JP2022509262A - 乳癌を有する女性におけるアベマシクリブと組み合わせたエラセストラント - Google Patents

乳癌を有する女性におけるアベマシクリブと組み合わせたエラセストラント Download PDF

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Abstract

Figure 2022509262000001
本開示は、患者に、エラセストラントまたはその薬学的に許容され得る塩およびアベマシクリブまたはその薬学的に許容され得る塩を含む治療組合せを投与する工程を含む、患者において乳癌を治療する方法に関する。本開示はまた、他の治療と比較して、より長い進行なしの生存時間を生じる、患者において乳癌を治療する方法に関する。

Description

関連出願についての他所参照
本願は、2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773,960号に対する35 U.S.C. § 119(e)下の優先権を主張する。前記出願の全内容は、図面を含むその全体において、参照により本明細書に援用される。
発明の技術分野
本開示は、エラセストラント(elacestrant)またはその薬学的に許容され得る塩とアベマシクリブまたはその薬学的に許容され得る塩を含む治療組合せを患者に投与する工程を含む、患者において乳癌を治療する方法に関する。本開示はまた、他の治療と比較してより長い進行なしの生存(Progression Free Survival)時間を生じる患者において乳癌を治療する方法に関する。
発明の背景
内分泌療法に対する耐性は、エストロゲン受容体陽性(ER+)乳癌を有する患者の管理における困難な局面である。最近の研究により、獲得された耐性が、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子における変異の出現を通してアロマターゼ阻害剤を用いた治療の後に発生し得ることが示されている。新たな(de novo)および獲得された耐性に関連する別の機構は、並行する成長因子シグナル伝達経路の適応性(adaptive)の上方制御、ならびにサイクリンD1の発現ならびにサイクリン依存的キナーゼ4(CDK4)およびCDK6(CDK4/6)の活性化を促進するものを含むこれらの経路の間のクロストークである。
これらの機構を妨害するように設計された戦略は、CDK4/6経路の阻害剤と内分泌療法を組み合わせることを含む。内分泌治療ナイーブおよび内分泌治療耐性の乳癌細胞株を使用した前臨床試験においてかかる組合せ療法を評価した場合に、全身性の効果が観察された。さらに、MONARCH-2臨床試験において、アベマシクリブ(CDK4/6阻害剤; Verzenio(登録商標), Eli Lilly and Company)とフルベストラント(ただ1つの承認された選択的ER分解剤(degrader)[SERD]; Faslodex(登録商標), AstraZeneca)の組合せにより、ER+のヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)転移性乳癌を有する患者において、フルベストラント単独と比較して、向上された進行なしの生存(PFS)が示された。
エラセストラント(RAD1901)は、新規の経口的に生物学的利用可能なSERDである。前臨床データは、単一薬剤としておよびCDK4/6阻害剤との組合せにおいてエラセストラントが、野生型のESR1を有するER+乳癌および変異体のESR1を有するER+乳癌の両方のモデルにおいて腫瘍成長の阻害に有効であることを示している。エラセストラント単一療法により、フルベストラントに非感受性であり、エストロゲン非依存的および/またはESR1遺伝子変異含んだ(harbored)ものを含むER+乳癌の患者由来の異種移植片モデルにおいて抗腫瘍活性が示された。ER+乳癌の複数の異種移植片モデルにおいて、エラセストラントとCDK4/6阻害剤の組合せは、いずれかの薬物単独により観察されるものよりも大きな抗腫瘍活性を示した。
図面の簡単な説明
図1は、本明細書に開示される試験設計の概略図である。
発明の概要
一局面において、本発明は、エラセストラントまたはその薬学的に許容され得る塩およびアベマシクリブまたはその薬学的に許容され得る塩を含む治療組合せを患者に投与する工程を含む、患者において乳癌を治療する方法に関する。
この局面の一態様において、患者は、レトロゾール(letrozole)とアベマシクリブの組合せ、アナストロゾール(anastrozole)とアベマシクリブの組合せまたはフルベストラントとアベマシクリブの組合せを投与された患者と比較して、より大きい進行なしの生存時間を経験する。
この局面の別の態様において、患者は、単一療法としてアベマシクリブを投与された患者と比較して、より大きい進行なしの生存時間を経験する。
発明の詳細な説明
本明細書で使用する場合、RAD1901または「エラセストラント」は、その塩、溶媒和物(例えば水和物)およびプロドラッグを含む以下の構造:
Figure 2022509262000002
を有する。
本明細書に記載されるいくつかの態様において、RAD1901は、ビス塩酸(・2HCl)塩として投与される。
本明細書で使用する場合、「アベマシクリブ」は、その塩、溶媒和物(例えば水和物)およびプロドラッグを含む以下の構造:
Figure 2022509262000003
を有する。
定義
本明細書で使用する場合、そうではないと示されない限り、以下の定義が適用される。
本明細書で使用する場合、用語「RAD1901」および「エラセストラント」は、同じ化合物をいい、交換可能に使用される。
ERα陽性腫瘍の「成長の阻害(inhibiting growth)」は、本明細書で使用する場合、腫瘍成長の速度を遅延することまたは腫瘍成長を完全に停止することをいい得る。
ERα陽性腫瘍の「腫瘍退縮」または「退縮」は、本明細書で使用する場合、腫瘍の最大サイズの低減をいい得る。ある態様において、本明細書に記載される組合せまたはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の投与は、ベースライン(すなわち治療の開始前のサイズ)に対する腫瘍サイズの低下、またはさらに腫瘍の根絶もしくは部分的根絶を生じ得る。したがって、ある態様において、本明細書に提供される腫瘍退縮の方法は、代替的にベースラインに対して腫瘍サイズを低減する方法として特徴付けられ得る。
「腫瘍」は、本明細書で使用する場合、悪性腫瘍であり、「癌」と交換可能に使用される。
「エストロゲン受容体α」または「ERα」は、本明細書で使用する場合、遺伝子ESR1によりコードされる野生型ERαアミノ酸配列を含むか、それからなるかまたは本質的にそれからなるポリペプチドをいう。
「エストロゲン受容体αに対して陽性」、「ERα陽性」、「ER+」または「ERα+」である腫瘍は、本明細書で使用する場合、1つ以上の細胞がERαの少なくとも1つのアイソフォームを発現する腫瘍をいう。
態様
一局面において、本発明は、患者に、エラセストラントまたはその薬学的に許容され得る塩およびアベマシクリブまたはその薬学的に許容され得る塩を含む治療組合せを投与する工程を含む、患者において乳癌を治療する方法に関する。
一態様において、患者は閉経後の女性である。
別の態様において、患者は、CDK4/6阻害剤またはSERDを用いた以前の療法を受けていない。
別の態様において、患者における乳癌は、以前の内分泌療法の際に進行している。
別の態様において、患者における乳癌はER+乳癌である。
患者における乳癌がHER2-乳癌である、請求項5記載の方法。
別の態様において、患者における乳癌は、進行したまたは転移性の乳癌である。
一態様において、エラセストラントは、200~500mg/日の用量で患者に投与される。
さらなる態様において、エラセストラントは、250~450mg/日の用量で患者に投与される。
さらなる態様において、エラセストラントは、約300mg/日の用量で患者に投与される。
なおさらなる態様において、エラセストラントは、1日当たり1回の投与で、約300mg/日の用量で患者に投与される。
別のさらなる態様において、エラセストラントは、約400mg/日の用量で患者に投与される。
なおさらなる態様において、エラセストラントは、1日当たり1回の投与で、約400mg/日の用量で患者に投与される。
一態様において、アベマシクリブは、150~400mg/日の用量で患者に投与される。
さらなる態様において、アベマシクリブは、約200mg/日の用量で患者に投与される。
なおさらなる態様において、アベマシクリブは、1日当たり2回の投与で、約200mg/日の用量で患者に投与される。
別のさらなる態様において、アベマシクリブは、1日当たり2回、約100mgの用量で患者に投与される。
一態様において、アベマシクリブは、約300mg/日の用量で患者に投与される。
さらなる態様において、アベマシクリブは、1日当たり2回の投与で、約300mg/日の用量で患者に投与される。
なおさらなる態様において、アベマシクリブは、1日当たり2回、約150mgの用量で患者に投与される。
一態様において、エラセストラントは、約400mg/日の用量で患者に投与され、アベマシクリブは、約300mg/日の用量で患者に投与される。
さらなる態様において、アベマシクリブは、1日当たり2回、150mgの用量で患者に投与される。
別の態様において、エラセストラントは、約300mg/日の用量で患者に投与され、アベマシクリブは、約300mg/日の用量で患者に投与される。
さらなる態様において、アベマシクリブは、1日当たり2回、150mgの用量で患者に投与される。
別の態様において、エラセストラントは、約300mg/日の用量で患者に投与され、アベマシクリブは、約200mg/日の用量で患者に投与される。
さらなる態様において、アベマシクリブは、1日当たり2回、100mgの用量で患者に投与される。
一態様において、エラセストラントは、患者についての最大許容投与量である用量で患者に投与される。
一態様において、アベマシクリブは、患者についての最大許容投与量である用量で患者に投与される。
この局面の一態様において、患者は、レトロゾールとアベマシクリブの組合せ、アナストロゾールとアベマシクリブの組合せまたはフルベストラントとアベマシクリブの組合せを投与された患者と比較して、より大きな進行なしの生存時間を経験する。
さらなる態様において、乳癌はER+/HER2-の進行したまたは転移性の乳癌であり、患者は、以前の補助的または転移性の内分泌療法の際またはその後に進行し、CDK4/6阻害剤またはSERDを用いた以前の治療を受けていない。
一態様において、レトロゾールとアベマシクリブの組合せを投与された患者は、1日当たり1回の2.5mgのレトロゾールおよび毎日2回の125mgのアベマシクリブを投与された。
別の態様において、アナストロゾールとアベマシクリブの組合せを投与された患者は、1日当たり1回の1mgのアナストロゾールおよび毎日2回の125mgのアベマシクリブを投与された。
別の態様において、フルベストラントとアベマシクリブの組合せを投与された患者は、注射当たり1~2分の速度で臀部(臀部領域)への2回の5mLの筋内注射として、それぞれの臀部に1回で、1、15および29日目におよびその後は一月に1回の500mgのフルベストラント注射ならびに毎日2回の125mgのアベマシクリブを投与された。
別の態様において、患者は、レトロゾールとアベマシクリブの組合せを投与された患者と比較してより大きい進行なしの生存時間を経験し、乳癌はER+/HER2-の進行したまたは転移性の乳癌であり、患者はその進行した/転移性の疾患について以前の全身性抗癌療法を受けておらず、CDK4/6阻害剤またはSERDを用いた以前の治療を受けていない。
さらなる態様において、レトロゾールとアベマシクリブの組合せを投与された患者は、1日当たり1回の2.5mgのレトロゾールおよび毎日2回の125mgのアベマシクリブを投与された。
この局面の別の態様において、患者は、単一療法としてアベマシクリブを投与された患者と比較してより大きな進行なしの生存時間を経験する。
さらなる態様において、乳癌は、ER+/HER2-の進行したまたは転移性の乳癌であり、患者は、その進行したまたは転移性の疾患について許容された転移性乳癌のための≦2の以前の化学療法を含む以前の全身性抗癌療法を受けており、以前の全身性抗癌療法は、CDK4/6阻害剤またはSERDを含まなかった。
なおさらなる態様において、単一療法としてアベマシクリブを投与された患者は、毎日2回の200mgのアベマシクリブを投与された。
製剤化、投与および使用
エラセストラントおよびCDK阻害剤を含む組合せ療法は、以前に米国特許出願公開番号第2018/0169101号に記載され、その全内容は、その全体において、参照により本明細書に援用される。
RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブの組合せ
RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブの両方は、被験体に単独で投与された場合に、1つ以上の癌または腫瘍に対して治療効果を有する。驚くべきことに、被験体に組み合わせて投与された場合、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブは、癌/腫瘍に対して有意に向上された効果を有することが発見された。
腫瘍成長阻害または退縮は、特定の組織もしくは臓器内で単一の腫瘍または腫瘍の組に局在化され得るか、または全身性であり得る(すなわち全ての組織または臓器において腫瘍に影響を及ぼす)。
RAD1901は、エストロゲン受容体ベータ(ERβ)に対してERαに優先的に結合することが知られているので、そうではないと特定されない限り、エストロゲン受容体、エストロゲン受容体アルファ、ERα、ER、野生型ERαおよびESR1は、本明細書において交換可能に使用される。ある態様において、ER+細胞はERαを過剰発現する。ある態様において、患者は、ERβの1つ以上の形態を発現する腫瘍内に1つ以上の細胞を有する。ある態様において、ERα陽性腫瘍および/または癌は、乳癌、子宮癌、卵巣癌または下垂体癌に関連する。これらの態様のあるものにおいて、患者は、乳房、子宮、卵巣または下垂体の組織に位置する腫瘍を有する。患者が乳房に位置する腫瘍を有するこれらの態様において、腫瘍は、HER2について陽性であってもなくてもよい管腔乳癌に関連し得、HER2+腫瘍について、腫瘍は、HER2を高または低発現し得る。他の態様において、患者は、別の組織または臓器(例えば骨、筋肉、脳)に位置する腫瘍を有するが、それにもかかわらず乳癌、子宮癌、卵巣癌または下垂体癌(例えば乳癌、子宮癌、卵巣癌または下垂体癌の移動または転移に由来する腫瘍)に関連する。したがって、本明細書に提供される腫瘍成長阻害または腫瘍退縮方法のある態様において、標的化される腫瘍は転移性の腫瘍であるか、および/または腫瘍は、他の臓器(例えば骨および/または筋肉)においてERの過剰発現を有する。ある態様において、標的化される腫瘍は、脳腫瘍および/または癌である。ある態様において、標的化される腫瘍は、別のSERD(例えばフルベストラント、TAS-108 (SR16234)、ZK191703、RU58668、GDC-0810 (ARN-810)、GW5638/DPC974、SRN-927、ICI182782およびAZD9496)、Her2阻害剤(例えばトラスツズマブ、ラパチニブ、アド(ado)-トラスツズマブエムタンシンおよび/またはペルツズマブ)、化学療法(例えばアブラキサン、アドリアマイシン、カルボプラチン、シトキサン(cytoxan)、ダウノルビシン、ドキシル、エレンス(ellence)、フルオロウラシル、ジェムザール、ヘラベン(helaven)、ルクゼンプラ(lxempra)、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン(micoxantrone)、ナベルビン(navelbine)、タキソール、タキソテール、チオテパ、ビンクリスチンおよびゼローダ)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、エキセメスタンおよびレトロゾール)、選択的エストロゲン受容体調節因子(例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン(lasofoxifene)および/またはトレミフェン)、脈管形成阻害剤(例えばベバシズマブ)および/またはリツキシマブを用いた治療よりもRAD1901およびアベマシクリブの治療に対してより感受性である。
本明細書に提供される腫瘍成長阻害または腫瘍退縮方法のある態様において、該方法はさらに、患者が、アベマシクリブとRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の組合せを投与する前に、ERαを発現する腫瘍を有するかどうかを決定する工程を含む。本明細書に提供される腫瘍成長阻害または腫瘍退縮方法のある態様において、該方法はさらに、患者が、アベマシクリブとRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の組合せを投与する前に、変異体ERαを発現する腫瘍を有するかどうかを決定する工程を含む。本明細書に提供される腫瘍成長阻害または腫瘍退縮方法のある態様において、該方法はさらに、患者が、アベマシクリブとRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の組合せを投与する前に、フルベストラント治療に対して応答性であるかまたは非応答性であるERαを発現する腫瘍を有するかどうかを決定する工程を含む。これらの決定は、当該技術分野で公知の任意の発現検出方法を使用してなされ得、被験体から除去された腫瘍または組織試料を使用してインビトロで実行され得る。
RAD1901が野生型ERαを発現する腫瘍において腫瘍成長を阻害する能力を示すことに加えて、RAD1901は、ERαの変異型、つまりY537S ERαを発現する腫瘍の成長を阻害する予期されない能力を示す。ERα変異の例のコンピューターモデリング評価により、これらの変異、例えばY537X変異体(ここでXはS、NまたはCである)を有するERα、D538G変異体を有するERαおよびS463P変異体を有するERαからなる群より選択される1つ以上の変異体を有するERαは、LBDに影響するかまたはRAD1901結合を特異的に妨げることは予測されなかったことが示された。これらの結果に基づいて、癌を有する被験体に、アベマシクリブとRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の組合せの治療有効量を投与することにより、癌を有する被験体において、リガンド結合ドメイン(LBD)内に、Y537X1(ここでX1はS、NまたはCである)、D538G、L536X2(ここでX2はRまたはQである)、P535H、V534E、S463P、V392I、E380Qからなる群より選択される1つ以上の変異体を有するERα、特にY537S ERαについて陽性である腫瘍の成長を阻害または腫瘍の退縮を生じるための方法が本明細書に提供される。ある態様において、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩。「変異体ERα」は、本明細書で使用する場合、1つ以上の置換または欠失を含むERα、およびERαのアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは少なくとも99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それらからなるかまたは本質的にそれらからなるそれらのバリアントをいう。
動物異種移植片モデルにおいて乳癌腫瘍成長を阻害することに加えて、RAD1901は、腫瘍細胞内に有意な蓄積を示し、血液脳関門を通過し得る。血液脳関門を通過する能力は、RAD1901投与が脳転移異種移植片モデルにおいて生存を有意に延長することを示すことにより確認された。したがって、本明細書に提供される腫瘍成長阻害または腫瘍退縮方法のある態様において、標的化されるERα陽性腫瘍は、脳または中枢神経系内の他の場所に位置する。これらの態様のあるものにおいて、ERα陽性腫瘍は、脳癌に主に関連する。他の態様において、ERα陽性腫瘍は、別の型の癌、例えば乳癌、子宮癌、卵巣癌もしくは下垂体癌に主に関連する転移性の腫瘍、または別の組織もしくは臓器から移動した腫瘍である。これらの態様のあるものにおいて、腫瘍は、脳転移、例えば乳癌脳転移(BCBM)である。本明細書に開示される方法のある態様において、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩は、標的腫瘍内の1つ以上の細胞内に蓄積する。
本明細書に開示される方法のある態様において、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩は、好ましくは、約15以上、約18以上、約19以上、約20以上、約25以上、約28以上、約30以上、約33以上、約35以上または約40以上のT/P(腫瘍内RAD1901濃度/血漿内RAD1901濃度)比で腫瘍内に蓄積する。
結果は、RAD1901投与が卵巣摘出されたラットにおいて骨損失に対して保護することを示した。したがって、本明細書に提供される腫瘍成長阻害または腫瘍退縮方法のある態様において、アベマシクリブとRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の組合せの投与は、骨に対する望ましくない効果、例えば治療される被験体の骨体積密度、骨表面密度、骨塩量密度、骨梁の数、骨梁の幅、骨梁の間隔、連結密度および/または見かけの骨密度などに対する望ましくない効果を有さない。タモキシフェンは閉経前の女性における骨損失に関連し得、フルベストラントはその作用機構のために骨構造を損ない得るので、アベマシクリブとRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の組合せは特に、閉経前の女性、タモキシフェンまたは抗エストロゲン療法に耐性の腫瘍ならびに骨粗鬆症および/または骨粗鬆症の高いリスクを有する患者に対して有用であり得る。
RAD1901は、卵巣摘出されたラットにおいて子宮組織のエストラジオール刺激に拮抗したことが示されている。さらに、200mgまたは500mgまでの毎日(q.d.)での用量でRAD1901により治療されるヒト被験体において、ERを有意に発現しなかった子宮、筋肉および骨組織についての標準化された取り込み値(standardized uptake value)(SUV)は、治療前および治療後の徴候に、任意の変化をほとんど示さなかった。したがって、ある態様において、かかる投与はまた、例えば子宮、筋肉または乳房組織などの他の組織に対して望ましくない効果を生じない。
RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブは、必要のある被験体に組み合わせて投与される。句「組み合わせて(in combination)」は、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩が、アベマシクリブの投与の前、その間またはその後に投与され得ることを意味する。例えば、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブは、約1週間離して、約6日離して、約5日離して、約4日離して、約3日離して、約2日離して、約24時間離して、約23時間離して、約22時間離して、約21時間離して、約20時間離して、約19時間離して、約18時間離して、約17時間離して、約16時間離して、約15時間離して、約14時間離して、約13時間離して、約12時間離して、約11時間離して、約10時間離して、約9時間離して、約8時間離して、約7時間離して、約6時間離して、約5時間離して、約4時間離して、約3時間離して、約2時間離して、約1時間離して、約55分離して、約50分離して、約45分離して、約40分離して、約35分離して、約30分離して、約25分離して、約20分離して、約15分離して、約10分離してまたは約5分離れて投与され得る。他の態様において、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブは、被験体に同時にまたは実質的に同時に投与される。これらの態様のあるものにおいて、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブは、単一製剤の一部として投与され得る。
用量
本明細書で開示される方法における使用のためのアベマシクリブおよびRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の組合せの治療有効量は、特定の時間間隔にわたり投与される場合に1つ以上の治療基準(benchmark)(例えば腫瘍成長の遅延または停止、腫瘍退縮を生じること、症状の休止等)の達成を生じる量である。本明細書に開示される方法における使用のための組合せは、被験体に1回または複数回投与され得る。化合物が複数回投与されるこれらの態様において、化合物は、一定の間隔、例えば毎日、1日おき、毎週または毎月で投与され得る。代替的に、化合物は、不規則な間隔で、例えば症状、患者の健康状態等に基づいて必要に応じてベースで投与され得る。組合せの治療有効量は、1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも10日または少なくとも15日の間、毎日投与され得る。任意に、癌の状態または腫瘍の退縮は、治療の間またはその後に、被験体のFES-PETスキャンによりモニタリングされる。被験体に投与される組み合わせの用量は、検出される癌の状態または腫瘍の退縮に応じて増加または減少され得る。
理想的には、治療有効量は、50%以上の治療された被験体が、悪心または他のさらなる薬物投与を妨げる毒性反応を経験する最大許容投与量を超えない。治療有効量は、被験体の症状の多様性および程度、性別、年齢、体重または一般的な健康状態、投与様式および塩または溶媒和物の種類、薬物に対する感受性の辺土(variation)、疾患の特定の種類等を含む種々の要因に応じて、被験体について変化し得る。
本明細書に開示される方法における使用のためのRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の治療有効量の例としては、限定されることなく、耐性のER由来腫瘍または癌を有する被験体について約150~約1,500mg、約200~約1,500mg、約250~約1,500mgまたは約300~約1,500mgの用量で毎日;野生型ER由来の腫瘍および/または癌ならびに耐性の腫瘍および/または癌の両方を有する被験体について約150~約1,500mg、約200~約1,000mgまたは約250~約1,000mgまたは約300~約1,000mgの用量で毎日;ならびに主に野生型ER由来の腫瘍および/または癌を有する被験体について約300~約500mg、約300~約550mg、約300~約600mg、約250~約500mg、約250~約550mg、約250~約600mg、約200~約500mg、約200~約550mg、約200~約600mg、約150~約500mg、約150~約550mgまたは約150~約600mg 毎日の用量が挙げられる。ある態様において、成人被験体に対して一般的な本明細書に開示される方法における使用のための式Iの化合物(例えばRAD1901)またはその塩もしくは溶媒和物の用量は、約200mg、400mg、30mg~2,000mg、100mg~1,500mgまたは150mg~1,500mg経口、毎日であり得る。この日用量は、単一投与または複数の投与により達成され得る。
アベマシクリブと一緒のRAD1901の投与は、1日当たり100、200、300、400、500、600、700、800、900または1,000mgでRAD1901を用いて達成され得る。特に、1日当たり200mg、400mg、500mg、600mg、800mgおよび1,000mgが留意される。特定の環境下では1日2回投与スケジュールが好ましい。驚くべきことに、PO投与後のヒトにおけるRAD1901の長い半減期は、この選択肢を特に現実的にする。したがって、薬物は、200mg1日2回(毎日合計400mg)、250mg1日2回(毎日合計500mg)、300mg1日2回(毎日合計600mg)、400mg1日2回(毎日800mg)または500mg1日2回(毎日合計1,000mg)として投与され得る。好ましくは、投与は経口である。アベマシクリブの用量は、毎日50mg~500mgまたは毎日150mg~450mgであり得、投与は、28日サイクルで毎日または28日サイクルあたり28日未満、例えば28日サイクル当たり21日または28日サイクル当たり14日または28日サイクル当たり7日であり得る。いくつかの態様において、アベマシクリブは、1日1回投与されるかまたは好ましくは、1日2回スケジュールであり、投与は経口である。1日2回投与の場合、用量は、4時間、8時間または12時間で分離され得る。ある態様において、アベマシクリブは、経口で150mg 1日2回で投与され、ここで投与は、12時間の間隔をあけることが推奨される。
発見されたように、RAD1901とcdk 4/6阻害剤の間で顕著な相乗効果が見られ、そのため通常の推奨されるまたは承認される用量からのRAD1901および/またはアベマシクリブの用量低減が企図される。例えば、RAD1901は、1日当たり100、200、300、400、500、600、700、800、900または1,000mg以上の用量、特に200mg、400mg、500mg、600mg、800mgおよび1,000mgでの単一療法治療について推奨され得る。組合せにおいて、所定の分割による特定の用量の低減は、通常の用量よりも25%~75%少ない用量が可能であることを意味する。非限定的な例として、1日当たり400mgのRAD1901の推奨される用量は、1日当たり100mg~300mgまたは1日当たり100mg、1日当たり200mgもしくは1日当たり300mgの最終用量まで低減され得る。記載されるようにRAD1901用量が低減される場合、投与が1日2回または1日1回のいずれにせよ、同じパーセント低減が一般的に適用される。例えば、50%だけ低減される400mg 1日2回用量は、200mg 1日2回スケジュールで投与される。いくつかの例外において、毎日の推奨される1日2回用量の低減は、合計日用量が1日1回用量として投与されることを可能にするのに十分であり得る。例えば、アベマシクリブとの組合せで与えられる通常の300mgの1日2回用量は50%低減され得る。したがって、用量は、150mg 1日2回または1日1回300mgとして与えられ得る。
同様に、アベマシクリブの通常の推奨される用量は、RAD1901と組み合わせ使用される場合に低減され得る。アベマシクリブの用量は、低減され得、RAD1901の通常の推奨される単一療法用量または低減されたRAD1901用量と合わされ得、ここで低減される用量は、すぐ上で例示されるような通常の推奨される用量よりも25%~75%少ない。例えば、150mg 1日2回のアベマシクリブの推奨される用量は、150mg 1日2回用量よりも25%~75%少ない1日2回用量として与えられ得る。例えば、150mg 1日2回のアベマシクリブは、37.5mg~112.5mgの1日2回用量(75mg~225mgの合計日用量)まで低減され得る。代替的に、アベマシクリブの頻度を推奨される28日のサイクルからいくらかの少ない頻度まで低減することが望ましくあり得る。例えば、投与頻度は、28日サイクルのうち22日~27日までもしくは28日サイクルのうち21日まで低減され得るか、または投与頻度は、28日サイクルのうち15日~20日までもしくは28日サイクルのうち14日まで低減され得るか、または投与頻度は、28日サイクルのうち8日~13日までもしくは28日サイクルのうちちょうど7日まで低減され得る。投与される日数は、連続であり得るか、またはこの状況では必要な場合は合わされ得る。一態様において、投与間隔にわたる合計用量は、推奨される用量の25%~75%だけ低減され、かかる低減は、より低頻度の投与、低減された用量またはそれらの組合せの結果として生じ得る。例えば、150mg 1日2回(毎日合計300mg)の用量でのアベマシクリブの28日の推奨される投与サイクルは、28日にわたり8,400mgの総用量を生じる(28日、1日当たり合計300mg)。この量は28日当たり2,100mg~28日当たり6,300mgまで低減され得る。
ある態様において、組合せの治療有効量は、単独で投与される化合物のいずれかの治療有効量を利用し得る。他の態様において、組合せにより達成される有意に向上された相乗的な治療効果のために、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブの治療有効量は、組み合わせて投与される場合、単独で投与される場合に必要とされるRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブの治療有効量よりも小さくあり得;1つまたは両方の化合物は、別々に与えられる場合にそれらが通常投与される用量よりも少ない用量で投与され得る。任意の特定の理論に拘束されることなく、組合せ療法は、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブの少なくとも1つまたは全ての用量を低減して、望ましくない毒性の副作用を除外または軽減することにより、有意に向上された効果を達成する。
いくつかの態様において、組合せの一部として投与される場合、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の治療有効量は、単独で投与される場合のRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の治療有効量の約30%~約200%、約40%~約200%、約50%~約200%、約60%~約200%、約70%~約200%、約80%~約200%、約90%~約200%、約100%~約200%、30%~約150%、約40%~約150%、約50%~約150%、約60%~約150%、約70%~約150%、約80%~約150%、約90%~約150%、約100%~約150%、約30%~約120%、約40%~約120%、約50%~約120%、約60%~約120%、約70%~約120%、約80%~約120%、約90%~約120%、約100%~約120%、30%~約110%、約40%~約110%、約50%~約110%、約60%~約110%、約70%~約110%、約80%~約110%、約90%~約110%または約100%~約110%である。いくつかの態様において、組合せの一部として投与される場合、アベマシクリブの治療有効量は、単独で投与される場合のアベマシクリブの治療有効量の約30%~約200%、約40%~約200%、約50%~約200%、約60%~約200%、約70%~約200%、約80%~約200%、約90%~約200%、約100%~約200%、30%~約150%、約40%~約150%、約50%~約150%、約60%~約150%、約70%~約150%、約80%~約150%、約90%~約150%、約100%~約150%、約30%~約120%、約40%~約120%、約50%~約120%、約60%~約120%、約70%~約120%、約80%~約120%、約90%~約120%、約100%~約120%、30%~約110%、約40%~約110%、約50%~約110%、約60%~約110%、約70%~約110%、約80%~約110%、約90%~約110%または約100%~約110%である。
ある態様において、癌または腫瘍は、耐性のER由来の癌または腫瘍(例えば変異体ER結合ドメイン(例えば限定されないがY537X1(ここでX1はS、NまたはCである)、D538G、L536X2(ここでX2はRまたはQである)、P535H、V534E、S463P、V392I、E380Qおよびそれらの組合せを含む1つ以上の変異を含むERα)を有するか、ERの過剰発現体または腫瘍および/または癌増殖はリガンド依存的になるか、あるいは別のSERD(例えばフルベストラント、TAS-108 (SR16234)、ZK191703、RU58668、GDC-0810 (ARN-810)、GW5638/DPC974、SRN-927、ICI182782およびAZD9496)、Her2阻害剤(例えばトラスツズマブ、ラパチニブ、アド-トラスツズマブエムタンシンおよび/またはペルツズマブ)、化学療法(例えばアブラキサン、アドリアマイシン、カルボプラチン、シトキサン、ダウノルビシン、ドキシル、エレンス、フルオロウラシル、ジェムザール、ヘラベン、ルクゼンプラ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、ナベルビン、タキソール、タキソテール、チオテパ、ビンクリスチンおよびゼローダ)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、エキセメスタンおよびレトロゾール)、選択的エストロゲン受容体調節因子(例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェンおよび/またはトレミフェン)、脈管形成阻害剤(例えばベバシズマブ)および/またはリツキシマブの治療に伴って進行する腫瘍および/または癌である。
ある態様において、成人被験体について一般的な本明細書に開示される方法における使用のためのアベマシクリブと組み合わせたRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の用量は、約30mg~2,000mg、100mg~1,500mgまたは150mg~1,500mgの経口、毎日であり得る。この日用量は、単一投与または複数投与により達成され得る。
アベマシクリブおよびRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の組合せは、1回または複数回、被験体に投与され得る。化合物が複数回投与されるこれらの態様において、化合物は、指定の間隔、例えば毎日、1日おき、毎週または毎月で投与され得る。代替的に、化合物は、不規則な間隔で、例えば症状、患者の健康状態等に基づいて必要に応じてベースで投与され得る。
製剤化
いくつかの態様において、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブは、別々の製剤中で投与される。これらの態様のあるものにおいて、製剤は同じ種類のものであり得る。例えば、両方の製剤は、経口投与のために(例えば2つの別々の丸薬により)または注射のために(例えば2つの別々の注射可能製剤により)設計され得る。他の態様において、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブは、異なる種類の製剤中で製剤化され得る。例えば、1つの化合物は経口投与のために設計された製剤中にあり得、他のものは注射のために設計された製剤中にある。
他の態様において、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブは、単一の製剤の一部として投与される。例えば、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブは、経口投与のために単一の丸薬中、または注射のために単一の用量中で製剤化され得る。ある態様において、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブを含む組合せ製剤が本明細書に提供される。ある態様において、単一製剤中の化合物の投与は、患者コンプライアンスを向上する。
組み合わせて投与される場合、それぞれの化合物の治療有効量は、単独で投与されるそれぞれの化合物の治療有効量よりも低くあり得る。
いくつかの態様において、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩、アベマシクリブあるいはRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブの両方を含む製剤はさらに、1つ以上の医薬賦形剤、担体、アジュバントおよび/または保存剤を含み得る。
本明細書に開示される方法における使用のためのRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩およびアベマシクリブは、それぞれの単位が、任意に適切な医薬担体と共に所望の治療効果を生じるように計算される所定量の活性材料を含む、治療を受けている被験体に対する単位用量として適切な物理的に別個の単位を意味する単位剤型に製剤化され得る。単位剤型は、単一の日用量または複数の日用量(例えば毎日約1~4回以上)の1つのためのものであり得る。複数の日用量を使用する場合、単位剤型は、それぞれの投与について同じであり得るかまたは異なり得る。ある態様において、化合物は制御放出のために製剤化され得る。
本明細書に開示される方法における使用のためのRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩および塩または溶媒和物ならびにアベマシクリブは、任意の利用可能な従来方法に従って製剤化され得る。好ましい剤型の例としては、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射可能物質、軟膏、眼軟膏、点眼剤、点鼻剤、点耳剤(ear drop)、パップ剤、ローション剤等が挙げられる。製剤化において、例えば希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤および必要な場合は安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の一般的に使用される添加剤が使用され得る。また、製剤化は、従来方法に従って、医薬製剤の原料として一般的に使用される組成物を合わせることによってもなされる。これらの組成物の例としては、例えば、(1)ダイズ油、牛脂および合成グリセリドなどの油;(2)流体パラフィン、スクアランおよび固形パラフィンなどの炭化水素;(3)ミリスチン酸オクチルドデシルおよびミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油;(4)セトステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールなどの高級アルコール;(5)シリコン樹脂;(6)シリコン油;(7)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、固形ポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどの界面活性剤;(8)ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンおよびメチルセルロースなどの水溶性巨大分子;(9)エタノールおよびイソプロパノールなどの低級アルコール;(10)グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびソルビトールなどの多価アルコール;(11)グルコースおよびショ糖などの糖;(12)無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(aluminum magnesium silicate)およびケイ酸アルミニウムなどの無機粉末;(13)精製水等が挙げられる。上記製剤化における使用のための添加剤としては、例えば1)希釈剤としてラクトース、トウモロコシデンプン、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、結晶セルロース(crystalline cellulose)および二酸化ケイ素;2)結合剤としてポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガカント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール-ポリオキシエチレンブロックコポリマー、メグルミン、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン等;3)崩壊剤としてデンプン、寒天、ゼラチン粉末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース/カルシウム等;4)滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、濃縮植物油(condensed plant oil)等;5)着色剤としては添加が薬学的に許容され得る任意の着色剤が適切である;6)矯味矯臭剤としてココアパウダー、メントール、芳香剤(aromatizer)、ペパーミント油、シナモン粉末;7)アスコルビン酸またはアルファトフェノール(tophenol)など、その添加が薬学的に許容される酸化防止剤が挙げられ得る。
本明細書に開示される方法における使用のためのアベマシクリブおよびRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩は、本明細書に記載される活性化合物および生理学的に許容され得る担体(薬学的に許容され得る担体または溶液または希釈剤とも称される)の任意の1つ以上として医薬組成物に製剤化され得る。かかる担体および溶液は、本発明の方法において使用される薬学的に許容され得る化合物の塩および溶媒和物、ならびにかかる化合物、化合物の薬学的に許容され得る塩および薬学的に許容され得る化合物の溶媒和物の2つ以上を含む混合物を含む。かかる組成物は、参照により本明細書に援用されるRemington's Pharmaceutical Sciences, 17版, ed. Alfonso R. Gennaro, Mack Publishing Company, Eaton, Pa. (1985)に記載されるものなどの許容され得る薬学的手順に従って調製される。
用語「薬学的に許容され得る担体」は、それが投与される患者においてアレルギー反応または他の都合の悪い効果を生じず、製剤中の他の成分と適合性である担体をいう。薬学的に許容され得る担体としては、例えば意図する投与形態に関して適切に選択され、従来の薬学的実務と矛盾しない薬学的な希釈剤、賦形剤または担体が挙げられる。例えば、固形の担体/希釈剤としては、限定されないがゴム、デンプン(例えばトウモロコシデンプン、アルファ化デンプン)、糖(例えばラクトース、マンニトール、スクロース、デキストロース)、セルロース性材料(例えば微結晶セルロース(microcrystalline cellulose)、アクリレート(例えばポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルクまたはそれらの混合物が挙げられる。薬学的に許容され得る担体はさらに、治療剤の貯蔵寿命または有効性を高める湿潤剤または乳化剤、保存剤あるいは緩衝剤などの微量の補助物質を含み得る。
遊離形態のアベマシクリブおよびRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩は、従来の方法により塩に変換され得る。本明細書で使用される用語「塩」は、塩が、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩と共に形成され、薬理学的に許容され得る限りは限定されず;塩の好ましい例としては、ハロゲン化水素塩(例えば塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等)、無機酸塩(例えば硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩等)、有機カルボン酸塩(例えば酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(例えばメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ショウノウスルホン酸塩等)、アミノ酸塩(例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等)、第四級アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)等が挙げられる。また、塩酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩等は、本発明による化合物の「薬理学的に許容され得る塩」として好ましい。
RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩および/またはアベマシクリブの異性体(例えば幾何異性体、光学異性体、ロータマー、互変異性体等)は、例えば再結晶化、ジアステレオマー塩法(diastereomeric salt method)などの光学分割、酵素分画法(enzyme fractionation method)、種々のクロマトグラフィー(例えば薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガラスクロマトグラフィー等)を含む一般的な分離手段を使用して、単一の異性体に精製され得る。本明細書において、用語「単一の異性体」は、100%の純度を有する異性体だけでなく、従来の精製操作を通じても存在する標的以外の異性体を含む異性体も含む。RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩および/またはアベマシクリブについて、結晶多形が時々存在し、その全ての結晶多形は本発明に含まれる。結晶多形は時々単一であり、時々混合物であり、その両方が本発明に含まれる。
ある態様において、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩および/またはアベマシクリブはプロドラッグの形態であり得、これはその活性形態を達成するためにいくつかの変化(例えば酸化または加水分解)を受けなければならないことを意味する。代替的に、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩および/またはアベマシクリブは、親プロドラッグの、その活性形態への変化により作製される化合物であり得る。
投与経路
RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩および/またはアベマシクリブの投与経路としては、限定されないが、局所投与、経口投与、皮内投与、筋内投与、腹腔内投与、静脈内投与、嚢内投与、皮下投与、経皮投与および経粘膜投与が挙げられる。
遺伝子プロファイリング
ある態様において、本明細書に提供される腫瘍成長阻害または腫瘍退縮の方法はさらに、被験体を遺伝子プロファイリングする工程を含み、プロファイリングされる遺伝子は、ABL1、AKT1、AKT2、ALK、APC、AR、ARID1A、ASXL1、ATM、AURKA、BAP、BAP1、BCL2L11、BCR、BRAF、BRCA1、BRCA2、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CDH1、CDK4、CDK6、CDK8、CDKN1A、CDKN1B、CDKN2A、CDKN2B、CEBPA、CTNNB1、DDR2、DNMT3A、E2F3、EGFR、EML4、EPHB2、ERBB2、ERBB3、ESR1、EWSR1、FBXW7、FGF4、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FLT3、FRS2、HIF1A、HRAS、IDH1、IDH2、IGF1R、JAK2、KDM6A、KDR、KIF5B、KIT、KRAS、LRP1B、MAP2K1、MAP2K4、MCL1、MDM2、MDM4、MET、MGMT、MLL、MPL、MSH6、MTOR、MYC、NF1、NF2、NKX2-1、NOTCH1、NPM、NRAS、PDGFRA、PIK3CA、PIK3R1、PML、PTEN、PTPRD、RARA、RB1、RET、RICTOR、ROS1、RPTOR、RUNX1、SMAD4、SMARCA4、SOX2、STK11、TET2、TP53、TSC1、TSC2およびVHLからなる群より選択される1つ以上の遺伝子である。
いくつかの態様において、本発明は、乳癌患者のサブ集団を治療する方法を提供し、ここで該サブ集団は上述の遺伝子の1つ以上の増加した発現を有し、該方法は、本開示に記載される投与態様によるアベマシクリブとRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の組合せの有効用量により該サブ集団を治療する。
用量調整
RAD1901が腫瘍成長を阻害する能力を確立することに加えて、RAD1901は、子宮および下垂体においてエストラジオールのERへの結合を阻害する。これらの実験において、子宮および下垂体組織においてERに結合するエストラジオールは、FES-PET画像化により評価された。RAD1901を用いた治療の後、ER結合の観察されたレベルは、バックグラウンドレベル以下であった。これらの結果により、ER活性に対するRAD1901のアンタゴニスト効果は、リアルタイムスキャニングを用いて評価され得ることが確立される。これらの結果に基づいて、1つ以上の標的組織においてエストラジオール-ER結合を測定することにより、本明細書に開示される組合せ療法における治療RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の効力をモニタリングするための方法が本明細書に提供され、ここで結合の減少または消失は効力を示す。
エストラジオール-ER結合に基づいて、本明細書に開示される組合せ療法におけるRAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の用量を調整する方法がさらに提供される。これらの方法のある態様において、結合は、化合物の第1の用量の1以上の投与後のいくつかの点で測定される。エストラジオール-ER結合が影響を受けないかまたは所定の閾値未満の低下(例えば5%未満、10%未満、20%未満、30%未満または50%未満のベースラインに対する結合の低下)を示す場合、第1の用量は低すぎると推定される。ある態様において、これらの方法は、化合物の増加した第2の用量を投与するさらなる工程を含む。これらの工程は反復され得、用量は、エストラジオール-ER結合の所望の低減が達成されるまで反復して増加される。ある態様において、これらの工程は、本明細書に提供される、腫瘍成長を阻害する方法に組み込まれ得る。これらの方法において、エストラジオール-ER結合は、腫瘍成長阻害の代用、または成長阻害を評価する補助的な手段として機能し得る。他の態様において、これらの方法は、例えば癌細胞増殖の阻害などの腫瘍成長の阻害以外の目的のために、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩の投与と組み合わせて使用され得る。
ある態様において、組合せ療法においてRAD1901またはその塩もしくは溶媒和物(例えば水和物)の用量を調整するための本明細書に提供される方法は:
(1)RAD1901またはその塩もしくは溶媒和物(例えば水和物)の第1の用量(例えば約350~約500または約200~約600mg/日)を3、4、5、6または7日間投与する工程;
(2)エストラジオール-ER結合活性を検出する工程;ここで:
(i)ER結合活性が検出可能でないかまたは所定の閾値レベル未満である場合、第1の用量を投与することを継続する(すなわち用量レベルを維持する)か;または
(ii)ER結合活性が検出可能であるかまたは所定の閾値レベルより高い場合、第1の用量よりも高い第2の用量(例えば第1の用量+約50~約200mg)を3、4、5、6または7日間投与し、次いで工程(3)に進む;
(3)エストラジオール-ER結合活性を検出する工程;ここで
(i)ER結合活性が検出可能でないかまたは所定の閾値レベル未満である場合、第2の用量を投与することを継続する(すなわち用量レベルを維持する)か;または
(ii)ER結合活性が検出可能であるかまたは所定の閾値レベルよりも高い場合、第2の用量よりも高い第3の用量(例えば第2の用量+約50~約200mg)を3、4、5、6または7日間投与し、次いで工程(4)に進む;
(4)ER結合活性が検出されなくなるまで、上述の工程を、第4の用量、第5の用量等を通じて反復する工程
を含む。
ある態様において、本発明は、ER感受性もしくはER耐性の癌を検出および/またはそれらに投与するためにPET画像化の使用を含む。
本明細書に開示される方法のための組合せ
本発明の別の局面は、RAD1901またはその溶媒和物(例えば水和物)もしくは塩および/またはアベマシクリブを、本明細書に記載される組合せ方法のために本明細書に開示される治療有効量で含む医薬組成物に関する。
以下の実施例は、特許請求される発明をより良く説明するために提供され、本発明の範囲を限定するようには解釈されるべきではない。特定の材料が言及される程度まで、実施例は単に例示の目的であり、本発明を限定することを意図しない。当業者は、発明的能力の行動なくおよび本発明の範囲から逸脱することなく、同等の手段または反応物を開発し得る。本発明の範囲内に依然としてとどまりつつ本明細書に記載される手順において多くの変形がなされ得ることが理解される。かかる変形が本発明の範囲内に含まれることが本発明者の意図である。
実施例
本明細書に記載される発明がより十分に理解され得るために、以下の実施例を示す。これらの実施例は例示目的のみのためであり、いかなる様式においても本発明を限定するように解釈されないことが理解されるべきである。
実施例1:進行したまたは転移性のER+/HER2-乳癌を有する女性におけるエラセストラント(RAD1901)とアベマシクリブの組合せを試験する実験的臨床試験
試験目的:
第1
安全性導入部(Safety Run-in):CDK4/6阻害剤またはSERDを用いた以前の療法を受けていない、進行したまたは転移性のER+/HER2-乳癌を有する閉経後の女性におけるアベマシクリブと組み合わせたエラセストラントの推奨される第2相用量(RP2D)を決定するため。
用量拡大:進行したまたは転移性のER+/HER2-乳癌を有する閉経後の女性であって、その疾患が以前の内分泌療法により進行した女性における選択されたRP2Dでのアベマシクリブと組み合わせたエラセストラントの安全性および許容性を確認するため。
第2
クリニカルベネフィット率(CBR)を評価するため
客観的応答率(ORR)を評価するため
応答の持続時間(DoR)を評価するため
進行なしの生存(PFS)を評価するため
アベマシクリブと組み合わせたエラセストラントの薬物動態学(1つまたは複数)(PK)を評定するため
エラセストラントと組み合わせたアベマシクリブのPKを評定するため
診査
循環腫瘍DNA(ctDNA)中で検出されたER+乳癌に関連するゲノム変化を評価して、臨床応答と相関させるため。
新たなおよび保管所の(archival)腫瘍生検におけるER+乳癌に関連するバイオマーカーを評価して、臨床応答と相関させるため。
試験設計:
この試験は、CDK4/6阻害剤またはSERDを用いた以前の療法を受けていない、進行したまたは転移性のER+/HER2-乳癌を有する閉経後の女性におけるアベマシクリブと組み合わせたエラセストラントの安全性および高力を評価するための概念証明(proof-of-concept)として設計される。
アベマシクリブと組み合わせたエラセストラントの安全性および許容性を評価するために、安全性導入部段階を実施して、組合せの最大許容投与量(MTD)および/またはRP2Dを同定する。安全性導入部段階の完了後に、用量拡大段階を開放(open)して、図1に提供されるRP2Dで治療した30名の新たな被験体を登録する。
安全性導入部段階の間に、6名の被験体のコホートを、用量レベル1で始まる表1に提供される用量レベルで連続して登録する。
Figure 2022509262000004
初期コホートは用量レベル1を評価し、試験委員会およびスポンサーによる安全性考察に基づいて、より低い用量レベルを調べ得る(表1)。必要な場合は、さらなる患者、中間用量または代替的な投与スケジュールを調査して、エラセストラント+アベマシクリブ組合せの安全性、許容性およびPKをより良く画定し得る。
MTDは、0/6もしくは1/6の被験体またはさらなる被験体に投与される場合は、用量レベルで被験体の<33%が、治療の最初の28日の間に用量制限毒性(DLT)を経験する(表2)最大用量として画定される。MTDおよび/またはRP2Dを決定するために2~3用量レベルが必要とされることが推定される。RP2Dは、安全性の評価、PKおよび予備的な効力データに基づいて、試験委員会およびスポンサーにより選択される。試験の用量拡大段階において、選択されたRP2Dでの薬物組合せの許容性および高力をさらに評価するために30名の新たな被験体を登録する。
エラセストラントは、連続の投与スケジュールにおいて1日1回、400または300mgで経口投与される。アベマシクリブは、毎日の連続スケジュールにおいて1日2回、150または100mgで同時に経口投与される。
Figure 2022509262000005
Figure 2022509262000006
用量調整および投与遅延
試験薬物を計画された用量およびスケジュールで投与するために全ての努力を行う。しかしながら、表3、表4、表5および表6に記載されるように、有意な治療関連毒性の事象において、用量調整または遅延が可能になる。両方の試験薬物の2より多くの用量減少を必要とする被験体は、試験を中止する。
薬物関連毒性が、被疑薬物(1つまたは複数)を用いた治療の中断を要求する場合、被験体は、他の薬物単独を受け続け得る。組合せ療法の新規のサイクルが次のサイクルの計画された1日目に開始できる程度にまで被疑薬物関連毒性が解消されない場合、他の薬物は継続され得、被疑薬物は、表3、表4、表5および表6に記載されるように、毒性が解消されるまで調整される。アベマシクリブ関連毒性がアベマシクリブ中断を要求する場合、被験体は、進行性の疾患(PD)、症候性の悪化、許容できない毒性、死亡または同意の撤回のいずれかが最初に起こるまで、エラセストラントを単独で受け続け得る。エラセストラント関連毒性がエラセストラント中断を要求する場合、被験体は、進行性の疾患(PD)、症候性の悪化、許容できない毒性、死亡または同意の撤回のいずれかが最初に起こるまで、アベマシクリブを単独で受け続け得る。組合せ療法の新規のサイクルが次のサイクルの計画された1日目に開始できる程度にまで両方の薬物に関連する毒性が解消されない場合、表3、表4、表5および表6に記載されるように毒性が解消されるまで、投与は遅延され得る。
Figure 2022509262000007
Figure 2022509262000008
Figure 2022509262000009
Figure 2022509262000010
Figure 2022509262000011
被験体集団:
以前のAI療法により疾患が進行した、進行したまたは転移性のER+/HER2-乳癌を有する閉経後の女性。
包含および除外する基準:
被験体は、以下の包含基準の全ておよび除外基準がないことを満たさなければならない:
含む基準
・再発性(局所的または転移性のいずれか)の疾患の証拠を有する乳房の腺癌の組織学的または細胞学的に明らかにされた診断を有する被験体。
・被験体は、固形腫瘍の応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors) (RECIST v1.1)による測定可能および/または評価可能な疾患を有さなければならない。放射線療法または他の局所領域的(locoregional)療法に以前に供された腫瘍病変は、局所領域的療法の完了後に疾患進行が明確に示される場合にのみ、測定可能および/または評価可能であるとみなされる。CTまたはMRIなどの横断的画像化技術により評価され得る骨病変または混合溶解性分芽性の(mixed lytic-blastic)病変は、それらがRECIST v1.1により定義される評価可能な疾患の定義を満たす場合に評価可能な病変であるとみなされ得る。分芽性骨病変は評価可能な病変である。
・被験体は:
a. 両側の外科的卵巣摘出術が記録される
b. ≧60歳の年齢で、最後の月経から≧1年無月経である
c. <60歳の年齢で、最後の月経から≧1年無月経であり、病理学的または生理学的な代替の原因(化学療法、タモキシフェンもしくはトレミフェン、またはGnRHアゴニストでの治療を含む)がなく、血清エストラジオールおよびFSHレベルが、閉経後の女性についての実験室参照範囲内である
と定義される閉経後の女性でなければならない。
・年齢≧18歳
・被験体は、原発性の腫瘍または転移性病変由来の被験体の最近の生検に対する地方実験室試験により確認される以下の腫瘍状態:
a. ER試験について2010年の米国臨床癌学会(American Society of Clinical Oncology) (ASCO)の推奨において定義されるような、IHCによる≧1%の染色を有するER+腫瘍
b. HER2試験について2013年のASCO推奨において定義されるような、細胞膜タンパク質発現またはインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)陰性結果について0または1+のIHC結果を有するHER2-腫瘍
を有さなければならない。
・被験体は、進行したまたは転移性の疾患について、CDK4/6阻害剤またはSERDを含まない2ライン以下の以前の内分泌療法を受けていてもよく、新たな転移性の疾患または以前に治療された転移性の疾患の進行の証拠を記録されていなければならない。
・被験体は、進行した/転移性の設定において1つの以前の化学療法的養生法を受けていてもよい(以前のアジュバント化学療法は、登録前≧12ヶ月であった場合に許容される)。1サイクル未満の間投与される化学療法は、療法の以前のラインとして数えられない。
・米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group) (ECOG)性能状態0または1。
・以前の療法または外科的手順の全ての毒性効果の等級≦1までの解消(脱毛症および末梢神経障害を除く)。
・以下:
a. 血液学的機能
i. 絶対好中球数(ANC)≧1500/μL
ii. 血小板数≧100,000/μL
iii. ヘモグロビン≧8.0gm/dL。患者は、調査者の裁量でこのヘモグロビンレベルを達成するために赤血球輸血を受けてもよいが;最初の試験薬物治療は、赤血球輸血後の日よりも早く始まってはいけない。
b. 腎臓機能
i. コッククロフト-ゴールト式で計算された計算される血清クレアチニン≧30mL/分
c. 肝臓機能
i. アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦3x正常の上限(ULN)
ii. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦3x ULN
iii. 総ビリルビン≦ULN、または総ビリルビン≦1.5x ULNで、ジルベール症候群が記録された被験体において直接ビリルビン≦ULN。
d. 化学
i. カリウム、ナトリウム、カルシウム(アルブミンについて修正)、マグネシウムおよびリンが、実験室の正常範囲以内。スクリーニング評価が異常である場合、化学評価は2回まで繰り返されてもよく;被験体は、再評価の前に適切な補助を受けてもよい
e. 凝固
i. INR≦1.5
で定義される適切な臓器機能
注意:抗凝固治療を受けている被験体は、任意の除外的医学的条件の非存在下で試験薬物の最初の投与前の少なくとも1か月間、治療範囲内で確立された安定なINRと関係させられていてもよく、ただしAIは、被験体についての適切な療法である。
・インフォームドコンセントの書類を読み、理解し、署名する能力
除外基準
・フルベストラントまたはCDK4/6阻害剤による以前の治療。
・エラセストラント(RAD1901)、GDC-0810、GDC-0927、GDC-9545、LSZ102、AZD9496、バゼドキシフェンまたは他の調査SERDまたはERアンタゴニストによる以前の治療。
・以下のウィンドウ:
a. 試験治療の最初の投与前の14日未満の任意の内分泌療法
b. 試験治療の最初の投与前の21日未満の任意の化学療法
c. 試験治療の最初の投与前の21日未満または3半減期(いずれか長い方)の任意の調査抗癌薬物療法
内の以前の抗癌または調査薬物治療
・広範囲の肝臓の関与、未治療もしくは進行性のCNS転移、または症候性の肺性リンパ管拡散(lymphangitic spread)として定義される症候性の転移性内臓疾患の存在。別個の肺実質転移を有する被験体は適格であり、ただし被験体の呼吸器機能は、調査者の意見における疾患の結果として非有意に妥協される。以前にCNS転移を治療された被験体は適格であり、ただし全ての公知の病変は以前に治療されており、該病変は、試験薬物の最初の投与の少なくとも28日前に放射線療法を完了しており、臨床的に安定であり、ステロイド医薬を必要としない。抗痙攣医薬が必要な場合、被験体は、抗痙攣薬養生法を誘導する非酵素に対して安定でなければならない。
・子宮内膜上皮内癌(不定形の内膜増殖症またはより高い等級の病変)の病歴を有する、完全な子宮を有する被験体。
・登録の前の3年以内の任意の他の悪性腫瘍の診断、適切に治療された基底細胞もしくは扁平上皮皮膚癌、または子宮頸のインサイチュでの癌は除く。
・登録前の6カ月以内の、以下:心筋梗塞、重度/不安定なアンギナ、≧等級2の進行中の不整脈、等級≧2の延長されたQTcF、任意の等級の制御されない心房細動、冠状/末梢の動脈バイパス移植片、New York Heart Association (NYHA)ガイドラインにより定義される≧クラスIIの心不全、または一過的な虚血性発作もしくは症候性の肺塞栓症を含む脳血管障害のいずれか。
・深在性静脈血栓症(DVT)もしくは肺塞栓症の病歴を含む過去6カ月以内に異常凝固プロフィールまたは凝固障害の病歴を有する被験体。以下の条件:
a. 試験薬物の最初の投与の1カ月より前に起こった適切に治療されたカテーテル関連静脈塞栓症を有する被験体。
b. 登録の6か月より前に起こった決戦事象について、またはその他の安定かつ許容された医学的状態(例えば十分に制御された心房細動)について抗凝固薬、例えばワルファリンもしくはヘパリンで治療された被験体、提供される用量および凝固パラメーター(医療の局所的な標準により定義される)が試験治療の最初の投与の少なくとも1カ月間安定である。
を有する被験体は参加することが可能になる。
・嚥下経口医薬において公知の困難さを有する、または以下:重度の下痢、制御されない悪心もしくは嘔吐、胃腸(GI)閉塞運動性障害、吸収不良症候群または胃バイパスのいずれかの診断を有した被験体。
・医薬による治療を受けているかまたは試験エントリーの前5半減期もしくは14日のいずれか長い方以内および試験の持続期間中に中断され得ないCYP3A4の強力な阻害剤もしくは誘導因子であることが知られるハーブサプリメントおよび/または果物(例えばザボン、ゴレンシ、サワーオレンジ)を消費している被験体。
・試験治療の最初の投与前の28日以内の大手術。
・試験治療の最初の投与前の14日以内の放射線療法。放射線照射された病変は標的病変として選択されるべきではない。
・試験参加もしくは調査生成物投与に関連するリスクを増加し得るまたは試験結果の解釈に干渉し得る、および調査者の判断において、この試験へのエントリーについて個々を不適切にする、任意の同時の重度、急性もしくは慢性の医学的もしくは精神医学的状態または実験室異常。
療法の持続期間:
被験体は、確認されたPD、許容されない毒性、死亡または同意の撤回のいずれか最初に起こるものまで治療を受けることを継続する。
追跡の持続期間:
全ての被験体は、治療後30日までまたは全ての治療関連AEが等級2以下に解消もしくは安定化されるまで追跡される。
試験実施の持続期間:
約36ヶ月または最後の被験体が試験治療および30日の追跡期間を完了するまで。
調査生成物、用量および投与の様式:
エラセストラントは、100または400mg錠剤として供給され、連続投与スケジュールで毎日経口投与される。安全性導入部段階についての開始用量は400mgである。
アベマシクリブは、100または150mg錠剤として供給され、連続毎日投与スケジュールで毎日2回投与される。安全性導入部段階についての開始用量は150mgである。
試験終点:
第1
安全性導入部:アベマシクリブ治療と組み合わせたエラセストラントによる治療の最初の28日の間のDLTの頻度。
用量拡大:全ての有害事象(AE)の発生率、全ての重度の有害事象(SAE)、実験室データの考察(血液学および化学を含む)、ECGモニタリング、身体検査、性能状態および生命徴候。
第2
CBRは、≧24週の、完全応答(CR)、部分応答(PR)または安定疾患(SD)の最良の全体的応答を有する被験体の割合として定義される。腫瘍応答は、RECIST v1.1ガイドラインに従って調査者により決定される。
ORRは、CRまたはPRの最良の全体的応答を有する被験体の割合として定義される。腫瘍応答は、RECIST v1.1に従って調査者により決定される。
DoRは、最初の記録された応答(CRまたはPR)の日から腫瘍進行の最初に記録された日までの時間として計算される。腫瘍応答および進行は、RECIST v1.1に従って調査者により決定される。
PFSは、最初の用量から、RECIST v1.1により記録された疾患の進行または任意の原因由来の死亡の日より早い日までの時間の長さとして計算される。
薬物動態学的パラメーターは、濃度-時間曲線下面積(AUC)、最大濃度の時間(tmax)、最大血漿濃度(Cmax)、経口クリアランス(CL/F)および適切な場合は他のPKパラメーターを含む。
診査
連続的に収集された血液試料を、循環腫瘍DNA(ctDNA)におけるER+乳癌に関するゲノム変化について分析する。ER+乳癌に関するバイオマーカーについて腫瘍生検を分析する。
被験体の数:
48名までの被験体を登録し、36名までの被験体をRP2Dで治療する。これにより、安全性導入部段階において3用量レベルまで採り上げられ、それぞれ6名の被験体のコホート(6~18被験体)およびさらなる30名の被験体が用量拡大段階の間に登録される。毒性以外の理由のために安全性導入部段階(1~28日目)を完了する前に治療を中断する被験体は入れ替え得る。
試料サイズ想定:
安全性導入部段階における試料サイズは、用量増加試験について通例のものである。安全性導入部段階は、それぞれ6被験体のコホートにおいて3用量レベルまで評価し;合計試料サイズは、コホートの数に応じて6~18被験体であると予想される。
合計約30の新たな被験体を用量拡大段階に登録する。合わせて約36名の被験体をRP2D(用量拡大段階から30名+安全性導入部段階から約6名の被験体)で治療し、試験は、7%以上の発生割合でAEを検出する90%より高い機会を有する。
主要な目的ではないが、用量拡大段階は組合せ治療のための予備的な有効性データを作成するために使用される。24週で75%のCBRを仮定すると、合計32名の評価可能な被験体(36名の被験体-10%脱落)は、ウィルソン法に基づいて58%の95%下限信頼限界を有する。
一次データ分析は、最後の被験体が登録された約18か月後に生じる。被験体は、被験体の約50%が死亡したかまたは客観的疾患進行を経験するまで客観的疾患進行についての追跡を続け、その時点で最終的な分析を行う。
実施例2:ER+/HER2-の進行した乳癌の治療(非ステロイドアロマターゼ阻害剤の調査者の選択物+アベマシクリブまたはフルベストラント+アベマシクリブに対する)のためのエラセストラントとアベマシクリブの組合せを試験する実験的臨床試験
試験概観
これは、CDK4/6阻害剤またはSERDを用いた以前の治療を受けていない、以前の補助的または転移性の内分泌療法の際またはその後に進行したER+/HER2-の進行した/転移性の乳癌を有する被験体において、アベマシクリブと組み合わせたエラセストラント 対 アベマシクリブと組み合わせたレトロゾールまたはフルベストラントの有効性および安全性を比較する国際的な複数施設での無作為化、活性対照、オープンラベル第3相臨床試験である。主要な目的は、PFSの延長において、エラセストラント+アベマシクリブの組合せが、1)レトロゾールとアベマシクリブの組合せまたは2)アナストロゾールとアベマシクリブの組合せまたは3)フルベストラントとアベマシクリブの組合せよりも優れることを示すことである。
約600(HR<0.7)名または1000(HR<0.8)名の被験体を:
a. エラセストラント+アベマシクリブ
b. 非ステロイドアロマターゼ阻害剤(AI)(レトロゾール/アナストロゾール)の調査者の選択物+アベマシクリブまたはフルベストラント+アベマシクリブ
のいずれかを受けるように1:1で無作為化する。
エラセストラント:用量TBD(400mgまで)、連続投与スケジュール、経口で1日1回。
アベマシクリブ:125mg、連続投与スケジュールで1日2回。
レトロゾール:2.5mg、連続投与スケジュール、経口で毎日1回。
アナストロゾール:1mg、経口で1日1回。
フルベストラント:ラベル当たり500mg。
終点:
第1の終点
a. 進行なしの生存(PFS)
第2の終点
a. 全体的生存OS
b. 客観的応答率(ORR)
c. 応答の持続時間(DoR)
d. クリニカルベネフィット率(CBR)
e. 安全性および許容性
f. 薬物動態学(PK)
g. 生活の質(QoL)
実施例3:ER+/HER2-の進行した乳癌の第1ライン治療のためのエラセストラントとアベマシクリブの組合せを試験する実験的臨床試験
試験概観
これは、被験体の進行した/転移性の疾患について以前の全身性の抗癌療法を受けておらず、CDK4/6阻害剤またはSERDを用いた以前の治療を受けていない、ER+/HER2-の進行した/転移性の乳癌を有する被験体において、アベマシクリブと組み合わせたエラセストラント 対 アベマシクリブと組み合わせたレトロゾールの有効性および安全性を比較する、国際的な多施設、無作為化、活性対照、オープンラベル第3相臨床試験である。主要な目的は、PFSの延長において、エラセストラント+アベマシクリブの組合せが、レトロゾール+アベマシクリブよりも優れることを示すことである。
約650(HR<0.7)名または1100(HR<0.8)名の被験体を:
a. エラセストラント+アベマシクリブ
b. レトロゾール+アベマシクリブ
のいずれかを受けるように1:1で無作為化する。
エラセストラント:用量TBD(400mgまで)、連続投与スケジュール、経口で毎日1回。
アベマシクリブ:125mg、連続投与スケジュールで毎日2回。
レトロゾール:2.5mg、連続投与スケジュール、経口で毎日1回。
終点:
第1の終点
a. 進行なしの生存(PFS)
第2の終点
a. 全体的生存OS
b. 客観的応答率(ORR)
c. 応答の持続時間(DoR)
d. クリニカルベネフィット率(CBR)
e. 安全性および許容性
f. 薬物動態学(PK)
g. 生活の質(QoL)
実施例4:ER+/HER2-の進行した乳癌の治療のためのエラセストラントとアベマシクリブの組合せ 対 アベマシクリブ単独を試験する実験的臨床試験
試験概観
これは、被験体の進行した/転移性の疾患について許容されたmBCのための≦2の以前の化学療法を含み、CDK4/6阻害剤またはSERDを含まない以前の全身性の抗癌療法を受けたER+/HER2-の進行した/転移性の乳癌を有する被験体において、アベマシクリブと組み合わせたエラセストラント 対 アベマシクリブ単独の有効性および安全性を比較する、国際的な複数施設、無作為化、活性対照、二重盲検第3相臨床試験である。主要な目的は、PFSの延長においてエラセストラント+アベマシクリブの組合せが、アベマシクリブ単独よりも優れることを示すことである。
約500名の被験体(HR<0.7)を:
a. エラセストラント+アベマシクリブ
b. アベマシクリブ
のいずれかを受けるように2:1で無作為化する。
エラセストラント:用量TBD(400mgまで)、連続投与スケジュール、経口で毎日1回。
アベマシクリブ:組合せにおける連続毎日スケジュールで毎日2回150mg、または単一療法として経口で毎日2回200mg。
終点:
第1の終点
a. 進行なしの生存(PFS)
第2の終点
a. 全体的生存OS
b. 客観的応答率(ORR)
c. 応答の持続時間(DoR)
d. クリニカルベネフィット率(CBR)
e. 安全性および許容性
f. 薬物動態学(PK)
g. 生活の質(QoL)
他の態様
本開示に引用される全ての刊行物および特許は、それぞれ個々の刊行物および特許出願が、具体的かつ個々に参照により援用されることが示される場合と同程度に、参照により本明細書に援用される。参照により援用される特許または刊行物のいずれかにおける用語の意味が、本開示において使用される用語の意味と矛盾するようなことがあれば、本開示における用語の意味が支配的であることが意図される。さらに、前述の議論は、単に本発明の例示的な態様を開示および記載するものである。当業者は、かかる議論から、ならびに添付の図面および特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲において規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更、改変および変形が本発明においてなされ得ることを容易に理解しよう。

Claims (38)

  1. 患者に、エラセストラントまたはその薬学的に許容され得る塩およびアベマシクリブまたはその薬学的に許容され得る塩を含む治療組合せを投与する工程を含む、患者において乳癌を治療する方法。
  2. 患者が閉経後の女性である、請求項1記載の方法。
  3. 患者が、CDK4/6阻害剤またはSERDを用いた以前の治療を受けていない、請求項1記載の方法。
  4. 患者における乳癌が、以前の内分泌療法より進行している、請求項1記載の方法。
  5. 患者における乳癌がER+乳癌である、請求項1記載の方法。
  6. 患者における乳癌がHER2-乳癌である、請求項5記載の方法。
  7. 患者における乳癌が、進行したまたは転移性の乳癌である、請求項1記載の方法。
  8. エラセストラントが、200~500mg/日の用量で患者に投与される、請求項1記載の方法。
  9. エラセストラントが、250~450mg/日の用量で患者に投与される、請求項8記載の方法。
  10. エラセストラントが、約300mg/日の用量で患者に投与される、請求項9記載の方法。
  11. エラセストラントが、1日当たり1回の投与において、約300mg/日の用量で患者に投与される、請求項10記載の方法。
  12. エラセストラントが、約400mg/日の用量で患者に投与される、請求項9記載の方法。
  13. エラセストラントが、1日当たり1回の投与において、約400mg/日の用量で患者に投与される、請求項12記載の方法。
  14. アベマシクリブが、150~400mg/日の用量で患者に投与される、請求項1記載の方法。
  15. アベマシクリブが、約200mg/日の用量で患者に投与される、請求項14記載の方法。
  16. アベマシクリブが、1日当たり2回の投与において、約200mg/日の用量で患者に投与される、請求項15記載の方法。
  17. アベマシクリブが、1日当たり2回、約100mgの用量で患者に投与される、請求項16記載の方法。
  18. アベマシクリブが、約300mg/日の用量で患者に投与される、請求項14記載の方法。
  19. アベマシクリブが、1日当たり2回の投与において、約300mg/日の用量で患者に投与される、請求項18記載の方法。
  20. アベマシクリブが、1日当たり2回、約150mgの用量で患者に投与される、請求項19記載の方法。
  21. エラセストラントが約400mg/日の用量で患者に投与され、アベマシクリブが約300mg/日の用量で患者に投与される、請求項1記載の方法。
  22. アベマシクリブが、1日当たり2回、150mgの用量で患者に投与される、請求項21記載の方法。
  23. エラセストラントが約300mg/日の用量で患者に投与され、アベマシクリブが約300mg/日の用量で患者に投与される、請求項1記載の方法。
  24. アベマシクリブが、1日当たり2回、150mgの用量で患者に投与される、請求項23記載の方法。
  25. エラセストラントが約300mg/日の用量で患者に投与され、アベマシクリブが約200mg/日の用量で患者に投与される、請求項1記載の方法。
  26. アベマシクリブが、1日当たり2回、100mgの用量で患者に投与される、請求項25記載の方法。
  27. エラセストラントが、患者に対する最大許容投与量である用量で患者に投与される、請求項1記載の方法。
  28. アベマシクリブが、患者に対する最大許容投与量である用量で患者に投与される、請求項1記載の方法。
  29. 患者が、レトロゾールとアベマシクリブの組合せ、アナストロゾールとアベマシクリブの組合せ、またはフルベストラントとアベマシクリブの組合せを投与された患者と比較して、より大きい進行なしの生存時間を経験する、請求項1記載の方法。
  30. 乳癌が、ER+/HER2-の進行したまたは転移性の乳癌であり、患者が、以前のアジュバントまたは転移性内分泌療法の際または後に進行しており、CDK4/6阻害剤またはSERDを用いた以前の治療を受けていない、請求項29記載の方法。
  31. レトロゾールとアベマシクリブの組合せを投与された患者が、1日当たり1回2.5mgのレトロゾールおよび毎日2回125mgのアベマシクリブを投与された、請求項29記載の方法。
  32. アナストロゾールとアベマシクリブの組合せを投与された患者が、1日当たり1回1mgのアナストロゾールおよび毎日2回125mgのアベマシクリブを投与された、請求項29記載の方法。
  33. フルベストラントとアベマシクリブの組合せを投与された患者が、注射当たり1~2分の速度で臀部(臀部領域)への2回の5mLの筋内注射として、それぞれの臀部に1回で、1、15および29日目におよびその後は一月に1回の500mgのフルベストラント注射ならびに毎日2回の125mgのアベマシクリブを投与された、請求項29記載の方法。
  34. 患者が、レトロゾールとアベマシクリブの組合せを投与された患者と比較してより大きい進行なしの生存時間を経験し、乳癌が、ER+/HER2-の進行したまたは転移性の乳癌であり、患者が、患者の進行した/転移性の疾患について以前の全身性の抗癌療法を受けておらず、CDK4/6阻害剤またはSERDを用いた以前の治療を受けていない、請求項29記載の方法。
  35. レトロゾールとアベマシクリブの組合せを投与された患者が、1日当たり1回2.5mgのレトロゾールおよび毎日2回125mgのアベマシクリブを投与された、請求項34記載の方法。
  36. 患者が、単一療法としてアベマシクリブを投与された患者と比較してより大きい進行なしの生存時間を経験する、請求項1記載の方法。
  37. 乳癌がER+/HER2-の進行したまたは転移性の乳癌であり、患者が、患者の進行したまたは転移性の疾患について許容された転移性乳癌のための≦2の以前の化学療法を含む以前の全身性抗癌療法を受けており、以前の全身性抗癌療法がCDK4/6阻害剤またはSERDを含まなかった、請求項36記載の方法。
  38. 単一療法としてアベマシクリブを投与された患者が、毎日2回200mgのアベマシクリブを投与された、請求項36記載の方法。
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