18dに示すように、併用投与は、SD282単独投与と比較して、細胞移動に対してより優れた阻害効果を示すことが確認された。
さらに、図19に示すように、併用投与は、SD282単独投与と比較して、免疫細胞の細胞死に対してより優れた阻害効果を示すことが確認された。
8-3:肝臓移植患者における、病原性細胞移動の調節効果に関する評価
マウスおよび肝臓移植患者の免疫細胞を各薬剤で48時間処理した後、細胞を回収して移動アッセイを行った。2×10個の細胞を上部トランスウエルにロードし、下部チャンバーでsDF-1で処理または処理せずに、2時間インキュベートした。2時間後、移動した細胞の数を数えた。
図20aおよび図20bに示すように、併用処理群は、SD282単独で処理した群と比較して、細胞移動に対してより優れた阻害効果を示すことが確認された。
実施例9:肝臓移植患者のアバターモデルにおける有効性の評価
9-1:肝障害を有するヒト化マウスモデルの作製
肝障害を有するヒト免疫系を備えたヒト化マウスモデル(アバターモデル)を構築するために、ヒト由来のPBMC(末梢血単核細胞)をNSGマウスに静脈内注射した後、肝星細胞株を静脈内注射した。CClを注入して、肝障害(肝線維症)を誘発した。具体的には、正常な被験者に由来するPBMCまたは肝疾患を有する患者(HBV誘発性肝硬変患者またはアルコール性肝硬変患者)に由来するPBMCをNSGマウスに静脈内注射した。1日後、肝星細胞株およびCClを静脈内注射した。20日後にヒト細胞の生着を確認し、39日後にマウスを犠牲にして組織分析を行った。
9-2:肝障害を有するマウスモデルにおける炎症または線維症の評価
正常な被験者または肝臓移植患者に由来する血液の注射と共にCCl注射によって肝障害を誘発させたモデル(9-1で作製)では、正常な被験者に比べて、移植患者に由来する血液によって炎症および線維症がより誘発される。単独の処理または組み合わせの処理における炎症および線維症のレベルを評価した。
図21aおよび図21bに示すように、前記の組み合わせの処理は、SD282単独の処理と比較して、炎症および線維症が有意に減少していることが確認された。

Claims (11)

  1. 1)下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、移植拒絶反応または移植拒絶疾患を予防または治療するための医薬組成物。
    <化学式1>
    Figure 2022513590000004
  2. 前記カルシニューリン阻害剤が、FK506(タクロリムス)またはシクロスポリンである、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記移植拒絶反応が、細胞、血液、組織および器官からなる群から選択される1種以上の移植拒絶反応である、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 前記移植拒絶反応が、骨髄移植拒絶反応、心臓移植拒絶反応、角膜移植拒絶反応、腸移植拒絶反応、肝臓移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、膵臓移植反応、腎臓移植拒絶反応、および皮膚移植拒絶反応からなる群から選択される1種以上である、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 前記移植拒絶疾患が、移植片対宿主病(GVHD)である、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 前記組成物が、T細胞の増殖を阻害する、請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 前記組成物が、未分化T細胞のTh1細胞もしくはTh17細胞への分化またはTh1細胞もしくはTh17細胞の活性を減少させる、請求項1に記載の医薬組成物。
  8. 前記組成物が、未分化T細胞のTreg細胞への分化およびTreg細胞の活性を増加させる、請求項1に記載の医薬組成物。
  9. 1)下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、および2)カルシニューリン阻害剤またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、移植後の免疫抑制のための医薬組成物。
    <化学式1>
    Figure 2022513590000005
  10. 移植拒絶反応または移植拒絶疾患を予防または治療するための方法であって、移植拒絶反応または移植拒絶疾患の予防または治療を必要とする対象に、薬学的に有効な量の請求項1に記載の組成物を投与することを含む方法。
  11. 移植後の免疫抑制のための方法であって、移植後の免疫抑制を必要とする対象に、薬学的に有効な量の請求項9に記載の組成物を投与することを含む方法。
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