JP2022513091A - 低反り強化物品および同低反り強化物品を製造するための非対称イオン交換法 - Google Patents

低反り強化物品および同低反り強化物品を製造するための非対称イオン交換法 Download PDF

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Abstract

複数のイオン交換可能なアルカリ金属イオンと、第1の主面と、第2の主面とを備える、ガラス組成物、ガラスセラミック組成物またはセラミック組成物を有する物品を準備するステップと、第1の主面上にSiO2含有膜を形成するステップであって、SiO2含有膜は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有する、SiO2含有膜を形成するステップと、第2の主面と一体のアンチグレア表面を形成するステップと、イオン交換可能なアルカリ金属イオンのサイズよりも大きなサイズをそれぞれ有する複数のイオン交換するアルカリ金属イオンを有する第1のイオン交換浴を準備するステップと、強化物品を形成するために、物品を第1のイオン交換浴中に第1のイオン交換温度および第1のイオン交換時間で浸漬するステップとを含む、強化物品の製造方法。さらに、強化物品は、第1の主面と第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域を有する。

Description

関連出願
本願は、米国特許法第119条のもと、2018年11月22日に出願された中国特許出願第201811397677.8号の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
本開示は、概して、低反り強化物品およびこの物品を製造する方法、より詳細には、多様な光学物品において使用される強化ガラス基板、強化ガラスセラミック基板および強化セラミック基板を製造する非対称イオン交換法に関する。
化学強化されたイオン交換ガラス基板に基づく保護ディスプレイカバーは、コンシューマー電子機器(例えばスマートフォン、スレート、タブレット、ノートブック、電子書籍リーダー等)、自動車、内装アーキテクチャ、防衛、医療および包装を含む幾つかの工業において使用される。これらのディスプレイカバーの多くは、Corning(登録商標)Gorilla Glass(登録商標)製品を使用し、この製品は耐損傷性、耐引掻き性および落下性能を含む優れた機械特性を提供する。これらの優れた機械特性を提供するために、製造方法として、ガラス基板、ガラスセラミック基板およびセラミック基板中のアルカリ金属イオンのイオン交換による化学強化が工業において長年使用されてきた。標的とされる機械特性を提供するために、これらのイオン交換法により、用途に応じて、深さの関数としての圧縮応力の応力分布を標的とすることができる。
従来のイオン交換強化プロセスでは、ガラス基板、ガラスセラミック基板またはセラミック基板を溶融化学塩と接触させて、基板内の比較的小さなイオン直径のアルカリ金属イオンが、化学塩内の比較的大きなイオン直径のアルカリ金属イオンとイオン交換される。この比較的大きなアルカリ金属イオンが基板内に組み込まれると、基板内に組み込まれたイオンの付近に圧縮応力が発生し、強化効果が提供される。基板の典型的な欠陥モードは、引張応力に関連するため、比較的大きなアルカリ金属イオンの組み込みにより生成される付加的な圧縮応力は、適用された引張応力を相殺するために役立ち、強化効果をもたらす。
これらのイオン交換強化プロセスに関連する技術的難題の1つは、強化基板の反りである。特に、基板の反りは、イオン交換プロセスが基板の2つの主面の間で非対称な様式で生じる場合に、イオン交換プロセス中にまたはその後で生じることがある。基板形状、基板表面、基板上の被覆および膜、アルカリ金属イオンの拡散性、塩浴中のアルカリ金属イオンおよび他の要因と関係するこの標的基板の非対称性は、標的基板の観察された反りの大きさおよび程度に影響を与えることがある。
この工業において、反りを管理するための多様なアプローチが使用される。一般に、これらのアプローチは、ディスプレイ用途で使用されるガラス基板、ガラスセラミック基板およびセラミック基板の製造にかなりのコストを追加する傾向があり、かつ/または光学特性が低下するかもしくはその制御が低減する結果となる。反りは、ディスプレイの製造に関連する下流プロセスにおいて問題を引き起こすことがある。例えば、タッチセンサディスプレイ積層体を作製するために使用されるプロセスは、基板内の反りの程度のために、積層体内に気泡が形成されやすくなることがある。幾つかの場合には、イオン交換強化プロセスに関連する反りを打ち消すために、付加的な熱処理および/または付加的な溶融塩曝露を基板に使用することができる。しかしながら、これらの付加的なプロセスステップは、大幅に増大する製造コストに繋がり、かつ/または基板に関連する光学特性に影響を及ぼす。製造後の研削および研磨のような他のアプローチも、反りの影響を打ち消すことができるが、やはり製造コストを大幅に増大させる。
したがって、低反り強化されたガラス物品、ガラスセラミック物品およびセラミック物品、ならびにこれらの物品に関連する光学特性に影響を及ぼさない、必要な程度の強化、限られたコスト増加、および大幅なプロセス制御および再現性を提供する方法を含む、同物品のためのイオン交換法が必要である。
本開示の態様によると、強化物品を製造する方法は、複数のイオン交換可能なアルカリ金属イオンと、第1の主面と、第2の主面とを備える、ガラス組成物、ガラスセラミック組成物またはセラミック組成物を有する物品を準備するステップと、第1の主面上にSiO含有膜を形成するステップであって、SiO含有膜は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有する、SiO含有膜を形成するステップと、第2の主面と一体のアンチグレア表面を形成するステップと、イオン交換可能なアルカリ金属イオンのサイズよりも大きなサイズをそれぞれ有する複数のイオン交換するアルカリ金属イオンを有する第1のイオン交換浴を準備するステップと、強化物品を形成するために、物品を第1のイオン交換浴中に第1のイオン交換温度および第1のイオン交換時間で浸漬するステップとを含む。さらに、強化物品は、第1の主面と第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域を有する。この態様の幾つかの実施形態では、SiO含有膜を形成するステップはさらに、第1の主面がSiO含有膜を有するように実施され、SiO含有膜を形成するステップは、第2の主面のマスキング後に実施され、アンチグレア表面を形成するステップはさらに、第2の主面がアンチグレア表面を有するように実施され、アンチグレア表面を形成するステップは、第1の主面がマスキング膜でマスキングされた後に実施される。
本開示の幾つかの態様によると、強化物品を製造する方法は、複数のイオン交換可能なアルカリ金属イオンと、第1の主面と、第2の主面とを備える、ガラス組成物、ガラスセラミック組成物またはセラミック組成物を有する物品を準備するステップと、第1のマスキング膜で第1の主面をマスキングするステップと、第1の主面をマスキングするステップの後に、第2の主面と一体のアンチグレア表面を形成するステップと、アンチグレア表面を形成するステップの後に、第1の主面上の第1のマスキング膜を除去するステップと、第2のマスキング膜でアンチグレア表面をマスキングするステップと、第1の主面上にSiO含有膜を形成するステップであって、SiO含有膜は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有し、SiO含有膜を形成するステップは、アンチグレア表面をマスキングするステップの後に実施される、SiO含有膜を形成するステップと、SiO含有膜を形成するステップの後に、アンチグレア表面上の第2のマスキング膜を除去するステップと、イオン交換可能なアルカリ金属イオンのサイズよりも大きなサイズをそれぞれ有する複数のイオン交換するアルカリ金属イオンを有する第1のイオン交換浴を準備するステップと、強化物品を形成するために、物品を第1のイオン交換浴中に第1のイオン交換温度および第1のイオン交換時間で浸漬するステップであって、浸漬は、第2のマスキング膜を除去するステップの後に実施される、浸漬するステップとを含む。さらに、強化物品は、第1の主面と第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域を有する。
本開示の幾つかの態様によると、強化ガラス物品であって、第1の主面と第2の主面とを有するガラス基板と、第1の主面と第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域とを含む、強化ガラス物品が提供される。基板の第2の主面は、一体形に形成されたアンチグレア表面を有する。付加的に、ガラス物品は、200μm以下の反りの変化(Δwarp)を有する。第1の主面は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有するSiO含有膜を有する。さらに、反りの変化は、圧縮応力領域の形成の前後で測定される。
付加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、この説明から当業者に容易に明らかになるかまたは以下の詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含む本明細書に記載されたような実施形態を実施することにより確認される。
付随する図面は、多様な実施形態の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本明細書に記載された多様な実施形態を示し、説明とともに、特許請求の範囲に記載された主題の原理および動作を説明するために役立つ。
以下は、付随する図面における図の説明である。図は、必ずしも縮尺どおりではなく、図の特定の特徴および特定の外観は、明確さおよび簡潔さのために、縮尺においてまたは概略において誇張されて示されていてよい。
一実施形態による、アンチグレア表面とSiO含有膜とを有する強化物品の概略断面図を示す。 一実施形態による、アンチグレア表面とSiO含有膜とを有する強化物品の製造方法を示す。 一実施形態による、アンチグレア表面とSiO含有膜とを有する強化物品の製造方法を示す。 本開示の一実施形態による、SiO含有膜を有するガラス基板の断面の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
前述の要約、ならびに特定の発明技術の後述の詳細な説明は、図に関連して読む場合により良好に理解されるであろう。特許請求の範囲は、図中に示された配置および手段に限定されるものではないと理解すべきである。さらに、図中に示された外観は、装置の言及された機能を達成するために使用することができる多くの装飾的な外観の1つである。
付加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、この説明から当業者に明らかになるか、または特許請求の範囲および添付の図面とともに以下の説明に記載されたような実施形態を実施することにより確認される。
本明細書で使用されるような「および/または」の用語は、2つ以上の項目の列挙において使用される場合、列挙された項目のいずれか1つを単独で使用することができるか、または列挙された項目の2つ以上の任意の組合せを使用することができることを意味する。例えば、組成物が、成分A、Bおよび/またはCを含むと記載されている場合、この組成物は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、AとBとを組み合わせて、AとCとを組み合わせて、BとCとを組み合わせて、またはAとBとCとを組み合わせて含むことができる。
この文書中で、第1のおよび第2の、上部および底部等のような関連する用語は、1つの主体または行為を別の主体または行為から区別するために使用されているにすぎず、必ずしもこのような主体または行為の間に任意の実際のそのような関係または順序を必要とするかまたは含意するものではない。
本開示の変更は、当業者および本開示を実施または使用するものに思い浮かぶであろう。したがって、図面に示されかつ前述に記載された実施形態は、例示的な目的のためだけであり、均等論を含めた特許法の原則に基づいて解釈されるような以下の特許請求の範囲により定義される本開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。
本開示の目的で「結合された(coupled)」(その形態:couple, coupling, coupled等の全てについて)の用語は、一般に、2つの要素(電気的または機械的)が互いに直接的または間接的に連結することを意味する。このような連結は、本質的に静止的であってもまたは本質的に可動的であってもよい。このような連結は、2つの要素(電気的または機械的)および任意付加的な中間部材が、互いにまたは2つの要素とともに1つの単一体として一体形に形成されることで達成されてよい。このような連結は、他に言及されていない限り、本質的に永続的であってもよくまたは本質的に取り外し可能もしくは解除可能であってもよい。
本明細書で使用されるような「約」の用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、ならびに他の量および特性が、正確でなくかつ正確である必要もないが、望ましい場合には、公差、変換係数、丸め、測定誤差等、および当業者に公知の別の要因を反映して、近似的であってもかつ/またはより大きくてももしくはより小さくてもよいことを意味する。「約」の用語が値または範囲の終点を説明する際に使用される場合、本開示は、言及される特定の値または終点を含むものと理解されるべきである。本明細書中の数値または範囲の終点が、「約」と記載されているか否かにかかわらず、この数値または範囲の終点は、「約」によって変更されたか、「約」によって変更されていないかの2つの実施形態を含むことを意図する。さらに、範囲の各々の終点は、別の終点との関連でも別の終点とは無関係でも両方とも意味があることが理解される。
本明細書で使用されるような「実質的な(substantial)」、「実質的に(substantially)」およびその変化形の用語は、記載された特徴が、値または記載に等しいかまたはほぼ等しいことを示すことを意図する。例えば、「実質的に平面の」表面は、平面であるかまたはほぼ平面である表面を示すことを意図する。さらに、「実質的に」は、2つの値が等しいかまたはほぼ等しいことを示すことを意図する。幾つかの実施形態では、「実質的に」は、互いに約10%以内の、例えば互いに約5%以内の、または互いに約2%以内の値を示してよい。
本明細書で使用されるような方向を示す用語(例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部)は、描かれた図を参照して生じているだけであり、絶対的な方向を含意することを意図するものではない。
本明細書で使用されるような「the」、「a」または「an」の用語は、「少なくとも1つ」を意味し、明示的に反対に示されていない限り、「1つだけ」に限定されるべきではない。したがって、例えば、「要素(a component)」については、文脈が明らかに他のことを示さない限り、このような要素を2つ以上有する実施形態を含む。
本明細書で使用されるような「圧縮応力」(CS)および「圧縮応力層の深さ」(DOL)は、当該分野で公知の手段を用いて測定される。例えば、CSおよびDOLは、Orihara Industrial Co., Ltd(日本国)により製造されたFSM-6000のような市場で入手可能な機器を用いる表面応力計により測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する応力光学係数(SOC)の正確な測定に基づいている。SOCは、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」の表題のASTM標準C770-98 (2013)に記載されている手順Cの変更バージョンに基づき測定され、この内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。この変更は、5~10mmの厚さおよび12.7mmの直径を有する試験片としてガラスディスクを使用することを含む。さらに、このガラスディスクは、等方性で、均質で、両面研磨されかつ平行にコアドリルされる。この変更は、適用される最大力Fmaxを計算することも含む。この最大力(Fmax)は、20MPaの圧縮応力を生成するために十分な力である。適用される最大力、Fmaxは、式(1)に従って次のように計算される:
max=7.854*D*h (1)
ここで、Fmaxは、ニュートンで示す最大力であり、Dは、ガラスディスクの直径であり、hは、光路の厚さである。適用された各力については、応力は、式(2)に従って計算される:
σ=(8*Fmax)/(π*D*h) (2)
ここで、Fmaxは、式(1)から得られるニュートンで示す最大力であり、Dは、mmで示すガラスディスクの直径であり、hは、mmで示す光路の厚さであり、σは、MPaで示す応力である。
本明細書で使用されるような「圧縮応力層の深さ(DOL)」は、強化物品内で、強化プロセスにより生成された圧縮応力がゼロに達する深さ位置を指す。
本明細書でも使用されるような「アンチグレア」、「AG」の用語または類似の用語は、本開示のディスプレイのような物品の処理された表面に接して変化する光の物理的変換を指すか、または物品の表面から反射された光を、鏡面反射ではなく拡散反射に変化させる特性を指す。実施形態では、AG表面処理は、化学的エッチングにより作製することができる。アンチグレアは、表面から反射される光の量を低減するのではなく、反射光の特性を変化させるだけである。アンチグレア表面により反射された画像は、鮮明な境界線を有しない。アンチグレア表面とは対照的に、反射防止表面は、典型的には、屈折率変化と、幾つかの場合には破壊的な干渉技術との使用によって、表面からの光の反射を低減する薄膜被覆である。
さらに本明細書で使用されるような「ヘイズ」、「透過ヘイズ」の用語または類似の用語は、表面粗さに関連する特定の表面光散乱特性を指す。より詳細には、この「ヘイズ」の用語は、ASTM D1003により±4.0°の角度の円錐の外側に散乱した透過光のパーセンテージを指す。光学的に滑らかな表面について、透過ヘイズは、一般にゼロに近づく。2つの面が粗面化されたガラスシートの透過ヘイズ(Haze2-side)は、式(3)の近似に従って、片面だけが粗面化された同等の表面を有するガラスシートの透過ヘイズ(Haze1-side)に関連付けることができる:
Haze2-side≒[(1-Haze1-side)・Haze1-side]+Haze1-side (3)
さらに、ヘイズ値は、通常では、パーセントヘイズの用語で報告される。式(3)からのHaze2-sideの値は、100を掛けなければならない。
本明細書で使用されるような「光沢」、「光沢レベル」の用語または類似の用語は、例えば、表面ラスター、明るさ、または輝きを指し、より詳細には、ASTM手順D523による標準(例えば、認定された黒色ガラス標準)に対して校正された鏡面反射の測定を指す。一般の光沢測定は、典型的には、20°、60°、および85°の入射光角度で実施され、最も一般的に使用される光沢測定は、60°で実施される。しかしながら、この測定の許容角度が広いため、一般的な光沢は、高い反射画像の明瞭度値と低い反射画像の明瞭度(DOI)値との間で区別することができないことが多い。
図面全般、特に図1を参照すると、これらの実例は、特定の実施形態を説明することを目的とするもので、本明細書に添付された特許請求の範囲の開示を制限することを意図するものではないことが理解される。これらの図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、図面の特定の特徴および特定の外観は、明確さおよび簡潔さのために、縮尺の形または概略の形で誇張されて示されていてよい。
本開示において説明されるのは、ガラス組成物、ガラスセラミック組成物またはセラミック組成物と圧縮応力領域とを有する基板を含む強化物品、およびその製造方法である。さらに、これらの強化物品は、一方の主面にアンチグレア表面を有し、むしろ非対称および/または不均一なイオン交換効果から反りやすいにもかかわらず、本開示の方法の結果として、反りをほとんどないし全く示さないように最適化されている。一般に、本開示の方法は、イオン交換プロセスの動力学を制御して、アンチグレア表面、膜または別の同等の光学構造の存在から、基板中に存在する任意の非対称または不均一なイオン交換条件を相殺する。この方法は、アンチグレア表面を有する主面とは反対側の基板の主面の表面形態の調整により制御を行う。アンチグレア表面とは反対側の主面の表面形態に対するこの調整は、この主面上へのSiO含有膜の形成により行うことができ、強化プロセスの間のイオン交換するイオンの取り込みを増加させて、アンチグレア表面の存在に関連する同じイオン交換するイオンの取り込みにおける増加を相殺する。
本開示の強化物品の製造方法は、強化物品自体とともに、ガラス組成物、ガラスセラミック組成物およびセラミック組成物を有する強化物品を製造するための従来のアプローチを越える幾つかの利益および利点を有する。1つの利点は、むしろアンチグレア表面の存在に関連する基板中に存在する不均質なイオン交換条件により誘導されることになる反りの程度を、本開示の方法が軽減することができることである。別の利点は、本開示の方法が、付加的な処理ステップ、例えば研磨、切断、研削、イオン交換処理後の熱処理等を必要とせずに、特に反復可能な方法で、反りを低減または解消することである。これらの方法の更なる利点は、従来のイオン交換処理に対して資本の増大および/または処理量の低下をほとんどないし全く提供しないことである。特に、本開示の方法の実施に関連する付加的な備品は、サイズおよびコストの点で制限される(例えば、SiO含有膜の液相堆積のための備品および浴、ならびに基板の表面をマスキングするための備品)。
本開示の強化物品の製造方法の別の利点は、従来のイオン交換分布と比較して、同じまたは実質的に同様の残留応力分布を有する圧縮応力領域を生成し、このプロセスにより製造された強化物品内の著しく低減された反りのレベルの利点を提供することである。この方法の更なる利点は、イオン交換強化プロセスによる圧縮応力領域の生成の前に、基板内にアンチグレア表面を生成することを可能にし、したがって、アンチグレア表面の生成が、強化プロセスによる圧縮応力の大きさを制限しないかまたは低減しないことが保証される。言い換えれば、本開示において概説されるようなアンチグレア表面の生成は、実施形態によると、アンチグレア表面の生成の前にイオン交換強化プロセスに供された基板内の圧縮応力領域を低減または解消することができる大きさの程度だけ基板の厚さを低減することができる。
図1を参照すると、本開示の実施形態による強化物品100が図示されている。強化ガラス物品100は、第1の主面12と第2の主面14とを有し、かつ第1の主面12と第2の主面14とからそれぞれ第1の選択深さ52および第2の選択深さ54までそれぞれ延びる圧縮応力領域50を有するガラス基板10を含む。基板の第2の主面14は、一体形に形成されたアンチグレア表面70を有する。付加的に、ガラス物品100は、200μm以下の反りの変化(Δwarp)を有する。第1の主面12は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さ92を有するSiO含有膜90を有する。さらに、反りの変化は、圧縮応力領域50の形成の前後で測定される。強化ガラス物品100は、本開示で後述に概説する強化物品200および300の製造方法、または方法200および300と一致する別の方法(図2および図3ならびに対応する記載を参照)から製造することができる。
さらに、図1に図示される強化ガラス物品100に関して、アンチグレア表面70は、本開示の分野の当業者によって理解されるように、アンチグレア特性を付与するための表面形態で構成されている。より詳細には、アンチグレア表面70は、本開示のディスプレイのような物品の処理された表面に接触して変化する光の物理的変換を可能にするか、または物品の表面から反射された光を、鏡面反射ではなく拡散反射に変化させる特性を有する表面形態によって特徴付けられる。
図1に示される強化ガラス物品100を再び参照すると、第1の主面12は、SiO含有膜90を有する。SiO含有膜90は、SiOを約1~約100質量%有することができる。好ましい実施態様では、SiO含有膜90は、SiOを少なくとも50質量%有する。SiO含有膜90を再び参照すると、この膜は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さ92を有することができる。幾つかの実施形態では、SiO含有膜90は、約20ナノメートル、約19ナノメートル、約18ナノメートル、約17ナノメートル、約16ナノメートル、約15ナノメートル、約14ナノメートル、約13ナノメートル、約12ナノメートル、約11ナノメートル、約10ナノメートル、約9ナノメートル、約8ナノメートル、約7ナノメートル、約6ナノメートル、約5ナノメートルの厚さ92、およびこれらの厚さの値の間の全ての厚さを有する。
図1を再び参照すると、強化ガラス物品100は、それぞれ第1および第2の主面12,14から第1および第2の選択深さ52,54にまで延びる圧縮応力領域50を有する。さらに、強化ガラス物品100は、反りをほとんどないし全く示さない。幾つかの実施形態によると、強化ガラス物品100は、圧縮応力領域50の形成の前後で測定して、約200μm以下の反りの変化(Δwarp)により特徴付けられる。幾つかの実施態様では、物品100の反りの変化(Δwarp)は、つまるところ、圧縮応力領域50の形成の前後で測定して、約300μm以下、約250μm以下、約200μm以下、約175μm以下、約150μm以下、約125μm以下、約110μm以下、約100μm以下、約90μm以下、約80μm以下、約70μm以下、約60μm以下、約50μm以下、約40μm以下、約35μm以下、約30μm以下、約20μm以下、約10μm以下、およびこれらのレベル間の全ての反りの変化(Δwarp)レベルである。同様に、強化ガラス物品100は、物品100の最大寸法の0.5%未満、物品100の最大寸法の0.1%未満、物品100の最大寸法の0.01%未満の最大反りを示すことができる。
強化ガラス物品100において使用される基板10は、多様なガラス組成物、ガラスセラミック組成物およびセラミック組成物を有することができる。ガラスの選択は、特定のガラス組成物に制限されない。例えば、選択される組成物は、広範囲のケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、またはホウアルミノケイ酸塩のガラス組成物のいずれかであってよく、この組成物は、場合により、1つ以上のアルカリ変性剤および/またはアルカリ土類変性剤を有することができる。
例としては、基板10において使用されてよい組成物の1つの族は、酸化アルミニウムまたは酸化ホウ素の少なくとも1つと、アルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物の少なくとも1つとを有するものを含み、ここで、-15モル%≦(RO+R’O-Al-ZrO)-B≦4モル%であり、Rは、Li、Na、K、Rb、および/またはCsであることができ、R’は、Mg、Ca、Sr、および/またはBaであることができる。組成物のこの族の1つのサブセットは、SiOを約62モル%~約70モル%;Alを0モル%~約18モル%;Bを0モル%~約10モル%;LiOを0モル%~約15モル%;NaOを0モル%~約20モル%;KOを0モル%~約18モル%;MgOを0モル%~約17モル%;CaOを0モル%~約18モル%;およびZrOを0モル%~約5モル%含む。このようなガラスは、米国特許第8,969,226号明細書および同第8,652,978号明細書により十分に記載されており、後述に十分に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に援用される。
基板10において使用されてよい組成物の別の例示的な族は、SiOを少なくとも50モル%およびアルカリ金属酸化物とアルカリ土類金属酸化物とからなる群から選択される少なくとも1つの変性剤を有するようなものを含み、ここで、[(Al(モル%)+B(モル%))/(Σアルカリ金属変性剤(モル%))]>1である。この族の1つのサブセットは、SiOを50モル%~約72モル%;Alを約9モル%~約17モル%;Bを約2モル%~約12モル%;NaOを約8モル%~約16モル%;およびKOを0モル%~約4モル%含む。このようなガラスは、米国特許第8,586,492号明細書により十分に記載されており、後述に十分に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に援用される。
基板10において使用されてよい組成物のさらに別の例示的な族は、SiO、Al、P、および少なくとも1つのアルカリ金属酸化物(RO)を有するようなものを含み、ここで、0.75≦[(P(モル%)+RO(モル%))/M(モル%)]≦1.2であり、M=Al+Bである。組成物のこの族の1つのサブセットは、SiOを約40モル%~約70モル%;Bを0モル%~約28モル%;Alを0モル%~約28モル%;Pを約1モル%~約14モル%;およびROを約12モル%~約16モル%含む。組成物のこの族の別のサブセットは、SiOを約40~約64モル%;Bを0モル%~約8モル%;Alを約16モル%~約28モル%;Pを約2モル%~約12モル%;およびROを約12モル%~約16モル%含む。このようなガラスは、米国特許出願第13/305,271号により十分に記載されており、後述に十分に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に援用される。
基板10において使用することができる組成物のさらに別の例示的な族は、Pを少なくとも約4モル%有するようなものを含み、ここで、(M(モル%)/RO(モル%))≦1であり、M=Al+Bであり、ROは、ガラス中に存在する一価および二価のカチオン酸化物の合計である。一価および二価のカチオン酸化物は、LiO、NaO、KO、RbO、CsO、MgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOからなる群から選択することができる。組成物のこの族の1つのサブセットは、Bを0モル%有するガラスを含む。このようなガラスは、米国特許出願第13/678,013号および米国特許第8,765,262号明細書により十分に記載されており、後述に十分に記載されているかのように、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
基板10において使用することができる組成物のさらに別の例示的な族は、Al、B、アルカリ金属酸化物を有するようなものを含み、かつ三配位を有するホウ素カチオンを含む。イオン交換する場合、これらのガラスは、少なくとも約30キログラム力(kgf)(294N)のビッカース亀裂開始閾値を有することができる。組成物のこの族の1つのサブセットは、SiOを少なくとも約50モル%;ROを少なくとも約10モル%、ここで、ROはNaOを有する;Alを、-0.5モル%≦Al(モル%)-RO(モル%)≦2モル%;およびBを、B(モル%)-(RO(モル%)-Al(モル%))≧4.5モル%含む。組成物のこの族の別のサブセットは、SiOを少なくとも約50モル%、Alを約9モル%~約22モル%;Bを約4.5モル%~約10モル%;NaOを約10モル%~約20モル%;KOを0モル%~約5モル%;MgOおよび/またはZnOを少なくとも約0.1モル%、ここで0≦MgO+ZnO≦6モル%;および場合により、CaO、BaOおよびSrOの少なくとも1つを、0モル%≦CaO+SrO+BaO≦2モル%含む。このようなガラスは、米国特許出願第13/903,398号により十分に記載されており、後述に十分に記載されているかのように、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
他に言及されていない限り、本開示において概説される、強化ガラス物品(例えば物品100)およびその物品を製造する関連する方法(例えば図2および図3に図示される方法200および300、ならびにそれらの対応する説明)は、SiO 68.96モル%、B 0モル%、Al 10.28モル%、NaO 15.21モル%、KO 0.012モル%、MgO 5.37モル%、Fe 0.0007モル%、ZrO 0.006モル%、およびSnO 0.17モル%のアルミノケイ酸塩ガラス組成物を有する基板10から製造されることにより例示される。典型的なアルミノケイ酸塩ガラスは、米国特許出願第13/533,298号に記載されており、参照により本明細書に援用される。
同様に、セラミックに関して、強化ガラス物品100において使用される基板10のために選択される材料は、広範囲の無機結晶質の酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、炭窒化物等のいずれかであることができる。例示的なセラミックは、アルミナ、チタン酸アルミニウム、ムライト、コーディエライト、ジルコン、スピネル、ペロブスカイト、ジルコニア、セリア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素アルミニウム、またはゼオライト相を有する材料を含む。
同様に、ガラスセラミックに関して、基板10のために選択される材料は、ガラス質相およびセラミック相の両方を有する広範囲な材料のいずれかであることができる。例示的なガラスセラミックは、ガラス相が、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、またはホウアルミノケイ酸塩から形成され、セラミック相が、β-スポジュメン、β-石英、ネフェリン、カルシライト、またはカーネギーアイトから形成される材料を含む。
強化物品の製造方法200および300(図2および図3、ならびに後述の対応する記載参照)から得られるようなものを含む強化ガラス物品100は、ガラス基板を含めた多様な物理形状を採ることができる。すなわち、断面の観点から、物品100は、基板として構成されている場合、平坦もしくは平面であることができるか、または湾曲および/または鋭く曲がっていることができる。同様に、強化ガラス物品100は、1つの単一体、多層構造、または積層体であることができる。物品100が、基板または板状形状で使用される場合、物品100の厚さは、好ましくは約0.2~1.5mmの範囲内、より好ましくは約0.8~1mmの範囲内にある。さらに、物品100は、可視スペクトルにおいて実質的に透明であり、その圧縮応力領域50の生成後でも実質的に透明のままである組成物を有することができる。
その組成または物理形状にかかわらず、図1に図示されるように強化ガラス物品100は、表面(例えば第1および第2の主面12,14)からその中の特定の深さ(例えば第1および第2の選択深さ52,54)まで内側に延びる圧縮応力下の圧縮応力領域50を含む。圧縮応力領域50に関連する圧縮応力(CS)の量および圧縮応力層の深さ(DOL)は、例えば図2および図3に図示される方法200および300によって形成されるような強化ガラス物品100のための特定の用途に基づいて変化することができる。特に、ガラス組成物を有する強化ガラス物品100についての一般的な制限は、CSおよびDOLは、圧縮応力領域50の結果として物品100のバルク内に生じる引張応力が、物品を壊れやすくするほど過度にならないように制限されるべきであるということである。幾つかの実施態様では、強化ガラス物品100中の、第1および第2の主面12および14からそれぞれ延びる圧縮応力領域50の部分は、実質的に対称である(例えば、CSの圧縮応力分布対深さに関して)。他の実施態様では、強化ガラス物品100中の、第1および第2の主面12および14からそれぞれ延びる圧縮応力領域50の部分は、実質的に非対称である。この実施態様では、第1および第2の主面12および14からそれぞれ延びる圧縮応力領域50の部分は、CSの圧縮応力分布対深さに関して互いに異なる。さらに、これらの実施態様の幾つかにおいて、第1および第2の主面12および14からそれぞれ延びる圧縮応力領域50の部分は、例えば、化学強化プロセスから生じるような、イオン交換されたイオンの量に関して互いに異なる。
本開示の特定の態様では、例えば、図2および図3にそれぞれ示され、かつ後述に記載される方法200および300によるイオン交換プロセスを使用して強化されたガラス組成物を有する強化ガラス物品100の圧縮応力(CS)分布は、イオン交換したガラス内に形成された光導波路のTMおよびTEガイドモードスペクトルに基づいて応力分布を測定する方法(以後、「WKB法」という)を使用して決定した。この方法は、TMおよびTEガイドモードスペクトルから強度極値の位置をデジタルで定義すること、およびこれらの位置からのそれぞれのTMおよびTE有効屈折率を計算することを含む。TMおよびTM屈折率分布nTM(z)およびnTE(z)は、逆WKB計算を使用して計算される。この方法は、応力分布S(z)=[nTM(z)-nTM(z)]/SOCを計算することも含み、ここで、SOCは、ガラス基板についての応力光学係数である。この方法は、Douglas C. Allan et al.により、2012年5月3日に出願された、「Systems and Methods for Measuring the Stress Profile of Ion-Exchanged Glass」と題された、2011年5月25日に出願された米国仮特許出願第61/489,800号の優先権を主張する米国特許出願第13/463,322号に記載されていて、その内容全体は参照により本明細書に援用される。深さの関数としての物品内の応力レベルを測定する別の技術は、米国仮特許出願第61/835,823号および同第61/860,560号に概説されていて、参照により本明細書に援用される。
図1に図示される強化ガラス物品100の実施形態によると、ガラス物品は、圧縮応力領域50、アンチグレア表面70およびSiO含有膜90の形成の前後で測定して、約15%未満、約10%未満または約5%未満のヘイズの変化(Δhaze)および/または光沢の変化(Δgloss)により特徴付けられる。幾つかの実施態様では、強化ガラス物品100は、圧縮応力領域50、アンチグレア表面70およびSiO含有膜90の形成の前後で測定して、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.75%未満、約0.5%未満、約0.25%未満のヘイズの変化(Δhaze)および/または光沢の変化(Δgloss)、およびこれらのレベルの間の全てのヘイズの変化(Δhaze)および/または光沢の変化(Δgloss)値により特徴付けられる。
ここで図2を参照すると、強化物品100aの製造方法200の概略図が提供されている。強化物品100aの製造方法200は、複数のイオン交換可能なアルカリ金属イオンを有するガラス組成物、ガラスセラミック組成物またはセラミック組成物と、第1の主面12と第2の主面14とを有する物品、例えば基板10(すなわち、図1に示されかつ前述の対応する記載に概説される)を準備するステップ202を含む。図2に図示される方法200は、第1の主面12上にSiO含有膜90を形成するステップ204も含み(例えば、SiO飽和溶液を用いた液相堆積プロセスを用いる)、この膜90は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さ92を有する。方法200の幾つかの実施態様では、SiO含有膜90を形成するステップ204は、第2の主面14をマスキング膜(図2では示されていない)でマスキングし、次いでマスキングされた基板10をSiO飽和溶液内に浸漬して、基板10の第1の主面12上にSiO含有膜90を形成することにより行うことができる。ステップ204による基板10の第1の主面12上にSiO含有膜90を設置するための他のアプローチは、本開示の分野の当業者に理解されるように、前述の原理により実施することができる(例えば、SiO含有溶液によるディップコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティングなど)。
図2に図示される強化物品100aの製造方法200を再び参照すると、この方法は、第2の主面14と一体にアンチグレア表面70を形成するステップ206を含む。幾つかの実施態様では、形成するステップ206は、第1の主面12(および方法200においてこの時点で存在する場合、SiO含有膜90)をマスキング膜82でマスキングした後に実施される。ポリエチレン膜のような多様な膜を、マスキング膜82のために使用することができるが、ただし、膜の厚さおよび組成は、ステップ206の間に、アンチグレア表面70の形成において使用されるエッチャントが、第1の主面12(および方法200においてこの時点で存在する場合に、SiO含有膜90)と接触することを妨げることを保証することができるものとする。アンチグレア表面70は、例えばエッチング(例えばNaClのような塩を有するHFおよびHClの水溶液)により、強化ガラス物品100aが、本開示の分野における当業者により理解されるようなアンチグレア特性により特徴付けられるような形態で構成されている。アルカリイオン、アンモニウムイオン、有機添加物および無機添加物の1つ以上と一緒に酸を含む多様なエッチャント溶液を、アンチグレア表面70を作製するために使用することができる。アンチグレア表面70を形成するために適したエッチャント溶液は、2014年7月15日に発行された米国特許第8,778,496号明細書、および2010年9月30日に公開された米国特許出願公開第2010/0246016号明細書に提供されているものを含むが、アンチグレア表面を形成するためのエッチャントおよびプロセスに関する顕著な部分は参照により本開示に援用される。
図2に図示される方法200はまた、方法200が、第1の主面12(および方法200においてこの時点で存在する場合に、SiO含有膜90)上でマスキング膜82を使用することを含むステップ206で実施されることを前提として、第1の主面12からマスキング膜82を除去するステップ208を含むことができる。方法200の実施形態では、マスキング膜82を除去するステップ208は、膜82の組成および基板10の第1の主面12(および存在する場合にはSiO含有膜90)に対するその付着に依存して、手動で、膜82を除去するための自動化されたプロセスにより、または別のプロセスにより実施することができる。
図2に図示される強化物品100aの製造方法200をさらに参照すると、この方法は、それぞれがイオン交換可能なアルカリ金属イオンのサイズよりも大きなサイズを有する複数のイオン交換するアルカリ金属イオンを有する第1のイオン交換浴(図示されていない)を準備するステップ210も含む。この方法200はさらに、強化物品100aを形成するための第1のイオン交換温度および第1のイオン交換時間で、基板10を第1のイオン交換浴に浸漬するステップ212を含む。この方法200のステップ212の完了時に、強化物品100aは、第1の主面12および第2の主面14からそれぞれ第1および第2の選択深さ52および54まで延びる圧縮応力領域50を有する。
図2に図示される強化物品100aの製造方法200を再び参照すると、この方法は、図2で「A」および「B」により表示されたものを含む多様な順序により実施することができるが、これらに限定されるものではない。「A」により表示された順序では、第1の主面12上にSiO含有膜90を形成するステップ204は、第2の主面14と一体でアンチグレア表面70を形成するステップ206の前に実施される。したがって、ステップ206は、マスキング膜82で、(前のステップ204で形成されるような)SiO含有膜90をマスキングした後に実施され、すなわちアンチグレア表面70の形成のために使用するプロセスからSiO含有膜90を保護する。「B」により表示された順序では、方法200のステップ206と208とは、ステップ204の前に実施される。すなわち、「B」で表示された方法200によると、第2の主面14と一体でアンチグレア表面70を形成するステップ206は、基板10を準備するステップ202の後に実施される。先に述べたように、形成するステップ206は、基板10の第1の主面12をマスキング膜82でマスキングした後に実施される。ステップ206の完了後に、第1の主面12からマスキング膜82を除去するステップ208が実施される。この時点で、アンチグレア表面70は、第2の主面14と一体に形成され(すなわち、ステップ206および208の結果として)、かつステップ204が実施される。この順序で、ステップ204は、SiO含有膜90の形成のために実施され、膜90の厚さ92は、約5ナノメートル~約20ナノメートルである。この順序は、特にステップ204がSiO含有溶液の浴中で基板10をディップコーティングすることにより実施される場合、SiO含有膜90を形成するためのプロセスは、アンチグレア表面70を損傷しないことを保証するために、ステップ204の間にマスキング膜(マスキング膜82の組成と同等)でアンチグレア表面70をマスキングすることを必要としてよいと理解すべきである。逆に言えば、ステップ204が、アンチグレア表面70に接触せずに、第1の主面12にSiO含有溶液を直接接触させることを保証するプロセスにより実施される場合、アンチグレア表面70のマスキングは必要ではない。
図2に図示された強化物品100aの製造方法200を再び参照すると、SiO含有膜90を形成するステップ204は、多様な液体堆積プロセス、例えば液相堆積(LPD)、ディップコーティング、スプレーコーティング等によって実施することができる。方法200の実施形態では、ステップ204は、LPDプロセスを用いて実施して、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さ92を有するSiO含有膜90を形成することができる。LPDアプローチは、水溶液中での金属フッ化物(例えば酸または塩の形で)から金属酸化物を堆積させるプロセスを含むことができる。この金属フッ化物は、水中または酸溶液中に溶解させることにより、金属酸化物で予備飽和されることができる。次いで、フッ化物スカベンジャー(例えばBF、AlF、CaCl)を、金属酸化物で飽和された金属フッ化物に添加して、過飽和状態を設定することができる。過飽和された金属フッ化物は、加水分解を開始し、その結果、対応する金属酸化物、例えばSiO含有膜90が基板に堆積する。適切な金属フッ化物および金属酸化物は、SiF 2-、TiF 2-、SiOおよびTiOを含む。さらに、1つより多くの金属フッ化物の混合物を使用して、例えばSiO含有膜90として、混合金属酸化物コーティング(SiO/TiO)を堆積することができる。方法200の幾つかの実施態様によると、SiO含有膜90は、フッ化物スカベンジャー(例えばBF)を含むように、飽和までHF溶液中に溶解されたHSiF粉末の溶液によるLPDプロセスにより形成されるSiO膜である。
図2で図示される方法200をもう一度参照すると、一体でアンチグレア(AG)表面70を形成するステップ206は、多様な順序およびプロセスにより実施することができる。アルカリイオンおよび/またはアンモニウムイオンを含む塩の1つ以上ならびに有機添加物および無機添加物とともにフッ化水素酸と鉱酸との混合物を有するものを含む多様なエッチャント溶液を、AG表面70を準備するためのディッププロセス、スプレープロセスまたはロールプロセスで使用することができる。典型的には、クリーニングステップは、フッ化水素酸と鉱酸との混合物を使用することにより、ステップ206の前に実施することができる。さらに、後AG表面クリーニング/ポリシングステップは、AG表面70の所望の光学特性を達成するために、AG表面70の光学特性の目標によって濃度が影響されるフッ化水素酸と鉱酸との混合物を使用することにより適用することができる。
図2に図示される強化物品100aの製造方法200をさらに参照すると、この方法により製造された強化物品100aは、反りをほとんどないし全く示さない。幾つかの実施形態によると、方法200により形成された強化ガラス物品100aは、圧縮応力領域50の形成の前後で測定して、約200μm以下の反りの変化(Δwarp)により特徴付けられる。幾つかの実施態様では、物品100aの反りの変化(Δwarp)は、つまるところ、圧縮応力領域50の形成の前後で測定して、約300μm以下、約250μm以下、約200μm以下、約175μm以下、約150μm以下、約125μm以下、約100μm以下、約90μm以下、約80μm以下、約70μm以下、約60μm以下、約50μm以下、約40μm以下、約30μm以下、約20μm以下、約10μm以下、およびこれらのレベルの間の全ての反りの変化(Δwarp)のレベルである。同様に、強化ガラス物品100aは、物品100aの最大寸法の0.5%未満、物品100aの最大寸法の0.1%未満、またはさらに物品100aの最大寸法の0.01%未満の最大反りを示すことができる。
図2に図示される方法200をもう一度参照すると、方法200により形成された強化ガラス物品100aは、圧縮応力領域50、アンチグレア表面70およびSiO含有膜90の形成の前後で測定して、約15%未満、約10%未満、または約5%未満のヘイズの変化(Δhaze)および/または光沢の変化(Δgloss)により特徴付けることができる。幾つかの実施態様では、方法200により形成されたような強化ガラス物品100aは、圧縮応力領域50、アンチグレア表面70およびSiO含有膜90の形成の前後で測定して、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.75%未満、約0.5%未満、約0.25%未満のヘイズの変化(Δhaze)および/または光沢の変化(Δgloss)、およびこれらのレベルの間の全てのヘイズの変化(Δhaze)および/または光沢の変化(Δgloss)値により特徴付けられる。
理論に拘束されることなく、図2に図示された方法200を再び参照すると、SiO含有膜90の存在は、基板10の第1の主面12で行われるイオン交換の速度が、アンチグレア表面70を有する第2の主面14で行われるイオン交換速度と実質的に異ならないことを保証することが明らかになる。実際に、アンチグレア表面70に関連する表面形態(例えば表面粗さ)の変動性は、アンチグレア表面70を有しない反対側の表面(例えば第1の主面12)と比較して、基板内へのイオン交換速度の変動性を生じることができる。SiO含有膜90の形で方法200により準備された第1の主面でのイオン交換速度に対する修正または調整なしでは、むしろ明らかな反りが、イオン交換強化プロセスの完了後に基板10内に形成されることになる。したがって、方法200は、基板10がイオン交換強化ステップの完了後に明らかな反りを被らないことを保証するように調整することができるアンチグレア表面70の反対側のSiO含有膜90の形成を容易にする。特に、SiO含有膜は、アンチグレア表面70の特別な形態を考慮して(例えば厚さ92に関して)、得られた強化物品100aがイオン交換強化ステップの完了後に明らかな反りを被らないことを保証するように調整することができる。
図2に図示される方法200をもう一度参照すると、強化物品100aを形成するために第1のイオン交換温度および第1のイオン交換時間で第1のイオン交換浴中に基板10を浸漬するステップ212は、圧縮応力領域50を形成するために多様なイオン交換プロセス条件に従って実施することができる。方法200およびステップ212の実施形態では、第1のイオン交換浴は、複数のイオン交換する金属イオンを含み、基板10は、複数のイオン交換可能な金属イオンを有するガラス組成物を有する。例えば、浴は、基板10中の、ナトリウムのようなイオン交換可能なイオンよりも、サイズが大きい複数のカリウムイオンを含んでいてよい。第1のイオン交換浴内でのイオン交換するイオンは、ステップ212の間に基板10内のイオン交換可能なイオンと優先的に交換される。図2に図示される方法200およびステップ212の特定の態様では、圧縮応力領域50を生成するために使用される第1のイオン交換浴は、当業者により理解されるように、添加物を有する100質量%に近い濃度で、または100質量%の濃度で溶融KNOを有する。このような浴は、基板10の処理の間に、KNOが溶融状態のままであることが保証される温度に十分に加熱される。第1のイオン交換浴は、KNOと、LiNOおよびNaNOの一方または両方との組合せを含んでいてもよい。
本開示の幾つかの態様によると、図2に図示される強化物品100aの製造方法200は、約400MPa以下の最大圧縮応力および物品100aの厚さの少なくとも8%の第1および第2の選択深さ52および54をそれぞれ有する、強化ガラス物品100a中の圧縮応力領域50を生成するように実施される。方法200の実施形態では、強化ガラス物品100aは、アルミノケイ酸塩ガラス組成物を有する基板10を含み、ステップ212は、約3~60時間の間の浸漬時間で約400℃~500℃の範囲内の温度で保持された第1のイオン交換浴中に基板10を浸漬することを必然的に伴うように実施される。より好ましくは、圧縮応力領域50は、約0.25~約50時間の間の時間で約420℃~500℃の範囲の温度で強化浴中に基板10を浸漬することにより強化物品100a中に生成することができる。特定の態様では、第1のイオン交換浴のための上限温度範囲は、(例えば基板10が、ガラスまたはガラスセラミック組成物を有する場合)基板10のアニール点よりも約30℃低く設定される。浸漬ステップ212についての特に好ましい時間は、0.5~25時間の範囲である。特定の実施形態では、第1のイオン交換浴は、約400℃~450℃で保持され、第1のイオン交換時間は、約3~15時間である。
図2に図示される方法200の1つの例示的な態様では、ステップ212は、基板10を、NaNO 約41質量%とKNO 59質量%とを含む第1のイオン交換浴中に450℃で約10時間の時間で浸漬して、DOL>80μmおよび300MPa以下の最大圧縮応力を有する圧縮応力領域50が得られるように実施される(例えば、約0.8~1mmの厚さを有する強化物品100aについて)。別の例では、NaNO 約65質量%とKNO 35質量%とを含む第1のイオン交換浴を460℃に保持し、浸漬ステップ212を約40~50時間実施して、約150μm以上のDOLで約160MPa以下の最大圧縮応力を有する圧縮応力領域50を生成する(例えば、約0.8mmの厚さを有する強化ガラス物品100aについて)。
約0.3~0.8mmの厚さを有するアルミノケイ酸塩ガラス基板10について、図2に図示された方法200により製造された強化ガラス物品100a内に、NaNO 40~60質量%(残りはKNO)の範囲内の第1のイオン交換浴組成物で、約5.5~15時間の間の浸漬時間で450℃の温度で保持して、DOL>60μmを達成することができる。好ましくは、方法200のステップ212による浸漬時間は、約6~10時間の間であり、第1のイオン交換浴は、NaNO 44~54質量%(残りはKNO)の範囲内の組成物に保持される。
図2に図示される強化ガラス物品100aの製造方法200の、強化物品100aがかなりの量のPを有するアルミノケイ酸塩ガラスを含む基板10から誘導される実施形態について、第1のイオン交換浴は、同様の圧縮応力領域50を生成するためにやや低い温度で保持することができる。例えば、第1のイオン交換浴は、380℃まで低く保持して同様の結果を得ることができるが、上述に概説した上限範囲は可能なままである。別の態様では、基板10は、リチウム含有ガラス組成物を有してよく、図2に図示される方法200により、かなり低い温度分布を使用して、得られる強化物品100a内に同様の圧縮応力領域50を生成することができる。この態様では、第1のイオン交換浴は、約350℃~約500℃、好ましくは約380℃~約480℃の範囲の温度で保持される。これらの態様についての浸漬時間は、約0.25時間~約50時間、より好ましくは約0.5~約25時間の範囲である。
ここで図3を参照すると、強化ガラス物品100bの製造方法300が提供されている。他に言及されていない限り、強化ガラス物品100bの特性および属性(例えば、Δwarp、Δhaze、Δgloss、CS、DOL等)は、強化ガラス物品100(図1および前述の対応する説明を参照)および方法200により形成された強化ガラス物品100a(図2および前述の対応する説明を参照)のものと同じであるかまたは実質的に同様である。したがって、図3の強化ガラス物品100b内の同様の符号の要素は、強化ガラス物品100および100aのそれぞれについて図1および図2に図示される同じ要素と同じまたは実質的に同様の構造および機能を有する。
図3に図示される強化ガラス物品100bの製造方法300について、この方法は、複数のイオン交換可能なアルカリ金属イオンと、第1の主面12と、第2の主面14とを有するガラス組成物、ガラスセラミック組成物またはセラミック組成物を有する物品、例えば基板10(すなわち、図1に示されかつ前述の対応する説明に概説されている)を準備するステップ302を含む。図3に図示される強化物品100bの製造方法300を再び参照すると、この方法は、第1の主面12を第1のマスキング膜82でマスキングするステップ304を含む。マスキング膜82のために、ポリエチレン膜のような多様な膜を使用することができるが、ただし、膜の厚さおよび組成は、アンチグレア表面70の形成において使用されるエッチャントが、後続のステップ306の間に第1の主面12と接触することを阻止することを保証することができるものとする。マスキング膜82に使用することができる適切なマスキング膜は、以下のような表面保護膜である:Surface Armor(登録商標)LLCから調達されるような低密度ポリエチレン(LDPE)タイプ311膜;およびSeil Hi-Tec Co., Ltdから調達されるようなポリエチレンテレフタラート(PET)ANT-200膜。
さらに図3に図示される強化ガラス物品100bの製造方法300を参照すると、この方法はさらに、第2の主面14と一体でアンチグレア表面70を形成するステップ306を含み、この形成するステップは、マスキングステップ304の後に実施される。アンチグレア表面70は、例えば、エッチング(例えば、NaClのような塩を有するHFおよびHClの水溶液)によって、強化ガラス物品100bが、本開示の分野の当業者により理解されるような(および図2に図示される方法200のステップ206との関連で上述に説明されたような)アンチグレア特性により特徴付けられるような形態で構成される。さらに、図3に図示される方法300は、第1の主面12からマスキング膜82を除去するステップ308も含む。方法300の実施形態では、マスキング膜82を除去するステップ308は、膜82の組成および基板10の第1の主面12に対するその付着に依存して、手動で、膜82を除去するための自動化プロセスによって、または他のプロセスによって実施することができる。
図3に図示される強化ガラス物品100bの製造方法300をもう一度参照すると、この方法は、アンチグレア表面70(すなわち、ステップ306で形成される)を、第2のマスキング膜84でマスキングするステップ310を含む。第2のマスキング膜84は、第1のマスキング膜82と一致するポリエチレン膜または他の同等の膜を含むことができるが、ただし、膜84の厚さおよび組成は、SiO含有膜90を形成する後続のステップ312において使用されるSiO含有溶液が、アンチグレア表面70(すなわち、ステップ306で形成される)を除去しないかまたはそうでなくとも劣化させないことを保証するものとする。
図3に図示される方法300は、第1の主面12上にSiO含有膜90を形成するステップ312も含み、この膜90は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さ92を有する。この方法300の幾つかの実施態様では、SiO含有膜90を形成するステップ312は、方法200(図2および前述の対応する説明を参照)のステップ204に関連して前述に概説されたアプローチのいずれかにより実施することができる。さらに、図3に図示された方法300は、第2の主面14およびアンチグレア表面70から第2のマスキング膜84を除去するステップ314も含む。方法300の実施形態では、マスキング膜84を除去するステップ314は、膜84の組成および基板10の第2の主面14および/またはアンチグレア表面70に対するその付着に依存して、手動で、膜84を除去するための自動化プロセスによって、または他のプロセスによって実施することができる。図3に図示される強化ガラス物品100bの製造方法300は、イオン交換可能なアルカリ金属イオンのサイズよりもそれぞれ大きなサイズを有する複数のイオン交換するアルカリ金属イオンを有する第1のイオン交換浴(図示されていない)を準備するステップ316も含む。
さらに、強化物品100bの製造方法300を参照すると、この方法300は、第1のイオン交換温度でかつ第1のイオン交換時間で基板10を第1のイオン交換浴中に浸漬して、強化物品100bを形成するステップ318により完結することができる。方法300のステップ318の完了によって、強化物品100bは、第1の主面12と第2の主面14とからそれぞれ第1および第2の選択深さ52および54にまで延びる圧縮応力領域50を含む。さらに、ステップ318は、方法200のステップ212(図2および前述の対応する記載を参照)と同じ、または実質的に同様に実施することができる。
以下の実施例は、本開示により提供される多様な特徴および利点を説明するが、本発明および添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものでは決してない。
実施例1
この実施例では、Corning(登録商標)Gorilla(登録商標)Glass 3基板サンプルの群(群当たりn=5)を準備し、本開示の原理および発想による強化物品の製造方法(例えば、図2および図3にそれぞれ図示される強化物品100aおよび100bの製造方法200および300)に供する。特に、この基板は、166mm×123mm×1.1mmの寸法を有するサンプルに切断された。アンチグレア表面および/またはSiO含有膜の準備後に、後述に詳細に言及するように(実施例1-1および実施例1-2および比較例1-1~比較例1-5の説明について後述を参照)、これらのサンプルの各群を、サンプルを420℃で6時間、100%KNOの浴に浸漬するイオン交換条件に供した。
後述の表1に詳説されるように、実施例1-1で表示される5つ(5)のサンプルの群を、方法300(図3および対応する説明を参照)および/または順序「B」による方法200(図2および対応する説明を参照)と一致する物品の強化方法に供した。特に、この群中の各基板の主面の一方は、耐酸性膜(ポリエチレン)を用いて積層され、反対側の表面は、本開示において前述で概説したものと一致する、一体形のアンチグレア(AG)表面を作製するためのエッチングプロセスに供した。次いで、積層膜を非AG表面から除去し、次いで、別の耐酸性積層膜を、新たに形成したAG表面に適用した。次いで、非AG表面を、約10ナノメートルの厚さを有するSiO含有膜を形成するためのLPDプロセスに供した。より詳細には、マスクされた基板を、BFの存在で21分間SiO飽和HSiF溶液内に浸漬した。堆積したSiO含有膜の厚さは、ウィットネスサンプルで同じプロセスを使用することにより評価し、次いで、図4に示すように、走査電子顕微鏡(すなわち、Hitachi S-4800 FE-SEM)により測定した。第2の積層膜を除去した後に、次いで、これらのサンプルを前述で言及したイオン交換(IOX)プロセス(すなわち、420℃、6時間、100%KNO)に供した。さらに、実施例1-2で表示される5つ(5)のサンプルの第2の群を、実施例1-1で表示される群の作製において使用されるものと同じ処理条件に供した。
後述の表1にも詳説されるように、比較例1-1、比較例1-2および比較例1-3で表示される5つ(5)のサンプルの3つの個別の比較群を、実施例1-1および実施例1-2で表示されるサンプルの群を作製する際に使用されるものと実質的に同じ条件により準備したが、SiO含有膜の形成のためのステップは、SiO含有膜が0.3nm未満の厚さを有するように実施した。後述の表1にさらに詳説されるように、比較例1-4および比較例1-5で表示される5つ(5)のサンプルの2つの個別の群を、実施例1-1および実施例1-2で表示されるサンプルの群を作製する際に使用されるものと実質的に同じ条件により準備したが、これらの比較サンプルではSiO含有膜を形成しなかった。
反りの測定は、表1に列挙されたサンプルの群の各々について行った。特に、各サンプルを、イオン交換プロセスステップの前後に両面に関してたわみ計(ISRA Vision 650x1300 mmシステム)を用いて反りについて測定した。サンプルの所定の群(例えば実施例1-1)についてイオン交換処理の前後で、各主面に関するこれらの測定から得られた最大反りレベルを、表1に報告する。さらに、所定の群中のサンプルの各面に関するこれらの反りの測定に基づく最大反り差が、表1に報告される。各サンプル群についての最大反り差(つまり、Δwarp)は、所定のサンプル群についてのイオン交換ステップの前後で得られた最大反りの差により与えられる。したがって、最大反り差は、所定の群中のサンプルのAG側または非アンチグレア表面(NAG)側からの測定に基づいてよい。
Figure 2022513091000002
表1を参照すると、それぞれ約10nmの厚さを有するSiO含有膜を有する実施例1-1および実施例1-2群中のサンプルは、それぞれ0.032mmおよび-0.011mmの反りの変化(Δwarp)を示す。対照的に、それぞれ3nm未満の厚さを有するSiO含有膜を有する比較例1-1、比較例1-2および比較例1-3群中のサンプルは、それぞれ0.150mm、0.174mmおよび0.179mmの反りの変化(Δwarp)を示す。さらに、それぞれSiO含有膜を有していない比較例1-4および比較例1-5群中のサンプルは、それぞれ0.157mmおよび0.118mmの反りの変化(Δwarp)を示す。このように、表1中のデータから、3nmを越える厚さ(例えば約10nm)を有するSiO含有膜を有するサンプルの群は、SiO含有膜を有していないかまたは3nm未満の厚さを有するSiO含有膜を有する比較サンプル群よりも明らかに低い反りレベルを示すことが明らかとなる。さらに、表1中のデータは、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有するSiO含有膜を支持している。
態様(1)は、強化物品を製造する方法であって、複数のイオン交換可能なアルカリ金属イオンと、第1の主面と、第2の主面とを備える、ガラス組成物、ガラスセラミック組成物またはセラミック組成物を有する物品を準備するステップと、第1の主面上にSiO含有膜を形成するステップであって、SiO含有膜は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有する、SiO含有膜を形成するステップと、第2の主面と一体のアンチグレア表面を形成するステップと、イオン交換可能なアルカリ金属イオンのサイズよりも大きなサイズをそれぞれ有する複数のイオン交換するアルカリ金属イオンを有する第1のイオン交換浴を準備するステップと、強化物品を形成するために、物品を第1のイオン交換浴中に第1のイオン交換温度および第1のイオン交換時間で浸漬するステップとを含み、強化物品は、第1の主面と第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域を有する、方法に関する。
態様(2)は、強化物品が、浸漬するステップ前の物品および浸漬するステップ後の強化物品に関する反りの測定から決定して、200μm以下の反り(Δwarp)を有する、態様(1)記載の方法に関する。
態様(3)は、強化物品が、浸漬するステップ前の物品および浸漬するステップ後の強化物品に関する反りの測定から決定して、110μm以下の反り(Δwarp)を有する、態様(1)記載の方法に関する。
態様(4)は、強化物品が、浸漬するステップ前の物品および浸漬するステップ後の強化物品に関する反りの測定から決定して、35μm以下の反り(Δwarp)を有する、態様(1)記載の方法に関する。
態様(5)は、物品が、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスおよびリン酸塩ガラスからなる群から選択されるガラス組成物を有する、態様(1)から(4)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
態様(6)は、強化物品により示されるヘイズの変化(Δhaze)および光沢の変化(Δgloss)が、浸漬するステップ前の物品および浸漬するステップ後の強化物品に関するヘイズおよび光沢の測定から決定して、それぞれ10%未満である、態様(1)から(5)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
態様(7)は、SiO含有膜を形成するステップがさらに、第1の主面がSiO含有膜を有するように実施され、SiO含有膜を形成するステップが、第2の主面のマスキング後に実施され、さらに、アンチグレア表面を形成するステップがさらに、第2の主面がアンチグレア表面を有するように実施され、アンチグレア表面を形成するステップが、第1の主面がマスキング膜でマスキングされた後に実施される、態様(1)から(6)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
態様(8)は、強化物品を製造する方法であって、複数のイオン交換可能なアルカリ金属イオンと、第1の主面と、第2の主面とを備える、ガラス組成物、ガラスセラミック組成物またはセラミック組成物を有する物品を準備するステップと、第1のマスキング膜で第1の主面をマスキングするステップと、第1の主面をマスキングするステップの後に、第2の主面と一体のアンチグレア表面を形成するステップと、アンチグレア表面を形成するステップの後に、第1の主面上の第1のマスキング膜を除去するステップと、第2のマスキング膜でアンチグレア表面をマスキングするステップと、第1の主面上にSiO含有膜を形成するステップであって、SiO含有膜は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有し、SiO含有膜を形成するステップは、アンチグレア表面をマスキングするステップの後に実施される、SiO含有膜を形成するステップと、SiO含有膜を形成するステップの後に、アンチグレア表面上の第2のマスキング膜を除去するステップと、イオン交換可能なアルカリ金属イオンのサイズよりも大きなサイズをそれぞれ有する複数のイオン交換するアルカリ金属イオンを有する第1のイオン交換浴を準備するステップと、強化物品を形成するために、物品を第1のイオン交換浴中に第1のイオン交換温度および第1のイオン交換時間で浸漬するステップであって、浸漬は、第2のマスキング膜を除去するステップの後に実施される、浸漬するステップとを含み、強化物品は、第1の主面と第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域を有する、方法に関する。
態様(9)は、強化物品が、浸漬するステップ前の物品および浸漬するステップ後の強化物品に関する反りの測定から決定して、200μm以下の反りの変化(Δwarp)を有する、態様(8)記載の方法に関する。
態様(10)は、強化物品が、浸漬するステップ前の物品および浸漬するステップ後の強化物品に関する反りの測定から決定して、110μm以下の反りの変化(Δwarp)を有する、態様(8)記載の方法に関する。
態様(11)は、強化物品が、浸漬するステップ前の物品および浸漬するステップ後の強化物品に関する反りの測定から決定して、35μm以下の反りの変化(Δwarp)を有する、態様(8)記載の方法に関する。
態様(12)は、物品が、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスおよびリン酸塩ガラスからなる群から選択されるガラス組成物を有する、態様(8)から(11)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
態様(13)は、強化物品により示されるヘイズの変化(Δhaze)および光沢の変化(Δgloss)が、浸漬するステップ前の物品および浸漬するステップ後の強化物品に関するヘイズおよび光沢の測定から決定して、それぞれ10%未満である、態様(8)から(12)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
態様(14)は、態様(1)から(13)までのいずれか1つ記載の方法により製造された強化物品に関する。
態様(15)は、強化物品が、車両内装の要素である、態様(14)記載の強化物品に関する。
態様(16)は、要素が、ディスプレイを有し、強化物品が、ディスプレイのカバーガラスである、態様(14)記載の強化物品に関する。
態様(17)は、強化ガラス物品であって、第1の主面と第2の主面とを有するガラス基板と、第1の主面と第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域とを有し、基板の第2の主面は、一体形に形成されたアンチグレア表面を有し、ガラス物品は、200μm以下の反りの変化(Δwarp)を有し、第1の主面は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有するSiO含有膜を有し、さらに、反りの変化は、圧縮応力領域の形成の前後で測定される、強化ガラス物品に関する。
態様(18)は、ガラス物品が、110μm以下の反りの変化(Δwarp)を有し、さらに、反りの変化が、圧縮応力領域の形成の前後で測定される、態様(17)記載のガラス物品に関する。
態様(19)は、ガラス物品が、35μm以下の反りの変化(Δwarp)を有し、さらに、反りの変化が、圧縮応力領域の形成の前後で測定される、態様(17)記載のガラス物品に関する。
態様(20)は、ガラス基板が、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスおよびリン酸塩ガラスからなる群から選択されるガラス組成物を有する、態様(17)から(19)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
態様(21)は、それぞれ第1の主面および第2の主面から延びる圧縮応力領域の部分が非対称である、態様(17)から(20)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
態様(22)は、第1の主面および第2の主面から延びる圧縮応力領域の部分が、ガラス基板の化学強化プロセスによりイオン交換されたイオンの異なる量を有する、態様(17)から(21)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
態様(23)は、ガラス物品が、1%未満のヘイズの変化を示し、さらに、ヘイズの変化は、圧縮応力領域、アンチグレア表面およびSiO含有膜の形成の前後で測定される、態様(17)から(22)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
例示的な実施形態および実施例は、例示の目的で記載されたが、前述の説明は、本開示の範囲および添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものでは決してない。したがって、本開示の精神および多様な原則から実質的に逸脱せずに、上述に説明された実施形態および実施例に変更および修正を行ってよい。このような全ての修正および変更は、本明細書において本開示の範囲内に含まれ、後述の特許請求の範囲により保護されることが意図される。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
強化物品を製造する方法であって、
複数のイオン交換可能なアルカリ金属イオンと、第1の主面と、第2の主面とを備える、ガラス組成物、ガラスセラミック組成物またはセラミック組成物を有する物品を準備するステップと、
前記第1の主面上にSiO含有膜を形成するステップであって、前記SiO含有膜は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有する、SiO含有膜を形成するステップと、
前記第2の主面と一体のアンチグレア表面を形成するステップと、
前記イオン交換可能なアルカリ金属イオンのサイズよりも大きなサイズをそれぞれ有する複数のイオン交換するアルカリ金属イオンを有する第1のイオン交換浴を準備するステップと、
強化物品を形成するために、前記物品を前記第1のイオン交換浴中に第1のイオン交換温度および第1のイオン交換時間で浸漬するステップと
を含み、
前記強化物品は、前記第1の主面と前記第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域を有する、
方法。
実施形態2
前記強化物品は、前記浸漬するステップ前の前記物品および前記浸漬するステップ後の前記強化物品に関する反りの測定から決定して、200μm以下の反り(Δwarp)を有する、実施形態1記載の方法。
実施形態3
前記強化物品は、前記浸漬するステップ前の前記物品および前記浸漬するステップ後の前記強化物品に関する反りの測定から決定して、110μm以下の反り(Δwarp)を有する、実施形態1記載の方法。
実施形態4
前記強化物品は、前記浸漬するステップ前の前記物品および前記浸漬するステップ後の前記強化物品に関する反りの測定から決定して、35μm以下の反り(Δwarp)を有する、実施形態1記載の方法。
実施形態5
前記物品は、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスおよびリン酸塩ガラスからなる群から選択されるガラス組成物を有する、実施形態1から4までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態6
前記強化物品により示されるヘイズの変化(Δhaze)および光沢の変化(Δgloss)は、前記浸漬するステップ前の前記物品および前記浸漬するステップ後の前記強化物品に関するヘイズおよび光沢の測定から決定して、それぞれ10%未満である、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態7
前記SiO含有膜を形成するステップはさらに、前記第1の主面が前記SiO含有膜を有するように実施され、前記SiO含有膜を形成するステップは、前記第2の主面のマスキング後に実施され、
さらに、前記アンチグレア表面を形成するステップはさらに、前記第2の主面が前記アンチグレア表面を有するように実施され、前記アンチグレア表面を形成するステップは、前記第1の主面がマスキング膜でマスキングされた後に実施される、
実施形態1から6までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態8
強化物品を製造する方法であって、
複数のイオン交換可能なアルカリ金属イオンと、第1の主面と、第2の主面とを備える、ガラス組成物、ガラスセラミック組成物またはセラミック組成物を有する物品を準備するステップと、
第1のマスキング膜で前記第1の主面をマスキングするステップと、
前記第1の主面をマスキングするステップの後に、前記第2の主面と一体のアンチグレア表面を形成するステップと、
前記アンチグレア表面を形成するステップの後に、前記第1の主面上の前記第1のマスキング膜を除去するステップと、
第2のマスキング膜で前記アンチグレア表面をマスキングするステップと、
前記第1の主面上にSiO含有膜を形成するステップであって、前記SiO含有膜は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有し、前記SiO含有膜を形成するステップは、前記アンチグレア表面をマスキングするステップの後に実施される、SiO含有膜を形成するステップと、
前記SiO含有膜を形成するステップの後に、前記アンチグレア表面上の前記第2のマスキング膜を除去するステップと、
前記イオン交換可能なアルカリ金属イオンのサイズよりも大きなサイズをそれぞれ有する複数のイオン交換するアルカリ金属イオンを有する第1のイオン交換浴を準備するステップと、
強化物品を形成するために、前記物品を前記第1のイオン交換浴中に第1のイオン交換温度および第1のイオン交換時間で浸漬するステップであって、浸漬は、前記第2のマスキング膜を除去するステップの後に実施される、浸漬するステップと
を含み、
前記強化物品は、前記第1の主面と前記第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域を有する、
方法。
実施形態9
前記強化物品は、前記浸漬するステップ前の前記物品および前記浸漬するステップ後の前記強化物品に関する反りの測定から決定して、200μm以下の反りの変化(Δwarp)を有する、実施形態8記載の方法。
実施形態10
前記強化物品は、前記浸漬するステップ前の前記物品および前記浸漬するステップ後の前記強化物品に関する反りの測定から決定して、110μm以下の反りの変化(Δwarp)を有する、実施形態8記載の方法。
実施形態11
前記強化物品は、前記浸漬するステップ前の前記物品および前記浸漬するステップ後の前記強化物品に関する反りの測定から決定して、35μm以下の反りの変化(Δwarp)を有する、実施形態8記載の方法。
実施形態12
前記物品は、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスおよびリン酸塩ガラスからなる群から選択されるガラス組成物を有する、実施形態8から11までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態13
前記強化物品により示されるヘイズの変化(Δhaze)および光沢の変化(Δgloss)は、前記浸漬するステップ前の前記物品および前記浸漬するステップ後の前記強化物品に関するヘイズおよび光沢の測定から決定して、それぞれ10%未満である、実施形態8から12までのいずれか1つ記載の方法。
実施形態14
実施形態1から13までのいずれか1つ記載の方法により製造された強化物品。
実施形態15
前記強化物品は、車両内装の要素である、実施形態14記載の強化物品。
実施形態16
前記要素は、ディスプレイを有し、前記強化物品は、前記ディスプレイのカバーガラスである、実施形態14記載の強化物品。
実施形態17
強化ガラス物品であって、
第1の主面と第2の主面とを有するガラス基板と、前記第1の主面と前記第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域とを有し、
前記基板の前記第2の主面は、一体形に形成されたアンチグレア表面を有し、
前記ガラス物品は、200μm以下の反りの変化(Δwarp)を有し、
前記第1の主面は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有するSiO含有膜を有し、
さらに、前記反りの変化は、前記圧縮応力領域の形成の前後で測定される、
強化ガラス物品。
実施形態18
前記ガラス物品は、110μm以下の反りの変化(Δwarp)を有し、さらに、前記反りの変化は、前記圧縮応力領域の形成の前後で測定される、実施形態17記載のガラス物品。
実施形態19
前記ガラス物品は、35μm以下の反りの変化(Δwarp)を有し、さらに、前記反りの変化は、前記圧縮応力領域の形成の前後で測定される、実施形態17記載のガラス物品。
実施形態20
前記ガラス基板は、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスおよびリン酸塩ガラスからなる群から選択されるガラス組成物を有する、実施形態17から19までのいずれか1つ記載のガラス物品。
実施形態21
それぞれ前記第1の主面および前記第2の主面から延びる前記圧縮応力領域の部分は非対称である、実施形態17から20までのいずれか1つ記載のガラス物品。
実施形態22
前記第1の主面および前記第2の主面から延びる前記圧縮応力領域の部分は、前記ガラス基板の化学強化プロセスによりイオン交換されたイオンの異なる量を有する、実施形態17から21までのいずれか1つ記載のガラス物品。
実施形態23
前記ガラス物品は、1%未満のヘイズの変化を示し、さらに、前記ヘイズの変化は、前記圧縮応力領域、前記アンチグレア表面および前記SiO含有膜の形成の前後で測定される、実施形態17から22までのいずれか1つ記載のガラス物品。

Claims (10)

  1. 強化物品を製造する方法であって、
    複数のイオン交換可能なアルカリ金属イオンと、第1の主面と、第2の主面とを備える、ガラス組成物、ガラスセラミック組成物またはセラミック組成物を有する物品を準備するステップと、
    前記第1の主面上にSiO含有膜を形成するステップであって、前記SiO含有膜は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有する、SiO含有膜を形成するステップと、
    前記第2の主面と一体のアンチグレア表面を形成するステップと、
    前記イオン交換可能なアルカリ金属イオンのサイズよりも大きなサイズをそれぞれ有する複数のイオン交換するアルカリ金属イオンを有する第1のイオン交換浴を準備するステップと、
    強化物品を形成するために、前記物品を前記第1のイオン交換浴中に第1のイオン交換温度および第1のイオン交換時間で浸漬するステップと
    を含み、
    前記強化物品は、前記第1の主面と前記第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域を有する、
    方法。
  2. 前記強化物品は、前記浸漬するステップ前の前記物品および前記浸漬するステップ後の前記強化物品に関する反りの測定から決定して、200μm以下の反り(Δwarp)を有する、請求項1記載の方法。
  3. 前記強化物品により示されるヘイズの変化(Δhaze)および光沢の変化(Δgloss)は、前記浸漬するステップ前の前記物品および前記浸漬するステップ後の前記強化物品に関するヘイズおよび光沢の測定から決定して、それぞれ10%未満である、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記SiO含有膜を形成するステップはさらに、前記第1の主面が前記SiO含有膜を有するように実施され、前記SiO含有膜を形成するステップは、前記第2の主面のマスキング後に実施され、
    さらに、前記アンチグレア表面を形成するステップはさらに、前記第2の主面が前記アンチグレア表面を有するように実施され、前記アンチグレア表面を形成するステップは、前記第1の主面がマスキング膜でマスキングされた後に実施される、
    請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 強化ガラス物品であって、
    第1の主面と第2の主面とを有するガラス基板と、前記第1の主面と前記第2の主面とからそれぞれ第1の選択深さおよび第2の選択深さまで延びる圧縮応力領域とを有し、
    前記基板の前記第2の主面は、一体形に形成されたアンチグレア表面を有し、
    前記ガラス物品は、200μm以下の反りの変化(Δwarp)を有し、
    前記第1の主面は、約5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有するSiO含有膜を有し、
    さらに、前記反りの変化は、前記圧縮応力領域の形成の前後で測定される、
    強化ガラス物品。
  6. 前記ガラス物品は、110μm以下の反りの変化(Δwarp)を有し、さらに、前記反りの変化は、前記圧縮応力領域の形成の前後で測定される、請求項5記載のガラス物品。
  7. 前記ガラス基板は、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスおよびリン酸塩ガラスからなる群から選択されるガラス組成物を有する、請求項5または6記載のガラス物品。
  8. それぞれ前記第1の主面および前記第2の主面から延びる前記圧縮応力領域の部分は非対称である、請求項5から7までのいずれか1項記載のガラス物品。
  9. 前記第1の主面および前記第2の主面から延びる前記圧縮応力領域の部分は、前記ガラス基板の化学強化プロセスによりイオン交換されたイオンの異なる量を有する、請求項5から8までのいずれか1項記載のガラス物品。
  10. 前記ガラス物品は、1%未満のヘイズの変化を示し、さらに、前記ヘイズの変化は、前記圧縮応力領域、前記アンチグレア表面および前記SiO含有膜の形成の前後で測定される、請求項5から9までのいずれか1項記載のガラス物品。
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