JP2022505895A - 生体表面の治療方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022505895000001
3.5eV~2.8eVの範囲に大部分のエネルギーを持つ光子による第1光と、1.24eV~2.48eVの範囲に大部分のエネルギーを持つ光子による第2光との2つの異なるエネルギーレベルの光の形態をした電磁放射線で生体表面を治療する方法。第1光及び第2光の光子は、同時に生体表面に照射される。本発明は、本方法を用いた感染症の局所治療における増感剤の使用も企図する。本治療法は、良好な組織透過を実現する。2つ以上の異なるエネルギー光子が異なる領域の分子を標的にすることができるため、病原体の異なる領域に同時に抗菌処理を施すことが可能になる。

Description

本発明は、生体表面の抗病原体治療に関する。特に、本発明は、光線力学療法による表面の治療方法に関する。
バイオフィルム中の微生物は、浮遊性細菌に比べて抗菌剤の影響を受けにくい。バイオフィルムの耐性及び抵抗性のメカニズムには、抗菌剤のバイオフィルムマトリックスへの浸透の遅さ、バイオフィルム内の微小環境の変化、細菌細胞の異なるストレス応答、及びいわゆるパーシスター細胞の亜集団の形成が含まれる。バイオフィルムでは、遺伝子の水平伝播により、潜在的な抵抗性が異なる種間で容易に伝達され得る。全微生物感染症の80%近くがバイオフィルムによって引き起こされていると推定されている。これは、感受性の高い病原菌株が抵抗性を獲得し、もともと感受性の低い種が淘汰されることで集団の抵抗性が高まる薬剤抵抗性にも関連している。
頻発するバイオフィルム感染症には、歯垢によって引き起こされる歯科感染症のほか、皮膚感染症、尿路感染症、中耳感染症、心内膜炎、及びインプラント又はカテーテル関連の感染症が挙げられる。
バイオフィルム内の微生物の抗菌処理を成功させるには、通常、浮遊性の微生物を処理する場合と比べて、最大100倍~1000倍の濃度の殺菌剤又は抗生物質が必要となる。例えば、ある試験では、ソブリヌス菌の単一種バイオフィルムを死滅させるためには、浮遊性のソブリヌス菌の場合よりも100倍高い濃度のフッ化アミン及びクロルヘキシジンが必要であった。同様に、大腸菌、緑膿菌及び黄色ブドウ球菌のバイオフィルムを効果的に処理するためには、それらの浮遊性形態の場合と比べて、1000倍高い濃度の抗生物質を投与する必要があった。
歯科医師は、歯周病又は歯内感染症で、抗生物質抵抗性細菌と闘わなければならないことが多い。歯科医師が口腔感染症を治療する際の最も一般的な手段であるクロルヘキシジンのような消毒剤に対する抵抗性は、抗生物質抵抗性と相関している可能性があることが観察されている。
抗生物質は、これまで人間が細菌感染症に対処するのに役立ってきたが、病原体はほとんどの抗生物質に対して抵抗性を持ち、新しい抗生物質の開発が困難であることから、人類は抗生物質以前の時代に戻る恐れがある。
そのため、例えば歯科においては、細菌又は酵母のバイオフィルムによって引き起こされる歯周病、歯内療法又は粘膜局所感染の治療に抗生物質を過剰に使用することを避けるために、新しい抗菌戦略が必要とされている。
本発明の目的は、病原体の抵抗性発現のリスクを低減しつつ、抗菌処理を行う方法を提供することである。
特に、主に光を用いて生体表面を治療する手法を提供することが目的である。
本発明は、高エネルギー光子と低エネルギー光子とを同時に組み合わせて生体表面を治療するという着想に基づいている。驚くべきことに、高エネルギー光子と低エネルギー光子とを同時に表面の標的領域に使用することで、そのような光子を別々に使用するよりも優れた殺生物効果が得られることがわかっている。
これは単なる1つの可能性であり、本発明の範囲は以下の説明に限定されるものではないが、低エネルギー光子は組織などの表面の奥深くに透過して加熱効果をもたらすのに対し、高エネルギー光子は表面に殺生効果をもたらすと考えられる。したがって、組織に吸収された低エネルギー光子は、1℃を超える、例えば、2.7℃などの1.5~3.5℃の組織加熱効果を、約2cmの深さまで発揮する。生きている(すなわち、血液で満たされた)組織では、酸素分圧及び血液循環が高まり、その後細胞の新陳代謝が活発になり、免疫反応が促進される可能性があると考えられる。例えば、低エネルギー光子の2倍のエネルギーレベルを持つ高エネルギー光子は、光子が組織に透過する深さは低エネルギー光子に比べて浅いものの、内因性細菌の殺傷効果がある。
このように、2つ以上の光子が同時に吸収され、標的分子がより高いエネルギー状態に励起されるフォトンアップコンバージョン反応によって、同じ標的部位を活性化することができる。
一実施形態では、標的領域を光増感剤と接触させ、その後、このように処理された標的領域を、1.24eV~1.65eVの間に大部分のエネルギーを持つ第1光子と、2.8eV~3.5eVの間に大部分のエネルギーを持つ第2光子との組み合わせにさらす方法であって、前記第1光子及び前記第2光子が、標的領域に照射された全光子の大部分、好ましくは90%以上を占めるものである方法が提供される。
さらなる実施形態は、哺乳動物の感染症の局所治療に使用するための光増感剤が提供され、前記光増感剤を皮膚又は粘膜の一部に塗布に、その部位を、続いて又は同時に、2.8eV~3.5eVの間に大部分のエネルギーを持つ第1光子及び1.24eV~1.65eVの間に大部分のエネルギーを持つ第2光子にさらす。
一実施形態では、哺乳動物の感染症の局所治療に使用するための光増感剤が提供され、前記光増感剤を最初に皮膚又は粘膜の一部に塗布し、その部位を、続いて又は同時に、それぞれ3.17eV~2.95eVの間及び1.56eV~1.45eVの間に大部分のエネルギーを持つ光子にさらす。そのようなエネルギーレベルは、それぞれ約390~420nm及び795~855nmの波長に対応する。
さらに別の実施形態は、組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢、歯の表面及び粘膜の微生物、ウイルス又は真菌感染症を治療するためのキットであって、高エネルギー光子からなる第1光及び低エネルギー光子からなる第2光を同時に放出することができる光電子部品及びそのデバイス(前記第1光及び前記第2光は、光電子部品又はデバイスから放出される全ての光の少なくとも80%に相当する)と、高エネルギー光子及び低エネルギー光子の少なくともいずれかによって活性化され得る少なくとも1つの光増感剤とを含むキットを提供する。
より具体的には、本発明は、独立請求項に記載されていることを特徴とする。
かなりの利点が得られる。高エネルギー光子及び低エネルギー光子を用いて内因性分子及び外因性分子を標的にすることで、反応性酸素又は高エネルギー酸素の寿命が短くなるため、標的分子の部位特異的治療がもたらされる。
本発明によれば、高エネルギー光子は内因性(細胞内)分子に吸収され、活性一重項酸素及び活性酸素が生成される。同時に、低エネルギー光子は外因的に(細胞外で)光増感剤に吸収され、活性一重項酸素及び活性酸素が生成される。この活性一重項酸素及び活性酸素は、組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢、歯の表面などに存在する細菌、ウイルス、真菌などの微生物を不活性化、死滅、あるいは減少させるなどの効果がある。
この治療は、組織への良好な透過を実現する。2つ以上の異なるエネルギー光子が異なる領域の分子を標的にすることができるため、病原体の異なる領域に同時に抗菌処理を施すことが可能になる。異なるエネルギーの光子は、組織治療効果及び組織刺激効果も異なる。高エネルギー光子と低エネルギー光子との組み合わせは、遺伝物質又は他の分子を含むバクテリオファージに有害な影響を及ぼす可能性があるため、細菌のコミュニケーションに影響を与える可能性がある。光は、クオラムセンシングとして評価されるそのようなコミュニケーション分子の生成、形成又は活性化にも影響を与える可能性がある。
高エネルギー光子は、通常、細胞内の酸化ストレス応答に関連または関与する種によって吸収されるようである。したがって、それらは病原体の治療適応を妨害することができる。そのような種の一例は、ペルオキシダーゼ酵素のフラビン基である。
高エネルギー光子及び低エネルギー光子は、数種類の光増感剤と共に使用することができ、発熱、酸素ラジカル、一重項酸素などの様々なメカニズムで活性化が起こる。2つ以上の非特異的かつ根本的に異なるメカニズムで病原体を標的とする治療の組み合わせを利用することで、効率的な抗菌処理を実現することができる。一実施形態では、低エネルギー光子とのICGを高エネルギー光子と一緒に用いて、病原体の膜に対して光ハイパーサーミア療法(ICGは80%が発熱、20~15%が一重項酸素の生成により作用する)を行う。高エネルギー光子は、細菌に固有の内因性ポルフィリン分子の活性化に利用できる。そのような分子は量子収率が高く、主に一重項酸素を介して作用し、局所的な酸化バーストを引き起こす。
光子が固有の細菌分子を標的とする内因性抗菌療法と、外因性の光線力学療法又は光熱療法とを組み合わせることの重要な利点の1つは、添加した外因性光増感剤が治療中に標的部位から退色されやすいという問題を解決することができることである。
しかしながら、内因性抗菌光治療は、外因性光増感剤の存在に限定されるものではない。
細菌に固有の内因性分子を光子で標的化することで、光増感剤の付着及び取り込みに依存しない効果を得ることができる。これにより、光増感剤が少ない部位でも光増感剤が多い部位と同等の治療効果が得られるように、治療のバランスをとることができる。病原体の内因性分子に対する内因性抗菌療法の光退色効果は、添加した外因性光増感剤とは異なり、これらの分子が病原体にとって不可欠であるため、抗病原性機能も有している。
長期的には、外因性治療の効果は光増感剤が標的病原体に付着又は摂取された場合に限られるため、細菌を内因的及び外因的に標的とすることで、多くの細菌に対してin vivoで最良の効果が得られる。
例えば、1.53eV及び3.06eVの光子を同時に吸収すると、内因性ポルフィリンが励起し、組織治癒効果に加えて抗菌効果が得られる。高エネルギー光子はバイオフィルムの細胞外多糖マトリックスの形成を減少させ、外因性PDTとの相乗効果をもたらし、バイオフィルムの病原性を低下させる。
異なる光増感剤、光子エネルギー及び治療パラメータを使用して、異なる時期のバイオフィルムをそのライフサイクルの異なる部分で標的とすることができる。例えば、歯垢及びバイオフィルムの組成は、個人ごとに異なる。う蝕の罹患率が低い人々は、う蝕の罹患率が高い人々と比較すると、特に歯垢形成の初期において、歯垢内の異なる細菌量、異なる種及び異なる系統的多様性を示す。
本発明では、う蝕罹患率が高いか低いかに関わらず、人々を効率的に治療することができる。
本発明の治療法は、生体表面を有する生体物質以外の治療にも用いることができる。例えば、バイオフィルムに覆われた機器及び機器の部品が挙げられる。バイオフィルム(バイオファウリングとも呼ばれる)は、一般的に工業用水システム、医療及び紙・パルプ産業を含むプロセス産業、並びに食品産業で見られ得る。
次の実施形態を、添付の図面を参照してより詳細に検討する。
Hamamatsu 1394及びNIR光源を用いて室内光で観察した染色歯垢の特異性を示す写真である。 染料の光吸収を示すグレーレベルの変動を図式化した図である。 本発明の一実施形態による二波長PDTで増強されたクロルヘキシジンの抗菌効果を示す棒グラフである。 1、2及び4日目のミュータンスレンサ球菌バイオフィルムに対するPDT治療の抗菌効果を示す棒グラフである。 4日目のバイオフィルムに対する二重波長及び単一波長の治療の効率を示す棒グラフである。 PDTと比較した、405nmの波長を持つ光の抗菌効果を示すグラフである。 ミュータンスレンサ球菌バイオフィルムに対する14日後のPDT治療の抗菌効果を示す棒グラフである。
(定義)
本文脈では、「PDT」という略称でも呼ばれる「光線力学療法」は、光が何らかの形態の活性酸素に変換される任意の療法を意味する。
「活性酸素」の例としては、一重項酸素、酸素ラジカル及び酸素イオンが挙げられる。
「抗菌光線力学療法」は、「aPDT」という略称でも呼ばれ、光子を用いて「増感剤」を活性化し、活性化状態で抗菌効果を付与する光化学ベースの方法である。
一実施形態では、「抗菌光線力学療法」は「抗細菌光線力学療法」を表す。
一実施形態では、「抗菌光線力学療法」は「抗真菌光線力学療法」を表す。
一実施形態では、「抗菌光線力学療法」は「抗ウイルス光線力学療法」を表す。
「有益な薬剤」は、通常、組織又は治療効果に対して有益な効果を有する化学化合物又は物質である。そのような化合物としては、以下のものが例示される:宿主防御ペプチド、酵素、酸化水素生成酵素、特定のpH液、酸、塩基、抗菌酵素、蜂蜜、過酸化水素、樹脂、トロロックス、EDTA、D-ビタミン、抗原、ホルモン、プロラクチン、吸湿性物質、α-トコフェロール、ベラパミル、重炭酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、ザクロ、アロエベラ、カモミール、クルクミン、アクアクミン、重曹、海塩、ウコン、活性炭、レモン果汁、ココナッツオイルプリング、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、シナモンオイル、DMSO、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カラギーナン、ラウリル硫酸ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ベンジルアルコール、セイヨウハッカオイル、パセリオイル、安息香酸ナトリウム、ブロメライン、パパイン、マルトデキストリン、クエン酸、リモネン、シリカ、セイヨウハッカ抽出物、グリセリン、イラクサ抽出物、重炭酸塩。
「抗菌青色光」は、「aBL」という略称でも呼ばれ、通常400nm~470nm、例えば400nm~430nm又は405~470nm、又は405~430nmの波長領域の光で、例えば外因性光増感剤の関与なしに固有の抗菌効果を示す光のことである。
「光増感剤」とは、例えば紫外若しくは可視領域の電磁放射線を吸収して、それを隣接する分子に伝達することができる化合物又は分子のことである。通常、光増感剤は非局在化したπ系を持つ。
「光増感剤」という用語は、本文脈では単数形で使用されることが多いが、この用語は複数の化合物又は分子も含む。特に、それは2つ以上の光増感剤化合物又は分子の混合物または連続使用を含む。複数の光増感剤化合物又は分子を使用する場合、少なくとも1つは高エネルギー光子との使用に適しており、少なくとも1つは低エネルギー光子との使用に適している。
一実施形態では、選択された1つの光増感剤は、対応する光との組み合わせで内因性抗菌作用を実現することができ、対応する光との組み合わせで外因性抗菌作用を実現することができる1つの光増感剤が選択される。
光増感剤は、天然に存在する化合物(「天然光増感剤」)及び合成化合物であり得る。天然光増感剤の例としては、以下のものが挙げられる:ヒペリシン、クルクミン、フェナレノン誘導体、セルコスポリン、ソラレン、キサントトキシン、アンゲリシン、α-テルチエニル、フェニルテパトリイン、THC、カンナビジオール(CBD)。合成光増感剤には以下のものが挙げられる:RB(ローズベンガル)、MB、ポルフィリン誘導体、クルクミン誘導体、メチレンブルー、インドシニングリーン、エリトシン、フェナレノン誘導体、フラーレン誘導体、キサンテン誘導体、レスベラトロール。
その他の光増感剤としては、ポリフェノール化合物及び/又はアントシアニン化合物を含むリンゴンベリー及びブルーベリーなどのベリー類の抽出物が代表的である。
「増強物質又は薬剤」という用語は、他の薬剤(単数又は複数)の効果又は活性を増強することができ、それらの複合効果がそれぞれ単独の効果の合計よりも大きくなるような薬剤を意味する。
「増強物質又は薬剤」の例には、イオン、イオンスカベンジャー、界面活性剤、含酸素化合物、活性酸素生成化合物、有機及び無機塩、二価イオン、顔料、抗菌ペプチド、EDTA、免疫賦活剤並びに抗生物質又はクロルヘキシジンと記載されるがこれに限定されない他の抗菌化合物が挙げられる。
細菌に関連して使用される場合の「外因性」は、細菌の「外側」を意味する。
「内因性」とは、細菌に「固有に存在する」ことを意味する。細菌内の分子及び物質に関連して使用される場合、「内因性」は「細胞内」という用語と交換可能に使用される。
本文脈において、「哺乳動物」は、当該技術分野における従来の意味を持つ。特に関心となる対象は、ヒト並びにイヌ、ネコ、ウサギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ及びブタなど、飼育用及びペットとして飼われている動物である。
光に関連して使用される「非コヒーレント」とは、放出された光波の振幅及び位相が空間及び時間の中でランダムに変動することを意味する。一実施形態は、非コヒーレント光源としてLEDを使用することを含む。別の実施形態では、非コヒーレント光源としてUVCランプを使用することを含む。
「高エネルギー光子」とは、3.5eV~2.8eV、特に約3.2~2.9eV又は3.17~2.95eVの範囲のエネルギーを有する光子のことである。通常、そのような光子は、約350~450nm、例えば約380~430nm、例えば390~410nmの範囲の波長を有する光に含まれる。
「低エネルギー光子」とは、1.24eV~2.48eV、特に1.3eV~2.4eV、例えば1.4eV~1.6eV又は1.45eV~1.56eVの範囲のエネルギーを持つ光子のことである。通常、そのような光子は、約500~1000nm、例えば約780~830nmの範囲の波長を有する光に含まれる。
「3.5eV~2.8eVの範囲に大部分のエネルギー」を持つ光子による光とは、例えば光ビーム又は光線の形態の光で、光子の少なくとも50%、特に少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、それらのエネルギーによって示されるように、3.5eV~2.8eV又は3.2eV~2.9eV、例えば3.17eV~2.95eVの範囲のエネルギーを持つ光を意味する。
「1.24eV~2.48eVの範囲に大部分のエネルギー」を持つ光子による光とは、例えば光ビーム又は光線の形態で、光子の少なくとも50%、特に少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも95%が、それらのエネルギー(若しくは波長)で示されるように、1.24eV~2.48eV又は1.3eV~2.4eV、例えば1.4eV~1.6eV若しくは1.45eV~1.56eVの範囲のエネルギーを持つ光を意味する。
一般的に言えば、高エネルギー光子と低エネルギー光子の両方を、特に同時に照射すると、特に低エネルギー光子活性化光増感剤と一緒に照射すると、どちらかの光子群を別々に照射する場合に比べて、光の抗菌効果が高まることが分かっている。これは、浮遊性の微生物でも、特にバイオフィルムでも、単一照射量で照射した場合に見られる。
さらに、「二重光線治療」とも呼ばれるこの組み合わせは、毎日の治療として長期間使用する照射を続けた場合、バイオフィルムに対する抗菌効果を持続させる能力があることがわかっている。
歯科で行われているような、低エネルギー光子を外因性光増感剤と一緒に使用する治療は、長期的にはバイオフィルムに対するその効果が失われる傾向にある。この抵抗性の形成には、流入ポンプの発現に関与する遺伝子の活性化など、様々な理由がある。実際の原因、又は異なる説明の組み合わせに関係なく、本発明の文脈でのバイオフィルム研究において高エネルギー光子の毎日の照射を続けると、同様の現象に遭遇した。
単一照射量としての二重光線治療の改善された有効性、及びその有効性を維持する治療の能力は、内因性及び外因性の増感剤の存在下での光によるラジカル酸素種の同時生成によって説明することができる。内因性増感剤とは、細胞内の光反応性分子のことである。これらの分子は、例えば、アミノ酸側鎖を含むタンパク質又はフラビン及びヘムなどの発色団補欠分子族に結合したタンパク質であり得る。
一実施形態では、発色団結合タンパク質は、ミトコンドリアにおける電子伝達反応など、細胞機能の重要な役割を担っており、その酸化は悪影響を及ぼす可能性がある。
側鎖含有タンパク質の損傷は、バイスタンダー損傷に大きな影響を与える可能性がある。一方、外因性増感剤は、細胞膜及び細胞壁の両方の構造に損傷を与え、細胞内に入ると他の構造に損傷を与えるラジカル酸素種の迅速かつ効率的な産生を実現する能力を持つ。生体表面の活性酸素種の標的には、DNA、RNA、タンパク質、脂質及びステロールが挙げられる。
第1の実施形態では、本技術は、3.5eV~2.8eVの範囲に大部分のエネルギーを持つ光子による第1光と、1.24eV~2.48eVの範囲に大部分のエネルギーを持つ光子による第2光との2つの異なるエネルギーレベルの光の形態をした電磁放射線で生体表面を治療する方法を提供する。本治療は、第1光及び第2光の光子を同時に生体表面に照射することによって行われる。
上述したように、一般に、大部分のエネルギーという用語は、光のエネルギーの50%超、特に60%超、例えば70%超又は80%超が指示された範囲にあることを意味する。
一実施形態では、光子は、それらのエネルギーの少なくとも50%を、それぞれ3.17eV~2.95eV及び1.56eV~1.45eVに持つ。一実施形態では、光子は、それらのエネルギーの少なくとも50%を、それぞれ約390~420nm及び795~855nmの波長に対応する範囲に持つ。
好ましい一実施形態では、使用される光は非コヒーレントである。
一実施形態では、
非コヒーレント放射光エネルギーを、第1及び第2エネルギーレベルの少なくとも2つの異なるエネルギーレベルで生成し;
非コヒーレント放射光エネルギーから、第1エネルギーレベルの大部分のエネルギーに対応する波長を有する第1光と、第2エネルギーレベルの大部分のエネルギーに対応する波長を有する第2光とを供給し;
第1光及び第2光を同時に生体表面に照射する。
一実施形態では、光は、高エネルギー光子からなる第1光及び低エネルギー光子からなる第2光を同時に放出することができる光電子部品及びそのデバイスを用いて生成され、前記第1光及び前記第2光は、光電子部品又はデバイスから放出される全ての光の少なくとも80%に相当する。
上述の光によって、表面の生体物質の内因性及び外因性の励起は、好ましくは活性一重項酸素若しくは活性酸素種又はその両方が生成するように達成される。
本治療法により、微生物又はウイルス又は真菌による生物組織の汚染などの表面の生物学的汚染を防止又は対策を取ることができる。本治療法は、美容目的並びに抗菌及び抗ウイルス及び抗真菌治療にも使用することができる。
光をそのまま使用することも、光線力学療法(PDT)の目的で光感受性物質(光増感剤)と組み合わせて使用することもできる。これについては、以下で詳しく説明する。
一実施形態では、高エネルギー光子及び低エネルギー光子を、低エネルギー光子で活性化され得る少なくとも1つの外因性光増感剤と併用して照射する。
一実施形態では、哺乳動物組織の局所治療で使用するための光感受性物質(光増感剤)を提供し、前記増感剤を哺乳動物の皮膚又は粘膜などの組織の表面部位に塗布し、このように処理した部位を、続いて又は同時に2つの異なる波長の光(すなわち、2.8eV~3.5eVの間に大部分のエネルギーを持つ高エネルギー光子による第1光と;1.24eV~1.65eVの間に大部分のエネルギーを持つ低エネルギー光子による第2光)にさらす。
そのような実施形態では、高エネルギー光子は内因性(細胞内)分子に吸収され(2.48eV以上の光子エネルギーがポルフィリンやリボフラビンによってなど)、活性一重項酸素及び活性酸素が生成する。同時に、低エネルギー光子は外因的に(細胞外で)光増感剤に吸収され、活性一重項酸素及び活性酸素が生成される。内因性及び外因性の両方で生成した活性一重項酸素及び活性酸素は、組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢及び歯の表面並びに粘膜に存在する細菌、ウイルス及び真菌などの微生物を不活性化、死滅、あるいはそれらのレベルを下げることができる。
本発明の一実施形態では、高エネルギー光子は、ペルオキシダーゼ酵素のフラビン基などの細胞内酸化ストレス応答メカニズムによって吸収されているため、病原体の治療適応を妨害する。
別の実施形態では、少なくとも1つの光増感剤を、組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢及び歯の表面並びに粘膜などの標的に存在する細菌、ウイルス及び真菌などの微生物と、担体を用いてそれを標的に塗布することにより接触させる。光増感剤(単数又は複数)は、水溶液、アルコール含有溶液、親水性ゲル、疎水性ゲル、親水性ポリマー、疎水性ポリマー又はペースト、ローション、錠剤、テープ、膏薬若しくはバンドエイドの形態で塗布することができる。
高エネルギー光子及び低エネルギー光子は、微生物中又は組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢、歯の表面及び粘膜中に異なる深さで透過すると考えられる。したがって、本技術により、活性酸素一重体及び活性酸素種が、組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢、歯の表面及び粘膜などの標的中に異なる深さで生成され、それによって細菌、ウイルス及び真菌などの微生物を不活性化、死滅、あるいは少なくとも量を減少させる。
グラム陽性菌の1種(ミュータンスレンサ球菌)を特に参照した実施例で示されるように、本技術は細菌に対して有効である。したがって、一般に、グラム陽性菌は、レンサ球菌属、ストレプトコッカス・ピオゲネス、ストレプトコッカス・アガラクティエ、ストレプトコッカス・ジスガラクティエ、ストレプトコッカス・ボビス、ストレプトコッカス・アンギノサス、ストレプトコッカス・サングイニス、ストレプトコッカス・スイス、ストレプトコッカス・ミティス及びストレプトコッカス・ニューモニエ、スタフィロコッカス属、例えば黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・エピデルミディス、スタフィロコッカス・シムランス、コリネバクテリウム、リステリア、バチルス、クロストリジウム、ラタイバクター、ライフソニア及びクラビバクターによって代表される。
本発明の技術が対象とする細菌のさらなる一群は、グラム陰性菌、例えば、プロテオバクテリア、アクウィフェクス、クラミジア、バクテロイデス、クロロビウム、シアノバクテリア、フィブロバクテル、ウェルコミクロビウム、プランクトミケス、スピロヘータ、アキドバクテリウム、放線菌、フィルミクテス、テルモトガ、ポルフィロモナス及びクロロフレクサス門の細菌などによって代表される。具体的な例としては、以下が挙げられる:大腸菌、腸炎菌、チフス菌などのサルモネラ、赤痢菌、シュードモナス、モラクセラ、ヘリコバクター、ステノトロフォモナス、ブデロビブリオ、淋菌、髄膜炎菌、カタラリス菌、インフルエンザ菌、肺炎桿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、緑膿菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、エンテロバクター・クロアカ、セラチア・マルセッセンス、ヘリコバクター・ピロリ、ポルフィロモナス・ジンジバリス、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス並びにアシネトバクター属の細菌、例えばアシネトバクター・バウマンニ、アシネトバクター・アルベンシス及びアシネトバクター・アピス。
本治療法は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、パルボウイルス、レオウイルス、ピコルナウイルス、トガウイルス、オルソミクソウイルス、ラブドウイルス、レトロウイルス、パピローマウイルス、ヘパドナウイルスなどのウイルスに対しても有効である。
治療法は、カンジダ種、特にカンジダアルビカンスなどの真菌類に対しても有効性を示している。
以下で詳細に説明するように、光増感剤を担体と混合して、バイオフィルム又は標的組織若しくは他の生体表面の感染領域に塗布することができる溶液、ゲル、ペースト、ローション、さらには膏薬、テープ、錠剤又はバンドエイドなどの形態で光増感剤を提供することができる。通常、光増感剤は、0.001~1重量%、特に0.004~0.5重量%の濃度で組成物(溶液、ゲル、ペースト、ローション、膏薬、テープ、テーブル又はバンドエイドなど)中に存在する。
光増感剤は、通常、例えばゲルとしての液体形態で、約0.01mg/ml~10g/ml、例えば0.1mg/ml~1g/mlの量で塗布される。
いくつかの実施形態では、光増感剤は、通常、組織、バイオフィルム、唾液、皮膚又はプラークなどの標的領域上に、0.0001%(w/v)~1%(w/v)で塗布される。
一実施形態では、上記実施形態のいずれかによる方法は、LED光源などの抗菌性光電子部品及びそのデバイスを用いて、内因性分子に吸収される高エネルギー光子と外因性分子に吸収される低エネルギー光子とを同時に放出することにより実施される。
さらなる実施形態では、上記実施形態のいずれかによる方法で使用される抗菌性光電子部品及びそのデバイスは、高エネルギー光子及び低エネルギー光子を放出しており、給電電圧又は電流は、1Hz~1GHz、例えば1~100MHzの周波数で、互いに独立して交互に起こる又はパルス化されている。
さらなる実施形態では、上記実施形態のいずれかによる方法で使用される抗菌性光電子部品及びそのデバイスは、高エネルギー(2.48eV~1.24eVの範囲)光子及び低エネルギー光子(3.5eV~2.8eVの範囲)を同時に放出している。この実施形態によれば、光電子デバイスは、内因性及び外因性分子又はそれらの光分解副生成物の光ルミネセンスを検出するための任意選択の光検出器を含み得る。
一実施形態は、直列又は並列に接続された複数の半導体チップを有する光電子部品及びそのデバイスを使用することを含み、そのチップは、2.48eV~1.24eVの範囲及び3.5eV~2.8eVの範囲でそれぞれ変化させることができる発光エネルギーを示す。
実施形態では、前述の2つの段落で言及された光電子部品又はデバイスは、それぞれ1.3eV~2.4eV、例えば1.4~1.6eV又は1.45~1.56eV;及び3.2eV~2.9eV、例えば3.17~2.95eVのエネルギーを放出することもできる。
治療される標的の面積は様々であり得る。一実施形態では、面積は約0.1cm~4cmである。そのような限定された治療領域は、例えば、哺乳動物の皮膚の一部又は感染若しくはバイオフィルム若しくはその両方を示す他の領域を治療するための局所治療に典型的である。別の実施形態では、治療面積は約10~100cmである。この面積は、マウスピースを使用して到達することができる歯の治療の状況に適用される。
標的領域に照射される電力又はワット数は、通常0.01W~500W、特に約0.1~50W、例えば1~25Wの範囲で変化する。
照射量は、約0.1~1000J/cm、特に1~500J/cm、例えば1~250J/cm又は1.5~120J/cm又は2.5~75J/cmの範囲で変化する。
一実施形態では、光は、0.001W/cm~2kW/cm、好ましくは0.01W/cm~20W/cm、特に約0.050W/cm~約10W/cm、例えば約0.075W/cm2~約5W/cm、例えば0.1W/cm~約2.5W/cmで標的領域に照射される。これは、光の電力密度とも呼ばれる。
治療時間は様々である。通常、0.5秒~120分、特に0.5秒~10分、例えば0.5秒~300秒又は1秒~180秒である。
治療の結果として、通常、標的領域の温度が上昇する。一実施形態では、温度上昇は、約0.1~20℃、例えば0.2~10℃、特に約0.5~5℃の範囲で変化する。特定の治療部位における局所的なピーク温度は、前述の値を限られた時間(通常は30秒未満、特に15秒未満)超える可能性がある。
一実施形態では、治療は、光、特に非コヒーレント放射光を、400~430nmの第1波長(約3.1eV~2.9eVの光子に対応)では、好ましくは1~120J/cmの照射量で、特に約10~約2500mW/cmの電力密度で0.5秒~120分間並びに780~830nmの第2波長(約1.59eV~1.49eVの光子に対応)では、好ましくは1~120J/cmの照射量で、特に約10~約2500mW/cmの電力密度で0.5秒~120分間使用することによって実施される。
本発明による一実施形態では、光電子デバイスは、疾患を予防又は治療的に処理するための光線力学的放射エネルギーを生成及び送出する、以下の工程を含む方法に使用される:
(i)複数のエネルギーレベルで非コヒーレント放射光エネルギーを生成する工程と;
(ii)放射エネルギーの少なくとも一部を吸収することができる媒体又は分子を提供する工程と;
(ii)放射エネルギーの少なくとも一部を吸収することができる媒体又は分子を光活性化するために必要な実質的に正確な光エネルギー波長で光エネルギーを送出する工程;疾患の予防的又は治療的処理と;
(iv)内因的に、外因的に又は内因的に及び外因的に両方で、活性一重項酸素及び活性酸素種を前記標的において生成させることにより、標的を予防又は治療的に処理する工程。
本発明の一実施形態は、光電子デバイスが、細菌、ウイルス又は真菌などの病原性微生物のプログラムされた細胞死に使用され、高光子及び低光子と内因性光感受性化合物又は複数の異なる化合物との組み合わせによって制御されることである。
上述したように、一実施形態では、上記実施形態の任意の光治療は、光線力学療法(PDT)によって実施される。そのような治療法は、光と、光によって活性化される非毒性の標的分子とを含む。標的分子は、光子のエネルギーを吸収して、励起状態を達成する。その後、標的分子は、光子の放出(蛍光)、熱の放出又はいわゆる三重項状態の形成によって、この状態を脱することができる。この三重項状態は、電荷の移動(タイプI反応)又はエネルギーの移動(タイプII反応)によって酸素と反応することができる。タイプIのメカニズムでは、電荷が基質若しくは酸素分子に移動し、過酸化水素などの活性酸素又はスーパーオキシドイオン若しくはフリーヒドロキシルラジカルなどの酸素ラジカルが生成される。タイプIIのメカニズムでは、電荷ではなくエネルギーのみが酸素分子に直接伝達され、それにより反応性の高い一重項酸素()が発生する。
PDTの抗菌効果は、照明による酸化バーストに基づいており、細胞構造及び分子への損傷に依存しているため、非特異的なメカニズムである。このバーストは非常に反応性が高く、有効範囲が0.3マイクロメートル未満と短いため、治療箇所を特定して行われる。
異なる作用メカニズム及び活性化波長の間の比率は標的分子に固有であるため、PDT、PTT及びPHTの治療は、特定の光及び標的分子の組成に合わせて特別に設計する必要がある。光増感剤又は標的分子の中には、熱を発生させる能力が高いものや、三重項状態を形成して反応するものがある。例えば、インドシアニングリーン(ICG)は、吸収したエネルギーの80%以上を熱として放出するが、ポルフィリンは0.5~0.8の一重項酸素量子収率を示す。したがって、病原体殺傷の正確なメカニズムが異なるため、光増感剤(単数又は複数)の選択は、光線力学、光熱又は光ハイパーサーミアへの治療の分類も定義することになる。
光熱効果は、病原体の局所的な加熱に関連する。病原体を死滅させる1つの可能な手法は、適切な波長の病原体選択的な発熱光増感剤を使用して、標的病原体を局所的に加熱することである。バイオフィルムは、活発な血液循環及び熱伝導性がないため、健康な組織に比べて冷却能力が低い。
外因性光増感剤の活性化に加えて、照射された光子は、病原体の内因性分子との相互作用を通じて病原体に影響を与えることができる。フラビン及びポルフィリンの光反応は、青色光による細菌の死滅の内在メカニズムにおいて重要である。
細菌では、植物フォトトロピン、青色光を感知するフラビン結合タンパク質及び/又は鉄を含まないポルフィリンに対応するものがいくつか存在する。細菌のフラビン光センサの3つの主要なクラスであるLOV(光、酸素、電圧)ドメイン、BLUFタンパク質(フラビンアデニンジヌクレオチド、FADを使用した青色光センシング)及びクリプトクロームは、青色光に反応して多様な生物活性を調節している。
細菌のLOVタンパク質には、光応答性LOVドメインに結合した様々なエフェクタードメイン、例えばヒスチジンキナーゼ、転写調節因子、推定ホスホジエステラーゼ及びストレス因子の調節因子があり、感受性シグナル伝達タンパク質としての生理的役割を示している。したがって、特定のエネルギー光子を適用することで、所与の治療法に対する細菌の反応が変化する可能性がある。かなり多くの細菌のLOVタンパク質は、ヒスチジンプロテインキナーゼスーパーファミリーのメンバーである。ヒスチジンキナーゼは多機能であり、細菌では通常、細胞膜を介したシグナル伝達において役割を果たす酵素のトランスフェラーゼクラスの膜貫通タンパク質である。例えば、薬剤抵抗性の原因となる細菌の流入ポンプは、ヒスチジンキナーゼである可能性がある。ヒスチジンキナーゼ受容体の活性化は、ペリプラズム感受性、膜貫通感受性又は細胞質感受性に位置付けられ得る。
BLUFタンパク質は、DNA結合タンパク質と相互作用する光感受性タンパク質を介して、光合成に関連する遺伝子の発現を制御することができる。多くのBLUFタンパク質は、BLUFドメインの下流に酵素的又はその他の特性を持つ追加のドメインを持ち、これらのタンパク質の大部分はホモ二量体と思われる。例えば、BlrP1というタンパク質は、肺炎桿菌由来の二量体環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼであり、光条件下では酵素活性が4倍増加する。AppA及びPACは、光の検出を担う約100アミノ酸残基長のBLUFドメインを持つ多くの光感受性タンパク質のほんの2つの例であり、これらは「グループ1」タンパク質と呼ばれる。他の多くのBLUFタンパク質は、200未満のアミノ酸残基を持ち、「グループII」タンパク質と呼ばれる。これらのタンパク質は、各サブユニットにBLUFドメインしかないが、安定性に必要な二次構造要素をC末端領域に持つ可能性がある。
フォトリアーゼ及びクリプトクローム青色光受容体は、進化的に関連したフラボタンパク質であり、異なる機能を果たしている。フォトリアーゼは、細菌の多くの種で、クリプトクロームと同様にUV損傷DNAを修復する。
抗ウイルス治療では、3種類以上の抗ウイルス剤でウイルス集団を同時に標的とする。
抗真菌治療では、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の抗真菌剤で真菌集団を同時に標的とする。
上述のように、一実施形態では、細胞壁構造、EPSマトリックス、細胞間シグナル伝達からなり得る、有益な薬剤(単数又は複数)を投与した部位への外因性効果と、病原体の内部分子がそれらの機能的環境において影響を受ける内因性効果とを組み合わせた治療が行われる。
この治療法は、重要な機能部位並びに外膜及び内膜構造を標的とし、細菌の酸化ストレス応答メカニズムでは制御が困難な酸化バーストを引き起こし、温度ストレスによって細胞壁及び細胞質膜をさらに不安定にする。病原体及び病原体の集団が外因性及び内因性の酸化及び温度バーストによって異なる部位で攻撃されるため、記載の広範囲の攻撃は従来のPDTをはるかに超えるものである。
PDT、PHT及びPTTは、細胞壁構造を破壊する活性分子又は殺菌剤化合物、細胞壁の安定性を変化させる能力のある殺菌剤、標的領域の外部加熱、活性酸素トランスポーターとして作用し得る一重項酸素スカベンジャーの使用、二価イオンを除去してグラム陰性菌の細菌細胞壁を不安定化させるイオンスカベンジャーの使用、光増感剤の内因性濃度を高めるためのイオンポンプ阻害剤の使用、免疫応答刺激剤の適用、微生物排出ポンプ阻害剤、タンパク質輸送(例えばポーリン刺激剤)、及び抗生物質若しくは抗菌物質の光増感剤としての又は光増感剤と組み合わせた局所的使用を追加することによっても増強することができる。
一実施形態は、第1期間中に第1光増感剤を使用し、第2期間中に第1光増感剤とは異なる第2光増感剤を使用することを含む。通常、第1光増感剤及び第2光増感剤は、それぞれ第1光及び第2光を用いて活性化され得る。好ましくは、第1光増感剤と第2光増感剤とを組み合わせて若しくは交互に使用する又はそれらの少なくとも1つを治療中の所定の時点で使用する。
一実施形態では、第1光増感剤は、高エネルギー光子活性化光増感剤(「タイプ-I光増感剤」)を含む群から選択され、一方、第2光増感剤は、低エネルギー光子活性化光増感剤(「タイプ-II光増感剤」)を含む群から選択される。
治療に対する1つの可能な手法は、治療中に観察された有効性に基づいて、タイプI及びタイプIIのメカニズムの治療比率を調整することである。治療は、タイプI及びタイプIIのメカニズムを同時に組み合わせることができる又はどちらかのメカニズムにより多く頼り、特定の間隔でもう一方のメカニズムで働く化合物を追加/交換して治療効果をさらに高めることができる。
例えば、タイプII光増感剤と低エネルギー光子及び高エネルギー光子とを組み合わせ、電荷移動プロセスで活性酸素を生成させるタイプI光増感剤又は顔料を周期的に添加する。考えられる組み合わせの1つは、タイプII光増感剤のインドシアニングリーン及びタイプI光増感剤のクルクミンを高エネルギー光子及び低エネルギー光子と組み合わせることである。治療を監視し、特定の事象が検出されたときにメカニズムを変更することも可能である。
一実施形態では、光をパルス化して、暗期間中に酸素などの標的分子を補充できるようにしたり、治療に追加の標的分子、超酸化水又はペルオキソ化合物などの酸素発生化合物、例えば過酸化水素を加えることで、治療の増強が実現され得る。本実施形態では、光線力学療法の効果を高めるために、存在する酸素の量を増やすことを目的としている。
パルス間の待ち時間は、治療パルスの長さの0.01~100倍とすることができる。最大治療出力が発熱及び放熱によって制限されるため、これは特に重要である。活性酸素が発生するように光を照射すれば、治療はより効果的になり、治療に必要な時間も短くなる。
通常、治療パルス時間は0.01~120秒、特に0.5~60秒、例えば0.5~30秒の範囲である。
高エネルギー及び低エネルギー光子を使用することは、異なるエネルギー光子が異なる組織刺激特性を持つため、有益である。低エネルギー光子は、2.7℃の有益な組織加熱を2cmの深さまで及ぼすことができる。これにより、酸素分圧及び血液循環が高まり、その後、免疫反応の促進を含む細胞の代謝が刺激される。
高エネルギー光子、特に3.06eVのエネルギーを持つ光子は、内因性の細菌殺傷効果があるが、この波長の組織への透過は限られている。これらの同じ標的分子は、2つ以上の光子が同時に吸収されて標的分子を高エネルギー状態に励起するフォトンアップコンバージョン反応によって活性化することができる。
一実施形態では、3.06eV及び1.53eVの選択は、特に良好な組み合わせである。1.53eV(810nmの波長に対応)は、3.06eV(405nmの波長に対応)の光子エネルギーのちょうど1/2であるが、組織への透過性がはるかに高い。そのため、1.53eVの光子及び3.06eVの光子を同時に吸収させることで、内因性ポルフィリンを励起させ、組織治癒効果に加えて抗菌効果を得ることができる。高エネルギー光子はバイオフィルムの細胞外多糖マトリックスの形成を減少させ、外因性PDTとの相乗効果でバイオフィルムの病原性を低下させる。
本発明は、細菌、ウイルス及び/又は真菌などの病原体によって、皮膚、口の中、歯の表面、歯茎、粘膜、喉及び性器に引き起こされる症状の治療に適している。
本方法は、組織を刺激する目的で光のみを使用するように実施することもできる。
PDT治療は非特異的であるため、それに対する抵抗性を生じさせることは本質的に困難である。PDT治療の堅牢性は、一重項酸素、電荷移動及び発熱によって機能する異なるタイプの光増感剤を使用することによって高めることができる。熱による病原体の死滅という側面を持つ光熱療法は、基本的にPDTよりもさらに強固である。この2つの技術には相乗効果があり、これらを組み合わせることで非常に効果的なシステムとなる。
本治療が非常に堅牢であっても、より治療に抵抗する細菌種への選択性は起こるものである。口腔内では、目的の領域に治療を集中させ、他の領域を治療しないことで、これを軽減することができる。これにより、抗菌性マウスウォッシュと比較して、口腔内細菌叢の変化を最小限に抑え、歯及び歯茎の表面などの目的の領域で効率的に細菌を死滅させることができる。
光システムには、組織に深く透過し、血液循環及び免疫反応を刺激することが知られている近赤外などの組織刺激光も含まれ得る。
光を使用して歯の骨形成を刺激することもでき、デバイス熱を使用して、PDT及びPTT治療を増強することに加えて、エナメル質へのフッ化物の結合を増加させることができる。
デバイスは、治療効果を高め、フッ化物の結合率を高める発熱表面としての重要な機能があり、フッ化物及び光増感剤が熱拡散によってバイオフィルムの奥深くに浸透するのも助ける。これにより、治療効果がさらに高まる。
バイオフィルムが0時間後から96時間後の成熟したバイオフィルムになると、バイオフィルムの代謝及び細菌の構成が変化する。これにより、バイオフィルムの時期が0時間、12時間、24時間、32時間、48時間、72時間及び96時間と異なる場合、最も効率的な治療全体の結果を得るには異なる治療が必要となるため、PDT治療に重圧がかかる。
光増感剤はバイオフィルムに非常に特異的となり得、その固有の光学的及び光特性(反射、吸収、蛍光、透過、退色)は、細菌のバイオフィルムの範囲及び厚さなどの特性を検出及び測定する手段となる。また、吸収された光は標的組織を加熱するため、組織の異なる場所の温度差を比較することで、組織の健康状態を測定することができる。特に、がん組織又は炎症組織は健康な組織に比べて冷却能力が低いため、熱モニタリングすることでがん組織又は炎症を検出することができる。吸収及び時間に依存した退色並びに蛍光強度を利用してバイオフィルムの厚さ及び細菌量を測定することができるため、標的部位の病状又は全体的な健康状態をより適切に追跡することができる。モニタリングは特に、慢性歯周炎及び歯茎の健康状態の監視及びがんの早期発見に役立つ。
治療のモニタリング目的及び継続的な治療の安全性のために、標的組織に選択性を持たせ、光増感剤の吸収極大値をモニターするように設定した蛍光顕微鏡でモニターしたときに、きれいな象牙質又は健康な組織と比較して標的バイオフィルムでの光の吸収が高くなるようにすることができる。モニタリングデータを使用して、治療中の変化に合わせて、1つ又は複数の光増感剤の退色又はバイオフィルムの多い領域への出力の方向性など、治療を調整することができる又はより頻繁な使用などの個別の治療オプションを計画し、機械的クリーニングを特定のエリアに集中させ、専門家の訪問を勧めることができる。
再石灰化が進行している部位と、エナメル質が消失している部位の異なる光の吸収及び発光により、ミネラル化プロセスを監視することができる。特に、青色光とNIR光を併用することで、深い虫歯並びに歯及びエナメル質の表面変化も同時に検出することができる。
インドシアニングリーンは、病原体に結合すると赤方偏移を起こす。レッドシフト及び光退色率を測定することで、バイオフィルムとその総量を定量化し、特徴づけることが可能である。総吸収及び光退色率は、バイオフィルムの厚さ及びバイオフィルム内の活性物質の量に対応する。さらに、分光計による分析を使用して、糖レベル、pHレベル、脂肪、カロリー含有量、タンパク質含有量、バイオフィルム内の細胞外高分子物質の量など、プラーク特性を検出することができる。これらの目的のために、治療に使用される光電子デバイスは、マイクロスペクトロメータセンサ、温度センサ、光センサ、pHセンサ、力センサ、ジャイロスコープ、圧力センサを組み込むことができる。
2つ以上の光子が同時に吸収されると、異なる蛍光特性及び化学的特性を持つ超励起状態を発生させることができる。超励起状態のエネルギーは、通常の励起状態よりも高い。超励起状態の形成率を利用して、バイオフィルムの厚さを定量化し、組織の深部にある病原体を検出することができる。
前述したように、治療効果は、微生物排出ポンプの阻害、バイオフィルムの外部及び内部EPSマトリックスへの影響、病原体間コミュニケーション又はクオラムセンシングの破壊による病原体の外部構造への影響、標的部位への高濃度の酸素又は活性酸素の供給、免疫反応の刺激、酸化ストレス伝達の促進、酵素の使用、病原体及びバイオフィルムへの活性物質の取り込みの増加、一重項酸素の化学的クエンチャー(カロテノイド、ベータカロチン及びα-トコフェロール)の添加などによって増強することができる。
無機塩類、特にヨウ化カリウムの添加、二価イオン、殺菌剤、担体液体及び局所抗生物質の添加が可能である。光子を使用して、局所抗生物質の効果を活性化及び増強することができる並びにそのような抗生物質治療とともに細菌の抗生物質抵抗性形成を抑制又は防止し、組織の治癒及び免疫反応を刺激することができる。
治療は、抗生物質及び殺菌剤の局所使用と組み合わせることで、相乗的な抗病原体効果を得ることができる。例えば、バイオフィルムを標的とするクロルヘキシジンによる光線療法は、口腔内消毒にとっては新しい方法である。付属書IIIに掲載されているミュータンスレンサ球菌のバイオフィルムに対するクロルヘキシジンによる二波長光線力学療法の結果は、全く新しいものである。高エネルギー及び低エネルギー光子を光増感剤と共に用いることで、バイオフィルムに対する抗菌効果が大幅に向上し、バイオフィルム治療の改善につながる有望な新しい手法を提供する。有効性は、光子及びアニオン性光増感剤がバイオフィルムに深く透過し、バイオフィルムの内部並びに表面でも効率的に細菌を死滅させる能力に基づいている。クロルヘキシジンの効果は、ほとんどがバイオフィルムの表面でのみ発揮される。高エネルギー光子は、バイオフィルムのEPSマトリックス形成を減少させ、その後の処理でのクロルヘキシジン効果をさらに高める。
活性成分の標的部位への適用方法としては、水溶液、アルコール含有溶液、クロルヘキシジン含有溶液、親水性ゲル、疎水性ゲル、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、ペースト、ローション、テープ、膏薬又はバンドエイドなどが考えられる。
上記の種類の水溶液には、口内洗浄剤が含まれる。特に、光増感剤は、クロルヘキシジン溶液又は洗口剤と一緒に使用される。
一実施形態では、有益な薬剤は、ポリマー、無機分子ネットワーク、ナノ/マイクロ粒子/繊維集合体、繊維ネットワーク、不織布、発泡体、ヒドロゲル、ペースト又はこれらの成分の組み合わせからなり得る厚さ1nm~10mmのフィルム、ゲル、エマルジョンであり得るデバイスにより送達される。
有益な薬剤を含む基板は、光を照射する光電子デバイスの上又は内部に取り付ける若しくは配置する又は光電子デバイスとは別に設置することができる。
一実施形態では、ICGのような有益な薬剤は、保管時の安定性を高め、投与を容易にするために、疎水性又は両親媒性媒体中に保持される。これは、有益物質を、フィルム若しくはゲル又は疎水性若しくは両親媒性担体液体又はゲル中に組み込むことで実現され得る。そのような応用の一例として、DMSOを主溶媒とするゲルがある。乾燥ゲルは、例えば成分の1つがポリジメチルシロキサン(PDSM)であるゲルなど、ゲル状の特性を持つ疎水性物質からなる。このゲルは徐放性ゲルとして分類することができ、活性物質は単独で又は抗生物質として分類される分子とともにゲルに組み込むことができる。
光増感剤及び場合によっては1つ又は複数の増強化合物が埋め込まれた、有機又は無機ポリマーからなるフィルム、ゲル又はエマルション。フィルム、ゲル及びエマルジョンには毛細管作用があるため、湿った表面に置かれると水が入るようになっている。フィルム、ゲル及びエマルジョンは、治療用の光を透過させる。フィルム、ゲル又はエマルジョンは、後続の治療のために並びに他の病原体及び汚れから部位を保護するために治療表面に残すことができるポリマーで構成され得る。フィルム、ゲル又はエマルジョンの特定の使用は、アフタ性口内炎病変、ヘルペスの痛み及び皮膚の傷の治療で行われる。
薄膜、ゲル又はエマルジョンを部分的若しくは完全に水溶性にすることができ、水溶性ポリマーは、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メタクリル酸メチル共重合体、カルボキシビニルポリマー、アミラーゼ、ハイアミラーゼデンプン、ヒドロキシプロピル化ハイアミラーゼデンプン、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質分離物、ホエイタンパク質分離物又はカゼインである。
2つの光源を同じLED筐体内に製造する又は単一の発光面に組み込むことができる。高エネルギー光子及び低エネルギー光子間の放出量は、50%-50%の分布~1%-99%又は逆に99%-1%若しくはその間となり得る。低エネルギー光と高エネルギー光が一緒になっていると、光子が異なるメカニズムで作用して異なる光学特性を持ち、必要な全強度が高エネルギー光子又は低エネルギー光子だけの場合よりも低くなるため、より目に安全な解決策となる。
高エネルギー光子と低エネルギー光子との比率を調整して、様々な時期及び様々な細菌種のバイオフィルムを標的にすることができる。
一実施形態では、高エネルギー光子と低エネルギー光子との放出量の比率は、0.2:1~5:1、特に1:1~3:1である。
一実施形態では、本光源又は光電子デバイスは、高エネルギー光子を使用して細菌の遺伝子発現を刺激し、治療効果を長期的に高める二重波治療を提供することができる。
上記に基づき、第1の実施形態は、光増感剤を使用して又は使用せずに、2.8eV~3.5eVの間に大部分のエネルギーを持つ高エネルギー光子及び1.24eV~1.65eVの間に大部分のエネルギーを持つ低エネルギー光子を放出することができる光電子デバイスであって、長期使用のための予防的及び治療的な歯科/口腔ケアにおいて持続的な抗菌効果のための方法を可能にする光電子デバイスを提供する。
第2の実施形態は、2つの波長を、同時に又は互いから0.001~1000ミリ秒、例えば約100ミリ秒の時間間隔で放出する前述の種類の光電子デバイスを提供する。
光電子デバイスは、2つ以上の発光面(EPI)を有する発光部品を含み得る。
光電子デバイスは、治療の進行、プラーク量を監視することができるセンサも備え得る。光電子デバイスは、モニターのフィードバックに基づいて治療用の光を調整することができることが好ましい。
光電子デバイスのデザインには様々なものが考えられる。デバイスは、歯ブラシ型の形状であり得、マウスピース又は棒状照明器具であり得る。治療に使用される光電子デバイスには、マイクロスペクトロメータセンサ、温度センサ、光センサ、pHセンサ、力センサ、ジャイロスコープ及び圧力センサを組み込むことができる。
上記に基づいて、本技術は、組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢、歯の表面及び粘膜の微生物、ウイルス又は真菌感染症を治療するためのキットも提供する。
一実施形態では、キットは、少なくとも2つの部品、すなわち光電子部品又はそのデバイスと少なくとも1つの光増感剤とを含む。光電子部品又はデバイスは、高エネルギーからなる第1光と、低エネルギー光子からなる第2光とを同時に放出することができる。通常、前記第1光及び前記第2光は、光電子部品又はデバイスから放出される全ての光の少なくとも80%に相当する。光増感剤は、高エネルギー光子及び低エネルギー光子の少なくともいずれかによって活性化され得る種類のものである。高エネルギー光子と低エネルギー光子の両方によって活性化され得る光増感剤を使用することも可能である。光増感剤は、上記のいずれの種類のものでもよい。
第2の実施形態では、キットは、2.8eV~3.5eVの間に大部分のエネルギーを持つ高エネルギー光子及び1.24eV~1.65eVの間に大部分のエネルギーを持つ低エネルギー光子を放出することができる光電子デバイスを、光増感剤又は複数の光増感剤と共に含み、長期使用のための予防的及び治療的な歯科/口腔ケアにおいて持続的な抗菌効果を実現するための方法を実施することができる。
第3の実施形態は、特に前記で開示された種類の光電子デバイスであって、2つの波長を、同時に又は互いから0.001ミリ秒~10秒又は0.001ミリ秒~1000ミリ秒、例えば10~500ミリ秒又は約100ミリ秒などの時間間隔で放出する光電子デバイスを、任意選択で光増感剤又は複数の光増感剤と共に含むキットであって、長期使用のための予防的及び治療的な歯科/口腔ケアにおいて持続的な抗菌効果を実現するための方法を実施することができるキットを提供する。
1つの代替案では、1つのLED又は複数のLEDを、1~50MHz、例えば約10MHzなどの高周波でパルス化して、高エネルギー光子及び低エネルギー光子を得る。
第4の実施形態は、2つ以上の発光面(EPI)を有する発光部品を有する光電子デバイスを、任意選択で光増感剤又は複数の光増感剤と共に含むキットであって、長期使用のための予防的及び治療的な歯科/口腔ケアにおいて持続的な抗菌効果を実現するための方法を実施することができるキットを提供する。
第5の実施形態は、前述のいずれかの実施形態による光電子デバイスを含み、治療の進行を監視することができるセンサをさらに含むキットを提供する。特に、キットは、治療の進行を検出することができ、治療の進行に基づいて調節信号を生成することができるセンサを含む光電子デバイスであって、光電子デバイスに連結している前記センサが、調節信号に応じて光電子デバイスから放出される光を調節する光電子デバイスを含む。
第6の実施形態は、歯ブラシの形状又は歯の噛み合わせ面の間の口の中に挿入可能なマウスピースの形状又は棒状照明器具の形状をさらに示す光電子デバイスを含むキットを提供する。
任意のキット又は治療に使用される光電子デバイスは、マイクロスペクトロメータセンサ、温度センサ、光センサ、pHセンサ、力センサ、ジャイロスコープ及び圧力センサを組み込むことができる。
上記に開示した実施形態では、光電子デバイスは、好ましくは半導体光源を含み、特に、光源として発光ダイオード(LED)を含む。実施形態では、発光ダイオード(単数又は複数)は、1つ又は複数の発光面を有し得る。LED光源は、治療部位を損傷することなくPDTを実現することができる。LEDから放出される光の照射量及び出力は、外部電源からの入力電力を調整することで変化させることができる。
好ましい実施形態では、光電子デバイス、特にLEDデバイスは、非コヒーレント放射光を、400~430nmの第1波長(約3.1eV~2.9eVの光子に対応)では、好ましくは1~120J/cmの照射量で、特に約10~約2500mW/cmの電力密度で0.5秒~120分間並びに780~830nmの第2波長(約1.59eV~1.49eVの光子に対応)では、好ましくは1~120J/cmの照射量で、特に約10~約2500mW/cmの電力密度で0.5秒~120分間放出することができる。
上記のいずれの実施形態においても、標的となる光増感剤又は高エネルギー光子若しくは低エネルギー光子又はその両方を受ける光増感剤は、光励起により光線力学的反応が可能な1つ又は複数の固有分子であり得ることに留意されたい。
以下は、さらなる実施形態を表す。
デバイスが、放射線感受性センサ(単数又は複数)により治療の進行及び状態を検出することができるキット。例えば、インドシアニングリーンの光学特性の変化、温度の変化又はインドシアニングリーンの退色を検出する。
歯のホワイトニング物質が二波長光源と共に又は光増感剤と一緒に使用されるキット。
適用しやすい形態の活性物質と、二重光活性化が可能な光照射器とからなるキット。
水溶性発泡錠剤の形態の光増感剤と、二重光光子を放出することができる手持ち式光照射器とを含むキット。
水溶性発泡錠剤、ゲル又はペーストの形態の光増感剤と、1回限りの使用のマウスピースと、光照射器とを含むキット。
キットの光増感剤は、例えば、ベリー抽出物口内洗浄液中に入れられた又はもともと存在する光増感剤の形態で提供され得る。
キットは、増強化合物として過酸化水素を含む場合もある。
さらに、前述に基づいて、以下は好ましい実施形態を表す。
1.光感受性化合物及び媒体を含む組成物であって、前記媒体が
(i)水相と;
(ii)2.8eV~3.5eVの間に大部分のエネルギーを持つ高エネルギー光子と;
(iii)1.24eV~1.65eVの間に大部分のエネルギーを持つ低エネルギー光子とを含む、組成物。
2.光感受性化合物及び媒体を含む組成物であって、前記媒体が
(i)PDMSゲルと;
(ii)バイオフィルムと;
(iii)2.8eV~3.5eVの間に大部分のエネルギーを持つ高エネルギー光子と;
(iv)1.24eV~1.65eVの間に大部分のエネルギーを持つ低エネルギー光子とを含む、組成物。
3.前記光感受性化合物が、1.24eV~1.65eVのエネルギー範囲での光子吸収からなる群より選択される、実施形態1又は2に記載の組成物。
4.前記光感受性化合物がインドシアニングリーンである、実施形態1~3のいずれか一項に記載の組成物。
5.光子が、少なくとも50%のエネルギーを、3.17eV~2.95eV及び1.56eV~1.45eVに持つ、実施形態1~4のいずれか一項に記載の組成物。
(実験)
最初の一連の試験では、hamamatsu 1394及びNIR光源で処理した後、室内光で着色歯垢の特異性を観察した。
図1及び図2にそれぞれ見られるように、歯及び歯茎の非バイオフィルム領域とバイオフィルムが存在する領域との間には明確な強度の差がある。治療を、図1では暗く表され、図2では低いグレー値のバイオフィルム領域に集中させる。
2回目の一連の試験では、二波長PDTによるクロルヘキシジンの増強効果を評価した。その結果を図3に示すが、これは、多波長PDTとクロルヘキシジンとの組み合わせが、参照及び1つの波長のみでの治療よりもはるかに強い効果をもたらすことを示している。
3回目の一連の試験では、多波長及び単一波長PDT治療それぞれに対するミュータンスレンサ球菌バイオフィルムの適応性を比較した。
バイオフィルム形成に対する繰り返し光線力学療法の効果を調べるために、2つの別個の単種バイオフィルムモデル実験を行った。ミュータンスレンサ球菌のバイオフィルム実験を、バイオフィルムの時期及び所与の治療法に基づいて、異なるクラスに分けた。
1日、2日及び4日目のバイオフィルムに対して、1回のPDT治療を行った。次いで、この効果を、毎日治療したサンプルではバイオフィルムの成長が強く抑制されるという仮説のもと、毎日治療した4日目のバイオフィルムと比較した。細菌の生存率を、最後の光線力学治療後に実施した段階希釈CFU法により評価した。
(材料及び方法)
ミュータンスレンサ球菌(ATCC 25175)を培養チャンバ(36℃、5%CO)内でBHIブロス(Bio-Rad 3564014)中、18時間培養した。得られた細菌懸濁液を0.9%NaCl懸濁液で希釈し、光学濃度を0.46に調整した。
希釈したミュータンスレンサ球菌懸濁液100ulをBHIブロス増殖培地100ulとともに各ウェルに添加し、ウェルプレートの底にバイオフィルムを成長させた。細菌プレートを培養チャンバ(摂氏36℃、5%CO)でインキュベートし、BHIブロス培地を毎日交換した。
(照射)
光照射の前に、増殖培地をインドシアニングリーン懸濁液と交換し、暗所、室温で10分間インキュベートした。インキュベーション後、バイオフィルムを0.9%NaCl水溶液で2回洗浄した。処理時間は、所望の光量及び既知の強度から算出した。
光照射は、ウェルプレートを既知のLED光源の下に置くことで行った。所与の光強度を、Thorlabs PM100D及びS121Cセンサーヘッドで分析した。所望の光量が得られるように処理時間を変更した。
CFU:照射後、無菌接種棒を用いてウェルプレートの底からバイオフィルムを機械的に削り取ることにより、ウェルからバイオフィルムを除去した。次に、得られた細菌懸濁液100ulを、1:1~1:10,000の間の様々な希釈率でBHIプレート上に播種した。
(試験及び結果)
PDTによるレンサ球菌バイオフィルムの連続処理の最初の実験は、250ug/mlのICGを810nmの光と共に使用して遂行した。1日目、2日目及び4日目の異なる時期のバイオフィルムを成長させ、各バイオフィルムに1回ずつ治療を行い、異なる時期のバイオフィルムに対する1回の治療の効果を評価した。
これらの3つの試験に加えて、毎日PDT治療を受ける4日目のバイオフィルムを成長させた。当初の仮説は、毎日治療を受けたバイオフィルムはCFUがほぼゼロになるというものであった。単一波長治療の結果を図10に示すが、これは、1、2及び4日目のミュータンスレンサ球菌バイオフィルムに対するPDT治療の有効性を示している。4日目のバイオフィルムについて2つの変形を実施した。1つは毎日、もう1つは4日目にのみPDT治療を受けた。
バイオフィルムの経時変化に伴う対照の総細菌量の増加と、このバイオフィルムモデルに対するPDT治療の強い効果は予想通りであった。バイオフィルムを毎日治療した場合の治療効果の低さは、細菌が光線力学治療に対して抵抗性を獲得できないということが広く知られているため、驚くべき観察結果であった。上述の実験を全て少なくとも3回繰り返し、4日間毎日治療したバイオフィルムでは12回繰り返し、この知見を検証した。
併用治療を行った場合、同様の効果は見られなかった。この治療法では、内因性及び外因性の治療法を組み合わせてバイオフィルムを標的にした。ミュータンスレンサ球菌を死滅させるには、70J/cmの量の405nmの光が必要であることが細菌プレート試験で示された。二重組み合わせ実験では、赤色光(ピークは810nm)と青色光(ピークは405nm)とを組み合わせた。複数光実験では、抵抗性誘導効果を調べることに焦点を合わせたため、4日目のバイオフィルムモデルに焦点を当て、光治療を毎日及び4日目にのみ行った。仮説では、毎日の治療は、前に観察されたように最も悪い結果になると考えられた。実験結果を図11に示す。
図11は、二重波長及び一波長PDTシステムでそれぞれ治療を受けた4日目のバイオフィルムを示す棒グラフである。二重波長PDTでは、毎日の治療と4日間の治療との間で殺菌効果に有意差は見られなかったが、単一波長PDTでは継続的治療で強力な殺菌効果を達成することができなかった。
したがって、二重波長併用光による治療はより効果的であり、治療に対する細菌バイオフィルムの適応は観察されなかった。
内因性及び外因性の光線力学治療を同時に組み合わせることで、バイオフィルムを標的としたPDTの効率を高めることができると思われる。図6は、PDTと比較した、405nmの光による治療の抗菌効果を示している。
図から明らかなように、405nmの光は、70J/cmを超える高いエネルギー密度でないと、ミュータンスレンサ球菌に対して強い有効性を示すことができない。PDTでは、殺傷効果ははるかに強かった。すでに4J/cmの照射量でミュータンスレンサ球菌の成長が完全に抑制された。
最後に、4回目の一連の試験では、グラム(-)細菌の治療について上記と同様の結果が得られたことに留意すべきである。
細胞壁の構造が異なると、異なる特性の光増感剤に対して感受性を示すため、グラム陰性菌又は陽性菌のいずれかに対しては有効性を欠く場合があった従来のPDTと比較して、高エネルギー光子及び低エネルギー光子を光増感剤と共に使用すると、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して、より優れてより安定した、強固な抗菌効果が得られる。治療領域のグラム陰性菌及び陽性菌のバランスへの影響が最小限であるため、高エネルギー光子及び低エネルギー光子治療を活性物質と共に使用することが推奨される。
図7は、ミュータンスレンサ球菌バイオフィルムに対する14日後のPDT治療の抗菌効果を示す棒グラフである。各ペアの左側の棒は100Jの光で治療した結果、右側の棒は50Jの光で治療した結果を表している(1cmあたり)。後に明らかになるように、本発明の光治療は、微生物に対して非常に効率的であることが証明されている。
本発明は、生体表面の治療に用いることができる。特に、本発明の方法は、表面の処理に用いることができる。生体表面とは、微生物によって引き起こされ形成される生物学的汚染を受ける又は受ける可能性があるあらゆる表面、典型的には生体組織及びそれらの表面である。そのような生物学的汚染は、通常、バイオフィルム並びにバイオフィルム感染症、例えば歯垢に起因する歯の感染症及び皮膚感染症、尿路感染症、中耳感染症、心内膜炎及びインプラント又はカテーテル関連感染症などに代表される。本治療法により、表面の生物学的汚染、例えば生体組織の微生物又はウイルス又は真菌による汚染を防止若しくは克服することができる。この治療法は、美容目的だけでなく、抗菌及び抗ウイルス及び抗真菌治療にも用いることができる。したがって、一般的に、組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢、歯の表面及び粘膜のウイルス又は真菌感染症。本発明の治療法は、生体表面を有する生体物質以外の処理にも用いることができる。例としては、バイオフィルムで覆われた機器及び機器の一部が挙げられる。そのようなバイオフィルムは、一般に、工業用水システム、医療及び紙・パルプ産業を含むプロセス産業、並びに食品産業で見られ得る。

Claims (42)

  1. 3.5eV~2.8eVの範囲に大部分のエネルギーを持つ光子による第1光と、1.24eV~2.48eVの範囲に大部分のエネルギーを持つ光子による第2光との2つの異なるエネルギーレベルの光の形態をした電磁放射線で生体表面を治療する方法であって、前記第1光及び前記第2光の光子を同時に前記生体表面に照射する、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    非コヒーレント放射光エネルギーを、第1及び第2エネルギーレベルの少なくとも2つの異なるエネルギーレベルで生成し;
    前記非コヒーレント放射光エネルギーから、前記第1エネルギーレベルの大部分のエネルギーに対応する波長を有する第1光と、前記第2エネルギーレベルの大部分のエネルギーに対応する波長を有する第2光とを供給し;
    前記第1光及び前記第2光を同時に生体表面に照射する、方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法であって、前記表面の生体物質が、特に活性一重項酸素若しくは活性酸素種又はその両方を生成するように、内因性及び外因性の励起を受ける、方法。
  4. 微生物又はウイルス又は真菌による生物組織の汚染などの表面の生物学的汚染を防止又は対策を取ることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 美容的治療又は抗菌若しくは抗ウイルス若しくは抗真菌治療を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記光をそのまま使用する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 光線力学療法を用いて前記表面を治療するために、前記光を少なくとも1つの光感受性物質と組み合わせる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記高エネルギー光子及び低エネルギー光子を、前記低エネルギー光子で活性化され得る少なくとも1つの外因性光増感剤と併用して照射する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 哺乳動物組織の局所治療で使用するための光増感剤を提供し、前記増感剤を哺乳動物の皮膚又は粘膜などの前記組織の表面部位に塗布し、このように処理した前記部位を、続いて又は同時に2つの異なる波長の光にさらす、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記光が、2.8eV~3.5eVの間に大部分のエネルギーを持つ高エネルギー光子による第1光と;1.24eV~1.65eVの間に大部分のエネルギーを持つ低エネルギー光子による第2光とからなる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 光増感剤を、組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢及び歯の表面又は粘膜などの標的に存在する細菌、ウイルス又は真菌などの微生物と、水溶液、アルコール含有溶液、親水性ゲル、疎水性ゲル、親水性ポリマー、疎水性ポリマー又はペースト、ローション、テープ、錠剤、膏薬若しくはバンドエイドの形態で前記標的に塗布することにより接触させる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記生体表面が、組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢及び歯の表面並びに粘膜から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 生体表面の非治療的処理を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 内因性分子によって吸収される高エネルギー光子及び外因性分子によって吸収される低エネルギー光子が、光電子部品又はデバイスから同時に放出される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 高エネルギー光子及び低エネルギー光子を、1Hz~1GHzの周波数で交互の若しくはパルス化した給電電圧又は電流を用いて互いに独立して放出することを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 光検出器などの任意選択の検出器を含む光電子デバイスを使用して、内因性及び外因性分子又はそれらの光分解副生成物の光ルミネセンスを検出することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 直列又は並列に接続された複数の半導体チップを有する光電子デバイスを使用することを含み、前記チップが、2.48eV~1.24eVの範囲及び3.5eV~2.8eVの範囲でそれぞれ変化させることができる発光エネルギーを示す、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 第1期間中に第1光増感剤を使用し、第2期間中に前記第1光増感剤とは異なる第2光増感剤を使用することを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記第1光増感剤及び前記第2光増感剤が、それぞれ第1光及び第2光を用いて活性化される、請求項17又は18に記載の方法。
  20. 前記第1光増感剤を組み合わせて若しくは交互に使用する又はそれらの少なくとも1つを前記治療中の所定の時点で使用する、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記光増感剤(単数又は複数)が、ヒペリシン、クルクミン、フェナレノン誘導体、セルコスポリン、ソラレン、キサントトキシン、アンゲリシン、α-テルチエニル、フェニルテパトリイン、THC、カンナビジオール(CBD)及びこれらの組み合わせを含む天然化合物の群から並びにRB(ローズベンガル)、MB、ポルフィリン誘導体、クルクミン誘導体、メチレンブルー、インドシニングリーン、エリトシン、フェナレノン誘導体、フラーレン誘導体、キサンテン誘導体及びこれらの組み合わせを含む合成光増感剤の群から選択される又は少なくとも1つの光増感剤が上記の天然化合物の群から選択され、少なくとも1つの光増感剤が上記の合成化合物の群から選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 光エネルギー、特に非コヒーレント放射光エネルギーを、400~430nmの第1波長では、好ましくは1~120J/cmの照射量で、特に約10~約2500mW/cmの電力密度で0.5秒~120分間並びに780~830nmの第2波長では、好ましくは1~120J/cmの照射量で、特に約10~約2500mW/cmの電力密度で0.5秒~120分間、生体表面に照射する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記光が1つ又は複数の発光ダイオードによって生成される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 哺乳動物の感染症の局所治療に使用するための増感剤であって、前記増感剤を皮膚又は粘膜の一部に塗布し、前記部位を、続いて又は同時に、2.8eV~3.5eVの間に大部分のエネルギーを持つ第1光子及び1.24eV~1.65eVの間に大部分のエネルギーを持つ第2光子にさらす、増感剤。
  25. 前記感染症が、組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢、歯の表面及び粘膜の微生物、ウイルス又は真菌感染症である、請求項22に記載の哺乳動物の感染症の局所治療に使用するための増感剤。
  26. 請求項23又は24に記載の哺乳動物の感染症の局所治療に使用するための増感剤であって、ヒペリシン、クルクミン、フェナレノン誘導体、セルコスポリン、ソラレン、キサントトキシン、アンゲリシン、α-テルチエニル、フェニルテパトリイン、THC、カンナビジオール(CBD)及びこれらの組み合わせを含む天然化合物の群から並びにRB(ローズベンガル)、MB、ポルフィリン誘導体、クルクミン誘導体、メチレンブルー、インドシニングリーン、エリトシン、フェナレノン誘導体、フラーレン誘導体、キサンテン誘導体、レスベラトロール、ポリフェノール化合物及び/若しくはアントシアニン化合物を含むリンゴンベリー及びブルーベリーなどのベリー類の抽出物及びこれらの組み合わせを含む合成光増感剤の群から選択される少なくとも1つの光増感剤を含む又は前記光増感剤が、少なくとも1つの光増感剤が上記の天然化合物の群から選択され、少なくとも1つの光増感剤が上記の合成化合物の群から選択される組み合わせである、増感剤。
  27. 虫歯形成及び歯周炎を特徴とする哺乳動物の口腔内バイオフィルム状態を治療する際に、同時に、別々に又は連続して使用するための、抗菌因子と光増感剤との組み合わせであって;前記抗菌因子が、抗菌性ブルーライト、殺菌剤、活性酸素発生剤及び酸素輸送剤のうちの少なくとも1つを含む、抗菌因子と光増感剤との組み合わせ。
  28. 前記光増感剤を、光エネルギー、特に非コヒーレント放射光エネルギーに、400~430nmの第1波長では、好ましくは1~120J/cmの照射量で、特に約10~約2500mW/cmの電力密度で0.5秒~120分間並びに780~830nmの第2波長では、好ましくは1~120J/cmの照射量で、特に約10~約2500mW/cmの電力密度で0.5秒~120分間さらす、請求項24~26のいずれか一項に記載の使用のための増感剤又は請求項27に記載の使用のための組み合わせ。
  29. 組織、バイオフィルム、唾液、皮膚、歯垢、歯の表面及び粘膜の微生物、ウイルス又は真菌感染症を治療するためのキットであって、高エネルギー光子からなる第1光及び低エネルギー光子からなる第2光を同時に放出することができる光電子デバイス(前記第1光及び前記第2光は、前記光電子部品又はデバイスから放出される全ての光の少なくとも80%に相当する)と、高エネルギー光子及び低エネルギー光子の少なくともいずれかによって活性化され得る少なくとも1つの光増感剤とを含む、キット。
  30. 2.8eV~3.5eVの間に大部分のエネルギーを持つ高エネルギー光子及び1.24eV~1.65eVの間に大部分のエネルギーを持つ低エネルギー光子を放出することができる光電子デバイスを、光増感剤又は複数の光増感剤と共に含むキットであって、長期使用のための予防的及び治療的な歯科/口腔ケアにおいて持続的な抗菌効果を実現するための方法を実施することができる、キット。
  31. 2つの波長を、同時に又は互いから0.001~1000ミリ秒、例えば約100ミリ秒の時間間隔で放出することができる、特に請求項29又は30に開示される種類の光電子デバイスを、任意選択で光増感剤又は複数の光増感剤と共に含むキットであって、長期使用のための予防的及び治療的な歯科/口腔ケアにおいて持続的な抗菌効果を実現するための方法を実施することができる、キット。
  32. 2つ以上の発光面(EPI)を有する発光部品を有する光電子デバイスを、任意選択で光増感剤又は複数の光増感剤と共に含むキットであって、長期使用のための予防的及び治療的な歯科/口腔ケアにおいて持続的な抗菌効果を実現するための方法を実施することができる、キット。
  33. 請求項29~32のいずれか一項に記載のキットであって、治療の進行を監視することができるセンサをさらに含み、前記センサが、特に治療の進行を検出することができ、前記治療の進行に基づいて調節信号を生成することができ、前記光電子デバイスに連結している前記センサが、前記調節信号に応じて前記光電子デバイスから放出される前記光を調節する、キット。
  34. 歯ブラシの形状又は歯の噛み合わせ面の間の口の中に挿入可能なマウスピースの形状又は棒状照明器具の形状を示す光電子デバイスを含む、請求項29~33のいずれか一項に記載のキット。
  35. 使用される前記光電子デバイスが、マイクロスペクトロメータセンサ、温度センサ、光センサ、pHセンサ、力センサ、ジャイロスコープ、圧力センサ又はそれらの組み合わせを含む、請求項29~34のいずれか一項に記載のキット。
  36. 二波長光源と共に又は光増感剤と一緒に使用することができる歯のホワイトニング物質を含む、請求項29~35のいずれか一項に記載のキット。
  37. 光増感剤を水溶性発泡錠剤の形態で含み、さらに二重光光子を放出することができる手持ち式光照射器を含む、請求項29~36のいずれか一項に記載のキット。
  38. 光増感剤を水溶性発泡錠剤、ゲル又はペーストの形態で含み、さらに1回限りの使用のマウスピース及び光照射器を含む、請求項29~37のいずれか一項に記載のキット。
  39. 光増感剤を、ベリー抽出物口内洗浄液中に入れられた又はもともと存在する光増感剤の形態で含む、請求項29~38のいずれか一項に記載のキット。
  40. 増強化合物として過酸化水素を含む、請求項29~39のいずれか一項に記載のキット。
  41. 前記光電子デバイスが、光、特に非コヒーレント放射光を、400~430nmの第1波長では、好ましくは1~120J/cmの照射量で、特に約10~約2500mW/cmの電力密度で0.5秒~120分間並びに780~830nmの第2波長では、好ましくは1~120J/cmの照射量で、特に約10~約2500mW/cmの電力密度で0.5秒~120分間放出することができる、請求項29~40のいずれか一項に記載のキット。
  42. 前記光電子デバイスが、光源として発光ダイオード(単数又は複数)を含む、請求項29~40のいずれか一項に記載のキット。
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